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1994-06-06 第129回国会 衆議院 商工委員会消費者問題等に関する特別委員会連合審査会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
平成六年六月六日(月曜日) 午後一時三十一分
開議
出席委員
商工委員会
委員長
白川
勝彦君
理事
逢沢 一郎君
理事
甘利 明君
理事
尾身 幸次君
理事
額賀福志郎
君
理事
伊藤 達也君
理事
古賀 正浩君
理事
大畠 章宏君
理事
河合 正智君
小此木八郎
君
熊代
昭彦君 住 博司君 谷川
和穗
君 浜田 靖一君
青山
丘君
栗本慎一郎
君 小泉 晨一君 土田 龍司君
豊田潤多郎
君
西川太一郎
君 西村
眞悟
君 藤村 修君 山田 正彦君 山本 孝史君 松本 龍君 和田 貞夫君 赤羽 一嘉君 赤松 正雄君
佐藤
茂樹君 井出 正一君 枝野 幸男君 吉井 英勝君
消費者問題等
に関する
特別委員会
委員長
玉沢徳一郎
君
理事
佐藤
剛男
君
理事
二田 孝治君
理事
実川 幸夫君
理事
中村
時広
君
理事
大木 正吾君
理事
青山
二三君
小此木八郎
君 岸田 文雄君 岸本 光造君 吉田 公一君 伊東 秀子君 石井 智君
岡崎トミ子
君 上田 晃弘君 大口 善徳君 矢島 恒夫君
出席国務大臣
通商産業大臣
畑 英次郎君 国 務 大 臣 (
経済企画庁長
官)
寺澤
芳男君
出席政府委員
経済企画庁国民
生活局長
坂本
導聰
君
経済企画庁国民
生活局審議官
塩谷 隆英君
通商産業大臣官
房総務審議官
江崎 格君
通商産業大臣官
房商務流通審議
官 清川 佑二君
委員外
の
出席者
法務省民事局参
事官
升田
純君
厚生省薬務局企
画課長
矢野
朝水君
農林水産省食品
流通局消費経済
課長
大隈 満君
建設大臣官房政
策課長
林
桂一
君
特別委員会
第二
調査室長
田中
宗孝
君
商工委員会調査
室長
山下 弘文君 ————————————— 本日の会議に付した案件
製造物責任法案
(
内閣提出
第五三号) ————◇—————
白川勝彦
1
○
白川
委員長
これより
商工委員会消費者問題等
に関する
特別委員会連合審査会
を開会いたします。 先例によりまして、私が
委員長
の職務を行います。
内閣提出
、
製造物責任法案
を議題といたします。
本案
の趣旨の
説明
につきましては、これを省略し、お手元に配付してあります資料により御了承願います。 これより
質疑
に入ります。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
佐藤剛男
君。
佐藤剛男
2
○
佐藤
(剛)
委員
消費者問題等特別委員会
に属しておりますが、
委員会
の代表の一人としまして、
意見
を申し述べさせていただきます。 このたびの
PL法案
は長きにわたったものでございます。
歴史
をさかのぼりますと、
昭和
五十年、
我妻栄先生
が
中心
になりましてこの
要綱
を出されたわけでございまして、自来二十年近くたっておるわけでございます。私は、
我妻試案
と比較いたしますと、この
程度
の
PL法案
では、案が遅きに失しているのじゃないかという
感じ
を持つわけであります。ここに、
法務省
からいただいた「
製造物責任法要綱試案
製造物責任研究会
」という
我妻先生
の案がございます。 それはさておき、
消費者行政
につきまして各
省庁
、
企画庁
を
中心
に積極的に取り組まれたということに対しまして、
企画庁
の
方々
を
中心
とする
関係各位
に敬意を表します。
消費者
というのは、別の面で言いますと
生活者
でもあるのです。
八百屋
さんが
魚屋
に行けば
消費者
なんです。
魚屋
さんが
肉屋
に行けば
消費者
であります。
肉屋
さんが
八百屋
さんに行けば
消費者
なんです。
テレビ
の
メーカー
で
テレビ
をつくっている人が家へ帰れば
消費者
なんです。その
意味
でいきますと、
消費者イコール生活者
であり、あるいは
国民
一人一人であるという
感じ
がいたします。そうすると、
消費者行政
の
中核
は、
消費者
が、
国民
が何を考え、どの
よう
な行動をしているかということを考えて手を打っていくのが
消費者行政
だと私は思っておりますし、私自身は
消費者行政
を担ってきた経験がありますので、そういうことを改めて思い知るわけであります。
最初
に申し上げました
昭和
五十年、今から約十数年前でありますが、そういう五十年という
一つ
の区切りのときに
要綱試案
が提起されておりまして、この
要綱
を
民法
の
学者
が、時の
我妻栄
と言えば、これはそうそうたる
先生
でありまして、その
先生
が出されたものが今日ここに至っだということは、私は
法務省
も若干の
責任
があるだろうと思うし、何か急に
PL
、
PL
と言い出されてきたというのは納得できないわけであります。 私は、
歴史
的な
区分
で
消費者
問題を取り上げ、過去を振り返ってみたいと思うのですが、戦後二十年から三十五年、
一昔
というのは十年と言いますけれども、私は
一昔
というのは大体十五年だと思っている。十五年ぐらいで換算していきますと大体世の
流れ
がわかるわけであります。
昭和
三十五年といえば、御
承知
の
よう
に、
日米安保条約
を通すか通さないかということで国会が日夜囲まれまして、そして
樺美智子
さんが亡くなったのが
昭和
三十五年。このときの一番の
ベストセラー
が「きけわだつみのこえ」という本で、売れておりました。私もそのころは学生でありましたが、二十年から三十五年というのは、
一つ
の
時代区分
で言うと、
政治
の
時代
であろうと思います。
政治
が
経済
あるいは
文化
に非常に先んじた
時代
でありました。 そのときの
消費者
の気持ちは何にあったかというと、しっかりしたきちんとした着物を着たいうまい物を食べたい、いい家に住みたい、いわゆる三種の神器という
よう
なものがあった。
国民
、
消費者
には、
一種
の
飢餓感
というか
不足感
が漂っていたわけであります。この
不足感
にいかに対応してやるかという政策が必要であって、御
承知
の
よう
に、岸さんが三十五年の
日米安保
のときに刺されて、そして
池田総理
になっていわゆる
所得倍増計画
が推進されて、三十五年から五十年というのは
経済
の
時代
に入っていくと思います。
政治
の
時代
から
経済
の
時代
に入った十五年だと思う。 地方からたくさんの
人たち
が東京に集中した。そして、
日本
の
経済
がいわばガットの中における
自由化
ということをやり始めたのです。
自動車
の
自由化
が
昭和
四十年だ。
コンピューター
の
自由化
が四十三年だ。その
コンピューター
の
自由化
で大半の
工業製品
というのはそこで終わったのだ。もしそのときに米の問題をきちんと取り上げておれば、米の
農業
について
日本
の
産業資本
が入るという道を考えていれば、今日の
日本
の
農業
はもっとしっかりしていたと私は思います。この間、
予算委員会
で、
畑通産大臣
、当時の
農林大臣
には、私、
言葉
が悪いですけれども、二回ばかり食ってかかりまして、今の米の減反を国際的に公約した
愚劣外交
であるということを申し上げましたけれども、それが
昭和
四十年代でございます。
消費者
にはいろいろの
不満感
が出てきました。環境問題、
大気
の問題が出ました。
大気汚染防止法
ができました。水の問題について
水質汚濁防止法
ができました。
騒音規制法
ができました。これは大体
昭和
四十年の半ばであります。それと同時に、
消費者保護基本法
というのができ上がったのが、
企画庁長官
、御
承知
の
よう
に
昭和
四十年の半ばであります。そして、四十六年にニクソン・
ショック
もありました。それがあって一ドル三百六十円
体制
が崩れたけれども、
石油ショック
が
昭和
四十八年にあったけれども、全体として眺めれば、
ベストセラー
で
ハウツー物
がはやり、重役になる方法がどうだとかいう
流れ
は
経済
の
時代
であり、
国民
には、戦後十五年間の
不足感
と違って、
不満感
が漂っていた
時代
であります。 この
不満感
をいかに解消するかということが
消費者行政
の
中核
だった。そして、その
中核
の中でいろいろな
法律
の体系というものもできています。通産省も
消費者行政
を推進した。
企画庁
も行った。各
省庁
ともやってきたわけであります。 そして、
昭和
五十年になろうとしているころ、当時を眺めていきますと、
ベストセラー
に
塩月弥栄子
さんの「
冠婚葬祭入門
」がなります。「
冠婚葬祭入門
」が
ミリオンセラー
になる。百万部売れる。そうするとまたさらに
塩月弥栄子
さんが「続
冠婚葬祭入門
」を書く。そうなりますとまた
ミリオンセラー
になる。いわば
経済
の
時代
から
文化
の
時代
に入ってくる。おじさんが亡くなると、会社も、休暇をとって行ってこい、こういう
時代
に入ってくるのであります。 その
昭和
五十年の一番の
時点
に、私が
最初
に申し上げた
我妻栄
さんという、私の恩師でもありますが、
民法
の
学者
が「
製造物責任法要綱試案
」を出された。 私はなぜそういう
一つ
の
時点
を申し上げるかというと、この
政治
の
時代
、
経済
の
時代
、十五年ごとの
政治
の
時代
、
経済
の
時代
というのが終わろうとしている。その間に
石油ショック
もあったし、一ドル三百六十円
体制
が崩れたが、五十年から何となく、
時代
的に言いますと、私は
文化
の
時代
と称していいのじゃないかと思いますが、そういう
流れ
。
消費者
・
生活者
はどういう動きをしたかというと、何か先が見えてきた、何か将来に対する
不安感
が出てきた。年をとったらば就職できるのか、年金がきちんともらえるのか、健康なのか、
子供
は一緒に住んでくれるのか、言うならば
一種
の
不安感
であります。 この
不安感
の逆は、安定であり、
安心
であります。そういう
意味
で、自民党の政権が
安心
、安全という面をとらえながらやってきたということは私は正しいと思うし、それが
国民
に
安心
、安全、安定という志向をもたらしてきたのだろうと思っております。 そういう安全という枠内で私はこの
製造物責任
というものをとらえたい。しかし、それは少し遅過ぎる、この
程度
のものであるならば。
法律
というのは運用でありますから、これから申し上げますが、いろいろの課題があります。 そういうふうな枠内で、
消費者
が、
生活者
が今一番考えておることというのは、安全という
一つ
のものが出てきて、この
製品
は安全なのか、薬は安全なのか、食べ物は安全なのか、こういう面にもう既に五十年のころから移ってきているのがいわば
消費者
であり、
消費者
はライフスタイルを既に自覚して行動していたんじゃないか。 その
意味
では、今回の
消費者行政
の問題についてけちをつけるのではないのですけれども、この六条に収れんじているものは重要だと思いますよ。大化の改新、聖徳太子の憲法は十七条たがら、まずそういうふうな
観点
で本件をとらえるべきではないか、私はそう考えるのであります。私の
意見
でございます。
通産大臣
、
企画庁長官
、ひとつまず御所見をお聞きいたしたい。質問しているんじゃないのです。
意見
をお聞きいたしたい。
畑英次郎
3
○
畑国務大臣
とりわけこの問題につきましてはかなり早い時期からいろいろ御
検討
、御
研究
をされておられる
佐藤先生
ということを
承知
いたしているわけでございます。 今、そういう中にございまして、十年あるいは十五年単位でもって
世の中
が、そしてまた
価値観
が、人々の
生活
のあり
よう
が大きく変わるということが、今日までの
一つ
のあり
よう
でなかったかなという
よう
に考えるわけでございます。そういう中にございまして、
大量生産
そしてまた
大量消費
、こういう
よう
な本格的な
産業分野
における成熟といいますか、いろいろな問題がそれに伴いまして
発生
をする中にございまして、ただいま
先生
御
指摘
のとおり、いささか遅きに失したのではないかという
よう
な御
指摘
を賜ったわけでございます。 私は、やはりか
よう
な
時点
におきまして、この問題を機に、ある
意味
におきましては
国民各界各層
の
方々
が、従来の
生活
の基本的な位置づけ、物の
考え方
、そういうことの中にございまして、
意識改革
をしなければならない。そういう
よう
な
意味合い
で、今回この
PL法案
によって
一つ
の
問題提起
が
国民各界
にもされておる。 そしてまた、
行政
の面におきましても、さ
よう
な
意味合い
での御理解といわゆる
啓蒙活動
を真剣にやらなければこの
法案
を制定した
意味
がない、こういう
よう
にも考えるわけでございまして、ただいま御
指摘
を賜りました
よう
な
意味合い
の中から、この
法案
の一日も早い成立をお願い申し上げますとともに、
行政サイド
における取り組みのさらなる努力を重ねていかなければならぬという思いを新たにさせていただいている次第でございます。
寺澤芳男
4
○
寺澤国務大臣
委員
がおっしゃったことに私は一〇〇%同意をしております。やはり
生活者重視
の
世の中
で若干遅きに失したのじゃないかと思われますけれども、こういう
法案
がやっと審議されているというこの状態で、ぜひこれが成案となります
よう
、そして
生活者本位
のそういった社会のためにこの
法律
がよく利用されます
よう
私は念願しております。
佐藤剛男
5
○
佐藤
(剛)
委員
ありがとうございました。 それでは
法務省
、私が言いましたこの
我妻試案
、一番早い
昭和
五十年に出したものとこの六条、
本案
との
根本違い
を三つ言ってください。
升田純
6
○
升田説明員
ただいま
委員
御
指摘
の
我妻東大名誉教授
が、
昭和
四十七年に
検討
を開始され、
昭和
五十年九月に「
製造物責任法要綱試案
」として公表されたものと今回の
法案
との違いでございますけれども、いろいろな面がございます。 三つと言われますとやや迷いますが、大きな点では、例えば
推定規定
を
我妻試案
では採用しておりますけれども、今回の
法案
では採用しておりません。 それから、
欠陥
の
定義規定
、これは本
法案
では「通常有すべき
安全性
を欠いていること」となっておりますけれども、
我妻試案
では「
製造物
の通常予見される使用に際し、生命、身体又は財産に不相当な危険を生じさせる
製造物
の
瑕疵
」というぐあいになっております。 あるいは
責任主体
の点でございますが、今回の
法案
では、
製造業者
、
輸入業者
あるいは
表示製造業者等
に限られておりますけれども、
我妻試案
におきましては、
販売業者
、
賃貸業者
、
運送業者
なども含むということになっております。 あるいは
責任期間
の点でございますが、長期の
責任期間
、本
法案
におきましては原則十年という
除斥期間
を設けておりますけれども、
我妻試案
におきましては
損害発生
時から二十年という
よう
に提案されております。 そのほか幾つかの点は違いがある
よう
に見受けられます。 〔
白川委員長退席
、
玉沢委員長着席
〕
佐藤剛男
7
○
佐藤
(剛)
委員
ありがとうございます。 私は、今おっしゃられましたけれども、
一つ
の問題は
定義
、
我妻試案
で言っております
定義
というのは、
流通
に置かれているもの全部を書いている。こちらは
動産
。
不動産
は入らない、電気は入らない、こういう形になっていますね。私はその問題がちょっと大きいと思っているのです。この問題についてちょっと
関係省庁
に伺います。
建設省
、これは私がよくいろいろな会で言っておりましたが、ちょうど
昭和
五十年の初め、ラルフ・ネーダーという
アメリカ
の
消費者運動家
が
日本
に夫婦でやってきまして、私、一晩彼と飯を食いながらいろいろ
議論
を闘わしたことを思い出しております。そのときに彼が言っていた
製造物責任
、
プロダクトライアビリティー
、私が
プロダクトライアビリティー
という
言葉
を聞いたのは彼からが初めてでありました。 彼が来たのはなぜかというと、
プロダクトライアビリティー
について経団連において講義をするということで、スピーチがあったわけであります。その
プロダクトライアビリティー
というのは住宅問題だ。住宅におけるいわゆる
プロダクトライアビリティー
、
製造物責任
という問題を取り上げたのが彼でありました。
アメリカ
においてどうしてそういう
プロダクトライアビリティー
というのが
建築
との問題であるのかというと、彼が言っていたのは、
自動車
の問題とかというのが一番大きい。
自動車
で、
緩衝枕
をつけていたが、頭をぶつけて死んでしまう。
拡大損害
というのが多い。そのときに言っていたのが、
アメリカ
というのは広いわけですから、庭に
プール
をつくる。そうすると、
プール
というものは従物であるが、一体だから
不動産
だが、飛び込んで頭をぶつけて死んでしまう。
不動産
に付着している
階段
みたいなものがある。そうすると、
階段
というのが、
日本
みたいな小さいのと違って、ごらんの
よう
に、こんなふうになったりしてだあっと落ちてしまうわけだ。年寄りが落ちて頭を打って死んでしまったりする
ケース
が多いのです。そういうふうな問題についての
製造物責任
というものを、物をつくった人、ディベロッパーじゃなくて、そういう者に対してやっていかないと、つくった人と売る人は別になっている。
日本
の場合でもそうですね、分譲何々と同じ
よう
に。という
よう
なことで、
一つ
のはしりがありました。 したがって、その点について、僕の持論なのですけれども、これはこの案には入っていないのですが、
建設省
の
考え方
というのはどういうものなのかということをここでもう一度お聞きいたしたい。それから、
企画庁
はそれに対してどの
よう
に考えて外したのか、これもお聞きしたい。
林桂一
8
○
林説明員
不動産
を
製造物責任
の
対象
にするかについてのお尋ねだと思いますが、この
製造物責任
を果たす
製造物
の範囲については、
法案
の
作成段階
あるいはそれ以前の
国民生活審議会
の場におきましてもさまざまな
議論
がなされたわけでございますが、一般的に申しまして、
大量生産
・
大量消費
という形態が当てはまる
よう
な
製品
たる
動産
がその制度の
対象
になる
分野
であるということで、特に
不動産
につきましては、
契約責任
による
救済
がある、あるいは
民法
の七百十七条の
土地工作物責任
による
救済手段
が用意されている、あるいは
耐用年数
が長く、その間の
維持補修
といった
よう
な状況によってかなり左右されるという
意味
で、それらの性状を考慮する必要がある、また、
EC諸国
でも
不動産
は
製造物責任
の
対象外
であるという
よう
ないろいろな
観点
から、本
法案
の
対象
とすべきでないという
考え方
が大勢を占めまして、その
よう
に定まったものと理解しておるわけでございます。
佐藤剛男
9
○
佐藤
(剛)
委員
EC
は入れてない、これは事実なのです。ところが、
アメリカ
においては、州の中の
判例
には
不動産
というのは入っておる
ケース
がある。
判例法
の
積み重ね
もある。ですから、ここのところはどうするかという問題は
積み重ね
しかないのだろうと思うのです。
アメリカ
の場合というのは、
プール
をつけて
子供たち
がぼんと飛び込んで死んでしまう、ビニールのところでも何でも、水の深さが何かというその問題が争われるわけですね。今
アメリカ
は
たばこ
の問題ですら争っているのですから、
集団訴訟
をやっているのですから。
たばこ
というものについて、
メーカー
のフィリップ・モリスについて
クラスアクション
を出しています。そういうものがあるくらいですから、そういう
ケース
があってもしかりなのですけれども、
アメリカ
にはそういう事実があるわけですね。 だから、今おっしゃられた
よう
な、
民法
でできますよ、どうですよと言ったならば、この話はちゃらになってしまうのですよ。結局、みんな
民法
でできる、できないことはないのだ、
製造物責任
の
議論
というのは。
製造物責任
というものは、
民法
七百九条とかあるいは
瑕疵担保責任
とか、そういうふうなところでどうしても
メーカー
を追っかけていかなければいかぬ。
メーカー
の
責任
というより、
製品
の
欠陥
から出てきたものをやるのが
製造物責任
なのだ、
拡大損害
なのだというところから飛び出るわけですから、今
建設省
の言っている、そういう今
政府委員
の読み上げられた
よう
な形では十分ではないということを申し上げておきます。
企画庁
は取りまとめられたわけだと思うのですが、
問題提起
があったはずですが、
局長
、ひとつ答弁してください。
坂本導聰
10
○
坂本
(導)
政府委員
委員
御
指摘
の
よう
に、
不動産
をどう扱うべきかという
議論
は相当ございました。ただ、
建設省
から先ほど御答弁申し上げました
よう
に、
国民生活審議会
では、先ほどの
よう
な理由から、
対象
としなくていいのではないかという
考え方
。ただ、
不動産
といえどもその
個々
の
構成物
は
動産
でございますから、
個々
の
動産
について問題があればこの
PL法
で対応していくということでございまして、全体としての
不動産
は先ほど
建設省
が答弁申し上げた内容でございます。
佐藤剛男
11
○
佐藤
(剛)
委員
局長
、今例えば
建築物
に従たる物で
ガス湯沸かし器
がくっついているというのは、これは
動産
でいいんですよ。ところが、
ボイラー
だの何だのって初めからくっついているのだ。今のふろなんというのはみんなそうなんですよ。そういうふうなところが
ボイラー
なら
ボイラー
で出てくると、これで爆発して家が燃えてしまう、これは
テレビ
が故障していて燃えるのと同じなんです。そういうふうなところの違いがよくわからないということの問題です。 そしてこれは
アメリカ
において、
企画庁
、勉強しているのかどうかわからないけれども、勉強していないのじゃないかな、ちゃんとそれは
判例
でなっているわけだから、そういうものについてきちんとしたことの
企画庁
の判断があって、
建設省
のことについて納得したのかどうか。
建設省
がやめろやめろと言うから、それに応じていっただけの話じゃないのかということを申し上げているのです。もう一度。
坂本導聰
12
○
坂本
(導)
政府委員
不動産
の部分であっても、
出荷時点
においてそれが
動産
であれば
PL法
の
対象
になる。したがって、全体としての
不動産
はこの
対象外
であっても、
個々
の部品が
引き渡し時点
で
動産
であれば
対象
になることから、問題ないと考えたわけでございます。
