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1993-11-02 第128回国会 参議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十一月二日(火曜日)    午前十時五分開会     ―――――――――――――    委員の異動  十月二十八日     辞任         補欠選任      永野 茂門君     田村 秀昭君  十一月一日     辞任         補欠選任      田村 秀昭君     永野 茂門君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         岡部 三郎君     理 事                 板垣  正君                 合馬  敬君                 翫  正敏君                 山口 哲夫君     委 員                 井上  孝君                 木宮 和彦君                 村上 正邦君                 守住 有信君                 瀬谷 英行君                 三石 久江君                 村沢  牧君                 大久保直彦君                 井上 哲夫君                 寺澤 芳男君                 吉田 之久君                 聴濤  弘君                 永野 茂門君    国務大臣        国 務 大 臣  武村 正義君        (内閣官房長官)        国 務 大 臣  石田幸四郎君        (総務庁長官)        国 務 大 臣  中西 啓介君        (防衛庁長官)    政府委員        内閣官房内閣内        政審議室長        兼内閣総理大臣  藤井  威君        官房内政審議室        長        内閣総理大臣官  石倉 寛治君        房審議官        総務政務次官   小池百合子君        総務庁長官官房  池ノ内祐司君        長        総務庁行政管理  八木 俊道君        局長        総務庁行政監察  田中 一昭君        局長        防衛庁長官官房  宝珠山 昇君        長        防衛庁防衛局長  村田 直昭君    事務局側        常任委員会専門  菅野  清君        員    説明員        警察庁刑事局保        安部生活保安課  瀬川 勝久君        長        環境庁長官官房  小沢 道一君        総務課長        国土庁土地局土  木村 誠之君        地政策課長        大蔵大臣官房企  日野 康臣君        画官        大蔵大臣官房企  樋口俊一郎君        画官        大蔵省主税局税  渡邊 博史君        制第三課長        国税庁長官官房  舩橋 晴雄君        総務課長        文部大臣官房総  小野 元之君        務課長        厚生大臣官房総  和田  勝君        務課長        厚生省社会・援  松尾 武昌君        護局保健課長        厚生省老人保健        福祉局老人福祉  水田 邦雄君        計画課長        農林水産大臣官  齋藤 章一君        房文書課長        通商産業大臣官  河野 博文君        房総務課長        運輸大臣官房文  岩村  敬君        書課長     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○行政手続法案内閣提出衆議院送付) ○行政手続法施行に伴う関係法律整備に関す  る法律案内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  行政手続法案及び行政手続法施行に伴う関係法律整備に関する法律案、以上両案を一括して議題といたします。  両案につきましては前回既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 合馬敬

    合馬敬君 時間の御都合もあるでしょうから先に官房長官にお伺いいたします。  米の自由化の問題でございますが、ガットのウルグアイ・ラウンド決着が迫っておるというようなこともあって、マスコミ中心にいろんな観測気球が上がっております。例えば六年間包括関税化を猶予してミニマムアクセスを認めるとかそういった話が出ておるようでございますが、世間は大体どういう考えなんだろうと大変混乱しておりますので、その真相について、おわかりの範囲で結構でございますから、官房長官からお話をお願いいたします。
  4. 武村正義

    国務大臣武村正義君) 米の問題でございますから、所管ではありませんし、余り詳しく申し上げる立場ではないわけですが、もう合馬委員も御承知のとおり、ここ数年来ウルグアイ・ラウンドをめぐって内外さまざまな論議が行われてまいりました。毎年、年末になりますと、ことしがぎりぎり最後決着の年だということが特にここ二、三年繰り返されてきたわけですが、今年は御承知のように、宮澤政権下の東京で行われたサミットにおきましても年内合意ということが七カ国のトップによって合意されたところでもございますし、その後、ECアメリカの大変厳しい交渉ブレア合意で一応枠組みが決まりながら最後の仕上げの交渉が進行中でございます。  そんなことをあれこれ考えますと、ウルグアイ・ラウンド、いよいよことしは最終の場面を迎えるのだろうかという気持ちを持っている一人でございます。しかし、必ずことしじゅうには決着がつくと、これは言い切る自信はありません。  ECの中でもフランスがかなり抵抗をしているようですから、本当にECアメリカ最終合意が成るんだろうか、あるいは米、農産物以外のさまざまな問題がたくさんございますから、四極の通商会議等をめぐって進められております。その他の問題も本当にきちっと合意ができるんだろうか、そういう不安がまだ残っていることも事実であります。ただ、例年よりはややことしはそういう意味で、最終決着がつく可能性が高いというふうに私ども認識をいたしているところでございます。  日本政府としては、もうこご数年来、この問題には出先を含めていろんな外交的かかわりを持ってきているわけでございますが、国会決議これあり、再三再四申し上げておりますように、日本国民の食べる米は日本の大地で自給していく、この原則を踏まえながら鋭意交渉に当たっているところでございます。  昨日出発された畑農林大臣、もうきょうあたりは着かれていると思いますが、その基本姿勢関係者と折衝に当たる方針でございます。
  5. 合馬敬

    合馬敬君 余りストレートなお答えでもないようでございますが、米問題の専門家でもありませんので、そこで私、これだけははっきりと御認識していただきたいと思いますのは、ことしは大変な凶作でございまして、政府として食管法に基づいて米の需給調整を図るという責任があるわけですから、これについては、足りない分についての緊急輸入というものはこれはいたし方ない面があるかもわからない。それと、このいわゆる包括関税化を含めましての輸入自由化の話というのは、これは全く別の話でございます。  いろいろ言われておりますが、例えば何といいますか、妥協案といいますか、その流されておる観測気球の中で、六年間包括関税化は猶予してもらう、その間はミニマムアクセスを認めようと、こういう妥協案が出されている。しかし、ミニマムアクセスというのは、最低限の数量であったにしろ、これまでは政府の許可を得ずに輸入をする、こういうような制度でございますから、これはあくまでも部分自由化自由化であることには間違いない、こういうことでございます。  そういうことで、今回の米の緊急輸入措置とそれから輸入自由化の問題とは全く別である、そういう御認識をお持ちだと思いますけれども官房長官、それでよろしゅうございますか。
  6. 武村正義

    国務大臣武村正義君) おっしゃるとおり、今年度の異常な事態に伴う米の緊急輸入ウルグアイ・ラウンド議論をされております米の自由化とは、全く別の問題と認識をいたしております。
  7. 合馬敬

    合馬敬君 そこで、今回の凶作農家は大変苦しんでおるわけでございますが、ここでまた自由化可能性がある、こういったことになりますと農家は大変な影響、打撃を受けるわけでございまして、ここはやはり、また米の完全自給体制を目指して来年度予算から生産、営農対策、さらに備蓄対策減反緩和、こういうのを含めまして完全自給体制をとる、こういったようなことになろうかと思いますので、こういうときに一部分でも米の自由化が行われる、そういったようなことになれば、それじゃこれからの完全自給体制はどうやってやるのか、またそれはうそをつくことになるんじゃないか、こういうようなことになると思いますので、こういった点についても私は官房長官としての十分な御認識をいただきたいと思うわけでございますが、よろしゅうございましょうか。
  8. 武村正義

    国務大臣武村正義君) 先般、米の転作緩和方針を農林省が発表いたしておりますが、これも七万数千ヘクタール緩和をしながらも来年度の米の需給全体を展望しながら数字をはじいておりまして、備蓄の目標の百三十万トンも自給原則といたしておりますように、あくまでも輸入を前提にしたものではないということは御承知をいただいているとおりでございますので、合馬委員の御発言趣旨には全く同感であります。
  9. 合馬敬

    合馬敬君 次に、まだ防衛庁長官見えでございませんので、きょうは政務次官小池さん来ておられますが、ちょっと私気にかかることがありましたのでお呼びしたのでございます。  あなたは、週刊朝日ですか、これに何か、私余り週刊誌読まないのでたまたま偶然に見たわけでございますが、「永田町ブロードキャスター」なんという文章を書いておられるんですが、これはゴーストライターに書かせておられるんですか、自分で書いておられるんですか。
  10. 小池百合子

    政府委員小池百合子君) これは私自身が書いているものでございます。
  11. 合馬敬

    合馬敬君 そこで、この文章でございますが、政務次官あり方について、これは非常にいろいろ議論がされておりますが、政務次官職務について御説明をお願いしたいと思いますが、これはどなたがよろしいですか。
  12. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) お答え申し上げます。  政務次官職務につきましては国家行政組織法の第十七条にございます。
  13. 合馬敬

    合馬敬君 はっきり読んでください。
  14. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 「各省及び法律国務大臣をもってその長に充てることと定められている各庁には、政務次官一人を置く。」と、こうなっておりまして、その具体的な職務といたしますと、「政務次官は、その機関の長たる大臣を助け、政策及び企画に参画し、政務を処理し、並びにあらかじめその機関の長たる大臣の命を受けて大臣不在の場合その職務を代行する。」、こうなっているところでございます。
  15. 合馬敬

    合馬敬君 大変な職務でございますよね。私も前に環境政務次官を、ここにも農林水産政務次官おられますが、大変な職務で、私、環境政務次官を拝命いたしましたとき、本当に私にこういう仕事が勤まるんだろうかと身の引き締まる思いがしたわけでございます。  それで、この文章を見てみますと、「現時点では冠婚葬祭要員でしかないのが政務次官。」、「「盲腸」といわれる政務次官、」、こう書いておられるんですね。  こんな大事な職務を受けながらこういうことを書かれるというのは、まず第一番に、あなた自身じゃないんですよ、ほかに二十何人政務次官おられますね、ほかの政務次官みんな、あれですか冠婚葬祭要員なんですか。私は非常に失礼だと思いますよ。まずそれが第一点。それから、村沢政務次官冠婚葬祭要員でございますね。だからこれは私は、まず非常に失礼である、誹謗したことになると思うんです。じゃ、これは、あなたが冠婚葬祭要員なんですね。私は、小池さんはなかなか学識、教養があると思っているんですよ。これは卑下して書いているんじゃないかと私は思うんですがね。  それにしましても、冠婚葬祭要員でしかないんだったら、まず、政務次官を任命するのはどなたですか。政務次官はだれが任免されるんですか。
  16. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 国家行政組織法の同じく第十七条の五項でございます。「政務次官の任免は、その機関の長たる大臣申出により、内閣においてこれを行う。」とされているところでございます。
  17. 合馬敬

    合馬敬君 私は、そのような政務次官を任免するというのは、これは担当者責任である、こういうように思うわけでございます。私は、とてもこんな要職は勤まらないというのだったら、任命されたときに辞退されるというのが筋であると思うわけでございます。  そういう中で、これは読ませるためにおもしろおかしく書いているんでしょうけれども大臣とほとんど変わらない次官室が与えられて、若い男前の秘書官がついて、若くてかわいい秘書官が二人ついて何かと世話をやいてくれて、おまけに専用の車に運転手さんまでついて、ついてないのは次官交際費ぐらいだと。それで、政務次官って何するのと聞かれたら、尋ねられるたびに困っていると。私は、こんなふざけた話はないと思うんですよ。  その次にさらに書いておりますのは、「国会対策に駆け回る仕事次官担当。役所に関連した法案総務庁ならさしあたって「行政手続法案」が根回しの対象である。「よろしくお願いしまーす」とめったに下げない頭を下げて回った。」と。  私なんか選挙区で頭を下げ通しですが、そんなにめったに下げない頭でしょうけれども、だけれども、どういうお考えなのか知りませんけれども、大体、国会対策って何なんですか。今、総務庁はこの行政手続法案を通すために大変な死に物狂いの努力をしているんですよ。全員ですよ、事務次官以下、官房長局長準備室長、みんなぴりぴりして、何としてでもこの法律を通したい。これを通さなかったら石田大臣だって大変な責任問題なんですよ。その国会対策は駆け回る仕事ですよ、これを私は、お聞きしますけれども、どんな国会対策をやっておられるのかわかりませんが、「よろしくお願いしまーす」と、まあこれはおもしろく読ませるために書いたんでしょうけれども、こんな軽い言葉でやられたんじゃたまったものじゃないですよ。この行政手続法、これだけ大変な労力をかけてこれだけの法律を仕上げて、いよいよ最後の剣が峰なんですよ。あなた、これ読まれたんですか。  そこで私は、こういったことを書かれる大臣、それから内閣が任命するんでしょうから官房長官、どういう御措置をとられるのかそれをお願いいたしたいと思います。まず官房長官
  18. 武村正義

    国務大臣武村正義君) 私もこの小池政務次官文章を読ませていただきまして、よく読めば、これは自戒を込めて、現実はそのままかなり正直に表現されていますが、こういうことでいいんだろうか表題にも私なりに脱皮を工夫しているということが書いてありますように、またこれを改革していくのは私自身だという言葉で結ばれておりますように、そこは、やや好意的に読むか、でないかによって随分これは見方は変わってくるんじゃないか。  冠婚葬祭というのも、恐らく儀礼的な仕事がかなり多いということを自戒として率直に語っておられるので、しかし冠婚葬祭というのは儀式あるいは儀礼的仕事でありますから、総理大臣といえどもかなり多いんです。私どもでも結構、これは人間社会で、しかも一国の責任を食えば、対外的にも随分そういう人にお会いしたり、会うことに意味があったり、会議に出ることに意味があったりしますから、儀礼的な要素がかなり多いのはお互い、合馬さん自身も御経験のとおりでありますから、本来の仕事もしっかり自戒しながら頑張っていこうという気持ちがにじみ出ていると私は思って読ませていただきました。
  19. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 私も小池政務次官文章については読ませていただきましたけれども、今まで総務庁の中で一緒に仕事をさせていただいたんでございますが、いろいろな正式な会議にもしっかりと出席をしていただいておりますし、また個人的な勉強会等もやっておるのでございますが、そういったことについても積極的に参加をしてくださっておりまして、真剣に取り組んでいただいておる、このように承知をいたしております。  ただ、確かに儀礼的な会合等もあるのでございますけれども、それはそれなりにまた重要な会議がたくさんございます。例えば先般行われました皇太子殿下の御成婚の記念行事として国際青年コンファレンスの開催を総務庁担当でさせていただきましたけれども、そこにも大きな役割を果たしていただきましたし、また、地方規制緩和に対する懇談会とか交通安全シンポジウム会合等にも、地方にも出かけてもらっておりますし、そういった意味では、確かに国会内での発言のチャンスは少ないのでございますけれども、そういった私が出るべき会合にしばしば出られないこともございますので、そういった面でも十分に活躍をしていただいておるというふうに承知をいたしております。  しかし、やはり今までの活動の中で、さらにもう少し政務次官として積極的に働く場所があっていいのではないかというような、そんなお考えの中で自戒の念を込めておっしゃっておると。文章でございますからなかなか言うべきことを全部尽くせるということは少ないわけでございますので、どうかひとつそういった意味で大きな目で育てていただきたい、このようにお願いを申し上げたいのでございます。
  20. 合馬敬

    合馬敬君 大臣の非常に苦渋に満ちた御答弁、苦労よくわかりました。  さっきから村沢政務次官笑っておられますが、それは確かに村沢政務次官は長年の知識、経験教養がおありなので、本当のところそんなものではないよといったようなお考えでやっておられるんでしょうが。  防衛庁長官、お願いいたします。  先般、細川総理が本年度の自衛隊観閲式で御発言をされましたことで、私ちょっといろいろ疑問に思うと申しますか、防衛大臣としての御見識をお願いいたしたいと思うわけでございます。  その中で、米ソ冷戦終結後の日本防衛あり方について、意味のある防衛力とはどのようなものかということを検討いたしたい、こういったように言っておられるわけでございますが、私は、我が自衛隊専守防衛、そして相手国からの領土、領海、領空への侵略侵攻を防ぐ重要な任務があると思っておるわけでございます。そういう意味で、こういう米ソ冷戦終結後の防衛あり方についてできる限り早く具体的にあるべき方向を示さなければならない、こう言っておられたわけですが、これについて防衛大臣はどのようなお考えをお持ちでございましょうか。
  21. 中西啓介

    国務大臣中西啓介君) 今の合馬さんの御質問は、日曜日に行われました朝霞の自衛隊観閲式での総理訓示についてお問いになられているんだろうと思います。私もあの発言を聞いて、率直に申し上げましてなかなか的を射たいい訓示であるなどいう印象を持ちました。  日本防衛計画はもうおおよそ二十年前に策定された計画なんですね。十年一昔というのがありますが、計画そのものがもう既に二昔前につくられた。もちろん、例えば戦闘機で言えばファントムからF15に変えたり、あるいは戦車で言えば七四式を九〇式に今整備を変えつつあるとか、ナイキをぺトリオットに変更しつつあるとか、それはいろんな情勢をにらみながら緩やかに整備を図っているところではございますけれども、少なくとも東西冷戦構造という大変大きな枠組み環境の中で、世界軍備もあるいはまた我が国軍備も大きくそれをにらみながら対応してきたこともこれまた事実だと思うんです。しかし、お釈迦様でも気がつかないような形である日突然ソビエト連邦という国が瓦解をした。そういうことで、確かにヨーロッパあるいはアメリカ等においては冷戦構造下で蓄積されてきた過剰のといいますか、余剰のいわゆる軍事力は今削減されつつあるということもこれまた事実だと思うんです。  しかし、逆に日本環境考えてみますと、ある意味では防衛力整備必要性あるいは重要性というものは逆に重要になってきたんではないかなと、私はそんな個人的な認識を持っております。  国交のないというのがかなり我々としては手詰まり状態にあるポイントでありますけれども、北朝鮮のいろんな動き、相当核疑惑も濃厚である、あるいは精力的に弾道ミサイル研究開発も行っておるというような動きとか、また、我が国は全く専守防衛に徹している国でありますが、中国なんかを見てみますと相当攻撃的な兵力というところに重点を当てた装備が図られているという見方をしてもおかしくないような今状況にある。南沙群島における中国動きなんかも、中長期的に見ますと大変これも気になるところである。  それから、ロシアだって、この間エリツィン大統領がお見えになって、シベリアのあの一件についておわびを申し上げてくれたり、あるいは北方四島の兵力の削減の方向性を示唆してくれたり、それなりに歓迎すべき部分もございますけれども、まだロシアの軍のこれからの将来性というものもよくわかりません。共産党が岩盤を張っていたときにはその共産党の主導のもとにあの巨大な軍事力というものが相当強くいわゆるコントロールされていたわけでありますが、今はその共産党もああいう状況になってしまった。で、まあ民主化方向に今進んでいるんでありましょうが、軍をコントロールするという意味では、私はむしろ共産党が支配しているときの方が強固にされていたんだろうと思っておりますから、ロシアの軍の行方というのもよくわからない。あるいはNATOに配備されていた余剰の戦力の大部分が我々に一衣帯水の極東に配備をされたというふうなこともこれ大変な懸念一つであるというふうに考えております。  そういうことで、韓国、中国、あるいはASEAN諸国冷戦構造軍縮方向に、あるいは軍事面予算を削減していくというのであれば大変結構な傾向だと思いますが、それはまた逆の方向に実は推移しておりまして、これも全体的に見ると大変懸念一つであるということは言えると思うんです。  しかし、冒頭申し上げましたように、二十年前に決められた計画である。それから日本が、これはどの国の場合でも言えることだろうと思うんですが、その国が平和でそして安定している状態というものは周辺及びその世界全体が平和であり安定であるということの方が全く担保されるわけですね。そういう意味では、原則的にはやっぱりいずれの国々も軍備管理軍縮方向を目指すべきだということは、これはもう正々堂々と言える理屈だと思うんです。  細川総理の言われたのは、そういう現実直視はします、直視はしますけれども、やっぱり日本唯一被爆国でもありますし、非核三原則を厳守している国でもありますし、武器をつくって武器をどの国にも売っていない唯一の国でもありますし、全く専守防衛に徹している国であります、攻撃的な兵器なんというのはこれっぽっちも保有していないわけですから。ですから、世界じゅうに軍縮、平和を呼びかけていく堂々たる資格を有している国である、だからそれは堂々と、何といいますか、平和あるいは軍縮を訴えていくべきである、そういう活動は積極的にやるべきではあるけれども、有事というものはいっ何どき発生するか、これは神のみぞ知るでわかりませんから、これだけ先人たちが構築してきた平和で豊かでそれから自由を謳歌しているすばらしい日本という国を守っていくということについてはいささかたりといえども手を抜いてはいかぬ、そういう企てをもし試みようという国があったら断固立ち向かいます。  こういうことを言われたわけでありますから、私はそういう意味では大変すばらしいことをおっしゃっていただけたなと、そんな印象でその訓示を聞かせていただきました。
  22. 合馬敬

    合馬敬君 おおむね防衛庁長官のお話でわかりましたが、今お話の中に出ました、日本軍縮についても世界に率先してイニシアチブをとっていかねばならない、こういったように言われたわけでございます。  真意はそういうことであるにしましても、軍縮といいますと何かずく、ともかく定員を減らそう、それから軍事費を削減しよう、それからはっきり言えば装備水準、これもAWAC、とかパトリオットですか対スカッドミサイルに対する施設だとかあるいは最新鋭戦闘機のF15だとか、こういったような高度の装備水準は下げる必要があるんじゃないか、世間の方はそういったような連想をされるわけでございますが、軍縮というのはそういうものではない。今言ったように、相手国に対しての関係もありますからね。とうやれば専守防衛ができるか。防衛は、守る方が攻めてくるよりもはるかに装備の水準が高くないとそれは守れないわけでございますので、それだけに一層この充実をする必要もある。  さらに、大臣も言われたように、最近どんどん技術が進歩しておりますから、装備はハイテク化、近代化しておりますから、こういった装備をどうやって充実していくか。それからスケールの話もあるでしょうし、それから、何よりもいわゆる実力組織としての軍隊というものは一朝一夕にしてできるものじゃございませんよね。これはやっぱり長年の修練と歴史と蓄積があってこそできるので、一回これを解体してしまえば再建というのは非常に難しい。だからこそ、これまでも営々と皆さん方が御努力してここまでの自衛隊を育ててきたわけでございます。  そういったような方向を踏まえながら現下の状況を見て、そしてこの防衛計画の大網を見直していかなければならない、こういうことで私は理解しておるわけでございますが、これにつきまして、ひとつ防衛計画の大方の見直しの方向でもお考えがあればちょっとお聞かせを願いたいのと、それから、軍縮の内容ですね、それからやるとすればどういう意味での軍縮考えておられるのか、そしてそれをどういう形でイニシアチブをとってやっていかれるのか、これについてのお考えがあればちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  23. 中西啓介

