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1993-12-07 第128回国会 参議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十二月七日(火曜日)    午前十時二分開会     ―――――――――――――    委員異動  十一月九日     辞任         補欠選任      西野 康雄君     村田 誠醇君  十一月十一日     辞任         補欠選任      横尾 和伸君     及川 順郎君  十一月十二日     辞任         補欠選任      及川 順郎君     横尾 和伸君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         中曽根弘文君     理 事                 沓掛 哲男君                 真島 一男君                 谷畑  孝君                 井上  計君     委 員                 倉田 寛之君                 斎藤 文夫君                 下条進一郎君                 野間  赳君                 吉村剛太郎君                 一井 淳治君                 峰崎 直樹君                 村田 誠醇君                 藁科 滿治君                 山下 栄一君                 横尾 和伸君                 小島 慶三君                 古川太三郎君                 市川 正一君    政府委員        通商産業大臣官  江崎  格君        房総務審議官    事務局側        常任委員会専門  小野 博行君        員    参考人        主席経営指導員  荒木  明君        主席経営指導員  小泉 利明君        有限会社石三織  石川 三三君        布代表取締役        佛株式会社日章製 高田 料成君        作所代表取締役        相模通信工業株        式会社代表取締  半田 洋之君        役社長     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (中小企業経営に関する件)     ―――――――――――――
  2. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月九日、西野康雄君が委員辞任され、その補欠として村田誠醇君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査のため、本日、主席経営指導員荒木明君、主席経営指導員小泉利明君、有限会社石三織布代表取締役石川三三君、株式会社日章製作所代表取締役高田料成君及び相模通信工業株式会社代表取締役社長半田洋之君を参考人として出席を求め、その意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、参考人からの御意見を聴取いたします。  本日は、お手元に配付の資料のとおり、五人の方々から御意見を賜りたいと存じます。まず、午前は主席経営指導員荒木明君及び主席経営指導員小泉利明君に御出席いただいております。  この際、参考人方々御礼を申し上げたいと思います。  本日は、御多忙中のところ貴重な時間をお割きいただき、本委員会に御出席をいただきましてここに御意見を聴取することができますことについて、委員会を代表いたしまして厚く感謝を申し上げます。皆様からの忌憚のない御意見を拝聴いたしまして、今後の国政審議参考といたしたいと思いますのでよろしくお願いを申し上げます。  次に、議事の進め方でございますが、まず荒木参考人小泉参考人の順でそれぞれ二十分程度御意見をお述べいただき、その後一時間二十分ほど委員質疑にお答えいただくということでお願いいたしたいと存じます。  本日は、あらかじめ質疑者を定めないで委員には自由に御質疑をいただきたいと思います。質疑希望される方は挙手を願い、私の指名を待って質疑を行っていただきたいと存じます。なお、意見の陳述、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、これより荒木参考人に御意見をお述べいただきたいと思います。荒木参考人
  6. 荒木明

    参考人荒木明君) ただいま参考人として御紹介いただきました長崎愛野商工会荒木明と申します。ひとつよろしくお願いを申し上げます。  商工会という立場において小規模事業者指導する立場で私三十年間指導してまいりましたけれども、まず最初に参議院の皆様に対して今までの御礼を申し上げたいと思います。  中小企業施策に対して私たちは努力を繰り返してまいりました。しかしながら、我々が期待するほどの効果を上げたかといいますと、私はいまだに疑問を抱いております。しかし、各国の状況等を判断してみますときに、我々に対する中小企業施策そのものは、私は世界一だなというふうに感じております。まず第一にマル経資金、それから国金等の貸し付け、小規模に対する施策そのもの世界に類を見ないようなすばらしい施策であるというふうに私は誇らしく思っております。  近代化の推進によって日本経済大国として成長してまいりましたけれども、国際的な大きな流れというものが、実際上は中小企業の苦しい立場がたび重なってどんどん強くなっております。現在、下請企業等についても大きな犠牲が出ようとしていることはもう御承知のとおりであります。だから、この円高という言葉で片づけてしまう前に、構造的な大きな欠陥があるだろうと私は思います。  九州のしかも長崎という端っこの小さな町で生活をしますときに、構造的な一つ欠陥ということよりも大きな時代流れといいましょうか、それに対応し得るスピードが我々には足りない現状であろうと思います。しかし、国策によって商工会という立場指導していただき、しかも経営指導員全国に配置してそれを指導するように使命を受けながらやっておりますけれども、その効果というものを考えてみますときに、小規模事業者は、指導を受けるチャンスをいただきながら、資本的なこと、技術的なこと、また不利な地域的な問題、そういうものを解決できずに、流通業界でも大型店進出などで今崩壊寸前だと言っていいほどの打撃を受けております。私たち経営指導員として一番感じる点は、もう少し日本全土に対して一つ施策がないのかなと。  我々に対する施策は十分だ、それは思いますけれども、街角の小さな商店が値段も高く、しかも汚くサービスも悪い、一般ではそういうふうに言われます。しかし現在、高齢化社会の中で子どもたち、若い人たちスーパーまで買物に行きますけれども、年とった人たちは近所で買物する、そういうことが日常生活になっております。しかも、その途中の買物に行く交通の安全、そういうことも考えてみますときに、私たち指導しております小さな商店は大きな社会的貢献をやっているんだなと私はつくづく感じる場合が多いんです。ただ単なる商工業の営みということではなくて、年とった人たちの交通安全、並びに日常生活それから日常会話の中に憩いを与えておる、こういう社会というものを私たちは守り通していくべきだというふうに痛切に感じております。  現在、大企業発展そのもの生活レベルを上げていることは事実です。皆さん生活レベル自体も上がったことも私たち認めざるを得ませんけれども、その陰でどんどん消滅していく小さな商店というものを何とかして残すべきではないかな。私はきょうこういう機会をいただいたことに対して感謝申し上げるとともに、その実情を訴えて新しい本当救い法治国家としての責任を守り通していただきたいなというふうに考えている次第です。  いわゆる経済というものは、おこがましい言い方をしますと低さところに流れる水のようですけれども、所構わずどんどん流れていきます。いわゆる人間の欲望というものが限りなく続く以上は、本当法治国家とするためには、先生方お力がその修正をなし、そして長期的な発展策を見出していただくことが私たち地方の、しかも小規模事業者救いになるだろう。私は経営指導員を務めながら、いつもそういうことを考えながら先生方活動を期待して見守っております。  いわゆる規制緩和とよく言われますけれども規制緩和ということではすべてがいいような印象を受けます。しかし、これは皆さんが言っていることとちょっと食い違いますけれども、今までのやり方をもう少し是正して、規制するべくしてするものと、いわゆる規制緩和するものと二つ振り分けていただきたい。そして、経済があくまでも滞りなく発展することも結構でしょうけれども、その中に犠牲をずっとばらんでおる。そこで沈み行く人たちもいるということを十分見詰めていただいて、ここでストップするような、攻める勇気だけじゃなくて引く勇気ととどめる勇気先生方お願いをしたいなというふうに思っています。  本当日本経済は今大転換期に入ろうとしておりますけれども、この大転換期に入る大きく見える経済的な中身よりも、今まで細々と生きてきた商工業者、それから地方人たち、その人たち本当に消滅していくのか、それをそのまま許していいのか。私は地方に住みながらいつも、法治国家である日本世界に先駆けてそういう救いの手を伸べてこそ初めて政治のありがたみを感じるんであろうというふうに感じます。地域の安定的な発展といいますかそういうものをぜひ先生方お力お願いをしたいというふうに考えております。  現在、毎日のマスコミとか経済学者意見では不況という言葉をよく使います。事実、不況ということは私も知っています。しかし、不況というムードに酔う一般大衆がいっぱいいるんです。なぜそれを不況というあら探しだけで事を解決しようとするのか。これをこういうふうにしたら解決するよとよく先生方経済学者たちもおっしゃいますけれども人間というものは、あるときにはやわらかくあるときにはかたく、そういう言葉そのものでも思いやりのある言い方をしておれば決して不安ムードというものをつくり上げることはないと思います。我々が今まで耐乏してきた、国民もそうですし、それから国もそうです。今転換期だ、耐乏すべきだと皆さんよくおっしゃっていますから、先生方お力でぜひ実行する、言うだけじゃない、実行するというスタートをあしたからでも切っていただきたい。  私の町のスーパーあたりは、小さなスーパーですけれども大型店進出によってダメージを受けています。そして現在、不況というムードの中で昨年よりも二〇%から二五%の売り上げダウンをいたしております。しかし、現実に今の不況だけの問題でしょうか。構造的な大型店進出というだけではなくて、いわゆる車社会の中でどんどん流出するものに対応できずにいる現在の商工業者の姿を、私は、その人たちに頑張ってもう一回すばらしい店をつくり上げろと言うことよりも、逆に後継者をこういう不幸な目に遭わせるなよ、本当に寂しい言葉ですけれども、そう言わざるを得ない場合が多いのです。だから私は、そういう人たちに対して、子供でも一つの夢を抱けるような、豊かなそうした暮らしやすい社会というものに対して対応できるような、商工業者商工業者だけで生き延びるというそういうものじゃなくて、もう少し視野を広げて生活するようにという、経営指導員にあるまじき指導もやる場合があります。実に残念な思いがしております。  そして、長崎の場合に、下請企業が、現在ある大きな企業からのコストダウンを要求され、トータルダウン三〇%ということで四苦八苦している現状があります。しかし、その大きな企業要求にまだ耐え得る下請企業は結構です。残念ながら中小造船を取り扱う業者あたりは、いわゆる漁業不振ということ、生鮮魚外国からどんどん入ってきますために漁業も思うようにならず、しかも船の余ったものを外国に売る、その安い船がまた魚をとって日本に持ち込むというような繰り返しをしている状況に今あります。  今、そういう人たちに立ち直りがきくんですかという言い方をしますと、全く自信がありませんという言葉を聞くたびに、本当経済大国日本としてこういう悲運があっていいんだろうかな。こういう惨めな姿を先生方によく理解していただいて、そして救い得る者を救って、そしてむだなものを省いていただく。補助制度の問題にしても、今まで実績があるから次ももらうんだというようなやり方ではなくて、今から必要なものに補助でも出していただくというような形をとっていただければ、私は今の不況対策ということよりも、長期的な対策についての解決法が見出せるんではないかなというふうに思っております。  過疎地区で、しかも農村地域で農業も悪いという時代に、商工業が生き延びる道があるだろうかとよく声が出されます。正直言って私は、多分だめになるでしょうね、こう言わざるを得ません。残念ですけれども、いわゆる経営指導員として私たちが派遣された以上は、商工業を伸ばすのが使命だと思いますけれども、私たちは、住みやすい町づくりというそういう大きな希望がないと、安い月給で身分もなく活躍する目当てを失ってしまいます。  現在私がやっております指導の中に、明るくしかも先の希望を持ち得る生活を教えるならば、今の耐乏、今耐え得るということを私は自信を持って勧めることができる、そのためにすばらしい国策が今なされようとしているということを皆さんに伝えております。  おこがましいことを言いましたけれども、ただ、現状において下請企業なり小売商業等本当に難しい時期に入ったなと。そして、商店がなくなったときに、本当年寄りたち生活というものが安定するだろうか。それを変える施策を、いわゆる地方に公民館が配置されたごとく、今そういう店に対する支援法というものがありますけれども、もう少しそれを守り通すやり方を考えたい、お願いをしたいなというふうに思っております。  一応最初意見として、不況対策の問題に当たりますかどうかわかりませんけれども、私の発言を終わります。
  7. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) ありがとうございました。  次に、小泉参考人お願いいたします。小泉参考人
  8. 小泉利明

