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1993-12-09 第128回国会 参議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十二月九日(木曜日)    午後九時十七分開会     —————————————    委員の異動  十一月九日     辞任         補欠選任      川橋 幸子君     野別 隆俊君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         石井 一二君     理 事                 青木 幹雄君                 浦田  勝君                 吉田 達男君                 林  紀子君     委 員                 大塚清次郎君                 北  修二君                 佐藤 静雄君                 吉川 芳男君                 上野 雄文君                 谷本  巍君                 中尾 則幸君                 野別 隆俊君                 風間  昶君                 刈田 貞子君                 星川 保松君                 椎名 素夫君                 新間 正次君    国務大臣        農林水産大臣   畑 英次郎君    政府委員        農林水産政務次  村沢  牧君        官        農林水産大臣官  上野 博史君        房長        農林水産省経済  眞鍋 武紀君        局長        農林水産省農蚕  高橋 政行君        園芸局長        農林水産省畜産  東  久雄君        局長        食糧庁長官    鶴岡 俊彦君    事務局側        常任委員会専門  秋本 達徳君        員     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (米問題について)     —————————————
  2. 石井一二

    委員長石井一二君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林水産政策に関する調査のうち、米問題を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 きょうは、今非常に最終段階にかかっておるように見えますガットウルグアイ・ラウンド農業交渉の中で、実は最後に出てまいりましたいわゆる調整案、きょう、私どもにも先ほどその中の農業部分について一部翻訳したものが出されました。ダンケルが二年前示したいわゆる最終合意文書、これを交渉によってこの六年間は特例措置というものでしのごうということでございます。  その調整案につきまして、附属書の五、これに「第四条二の下の特例措置」という見出しで、いろいろ六項にわたりまして出てきております。これを拝見しますと、非常に心配なことがあるのでございます。いわゆる関税化じゃなくて例外特例措置だということに私ども聞かされて、関税化じゃございませんと。もともと私は、ダンケル・ペーパーというのは関税化ミニマムアクセスとセットになったものでございまして、だから、その中のものでしかないんで、関税化じゃないということはこれはごまかしたと思っております。それがだんだんだんだんきょうの予算委員会で明らかになってきたようですね。非常に農林水産大臣も何か自信のなさそうな答弁をなさっておったようでありますが。そう見えました。  そこで、具体的にはこの六番目に書いてありますことですね、きょうのペーパーの。この中に「当該通常関税は、実施期間にわたって少なくとも一五%の削減が毎年同じ比率で行われた場合に適用されることとなる税率で適用されなければならない。これらの通常関税は、別添に示されているガイドラインに従って計算される関税相当量に基づいて設定されなければならない。」、こうある。別添というのは今出てきておりませんけれども。これをじっと読みますと、一つ私には質問をしなきゃならぬことがあるわけです。これは明日、予算委員会で私はこの問題をやらせてもらいます。  過ぐる日保利先生衆議院代表質問の中でいろいろこの調整案についてございましたが、この中でいわゆる関税相当量、二次税率につきましては国別表に記載して出されますか。また、そういう要請が何かあっておりますか、その点について、まず。
  4. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 初年目にお米について関税相当量国別表に記載するかどうか、こういうお尋ねでございますが、それは記載いたしません。
  5. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 それは異なことを聞きますね。なぜそれじゃここに書いてあるんですか、「少なくとも一五%」云々というのが。
  6. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) これは、関税化をやるわけでございますが、関税化特例措置というふうなことでございまして、この2というところをごらんいただきたいと思います。「実施期間中のいかなる年の始めにおいてもこということで、六年間関税化しないというふうなこともできるわけでございますが、三年目あるいは四年目になりまして関税化をしたい、こういうふうなことになりますれば、その時点ミニマムアクセスを修正する、あるいはその関税率をどうするか、TEをどういうふうに設定するかというふうなことで、二年目にやる人あるいは三年目にやる人あるいは七年目にやる人、こういう人のバランスといいますかそういうものを考えまして、その時点時点で、例えば七年目に関税化する場合には、初年度に設定しておくんじゃなくて七年目にTEとして決めて入れると。  そのときに、仮定の話でございますが、そこでどういうふうに設定するかという計算方式といいますか設定の方法として、それは初年度にあったものとして計算するんですよということが書いてあるわけでございます。それは五年目にやる場合、四年目にやる場合と、そういうバランスの中でそういうことが書かれておるというふうに御理解いただきたいと思います。
  7. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 それも私は異なことだと思いますね。これから六年間この特例措置でいくというわけでしょうが。だから、二年目に三年目に四年目にするということはわかっていないじゃないですか。だから、もう少しはっきりさせてくれませんか。これは私は長い間者さん方から習ってやってきたわけです。検討してきたわけです。この六年というのはわかるんですけれども、やっぱりダンケル・ペーパーというのは、一、関税化、二、ミニマムアクセス、これが中心になっているんです。これは、一つ関税化関税率でずっと下がっていく、低減していく。本当はこれは自由貿易 の中では無限になって無税になる。六年か七年かは知りませんけれども、そういう出方をする。ミニマムアクセスというのは無限に広がっていくという要素を持っておるわけでございます。  だから、この兼ね合いとかバランスとかいうことがいろいろちょっと出たんですが、これはおかしいんですよ。もっとその大所のところでやっぱりこのシャドー関税率を設定しておかないと、ミニマムアクセス特例はその包括関税化の枠の中での評価はできないじゃないですか。何で評価するんですか。ただ単に決めたんですか。足して二で割って決めたんですか。例えば五%−一〇%というのを。韓国にもそういう問題があるじゃないですか。今、向こうは途上国だからどうだというようなこと等があっている。そういう点を一体、もう少しダンケル・ペーパーの基本から流れて変形したものだと私は見ておりますが、アメリカとかなんとかから伝わってくる新聞情報アメリカの高官は間違いないこと宣言っている。これは実は関税化なんですよ。関税化の範疇だから包括関税化と言う。例外なき関税化というのはこれは通称でしょう。そういう点についてどうですか。
