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1994-06-07 第129回国会 衆議院 環境委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
平成
六年六月七日(火曜日) 午後三時二十分
開議
出席委員
委員長
奥田
幹生君
理事
林 幹雄君
理事
福永 信彦君
理事
谷津
義男君
理事
小泉 晨一君
理事
笹山
登生
君
理事
岡崎トミ子
君
理事
大野由利子
君
野田
聖子
君 持永 和見君 石田 美栄君 前田 武志君 松沢 成文君
米田
建三
君 金田 誠一君 田中 昭一君 田端 正広君 竹内 譲君
佐藤謙一郎
君 岩佐 恵美君 坂本 剛二君
出席国務大臣
国 務 大 臣 (
環境庁長官
)
浜四津敏子
君
出席政府委員
環境庁長官官房
長 大西 孝夫君
環境庁自然保護
局長
奥村
明雄君
委員外
の
出席者
通商産業省貿易
局輸入課長
仁坂
吉伸
君
通商産業省生活
産業局文化用品
課長
上野 裕君
環境委員会調査
室長 工藤
桂司
君 ――
―――――――――――
委員
の
異動
六月七日
辞任
補欠選任
山本
拓君
米田
建三
君 同日
辞任
補欠選任
米田
建三
君
山本
拓君 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件
絶滅
のおそれのある
野生動植物
の種の
保存
に関 する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 五八号) ――――◇―――――
奥田幹生
1
○
奥田委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
絶滅
のおそれのある
野生動植物
の種の
保存
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
を議題といたします。 これより
質疑
に入ります。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
野田聖子
君。
野田聖子
2
○
野田
(聖)
委員
自由民主党
の
野田聖子
でございます。本日は、
絶滅
のおそれのある
野生動植物
の種の
保存
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
に関して
質問
させていただきたいと思います。
質問
をします前に一言と申しますか、
浜四津
新
長官
にはおめでとうございます。ぜひとも頑張っていただきたいと思うのですが、その前に、初めて
長官
の前で
質問
をさせていただきますので、私の
環境行政
に対する
考え方
を少し聞いていただき、御
理解
いただきたいと思います。 実は私は、昨年当選しまして、自民党の本部の御
指示
によりまして
環境委員会
の
委員
を拝命させていただきました。その前数年間は
リサイクル運動
とかを個人的にボランティアという形でやっていたので、非常になじみやすいし、私、
女性
にとってもとてもやりがいのある
仕事
ではないかと思って取り組んでいる毎日ですけれども、日々感じますことは、
大変環境
という
言葉
はきれいで優しく聞こえるけれども、その中身については、非常に複雑であるし、
きれいごと
で済まない
部分
、例えば
一つ
の
法律
をつくるにしても、いろいろな
省庁
と渡り合ってやっていかなければいけない非常に
政治
的な
部分
も、このわずか数カ月ですけれども痛感し、ややもすると悔しい思いをしたり、本当に
環境
という
言葉
から想像できないようなさまざまな重たい
任務
があるんだなということを痛感しております。 そこで、せんだって
長官
から
所信表明
がございました。その中では、
地球環境
の
保全
の
推進
については、「
地球サミット
における合意を実現するため、
平成
九年に
開催予定
の
環境
と
開発
に関する
国連特別総会
に向けて、国連持続可能な
開発委員会
を中心に国際的な
取り組み
が進められておりますが、
我が国
としても、昨年十二月に策定した
アジェンダ
21
行動計画
を
関係省庁一体
となって
推進
し、これを積極的にリードしてまいります。」また、「
環境行政
は、
環境基本法
の
制定
を受け、今まさにその
真価
を問われております。」この二つのセンテンスでまさに
長官
がおっしゃっておられるのは、今、
日本
の
環境行政
というのは、
国内
のみならず
外国
にとっても
真価
を問われているんだ。
我が国
においては、ほかの諸
外国
に先立って
環境基本法
を国会の
全会一致
で採択し、
制定
されました。今こそその
環境基本法
に、形ができたから魂を入れる作業を早急にしなければならないという、今、
環境委員会
初め
環境行政
には
任務
を背負わされているんだと思います。また、その
環境行政
は、国際的な
舞台
での
優先順位
の高い
アジェンダ
として
世界
に認識されている。つまり、
環境行政
の
責任者
なり
担当者
というのは、非常に国際的な関心が寄せられているということが言えます。 そこで、長らく続いた
自由民主党
の
政権
から昨年
細川政権
になりまして、
細川政権
から
羽田政権
へ
政権
が移行したのに伴い、
環境庁長官
の
人事異動
が行われました。今回の
人事
は、このような
真価
を問われる
環境行政
の現状を真に
理解
していたものだと言えるのだろうかというのが私の率直な疑問です。もっとはっきり言うと、なぜ
広中
前
長官
は再任されなかったのだろうかというのが、私が今でも非常に疑問に感じているところです。 なぜならば、前
長官
は、
答弁
に立たれた際にもなるべく自分の
言葉
で答えさせていただくということで、むしろ今
羽田
さんが盛んにおっしゃっておられる普通の
言葉
で語る
政治
をいち早く実践されておられた
大臣
の一人ではないかと私は今も信じておりますし、
長官在任
中には何らその
失点
となるべき、いろいろな
問題発言
をしたとか、いろいろそうやって飛ばされる人もいるのですけれども、前
長官
に関しては何ら
失点
はなかった、そういう采配はなかったと確信しております。 むしろ
在任
中には、非常に重要な施策とかそれにかかわる決定に関与された。
環境基本法
はもちろんのこと、九三年十二月の
アジェンダ
21
国別行動計画
の策定、九四年一月、
国際熱帯木材協定
の採択、二月には
特定水道利水障害
の防止のための
水道水源水域
の水質の
保全
に関する
特別措置法
の成立と、
大変活躍
をされ、以前から
環境行政
に大変深い
理解
と勉強をされておられた方なので当然のことといえば当然なんですけれども、これは今始まったばかりで、国際的にはこれからまた一歩また一歩と進めていかなければいけない大切な
仕事
だと思っております。 〔
委員長退席
、
谷津委員長代理着席
〕 また、
広中
前
長官
は、
在任
中に
企業経営者
を主として
アンケート
をとられまして、もちろん今の
長官
もお持ちだと思いますけれども、そこには
環境
に対する
企業経営者
からの
回答
が出ているわけで、その
アンケート
の
回答
を読んでみますと、やはり
企業経営者
の
環境行政
に対する期待にこたえ るかどうかという
視点
から見ても、今回の
人事異動
は疑問視されるのではないかと思えるのです。 というのは、この
回答
の中から抜粋して読みますけれども、例えば
機械分野
の
企業経営者
からは、「今日の
環境
問題のように、国、国民、
企業等
の
責任
がはっきりせず、
対策
の結果が明確でない問題は、
日本
人の最も不得意な
分野
。」「
環境対策
は、高度なノウハウを必要とするため、小手先だけの対症療法では本質的な
対応
はできない。」「
導入期
」まさに今なんですけれども、「高度な
政治的洞察
が必要。」であると言われています。また、同じように
機械関係
の
経営者
の人は、「
地球環境
問題と
日本
の
環境
問題とが一体化した
意識
の下に
対応
できるように
対策
を施すべきであり、」つまりこれも、やはり
各国
の
政治家
がいろいろな
国際会議
とかそういう
舞台
で意見のやりとりをして、
一つ
のコンセンサスをつくっていかなきやいけないんじゃないかということを
指摘
していると思います。 また、それぞれいろいろあるのですけれども、この
エンジニアリング関係
の方は、特に
日本
という国は「
地球環境対策
の
フィロソフィー
と
プラン
を
世界
に示すことが必要。」である。そういうふうな形で、
企業経営者
にあっても
環境行政
の
重要性
というのは強く認識されています。この「
フィロソフィー
と
プラン
」というのは、いわゆる
環境庁
というお役所がやるのではなくて、むしろ
フィロソフィー
の
部分
というのは
政治家
、
政治
が深くかかわっていかなければいけないものではないか、特性ではないかと思います。 〔
谷津委員長代理退席
、
委員長着席
〕 そこで、
羽田政権
のもとでは、要するに総辞職があった後、全
閣僚
が一新されたのではなくて、その場所によっては再任、
大蔵大臣
とか
文部大臣
とかそういう
人たち
は再任したり、または横滑りの
閣僚
もいらっしゃるわけです。そのような状況の中で、
環境庁長官
が交代しなければならなかった
理由
が私にはどうしてもわかりません。そして、私は
羽田総理
に直接伺うわけにいかないので、新
長官
にはできればその
理由
をぜひ
羽田総理
に聞いていただきたいと思うのです。 別に今私は現
長官
を批判しているわけでも何でもありません。まだまだこれからいろいろとその
手腕
については発揮されると思うのですけれども、ただ私がここで申し上げたいのは、ややもすると
男性主導
のこの
政治
の中で、
女性
の
大臣
を置かなきゃいけないという
義務感
を持っていらっしゃる
男性政治家
は多いと思います。それはどの党ということでなしに、全般的にそういう
意識
が強いと思います。そこで、
環境庁
は
女性
的な職種だから
女性
の
大臣
が、
長官
がやるといいんじゃないかという発想かもしれませんけれども、私は、
広中
前
長官
に対しては、
女性
だから
環境庁長官
に就任されたとはこれっぼちも思ったことがなかった。やはり
政治家
として当選されて以来、一貫して
環境行政
に国際的また
国内
的にも取り組んでこられたその実績が
環境庁長官
としての
仕事
をとられたのだ、得られたのだという
理解
をしていましたので、私にとっても非常にいい励みと、
先輩
としてあれしようと思っていたのですが、突然
仕事
半ばでかわられてしまったことはとても残念だし、むしろ現
長官
におかれましては前
長官
の引き継ぎというのはかなりハードな
部分
があると思います。 私が申し上げたいのは、
環境庁
が
余り
軽く見られたくない、これからの国政にとって、
国際社会
において
日本
という国が
各国
に負けない
手腕
を発揮できる、
リーダーシップ
をとれるのは軍事ではなくて
環境
なんだ、そういう真摯な、真剣な
取り組み
をしないことにはいけないんじゃないか。つまり、これから
委員会
で議論をする
種の保存法改正案
、またその前身である
種の保存法
の
制定
は、
平成
四年に開催された
国連環境会議
、
地球サミット
が採択した
アジェンダ
