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1994-06-21 第129回国会 衆議院 政治改革に関する調査特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年六月二十一日(火曜日)     午後三時四十二分開議 出席委員   委員長 松永  光君    理事 古賀  誠君 理事 自見庄三郎君    理事 額賀福志郎君 理事 細田 博之君    理事 笹川  堯君 理事 前田 武志君    理事 左近 正男君 理事 田端 正広君       逢沢 一郎君    伊吹 文明君       片岡 武司君    斉藤斗志二君       津島 雄二君    穂積 良行君       伊藤 達也君    岡田 克也君       川端 達夫君    笹木 竜三君       土田 龍司君    吹田  愰君       茂木 敏充君    大畠 章宏君       小林  守君    細川 律夫君       堀込 征雄君    山下八洲夫君       赤松 正雄君    冬柴 鐵三君       若松 謙維君    前原 誠司君       三原 朝彦君    東中 光雄君       増子 輝彦君  出席国務大臣         内閣総理大臣  羽田  孜君         自 治 大 臣 石井  一君  出席政府委員         内閣法制局長官 大出 峻郎君         内閣法制局第三         部長      阪田 雅裕君         自治省行政局選         挙部長     佐野 徹治君  委員外出席者         自治大臣官房審         議官      谷合 靖夫君         自治省行政局選         挙部選挙課長  大竹 邦実君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       鈴木 良一君         特別委員会第二         調査室長    田中 宗孝君     ――――――――――――― 委員の異動 六月二十一日  辞任         補欠選任   片岡 武司君     伊吹 文明君   小沢 一郎君     土田 龍司君   太田 昭宏君     若松 謙維君 同日  辞任         補欠選任   伊吹 文明君     片岡 武司君   土田 龍司君     小沢 一郎君   若松 謙維君     太田 昭宏君     ――――――――――――― 六月二十一日  海外在住日本人投票制度法制化に関する請願  (秋葉忠利君紹介)(第三四八一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政治改革に関する件      ――――◇―――――
  2. 松永光

    松永委員長 これより会議を開きます。  政治改革に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。伊吹文明君。
  3. 伊吹文明

    伊吹委員 ちょっとここはなかなか離れていてやりにくいのですが、よろしくお願いします。  昨日、国会の同意を得て羽田総理任命をされた審議会会長石川先生以下、来ていただいて質疑をしたわけです。総理は、大変万般にわたって国政の重任を担っておられるわけですが、昨日の私どもやりとりについて、ある程度のことは聞いてここへ来ていただいておりますか。
  4. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 申しわけないのですけれども、ともかく、きのう寝たのもとんでもない時間で、けさもずっと実は予算委員会などがありましたもので、聞いておりません。
  5. 伊吹文明

    伊吹委員 それでは、若干の経緯も交えて質問をいたしますが、羽田総理石井自治大臣も私も、自民党時代からずっとこの政治改革提案者答弁者としてやってきたのですから、よくおわかりだと思いますが、政治改革協議会ができた経緯については十分御存じですね、総理御存じですね。――その御存じという前提で、政治改革協議会でつくっている覚書についても十分御理解いただいておりますね。
  6. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 およそ知っております。
  7. 伊吹文明

    伊吹委員 それでは、この覚書の中に、実は今の松永委員長石井自治大臣が与野党の座長としてイニシアルをした協議結果と覚書という、総理二つのものがあるのです。一つは、石川先生たちがやっていただく小選挙区の区画画定審議会の設置に関しての覚書というのがあります。この覚書の中の第二項に、衆議院議員選挙区の区画案作成に当たっては、地方自治体の長等の意見を聴取するとともに、区画案作成基準具体的画定案に関するものを除く。)について国会中間報告を行う、こういう合意ができているわけです。そして、総理、あなたはこの合意に参加をした与党一つ政党の党首として、この合意をきちっと実行していただく責任がおありになる、これは当然のことです。  この国会に対して中間報告を行うことということが、昨日石川先生と私との間で、お話、かなりやりとりがあったのです。そのときに私が申しましたことを速記によって読みますから、総理、ちょっとこちらのことをよく聞いていてください。  先生方がおつくりいただく区割り案は、我々が相撲をとる土俵ですから、余りこうだとかああだとか個々の議員が言うことはやるまい、それはやらない方がいいよという暗黙前提で実は作業をしてきたわけです。しかし、その暗黙前提の上にさらに前提があるのは、公平な、政党の介入のない立派な先生方だけの審議会で、答申の時期や区割りもきちっとやっていただける、こういうことが当然の前提になっているということなんですね。  ところが、総理予算委員会で、熊谷官房長官発言石井自治大臣発言等について、いろいろ、適当でなかったという答弁をしておられますね。そのような発言があって、特に政局との絡みで、中間報告の時期あるいは区割りの時期について、これを急がせるような発言をする閣僚がある。しかも、その閣僚任命をされた国家公務員がこの審議会事務局を務めているということは、非常に我々としては遺憾だ。  その上で、この中間報告という言葉意味なんですよ、合意をしておられる。総理も当然、連立側の一議員として、この合意に縛られるのですよ。縛られるわけですが、そこで、失礼ですが、区割りをつくっていただく基準については、我々も国会の場で御意見を申し上げたい。そして、それを参考にしていただく。先生方内部のお気持ちは、この基準は、国会審議を聞いてなるほどそうだと思う点があれば当然直して区割り作業に入っていただけるという前提で実はこの合意をしてある。  ところが、自治省質問者である私のところへ来て言ったのは、自治省解釈では、最終報告区割りで、中間報告がその基準だと。しかし、審議会最終報告国会へやらないのですよ。最終報告総理大臣へ出すのです。だから、我々に、区割り最終報告国会にして、区割り基準中間報告なんだという位置づけはできないはずなんです。国会へ出てくるのは、総理に出された区割り案法律にされた公職選挙法別表しか我々には出てこないのですよ。したがって、自治省が言っていることは詭弁であって、ましてや、この合意文書を書いたこともない人が、文章を書いた私に対して、自治省解釈ではこうであるとかああであるとか言うことは、私はとんでもないことだと思うのですね。  そこで、石川先生とその間のやりとりをしたところ、石川会長は次のようにお答えになっているのですよ。それが具体的に法律案になったときに、最終的な区割り法律案になったときに、国会でそれを論議して、直すべきは直して決めていただくということになろうと思っていますと。つまり、国会審議権があるのだから、自分たちは一応つくるけれども国会審議をしてもらうのだということを会長がおっしゃっているわけです、きのうは。  そして同時に、中間報告区割り作成する基準というものについては、私どもとしてはこれが一番適当だろうというふうに思ってここに出しておりますと。しかし、国会でいろいろな御意見が伺えるわけでありますから、私としてはその御意見を伺って、当然これは審議会のほかの委員たちにも報告しなければいけないだろうというふうに思いますと。ただ単純に報告をすればそれで終わりだということではなく、それを審議会報告をして、それに対してどのような対応をするかということは、審議会のほかの方々の意見を聞いて決めたいと思いますと。  だから、区割りをつくる基準も、ここで議論をしたものを踏まえて、自分たち内部でもう一度見直してみる、そして、その基準によってつくられた区割りというものを国会出したら、国会総理の手を通じて閣法として出てきたら、それは当然国会審議権の一環として十分審議してもらいたい、そして直すべきは直してもらいたいと石川会長は昨日答弁をされたんです。  この石川会長の御答弁に対して、総理の御感想を聞かせてください。
  8. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 お答えいたします。  この問題につきましては、私ども、これは前回作業した者でありますけれども、前回のときには、御議論をいただきましたけれども、やはり区割りというものは、これを議論出したら、じゃ私のところは、この地区は、これはどうだということになったら、私は区割りというのは本当になかなかできないぞ、これは私が関係した者としてそう申し上げさせていただきたいと存じます。
  9. 伊吹文明

    伊吹委員 ですから、石川会長の率直な御発言と今の総理の御答弁は食い違うんです、明らかに。石川会長が考えておられることと食い違うんです。ですから、これは国会議員である我々が良識を持って対応しなければならないことだと思うんですね。だからこそお願いをしたいのは、その前提として、連立与党を形成しておられる例えば新生党閣僚が、いついつまでなら七月までにできるはずだとか、急げば今国会中にできるとか、審議会中立性を疑わせるような発言をしているから、できたものについて審議をしなければならないなという気持ちになっちゃうんですよ。  もしこういう発言がなければ、これは、公正な人を委員に選んでいるんだから、私は、総理がおっしゃったように、議員良識としてできるだけできてきた区割りについては意見は申し上げるまい。しかし、その前提として、区割り中間基準ですね、総理いいですか、中間基準、中間的な報告については、やはり国会意見を申し上げたものを参考にして、石川先生がおっしゃっているように、それでつくりましたと、だから国会意見も聞いているんですよということ、これが非常に私は石川先生一つの御見識だと思うんですよ。  ところが、あなたの任命された自治大臣の、その任命のもとにある自治省は、基準中間報告というものはもう変えられない、これはできちゃったものなんだということを言っておられるんですが、それはおかしいと思いませんか。(石井国務大臣委員長」と呼ぶ)いや、総理に対する質問です。まず答弁してください。(石井国務大臣「きのう御不在だったわけですから、私の解釈を」と呼ぶ)
  10. 松永光

    松永委員長 ちょっと待ってください。指名するから、座ってください。  まず、事実関係があるそうですから、石井自治大臣
  11. 伊吹文明

    伊吹委員 それじゃ自治大臣、簡単にお願いします。
  12. 石井一

    石井国務大臣 まず、石川会長の昨日御答弁になりましたときに総理不在でございました。したがって、今のお話を直接聞かれてもと思いますので、ちょっと申し上げたいと思うのでありますが、中間報告に関しましては、石川会長の言われましたように、きょうの議論を踏まえて審議会へ帰って報告をして、そうしてその意見をまとめましょう、その意見をひとつ十分尊重しましょうと、私はこれは石川会長見識だと思います。  ただし、総理がさっき言われました、その中には、基準は言うんだけれども、括弧の中に、区画の一々、どこの地域がどうだというのは示さないということが書いてあるわけでございますから、その点は良識議員として判断するべきことではないか、こういうことでございます。だからそれは、審議会の判断にゆだねる、この段階において、審議会の七名の方が、ここでこの手続を衆参で経ましたら。私はそういうふうに昨日の問題につきましては理解をいたしております。  これから先どれだけの時間をかけて区画決定されるかわかりませんけれども区画決定されますと、それは内閣総理大臣答申として持ち出してこられる。そうして、それは国会法律として出される。その段階において、審議権があるわけですから、国会においてどう取り扱われるかということは委員長を中心に御決定をされるべきことでございますけれども、過去の経過、覚書等からいたしまして、そこは良識の範囲内で、厳正中立のものであればそれをそんたくすると申しますか、そういう精神が流れておるということは確かだろうと思います。  それから、もう一言だけ。自治省が、あるいは自治大臣がというふうに、きのう余りあなたには釈明をいたしませんでしたけれども、私も古い癖が出ましていろいろ言うたこともございますが、決してそれに介入したり、あるいは方向をつけたり、あるいはいついつまでにと言うたことはございませんし、石川会長の方からも、そんなものは聞いてないし一切そういうものには影響されてないという、そういうような御答弁もきのうあったわけでございますから、この点につきましては、賢明なる伊吹議員としては御了承をいただきたい、そのように思うわけでございます。
  13. 松永光

    松永委員長 羽田総理大臣、何かつけ加えてありますか。
  14. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 それだけに、やはり中立公正でなければならないということであろうというふうに私も思います。
  15. 伊吹文明

    伊吹委員 石井自治大臣のお言葉ですが、新聞の報道がみんな間違っているということですか。
  16. 石井一

    石井国務大臣 例えば私が昨日申しましたのは、この国会でこれを審議するのか、こういう質問がございました、私に対して。それはあくまで出てこなければできないんですから、結論はそれだけなんでございますが、私がそのときに答えましたのは、連立与党政策合意の中には第一項にこの国会でも審議すると言っているんだから、もし出てきたら審議するだろうということになりますと、もうそれはこの国会審議されるんだと、こういうようなことになってまいりますので、まあ私の行き過ぎもあったかもわかりませんが、私も分をわきまえて発言をしたつもりでおりましたから、その点につきましては必要以上のことは言っておりません。しかしながら、誤解を与えた点はひとつお許しをいただきたい、こう申し上げておるわけでございます。
  17. 伊吹文明

