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石井一君 御指名がございましたので、私から数点
意見を申し述べさせていただきたいと存じます。
まず第一点目は、
法案の
国会審議という問題でございまして、私自身
衆議院の
特別委員長としての任を仰せられました関係から、
衆議院での
審議状況もよく御存じであろうかと思いますが、基本的な問題としてまず御
理解をいただきたいと思います。
私
たち、委員会の実質
審議を始めましたのは十月十八日であります。そして、委員会での締めくくり総括、採決を行いましたのが十一月十六日でございますから、丸一カ月、三十日間をもって終了いたしました。
参議院に送付をいたしましたのは十一月十八日でございまして、本
会議の議了を経て、手続を経た後にお送りをいたしたわけでございます。
衆議院の
審議は、総括二日、一般
質疑十三日、中央・
地方公聴会四日、参考人の招致と、月曜日から金曜日まで、最低六時間、多いときには七時間、連続の
審議を続けまして、総
審議時間百二十八時間、安保、沖縄に次ぐ長時間の
審議を経た後に
参議院にお送りをいたしたわけでございます。
衆議院の
審議は、私は、整々粛々と秩序を保って行われたと確信をいたしております。ただ一度、
委員長職権による委員会の
開会を決定をいたしました。これは、私はその後理事会で謝罪をいたしましたが、しかしそれを決めたことは決めましたが、実際には
開会はいたしませんでした。
与野党の六者
協議なりその他の
協議を促進して、その次の日に委員会を
開会いたしたわけでございまして、我々の言葉で言います荷崩れをしたような形で
参議院に送ったというふうには何ら思っておりません。
本
会議の
議決は二百七十票対二百二十六票でございまして、四十四票の差が
衆議院でございます。先刻、
参議院で
否決されまして、十二票の差が大変大きいと。これは予想に反して大きかったわけでして、本来こちらは勝つつもりでおったことも確かでしょう。びっくりしたということもございますが、
参議院の十二票に比べて
衆議院の四十四票の差ということ、これはそのとき何の問題にもなりませんでしたけれ
ども、まことに注目していただかなければならない
衆議院の意思の決定であるということを申し上げさせていただきたいと思います。
さて、
参議院におきましては、皆様の方がよく御存じのことでございますが、十一月十八日に送付をいたしました後、本
会議、委員会、
公聴会等々、実質八十時間近い
審議をされたというふうに伺っております。しかしながら、その
開会をされましたのが、実質
審議に入りましたのが十二月二十四日でございます。私の方から送りましてから三十六日間、ほかに
理由があったといたしましても、放置されました事実、これはやはり大変大きな問題ではないかと思います。
私が十一月十八日に送付するときは、十二月十五日の会期の終わりということを念頭に置いておりました。
参議院には通常一カ月は差し上げなければ
審議ができない、これだと少し欠けてくると。数日間欠けてくるけれ
ども、しかし、まあ延長は二回できるのだから、十日程度の延長を一回してくれれば、
衆議院でやった百三十時間の
審議ができる時間を十分お与えして、私は
与野党を説得して、
参議院を尊重した中にこの
法案をお送りしたわけでございますけれ
ども、実際十二月二十四日に実質
審議入りしたのには大変驚きました。
補正予算の
審議もあったでしょう、その他もあったと思いますけれ
ども、本来、
自民党政権時代にも、補正予算の
審議は一日ないし二日で、経済の冷えておるこのときに処理をしてきたのが通例でありまして、三十六日間、一カ月以上あけて送っておるのにかかわらず、何の手も触れられなかったというふうなこと。本
会議の
趣旨説明はございましたが、私は、この点は何も一方的にやったということでなく、
参議院の皆様に
一つの
問題点の提起をさせていただきたいと思うのであります。
参議院におきましては、一月二十一日、
衆議院が送付いたしましてから六十三日を経過した時点において意思決定をされたわけでございまして、
憲法の