21を具体化するという流れの中で進められているのです。
地球サミット
のような真に
国際的フォーラム
で決定された
事項
、それを先導すると目される
環境庁
のトップが、
長官
が明白な
理由
もないままに、しかも短期間で交代させられるようでは、
日本
の
環境行政
に取り組む姿勢、
熱意
が国際的に疑われはしないか、そういう危惧を私
自身
は持っているところであります。 いろいろと申し上げましたけれども、とにかく新
長官
にはぜひ頑張っていただきたいと思いますが、これについて所感、御感想があれば、むしろ
熱意
を私に聞かせていただければありがたいと思います。
浜四津敏子
3
○
浜四津国務大臣
ただいま
野田先生
からさまざまな観点につきましてお話しいただきました。 おっしゃいますように
環境
問題、恐らく
東西冷戦構造
が崩れた後の今この
世界
において
世界共通
の最大の
課題
の
一つ
というふうに認識されていると考えております。そういう
意味
におきまして、
環境
問題、
国内
だけではなくて国際的な問題としても
日本
も
リーダーシップ
をとって一生懸命取り組んでいかなくてはいけない、本当におっしゃるとおりだというふうに思います。 こうした空間的また時間的広がりを持った
環境
問題、先ほどるる述べられましたけれども、
内容
的にも大変複雑でまた多様化していて、殊に
環境
と
開発
あるいは
環境
と経済、どうバランスをとっていくのかというのは、どの国にとっても非常に難しい問題であるというふうに思います。そうした
国際社会
の中で
日本
がどう
リーダーシップ
をとっていくのか、まさに
真価
が問われる問題、本当におっしゃるとおりだと思います。 そうした中で
長官
につかせていただいたわけですけれども、本当に力不足ではございますが、
全力
で取り組ませていただきたい、こういうふうに思っております。幸い
環境
問題、これは与野党問わず取り組まなくてまいけない問題でございまして、この
委員会
の
先輩
の
先生方
また
歴代長官
、さまざまな
関係者
の
方々
、本当に一緒に取り組んでこられた、またこれからも
お力
をいただけるものというふうに考えております。 また、なぜ前
長官
がかわられたのか、その辺のところはよく私にはわかりませんが、前
長官
それから
歴代長官
が築いてこられたこれまでの
環境
問題への
取り組み
、ぜひそれを引き継がせていただき、また任期をいただいている間に少しでも前進できるように頑張らせていただきたいと思っております。
環境庁
が軽く見られるようなことがあってはいけないというお話でしたけれども、私
自身
も
環境庁
、本当に今後は
行政
の中枢としての役割を果たすべきである、こういうふうに思っております。 また、
環境庁長官
に限らず、
閣僚
の中にもっともっと
女性
がふえればいい、こういうふうに思っておりまして、その面でも何とかできることを一生懸命させていただきたい。今いらっしゃるたくさんの
女性
の議員の
方々
、いずれ近い将来、本当にその中からたくさんの
女性
の
閣僚
が出ていただきたい、こういうふうに思っております。 私も
長官
を拝命するに当たりまして、
総理
からは、
女性
の
視点
をしっかり生かして頑張るよう、こういう
指示
を受けましたが、
細川政権
また
羽田政権
、
生活者
の
視点
を大事にする、こういう
意味
で、こうした
女性
あるいは
生活者
の
視点
が生かされるような
環境行政
の
推進
に
全力
を挙げてまいりたいと思いますので、またどうぞ
お力
をいただきますように、よろしくお願いいたします。
野田聖子
4
○
野田
(聖)
委員
大変御丁寧な
答弁
をありがとうございました。私、わずか十カ月ですけれども、
環境委員会
というのは、
女性
の
視点
というよりも、
縦割り行政
をどうなくしていくかとか、やろうと思ったことがいろいろな
省庁
にまたがっていてやりづらいとか、そういうことが随分多いような気がしますので、そっちの方面でぜひ力強く取り組んでいっていただきたいと思います。 早速、種の
保存改正法案
の
質問
に移らせていただきます。実はせんだっても
改正
の骨子等承ったのですけれども、若干わかりづらい点がありますので、それぞれについて
答弁
をいただけたら幸いだと思います。 まず最初に、
現行法
、そして
改正法案
、これから審議される
改正法案
と
ワシントン条約
との
関係
について
質問
させていただきたいと思います。 この
法律案
というのは、
ワシントン条約
をより遵守できるような
国内措置
の
検討
を
指摘
した総務庁の
行政監察局
の勧告と、そして
衆参
の
現行法審議
のときに附帯された
決議
を受けて提出されたと聞いていますが、この
希少動植物
の取り扱いに関する
現行法
が量、
質とも
に拡充した
内容
になる前向きな
法改正
であるということで、私どもこの
改正法案
を
理解
させていただいてよろしいでしょうか。 また、その
改正法案
は
ワシントン条約
の
実効性
を上げるための
国内的法整備
である、そういう基本的な認識をしていいかどうか。 そして最後に、実は
ワシントン条約
の基本的な
考え方
の中に、疑わしきは
保護
にという
考え方
があると聞いています。今回の
改正法案
もそうした
理解
をベースにしておられるのかどうか。 この三点について確認させていただきたいと思います。
奥村明雄
5
○
奥村政府委員
お答え申し上げます。
現行法
と
改正法
、そして
ワシントン条約
との関連という
お尋ね
でございます。
ワシントン条約
は
絶滅
のおそれのある
野生動植物
の
国際取引
を
規制
することによりまして種の
保存
を図ろうとするものでございまして、この
条約
では
附属書
に掲載された
動植物
の
個体
、全体だけでなく
個体
の
部分
や
加工品
も含めて
国際取引
の
規制
の
対象
となっておるところでございまして、わが国でもこの
条約
に基づきまして、窓口である
税関
で、
水際
における輸出入の
規制
が行われているところでございます。
現行
の
種の保存法
は、
ワシントン条約
に基づくこの
水際規制
をより実効あらしめるものとするために、同
条約
に基づき
国際取引
が
原則
として
禁止
されている
附属書
1の
動植物種
につきまして
国内取引
を
規制
するものでありまして、このことにより
輸入圧力
というものを抑えていこうというような
趣旨
によるものでございます。ただ、現在のところ、同法における
規制
の
対象
は
動植物
の
個体
及び標本に限られておりますので、
部分品
については
国内規制
の
対象
となっておらないところでございます。 このことは、
先生
御
指摘
のように前回の
法律
を
制定
されました際の
衆参
の
附帯決議
におきましても
検討事項
とされておるところでございまして、今回の
改正法
におきましては、その
動植物
の
部分
、
加工品
についても
国内取引
の
規制
の
対象
としよう、そういうことで
条約
の
趣旨
を全うし、また
絶滅
のおそれのある種の
保護
の徹底を図ろうとするものでございます。したがいまして、従来いわば宿題になっていたところを今回手当てをいたしまして、十分の効果をあらしめるような
内容
のあるものにしたいという
趣旨
でございます。 それから二点目は、
ワシントン条約
の
考え方
として、疑わしきは
保護
すべきという
原則
があるがどうかという
お尋ね
でございます。
ワシントン条約
におきましては、現に
国際取引
により
絶滅
の危機にある種はもちろん、そのおそれのある種につきましても
保護
の
対象
としておりまして、
先生
おっしゃっておられる疑わしきは
保護
すべきという
考え方
は未然防止的な
対応
、プレコーショナリーアプローチというような
考え方
が基礎にあるものと
理解
をしております。
ワシントン条約
では、こうした
趣旨
から、現に
絶滅
のおそれのある
附属書
1の
掲載種
について
規制
をしておりますとともに、現在は
絶滅
のおそれはないものの、今後
絶滅
のおそれがあるという状態に至るおそれがあるというようなものについても
各国
が協力しながら
規制
をしていこうということで、
附属書
Ⅱあるいは
附属書
Ⅲというものを掲げ、
各国
が協力し合う体制をとっておるところでございます。
ワシントン条約
はこうした
考え方
に沿っておるものでございまして、
先生
御
指摘
の疑わしきは
保護
すべきという
考え方
がこういう形であらわれていくというふうに
理解
をいたしておるところでございます。
野田聖子
6
○
野田
(聖)
委員
ありがとうございました。 そういう
考え方
のもとで今回
改正
される
部分
というのは、要するに「
個体
」から「
個体等
」というふうになって、
器官
及びその
加工品
が
対象
になりますよということなのですが、これは「譲渡し等の
禁止
」についてということは、
現行法
ももちろんのこと、
改正法案
も
基本的立場
は、
希少野生動植物種
の
個体等
の譲り渡し、譲り受け、引き渡し、引き取りは
禁止
する
立場
にあってこの
改正法案
をやっていくのだということを確認させていただきたいということと、あとこの
器官
、
加工品
について、識別できないもの、細分化されたものは
対象
としないというふうにありますけれども、具体的にはどういうものを指すか、
漢方薬
のたぐいはどうなるのか、そしてまた、
法案
の中の第六条第二項第三号の言う「種を容易に識別することができるもの」という
言葉
があるのですが、これはだれがどの程度容易に識別することができる程度のことをいうのか、同じく説明していただきたいと思います。
奥村明雄
7
○
奥村政府委員
まず、
規制対象種
の
器官
及び
加工品
についても
国内
での譲渡は
原則
として
禁止
されると解してよいかという
お尋ね
でございます。本法で
対象種
が指定されますと、その種及び今回追加されます
器官
、
加工品
についても基本的には
流通
が
原則
的に
禁止
をされるということでございまして、御
指摘
のとおりでございます。 ただ、
人工繁殖
などで
ワシントン条約
上認められているもの、あるいは
ワシントン条約
の
規制対象
以前のものなどにつきましては、
ワシントン条約
でも適法に
輸入
が認められておるものでございますので、これらのものについては、違法なものと区別する
意味
から、
登録
をいたしまして
流通
をするという仕掛けをとっておるものでございます。 それから次に、
規制
の
対象
となる
器官
、
加工品
の
範囲
についての
お尋ね
でございます。
器官
、
加工品
について、
法案
の六条におきまして「種を容易に識別することができるものであって、
政令
で定めるもの」というふうに
規定
をしているところでございます。
ワシントン条約
におきましては、
水際
で容易に識別できるものということで、
専門家
の
税関当局
の
職員
が見て
チェック
をできるものということで
水際規制
はしておるわけでございますが、
国内
に入ってまいりますと
一般
の人が
登録
をするという手続をとることになりますので、
一般
の人から見て識別できるものでなければいけないということで、このように「
政令
で定めるもの」というような
規定
をいたしておるところでございます。 したがいまして、具体的な
対応
を、
種ごと
に