佐藤剛男
13
○
佐藤
(剛)
委員
よく納得しません。テークノートしておいてください、記録の方。 では、この問題はとりあえず留保して次のところに行きます。
厚生省
。
血液製剤
というのが非常に大きなあれになっています。
血液製剤
というのは
対象
になりますと、生血のところはちょっとよけましょうという
よう
な話になっているのでしょうが、これまでの
日本
の
歴史
で
サリドマイド
、
サリドマイド
は
御津免
の
よう
に妊婦の人が
鎮痛剤
として使用すると
奇形児
が産まれる、この
事件
、これは和解されております。それから
キノホルム
、整腸剤で
発生
した
スモン病
、これも和解されてしまっている。和解されてしまっているから事実
関係
というのははっきりしていないのですが、
集団訴訟
みたいなものですから、まだ残っている
人たち
はいるわけですよ。そういうものは
厚生省
はどういうふうに考えますか。この
法律
の
対象
になるのですか、
サリドマイド
、それから
キノホルム
。
矢野朝水
14
○
矢野説明員
まず
血液製剤
ですけれども、
血液製剤
にもいろいろございまして……(
佐藤
(剛)
委員
「
血液製剤
はいい」と呼ぶ)はい。 医薬品の
副作用
が
欠陥
に当たるかどうか、こういう問題でございますけれども、この薬というのは多かれ少なかれ
副作用
を伴うという、そういう特性を有するものでございます。逆に言いますと、
副作用
のない薬は効かないという
よう
なことさえ言われておるわけでございまして、
副作用
は必然的に多かれ少なかれ伴う、こういうことでございます。 そこで、どういった場合が
欠陥
に該当するかということになりますと、ちゃんと
警告表示
も行われている、そういう中で薬が使われて
副作用
が
発生
した、こういった場合は直ちに
欠陥
とは言えないのじゃないか。つまり、
有用性
を考慮してもそれを上回る
よう
な被害が生じた、こういった場合に初めて
欠陥
、こう言えるのじゃないかと考えております。 そこで、
サリドマイド
とか
スモン
とか過去にいろいろな
事件
があったわけでございますけれども、今度の
法律
ができますと、当然こういったものも
製造物責任
法の
対象
になるということでございます。 そこで、今度、過失
責任
から
欠陥
責任
と、こういったことになったわけでございますので、原告にとっては立証負担面で軽減される、こういうことが言えるのじゃないかと思います。 ただ、薬というのは使い方が非常に大事でございまして、医療
関係
者の
責任
というものがあるわけでございますので、あくまでこれは
個々
具体的に、個別
ケース
ごとに慎重に判断されるべき問題じゃないかと思っております。
佐藤剛男
15
○
佐藤
(剛)
委員
私は大いに訴訟しろの何も言っているわけじゃないんで、
厚生省
関係
のものを注意して取り扱わないと、これは医者も中に介在するわけですから。医者も介在する
ケース
。
アメリカ
での訴訟なんというのはそういう
ケース
です。そうすると、今
キノホルム
も
対象
になります、
サリドマイド
の原因のものも
対象
になる、そういうふうに言われましたね。それは運用において、これから具体的個別案件のときに・新しい
一つ
の
分野
ですから、十分
厚生省
の知見をもってやっていく
分野
ですよということを、私は、何といいますか、親心じゃないけれども、少し慎重にいろいろ
検討
しておいた方がいいと思います。ちょっと勉強してくださいよ、
厚生省
。 先ほどに戻りますよ。
我妻試案
の中で
我妻先生
は、
法律
の提案の「付記」の中の第三というところに
クラスアクション
、つまり「クラス・アクション等、特定の者が多数の被害者の利益を代表して
救済
をはかるための制度」、こういう
よう
なものについて導入を考えるべきであると提言しています。
クラスアクション
というのは、
日本
語に訳すと、
集団訴訟
です。民事訴訟法の体系で言いますと、集団的に物を出すわけですけれども、こういうもののことを言っております。あの
スモン
にしても
サリドマイド
にしても、そういう問題であったわけですから、その裏腹の問題としてよく勉強しておいてください。 それから次に、この
法律
の運用の問題を
最初
に、一時間のうちの三十分ですが、ちょっと申し上げます。 私の感想を含めましてあれなんですが、
アメリカ
には四悪というのがある。
企画庁長官
の所見を伺いたいと思いますが、私は、何が
アメリカ
経済
を痛ましているかというと、
一つ
は麻薬をのむこと。 第二は離婚者が多いこと。離婚者が多いから、犯罪者の大体七割というのはバツ一とかバツ二とか、そういう
人たち
です。兄弟が父親が違っていたり、そういう
ケース
がたくさんあるわけです。 第三は弁護士が多いこと。
日本
の司法試験と
アメリカ
の制度とが違うから、
アメリカ
はおそらく七十万人近くいるんじゃないですかね。そこら辺を、
法務省
、
日本
と
アメリカ
の弁護士の数の比較、後で教えてもらいたいのですが、人口が倍ではあるけれども、
アメリカ
は多過ぎるから、結局
一つ
の濫訴、いわば食うために弁護士が訴訟をいろいろな問題につしてやってきているんじゃないかと私は思います。 それに似たものが
たばこ
訴訟なんじゃないかと思うのですが、これは大蔵省、いますか。
法務省
で答えていただけますか。
たばこ
訴訟というのが今ルイジアナで、フィリップ・モリスのところで
クラスアクション
が起きています。あれは何の
法律
に基づいてああいう訴訟が起きているのか。
PL
ではないのか、何なのか、そこら辺もお教えいただきたいのですが、これは後ほどです。 四つ目のものは、二年ごとに下院の議員がかわること。だもんで、日米
関係
はそのために摩擦問題が起きたりなんかするわけであります。 私が申し上げたこの四悪のところの弁護士が多いということをよほど注意してやらないと、
日本
の場合というのは、これは前の質問者がされておると思いますけれども、訴訟頻発の形にいかないとも限らないが、弁護士の数が少ないからまだうまくいくのじゃないかと私は思っていますけれども、それほど悲観はしていません。してはいませんが、そこの点を思っておりますので、それについて
法務省
は、こういうものの条項をやりますと、そういう濫訴というのがないかどうかという
意見
をひとつお聞きしたい。
企画庁
として、私が申し上げたものを含めて、これは運用の問題。運用の問題というのは、我々が運用するわけじゃないですから、この六条の憲法ができ上がると、大化の改新の、聖徳太子の十七条の憲法じゃないけれども、六条の憲法ができ上がると、これに基づいてやるのは民間の
消費者
であるし、弁護士がやるわけですから、この点についての見通しというか、そういう
よう
なものをお聞かせいただきたい。
升田純
16
○
升田説明員
ただいま御
指摘
の
アメリカ
における制度と我が国に
製造物責任
を導入した場合の影響でございますけれども、まず、
アメリカ
におきましては、御
承知
の
よう
に一九六〇年代から各州の
判例法
によりまして
製造物
の
欠陥
を損害賠償
責任
の根拠といたします
製造物責任
の法理というのが採用され、その結果といたしまして、濫訴もあったでしょうけれども、訴訟
事件
数が急増をいたしまして、
製造物責任
危機あるいは保険危機と呼ばれる弊害が生じてきたと
指摘
されていることも事実でございます。 そして、その原因といたしまして、
アメリカ
の司法制度でございますけれども、先ほど御
指摘
の弁護士の数が多いという
よう
な
意味
での訴訟社会であること、あるいは弁護士成功報酬制度がとられているということ、それから懲罰的損害賠償制度があるということ、あるいは陪審制度があるなどといいましたいろいろな事情が影響しているのではないかと
指摘
されていることも事実でございます。 他方、今回、本
法律
案によって提案しております
製造物責任
は、
製造物
の
欠陥
により人の生命、身体または財産に被害が生じた場合における
製造業者
等の
責任
要件を過失から
欠陥
に転換するということによりまして、従来我が国におきましてとられておりました、裁
判例
で
積み重ね
られてきておりました過失判断の高度化、抽象化あるいは客観化と言われる実務の工夫を実体法上も取り入れるということによりまして、その法的安定性を高めるという面も強く持っておりますので、先ほどの司法制度の違い等も勘案しますと、この
法律
によりまして我が国が濫訴社会に傾斜するといった可能性は低いと考えられます。 なお、参考までに我が国と司法制度が比較的似ておりますヨーロッパ諸国におきましては、
製造物責任
制度の導入後に濫訴の弊害といった現象が生じてないと
承知
しております。
坂本導聰
17
○
坂本
(導)
政府委員
委員
御
指摘
の
よう
に、
国民生活審議会
でもやはり同様の問題の見方がございまして、
国民生活審議会
では、「我が国と米国の司法制度の違い等を勘案すると、米国において見られる
よう
な訴訟社会に我が国が陥るということは、現状の司法制度の下ではほとんど考えられないが、米国における「
製造物責任
危機」ともいえる
よう
な状況に我が国が陥らない
よう
、今後とも十分注意していく必要がある。」という
指摘
がございまして、今回の政府案をつくるに当たっても、内容的に
EC
並みというものを考えたところでございます。
佐藤剛男
18
○
佐藤
(剛)
委員
お話のことはそういうことなんだろうと楽観していいのじゃないかと思うのです。それはやってみなければわからない。やってみなければわからない試みですから、そのときにいろいろ弊害が出てくるものに対応しなければならない。その中に幾つかあるものを
消費者
もきちんとやらなければいけない。
消費者
も
消費者
教育というものを、しっかりとした賢い
消費者
にならなければいけないし、それから
販売業者
もきちんとやらなければいかぬし、
メーカー
もやるべきことをやらなければいけない。 これまで通産省はいろいろな政策をやってこられて、例えば
消費者
の
関係
の窓口を開く、あるいは
消費者
担当の重役をつくる、それから
消費者
と企業との間のかけ渡し、冷蔵庫なら冷蔵庫という
よう
なもののふたのあけ方をこうしたらいい、内部でやったがいい、こういう使い方を
生活者
の経験を通じて、これをフィードバックして、消費
生活
アドバイザーという
よう
な
人たち
がその力によって
メーカー
に影響を与えて
製品
をつくり直していく、危険なところを直させる、こういう
よう
なことをやってきてそれなりの、また苦情の窓口を置いておる。ですから、苦情だけを受けてやっているんじゃなくて、いや、これは
消費者
も悪いんですよとはっきりやっています。これはちゃんとした
人たち
がやっているから私は偉いと思っていますし、誇りを持って
消費者
教育をそういう形でやっているわけです。 ですから、単に事故の件数が、各県に消費センターというのがあるのですが、事故の件数が上がっているから
行政
をやっているということじゃないので、本当は件数が少なくなって、件数というものはむしろなくなる方がいいのです。それを次第次第になくするぐらいの気持ちで
消費者行政
というのをやっていかなければならないと思うのです。 幾つかありますが、第一の問題としまして
指摘
申し上げたいのは、
アメリカ
では
製品
について、はっきりとレッテルに書いてあるわけですよ、取扱
説明
書の。
企画庁長官
、一番御存じだろうと思いますが、毒のあるものをポイズンと書いてある。それから、危険だというものはデンシャーと書いてある。それから、第三のところのものはウォーニングと書いてある。第四はコーションと書いてある。こういう四つの分類、ポイズン、ゲンシャー、ウォーニング、コーションといって、このものを食べるとあなたはがんになりますよ、こういうものを書きながらやっているわけです。
日本
の場合はそこまでまだいっていないわけです。これは何なのかというと、
アメリカ
における
PL
の免責をできるだけするために、恐らく
メーカー
自身あるいは
販売業者
が
一つ
の知恵としてそういうことを出さざるを得なくなっているのだろうと私は思うのです。 そこら辺の見通しについて、
企画庁長官
はどの
よう
な考えをお持ちでやっておられるか。また、今後どういうふうな気構えでおられるか。非常に抽象的なお話で恐縮でございますけれども、長官、一番御存じのとおりでございますから、御所見をいただきたいと思います。
寺澤芳男
19
○
寺澤国務大臣
委員
御
指摘
の
よう
に、
アメリカ
の場合に、
製品
の表示に関しては最悪の事態を明らかに仮定して、がんになるとか、そういうことが書いてある品物もあったかというふうに私は記憶をしております。それとこの
法律
との問題についてはまだ
政府委員
の方からきちんとお答えをさせますが、私の
考え方
としては、やはり表示上の変化というか、この
法律
が成案になってから
日本
の場合でも変化があらわれてくるのではなかろうかというふうに私は考えております。
清川佑二
20
○清川
政府委員
表示及び取扱
説明
書について一言補足をさせていただきたいと思います。 今
佐藤
委員
御
指摘
のとおり、表示及び取扱
説明
書が、商品そのものの
欠陥
の判定、認定と非常に密接な
関係
があるということは、まことにその傾向を強く深めているわけでございます。私ども、この
PL法
の
関係
もございますが、やはり最近の
製品
の持つ危険の特性につきまして、
子供
でも高齢者でも、そしてまた一般の
方々
も理解、識別可能な
よう
に表示あるいは取扱
説明
書を十分わかりやすく、かつまた統一的に認識される
よう
なものにすることが必要であるということで、表示・取扱
説明
書適正化
委員会
を設けまして、この中には、
メーカー
の方はもとよりでございますけれども、
消費者
の
方々
も含めまして、この
委員会
を開いております。この
委員会
によりまして消費
生活
用
製品
の取扱
説明
書の作成に関するガイドラインという
よう
なものもつくりまして、極力統一的に、かつ、わかりやすい表示取扱
説明
書をつくる
よう
心がけているところでございます。
佐藤剛男
21
○
佐藤
(剛)
委員
今心強い御
意見
がありましたから、ぜひそれぞれがつかさをもってこの運用をする場合にやっていかなければならない
責任
だと私は思う。 本件は、
消費者
もしっかりしなきゃいけないし、賢い
消費者
になるためには、
消費者
にわからせる
よう
な形で、
消費者
に対していろいろな取扱証明書という
よう
なものをきちんと、長官がおっしゃった
よう
に僕は変わらざるを得ないのだろうと思っております。ポイズンだとかデンシャーだとかウォーニングだとかコーションという
よう
な
アメリカ
流じゃないけれども、そういうことをしないと、例えばゴキブリにシュッといって、ゴキブリ一匹すぐ死んでしまう
よう
なのは、人間のどこかにつけば必ず皮膚はおかしくなるのですよ。ゴキブリが一遍に死んで、人間の皮膚が大丈夫だという薬はないと思う。それをどういうふうな形でやるか。シュッとやるとカビが出ませんといえば、それが皮膚にっけばどうにかなるし、しらがのところをしらが染めでやっておりまして失明したとかなんとかいうのもある。安全というのは、
法律
だけをつくって体系を出せばいいというものではなくて、本当は
法律
のない社会というのが一番いいわけですから。うまくいけばこの
製造物責任
法なんというのはない方がいい。ところが、ないと、
消費者
がなかなか過失というものを証明しにくい。そういうことで、企業の秘密との問題があるから、
消費者
志向の
よう
な
行政
ということが私は必要になっておると思っております。 それからもう
一つ
の点は、少額の被害
救済
。
拡大損害
はあれで
民法
七百九条を超えるんだけれども、しかし、額とすれば、一千万円だ、数万円の話ではないというものがあると思うのですが、少額
救済
について
議論
がなされたのか、どういう形でやろうとしているのか。
企画庁
でしょうか、ここら辺をお聞きいたしたいと思います。
坂本導聰
22
○
坂本
(導)
政府委員
今回提出しております
法律
案は、
民法
の特例の部分でございますから、したがって今御
指摘
のあった
よう
な極めて重要な少額被害の
救済
、つまり裁判外で処理される案件についてどう対応していくかということが
法律
上は出てきておりません。したがって、各
行政
府の中でそういった問題に対応するためにいろいろな機能を充実させていく必要があるだろう。 例えば、私ども
経済
企画庁
でございますと、地方の消費
生活
センターや
国民
生活
センターというものの機能を充実させていく。それから、各省にもおのおのの出先機関、検査機関がございますから、そういったところの機能を充実させていく。そして、相互に連携をとって対応していくということが大事で、この
法案
の御審議をいただきながら、同時に私どもはそういった面での充実、拡充を図ってまいりたいと考えております。
佐藤剛男
23
○
佐藤
(剛)
委員
これはお願いします。
局長
、この
我妻試案
にも今の問題は
指摘
されております。
民法
学者
がこの問題についての導入を考えなければいけないと言っている。
我妻先生
というと、これは
我妻先生
だけではなくて、星野英一教授を初め竹内昭夫
先生
、
日本
のそうそうたる
人たち
の提案であるわけですから、原点に戻って、ひとつこの機会に
研究
してみてください。 それから、次の問題にいたしましたのは、因果
関係
の推定問題です、
欠陥
の推定。この
欠陥
についての推定条項というのはなくなりましたね。
欠陥
を推定するかしないかというのはある
意味
では立法政策、
アメリカ
あるいは
EC
と比較したりする場合。それから、
日本
での弁護士会だのいろいろな提言がありました。そういうものをどう取り扱うかというのは私は立法政策の問題だと思うのですが、それがなくなった理由どうして入れなかったのかという理由をもう一度ここで確認したいのです、ちょっと
法律
論になりますけれども。
升田純
24
○
升田説明員
ただいまの
欠陥
についての
推定規定
を設けるべきかどうかという問題につきましては、
欠陥
に関する
推定規定
を設けますと、本来、
欠陥
の立証につきましては、
個々
の
製品
の特性あるいは事故の態様などの多くの事情が
関係
しておりまして、
個々
の事案の相違を捨象いたしまして、
法律
上一律に一定の事実から
欠陥
ということを推定するというのは、被害者の立証負担の軽減という目的を超えてしまうというおそれがあるということ。
個々
の事案ごとの事情を問わず、一律に
欠陥
の存在を推定するだけのその根拠となる経験則が存在しないということ。 それから、こういう
推定規定
を設けますと、現在の不法行為一般の体系を混乱させかねないということ。それからさらには、被害者側の立証の負担につきましては、
個々
の事案の内容に即しまして事実上の推定などを利用することによって、むしろそちらの方が適正かつ公平な立証負担の軽減が実務上図ることができるし、またそういう実務も期待できるということ。 それから、
欠陥
の
推定規定
につきまして諸外国、特にヨーロッパ諸国において採用されていないといった事情から、今回、
推定規定
を採用しないというのが相当であると考えられるに至ったということでございます。
佐藤剛男
25
○
佐藤
(剛)
委員
欠陥
の
推定規定
を入れるかどうかは、私はこの問題に関連すると思っているのです。
消費者
が、例えば
メーカー
に対して調査要求する、そういう調査要求という条項があれば、私は
欠陥
の
推定規定
はなくてもいいと思う。これは
我妻試案
にも似た
よう
な
考え方
があるのです。
欠陥
の推定は、
EC
はないのです。それから、
日本
弁護士連合会もない、日弁連の案にもなかった。これはある
意味
では立法政策であるけれども、その資料要求をしたときに、それについて、企業というのは秘密ですから、いろいろ資料出してくださいよ、何してくださいよ、過失ですよ、
欠陥
、そのところは一
消費者
としてはなかなかわかりにくい、訴訟の案件の中でもできにくい。そういうことのために、この調査要求、請求権、そういう
よう
な条項をこの六条の、実際的には七条ですけれども、実質は六条のところにプラスして一条入れておくべきではなかったのかというのが私のリーガルマインドなんですけれども、その点についていかがお考えであるか、
関係省庁
の御
意見
を伺いたい。 これは
法律
論として難しくないですよ。この問題は、
法律
の証明の仕方には、証明と疎明というのがあるのです。証明と疎明というのは民事訴訟でやるのです。疎明というのは、余り細かく、詳細やることのないのを疎明という。これは
法律
用語。わかっているでしょう。こうこうこういう
よう
なものに過失があると証明するのですよ、疎明するのですよ。それから始まるのですよ。そうするとそのときに、その
関係
の資料をちょっとくださいよ、見せてくださいよと弁護士がやるわけでしょう、訴えるのだから。それを見せてくれたらどうですか、こういう話なんです。
法務省
。
升田純
26
○
升田説明員
今お尋ねの件は、訴訟の実務におきますと、民事訴訟法の三百十二条にございます文書提出命令の件だろうと思いますけれども、現在実は法務大臣の諮問機関であります法制審議会の民事訴訟法部会におきまして、平成二年七月から民事訴訟手続の全面的な見直しの作業を続けておりまして、その中で、証拠収集手続の見直しという問題につきましても
検討
の
対象
とされております。 今
委員
御
指摘
の点につきましては、
製造物責任
について特別にそういった証拠開示あるいは証拠の収集を容易にする
よう
な手続を設けるべきではないかという
よう
な御
指摘
だろうかと思いますけれども、実は、
製造物責任
だけにつきましてそういう特別の取り扱いをするという理由が乏しいということでございまして、やはり民事訴訟の一般の見直しの中で
検討
すべきではないかと考えられるわけでございます。 そこで、現在、先ほど申し上げました民事訴訟法部会におきましてどういう
検討
がされているかということになりますけれども、確かに我が国の証拠収集手続におきましては、証拠が一方の当事者に偏在する
事件
において、証拠収集の手段として先ほどの文書提出命令等というのが十分ではないという
指摘
がされている一方、他方、それでは
アメリカ
型のディスカバリーの制度の
よう
に広範かつ極めて強力な証拠収集手続を設けるということになりますと、この手続の利用に膨大な費用と時間を要するなどの大きな弊害があるということも
指摘
されておりまして、そこで、法制審議会の民事訴訟法部会におきましては、
アメリカ
のディスカバリー制度に見られる
よう
な弊害が生ずることがない
よう
に配慮しながら、我が国の証拠収集手続をより充実したものに改めるという方向で
議論
が進められているということでございます。
佐藤剛男
27
○
佐藤