    参考人小泉利明君) ただいま御紹介にあずかりました小泉利明でございます。  本日は、こういう商工委員会の席で、私ども現場に働きます経営指導員の一人としてお招きをいただきまして、現場意見を申し述べることができますことをまずもって厚く御礼を申し上げたいと存じます。  現在の私たちが置かれております指導員活動の中で今一番のテーマは、やはり不況の問題でございます。私は東京という都市の中にあります足立区という一つの小さな地域の問題を取り上げながら、先生方にぜひとも御賢察賜ればありがたい幾つかの点を具体的に申し述べさせていただければというふうに存じております。  まずもって、私個人の自己紹介からお話を申し上げないとならないかと思います。お手元に簡単な資料をつくってまいりました。ごらんをいただきながらお聞きをいただきたいと存じます。  私は、昭和三十六年に東京学芸大学を出まして、御案内のとおり、東京学芸大学師範学校を母体にしてできた学校でございますので、教員の養成を目的としてつくられているところでございます。卒業いたしまして、立川中学という中学校に奉職をいたしました。三年ほど勤めた後、家業自動車関連仕事をしておりましたので、家業につきまして約七年働いてまいりました。私どもの行っております仕事がどうしても時流と合わなくなってまいったものですから、職を離れまして商工会議所に入った次第でございます。  商工会議所に入りました後、江東支部、江戸川、世田谷そして品川、また丸の内にあります私どもの本部というところに勤務をいたしまして、約四年前、現在勤務しております足立支部の方に事務局長という職名で勤務をいたしている次第でございます。事務局長という名前はありますけれども東京商工会議所の出先の事務局を預かるという事柄だけでございまして、区内の各事業者さんとはほぼ毎日のように面談をしながらそれぞれの問題を話し合っている次第でございます。それらをきょうはもとにいたしまして先生方にひとつお話をさせていただきたい、かように考えている次第でございます。  足立区というところ、あるいは御案内ではないのかな、こう思いながら資料にあります概況を記してみた次第でございます。場所的なものは一番最後のところのとじ込みに簡単な東京都の地図、特に二十三区の地図をコピーさせていただいております。ごらんいただければと思います。  足立区というところは、東京の北の外れにございます。隣は細い川を隔てまして埼玉県の草加、川口市と接するところでございます。二十三区でございますと、隣には葛飾区あるいは荒川区あるいは北区という工業地を隣接している区でもございます。古く日光街道千住宿場というところがございました。実はそこを中心にしていろいろな産業発展してきた区でもございます。かって江戸時代荒川の洪水が非常に頻繁に起きまして、その影響を憂慮した上で解消すべく河川の改修工事を行ってまいりました。明治の末から昭和の初めにかけて行われまして、つい先日までは荒川放水路という名前で呼んでおりました、現在の荒川という川ができ上がってきたわけでございます。ところが、荒川ができ上がりましたために足立区というところは東西二つに大きく分断された形で区の実態があるわけでございます。  明治三十五年に皮革関係でございますが、日本製靴という靴のメーカーさんが進出をいたしました。それ以来、皮革関係する事業者がふえてまいりました。明治四十年には日本皮革さんが大きな工場を建てられております。その後、第二次世界大戦に入ります日中戦争あたりからでございますが、大手企業さんが工場進出してまいっております。もともと農村地帯でございましたので、土地はかなり広くございましたので進出をされたやに伺っております。あわせましてそれに伴う下請業者が数多くできたのでございます。したがって、現在でも区内事業所統計等を見てまいりますと、金属関係事業所がやはり一番多く所在しているというふうに考えることができるわけでございます。  お手元資料にございますように、皮革につきましてはまだまだ手作業の段階が非常に多くございます。水運がありましたので、群馬県等から木材をこちらに持ってまいりまして、家具メーカーも数多く過去においてはございました。これも時流に乗りまして、それらがさらに埼玉草加、越谷、春日部の方に移っていっておりますので、現在では家具メーカーさんは非常に少のうなっております。  また、先ほど足立区というのは昔の千住宿場中心にして開けた町だと申し上げましたけれども千住という場所を中心にいたしまして商業発展してまいっております。したがいまして、商業集積度の一番高いのは今北千住という名前で呼ばれております地域でございます。昭和三十年代ごろになりましてから、ぼつぼつ住宅もふえ、あるいは北部にあります農地を活用しながら小さな企業中心部から独立しつつでき上がってきたのが現在の足立区の姿でございます。  二枚目のところに数字的なものを書き添えさせていただいております。  足立区は面積においては都内で三番目の広さを有しております。住民の数は約六十四万、こう申し上げておりますが、六十四万という人口は、一つ行政単位でいきますと、全国を見ましても十六番目ぐらいに相当する大きな地域だということになろうかと思います。ちなみに、都内で一番大きいのは世田谷の八十万余というふうに聞いております。  人口構成は、新しい地域の性格も多少あるわけでございますが、生産人口がやはり非常に多くまた所在をしております。人口の推移を見ていただきますとわかるように、都内の二十三区は大体人口減でございますが、足立区に限りましては人口が多少なりとも増加している地域でございます。加えて、まだまだ農地が約一・八平方キロメートルございますので、この地域が将来ともに住宅が増加していく地域ではないかというふうに考えております。したがいまして、人口も将来百万の人口を擁する特別区ではないかな、こんなふうに見ております。  三枚目の産業を見ていただきますと、産業がどのような構成になっているかということを数字的に見させていただいております。事業所数で約三万四千の事業所を擁しております。その中でも比較的多いのが製造業の八千でございまして、これは都二十三区内におきましても二番目、三番目に値する数字がと思います。ただ、その八千の事業所の中で大手企業はほとんどございません。九五%から九八%が中小企業でございますし、その右側に小規模事業所と書いておりますのは、私ども経営指導員が主体的にお訪ねし、指導申し上げる企業規模でございますので、そのように数字をごらんいただければありがたいというふうに思います。  製造業者の中で多いのが金属メッキ加工業者でございます。その二番目になめし革・毛皮等製造業者がございます。その他機械器具衣料品、プラスチック、お手元にあるような数字でございます。  規模的には、その下にありますように一人から四人の規模が一番多うございまして、そして三十人未満という企業規模がここでおわかりいただけると思いますが九六%を超える数字になっていると思います。なお、商業、卸、飲食関係につきましては、お手元にあります数字のようになっている次第でございます。  さて、きょうお招きをいただきまして御発言をという御要請がございましたのは不況との関係であろうかと存じます。次のページに私の見ている、あるいは感じている事柄をちょっとつづってみた次第でございます。  まず統計数値から見ましたのは、これはそのような区内実態でございます。二番目というところに、数少ない人口増加地域あるいは下請企業が非常に多い地域、あるいは大規模工場の移転によってあるいは農地の転用によって住宅地化し始めている地域、あるいはもう御案内かと思いますが、常磐新線舎人新線という新しい鉄道を敷設している動きのある地域、こういうことを頭に置きましてこれから不況の問題を述べさせていただきたいと存じます。  次のページに、「現場に見られる不況影響」という形でメモをさせていただきました。足立区内大型店におきまして、大型店と申し上げましても大規模小売店舗法に基づく第一種小売店舗六千平米を超えます小売店舗は一店舗しかございません。改正前の三千平米を超えます店舗につきましては四店ほどの大型店でございます。これらの大型店等の様子を伺いますと、約五%から七%と言われておりますが、特にここに来まして冷夏の影響があったかとも思いますが、いずれにしても購買意欲が非常に減退をしている現状からして、衣料関係は一〇%を超える売り上げダウンというのが伺っているところでございます。ただ、救い食料品につきまして多少いいのかな、こう言われております。  小規模小売業者につきましては、先ほど北千住一帯が一番商業集積の密度の高いところと申し上げましたけれども、そこの町でいろいろ聞いてみますと、やはり二〇%ぐらいの売り上げダウンを来しているというふうに聞いておりますし、あわせましてお店を維持していくのが大変だよというのが町で言う会話でございます。  しかし、一つ問題がございます。お店をやめましても、次に入ってきていただくテナントさんがいればいいのですが、こういう状況下でございますから、テナントさんに入っていただくこともままならずというのが実情でございます。したがいまして、町には空き店舗が出始めております。商業地集積の高い北千住でさえ空き店舗が出始めておりますので、その周辺にあります自然発生的にでき上がっている商店街等につきましては、それは想像を絶するものがあるのでございます。  この問題を解決するために足立区では、実は商業集積法を先生方の御努力でつくっていただきまして、それを実施に生かすべく第三セクターを区としてつくりました。十億という資本金で第三セクターをつくりました。この第三セクターは足立区内における資本金で見ますと五番目の規模の会社でございます。その第三セクターをつくりまして、現在活動をしているところでございます。  また、今後さらに土地利用が、先ほど申し上げましたように、農地、その他大規模工場移転の跡地等がありますので、こういうところを利用して大型店の出店が予想されておりますし、二十三区内でも出店希望が出ているのが一番多い地域というふうに聞いているわけでございます。これらの影響小売業者は今後どのように受けていくのかという問題を考えてまいらなければならないのが現状でございます。  製造業につきましてちょっと触れてみたいと思います。製造業につきましては、約四〇%の売り上げ減というのが皆様方の話の中で出てくる通説でございます。四〇%減りますと、もう工場がやっていけないのが実情でございます。少なくても二〇%あるいは三〇%は数えるのに大変でございまして、決算書等を見せていただきますと、これでよくやってるなというのが現在の実情でございます。特に、自動車あるいは家電製品の部品を扱っている事業者さんにつきましては、もう既に新聞等で私どもも承知しておりますように不況の風が一番当たっているところでございますから、その影響は非常に多くなっているのでございます。  それから、製造業者の中で特に特徴的になっておりますのは、格差が広がっているところでございます。いいところ、特に技術力のすぐれているところ、安定した顧客を確保しているところに対して、そうでない企業さんとの格差が広がりつつございます。それが私ども指導員にとって一番心配をしているところでございます。  また、仕事量の確保が非常に難しくなっております。業者間でかなりやりとりをしております。私どもが実訪と申しまして各企業さんに伺っている間にも、同業と申しましょうか、同じような技術力を持っているところからの仕事を探す電話がひっきりなしに入ってまいります。いわゆる同業者間の仕事のやりくりを一生懸命して、何とか生き延びてきているというのが実情かと思います。  先ほど、地場産業皮革があると申し上げました。皮革方々に聞きますと、実は製造業者がダンピングをしても今売っているんだよという靴屋さんのお話ですが、製造業者がダンピングでございます。もともと卸業者が売れ残った物を下げて売るというのは過去においていつでもあるんですが、製造業者がつくった物をダンピングして売っている。どういうことかと申しますと、従業員がおりますのでつくらなければいけない。でなければ遊ばさざるを得ない。遊ばせるわけにいきませんのでつくりますが、卸業者に売れない。流通に回せないということになるために、メーカーさんそのものがダンピングをし、販路を求めているというのが靴業界の現状というふうに伺ってまいりました。  建設業について時間もありませんのでかいつまんで申し上げさせていただきますが、区内の建設業を見ますと、建設業もちょうど二極分化が起き始めております。  一つは何かと言いますと、区内で中堅よりもちょっといいかなという企業さんにつきましては、先生方の御努力によりまして公共投資等の恩恵に浴している業者がおりますが、民間の住宅あるいは民間の建物を建設することに頼っております小さな工務店等におきましては、もう民間の受注が非常に少のうなっておりますので現在倒産が出始めておるのが実情でございます。区内の倒産の業種別統計を見ますと、三番目が建設業者というのが実情でございます。  二極分化と申し上げましたのは、逆に一人親方でやっていますところは、補修工事等の一部受注で何とか賄っているというのが実情と伺っております。  運送業者に当たって聞いてみますと、運送業者も平成四年度において約九〇%に減りました、一〇%減でございます。そしてさらに、今年度は平成四年度比で八五%に減っておりますので、平成三年度と比べますと七七%に売り上げが減少しております。荷物を運ぶのにも、二回三回と運んだものが今は一回しか運ぶ量がないよというのが実情と聞いてまいっております。  あるいはその他の業種さまざまございますが、これらの業種等を踏まえながら、お手元にあります最後のページでございますが、幾つかの問題を提示させていただいた次第でございます。  いずれの業種にいたしましても、現在仕事量の減少、売り上げの減少が顕著でございます。ただ売り上げが減りましたから、中小企業の場合にそれに応じて経費の削減ができるかというと必ずしもそうはまいりません。経費は依然多うございます。そういうところが経営の非常に悪くなっている一つの原因になっているんではないかなと思いますが、経費を詰めるというのにはもう一つの限界がございまして、あとは人員を削減すること以外にありません。しかし、中小企業で人員を削減というのは企業の存立を危うくするということにつながるわけでございます。それから、先ほど申し上げましたように、商店街は店じまいという看板が目につくようになっております。これをどうしていくのか考えないといけないところだなというふうに思います。  先生方にぜひきょうはお願いをしてまいりたいのは、こういう実情の中にございます町の中小業者をひとつ御検討賜りまして有効な政策がおとりいただければありがたいと思います。  おしまいに私個人でございますが、過去の指導の中で、またこういう機会であるからこそ実施をしていただけないだろうかということが一つだけございます。また、新聞等によりますと政府が検討に入ったというふうにも聞いているわけでございますが、ぜひ商工委員会先生方に御理解をいただきたいことがございます。  それは何かと申しますと、先ほど申し上げましたように、実は商業では大型店進出が非常に激しくなっております。また、規制緩和という中で大型店進出がより容易に出ると思います。大型店と申しましても過去におけるスーパーのようなものではございません。最近は一つの業種における大型店でございます。例えば洋服がそうでございます。靴もさようでございます。その他もろもろの業種において一つの商品における大型店でございますので、その影響は今後はかり知れないものが出てくるであろうというふうに思います。  スーパー等ももちろんでございますが、こういう大型店進出によりまして中小小売業者の立地条件が変わってまいります。商工業者が今まではただ自分のところの町をどうするか、あるいは店をどうするかとしか考えておりませんでした。これからはやる気のある店舗がそういう立地条件に合わせて容易に移動できる方策はとれないものだろうかということでございます。  製造業におきましても、区内東京都内には住宅地における製造業者が数多くあることは御案内と思います。なぜならばと申しますと、製造をしているところに用途地域の指定がおりておりますので、過去に製造業をしているところの方々には住宅地であっても製造業を認めていたわけでございますが、もう三十年、四十年たちますと工場が老朽化してまいります。建てかえはできない、新規の機械がなかなか入らないというのが現状でございます。これらを考えましたときに、ぜひそういう企業の移転を容易にする方策を先生方に御検討賜れればありがたい。  例えて申しますと、固定資産の買いかえの特例等ございます。償却資産の特例は、現状の租税特別措置法だったと存じますができるやに聞いておりますが、土地を含めたいわゆる減価償却資産以外の資産をも含めてそういう特例措置がとれないものだろうか。それによって、場合によっては後継者商店においては違った見込みのある土地で営業に励むこともできると思います。あるいは、製造業者近代化をしていく方策がとれるんではないのかな、かように存じております。  雑駁な御説明で申しわけありませんが、また御質疑等の中で意の尽くせないところは御説明をさせていただくことで、私の発言を終わらせていただきます。ありがとうございます。
  9. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) ありがとうございました。  以上で参考人方々からの御意見の聴取を終わります。  これより質疑を行います。  先ほど申し上げましたように、本日は自由質疑形式で質疑応答を行っていきたいと思います。委員の方、参考人の方ともに御発言は着席のままで結構でございますが、御質疑の際は会派名と氏名、答弁を求める参考人を冒頭でお述べください。また時間が限られておりますので、御質疑は簡潔にまとめていただきたいと思います。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
  10. 谷畑孝

    ○谷畑孝君 社会党の谷畑でございます。  きょうは荒木並びに小泉参考人日本を支えてきた中小企業経営指導員として現場本当に苦労なさって、御苦労さんでございます。また未曾有の不況という中で、本当に常に大変な御苦労なさっておるということに対しまして、心より敬意を表したいところでございます。  それで、両参考人に幾つか質問したいと思います。  一つは、この不況はやはり循環型じゃなくて、いわゆる金融システムも大きなバブルの中で民間の銀行自身が大きな不良債権を抱えておる、そういうことで不況の出口を非常に見えにくくしてしまっている。そういう状況の中で、とりわけ公的資金の出動というのが非常に大事な時期になっておる、こう思うんです。  皆様方におきましては現場指導しておられて、特にこういう金融緊急支援の、制度的金融についての指導というのは非常に大きなウエートがあるだろうと思うんです。とりわけこの点について現場におられて、例えばこの件については審査が長過ぎてなかなか結論がつかないとか、あるいは却下するに当たっても通知一本でなかなか中身の経過がわからないとか、さまざまのトラブルがあったりする状況があろうと思います。そういう点で少し何か参考になることがございましたら、もう少しこの点はこういうように改善したらどうだということがあればひとつ教えていただきたいと思います。  二つ目は、産業全体の問題の中で中小企業があるし町があるということであろうかと思います。そういう意味では、商工会議所も地元の自治体とのつながりだとか、あるいは国の政策とのかかわりだとか、非常に絡んだ問題があろうかと思います。そういう中で、過日小規模事業者支援法ということで、商工会議所が多少事業が展開できるということになったわけであります。そこらの点でプラス面、マイナス面といいましょうか、あるいはそれが大いに生かし切れておるものかどうか、今後の問題になろうかと思いますが、そのあたりをお聞きをしておきます。よろしくお願いします。
  11. 荒木明

    参考人荒木明君) 金融の問題で御質問がありましたけれども、確かに金融問題では私たちが聞いて困ったなと思う問題もあります。それはどういうことかといいますと、今までの銀行での担保設定が、例えば金額的には不適当かもしれませんけれども二千万なら二千万だと判定していたのが、いや、今事実上一千万にしか判定できないと。だから、今までの貸出枠に対してそれ以上の貸し出しはできないということが今多くなっていることは事実なんです。だから、出し渋っているということよりも担保力不足が、いわゆるバブルという言葉で当てはまるかどうか知りませんけれども、評価額は高くしてくれたという過去の実績からした場合に今は低く見積もっておる、そういう問題があります。  しかし、私たち中心としております制度資金とか国金、中小公庫の資金等については、国策と考えて私たちは言っておりますけれども、案外有利に貸し付けてもらっています。冒頭に申し上げたとおり、今の中小企業支援策において、そういう点では私たちは十分満足しておるというふうに言っていいと思います。  それから第二番目の問題ですけれども商工会という活動の中に、現場の人といろんな活動をやるわけですけれども、今度支援法ということで私たちに何かお仕事しなさい、いわゆるハードの仕事もやってもいいですよというようなことでいわゆる門戸を開いたと考えてよろしいと思います。  しかし、これで地方に対する恩典も生まれるかもしれないけれども、やらないところとやるところとの格差が生じていくだろう。今度はやり得る指導員指導員と言っていいのかどうかわかりません、そこの地域商工業者たちがやる気があったら支援法という形で何らかの解決の道が開ける、そういうふうに解釈しています。しかしながら、一般的にやる気のないところ、これは自然消滅的な形をとっていくのではなかろうかという事実上の不安があります。  それからもう一つ言えることは、私が経営指導員をしていて指導する対象が商工会の会員さんであるならば、商工会の管理下にあるために自己能力を発揮できずにいる指導員もいるということを知っていただきたい。ということは、自分が管理されて、そこの欠点を暴き立てて指導なんかできませんよ。だから、今まで私はいろんなトラブルを起こしながら、役員、会長あたりに本当にもう大げんかをしながらやってきました。それを乗り越えた人はいいんです。しかし、乗り越えない人たちがいっぱいいるんじゃなかろうか。  だから、本当経営指導員という能力をフルに発揮していただくならば、そういうチャンスをいただくならば、私は制度をもう一回検討していただきたいなというふうに思っています。この場でこういう大きな問題を取り上げることが正しいかどうかは知りませんけれども、私が三十年間で感じた一番の結論です。しかし、聞いてさえくれたら指導員は能力を発揮して商工業者本当に、土地を愛しそういう人たちに情熱でぶつかっていますので、解決の道は開けると私は自信持っています。
  12. 小泉利明

    参考人小泉利明君) お答えを申し上げたいと存じます。  まず第一点の金融上の問題でございますが、私ども指導員には一つの非常な大きな強い味方を持っております。小企業経営改善資金という制度でございます。完全な無担保、無保証でお貸しができる制度というふうになっております。この不況期に緊急融資としてプラス百万円という形で、五百万プラス百万でございますから、合計六百万円の枠の中で運用していく形をとらせていただいてますが、現場意見としては、できるならばこれが時限的に限られておりますので、やはりまだまだこういう景気の中で取り上げていくとするならば延長していただければありがたいな、かように思っております。  第二点目には、私どもマル経と呼んでおりますのでお許しをいただきますが、このマル経資金の取り扱いのときにちょっと困った問題が一つ起きております。何かといいますと、商法改正によって株式会社、有限会社の規模が大きくなりました。したがいまして、過去における小企業のとらえ方がいいんだろうか。例えば対象企業規模が現在は大きな枠で考えますと、製造業が役員、アルバイト、パートを除きまして二十人以下、商業、サービス業で五人以下ということでございます。例えて申しますと、実は私が最近の案件で困っておりますのが、自動車整備という業種がございますが、自動車整備がなぜ五人以下でできるのだろうか。今はもうちょっと人数がふえないと整備業そのものも成り立たないよという時代に入っておりますので、そういう意味で業種とそれから人数の枠の問題をやはり一度検討していただければありがたいな、こんなふうに思っているところでございます。  私の立場では、そのマル経資金、国の制度のほかに民間の金融機関とのやりとりもございますので、国の制度あるいは地方公共団体の制度に乗らないものを民間の金融機関で救えないかという話もするときがございますが、先ほど荒木参考人の御発言にもありましたように、バブル時代に担保をとっております関係で、評価が異常に高くなっております。したがいまして、現在新たに借り入れを起こそうとしても担保余力が不足をして借り出しができないというのが実態でございます。私どもの六百万円は無担保、無保証でございますが、国の制度におきましても、それ以外の制度は保証人あるいは担保という問題が出てまいります。担保余力という点で非常に今問題を起こしているのが実情でございます。  原因はさまざまであろうと思います。昨日、伺いました方に聞きますと、バブルの時代に金融機関からの勧めで買った土地が売れなくなってしまって手持ちしているけれども、その担保余力は買った当時よりも半減しているよということを言っておりますので、そういう問題をやはり考えていかなければいけないのではないかな、かように思っております。  また二番目の質問で、自治体との関係というお話がございました。先ほど申し上げましたように、足立区におきましては、これは例外的につくったものでございますが、第三セクターをつくって、私ども指導員の支援だけでは不十分でありますものですから、地方の行政体と一体になった支援事業を進めようという趣旨で、実は商業集積法をもとにしてはいるのですけれども、来年度から工業にも手を伸ばしながら産業全般の育成にかかわろうということで第三セクターをつくらせていただきました。商工会議所もわずかではございますが出資をいたしまして、その会社を中心にして地域産業の育成をハード、ソフト面にわたって努力していこう、こういうことをしております。  ただ、そう言いましても今が今というわけにいきません。現在は暫定的に区の緊急政策を立案する会合には実は私自身も参加させていただき、区の業者に対する緊急支援策を三次にわたって立案し、実施しているところでございます。こういう形で自治体と一体になった支援策を私ども講じているということを御報告させていただきたいと存じます。  以上でございます。
  13. 谷畑孝

    ○谷畑孝君 ありがとうございました。
  14. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 自由民主党の沓掛でございます。  最初に、荒木さんにお尋ねしたいんですが、構造的な問題で最初お聞きしたいと思います。  いわゆる内外価格差が非常に大きいその原因はいつも農業と中小企業だというふうに言われておるわけですが、これから中小企業の将来を見た場合、私たちも地元で見た場合、ある程度これから中小企業としても存続し振興させられるなどいう部門と、またこれは横ばいでいってこのおじいちゃん、おばあちゃんの代でもう終わってしまうし、本人もそういうふうに希望している、そういうエリアというか、そういう対象の人たちもいるというふうに思います。  その場合、これからのいろんな対策としてそういうことをちゃんと区別しながら、ここはきちっと振興もしていくし、ここはまあ今申し上げたような横ばいにしていく、そういうようなことをいろいろ考えながらある程度割り切って対策を立てていくことが必要ではないかな。何もかも今存続するものが大事だから、それを振興していかにゃいかぬ、そういうことにはかなり無理があるんではないかなというふうに思うんです。中小企業は身近なサービスを提供する点で大変大切ですし、また一方で、大企業の下請という形で大企業を支えてきたそういういろんな特徴があるわけですから、そういうものを見ながらいろいろ対応してみてはどうか。  特に、今小泉さんおっしゃられましたいわゆる足立都市活性化センターですか、第三セクターとしてのこういうものが生かせる道があるのかどうかを、小泉さんじゃなくて荒木さんの立場から今申し上げたことをあわせて御意見をいただければありがたいというふうに思います。  それから小泉さんの方には、東京でもございますから、大変不況対策的なことが大切だと思います。今いろいろ質問もございましたけれども、従来の不況ですといわゆる財政出動させるとか、あるいはまた金融機関がうんと積極的に金融的支援をするとか輸出をするとか、いろんなそういう点があったんですが、今回はみんなそういうものもうまくいっていない。そして、細川さんは規制緩和最初は景気対策として挙げていましたが、最近はどうも規制緩和をしてもかえってこういう不況時にはマイナスだとお考えになったのかどうか知りませんが、そういうことも減ってきている。  そこで最近、またこれも少し下火になりつつあるんですが、残ったものとしては所得税減税しかないように思います。しかし、その所得税減税の裏には消費税アップということが隠されているわけですが、この所得税を大幅減税し、そしてある一定期間を置いて消費税を上げていくということに対して東京の小売、中小企業関係を扱っておられる小泉さんの御意見をいただきたいと思います。
  15. 荒木明

