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1994-06-20 第129回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年六月二十日(月曜日)     午後五時一分開議 出席委員   委員長 井上 一成君    理事 今津  寛君 理事 武部  勤君    理事 古屋 圭司君 理事 村田 吉隆君    理事 小坂 憲次君 理事 茂木 敏充君    理事 緒方 克陽君 理事 山口那津男君       衛藤征士郎君    亀井 善之君       橘 康太郎君    萩山 教嚴君       細田 博之君    堀内 光雄君       森田  一君    横内 正明君       江崎 鐵磨君    栗本慎一郎君       古賀 敬章君    武山百合子君       二階 俊博君    藤村  修君       吉田  治君    左近 正男君       細川 律夫君    山崎  泉君       西  博義君    福留 泰蔵君       石田 勝之君    寺前  巖君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 二見 伸明君  出席政府委員         運輸省運輸政策         局長      豊田  実君         運輸省海上交通         局長      尾松 伸正君         運輸省海上技術         安全局船員部長 高橋 伸和君         運輸省港湾局長 坂井 順行君 委員外出席者         運輸委員会調査         室長      小立  諦君     ————————————— 委員の異動 六月十日  辞任       補欠選任   須藤  浩君     武山百合子君 同日  辞任       補欠選任   武山百合子君     須藤  浩君 同月二十日  辞任         補欠選任   関谷 勝嗣君     萩山 教嚴君   宮崎 茂一君     衛藤征士郎君   須藤  浩君     武山百合子君   二階 俊博君     栗本慎一郎君   左近 正男君     山崎  泉君   志位 和夫君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   衛藤征士郎君     宮崎 茂一君   萩山 教嚴君     関谷 勝嗣君   栗本慎一郎君     二階 俊博君   武山百合子君     藤村  修君   山崎  泉君     左近 正男君 同日  辞任         補欠選任   藤村  修君     須藤  浩君     ————————————— 本日の会議に付した案件  船員法の一部を改正する法律案内閣提出第三  二号)(参議院送付)  国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等に  よる国際観光の振興に関する法律案内閣提出  第五二号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 井上一成

    井上委員長 これより開議を開きます。  内閣提出船員法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橘康太郎君。
  3. 橘康太郎

    橘委員 自由民主党の橘でございます。  今回上程されました船員法の一部を改正する法律案につきまして、これに関連する事項等につきましても質疑を行わせていただきたいと考えております。  私は、本案につきましては、今日の労働情勢の中で、条件つきではありますが、賛成をしていきたい、このように考えております。条件つきと申しますのは、私の考え方といたしますれば、本案が施行されるならば必ずや経営影響が出てくるもの、このように思うからであります。  今回の法案の出る前に、六月の十四日、日本経済新聞でありますが、内航船運賃の問題についてこのような記事が出ておるわけでございます。どういう記事かと申しますと、見出しては、「内航船運賃、軒並み下落」である、「荷動き低迷船腹の過剰感消えず」、こういう状況が現在の内航海運状況であろう。私も状況はそのようなものであろうと認識をいたしておるところでございます。  ところで、本案が可決されますと、即コストの面で影響が出てくるわけでありますが、運輸大臣にお伺いしたいわけでありますが、このような状況下でこういったことが行われると、私は内航に対して何らかの手当てをしないと内航船運営そのもの大変苦境に立つと思うわけでございますが、その辺の見通しはいかがなものでございましょうか。大臣お願いします。
  4. 二見伸明

    二見国務大臣 今回の改正労働時間等に関するものでございますけれども、それが内航海運にいろいろな形で影響が出てくる、全く出てこないことはないと思います。  特に、内航海運の場合は構造的な問題を抱えておりまして、大変苦しい状況なのはよくわかります。細かいことは政府委員答弁してもらいますけれども、私はやはりこれを機会に内航海運業界企業体質強化のための構造改善、これを積極的に進めていきたいと思っておりますし、そのためにも「内航海運業構造改善等のための指針」というものを作成したわけでございまして、単に労働条件労働時間を短縮するだけではなくて、これを機会に内航海運業そのもの構造改善を強力に進める必要があるというふうに考えております。  詳細は政府委員に補足説明してもらいます。
  5. 橘康太郎

    橘委員 ただいま大臣から非常に認識のあるお答えを賜りまして、大変感謝をしております。私も当然そうあるべきだろう、このように思っておったところでありますが、大臣の前向きなお考えを聞きまして安心をいたしました。  ところで、具体的な問題として、内航のコストを圧迫する要因は、そのものだけではなしに、皆さんもお気づきだと思いますが、内航の経営を向上させるためには、港の停泊日数というものも考えていかなければならないわけであります。  ところが、この内航の港湾をよくしなければならないにもかかわらず、労働条件もきちっといいものにしなければならないにもかかわらず、六年間も港湾運送事業法による港運料金が放置されておって、今地方港港湾事業者は大変な苦境に立っておられるわけです。このまま放置しておきますと、さらに内航海運に与える影響あるいは外航海運等に与える影響が非常に大きくなってくることを私は危惧するものでありますが、局長、その辺についてはいかがですか。
  6. 尾松伸正

    尾松政府委員 港湾運送事業料金につきましては、先生指摘のとおり、地方港港湾料金が六年間据え置きとなっております。前回平成三 年六月に港湾運送料金改定されておりますけれども、このときは五大港港湾運送料金についてのみ改定をいたしております。事業者からの申請に基づいて改定認可をいたしたわけでございますが、地方港港運料金については、その際は申請がなかったということで改定されなかったという経過がございます。  このため、御指摘のとおり、結果として地方港料金が六年間も据え置きとなっているのは事実でありまして、したがって、六年間もたちますれば、地方港港運事業者経営も非常に厳しい状況になっているというふうに推測はいたしているところでございます。
  7. 橘康太郎

    橘委員 いや、状況説明だけじゃなしに、六年もほったらかしにしていて、それでいいというんですか。答えてください。
  8. 尾松伸正

    尾松政府委員 そういう状況でございますから、私どもとしましては、地方港港湾運送料金につきましても、港湾運送事業者から改定申請がございましたら、これを慎重に審査して結論を出したい、こういうふうに考えております。
  9. 橘康太郎

    橘委員 申請してからという、そういう言い方については私は大変憤りを感じます。平成三年のときにも、認可のときにはもちろん地方港も出しておるわけです。それをなぜ五大港だけに絞って認可をしたのか。おかしいじゃないですか。どういう理由なんだ。
  10. 尾松伸正

    尾松政府委員 まず、三年前に行われた改定は、港湾運送収支状況が厳しいこと、そして港湾労働条件改善する必要があること等を理由として改定されたものであります。そのとき、よく調査をいたしましたが、地方港港湾運送料金改定申請運輸省には提出をされておりません。
  11. 橘康太郎

    橘委員 そんなことないです。そういういいかげんなことを言ってもらっちゃ困ります。よく調べてみてください。地方港五大港も、港湾運送事業法が適用されて以来、毎年改定されるときには、五大港であれ地方港であれ必ず一緒改定されておるわけです。したがって、三年前の申請は当然行われておるわけでありまして、なぜできなかったのか。そういう答弁に私は納得できませんぞ。答えてください。
  12. 尾松伸正

    尾松政府委員 三年前の改定のときを調査いたしましたが、改定されました理由については先ほど御説明したとおりでございます。そして、地方港についての改定申請は、私どもの方には出ておりません。
  13. 橘康太郎

    橘委員 あくまでそう言われるのであれば、よく調べた上で責任ある回答をくれるように求めます。  ただし、私の方から申し上げましょう。この海運白書という本の五十一ページ、これに港湾運送料金改定問題が載っております。真ん中の方です。「運輸省としても、平成三年の五大港(京浜港、名古屋港、大阪港、神戸港及び関門港)の港湾運送料金改定に当たっては、船内及び沿岸に係る港湾労働者週休二日制の実施に伴う経費増を原価にあらかじめ取り込んで料金認可したところである。」こう書いておるわけです。  いやしくも、週休二日制をやろうとする、そういう気持ち五大港の人も持っておった、地方港の人はもちろんのことです。そういう趣旨で言うならば、五大港週休二日制はやりなさい、地方港週休二日制をやらなくてもいい、そういう行政の判断なんですか。答えてください。
  14. 尾松伸正

    尾松政府委員 週休二日制の実施につきましては、それとの関連で、前回港湾運送料金改定に当たってそれが考慮されたことは、先生指摘のとおりであります。ここに書いてあるとおりでございます。地方港港湾につきましても、労働条件改善、向上、週休二日制に向けて努力するのは世の方向だというふうに私ども思いますが、直接的には週休二日制実施については労使の協議にまたねばならないと思いますけれども、私は、そういう方向で私ども考えていきたい、こういうふうに思っております。
  15. 橘康太郎

    橘委員 先ほどあなたは、申請が出ていないから許可しなかったとおっしゃっていますけれども申請はやっていますよ、労働組合だって。本日聞きましたところによると、全日本港湾労働組合山本委員長が、日本海地方本部委員長でありますが、運輸省へ来て、六年もほったらかしておって、一体どういうことなんだということをちゃんと言っておる。もちろん週休二日制をやらなければならない、しかし、幾ら言っておっても運輸省認可しない。大変憤って帰っていったと思うのですが、課長は発言できないのかね、これは。局長がやるのか。  それをみんなが一生懸命、社会党皆さんもそれはよく知っておることなんです。労働者皆さんもよく知っておることなんだ。一生懸命陳情をしたにもかかわらず、三年前に五大港だけ上げて、地方港は六年もほったらかし、こういうばかな行政が、不公平な行政が行われておって、それであなたはいいと思っておるのかね。大臣、どうですか。
  16. 二見伸明

    二見国務大臣 先生の御認識尾松さんの認識と、ちょっと食い違いがあるのは、そちらは申請が出た、こちらは出ていない……(橘委員「出ていますよ、だからそれについて調査をして、調べて報告しろと言っている」と呼ぶ)まあ待ってください。これは大変事実が違い過ぎますので、これは早急に調べます。  それはそれとして、出ていれば、当然それに基づいて認可するなりなんなりしなければなりません。もし出ていなかった場合には……(橘委員「なぜ、みんなしてやっておったにもかかわらず……」と呼ぶ)まあ待ってくださいね。  そちらは出したとおっしゃる。これは出ていないと言っている。しかし、それはちゃんと調べます。出ているか、出ていないか、これはきちんと調べます。調べた上で、厳重にきちんと対処いたします。もし万が一出ていなかったとします、万が一ですよ、そのときには、改めて申請が出されれば、それに基づいて検討するのは当然のことでございます。それより、まず、出ているか出ていないか、それは調査いたします。
  17. 橘康太郎

    橘委員 技術的な問題です。はっきり言いましょう。我々の方から日本運協会には強く言っている。しかし、日本運協会が果たしてそういう手続をとったかどうかということについては、もう一回よく調べてみてください。どこでそういうものがストップしたのか。  慣例で、慣例というか、日本全国港湾労働者が、同じ人格の人間全国で働いておって、労働力差別をつけてもらっては困るのですよ。私であろうが運輸大臣であろうが、同じ人間なんですよ。それが、横浜の港湾労働者料金を上げてもらって、週休二日制をしてやってもよろしい。地方港労働者は、おまえらは生意気だから上げられないんだということであっては、民主憲法のもとの我が国の政治、行政として、それでいいと思われますか、運輸大臣。  出たとか出ないとかのそういうテクニックの問題は後で、だれが抑えたのか調査して報告してください。それはそれで聞きますけれども、この重要な問題について、運輸大臣の御所見を賜りたい。
  18. 二見伸明

