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1994-06-06 第129回国会 衆議院 建設委員会 第6号
公式Web版
会議録情報
0
平成六年六月六日(月曜日) 午後六時三十分
開議
出席委員
委員長
鳥居
一雄君
理事
金子 一義君
理事
野田 実君
理事
萩山
教嚴君
理事
藤井
孝男
君
理事
遠藤
利明君
理事
白沢 三郎君
理事
石井
智君
理事
遠藤
和良
君
栗原
博久
君 斎藤 文昭君 塩谷 立君 田中 直紀君
山本
有二君 安倍
基雄
君 木村 守男君 杉山 憲夫君
広野ただし
君
山本
幸三君
渡辺浩一郎
君 今村 修君 川島 實君 堀込 征雄君 松本 龍君
石井
啓一君
宇佐美
登君
小沢
鋭仁君 中島
武敏
君
出席国務大臣
建 設 大 臣
森本
晃司君
出席政府委員
建設大臣官房長
伴 襄君
建設省建設経済
局長
小野
邦久君
委員外
の
出席者
自治省行政局行
政課長
中川 浩明君
建設委員会調査
室長 杉本 康人君
—————————————
委員
の異動 六月六日
辞任
補欠選任
桜井
新君
栗原
博久
君
玄葉光一郎
君
小沢
鋭仁君 同日
辞任
補欠選任
栗原
博久
君
桜井
新君
小沢
鋭仁君
宇佐美
登君 同日
辞任
補欠選任
宇佐美
登君
玄葉光一郎
君
—————————————
六月六日
高齢者
、
身体障害者等
が円滑に利用できる
特定
建築物
の
建築
の
促進
に関する
法律案
(
内閣提出
第三三号)(
参議院送付
)
建築基準法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第七二号)(
参議院送付
) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
不動産特定共同事業法案
(
内閣提出
第五九号)
建設業法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第 六〇号) ————◇—————
鳥居一雄
1
○
鳥居
委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
不動産特定共同事業法案
及び
建設業法
の一部を改正する
法律案
の両案を議題といたします。 これより
質疑
に入ります。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
藤井孝男
君。
藤井孝男
2
○
藤井
(孝)
委員
森本大臣
、本当に御苦労さまでございます。お
疲れ
のところだと思います。きょうも
予算委員会
の方で本当にお
疲れ
と思いますが、きょうは、今提案のありました
不動産特定共同事業法案
、それから、あわせて
建設業法
の一部を改正する
法律案
について、若干の
質問
をさせていただきたいと思います。 きょうの
委員会
は、本来昼間やるべきだったのですが、
大臣
が
予算委員会
にとられたのでこうした六時半という時間になったので、なるべく私も簡潔に
質問
いたしますので、
大臣
の方も簡潔に御答弁いただきたいと思います。 それでは、まず
不動産特定共同事業法案
について
質問
をさせていただきます。 御
承知
のとおり、
大臣
、
我が国
が今直面している問題というのは、
不況
をどう克服して、一日も早くこの
不況
から脱出しなければならない、これはそのとおりだと思います。そうした中で、この
不況
というのは、見方によればもう底を脱した、少し明るい兆しが見えてきた、そういうことも言われておりますけれ
ども
、まだまだ大変厳しい
状況
にあるんではないかなというふうに私は思うわけですね。 そういう中で、実は我が
自民党
も、この
不況
から脱するためにいろいろ
施策
を取りまとめてきたわけであります。特に、
大型所得減税
あるいは
土地住宅対策
、さらには
公共事業費
の
追加等
ということによって
社会資本
の
整備
を
促進
する、こういったことを我が党としたしましても強力に
施策
をまとめてきたところであります。 そういう中で、私は、
不動産業
と申しましょうか、
不動産
のいわゆる
流動化
というのも
景気
を
回復
させるために大事なことではないかな。しかし、この
不動産業
を取り巻く
環境
というのは非常に厳しいものがある。特に、
都会地
と申しましょうか、
都市
地域こおける
商業地域
のいわゆる
不動産
の
売買
と申しましょうか、
取引
というのは非常に停滞をしているわけですね。これが非常に
景気
の
回復
の足を引っ張っているんじゃないか。そういう
観点
から、
土地
の
有効利用
あるいは
不動産
の
流動化
の
促進
といったことが
早急こ景気回復
を図るために必要じゃないかなと思うわけですね。 かつまた、こういう
都市
型の中での
大型
あるいは長期化するような
プロジェクト
、
大型プロジェクト
というのは、
ディベロッパー
の
サイド
から見ましても、資金的なことでも非常に膨大なものになるし、また大部分を銀行の借り入れという形になってやっていかなきゃいけない。ですから、
ディベロッパー
の
サイド
でも非常に
財務負担
というものが大きくなってきている、こういうことではないかなと思います。 しかしながら、やはりそうした中でも、たしか一九八七年ですか、いわゆる
不動産
の
投資
、これを今回の
法案
と同じくして、要するに
投資家
と
ディベロッパー
、それぞれが
共有持ち分権
と申しましょうか、そういったことを組合に出資することによって
収益
を
分配
していこう。
運営管理
を含めて
ディベロッパー
にゆだねて、そしてまたそこから得られた
収益
を
分配
にあずかる、こうした
不動産特定共同事業
というのが一九八七年から行われたわけです。今日まで五千五百億円を上回る実績を積み重ねてきたことも事実であります。 ところがその一方で、御
承知
のとおりの
バブル
が崩壊しましたので、そのことによって
不動産特定共同事業
を行っていた
ディベロッパー
の一部に倒産が出まして、これによって七千人を超える
投資家
に大きな
被害
を生じた、こういうことが出てきたわけですね。ですから、このことは、八七年に
不動産特定共同事業
を
実施
してきたその本来の
役割
というのが十分発揮できないような
状況
になってきた。そこで、
投資家保護
のためにもこの
特定共同事業
を適正に
ルール化
して健全な
発展
をしなきゃいけない、こういうことで今回の
法案
がつくられたと思います。 それで我が党は、実はことしの二月に「早急に
実施
すべき
総合景気対策
」において、これも先般成立いたしましたけれ
ども
、この
土地
の
流動化促進措置
としての
民間都市開発推進機構
によるいわゆる
都市開発事業用地
の
先行取得
、これとあわせて今回の
不動産特定共同事業
について
立法措置
を講ずるように
政府
に対して提言してきたところでありますので、今回この
法案
がそれに対応して提出されたということは、我が党といたしましても非常に喜ばしいことであり、また期待を大きく持っているところであります。そうした
観点
から、この
法案
が
投資家
の
保護
を図り、また
不動産
の
特定共同事業
が健全な形で発達することを心から願いたいわけです。 そこで、
政府
も実はことしの二月八日に
経済対策閣僚会議
で決定された
総合経済対策
において、「
土地
の
有効利用
を円滑に進めるための
措置
」として、「広く
資金等
の
提供
を受けて
不動産事業
を行い
資金等
の
提供者
である
事業参加者
に
収益
の
分配等
を行う
事業
について、
事業参加者
の
保護
のあり方についての検討を含め、
事業環境
の
整備
を行い、その健全な
発展
を図る。」云々、こういうことを明記されているわけですね。 この
経済対策
にこうして盛り込まれているのですが、この盛り込まれた
対策
に対して、今回出された
法案
の中にその趣旨がどのような形で具体的に反映されているか、まずそのことからお伺いいたしたいと思います。
森本晃司
3
○
森本国務大臣
まず
最初
に、各
委員
の
皆さん
に、
予算委員会
等々がございましてこの時間から開始させていただくことになりましたが、いろいろと長時間にわたる御審議をどうぞよろしくお願い申し上げます。 今、
藤井委員
からお話がございましたが、
不動産特定共同事業
、かねて
藤井委員等
から、これは
景気対策
にも極めて重要であるし、それから
都市
の
開発事業
を
促進
する上でも有効な
手段
である、このようにいろいろと御教示いただいてきたところでございますが、
政府
としても、そのことを今日まで認識してまいりまして、同様の考えを持ってきたものでございます。 しかしながら、
不動産
の
小口商品化
の販売というのは昭和六十二年から始まったばかりでございまして、いまだその
市場
における事態は非常に未成熟であって、そして
ルール
が確立しておりませんでした。これまで
一般
の
投資者
が
不測
の
被害
をこうむる例も、今
委員
がおっしゃっていただいた、七千人に及ぶ
被害者
が出ているという御
指摘
もあったこともそのとおりでございます。 先日、六月三日に、
八王子
で起きたそういった
被害者
の
方々
が私のところへお見えになりまして、何とか同じ轍を他の人が踏まぬようにぜひ
ルール化
をきちんとしていただきたい、そして
一般
の
投資家
が安心してその
事業
に参加できるようにしてもらいたい、ぜひその
法案
の確立をよろしくお願いしますと、
被害
を受けながらもその
理事長
さん、将来のためにもぜひやってもらいたいという強い訴えがございまして、私も、今回のこの
法律
を出すということは極めて重要であるということをみずから痛感したところであります。 したがって、本
法案
の制定によって適切な
情報開示等被害未然防止
のための
ルール
の
整備
が図られるならば、
投資家
が安心して
事業
に参加できる
環境
が以前と比べて格段に
整備
される、そのことによって
市場
の
活性化
さらにまた
景気対策
にも資することができると、私も考えているところでございます。 また、複数の
地権者
が参加する
都市開発事業等
の
推進手段
として活用することができて、現下の大きな課題であり、また
委員
が御
指摘
いただきました
土地
の
流動化対策
としても極めて大きな効果が期待できる、そんな思いでこの
法案
を出させていただいております。
藤井孝男
4
○
藤井
(孝)
委員
大臣
、御答弁いただきましたけれ
ども
、私も、
最初
に
質問
の中で申し上げたことと一致するわけですが、要するにこれは、
投資家
の
保護
と同時に
不動産
の
流動化
、そしてそれを
お互い
に共同し合って健全な
発展
を図ろうということですから、今まではどちらかというと、その
事業そのもの
は
スタート
したけれ
ども
、おっしゃったように
環境
、その
ルール
が確立されていなかったがゆえにこうした大きな、
八王子
の
方々
もその
一つ
の例だと思いますが、こればかりではないと思いますけれ
ども
、そういうことで、とにかく安心して
投資家
が
投資
できるような
環境
、
ルール
、そういうものをつくってほしい。これは当然のことだと思います。 また、
不動産業界
としましても、
ディベロッパー
の立場からいっても、やはりそうしたことをむしろきちっと
ルール化
してほしい。それが両々相まってこういった
法案
が出てきたと思う。私は大変結構なことだと思います。 ただ、このことが、これは結構なことですけれ
ども
、これがかつてあったような
投機
、
投資
、そういったことによって、またこのことが
地価
の高騰を呼び起こすのではないかという
懸念
も一方ではあるのではないか、こういう気もいたしますので、その辺をやはり慎重に、二度とあのような