    国務大臣中西啓介君) 先ほども申し上げましたように、確かにおおむね二十年前に決められた計画でございますから、環境というものも相当大きな変化を遂げてきたことは客観的に見て事実なんだろうと思うんです。ですから私は、率直に大きな変化が起こったということを認めて、そしてそういう視点から日本防衛政策防衛の中身、装備を含めて検討していこうということで、今防衛庁も鋭意精力的に勉強いたしておるところでございます。  私は、何といいますか、陸海空どれが重要だというような話についても防衛庁の中でも議論しているわけでありますが、これは防衛庁のみならずどの国も、陸が大事だ、いや空が大事だ、海が大事だというような確たる結論がなかなか出せないままに推移してきているというふうに承っております。なかなか出しにくいものなんだそうですね、軍事専門家たちがかなり掘り下げた議論をしてやっているんだそうでありますが。しかし、我が国はあくまでも専守防衛ということだけは決して忘れてはならぬのだろうと思います。  そんな中で、やっぱり飛躍的に大量破壊兵器というものももちろんございますし、この点も大いに勉強をしていかなきゃなりませんが、当面は私は、ミサイル系統といいますか、特に弾道ミサイル、これは大変なハイレベルの技術が今進んでおりまして、これもまた未確認ではございますけれども、イラン国内で北朝鮮が千五百キロから二千キロぐらいの飛しょう実験を行うというような情報も一部あるわけですね。ことしの五月に日本海に向けて発射されたミサイルは優に千キロ飛ぶところを抑えて五百キロぐらいにして飛ばしたという、情報を収集した結果、結論として我々は出しているわけでございますが、これもまあ一部の情報でありますけれども、あと二、三年以内にはもう確実に日本全土をカバーするぐらいの飛しょう能力をマスターするであろうというような説もございます。  そういうものに核開発とドッキングするということは、これはもう大変なことでもありますし、それ以前に生物化学兵器がドッキングすることだって考えられるわけでありますから、まさかそんなことは起こり得ないとは思いますけれども、しかし、あくまでも防衛というものはそのまさかということを想定しながら対応していくところに大変国民的理解を得にくい宿命的な難しさを抱えるわけであります。  私は、先般、アメリカに参りましてアスピン国防長官ともいろんなテーマについて会談をいたしましたが、そのときに例のいわゆる戦域ミサイル構想、TMD、この話が出たわけでございます。なかなか、日本の場合は、宇宙の平和利用に閲する国会決議であるとか、あるいは集団的自衛権の問題とか、あるいは最近新たに我々知ったわけでありますが、アメリカロシアとの条約に限定して考えると、ちょっと日本といろいろ提携しにくいような何か部分も出てきているわけです。  きょうまたアスピン長官ともお目にかかるわけでありますから、一遍そんなあたりも時間があれば聞いてみたいなと今思っているわけでありますが、やっぱり方向として私は、そういういわゆるミサイルに対して事前に精密な確たる情報をいち早く察知して、それに十分要撃というか対応できるような方向にこれからは向かっていくのかな。ですから、ロシアとのあれは劇的に変わったわけですから、この部分は大きく変更いたしますと、しかし新たにこういう部分では大変心配な面もありますから、国民の皆さん方の御理解も得たいというようないろんな問題がこれからも出てくるんだろうと思います。そういうことも含めて精力的に検討をしてまいりたい。  それから、やっぱり、情報を本当により早くより正確に収集できる能力というものもこれからの我が国防衛整備を急がなければならない部分なんだろう、私は個人的にはそんなふうに今考えております。詳細はまだ御報告できる段階にはございません。
  24. 合馬敬

    合馬敬君 ちょっと軍縮のイニシアチブについて。
  25. 中西啓介

    国務大臣中西啓介君) 軍縮のイニシアチブ、これは総理のお考えもまだ詳しく直接承っておりませんからわかりませんが、私はやっぱり、政治改革だとかあるいは経済対策だとか、なかなかもう頭の割れるぐらい難しい問題を我々は今抱えているわけでございます。これをいち早くクリアしたいなと念じつつ皆さんも御努力をいただいているところだと思います。  こういう懸案事項を乗り越えることができ得れば、私は次のテーマは、国会で地についた本格的な広範な意味の安全保障論議を徹底的にやるべきだ。例えば日本が国連の安全保障常任理事国になるべきかならざるべきかというような問題、あるいはPKO活動というものは日本がこれからの国際社会の中で生き抜いていくためには本当に僕は不可欠在行為そのものだと思うんですが、そのPKOにかかわっていくために、今の自衛隊の任務規定の中にはもちろん雑則の中には入れられているわけでおりますが、私はこれは本来任務に格上げすべきだというようなことを防衛庁長官に就任をして以来申し上げているわけでございますが、こんなような問題もこの委員会やあるいは国会で徹底的に御議論をいただいて結論を出していただきたいというふうに思っております。そういうふうな、いわゆる国連を通じて軍縮あるいは平和というような問題に積極的に対応していくというのも一つの有力な対応の手段なのかなと思っております。  国内の防衛については、これから皆様方のいろんな御指導、御意見等も承りながら我々も今一生懸命精力的に勉強いたしておりますから、それはこれからの段階においていろいろ参考にさせていただきながら対応してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  26. 合馬敬

    合馬敬君 今の防衛庁長官の、御決意に近いものと思いますが、聞いてある意味では私も安心をしたわけでございます。  どうも、この前の観閲式のテレビを聞いて、NHKのテレビでしたが、最初にすぐ防衛計画の縮小ということを言いまして、それからお昼のテレビになりましてすぐに訂正がありまして、新聞で今報道されたような記事になったわけでございます。  軍縮という言葉ですぐに世間は防衛庁の定員の削減、軍事費の削減といったようなことを思い浮かべるわけでございますが、私は何といっても、起こるか起こらないかわからない、百年に一回かもわからない、永久に起こらないかもわからないけれども、国土はいかなる場合であっても守らなければならない、そのためにその時代に合わせた装備水準を整え、そして何よりも人が大事でありますから、国を守るという気概を、能力を持った自衛隊がしっかりと健在でないといかぬ。そのための装備は世界全体の情勢を見ながらいついかなる場合でも対処をできるように、そういった意味での防衛計画の大綱の見直しというのなら私は非常に結構なことであるというように思っております。  それじゃ次に、本題に入ります前にちょっとお伺いをしたいんでございますが、総理府でございますかね。  軍人・軍属恩給欠格者の問題でございますが、今、戦いに従事しながら恩給の資格をある意味では欠いて受けられないという気の毒な方が百八万人おられるというように聞いております。もうお年も平均七十二歳になるということでございまして、そういったようなことで、先般、平和祈念事業特別基金法というものをつくりまして、こういう方に書状、銀杯を贈呈して報いよう、こういう制度ができたわけでございます。今、該当者が、申請者というんですか、大体三十万人ぐらい出しておられるということでございます。  ただ、三年未満の方が二十万人から三十万人おられるということでございますが、これは高齢でもあり何とかその功に報いてやることができないだろうか。在職三年未満の方、内地勤務者、こういった非該当者にも書状、銀杯をぜひ支給してあげたい、こういう私の気持ちでございますが、この点についてはどのような検討が行われているんでございましょうか。
  27. 石倉寛治

    政府委員(石倉寛治君) お尋ねの件につきましては、まず事実から順に申し上げます。  まず書状でございますけれども、現在三十万九千件の請求がございますけれども、二十五万四千件既にお出しをいたしております。大体八二%ぐらいになるかと思います。それから銀杯が二十万六千件の贈呈を行ったところでございます。  以上のような状況でございまして、先生おっしゃいますとおり、対象の皆様方どんどん御高齢になられます。一刻も早く差し上げるという必要があることは重々私ども承知をいたしておりまして、その点につきまして努力を基金の方で進めていただいております。そういう意味でも、御高齢の皆様方に報いるようにできるだけの努力を重ねてまいりたいと、こう考えております。
  28. 合馬敬

    合馬敬君 その点、何とぞよろしくお願い申し上げます。  そこで、石田大臣にお尋ねいたしますが、この前第三次行革審の最終答申が出ましたですね。大変な御苦労をされてまとめられたと思うんですが、この中に非常にスケールの大きなことが書いておられまして、地方分権、地方の時代というものをつくっていくんだ、そのためといいますか、その対象として中央省庁ですね、二十ですか、の省庁の統廃合、六つにする、こういうお話が出ておるんですが、今の二十の省庁を対外関係省、国民生活省、産業省、国土省、財政・経済省、教育科学文化省、こういったようなものにまとめていくと。  ただ、目的はいいのかもわかりませんが、これだけの大組織を六つにまとめていく。今回のこの行政手続法一つをとりましても、各省庁にまたがっている法律を一本の行政手続法にまとめるというだけでも大変な作業なんですよね。すさまじい作業であります。ましてや、中央省庁をそういうぐあいに統廃合していく。こういうことになりますと、それじゃ各省庁の人事はどうするんだ、仕事の配分はどうするんだ、あるいは国会対策の関係、国との関係もありますよね。物理的な施設の問題もあるのかもわかりませんですね。機能の一番大事な分担の話ですね。こういったことをやると、私はこれはもういわゆる普通の行政的な検討ではできないと思うんです。これはもう革命に近いと思うんですね。またそうしなければできないと思います。  そうしますと、やるならやると決めたんだったら、膨大な時間とエネルギー、これがまた要るんですよね。途中でやめたというわけにはいかないと思うんですよ。  だから、私は、こういった中央省庁の統廃合の問題は、なるほど答申の中では、うまく逃げるために、限られた検討期間の中で具体的結論を得るに至らなかった、だから太くくりの省庁体制のイメージとして例示したと、こうやって逃げておりますが、しかし、もしパフォーマンスでなくてこういう方向で進まれるというんだったら、二十一世紀になって実現するつもりでも、もう今からその検討に着手しなければとてもできっこないと思うんですよ。言ってみただけに終わる。しかも途中でやめたということになると、これまたすさまじい労力いエネルギーのロスになるんですね。私が石田大臣を大変尊敬しておりますのは、今まで一つの組織を、いろんな大変な問題あると思うんですが、これを率いて運営してこられた、これは大変なことだと私は思っているんです。  そういうぐあいに、ましてや国の機関ですから、これを実行に移していくとなると、大変な決意とそれからこの方向で間違いがないんだという洞察力、そしてそれを裏づける先ほど申し上げましたようなエネルギーが要ると私は思うんですよ。こういう答申の結論に大臣としてどういうお取り組みの決意なのか、お考えなのか、ぜひお聞かせ願いたいと思います。
  29. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 合馬先生御指摘のとおり、私どもとしましては大変大きな宿題を背負ったなという第一印象でございました。  行政組織が原則として簡素で効率的でなければならないというこの点は、第三次行革審の皆様方も一致した御意見であろうと思うのでございます。しかし、現在のいわゆる省庁体制というのは、まさに国の行政の根幹にかかわる問題でございますし、戦後いろいろな微調整は行われたりいたしましても現在の体制が半世紀にわたって続いてきたわけでございますので、そういった意味では、確かに冷戦構造が崩壊をして、新しい世界に対応すべき日本の行政というものをつくらなきゃならないし、また経済あるいは社会の変革に応じたそういった行政の変革も必要であることは、これは基本的に私は大いに議論があるところだろう、またそういう議論があってしかるべしたというふうには思うわけでございます。  今、先生も御指摘になられましたように、行革審の答申そのものをずっと拝見しておりますと、やはり新しい将来に向けての省庁の統合関係というものは非常に重要な課題であると同時に非常に困難を伴う難しい問題だということを御指摘になっておられるわけでして、さらに国民の広い意見を聞いて、このように答申では書かれているわけでございますので、この基本的な考え方を踏まえると同時に、さらに今後の行政機構のあり方についてはいろいろなところで御議論をいただかないと、ただ恣意的に政府なら政府考え方だけでどんどん進めていくということは、これは私は不可能に近い話であろうと思うわけでございます。  そういった意味合いにおきまして、これからもそういった答申の趣旨を踏まえながら順次勉強会もしていかなければなりませんし、具体的に手をつけようといたしますとかなり大がかりな権限のある審議会というものをやはりつくって進めていかなきゃならない問題だろうと思うわけでございます。  しかし、今、先生おっしゃったように、滑り出してしまったらこれは途中でやめましたというわけにはいかないわけでございますので、その前のいわゆる審議会をつくるという前の段階におきまして十分な検討をして、各般の御意見を承りながら審議会をつくるというような考え方しかないと思うんでございますね。審議会ができればもうこれはゴーのサインでございますから、うかつには審議会も、これは慎重にいたさなければならないなと。また、これらの問題についてさらに勉強会を私たちも真剣にやりまして、各般の皆様方の御意見も承りながら方向性が出せるかどうかを検討してまいりたい、このように思う次第でございます。
  30. 合馬敬

    合馬敬君 さすがにやはり石田大臣は人生の経験が深いですね。私も本当にそのとおりだと思っております。  この答申が出た後いろんな新聞を見てまいりましたが、「二十一世紀に向けた六省庁への「再編イメージ」を提示したが、どの省の、どの仕事を、どう整理・再編成していくのかといった具体論はほとんどなく、委員ですら「夢物語」「絵空事」という。答申に何が書かれるかに日ごろは敏感な省庁も、実現性はまったくないとみたのか、この部分にはほとんど危機感を抱かなかった。」と。まあもっともだ、こういうように思っております。  ただ私は、間違っても、第三次行革審の答申でございますので、パフォーマンスも大事でしょうけれども、これは行革審の委員が言っているんですよ、やはりある意味では実現の可能性があるものを出すべきなんで、出した以上は、大変受け方は難しいと思いますが、今、大臣が言われたようなことで、じっくりと内部検討になるんですかね、進めていく以外にはないんじゃないかというように思っております。  それから次は、今、経済改革研究会で着々と審議が進められておりまして、先般、中間報告の修正案が出されたわけでございます。こちらの方は非常にある意味では厳しい報告になっておりまして、公的規制については、規制緩和の中身の提示は廃止を含めた見直しという非常に厳しいものでございますね。廃止を含めた見直しということでございまして、しかも、公的規制の抜本的見直しに当たっては聖域を設けないということで検討する。それから経済的規制、これはもう原則は自由ということで、要するに規制を設けないということでございますので、はっきり言えば自由競争。  ちょっと話が違いますけれども大臣規制緩和規制緩和といいましても、そう一概に私は大歓迎すべきことでもないと思っております。それは確かに規制がなければすべての経済関係、競争が自由になる、それはそれで非常に能率が上がります。だけれども日本の産業経済構造を見てみましたら、いろんな業種が、また同業種の中でも、その規制によって仕事を分け合うといいますか仕事を分担するというか、そういったようなことでそれぞれの生計を立てておる、産業が成り立っておる、こういったような分野もいろいろあるわけでございます。  規制緩和による経済的なプラス効果と、それから同じ規制緩和によるそういったマイナス効果、失業を含めたいろんな問題がありますが、それはマイナス効果、これは非常に難しい問題でございまして、そう簡単に規制緩和規制緩和といって大歓迎するというのもまたある意味では問題があろうかと思っておりますが、そういったようなことで、経済的規制については原則では自由にする、こういうことになっております。  そしてさらに、「規制緩和の効果を高めるために」ということで「規制緩和を促進し、かつその運用の迅速性、透明性を確保するため、「行政手続法」の成立とその的確な運用を図る。」というのがこの中間報告修正案にあるわけですね。この意味についてもまた後ほどお伺いいたしたいと思いますが、行政手続法を今回成立させ、そして的確な運用を図っていけば最終的には規制が要らなくなる、そもそもそれのよって立つ法律を廃止していく、こういうことまでこの中身は言っておるように私は受け取るわけでございます。  同じように行政指導、それから規制の運用のあり方、これは今度の行政手続法の中で出てまいりますから、わざわざこの後中間報告案でやらにゃいかぬのかどうかちょっと私も疑問に思うわけでございますが、こういうものを含めまして今回の行政手続法と規制法との関係をどのようにお考えになっておられるのか。要するに、規制があるから行政手続が必要になるわけでございまして、規制がなければこんな行政手続は要らぬわけでございますから、そういったことで、どこら辺まで関係があるのか。  そして、今回の行政手続法は今言いましたような意味規制緩和の促進にどのような意味で役に立つのか。それから、最終目的は規制緩和なんでしょうから、この規制緩和自体をどのくらいの時間をかけてやることになっておるのか。それから、もし規制緩和を、言われておるように何か平成六年度ですか、規制緩和についての審議会なんかを設けて、そしてオンブズマン機関がまでつくって早急に実施すると言っておりますけれども、そこまで本当に早急にできるのなら行政手続の方もそれに合わせてやった方が二度手間にならなくていいんじゃないかなとまで私は思っておるわけでございます。  そういったもろもろのいろいろ問題を、疑問が生じましたので、一遍にちょっと大臣なかなかお答えしにくいと思いますが、この経済改革研究会の答申、特に規制緩和と行政手続の関係でどこまでやろうとされておられるのか、それについての総務庁としてのお考え方といいますかそれをまずちょっと大臣の方から御説明願いたいと思います。
  31. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) いわゆる平岩研究会の中間報告の内容でございますが、これはまさに中間報告でございますので、いわゆる決定的な方針をお示しになったものではまだないわけでございますので、なかなかそれについて言及はしにくいわけでございます。  ただ、この修正案の内容を見てみますと、やはり規制緩和、行政指導の問題に言及をしておられる。これは今までの流れをそのまま確認されたのかなというそういう印象を少し持っておるわけでございます。いずれにいたしましても、規制緩和という問題が行政改革の一つの大きな柱であることは間違いないわけでございますが、この流れをずっと見てみますと、確かに先生が今おっしゃったように、規制緩和によって社会あるいは国民にプラスするという要素が非常に多いからこそ、法律をつくって一つの規制をかけるということになっておるわけでございます。  ただ、社会の変化もございますから、特に経済の活性化ということを考えればできるだけ経済規制というものはない方向にいかなければならない、これはいわゆる本質的な議論だというふうに私は受けとめているわけでございます。  しかし、社会的規制というのは、社会の変化に伴って生命や健康あるいは社会体制を維持するためにふえてくる傾向がございます。毎年毎年、法律ができますれば二百ないし二百五十の規制がふえるというふうに言われておるわけでございますから、そのような状況を見ますと、やはり社会的な規制というものがふえていくのかな、こういうふうに思います。  ただ、第三次行革審等でも触れておりますように、これは間断なく見直しをしないと行政の肥大化につながっていくわけでございますから、あるいはまた規制の中で陳腐化していく問題もあるわけでございますから、これはやはりしっかりと見直しをする姿勢を崩してはならない、こんなふうに思うわけでございます。  特に総務庁の中で今議論をしておりますのは、基本的に公的規制がふえる傾向を何とか抑制する方法はないだろうか。例えば、これは法制局と一遍しっかり議論をしなきゃならない問題でございますが、今の行政の中にはでき上がった法律を見直しをするという機構、そういう使命を持ってやっているところはないわけでございます。しかし、考えてみますと、やはり法制局がここら辺を担当すべきではないのか。あるいは、今後新しくできる法律が規制をかけるのであれば、五年ないし七年後には必ずこの法律自体を見直すべきなんだというふうにしておけばこれはかなり抑制措置が働くんではないかと思いますので、この議論を実はひとつしてみたいと、こう思っております。  それからもう一つは、一万九百四十二件あるわけでございますが、その中で報告とか届け出とか、こういうものが四十数%に上っているわけでございます。これは一定の、三月ごとに届け出を出せとか、あるいは半年、一年で方向を出せとか、そういうような要素になっている部分がかなり多い。  日にち、期限でくくられている部分が多いわけでございますので、各省庁に今お願いして一万九百四十二件の一割削減を検討していただいているわけなんですが、数で押していくというのはなかなか難しい面がございます。数で押していくと同時に中身を、一つの例を申し上げれば、例えば大きな百貨店の中で何かの売り場をつくっていく、そういうものを二階から三階に移すだけでもかなりの届け出が要るというようなことが言われております。こういうような問題を実質的にもう少し緩和する方法はないのか。この点は実はこれから来年にかけて真剣にもう一度そこら辺の洗い直しもしていただくようなそういう議論を進めていきたいな、こんなふうなことを今考えておるわけでございます。  そのほかにもいろいろな方法はあろうかと思いますけれども、特に今回のこの行政手続法の問題につきましては、これが一つ形態化されるわけでございますから、そういった意味では確かに大きく規制緩和を進めていく上での効果が出る、そういう今回の行政手続法だというふうに考えておるわけでございます。  そういったことを考えながら、これからの平岩研究会等の最終答申を見ながら、さらに行政改革どまた規制緩和等をしっかり進めていきたい。今お話のありました行政指導の問題についてはかなり今回の行政手続法の中で整理することができる。それだけで全部ではないと思いますので、なお検討を進めてまいりたい、このように存じております。
  32. 合馬敬