    二見国務大臣 五大港だから認める、地方港だから認めないという差別はあってはならないのは当然のことであります。そのことを前提といたしまして、事実関係はきちんと調査をいたします。そして御報告もいたします。もし万が一出ていなかった場合にはお出しいただき、それに対して我々としては検討をするということになろうかと思います。
  19. 橘康太郎

    橘委員 だから、それは調査して正式に答えてください。結構です。それはそれでわかりました。  それで、もう一つお願いです。  今回の、六年もこういう状況でほったらかされておることにつきまして、我々の調査したところによると、地方運輸局に対して、何としても早く、港湾運送料金五大港だけ上げて、我々を六年もほったらかすことはやめていただきたいとい う嘆願書がいろいろ出ておるわけであります。もちろん労働組合の方からも出ております。  ところが、そういうことに対して、本日の調査によれば、新潟運輸局港運倉庫課長は、そういうことをしてもらっては国名ということを業者に対して申し述べておる、そういう事実が出てきたわけであります。  私は、事そういうものが出てきたりしますと、余計この問題に不愉快、そしてまた不公正、不公平なものを感ずるわけでありまして、調査の上、こんなに六年もほったらかされておる事実が判明したら、先ほど運輸大臣がお話しいただきましたとおり、これは速やかに、どこでとまったのか、そのとまっておるところに対して、公平、公正な料金を請求するように、申請するように申し入れてほしいと思います。局長、いかがですか。
  20. 尾松伸正

    尾松政府委員 地方運輸局の窓口において先生指摘のような態度がありましたとしたら、適切ではないと思います。国民あるいは利用者の方の御意見、御要望というのは素直に受けて検討をすべきものと思っております。  港湾運送料金については、先ほど来、私及び大臣から御説明をしているとおりでございます。
  21. 井上一成

    井上委員長 この際、一言申し上げておきます。  橘康太郎委員質問に対して、早急に調査をして報告するように、運輸省として事実を報告するように、委員長から申し添えておきます。
  22. 橘康太郎

    橘委員 議長、温かい御配慮、ありがとうございました。心から感謝をいたしております。  大臣、私は、いやしくも日本憲法の、民主憲法のもとでお互い一人一人の人権に差があるわけでない、そういう世の中でこのような不公正、不公平な料金政策が行われておることについて、厳重に調査をしていただいて、直すべきは直し、そして、どなたが見ても、これは正しい行政であるというふうな行政をやっていただきたいと思いますが、御所見をお聞かせいただけませんでしょうか。お願いいたします。
  23. 二見伸明

    二見国務大臣 私も先生気持ちは同じです。基本的考え方では同じだと思います。差別はあってはいけないというふうに思います。先生の御指摘の中でいろいろありましたけれども、我々も調査いたします。もし我々の方に瑕疵があるとするならば、私は率直におわびをしなければならないというふうに思っておりますし、早急にそのための対策は立てなければならぬというふうに思っております。決して差別する考えは毛頭ないということだけを御理解いただきたいと思います。
  24. 橘康太郎

    橘委員 大変人間的な、温情のある御答弁に接しまして、私は感激をいたしております。どうか御調査の上、間違ったところがあるとするならば、これは行政当局におかれて、どこでそういう間違いが起こっておるのか十分お調べいただいて御対処いただきたいということを最後につけ加えてお願いを申し上げておきます。  それでは、時間がもう少しございますので、そのほかの海運政策の問題についてお伺いをいたします。  先般、決算委員会におきまして、海運政策につきましていろいろと御意見を拝聴させていただきました。大変立派な政策が出ておると思うわけでありますけれども、ところが、内航の場合は非常に、運賃の面で、はっきり言いまして自由なんですね。その結果、船腹調整ということが行われておるわけであります。この船腹調整問題で、平成四年に造船合理化審議会において規制緩和方向が打ち出されておるわけであります。ところが、海運白書によりますと、そういう規制緩和方向づけをしておる部分と、そうでなくて現状海運マーケットからして船腹過剰ぎみである、こういうふうな見解も出ておって、なかなか難しい点が浮き彫りに出ておるわけでありますが、やはり私は、この点について運輸省のお考えというものをよく聞いて、もう一度検討しなければならないところがあるのではないかという感じを持っておりますので、船腹調整の問題についてどのようにお考えなのか、局長の御意見をお伺いしたいと思います。
  25. 尾松伸正

    尾松政府委員 内航海運船腹調整制度につきましては、平成四年三月に海運造船合理化審議会答申が出されまして、その中におきまして、内航海運業中小零細事業者が多い業界であることにかんがみ、中長期的には船腹調整制度への依存を解消し得るような事業体質強化を図る必要がある。しかし、現時点においては、内航海運業の健全な発展のため、構造改善推進経済情勢等に対応したこの制度の機動的、弾力的運用前提として、当面、制度維持存続を図ることが適当であるというふうに述べられております。運輸省としましては、この答申を受けまして、船腹調整制度弾力的運用あるいは内航海運業構造改善積極的推進に努めているところでございます。  一方、独禁法適用除外カルテル等制度につきましては、本年二月十五日の閣議決定、「今後における行政改革推進方策について」の中で見直しを行い、平成年度末に結論を得るということにされております。  そこで、運輸省といたしましても、この方針に従いまして船腹調整制度見直しを進めていく考えでありますが、見直しを行うに当たりましては、関係者の御意見を十分に聞いて内航の安定輸送に配慮しつつ結論が得られるよう努めてまいりたい、こういうふうに思っております。  もう一つ構造改善を鋭意推進しなければならないということで、今般、従前の構造改善指針というものがございましたものを全面的に見直しをいたしまして、新しい構造改善指針を策定して関係者の方々にお示しをいたしました。この中で、やはり輸送需要の変動に対応できる経営基盤を有する活力ある産業に内航海運業が脱皮していくためにいかなることが必要かという観点から、内航海運業体質強化、特に若者の内航離れを招いている背景には、事業体質脆弱性という構造的な問題もあるから、何とかしてオペレーターのみならず、オーナーも含めて体質強化に取り組む必要があること。それから、輸送効率化、モーダルシフトヘの取り組み等強化あるいは船員確保対策の充実、そして内航海運組合中心とした業界自身取り組み体制強化、こういったことをこの指針に盛り込んでおりまして、これからこの指針に基づいて、官民協力して内航海運業構造改善に鋭意努力したい、こういうふうに考えております。
  26. 橘康太郎

    橘委員 前向きな御答弁をいただきまして、私はそれを評価していきたいと思います。  そこで、最後でありますが、ここに、海運白書と申しますか、「日本海運の現況」という平成五年七月二十日につくられたこういう報告書があるわけでございますが、この百四十三ページに「船腹需給現状」という欄がありまして、ここには   内航海運の用に供される船舶については、内  航海運業法に基づき、運輸大臣が毎年度、当該  年度以降五年間の各年度における適正な船腹量  を告示することとなっている。適正船腹量は、  内航海運事業者における船舶建造に対する中長  期的な指針を示す等のために策定されるもので  あり、内航船貨物となる主要品目の今後の輸  送需要動向等を分析予測し、海運造船合理化審  議会の答申を踏まえ決定される。 このようになっておるわけでございますので、本日私の手元に、内航海運組合連合会の方から、このような船員法実施されれば当然厳しくなるので、ここに「内航海運組合法による船腹調整制度存続について」という陳情書が参っております。恐らく、運輸大臣のお手元にも行っておると思いますが、このようなマーケットの実情を十分御理解賜り、温かい、適正でかつ公正な海運政策の実行をお願いしたい、このように思うわけでございます。運輸大臣、御所見お願いしたいと思います。
  27. 二見伸明

    二見国務大臣 実は私、その陳情書はまだ拝見しておらぬのですが、帰りまして拝見をした上で、十分に検討させていただきたいというふうに思います。
  28. 橘康太郎

    橘委員 時間が参りました。本当に貴重な時間 を私に与えていただきまして、心から感謝をいたしております。  今後とも、公正そしてまた公平な政策をくれぐれもお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  29. 井上一成

  30. 山崎泉

    山崎(泉)委員 日本社会党山崎泉でございます。  今回の船員法の一部改正によっての週四十時間労働制導入時代の要請であるというのは言うまでもないわけでありますが、船員さんは、私ども陸上勤務の者と違いまして、海上という特殊性があるために、なかなか時短とか労働条件改善という部分では困難な部分が多々あるというふうに考えます。私も長崎県の五島列島出身でございますから、よく船員さんの事情はわかっておるつもりであります。しかし、四十時間制を入れまして家族と一緒に過ごす時間を多くするということは、今日の豊かでゆとりある生活を実現するためには非常に重要であるというふうに思います。  同時に、長崎県にも海員学校がありますが、この海員学校入学生徒数あたりを見ても、恐らく全国的にもそうだろうというふうに思うのですが、若年船員中心に、そういう入学生徒数減少を反映してか、若年船員労働力確保というのが難しい時代に入っておるようでございます。将来の海運業界のことを考えた場合には、四十時間制の導入早期完全実施ということは非常に将来にとってプラスであるというふうに思います。お座りの皆様方もそういう考えは一致されるだろうというふうに思います。  そこで、お尋ねでございますが、現在の基準労働時間は週四十四時間とされておりますが、内航、外航の実態を明らかにしていただきたい。
  31. 高橋伸和

    高橋(伸)政府委員 お答えいたします。  平成四年におきます船員の総労働時間でございますけれども外航船につきましては二千三十三時間、内航貨物船につきましては二千四百四時間、内航の旅客船につきましては二千二百十二時間となっております。船員の総労働時間は、全体としては減少傾向にあるわけでございますが、依然として平均二千三百時間程度という現状にあることから、引き続きその短縮を進めていくことが必要であるというふうに考えております。
  32. 山崎泉

    山崎(泉)委員 やはり今のお話聞いたように、内航船が若干、私は長時間労働だったというふうに聞こえました。多分内航船が多いんでしょう、多いんですね。  内航船労働時間が多いというのはいろいろな事情がたくさんあるというふうに思うのですが、一つは、物の運賃、これが何を運んだときには幾らということじゃなくて、恐らく自由に運賃を決められるということにやはり長時間労働が起因しているんではないだろうかな。いわゆる労働条件を少しでもよくするとなると、船員さんを、たくさん船の上に乗組員をふやさないかぬし、また予備の方もつくっておかなければならない。そういう立場からすると、やはり他社との競合をやらざるを得ない立場からすると、乗船しておる乗組員さんですべてのものをカバーしていかなければならない。私は、そういう意味合いから長時間労働労働条件の低下というのがあるんではなかろうかなと思います。  海上という特殊性ゆえに、その部分も全く私自身が理解しないわけではないんですが、そういう部分があるんではなかろうかなというふうに思いますが、先ほど申しましたように時短というのは時代の要請であります。したがって、経営者側は積極的に、そしてまた能動的にこの時短実施に向けては対応していかなければならない義務がある。  そこで、私、現行の四十四時間制に移行した時点とその前における国としての監査指導体制、指導実態及び具体的な、どういうふうなことをやって四十四時間に持ってきたのか、それをお聞かせを願いたいと思います。
  33. 高橋伸和

