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1994-03-22 第129回国会 衆議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成六年一月三十一日)(月曜日 )(午前零時現在)における本委員は、次のとお りである。   委員長 竹内  猛君    理事 亀井 善之君 理事 久間 章生君    理事 中川 昭一君 理事 二田 孝治君    理事 前島 秀行君 理事 仲村 正治君    理事 錦織  淳君 理事 千葉 国男君       赤城 徳彦君    菊池福治郎君       岸本 光造君    栗原 裕康君       七条  明君    中谷  元君       浜田 靖一君    保利 耕輔君       松岡 利勝君    松下 忠洋君      三ッ林弥太郎君    御法川英文君       宮里 松正君    山本 公一君       石橋 大吉君    遠藤  登君       田中 恒利君    辻  一彦君       実川 幸夫君    白沢 三郎君       田名部匡省君    広野ただし君       玄葉光一郎君    木幡 弘道君       初村謙一郎君    上田  勇君       長内 順一君    倉田 栄喜君       小平 忠正君    藤田 スミ君       石破  茂君 ――――――――――――――――――――― 平成六年三月二十二日(火曜日)     午前十時三十分開議 出席委員   委員長 竹内  猛君    理事 亀井 善之君 理事 久間 章生君    理事 中川 昭一君 理事 二田 孝治君    理事 前島 秀行君 理事 仲村 正治君    理事 錦織  淳君 理事 千葉 国男君       赤城 徳彦君    小此木八郎君       岸本 光造君    栗原 博久君       栗原 裕康君    田中眞紀子君       中谷  元君    浜田 靖一君       保利 耕輔君    松下 忠洋君      三ッ林弥太郎君    御法川英文君       石橋 大吉君    遠藤  登君       田中 恒利君    辻  一彦君       実川 幸夫君    白沢 三郎君       田名部匡省君    広野ただし君       木幡 弘道君    初村謙一郎君       上田  勇君    長内 順一君       倉田 栄喜君    小平 忠正君       藤田 スミ君    石破  茂君  出席国務大臣         農林水産大臣  畑 英次郎君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         農林水産省経済         局長      眞鍋 武紀君         農林水産省構造         改善局長    入澤  肇君         農林水産省農蚕         園芸局長    日出 英輔君         食糧庁長官   上野 博史君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部取         引課長     上杉 秋則君         外務省アジア局         地域政策課長  小島 誠二君         文部省体育局学         校健康教育課長 近藤 信司君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 高原 亮治君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十二日  辞任         補欠選任   七条  明君     小此木八郎君   松岡 利勝君     栗原 博久君   宮里 松正君     田中眞紀子君 同日  辞任         補欠選任   小此木八郎君     七条  明君   栗原 博久君     松岡 利勝君   田中眞紀子君     宮里 松正君     ――――――――――――― 一月三十一日  外国牛肉輸入調整法案江藤隆美君外四名提  出、第百二十八回国会衆法第一一号) 三月十一日  漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整  備計画の変更について承認を求めるの件(内閣  提出、承認第二号) 同月一日  米の輸入自由化反対に関する請願藤田スミ君  紹介)(第七六号)  米輸入自由化反対日本農業国民食糧を  守る政策に関する請願不破哲三紹介)(第  七七号)  食料自給回復食料の安全に関する請願(穀  田恵二紹介)(第一九八号)  同(志位和夫紹介)(第一九九号)  同(不破哲三紹介)(第二〇〇号)  同(正森成二君紹介)(第二〇一号) 同月八日  米の輸入自由化反対及び国民の主食を守る政策  への抜本的転換に関する請願岩佐恵美紹介  )(第二三三号)  同(穀田恵二紹介)(第二三四号)  同(佐々木陸海紹介)(第二三五号)  同(志位和夫紹介)(第二三六号)  同(寺前巖紹介)(第二三七号)  同(中島武敏紹介)(第二三八号)  同(東中光雄紹介)(第二三九号)  同(不破哲三紹介)(第二四〇号)  同(藤田スミ紹介)(第二四一号)  同(古堅実吉紹介)(第二四二号)  同(正森成二君紹介)(第二四三号)  同(松本善明紹介)(第二四四号)  同(矢島恒夫紹介)(第二四五号)  同(山原健二郎紹介)(第二四六号)  同(吉井英勝紹介)(第二四七号)  食料自給回復食料の安全に関する請願外四  件(岩田順介紹介)(第二四八号)  同(岡崎トミ子紹介)(第二四九号)  同(岡崎宏美紹介)(第二五〇号)  同(金田誠一紹介)(第二五一号)  同(佐々木陸海紹介)(第二五二号)  同(田中昭一紹介)(第二五三号)  同(田中恒利紹介)(第二五四号)  同外三件(中西績介紹介)(第二五五号)  同(野坂浩賢紹介)(第二五六号)  同(古堅実吉紹介)(第二五七号)  同外四件(堀込征雄紹介)(第二五八号)  同外五件(三野優美紹介)(第二五九号)  同外三件(秋葉忠利紹介)(第二七三号)  同外三件(岩田順介紹介)(第二七四号)  同(小林守紹介)(第二七五号)  同外四件(小森龍邦紹介)(第二七六号)  同(田中昭一紹介)(第一七七号)  同(田中恒利紹介)(第一七八号)  同(野坂浩賢紹介)(第一七九号)  同外四件(前島秀行紹介)(第二八〇号)  同(石橋大吉紹介)(第二八二号)  同外四件(今村修紹介)(第二八三号)  同外三件(岩垂寿喜男紹介)(第二八四号)  同(小泉晨一君紹介)(第二八五号)  同(小林守紹介)(第二八六号)  同外四件(佐々木秀典紹介)(第二八七号)  同(野坂浩賢紹介)(第二八八号)  同外六件(鉢呂吉雄紹介)(第二八九号)  同外五件(日野市朗紹介)(第二九〇号)  同(小林守紹介)(第二九六号)  同外二件(田邊誠紹介)(第三四五号)  同外三件(楢崎弥之助紹介)(第三四六号)  同外二件(濱田健一紹介)(第三四七号)  同外六件(山下八洲夫君紹介)(第三四八号)  同外二件(吉岡賢治紹介)(第三四九号) 同月十五日  食料自給回復食料の安全に関する請願(中  島武敏紹介)(第三五六号)  同外三件(楢崎弥之助紹介)(第三五七号)  同(五島正規紹介)(第三七一号)  同外二件(白沢三郎紹介)(第三七二号)  同(辻一彦紹介)(第三七三号)  同外二件(畠山健治郎紹介)(第三七四号)  同(早川勝紹介)(第四三七号)  同(早川勝紹介)(第四八四号)  同(松本善明紹介)(第四八五号)  同(山原健二郎紹介)(第四八六号)  同(岩佐恵美紹介)(第五〇一号)  同(寺前巖紹介)(第五〇二号)  同(早川勝紹介)(第五〇三号)  同(東中光雄紹介)(第五〇四号)  同(藤田スミ紹介)(第五〇五号)  同(矢島恒夫紹介)(第五〇六号)  同(山原健二郎紹介)(第五〇七号)  同(吉井英勝紹介)(第五〇八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二十八日  稲作等冷害対策に関する陳情書  (第四四  号)  米の市場開放阻止に関する陳情書外八件  (第四五号)  農業農村整備事業推進に関する陳情書外十二  件  (第四六号)  秩序ある牛肉輸入の確保に関する陳情書  (第四七号)  学校給食用牛乳等への助成措置の継続に関する  陳情書外四件  (第四八号)  二百海里体制の早期確立に関する陳情書外六件  (第四九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  農林水産業振興に関する件(米の需給状況等  )      ――――◇―――――
  2. 竹内猛

    竹内委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業実情調査し、その振興を図るため  農林水産業振興に関する事項  農林水産物に関する事項  農林水産業団体に関する事項  農林水産金融に関する事項  及び  農林漁業災害補償制度に関する事項について、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹内猛

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ————◇—————
  4. 竹内猛

    竹内委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中眞紀子君。
  5. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 私は自由民主党一年田中眞紀子でございます。  きょうは、初めてこちらの委員会に伺いまして、差しかえでございますので大変緊張しておりますが、御指導いただきますように、よろしくお願いいたします。  私は新潟県第三区の出身でございまして、おいしいコシヒカリ、特に魚沼米は私のところが産地でございます。それで、昨年からのウルグアイ・ラウンド、ミニマムアクセスの受け入れ、それからこのたびの大不作、これは、私は天災ではなくて人災というふうに位置づけておりますけれども、この米不足での大混乱ぶり、少し鎮静化したというふうに報道はされておりますけれども、実態は、私が主婦の目で見ている限りでは決してそんなことはございません。こういう実情を大変ゆゆしきことと思って、嘆かわしいことと思って、ずっと当選以来見せていただいております。  私個人といたしましては、賢くもコシヒカリ家庭内備蓄をしている主婦でございますから、こういうときに慌てふためいたりいたしません。国家はしっかりやっているのだろうと思ったら、国家の方が慌てふためいていて、情けない限りだなと思っております。  私は新潟県の米作り農家跡取り娘といういわば生産者立場もございますし、と同時に主婦としての、消費者としての立場もございますから、その二つの観点から、素朴な質問大臣にさせていただきたいと思います。  先日、ちょっとテレビをひねっておりましたら、つけた途端に、何か古米みたいな顔をしたおじさんが出てきまして、ぼそぼそ言っていて、何を言っているんだろうと。数字ばかり言って弁解しているのです。見たら、肩書に食糧庁長官と書いてありましたけれども、私は役人数字合わせを聞こうというつもりは毛頭ございません。起こっている現実、今後どうするか、本当の米の、農政の根本はどうあるべきかということについて、政治家としての大臣の御所見を伺いたいというふうに思っております。  大体、先ほど申しましたように、今回の凶作は、備蓄を怠って、そして結局どんどん青刈りまでやってしまって、減反をして、そういう結果、天につばをするというような形でもって起こってしまったというふうに思っておりますが、政府の方は、どうせミニマムアクセスが、今は緊急輸入でございますけれども、そのうち外国から輸入をしなければならないのだから、足りなくなったら、なければ買えばいいのだというようなお考えでいらっしゃるのかもしれませんが、私は、そういうものではないだろうというふうに思っております。  最初に伺いたいことでございますけれども、まず生産者立場から一番気になることでございますが、減反備蓄の問題について伺いたいと思います。  その前に、今世間では、ブレンド米の問題とか、主婦の目で見ますと、学校給食の問題はどうすればいいかとか、セット販売はどうであろうかとか、そのほか農薬汚染の問題とか言われております。それぞれ大切なんですけれども、やはりこういう場で伺うときには、私はどうしても生産者立場としての発言を一番大切にしたいと思っておりますので、なぜ減反を、今のような状況の中であっても、今回は昨年の十一月二十九日に全国一律減反を指導なさったと思います、そして四十万トン分は緩和ということをおっしゃったようでございますけれども、現在の段階で、どういう理由で、どういう基準減反をさせているのか、その理由をはっきりお聞かせいただきたいと思います。  要するに、適地適産というふうなことも考えておられるのか、離農というふうなことも十分に考えておられるのか、どういう基準で、どこの地域にどれだけの分減反を今回割り当てられたのかを ぜひ伺わせていただきたいと思います。
  6. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま、今回の米をめぐります混乱状態事柄を踏まえて減反の問題についてのお尋ねを賜ったわけでございます。  今回の米をめぐる混乱につきましては、私の立場におきまして改めて国民各位にもおわびを申し上げなければならない。そういうような中にございまして、私も、消費者方々あるいは生産者方々から、そういう事態の中での減反のあるべき姿は基本的にはどういうものですかと、ただいま田中先生指摘のような意味合いでの御質問が非常に多いわけでございます。  私は、今この時点におきまして、いわゆる減反転作、これはやはり農家のお立場の一つの経営安定に資する大切な事柄であるという位置づけを一つさせていただいております。  釈迦に説法でございますが、二百七十万ヘクタールというような水田潜在生産能力のあります面的な面、これが一ヘクタール当たり五トンでございますから、いわゆる国民皆様方に召し上がっていただきます総量一千万トン、二百七十万ヘクタールをそのまま水田にいたしました場合には、五、七、三十五で三百五十万トンの過剰が生ずる。そういった場合に、米が余るということは米価そのものにも影響を与えるわけでございまして、農家収入にもいい結果は与えない。あるいはまた、地域によってはいわゆる減反の中からの転作、その転作した品目が農家所得にプラスをし、その産物がその地域特産として根づく、そういうような姿も今日までの歩みの中にありましたことも御案内のとおりでございます。  さような意味合いでの我が方の立場からは、かつて経験をいたしましたように、余ることによっての備蓄、これもやっていかなければならない、余り過ぎた場合の財政負担の問題も、言いたくはありませんけれども、現実問題としては横たわっている。そういうもろもろのことを考えながら、ただいま御指摘のございましたように、昨年、やる気のある方、やろうとする意欲をそいではならない、さような意味合い意向調査を行いまして、十二万ヘクタールの手が挙がったわけでございますので、今回は、大方その線に沿っての減反緩和政策を、関係者方々との合意というものをベースにして展開をさせていただいている、かように御承知をいただければありがたいと考えるわけでございます。
  7. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 私が伺っているのはそうじゃなくて、減反政策というものが昭和四十四年に導入されまして、その経緯、ちょうど佐藤内閣のときでございますし、その後の経緯等はよくわかっております。ですが、私が伺いたいことは、どういう基準減反する場所をお決めになっているのか。  具体的に申しますと、例えば圃場整備ですとか土地改良というふうなことが行われていますけれども、これも実際には田植えができない地域でございますから、どういう形で、どういう判断基準場所を選定されているのかということでございます。
  8. 日出英輔

    日出政府委員 先生お尋ねでございます転作政策、今まで何回かずっと、幾つか、三年単位あるいは六年単位対策を転がしてきております。  現在の対策は去年からの対策で、六年、七年と三年間続くわけでございますが、去年振りました考え方は、各県の潜在生産力の大きさでありますとか自主流通米の大きさでありますとか、米にかかわります幾つかの特徴を踏まえまして、各県ごとに大体このくらいの数字であれば転作ができるであろうというようなことをベースにして最初振ったわけでありますが、実は、去年の秋にこういった状況になりまして、先生先ほどお話しのように七万六千ヘクタール緩和をいたしました。そのときには実は市町村単位まで、市町村におきます復田可能性といいますかあるいは生産者復田意欲といいますか、そういうものを調査をいたしました。それで十二万ヘクタールという数字が出てまいりました。そこで、この十二万ヘクタールをベースにしまして、水田の壊廃、つぶれ地の面積です、それから転作超過達成の分、こういうものを全部踏まえますと十二万ヘクタールの要望が大体おさまりますので七万六千ヘクタールの緩和をした、こういうことでございます。
  9. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 今後田の意欲ということをおっしゃいましたが、私は、地元を回りまして、またほかの先生方のお話を聞きましても、農業生産者は、復田などというもの以前にこの減反と今の惨たんたる状況を見て、意欲などというものはなかなか持ちにくくなってきているのが実情なのです。どうも役所数字ばかりをおっしゃっていますし、実際の現場をよくごらんになっていないのじゃないでしょうか。私、大臣に伺いたいのですが、テレビできのうも拝見しましたけれども、テレビ発言しないでぜひ委員会で私のような主婦にもどうぞお答えいただきたいと思います。役人から資料を、私は役所からたくさんいただいておりますので、ぜひ大臣のお言葉でお願いをいたします。  備蓄の問題とも関連ございますけれども、例えば、中山間地帯の問題もございます。これは新聞等を見ますと、結局、直接所得補償制度をやらない、今回見送るというふうなことをおっしゃっていますが、政府は、基本的に、減反備蓄関係ございますが、どういうところにどういう基準減反させようとしているのか。長期的見通しはどうなんでしょうか。大臣の御所見を伺いたいと思います。
  10. 畑英次郎

    畑国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、減反政策とそしてまた備蓄、これは相互に十二分に関係のある問題でございますから、その両にらみをしながら事柄推進に当たってまいります。そういう中にございまして、基本的な考え方はただいま農蚕園芸局長からも申し上げましたけれども、あくまでも昨年の意向調査のデータを踏まえましてこの転作に取り組まさしていただいた、そういう中にございまして復田などということは到底難しいよ、そういう声も私も承知をいたしております。  実は、私の個人的なことを申し上げて失礼でございますが、私の大分県の出身地過疎率日本一土地柄でございまして、そういうような意味合いでは復田の難しさ、中山間地域の厳しさ、こういうものを十二分に承知をいたしておるわけでございますが、従来、その補助対象にならなかったようなミニ土地改良等々、そしてまた復田のための助成措置等々、そういうものをこれから展開をしながら、これは大変難しい、厳しい、そういうような意味合いの、意欲はなかなか持っていたくてもできないよというような雰囲気の中での取り組みの厳しさを踏まえて御理解を得つつ展開を図ってまいりたい、かように考えております。
  11. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 役所数字もわかりましたし、大臣心意気というのも何となくわかるような気がいたしますが、具体性がありません。  私が伺っているのは、要するに、エネルギーと同じように食糧というものは政治家が万一に備えて常に備えておかなければいけない最低限のものであると思うのです。ですが、百から百五十万トンは備蓄がなければいけないと言われていたのに、前回あけてみたら二十三万トンしかなかった。選挙の直後だから私もよく覚えておりますが、新潟県の場合でも選挙後には稲は真っすぐ立っていたのです、夏が終わろうとしているのに。ですのに、奨励金を出して青刈りをさせたではないですか。在庫がどのぐらいあるのか数字も掌握してなくて、数字だけはぺらぺらおっしゃるけれども、政治家心意気ばかりおっしゃいますけれども、なぜ青刈りをやったのですか。この責任はどなたがおとりになるのですか。生産者青刈りをするということは自分の子供の首を絞めるようなものなのです。
  12. 畑英次郎

    畑国務大臣 御指摘のございました青刈りという問題に絞って申し上げますと、昨年の大凶作以前の姿におきましては、余剰、余る、そういう姿の中のいわゆる青刈りという仕組みが生かされてまいりましたことは御案内のとおりでございます。なおまた、青刈りに対する飼料あるいはしめ 縄等々、そういった需要もこれありというような中にございまして、昨年はたしか四千ヘクタールぐらいじゃなかったかなというように記憶いたしておるわけでございますが、従来の数量に比較をすればかなり数字激減をいたしております。  しかし、その青刈りをやらせたことの対応は全く鈍かった、甘かった、そういうような意味合いの御指摘は謙虚に反省をしなくてはならないと思いますけれども、さような意味合いでの役所側青刈りに対する弾力的な取り組みといいますものの不徹底等々もこれまたあったのではないかな、かような意味合いでの御指摘を謙虚に受けとめさせていただきたい、かように思っております。
  13. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 それでは、大臣備蓄不足ということをいつごろ気づかれましたか。
  14. 畑英次郎

    畑国務大臣 これは、米は一年一期作でございますので、平成年産米、当時百万トン程度あった、そしてその翌年、翌々年、昨年にかけましてのこういった気象条件等によって数字激減をしましての今日実質ゼロ、かような姿に相なっておりますこと、まことに申しわけなく思っているわけでございます。
  15. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 申しわけないのは十分にわかっておりますけれども、いつお知りになりましたか。
  16. 畑英次郎

