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小野委員 よろしく
お願いいたします。
本年、一九九四年という年でございますが、二
十一
世紀までもうあと残すところが七年、この年は、恐らく私の見るところ、
日本の
科学技術行政にとりまして非常に大きなメルクマールとなる年になるだろうというような認識を持っております。
それは、一つの
意味では、今まで積み上げてこられたものの
実りを得る時期でありますと同時に、その
実りを
もとにしながら、次の時代をいかにしていくかという構想を打ち立てていくべき年になってくるというような
意味でございます。
その第一の
実りという面では、もうこれは申し上げるまでもありませんけれ
ども、二月四日にいよいよ待望でありました純
国産の
大型ロケットでございますHⅡの打ち上げに完全に
成功をおさめられるというような画期的なことがございました。それから、四月の五日には
高速増殖炉の
原型炉になります「もんじゅ」の
臨界点に見事到達されるというような業績もおさめられております。また、
深海探査の面でいいますと、「かいこう」の世界で一番深い
マリアナ海溝まで
調査できるというような
技術も今
開発途上にあって、恐らく近々この目標も達成されるんでございましょう。また、
物質・
材料、
ライフサイエンス、さまざまな
分野の
技術開発も着実に進めておられるところでございまして、
話題性のあるところで申しますと、七月九日に
日本人女性として初めて
宇宙に
向井千秋さんを送られるというようなことも今年行われる予定になっております。
そういう中におきまして、大きな方向づけという点から考えてまいりますと、まさにそのHⅡの
成功をもってこれから
日本の
宇宙技術というものをどう方向づけるかという点で、この夏にも
宇宙開発政策大綱の制定が見込まれているわけでございまして、二十一
世紀を見通して
宇宙開発をどのように行っていくのかという非常に壮大な
計画が、今まさに決定されようとしているわけでございます。
また、原子力問題におきましては、今
野田委員の方からも随分
プルトニウム管理等の問題について
指摘があったわけでございますけれ
ども、この
プルトニウムの問題というものが国際的な舞台で大変大きな問題になる中で、この国におきましても原子力開発利用長期
計画の策定が進められているということで、これもまた
科学技術行政の大きな柱の将来を決定していかなくちゃならない年になってくるというわけでございます。
また、今回は大型放射光
施設でありますSPring8、これの利用をめぐります
法律案も出されるということでございまして、基礎科学の側面においても
日本が世界の先頭に立ちながら、これから進めていくという非常に象徴的な問題も起こってきているわけであります。
こういうことをいろいろと見てまいりましたときに、この
日本の科学
技術は、ことし、そしてまたこの数年間という間に大きく方向づけをされまして、人類の文明に新しい地平線を切り開いていくというような時代を迎えてくるんではなかろうかという予感を持つわけでございます。
こういう時期に当たりまして、近江長官におかれましては、このたび重要な
科学技術庁長官というお仕事におつきをいただいたわけでございますが、長官のいろいろなお考え方ですとか、これまでの実績ですとか、大事な職責でありますだけに、どういう軌跡を歩んでこられたんだろうということで、実はこの五年間の議事録をすべて拝読
させていただきました。
その中を通しまして、非常に近江長官はこの
日本の科学
技術の推進のために力を注がれ、また情熱を注いでやってこられた方であることを知りまして、また一面、非常に深い見識をお持ちになられまして、誤りのない
科学技術行政の推進のために御尽力いただいた方であることを知って大変うれしく思った次第でございます。どうか、非常に大事な時期でありますだけに、長官を初め
科学技術庁の皆さん方の御健闘を心からまずお祈りを申し上げたいと存じます。
そこで、きょうは自民党の立場からでございますが、取り上げたい問題、随分たくさんあったわけでございますが、長官は、四月二十八日に羽田内閣の
科学技術庁長官に御就任をされて、これで一カ月余りの月日を経たところでございますが、長官のさまざまな
科学技術行政に関する考え方について、私の立場から問わせていただきたいと存じます。
まず第一に御
質問させていただきたいと思いますのは、そこに
科学技術庁長官として今お座りになっておられるわけでございますが、考えてみますと、この
科学技術行政に対して、長官は三つのお立場を持っておられると思うのですね。
一つは、近江さんという個人の信念として、科学
技術に対してどういうお考え方を持たれるかという点でございます。
二つ目には、出身政党でございます公明党のお立場から、どのような科学
技術政策を考えておられるかという点でございます。そして三つ目は、言うまでもなく、
科学技術庁長官というその公職の立場においてどう考えるかということでございまして、この間に相違点はないのかどうか。
第一次といいますか、あの連立内閣が、細川首班を中心にしまして初めて結成されたときには、上原国土庁長官が国会の議場において、私個人の信念とは異なるが、連立政権の
方針に従うというような言い方をされましたが、これは国民から見ると非常にわかりにくい答弁であったと思うんですね。
ですから、違うところは違うで、これは仕事柄仕方ないところがあるわけでございますが、もし相違点があるとすれば、やはり国民の前に、どういう相違点であって、そしてその相違点を自分はこういう論理において埋め合わせるんだという
説明があって、初めて国民の目から、また世界のほかの国から長官を見る目がきちんと定まってくるんだろう、こういうふうに思いますので、まず長官には、この巨大
技術というようなものが世界的に
重要性を高め、
国内問題解決のためにも大事な段階を迎えている中で、自分
自身の立場としてどういう信念を持ちながら取り組まれるのか、それは
科学技術庁長官という立場と相違するところはないのかどうか、この点についてお伺いをさせて
いただきたいと存じます。