    高橋(伸)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生からお話がございましたように、外航船及び国内の大型船につきましては平成四年の四月から四十四時間制となっております。国内小型船につきましては平成五年の四月から実施されているところでございます。  労働時間の短縮、段階的に進めておるわけでございますが、四十四時間労働制にするに当たりまして、まず私ども重点的に行いましたのは、まず海運事業者の方に時短促進の必要性を十分に理解いただくこと、これが非常に重要であるということを考えまして、平成年度から毎年金国で、各運輸局ブロックごとでございますけれども、時短促進大会というものを開催いたしております。これは海運事業者だけじゃございませんで、荷主の方、あるいは学校関係者、こういう方にもお集まりいただいて、時短の必要性について周知徹底を図ってきたところでございます。  週四十四時間制の遵守に当たりまして、船員労務官による監査、これも重要な意味を持っているわけでございますが、平成年度の予算におきまして新たに労働時間短縮集中監査の旅費をちょうだいすることができまして、これに基づいて労働時間短縮の集中監査を実施いたしております。  船員労務官の体制でございますけれども、大変厳しい総定員の枠というのがございますわけでございますが、逐年その体制整備に努めてきておりまして、平成年度には一名、平成年度には二名の増員をちょうだいいたしておりまして、現在全国で百四十六名の体制でございます。さらに、平成年度の予算において一名増員を予定いたしておるところでございます。  本年度平成年度の予算につきまして、新たに、これは船員保険の特別会計の予算でございますが、先ほど申し上げましたようにやはり事業者の方に時短促進の周知徹底をまず図っていくということが今後とも必要であることにかんがみまして、時短促進のための講習会を実施する団体に対して新たにその経費の補助をする、こういうふうなこともいたしておるところでございます。
  34. 山崎泉

    山崎(泉)委員 確かに毎年、海員組合の調査によりますが、時短なり労働条件改善をされておるというふうに私は思います。  そこで、時間外労働は、船員法の六十四条により、「臨時の必要があるとき」と「特別の必要がある場合」命令できるということになっておるみたいであります。それでまた、特に臨時の必要があるという場合には、これは員基というのですか、第三百十七号、昭和五十年十一月八日によって、「船長に恣意的又は恒常的な時間外労働を命ずることを許容するものでないことは立法趣旨にかんがみ言をまたない」というふうになっておりますが、いずれにしても年間総労働時間が、先ほどのお話ですと内航船で二千三百時間とおっしゃいましたか、私はこの時間外労働船員法六十四条、臨時または必要がある、これを守られておるとするならばこういう時間になっていかないのではないだろうかなというふうに考えるのですが、果たして船員法を守られているのでしょうか。なぜこういうふうな長時間の労働実態が発生しておるのか、おわかりであれば具体的に御説明を願いたいと思います。
  35. 高橋伸和

    高橋(伸)政府委員 ただいま平成年度の内航貨物船につきましての総労働時間を二千四百四時間と申し上げましたが、この中には大型船それから七百トン以下の小型船が入っておる平均的な数字であるわけでございます。そういったことを勘案いたしますと、平成四年当時におきましては、一部の団体の試算では三千時間を超しているというふうなお話もございましたが、こういった実態も当時は必ずしもなかったということは言い得ないというふうに考えております。  と申しますのは、平成年度の段階におきましては、まだ小型船につきましては週四十八時間制でございました。そういうことから申し上げますと、法律上の所定内の労働時間だけでも二千四百時間に及ぶという実態であったわけでございます。これに加えまして、補償休日の買い上げでありますとか、あるいは当時はまだ船員法の本法が 適用されておりませんでしたもので、労使協定によります時間外労働ということもございまして、そういった点を勘案しますと三千時間というふうなものも必ずしも法令違反ということではなく行い得る、そういったケースもあったのではなかろうかと推測されるところでございます。  その後、先ほど申し上げましたように、小型船につきましても平成年度からは四十四時間制に移行いたしております。さらに、船員法本法が小型船についても適用される、そういうふうな状況を勘案いたしますと、平成年度以降総労働時間の短縮というものは適宜進んでおるというふうに考えております。  今先生お話の、船長が臨時、特別の必要がある場合には時間外労働を命ずることができるということでございます。これは先生からもお話がございましたように、当然恣意的な運用というものは許されるものではございません。法の趣旨にのっとった適切な判断が船長のもとにおいてなされているというふうに考えておりますけれども、私どもといたしましても、船員労務官によります監査等を通じまして、法律上の要件に適合しないような違法な時間外労働が発生しないように指導してまいりたいと考えております。
  36. 山崎泉

    山崎(泉)委員 確かに法に抵触をするということは恐らく皆さん方の調査段階では挙がってこないだろう、こういうふうに考えますが、先ほど申しましたように、私は長崎県二区選出、佐世保、いわゆる離島を中心とした議員でございますから、実情はそういうふうなきれいごとでは済みません。守られておるか守られてないかという部分は、守っておるところも多くあるだろうと思いますが、守られてない、守ってないところも多くあります。差し支えがありますので、具体的には言いません。いずれにしても、この就業規則なり船員法の徹底というのはやっていかなければならない。というのは、今度はまた皆さん方の義務でもあります。  そこで、先ほど、こういうものをチェックする船員労務官を若干、平成六年は一名増員したとか、そしてまた平成四年より集中監査を実施しておるとか、こういうお話がありましたが、全国で百四十六名とおっしゃいましたか、果たしてこれぐらいの数で我が国の多くの港の、またたくさん出入りしておる船を監査、チェックできるのですか。例えば具体的に我が佐世保で何名配置されて、大体一日に船が平均どういうふうに入港してどういう監査体制をやっているか、具体的に短くお願いします。
  37. 高橋伸和

    高橋(伸)政府委員 全体の数は百四十六名でございますが、一年間に一万事業所を監査いたしております。船員法対象の船舶が約二万ございます、そういうことからいいまして、一年間で約半分の監査を行っている、こういうことでございます。  長崎県につきましては、長崎支局に三名、佐世保支局に二名、合計五名配置いたしておりまして、その活動状況も大体全国レベルの、全国平均の活動をやっていただいております。具体的には、年間三百十五カ所の船舶、事業場の監査を行っております。
  38. 山崎泉

    山崎(泉)委員 百四十六名のそういう方が、特にまた長崎県佐世保の場合には全国平均的な状況の中でやられておる。確かに百四十六名、一生懸命やっておるかもしれぬ。そしてまた、そのうちの長崎県の人も、全国的な兼ね合いから見ると、まさるとも劣らず一生懸命、平均的、トータル的にやっておるというふうに思います。  一歩横から、一歩外から眺めた場合に、あの方々はあの大きな湾を回るときに、自転車で回ってやるのですか、歩いて回ってやるのですか、バイクで回ってやるのですか、そういう機動性というのがないのじゃないですか。十分な監査体制があれだけの出入りの船ではできないのじゃないですか。
  39. 高橋伸和

    高橋(伸)政府委員 御指摘のように、船員労務官、港、港を回って監査いたすわけでございますが、基本的には庁用車を配置いたしております。これは全国で六十以上の支局に配置いたしております。さらに、バイクを配置いたしております。自転車だけというところは四支局でございます。この辺の便宜につきましては、今後とも努力してまいりたいと思っております。
  40. 山崎泉

    山崎(泉)委員 もう時間が来ました。予定しておった中身が全然進みませんでしたが、いずれにしてもこの労務官のいわゆる機動的な訪船をできるような措置をぜひやって、そして船員皆さん方の労働条件改善に向けた取り組みを強化をしてほしい、こういうことを申し上げまして、中途半端になりましたが、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  41. 井上一成

    井上委員長 寺前巖君。
  42. 寺前巖

    寺前委員 今回の法改正については、漁船も有給休暇の取得対象とすることになっています。有給休暇発生要件を一年から六カ月に短縮するなど、船員労働条件改善するものであります。  しかし、問題なのは、この法律が現在の厳しい環境のもとにおいて内航海運船員労働条件を本当に改善させることになるのかどうか、これは今後のこの法の改善方向がどのように運用されていくのかということによって決まっていくであろう。私は、この法改正については賛成です。賛成ですが、そこで、幾つかの気になる点について時間の許す限り質問をしたいと思います。  まず第一に、我が国の内航海運では、国内の貨物輸送輸送トンキロベースでいうと約五〇%を占めています。だから、国内生活になくてはならない輸送手段と今やなっているわけです。  また、環境と労働力の制約から、国の政策として今までのトラック輸送から他の輸送手段にシフトさせる、いわゆるモーダルシフトの受け皿に内航海運を重要な位置づけとしている点でも私は同感です。  そこで、内航海運船員労働条件を見ると、先ほどからお話がありましたように、運輸省平成四年の船員に係る年間労働時間は、外航船の二千三十三時間、内航旅客船の二千二百十二時間、内航貨物船は二千四百四時間、外航に比べて内航貨物船は四百時間も長くなっているし、まして他の産業の労働時間と比べると、比較にならないところの長い労働時間ということになっている。そういう点では、労働時間の短縮というのは、遅ればせながらいい方向を提起している。  そこで、それを遂行していこうということになりますと、船員をふやさなかったらすることはできない、当たり前の話だと思います。法の改正に基づくところの執行状況について、若干の時間的余裕はあるにしても、さて内航海運船員をどの程度ふやしていかなければならないかという計算を持って臨んでおられるのか、まず局長に聞きたいと思います。
  43. 高橋伸和

    高橋(伸)政府委員 ただいま、週四十時間へ移行するに当たって船員数をどの程度必要か、こういうお尋ねでございますが、これまでも段階的に四十八時間、四十四時間と時短を実施してまいったわけでございますが、労働時間の短縮に当たって、船員増ということだけではございませんで、計画的な運航を実施する、あるいは船舶の大型化、高速化、特にケミカルタンカー等の荷役作業の省力化、こういった各般の対策を総合的に行ってきておるところでございまして、一概にどれだけの船員が必要かということは算定しかたいところでございます。  しかしながら、船員確保という点は極めて重要なポイントでございます。こういったことから、かねて私ども、内航船員を志向する学生にとっての魅力的な海員学校づくりということ、あるいは船員未経験者の方々の内航海運への道を拡大するというふうな方策、さらには、個別の事業者のための交代要員の確保方策といたしましては船員の相互配乗制度、これを活用する、さらには高齢者の船員中心とした交代要員の登録・紹介制度、現在内航総連において検討中でございますが、このようなことを実施しておるところでございます。  特に中小零細事業者にとって交代要員の確保と いうのはこれからも大変厳しいということでございますが、構造改善推進とあわせて事業規模の拡大、協業化、こういった中で船員確保もされるものというふうに考えております。
  44. 寺前巖