  8. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) このお配りをしておりますものは、ここに書いてございますように一般的なルールでございます。したがいまして、日本の米だけを対象に書いておるものではないわけでございます。ガットで多くの国が加盟しておるわけでございますので、もしこの特例を適用しようとした場合に、先ほど申し上げましたのは二年目なり三年目なりそういうときにやりたいという選択の余地がこの二項で残されておる、そういう場合の規定を書いておるわけでございます。  また、ミニマムアクセス加重の話でございますが、これは六年間について先ほどダンケル・テキストで申しますと、三−五%を四−八%と、こういうふうなことで代償的な色彩のもとに引き上げておるということでございます。  それで、七年目以降継続する場合にどうなるかということでございますが、そこはやはり六年目までが代償が必要であって、七年目以降代償が必要でないというふうなことはなかなか考えにくいわけでございます。当然、何らかの追加的な代償といいますか、措置が必要である。そういう意味で、それはいずれにいたしましてもその再交渉のときに、その交渉をされるとそれによって決まってまいるというふうに御理解いただきたいと思います。
  9. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 あなたはこれは米だけを意識したものじゃないということ、これはあるかもしれませんが、大体そんなのはまれじゃないですか。そんな雑多にありますか、世界に。今このガット加盟国の中に。ありますか。どうですか。あなた、農林水産省の個々の一つ局長さんとしての何じゃないですよ。ガット交渉全般を見渡してどの程度ありますか。
  10. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) これは一般的なルールとしてガットでこうやるわけでございますので、そういう点も穴のないようにといいますか、ガットというところは大変技術的なそういう詰めをやって、もし手を挙げるところが出てきたらこれに乗れるように、こういうことで規定を整備するわけでございます。現実にこれを適用する国は、私の知る限り日本の米ぐらいだろう、こう思います。失礼しました。日本の米と、それからノルウェーのトナカイの肉というふうなのがあるようでございます。  それから韓国の米につきましては、LDCというふうなことでこれと似たような措置が別途規定をされるというふうに聞いておりますが、これは誤解のないように申し上げておきますが、関税化特例について日本に関係する部分を特別に事務局の了解を得てお配りしておるということでございますので、骨子のところに入っておりました輸出規制問題等は別途テキストの中に入っておると。したがいまして、このテキストというのは、ブレアハウス合意とかいろいろなそういうものも含まれた中の日本部分をお配りしておるということを御理解いただきたいと思います。
  11. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 どうも私は逃げておるように、逃げ方としては余りにもうま過ぎるんですが。  単純に考えて、この六項を読むならば、一−六年と、こう言っているんでしょう、皆さん方。約束しているんでしょう。それを途中でやるならば、だからうたってあるんだというのはおかしいですよ、こんなのは。そして、これを適用するのは数知れているんです、米とノルウェーの何とかというけれども日本は意識してやっているんじゃないですか。それで、交渉したんでしょう、皆さん方は。それは、裏を出せというなら出しますよ、私は。しかし、そこまでせぬでいいんです。ただ、局長、これは裏を出せというなら出しますよ、いっこういうことになったか、どういういきさつか。しかし、それじゃいかぬじゃないですか。  それで、だから単純に私はここに「実施期間にわたって少なくとも一五%の削減が毎年同じ比率で」云々ということ、これを書いだということはシャドー税率が隠れているんですよ。だからこれは包括関税化のひとつの一体なものなんですよ。それを連立与党例外なき関税化反対、これを関税化じゃないとするためにはそういう言い方をしないと言い逃れできないからそうなっているんじゃないですか。そこまで私は考えますよ、これは。  そういうことでございますが、したがって、書いて出さないんでしょう。出しますか。なぜ出さないんですか。その理由もひとつ。これは書いて出せということじゃないですか。
  12. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) ただいまの点につきましては、一項に本合意の第四条の二の規定は適用しないというふうに書いてございまして、この規定に基づきまして、いわゆる輸入数量制限関税に置きかえるということはしないわけでございます。それで、先ほど御答弁申し上げましたように、国別表には書かないということでございます。
  13. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 私は、あした詳しく申し上げますけれども、もう少しよく考えて論争しますけれども、どうしてもこの特例措置関税化ではないというそういう言い方、これは私は間違いだと思うんですよ。あなた方は専門家としてそうは思われませんか。今までドンケルペーパーが出たところのいきさつもみんな御存じじゃないですか。急になぜそんなになったんですか。あなた方自身が今まで、この特例措置の前まではそういう説明をしてきておられたんじゃないですか。急に豹変といいますか、どうも私は解せない、こう思いますが、どうですか。
  14. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 我々は、包括関税化には反対である、こういうことで交渉してきたわけでございますが、それは二つあったかと思います。  一つは、いわゆる輸入数量制限関税に置きかえるという問題と、それからミニマムアクセスを受け入れる、こういう問題でございます。この二つについて例外にしろ、こういうことで要求をしてきたわけでございます。しかし、一切の例外は認めない、こういうのがほとんどの国の主張でございました。そういう中で、我々はどうしてもそういう例外を認めてほしいというふうなことで強く主張をしてなかなかまとまらない、こういう状況が続いたわけでございます。  そこで、まとめるとすればどうかというふうなことで、例外というふうな表現ではなく、ここに書いてございますように特例措置というふうなことで、TEいわゆる輸入数量制限関税に置きかえるということは、その規定は適用しない。しかし、ミニマムアクセスはこうこうこういうことで加重をして、そういう条件で六年間はそういう特例措置をつくりますと。さらに七年目以降も継続の余地があると。しかしながら、無条件ではなくて、そういうミニマムアクセス加重でございますとか、それから関税引き下げとか、そういうふうなことを、ここに書いてあるようなことについて交渉をして決める、こういうふうになっておるわけでございますので御理解いただきたいと思います。
  15. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 六年目のやつは五年目に見直 し、六年目に入ったときに見直すということでしょうね、これは。  そうした場合、新たな白紙交渉なんてないですよ。たとえあったにしても、これはやっぱりドンケルのあの包括関税化の枠のものなんですから、これはその枠の中での交渉は限られている。先のことはどうでもいいからというような白紙でございます、そのときは改めて拒否もしますよというような言い方はできないんじゃないですか。これこそ国際的にできないんじゃないですか。そんな詐術を使ってはいかぬ。  その点について農水大臣、きょうはいろいろそれを言っておられましたからお答えください。
  16. 畑英次郎

