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参考人(
鈴木永二君)
参考人の
鈴木永二でございます。
本日は、
最終答申につきまして
国会への
報告の機会をお与えいただきましたことに対して厚く
御礼を申し上げます。
本日は、まず私から
地方分権を含めまして
最終答申の概要について御説明申し上げて、その後、
行政改革推進審議会の
委員を三年間やっていただき、またその間
地方分権検討チームのメンバーであられました、またかつて知事として
地方行政の経験も豊富にお持ちの
山本さんから
意見を述べていただく、こういう
手順にさせていただきたいと思います。
私から申し上げますが、第三次
行革審は、
平成二年の十月にスタートいたしまして、先月、任務と申しますか
任期終了と。その前に、十月二十七日に
最終答申を
細川総理に提出したという次第でございます。
最終答申は
行革審の
活動の締めくくりというようなものでございますが、今まで既に
答申しました
国際化対応の
行政はどうしたらいいかとか、また
国民生活を豊かにするための
行政をどうしたらいいかというような問題、また透明、公正な
行政はどういうふうにしたらいいかという
答申を既にいたしておりますが、それにまた追加する形になりますが、
政府部門の果たすべき
役割はどうかということをもう一回改めて
検討して、その上で
縦割り行政の弊害と言われますが、そういったもののないように総合的な
行政をやってもらうにはどういった
行政組織がいいか、こういったことを私
どもの
考えでは骨太に御提案したつもりでございます。
それでは、
最終答申の
内容について申し上げますと、まず第一に、
財政全般についての
考え方について申しまして、
国民負担率を適度な水準にとどめることを心がけて長期的にやっていただきたいということを申し上げております。
それから
規制緩和の
個々の点につきましては、去年の六月でございますが、第三次
答申で
競争制限の問題とか
設備制限の
問題等を極力早く撤廃してもらいたい、また
独禁法適用除外項目も近いうちに撤廃していただきたい、そういったことです。
それから、
国際化対応に対するいろんな諸
制度としては、例えば車検の問題とかパスポートの問題、そういったものを国際的に合ったような
制度にしてもらいたいということを去年既に申し上げておりますので、今回はそういったことをシステム的にまたアクションプログラム的にやっていただきたいという
意味のことを申し上げて、今度は
制度の問題を主に取り上げております。
それから、
地方分権の問題につきましては、
改革の
視点、
課題等を整理した上で、具体的な
進め方についてどうしていただきたいということを書いておりますが、これは後ほど申し上げたいと思っております。
それで、私
どもとしましては、三年間やらせていただいてつくづく感じますのは、
規制緩和の問題と
地方分権の問題は、全く同質、同じ問題を側面を変えて言いあらわしている問題だと思っております。と申しますのは、戦後、追いつけ追い越せの
行政というものが
中央集権、
規制、
規格ということで、いわゆる
規格大量生産を進めてきたわけでございます。それはやはり
東京に知恵を
集中してやっていくという作戦で、それが大
成功、大
成功という
言葉は適当じゃなかったかもしれませんが、それが
日本が
世界第二位の
経済大国になった原動力でございます。
今、
環境が全く変わってきて、それを続けて吐くと
日本の
国際的立場というものにもいろいる支障を来すというような状況になっておりますし、
産業界も、そういった
工業生産を
中心にした
産業ではこれから次の世代には
世界経済の中で太刀打ちができなくなるだろうということを懸念されておりますので、そういった
意味で、これは大きく
行政、
経済システムの大転換の一番の
ポイントと、そのように理解しておるわけでございます。
それから、
公的金融、
特殊法人の
問題等も
具申を申し上げております。
それから、総合的な
政策展開可能な
行政システムという
意味合いにおきましては、二十一
世紀を展望して
中央省庁をどのように
考えたらいいか、これから
検討していただくそのたたき台と申しますか、
イメージとして太くくりの
省庁制を
考えると、こんなふうなことも
考えられるがどうでしょうかということを例示的に出しております。
それから、
内閣並びに
総合調整機能というものを
強化するにはどうしたらいいか、あるいは公務員のセクショナリズムというようなことが言われますが、そういったことに対して
対応はどうしたらいいかということも
具申を申し上げております。
それで、今後の
行革の
推進体制といたしましては、ぜひ
総理を
中心にした
推進体制を、
政府と申しますか
内閣につくっていただきたい。そしてまた、そういった
推進体制と呼応する
