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保岡委員 社会資本の
整備というのは
奄振事業でかなり進んできていると思います。このことは
奄美の
発展のために大きく貢献している。その評価は高いのですけれども、一方、ダムや
畑かんなど
農業基盤整備や、
国際化に伴って新しい理念で
港湾、
漁港を
整備することなど、大蔵省でCランクづけになっているような、もう抑制すべきものというものが、
離島やこういう
地域にとっては大きな将来の
発展の基礎づけとしてまだ必要だということもあると思います。
ただ、どんなに
ハードを
整備しても、やはり
離島として
隔絶外海離島であるというようなこともあって、また効率を非常にとうとんだ、豊かになりたいという一心で、とにかく
経済の
発展を一途に
拡大させて追い求めてきた
日本の
政策の中で、やはり
若者が都会に
流出する、そして田舎の方は
高齢化が進んでもう二十一
世紀型以上のものになっている。そしてまた、
産業の
構造の変化で、かつて
奄美などは大島つむぎがとても
付加価値の高い
産業で、これが
群島経済を支えていたのだけれども、これがだめになって苦しんでいるとか、そして、このままいくと
地域社会が維持できなくなるのではないかというような危機に瀕しているのもまた事実であります。
そんなことで、
指摘されているのは、だんだん
環境はよくなってくるが、所得という点で、県、
本土や
全国あるいは
沖縄と比較しても
格差がますます広がっていくのじゃないかということを非常に心配する、これもまた事実なのですね。そういったことで、これをよくするためには、
ハードだけじゃなくて
ソフトの行き届いた
施策の
充実がやはり必要だと私は思うのですね。ところが、
ソフトは、
奄美の場合は
国土庁プロパーの
予算として、非
公共事業でございますが、
予算の枠が非常に小さくて、最近の
財政事情の困難な点から、どうしても前年
対比横並びで抑えられる、
奄美だけを伸ばすとほかを削らなきゃならない、こういう制約があって、担当のお
役所の方ですら
一つの大きな
構造の中で本当に必要なことが打ち出していけないという問題があると思うのですね。
私は、こういうことこそ
政治がリーダーシップを発揮して、そして
与野党とも協調して
政治がリードしないと、
役所にはこれはし切れない問題だと思えてならないのです。それが一点あることと、この
予算をどうやってふやしていくかということですね、御所見を
大臣にお
伺いしたいというのが一点です。
それから、もう時間がありませんので幾つか申し上げますけれども、実はこの
一般事業の中にも
各省にある
事業というのがございます。その中に、
沖縄の場合は、美しい
農村づくりとか
漁村づくりとか、今度新しい目玉で
予算要求して
実現したものがあります。こういったものは、
沖縄は
補助率が
一般の県、
本土よりか高くなっております。
奄美は、
沖縄と違って
全国平均の
補助率になっております。こういった、
沖縄には
一般事業でもかなり優遇されている点がある。それから、
制度融資というのでしょうか、
沖縄振興開発金融公庫にあらゆる
政府系金融機関が全部支店の機能を持って集約されていて、非常に
ソフトな
条件で
金融を行っておる。その他いろいろ
沖縄には手厚い保護がなされています。
これが遠く離れた
地域であればうらやましいで済むのでございますが、しかしながら先ほど申し上げたように、同じ
米軍の
統治下に置かれた
歴史や、同じ自然や
歴史や
経済の共有された同じ
特色に取り組んで
地域の
発展を一体的に図っていかなければならないこの
南西諸島の
沖縄と
奄美が、
政府がこれだけ違った
政策を跛行的に何年も続けていったらおかしくならないかな。
沖縄がよくなることは当然でありますし、
沖縄の
優遇措置は、私は置かれている困難な
状況からもっともっと必要だと思いますが、
沖縄がよくなっていくことが逆に
奄美を抑えていってしまうというような、シーソーみたいな結果にならないだろうか。
それはなぜ私が懸念するかといいますと、例えば、
奄美と
沖縄の市町村の財政力指数の平均を見ますと、
奄美は〇・一四、
沖縄は〇・二六あって高い水準にあるのです。
鹿児島が〇・二三、
全国平均が〇・四二ですね。そしてまた一方、負担率という点で、
地元の受益者負担などが出てきますから所得を比較しますと、
沖縄が
全国平均の七三・五%、
奄美は五九・九%、
沖縄の
離島ですら六五・五%。こういう、むしろ
沖縄の方が市町村の財政力もあるし、住民の所得も高い、
奄美の方が低いのに、
政策が逆転しているということの結果を考えると、なおさらその心配は大きいものがあるわけです。ですから、これはやはり
政府として、今のような違った
政策を進めた場合、この
地域がどういう結果になってどういう影響を受けるかということについては、
責任を持って調査分析をするということがとても大事なんじゃないだろうかと思えるのですね。
その点について、
沖縄の担当
大臣である
上原長官、これもまた
政府が
政治的に大きく
方向づけなければ、なかなか簡単なことでないということは私も十分承知しております。しかし、これを乗り越えていかないと、この
地域の一体的な
発展は図れないと思いますので、この二つの点、
ソフトの
予算のプロパーの
充実、それと
沖縄並みの
施策水準を合わせていく、このことについての調査検討を含めた御回答を願いたいと思います。