    畑国務大臣 私も国会議員の一員でございましたし、その事柄の推移、毎年の備蓄という問題は大変大きな政治課題でございますし、当時の自民党のお立場方々におかれましても真剣な論議がされておった、いわば従来からそういうような意味合いでのいきさつは承知をいたしておった、こういうことでございます。
  17. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 それはちょっと納得できないと思います。  それから、先ほどしめ縄どうこう言っておられましたけれども、しめ縄よりも国民の食事の方が大事だとお思いになりませんか。とんでもない発言だと思って私は伺いました。自民党政治がどうこうおっしゃいますが、つい八カ月前までは大臣もたしか自由民主党にいらっしゃったというふうに思っておりますので、これは政治に携わっていた者全員の責任として謙虚に受けとめて、そして前向きにいいエネルギーを出していかなければならないのではないかというふうに思います。何党がいいとか悪いとか、そういう次元の話はやめた方がいいのではないでしょうか。  そしてまた、役所がこう言っている、ああ言っているからということをおっしゃいますけれども、実際は役所数字だけを見ないでやはり現場を見なければいけないというふうに思います。  私は、基本的には今の政府は、結局はミニマムアクセスは受け入れるのであるから、外国から買わなければいけなくなるのだから、日本米づくりはそんなに一生懸命やらなくてもいいのではないかなというようなコンセンサスがあるので、後手後手に回って、問題点が指摘されるとそのときに謝っておけばいいというふうなことが感じられて、非常にこれはノー政だ、政治がないというふうに思っております。  選挙と同じでございまして、地元の幹部が言う数字をうのみにして、自分が地元を、現場を見ないでいると落選の憂き目を見るということもありますので、やはり基本は現場を見ること。私ども主婦も、幾ら国会議員をやっていても、私はうちへ行ってお米の入っているおひつを必ず見ます、どのくらい残っているかと。これは国家を預かっている食糧庁及び大臣の最低限の責任だと思いますけれども、どなたが責任をおとりになるのでしょうか。
  18. 畑英次郎

    畑国務大臣 御指摘のとおりでございまして、さような意味合いでの本年産米、来年産米を念頭に置きながら、当面私の立場におきましては、備蓄下限百三十万トンということを国民皆様方に申し上げさせていただいておるわけでございますが、これにつきましては、団体側等々におきましての二百万トンあるいは百五十万トンというような御要請があることも承知をいたしておるわけでございまして、これからの米の管理のありよう等々、関係筋の論議が既に始まっておりますので、こういうものを十分踏まえて物事を決めていかなければならない、その責任は私にある、かように考えているところでございます。
  19. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 責任大臣がおとりになるというふうに理解してよろしゅうございますね。わかりました。食糧庁にはないのでしょうか。食糧庁長官がすぐ農林次官におなりになるということを聞いておりますけれども、国民はその辺も非常に監視しておりますので、大臣も人事をなさるときには十分心していただきたいと思います。  次に、これはまた生産者消費者両方の立場でございますけれども、食管制度とやみ米の問題について伺いたいと思います。  食管制度は、昭和十七年御案内のとおり成立いたしまして、その経緯も私なりに勉強はいたしております。食管制度の三本柱は、価格と流通と貿易の統制ということになっておりますけれども、現在の状態を見ましても、過去を見ましても、食管制度が成立しました十七年のころにも、法定価格の十倍ぐらいのやみ米があったということは御存じでいらっしゃいましょう。  そうしますと、この価格と流通と貿易という三本柱の中で、現在起こっているこの混乱の中でもうしょっちゅう、この食管制度はとっくに瓦解している、形骸化している等が言われておりますけれども、やみ米が完全に大手を振って通っていますね。このたびも、今度は例えば減反ということを地元で言っても、はっきりと農村の方が、私は減反には応じません、ペナルティーがあっても結構です、やみに回した方が、自由米にした方がいい、不正規米で結構だという方もいる状況になっていますので、流通という面で、生産と流通と貿易の流通の面で、完全に、このやみ米の存在自体をはっきり農家が言い始めているということは、もう形骸化しているわけです。  それで、伺いたいのですけれども、今日の自由主義市場経済の中では、食管制度だけが計画経済であるわけです。本来は国が介在して、高く買って安く売るということをやっていたわけですけれども、今はそれが逆転してしまっています。これは完全に機能していないと思うのですけれども、この制度を、まあ言ってみれば死んだ子を抱いたふり、生きているふりをして動かしているような感じがするのですけれども、大臣はこの制度、たしかきのうのテレビでも、一部見直しをしようということを言っておられましたが、具体的にどういうことを考えていらっしゃるか、御所見を伺いたいと思います。
  20. 畑英次郎

    畑国務大臣 今回のこの時点におきましては、全国民皆様方が食管法、食管制度そのものに対しましてそれなりの御意見をお持ちになっていらっしゃる。そういう中にございましては、まだまだ、食管法を廃止すべし、あるいは私のように、食管制度の根幹は維持をしながら責任を果たすべしという基本的な考え方、いろいろな問題があるわけでございます。これから総理大臣の諮問機関であります農政審議会等々におきましてもこの問題の論議をお願いを申し上げ、既に作業に取りかかっておるわけでございますが、幅広く関係皆様方の御意向を伺いながら、御指摘のございましたようないろいろな問題点がございますので、それに対応した、そしてまた昭和五十六年でございましたか食管法そのものもかなり改正を、時代に即した改正をやらさせていただいておる、その運用面等々におきましてもかなりの融通性を持たさせていただいておる、そういうような実態の中で、今回の反省に立って、問題意識を持って、私はこの問題は幅広く論議をする中で詰めてまいりたい、かように考えております。
  21. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 では、具体的に伺います。  今大体百万トンとか、資料によっては二百三十万トンぐらいのやみ米があるのではないかということが言われております。四月になれば、お米の品質が下がってくるとそれらが自動的に市場に出てくるかもしれないということを思っておられるのかもしれませんけれども、今あるやみ米をいっときも早く吐き出させるための方策として大臣は具体的に何を考えておられますか。総合論ではな くて、具体的にこれがあるということをおっしゃってください。
  22. 畑英次郎

    畑国務大臣 自由米、やみ米、そういうような位置づけに相なっておるわけでございますが、残念ながら、その存在を私どもも現実の姿として当然承知をいたしておるところでございまして、その数量等々につきましては的確な把握はできておりませんけれども、やはり法の前にそういうものを横行させてはならない。さような意味合いでの食糧事務所の職員等々のいわゆる巡回指導、あるいはまた、言葉は悪いかもしれませんが、監視というような意味合いでのチェック、こういうものを各関係のお立場方々にさせていただいている中にございまして、目に余るもの等々は警察あるいは司法当局の方に提訴をさせていただいておる。はっきり申し上げまして、従来から問題になっております特定の方におきましては既に公判も始まっておる、かような意味合いでの厳しさを増してまいりたい、かように考えております。
  23. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 そういう罰則だけではなくて、もっとやわらかい方法もあるのですね。例えば、特別の集荷奨励金を出すとかそういうふうなことをお考えになったことありませんでしょうか。ただ何か起こったら罰を与えるというのは硬直思考だと思いますけれども。
  24. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま申し上げましたのはそういった分野の当事者に対しての対応でございますが、今お話がございましたように、そういった分野に流れないようにというお気持ちでの先生の御発言、こういうふうに考えました場合におきましては、例えば早場米の集荷が順調にまいりますような奨励金等々はこれからさらに力を入れていかなければならない検討課題である、かように心得ております。
  25. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 それでは、別な聞き方をいたしますけれども、食管制度自体がもう本当に形骸化してしまっている、食管制度は食糧庁という組織を守るために存在している以外の何物でもないのではないかというふうに一般国民はわかっているんですね。それを何とか糊塗するために役所はいろいろ数字を並べたり、政治家もその応援団になっているのかもしれませんけれども、そうではなくて、要するに食管制度自体に市場原理を導入して、間接的に価格管理をするというふうなことはどうお考えになりますか。私はそれが整合性があると思っておりますが。
  26. 畑英次郎

    畑国務大臣 今お話がございましたとおり、私の立場にございましては、食管制度、その骨格はきちっと守っていかなくてはならぬというような認識に私自身は立っておるわけでございますしからば、その骨格というのがどの範囲になるかということになりますれば、これから先の論議を踏まえながら、国民皆様方の御意向等々、あるいはまた問題点の御指摘に対して真摯に耳を傾けながら事柄を詰めてまいらなくてはならぬなというように考えておるわけでございます。  今、この食管制度の中にございましても、かつての自主流通米の価格形成機構等々、いわゆる当事者間における入札制度等も仕組みの中に入れさせていただいた、いわゆる競争原理あるいは自由経済、そういうものを踏まえた運用、対応といいますものも過般来関係皆様方によっての実現がなされておる。今後におきましては、さような意味合いでの要素を積極的に取り入れていく必要がある、かように考えております。
  27. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 何か、お言葉は多いのですけれども具体性がないな、大変残念だというふうに思います。  政治家というのはやはり国民の、この場合でしたらば要するにお米の、農業従事者の方、消費者、みんなの生活権を守らなければいけなくて、そのためには、役所の方たち、専門家の皆さんのお知恵をかりるとしましても、自分の責任において具体的な施策を講じる。しかも、近視眼的ではなくて、世界の食糧事情というものを十二分に念頭に置いて、世界の食糧事情に寄与するという立場から考えるべきでありますのに、今大臣がおっしゃっているのは、食管制度にはかじりつきます、あとはかっての自民党と同じようなことをおっしゃっているだけだなと大変残念に思っております。  連立政権、もう少しかっこいいかと思っておりましたが、テレビを見ましたら、私も暇があるとすぐテレビをつける癖がありまして、テレビなんというのは出るものじゃなくて見るものだなと思っておりますけれども、この間細川総理が、何かタイ米を食べるについてはウナギと食べたら大変おいしかった、これに限るというようなことをおっしゃっていました。  それから、連立の閣僚会議か何かのときに、大臣ともう一人の何とかという羽田さんがおられますね、ロシアの方に行っておられる方が、あの方がほかほかのパンを持ってこられて、これはお米でできているんだ、みんなでもって一生懸命こうやってくちゃくちゃ食べていますね。なかなかいけるじゃないか。でも、私もパンをつくったことがあるからわかるのですけれども、お米の粉だけでパンなんかできないのです。と思っていたら、アナウンサーがちゃんと、これは小麦粉を入れて、後から少しはお米の粉を入れたと。食べてばかりいるわけですね。  そうしましたら、次のときテレビをまたぱっと見ましたらば、今度は畑農林水産大臣がスーパーにお出ましになって、スーパーのおばちゃんたちの前でできたての、試食をしておられましたね、タイ米でしたか。これはなかなか熱くておいしくていけるじゃないかと。試食米なんというのはほんの一口でございます。あれは味が悪くなるのは、冷めてしまうとおいしくないということを言われていますのに、テレビカメラの前で一口召し上がって、ああ大丈夫、大丈夫、あとは十分に外国から入るから、おばちゃん大丈夫、十分に手当てできますからなんて、有権者はみんな、国民は自給したいんです。日本のお米を食べたいんです。それが、偏ったらいけないからブレンドをやったり、セット販売なさって御苦労なさっていると思うのですよ。ですのに、外国からもうじき来るから、間に合うからと、量の問題だけじゃないんですよね。  そういうふうに、連立の皆さんは、テレビをいつ見ても食べてはかりいる、これが伴食内閣というのかなと私思ったりいたしましたけれども。とにかく、これはごちゃまぜ内閣で、八種類の方々がみんなごちゃまぜになって入っているわけですから、ごちゃまぜ内閣ということはわかっておりましたけれども、中身は伴食かなという印象を受けまして、大変残念な限りでございました。  そこで、具体的に伺いますけれども、お米が、IQ制度というのがございますね、インポート・クオータ・システム、これを今のこの混乱状態の中でもって見直しをなさるおつもりはおありかどうか伺います。  大臣に伺いたいと思います。御存じの言葉だと思いますから。
  28. 畑英次郎

    畑国務大臣 IQ制度、IQ……
  29. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 IQは知能指数じゃありませんから。おわかりでありますか。インポート・クオータ・システム、輸入割り当て制でございます。今の時期にどうお思いになりますか。お米もやられていますね、御存じですよね。
  30. 畑英次郎

    畑国務大臣 私は、先ほど来のお話の中で、一つは誤解のないようにお願いしたいわけでございますが、これからの我が国の主食である米、これは自給体制といいますものをきちんと基軸に置いて物事を考えていく。残念ながら、昨年の国際化という中にございましての最低輸入量というものが、四から八という数字が出てまいっておるわけでございますが、これからもやはり一四%の農地を減らしてはならない。そういうような意味合いでは、きちんと主食を国民皆様方に提供していく体制といいますものは、基本といいますものは守っていかなければならない。そういう中にございましては、数量制限等々、これからも米に関しての自由化という意味合いでのIQ制度等々、これはやはりそれなりの位置づけがあり得る、こういうような意味合いでの取り組みを進めてまいり たいなと考えております。
  31. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 ちょっと意味を違ってとっておられるのではないでしょうか。自由化の中での輸入割り当て制とおっしゃいましたか。もう一度、済みません。  じゃ、私が伺っている意味をはっきり申し上げます。その方がよろしいですね。  今、輸入割り当て制で、個人で外国に行って、手荷物としてお米は何キロ持ってこられるか、別送品は何キロか御存じでいらっしゃいますか。
  32. 畑英次郎

    畑国務大臣 私の認識が甘いかもしれませんが、お一方百キロ以内とかいうような取り扱い、そういうことではないかなというように考えるわけでございますが、そういう現実があっておりますことも承知をいたしております。
  33. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 現実よりも、新聞によく載っておりますので、よくごらんいただきたいと思います。先日の朝日新聞なんか一面でカラーで載せておりました。  具体例を申し上げますが、個人で持ってくる場合は百キロまで、それから別送品は二十キロまでよろしいのですね。よく旅行のときに、たばことか香水とかウイスキーとかというふうな、今そのたぐいというふうなことになっていると思いますけれども、韓国の釜山から下関まで一人百キロ持って、行ったり来たりしている。  それから、ほかの新聞、産経新聞でしたか、それを見ましたときには、バンコクで在留邦人用にジャポニカ米をつくっている。タイでは四十種類からのお米の種類がございますから、その中で在留邦人用に、北の方でしたか、チェンライの方で一生懸命つくってくだすっているものだと思いますが、それを日本人がまとめ買いをして日本へ送ったり、持ってきている。これをグループで組織立ってやればやみ米になるのです、不正規米に。こういうものを今の状態で、片や食管制度は守るとおっしゃりながら、輸入をすると言いながら、国内のやみ米も暴騰している中で、こういう問題を見過ごされるかどうかということを伺っているのです。それが私の質問の趣旨です。
  34. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま御指摘がございましたような、いわばまことに雑然として脱法行為的なことが大手を振ってまかり通っておるではないかというような意味合いの御指摘もその中に含まれておるのかなというように受けとめさせていただいたわけでございますが、現在、従来は米が余っておるという中での弾力的な運用等々の問題の中から、こういった緊急輸入をしなければならないほどの大凶作と裏腹の姿の中では、いろいろ御指摘のような残念な問題点がある。この辺につきましては、今回のこの事態を反省材料として踏まえまして、一つ一つ問題点を掘り下げて対応をさせていただきたい。こういうことが二度とあってはなりませんけれども、そういう意味合いでの再検討をさせていただきたい、こう思っております。
  35. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 後手後手に回り過ぎておりますので、これ以上の後手はないわけでございますから、早急にきょうの午後からでも御検討いただきたいと思います。  それから、今度、消費者立場から伺わせていただきます。  これは私は法律家とも話をしたことでございますけれども、いわゆるセット販売、抱き合わせ販売をしておられますね。これはどういうことかな。要するに、輸入価格の問題はいつも思っておりましたけれども、それとは別に、これは独禁法に違反いたしませんか。不公正な取引というものを禁じている第二条九項に違反しないかどうか。当然抱き合わせをするに当たっては省内で御議論もあったと思いますが、その経過を御説明いただきたいと思います。
  36. 畑英次郎

    畑国務大臣 抱き合わせ販売、その言葉だけに限定をすれば、これは公正取引の関係からいいますと違反になる、そういう私自身の認識でございます。  実は、今回、国産米と輸入米を三、七の比率でもって皆様方に御辛抱願おうというような取り組みの中で、抱き合わせをしてはというような議論、いろいろ論議はございましたが、ブレンド米ということを基軸にしてということを決定させていただきましたときには抱き合わせということも論議の対象になりましたけれども、抱き合わせそのものはやはり違法であるというような論議、認識もあったわけでございます。さような中から、実はセット販売という姿、そしてまたセット販売の品物が一つのものだけであった場合には、このセット販売はやや抱き合わせに近い実態であることも事実です。でございますから、そのほかに選択の余地のある米を並べておくというような意味合いで、公取さんの方ともお打ち合わせをした姿の中で今日対応を展開させていただいておる、こういういきさつでございます。
  37. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 公正取引委員会と十二分に検討なすった結果というふうに理解してよろしいでしょうか。
  38. 畑英次郎

    畑国務大臣 そのとおりです。
  39. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 わかりました。じゃ、きょうは御足労願わないでよかったです。お願いしなければいけないのかと思っておりました。  今、緊急な事態ということは十二分にわかっておりますけれども、民間でやってはいけないことを国がやっているということで、社会常識に照らして悪政というふうな判断にも準じかねないことでございますので、しかも、私ども国民の間でも決して評判のいいことではありません。ですから、ないから輸入する、国産米、内地米ばかりがみんなから希望されては困るからまぜるとか、抱き合わせするとかではなくて、私が先ほどからるる言っている中で一番結論的に申し上げたいことは、日本では自給ができるのですから、減反などをせずに、青刈りなんかもってのほかですけれども、しっかりと自給ができるように意欲ある農家づくりをするためにはどうするかということを、前向きに政治家がみずからの責任においてやっていただきたいというふうなことを考えておるわけでございます。  もう一つ消費者立場から伺いますけれども、今回、主婦でございますから、どうしても値段はどうなっているのだろうかということがいつも気になっておりますが、調べていきますうちに、二十二の商社、登録商社がこれを扱っているというふうなことがわかりました、三井、三菱はもとよりですけれども。それが結局ほかの新規参入というものを一切認めないでいるということは、自由貿易の精神に完全に反しますし、規制緩和、規制緩和ということを内閣は言われておられるにもかかわらず一部のところに利益が、既得権が行くということを守っているようなことになりますけれども、このことについてはどうお考えになっておられますか。  それから、政府と商社が買い付けている値段についても教えていただきたいと思います。
  40. 畑英次郎