    参考人荒木明君) 今の中小企業並びに小規模事業者の先行きはどうだ、いわゆる選別の必要があるんではなかろうかと、おっしゃるとおり私もそう考えております。  実際上、昔の行商というものは、歩いて一日を費やす時間を商圏だと言っていました。今は車社会の中で、その車での行動範囲を商圏だと考えるならば、今までの小規模事業者というものが全部残り得るということは不可能になってきます。当然これは業者の方も知っていらっしゃると思います。しかし、それを変更し得る機会とかチャンスとかそして資金とか、またいろんな能力とかそういう知恵が浮かばないんです。だから、自然の成り行きに任せているというのが現状ではなかろうかと思います。  一つの例ですけれども、私のところの会員で現在三億程度売り上げているスーパーがございます。子供は男の子二人ですけれども、将来というものを考えて私に相談に来ました、後継ぎをさせていいものかどうかと。  三億売れば大体小さい町では大きい方です。しかしながら利益率を考えてみますと、本当に自分のところの普通の従業員よりも店主の収入が少ないんです。年間三百万かそこらしかならないんです。私もやり方が悪いんじゃないかと言いますと、これを普通どおりやりますと客は来ないんです。だからどうしても値引き競争という形に入ってまいります。そして、その子供をどこにやったか。大学を出して一番の競争相手であるジャスコに正社員として入れています。おかしい話ですけれども、これが現実なんです。本当に後のスーパーをやっていけるのかということになっていくと真剣にそこまで、恥なようですけれども、将来の大型店発展は自分がもう認めているんですよ。これが現実です。  それから、振り分けといいますものは私もそういうことでオーケーだと。そうしたら流通業界は将来発展し、小さな業者がなくなっていくだろうから、自分の子供は将来そういう方向に向けたらいいでしょう。だから先ほども申し上げたとおり、経営指導員にあるまじき提言だなと私は悩んだようなわけです。しかしそういう人が多いんです。  次に支援事業等の問題、いわゆる町づくりですが、私は小さな町づくりをやっています。  私の町は愛野町と言うのですけれども、特産品がジャガイモぐらいしかありませんから、愛という言葉で、愛が発散して全国に愛をもたらすような小さな努力をしようということですばらしい石像、大理石できれいな像を幾つかつくっているんです。大変夢のあるやり方です。イベント的にはっと線香花火みたいにやって、ああいうふうにお祭り騒ぎをすることはそれはまた活気としてはいいかもしれません。しかし、その場その場で終わっていって、労を費やすだけで効果を残さない面も多いんです。だから、イメージを変えて住みやすい町にしよう。今散歩をしても危なくない、気楽に本を読みながらでも散歩できるような道をつくろうというようなことで町とも相談しまして、今実現をしております。  今、質問がございましたとおり、何かの事業というものになりますと、長期的なしかも特徴のある町づくり、これが経営指導員の存在価値だろうと思っています。提言を繰り返しながら町の人たちを理解をさせていくという町づくりで、ようやく人口も幸いにして少しずつふえつつあるというのが私の町の状況です。だから、支援事業そのものを推し進めていくことに大いに期待をしておりますし、先生方の御支援をお願いしたいと思っております。
  16. 小泉利明

    参考人小泉利明君) お答えをさせていただきます。  まず第一点の財政金融支援の問題でございます。  現在、財政金融支援が非常に多方面で行われていることは私どもも承知しておりますし、先生方の御努力のたまものというふうに感謝申し上げておりますが、ただ一つ私が現場で感じますところは、今業者が金融に求めているものは何かということでございます。実態は設備の近代化、設備の改善に金融支援を求めているところは非常に少ないわけでございまして、運転資金が非常な勢いで伸びております。  例えば、先ほど申し上げましたように、区の三次にわたる緊急融資を行いました。これは利子補給という方法をとって行っているわけでございますが、この要請は非常に多うございまして、募集をかけますと物の二月でいっぱいになってあとはもう貸せないというのが実情でございます。すべて運転の資金でございます。実態はどうかといいますと、運転資金は前向きの運転資金であれば望ましいことですが、すべて後ろ向きの企業を維持していくだけのための運転資金という性格が非常に強いのが今の実情ではないかというふうに思います。  したがって、これをどうやって転換するのかというのが一つの大きな課題になろうかと思いますが、私どもいろいろな方と議論をしているのは土地がネックかな、したがって土地の流動性を持たせることがそこのきっかけになるのかなと。しかし、金融機関も不良債権を持っていますし、企業も不良債権、不良というか評価額が異常に高い土地を持っています。だからといってそれを簡単に処分もできません。したがって、先ほど私が今でこそまた余計にと申し上げた例の特例措置等の検討をしていただき、業者にとってマイナスにならない移動、それに伴う土地が流動化していく分野がないのかなというのをつくづく感じているところでございます。  第二点目の所得税減税と消費税のアップということでございますが、率直に申し上げますと、所得税減税、消費税アップの議論というのは今、町の小売業者では出ておりません。出ていないのじゃなくて、したいのですけれども、毎日毎日の売り上げ減に追われまして、どうしようかという方が先行しているのが実情でございます。もちろん、私どもから議論をいたしますとそういうお話も出てまいりますが、日常の中では今は毎日毎日に追われているというのが現状だと思います。もちろん、話し合いの中で聞いてきますと、消費税のアップは困ると言っております。ない方がいいと言っております。所得税の減税はある方がいいんだ、こう言っておりますし、今消費税をアップいたしますと、売り上げが減っているのにまた減るのかな、こういう感覚はお持ちのように思っております。  以上でございます。
  17. 山下栄一

    ○山下栄一君 公明党の山下でございます。  まず、荒木参考人にお聞きしたいんですけれども経営指導員制度の役割につきましてちょっとお聞きしたいんです。この制度ができてもう三十年以上たってきているとお聞きしております。特に荒木参考人の場合には、先ほどもちょっと触れられました愛野町の話ですけれども小規模事業者とか中小企業の方に対する個別指導から地域振興また町おこしの積極提案者としての役割というふうな形が期待されてきておるということでございます。  特にこういう観点から申しますと、行政との連携とか、また地域の諸団体、観光団体とかその他の諸団体との連携とか、そういうことが非常に重要な仕事になってくるのではないかなというふうに思うわけでございます。そういう観点から愛野町の例でも結構ですし、またほかの地域の例でも結構ですけれども、非常に成功された例、またどういう観点でその町おこしの提案というのは問題点があるのか等、お話ししていただければなというふうに思います。  それからもう一点、経営指導員の研修生のことがちょっと表に載っていたのですけれどもちょっとわかりませんので、これから経営指導員の役割というのは非常に重要になってくると思いますし、今も大変重要な役割を果たされていると思うのですけれども、この研修生の制度につきまして選抜方法とか待遇とかその辺のことをお聞きしたいなと思っております。  それから、小泉参考人にちょっとお聞きしたいのですけれども、十一月に中小企業のリストラ支援法、新分野進出等の支援の法律が成立したわけでございますが、足立区、東京都の場合で具体的な経営指導員立場で計画づくりにかかわられた例とかその辺の具体例ございましたら教えていただきたいな、このように思います。  よろしくお願いします。
  18. 荒木明

    参考人荒木明君) まず最初に、地域振興の提案者であるべきだとおっしゃったとおり、事実経営指導員の役割は個別指導から一つのプランナーだという考え方を私は持っています。  よく経営指導員等の講習会で話をするのですけれども、俗な言い方で、進んでするのが上の人だ、まねしてするのが中の人だ、言われてするのが下の人だ、しかし言われてもせぬのはくずの人だという言い方を私はよくするのです。それは経営指導員といういわゆる身分制度からしますと本当におかしな立場になります。しかし、そういう知恵なりを出す場がなければ経営指導員なんかやっておられないと思うのです。ということは、それを聞いてくれる人がいるためにやりがいというものが生まれてまいります。  今成功例を言ってくれということでしたので、二十年間私は住みやすい町にしようという提案を繰り返してきました。そして、ようやく町長も言うことを聞いて、年寄りも歩ける、子供の手を引いて歩ける、しかも先ほど申し上げたとおり学生も本を読みながらでも交通事故のない散歩コース、それが人とのつながりをつくるであろうということで、二十年前から提案してようやく今実現しつつあります。国庫補助を得て、横の方には花畑があるような楽しい雰囲気で今つくり上げております。だから、これも町にお願いした連係プレーの一つだと思います。  次に、その町のポイント、ポイントに私は石像を、愛の像という像をつくってまいりました。それも私が提案するときは、うちの商工会自体で一人の賛成者もいませんでした。ということは、寄附が必ずつくのですね。だから、補助金を町にももらい県にもお願いしたけれども、自分たちの自己負担を出したくないために何回提案しても返事をしませんので、私は強引にこういうこと一つやり切らぬで町おこしができるかというふうなたんかを切りましてスタートを切ったわけです。  しかし、幸いにして、一体をつくりますと、もう自分たちがつくったという今度は案外流れに乗ってくれる人が出まして、四体目を今つくっています。中国から仕入れて、中国のロシンキョウという彫刻家ですけれども、国会議事堂の彫刻をなさっている人につくっていただきました。それが結構安い値段で入ってまいりました。それもつくってみて初めて地元の人もああ何とか町が変わったなと言ってくれます。しかし、それをつくるまでは結局二十年なり十年の提言が必要だったということを申し上げたいと思います。  それから、研修生の問題ですけれども経営指導員になるためには二年間の経験が必要ということになります。商工業者に接する場がないと経営指導員になることができません。だから、大学を出た人たちが研修生という形で二年間県連なり各商工会なりで勉強をいたします。商工業者と接する機会をつくって初めて経営指導員の資格を得る、これは将来経営指導員になるためのルートである、一〇〇%じゃありませんけれども、現在そういう制度がしかれております。
  19. 小泉利明

    参考人小泉利明君) お答えをさせていただきます。  十一月に成立いたしましたリストラ支援法を具体的に活用した例をというお話だったと思いますが、残念なことに私どもまだ具体的な例を足立支部でも持っておりませんし、東京商工会議所の中でこういう例があったよということはまだ聞いておりません。リストラというのは一朝一夕でできるものではございませんものですから、これから取り組みをしていくところになろうかと思っております。お許しをいただきたいと思います。
  20. 山下栄一

    ○山下栄一君 せっかくできた法律ですので、そのための何か推進の取り組みみたいなもの、商工会議所として啓蒙活動等はどういう形でされておるんですか。
  21. 小泉利明

    参考人小泉利明君) 会議所としては指導員に対する研修を行っているのが現状でございまして、さらにそれを各支部におります指導員現場の中でそういう問題を扱っていく段階にあろうかと思っております。
  22. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 両参考人には大変お忙しいところありがとうございます。また、非常に有意義な話をお聞きしました。それと同時に、常に末端の中小企業皆様方と接して指導され、またお二人の中小企業に対する愛情、情熱といいますものに改めて感銘を受けた次第でございます。  もう若干御質問もあり、触れられた次第でございますが、指導員としてのお仕事に関連してですが、確かに好況のときは前向きの御相談が非常に多かろうと思っております。しかし、今日のこの不況下では、どうしても相談といえばつなぎ資金とかそういう面の御相談ではないかな、このように思っております。さらに、つなぎ資金までならまだあれでございますが、もうここまできますと、例えばもう商売をやめたいとか非常に後ろ向きの相談、まさに経営というよりも人生相談というようなことにまで立ち入った御苦労をされているんではないかな、このように思います。  そういう面の御苦労と、それからいろいろと中小企業の社長さんあたりも勉強し研究もされておると思いますが、明らかに指導員として見たのと自分で会社を経営されている方の見方と意見が食い違うというようなことも往々にしてあるんではないかな、そこに指導員としての悲哀もあるんではないかな、こんな感じがするわけでございます。その辺の御苦労のことを一つお聞きしたい、このように思っております。  荒木参考人、私は福岡でございますが、実は愛野町というのはどこにあるのかちょっと存じ上げませんので、大変失礼ですがどのあたりでございますか。
  23. 荒木明

    参考人荒木明君) 諌早から十五分のところで、島原半島の入り口が愛野です。五分で通り抜けるような小さな町です。農業はバレイショをやっています。
  24. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 それから、三菱造船との関連はどうでしょうか。
  25. 荒木明

    参考人荒木明君) 三菱造船ということよりも、小さな町に工場が幾つかあるんですけれども、関連した下請けは今なくなってしまいました。
  26. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 ということは、大企業の城下町。とはいかないにしろ非常に依存していた体質を持っておったことも過去にはあったわけですね。
  27. 荒木明

    参考人荒木明君) そうです。
  28. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 その後のそういうものの依存からの転換といいますものが今日どうなっておるか。  それから、今我々、九州は一つだということで九州自動車道それから新幹線、この設置に大変努力もしておるところでございますが、逆に言いますと、ストロー現象で逆に吸い上げられるという懸念もあるんではないかな、このように思っております。  今、私は福岡市内に住んでおりますが、カモメ族という言葉がございまして、金曜日の夜に勤めを終わった若い人が特急「かもめ」で福岡まで遊びに来て、土、日と費やして日曜日の夜帰っていく。本来なら地元で落とすべきお金を福岡で落としていただくというような皮肉な現象がございます。そういうことを考えますと、高速道路、新幹線、逆に吸い上げれば非常にまた効果もあろうかと思いますが、その辺の懸念についてどうお考えか。  それから、ハウステンボス、大変集客力があるようですが、これが愛野町を中心に周辺地にどういう影響を与えているかということをお尋ねしたいと思います。  もう一つは、小泉参考人足立区というところは一方では大変人口が多いところで、そういう面では苦しいなりにも中小企業商店ども、いろいろ購買力は減ったといえどもゼロではない、そこそこあるのではないか、こんな感じがするわけです。そういう中でかつて再開発というようなことをおやりになったことがあるかどうか、どういう形で再開発をおやりになったか参考までに聞かせていただければと、このように思います。以上です。
  29. 荒木明

    参考人荒木明君) 会員が相談するのに人生相談も多いんではなかろうかとおっしゃったとおり、全くそのとおりです。日常会話そのものが、私の事務所によく見えるのは経営相談ばかりじゃないんですね。例えば、どこの学校を受けさせるかという問題もあります。学校をということは、いわゆる偏差値の問題まで私は知らないといいかげんなことは言えないんです。私にできることは、ハッパをかけることはできます。自分が子供を育てた体験上の問題を話しながら、もう少しレベルアップしろとか、もう少し努力させよとか、そういうまず親を教育するということはできます。しかし、子供を教育するという前に親そのものが勉強の何たるかを知らない人が多いことも事実なんですね。だから、私はそういう意味においてばいい指導員だなと思っています。  次に、やめる話をどうするか。私は率直なところ、やめるべきものはやめていかないと、チャンスを逃がしたらかえって行く道を間違うと思っています。やめるときのチャンスに勇気づけてやっぱりこういう方向に転換した方がいいよと言ってやりますと、同じやめていくにしても敗残者としてじゃなくて転向という自信を持って方向転換だ、勇気ある次の道だということで元気づけてやらせているというのが現状です。  次に、意見の食い違いがあるんではなかろうかとおっしゃいました。これは先ほど環境の問題も申し上げましたけれども経営指導員に言える立場をつくってほしいということです。うちに研修に来られる会長さんあたりがよくおっしゃるんですけれども、自分は町長をつくったんだから怖くもない、こう言う偉い人もいます。しかし、あなたの会社はつぶれるよと僕は率直に言います。だれかに意見を言わせて、いわゆる忠告をする人をつくっておかないと危なくなるんじゃないですか、その役割が指導員ですよと。だから、指導員をあごで使ったということは自慢にならないし、自分のところの指導員意見を聞く、そういうものが大切ではなかろうか。  ところが、このように言える立場指導員全国でも少ないと思います。必ず御機嫌を損なわないようなやり方をしている。だから、私はいつも思い切ったやり方をやって繰り返し崖っ縁ですれすれのところを今まで通り抜けてきましたけれども、今度は崖っ縁という私みたいな立場じゃなくて、堂々と正しい意見を言えるような環境、づくりをぜひお願いしたい。そのためには、公社方式でいいのか、県連もしくは全国連で統括して派遣するようなやり方がいいのか、今から十分検討していただければなというふうに思います。地元の指導対象である人に使われると、せっかくの経営指導員という、先ほど申し上げた研修生を入れながら、しかも勉強して大学を出ても能力を発揮する場を失ってしまうというのが現状だということを訴えておきたいと思います。  次に、大企業への依存ということですけれども、私は長崎の方で経営者と親しくしています。そういう関係上、ハウステンボスという言葉も出ましたけれども、その経営者も知っております。そういう関係で県全体を問題にしますときに、長期的な展望をしてやった経営者というのはやっぱりすごいですね。ところが、短期的に見てその場を生き抜いた人は、こういう問題が起きたときは本当にもろい姿に変わります。だから、私たちは提案する方ですから、そういう例を挙げて、必ず長期的に見てくださいと、私の能力はそれほどはないけれども、私は学者の意見を聞いています、国会議員のこうした先見性のある意見も聞いてあなたに話しているんですよということを繰り返しながら説得しておるというのが現状です。  もう一つは、地域発展して道路をつくったらだめになるんじゃないかとおっしゃいましたのトンネルは入口もあれば出口もある。今出口であるならば入口に帰る方法を考える、これが私は知恵だと思っています。おこがましい言い方をすれば、そのために経営指導員は配置されている、それくらいであったときに初めて商工会の存在が成り立つし、経営指導員の能力、存在価値を自他ともに認めていただけるというふうに思いますので、ぜひ環境づくりのそういう面に対して先生方のお知恵とそして協力をお願いしたいというふうに思います。
  30. 小泉利明

    参考人小泉利明君) お答えをさせていただきます。  まず第一点に、経営者と指導員のいろいろな食い違いが起きたときにというお話がございました。確かに、今は非常にそれが大きく、また多くなっているというふうに思っております。  しかし、先ほど私も自己紹介の中で申し上げましたように、私自身も一時期経営者として働いたことがございまして、私は赤字倒産をしたわけではなかったのですが、ある年数長く続いたお店を閉じるということは非常に難しい。死ぬ思いで三年間を過ごしたことがございます。これは、例えば借り入れが多くてとかいうことではございませんが、やめるという一つのことが非常にその経営者にとって負担になります。したがって、そういう思いと、私どもが逆に客観的に見て今手を引いた方がいいよと言うことのいさかいはだんだん多くなっているのが実情でございます。もう一点は、今ならば別な意味で立ち直れるよと。例えば、先ほど申し上げましたように、バブル時代に買った土地も損をしてでも処分すべきではないか、こう言いたいんですが、そこまではなかなか踏み切っていただけないのが実情でございます。  第二点で、金融以外の問題点というのがございますが、金融以外に何しろ仕事量がほしい、ですからどっかで仕事を見つけたいんだという話があります。下請企業振興協会というのが全国にあります。東京都はそれをさらに公社として中小企業振興公社という形で取り組んでおりますが、こういうところの案件と結ぶ努力をしております。  ただ、残念なことに、私も資料を取り寄せたりしておりますが、発注者の要件がまず生産ロット数が小さい。東京都の場合は試作が多い。そういう点から非常に難しい問題をはらんでおりまして、容易に仕事に結びつかないというのが現状でございます。なお、発注者の開拓は東京商工会議所挙げて今努力をしているところですが、なかなか発注者の開拓が難しいのが実情でございます。  足立区は人口増加じゃないか、確かに増加でございます。したがって、現在人口増加をしているという中で、うっかりいたしますと自然発生的な商店街がそのままの形で残る可能性もございますが、いつか恐らく人口が横ばいになってくる時代にそういう商店街がすべて残れるのかどうかということを考えなければならない。そういう意味で、先ほどお話ございました再開発の問題が実は議論としてはないわけではございません。  あるいは御案内先生方いらっしゃるかもしれませんが、北千住の駅前の再開発というのが俎上にのっておったわけです。昭和五十六年ごろから話が出ました。五十八年ごろに準備組合ができて動き始めたんでございますが、やはりまだ手つかず状態でございます。大きな原因は幾つかあろうかと思います。地権者のエゴ的な側面もあったと思いますが、もう一つの大きな原因は、やはりバブル時代を経ておりますので、地権者がどうしてもそのバブルの思いがとれない。したがって、私は率直に申し上げて、今再開発をして建物を建てても権利者が負債を負わざるを得ないかもしれないよという話を申し上げております。これからいろんな意味で努力をしてみたいな、かように存じておるところでございます。
  31. 市川正一

