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1993-12-01 第128回国会 参議院 地方分権に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十二月一日(水曜日)    午後一時三十分開会     ―――――――――――――    委員の異動  九月二十二日     辞任         補欠選任      及川 一夫君     志苫  裕君  十月六日     辞任         補欠選任      志苫  裕君     及川 一夫君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         高木 正明君     理 事                 野沢 太三君                 大渕 絹子君                 続  訓弘君     委 員                 岩崎 純三君                 上野 公成君                 佐藤 静雄君                 宮崎 秀樹君                 及川 一夫君                 上山 和人君                 篠崎 年子君                 千葉 景子君                 山口 哲夫君                 横尾 和伸君                 松尾 官平君                 山崎 順子君                 山田  勇君                 有働 正治君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤  勝君    参考人        元臨時行政改革        推進審議会会長  鈴木 永二君        元臨時行政改革        推進審議会委員  山本壮一郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○地方分権推進に関する調査  (地方分権推進に関する件)     ―――――――――――――
  2. 高木正明

    委員長高木正明君) ただいまから地方分権に関する特別委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方分権推進に関する調査のため、本日、参考人として元臨時行政改革推進審議会会長鈴木永二君及び元臨時行政改革推進審議会委員山本壮一郎君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高木正明

    委員長高木正明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  4. 高木正明

    委員長高木正明君) 地方分権推進に関する調査議題といたします。  本日は、鈴木参考人及び山本参考人から御意見を聴取し、両参考人に対する質疑を行うことといたします。  この際、参考人のお二方に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  お二方の忌憚のない御意見を拝聴いたしまして、今後の調査参考といたしたいと存じます。  本日の議事の進め方でございますが、まず鈴木参考人、次に山本参考人の順でそれぞれ十五分程度意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じます。  なお、最初の御意見の陳述の際は着席のまま御発言なさって結構でございます。  それでは、鈴木参考人お願いいたします。鈴木参考人
  5. 鈴木永二

    参考人鈴木永二君) 参考人鈴木永二でございます。  本日は、最終答申につきまして国会への報告の機会をお与えいただきましたことに対して厚く御礼を申し上げます。  本日は、まず私から地方分権を含めまして最終答申の概要について御説明申し上げて、その後、行政改革推進審議会委員を三年間やっていただき、またその間地方分権検討チームのメンバーであられました、またかつて知事として地方行政の経験も豊富にお持ちの山本さんから意見を述べていただく、こういう手順にさせていただきたいと思います。  私から申し上げますが、第三次行革審は、平成二年の十月にスタートいたしまして、先月、任務と申しますか任期終了と。その前に、十月二十七日に最終答申細川総理に提出したという次第でございます。  最終答申行革審活動の締めくくりというようなものでございますが、今まで既に答申しました国際化対応行政はどうしたらいいかとか、また国民生活を豊かにするための行政をどうしたらいいかというような問題、また透明、公正な行政はどういうふうにしたらいいかという答申を既にいたしておりますが、それにまた追加する形になりますが、政府部門の果たすべき役割はどうかということをもう一回改めて検討して、その上で縦割り行政の弊害と言われますが、そういったもののないように総合的な行政をやってもらうにはどういった行政組織がいいか、こういったことを私ども考えでは骨太に御提案したつもりでございます。  それでは、最終答申内容について申し上げますと、まず第一に、財政全般についての考え方について申しまして、国民負担率を適度な水準にとどめることを心がけて長期的にやっていただきたいということを申し上げております。  それから規制緩和個々の点につきましては、去年の六月でございますが、第三次答申競争制限の問題とか設備制限問題等を極力早く撤廃してもらいたい、また独禁法適用除外項目も近いうちに撤廃していただきたい、そういったことです。  それから、国際化対応に対するいろんな諸制度としては、例えば車検の問題とかパスポートの問題、そういったものを国際的に合ったような制度にしてもらいたいということを去年既に申し上げておりますので、今回はそういったことをシステム的にまたアクションプログラム的にやっていただきたいという意味のことを申し上げて、今度は制度の問題を主に取り上げております。  それから、地方分権の問題につきましては、改革視点課題等を整理した上で、具体的な進め方についてどうしていただきたいということを書いておりますが、これは後ほど申し上げたいと思っております。  それで、私どもとしましては、三年間やらせていただいてつくづく感じますのは、規制緩和の問題と地方分権の問題は、全く同質、同じ問題を側面を変えて言いあらわしている問題だと思っております。と申しますのは、戦後、追いつけ追い越せの行政というものが中央集権規制規格ということで、いわゆる規格大量生産を進めてきたわけでございます。それはやはり東京に知恵を集中してやっていくという作戦で、それが大成功、大成功という言葉は適当じゃなかったかもしれませんが、それが日本世界第二位の経済大国になった原動力でございます。  今、環境が全く変わってきて、それを続けて吐くと日本国際的立場というものにもいろいる支障を来すというような状況になっておりますし、産業界も、そういった工業生産中心にした産業ではこれから次の世代には世界経済の中で太刀打ちができなくなるだろうということを懸念されておりますので、そういった意味で、これは大きく行政経済システムの大転換の一番のポイントと、そのように理解しておるわけでございます。  それから、公的金融特殊法人問題等具申を申し上げております。  それから、総合的な政策展開可能な行政システムという意味合いにおきましては、二十一世紀を展望して中央省庁をどのように考えたらいいか、これから検討していただくそのたたき台と申しますか、イメージとして太くくりの省庁制考えると、こんなふうなことも考えられるがどうでしょうかということを例示的に出しております。  それから、内閣並びに総合調整機能というものを強化するにはどうしたらいいか、あるいは公務員のセクショナリズムというようなことが言われますが、そういったことに対して対応はどうしたらいいかということも具申を申し上げております。  それで、今後の行革推進体制といたしましては、ぜひ総理中心にした推進体制を、政府と申しますか内閣につくっていただきたい。そしてまた、そういった推進体制と呼応する意味で、よく言われますようなオンブズマン的と申しますかお日付役的、私いい言葉が出ませんが、第三者の監視機関、そういったものをつくっていただきたい。こういうことも申し上げておるわけでござい良して、現在はもう提言時代じゃなくて実行時代だと、強力なる実行政治的にやっていただく時代だというふうに認識いたしております。  そういうような意味合いにおきまして、私ども行政改革のことを担当してまいったわけでございますが、やはり最後政治の力でそれを実現していただくということがポイントでございます。  従来、土光臨調以来十二年、まだ行革は道半ばだということを常によそからも言われるわけで、私どももそうだと思っておりますが、最後の仕上げはぜひ国会において行政改革を仕上げていただきたいということで、政治への期待ということも報告最後の方に一項目を起こしてお願いを申し上げております。  そこで、地方分権の問題でございますが、地方分権の問題につきましては、国と地方役割分担ということをもう一回よく見直して、その上で国から地方権限を移す、必要があるものは移す。そしてまた、財源自治体の方に移す、強化する。そういったことと並行して、よく言われますように、やっぱり受け皿もしっかりしてもらわなければ困るわけでございますので、自律的な地方行政体制というものをどのように改革していただくかという三つ視点から論を進めておるわけでございます。  時間の関係もございますので、この点は山本さんにいろいろ言っていただいた方がよいと思いまして、時間をそちらに割がなきゃいかぬと思っておりますが、私どもとしましてはそういった考え方から地方主体確立についての考え方イメージというものをお出しして、そしてそれを具体的に進めていくにはどのようにアプローチしていったらいいかということで意見を申し上げておるわけでございます。  まず、基礎的自治体は、今、県と市町村とございますが、やはり一番の基礎的な問題は市町村にあると考えております。住民生活町づくりに関する行政を初め地域社会の多様なニーズに対しては、自主的、自律的にそれを担っていける行政主体というものを確立してもらいたいということ、それから都道府県につきましては、市町村の域を超えての広域的な問題を取り扱っていただくというふうに考えております。  そういうことで、私どもとしましては、やはり自主的な考えが大事でございますから、表現は、市町村自主的合併に大いに期待しておりますという意味合いにおきまして、地方分権ということを推進していくためには、やはりよく言われます受け皿がどうかという問題も確かにあると思いますので、そういったことも同時並行的に、市町村自主的合併期待して、そういった基礎的自治体強化していただきたいという考え方でございます。  それから、地方分権の今後の推進体制について力を込めてお願いをしておりますが、地方分権大綱というものを一年くらいをめどにぜひつくっていただく。これは行政改革推進本部中心にお考えいただくということになると思いますが、大綱方針提言にはこれまでの地方分権の成果を踏まえて、政府としての地方分権推進のための課題とか手順とか、その取り組みを体系的、総合的に整理して方針として提示してもらいたいということで、いわゆる実体法としての取り組みにいけるような準備をしていただきたいということをお願いしておるわけでございまして、その中にはパイロット制度の問題をひとつ十分大綱の中で考慮していただきたいということでございます。  そういうことで、大綱を一年くらいの間につくっていただいて、それに基づいてできるだけ早く地方分権推進法律制定して、地方分権を強力に進めていただきたいという考え方でございます。  あと三、四十秒で私どもがどういう将来ビジョンを抱いて行政改革を二十一世紀のものとして考えているかということについて一言だけ言わせていただきますと、やはり私どもとしましては、いろんなことを考えてきておりますが、最も抽象的に全体を包括するように考えますと、やはり透明で公正、そして自律自助社会システムをつくらなきゃいかぬ。そして、私に言わせますと、そこにやはり思いやりの精神、そして国際社会から尊敬される日本というそのビジョンを頭に置いて行政改革の骨組みを考えてきたと。それに対してどの程度そういったことが酌み取られているかということは問題があろうかと思いますけれども自律自助、公明正大、そして思いやりのある社会、国際的にも尊敬される社会、それを頭に置いて行政改革最後答申をまとめたということを御報告して、私の最初の御報告は終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  6. 高木正明