狂乱土地価格市況
というものが起きないようにするためにどうあるべきかということについて、これは本当に大事なところだと思いますけれ
ども
、この点についてどう
影響
があるかないか等について御答弁いただきたいと思います。
小野邦久
5
○
小野政府委員
お答え申し上げます。 確かに
先生
御
指摘
のとおり、過去の
バブル
の経緯というものにかんがみますとどうか、こういう御疑念があるわけでございますけれ
ども
、もともとこの
法律
に基づきます
不動産特定共同事業
というのは、
投資対象不動産
からの賃料を
当て
にしておりまして、これを
投資家
、
消費者
に
分配
をする、あるいは
都市開発
による
付加価値
というものを
目的
といたしまして、それを
当て
にした形での
事業
ということで、要するに非常に長期的な
不動産投資
というものを
対象
にする、こういうことでございまして、短期の、例えば
土地
の
売買
といったようなものを
事業
の
目的
とするというものではないわけでございます。長期的な、あくまでも長期的な
不動産投資
、しかも
土地
の
有効利用
に大変資する長期的な
事業
というものとして恐らくは構成される、そういうための
事業手法
だ、こう思うわけでございます。 かつての
バブル
のような
地価
が大変高騰しておりますときには、
投資利回り
というのも大変低くなるという
意味
で、なかなかこういうような
共同投資事業
というのは行われにくいわけでございますけれ
ども
、その
意味
では
地価上昇
に対して非常に抑制的に働く、こういうことではないかと思うわけでございます。 それと同時に、実際に私
ども
、この
法案
をお認めいただきましたら、
不動産特定共同事業者
に対していろいろ
指導
してまいる場合にも、
法案自体
でも既に十四条で、「
業務遂行
の原則」という中で、
投機
的な
土地取引
について、そういうことをやってはいけないということを書いてございますけれ
ども
、
行政指導等
の面からも抑制について十分
指導
してまいりたい、こう思っておりまして、全体といたしましては、
先生
御
指摘
のような
投機
的な
土地取引
を誘発するというようなおそれはないものと考えております。
藤井孝男
6
○
藤井
(孝)
委員
その点はぜひとも注意深く、また適切な
指導
をしていただきたい、また
監督
をしていただきたいと思います。そうしませんと、再びあのような
土地投機
によってまた
地価
が高騰するということになったら、これは何のためにこれをつくったかということになりますから、十分その点は注意深く、しっかりと
指導
していただきたいと思います。 この
指導
ですけれ
ども
、確かにこの
事業
を発達させるためには、
行政側
の
指導監督
というのがありますが、この
法案
の第五章の
不動産特定共同事業協会
、第四十一条になりますか、ここに書いてあることは、これは確認ですが、確かに
行政指導
も必要だし、
監督管理
も必要だけれ
ども
、
不動産業界自体
も、
事業参加者
の
保護
や
業者
の質の向上といいますか、そうしたことに自主的に取り組むことが重要であると思うわけですね。それがこのことを
意味
しているのかどうか。第五章の四十一条以下の
不動産特定共同事業協会
というものは、要するに
業界自身
も、単に
行政側
の
規制監督
に任せるのではなくて、
業界自身
のそういう努力というのが必要だという
意味
からこれをつくられたのですか、これを確認しておきたいのです。
小野邦久
7
○
小野政府委員
お答え申し上げます。 確かに
法案
の四十一条では
不動産特定共同事業協会
というものを位置づけておりまして、
法律
の中に
共同事業者
を
会員
とする
事業者団体
を構成した、こういうことでございます。 これは当然、
先生
御
指摘
のとおり
行政指導
でいろいろ必要な
指導
をやると同時に、
会員
の方
自体
が、何といっても新しい
事業
でございますので、
歴史
といってもまだ五、六年の
歴史
しかないわけでございますので、
会員
の
方々自体
にもこれから考えつつ進む、そういう面もあるわけでございます。また、
消費者
の方でも、いろいうそういう
商品
が売り出されたとしても、購入した場合でもいろいろ
苦情
もあるわけでございます。 そういったような、いろいろな
業者団体
の
方々自体
がみずからいろいろ
調査研究
をしたり、あるいは
業者団体
として一定の
ルール
を定める、
お互い
に内部で
違法行為
のないように、あるいはより以上に
業務
の健全な
発展
に資するようにそういうことをやろう、こういうことで位置づけられた
協会
でございます。 私
ども
が、この
法律
に基づいてのいろいろな
行政指導
、あるいは
法律自体
にも
規定
してございます
監督強化
のためのいろいろな
規定
もございます。そういうものとあわせて、より以上に
不動産特定共同事業
を行われる
業者団体
の方と申しますか、個々の
事業主
の
方々
がみずからいろいろな適正な
事業執行
のためにこういう
協会
の中でいろいろ議論をされる、いろいろなことを行われる。あるいは、仮に
消費者
の方から
苦情
があればそういうものにおこたえをしていただくということも必要ではないかと思って設けた
規定
でございまして、他の
立法例
にも幾つか同じようなこういう
協会
を
法律
の中に位置づけるという
規定
もございます。
藤井孝男
8
○
藤井
(孝)
委員
そこで、もう
一つ
、
法案
の中身の中で
許可基準
というのがありますね、
許可
の
基準
として。ここに
資本金額等
の
制限
を設けることとしておりますということが書いてあるのですが、これは後ほど
建設業法
でも申し上げたいのですけれ
ども
、要するに、これは大規模な長期的な
事業
になるわけですから、それは、参加される
ディベロッパー
というのは
大手建設
というか
大手不動産
といいますか、そういった
方々
が多くなることはあると私は思います。しかし、このことは逆に、
中小業者
のことを締め出すようなことになるんではないかな。 そこで、
資本金額等
の
制限
を設けることによってそういったことが
影響
が出るのではないかということを感ずるわけですけれ
ども
、その辺の
懸念
はどうか、御答弁願いたいと思います。
小野邦久
9
○
小野政府委員
お答え申し上げます。 確かに、
資本金額
の定め方によりましては、
中小
の
企業
の
方々
が実質的に今後
不動産特定共同事業
を営むことができなくなる、あるいは非常に困難になるということも考えられるわけでございます。 ただ、この
法律
の一番の
目的
は、何といっても具体的な
投資家
と申しますか、
消費者
と申しますか、
事業参加者
が
不測
の損害を受けることのないように、できる限り健全な
事業
としてこの
事業自体
が
運営
されることが望ましいわけでございまして、そういう点から考えますと、多数の
投資家
の財産である
不動産
を長期にわたって
運営
をして
収益
の
分配
をする、こういうことにかんがみますと、ある程度の
業者
の
方々
の
財務
の
健全性
というものは当然維持をしていかなければいけないわけでございまして、そういう点から、両方の
観点
をどういうふうに調整をしていくのか、こういうことでございますけれ
ども
、基本的には、
事業参加者
の
保護
を
目的
としてそれなりの
資本金
の
制限
というものも出てこざるを得ない。その結果、非常に
基盤
の小さな
方々
が結果的にこういう
事業
から、なかなかやりにくいというようなことになっても、それはある程度やむを得ないのではないか、こういうふうにも思っております。 ただ、そうはいいながらも、なるべく広く多くの
方々
がこういう
事業
に参加するということは、具体的な、
競争
を
促進
する、あるいはいい
商品
をマーケットに出すということでも大変重要なことでございますので、私が今御説明いたしましたような二つの点を十分勘案して、適正な額を決めていきたい、こういうふうに考えております。
藤井孝男
10
○
藤井
(孝)
委員
要するに、この
法案自体
の基本的なあれは、
業者
をある程度規制するという
法案
になるわけですね。そのことは、今
局長
おっしゃったようによくわかるのですが、それは何か頭から
中小業者
はもう参入できないのだ、参加できないのだということになりますと、これはまた私は大きな問題を呼ぶのじゃないか。これは大
企業
のためにあるということになってはいけない、そういうことで、その点も十分、もちろん
優良企業
、これは
投資家保護
という
目的
がありますから、そういうことではやむを得ない面もありますけれ
ども
、そういった面でも配慮を願いたいなと思います。 それから、そのことに関連して、今申し上げたように、この
法案
がいわゆる規制する内容というのが基本的にあるということなのですが、
建設省
としてこの
法案
を出した以上、やはり有効に活用する、そうした
方策
を検討することも重要なことではないかなと思うわけです。そうなると、この
不動産特定共同事業
を、
都市開発
それから
土地
の
有効利用
にどのように活用していくのか、そうした方針をどう考えているのか、その点だけちょっとお伺いしておきたいと思うのです。
小野邦久
11
○
小野政府委員
この
法案
を御承認いただきますと、
不動産特定共同事業
というのが
スタート
をするわけでございます。 ただ、具体的にこの
法律
をお認めいただいて、
不動産特定共同事業
を
許可制度
で
スタート
したというだけでは、なかなか
事業
の
促進
あるいは円滑な
実施
ということができないわけでございます。いろいろな
観点
から、
都市開発事業
にも、あるいは
土地
の
流動化
にも資する
事業
でございますので、何とかこれを活用する
手法
としりものを考えていかなければいけない、こういうふうにも思っております。私
ども
では、
不動産特定共同事業手法
を活用する
研究会
をつくりまして、目下この
研究会
を発足させて具体的な
活用方策
を考えていきたい、こういうふうに思っております。 何といっても、数年の
歴史
しかない
事業
でございます。それが
法律
によって
許可制度
のもとで、あるいはいろいろな
行為規制
とか、あるいはそれ以外の
各種監督
のもとで
事業
として健全な
スタート
をするという場合には、やはりそのままほうり出したということでは、健全な、あるいは
事業実施自体
がやはりうまくいかないということもございますので、できるだけ
関係税制等
の
改善等
につきましても、いろいろ議論した上でその
活用方策
の
具体化
に努めてまいりたい、こう思っております。
藤井孝男
12
○
藤井
(孝)
委員
局長
、数年の
歴史
、数年の
歴史
と余り強調しない方がいいと思うのです。
歴史
は積み重ねてつくっていくわけですから、数年の
歴史
しかないから今後
研究会
なりなんなりに諮って具体的な
活用方策
と、もっと
自信
を持ってやっていただかないと、数年の
歴史
しかないからということでは何となく
自信
がないような感じを受けますので、もっと
自信
を持ってやっていただきたいと思います。 そこで
大臣
、最後に、これは
要望
ですからお答えになる必要はございませんが、本案の施行によって
不動産特定共同事業
を、
先ほど
から申し上げているように健全に
発展
させなければいけない。それは、何度も申し上げているように、
投資家
を
保護
しなければならない。そういうことの中でこの機能をうまく発揮できるように、ぜひともお願いいたしたい。 冒頭にも申し上げたように、
自民党
も二月に
総合景気対策
の中でこのことについての、いわゆる
土地
の
有効利用
、そして
都市
の健全なる
開発
の
推進
という
観点
から
不動産
の
流動化
をぜひ図っていきたい、そういう背景の中でこの