(剛)
委員
これはわかりやすく言いますと、そんな難しい話じゃないのですよ。例えば
テレビ
がおばあちゃんが誤使用したのか何かで火が出て燃えてしまった、
テレビ
でしかこの火事がない、そのおばあちゃんは死んでしまった、こういう話なんです。それでこれは訴訟問題になりますね、
PL
問題になりますね。そうしたときに、その被害者にかわって原告側の訴訟代理人、弁護士がそれについていろいろ、
テレビ
メーカー
何々に対して、その
関係
での事故が今までどういうふうな
ケース
でありましたか、似た
よう
な使い方がありませんでしたかという資料要求をする、
欠陥
があったということの後ですよ。逆に、誤使用を被害者が認めました、そうしたら今度は逆に、
製造業者
が被害者の方に対して情報を出してくださいということを要求。お互いなんです、レシプロシティー。 そういうことをやるということに一歩踏み切ったなのに、どうして民事訴訟法の勉強やっているからこれは別だなんという話をしているのか知らないし、それにそうですかといって応じた
企画庁
も
企画庁
だし、そこのところがよくわからない。そのぐらいのことの特例条項をきちんと置きなさい。何も加害者側に偏っているわけじゃないし、被害者側に偏っているわけじゃないし、両方の話なんだから。これは
欠陥
があるということが出てきたときに、
欠陥
の推定条項がなければそういうものを、情報請求権という条項を入れておいてしかるべきじゃないですかということを申し上げているのです。
企画庁
の
局長
。
坂本導聰
28
○
坂本
(導)
政府委員
委員
御
指摘
の
よう
に、
法律
上の
推定規定
がないということから被害者がなかなか原因究明ができないという
指摘
は
国民生活審議会
でもございました。ただ、
法律
制度として
委員
御
指摘
の
よう
な調査条項をということではなくて、むしろ
生活
審議会としては、そういった被害者の
救済
のために各
関係
の
行政
府あるいは検査機関等の原因究明機能を充実させ、それを相互連携し、しかも窓口がどこかわかる
よう
にするということが大事ではないか、こういう角度から
生活
審議会では
議論
が行われまして、私どもとしては、それを受けまして、
関係
各省と相談しながら、そういう面での
体制
整備を図ってまいりたいというふうに考えております。
佐藤剛男
29
○
佐藤
(剛)
委員
私の持ち時間がなくなりましたので、最後に、繰り返しになりますが、申し上げさせていただきます。
一つ
は、先ほど
アメリカ
の例を申し上げました。
アメリカ
の四悪という
よう
なものの二の舞を踏まない
よう
に、
日本
というのが訴訟王国にならない
よう
に注意していかなくてはいけないし、それから同時に、この
PL
憲法六条、聖徳太子の十七条じゃないけれども、実質としては六条ですね、この六条を生かすも死なすも
消費者
保護の枠内ですから。今までこれだけ時間がかかったわけだから、安全という問題について
消費者
の志向はすごくあったわけなのに、もう五十年のときに既に出ていたのに、そのときに余り
法務省
も本気でやらなくて、
企画庁
も本気でやらなくて、そういうことで今日までに至ったわけだから、その間において、それはいろいろな事故だの何だのありました。 ですが、これはさておき、これから進めていくに当たっては、私はそれぞれのつかさ主義を徹底すべきである。
一つ
は役所。役所がきちんとしてPRをし、きちんとした
体制
をとる。 それから第二は、
メーカー
もきちんとやる。これは特に通産省はしっかりと、各
メーカー
に
消費者
担当重役なり何々という
よう
なものを置いて
消費者
の声を聞くという
よう
なこともやってきたわけですが、その延長というのはきちんとやる。 それから、よく
消費者
教育をするということ。
消費者
がとかく、自分で誤って使用したものを消費
生活
センターとか何とかに持ってくるんだ。そうすると消費
生活
センターの方は、いただきましたといって、電話の件数ふえましたといって、あたかも件数がふえればそれがいかにも
消費者行政
をやっているという
ケース
もなきにしもあらず。実際のはそうじゃないのですよ。だから、そういうのはすぐにその場できちんと、これはあなたの使い方が悪かったのだ、どういう取り扱いになっていましたか、ちゃんとデンジャーとかポイズンとかあるいはウオーニングになっていたんじゃないのですかということで、その場その場で問題を解決して長引かせない、こういうことがまた重要である。 そして、
消費者
自身にわからせる
よう
に、例えば取扱
説明
書というものも最近は大分よくなりました。漫画で書いてあって、バッテンがついたりいろいろなことになっていますが、お年寄りの目がしょぼしょぼしないでよく見える
よう
な形でやっていくとか、そういうふうなことの配慮が必要であり、それがなしにはこれは単なる
消費者
六条だけで終わってしまう話になりますから、全体のバランスの上に立った、
日本
の風土に合った、そういう
製造物責任
の
法律
の運用になる
よう
にということを私は申し上げます。 最後に、
企画庁長官
、
通産大臣
から、私の所感に対しまして御
意見
をお願いしまして、終わらせていただきます。
寺澤芳男
30
○
寺澤国務大臣
今
委員
がおっしゃるとおりだと思います。その線で、我々としては
生活者重視
のためにやっていきたいと思います。
畑英次郎
31
○
畑国務大臣
今
佐藤先生
御
指摘
のとおり、
消費者
、そしてまた
メーカー
、そしてまた
行政
、三者三様のそれぞれの立場におきまして、この問題についていわば
意識改革
を十二分に行う、その上に立ってただいま
先生
御
指摘
の
よう
な各具体的な事項を徹底してやっていく、それが大切だろう、か
よう
に考えております。
佐藤剛男
32
○
佐藤
(剛)
委員
どうもありがとうございました。
玉沢徳一郎
33
○玉沢
委員長
浜田靖一君。
浜田靖一
34
○浜田(靖)
委員
自由民主党の浜田靖一であります。
商工委員会
と
消費者問題等
に関する
特別委員会
の連合審査会でもう既に多くの
議論
がなされている
製造物責任法案
について、特に農林
関係
の問題を質問させていただきたいと思います。恐らく、既に他の
委員
から出た質問もあり、重複する点も多々あろうかと思いますけれども、私自身大変不勉強でありますので、わかりやすくお教え願いたいと思うわけでございます。 さて、この
PL法
については、
昭和
四十八年から
国民生活審議会
において
検討
され、今日まで長きにわたって
議論
されてきたわけでありますけれども、今日まで制定に至らなかった理由そして、今回の成案を得た背景はどの
よう
なものなのか、お教え願いたいと思います。
寺澤芳男
35
○
寺澤国務大臣
欠陥
製品
から被害者を守ろう、こういう
考え方
、これは
委員
御
指摘
の
よう
にもう二十年も前からずっとあったわけでありますが、
昭和
五十年代に
国民生活審議会
が取りまとめた報告でも、この
製造物責任
について立法化に向けての
検討
の必要性が
指摘
されているわけであります。ただ、その導入につきましては、社会的、
経済
的に非常に大きな、そして広い影響がありますので、当然いろいろな人の
意見
を聞いて非常に慎重に
検討
しなければならなかったということで、政府といたしましては、
国民生活審議会
等において
検討
をずっと続けてまいりました。
委員
御
指摘
の
よう
に、どんな背景があって今日の
法案
提出までに至ったのかということにつきましては、私としては四つぐらいの背景があったのじゃないかと思います。
一つ
はやはり
生活者重視
という
考え方
が非常に普及してきた、
一つ
はやはり規制緩和の動きが強まってきた、
一つ
は
製品
輸入が非常にふえてきた、
一つ
はヨーロッパの各国でも立法化が進展してきたという
よう
なことで、
法案
としてこの
委員会
に御審議をお願いしている
よう
な段階にやっとなったということであろうかと思います。
浜田靖一
36
○浜田(靖)
委員
確かにそういう
流れ
の中で
PL法
に対する関心も深まってこういう状況になったと私も思うわけでありますけれども、今長官からお話がありました
よう
に、もう既に先駆けてその
PL法
を導入している国があるわけであります。その中においてもやはり
アメリカ
がその先駆け的な存在であるわけでございますけれども、現在の海外における各国の制定状況というのはどうなのか、そしてまた、その中でも特に
アメリカ
とヨーロッパの状況をお聞かせ願えたらと思うわけであります。
坂本導聰
37
○
坂本
(導)
政府委員
まず、
アメリカ
でございますが、一九六〇年代から
欠陥
を要件とする
製造物責任
が、これは
判例
でございますけれども、
判例
の展開によりまして一般化しております。 他方、EU諸国では、一九八五年七月に
製造物責任
に関する
EC
指令が
EC
閣僚
理事
会において採択されたことを受けまして、
EC
指令に基づく各加盟国での立法化が進展しておりまして、フランス、スペインを除く十カ国において立法が完了しております。 また、EFTA諸国でも、
EC
指令とほぼ同一内容での立法化が行われております。 さらに、フィリピン、オーストラリア、中国、台湾などアジア・太平洋諸国でも、
欠陥
を要件とする
製造物責任
立法がなされております。 また、問題はないかという御
指摘
でございますが、
アメリカ
では、たびたび
指摘
されることでございますけれども、訴訟件数の増加、評決額の高騰、訴訟結果の不確実性が問題となり、七〇年代と八〇年代の二度にわたりまして、
製造物責任
危機ないし保険危機とも言われる
よう
に、保険料の急騰や、一部では保険の引受拒否も
発生
したということがございます。 しかし、米国の問題は、先ほど来答弁がございます
よう
に、懲罰賠償制度あるいは弁護士成功報酬制度など特異な司法制度によるものが多いということでございまして、直ちに我が国にこういった面があらわれるとは考えておりません。 一方、ヨーロッパでございますが、一九八五年七月の
欠陥
製品
の
責任
に関する加盟国の
法律
、規則及び
行政
規程接近のための閣僚
理事
会指令、いわゆる
EC
指令でございますが、それに沿って立法を行ったEU諸国においては、我が国と民事司法制度において類似性を持っておりまして、本
法案
と同様の特徴を持つ
製造物責任
制度を導入しております。英国を初め法施行後五年を超える国が幾つもございますけれども、これまでのところ、クレームあるいは訴訟の件数、製造コスト、保険料、
製品
開発意欲あるいは物価上昇率などにおいて目立った影響はあらわれておりませんので、大きな社会的な問題になっているということはない
よう
でございます。
浜田靖一
38
○浜田(靖)
委員
そして、先ほど長官のお話にあったのでありますが、規制緩和の問題であります。
日本
では、国、民間ともに事故の未然の防止、そしてまた再発防止、被害の
救済
という
よう
な諸制度が欧米に比べよく整備されておるわけであります。各国からいろいろと
日本
に対して規制緩和の申し出があるわけでありますが、ここに
PL法
を導入することによって、再びこの点を
指摘
される
よう
なことがあるのじゃないかと思うのですけれども、その点に関してはいかがでしょうか。
畑英次郎
39
○
畑国務大臣
ただいま浜田
先生
御
指摘
のとおり、現在、我が国におきましては、事故防止のための安全規制あるいはまた被害
救済
のための履行確保措置、こういうものはそれなりに整備がされておる、これは御
指摘
のとおりでございます。 今回の
法案
は、いわば被害
救済
にかかわる裁判規範を整備することにより、これらの措置と相まって、
製品
の
安全性
にかかわる
消費者
の実質的利益の増進を図る、こういう
よう
な立場に相なっておるわけでございますので、この辺をお含みおきを願いたいという
よう
に考えるわけでございますし、なおまた、安全規制等につきましても、いわば財産の安全の確保等を目的といたしておる
意味合い
から申し上げれば、
経済
的規制と同列に論ずることはできないのではないかなということを考える反面、やはり国際的調和の
観点
から、引き続き透明性確保への配慮を行い、そしてまためり張りのききました体系としていくことが今後の課題であろう、こういう
よう
な認識を持たさせていただいているわけでございます。
浜田靖一
40
○浜田(靖)
委員
確かにそういった御努力をお願いする次第でありますし、また、この制度について各国とのいろいろな、各国にはもう
PL法
が導入されておるわけでありますけれども、その中において国際的な調整をとるという
よう
なことの必要があるかどうか、それもちょっとお答え願えますか。
坂本導聰
41
○
坂本
(導)
政府委員
先ほども答弁申し上げました
よう
に、
製造物責任
制度は、欧米諸国のみならず、アジア・太平洋諸国・地域にも広がりつつありますが、
製造物責任
について立法した諸国では、おおむね
EC
指令に沿った形の制度を採用をしております。 そして、今回提案申し上げております
法律
案は、我が国の事情等を反映して、多少の違いはございますけれども、おおむね
EC
指令の内容に沿ったものでございまして、例えば、開発危険の抗弁の問題、
推定規定
の問題、
責任期間
の問題等について、
EC
指令と同一内容のものになってございます。したがって、そういう面で、御
指摘
の
よう
に、国際的調和を図る必要があるという認識に立っております。
浜田靖一
42
○浜田(靖)
委員
ありがとうございました。 いろいろな
意味
で、わかりやすくこの制度というものを内外ともに
説明
していく必要もあろうかと私は思うわけでありますけれども、ここで質問を次に移らさせていただきます。 本法の第二条の
定義
についてでありますが、農林
関係
についてでありますけれども、まず、未加工の農林畜産水産物は
対象
になるのかどうか、ちょっと教えていただけますか。
大隈満
43
○大隈
説明
員 お尋ねの未加工の農林畜水産物は
対象
となるのかということでございますけれども、
製造物責任法案
におきましては、「製造又は加工された
動産
」が
製造物責任
の
対象
となる
製造物
ということでございまして、未加工の農林畜水産物は
対象
にはならない。これは、基本的に自然の力を利用して生産されるものであるということから、
対象
から除外しております。
浜田靖一
44
○浜田(靖)
委員
そこで、特に農林水産物というのは食品
関係
のあれになるわけでありますけれども、できれば加工と未加工の判断基準をできるだけ具体的に教えていただきたいと思うのです。
大隈満
45
○大隈
説明
員 加工か未加工かということの判断でございますけれども、まず、一般に加工というのは、その物の本質は保持しながら、新しい属性、性質をつけ加えまして価値を加える、これが一般的な
考え方
でございます。 そこで、もう少し具体的に申し上げますと、加熱、つまり煮るとかいるとか焼く、あるいは味つけを行う、あるいは粉にひく、あるいは搾汁を行うというのは、製造あるいは加工に当たるというふうに考えております。 それから、単に切断をした、あるいは単に冷凍、冷蔵を行った、あるいは単に乾燥したという
よう
なものは未加工に当たるというふうに考えております。
浜田靖一
46
○浜田(靖)
委員
まだいまだにちょっとわかりづらいんでありますが、本当に今回の場合には、そういうものに対する具体的な
定義
については、これを明確にしないという法制審のあれもあるわけでありますけれども、
国民生活審議会
等ではやはりこれは明示すべきだというずれがそこにはあるんですけれども、
判例
にゆだねられるということになると、その場合、もし問題が起きたとき、製造者も被害者の方も、双方ともに疑心暗鬼の中で、何かそれぞれの一方的な判断に頼る
よう
なことになって、本法の目的であります「
国民
生活
の安定向上と
国民
経済
の健全な発展」を阻害することになってしまう
よう
な気がするんでありますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
坂本導聰
47
○
坂本
(導)
政府委員
御
指摘
の製造という点では各審議会ともおおむね
意見
の一致を見ておりますが、ただ、別の問題で、
欠陥
というものの
定義
について、具体的に
定義
をすべきであるという御
意見
と、いや、それは抽象的にしておいた方がいいという御
意見
と両方ございまして、具体的にという御
意見
の
方々
は、これは裁判規範であると同時に、今御
指摘
の
よう
に企業あるいは
消費者
にとっての行為規範でもある、だから明らかになればなるほどいいんだという
考え方
でございます。しかし、一方、余り個別に具体的に明らかにし過ぎますと、
個々
の
ケース
でなかなか裁判官が判断し
よう
がなくなってしまう。この兼ね合いをどうするかということが非常に大きな
議論
として起こりました。 今回お願いしております
法律
案では、「当該
製造物
の特性、その通常予見される使用形態、その
製造業者
等が当該
製造物
を引き渡した時期その他の当該
製造物
に係る事情を考慮してこということで、考慮事項として具体的には三つ掲げております。しかし、この三つですべてということではございませんので、
個々
の
ケース
ごとに、例えば表示の問題は、特性上どうかということは
個々
の
ケース
ごとにございますが、おのおの
個々
の
ケース
でそのウエートの置き方が違うものですから、ここでは三つを代表して例示させていただいているところでございます。
浜田靖一
48
○浜田(靖)
委員
その件に関してはそういうことになるわけですが、もう
一つ
、農林
関係
でいいますと、例えば栽培ですとか飼育、増殖、この三つに関してですけれども、それは「製造又は加工」という概念の中には含まれないのかどうか、それを少し教えていただきたいと思います。それは、先ほどお話にあった
よう
に、とにかく具体的な例示が少ないゆえに私らにとってはわかりづらい点もあるわけなんで、その辺も含めてちょっとお教え願いたいなと思います。
大隈満
49
○大隈
説明
員
先生
お尋ねの栽培、飼育あるいは増殖ということでございますが、栽培につきましては、例えば、作物、野菜、果樹の栽培ということが代表的な例でございますし、家畜の飼育というのが飼育の代表例かと、それから増殖の例としては、例えば種子類の増殖ということが考えられますが、いずれも、並べてみますと、基本的には自然の力を利用して生産等が行われているということから、「製造又は加工」に当たるものではないというふうに考えております。
浜田靖一
50
○浜田(靖)
委員
そうはいっても、今の農水産物について言わせていただくと、非常に工業的な生産みたいな形のものが行われているわけですよ。というのは、水耕栽培によるカイワレダイコンとか、養殖の水産物、特にノリ養殖などは確かに自然の力を利用して、ノリの部分をとって、それを今度
製品
化するという作業があるわけですよ。そうすると、今のノリ養殖、ノリの仕事というのはとってくるだけであって、あとは、すべて資本投下が、ノリづけから乾燥まで全部
一つ
のオートメーション化しているわけですよ。これは資本投下で言えば、二千万、三千万の機械を導入して、実質上手がかかるというのは、ノリをとってきてそれを機械に入れるだけで、出てくるときにはもう
製品
化というか
一つ
のノリの形をして出てきてしまうわけなので、そういうものに対する判断というのがあるわけなので、その点についても御
意見
を伺わせていただけますか。
大隈満
51
○大隈
説明
員 農水産物の工業に近い
よう
な生産が行われた場合にどうか、また代表的な例として養殖ノリということでございますけれども、これらにつきましても、一見工業と似ておる
よう
に見受けられる部分もございますけれども、
自動車
や家電
製品
をつくる
よう
にノリをつくっておるわけではございませんし、水耕栽培なり養殖水産物につきましても、
自動車
をつくる
よう
に魚をつくっておるとかカイワレダイコンをっくっておるということではございません。あくまで生物が本来持っております生命力というものを利用して生産を行っておる。自然のいわば光にかわるものとして、一部人工的な光を使うとか、あるいは土はなくても水で育てられるということでございますから、これらのものにつきましてはやはり同様に製造には当たらない。 そこで、養殖ノリでございますけれども、養殖水産物については
製造物
ではないと考えておりますし、単なる乾燥あるいは単なる切断というのは加工には当たらないと思いますので、その場合には恐らく未加工であろうというふうに考えます。
浜田靖一
52
○浜田(靖)
委員
そうしますと、今言われた
よう
な自然を
中心
とするものに対しては、それは製造だとか加工だとかとは認めない。では逆に、その範疇に当てはまるものというのは何があるのか、教えていただけますか。
大隈満
53
○大隈
説明
員 加工という範疇に当てはまるものということでございますれば、先ほど申し上げましたが、例えば味つけをいたしますということ、それから加熱をしたり、いったり、ゆでたりということで、これは性質が変わって、それによって新たに価値が加えられる。したがいまして、例えば養殖ノリをノリのつくだ煮にいたしますと、これは加工に当たるというふうに考えます。
浜田靖一
54
○浜田(靖)
委員
わかりました。 だから、その
定義
の部分で本来そういった周知徹底をしないと、この
PL法
に関して言わせていただければ、農林水産物というのは非常に微妙なところがあるのかなという
よう
な気が私はするわけでありますけれども、今度は問題が起きた場合というか、現状として、農林水産省においては、
製造物
の
欠陥
について、原因究明機関としてどの
よう
なものを考えていらっしゃるのか、お教え願えますか。
大隈満
55
○大隈
説明
員 農林省におきましては、現在、
一つ
は本省そのもの、そこに
消費者
の部屋というのを設置しております。それから、全国に十カ所ございます農林水産消費技術センター、ここにおきましても
消費者
の部屋を設置いたしまして
消費者
相談を行っておりますけれども、さらに、単なる相談ということだけではなくて、検査分析
体制
というものを整えまして、これは農林水産消費技術センターが
中心
になるということで、ここにおける検査機器の整備といった検査分析能力の強化を図っております。 それから、食品事故にかかわります
消費者
の相談内容の分析あるいは評価
体制
の整備ということを行って、一層の原因究明のための情報の蓄積を図ってまいりたいというふうに考えております。
浜田靖一
56
○浜田(靖)
委員
今、整備という話も出たわけですけれども、逆に今度は
消費者
対策を講ずるに当たっては、もっと具体的にお教え願えませんか。
清川佑二
57
○清川
政府委員
消費者
対策の
関係
、原因究明機関、そしてまた紛争の処理、多くの局面があるわけでございます。 通産省産業構造審議会におきましては、