    委員長高木正明君) ありがとうございました。  次に、山本参考人お願いいたします。山本参考人
  7. 山本壮一郎

    参考人山本壮一郎君) 山本でございます。  ただいま鈴木会長の方から第三次行革審答申内容全体についての御説明でもお述べになっておられましたとおり、今、我が国は内外ともに大変大きな変革時代に直面しておるのでございます。これに正しく対応するためには、政治行政経済、あるいはまた我々国民一人一人のライフスタイルのあらゆる面でいわゆるリストラが求められておるように思うわけでございますが、今回の答申はこういう観点から行政全般見直しについての改革提言しておるわけでございます。  きょうの議題でございます地方分権ということは、地方行政に特に御関心の深い皆様方はよく御承知のとおり、あれは昭和二十五年だったと思いますが、シャウプ勧告以来、私たち地方自治行政に携わる者にとりましては、古くて新しい宿命的な課題と申すことができようかと思うわけでございます。  しかし、言葉だけはあったわけでございますし、またその後若干、時代によりまして、あるいは地方時代であるとか都市化時代であるとか、またあの四全総におきましては東京一極集中を是正するとか、いろんなところで地方の持つ機能役割というものが強調されたと思います。しかし、それは本格的な地方分権には結びついていなかったのがこれまでの現状であろうと思います。  それがこのたび、衆参両院におきまして地方分権推進に関する決議をしていただき、また本日、こうして地方分権のための特別委員会までおつくりいただきまして、国会挙げてこの問題にお取り組みをいただけると。私たち長年の課題としてまいりました者にとりましてはこれ以上の感激はないわけでございまして、ぜひ皆様方のお力によりまして、この際抜本的な地方分権制度が実現できますことを心よりお願い申し上げる次第でございます。  なお、国会だけではなしに、御承知のとおり各政党におかれましても、地方分権推進基本法制定すべきであると、同じような決議を最近していただいておりますし、また経済界あるいは民間の行革推進団体、マスコミ、国を挙げて今日ほど地方分権が声高に叫ばれたときはないように思うわけでございます。これも、内外の大きな変革を乗り切り新しい日本をつくるには、これからは地方がもっともっとその機能を発揮しなければいけない、そのための地方分権を進めなければいけない、こういう御認識が国を挙げて強まっておるということではないかと思うわけでございます。  そこで、先ほど会長お話を受けまして、私の方からごく簡単に今回の答申内容につきまして御説明申し上げたいと思いますが、まず抜本的な地方分権必要性でございます。  これは、先ほどお話がございましたように、国内におきましては東京圏への一極集中が進んでおり、地域格差が拡大しておる。また同時に、成熟社会を迎えまして国民の意識、価値観が非常に多様化しておる。こういう問題にこたえるためには、従来のような集権的行政システムから分権型の行政システムに転換することがぜひ必要であるということが一点ございます。  それから、第二点といたしまして、国際環境が激変いたしております。これまでの日本対外政策というのは、東西冷戦構造のもとにおきましてはどちらかというと隠れた存在で済んだわけでございますが、これからは日本世界に対し、国際社会に対してその役割を果たしていかなければいけない。したがって、国は対外政策、外交や安全保障など外向きの仕事に最大限努力をしてもらう必要があるんではないのか。そういう中で、地域の問題につきましては地方自治体が主体的に取り組んでいくことが当然必要になってくる、こういうことではないかと思うわけでございます。  この地方分権を進める場合の次の課題は、国と地方役割分担の本格的な見直してございます。  まず、国は、国が本来果たすべき役割重点的に分担するものとし、思い切った見直しを図る必要がある。それは、一つは国家の存立に直接かかわる政策二つ目として、国内の諸活動に関して全国的に統一されていることが望ましい基本ルール制定、そして三つ目としては、全国的規模視点で行われることが必要不可欠な施策や事業など、こういうものは当然国がおやりいただかなければならない問題でありますが、そういうものを除いて、地域に関する行政基本的に地方自治体において立案、調整、実施するものとし、地方の実情に合った個性豊かな行政が展開できるようにすべきである。  その場合に、市町村は、行財政能力を充実させまして、住民生活町づくりに関する行政を初め地域社会に関する多様な行政を自主的、自律的に担い得る行政主体としての条件を整備する必要があろう。また、都道府県は、市町村の区域を越える広域行政需要への対応市町村行政の補完、支援調整機能の発揮などによりまして、地方行政基本的に市町村都道府県の責任で完結することが可能となるような総合的な自治体行政として機能する必要があるのではなかろうか。  このように国と地方役割分担を本格的に見直すことから始めるべきだと思います。  その次に、国と地方役割分担を本格的に見直した上で、地方自治体への権限移管等を着実に実行していく必要があろうかと思います。そのためには、個々の法令を点検していただきまして、必要な改正作業を丹念に進めていく必要があろうかと思います。  国からの権限移管につきましては、機関委任事務あるいは国の関与の大幅な縮減合理化を進めていただきますとともに、補助金等につきましても整理合理化を図り、できるだけ地方財源に持っていく、あるいはメニュー化を進める。  それから、社会経済活動広域化対応いたしまして、極力関係自治体相互の水平的な協力関係の中でこういう広域化の問題を解決していく。  また、行財政能力に大幅な格差があります市町村現状にかんがみますと、当面は都道府県により重点を置いた権限移管を進めることが現実的であり、かつ効果的である。  これまでは権限移管といいますと、都道府県から市町村への権限移管ということで、どうも表現はよくないんですが、ごまかされたような感じを私は多分に持つものでございます。都道府県市町村を合わせた自治の総量における国からの権限移管というものはほとんど進んでいない、こういうふうに考えておるところでございますが、都道府県市町村はあくまで一体となって地方行政を担当してまいりますので、国からの権限を、都道府県市町村一体としたものとして国から地方への移管を進めていただきたい。その場合に、先ほど申し上げましたように、都道府県により重点を置いた権限移管を進めることが現実的であり、かつ効果的である。これは戦略論として申し上げておるわけでございます。  それから、自治体財政基盤強化の問題がございます。  地方自治体自律的、自主的に行財政運営を行うことができるように、地方税財源充実強化を図っていただく必要がございます。また、税源に地域間格差がございますので、国から地方への財政移転によってこれを是正する必要がありますが、この場合も地方交付税など一般財源による財源移転をしていただきたい、このようにお願いを申し上げたいと存じます。  そういう中で、先ほど会長から強調されましたが、自律的な地方行政体制確立という問題がございます。市町村都道府県という二層の地方自治体基本とする地方制度は、既に広く定着を見ておるわけでございますが、将来的には住民の自主的な判断のもとに市町村都道府県がそれぞれより広域的で自律的な自治体に成長していくことが期待されるわけでございます。  市町村におきましては、地方分権特例制度あるいは中核市、広域連合地方拠点法等を積極的に活用いたしまして行政能力を充実していく必要があろうかと思います。その際、都道府県は十分な協力支援をこれに対していたす。また、将来の望ましい基礎的自治体のあり方につきましては、市町村自主的合併推進されるように期待をいたしておるものであります。  都道府県は国の執行機関的性格から脱却をいたしまして、地域における総合的、広域的な自治行政主体として市町村と密接に連携した行政を展開してまいります。都道府県の枠を越えて処理すべき問題には広域連合の積極的な設立によってこれに対応していけばよいと考えております。  さらに、将来の問題といたしまして、都道府県合併につきましても、固定観念にとらわれないで真剣な取り組みを行う必要がある。また、現行の都道府県にかわるべき新しい広域的自治体、いわゆる道州制でございますが、これらにつきましても、国として幅広い観点から具体的な検討を行っていただくように今回の答申では触れておるわけでございます。  最後に、地方分権に関する立法化推進の問題でございます。  国会では既にそういう決議をしていただいておるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、地方分権推進を望む声は今や大きな流れになっております。当審議会答申を、提言を踏まえていただきまして、その実現に向けて国を挙げた積極的な取り組みが今求められておるように思われます。  このため、政府におきましては、内閣及び内閣総理大臣のリーダーシップのもとに、行政改革の一環として地方分権に関する新たな推進体制を整備していただき、地方自治体を含む関係者意見をも踏まえながら、地方分権推進基本理念、取り組むべき課題手順等を明らかにした地方分権に関する大綱方針を今後おおむね一年程度を目途に策定をしていただきたい。そして、政府はこの大綱方針に沿いまして立法府及び行政府の合意形成を進め、速やかに成案を得て、地方分権推進に関する基本的な法律制定を目指していただきたい、これが先ほど会長が特に強調してお話しいただいた点でございます。  以上申し上げまして、私の発言を終わらせていただきます。
  8. 高木正明

    委員長高木正明君) ありがとうございました。  以上で参考人の方々からの意見聴取は終わりました。  これより両参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 野沢太三

    野沢太三君 野沢でございます。  鈴木山本参考人におかれましては、御多用中のところ当委員会に御出席いただきましたことを厚く御礼申し上げます。また、長いこと審議会におきまして、地方分権を初め当面する行政の諸課題についてのお取り組みまことにありがとうございました。本日は、また貴重な御意見をお聞かせいただきましたことを重ねて御礼申し上げる次第でございます。  まず最初に、この答申をおまとめいただく際に一番苦心した点、あるいはこれに盛り込みたくて盛り込めなかったことがあるんじゃないか、非常に表現で御苦心をされているところも何件かあるように思いますが、率直にその辺のことをお伺いできれば幸いでございます。あるいはまた、ここだけはぜひ強調したい点等ございましたら、それぞれのお立場で御自由にひとつお述べいただきたいと思います。お願いします。
  10. 鈴木永二