    伊吹委員 それじゃ、これはこの程度にして、昨日私の質問の後、同僚議員からいろいろ委員長に対してお願いがありましたね、委員長
  18. 松永光

    松永委員長 はい。
  19. 伊吹文明

    伊吹委員 石川先生の御発言を受けて具体的な、個別の問題じゃないですよ、個別の自分選挙区のことはだれも言ってないですよ、具体的な問題について、こういうところはおかしいんじゃなかろうか、こういう基準はこういうふうに直したらどうなんだろうかといろいろな提言がありましたね。そしてその提言について、この基準をどういうふうに扱っていただいて最終的な区割り作成作業にお入りになるかについては、この委員会でもう一度よく聞かせてもらいたいと。それで委員長は、理事会でそれを協議するとおっしゃったわけですから、委員長責任においてそのことは処理してください。お願いいたします。
  20. 松永光

    松永委員長 明日理事懇を予定しておりますので、そこらあたり協議をして、次の委員会で対応していきたい、こう思います。
  21. 伊吹文明

    伊吹委員 総理、なぜ私がこのことを、こう嫌なことを申し上げるかといいますと、私は実は二つ内閣にわたって自民党案提案者としてずっとやってきたんですよ。法案の成立についても私は非常な思いがあります。しかし、現実に起こっていることは、この政治改革という言葉が、結局政治改革というのは、お金というものが引き金にはなったけれども、これからの日本の行く末を考えれば、きちっとした意思決定のできる、そういう選挙の仕組みをつくろうじゃないかと。そして、あくまで選挙制度なんというものは手段であって、最終的には理念とか政策一致で物事を決められる体制、政界の再編成のあり方を、私は書生かもわからないけれども考えてやってきたんですよ。しかし、現実に起こっていることは、中選挙区のもとで選ばれた議員が分裂をしてしまって、そしてこの手段を使って、最終的に達成すべき政策理念ではかなりかけ離れた人が連立をつくってしまって、お互いにいがみ合っているというその状況は、私は非常に残念なんですよ。  だから、総理に私はお尋ねしたいんだけれども、もし旧経世会総理が所属しておられた旧経世会の金丸さんの後の会長争いで、小沢さんが、勝ったか負けたか知らないけれども、もし逆の立場に立っていたら、新生党というものはできたんですか。
  22. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私自身は、あのときに、確かにおっしゃったとおり争いがあったことは事実ですよ。ただ、あのまま争っていましたら自民党の中でそれこそ泥沼に落ち込んでいくだろう、そういう思いがありましたものですから、皆さんの御要請によりまして、私は、もう怨念とかそういう恨みつらみのことはだめよということであるならば会長を引き受けようということで実はお受けしながらやったものであります。  ただ問題は、その後、政治改革を進めていく、議論をしていく過程の中で、残念ですけれども、この問題が本当に真っ正面から議論されるどころか中途半端で終わってしまう。しかも、会期延長する、そして現場ではいろいろな話し合いがもう理事皆さん方によってどんどんされているんだから、私は、それさえやってくれればいいんだと。結果としてはあるいはそれは成立しないかもしれない。しかし本当に議論して、そして、社会党その他の皆さん方はもともとはこの案に対して、あるいは要するに中選挙区以外、定数是正以外は反対の立場だったわけですね、それか比例だということだった。それがだんだん近寄ってきているのに、なぜ自民党がそれ以上踏み込むことができないんですか、会期延長してその話をしょうじゃないですかということを実は申し上げたところでございまして、そういう中から、新しい、私どもが外に出なきゃならなかった。  しかし、私たちはそのときに考えましたことは、ただ外に出た、しかし、私たちはそんなことを初めから思ったわけじゃないんだけれども、結果としてそうなったから、だとするならば、この機会に新しい一つ政治というものを動かしてみようじゃないかということで今日の連立状況になってきておるということを、ぜひこれは御理解いただきたいと思います。
  23. 伊吹文明

    伊吹委員 昨年の年末、予算編成を不況のさなかにやろうとしたときに、政治改革の方が先だという決断で予算編成をおくらせられましたね。ここでもまた政治改革という言葉が使われたんだけれども、あのときはまだ三百、二百という枠組みすら法案が通ってなかったんですよ、昨年の暮れはね。そのときに、もし福祉目的税のようなことが起こって、社会党がいろいろな考えを示したときに当時の細川連立内閣がどうなったかということを考えると、本当に今でも景気よりも政治改革が先だというふうに考えておられますか。
  24. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私はみずから、何というのですか、経済政策運営に携わった者といたしまして、あのときに、もう皆さんにもいろいろと御協力いただきましたけれども、十兆七千億という大きな経済対策を組みました。しかし、残念ですけれども、そういうものをやったら、普通だったら、あのころは史上最大だったんですね、ずっと吸い込まれるようにして国民の理解が得られた。しかしそうじゃなくて、そういうことをやったらはね返ってきちゃうんですね。結局、政治に対する不信というのがあった。  これは、金だけじゃありませんよ、今お話があったとおり、一つ方向を決着つけるような、方向づけするような議論というのが残念ながらなされないというところに私は問題があったと思うんですね。ですからそういう意味で、確かに、何も大事である、これも大事であるけれども、しかします、景気対策やるにしても、政治改革をやり遂げることが何としても大事だということ。  それから、確かにそれをやった結果、今御指摘のあったことは私は間違いないと思う。福祉税の問題とこの問題で難しくなったことも事実です。しかし、その後やはり、福祉税についてはだめになりましたけれどもお互いにこの土俵の中で、かつては消費税をアップするなんということについては考えられなかった。しかし、今度の特例措置をやる中にありまして、要するに国会の中は、全会一致でこれを修正して抜本的な税制の改革をやろうということが今度なされたということを見ましても、私は、あれは大きな教訓であったし、我々は多くのことを学習した。そして、各党の皆さん方も、本当にやはり責任ある政治はこうだということを理解していただけたんじゃないのかというふうに考えております。
  25. 伊吹文明

    伊吹委員 余り時間がありませんので、総理にぜひお願いしたいのは、私は、これはやはり政治改革というのは自分が手がけただけに早く魂を入れてやりたいです。やりたいですが、結局、政治改革という言葉が、例えば政治改革をやるために分派をしたんだとか、政治改革をやるために予算がおくれたんだとか、政治改革をやるためには、今まだ区割りができていない段階で不信任を出したら政治改革つぶしたとか、そのようなことに私は政治改革という言葉を使ってほしくないんです。これはもっと日本の将来のために純粋にやってもらいたい。私は、自分が手がけただけにこのことを、総理も同じ気持ちじゃないかと思いますから、ぜひお願いしますよ。  そして、石井自治大臣松永委員長が当時座長であった政治改革協議会協議結果という合意文書があるんですよね。この中の六番目に、二ページですよ、総理、六番目の下の方のパラグラフ、「政党交付金交付を受けることができる政党は、法人格を有すべきであるとの自由民主党意見に留意し、今後連立与党自由民主党との間において協議を行い、衆議院議員選挙区を定める法律案国会提出までに結論を得るものとする。」と、これ合意しておられるんですよ、総理が属しておられる。これは言うならば政党法議論です。あるいは政党法までいかなくても、政党助成法の中にこのことをどうするかと。  それからもう一つ大切な問題は、総理いつもおっしゃるように、これからは政党本位政策本位選挙になるんですよ。だから、比例で、例えば新生党自民党と書いたその投票の比率によって当選してきたブロックの比例当選議員、この人が党籍を選挙途中でかわるということを今までどおり許すということは、私は、政党本位政策本位選挙ということからいったら認めるべきじゃないと思っています。  そうしますと、じゃ、一人だけ新生党を離党した、これは即座に失格にして、新生党の次の候補者を当選させるというのは非常にわかりいいんですけれども、例えば自由民主党が自由党と民主党と真っ二つに割れちゃったといったような場合は、これどちらに、どちらを本体と認めてどちらを失格させるのか、みんなを残すのか。これは、政党は何だという議論をやはりしなければ最終的にできないんですよ。  そこで、総理は、閣法として公職選挙法別表石川先生たちがやった区割りを載せて、そしてこの国会提出をされなければならない責任者なんですよ、内閣総理大臣だから。そして同時に、この合意文書サインをされた連立側の有力な幹部なんです。であるとすれば、もう審議がどんどん進んでいるのに、なぜ閣法をお出しになる責任者である連立側からこの議論について早く結論を得ようよというお申し出がないんですか。私はそれは非常に不思議だと思う。これは早くやらないと、こんなもの二カ月や三カ月でできませんよ。これ、「結論を得る」と書いてあるんだから。そしてサインをされているんだから。  だから、審議会結論を得てそれを公職選挙法別表としてここへ出すまでに、できるだけ早く結論を得ましょう、そのためにはぜひ連立側の一員として、閣法をお出しになるのはそちらだから、閣法をお出しにならないのならいいですよ、閣法を出すためのこれは一つの条件なんだから、閣法を出す者がこれを整理しなければならないんです。どうぞ。
  26. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは政党間の合意でありまして、これは全部の政党が入っての合意じゃないはずなんですね。しかもこれは、結論を得るということでありますから、国会提出までの間にやっぱり本当に議論をしていただかなきゃならぬこと、これは私は、当然自民党と今の私ども与党との間で話し合っていただくというのは、だから、だれがどちらかということじゃなくて、これは少なくも伊吹委員はもう前から主張されておりましたし、渡辺美智雄先輩もこれを主張されていたことを私はよく知っておる。自民党時代には、これは残念だったけれども大勢の意見にならなかったわけです、私が自民党におりましたころは。しかし、その後これが進んできたということでありまして、いずれにしましてもこの問題は、皆さんの方からも案を出していただく、私どもの方も当然これは案を出させるようにしますけれども、いずれにしても、区割り法案ができるまでの間にこういった問題について一つ結論を得るということは私も理解をいたしております。
  27. 伊吹文明

    伊吹委員 じゃ最後に、総理政党法を出すという結論もありますし、出さないという結論もあるんですよ。何もしないという結論もあるんですよ。だけれども、少なくとも結論は得なければならないんです、双方が合意をして。  そして今、これは政党間のとおっしゃったけれども総理新生党の党首でしょう。そして院内会派の改新の一員なんだから、総理大臣であると同時に、これにサインをした一員としての義務があるんですよ。だから、これは他人事じゃなくて、特に閣法をお出しにならなければいけないわけだから、閣法を通すためには結論を得なければならないんですから、これはぜひ呼びかけてください。うちも真摯にそれに対応するようにします。そして一緒にいい案を出すようにしようじゃありませんか。それをやりませんと、これは国会審議に入れませんよ。
  28. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは多分、こういう協議をしましょうということは私どもの方からもお呼びかけしているはずだと思うんですけれども、いずれにしましても、これはやっぱりお互い一つのルールをつくるわけでございますから、本当に私も話し合っていただくということについては、ぜひこれはお願い申し上げたいと存じます。
  29. 伊吹文明

    伊吹委員 それじゃ、終わります。
  30. 松永光

    松永委員長 次に、細田博之君。
  31. 細田博之

    ○細田委員 まず最初に、総理にお伺いいたしますけれども、本日の審議の対象でありますこの「区割り案作成方針」、きのう報告がありまして、審議をされたわけでございますが、これに基づいて選挙区割り法が出されて、実際に選挙ということになるわけでございますけれども、その中身というものが当然日本国憲法に反するようなことになってはならない。憲法遵守義務は国会にも内閣にも当然あるということを確認いたしたいのでございますが、それでよろしいですね。
  32. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この審議会が取りまとめました区割り基準の考え方は審議会設置法の趣旨にのっとったものであるというふうに理解いたしておりまして、憲法あるいは審議会の設置法に反するものでないというふうに確信をいたします。
  33. 細田博之