    ○市川正一君 私、日本共産党の市川でございます。  お二人から深刻、切実な地或経済の実情を聞かしていただき、またその中で御奮闘されていることは本当に御苦労さまであります。荒木参考人が、地域の零細業者は崩壊寸前にあり、細々と生きてきたこれらの業者を守ることが今緊急の課題になっている、こう発言なすったことなど、私は本当に痛切な叫びとして伺いました。  荒木参考人がその点で規制緩和について二つに振り分ける必要がある、こうおっしゃったんですけれども、私もまたやはり規制緩和には二つの側面があると思うんです。国民生活に不当な負担になるような規制は、これは当然緩和すべきですけれども、逆に大企業の横暴を野放しにするような規制緩和、例えば小泉参考人もお触れになりましたが、大型店進出を野放しにするような大店法廃止というようなことは、これはなすべきでないと私は考えます。こういう点でお二方の御見解を承りたいというのが一つです。  それから引き続いてお二方にお伺いしたいのでありますが、経営指導員のお仕事としていろいろ多面的な分野があるということが先ほど来出ておりましたけれども、通産省の資料によりますと、最も役立った活動として挙げているのは金融相談が三七・六%、次いで税務相談が二二・三%というふうに統計上はなっておりますね。  その場合、商工会などの金融相談の中心はいわゆるマル経融資であるんですが、この十年間の統計をとってみると、融資規模は五千五百億円確保されております。しかしその利用実績はというと、大体五〇%台がずっと続いて、そしてこの不況に入ってからも、九一年度が三千七百五十九億円、六八・四%です。九二年度は四千百四十六億円で七五・四%、不況下でも約四分の三程度なんです。ということは、これが中小業者にとって利用しにくい制度やということなのか、それとも経営指導員のお仕事が非常に多面的で繁忙で融資相談に十分乗れないためなんだろうか、統計上その辺の実情はどうなんだろうかということを実はお伺いする機会を得たかったんです。  あわせて耳にするのは、経営指導員皆様の三カ月ないし六カ月の経営指導を受けたマル経融資についても、国金がこれを認めないケースが最近幾つか出ているというふうなことを聞くんでありますが、こういう点、実情はどうなんだろうかという点が第二点です。  それからもう一つは、お時間をお許し願いたいのですが、ことしの八月から実施されました小規模事業者支援法、本委員会でもこれを成立させたんですが、これについてです。  商工会などが地域振興の旗振りを行うことがこれで任務づけられるんですが、今商工会の組織率が六四・五%です。商工会議所の組織率が三三・八%、全体でも五四%ですね。ということは、実態として小規模事業者の加入率が五割を割っている。としますと、加入していない過半数を占めるこれら中小企業小規模事業者施策から取り残されるんじゃないかという懸念を私は本委員会でも実は指摘いたしました。そこからも、私は加入者をふやすことが非常に今大事やと思うんですけれども、この点でお二方の認識と対応についてお伺いをいたしたいのであります。  八月から十一月の実績を見ますと、この小規模事業者支援法で指定を受けた事業はまだ一つだけなんですね。この点で私は法案の審議の中でも、地域活性化の施策地方自治体と連携をとりながら実施していくことが大事じゃないかということで、当時の森通産大臣もそのことを確認されました。私は、わずかにまだ一つだという現状から見ても、地方自治体との協力提携が重要だと思うんですが、この点お二方の認識と対応を承りたい。  以上、まとめて質問させていただきましたが、よろしくお願いいたします。
  32. 荒木明

    参考人荒木明君) 最初に、規制緩和を振り分ける必要があるだろうとおっしゃったことに全く賛成でして、大店法等も廃止するという意向もあります。しかし、水も徐々にかける場合には発展、いわゆる植木も育つ場合がありますけれども、一気にかけたら根まで掘り起こしてしまってかえってだめになる場合もあります。だから、同じ栄養をやるにしても、発展策をとるにしても一気にやり過ぎでは無理があるんではないかなという、そういう感じ方からして、私は大店法あたりを一気に廃止することはやっぱり零細業者にとって大きな打撃を与えるというふうに思っています。  しかし先ほど、それならばその待つ期間だけで立ち直りがきくのかということになっていきますと、これも疑問です。だから、私たち近代的な経営法というものを指導しておりながらも、本当の今までに改善をやり得る人は今努力をして改善しつつありますけれども、どうにも変わらないという人たちがいらっしゃることも事実です。ある期間さえ置けば自然的な、先ほど申した消滅的というか悪い意味じゃなくて、ある程度高齢化されてもうやめようかなというような人たちも生まれる。そういう時期というのは当然必要だろうというふうに考えています。  それから、私は規制も必要であろうという言い方をしましたのは、先ほどの小さな街角に残すような、本当になくなってしまったときに生活のバランスが崩れていく、そういうものを守るために、一つの規制といいますか補助といいますか、その地域を守っていくためには少し補助を出していただいて、支援法プラスそこの運営費ぐらいは出していただいて、商工会なりもしくは何らかの形のものに委託してその地域の火を消さないような施策が必要であろう。そういう一つの規制といいますか補助的なものも考えていただきたいなというふうに考えています。  それから、今は指導員は金融、税務が中心だけれども、マル経は五千五百億で実際上利用率は低いんじゃないかなとおっしゃいました。  私はこの設立時に陳情とかいろんなことでお願いをしたことがあります。当時、中曽根通産大臣だったと思いますけれども、零細業に対する政策というものは何だろうということから、私たちは金融をより緩和して保証人を一人ぐらいにして担保力がないからこういうことでお願いをしたいというふうなことを記憶いたしております。しかし、中曽根元総理のおっしゃったことが私は今印象に残っているんですけれども、それが抜本的な解決法か、保証人がないというなら抜本的だけれども保証人が要ったら同じじゃないかと言われた。があんときました。なるほど我々はもう少し思い切ったことも考えにゃいかぬのだなということをそのときに感じたのを記憶いたしております。  だから、このマル経資金ができて利用ということになって、我々は勇気りんりんとして、指導員指導を受けた者にこういう融資ができる、これはすばらしい制度だということで貸し付けを急いたことも事実なんです。しかし、保証人がいないということは必ずしも世の中スムーズにばっかりいきません。やっぱりひっかかりが出てきます。  その責任を今度は指導員という立場で痛切に感じたんですね。三%を超えるような事故率がどんどん出ました。だから、それを何とかして守りたいと。しかも、私たちが今融資額を使い切れずにいるということは、事故率をふやしてこの制度をなくしてはいけないという不安感からこれを一〇〇%消化できずにいるということも御理解いただきたいと思います。  決して金があり余って、もしくは必要がなくて借りないでいるんじゃないんだ。しかし、無担保・無保証というこんなすばらしい制度を野方図にやったために、これじゃいかぬぞということでおきゅを据えられては、減額されるような形にされた場合は、私たちの責任においてこれは守り通さにゃいかぬということから、我々も貸し付け相談については物すごく慎重を期して絶対迷惑をかけないんだという、その恩典を甘んじて受けるように会員にも指導しながら融資しておるために少し予定よりも貸し出し切れずにいるということが現状です。  それから、国金あたりが認めないんじゃないかなと、私の知る範囲内ではほとんどないと思います、私たちが推薦した分については。過去において事故口があったりなんかした人は断られた実績があります。  それから、支援法について活用できるかと、実際上会員の人たちが少ないじゃないかとおっしゃいますが、私は加入は進めていくべきだと思いますけれども本当地域を振興する人と、それから利己主義で走る人がやっぱり世の中にはいらっしゃいます。だから、かえっていっぱい入れて事業がやりにくくなるのか、本当にやりたいと思う人たちを集めるのかという問題でいつも論議されます。  だから、私たちは門戸は常に開いています。やる気のある人は集まってください、お願いしますと言っております。しかし、門戸を閉ざしているわけじゃありませんけれども、会費を納めてまで入らないよという人がまたいらっしゃることが残念です。しかし、会費を月に千円納めたためにかえって横やりを入れてみたり、いろんなことにかえって足を引っ張られて今度は動きがとれないという運営もありますので、そこら辺は私は会員の良識をまって組織を拡大するのが一番ベターであろうというふうに考えております。  返事になったかどうかわかりませんけれども、一応我々は慎重を期して、ただ野方図に頑張っているんじゃない、いわゆる事故口とかいろんなものもセーブしながら、そして責任を持って実行しておるということを御理解いただきたいと思います。
  33. 小泉利明

    参考人小泉利明君) お答えをさせていただきます。  まず第一点の大型店舗法の問題であろうかと思いますが、商工会議所足立支部管内での一つの動きと考え方がございます。もちろん、小さな小売店舗にとって現状を維持していくために大規模小売店舗が規制されることは決して反対ではないんですが、一つ時代流れであろうというふうに足立区の事業者団体等は認識をしております。  それであれば、むしろ大規模小売店舗の出店に合わせた町づくりをしようよという考え方に今立っておりますので、町づくりに協力しない大規模小売店舗に対してはぜひ町づくりに協力をしなさいという形で私どもも一応指導させていただいているのが実情でございます。ただ、大規模小売店舗にとりましてはそれぞれの商圏の設定等がございますので、なかなか思うようにいきませんが、極力町づくりの一環としてのとらえ方を通していきたい、このように考えているところでございます。そういう意味で、大規模小売店舗法が今なくなってしまうと確かに困りますが、やはり時代流れに沿った形での御検討を賜りたい、かように存じております。  それから、マル経資金お話でございますが、利用しにくいのかということでございますが、利用しにくいことはございません。一番利用しやすいということで事業者の方に御説明申し上げておりますが、いかんせん無担保で無保証人という全く異例の制度でございますので、私ども指導員といたしましてもただ単に貸せばいいということだけにはなかなかいかない点がございます。  そういう意味で、最近の不況下の中で、私どもの支部の指導員合計九名おるわけですが、どうだろうかという話をいたしましたところ、約一割ぐらいは扱えないよと。なぜ扱えないのかといいますと、やっぱり借り入れが多い、返済を見たときに非常に苦しいよと。だから、無担保・無保証で出すというのが本当にいいのかどうかということの議論がございまして、したがって件数もそれほど不況下なんですが伸びていないというのが実情かと思っております。  それでは、国金が案件を認めないケースがあるのかというお話になろうかと思います。私どもは融資ができないことではなくて、何とかこういう制度も活用しながら企業に生き延び、あるいは成長していってほしいという願いで活動しておりますことで、国民金融公庫等とはこの案件は難しいなというときには事前にいろいろ議論をさせていただきます。国民金融公庫でだめな場合は中小企業金融公庫も私どもの区の中にございますし、商工中金もございます。そういう金融機関とも事前にじっくり検討する案件もございます。  したがいまして、私どもが推薦いたしました案件の九九%は国民金融公庫の貸し出しにのせていただいているというのが実態でございます。じゃ、あと一%はだめなのか。これは実は国民金融公庫の借り入れが既にありまして、返済にいろいろなトラブルが起きてきていた事業者、これが私どもの相談の中では発見できなかった事業者がないわけではございません。そういう案件につきましては否決される、否決の案件も出ないということではございませんが、私どもが取り上げてまいります案件は、ほぼ九九%は融資の実行がなされているのでございます。  それから組織率の低さでございますが、どうしても都会でございますものですから、地方商工会議所さんのように組織率を高めるのは非常に難しいと思いますが、ほぼ一〇%を超えて、東京都の場合、東京商工会議所全体で見ますと現在八万人弱の会員を擁しておりますので、一一・何%になるんでしょうか、足立支部に関しましてもほぼ一〇%、一割の会員でございます。  ただ、国の制度とか国の施策でございますので、私ども活動立場は、会員であってもなくても全く差別なく動いております。そして、じゃ会員であることのメリットは何ですかと言われたときに、私どもは会員であることのメリットは自分で見つけることであって、私どもが会員であることのメリットを与えるといってもなかなか与えられないんだよという指導をしていまして、日常の業務に関しては、会員であろうと会員でなかろうと区別なくお相手をさせていただいているのが実情でございますので、御理解をいただきたいと思います。  なお、地方自治体との提携のお話につきまして、先ほど申し上げましたように、区とはもう日常毎日のようにいろんな意味でやりとりをしております。そして、区の行政、例えば今年度もう終わりまして来年の予算編成に入りますが、予算編成等におきましても、こういう問題をこんなふうにしてくれないかとか、いろんなお話をさせていただいたりしております。そして、地域事業者、特に小規模事業者足立区ではもう九〇%が中小企業でございますので、そういう事業者の何とか利益になるような方策を区にもお願いをしておりますし、そういう意味での提携は密に進んでいるのが現状でございます。
  34. 市川正一

    ○市川正一君 どうもありがとうございました。
  35. 井上計

    ○井上計君 民社党の井上計でございます。お二方、大変どうも御苦労さまでございます。かねて経営指導員の方が大変御苦労願っておることは承知いたしておりましたが、きょう改めてまたお二方のお話を聞きまして、大変な御苦労をしていただいていると心から敬意を表し、また感謝を申し上げる次第でございます。  時間がありませんので、端的にお伺いしたいと思います。大変御無礼かと思いますけれども、先ほど冒頭の意見発表で荒木参考人が、安い給料で身分保証もない、しかし使命感に燃えてやっておるんだというふうな、大変実は敬服する御意見があったのでありますが、そこでお伺いしたいのでありますけれども荒木参考人は既に三十年以上の経営指導員の御経歴をお持ちであります。また、小泉参考人も二十年以上の御経歴をお持ちでありますが、お二方の現在の給与、それから身分保証等々につきまして、私ども参考になりますので、もしお差し支えなければお話しいただければと、こういうふうに思います。  それからいま一つは、お二方がきょうお述べいただきました、そのような抱負といいますかあるいは御意見といいますか、そういうようなものを東京都なりあるいは県なりの首脳部、あるいは中小企業庁等々に対して正式に御報告なりあるいは御意見を発表される機会が従来あったのかどうか、これもひとつお伺いしたいと思います。  それから最後、もう一つてありますが、これは大変失礼なお尋ねでありますけれども、これだけ御苦労を願っておる皆さん指導員方々が、従来国家褒章あるいは叙勲等々の、そういうふうな機会をお持ちの方があったかどうか、そういうふうなことについてはいかがであろうか。  以上の点について、ひとつお差し支えない範囲でお聞かせいただければと、かように思います。
  36. 荒木明

    参考人荒木明君) 給与と言われると、私たちは公務員に準ずるということで補助金、交付金をいただいております。そして、今度これが地方に交付金という形で変わってまいります。だから、お願いしたいことは、地方にそういうふうな形になってもぜひ実現してほしい。国から離れたような形になっていきますけれども、実際上国の方で決めていただいたものが県の方に回っていくわけでしょうから、それを必ず実行していただいて、そして指導員のそうした立場というものを理解いただく、あの県はよくてこの県は悪いというような制度にひとつならないように先生方お力添え、御理解をいただきたいと思います。  それで給与の問題なんですけれども、私たちは、傾斜配分等の統一給与体系を組んでおります。だから、プールをしておるわけです。そして、自己負担という形で商工会で負担を入れて、私の給与が月四十万です。これは長崎県では最高の給与です。しかし、だれと比べるかということになっていきます。私と学生時代に一緒だった人とか県庁に勤めた人たちは全部部長になって、県の教育長まで上がってやめた人とか、出世した人と比べていいのかなという問題ですけれども最初は同じぐらいの給与でした。それがどんどん格差が出ていきます。県の部長になったときには既にもう二百万ぐらいの差が出てました。  そういうことから考えた場合に、経営指導員という楽しみは何だろう。先ほど申し上げたとおり、普通の生活で身分的なものを考えたら余りいい仕事じゃないなというのが正直な気持ちです。そして常に、商工会に所属されて頭から抑えられておる。公務員という立場とか各会社であれば、ある程度ルートに上っていきます。  私はいつも地元では感じるんですけれども、県との話し合いとか、知事さんあたりも私よく知ってますけれども、そういう立場で非公式な場合には実に立ててもらいます。しかし、公式な場合には、私たちの小さな愛野町でさえ銀行の支店長はやっぱり位がどうしても上でして、座る場所自体も変わってくる。先生たちは常に上座にいらっしゃるから余り気づかれないでしょうけれども、下に座ってみると実に不愉快なときがあります。そういうこともやっぱり制度がだめだなと、本当希望を持った人、何かの信念を持った人はいいけれども、ただ身分制度だけ考えたらだめだなということをいつも感じています。  それから、発表の場があったか、これは自助努力です。指導員の発表の場はほとんどありません。しかし私は、指導員協議会という組織で、任意ですけれども努力してまいりましたし、そして研修会等を各県で催して、あらゆる階層の人たちの御理解をいただきました。そういう場を持って先生方案内してみたり、国民金融公庫の方とか税務署の方とか、それから県の関係者とか、そういう関連団体、官庁あたりは案内をして話をしておるということで、御理解はいただいているものというふうに解釈しています。  叙勲の問題等は全く名前が出てきません。当然、自分たちから提案するのもおかしいわけですけれども、現在商工会の中でも、商工会の運営をやっている商工会長の立場ということでは、そういう叙勲をされた人もふえてまいりました。しかし、指導員というのはあくまでも縁の下の力持ち、力持ちと言ってはおかしいですね、力がないんでしょうから。下の方で陰に隠れて、存在価値がまだ表に出てないというのが実情でございます。
  37. 小泉利明

    参考人小泉利明君) お答えをさせていただきます。  まず、給与の問題につきましては非常に比較が難しいんですが、私も過去に公務員であった時代もございまして、よく公務員の方々との比較を申し上げますが、ちょっと低いかなという感じを持っているのが実情でございます。ただ、私どもの場合は、東京商工会議所の給与規程に基づいて給与をいただき、そして身分も東京商工会議所という組織で保障されているということでございます。  それから、意見発表の機会の問題でございますが、こういう形での意見発表というのは私は余りないと存じております。ただ、幸いなことにと申しますか、区の関係する委員会方々などとはお話をしていることはございます。これはあくまでも意見発表ではなくて、個々の先生方とのお話でございます。また、過日中小企業庁の部長さんが足立へお見えいただきました折には、資料等を添えて足立の実情は御説明したりしてございます。  それから、国家褒章の問題ですが、指導員で叙勲にあずかったというのは聞いておりません。ただ、制度の三十周年の記念式が先日ございまして、そのときに私は中小企業庁長官から感謝状をいただいたということでございます。特に今までは聞いておりません。お許しいただきたいと思います。
  38. 井上計