    合馬敬君 時間がありませんので、先を急ぎたいと思います。  そこで、行政手続法の問題でございますが、これにつきましては、昭和三十九年以来大変な審議が専門家の中で行われてきて、当初この手続法で目的といたしましたものをすべて包含したとはなかなかいかないわけであったということは私も承知をしておりますが、いずれにしましても、これまで、行政手続法というものが国民のために必要であるというその必要性についてどのような議論が行われてきたのか。行政処分が行われた後の問題については、これは行政不服審査法というものがございまして、私も一生懸命大学時代勉強したものでございますが、この行政不服審査法との関係でこの法律というものが必要になったというような面もあろうかと思います。  そういったようなことで、この法律というのはだれのために行うのか。法益ですね。それから、これまでこういう横断的な法律がないということでどのような不都合が生じていたのか。これの一般論についてまず御説明をお願いいたしたいと思います。
  33. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 行政手続法の立案に至る経過について最初にお尋ねがございました。先生御指摘のとおりでございます。  昭和三十九年の第一次臨調で、公正で民主的かつ能率的な行政を実現する、こういうことが今後の近代行政では必要だと、国民と行政との関係を規律するための一つの大きな問題提起があったわけでございます。しかしながら、三十年代末から四十年代にかけましては行政の効率化といったところがむしろ大きなテーマであったようでございまして、なかなか政府部内での作業に入るに至らなかった次第であります。  五十四年に至りまして、御承知のロッキード・グラマンの問題に関連いたしまして航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会、いわゆる疑惑協というものができ上がりまして、行政のあり方を全体的に見直す、国民のための行政は何だという観点から見直すという立場から、当時のこの協議会に入られました行政法の田中二郎先生あるいはまた行政学の辻清明先生等の御主張もございまして、この問題を政府で勉強せよ、こういうことがあったわけでございます。  以後、政府部内、特に旧行政管理庁におきましてこの問題の勉強を続けてきたわけでございますが、五十六年に設置されました第二次の臨調におきまして、公正で民主的な行政運営を実現する観点から行政等手続法の整備に取り組む必要がある、こういうことになったわけでございます。委員がただいま御指摘の行政不服審査法はこれは事後救済手続でございますが、事前手続が整備されていないのではないか各実体法ばらばらではないか、この点を強く御指摘をいただきまして、以後本格的な検討に入ったわけでございます。そして第三次の行革審におきまして本格的な検討を行いまして、平成三年十二月十二日に答申をちょうだいしましてこの法律案の立案に着手をした次第でございます。  御承知のような経過でございまして、今年の五月二十四日に法案を提出申し上げ、たまたま国会解散ということで今回の臨時国会に再提出を申し上げた次第でございます。  これによりまして行政と国民との関係を共通的に規律いたしたいという考え方でございまして、この法律の第一条におきましても「行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資する」、これがこの法律案の基本的な考え方でございまして、政府の運営いたしております各実体法規の全体につきまして点検作業を行った上で、基準となるべき幾つかの共通ルールを定めかつこれの具体化に関する必要な法制の整備を三百六十本にわたって点検をいたしまして御提案申し上げた、こうした経緯と考え方になっている次第でございます。
  34. 合馬敬

    合馬敬君 私、こういったような行政学について専門家でありませんので詳しいことは知らないわけでございますが、こういった国民の権利利益を行政処分が行われる事前に統一法をもって保護しよう、こういうような考え方、それから、いろいろ千差万別ありますけれども、個別法でそれぞれやっていいじゃないか、いろいろ考え方があろうかと思います。そういったことを含めまして、外国においては、英米法の世界あるいはドイツ法の世界、いろいろあろうかと思いますが、代表的な例を挙げてどういったような法制が行われておるのか、御承知の範囲内で御説明をお願いいたしたいと思います。
  35. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 諸外国の行政手続法制についてのお尋ねでございますが、先進諸国では比較的こうした法制を持っている国が多いようでございます。  OECDの二十四カ国で見ますと、八カ国、アメリカ、ドイツ、オーストリア等でございます。それから東欧等で別に五カ国ほど法制がございますが、現在政情がなかなか安定しておりませんのでこの法律がどの程度生きているかは正確ではございませんが、欧米におきましては十数カ国において手続法の法制が整備されているということでございます。  代表的な二、三ということでございますが、アメリカの場合は、全体的には比較的司法手続にウエー上がかかった法律秩序になっているわけでございますが、行政手続につきましても一九四六年に定められておりまして、正式裁決手続、これは行政審判手続でございまして準司法的なものでございますが、これが大体行政活動の一〇%程度をカバーしている。残る九〇%程度がいわゆる略式裁決手続でございます。アメリカ合衆国憲法のデュープロセス条項に従いまして、基本的な考え方といたしまして行政処分に関する事前告知と弁明の機会の付与という基本原則を書いておるわけでございますが、細目は具体的な法律、州法等の手続に委ねられているようでございます。かなり基本的なところを書いたのがアメリカ法制というふうに考えております。  それから、私どもの今回御提案申し上げている法案に比較的原型として近いのはドイツでございます。ドイツにおきましては、かなりこれは時間をかけて立案をされまして、一九七六年、当時の西ドイツでございますが、一般的な行政手続法制が制定されております。行政処分につきましては準司法的な厳格な正式手続と簡易な略式手続の双方を定めておりますが、特に今回私ども行政手続法案において定めております、予定をさせていただいております理由の付記、あるいはまた行政処分に関しましての特に不利益処分についての事前告知、行政処分につきましての聴聞手続、文書閲覧等、私どもの今回御審議をお願いいたしております法案と大変類似した内容の法制になっている次第でございます。しかしながら、私どもが今回お願いをいたしております審査基準、処分基準の設定公表等までは踏み込んでいないという法制になっておるわけでございます。  あと、フランスにおきましては、これは一般行政手続法はないわけでございますが、判例の蓄積によりましていわゆる防御権の法理といったものが形成されておりまして、今回お願いをいたしております手続法案と実質的にはかなり似たねらいの内容が手続的に担保されている運営になっているようでございます。  概要、以上でございます。
  36. 合馬敬

    合馬敬君 ちょっと最後がわかりませんでしたが、フランスの場合は一般行政手続法はなくて、その防御権とは何ですか。保
  37. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) フランスにおきましては、御承知のコンセイユ・デタ等の行政裁判制度が大変しっかりしているわけでございます。判例の蓄積によりまして防御権の法理、具体的には行政処分、特に制裁を与える処分を行う場合に国民の反論の権利を書いておるわけでございます。懲戒処分とかあるいは許認可の取り消し等につきましては、権利保全のための手続をルール化しているというのがフランス法制でございます。
  38. 合馬敬

    合馬敬君 この制裁を与える行政庁の処分について国民に反論を、いろんなやり方があるんでしょうが、この与える権利というのは我が方の行政手続法で言う申請に対する処分、不利益処分、行政指導、こういったものに対する同じような申し立てといいますか、それに該当するわけですか。
  39. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 実質的に見ますと、聴聞手続として私ども今回御審査をお願いしております行政手続法案の中に書いてある事項と、ほぼ類似した手続的な保障がフランスでは実質上形成されているということでございます。
  40. 合馬敬

    合馬敬君 それではその次に、先ほど行政管理局長から御説明がありましたように、大変な長い経緯を経ていろいろな議論が行われて今回の行政手続法に結実したというように承知いたしました。  これにつきまして、この法案を取りまとめた「基本的考え方」というのを読ませていただきますと、一般的にいろいろな行政不服審査法について、例えば公的規制の緩和措置が推進されてきて、あわせて行政の運用面についても様々な改善が図られてきた、しかし、我が国の行政運営については本来の法律で定められた手続に従った申請の処理や処分を行わずに行政指導が多用される傾向がある、あるいは処分によっては審査や処理の基準が明確化されていない、こういったような指摘があって、こういった要請にこたえるためには、個別の行政分野における手直しては十分ではなく、共通的、横断的な法律、すなわちこの手続法を制定するということが必要である、それが公正・透明な行政手続を確立して、我が国の行政に対する信頼を確保する、こういうことにつながるんだ、こうまとめてあるわけです。  そういう中で「本審議会としては、体系的かつ網羅的なものを目標として調査検討を進めることの意義をもとより軽視するものではないが、」、理由をいろいろ挙げておりますが、「一般法である行政手続法の制定が今日まで実現しなかった経緯、」、なぜ実現しなかったのかいろいろまた御説明願いたいんですが、「行政手続の整備に対する内外からの要請、」、後ほどまたお伺いいたしますが、こういった行政手続に対して外国、外国人からどのような要請があったのか、またそれに制定してどうこたえていこうとするのか、問題はいろいろあると思うんですが。  それから「我が国行政の運営の実情等を総合的に考慮して、今回は、行政手続の相手方である国民の権利利益に直接かかわる分野について、手続法制の整備を優先させることが適切であるとの考え方を採ることにした。」、こうなっておりますね。そしてこの考え方で、申請に対する処分、不利益処分、行政指導、この三つについて共通的な規定を検討して取りまとめる、こうなっておるわけでございます。  そこでお聞きしたいのは、こういうところまで持ってきた直接的な理由、最終的になぜこの三項目に絞ったのか、これについての御説明をお願いいたしたいと思います。
  41. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 二点に分けて御答弁を申し上げたいと存じます。  まず、国内外の要請はどうであったか、なぜこの時点で提案を申し上げたか、この点でございます。  国民一般と行政庁との関係を共通的なルールで規律することにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、現代欧米社会に一般的にとられております一つの価値観、その方向に沿うものでございまして、かねてから必要ではないかなと私ども考えていたところでございますが、行政運営の全体を総点検いたしまして、そして一般の御理解をいただきつつまとめていくという大作業でございまして、かなりな検討の時間を要したというのが正直なところでございます。  他方、国際関係におきましても、日米構造協議等におきまして、日本の行政はともすれば不透明である、公正さを疑わせるものがあるではないか、こういうことが次第に最近出てまいりました。日本における政府その他の政策意思決定過程が欧米から見て大変わかりにくいという御批判が強まってきたのが近年でございます。  平成二年六月、日米構造協議の最終報告を取りまとめるに当たりましての米側の要求は、日本政府は行政指導の政府全体としての包括的な原則として透明性、公正性を確保すべし、行政手続の全体的な公正性、透明性を確保すべし、こういう要求を強く出してまいってきたところでございます。さらに、この点は平成四年七月三十日の日米構造協議のフォローアップにおきましても強調されたところでありまして、日本政府における政府慣行の透明性の確立を求める、公正なルールで日本との市場競争、こういう考え方が強く打ち出されたことも大きな背景であったかと存じます。  一方における国民の価値観の多様化、行政の公正・透明化というものが国内的に迫られると同時に、国際的にもまたその必要があったという背景事情から今回かなりな大作業を経て取りまとめたというのが実態でございます。  国民の権利義務に関連する部分にのみ絞っだということが第二点のお尋ねでございますが、私どもといたしましては、何としても行政庁と国民との関係を規律する、この問題が最優先の問題ではなかろうかということで、行政処分、不利益処分、そして行政指導、この三点に集約をいたしました法律案を策定いたした次第でございますが、論議といたしましては行政立法でございますとか計画策定手続等につきましても学界その他で御論議があることは承知はいたしておるところでございます。  しかしながら、各国、欧米の法制等も検討いたしましたところ、必ずしもその法制の例は多くないということもございます。計画策定手続等につきましては、各実体法におきまして、例えば都市計画でありますとか地域開発でありますとか、そうした世界におきましてさまざまに個性ある手続を定めているわけでございまして、当面は各分野の計画手続にゆだねていこうではないかさらにこの問題は調査研究をいたしてまいりたい、こういう考え方で、とりあえず国民と行政との関係を規律する行政処分、不利益処分、そして行政指導、この三点に絞った法案を取りまとめさせていただきまして御提案を申し上げた次第でございます。
  42. 合馬敬

    合馬敬君 なかなか算定は難しいんでしょうけれども、申請に対する処分、不利益処分、行政指導、これ数量的な測定は難しいんでしょうが、大体この三項目で行政処分に対する事前の手続、こういったものは大半がカバーされるという御判断なわけなんですか。
  43. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 国民に対する行政庁のいわば権限行使と申しますか国民を名あて人とする意思決定については、個別の個人、法人に対する行政庁の意思決定としてはこれで大体カバーできると考えておりますが、ただ、不特定多数を対象といたします行政庁の意思決定というものも若干そのほかにございます。  例えて申しますと、都市計画とか建築基準とか一般的なルールを国民に対してお願いをする、そういうものもまたあるわけでございまして、都市計画につきましては、この場合は、都市計画地方審議会の議を経て行政庁の考え方をきちんと公示をいたしまして所定の手続で意思決定をさせていただく、それが関係地域の市民全般にかかっていく、そういうことは残されておるわけでございます。  一つ一つの申請とか権利に対します行政庁の処分、不利益処分、行政指導については、これで基本的にはクリアできるというふうに考えておる次第でございます。
  44. 合馬敬

    合馬敬君 そういうことで、行政処分については今回の手続法でおおむね国民の権利、利益はある意味では保護される、こういったように了承いたしましたが、ただ、今回の手続法におきましても適用除外というものをつくっておるわけでございます。  だれが見ても当然なような国会または議会の議決によってされる処分とかいろいろ十六項目まで掲げられましたが、こういった適用除外を設けた理由、それからどういう考え方に基づいて適用除外をしたのか。これは行政手続法だけではなくて行政手続法施行に伴う関係法律の中にもいろいろ出てまいるわけでございますが、そういったことも含めまして、適用除外を設けた理由、それから適用除外とされた項目についていかなる理由でそうしたのか。一つ一つ説明するのは時間もかかり過ぎますので、性質、性格的に分類したものでも結構ですから、それでちょっと御説明をお願いしたいと思います。
  45. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 委員御指摘の第三条、法律案の五ページから九ページに至るかなり長い適用除外が掲げられておりますが、これはこの法律の性格が国民の権利の概念に関する問題でございますし、裁判規範にも発展するわけでございますので、厳密を要するということで丁寧に書いた提案になっている次第でございます。  第一号、第二号、国会、裁判所、これは行政機関として規律することは憲法上または国の統治構造上は適当ではないということで当然でございますが、第三号の国会の議決等を経て行われるべき諸手続、ここらも御理解は容易にいただけるのではないかと思っております。  検査官会議で定めるべき処分につきましては、憲法上の機関である会計検査院の立場をきちんと整理をして規定させていただいたわけでございます。  五号、六号、刑事事件等に関する事案の性格に着目いたしまして、裁判所の令状等に係る処分につきましては、当然なことでございますが、単純な意味における完結的な行政権の行使ということは言えないわけでございますので、外されているわけでございます。  特別な規律で律せられるべき関係があるということで第七号から第十号までいろいろと掲げてございますが、これらはいわばかつては講学上のいわゆる特別権力関係として教科書では出てきたところでございますが、一般の私人の立場が若干一般市民社会とは異にする特定の秩序の中で行われる権利関係ということでございまして、学校でありますとか、公務員の問題、刑務所の問題等が掲げられているわけでございます。  外国人の場合は、その身分に着目をいたしまして、これが一般の手続をとることに該当すべきかどうかということにつきましては国家の裁量に属する事項という考え方で整理をされているわけでございます。  その他十一号、十二号、十三号等につきましては、処分の性格上、いわば専門的なその評価、認定といったところがポイントになる事項でございまして、このあたりもまた一般の行政処分とは異なるものであるということで適用を除外されているわけでございます。  それから、整備法案の方におきまして適用除外を若干講じさせていただいておるわけでございますが、租税とか工業所有権の設定、特許法とか実用新案の関係でございます。  それから、独禁法に関連する処分等につきましてはここらで除外されているわけでございますが、これらにつきましては、行政運営上の技術的な判断が重視されるという立法政策的観点から特別な専門的分野として位置づけるべきではないか、そういう考え方のもとに整備法で除外をさせていただいた次第でございます。  以上でございます。
  46. 合馬敬

    合馬敬君 大蔵省来ておりますか。税務手続について税理士関係から強い要望があったわけでございますが、税務行政については、事後においては、これは国税通則法が制定されて、事後手続といいますか、第一次行政処分が行われた後、異議申し立て、審査請求訴訟、こういったように手続が完了しておるわけでございますが、事前について一切そういった規定がないということで、税務職員の合理的な判断にゆだねられておる、そういったことだそうでございます。現実には、税務調査が確定申告が行われて入った後、調査が終わったという通知が外国では、外国ってどこか私も知りませんけれども、あるんだそうですが、日本ではない。納税者としては信頼をされていないんじゃないか、こういったような不満を持っておる。  税金のことでございますし、これは非常に権利義務としてシビアな問題でございますから、それだけフェアで公正な手続が行われなければならない、こういうように思っておるわけでございます。  先ほど申しましたように、どうも税務行政というのはそういう意味では法律に基づかずに国税当局の裁量行政で行われてきておるんじゃないか。そういうことで、今回行政手続法かこれまで議論されたような趣旨の中で制定されたわけでございますので、ある意味で私は、国税に関する処分その他の公権力の行使に当たる行為、税務行政手続を含めてでございますが、これが非常に特殊な関係にあるということはわかるわけでございますが、それならそれでやはりきちっと国税通則法なりそういった法的整備の中で取り込んでいく必要があるんじゃないか、こういうように思うわけでございます。  そういったことで、行政手続法の中に包含するのがある意味では非常に困難であるとしますれば、国税通則法の中ででもこういった面を取り込んでいく必要があるんじゃないか、こういうように思うわけでございますが、これにつきましての当局の御意見をお伺いいたしたいと思います。
  47. 渡邊博史

    説明員(渡邊博史君) お答え申し上げます。  今、議員御指摘のとおり、今回の行政手続法におきましては国税に関する法律に基づく処分については適用対象外ということにされているわけでございますが、議員からも今若干御指摘ございましたように、国税に関する処分につきましては、金銭に関する処分でございますので処分内容をまず確定した上でその適否についてむしろ事後的な手続で処理することが適切なものである、あるいは主として申告納税制度のもとで各年または各月ごとに反復して大量に行われる処分であるといった特殊性を勘案して今回のようなお取り扱いになったというふうに考えているわけでございますけれども、ただ、現行の国税に関する法律につきましても、幾つかの手続というものが全体として納税者の権利保護という観点も含めまして手続がとられているわけでございます。  今回の行政手続法案に定める手続に則しまして現行の国税通則法あるいはその他の各税法におきましてどのような処分、手続が定められるかということを若干例示を申し上げますと、例えば審査処分基準の設定、公表という点につきましては、国税に関する法律に基づく処分の処理基準というのは、租税法律主義に基づき法令において明確に規定されているところでございます。  また、審査義務、標準処理期間という点につきましては、例えば棚卸資産の特別な評価方法の承認申請等について審査義務を定めているほか、例えば青色申告の承認申請等がされた場合において、一定期間内に処分がされないときは承認されたものとみなすこととするといった手続も盛り込まれているところでございまして、実質的な審査義務あるいは標準処理期間というものを設けて納税者の保護を図っているわけでございます。  また、処分理由の提示といった点につきましては、延納申請の却下あるいは青色申告者に対する更正等という場合には処分時に理由を付記しなければならないということが明記されているほか、その他の処分におきましても、第三者的機関である国税不服審判所に対して審査請求をしようとする納税者は、その審査請求をやる前に、これに先立って必ず処分理由を知り得るということで手続をされているところでございます。  また、弁明の機会の付与という点につきましては、行政手続法においては金銭に関する処分にはそもそも弁明の機会が一般的に付与されておりませんので税法においても同様の取り扱いになっておるわけでございますが、税法では、納税の猶予の取り消しあるいは延納の取り消し等の特定の処分をする場合には、その猶予等をされている者の弁明を聞かなければならないというふうにされているわけでございます。  いずれにせよ、行政手続法の精神というものは税法においても貫徹されなければいけないと考えているところでございまして、全体として、国税通則法あるいは各税法の規定におきまして手続等を明確化するということで納税者の権利保護を図っているというふうに私どもとしては考えているところでございます。
  48. 合馬敬

    合馬敬君 私は税法の専門家でないので本当の詳しいところはわかりませんが、今のお話で、少なくとも事前手続についても国税通則法に基づいてそういった納税者の権利保護が行われておるというように理解をしてよろしいわけですか。
  49. 渡邊博史

    説明員(渡邊博史君) 私の御説明が若干舌足らずだったかもしれませんが、国税通則法と、あるいはものによりましては所得税あるいは法人税法といった各税法に手続がございますが、これらの両者相まって保護がされているというふうに私どもとしては考えておるところでございます。
  50. 合馬敬

    合馬敬君 税金の関係は非常に難しい問題でございましょうが、これからも一歩でも二歩でもさらに前進をされるようにお願いいたしたいと思います。  それから次にお伺いいたしますが、今度の法律で整理されたことをお伺いいたしますと、不利益処分関係で法律は五百五十、処分関係では三千数百、数まで数え切れないんだそうで三千数百、数えてないんですけれども、行政指導は数えたことがない、このくらい大変な法律を扱っておるわけでございまして、これまでの個別法で対応できない、ある意味では対応できないというよりも何がどうなっておるのかわからなかったというのも一つのあれであろうかと思いますが、そういったことを含めまして、最近の法律では今回の行政手続法を先取りした形で今申し上げました三項目について等はすべて整理されてきておるんじゃないんだろうか、こういう疑問でございます。  新しく今回の法律で新規制定されたといいますか、今回の手続法で全く新しい概念で取り入れた項目というのがあるんでしょうか。これについて御説明いただきたいと思います。
  51. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 御質問の趣旨を十分消化し得ておるかどうかは自信がないわけでございますが、行政手続法案の基礎になります行革審答申、平成三年の十二月でございますが、ここで出されました答申を政府としては尊重して法案作業に入るということを決めたのがまさに平成三年末でございますので、以後の立案及び法制審査等に当たりましては、行政手続法案の原型になっております答申の考え方は尊重され法制作業が進められているもの、おおむねそのような方向ではなかったかと考えている次第でございまして、特に今年度に入りましてからはその点は私ども十分気をつけて見ているところでございますが、おおむね大丈夫ではないかと思っている次第でございます。
  52. 合馬敬