    国務大臣畑英次郎君) ただいま局長からも種々お話を申し上げたわけでございますが、いわゆるガット精神あるいはまたウルグアイ・ラウンドの流れといいますか、そういうものにつきましては、今大塚先生が御指摘のような、いわゆる数量制限を撤廃して関税化にすべてを置きかえていこうという精神なり取り組みの中での取り組みである。そういうような意味合いの中におきます特例措置で六年間は関税化をしない、こういうように私自身は受けとめさせていただいているわけでございます。
  17. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 今のは、それはわかったことです。六年後のことについては、再交渉のとき白紙に近い形でやるというようなこと、そういうニュアンスのことをずっと言ってきておられました。それは白紙ではできない。相手は聞かないんですよ。ダンケル包括関税化ミニマムアクセスの枠の中でやるから、これは一五%切り下げるというのは、シャドーのものをしいておくということなんだ。  だから、六年目にやった場合には、ミニマムアクセスでやる場合はその加重の、その関税率シャドーのもの、そういうものを全部総合してですからね。拒否するとか、それからそれを減らすとか、もとのままにしておくということはできないんです、これは実は。そのときは眞鍋さんはおられませんものね。塩飽さんもおられませんよ。そういうことを言ってきたことが、牛肉かんきつのいろいろなことが今風化してしまっているじゃないですか、人がいないばかりに。おれは知らなかった、おれのときじゃなかったということで、相手がいないんですよ、当時のことを思い出そうとしても。  ですから、私は、これは再交渉といっても非常に狭められた、むしろ逆にいくことがあるんです。今までの例がそうなんです。関税だってきちっとした交渉してガットにバインドしたのが、もう来年さあ下げろさあ下げろ、新たなラウンドが起こってくると全然局面が変わってきて、急ぎこそすれおくらすということはない、関税下げろと。そういう状況ですから、六年後の再交渉白紙で、まあそのときは拒否もできるというようなことをちょっと聞いたんですが、そういうことはできない。その点についてどうでしょうか。
  18. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 今御答弁申し上げておりますのは、その再交渉におきましてそれを継続するかあるいはやめるかというところについてはそのときの交渉にゆだねられておるということでございます。  それで、無条件がということにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、この4.に書いてございますが、「追加的な、かつ、受入れ可能な譲許を与えなければならない。」ということで、六年間についてやはり代償的なものがあるわけでございますので、六年目以降も交渉する場合には当然代償的なものが要求されるということがここに書いてあるわけでございます。そういうことを申し上げているつもりでございます。
  19. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 私はこれは確かめたいと思いますけれども、きのうきょうの新聞に、これは何も特例措置というものの、そうじゃないんだと、関税化なんだよということをアメリカは言っている。  それからもう一つ、こっちから衆議院の議員さんが行っておられますよ。きょうその状況を聞きました。全く正確かどうかわかりませんけれども、もうこれは特例措置とかなんとかじゃない、関税化だよということを堂々と言っているんですよ、決まってもいない先から。二枚舌ですよ、これは結果的には。三枚舌にも四枚舌にもなるかもしれぬと思いますがね。大臣、非常に大事なことですよ。これは私はあした予算委員会でもう少しねっちねっちやらせてもらいますのでこの程度で……。  ところで、農林水産大臣農村出身、そして市長さんをされて、本当に地方分権論者そのものじゃないかと私は思っております。この事態をどう思っておられますか。  それから、私どもの大先輩、私が師と仰いでおりました羽田外務大臣、どうも最近大臣におなりになったら君子豹変じゃなかろうかと思っております。羽田外務大臣は、実は二年ほど前に「文芸春秋」にこんな大きな論文を書いている。部分自由化は絶対いかぬ、山口敏夫さんは自由化、これとの論争をされました。いつ消えちゃったのかなと。今その部分自由化推進責任者じゃないですか。君子豹変かなと、こう思うんです。畑農林水産大臣は、私はそういうことはなかろうと思うんですが、後世が、後がやっぱり二枚舌を使われたということになっては、これは今までの尊敬しております大臣の非常に名前を汚すことになる、こういう心配を私はいたしております。  そこで、後は明日の予算委員会でこのガットウルグアイ・ラウンド問題はやりますけれども今関税、これは米だけじゃありません。二十品目残っておりましょうかね、残存輸入制限品目。これが関税化されるわけです。これがどういうようになっていくのか。総合的にはガットの言う削減率、このくらい、六年間でこうしろ、こうなっております。その主なるものについて今どういう成り行きなのか、ちょっと農林水産委員会に明かしてくれませんか、もう調整案をどうするかという段階に来ておりますから。その点どうですか。
  20. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 関税引き下げ交渉でございますが、これはダンケル・テキストに農産物についての関税引き下げにつきましては平均で三六%、最低でも一五%引き下げるようにというふうなことでございます。それについて現在交渉をやっております。  それで、関心のある品目をそれぞれの国からリクエストといいまして要求、この関税をこう下げてほしい、こういうことで下げてほしい、こういうふうなことで要求が出てきてございます……
  21. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 急いで急いで、わかった。そんなのは一般論だから。
  22. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) それらについて鋭意それぞれ品目別交渉しておるということでございます。
  23. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 もう時間がありませんけれども一つ気になることがあります。それは、この前自由化されたかんきつ牛肉、今になって非常に大変なダメージが出てきておる。恐らくかんきつは、百八十万トン体制が百万トン以下に減らないとやっていけぬ状態になっている。これは私が日園連の会長も兼ねておりますから、そういう見方になる。  牛肉はここのところ高級牛肉さえつくれば差別化商品でうんと高く売れるんだ、そういう神話が崩れてしまいつつある。乳牛の肉はなおさらですよ。大変だ。これになにして豚肉、それから鶏肉、ブロイラー、全部めためたになろうとしている。それは一事が万事。りんごも今度はいういろあっても入ってきますよ。そうすると私は、日本産の果物の消費量の中におきます比率自給率は恐らく五〇%を割るだろうと思っております。それから肉も五〇%を確実にもう割ろうとしておる……
  24. 石井一二

    委員長石井一二君) 大塚君、時間が経過しておりますので、簡潔に質問願います。
  25. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 そういうことですから、これは今度の自由化残存品目関税化、それから関税下げ、これでは私は、新農政のよって立つ前提は全部崩れてしまうと見ております。その点ひとつよく見通しを立てて見てください、やっていける かどうか。そういう点をひとつお願いしておいて、私の質問を終わります。
  26. 中尾則幸

    中尾則幸君 どうも大臣御苦労さまです。  私は、日本社会党護憲民主連合中尾でございます。出身食糧基地北海道でございます。大臣には本来であれば御苦労さまと申し上げたいんですが、心から御苦労さまと言えない。連立与党の一員でございますけれども、大変残念に思います。もう当然御存じのように、今回のドゥニー議長調整案については、社会党反対でございます。その立場から質問させていただきます。時間も余りありませんので端的にお答え願えればと思います。  まず、国会決議、三度ございます。「国内生産による完全自給の方針を堅持する」、米についてでございます。これについて国会できちっと明記されております。この国権の最高機関の決定について、今回のこの米の部分開放を認める、ミニマムアクセスを受け入れるということは、これは国会決議に反しております。これについてどう考えるか、まずお答え願います。
  27. 畑英次郎