外見
上識別できるものとして
特定
をいたしたいと考えておりまして、例えば
動物
にあっては皮でありますとか、角でありますとか、きば、それから羽毛というようなことで
特定
をいたします。また、植物にあっては花でありますとか茎でありますとか、そういうことで
特定
をいたしたいと思っております。 そこで、御
指摘
の
漢方薬
の点でございます。
漢方薬
については、
ワシントン条約
においてはサイの角などは当然
水際
では
規制
をされておるわけでございまして、特別の訓練を受けた
職員
が
チェック
をいたしておるわけでございます。しかしながら、
国内
に入ってまいりますと、先ほど言いましたように、
一般
の
人たち
が
対応
をいたすことになりますので、
外見
からは成分を識別することが非常に困難でございます。したがいまして、この
漢方薬
の材料となっております粉末のようなもの、それから内臓でありますとか肉、こういうようなものについてはこの
法律
の具体的な
流通規制
ということについては難しいのではないかというふうに考えているところでございます。
野田聖子
8
○
野田
(聖)
委員
確かに難しいとは思いますけれども、最近ではその
漢方薬
が、例えばパッケージなんかに、いかにも使っているよと絵でもかいてあればわかるのですけれども、そのものになってしまうとどうも
水際
でわかりづらいと。ただ、やはり
ワシントン条約
においては、判別できなくても、識別できなくても、そうやって
動物
が利用さ れているのだということには変わりがないと思うので、今後の
検討課題
にしていただければいいのではないかと思います。時間が
余り
ないので先に進みたいと思います。 先ほど
局長
が
答弁
の中で、
人工繁殖
なんかは今
法律
で認められていて
登録
をすればいいということがありまして、今の
法律
も
登録制度
があるわけですけれども、今度その
範囲
が広がりまして新しい
登録制度
にしようということであります。今までも
登録制度
というのがあって、その
目的
は一体何だったのか、そして今度
改正
されまして、
器官
や
加工品等
が入ってくることによってその数がふえる、そのために
事前登録制度
というのを利用するということなのですが、これについて
質問
させていただきたいと思います。 まずは
登録制度
の
目的
、そしてその
事前登録制度
というのは、ある
意味
では前渡しをしてしまうから後の確認が難しいのじゃないかと。これは
タクシーチケット
みたいなものじゃないかということをおっしゃる人がよくいるのです。つまり、一
たん業者側
に申告に応じた
登録票
が渡されると、それがその後どのように使用されるかというのが、実態はなかなか把握しにくいという
問題点
が生じてくるのではないかということが言われています。この点を解決するシステムなどの準備はされているかどうか、また、その
事前登録
を受けた者が違反した場合にはどういう処分を受けるのか、ペナルティーがあるのか、そういうことについても教えていただきたいと思います。
奥村明雄
9
○
奥村政府委員
まず
現行法制
の
登録
の
趣旨
でございますけれども、先まど申し上げましたように
ワシントン条約
におきましては、
人工繁殖
のもの、それから法
規制
以前に
輸入
されたもの、それから
特定
地域だけに
規制
がかかっているものであって、その区域外は
規制対象
外であるというような、いろいろなケースがありますが、こうしたものは適法に
輸入
ができることになっておるわけでございます。 しかしながら、
国内
に入ってきますと、適法に入ってきたものと違法で入ってきたものがこれは区別がつきませんので、したがいまして
登録
をしていただきまして、
登録票
と一緒に譲り渡しをしていただく。そういたしますと、
登録票
のないものは違法であるということで
規制
をすることができることになるわけでございまして、今回の
部分品
なり
加工品
についても基本的にはこうした
規定
が働くわけでございます。 しかしながら、本法の今回
規制対象
となるものの中には、例えばワニ皮のようにかなり
人工繁殖
が広範に行われておりまして、
ワシントン条約
上もそうした形であれば商業取引が許容されているものがございます。このようなものについては、適法に
輸入
されたものが、業として相当程度の取引が行われることになります。年間数万枚ということで
輸入
をされることになるわけでございますが、こうしたものについては、その
流通
が基本的に定型的でありますとか量が多くございますとか、あるいは継続的でありますとか、他の、いわば量が少ないものと比べて違った
対応
になっております。 本法におきましては、そうしたものについては
事前登録
制という制度を設けまして、当初
輸入
予定枚数が、例えばワニ皮の場合には相当多い場合には、それは事前に
登録
をしていただきまして、その枚数に見合った
登録
済証を事前に交付をいたしまして、そしてその
登録
済証を
輸入
したワニ皮につけて
流通
をするわけですが、三カ月以内にきちっとそれを報告をしていただきまして、こうしたワニ皮についてこれを何月何日発給しましたということを報告していただきますが、その
事前登録
済証には私どもの方できちっと番号を振っておきまして、そして私どもに返ってまいりました段階で
輸入
許可証などと相互に
チェック
をいたします。したがいまして、そうすれば、問題があればそこで把握ができるということになるわけでございます。 もし、その点、違法な
事前登録
済証の発行などが行われた場合には、
事前登録制度
にのせない、
事前登録制度
での
登録
をさせないというようなことで
対応
をいたしたいと思います。
事前登録制度
にのれないということになりますと、物を取引できなくなりますので、それは業者にとっては大変な
チェック
材料になるというふうに
理解
をしております。
野田聖子
10
○
野田
(聖)
委員
今の御説明を聞きますと、
登録制度
の
目的
というのは、
条約
及びその
国内
法措置としての外為法に従って
輸入
された
個体等
のみに正規の
流通
を許し、違法に
輸入
された
個体等
を
流通
の全過程から締め出すことにあると考えてよろしいんでしょうか。
奥村明雄
11
○
奥村政府委員
基本的には
先生
のおっしゃる
趣旨
でございます。
野田聖子
12
○
野田
(聖)
委員
それでは、
登録
についての問題なんですけれども、ここに
一つ
の資料があります。これはトラフィック・ジャパンという、もう
局長
も
長官
もよく御存じの、この件に関して非常に熱心に調査をして、やっておられるNGOの団体です。この方たちが
現行法
で調査をされたんです。というのは、
環境庁
も人手が足りませんから、そうやって大々的な調査ができないということなんですけれども、この
人たち
は、現在は
加工品
とか入っていませんから
個体
だけの調査になるんですけれども、どの程度
現行法
を守ってやっているかという調査をしてくれました。その調査結果があるんですけれども、結論から言うと、
余り
守られていないんじゃないか、
現行法
自体守られていないんじゃないか。 不法取引、今それを排斥するための
登録制度
によって本来はなくなるであろう不法取引なんかもまだありまして、例えば現在の
登録票
なんですけれども、これよこの次の
改正法案
での
登録票
というのは、むしろ企業のモラルとか自主性に随分依存するところがあるんですけれども、現在の場合はそういうことでない
登録票
なんですが、「
登録票
に関することで、正規の
登録票
が一枚五~十万円で取引されたり、偽造
登録票
があるらしい」という情報を入手している。「
登録票
を付けない場合、その分だけ
動物
は安く売買されるという。また、
条約
対象種
を
輸入
する際、輸出許可書を偽造し、密
輸入
を繰り返し、
国内取引
の際にも
登録票
は全く申請しない業者がいるということ」がそのインタビューでわかった。また、この調査中に三重県のある小売業者が
国内
法違反の疑いで摘発されたそうです。そのときのそのインタビューに対して業者は、「地方にあるため、」三重県というのは私の住む岐阜県に近いんですけれども、「地方にあるため、
環境庁
の監視の目は行き届かない。
登録
はする必要がない」と述べているそうなんです。 そんなふうで、今の
現行法
も
登録制度
も若干、こういう団体の調査によるときちんと行われてないな。その上、今度品数はふえるわ、自主
登録
のような
事前登録制度
になると、本当に当局の方はきちんと、先ほどの
目的
である、違法に
輸入
される
個体等
を全過程から締め出すようなことができるのかどうか。非常に不安に感じるんですが、この制度を取り仕切る指定
登録
機関について御説明いただきたいんですが、現在は財団法人自然
環境
研究センターが
登録
関係
事務を行っていると言われます。
改正
後は引き続きやるのか、そして、やるとするならば、そのセンターの体制とか規模について教えていただきたいと思います。
奥村明雄
13
○
奥村政府委員
この
改正法
が施行されるまで一年間ぐらいの期間があるわけでございますが、具体的な
登録
機関についてはこれから慎重に
検討
してまいりたいと思っております。
法律
上は、そうした能力を有する公益法人ということになっておりますので、今後
検討
をしてまいりたいと思います。 また、現在指定
登録
機関として
仕事
をしていただいている自然
環境
研究センターは、八十人ぐらいの
動植物
の
専門家
がおられまして、そしてそれぞれの
分野
に詳しい研究員の方が随時参画をして
チェック
をしていただいておりまして、直接的な要員としては五人という体制でございます。 なお、
先生
御
指摘
のように、監視業務というの をきちっとしていかなきゃいけないということで、
環境庁
といたしましても、本年の七月から、全国に十一カ所ございます国立公園管
理事
務所を国立公園・野生生物事務所に改組いたしまして、こうした問題の
チェック
にも当たらせるというような体制に移行することになっておりまして、都道府県などのいろいろな御協力、それからいろいろな民間団体での情報をいただきながら
チェック
を強めていきたいというふうに考えておるところでございます。
野田聖子
14
○
野田
(聖)
委員
どうしても、前々から
環境庁
、
環境行政
にかかわっていますと必ず出てまいりますのが、人手が足りない。
環境
という
仕事
は非常に規模の大きな、そしていろいろな調査とか
規制
に関する人員もたくさん要るんじゃないかと思いますが、にもかかわらず、私は、そういう
環境行政
に対して国は
余り
理解
を示してないんじゃないかなと思っています。 ですから、また
改正法
に伴い、たしか年間三千
個体
であったものがそれこそ数万になると言われるのであれば、なお一層
環境庁
にきちんとした人員を配備していただくように
長官
に心からお願い申し上げたいと思います。 時間がありませんので先に進みたいと思います。 今人手が足りないという話がありましたけれども、実はこのトラフィック・ジャパンというのは、NGO、WWFジャパン、財団法人
世界
自然
保護
基金
日本
委員会
、大変長いんですが、そこの調査部門だそうです。この
人たち
が熱心に
種の保存法
にかかわる調査をこうやってニュースレターにしたりしてくれているのですが、そこでちょっと聞いた話は、
環境庁
なりほかの
関係
省庁
