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政府委員(小粥正巳君) お答え申し上げます。
二つの点についてお尋ねをいただきました。
初めは、先ほど建設、自治両大臣から御
答弁もございましたけれども、公共工事における入札についての制度の問題でございます。私どもの
考え方を簡単に申し上げます。
現在、御案内のように、指名競争入札制度が一般的に行われておりますけれども、これは私どもの事件審査の経験から申しますと、安易に競争を回避する業界の姿勢がとかく見られがちである。それから、発注官庁によりましては本来の競争入札制度の趣旨に沿った指名や発注が行われていないことも時にございます。その結果、指名業者がある一定の範囲の者に偏りがちになる。そのことがまた業界の協調を招き、入札談合を行いやすくしている面も見られるところがあります。
したがいまして、私どもとしては、資格のある者ならばだれでも入札に参加できる
機会が確保されている場合には、これはあくまで一般論でございますけれども、絶えずいわば競争者が参入でき
るそういう可能性があるわけですから、結果として入札談合が困難になる、やりにくくなる、そういうことが
考えられるわけでございます。
ただ、もちろんどのような入札制度をとるべきか、これは個々の工事の実態もございますから、ただいま両大臣からもいろいろ
お話がございましたけれども、第一義的には確かに発注官庁が検討されるべき問題だと思います。ただ、私どもの競争
政策の見地から申し上げますと、競争入札制度本来の趣旨を十分生かすとともに、入札談合の防止を図る見地からは一般競争入札制度が一般論としては好ましいと
考えております。
ただ、当然のことですが、入札制度やその運用を見直せば、制度を直せば入札談合がなくなるというものではございません。その点につきましては、いかなる制度のもとでも独占禁止法の厳正な運用が重要であるということは当然であると
考えております。
ただいまごくあらまし申し上げました私ども公正取引
委員会のこの問題についての
考え方、これは実は去る九月二十九日に建設省御所管の中央建設審議会におきまして公共工事に関する特別
委員会の
機会がございましたが、私どもとしてこのような意見を申し上げ要望をしたところでございます。
それから後段のお尋ねでございますが、申すまでもなく、官公庁等が入札を行うに当たりまして入札参加者側があらかじめ受注予定者を決めてしまう、これが御
質問のいわゆる入札談合でございますけれども、これはそもそもその競争入札制度の根幹を揺るがしてしまう行為でありますし、それから当然のことながら競争制限行為を禁止しております独占禁止法に明確に違反する行為でありますから、公正
委員会としては従来から積極的に入札談合の摘発に努めているところでありまして、きょうは簡単に御
答弁申し上げるために数字的な
説明は省略させていただきますけれども、従来から私どもは入札談合の摘発に、特に近年、結果的にも私どもの排除処分の中では入札談合の割合が非常に高まっているということをつけ加えて申し上げたいと思います。
したがいまして、今後とも入札談合につきましての情報収集には一層
努力をいたしますとともに、仮に独占禁止法に違反する疑いがあるとする具体的な端緒となる情報に接しました場合には所要の
調査を行いまして、その結果違反事実が認められました場合には、当然でございますが法に照らして厳正に対応するということを申し上げたいと思います。