    寺前委員 ことしの六月六日の内航海運新聞というのを見ておりますと、そこには平成年度の「内航船員の雇用動向およびその需要数ならびにそれらの全国推定に関する調査報告書」というのが出ているのです。  これを見ると、内航船員総数は四万五千人、この三年間で一一%以上ふやさなければいけないということが出てくるのです。退職者の経験年数が上昇する等で退職率はやっと下げどまりになっているものの、三十歳未満の若年採用者が五年度減少しているということが書かれています。その背景には、いわゆる三K職場と言われ、船員労働条件改善なしに内航海運の将来の存続が危ういとまで指摘をしています。  このような現況を踏んまえていくと、この三年間で一一%の船員をふやすことが果たして可能なんだろうか。いろいろ諸条件の問題を今おっしゃいましたけれども、これは私は並み大抵のごとではないと思うのですが、どんな方策を具体的に考えておられるのでしょうか。私は並み大抵じゃないと思うのですが、いかがでしょうか。
  45. 高橋伸和

    高橋(伸)政府委員 確かに内航船員労働力確保問題というのはこの数年来大きな課題でございます。平成四年には内航船員不足問題を考える懇談会というものを策定していただきまして、そこで鋭意検討しているわけでございます。  私ども一番力を入れておりますのは、まず船員養成機関であります海員学校を初めとします学校制度、これを魅力あるものにしていこうということで、平成四年に学制改革を行ったところでございます。おかげさまで、平成年度、ことしの応募状況海員学校につきましても二・七倍を超すというふうな状況になってきておりまして、海員学校の応募率がこのところ年々少し上がってきているという状況にございます。  また、船員養成機関以外の一般の方々からもおいでいただきたいということで、例えば水産高校の卒業生に対しまして、これまで乗船履歴というものを漁船に限定いたしておりましたのですが、これを一般船にも拡大をする、そういうことで水産高校からも海運界においでいただきやすくしたということがございます。  それから海上自衛隊の術科学校、これを船員の養成施設に指定をいたしまして、さらに、財団法人自衛隊援護協会、ここに船員職業紹介の業務を許可いたしておりまして、こういった新しいルートからも今後は内航海運へおいでいただけるルートが開けたんではないか、このように考えておるところでございます。
  46. 寺前巖

    寺前委員 いろいろ言われるけれども、私はその一一%増の道筋というのはただごとでないなという方が率直な感じです。  八八年の法改正のときに、十人未満の船員を使用する船舶所有者についても、就業規則の整備が行われるよう適切に指導すること、附帯決議でついています。これについて執行状況、どういうふうに附帯決議の方向で変化が生まれたのか、御説明いただきたいと思います。
  47. 高橋伸和

    高橋(伸)政府委員 御指摘のように附帯決議がございまして、その後鋭意指導を行ってきたところでございます。昨年の十二月段階での調査を行いましたところ、十人未満の船員を使用する船舶事業者、約八千事業者ございますが、このうち一〇%弱に当たります七百五十者からの就業規則の届け出が行われているという状況でございます。
  48. 寺前巖

    寺前委員 大臣、今労働省の方では、昨年五月の労働基準法研究会報告に載っておりますが、当面「常時五人以上の労働者を使用する事業場について就業規則の作成を義務付けることとすることが適当」であるとしています。運輸省も十人未満の船員を使用する船舶所有者に就業規則等をつくるよう指導すべきであると思いますが、そのためには法改正が必要になるのじゃないだろうか。大臣の見解を求めたいと思います。
  49. 二見伸明

    二見国務大臣 御指摘の点につきましては、今回の船員中央労働委員会の審議でも現行制度を維持するとの整理がなされており、また今回の陸の改正労働基準法におきましても現行どおり届け出制は十人以上のものとしているわけでございます。しかし、我々といたしましては、十人未満は届け出制ではないですけれども、これはそれなりにきちんとした指導をしていかなければならないというふうに考えております。
  50. 寺前巖

    寺前委員 労働省の方でも法改正の問題まで検討しておられるようですから、運輸省もタイアップしてこの問題について御検討いただきたいということを申し添えておきたいと思います。  最後になりますけれども、これらの実効ある船員労働条件改善するためには、船員労務官の役割が非常に重要だと思います。そこで、船員労務官の現状を調べてみると、全国に海運支局が六十九カ所ありますが、そのうち船員労務官がいないところが五カ所、一人のところが二十六カ所、二人以上が三十六カ所、これらの支局で合計六十七名、十カ所の本局を含めても定員は百四十七名の配置だ。こうなってくると、私は、今の小さい分野におけるところの、また労働組合のないところを考えてきたときに、この分野の船員労務官の役割というのは非常に重要だというふうに思うわけです。八八年の船員法の一部を改正する法律案の採決の際にも、「船員法の履行確保労働時間短縮の一層の促進を図るため、船員労務監査業務の徹底、必要に応じた船員労務官等の増員など船員労働行政体制の一層の充実強化を図ること。」という附帯決議をわざわざ掲げているというのも、そこにあると思うんです。私は、そういう意味ではこういう船員労務監督業務につく皆さん方の教育もまた非常に重要だというふうに思うわけです。  関係者意見を聞きますと、任命されて労務官の教育を受けなければならない対象者は俸給表第四級以下の者だけで、しかも運輸研修所で五日間だけ、それ以外は、五級以上の職員の場合には全く研修なしで配置されている。昨年の監査件数は一万九百八十九件となっているが、そのうち立件したものは六件だ。何が何でも立件せよということが目的ではないにしたって、余りにも少ないんじゃないだろうか。船員労務官は法的実務の本格的な研修が全くなされていないために立件のための文章を書くだけでも大変だということをおっしゃっていました。  私は、こういうことを考えたときに、二つのことをお尋ねしたいと思うんです。  すなわち、船員労務官、毎年一人ぐらいの増員をやっているけれども、こんな程度でいいのだろうか、もっと思い切った措置、一人もおらないところについては、そういうところはなくす、一人のところについても考え直すということを大臣、いかがなものだろうかということが一つと、もう一つは、十分にその仕事をやり得る研修体制という問題について御検討いただけないものだろうか、この二点について局長並びに大臣答弁をいただいて、終わりたいと思います。
  51. 高橋伸和

    高橋(伸)政府委員 船員労務官の体制につきまして毎年大変厳しい総定員の枠の中で努力しておるところでございまして、今後とも引き続き精いっぱいの努力をしてまいりたいというふうに思っております。  また、研修体制でございますが、ただいま先生からお示しになった中央における研修だけではございませんで、各地方運輸局におきましても適宜地元の検事さんにおいでいただいて御講演をいただく、そういった措置も通じまして、今後とも鋭意船員労務官の法的実務の向上に努めてまいりたい、このように考えております。
  52. 二見伸明

    二見国務大臣 船員労務官の重要性につきましては十分に認識しているところでございますので、平成年度予算でも一生懸命確保に頑張ってまいります。
  53. 寺前巖

    寺前委員 ありがとうございました。
  54. 井上一成

    井上委員長 これにて本案に対する質疑は終局 いたしました。     —————————————
  55. 井上一成

    井上委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出船員法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  56. 井上一成

    井上委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  57. 井上一成

    井上委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、村田吉隆君外五名から、自由民主党、改新、日本社会党・護憲民主連合、公明党、さきがけ・青雲・民主の風及び日本共産党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。緒方克陽君。
  58. 緒方克陽

    ○緒方委員 ただいま議題となりました船員法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、改新、日本社会党・護憲民主連合、公明党、さきがけ・青雲・民主の風及び日本共産党を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     船員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の事項につき万全の措置を講ずべきである。  一 船員の総労働時間短縮を図るため、なお一層、基準労働期間の短縮に努めるとともに、補償休日労働について、可能な限り休日を確保するよう指導を行うこと。  二 労働時間の特例に係る一定の期間の延長、及び時間外労働の労使協定について総労働時間短縮の社会的要請を勘案し、過重労働とならないよう適切な指導を行うこと。  三 漁船船員の有給休暇制度については、その労働実態等を踏まえ、早期に船員法への一元化を含めより一層の改善に努めること。  四 「指定漁船に乗り組む海員の労働時間及び休日に関する省令」の改正に当たっては、法改正の趣旨を踏まえ、本法との格差是正に努めること。  五 内航海運船員の高齢化に伴う人員不足の解消を図るため、海員学校等の体制整備充実等抜本的な対策を講ずるよう努めること。  六 内航海運における船員労働条件労働環境の改善を図るため、運賃・用船料の適正化等に努め、内航海運業の一層の健全化を推進すること。  七 十人未満の船員を使用する船舶所有者についても就業規則の整備を図るよう指導すること。  八 船員法の履行確保推進するため、船員労働監査業務の徹底、必要に応じた船員労務官等の増員等船員労働行政体制の強化・充実を図ること。  九 労働時間の短縮に向け、船員の年間総労働時間、休日及び有給休暇の付与・取得日数、配乗等の実態を十分把握し、労働条件改善に努めること。 以上であります。  本附帯決議は、ただいまの法案審査の過程におきまして、委員各位から御意見及び御指摘のありました問題点を取りまとめ、本法の実施に当たり、政府において特に留意して措置すべきところを明らかにし、船員労働条件のより一層の改善を図ろうとするものであります。  以上をもって本動議の説明を終わります。
  59. 井上一成

    井上委員長 以上で趣旨の説明は終わりまし  た。  採決いたします。  村田吉隆君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。      〔賛成者起立〕
  60. 井上一成

    井上委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。二見運輸大臣
  61. 二見伸明

    二見国務大臣 ただいま船員法の一部を改正する法律案につきまして、御熱心な御審議の結果、御可決をいただき、まことにありがとうございました。  また、附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、運輸省として十分努力をしてまいる所存でございます。  ありがとうございました。     —————————————
  62. 井上一成

    井上委員長 お諮りいたします。  本案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 井上一成

    井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  64. 井上一成

    井上委員長 次に、内閣提出参議院送付国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等による国際観光の振興に関する法律案を議題とし、審査を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横内正明君。
  65. 横内正明