というのは、なかなかそういう不法な、違法なことに対しての調査ができないんだ。さっきの店の立入検査にしたところで、
環境庁
の方に聞くと、やはり通報があれば行く、それもトラフィック.ジャパンからの通報が結構多いという話も聞きました。本当にこういうことでいいのかな。NGOに任せるのなら任せるでいいのですけれども、やはりもうちょっと積極的に突っ込んでいかなきゃいけないんじゃないかと思います。 例えば、やはり今
現行法
で一番問題になっているのは、熱帯魚とか爬虫類とかのペットが不法に入ってきている。じゃ、ペットショップというのは全国にたくさんあるんだけれども、一体その数の把握は
環境庁
でできているのか、または、そういうお店に対する
行政
指導とかそういうことはだれが実際にやっているのか、ぜひ教えていただきたいのです。また今後、これは
環境庁
に聞かなきゃいけないのですけれども、実態調査について積極的に取り組んでいく姿勢があるかどうか。
奥村明雄
15
○
奥村政府委員
ペットショップの数は大体九千と言われておりまして、業界団体などに入ってないところもありますが、かなりなところは入っていると思います。 私どもの
チェック
の体制でございますが、先ほども申しましたように、現在のところは東京の
環境庁
で
対応
しているということでありますが、今回の組織
改正
で、全国の事務所、百五十人ぐらいの
職員
がおりますので、そうした
職員
が、もちろん国立公園の業務もやりながらということでありますけれども、こうした問題について現地での
対応
をしていく。その際、都道府県にも鳥獣
保護
員という鳥獣
保護
法に関する業務を行う
職員
がおりますので、そうした方などから情報ももらいながら適切に
対応
していきたいと思っております。
野田聖子
16
○
野田
(聖)
委員
くれぐれもよろしくお願いします。 次に、今回の
改正法案
の、担当
省庁
の
関係
業者の方に対する指導についてお伺いしたいと思います。 実は、これから「
個体等
」ということで
器官
、
加工品
などが入ってくるわけですが、これに対して通産省なり
環境庁
はどういう指導をされていくのか。私は
環境
委員
でもあるのですが、商工
委員
でもありまして、今商工
委員会
で非常に問題にしているのは、中小零細企業というのは大変今苦しい、大変な思いをしておられるのですね。この不況の中で、やはりとにかく大変な思いをしておられる。そこで、いろいろと国の方でそういう
人たち
を助ける救済のための
法律
なんかを、リストラ法とかをつくるのですけれども、現実に地元に帰ると、そういう零細企業、家でやっておられるような
人たち
のところまではそういう情報が行き届かないというのが今の
日本
の現状だと思うのです。 そこで、今回の
改正法案
にかかわる業界の
人たち
を見てみますと、まさに中小零細の零細企業の方たちがほとんどであるわけですね。この方たちにどれだけきちんとした周知なり教育なり指導をしてさしあげられるのか。また、
環境庁
と通産省がそれぞれかかわるということで、何かあつれきなりギャップが指導の中で生まれてこないか。 そういうことについてそれぞれの御見解を伺いたいとともに、時間がありませんのでついでに最後の
質問
になろうかと思いますけれども、これはもともと
ワシントン条約
の
国内
法の整備だ。それは先ほどのお答えでいただいたんですけれども、実はこれは
世界
的なもので、
各国
にやはりあるわけです、
ワシントン条約
及び関連
国内規制
の管理当局。
日本
の場合は管理当局は通産省です。そして、海から持ち込まれるものに関しては農水省が分担しておられるということになって、そういう
理解
で正しいかどうか。そして、この
委員会
に直接
関係
している
環境庁
は、農水省とともに科学当局というのを担当することになっている。この管理当局と科学当局というのはどういう間柄なのか、どういう違いがあるのか。 そして、実は
環境庁
は管理当局である通産省に助言ができるとある。この助言というのはどの程度の力を持っているのか。
日本
語というのは非常に難しくて、私たちが考える助言というのは、やったらどうとか、その程度の聞いても聞かなくてもいいわよというようなニュアンスもあるわけで、その助言という
言葉
の重さについて教えていただきたい。 最終的にこれは国際的な
条約
の
一つ
の運用ですので、諸
外国
といろいろと連係プレーをとられることになった場合、そちらからいただいた資料で、主要国の管理当局、いわば
日本
の通産省の役割に当たる局というのは、オーストラリアだと自然
保護
庁、カナダだと
環境
省、フランスが
環境
省、ドイツが
環境
・自然
保護
・原子力安全省、ニュージーランドが
保護
省、スウェーデンが農務省、イギリスが
環境
省、アメリカ合衆国は内務省魚類・野生生物局といって、通産省と非常に密接なつき合いのある一むしろ
環境庁
とつき合いの深いところが
環境
当局になっているわけなんです。 今後、諸
外国
とのいろいろなすり合わせの中で、管理当局が通産省であり、その助言をする科学当局が
環境庁
、そういうやり方で不便はないのか、不都合はないのかということを
お尋ね
したいと思います。
奥村明雄
17
○
奥村政府委員
まず、
法律
施行に当たって中小企業者などに対する
対応
をどうしていくのかというような
お尋ね
が最初にございました。 従来から、事業者の方たちにはこの制度を十分御
理解
いただいて
対応
していただかなければいけないということで、ポスターやパンフレットをつくりまして、業界団体などを通じ周知を図ってきたところでございます。今後とも、通産省や農林省など
関係
業界に関連する
省庁
ともよく連携をとりながら
対応
していきたいと思っております。 なお、今回、
部分品
なり
加工品
が
対象
となりまして、象牙、ワニなどについては事業者の方がかなりいらっしゃるのですが、それぞれ百ないし二百社程度というふうに考えておりまして、これも業界などがございますので、そうしたところを通じて徹底を図ってまいりたいと思っております。 それから、
ワシントン条約
の管理当局それから科学当局の
関係
でございますけれども、これは、
ワシントン条約
に基づきまして輸出許可書あるいは
輸入
許可書を発行する実務的な役割を持つものを管理当局、それから管理当局が許可書を発行する際に科学的な知見から助言をする役割を持つも のが科学当局でございまして、
先生
おっしゃったような
省庁
の役割分担になっておるところでございます。 科学当局の助言がどのように評価されるかということの
お尋ね
がございましたが、基本的には、
環境庁
の助言がありませんと
輸入
等が許可されないということになるわけでございまして、これは
条約
上のきちっと位置づけのされた機関でありますから、それはそうした重い位置づけで
対応
されることになるわけでございます。 また
関係
省庁
の
関係
は、いろいろそごがあってはいけないということで、
ワシントン条約
に
関係
する
省庁
の連絡
会議
を設置いたしまして、この議長は
環境庁
の私、自然
保護
局長
が務めておりますので、
環境庁
が全体的な方向をいわばリードしていく
立場
に立っていく、連携をいたしながら進めているということで、現在までのところ、そうした点での特段の問題はないというふうに考えておるところでございます。
上野裕
18
○上野説明員 ただいまの
環境庁
の
局長
の
答弁
に補足をさせていただきます。 私ども、
先生
御
指摘
のような象牙とかべっこうとか、非常に零細性の高い業種を担当しております。今申し上げたような業種、従業員が大体十人以下の企業がほとんどでございまして、本当に零細性が高い業界でございます。したがいまして、この
法案
を作成します段階から
環境庁
とよく相談をさせていただいて、こういった零細な業界の実態を十分この
法案
の
規制
に反映させていただきたいということで協議をさせていただきました。 この結果、この
法案
、先まど議論もございましたけれども、例えば
登録
に当たって大量の
登録
が必要となる事業者については事前に一括して
登録
を行うということができるような制度ですとか、届け出の
規制
に当たっては一定規模以上のものに限定をするというようなことで、中小の事業者に配慮をするという仕組みが既にできております。 また、
法律
の施行に当たりましても、もちろん
環境庁
とも十分連携をいたしまして、まず業
種ごと
の実態を十分に把握した上で、それぞれ必要に応じて適切な、例えば経過措置を設けるといった配慮も今後
検討
させていただきたい。 いずれにしても、やはり
規制
内容
を十分に周知をするということが大事でございますので、その点についても十分に努めてまいりたいというふうに考えております。
仁坂吉伸
19
○
仁坂
説明員 私ども、先ほど最後に御
質問
になりました輸出入の観点からの
ワシントン条約
の実施、すなわち管理をやっておりますので、その観点から御説明させていただきたいと思います。 科学当局や管理当局をどの国がどういうふうにして決めるかということについては、私の推測でございますが、それぞれの国の
行政
の仕組みで決まっているんだろうと思っております。一部の国は御
指摘
のように内務省やあるいは
環境
保護
当局、一部の国は食糧あるいは
動植物
の所管ということから農林水産当局、一部の国は、
我が国
がそうでございますが、貿易の管理という観点から貿易所管
省庁
が管理当局になっているという次第でございます。
我が国
では、通産省の所掌物資以外のものも含めまして、例えば農林水産省所掌物資とかそういうことも含めまして、貿易の管理は一元的に
外国
為替及び
外国
貿易管理法で通産省が担当をしております。多分こういう仕組みを反映して、通産省が、
ワシントン条約
の海からの持ち込みのものを除きますと、管理当局になっているというふうに
理解
しているわけでございます。 我々管理当局の責務は、
条約
の精神に基づきまして、
条約
で決められたとおり
水際
の輸出入管理を行うということでございまして、どの
動物
についてどのような
規制
を行うか、
条約
でどういうふうに決めていくか、こういうことについての
国内
的な調整は、それぞれの物資所管
省庁
などの意見を聞きながら
環境庁
が科学当局として取りまとめをされているというふうに考えております。私どもは、先ほど申しましたように極めて厳正に実施しているつもりでございまして、この点については諸
外国
の
理解
も得ているというふうに考えております。 それから、先ほどおっしゃいました管理当局と科学当局との
関係
でございます。助言の
意味
でございますが、具体的に申しますと、私ども、今回の
対象
になっているような
ワシントン条約
上のI種の
動植物
につきまして、これを許可をする際には
環境庁
に協議をいたしまして、科学的観点からの御助言をいただいて、協議が調った段階で許可をするということにしておる次第でございます。
野田聖子
20
○
野田
(聖)
委員
やはり若干、協議と許可ではニュアンスが違ってくると思うので、仲よくやっていただきたいと思います。 最後に、私、この
改正法
をやってみてだんだん矛盾を感じてきたのは、一体これは何のためにやるのかな、
国際取引
のためにやるのかな。だけれども、そのもっと前提は、やはりこれから
絶滅
に瀕してしまう
動植物
たちを守るための
法律
なんじゃないか。この
改正法案