    参考人鈴木永二君) どうも考えがまとまらない間に手を挙げてしまいましたが、苦心したところと申しますと、大体この制度自身が大変結構な制度ですけれども、やはり手続としては難しい点を初めから内蔵した制度だろうと。  率直に申しますと、とにかく行政改革ですから、公務員の方の今までやっておられることをこれはまずいじゃないか、これはこうされたらいいじゃないかということが大体主体になるわけでございます。ですから、やっておられる方としては、特に世界に冠たる日本の公務員の方は、おれは立派なことをやっているんだ、これ以上のことをだれができるという自信をお持ちであろうと、こう思う。それは私は結構な話だと思うんですが、そこへ私ども素人が出てきてああだこうだと言われるのはやはり何となく心理的にも難しいことと思いますけれども、それはどんな社会でもある話ですから問題ではございません。  私どもが出しますのは、幸い設置法で意見を尊重するということがございますので、官庁の方では尊重する以上よく意見を聞いて、それで納得したものじゃなきゃ尊重できない、こういう逆な話になってしまいまして、道なのか逆じゃないのか知りませんけれども、私どもとしては出す。受け取る側の方としては、よく出る言葉は、とてもこれじゃ次官会議に出せないよ、こういうような話でございます。次官会議に出せなくても、政治的にこれはやってもらわなきゃ困るような問題ならひとつ閣議にでも出していただいて、そこら辺で検討してもらったらいいと思うようなことも、いや次官会議を通らなきゃ上へは行けないよと、こういうことになる。  そこら辺が常に新聞、雑誌がおもしろおかしく、骨を抜かれた、また鈴木は後退に後退を続けたということにつながりまして、それが全くそのとおりなら結構でございますが、例えば具体的に申しますと、郵貯の問題が書かれておるんです。  広報関係では民営化が至当だろうというような風潮が流れまして、民営化を提案するだろうという勝手な想像をしておりますが、私ども相当真剣に勉強させていただきましたけれども、今の段階で民営化ということは市中銀行さんも喜ばない。また、いいことでもない。結局、ここまで大きくなりました百七十兆という預金量を持ったものを急に民営化することもできませんし、また日本の財政運営が財投というものを非常に大きくして、それでそこにまた特殊法人への資金の供給ということも行われるわけで、やはり欧米とは違った財政運営、それから経済政策の遂行ということがあるわけでございますので、一概に大きいからだめだ、すぐ民営化、またそういったことができるかどうかという問題がございます。  私はいろいろ判断して、これはいろいろ議論があっても、将来、常に見守っていかなきゃいかぬ問題だが、とりあえずは金利の問題とかそれから預金形態の問題とかいうことは郵政省と大蔵省が十分話し合いをして、大分協調体制になっていますから、今の体制をもっと強くして、国内金融また国民生活という点から支障のない状態を続けていってもらえば、当分は今のままでいいじゃないかということで答申を出したわけですけれども、そこら辺につきましてはにぎやかにいろいろ批判が出ている。  批判だけならいいわけでございますが、いたずらに官庁とどうのこうのということは余り望ましい話じゃないと思うんです。それについて感想を申し上げて、これは御質問のらち外になるかもしれませんけれども、私はやはり政治が大いに発言していただいて、今の行政はボトムアップという点について言うわけですが、ボトムアップに専ら依存する面が大きいというんじゃなくて、やはり大事なことはトップダウンで、閣議決定してその次に次官会議にこれをよろしく計らえというふうに言っていただくようなことを、これだけ国際情勢が急変したり国内情勢も大変な話でございますので、そういった事態がどんどん出てくるんじゃないかと思います。  ついでに、行政改革を三年間やらせていただいた、意見を言わせていただいた者としましては、ひとつこの国際情勢に対応するトップダウンの政治を大いに加味していただければありがたいと思います。
  11. 野沢太三

    野沢太三君 山本参考人の方からもよろしくお願いします。
  12. 山本壮一郎

    参考人山本壮一郎君) 今の会長お話で尽きておるように思うんですが、私といたしましては、一番難しかったのは立法措置をやっていただく最後の「地方分権に関する立法化等の推進」の点であったように思うのでございます。    〔委員長退席、理事大渕絹子君着席〕  それ以外の点につきましては、長年、地方分権地方分権と言ってきておりましたので、大体必要な項目は入っておるように思うんですけれども、ただこれは個人の意見になりますが、もう少し強調したかったのは、グローバル化がどんどん進んでおる。そして、グローバル化が進めば進むほど、また我々の生活が、ライフスタイルがグローバル化すればするほど、一方において地域へのアイデンティティーにこだわる動きが出てくると。  これは、ちょうど今ヨーロッパあたりでEC統合が行われますが、その統合に対して例えばいろんな民族、宗教を踏まえた反発みたいなものはあるように聞いておりますし、例えばNAFTA等が行われようとしておりますが、カナダでは以前からケベック州あたりは英語を排してフランス語を使うんだというような動きがある。それから、スペインでもフランコの統合以来スペイン語を公用語にしておりましたが、例えばカタロニアあたりではカタロニア語を公用語にするんだと、そういう動きが世界的にあるのでございますね。  したがって、大いに国際化はやらなければいけないし、日本は国際的な役割を果たさなければいけないが、同時に自分のうちらを日本人のアイデンティティー、それぞれ地域のアイデンティティーをより大事にしていく必要があるんではないか、このことをもう少し強調しておけばよかったのかなという感じがいたします。これはあくまで私個人の意見でございます。
  13. 野沢太三

    野沢太三君 ありがとうございました。  確かに、トップダウンという要素をもう少し入れないと、行政改革というのはお役人が自分で自分の首を練る、身を削る、こういう要素があるからなかなか実は思い切ったことが言い出せない。言い出すとまた責任があるということで、こういったものをつくるときには、私も経験があるんですが、結局当面できることしか出してこない、こういううらみがあるだろうと思いますけれども、その辺のところは私ども国会なりあるいは政治家の立場で踏み込んでいかないとぐあいが悪いと思いますが、きょう伺いました点は十分承りまして、今後生かしてまいりたいと思います。  それから、次の問題でございますが、先ほど鈴木参考人から規制緩和地方分権につながっていくんだと、こういう大事な御指摘がございました。私どもも同感でございますが、ただいま政府側は一万件を超える規制、いろいろございますけれども、これを思い切って減らそうという取り組みをしてくれております。私ども党側からもさらに思い切った緩和をと言っておりますけれども、これをやりますと、逆にまた多少の混乱が起こったり、あるいは経済的な面での競争が激化したり、その面でフリクションが出てくる面もあろうかと思います。しかし全体として見れば、やはり規制緩和というのはこれからの日本を何とか前進させるためにはどうしても不可欠な仕事だろうと思うわけでございます。  地方立場考えた場合に、大体どんなことをどう直せばいいのか、これをひとつ思い切って御提言をいただきたいと思うんです。どうも各市町村の諸経費等を見ると、東京へ出張してお百度を踏む経費が半分以上もあるというような報道も今伺っておるわけでございます。何とかその辺を是正せにゃならぬなと思っておるわけですが、御意見ございましたら、ひとつお願い申し上げます。
  14. 鈴木永二

    参考人鈴木永二君) 御質問にお答えしたいと思いますが、私、三年間で大体地方へ、地方分権推進というような意味で総務庁主宰の会議にも七、八回出ました。そのほかはボランティアの各地方の若者と申しますか、若者といいますより壮年ですが、三十代から四十代の若者がボランティアで集まりまして、地方分権を進めたいからおまえ話しに来いということで、全国に案内状を出して行きましたのが約十件に近い数字になっております。ついこの間も八戸へ行ってまいりました。  そういった人たちの声を聞きますと、非常に意欲は盛んなのでございますけれども、その地域地方自治に対して基礎的自治体をもっと強化しなきゃならぬとか、いろんなことに対して認識はしておられるんでしょうけれども、動きが全くないと言っていいくらいでございます。こうなったら、せっかくのところで市町村合併をされたら行政費も相当違うだろうしと思いますが、例を挙げてはいけないでしょうか。
  15. 野沢太三

    野沢太三君 どうぞ。
  16. 鈴木永二

    参考人鈴木永二君) それじゃひとつ、決してそこを私は非難するわけじゃございません、むしろそうなってもらいたいと思っているところが二所ございます。  近くは諏訪地区でございます。ここは六つの市町村がございます。昔は高島藩といって三万石の一つの領地だったわけですけれども、それが今全部別れて六市町村になっておりますが、その辺は諏訪湖を中心にしまして水系も全部同じなんですね。ですから、下水処理をするにしたって、一所が怠けておれば諏訪湖が汚れていくというような地域で、それで地域もみんな一体的な仕事をしております。若い人は何とか行政を合理化してどんどん新しいことをやっていきたいと、諏訪地区の地盤沈下を、今の機械工業はよくありませんので何とかしたいという熱意はあるんですけれども行政は市会にかけてもみんな審議未了で流れてしまうという今状態にございます。  もう一つは、丸亀を中心にしました、丸亀とそれを囲む八つの町があるわけですが、丸亀が十万、その町を一緒にいたしますと二十二、三万。ちょうど基礎的自治体には地域としても非常にいいところだということで、地方の有志は合併したらどうかというような効果を調査して、そして世論調査をしましたら、その九つが一つの自治体でやれば人件費だけでも百億浮くというんです。私は百億というのは大分大きいなと思っておるんですけれども、実際に点検したことはございませんが、責任者がはっきり書類を持って言われるわけです。これは総務庁の地方自治のフォーラムで、山本さんもいらっしゃいましたですか、高松。
  17. 山本壮一郎

    参考人山本壮一郎君) 高松、参りました。
  18. 鈴木永二

    参考人鈴木永二君) 高松に知事あたり、皆さん来られた会議ですが、そこであえて手を挙げて主張された方が、丸亀の事情はこうですということで、百億の金を開発事業に回すなりなんなりしたら非常に立派なことができるんだと。それはわかっているんだけれども、市会にかけると丸亀しか通らなくて、あとは審議未了になってしまったということは事実ですと、そういう報告がございました。  そういうのを見ますと、地域の人は一生懸命だけれども、その座と申しますか、局にある方はどういうわけかそういうことに賛成されない。これはここで申し上げるまでもないことと思いますが、そのときに発言者はこういう理由で反対されるんだということをはっきり言われましたけれども、やはりその辺のところを、本当にそれだけで推進しないからそのままでしょうがないと見るのか、あるいはインセンティブでもして、本筋の問題には関係ない処置でそういったことが推進されるように考えるべきなのか、いろいろ帰り道頭をひねったんでございますけれども、やはり全体としてはみんながそういった必要があると。  それから、最近、地方の人がきのうでございますがやってきて、そういう状態でございましたけれども地方自治も非常に窮屈になりましたと。国家財政はもう苦しいということを聞いているけれども地方財政が非常に苦しくなってきた、このままではなかなかやっていけないということがひしひしと感じられますと。これは市民の声でございますけれども、そういうことで今まで嘆いてきたそういった基礎的自治体のきちっとした確立ということもあるいはこの不況を契機に進むかもしれませんと、これは全くの推測でございますけれども、そういったことがございました。  どうも話があっちに行ったりこっちに行ったりしましたが、先ほど先生がおっしゃいました原則自由ということにすれば、また困ったことも起きるじゃないか、確かにそういうことだと思います。私はここは自律自助ということをやっぱり旗頭に、相当苦しいだろう、しかしある程度は苦しんでも自分で責任を持ってやらにゃいかぬじゃないかという精神を植えつけなきゃいかぬと思うんです。  私は昔会社で、生命科学研究所というのを日本最初につくりまして、今もやっておりますけれども、その生命科学を私どもより後からアメリカあたりでジェネンテックというベンチャービジネスがやりまして成功しているのでございます。実際に薬品もどんどん出しているんです。日本で私もそういったようなベンチャービジネスが金を集める市場を活用させてくれと何回も頼んだことがあるんですが、日本はそれはだめだと、投資者に損を与えちゃ困ると。やっぱり投資者はちゃんと保護して、そういうことに誤っても入らないようにしなきゃいかぬ我々は役目があるというふうに当局はおっしゃって、結局そういったベンチャービジネスに投資させる、いわゆる株式なり社債なりを出さすことを許可してくれなかったんですが、アメリカはそれをどんどんやって、ベンチャービジネスがどんどん実際に産業に成長してきておるのでございます。そこら辺も風土が違いますから、アメリカ式にすぐやれ、そのままやれとは言いませんけれども自律自助で、やはり原則自由、おまえの責任でやれということはこれから転換する日本経済を構造改善していくにはある程度必要じゃないか、こう思います。
  19. 野沢太三