    ○細田委員 昨日も委員に対してさまざまな意見が出されました。そして一番大きな問題は、この基準によりますと、はっきりと格差が二倍を超えてしまう、そのことがもうあらかじめ明らかになるということが大きな問題だということ、これが憲法上の論争でもあるわけですね。  なぜそうなるかというと、細かくは省略いたしますが、一番小さな県を均等にたとえ割りましても、この基準によりまして計算いたします一番大きなところが、どうしても二・一倍台から二・二倍台になってしまうという基準でございます。この基準を何とか逆に見直して、一番小さなところを基準にして二倍以内におさめる、そのためには、若干の市区の分割、余計な分割も必要なのではないかという議論が随分行われたということが会長からの報告でもありました。最初は、どうもこの七人の委員の方は、そういうふうにやろうじゃないか、やはり最初から二倍を超えるのはおかしいじゃないかという議論があったようでございますが、この案では、何と二十七から三十近い選挙区が格差二倍を超えるということでありますが、それでもそれは憲法上問題ないと考えるというお話が今あったわけでございます。  そして、この考え方、三百の小選挙区を一ずつ割り振ってから人口別に割り振るというのは、前の海部案のときに提出されたものと同じでございますし、国勢調査の結果でも、実は県別配分の数は同じでございます。  そこで、当時平成三年の本会議では、公明党や社会党から鋭くこの点についての指摘がありまして、本会議でも九月十日、十一日、十二日と三日連続で、公明党からは、この二倍を超えるような案は憲法上違反である、このような案は到底受け入れがたいという質問がありましたし、委員会などにおいてもたくさんの、ここに名前がありますが、それは省略させていただきますが、指摘がありました。なぜ今回はそれが許されるのであろうか。法律にもはっきり書いているようでよく読めないわけでございますが、なぜであろうかと考えると、多少実際の、この法律の条文が違うわけでございますね。  そして、私は、ブロック制というものは前と違うなということは気がついているのです。公明党が反対から賛成に回られたには、政権云々ということでなくて、この辺にあるのかもしれないなとは思うのでございますが、つまり比例制というのはブロック制になりましたね、このたび。そうしますと、一票の価値ということを考えたときに、例えばある県、長野県でも島根県でもいいのでございますが、投票した人が落ちる、惜しくも落ちたというときに、この比例制は善戦率、惜敗率というものを認めておりますから、ブロックにおいてその一票、一票が積み重なっておりますと、政党投票のトータルにおいてまたその人が救われるという仕組みがあるんですね。  そして、それが参議院と違いますのは、全国でございますから、参議院の場合は。それから、その後出てきた案あるいは海部さんの案ではやはり全国比例でございますから、全くそれはいわば別の独立した投票である。今回はリンクしているんですね、多少。だから、そこが救済のわずかな論点なのかなと推測したりしているんですよ。というのは、ブロックの一票の格差は一対一でございますからね。四国と東京というふうに大きく格差を見ると一・二八四六倍というふうになっているのでございますね。つまり、二倍を超えるという選挙区格差は、ブロック別に見ると一・二八四六倍。それから、きのうも議論されましたが、都道府県別に見ますと、島根県対東京都の最高の格差が一・八二倍になるから、都道府県別には二倍未満である、こういうことなのでございます。  そこで総理、お答え願いたいのは、そもそも選挙区別に二倍を超えるのが二十も三十もあっても、そもそも憲法上問題ないと考えているのか。あるいは、一票ずつ割り振ってから平等に割り振る、そういうふうに県ごとに割り振っているのであるから、それが一・八二倍である以上、憲法上問題ないと考えるのか。さらに、ブロック制という新しい制度を考えて、ブロック単位に投票しているのであるから、もっと大きく大局観察をすると憲法上問題はないと考えるのか。一体どういうふうに考えておられるのかをちょっとお答え願いたいと思います。
  34. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 比例制のブロックの定数とそのブロック内の都道府県の小選挙区定数を足し合わせた定数でブロック間の格差を比較いたしますと、最大が今お話があった一・二八倍になるというふうに承知しており、格差の問題を考えるに当たりまして、いわば政治論の一つとしての考え方であろうというふうに私は考えております。  ただ、並立制のもとで、小選挙選挙比例代表選挙はそれぞれ別の選挙として行われるものでございまして、小選挙区の選挙区画定に当たりましては、やはり設置法の第三条の第一項に言うところの格差が一対二以上とならないようにすることが基本となるという考え方であろうというふうに考えております。  それから、定数是正を大分やりましても、県間格差というのはかつても実は残ったわけでございますね。ですから、そのあたりのところはこれから議論のあるところでありましょうけれども、最高裁の判決等も常に選挙区と選挙区との差でやっておるということが私は通例になっているのかなという思いを持ちます。
  35. 細田博之

    ○細田委員 確かに、今までの最高裁判決は選挙区間格差だけを見ておりますね。そうして、三倍未満にしたときに、それで違憲性がない、解除されたよというときは、定数是正が行われた。そして、昔は一対一でやったわけですよ。最大でも一・五だった。どんどん人口が変化したから拡大してしまったので、一生懸命法律が追いかけたけれども、なかなか追いつかない。しかし、三倍以上はひどいじゃないか。  そして、このたびの高裁の判決でもありますけれども、二・七七倍というようなことでも、まあこれは憲法上違憲として選挙を無効にしたり、そういうことはできないという判断なのですね。従来の裁判所の判決というのは、それでいいなんて言ってないのですよ。これはまさに、これからこの基準をめぐって各マスコミでも取り上げるでしょうけれども、この間、六月三日に東京高裁の判決が出ましたように、立法論としていえば、本来、従来どおりの考え方で選挙区間格差だけを考えた場合には、やはり二倍未満にしろ、こう言っているわけですね。これは、たまたま高等裁判所の判決の傍論でございますから、法律的な意味、判決としての拘束力がないわけでございますが、一般の市民はそう考えている。  しかし、これで我々が基準をここで了解してそのままどんどん個別の区割り作成に入りますと、当然に何十もの二倍以上のものが出ますから、我々国会議員はいわば同罪なんです、これは。だから、一緒に罪にならないように考えなくてはいけないというのが私の趣旨なんですよ。違憲だから全部考え直せというのも一つの考え方だけれども、これは共産党の東中委員から強い発言がありましたが、私は、そうでないとしても、これはいろいろ考え方を工夫しないと、そして国会としてはこういう議論をしたのだ、そしてこれでいくのだと。しかし、最高裁で覆されるかもしれませんよ。しかし、こういう審議国会の意思であるということを言わないとだめなんですよ。  今、総理がおっしゃったことですと、選挙区ごとに格差は見るのだ、しかし二倍は当初から抜本改正のときに超える、しかしこれは違憲でないとおっしゃっているから、非常に重要でして、やはり三倍までいいのじゃないかというような立論なんですよ。しかし、この選挙区をつぶさに見ると、小さいところは人口が余り増加しておりませんし、減少地区が多いのです。そして、大きいところ、五十数万人の選挙区はどんどんこれから人口がふえる地域でありますから、これは明らかに二・何倍からどんどん格差は広がるのですよ。ですから、私が言ったこともこれは一つの要素であるということをむしろはっきり言って、国会審議の場では総合的に判断してこれは違憲でないというふうにおっしゃらなければつじつまが合わないし、これから違憲訴訟がどんどん起こりますよ。ちょっとよく考えてください。
  36. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 細田委員お話は、それはまさに一つ見識でございます。
  37. 細田博之

    ○細田委員 見識と言われたぐらいで訴訟が回避されるのかどうかわかりませんが、そこで法制局長官、私がもし自分で決意して、この法律が公布された、そしてもう当初から二倍を超えている、おかしいぞ、従来の議論からいうとおかしいし、高裁判決もある、勇躍、もう交付された途端に違憲訴訟を提起する、差しとめてくれ、国会でやめてくれ、もう一度法律をつくり直してくれというような訴訟は提起できるのですか。
  38. 大出峻郎

    ○大出政府委員 ただいまの御質問は、法律の施行の差しとめを求める訴訟が提起できるか、こういう御趣旨であったかと思います。  この点につきましては、最高裁判所は、昭和二十七年十月八日の大法廷判決におきまして、  わが裁判所が現行の制度上与えられているのは司法権を行う権限であり、そして司法権が発動するためには具体的な争訟事件が提起されることを必要とする。我が裁判所は具体的な争訟事件が提起されないのに将来を予想して憲法及びその他の法律命令等の解釈に対し存在する疑義論争に関し抽象的な判断を下すごとき権限を行い得るものではない。こういうふうに最高裁判所の大法廷判決は判示をいたしておるところであります。  したがいまして、法律の施行の差しとめの可否について裁判所の判断を求める、そういういわば抽象的な形で、具体的な事件がないのにそういう形で求めるということはできないというふうに理解をいたしております。
  39. 細田博之

    ○細田委員 この訴訟判決は、日本社会党の方なら多分だれでも知っている判決なのですね。これは警察予備隊違憲訴訟といいまして、当時の日本社会党の代表者鈴木茂三郎さんが提訴したのです。そして、今おっしゃったような判決が下ったのですね。  ところが、法のもとの平等という憲法十四条の大事な規定を考えたときに、これまでの判決はすべて、そういうのはだめだ、門前払いだ。そして、実際に選挙があった、そして東京都何とか区の人が、我がところが二・何倍あったから具体的に損害が発生した、そして、いわば取り消しを求めて、選挙無効として提訴するという形がとられているのですよ。  これは付随的違憲審査制といいまして、今の違憲審査を認めるのは、それぞれやはり個別に、今長官がおっしゃったような場合にのみ提訴できるというのですが、ところが、こういう制度が変わるときに、今の高等裁判所が判決で六月三日に言ったように、あらかじめ抑えなければ国民の法のもとの平等は実は担保されないのですね。そして実行した、二・三倍、次も実行した、二・五倍、そのときに提訴したって認められるわけないですよ。選挙という物すごいお金をかけて、政治的にもやっている基本的なこの制度を、取り消してくれ、格差が大きいから取り消してくれ、これはいつか来た道なのですな。二・五倍、二・八倍になった、どうしようか。  だから、私は、法律をつくる側の立法府としてまじめに考えなければいけない。そして、この法律自体が憲法上どうなのだろうかということをもっと多角的に考えなければいけないのですよ。だから、私の意見が一意見の、傾聴に値する意見と言われたかどうかわかりませんけれども一つの考え方だという程度でクリアすべき問題かというと、私はそうではないのではないか。  しかも、この基準というものは、よく読むと、低い方だけ「できるだけ」というような基準緩和をしておるのでございますが、いわば高い方、つまり五十四万九千三百八十二人の方は頑として維持しまして、それよりも人口が少ないけれども二倍を超える三十弱の選挙区については一切見直しを行わないのだというような非常に硬直的な基準になっておりまして、これを実行すれば直ちにこの格差というものは二倍強になり、それがどんどん膨らんでいくのでありますから、今言いましたことを総合的に考えていただくと、どういうふうに今立法府として考えるべきか、あるいは、当然ながら政府が提出しようとする法案でございますから、そのときの考え方をどう考えていくのかをもう一度ちょっと、やや詳しく、それから中身を、小選挙区のときに憲法上の問題というのをもっと詰める、そういうことをおっしゃっていただきたいのです。
  40. 石井一