    畑国務大臣 今回のケースは、いわゆる大凶作を受けました緊急輸入というような意味合いで、この分野における経験等、そして物事の対応がなし得るかどうか、また安全性、こういうものを基本に考えました場合、従来の登録業者という取り扱いをさせていただいたわけでございますが、今先生の御指摘のような意味合いのものもございますので、これからの対応の中では十分念頭に置いて検討を加えていかなければならない、かように考えております。  数字につきましては、事務方から御説明申し上げます。
  41. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 取引価格につきましては、入札によりまして決定をいたしておるわけでございますが、その具体的な内容につきましてここでお話を申し上げるのは控えさせていただきたいと思いますけれども、輸入の通関実績の中で出ております数字が、一月ぐらいまでだったかと思いますけれども、実績値として出ておるわけでございます。タイ米について大体四万円ぐらいだったかと思いますが、ほかの中短粒種について大体五万円ぐらいの台だったかというふうに考えておるところでございます。
  42. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 その理由、言うことを差し控え るとおっしゃるのは、国会の場で、委員会で言わなかったらどこで言うということですか。
  43. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 私どもといたしまして、これからさらに輸入米の調達をやってまいらなければならないという事情が一つございますし、それから輸出国の側におきましても、それぞれの国内のお米の需給なり価格というものがあるわけでございまして、今回の日本輸入というのが相当大きな量でございます関係上、この契約の内容のインパクトというのが非常に大きいということを配慮いたしまして、先方の方からこの点については特段に配慮してくれるようにという要請があってのことでございます。
  44. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 その弁解は新聞でもそれからテレビでも何度も何度も伺っております。それで納得ができないからきょう私がのこのこ出てきているわけでございます。輸入価格と販売価格の関連、これを知りたいというのはもう一般の国民の自然な気持ちではないでしょうか。  今回の緊急輸入で、逆に言えば三千億で大臣よろしいのですか、差益は。初め四千億と出ましたけれども、三千億だということをおっしゃっていますが、どういう算定基準でそういうことになっているのか。そういう素朴な疑問からいきまして、これは大臣に伺いたいのでぜひよく聞いていただきたいと思います、申しわけございません。国が外国からお米を輸入するともうかって三千億円も差益が出るということは、やはりその輸入と販売の価格の間でもってどういうふうな関連があるのか。しかも等級もありますし、国別の価格も違うわけですから、どういうことであるかということはぜひ大臣責任においてつまびらかにしていただきたいと思います。
  45. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま食糧庁長官からもお答え申し上げましたが、国民皆様方のお立場では、買い入れ価格と売却価格、その差があって差益がある、これをどこかでポケットに入れているのではないかというような怒りの声をも私も直接耳にするわけでございます。  今食糧庁長官が、相手側の立場もあるというようなことではございますが、アバウトな数字的なものをやはり申し上げておいた方がいいかなというようにも私も考えます。そういう意味合いでは、もう御案内のとおり、タイ米等につきましてはこれは見込みということでの取り組み、そういうような意味合いでの御理解を賜りたいと思うわけでございますが、例えばトン当たり七万四千円から八万五千円、そういうような買い入れ見込み、ある段階ではそういう数字も出ることもある。そしてまた、中国米につきましては、これまた五万一千円とか五万九千円とか、そのときの品質等々によってもその値段が違うというような数字が、当然のことながら見込みという数字の中ではあり得るということも、これはもう率直に申し上げておいた方が誤解がなくなる、少なくなる。これは事務方の立場からいいますと、やはり輸出をする国の間にもいろいろ比較検討等々、あるいは商取引というようなものでございますけれども、それはそのときにお願いする数量とか品質等によって違うわけでございますから、同一の物を同一条件で買い求めるという数字の比較にはならないということをあえて申し上げながら、ただいま数字を申し上げさせていただいたわけでございます。  これをいわゆる一物二価にはしない。米という意味合いでも一物二価にはしない。日本の、今の内地米のお米の価格を基準にしまして、その横並びの中で、輸入されましたお米のいわゆる品質、規格あるいは味覚、そういうものを比較をいたしまして、御案内のとおり、これまたアバウトな粗っぽい数字を申し上げれば、いわゆる五〇%カットあるいは四〇%カットあるいはまた三〇%カットというような販売価格でもって対応させていただいておる。  三千億円云々につきましては、これはその差益は輸入します数量によって変わってまいりますので、今実際に百七十万トン手当てをいたしておりますから、例えば差益が十万ずつあったとすれば千七百億という数字にはなることは一応の計算としては成り立ちますが、これからの輸入実績等々あるいはその間におけるいわゆる米の仕入れ価格の、買い入れ価格の動き等々によっても変わってくる。しかしながら、二千億円前後の差益があるということは大方予想されるところでございます。
  46. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 今二千億円とおっしゃったのでしょうか。私はつい最近は三千億というふうに伺いましたし、昨年の暮れか何かの段階では、計算だけだがということでもって四千億という数字は聞いておりますが、あやふやではっきりしませんが。  いずれにしましても私が申し上げたいことは、要するに今食糧庁長官がおっしゃったように、これからの貿易については相手の国との関係があるから、ですからそれは国際市場が急騰してはいけないということはわかりますが、もう実績があるわけですから、それについては国会の場ではっきりできない理由が私にはわからないのです。と申しますのは、混米されていますけれども、混米することによって日本のお米は実質的に値上げをされてしまっているのではないかというような思いもあるのですが、いかがでしょうか。  何で連立の農林大臣はこんなに秘密主義なのか不思議でわかりませんけれども、よく我々主婦の中で、何か細川さんは一生懸命オープンにオープンにということをおっしゃっているけれども、どうも実体はさっぱりわからないという声がよく聞こえできますので、この辺、御誠実な答弁をお願いしたいと思います。
  47. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 通関統計ベースでの単価をもう少し詳しく御説明させていただきたいと思いますが、十一月時点のタイ米のトン当たり単価は四万三千円台半ばぐらいでございます。それから十二月が四万一千円ぐらい、一月に参りまして四万八千円台半ばぐらいになっております。それから、アメリカからのお米でございますけれども、十二月の単価が大体六万五千円の半ばくらい、一月が六万七千円ぐらいでございます。それから、中国からのお米が十二月には五万三千円ぐらいでございます。それから一月が四万八千円ぐらいの水準。大体これが加重平均値で見ました各月の輸入通関統計の実績値でございます。
  48. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 ですから、そういうことをはっきり言っていただければわかるわけでございます、その数字が果たして正しいかどうかわかりませんが。  あとは最終的に伺いたいことですけれども、私は余り役所の、今回特に食糧庁のおっしゃる数字がくるくる変わるものですからもう絶対信用しないでいようというふうに思っておりますけれども、その差益の使途について最後に伺いたいと思います。  これも大臣発言をここにいろいろとスクラップはしてございますけれども、これは最近の三月十五日は、差益は農業災害に使うとおっしゃったり、それから食管赤字の補てんに使いたいというふうなことを言ったりしておられて、さっぱり消費者の方に返ってこないというふうな不満が大変ございますけれども、どう考えていらっしゃいますでしょうか。
  49. 畑英次郎

    畑国務大臣 昨年の大凶作に伴います緊急輸入での差益というような、事のいきさつからいたしまして、これは昨年年末の農業共済分野にすべて使わせていただくということに相なっておりますことは御承知のとおりでございます。さような意味合いで、いわゆる農業共済、再生産、農家方々に生産意欲を持っていただく、安定供給につながる。安定供給即消費者に対する一つの当然やっておかなければならない姿でございますので、消費者にとりましてもプラスの要因につながる、こういう御理解をいただきたいなというのが私の立場でございます。
  50. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 例えば離農者に対する補償金とか農業の近代化とか、そういうふうなことに前向きにぜひ使っていただきたいですし、消費者にも還元をされる、それは値段の面でございます。その辺の御配慮を十二分にしていただきたいと思い ます。  それが農林省が自由にできない理由は、多分役所間の縦割り行政の弊害というものもあろうかというふうに思います。今回の学校給食の話を見ましても、やっぱり子供だけは完全に給食を、内地米ですかで学校給食を賄うと言ってみたり、文部省は違うと言って今度は反対をしているらしいですけれども、今度は現場に任せますのですか、きのうあたりの発言ですと。役所役所のそういうふうな話がありますし、それから農業の問題にしましてもいろいろなことが言われて、主婦なんかの方が大変よく勉強している面もあるなど思いますのに、役所は厚生省と農林省の間でもってなかなか話がうまくいかなかったりしているようでございまして、そういう縦割り行政から脱却して今の行き詰まりを解決していくというために具体的に何をするのか。  何度も何度も申し上げますが、政治家がやはり考えなければならないと思うのです。そして政治家責任をとらないとだめです。細かい数字は、それは役所におろしていいと思いますけれども、政治家が明確なかじ取りをして責任をとるということをしないと、この先大変な問題が起こります。  なお、ウルグアイ・ラウンドで来年から六年間かけてですか、四十から八十万ものお米が入ってきますので、その間の問題について値段もどうなるかとかいろいろな問題も伺いたいと思いましたが、ほぼ私の時間が参りましたので、あとは次の方にお譲りしたいと思います。  私は越後のコシヒカリを代表いたしましたから、次の御法川先生はあきたこまちでございまして、見てくれはちょっとまずそうな顔をしていますけれども、おっしゃることはなかなか含蓄のあることをおっしゃいますので、どうかしっかりとかみしめてお聞きいただきたいと思います。  私がかなりいろいろなことを主婦の観点から申し上げましたけれども、笑って過ごさずにしっかりとこれを政治に生かしていただけるようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  51. 畑英次郎

    畑国務大臣 私は新聞記者の方々にも申し上げておるわけでございますが、今回のような緊急事態に対応する物事の対応は、何といっても基本的な物の考え方、対応の仕方の周囲にいささかの幅がある、弾力性を持ってやるべし、こういうのが基本的な考え方でございます。でございますから、ブレンド米を義務とか強制をするということはしない。そういう中からのセット販売等々の問題、あるいは学校給食におきましても、いわゆる必要とする内地米十万トンは確保いたしてあります。しかしながら、現場でもって今日のこの異常事態の中における米事情等々の教材的な意味合いでの活用ということまでコンクリートして、やってはならない、食べてはならないなどというようなことは、私はすべきではない。そしてまた、これからの輸入等々につきましても、私はこういうことで期待の中でやっております。いささか数字のぶれはあり得る、従来の正確さを期するということも大切でございますが、こういった異常事態には早く物事をはっきり申し上げる、あるいはまた数字につきましても、期待を込めてそういう数字を考えながらの取り組みであるというようなことをも、従来の国内的な、国と市町村と県とのかかわり合いとは違った意味合い消費者心理、こういうものを踏まえた場合には、いささかの弾力性といいますものは持たせていただきたい、かように考えているわけでございまして、きょうの田中先生の御意向を十二分に念頭に置いて、判食大臣にはならないように頑張っていきたいと思います。
  52. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 速やかに行動をしていただきたいと思います。国民が知りたいことは数字なんかではございません、実態でございます。安心感です。  ありがとうございました。
  53. 竹内猛

  54. 御法川英文

    ○御法川委員 細川総理の世論調査、すこぶる人気が高かったわけでございますが、今、五〇%を切ったというような記事も出ております。今、日本政治家の中で田中眞紀子先生ほど人気のある政治家は恐らくいないであろう、こんなふうに私は思っております。したがいまして、米というこの騒動の中でございますから、マスコミの関係も多いわけでございますが、恐らく、米もさることながら、田中眞紀子先生がこの農林水産委員会で畑農林大臣あるいは食糧庁長官をどんなに苦しませることができるか、そんな関心も非常に高かったんじゃなかろうかと、これはマスコミの方ですよ、そういう感じもするわけでございます。今お伺いしておりまして、まさに立て板に水、こういう質問でございまして、その田中さんの後に質問するというのはなかなか勇気の要ることでございますけれども、割り当てでございましたので、また関心もございますから質問に立たせてもらった次第でございます。コシヒカリからあきたこまちにバトンをいただきまして、これから順次質問してまいりたいと思います。  これから質問するものはそれぞれみんな関連するわけでございますから、どういう形で質問すればいいのかなというふうにも思ったわけでございますが、話を整理する意味におきまして、それぞれの項目ごとにこれから順次質問してまいりたい、こういうふうに思うわけでございます。  まず、私、自分の選挙区に日曜日等帰りまして、回って歩くわけでございますが、生産者である農家方々、あるいは農協、農業団体の役員の方々、さらには消費者方々、こういう方々といろいろとお会いし、話し合いをするわけでございますが、今回のこの米騒動、生産者立場からすれば、コシヒカリほどではないけれどもそれに近いような米の生産できる秋田県、しかも田んぼもいっぱいある、生産しようと思えば幾らでもできる、そして実際消費者の目の前でおいしい米をつくることができる、そういう地域でありながら米が足りない。消費者の側からは、このうまい米のとれるいい場所で、そのおいしいあきたこまちを食べることができない。我々の地域でも今は外米が入ってきて、例えば国産米五キロ買うとすれば、国の名前は申し上げませんけれども、ややまずい米五キロ、それより幾らかいいような米五キロ、国産米五キロ買うごとに外米を十キロ買わなければならない、こういう実態である、一体これはどうなっているんだと。要は政治が悪い、政治家が悪い。決して食糧庁長官が悪いとか農林大臣が悪いとは言わない、一般の国民の人たちは、政治家が悪い、政治が悪い、こういう声が非常に高まってきておるわけでございます。  先週、自由民主党で米の流通調査団というものを編成いたしまして、中川先生を団長に都内あるいは横浜等々を回って歩きました。その際にも消費者方々から、一体政治は何をやっているんだ、こういう厳しい質問が多かったわけでございます。まさにこの米の騒動というのは政治責任なわけでございまして、そういう意味からすれば、大臣には大変言いにくい言葉ではございますけれども、この善後策をどうすることが私の責任だと言うよりも、むしろやはり昔の武士のように腹を切って国民におわびする、それくらいの責任感がなければ、対応も結局はこれまでのようなスタイルになってしまう、こういう感じを私は強くするわけでございます。立派な大臣でございますから、個人的にはそういう気持ちはさらさらないけれども、やはり役所の最高の頂点である、しかも政府大臣であるということからすれば、やはり大臣の毎日あるいはそれぞれの言葉というものも非常に大きな意味があるわけでございまして、大臣は篇とその辺を考えた上で行動してもらいたいし、発言してもらわなければならない、かように思うわけでございます。  前置きが少し長くなったわけでございますが、以上のような地方におきましても、農政、農業、米の不足に対する強い怒りが高まっておる、こういう認識だけは常に頭に置いていただきたい、かように存ずるわけでございます。  そこで、この外米の問題でございますが、昨年は御承知のとおり戦後最大の大凶作であったわけでございます。私も党の調査団の一員として、北 海道あるいは東北の各県を視察してまいりました。大臣も我が秋田県に来ていただきまして、冷害の実態を調査していただきました。そういうことでございまして、最終的に全国の作況指数が七四というような、かつてない未曾有の冷害に遭ったわけでございます。  そういう点で、全体として米が足りない、これは当然のことでございます。したがいまして、外米をこの際輸入しなければならない、こういう考えになってくることもこれはまた当然でございます。しかし、昨年は冷害であると同時にいわゆるガット・ウルグアイ・ラウンド、この問題をどうするかということで、農業の面では本当に大事な大変な年であったわけでございます。個々の生産者農家はもちろんでございますが、農業団体、力を合わせて何としてもこのガット・ウルグアイ・ラウンドは阻止しなければならない、こういうことで一年じゅうガットに揺れた年でもあったわけでございます。  そして委員会におきましても、重要性にかんがみまして総理大臣委員会に来ていただき、ガットの問題についてどうするかという質問も強くあったわけでございますが、その際に、総理大臣も、農林大臣もこれまでの政府の方針を貫いてまいる、つまりは主食である米については国内で自給する、国会の決議これあり、したがってガットの自由化を受け入れるわけにはまいらない、こういう答弁を繰り返し繰り返し委員会で、あるいは本会議場でも行われたわけでございます。しかし、残念ながら十二月の段階で自由化を受け入れる、こういう結果になってしまったわけでございます。  そこで、私、考えるわけでございますが、あの七月の段階で、ことしはかってない冷害になりそうだという大体の見通しも出てきた。八月に至っては本当にあのとおりの冷夏であったわけでございますから、これは極めて厳しい冷害になる、こういうことが大臣もあるいは役所方々もある程度予測できてきた、こういう段階であったと思います。しかもまだ、暮れの十二月になりますと、ガットに対する政府としての最終決断をしなければならない、こういう背景が昨年はあったわけでございます。そこでこの冷害でございますから、米が足りなくなる、冷害によって米が不足するから米の緊急輸入をしなければならない、こういう決定をこの際少し早目に発表する。しかも主食でない加工米二十万トンを緊急輸入する、こういう形で発表されたわけでございます。  なぜ私がこういうことを言うかというと、最終的にどの程度の米の不足量が確定するかその段階ではもちろんわからないわけでございますが、そういうガットの関係、冷害の関係、米が足りなくなる、こういうもろもろのことを考えながら、その時点で、これはうがった見方でございますから失礼な言い方ではございますけれども、ガットも最終的にはもしかして自由化に踏み切らざるを得ないかもしらぬ、そして平成七年からいわゆるミニマムアクセスと保いう形で四十万トン弱の米が入ってくる、だとすれば、この冷害を機会に外米を入れて、国民の、消費者の外米に対する抵抗感、これを薄めよう、こういう意図もその段階から徐々に芽生えてきたのじゃないか、こんな感じもするわけでございます。これはいかにも皮肉った意地の悪い見方ではございますが、今になってみればそうしたことを想定せざるを得ない、こういう経緯があった、こう思っております。  そして十一月の上旬に、今度は主食用の米を九十万トン緊急輸入をするのだ、こういう形でこれも決定し、発表されたわけでございます。そして、十一月の十八日に第一便のタイ米が横浜港に到着しているわけでございます。そして十二月の十五日、ガット受け入れを決定した、こういう経緯でございます。さらに十二月の二十一日には、ことしの十月までという一つの期限のめどではございますが、百六十万トンから百九十万トンを輸入しなければならない、こういう発表もいたしておるわけでございます。この発表のときの量、これはだんだん多くなってきておる、こういう状況でございます。そして十二月の下旬に、最終のことしの作況指数は七四でありました、こういう発表になっておるわけでございます。  つまり、冷害で水ももちろん不足ぎみではございますが、それに乗った、いわゆるミニマムアクセスを受け入れる前段階として、助走としての役割をこの米不足輸入米に見出した、こういう手口じゃないか、こういう感じが私強くするわけでございます。余りにも推理的な話ということにもなりますけれども、先ほど来申し上げました去年の八月以降暮れに至る、そして一月に入ってきて、そうした段階における農林水産省として、あるいは食糧庁として一体どういう基本的な考えてこの問題に取り組んだのか、この辺を国民の前に明らかにしていただきたい。別の言葉で言うと、いわゆる自由化シフトをこの冷害にちなんでやってきた、こう言っても過言じゃないのじゃないか、私はこんな感じが強くするわけでございまして、この点についてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  55. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま従来のいきさつ等々踏まえまして、なおまた私に対するいろいろ御批判をいただいたわけでございまして、ただいまの御意見等につきましては、御批判等につきましても真摯に受けとめての、ただいま与えられている立場にございまして万全を期し、今日のこの難しい問題を国民の御意向を踏まえて解決に全力を尽くしてまいりたいというように考えておるわけでございます。  そういう中にございまして、昨年来の歩みの中で、自由化ということを前提に踏まえた緊急輸入ではなかったのかというようなこともただいまお話をいただいたわけでございますが、逆に申し上げますと、作況指数七四という数字、これはやはり事務的な正確さを期すという立場で統計関係方々がお取り組みになって最終的に七四という数字に相なったわけでございますが、私どもは農協関係、農民の方々の大変な御理解によっての集荷、これを何としても第一義に考えまして、あくまでもやはり自給体制を堅持していくというような意味合いでの御理解の中で、ああいう大凶作の中にございましても四百万トンを上回る御協力を農家方々からいただいた。そういうような姿がはっきりするような段階になってやむを得ずこれは緊急輸入を、輸入米に頼らざるを得ないという意味合いでの踏み切りをさせていただいたということであるわけでございまして、今日におきましても、これからも、やはり輸入といいますものを安易な位置づけの中で物事の対応を進めていくということはあってはならないとみずから強く念頭に置いて事柄を進めてまいりたい、かように考えております。
  56. 御法川英文

