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1993-09-28 第128回国会 参議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年九月二十八日(火曜日)    午前十時二分開会     —————————————   委員氏名     委員長         小川 仁一君     理 事         鎌田 要人君     理 事         須藤良太郎君     理 事         岩本 久人君     理 事         有働 正治君                 石渡 清元君                 狩野  安君                 久世 公堯君                 関根 則之君                 松浦  功君                 岩崎 昭弥君                 大渕 絹子君                 三上 隆雄君                 渡辺 四郎君                 続  訓弘君                 山崎 順子君                 長谷川 清君                 釘宮  磐君                 西川  潔君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長          小川 仁一君    理 事                 鎌田 要人君                 須藤良太郎君                 岩本 久人君                 有働 正治君    委 員                 石渡 清元君                 久世 公堯君                 関根 則之君                 松浦  功君                 岩崎 昭弥君                 大渕 絹子君                 三上 隆雄君                 渡辺 四郎君                 続  訓弘君                 山崎 順子君                 長谷川 清君                 釘宮  磐君                 西川  潔君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣  佐藤 観樹君        (国家公安委員        会委員長)    政府委員        警視庁長官官房  廣瀬  權君        長        自治大臣官房長  遠藤 安彦君        自治省行政局長  吉田 弘正君        自治省財政局長  湯浅 利夫君        自治省税務局長  滝   実君        消防庁長官    紀内 隆宏君    事務局側        常任委員会専門  佐藤  勝君        員     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国政調査に関する件 ○小委員会設置に関する件 ○地方行政改革に関する調査  (派遣委員報告)  (地方行財政消防行政警察行政等基本施  策に関する件)     —————————————
  2. 小川仁一

    委員長小川仁一君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、地方行政改革に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小川仁一

    委員長小川仁一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 小川仁一

    委員長小川仁一君) 次に、小委員会設置に関する件を議題といたします。  暴力団員による不当な行為防止等に関する法律運用及び風俗営業等に関する制度及び運用について調査検討するため、小委員九名から成る暴力団員不当行為防止法及び風俗営業等に関する小委員会設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小川仁一

    委員長小川仁一君) 御異議ないと認めます。  つきましては、小委員及び小委員長選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小川仁一

    委員長小川仁一君) 御異議ないと認めます。  それでは、小委員鎌田要人君、須藤良太郎君、岩本久人君、続訓弘君、山崎順子君、長谷川清君、有働正治君、釘宮磐君及び西川潔君を指名いたします。  また、小委員長鎌田要人君を指名いたします。  なお、小委員及び小委員長の辞任の許可及びその補欠選任、並びに小委員会から参考人出席要求がありました場合の取り扱いにつきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小川仁一

    委員長小川仁一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  8. 小川仁一

    委員長小川仁一君) 次に、地方行政改革に関する調査議題といたします。  まず、先般本委員会が行いました委員派遣等につきまして、派遣委員報告を聴取いたします。鎌田要人君。
  9. 鎌田要人