    石井国務大臣 細田議員がいろんなことを申されましたが、答弁を簡単に申し上げたいと思うのでございますけれども、まず、この間の高裁の判決というものは、人口を基本とする旨や「できる限り」というふうな言葉も挿入されておりますので、必ずしも逸脱したものでないというふうに考えております。  今回の規定も、なぜ下の方だけそういうことが起こったかといったら、島根県のような過疎に対する配慮ということから起こっておるわけでして、問題になっておるのは島根県と福井県だけでございます。しかし、やはり過疎ということを考えて、国会決議もございますから、そういう措置をしております。しかし、上限に対しては非常に厳しい制限を求めて、これは一切だめだ、こういうことを言っておるので、これまでとはかなり厳しい人口の条件というのが一つついておるように思います。  今後の改正といたしましては、御承知のとおり、十年ごとの国勢調査の結果、見直しを確実にやり、この審議会は定着した形で常にこれを見守って、そのたびごとに、これまでみたいにランダムにやるのでなしに、きっちりと十年ごとにやるというふうなこともやっておりますので、あなたさんが言われるように、格差が一方的に走ってどうにもならぬというよりは、よほど歯どめのきいたような形でいっておると思います。憲法からも、あるいは設置法からも、公職選挙法からも、それから裁判の結果からも、これまでと比べて相当整合性と長期的見通しがあると私は判断をいたしております。
  41. 細田博之

    ○細田委員 総理はそのとおりでございますか。――同じだということでございます。しかし、これから北海道から沖縄まで検討が始まるのですよ、これから。こういう問題は、英語で言えばフィードバックと申しまして、基準をつくった、一応の目安ですよ、基準というものは。しかし、具体的に当てはめた、しかしちょっといろいろまずい面があるな、そうしたらこうならぬだろうか、区割りでも頭からこれ以上はだめだということでやることがいいのかといえば、私はそうじゃないと思いますよ。それは、もっと頭を柔軟に働かせて、個別に見ればこういうことでもいいじゃないか、ああいうことでもいいじゃないかというのは、私はやったらいいと思いますよ。現に海部内閣のときも、思い切ってああいう案を決めたわけでございますが、それは金科玉条でも何でもないわけでございます。  しかも、現に、先ほど申しましたように、もう随分無理な区割りもあるのですよ、実際は。そして、きのうも各委員から質問があって、総理にはお耳に届いていないようですから念のため申しますと、これは自分選挙区ということで言った人もいますし、人の選挙区を引用した人もいますけれども、離島、こういうところで非常に交通の便がいろいろ制約されるところが、さらに交通の面で遠いところと一緒になっておるところがあるのはややおかしいじゃないですかとか、それから、福島県の例でございましたけれども、海岸線はずっと一体化して地域社会があるのだけれども、人口が超えたからといって分割しているのもおかしいじゃないですかとか、千葉の飛び地を解消するために市や郡を分断するのはおかしいじゃないですかというような、これはそういう案が出たというわけじゃないけれども、普通にやったのではそうなってしまう、あるいは海部さんの案のときにはこういうふうになってしまったということについて、よく考え直してほしいということはあるのですよ。  総理の長野だって、長野県というのは、私が言うのもなんですが、もともと四つの平に分かれておって、それを五つに割るなんというのは、リンゴは四つに割るのは簡単だけれども、五つに割れといったらなかなか包丁が入らないようなもので、それは大変だと思うのですよ。  ですから、私が思いますのは、さっきの石川会長発言と関係するのですが、七人の委員自治省の補佐を受けて一生懸命やったのだから、それはもちろん尊重しなければいけませんよ。しかし、みんながおかしいぞというようなものについてまでもう金科玉条、それでいこうというようなこととか、二倍をかなり超えて今後も格差が広がるにもかかわらず、うまく分割しないような案が出るというおそれもあるわけですよ。  ですから、やはり我々は国権の最高機関として、しかも憲法を守る義務その他あるわけでございますから、出たものは出たものとして、石川会長が言われたように、十分審査はしなくてはいけない。しかし、もとの法律は通っておりますから、もとの法律に基づいてどう実行するかという観点からやるのはもとよりでございますけれども、そういう具体的なものは我々もよく知っているものが多いわけでございますから、何も自分の個利個略あるいは党利党略でやるというものじゃありません。  どうも、聞いてみますと、例えば新潟県などは全県挙げて、やはりここはおかしいなというような意見が出ておるようですし、愛媛県や鹿児島県でもそういうものが出ておるようでございますから、それを無理やりということはいけないし、万一そこまでよくわからなかった審議会がそういう案を出してきたとすれば、やはりよく議論をする必要があると思うのですよ。その精神だけ総理もお答え願いたいのですが。
  42. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは、今のお話はまだこれからということでありまして、八次制度審議会、ここで海部内閣の時代に提出したもの、これをもとにしながらのお話だろうというふうに思っておりますけれども、いずれにいたしましても、そういったものでいろいろな御批判のあったもの、こういったものは当然念頭に置かれるであろうと思いますし、また各県が各市町村の声等も聴取して、それをまた上げておるということもたしかあろうというふうに承知しておりますから、そういう中でいろいろな知恵を絞りながら、中立て、しかも公正なものを私はつくってくれるというふうに思っております。  それから、今度の東京高裁の判決にいたしましても、この傍論におきまして、衆議院議員の定数を人口以外の他の要素も考慮して配分するとしても、選挙権として一人に二人分以上のものが与えられることがないという基本的な平等原則をできる限り遵守すべきものである旨述べておるということでありまして、ようかんのようにこれがきれいにすっぱりと切れないというところにこの選挙区割りの難しさがあるのだろう。しかし、できるだけ、だれが見ても公平なものをつくるために努力してくれるものと私は信じております。
  43. 細田博之

    ○細田委員 考え方というのはいろいろあるのですよ。つまり、各県、特に地方の県を見てみますと、県庁所在地がもうガリバーのようになって巨大な人口を持っているところがありますね。鹿児島のように、もう五十万人をはるかに超えてしまうところはもちろん、もとより分割されるわけでございますけれども、ちょうどころ合いの、四十万人から五十万人の県庁所在地というのがたくさんありまして、その県庁所在地はもうちょうどいいというので、まず一つくりぬくように一市一区にしてしまおう、さあ、あとどう考えるかという考え方で、今まで海部案のときも、いわばかなり安易に行われているものがあるのですね。例えば、新潟市とか静岡市とか、あるいは松山市、金沢市、随分あるのですが、十五ぐらいの県庁所在地というのはこの一つの、一市一区でいこうということにしている。  ところが、県庁所在地というのは田舎では、我々もそうですけれども、県庁所在地は、とりあえず市町村合併なんかがあって一つ決まりまして、周りにある後背地というのは連続的にベッドタウンになっておったり、農村地域があったりして、大きいものは市の中心にも、中心というか外縁にも田んぼがあったりするわけですね。つまり、全体的に一体なんですよ。ですから私は、この市をくりぬく、そして周りにある地区を第二区とするというようなことが本当にいいのかな。例えば、県庁所在地は東西にどこかですっと線を引いて、その後背地はその両方に入る。それは長野市の場合だってそういう方がいい場合もあるんですね。  つまり、その区割りというのは、いろいろな考え方をしてまいりますと、その方が妥当な場合もある。県庁所在地というのは権限が集中するところですから、それを一市一区にしますと、仙台だとかどこかで起こりましたけれども、ああいう利権化、腐敗というものが起こりかねないような気もするんですよ。やはりそういうものは分散するという意味で、そういう考え方もあるわけですよ。まあ、実際にこの基準に従ってどこまでできるかという問題はありましょうけれども、これは大事な政治的な考え方なんですよ。これからの政界をこの政治改革の趣旨にのっとって考えていくには大事な考え方であって、非常に機械的かつ単純にやること自体が私は大きな問題があるのではないかと思いますので、念のため、せっかく総理自治大臣も関係者もおられますので、その点は考慮要素としてよく考えていただきたいという要望をしておきます。  それから、もう一つ、ちょっと付随する議論になりますけれども自治大臣、在外邦人に対して選挙権を与えようということで、従来大臣は非常に御熱心に取り組んでおられますが、その場合、住所ですね、小選挙区制になると、投票権を渡航前の住所あるいは本籍地というところに根拠を置かせよう、そうすると、東京や大阪や大都市からどんどん人が出ますね。そうすると、そこが何万人もふえてくる。全部で五十万人もいるという話でございますが、相当定数にも影響があると思うのですが、この辺についてどういうふうに意欲を燃やしておられるか、考え方はどういうふうに考えておられるか、ちょっとお答え願います。
  44. 石井一

    石井国務大臣 これはもう法律に、直前の国勢調査人口によって区分するというふうに決められておるわけでございますから、在外選挙を入れた場合には問題が起こりますが、現時点においては全く問題はございません。  そこで、在外選挙をやりました場合に、私この間調査にあなたと御一緒に出ましたけれども、本籍の方がいいという人もありますから、そこのところをどう決めるか。大都市地にどかんと大きな人口が入った場合には、これは十年ごとのこれで調整をしてやらざるを得ないということになりますし、これは私は問題の指摘として理解はしますけれども、整然と法律に書いてあるとおり処理せざるを得ない、こういうふうに感じます。
  45. 細田博之

    ○細田委員 あと残りの十分を自見委員に関連質問お願いした関係上、やめますけれども、先ほど来るる申し上げておりますように、憲法論というのは大事である。そのときに、我が国会がどういう意思でこの法律を通したのか、その立法者の意思はどうなのか、また先々区割り法案が出るときに行政府の考え方はどうなのか、憲法上これからどういうふうに国民の権利を守るのか、そういうことは大変大事でございまして、先になって考えればいいよということになれば、必ず訴訟が起きたり、むしろ国民の基本的人権を侵害することにもなる。ですから、我々は一緒になって、なるほどこういうことで考えればいいんだなということを明確にしながら議論をしなければ、立法府としての機能は十分果たせないのではないか。  私は、二倍を超えたからいけないと自動的に言っているわけじゃないのですよ。各県に一ずつ割り振って、あとは完全に平等に割り振っているわけですから、その一ずつ割り振るというのはアメリカの上院のような考え方、完全に平等に割り振るというのは下院のような考え方、これがミックスされて一・八倍になったというふうに、これは立法の趣旨ですからね。それが権利を害しているのかいないのか。それは一つ法律的な判断ですから、これを将来裁判所が尊重するように記録にとどめなければならないし、立法府の意思をはっきりしなければならない、そういう趣旨もあって申し上げたわけでございますから、念のため申し上げます。  それでは、自見委員にかわります。ありがとうございました。
  46. 松永光

    松永委員長 この際、自見庄三郎君から関連質疑申し出があります。細田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。自見庄三郎君。
  47. 自見庄三郎

    ○自見委員 自治大臣にお聞きしたいのですけれども、きのう我が党の伊吹委員が大臣のパーティーのことについて質問をしたわけでございますが、このことにつきまして、伊吹議員の御要請もございまして、ちょっと質問をさせていただきます。  収入がございますね、パーティーで。収入から支出を引いたものを政治資金に使うパーティーを政治資金パーティーだというふうに私は認識をしておるわけでございますが、きょう新生党理事から理事会に、石井大臣の「政経セミナー「三閣僚に問う 新政権が目指すもの」」こういった案内状が資料として提出されたわけでございます。六月十九日にこれは神戸市で行われているわけでございまして、講師として、私は石井大臣お一人かなと、こう思ったわけでございますけれども自治大臣石井一、建設大臣森本晃司、経済企画庁長官寺澤芳男、こう書いてあるわけですね。会費が二万円だ、それで、振込先がさくら銀行神戸営業部等々、こういうことがあるわけです。  それで、お聞きをしたいのですが、収入から支出を引いたものを政治資金に使うパーティーを政治資金パーティーだというふうに私は認識しておりますが、大臣、それでよろしゅうございますか。
  48. 石井一

    石井国務大臣 昨日も答弁したところでございますが、以前から恒例でやっておったものでございます。そして、四月二十八日に閣僚の指名を受けまして、私としてはもう中止しようかと思ったのですが、県の選管へ尋ねに行きまして、会の趣旨、案内の先、そして収入の見通し、それで支出の見通し等を申し上げましたら、これはいわゆる政治資金パーティーというものには当たらない、普通その場合は、案内状に政治資金規正法の第八条の二に規定する政治資金パーティーですということを記入しなくてもいい、こういう指示がございましたものですから、そこでいろいろ協議しました結果、それじゃ、これはそういうことで合法的にそういう解釈をしておられるのならということで進めたものでございます。
  49. 自見庄三郎