    ○横内委員 自由民主党の横内正明でございます。提案されておりますいわゆるコンベンション法案につきまして質問をいたします。  法案に関する質問に先立ちまして、国際観光行政をめぐる幾つかの問題点について、まず運輸省の御見解をただしたいというふうに思います。  言うまでもなく、国際観光というのはアウトバウンド、インバウンドという二種類があるわけでございます。アウトバウンドというのは日本人が海外に行く、日本人の海外旅行客ということでございまして、これにつきましては、運輸省がおやりになっておりますテン・ミリオン計画というものの成果もありまして、近年急増してきております。平成五年時点で千二百万人の日本人が海外に旅行をしているということでございます。  一方で、もう一つのインバウンドというものがございます。これは外国人の日本観光客ということでございますが、この外国人の日本観光客につきましても、近年着実に増加をしてきておりますが、平成五年時点でその数は三百四十万人と、日本人の海外旅行客に比べましてまだ三分の一という水準でございます。外国人が日本に来るということは、親善、相互理解という観点からこれを促進すべきものだというふうに思いますので、この法律の基本的な方向については結構なことというふうに思うわけでございます。  ところで、近年の我が国へ来る外国人旅行客の内容について非常に大きな変化が生じているわけでございます。要するに、アジア人のシェアが増加をしてきているということでございます。十年前の昭和五十年代におきましては、外国人旅行客はアジア人が五〇%、ヨーロッパ人、アメリカ人といった白人が五〇%ということでございました。しかしながら、平成年度状況を見ますと、アジア人が六二%、アメリカ、ヨーロッパといったいわゆる白人は二五%という水準に落ちております。こういうふうにアジア人のシェアが増大をしているわけですが、このアジア人のシェアというのは恐らく今後さらにこれは増大をしていくであろうというふうに思うわけでございます。  といいますのは、現在、このアジア人の中で日本に観光しておりますのは、韓国人、台湾人が圧倒的でございますけれども、それ以外のアジアの各国、フィリピンとかマレーシアとかインドネシアといった国におきましても、経済がテークオフをし、国民の所得が高まってくるにつれて、当然日本への観光客はふえてくるということでございますので、今後、アジア人の観光客が増加するこ とは、これは火を見るより明らかだろうというふうに思うわけでございます。それに対して、日本行政が対応できているかといえば、必ずしも十分ではないという点が幾つかあるのではないか。その代表的な例といたしまして、国際観光振興会の海外事務所というものの配置が必ずしも今のそういった観光の実態に対応していないというふうに思うわけでございます。  国際観光振興会は、海外に十六カ所の事務所を持って、我が国の外国人が国内へ来る観光についてのいろいろな相談とかPR等をしているわけでございますが、その十六の海外事務所のうち、アメリカ、ヨーロッパは十カ所、アジアは、バンコク、香港、ソウル、三カ所ということでございます。台湾につきましては、我が国は国交がありませんので、日本観光協会が別途事務所を持っているということで、それを入れても四カ所ということでありまして、十六のうち四カ所しかアジアにはない。これはやはりアメリカやヨーロッパ偏重、アジア軽視というふうに言われても仕方がないのではないかというふうに思うわけでございます。  ということで、御質問でございますが、外国人観光客の中でアジア人の占める比重が増加をし、また、今後ともその増加が見通される中で、国際観光振興会の業務体制、特に海外事務所の配置の問題について見直しをする必要があるのではないかというふうに思いますが、運輸省の御見解をお聞きしたいと思います。     〔委員長退席、緒方委員長代理着席〕
  66. 豊田実

    ○豊田(実)政府委員 お答えいたします。  今お話しのとおりでございまして、我が国を訪れる外国人の旅客数というのは全体として非常にふえているのですが、特にアジア地域からの旅客数はここ十年間では二倍になるというような状況でございます。先ほど数字が出ましたが、そのウエートも実に六二%ということで、御指摘の事実がどんどん進行しているということでございます。  私ども国際観光振興会も、こういうような状態につきまして、当然ながら、状況の変化というものを十分頭に置きまして、観光振興会そのものの組織であるとか業務、予算、全般について目下改革を進行中でございます。今回、この国際会議というものについて、国際観光振興会の従来持つ組織等を十分活用しながら、誘致について力を入れていくということについては、今申したいろいろな情勢の変化をとらえながら、仕事自体の見直しということを求める一環でございます。  今お話しのように、同時に、世界にネットワークを張っております事務所、昨年まで全体で十六カ所ということですが、本年度の予算では、そのうち一カ所を廃止しまして、中央に誘致センターを置くというような業務改革を進行しております。それから、今アジア地区に三カ所ございますが、この辺につきましても、長期的にはいろいろ工夫していく必要があるのではないかと考えております。
  67. 横内正明

    ○横内委員 二点目でございますけれども日本国内で外国人がひとり歩きをする、一人で歩く、そういう環境整備といいますか、条件の整備がまだ十分整っていないということが言われます。  これは古くて新しい問題でございまして、外国人が国内を歩く場合に、ローマ字表示の案内標識が少ないとか、あるいは簡易な案内所的なものが非常に少ないというようなことがかねてから言われているわけでございます。そういう意味で、日本国内での外国人が旅行するのに便を図るためのいろいろな環境整備というものは、いろいろな施策が既に行われているわけでございまして、観光白書を見てもいろいろなことが書いてありますけれども、しかし、まだ不十分ではないかというふうに思います。  例えば道路標識なのですけれども、これも白書で見てみましたら、交差点に案内標識がありますけれども、あれは五一%がローマ字表示になっていると。例えば、真っすぐに行くと東京、右に行くと大阪とか、それはみんなもうローマ字表示になっている。五一%なっているというのですが、考えてみると、外国人旅行客が日本で車を運転するなどということはもう極めて限られているわけで、むしろそれよりもやはり歩行者用の案内板、案内標識、この充実が必要ではないかというふうに思うわけでございます。  そのためには、もちろん道路行政という観点からの案内標識の整備も必要なわけでございますが、やはり、観光行政として運輸省が指導をして、各地方公共団体、市町村が案内標識、歩行者用の案内板を整備していくことが必要ではないかというふうに思います。また、JRとか私鉄、バス等の中での案内も当然のことでございます。  しかも、こういうものはばらばらではだめでして、例えば東京都のそういう案内板の規格と大阪の規格がばらばらでは、これはどうしょうもない。やはりこれはある程度全国統一した規格なり基準なり、そういうふうなものを国が提示をして、自治体がそれに則して整備をする。これこそまさに国がそういったものは示してやる必要があるのではないか。ばらばらな規格ですと、これは外国人から見れば非常に見にくいということになりますから、これこそ国がしっかりとやるべき分野であろうと思うわけでございます。  そんなことで、現在、観光政策審議会で、今後の観光政策のあり方ということで来年の七月をめどにいろいろと基本方針について議論をしておられるというふうに聞きますが、やはり外国人旅行者が日本国内でひとり歩きができるような、そういう環境整備については、いつまでもこれを問題としてほっておくのではなくて、この際、例えば五カ年なら五カ年という計画を立てて、運輸省だけではこれはなかなかやりにくいと思いますが、運輸省なり自治省なり建設省、そういう関係省庁が一緒になって、ひとつしっかりした計画を立てて推進をするということをぜひこの審議会の議論の中でも取り上げて、抜本的な対策を打っていただきたいというふうに思いますが、これについて御見解を伺います。
  68. 豊田実

    ○豊田(実)政府委員 外国の方が来た場合にひとり歩きができるようにということについては、私どももかねてからいろいろ努力をしてきております。具体的には、今お話にありましたように、各地域が取り組むに当たっての基本的なやり方等についてのマニュアルを、運輸省としまして、昭和六十二年ですが、国際観光振興会に取りまとめてもらっております。これをとりあえず各地方公共団体とか交通機関等に配布しまして、いろいろ努力していただいております。  標識そのものの充実と同時に、外国人向けの案内所を積極的に設置してもらうとか、あるいは総合案内板というようなものを、細かい数字になって恐縮でございますが、スタート時点、案内板二百九十七、これは全国でございますが、それが現在、昨年でございますが、千百二十二カ所にふえております。また、案内所の方も三十カ所から八十カ所へというようなことで、各地方公共団体の御協力を得ながら、一歩一歩進んでまいってきております。  ただ、今お話しのように、いろいろ道路標識等、各部門、もう少し総合的に見直すといいますか、進める必要もありますので、お話しの観光政策審議会、これはいろいろな方に参画していただいておりますので、この場面を通じましてさらにより充実したものにしていきたいと考えております。
  69. 横内正明

    ○横内委員 それでは、法案に関連した御質問を幾つかさせていただきたいと思います。  第一点の目標でございますけれども運輸省の御説明によりますと、現在世界じゅうで行われている国際会議のうち、日本で開催されている会議数の比率というのは三%である。この法律を運用することによって、目標としてはこれを五%ないし六%ぐらいまで引き上げていくという意欲的な目標を立てておられるというふうに聞いております。  それは結構なことなんですが、目標は、もちろんその期限がはっきりしておりませんと、これは 目標にならないわけでございます。現在の三%という日本のシェアを五、六%に上げていくというのは、大体いつごろをめどにこの施策を推進することによって上げていくのか、その辺をちょっと伺いたいと思います。
  70. 豊田実

    ○豊田(実)政府委員 通常の公共投資等の計画とは違ったものなので、確定的な期限というものはないのですが、一応五年ないし七、八年と申しますか、私どもとしては二十一世紀初頭までにはその辺まで持っていきたいと考えております。
  71. 横内正明

    ○横内委員 次に、二点目の質問でございますが、この法案では市町村を対象としておる。この法案の中を見ましても、都道府県という言葉は一つも出てこない。市町村の申請に基づいて、運輸大臣が国際会議観光都市を認定する、それで国際観光振興会がその都市に対していろいろな情報の提供とかそういうサービスをしていくという立て方になっているわけでございます。  ただ、市町村というのは、言うまでもないことですが、規模ももちろん、したがって行政能力も極めてまちまちでございまして、極端を言うと、人口三百万の横浜市もありますけれども、一番小さいのは八丈・青ヶ島村の二百人とか、まあ八丈・青ヶ島村が国際会議をやるとは思いませんが。しかし、そうはいっても、この施策の対象となる市町村としては、政令指定市、県庁所在都市、それから人口十万ないし二十万ぐらいの都市というのが大体対象になるだろうと思います。そうしてみますと、相当その行政能力に差があるわけでございます。そうすると、なかなかそれを市町村ということで一括をして運輸省なり観光振興会が対応していくというのは、これは無理があるのじゃないかというふうに思います。  私も公務員をしているときに広島県庁に出向しまして、部長をしておりまして、こういったコンベンションの誘致というようなことにも多少携わったことがあるのでございますが、政令指定都市はもう都道府県のあれを受けなくても自分で全部できますが、人口十万、二十万ぐらいの都市になりますと、相当程度都道府県がバックアップをし、関与をし、調整をし、支援をしてやらないと、なかなかこういう行政というのはできにくい。余り日常的な行政ではないですからね。やはり相当知恵を要する、しかも広域的な調整を要する仕事なんです。  例えば、ある都市で国際会議をやるといった場合には、宿泊施設とかホテル、そんなものはとてもその町では間に合いません。したがって、かなり広域的に探し、調整をしてやる必要があります。それから、アフターコンベンションなどといって観光をするわけですが、それもかなり広域的に調整をしてやる必要があるわけでございます。そういたしますと、やはり都道府県が相当前面に出てこないと、こういう知恵を要する、余り定型的でない行政についてはうまくいかないということが、私の実際した体験でございます。  そういうことからして、この法律が都道府県を一切かませないというのは、ややこれは問題があるのではないか。やはり法文上、例えば市町村が運輸大臣申請をするときには協議をするとかあるいは都道府県を経由させるとか、そういう都道府県がしっかりとかむような担保を法律上もすべきではなかったかというふうに私は思うわけでございます。  しかし、そうはいっても、今直すとかいうわけにはいきませんから、そこまでは求めるつもりもありませんが、運用上、県が相当程度これにしっかり関与をしていく、市町村が表へ出るのはいいのですが、半分ぐらいは責任を持ってやっていくという体制でないと、運輸省さんがお考えになっているようなものは現実論としてなかなか進まぬ。振興会がいかにすばらしい情報を流し、サービスをしても、十万、二十万の都市ではそれを十分受けるだけの対応ができないわけですね。したがって、都道府県というものがそこにしっかりかむような体制にしていく必要があるというふうに思っているわけでございます。  同時に、都道府県の場合には、こういう国際観光について、今市町村に対するいろいろな補助制度を持っております。したがって、都道府県がしっかりかめば、そういう都道府県が持っている単独事業の補助制度もこういうものに集中的に回していけるということがありますので、運用でやっていただくわけですが、そういう県の関与について、ひとつお考えを伺いたいと思います。
  72. 豊田実