を見ていますと、それを業とする人に対しての手当て、
登録制度
とかそういうことは着々と進んでいるんだけれども、実際に
動物
に対する、
環境
を守る、そういうことについての指導とか
規制
に対する人員の配置というのが二の次になっているような心配があります。そういう
意味
で、ぜひ早急にそういうところを詰めていただきまして、より完璧に本来の
目的
に近づく
法律
として仕上げていただきたいと思います。
質問
を終わります。ありがとうございました。
奥田幹生
21
○
奥田委員長
岡崎トミ子
君。
岡崎トミ子
22
○岡崎(ト)
委員
この
改正
案は、
ワシントン条約
の
対象
となっていながら
国内取引
の
規制
がなかった
部分
・派生物に対して新たに
対象
に加える
目的
でありまして、大きな前進であろうと考えております。ただ、
流通
形態など複雑な
部分
を抱えながら従来の
登録制度
を運用しようとするために、なかなか難しい面もある。せっかくの
登録制度
の
意味
を失わせて、結局は違法に
輸入
されたものが
国内
市場に混入するのを防ぐという
種の保存法
の
目的
にそぐわないところがあるのではないか、そんなふうに思える点もありまして、私は、
個体
の一対一
登録
を最大限実施すること並びに業者からの定期報告をさせることで、初めてこの
改正
案が成果あるものになるだろうというふうに考えておりますが、以下、具体的に
質問
をしたいと思います。 まず
規制対象
の
範囲
を確認したいと思います。今回
対象
となりますものは、第六条にありますとおり、種を容易に識別できるものとの定義があるわけなんですが、これまでにも種の定義、例えば一体具体的にだれが識別して、どのような方法でできるものを容易に識別できるものとするのか、まず教えていただきたいと思います。
奥村明雄
23
○
奥村政府委員
お答えをいたします。 この
法律
は、
国内
に入ってまいりました段階で
一般
の
人たち
、事業を行う
人たち
も含めてでございますけれども、その種あるいはその派生物、これを
特定
して、そして
登録
をする、あるいは業として届け出をして
対応
していくような仕組みに乗ってくるというような義務がかかってまいるわけでございます。そういう
意味
では、そうした
人たち
が十分
対応
するようなものでなければいけないということでございます。
現行
では、
水際規制
ということで、
税関
では訓練を受けた税務
職員
が担当をしておるわけでございますが、
国内
流通規制
という点では、そうした
税関
職員
と同じ
対応
はなかなか難しいということで、中身を
特定
せざるを得ないというのが法的な性格づけであろうかと思います。
岡崎トミ子
24
○岡崎(ト)
委員
たしか
野田聖子
さんのときにも
一般
国民が識別できるというようなことで、私は全くの思い違いかなというふうに実は思ったわけなんですけれども、私は、
一般
国民を基準にすればほとんど容易に識別できないというふうに思うのです。 このことは常識的に考えますとすぐわかることで、ほとんどの人は
条約
でどのような種が
規制
されているか知らないし、まして
規制
されている種のトカゲ皮と
規制
されていない種のトカゲ皮、これを識別できる人はまれではないかというふうに 思います。専門的訓練を積んだ者でさえ多くの派生物の識別はそう簡単ではありません。 そうした事実を認識しながら、そのような場合はすべて
規制対象
から外しても本法の
目的
は達成されたとすれば、これは大変なことになりますし、私は識別能力の過小評価をしない方がいいというふうに思うのですね。 例えば、管理当局であります通産省、科学当局である
環境庁
、農水省、そして
水際規制
を行う
税関
が持つ識別能力、これがしつかりとした基準になるというふうに考えておりますが、それでよろしいでしょうか。
奥村明雄
25
○
奥村政府委員
国内
の
規制
の
対象
となるものは、
法律
の六条に基づく
政令
で
規定
をすることにいたしておりますが、
動物
の場合には、皮とかも皮、それから角、きば、羽毛、それからカメなどの甲羅、そういう外形上はっきりした形のもの、それから植物にありましては、花とか木とか枝とか外観を構成するもの、こうしたものは外形がはっきりしておりますし、私は基本的な
部分
はこれで
対応
できると思うわけでございますが、具体的には、それを加工して粉末にしてしまったもの、あるいは内臓のようなもの、肉のようなもの、こういうようなものはなかなか難しいのではないかというふうに申し上げたところでございます。
岡崎トミ子
26
○岡崎(ト)
委員
先におっしゃってしまわれたようなんですけれども、そうしますと、
部分
・派生物などのうち
対象
とならないというふうに考えるもの、今おっしゃった、肉、内臓、
漢方薬
、こういうことだというふうに思うんですね。
条約
上しばしば問題こなっておりますのよ、そのほかに、皮とかうろことかきばとかも皮とか骨とか分泌物、羽、甲羅、貝殻、木材、植物のエキス、樹液、根とかいろいろありますけれども、こういったうちの容易に識別できないものとしては、この三つだけが挙げられるということでよろしいんでしょうか。
奥村明雄
27
○
奥村政府委員
具体的には
政令
でこれから
規定
をするわけでございますが、
先生
御
指摘
のありました肉とか内臓とか、それから木工品のようなもの、加工したようなもの、それから
漢方薬
などで、粉砕した、粉になったようなもの、こういうようなものについては識別が困難ではないかというふうに考えておるところでございます。
岡崎トミ子
28
○岡崎(ト)
委員
ワシントン条約
の
対象
には、これすべて
部分
・派生物、
加工品
が含まれておりまして、この
法律
は
条約
の
国内
対応
法であるというのに
条約
と同じ
対象
としないという点は、わかりにくいから、粉だからわからないということだったんですけれども、本来だったならば、この
条約
をきっちり守るというのでその
国内
法があるということですから、一緒にならなければいけないと思うんですけれども、いかがですか。
奥村明雄
29
○
奥村政府委員
繰り返しになりますが、
水際規制
においては
先生
がおっしゃっておられるものもすべて
規制
の
対象
になるわけでございますが、これは
水際規制
は、基本的に持ち込まれるすべてのものを
税関
の検査にかかわらしめるということが前提になっているわけでございますが、これに対して
国内
における
規制
は、国民がみずから、所有しているものが本法の
対象
となっているものであるかどうかを判断して
登録
を求めるというようなことで
対応
しなければいけない。そしてまた、それが行われない場合には罰則をもって担保するという形をとっておりますので、
一般
国民に外形上から識別が難しい場合には、これはなかなか
規制
になじまないのではないかというふうに考えておるところでございます。 繰り返しになりますが、
水際
ではきちっとした
チェック
をいたしているということでございますし、こうした努力を今後ともやっていただくということでございます。
岡崎トミ子
30
○岡崎(ト)
委員
条約
を守るための
水際規制
で
チェック
し切れなかったものが
国内
流通
に混入して
流通
することを防ぐというのが、
保存
法の
目的
であろうというように思うんですね。とすれば、
対象
には
水際
で
チェック
するものと同様のものを含むべきではないかというふうに思います。それで、
流通
形態で追えないものは、今回の
改正
案で一は
特定
器官
という形をとっておりますね。 それで、具体的に言えば、現に鯨の肉は密輸の事例が相次いでおります。
日本
とかかわりのある主な密輸事件を挙げますと、八五年以降いろいろありますけれども、九〇年代に入りましてからも、九二年に台湾から七トン、九三年に台湾からロシア経由で二百二十トン、九三年にノルウェー業者から韓国経由で三・五トン、九三年七月、ロシアから二百トン、九四年、ことし五月は長崎、韓国の船員から、韓国からで十一トンというので、そのほかにもまだたくさんある。こういう事例がございます。 それからまた、
漢方薬
のことについておっしゃいましたけれども、
漢方薬
は国際的にも
規制
強化の傾向でありまして、
漢方薬
の消費国として
規制
すべきではないか。
漢方薬
に関する諸
外国
の最近の
規制
状況を示していただきたいというふうに思 いますけれども、いかがでしょうか。
奥村明雄
31
○
奥村政府委員
鯨の肉の点、それから
漢方薬
の点、二点
お尋ね
がございました。 現在
流通
している鯨の肉については、
ワシントン条約
の
対象
とならない近海漁業のもの、それから留保品目の
規定
により入手されているものがほとんどであろうと思われますが、鯨の肉は最終的には
一般
の消費者も含めて
流通
しておりますので、
一般
の消費者の人がお隣の方に差し上げるということもあるわけでございまして、その際、なかなか識別が難しいのではないかということで、
法律
上の
規制
を直接かけるのは難しいのではないかということを申し上げた次第でございます。 それから二点目の、
漢方薬
についての国際
規制
でございますが、現在、中国や台湾、シンガポールやマレーシアなどで製品を販売
禁止
する
法律
がある、また、厳しいそういった
規制
を行っているということは私どもも承知しておりますが、こうした法制度は国情の違いもあり、直ちに比較できないと考えておりますが、
実効性
については、トラフィツク・ジャパンなどのNGOからもこの点についていろいろ
指摘
をされております。
ワシントン条約
常設
委員会
の調査団が派遣をされて調査をされたというふうに伺っておりますが、その評価は定まっていないというような状況というふうに承知をしております。 いずれにしても、それぞれの国々がそれぞれの国情に応じて
対応
いたしておるわけでございますが、
一般
の人々が
対応
するということになりますと、なかなかやはり難しい点があるのではないかと思います。 なお、
漢方薬
については、医薬品の方では、サイの角、トラの骨からつくられた医薬品については薬局方から除外をされるというような法的な整理がなされておるというふうに承知をしております。
岡崎トミ子
32
○岡崎(ト)
委員
確かに、トラとサイの
絶滅
というのは本当に緊急の
課題
になっているようです。トラはもう本当に今、
世界
で推定四千六百から七千七百頭ですし、サイの場合にも推定生息数で千百以下ということですね。しかも、その減少の原因がやはり
漢方薬
であるというふうに言われておりますし、例えばトラの成分が含まれている
漢方薬
、中国からの
輸入
量を見ましても、中国の総輸出量の約三〇%が
日本
に来ているということですから、香港に次いで第二位、
日本
はそれを受け取っているということですから、私はこの点に関して本当に、サイの角、トラの骨、こういうものが含まれたものについてはしっかりと
日本
国内
で
規制
をしていただきたい、このようにお願いをしておきます。 次に、原材料
器官
等について伺いたいと思いますが、
事前登録制度
は、
個体等
と証書の照合をその都度行わないために
事前登録
済証がひとり歩きしたり、また、ほかの原材料
器官
に流用されるという可能性が高いわけですけれども、これで
登録制度
の
意味
を失うことがないように、また、密輸等をする場合に、原材料の状態で入る可能性が高いわけですけれども、