    ○自見委員 私の質問に簡単に答えていただきたい、時間がございませんから。  それじゃ石井大臣、パーティーには、共同電によりますよ、これは新聞報道によりますと、一千枚売って、千枚売れたと書いてあるのですね。それで九百人集まったと書いてあるのですよ。これは報道ですよ。そうなりますと、二万円掛ける百人分、二百万円は余っているはずですね、この報道が正しいとすれば。これは政治資金に使われたのではないですか。
  50. 石井一

    石井国務大臣 これは後で、私もこういう立場ですから、公にきっちりとしたいと思いますが、きのうの段階ではまだ十分収支がついておりませんが、私が聞いておりますのは、収入が一千四百万、支出が一千五百五十万ぐらいになるだろう、こういうふうに聞いております、現時点におきましての報告であと一週間か十日すればきっちりできると思います。
  51. 自見庄三郎

    ○自見委員 自治大臣が明らかにしたいということでございますから、委員会でぜひきちっと明らかにしていただきたい。そういうことを強く、大臣自身がそうしたいと言われるわけですから、していただきたい、こう思います。  それから、兵庫県選管に問い合わせたら政治資金パーティーではないとの返事を得たということですが、これは自治省に聞きたい。それは正しい判断ですか。そのことを――いや、私は自治省に聞きたいのです、自治省に。兵庫県選管に問い合わせたら政治資金パーティーではないとの返事を得たという大臣の、きのうもそういう答弁だったと思いますが、これは正しい判断かどうか、自治省にお知らせいただきたい。
  52. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 私ども自治省といたしましては、兵庫県の選管には確認はいたしておりません。  政治資金規正法の第八条の二で、政治資金パーティーにつきましての定義がございます。政治資金パーティーと申しますのは、収入の金額から経費の金額を差し引いた残額を催し物を開催した者の政治活動に関し支出することとされているものをいう、これが政治資金規正法上の政治資金パーティーに該当するものであるということでございます。
  53. 自見庄三郎

    ○自見委員 兵庫県選管に問い合わせていないということでございますから、また問い合わせていただきたい、こういうふうに思います。  それで、きょうは羽田総理おいででございますから、また詳細は自治大臣がこの委員会にきちっと明らかにしたい、こういうことをはっきり明言されたわけでございますから、その問題はその問題として、後でまたいろいろ質疑をさせていただきたいというふうに思うわけでございますが、総理大臣政治改革内閣だと、できたわけですね。御存じのように、政治改革というのは、選挙と、政治とお金ということをめぐって私はできたというふうに非常に思うわけでございます。そういったことで、閣僚のパーティーは自粛をするということで私たち始まったわけでございます。同時に、閣僚と、政務次官も実は自粛をするということでございました。  私自身の思い出で言えば、要するに、ちょうどだまたまパーティーを予定させていただいておりましたら、幸か不幸か国土政務次官になりまして、全部やめましたよ。そして、きちっとお金を返しまして、あるいは政治資金にしてくれる人はしていただきたいと。それくらい、あの自由民主党の時代でも、世間では誤解があるようでございまして大変残念なことですけれども、やはり閣僚、政務次官というのは、それくらい襟を正してやってきたんですよ。  ですから、そういった意味で、ましてや政治改革を標榜された前の副総理、今の総理大臣でございますから、羽田内閣閣僚のパーティーを自粛しておられないのかどうか、そのことをお聞きをしたいと思います。
  54. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 基本的には、これは自粛しております。ただ、今御指摘なのは政治資金パーティーというお話でございますので、今石井さんからお話がありましたのは、自治大臣のあれは政治資金パーティーというよりは、恒例の、何というか、シンポジウムといいますか、勉強会といいますか、そういうものであるということで、政治資金を集めるものではないということであるように私ども承知しております。
  55. 自見庄三郎

    ○自見委員 そのことはいずれいろいろな判断があることでございましょうから、大臣がきちっと資料を出していただいたら、その時点でやはり判断するべきことだろう、こういうふうに思っております。  それでは、この問題これまでで終わりまして、もう私の持ち時間、余りないわけでございますが、一点、これは羽田総理にお聞きをしたいんです。  この選挙法、区割り委員会、きのう石川会長を初めいろいろ来られたわけでございますが、この設置法の第八条に「審議会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、行政機関及び地方公共団体の長に対して、資料の提出意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる。」ものとする、こう書いてあるわけですね。それから、今さっき、これは自治大臣連立与党側の座長をしておられたときに、石井一現大臣と松永委員長の間で、御存じのように、「衆議院議員選挙区の画定案の作成に当たっては、選挙区画審議会が必要に応じ地方公共団体の長等の意見を聴取するとともに、」こうあるわけですね。総理大臣、これは、地方の要するに意見を聞きなさい、地方公共団体。きのうもこういう質問が出ましたが、県知事さんの意見は聞きましたが市町村長の意見は聞いてないという話、言っておられました。いずれ市町村長の意見も聞かなければならないのかなというふうに、きのう審議会委員の方が言っておられました。  私もこういう委員にならしていただきまして、少し外国の例を勉強してみたら、実はイギリスの例がございまして、イギリスの区画委員会がございます。これは当然、別の国ですから法律は違いますが、これはまさに民主主義の国イギリスでございますね。これを勉強してみますと、実にやはり、民主主義の国ですから手順、手続、非常に念には念を入れ、なおかつ、きちっと透明なところは透明にするという、私はシステムをつくっておると思います。  簡単に言いますと、これはイギリスの例でございますが、イギリスは、こういうふうに書いてあるんですよ。これは地方公聴会については、委員会出した勧告案、これはまず公表するわけですね。それに対して「利害関係を有する地方団体又は一〇〇名以上の有権者」ですよ、「有権者から異議の申立てがあった場合には、公聴会を開催することなしに勧告を行うことができない。」国民の声を聞きなさい、住民の声を聞きなさい、地方公共団体の声を聞きなさい、これが法律上義務づけられております。  ちなみに何回やったかと言いますと、一九八三年に大変大がかりな区割りの画定の作業があったわけでございます。五年間かけていますよ、五年間。そして地方公聴会の回数は、イングランドでは九十五回。総理大臣、聞いてくださいよ。地方公聴会、イングランドでは九十五回やっているんですよ。そしてスコットランドで十二回、あるいはウェールズでは七回、北アイルランドでは四回。これくらい実は丁寧に国民の声を聞きながらやっておるんですよ。  民主主義というのは、やはり国民を信用する、それから選ばれた国会議員を信用するということが私は大前提だと思うんですよ。これ、最終的にはきちっと上院、下院の承認が要るわけですね。どこの国でも国会の上にこういう区画委員会を置いている国はないんです。一個だけ、ハワイだけはちょっと例外的にあるようですけれども。やはり国会でうまく調整できなかったら次はこうしなさい、ああしなさいという手順を法律で定めてありますけれども、やはり民主主義の原点は国民ですし、なおかつ、それから選んでいただく国会議員。我々は大変感謝していますよ。ありがたいと思っていますよ。しかし、国民の声を聞くということは大事ですから、ぜひこの審議会でも、きのうお話が出ましたけれども、地方公聴会、あるいは同時にこの衆議院の政治改革調査特別委員会も、区割りが出たらきちっと地方公聴会を開いて国民の声を聞くべきだ。それが原点なんですよ。何かわからないブラックボックスで区割りをつくって、あとはこれでもう採決すればみんな決まったんだというのは、私は古い時代のやはりやり方だと思いますよ。  ですから、そういった意味で、地方公聴会ということに関しまして、総理大臣、ぜひ私はやっていただきたい、こう思いますが、総理大臣の御意見を。これは議会のことは議会で決めることです。衆議院の委員会は、これはもう委員長を初め各党で決めることですけれども、やはり行政の長ですから、そういった新しい時代の、やはりきちっと国民の、住民の理解を得るような地方公聴会をやるべきだ、こう私は思うわけでございますが、それに対しまして総理大臣意見を聞かしていただきまして、終わりにさしていただきたいと思います。
  56. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 まさに民主主義の根幹でございます。ですから、私どもも、党にありましたときには、全国をそれこそしつこくしつこく回って、大衆の声を聞きながら改革を進めてきたという経緯があります。そして英国なんかの場合には、確かにああいう委員会というのは非常に権威が高くて、それも長い歴史の中に積み重ねてきたものであろうというふうに思っております。  ただ、今やっておりますものにつきましては、これは、第三者機関として我々は審議会というものを設けてこれにゆだねるということにいたしておりますから、私ども行政の責任者が、今こうあるべきだということをここの時点で、私どもが今申し上げることは、これはむしろ審議会の、何というのですか、だれかにとらわれない中立公正な立場でやることを逆に阻害してしまうだろうというふうに思いますので、私の口からお答えすることはひとつお許しをいただきたいと思います。
  57. 自見庄三郎

    ○自見委員 時間でございますから、これで終わりにします。
  58. 松永光

    松永委員長 前田武志君。
  59. 前田武志

    ○前田委員 昨日、きょうと区画作成方針についての中間報告を受けたわけでございます。特にきのうは、石川会長、そして味村代理が来られまして、委員の非常に深くまた幅の広い議論をお聞きいただき、また質疑を行ったわけでございます。きょう、総理もこうやって今までの議論をお聞きいただいて、区画画定基準についてはいろいろと考え方があるということも随分と認識されたことと思います。これは当然のことであります。  そして、実はきのう、私は、石川先生お話を聞きながら、本当に厳正中立にやっていただいているなということを印象深くしたわけでございます。さすが、国会が選んだ先生だけありまして、やはり日本を代表する賢人であり、いささかも我々個々の議員の、あるいはまた政府の影響を受けるといったことはない。それを排除して、中立そして厳正に、公正にやっておられるということを私は感銘深く聞いておったところであります。  さて、そういったことであり、議論もいろいろ幅があるわけですが、せんじ詰めて言えば幾つかの議論に集中されております。三分の四の問題であったりあるいは飛び地の問題であったり、いろいろあるわけでございます。それに対して、我々国会議員というのは、もちろん地域から選ばれる存在ではありますが、また国民を代表する存在であって、いわば国全体のことについて国民を代表して議論をし、国の政策を選択していく。  そういった観点から考えまして、総理一つお聞きしたいわけでございますが、やはりこの第三者機関という中立な審議会をつくり、そこにゆだねている、その意味合いというものの私は重要さというものをこの二日間の議論を聞きながらさらに再認識をしたというような感じがいたします。私自身の率直な考えを申し上げますと、この二日間の議論を通じてますます、これは議員一人一人のいろんな考え方があるわけでございますから、まさしくそういったものに影響されない第三者機関にゆだねるべきである、そういう思いをさらに強くした次第でございます。総理のこの点についての御見解をお伺いいたします。
  60. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 もう今お話がありましたとおりでございまして、やはりどうしても個々の議員たちのあれにとらわれるということになってしまいますと区割りというのはできませんし、また、こういったものは成立しなくなってしまうということでありますから、やはり第三者を信頼しながらそこにゆだねる、そのためにわざわざ国会としてあの先生方お願いを申し上げながらやっておることであろうというふうに私も認識をいたしております。
  61. 前田武志