    野沢太三君 ありがとうございました。  それで、規制緩和とそれから国の権限の移譲というのは非常に密接に絡んでいると思うんですが、それを受けて立つ地方自治体受け皿問題というのを先ほどから御指摘をちょうだいしております。  確かに、三千二百を超える市町村には、私の郷里は長野県でございますが、ただいまも諏訪を御指摘いただきましてありがとうございました。千人に足らない町村がいっぱいあります。そういうところへ権限権限と言っても、はっきり言って能力が十分でない。それから、受けて立つという意識も十分でない。その辺から考えますと、やはり相当まとめてしっかりした体制に組まないと、これはとてもじゃないが絵にかいたもちになる可能性がある。県に落としてもやはりそこは中二階でございますから、住民に密着した行政ということになりますと、やっぱり市町村を大事にしなきゃいかぬなと。  一説には三百にしろという極端な御意見もございますけれども山本参考人におかれましては、知事さんを長いことおやりになった御経験も踏まえて、今の市町村をどのぐらいまでまとめたらちょうどいいかなというような御意見がございましたら、ひとつお伺いしたいんです。
  20. 山本壮一郎

    参考人山本壮一郎君) 市町村の力が弱過ぎる、あるいはまた数が多過ぎる、したがって三百にしたらいいんじゃないか、五百にしたらいいんじゃないか、こういう意見が一部にございます。  ただ、別の面から考えなければいけないのは、やはり市町村基礎的自治体で、今お話しのようにこれからもっと権限を与え、仕事を十分やっていかなければいけないわけですけれども、だからといって昭和三十年前後にやりました、二十八年からですか、国が計画を立てまして、一方的に強制的にああいう合併をやらすということは、今の状況からいいまして私は好ましくないんではなかろうかと。  したがって、どうしても力の弱い町村、それは先ほど申し上げました隣接の町村と連合して必要な仕事をするとか、あるいはまた能力上できないという仕事の一部を県なりあるいは近くの中核市に委託をするとか、そういう方法で住民へのサービスはやっていけるのではないだろうか。もちろん、合併の必要なところもございましょう。これは先ほど鈴木会長もおっしゃったように、住民みんなが賛成しておるようなところは県がやはり中に入ってリーダーシップを発揮して合併を促進する、こういうことも同時に必要ではなかろうか。  先ほどもちょっとローカルアイデンティティーの話をいたしましたけれども、そういうことを考えますと、市町村の持つ機能役割というものは、経済の論理、効率の論理だけからではすべてを律することはやや乱暴ではないのか。やはり地域というのはあくまで人間が生活をする場でございますので、人間の論理、必要の論理、こういうものも同時に踏まえた地域づくりというものが私は大事なような気がいたすわけでございます。
  21. 野沢太三

    野沢太三君 権限をおろすということはもちろんまず第一でございますが、同時にそれを裏づけする財政、財源が伴わないと、結局は中央にお百度を踏む、こういうことになってしまう。今、現状では、税収の割合を見ると国が六五%ほど取って地方が三五%程度の税収を上げるけれども、決算段階で見ると、逆に地方が六五%ぐらい使って、国の使い分というのは三五%。結局、ここの差というものがさまざまな規制やらルールやらという形とくっついて中央集権という形になっているんではないかと思いますから、やはり権限の移譲と同時に財源を自主的に移譲して、そして自分の判断でできるようにするということが何よりも大事ではないかと思うわけでございます。  その意味で、今回の答申にもしっかりと項目をうたいとげていただきましたが、いま一歩踏み込んでこれを御指摘いただくか、あるいは今後の立法段階で財源もつけた法律として立法しないと余り役に立たないということになりかねないものですから、その点で、例えば消費税の地方分ということで御議論はいただいたようですが、答申からは字句が見えておりませんけれども、その辺のところについて財源関係から御意見がございましたら、ひとつお願い申し上げます。
  22. 鈴木永二

    参考人鈴木永二君) 審議の模様は今ちょっとお触れいただきましたが、地方分権につきましては、その点が非常に時間をかけて論議されました。表現の方法によっては貧富の差が地域によって拡大していくというような表現にもなる、いわゆる地域というものを強調しますと。そういうことで、目標地点における状態と、それからそこまで行く過程においての問題とございまして、なかなか難しく、ぴしっとこのようにしろということは、最初はいろいろ具体的に案が出ましたけれども、そういうことをすると、過渡的にはむしろ貧富の差が県によって非常に大きく出てきちゃって、地方分権といっても、それはかえって困るところが非常に大き過ぎるじゃないかというようなことも出たわけです。しかし地方分権ですから、結局、財源強化するとかそういう表現にとどまってしまったわけでございます。  最初は、今先生がおっしゃったような比率の問題も加味して、それでどのように補助金から交付税式に転換するとかいうことも検討したんですが、大変残念ながら方向だけしか言えずに、財源強化ということも権限の移譲等と同時に進めていくということで終わってしまいました。今のところとしては方向はそれで、それ以上は執行の面において考えていただきたい。ですから、今先生がおっしゃいましたように地方分権推進法、その前の大綱あたりの折にでも十分それは検討していただかなきゃならぬ問題かと思っております。
  23. 野沢太三

    野沢太三君 権限が落ちて財源地方に行きますと、そこでいろいろまた問題が起こる。昨今、大変新聞紙上もにぎわせておりますが、ゼネコン問題というようなことで問題が出ております。そういうことも起こるから、余り地方権限財源も与えない方がいいんだという意見も一部には散見されるわけでございますが、しかしこの地方分権の本質を考えますときには、何といってもやっぱり住民の皆様の立場で、身近なところで行政が行われるという必要を考えますと、どうしてもこれは進めなきゃいかぬ。しかし、問題が起こったのではこれは意味がないということでございますので、この問題を一つの奇貨といたしまして、やはりどんどん仕事もする。権限もある、お金もあるけれども、きれいに仕事が執行される体制というものをつくらなきゃいかぬじゃないかと。  今、問題が起こっている自治体等を見ますると、発展途上国といいますか、どんどん伸びておるところに問題が出てくる。結局は町や村の意識のところに権限だけ来た、お金だけ来た、こういうことで、対応するシステムの方がついていっていないんじゃないかということを私は感ずるわけでございます。こういった点等につきまして、長年の御経験をお持ちの山本参考人の方から何か御提言ございましたら、よろしくお願いしたいと思います。
  24. 山本壮一郎

    参考人山本壮一郎君) 野沢先生の今の御指摘、ちょうど宮城県では知事と仙台市の市長が相次いでゼネコンの汚職に巻き込まれています。私も県知事を二十年もやらせていただいて、自分のことを言うのも変ですが、二十年間、ちょうど新幹線だ、自動車道だ、港湾だ、空港だ、あるいは数多くのダムだ、随分いろんな仕事をいたしましたけれども、汚職につながるようなうわさすら立たせなかったつもりでございます。これは、おっしゃるように、いやしくも地方自治体の首長たる者は大勢の県民の代表なので、また大勢の県民、市民から信頼されなければ仕事はできない。  したがって、私どもは昔の人間で、昔、内務省へ採用されましたときに、最初のオリエンテーションで三つの教訓を先輩からいただいたわけです。一つは、あくまでクリーンハンドでなきゃ仕事はできない。仕事の中には、全体のためには必要だが一部の住民の反対を押し切ってやらなきゃならぬこともある。当時、たまたま上映されておりました外国映画の題名をとられて、その先輩は「現金に手を出すな」と。非常にわかりやすいといいますか、この教えは、私はずっと地方自治行政をやっておりまして、自分の処世訓の一つにいたしております。  そういうことで、やはり個人の倫理観といいますか、家族も含めましてストイックなまでに身を正しく律して、クリーンに律していないと本来仕事はできないわけですから、そういうことを今教育する、教える機関といいますか、そういう場もないのかなということもしょっちゅう感じておるわけでございます。  それとちょっと話は別になりますが、そういうゼネコンの汚職が地方の首長にまで及んでおるのは、どうも今申し上げましたような意味で、当然身につけるべき倫理観の欠如、それと、これはよく指摘されますように、中央における汚職は政官業の癒着からどうも生まれてきたような気がするんです。中央集権体制の中でそういうものが別に地方に押しつけられたわけじゃないんですけれども、業界から言いますと、中央でこういうことでうまいあれがあるんだから地方でもやれるんではないかというのでやり出したんではなかろうか、これは私のあくまでも個人的な推測でございます。  ただ、先ほどお話がございましたように、あくまで住民に身近なところで行う政治行政、これは住民から常に監視をされ、また提言を受け、住民の知恵をかり、住民の力をかりて地域づくりをやっていくという営みなんですから、中央で仮にそういうことがあっても地方では絶対にないんだ、こういうことを実績でもって示していかなければいけないんではないのか。にもかかわらず、こういう地方分権を皆さん方にお考えいただく時期にああいう事件が起こったことは、私にとりましては本当にもうこれ以上残念で無念なことはございません。  要するに、地方自治の運営を情報の公開とか、あるいは先ほど会長が冒頭おっしゃったオンブズマン制度であるとか、もっともっとできるだけ住民にわかりやすい、透明性、公正性、そして監視が行き届くような新しい仕組みを考える必要がある。既にオンブズマン制度は四、五になりましょうか、政令市で取り入れておりますので、こういうものは全般に取り入れさせるような指導を自治省を通じましてやっていく必要がある、このように考えております。
  25. 野沢太三

    野沢太三君 どうもありがとうございました。  最後一言、三十五分まで私時間をいただいておりますので。  法律をつくって進めるようにという最後提言でございますが、この中に何を最低限盛り込む一が、これは非常に重要なことだと思いますので、一言ずつで結構でございますが、よろしくお願いしたいと思います。
  26. 鈴木永二