法案
が出てきたわけですから、どうぞ
大臣
、
政府
におかれましても、この法の運用、
業者
の
指導育成
には
十分意
を尽くされることを強く
要望
しておきたいと思います。 それでは次に、
建設業法
の一部を改正する
法律案
について御
質問
させていただきます。 これも
大臣
御
承知
のとおりですが、
我が国
の
建設業
というのですか、これは特に私の県は山の県ですから、
公共事業
、とりわけ
建設関係
に関する
事業
というのは、道路、河川あるいは
住宅
、そういったことについての
要望
は非常に強いわけです。これからも、またさらに
基盤整備
をぜひ行っていただきたい。 そういう中で、
建設業
というのが五十二万社か三万社あるわけですし、また、年間の
建設投資
というものは九十兆を超える、そしてまた、それに従事する六百万人を超える
方々
が一生懸命頑張っておられるわけですから、言ってみればこれは大変な大きな
基幹産業
であることは間違いない。そういうことで、これからもこの
建設業
に対して、健全な
発展
、そして
役割
を果たしていただきたい、これは当然のことですが、残念ながら昨年来より相次いで不祥事が起きてきているわけです。そういうことで、むしろ国民の
皆さん方
から、いわゆる
公共事業
、なかんずく
建設業
にかかわる信頼が大きく損なわれてしまった、非常に残念なことですね。 それに対して、これからこうした
不祥事件
が起きないような
再発防止
について、
建設省
初め
大臣
もその先頭に立って、
入札制度
の仕組みを変える、いわゆる
一般競争入札
の導入を柱としたいろいろな
改革
を進めておられる。そのこと
自体
は私は結構なことだと思うのですが、
先ほど
もちょっと触れましたように、しかし、この
建設業法
というのは、後ほど
附帯決議
もお願いするわけですけれ
ども
、この
一般競争実施
など具体的な
改革措置
が、これがいわゆる
中小企業
の
業者
にしわ寄せが来るのではないか、そういう心配が非常にあるわけですね。ですから、この制度
改革
の
実施
に当たってくれぐれも慎重にやっていただきたい、これが第一ですね。 それから、
不祥事件
とよくいいますけれ
ども
、これは政治家の不詳事件もたびたび起きたわけですけれ
ども
、共通することは、やはりいろいろ制度の問題等々ありますけれ
ども
、それは
業者
のモラル、それから政治家自身のモラルというものが一番大きな要因ではないかと思うのですね。そういうことから、今回の
建設業法
の改正というのはこれらの
入札制度
の
改革
とどのような関係にあるのか、今回のその改正の背景、その点についてちょっと基本的に
大臣
の考え方をお聞きいたしたいと思います。
森本晃司
13
○
森本国務大臣
委員
御
指摘
のとおりに、昨年来いろいろと不詳事件が起こってまいりましく
委員
がおっしゃいました五十二万社に及ぶ
建設業
界、六百五十万人の人々が働いていると言われているわけでございますけれ
ども
、政官財と言われるそういった癒着構造で国民の信頼をなくした、一部の業界によって起きた、これを何とか国民の信頼を
回復
しなければならないということについては、今
建設省
も全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
先ほど
おっしゃったように、
入札制度
の
改革
等々も行ってまいりましたが、同時に、これは不良不適格者も一面また排除していかなければならない、こういった背景もございます。
建設業
自体
が襟を正していかなければならないということでございます。 そこで、そういうことも踏まえまして、また同時に、今規制緩和の動きもございます。
委員
が御
指摘
のように、
中小企業
の
皆さん
に余り過度の負担になってはならないという点も考えまして、そういったいろいろな負担を極力軽減する
観点
から、
建設業
許可
事務の簡素化等も図るようにいたしたものでございます。 本
法律
の具体的な改正内容を申し上げますと、
一つ
は、
許可
取り消しを受けた者の欠格期間の延長等の
建設業
の
許可
要件の強化、二つ目は、公共工事を請け負おうとする
建設業
者は経営事項審査を受けなければならないこととする等の経営事項審査制度の改善、三つ目は、
特定
建設業
者に対する施工体制台帳作成の義務づけ、公共工事の現場における監理技術者の設置の徹底等の建設工事の適正な施工の確保及び請負契約の適正化、四つ目は、
監督
処分結果の閲覧等の
監督
の強化、五つ目は、
許可
の有効期間の三年から五年への延長、変更等の届け出の期限の延長等の
建設業
許可
事務の簡素合理化を図っていく、こういった点を主な改正点とさせていただいた次第でございます。
藤井孝男
14
○
藤井
(孝)
委員
今
大臣
おっしゃったことの中で、この
建設業法
の一部を改正する
法律案
についての私の
質問
の主眼は、五十二万社といっても
中小業者
がほとんどですから、このことによって管理をしっかりするということは大事なことですけれ
ども
、そこに本当に過剰な負担がかからないように、しわ寄せが来ないように、これを私はきょうの
質問
でぜひ申し上げておきたいと思います。 確かに
先ほど
大臣
おっしゃったように、
一般競争入札
をするといわゆる不良
業者
といいますか、そういったものが排除できる、こういうことになるわけですけれ
ども
、逆に言えば、これはだれでも入ってこれるということになりますと、そこでも、よくこれも言われていることですけれ
ども
、例えば暴力団関係の
企業
が入ってきて秩序を乱す、ぶん投げをやるとか、そういうことになってはこれも大変なことになりますから、
一般競争入札
を採用するということ
自体
に私は決して反対ではないんですけれ
ども
、それがかえってそうした暴力団関係の
業者
が入ってくるようなことを許してしまうんじゃないかな、そういう気もしますが、その点についてはどういうふうにお考えですか。
小野邦久
15
○
小野政府委員
御
指摘
のとおり、昨年の十二月の中建審の建議あるいはことし一月十八日の
政府
の行動計画によりまして、ある一定の規模以上のものにつきまして
一般
競争
を導入することにいたしました。世界各国見てみましても、何の条件もっけない
一般
競争
と、うのはまずございませんで、
一般
競争
といえ
ども
何らかの資格要件、あるいは過去のいろいろな工事の実績でございますとか、そういうものを
一つ
の参加資格要件として定めまして、それを公告して
競争
していただく、札を入れていただく、こういうことにもなるわけでございます。 御案内のとおり、ただ、そうはいいましてもやはり具体的な参加資格要件というのは客観的にわかる
基準
でなければいけない、こういうことでもございまして、過去のように主として平均十名の指名
競争
契約による指名
競争
というものと違いまして、どちらかというといろいろな
方々
がどんどん参加してくるという可能性は大変高い。それはもちろん
競争
をそれだけ
促進
するわけでございますから、いい面もございますけれ
ども
、ただ逆に言いますと、やはり公正な
競争
の土俵づくりをどう産業政策として
実施
していくかということになりますと、なかなか問題もあるわけでございます。 そういったような
観点
から今回、業法の改正をお願いいたしまして、
許可
要件の強化あるいは取り消し要件等も含めまして
監督
の強化というものもお願いしているわけでございますが、特に御
指摘
の暴力団関係につきましては、
建設業
界から不良不適格
業者
を排除するということが大変重要だということで、これを従来から重要な課題の
一つ
としてきたわけでございますが、従来でございますと、例えば役員等が暴力団の構成員である
企業
は、
許可
要件の
一つ
に「請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと」という要件がございます。これの運用といたしましてある程度はやってまいりましたけれ
ども
、ただ残念ながら暴力団という概念がなかなかはっきりしないということもございまして、きちっとした排除がなかなかできにくい。今回の改正におきましては、暴力団
対策
法違反等で罰金の刑を受けた者、あるいは傷害罪とか一定の刑罰を受けた者については欠格要件として排除する、こういうようなことが可能になるわけでございます。従来の
許可
要件とあわせてこれらの
規定
を十分活用することによって、暴力団関係
企業
の一層の排除というものが、もちろん警察当局と緊密な連絡をとっていかないと、あるいはいろいろ御教示を賜らないといけない点があるわけでございますが、協力をいただいてより以上の排除の徹底に努めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
藤井孝男
16
○
藤井
(孝)
委員
これは
局長
、ぜひしっかりやっていただきたいと思いますね。これは本当になかなか、どこの
企業
が暴力団系だとか、それはわからないと難しい面があると思うんですね。だけれ
ども
、ここのところをしっかりやっていかないと何のために
一般
入札をやったのか、そういうことになってしまいますので、その辺はしっかりと監視と申しましょうか、その点を十分踏まえてやっていただきたいと思います。
先ほど
ちょっと触れましたけれ
ども
、やはり
中小企業
に対して余り負担がかからないようにということを申し上げました。
大臣
、ですからこの中でも、今現行の
建設業法
においてもいろいろな
基準
がありますよね。二千万以上の下請代金の下請を使って工事をする
建設業
者は
特定
建設業
の
許可
をとらなければならない、こういったことが厳し過ぎるんではないかとか、あるいはまた千五百万以上の公共工事の建設現場の
基準
、これも少し厳し過ぎるんではないか、こういうことも言われております。 ですから、今回さらなる新たな
建設業法
の改正ということが、要するに、何度も申し上げて恐縮ですけれ
ども
、そうした
中小企業
の建設会社に負担が大きくなりやしないかというふうなことを私、
懸念
するんですね。また、施工体制台帳の
整備
や資格者証を持った監理技術者を工事現場に設置することを義務づけるとか、いろいろまだその他あるわけですけれ
ども
、そうしたことがやはりそういう
中小企業
者に対して過大な負担にならないように、そういう点についてぜひ配慮していただきたい。このことは御
要望
として申し上げておきたいと思います。 それから、
大臣
に対しまして
一つ
御
質問
でありますが、今回の改正は、冒頭にも
大臣
からお話がありましたように、一定の規制緩和をねらっているような節もありますけれ
ども
、公正な
競争
の土俵づくりのためとはいえ、規制強化の性格が一方であるわけですね。このことは、規制強化というと、規制緩和、規制緩和、こういうときですから、それに対して少し逆行するのではないかな、こういう感じもしないではない。この点について、
大臣
、どういうふうな御所見をお持ちでしょう。
森本晃司
17
○
森本国務大臣
委員
御
指摘
いただきましたように、今回施工体制台帳の
整備
等、一定の規制強化も行うものでございますが、公正な
競争
の土俵づくり、こういった点から考えますと、やはりここもきちんとしていかなければならないのではないだろうか。将来の
競争
入札ということを考えていくときに、そこがまた優良な
企業
を守っていく
一つ
の大事な方途ではないかな、このようにも考えています。 経営事項審査の義務づけ、これは出ておるわけでございますが、
一般
の
建設業
者にはいずれもすぐれた
企業
を育成するため必要最低限度のものでございますから、
建設業
者にとって過重な規制とならないのではないか、私たちはこのように今思っております。 一方、
許可
の有効期間の延長、これはむしろ健全な経営者の一層の負担軽減が図られるのではないかなというふうに思っております。 いずれにいたしましても、