製品
総合安全対策ということで、
製品
事故の
発生
の防止、再発の防止、あるいはまた少額の
事件
等につきましては相対での解決、あるいはまた業界団体を通しまして相談に乗ってもらう
よう
な解決、そしてまた、通産省におきましても、
消費者
相談窓口など各般の施策を講じておるわけでございます。 特に、今の原因究明機関につきまして、これは通産省の産業構造審議会あるいは
経済
企画庁
の
国民生活審議会
、この
よう
な審議会における
検討
におきましても、
製品
事故にかかわる紛争の円滑かつ適切な解決、そしてまた被害者の証明負担の軽減、あるいはまた同種事故の再発の防止等の
観点
からこの拡充の必要性が
指摘
されているところでございまして、政府としては、この
法案
の提出とあわせて、整備を積極的に進めているわけでございます。 具体的に言いますと、国の機関などにおきまして、
研究
機器、分析器などの
よう
な機器の整備を含む原因究明あるいはまた検査能力を拡充するという
よう
なこと、あるいはまた民間検査機関などの原因究明にかかわる各種の要請、依頼の受け入れ
体制
を整備するという
よう
なこと、そしてまた各地の消費
生活
センターなどへの問い合わせに対しまして国の機関を紹介する、あっせんするという
よう
な
体制
をつくること、この
よう
な整備を含めて
検討
を進めることといたしております。 例えば、具体的に通産省で考えてみますと、通商産業検査所という長い
歴史
を持った検査機関があるわけでございますけれども、ここにおきましては、
製品
の安全向上のための基盤整備にかかわります
研究
機器の整備を行うということ、あるいは被害者の証明負担の軽減にも資する
よう
な原因究明あるいは検査分析を行うための拡充強化を図るという方向にございます。 また、専門的な知識、ノウハウを有する民間検査機関がございます。例えば、電気
製品
について見ますと財団法人
日本
品質保証機構あるいは財団法人
日本
電気用品試験所などがございますし、あるいはまたガス燃焼器具でいえば財団法人
日本
ガス機器検査協会など多くの民間の機関があるわけでございますけれども、この
よう
な民間検査機関におきます依頼の受け入れ
体制
を整備する、こういったことに努めているわけでございます。 また、第三点になりますけれども、通商産業検査所などが各地の原因究明機関を結ぶネットワークを形成しまして、情報交換等を通じまして専門家の育成を図る、そしてまた消費
生活
センターなどからのお問い合わせに対しまして適切な機関を紹介、あっせんする
よう
な
体制
の整備を行うということにいたしております。これは先ほど具体的に通産省の例示をしましたが、政府全体の機関におきましてこの
よう
な形でネットワークを組み、相互に協力し合いながら、
消費者
問題につきまして整備を続けていく、この
よう
にいたす方向で準備をいたしております。
坂本導聰
58
○
坂本
(導)
政府委員
重複いたしますが、ちょっと答弁させていただきたいと存じます。
委員
御
指摘
の
よう
に、原因究明という問題は非常に重要であるということから、
国民生活審議会
におきましてもいろいろな角度から
議論
が行われました。その結果、原因究明関連情報をまず充実させなければいけないという
よう
なこと、これはいろいろな機関があるから、そういった機関の情報を全部集めてこ
よう
、そういうことが重要である。それから、原因究明関連技術の向上が必要ではないかという
よう
な御
指摘
もいただいております。それから、
消費者
、事業者との信頼
関係
も重要だ、こういった信頼
関係
がもたらされる
よう
な
体制
をつくることが必要である。さらに、既存の機関や専門家等を有効に活用していくことが必要だ、こういう御
指摘
をいただいております。 これを受けまして、私ども
経済
企画庁
といたしましても、各地の消費
生活
センターの積極的な活用、そしてさらに、通産省から答弁申し上げましたが、都道府県の他の試験
研究
機関、あるいは民間の検査機関、大学の
研究
室、国の機関や
国民
生活
センターとの間で連携
体制
の整備、これが重要である。さらに、消費
生活
センターにおける対応が難しい
製品
事故に関する原因究明や検査分析については、国の機関や
国民
生活
センターが引き受けられる
よう
にその
体制
を整備するとともに、これら機関は各地の原因究明機関を結ぶネットワークのかなめとしての役割を果たす必要がある。 こういったことから、私ども、まだお願いをしている予算案でございますけれども、こういった角度から予算の充実をお願いしているところでございまして、御
指摘
のとおりだろうと考えております。
浜田靖一
59
○浜田(靖)
委員
ずっとお話を聞いたわけでありますけれども、特に農林水産消費技術センターの件でありますけれども、これはいろいろな
意味
で陳情等も大変多くあるわけでありますが、食品衛生の
意味
で農林省の農林水産消費技術センターと保健所との境界線が、食品衛生法と絡んで線引きが非常にあいまいな部分が、お互いに乗り入れている部分があるのですが、製造者にとってみれば両方にかかわりたくないということで、そういった意欲的な部分が阻害される
よう
な気もするわけなんですが、その辺の線引きの件に関しては、農林省としてはどの
よう
にお考えでしょうか。
大隈満
60
○大隈
説明
員
先生
御
指摘
のとおり、食品につきましては、絶えず安全衛生の面と品質の面、両面が出てまいりますけれども、その線引きの
関係
といいますか、
厚生省
との間の連携
体制
につきましては、私ども、密接な
関係
を保ちながら、どういうふうに具体的に作業
体制
を確立していくかということは、これから
厚生省
と御相談しつつ
検討
してまいりたいと思います。 ただ、食品衛生法の体系、これは
厚生省
の方の世界でございますし、それから一方、農林省の
関係
では農林の規格に関しますJAS法とかその他の体系がございますので、その両方を踏まえながら
検討
をしていくということであろうかと思います。
浜田靖一
61
○浜田(靖)
委員
それともう
一つ
、消費技術センターの件なんでありますけれども、今現在十カ所ほどあるというふうにお聞きしておるわけでありますが、この十カ所で今現在いろいろな陳情処理もしている、苦情処理もしておるわけでありますが、一番頻度の高いものというのはどういうものがあるのでしょうか。
大隈満
62
○大隈
説明
員 消費技術センターの
関係
におきましては、もともとは生糸の検査所でございましたが、これがその他のJAS規格の検査・検定を行うということで、規格検査所と名前を変えました。それがさらに、
消費者
関係
の仕事も行うということで、消費技術センターと名前を変えてまいりました
関係
がございまして、本来的、伝統的にはJASの規格に関します検定とか鑑定とかといった
よう
な仕事が多いわけでございます。 ただ、このごろは
消費者
の苦情相談、あるいは残留農薬や食品添加物に関する分析実績というものも上がってまいりました。したがいまして、今後そういう
よう
な食品の品質の検定に関する仕事というのはふえてまいりますというふうに考えております。 ただ、現
時点
で見ますと、JASの鑑定の仕事が量的には多いかと思います。
浜田靖一
63
○浜田(靖)
委員
今度この
PL法
が実施されていくわけでありますが、そうしますと、農林水産消費技術センターとしてはどの
よう
に今後設備を充実したらいいか。 そしてまた、逆に、検査人員も含めて、今十カ所しかないわけでありますが、見ると結構偏りがあったりしておるわけでありますが、今後そういうものに対して最低でもどのくらい必要かというか、設備の面でもそうですが、人員の面でもどのくらいが必要かということをちょっとお聞かせ願えますか。
大隈満
64
○大隈
説明
員
先生
御
指摘
のとおり、現在、消費技術センターの位置というのは、本来的には輸出検査等をやっておりました
関係
でやや偏りがある
よう
に見受けられますけれども、今後この十カ所につきまして適宜統廃合といいますかを行いまして、六本所、四支所から、八本所に変えるということを考えております。 それで、人員の
関係
では、現在約五百名以上の人員がございますけれども、この場でどのくらい将来目標として人員が必要か、あるいは予算が必要かという
よう
なことはちょっと申し上げかねるわけでございますけれども、ただ、減ってまいります業務もございます。輸出の検査の
関係
あるいはその他需要が下がってきておる業務というのもございますので、その辺のところもよくにらみながら、できるだけ効率的に現在の組織を活用しつつ、必要な部分については拡充を図ってまいりたいというふうに思っております。
浜田靖一
65
○浜田(靖)
委員
農林省はそういった形で対応していくということでありますし、これの大もとであります通産、
企画庁
、両方ともにちょっとお聞きしたいのです。 先ほど消費
生活
センターですとかいろいろなセンター、検査所とか含めてネットワークづくりをしていくということでありましたけれども、実質的に、予算的な部分で、では果たして今の
体制
よりどのくらいのことをすれば
消費者
に対して情報提供が十分に行き渡るというふうにお考えになるのか、その辺を含めて、それはもう自分たちの気概というか、そういうものでも結構でございますので、将来に対する意気込みというか、そういうものも含めてちょっと教えていただきたいなと思います。
清川佑二
66
○清川
政府委員
浜田
委員
お尋ねの原因究明機関を初めとします
体制
整備の問題でございます。 私ども、平成六年度予算におきましても、あるいはまたそれに先立ちます予算措置におきましても、予算の増額ということを予算案の中に実現をさせていただいております。 この原因究明機関の拡充というのは、一回ですべていくわけにもいかないと思っております。機器の整備あるいは人員の訓練、
体制
の整備、こういった問題は非常に長期間かかることも十分覚悟しながら、鋭意拡充を進めてまいりたいと考えております。
坂本導聰
67
○
坂本
(導)
政府委員
先ほど来御
指摘
のあります
よう
に、原因究明機能の充実というのは極めて重要でございます。したがって、私ども、
関係
各
省庁
において、予算面等で努力をしてまいりたいと思います。 一方、いかに効率的に予算を執行するかということがございまして、そのためには
関係
各省の各種機関あるいは地方公共団体の各種機関というものが、おのおのの特殊性、特性を発揮しながら、しかもその間で重複がない
よう
にするということも大事だろうと思います。 したがいまして、本
法案
の御審議と並んで、私どもは
関係
各
省庁
あるいは地方公共団体と相談しながら、どういったネットワークをつくっていくことが効率的か、またその場合にどういった予算が必要かということにつきまして、絶えず念頭に置きながら考えてまいりたいと思います。
浜田靖一
68
○浜田(靖)
委員
今回の
PL法
に関して言わせていただければ、
消費者
を保護する
意味
を含めて、しっかりとした情報の開示をしていかないとこの
法案
を有効裏に運用することができないと思いますので、どうかその点に関しては各
関係省庁
が一体となって情報開示に努めていただければと思うわけであります。 その中で、
アメリカ
ではこの情報開示についてはどの
よう
な方法で行われているのか、その辺も含めて一言お願いできますでしょうか。
升田純
69
○
升田説明員
ただいま御
指摘
の点は、
アメリカ
におきましてはディスカバリーという制度がとられておりまして、我が国の制度にはない制度でございまして、その点につきまして、
アメリカ
でも時間がかかるとかあるいは費用がかかるといった弊害というものが
指摘
されているというぐあいに
承知
しております。
浜田靖一
70
○浜田(靖)
委員
そういう制度もある
よう
であります。必要とあらばそこまで踏み込んで考える必要もあろうかと思いますし、その中にはいろいろな問題点もあろうかと思います。その点に関しては臨機応変に、
PL法案
ができたからといってそれに固執するのではなくて、やはり足りない部分は足し、そしてまた改正すべきところは改正するなり幅広い
考え方
の中でこの
法律
を皆さん方でも注意深く見守っていくことが必要だと私は思うわけでありますけれども、
消費者
に対する
啓蒙活動
も含めて皆さん方で今度はどの
よう
な働きかけをしていくのか、その点についても一言ずついただけますか。
坂本導聰
71
○
坂本
(導)
政府委員
委員
御
指摘
の
よう
に、この
PL法案
は今の
流れ
でございます規制緩和、つまり
消費者
も企業も自己判断で
責任
を持ってやっていくというための土俵づくりとして絶対に欠かせないものだというふうに考えております。 しかしながら、ただ土俵をつくればいいということではなくて、例えば
消費者
の場合においては、いかに
消費者
が適切な情報を入手し得るかということが大事でありますし、さらに入手した情報をいかに選択するかということも大事であります。また、
消費者
には赤ちゃんもおればお年寄りもおります。したがって、そういうことも考えなければならない。 したがいまして、私どもはこれから各種の面での情報収集並びにそういったものを踏まえた上での
消費者
教育というものが重要になってこ
よう
かと思います。先ほど来申し上げました
よう
に、単に成人
消費者
だけではなくて、いろいろな面での
消費者
がおられますから、そういった面を含めて、きめ細かい
消費者
教育あるいは消費情報の提供というものが重要になってまいります。 しかしながら、これは言うことは割合簡単でございますが、
個々
の具体的な施策に落とすという場合には相当いろいろ難しさがあろうかと思います。今私ども必ずしもすべてを網羅しているわけではございませんので、今後、
経済
企画庁
のみならず、
関係
各
省庁
、地方公共団体の御協力をいただきながら、そういった問題点を詰め、適切な情報提供あるいは
消費者
教育の実施に努めてまいりたいと考えております。
浜田靖一
72
○浜田(靖)
委員
ぜひともそういった形で、
法律
ができたからといってそれが伝わらない
よう
では困りますので、皆さん方の御協力によって
PL法案
というものを正しく理解をさせていただいて、その目的が何であれ、我々だけがわかっていてもしょうがないわけでありますので、どうかその御努力を皆様方にお願いをする次第であります。 大変足りない質問で申しわけございませんでしたけれども、私の予定していた質問がすべて終わりましたので、早目でありますが、これで質問を終わらせていただきます。
寺澤芳男
73
○
寺澤国務大臣
委員
の御
指摘
のとおりでありまして、その方向に向かって我々も全力を傾ける所信でございます。
浜田靖一
74
○浜田(靖)
委員
どうもありがとうございました。
玉沢徳一郎
75
○玉沢
委員長
伊東秀子君。
伊東秀子
76
○伊東
委員
社会党の伊東秀子でございます。 これまで森永砒素ミルクとか
スモン
とかカネミ・ライスオイル
事件
とか、大変悲惨な
製造物
に起因する被害の問題がいろいろ出てまいりましたが、その底にたくさんの
消費者
の泣き寝入りがあった。私は、今回、
製造物責任
法がこういう形で国会で審議されるということ、細川政権
時代
の
PL法
の連立与党プロジェクトの一員としても大変感謝している次第でございますし、早急に国会審議に上げていただきました
関係各位
の皆様方にも心から感謝申し上げます。 その与党プロジェクトの審議の過程あるいはそのほか国会で詰めておきたい問題点、まだたくさん残っているかと思いますので、そういったことを御質問させていただきたいと思います。 まず、本
法案
の目的でございますけれども、冒頭に質問にお立ちになりました自民党の林義郎議員も大変格調高く言っておられました
よう
に、この
法案
が、個人や企業の活動の自由と、社会に起こってくるところの損失をだれがどの
よう
に負担するのが社会として公平であり妥当であるか、そういった二つの要請の兼ね合いをむしろ
政治
家が判断しなければならない問題であるというふうに林
先生
もお考えになっておられる、その
よう
な形でこの
製造物責任法案
というのが出てきたという、大変的確にこの
法案
の
指摘
をなさったと思うのでございます。 この
法案
をそういう形で考えましたときにちょっと気になりますのは、冒頭の目的規定の中に、
消費者
保護ということを第一条で明確にうたいながら、ちょっと読ませていただきますと、「この
法律
は、
製造物
の
欠陥
により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における
製造業者
等の損害賠償の
責任
について定めることにより、被害者の保護を図り、もって
国民
生活
の安定向上と
国民
経済
の健全な発展に寄与することを目的とする。」と書いてございます。 この
消費者
の保護を図り、もって
国民
生活
の安定向上と
国民
経済
の健全な発展に寄与する、これは、調和的というよりも、むしろ主眼が
消費者
保護にあるんだ、
消費者
を保護することによって反射的な利益と言えばいいのでしょうか、結果的には
国民
生活
も安定し、かつ
経済
の健全な発展に寄与するんだという
よう
な
関係
にあるというふうにとらえていいのかどうか、その点ちょっと確認的に伺います。
坂本導聰
77
○
坂本
(導)
政府委員
御
指摘
の点でございますが、
消費者
の保護を図りではなくて、「被害者の保護を図り」でございますから、場合によっては
消費者
よりはより広い、つまり
自動車
の使用者だけではなくてその事故に巻き込まれた人も入るという点がございますが、御
指摘
のそれ以下の点は、御
指摘
の
よう
にこの
法律
ができることによって企業はより
安全性
の向上に努めた商品を提供することが期待される。 さうにまた、直接触れてございませんが、この
法律
案はほぼ
EC
並みの内容となっておりますので、そういった面で国際的な
経済
との調和というものが図られるということが結果的に生み出される目的でございます。
伊東秀子
78
○伊東
委員
次に、
推定規定
の問題でございますが、先ほど
佐藤
委員
も大変重要な点を
指摘
しておられまして、なぜ
推定規定
を入れなかったのかという
よう
なことをついておられました。さらに、林義郎
委員
も
法律
上の推定の重要性という
よう
なことをついておられましたし、公明党案では
法律
上の推定があったのにその点ほどうなったのかという
よう
な御質問も一日目にあったのではなかろうかと思っております。 それで、推定に関してなんですけれども、これまでの御答弁では、
法律
上の推定まで入れてしまうと立証負担の軽減という目的を超えてしまう、
個々
の事案において事実上の推定を活用しながら適正に運用していきたいと考えているという大変前向きな御答弁をいただいているわけではございますが、
製造物
から生じた被害に関して裁判で争われる場合に、何しろ原告となる被害者は、
製品
に関して全く情報もない、知識もない、技術もない、素手のものである。一方の製造者、企業は、
製品
に関する情報を一手に持っている。そういう
よう
な状況の中で被害者側に立証負担の軽減を図るということは、具体的に言えば、事案に応じて立証
責任
の転換を図っていくこと、あるいは訴訟指揮に基づいて、証拠を保持している側、企業の側が圧倒的に多いと思いますが、そういうところにどんどん証拠の提出を求めていくという
よう
なことを指しておられるのか、もう少しわかりやすく御
説明
いただけたらと思います。
升田純
79
○
升田説明員
まず、御
指摘
の点にお答えする前に、今回、本
法律
案によりまして提案しております
製造物責任
といいますのは、従来の過失を
欠陥
に改める、変更するという点が大きな内容となっております。 そこで、現在の過失
責任
のもとにおきます
責任
関係
の立証といいますのは、御
承知
の
よう
に、被害者側の方で
製造業者
に対して損害賠償請求をしております場合には、
製造業者
の過失、損害の
発生
、過失と損害との間の因果
関係
を立証しなければいけないということになっております。したがいまして、過失を
欠陥
に変えるということでございますので、本
法律
案のもとにおきます立証
関係
につきましては、被害者側の方で、
欠陥
の存在、損害の
発生
、
欠陥
と損害との間の因果
関係
を立証する必要がある、これが原則でございます。 ただし、今
委員
御
指摘
の
よう
に、実際に裁判、特に裁判を
中心
とします損害賠償請求の実務におきましては、
個々
の
製品
の特性あるいは事故の態様、それから証拠の内容、証拠の偏在状況その他いろいろな事情を考慮いたしまして、経験則を活用するとか、事実上の推定を活用するとか、あるいは一定の事実につきまして立証
責任
を相手方に負わせるとか、そういったいろいろな工夫を重ねながら、実質的に被害者の
救済
が図られるという
よう
な場合があるというのが実務の取り扱いでございます。
伊東秀子
80
○伊東
委員
原告が立証しなければいけないことは、過失が
欠陥
に置きかわったということであっても、
欠陥
の存在、それから
欠陥
がいつ存在したかというその存在時期、
欠陥
と損害の因果
関係
、損害の
発生
についてももちろんでございますが、こういった点を立証しなければ損害賠償が受けられないという
関係
にあるわけでございますが、原告にとって
欠陥
を証明するということはこの
法案
のもとにおいてもなかなか難しい問題を含んでいる。 そういうことで、事実上いろいろな形で推定を及ぼしていこうということは、今日までの審議の中でも各大臣から御答弁もいただいているわけでございますが、その
欠陥
判断におきまして、この
法案
では三つのメルクマールを置いておりますね。「
製造物
の特性」「通常予見される使用形態」「その
製造業者
等が当該
製造物
を引き渡した時期その他の当該
製造物
に係る事情を考慮して、当該
製造物
が通常有すべき
安全性
を欠いていること」を
欠陥
という。 そうしますと、
欠陥
判断におきまして、この三つの要素プラスあらゆる事情ということなんですけれども、このほかに、これまでの答弁では、国生審や産構審で出てきた九つのメルクマールも一応こういった特性判断と言えばいいのでしょうか、
欠陥
判断のメルクマールになり得るという御答弁がございました。それは結局は、こうした国生審や産構審で挙げられた
よう
な、費用対効果とか
損害発生
の蓋然性とか予測可能性とかいろいろございますけれども、そういったことは、原告が立証
責任
を負うということとは全く
関係
なしに、双方から出てきた証拠の総合判断のメルクマールである、つまり立証
責任
とは
関係
ないというふうに考えてよろしいのでございましょうか。
升田純
81
○
升田説明員
やや専門的な話になりまして恐縮でございますけれども、ただいま
委員
御
指摘
