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前島英三郎君 そういう最大公約数の危険性といいますか、マイナス点といいますか、実は私は最大公約数ではなくて最小公倍数でなければならないと主張しているのでありますが、これがどんな意味であるかということは、山花大臣、おわかりになりますか、これはお答え結構です。
算数は大変苦手でありましたが、学校時代から先生に最大公約数の方が実は小さな数字で最小公倍数の方が大きな数字だから間違えるなということを何度も言われたことを覚えておるんです。最大公約数というのは、幾つかの数があった場合、そのいずれをも割り切れる数のうちで一番大きなものでありますから、みんなが割り切れるということで取りまとめる場合に都合がいいということになっているわけですね。一方、最小公倍数といいますのは、幾つかの数についてその倍数が同じになる数のうちで一番小さなものであります。
この最小公倍数の求め方ですが、最初は最大公約数の求め方と同じように一なら二、玉なら三という全部に共通の約数で割ってまいります。次はすべてに共通しなくとも、幾つかの共通する約数を探して割るわけですね。そして最後に割ってきた公約数とこれ以上割れなくなった数字。ちょうどL字形に並んでいる数字を全部掛け算して出しますね。だから最小公倍数のことをLCMと言うんだと、こういうことを習ったことを記憶しておるわけであります。
さて、なぜその最小公倍数が大切で必要なのかということでありますが、この導き出すプロセスは非常に示唆に富んでおります。この
政治改革の
審議の中でも、この最小公倍数の必要性というのを私は言いたいわけですよ。それはまず最初は最大公約数を求めるのと同じでありまして、全員に共通する部分、
会議で言えば満場一致の結論を出すことにほかなりません。次のプロセスは、全部に共通しなくとも複数に共通するものを求めますから、
会議になぞらえれば多数決でまとまる結論を見つけ出すプロセスに似ているわけですね。最後に残ったL字形の下部の横に並ぶ数というのはほかのメンバーと異なる要素、異なる因子ということになりますから、これを
会議になぞらえれば
少数派もしくは個人のニーズや
意見ということになるわけであります。
具体的に数字を例に出してみますと、四と六と八という人が
会議を開いたといたしましょう。四と六と八の最大公約数は二ですから、
全会一致の結論は二ということになりますね。悲しいかな、六が抱えている三という因子は
少数派ということで本日の
会議の結論からは切り捨てられてしまう、こういうことになるわけです。ところが、六という人は、この三こそが最大にして最も深刻な問題であるといたしましたら、何のための
会議であったかということになってしまうと思うんです。よろしいですか。
障害を持つ私の
立場で言うならば、障害を持つ人々が抱える問題の多くというのは、いわば最後に残った三という因子のようなものばかりなんです。今まで私
たちもいろいろ取り組みましたが、まさにこの三という因子なんですね。ですから、障害を持つ人々の問題というのは、
全会一致や多数決の発想ではしばしば無視されたり、あるいは軽視されたりしてきたという歴史があるわけですね。そこで、私は最大公約数ではなくて最小公倍数の原理が大切だと実は主張しているわけなんです。
単に
少数意見を尊重すべきだということばかりじゃないんですね。公倍数を求めるプロセスを見れば、ただやみくもに
少数意見を取り上げるというんではなくて、全員が一致する部分、多数が一致する部分、共通しない部分というふうにきちんと合理的に整理をいたしまして、重複や過剰がないようにいわばニーズを絞り込まれているところであります。このことは大変
政治改革の論議でも私は必要だと思っております。
これが私が申し上げる最小公倍数の原理でありますが、これはまた私の政治に臨む基本的な原理
原点でもございます。そして、近年、こうした原理に基づきまして導き出されまして、いろいろ
全会一致で実は障害者の問題というのは可決をされ、例えば障害者基本法に見られるように、
全会一致というふうな形で国会でも形になっていくというプロセスがあるわけであります。
このように、初めのうちは
少数のものであっても、やがてみんなのもの、大きな流れになるというのは政治の潮流にも言えるんですね。現に、
細川総理の日本新党というのは、参議院だけの小勢力であったんです。二年たって
政権の一翼を担う勢力に成長したんですね。当初、一見異端に見えるというのは、実は最小公倍数の三と同じなんです。三の因子と同質なんです。つまり、問題をある時点で固定してとらえるのではなく、大きな流れ、動向の中でとらえることが大切であり、制度もそうした変化に対応できるものでなければならないと私は思っておるんです。だから、
衆議院の
公職選挙法であってはならない、参議院を見渡しあるいは三千三百の市町村を見渡した、こういう
姿勢が私は
政府のこの
政治改革の
法案のポリシーの中に欲しかったということを実は申し上げたかったわけであります。
こうして考えてみますと、
少数を排除することは未来を排除することなんだということに私はなり得るのではないかという気がするんですが、大臣、この私の最小公倍数の原理についてひとつ御感想を伺っておきたい、こう思っております。