    ○豊田(実)政府委員 お答えいたします。  今回の国際会議に当たりまして、御指摘のとおり、市町村というのを一つの単位として、私どもいろいろな行政を進めるということになっておりますが、これは実は市町村自体、かなり国際会議、国際コンベンションの誘致活動というのを既にやっている市も多くて、通常、コンベンションビューローと称しておりますが、その運営の組織体を市単位で設立しているという状況を踏まえながら、私ども対応をしたわけです。  今先生お話しのように、このコンベンションビューロー自体は市単位でできていますが、当然ながらそこで活動するに当たっての財政面の支援とか人材面、これは各県ともかなり力を入れていただいております。私どもも県を無視して市町村とだけ共同でやるということではなくて、むしろその地域全体としての総合的な魅力というものを出していただくということを前提にして、窓口をそういう意味で市に置いたというだけで、全体としては県も当然ながら一緒にやっていただくということでお願いしているところでございます。     〔緒方委員長代理退席、委員長着席〕
  73. 横内正明

    ○横内委員 三点目の御質問でございます。  国際観光振興会がコンベンション情報を収集して市町村、とりわけこの国際会議観光都市に流すということになるわけです。それがこの法律の主たるねらいの一つであるわけですが、そのことが市町村の国際会議の誘致競争を過熱させて、かえって好ましからざる事態を招くということもあるわけですね。混乱をするということがあるわけです。  振興会が誘致センターとかそういうものをこの際つくる、人員配置も相当入れるということで、情報を収集していきますよね。それで、当然振興会には働いてもらわなければいけませんので、一生懸命働いてもらって、質の高い、できるだけ詳細な情報を集めていただく必要があるわけです。それで、そういう情報を市町村に流す。市町村は、当然のことながら、現在はどうやっているかといえば、本当に手探りで、いろいろなコネをたどったりしながらそういった国際会議の情報をとり、誘致活動をしているわけですから、振興会がそういう質の高い情報を流してくれれば、これは大変ありがたいということになるわけなのです。ただ、やはりそういう情報は振興会から各市町村、国際会議観光都市に、三十とか四十ありますが、それに流されるということになりますと、これは当然誘致競争を過熱させることになるわけですね。もう明らかなのですからね、どういう国際会議がいつごろ、そろそろ日本で開かれそうだとか、そういうことがはっきりするわけですから。そうすると、これはやはりいろいろな混乱をもたらしていくのではないかなというふうに思うわけです。  一つは、やはり大きな、力のある都市が投網でとるようにばあっと国際会議を持ってきてしまう。交通が便利で財政力も豊かで魅力のある都市ですね。県庁所在地なんかそうなのですが、そういうところが国際会議を集中的に誘致をしてしまって、結果的に小さい都市には回ってこないということが起こり得るわけですね。  それからもう一点は、いわゆる過剰サービス、出血サービス競争といいましょうか、私はこれは自治体にいて経験をしたことがあるのですけれども、例えば交通費の一部を負担しますとか、それから会議費の一部は持ってもいいですとか、アフターコンベンションは大いにこういうことをやりますとか、パーティーは毎晩開きますとか、そういうことを自治体がやる。そうすることによって誘致をしてくる。中にはいわゆるブローカー的な人が出てきまして、ブローカー的な会社なりが出 てきて、こういうことをやってくれれば相手方にひとつ話をつけますよとか、そういうことも出てこないとも限らないというふうなことは、私の経験としてあるわけでございます。  しかし、そうはいっても、振興会が情報を出すときに、特定の都市には情報を出さないとか、あるいはもう振興会が配分をしてしまうとか、それもまたこれはできにくい話でございます。そういうふうに振興会が働けば働くほど競争を過熱させる面もあるのですが、その辺についてどういうふうに混乱が起こらないように調整をされるのか、御意見を伺いたいと思います。
  74. 豊田実

    ○豊田(実)政府委員 お答えいたします。  冒頭申し上げましたように、今回この法案の目指すところは、全体として会議の数をふやしたいということが第一目標でございます。さらに、私ども従来の実績を見ますと、やはり何といっても東京が中心になってしまう、少ない数の中でさらに東京に集中しているというような事態がございますので、この辺については、むしろ全国各地域の特色を国際的にも理解してもらって、積極的に各地域に誘致したいという基本的な考え方で臨みたいと思います。  今お話しの、各都市の競争という場面が予想されるという御指摘ですが、私どもとしては、会議もいろいろな種類の会議がございます。これまでも、例えば釧路市でラムサール条約の会議がございますとか、あるいは前橋で温泉シンポジウムがあるとかというように、むしろその地域、地域の特色を生かした会議に来ていただくというようなことで、ですから、私どもは国際的にいろいろな地域をもちろん平等に紹介というか、理解してもらうように努力しますが、そのとき、単なる市の名前だけじゃなくて、その市がどういう特色を持っているかというようなことをその会議の予定者に提供して、むしろそういう地域の特色を選んでいただくということで、全体としての会議の開催を平準化するように努めたいと思っております。
  75. 横内正明

    ○横内委員 ただいまの局長答弁で果たしてうまくいくかどうか、自治体のそういう競争というのは非常に激しいものがあるだけに、うまくいかない。しかし、なかなか答えにくい問題でもあると思うのですが。  やはり一番いいのは、そういう国際会議観光都市というようなものが指定されましたら、当然そういうものの協議会とかそういう団体ができるのでしょうから、そこでしっかりした自主規制基準的なものをつくって、相互のそういう譲り合い、自主規制でやっていく必要があるのだろうと思うのですね。その辺はそうなってくるのだろうと思います。  次の質問に入らせていただきます。  四点目ですけれども、認定された都市から負担金を取るというふうに運輸省考えておられるわけでございます。国際会議観光都市に認定をした場合には国際観光振興会に対して負担金を納めてもらうということで、これは法律には書いてありませんけれども、そういうことで話が進んでいるというふうに聞いております。  それで、現在、運輸省行政措置でやっている国際コンベンションシティー、これについては、指定された場合には、政令指定市で年間五十万円、その他の市で年間三十万円の負担金を振興会に納めてもらうということをやっておられると聞きました。そして、この法律に基づいて今度は国際会議観光都市を認定するわけですが、その場合には政令市については年間五百万円、その他については年間三百万円の負担金を払ってもらうということにしたいというふうに聞いております。したがって、十倍に値上げをするということでございまして、ちょっとその十倍の値上げというのは大き過ぎるのじゃないかという気もしなくもないです。しかし、そうはいっても、やはり非常にメリットを受けるわけですから、そのメリットの程度に応じて経費の一部を負担させる、また振興会にしてみれば特定の市町村に対して特定のサービスをやるわけですから、やはり何らかの負担を一部させるというのは、それはそれでやむを得ないことだというふうに思うわけでございます。  ただ、こういう政令指定市五百万、その他三百万という額については、ちょっと荒っぽ過ぎるのじゃないかという感じが、三十万、五十万という段階ではいいのですけれども、五百万、三百万となると、ちょっと荒っぼいのじゃないか、そういう印象を受けるわけでございます。政令市にとっては五百万というのは大した額じゃないわけです。しかし、人口十万、二十万ということになりますと、やはり年間三百万の負担というのは相当大きい負担になります。そこは、やはり当該市の負担能力みたいなものをもう少し配慮する必要があるのではないかというようなこと。  それからもう一点は、一律、例えば三百万なら三百万というのもどうだろうかなというふうに思います。この認定を申請する市町村は当然これは認定してもらいたいわけですから、三百万納めろよと言えば、はい納めます、こう言うと思います。しかし、やはりその振興会のサービスのメリットを受ける程度に応じてやるとか、例えば、実際実現した国際会議会議の数に応じてある程度負担金を変えるとか、あるいは振興会から具体的なサービスを受けた、そのサービスの程度を勘案してその負担の額を考えていくとか、そういう市町村の負担能力なりあるいはその受益、メリットの程度に応じた多少さめ細かい額の決定がないと、五百万、三百万というのはちょっと荒っぽいのじゃないかという感じがいたしますが、この点についてはいかがでございますか。
  76. 豊田実

    ○豊田(実)政府委員 まず、認定そのものとこの負担金と申しますか協賛金との関係は、特にリンクしておりません。私ども、いわば協賛金として一定の金額をお願いしているのは事実ですが、要は、先ほど先生からお話がありましたように、全体として、日本の各都市が共同で海外のそういう市場にパンフレットを配ったり、あるいは専門誌に広告を出す。だから、一市一市が出すというよりは全体として、共同として出すという形を共同事業としてやりたいと考えております。  そういう意味で、協賛金という形で、これも確かに事業の内容をよく御説明した上で、その協賛金を出しても十分、一市でやるよりは効果のあるということを御理解いただくことがまず第一かもわかりませんが、そういった意味で、決して協賛金がむだな使途に使われるということじゃなくて、それがよりいい形で十分効果が出るように使うということだろうと思います。その辺を十分御理解を得ながらやるように指導いたします。
  77. 横内正明

    ○横内委員 それからもう一点、多少テク二カルな質問なんですが、指定寄附になって、それで振興会に寄附をさした、それを財源として国際会議の主催者に交付金を交付するという体系になっておりますね。その場合の国際会議の要件というのはどんなふうに考えておるのか。  これは考えてみるとなかなか難しいですよね。国際会議でも、本当にそういう免税対象にしていい国際会議とそうでないものというのはなかなか難しくて、例えば特定の宗教団体がやるような国際会議を支援するわけにもいかぬでしょうし、それから、例えば非常にビジネス的な会議とかそういうのもやはりまずいんじゃないかという気がします。その辺は大蔵省と協議をしておられますから抜かりはないのかもしれませんが、簡単でいいですから、ちょっと一言。
  78. 豊田実

    ○豊田(実)政府委員 御指摘のとおり、特定公益増進法人という制度は、まさに公益の増進に著しく寄与するものという限定で税法上の特例を設けられておるわけです。これは、具体的なあれはこれから税務当局と詰めることになりますが、今お話しの営利的とかビジネス的なコンベンションについては、誘致そのものはお手伝いしますけれども、こういう税法上の特例は考えておりません。
  79. 横内正明

    ○横内委員 なお幾つかありますが、時間が参りましたので最後大臣に一言あれですが、この法案の必要性は認めるのですけれども、多少不満が残る面がありますのは、もう少し幅広いあれがあってもいいのではないかという気がするので す。  例えば、国際会議ということだけではなくて、外国人の来訪、日本人との相互交流を促進するチャンスであれば、国際会議でなくても見本市でもいいだろうし、博覧会でもいいだろうし、国際的なスポーツ大会でもいいだろう。そういうものにだって同じようにやはり助成をしてもいいんじゃないかという気がいたしますし、それからさらに、国際観光という観点でなくても、例えば青少年の研修旅行とかそういうふうなものでもいいんじゃないか。運輸省という枠を外れますから難しい面もあるのですけれども、やはり将来的には、今自治体が非常に熱心に進めている国際的な民間交流みたいなものが、全国の自治体が非常に熱心に始めておりますが、そういうものにそろそろ国が税制上、その他の支援をする段階に来たんじゃないかという気が私はしております。  そんなことで、国際的なそういう交流を促進する総合的な立法を、将来的にはやはりそういうものを目指していくべきではないかというふうな気がしているわけでありますが、最後大臣にその辺をお伺いしたい。
  80. 二見伸明

