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立木洋君 その一対二未満の問題については、憲法上瑕疵があるということについて懸命に否定されましたけれ
ども、それについてはあなたの答弁では証明することができません。ですから、私は依然として一対二未満の問題については私の
指摘を変えるつもりは毛頭ありません。
同時に、もう
一つの問題、
政治、政権の選択の問題について私が言っているのは、第一義的にと言っているんです、最高権力機関を選出するのが国会の任務であると。だけれ
ども、私は政権を選択するということについて、私はそれを度外視するだとかそれを対立的に見るだとかいうふうな
考え方で申し述べているんではありません。明確にやっぱり、第一に、民意の正確な反映を求めた国会を選出し、その国会のもとで政権が選ばれる、こういう順序を申し上げているんであって、それを私は対立した形で申し上げたんではないということも明確にしておきたいと思います。
それから、この国政の問題で言っているのは、国政
選挙で特に重要なことは、御
承知のように四十三条ですかに明確にされているように、全
国民から選ばれた、つまり国の最高機関を選ぶんですから、
地方の行政機関の問題とは若干異なりがあるということも私はあえて
指摘をしておきたいと思うんです、
山花さんの言われた点に関してはですね。
ですから、この問題については、結局、小
選挙区制を土台とした
比例を加味した並立制であっても、根本的に民意をゆがめたということが根本的に是正されるものではないということを改めて
指摘をしておきたいと思うんです。
そこで、さらに問題がある点としては、時間がだんだんなくなってきますので、もっと本当は私は
審議をしたいんですが、幾つかの問題点だけを
指摘します。
死に票が大変な問題になるということは、もうこれは担当相もこれまでも繰り返し認められた内容だと思うんです。死に票が問題だということですね。それからもう
一つは、
投票率が実際にはどうなっていくんだろうかということも多くの問題があります。
つまり、有権者が正当に自分の参政権を保障するこの
投票率、この問題について言うならば、前回の
投票率は、総
選挙では過去最低の六七・三%が
投票率でした。ところが、これは立候補者がより少なくなる小
選挙区制のもとではどうなるかというと、いわゆる有権者の選択が限定されてくるわけですね。そして、そういう状態が長く続けばどうなるか。例えばアメリカでの単純な小
選挙制のもとで行われた下院
選挙、ここでは三〇%台の
投票率だという極めて低い
投票率です。これが大統領
選挙と同時に行われた下院
選挙の場合でも五〇%台という
投票率の極めて低い状態です。
こういうようなことを
考えた場合に、つまり存権者の選択肢を限定するという点から見るならば、有権者の参政権という点から見てこれまた問題があるんではないだろうかということも
指摘をせざるを得ない、死票の問題とあわせてですね。
ざらに、これまでも問題になりましたけれ
ども、例えば女性
議員の進出の問題、この問題についてはどうなんだろうか。これ、女性
議員の進出は小
選挙区制のもとでは非常に少なくなるということが世界的な統計でも示されております。これは決して偶然ではなくて、
比例代表の場合には女性の候補者が、環境問題だとかその他市民層の候補者が立候補して何人かのうちの一人として当選するだとか、
比例として
配分されて当選するということがあり得るわけですが、一人に絞られる小
選挙区ではいわゆる
地域の有力者がやはり出てくるという可能性が極めて多いわけです。
ですから、女性
議員の進出の比率を見ますと、小
選挙区制のフランスでは五・七%ですよ。オーストラリアでは六・七%、イギリスでは九・一%、アメリカでは一〇・八%、カナダでは一二・二%。ところが、
比例代表制のフィンランドでは女性
議員の進出が三八・五%です。スウェーデンが三七・八%、ノルウェーが三五・八%、デンマークでは三二・九%、オランダでは二六%。何倍という女性
議員が
比例代表制あるいは準
比例のもとでは進出ができるという状態になっているんです。
こういう問題を
考えるならば、民意を反映させるという点から言うならば、いかに
比例制を加味するといっても、並立制で民意をゆがめるという根本的なことがなくならない限り、これらの有権者の問題、
投票率の問題についても、死票の問題についても、女性の進出の問題についても、あらゆる点で得票率と議席率が大幅に異なった状態がつくり出されるという根本的な内容が改正されない限り、やはり憲法上問題があると
指摘せざるを得ないと思うんですが、これらの問題についてどのようにお
考えになっているのか、ちょっと端的に、余り長くならないようにひとつ。