    参考人鈴木永二君) これは地方分権最後のところに趣旨だけは書いてございますのでちょっと申し上げますと、十七ページでございますけれども、「地方分権基本理念、取り組むべき課題手順等を明らかにした」大綱にしてもらいたいということで、宣言法的ではなくて、先ほどもちょっと言いましたが、実体法という言葉があるかどうか知りませんが、今申しましたような基本理念はもちろんでございますが、課題とか、それを進めていく手順等々、はっきり具体的な問題をとらえてある大綱というものをつくっていただきたいという意味でございまして、その内容について私説明するだけの能力はございませんけれども
  27. 野沢太三

    野沢太三君 大変これは重要な御提言だと思いますが、私どもはこの問題をもっと具体化するためにもこの法律の性格を非常に強いものにしないと実現が難しいんじゃないかと思うわけでございます。  御提言手順、手続、理念はもとよりでございますが、財源等の裏づけもあり、まさに内閣を挙げて、国を挙げて取り組むという体制を組む、そういう法律にしなければならないと私どもも今心得ておるわけでございますが、引き続きいろんな御提言をいただければ幸いでございます。  以上をもちまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  28. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 社会党の山口哲夫と申します。大変貴重な御意見をお聞かせいただきましてありがとうございました。  まず一番目は、この答申を読ませていただきますと、一年を目途に大綱政府がつくりなさい、そしてそれをもとにして立法府とよく協議をして法案を提出するようにしなさい。政府の方にこの法律をつくるようにという、総理に対する答申ですから当然そういうことになると思うんです。  しかし、この法律というのは、政府立場に立ちますと自分たち権限をむしろ地方に与えていかなければならない、自分たち権限を吐き出すようなことですから、率直に申しましてなかなかこれは相当抵抗があると思います。例えば、パイロット自治体答申の経過等についていろいろと伺っておりますけれども、大変な役人の抵抗があって骨抜きになったということも聞いております。  ですから、これは政府推進法をつくるといっても余り我々が期待しているようなものは出てこないんではないだろうか。そう考えたときに、むしろやっぱりこれは議員立法でつくるようなことも考えなければいけないんではないかなというようにも私は思うんですけれども、そういう点について両参考人の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  29. 鈴木永二

    参考人鈴木永二君) それでは、総論的になりますので私が先に言わせていただきます。  これは非常に議論がございました。いろいろ御意見を承っている方の中には、むしろそれは議員立法で宣言法的なものでやればすぐでもできると。すぐでもというのは、議員の方が賛成していただいてお出しいただければ成立する。だから早くできるだろうということで、早いという意味において議員立法にお願いする、そして宣言法でやっていただくという議論と、議員立法をされた、議員立法というとあれですが、宣言法的な法律でございますが、宣言法的な法律を出しても、そのままでフォローアップが行われないという例というものを私は見せられました。ですから、急いで議員立法しても、難しい問題であればあるほどそこで宣言だけされて、そして後置いてきぼりになるということもあると。それももっともな理由であると思いました。  それで、いろいろ判断、議論もしたのでございますが、結局全体を引っ張っていく意見としましては、やはりこの際、地方分権地方分権と長い間言われても実際は行われてきていないから、この隊とにかく早く実体法を出してもらわなければならないということから、じゃ実体法がどのぐらいでできるんだという実際論になったわけでございます。そこら辺のところを、私は素人でございますけれども、その両方の考えを見まして、足して二で割ったという意味じゃございませんが、まあ早く早くと言ったって一年以内にということは無理でしょうと。一年くらいを見当にして、そして大綱をつくって、その中には実体法的な趣旨から内容、今おっしゃいました財源の問題、非常に大事なことが直接は触れていなかったかと思いますが、そういった問題も含めて、そして実体法を一年たった引き続きの時期につくってもらいたいという趣旨になったわけでございます。  私の理解しております、また私はそれでいきましょうと言った人間としてそこまで報告します。
  30. 山本壮一郎

    参考人山本壮一郎君) 今会長からお話をいただいたのは審議会の一応の結論でございますので、ここで私の個人の意見を言えと言われてもちょっと申し上げかねます。御勘弁いただきたいと思います。
  31. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 次の問題は、道州制の問題にも触れられておりますね、将来の問題としてということですけれども。  道州制といってもいろいろあると思うんです。例えば、大前さんなんかがおっしゃっている道州制というのはドイツ型の道州制、いわゆる完全に権限を与えて、そこで自立をしなさいということですね。しかし、それはちょっと日本では無理だろうという、漠然とした各都道府県の合併による道州制という、そんな意見を持っている方もいらっしゃるようです。  いろんな御意見があると思うんですけれども、この答申の中で議論があった道州制というのは、将来どういう道州制をイメージしてこういう答申になったのか、お聞かせいただければと思います。
  32. 山本壮一郎

    参考人山本壮一郎君) この答申の中で道州制に若干触れておりますけれども、今お話がございましたように、仮につくる場合でも、例に出されましたドイツ型、つまり連邦制ですね、そういうものは一切考慮の中にはないと。  あえてこういうふうにつけ加えましたのは、今いろんな分野で道州制論ということをおっしゃる方もたくさんいらっしゃいますので、そういう意見が世論としてあるわけでございます。この道州制についても将来の問題として、「国として幅広い観点から具体的な検討を行う必要がある。」と、こういう表現をお読みいただければ、我々としては将来こうしろというところまでは踏み込めずに申し上げておるということでございます。  知事連中の中にもいわゆる連邦制ということを言う人もかなりおりますけれども、いろんな学者の御意見等も伺いまして、日本の国の場合にはああいうヨーロッパ流、特にドイツ流の連邦制は我が国の実態にふさわしくない。むしろ今の市町村都道府県、そして都道府県の連合、そういうもので広域行政対応していくべきではないか。そういう中で、将来、広い範囲の道州制的なものを検討していけばいいのではないかという段階での答申でございます。  それでよろしゅうございますか。
  33. 鈴木永二

    参考人鈴木永二君) 同意見です。
  34. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 財政問題については野沢先生の方から触れられましたので、一つだけちょっとお聞きしたいと思うんです。  都道府県の中には相当財政力でも差がありますね。こういうものに権限を与えることによって財政も当然それに合わせて与えていかなきゃならない、こういうことになるんでしょうけれども、しかし、余り豊かでない地域というのはどんな財源を与えてもそれほどのものにはならないだろうと。例えば、消費税を各自治体財源にせよという意見もありますね。しかし、大消費地と田舎の方とでは同じ消費税でも全然違いますね、収入の度合いというのが。  そういうことになりますと、権限はもちろん与えるけれども、財政的にも公平な力を持てるように与えていくといった凶には、今の交付税制度そのものをもっと簡略にしながら強化をするというような形しかないのかなというふうには思うんですけれども、その辺まで何か結論づけた答申になっているんでしょうか、考え方として。
  35. 鈴木永二

    参考人鈴木永二君) ごもっともな御意見でございますけれども、今度私どもとしましては、結論を申しますとそこまで見極めた上で結論は出ておりません。  と申しますのは、やはり地域の問題、地方分権の問題といいましても、今の府県の貧富の、貧富というのは言い方が悪いですが、貧富の差をそのままにして、そこを出発点として税源をいろいろ変更してみましても、基盤的に違うところが大きいわけでございます。私は本当の地方自治で、もう財源も各地方に任せたというようなやり方は、産業政策から教育政策から一度見直した上で、ある程度期間をとって、地域としてそういった体制に皆さんが、それは同じになるということをねらうわけじゃございませんが、それにしてもそれぞれが特色を生かしながらやっていける基盤というものまで持っていった上で、財源から権限の問題もやっぱり考えていかにやいかぬ。  そうしますと、地方分権ということも段階的に、今のような権限の問題、財源の問題は調整しながら推移していかなきゃいけないんじゃないか。そうなりますと、地方分権じゃないじゃないかということになるかもしれませんが、そんなことを考えながら、今、一つの財源をどうする、権限をどうする、それでさあ行こうというのには、少し検討が十分じゃないんじゃないか。  これは私ども検討かと申すよりも、国全体の地域に対する今後の考え方をもう少し固めていく必要があるんじゃないかという考え方で、今のような御意見については感じてはおりましたけれどもそこまで突っ込まずに、今、とりあえずこの間報告しましたような報告でまずスタートしてもらうと。ですから、試行錯誤とは申しませんけれども、段階的に施行していくべきじゃないかというふうに私は思っていますけれども山本さん、いかがですか。
  36. 山本壮一郎