意味で、よく言われますようなオンブズマン的と申しますかお日付役的、私いい
言葉が出ませんが、第三者の
監視機関、そういったものをつくっていただきたい。こういうことも申し上げておるわけでござい良して、現在はもう
提言の
時代じゃなくて
実行の
時代だと、強力なる
実行を
政治的にやっていただく
時代だというふうに認識いたしております。
そういうような
意味合いにおきまして、私
どもは
行政改革のことを担当してまいったわけでございますが、やはり
最後は
政治の力でそれを実現していただくということが
ポイントでございます。
従来、
土光臨調以来十二年、まだ
行革は道半ばだということを常によそからも言われるわけで、私
どももそうだと思っておりますが、
最後の仕上げはぜひ
国会において
行政改革を仕上げていただきたいということで、
政治への
期待ということも
報告の
最後の方に一
項目を起こして
お願いを申し上げております。
そこで、
地方分権の問題でございますが、
地方分権の問題につきましては、国と
地方の
役割分担ということをもう一回よく
見直して、その上で国から
地方へ
権限を移す、必要があるものは移す。そしてまた、
財源も
自治体の方に移す、
強化する。そういったことと並行して、よく言われますように、やっぱり
受け皿もしっかりしてもらわなければ困るわけでございますので、
自律的な
地方行政体制というものをどのように
改革していただくかという
三つの
視点から論を進めておるわけでございます。
時間の
関係もございますので、この点は
山本さんにいろいろ言っていただいた方がよいと思いまして、時間をそちらに割がなきゃいかぬと思っておりますが、私
どもとしましてはそういった
考え方から
地方主体の
確立についての
考え方、
イメージというものをお出しして、そしてそれを具体的に進めていくにはどのようにアプローチしていったらいいかということで
意見を申し上げておるわけでございます。
まず、
基礎的自治体は、今、県と
市町村とございますが、やはり一番の基礎的な問題は
市町村にあると
考えております。
住民生活や
町づくりに関する
行政を初め
地域社会の多様なニーズに対しては、自主的、
自律的にそれを担っていける
行政主体というものを
確立してもらいたいということ、それから
都道府県につきましては、
市町村の域を超えての広域的な問題を取り扱っていただくというふうに
考えております。
そういうことで、私
どもとしましては、やはり自主的な
考えが大事でございますから、
表現は、
市町村の
自主的合併に大いに
期待しておりますという
意味合いにおきまして、
地方分権ということを
推進していくためには、やはりよく言われます
受け皿がどうかという問題も確かにあると思いますので、そういったことも同時並行的に、
市町村の
自主的合併に
期待して、そういった
基礎的自治体を
強化していただきたいという
考え方でございます。
それから、
地方分権の今後の
推進体制について力を込めて
お願いをしておりますが、
地方分権大綱というものを一年くらいをめどにぜひつくっていただく。これは
行政改革推進本部を
中心にお
考えいただくということになると思いますが、
大綱方針の
提言にはこれまでの
地方分権の成果を踏まえて、
政府としての
地方分権推進のための
課題とか
手順とか、その
取り組みを体系的、総合的に整理して
方針として提示してもらいたいということで、いわゆる
実体法としての
取り組みにいけるような準備をしていただきたいということを
お願いしておるわけでございまして、その中には
パイロット制度の問題をひとつ十分
大綱の中で考慮していただきたいということでございます。
そういうことで、
大綱を一年くらいの間につくっていただいて、それに基づいてできるだけ早く
地方分権推進の
法律を
制定して、
地方分権を強力に進めていただきたいという
考え方でございます。
あと三、四十秒で私
どもがどういう将来
ビジョンを抱いて
行政改革を二十一
世紀のものとして
考えているかということについて
一言だけ言わせていただきますと、やはり私
どもとしましては、いろんなことを
考えてきておりますが、最も抽象的に全体を包括するように
考えますと、やはり透明で公正、そして
自律、
自助の
社会システムをつくらなきゃいかぬ。そして、私に言わせますと、そこにやはり
思いやりの精神、そして
国際社会から尊敬される
日本というその
ビジョンを頭に置いて
行政改革の骨組みを
考えてきたと。それに対してどの
程度そういったことが酌み取られているかということは問題があろうかと思いますけれ
ども、
自律、
自助、公明正大、そして
思いやりのある
社会、国際的にも尊敬される
社会、それを頭に置いて
行政改革の
最後の
答申をまとめたということを御
報告して、私の
最初の御
報告は終わりたいと思います。
ありがとうございました。