の点は、訴訟実務上、主要事実は何かという問題に関連することになりますけれども、本
法案
で提案されております
製造物責任
におきましては、
製造物
に
欠陥
があることというのが主要事実であるというぐあいに考えるのが原則だろうと考えております。
伊東秀子
82
○伊東
委員
そうしますと、一般に非訟
事件
で言われている
よう
な、借地借家法などで出ていかなければいけない正当事由があるかどうかというときに、その事由にいろいろなことが双方から挙げられる、それを総合的に判断するということで、あくまでも争点は
安全性
を欠いているかいないかであって、原告が
一つ
でも立証が足りないから敗訴するという
よう
な、ちょっとこれも専門的になりますけれども、立証
責任
の分担とは
関係
ない、申立的なものであるというふうに考えてよろしいということでございますね。
升田純
83
○
升田説明員
本
法案
が成立いたしますと、最も大きな問題点は
欠陥
の内容がどういうことかということにあることは予想されますが、将来、いろいろ学説の発展あるいは実務のいろいろな展開があろうかと思いますけれども、基本的には
委員
御
指摘
のとおりであろうと思っております。
伊東秀子
84
○伊東
委員
今の
よう
に考えますと、原告としては、今後、この法の趣旨、要するに立証負担の軽減というところは以前よりも一歩進んだということになるのではなかろうかと思うのです。 もう
一つ
ついでにお聞きしますと、総合的な
欠陥
判断に必要な証拠の提出でございますが、これまでの審議でも出ております
よう
に、この
製造物責任
に関する訴訟では
製品
に関する専門的な情報というものがどうしても決め手になる、それを
消費者
である原告は全く持っていないという場合が圧倒的に多くて、
アメリカ
ではディスカバリーの制度、あるいはイギリスやそのほかのヨーロッパ諸国においてもかなり裁判所の方で企業側に提出を求めるという制度ができている、あるいは立証
責任
を転換しているという
よう
な場合があるわけですけれども、本法のもとにおいても、訴訟指揮において、証拠の収集においては、より証拠に近いと言えばいいのでしょうか、証拠を持っている人に裁判官の自由心証の範囲内で提出を求めることができる
よう
になるというふうに考えていいのかどうか、いかがでございましょうか。
升田純
85
○
升田説明員
ただいま
委員
御
指摘
の点は、民事訴訟法の三百十二条にございます文書提出命令あるいはそれに関連する訴訟運営の現状についてのお尋ねだろうと思いますけれども、実際の訴訟におきましては、先ほど申し上げました民事訴訟法の三百十二条という規定を根拠にしないでも、御
指摘
の
よう
に、証拠により近い人がそれぞれ証拠をできるだけ多く出して真実を究明し、その上で判断を求めるという
よう
になされておると思います。 また、証拠の判断につきましては、御
指摘
の
よう
に、民事訴訟法の百八十五条にございます自由心証主義によりまして判断される、こういうことになろうかと思います。
伊東秀子
86
○伊東
委員
それでは、事実上の推定について具体的なことをもうちょっと伺いたいと思うのですが、三月二十九日に大阪地方裁判所で
テレビ
の出火
事件
の判決がございました。この判決で、問題にされた
テレビ
は全く焼失して存在しない、そういうことで、我が党の松本議員も取り上げました
よう
に、被告である松下電器はそのことを理由にして、原因究明をこれ以上続けることが困難だからということで控訴を断念したという
よう
なことがございます。
製造物責任
訴訟では物が存在しないという場合が圧倒的に多いんじゃなかろうかと思いますが、その場合に、
欠陥
の立証において、どこに
欠陥
があったという
よう
な部位の特定まで求める
よう
なことになるのか。 あるいは、この裁判で判示している
よう
に、評価の問題として、例えば「
欠陥
原因および注意義務違反の内容を具体的に立証しなければならないとすれば、特別な知識も技術も有しない利用者が、主として製造者の支配領域に属する事由を解明しなければならないことにな」る。そういうことで、
テレビ
から発火した、しかも合理的な使用であった、この二点から
欠陥
を推認するというふうな方法をとっておられるのですけれども、こういった
よう
な形にこの法のもとではなるのかどうか、その辺はいかがでございましょうか。
升田純
87
○
升田説明員
まず、
個々
の
事件
につきまして、その判決の当否、どうであったかということにつきましては論評を差し控えさせていただきたいと思います。 ただ、一般論として
検討
いたしますと、問題となりました
事件
は、過失
責任
のもとにおきまして損害賠償請求がなされた
事件
でございます。そして、その判決の中には
欠陥
というものがまず問題となっておりまして、
欠陥
が認められた場合に過失が事実上推認されているという内容になっております。 また、この
事件
が今後どういうぐあいに影響するかという点についてのお尋ねにつきましては、先ほどもお話しさせていただきました
よう
に、同じ
製品
でありましても、事故の態様が異なる、あるいは証拠の内容が異なる、さらに証拠の状況、偏在状況といいますか、そういった点も異なるということになりますので、そういういろいろな事情を考慮して適切な判断をするというのが実際の裁判の取り扱いでございますので、直ちにこれがあるからどうということにはなかなかならないかとは思います。
伊東秀子
88
○伊東
委員
もうちょっと伺いますと、一応今回、
推定規定
というものが全部、
欠陥
の存在についても、
欠陥
と損害の因果
関係
についても、
法律
上の推定というものは入れられてないということで、一部の
方々
にはこれは大変残念なことだという
意見
もあるものですから伺っているわけでございますが、
テレビ
の発火を例にとりましたときに、
テレビ
を
耐用年数
をうんと超えて使っていたわけではない、一応
耐用年数
の範囲内であった、そして普通に使っていた時に発火した。どういう形で発火に至ったかの具体的な事由までがやはり今後も求められるのかどうか。そうじゃないよという
よう
な、事実の推定を及ぼすというのはもっと違う形の証明でいいんだよ、そういったことなのかという、大変雑駁ではございますが、その辺を、事実上の推定といっても一般の人になかなかわかりづらいんじゃないかと思うので、わかりやすく御
説明
いただけたらということでございますが、御
説明
できる範囲で結構でございます。
升田純
89
○
升田説明員
なかなかお答えしにくい質問であると思うのですけれども、先ほど来申し上げております
よう
に、事故が生じます
製品
にまことにさまざまなものがございますし、同じ
製品
につきましてもいろいろな形で事故が起こるということになりますので、なかなか判断が難しいという場合もあろうかと思います。 ただ、一般論として申し上げますと、
テレビ
にいたしましてもそのほかの
製品
にいたしましても、例えば、買ってすぐ
テレビ
が発火したという
よう
な場合と、それが十五年、二十年たって、また使い方もいろいろ経て発火したという
よう
な場合、同じ発火という場合でも、買ってすぐそういう発火があれば、先ほどの御
指摘
の
よう
な事実上の推定とかそういったことを論ずる以前に、常識的な判断としても、何かどこかおかしかったのではないかという
意味
の判断は働くのではないか、こう思われるわけでございます。
伊東秀子
90
○伊東
委員
ありがとうございました。 それから次に、
製造物
の概念のところに移らせていただきます。 「「
製造物
」とは、製造又は加工された
動産
をいう。」ということになっておりますが、加工について、前回の審議のときに、冷凍や乾燥は加工とならないというふうにたしかお答えになったのではなかろうかというふうに思うのですが、私の聞き違いでございましたらお許しいただきたいと思います。 私が物の本で調べたところでは、加工とは、製造までには至らないが、
動産
に対して人為的にその品質、機能を維持、追加ないし強化するためなどに行われる作為をいうという
よう
なことになっておりまして、急速冷凍をしたりとかあるいは人為的に乾燥するという
よう
な場合、それも大量にそういう
よう
なことを業として行うという
よう
な場合には、やはりその冷凍過程で細菌が混入したりとか、いろいろな事故が生ずる場合がある。現にコレラ・エビ
事件
、南アフリカかどちらかのエビの
事件
も報道されております。そういう
意味
では、冷凍や乾燥を含まないというふうな形で一概に言ってしまうのはいかがなものかと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
坂本導聰
91
○
坂本
(導)
政府委員
御
指摘
の
よう
に、今回提出しております
法律
案におきましては、「「
製造物
」とは、製造又は加工された
動産
をいう」という規定になってございまして、加工とは、私どもの理解では、
動産
を材料としてこれに工作を加え、その本質は保持させつつ、新しい属性を付加し、価値を加えることというふうに解釈しております。 具体的な
ケース
によって考えられますが、先ほどの
よう
に乾燥あるいは冷凍ということは加工に該当しないのではないかと考えております。
伊東秀子
92
○伊東
委員
先ほど私が申し上げました例の
よう
に、業として大量に急速冷凍あるいは急速乾燥して行っている、そしてその過程に細菌が混入するという
よう
な場合が皆無とは言えない。そして、それが販売された場合に、これは冷凍だからなんという
よう
なことになってしまうと
消費者
としては困ってしまうのじゃないかと思うのですが、その辺、全くそれを画一的に扱うのか、
ケース
・バイ・
ケース
でやはりその点も考えるのか、ちょっとお答えいただきたいのです。
坂本導聰
93
○
坂本
(導)
政府委員
その大量に、継続的にというところは、必ずしも加工という概念とは直接の
関係
はないと思います。その加工という概念では、
ケース
・バイ・
ケース
によって考えることになろうかと思いますけれども、先ほど申し上げた
よう
な、冷凍あるいは乾燥であれば加工に当たらない。ただ、これも具体的などういう
製品
をどういうふうに扱っているかということで考えなければいけないと考えております。
伊東秀子
94
○伊東
委員
次に、
血液製剤
についての問題に移らせていただきます。 前回の審議の中で自民党の野田議員から、
血液製剤
を
製造物
に含めるのは血の通った
行政
という点から問題ではないかという御
指摘
がございました。私もこの
PL法
プロジェクトの一員としてその論議にずっと加わってきたのでございますが、政府の答弁にもございました
よう
に、
血液製剤
はやはり加工した
製造物
であるということと、さらには、野田議員は主に政策判断、
政治
判断としてこれは除外した方がいいのじゃないかという
よう
な御
指摘
だったと思うのですけれども、やはり現にこの輸血に基づく、
血液製剤
による被害というのが起きている、そしてその被害が非常に少数ではあっても甚大である、体にかかわることで甚大であるということ、あるいはワクチンなどの場合には幼児に大量に
発生
するという
よう
な悲惨さ、そういうことももろもろ勘案した上で、特別に政策判断から
血液製剤
だけを除外することはよくないということで、通常の判断のもとに
製造物
としたわけでございますが、その点について何かつけ加えることございましたら、御答弁いただきたいと思います。
坂本導聰
95
○
坂本
(導)
政府委員
ただいまのお尋ねでございますが、この
定義
の第二項で、
欠陥
とはどういう状態をいうかということで、「当該
製造物
の特性」等が掲げられております。したがって、
欠陥
かどうかという問題は別として、加工された
動産
に当たるかどうかということでございますと、
血液製剤
、生ワクチンについても、血液またはウイルス等に加工を加えた
製品
であることから、いずれも
製造物
に該当するものと考えております。
伊東秀子
96
○伊東
委員
それで、前回の答弁で若干気になったところがございまして、私のメモによりますと、政府の統一見解ということで御答弁がございました。その答弁が出てきた脈絡は、
製造物
に関する問いに対して
欠陥
判断に関する御答弁が出てきまして、
血液製剤
及び生ワクチンについては、血液またはウイルス等に加工を加えた
製品
であることから、いずれも
製造物
に含まれ
製造物責任
法の
対象
となる、これが原則である。その輸血用
血液製剤
、全血製剤と血液成分製剤ですが、この
欠陥
については次の
よう
な
製品
の特性等の事情を総合的に考慮し、判断する必要があるということで、三つほど挙げられたわけでございます。 その
一つ
が、生命の危機に際して使用されるもので、他に代替性がなくて非常に
有用性
が高いとか、輸血による
副作用
については
警告表示
がなされているとか、輸血用の
血液製剤
は、世界最高水準の安全対策を講じた上で供給されていて、技術的にウイルス感染や免疫反応等による
副作用
の危険性を完全には排除できない。 したがって、「現在の科学水準の下で技術的に排除できないウイルス等の混入や免疫反応等による
副作用
は
欠陥
に該当しないものと考えている。」という
よう
な
厚生省
の業務局の方の御答弁がございました。 これは私は二つの
観点
から問題ではないかなというふうに
感じ
たのでございます。
一つ
目は、この一、二、三という形で挙げられた点、これは
一つ
一つ
反論すれば反論してもいいのですけれども、今はそういう問題じゃなくして、こういった特性の中身というのは、まさしく裁判所がさまざまな訴訟に提出された証拠をもとに判断する中身であって、やはりこういうことを今から
行政
府の方で統一見解を出すのはいかがなものかという
よう
なことが第一点。 それと、「現在の科学技術の水準の下で技術的に排除できないウイルス」というふうに言っているわけですけれども、これもまさしく開発危険の抗弁という形で訴訟で厳しく判断される中身であり、
欠陥
に該当するかしないかというのは、日進月歩のこういう技術のもとにおいては、こういった
よう
な形で断定的に輸血用の
血液製剤
あるいは生ワクチンは
欠陥
に該当しないのだという
行政
府の見解を出すことは、私は、三権分立の建前からいってもおかしいのではなかろうか。この
よう
に考えられるのではなかろうかという
一つ
の例示というならわからなくはない。しかし、この審議の段階においてこの
よう
な形で断定的に裁判所が決定することをやることは、司法への越権にもなるのじゃないかという気もするわけでございますが、いかがでございましょうか。
坂本導聰
97
○
坂本
(導)
政府委員
先ほどのお尋ねで
厚生省
薬務
局長
が答弁した内容は、まさしく先ほどお尋ねの
よう
な内容の答弁を申し上げました。 私どもがこういった
考え方
をとっておりますのは、本
法案
を提出した政府の立場として今どういう
考え方
を持っているかということで申し上げたわけでありまして、これはこの問題に限らず、例えば具体的推定の
考え方
についても期待をしておりますし、そういった面で政府としての
考え方
、裁判所を拘束するということではなくて、この
法案
提出に当たっての政府の
考え方
を申し述べたというふうにお願いしたいと思います。
伊東秀子
98
○伊東
委員
といいますと、例えば、現
時点
では、輸血用の
血液製剤
、生ワクについてはこの
よう
な
考え方
もとり得るという
よう
な、その
程度
のことというふうに考えてよろしゅうございますか。
坂本導聰
99
○
坂本
(導)
政府委員
前回、
厚生省
から答弁申し上げましたときも、「現在の科学技術の水準の下で技術的に排除できないウイルス等の混入や免疫反応等による
副作用
は
欠陥
に該当しないものと考えている。」ということでございまして、現在というところと科学技術の水準というのはいわばリンクして動いていくものでございますので、それは状況によって変わり得るだろうと思います。
伊東秀子
100
○伊東
委員
本来なら科学技術の水準の中身も裁判所が判断するものである。だから、
行政
府としては私はそこまで踏み込むのはいかがなものかという思いでございますが、とにかくそういう
考え方
もとり得る、裁判所を一切拘束しないということであれば、それはその
程度
にとどめておきます。 次に、原因究明、さらには紛争処理機関に関してでございますけれども、現在も各業界ごとに、例えば
自動車
業界では、
自動車
の
欠陥
に関しての問題が持ち込まれたときに、その原因を究明する機関がある。家電
メーカー
でもあるのではなかろうかと思うのです。しかし、それが
消費者
サイドには一切公表されない、情報がシャットアウトされている。同じ
よう
な件数がどれぐらいあって、それがどの
よう
な原因に基づくものかということが知らされないという問題がございます。 先ほどからの御答弁では、今後、国としても原因究明にかけてはいろいろと予算措置を講じてきちんとやっていきたいということでございますが、現に行われているそういった民間の、しかも製造者側のそういったものに対しての情報公開、これを過渡的措置としてでも行う
よう
行政
指導すべきであるというふうに考えますけれども、いかがでございますでしょうか。
清川佑二
101
○清川
政府委員
伊東
委員
御
指摘
のとおり、民間の検査機関といたしまして、例えば、電気
製品
につきましては財団法人
日本
品質保証機構あるいは財団法人
日本
電気用品試験所、石油機器につきましては財団法人
日本
燃焼器具検査協会など、民間検査機関が各
製品
分野
におきまして原因究明テストを実施しているわけでございます。 これら民間検査機関における
製品
事故に係る情報の分析結果につきましては、
行政
、企業、そして
消費者
、三者それぞれにとりまして、事故の再発防止に向かいまして必要な、重要なものであると考えておりますので、
製品
事故に係る紛争の円滑かつ適切な解決にも資するものとも考えられます。 その
よう
な
意味
では、一般的な情報の提供を図りつつ、また個別の原因究明につきましては、情報の公開について幾つか考えなければいけないという点もございます。
個々
の事案につきましては、当事者のプライバシーあるいは依頼者と当該機関との契約の問題などもございますので、この辺につきましても
検討
しながら、しかしながら、分析の結果あるいは情報につきましてはなるたけ広く提供されることが望ましいと考えております。
伊東秀子
102
○伊東
委員
今現に行われている原因究明に関しての情報が公開されるならば、再発の防止というこの法の目的、なるべく被害を拡大させないという
意味
からも、それは今すぐでもやっていかなければいけない、非常に緊急性のあることではなかろうかと思うのです。 企業秘密ということもあるかと思いますけれども、今の
時代
が、
消費者
重視、
生活者重視
、本当に企業の社会性ということが問われている今、もう一歩積極的な御答弁をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
清川佑二
103
○清川
政府委員
民間におきます個別の原因究明につきまして、これは企業自身で行われている場合もございますし、あるいはまた企業の費用負担で、民間
研究
機関、検査機関との契約
関係
のもとで実施されているというものもございます。この
よう
な私契約に関するものにつきまして、政府としての介入には難しいものがあるわけでございます。 ただ、紛争の解決につきましては、これは両当事者が
関係
しているわけでございます。相互に情報が提供されていくことは極めて重要でございます。また、具体的な事案の処理に際しましては、企業からは
製品
に関する技術情報が積極的に提供されることが期待されますし、他方では、
消費者
からは
製品
の使用状況などに関する情報の提供も期待されるところでございます。 この
よう
なことでございますが、しかしながら、先ほど申し上げましたが、基本的に、私契約に基づく原因分析等につきまして、政府としての介入には十分な
検討
をしながら対応していく必要があると考えます。
伊東秀子
104
○伊東
委員
それから、予算措置も含めて、原因究明機関を今後整備していきたいという御答弁が以前からございましたが、これは、
自動車
とか家電、食品、薬品、こういった主要な
製品
別に整備していく必要があるというふうに私は思いますし、さらにはこういったところの
研究
結果、
研究
というか原因究明した結果を訴訟上もどんどん利用できるシステムが必要じゃないか、そのためにも第三者機関、独立機関として存在させなきゃいけないのじゃないか、その
よう
に考えるわけでございます。 この
製品
事故、起きた事故に関しては的確な原因を探っていく、そして、今後より被害を少なくしていくという
観点
から原因究明機関というのは大変重要で、そういう
意味
の第三者制、独立機関、情報公開、訴訟上利用できるシステムが非常に重要になってくるのじゃなかろうかと思います。この点について、
通産大臣
あるいは経企庁長官、いかがお考えでいらっしゃいますでしょうか。
清川佑二
105
○清川
政府委員
予算など事実に関する部分がございますので、一言先に補足
説明
させていただきたいと思います。 伊東
委員
御
指摘
の予算などにつきましては、補正予算あるいは平成六年度予算におきまして、通産検査所の予算の拡充などに努めているところでございます。 また、
行政
機関による原因究明と、別に民間の検査機関による原因の分析等があるわけでございますが、政府の
関係
のものは別としまして、民間検査機関の原因究明につきまして、これの中立性あるいは公平性の問題という点があろうかという御質問の趣旨ではございます。 先ほど申し上げました
よう
に、原因究明につきましては、情報公開という
一つ
の要請と同時に、また、当事者のプライバシー、あるいは依頼者と当事者の契約
関係
もございますものですから、これにつきましては
検討
をしながら、しかし、実際問題として、事故情報の提供、これは両当事者からの提供という
よう
なことが極めて重要なことと考えるわけでございます。
畑英次郎
106
○
畑国務大臣
ただいま伊東
先生
の御
指摘
は、そういった
一つ
の結果が出たことが、この法の趣旨にのっとって、いい
意味
での広い活用ができる
よう
に、そういったお気持ちを述べられたというふうに考えるわけでございまして、私どもにおきましても、ただいま事務段階での懸念材料はございますけれども、物事は前向きに、本法の趣旨にのっとった対応をこれから、公的機関におきましてもあるいは民間サイドにおきましても取り組みをすべきであるという基本的なスタンスの中で物事の対応を進めてまいりたい、こう考えております。
寺澤芳男
107
○
寺澤国務大臣
委員
御
指摘
の
よう
に、調査
研究
機関というのは、やはり一番大事なのは独立性だと僕は思うのですね。しかも、
消費者