    合馬敬君 だんだん時間もなくなってまいりましたので、これはぜひ大臣にお尋ねし、かつお願いをしたいわけでございますが、これだけの大変な法律ができ上がるわけでございます。またお昼から個別に各省庁に質問をいたしますが、今度この法律が制定されますと処分をやるわけですね。不利益処分をやる、行政指導をやる、その前の事前手続、これは私大変な、そういうのは、担当の部局、役所の人員、人ですね、それから超過勤務とかということになるとお金も要るでしょうし、予算対応できるのかどうか。機構の問題、人さえ張りつけたらいいというわけにはいきませんよね。これは非常に専門的な知識経験がないとできないわけでございますので、そういったこれを担当する能力のある方、こういったような受け入れ態勢がないと、せっかくこういう立派なものをつくっても現実処分としては何だ今までと変わりないじゃないか、そういったようなことにもなりかねない。  先ほど申しましたように、これは国内だけでなくて国外からも注目されておるわけでございますから、そういったようなことで、外国からも外国人からもいろんな接触があろう。私それを考えますと、一方において総務庁長官として、今、行政改革の一環として公務員定員管理でございますか、それから、まだ公務員定員削減計画というのはあったのですか、そういった点も含めまして行政機構の合理化、人員の合理化も図っていっておられると、配置転換とかいろいろ御苦労もあろうかと思われますが、そういったような兼ね合いも兼ねながら、こういった受け入れ態勢が果たしてできるんだろうか。もう今度は、ああこういう制度ができたからそれじゃと、今まではそういう意味での権利を主張しなかった方もどんどん押しかけてくるようになるんですね。  私も役所におりましたとき経験いたしましたけれども、役人もやはり同じ人間でございますから、超過勤務で夜も寝ないで働けと言われてもそれは限界がありますしね。そういったことを考えますと、私、今まで余り議論されてないようでございますが、本当にこういった法律をつくって受け入れ態勢能力があるんだろうかその手当てができているんだろうかという心配がございます。  この点につきまして、石田大臣はいろいろ組織を率いて大変な知識経験がおありでございましょうから、そういった点も含めて、本当にそれじゃお前たち、これからこの法律ができた、さあ大変な業務量の増大になるかもわからない、しっかりやれと、そういったことを説得し、そしてまたそれなりの手当てをできる、こういったようなことについてお考えがあろうかと思いますのでお尋ねします。
  53. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 合馬先生の御心配は、十分私どもとしても受けとめていかなければならない問題だというふうに思っております。  先生も御存じのとおり、やはり全体の行政官の数というのはむしろ減らす方向へ今努力をいたしておるわけでございますから、こういうような法律ができたからといってにわかに職員をふやすわけにはまいらない。これが大前提になるわけでございます。  そのために、この行政手続法がきちっとスムーズに実施されるについては、そういった点を大いに考慮をしましてまず一年後に施行することになっておるわけでございますので、この間の準備期間に十分な各省庁との話し合いを行いまして、そして行政の能力には限定があるわけでございますから、それが膨れ上がらないような格段の努力が必要だということがまず基本的に考えている問題でございます。  それからもう一点は、やはりこういった審査基準とかあるいは標準処理期間を公表するわけでございますから、一つはモデル的に国民の皆さん方も御理解をしていただける、そういう仕組みになっているわけでございますので、その面で中長期的に見ますればむしろそういった行政の能力というものは軽減されるというふうに実は考えておりまして、そことのバランスの中でこの問題は考えていかなければならないのではないかと、基本的にはそういうふうに考えておるわけでございます。  具体的にじゃもうちょっとどうするんだというようなことでお話しございましょうから、これは管理局長の方から答弁させていただきます。
  54. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 補足をして御説明申し上げます。  まず、この法律案を議了いただきまして施行の段階ということになりますと、約一年ございますわけでございますから、その間にこの法律案の運用の細目につきましては、各省庁でも十分御検討いただくと同時に、私どももしっかりしたいわば施行通達と申しますか運用方針を明らかにさせていただいて、これを政府部内に徹底を図るというのがまず第一に出てくる問題がなと考えている次第でございます。  さらに、大臣から御答弁申し上げましたとおり、国民一般の理解を求めていく必要がございます。その観点からは政府広報その他の機会を通じまして、行政が新しいルールのもとで行われるということを十分御理解いただく、認識を深めていただくということではなかろうか。新しい時代における行政手続運営がまさに市民の側に公正・透明という行政運営の姿を明らかにしていくというそのためのプロセスとして、さまざまな広報努力が要るのではなかろうか。  こうした理解を深めていただきますと、恐らく一般民間の方々におかれましても、行政庁のいわば行政運営についての認識と申しますか知識が深まっていくのではなかろうか。審査基準を公表し標準処理期間を定める、こうしたことによりまして、行政庁は大体こうした対応になるんではなかろうかという予測を持ったいわば行政庁との関係での例えば許認可の申請といったことになるのではなかろうか、そのことによりまして政府側としても問題の処理がしやすくなるのではなかろうか、そんなことを考えている次第でございます。  この法律案を十分御理解いただくことによりまして、乏しい予算、人員の中で極力国民一般の理解に資する公正で透明な行政をやる、このことによってひいては行政執行の効率性が高まっていくというのが私どもの描いている理想図でございますので、何とかその方向に近づいてまいりたい、そんなふうに考えている次第でございます。
  55. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ――――◇―――――    午後一時一分開会
  56. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、行政手続法案及び行政手続法施行に伴う関係法律整備に関する法律案、以上両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  57. 合馬敬

    合馬敬君 午前中の続きで一つだけ。受ける側の対応能力の問題でお話を聞いたわけでございますが、複雑多岐にわたるいろんな問題が国民から上がってきた場合、行政庁として何かまとめて受ける、例えば苦情処理機関、OTOなんかをつくったですよね、ああいったようなまとめた処理機関、機構というのをおつくりになるような構想はあるんですか、それぞれの役所で。
  58. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 行政手続法施行されると仮定いたしますと、その場合の行政運営につきましてはいろんな工夫をしていかなければならないことは御指摘のとおりでございます。  ただいまOTOの話もございましたが、行政に関するいちいろな不満、苦情を処理する仕組みにつきましては、私ども総務庁の行政相談を初めとして各省内にもそうした苦情処理の仕組みがあるわけでございます。そうした仕組みがうまく作動。するように運営上は工夫してまいらなければならないと思います。  いずれにいたしましても、法律施行体制につきましては万全の留意を払ってまいりたいと考えておるところでございます。
  59. 合馬敬

    合馬敬君 それから、いよいよこの法律が成立した、一年後に施行ということになろうかということでございますが、このような大変な法律が成立したと。やはりこれは全国民にこれ。から、こういう法律ができましたよ、あなた方のいろんな苦情なり処分に伴う意見、こういったものはこういう役所でこういうところで意見を聞いてもらえますよと、こういうことを徹底的にPRせにゃいかぬと思うんですよ。それからまた、外国の関係者にもやっぱり広く知らせるということが必要だと思いますが、それについて大臣、何かそのお考えを。
  60. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) まだ特別なことを考えているわけではございませんけれども合馬委員御指摘のとおり、まず第一に国民の権利を守るためにこういった新しい法案を今整備しようとしているわけでございますので、それを周知徹底をしなければならない。このことは基本的によくわきまえているつもりでございますので、これから具体的にどういうふうにするかは十分検討させていただきたい、このように思っているところです。
  61. 合馬敬

    合馬敬君 ぜひその点についても万遺漏がないようにお願いをいたしたいと思っております。  そこで、今回の目玉といいますか、三つの項目、申請に対する処分、不利益処分それから行政指導、この三つについて時間がありませんので簡単にお伺いをいたしたいと思います。  まず一番最初は申請に対する処分、これについて少し、この前とどういう点が違うのか、その中身、例えば審査基準だとか標準処理期間とか、あるいは申請者に事前に処分の可否がわかるようにするのかどうかとか、そういった点についてちょっと御説明をお願いいたしたいと思います。
  62. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 申請に対する処分につきましては第五条以下でございます。何といたましても公正・透明な行政執行を図りますためには、申請に対する処分につきましては審査基準をまずしっかり定めこれを公表するということによりまして、国民の行政に対する対応と申しますか、国民の立場を行政庁に対してしっかりしたものにしていかなければならない。  次いで第六条で、標準処理期間でございます。行政庁サイドがいつまでも事務処理を渋滞させることは国民に対する関係ではよろしくないわけでございますので、標準処理期間を定め、その標準処理期間内にしかるべき意思決定を行うということを一般に明らかにしていく必要があるわけでございます。  第三点は、申請に対する審査、応答の問題でございます。いわば俗に言う握りつぶしのないようにしなければならない。速やかに行政庁の反応を出していくということによりまして市民一般の行政に対する理解を求めていく必要があるであろう。  それから第四点目が理由の提示ということでございます。申請に対する処分を行います場合には理由を明らかにしなければならないということを。明確に定めている次第でございます。  以上四点が主な点でございます。
  63. 合馬敬

    合馬敬君 恐らくそういった具体的な中身はまた各省庁でそれぞれの知識経験、これまでの行政処理の実態等から決めていくんだと思いますが、ただ行政処分なら処分としては国民にとりましたらどれも同じようなものでございますので、それはやはり各省庁統一がとれてないといかぬと思うんですよね。だから、大方のそれぞれについての目安というものはあると思いますし、それから審査基準にいたしても非常に厳密に決めておるところもあれば非常にアウトルックな抽象的な決め方のところもあるでしょうし、だからそういったようなことについて、後ほどまた各省庁に細かくお聞きいたしますが、やはりこの程度のものは審査基準としては設けておかなければならないとか、そういった大方の目安はあると思うんです。そういった意味でのガイドラインとか何かというのはつくられるんですか。
  64. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) まさに一番難しい点でございます。委員御案内のように行政は万般にわたる極めて多種多様な実態を持っております。したがいまして、極力審査基準、標準処理期間等の明確化を図ることはこの法律案趣旨からいたしますと当然でございまして、その点は私ども法律施行後に各省に十分この法律趣旨の徹底をお願いいたしたいと考えております。  いずれにいたしましても、審査基準、標準処理期間等につきましては、行政実務におきましてはその態様に応じて実例の集積を図りまして、想定されるケースいろんなケースを分析いたしまして極力具体化を図る必要があるわけでございますが、分野によりましていわば覊束裁量、自由裁量の濃淡の度合い等もございます、個別の特徴もございますが、そうした点を十分配慮をいただきながらも極力具体化、審査基準の具体性、標準処理期間の明確化、こうしたところに努めてまいりたい、一般的な運営方針としてはそのように考えている次第でございます。
  65. 合馬敬

    合馬敬君 大変な作業で、先ほどから申しましたように、これを現実に実行していくのは私もその意味での御苦労、本当に大変だと思うわけでございます。  二番目、不利益処分につきまして、これは今回新しい概念で弁明手続と聴聞手続。処分の程度に応じ区分を設けて新しい国民の権利利益の保護を図る、こういうことでございますが、一般的にこれまでの個別法で制定しておりましたものとどういう点に配慮をしてこういった処置を設けたのか、またそういった弁明手続、聴聞手続等についての具体的な内容、区分、そういったことをお知らせ願いたいと思います。  それから、ここでこれが円滑にいけば、いわゆる行政処分の事後手続といいますか行政不服審査法の異議申し立てたとか審査請求だとか、私はぐっと減ってくるということを期待して、それがまた行政の合理化であろうと、こう思っておるわけでありますが、そこら辺の関係、どうお考えになっておられるのかもあわせてお聞きしたいと思います。
  66. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) まず、不利益処分でございますが、手続法のポイントといたしましては、聴聞または弁明という制度をしっかりさせるということでございます。取り消し処分の場合は聴聞手続、そしてその他の場合におきましては弁明の機会の付与、こういうことをまず基準化をいたしまして、慎重な行政運営を図ろうというのが第一点でございます。  第二点といたしましては、第十四条にございますが、不利益処分の場合の理由の提示。何ゆえに不利益な処分を行うのであるか、という点に関する行政庁の理由の説明をしていくという考え方が特徴の第二点でございます。  特徴の第三点といたしましては、文書の閲覧というのが十八条にございます。これまた全体的には新しい共通的な制度としては試みでございまして、文書閲覧は従来いろんな形で行われていたケースもございますけれども、不利益処分につきましては共通的な準則といたしまして、この文書の閲覧ということをきちんと制度化をしていくということでございます。  不利益処分に関する規定点と申しますか、重要な制度の設定のポイントは以上の三点でございます。  それから、事後救済と事前手続との関係がどうかというお尋ねがございました。  行政不服審査法におきます事後救済等につきましては、これは段階の違う行政になるわけでございますけれども、事前手続が整備されますと、その効果といたしまして、国民の行政庁に対する不満と申しますか行政処分、不利益処分に対するさまざまな国民の不満というものがある程度事前手続の段階でこなれていくのではないか、そんなイメージを持っている次第でございます。  定量的に、この事後手続がどの程度軽くなるかにつきましては、これはまさに法案の成立後の運営状況を見ながら私ども精査していかなければならないところでございますが、この一般市民の行政庁の処分また不利益処分に対するさまざまな御不満というものが、ある程度事後の不服申し立てから事前手続の方に若干移行する形が出てくるんではなかろうかと、その点は期待をしていると申しますか、予測をしているところでございます。
  67. 合馬敬

    合馬敬君 最後局長言われました、行政不服審査法の段階からこの事前の段階に移行してきて、そしてスムーズに行政が行われる、非常に私は望ましい形であるというように思っております。  最後に行政指導、これが一番大問題でございますが、行政指導とは何でありますか。
  68. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 行政指導につきましては、この法文にもまさにございますが、国民の権利を制限し、または国民に義務を課したりするような法律上の強制力を有するものではございませんで、行政機関がそれぞれの任務または所掌事務を遂行するために、その任務または所掌事務の範囲内において、行政の相手方の協力を得て、一定の行政目的が実現されるように一定の作為または不作為を求めて慫慂しまたは誘導するような行為、行政庁の行為でございます、行政処分には当たらないこうした行為を指すということがこの法律案の中の考え方でございます。
  69. 合馬敬

    合馬敬君 そういうことで、この要綱にも、「行政指導 行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める」指導、勧告、助言、その他の「行為であって処分に該当しないものをいう。」。そこに書いてありますね。  この行政指導は、具体的に何で今提示され、行われているか。例えば役所でいえば省令、規定、あるいは通達、それから訓令、いろいろな名前が便われておると思いますが、あるいは口頭のものも入れるのか、ちょっと現実に今行政指導ということで相手方に行われておる手段といいますか方法といいますか、これのちょっと明示をお願いしたいんですが。
  70. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 現状のいわゆる行政指導、講学上の行政指導と申しますか、これにはおよそ二通りございます。  一つは個別の実定法、いわば実体法の中にその根拠があるものでございまして、その場合の法律上の文言は、例えば勧告、警告、助言、指導、こうした言葉が実定法において使われております。これらをくくりまして一般的に行政指導と申している。これが一つの形、タイプでございます。  それからもう一つのタイプは、各省庁の設置法の中に行政機関の任務、所掌事務が掲げてございます。その範囲内において、つまり設置法を直接の根拠として行政庁が対民間という関係におきまして口頭または文書と申しますか、メモのような形で行政庁が望ましいと考えている姿をいわば慫慂する、誘導する、こういうことでございます。  その二つのパターンがあるというのが現状でございます。
  71. 合馬敬

    合馬敬君 そういうことで、今数限りない行政指導が、各省庁の設置法に基づき、あるいは個別法に基づいていろいろ行われておるわけでございます。  今回、この行政指導について法案を見てまいりますと、いろいろなあり方、申請に関連する行政指導はこうするんだ、許認可等の権限に関連する行政指導はこうするんだとか、あるいは行政指導の方式について、やり方については行政指導の趣旨及び内容、責任者、これを明確に相手方に示してやる、相手方から要求があった場合は書面の交付を行う、いろいろ規定が設けられておるわけでございまして、それはそれで私は非常に親切、丁寧なことであると思っております。行政指導のそういった考え方の範疇を広げ過ぎますと、これ本当に行政対応が果たしてできるんだろうか。これもおたくが行政指導でやっているものじゃないか、こういうことについてどういう行政指導をやっておるのか、今言った方式で回答してくれ、どんどん出てくる可能性があるわけですね。  ついでにお伺いしますが、例えば行政指導の文書、これを出すということになりましたら、これは公開ということになると第三者にも開示をすることになるのかどうか、こういう行政指導が行われております、中身はこういうことでございますと。  例えば今言った日米構造協議、アメリカが詳細な内容が欲しい、こう言ってきた場合、これも出すことになるのか。ちょっと私、行政指導が余りにも複雑多岐、無数でございますので、ある意味では私は権利の乱用といいますかそういったようなことにまで及ぶ危険があるんじゃないかといった気もいたすわけでございますが、もちろん行政指導を今回こういった形式にしたという利点は高く評価をいたしますが、やはりそこら辺の兼ね合いというのを私は非常に心配するわけでございまして、ここら辺についてはどうお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  72. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 行政指導の方式につきましては三十五条で提案をさせていただいているわけでございますが、あくまで相手方ということで規定をしている次第でございます。  行政機関と行政指導の相手方である特定の方との間においてどういう関係があるべきか、行政指導の内容、責任者の明確化等が図られなければならないと、こういうことでございまして、第三者のことは直接には書いてございません。この法律の全体の趣旨が行政の透明化にございますので、行政が一般的に見てオープンなスタイルで運営されることはこの法律案趣旨に沿うものでございますけれども、この法律の直接のねらいといたしましてはあくまでも相手方ということでございます。
  73. 合馬敬

    合馬敬君 時間がありませんので、次に移ります。  ということで、今回の手続法は大変膨大な問題、事項を抱えておりますので、当面最も必要とされる問題について規定をしたと。すなわち、国民の権利義務に直接かかわる分野であって優先的に手続の整備が先ほどから議論されましたような観点に基づいて図られていくものである。こういうような観点から規定されたわけでございますが、これからも検討の必要があるものとして挙げられておりますものが、「各種の地域指定のようないわゆる一般処分に係る手続」、それから「行政処分による法的効果の実現を確保する手段としての行政上の強制執行手続」、それから「行政部内において政令や省令等を制定するに当たっての手続」、行政立法手続ですね。それから、「土地利用規制に係る計画や公共事業に係る計画の策定手続」、計画策定手続。どれも大変な問題だと思いますが、これについてはどの程度の検討が行われたんですかね。一応ここでは、「将来の課題として調査研究が進められることを期待するものである。」というくらいの表現でございますが、そこら辺はどうでしょうか。
  74. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) ただいま委員御指摘のとおりでございまして、行革審答申におきましては、今回お願いをいたしております行政処分、不利益処分、行政指導以外の問題、行政立法手続、計画策定手続等につきましては論議は行われたわけでございますが、どのような一般的な手続を導入すべきかについてはなお多くの検討すべき問題ありと、個別法制で書くべきところはある程度書いているではないかという審議があったわけでございます。  したがいまして、これらの扱いにつきまして共通法制が必要かどうかは将来の課題ではなかろうか、当面は個別行政分野でしばらく対応していく、こういうことではなかろうかという一つの判断が答申でなされておるというふうに受けとめておる次第でございます。検討の課題であるというのはそういう御趣旨がと存じます。
  75. 合馬敬

    合馬敬君 手続法におきましての総論は、時間の関係もありますので、これから各省庁にお伺いいたしまして時間が余ればまたお聞きしたいと思います。私は、これだけの大変な法律施行されまして、先ほどから申し上げておりますように、現実にこれを受けられる官庁として大変な問題、大変な御苦労が、これはもちろん現場としての総務庁自身もそうでございましょうけれども、あろうかと思っております。  そこで、具体的にそれぞれの省庁からお聞かせ願いたいのでございますが、これまで個々の法律で今回の手続法ができるまではこういう点が非常に不備であったと、そう考えられるものについて二、三の法律の事例を挙げて御説明をお願いし、そしてなぜそういった不備な規定のままであったのか。それをどう今まで補ってきたのか。そして、今回の手続法の制定でそういった不備な点が十分に手当てされたと考えるのか。  その中で特にお伺いしたいのは行政指導について、これまでの行政指導とこれからの行政指導のあり方、新しい規定ができましたわけでございまして、いろんな行政指導についての制限規定が新しく設けられておりますから、そういった問題を含めてお話をいただき、また一方におきまして、規制緩和なんかで既に上げられております法律、これは中身も含めまして、いろいろな既に廃止、改正等が議論に上がっておる法律もたくさんあるわけでございます。  もし、そういうことになれば、もう手続法の規定なんかは要らぬわけでございますからね。規制緩和の関係でそういった法律の改正、廃止、そういったものが行われておるようなものについてはこういう関係があって今回は除いたとか、これからはそちらの方でも処理される予定だとか、そういったことについても御承知の範囲内でお伺いをいたしたいと思うわけでございます。  それから最後に、それぞれの担当部局といたしまして、先ほどからお話しいたしましたように、この法律施行になりますと、大変な苦情といいますか、いろんな陳情といいますかそういったようなものがいろいろと出てくるわけでございまして、そういったものについての対応体制ですね、各省庁において人員、機構、予算、それから対応能力、こういったような問題についてどのような方針整備をされる予定であるのか。それからPR、こういった問題もお伺いしたいと思います。  また、それに関連いたしまして、これまでどのくらい苦情がそれぞれ来ておったのか。それが今回、こういった手続法を設ければまたさらにふえるのか減るのか。いろんな見通しもあると思いますが、そういったもろもろの点を含めて各省庁から端的に御説明をお願いいたしたいと思います。  私の方で、大変恐縮でございますがそれぞれ御指名いたしますので、最初にこれは警察、国家公安委員会関係でございますね。銃砲刀剣類所持等取締法、これを中心といたしまして、今回の手続法でどういったような、先ほど申し上げましたような観点からの御意見をお伺いしたいと思います。
  76. 瀬川勝久