    ○井上計君 ありがとうございました。
  39. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 以上で午前の参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。  本日は、御多忙中のところ長時間にわたり本委員会に御出席いただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。私どもは、多くの議論がなされている現在の経済状況において、中小企業対策は大変重要な課題であると考えておりますので、御指摘いただきました数々の御意見参考といたしまして、今後の国政審議を行ってまいりたいと思います。  本日はどうもありがとうございました。(拍手)  午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      ――――◇―――――    午後一時二分開会
  40. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、参考人から御意見を聴取いたします。  午後は、有限会社石三織布代表取締役石川三三君、株式会社日章製作所代表取締役高田料成岩及び相模通信工業株式会社代表取締役社長半田洋之君に御出席いただいております。  この際、参考人方々御礼を申し上げたいと思います。  本日は、御多忙中のところ貴重な時間をお割きいただき、本委員会に御出席をいただきましてここに御意見を聴取することができますことについて、委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。皆様からの忌憚のない御意見を拝聴いたしまして、今後の国政審議参考といたしたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  次に、議事の進め方でございますが、まず、石川参考人高田参考人半田参考人の順で、それぞれ二十分程度御意見をお伺いいたします。その後、二時間ほど質疑をいたしたいと存じます。  本日は、自由質疑形式をとっておりますので、参考人方々意見の陳述及び質疑に対する答弁とも着席のままで結構でございます。  それでは、これより石川参考人に御意見をお述べいただきたいと存じます。石川参考人
  41. 石川三三

    参考人石川三三君) 石川でございます。  本日は、我々業界の現況について、参議院の商工委員会先生方から参考人として意見を述べるという機会を与えていただいたことを厚くお礼申し上げます。  私は、繊維産業を代表してお答えをさせていただきますが、冒頭委員長の方からございましたように、愛知県の方で織布業を営んでおります。それと、愛知県の知多半島の方で知多織物工業協同組合の理事長も兼ねておりますし、日本線スフ織物連合会の副会長も兼ね、今は会長が病気のため会長代行を務めておるものでございます。  それでは、私どもの業界の今のあり方、今後どういう方向で行くべきかという問題について御発言をさせていただきますので、言葉の足らないところがございますので、よろしく御了承のほどお願い申し上げます。  我々業界は、御承知のように、今不況が始まったわけではございません。繊維業界というものは、終戦後、対米輸出規制の問題がございまして、当時からこの繊維問題については、先生方も御承知のとおりにいろいろと我々業界に対しての政府の御施策、行政の御指導を得てきょうまでやってまいりましたけれども、ここまで来た過程の中で問題は幾つかございますので、結論的にそれをきょうは発言をさせていただいて、今後の先生方の御指導を仰ぎたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  と申しますのは、我々業界は終戦後、日本の国を復興させるにおいて繊維産業は一番大きな基幹産業として貢献をしてまいりましたけれども、当時から我々業界に対してはランカシャーの二の舞になるという予測は私どもも持っておりました。後進国の追い上げ、特に当時は韓国、台湾、タイ等々の国々からの追い上げということが迫ってまいりましたが、現在はそうした韓国、台湾については我々業界と同じような実態でございますので問題にはしておりませんけれども、特に最近は中国からの追い上げ、特に中国に次いではインドネシア、ベトナム等々の労働賃金の安い地域からの輸入が怒濤のように入ってきておるわけでございます。  結論的に、今我々の業界を救っていただくには、業界としての自助努力は十分に尽くしてまいりましたけれども、先ほど申し上げましたように、輸入の歯どめがきかなくて我々業界の今後の方針は立たないというのが現実でございます。と申しますのは、御承知のように日本の繊維の需要の七〇%から八〇%が輸入で賄われておるわけです。さとするならば、我々産業は二〇%でいいのか、これでどうして我々の繊維産業の生きていく道があるのか、あったならば、国の方としてそうした中小企業、零細企業に対する指針を示してほしい、これがなければ我々の再起はございません。それが今の実態でございます。  そうした中で、昭和三十年後半、昭和四十二年からは時の繊維産業の新しい法律をつくって、五十二年から新しい繊維法をつくっていただいて、それに準じて設備の近代化、構造改善等々いろいろとやってまいりました。その間、綿工連の我々の企業実態を申し上げますと、昭和三十三年、このときに織機が四十四万七千百三十二台、企業数が昭和四十九年、これは一番多いときでございますけれども、一万八千二百八十一企業、従業員が昭和三十六年、十八万九千五百五十五人、最盛期にはそういうときがございました。現在は織機も企業数も約半分以下に減っております。従業員は十分の一。そうした企業産業になってまいりました。  その間、私どもは国会の衆参両院の議長さんあてに、平成五年一月、請願書も提出させていただきました。それから、当時の与党。自民党の繊特の場所において、MFAの発動もすべしという自民党の助言もございまして、我々は全国産地からそうしたMFA発動に関する書類も整備をいたしまして提出する段階になりましたけれども、行政面で待ったということになっております。  そうした関係で、きょう現在いろんな施策が後々になるわけです。それは、なぜそうなるかという問題は、余りにも先生方に申しわけないけれども、議員の先生方も行政も、私ども不況実態の認識に違いがあるということです。我々はきょう現在、先ほど申し上げたように従業員も十分の一、そこまで陥っておる。そして、死者が今どんどん出ております。倒産が出ておりますし、廃業が出ております。そうした中で、そうした条件が発生しなければ対策が出てこないというような感じを私どもは持っております。そうしたことでいいのでございましょうか。その間、いろいろと我々業界は、自主的な自助努力と申し上げましたけれども不況カルテルも実施をしてまいりました。生産調整、一斉休業、今は公取がございますのでできませんけれども、当時は景気が悪くなれば、我々の生産を犠牲にして生産調整をして在庫を減らし、バランスをとってまいりました。  それが、きょう現在、御承知のように日本の国においてMFAの発動すらできず、関税問題も世界じゅうで日本が一番安い。世界の先進国の中で、日本のような秩序ある輸入対策をとっておるところはございましょうか。ありません。ということは、輸入で入ってくる歯どめが、冒頭申し上げましたけれども歯どめがきかない。そうした問題で、我々業界の手で中国へ十五回行っております。中国に対して、秩序ある輸入体制にしてくれと、君たちが余りにも安い物を入れてくるから我々業界が大変だからということで、綿工運は民間の外交として十五回中国へ要請してまいりました。そうした傍ら行政の方もたまには行っていただきますけれども、実際に我々のように裸になって話をして、物の解決をしていただいておりません。  実を申し上げますと、私はこの十月に中国へ綿工連の団長として訪中をいたしまして、中国と真剣に話を交わしてまいりました。それが、新聞に出ておりますように、中国も我々の要求を聞いていただいて、不正競争防止法という法律をこの十二月一日から実施をするように迫ってまいりました。と申しますのは、安い価格で輸出してはならないというようなことで、民間外交の一つとして我々は献身的に相手の国々と話をしてまいってきておるわけでございます。  いろいろと我々は自助努力をしてまいりましても、先ほど申し上げたような秩序ある輸入体制ができていないということで、きょう現在、倒産はもちろんのこと、転業もうまくいっておりません。そうして、今企業として、ただ生業として織布をやっておるわけです。余りにも不況ということで、お父さんとお母さんと家族と自分の家内の労働賃金を無視して、きょう現在操業しておっても成り立っていきません。そうした中でなかんずく、倒産をし、転業をし、廃業をするについては多くの従業員問題が浮上してきておるわけでございます。退職金を従業員に払ってやりたくても退職金すら払えないのが実態でございます。  そうした中で、我々が今後生きるべき道は、今回、御承知のように今月の一日に新しい繊維法の答申を政府にいたしました。それが来年の六月で期限切れになり、七月からの施行になるわけです。いろんな我々の施策に対する予算の編成を前に、予算をとっていただくように行政とも先ほども話をしてまいったわけでございます。日本の今の国情からいって我々自体も無理は申しません。しかし、我々の企業が生存し、日本の繊維産業日本の衣食住の衣を賄っていけるような施策は、国として、行政としてとっていただかなければ大きな問題が今後発生するわけです。  きょうは、私は細かいことについては先生方の御質問にお答えするということで、大まかに言って、我々企業がこのままでいったら大変なことになりますよということだけはひとつ御認識を願いたいというふうに思っております。  時間も参りましたが、あとは御質問に答弁をさせていただきます。ありがとうございました。
  42. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) ありがとうございました。  次に、高田参考人お願いいたします。高田参考人
  43. 高田料成

    参考人高田料成君) 御紹介をいただきました日章製作所の高田でございます。  報告に先立ちまして、日ごろ私ども中小企業の振興支援に格別の御尽力をいただく中、符に十一月に施行されました中小企業リストラ支援法は、不況構造の深刻さにおいて、また期間の長さにおきまして戦後最大の大不況に直面し、サバイバルをかけたリストラと懸命に取り組んでおりまする我々中小企業にとりましてはまことに時宜を得た支援法でありまして、衷心より感謝を申し上げる次第でございます。  早速、当社の企業概況及び不況下における自動車用電装部品メーカーの一次下請業でありまする当社の業況について、次いで中期的な今後の見通しにつきまして、私見ではございまするが見解を申し上げてみたいと存じます。  当社は、昭和二十八年創業以来、自動車用電装品メー力ーの一次下請として、我が国自動車産業発展の一翼を担いながら順調に事業の拡充を続け今日に至っております。  当社が取り扱っておりまする主力製品は、ワイパーシステムの機能部品でございまするリンケージ、及びパワーウインドーあるいはパワーシート、サンルーフ等々の小型用モーターの減速機用のケーシングでございます。さらに、最近ではキャブレター用の小型ソレノイドあるいはシートベルト用ソレノイドの開発が終わりまして、今これらが当社の主力製品にかわりつつございます。  会社の所在地は、神奈川県綾瀬市と、福島県船引町に子会社日章福島製作所がございます。また、本年、お得意さんとの合弁で中国大連市に工場建設を決めまして、ただいま建設中でございます。順調に参りますれば来年の七月ごろ操業開始となる予定でございます。  従業員数につきましては、両工場合わせて今百八十名でございます。  それから、年間生産高におきましては、平成四年度で約三十四億でございました。  続きまして、不況下における当社の業況について御報告を申し上げますに先立ちまして、御参考までに、平成二年度をピークといたしました我が国自動車生産台数の動向並びに客先部品メーカーの売上高の動向につきまして御案内を申し上げてみたいと存じます。  自動車生産台数は、平成二年度全体で千三百五十万台余でございました。それが本年度の計画台数では千百四十万台弱となっております。したがいまして、三年間で二百二十万台弱、パーセントにいたしまして約一六%の減産になっております。また、私どもの得意先部品メーカーの主力納入先セットメーカーさんにおきましては、平成二年度の生産台数は二百三十八万台ございましたが、本年度は百八十万台と約二四%の減産になる見込みでございます。続きまして、部品メーカーの売上高につきましては三年間で一八%の減の見込みであると聞き及んでおります。また、部品メーカー傘下には約百二十の協力下請企業がございまするが、本年までに三年間で約三〇%ぐらいの生産減が発生する見込みでございます。いずれも、平成二年度をピークにいたしまして生産高は年々減少を続けてまいりまして、本年が最も大きな落ち込み幅を記録しております。  当社の売上高も、平成三年度が四%減、平成四年度が一一%減、平成五年度が一八%減と年々下降を続け、本年の落ち込み幅が最も大きく、ちょうど三年間で約三〇%の落ち込みとなっております。  今回の不況の中で特に注目されます点は、従来の不況不況期が過ぎればまたもとに戻る右肩上がりの回復基調でございましたが、今回の不況は大幅に落ち込んだ生産をベースに回復に向かっても生産増に余り多くを期待ができないという見通しが大方でございます。多くの部品メーカーは、国内における生産規模の縮小や内外市場における価格競争力の強化策として、海外への生産シフト及び国内における生産システムの見直しを含めたリストラと取り組んでいる点でございます。部品メーカーの生産システムの見直しは、下請企業との生産分業体制が従来の水平統合型から垂直統合型生産体制へのシフトが主体でございまして、そのシフトはもう既に進行が始まっております。  加えて、海外への生産シフトは、今後下請企業の生産機会は減少するものと当社は考察をいたしまして、低成長下において適正なる収益を上げられる企業体制の構築を目指したリストラに社の総力を挙げて取り組んでいるところでございます。  次いで、当社のリストラの事例につきまして御紹介を申し上げます。  まず、脱自動車を目指し、新分野の受注開拓を行う。新分野の受注開拓にかかわる営業部門の強化。それから、この新分野の開拓に当たりましては、従来、四十年に上る自動車部品業界で仕事がほとんど専業化、特化されておりますので、やはり新しい分野へ進出していくためには持てる技術とか技能の複合化がどうしても必要になってまいります。そういう意味を込めて、技術、設備の高度化を図っていく、あるいは従業員の再教育をしていくということと現在取り組んでおります。  その次が、生産現場の効率化。これは工法の見直しをするとかあるいは稼働率の向上を図るようないろんな施策でございます。  次いで、管理間接部門のスリム化と効率化、これは物流の効率化を含めて今強力に進めておるところでございます。  次いで、部品メーカーとの親交を一層深めるため、部品統合、VA、VE活動への積極的な参加。  次いで、収入に見合った諸経費の執行を原則に諸経費の見直しを図る。  続きまして、市場競争力を高め、シェアの拡大と収益改善を推進するため海外への生産シフトを決定いたしました。  以上が当社のリストラの概要でございます。  社の総力を挙げて、汗を流し、知恵を結集してのリストラ推進はそれなりの効果を上げておるところでございまするが、何せ大幅な減収に抗せず、現状は収益、雇用面で大変厳しい状況に立ち至っております。  以上が当社の業況についての報告でございます。  続きまして、今後の見通しにつきまして私見を申し上げてみたいと存じます。  率直に申し上げて、部品業界における下請企業の生産機会は中期的な展望の中では減少傾向にあり、空洞化が進行するものと考えます。  以下、空洞化進行の背景について私見を申し述べてみますと、まず、国内市場は成熟期にあり、販売の伸びは余り期待できない状況にございます。  次いで、貿易インバランス解消への外圧で、部品の輸出は減少、輸入は拡大基調にございます。御存じのとおり、これはグローバルパートナーシップあるいはボランタリープランで九四年度までに部品購入目標として三百六十四ドルという部品購入要求が各国から出されております。この三百六十四億ドル、これは約四兆円近いんですが、これは我が国の自動車部品の生産高から見ましたら大変な大きな比率でございます。  次いで、部品メーカーの海外からの逆輸入が始まる。これは、私どものお得意さん、数年前にケンタッキーのバーズタウンという地域工場をシフトいたしました。その工場が大体ことしで六年になりまして、現地供給以上にもう生産能力が出てまいりました。それを近々にアメリカから日本へ持ってくるというような話が出ております。  話を聞いてみますと、ケンタッキーあたりでも、今部品メーカーさんの平均賃金の大体二分の一ぐらいである。それから部材が非常に安い。部材は、例えばエンプラあたりで日本よりも三〇%安い。原材料、絞りものができる鉄板あたりでも大体四割ぐらい安く買えるよということに加えまして、エネルギー費が非常に安いというようなことでございます。国内で完全な自動化体制でつくられている製品が向こうではまだまだ相当労働集約度の高い生産体制でございまするけれども、向こうでつくっているものが安いよということで、近々にアメリカから日本の方へ入ってくるというようなお話を承っております。  それから次に、グローバルな生産体制の進行。これは従来型のシフトと背景は異なります。その一つが、輸出先での生産の現地化が進む。これは、うちのお得意さんがヨーロッパのある企業と提携をいたしまして、日本でつくっておりますパワーウインドーの三分の一の生産台数を向こうでもって生産するというような話が出ております。現地化が進むということなんです。これはヨーロッパの方でございます。  それから、その次が価格競争力強化の海外への生産シフト、これはアジア地区でございます。  今申し上げました現地化等、これはヨーロッパの方でございますけれども、アジア地区ともどもに人件費、原材料あるいはエネルギーコストが非常に安いというようなことで海外へ生産シフトするということでございます。  ちなみに、今回私どもが大連へ出てまいります。来年七月に立ち上がりますと規模は約四百名ぐらいになりますけれども、今時給で平均人件費百八円ということでございます。今、日本の中堅クラスの企業の総人件費は二千数百円になっていると思います。したがいまして、二十分の一以下でございます。それから、原材料も現調をして使えるものであっても大分コストが安いというようなこと、それからエネルギー費が非常に安いということでございますので、今回の不況を機に相当日本企業は海外への生産シフトが始まるのではなかろうかという気がいたします。  これは、アメリカで八三年の急速なドル高のときに多くの製造業が国内の工場をクローズしてどんどん海外へ生産シフトしたというようなことを考えますると、現在何かアメリカの後を追っているような気がしてなりません。  それから、その次が技術開発、生産効率化を目指した生産分業システムの変革により部品メーカーの内製化が進む。先ほど御案内申し上げました水平統合型から垂直統合型生産体制にシフトするということでございます。垂直統合型生産体制とは、従来協力工場で専門的に生産をしていただいておりましたキャスチングであるとか、あるいはインジェクションであるとか、機械加工であるとか、ラバーであるとか、プレスであるとか、そういう工程を自社の工程の中に全部組み込んでしまう。だから、スタートで材料を投入すれば完全にファイナルで完成品が出てきてしまうというような、そういうライン形態でございます。  それは総合的にどういうメリットがあるかと申しますと、これは総合的にというのは協力工場まで含んだものでございますけれども、管理間接部門の費用が極限に安くなるということ、それから物流費が非常に安くなるということ。今物流費は、自動車部品業界、我々のグループでございますと大体売上高の三%ぐらいかかっております。そういうものが非常にコスト低減できるというねらいがございまして、こういう生産体制の方へもう既にシフトが始まってきでいます。そういうことは、中小下請企業のお得意さんからの受注機会が大幅に減ってくるということを意味しているわけでございます。  以上が自動車用電装部品メーカー下請企業の空洞化が進むと思われる背景につきまして私見を申し述べ、今後の見通しの見解にかえさせていただく次第でございます。  少し時間がまだ余っているようでございますので、先生方のお許しをいただきまして少しくお願いを申し上げてみたいと存じます。  私は、中小企業各種団体の役員をさせていただいておる関係でいろいろな中小企業経営者と会う機会が多うございます。そういう中で昨今経営者の方々から出てまいりまする言葉は、参ったな、政府が何とか早く景気回復してくれないかな、そういう声がもう圧倒的でございます。きょうは私、そういう多くの中小企業者の声を代弁いたしまして、これからお願いを申し上げてみたいと存じます。  今日、多くの中小企業は、不況期の長さ、深さにおきまして戦後最大とも言われまする不況下で経営の正常化を目指して懸命なリストラと取り組んでおるところでございまするが、業績は下降の一途にあり、雇用面では余剰人員を抱えて企業の体力はまさにもう限界に来ております。そういう中で、現在まだ景気回復のシナリオも見えておりません。非常に先行きに不安感が強くて、まず中小企業経営者の士気はもう最低に沈滞していると私は存じます。そういうことをぜひ御理解いただきまして、速やかなる景気回復の施策の執行をお願い申し上げまして、私からの報告を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  44. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) ありがとうございました。  次に、半田参考人お願いいたします。半田参考人
  45. 半田洋之