    鎌田要人君 委員派遣の御報告を申し上げます。  派遣委員は、小川委員長須藤理事岩本理事有働理事、続委員長谷川委員山崎委員と私、鎌田の八名で、去る九月十三日、十四日の二日間、秋田県及び岩手県を訪問し、両県より財政状況地域振興対策等の実情につきまして説明を聴取するとともに、社会福祉施設重要伝統的建造物群保存地区多目的催事場及び森林公園等現地調査をしてまいりました。  以下、調査概要について御報告申し上げます。  まず、秋田県の財政状況でありますが、平成四年度の普通会計決算額は六千六百四十億円で、実質収支黒字で推移しております。  歳入面を見ますと、地方税の対前年度伸び率マイナス〇・七%であり、歳入に占める割合も一三・八%と全国平均の四〇%を大きく下回っており、地方交付税国庫支出金など国に依存する財源割合が大きくなっております。歳出面では、義務的経費割合全国平均を若干下回っておりますものの、投資的経費のうちの単独事業費は八百五十八億円で、対前年度比四三・五%増と大幅な伸びを示しております。一方、五年度の県税収見込み額は、経済状況停滞を反映し、特に法 人事業税及び自動車取得税での落ち込みが顕著に見受けられるということであります。  国が決定いたしました総合的な経済対策への取り組み状況は、公共事業等で百八十七億円、単独事業で八十九億円、債務負担行為で百三十四億円の予算措置が講じられるなど積極的に取り組んでおり、公共事業施行状況も国の上半期発注目標七五・七%に対して九一%の計画を立て、八月の概数で既に八一・四%を達成しているとのことであります。  秋田南部老人福祉総合エリアは、秋田県が高齢化社会に対応した総合的、複合的施設整備構想を具体化したもので、在宅老人介護センター、診療・リハビリセンター生きがい農園、子どもと老人のふれあいセンターなど、要援護老人に対するサービスのみならず老人の自主的な社会参加や各世代間の交流が図られるよう、人間的な触れ合いを大切にした施設となっております。  角館町は、町づくり対策事業により、歴史的景観の維持、歴史的建造物保存などに努め、武家屋敷の残る一帯は重要伝統的建造物群保存地区に指定されており、東北の小京都と呼ばれ、全国から多くの観光客を集めております。  次に、警察行政についてであります。  秋田警察は、「県民期待信頼にこたえる警察」を基本方針として暴力団壊滅交通死亡事故抑止などを強力に推進してきております。県内の刑法犯認知件数全国平均より低く、交通死亡事故は五年連続して百人を超えるなど依然として増加傾向にあります。暴力団現況は、いわゆる指定暴力団への寡占化が進行しておりますが、抗争事件沈静化傾向を見せております。  次に、岩手県についてであります。  まず、財政状況でありますが、平成四年度の普通会計決算見込み額は七千四百十一億円で、実質収支黒字で推移しております。  歳入面を見ますと、地方税の対前年度伸び率マイナス三・六%であり、歳入に占める割合も一四・六%で全国平均を大きく下回っており、地方交付税国庫支出金など国に依存する財源割合が大きくなっております。歳出面では、義務的経費割合全国平均を若干下回っております。投資的経費のうち単独事業費平成四年度決算見込み額で対前年度比三九・四%増と、積極的に取り組んでいることがうかがえます。一方、経済状況停滞を反映して五年度の県税収見込み額は、個人事業税法人事業税不動産取得税及び自動車取得税の著しい落ち込みが懸念されているところであります。  総合経済対策への取り組み状況は、本年六月末現在で総額五百五十九億円の経済対策を講じており、特に地方単独事業については、国が目安としております当年度完了分の対前年度伸び率一一・一%に対しまして、それを上回る一四・六%の伸びを示しているということであります。  岩生産業文化センターは、多様なニーズにこたえられるハードを備えた多目的催事施設で、大規模な大会、展示会、コンサートやスポーツなどに対応した催事場国際会議から学会も開催できる会議場などの諸施設が完備され、利用状況も逐次向上しつつあります。  平成元年のみどりの日に開設されました森林公園は、約六十ヘクタールという広大な面積を有し、森林浴や散策の場、バードウォッチングや自然観察の場として県民を初め周辺各県からも利用されております。  次に、警察行政についてであります。  岩手警察は、「県民安全と平穏な生活を守る警察」を基本姿勢として交通死亡事故抑止暴力団壊滅などを重点目標に積極的に取り組んできております。刑法犯犯罪率全国平均より低く、交通死亡事故は近年増加傾向にあり歯どめをかけるべく各種活動を強力に展開中であります。暴力団現況は、いわゆる指定暴力団への寡占化が進んではおりますが、数年前に比較して暴力団員数は二百名程度減少してきております。  以上で秋田県及び岩手県における調査報告を終わりますが、今回の調査に際し、秋田岩手両県知事を初め関係自治体から終始御協力をいただきましたことに対し深く感謝の意を表しますとともに、秋田岩手両県及び関係市町村から提出されました要望書につきましては、本委員会会議録末尾に掲載させていただきたいと存じますので、よろしくお取り計らいのほどをお願い申し上げます。  以上でございます。
  10. 小川仁一

