○上山和人君 そこで
大臣、先ほどお話がございましたが、私はきのう婦人公論を買いました。婦人公論という雑誌を買い求めましたのは初めてです。
新聞の雑誌広告の中に、
文部大臣の自己採点という内容がございましたので、びっくりして買い求めて読ませていただきました。ここで初めて
大臣の
教育理念に触れた思いでした。これを所信表明のときにもっと聞きたかったなというのがきのうこれを読んだ後の率直な思いでございましたけれ
ども、今、改めて
大臣から直接ここでお聞きすることができて何よりだと思います。
まさに今、
大臣がおっしゃったように、私は少なくともこの新しい政権の文部
行政に対して
国民が期待しているものは、今おっしゃった
大臣の理念にあらわれているような背景とでもいいましょうか、そういうものに積極的に取り組んでほしいという期待ではな
いかと思うんです。本当に集約的に「私の
教育行政についての基本的な
考えをいわせていただくと」という以下に今おっしゃったような内容がずっと掲載されておりまして、読み上げるのは時間の制約の関係もありますからいたしませんけれ
ども、整理されておりまして、
委員の皆さんもお求めになってお読みになったら大変すばらしい内容だと思いますので御紹介申し上げておきます。
話を進めますけれ
ども、ぜひひとつ
大臣、そういう今の御披露いただいたような
大臣の理念に基づいて、七五%を維持している新政権への
国民の期待度にこたえる
文教行政を、おっしゃったように簡単に変わるものじゃないと思うんですが、やっぱり変えなくちゃならないところがたくさんあると思うんです。そういう点については大胆に、
大臣のたくましさで、一番最後の方に、私の仕事もそろそろ佳境に入るころだ、与えられた仕事の場を活用するのはこれからだと心に決めているとおっしゃっているわけですから、ぜひひとつそういう前向きの姿勢で今後
文教行政に取り組んでいただきたいと思うんです。
そこで、この
委員会の大変大きな課題だと思うんですけれ
ども、
日本のこれまでの
教育を集約的に問題としてあらわしているのが、
子供たちが長期にわたって学校に行かない、登校拒否をする
子供たちが年々ふえている
状況じゃな
いかと思うんです。先ほどおっしゃいましたように、一番
日本は残念ながら学歴
社会が是正できない
状態で進んでいる国ですから。
文部省の資料でございますけれ
ども、昭和五十年かも十八年にわたりまして年間五十日以上の登校拒否者の数は一年たりとて休むことなくふえ続けています。そして
平成四年度、年間五十日以上の長期欠席をした小学生の数は実に一万四百三十六人です。対前年度比七百七十四人プラスである。中学生の方は実に五十日以上欠席したのが四万七千四百八十二名、対前年度比三千六百八十八人プラスです。十八年もの間、減った年は一年もないんです。一年たりとて休むことなくふえ続けている。ここに私たちがいつも目を向けなくちゃならない
日本の
教育の現状を集約的に問題としてあらわしている現象があるんじゃな
いか。
したがって、この
状態をどう克服するかということから根本的に
文教行政は力を入れてスタートし直していただきたいものだ、私は少なくとも具体的にはそう思います。この問題をどうするのかという観点で新しい
文教行政をスタートさせていただけないものか、そんなふうに思っております。
そこで問題になりますのは、
大臣は、自由な精神で自由な発想でクリエーティブな人間をつくる
教育の場を整えるといいますか、それが課題だとおっしゃいました。そういう
教育の場をつくっていくためには、やっぱり
教育を進めていくのは人でございますから、教職員配置、つまり
大臣の所信の柱の何項目かで、定数法の改正がスタートした、それを円滑に進めてまいりますと述べていらっしゃるんですけれ
ども、円滑に進めるということの意味を、時間がありませんからやや一方的になりますけれ
ども、私はこんなふうにしてほしいと思うことがあるんです。つまり人が
教育をするわけですから教職員配置については万全を期していただきたいというのが
一つの
大臣へのお願いでございます。
実は、おっしゃっていますように、この四月から新しい第六次義務標準法、第五次高校標準法が向こう六年間にわたってスタートしております。ところが、よくこれからごらんになっていただきたいんですけれ
ども、このせっかく六年間にわたって改正した義務標準法、高校標準法の内容は、
改善計画ですけれ
ども、
改善の内容が非常に薄いんです。
大変な努力を厳しい財政下で
文部省当局の皆さん方もされたということもよくわかります。そういう面で評価をしますけれ
ども、例えば義務標準法を見てみますと、今度の改正で六年間で三万四百人ふえるんです。でも
子供たちが少なくなることによって起こる自然減が六万四百人ですから、差し引き三万人この六年間で義務
教育の現場から
先生たちの数が消えるわけです。六年間の
改善計画なんですけれ
ども、プラス・マイナス三万人学校の現場からこの六年間で
先生方の数が少なくなっていくわけです。
高校標準法についても同じなんです。
改善することによって二万三千七百人ふえるんですけれ
ども、生徒たちが減ることに伴う自然減が三万三千四百ですから、九千七百人も教職員の数が減っていく計画なんです。これが
改善計画の中身なんですね。
私たちは、
子供たちが減るときにこそ手厚い
改善ができるんじゃな
いか、見直してほしいと随分迫りましたけれ
ども、厳しい財政事情も背景にあって
文部省の御努力だけではどうにもならない問題がありました。したがって、原案どおり通って今申し上げる内容になっているんです。
しかも、目玉でありましたチームティーチングを導入されたんです。このチームティーチングの導入に伴う教職員増を見ましても、六年間にわたって小学校では三校に一人しかふえない。一年で三校に一人というならまだ話がわかるんですけれ
ども、向こう六年間で小学校では三校に一人しかチームティーチングを導入することによって教職員はふえない。中学校では二校に一人です。行き渡らないんです、六年間で。選択履修を拡大することによる加配だって、中学校では向こう六年間で六・五校に一人なんです。六校に一人しか配置できないんです。ふやせないんですね。
そんな
状況でございまして、多くを申し上げませんけれ
ども、たくさん課題を内包しながらスタートしたのがこの四月から施行されている義務標準法、高校標準法でございますから、そういう多くの問題を補うためにこの
委員会が、もちろん本会議もそうでありますけれ
ども、九項目にわたる附帯決議をしました。
これはお聞きになっていらっしゃると思いますけれ
ども、この附帯決議の九項目は、今申し上げているような新しい改正法が内包している問題を何とかして克服しようという内容の決議でございます。円滑に進めてまいりますといったしか表現だったと思うんですけれ
ども、その円滑に進めていくという意味の中に、この附帯決議は、森山
文部大臣ここにいらっしゃいますけれ
ども、これに対する所信をそのとき表明なさいました。これを尊重して進めるという趣旨の御表明をいただいているわけですから、ぜひ毎年の
予算編成に当たってもこの附帯決議が着々と実現される
方向で積極的にお取り組みいただきたい。
そうでないと、今スタートしております定数法は、たくさんの問題点を抱えてなかなか現場の
要求、
お父さんお母さんたちの御
要望にこたえられる
状況にならないと思うものですから、六年間という期間も長うございますので、ぜひ附帯決議について前の
大臣が表明をされたように、これを尊重、当然のことです、満場一致で決めた附帯決議ですから、尊重していただいて具体的に実現するよう御努力いただきたいという私の願いに対して決意をお聞かせいただきたいと思います。