委員
の
中小企業
の業界の
皆さん
の健全な
発展
または
中小企業
の
皆さん
を守らなければならないという思いが、私も聞きながら承りました。私も公明党の
中小企業
局長
を長い間やっておりまして、その辺、
中小企業
に対する思いは
藤井委員
と同様の思いを持っております。
建設業
は五十二万社あるといいましても九九%が
中小企業
でございますので、今後我々も、そういった点に過度に負担にならないように、またよりよき
建設業
界の
中小企業
の育成のためにも、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
藤井孝男
18
○
藤井
(孝)
委員
今、
大臣
から答弁をいただいたんですけれ
ども
、要するに、私、
中小業者
にこだわっているのは、今度の一連のゼネコン、大手
企業
を中心としたゼネコンの不祥事、そのことによってやはり健全な
入札制度
をしなきゃいけない、あるいは不良
業者
を排さなければいけない、そういうことをなくすためにどうするかというのですが、そして
改革
を進めるのは結構なんですけれ
ども
、それが、まじめに本当に一生懸命やっている、地域のために、地域社会のために、地域の
社会資本
充実のために頑張っている
中小
の
業者
は、私はある面で戸惑いも持っているんじゃないかという気がするのですね。おれたちがまじめにやっているのにどんどん規制が厳しくなるのじゃないか、あるいは我々にまたしわ寄せがくるのじゃないかという心配、私が冒頭に申し上げたように、そういうことの
懸念
は、私も地元に帰りましてそういった
中小
の
業者
からいろいろ
苦情
を承るわけです。 ですから、今
大臣
も公明党の中でそういった
対策
の責任者をやっておられたということですから、その点については細心の注意を払っていただけると確信いたしております。どうぞ、せっかくこの業法を改正するわけですから、これによって不良
業者
あるいは暴力団関係の
企業
、そういったものが排除されて、そして公共工事、適正にきちっと運用することが非常に大事でありますので、その点について、この
建設業法
の改正を契機に一層そうした問題について
大臣
の御努力を願一い、そして、最後にもう一度繰り返しますけれ
ども
、この
法案
の改正によって
中小業者
にしわ寄せが来ないように、どうかその点に十分な配慮をお願い申し上げ、またこれを御
要望
として申し上げて私の
質問
を終わります。 ありがとうございました。
鳥居一雄
19
○
鳥居
委員長
次に、川島實君。
川島實
20
○川島
委員
私は、ただいま議題となっております
建設業法
の一部を改正する
法律案
及び
不動産特定共同事業
法の二点についてお伺いをいたします。
建設業法
の一部改正については、本年三月二十五日の中央
建設業
審議会の「新たな時代に向けた
建設業法
の在り方」の答申に基づき、入札・契約制度に対応して改正が行われるものであり、
建設業
者の資質の向上、請負契約の適正化及び公共工事の適正な施工の確保を目指し、そのため不良不適格
業者
の排除を
目的
に
許可
要件や
監督
処分を強化する一方、経営事項審査や施工台帳の義務づけ、技術者に関する事項を織り込み、適正な確保を目指すとしておりますが、以下
法案
の中身の点についてお尋ねをしていきたいと思います。
最初
に、法第八条の
建設業
の
許可
要件の強化の点でございますが、欠格期間の二年を五年に延長する、この点の中で、廃業の届け出等あるわけでございますが、「禁錮以上の刑」というところの中で、執行猶予がこれに入るのかどうか、まずお伺いしておきたいと思います。
小野邦久
21
○
小野政府委員
お答え申し上げます。 禁錮以上の刑に処せられた者ということでございまして、禁錮刑の言い渡しが確定した者のことを言うわけでございます。執行猶予つきの者も当然含まれる、こういうことだと思います。
川島實
22
○川島
委員
二点目に、暴力団による不当行為の
法律
違反、罰金の刑、こうあるわけですが、額については触れられていないわけです。これは罰金の刑の言い渡しを受けた者すべて、こういうふうに解釈をしていいわけですか。
小野邦久
23
○
小野政府委員
罰金刑につきましては、罰金額の大小を問うものではないと考えております。
川島實
24
○川島
委員
次に、二十七条の経営事項審査制度の改善についてでございますが、経営事項審査の義務づけは、既に各政令
都市
や都道府県で実際に行われていることでございますので、義務づけということで今回は
法律
に明記されるわけでございます。 この審査によって工事の請負のランクづけの資料となるわけでございますが、県、市、町村等に対する統一的な資料としてこれが生かされる、こういう受けとめ方でいいのかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
小野邦久
25
○
小野政府委員
お答え申し上げます。 確かに、
先生
御
指摘
のとおり、経営事項審査は現在でも実質義務づけというような形に近いのかな、そう思っております。ただ、具体的に、
法律
の
規定
自体
を見ますと、あくまでも経営事項審査を希望する
企業
の方が
許可
行政庁に行って審査をしてもらう、こういう建前になっておりまして、本当の
意味
の
法律
における義務づけではないわけでございます。 ただ、今回
法律
による義務づけをお願いいたしました趣旨は、やはりきちっとした経営事項審査をやりたい、こういうことでございまして、何といっても、多い場合には年間十五万以上の
方々
が経営事項審査を受けられるわけでございます。そうなりますと、
許可
行政庁の方もこれをきちっと審査をしていくということはなかなか大変な労力も要るわけでございまして、そういう
観点
から、やはり客観的に的確な経営事項審査をぜひやりたいということで、
法律
の義務づけをいたしました上で、多少の罰則をもってきちっとした審査ができるようにする。 その場合に、指名
競争
の場合でございますと、審査結果と発注者ごとの審査項目である主観的事項をあわせて、全体として格付をするわけでございますけれ
ども
、今回は、資格審査の透明性、客観性を一層高めるというような要請にもこたえるということで、なるべく主観的な事項を客観化いたしまして、客観事項によって厳正な審査をなるべくやっていきたい、こう考えております。 同時に、なるべく多くの公共の発注者にそれを使っていただくということが大変大事でございまして、ランクづけの、ある
意味
では統一的な資料ということで多くの発注者が活用するように、いろいろな角度から努めてまいりたいと思っております。
川島實
26
○川島
委員
この
入札制度
の一番重要な点だと私
ども
は受けとめておるわけでございますが、今現在行われている県や市町村の中で、例えば県ではAランクのcというランクをもらいながら市町村ではDランクのcというような形で、非常にアンバランスのある行われ方が、各都道府県で違うわけでございます。 そこで、自治省がお見えになっているのでお伺いをしておきたいと思いますが、こうした経営事項審査申請を今回
法律
で義務づけることによって、今の工事の請負ランクづけが新しくきちっとしたものができるわけでございますけれ
ども
、市町村は、自治省がこうした
一般競争入札
の
実施
に必要な要綱だとか、そういうモデルケースを通達としてぜひ出していただきたいという非常に強い
要望
もあるわけでございます。この点についてどのように受けとめておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
中川浩明
27
○中川説明員 お答えを申し上げます。 地方公共団体は、国と同じように工事種別ごとに契約予定金額に対応いたします等級区分であるいわゆる発注標準を定めております。また、
建設業
者の資格を定め、経営事項審査等によります資格審査を行いまして、その点数によりまして発注標準に対応する形でいわゆる格付を行っております。 この発注標準及び格付につきましては、それぞれ地方公共団体が実情に応じて定めているものでございまして、確かに統一をしてはどうか、あるいは統一について具体的なモデルを示して
指導
してはどうかという御意見かと存じますけれ
ども
、財政規模あるいは工事規模、種別、件数などがかなり多様でございますので、これを統一することはなかなか難しい問題があるものと考えておりますが、なお研究してまいりたいと思っております。
川島實
28
○川島
委員
難しさはわかるわけでございますけれ
ども
、少なくともこうした経営事項審査申請書の義務づけ、このことを受けて、これらに対して対応をするような形で
指導
ができるかどうか、この点について再度お伺いしておきたい。
中川浩明
29
○中川説明員 お答えを申し上げます。 地方公共団体の実態、さまざまでございますので、ただいま先住の御
指摘
のようなやり方ができるかどうか。
先ほど
もお答えしましたように、
建設省
等とも御相談の上で、なお研究してまいりたいと思っております。
川島實
30
○川島
委員
次に、このことを公開をするかどうか。全面的な
一般
公表をしてほしいという実は
中小
の業界からの
要望
書が出ているわけですが、この点についていかがでございますか。
小野邦久
31
○
小野政府委員
先生
お尋ねの公開は、経審の結果の公開ということで理解してよろしゅうございますか。 御案内のとおり、経審結果の公開につきましては、改正
法案
をつくりますときにいろいろな議論がございました。私
ども
も、内閣法制局で非常にいろいろな角度から議論をしてみたわけでございますが、どうもやはり
企業
にとりましては、自分のところが例えば工事について、どのくらいの規模のものについてどういうところに位置づけられているのかということが
一般
的に外に出るということにつきましては、
企業
のプライバシーの問題もあるのではないか。もともと経営事項審査制度
自体
は、大変重要度の高い公共の
建築物
でございますとか工作物、いわゆる公共工事でございますけれ
ども
、これをやろうとする方に受けていただく制度、こういうこともございますので、義務づけを契機に一切を公開するということはいかがなものかという法制局の御見解もございました。公共の発注者にはお知らせをするということが
一つ
の考え方ではないかという形で、整理をさせていただきました。
川島實
32
○川島
委員
次に、第二十四条の建設工事の適正な施工の確保、請負契約の適正化等についてお伺いをしていきたいと思います。 下請契約の請負代金の額が政令で定める以上のものについては施工分担関係を表示した施工体系図が必要、こういうようになっているわけでございまして、お話を聞きますと、政令では二千万か三千万、こういうふうになっているようでございますが、今回それらを施工体系図という形で施工体制の台帳の中にいろいろ書いて記録しておかなければいけないわけでございますけれ
ども
、そうした細かいものも含めて、その中に暴力団
企業
の排除が明示されているのですが、これがもし元請の方が暴力団ということが明確にわからずに自然に入っていった場合、後でそれらが判明したときに元請に対してどのような対応
措置
がなされるのか、お伺いをしておきたいと思います。
小野邦久
33
○
小野政府委員
御案内のとおり、この施工体制台帳、二十四条の七で
規定
をしてございますけれ
ども
、これはあくまでも
特定
建設業
者に義務づけるということを考えております。現在は、
一般
的に通達等によってできれば設置をしてほしいといり
指導
をしておりますけれ
ども
、今回、
特定
建設業
者、ある一定の規模以上の下請契約を締結して
事業
を
実施
する
建設業
者にはこれをつくっていたたくことを義務づけるというふうにお願いをしているわけでございます。施工体制台帳の中に、例えばいろいろな