    委員長小川仁一君) 以上で派遣委員報告は終了いたしました。  なお、ただいまの報告の中で要請のございました要望事項等につきましては、本日の会議録末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 小川仁一

    委員長小川仁一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  12. 小川仁一

    委員長小川仁一君) 次に、地方行財政消防行政警察行政等基本施策について、佐藤国務大臣から所信を聴取いたします。佐藤国務大臣
  13. 佐藤観樹

    国務大臣佐藤観樹君) 委員皆様方におかれましては、平素から地方行政及び警察行政推進格段の御尽力をいただき、厚く御礼を申し上げます。  この機会に所管行政の当面する諸問題につきまして所信の一端を申し上げ、皆様の深い御理解格段の御協力を賜りたいと存じます。  また、新政権がスタートして一カ月半が経過いたしましたが、この政権の最重要課題政治改革実現であり、このため今国会政治改革関連法案を提出しておりますので、よろしくお願いを申し上げます。  さて、国際的にも国内的にも大きな変革期を迎えている今日、国民生活質的向上国土の均衡ある発展実現する上で、国と地方との関係がいかにあるべきかが政治改革実現とあわせた重要な課題であると認識され、国民地方分権に対する期待も高まっております。  既に、本年六月には本委員会が先頭に立っていただき国政史上初地方分権に関する決議が議決されるなど、地方分権推進する動きも一層の高まりを見せております。  一方、地方行財政を取り巻く環境は依然として極めて厳しいものがありますが、国、地方を通ずる行政改革推進地方税財源充実確保を図っていくことにより、社会経済環境の変貌に対応した施策を積極的に展開していかなければなりません。  私は、このような認識のもとに、真の地方自治の確立のため最大限努力を払ってまいる所存であります。  以下、その概要について御説明をいたします。  まず、地方分権推進について申し上げます。  地方分権推進につきましては、国と地方役割分担を明確にし、住民生活に身近な行政地域の総合的な行政主体である地方公共団体にゆだねることを基本として、これまでも国から地方への権限移譲、国の関与の整理合理化等に努めてきているところでありますが、今後とも国会決議地方制度調査会及び臨時行政改革推進審議会答申等を踏まえ一層の推進を図ってまいります。特に「広域連合及び中核市に関する答申」につきましては、できるだけ早期の制度化に努めてまいりたいと考えております。  また、地方公共団体における行政改革につきましても、地方行革大綱に沿って自主的、計画的に推進されるよう努めてまいる所存であります。  なお、最近、一部の地方公共団体において不祥事件が発生していることはまことに遺憾にたえません。自治省といたしましては、入札契約手続改善及びその運用適正化について現在行っている建設省との協議の結果も踏まえ地方公共団体を適切に指導してまいりますとともに、地方自治に対する信頼を失わせることとならないよう、一層の綱紀の粛正、行財政運営改善を強く求めてまいりたいと存じます。  次に、国民一人一人が豊かさとゆとりを実感で きる魅力ある地域社会を築いていくためには、地域住民が誇りと愛着を持つことのできるふるさとづくりを進めていくことが不可欠であります。  みずから考えみずから行う地域づくり事業を契機として高まってきた自主的、主体的な地域づくり取り組みを促進するため、ふるさとづくり事業の拡充を初めとする関連施策をさらに充実してまいります。  また、昨年制定された地方拠点法に基づいて既に四十四地域道府県知事により地方拠点都市地域として指定されておりますが、地方自主性を尊重したこの法律趣旨を踏まえ、地域創意工夫を生かした自主的な地方単独事業について積極的に支援していくこととしております。  