に対するディスクロージャーというか情報の開示、これに透明性をつける、既存のものをも含めましてそういう方向でやっていくべきであると私も思います。
伊東秀子
108
○伊東
委員
次に、紛争処理機関でございます。 こういった
消費者
被害の問題というのは、弁護士会などが相談をしますと、
自動車
に関してとか家電についてとか、たくさんいろいろな相談が寄せられますし、消費
生活
センター、そういったところにも一一〇番等を通じてたくさん被害が寄せられている。だから、裁判に出るのは非常に少ないということが言えるのではないかと思うのですけれども、そういう
意味
で、非常に身近な紛争処理機関、ここが公平にしかも公正にきちんとした処理をしていく
体制
をつくっていくということが大変重要なことではなかろうか。 そういう
意味
で、この法が裁判規範であると同時に行為規範であるという部分も出てきているのではなかろうかと思うのですが、この紛争処理機関については、
関係
各機関はいかがお考えでいらっしゃいますでしょうか。
坂本導聰
109
○
坂本
(導)
政府委員
裁判外の紛争処理
体制
という問題につきましては、御
指摘
の
よう
に、
関係
審議会の
検討
の中でも、
製品
に起因する
消費者
被害を本当に
救済
するためには、こういった少額、裁判になじまない
よう
な被害について、被害の
救済
も念頭に置いた解決手段の多様化ということを図る必要がある。そのために、第三者による簡易な紛争処理機関という
よう
なものの整備充実も大事ではないかという
指摘
がなされているところでございます。 したがいまして、具体的なあり方といたしましては、少額被害等につきましては、例えば広く相対交渉、あるいは地方の消費
生活
センター、苦情処理
委員会
等、
消費者
が身近に利用できる既存の
体制
の一層の活用を図っていくということも大事でございますし、さらに、こういったところで解決できない
よう
な案件も当然ございましょう。そういった場合については、個別のニーズに応じて、個別の
製品
分野
ごとにおのおの専門の知見を持った機関の活用、さらに、そういった機関についていかに中立性、公平性を与えていくかということが重要な課題になると考えておりまして、私どもは、この
法案
の御審議をお願いしますと同時に、そういった面での
体制
整備、充実のために努力をしてまいりたいと考えております。
伊東秀子
110
○伊東
委員
例えば、建設工事におきましては建設工事紛争審査会とかいうので、仲裁にまでいける
よう
な形の調停機関みたいなのが都道府県等にもありますけれども、こういった
消費者
被害に関して、各
分野
かなり専門的である。主要な
製品
、
自動車
なら
自動車
、家電なら家電、非常にメカニズムが高度で専門的である。それに関して、専門家と
消費者
の代表みたいな方の入ったそういう仲裁制度等を導入していく、その
よう
な方向性についてはいかがでございましょうか。
坂本導聰
111
○
坂本
(導)
政府委員
現在の
よう
な行財政事情のもとで新たな機関をどんどんつくっていくことがいいのか悪いのか、これはまた別の角度の問題があろうかと思います。したがいまして、少なくとも私どもといたしましては、大学も含めて、
関係
各省の既存の機関といったものの機能の充実と横の連携を強化していく必要があろうと思います。 さらに、私どもで言えば、国及び国の地方機関等の
消費者
相談窓口について、専門家の配置、あるいは原因究明能力を有する機関との連携強化等による相談・あっせん
体制
の充実を図る、あるいは必要に応じて専門家を地方に派遣する、こういったこともやっていく必要があろうと考えております。
伊東秀子
112
○伊東
委員
最後になりましたが、この
製造物責任
法は、連立内閣になって、本当に
消費者
重視ということに関して初めできちんとした形で成立し
よう
としている法ではなかろうかと思います。そういう
意味
では、両大臣の意気込みのほどを最後にお伺いして、終わりにさせていただきたいと思います。
畑英次郎
113
○
畑国務大臣
いわば戦後五十年たちましたお互いの
国民
生活
のあり
よう
あるいは産業界のあり
よう
、すべてが
一つ
の区切りをつけまして、新しいスタートをさせなければならない、そういう中にあります
消費者
サイドに立った
一つ
の画期的な
法案
である、か
よう
な
意味合い
での成立を回らせていただきたいと考えております。
寺澤芳男
114
○
寺澤国務大臣
大量生産
・
大量消費
という現代社会におきまして、
製造物
から
消費者
を守る、被害者を守るというこの法の精神にのっとって、今後非常に大事なことは運用だろうと思います。
経済
企画庁
といたしましても、全力を挙げて、成案なりし後はこの法の運用をやっていきたいと思っております。
伊東秀子
115
○伊東
委員
どうもありがとうございました。
玉沢徳一郎
116
○玉沢
委員長
住博司君。
住博司
117
○住
委員
既に何人かの
委員
が質問に立っているわけで、重複することもありましょうけれども、私自身の認識を深めること、それから確認の
意味
も含めてお尋ねをしていきたいと思います。率直かつ明快な答弁をまず要望しておきます。
消費者
を
製品
事故から守るためには、何よりも事故の未然防止、再発防止、被害
救済
が求められますし、
行政
上の措置や裁判の規範を含む総合的な安全対策が必要だ、こういうふうに私自身も思っています。
PL法
制化というのは世界の趨勢ですから、そしてまた事故の再発防止、
責任
の明確化という点をあわせ考えれば、今回の法制化は言ってみれば望ましい方向かな、こういうふうに私自身は
感じ
ております。 しかし、これまでさまざまな
分野
でこの問題についての
議論
がありました。私も、我が党の
経済
・物価問題調査会の
製造物責任
制度に関する小
委員会
の論戦を振り返ってみますと、幾つかの
指摘
があったことを記憶しております。例えば、製造者の規模によっては
PL法
制化によってかなりの負担を生じることになりはしないかとか、また、
アメリカ
の
よう
に
製造物責任
の訴訟提起が一年間で何十万件という
よう
な訴訟社会を招くことにならないかなど、いろいろな御
議論
があった
よう
に思います。このことを背景にしながら、きょうはわずかの間ですけれども、質問をさせていただきたいと思います。 まず第一に聞きたいのは、
製造物責任
の要件に
欠陥
が挙げられている。
欠陥
とは、ある物が「通常有すべき
安全性
を欠いていること」とされていますけれども、どの
程度
の
安全性
が通常備えられるべき
安全性
と言えるのか、その点を伺っておきたいと思います。例え話を入れても結構ですから、どうぞよろしくお願いします。
坂本導聰
118
○
坂本
(導)
政府委員
「通常有すべき
安全性
」とございますが、実際には
個々
の
製品
によってなかなか違いがあるということでございまして、一概にこれこれはと申し上げるわけにはいかないわけでございます。したがいまして、この
法律
案では、「通常有すべき
安全性
」を欠いているということを判断する考慮事情として、「当該
製造物
の特性、その通常予見される使用形態、その
製造業者
等が当該
製造物
を引き渡した時期その他の当該
製造物
に係る事情を考慮してこと規定しておりまして、例えば「特性」では、赤ちゃんが使うおもちゃと高度な専門知識をもって当たる
よう
な機械というものは違いがございましょうから、これこれと一概に断定できないので、こういった形で表現させていただいております。
住博司
119
○住
委員
これは運用でどう見ていくかという
よう
なこともあると思いますので、そこのところはやはりきちんと見ておかなければならないのかな、こう思います。 ただ、私たちの国も今まで、事故の未然防止という
観点
からすれば、
法律
上の安全規制義務というのは幾つかの
法律
の中であると思います。そういうことを考える。それから、安全基準、
行政
上の措置みたいなものもございました。そこで、こうした国の基準に合致しながら起きてしまう事故、その過失や
製品
の
欠陥
もあり得ないことではないのではないかなと私は思うのです。 そのことを考えたときに、今までは、当然、
行政
規則と民事
責任
との
関係
については、今までの過失
責任
原則においても論じられているところで、要するに
行政
上の安全規則を
製品
が満たしていることを理由にして免責にはならないということは争いのないところでありましょうけれども、改めて、国の基準に合致しながら起きた事故における
製品
の
欠陥
というのはどういうふうに考えるのかということを伺っておきたいと思います。 同時に、一方、安全基準を設定したり製造承認をした国の
責任
は一体どうなっていくのだろうか、これは
PL法
制化によって変わるのであろうか、そのことも含めてお答えをいただきたいと思います。 〔玉沢
委員長
退席、
白川
委員長
着席〕
清川佑二
120
○清川
政府委員
安全規制に適合した
製品
の
欠陥
及び
製造物責任
法の
関係
でございますけれども、
行政
上で決められている
製品
安全規制、これは
製品
事故防止を目的としまして、
製品
の製造・販売に対して充足すべき最低基準を定めた取り締まり法規であるということでございます。また、副次的な効果でございますけれども、企業の
製品
安全対策あるいは
消費者
の購入及び使用にかかわる評価のガイドラインとしての
意味
を持つという点もあろうかと思います。 これに対しまして新たな
PL法案
は、
製品
事故が
発生
した場合の被害
救済
のためのルールを定めるものでございまして、
製品
安全規制を代替するわけではなくて、相互に補完するという性質のものでございますので、この両者は意義・目的を異にするというものでございます。 したがいまして、もちろんこの安全規制に適合するあるいは適合しないという点は、規制
対象
製品
の事故に係る損害賠償訴訟の際の
欠陥
判断における重要な考慮事項の
一つ
ではございますけれども、しかしながら、裁判所におきましては、安全規制の基準とされる技術水準、これと
製品
に係るあらゆる事情を総合的に考慮して判断される、
個々
の
製品
の
欠陥
の有無について問題とされる技術水準と異なるものでございます。 例えば、最高裁の
判例
がございますけれども、
自動車
の助手席の背もたれの前倒れ防止装置というものをつける義務がまだなかった当時の判決でございますけれども、
メーカー
側が保安基準に違反していないということを理由に過失の存在を争った際でございますが、最高裁におきましては、「保安基準は取締規程に過ぎず、保安基準に違反しないことをもって、製造上の過失なしとすることはでき」ない旨の高裁の判決を是認しておりまして、従来の取り扱いにおきましては、この
製品
安全規制というものは最低の基準を定めた規制であるというふうに位置づけられているわけでございます、 しからば、政府が定めた規制とそれに従って
製品
をつくった
製造業者
の
責任
関係
でございますけれども、
製造物責任
というものは、
製造業者
が
欠陥
のある
製品
を製造して
流通
させて、そして被害があったか否かという点にあるわけでございまして、その
よう
な
製造物
を製造して市場に
流通
させるというところに大きな問題、帰貫性があるわけでございまして、市場に
流通
させたかどうか、これは最終的には
製造業者
の判断にかかわってくるわけでございますので、
製造物責任
の問題は依然として残るわけでございます。 なお、政府の定める規制に従って
製品
を製造したことによって
欠陥
が生じた場合、国家賠償法第一条の規定が問題になるということは、もちろんこの国家賠償法第一条の規定に従って、「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失」があってこの
よう
なことになったということであれば、国も損害賠償
責任
を負う可能性はあるものでございます。
住博司
121
○住
委員
御丁寧に答弁していただきました。 今回の
法案
でいわゆる
責任期間
というのを十年というふうに設定してあるのですけれども、これはどんな根拠で定められたのでしょうか、確認をしておきたいと思います。
清川佑二
122
○清川
政府委員
除斥期間
を定めた長期の
責任期間
の問題でございますけれども、この
責任期間
の長さにつきましては、
一つ
には、最近の技術革新が大変急速でございまして、
安全性
に対する社会的な通念も変化をしております。 また、
製造物
の通常の使用期間・耐用期間といったものも、比較的長期使用されるものにつきましても、平均的な耐用期間は十年
程度
あるいは使用期間七年
程度
とあるのは通常のことと言われております。 また、検査記録などの保存期間、あるいは諸外国における立法例も考慮いたしますと、十年とすることが適当であるということで、十年ということとされております。
住博司
123
○住
委員
中古の品についてもちょっと聞いておきたいのですけれども、改造や修理というのもあるのでしょうが、もともとの製造者の
責任
というのは、中古品についてはどういう扱いになるのでしょうか。それから、つくった当時と利用目的が全く違う場合というのはどういう取り扱いになるのでしょうか。そのこともちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
坂本導聰
124
○
坂本
(導)
政府委員
御
指摘
の中古品でございますが、中古品といえども、「製造又は加工された
動産
」に該当するという以上は、
製造物責任
法の
対象
となります。中古品の場合も、当該
製造物
を製造または加工した
製造業者
が当該
製造物
を引き渡したときに存在した
欠陥
と相当因果
関係
のある損害についてのみ損害賠償の
責任
を負うことになります。 ただし、中古品として売買されていたものについては、以前の使用者の使用状況や改造・修理の状況というものが確認しにくいこと、あるいは中古品販売者による点検、修理や整備などが介在するということも多く、裁判においては、
製造業者
の
責任
の有無については、こういった全体の事情を踏まえて慎重に判断されるものと考えております。
住博司
125
○住
委員
例えば、これからも新しい
製品
を開発しなければならない、こういうことがたくさん出てくると思うのですね。そのときには、今までよりも安いものとか、便利なものとか、質のよいものとか、そういった要望にこたえ
よう
とするわけですね。しかし、今回の法制化によって
製品
開発のリスクが大きくなるんだ、あるいは開発に慎重になるんだという
指摘
があったことを記憶しております。特に資金力や人的資源の弱い中小企業にとって、賠償負担にたえ得るのかとか、あるいは価格転嫁ができるのかといった声もあるのですけれども、その点ほどの
よう
にとらえておられるのでしょうか、そのことをお伺いをしておきたいと思います。
清川佑二
126
○清川
政府委員
新
製品
の開発意欲の減退、そしてまた中小企業の負担でございますけれども、大企業に比べまして相対的に人的、技術的あるいは資金的に恵まれていない中小企業に対しまして、
一つ
には部品・原材料の
製造業者
についての抗弁、あるいはまた政府といたしまして、各般の施策によりまして、周知徹底あるいは啓蒙普及啓発活動等々を行うことによりまして、中小企業に対する支援に努めてまいることといたしております。
住博司
127
○住
委員
この
法律
は動いてみないとわからない部分がたくさんあるのだろうと思いますけれども、もう一方で、
製造物責任
制度が導入された場合は、
経済
に与える影響というのはどういう
程度
のものかということを考えておかなきゃならないのです。 私の浅い考えで言えば、これは賠償
責任
への保険料負担というのがかかってくるんじゃないかな、こう思います。そのときに、物価に与える影響というのはどうなんだろうか、この点試算したことがあるのかということと、どの
程度
のものになると考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
坂本導聰
128
○
坂本
(導)
政府委員
ただいまのお尋ねでございますが、我が国と民事司法制度においてかなりの類似性を持ち、また、本
法律
案と同様の特色を持っております
EC
指令に基づいて
製造物責任
制度を導入したEU及びEFTA諸国において見ますと、これまでのところ、製造コスト、保険料あるいは
製品
開発意欲などにおいて目立った影響はあらわれていないというふうに
承知
しております。 お尋ねのこの制度が我が国について導入された場合にどうかという非常に難しい点でございますが、現在、既に
製造物責任
保険制度に入っている企業の
方々
もかなりおられます。しかし、今入っていない
方々
も相当おられる。その未加入の
方々
がこの一年間で仮にみんな保険に加入するという大胆な推計をいたしましても、
消費者
物価に与える影響は〇・〇〇五%
程度
というふうに試算されるところでございます、
住博司
129
○住
委員
ほとんど影響がないというふうに判断をされているというふうに受けとめておきます。 私どもは、外国からいろいろなものを輸入する国でございますけれども、国によって当然安全規制は異なる。こんなことを言っては失礼かもしれませんけれども、一般的に国内産品よりも輸入品の
安全性
の確認は困難であることから、なかなかちょっと心配だな、こう思うことがあるのです。
製造物責任
制度の導入は、例えば今言った保険料の問題も含めて言えば、輸入を抑制することのはずみ車になりはしないかという
指摘
があったというふうに覚えております。特に、賠償を履行する能力のある先進国ならまだしも、発展途上国はなかなかそういうことができないから、それらの国々からの輸入品というのはかえって少なくなっていくのではないかという御
指摘
があったと思いますけれども、その点についてはどの
よう
にとらえておられるのでしょうか、その点もお伺いをしておきたいと思います。
清川佑二
130
○清川
政府委員
発展途上国を
中心
といたしました輸入に対する影響でございますけれども、
一つ
には、この
法律
案そのものは西欧諸国と同様の制度、調和のとれた内容のものとなっているという点、また、国産品と輸入品を区別することなく
欠陥
責任
を定めるという点、この
よう
な点で共通性があるということによりまして、商品の選別が行われるということはない、平等に扱われるということで、制度としては輸入について悪い影響があらわれることのない
よう
なものとなっていると考えます。 また、実態におきまして、我が国の企業に対する調査をいたしたところでございますけれども、
製造物責任
の導入によりましてどの
よう
なことを考えるかということでございますが、海外の生産現場での
安全性
確保
体制
を強化する、あるいはまた輸入先の保険加入など、損害賠償の履行確保の充実も行うという
よう
な努力をするという企業は非常に多かったわけでございますけれども、輸入先を変更する、あるいは輸入を減少する、中止するという
よう
な企業は大変少なかったわけでございます。これは、我が国企業が開発途上国にみずから進出して現地製造を行って、
日本
のマーケットに適した
製品
を開発輸入してきているということもあるいは大きな要素となっているかもしれませんが、この
よう
に、実際上調査したところでは、輸入に対しての阻害ということは大きな要因にならないものと考えられます。
住博司
131
○住
委員
個別的な話に移りますけれども、
血液製剤
の問題について伺っておきたいと思います。 輸血に使われる三種類の
血液製剤
のうち、血漿分画製剤を除く全血製剤と血液成分製剤は基本的に加工処理せず使われているものだから
製造物
とは言えない、
製造物責任
の
対象
から除外すべきだというのがたしか中央薬事審議会等々の結論であったと思いますけれども、それが法制化の段階で
対象
に含められることになった。その経過について、もう既に何人かの
委員
が御質問していると思いますけれども、繰り返しになりますけれども、改めて伺っておきたいと思います。
矢野朝水
132
○
矢野説明員
最初
この問題について
検討
しましたのは中央薬事審議会でございますけれども、この場では、今
委員
のおっしゃった
よう
に、そういう理由で
製造物責任
法の
対象
にすべきではない、こういうことであったわけです。 ただ、その後の政府部内における
検討
の中で、こういった輸血用の
血液製剤
につきましても、保存液とか抗凝固剤を加えておる、あるいはバッグに詰めたまま
流通
される、こういったことから、やはり加工された
動産
であるということで、
製造物責任
法の
対象
にされたわけでございます。 ただ、
欠陥
の
定義
はこれはまた別でございまして、これも先ほどお話がありました
よう
な経緯で、要は
製品
特性を配慮した
欠陥
の判断を行う。その結果といたしまして、「現在の科学技術の水準の下で技術的に排除できないウイルス等の混入や免疫反応等による
副作用
は
欠陥
に該当しない」、こういう政府の
考え方
が示されたわけでございます。
住博司
133
○住
委員
その政府の
考え方
というのはどういう形でまとめていったのか、その経過をちょっとお伺いさせていただきたい。
矢野朝水
134
○
矢野説明員
この輸血用の
血液製剤
の問題につきましては、献血でもって国内の必要な血液は賄う、こういうことで、
昭和
三十九年以来、日赤、国、都道府県、
関係
者が協力して行ってきたわけでございます。そういう中で、
よう
やく輸血用の
血液製剤
ですとか凝固因子製剤について国内自給が達成される、こういうことで、
よう
やく成果が上がってきたわけでございます。 したがいまして、今回、
製造物責任
法の立法に当たりまして、こういった血液事業の安定供給に支障が生じるのではないか、こういう不安というのが日赤
関係
者あるいは医療
関係
者を
中心
に非常に高まったわけでございます。 そこで、私どもとしましては、
製造物
の範囲に該当する、こういうことは
製造物
の
定義
からしてやむを得ないといいますか当然であるといたしましても、こういった血液事業の安定供給に支障を生じることのない
よう
にということでこの問題について対応したということでございます。 そういう中で
欠陥
の
定義規定
が設けられたわけでございまして、これを具体的に
血液製剤
について当てはめますと、先ほど来申し上げている
よう
なことで、「現在の科学技術の水準の下で技術的に排除できないウイルス等の混入や免疫反応等による
副作用
は
欠陥
に該当しない」、こういう
考え方
を政府全体としてまとめたわけでございます。こういうことによりまして、要は
PL法
の導入に伴いまして輸血用の
血液製剤
の安定供給に支障が生じない
よう
に、こういうことになろうかと判断しております。
住博司
135
○住
委員
そうしますと、今、
血液製剤
をめぐる事故の
発生
率というのはどれくらいあるのですか。それから、輸血患者でよく言われる肝炎の話がありますね、これはどれぐらいの