    ○御法川委員 去年の八月の下旬に作柄の作況指数が九五と、こういう発表をしております。そして九月の下旬には指数が八〇、こういう発表。先ほど田中先生質問に対しまして、ことしの早場米、早期米等については奨励金等々を考えながら政府の買い入れがスムーズにいくような方策を講じよう、こういう御答弁があったかと思います。その考えを、昨年のこの指数八〇というものがわかった段階で、ことしの米についても政府に売り渡しをしてくれるならばこれだけの奨励金を出しますと、本来の政治であれば、それほどの機動性のある政策的な対応、こういうものをやはり当然政府として行動を起こすべきだった、こう私は考えるわけでございます。そして、一年を過ぎて次の年のことしの夏にそうした考えを適用する、こういうことではやはり後手後手という批判を受けてもしょうがない、こういう感じが私はするわけでございます。  したがいまして、少なくとも九月の段階で、八〇という指数がわかった段階で、幾らかは早いものが出てきておる段階でございますけれども、さらに量を確保する意味におきまして、政府に売り渡しをしてくれるならば奨励金をこういうふうにして出します、そしてやみ米に対抗できるくらいの措置をあの段階でやっておれば、これだけ混乱はしなかった、こう私は思うわけでございますが、 この点についてはどうですか。
  57. 畑英次郎

    畑国務大臣 これはもう御案内のとおり、昨年のああいった気象条件等々にかんがみまして、集荷そのものに力を入れるというような意味合いの中から、かなり弾力的な集荷対策、これをやらせていただく中にございまして、従来からいわゆる早場米対策等々の取り組みもなされておったということでございますから、本年はその辺の問題をきちんと対応を進めていかなくてはならぬなというように考えておるわけでございます。私は、誤解があってはなりませんのであえて申し上げるわけでございますが、早場米に対して奨励金といいますよりも、残念ながらいわゆるやみ米の方に流れないように集荷対策に、農家方々の御協力をいただきながら集荷対策に万遺憾なきを期していかなければならない、こういうようなスタンスを持たさせていただいているわけでございます。
  58. 御法川英文

    ○御法川委員 この問題でこれ以上議論してもしょうがないわけでございますが、私は、率直に言って米の不足というものは当然考えられるわけでございますから、その本当に不足したという段階を考えて外米を入れる、こういう準備行動は当然やってもよかったと思うわけでございますが、その発表の仕方が少し早過ぎた、こういう感を実は強くしております。もうちょっと後の段階で、緊急輸入というような言葉でも何でもいいわけでございますが、タイミングをもう少し考えるべきであった、こういう指摘をしたいわけでございます。  そこで、ことしの問題でございますが、この夏のいわゆる早期米、早場米、これに対して幾らか集荷のしやすいように対応するということでございますが、その具体的な中身は何を今考えているのですか。何をやろうとしているか、その具体的な問題についてお答えをいただきたい。
  59. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 ことしの早場米、特に超早場米の集荷、これがどうなるかということがこのところ団体、私どもの議論の対象になっておるわけでございます。  まだ結論を得ているわけではございませんが、団体側の方は早場米の奨励金みたいなものを出したいという希望が非常に強いということは存じております。これにつきましては、いろいろな角度から検討しなければならない問題があるということでございまして、私どもとしてはまだ具体的な結論を出すに至っておりません。ただ、早場米の値段というのはかなり高い値段になるというふうに理解をされるわけでございまして、奨励金はかなりな金額を用意しなければならないだろうと思いますし、それに伴ういろいろな問題があるというふうに理解をいたしております。  それからもう一つは、価格形成の関係をどうするかという問題があるというふうに理解をいたしておるところでございまして、この点について、どの程度需給の実勢を反映したような価格形成をすることができるか、できるだけそういう弾力化が図られれば図られるほど、自主流通米としての扱いはしやすいという方向にあることは間違いないわけでございますが、全体としての食糧管理のあり方の問題等々、これらにつきましてもさらに検討を重ねなければならないという状況でございまして、現在の段階で具体的にこういうような対応をするつもりだということを申し上げられない点をお許しいただきたいと思います。
  60. 御法川英文

    ○御法川委員 いろいろ検討しなければならないことは、これは当然でございますが、いつの段階まで結論を出そうとしておりますか。
  61. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 これは、物によってその時期というのは違ってくるのだろうと思うわけでございますが、価格形成の関係なぞにつきましては、自主流通米価格形成機構での検討というのが中心になろうというふうにも思いますし、その辺の検討のいかんということがございます。  それから、奨励金関係につきましては、米価との関係もございますので、そういうことも視野に入れなければならないのではないかというふうにも思っているところでございます。
  62. 御法川英文

    ○御法川委員 次に、やみ米について、自由米というふうに言っているわけでございますが、わかりやすくやみ米ということで、しゃべりやすいからやみ米というふうに言うわけでございますが、先ほど田中議員の質問に対しまして、存在することは認める、数量はわからない、それから目に余るものは警察等の力をかりながら取り締まりをしていく、こういうような答弁があったかと思うわけでございます。  いずれにしても、昨年の総生産量、収量、御承知のとおり七百八十三万トンでございます。そのうちいわゆる政府米というのが四百五万トン、ここでちょっと文句が出てくるわけでございますが、本来の意味の政府のいわゆる政府米、これはわずか二万トンです。あとの残りの部分は、四百三万トンは農協が自主流通米ということで集荷した米でございます。本来であれば、これは東京と大阪のいわゆる米の市場に出して、そして価格決定される。これまでは自主流通米はそれぞれの経済連等々を通じまして、どこそこに何ぼ回してやってくれということで、卸なりに米が回っていった、こういう状況であるわけでございますが、彼ほど自主流通米のところで質問するわけでございますが、まずここではこのやみ米。  この七百八十三万トンのうち四百五万トン、そして純粋の政府米というのはたったの二万トン。食糧庁の職員が一万人をちょっと超えるそうでございますが、これが一人頭幾らになるかというと、一人三十二俵しか集めることができなかった、こういう計算にもなります。これはいいわけでございますが、そこで、政府は今この輸入米等々について頑張っておりますけれども、その政府の米の量の前提になっているものは何かというと、この四百万トンが前提になって、何ぼ足りない、こういう形で外米を今輸入しているわけでございます。しかし、実際は残りの三百八十三万トンが国内のどこかに、もちろん腹に入ったものもあるでしょうが、三百八十三万トンというものがあるわけでございます。この中には農家のいわゆる自家用もありましょうし、あるいは農家方々の都会における親戚の方々に若干送ってやるいわゆる縁故米というものもありましょうけれども、そういうものを見ましても、我々の計算では大体二百万トン近いやみ米が存在する、こういう感じをするわけでございます。しかし、この分については一切政府は手をつけない、こういう状況でございます。  さっき田中先生もお話ししておったわけでございますが、この二百万トン近いいわゆるやみ米と言われるものを、上から取り締まるとか権力で取り締まるとか、そういうことでは私はこの際まずいと思う。その米をいかに消費者に渡るようにするか、出しやすいようにさせるか、むしろその方策を、今はこの緊急事態でございますから、そういう方策を積極的に進めるべきだ、私はこう思うわけでございます。  余談でございますが、秋田県の大潟村がございます。我々、県会議員をやっておった当時、ここに二田議員もおられますが、一緒に県会議員をやったわけでございますが、あの当時、いわゆる大潟村の転作に協力しない方々がかなりあったわけでございます。そこで、我々議会の立場で、今食管法もあるんだし、警察もちゃんとあるんだし、食管法に照らしてやみ米というのはいいことであるか悪いことであるか、こういう論法でやって、結局、法に触れるから悪い、しからばそれを取り締まらない警察は何をやっているんだ、さぼっているじゃないか、こういうことで、渋々であったかどうかわかりませんが、大潟村の路上等に立ちまして検問等を警察がやったわけでございます。そして、検察庁等にその関係者が書類送検されたりいたしまして進めていったわけでございますが、最終的には起訴にもならないいわゆる無罪放免、こういう形で終わったわけでございます。以来、方々は非常に力を得まして、最近もテレビ等に出ておる人もおられるようでございますが、勢いを得まして、いわゆる自由米というものを積極的に進めておる、こういう状況でございます。  しかし、これもまた生産者立場からすればやむを得ない、そういう面もあるわけでございます。 違法行為を勧めるという気持ちはさらさらないわけでございますが、やはり生産者も、こういう時代において自分で自分の生活あるいは家族を守っていかなければならない、こういう立場からすれば、少しでも高い方に買ってもらう、こういう心理は当然働くわけでございます。  そういうことから、これだけの大変大きな数字が全国的に詰まってくるわけでございますけれども、いわゆるやみ米の放出対策、これを役人よりも大臣の方で少し真剣に考えるべきじゃないか。したがって、このやみ米が消費者に渡るような方策、考えを持っておらないかどうか、これをお聞きしたいと思います。
  63. 畑英次郎

    畑国務大臣 この自由米という分野の現実の動き、その数量につきましては、私の立場におきましてもつまびらかにいたしてないわけでございますが、大きな一つの社会問題、そしてまた、今御法川先生指摘になったとおり、社会正義に照らしておかしいではないかという怒りといいますものも当然お持ちになっていらっしゃる。  そういうような意味合いの中では、従来の取り組みは、御承知のとおり米はいささか過剰生産の可能性があった姿の中での、全生産量に対するいわば政府管理体制といいますものの範疇に入りますのが約六割、そしてまた四割は農家手持ちというような中で物事が展開してまいったわけでございますが、逆に申し上げれば、そういった自由米が横行しなくて済むような万全の措置をというような意味合いでの、私ども反省を込めて申し上げれば、備蓄等々の問題あるいはまた供給体制の問題、こういうものをきちっと円滑にやることによって、その辺の横行、あるいは高値でもって物が売れるということを阻止する、行政的な立場におきましてはまずこういうことを十分念頭に置いておかなくてはならない。  そしてまた二番目におきましては、先ほど御指摘がございましたとおり、食管法に照らしまして違法行為、法の前における厳正な取り締まりといいますものを我が方の食糧事務所の職員の方々が巡回指導する、あるいはチェックする。大変言葉がどうかと思いまするけれども、こういった事態の中では監視というような意味合いの中から、目に余るものは司法当局に持ち込んで事柄の解決を急ぐというような取り組みをただいまさせていただいておるわけでございます。  御指摘のように、即効性のある、いささか隔靴掻痒の感があるではないかというおしかりをいただきながらも、ただいまそういうことを懸命にやらさせていただいているということを御理解賜りたいがと思う次第でございます。
  64. 御法川英文

    ○御法川委員 大臣そういうふうに言われますが、目に余るというのは大臣の目に入ればということなのかちょっとわかりませんけれども、これはやはりそう簡単に見えるような、そんなへまなやり方はしないと思いますよ。したがって、これは目に余るということにはなってこないと思う。  しかし、今大臣せっかくの答弁でございますが、そういう気持ちはありながら、過去においてずっとそれが続いてきているわけですよ。このことはこれからも将来にわたって続く。幾らここで大臣がいい答弁をしようと思って話をしたところで、実態は大臣の思っているようには絶対いかない。やはり政治家たる者、この現実というものをわきまえた上で、要は、今は消費者に国産米のうまいものをいっぱい出す、これが先決ですよ、そこに何らかのいい方法があるわけですから。もしその方法を、どうするかということを大臣は今わからないようでございますが、この公の場ではちょっと無理でございますから、後日御法川に聞きに来ていただければ方策を講じてもいい、こんなふうに思っているところでございます。  それはともかくといたしまして、次に進みます。  備蓄対策でございますが、先ほども田中先生から大変厳しい指摘がございました。今回これだけの米の騒動が起こったという背景には、やはり政府責任を持った備蓄対策を講じておらなかった、これがやはり非常に大きい原因であるわけでございます。あの八月の段階でわずか二十三万トンしか政府米がなかったということでございまして、これではどうにもならない、こういうことでございます。備蓄をするためには当然それなりの経費もかかるわけでございますが、私は、本当にこの備蓄対策政府が本腰を入れて力を入れてこなかった、このことに大変大きな怒りを持っておる者の一人でございます。数字では百万トンあればいいんだということを言いながら、その百万トンも何ら達成してこなかった。この責任は一にかかってやはり食糧庁の大責任である、私はこう思っております。  ちなみにですが、この前、調査の段階でわかったことでございますが、政府指定の倉庫、これが米の量にいたしまして一千百万トン分あるわけでございます。そして低温倉庫、これが四百二十万トン分。さらにはカントリーエレベーター、これが百三十万トン分ある。こういう立派な倉庫、施設があるわけでございますから、もみ貯蔵でも何でもできるわけでございます。私は、備蓄する場合には必ずもみ米で備蓄するのが品質を落とさないためにも絶対必要である、こういうふうに思っておりますし、食糧庁のどなたかが来たときにもそういうお話を強くしたわけでございます。そしたら、その人の来た三日後ですか、何かの新聞に、備蓄はもみ米でというような記事も出ておったわけでございます。  いずれにしても、備蓄はもみ米でやるという基本を貫いてもらいたい、そういうことでございます。これだけの倉庫の余力がある、こういうことでございますから、まあ百五十万から二百万トンぐらいは国家としての備蓄は絶対必要である、私はこう思っております。例えば、昨年の冷害というものを考えた場合に、やはり百五十万から二百万トンあれば外米を輸入しなくても十分対応できるわけでございますから、そういう最悪の場合の数量を基準にした備蓄計画、これが国家としての国民に対する最大の責任である、義務である、私はこう思っております。  ほかの官庁のことを言う必要はございませんが、例えば自衛隊、国防、これもやはり国家が独立して、世界の中で国民が安全に生きるためには、いつ何ときあるかわからぬけれども、国民を守るために、独立国家を守るために国防というものに毎年毎年一生懸命頑張っておる。それから河川の改修等でございますが、例えば五十年に一回の大洪水、あるいは百年に一回の大洪水、こういうものに対応できる、そういう設計になっているわけでございます。川の幅あるいは築堤の高さ、そして五十年に一回の大洪水が来ても農地も、あるいは町も流されない、こういうことで頑張っておる、そしてかなりのお金をつぎ込んでおる、これは大臣も御承知のとおりでございます。  さらにまた、昭和四十八年でございますか、例のオイルショック、これが日本の経済を本当に襲ったわけでございますが、その経験に基づきまして、以来今日まで、備蓄の設備を一生懸命やってきた。国の分、民間の分あるわけでございますが、ちなみに何日分あると思いますか、石油の備蓄。百五十日分、正確には百四十九日分あるのですよ。そして、そのうち国の備蓄の量が六十八日分、民間の施設によるものが八十一日分、こういう形でオイルショック以来石油の備蓄というものを一生懸命やってきた。  人間、国民が生きるために絶対必要な主食である米、この米に備蓄という物の考えを本当に反映しないできた農林水産省、これは生産者からも消費者からも両方から責められても文句の言いようがない姿であった、こう言わざるを得ないわけでございます。  したがいまして、これからは、国民の同意を得ながら、生活に絶対大事な米の備蓄、少なくとも政府が言っているような百万トンではどうしようもないわけですから、百五十万から二百万トンを備蓄する、こういう基本的な計画を確立しまして、農家生産者にも消費者にも協力してもらう、こういう国民的な課題としての取り上げと実行をしていく、こういうことがなければ絶対だめだ、私はこう思っております。  そういう意味で、今後の本当の意味の腹構え、具体的な計画、これを示してもらわなければ困るわけでございまして、この点についてのお考えを提示してもらいたいと思います。
  65. 畑英次郎

    畑国務大臣 先ほどの備蓄の問題の重要性、全く先生指摘のとおりでございまして、そういう中にございましてのもみの問題も、これはいろいろ専門的な技術的な問題がございますので、いささか費用をかけましてこれからの検討課題にさせていただく、こういうような段取りを進めておるところでございます。  過去におきましても、平成年産米につきましては百万トンをやや超える備蓄があった、そういう中での、その後の作況等々の問題がございましての今日の姿でございますから、私どものサイドにおきまして、その御指摘のような意味合いのものを踏まえまして、本年産米、来年産米、それらの中におきましての百三十万トンの備蓄体制といいますものを急ごう、これを下限としてやりますということをただいま公にさせていただいておるわけでございますが、今御指摘のとおり、二百万あるいはまた百五十万、いろいろな数字があるわけでございますので、これからの農政審議会等々の御意見等も踏まえながら、関係団体等々の御意見を拝聴しながら、百三十万トンプラスアルファというような対応をこれから進めてまいりたい、私はかように考えておるところでございます。あくまでも、備蓄といいますものは大きな大切な重要な課題である、かように受けとめさせていただいております。
  66. 御法川英文

    ○御法川委員 ぜひ本心から取り組んでもらいたい、こう思います。  次に、減反政策でございます。これも先ほど田中先生からるるお話あったわけでございますが、若干重複する面もあると思いますけれども、私は、政府の農地に対する認識に若干の間違いがあるんじゃないか、こういう感じを実は持っておるわけでございます。  ちなみに、田んぼでございますが、今現在、北海道、沖縄まで全国の田んぼが二百七十八万二千ヘクタールぐらいでございます。そのうち、ことしか減反六十万ヘクタールですか、そうすれば、二百七十八万から六十万を引きますと二百十八万。そのほかに、大臣も御承知だと思いますが、いわゆる荒廃地、荒れ地、こういうものが全国で二十五万から三十万近くある、こういうふうに言われております。そうすれば、ことしの六十万に対して二十万を足しますと、八十万の減反をやっていることと同じ意味になるわけでございます。そうすれば、二百七十八万とは言うけれども二百万を切る、こういう姿になるわけでございます。五百キロにいたしまして、二百万ヘクタールあったとしても一千万トン、それを切るということになれば、一千万トンを割る結果になるわけでございまして、そこいら辺の減反の物の考えをもう少し考え直さなければならない。  つまり具体的に申し上げますと、せめて今の六十万から二十万ないし二十五万を差し引いた減反にしなければ、政府の思っておるような量は出てこない、こういうことを私は考えるわけでございますし、その点について政府はどう考えておるか。  特に、ことしも、昨年ほどではないと思いますが、冷害型だ、こういうふうに気象庁で言っております。二年、三年冷害が続くのはこれまでの経験でございますから、そういうものも踏まえた中で、しかしこれから二十万あるいは二十五万をさらに緩和するといっても農家の方で果たして受け入れできるかどうかこれはわかりませんが、もし政府がそういうものを発表することによって協力してくださる農家があればそれだけ助かるわけでございますので、そうした点も含めた中で、ひとつこの問題について答弁をいただきたいと思います。
  67. 日出英輔