    参考人山本壮一郎君) お話しのように、地方自治体間の財政力の差というものはなかなか同様にしにくい点がございますね。これまでは地方交付税である程度その差を埋めておったわけですけれども、これだけ大きな差がついたということは、この答申にも書いてございますように、東京一極集中が余りにもひど過ぎると。これまでの国土政策で、常にこの東京一極集中を是正するとかあるいは均衡のある国土をつくるとか言いながら、国土計画そのものの実施、実行の段階で、国土計画で決めた国の目標を各省庁が受けて、それを実現しようということをどうもやっていなかったということがあるんでなかろうか。  したがいまして、これからはやはり国土政策の面で大いに調和のある国土をつくるように、これは時間はかかると思いますけれども、それをぜひおやりいただかなければいけないんではなかろうか。  逆に、これだけ過密都市になりますと、ある有名な都市学者が指摘しておるように、今や世界の大都市に住む人たちはあらゆる我慢の上に初めて生活をしておると。通勤難、通学難、住宅難、あるいは大都市特有の交通渋滞もございましょうし公害の発生もございましょうし、そういう我慢の中で生活を強いられておる。こういうことではよくないと思うんですね、地域というのはあくまで生活の場なんですから。  企業や行政機能、そういう機能のために地域があるんではなしに、地域はあくまで国民生活の場であるということを考えますときに、そういう我慢をしなくてももっと人間性豊かな生活のできる土地が日本じゅうにいっぱいあるわけですから、そういうところへ、例えば遷都論というのが今起こっておりますけれども機能の分散をもっと積極的にやる、あるいはまた国としても、企業の立地をもっと分散することによりまして、今おっしゃるような点も解決できるんではなかろうか。    〔理事大渕絹子君退席、理事野沢太三君着席〕  それと、税制の詳しいことは私もよく存じませんが、例えば法人税にいたしましても法人事業税、地方税になります場合には、それの分配を、本社だけではない分配の仕方があるわけですから、そういう面でもう少し税制上の配慮ができないんだろうか、改善ができないんだろうかということも考えさせられますが、一番いいのはやはり今お話しになったように、地方交付税をもう少しふやしまして、そういうおくれた地域の発展のためにこれを使わすということも一つの手ではないか。  といいますのは、先ほど弱小町村の話が出ましたが、中山間地帯、山間部における町村というのは非常に力も弱いし、人口も少ない。しかし、別の観点から見ますと、これは日本の緑を守る、山林を守るという非常に貴重な役割を果たしておるわけです。この山林がおかしくなれば治水の面にも影響が出てくる。こういうことを考えますと、やはり中山間地帯における弱小町村をどうするか、そういう町村だけを合併してもこれは力はつかないわけでございます。  したがって、それは別の観点から、国全体としてこれを守らなければいけない。そういう発想から何らかの施策が必要ではないかということ、これは地方制度調査会で、次回たしか中山間地帯の振興問題について議論することになっておるはずでございます。
  37. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 ありがとうございました。
  38. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 公明党の横尾和伸でございます。  本日は鈴木参考人山本参考人、大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。私からは、大変時間も限られておりますので、単刀直入にお尋ねしますけれども、人事の交流に関連してお尋ねしたいと思います。  私は、実は前に厚生省におりまして、私自身も地方に二度ほど出させていただき、大変居心地がよくて、かつ大変勉強になった、大変いいことだという印象を持っておりました。ところが、最近といいますか、この数年の話ですけれども地方分権の流れの中で、人事の問題についてかなり根の深い問題があるんだという御意見を多く聞くようになりまして、自分が今まで思っていた印象をもう一回裏側から見直してみよう、こう思い始めたところでございます。  といいますのは、この地方分権という流れが大変長い間いろんな角度から論じられてきた。そういう中で一つだけちょっと寂しいなと思うのは、地方の側からの議論といいますか、熱意というのがもう一つ感じられない。もちろん地方の側からいろんな提言をされているという例もございますけれども、熱意の点ではもう一つというところがある。  そういったことを考えたときに、私先ほど冒頭に申し上げました私自身の例からしましても、派遣される国の人間はいいんですけれども、派遣を受ける、例えば都道府県とか市町村の側からすると、同じポストに同じ省庁から人が二年ごとあるいは三年ごとにかわってくる。そうしますと、そこの生え抜きのいわゆる地方公務員の方から見ますと、あそこはもうどうせ私たちは座れない席なんだ。また、もっと長い目で見ますと採用の時期から、学生がこの県庁に入ろうか、市町村に入ろうかというときに、あそこは何々省庁の何々が副知事として来ていますよ、あそこはもうだめなんだ。あるいは、何とか部長というのはもうふさがっている。そういうところに、表には出ないけれども、かなり影響力のあるといいますか、そういう分野があると思うんです。  そういう観点から報告書を読ませていただきまして、実はこの部分が余りよく書かれていないというふうに思いまして、よくよく見ましたら違う項目のところで、これは最終答申の三十二ページ、行政システムのところの「公務員」という欄の「人事交流」の②、三十二ページのちょうど真ん中なんですけれども、「国と地方の交流について、対等な交流を基本として推進するとともに交流ポストの固定化を回避する。」、たった一行半の表現なんですけれども、大変重要なことだと私は思うんですけれども、この点に関して両参考人の率直な御意見をお伺いいたしたいと思います。
  39. 鈴木永二

    参考人鈴木永二君) それでは、山本参考人のプロの御意見の前に私が素人の意見を申し上げます。  やはり縦割り行政とか、それから総合的な政策とかいう意味において、公務員制度そのものが非常に大事であるということについては、審議会のメンバー全員がそういう意識でございました。今御指摘のように、書き込めない点も多々あったと思いますが、できるだけ今の個別省庁ごとの採用はちょっとやめてもらわなきゃいかぬじゃないか。本当を言いますと一括採用という意見も相当強かったわけですが、今度大くくり制度ということを言っておりますので、一応何というんですか、共同採用というような、ちょっとこれも正直に申しまして中途半端と御判断のところもあるかもしれませんが、過渡期として、一つのステップとしてはそういったことが妥当じゃないかという意見が大勢を制したということでございます。  もうとにかく公務員制度はまず採用の点から、それから今のように同級生が次官になったら全部やめてしまう、その辺をもう少し民間がやっているような弾力的なやり方ができないだろうか。それから天下りの問題も、ただ二年過ぎればいいということじゃなくて、実質的な弊害除去の、天下りに対するチェックシステムを考えるというのが趣旨なんですけれども、決してフリーにしろとか言っているわけじゃないわけです。  それから、今ちょっと先生もお触れになりましたんですが、私なんかここに書き込めずにおりますけれども、今の採用試験ですね、採用試験でもうランクを決めてしまうと。私はどう見ても、私は軍隊で八年ほど苦労したものですから、軍隊制度が残っているんじゃないかと。軍隊はもうとにかく陸大出でなきゃ将官にはもちろんなれませんし、それから普通の者でも士官学校を出なきゃ将校にはなれません。兵隊からいかに優秀な者が来ましても、いわゆる特務曹長といいますか、准尉どまり。ですから、入るときから資格を得る。  その辺よく考えてみますと、公務員の制度を見ましても、とことこ地方の何々局というのにどういうような試験で入った人が何百人とおって、そして上の方は中央から回って行った方、それが数人おられるというようなことで、そういったところに同じ大学を出ても違う試験で入ったために、一生涯そういう上には浮かび上がれないというような制度が今の時代にあっていいのかしらと非常に私は痛感しました。  非常にいろんな細かいことまで規制されるということも、これは不見識な言い方かもしれませんが、やはり生きがいはだれでも持つわけですから、そういう上には行けないとなると、やはりそこら辺に生きがいを求めるというようなことも、それは人間性からいったら当然だろうと思います。  そういうようなことを思いますと、いろんな今の規制の問題にしましても、地方分権の問題にしましてもやっぱり人間が中心ですから、公務員制度のいろんな試験制度から採用から定年から総合的に、比較的アンタッチャブルに置かれた公務員制度も、地方公務員と一体になって、そういったことで中央、地方の公務員が平均化された優秀な人で占められると、そう言いますと中央官庁の方にしかられるかもしれませんが、やはりそういったある程度の平準化ということも必要だろうと思っております。これは私の素人の判断に基づいたことと思いますが。
  40. 山本壮一郎

    参考人山本壮一郎君) 今回の提言でも各省庁間の人事交流を大いにやるべきである、あるいは各省庁間だけではなしに国と地方、あるいはまた民間と、そして役所の仕事をやっていただく公務員の方々に視野を広めていただく。こういうことで、特に各省庁間では縦割りの弊害が非常に強く出ておりますので、そういうことも直していただく。  私は地方で長く仕事をいたしまして、中央との人事交流というものは地方にも中央にも非常に大きな効果がある、このように考えております。大体日本の国、中央のお役所の方々は国をよくするためということで一生懸命に仕事をしておられます。しかし、地方を除いた日本の国というのは、抽象的な国というのはないんですよ。日本の国土というのは、北は北海道から沖縄に至る四十七の都道府県あって日本の国土がある。日本国民はそれぞれの地域住民である。  こういう発想でもって実は中央の方々に仕事をしていただきたいということを念願する立場からいいますと、中央でお仕事をされる方は、地方の実態を地方庁へ出られて実際に仕事をして、そして地方ではこういう問題があるんだ、あるいは地方住民はこういうことを望んでおるんだというのを肌で感じていただくことが非常に貴重な御経験だと思うんです、先生は大変いい勉強になったとおっしゃいましたが。今後、仮に分権が徹底いたしましても、その点の重要性は決して変わらない。また、地方側からいいましても、中央の方々がお見えになって一緒に仕事をする中でお互い新しいことをいろいろ勉強できるわけです。  ですから、地方の人間も中央へ勉強のために人事の派遣をいたしますが、同時に中央の方も大いに地方へ来ていただきまして交流することは、今後の行政をうまく運営する上で大変大事な機能だというふうに私は考えております。
  41. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 どうもありがとうございました。  今の点については三十二ページに、もう一度読み上げますけれども、「国と地方の交流について、対等な交流を基本として推進するとともに交流ポストの固定化を回避する。」ということで、人事交流は大変結構なことなんですけれども、対等で固定化を避けるということについて大変貴重な問題だと思っております。  大変貴重な御意見ありがとうございました。
  42. 山崎順子

    ○山崎順子君 きょうはお忙しい中、お二方ありがとうございます。また、今回の最終答申をおまとめになるに当たって、今までに多くの御苦労があったことと思いますけれども委員の方々のその御苦労に多大の敬意と感謝を申し述べさせていただきます。  早速質問に移らせていただきますけれども、実は私は昨年来、かつて豊かなくらし部会の部会長でありました細川さんの日本新党の結党宣言に感銘いたしまして、その結党以来ずっと細川さんとともに、政治本来の力を取り戻す、また国民の信頼を取り戻すこと、そして行政改革地方分権をなし遂げたいと思いまして、以来一年間ずっと励んできたもので、地方分権に対してもかなり熱い思いを持っているものでございますから、つい力を入れまして今回の最終答申を読ませていただいたんです。そのせいかどうか、大変失礼を言い方になったらお許し願いたいんですが、最終答申を読ませていただいて少しがっかりいたしました。  と申しますのは、七月に出されました宇野さんの原案で起草委員会も合意されたというたたき台から、例えば地方分権推進法などはかなりそのプロセスの手順などがやはり水で薄められたような感がいたしました。もちろん、きょうおいでくださっております鈴木さんも山本さんも、地方分権を本当に強力に推し進めるには法律をつくることが大変重要で、そして今回の最終答申にも早急にその法律づくりをしてほしいということをもちろん痛感なさり書かれていらっしゃいますが、その最終答申には、「地方分権に関する大綱方針を今後一年程度を目途に策定すべき」となっております。  ちなみに、たたき台では、地方分権推進法を早急に制定する、そしてその推進法に基づき臨時地方分権推進調査会、仮称ですが、それを設置し、抜本的な地方分権推進するために必要な事項について専門的、集中的に調査、審議を行う、そしてその地方分権推進法は次期通常国会制定されることが望ましい、たしかしっかりと立法措置へのプロセスを提示なさっていたと思うんです。  本当に、フランスなどにも見られますように、やはり本当の意味で抜本的に地方分権を推し進めるには法律ということが大事だと思うんです。その辺が少し後退してしまったのが大変残念で、確かに今中央集権システムの中で地方分権を推し進めるのは容易ではないと思いますが、せっかくの行革審の皆様の御苦労を無にしないためにも、この一年を目途にというあたりにどういう手順でしっかり法律制定ができるかどうか。その辺のことが本当に絵にかいたもちにならないように、それは私たち政治家の方の多分役割なんだと思います。  ですから、お二人に質問して御意見を伺うよりは、もしかしたら自分たちに問いかけなきゃいけないことなんだとも思うんですけれども、本当の意味推進していくための手順をもし御両人にお聞かせいだたければ幸いと思います。よろしくお願いいたします。
  43. 鈴木永二