    ○前田委員 私自身も、政治改革は、思い起こすと六年ぐらい前になりますか、ユートピア政治研究会というのを始めて以来、日本政治に対する当事者の一人として、これを改革せにゃいかぬという思いで今まで取り組んできた経緯があります。  その中で、羽田総理にも随分と御指導いただいてここまでやってまいりました。そして、この国会においていよいよ中間報告を受ける。この区画画定法が、区割りが画定して初めてこの一連の政治改革法案というものが一段落をつけるわけでございますが、そういった意味におきましても、この後、この厳正中立なる区画画定審議会が、粛々と区画作業をやっていただき、そしてそれをやがて内閣総理大臣を通じて国会報告をしていただき、そしてこれをもとに新しい制度による選挙、そしてそれによる政治改革の成果というものがあらわれてくるわけでございます。  そういった意味で、やはり総理自身がこの最後の仕上げについてどのような心構えでお取り組みをいただいているのか、ぜひその辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  62. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この区割り法、これが成立する、そして実施期日があわせて決められるということがなされたときに、初めて先般通りました政治改革関連法案、これが実際に施行するということでありまして、この中には腐敗防止策等も含まれました政治資金規正法、あるいは選挙の方もこの中に入っておるということでございますので、やはりこれをなし遂げなければ、また一日も早くと言うと、これまた審議会に対する圧力というふうにとられちゃいけませんけれども、やっぱりこれを通したときに、初めて私どもは新しい体制を組むことができるだろう。  そのときに初めて議員たちの意識も、あるいは選挙民の意識も、また政党そのものの意識というものも変わってきて、先ほど来皆さんお話しになったように、お金の問題、政治とお金の問題もある。しかし、それだけではなくて、やっぱりこの政治の場で本当に真っ正面から責任のある議論というものが起こるだろうし、また、地方にあっても政党がそういった政党に脱皮しながら住民の声を吸い上げるというようなことになってくるということでありまして、私は、本当に民主的な、しかも、何というんですか、国民の声が聞かれる政治というもの、そういったものが起こってくるというふうに理解をいたしております。
  63. 前田武志

    ○前田委員 政治改革そのものは、同僚議員からの御指摘もありましたように、これは目的ではなく手段だろうと思います。  我が国が、ここ二、三十年の間に、歴史始まって以来の一つの峠を迎える。そしてその峠を越えて、その先は多分右肩下がりの、今まで体験をしたことのないような、そういう時代になっていく。それだけに、こういう大きな大変局点を迎えるに当たっては、まず政治改革して、そして的確にその時代の変化に対応していけるような、そういう政策を次々と打ち出していく。また、制度も変えていかなければなりません。地方と中央との役割の分担、あるいはまた経済構造の改革であったり規制緩和、そういったことがこの政治改革をなし遂げてこそ初めてスムーズに、スピーディーにやり得るわけでございます。  そういった意味では、私は、政治改革そのものも我々政治家としての、政治改革していくということは絶えざる務めである、そしてこれを、この先にまたさらなるそういう改革というものを次々とやっていかないと日本の国の将来というのが危うい、こういうふうに考えておるところでありますが、最後に総理のこの点に関する御見解をお聞きして、終わります。
  64. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今お話がありましたように、やはりこれから私たちが、今私たちの目前に山積します課題というのは、非常に難しい問題が多いと思います。  その一つは、やっぱり行政改革でありましょうし、あるいは経済改革でもあろうと思いますし、また税制改革なんかもあります。こういったものは、国民あるいは今日まで一つの枠の中にあった人たちにとっては、みんなこれ、痛い話でありますね。しかし、政治の方の場では、いろいろな指摘がもう長いこと言われながら、やりますやりますと言いながらどんどんどんどん先に延びてきてしまっておるということに対して、やっぱり国民は非常に政治に対する不信というものを持ってきてしまっておるというのが現状であろうというふうに思っております。  その意味で、これからいろいろな大きな仕事をやっていく意味でも、まず政治家自身が、やっぱりみずからが痛みを感じながらもこれを乗り越えるということが、どうしても私は必要であろうというふうに考えておりまして、どうしてもこの政治改革というのをやり遂げ、そしてこれをやりながら、今申し上げた行政改革あるいは経済改革、そして税制改革等、こういったものに真っ正面から取り組んでいくことが必要であろう、そのときに初めて私は国民も理解してもらえるというふうに考えております。
  65. 前田武志

    ○前田委員 終わります。
  66. 松永光

    松永委員長 堀込征雄君。
  67. 堀込征雄

    ○堀込委員 どうも、総理、大変御苦労さまでございます。きのう来、区割り中間報告に関する質疑をしているわけであります。  いよいよ、総理自身も御苦労いただいてきましたし、私どもも大変心血を注いできた政治改革の最後の仕上げという段階に入っただろうと思うわけであります。今度、羽田政権発足に当たりましても、たしか四月二十二日でございましたか、連立政権の確認事項のトップ事項も、これは私ども社会党も入っておったわけでありますが、この関連法案を早期に国会提出をして、可能な限り早期に仕上げようというような合意をしながら進んできたわけであります。  まあ、この間いろいろ審議会皆さんに御苦労もいただいてまいりました。ここまで来た以上、私どもはできるだけ政治改革を、このまさに最後の段階でありますから、仕上げながら、そしてその新しい制度で国民に信を問うていくという基本というようなことがベースになる必要があるん.ではないか、こういうふうに思うわけであります。  もちろん政局の動きは、いろいろ総理自身御心労もございましょうし、御心配もされているわけでありますが、やっぱり四法案を通した、そして最後の今この仕上げの段階に入っている、そして国民の期待はやっぱりこの政治改革から引き続く改革を求めている、こういう状態にあるだろうというふうに思うわけでありまして、まあ政局の絡みはいろいろあるわけでありますが、そういう条件もございますが、来るべき総選挙は可能な限り、よほどのことがない限り、やっぱり新制度で行われることが求められているというふうに私は思うわけでございますが、総理の御見解をお尋ねをしたいと思います。
  68. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 基本的には、もう私全く堀込さんと同感であります。  ただ、解散というのは、これはまさに立法府と行政府、これが問いかけるときに使われるということでございまして、これは、私はいついかなるときでも否定されるものではないというふうに、これは一般論、原則論として、そういう思いを持ちます。  ただ問題は、今私は本当に選挙をやるときなのかなという思いがもちろんありますし、いろいろな世論調査なんか見ましても、当時とそんな大きな変化というものはないということもありましょう。そこへもってきて、今まさに選挙制度というのが新しく変わろうとしているわけでありますから、今度行われる選挙というのは新しい制度の中で行う、そういう中に本格的なやっぱり政治を起こすきっかけをつくることこそ大事じゃないのかなというふうに、私は個人的にそう考えております。
  69. 堀込征雄

    ○堀込委員 それでは、実はきのうも私、審議会の味村会長代理にお尋ねをしたわけでありますが、この新制度の性格とこの区割り法の関連でございます。  とりわけ、今度は三百という小選挙区になるわけであります。このことによって、一方では、国会議員衆議院議員自身がこの三百という地域の地域代表的な性格が強まる、こういう要素と、しかし、地方自治体からもいろいろな意見、その区割りに対して出ていますけれども国会議員が一方でそういう地区やその選挙区を代表するものだけではなくて、やっぱり憲法四十三条に言うように、国会は「全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」ということでございまして、一方で、やっぱりそういう任務を新しい制度の発足とともに私どもが持っていくことが必要なのではないかというふうに思うわけであります。  きのう来、審議会で公正な議論をいただきまして、飛び地の問題、市区や郡の分割の問題、いろいろなお考え方が出されました。そういう現在の人口動態やいろいろな条件の中で審議会皆さんに具体的な区割りをやっていただかなければならない。しかしそれは、基準になるのは、あくまで私どもが決めた法律とそれから平成二年の国調に基づく人口を基礎に決められる、こういうことがあるわけであります。  ところが現に、きのうも御指摘を申し上げましたが、去年の人口調査によれば、実際にはもう北海道と千葉では人口が逆転してしまっているが小選挙区定数は北海道の方が多いとか、あるいは大分と沖縄、滋賀では人口が逆転してしまっているが小選挙区定数が違っているとか、あるいは山形と沖縄でも人口が逆転してしまっているとか、もうそういう現象が起きている。  そういうふうに考えてきますと、私どもはこの区割りは、やはりさっきの細田議員の御指摘の法律論にもかかわるわけでありますが、アメリカの連邦議会の下院議員割当法に基づくような考え方でいく必要があるのではないか。つまり、国会議員にとって区割りというのはしょっちゅう変わる要素がある、議員にとって自分選挙区ではなくなるというような考え方を一方で持っていかないと、これはなかなか法律どおりにいかない。  そういう意味で、地方自治体からたくさんの意見が出ていますけれども、地方自治体の皆さんにも、新しい制度はそういう制度だよということを御理解をいただかないと、例えば私ども総理もあれですが、長野県も二百十五万ぐらいの人口ですが、五、六万人ふえると選挙区が六つにすぐなるわけでありまして、今度はこの選挙区で出たけれども、次の選挙では区割りがどかんと変わってしまうということがやはりしょっちゅう起こるという、これは比例もそうですけれども、そういう仕組みだ。  つまり、今までのどっちかというと地域代表型、利益誘導型と言ってはなんでございますが、そういう仕組みがやはり変わった制度ですよということを御理解をいただきながら、地方自治体の皆さんにもこの制度に対する理解を深めてもらう。あわせて、私どもとしては、そういう制度であることを国民の皆さんにわかってもらうと同時に、従来の利益誘導型政治ではなくて、本当に地方分権なども進めながら、あるいは国際社会にも対応できるような政治をつくり出していくのが今度の改革であり、区割りですよということをやはり理解をしてもらう必要があるのではないか、その辺いかがでございましょうか。
  70. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 実は、私かって自民党におりましたときに、何人かの皆さんと一緒に幾つかの国を視察いたしました。そのときに、オーストラリアでしたか行きましたときに、例えば地域利益誘導、そういったことのためにいろいろな問題が起こったりなんかすることがある、こういった問題についてどうだろうかという話をしたり、あるいは例えば保育園ですとか、橋だ、道路だ、こういった問題でなかなか忙しいけれどもあなたの国ではどうだと言ったら、何しろ返事が返ってくるのに、一分ぐらいの質問に対して五分も十分もかかる。いろいろとみんな話していましたよ。わかった、それは地方の方で、例えば州議会議員だとかそういった中に問題がある場合がある、実は私の方は国防とか治安とかあるいは為替ですか、そういった国の方向、国の基本の問題、外交、こういう問題を担当するということだからほとんどそういう問題は起こらないのです、それと同時に、そういったことのために時間をとられるということは余りありませんねということを言われました。  その後、いろいろな国に対してそういった話をしてきますと、日本よりもっと地域利益誘導的な国もありますけれども、民主主義がだんだん進んでいるところの場合には、むしろやはり全国民を代表するというような意識というものがあるということ。それから、同じ国の中でも、地域の問題をやらせたいと考える選挙区と、いやそうじゃない、この国を動かす人間を出そうという選挙区と、そんなふうにまた分かれていくとか、非常におもしろい形態があります。  一概にどうだということはなかなか難しいけれども、しかし今堀込委員から御指摘があったように、何か我々、県とか府、道の皆さん方の仕事を取り上げてしまっている一面があって、どちらかというと一番大事なものがおざなりになっていたのかなということを私も議員の一人として実は反省するところでありまして、制度を変えただけでは何にもならないので、我々やはり今の制度にかなったものにこの国政というものを変えていくんだということ。そして、そういうものなんだということをやはり地方の皆さん方にも理解していただくということ。そうなれば、十年ごとの国勢調査の結果いつも選挙区を変えていくことがありましても、それは当然のことであるし、議員としてはそれは宿命としてやはり負うし、また、選挙民もあなたがいなくなれば寂しいなんという話でもなくなってくるということになろうというふうに思っております。
  71. 堀込征雄