    日出政府委員 米の生産力を見ますときに、先生おっしゃるように潜在生産力というところから説き起こして数字をつくるわけでありますが、ただ、基本的にまず申し上げたいのは、水稲の作付面積、これはきちんとわかっているわけでございます。約二百十万ヘクタール弱の作付面積というのはわかっておりますから、現実に市場に出てまいりますお米の量は作付面積で決まるわけでございます。もう一つ、先生お話しの二百八十万の田面積でございますが、その中には、実は十七万ヘクタールほど畦畔面積が入っております。そういう意味で、作付される面積自体は二百六十三万とか、そういう数字でございます。  なお、耕作放棄地の話に言及されましたけれども、この中では実は田んぼの面積は非常に少なくて、大部分が樹園地、桑園地でございますので、先生のような大きな数字を引かれるというのはちょっと適当じゃないんじゃないかというふうに思っております。
  68. 御法川英文

    ○御法川委員 私の、荒廃地、荒れ地、田んぼのその認識が違うと言うけれども、局長、地方の現場、実際歩いてみてくださいよ。あるいはまた、各県に、各町村に、田んぼで減反が始まって以来放棄されて荒れ地になっておる面積何ぼあるか、それを調査してくださいよ。私がここで言ったことは絶対間違いないですから、これは。  それから、減反が実際、昭和四十五年から始まってきているわけでございますが、昨年までの間に何ぼ田んぼがつぶれていったか、こういうことを計算しましたら、いわゆる農耕地ということで約六十三万ヘクタール、そのうち田んぼが大体三十九万ヘクタール、これは道路、鉄道あるいは工場用地、住宅あるいは一部農道、こういう関係でつぶれていっているわけでございますが、合わせて六十三万ヘクタール、今、ここ数年不景気であったわけでございますが、それでも毎年二万四、五千ヘクタールつぶれていっているわけです。こういう現実を踏まえた中でやはり減反というものを見直していかなきゃならない、こういうことだと思っております。  次に、大体時間もなくなってきましたので前に進みますが、これまた先ほど田中先生からお話があったわけでございますが、輸入価格でございます。  さっきわかったようなわからないような数字を並べておったわけでございますが、十七日の参議院農林水産委員会におきまして仕入れ価格を明確にしているわけでございます。その農林水産委員会で公表された数字、加州米が、これはトン当たりでございますが、六万五千円から六万七千円、中国米が同じくトン当たり四万八千円から五万三千円、タイ米が四万一千円から四万九千円、こういうふうに委員会で発表されております。そして、今実際の小売価格がどうなっているかというと、加州米が一キロ当たり四百円、中国産が三百五十円、タイ米が三百円、こういう状況でございます。  そこで、このキロとトンという形で発表するものですから、消費者の側からすればなかなか換算しにくい。ちなみに、加州米のトン当たり六万五千円から六万七千円というのは一キロ当たり六十五円から六十七円になる。六十五円から六十七円のものが四百円で売られているわけです。同じく中国米がキロ四十八円から五十三円のものが三百五十円で売られている。タイ米は四十一円から四十九円のものが三百円で売られている。こういう数字になるわけでございます。皆さんの方からはこの六十五円あるいは六万五千円、六万七千円、これはもう仕入れ価格だけでその以後の諸経費が入っておらないというふうな答弁が出てくると思いますが、それを含めてもこの四百円とか三百五十円とか三百円という数字には絶対ならないわけでございます。したがいまして、先ほど田中先生が言ったその差益、三千億円近いというふうに表現されておったわけでございますが、私は純利益が約二千億ちょっと、政府の予算書のあれを大体見ますと二千百億強、こういうものが出てくる、こういう勘定になるわけでございます。  そこで、この今の細川内閣は、成立当時から生活者優先あるいは消費者優先、こういうことを政権の大きなスローガンにして国民に約束しているわけでございます。その今の細川内閣が、この冷害による国民が苦しんでおるときに安い外米を入れてきてその差額で政府がもうける、消費者に仕 入れよりもうんと高いものを食べてもらう、こういう物の考えというのは一体生活者優先と言えるのかどうか、こういうことを私は声を大にして申し上げたいわけでございます。なかなかまとまって新聞に書いてくれるところはございませんから、新聞の皆さん、もしよろしければこの実態を、御法川の名前は入れなくていいから書いて国民に知らしてもらいたい、こういうことでございます。そういうことで、まことにもって私は情けない。  先ほど答弁の中で、昨年の共済金の支払いも大きかったわけでございますからその原資に充てる、こういうことでございますが、もともと共済の支払い金は、これは政府責任で払わなければならない分野が法律で決まっているわけでございますから、それと今の輸入米の差益とは何ら関係ないわけでございます。何ら関係ない。何か火事場泥棒的な感じもする。あるいは消費者からピンはねをして政府の財政を豊かにする、悪い言葉で言えば。そういう感じに受け取られるわけでございまして、ここはやはり細川内閣の生活者優先という考えからこの差益を最大限消費者に還元してやる、これが私は善政だと思うわけでございますが、この点についての考えをお伺いしたいと思います。
  69. 畑英次郎

    畑国務大臣 私の立場において誤解があってはなりませんので申し述べさせていただきますが、細川内閣の生活者優先、そのとおりのいわゆる政策課題としての取り上げがなされておりますことも御承知のとおりでございますが、生活者、これは農村における生活者、そういうような意味合いのものも念頭に置く姿の中で、例えば具体的に申し上げれば集落排水事業等々、環境整備事業等々、ただいま御審議を願う段取りの平成六年度予算の中にございましても前年対比大幅に増加をさせていただいておる。私の立場では、少なくとも農村、漁村、山村等々の生活者、これを絶えず念頭に置いて細川内閣は取り組むべきだというのが当然の私の主張すべき立場でありますことも御理解を願いたいというふうに考えます。  先ほども申し上げましたとおり、いわゆるこの差益につきましては、昨年の国会で法をもって使途を決めさせていただいたわけでございまして、その法に基づきましての使途ということでございますから、ただいま申し上げますようにやはり農家方々、農村地域の活性化につながる一つの対応、そしてまた主食を安定供給させていただくというような意味合い消費者方々の御理解、かような意味合いでの国民各界各層のさらなる御理解を賜りたいが、かように考えるわけでございます。
  70. 御法川英文

    ○御法川委員 大臣大臣として当然今お話しのようなことは腹に据わっておって、その具体策を講じていかなければならないというのはこれは当然でございます、どの内閣であろうとも。しかしそのことと、この外米を輸入して差益を生ませてそれを今大臣が言ったような農村、農家、生産、そういうものに使うということとは別問題だということですよ。それは本来の政府の固有の予算で今大臣申し上げたようなことは当然行わなければならないわけでございますし、それと今の輸入米の差益というものとは別個に考えなければならない。それを一緒にするところに消費者からも不満が出てくるし、あるいは農家立場からしても、何も外米で政府が差益を、もうかったものを、それを我々農民にいかにも恩着せがましく使うというようなことは我々の希望するところではない、こういう純粋な農家もおりますよ。その履き違えがあるのです、そこに。それをやはりしっかり整理して対応しなければますます政府に対する不信というものが起こってくる、こういうふうに私は思いますよ。  それからいま一つ、この輸入米については相手国がある、日本国の政府がある、そして輸入業者がある、こういうことでございます。この相手国の政府、あるいは民間になるのかわかりませんが、日本政府と相手国と輸入業者、この関係がどうなっておるのか。いま一つ、二十数社おるということでございますが、この二十数社の貿易会社の名前を公表してもらいたい、こういうふうに思います。
  71. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 ただいまちょっと手元にリストを持ち合わせておりません。それから公表の問題につきましては、ちょっと扱いを中で検討させていただきたいと思います。
  72. 御法川英文

    ○御法川委員 何もこれは秘密にする必要のないものだと思いますので、今手元にないということでございますが、全委員に資料として後で配付していただきたい、こういうことを委員長から確認をとっていただいて、次に進みたいと思います。
  73. 竹内猛

    竹内委員長 この問題については、委員長としては午後の再開のときまでにその書類を全員に出してもらいたい、そういうことを要請します。
  74. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 委員長の要請は承りましたので、取り扱いにつきましてちょっと検討させていただきまして、午後の一番最初の段階でお答えをさせていただきたいと思います。
  75. 御法川英文

    ○御法川委員 検討という言葉まで出たのですが、資料として出すということは当然前提でございましょうね。
  76. 竹内猛

    竹内委員長 委員長としては、それは秘密にする必要はないと思うのですよね。当然そういうものを出してしかるべきものだと思うから、出してもらいたい。
  77. 御法川英文

    ○御法川委員 出していただくという前提で、前に進ませていただきます。  次に、他用途利用米でございます。  他用途利用米、これは減反政策の中で出てきた用語でもございます。中身でもございます。大体昭和五十九年ぐらいからこの他用途利用米というものが生まれてきたわけでございます。言うなれば、いろいろ理由はあったわけでございますが、同じ田んぼで同じように作業できるし、やりやすい、しかもそれが減反として認められる、こういう農家の要望も当然あったわけでございます。そういう意味ではそれなりの効果もあった、こういうふうに思っております。  しかし、時間がたつ、年数がたつ、そしてこういう状況になってまいりますと、同じ質の米、一方は自主流通米あるいは政府米、一方は他用途利用米ということで、御承知のとおり値段が半分近くになるわけでございます。こういうことを考えますと、同じ田んぼで同じ米をつくって、一方は九千円ぐらい、一方は政府米でも一万八千円ぐらい、自主流通米になりますと二万四、五千円、こういう値段の差がある。この際、米も不足のようであるし、一部今こうやって外米も入ってきておる。だとすれば、この辺で他用途利用米というものをやめていただいて、今入っておる外米等々を加工用の米に使ってもらった方が農家としても助かる。そういう意味では、この他用途利用米というものの使命というものは終わったのではないか、こういう声がどこへ行っても生産者からは強く言われるわけでございます。考えてみればそのとおりなわけでございまして、この他用途利用米というものは、大体昨年の場合は二十万トン、モチ米を入れても二十二万トンぐらいでございますが、そろそろこれをやめるべきじゃないか、私はこう思うのでございますが、大臣はどのように考えておられますか。
  78. 畑英次郎

    畑国務大臣 御承知のとおり、転作問題もそうでございますが、この他用途問題等々、これは関係者方々の少なくとも納得という、あるいは合意の上で物事の展開を図るべし、こういうような意味合いの中から、他用途米につきましては、実際にそれを御利用になる実需者側と生産者側とのいわゆる供給、必要性等々、そういう中での問題の展開を図ってまいりたいというぐあいに考えておりまして、我が方から強制をする、そういうような度合いといいますものはなくしていかなくてはならない、かような考え方に立っておるわけでございますが、私は、さような意味合いでの当事者の話し合いの中で問題の解決を図ってまいりたい、こう思っております。
  79. 御法川英文

    ○御法川委員 そうすれば、加工する側と生産する側が話し合いがつけばやめてもらってもいい、こういうことですね。
  80. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 委員先ほど御指摘ございましたように、他用途利用米の制度はそもそも転作の一形態として始まっているわけでございまして、ことしの段階でも、復田の達成状況いかんによりましては、地域によってほかの作物がつくりにくいというところもあるでございましょうから、他用途利用米の生産をせざるを得ないというところもあるかもしれないというふうに思っております。そういうことがなければ主食用のお米の生産にぜひとも励んでいただきたいのが我々の立場でございまして、生産調整数量の県別の配分のでこぼこを直すというふうなことによって極力そういう事態を避けたいという気持ちを持っているところでございます。  ただ一方で、国内の各加工業界の側から見ますれば、国内米は使いたい、しかし現在の国内米の価格水準ではなかなか利用ができない、そういう声もあるわけでございまして、先行き需給が平静化しまして均衡する、あるいは過剰ぎみになるというような事態になった場合には、やはりそういう需要を引きつけておくということも必要なのではないか。これは生産者の側におかれましてもそういうふうなお気持ちがおありになるというふうに私は理解をするわけでございまして、そういう意味で需要業界の方々生産者側の方々が十分なお話し合いをしていただいて、その上で一定の価格を念頭に置いて他用途利用米の生産がされるということが好ましいのじゃないか、かように考えている次第でございます。
  81. 御法川英文

    ○御法川委員 大臣のお話と若干違った感じも受けますが、今長官の言ったのは、言うなれば生産者の側からすれば、減反政策の一環にも入っておるその絡み、むしろそっちの方が大きいというふうに私は思うわけでございますが、そういうものも含めまして、この際やはり見直しをするということが私は必要だと思いますよ。減反も含め、この他用途利用米、こういうものを含めた中で見直しをする、やはりそのぐらいの考えがなければ農家もなかなか意欲が出てこない、こういう感じでございます。  次に、時間も本当になくなってきましたので、自主流通米でございます。  これは御承知のとおり、昭和四十四年から始まってきたわけでございます。ちょうど、米がかなり過剰になってきた、こういう時代、さらに国民的には量から質という時代的な流れの中で、米につきましても量から質というようなことで良質米あるいはおいしい米、こういう形でこの自主流通米は誕生してまいったわけでございます。そして、新潟県のコシヒカリを初め、各県それぞれのよい銘柄、これを県の特産にしようという意気込みで、県政あるいは農業団体も実際の農家も良質米づくりに本当に一生懸命取り組んできたわけでございます。そして、その成果が今市場に出ておりますああいうコシヒカリあるいはササニシキ、あきたこまち、きららとかいろいろ名前も出てきておりますが、そういう農家あるいは農業関係者の努力の成果であるわけでございます。そして、東京と大阪にいわゆる米の市場というものを設置いたしまして、そういうところで自由にこの価格形成をさせて、よい米でございますから流通させようということで市場を開設した。ところが去年の秋、八月ですか、新しい五年産の米がとれて第一回の入札をやりましたら、もうストップ高であったわけですね。その一回を経験して、以後市場を閉鎖してしまったわけでございます。私は、この米の混乱の一部には市場を閉鎖したことにも一因がある、こう思っておる者の一人でございますが、むしろ絶対量、全体の量は少ないかもしらぬけれども、あの市場を機能させておった方が、若干のトラブル、問題もあるいは生じるかもしれませんが、今回のような米不足混乱にはならなかった、私はこう思っております。それをあえて、頭のいい役所の皆さんですからわかっておったと思うけれども、中止したその理由は、やはり政府古米の、政府米が足りない、この際全国の農協で集めた米を、これを政府管理にするということで押さえることによって政府の機能を果たすことができる、やはりこういう考えが当然あったと思うわけでございます。農協の役員の方々と若干お話しするわけでございますが、実際倉庫にも正規のものがそれなりに入っておる、これはしかし食糧事務所の指令といいますか要請がなければ一俵たりとも出せない、こういう形で今押さえられているわけでございます。  そういうことでございますが、私は自主流通米、しかも市場までつくったことでございますから、思い切ってあのまま続けておった方がよかった、こう思うわけでございますが、この中止せざるを得なかった理由、時間もありませんが、簡単にひとつ説明をしてもらいたい。  それから、きょうは厚生省の方も来ていただいております。さっき言いましたように、昨年の何月ですか、第一便が横浜港に入った。船でどんどん接岸しているわけでございますが、我々の聞いて歩いたところでは、検査体制、これが十分でなかった。もちろん、これだけの大量のものが入ってくるというのは今回が初めてでございますから、経験がないということも当然でございますけれども、農林省の植物防疫法に関係する検査、そして厚生省の食品衛生法に基づく検査、こういうもののスピードが遅かった、こういうことで卸の方に回ってくるのも遅かった、こういうことが言われておるわけでございます。こういうものが一体どうであったか、前の分とあわせましてひとつ御答弁いただきたいと思います。
  82. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 最初に自主流通米関係の部分をお答えを申し上げたいと思いますが、自主流通米の価格、この制度というのは、市場原理を食管の体制のもとにおきましてもできるだけ取り入れるということで始まったことでございます。ただ、やはり食管の基本的な役割というのが需給のコントロールと価格の安定ということでございます以上、価格につきましても一定の限界の中で自由な価格形成が行われるというふうに歯どめをかける必要はあったわけでございまして、基準価格の七%の範囲内で上下動くということでやってまいったわけでございます。  ところが、昨年の場合には、不作によりまして物がないということもあり、価格が上限に張りつくという事態が明らかになってまいりましたので、ああいうような措置をとった次第でございます。これもやはり食管制度が、先ほど言いました需給なり価格についての責任を持つという建前、役割を持っておりますこととの関係で、そこら辺につきましては御理解をいただきたい。  したがいまして、自主流通米につきましても、各県消費地への売却等につきまして、これは生産者、御両方の話し合いで決まっているわけでございますけれども、一定の公平な流通がなされるようなそういう定めのもとで、現在、先ほど委員の御指摘もございましたように、産地でありながら輸入米も購入をしていただくというような、そういう公平の見地の配分をさせていただいているということでございます。
  83. 高原亮治

    ○高原説明員 緊急輸入米に対する検査体制でございますが、まず、私どもといたしましては、どういった農薬を検査すればいいのかという検査項目について、輸出国からの情報に基づきまして、現地で使用されております可能性のある農薬につきまして幅広く検査を行うことといたしました。そういう関係もございまして、検査体制の立ち上げに関しましては、米の安全性確保の重要性にかんがみまして、正確なデータを得るため、職員の熟練、慎重な対応をとってきたところも事実でございまして、そのため一時的に検査待ちの貨物を生じました。これは事実でございます。  しかしながら、現在、職員の熟練度の向上、検査設備の充実、他の部署からの検査員の応援、非常勤職員の活用などを行いましてさらに速やかに検査を実施する体制をとっておりまして、現在のところ、百四隻、七十八万トン分の検査を完了しておりますが、検体到着後四日から五日で検査結果を出しているところでございます。  また、検査の結果につきましては、三月二十一日現在、ほとんどの項目について農薬は検出値下 限値以下、つまり検査してもデータが出てこない、検出せずということでございまして、すべて食品衛生上問題がなかったことから輸入を認めまして、また、検査結果については逐次公表しているところでございますが、今後輸入米穀船の増加が見込まれる中で円滑な検査を実施するため、農水省からの申し出を受けまして、緊急的に、農林水産省の検査職員につきましても厚生省併任として応援していただくという態勢を今週中にもとるということにしております。
  84. 御法川英文