    国務大臣畑英次郎君) 国会決議、いわゆる衆参にわたりまして、文面としましては六回ということに相なろうかというふうに承知をいたしておるわけでございますが、その中にございます「完全自給」という精神からいたしました場合には、今回の調整案といいますものほかなり傷がついておるというように私自身も受けとめをさせていただいております。
  28. 中尾則幸

    中尾則幸君 傷がついているというだけでは私は済まないと思います。  続いて、政府は今まで、例えばこの問題について、米については開放しない、これはいろいろ細川総理も、それから大臣も答弁で述べられておるところでございますけれども、建前論ばかりで、そういう建前を言っておきながら、何か裏でずっと交渉が進んでいた。これは各新聞の報道を見ても明らかでございます。  そして、十二月七日に調整案が出て、さあ決断いたしますじゃ、国会論議も何にも尽くさないままに、これは国民から見てもこんなばかな、全く国会軽視ですよ。これについて、断じて私は許すべきじゃない、とんでもない話である。七日に出てきて、ようやく見たら、新聞では見ていましたけれども、全然情報が入ってこない。それでさあ決断しましょう。とんでもないことです。これについて見解を求めます。
  29. 畑英次郎

    国務大臣畑英次郎君) 私は、従来から申し上げておりますとおり、今回のこのガットウルグアイ・ラウンドをめぐります交渉に当たりましては、やはり国会決議といいますものの大きないわば枠組みといいますか、それを前提として、それを踏まえての交渉というような意味合いの中におきまして、先般来申し上げておりますとおり、我が方からいわゆる一般的な交渉でもって、自分なりのメニューを持ってフリーハンドでもって物事の交渉に当たるという立場ではない、あくまでも国会決議というものを踏まえて当然の姿としてやるべきだというような意味合いで私なりに取り組みをさせていただいたわけでございます。さような意味合いで、我が方からいわゆる譲歩的な提案を、国会決議を踏み越えた、枠組みを破っての、乗り越えての提案ということはすべきでもありませんし、でき得る状態でもないことは言うまでもございません。  そういう中にございまして、先月、ガット・サザーランド事務局長に対しまして、我が方としてはもう従来から先輩各位を初め長い間の日本の特殊事情等々を、農業事情等々を申し上げてきた、これから先はまとめ役のあなたが我が方のいわゆる意向を反映する立場での何らかのアクションを起こしてもらいたい、それ以外我が方からすり寄ってあなたに話をするような余地はないと言っていわば席を立つような形の中で先月帰らせていただいたわけでございます。  そういうような事の運びを私なりの一つの戦略として取り組みをさせていただいたわけでございますが、そういう中から今回いわゆるドゥニーという立場での調整案が出されておる。これにつきましては、私自身もただいま申し上げましたような意味合いで厳しく受けとめさせていただいておるというのが現在の姿でございます。
  30. 中尾則幸

    中尾則幸君 今まで大臣はもう本当に誠実に、冷害対策問題にしても、私も何度がお会いしていますけれども、やってこられました。ただこの場はそういうことを申し上げる場ではないと思います。  秘密交渉、二重交渉とこれはマスコミでも言われておりますけれども、残念ながら資料が届かないものですから、新聞の記事をちょっと読みますと、日経の十二月七日、「官僚」という、これはお読みになったと思います。その一部を読ませていただきまして確認させてください。敬称を略させてください。   農水省の官僚たちが「山を越えた」と感じたのは実は三カ月近く前のことだった。  九月のある日、ジュネーブの米通商代表部(USTR)事務所では二人の男が一枚の紙をしたためでいた。農水審議官の塩飽二郎と米農務省特別交渉官のジョー・オメーラだ。「コメの関税化は六年間猶予し、五年後に再交渉する」「最低量を輸入するミニマム・アクセスを受け入れる」等々書いてあります。「九月に合意」と書いてある。  それから後半は、「秘密交渉の経過を知っている官僚はわずか七人。」、敬称は略させてください。このまま読みます。「京谷と塩飽、食糧庁長官の鶴岡俊彦、官房長上野博史、それに経済局長、国際部長、食糧庁管理部長だった。」、こう書いてあります。  私はマスコミに二十三年いましたから、マスコミの真偽のほどは私がよく知っている。そして、これは署名記事ではございませんけれども、だれだれが取材したと全部明記してある。これについて七人であったと。随分前のことを書いてある。国会の答弁と違う。今までそういう秘密交渉はしていないという話を私はたびたび伺いました。  これについて、関係者七人の方がいらっしゃれば一言ずつ、そうじゃないというのならそうじゃないとここの場でお答えいただきたい。もしこういうことが秘密裏に行われていて、もし結果としてそうじゃないということが後からそうだとわかったら責任とっていただきたい。お答えいただきます。
  31. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) この交渉は七年間にわたりまして交渉をしてきたわけでございます。これまでアメリカあるいはECその他いろいろとやりとりをやってきておるわけでございます。しかし、再三国会で御答弁しておりますように、合意というふうなことはございません。そういう事実はないということを御答弁させていただきます。
  32. 鶴岡俊彦

    政府委員(鶴岡俊彦君) マルチあるいは二国間の場でいろんな話し合いはしておりますけれども、秘密交渉で今御指摘のような事実はございません。
  33. 上野博史

    政府委員上野博史君) 前のお二人のお答えと同じでございます。
  34. 中尾則幸

    中尾則幸君 そうすると、きょうお三人ですから、こういう事実はない、この新聞報道は誤りであるということで結構ですね。——反論がないから結構だということですね。  こういうことを書かれて何らかの行動を起こさなきゃ、これは農水省、こんなこと書かれて事実じゃないと言ったら大変な問題ですよ。あすどうされますか。  それから大臣にもこのことについて一言見解を聞きたいんです。
  35. 畑英次郎

    国務大臣畑英次郎君) ただいまのお話のようないわゆる合意をされた、そういうことは私自身が絶対ないと、かように考えております。
  36. 中尾則幸

    中尾則幸君 それでは、このままに放置しておくおつもりですか。こういうふうに書かれて、「秘密交渉」、「巧妙、九月に合意」と書いてある。しつこいようですけれども、もう一度お答えください。
  37. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 新聞報道等についていろいろな記事が出ております。別の新聞でも、スケジュールをつくってどうこうと。そのたびに抗議をし、あるいはそういう事実はないというふうなことをきっぱりと記者会見等で事実を否定するというふうなことで対応してきておるわけでございます。
  38. 中尾則幸