    参考人半田洋之君) 相模通信工業の半田でございます。  お二人の先輩の参考人の方と私は違いまして、余り団体の役員もしておりませんし、ただ会社の経営をいちずにやってきたという状況であります。  昭和四十二年に会社を設立いたしまして、弱電関係の組み立て関係の下請をやっておりました。電子部品のプリント基板のアセンブリーという、そういう仕事をやっていたわけでありますが、それ以外にラジオとかそういう関係のものを組み立て始めまして、それでいろいろなコンピューター関連、あるいは電信電話関連、そういう関係仕事をだんだん進めてきました。そして、取引先もだんだんふえまして、お客様第一に品質とコストと納期、それを必死になって守ってだんだん成長してきました。その間に昭和四十二年から二十五年以上たっているわけですが、残っている会社といいますと、本当に二十五社に一社か三十社に一社というような形で大体なくなってしまっているというのが現状です。  そして、今この不況に遭って、今までの不況と全然違うという印象を持ちました。特にいろんな関係対策を打ちましたが、会社独自で打った手はすべて空振りに終わるという状況であります。それで、どうしてこういうことなのだろうか、ぜひ先生方に実効のある政策をやっていただきたいと思いまして、経済の全然専門でない私ですけれども、日ごろ思っておりますことを述べさせていただきたいと思いまして出席させていただきました。  今の経済というのは、衣食住すべて日本ではもう完全に豊かになっている。こんなに豊かになっていて、しかも世界一番の金持ちの国である日本がどうしてこんなに苦しまなくてはならないのだろうか。しかも、我々の弱電関係を含めて競争力が非常についてきている。そのついてきた結果が、逆にその褒美としてと言ってはおかしいかもしれませんが、いわゆる円高になり、その円高によって一遍に百二十五円とか百三十円、かつてはそのくらいでも何とかやっていけるだろうと言っていた企業体質が、百円に近くなってきたということになってきますと、もう本当にこれは消えてなくなるよりしょうがないんだという状況になってくるわけです。  我々の第二次産業、これは少なくもかつて日本の国力がまだ弱かったときは、頑張ってほしいということで、精いっぱい働け、働けという形で進めてきたはずなん、です。現段階ではいろんな規制、保護といった状況で、消費関連では円レート百七、八十円であると言われているぐらいのものが、今我々のところでは、百円に近い状態で競争しろといいますと本当に存在はできなくなってくるというのが現実です。それが今空洞化のあらわれている最大の原因だろうと思うんです。  そして、我々は、かつてだんだんとふえてきて五百名近くなったのを、逆に今受注量がどんどん減ってきまして、三百名あるいは二百何十名という形で、ボーナスもなくし、役職者の給与カットも二〇%、三〇%もして耐えているわけですけれども、一向に先行きは見えない。もうちょっとと言っていたはずなのが、まだ何年か続きそうだということになってきているというのが現状なわけです。  そして、周りの親会社はといいますと、どんどん東南アジア、中国に工場を移転している。そうすると、我々はどうやったらいいのか、仕事は完全になくなっていくだけなんだというのが現状なわけですね。したがって、これは、国内でのコスト競争力を幾らつけても我々としては存在できないという状況になってくるわけです。  しかも、私はずっと筋を通して話をしたいと思うんですが、どうも緊張していまして行ったり来たりという形になって申しわけないんですけれども、いわゆる電子部品メーカー日本の電子部品というのは非常に品質がいいわけです。その電子部品を日本でやっている場合には、これは我々としてはそれを利用して使えるわけで競争力がっくわけです。  ところが、その電子部品メーカーも東南アジアあるいは中国、そういうところに移転していい製品をつくる。そして、その東南アジアに移転したメーカーは、東南アジアには安い単価で、その原価に応じた単価で売り先に売っている。しかし、日本には、東南アジアから電子部品を輸入しようとしても、国内の単価で自分たち工場を維持するために売るという状況になると、我々は、アセンブリーとしてやる場合には、人件費のコストが世界一と言われている状況、これを自動化やらいろんな管理をやって効率をよくしても、電子部品においても、そういう関係で競争力が向こうの方は三〇%ぐらい安いということになってしまうと、どうにもいたたまれない。もう出ていくというのか、出ていく力がなければやめざるを得ない。  しかし、将来的にこんなことで日本産業というのは成り立つのだろうか。テレビなりビデオなり、電信電話あるいはマルチメディアというもの等も、我々のところで原価を安くして国内に対応できるようにして最先端の電子技術がだんだんと生まれてくる、それで日本世界を先導していけるはずなんです。それが今の段階だと、その会社がなくなってしまう、一番稼げるところがなくなってしまう。それで最終的に、いわゆる稼げない、能率の悪いところで日本は成り立っていくのかというのが問題じゃないかと思うんです。  したがって、もちろん適切な保護は必要でしょうけれども、いわゆる競争力のあるところが徹底的に存在できないぐらいまでなると日本は将来どうなるんでしょうか。そういう気持ちで、日ごろ我々の経営が非常に苦しいもので不満を持っておるわけです。  そして、今私が企業経済において単純な初歩的な矛盾として考えているのが、衣食住が豊かである、工業製品も何でも自由につくれる能力を持っておる、時間も十分にある、人もある、そういう状況で、新規の産業といいますか、これから住宅とかそういう関係の質の向上をやるべきことはたくさんある、道路も非常に混雑していて能率が悪くて、変えるべき仕事はたくさんあるにもかかわらず、今日本に結果として仕事がないんだと。もうかる仕事がないからこんな不況になっているんだということが今の現実だろうと思うわけです。  したがって、ぜひもうかる仕事をつくっていただきたい。いろんな面で矛盾があるのは、もうかる仕事がなくて過当競争になって、ほうっておけば基本的には死ぬほどの競争で原価が下がっていってしまう。したがって、適切なことをやはり適切にジャッジするところがどこかにないと、仕事がなさ過ぎるために、日本人は勤勉でもう最後まで戦ってしまう。外国でなくて日本の国内の企業が競争者なんだということが一番の問題だろうと思うわけです。  そして、この仕事がないというのは何が原因がと私は思うんですが、これは非常に飛び過ぎているよと言われるんじゃないかと思うんですが、いわゆる通貨が足りないんだ、経済規模に応じた通貨が足りないんだということを非常に感じるわけです。  そして、資料にいろいろ私の感じたことを説明してあるわけですが、今経団連や日経連の人たちが、人件費を全体に相当下げないと経済はもう成り立たないと、あるいはいろんな面で消費をシンプルにしなくては成り立たないよということを言っているわけですが、しかし、そのいわゆる人件費を下げるということは非常に国民にとっては苦しみが伴う。それで逆に通貨をもっと増発するような形ができないでしょうか。  いわゆる為替レート、これが一番の不況の原因なんです。この不況の原因を百三十円まで何とか買い下げるというのか、円がドルレートで百三十円になるまで徹底的にやっていただきたい。それが法律の改正を伴うものであるのでしたら、そして財政の均衡がよくないというのであれば、何とか外国の債券でも買って、利息を十分に取ることによって国力なりを維持することによって、幾らでも円が百三十円になるまでは買い下げていっていただきたい。そういうことが可能なのかどうか、私はわかりません。どんどん非常に無制限に買うということができるのかどうか。ただし、通貨というのは幾らでも増発する気になれば、アメリカ連邦でもどんどんドルを増発したことがあるということもありますし、ブラジルなんかでは物すごく増発をやって物すごいインフレになった。  それは節度があると思うんですけれども、少なくも百三十円になるまでやっていただけたらありがたいなということをまず第一番にお願いして、百三十円ならば弱電関係の我々の会社は国内で一応対応できる、何とかこの百三十円をキープしていただきたい。それをやることによって、海外に移転する会社が親会社も残っていきますし、少なくも国内需要の電話とかあるいはポケベルとか移動電話とか、ハイビジョンとかあるいは高級電子製品、いろんなものがあると思いますけれども、そういう環境は完全に残っていく。したがって、そういう形でぜひ円のドルレートが百三十円というのを何とか死守していただけるとありがたい。これが第一のお願いなわけです。  そして、そのほかには、ハイビジョンとかあるいは電気のそういう商品がなかなか売れないというのは、開発した当時物すごい値段で、例えば今ハイビジョンが百万だとか八十万だとかと言っていますけれども、これが一年、二年たちますとどんどん量産効果が出て、質もよくなって六十万、三十万、二十万になってくる。そうするとばかばかしくて、我慢すれば安くなるもの、しかも質もよくなるものをこういう時期に買えるかという状況で、どんな新しい製品が出ても殊にこういう不況の時期ですと待てばいいということになっていると思うんです。  したがって、ハイビジョンの新製品が出たときには、何かの補助金なり、あるいは最初に買った人は二、三年後には同じ品質のものを交換するシステム、そして少なくとも最新鋭の機種をただで利用できて、その古いものは例えば職業訓練所とかいろんなところ、学校とかあると思うんですけれども、そういうところに振り向けるとか、何かそういう新しい人たちが買って損したと思うことがないようなシステムというものをぜひ御考慮いただいて、新しい製品が普及しやすいようにやっていただきたい。  それから、いわゆる仕事がなさ過ぎるんだということで、どんなコストがかかったって、今はいわゆる自宅待機をさせたり、あるいは失業者になっていたり、社内でも何も仕事がないと。電機メーカーでもいろんなところで、本当仕事はないけれども何となく時間を過ごしているというような現状にあります。大手でも、本来なら今の生産量であれば相当の人員は削減できる状況、しかしそれを我慢して維持している。本当にむだになっている。そのむだなもの、これが本当のいわゆる浪費だと。時間は二度と戻らないもの、ただ仕事がないというために浪費をしないような形で仕事をつくらせてほしい。したがって、ぜひそういう形で何か仕事をつくっていただけるという状況をお考えいただけるとありがたいと思うんです。  それから、労働時間の短縮というのをぜひ、例えば今大会社の自動車関係、労働時間の稼働率が半分になれば国内の自動車の値段は上がりますけれども、もう需要には間に合わなくなる。したがって、新しい設備をしなくてはならない、あるいは競争力もなくなるから円も安くなる、そういう状況で全体的には豊かになってくるはずだろうと思うんです。したがって、仕事をふやす観点というのか、ふやすためにどうしたらいいのかということをぜひやらせていただいて、私どもはもう働きたい、働いて生産を上げてある程度の生活を送りたいということで我々頑張っております。  最後に、中小企業に対しては我々は特にそうなんですけれども、やっているのは本当皆さんのおかげで、いろいろな面倒をかけながら存在せざるを得ないような状況で今はやっております。従業員に対しても本当に苦労をかけております。そういうような状況で今やっておりますので、雇用保険は、今の段階では中小企業の場合三分の二が四分の三になりましたけれども、一日最高が九千円プラスということで一万円にちょっと満たないぐらいの金額になっております。  したがって、そこが上限であれば、保険というのも三分の二あるいは四分の三というやはり完全な状況ではありませんので、仕事が非常にないという状況で休ませた場合の対応とか、あるいは借り入れ条件の変更をもう少し簡単にできるようにと。あるいは担保の関係、これはかって値上がり部分を含めて一一〇%ぐらい借りられたものが、現段階ではもう担保の価値が下がって実際には三分の一とか半分とかという状況です。したがって、特別の信用保険制度みたいなものをお考えいただけるとありがたいと思います。  そういうことで、中小企業の占める比率というのは非常に大きいと思いますので、何とか我々が存続できるような政策をぜひ強力に実行していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  46. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) ありがとうございました。  以上で参考人方々からの御意見の聴取を終わります。  これより質疑を行います。  御質疑の際は、会派名と氏名、答弁を求める参考人を冒頭でお述べください。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
  47. 小島慶三

    ○小島慶三君 先にやらせていただきます。  連新の小島でございます。  きょうお三方から大変貴重なお話を伺ったわけでございますが、お三方にそれぞれ若干の質問をさせていただきたいと思います。  初めに、石川さんの話でございますが、これも私、生家が繊維の仕事でありましたために、非常に身にしみてお話を伺っておったわけであります。大変長い不況との闘いの歴史といいますかそういうことでやってこられたと思うんですが、お話のように中国その他から乱入してくる、流れ込んでくるもの、この歯どめがないということは確かにやはり大きな問題だろうと思うのであります。  その本質をうかがってみれば、これは日本も経験があるわけでありまして、やはりソーシャルダンピングだと言われたようなことで世界から袋たたきに遭った時期もあるわけであります。そういうふうなことを考えますと、今度は日本がそういうふうな逆の立場に追い込まれているということは間違いないわけであります。考えてみますと、世界の繊維はどの国も皆問題を抱えているわけでありますから、何かセーフガードという、そういうふうな考え方で、国別あるいは複数の国同士で、若干の自律自制を含んだ貿易といったようなものを考える時期に来ているんじゃないか、私そういうふうには思っておるんです。  先ほどのお話でも、中国に十五回行かれてやっと不正競争防止法、日本にもかつて不正競争防止法というのがございましたが、中国にもやっぱりそういうものができるということで、大変これは結構なお話じゃないかと思うんですけれども、そういうふうなお互いの理解と話し合いの場というのを広げていく、こういうこともこれからの業界のあり方としては大変重要なことではある、まいかと。今度の新しい繊維に関する法律、それから予算、税制、いろいろあるわけでありますが、これが完全に実りましても、やはりそういう問題は残っていくというふうに思いますので、ぜひそういう御努力をお願いしたいと思いますし、また、これからの展開についてのそういうふうなお考えがございましたらこれはひとつ伺わせていただきたい、このように思います。  それから、高田さんのお話も、私は自動車部品の会社におりましたので、春秋二回の値下げの定期便でありますとか、あるいはシンクロナイゼーションといいますか技術の連携といいますか、そういうことでラインの立て方一つ納入先の指示に従わなきゃならぬというふうなことであったわけであります。だんだんそういう関係がどちらかといいますと自動車の不況で乏しくなってまいりまして、今のお話でも脱自動車化というふうなことまで考えておられるということで、このスケジュールといいますか展開方向といいますか、これについてもちょっと教えていただきたい。  それから、外に対する展開という点も、今度のリストラ法の精神に沿っての展開ということはお話しいただきましたが、これによって、内と外のおたく様の全体の売り上げバランスといいますか、そういうふうなものはどういうふうになっていくのか、その辺のスケジュールといいますか見通しといいますか、ある程度中期的にお話しいただければありがたいと思います。  それからもう一つお話のありましたのは、中小企業の空洞化といいますか、これもまあ確かにもう大変な問題でありますけれども、やはり今のような国際環境であるいは円高でどんどん海外に出ていくということになりますと、確かにこれから先ほどうなるんだという話が私は大変難しい話として出てくるんだろうと思うのであります。ただ、いろいろお話を伺っておりますと、その中で御社のリストラ対策として、ある程度新しいラインを編成するというお話がございました。これは恐らく前工程とかそういったものをカットしていく、あるいは内製化していくということだと思うんですけれども、こうなりますと、またおたくの下の段階で、あるいは流通過程で空洞化というものが出てくるようにも思うんですけれども、こんな点ほどういうふうにお考えでございましょうか。こういう点をお伺いしたいと思います。  それから、半田さんのお話も大変経験と示唆に富んだお話で、私感心しながら拝聴しておったわけであります。お話の中にあった、もうかる仕事がほしいということになりますと、どうしても今までの例えば過当競争のやり方を改めて、そしてある程度経団連とかいろんなところで言っているような共生とか共存とか、そういうふうな形の取引を考えなきゃいかぬということにもなろうかと思うんですけれども、それはお話の趣旨に沿っているんでしょうか、それともそれはやっぱり違うということでしょうか。この辺をひとつ教えていただきたい。  それから、例えば新社会資本についての金をもっとつぎ込めとか、そしてこれがどんどん次々に回っていくように考えると、これは私全くそのとおりだと思います。そういうことで、恐らく今度の景気対策にも新社会資本に対するあれというのは入っておると思うんですけれども、この展望といいますか、手段を講じないとこういうものが広がっていかないものかどうか、この辺についても何かお考えございましたら承らせていただきたいというふうに思います。  それから、通貨をもっと出したらいいじゃないかということは、これは確かにお考えのとおりでありますが、これは要するにインフレをやるということになるかと思うんです。まあインフレになるくらいならむしろ結構だということなのかもしれませんが、例えばその一つのあり方として、円を百三十円にということで、円高になってきたらどんどん幾らでもこれに対応して介入して、そしてそれはドルでなくて金で持てと、私どもの中にもこういう主張をするのもあるんですけれども、その辺はいかがでしょうか。お考えありましたらお聞かせいただきたいと思います。  以上でございます。
  48. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) いろいろ御質問ありましたので、恐縮ですが、簡潔にお答えいただけたらと思います。
  49. 石川三三

    参考人石川三三君) お答えします。  先ほどの輸入の秩序化対策でございますけれども、御承知のように、先ほど申し上げました来年度の七月から実施される新しい繊維ビジョンの中において通商問題委員会というのが設置されたわけです。これはまさしくもう二国間、その秩序化対策のためにMFAの発動ということで、その小委員会が設置されましたので、その委員会で今後検討していくというふうに答申をしてありますけれども、そんなことしておったってもうあしたが食べていけないのに今から検討していく、死者が出てから検討していく、これでは全く用が立たない議論でございまして、その辺も先生方よく御認識をしていただいて、また行政の方にも話を持っていっていただきたいということが一つ。そういうことで輸入問題についてはやっております。  それからもう一つ、二十一世紀の世界の繊維産業は中国がリードするんだということは、異口同音に世界じゅうの繊維業者が言っているわけです。そうなると、中国と我々の対応は今後どうするかという問題については、綿工連は引き続き中国と民間外交でこれを折衝していくということは決定しております。  それからもう一つ、それじゃそうした輸入問題を解決する中で、君たちは何をやっているんだという御質問ですが、御承知のように、中国とかそういった発展途上国と競合しない新しい繊維産業の開発をしているのは事実でございまして、それは御承知のようにいろんな繊維をニーズにおこたえするようなものも開発し、それを製織して今商品化しておるのも事実でございます。しかし、それをやっても、輸入で需要の八〇%も入ってくるような体制を国内でとっておっては、何ぼいい製品をつくってもこれには限界があるということでございます。  それからもう一つ発展途上国の問題は、日本の機械メーカーが東南アジア、中国、もちろん韓国、台湾もそうですけれども日本の新しい繊維の機械が全部入っていっておるわけです。そうすると、安くていいものが大量に入ってくるということでございます。二国間協定がどうしても必要だということでございます。よろしくお願いいたします。
  50. 高田料成

