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橋本敦君 私は、日本共産党を代表いたしまして、
公職選挙法及び
政治資金規正法の一部を
改正する
法律案につきまして、その趣旨並びに
提案理由について御
説明申し上げます。
佐川急便事件、金丸脱税事件に続いて公共事業にたかる底知れないゼネコン疑惑が広がる中、国民の大きな怒りが高まっておりますが、今国民の圧倒的多数が求めているのは、この間のどの世論
調査でも明らかなように
選挙制度の改変ではありません。金権腐敗
政治そのものの根絶であります。
ところが、細川
内閣は、ゼネコン疑惑の徹底解明を求める国民の声に背を向け、民意をゆがめる虚構の多数で強力な
政治を進めることをねらい、憲法の民主的原理に反する小
選挙区
比例代表並立制を強行しようとしております。さらに、
政治の構造的腐敗の根源であります企業・
団体献金を
政党などには引き続き容認した上、憲法第十九条が定める国民の思想、良心の自由を侵害し、支持しない
政党にも事実上の強制献金となる公費による
政党助成まで導入しようとしております。
我が党は、
政治と金の問題に徹底したメスを入れるとともに、金権腐敗
政治の根源である企業・
団体献金を直ちに全面的に禁止すること、
現行中
選挙区制のもとで
選挙権の平等を保障する
定数格差の抜本是正を行うことを当面の
政治改革の中心課題であると一貫して主張してまいりました。これこそ国民の求める真の
政治改革への道であると考えます。この見地に立ちまして、今回、
公職選挙法の
改正案、
政治資金規正法改正案を提案したものであります。
以下にその
内容について御
説明申し上げます。
まず、
公職選挙法の
改正案であります。
第一は、
衆議院の
議員定数格差の抜本是正を行うことであります。
言うまでもありませんが、主権在民の憲法のもとでの
選挙制度の民主的根本理念は、国民の多様な意思を
国会の議席に公正に反映することであります。これに反して、小
選挙区制が死票の山をつくり出し、第一党ないしは大
政党に
得票以上の議席を与え、民意をゆがめる重大な欠陥を持つことは総理も
審議の中で否定できなかったところであります。また、世界の流れを見ましても比例代表制が大勢となっており、小
選挙区制はこの歴史の流れに逆行するものであります。
今とるべき道は、世界の大勢に逆らう方向ではなく、比較的正確に民意を反映するために準比例代表制とも言われております
現行中
選挙区制を当面維持して、そのもとでの
定数是正によって民意の公正な反映を実現することであります。八六年の
国会決議も、
選挙権の平等の確保は
議会制民主政治の
基本だとし、二人区・六人区の解消を含めた
定数の抜本是正を速やかに行うこととしていたのであります。この抜本是正を厳正に行っておりますならば、細川
内閣が小
選挙区
比例代表並立制導入の一つの
理由としております政権交代がとっくに行われていたことも明白であります。
しかるに、
衆議院の
定数は現在も最大二・七七倍の格差があります。格差が二倍を超える
選挙区は二十九にも上っております。依然として違憲状態が続いているわけであります。これを是正し、憲法の保障する一票の価値の平等を実現することこそまさに
国会に課せられた急務であります。
そこで、本
法律案は、まず各
選挙区間の
定数格差を少なくとも一対二未満に抑えること、
選挙区
定数三ないし五人を維持すること、
国勢調査に基づく
定数是正の実施を
国会と政府に厳格に義務づけること、以上の三点を
基本原則として法に明記いたします。
その上で、九〇年
国勢調査をもとに総
定数五百十一を各
都道府県に
人口比例するよう配分し、次に各
都道府県に配分した議席数を、
現行の
選挙区割りをできる限り尊重しながら、必要な場合には合区、分区、境界変更、これらによる再編などの方法で
選挙区を再構成いたしまして、
選挙区
定数を三ないし五人とし、
現行の二人区、六人区はすべて解消しております。
この是正によりまして、
選挙区の数は
現行百二十九から百二十六となりますが、
定数格差は
現行の一対二・七七から一対一・五〇に是正されます。こうして憲法違反は解消し、公正な民意の反映が可能となるのであります。
第二は、
選挙運動の
自由化についてであります。
現行の
公職選挙法は、文書二言論活動を厳しく
制限しており、日本の民主主義のおくれを雄弁に物語っております。その上、法定ビラの頒布の抑制に加えて、
選挙運動期間の短縮、
任期満了前六カ月間のポスター掲示の禁止などの
修正まで行われましたことは、言論、表現の自由による政策中心の
選挙に逆行するものであると考えます。
本
法律案では、まず
戸別訪問禁止
規定を削除いたしまして、
選挙運動の
自由化に踏み出すことにいたしております。
第三は、供託金の引き下げであります。
我が国の供託金は世界に例のない高額なもので、これは国民の
立候補の権利を不当に
制限するものとなっております。にもかかわらず、昨年末の
改定では、
衆議院と参議院
選挙区の供託金額が二百万円から三百万円に、参議院比例区の供託金額が四百万円から六百万円に
引き上げられております。本
法律案は、地方
選挙も含めましてこれを
改定前の額に戻すものであります。
第四は、悪質な
選挙犯罪等に対する
連座制の拡充
強化と
公民権停止の
強化であります。
さきの総
選挙では