    中尾則幸君 それであれば、今回は抗議をしない、そういうことですか。一言、眞鍋局長
  39. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) こういう事実はないということを否定しておるわけでございます。
  40. 中尾則幸

    中尾則幸君 否定しているということは、抗議をしないということですか。ちょっとはっきりさせてください。抗議の話をしているんですよ。
  41. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 否定をしているということは、抗議をしているということでございます。否定をすることによって抗議をしておるということでございます。
  42. 中尾則幸

    中尾則幸君 個々に抗議したって、私はそのことを言っているんじゃないですよ。これ以上深追いしません。  それから今回、先ほども大塚先生のお話ありましたけれども、不透明なんですよ。例えば七日に骨子が出てきて、そして新聞報道含めて出てきたら、何だと。これは朝日、ほかにも書いてあります、「追加譲歩が義務」。そして、慌ててそういうものが出てくる。正式なペーパーが出てくる。こういうことを次々とやっている。これはせっかく細川政権、今までの永田町の見えにくい政治をわかりやすくしようと。何もわかっていない、これは。逆ですよ。  ですから、このことについて、それから閣内不統一のことについて余り言いません、いろいろありますから。武村官房長官のところに私も行ってまいりました。そのときは会ったのは七日です。七日の時点では、これはさっき眞鍋局長もお答えになったように、今回の交渉、六年後見直しの条項がございます。それについては白紙だと言っているわけです。そして、この追加譲歩の話が出てきた翌日、記者会見でこんなふうに言っている。「ミニマム・アクセスを八%から九、一〇%に引き上げるか、それとも他の産品で譲歩するか、など何らかの交渉になることは十分あり得る」とまで言っているわけです。  大臣、こういうお考えですか。武村官房長官が記者会見で翌日言っているんです。こんなことでいいですか。
  43. 畑英次郎

    国務大臣畑英次郎君) 私は、いわゆる六年間は関税化ということはしない、そして七年目に入る一年前でございますか、そのときにはいわゆる協議を再開する、こういうように受けとめておりまして、それについての今御指摘のような具体的な物事を今この時点で頭の中に入れるというようなことは私としてはとらない。そういうことでございます。
  44. 中尾則幸

    中尾則幸君 そうしますと、これは官房長官の個人的な意見ということでございますか。
  45. 畑英次郎

    国務大臣畑英次郎君) その発言の場そのものを伺っておりませんので、今お話を伺ったお答えは御理解をいただきたいと思います。
  46. 中尾則幸

    中尾則幸君 大臣お疲れのところですから、余り大きな声でなくても結構でございます。  しつこいようですけれども、外交交渉、ある程度秘密、秘密交渉と言ったらおかしいですけれども、外交交渉ですからこれは私も一部は認めなきゃいけない。ただ、いろいろ出てくるんですね。合意新聞は競ってこれは二重外交、二枚舌外交と言っているわけですよ。これをはっきりと、これからでは遅いですけれども、きちっとわかりやすくしていただきたい。それを要望いたします。  時間ありませんので、ちょっと走りますけれども、米のミニマムアクセス、私も断じて受け入れるわけにいかない。ただ、米だけじゃないですね、大臣もよく御存じのように。私も北海道ですから、畜産農家は関税化されたらもう壊滅的な状態になります。でん粉、雑豆、二十四品目あるというふうに私は承知しておりますけれども、残念ながら新聞、テレビ報道で話すのでは、私も勉強不足なのか、そちらの情報がいただけないのか、多分後者だろうと思いますけれども、つい先日の新聞に、この二十四品目についてはもう関税化確定と、こう打っている新聞もございますけれども、報道もありますけれども、これは事実ですか。
  47. 畑英次郎

    国務大臣畑英次郎君) 先ほど来ごらんをいただいておりますいわゆる調整案におきましては、まことに残念ながら例外措置といいますものは米だけというように読みとらざるを得ない。そういう中にございましては、いわゆる二十一品目の、いわば二十品目といいますか、いろいろ区分けによって数は違うようでございますが、これらの問題はこれから今最終的ないわゆる実務的な詰めの作業が行われておると、私はさように承知をいたしております。
  48. 中尾則幸

    中尾則幸君 ということは、確定でなくてこれから精力的に頑張るということですね。それ約束いただけますね。
  49. 畑英次郎

    国務大臣畑英次郎君) 今申し上げましたように、残念ながら数量制限という枠がはがれて、それを踏まえてのいわゆる被害といいますかマイナス要素といいますものを少なくする、それに今全力を挙げさせていただいておるということであるわけでございます。  ここまで申し上げていいかどうかわかりませんが、私の頭の中にありますのは、自問自答の中にございましては、先ほど大塚先生御指摘のとおり、牛肉・オレンジのケース等々がこれあり、かような意味合いでは国家貿易という要素そのものはいかがであるのかなと。しかし、まだ私自身も、この問題は内閣といたしましても今慎重な検討がなされておる段階でございますから、そこまで言うのはある意味では誤解を招くかもしれませんけれども、そういう問題意識を持っておるということだけは申し上げさせていただきたい。とりわけ北海道等々における熱心な、そしてまた実態も私自身も現地に参りまして承知をいたしておるところでございます。
  50. 中尾則幸

    中尾則幸君 しっかり頑張ってください。大臣御存じのように、これは関税化になると北海道の酪農はもう壊滅的な打撃を受けます。これは牛肉の例を持ち出すまでもない。農家だけじゃなくて地域経済が全部だめになります。北海道の場合は、五百七十万道民、関連を含めると二〇%が農業に依存しているんです。このことをしっかり頭に入れてください。  それから、この中にあるでん粉の話をちょっとします。  この調整案の中に、基準期間一九八六年から八八年において、当該農産物の輸入が国内消費量の三%未満であることが規定されていますね。でん粉の場合、御存じのように一九八六年から八八年、輸入は四%なんですよ。まだしっかり頑張っていただきたいんですけれども、これは三%未満で、何かわかっていてやったのかなという。これから頑張っていただきたい。  それからバター、脱粉。これは九%なんです。私は関税化を認められないという立場は変わりませんけれども、少なくとも交渉の中で、その地域経済の打撃を考えるならば、苦しみを考えるならばそのぐらいの配慮をしたのかどうか、そういう交渉をやっているかどうか、お答えいただきたい。
  51. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 先ほども御答弁申し上げましたが、我々はこれらの品目すべて例外にしてほしいという要求をし、相手方は絶対に一切例外は認められないと。そういう主張の中で、調整といいますか調整案として、できるだけ品目を絞り込むというふうな考え方、それによって微妙なバランスといいますか、そういう多くの国とそれから例外を求めている一部の国との妥協といいますかバランスを考えて、微妙なバランスの中でそういう調整案を出してきたというふうに受け取っておるところでございます。
  52. 中尾則幸