    参考人高田料成君) お答えを申し上げます。  脱自動車をして他産業分野へ進出していこうというお話を申し上げたのでございますが、中期的には、今我が社では三年間で現在の自動車関係の売上高の約三割ぐらいを他産業の受注拡大をして変えていこうという考えております。  将来に関しましては、中国の工場で生産して大幅にコスト低減できたものでマーケットの市場プライスを、いわゆる市場価格を下げてシェア拡大していこうという考えでございますが、当面は国内で従来のメーカーさんと協力工場とのパイプは多少のコスト安ではなかなか崩せません。日本にはそういう取引文化があるんですね。ですから、我々がお客さんのところへ行って御関心を持っていただくような営業をするためには少なくとも二けた台のコスト低減ができなきゃだめであるというふうに見ております。そうなりますと、なかなか今現状こんな厳しい不況の中で、さらに大幅なコスト低減をするということは非常に難しゅうございますので、そういう厳しいコスト競争業界は今ターゲットにしておりません。  むしろ、今建設工事用のツールのメーカーがございます。これはコンクリのいわゆる外壁に穴をあける装置でございますけれども、これはダイヤモンドのパウダーをあるツールの先にくっつけたものでございますけれども、それを大体千五百回転ぐらいで穴をあけていくわけですね。一本の販売価格が今二万数千円でございます。我々のところでつくりますと、せいぜい五、六千円でできちゃうわけでございますね。そういう業界もあるんです。我々の今現在生産しております部品の価値とはもう全然違う、二倍三倍の高い収入を得られるというようなそういう業界もございます、掘り起こしをしてみますと。  それから、最近やっと取引ができ始めたのは重機部品の業界でございます。この辺がまた意外とおもしろくて、割と付加価値の高いものがあるんです。そのかわり、少し技術とかあるいは技能を変えていかなきゃなりませんので時間がかかりますけれども、それでも取引を始めてもう半年ぐらいになりますか、ようやっと軌道に乗りつつございます。  それから最近では、私どもは、先ほど主な製品の中で御紹介申し上げましたけれども、小型ソレノイドを今月間三十数万個つくっております。  私パチンコが好きでございましてパチンコへよく行くんですが、半年ほど前に、従業員に営業の帰りにパチンコ台の要らなくなったものを見つけて買ってこいよということで、パチンコ台を買わせまして分解してみましたら、あの中に小型ソレノイドが三個入っているんです。それからマイクロモーターがやはり三台ぐらい入っていますね。それでこれに目をつけまして、これは大変なマーケットだなということで、大体試作するのに四カ月かかりました。今それを持って盛んに売り込みに行っております。ソレノイドは実はもう今大連で委託生産で半年前に進めております。現実に国内製品と比べて三割か四割安くできます。ですから、その低価格を一度武器に、今パチンコ業界に一大攻勢をかけようということで、これはなるべくシークレットにしておきたかったんですけれども、そういう試みもしております。ですから、探してみると結構ありますよ。  そんなわけで、三年をめどに今の自動車の生産高の三割ぐらいは他分野の製品で埋めていこう、そういう考えでございます。  それからもう一点、新ラインというお話がございました。これは先ほど、お得意さんと協力工場との、いわゆる下請との生産分業構造が少し変わっていきますよと、それは水平統合型から垂直統合型に変わりますよというお話を申し上げたわけです。私どものラインを今そういうふうに変えるということじゃございません。これはあくまで客先の話でございます。  我々も今仕事がさまざま減っちゃいまして大変厳しい状況にございますけれども、我々の以下にございますいわゆるうちの協力工場というのは、もう本当に中小零細なんですよね。我々が仕事を引き揚げちゃったらあしたから工場とまっちゃいます。これはとてもできません。我々としては、うちの協力工場からの仕事の引き揚げは今は考えておりません、うちも厳しいですけれども。そんなわけで、もし引き揚げがこれから可能だとすると、うちもそういう垂直型の生産体制になる可能性がございます。これは海外へ出ますと、大体そういうラインになっちゃいます。  もっとも、やはり効率化を求めるなら、今大体大手の企業さんがおやりになっているリストラの中で、管理間接部門のスリム化、効率化というのはどこの企業さんも取り上げている問題でございます。その背景は、トヨタさんでおやりになった代表的なジャスト・イン・タイムの生産管理方式、納入管理方式がございます。それから、日本は何といっても製造業の場合、品質第。一でございます。今我々がお客様から要求されている品質保証は大体二〇ppmでございます。百万個に二十個以内でございますから、それにかかる工数、費用もございます。それから物流を見ましても、多数回納入になっています。  そういうことで、だんだん管理間接部門が肥大化しちゃった。恐らく一次メーカーさんあたりにいきますと、もう六〇%ぐらいになるんじゃございませんか。これは開発部門であるとか設計部門であるとか、あるいは進捗部門であるとか、いろんなそういう部門ができますので、どうしても六〇%近いものになっていると思います。我々の企業体レベル、二百人だかだかのところでございましても、大体四〇%ぐらい今管理間接部門抱えていますから、そこら辺が非常に今、企業が大幅な減産の中でスリム化を図る場合にやりやすい部門なんです。やろうと思えば幾らでもできる部門でございます。
  51. 半田洋之

    参考人半田洋之君) 第一点は、もうかる仕事ということは話し合いという形になるのかということだと思うんです。私の考えているのは、今物すごく不況であるということで仕事がないということなんですが、かつてバブル時代には工場を建てたくてもなかなか建築業者が忙しくて、人手がなくてできなかった。ちょっと忙しくなると逆に今度は人手がないという状況にはなるわけです。したがって、適度の忙しさがあれば話し合いとかそういうことは必要なしにできる状況にはなるはずだと思うんです。  ただ、今の段階では百三十円ぐらいかないと、現実に日本自動車関連もあるいは電機関連もみんな先行きは見えない。したがって、そこの従業員たちもちょっと中高年になると肩たたきに遭う可能性がある。メーカーさんでもそうですから、そうするとその後の下請の会社というのは物すごくそれが十倍二十倍と影響してきます。  本当にお金が少しでも余裕があれば貯金をする、したがって、皆さんが計画されている減税というのも、実際にはほとんどそういう面では消費には回りにくいような感じが私はしています。我々の従業員に聞いても、買うよりは余裕が少しでもあれば預金をしたい、しかもぜいたくな商品はみんな買わない、もうシンプルが一番いいんだという形で、先行きが全然見えないというのが現状です。  ですから、我々の場合、この電機業界というのは苦しいのかもしれないですが、また工場一つ閉鎖せざるを得ないというような状況でして、こういうような状況のときに消費に回るはずはないということで、したがって、需要もないから仕事が過当競争になってくるということになみと思います。  それから二番目、新社会資本の展望というお話だったわけですが、新社会関係は、例えば光ファイバーとかあるいはマルチメディアとかそういう関連というのは、日本がある面で最先端の方を行っていたはずなんですが、今はアメリカに大分先を行かれるようなぐらいに、ちょっとこの不況でおくれぎみだというのが現実ではないかと思います。しかし、これは本当に先行きが世界的には明るい業界だと思いますので、これに熱を入れてやっていただければ必ず元は取れるものだろうと思います。  まず、こういうところも含めて今の段階ではその場合に、こういう商品ができたけれども商品としてすぐ販売できるかといったら、許可を受けるとかあるいはそのための手続とかということで時間がかかって、実際に商品になるのは非常に時間がかかり過ぎるということで、景気のあれには全然間に合わないという状況だと思います。この辺スピードアップというんですか、そういうことも考えてやっていただきたいと思います。  それから次に、通貨増になるとインフレにならぬかということですが、あのバブルの当時をよくお考えいただきたいんですけれども、電気製品とかあるいは車とかというのはみんなぜいたくになりまして、高級志向がありまして、機能のいいもの、あるいは居心地のいいもの、そういうものにだんだん変わっていきました。それで、高いものは売れるようになりましたけれども、同じ程度の商品であれば逆に下がっていたはずなんです。電気製品でも自動車でも上がってはいかない、いわゆる十分に供給が多ければ。そして、日本産業界はそれだけの力を十分持っています。  したがって上がっていないので、上がるのは限定されたもの、例えば土地とか株とか絵画とか、いわゆる投機に向いたものが上がったんだということです。この辺を抑えるべきで、家が上がったんだ宅地が上がったんだと言いますけれども本当東京がいわゆる世界の金融センターになる、産業センターになる、ビジネスセンターになったその結果としての高い付加価値の反映が新しい価値を生み出してきたというのが現状だろうと思います。したがって、住宅地に向かなくなった。  物すごい開発をして大量にいい住宅地をどこかにつくれば、交通の便のいい、環境のいい住宅地をつくればこんなことはなかった。十分な供給のできるような体制をつくることが大事。それをやることによって仕事は十分賄える、しかも適度にお互いに利益を持ちながらやっていけるのではないか。何しろ世界一の金持ちで、世界一の優秀な国民で、協調性のある国民がなぜここまで苦しまなくちゃならないのかということで、ぜひ何とかひとつ具体的な強力な施策お願いいたしたいと思います。
  52. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 お三方、お忙しいところをありがとうございました。  私どもがお聞きをしていた、あるいはまた予想していたとおり、それぞれ中小企業の今日置かれている立場がどんなに厳しいものか、また生存をかけて経営者として大変な御努力をいただいておりますことに、敬意とそしてまたお察しを申し上げる次第でございます。  実はついせんだっても、私は、自民党を代表しまして本会議で今日の景気対策のなさを強く指摘しました。また、日本産業が二十一世紀を目指してどんな経済構造改革をしていくのか、高齢化、そしてまた国際競争力がどんどんと減少する中、産業の空洞化が進んで本当日本経済というのはどう変わっていくのか、そんな点を指摘したところでございます。  そこで、まずお三方にそれぞれお聞きをいたします。  第一は、景気回復についてどう予想されますでしょうか。まあ半年先とか一年先とか、いやもう本当にわからぬよと。先ほど来のお話は余りにも深刻ですから、先行き不透明、全く不安でいっぱいだとそれぞれ御指摘がありましたから、それはそれとして、もしも予想のようなものをお持ちでしたらお答えをいただきたいと思います。  それから二番目は、どうしても産業の空洞化というのは避けられないのかな。一九六〇年代アメリカが世界の工業国を誇りましたが、その後、先ほど来お話がありましたように、海外への産業の流出ということで、物をつくる手段、方法というものが急速に衰退をした。それが一九八〇年代から今日に至るまでアメリカの産業を大幅に沈滞させる結果になった。やはり、物をつくるという手段を失うということ、あるいは薄くなるということがその国の産業に大変な影響をもたらすことであろう。  そう思いますときに、私は、たまたまきょう神奈川からお二方お出ましをいただいて、しかも高田参考人の会社は、一年ほど前に勉強させていただいて社内も見せていただいた奇縁があるわけです。あの日章製作所を拝見いたしましたが、私は率直に申し上げて、神奈川を代表する優良中小企業であられる。だからこそ、大連にもリストラで海外進出になられる。ところが一方、相模通信さんのように海外に行きたくても実際それだけの余力、体力がもう企業に残っていない。この辺に実は、海外進出で私ども物の手段が薄くなる、日本のあすを考えたら何とか残ってもらえるような、特に神奈川は工業の蓄積の日本でも代表的な県でありますから、そういう立場から考えても何とか中小企業というものが神奈川で活躍をしてやっぱり日本にいてよかったな、そういう状況をどうしてもつくらなかったら、二十一世紀の人口構成や何かを考えて日本の二十一世紀はない、私はこう思っているんです。  そこで、どうしたら空洞化が避けられるか、これはヨーロッパあるいはイギリス、ランカシャーの悲劇、我々もよく勉強させていただいておりますが、あるいはアメリカ繊維だって日本の繊維産業に駆逐をされていった。こういう歴史的な経過は今、日本が置かれている一こまなんですね。それだけに海外とのいろんな流れの中で日本産業というものを守る、それにはいろんな規制をかけたいが、自由貿易体制というものを守ることが日本のまた産業の根本的な発展ということと合わせたりいろいろしていくと、先ほど来円高をもっと是正せよという率直なお声もあります。よくわかります。百円で耐え得る日本の大企業も恐らくないんじゃないかな。中小企業なら百三十円、当然な御要求だと思うけれども、しかし世界流れというのはなかなかそういかない。  じゃ日本世界一の人件費です、これはアメリカを抜いたんです。ならば、もっとチープレーバーを求めて、あるいは能率もいいようなところへどんどんと企業が移転をしていく。それは先進諸国がやってきた道だということを知りながらも、それを阻止できない。私ども、行政と面と向かって政策を論議する中でも実はいい知恵がない。ですから、空洞化を防げるような知恵が何かないかなと。  それには日本国内の中小企業に大きなインセンティブを与える必要がある。今、中小企業は大法人と違いまして法人税が二八%。五年前は二六%。だから、思い切って下げるとか何かして、日本中小企業がなくならないような、特に製造業をなくさないような手だてを講じなきゃいけないんじゃないか、こう考えているんですが、その辺についての御見解をお聞かせいただきたい。  それから三番目。いよいよ雇用調整が始まりました。レイオフではとまらなくなりました。皆さんのところもどういう御対策をお立てになるのか。石川さんのところはファミリーでやっていらっしゃる、この従業員という数を拝見いたしますと。本当に切り詰めた状況で頑張っておられる。皆さん企業も若い労働力をこういう時代だから逆に採りたいと思ってもとても余力なし。そうすると人員整理というようなことにもなるわけでありましょうし、こういう雇用不安、この問題をどう皆さんの方はお考えになっていらっしゃるのか。  それから四番目。これで終わりますけれども、今まで通産省、国それから県あるいは商工会議所等々を通じて、とりわけ中小企業には私どもも一生懸命お手伝いをしてきました。高田参考人のお言葉にもございましたが、最初はリストラ支援法と言っていたんですが、どうもそれはまずいので名前が変わりまして、中小企業の転業あるいはまた海外への進出等に対する支援法となっているわけですが、もちろんそれに合致する方はいいんですけれども、合致しない場合の方々に対する中小企業の支援策というのは在来型で本当にいいのかなと。それに税のインセンティブを与えよとかいろんなことは口では言えるんですが、本当に厳しい財政状況の中です。さりとて中小企業の存続というものを考えたときに何かお手伝いする手だてがないのかなと。  これは不況対策と合わせて、経済の歴史的な流れの中で日本中小企業というものに対する支援体制というのが、在来型の、言うならば資金を援助するよ、あるいは信用保証を拡大するよ、技術指導やいろんなトラブルあるいは受注等々の制度に積極的に機関がお手伝いをしますよ、この程度の対策本当にいいのかなと思いながら、それじゃお前何かいい案があるかと言われると、実は私不勉強で残念ながら力がないものですから出てこない。先ほどの百三十円にしろというのは蛇足ですが、円高、円安は両刃の剣ですから、必ず百三十円でなきゃならない企業もおありでしょうけれども、それは言い得て現実は難しかろうと。なれば、これからどうやったら皆さん仕事が何とかやっていけるよという体制ができるのか。  その辺でもしも御意見、いろいろ資料いただいていますからよく読ませていただきますが、何かあれば一言お聞かせをいただきたい。長くなって済みません。
  53. 石川三三

    参考人石川三三君) お答えします。  景気対策、今後の回復のめどがあるかということになりますと、ありません。特に繊維についてはありません。斎藤先生も御承知のとおりだと思います。まずありません。しかし、我々は企業努力、これに打ちかつだけの経営者としての信念を持ってやっておりまするけれども、冒頭申し上げたように、輸入対策がなされずに我々の経営計画は成り立たない、これが現在の実態です。  それで、空洞化の問題ですが、我々業界は出ていきません、零細企業は。先生おっしゃったように、資金も持って設備も持って人も、人は向こうにありますが、それだけのやる資力はございません。だから海外の進出生産は成り立ちません。それから、今の行政指導は海外生産ありきというのが前提なんです。今もこのお二方から発言がございましたように、海外でとにかくつくってこい、もうからなきゃと言うけれども、それは条件があるわけです。それで、我々の業界は海外では生産はできませんということです。  そこで、海外生産ありきということを唱えて今やっておるのは、これは端的に言って低い労働賃金をとりにいっておるだけのことなんです。製品は日本世界で一番いいんです、繊維は。しかし、余りにも高いから、最近いいものができたからと労働賃金の安いところ安いところへ、御承知のように台湾、韓国、今ベトナムに行っています。そういうことで労働賃金をねらいに行っておるだけのことで、製品は、これは御承知かと思いますが、フランス、イタリー、今は日本が一番いいんです。そういうことで、空洞化問題に対しては我々も自助努力はいたしております。  それから雇用調整ですけれども、この問題については、我々は、政府の施策の中で雇用調整法というのがございますが、それのいろんな助成を得ながら各産地産地でやっておりまするけれども、これだけ不況が長引くとそうした自分の従業員の賃金、ましてや退職金を払うだけの余裕はありません。もうほとんど吐き出している。ですから、これも冒頭申し上げたような大きな問題に早急なるということでございます。  それから、何か施策はないかと、こうおっしゃいますけれども、我々は、先ほど申し上げたように秩序ある輸入対策が確立されなきゃだめだということ、これは前提です。御承知のように国並びに地方行政の産業施策の中でいろんな融資をしていただいておるわけです、転廃だとか産地の活性化のためだとか。そういう助成制度はいただいておりまするけれども、先ほども通産局の局長さんとやってまいりましたけれども、余りにも貸していただくときの手続がもうむちゃくちゃ言ってくるわけですわ。赤字だから企業がやっていけないから金を貸してくれと言っているのに、赤字のところは貸さないよという条件ですから、幾らいい施策があっても絵にかいたぼたもちです。それで黒字のところは要らない。そういうことで施策は幾らでもあるんですけれども、そうした手続上の問題でできません。  それともう一つは、行政の施策の中からの融資は一遍決めるとそのときの金利でやっていきますね。今、普通政府の金を使おうとすると、特別なのは別として四%以上です。こんな資金はもう中小企業に今貸そうとしても何の足しにもなりません。商工中金ですら三・七五。政府の資金がそれで、救済とは言いませんけれども我々に施策を講じていただけるとするなら、そういう面もだめだということでございます。  端的に言って、生き残りに一生懸命努力はいたしておりまするけれども、光明は見えておりません。以上でございます。
  54. 高田料成