    参考人鈴木永二君) 私ども考え方を誤解されないためにあえて申し上げますけれども、今中間報告で出されたものと今度のが違うじゃないかと。中間報告では、法律をまず決めて、それから実際にその方法とか手順とかいうことをやるというふうに考えて書かれているんですが、そういうことは先ほどもちょっと触れましたけれども、まず宣言法をつくって、そしてその上で個々の問題を時間をかけて、そのときには中間報告に書いてあったかどうかは忘れておりますけれども、二年ぐらいかけてこの大綱を練り上げる、そして法律をつくるという考え方だったと思います。  そのときに、最後に今度の詰めのときにしましたときには、宣言法でいくか実体法でいくか。そのときは私、先ほど言いましたように実体法でいきたい、それもできるだけ早くと。しかし、それをできるだけ早くと言ったって、中間報告のときでも実際に法律を整えるための大綱は二年ぐらいかかるというふうに考えていたんだから、幾ら早くたって一年はかけなきゃいかぬだろう。ですから、今国会にかけるということはそれはとてもできる話じゃない。だから、今国会へ上程とかいうことはもう前提が違うんだからそれはやめましょうということで、大綱をぴしっと決める。  それで、その大綱を決めるまでの担保は、内輪話なんで申し上げますが、それは法律はできていないけれども、しかし総理が対策本部をぴしっとつくって自分が議長になってでもやると言っておられるんだから、総理がそれだけ言われるならそれを担保にしようじゃないか。それを担保にして一年間はいこう。そして、その間に大綱をつくって法律へ持っていこうということですから、せっかくのお言葉でございますけれども、その点は決して決意が鈍ったわけじゃございませんので、どうぞ御理解いただきたいと思います。  これからの方法としては、今は世の中大変な状態ですけれども、とにかく十二月になったらばそういった体制をぜひ細川総理につくっていただく。皆様、先生方の御協力によってそういったことをつくっていただいて、私どものまず第一歩を担保していただく。それによって一年間、その推進本部、方々でこれ意見を申し上げているわけでございますが、今まで行政は優秀なる公務員が大いにおやりいただいていたんですが、これからはそれもそうですけれども大綱をぴしゃっと決めるには、とにかく政治家がこの国会をしょって決めていただかなきゃなかなか決めにくい点が非常にある。それでも決めにくいところは総理が決断をする。いわゆる内閣の中で内閣補佐官、政治家の補佐官をもっと放り込んでいただいて、テーマごとにその補佐官が責任を持ってその案を処理して、そして総理に進言して閣議へ持っていっていただくということを、方々に散らばっておるはずでございますので、また一遍拾っていただきたいと思います。
  44. 山本壮一郎

    参考人山本壮一郎君) 今、鈴木会長からお話しのとおりでございまして、私どもは決してたたき台から後退しておるとは受けとめておりません。  ただ、いろいろ表現を変えましたし、また実現性を考えてこういう結論になったことを御理解いただきたいと思います。  要は、今会長が強調されましたように、細川総理がやる気になるかならないかにかかっているわけでございますので、ぜひ先生にもその点よろしくお願いいたします。
  45. 山崎順子

    ○山崎順子君 どうもありがとうございます。  日本新党の一員としまして、細川さんの方に今政治改革、景気対策、さまざま困難な問題がございますが、必ずこれを乗り切って地方分権を推し進めるよう私どもも支えていく所存でございます。ありがとうございます。  もう一つ、パイロット自治体について、手短で結構ですのでお答えいただきたいんですが、これも本当に地方分権を推し進めるには、法律も大事ですが、やはり実験例を積み重ねる必要があると思います。もっとこれからもさまざまなパイロット自治体のいろいろなところが名のりを上げていただけるようにするにはどうすればいいか、お一言ずつお伺いできればと思います。
  46. 鈴木永二

    参考人鈴木永二君) 抽象論になりますけれども、やはり地方の意識というものは地方分権、これは必要だなと本当にそういったことがしみていかなきゃいかぬと思いますが、それにしましても何らかインセンティブを与えていただければありがたいと思います。  皆さん、今までの慣例でこれをやりますと、補助金がどれだけもらえますか、みんなそうです、説明会なんか行きますと。これは補助金を差し上げるための制度じゃありません。皆さんが自治の問題を具体的に考えて、その具体的に考えたものが各省庁の縦割りとかいろんな理由で手続が難しい、やりにくい、時間がかかる、そういうときには申し出てくださいと、こういう制度です。内閣で各省庁に連絡をとって、できるだけ早くこれを統一的に解決するようにお手伝いしますという制度ですということを何回も言うんですけれども、せっかくこれから推進していただきたいと思いますので申し上げますと、やはり何かインセンティブがありますかということ。もう一つ大きなことは、今度の実施状態をつぶさに見させていただきますと、やはり県に対する気兼ね、県はどう思っているのか、県の地方課がどんなような目で見ておるか。何というんですか、反撃と言ってはおかしいですけれども、おれたちを信用しないのかとすごまれると、はっと言ってやめちゃう。  来年はひとつそういったことを、今度第一回が終わりましたので、ぜひそういったことを踏まえて前向きの基礎的自治体強化するという意味においての働きにしてもらいたいと思っていますので、どうぞよろしく御考慮をいただきたいと思います。
  47. 山本壮一郎

    参考人山本壮一郎君) たまたま、このパイロット制度と時期を同じくしまして、例えば地方拠点法、あるいは連合制度や中核市の制度、新しい制度がたくさん出てまいりましたので、市町村側でもかなり戸惑いがあったことは事実でございます。  しかし、地方分権という大事な仕事のまさにパイロットになるわけですから、これはこれからもっと数をふやしていかなければいけませんし、そのためには今会長からお話しの、都道府県がもっともっと熱心に指導する必要がある、この点は私どもも努力をしてまいりたいと思います。
  48. 山崎順子

    ○山崎順子君 どうもありがとうございました。
  49. 山田勇

    ○山田勇君 民社党の山田勇でございます。両参考人、大変御苦労さまでございます。  大変釈迦に説法みたいになりますが、私が地方分権に対する思いというのを多少述べさせていただきまして質疑をさせていただきます。持ち時間が十分でございますので、大変失礼があろうかと思います。  地方分権ということは、地方が国から権限を奪い取るということでもなく、また分けていただくといったものではないと思います。また、地方分権そのものは権限地方に移すというだけではなく、それぞれの地方が自主性を確立してみずからの意思で、みずからの判断で地域づくりができるようになることだと思います。その過程において国と地方役割分担を本格的に見直すということがまず第一かと私は思います。  これからの国際社会の中で、経済大国と言われてきた日本国としてはますますその責務は大きいものがあります。いわゆる国家存亡にかかわる政策とか基本ルール制定、また全国的規模視点で行われることが必要不可欠な施策、事業など重点的に国が分担するなど、また地方移管する権限についてはそれに伴う財政の基盤の強化など、重要な課題がたくさんありますが、これらの点についてのお考えを聞かせていただきたいわけでございます。  先ほど来、重複をいたしておりますので、特に詳しく御答弁いただかなくて結構なのですが、各委員お話を承る中で、今会長さん申されたとおり、これをやると補助金が出るんだとか、すぐそういうイージーな方向へ行く。例えば、先ほど野沢委員の方からも質疑がありましたとおり、国の権限地方に移すといわゆる権力志向的なものになって、ゼネコンの問題等お話が出ておりましたが、山本さんみたいに立派に二十年、清廉にして潔白な行政を行ってこられた方がおられる。僕は一に首長のモラルだと思うんですね。だから、権限移譲すぐ権力の行使、またそういう腐敗構造ができるんではないかというふうな考え方は僕は消極的に考えていっていいと思うんです。もうそれはモラルの問題だし、いわゆる原則自由ということは責任というものがその次にあるのでございますので、その点僕は結構心配しないんであります。ただ、この進め方について、国が押しつけるものじゃなく、先ほど来申し述べたとおり。だから、何か地方がもっとこれをやろうという意欲を燃えさせるようなものが必要ではないか。  例えば、これは参考になりませんが、地方交付税の増額というようなこと。僕は二十年来これを、地方行政を二年ほどやったときからやっているんです。例えば福田大蔵大臣のときに、国家の集めたお金はだれのものだと言うのに一年かかるわけです、国民固有の財源でありますと答弁をいただくのに、僕は地方行政委員会で一年大蔵大臣とやりとりしてやっと言ってくれたというようなことがあったわけです。  だから、そういうことで地方税の増税なんということは非常に、今は三割自治だとか何割自治だとか悪評があるわけですが、山本さんのおっしゃるとおり、この際思い切ってこれを一つの核として地方税の見直し、財政の見直しということも考えていっていただきたいと思います。  と同時に、これはちょっと参考になるかどうかわかりませんが、かつて十数年前、三万都市構想といって自治省が、三万人になったら市として名のりを上げてきなさいよと。そうなりますと、当然町村に対する財政の補助金も全部違ってきます、市になりますと。そういう形で、結構各町村が合併していったわけですね。合併はもう嫌がる時期には来ておるんでしょうが、そういうふうに何か三万都市構想のときには市町村がこぞって合併して、市をつくりたい市をつくりたいいって頑張ったことがあるわけですね。  何かそういう意味で、財源でつるというか、補助金でつるというわけじゃないんですが、もう少し地方の首長さんたちがこぞって地方分権に対して熱意を持ってもらうような方法、工夫というようなものがあればお聞かせをいただきたいなと思います。よろしくお願いいたします。
  50. 鈴木永二