    中尾則幸君 もう時間も迫ってまいりましたので、最後に一言。  最終期限というのは十二月十五日まで、一週間近くある。七日に出されて、そして官房長官のと ころに行ったら、何とか御理解をと。とんでもない話ですよ。理解する時間があるか。十五日までまなじりを決して——もう決まったような、寝わざに持ち込む。冗談じゃないですよ。何年かかつてみんな苦労して頑張って日本農業や地域を守るために国会でやってきたんですか。それを一日や二日。そんなばかな話はない。  これをあす以降、報道によりますとあすにも閣議で決めるというような話がありますけれども、こんなばかな話が通じたら国民は怒りますよ。これについてはっきりとした答えをいただきたい。十五日までぎりぎりまで私はやるべきだ。  そしてもう一つ、エスピー農務長官もみんな行っているわけです。大臣もすっ飛んでいってこの窮状を訴えて最後の最後まで粘り強くやるのがこれが大臣、皆さんの使命じゃないですか。最後に二言お伺いして、私の質問をやめます。
  53. 畑英次郎

    国務大臣畑英次郎君) 今お話がございましたとおり、新聞報道等にございました十日、あすということは、私自身も十日ということは避けるべきであるという私の立場の考え方を持っております。  二点目につきましては、従来から申し上げておりますように、私、就任以来の自分の交渉のありよう、私なりの戦略戦術、そういう中で最後、いわゆるサザーランド氏に対しまして、これが最後通牒であるといったような、表現は悪いわけでございますが、そういう意味合いの中で、おれの方は国会決議があってこれ以上何も譲るべきものはない、おまえさんの方がまとめる気があれば何らかの調整案を出しなさいと。そういう姿の中で、私自身もいわば現地におって云々と、その方が私としてはある意味では気が楽でありますけれども、さような一つの戦術としての取り組みをやってきたことにつきましても御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  54. 風間昶

    ○風間昶君 公明党の風間でございます。  今のお話の続きにもなると思いますけれども、私自身も米の関税化反対を貫いてきた一人として、このたびの例外なき関税化を阻止する方法の一つミニマムアクセスであって、八党合意国会決議には反しないとする意見には反対の立場から、重なり合うかと思いますが、何点か質問をしたいと思います。八分ということで余り時間がありませんので、端的に伺いたいと思います。  ウルグアイ・ラウンドの今回のドゥニー氏が示した農業分野の調整案で、米以外の日本の非関税品目である乳製品二十一品目、数によって二十四というふうにも言われておりますけれども、米を守るためにこの関税化受け入れを決定したなんという報道がされて、そういう煙が立っているわけで、ということはそこに火があるというふうにとられてもやむを得ないんじゃないかと思うわけです。  もし事実だとすれば、本当に北海道の酪農家は大変厳しい状況、先ほどから言われておりますように、牛乳の輸入自由化に伴って国内価格が落ちて所得が少なくなってきて、その所得をカバーするために乳搾りを一生懸命やって少しでも暮らしを楽にしたい、少しでも借金を返したいという状況の中で、一生懸命働いて過剰労働を強いられて、働けば働くほど価格は下がっているというこの状況。もう家族の方から規模拡大はこれ以上しないでという悲鳴が聞こえてきて、離農者もいるというのが実態でございます。  そういう意味で、大変厳しい状況の中でこの乳製品などの関税化というのは本当に事実なのかどうか、しっかりともう一回、米以外の非関税品目関税化するのかしないのか、大臣にお伺いしたいと思います。
  55. 畑英次郎

    国務大臣畑英次郎君) 本件につきましては、先ほども申し上げましたとおり、ただいまの調整案を読んだ中におきましては、残念ながら例外措置といいますものが米という限定をされた姿の中にございまして、従来、数量制限等々ができておった分野が関税化へのただいま事務的な実務的な詰めがなされておる。でございますから、あの文面からは関税化という位置づけにされておる、残念ながらそういう姿でございます。
  56. 風間昶

    ○風間昶君 先ほども申し上げましたように、要するに乳製品なども含めた関税化は私は反対でございます。もしそういう事態になった場合に、もう本当に十五日まであと何日かしかない状況の中で一体どの程度の関税率を盛り込むのか、それが要するに焦点になっていく話だと思います。  政府は輸入量を極力抑えるためにできるだけ高い関税をかけていく方針だというふうにも伝えられております。先ほど局長は、各国が関心のある品目についてそれぞれお互いに微妙な立場でバランスをとってやるというふうにおっしゃいましたが、じゃ具体的に関税率、私自身は牛乳・乳製品、でん粉についてお聞きしたいんですけれども、幾らにするのか、その算定についてどのような基準を持っていらっしゃるのか、考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  57. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) これは先ほど来大臣が御答弁申し上げておりますように、米以外の品目についても関税化はしないという方針のもとに交渉をしてきておるわけでございます。したがいまして、関税について何%何%というふうな交渉は今まではしていないわけでございますが、ただいろいう関係国がそれぞれ自分の関心品目について、これは関税化しろというふうなことのやりとりといいますか、そういうものはあるわけでございます。そういう中でいろいろなやりとりはありますが、それぞれの品目について幾らの二次税率といいますか、関税相当量にするかというふうなことについては、一応ダンケル・テキストに考え方がございます。その範囲内でできるだけ日本にとりまして有利な条件を確保するというふうなことで、もし関税化を受け入れるとすればそういうふうなことで頑張っておるということでございます。
  58. 風間昶

    ○風間昶君 じゃ、二十一品目すべて関心を持ってやっているということですか。それでいいんですね。とりたてて米以外のもので大きく変わるということは考えていないということですか。平等にということですか。
  59. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 米以外の品目については、それぞれ重要なものでございますし、それからまた関心国もいろいろ違うわけでございます。それぞれの状況に応じてやはりそれぞれの品目が埋まらないように、あるいはこういう難しい事情があるというふうな事情を踏まえまして、最大限の努力をしておるということで御理解いただきたいと思います。
  60. 風間昶