    ○御法川委員 時間もなくなりましたので終わるわけでございますが、ずっと太平洋戦争、大東亜戦争のときから今日に至るまでの日本農業の歩んできた歴史が当然あるわけでございますが、特に昭和四十五年のいわゆる減反政策を境にして、日本農家の気持ちというものも多少変わってきた、こういうふうに思っております。つまり、米の余るような段階の以前は、増産、増産ということで本当に一生懸命持てる力を発揮することができたわけでございますが、米が余ってきたということにおいて、持てる力というものを思い切り発揮することができない、そういうことを今日まで繰り返してきているわけでございます。  そこで、一番大事なのは、日本の国としてこの日本農業、主食である米を初め他の産物も含めまして日本農業というものを日本国家の中にどう位置づけるか、これが私はこれからの農業、農政で一番大事な柱だと思っております。この農政の位置づけを明確にしない限り、農政の混乱はどこまでも続く、こういうことになりますので、ぜひひとつ畑農林大臣には、日本の民族がここ十年、二十年の間に後悔することのないような日本農業の位置づけというものをはっきりと示して、農家の力を思う存分発揮してもらう、そしてその結果として消費者国民も豊かな食生活ができる、こういう農政を打ち立ててもらいたい、こういうことを要望いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  85. 竹内猛

    竹内委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十八分休憩      ————◇—————     午後一時三十一分開議
  86. 竹内猛

    竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。遠藤登君。
  87. 遠藤登

    遠藤(登)委員 まず最初に、減反政策が継続をされて二十四年間を経過をする、それから百年に一回という大凶作、そして主食である米の約二百万トンにわたる緊急輸入、そしてガット体制。それは開放、関税化の受け入れということで大変な課題を背負いながら、当局におかれましては、我が国の主食である、国民の主食である米を初めとして、安全性の確保はもちろんでありますが、安定供給のために日夜大変な御努力をされていることに深く敬意を表します。  ただ、食は命なりということもあるし、食糧は生き物であります。それは大自然の恵みの中で食糧という生命をはぐくむ、これは機械文明とは基本的に異なるものだということの認識を改めて深めていかなきゃならないのではないかというふうに思います。  それから、新世紀全般にわたりましても、御案内のとおり、今さら申し上げるまでもないのでありますが、世界的ないわば人口急増問題、世界の農地、耕地が減少している問題、したがって食糧の生産も年々減少しているという問題、環境が悪化する問題、これは新世紀における人類の存亡をかけた課題として問われている今日であります。  したがって、我が国はいわば今の時点では七五%を超える食糧外国に依存しているという、依存せざるを得ないという状況なのではないか、それは主権国家として将来に対応するには重大な課題を背負っているのではないだろうかというふうに思うのであります。  このことを肝に銘じながら、現代を生きる国民、そして政治のありようとして、これは重大に問われるのではないだろうか、それは基本的な認識としてそういうふうに強調したいのでありますが、基本的に大臣はどのような観点に立っているか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  88. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま遠藤先生から基本的な認識の問題で御指摘を賜ったわけでございまして、私自身もいわば全く同感という立場をとらさせていただいておるわけでございます。  とりわけ、二十一世紀に向けましての環境問題、そしてまた国土保全の問題等々、こういうことを考えながら、昨年ガット・ウルグアイ・ラウンドの受け入れという中にございましても、二十一世紀に向けて、とりわけ主食であります米につきましては自給体制をというような意味合いでの取り組みを引き続き堅持して努力を続けていかなければならない、なおまた、国土面積のわずかに残された一四%の農地を減らしてはならない、こういうことを考えますと、これからの私どもの与えられております新しいこの事態に対応する農政のあり方を、ただいま各方面の御意見を拝聴しながら、さらに国民の前に明確に示して御理解と、農村、農業に対しての御支援体制を強いものにしていかなければならない、かような認識に立っておるわけでございます。
  89. 遠藤登

    遠藤(登)委員 時間がありませんので、端的にお聞かせをいただきます。  いろいろな数字が出回っておりますが、現時点における国産米の集荷状況あるいは保有状況、保有数量、それから輸入米の今日的ないわば手当ての状況はどうなのかということについてちょっとお聞かせをいただきたい。
  90. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 政府管理米の集荷の状況は四百五万トンという状況でございまして、さらに一農家一俵当たりの政府米への提供方運動というようなことを続けておるところでございます。七百八十万トンぐらいの生産量からその四百五万トンを引きますと、残り約三百八十万トンぐらいが農家保有米ということになろうというふうに思っております。  輸入米につきましては、現在百七十万トンの輸入公表をいたしまして、その調達を順次進めているところでございます。契約が大体八〇%程度達成をされまして、これを順次日本に持ってくるということでございますが、既に日本の港に八十万トンぐらいのものが到着をしている状況でございます。
  91. 遠藤登

    遠藤(登)委員 それで国産米の、少なくても農家一俵ぐらい以上は何とか供出をしてもらいたいという運動が展開をされておりますが、今の時点における大体協力してもらえるような動きとか見通しとか、そういうものはどうなんでしょうか。
  92. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 やはり去年の出来秋からもうかなりの時間がたっておりまして、農家方々の消費も進んでいるわけでございますので、手持ち自身が薄くなっているわけでございます。したがいまして、四百五万トンからさらに一万トンでも二万トンでも上積みをしたいということで努力をいたしておりますが、そう大きな数字がこの段階で期待をできるというふうには考えられないというふうに理解をいたしております。
  93. 遠藤登

    遠藤(登)委員 大体百七十万トンいわば外国のお米を確保できた、契約も約八割ということのようでありますが、今後輸入する数量はどのような状況ですか。
  94. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 この点につきましては、一応八月までの考え方として百七十万トンプラスアルファに百二十万トンのお米というようなことで従来から説明をいたしてまいっておりますけれども、やはり九月、十月、若干の輸入米に依存せざるを得ないところもあるのではないかというふうに考えているところでございますし、それからこのところのお米の消費、そういうような状況なども踏まえて、さらに輸入米の必要量というようなことについても検討をしてまいりたい、それによって手当てをしなければならないときにはしてまいりたい、今検討中でございます。
  95. 遠藤登

    遠藤(登)委員 これは早目に手当てをするというのが原則だと思いますので、十分な対応を要 求されるものではないか。  それで今、パニック状態がやや解消する、地域によっては解消しているという状況もあるようでありますが、さらにブレンド、セット、その他いろいろ供給方針について大変苦慮もされているし、消費者側としてもいろいろな問題を抱えているという状況があるわけでございます。今後の供給方針、地域によってもいろいろ異なるということがあると思いますが、どのような方針に立っていらっしゃいますか。明らかにされたい。
  96. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 もう先々週になりますか、今後の供給方針につきまして決定をさせていただいて、通達も既に出しておりますけれども、国内産につきましては輸入米とのブレンドで販売をしていただきたい。大体、全体としての総供給量に占めます国産米、輸入米、それぞれの産地別の割合というのがございますので、そういうものを頭に置いて、バランスよく消費が進んでいくことを考えてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  ただ、外国産米につきましては、外国産米に依存する割合の方が国産米に依存する割合よりも多い、やむを得ない状況でございますので、当然のことながら単体での販売ということがあり得るわけでございますし、それは消費者の選択ができるだけきくようにしてまいりたいというふうに思っております。  セット販売の問題、これは、国内米は国内米、輸入米は輸入米ということで、消費者が御利用いただける一つの工夫であるというふうに考えておりまして、国内米に対する非常に強い志向というものが、何といいますか、非常に突出した形で出てこないという限りにおきましては、このセット販売を認めてまいるという方針を既に打ち出して対応しているところでございます。
  97. 遠藤登

    遠藤(登)委員 次に、加工用の米の問題でありますが、お正月を中心にしてその手当てが一定程度終わったということだと思いますが、加工用のこれからの需給関係、まだ残された加工用の需要分野ですね、あるいはこれの確保の見通しなどについて、ちょっとお聞かせをいただきたい。
  98. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 加工用米の需要というのは、自主流通米と他用途利用米で従来賄われてまいったわけでございますが、百三万トン程度ございます。これに対しまして、国内米での供給というのが六十万トン程度ということでございますので、不足する四十三万トンにつきまして、緊急特例的に輸入米をもって充てたいということで、計画的に取り組んでいるところでございます。既に二十万トン分につきましては、年内のうちに供給が行われた、こういうことでございます。
  99. 遠藤登

    遠藤(登)委員 これは先ほどもいろいろお話があったのですが、一つは、他用途利用米制度の見直しの問題ですね。問題は価格の問題でありますが、現在関係団体との間でことしの産米についていろいろ努力が重ねられているということのようでありますが、その状況と他用途利用米等々に対する対応の仕方。  それから、減反問題、転作問題ですね。希望に沿って選択制的なものとして対応するということのようでありますが、現在既に田植えをしたところ、あるいは現在もう種もみの播種の準備をやっております。そういう状況でありますから、ことしの稲作の対応について農家は重大な関心を持っている。もちろん消費者もどうなるのかということもあるわけでありますので、その辺の対応についてちょっとお聞かせをいただきたい。
  100. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 お話しのとおり、作付の準備が始まる段階に参っておりますので、ことしの生産体制をはっきりしてまいらなければならない時期に参っておるわけでございます。  今、他用途利用米につきましては、団体と需要者側とのお話し合いで、どのくらいの価格が設定できるのか、委員指摘のとおり相談が続いているわけでございますが、まだはっきりした結論に至っていないようでございまして、引き続き努力がなされている。生産者側の方からいえば、何とか政府米並みの手取りが実現をしないかという希望を持って当たっておられるというふうに聞いております。ただ需要者側の方は、コスト等の関係もございましてなかなかそういうふうにはいかない。仮にその程度のものを出してもいいという数量がございましても、トータルとしての所要量をそういうもので賄うというところまでにはまだ至っていないというふうに理解をいたしております。  私どもといたしましては、生産調整の緩和をいたしているところでございますので、極力緩和面積の消化が図られる、その限りにおきまして極力主食用の米の生産が実現をするということが大事だというふうに今思っておりまして、全国的にならして生産調整の面積が必要最低限のところでできるようにというふうに今努力をいたしております。  ただ、ことしにつきましては、農家もかなり生産意欲回復しているように見受けているところでございまして、他用途利用米による転作ということも視野に入れておかなければならないという事態が大いにあるというふうに理解をいたしております。
  101. 遠藤登

    遠藤(登)委員 時間の関係で最後になると思いますが、先ほども早場米問題が出ました。  国産米の志向が強烈であるということと同時に、早場米、いわば新米に対する期待というのは非常に大きいのではないか。所によっては庭先で新米に対する取引なども始まっているという話を聞くのでありますが、これは超早場米、それから早場米、あるいは準早場米を含めて、生産を含めてこれらの集荷対策に一定程度万全の態勢をとる必要があるのではないか。これは自由米の価格の問題なども連動しまして、やはり先ほどもお話があったのでありますが、この準早場米を含めての対応について、対応方針をちょっとお聞かせください。
  102. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 準早場米という比較的遅いところまで含めた早出し、こういうことにつきましては、従来から早場米の奨励金というようなものもございまして、そういう手段を先行き考えていかなければならないところもあるというふうに思っておりますが、ただ超早場米の問題につきましては、大臣からもお答えをしておりましたとおり、相当高い値段での取引に従来なっておるわけでございまして、そういう対応で対応できるのかどうかということについては大変疑問があるんじゃないかというふうに思っております。  ただ、生産者団体、集荷団体にはこの時期の国内米の集荷に全力を挙げていただきたいという気持ちもあるわけでございますので、そこら辺、集荷のしやすい環境をつくるということを念頭に置いて検討してまいりたいというふうに考えております。
  103. 遠藤登

    遠藤(登)委員 早場米、新米などに非常に大きな期待が寄せられるという状況もあるし、それだけにまた価格の問題も問題になるという状況がありますが、その辺は総合的に十分な対応が求められるのではないか。大変な課題だと思いますが、頑張っていただきたい。  それから、先ほどから不正規米、やみ米の問題、取り締まりの問題などを含めてこれもいろいろ問題、法的になかなか対応し切れないような状況もあるわけでありますが、こういう不公正な流通、不正規流通がないようにさらに万全を期していく必要があるのではないか。  いずれにしましても、大問題を抱えているという状況でありますから、全力を挙げて頑張っていただきたいということを要請をさせていただいて、私からの質問を終わります。どうもありがとうございました。
  104. 竹内猛

  105. 広野ただし

    ○広野委員 新生党・改革連合の広野ただしてございます。  今回のこの米の問題、米不足の問題、大変な課題であります。日本人は特に、水と安全についてはただ、こういうような危機管理意識であります。しかし、私たちはエネルギー危機というのを二回経験をしておるわけでありまして、そのときに価 格のつり上げ、あるいは売り惜しみ、あるいは買い占めというようなことを実際問題として経験をしてきた、こういうことであります。  今までウルグアイ・ラウンドのときにいわば食糧安全保障ということが最大の課題になってきて、国会決議でもいろんなことを問題にしてきたわけであります。そういう中で今度のような問題が起きた。確かに、全体の需給が確保されていればいいということではなくて、この食糧安全保障というのは、消費者に的確な値段で十分な量が行くということを含めての食糧安全保障だろうと私は思うわけですね。  そういたしますと、いわばそういうことを、食糧庁あるいは農林省では、図上演習でも図上訓練でもいいから、常にそういうことを頭に置いてやっていかないと、今回のような流通の混乱というようなことに対処できない、こういうことになるんだろうと思うのです。ですから、食糧安全保障の立場からも、単なる全体の需給の問題だけではなくて、やはり流通問題も含めて十分に考えてもらいたい、この点について大臣の御答弁をお願いします。
  106. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま広野先生指摘のとおり、昨年来の大凶作、そしてまた備蓄問題等々含めまして、今回の経験、体験の中から反省すべきものは反省をしながら、ただいま御指摘のような意味合いでの、今後がようなことをあらしめてはならないという意味合いでの事前の十分な対応策を詰めてまいりたい、かように考えております。
  107. 広野ただし

    ○広野委員 その中で、やはり適切な備蓄というものは非常に大切なことだろうと思います。  それで、過去五年間の備蓄量というものを各年十月末のものを食糧庁から出していただいたわけなんですけれども、平成元年では百四十万トン、二年が百万トン、三年が百万トン、大体丸い数字で。ところが、平成四年から二十六万トンに落ちている。それで平成五年は、まさにこのときですが二十三万トンだ。なぜ平成三年から平成四年のときに十分な備蓄対策がとられなかったのか、このことについて食糧庁答えてください。
  108. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 御指摘のように、平成年産米の不作で備蓄の数量が大分落ち込んだわけでございます。このときに平成年産米の作付を回復をいたしまして在庫の回復を図ろうという努力をいたしたわけでございますが、あのときに十三万ヘクタールぐらいの転作緩和をたしかいたしまして、七十万ヘクタールぐらいの転作面積にしたのだったかと思うのでございますが、現実にはその半分ぐらいの復田しか実現をしなかった、そういうことによりまして在庫の回復が思うように図れなかったということが第一点でございます。その後にさらに転作緩和を意図しながら、平成五年の大不作によってこれも転作緩和の意図もむなしく昨年のような事態になったということでございまして、この間、私どもといたしましては、在庫の回復を図るための生産の計画は立ててまいっておったわけでございます。いずれも作柄によってこういう事態になったということについて御理解いただきたいと思います。
  109. 広野ただし

    ○広野委員 そういたしますと、これで二度目のことになるわけですね。今度本当に減反緩和してもことしの十月末にどれくらいの備蓄になるのか、この点についてお答えください。
  110. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 ことしの減反六十万ヘクタールという体制で生産調整をやりまして、その減反からの復円を図るわけでございますが、これによって六十五万トンぐらいの在庫の積み上げが可能になるというふうに考えております。つまり、ことしのお米ができて、一年間食べて、来年の米穀年度十月末ぐらいに六十五万トンぐらいの在庫が残るという考え方で現在生産の体制を築こうとしているということでございます。
  111. 広野ただし

    ○広野委員 そうしますと、六十五万トンぐらいですと、先ほど大臣も御答弁になっていました、適正在庫が、備蓄が百三十万トンプラスアルファ、まあこれから検討していく話だけれども、ことしの暮れになっても十分な備蓄が持てない、こういうことになるわけですね。
  112. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 大臣が申しております百三十万トンの備蓄回復というのは、二年がかりで、六十五万トンずつ二年間積み上げれば百三十万トン、こういうことでございます。  若干説明を加えさせていただきますと、生産調整を減らしまして備蓄回復を図る、このスピードが遠ければ速いほど在庫の回復は早いのですが、一たん回復しますと、今度はもとに戻さなければならないという問題が出てまいりまして、農家の側で見れば大変猫の目行政になるわけでございます。そこの生産の増強から平静な需要に見合った生産の体制をとるという、平静のときの体制に戻るのにまた非常に大きな反作用があるわけでございまして、このスピードの調整というのがなかなか難しいところだというふうに御理解をいただきたいと思います。
  113. 広野ただし

    ○広野委員 それともう一つ、輸入ですね。輸入備蓄の方に回すのか、将来、ことしの暮れあるいは来年のことについて、どういうふうに考えるか。それによって適正在庫を、適正備蓄を早目に持つということも可能なわけですね。その点、どういうふうに考えておられますか。
  114. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 国内米によります在庫の回復は、ただいま申し上げましたとおり、六十五万トンずつ二年間かけて百三十万トンのものを持つ。そこで次の生産調整の考え方というものを検討する時点に参るわけでございます、三年一期で従来やっておりましたので。そこで、その後さらにどういうような考え方で在庫の積み増しないし備蓄といいますか、そういうものをどう扱うか、こういうことが議論にもなるわけでございます。  それからまた一方で、ウルグアイ・ラウンドの結果としてのミニマムアクセスの問題もございますので、それに伴います食糧管理のあり方の検討の一環として、どういうような備蓄考え方を持ってやっていったらいいのか、こういう面からの検討もあるわけでございまして、両々相まった検討をしなければならないというふうに考えております。
  115. 広野ただし

    ○広野委員 適正な備蓄を持って安定的な供給をしていく、それが食糧安全保障の基本だと思いますので、よく御留意いただきたいと思います。  次に、米の流通問題。まさに今問題になっていることなんですけれども、私も、スタッフあるいは後援者の皆さんからいろいろな意見を受け、百店舗以上の調査もしております。そういう中で一つ問題にしたいのは、表示の問題であります。  ブレンド米の表示についてどういうのが適正なのかちょっとあれなのですが、ひとつ委員長のお許しを得て、ちょっとこれをあれさせていただきたいのですが、これは「ふっくらコシヒカリ」というもので出ております。この表示の中には「国内産五〇%以上」そして「アメリカ産・オーストラリア産・中国産・タイ産五〇%未満」こうなっておりまして、それぞれの国の米の、海外の米の割合が示されていないわけなんですね。大ざっぱに言えば、五〇%、五〇%という形で示されている、こういうことなわけです。そうしますと、もしこの外国米の中で安いタイ米だけを入れると、あとアメリカ、中国をほんの少ししか入れない、こういう事態になった場合に価格が適正なものになるのかどうか。  だから、表示と、これも食糧庁のパンフレットを読みますと、表示については任意事項だ、こう言っておられるんだけれども、そんなことをやっていて価格が本当に適正なものができるのかどうか、この点について。長官がな。
  116. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 やはり、袋の中に何が入っているかということを理解できるような内容の表示が必要なわけでございまして、私どもの指導では、国内米の割合とそれから長粒種、中粒種、短粒種、つまりタイ産とそれ以外のアメリカ産、オーストラリア産、中国産、これとの三つの区分で少なくとも表示をしていただきたい。中短粒種のアメリカ産、オーストラリア産、中国産、この間の関係はそのときどきの供給の側の事情もございますので、一定のものをなかなか表示しにくいし、定常的に流しにくいという面もございまして、そ ごまで区分をすることは求めてないのでございますが、その長粒種と中短粒種との区分けは書いていただくように指導をしているところでございます。
  117. 広野ただし