    説明員(瀬川勝久君) 警察庁の生活保安課長でございます。  銃砲刀剣類所持等取締法が、今回の行政手続法案制定によりどのような点が改善をされるかというお尋ねでございますが、例えば教習射撃場というものがございますが、ここに置かれることになっております教習射撃指導員、これが一定の事由があった場合に解任を命令するという規定がございます。これにつきましては、現在の銃刀法ではその場合に弁明の機会を与えるということが規定をされておりますけれども、これにつきましては、今後は不利益処分であるということで、行政手続法による聴聞を行うというようなことになるということがございます。  なお、現行の銃刀法につきましては、銃砲の所持許可の取り消しというものにつきまして、これは制定当初から公開による聴聞の規定等の整備が行われております。この点につきましては、関係法律整備に関する法律案におきまして、国民の権利保護という観点から、従来どおりの手続的保障をそのまま存置するということにしてございます。  いずれにいたしましても、今後とも今回の法案趣旨を尊重して、国民の権利保護に十分な対応を行ってまいりたい、このように考えておるところでございます。  それから、行政指導についてでございますけれども、銃刀法に基づきます行政指導は都道府県警察が行うということになっておりますので、これにつきましては今回の法案三十八条の規定に基づきまして各地方公共団体において必要な措置が講ぜられるものというふうに考えておるところでございます。  それから、規制緩和でございますが、銃刀法につきましては、この規制緩和の対象とはなっておりません。  それから、苦情、陳情等がふえるのではないかということでございますけれども、銃刀法に関します不服申し立て、あるいは苦情等の受理状況に関しまして、全国的な統計というのは実は私ども持ち合わせておりませんけれども、今回の法律の制定により、果たして苦情等がふえるのかあるいは減るのではないかというようなことも考えられるところでございます。今後とも適正な運用に努めてまいりたいと思いますが、事務的な体制等といたしましては、効率的な業務の遂行に努める等によりまして、従来どおり、公正の確保あるいは透明性の向上に努め、現在の体制で対応してまいりたい、このように考えております。  以上でございます。
  77. 合馬敬

    合馬敬君 特に、警察関係であれば、国民は非常に権力的な感じを持ちまして、こんなことで文句を言っていいんだろうかとか、いろいろ心配もあろうかと思います。そこら辺周知徹底をソフトにやってもらえるというように思っておりますが、今言ったような関係で、今、銃砲刀剣類所持等取締法だけを例に挙げましたが、全体としてこういった警察・公安行政の手続関係で、それほどの爆発的な苦情といいますか意見、こういったものは上がってこないと、こういう見通してございますかね。
  78. 瀬川勝久

    説明員(瀬川勝久君) 私、今所管しておりますのは銃刀法でございまして、その限りで申し上げたわけでございますけれども、いずれにいたしましても、警察庁といたしまして、今回の行政手続法法案趣旨に沿いまして、御指摘のような点に十分配慮して対処してまいりたい、このように考えております。
  79. 合馬敬

    合馬敬君 それでは、その次は環境庁の関係でございます。  環境庁は建築物用地下水の採取の規制に関する法律、これを中心にして同様の御説明をお願いします。
  80. 小沢道一

    説明員(小沢道一君) 環境庁の官房の総務課長の小沢と申します。  先生今建築物用地下水の採取の規制に関する法律を挙げてというお話でございましたが、環境庁の行政をある程度的確に示す資料としまして、ほかの法律の事例でもって幾つか例を挙げながら御説明をしていきたい、このように思います。よろしくお願いいたします。  全体的な問題としましては、今回行政手続法が制定されますと、環境庁の関係につきましても行政運営の公正な確保、あるいは透明性の向上に大いに役立つものだ、こういうように考えております。  具体的な例で少しお話し申し上げますと、例えば不利益処分の例といたしまして、大気汚染防止法というのがございます。この大気汚染防止法によりますと、ばい煙の発生施設を一たん設置しました後、例えば古くなったりいたしまして、基準に合わなくなったという場合に、改善命令が出せる、こういうような制度でございます。水質汚濁防止法にも同様の制度がございます。これはいずれも不利益処分でございます。不利益処分でございますけれども、現在弁明の機会の付与の規定がございません。  したがいまして、そういう事態になりますと、ストレートに設置者に対しまして改善命令をどんと出していくというようなことをやっておりますけれども、今回こういう行政手続法ができますと、事前に弁明の機会を与えて、それから改善命令を出すと。出すか出さないかも含めましてやっていくというようなことになるわけでございまして、国民の権利保護上非常に好都合なものであるというふうに考えている次第でございます。  それから、先生いろいろ御指摘の行政指導につきましてでございますが、例えばこういうものがございます。  国立公園の特別地区の中で、工作物を設置申請するという例が間々あるわけでございますが、申請の内容につきまして事前にいろいろと相談し、指導するということが時々あるわけでございます。指導のルールが今ございませんので、いわばケース・バイ・ケースで対応しているというのが実情でございます。手続法ができますと、行政指導のやり方がいわばルール化されますので、そのルールに沿って公明正大な方式で対応していくことができる、こういうメリットも大いにあるというふうに考えている次第でございます。  それから、先生の御質問の、現在の人員や体制で一体やれるのかと、いろいろ仕事が出るではないかと、こういうお話でございますが、これもいろいろいわばアセスメントをしてみました。この手続法ができますと、我々としまして事務量の増大が予想されるものもないわけじゃございません。例えば、特に不利益処分の関係の聴聞手続だとか、あるいは弁明機会の付与の手続などは、それなりの事務量になるわけでございます。その中でも、特にこの聴聞手続は規定が非常に詳細でございまして、いろいろ手続関係の負担が出てくるんじゃないかというふうに思いますけれども、しかし、この聴聞手続は、法律にございますように、権利の剥奪処分に適用されるというような手続でございまして、現実問題として権利の剥奪処分が行われる例というのは非常に少ないという実態でございます。  また、弁明の機会の付与につきましては、これは不許可処分や改善命令などでございますので、適用はある程度あるわけでございますが、やはりこの手続法を見ますと、書類のやりとりが原則であるというふうになっておりますので、事務量そのものは大したものではないのではないか、今の環境庁の行政体制でそれなりに対応できることではないかなというふうに思っている次第でございます。  それから、先生御質問の苦情の問題でございますけれども、現在いろんなところでいろんな苦情がある可能性はあるわけでございますが、トータルでどれだけあってどういう分野でどれだけあるかということをちょっと把握しておりません。今度行政手続法が成立しますと、この苦情がふえるのか、あるいは不服申し立てがふえるのかという問題がございますけれども、今度はいわば事前手続が理由を明示しておるから、こういうような事前手続がいろいろ詳細に行われていくというようなことでございますので、むしろそれは鎮静化するんじゃないか、少なくなるんじゃないかなというふうに、これは予測だけでございますが、思っている次第でございます。  それから、規制緩和との関係でございますが、去る九月十七日の緊急経済対策に、環境庁の部分として三つの項目を盛り込んで規制緩和をやっていくということをやっております。やっておりますけれども、これはいずれも行政手続法と直接的な関係のあるようなものじゃございませんということでございます。  それから、今後の問題としましても、環境行政というのは、健康の保持その他の目的のために行ういわゆる社会的規制でございまして、規制が全廃されるということはちょっと考えられないわけでございますので、規制緩和がある程度進んでいったとしても、環境庁との関係では行政手続法によるいろんな手続規定の必要性は依然として残るというふうに考えている次第でございます。  以上でございます。
  81. 合馬敬

    合馬敬君 非常に御懇切な説明でよくわかりました。  ただ環境行政、今、環境基本法が成立しまして、それから例えば環境アセスメント法案だとか、これからまた検討される可能性もあるわけでございますが、なかなか環境関係も、環境と開発との調和といいますが、今はやりの言葉で言えば持続可能な開発ということになると、私は法律で一方的に規制するというのもなかなか調和上難しい話があると思うんですよね。  そういうことで、アセスメント法案になるのか、いろいろなあれがあろうかと思いますが、そういう中で、私は、例えば現行法体系の中での行政指導等、こういったようなものも活躍といいますか機能する範囲が非常に多いと思うわけでございまして、そういう意味で、この行政手続法の中の行政指導、これが円滑にうまく運営できるのかどうか非常に関心を持っておるわけでございます。  こういう点につきまして、いろいろ御苦労はあろうかと思いますが、先ほどの説明で大体了承はいたしましたけれども、いま一回そういった点を含めて御説明をお願いしたいと思います。
  82. 小沢道一

    説明員(小沢道一君) 今回の行政手続法で、行政指導に関しますいろんなルールというものが法定されるようになるわけでございます。環境庁といたしましては、それに定められましたルールを的確に守って国民に公明正大な行政が行われるようにやっていきたい、こういうように思っております。
  83. 合馬敬

    合馬敬君 次は、国土庁関係でございますね。先ほどから申しましたような、全体的な意見の中で、特に農住組合法、これを中心に御説明をいただきたいと思います。
  84. 木村誠之

    説明員(木村誠之君) お答えいたします。  農住組合法でございますが、初めに若干御説明させていただきますが、農住組合法と申しますのは、市街化区域内農地の所有者の方々が四人以上集まりまして農住組合という組織を設けまして、農地につきまして基盤整備を行いまして、そこにすぐに上物をつくるということで良好な町づくりを進めるための手法でございます。現在全国で十七組合ができておりまして、さらに今設立候補地区が相当数に上ってございます。  そういうことでございまして、この法律自体はいわば組織法ということでございます。したがいまして、先生幾つかお尋ねになりました点につきまして、必ずしも私の方から十分な御説明にならないかもしれませんが、若干お答えさせていただきます。  一つは、今回の行政手続法に伴います農住組合法の改正点でございますが、これは先ほどお話ございました不利益処分に関連いたしまして、農住組合法では、例えば法令等に違反した場合におきまする農住組合に対する措置命令等の不利益処分につきまして規定がございます。ただ、これは従来、単にあらかじめ理由を通知して弁明の機会を与えなければならないという規定にとどまっておりまして、具体的な弁明の期限等詳細にわたる事項については規定されてございませんでした。したがいまして、今回の行政手続法の規定にのっとりまして弁明、聴聞等を行うことといたすわけでございます。  ただ従来、それではそういうような規定で、不備で問題がなかったかというようなお尋ねでございましたが、先ほど申しましたように十七組合できておりまして、いわばこれは町づくりにつきまして、農家の方が中心になるわけですが、そこにつきまして、公共団体あるいは地元の農協とが一緒になって取り組んでいくというようなものでございまして、実態としてそういう問題を、要するに不利益処分を行うような実例は生じてございませんので、実体的な問題点があったというふうには承知いたしておりません。  それから、行政指導というお話でもございますが、それも今御説明したことに尽きるわけでございますが、公共団体と農家の方々が一体となって取り組んでいくということで、むしろ一緒に知恵を絞っていくという形でございまして、具体のところにつきまして行政指導というようなことは特段ございませんが、今後またこの法律制定の趣旨に則しまして遺憾のないようにしてまいりたいと思っております。  それから、規制緩和の関係で一つお尋ねがあったと存じますが、これにつきましては、先般の緊急経済対策の中で、一番最初に農住組合法というのが出てまいっております。これは今申しました農住組合の設立対象地域というのが従来三大都市圏でございましたが、平成三年の改正で、例えば県庁所在地あるいは人口二十五万以上の都市、さらには新産都市あるいはテクノというようなところを対象に広げてまいっております。それで、今回この設立対象地域をさらに拡大したいということで規制緩和のリストに挙げられたものでございまして、具体的には拠点都市地域等を対象に今考えておるところでございます。  そういうことでございまして、規制緩和という項目の中には入ってございますが、これに伴ってこの法律の実体が変わるわけではございません、廃止等の手続が予定されているわけではございませんで、むしろこれからますます組合の設立の機運というのは増大、増幅されてくるというふうに思っておりますので、そういった過程におきまして、今回の行政手続法趣旨に従いましてきちんとした対応をとってまいりたいというふうに考えております。
  85. 合馬敬

    合馬敬君 受け入れ体制。
  86. 木村誠之

    説明員(木村誠之君) ただいま申しましたようなことで、組合の設立につきましての手続法でございます。したがいまして、この組合の設立につきましては、発起人四人の方がお集まりになりまして設立総会を開き、さらに事業基本方針というものを定めまして都道府県知事の認可を受けるということになってございます。そういう手続につきましては各県知事さんが認可をする、あるいは大都市につきましては指定都市の長でございます。  そういう関係でございまして、特段今の時点で難しい問題が生じているというふうには承知しておりませんが、さらに組合の設立が促進されてまいると思いますので、そういった面でも十分注意はしてまいりたいと思っております。
  87. 合馬敬

    合馬敬君 私が聞きたかったのは担当部局ですね。何も農住組合法だけじゃなくて、国土庁全体での手続法関係での受け入れ体制を聞きたかったんですが、お呼びした方がちょっとあれだったんですね。  その次は、法務省は来ておりますか。――失礼しました。それでは、大蔵省にお願いをいたしたいと思います。  この全省庁の許認可権だけの整理でも平成四年で一万九百四十二件、大蔵省で千二百三十六件ですか、大変な数の許認可事項を持っておるところでございます。今言ったようなことでお願いします。
  88. 日野康臣

    説明員(日野康臣君) お答え申し上げます。  まず、行政手続法が制定されることによって、具体的にどのような点が個別の法律で改善されるかという点からお答え申し上げたいと思います。  例えば、現行の銀行法でございますと、不利益処分についてでございますが、店舗の認可を取り消すといったような不利益処分につきましては、聴聞手続ですとか、あるいは処分理由の付記、処分に関する文書閲覧といった規定が現在設けられてございません。したがいまして、行政手続法が制定された場合には被処分者に対しますこのような聴聞手続等の機会が与えられることになります。  また、現行の通関業法では、通関業許可の取り消し等の不利益処分を行うに際しましては、処分に先立ちまして、被処分者に対し許可を取り消すということの通知を行うこと及び相当の期間内に弁明できる機会の付与をすること、そういった規定が現行法にあるわけでございます。  行政手続法が制定された後には弁明手続にかえてより手厚い聴聞手続を行うことになりますので、仮に許可取り消しを行うこととなった場合には被処分者の権利利益の保護が一層図られてくるというふうに考えております。  それから、第二点の行政指導の関係でございます。  当省といたしましては、行政指導を行う場合、基本的に通達等の文書をもって行政指導を行うこととしておりまして、例えば銀行関係ですと、銀行にガイドラインとして通達等を発出しているということでございます。  行政手続法では行政指導の明確性とか透明性を求めておるところでございまして、行政手続法が制定されれば、この定めるところに従って大蔵省としても適切に対処し、透明性の確保にさらに努めてまいりたいというふうに考えております。  それから、規制緩和との関係でございます。  先般の緊急経済対策に盛り込まれた規制緩和措置のうちへ当省関連の法律で改正を予定しているものが五本ございます。しかしながら、この法律の具体的な改正内容につきましてはまだ検討中でございます。  いずれにいたしましても、改正後に仮に許認可等の規定がなくなればそれに係る行政手続法の適用がなくなるわけでございますし、また改正後も許認可等の規定が一部引き続き残るといった場合にはこれに行政手続法が適用されるというふうに理解をしておるところでございます。  それから第四点目として、この行政手続法の規定に従った執行を確保していくためにどういう体制でやっていくかという点でございます。  現在、具体的な準備を進めているわけではございませんが、法律が実際に施行されるまで、先ほどの説明で約一年ぐらいあるということでございますが、それまでに法案で改正された諸手続につきまして、関係職員に対し周知の徹底を図るとともに、既存の事務システムや体制の中で新たに必要となる諸手続が円滑に行われるようにいろいろな面で工夫をしてまいりたいというふうに考えております。  それから最後に、対外的なPRの御質問がございましたが、行政手続法は言うまでもなく我が国の行政運営の公正・透明性の向上を図るとともに、国民の権利利益の保護に資するものと考えております。私どもこの行政手続法の内容等の対外的な周知につきましては、今後総務庁さんの方からのいろいろなアドバイスなりお知恵を拝借しながら私どもとしても検討をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  89. 合馬敬

    合馬敬君 大蔵省さんは大変行政の範囲が広くて、先ほど申しましたように許認可件数も非常に多いのでございますが、具体的に私お聞きしたいのは、そういった意味でこの手続法に基づくいろんな苦情等の受け付けというのはどこか専門の受け付け機関を決めた方がいいのか、それぞれの仕事担当しておる部局で、課の場合もあるでしょうし室の場合もあるでしょうけれども、どちらの方が体制としてやりやすいのか、そこら辺御意見があればちょっとお伺いしたい。
  90. 日野康臣

    説明員(日野康臣君) 大変難しい問題でございまして、私ども今後行政運営の透明性、公平性を行政手続法の制定を機会にさらに努めてまいりたいと思っているわけでございますが、具体的にどのような形が最も効率的あるいは国民の皆様方のいわば苦情あるいは不服、そういったものに対して的確にこたえていけるか、その辺のあり方については今後の課題として検討させていただきたいと思っております。
  91. 合馬敬

    合馬敬君 それから、行政指導でちょっとこの際わかる範囲で結構ですがお教え願いたいんですが、例えば大蔵で証券金融、非常に今改革の流れが、統廃合だとか合併だとか、いろんな話があるんですね。そういう点について、私ども、普通の世間から見て、これは大蔵省が行政指導しているなど、こういったように感ずるわけでございますが、私はそれが悪いと言っているわけじゃないですよ、そういう意味で健全な金融秩序というのをつくっていくために必要な行政指導というのは私は要ると思っているんです。  そういう意味での行政指導の行い方と、今回の行政指導というのはこういうことでやるんですよということで決まったものと見比べて、現実の行政指導を今までやってこられた行政官として、今回のこの規定というのは非常に適したものか、やりにくくなったなとか何かそういったような問題がありますか、ちょっとお聞かせ願いたい。
  92. 日野康臣

    説明員(日野康臣君) 私自身、直接金融行政に携わっているわけではございませんので的確にお答えできるかどうか自信がないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、例えば銀行関係につきましても基本的に文書によって行政指導ということを行っております。いわば、今度の行政手続法によりましてさらにそれがきちんとしたルール化がされたわけでございますので、私ども行政手続法が今回制定されるということによりまして従来の行政指導がやりにくいとかそういったことはない、むしろこれによって明確性なり透明性が確保されて、よりすぐれた制度になっていくものというふうに理解しております。
  93. 合馬敬

    合馬敬君 それでは、次は文部省さんでございますね。  私立学校法でございますか、これを中心に先ほどの観点からひとつお願いします。
  94. 小野元之

    説明員(小野元之君) お答えを申し上げます。  文部省の行う行政処分の中で、御指摘ございました私立学校法で私立大学等の設置の認可というものがあるわけでございます。この私立大学等の設置の認可につきましては、学校法人の方々がいろいろと長い期間、教育効果を上げるためにいろんな準備をなさって、そして申請が文部省に上がってくるわけでございます。  この認可につきましては、学校教育法それから私立学校法の規定に基づきまして、大学設置・学校法人審議会というところに今諮問をさせていただくことになっているわけでございます。そして、審議会で十分御検討いただいた上で、その答申を踏まえまして文部大臣が認可をするかどうか判断しているものでございます。  具体的な大学等を設置する場合の必要な基準等につきましては、大学設置基準ということで文部省令で明確になっているわけでございますし、それからその他の審査基準につきましても公にしているところでございます。また、標準処理期間といいますか、この手続の期間につきましても関係の規則で明確に定め公表しておるというところでいるわけでございます。私どもといたしましては、この行政手続法が制定されました暁には、この法律趣旨を踏まえてさらに一層適切な運営を図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  御指摘が幾つかあったわけでございますが、一つ行政指導の問題がございます。この点につきましても、これは学校法人の方々がいろいろ準備されてくるわけでございますけれども、それに対して文部省といたしましても文部省の設置法にございます任務あるいは所掌事務の範囲内において、相手方の御同意を得ながら、協力をいただきながら留意をして行っているところでございます。したがって、この行政指導に従わないからといって不利益取り扱いをするというようなことはもちろんないわけでございます。なお、この手続法が制定された場合には、この趣旨にのっとって適正な取り扱いをしてまいりたいというふうに考えております。  それから、規制緩和の問題でございますが、今回の九十四項目の規制緩和でお出ししたものについては、この大学等の設置認可は直接は関係がないわけでございます。  それから、この手続法が制定されました場合に、現在の人員とか機構、予算の範囲で対応できるかどうかという問題でございます。この点につきましては、私どもとしてもいろいろ難しい事務処理等もあると思われるわけでございますけれども、現行の範囲の中でできるだけ努力をしていきたい、対応していこうというふうに考えておるわけでございます。  それから最後に、苦情や不服申し立て等が減少するかどうかという問題でございますが、一概に私どもは言えないとは思うわけでございますけれども、いずれにいたしましても、この行政手続法の制定ということで、これができますれば私どもの行政運営におきます公正をさらに確保していく、透明性を向上させていこうということで、学校法人等国民の皆様方の権利、利益の保護に資する方向で努力をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  95. 合馬敬

    合馬敬君 私は関係する法律を全部見たわけじゃございませんので、きのうの夜徹夜でいろいろ見てみたんですが、また疑問が生じました。  今お聞きしました例えば私立学校法、確かにこれは申請をしてそして要件を整えればそれで認可が出るわけでございますが、木宮先生は私立学校の大家でございますが、私立学校というのは今ある意味では公費助成がないとやっていけない、経営できないといった問題があるわけです。そうすると、認可を申請する段階でその公費助成がないとやっていけない。しかし学校としては、これは必ずつくらにゃいかぬ、非常にいい機能を果たす学校であると。こういった場合には、当然のことながら公費助成がとれる、つくと、予算で手当てされるという保証なり、そういったようなものがないと、認可しても、意図はよくても経営ができない、こういったような心配もあろうかと思うんです。  そこで私は、当然のことながら今言ったように認可申請が出てきた場合、もし公費助成の問題がある場合は行政庁としては、これはあなたのところちょっとことしは無理だからやめておきなさいとやるのはまたある意味で当然だとは思うんですが、そういったような有無相通じた行政指導というのは今回の手続法の中でどういうぐあいに行われるのか、またそこまでお考えになったのかどうか、ちょっと御説明願いたいと思います。
  96. 小野元之