    二見国務大臣 委員が冒頭に、日本人で海外に行くのが千二百万、来るのが三百四十万というお話がありましたですね。例えば日米の間は、五百億ドルの貿易赤字、向こうが赤字で日本が黒ですね。観光収入を見ますと、観光だけに限定すると日本が百億ドルの赤なんですね。そういうことを考えると、私は、今回の国際コンベンションというのは非常に大事だなというふうに思っております。  先生の、これから国際交流促進法をつくろうじゃないかという御構想を私は否定するものではありません。しかし、この法律をまず動かして、実績をつくりながら考えていってもいいんじゃないかというふうにも考えておりますので、まずこの法律でちょっと動かしてみたいなというふうに思っております。
  81. 横内正明

    ○横内委員 以上で質問を終わりますが、質問の中でこの法律の運用について幾つか御要望を申し上げましたので、ぜひそんな点に十分御高配いただきながら、ひとつ運用に適正を期していただきたいというふうにお願いを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  82. 井上一成

  83. 山崎泉

    山崎(泉)委員 本法案要綱第一に、「目的」というものがありまして、ここには、外国人観光旅客の来訪促進を通じて国際間における相互理解の促進を図ることというようなことがあります。まさしくこの目的、重要なことであるというふうに思います。  先ほども出ておりましたが、今、円高の影響もありましてか、我が国を訪れる外国人の数は減っておりますが、逆に日本人の海外渡航者はまたふえておるみたいでございます。国際会議開催件数も世界の三%という状況は、数字があらわしておるとおりであります。  内容的に見ますると、国際コンベンション開催状況、九二年度統計によると、八千七百三件のうちにアメリカでは一一%、九百八十二件、日本は十位の二百四十八件、三%。都市別でも、パリが四百七件、京都が三十九件、これは○・四%。大阪は十三件、千葉で十二件、名古屋で十二件、こういう状況になっておるみたいであります。現在、我が国のこういう国際会議を開催できるような大型施設は二十以上が建設をされておるみたいでありまして、今後さらに、宮崎市にワールドコンベンションセンター、その他五年以内に福岡、別府など十八カ所に大規模な施設が計画中であるというふうに聞きます。  そこで、お伺いをいたしますが、今日までの対策と今後の対応ということで、運輸省は昭和六十三年から全国三十四都市を国際コンベンションシティーとして指定をしております。が、新聞等を見ますると、果たして実効があったのか、国の措置は何もなかったのではないかというふうに批判を掲げた新聞もあります。  具体的に、運輸省はこれまでどのような推進、支援策を図ってきたのか、お伺いをしたいというふうに思いますし、また本件法律の十四条、「国等の援助等」では、主催者に対し、国際会議等の誘致促進、開催の円滑化の措置に関し「助言、指導その他の援助を行うよう努めなければならない。」こういうふうにありますが、具体的に何を行おうとしておるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  84. 豊田実

    ○豊田(実)政府委員 お答えいたします。  今お話しのとおり、昭和六十三年に国際コンベンションシティー制度というものをスタートしまして、全国三十四の都市が今この国際コンベンションシティーとして動いておるわけです。この制度は、外国においてそれぞれの市のPR、情報提供をするということが一つと、それから、国際会議をやるに当たって運営母体といいますか、運営の組織が必要でございまして、コンベンションビューローと称しておりますが、その組織のスタートに当たりまして、やはりこの国際会議専門の人材を養成するということを経験の深い国際観光振興会等が御支援申し上げてきたということでございます。  スタートはそういうことでございますが、今回法律を新たにお願いして、この指定制度に流れてきた仕事そのものを大幅に強化し、先ほど申しましたように当面国際会議を倍増させたいということでございますが、具体的にどういうことをこれから進めるかという中で、一つはやはり誘致そのものが非常にまだまだ十分ではないということで、各都市と共同で対外的ないろいろな日本の都市の情報を提供すると同時に、国際会議の動向、これを各都市に常時流すということ。それから、誘致が決まった場合に開催費用というのがかなり大きな課題になるわけですが、この調達に当たって、先ほど税制上の優遇制度を別途お願いしてございますが、この制度を活用して開催費用面で支援をする。それから、実際動き始めて運営するわけですが、そのとき、先ほど申しましたように、かなりこれまでも人材養成ということでお手伝いしてきておりますが、大型の国際会議等いろいろな種類の国際会議がこれからふえますので、その辺の運営のノウハウにつきまして、さらに一層関係者協力して御支援をするというようなことで、私ども国際観光振興会だけではなくて、関連した通訳案内業とか、あるいは各交通機関、いろいろな機関が国際会議を支えるわけなので、その辺を総合的に支援体制を確立するということが今回の法律の大きな目的でございます。
  85. 山崎泉

    山崎(泉)委員 先ほどの方も、経験に基づいて、大丈夫だろうかという危惧の念を持った質問をなさっておったみたいでございますが、毎年この国際会議はふえていくだろうというふうに思いますし、先ほど申しましたように、我が国もどんどん大きなものが今後も建設予定であるわけであります。したがって、やはり都市間、施設間の激しい競争が予想をされます。  したがいまして、この法案によって国際観光都市として指定された都市間または指定以外の市町村、都市への誘致の割り振りを振興会、政府、どのような基準によって行うのか。先ほどの場合は若干説明はされておりましたが、その辺をもう一度お聞かせを願いたいというふうに思います。
  86. 豊田実

    ○豊田(実)政府委員 お答えいたします。  国際会議誘致そのものについて今回この法律の制度で御支援申し上げるということで、国際観光振興会もそういう意味ではいろいろな意味でお手伝いするという立場でございまして、国際会議そのものを割り振るというような機能は持っておりません、持っ予定もございません。ですから、最終的には各市町村がこの会議を誘致したいと決定していただいた上で、それをいろいろな意味で応援するという仕組みでございます。  ただ、お話しのように、一つ会議をめぐっていろいろ競合するという場面があるいは出てくるかもわかりませんが、先ほど申しましたように、むしろ日本金体として会議をどんどん誘致するということで、各都市共同で対外的な活動をすると いうことで、いわば国際会議観光都市が一つのグループとして一体感を持って当たっていただくというふうに私ども考え、またその方向で進めたいと思っています。  従来、国際会議の施設そのものが非常に不十分だったために、そういう対外的な宣伝でほかの国と比べて不利になっていました。そういう意味で、最近いろいろな都市に本格的な国際会議場ができてきていますので、私どもこの辺を十分使って対外的なPRに力を入れていきたいと思っております。
  87. 山崎泉

    山崎(泉)委員 簡単にお伺いしますが、現在の振興会に運輸省のOBの方が再就職をなされているのですか。
  88. 豊田実

    ○豊田(実)政府委員 現在、国際観光振興会、役員は会長一名、理事五名、監事二名と、計八名いますが、そのうち会長と理事一名、計二名が運輸省出身者でございます。
  89. 山崎泉

    山崎(泉)委員 行革審の中で特殊法人の見直しというのも検討されて、この振興会もそういう検討の対象になったというふうに私自身は聞いておりました。もしも間違いであれば間違いだったというふうに指摘してほしいのですが、私はそういうふうに聞いております。  今おっしゃられたように、この中にはOBの方がおられます。そうすると、先ほどの質問と関連するのですが、開催の割り振りはしない、情報を流す、こういうふうなことですが、私そこら辺が一番心配なのですよ。OBの方とつながったそういう都市とか、市町村とか、施設とかに恣意的に、できないのに振興会の方が力をかすとか、そういう部分があるのではないかなというふうに危惧をするわけでありまして、どうか、この法案の運用と振興会の活動については厳正なきちっとした対応をぜひやってほしい、こういうふうに思います。それを強く申し入れておきたいというふうに思いますが、そこら辺についてお考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  90. 豊田実

    ○豊田(実)政府委員 国際観光振興会、組織そのもののあり方について、お話しのようにいろいろな場面で議論されているのは事実でございます。  私どもとしましても、やはりこの組織が地域の方々も含めまして今何を期待されているかということを十分考えた上で、それに合う組織なり人材の養成をするということで努力しておるところで、今回国際会議の誘致について一つの大きな仕事の柱にするということも、やはり各地方公共団体からの今の要請というのはその点が非常に強くなっているということを受けて、いわばリストラと申しますか、全体として拡大じゃなくて中身を切りかえるという方向で努力しています。また、実際の業務運営に当たっては、当然ながら、これは情報もすべて各都市オープンにしてやりますし、個々の運営についても批判の起こることのないように私どもとしましても指導をしていきたいと思います。
  91. 山崎泉

    山崎(泉)委員 次は、寄附についてお伺いをいたします。  今回、特定公益増進法人という扱いになったわけですが、寄附の扱い方をどのように行うのか、三点お聞きをしたいと思います。  特定の都市開催に対して寄附された場合、その寄附金はその都市に交付金として交付されるのか、それから指定都市開催のみを対象に寄附を受け付けるのか、三点目、指定都市以外に対する振興会からの交付金はあるのか、この三点について、お伺いします。
  92. 豊田実

    ○豊田(実)政府委員 第一点でございますが、特定の都市に交付金として交付されるのかという御指摘ですが、これはあくまで会議一つの固まりでございまして、市というよりは会議を主催する主催者に対して交付するという形になります。  それから、指定都市だけかということですが、これは会議自体のいろいろな応援も、指定都市は継続的にいろいろ会議場を抱えてやるということで回数は多くなりますが、それ以外の都市も、例えば五年に一遍姉妹都市との関係会議をやるというようなことは個別にお手伝いする、そのお手伝いの中身も、令言った税制上の優遇措置も伴う交付金制度も活用できるということになっております。
  93. 山崎泉

    山崎(泉)委員 最後になりますが、私は、日本の今日までの産業立国一辺倒から今度は観光立国という目標に立って今回の法案ができたのではないだろうかな、こういうふうに理解をしておるわけでございまして、先ほど大臣答弁なされました貿易摩擦との関係であります。  私は、我が国は国際社会の中でいろいろと国際貢献のあり方について批判なり不満を言われておるということをよく聞きます。しかし、海外に対する技術援助や海外青年協力隊員など、これは五万人ほど日本人が外国に行っておりますし、そういう人的貢献もやっております。そしてまた、多額の国連の分担金も納入しております。国連加盟国百八十何カ国のうち分担金を納めているのは十四、五の国のみというふうに聞いておりまして、その中でも我が国は多額の分担金を納入しておる。そういう意味では、国際貢献に何もしない日本だというふうに言われるのは、私自身は心外であるわけです。そういうときに、この法案によって外国人をいっぱい受け入れて、我が国の本当の姿を見てもらうということはいいことだというふうに思います。  そこで、問題は貿易黒字と旅行赤字の関係であります。私は、貿易黒字を批判されるときは、この旅行赤字の方でこういうふうに貢献しているんですよというふうに堂々と声を大にして叫んでいいし、そういうふうに叫んできたと思うんですが、逆に今度こういう法案によってどんどん外国人に来てもらうと、そのバランスがじゃんじゃん縮まっていくわけですね。いいことですが、果たしてどうだろうかな、そういう心配は必要ないんだろうかなというのを私一人で心配しているんですが、どうでしょうか。
  94. 豊田実