発生
率になっているのかも含めてお聞かせをいただきたいし、そういったことによる訴訟というのはあるのでしょうか。 それは今話題にもなっておる
よう
ですけれども、そんなことを考えて、例えば今統一見解をまとめたのだとすれば、何でわざわざそうやって組み入れていかなければならないのかという
議論
にも立ち至るし、あるいは言ってみれば免責事項みたいなものをつくるとすれば、本来の
PL法
制化の
意味合い
とはまた違ってくるのではないかというふうに考えますけれども、どうでしょうか。
矢野朝水
136
○
矢野説明員
まず、事故の
発生
でございますけれども、これは各種の検査とか問診を世界最高レベルの水準で実施しておるわけでございますけれども、現在の科学水準のもとではどうしても完全に危険性を除去できない、こういう実態にあるわけでございます。 ただ、最近、検査法等も随分新しく開発された、充実をしてきたということで、昔と比べますと減っておりますけれども、まだ一%
程度
の肝炎、非A非B型の肝炎と言われておりますけれども、一%ぐらいあるのではないか。その中でC型肝炎というのが〇・二%ぐらいの割合で
発生
するのではないか、こういう
研究
結果などがございます。数でいいますと、C型肝炎は二千人から三千人ぐらいの患者が年間
発生
しておるんじゃないか、こう見られておるわけでございます。 それから、裁判でございますけれども、これは、献血事業の主体として日赤自体が訴えられておる、こういう裁判は今のところございません。幾つかの裁判がございますけれども、これはいずれも病院が訴えられておりまして、そういった面液製剤の使い方が適切さを欠いていたんじゃないか、こういう理由で病院が訴えられている、こういうのが幾つかあるということは伺っております。 それから最後に、こういった形で免責、つまり
欠陥
の
定義
、
欠陥
に該当しないという形で免責規定を設ける、自主的にそういう規定を設けるというのはおかしいじゃないか、こういうお話かと思いますけれども、これはやはり
製造物
の
定義
というのが
法律
上あるわけでございますし、例外はなるべく設けるべきではない、こういう御
意見
も強いわけでございますし、それから何よりも、輸血用の
血液製剤
につきましても、先ほどから申し上げている
よう
な、いろいろな薬液を加えるとかバッグに詰められたまま
流通
する、こういった加工が行われている、これは紛れもない事実でございますので、
製造物
の
定義
自体から外してしまうということはやはり適当ではないのじゃないか、こう判断した次第でございます。
住博司
137
○住
委員
これは生ワクチンも同じ
考え方
だというふうに考えてよろしいのでしょうか。
矢野朝水
138
○
矢野説明員
生ワクチンも同様でございます。これはいろいろな工程を経て製造されているわけでございまして、具体的に言いますと、ウイルスとか細菌を用いまして、これを培養して増産をする、それに安定剤等の添加をしたり、あるいは凍結乾燥をする、こういった各種の工程を経て製造されておるわけでございます。もちろんその生きた細菌、生きたウイルスそのものの能力を医薬品として利用しておる、こういうことではございますけれども、そういった加工工種を経ておる、こういうことから、やはり
製造物
に該当するということでございます。 ただ、これも、
欠陥
につきましては、
製品
の特性その他諸般の事情を総合的に考慮した上で
欠陥
の有無が判断されることとなる、こういうことでございますので、
副作用
があるからといって直ちに
欠陥
がある、こういうことにはならないんじゃないか、こう考えております。
住博司
139
○住
委員
先ほどからお伺いをしていますと、例えば
血液製剤
の場合には、もちろんかわりがきくものじゃないですよね、それから
副作用
や感染の危険性が完全になくなるというものでもないということだから、いろいろと統一見解をつくって免責にしてある、こういうことなんでしょう。しかし、これからいろいろなことを考えていくと、
血液製剤
に限らないかもしれませんが、こういう問題による被害というのは避け得ないということになる。そうすると、それに対する補償、
救済
というのは、これは裁判に訴えていくしかないというふうに今のところ考えておられるんでしょうか、そのことをちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
矢野朝水
140
○
矢野説明員
この輸血用の
血液製剤
というのは、これは命を救うためには使わざるを得ない、こういうことでございます。ほかに代替する治療方法もない。一方では、幾ら念を入れて最高水準のチェックをいたしましても、完全にウイルス等の混入を排除できない、あるいは
副作用
もどうしても防げない、こういう非常にジレンマにあるわけでございます。 したがいまして、この被害者の
方々
は、非常にお気の毒でありますけれども、そういった事柄を総合的に考えますと、これはやむを得ないといいますか、まあ受忍の範囲内ではなかろうか、こういう
考え方
をとっております。
住博司
141
○住
委員
受忍の範囲内かどうかというのは、これはまた別途、別の場所で
議論
をさせていただくことになると思いますが、今も訴訟の話をしましたけれども、この
製造物責任
の法制化は、言ってみれば
一つ
の裁判規範になって、過失から
欠陥
という
よう
なことで随分変わるんだろうな、こう思うのですけれども、例えば裁判以外の日常の紛争解決の規範というんでしょうか、これにも重要な役割を果たしていくことが考えられる。 しかし、これによって、例えば使う側の信じられない誤使用が容認されたり、あるいは安全意識の低下による事故とか、あるいはクレームが増大するとか、そういったことは起き得ないのだろうか、そういうふうに考えるのですけれども、その点ほどうかということ。 それから、よくいろいろな形で暴力的な威迫行為、これを伴う悪意のクレームというのが増加するのではないか、こういうおそれもなきにしもあらずではないかと思うのですけれども、それについてはどうお考えになっているのか伺っておきたいと思います。
坂本導聰
142
○
坂本
(導)
政府委員
この
法律
では、
定義
として、
欠陥
を「当該
製造物
が通常有すべき
安全性
を欠いている」。この
考え方
は、特定の
消費者
、私なら私が考えるということではなくて、合理的な使用という
考え方
でございます。 したがって、そういう
観点
から、いろいろなクレームが増加するとすれば、単にその被害者の使用の問題から生じた場合には、本来この
法律
で考えている
対象
ではないわけでございますので、まず全体的にはこの
法律
の趣旨を
消費者
に対してあるいは企業に対しても周知徹底させるということが必要であろうかと考えております。 そしてまた、
個々
具体的に、今御
指摘
の
よう
なモラルリスクを生ずるおそれもあるわけでございますから、そのためにも
消費者
教育が必要である。 しかし、さらに、例えば暴力的行為ということが全く考えられないわけでもない。こういった場合には、企業として毅然とした態度をとっていただくと同時に、警察当局との連携もとっていただく必要があろうと考えております。 ただ、一点つけ加えさせていただきたいと存じますのは、この
法律
は、
テレビ
なら
テレビ
、当該
製品
の
欠陥
だけではなくて、当該
製品
の
欠陥
によって
拡大損害
が生じた場合ということでございますから、この
テレビ
だけがおかしいという
よう
なクレームは、この
法律
の段階で
対象
とならないということだけ御理解いただきたいと存じます。
住博司
143
○住
委員
まさにこの
法律
はそういう
意味
を持っているんですよということが相当大きな広い範囲でわかってもらわないと、言ってみればいちゃもんをつけるというんでしょうかね、おれのところのこれはこういうふうになった、おまえのところの
製品
に
欠陥
があるからじゃないか、訴えてやるぞみたいなやり方でおどされないとも限らない、そういう心配がやはり出てくるだろう、新しい
法律
だから。 先ほども畑大臣が大変な意欲を持って、決意を持って御答弁なさっておられましたけれども、それだけの新しい
法律
で、つまり
消費者
保護のためにはこれは大事な
法律
ですよ、新しい
法律
ができましたよ、これだけが前面に出てまいりますと、本当によく内容がわかっていかない。よく聞いてみますと、きょうの話も、この
法律
ができることによって何もかも
責任
が問われるという
よう
な話ではなくて、いろいろなことがちゃんと証明されなければそれは立証できないといったぐいの話だと私は思うのですね。そういうことから考えれば、よほどのきちんとした周知徹底をしていかなければいけないのではないか、その点をぜひ配慮していただきたいということを私は申し添えておきたいと思います。 そしてもう
一つ
、冒頭にも述べましたけれども、よく
アメリカ
みたいになっちゃうんだ、一年間に五十万件だなんていうこの
製造物責任
をめぐる訴訟が起きるんだ、
日本
も同じ
よう
に濫訴が起きるんじゃないのかという
よう
な御
指摘
がある
よう
に思うのですけれども、これは例えば先進的なところでいえば、
EC
もそうでしょうし、それから
アメリカ
もそうだ、一体我々はどっちの国に近いのかな、どっちの地域に近いのかなということも含めて私たちは考えておかなきゃいけないと思うのですけれども、今の
時点
でどういうふうにこの問題をとらえておられるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
坂本導聰
144
○
坂本
(導)
政府委員
御
指摘
の
よう
に、
アメリカ
では濫訴になって保険危機等を招いているということは私どもも
承知
しております。ただ、先ほど来御答弁がございました
よう
に、
アメリカ
の司法制度あるいは裁判制度というものの特殊性がございます。弁護士の成功報酬制度、あるいは懲罰的な賠償制度、陪審制度。したがいまして、我が国においてこの
法律
案によって
アメリカ
の
よう
になることはまず考えられないだろう。 また、この
法律
案の中身は、我が国と同じ
よう
な司法制度をとっている
EC諸国
並みの内容となってございます。その
EC諸国
において
PL法
が導入されたことによって特に大きな問題は生じていないと聞いておりますので、我が国の場合も
EC
と同様のことを考えているということでございます。
住博司
145
○住
委員
きょうは
PL法
制化についての質問をさせていただきました。私も、これは今までずっといろいろな
議論
をしてきて、大変重要な
意味
を持つ
法律
だと思います。ですから、この
法律
の趣旨が徹底されまして、そして
消費者
のために非常によく利用されます
よう
に、そのことを政府としてきちんと対策をとっていただきたいことをお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。 〔
白川委員長退席
、
玉沢委員長着席
〕
玉沢徳一郎
146
○玉沢
委員長
西村
眞悟
君。
西村眞悟
147
○西村
委員
西村
眞悟
です。 大臣、まず冒頭にお伝えしておきたいと思うのですが、本日午前中に公聴会がございまして、充実した、そして積極的な公聴会でございました。特に加藤一郎
先生
には、本
法案
には
欠陥
がないというふうな冒頭の御
意見
をいただき、また、実務家であられる中坊公平
先生
には、みずからが担当され苦労された森永砒素ミルク中毒
事件
の体験を踏まえて、あの当時にこの
製造物責任
法があればあの
よう
な悲惨な長期化はなかったと思うと心が痛む、その
意味
で最後の締めくくりとして、この
法案
が提出された以上はどうしても通していただきたいというふうな御
意見
をいただいております。これをまずお伝えしておきまして、質問に入らせていただきます。 今までのいろいろな
委員
の
先生
方から
質疑
応答がございました。私は屋上屋を重ねることはせずに、
民法
の我が国の法体系という
観点
から、二つだけ質問をさせていただきたいと思います。 言うまでもなく我が国は
民法
の法体系を持っておりまして、それは法的安定性にも寄与するし、そしてまた、そのもとで
判例
が集積してきております。この当該
法案
、
製造物責任法案
もこの法体系との整合性という
観点
から見ていく必要もあるのではないかと思います。 そこで、いつも問題になる
推定規定
でございますけれども、そもそも我が国の既にある体系上、要件事実について推定を設けてその存否を決めるというふうな
法律
が果たして体系上整合するのか否か、この点について御
意見
をいただきたいと思います。
塩谷隆英
148
○塩谷
政府委員
製品
の
欠陥
に起因する損害について製造者等に対して賠償を請求するための要件事実でございますが、
一つ
は
流通
開始時に
製品
に
欠陥
が存在したこと、二つは損害が
発生
したこと、三つは
流通
開始時の
欠陥
と損害との間に因果
関係
があることであります。これらの要件事実につきましては、権利の
発生
を主張する者が具体的な権利
発生
事実を主張・立証するというのが我が国の民事訴訟の通常の原則であるというふうに
承知
をしております。 この原則に対しまして
推定規定
を置くという
考え方
が示されておりますが、これにつきましては、先ほど来御
議論
があります
よう
に、
一つ
は、一般の不法行為や過失を要件としない賠償
責任
を課しているさまざまな特別立法においても、権利根拠規定に係る要件事実について
法律
上の推定は置かれておりません。
製造物責任
において権利根拠規定について
法律
上の推定を行うとすれば、不法行為全体の体系のバランスがとれなくなる可能性がございます。 二つは、
製品
の
欠陥
に基づく被害の
発生
には
製品
特性等を反映いたしましてさまざまな態様がありますが、被害の性質や被害
発生
の態様のいかんにかかわらず、制度上、同じ要件のもとで製造者に証明
責任
を転換して、
欠陥
や因果
関係
の存否が不明であった場合の不利益を製造者にこうむらせることは妥当でないなどというふうに考えております。
西村眞悟
149
○西村
委員
いずれにしても、
消費者
の
方々
から、特に
推定規定
が保護か非保護か、この
法律
の特徴のメルクマールの
よう
に言われておるのですが、
判例
の集積上その
よう
な運用はなされるはずがない、私はこの
よう
に思っておるのですが、この点についてはいかがでございましょうか。
升田純
150
○
升田説明員
立証
責任
の原則は先ほど
経済
企画庁
の方からお答えいたしましたとおりでございますが、実際上それではどういうことによって運用されているのかということになりますけれども、これは、
個々
の事案におきまして、
個々
の事故の態様、あるいは
製品
の種類、あるいは証拠の内容、証拠の偏在状況等さまざまな事情が考慮されまして、事案に即して、まさに事案に即して
欠陥
あるいは因果
関係
といったものの認定が行われることになるわけでございます。 その場合に、裁判上さまざまな手法というものがございまして、御
指摘
の
よう
な事実上の推定というものもございますし、あるいは経験則を利用する、あるいはいろいろな事実を総合して認定するという
よう
なやり方もございますし、また、一部では間接反証といった
考え方
も提案されております。 いずれにしましても、事案に即した公平な被害者の立証負担の軽減が図られていくということはございますけれども、それ以上に何か積極的に
法律
上規定しなければいけないということにはなっておりませんし、また、
判例
上、そういった
個々
の事案を捨象いたしまして一定の原則が現在までできているという状況にはございませんということでございます。
西村眞悟
151
○西村
委員
問題をちょっと変えますけれども、概念についてちょっとお尋ねいたします。
製造物
という概念、また、
欠陥
という概念がこの
法律
の
一つ
の大きな柱でございますけれども、
血液製剤
等の
議論
を聞いておりますと、
欠陥
に該当するか否かの
議論
と
製造物
に該当するか否かの
議論
がどうも混線している
よう
な
感じ
がする場合がございます。先ほどの
厚生省
の
課長
からの御答弁でそれは非常に明確に
指摘
されておったと思うのですけれども、念のためお聞きしておきますが、例えば、
製造物
という概念には該当するんだと、しかし、これは余り
製造物責任
法理で判断され得べきものではないというふうな
一つ
の政策的判断等があったといたしまして、その概念には該当するけれども、本件、この物については特別除外すると。この
よう
な
製造物責任
法という
法律
を制定する場合に、この
よう
な操作をして果たして体系上合理的なものか。こういうふうな法体系を認めてしまった
日本
の法というものは、小さな問題ではございますけれども、全体的に見てやはり整合性はなくなるのではないか、この
よう
な疑問を持つのですが、この点についてひとつ御
意見
をお聞かせください。
坂本導聰
152
○
坂本
(導)
政府委員
この
法律
の第二条で、「「
製造物
」とは、製造又は加工された
動産
」と
定義
されております。したがって、「製造又は加工」に
血液製剤
が該当するか否かであろうかと考えます。そして、
血液製剤
につきましては、血液に加工を加えた
製品
であるということから、この第二条第一項の
定義
の「加工された
動産
」の
対象
にはなるというふうに考えております。 また第二の、それでは
欠陥
に当たるかどうかということで、
委員
は、政策的な配慮は整合性がとれないのではないかという御
指摘
もあったと思いますが、政策的判断ということではなくて、そこにございます
よう
に、「「
欠陥
」とは、」「通常有すべき
安全性
を欠いている」、その場合の考慮事情として「当該
製造物
の特性、その通常予見される使用形態、その
製造業者
等が当該
製造物
を引き渡した時期」、ここをどの
よう
に解釈するかということになろうかと思います。 この解釈の点につきまして、私ども政府といたしましては、先ほど来
厚生省
が申し述べました
よう
な、
血液製剤
の特性という
よう
な、その他の事情もすべて総合的に考慮すると
欠陥
に該当することはないものと考えておりますが、これは政策的に
検討
ということではなくて、法文の解釈として
血液製剤
の特性等をどう考えるかという
観点
からの問題でございます。
西村眞悟
153
○西村
委員
よくわかりました。ありがとうございます。 この
法案
、冒頭申し上げた
よう
に、中坊公平
先生
のおっしゃったことではありませんが、やはり我々はこの国会でこの
法案
を成立させる
国民
に対する責務を負っていると思いますしかれども、結局は法は法なきを期すのでありまして、この
法律
によってすべて裁判で決着をつけさせるということが目的ではございません。その
よう
な
考え方
ではなくて、法は法なきを期す。やはりこの
法律
成立と同時に、この
法律
と共同して、事前に事故を防止する、そして事故の原因を究明する、この
よう
な機関の整備がどうしても必要ではないかと思っております。これによって、この
法律
の究極の目的である「
国民
生活
の安定向上と
国民
経済
の健全な発展」が得られるものと思っておりますので、この点、大臣、よろしくお願いいたします。
畑英次郎
154
○
畑国務大臣
御
指摘
がございましたとおり、法の精神の中にもございます
よう
に、私どもの与えられた立場にございましては、再発防止あるいは未然防止、そういうことにつきましても同時並行的な
行政
展開を強力に推進をしていかなければならない。そしてまた、正しく
国民各界各層
の
方々
に周知徹底を図ることもこれまた大きな責務であろう、か
よう
に受けとめさせていただいておる次第でございます。
寺澤芳男
155
○
寺澤国務大臣
委員
御
指摘
のとおりだと思います。法の精神にのっとって、政府としても一生懸命にその運用に努めたいと思います。
西村眞悟
156
○西村
委員
ありがとうございました。よろしくお願いいたします。 これで質問を終わります。
玉沢徳一郎
157
○玉沢
委員長
吉井英勝君。
吉井英勝
158
○吉井
委員
私は、せんだっての六月三日に続いて、まず
推定規定
の問題から質問に入りたいと思います。 私も土曜、日曜と大阪へ戻っておりまして、生協その他私の知り合いの
消費者
団体、
消費者
保護の運動に携わっている方とか、それから「
欠陥
商品一一〇番」を初めとしてこうしたことに当たっておられる弁護士会やまた
個々
の単位の
法律
事務所などにも伺っていろいろ御
意見
その他聞いてまいりましたが、さまざまな相談が今持ち込まれております。 例えば、大阪で四月に二日間行われた「
欠陥
商品一一〇番」だけでも、電気で三十七件、
自動車
の二十四件を含めて、百二十一件の相談がありました。こういう相談事も、かなりいろいろ具体的にお聞きしましたが、そのうちの一例を御紹介すると、例えば一階で
テレビ
を見ていて
テレビ
が故障した、仕方がないから二階へ上がって二階の
テレビ
を見ている間に一階の故障した
テレビ
から発火をした、煙が充満して娘さんが一酸化炭素中毒で亡くなったという不幸な出来事がありました。 ところが、三月のあの大阪地裁の
テレビ
の判決の場合、あの被害が起こったのも私の選挙区の大阪の八尾市というところなのですが、このときは目撃証人がいたということで、事実上強く推定されるとして原告の太子建設工業の方が勝ったわけでありますが、今の場合は残念ながら目撃証人がいないということで、
推定規定
のないもとでは実は非常に大変なのです。 それで、
メーカー
側の方は、それは放火犯人が家に入り込んで放火した可能性だってあるということを言い出しますね。そうすると、放火でないということの証明をせよということになるわけです。こういった調子で、次々に他の火災原因として考え得るものを出してくる。被害者はその
一つ
一つ
について道理のないものであると証明して、退けていかないといけないわけですよ。 消防の実況見分などからして、
テレビ
が出火場所であるという場合、
推定規定
があれば、
メーカー
側は、どうしてもそれが違うと言いたいときは、原因は
テレビ
でないとみずから証明をしなければだめだし、証明し切れない場合には、それで被害者が
救済
されるということになるわけですね。つまり
メーカー
側に立証
責任
が置かれるわけです。 被害者と
メーカー
というのは、資金力の面でも、情報量の面でも、科学技術の知識などあらゆる面で対等の立場に立っていないということは明白です。その中で、これまで被害者側の泣き寝入りが非常に多かったというところから、今度の
PL法
をつくるということになってきたというのがこの間の経過であるというふうに私は思うわけであります。 ですから、被害者と
製造業者
との間の立証負担の公平が確保されることになるかどうか、ここにある
意味