あわせて、高齢化国際化情報化という社会変化に対応し、高齢者保健福祉推進特別事業語学指導等を行う外国青年招致事業JET事業)、衛星通信ネットワーク積極的活用地域CATV事業の促進などの施策により地方公共団体取り組みを積極的に支援してまいりたいと存じます。  また、当面する緊急経済対策についてであります。  我が国の厳しい経済状況を踏まえ決定された今般の緊急経済対策においては、国の対策に呼応して、地方公共団体に対しても地方単独事業の追加など適切な処置を要請するとともに、教育等の出費のかさむ中堅層税負担軽減に配慮する観点から、個人住民税における特定扶養親族に係る控除額平成六年度税制改正において引き上げることとしたところであります。また、主に消防関係の規制について、安全性等十分検討の上、可能な限りその緩和を行うことといたしました。  一刻も早い景気回復のため、都道府県市町村協力も得ながら、本対策の円滑な推進に万全を期してまいる所存であります。  次に、地方財政について申し上げます。  現下の地方財政は、税収動向が一段と厳しい中で累積した多額の借入金残高を抱えており、一方で、多極分散型国土形成推進生活関連社会資本整備高齢化社会進展への対応、自主的、主体的な地域づくり推進等内政上の重要課題について、今後地方公共団体がますます大きな役割を担うことが求められております。  したがって、今後とも、地方財政健全性確保に留意しつつ、地方公共団体が当面しているさまざまな課題に適切に対応できるよう、地方税地方交付税など地方一般財源充実確保に努めてまいる所存であります。  明年度地方財政につきましては、税収動向等から大変厳しいものと見込まれますが、経済動向や国の予算編成動き等を踏まえ、地方公共団体財政運営が円滑に行えるよう所要地方財政措置を講じてまいる決意であります。  また、地方公営企業につきましては、社会経済情勢変化住民ニーズ多様化等に的確に対応しつつ、豊かな生活実現に向けて、上下水道、交通病院等生活関連社会資本整備推進を図るとともに、経営の健全化活性化を一層推進してまいります。  次に、地方税関係について申し上げます。  平成四年度の地方税収入は、昭和五十年度以来十七年ぶりに前年度決算額を下回る状況となったところであります。さらに、平成五年度につきましても極めて厳しい見通しとなっております。  税制調査会におきましても、新たな情勢変化を踏まえ、今後の望ましい税制のあり方について審議を開始したところであります。特に地方税については、地方自治観点高齢化進展等に対応し、税負担の公平と税収の安定的な確保を図り、より主体的、自主的な行財政運営を可能にするよう努めてまいらなければならないものと考えております。  なお、現在、平成六年度の固定資産税評価がえ作業中でありますが、この評価がえの趣旨とそれに基づく実際の負担について広く納税者理解が得られるよう、都道府県市町村とも連携を図りながら、引き続き広報に努めてまいります。  次に、公務員行政について申し上げます。  従前に引き続き、公務能率向上、厳正な服務規律確保、給与・定員管理適正化、正常な労使関係樹立等に努めてまいりたいと考えております。  消防行政について申し上げます。  我が国消防は、自治体消防として発足四十五周年を迎えますが、これまでに制度施策施設等の各般にわたり着実な発展を遂げてまいりました。  しかしながら、最近におきましても北海道南西沖地震や八月の豪雨災害などの災害が発生し多くのとうとい人命や財産が失われており、雲仙岳は今なお噴火を続けております。  災害に遭われた方々にお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興を心からお祈り申し上げる次第であります。  また、近年、都市化進展社会経済変化等に伴い、災害の態様も複雑多様化してきております。  私は、このような状況にかんがみ、何よりも人命の尊重を基本とし、国民生活基盤となる安全確保のため、消防力充実強化とともに、住民事業所及び消防機関が一体となった地域ぐるみ消防防災体制を確立することが重要であると考えております。  