    ○豊田(実)政府委員 お答えいたします。  日本人の海外の消費額が年間三百五十八億ドル、それに対して外国人の旅行者の日本での消費額が五十億ドルとかなり差があります。これは私ども日本人の海外旅行というのはこれからもどんどん力を入れていくつもりで、例えば最近アメリカとの間で随分いろいろ摩擦があるということですが、事観光につきましては、現在日本人がアメリカの方に行くのが年間三百五十万人、それからアメリカ人が日本に来られるのが五十万人、計四百万人ですが、これを西暦二〇〇〇年に向けて全体として倍増したい、八百万人にしたい。ということは日本人もふえるということで、この旅行収支の赤字はむしろ拡大する方向に向かうと思います。
  95. 山崎泉

    山崎(泉)委員 私の心配は不必要ですね。  これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  96. 井上一成

    井上委員長 寺前巖君。
  97. 寺前巖

    寺前委員 遅くまで御苦労さんでございます。  国際間の理解を深める立場から国際会議等の誘致、開催を積極的に図る等の措置を講ずるという点では、国際コンベンション法について基本的に異議を差し挟むものではありません。しかし、国際観光振興会への協賛金の問題など、私も幾つかの点で懸念される問題がありますので、それを聞きたいと思いますが、その前に、ことしの七月十六日から九月二十五日にかけて和歌山で開かれる世界リゾート博にかかわる問題について一言聞いておきたいと思うのです。  これは三月の県議会でも話題になっておりました。ここにこういう新聞記事が出ています。「関西国際空港の開港に合わせて和歌山市沖の人工島「和歌山マリーナシティ」を主会場に七月十七日から九月二十五日まで開催されるジャパン・エキスポ「世界リゾート博」で、主催者の和歌山県がゼネコンを三段階にランク分けをしたうえで、それぞれのランクに合わせて千二百万円−三百万円分の前売り券の購入と、同額の協賛金の提供を求めている」ということが、これは県議会で話題になっておりました。  ところが、県議会で話題になるだけではなくし て、運輸省の所管においてもやはりこれが話題になるわけです。このリゾート博は、和歌山県知事が会長になって世界リゾート博協会をつくって運営されています。この協会の名誉顧問に運輸大臣国際観光振興会会長などが就任し、また顧問として第三港湾建設局長や近畿運輸局長など運輸省の近畿の出先機関の長が就任しているということが書いてあるのですけれども、間違いございませんか。
  98. 坂井順行

    ○坂井政府委員 今先生指摘の顧問の就任については事実でございます。
  99. 寺前巖

    寺前委員 このリゾート博に第三港湾建設局がオーシャンプロムナードという名称で親水性の防波堤の直轄工事を行っています。この工事の発注総額と、この事業を請け負った企業の延べ企業数を明らかにしていただきたいと思います。
  100. 坂井順行

    ○坂井政府委員 御指摘の防波堤でございますが、和歌山の下津港毛見地区の埠頭あるいはマリーナの静穏度を確保するために計画、実施しているものでございまして、防波堤上に手すりなどを設けまして一般の市民が近づけますような親水構造としております。この辺は従来とは違ったものでございまして、御質問の防波堤工事は、昭和六十三年度から今年度まで七年間かけて行っております。直轄事業の総事業費は百十三億円、そのうち一億円以上の発注工事は三十四件、それから単一企業による受注件数が二十三件、それから共同企業体によるものが十一件で、受注しました企業の数は延べ四十六社となっております。
  101. 寺前巖

    寺前委員 昨年四月から七月にかけて、工事を発注した第三港湾建設局が、この工事を受注した企業に対してリゾート博へ二億数千万円の出資を要請したという話が持ち込まれているのですけれども、それは事実でしょうか。
  102. 坂井順行

    ○坂井政府委員 この世界リゾート博覧会に私どもの出先の第三港湾建設局が出展の要請を知事の方から受けましたが、受注企業に対して私ども直接出資の要請はいたしておりません。ただ、世界リゾート博覧会協会からの要請が実はございまして、出展を、防波堤の上でのいろいろな催し物といいましょうか、主としてこれは私ども運輸省第三港湾建設局、それから、その他海上保安庁も含めてでございますが、私どものPRも兼ねて人を呼び込もう、こういうことでございまして、そのためのいろいろなプロジェクト、アイデアを検討する段階で関係団体に博覧会の趣旨あるいは概要を説明したということは聞いております。説明に当たって誤解を受けたとすれば非常に遺憾でございますが、第三港湾建設局が直接出展の要請はいたしておりません。
  103. 寺前巖

    寺前委員 関係者の間では出資を要求したと言うたら出展だと言うし、要請ではなくして打診だと言うし、あるいは個別企業がと言うたら業界だと言うとか、私の部屋でも関係者に調べてみたら、言いわけはいろいろありますけれども、今もお話があったように、誤解があるとすればという言い方になってくる。結局、事業を発注しているところがその関連企業体に対して、おい、金出してくれや、こういう話をその過程でやったら、それは誤解を生むのは当然であって、そういうことはやってはならない話ではないだろうかなと私は率直に感ずるわけです。  官庁がやる場合に、地方自治体がいろいろな事業をやる、協力してやる、これは非常にいいことだと思うんです。しかし、協力もそこまでいってしまうとその地位利用ということになってしまうんじゃないだろうか。私は、これからコンベンションの法律をいろいろやっていかれる上においても、国家側のやる事業と自治体の事業、その関連性においては十分配慮していかなければならぬなというふうにこの話を聞いたときに感じたものですから、あえてこの場で問題を提起した次第です。  大臣にお聞きしたいと思いますけれども運輸省が発注をされる企業体に対して、どんな形であれ金を出してもらおうという話をしたならば、それは事業と関連をしてくることになるんじゃないだろうか、私は気になるので、大臣はこの問題についてどういうふうにお感じになるのか、聞きたいと思うんです。
  104. 坂井順行

    ○坂井政府委員 この防波堤は、御案内のように、人を呼び込むといっためにつくった防波堤でございます。たまたまこの周辺で世界リゾート博覧会が行われる、こういうことでございますものですから、我々もこの際、運輸省、我々のやっている仕事をその防波堤の上でPRをさせてもらえれば非常にいいというふうに考えまして、恐らく地元の方でいろいろな案を、多分二案、三案、四案いろいろつくったんだろうと思います。  その過程で、今申し上げました先生が御指摘いただいたような、特にその防波堤をつくっておる人たちを対象に云々ということではもちろんないと思いますが、それに類するようなことはあるいはあったといいましょうか、直接要請はしておりませんし、今まさに始まろうとしておるわけでございますが、当初いろいろ考えた過程の中で、御指摘のような誤解を受けたようなことがあるいはあったかもしれません。そういうことがありとすれば、私自身も非常に残念、遺憾に思っておりまして、今後こういうことにつきましては十分疎漏のないような対応をして、いわゆる常識的な判断をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  105. 二見伸明

    二見国務大臣 ただいま港湾局長答弁したとおりでございまして、これからも誤解を受けるような行動は厳に慎んでいかなければならないというふうに考えております。
  106. 寺前巖

    寺前委員 そこで、今回の立法によって、比較的情報力や実績等で劣る地方都市へのコンベンション誘致が従来より一層保障されることになるんだろうか、これは私、ちょっと心配しているところなんです。地方都市の場合には、年にそんなにたくさん国際コンベンションをやるということが中心にならないだろうと思う。それだけに国への頼みが多いわけですけれども、これは果たして、それだけの責任を負う事業をこの振興会が担うことができるんだろうか。  そうすると、実はそこには一定の振興会への協賛金を出してもらわなんだら、事業をうちの方はできませんのでなということで、かなりの額の協賛金を取ることになるわけでしょう。そうしたら地方自治体としてはしんどい話だな、私はそのジレンマが生まれてくるだろうというふうに思うんですが、その点について、どういうふうにお考えになっているんだろう。
  107. 豊田実

    ○豊田(実)政府委員 お答えいたします。  今回の法案の目的は、全体としての国際会議の数をふやすと同時に、各都市、東京だけではなくて、各地方のいろいろな都市の特色を生かした国際会議を誘致したいというふうに考えております。  これまでもお話し申し上げましたように、国際会議観光都市の認定どこの協賛金と申しますか、それとはリンクしておりませんで、それとまた協賛金そのものの使い方と申しますか、先ほどちょっと御説明しましたように、日本の都市が一部市ごとに世界の市場でPRするというよりは、日本全体の都市が共同で、いわばそういう国際的な場面で専門誌に日本特集を組むとかいうような形でPRをしたい、そのための費用を分担していただくという形を想定しております。  したがいまして、それぞれ御負担いただく金額よりかなり全体として効果の上がる使い方、これはもう各都市の御理解を得ながらやっていくということだと思いますが、そういうように心がけていくつもりでございます。
  108. 寺前巖

    寺前委員 事業は自治体がやるんですから、自治体のその能力を発揮する場というのが、直接自分がとってきて事業を配分してやろうというわけじゃないんでしょう、自治体に対して。そうなると、高い金は取られるわ、果たして自分のところの役に立つようになるのかどうか、私、それちょっと、やはり疑問に感ずるんですよ。  もう一つ聞きたいんです。  国際観光都市の認定や国際観光振興会への協賛金の協力の有無にかかわらず、いかなる都市のコ ンベンションであっても、特定公益増進法人による税制措置の対象となることができるのかどうか。要するに、今でも大きな都市は直接やっているわけでしょう、指定都市をもらおうと、名前をつけようとつけまいと、その能力を発揮するために、関係をいろいろ利用しながらその力量を発揮さしていく。事業というのはそういうものだと思うのです。  ところが、今度この特定公益増進法人というのができてきて、そしてそこを通したら税金のかからぬ寄附をもらうことができる。この場合に、その都市が認定を受けているとか、あるいは協賛金でやっているとかなんかでなかったら、そういう世話は振興会はやらぬということになるのか、いや、従来どおり、力量を持っておられるところが直接おやりになることに対して、けちはつけません、安心してくださいとおっしゃるのか、そこはどうなっていますか。
  109. 豊田実

    ○豊田(実)政府委員 繰り返しになりますが、この法案の目的は、日本全体としてまず国際会議をふやしたいということで、なおかつそれを各都市いろいろな特色を生かして誘致をするということでございます。  御指摘のように、都市によっていろいろなれているところとそうでないところがあるわけですが、私ども、その辺は各都市の御要請に応じながら国際観光振興会のお手伝いをするということでございまして、税法上の制度につきましても、これは認定都市だけではなくて、先ほどもお話ししましたように、五年に一回やるとか十年に一回やる会議でも、この制度を使って観光振興会を応援するということになっております。
  110. 寺前巖

    寺前委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、最後に一言だけ大臣に、各都市に対する国際観光振興会への協賛金とか、そういうことについて強制力を発揮されないように、従来の自主性を尊重する立場に政府としては立っていただくことを要望したいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  111. 二見伸明

    二見国務大臣 強制力を発揮しないように指導してまいります。
  112. 寺前巖

    寺前委員 終わります。
  113. 井上一成

    井上委員長 本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  114. 井上一成

    井上委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等による国際観光の振興に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  115. 井上一成

    井上委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  本案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 井上一成

    井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  117. 井上一成

    井上委員長 大変遅くまで御苦労さまでございました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時二十三分散会      ————◇—————