では根本問題の
一つ
があると思うのです。そういう点で、
推定規定
の導入というものがどうしても必要なものだと私は思いますが、この点についての大臣の見解をまず改めて問いたいと思います。
升田純
159
○
升田説明員
御
指摘
の
推定規定
と申しますと、本
法律
案のいろいろな
検討
の段階でさまざまな立法の諸提案を参考にしたわけですけれども、そういった諸提案の中には、
欠陥
、因果
関係
、あるいは
欠陥
の存在時期に関する
推定規定
を提案しているものがございます。しかし、本
法案
におきましてこの
推定規定
を設けなかったのはさまざまな問題点があったからでございます。 すなわち、まず
欠陥
などの事実の立証につきましては、本来、
個々
の
製品
の特性、事故の態様等多くの事情が
関係
しているものでございまして、
個々
の事案の相違という点を捨象いたしまして、
法律
上一律に一定の事実からこれらの事実を推定するということになりますと、
委員
御
指摘
の被害者の立証負担の軽減という目的を超えてしまうおそれがあるということがございます。 また、
個々
の事案ごとの事情を問わずに、一般的に
欠陥
あるいは因果
関係
などの存在を推定するというためには、それぞれの相当の経験則が必要であろうかと思われるわけでございますけれども、そういった経験則が存在しないということ。 さらには、そういった
推定規定
を設けるということは、現在の過失
責任
のもとにおきます不法行為の一般の体系を混乱させかねないということがございます。 さらには、被害者の立証負担につきましては、
個々
の事案の内容に即しまして事実上の推定などの工夫を利用することによりまして、適切かつ公平な立証負担の軽減というものが実務上行われておりますし、また、今後もそういうことを期待できるということがございます。 それから、
欠陥
あるいは因果
関係
の
推定規定
につきまして、諸外国、特にヨーロッパなどの状況を見ますと、諸外国におきまして採用されていないということがございます。 さらに申し上げますと、今
推定規定
と申し上げておりますのは、抽象的な
推定規定
という
議論
になっておりますけれども、それぞれの提案になっております
推定規定
におきましては、推定の前提となる事実というものがございますけれども、そういう前提事実がややあいまいな事実でございまして、そういった事実から推定をするということは問題が多いといった事情から、
推定規定
を採用しないということに至ったわけでございます。
吉井英勝
160
○吉井
委員
これはせっかく
消費者
被害の
救済
、保護という立場に立ちながら、その
考え方
というのは実はその立場に立っていないというふうに私は思うのですよ。製造者と被害者との公平のために、証明負担の軽減ということはどうしても必要だと私は思うのですよね。 このことは十三次国生審でも
指摘
されているところでありますが、
日本
の場合には、まず、イギリス、
アメリカ
、オーストラリアなどには存在して
日本
にないものでは、証拠開示がないわけですね。 それから、ドイツ、フランスにあって
日本
にないものとしては、鑑定制度の活用などによって、ドイツ、フランスはこれはあるわけですが、事実上の推定等によって裁判官による被害者の証明負担の軽減ということがあるわけですが、
日本
はこれがない。 それから、今ヨーロッパでもない
よう
なお話がありましたけれども、欧米では証拠の優越ですね、五一%証明と言われている。これは立証
責任
は優越性の証明でよいということになっているが、
日本
はこれでは不十分だ。 こういうことがあるなど、やはり
推定規定
を設けなかったならば、これは本当に情報量その他にしても弱い立場にある被害者の側がそれを証明して争うということは大変な困難を伴うわけで、せっかくこの
法律
をつくるからにはやはりそこへ進んでいかないと十分に意を達せられないと私は思うのです。 私は、これと
関係
してくるのは第一条の「目的」だと思うのですね。「
国民
経済
の健全な発展に寄与する」という、いわゆる公害基本法で問題になった
経済
との調和条項を入れてしまったために、被害者保護ということをうたいながらも、その目的に反して
推定規定
をとらない、こういう結果になってきているのじゃないかと思うのです。 私は、この点でも、この
推定規定
ということを考えても、やはり目的の中から、この
経済
との調和条項に当たる「
国民
経済
の健全な発展に寄与」という部分は削除する、そして本当に
消費者
保護という立場に立ち切るということがこの法の目的に合ったものだと思うのですが、目的の部分はひとつ大臣の方から答弁いただきたいと思います。
坂本導聰
161
○
坂本
(導)
政府委員
委員
のお尋ねは、
法律
上の
推定規定
どこの目的規定を関連させてのお尋ねでございますが、
法律
上の
推定規定
を入れなかったことにつきましては、先ほど
法務省
から答弁申し上げたとおりでございます。 この目的規定で、「
国民
生活
の安定向上と
国民
経済
の健全な発展」ということが産業との調和条項ではないかというお尋ねでございますが、ここは、被害者の保護を図り、そのことが、またこの
法律
ができることによって、より企業は
安全性
の高い商品を供給することが期待され、また、我が国のこの
法案
と
EC
の立法はほぼ同
程度
の内容になっておりますので、そういった
意味
で国際的な
経済
との調和も図れるということになりますので、そういったことを念頭に置いてこの規定が入れられているわけでございます。
吉井英勝
162
○吉井
委員
そもそもこの
PL法
においてその目的とするところは、被害者の
救済
、
消費者
保護であって、私は、
経済
との調和という、これはもう既に前回
議論
しておりますから次の論点に入るために置いておきますが、それは全くこの法の趣旨に照らして不必要なものを入れているということを
指摘
して、次へ行きたいと思います。 次は
欠陥
の
定義
の問題ですが、何をもって
欠陥
とするか、その
定義
について、
法律
案では、特性、使用形態、引き渡した時期の三点の例示に続いて、「その他の当該
製造物
に係る事情を考慮」することにしておりますが、ここで言うその他の事情とは具体的に何を指すのか、これを明らかにしてもらいたいと思います。
坂本導聰
163
○
坂本
(導)
政府委員
ここでは「当該
製造物
が通常有すべき
安全性
を欠いている」ということを
欠陥
と
定義
しておりまして、その
欠陥
を考慮する際に、「当該
製造物
の特性、その通常予見される使用形態、その
製造業者
等が当該
製造物
を引き渡した時期」を三つ具体的に述べまして、その上で「その他の当該
製造物
に係る事情を考慮して」とございます。 したがいまして、ここで言いますところのその他の事情はすべての事情を考慮するということでございますが、例えば、危険の明白さ、あるいは
製品
のばらつき状況、あるいは天災地変等もろもろの事情が考えられます。すべてを含むということでございます。
吉井英勝
164
○吉井
委員
国生審の報告によりますと、
欠陥
の判断の基準ないし要素について、
EC
指令が例示しているもの以外に例示する
よう
に求めて、具体的には、
一つ
は
製品
の効用・
有用性
、二つ目に
製品
の価格対効果、三つ目に技術的実現可能性、四つ目に被害
発生
の蓋然性とその
程度
、五つ目に使用者による
損害発生
防止の可能性、六つ目に
製品
の通常使用期間・耐用期間などを挙げております。これはウェイトの危険効用基準の定式を持ち込んでいるものではないかとも思われるわけですが、いずれにしてもこういう六項目を挙げております。 今改めて確認しておきたいのは、その他の事情には、今
指摘
した六項目は含まれないと解釈していいですか。
清川佑二
165
○清川
政府委員
欠陥
の
定義
の条文、第二条におきまして、「当該
製造物
の特性」「その通常予見される使用形態」、それから「引き渡した時期その他の当該
製造物
に係る事情」という概念で整理をいたしているわけでございます。 その他の事情につきましては、この三要素以外にもあらゆる事情があるということで、その他の事情。この書き方によりますと、すべてを含めてその他の事情ということになりますので、その他の事情というのは、この例示を含めて、すべての事柄を含むということを言っているわけでございます。
吉井英勝
166
○吉井
委員
今の例示を含めてすべてと言い出すと、すべてとは何か。ですから、今
指摘
した
よう
な六項目は、それでは含まれるという立場ですか、含まれないと解釈していいのですか。
清川佑二
167
○清川
政府委員
先ほどの六項目につきましては、それぞれ「
製造物
の特性」あるいは「通常予見される使用形態」、そしてまた「引き渡した時期」の中に具体的には含まれるわけでございますが、法文の書き方でございますけれども、その他の事情という概念、これはすべてを含むという網羅的な概念を示しているわけでございまして、この六項目も結果的には含まれるわけでございます。
吉井英勝
168
○吉井
委員
六項目が今含まれるというお話です。表現上は非常にあいまいなんですが、結局これは、この三つの例示を含めて国生審の
指摘
した内容、明確に言えば産業界の要求は全部盛り込んだ、それで表現上は少しあいまいにした玉虫色の規定、こういうふうに理解をせざるを得ないと思うのですが、私はこの規定というのは、国生審の報告で言う「
欠陥
概念を可能な限り明確化することが望ましい。」という産業界の要求にこたえて、
欠陥
概念を可能な限り狭くしたもの、こういうふうに言わざるを得ないと思うのです。法文上は非 常にグレーな規定といいますか、玉虫色といいますか、あいまいな形なんだが、しかし、今おっしゃった答弁からすると、この六項目は全部含まれるんだ、つまり
欠陥
概念を極めて限定的に
定義
をして、
救済
へのハードルを高くしている、こういうふうに言わざるを得ないと思うのですが、この点ほどうなんですか。
坂本導聰
169
○
坂本
(導)
政府委員
ただいま国生審の御
指摘
がございましたが、
国民生活審議会
では
委員
言われた
よう
な表現になっております。しかし、
国民生活審議会
は
関係
各界の学識経験者にお集まりいただいた会でございまして、産業界寄りであると決めつけるということには全くならないであろうと考えております。 そして、この中で今回具体的に「当該
製造物
の特性、その通常予見される使用形態、その
製造業者
等が当該
製造物
を引き渡した時期」、三つを具体的に例示しておりますが、これは
個々
の事案によって非常に事情は異なろうと思います。そこで
個々
の事案において共通性を持ったものを三つ例示として挙げているわけでございまして、具体的な
個々
の事案の判断に当たっては、これ以外の事項もそれぞれウエートを異にしつつ判断されていくべきものと考えます。 〔玉沢
委員長
退席、
白川
委員長
着席〕
吉井英勝
170
○吉井
委員
国生審のメンバーの構成がどの
よう
なものであるかは私もわかっているわけですが、しかし同時に、産業界の方たちのこれまでの
議論
の経過というのも、もちろん他の報告書を読んでわかっているつもりであります。 それで、この
法律
というのはもともと
消費者
の
欠陥
商品による被害の
救済
、
消費者
保護というところから始まっているのに、
救済
へのハードルを高くしてしまう、
欠陥
というものを極めて限定的に
定義
してしまう、こういうことになってくると、私は、せっかくこの法をつくろうとしながら、仏つくって魂を抜くと言いますか、そういうことになってしまうと思うのですよ。この規定はそういう点で灰色の規定だと思うのですが、
消費者
被害の
救済
というこの法の原点に立ち返って考えるならば、私は、原案の
よう
な
欠陥
の
定義
を改めて、
消費者
期待基準に基づいた
欠陥
の
定義
に改めていくべきじゃないか、やはりそういうふうに考え直すべきだと思うのですが、この点は、大臣、どうでしょうか。
坂本導聰
171
○
坂本
(導)
政府委員
まず第一条の「目的」のところで「被害者の保護を図りこということで、
消費者
よりも広い概念になっております。まずここは御理解いただきたいと存じます。 それから、
消費者
の利益期待というのは
個々
の主観で判断される可能性があります。ここで専ら申し上げておりますのは、「当該
製造物
が通常有すべき
安全性
」という
考え方
でございます。
吉井英勝
172
○吉井
委員
消費者
期待基準に基づいた
欠陥
の
定義
、そこのところは私はやはりきちっとはっきりさせた方がいいと思うのです。どうですか。
坂本導聰
173
○
坂本
(導)
政府委員
ただいま申し上げました
よう
に、第一条で「被害者の保護を図りこと、そして第二条で
定義
をしておりますが、
消費者
ではなくて被害者が第一条の目的規定になっております。これは直接の
消費者
でなくても被害者になり得るからということでございます。
定義規定
は先ほど申し述べたとおりでございます。
吉井英勝
174
○吉井
委員
これは消費して被害が生まれるわけなんですよ。もともとどういう経過を経てこの
PL法
をつくろうということになってきたのか、このことを考えてみれば、あなたの今のお話は全くへ理屈にすぎないと私は思います。 大体、長い間
消費者
の皆さんがいろいろな被害を受けて泣き寝入りをしてきた、その
消費者
の被害の
救済
からまさに
消費者
保護、そういう
観点
でつくられてきたものでありますから、それを今の
よう
なお話にすりかえるというのはとんでもないことだ、許せないことだと思います。 次に、経企庁の立場は、そういう点では
消費者
の立場に立っているのかどうか、私は今のお話を聞いておって甚だ疑問に思いました。 さらに、五条に定める「期間の制限」について伺ってみたいのですが、
民法
では二十年となっておりますが、この
法律
案では「
製造物
を引き渡した時から十年を経過したとき」と期間を半分に短縮しております。その理由は何ですか。
清川佑二
175
○清川
政府委員
期間の制限でございますけれども、期間の制限を置く理由そのものは、不法行為におきまして無制限に損害賠償が提起されるという問題と法的安定性という
関係
から、長期の期間制限が定められているわけでございます。 この期間制限につきまして、今回、産業構造審議会あるいは
国民生活審議会
を初めとして
議論
をしていただいたわけでございますけれども、
一つ
には、最近の技術革新の急速な進展、これによりまして
安全性
に対する社会的な通念が急速に変化をしていることに加えまして、
製造物
の通常の使用期間あるいは耐用期間というものが、比較的長期に使用されるものであっても、平均的な耐用期間は十年
程度
あるいは使用期間は七年
程度
であるということ。 そしてまた、検査記録等を保存しておく必要がございますが、こういった検査記録を保存しておくということの負担。 そしてまた、諸外国の立法例でございますけれども、
EC
指令におきましても十年とあります
よう
に、諸外国における立法例も十年ということでございますので、この
よう
なことを勘案して十年であることが適当であるとされたわけでございます。 なお、しかしながら、
製造物
の
欠陥
に起因する損害の中で、身体に蓄積するいわゆる蓄積損害、あるいは一定の潜伐期間を経た上で出てくる
よう
な損害、この
よう
な損害もございます。この
よう
な損害を考えますと、
製造物
の通常の使用期間を
一つ
の前提として十年のままといたしますと、被害者保護の面から必ずしも適当ではないということもございまして、本法では、この
よう
な損害の場合につきましては、例外的に
責任期間
の起算点を「損害が生じた時」としまして、
救済
を図ることとしているわけでございます。
吉井英勝
176
○吉井
委員
今のお話なんですが、要するに国生審の報告などで、
EC
指令が十年になっているので、国際的な調和の
観点
から十年にすると述べておりますし、今の答弁も大体そういう趣旨なんですよね。産業界も、資料の保存が大変なので十年にすべきだ、こういう要求を出しておりました。そういうのを私も産業界の報告書等で読んでおります。 政府の態度が私はここで問われると思うのですよ。そういう産業政策なり
経済
政策で考えているわけじゃないのですよね、今の場合は。そういう
法律
とは違ったものとして今度の
法律
というのは考えているわけです。そのとき、この産業界の求めているものを基準にして、それに合致するものは取り入れるけれども、合致しないものは、例えば
流通
開始時の
欠陥
の推定などは、外国で立法例が存在していても取り入れ
よう
としない、
消費者
被害の
救済
を軽視しているものになっているということを言わざるを得ないと思うわけです。 この出発点が、
法律
の目的は
消費者
被害の
救済
というところにある、それを考えていると言いながらも、やはり
経済
との調和条項に傾いてしまっていっている。それが
責任期間
は二十年にしないで十年にしたという、私は根底的にそこがあるのじゃないかと思うのですよ。 私は、ここはやはり大臣として
政治
的決断といいますか、
責任期間
はやはり
消費者
の被害
救済
、
消費者
保護という立場に立って二十年に、これは
民法
と合わせた
考え方
に改め
よう
、そういう決断というものを大臣としてやってもらう必要があると思うのですが、大臣、どうでしょうか。
清川佑二
177
○清川
政府委員
委員
御
指摘
の点のほかに、私申し上げましたけれども、最近の技術革新が非常に急速でございまして、
製造物
の
安全性
に関する社会的な通念、これも変化をいたしております。あるいはまた、
製造物
の通常の使用期間あるいは耐用期間、こういったものも実態として十年
程度
でございます。この
よう
なことのほかに、諸外国における立法例を踏まえましても十年
程度
ということでございまして、実態的な状況、そしてまた制度の国際的な調和といった問題も含めまして、十年ということが適切であるという御答申を得ているわけでございます。
吉井英勝
178
○吉井
委員
商品の耐用期間が十年が多いとか、そういうことは私は基準にするべきものじゃないと思うのですよ。それはデザインの変更その他でどんどんどんどん変わるでしょう。しかし、
製造物
について二十年
責任
を持つ、それは
消費者
保護の立場から当然のことじゃありませんか。それを何ですか、あなたのお話を聞いていると、技術革新が進んでモデルチェンジをやったり耐用期間が十年という、その辺を考えたら十年で当たり前の
よう
なことをおっしゃるが、それはやはり今言いました
よう
に、結局、産業界の要求というものを基準にして、それに合致したものは一生懸命取り入れられるのだけれども、しかし、
消費者
の期待する基準なり、
消費者
の願っている
消費者
の被害
救済
、そういう立場に立ち切っていない。この点では、やはりこの法の第一条に変な条項を盛り入れたことと一対のものと言わざるを得ないと思います。 先日に続いて、もう一点私は開発危険の抗弁についても申し上げたいと思いますが、先日の
議論
で、知見の水準を入手し得るというあいまいな表現にしていますね。しかし、私はこれは、その
時代
における最高の知識水準、世界最高の科学・技術の水準、これをやはり知見の水準というものにきちっと答弁の中でも明確にしていただく必要があると思うのですよ。この点についての答弁を求めたいと思います。
坂本導聰
179
○
坂本
(導)
政府委員
この
法律
案におきましては、「当該
製造物
をその
製造業者
等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見」、こうございまして、その場合の知見とは、特定の者の有する知識というものではなくて、客観的に社会に存在する知識の総体、こういう
考え方
。そのことをわかりやすい表現で言うならば、入手し得る最高の科学・技術の水準、こう御
説明
申し上げたところでございます。
吉井英勝
180
○吉井
委員
私は、その引き渡したというところも、これはやはり
製造物
を
流通
に置いた
時点
、そのこと自体を明確にしないことにはいけないと思うわけです。そして、この点では
スモン
の判決でも、製造者に世界最高の学問水準での
安全性
確保義務を認めだというのが
スモン
の判決に示されている点だと思うのです。ですから、その引き渡した
時点
、そういうことじゃなくて、商品、
製造物
として出すわけですから、まず
流通
に置いた
時点
、その
時点
で、
スモン
の例に見られる
よう
に、その
時代
における最高の学問水準、最高の科学・技術の水準、知見の水準とはそういう
程度
のものなのだ、私はこの点だけはちょっと答弁でやはりきちっと言っておいてもらいたいと思うのです。どうですか。
坂本導聰
181
○
坂本
(導)
政府委員
この第四条の第一号で、「当該
製造物
をその
製造業者
等が引き渡した時」とございますのは、
流通
に置いた時期というふうに考えております。
吉井英勝
182
○吉井
委員
時間が参りましたので、残念ながらきょうの質問はこれで終わりますが、ただ、最後に、大臣、本当にこの三十分の
議論
を聞いていただいて、せっかくこれまで何千件と言われる
よう
な
消費者
の方の相談を、
委員長
も弁護士さんだから事務所の方では相談を受けられたと思うのですが、そういう相談を受けた中で、本当に被害者の多くは泣き寝入りだったのです。裁判やったって立証する力もないという中で、せっかくこの
法律
をつくろうとするのですから、目的規定の中を、やはり被害者
救済
、
消費者
保護の部分だけに限って、変な
経済
との調和条項をくっつけたためにその後の規定においてもおかしなものが出ておりますから、私はこの点は
消費者
保護の原点に立ち返ったものにするという点についてのお考えだけお聞きして、時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。
畑英次郎
183
○
畑国務大臣
先生
の従来からの御
意見
、そしてまた本日の
先生
のお立場からの御
意見
、私なりに伺わせていただいたわけでございますが、今日まで、事務段階を初め
関係
の皆様方、もろもろ
検討
した中においてただいま御提案を申し上げさせていただいております
法案
でございますので、御理解を賜り、一日も早く法成立のために御推進を賜りますことをお願いを申し上げる次第でございます。
寺澤芳男
184
○
寺澤国務大臣
吉井
委員
の御
意見
、承りました。この
法案
は各界の
方々
のいろんな御
議論
の結果こうなったというふうに理解しております。この
法案
の直接の目的、被害者の保護を図り、なおかつそれがひいては
国民
経済
の健全な発展、こういうふうに広がっていくものだろうと私は信じております。
吉井英勝
185
○吉井
委員
終わります。
白川勝彦
186
○
白川
委員長
以上で本連合審査会は終了いたしました。 これにて散会いたします。 午後五時二十七分散会