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政府委員(滝実君) ただいま
地方消費税について
自治省が検討している中で、四項目についてどう
考えているか、こういうお尋ねでございます。
この問題は、さかのぼりますと昭和五十三年の
政府税調におきまして、実は一般消費税というものが
答申された際にあわせて
地方税として
地方消費税というものもその中で
答申をされているわけでございます。したがって、歴史的に見ますと、ただいま急に浮上したものでも必ずしもございませんで、実は十数年の歴史を持ったものでございますので、そのときに検討した事柄を中心にして現在の
地方消費税という
考え方がある程度固まってきているということもございますので、
両方あわせて、そういう
意味で過去にさかのぼった点も踏まえて申し上げたいと存じます。
まず、第一点にございました
地方消費税を創設する際には現行の消費譲与税はどうなるのか、こういうお尋ねでございます。
現在の消費譲与税というのは、今も申しましたように、過去の経緯から申しまして当初は
地方消費税という提案があったのでございますけれ
ども、六十一年あるいは六十三年の
答申におきまして現在の形の消費税を創設する際に
地方消費税案を一たん舞台から消しまして譲与税でどうだと、こういうようなこともこれあり、現在のような消費譲与税という形を
大臣の表現によりますと経過的にとっている、こういう事情もございますので、私
どもとしては当然その際には譲与税は
地方消費税の中に吸収するのが経緯からいってもあるいは建前からいっても筋だろう、こういうようなことを
考えているわけでございます。
それから、
地方消費税を仮に創設する際に、その
税収というのはどういうような分野に充当しようとしているのかということでございます。
これにつきましては、実は現在の税調の
議論そのものがまだコンクリートな面がございません。仮に所得課税を軽減いたしまして消費課税にシフトする際に、その
財政需要と申しますか、使い道について福祉的な観点を入れるべきじゃないだろうかとか、そういういろんな
議論の中でこの問題も当然それと一連のものとして
考えていくことになるだろうというようなことでございます。
具体的にどこというようなことはなかなか言いにくい点があるだろうと思うのでございますけれ
ども、ごくラフな言い方をさせていただければ、当然それは安定的な
財政需要、要するに将来の高齢化
社会を見通した場合に安定
財源がどうしても必要なんだ、こういう立場からの直間比率是正というのが根っこにあるわけでございますから、この
地方消費税を創設する際にはやはりそういうような
財政需要というものを一番の念頭に置いて仕組んでいく、こういうことだろうと思うのでございますけれ
ども、具体的に目的税とかそういうものはなかなか難しい点でございますし、これは今の一般
財源としての税を
考えるわけでございますから、そういうものではございませんけれ
ども、やはりそういう安定
財源としてふさわしい
財政需要というものを常に念頭に置いている、こういうことだけは税調でも
議論されておりますし、当然私
どももそういうことを踏まえた
考え方をとっている、こういうことになろうかと存じます。
それでは、
都道府県税としてとりあえずは
考えた場合に
市町村税はどうなるのか、こういう問題がこの問題についてはあるわけでございます。
消費課税というのは、
基本的には税の性格からいきますと
市町村の段階までこれを課税していくというのはなかなか複雑でございますので、今申しましたように、
考え方としては
都道府県税として設定をしていくということにならざるを得ないわけです。その場合に、そうしますと現在の消費譲与税というのは
都道府県と
市町村と
両方に実ね譲与税が行っておりますから、それを
地方消費税という格好で吸収する場合には、当然譲与税に盛り込まれておりました
市町村分、それから所得減税と申しますか、住民税の軽減をした振りかえの
財源としての問題もございますから、そういう
意味ではこれを設定する際には、これは最終的に結論が出ているわけではありませんけれ
ども、仮定の
議論といたしましては現在の住民税のうち
都道府県税の方を
市町村に移しかえる、そういうような税制上の
改革は当然必要だろう、こういうふうに私
どもは判断をいたしております。
それから最後に、四番目にございましたのは課税権者あるいは納税方法、こういうことでございます。
私
どもは、今申しましたようにこれは
都道府県が課税主体になる、こういうふうに
考えているわけでございますけれ
ども、その際に問題になります納税方法は、これは煩雑なことを
考えますと例えば特別徴収義務者、実際に消費者から税をいただいてそれを税務官署に納めるという特別徴収義務者、これの事務負担が大変だ、負担増になる、こういうことがあってはならないというふうに
考えておりまして、この点につきましては、現在の消費税のシステムに乗っかって特別徴収義務者がほとんど負担を
感じないような形でもって納税手続ができる、こういうような方法を
考えるべきだというふうに思っております。
以上でございます。