事前登録制度
、
原則
としてどうなのだろうか。先ほど
野田聖子
議員もこの ことについて触れておりましたけれども、再度、その不正を避けるために定期報告の義務をしっかりしていくというようなお話をしていただきたいというふうに思います。
奥村明雄
33
○
奥村政府委員
事前登録制度
は、例えばワニ皮のように大量な商業取引が行われる場合について、適法に
輸入
されたものが業として取引が行われているという実態にこうした制度で
対応
することといたしておるところでございますが、
先生
御
指摘
のように、
チェック
をきちっとやるということが大切でございます。三カ月以内にきちっと報告をさせるという制度になっております。そして、
輸入
許可証等
チェック
をいたしまして、違反がありましたら
事前登録制度
の
対象
としないというような
対応
をいたすことにしております。そういたしますと、業者の方は取引ができなくなりますので、そうした
チェック
をきちっとすることによって
対応
してまいりたいと思います。 また、
事前登録制度
の
対象
とすることを予定しているワニ皮につきましては、
ワシントン条約
締約国
会議
の
決議
に基づき、個々の
個体
にコード番号がつけられておりまして、これと照合するというような
対応
もいたして、この制度が
先生
御
指摘
のようなことにならないように、きちっとした
対応
をしてまいりたいと思っておるところでございます。
岡崎トミ子
34
○岡崎(ト)
委員
この定期報告の
内容
、「
総理
府令で定める」というふうにありますが、確認しておきたいのですが、具体的な命令はここで出すわけですね。本当に、
行政
が
チェック
する方法はこの定期報告しかないわけなのですが、何を報告するのか、この時点ではちょっとわからないのですけれども、具体的にはどうなりますか。
奥村明雄
35
○
奥村政府委員
事前登録
済証につきましては、
行政
当局から
登録
済証を業者に渡しますときに、きちっと一連番号を振って確認をいたしておきます。そして、業者の方においてそれを具体的に譲渡する場合に、みずからの名前と判を押して、そしてそれをつけて譲渡するという手続をするわけでございますが、その際、報告におきましては、具体的なその事実、月日及び枚数、それから
輸入
許可証の番号というのをきちっと書いて、何月何日、どうした人にそれを譲渡したということを明確に書いていただいて、報告をしていただくということを考えておりますので、そうしたことにより
チェック
をしてまいりたいと思っております。
岡崎トミ子
36
○岡崎(ト)
委員
今度はこの譲り受けた方なのですけれども、これは事前にちょっと伺ったら、難しいということでしたけれども、少なくとも譲り受け人の住所、氏名とかあるいは
事前登録
済証の写しとか紛失したもの、それから管理、展示状況などを報告、あるいはまた提出させるというようなことについてはいかがですか。
奥村明雄
37
○
奥村政府委員
通常の種の
個体等
につきましては、
登録票
を付して転々と譲渡されることが前提となっておりますことから、その譲り受けに当たっては、譲り受けた人が届け出を行うという仕組みになっておるところでございます。 これに対しまして、
事前登録
の
対象
とすることを予定しているワニ皮等につきましては、細分いたしまして加工をする、そして譲渡されることになるのが通例でございますので、
一般
の
登録
のような譲渡による状況の把握ということは難しいわけでございます。そこで、細分加工して
流通
されるものにつきましては、別途標章というようなもの、シールによる管理方法を設けることにいたしまして、それにより合法的な証明をつけようということにいたしておるところでございます。そして、このような手続の中で譲渡先を明らかにさせる等の工夫を行いたいと思っておりまして、
先生
御
指摘
の点についても、そうした中で考えさせていただきたいと思います。
岡崎トミ子
38
○岡崎(ト)
委員
次に、通産省に、業界の実態をちょっと知りたいので教えていただきたいのですが、業者の数、象牙、ワニ皮、べっこう、この三点について、物は見たことがありますけれども、数量などもわかりましたら教えていただきたいと思います。
上野裕
39
○上野説明員 御説明をさせていただきます。まず象牙でございますけれども、業界調査でございますが、象牙の加工をする事業者は業界団体に加盟をしている事業者数で六十九社、そのほかに、加盟をしておりませんけれども、推計では個人の事業者などが約百社程度というふうに見ております。 それから、これらの生産量でございますけれども、これは例えば象牙ですから重量で換算をしておりますが、
平成
五年の生産量は約二十一トン、
平成
五年末の在庫量は約七十六トンというふうに把握をいたしております。例えば、その象牙を使つた、加工をした製品でございますけれども、これは判ににする印材でございますとか、あるいはブローチですとかイヤリングですとかの装身具、それから三味線などのばちでございますね。それから根付と言われますような、いわば美術品に属するような彫刻品などがございます。印材を例にとりますと、推計で、末端小売段階では年間約五万本というふうに見られております。 それから、べっこうでございますけれども、べつこうの加工事業者は、これも業界調べでございますが、約二百社でございます。べっこうの生産量は、
平成
五年度で見ますと、約十トン。
平成
五年度末の在庫量は、いわばその削りくずを含めた、端材を含めますと、この十トンの約三倍ないし四倍程度あるというふうに見ております。それから、べっこうを使った製品としましては眼鏡の枠、それからブレスレット、それからかんざし、こういったものがございます。 それから、ワニ皮でございますけれども、ワニを含みまして爬虫類を扱っている、原皮をなめす、あるいは卸しをする事業者は、団体に加盟している企業が二十七社、そのほかに参加をしていないアウトサイダーが十数社あると見られております。ワニでございますけれども、原皮は全量
輸入
をされております。
輸入
量は、ちなみに
平成
五年で約九十四トンでございます。ただし、この九十四トンの中には、今回の
規制
の
対象
にならないような養殖といいますか、
ワシントン条約
のⅠ種でないⅡ種のもので、かつ養殖のものというようなもの、こういうのも含まれております。ただ、詳しい内訳はそれ以上、現在の統計ではわからないということでございます。それから、ワニ皮の製品でございますけれども、ほとんどがハンドバッグ、そのほかにベルト、場合によっては靴というものに使われるというのが実態でございます。
岡崎トミ子
40
○岡崎(ト)
委員
どうもありがとうございました。 「一年間につき
政令
で定める数以上」というのがありますけれども、これは
環境庁
、予想としてはどれぐらいの割合の取引がこの
事前登録
となると考えていらっしゃいますでしょうか。全体の取引の何割に当たるのかを伺いたいと思います。
奥村明雄
41
○
奥村政府委員
事前登録制度
は、
人工繁殖
されたものなどの適法に
輸入
されたものを商業的に扱う事業者に着目して設けたものでございます。したがって、この制度の
対象
となるのは通常事業者が商業ベースで取り扱う数量でありまして、例えばワニ皮では千の単位ということになろうかと思いますが、具体的な数値については業界の実態等をさらに精査して定めてまいりたいと思っております。何割かというのは、ちょっとそこまではまだ把握はできておりません。いずれにしても、業態をよく把握して
対応
したいと思っております。
岡崎トミ子
42
○岡崎(ト)
委員
では、次に
特定
器官
について伺いたいのですが、
特定
器官
は
登録
が困難なものについて業者
登録
をする制度です。結果的に
登録制度
の適用除外を設定していることになって、これは
保存
法の
目的
に反するのではないかと私
自身
は思うのですが、そのことと、それから資料によりますとわかりにくいのですが、生きば、これは
特定
器官
に入りますでしょうか、入らないのでしょうか。 それから、やはり業者
登録
なんですけれども、
特定
器官
を取り扱う業者すべてを
登録
するわけではないようなんですね。それで、ここでは加工を行う事業者が
対象
となる予定とありますが、で は、
輸入
専門、卸専門の業者はどのような
規制
があるのか。例えば、
特定
器官
を
輸入
した業者はどうやって加工業者に渡すのか。こういった業者を
登録
から外すのでしょうか。その辺のところがちょっとわからないので、教えていただきたいと思います。
奥村明雄
43
○
奥村政府委員
今回の
部分品
あるいは
加工品
については、それが細かく裁断されまして加工される流れの中で業界ができておるという実態がございます。したがいまして、そういった実態に
対応
してすべてを
登録制度
で管理するのはなかなか難しいというこで、
先生
御
指摘
のように業
規制
というような形をとることにいたしたわけでございます。 そして、具体的な
特定
器官
等の業
規制
の
対象
については、業の実態等十分把握しながらこれから決めてまいりたいと思っておりますが、
先生
御
指摘
の象牙でございますね、これは裁断されてないもの、生きばということになりますと、当然
登録
を要するものというふうに考えておりますので、
特定
器官
には当たらないということになろうかと思います。
岡崎トミ子
44
○岡崎(ト)
委員
あともう
一つ
、
特定
器官
を
輸入
した業者はどうやって加工業者に渡すのか、加工業者だけが
登録
というふうになっていて、その前後、
輸入
と、先ほどの最後のところの業者
登録
のことなんです。最後に
質問
させていただいたのですが。
奥村明雄
45
○
奥村政府委員
基本的には
輸入
業者、分割・加工前の原材料を扱う事業者については
登録制度
ということで、そして加工する製造業者については業
規制
の
対象
ということになろうかと思います。それから、さらに小さくなりまして、製品になりました小売業者の段階では標章制度ということで
対応
したいというのが今回の
考え方
でございます。
岡崎トミ子
46
○岡崎(ト)
委員
最後に
長官
に伺いたいと思いますけれども、今度は
特定
器官
と原材料
器官
と、量的にも質的にも
行政
事務が圧倒的に拡大すると思います。前の旧法施行のときに、ポスターとパンフレットを配付したにとどまったと聞いているのですけれども、これからは
行政
事務がさらに拡大するということも含めまして、私は、一定地方公共団体に機関を少し移譲してやってみたらどうかなというふうに思うのですね。この方法のメリットは、やはり監督官庁の大幅な省力化に加えて、地方公共団体であれば小回りがきくのじゃないだろうか、さらには、各自治体が独自に工夫を凝らした指導ができる、あるいは啓蒙活動も展開することができるのではないかというふうに思いますので、そのお考えがあるかどうか、そして最後に、これが本当に実のあるものになるように、決意をお伺いしたいと思います。
浜四津敏子
47
○
浜四津国務大臣
種の保存法
は、国際的あるいは全国的な見地から貴重な野生生物の
保護
を図るという
趣旨
でございまして、その
趣旨
から考えますと、やはり国みずから実施をするというのが適当かというふうに考えております。その
意味
で、今
先生
からお話がありました、地方自治体に委任し肩がわりしてもらうということは不適当ではないかというふうに考えております。 ただ、地域の実情に合った運用を図るために、
