○遠山政府
委員 現在進んでおります
大学改革の進捗状況いかんという御質問をいただきました。
お話にございましたように、文部省では昭和六十二年に
大学審議会を設けまして、高等
教育の個性化、
教育研究の高度化あるいは組織運営の活性化ということについて御検討いただいているところでございますけれども、既にこれまでいただきました答申を踏まえまして、文部省におきまして
大学設置基準の大綱化等さまざまな制度の措置を行ったところでございます。このことが契機となりまして、今各
大学では本格的な改革への取り組みが始まったところでございます。その背後に文部省としてどのような措置をとったかということについて、この機会にちょっと御説明させていただきたいと思います。
大学教育関係におきましては、まず各
大学で多様でかつ特色のあるカリキュラム設計が可能となりますように、授業科目でありますとか卒業要件あるいは
教育組織等に関します
大学設置基準の規定の大綱化を行ったということが一つでございます。
また、各
大学がみずからの責任におきまして
教育研究について不断の
改善を行っていただきますために、自己点検・評価システムというものを導入したところでございます。
また、生涯学習の進展に対応しまして、科目等履修生の制度を新たに導入をいたしましたり、昼夜
開議制の実施など制度の弾力化を図ったところでございます。
また、特に
大学院関係、これは質的にも量的にも今後
拡充整備していく必要があるわけでございますが、
大学院関係につきましては、それぞれの
大学院が特色を十分に発揮した多様な
教育研究を実施し得る道を開きますために、
大学院の課程の目的あるいは入学資格、修業年限など多岐にわたる制度の弾力化を行ったところでございます。
さらには、社会人の再
教育のニーズに対応いたしますために、夜間
大学院あるいは
大学院における昼夜
開議制、科目等履修生制度の導入というような大きな制度の改正を図ったところでございます。
こういったことを受けまして、現在各
大学におきましては、
教育面の
改善充実のためのさまざまな取り組みが行われているところでございます。
例えば、
大学教育関係におきましては、一般
教育と専門
教育を含めまして、それぞれの
大学、学部等の
教育の理念ということを明確にしまして、その目的を達成するために四年一貫の体系的なカリキュラムの実施が始まりつつございます。
また、それぞれの授業科目につきまして詳細な授業計画、これをシラバスと呼んでおりますけれども、これまではそのようなものをつくっている
大学が余りなかったわけでございますが、今回の改革をきっかけに、学部
教育の
充実という角度からそれぞれの教員の方々がみずからの講義の内容を事前に明確にしまして、それを学生たちに事前に知らしめて、そして
充実した内容の授業を行うようなシラバスの作成、公表といったようなことも多くの
大学で行われ始めております。
さらには、大教室で一方的に講義するというふうな
大学教育のあり方への反省もありまして、小人数
教育を取り入れたり、あるいは対話とか討論というような形をとって、ディベートをする能力をつけるというふうなことについても積極的に努力をしておられる
大学もございますし、外国語
教育につきましては、本当にコミュニケーションの能力を身につけさせるような授業をするというふうなことで、テキストあるいは授業の方法等を工夫しながらいろいろな
改善が行われているところでございます。
さらには、
大学院の関係でございますけれども、これまではどちらかといいますと、
大学院は学部の延長の組織として考えられていたところでございますけれども、そういうものではなくて、多様な
大学院の設置が現在始まっております。独立
大学院でありますとか、あるいは先端的、学際的分野の研究科というものをつくったりいたしているわけでございますし、さらには、
大学院に社会人を受け入れるというふうなこともかなり進んでまいっております。
また、学位授与も比較的円滑に行われるようになっておりまして、なかなか日本の
大学では博士号が出ないというふうな国際的な問題もあったわけでございますが、そういうことについても、少しずつではございますけれども確実に前進を見始めているところでございます。
そのようなことで、特にお話にございました教養部の改組につきましては、
大学審議会の答申に基づきます
大学設置基準の改正によりまして、現在各
大学でいろいろな努力が行われた結果、教養
教育の理念、目標を踏まえた授業のあり方、あるいは専門
教育との有機的な連携のあり方、さらには全学的な教養
教育の実施体制のあり方などにつきまして、自主的な検討が現在行われているところでございます。
そのようなことから、先ほどお話がございましたような今回の二学部の創設ということもございますが、
平成六年度におきましては、この二
大学以外にも四つの
大学で教養部改組によります
大学院あるいは既存の学部の
充実を図るというふうに、現在取り組みが行われつつあるところでございます。
このように、各
大学におきまして、いわばそれぞれの特色に応じた
大学改革というものがそれぞれの理念を反映した形で、多様な努力のもとに現在進行中というふうに私どもは考えているところでございます。