    ○風間昶君 その中でも交渉が困難になっているというのはどういう品目があるんですか。
  61. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) それは、米以外の品目につきましてはそれぞれこれまでは例外にしろと、こういうことでやってきておるわけでございますので、どれが特別困難になっているとか、そういう事情は現在のところございません。
  62. 風間昶

    ○風間昶君 乳製品というのは、このIQ制度を実施している現在においても、御承知のように、円高などの影響で国内生産の四〇%近くに輸入がふえている。関税化はこうした輸入をさらにふやすことに拍車をかけるということはもう間違いない。そういう意味で北海道では、昭和三十年代の前半は六万三千も酪農家戸数があったわけですが、今はもう一万三千九百、もっと減るんではないかということで、ますます離農のリスクも高くなって大きな打撃を受ける。  その酪農家の一人一人の方々の今回の乳製品の関税化には断固反対を貫いてほしいという声をぜひともわかっていただきたいし、ある意味ではそれを貫けなかったら間接的に殺してしまうことになる。牛を殺すのでなくて人を殺してしまうことになるわけで、そういう意味でどういうふうにその期待にこたえていくのか、大臣、答えていただきたいと思います。
  63. 畑英次郎

    国務大臣畑英次郎君) 従来から私自身も、今までこの分野の数量制限をするということ自体が逆に申し上げれば厳しさの反映でもあるわけでございますから、さような意味合いでのただいま最後の努力をさせていただておる、厳しく取り組み をさせていただいておる、そういうことでございますので御理解願いたいと思います。
  64. 風間昶

    ○風間昶君 終わります。
  65. 星川保松

    ○星川保松君 私は、与えられた時間は五分しかありませんので、一つだけ質問をしたいと思います。  正直言いまして、こういう時期が到来するということは予測はしておりましたが、それは恐らく自民党政権のもとでこういうことになるだろう、そのときはひとつ自民党政府をとっちめてやろうと実は思っておったのでございますが、運命といいますか、我々が与党になってこの火中の栗を拾わなければならないような状況になったわけでございます。  それで、このウルグアイ・ラウンドの問題を農民の立場になって考えてみた場合、きょうも実は農協の決起集会が野外音楽堂でありまして私も行ってあいさつをしてまいったわけでありますが、まさに幕末の黒船がやってきたような大変な状況でありまして、まさに国論を沸騰させる状況になっておるわけであります。  そこで、いわゆるミニマムアクセスといいましても、最初に四%、だんだんふやしていって六年後には八%を入れなければならない。四%の四十万トン、八%の八十万トンでございます。そういうことになって入ってきた場合に果たしてどうなるのかということで、その場合の想定が全然農家の立場としては立たないわけでございます。今までは何とか阻止できるのではないかというふうに思ってきたわけでありますが、全く予測が立たない。対策も何にも政府の方からは示されないというままで、先行きどうなるんだろうということで、大変な不安と動揺が今広がっておるわけでございます。  しかし、今になってみますと、農家の皆さんも腹の中ではいずれはこれは避けられない事態だろうという予測はしているわけです。そうは思っておりましてもいざこういう時期になりますと、全くもうおれたちはどうなるんだろう、百姓はやっぱりつぶれるんだろうかというような心配をしているわけです。  それで、このミニマムアクセスを受け入れるということになって四十万トンなり八十万トンなりを入れるということになった場合、これはもう農家が、米だけではありませんけれども、傷つくわけでございます。その傷の手当てが全然示されないまま、大変なことになるぞということだけがどんどん今情報として流されておるわけなんですね。これでは私は本当にもう大変なパニック状態にならざるを得ないと思うんですよ。やはり四十万トン入れたらこういうことになるだろうという想定のもとに、この場合はこういう影響を受けるであろうから、こういうふうに傷つくであろうから、それに対してはこういう施策をとってあげますよというその傷薬と、風邪引くだろうといったら風邪薬と一緒に結局差し出すというような親心が示されなければ、私はこれはもうパニックになっていくだけだと、こう思うんですよ。  そこで、いわゆる自由化が進んでいく、そうした場合はこういう状況が生ずるであろう、それに対してはこういう施策で臨みますという対策とともにこういうものは進めていかなければいけないと思うんですよ。ですから、その対策についてどのように考えておられるか、お尋ねしたいと思います。
  66. 畑英次郎

    国務大臣畑英次郎君) 今、御案内のとおり、十五日という問題を控えて、そしてまた他の分野の交渉の進展ぐあい等々いろいろまだ案件が残っておることもこれまた事実、そういうような段階でございますので、今先生の御指摘は私に対する、そしてまた農政に対する一つの御注意を賜ったというような意味合いでお伺いをさせていただいたわけでございますが、十五日ということの時間的な中におきましては、従来の方針を堅持した努力を最後までやっていかなければならない、かような考え方に立っております。
  67. 星川保松

    ○星川保松君 今、私はそれを発表しろというわけではありませんで、いわゆる同時並行的にそれを進めていく準備を今のうちにきちんと立てておいていただきたいということでございます。
  68. 林紀子

    ○林紀子君 私もドゥニ調整案について大臣にお伺いしたいと思います。  このドゥニ案は国会の三度の決議に反するものですね。
  69. 畑英次郎

    国務大臣畑英次郎君) 国会決議の中にございますいわゆる完全自給という精神に照らせば、これは残念ながら傷がついておると言わざるを得ないと思います。
  70. 林紀子

    ○林紀子君 先ほど大臣は同僚委員質問に対して、国会決議を持って交渉をしてきた、こちらからメニューを持って交渉に当たるのではなくて、国会決議の枠組みを破って交渉すべきではないと。今度はまとめ役のあなたがアクションをしなさいということで、それが出てきたのがこのドゥニ案だとおっしゃいましたね。  国会決議を持って交渉をした結果、国会の決議に傷がつくようなドゥニ案が出てきたわけですから、そうなったら当然の帰結としてこのドゥニ調整案というのはきっぱりと拒否をするしかない、そう思いますが、いかがですか。
  71. 畑英次郎

    国務大臣畑英次郎君) この問題につきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、まだ残された問題もこれありということの意味合いでの努力を引き続きやらせていただいておる。そういう中にございまして、全体的な全体像を眺めてのいわゆる有するか左するかの判断を近々のうちにやらなければならない、ただいまそういう立場に置かれておる、かような意味合いで御理解を願いたいと思います。
  72. 林紀子