意味
でのペーパーカンパニーでございますとか、
先ほど
先生
御
指摘
の暴力団関係
企業
というようなものが入ってくるということが、例えば元請の段階でわからないで、結果的に通知を受けて下請の
企業
の方からそういうものが入ってきた、あるいは通知を受けたものを見て初めて元請がわかったとかいりようなこともあるのではないかという気はするわけでございますけれ
ども
、それを直ちにそういうようなものとして排除できるかということになりますと、いろいろ契約の実態とか、その現場にねける総合的な生産の実態みたいなものがございますので、なかなか難しい面もあろうと思います。 御
指摘
のように施工体制台帳を元請のところでっくらせる、しかもそれは一次下請だけではなくて二次、三次、四次というような総合的なそれぞれの下請
企業
の
方々
、専門工
事業
の
方々
を元請の段階で統合することによって、間接的ながら暴力団関係
企業
がいろいろ現場に介入をしてくるというのを結果的に排除するようなこともあり得るのではないか、そういう効果も期待できるのではないか、こういうふうに考えております。
川島實
34
○川島
委員
次に、各工事現場に主任技術者、さらに今回は監理技術者に対して資格証の交付、こういう形になっているわけですが、この資格証の交付というのはどういう
観点
からその証を出すのか、そして、それらを受ける資格要件というのがまた新たに設けられるのかどうか、その辺の、その証を交付する側から、主なねらいというのはどこにあるのかお伺いしておきたい。
小野邦久
35
○
小野政府委員
これは現行の
規定
でございますけれ
ども
、
建設業法
二十六条で、建設現場には主任技術者または監理技術者を置いて、現場の事実上の施工の
監督
をしなければいけない、こう書いてございます。その場合に、主任技術者というのは
特定
建設業
以外の
一般
の工事現場に置かれる技術者でございますし、監理技術者は、大変総合的な建設生産システムが要求されるような大きな
特定
建設業
者がある一定の要件のもとに現場に置く技術者でございます。 ただ、従来こういう
法律
の
規定
がございましたけれ
ども
、現場の数も大変多い、発注者
自体
も現場に行ってそこの現場の
監督
者と話をしたり、あるいはどういう技術者が来ているのかということを確認するということがなかなか実はできなかったわけでございます。それで、監理技術者
自体
は二十六条によりまして、現行の
法律
によりまして、建設の現場に専任で置くということになっておりますけれ
ども
、この専任の要件というものをなかなか発注者が確認し得ないということもございまして、監理技術者の一定の
方々
には監理技術者資格者証という、自動車でいえばちょうどドライバーのライセンスのようなものを、例えば一級の
建築
士であれば一級の
建築
士を保持している旨、一級の土木施工管理技士であれば一級の土木施工管理技士を何年何月に試験を受けて持っているというようなことをきちっと統計的に処理をいたしまして、ライセンスをそれぞれに持っていただく、こういうことにしたわけでございます。そのライセンスを発注者の求めに応じて提示をするようなことを考えたわけでございます。これがある一定の規模以上の業種のもの、従来は五業種でございましたけれ
ども
、これを今回は五業種にかかわらず、
特定
建設業
の、公共工事の現場においては監理技術者はそういうライセンスを持った
方々
の中から選んでいただく、そういうようなことが可能になったわけでございます。 御案内のとおり、建設現場というのは何といっても現場代理人あるいは現場
監督
、監理技術者、いろいろな現場の統括的な技術の管理をつかさどる者の采配によって現場は保たれているわけでございます。また、安全
対策
もそれによって行われていくわけでございまして、そういうような方が、きちっとある一定の要件を持った方が現場にいるということは大変大事でございまして、それを実際に発注者が、そういう人がきちっと現場に来ているということを確認できるような制度として監理技術者の資格者証制度というものを考えまして、それを今回あらゆる
特定
の
建設業
者にそういう
方々
を、特に必要に応じ配置をしていただくという形にしたわけでございます。
川島實
36
○川島
委員
次に、
建設業
者は営業所ごとに営業に関する事項を記載した帳簿を備え保存しなければならないとする、この営業所の定義でございますけれ
ども
、例えば
建設業
が実際に市町村で仕事を行っておりますと、その市なら市で税を納付していなければ営業所として認めないという市町村側の言い分があるわけですけれ
ども
、この業法上はどういう取り扱いになるのか、この点をお伺いをしておきたい。店だけあって、実際、事務員等人があれば営業所という形で通用するのかどうか。
小野邦久
37
○
小野政府委員
お答え申し上げます。
建設業法
上の営業所でございますけれ
ども
、これは「本店又は支店若しくは」「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」、こういうふうに定義をされておるわけでございます。名称のいかんを問わず「請負契約を締結する事務所」、こういうことになっておりまして、
建設省
の
許可
権者が建設
大臣
であるか都道府県知事となるか、この営業所の所在によって、二つの県にまたがって営業所を設けて営業活動をしようという場合には建設
大臣
の
許可
業者
、こういうことにもなるわけでございまして、
一つ
の県内だけで営業所を設けて
事業
を行われる場合には知事の
許可
、こういうことにもなるわけでございます。
許可
をおろすに際しては、
許可
行政庁において営業所が適正なものであるかどうか、本当にそこにきちっと存在をしているかどうかということをチェックいたしております。税務署等に
事業
所として届け出ているかどうかを必要に応じて確認するということもいたしておりますけれ
ども
、営業所としての継続性をそれによって判定をしていく場合もあるわけでございます。 いずれにいたしましても、具体的に営業所という実態を持ってそこに現に存在しているかどうかということが最後の決め手、こういうことになろうと思います。
川島實
38
○川島
委員
次に、二十八条の
監督
の強化の件でございますが、今回新たに、認可を受けている知事じゃなくても、
大臣
じゃなくても、そこの仕事をしたところの都道府県知事に、そのいろいろな経営の問題について不祥事があったときには
監督
処分の権限を付与する こうしうことになっているわけですが、
大臣
が優先するのか都道府県知事が優先するのか。さらに、それらの認可を受けてない都道府県が経営内容についてどのくらい熟知をする、そういう情報公開がどう取り扱われるのか、その件についてお伺いしておきたい。
小野邦久
39
○
小野政府委員
従来は具体的な、例えば
監督
処分を発動するような事態が起こったといたしましても、発動することができるのは、
大臣
許可
業者
の場合には
大臣
、知事
許可
業者
の場合には当該
許可
を与えた知事、こういうことになっております。 ただ、具体的にいろいろな事例を見ておりますと、知事
許可
業者
の方でも、当該
許可
を受けた県の県内だけじゃなくて他に出てしっていろいろ仕事をする、営業活動をするということも構わないわけでございます。営業所を設けなければ、例えば東京都知事
許可
業者
の方が大阪に行ってお仕事をされる、愛知県に行ってお仕事をされるということも構わないわけでございますが、ただ、そういうような事態になった場合には機動的に
監督
処分が行われなければいけない、こういうふうにも我々考えたわけでございます。したがいまして、ある一定の場合には、そういう
監督
処分が行われるといったような場合でございますけれ
ども
、当該
許可
をした知事以外の方も、その現場が例えば大阪にございましたら、東京都の知事
許可
業者
であっても大阪で
監督
処分が発動できるというようにいたしました。 それで、具体的にどちらが優先をするのか。恐らくは、
大臣
許可
業者
の場合にはおよそ八千という数字でございます。残りの五十一万から二万の
方々
が知事
許可
業者
の
方々
、こういうことになります。そうなりますと、
大臣
許可
業者
の場合には、比較的
大臣
がみずからいろいろ情報等を集めてやることもできるわけでございますけれ
ども
、知事
許可
業者
の方でございますと、数も多いものでございますから、なかなかそういう移動の情報がとれないということがございますので、やはり現場を所管する知事と本来の
許可
権者の知事さんとで
お互い
に連絡を十分とっていただいて、事案ごとに最もふさわしい方法で処分を発動していただくということが現実的ではないか。 この
法案
を認めていただきました場合には、何といっても知事
許可
業者
の
方々
への対応というのは、例えば都道府県でございますと土木部の管理課、あるいはそれ以外の部門もございますけれ
ども
、
建築
部の
建築
指導
室とか、そういう産業政策の担当部局を集めましていろいろ十分相談をいたしました上で、
お互い
に、例えば
実施
をする知事さんと
許可
権者である知事さんがぶつかるとか、あるいは一体どちらが先にそういう処分権限があるのかといったようなことが問題にならないような、そういう方向できちっとやってまいりたい、こういうふうに思っております。
川島實
40
○川島
委員
次に、
建設業
許可
の簡素合理化の中で、申請や手続について「磁気ディスクの提出により行うことができる。」こうあるわけでございますが、フロッピーのメーカーなり内容、どのような事柄が、そこに必要条件というのがあるのかどうか。ただ、従来行っていた申請をフロッピーに入れ込んで出せばいいのか、その辺のところどのように扱われますか。
小野邦久
41
○
小野政府委員
先生
御
指摘
のとおり、今回の改正によりまして、磁気ディスクで
許可
の申請書類等の提出を可能とする道を初めて開いたわけでございます。ただ、これは
許可
事務等のOA化に対応するために整理をした
規定
ということでもございまして、直ちにこれが施行できるかといいますと、やはりOA化が可能な書類でないとなかなかできないわけでございます。そういうOA化が可能な書類で準備が整ったものから慎重にやってまいりたい、こういうふうに思っております。
川島實
42
○川島
委員
企業
はほとんどこれらのものは入れております。ただ問題は、役所側がメーカーによって対応が全部できるかどうかという受け身の立場にあるわけですから、これはぜひ、これだけの
法律
改正をやったわけですから、きちっと対応をできるような形で努力してもらいたい。これは
要望
で結構でございます。 それから次に、問題点として、今回、
入札制度
等を含めてこの
法律
改正があったわけでございますが、
違法行為
をした者に対する
監督
処分というのは、談合だとか贈収賄等の不正行為が入るのかどうか、この点についてお伺いをいたします。
小野邦久
43
○
小野政府委員
刑法の談合罪あるいは贈収賄罪、当然
対象
でございます。
川島實
44
○川島
委員
それでは、会社の法人の役員というのはどの程度まで
対象
になるのか。営業部長がこうなったときには、その会社のことについてはペナルティーがあるのかどうか、それはどうなんですか。
小野邦久
45
○
小野政府委員
会社の役員、あるいは役員以外でも政令で定める、令三条の使用人というのがございまして、一定の役員まで至らなくても、現場、支店における統括的な事務を担当するといったような令三条の使用人を含めて考えていくことになっておりますし、従来からもそのとおりしております。
川島實
46
○川島
委員
次に、今回の
法律
改正によって、不正の行われにくい発注の仕組みの確立というのはこれでなされるとお思いなのかどうか。
森本晃司
47
○
森本国務大臣
一連の
不祥事件