    参考人鈴木永二君) 大変有益なお話、ありがとうございました。  確かに私はいわゆる補助金でつるということはすべきではないと思っていますが、しかし何らかのインセンティブを考えなきゃならぬと思っておりますので、私も一国民としてそういったことにも努力したいと思います。  それから、私ちょっと御質問に外れるかもしれませんが、ついでに、ついでにといってはおかしいですが、いい機会でございますので一言。  国の役割分担はどうか、どこまで国がやってどこからは地方だという議論になりますと、何かここからこっちは国がやっちゃいかぬ、こっちはどうだというような議論になりかねない場面もありまして、痛感したんでありますが、やはり国というのは地方であろうが中央であろうが一つの有機体で、ここからはもう血液が流れないんだ、こっちはこうだというものじゃないと思います。  例えば機関委任事務というようなものは両方へかかわり合っている。それで、県知事なんかの御意見を聞きますと、県の仕事の七、八割は機関委任事務だと言われますが、結局機関委任事務のここからこっちは全部国だ、これは地方だというんじゃなくて、その流れの中の何をそういうふうにするのかという干渉の濃淡の問題もあろうと思いまして、やっぱり血は流れていっているんだ。しかし、その中でどこで主としてやるのかというのが一つ。それには、そういった壁の色まで指示するのはちょっと言い過ぎじゃないかとか、当然常識論が働くわけでございますので、そういうことかなということを感じましたので、素人の感じでちょっとお話ししてみました。
  51. 山本壮一郎

    参考人山本壮一郎君) 山田先生、地方行政委員会で大変地方分権のために御活躍いただきましてありがとうございました。お礼申し上げます。  お話のありました地方からの盛り上がりがやや足りないんではないかという御感想ですが、これは私冒頭申し上げましたように、シャウプ勧告以来、地方分権地方分権と我々は叫び続けてまいったわけですが、その間余りにもその実現の度合いが少なかったというある種の挫折感めいたものが地方の連中になかったとは言えないと思います。しかし、市町村含めまして、地方におきましてナショナルミニマム的なものは一応整備されまして、やはり地方がそれぞれの個性を生かした地域づくりをやろう、こういう意欲が最近出てきたことも事実でございます。  これは竹下内閣のときに例のふるさと創生事業を打ち出しました。あれがその後ずっと続いておるわけなんです。あれは竹下内閣のときに言い出して、海部内閣のときにふるさと創生懇談会、名前を地域活性化懇談会という名前に変えまして、平成元年に鈴木会長委員長に、総理出席をいただいて、今後の地域の活性化をどう進めればいいかということを真剣に議論していただいて、そういう中で、ことしのたしか地方財政計画の中でもふるさと創生事業、ソフトの三千二、三百億とハードの面の一兆円ぐらいですか、計画の中に入れられておるわけなんです。  こういうことで、地方も我々で考えて我々の力でやっていくんだ、国はそれを援助するんだ、こうしろああしろという口出しはしないんだという国と地方関係としては非常に望ましい姿が、これはその分野はまだわずかではありますが出てまいっておりますことも、私はこれからの地方分権を勢いづけるためにもいいことではなかろうか、このように考えております。
  52. 山田勇

    ○山田勇君 ありがとうございました。質問を終わります。
  53. 有働正治

    ○有働正治君 本日はお忙しい中どうもありがとうございました。日本共産党の有働と申します。  最初に、ゼネコン疑惑とのかかわりの中でこの問題が地方分権とのかかわりでもいろいろ議論されています。マスコミでも、例えばある新聞の社説は地方分権確立を叫んでも非常にむなしい、またある新聞は論評で、この問題について襟を正す必要が自治体の首長の方々はあるんじゃないか等々言われています。自治省の事務次官も、九月の全国都道府県企画担当部長会議でのあいさつの中で、これは報道によるものでありますけれども地方自治体におけるゼネコン汚職が地方分権推進機運に水を差しかねない趣旨を述べられているわけであります。  私は、このゼネコン疑惑というのが自治体住民の信頼を根底から崩しているという点で、住民自治地方自治の根幹にかかわる大問題であると考えますし、その解明、是正というのは分権以前の基本的前提とも考えられると思います。また、当然のことながら、国政、地方中心問題になっているということを考えるわけであります。ゼネコン疑惑は、十月二十七日の審議会最終答申の以前に起きていた問題でも、大問題であるわけであります。  そこで、鈴木参考人にお尋ねしたいのでありますが、先ほど冒頭の意見聴取の際、鈴木参考人は、将来ビジョンの中で、とりわけ透明で公正でなければいけないということも強調されたわけであります。一つは、審議会での議論としてこういうものはあったんでありましょうか。もし議論されたのでありますれば、その内容について。そして二つ目に、鈴木参考人自身、この問題をどうとらえて、どう対応すべきだとお考えなのか。  ついでに、一緒に質問させていただきます。山本参考人にですけれども、同じ立場からの、宮城県知事を長年務められたということでお尋ねするわけであります。  先ほど、疑惑のうわささえ私の時代にはなかったとおっしゃられたんで、念のためでございますけれども、マスコミの報道によりますと、宮城県の場合、空出張などによる裏金づくりが行われたということが報じられているわけです。これは本間前知事時代だけでなく、それ以前からやられていた旨も述べられているわけであります。  そこで、こういう空出張などの問題、改革先ほども強調されたわけでありますけれども、裏金づくりという言葉まで使われているんでありますけれども、やられていたんでありましょうか。また、いわゆる天の声というのはあるんでありましょうか、ちょっと参考までにお尋ねしたいと思います。
  54. 鈴木永二

    参考人鈴木永二君) 私に御質問の点を申し上げますが、透明、公正な社会自律自助社会を形成しなければ、これは国内だけじゃなくて諸外国からも対等のおつき合いをしてもらえないということを申し上げたつもりでございますが、この精神は報告全体の中に各所にございます。今一々拾い上げるのはちょっと時間がございませんが。それはそのように御理解いただきたいと思います。  これからどう対処するかということは、結局はモラルの問題でございますけれども、それにしましても、制度、施策というものがやはりこういった癒着関係を生じないような行政組織にしなきゃならぬ、政治組織にしなけりゃならぬ、こう思っております。行政組織の改正というのはやはり政治の接触面から始まるわけでございますので、これは政治行政、それから経済、一番の根源の経済考え方ということも大いに自律、自戒、反省していかなきゃならぬ問題でございます。  私は経済界出身の者として申し上げますのは、経済界がやはり周りの関係、いわゆる規制というものに甘えた行動というものはみずからそういうことは絶っていくという毅然たる姿勢がまず第一に必要であろう、こう考えております。
  55. 山本壮一郎

    参考人山本壮一郎君) 今お話しの、県で空出張の金を選挙に使ったとかなんとかいう報道を見まして、私も実は驚いておるわけであります。  私自身は、そういうことをやれという天の声を出したこともございませんし、またそういうことをだれかが中心になってやっておるという報告も全然受けておりません。今県庁の方でこれを調べておるようでございますので、実態が明らかになれば再びそういうことが起こらない対応をさせなければいけない、このように考えております。
  56. 有働正治

    ○有働正治君 最終答申の中で、国民生活を重視するということを非常に強調しておられます。また、思いやりということも先ほど来強調されたところであります。  その答申では、この間の臨調行革十二年につきまして、例えば三公社の民営化、公的年金、医療保険制度改革など諸般の改革が実現を見たと評価されて、そして改革基本的な目標にはいまだ到達していないものなど、その断行を政府に強く要求されているようであります。  この臨調行革十二年の決算につきまして、例えば挙げられています年金の問題をとりましても、私はかなり国民に痛みを伴っているものだというふうに感じます。八五年、八九年の二度の改正で給付水準が三割以上切り下げられて、保険料は二倍から三倍アップされまして、基礎年金受給の資格期間が二十五年という諸外国に例がない厳しい制度になってきています。そして、公的年金に対する国民の不信、不安も非常に大きいものがあります。高い年金保険料を払えずに滞納、免除を余儀なくされている国民は五百万人にも上ると言われて、いわば公的年金制度の空洞化さえ指摘される事態が今生まれていると私は承知しているわけであります。  この一つには、十二年の臨調行革の決算について、国民生活重視というこの答申とは裏腹に、私はかなり痛みを伴ったものと考えるわけですけれども鈴木参考人はこの点どうお考えになられるか。  それから二つ目に、答申につきまして細川首相は、これを私の考えと合致してできるだけ実行すると述べておられて、今後改革の方向として答申でも述べられている直間比率の見直し、そのための消費税率アップ、年金問題では支給開始年齢の六十五歳への繰り延べ、あるいは病院給食の保険外し、保育所の措置制度見直しなど、こういう全般的見直しが行われようとしているわけであります。  細川内閣がこれから進めようとしているこういう課題、もちろん検討のものもございますが、この答申を出された立場から見て、答申の方向として沿ったものとしておおよそ肯定的に見ておられるのかどうなのか、この二点についてお尋ねします。
  57. 鈴木永二

    参考人鈴木永二君) 御質問の点ですが、御質問の内容は非常に多岐にわたっておりますので、どうも簡単には御返事できませんが、方向についての問題ですが、それは方向を外れているとは思いません。その方向に沿った線だと思います。しかし、財政というのはなかなか難しい問題であることは、私も実は財政審の会長もやっておりますのでよく存じているところでございます。  今の厚生関係の費用の点でございますが、これは、あれが削られた、これを削られたと言いますけれども、事実、また年金も高齢化に伴いましてなかなか将来の問題が心配される点もあるわけでございます。  私どもは、行革といたしましては、もう前から二〇二〇年の最高齢化時、もっと近くなってきていると思いますが、そういった時期でも国民負担率が五〇%以上にならないように、それは歯どめとして考えてもらいたいということを言って、今度もそれをちゃんと出しております。そして、そのためには財政規模というのをどの程度に抑えたなら、バランスをとったならばやっていけるのかということも提案しているわけでございます。  今おっしゃいました、よく聞き取れなかった点もありますが、病院の例えば食費を取るという点についてあるいは御反対との御意見ではなかったかと思いますけれども、そこら辺は私は、無限に打ち出の小づちで金が出てくるわけじゃございませんので、入院しておったって入院しなくたって食うものは食うわけですから、その食費は病気とは別に拠金していただくということはやむを得ないんじゃないか、私は今の状態じゃそう思います。それを何でも出せばいいという世の中というものは、それこそ天国じゃない限りはそうはできないんじゃないか、こんなような気がします、大変失礼な言い方になるかもしれませんが。  大いに努力して何とか末永く、現在の我々の二十世紀日本国民だけじゃなくて、二十一世紀日本国民もやはり同じように安定した生活をする、それで将来の不安をできるだけなくすというふうに努力していくということは、私もそう思っておりますし、また政府もそういうことに大変な努力をされておると私は信じております。
  58. 有働正治

    ○有働正治君 終わります。
  59. 野沢太三

    ○理事(野沢太三君) 以上で両参考人に対する質疑は終了いたしました。  本日は、両参考人におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。本委員会を代表いたしまして心から御礼を申し上げます。  どうもありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十五分散会      ―――――・―――――