    ○堀込委員 もう一つ、新しい制度で行われる選 挙、やはり政党本位政策本位ということになっていくわけでありますが、私は、やはりこれに対して政党政治家が意識的にそのことを追求をしなければ、この制度というのは生きていかない面があるのではないか。  総理はかねがね、私があちらこちらでお聞きする限りは、できればこの新しい制度によって、二大政治勢力によって、その切磋琢磨によって民主的な政権交代が行われるような仕組みが望ましいのではないかということを、これは総理になられる前に何度かおっしゃられたことを聞いておるわけでありますが、今度の制度はそういう意味で、やはり政党がどういうふうに責任を持っていくか、そして政党政策をどう訴えていくのか、そしてそのことが集約されていくのはやはり今までの個人選挙ではなくして政権選択の選挙になるかどうか。  ヨーロッパの各国で幾つか行われておりますように、例えば羽田政権を選ぶのか、村山政権を選ぶのか、河野政権を選ぶのかというような選挙に、一方でやはり政党が意識的に努力をしていく必要があるのではないか。今までの個人選挙から政党選挙に変えていくということは、政策を提起をすると同時に、もう一方で政権の姿なりそういうものを政党自身が国民の前にきちんと出していくというようなことが新しい制度の選挙では求められるのではないか、このように思うわけでございますが、もし御所見がありましたらお聞かせをいただいて、私の質問を終わります。
  72. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 小選挙比例並立制は、政権の選択についての国民の意思が明確な形で示されるという特性を有する小選挙区制と、多様な民意というものを国政に反映をするところの比例代表制、これを並立させて、それぞれの制度の持つ特性というものを相互補完的に引き出していこうという考え方に立脚したものでございます。政策本位政党本位選挙を実現するために、私は適当な制度であろうというふうに考えております。  また、今回の改正法では、御指摘がありましたとおり重複立候補の制度なんかも設けたり、あるいは政党として当選させたい人について政党に幅広い裁量を認めるとともに、政党選挙運動を認めることといたしておりまして、小選挙比例代表並立制という制度の特性とも相まって、私は政党を中心として政権を選ぶ選挙の実現に資するというふうに考えております。  ですから、これは全体の具体的なことといたしましても、個人が後援会組織をつくってということではなくて、やはり一つ理念とかあるいは政策、こういったものを中心とした政党というものが政党活動を日ごろからするということになっていきますし、それとあわせて、候補者もその中から選定され、候補者も一緒に選挙活動あるいは広報活動あるいは住民の声というものを吸収していく、そういう役割を果たしていくということになろうと思っております。そこにおのずと政治も変わってくるというふうに考えます。
  73. 堀込征雄

    ○堀込委員 終わります。
  74. 松永光

    松永委員長 前原誠司君。
  75. 前原誠司

    ○前原委員 新党さきがけ・青雲・民主の風を代表いたしまして、質問をさせていただきます。  まず、現在の政局をにらんでの総理政治改革実現の決意についてお伺いをしたいと思います。  不信任案が出る出ないというふうな話でございますけれども、万が一可決をされるということになりますならば、解散・総選挙か総辞職かということになるわけでありますけれども、私、個人的には今中選挙区で選挙をする意味は全くないというふうに思っております。例えば、区割り案がもうすぐまとまるというふうなところまで来ているにもかかわらず、それで選挙をしたということになったら、取り決めにおきましては、区割り策定後速やかに新しい制度のもとで選挙を行うということでございますから、また一年もたたないうちに選挙だということになります。  それから、今選挙をしても、私は政党の構成比というのはほとんど変わらないというふうに思っております。我々のように新党ブームで出てきた人間が負けて、その減った部分が各党で割り振られるということで、自民党さんも過半数を超えないし、少数与党も安定にはならない、ほとんど意味がないのではないかというふうに思います。  また、サミットが来月ございますけれども、二年続けてレームダックで総理がサミットに出るということになりますと、日本はサミットをばかにしているのかというふうなことにもなりかねない。  また、私は非常に朝鮮半島のことに関しては楽観論者でございますけれども、万が一ということもございますし、そのときに衆議院議員が一人もいないということになれば、非常に大きな問題であると思います。  また、何よりも、今選挙が行われた場合に、何を争点に選挙を行うのかというふうなことは国民の皆様方には非常に不明確で、ますますこれは政治離れを増長してしまう。そして、総理自民党におられるときからミスター政治改革ということで、このことについて一生懸命に努力をされてこられまして、二つ内閣をつぶして六年越しでやっと決まりかけている、これをまた白紙に戻すような可能性がある。  ですから、私は今解散・総選挙というものは絶対にすべきじゃないというふうに思いますけれども総理はどういうふうにお考えで、もし選挙をやるとしたときに、そのプラス面はどこにあるのか、それを教えていただければというふうに思います。
  76. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今御指摘のありましたのは、まさに世論を代表してのお話だろうというふうに私は受けとめました。  ただ、今私自身がこの仮定の問題につきまして、しかもちょうど予算ですとかあるいは関連法案、そしてこの政治改革法案、これを御審議いただいているこのときに、私が、その今言われた結果について、こうあろうということを申し上げることだけはひとつお許しをいただきたいというふうに思っております。  いずれにしましても、今私は、当面する、山積いたしております課題というのは、これはだれも反対できるものでないし、また、反対できるものじゃないという言い方は少しオーバーだと思いますけれども、避けて通ることのできない課題であろうというふうに考えておるところでありまして、今解散というよりは、一日一日を誠心誠意を持って務めていく、私はむしろ国民の皆さんはそのことを望んでいてくれるのだろうというふうに理解をいたしておるところであります。
  77. 前原誠司

    ○前原委員 一点だけ事実確認でございますけれども、ある新聞に、総理が土曜日に街頭演説をやられたときに、今選挙をやっている場合じゃない、もし不信任案が可決をされれば総辞職だというふうな報道がなされておりましたけれども、それは事実でございますか。
  78. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 いや、それはどういうあれで話したか、ちょっと今私記憶しておりません。核問題で大分おしかりを受けまして、誤解を呼んでしまったことは、これはテープを起こして実は自分でも聞いたのですけれども、ここの部分については特に聞いておらないのです。私は、今解散やっているときじゃないよという話はいたしたというふうに思っておりますけれども、総辞職するとかしないということについては述べておらないのじゃなかったかというふうに思います。もし、総辞職ということを言ったとしても、今言われたような意味じゃないというふうに思っております。
  79. 前原誠司

    ○前原委員 我が会派の中でも、例えば不信任案の問題について、賛成するのは非常に簡単である、しかしながら、やはり各政党あるいは各会派なりが、じゃ不信任案を出して次の内閣をどういうビジョンで持っていくのかというものがなければ、やはり私は不謹慎であるし、責任感が余りにもなさすぎるのじゃないかというふうに思っております。  逆にまたお尋ねしたいわけでございますけれども、今少数与党だからということで不信任案が出されるというふうな意見も少々ございますけれども、じゃ安定政権にするためには総理は、この国会会期末を迎えてどういう政権につくり直そうというふうにお考えになっているのか、お聞かせ願えればと思います。
  80. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この私の内閣、出発のときに行き違いがございましたでしょう。言葉のあるいは理解の行き違いがあったのだと思います。そういう中で、せっかく多くの支持を得ながら、発足したときには少数政権になってしまったということで、私は本当に残念に思っております。  しかし、私は、この私の内閣になる前の八カ月というものを振り返りまして、先ほどどなたかからちょっと御指摘があったのですけれども、私は別にみずからが政権をつくろうというつもりでいたわけじゃない。むしろ、この選挙制度を直して、そういう中で、当時野党と言われた皆様方が政界再編成する、そして自民党と拮抗するような、お互いに競争の状況になると案外おもしろい政治が生まれるのじゃないのかというふうに実は考えておったのですけれども、結果として私は飛び出てしまいました。  そして、そのときにしかし考えましたのは、ともかく世界はやはり動いているのですね。ともかく、エリツィンさんとアメリカの大統領とお互いにこれから協力していこうという時代になってきている。共産主義とあるいは自由主義の大本山のお二人が肩を抱き合いながらやっておる。こういう時代に、さて日本を振り返ってみたら、いろいろな指摘があるのに我々はいつまでもこんなことをやっていていいのか。だったならば、これは今まで野党で真っ正面から戦っていた仲かもしらぬけれども社会党さんと一緒にやってみてもいいじゃないかという思いを持ったというのが私の率直な思いでありまして、そしてお互いにこの八カ月間、確かに社会党さんあるいはそのほかの政党皆さん方も苦しかったと思いますよ。我々もどちらかというと余りなじまなかった問題に、話している間にやはり我々も歩み寄らなければならないというので、一つの垣根を超えたというふうに思います。  それが、私は、新しい政治のこれからの行く姿じゃないのかなというふうに考えておりまして、私はこの八カ月間の歩みというものは決して間違った歩みじゃなかったというふうに思っております。その意味では、きょうはここに社会党の方もたくさんいらっしゃいますけれども、一日も早く一緒に、本当にもう一度、そういった行き違い、言葉の行き違いというものは、これからの新しい国をつくるということに立ったときには、私はそれを超えることができるというふうに考えておりまして、そういう中でまた自民党がよみがえる、我々はまた力を持つ、こういった中で拮抗すればおもしろい政治が、私は、ダイナミックな政治日本に起こるだろうというふうに確信をいたしております。
  81. 前原誠司

    ○前原委員 別にひがんでいるわけじゃありませんけれども、私は、日本新党を離党いたしまして、今民主の風という、新党さきがけと統一会派を組んでおりますけれども、何か総理お話しするときは、いつも社会党さんのことはよく言われるけれども、我々の会派のことは一言も言われたことがない。  私は、首班指名のときに羽田孜と書きまして、孜という字は生まれて初めて書いたわけでありますけれども、どういうふうにそこら辺は、私だったら逆に聞きやすいと思いますので聞きますけれども社会党さんだけでいいわけですか。
  82. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 いや、社会党さんは、予算とか関連法案、こういったものは一緒に例の合意をしたことであるから我々はこれに責任を持つ、しかしこれからは我々は野党であるという実は言い方をされました。さきがけの皆さんは、いや我々は閣外協力であるというお話でありますから、私どもは、当然なんてこんな不遜な言い方をいたしませんけれども、我々一緒に、ともにあるのだということを思っておるものでございますから、特にさきがけという名前を言わないということを御理解をいただきたいというふうに思います。
  83. 前原誠司

    ○前原委員 もう時間が終わりましたので、終了させていただきますが、きのうも自治大臣には申し上げたのですけれども、仮にこの法案というものがきっちりまとまって六年越しの政治改革ができたとしても、腐敗防止の問題、それから政党助成の問題なんか、私はまだまだ欠陥が多いというふうに思っておりますので、絶えず、今まで政治改革に真剣に取り組んでこられた総理自治大臣でございますから、引き続きさらなる政治改革というものに取り組んでいただきますことを心から、私も努力いたしますので、お願いをいたしまして、質問を終わらしていただきます。
  84. 松永光

    松永委員長 東中光雄君。
  85. 東中光雄

    ○東中委員 総理にお伺いするのですが、これは毎日新聞ですけれども、「羽田孜首相は十八日、JR錦糸町駅前で行われた四回目の連立与党街頭キャンペーンで演説し、」こう書いてあるのですね。「(現行の中選挙区制度で選挙を行えば)今と同じ(政治状況が続く。予算が通ったら野党が内閣不信任案を出そうという動きがあるが、不信任案が通ったら総辞職か解散しかない。私は解散はしちやいけないと言っている」、解散はだめなんだ、こう言っておるわけですね。その理由は、結局、現行中選挙区制度のもとで選挙をやれば政治状況が変わらない、政治勢力が変わらないんだから、だから解散には反対だ、こういうふうに聞こえるんですが、そういうことですか。
  86. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 その言い方で、前原委員から先ほど御指摘あったのがわかりました。  まさに私は、勢力が変わらない、今いろんな世論調査出ておりますけれども、そんな大きな実は変化がないということがあります。これが一つです。  それからもう一つは、どうしても、これは東中委員からこの前のときもたしが御指摘いただいたかもしれませんけれども、やはり選挙を終わってきますと、今政治改革をやらなきゃならないということでなくて、今度新しい人たちがまたこの中選挙区から出てきますと、やはりこの制度の中で選挙をやる方がいいという思いの人もある程度出てくる。ということになりますと、せっかくここまで煮詰まってきたものがまた一歩後退ということになってしまったなら、いつまでたってもこの制度はできないということになってしまうだろう、私はそんなふうに思いまして、何とかやはりこの制度の中で選挙ができるようにした方がいい。だから、今解散することじゃないんじゃないのかなという思いを実は述べたんだと思います。
  87. 東中光雄

