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栗原(博)
委員 大臣の今のお言葉に対して大変意を強くしておりまして、先ほど
大臣も、地方分権の中で行政のスピード化というものも申されました。同様に、やはり中央におきます官庁の水争いですか、権益争い、こういうものを早く解消していただきまして、やはり安全な水を確保するようにひとつ御努力をお願いしたいと思います。
そういう中で、実は先ほど申しました
農薬の問題でございますが、現在の
水質基準の項目で四種類、そして監視項目で十一種類ですか、
農薬が実はあるわけですが、
農薬の成分は約四百五十種類あると言われております。その中で、どうも
農薬に対する
水質基準の見方がやはり緩慢であるような気がしてなりません。
と申しますのは、私は新潟二区でございまして、今新潟県では、せんだってもNHKのニュースでも出ておりましたし、また地元の新潟日報を初めとする新聞紙もショッキングな報道を実は伝えております。それは、新潟県の越後平野に大量にまかれております除草剤、CNP、クロルニトロフェンですね、それで私
どもの
地域で胆のうがん、肝外胆管がん、まとめて胆道がんと言われているそうでございますが、これが多発している。過去十年間、平均的に年百七十人有余の方が亡くなっていると言われております。
御承知のように、私
どもの越後平野は、信濃川が長野県の川上村から延々と三百六十七キロメー
トル、流域約一万一千九百平方キロメートルの面積がございます。また、信濃川から直線で新津においてはわずか十五、六キロそこそこのところに、今度は
福島県の田島から延長二百十キロメートル、流域面積が七千七百十平方キロメートルの阿賀野川が実はあるわけでございます。
阿賀野川は、御認識と思いますが、過去の大きな公害病の四日市ぜんそくとか神通川のイタイイタイ病問題と同じように、この流域で実は昭和四十年初頭にに水俣病が発生し、昭和電工鹿瀬工場のアセトアルデヒドを原料とする有機水銀から今まで約六百九十名の公害認定患者が出ております。また、今約千二百名の
地域住民がやはりこの認定を求めまして、約二百三十一名が裁判係争中であるわけでございます。こういう中で、こういう
農薬の汚染問題が少なくともマスコミを通じまして出てまいりますと、私
ども住民はやはりこれに対して震撼をいたしております。
それで、これは、新潟大学の
山本正治
先生の先月の二十七日に仙台で開かれました日本疫学会での
報告によりますと、明らかにCNP、商品名MO乳剤、三井東圧ですか、これの製造
農薬が
水道水を介して人体に入ってくるという
指摘であります。
例えば、地政学的に同じことなんでございますが加茂市というところがあるのでありますが、加茂市の信濃川の右岸と左岸では水道
原水が異なります。右岸の方は、加茂川や地下水とかダムの水で、実際は信濃川の水を飲んでいないのでございますが、左岸側は、橋を渡って反対側でございますから、加茂市の本拠地の方から水を持ってこれないということで、信濃川の左岸で取水をいたしておるわけであります。要するに、信濃川の水を飲んでいるわけであります。そこで明らかに、やはり
山本先生の
データを見ますると、CNPが信濃川沿いの方の飲んでいる水の方で約五・六倍、あるいはまたCNPのアミノ体が七倍もたくさん検出され、胆道がん等も比較できないほど発生をしているということでございます。
それで、このCNPは、昭和四十六年ごろからの
データしか私の手元にないのでありますが、新潟県で約四万六千トンも使われております。また、先ほど申したとおり、信濃川は日本一の長い川でありますし、信濃川、阿賀野川という日本有数の長い川で、水量を蓄えている川、当然新潟の河口まで来る間に、例えば長野県でも
福島県でも、田んぼに何回も入りながら、そして用排水路で取水されて、それが下流の新潟市を初めとするこの
地域の取水口の中に取り入れられているわけであるわけてあります。そういう中で、新潟県でも四万六千トンというCNPが過去四十六年から今日まで使われておりますが、
福島県とか長野県で使われたものを含めるともっと膨大なものだと思うのであります。
それで、最近はこのCNPも使用量が少なくなって、四十九年のころには約四千トンを
ピークとしておりましたけれ
ども、昨年度は約一千トンにまで低下しているようであります。しかし、
山本教授仰せのお話を承りますと、このCNPがやはり肥沃な土壌の中にあります有機質、その中で溶け出して、フミン質に付着いたしましてなかなかそう簡単に流れてこないということで、ですから、CNPの使用量が落ちた今日においてもまだそのCNPのやはり恐怖感というものはあるだろうというふうに思っておるわけであります。
またこの
水道水が、新潟県、阿賀野川と信濃川には、特に信濃川には、長岡の上流は大体山手の水を使っておりますが、長岡の下流から十四カ所に実は取水口があります。そこに約百十万人の新潟県民が住んでいるわけでありますし、阿賀野川では、工業用水は別としますと、四カ所の取水口がございます。そこに約十四万人のこれまた県民が住んでいるわけでありまして、こういう
地域にいわゆるCNPの問題が出てまいりますと、大変不安を抱いている。
昨年の三月から六月の間に、参議院の環境特別
委員会とか農林水産
委員会、地方行政
委員会等で取り上げられ、科学的な根拠についてもいろいろ議論されておったようでありますが、その後こうして世論を沸かしたわけでありまして、これを踏まえまして、その因果
関係は、
山本教授は相関
関係は認められるけれ
ども、因果
関係までは言っておりません。しかし、明らかに昨年度この
国会で、
委員会で取り上げたこの問題について、政府はどのような
対応を今日までされてまいったかということをひとつお聞きしたいのでございます。