このため、施設整備や装備の高度化による消防力充実強化はもとより、地震、風水害、火山噴火災害等の大規模災害対策推進消防防災通信ネットワーク強化航空消防防災体制整備危険物施設安全確保消防団活性化自主防災体制整備を図るとともに、救急業務高度化をさらに推進してまいりたいと考えております。また、住宅防火対策災害弱者安全確保対策等推進にも努めてまいる所存であります。  次に、警察行政について申し上げます。  申すまでもなく、良好な治安確保は、国家社会発展基盤であり、平和で豊かな国民生活実現するために欠くことのできないものであります。我が国治安はこれまで国際的にも高い評価を受けてきたところでありますが、内外の諸情勢がまことに厳しい折、現在の治安水準を維持向上していくためには、今後一層の努力が必要であります。  私は、このような情勢を十分に認識し、国民皆様の御理解と御協力をいただきつつ、治安確保最大限努力をしてまいる所存であります。  初めに、犯罪情勢についてであります。  近年、犯罪はますます複雑化広域化し、都道府県の境界を越えた広域にわたる重要凶悪事件が多発しているほか、来日外国人による犯罪急増等に見られるように犯罪国際化も顕著となっております。一方、捜査を取り巻く環境は、都市化進展国民意識変化等影響によって一段と厳しくなっております。このような状況に的確に対処するため、捜査体制整備充実科学捜査力強化を図るほか、捜査活動に対する国民の御理解と御協力を得るための諸施策推進してまいりたいと考えております。  喫緊の課題である暴力団問題につきましては、昨年三月に施行され本年五月に所要の一部改正がなされた暴力団対策法効果的運用取り締まり強化暴力団排除活動推進等に努めてまいりましたところ、民事介入暴力事犯及び対立抗争事件抑止構成員組織離脱増加等の成果が見られるところであります。  しかしながら、暴力団は依然として国民日常生活経済活動に重大な脅威を与えており、また社会の一部には自己の利益のために暴力団を利用する反社会的行為が見られ、そのことが暴力団壊滅を妨げる要因ともなっている現状にあります。このため、今後とも、全国警察総力を挙げて、暴力団に対する総合対策を強力に推進するとともに、暴力団利用者対策を積極的に実施し、暴力団の根絶を期してまいる所存であります。  また、最近における不法滞在外国人増加及びこれらによる凶悪犯罪薬物事犯等の大幅な増加は、治安上看過できない問題となっております。 このため、来日外国人による犯罪捜査推進にあわせて、密航ブローカー不法就労ブローカーが介在したり、旅券等文書偽造を伴う悪質な入管法違反事犯に対する取り締まり強化することとしております。この点では、法務省等関係機関との連携に努めてまいる一方、外国人犯罪事故被害者とならないよう、防犯、保護活動にも十分配意してまいりたいと考えております。  次に、けん銃及び薬物に対する対策についてであります。  けん銃及び薬物の国内への流入は、暴力団武装化及び莫大な資金獲得を可能としているばかりではなく、その社会に与える脅威影響の大きさから、我が国治安の根幹を揺るがしかねない問題ととらえております。特に最近、暴力団員以外の者へのけん銃拡散傾向が顕著となり、また薬物問題については、コカイン、へロイン、大麻等事犯増加するなど、情勢は一段と深刻化しております。  けん銃対策につきましては、不法所持に対する大幅な罰則強化等を内容とする銃刀法の一部改正法が本年七月から施行され、また薬物対策としては、捜査手法にコントロールドデリバリーを導入するなど、それぞれ法制面での強化が図られているところであります。警察としては、これらの効果的な活用に努めるとともに、内外関係機関との連携強化し、密輸・密売組織壊滅けん銃薬物徹底押収に努めているところであります。また、薬物乱用を根絶するため、末端乱用者徹底検挙にあわせて、関係機関団体との連携により広報啓発活動乱用者社会復帰対策推進してまいる所存であります。  