    説明員(小野元之君) お答え申し上げます。  学校法人の大学等の設置につきましては、一応学校法人の側で新しい大学、学部等をおつくりになった場合に、その運営が適切に行えるだけの財政的な面も準備をなさったということが前提で審査を申し込まれるわけでございます。私どもといたしましては、私学助成という観点で御指摘のような問題はあるわけでございますけれども、学校法人が設立されまして、そして具体的に大学が動き出しまして適正な運営がなされておるということがはっきりいたしました時点で私学振興財団の方から補助金を差し上げるというシステムになっているわけでございます。
  97. 合馬敬

    合馬敬君 別にそれでよくわかったというわけでもありませんが、非常に難しいあれだと思います。  時間がありませんので、次は厚生省関係でございますか、特にこれ私が選んだのは何もそう特段の意図があるわけでございませんで、こういう関係は非常に複雑じゃなかろうかなと思ってお願いしたんですが、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律、それから理容師法、それから旅館業法、こういったものを中心にちょっと御説明願いたいと思います。
  98. 和田勝

    説明員(和田勝君) お答え申し上げます。  今御指摘のございました三つの法律を例にとりますと、今回の法律制定に伴いまして次のような点について改善が行われるものと考えております。それはいずれも現行の個別の法律において規定の整備がなされていないものについて改善がなされるというものと受けとめております。  まず、旅館営業の許可等の申請に対する処分につきましては、処分の内容、審査方法等の事務処理の実態などを勘案いたしまして標準処理期間の設定そしてその公表がなされるということ。それから、あん摩マッサージ指圧師等の免許取り消しなどの不利益処分につきまして、これまで個別法に定められております弁明等の手続のほかに、今回の法律によりまして新たに関係文書の閲覧などにより手続の透明性の確保が一層図られるようになるということ。そしてまた、行政指導につきまして、相手方の求めに応じましてその趣旨等に関する書面が交付されるようになるということなどによりまして一層の明確性、透明性が図られるようになるといったような点でございます。  こういった新たな業務でございますけれども、これにつきましては、現行の業務の一層の効率的な実施といった点を図るなどによりまして現在の体制、予算などのもとで進められるものというふうに考えております。  なお、御指摘の三つの法律によります行政手続についてのこれまでの苦情の実態でありますけれども、全国的な統計件数というものは把握いたしておりません。  なお、不服申し立てに関しましてこの三年間厚生省に寄せられましたものの件数でありますが、再審査請求等の不服申し立ての件数でありますが、ゼロでございます。さらに、三法を含めまして厚生行政全般につきましての不服申し立ての今後の見込みでありますけれども、今回の法案の二十七条の不服申し立ての制限規定などを勘案いたしますと、この法案の制定によりましてその件数は若干減少するのかなという感じを持っております。  いずれにいたしましても、今回の法律の制定によりまして迅速、透明な処理、公平、公正な手続の進展、そういったものが図られるというふうに考えておりますし、私どもとしてもこの法律の規定そしてその趣旨というものを十分踏まえ、その周知徹底を図ることによりまして適正な行政運営を図ってまいりたいというふうに考えております。  なお、さきに発表されております規制緩和措置との関係でございますが、規制緩和措置のうち厚生省関係では十四の項目が挙げられております。このうち、法律改正につながりますのは企業年金であります厚生年金基金の資産運用についての規制緩和でございまして、この一件でございます。この改正は資産運用の要件を緩和するというものでございまして、行政手続という面での変更につながるものではございません。したがいまして、今回の行政手続法案との直接的な関係はないというように理解をいたしております。  以上でございます。
  99. 合馬敬

    合馬敬君 私、直接今回すぐ関係が出てくるわけではないと思いますが、だんだん規制緩和が進んでまいりますと、例えば私いつも頼まれるんですけれども、柔道整復師さんとお医者さんとの関係だとかあるいは歯医者さんと歯科技工士さんとの関係だとか鍼灸、マッサージ師の方とお医者さんとの関係、これは健康保険の適用があるかどうかとか、業際関係で非常に問題が出ておりますよね。理容師さんは昔は外科医を兼ねておったというぐらいですから、それがだんだん専門化して分化してきたんでしょうが、またそれが、規制緩和じゃありませんけれども、そういったもっとお互いに相互乗り入れあるいは相互協調といいますか、お医者さんと薬剤師との関係だって医薬分業とかいろいろ話がございます。  そういったような関係で、私は規制緩和とともに、ある意味ではその前段階としての今回の手続法の制定にしろ、新たないろいろな問題が出てくる可能性が非常にあると思うんですよね。そこら辺を私はやはり今回の手続法の制定を契機に考えていかなければいかぬのじゃないか、こういうような気がするわけでございます。そういう意味で、私は行政指導のあり方もかなりやっぱり複雑になってくるんじゃないかなと思うんですよね。  それとともに、これからどんどん流通、いろんなサービス業だって合理化が進んでくるんでしょうけれども、そうすると、また後ほど話を通産省にいたしますが、例えば大規模店舗法で大型店舗の進出がどんどん容易になる、サービス業だって個人的な営業をしている方が地域にまんべんなくそれぞれのエリアを持って開業できるようにするのを、これはもう一カ所かなんかで集中してそこで営業するようにしたらいいじゃないか、個人の理容師さんなんかはみんないなくなったっていい、こういったような政策だってとられる可能性だってあるわけですよね。そういったようなことを考えますと、やっぱりそれぞれの業界、これを守ると言ってはなんでございますが、健全な業界の秩序を維持していくための行政指導というのは、私はこれ非常に大事なことだと思うんですよね。  だから、そういう意味で私がお聞きしているのは、今回の手続法を契機に、こういったような規定になった場合に、行政指導のあり方について一段と何か工夫をしなければならないことがあるんじゃないか、こういうことをお聞きしたわけでございます。何か一言でもあればよろしくお願いします。
  100. 和田勝

    説明員(和田勝君) 厚生省関係、現在千百七十件の許認可の件数ということで、比較的多い役所の一つでございますが、その大半の部分は国民の安全とか健康等々にかかわるものでございますが、今先生お挙げになられましたように、その中には非常に零細な小規模な事業運営にかかわるようなもの、あるいは身分、資格にかかわるもの、いろいろなものが含まれております。  いずれにいたしましても、これらの事業の運営につきまして、過剰な規制であるとかあるいは社会経済の実態にそぐわなくなってきているものとかといったものについては適時適切な見直しといいますか、改善を図ってまいりたいと思いますし、この法案趣旨に沿って適切な行政運営が行われますよう一層私どもとしても注意、工夫をしてまいりたいと思っております。
  101. 合馬敬

    合馬敬君 その次は農林水産省にお願いしたいと思いますが、種苗法、農薬取締法、肥料取締法、こういった農業資材関係を取り扱っているものにつきまして、こういうのを例示として挙げまして、全体論でひとつお願いしたいと思います。
  102. 齋藤章一

    説明員(齋藤章一君) お答え申し上げます。  農林水産省関係で具体的に今先生が挙げられました種苗法について見ますと、この行政手続法施行に伴いまして種苗法に基づく品種登録制度の手続につきまして、行政手続法に定める登録申請を拒否する場合の理由の付記の規定、それから品種登録の取り消しを行う場合の聴聞手続の規定等が適用されるということになります。これらの行政手続法の規定が適用されるということによりまして、品種登録制度の手続は明確化され、また整備されるということになりますので、品種登録制度の信頼の確保に大いに役立つものではないかというふうに考えております。  なお、これまで品種登録の手続に関しまして苦情の件数がどれだけあったかということを全体、正確に把握しているわけじゃありませんけれども、特段の苦情はないというふうに承知しております。したがいまして、行政手続法施行されても現行の業務運営体制で十分対応可能と考えております。これは種苗法に基づいて御説明申し上げましたけれども、農林水産省全体の行政を見ましても、今回のこの法律の制定に伴いまして、全体として現行の業務体制で十分対応できるんではないかというふうに考えております。  それから、行政指導に関しまして、農林水産省といたしまして従来から公平性の確保あるいは明確性、透明性の確保ということで努力してきておるわけでございますが、今回の法律の制定に伴いまして、より明確性あるいは妥当性の確保を図っていけるんではないか、またそういうふうにしてまいりたいというふうに考えております。  それから、規制緩和の関係でございますが、農林水産省関係、十一項目ございます。この中で政令関係が三件、省令関係が二件、告示関係が二件を予定しております。例えば、先ほどもちょっとお話がございましたが、農住組合の設立区域の拡大、これは政令でございます。それから肥料の登録有効期間の延長、これは省令。それから食品の日付表示方式の改正、これは告示。こういうようなことが先ほど申し上げました件数あるわけでございますが、これらの法令の改正につきましては、これが直接行政手続のあり方に関係してくるという状況ではないというようなものでございます。  以上でございます。
  103. 合馬敬

    合馬敬君 私は別に性悪説に立つわけじゃございませんが、私も農林省の役人をやっておりまして、例えば農地転用の許可、農用地区域の解除がなかなか出ないので、悪い人はどんな手段を使うかといったら、最初農地を買い込む、そして畜舎かなんかつくるんですよね。農地はやめて畜舎をつくる。今度はだんだん経営が悪くなったといってだんだん家畜がいなくなる。残ったのは荒れ地になるんですね。あとはもう農地には戻らない。そこで、これはもうやむを得ないということで雑種地かなんかにして、それから今度はいよいよ本命の農地転用をやってそして何かに使う。  世の中いろんな人がおるんですよね。だから、そういうような人は早く見抜いて、そしてあなたには絶対に何をやっても許可を出しませんよ、こういうことをやるというのもこれもまた大事なことなんですよね。だから、そういう意味での行政指導というのは、これは全国民のためにきちっとやらないかぬわけでございますから、そういう意味で、私はちゃんときちっとした体制をやるならやるでつくってもらいたい、こういうことをお願いしておるわけです。  それから、その次は通産省でございますか、特にこれはメーカーでいきますかね、航空機製造事業法、武器等製造法、航空機工業振興法、こういったようなものでお願いします。
  104. 河野博文

    説明員(河野博文君) 通産省でございます。  今、先生御指摘いただきました事業調整に関して規定をしております法律の例でございますが、武器等製造法あるいは航空機製造事業法の例で申しますと、申請に対する処分についての審査基準の設定、公表は行政手続法と同様に既に行われているわけでございます。  不利益処分に関する聴聞につきましては、基本的には聴聞の制度はございますけれども、事前の聴聞というよりは処分後の異議申し立てに沿いまして聴聞を行うという仕組みになっておりますので、この点につきましては今後の改善が必要かというふうに考えております。また、拒否処分や不利益処分の際の理由の提示につきましては、法律上の規定がございませんので、これも行政手続法にのっとりましてより厳正に行っていくということで行政手続法の遵守に努めてまいりたいというふうに考えております。  行政指導に関するものでございますけれども、基本的には相手方の要請を受けて書面の交付を行うという考え方でございますので、これまでも極力書面の交付という形でやってきているつもりではございますけれども、さらに全面的に洗い直しをしていこうというふうに考えております。例えば製品輸入の拡大に関する協力要請などは既に要請を待たずに積極的に書面交付を行って関係方面に依頼を申し上げているという状況でございます。  それから、行政事務の増大云々でございますけれども、やはり手続が増大するという意味では若干の行政事務の増大という問題があろうかと思いますけれども、公正・透明な行政手続の確保という目的の前でございますので、積極的にこれを克服していきたいというふうに考えておりまして、何とか現在の人員、予算などにおいて対応してまいりたいというふうに考えているわけでございます。  それから、不服申し立てなどがどうなるだろうかという御指摘でございますけれども、やはり行政の透明性、公平性が増すということですので、こうした不服申し立てなどがむしう減少するといったことが期待できるのではないかというふうに考えております。  規制緩和についてもお尋ねがございましたけれども、先般の措置の中には十七項目ございまして、そのうちの十一項目につきましては法令の改正を伴うものということでございます。ただし、内容的には今後の検討にゆだねられている点もございますので、行政手続法との関係については必ずしも定かでないところでございます。
  105. 合馬敬

    合馬敬君 私ちょっと商工行政について詳しくありませんのでお尋ねしますが、設備投資だとか生産、製造面について何かやはり規制を、法令、行政指導でも結構ですが、そういったようなものでやっている例はあるんですか。
  106. 河野博文

    説明員(河野博文君) 先ほどお尋ねをいただきました武器等製造法あるいは航空機製造事業法も基本的には製造を許可制にしておりますので、そういう意味では設備投資に関するある種の調整というふうにお考えいただいてもよろしいかと思います。
  107. 合馬敬

    合馬敬君 そうすると、規制緩和の中で、この中間報告案で出てくる経済的規制の中の需給調整の観点から行われている参入規制、設備規制、輸入規制、価格規制、そういったメーカーサイドのものも需給規制の中に入るんですか。もっと別のところで読むんですかね、この規制緩和といった場合は。
  108. 河野博文

    説明員(河野博文君) 武器等製造法などはむしろ公益的な観点からも許可制にしているわけでございますので、経済的規制というよりは社会的な規制というふうに考えております。
  109. 合馬敬

    合馬敬君 ちょっとさらに聞く時間がございませんけれども、私はそういう意味で、この規制緩和というのは何か余り雑に取り扱うと非常に危ないといいますか、言葉が世間に与えている印象と実際に検討しなければならない課題とが何か大変乖離しているといいますか、気がいたすんでございますが、そこら辺はやはりもう少し慎重に考えていかなければいかぬと思っております。先ほど石田大臣からもその趣旨の答弁がありましたので、ぜひそういう意味で御検討をお願いしたいと思います。  それから、時間ありませんので、通産省の次は運輸省でございますか、海上運送法、道路運送法、航空法、それからタクシー業務適正化臨時措置法、鉄道事業法、貨物自動車運送事業法、運輸省は大変な許認可官庁でございますので本当に大変だと思いますが、ひとつ。
  110. 岩村敬

    説明員(岩村敬君) 運輸省でございます。  ただいま先生から御指摘ございましたように、運輸省は海陸空の輸送機関、さらには海上の交通安企業務、警察業務まで所管をいたしておりまして、本行政手続法案の対象となる処分の件数も約千件を超えるものがございます。したがいまして、個々の法律それぞれのことにつきましてどういう影響がある、それからどういう実態になっているというのを全体をちょっと御説明する時間もございませんので、幾つか例を挙げて御説明申し上げたいと思います。  処分の審査基準の設定、公表につきましては、例えば道路運送法に基づきますタクシーの免許、これにつきましては法律上免許基準がございますが、処分をいたします地方の運輸局長がさらに具体化した基準を設けまして、それを公示という形で設定、公表しているというような例もございます。また、標準処理期間につきましても、一部の運輸局で公示されておりますが、先ほど申し上げたように対象が非常に数多くまた多様なものがございますので、すべてにこういった手続が定められているわけではございません。したがいまして、今後この手続法の施行に伴いまして新たに手続の準備をしていかなければならないという、そのような状況にございます。  また、行政指導につきまして、例えば海上運送法に基づきます運送秩序に関する勧告、こういった法律に基づくものもございますし、また設置法に基づいて行う指導もございますが、今回行政手続法が制定されまして、一般的なルール、例えば相手方から求められた場合の書面の交付などは一般のルールが整備されますので、これに沿ってより適正な対応に努めてまいりたいと考えております。  また、規制緩和との関係でございますが、先般の緊急経済対策の中で運輸省関係、法令改正を伴うものは七件ございます。例えば法律では自動車の検査等の緩和について道路運送車両法の改正を今後いたすことを予定しておりますし、また政令関係では輸出検査対象品目の削減であるとか、規則関係では自動車の総重量制限等の車両諸元に関する制限の緩和ということで、道路運送車両法の保安基準、省令でございますが、この改正をする、こういったもの、一部既に実施済みもございますが、七件について準備を進めております。  これらの規制緩和につきましては、国民の負担軽減には資するものではありますが、いずれも申請処分それ自体を廃止するものではございませんので、今回の規制緩和に限って言えば行政手続法め適用範囲が狭まるというようなことにはなってございません。現在、運輸省は規制の削減を計画しておりまして、今後やっていく中で行政の負担軽減につながるような規制緩和もやっていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。  また、行政手続法の制定に伴って、これだけ数多くの許認可を抱えておって人員、予算の面で大丈夫なのかという点でございます。今回の法律施行されまして、一方では審査基準が設定されるなど迅速な処分が期待されるということで業務量が減る分野もありますが、他方、不利益処分の際の権利保護手続等、行政事務を増大させるそろいった面もあるわけでございまして、今の段階でどのぐらい増大するのか、また増大しないのか明らかではございませんので、直ちに今人員とか早算の面で新たな対応が必要になるというふうには考えておりませんが、仮にこういう法律の実施によりましていろいろな制約があるというような重態が予想される場合には、要員の配置の見直しなど所要の適切な措置なり工夫なりをしてここで定められました公正な行政の実施に遺漏のないように努めてまいりたいと思っております。  また、もう一つのお尋ねの不服申し立てとの関係でございますが、身近な行政をやっているということで、過去四年度一つ見ましても、例えばトラック関係で九十件、バス、タクシー関係で、これは本処分で聴聞は抜いてありますが、百三十一件、不服申し立てについても三件というようなことで、数多くの苦情また不服申し立てが出てきておるわけでございまして、今回行政手続法が制定されますと、かかる不服申し立てなりの前段の措置としてのその不利益処分についての聴聞、弁明の機会が提供されるなどの措置が講ぜられますので、こういった不服申し立てまでいく以前のところでいろいろと改善がされるのではないだろうかというふうに考えているところでございます。
  111. 合馬敬

    合馬敬君 終わります。  済みません、郵政省、労働省、建設省、自治省の皆さん、せっかくお呼びしたのに時間がありませんでした。
  112. 大久保直彦

    大久保直彦君 初めに、この行政手続法案を今国会に提出をされました総務庁石田長官並びに関係の皆様方の御労苦に心から敬意を表したいと存じます。    〔委員長退席、理事板垣正君着席〕  私もこの法案が成立することを最も喜んでおる者の一人だと自負をいたしておりますが、近年、国際化の進展の中で欧米の価値観というものをおもんぱからねばならない時節に今私どもは当面をいたしておる。さらに、国内的にもこの行政運営のいわゆる透明度の問題、または公正、不公正というような問題が長い間指摘をされてきた。そういう状況のもとで、この三十年間にわたります論議を積み重ねてきて今日この法案として取りまとめられましたことは大変なことだ、このように評価をいたしておるところでございます。  長官も御就任のときに、この法案が行政への信頼を高める第一歩である、このような御発言をされておりますが、いよいよこの法案が成立の運び、間もなく実現をするわけでございますが、それについての御所見があれば承りたいと存じますし、また初めに、この法案の目的の中で行政運営における透明性の向上ということを非常に高くうたわれておるわけでございますが、この透明性の向上というものがどのようにこの法案の中で具体化をされておるのか、あわせてお願いをいたしたいと存じます。
  113. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 今、大久保委員御指摘のとおり、細川内閣として政治改革と並んでこの行政改革の重要性を訴えて今日まで来ているわけでございますが、そういった意味におきまして、やはりこの行政改革の一つの取っかかりとしましてこの行政手続法があるというふうに認識をいたしておるわけでございます。  後ほどまた議論があるかもしれませんけれども、やはり今課題になっておりますのは、今日のさまざまな社会活動の中で社会的規制あり、経済的規制ありというような状況になっておるわけでございますが、やはり長い間の行政の流れでございますから、当然これは見直しをしなきゃならない。また、行政改革というのは申し上げるまでもなく間断なくこれは努力をしなければならない問題であるわけでございますので、そういった意味において、一つ行政手続法ができますれば、規制緩和に資することもできますし、また行政全体の国民の信頼にもこたえ得るものだというふうに認識をいたしておりますので、ぜひ御審議をいただき成立をさせていただきたいと心からお願いを申し上げたいわけでございます。  また、透明性の向上、本法案にどのように具体化されているかということでございますが、その詳細については行政管理局長の方から答弁させていただきたいと思います。
  114. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 大臣の御答弁に補足をさせていただきまして、行政手続法案における情報開示関連規定の概要について簡単に申し上げます。  申請に対する処分につきましては、第五条、審査基準の公表、第六条、標準処理期間の公表、第八条、理由の提示、第九条、情報の提供、以上四点でございます。  不利益処分につきましても同じく四点ございまして、不利益処分に関する処分の基準の公表、不利益処分に関する理由の提示、それから聴聞に関します文書の閲覧、聴聞調書の閲覧、以上四点でございます。  行政指導につきましては、その趣旨、内容、責任者の明確化、そしてまた共通内容の行政指導の公表、以上二点でございます。  計十点にわたりまして公開条項を規定させていただいているところでございます。
  115. 大久保直彦

    大久保直彦君 承りました。  今、大臣の御答弁にありました規制緩和の問題でございますけれども、既に政治改革と並ぶ重要課題であることは改めて申すまでもございませんが、先般九十四項目にわたる規制緩和を取りまとめられましたが、行革審の最終答申並びに平岩研究会もさらに大幅な規制緩和を求めているようでございます。  そこでお尋ねでございますが、この行政手続法とこの規制緩和をどのような関係で位置づけられておりますのか、これもお伺いをいたしておきたいと存じます。
  116. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 規制緩和の推進に当たりましては、行革審の答申におきましても、規制そのものを削減する、この対策のほかに、その運用の改善を図ることが重要だと、このような御指摘を受けておるわけでございます。  例えば、公的規制全般を通じてその基準や手続の明確化を図ること、事務手続の簡素化、迅速化を図ることなどの運用面での改革の問題、さらに行政指導についても、その運用の実態が透明性や公平性を欠いていることから長い間この点がかなり国民の間からも指摘を受けてきたわけでございますので、そういったことについて運用の改善が図られることが必要だと、こう指摘を受けているわけでございます。  そういう趣旨に基づいて、この行政手続法の中におきましては、許認可等の処理について審査基準や標準処理期間の設定、公表を規定いたしておるところでございます。また、行政指導についても明確化、透明性を図る観点から相手方にその趣旨、内容、責任者を明らかにするなどの規定を整備しているところでございます。  したがいまして、この行政手続法が制定をされますれば、許認可等を中心とした公的規制についてもその運用面での改善が図られるわけでございますので、そういった意味において行政手続法は。規制緩和の推進に資することができる、かなり役立つことができる、このように考えているところでございます。
  117. 大久保直彦

