○穀田
委員 私は、日本共産党を代表し、
地方交付税法等の一部を改正する
法律案に対して反対の討論を行います。
第一は、政策減税による減収分、通常の財源不足分について、いずれも地方の負担としており、国の責任を全面的に放棄していることです。政策減税について言えば、七七年、七八年のそれぞれ三千億円の戻し減税、あるいは八一年のラーメン減税、これらはいずれも特会借り入れで補てんしていますが、その償還は全額国がするようになっており、国の責任による財源補てんの
処理がなされています。ところが、改正案は、大量の建設地方債を発行した上で、減税分と財源不足を補う交付税特別会計借入金の償還はすべて地方負担とされ、十八年ぶりという赤字地方債の発行ということまで行っています。このようなことは、かつての自民党政権のもとでもなかったことであり、到底賛成できません。
第二は、
地方財政の健全化のためには「昭和五十九年度以降交付税特別会計における新たな借り入れ措置は原則として行わない」とした政府方針を踏みにじり、二兆九千百七十九億円もの特会借り入れを行っていることです。既に年度途中での借り入れば緊急避難措置などといって行われていますが、年度当初からというのは初めてのことです。それだけではありません。
地方財政計画では、赤字地方債や公共事業債を初めとして前年度の一・七倍もの大量の地方債を発行し、地方債への依存度を八・一%から一三・一%へと急激に上昇させています。長期の不況のもとで地方自治体が苦悩している、まさにこのときに、「
地方財政の健全化」とは全く逆の方向、すなわち地方への借金押しつけ、
地方財政悪化の方向を国みずからが地方へ押しつけるなど、断じて認めるわけにはいきません。
第三は、地方へ実際に配分される地方交付税の総額は、前年度に比べわずか〇・四%の増額にすぎません。保健所運営費を初め三百三十億円の国庫補助金等を新たに一般財源化、高校以下の私学助成の二五%カットなど多数の国庫補助金の削減が行われましたが、わずか六百六十八億円の交付税総額の増額で財源措置したなどという
説明は全く納得できません。自治体にとってみれば、他の財政需要を圧縮するか、一般財源化した補助金そのものの財源措置を縮減するしか選択肢がないという
状況にならざるを得ません。
また、政府は、地方に対して財政負担を押しつける一方、
法律等に基づき国が地方交付税総額へ繰り入れるとされている加算額については、わずか千七百六十億円のみを加算しただけで、残りの七千八百八十億円を先送りしています。国が繰り入れるべき額の多くを先送りする恣意的操作によって留保されている交付税の額は、実に四兆円をはるかに超えているのです。
最後に、地方団体の財政的裏づけをなす
地方税や地方交付税という重要法案が十分な審議時間もなく
処理されるということは全く遺憾であります。
地方税法案については、主たる改正の側面が一兆六千億円の住民税減税にあり、賛成するものです。ただ、改正内容は百項目以上に及び、その中には私が
質問の中でも指摘したように、
東京フロンティアなど大企業優遇税制の温存などの
問題点もあります。交付税法案については、例年日切れ法案として扱われておらず、
法律にもそれは明白です。こうした重要法案を日切れ法案として短時間で
処理するのは、
国会の審議権を侵すものであり、憲政史上に重大な汚点を残すものであることを指摘して、討論を終わります。