規定から、六十日が経過すればみなし
否決というふうなことも言われております。そういうふうなことは今問題にされておりませんけれ
ども、要は、六十日を過ぎてまだ意思決定がされなかったという
参議院のこの事実は、
参議院の
与党側に対します運営の御批判もございましょうけれ
ども、これはやはり
国民の目から見ても我々プロの目から見ても、
自民党を中心にした
参議院の野党の皆様の大変な引き延ばし、憲政史上にほとんど例のない日数を空費してこういう形での
審議をされたというふうに批判をされてもやむを得ぬ一面があろうかというふうに思うわけでございます。
また、
参議院の採決につきましてとやかく私は申し上げるつもりはございませんが、
自民党、共産党がこれを採決の
否決に持っていかれたんでなく、残念ながら、与党である社会党の造反組の十七票によって、十二票の差ですから、決定されたということ、これまた我々も反省しなければいけない。連立与党のその政策の整合性というふうな問題もございますけれ
ども、野党の
自民党や共産党がこれを獲得されたのでなく、こちらのサイドのエラーによってこの結果が出たというこの事実も厳粛に受けとめていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
余り長い
議論もいけませんと思いますので、私が今申し上げましたことは、
国会は、
衆議院も
参議院も慎重に時間をかけてこれまでにもない
審議をしたんではなかろうかと。
衆議院においては自信を持って言えます。
参議院にはいろいろ問題もありました。反省もありますけれ
ども、時間だけではございませんが、そこで費やした十分な時間の問題というものをひとつ御
理解いただきたいということであります。
第二点は、
憲法五十九条に関連しての
法案の取り扱いという問題でございます。
この関連四
法案は、
国会法八十三条の二の
規定により
参議院より返付されておりまして、今この
法案をどうするかということは
衆議院の手にあることは間違いございません。
衆議院が
可決し、
参議院が
否決したんだからこれは宙ぶらりんになっておるんだとか、あるいはこれはもう死んだと同然だとか言われますが、そうではなく、
国会法によりましてこちらのサイドに今お預かりをしておるというのが現在の姿ではないかと思います。
そして、五十九条の一項、二項、三項、四項とございます。御案内のとおりであります。多くの
説明を要しませんが、一項は、
両院で
可決した場合に
法律が成立するということ、四項はみなし
否決でございますから、このような
両院で違った決定をしております今回の場合は第二項あるいは第三項に該当する問題であるわけであります。
第二項「
衆議院で
可決し、
参議院でこれと異なった
議決をした
法律案は、
衆議院で
出席議員の三分の二以上の多数で再び
可決したときは、
法律となる。」本来、これを私
たちは選択してもよかったわけです。また、そういうことも
考えたこともございましたけれ
ども、しかし第三項にそれを補完した
規定がございます。「前項の
規定は、
法律の定めるところにより、
衆議院が、両
議院の
協議会を開くことを求めることを妨げない。」結局これは求めなくてもよかったわけだと思います。
しかしながら、
参議院が
否決をされており、
参議院軽視でなく
参議院重視という観点から皆様の御
意見も拝聴し、そしてこういう議員の身分を決める重要な案件でもあるので、納得のいく
合意に達したい、こういう
考え方からこの
両院協議会をお願いをいたしておるわけでありまして、私
たちはそういう
意味で、徹底的にこの場で
議論をし、
国民の納得のいく
結論をひとつ
参議院の良識をもって出していただきたい。私
たち衆議院のサイドは、いかなるとは言えぬかもわかりませんが、皆様方の御
意見を徹底的にお聞きして、それを取り入れることによって、何とかこの際成立にこぎつけさせていただきたい、そういう願いのもとに、
参議院重視のもとにこの
両院協議会をお願いを申し上げておるということをひとつ御
理解をいただきたいと思うのであります。
私
たちは、それぞれ
政党につながれてはおりますが、もう今や