で国民の信頼を著しく失っているわけでございますが、この信頼を
回復
するために不正がが起きにくいシステムをつくらなければならない、そういうことで、
入札制度
の
改革
等々を行うことにいたしました。ただ、それだけではなしに、履行ボンド制について今検討も重ねておるところでございます。いろいろと総合的な
対策
を講じなければなりませんが、今回のこの
法律
におきまして、不適格者を排除するということで、公正な
競争
の土俵づくりを行うことを
目的
としておりますので、私は、これは相当前進するかと思います。 ただ、じゃそれだけですべてなくなるかという問題、すべての解決にはなってこない点もあるのではないかと私は思いますが、そういったことに最大の努力をするとともに、発注者、受注者それぞれが襟を正してモラルを持って行動することが必要かと思います。 本
法案
の成立とともに、私たちはさらに国民の信頼
回復
に向けて全力で取り組ましていただきたいと考えております。
川島實
48
○川島
委員
あと一点。改正案では、
特定
建設業
の
許可
要件の中で、三年から五年に延長されることによって問題点が
一つ
あるわけですね。それは、経営事項審査申請書は全部毎年出しているから、これはいい。ところが、
許可
要件で、
資本金
なり資産の二〇%以上の赤字になった場合は
特定
建設業
が取り消されるという条項があるわけですね。これで実は五年間停職される。三年だと三年大体停職するわけですが、五年に延長するとその停職が延びてしまうという問題点が出るわけですが、これはどのような対応をされるおつもりなんですか。
小野邦久
49
○
小野政府委員
毎年の決算の決算書類は、
許可
期間中も届け出事項ということになっております。毎年、いろいろな決算期があると思いますが、三月期決算の場合には、当然調整をしていただいた上で毎年出していただく。そこで、例えば今
先生
の御
指摘
のような赤字が
資本金
の二〇%に食い込むといったようなことはわかるわけでございまして、例えば五年の期間が三年から延びたことによって、その部門が取り消される期間というものが逆に長くなるということもあるわけでございますが、そういうことのないようなきちっとした書類を毎年必ず出していただくように励行いたしまして、現在でもそういう制度はございますけれ
ども
、必ずしもその期間が二週間といったようなこともございまして守られていない部分もございますが、
許可
の有効期間を五年に延長することによって、逆に毎年の決算書類はきちっと期間も延長いたしまして出していただく、それをもって適切な判断をしていくというふうにしてまいりたいと思っております。
川島實
50
○川島
委員
次に、
不動産特定共同事業
法についてお尋ねをいたします この
法案
は、
投資家
を
保護
する
観点
から適正な
ルール
を
整備
し、
住宅
宅地供給の
促進
に資する
事業
として健全化を図ることを
目的
として制定されたわけでございますが、若干いろいろ問題点もございますので、その点についてお尋ねをしていきたいと思います。
最初
に、
事業参加者
が安心して出資ができる
市場
の確立がこれによってどう図り得るのか、この点についてお伺いしたいと思います。
森本晃司
51
○
森本国務大臣
本
法案
の制定に当たりまして、過去に起きましたいろいろな
不動産
小口化
商品
の
投資家
の
被害
の実態を詳細に把握し、その原因を十分に調査して、さらにまた将来出てくるだろうと想像される
事業
形態を想定いたしまして対応すべく、検討を重ねて反映をさせていただいているところでございます。 具体的には、この業を営む者については
許可制度
を
実施
します。資本または出資の額が一定以上であること、その
業務
を健全に遂行するに足りる人的及び財産的な要件を備えた法人に限り
許可
を受けることができるものとして、不適格者の参入を排除しております。 さらに、この
業者
に対しまして、不当な勧誘の禁止、
許可
または認可を受けた約款に基づく契約の締結、契約の成立前及び成立時の書面の交付、財産の分別管理、
投資家
への財産管理
状況
についての報告書の交付、
事業参加者
名簿の作成、保管等の義務づけを行うとともに、指示、
業務
停止命令等により厳格な
監督
を期して、違反行為に対する所要の罰則
規定
を設けることでその
業務
の健全な
運営
の確保を図ってまいります。 どこまでも、本法の制定によりまして、自己責任原則との調和を図りながら、
事業参加者
が安心して
投資
のできる
環境
整備
がされるものと思っております。
川島實
52
○川島
委員
従来は、この種の
不動産
の関係については持ち分登記ができたものですから、我々は、ゴルフ場問題のときに、ゴルフ場の
被害
に遭う人たちを
保護
するためにいろいろ
法律
を議員立法でつくった経緯があるわけですが、この場合のときに、
不動産
関係については全部持ち分登記で登記にきちっとはっきりできるというようなことで、やらなかったわけですね、その枠に入れなかった。 今回それが、持ち分登記をしておきながらそれをまた担保に入れたり、そしてその
事業主
がほかで借財つくって先に保証金使い込んだり、家賃をようけもらっておいてそれを使い込んだり、いろいろな形のケースがあるわけですが、これらはすべて今回は、そういう
被害
状況
は全部この
法律
でもって抑えられる、こう受けとめてもいいわけなんですか。具体的な
状況
があれば、ひとつお示しをいただきたい。
小野邦久
53
○
小野政府委員
お答えいたします。 この
不動産特定共同事業法案
を見てみていただきますと、いろいろな
観点
から従来と格段の違いが出てくると思います。 従来でございますと、どちらかと申しますと
事業
をやる
事業
者の
許可制度
、開業規制というものもございませんし、何といっても一番重要な
消費者
、
事業参加者
に対しての情報開示というものが、要求しなければわからない。あるいは、
消費者
の
方々
が集まって会社に行ってみて、何かおかしいなと思っても、要求しないことには何も教えてもらえない、こういうようなことになっておりましたけれ
ども
、今回のこの
法律
によりまして、制定をしていただくというふうにいたしますと、何といっても一番重要な
消費者
に対しての情報開示が格段に向上する、こういう点があろうと思います。 したがいまして、例えば従来からやっておりますものとは違って、常時
消費者
の
方々
は、
投資家
の
方々
は、その会社、組合の
事業執行
者でございますけれ
ども
、その会社がどういう経営
状況
にあるのか、具体的な賃料がどう入っているのか、例えば二カ月ばかり賃料が滞ったということになればこれはおかしいということで、直ちに組合総会を開いて会社にいろいろな要求をすることもできるわけでございます。 そういったような、具体的な情報の開示が数段上がるということによって、従来とは格段に健全な
事業
の執行が可能になる、こういうふうに思っております。
川島實
54
○川島
委員
あと二、三点、もう余り時間もございませんので。 従来行われておった、
土地
出資者が
お互い
に組合をつくって共同経営を行う、このことはこの
法律
では号に規制がされてしないと受けとめておるわけでございますが、それはそれでよろしゅうございますか。
小野邦久
55
○
小野政府委員
先生
御
指摘
のとおりでございます。
川島實
56
○川島
委員
それからもう一点、外国における
不動産
取引
を本案の
対象
に加えた理由は一体何だろうか。えらい遠隔地でそれらの
指導
ができ得るのかどうか、この辺も含めてお伺いしておきたい。
小野邦久
57
○
小野政府委員
お答え申し上げます。
不動産
が外国、例えばハワイというようなところにあると仮定いたしましても、具体的に当該
不動産
による
不動産
の
特定共同事業
契約というものが本法の区域内で行われる場合には、やはりきちっとした
保護
の
対象
にするべきだ、こういうことではないかと思います。具体的に、外国
不動産
を
対象
にした
事業
で大きな
投資家
の
被害
あるいは
消費者
の
被害
が出ているというところもあるわけでございまして、それなりの規制の社会的な必要性というものもあると考えております。 したがいまして、本法では第二条の三項の四号ということで、外国の
不動産
を
対象
とした
事業
についても、日本国内で募集あるいは契約行為が行われる場合には規制の
対象
にするということにいたしました。
川島實
58
○川島
委員
次に、大蔵
大臣
及び建設
大臣
が共管する
事業
はどのようなものを予定しているのか、また両
大臣
の
業務
提携はどういう形で効率よく行っていくのか、この点についてお伺いします。
小野邦久
59
○
小野政府委員
今まで、昭和六十二年ぐらいから出てまいりました
不動産
小口化
商品
、従来既に販売されているものでございますけれ
ども
、これは
建設省
のある
意味
では専管の
事業
ということになるわけでございますけれ
ども
、今後、例えば当初の出資が金銭において行われる、
不動産
ではなくて具体的に金額を幾ら自分は出資をする、当然そのほかの
方々
が
不動産
を
提供
する場合もあるわけでございますけれ
ども
、あるいは
不動産
共同投資事業
を例えば十年なら十年、十五年なら十五年たって終わりにする場合に、当然清算
業務
に入るわけでございます。その清算をする場合には、当該
不動産
を売って、清算価値を金銭で
分配
をするということもあるわけでございます。入り口と出口が金融、いわゆる金銭であるもの、これはどちらかというと大蔵省が御所管になります金融
商品
的な
意味
合いが大変強いわけでございます。それと同時に、
我が国
の金融政策にも大変大きな、大きなと申しますか、
事業
の規模によってでございますけれ
ども
、それなりの
影響
も出てくるということで、金融
商品
としての側面を多く持つものについて大蔵
大臣
との共管とした、こういうことでございます。 ただ、二番目に御
指摘
になりました、どうやって
不動産特定共同事業者
の具体的なあれを見ていくのか、申請は例えばどちらに出すのかというようなことにつきましては、私
ども
は、とりあえず
建設省
に出していただいて、大蔵当局と御相談の上、そこで
建設省
に来ていただければいいというような感じにしたいと思っております。
川島實
60
○川島
委員
最後に
大臣
にお伺いをいたしますが、今回公益法人という形で
協会
の設立を認めるわけでございますけれ
ども
、どの程度予定をいたしまして、
協会
の
業務
に対する今後の
指導監督
というのはどのように行われていくおつもりなのか、その点についてお伺いしておきたいと思います。
森本晃司
61
○
森本国務大臣
設立数は、当面
一つ
を予定しております。 それから、
協会
については、法人設立を
許可
する立場から、
協会
が本法に定められた
法律
の遵守、
指導
、
苦情
の解決等の
目的
を適正に遂行するよう、十分
指導監督
を行ってまいります。
川島實
62
○川島
委員
終わります。ありがとうございました。
鳥居一雄
63
○
鳥居
委員長
次に、中島
武敏
君。
中島武敏
64
○中島(武)
委員
初めにお願いしておきたいんですけれ
ども
、私の持ち時間は決して長くありませんので、しかし同時にたくさんお聞きしたいとも思っております。私も丁寧に、しかし早口になるかもしれませんが、お答えの方は、大変勝手を申しますけれ
ども
、簡潔にひとつお願いいたします。
最初
に、
不動産特定共同事業法案
についてですけれ
ども
、この
法案
の
目的
は、
不動産
の小口
投資
事業
について、一、
事業
の
許可制度
、それから二、
事業
者等の責務、三、
事業参加者
の損害防止と利益の
保護
などを
目的
としている。詰めて言えば、
事業
の
許可制度
等を行うことによって
事業参加者
、つまり
投資家保護