次に、警備情勢についてであります。  極左暴力集団いわゆる過激派は、本年前半、沖縄植樹祭皇太子殿下御婚儀及び東京サミット等に対する一連の闘争の過程で多数のテロゲリラ事件を引き起こしており、今後も成田問題、反戦及び反皇室を闘争課題に掲げて過激な闘争を展開するものと見られます。また右翼は、最近、反体制、反権力の傾向を一段と強め、テロゲリラを志向する一方、街頭宣伝活動等を手段とした不法行為を多発させております。  今後とも、国民各層の御理解と御協力を得ながら、こうしたテロゲリラなどの不法行為防圧のため、全国警察総力を挙げて諸対策推進してまいる所存であります。  次に、地域社会における安全確保についてであります。  近年、社会の急激な変化に伴い、地域社会が古くから有していた犯罪防止機能が低下し、地域安全をめぐる状況は悪化しております。  こういった中で、地域住民に最も身近なところで昼夜を分かたずその安全確保に当たる交番、駐在所を中心とした地域警察への期待は一層高まっており、市民から寄せられた要望も多様化しております。このため、交番、駐在所の事件、事故への即応体制強化するとともに、地域住民等からの各種相談に十分対応することができるよう、交番、駐在所の生活安全センターとしての機能強化を図ってまいる所存であります。  また、今後、地域住民団体等の行う自主防犯活動に対する警察の支援も強化してまいりたいと考えております。  次に、交通対策についてであります。  交通事故により年間一万一千を超えるとうとい人命が失われており、まことに憂慮にたえない状況にあるほか、交通渋滞や違法駐車、交通公害、暴走族など数多くの課題を抱えております。  このため、交通安全教育の推進交通安全施設整備、効果的な交通取り締まり、違法駐車対策などの施策を総合的に推進し、安全で円滑な道路交通確保に向け一層の努力をしてまいりたいと考えております。特に国民課題である交通死亡事故抑止を図るためには、国民交通安全意識の向上とともに、運転者一人一人の資質の向上を図ることが極めて重要であることから、教習カリキュラムの見直しなど運転者対策の充実に力を入れてまいりたいと考えております。  次に、少年非行防止対策についてであります。  我が国の将来を担う少年の健全な育成を図ることは国民すべての願いでありますが、少年非行の現状は、凶悪、粗暴な事件が後を絶たないほか、覚せい刑事犯増加するなど憂慮すべき状況にあります。また、少年を取り巻く環境についても、暴力団が少年を組織活動に利用したり少年の福祉を害する犯罪に深く関与するなど、深刻なケースが多く見られるところであります。  このため、警察では、非行実態に即した補導活動を初め、少年の福祉を害する犯罪取り締まり、少年を暴力団や有害環境から守る活動、少年相談等の諸対策を総合的に推進してまいることとしております。  以上、警察行政の当面する諸問題について申し上げましたが、社会経済情勢の急激な変化に迅速かつ的確に対処し治安の万全を期するためには、警察体制の一層の整備充実を図ることが肝要であります。  このため、今後とも、広域捜査力の充実、暴力団対策警察事象の国際化対策及び生活安全対策強化を重点として警察基盤整備を図ってまいりたいと考えております。  また、職員一人一人が誇りと使命感を持って職務に精励できるよう処遇の改善や勤務環境整備を進めるとともに、治安のプロとしての能力の向上と規律の保持に努め、国民期待信頼にこたえる警察運営に努めてまいりたいと考えております。  以上、所管行政の当面する諸問題につきまして所信の一端を申し述べましたが、委員皆様方の格別の御協力によりましてその実を上げることができますよう、一層の御指導と御鞭撻をお願い申し上げる次第でございます。
  14. 小川仁一

    委員長小川仁一君) 以上で所信の聴取は終わりました。  所信に対する質疑はこれを後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十時三十四分散会      ————◇—————