    大久保直彦君 運用面の改善という御答弁でございましたけれども、公的規制の緩和、その運用面での改善に役立つという御見解であると思いますが、そういうことでありますならば、総務庁としてこの法の施行を、その法の運用が趣旨にのっとって適切に行われているかどうかということについて、施行状態を把握するために何らかの調査なり何らかの措置が講じられなければならないのではないか。    〔理事板垣正君退席、委員長着席〕 さらには、問題があればそれについての措置も必要とされるのではないか、このように思いますけれども、これについての何か御見解がありますでしょうか。
  118. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 一般的にも、法律が制定されればそれが適切に実効が上がっているかどうかということをきちんと把握することが極めて大事な問題であるというふうに思うのでございますが、特にこの行政手続法では、やはり国民の権利利益を擁護するという立場からのさまざまな規定がなされておるわけでございますから、特に行政運営においてこの行政手続法の諸規定に沿った手続が確実にやれるようにその実効性を確保することが極めて重要だと、このように思っております。  その実効性を確保するというのを、やはりその後の施行状況の中で委員御指摘のとおり指摘をしていくことは極めて大事な問題でございますので、施行後において各省庁あるいは地方公共団体その他の関係機関の運用状況について的確な把握をしなければならない、本法の規定に従って運用の徹底を図っていくことが必要だと、このように思っているところでございます。  したがいまして、一年後の施行ということでございますから、その間十分な準備を進めていかなきゃなりません。また、国民の皆様方にも周知徹底を図っていかなければならないわけでございますが、施行されていつという基準はなかなか今はちょっと申し上げにくいのでございますけれども、やはりその運用状況についてできれば毎年充実した調査を実施いたしまして、その的確な運用を確保するとともに成果の一層の定着を図ってまいりたい、このように思っているところでございます。
  119. 大久保直彦

    大久保直彦君 今、毎年実施状況を調査するという御発言でございましたけれども、私はそのことが非常に大事なことではないのかなというふうに思っております。  今まで許認可の審査基準というものはどういうふうになっていたかということが極めて不透明であった。それがきちっとつくられ、国民に公にされる。さらには標準処理期間が設定されて、申請がそれに沿って行われているかどうか適切に処理されているかどうかということがどこかでチェックをされなければならないというふうに思いますけれども、往々にして今まではチェックというものほかけ声だけでそれが実行に移された例は余り多くないのではないか、このように思いますが、今長官の御答弁のように、できれば毎年その実施状況がいかがなものであるかということについて調査なり、そういう適切な処理が進められることを心から歓迎をいたしたいと思いますが、今私が申し上げたようなことも含んで毎年調査をなさる、こういうふうに受け取ってよろしいでしょうか。
  120. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 今、大久保委員から御指摘のあった事項につきましては、まさに本法案の目玉とも言うべき事柄でございますし、国民の関心の集まっているところだというふうに思うわけでございます。当然調査の中心的テーマになるだろう、このように心得ておるわけでございますが、いずれにいたしましても、施行後的確にこれが運営されているかどうかをチェックしていかなきゃならないわけでございますから、具体的に必要な調査事項というものを決めてやる必要があろうか、このように思っておりますので、その内容の検討については今総務庁の方に指示しているところでございます。
  121. 大久保直彦

    大久保直彦君 今日までいわゆる行政運営についての不満やら不服等を持たれた方の意見を聞き過ぎているのかもしれませんけれども、私はこの行政手続法趣旨に反した行政運営がなされた場合、いわゆる司法手続に打って出る、行政事件訴訟や国家賠償法等の司法手続に至る前に、こういう苦情その他の方々に対して簡易にかつ敏速な救済を図ることを検討すべきではないかという考えを持っております。  つきましては、そのための行政相談制度と申しますか、並びに行政監察といったものがやはり十分に機能されなければならないのではないか、それがやはりこの行政手続法の円満な運用に寄与していくことになるのではないか、このように思います。  このような各行政機関に対して自主的に速やかな是正を図るように積極的に促す必要があるのではないか、このような意見を持っておりますけれども、この点についてはいかがなものでしょうか。
  122. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 御趣旨のほどよくわかりますが、かなり幅広くこれは専門的な分野にわたるわけでございますので、行政監察局長の方から答弁をさせていただきたいと存じます。
  123. 田中一昭

    政府委員(田中一昭君) お答え申し上げたいと思います。行政相談制度と行政監察、二面から御説明申し上げたいと思います。  御承知のとおり、総務庁は従来から行政相談制度を通じまして今お話しのように国民からの苦情に対処してきております。年間二十三万件ばかり受けております。お話のように、行政手続法施行がなされますと、この法律に関連いたしまして行政運営上の国民からの苦情が出てくることが大いに想定されるところでございます。総務庁といたしましては、お話のように簡易、迅速な行政救済制度としての行政相談制度を通じましてそれらの苦情に積極的に対処して適正な行政運営が行われるように努めてまいりたいと考えております。  それから、第二点目の行政監察でございますが、御承知のとおり行政機関による個別の非違の摘発等を行政監察は直接の目的とするものではございませんけれども総務庁としましては、これまで許認可等の事務手続の簡素合理化とか窓口行政の適正化に関しまして数次にわたりまして調査を行って改善を進めてきております。そういう方法と同時に、個別の施策監察におきましても公正で透明な手続を実現する、こういう趣旨に立ちまして種々の指摘を行い勧告してきております。  今後とも、行政監察を実施するに当たりましては行政手続法案に盛られました趣旨に十分留意しつつ、公正の確保並びに透明性の確保という両面からの監察を行いまして行政の制度運営全般にわたる改善を推進してまいりたい、このように考えております。
  124. 大久保直彦

    大久保直彦君 今日までこの手続法をまとめてこられた御労苦もさることながら、これが施行された後の問題も見逃すことができない大変重要な問題ではないかと思います。  先ほど来、合馬委員質疑を拝聴いたしておりましても、自民党を代表されまして一人で三時間二十分続けて質疑をされたということ、また各省庁の代表が全部そろってこの審議に参加したということは、私も二十数年国会におりますけれども初めて見る光景であって、これだけでもこの行政手続法というのは並み並みならぬものであるなと。世間ではよく、赤ん坊を小さく産んで大きく育てろということわざがありますが、ぜひ大きく産んで大きく育てるように、これからも御尽力をお願いいたしたいと思います。  最後に、私はもう一点だけ、行政手続法の適用が除外されました分野についてお尋ねをしておきたいと思いますが、第三次行革審の答申におきましても、適用除外の分野についてもこの行政手続法趣旨にのっとって行政運営の公正確保と透明性の向上を図るべきであると述べられております。  そこで、端的に税務行政についてお尋ねをいたしますが、一般的に適用除外になっております。しかし、税務そのものは国民の権利利益にも直接非常に密接にかかわっておりまして、この税務行政についても国税通則法等の個別法も含めまして行政手続法趣旨にのっとって見直しを進めるべきではないか、私はこのように思いますけれども、長官の御見解をお尋ねいたしたいと思います。
  125. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 行政手続法の適用除外の問題についての御質疑なんでございますけれども、特にその中で税務の分野の問題を御指摘になったわけですが、これは個別問題で全く所管以外のことでございますので、私がうかっに答弁申し上げることは適当ではない、慎重にいたしたいというふうに存ずる次第でございます。  いずれにいたしましても、除外された分野についても将来ともに必要に応じてやはり見直しをする必要はある、このように行革審でも言われておるわけでございますから、そのような観点に立って各省庁が御努力されることを総務庁としては期待いたしたい、こういう立場であることを表明させていただきたいと存じます。
  126. 大久保直彦

    大久保直彦君 以上で終わります。
  127. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 今日、行政の民主的で公正かつ効率的な運営を確立するということが極めて重要な課題であることは言うまでもないと思います。その点で、今審議しております行政手続法は全体として行政の改善につながるものであるというふうに私は考えているところでございます。しかし、この審議に当たって、私自身がこういう点ほどうなんだろうか、こういう点ほどうなんだろうかと疑問に思っている点が幾つもございます。また、少なくともこういうことはやはりやっていくべきではないかという私の主張、そういう点もございます。今申しましたような全体的な立場から、以下幾つかの質問をさせていただきたい、こういうふうに思います。  まず一番最初ですけれども、全体的な問題としてこれは石田総務庁長官にお尋ねしたいんですが、長官は十月二十三日の朝日新聞で、今回の行政手続法について、「除外項目もあるが、まずは七〇%程度の出来。ここから前進する」、こういう発言をインタビューでしておられます。そうしますと三〇%ほどまだできの悪いところがある、こういうことになるのかと思いますが、全体の評価としてこの発言をどのように理解したらよろしいか御質問します。
  128. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 私はこの記事だけでは必ずしも適切な書き方ではなかったなというふうに思います。やはりこれからさらに本年度いっぱいこの行政改革を進めていかなきゃならないわけでございますから、行政手続法がようやく最終段階を迎えて御審議をいただいている、そういう流れ全般については少し進んではきたけれどもこれからなおやることがある、そういう意味合いのことを実は申し上げたわけなんでございます。  しかし、仮にこのままお受けとめいただきましても、この行政手続法、まさに今各委員からさまざまな御審議をいただいておりますように行政万般にわたる大変広範囲なものでございますから、その法律の目的に従って法律施行された後にどこまでこれが確保されるか、法律の目的が実行されているか、これは極めて重要な問題でございます。  今、大久保委員にもお答え申し上げたわけでございますけれども、やはりそこまで、法律施行されてその実行が確保されているということが確認されなければ本当の意味法律趣旨にならないわけでございますから、その問題に総務庁としては極めて大きなウエートを置いて考えているというふうに御理解いただければありがたいと存じます。
  129. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 できてから後のどういうふうになっていくかという点を大いに注目したいという御発言でございましたが、その点とも関連して私次のことを御質問したいんです。  この行政手続法というのが国民生活の利益の上で本当に具体的にどういうふうになっていくんだろうかという、この点のイメージがなかなかわきにくい。私もいろんな文章を読みましたし、これに関するいろんな論文も読んでみましたが、なかなかわかりにくい、抽象的で。法律自体というのはそこに具体例を書くわけにはいきませんから、当然ある程度の抽象性というのはこれはやむを得ないと思うんですが、いずれにしろ国民が手にとって今度この法律ができたらこういうことがこうなるんだというイメージをわかせるといいますか、このことは非常に重要だと思うんですが、私自身まだ明確な絵をかくという点で幾つも不明といいますか、なかなかはっきりしない点がございます。  そこで、この法律ができたら今までとどこがどう違うんだと、何かの具体例でそれを説明していただけませんでしょうか、手短に。
  130. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) モデル、具体例ということでございまして、基準法、一般法あるいは共通法としての手続法につきましてはなかなか御説明が難しいのでございますが、あえて申し上げますと、例えば特定の産業分野におきまして営業許可を取得し、またその営業許可の停止処分あるいはまた取り消し処分がなされる、こういう事態が出てくるかと存じます。これをモデルにして御説明を申し上げますと、営業許可を規定している根拠法律にはその営業許可を行う場合、主管大臣から営業許可を取得しなければならない、それから主管大臣は営業許可を受けた者が違法な行為などを行った場合には営業許可の停止または取り消しをすることができる、こういう規定がございます。さらにそれらについての事前手続について規定が設けられていないというケースがございます。このケースで御説明を申し上げます。  まず、営業許可の申請に際しては行政手続法が設けられればどうなるか。  第一に、申請が営業許可の要件に適合しているかどうかを判断するための具体的基準、すなわち審査基準が公にされる、これがこの法律の要求するところでございます。営業許可を得られるかどうかの予見性が高まる、まずこの点が一点でございます。  第二点といたしましては、申請から処分までに要する標準処理期間、これを定めることにいたします。努力規定でございますが、これが公にされなければならないというのが原則になるわけでございますので、営業許可の申請の結論が得られる時期の目安が立ちやすくなる。他方、行政庁にとりましては、標準処理期間を目安として迅速な処理を義務づけられると申しますか、その線で行政運営をやることを求められるわけでございます。  第三点は、審査開始の義務を定めておりますが、申請が提出されたら遅滞なく審査を開始する、いわゆる握りつぶしはこれはだめだ、こういうことを明確にいたしております。  第四点は、営業許可を与えられない場合、すなわち不許可処分をするときは申請者に対して理由を示す、これが明確になっております。したがいまして、例えば不許可処分となった場合でも、不許可の理由が示されることによりまして申請者としてはどういうことになるか。申請内容を変更して再申請をするか、あるいは不許可でやむを得ない、あきらめるか、さらに不許可につきまして不服を申し立てる、事後的に不服審査や訴訟手続で救済を求める、何をとるべきかその選択肢が明らかになる手がかりがまさに理由を提示することによって出てくるわけでございます。  さらに、営業許可の申請に際しましては、行政庁が申請の取り下げ、申請内容の変更を要請する行政指導が行われる場合が時たまございます。これにつきましては行政責任を明確にする、行政指導の趣旨、内容、責任者、この三点で行政指導の責任を明確にするという取り扱いになるわけでございます。そして、申請者がそれに従う意思がないことを表明したにもかかわらず行政庁がさらに行政指導を続けることはこれはよろしくない、申請者の権利行使を妨げてはならないということを明確に定めているわけでございまして、この点でまさに行政指導の透明度が高まるわけでございます。  それから次に、営業許可を受けたものが違法な行為などをして営業許可の停止または取り消しになるといったケース、不利益処分という事態になる場合には、行政手続法では聴聞または弁明という慎重な手続をとるということを定めております。  まず、営業許可の取り消しというケースでは、これは申請者側に与える損害の程度が大きいわけでございますので、慎重な聴聞手続ということでございます。なぜ取り消しをするかということにつきましての文書を閲覧させる、そして、行政庁が指名した職員が中立公正な立場からその聴聞を主宰してしっかりとした審理を行うという手厚い手続を定めております。  他方、営業免許の停止という取り消しよりやや弱い処分におきましては、原則として弁明を記載した書面を提出する、弁明の機会をしっかり与えるということでございます。聴聞または弁明の手続をとった結果なお営業許可の取り消しまたは停止という処分を行うことが適当であると行政庁が判断をした場合には、なぜ聴聞、弁明を経ても営業許可の取り消し等が維持されているのかにつきまして明確な理由を示すということでございます。  こうした点から行政手続の体系につきましての透明・公正性が高まりまして、同時に事後救済のための手がかりも明確に与えられるということになるわけでございます。  以上でございます。
  131. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 営業許可の問題を具体的な例として今御説明があったわけですが、その中で、私考えて、ああそうかと思う点たくさんございました。私の具体的に説明をしてほしいという点で幾つかの点が明確になったというふうに思います。  ただ、やはり、もう少し身近なレベルでお聞きしたいことがございます。  今、営業許可のことでしたけれども、その中での行政指導のこと、不利益処分のこと等お触れになりました。この例がいいか悪いかよくわからないんですが、行政手続法のいろいろな学者の論文を読んでおりましたら次のような例が一つ出てまいりましたので、この例で一体どうなるのかということをお聞きしたいと思います。  我々の国会のすぐそばに永田町小学校というのがございます。あれはもう千代田区では廃校にするというふうに決めている。ところが、あれは名門校だし残しておいてほしいという意見がたくさんある。これはテレビなんかでも放映されたところです。  さて、行政手続法ができればどういうふうにこういう問題は解決していくんだろうかというそういう学者の論文がありまして、それが入口の「初めに」のところに書いてあって、なかなかおもしろいなと思って私論み始めたんですが、本文になったらさっぱりようわからぬのですけれども、今の永田町小学校のこの問題は、この行政手続法というのができましたらこれはどういうことになるんでしょうか、どう今までと変わってくるんでしょうか、その点お答え願いたいと思うんですが。
  132. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 学校教育に関する法制の具体的な問題につきましては、大変申しわけないのでございますが、十分承知いたしておりません。恐らくは学校教育法等の文教行政におきまして教育委員会の権限とされた事項ではないかと存じます。  この関係の手続が国の委任事務という位置づけであります範囲におきましては、一般的には行政手続法考え方が係るわけでございますが、条例部分につきましては条例の世界と、こういう仕切り分けになるわけでございますが、原則論としてはこの手続法の考え方に準拠されるべきものではないかと思っております。
  133. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 永田町小学校がどうなるかということはまあともかくといたしまして、それはまたそういう専門の文教関係の方に質問することにいたしますが、今おっしゃられたこと、この問題なんかでもやはり行政手続法というのが大きくかぶさっていっていろいろな指導が行われるというふうに見ていい、そういうふうに考えてよろしいんですね。
  134. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 一つ私見逃しておりましたのは、この行政手続法考え方は行政庁と私人との関係を規律しているわけでございまして、その中間に恐らく区だろうと思うんでございますが入ってまいりますと、ストレートにこれが係ってくることにはあるいはならないのかもしれません。行政庁対私人の関係を規律するということでございます。  したがいまして、統廃合に伴って通学区域が変わりまして私人との関係が具体的に出てまいりますと、その段階で行政庁と国民との関係が出てくるわけで、統廃合という行政機関自体の行為につきましてはストレートには係らないわけでございますが、間接的に関係が生ずるかどうかということかなと思っております。
  135. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 厚生省の古いらっしゃると思うんですが、私はこれは事前にお願いしたんですが、ちょっと今のとよく似ているんですけれども、国立病院の統廃合というのが今各地でございます。もうこの病院は廃止すると決めた、ところが周りの住民がやっぱり残しておいてほしいというのがあります。私自身も幾つか病院の件でこの問題に携わったことがございます。すると、やはり行政の上での手続法ができていろいろな点が改善されるんだなと、国民の方は全体としてはそういうふうに思っていると思うんですが、その問題も、今おっしゃられたように国立病院であれば国と国との関係だからということでこの法案はそこでは適用されないということになるのでしょうか、どうでしょうか。あるいはその点について厚生省の方から具体的に、この問題は法律ができたらどうなるのか、お答えいただきたいと思うんですが。
  136. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 厚生省がまだ見えていないようでございますので、私から申し上げます。  国立病院の統合ということになりますと、これは国家行政組織法の第八条の機関、厚生省の機関でございます。その相互間の統合ということになるわけでございますから、この法律の適用の外でございます。行政庁間の関係でございます。  問題は、じゃ病院におる方の行き先をどうするかというようなことになりますと、これは病院運営の問題でございますので、病院の具体的な管理規則等と当該入院された方との関係ということになるのではなかろうかと思っております。
  137. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 これで厚生省の方が来てほしいということを言ってあるんですが、そうしますと、これちょっと困るんですが、もう少し具体的に。いらっしゃらないのですか。  それでは、私の質問している趣旨はおわかりだと思うんですが、これができれば本当に国民にとってこういう点はこう改善されるんだよということをお示し願いたいということで質問しているわけですが、生活保護法の問題、それから老人福祉法、この点でどんな変化が起こるのか、ひとつお答えいただきたいと思うんですが。
  138. 松尾武昌

    説明員(松尾武昌君) 生活保護法におきましては、保護の停廃止の不利益処分について除外にしております。現在、指導・指示違反による保護の停廃止等を除き事前手続を要しないこととしておりますが、これは二つの理由がありまして、一つは、生活保護制度は金銭処分とケースワークがセットになった制度でございまして、現在でも不利益処分を行う場合には、ケースワーカーがケースワークの過程において必要に応じて保護者に十分説明を行い、その意見を聞いておりますので、現在のところこの部分につきまして事前手続を要しないということにしておるところでございます。適用除外としております。  そのほかにつきましては、各面におきまして手続法がかぶりますので、その面につきましては十分現在の生活保護法の運用につきまして適正に行っていきたいと思います。したがいまして、格段の制度が変わるという形にはなっておりません。
  139. 水田邦雄

