○松岡(利)
委員 大臣の御
認識といいますか御見解、承りました。ひとつその点は、これは政策体系全体の一番の基本でありますので、
農林水産省はもとよりでありますが、これはやはり
国民全体にわたって御
認識を賜ることが一番基本だろうと思いますので、その点、
大臣のお立場からも農林省のお立場からも、そのようなお取り組みを
政府全体に広がるようにあらゆる形でひとつお願いをしたい、こういうふうにお願いをする次第であります。
そこで、そういった
観点に立ちまして、若干基本的なことをお
伺いいたします。
私は、今の細川政権、
大臣もその中の一角を占めておられるわけでありますが、連立政権は、農林
漁業、
食糧政策、これをやはり若干軽視されているのではないか、このような感をどうしても持たざるを得ない。また、持つだけではなくて、そういう事実もまた
指摘せざるを得ない、こう思うわけであります。
私は、
国会議員になりましてちょうど丸四年になります。
平成二年に私は当選させていただいたのですが、この間、農林
漁業をめぐる
状況ということをさらっと見てみますと、これはもう大変な大打撃を受けた。その繰り返しであった。本当に相次ぐ大打撃を受けた、そういう
状況下に農林
漁業は置かれた、こういうことでありました。
平成二年に、これは
日本全国、全体ということではなかったかもしれませんが、大水害を私の選挙区は受けました。これは七・二水害というわけでありまして、九州も大変でしたが、死者だけでも、私
どもの阿蘇だけでも二十名くらい死んだという大変な大水害を受けました。
そしてまた、
平成三年は、御案内のとおり
大臣の地元も大変な風倒木でありましたし、背中合わせの私のところも大変な風倒木。そして、北は青森のリンゴまで本当に壊滅的打撃を受ける。こういうような台風被害。そして
平成三年からは、牛肉・オレンジの自由化、さらに昨年の大凶作、こういうことでありますから、本当に自然の面から、またいろいろと人為の面から大変な大打撃を受けてきたというのが、私が政治家になって四年間の農林
漁業の置かれた
状況だったわけであります。
その
状況の中で、経済的にも心理的にも、私は農家というのは大変な落ち込んだ
状況にあると思うのです。その落ち込んだ
状況にさらに、こういう言い方は妥当かどうか知りませんが、首つりの足を引っ張るような大凶作に打ちひしがれて、本当にどうしようかと思って途方に暮れているところに米の自由化。そしてまた、酪農乳製品の自由化、
関税化です。そしてまた、牛肉・オレンジのさらなる
関税率の引き下げ、そしてまた木材のまたこれも
関税化、このようなわけでありました。本当に昨年の十二月のそういうような、どうやって立て直すかではなくて、これなら死ぬしかないではないか、これなら奈落の底に落ち込んでしまうしかないではないか、このような
状況に置かれておるのが私は今の
状況ではないか。
しかも、先ほ
ども漁港の話のときでしたか、
鈴木先生からもちょっとありましたが、連立政権としてどういう
考え方でこの政策運営をしていくか。それを具体にあらわすのが予算編成であります。その予算編成のまさに予算配分の基準として出てきたのが、財政審答申と言われるこのABCランク分け。ABCというのは、A組だ、B組だ、C組だ。あなたはA組だ。A組とは何だ、
生活環境だ、B組とは何だ、国土保全だ、C組とは何だ、
産業基盤、そういったことを
中心とする
分野だ、こういうことでありました。
そうしますと、農林省
関係はどうなるか。これは、
土地改良、
漁港、そういったものを初め全部Cなんです。先ほどそのことに対しては、
大臣のお立場としてもこれはまことにもって遺憾にたえないと。もっと違うところでも
大臣のお言葉を聞いておりますから、
大臣自体とされましては、このことに対して大変な怒りも含めてけしからぬというお
考え、お立場にあられるということは私も理解いたしておりますが、しかし、細川連立政権としてはそのようなことで、
土地改良、これは〇・六%ぐらい切り込まれたのですかね。