    ○林紀子君 大臣は、これまで質問をするたびに、国会決議を踏まえて国内で自給をするという基本方針のもとに対処するというふうにお答えになってきました。ですから、ドゥニ案を受け入れるということはこの答弁にも反していると思うわけですね。また、連立与党の八党合意にも選挙公約にも反するものですから、これを受け入れるということは、国民をだましてきた、国会をだましてきた、こういうことが言えるんじゃないかと思います。  そこで、先ほど来質問がありますけれども、具体的にお伺いします。  官房長官の談話では、我が国の主張が相当程度このドゥニ案には反映されているというふうにおっしゃいましたけれども、どこに我が国の主張が反映しているのでしょうか。ミニマムアクセス、六年間は受け入れるけれども、その六年後の交渉というのは、一つの選択肢としては相手国に受け入れられるようなさらなる譲歩をしなければいけない。そして、この特例措置をやめるというならば直ちにガットウルグアイ・ラウンドドンケル案の四条二の規定に従わなければならない。つまり包括的関税化そのものじゃないですか。  だから、この二つの選択肢しか六年後には残されてない。ミニマムアクセスというのはこの関税化に至る導入部である。つまりこれは関税化受け入れそのものではないかと思いますが、いかがですか。
  73. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 先ほど御説明申し上げましたが、この六年間というのは輸入数量制限関税に置きかえるという規定は適用されないというふうなことでございますので、ここの部分については我々の主張が反映をされておるわけでございます。  ただ、代償措置としてミニマムアクセス加重ということが加わっておるわけでございます。七年目以降については、御指摘のように、その時点交渉されるわけでございますが、無条件ではなくて、やはり六年目までに代償措置を出しておるわけでございますので、それ以降についても何らかの追加的な措置が必要であるということが書かれておるわけでございます。そういう枠の中で交渉によって決められるというふうにお答えしたいと思います。
  74. 林紀子

    ○林紀子君 交渉によって決められると言ってもその交渉余地というのが、丸々包括的関税化を受け入れるか、八%のミニマムアクセスよりさら にさらなる譲歩を受け入れるか、その二つしかないわけですから、全くのごまかしです。  最後に、時間がありません、大臣に伺いますけれども国会の決議というのは非常に重要なものである、この国会の決議を守らずに今回のドゥニ案を受け入れるということは、国会に対する大臣の政治的、道義的責任は大変重大なものだと思います。村沢政務次官はその職をなげうつと表明をなさっていますけれども大臣ももしこのまま受け入れるというようなことがあれば辞任して責任をとるというお考えはありませんか。
  75. 畑英次郎

    国務大臣畑英次郎君) 私は、生産者の立場、そしてまた農水省の農政のより期待に沿った姿のものに引き続き努力を傾けてまいりたい。そして、この問題につきましてはただいま申し上げたような意味合いの厳しさを受けとめさせていただいておるわけでございますが、私自身のただいまの心境の中にございましては、自給体制をこれから維持できる、そういった精神、趣旨といいますものは何とか生かし得る余地があるんではないかなというような意味合いで、ただいま問題を直視しておるというところでござ、います。
  76. 新間正次

    ○新間正次君 時間がありませんので、基本的な部分でお伺いしたいと思います。  今回のこの調整案がまずだれのためになるのか、国益となるのか、お伺いしたいわけでございますが、国際貿易国であります日本ガット交渉をいたずらに引き延ばすのはいけないことだとは思いますけれども、農産物を工業製品と同じように扱われるようなことがあってはならぬ、これは私、常々感じております。  生産者の立場から考えますと、今回のこのミニマムアクセスの受け入れを行った場合に、転作面積の強化は当然避けては通れないと考えられます。ところが、十二月三日の朝日新聞によりますと、米国では、「日本のコメ輸入拡大と国内在庫の減少見通しを受けて、一九九四年の作付け削減計画のうち、コメ減反率を九三年の五%からゼロにし、減反をやめるとの暫定決定を下した。」と、こういうことが報じられております。これはことしの緊急輸入を受けた決定でしょうけれども部分自由化ともなれば今後とも米国の米の減反は軽減されていくと当然見込まれましょうし、このようなことで日本の農家が果たして喜ぶと大臣はお考えでしょうか。何か矛盾を私は感じます。  また、稲作農家のみならず、先ほど来同僚議員もおっしゃっておりますけれども、畜産農家あるいは畑作農家への影響も大ではないかと考えております。  また、消費者サイドから見ても疑問が残るわけでございまして、現在でも日本への輸入農産物の検査機能体制というのは決して十分とは言えません。緊急輸入されましたお米の検査においても、限られた人数で本当に大変な努力をなさっていらっしゃる。消費者が一番心配しておりますのは、毎日食べるお米に有害なポストハーベスト農薬が残留しているのではないかという点、またテレビを見ておりますと、輸入されたお米は国産のものと比べて随分安くなると思っていらっしゃるような街頭インタビューを耳にしておりますけれども、ところがその輸入差益も思ったほど価格に還元されないのではないだろうか。さらにわけのわからないような外米と国産米が混合されて販売される可能性も高い。このようなことで果たして消費者は喜んでおるでしょうか。  そこで、大臣にお伺いをいたします。  今回のこの調整案を受け入れることは、国民のどの層にどのようなメリットがあるかということをお尋ねしたい。先ほどの差益還元のことも含めて、具体的にお答えをいただきたい。また、我々の子孫までも考えてみればいかなる国益があるという御判断に立たれているか、明確にお答えください。  私は、メリット、デメリットを比べると、どう見てもデメリットの方が多いという感じでございます。だから、断固として政府は再交渉を行うべきだと考えておりますが、あわせて大臣の見解をお伺いして、私の質問を終わります。
  77. 畑英次郎

    国務大臣畑英次郎君) ただいま減反の問題あるいはまたポストハーベストの問題、そしてまた内外価格差の消費者に対する問題等々、具体的な御指摘があったわけでございますが、これを受け入れることによってどの層がというような意味合いのものは、私自身は今そういったことの分析等もいたしておりませんけれども、いわゆる国益というような意味合いの中では国民各界各層の方々を念頭に置いて判断をすべき要素ではないかなというように考えますし、なおまた何といってもやっぱり農家の方々、生産者の方々、酪農家の方々、畜産農家の方々、そしてまたいわゆる第一次産業分野の方々、過疎地域の方々が、農産村地域の方々の一番大きな心配事であり、大きなマイナス要因を背負う姿が、要素がこの中には入っておる、そういうような受けとめ方をさせていただいておるわけでございます。
  78. 新間正次

    ○新間正次君 終わります。
  79. 石井一二

    委員長石井一二君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後十時三十六分散会      ————◇—————