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小森分科員 あなたはやはり、この四千六百三部落のことですが、部落問題がわかってないからそういうことが言えるんで、部落差別というのは世間から圧迫されておるんですよ。その圧迫は単なる直接的差別だけではないんですよ。差別に対して
権利を主張するということも圧迫されておるんですよ。そこがわからなかったら、なぜ四千六百三部落しか手を挙げなかったか、あとの一千部落ほどはなぜよう手を挙げなかったか、そこまで考えなかったら、本当の我が国の部落問題が解決する政策とは言えないでしょう。それは政府はわからないんですね。我々のような差別されておる者はわかる。私のように何百という部落の掘り起こしをして、そして今まで無
権利な
立場にじっと我慢をしておった者が立ち上がらなきゃならぬといって立ち上がってきた、そういうオルグをした経験のある者は、そこの問題というのはよくわかるんだ。
だから、「寝た子をおこすな」というのは、同対審
答申では、「寝た子をおこすな」という
考え方にくみすることはできないとなっておるが、寝た子を起こすなという
考え方があるからといってこれを一概にけなすことはできない、それだけ差別の圧迫が厳しいということをも
意味しておるわけだ。あなた方は、寝た子を起こすなという
考え方があることの上に、つまりあぐらをかくわけでしょう。言ってこい言うのに言ってこんのじゃから。そんな、ほっとったら言ってきやへんですよ。逆に、我々運動がやったように、政府とか地方自治体がこういう形で大学の進学率も高等学校の進学率も上げようじゃないか、こういう形で仕事も安定した
方向に持っていこうじゃないか。だれが自分の差別を解決するのに、具体的な処方せんが示されて嫌だと言う者がおりますか。そこのところが
根本的に違うんですよ。
それで、連立政権になってから、運動側も連立政権を支持するとか連帯するとかいうようなことを言い出して、矛先がちょっと鈍っているんですよ。矛先が鈍るから余計いい気になっておるんです、政府は。せっかくここまで、山の登山に例えれば七合目か八合目まで登ったんじゃないですか。Uターンすることはないじゃないですか。どうして頂上まで上がることをしないんですか。そこが問題なんです。解決しませんよ、
日本の問題は、これで。
それで、きょう私は、総務長官がここに出てくれば総務長官に言おうと思ったんじゃが、政務次官、あなたの考えも聞いてみましょうか。
総務庁長官の公明党石田委員長は、九一年の五月十日に、解放同盟の中央委員会に出席をされてあいさつされた。あいさつというよりも、むしろ人権問題に対する講演であった。どう言っておられるかいったら、「権力というのは、スキあらば大衆をぎまんし、たゆまざる技巧をめざし、大衆を犠牲にする特質をもっている。この権力の特質は、一貫して変わっていない。」権力の場についたら、みずからこれを自戒する
言葉としなければいかぬ。「これと対峙するためには、権力への大衆の英知の挑戦が必要だ。自由は与えられるものではなく、それを求めぬいていく運動にこそ、自由の本来の意義が存在する。」連立政権に対して余り要求しなくなったということは、自由の本来の意義である、与えられるものでなく求めていくものであるというところがちょっと緩んだんや、全体がおかしな雰囲気になっておるからね。労働組合もそうなんや。盛んに連立政権に援護射撃を送っておる労働組合もそれなんや。自由の本来の意義ということを主張しておる。
具体的なことになりますよ、今度は。「「同和」問題は、
日本の人権問題の象徴的存在だが、国の対応は残念でしかたない。政府・与党の発言をみても、」これは当時自民党時代のことだからな、攻撃がたやすい。「政府・与党の発言をみても、積極的なものはみられない。」その政府・与党の「積極的なものはみられない。」というこの評価になるその
内容を、今あなた方はそのとおり言うたんだ。反省せないけませんよ。人類普遍の原理の問題だから。
言葉として口の先でこの場は通り過ぎられるかもわからぬよ。問題は解決しませんよ。わかりますか。
自民党時代には、私の計算では大体百四十回ほど部落問題の
議論が、本会議でも予算委員会でも各種委員会でもあるいは予算委員会の
分科会でも衆参両院を通じて行われておるから、かなり燃え上がったけれ
ども、どうですか、連立与党になってからほとんど声がないじゃないですか。私の発言の場所以外はない。そういう政治的な緩みをよいことにして、問題を解決しないでほおかぶりでいこうということは許されませんよ。
それで、どう言うとるかいったら、「六五年の「
答申」、六九年の「特別措置法」以来、環境整備の面では大きな効果はあったが、
根本的解決のためには、「基本法」が必要だ。」あなたは、基本法が必要ない。今の総務長官が言っておるのですよ。
「「人種差別撤廃条約」の早期批准を、おこなうべきだ。」これは、きのう私は外務省とここでやりましたよ。やらぬ言うんです。自民党時代にやらぬ言っていたが、連立政権になってもやらぬ言うのです。だから、ちょっと余りこれは欺瞞的過ぎるんですよ。「「人種差別撤廃条約」の早期批准を、おこなうべきだ。これが、平和、人権、民主主義の憲法をよみがえらせる。また、国内法の整備が、「基本法」制定をうながす大きな力になる。」人種差別撤廃条約の批准と部落解放基本法の制定との
関係は、条約と国内法整備との
関係だ、後に
総務庁長官になられた人の見解ですよ、これが。これはやがて機会があろうと思いますから、本人自体にも話そうと思いますけれ
ども。
「現行「地対財特法」が来年三月」、つまり延長前のことですから、「来年三月に切れるが、その後について、政府は一般施策への移行の
考え方だ。これは本質を論議しない安易な
考え方だ。いまは、移行の
考え方をとるべきでない。」こう言っておるのです。
だから、やはり政治家は、政権を担当するようになったら言行一致しなきゃいかぬわな。政務次官、そういう総務長官のもとで、あなたはこの
総務庁の政務次官たる
立場にっかれたわけだ。ちょっとあなたの、私が今
指摘したことを聞かれての感じを話してみてもらえませんか。素直に私は運動側とか
国民に伝えますから。