大臣、これは末端の
事業規模にすると六百億円ですよ。これはアバウトな話ですから詰めて言う話ではないのですが、六百億円。これは、初年度だからということでこれぐらいにしている。これをもっと切り込んでいくということになると、じゃ、〇・六が一・〇だ、一・二だ、一・五だ、こうなっていきますと、六百億のまま十年たって六千億ですから、ちょっと傾斜をつけて切り込んでいけば、一兆だ、一兆五千億だにすぐなってしまう。
そうすると、その
土地改良の中には、これは農道もあれば
集落排水もある。まさに
農業、農村
地域の
生活環境というものはみんな含まれているし、まさに最も都会に比べておくれておった必要なものが全部組み込まれている。それが一兆だ、一兆五千億だという形で抜かれて、都会にそのお金が持ってこられるのであれば、これはどういうことになるのかということであります。そのようにCランクに
位置づけられておる。これは後回しというわけです。Aは最優先、Bは普通、Cはあなた後回し、こんなわけであります。
そして、林業
関係の林道とかそういったものがB、こういうことでありまして、私は大蔵省の竹島次長にもお話しに行ったときに申し上げたのです。水道の
整備、確かにこれは
生活直結で大事かもしらぬけれ
ども、幾ら水道の蛇口だけ
整備したって一番奥の水源、もとのところがきちんと
整備されなければ水は来ないわけであります。そういう意味では、農林業というか、そういう農山村
地域というのは、言ってみれば
生活のもとなんですね。そういうようなことも
考えていただいたときに、細川連立政権としては、そういった
観点を捨てたまさに農林業軽視の予算配分であり、そういうことになっているというのは、これは事実としてそうではないか、こういう思いを私は持つわけであります。
したがいまして、このことはきょうの本論ではございませんから、私はこれ以上言うつもりはございませんが、先ほど申し上げました、
大臣もちょっとおっしゃいました、そういう今日の
食糧の
状況、米の混乱、こういったことをまさに今見るにつけ、経験するにつけ思いますのは、誤りを正すのに何のはばかりあるということが昔からありますよ。
畜産局長は、当時農林省の立場で、国際部長でジュネーブにもずっと行かれて、私
ども何度も一緒でした。私もアメリカにもずっと行ってまいりましたが、今
ウルグアイ・ラウンドが終わってみますと、ヨーロッパのオーディオ・ビジュアル、そういったものは例外というか、話がまとまらなかったから交渉は別途やっていきましょう、こんないいかげんな形になっているのですね。そしてまた、アメリカは、木材
関税、自分たちも納得して一遍合意したものを、ゼロ・ゼロ
関税にしなければ、何品目か知らぬけれ
どもそれは合意から引き揚げる、こういうことも言っておるわけであります。これは、公平な、平等なことを実現する
責任のあるガット、そういう立場からすれば、平等でも公平でもない。
アメリカやECにはまさに例外的に、もう例外と言ってもいいと思うのですが、別枠で認めている。それならば、そういったものが調うまでお互い国際間の協定の調印というのは凍結。そういった不平等のままこれを受け入れるというようなことは私
どもはとても
考えられない。したがって、
我が国としては、そういった国際的なまさに平等性、公平性が保たれるまでこの点については留保する。そして、今日のこういう
食糧問題、また地球
環境等を
考えればなおのこと、今こそ勇気を持って——あのアメリカにもあれだけノーと言われたのですから。工業製品の
分野ではノーと言った。
私もここまで言うつもりはなかったのですが、せっかくですから申し上げますと、アメリカに何度も行って交渉して、いつも議論になって最後の結論は、アメリカからすれば六百億ドル近い貿易赤字なんですよ、これをどうしてくれるんですか、こういうことなんです。ですからそのときにも申し上げた。それであればなおのこと米の三十万トンぐらい