政党のレベルの話ではないと思います。
政党の
代表がやったって話が決まらない。仄聞するところによりますと、
参議院の
皆さんは、
自民党の執行部が何と言ったって、それをはねのけてまでいろいろの決定をされたということであります。この決定はもうだれに相談するとかどこへ持っていくとかということではなく、皆様の見識においてここで決めることであり、我々の
代表権はそれぞれの院である。党でもなければ何物でもない。そういうことで、この
両院協議会の
趣旨に沿った
合意をひとつ求めていただきたいということを切にお願いを申し上げる次第でございます。
それから第三点は、一体この
協議会においてどういう形で歩み寄るべきか、その妥協をどうするべきか。
このことにつきましては、後刻具体的に園田委員の方から我々のまとまった
考え方を申し述べる予定になっておりますので、私はそれに深く踏み込んで
お話をするつもりはございませんけれ
ども、ただ、やはり基本となるべき
問題点というものだけは
お互いに
一つのベースとして持っておかなければいけない。私
たちもそのことに注目をしながら案をつくっていかなければいけない。
自民党は野党第一党、私は世界でも冠たる、最も実力のある野党だと思いますけれ
ども、最も最近の党大会が六日前、一月二十一日に行われました。そして、党大会の総裁のごあいさつとそれから運動方針というものがその場で採択されました。
自民党大会は、実は
参議院の委員会では
可決をされて本
会議で
否決をされた間に起こったという時間的な問題ではございますが、六日前に発表されました公党、堂々たる、三十八年間政権を持ってこられました
自民党の基本的な
考え方は、私はここにすべて盛られておるように思います。
自民党の方は
皆さん御存じでございますが、連立与党の人はここまで
理解をされてない方もあろうかと思いますので、あえて申し上げさせていただきますが、河野総裁は「わが自由民主党は
政治改革の断行を当面の最重要課題であると認識し、
政治改革関連法案の今
国会での成立を主張し続けて参りました。」少し略しますが、「今
国会の会期末が近づいてきたこともあり、わが党は、連立
与党側に対し、
参議院において
合意を達成するための提案を行いました。これは①
衆議院における小
選挙区の
定数は二百八十以上とする②比例
選挙区の
選挙単位は
参議院と同じであることは許されず、最低限でもブロック制とする③
地方公聴会での
意見な
どもふまえ、
政治家個人の
政治資金管理団体に対する
企業・
団体献金は
一定の範囲内で認める」こういうことが三つの重要な
問題点だということを、総裁は六日前に全党員に対し、全
国民に対し公約をされておるわけであります。
私
たちは、本来社会党の造反がなければ政府原案が通っておりましたが、この
段階に至りましたら、
自民党の案を
丸のみするなんていう下劣な言葉は使いません。しかしながら、
自民党がここで約束されておることにできるだけ近づいた中に
成案を求めるという柔軟な対応で進めていきたいというふうに思っております。
今、
坂野先生が反対の
理由を何点か言われました中に、おやおやおやと思ったことがたくさんございます。私は二十数年
自民党の党員でございました。今でも
自民党に対するノスタルジーを持っていますし、
自民党に対する誇りも持っております。事情がありこういう
立場になっておること、ある
意味において内心じくじたるものを感じておりますが、
自民党がどういう経過で今日まで来たのか。例えば
坂野先生の御指摘の第十「小
選挙区制の導入は、
国民の多様な意思を
国会の議席に公平に反映させるという、全
国民の
代表という
憲法第十五条及び第四十三条等の
憲法原則に反して、民意をゆがめ、虚構の多数をつくり上げるものであるからであります。」これは共産党がこういうことを言われたのはずっと聞いておりましたが、
自民党は
竹下内閣以来……(「共産党も入っているんですよ」と呼ぶ者あり)これは
自民党じゃない。ああ、そうですか、院を
代表して。それじゃ、この点は、私は、
自民党の御
発言でございましたので、これがそうだというふうに……