環境庁
、体制強化といたしまして、ことしの七月から全国の国立公園管
理事
務所を改組いたしまして、野生生物
保護
の事務を行わせることになっております。 また、そのほか、近く野生生物の
保護
に識見を有する
方々
を、希少野性
動植物種
保存
推進
員、ボランティアでございますけれども、委嘱することにしておりまして、また、自治体とも適切に連携を図ることによってその実を上げるように努めていきたいというふうに考えております。
岡崎トミ子
48
○岡崎(ト)
委員
どうもありがとうございました。
奥田幹生
49
○
奥田委員長
岩佐恵美君。
岩佐恵美
50
○岩佐
委員
種の保存法
の一部
改正
に関する問題で幾つか伺いたいと思います。 先ほど同僚議員の皆さんがいろいろと議論されておられるところですけれども、今度の
規制
というのは、種を容易に識別することができるもののみが
対象
となっていて、容易に識別できないものとして内臓、肉、
漢方薬
など、これらが
規制対象
から外されています。とりわけ、
漢方薬
の材料になっているトラやサイなどの生息数は減少して、
保護
が国際的な関心
事項
になっている中で、これが
規制
から外されたということは非常に問題だというふうに思います。
税関
では、不十分ながらも識別をして
規制
をしているわけです。ただ、その
規制
から漏れたものが
国内
流通
に混入する。そういうものがきちっと処理をされていかないということは、どうも国際的にもうまくないのではないかというふうに思います。
環境庁
に、その点をこれからどうしていくのかというのを再度お伺いしておきたいと思います。
奥村明雄
51
○
奥村政府委員
先生
御
指摘
の
野生動植物
の
漢方薬
ということで用いられているサイの角、それからトラの骨などでございますが、これは
水際
においては、特別の訓練を受けた
税関
職員
によって
輸入
の
規制
が行われているということでございます。ただ、これに加えて
国内
流通規制
を行うには、
外見
から容易に識別できることが必要でございますので、
漢方薬
のように原形をとどめず、粉砕をされ、抽出されたような形になっているものについては、
一般
に
外見
から成分を識別するのは困難でありますので、これをいわば罰則を伴う
流通規制
ということにかけるのは困難ではないかというふうに思う次第でございます。 ただ、いずれも種の
政令
できちっと外形上決めたものについては
規制
をかけますので、相当程度のものは
規制
がかけられるというふうに
理解
をしておるところでございます。
岩佐恵美
52
○岩佐
委員
いずれにしても、国際的に非常に問題になっているそういうものについてきちっと、今度せっかく法の
改正
が行われるわけですから、そういう問題が解決できるような形で
対応
していってほしいというふうに強く要望しておきたいと思います。
法律
ができても野放しで入ってくる、国際的にも非常に非難を受けるということのないようにしておいていただきたしと思います。 次に、これも先ほどから議論があるところですけれども、
特定
国際種の事業者に対して事業の届け出及び事業の遵守
事項
を
規定
をする、報告の徴収及び立入検査を行うというふうに決めているわけですけれども、現状でも象牙やべっこう業者など大変
関係
業界が多くて、それでその
流通
実態の把握だとかあるいは在庫の状況をきちんと把握する、そういうことは大変な作業になるというふうに思います。ただ、そこのところをきちっとしておかないと、この
法律
が決まってからもまた密
輸入
品がどんどんと横行するというようなことになってしまう、そういうおそれも十分あるわけですから、そこのところを通産省、先ほど丹念に報告をされておられましたけれども、そういう実態をきちんと把握してやっていくという決意を通産省の方から再度伺いたいと思いますし、また
環境庁
としっかりと連携して通産省にもやっていただきたいというように思いますので、その点のお考えを伺いたいと思います。また、
環境庁
もこの点についてどう考えておられるのか、伺っておきたいと思います。
上野裕
53
○上野説明員 御説明をさせていただきます。 先ほど
流通
の実態につきましてはデータをもって御説明をいたしました。これから
法案
が成立をいたしまして施行の段階に至りますまでに、十分に個別業
種ごと
の実態を把握するように努めてまいります。特に、
法案
所管の
環境庁
とも十分密接に連携をとってやってまいりたいというふうに考えております。
奥村明雄
54
○
奥村政府委員
先生
御
指摘
のように、今回の
改正
案による
規制
の実効を上げるためには、
関係
する業界の実態を的確に把握して、それを踏まえて
対応
していくということが不可欠であると認識をしております。今回の
改正法
の施行までの間に
関係
省庁
とも十分連絡をとり、協力をしながらそうした
対応
をしてまいりたいと考えております。
岩佐恵美
55
○岩佐
委員
それから、これまで
登録
を受けた
野生動植物
が死んでいるにもかかわらずその
登録票
を返納していないものが見られたり、
登録
を受けた希少
野生動植物
を譲り受けて、あるいはまたその引き渡しを受けた者が
環境庁
に届け出ない、そういう状況が見られているわけです。 これは野鳥の件ですけれども、NHKでも放映されているメジロの件がありましたけれども、こういう票がひとり歩きをするということが見られるわけですね。今回の
改正
案でも
登録票
、
事前登録
済証というのですか、返納が
規定
されて、譲り受けまたは引き取りしたものは
環境庁
に届け出なければならないことになっていますけれども、返納されなかったり、あるいは届け出をされなかったりする、そういうおそれがあります。これらの状況が
登録票
の横流しや密猟、あるいは密
輸入
などの不正な
流通
を許している温床となっているし、またこれからもなりかねないという状況です。 希少
野生動植物
の
登録票
、
事前登録
済証の返納などの徹底、あるいは譲渡などの届け出についての指導を強化をして、とりわけ立入検査ですね、これはなかなか今までも
余り
やられていないようですけれども、そういう立入検査などの監視体制の強化を図る必要があるというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
奥村明雄
56
○
奥村政府委員
先生
御
指摘
のように、各種の書類が不適正に利用されるということであってはならないわけでございます。私ども、これらの証票類について
総理
府令で定めるときに、記載
事項
をきちっと的確に定めることこより、不正なものが容易に判別できるような仕組みを考える必要があろうかと思います。また、
チェック
の体制についても、管
理事
務所などの組織を使い、また都道府県とも連携をとりながら
チェック
を強化してまいりたいと思っております。また、
登録票
や標章につきましては、
登録票
の中には個々のものの特徴を記入するとか、あるいは
輸入
許可にかかわる番号をきちっと書かせるとか、いろいろな工夫をしながらそういうようなことが起こらないよう、また監視体制を強めるなど、
対応
を強化してまいりたいと思っております。
岩佐恵美
57
○岩佐
委員
規制
の強化と同時に、やはり国民の教育といいますか、そういうことがとても大事だというふうに思っています。子供のときから希少
野生動植物
の
保護
についての
意識
を高めてもらう。私は、希少
野生動植物
だけというのはどうもよくない、自然全体と思いますけれども、とりわけこの
法律
がそういうものを目指しているわけですので、このあたりの教育、啓蒙、そういう活動をぜひ強めるべきだというふうに思いますけれども、
長官
のお考えを伺いたいと思います。
浜四津敏子
58
○
浜四津国務大臣
先生
御
指摘
のとおり、希少
野生動植物
の
保護
のためには国民の
意識
が高まらなくてはいけないというふうに考えております。その
保護
に当たりましては、こうした広く国民の
方々
、
一般
の
理解
と協力が不可欠でありまして、そのためには、子供のころからの教育あるいは広く
一般
への普及啓発が重要であるというふうに認識しております。 こうした観点から、
環境庁
といたしましても、野生生物
保護
に係るポスターとかあるいはパンフレットを作成いたしまして、
一般
の
方々
へ配布して広報を図っております。また、それとともに、シンポジウムの開催あるいは
関係
団体の普及啓発行事を支援してきたところでございまして、今後とも、こうした活動を通じまして、広く国民の皆様に
理解
を深めていただくということで努めてまいりたいと考えております。
岩佐恵美
59
○岩佐
委員
パンフレットの作成については、
環境庁
がつくった前のパンフレットを見せていただいたのですけれども、表などがそのままで、ちょっとやはり難しいというか、そんな感じがしましたので、余計なことかも知れませんけれども、もうちょっとイラスト入りで、小学校の低学年の
人たち
にもわかるような、そういうものをぜひつくっていただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。
法案
関連でちょっと幾つか伺いたいのですけれども、まず長野冬季オリンピックの施設づくりと自然
環境
保護
の問題について伺いたいと思います。オリンピックの成功を期待しながら伺いたいというふうに思います。 長野市では逆谷地湿原を初めとする湖沼群が一帯にある飯綱高原にボブスレー、リュージュコースが建設されています。この飯綱高原は、長野市の学術調査によっても後世に残すべきすぐれた地域として評価をされ、その
保護
、
保全
、復元が義務づけられているところです。また、白馬村では八万尾根の千八百メーター地点から男子滑降コースの設置の動きがあります。この地点は、中部山岳国立公園の第一種特別地域に指定をされ、貴重な高山植物もあります。 オリンピック憲章では、自然
環境
との共生という理念があって、
日本
オリンピック
委員会
、JOCも自然と真に共存する五輪という根本
原則
を掲げています。さきのリレハンメルでも自然との共存ということが言われていますけれども、冬季オリンピックと自然
保護
のあり方について
長官
の御認識をまず伺いたいと思います。
浜四津敏子
60
○
浜四津国務大臣
前回のリレハンメル五輪も
環境
に優しいオリンピックということをうたっておりました。こうしたオリンピックのような国家的行事においては、特に
先生
御
指摘
のように、自然との調和に十分な配慮がなされることが重要であるというふうに考えております。 長野冬季オリンピックにつきましても、招致の段階から、自然
環境
の
保全
に配慮しつつ計画を進めているというふうに
理解
しております。また、長野オリンピックの基本理念の
一つ
として、今お話がありました、美しく豊かな自然との共存を掲げて開催の準備を行っているというふうに承知しております。今後ともこうした方向に沿いまして準備を進め、自然
環境
との調和が図られた、諸
外国
に誇れるような長野オリンピック大会になることを祈っております。また、それが大切であるというふうに考えております。
岩佐恵美
61
○岩佐
委員
私は現地に行ったのですけれども、飯綱高原にボブスレー、リュージュコースなど新設をされるという計画が進み、一部工事が行われているわけですね。飯綱高原は、オリンピック道路とか言われてそれに向けて道路も新しくつくられているわけですけれども、それに便乗してか、五輪施設以外にも大手民間企業のゴルフ場