    説明員(水田邦雄君) 老人福祉法の関係で申しますと、養護老人ホームと特別養護老人ホームにおきます措置の廃止ということが不利益処分ということでございますけれども、こういった老人ホームからの退所につきましては、高齢者の心身の状況でありますとか退所後の介護体制のあり方、こういったものを勘案した上で行われるべきものでございまして、現在におきましてもその措置の廃止の決定を行うに当たりましては、市町村の担当職員が本人の意思を確認する、それから必要に応じて家族の意見も聞く、こういった形で実施をしているところでございます。  今回の改正に伴いまして、その措置の廃止の手続が行政手続法の適用除外となっておりまして、別途老人福祉法上特別の規定を設けるということにしております。  これと申しますのは、仮に行政手続法の適用を行うといたしますと、措置を廃止する場合に一定の期日と場所を定めて入所者本人の方から聴聞を行う、こんなような必要が出てくるわけでありますけれども、心身の虚弱な高齢者に対してこういった面一的な手続を行うということは実態にそぐわないのではないかこういった観点から、行政手続法を一たん適用除外といたしまして、高齢者の心身の状態に合わせて必要に応じて市町村の職員が出向いて入所者に対しまして説明と意見聴取を行う、こういう規定を老人福祉法に設けることにしたわけでございます。  この手続自体は実態と現実に行われている手続を法定化したものでございますけれども、手続の根拠規定というものが設けられたという点では利用者たる高齢者の保護が一層図られる、こんなように考えております。
  140. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 お答えの中で私感じるんですけれども、今の永田町小学校のこと、それから国立病院の統廃合の問題でも、国が国に対して命令したり処分したりそういうことはできない、それは一つの理屈だと思うんです。そうすると、今度のこの法律というのは国と私人との関係だといいます。理屈上はそうかと思うんですけれども、しかし行政というのは非常に広い範囲で行われている。学校の行政でも、私立学校と公立学校とでどちらが生徒がたくさんいるかといえば恐らく公立じゃないかと私思うんですが、その辺はこの法律ができても要するに余り何の影響もない、私立学校ではいろいろ出てくるというのも、これまた何かおかしな感じがするんですね。  それから国立病院のことでも、ここは廃止するんだと国が決めて、それでその病院に対して云々というのは国の内部のことだから適用されない。こうなりますと、廃止しないでほしいとか言っているたくさんの住民の方がおられる、その関係の問題はこの法律ができたからといって別によくなるわけでもない、もとどおりだと。こういうことになると国民の方はなかなか理解しにくいように思うんですが、もう一度ひとつ答弁をお願いしたいと思います。
  141. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 大変難しいお尋ねでございます。  国の機関相互間の問題に適用がないではないか、これはまさにこの法律が国民と行政庁との関係を規律するところから出てくるわけでございますが、それでは穴があくではないかということかと存じます。恐らくそれはまさに両院の国政調査権の御関係かなと、行政庁がその運営を国会に対して御説明を申し上げるその部分の問題がなと思っております。  現在の憲法あるいはまた国会法その他の法制下におきましては、行政機関の運営実態そのものが国会での御論議の対象と同時に、また予算を通じて、国の機関でございますから一般会計予算、特別会計予算の枠外ということはこれはないわけでございまして、そしてまた組織法制上も国家行政組織法、各省設置法の体系で機関の設置とか統廃合の基本は定まる。その細かい点は組織法によりまして下部に委任される。政令または省令に委任されておるわけでございますけれども機関相互の統廃合ということになりますと、恐らく政省令あるいはまた規則の世界におきまして厚生大臣において決定をされている部分であろうと思いますので、まさにそれはまた国会の場で御審議を賜るべき対象になってくる。むしろ国会と各行政機関との関係ということではなかろうかと考えているところでございます。
  142. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 この系列の質問は終わりますが、総務庁長官に、私、一種の要望といいますか、本当に行政の改善につながる法律だというふうに私も認識しておりますが、国民に見える形で手につかんでわかるという説明をぜひやらないと、何か非常に抽象的な話のままで過ぎてしまうというようなことがあると、これはせっかく法律つくってもという問題にもなりますので、国民に明確にわかるような説明をぜひ今後もお願いしたいというふうに思うんですが、その点について長官にひとつ。
  143. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 先生の御趣旨はよくわかるのでございますが、今も御説明申し上げましたように、行政手続法の方はまさに行政と私人との関係を規定をいたしておるということでございます。  そういうことから考えますと、今、先生が病院や学校の統廃合の問題を例にしておっしゃったわけでございますけれども、今も管理局長から御答弁申し上げましたように、いわゆる別の法律体系が必要だと、こういうふうに思わざるを得ないわけでございますので、その点についてはまたなお国会審議の中でどういう法律をつくるべしという御議論をいただくことが大切なのではなかろうかなと、このように存ずる次第でございます。
  144. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 それでは、次の質問に移ります。  今回の行政手続法では、申請に対する処分、不利益処分、行政指導、三つの分野に限って立法化されているわけで、先ほども質問がございましたけれども、行政立法手続、それから計画策定手続、これについては対象から外されているということでありますが、まず最初にその理由をお聞かせいただきたいと思います。
  145. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 御指摘をいただきましたとおりでございますが、第三次行革審の答申、平成三年の十二月十二日でございますが、「公正・透明な行政手続法制の整備に関する答申」、この中におきましては、当面の行政手続の整備の直接的な課題といいますと、行政手続の相手方である国民の権粗利益に直接かかわる分野が最優先課題であるということを打ち出していただいているわけでございます。  行政手続法案におきましても、この答申を受けまして、申請に対する処分、不利益処分、行政指導、これに対象を絞り込みまして立案をした次第でございますが、なお同答申におきましては、命令制定手続、計画策定手続については、どのような一般的な手続を導入するかについてなお多くの検討すべき課題があり、将来の課題として調査研究が進められることが期待される、有識者から成る審議会におきまして精査をいただいた結果とりあえずの結論はこうしたことになっておるわけでございます。  立法例といたしましても、アメリカにおきましてルールメーキングの制度がございます。それからドイツにおきまして計画確定の手続がございますが、全体的な共通手続として先進国で制度化されているのはこの二つほどでございましたか、しかも範囲が限定されているという実態でございます。どうも欧米の立法例におきましても立法手続、命令制定手続、計画策定手続が全般的に整備されているという段階ではない、極めて乏しいケースということのようでございまして、運用の実態もまだ定かではございません。  そこで、例えば我が国の場合どうなるかということでございますが、例えば計画策定手続ということになりますと、例えば土地利用ということにつきましては都市計画法あるいはまた国土利用計画法、建築基準法等一つの体系があるわけでございます。地域開発その他につきましても特別ないろんな手続があるわけでございまして、その間に例えば都市計画地方審議会の御審議とがそれぞれの行政領域の特殊性に応じまして、必要な範囲で計画決定のための意見聴取の仕組み、場合によっては土地細目を公開し意見を求めるというふうな手続も組み込んでいるわけでございます。  現状の法制では、各行政分野のいわば特色に応じてそうした特別な手続をそれぞれの需要に応じてそれぞれの行政の実態に応じてつくっていく、そういうスタンスで臨んでいるというのが現状でございまして、なお調査研究を進めさせていただきたいと思います。
  146. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 私、手元に一九八四年の雑誌のジュリストというのを持っておるんですが、ここに総務庁の行政管理庁にできた学者も含めた研究会、行政手続法研究会というのが行政管理庁においてできて、そこが出した行政手続法案要綱案というのが八三年の十一月に発表されて、それがこのジュリストに載っているんです。  それによりますと、今も説明ございました今度対象外にされた土地利用計画、それから公共事業計画策定手続、こういうものがきちっと法案の要綱として出ております。それから立法に関する手続、これも制定すべしということで第何条何々ということで出ている。それの制定すん意義、これは中身を説明しますと時間かかりますからやめますが、極めて重要な意義を持っているんだということが書かれております。  私がお聞きしたいのは、行政管理庁においてできたこの研究会、これがそういうことまでも発表をしておったが、結果として現在抜けてしまっている。これはいろんな議論があったんでしょうけれども、ちょっと総務庁の方から、どういう経過でこういうことになっていったのかもう少し御説明をいただきたい。この研究会では少なくともこういう要綱を出していたということから見て、どういう経過なのかを御説明いただきたいと思います。
  147. 八木俊道

    政府委員八木俊道君) 日本の行政法制の中で行政手続法制の整備がかなりおくれておったわけでございまして、この点については学界ではいろいろな御議論がございました。事後手続につきましては昭和三十年代に一応整備をしたわけでございますが、いわゆる事前手続の問題が日本の行政法制における大変大きな課題だということが学界でいろいろと指摘をされておったわけでございます。研究会の場でもそうした活発な御議論があったわけでございまして、いわば一つの一番理想的なものは何だということで研究してみようではないかということで、お考えを全部足し上げておまとめいただいた研究報告というふうに伺っております。  しかしながら、具体的には政府部内でこの法制を一つの制定法として実現するためには、現行法制千六百九本でしたか、ございます。そのすべてを点検いたしましてしっかりしたものをつくっていかないとこれはいけないわけでございます。いわば裁判規範にもなり得るような法制ということが当然のことながら制定法の世界では必要なわけでございまして、詰めに詰めるという作業が必要なわけでございます。  そこで、先ほども申し上げたところでございますが、先進各国におきましてもいまだレアケースという分野につきましてはとりあえず研究課題と、そして、先進各国の中では大体標準的なところで半分ぐらいなところが整備をし、あるいはまた今後近く整備をされるといった世界については、やはりこれは国際化の現状におきましては、そしてまた市民の権利保護と公正・透明な行政という観点からはやはり踏み切るべきであるということで具体化に至ったものが申請に対する処分、不利益処分、行政指導、この三点であったということでございまして、まさに機が熟した部分を法制として御提案申し上げたということかと存じます。
  148. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 この件でやはり総務庁長官にお尋ねしたいんですが、今の点は非常に重要だと思うんです。その土地計画、それから公共事業、それから政省令の出す手続。これはほかに法律があるということはあるでしょうけれども、しかし、このこと自体非常に重要な課題だと思うんで、遠い将来の研究課題というんじゃなくて、やはりそういう点も整備していくという方向で検討されていくかどうかその点について長官の御意見をお伺いしたいと思います。
  149. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) 今御指摘の問題は、管理局長からも今そういった過去の経緯を申し上げたわけでございまして、かなり難しい問題が多々あるわけでございます。先進国でもそこまでまだ踏み切っていない、こういう問題がございました。  そういった意味で、確かに聽濤先生のおっしゃる御趣旨もよくわかるのでございますが、今直ちに総務庁として研究を進めるべき課題というのはちょっと無理があるんじゃないかと思いますので、私個人が少し研究、勉強をさせていただきたい、こんな今心境でございます。
  150. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 それでは次に、この点は私の主張も含めての点になりますが、適用除外の問題で、この点も既にこの委員会でも指摘されているところですが、多くの適用除外がある。その中で私は税務行政の問題について、ここでも既に出ましたけれども、質問をいたします。  今度この税務行政が、本行政手続法そのものでも何条かにわたって適用が除外され、それから整備法からも除外され、いわば二重、三重にこの適用除外の規定ができているんですが、私、一番中心的にこの点について質問したいんですが、その前にちょっとお尋ねしたい。  この行政手続法の三十二条、行政指導の関連したところです。三十二条、三十二条、三十四条、それから三十五条の第一項、このあたりは、行政手続のここに出ている理念的規定は税務行政で適用をされるというふうに思いますが、そのように考えてよろしいでしょうか。これはどこですか。
  151. 樋口俊一郎

    説明員樋口俊一郎君) お答えいたします。  ただいま先生から御指摘がございました行政指導の手続の主要な内容ということについては、行政手続法が適用されるということで結構でございます。
  152. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 そうなりますと、これもさっきの質問とよく似ているんですが、適用されますとこれまでとどんなところがどういうふうに違ってくるか、どういう点が改善されるか、具体的にお答えいただきたいと思います。
  153. 舩橋晴雄

    説明員(舩橋晴雄君) 税務の行政指導はいろいろな面がございます。例えば修正申告の慫慂だとかあるいは納付の指導とか、いろいろなあれがございます。それからお酒、これは産業行政的な形での行政指導、そういったものがございます。  それで、私ども、この法律につきまして、行政指導の一般原則、今、先生お尋ねの点を含む一般原則、例えば三十二条などにつきましては行政手続法の適用を受けることになるわけでございます。  それから、酒類業界に対する行政指導、これは先ほど来御質問のあります、いわゆる行政官庁と私人との関係におきまして産業行政的な側面を有するわけでございますので、これらについても行政手続法の適用を受けることになるということでございます。
  154. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 しばしば起こる問題なんですけれども、修正申告をするときに税務当局からの圧力によってせざるを得ないというケースがよく起こる。ここへ私は資料を持ってきておりますが、この国会でも、予算委員会その他の委員会でもこの問題についていろいろ議論がされた経緯もあります。  私は資料を出せと言われればいつでも出ますけれども、時間の関係で資料を具体的に読み上げるというようなことはやめますけれども、そういう点で、いわゆる修正申告をする場合、しばしば今まで起こっていたような圧力というようなことは今後なくなっていくと、それこそ行政手続法ができたゆえんだというように言えるのかどうなのか、この点のことは具体的なことですから、お答えいただきたいと思います。
  155. 舩橋晴雄

    説明員(舩橋晴雄君) ただいま先生お尋ねの修正申告でございますが、税務職員がこの修正申告を強要しているんじゃないかということでございますけれども、私ども税務の現場に当たりまして。税務調査をいたしますが、税務調査の結果、納税者の申告額が過少であるということが判明した場合に修正申告の慫慂を行うわけでございます。これは納税者があくまでもこの調査額を納得して申告をされるということでございます。  私ども、税務行政というのは申告納税制度、行政官庁が賦課課税をするということではなくて、申告納税制度が基本でございます。したがいまして、納税者がその額を納得して修正申告をするということがこの申告納税制度の趣旨にかなっているというふうに考えておりまして、したがいまして修正申告について強要するというようなことがないように従来から指導してきているわけでございます。
  156. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 そういうふうに言われますけれども、たくさん例があるから私は問題にしているわけで、だからこそまた国会でも議論になったわけですが、今のお答えですと、いろいろな面が適用されるといっても、それは実際上は前と変わりませんよ、前もそのとおりやっておりましたというお答えにしかすぎないんですね。  それでは、こういう原則的なものが規定されて、三十二条、三十三条、三十四条、そういうあたりは適用されるんだというふうにもおっしゃったにもかかわらず、実際は前と大して変わらないんだという話になりますと、これではなかなか納得しかねるんですが、もう一度お答えしてください。
  157. 舩橋晴雄

    説明員(舩橋晴雄君) 今申し上げましたが、般論として端的に申し上げますと、修正申告は、確定申告等による所得や税額が過少であった場合に、税務署長が更正するまでは確定申告をした納税者がいつでも提出できる、これは国税通則法に規定がございますが、そういうものでございまして、税務職員がこの提出を強要するという性格のものではございませんし、また私どもは、先ほど来申し上げているように、会議あるいは研修の場を通じましてそういうことのないように指導徹底を図ってきているところでございます。
  158. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 わかりました。  それで、先ほども長官に要望した点ですけれども、国税庁長官の何か通達でも出して、今度こういうものができる、こういう法律ができるとこういう点は変わっていきますよということをやっぱり明らかにするというような処置がとられてしかるべきだと私は思うんです。それは前と同じことですと言われたのでは、繰り返しになりますけれども、何のためにという問題が起こるわけです。ですから、この法律が本当に国民のためになるものなんだということであれば、国税庁長官のしかるべき通達、そういうものを出していくべきだと思います。いかがでしょうか。
  159. 舩橋晴雄

    説明員(舩橋晴雄君) 国税庁といたしましては、今般御審議いただいておりますこの行政手続法案及び整備法案の内容につきましては、いずれも適切なものであるというふうに考えておるわけでございますし、また、法案成立の暁におきましては今回の法案の内容について職員にもよく説明をしていきたいというふうに考えております。
  160. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 それでは、一番基本的な問題だと言いました除外されている問題について、税務行政の問題についてですが、先ほどもお答えの中に出てきましたが、国税通則法、これが適用除外になっておる。それの理由の説明として、これまでいろいろな衆議院での答弁、それからその他書かれておりますものを読みますと、政府側のそれが除外されている理由というのは、国税通則法で独自の手続体系ができているから、したがってこの行政手続法では除外するんだという説明をされてきているように思いますが、そう理解してよろしいでしょうか。
  161. 樋口俊一郎

    説明員樋口俊一郎君) お答えいたします。  国税に関する法律に基づく処分は金銭に関する処分でございまして、処分内容をまず確定し、その適否についてはむしろ事後的な手続で処理することが適切なものであること、あるいは、主として申告納税制度のもとで各年または各月ごとに反復して大量に行われる処分であることといった特殊性を有していることに加えまして、御指摘のとおり、通則法及び各税法において必要な範囲の手続を規定して完結した独自の手続体系が形成されているところでございます。  このような事情を考慮しまして、国税に関する法律に基づく処分については行政手続法の処分に関する規定を適用しないということとされたところでございます。
  162. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 だけれども、実際税務行政の分野でよく起こる問題、納税者が非常に苦慮する問題、それは、質問検査権というのが当然あるわけですけれども、それの行使する要件というものが所得税法や法人税法でただ「調査について必要があるとき」ということだけが規定されていて、それで、その質問検査権を行使する手続、そういうものがきちっと規定をされていないというのが実際の現在の状況だと思うんです。  それで、外した理由として、国税通則法などで手続の体系ができているからという説明なんですが、そういう質問権を行使する場合のいろんな事前の手続というのが要ると思うんです。例えば調査の事前の通告だとか、調査日の期日、場所の設定だとか、それから調査の理由の開示とか、そういうことが行われてそして調査するというのが手続として当然だと思うんですが、国税通則法にそういうことが明記されておりますでしょうか。
  163. 樋口俊一郎

    説明員樋口俊一郎君) 私ども、今回の行政手続法案は申請に対する処分、不利益処分、行政指導及び届け出について規定するものでありまして、質問検査等の行政調査手続はそもそも制定対象とされていないというふうに承知しております。したがいまして、基本的には今回の行政手続法制定いかんにかかわらず、質問検査等の税務調査手続は各個別法の定めるところによるものと認識しております。  それから、御指摘の若干実務的な件でございますけれども、先生御指摘のとおり、例えば所得税法におきまして質問検査権行使の要件として「調査について必要があるとき」とするのみでございますけれども、この必要性とは例えば具体的かつ客観的な必要性意味するものとされておりまして、質問検査の範囲ですとか程度、時期、場所など、それぞれ権限のあります税務職員の合理的な選択にゆだねられていると解されております実施細目についても、質問検査の必要性と相手方の責任、その権衡において社会通念上相当な限度内という制限のもとに客観的要素の範囲を限定されていることから、妥当なものではないかというふうに考えております。  また、細目につきましても、例えば納税者の方の個別の業種ですとか取引形態、帳簿等の整備状況ですとか納税者の方に関します資料の多寡等、質問検査の対象とすべき納税者の態様は一律ではないというふうなことを考えまして、これを法律上一律に細目を定めるといったことは困難でありまして、先ほど出ました考え方に基づいて運用してまいるということが妥当であると考えております。
  164. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 事前に通知するとか期日を設定するとか、あるいはなぜ調査するかという理由を示すとかいうことは、これはアメリカ初め欧米諸国では納税者憲章その他によって非常に明確にされている国民の持っている当然の権利なんですね。  それで、私の質問しているのは、今お答えになりましたけれども、国税通則法にはこのことが書かれているかということを質問したんですが、どうなんですか。書かれてありませんね。
  165. 樋口俊一郎

    説明員樋口俊一郎君) 御指摘の点、基本的なことにつきましては、通則法あるいは所得税法等、各法につきましていわゆる質問検査権についての規定はございます。
  166. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 質問検査権についてはあるんだけれども、質問検査権を行使する要件、事前のそういう手続、これは書かれておりませんですね。
  167. 樋口俊一郎

    説明員樋口俊一郎君) 書かれておりません。
  168. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 ですから、やっぱり説明がちょっと矛盾してくるんですね。そういったものが別の法律の体系の中にきちっとできているのでこの行政手続法は税務行政の場合には適用除外いたしますというのが理由だった。ところが、そっちの方では書かれていないということになると、これは説明にならないと思うんですよ。どうでしょうか。
  169. 樋口俊一郎

    説明員樋口俊一郎君) 先ほどの説明の若干繰り返しの部分ございますけれども、そもそも今回の行政手続法案は、申請に対します処分、不利益処分、行政指導及び届け出について規定するものでございまして、質問検査等の行政調査手続はそもそも法制定対象とされていないというふうに承知しております。  それから、先ほど先生御指摘の事前の通告等でございますけれども、結局、納税者の方々の業種、業態、あるいは取引の形態、それから帳簿等がどのように整備されているかどうか、そういった納税者に関する資料もいろいろな種類のものがございますけれども、その多寡など質問検査の対象とすべき納税者の態様は実にさまざまでございまして、そういったことから御賢察いただくべきことではないかなというふうに考えております。
  170. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 この点はとっても重要な点なんで、日本税理士会だとかなんかがこれはやっぱりきちっと適用すべきだということを大蔵省や主税局へ陳情していると私は聞いております。それから、日弁連がこの行政手続法についての日弁連の見解をまとめた中で、この行政手続法に賛成だと、しかしこの税務行政を適用外にしているのは賛成できないというのが日弁連の立場であります。これは、はっきりとそういう文書が出ております。  ですから、日弁連が大蔵省その他に陳情に行ったかどうか、これは私しかと知りませんが、日本税理士会が陳情に行っていることは知っております。そういう切実な、切実といいますかそういう陳情があった。それを検討されましたか。検討したかどうか、事実だけをちょっとお答えいただきたいと思うんです。
  171. 舩橋晴雄

    説明員(舩橋晴雄君) 日税連よりの毎年の税制改正の要望の中で、ただいま先生御指摘の点についての要望があることは承っております。
  172. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 要望があって検討をしたのかどうかお答えがないんですが、要望があったということです。日弁連にしろ税理士会にしろ、これは日本の非常に重要な大きな権威を持った団体である。それがそういう陳情をしているという事実。である以上、本当に真剣になって検討をするということがあって私はしかるべきだというふうに思います。  時間がなくなりましたので、私この件について総務庁長官最後にお尋ねしたいんですけれども、税金というのは国民の本当に生活権、財産権にかかわる根本的な問題です。今も申したように、日本税理士会その他もだからこそこの行政手続法からそれを適用除外するということがないようにということを強く言っているわけで、そういう非常に基本的な問題だというふうに思います。ですから、この問題を適用除外するというのではなくて、やはり今後行政法の範囲内に入れていくということを真剣に検討すべきだという私の立場を述べ、同時に長官の御意見を承りたいというふうに思います。
  173. 石田幸四郎

    国務大臣石田幸四郎君) いわゆる行政手続法の適用除外の問題についての御意見でございますが、確かに行政運営の公正さを確保すること、透明性の向上を図る、そういう観点から規定の見直しが行われることが望ましいわけでございますが、私どもとしましては、この行政手続法が成立をいたしますれば、その趣旨に従ってそれぞれの関係省庁がさらに検討を進めてくれることを心から期待いたしているということでございます。  税制の問題でございますから、私がそういった権限のないところに特別にああせいこうせいという議論が極めてしにくいわけでございますので、今、総務庁としては、本法案が成立後もそれぞれの省庁の検討を見守りたいと、こんなふうに思っているところでございます。
  174. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 終わります。
  175. 岡部三郎

    委員長岡部三郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時五十分散会      ――――◇―――――