輸入したって一億ドルかそこらじゃないか、そんなもので何の解決ができるのですか、解決の足しにならないそういうものでお互いいがみ合って、けんかし合って労力、エネルギーを費やすよりも、本当に正面から取り組んだ形でひとつ解決の道を探そうじゃないか。だから、帰ってきて外務省にも通産省にも言いました。行けば行くほどはっきりしてくる。要するに、これはあなたたちがごまかして、問題を
農業にすりかえているんだ。だから、経済界よ、通産、外務省よ、逃げずに正面から受けとめて、そして、五百億ドルも六百億ドルもつくった張本人が、これだけの赤字を半分にするなり三分の一にするなり、そういう基本的解決策を自分でつくれ、こういうことを私
どもは申し上げたのです。
私は台湾にも行きました。台湾の経済界と話したら、台湾は、李登輝総統が何とかしろと言ったそのツルの一声で、本当に経済界が百億ドルくらいの対米貿易黒字をある
一定期間であっという間に減らしたのです。
そういうことを
考えますときに、日米間の一番の問題をつくった工業製品、その工業製品を守るときはノーと言って、問題どころか、もういっぱい入れるだけ入れて三百億ドルも
輸入している農産物では、もうあとちょっと残ったものまでイエスと言って入れてしまう。これは、国家の将来とか民族の安全とか、そういったことを
考えたときに、先ほどから言っておりますように、いま一度基本に立って
考え直すべきではないか、このような
考えを私は強く持っておりました。
今こそ大英断をもって、
ウルグアイ・ラウンドの問題、酪農の
関税化の問題、まだ時間はあるわけでありますから、この点につきまして
大臣、十分ひとつお
考えをいただきたい。きょうここでこのことについて
大臣と討論をするというような予定ではございませんので、このことは強く申し上げまして、ひとつ
大臣の腹に入れていただきたい、このことをお願いする次第であります。
そこで、いよいよ本題に入りたいと思いますが、牛肉自由化がなされました。先ほど二田
先生のいろいろなお話もございましたが、今日、酪農経営、畜産経営はもう大変な、惨たんたる
状況になっておる、そのように私は思っております。
私は、今から十五、六年前に、北海道の天塩川のある天塩町というところに営林署がございます、その営林署長をさせていただいておりました。そういった御縁があるものですから、きのうもその天塩の酪農の
方々がお見えになった。もちろん議長さんとか町の議会や役場の行政
関係、そしてまた農民代表、そういった
方々が忙しい合間とにかく必死でお見えになったわけでありますが、話を聞けば、このままいけばもう死ぬしかない、もうおれたちは首をつるしかない、そのようなお気持ちで必死で訴えられるわけであります。そしてまた、中身を聞いてみれば、これはなるほどそうなんですね。
したがって、私はまず畜産局長にお聞きをしたいのですが、先ほど二田
先生も言っておられ、局長もさらっと数字的に答弁をされておられたけれ
ども、そんな話じゃなくて、今まさに、畜産経営なり酪農経営、自由化前と自由化後、どういう
状況に立ち至っているかということをどのように
認識をされておられるのか、私はそこを篤とお
伺いしたい。
私は当時政治家ではなかったのですが、牛肉・オレンジの自由化が決まったときに、いろいろ人の話を聞けば、決して農家には迷惑をかけない、こういうことで牛肉自由化を受け入れた、こう聞いておりますが、迷惑はかけないどころか、もう死ぬか生きるかわからないというところまで来ているわけでありますから、迷惑がかかるどころかそれ以上のものがかかっておる、こういう
状況だと私は思っております。
まず、局長の御
認識を、当時どの程度の影響があると想定されておったのか。想定があったのかないのか。もし想定をされていたとするなら、それは想定をよほど上回る今の
状況か、まあ大体想定どおりだったということなのか。したがって、対策はとっていたはずだから、その対策にしても今のこの
状況はやはり賄い切れなかったというような
状況なのか。ちょっとその辺の御
認識を、ひとつまず局長にお
伺いしたいと思う。