○田野瀬
委員 大変な歴史、この
短波による
国際放送を
NHKお持ちでございまして、私は、その経験が今度の
映像による
国際放送に必ずや生かされるもの、こんなふうに
考えるわけでございます。それで、その
効果のほ
どもよくわからせていただいたのですが、ただ、
短波による
放送と
映像による
放送とでは、そのインパクトたるや、もう大変な差があるというか、はるかに、
映像による
国際放送の効力というのでしょうか
効果を私は期待しておるところでございます。
日本の同胞というのでしょうか、
海外駐在員というのでしょうか、その方々への
情報の
発信はもちろんでございますけれ
ども、この
映像による
国際放送、私は、
世界各国の、
日本に対する理解度の低い
各国に対する
効果、今ほど
日本の
国際化、ここまで
日本が豊かで自由で安全で平和で、
日本が
国際社会の中で果たすリーダーシップ、
役割、貢献が今ほど期待されておる時期はない。ますますもってこれからの
日本の
国際化は重要なものになってきた。
しかし、その中で、どうも
日本人は顔が見えない、
考え方がわからない、これは
言葉の障壁もあろうと思います、あるいは異質な
日本人、すぐこう言われてしまいますね。いろいろな障害もあろうと思いますが、どうしても
日本が理解されておらないことがやはり最大の原因であろう、かように私は
考えるのですね。
我々の日常の中で、もう日常茶飯事で、西洋の
文化にもう常に囲まれておるというか、触れておるというか、非常にその機会に恵まれておるわけでございますけれ
ども、音楽とか
テレビ等で、もうありとあらゆる西洋文明に我々は今恵まれておるところでございますけれ
ども、どうも
日本の状況、あるいは
文化というか実態が、諸
外国、特に
欧米諸国に非常に欠乏しておるのではないかなという感が私は本当にいたすわけでございます。
実は私、学生のころに一年間、無銭旅行と称してロシアを皮切りに、
ヨーロッパから中近東、東南
アジア、ずっと働きながら、野宿をしながらちょうど一年間旅をした体験を持っておるのですけれ
ども、そのころ、まさに
世界じゅうは坂本九の「上を向いて歩こう」という歌、これがもうそれこそ大流行というが、大ヒットしておりまして、しかしながら、それが正確に伝わっておらない。その題名は「スキヤキ」という題なんですね。我々
日本人を見たら、おい、スキヤキ、スキヤキ、こう言われました。当時、どこのレストランヘ行ってもスキヤキのメニューが登場しました。何とも釈然としなかった。正確に伝わっておらない。また逆に、「上を向いて歩こう」、なるほど、明快なすばらしい音楽だと思いますけれ
ども、これくらいの音楽であれば幾らでもあるのにな。何かのきっかけでこの「スキヤキ」が全
世界に広まったのでしょうけれ
ども、坂本九さん、亡くなった方に悪いですけれ
ども、これくらいの歌なら、
日本にすばらしい歌は幾らでも、どこにでもある。
そうしたら、なぜこの「上を向いて歩こう」、「スキヤキ」だけがヒットしたのかな、そんな思いで一年間、もっともっとうまくこの
文化を紹介すると、映画にしろ音楽にしろ、あらゆる芸能にしろ、もっと
世界じゅうに広まるきっかけ、機会、そんなものは幾らでも落ちておる、こんなふうに私は思うわけでございます。
よく言われることなんですけれ
ども、非常にすぐれた先端技術を駆使した
日本の商品が一方にあると思えば、一方では、紹介される
文化といえばほとんど
日本の古典
文化、踊りだとか能だとか歌舞伎だとか、どうもそれがアンバランスですね。諸
外国の皆さん、
日本の状態がどうもアンバランスでいまいち理解できない。現在の
日本の生々しい
文化、
日本人のライフスタイルというのでしょうか、こんなものをもっともっと紹介する必要があるのではないか。そういう意味で、私は何度も申し上げますけれ
ども、今度の
映像による
国際放送、私は本当に期待をしておるところでございます。
そんなことで、これから
NHKが取り組まれるわけでございますが、今持っておるノウハウあるいは制作力と言った方がいいのでしょうか、センスあるいは技術力、私は必ずや成功するものと確、信をいたしておりますけれ
ども、
NHKとして、どんな
内容の
番組をつくっていこうとしておるのか、ひとつ詳しくお聞かせいただければ大変ありがたい、かように思うわけでございます。