    ○広野委員 そこが非常にあいまいなんで、価格帯が違うわけですから、アメリカは十キロ大体四千円前後、そしてタイ米は三千円前後、中国は三千五百円ぐらい、こうなっているわけで、それをまじめにやっているところも大部分なんですよ。だけれども、こういうやり方をとられると、それは値段が物すごく不安定になって、消費者がまた疑心暗鬼になって物を買う、こういうことになるわけですから、適切な指導をぜひお願いをしたいと思います。  それともう一つは、店によっては、例えば千円以上買わないと、ほかの品物ですよね、そうしないとこのお米は売りません、国産品は売りません、こういうことをやっているんです。これは抱き合わせ販売にならないですか、公取委員会
  118. 上杉秋則

    ○上杉説明員 御説明申し上げます。  独占禁止法第十九条で禁止しております不公正取引方法の一つとして抱き合わせ販売がございまして、これは、相手方に対しまして不当に商品または役務の供給に合わせて他の商品または役務を購入させるということを問題にするものでございます。  御指摘のような事案につきまして、もしそういう行為が行われまして、その結果として米あるいは希望する米というものがそれだけでは買えないという事態が生じるとすれば、それは独占禁止法により禁止されております抱き合わせ販売に該当するおそれがございます。そのように考えております。
  119. 広野ただし

    ○広野委員 それは公取が指導するのではなくて、この場合は食管法がございますから農林省、食糧庁が指導をするということになろうかと思いますので、十分な指導をぜひよろしくお願いをしたいと思います。次に、参議院の農林水産委員会でも大臣が答弁をされておられるのですが、学校における米の問題であります。  私は、こういう考え方を持っております。やはり給食の時間というのは、大切な教育の機関である。ですから、例えばきょうはタイ米を食べる。そうしますと、タイの国柄はどうだろうか、タイではどんな生活をしているんだろうか、あるいはお金はバーツだとか、どんなものだろうかとか、そういうようなことをしながら、タイの国の暮らし向きとかいろいろな話を子供たちの間でやっていく。そうすることによって将来の国際化社会の理解も広まるというふうに考えておるわけなんです。  そういうことについて大臣は、この間の答弁では現場の判断と言われたのがあれなんですけれども、そういう御判断をされた。ところが、現場の判断だと言っても、校長先生がそれを決めたからといって、これは給食センターとか何かがございますから簡単にはそういうふうなことにならないわけなんですね。この点について大臣から、恐縮でございますけれども。
  120. 畑英次郎

    畑国務大臣 今回のような食糧をめぐる問題の対応という中、あるいは緊急、異常な対応という中にございましては、私は、一つの物の考え方としまして、主軸というものを一つ置きまして、その周辺にはやはり弾力的な融通性のある取り組みというものがあってしかるべし、これが一つの基本的な考え方でございます。  そういう中にございまして、学校給食は、あくまでも発足の趣旨からいたしまして国産米のいわゆる定着を図る、あるいは食文化等々いろいろ従来からのいきさつがございますから、今回の場合も、国産米約十万トン必要数量は確保させていただいております。  これを基軸としながらも、ただいま広野先生指摘のような、こういう社会情勢の実態を踏まえた教材的な立場、教育的な立場でブレンド米を供給しようと、そこまで私の方で一々、やってはならない、食べさせてはならない、そういうことはすべきではない。その辺は、学校長の判断と言ったのはちょっと悪かったかもしれませんが、学校長が判断する場合にはそれらの、先生指摘の問題点あるいは御父兄の意向、設置者の教育委員会等々の同意を得て、いわゆる関係者の同意の中の中心としての校長先生なり設置者、これの判断にまってよろしいんではないか、こういう考え方でございます。
  121. 広野ただし

    ○広野委員 では文部省、あわせて。
  122. 近藤信司

    ○近藤説明員 お答えをいたします。  文部省におきましても、この米飯給食導入の趣旨あるいは意義でありますとか保護者、都道府県教育委員会等の学校給食関係者の要望を踏まえまして、学校給食につきましては、基本的には国内産米の供給によりまして対応してまいりたいと考えておりますが、今大臣からもお話がございましたように、学校で最終的に何を使うか、これは学校の設置者でございます市町村の教育委員会等の自主的な判断にゆだねられているところでございまして、各学校におきまして、献立の内容に応じまして外国産米を使うということは当然あり得ることだと考えております。
  123. 広野ただし

    ○広野委員 それでは、学校長なり現場の意見がよく通るように指導をお願いしたいと思います。  それともう一つ、よくタイ米のことが問題になるわけなんですけれども、日本はある意味でタイから買っているお客さんであります。しかし、札束で相手国をたたくようなことではなくて、これはタイの国民の皆さんも、米が高騰して大変苦しんでおられる。大体五〇%から倍ぐらいの値段になっている、こういうことになっております。そうしますと、タイの国民の人たちはある意味では日本よりは所得が低いですから、エンゲル係数が高いわけですから、そうしますと、やはり食糧の高騰というのはタイの国民の皆さんの生活にも影響をする、こういうことなわけですね。  そうしますと、しかもそれを持っていった相手国日本では、何かまずい米だとか衛生上どうだとか、いろんな話が出てくる。こんなことでは対日感情といいますか、そういう点で非常に懸念をされるわけです。しかもこれからも、ウルグアイ・ラウンドでミニマムアクセスという形で、タイばかりじゃなくていろんな国々とある意味では長いつき合いをしないとだめなわけですね。それは、四十万トンから八十万トン入ってくるわけですから、だから長期契約的な意味合いを持たなければいけないときに、勝手気ままなことばかり、日本の国のことだけを考えておりますと、それこそ日本は本当にとんでもない国だ、こういうことになるわけで、そういう点もよく考えていただかないと、ただ買えばいいというものではないのです。やはり、言葉は悪いかもしれませんけれども、そういうものをはるばる持ってきてこちらで食べるということについて、ある意味で感謝しながら、相手国民のことも考えながらやらなければいけない、こういうことだろうと思いますので、農林大臣あるいは外務省の答弁をお願いします。
  124. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま広野先生指摘のとおりでございまして、私どもは、協力をいただきました輸出国側のお立場に敬意を表しつつ問題処理に当たっていきたい。そしてまた、うまいとかまずいとかいうことは、これは今までなじみのなかった分野でございますから、私どもは、なじみが薄かった、それを前提に物を判断していかなくてはならない。そしてまた、従来の国際市場の米の常連のお買い求めの国々にも、残念ながら国際米相場のいささか高騰によりまして御迷惑をかけておる、この辺も慎重な対応は必要である。  先生指摘の点を念頭に置いて、これからも取り組みを進めてまいりたいと思っております。
  125. 小島誠二

    ○小島説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、我が国におきましてタイ米の評判がよくないということがタイにおいても報道されておりまして、一般市民も気にしているところでございます。  それからまた、同様に御指摘がございましたけれども、タイの国内におきまして価格が高騰しているという点がございます。この点は、タイ国民 の生活に影響を与えている部分があるわけでございます。この点についても先生指摘のとおりでございます。  幸い、日本とタイの間は従来から非常に伝統的に友好的な関係にあるわけでございまして、タイ人の対日感情というのは非常にいいわけでございますので、私どもといたしましては、この件によりまして対日感情が悪くならないように努力をしていく、そういうことが肝要であるというふうに考えておる次第でございます。
  126. 広野ただし

    ○広野委員 それでは、質問を終わります。ありがとうございました。
  127. 竹内猛

  128. 木幡弘道

    木幡委員 午前中の質疑をお聞きしますと、連立政権が何十年も政権を担当していたのかなという錯覚に陥るのでありますが、今日騒がれております平成米騒動と言われるものは、長い間の我が国の農政、これは大変難しいことはよく承知しておりますが、そういった中でいろいろな問題が複合的に一気に出てきた、こういうふうな認識を持っている者の一人であります。  とりわけ、もちろん二百年ぶりの大凶作であったということは自然的な災害要因ということでありましょうが、やはりそこには人的な要因、人災とも言えるような要因がいろいろあります。  列記申し上げますと、一つには気象予測が非常に甘かったのではなかろうか。例えば、昨年の六月中下旬から、ことしは大変な状態になりそうだなということは長い間の勘で古老を初め私ども農家はほとんど非常な深刻な事態として受けとめておった。にもかかわらず、その予測が甘かったのではなかろうか。  そしてまた、もう一つは、今次の冷災害の中で、水の管理が適切であればある程度作況を上げることができた、単収を上げることができたというのも、これは二十一世紀型の汎用水田モデル圃場ではさしたる冷災害も見られずにある程度の収量を確保したということを見ましても、これも実証済みであります。そういった基盤整備事業の今までの仕組みあるいはやり方について再度反省する点があるな、これも人災に当たるのかな、こう思いますし、あるいは翻って供給体制でありますが、これは御承知のとおり政府米確保、午前中の答弁でも四百万トンの、大変御苦労なさったということでありますが、これも残念ながら末端ではなかなか徹底されなかったということもございますでしょう。  あるいは消費者に対するPR、これももちろん先ほど外務省の答弁がありましたとおり相手国の関係がありますから、いたずらに国際価格、国際穀物市場の相場を騰貴に走らせるようなことはいかがなものかという判断によることが多いということは十分承知しておりますが、しかしながら消費者に対する不足の数量、そしてまた、今後このような国からこのような数量をいつ幾日までの期日までに輸入をするということを明確に打ち出すタイミングを失したのではなかろうか。こういう点も今次の米騒動の一つの大きな人的な要因であろう、こう思うのであります。  それと同時に、中国米の小站米という日本の米に非常に近い米、これを食糧庁は恐らくかなり期待をして、ある一定数量を輸入しようと試みたにもかかわらず、検査項目が四十数項目に及ぶ、あるいは我が国では玄米でありますが外国では精米だ、こういった違い等々もございまして、予定どおりの数量を予定どおりの期日に納めることができなかった。  こういったもろもろの問題は、前政権下から引き継いだずっと長い間の農政に対するいろいろな問題が一気に噴き出たと言っても過言でありません。そういう意味では、これは政治家ひとしく責めを負う、とりわけ前政権下における政権党の方々もひとしく責めを負って、新しい新農政にしからば災いを転じて福となすという姿勢で臨んでいかなければ、私ども農家は何のために苦労したのかということになりかねないと思っているわけでございます。  特にその中で備蓄米の問題は、午前中からずっといろいろな問題が指摘をされておりますが、一つだけお聞きしたいことは、この備蓄米、九月末の時点でわずか二十三万トンしかなかった。これは大変な事態でありますが、先ほどの大臣の答弁で、百三十万トンを目途とする、こういうことプラスアルファということでありますが、再度これを今年度、いわゆる今米穀年度で、先ほどの答弁で六十五万トンということでありますが、冷害は二年運続で来るというのが農家の常識でありますから、この六十五万トン体制でいいのかどうか、この辺についてあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  129. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま木幡議員さんからいろいろ示唆に富んだ御指摘を賜ったわけでございます。  そういう中にございまして、この備蓄問題につきましては、御指摘のとおり本年産米そしてまた来年産米をもちましてそれぞれ六十五万トン程度、合わせまして百三十万トン、これを下限といたしましてプラスアルファというものをつくり出していく余裕を持ったこれからの対応が必要ではないかな、こういうふうに考えておるわけでございます。御承知のとおり、これからのガット・ウルグアイ・ラウンドを受け入れるに伴います諸般万般にわたります見直し、あるいはまた新しい管理体制等々、そういうものの中で今回の経験を貴重なものとして生かすような懸命な努力を展開をしてまいりたい、かように考えております。
  130. 木幡弘道

    木幡委員 それで、備蓄というのと食管法というのは、これはもう密接不可分であることは申し上げるまでもないのでありますが、一昨年の六月十日に農水省の新政策検討本部というところで新しい農政の展開の新政策が発表されました。その中に、米の生産調整方式を見直し、食管制度並びに価格政策の再検討を行う、こういうふうに大上段に掲げておるわけですが、食管法は、これは申すまでもなく生産者にとりましては安定した買い入れ価格で買ってもらうという利点がある。マイナス点は何かと言えば、そのかわり生産調整に協力していただきたいということでありましょうし、消費者にとりましては、安定供給をいたしますよ、しかしながら内外価格差でもって少々高いかもしれませんが御勘弁をいただきたいという、生産者消費者にとってそれぞれプラス面とマイナス面があるということでありますが、その一つの安定供給ができなくなったということは、食管法そのものがなかなかうまく機能していないということでありましょうから、この新政策検討本部の発表を踏まえて、今後の食管の中で、とりわけ規制緩和との絡みで大臣並びに食糧庁長官考え方をお聞かせいただきたい。
  131. 畑英次郎

    畑国務大臣 新政策のスタートに当たりましてもただいま御指摘のような文言があるわけでございますし、そしてまた、今回のこういうような現在の問題点等々を把握する中にございましても、規制緩和の問題、競争原理の導入の問題、自由経済市場の問題等々、この辺を念頭に置きながらも生産者の生産意欲、安定的な供給、この辺の両立を期すべく努力を重ねてまいりたい、かように考えております。
  132. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 例の新政策考え方といたしましては、規模の大きい経営体あるいは組織経営体というものによります米の生産が考えられているわけでございまして、そういう生産体制に移ってまいりますれば生産調整のあり方についても従来のような考え方でいいのかどうか、経営体としての意向というようなものが明確に出てまいることもあろうと思いますので、そういう面で生産調整ないし食管制度自身についてのいろいろな検討が要るというふうに考えられていると理解をしているわけでございます。  今回のこういう事態を踏まえて、食管の機能というものはある意味で再評価をされている面もあると考えるわけでございまして、そういう米の需給の安定、価格の安定、こういう機能との兼ね合いを十分に考慮に入れながら、大臣の申されたような方針を踏まえて検討させていただきたいというふうに思っております。
  133. 木幡弘道

    木幡委員 前向きに検討ということでありましょうが、具体的には流通と販売にかかわる規制、これは集荷業者の大臣の認可、あるいは卸、小売については都道府県知事。今次の米の流通を見ましたときに、午前中からずっと不正規流通米の話が出ておりましたが、やはり一番肝心なところはこの流通、販売にかかわる規制をどうするかということであろうと思うのです。ですから、この流通と販売にかかわる許認可の規制について、緩和の方向はどのような形で行っていくお考えなのか、具体的にお示しいただければありがたいと思います。
  134. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 価格、流通制度のあり方、これもやはり新政策の一環としての関連のあるところでもございますし、今回の事態も十分に参酌しなければいけないと思っております。それからまた、ウルグアイ・ラウンドの結果にどう整合させていくかという問題も抱えているわけでございますので、そういうものをもろもろ含めまして農政審議会にも御議論をいただきまして、我々としての考え方を詰めてまいりたいというふうに考えております。
  135. 木幡弘道

    木幡委員 私見を申し述べますと、従来の農政の中で、ややもすると価格面で補助、助成をするという社会政策に近いような政策が多過ぎはしなかったのか。本来、第一次産業の農業は産業政策としての力をどうぶち込んでいくかということであろうと思うのであります。  その中で、冒頭申し上げましたとおり、従来の圃場整備事業は、私どもの地域では昭和三十五、六年ごろから区画整理と称して従来不正規田であったものが十アールの区画整理、そしてまた三十八、九年ごろから三十アールという区画にした、その後ずっと続いてきて、最近一ヘクタール以上ということになった経緯は御承知のとおりであります。しかしながら、その中で面工事にばかり追われて、肝心なかんがい、そしてまた暗渠排水といった水にかかわる工事をややもすると見逃しからだったのではなかろうか、こういう反省をしなければならないと思うのであります。  これから目指すべきところは、政府の方で平成五年の補正予算の中でも二十一世紀型汎用水田、すなわち水を考えた上での圃場整備事業ということを取り入れていただいたことは農家にとって大変ありがたいことでありますが、これが従来の農家の負担三〇%から一〇%に軽減された、これが農家の望んでおったところの産業政策でありますから、これから先、二十一世紀型汎用水田、すなわち水を考えた圃場整備で、しかも農家の負担割合が少なくなる、将来目標、少なくともラウンドの最終年度には二百万ヘクタールは国で責任を持って、農家の負担を少なくしながら圃場整備事業をやっていく、こういうことであろうと思うのでありますが、その考え方について大臣のお考えをお聞かせいただきたい、こう思います。
  136. 畑英次郎

    畑国務大臣 木幡先生指摘のとおり、ある段階、ある時期までは価格政策そのものが主軸となっての展開がなされた、そしてまた、それなりの対応、効果を上げ得た、こういうように理解をいたしているわけでございますが、最近における実態等の中では、ただいま御指摘のございましたようないわゆる区画整理事業あるいは土地改良事業等々、その力点の置きどころといいますものは御指摘のような意味合いでも十分考慮を払っていかなければならぬ、かようにも考えているわけでございます。  そしてまた、御指摘がございましたとおり、農家負担の軽減という意味合いでは、ある時期急に負担金が多くなって負担が解消できない、この問題につきましては、数年前にそれなりの平準化対策等々も行われたわけでございますが、要は、ウルグアイ・ラウンド受け入れに伴いますこのテンポを速める、今御指摘のような意味合いのものを念頭に置きながら今後の積極果敢な展開を図ってまいりたい、かように考えております。
  137. 木幡弘道

    木幡委員 今申し上げましたように、我が国の米の消費が年間、粗っぽい数字で一千万トンだ、単収が十アール当たり五百キロと換算したときに、国内で自給体制をとるためには二百万ヘクタールの耕地が必要である、水田が必要である、こういうことは先ほど来の午前中からの質疑の中で出ているわけでありますが、この二百万ヘクタールを平場に求めるとするならば、次に問題になりますのが中山間地域にある水田はどうするんだということであります。もちろんこれは、ミニ総パその他の各種の農水省の事業でこれに対応する政策を従来も盛り込んできたところでありますが、しかしながら、ラウンドを受け入れたというこの厳しい条件の中では、一番被害が出るであろうと思われますのは全国中山間地域にあります圃場、すなわち水田で約八十万ヘクタール、この稲作転換あるいは営農体系の変換、その他もろもろの中山間地域振興というのが可及的速やかに具体策が出てこなければならない、こう思うのであります。  その中山間地域振興策についてはどのようにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  138. 畑英次郎