を行うということでありますか。
小野邦久
65
○
小野政府委員
事業
の
許可制度
及びいろいろな
行為規制
についての
措置
によって
消費者
保護
を図っていく、及び
事業
の健全な
発展
を図っていく、こういう趣旨でございます。
中島武敏
66
○中島(武)
委員
投資家保護
を行うための
事業
規制ということになれば、当然のことですけれ
ども
、
事業
者側にさまざまの規制がかかり、
一般
的に言うと、本
法案
制定以前のように、ある
意味
では自由に
投資
商品
を販売し、
事業
を行うことに制約が出る。にもかかわらず、
事業
者側、つまり
大手不動産
業者
が
不動産
シンジケーション協議会なる団体を結成し、一見矛盾するかのように見える
投資家保護
のための早期法制化が必要だと
法律
制定運動を展開したのはなぜでしょうか。
投資家保護
のための規制強化は、業界の利益と矛盾することにならないのですか。
小野邦久
67
○
小野政府委員
お答え申し上げます。 業界が
法律
制定を働きかけたという御趣旨でございますけれ
ども
、現在、
不動産
小口化
商品
、
不動産特定共同事業
というものはなかなか
ルール
が確立していないわけでございます。したがいまして、
市場
自体
が大変未成熟でございまして、
一般
投資家
からは
市場
ルール
確立に対しての非常に強い
要望
がある、こういうことでございます。
先ほど
先生
が御
指摘
になりました業界団体も、そういう
意味
で、
ルール
づくりという
観点
からいろいろな
投資家保護
上の規制を
要望
しているというものと理解いたしております。
中島武敏
68
○中島(武)
委員
私、実はこの
不動産投資
被害
再発防止
を考える会、これはどこが主宰してやっているのかと思ったら、
不動産
シンジケーション協議会がやっておる。つまり、ここは業界の方が肝いりで、いろいろ運動を組織してこれをやっているというのが、私の理解では本当のところじゃないかと思っております。 それで、さらに続けてお尋ねしたいのですけれ
ども
、
不動産
小口
投資
のもともとの発想というのは、
不動産事業
が
市場
からの資金調達の不振、それから金融機関からの借り入れ困難の中で、大衆
投資家
から資金を調達するための
手段
として
開発
されたものではないかと私は思っているのです。といいますのは、日経産業という新聞がありますが、御存じと思いますけれ
ども
、ことしの初めにこういうことを言っています。「業界では
投資家
の
保護
という
観点
に加え、小口化による資金調達の多様化が
不動産
取引
の
活性化
につながるという点からも早期の立法化を求めていく考えだ。」こういうふうに言っているのですね。つまり、この報道は、私が今言ったことを裏づけているのじゃないかと思うのです。 それで、不良不適格
業者
を排除し、
大手不動産
会社が中心になって小口
投資
を
促進
し、大衆
投資家
からリスクの高い
不動産投資
の資金調達を行うのがこの
法案
の本質じゃないかといりふうに思うのですけれ
ども
、どうでしょうか。
小野邦久
69
○
小野政府委員
この
法案
の第一の
目的
は、
消費者
と申しますか、
事業参加者
を
不測
の事態から守るということでございます。同時に、
不動産特定共同事業
でございますので、複数の例えば
地権者
が集まって
都市開発事業
をやるとか、あるいは有効な
土地
利用に資するとか、いろいろな
観点
もございます。 ただ、その中で、
先生
の御
指摘
のように、この
不動産特定共同事業
をやる会社がいろいろな
都市開発事業
をやっていく過程の中で、結果的にやはり資金調達と申しますか、いろいろ
事業
遂行のために多くの
投資家
を
市場
で募るということができるとすれば、それは
事業
会社にとって資金調達という点でこれを容易にする、そういうメリットももちろんあると思います。
中島武敏
70
○中島(武)
委員
御存じと思いますけれ
ども
、高野敏男商店があります。それで、この高野敏男商店が、ホテルの客室所有権を小口化して、そしてホテル会社がこれを借り受け、
投資家
に一定期間の家賃を払うという仕組みをつくり、
事業
を展開しておりましたが、倒産しました。
投資
被害
が続出しております。 この典型的な事例であるのが京都のシャトレーイン京都なのですけれ
ども
、この
投資
被害
事件について調べてみたのです。大変驚いたことに、このホテルが二十四時間、三百六十五日、フル稼働で営業して、常に満室状態でも、
投資家
には約束した賃料支払いができないというものであります。今回の
法案
では、このような
被害
を防ぐことができましょうか。
小野邦久
71
○
小野政府委員
高野敏男商店のシャトレーイン京都の実態がどういうあれだったかというのは、必ずしも私、十分把握をしておりませんけれ
ども
、例えば実現困難な利回り保証をするといったようなことになりますと、これはそういううたい文句というか、そういうひとつの広告等に誘われて
投資家
の方が集まるということもあるわけでございます。そういったような無理な保証をするということによって行き詰まる、こういう例もあるわけでございます。 どういうような
事業
が
不動産特定共同事業
として適当なのかどうか、これにつきましては、約款を
許可
のときに私
ども
審査をするということにしておりまして、この約款によって契約が行われていくのかどうかということを中心に、合理的な範囲で
指導
をしてまいりたい、こう思っております。
中島武敏
72
○中島(武)
委員
実はこれはなかなか難しい問題なのですね。いろいろ考えてみたり、また、御答弁の中でも約款でというお話もあるのですけれ
ども
、この問題で
被害
を完全に防止できるのかということになると、これは率直に申し上げますけれ
ども
、ちょっと無理だと思うのですね。もともと事務所ビルとか海外
不動産
、あるいは
先ほど
言いました京都のホテルの事案のような場合に、
一般
投資家
が多少の情報開示があってもリスクを回避できるかというと、やはりなかなか難しいということは想像にかたくないと思うのです。 それで、
不動産
小口
投資
は、
投資家
が居住し、利用するものではないわけですね。ましてや海外
不動産
のように、どのような物件なのかということを判断することも非常に難しい、そういう危険性の高いものもあるわけですね。ですから、これらについての
被害
をなくする保障というようなことになりますと、それは今お話しになった約款だとかあるいは情報開示だとか、こういうことになるのだと思うのです。この点で、ここはなかなかこの
法案
の根幹をなす問題だと私は思うのですけれ
ども
、どんな約款なんかを考えておられるのかということについて、お尋ねします。
小野邦久
73
○
小野政府委員
どういう形で
消費者
の
保護
を図り、
事業
の健全な
発展
を育成していくのかということでありますが、一番はやはり、繰り返しになりますが、
事業
許可制度
による健全な法人の
運営
ということに尽きると思います。それと同時に、そういう
企業
の
方々
が
消費者
、
投資家
の
方々
にきちっと情報開示をするということが一番大事だと思います。 具体的には、
許可
のときに約款を私
ども
審査をいたしますが、その約款も余り無理のないような、合理的な範囲のものでないといけない。やはり、これこれこういうような形で非常に有利な
商品
だ、税金の点も含めまして
投資利回り
がどのぐらいになるといったような、例えば誇大な広告をするというようなことになりますと、これは結果的に
消費者
の
方々
、
投資家
の
方々
に
不測
の損害を与える割合もそれだけ高くなるわけでございますので、そういったことがないように、この
法律自体
の中に決めてございます幾つかのいろいろな
行為規制
とあわせて、特に一番重要な約款につきましては、合理的な範囲のものとして
不動産
特定
共同投資事業
が健全に
発展
をしていくような、無理のない範囲のものを認可をしていきたい、こういうふうに思っております。 それと同時に、企
業者
の方も、従来の例でございますと、その会社の営業がうまくいっているときはいいわけでございますけれ
ども
、必ずしもうまくいかない、そういう場合になりますと、せっかく一括して賃貸に出して、入ってくる賃貸料収入というものも、その
事業執行
者の方がみずから他の
事業
に充ててしまうというようなことになってしまうわけでございます。これが
バブル
の崩壊後、相当の
被害
が出た一番大きな原因でございます。こういうものにつきましては、きちっとやはり情報開示をした上で経理を別にしていただく、分別経理と言っておりますけれ
ども
、そういうようなこともはっきり
法律
で
事業
者に義務づけるというような形にいたしております。
中島武敏
74
○中島(武)
委員
標準約款はできているのですか。
小野邦久
75
○
小野政府委員
標準約款につきましては、これをどうっくつていくのかという御
指摘
でございますけれ
ども
、既に民間の研究機関におきまして標準約款の検討は進められていると理解をいたしております。
建設省
も、呼ばれた場合には意見を述べるということもございます。 さらに今後、
事業
の形態に応じた、
法律
によって幾つかの契約形態がございます、それを
実施
する
事業
形態も違うわけでございますけれ
ども
、
事業
の形態に応じた約款についていろいろ検討いたしまして、
事業
者が有効に活用するような、そういう形で検討を進めていきたいというふうに思っております。
中島武敏
76
○中島(武)
委員
さきに
指摘
いたしましたが、
不動産
の小口
投資
は、ある物件を区分所有するのではなくて、共有持ち分を有するにすぎないわけです。その場合に、分譲マンションの区分所有と違って、権利関係も非常に複雑になります。この点で、小口
投資
の物件の建てかえ、あるいは大規模な修繕という場合に、分譲マンションでも非常に難しい問題ができてくるのですよ。ましてや小口
投資
の場合には非常に問題が出てきて、計画的な
都市開発
上問題が出てくるんじゃありませんか。
小野邦久
77
○
小野政府委員
不動産
の共有関係は、例えば分譲マンションに非常に多く見られる形態でございまして、この
事業
に特有のものではないわけでございます。ただ、将来の
都市開発
に大変支障にならないような、そういうことにしなければいけないわけでございます。 例えば、組合の持ち分を直接第三者へ譲渡することによって、いろいろな真実の権利関係というものが不明確になるということは避けなければいけませんので、例えば原則として第三者への譲渡は禁止するといったような、そういうことも考えなければいけないと思っておりまして、組合の合意形成に関する手続が適正に定められるというようなことを標準約款で予定をするということで、いろいろ対処していきたいと思っております。
中島武敏
78
○中島(武)
委員
いろいろ努力をされるというお話がずっと答弁でありました。私たちもこれは実はもっと尋ねたいのです。だけれ
ども
、時間の制約もあるものですから言い尽くせないので、ちょっと結論的なことを申し上げておきたいと思うのです。 私は、この
法案
というのは、本来やってはならない
土地
、建物などの
不動産
をもうけの
対象
にしていると思うのです。結果的には、
投機
的
取引
につながりかねない要素を持っていると思います。しかも、
大手不動産
会社にもうけ口を与える、経済の
投機
化を進める、そういう危険性を持っておるものだと思います。それから、
不動産
の小口
投資
は権利関係を非常に複雑にします。これはもう申し上げるまでもないのです。そして、計画的な
都市開発
の上からも、今申し上げたようにやはり問題がある。私は時間がなくて割愛してしまっておりますけれ
ども
、さらに
投資家保護
も極めて不十分だ。結局、むしろリスクの高い
不動産投資
に
一般