開発
も計画をされているわけです。ここは非常に豊かな水があるところでして、何か水の上流
部分
にゴルフ場がつくられるというような状況が進んでいて、私も向こうに行って非常にびっくりしたのですけれども、ぜひこういう面についても、
環境
面で監視を強めていっていただきたいというふうに思います。 八万尾根の男子滑降コースなんですけれども、ちょうど私が向こうへ行ったときに、FISの、国際スキー連盟の皆さんが現地に調査に来られていたのですけれども、現在、八万尾根の千六百八十メーターが起点になっているわけですけれども、FISは、これを百二十メーター引き上げて千八百メーター地点にしたいということを言っているわけですけれども、長野の冬季五輪組織
委員会
は、千八百メーター地点は国立公園の第一種特別地域であるから、長野五輪の掲げる自然
保護
の理念に反してしまうということで、そういう主張をして、今千八百メーターについては反対をしているそうです。 千八百メーター付近というのは特別地域で、そのすぐ下には黒菱平という高層湿原があります。県の天然記念物にも指定をされています。この間ちょっと沼地みたいなところを見て、現地では、よくわからない、カエルの卵ではないような何か卵もたくさんあって、
環境庁
の案内をしてくださった方もよくわからないとか言っておられましたけれども、本当に見たこともないようなものだったので、もしかしたら貴重なものなのかななんて思ったのですけれども、私も現地を歩いて、ちょうど国立公園の中は残雪がありましたけれども、登ってまいりました。こういう豊かな自然が破壊 をされるということになったら、もうとんでもないことですので、この点について、
環境庁
として今後どう
対応
されていかれるのか、伺っておきたいと思います。
奥村明雄
62
○
奥村政府委員
お答えをいたします。
先生
御
指摘
の白馬八万尾根の滑降コースにつきましては、オリンピックの招致の段階から、区域外で設定をされるというふうに私ども聞いておったところでございます。組織
委員会
の現在の施設計画では、当初計画どおり、公園区域外でコース設定がされているものと承知をしているところでございます。 なお、具体的な変更という点については、私どもまだそうした計画を聞いていない段階でございますが、仮に特別地域にコースが設定されるということであれば、スタートハウスなど関連施設の設置がなされるということになりますので、国立公園の自然
環境
の
保全
という観点から慎重に
検討
する必要があると考えております。 繰り返しになりますが、現在のところ、そういう計画変更の話は聞いておりません。
岩佐恵美
63
○岩佐
委員
一九七二年の札幌オリンピックのときに、支笏洞爺国立公園内にある恵庭岳に滑降コースを造成することになって、
環境庁
は一切の施設は大会終了後直ちに撤去、復元することを条件に許可をしました。しかし、当時二億円のお金をつぎ込んで復元作業を行ったのですけれども、二十年
余り
経過した現在でも原状復帰ができていないという声があります。一度破壊すると、二度ともとに戻らないのが自然
環境
です。そういう点では、自然
保護
の
立場
で積極的に
対応
していくべきだということを再度申し上げておきたいと思いますし、そういう姿勢でぜひ取り組んでいただきたいと思います。 次に、同じ白馬村のクロスカントリーとバイアスロン競技場の計画ですけれども、村が
環境
アセスメントを実施したところ、オオタカなどの希少野生生物が生息していることが明らかになって計画を変更しました。バイアスロン競技場は野沢温泉村に変更して、クロスカントリーは四コースを三コースに縮小しました。
環境
アセスメントでオリンピック施設の造成工事による伐採、騒音、振動、夜間照明などで繁殖活動の変化、営巣地点の変更、放棄の危険性などが予測されることが判明したために、白馬村では、オオタカを
保護
するために周辺区域も含めた生息
環境
の
保全
対策
をとっています。オオタカの営巣が確認された約四十ヘクタールを鳥類の
保護
エリアとして
保全
をしていくとしています。 白馬村の例は全国的にも非常に先進的な野生
動物
の
保護
だというふうに思いますけれども、その点、
環境庁
としてどう認識しておられるか、伺いたいと思います。
奥村明雄
64
○
奥村政府委員
先生
御
指摘
の白馬村の
野生動植物
の
保護
に関する条例でございますが、オオタカを
対象
とした条例という点では、
我が国
初めてのものというふうに承知をしております。このように地方公共団体が独自の
立場
から地域の自然的、社会的条件を踏まえた希少
野生動植物
の
保護
を
目的
とした条例を設定することは、地域特性に応じたきめ細かな
対策
を可能にし、私ども国レベルの
対策
と相まって
我が国
の野生生物
保護
のすそ野を広げるという
意味
で、大変意義深いことだと考えております。
岩佐恵美
65
○岩佐
委員
白馬村の西沢村長さんにお伺いしたのですけれども、村は現在この四十ヘクタールの土地の買収を地権者と協議中で、今後専門の
保護
委員
を委嘱して
保全
をしていくとしています。白馬村では、今
局長
が言われました、白馬村における希少野生
動物
の
保護
に関する条例、これをことし四月施行して、この四十ヘクタールを
保護
地区に指定をして、捕獲などの行為を
禁止
をしています。この条例も、
種の保存法
の
趣旨
を生かして地方自治体が独自に野生
動物
を
保護
するというもので、全国的にも大事な試みだと考えられます。 村は四十ヘクタールの土地を買収してオオタカを
保護
するわけですが、当然、土地の買収費用、
保護
地区の管理上の技術、こういうものが求められます。
種の保存法
では、
環境庁長官
は希少
野生動植物
の
保存
のため助言または指導することができるとなっていて、交付地方債元利償還金等補助金による希少野生
動物
保護
のための民有地買い上げ、これも
対象
にしています。白馬村のような
種の保存法
の
趣旨
を生かした
取り組み
に対して、
環境庁
は積極的な支援を行うべきだと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
奥村明雄
66
○
奥村政府委員
地方自治体における独自の
対応
については、私どもいろいろな面で支援をいたしますとともに、地方独自の
取り組み
事例をほかの自治体等に紹介して、さらにその
推進
を図っているところでございます。 御
指摘
の民有地買い上げは、実例がございますが、これまでのところ、国の
野生動植物
保護
区ということになっております。具体的に白馬村から私どもにそうした点でまだ御相談はありませんが、よくそうした点についてはお話を聞いて、可能であるかどうか、我々として支援ができるかどうかよく相談をしてまいりたいと思います。
岩佐恵美
67
○岩佐
委員
次に、八王子の川口地区のオオタカの
保護
の問題について伺いたいと思います。 住宅・都市整備公団のリサーチパーク計画の予定地内で、ことし四月十五日にオオタカの抱卵が確認されました。天合峰を守る会という自然
保護
団体が発見したもので、既に昨年発見されている巣よりさらに計画地の中心部で発見されました。 これは、住都公団の八王子川口地区オオタカ生態調査
検討
会も四月十八日に、地区内の昨年の巣とは異なる場所に営巣し、
平成
六年四月十五日に親鳥が抱卵しているのを確認しましたと中間報告をしています。今度発見された抱卵地点と昨年の巣とをあわせて
保護
をするということになりますと、住都公団のリサーチパーク計画は成り立たないということになります。オオタカの場合には毎年毎年同じ巣を使うということではなくて、幾つか巣をつくる地点があって、それを順繰りにどうも使っているというようなことも最近わかってきています。 そういう点で、
種の保存法
の
趣旨
に沿って、住都公団に対して、計画を中止をする、白馬村のように
保護
地区に指定できる、そういうように積極的に働きかけることを
環境庁
にぜひお願いをしたい、そういう点についていかがでしょうか。
奥村明雄
68
○
奥村政府委員
先生
御
指摘
の八王子の川口リサーチパークの予定地については、現在計画の策定主体でございます東京都が事業予定者である住宅・都市整備公団に対しましてその生態調査と
保全
措置の
検討
を
指示
し、これを受けた公団が学識者や住民代表から成る
検討
会を設置して生態調査を現在実施中でございます。
環境庁
としては、これまで調査の状況等について東京都から必要に応じて説明を聞いておりますが、今後とも調査
検討
の進捗について十分私どもとしても関心を持って見守ってまいりたいと考えております。
岩佐恵美
69
○岩佐
委員
八王子の川口リサーチパークの計画地域というのは、本当にまとまった自然が豊かに残されているところで、面積も百七十ヘクタールですか、とても広いところで、しかも本当に自然が豊かなところなんです。公団が持っているということでもありますし、やはり白馬村のようにオオタカを中心に考えてリサーチパーク計画を中止をして、市民のためあるいは都民のための
保護
地域にして、本当に豊かな自然をそのまま残していくというようなことが理想的だというふうに思います。 そういう点で、
環境庁
としてもできるだけの協力をしていただきたいというふうに思いますし、そのことについての
長官
の御決意があれば、伺いたいというふうに思います。
浜四津敏子
70
○
浜四津国務大臣
ただいまお話がありました八王子川口地区のリサーチパークの予定地、オオタカの営巣が確認されているということを伺いました。 東京都が公団に対しまして
保全
措置
検討
を
指示
しているというところでございまして、この調査の状況等につきましてまた都から説明を聞いてお りますけれども、その調査
検討
の進捗につきまして
環境庁
としても十分に注視してまいりたい、そして、この自然
保護
のために
環境庁
としても何とか努力したい、こういうふうに考えております。
岩佐恵美
71
○岩佐
委員
終わります。
奥田幹生
72
○
奥田委員長
これにて本案に対する
質疑
は終局いたしました。 ――
―――――――――――
奥田幹生
73
○
奥田委員長
これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出
、
絶滅
のおそれのある
野生動植物
の種の
保存
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
奥田幹生
74
○
奥田委員長
起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました
法律案
に関する
委員会
報告書の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
奥田幹生
75
○
奥田委員長
御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。 ――
―――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕 ――
―――――――――――
奥田幹生
76
○
奥田委員長
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時十五分散会