    畑国務大臣 これからの農政展開に当たりましては、一つはやはり経営規模の拡大、そしてまた、ある意味におきましては今後の複合経営の問題、そしてまた一つの大きな柱は、何といっても中山間地域過疎対策といいますものを重点的にやっていかなくてはならぬ、かように考えもわけでございます。  今回、このウルグアイ・ラウンド受け入れに伴いましてスタートさせていただきました対策本部、御案内のとおり法務大臣と防衛庁長官以外の全閣僚が参加をいたしておりまして、いわゆる農林省だけの対応ということではなくて、各省庁がこの問題を踏まえて、最優先課題というような位置づけの中で予算の配分、箇所づけ等々をやってもらおう。そういう中にございましては、ただいま御審議を煩わすことをお願い申し上げております平成六年度予算の中にございましても、自治省サイドにおきまして、地方財政対策としての森林・山村対策としての千九百億円の計上、あるいはまた、いわば中山間地域対策と申し上げて差し支えないと思いますが、その分野におきまして三千五百億でございましたか、その辺のものを地方自治体がきめ細やかに、フリーハンドでその地域の、中山間地域実情に応じてお金を使っていただけるような仕組みを新たに計上させていただいておる、これも一つの対策本部のありようのあらわれであるというようにお受けとめを願えればありがたい、かように考えます。
  139. 木幡弘道

    木幡委員 実は、この中山間地域の問題というのは、今大臣から御答弁のとおり、ただ単に農水省でこなせる問題ではありません。当然地方においては、道路網の整備等々の建設省にかかわる問題、あるいは中山間地域におけるメディア、情報不足を補うために郵政省が果たすべき役割はこれから何なんだ、あるいは地場の余剰労働力を吸収するための中山間地域における産業の構築をどうするんだということでありますならば、通産省及び中小企業庁はどう取り組むんだ等々、数え上げれば切りがないほど各省庁にまたがる大変重要な問題だ、こうとらえております。  そこでお尋ねをするのでありますが、農水省が中心になってこれらの機関、各省庁にまたがる機関あるいはそれに準じたようなものをつくらなければこれが問題には対応できない、かように考えておりますのでその辺のところをお聞かせいただくと同時に、時間がありませんから最後にそれとあわせて、実は第一次産業、農林水産漁業並びに地方の商工業、これは同じような形でもって、従来、大変きつい言い方かもしれませんが、政官業のトライアングル構造の中における従来の政治の手法の中からは、ややもすると、残念ながら、地方の農林水産漁業並びに地方の商工業に対する政策というのはきめ細かいというよりは基本理念を逸した形で場当たり的な政策をやっていたと言っても過言でないと認識をしている者の一人でございますので、そういう意味では、今後の農政に対する考え方、新しい連立政権となって大臣がこの災いを転じて福となすため、消費者にも農業者に も夢を与えられるような決意を持ってお聞かせをいただきまして、私の質問を終えたいと思います。
  140. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま御指摘がございましたとおり、今回のこの新しい第一次産業分野を取り巻きます諸情勢に対応するには、いわゆる農業農業、林業は林業という従来の縦割り的な要素で問題を解決できるはずがない、こういうような位置づけの中にございましては、やはり私は地域対策、面的にというような意味合いでの対策本部であり、細川総理を本部長とする取り組みがただいま展開されておりますことも御承知のとおりでございます。  さような中にございまして、各省庁の官房長クラスの方々が横の連携の中でいわゆる幹事会的なものを持たさせていただきまして、平成六年度におきましても、そういった横の連携の中から各種の第一次産業分野の対応策とあわせて、先生指摘のような、郵政省におきましても、あるいは通産省におきましてもという面的な意味合いでのそれぞれの予算計上等々をさせていただいているところでございまして、これからの対応といいますものは、さような意味合いでの災いを転じて福とする、その方向に向けて細川内閣挙げての、全省庁挙げての取り組みを、展開をやってまいりたい、私はかように考えております。
  141. 木幡弘道

    木幡委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  142. 竹内猛

  143. 藤田スミ

    藤田委員 大臣、今消費者の中で政府の米政策に対して何と言っているか御存じですか。政府減反減反とあれほど言ってきた、なのに、なぜ一年の凶作でこんな米不足になったのか、なぜこれほど米の備蓄が少なかったんだ、余りにも無責任だ、そういう声がいっぱいであります。  私たちは、自民党政権の時代から、単年度需給均衡と適正在庫政策、そしてかたくなな、過酷な減反政策がこのような結果をもたらす危険を一貫して主張してきました。ところが、そうした声に耳を傾けず、今回の事態を招いた責任は極めて重大であります。しかも、連立政権の新しい農政と先ほどもおっしゃいましたけれども、ことしもまた四分の一の減反ではありませんか。私は、直ちにこの減反政策をやめ、二百万トンの備蓄政策を実行するべきだということをまず最初に主張しておきたいと思います。  きょうは私は、集中して問題にしていきたいのは、今回米パニックと言うべき異常な状態が招かれました。多くの消費者が米を求めて行列をつくり、どこに行っても米がないと途方に暮れた、この責任大臣は一貫して、消費者の買い急ぎにあった、こういうふうに消費者責任を押しつける発言に終始しておられますけれども、それはとんでもない言いがかりであって、私はこのような責任転嫁は許されないというふうに思います。  そこでお伺いいたしますが、問題は、政府緊急輸入米の輸入に対する甘い見通しの一方、政府みずから定めた米供給計画をみずからほごにした、これが今回の混乱を招いた点にあると考えますが、いかがでしょうか。
  144. 畑英次郎

    畑国務大臣 まずもって今回の米をめぐる混乱につきまして、このよって来る原因が消費者側にあるというような認識を持つ余地は全くない、さような意味合いでの御理解を賜りたいと考えますし、今回の混乱につきましては、改めて国民皆様方に、事のいかんを問わず、私の立場におきましてはおわびを申し上げなくてはならない、遺憾の意を表する次第でございます。  そういう中にございましていささか御理解を賜りたいと思いますことは、いわゆる昨年の十月に入りましてからの緊急輸入、このスタートをいたします場合に、いわば物事を進めるに当たっては段取りをつけまして、レールを引きましてスイッチを入れるというのが当然あるべき姿でございますが、事の緊急性、そういうものを踏まえた中にございましては、レールが、あるいはまた実態把握が十二分でないままに輸入をせざるを得ないという、スイッチを入れたという意味合いの中にございまして、御指摘がございましたとおり、それぞれの国における我が国との米の管理の違い、あるいは検査体制等々の違い、そういう中にございましての安全性確保の問題等々によりまして、いささか立ち上がりが我が方においても遅かったというような問題点をそこに生じせしめたわけでございまして、ようやくこの問題におきましても、御案内のとおり本月までの必要とする輸入米の全量を上回る現物が港に入っておる、ようやく万全の体制が、配送体制ができ上がった。かような意味合いで、私の立場にございましては、これからの円滑な供給の中におきましての国民皆様方の御安心を願う最善の努力を引き続き傾注してまいりたいな、かように考えております。
  145. 藤田スミ

    藤田委員 大臣、ちょっと聞いてほしいのです。  十二月二十一日に発表した米の供給計画では、十一月一日から二月二十八日までの四カ月間は全量国産米で主食用ウルチ米を百六十九万トン供給することになっていたのです。違いないですね。国民は二月いっぱいは国産米を購入することができたはずであります。ところが、大臣はそれを簡単にほごにして、二月に五万トンの輸入米の試行販売をすることを決められた。事もあろうに、国産米の供給を五万トンカットしたわけであります。さらに問題なのは、この試行販売の方針を県、卸、小売に伝えた一月十七日のブロック会議のときに、五万トンのうちの一万六千トンを供給することにしていた中国米については、この時点で輸入されていたのはわずか五千トンにすぎないわけであります。これは、私はあなた方からいただいた「緊急輸入輸入実績」というのを見て言っているわけですが、そういうことです。  そして、次に輸入された中国米というのは一月の二十八日です。この一月の二十八日に荷役を終了した三千七百トン、これは店頭に並ぶまでには、食糧庁の言い分によると最低三週間かかるということでありますから、結局国産米は二月は当初より五万トン減らす、一方で中国米は一万六千トン供給すると言いながら実際には五千トン、だから一万トン以上不足が出てくる。こういうことであの異常な混乱が起こったわけです。当初定めた供給計画どおりにやっていれば、あのような混乱は起こらなかったことは明白であります。  大臣は、供給計画をほごにした政府責任ということで、ここのところに絞ってもう一度お答えください。
  146. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 数字的な問題でございますので、まず私の方から御説明をさせていただきたいと思います。  確かに当初の供給計画におきましては、二月中は国内米で対応するという予定を立てておりました。しかしながら、二月中に大体五万トンぐらいの輸入米の売却ができるという事情が出てまいりましたのと、それから流通業者の方々から、やはり本格的な三月以降の輸入米の売却に先立ちまして、自分たちとしてもこれを搗精したり包装したり、あるいは消費者方々にも、それについての消費者の側からの食味であるとか、あるいは炊飯の仕方であるとか、いろいろなものに現実的に対応をしておいた方が後々の輸入米への対応はスムーズになるだろうというようなお話もございまして、前倒しで五万トンの輸入米の供給を行うということにしたところでございます。  中国米の到着につきましては、確かに二月の初めに入っておるものもございますけれども、これらにつきましては、確かに最大三週間程度輸送にかかるわけでございますが、初めに荷おろしか済みましたものから順に搬出をされていくということになりますので、全体として終わりますのは三週間ぐらいかかるわけでございますけれども、その間、順次消費地に配送されるわけでございますので、供給的に見ますれば、全部が三週間たたなければ消費地には参らないというわけではない、その間、順次消費地に配られてまいって消費されておったということを御理解をいただきたいと思います。
  147. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま御指摘のございました、二月に行われました、試行販売ということで位置づけられておるようでございますが、この問題に 対しましては、いろいろな受けとめ方、いろいろな評価をいただいておることもこれまた事実でございます。  人によりましては、いま少し早くやるべきではなかったかという御意見もございますし、あるいは業界の方々に言わしめれば、昨年の暮れ、業界の方ではそれなりのいろいろ対応策の検討会等々があったというような意味合い、まあ私の立場におきましては、試行販売はそれなりの、事務段階ではいささか好意的な要素があったにもかかわらず、いよいよこれは輸入米の時代だなというような意味合い消費者心理といいますものを、失礼な言い分ではございますけれども、ある意味におきましてはかき立てたといいますか、そういうものもあるのかなと、なかなか複雑な心境の中で受けとめさせていただいているのが現在の姿でございますが、いずれにしましても、これからも量的に、きちっと対応に万全を期してまいりたい、かように考えております。
  148. 藤田スミ

    藤田委員 大体、主食の米の安定供給というのは政府の重要な責任なんです。だから、消費者の手に確実に米が届くところまであなた方が責任を持つ、それを求められていることはもう言うまでもないことであります。  少なくとも今回のこの米パニックという状態は、私は、やはり輸入の見通しも十分立てていないのに徐々に市場に出ていったから、三千七百トンが、後で揚がってきた分が全部滞ったわけじゃないと言いますが、数字の上で見たら一目瞭然じゃありませんか。五千トンの次に出てくる三千七百トン自身がもう三月の末にならなければ出回ってこない。それなのに中国米は一万六千トンということで供給計画の中に入れて、輸入米五万トン放出、そして国産米五万トンは二月の計画から削る。こういうふうに、輸入の見通しもないのに試行販売の方針を打ち出して、供給計画をころころと変えていく。これが混乱をもたらしたんだ。そういうことを自覚して、一つ一つ今この大事な時期にやっていってもらわなければ、これからもこんなこと起こりかねませんから私は申し上げているのです。  いろいろと弁解しないで、さっさとシャッポ脱がれたらどうですか。もう一度大臣、おっしゃってください。さっさと謝るべきは謝るべきですよ。そうでないと、任せておけないという気分になるじゃありませんか。
  149. 畑英次郎

    畑国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、今回のこの混乱を招いたということにつきましては、事の理由のいかんを問わず、心から遺憾の意を表する次第でございまして、そういうような意味合いのものを踏まえた中にございまして、万遺憾なぎの体制をこれからさらに力を入れてまいりたいこかように考えておるところでございます。
  150. 藤田スミ

    藤田委員 理由のいかんじゃなしに、理由をやはりもっと分析されるべきです。  この輸入計画の問題では、政府の当初の計画では、国産米に近い中短粒種の輸入比率をできるだけ高めていきたい、その中でアメリカ米とオーストラリア米の輸入をできるだけ確保していくんだということも示されておりました。それが当初の予定どおり輸入されていないことは明らかでありますけれども、その理由をもう一度明確にお示しください。
  151. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 委員指摘のとおり、できるだけ中短粒種の入手に努力をいたしております。ただ、すべてをそれに依存する、そういうお米で手当てをするということは難しい状況でございますので、やはりタイ米への依存を考えていかざるを得ないというのが現状でございます。  私どもといたしましては、百七十万トンの手当てを進めていく中にございましては、タイ米の輸出市場というのがやはり非常に整理をされておりまして、成約から輸入に至ります時間的な状況もスムーズにまいりますし、それからタイの状況を考えますと、雨季が参りますればなかなか運送が難しくなるということもございまして、所要のものをできるだけ早く国内に持ってまいりたい、こういうこともございまして、百七十万トンにつきましては、今のところ一つのめどとして、現在、タイ米の比率を国内への供給の三割程度に抑えたいというふうに思っておりますけれども、それよりもやや割合として多い、三五%ぐらいのものが一応の計画の目標となっております。  ただ、これはあくまでもめどとしての数字でございまして、中短粒種についての手当てを一層進めることによりまして、できるだけこの数字を低めてまいりたいというふうに考えておりますし、さらにその後輸入の必要が出てまいりますれば、中短粒種を中心に手当てをすることによりましてトータルとしての割合は低めることができるというふうに考えているところでございます。
  152. 藤田スミ

    藤田委員 私の質問にまともに答えてほしいのです。  なぜ当初の計画どおりに輸入されなかったのか、オーストラリア産米と特にアメリカ米。なぜなんですか。アメリカはあれほど日本に米を輸入せよ、輸入せよと言ってきておりながら、やはりこういうふうなときになると足元を見るのか、消費者はそういうふうに言っているのですよ。だから理由を明らかにしてほしいということを言っているのです。簡単に一言で言ってください。
  153. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 アメリカ米につきましては大体順調に進んでいるというふうに思っておりますけれども、アメリカ米につきましても、やはり輸送上の問題というのはございまして、バースの制約があるというようなことがございますので、それ以上のペースに上げていくということはなかなか難しいという状況でございます。
  154. 藤田スミ

    藤田委員 そういうことは初めからわかっていたわけであります。だから私は、アメリカ米についてのその理由は釈然といたしません。  アメリカ政府は、ガット農業合意で来年から行うと政府が約束をしたミニマムアクセスの米輸入について、輸入量の五〇%をアメリカに割り当てると要求していると伝えられています。この問題とアメリカ米の輸入が進まないことと関係があるのではないかと指摘されているわけでありますが、その点はいかがなんですか。
  155. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 御指摘の点については、ちょっと私、思い当たるところがございません。
  156. 藤田スミ

    藤田委員 そんなふうにしか答えられないだろうなというふうに思いながら質問をしたんですが、大臣、いずれにしても、私は、今回の事態は、米の安定供給のためには海外依存ではなく備蓄と自給体制をつくることが大切なんだ、そのことを私たちにはっきりと示していると思うんです。そういう点からも、米の輸入自由化やあらゆる農産物の関税化を決めたガット農業合意がどんなに日本の主権と国益に反するものであるか、国民の願いに反するものであるかということは言うまでもないことであります。このような調印はとんでもありません。今からでも遅くはないから、国民食糧責任を持つべき農林水産大臣としては、やはり調印できない、そういう態度を示していただきたいわけであります。  時間がありませんからもう一問続けますが、学校給食の国産米供給問題、先ほどからも問題になりました。  三月十七日の参議院の農林水産委員会でこの問題が初めて出され、大臣は、学校長の判断で輸入米利用は対応できるようなこともやっていきたい、こういうふうに御答弁されたわけですが、学校給食に国産米を利用するという方針は、通達で国産米利用と明記をしているわけでありまして、それを変えるということはないと思います。先ほど十万トン確保しているというふうにおっしゃいましたので、よもや変えるということはないと思いますが、確認をしたいわけです。
  157. 畑英次郎

    畑国務大臣 第一点のウルグアイ・ラウンド受け入れの問題につきましては、あくまでも我が方といたしましては、従来の国会決議等々の歩みの中にもございまして、やはり自給体制を、国産米でということを絶えず念頭に置きながら、重要性の最たるものと位置づけながらも、いわゆるガット・ウルグアイ・ラウンドの七年目という中にございましての苦渋の選択であったということは御 案内のとおりでございまして、ぜひとも御理解を賜っての批准をいただきたいというように考えるわけでございます。  第二点目の学校給食につきましては、これはあくまでも国産米をもってその学校給食スタートの趣旨に沿った意味合いでの十万トンの確保をいたしております。ただ、現場におきます、あるいは設置者におきます関係者皆様方が今回のこの社会実態に照らしてブレンド米をお使いになりたい、そういうことについてまで、いわゆるこういうような問題についてまで一々我が方は、それは使ってはならない、召し上がってはならない、そういうことまで一々指図をすべきではない。こういうような建前の中で、文部省サイドにおける現場方々の話し合いの中での対応の余地といいますものは、当然のことながら私どもはそれを何ら制約はしない、こういう立場でございます。
  158. 藤田スミ

    藤田委員 要するに余計なことを言わない方がいいのですよ。何か言われるともうぱっと発言を変えられるから、大臣発言でどんなにかそれこそ現場混乱しているのです。大変なことだと心配もしています。タイ米を食べさせて教育などというような余計なことを大臣たるあなたの立場で言うべきではありませんし、大臣がおっしゃったように、当初の食糧庁の趣旨というのはあくまでも日本の米の消費拡大、それをどう徹底させるかというところに食糧庁の役割というものがあるわけでありますから、私はそういうふうに一々に、みずからちゃんと通達まで出し米まで確保しているのに、大臣が一言余計なことをおっしゃるために混乱を起こすというようなことはもうやめてもらいたい。そして、本当にこんないいかげんな発言は撤回をしていただきたいということを再度申し上げておきたいのです。  それから、国産米の確保という点では、保育所だとか障害児施設だとか乳児院だとか、あるいは病気で入院をして重症になっている患者さんを抱えている医療施設、そういうところもみんな要求しています。それほど命の大もとで大事な問題になっているのです。そういう自覚もぜひ持っていただきたい。  あわせて、社会的弱者、車いすの障害者あるいは寝たきりの老人を抱えた家庭の主婦たちは今度のこの列をつくった米パニックの中でどんなにかつらい思いをしたか知れないのです。  そういうことを十分かみしめて、私は、弱者に対する対策、小さな子供たちの問題に対する食糧庁としての対策というものも求めて、これで質問を終わります。
  159. 竹内猛

    竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十六分散会