投資家
を動員して
都市開発
の新たな資金調達と大衆
投資家
にリスクを分散することをねらいとしたものではないか。いろいろ私たちも検討したのですけれ
ども
、そういう気持ちをぬぐえません。 それで、これについては反対だということで、実はもう一本
法律
がありますので、この
質問
に移らせていただきたいと思うのです。
建設業法
の方ですけれ
ども
、この改正案はゼネコン疑惑に対する批判にこたえることが
一つ
の
目的
で、この点で一定の改善はあるというふうに思うのです。しかし、
建設業
の不
許可
とする刑罰の範囲を広げたのは私はよいことだと思いますが、新たに不
許可
の
対象
とされた罰金刑は暴力関係と背任罪だけです。世論の非常に強い批判を浴びた談合による独禁法違反や刑法の談合罪、贈賄罪では、禁錮以上でないと
対象
になっておりません。せっかく不
許可
となる罰金刑の
対象
を拡大したのに、ゼネコン疑惑にかかわる肝心なものを外している。これでは役に立たない。なぜこれらの罪は、罰金刑で不
許可
の
対象
にしないのですか。
小野邦久
79
○
小野政府委員
お答え申し上げます。 なぜ贈賄、談合について罰金刑を失格の
対象
としないのか、こういう御
指摘
でございますけれ
ども
、もともと
建設業法
における罰金刑を失格要件とする考え方は、基本的には
建設業
を実際営む上で大変基本的な資格として問題のある者、例えば
建設業法
を守らないとかいったような、そういう方が第一だと思います。第二に、例えば現在の
法律
の中にございますけれ
ども
、労働
基準
法など労働者の使用に関する一定の
法律
を守らない者、これがやはり基本的に
建設業
というものを営む上できちっと対応をすべきものというふうに考えているわけでございます。 今回、暴力団関係
企業
の排除について罰金刑を
対象
といたしましたけれ
ども
、ごれは今社会的に、暴力団につきまして大変大きな社会問題にもなっている。御案内のとおり、暴力団新法というものもできたわけでございます。これについて、構成要件等なかなか難しい面もございますけれ
ども
、少なくも暴力団
対策
新法によって罰金刑を受けた者については、そういう社会的な
影響
の大きさ、社会的な必要性というものも勘案いたしまして、今回
対象
としたわけでございます。 それでは、なぜ贈賄、談合については、これだけ大きな問題だから罰金刑まで
対象
とすべきではないかという御議論もございます。
先生
御
指摘
になったわけでございまして、
一つ
の御議論として我々十分考えるわけでございますけれ
ども
、やはり基本的には、
建設業
を基本的にやっていくのに非常に重要な問題と、それ以外のどちらかというとやはり贈収賄等モラルの問題というようなものも、当然そこではあわせ考えていかなければいけない、こういうふうに考えておりまして、現在は禁錮以上の刑に処せられた場合に
対象
になる、こういうことでございますけれ
ども
、例えば贈賄、談合についても一年未満の懲役も今回
対象
にする、こういうこともございますし、また営業停止では最高一年間ということもございまして、
先生
御
指摘
の点もございますけれ
ども
、
建設業
経営の基本という点では、現在の
委員会
にお示しをいたしております改正案でそれなりの
目的
を達するものというふうに考えております。
中島武敏
80
○中島(武)
委員
時間が非常に限られておりますものですから、あと一、二点だけ
質問
をさせていただきますが、簡潔にお願いいたします。 一定の公共工事の受注に経営事項審査を義務づける、あわせて審査の
基準
を改正することにしておられるわけですが、改正
基準
を見ますと、ゼネコン疑惑にかかわるような事項は審査の
対象
にされておりません。これは、多額の使途不明金なんか出しているところの場合は当然減点評価するべきではないかというように思うのです。いや、そういう項目に入れてないんだとおっしゃるかもしれないのだけれ
ども
、ちゃんとそうしう項目に入れればよろしいのじゃないかということを思うのですね。これが
一つ
です。 それから、具体的な問題で聞きますけれ
ども
、
建設業
者の財産的基礎の引き上げについてなんですが、これは既に
許可
を持って適切な営業をしている者については、改定後一定期間は猶予するとか、そういう経過
措置
が必要ではないかと思うのです。 それからもう
一つ
は、一定の公共工事を受注するのには経営事項審査を受けることが義務づけられることになりますけれ
ども
、軽微な工事は無
許可
でもやれるはずなのに、一律に経営事項審査が義務づけられますと、無
許可
業者
は
公共事業
から排除されてしまう、そういう結果になってしまいます。無
許可
でもやれる軽微な工事や災害などの緊急工事などは、経営事項審査義務を除外すべきではないかと思うのです。 もう時間が来たようですからそれだけにとどめまして、最後に、
大臣
に何にも聞いてないから、時間もなくなりましたが、今、
中小企業
の間ではやはりこれは非常に問題になっているのですよ。それで負担が強くなってくるんじゃないかとか、排除されるんじゃないかとか、そういう気持ちを持っているのです。いや、そんなことはないんだ、こういうふうに頑張るんだというような決意を
大臣
から最後に聞いて、私の
質問
を終わりにしたいのです。
小野邦久
81
○
小野政府委員
それでは、三点御
指摘
をいただきましたので、早口に御答弁させていただきます。使途不明金、これは経審の
対象
に入ってないじゃないかという御
指摘
でございますけれ
ども
、これにつきましては、やはり客観的に評価できる事項で全国的な統一を図ろうということでございます。なかなか客観的実態に合わせて具体的に使途不明金というのを把握するということはできないわけでございます。それで、審査項目については、追加するということは大変難しいというふうに考えております。 それから、財産的基礎でございますけれ
ども
、適切な見直しの時期に来ております。私
ども
、これらの問題につきましては、いろいろな団体から直接お話もお伺いしております。
先生
の御
指摘
のような点もあると思いますので、通達で
基準
を策定するに際しては、慎重に検討してまいりたいと思っております。 それから、経審の義務づけが行われた場合に一定の工事の範囲が大きく変更することにならないか、こういうことでございますけれ
ども
、経審の申請に負担が、とりわけ
中小
建設業
者にとって過重とならないように、一定の軽微な金額の建設工事については除外することが望ましいというふうに考えておりますし、災害関係の建設工事については例外が認められるべきではないかと考えておりまして、これらの点も踏まえて今後検討を進めてまいりたい、こう思っております。
森本晃司
82
○
森本国務大臣
今回の
法律
は、不良不適格者を排除して、公正な
競争
の土俵づくりでございます。
先生
御
指摘
の
中小企業
の
皆さん
の負担が重くならないように、そういった
措置
もこの場で講じておりますので、これからも頑張ってまいりたいと思います。
中島武敏
83
○中島(武)
委員
終わります。
鳥居一雄
84
○
鳥居
委員長
これにて両案に対する
質疑
は終局いたしました。
—————————————
鳥居一雄
85
○
鳥居
委員長
これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに両案について採決に入ります。 まず、
不動産特定共同事業法案
について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
鳥居一雄
86
○
鳥居
委員長
起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 次に、
建設業法
の一部を改正する
法律案
について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
鳥居一雄
87
○
鳥居
委員長
起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————
鳥居一雄
88
○
鳥居
委員長
ただいま議決いたしました
建設業法
の一部を改正する
法律案
に対し、金子一義君外五名より、自由民主党、改新、日本社会党・護憲民主連合、公明党、さきがけ・青雲・民主の風及び日本共産党の六派共同提案による
附帯決議
を付すべしとの動議が提出されております。 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。金子一義君。
金子一義
89
○金子(一)
委員
ただいま議題となりました
建設業法
の一部を改正する
法律案
に対する
附帯決議
案につきまして、自由民主党、改新、日本社会党・護憲民主連合、公明党、さきがけ・青雲・民主の風及び日本共産党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。 案文はお手元に配付しておりますが、内容につきましては、既に
質疑
の過程において
委員
各位におかれましては十分御
承知
のとおりでありますので、案文の朗読をもって、この際、趣旨の説明にかえることとさせていただきます。
建設業法
の一部を改正する
法律案
に対する
附帯決議
(案)
政府
は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。 一 今回の
法律
改正が、不良不適格
業者
の排除の
促進
と建設工事の適正な施工の確保に資するよう的確な運用に努めるとともに、
中小
零細
業者
の排除をもたらさないよう十
分配
慮すること。 二 経営事項審査の義務付けによって
中小
零細
業者
に過剰な負担がかからないよう、
対象
となる建設工事を政令で定めるに当たって十
分配
慮すること。 三 技術者がより的確な施工管理技術を取得できるよう、監理技術者としての資格取得の
促進
に十
分配
慮すること。 以上であります。
委員
各位の御賛同をよろしくお願いを申し上げます。
鳥居一雄
90
○
鳥居
委員長
これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
鳥居一雄
91
○
鳥居
委員長
起立総員。よって、金子一義君外五名提出の動議のとおり
附帯決議
を付することに決しました。 この際、
森本
建設
大臣
から発言を求められておりますので、これを許します。
森本
建設
大臣
。
森本晃司
92
○
森本国務大臣
不動産特定共同事業法案
及び
建設業法
の一部を改正する
法律案
につきまして、本
委員会
におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。 今後、審議中における
委員
各位の御高見や、ただいま議決になりました
建設業法
の一部を改正する
法律案
に対する
附帯決議
の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。 ここに、
委員長
初め
委員
各位の御
指導
、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。(拍手)
—————————————
鳥居一雄
93
○
鳥居
委員長
お諮りいたします。 ただいま議決いたしました両
法律案
に関する
委員会
報告書の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
鳥居一雄
94
○
鳥居
委員長
御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————
鳥居一雄
95
○
鳥居
委員長
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時十六分散会