    ○東中委員 これは公明新聞ですが、六月六日付です。ここにこう書いてあるのですね。  現行中選挙区制でやっても勢力はほとんど変わらない、何のための選挙かということになる。ちょうど解説があるのですが、   今の政党状況のまま中選挙区制で選挙をしても、単独で過半数議席を獲得できる政党がないことは各種の世論調査などで明らかであり、選挙をやっても現在の政党勢力はほとんど変わらず、「多数与党で政局安定」という事態になる保証はどこにもない。結局は「何のための総選挙だったのか」ということになる。   従って、「政局が不安定だから解散」というのは国民を欺く奇弁にすぎない。こう書いてあるのです。  どうも今、後半で言われたことは別ですが、要するに中選挙区制のもとでやったら政治状況は変わらぬのやから、そんな選挙をやったって何にもならぬ。だから、選挙をやるというのは政局安定にならぬのだからだめだ、こう言っているのですが、同じですか。
  88. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今御紹介があった公明新聞の場合も、やはり最近の幾つもの世論調査ということが言われております。要するに、国民が今選挙を望んでいるか望んでいないかということがそこに書かれているんじゃなかろうかと思うのですよ。  ですから、今本当に何か国民の信を問わなきゃならないような課題、例えば私たち政治がとんでもない政策でもやって国民の理解が得られないということであるんだったら、あるいは与党と野党と真っ正面からぶつかってしまったというんだったら、これは私は別だと思いますよ。いつ解散があったっていいと思いますけれども、今そういう状況じゃない。しかも、今我々の前にある課題というのは、これは避けて通れない課題であろうということでありますから、私はみんなが同じ土俵の中で議論することができる課題であろうというふうに思っております。
  89. 東中光雄

    ○東中委員 いやいや、選挙をやって政治状況が変わるんだったら選挙をやる、変わらないんだからやる必要がない、こういう論なんですよ。これは、変わる保証があればやるということなんですよ。保証のないものを、はっきりと公明党のものはそう言っているんですよ、何のための総選挙かということになると、多数与党で政局安定というような事態になる保証はどこにもないと、保証があったら解散してもええんだと、こういう論理なんです。これは、そうはっきり書いてあるんです。  そこで、昨年のこの並立制の国会審議のときに、当時の細川総理は、これは例えば九三年十月八日の参議院の予算委員会ですが、この並立制をつくることは、強力な政治を実現していく、それでなければとてもこういう国際社会の中で的確に状況に対応していくことはできない、政治がいつもごたごたしていたのでは困る、だから三百の小選挙区で選挙制度をつくるんだということを言っているんですよ。この論理なんですね。  この小選挙区制ができれば、そして三百の小選挙区制で新生党を中心とする勢力が多数を占め得るような条件があれば、それなら解散をするんだ、今は中選挙区制でやったって政治状況が変わらぬから反対なんだ、できたらやるんだ、こういう論理になるんです。そうじゃないんですか。
  90. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私が申し上げたのはそういう意味でもないんですよ。やはり解散というのは、当然そうですよ、私が、あるときには少数でどうにも仕事ができないよというときに、これは過去にあってもそういったことがあったでしょう。しかし、今私たちが抱えている課題というのはみんなが理解されるものであるんだから、本来、やはり政策のよしあしということでやっていくわけですよ。  それから、数を多くするのも、この政策を通すためには何とか数を多くしなきゃいけないということなんですけれども、今の状態というのは、私は先ほどから申し上げているように、この難問、難しい問題というのは、みんなだれもが避けて通れない問題で、同じ土俵の中で議論できる問題なんだから、私は今選挙をしなくたって、そういった問題については、私は誠心誠意さえ尽くせば皆さん理解を得られるんじゃないのかということの思いでおるわけでございます。ですから、そこに書いてあるのとちょっと違うかもしれません。
  91. 東中光雄

    ○東中委員 それは違うんですよ。私が言っているのは、あなたの方の小選挙区並立制をつくるときの細川首相の論理は、強力な政治をつくる、安定した政権をつくるためなんだということであった。今中選挙区制のままでやったんでは、不信任が可決されても解散するというようなことはすべきでないという、それに反対なんだというあなたの論理は、中選挙区制でやったら政治状況が変わらないからだと言っているから、政治状況が変わるような選挙制度ができたらやるんだけれども、それまではだめだと言っていることになる。  今問題は何もないと言いますけれども、今区割りを進めている小選挙区並立制、これ自体はこの前の、これは七十年来の選挙制度の抜本改革、まあ私たちで言えば抜本改悪ですよ。その制度改正について、小選挙区並立制をやるんだということをこの前の国会で、総選挙のときに公約したことがありますか。どこもなかったじゃないですか。並立制というのはだれも言わなかったじゃないですか。一回も国民に信を問わないで、そして並立制というような小選挙区制導入という七十年来の大改悪をやった。それを国民に信を問うのは当たり前じゃないかというのが私たちは第一の問題だと思っています。  今問題になっている、羽田内閣が最大の課題としている税制改革、この消費税を一〇%あるいは何%になるか知りませんが、大幅な税率アップ、こういうこともこの前の選挙のときに公約したですか。全然してないじゃないですか。むしろ反対だという公約をしたところが今与党の中にいるじゃありませんか。そういう状態を、国民に信を問うべきであるというのが私たちの考えであります。  北朝鮮の核疑惑を口実にした有事体制づくりというふうなものは、これは憲法上の大問題が起こってくる。そういうものこそ国民に問うて、そしてまさに国民の信を問うべきだ、そういう意味の解散をやるべきだということを私たちは主張しているのであります。  だから、あなたの言われているように、何も課題はみんな違うところはないんだということではないです。信任できない、だから解散して国民に信を問えということが私たちの要求です。お考えがあったら言ってください。
  92. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 だれも問うたことないだろうということでありますけれども、この前の前の選挙でしたか、自民党政治改革大綱をつくりましたね。たしか参議院も衆議院の選挙もこれでやっていますよ。これは、小選挙区に比例を加味するということがはっきりと実はもう書かれておるわけですよね。  それから……(東中委員連立与党は何もないと言っているんです」と呼ぶ)いや、私たち連立与党で、私は全国回ったわけですけれども、どこでも、私自身は比例並立ということをずっと訴え続けてきておりますし、あるいは今の税制についても、例えばあのころは減税の論議がありました。しかし、皆さん、減税をやるときにはどうしても増税という問題がつくんですよと。それは、将来のやっぱり直間比率というものを正しながらやらなきゃいけないということなんかについても実はお話ししました。  ただ、今有事立法どうのこうのというのは、これはだれも私の内閣で今有事立法やろうなんということは一つも申し上げておるわけじゃございませんでね。国会の中でいろんな議論が今ありますよ。しかし、何も有事立法を私今だれかに指示してやらせましようと、そんなことをしているわけじゃないんで、これはちょっと言い過ぎではなかろうかというふうに思います。
  93. 東中光雄

    ○東中委員 時間ですから、言われていることはちょっとすりかえだということだけ申し上げておきます。論理ははっきりしているんですから。現在の政治状況が変わらぬような中選挙区制はやめだということを言っているということに問題があるということを言っているんです。  終わります。
  94. 松永光

    松永委員長 増子輝彦君。
  95. 増子輝彦

    ○増子委員 新党・みらいの増子輝彦でございます。  今、ずっと総理お話をお聞きしながら、総理の好きな温故創新という言葉を実は思い出しておりました。昨年の今ごろ、選挙戦に突入をするということで大変な政治状況であったわけでございます。とにかく政治改革をやろうと、足かけ七年にわたってこの議論をずっとやってまいりまして、ようやく実現をしようとする今の状況、本当に私、どうしてもこれはやらなければならないと思っております。  先ほどお話がありましたとおり、かつて自民党時代総理と一緒にオーストラリア、ニュージーランドに政治改革調査に行ったことも、きのうのことのように実は思い出しております。私ども新党・みらい、改革と創造の政治をどうしてもやらなければならない、と同時に、それは信頼の政治があって初めてこの改革というものが実現できるんだと、そういうふうに私どもは立党の精神の中に掲げているわけでございます。  そういう意味で、新党・みらい、何よりも政治改革をとにかく実現をするんだということで今一生懸命やっておりますし、先般の首班指名におきましても、総理を、首班指名の投票ということで、私ども新党・みらいも五名、羽田孜と書かしていただいたところでございます。  その理由はなぜかと申しますと、やはり一つには総理政治姿勢や、あるいは政治改革に対するそのお姿勢というものが私ども五人と本当に一致している。どうしてもこの国家を変えていかなければならない、政治を変えていくんだというその情熱や姿勢に我々は共鳴をすると同時に、総理から当時提案をいただきました連立政権樹立のための確認事項というものがあったわけでありますが、これに同意をしたわけであります。と同時に、これを同意したということは、その冒頭で、次回総選挙は新制度のもとで実現をするんだということが実は明確に打ち出されておったということが、私ども羽田首班指名をしたという最大の理由でもあるわけでございます。  我々政治家というものは、やはり責任の所在を明確にしなければなりません。今日まで政治改革をやる、やると言って、結局できなかったものが目の前まで来ましたが、今ここに至りますと、ちょっと変な空気が出てまいったということを大変憂慮すべきだと思っておりますし、三百六名の、全衆議院議員の六割が今中選挙区ではだめだ、新しい選挙制度でやるべきだという署名もしながら意思の確認を明確にしていること、その責任は重いものが私はあると思っているわけでございます。  そういう中で、政治家は、我が身を削って、そしてその痛みを感じることから初めて国民の皆さんにいろんな無理なお願いをしていくということになっていかなければ、政治の信頼というものは生まれてこないし、責任というものの所在は明確になってこない、私はそういうふうに常に思っているわけでございます。  まず、そういう意味で、総理がどうしても次の選挙は新しい制度でやるんだと、その決意は全く変わりないと思っておりますが、総理におきましても、どうぞこの決意、改めて、あらゆる努力をしながら、どんな状況になってもこの政治改革を実現をして、新しい制度で次はやっていくんだということの決意を改めてお聞きいたしたいと思います。
  96. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 改革は、今お話がありましたように、どうしても痛みを伴うものであろうと思います。それから、確かに、ただ反対ということだけでなくて、こういう方法もあるんだよという議論がある方もあろうと思います。しかし、ベストのをつくろうったって、これは実際無理なことでありますから、今お話があったように、この法律に対してどうしても通さなきゃならぬという人が三百六名ということ、しかし、そのほかに名前は書けない方たちもあるということで、相当な数の方になっておるということでございます。  私は、やっぱりこのときに通さなかったならば、残念ですけれども、今言われたように、それで、私も先ほど申し上げましたように、ほかの難しい問題について、私は国民の皆さんにこれをやってくださいなんてことは言えないと思います。ですから、何としても、国会議員みずからが痛む。一番痛むのは、何でもないんですよ、やっぱり選挙制度なんですよね。これをいじられることが国会議員にとって一番痛いことです。ですから、私どもは、これに対して勇気を持って挑戦し、これをなし遂げて、そして本当の意味での議論できる政治、あるいは金との問題、こういった問題を解決していくことが今望まれているであろうというふうに思っております。  ですから、私は、一般論としますと、当然、解散権というものはいかなるときも奪われないということを承知しております。要するに、アメリカなんかの場合にはこれは拒否権、ビート権がありますわね。ところが、日本の場合にはそれがない。内閣が最後の国会とのぶつかり合い、対決の場のときに、解決するためには解散権しかないということでありまして、いかなることも、私は解散権は放棄すべきじゃないと思っている。しかし、この法案をここまでやってきたことであるし、新しい展望を開けるか開けないかというときなんですから、私は、この次の選挙は何とか新しい選挙制度のもとでやることが最もベターなことであろうというふうに考えておるところであります。
  97. 増子輝彦

    ○増子委員 ただいまの総理の決意をしかと承りました。どうぞこれ、実現のためにあらゆる努力をぜひしていただきたいということ。そして何よりも区割り、これはやはり公平、公正、中立ということが大原則でございますから、これを踏まえて、一日も早くこの区割りというものをつくっていくということが我々国会議員責任だとも思っております。総理、頑張ってください。ありがとうございます。
  98. 松永光

    松永委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十八分散会