政治改革が最重要課題とされたところでございますが、残念ながら買収、利害誘導などの悪質な
選挙犯罪は依然として後を絶ちませんでした。まことに遺憾な事態であります。この際、
選挙の公正を確保するために、これらの
選挙犯罪に対しましては、当選を無効とする
連座制の
対象を
政治家の
秘書、
親族、市区町村区域の地域主宰者にも拡大をいたしまして、違反
行為者と
政治家の公民権を十
年間停止するなど厳しい
規制を行う必要があると考えます。また、
収賄罪についても十
年間の
公民権停止とします。
次は、
政治資金規正法の
改正案についてであります。
日本共産党は、金権腐敗
政治一掃のために企業・
団体献金の禁止を繰り返し強く主張し、みずからもかたく実行してまいりました。ところが、厳しい国民の批判にもかかわらず、企業も社会的存在であると称して企業・
団体献金が存続され、相次ぐ
政治腐敗を惹起してまいりました。しかし、本来浄財である国民の
政治献金は、主権者たる国民一人一人の憲法で保障された固有の権利である参政権行使の一形態にほかならず、そもそも
投票権、参政権を有しない企業に
政治献金が容認されるいわれはないのであります。
それどころか、営利を目的とする企業が、
個人をはるかに超える強大な財力で
政治的影響力を特定
政治勢力に対して行使するなら、国民の参政権の公平、平等な行使をゆがめ、
政治は大企業、財界に目を向けたものになります。しかも、企業献金そのものは本質的にわいろ性を持つため、甚だしい
政治腐敗と国民の
政治不信を生み出すことはこれまでの数々の金権腐敗事件やゼネコン疑惑でも明白であります。
そこで、本
法律案は第一に、企業、
労働組合その他の
団体は、
政党であれ
政治家
個人に対してであれ、
政治活動に関する
寄附を一切してはならないものといたします。また、何人も企業、
団体に対して
政治活動に関する
寄附を勧誘したり要求したり、これを受けてはならないものとして、企業・
団体献金を全面的に禁止いたしております。これこそ金権腐敗
政治根絶の最大のかなめ、その核心であると考えます。これに違反した者は五年以下の禁錮または百万円以下の
罰金に処するものとし、五
年間公民権を停止することといたします。
また、
政治資金パーティーの対価の支払いも
政治活動に関する
寄附とみなして企業、
労働組合その他の
団体が
政治資金パーティー券を購入することを禁止することといたしました。
第二は、
政治資金の
透明性の確保についてであります。
国民一人一人は、
政治に対する浄財として
政治活動に関する
寄附を
政党及び
政治団体に対してすることができます。しかし、
政治家
個人に対しては何人も
政治活動に関する
寄附はしてはならないことといたします。したがって、
政治家は、
政治活動に関する
寄附をこれらの
政党、
政治団体に取り次ぐ以外には
政治資金の
寄附にかかわる金銭の授受にかかわってはならないものといたしております。
なお、
政治家はみずからの
政治資金を扱う指定
政治団体を一つに限って持つことができることといたします。
政党以外の
政治団体間の
寄附は
原則として禁止をいたします。
次に、
政治活動に関する
寄附の
公開基準を引き下げ、
政党、
政治団体を問わず一律に
年間一万円を超える金額といたします。
寄附に関する量的
制限につきましては、総量
規制を強めます。そのほか、
政党、
政治資金団体以外は、一
政治団体に対しては指定
政治団体も含めましてすべて
年間百五十万円を限度といたします。これらの量的
制限違反には、三年以下の禁錮または五十万円以下の
罰金に処し、五
年間公民権を停止することができるものといたします。
また、
政治家に対しては、自己の指定
政治団体の
役職員や
構成員が
会計帳簿、収支
報告書並びに
寄附に関する
制限等の
規定に違反しないように監督する義務を課します。そして、
政治家がこの監督を怠った場合には、違反
行為者の
罰則に応じた
刑罰を科するとともに、五
年間公民権を停止することができるものとして、その責任を明確にいたします。
以上の
措置によって、
政治資金の透明度と公私の峻別が飛躍的に高まることは疑いないと考えます。
第三は、国民の激しい怒りが高まっている金丸事件やゼネコン汚職に見られるような私腹を肥やす
政治家の不正利得に対して厳しい
罰則を創設することであります。
いやしくも
政治家が
政治資金を私的に流用しまたは蓄財するような
行為は
政治に対する国民の信頼を甚だしく踏みにじるものであり、断じて許されないものであります。そのため、このような不正
行為に対しましては新たに
罰則を設けまして十年以下の懲役に処するとともに、十
年間の
公民権停止とするものでございます。
以上述べましたところが、
現行の中
選挙区制の抜本的
定数是正、企業・
団体献金の全面禁止、
連座制強化などを主な柱とする日本共産党の
公職選挙法及び
政治資金規正法改正案の
内容と
提案理由であります。
なお、我が党は、このほか大企業の莫大な
使途不明金に対する厳しい
規制を目的といたしまして法人税法
改正案を別途提案いたしておりますが、日本共産党のこれらの三つの
改正案によってこそ、金権腐敗
政治を一掃し、憲法と民主主義の根本理念を守り、民意を公正に
政治に反映することができるものと確信いたします。これはまさに今国民が切実に求めている真の
政治改革の原点であります。
何とぞ慎重に御
審議の上、御賛同賜りますようお願いいたしまして、
説明を終わります。