    参考人高田料成君) お答え申し上げます。  我々自動車関連企業を一応ベースに、景気回復がいつごろになるだろうかということに対するお答えでございますが、一般的には今日のような状態がもう一年ぐらいは続くであろうというのが大方の見方のようでございます。我々のファイナルのセットメーカーさんでは、ことし百八十万台でございましたけれども、さらにもうちょっと落ち込むかもしれないなという見通してございますので、我々としては、自動車関連の部品に関しては、うまくいって来年も現状維持ぐらいかなというふうに見ております。そういう中で、むしろ景気回復については政府の積極的な景気回復の施策の施行を一日も早くしていただきたいなという感じでおります。  それから、産業の空洞化は避けられないかという御質問でございましたけれども、今はもう、ちょっと難しゅうございますね。今、手の打ちようがございませんですな。  今回の不況そのものは、従来のいわゆる景気循環の中での不況期と、それから産業構造あるいは生産分業構造が大きく変わる、そのために起きている不況、まさに複合的な不況であるというふうに我々は受けとめておりますし、これがやはり正常な状態に戻るには少なくとも三年、四年かかるのかな、正常な経営ができるようになるには、そんなふうにも見ております。  それから、雇用調整の問題でございますが、今ほとんど限界で、若干余剰人員を抱えております。福島でも今二人ほど雇用調整資金の援助をちょうだいしております。実は、ことし七月に入りまして、これは派遣会社から派遣されている臨時的な従業員でございますが、それとか高齢者、六十五歳以上の臨時の方々に少しやめていただきました、残念ながら断腸の思いで。そういうことはいたしましたけれども、今はこれから先なかなかちょっとやめてもらうというような状況にございませんですね。ですから、当面はやはり国の御援助をいただきながら帰休でもしていただくようになるのかな、最悪の場合ですね。そうされないように受注拡大をして頑張っていきたいと思っております。  ただ、ヨーロッパの動きを見ていますと、今ヨーロッパの自動車メーカーさん大変でございますね。例のワークシェアリングをもう始めていまして、時短をして週休三日制ぐらいにして仕事を分け合っていこうよ、そのかわり少し賃金の方を安くしてちょうだいよというような話が盛んに向こうの経営者と労働組合との間で進められているようでございます。既にアメリカあたりでは、一時期から比べましたら相当に人件費が低減しておりますし、そういうこともある程度日本でもこれからそういう考えに立った施策が出てこなきゃいけないのかなというような気もいたします。  それから、四番目の中小企業施策に関してでございますが、私は例の融合化施策の中で、今それが具体的に施策として進んでおりますのが異業種交流グループ、あれは正式に言いますと異分野業種グループですか、あれはぜひいろいろと御支援をいただきながら強固なものにしていっていただきたいと思いますね。  ということは、神奈川県は特に自動車開運とか、それから電機産業関連の下請企業さんが多うございます。メーカーさんといわゆる下請との関係がこれからは、従来の単純な加工品で割と量が多くて、いわゆる中長期に安定した注文をいただける、そういう時代はもう終わるわけです。そういうものはほとんどどんどん内製化していくでしょう。これは特に部品の統合化、共用化、これを考えますとそういう合理化は非常にやりやすくなりますので、東京にいますから。内製化はどんどん加速してくると思いますね。ですから、そういう単純な仕事の受注機会は減ってくるというふうに見るべきだと思います。  何が残るのかといいますと、試作であるとか量の少ないものですね。そういうものとか、物によっては部品メーカーさんでやっても数が少な過ぎちゃって経済的に採算合わぬよというような分野での完成品、例えばモーターみたいなもの、あるいはリレーであるとかそういうものの受注機会は私はふえてくると思うんです。  ただ、受注機会はふえてまいりましても、これは試作品にしてもそうでございますけれども、これは相当いろんな多機能が必要なんですよ。従来のような特化されちゃった、機械加工なら加工だけとか、カスティング屋さんだったらダイカストの鋳造だけであるとか、ゴム屋さんだったらゴムの成形だけだとか、そういう業態じゃとても受注できないですね。そういう異業種が集まって一括して受注をするということは可能でございましょう。できるなら、そういうグループの中で新しい製品の開発をしていくとかあるいは新しい技術開発をしていくとか、そういう機会はこれからたくさん出てくると思います。  ですから、そういう構造変化の中で中小企業がこれから生きる受け皿として、ああいう異業種のネットワーク化をどんどん進めたらどうですかというふうに申し上げたいわけです。それに地方にございます試験研究機関あたりが大いにバックアップしてほしいということです。  また、私どもでも制度として技術アドバイザーという制度がございます。ああいう方々お願いをいたしまして、新しい分野から注文をいただく場合は当然新しい技術が生まれてくるわけですから。どうも我々に短期間で成果を上げられるようなアドバイスをしていただける先生方、意外と少ないんです。これは私の提言でございますけれども、もう六十、いわゆる定年を過ぎられて、お仕事もなくてうちで余生を送っていらっしゃる方はたくさんいらっしゃると思うんです。そういう中から選び出したらどうかなと思うんです。そういう方々をできるだけ多く、神奈川県には技術アドバイザーは今百五十名ぐらいいらっしゃるんですかな、これが五百になっても千になってもいいと思うんです。ただし、弁当代、せいぜい交通費ぐらいで御勘弁をいただいて、老後対策ということでそれは生きがいになると思うんですね。  技術というのはある程度伝承が可能なんです。文章を読むとか数字を読めばだれでも簡単に伝承できるんです、技術というのは。ただし、技能というのはそうはいかないんですね。その人が長年かかって得た、経験から得たものが頭の中にある程度先にあるわけですから、これは簡単に伝承できないわけです。定年を終わったそういう方々がたくさんいらっしゃると思うんです。そういう方の活用をもう少しお考えいただいたらなというふうに感じます。  それからもう一点は、今、全国下請企業振興協会ですか、全下さんとよく言っているんですが、あの傘下に中小企業の振興を支援している団体がございます。神奈川県では中小企業の支援財団がございます。あそこで今金融であるとか設備対応であるとか、それから受発注のあっせん、これをやっていただいています。今度私どもがいろいろと新しい分野に営業活動をやってみてわかったんですが、意外と競争がそんなに厳しくなくて、付加価値の高い利益率のいいもの、そういう分野が結構市場にあるんですよ。ですから、そういうものの掘り起こしを支援財団さんあたりの受発注御担当のあそこら辺を少し拡充していただいて、強化拡充をしてやっていただいたらどうかなというふうにも考えます。  以上でございます。
  55. 半田洋之

    参考人半田洋之君) 景気の回復の時期ということなんですけれども、私も早くなってほしいと日ごろ思っておるわけですが、早目早目に対応してどんどん思ったことはずれていくということで、来年いっぱいと言っているのも果たしてどうなのかなという状況です。何しろ聞くところでは、親会社の方はどんどん工場なりあるいは製造ラインを海外に移転するということが非常に多いんです。したがって、そういうことになれば我々の方に回ってくる仕事というのは当然落ちてくるわけですから、いつになるかというのは、円がもう少し下がってもらわないとだめなんじゃないかなという感じがしています。  産業の空洞化については、先ほどお話ししましたように、単なる国内と海外との人件費の差だけではなくて、向こうの調達する電子部品というものが、これは電子部品の日本メーカーさんが向こうでやっているわけですから品質も同じである、しかも単価が安いというものが大分あるわけです。それが向こうで買ってきたらば我々も安く使えるようにやれるシステムを何とか考えていただければまだ解決の道ができるのではないか。それがない限りは、部品の占める比率というのは物すごく高いですから、どうしても海外に行かざるを得ない。大手さんもその意味もあって行っているところが非常に多いです。  しかし、これは国内の工場、電子部品メーカーさんにとっては、最終的には空洞化してしまえば閉じざるを得ないわけですから、何とかその辺を御検討いただいて、結局は国内の産業はある程度の規模では残るべきものだろうと思いますので、ぜひその辺をお骨折りいただきたいなと思います。  ただ、全体的な流れとしては、これはヨーロッパ、アメリカ、そして今日本に同じような形で来ているんだよということの部分は確かにそうだろうと思う。したがって、海外に当然に行くべき大量生産の比較的単純な作業というのは、それはそれで我々は脱皮していくべきものだろうと思います。しかし、多品種少量生産とか、あるいはこれからの開発に当たっていろいろ新しい技術を必要としながら対応していくものというのは必ずあるわけで、それを我々はぜひやっていきたいし、それが日本の将来にも必ず結びつくと思います。  ここまでの急激な不況というのは、本当に国内での仕事というのは、今の状況本当に買い手市場ということで、単価は物すごく下がってきておる。我々、一億とか二億とかという設備投資をしているシステムを使って時間当たりの単価が千五百円とかですね、そういう状況でございます。かつて私が二十五年前にやったのが千二百円とか千円で、そのとき床屋の値段が八百円です。それで今千五百円。床屋の値段は三千三百円から三千八百円。しかも、設備投資は物すごくかかっている。それをなぜやっていけるのかといいますと、パートタイマーの人たちを使ったりして何とか原価を下げている。あるいは外注さんと協力して下げているという状況でやっておるわけですが、今はもっと下がっている。大メーカーさんがそういうことを設備投資の償却も考えずにとり始めているというのが現状でございます。  そういうことですので、何とか産業全体が維持できるように抜本的な対策ということをぜひお願いしたいと思います。  それから、雇用調整の関係は、私どもは今でもいろいろ利用させていただいています。ただ、今の段階は非常にきついものですから、それも対応できないような形になっている場合もあります。いわゆる雇用保険とかそういう関係で調整させていただいて待機をさせてある程度補償するという形でなくて、結果的には、殊に我々の場合にはパートタイマーさんが比較的占めておりますので、契約満了に当たってはできるだけもう仕事の見通しがないということでどんどん規模縮小するという形をとらせていただいている。それで、必ず仕事がふえたらばまた戻ってきていただきたい。ところが、かつては忙しくてそう言っても無理だったんですが、今はもうしょっちゅう電話が入って、いつ忙しくなるということが非常に多くて、本当に全体の不況というのが行き渡っているというのが現状だろうと思います。  それから、今後の中小企業に対しての何か策はないかということに対しては、先ほどの方もおっしゃったように業績の悪い会社に対応できるような、これだけの不況の時期なんですから、業績の悪い会社、赤字の会社というのは非常に多いわけで、それはもう関係ないよということになってしまうと相当部分が対応外になってしまうという状況だろうと思いますので、ぜひその辺も御検討いただきたい。  それから、あども一つ、新製品、何か新しいものを我々考えた場合に、販売ルートというのに非常に困っているというのが現実であります。結局は、何か開発しても実際には売れないという形になってしまう。したがって、ぜひその販売ルートとかあるいは商品に対する相談とか、そういう関係のもの、これ異業種交流や何かではいろいろやっていただいていると思いますが、なかなか結びつかないというので、そういう形でぜひ商品化するために御援助がいただければありがたいと思います。
  56. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 恐縮でございますが、本日はなるべく多くの方に御質疑をいただきたいと思いますので、御質問、御答弁はできるだけ簡潔にお願いをいたします。
  57. 谷畑孝

    ○谷畑孝君 三人方の参考人の陳述を聞いておりまして、本当にいい参考にさせていただきました。そういう意味では、私ども商工委員会というのは与野党挙げて景気の回復ということで常に一致をしておる委員会でございまして、私どももぜひ参考にさせていただきたい、このように考えています。  そこで、この間、政府も数次にわたる景気回復のための財政出動ということで、三十兆円にも上る景気回復ということになっておるわけですが、それでもなお底割れをしていくという状況であり、また消費も非常に冷え込んだ状況の中で、いわゆる大幅減税等含めて議論をされておる。しかし、それも本当に効き目があるのかどうか、そういうことで議論がされておるところでございます。  そういう状況の中で、リストラ支援法を来年の予定であったものをこの国会で通すということで、また公的資金の充実ということで、これも今補正予算で議論をしながら、いわゆる国金あるいは国の中小公庫、金融含めて力も入れておる。ところが、きょうのお話を聞いておりましても、公的資金にしてもほとんどが後ろ向きで前向きな資金にはなっていない、いわゆる回転のためのものである、設備投資ということじゃない、そういうことで非常に難しい状況を抱えています。  そこで私、二つそれぞれにお聞きしたいんです。  一つは、さらに公的資金の中で幾つか解決すべき問題だとか、こうだという点がありましたらひとつ教えていただきたいということ。  二つ目は、一番大きな今日の政権の目玉になっておる規制緩和ということですけれども、これ景気のいいときに規制緩和をするといいんですけれども、ある意味においてはこの規制緩和がそれぞれの中小企業における経済の多少の困難といいましょうか厳しさというのか、もちろん利点もありますけれどもそういうマイナスの点もある。そんなことも聞くわけですけれども、そのあたりのこの規制緩和についてそれぞれどのようにお考えであるか、ひとつお聞きをしておきたいと思います。  時間の関係がありますから、以上よろしく。
  58. 石川三三

    参考人石川三三君) お答えします。  公的資金の問題ですけれども、冒頭申し上げたように、この資金はたくさんあるわけです。あるけれども、絵にかいたぼたもち。さあ手続しようと思うと、もうむちゃくちゃに条件があるわけですね。こうした政策ですから、その条件に当てはまらなきゃ融資をしないぞ、こういうことになると、先ほど半田さんが言われたように、赤字の人はもう死んでいけ、こういうことになる。だから、この手続を簡素化していただきたいということです。  それから規制緩和の問題につきましては、我々繊維業界については大した問題は今のとこうありません。規制を緩和しろとか、そういうことはございません。  以上です。
  59. 高田料成

    参考人高田料成君) お答えします。  公的資金の改善についてのお尋ねでございましたけれども、私は残念ながら余り知識がございませんので、お答えできません。  それから、二番目の規制緩和の件でございますが、とにかく日本の物価は非常に高いということでございます。今回の規制緩和日本の物価が少しでも下がってくれればなというふうに感じております。  以上でございます。
  60. 半田洋之

    参考人半田洋之君) 公的資金については、先ほどお話ししましたようにいろいろ規制が強くて、実際には今の段階のこの不況に対してはなかなか対応できない、お願いしてもまず無理だというような形で初めからあきらめているというのが現状ですから、何とかそういうことに対応できるような希望を持たせていただけると非常にありがたいと思います。  それから規制緩和については、私どもの場合には移動電話だとかあるいはポケベルとか、そういう関係のもののいろんな仕様、わけてこういうものはどうだろうなというのがあっても、これはいろんな規制の中でもう初めから対応できない、これはだめだよということになりまして、アイデアが幾らあってもなかなか商品にならない、我々のクラスではどうにもならぬという状況になっている場合もあります。しかし、香港とかあるいは台湾とか、あの辺は物すごく発達している、あるいはアメリカでも発達しているんでしょうけれども、そういうもっと簡単に普及できるような体制を、私は深くは知らないんですがぜひお願いして、どんどん商品化できるようにやっていただきたいと思います。
  61. 谷畑孝

    ○谷畑孝君 どうもありがとうございました。
  62. 横尾和伸

    横尾和伸君 公明党の横尾でございます。私からは主に御経験を中心にお伺いしたいと思うんです。  まず高田参考人にお尋ねしたいんですけれども、半年ほど前ですか、大連に自動車・電機工業の工場進出と言っていいのかどうか、されたということなんですけれども、こういう状況の中で大変な御苦労があったんではないかと思いますし、今後の展望ということではまた不安もあろうかと思います。主にその決断のポイントといったところについてお伺いしたいと思います。  それから、第二点に半田参考人にお尋ねしたいんですけれども、家電の輸入国になりつつある、空洞化の問題についても大変深刻だということなんです。これちょっとお答えいただきにくいかもしれませんけれども、国内の下請とそれから大手メーカーとの関係の中でこれから改善をしていくべき視点といいますかポイントといいますか、もしお考えの点がございましたら、具体例ですといろいろと支障がございますでしょうから一般論で結構です。  それから、もうお一方、石川参考人にお尋ねしたいんですけれども、先ほど中国での不正競争防止法の成立に大変御苦労されたということなんですけれども、民間外交の一つとして大変な御活躍だと思うんです。時間のない中で大変恐縮なんですが、実現までの経緯、十数回行ってこられた御苦労の点ですね、ポイントを挙げて手短にお答えいただけたらと思います。  以上でございます。
  63. 高田料成

    参考人高田料成君) お答えいたします。  大連への工場のいわゆるシフトの決断のポイントでございますが、端的に申し上げて価格競争力を向上させていこうということでございます。それによって国内におけるシェア拡大、これはグローバルなシェアも考えておりますけれどもシェアを拡大していこうと。同時に、御存じのとおり、部品業界というのは大変低収益構造でございます。その収益構造を改善していこうというのがねらいでございます。  以上でございます。
  64. 半田洋之

    参考人半田洋之君) 我々だんだん家電の輸入国になってきて、仕事がなくなってきて非常に困っているわけですが、その関係で、多品種少量生産の関係あるいは部品の非常にきついような関係のものは国内には残っていくと思うんです。したがって、そういう関係仕事量を我々としては開拓しながらやっていきたいと思っているんです。  大手との関係で申しますと、例えば我々は開発能力等が不足しているとか、あるいは販売ルートが不足しているとかいうことですが、ある程度のもう開発したもの、それを部品の調達も含めてでもできます。部品を支給していただくなり、あるいは部品を調達して完成品までというものは大手のメーカーさんより比較的すっと安く商品化できますので、そういう一貫生産という方向で多品種少量生産を中小企業はやっていくことが将来生き延びていく道ではないだろうかと思っております。
  65. 石川三三

    参考人石川三三君) お答えします。  中国との今までの話の経過ということでございますけれども、中国の機屋さん、これを中国の紡織品総公司といいます。綿工連みたいに全部織り布を扱っている、タオルから何から全部扱っているところです。対外経済部、御承知のように貿易部門ですね。それから紡織品進出総公司、これは輸出を主にやっている。この三カ所へ重点的に十五回行っているわけです。  それで、七、八年前に日本の各産地の署名を得て、それに血判を押して、中国のトップに、こういう問題を解決してもらわなきゃ困るということで血判状を突きつけたわけです。そうしたら、その当時の担当者が物すごく激怒して、日本皆さんからそんなことをされる覚えはない、私は努力しているにもかかわらず血判状を持ってくるとはということで激怒されて、それでそのときに輸出三原則というものを中国につくらせたわけです。  中国から日本へ輸出する場合の、中国はこういうことを守りますよという三原則をつくったわけです。それは、まず第一に日本の綿工連傘下の機屋さんが困難に陥るようなことはしない、それから市場を撹乱するようなことはしない、それから市場の値段が乱高下するようなそういうことはやりませんよという輸出三原則を中国と、結局日本に対してやるわけですから、日本との間でつくったわけです。  それが御承知のようにバブルがどんどんと進んでいきまして、日本の商社たるものはもうかるものは何でも買いに行くというようなことでして、天安門事件前後です、日本の商社がむちゃくちゃに買いに行ったわけです。それで、行政に対して輸入商社にも自粛を求めたけれども、これはできません。そういうことで中国に輸出三原則を守らせてきたわけですけれども、天安門事件後、我々は即座に、綿工連が一番早かったです、中国に乗り込んだのは政府よりか綿工運の方が早かったで吊す。むちゃくちゃな製品を、結局中国がこういう川内乱を起こすような状態になったから、高くなると思って日本の商社のあるものは何でも買いに行ったわけですね。それがきょう現在、我々の市場を冷やかしておる一つの要因になっておるわけです。  そうしたことをいろいろと中国ときょうまでまた議論してまいりまして、先ほど申し上げたように、ことしの十月訪中して、この十二月一日に、不正競争防止法をつくって皆さんのためにやりますよということを言っていただいたんですけれども、これは中国のトップの責任者です。大体通産局長以上の方ですけれども、そういう局長か次官程度の人と話をしてくるんです。その辺までは、こういうことよくわかった、それじゃやりましょうやということをやっていただけるんですけれども、中国というものはああしたむちゃくちゃ、むちゃくちゃということはないが、発表があっても裏から金を握らせれば、今のバブルの何やらじゃないけれども金を握らせれば何でもやる。中国は、金を握らせると白紙の輸出許可書まで出すんですよ。  それが暴露されまして、それで今回不正競争防止法というようなものをっくりましたけれども、そうした観点で、ひとつきょうここでまたお願いしたいのは、日本の国内商社を行政指導していただきたいということもひとつやっていかないとこの輸入問題の解決は全く難しいということですので、よろしくお願いいたします。  以上です。
  66. 市川正一

    ○市川正一君 私、日本共産党の市川でございます。下請問題に絞ってお伺いしたいんです。  参考人からそれぞれお話がありましたように、また我が党の不況調査によりましても、特に二次、三次下請の業者の実情はもう繰り返しませんけれども、さっきどなたかがどうにもならぬ、こう言われましたが、まことに暗たんというか惨たんたる状況だと私も認識しております。  そこで、こういう危機的事態を乗り切る上で、私は、アメリカのクリントンの大統領選挙のときに問題になったいわゆるトリクルダウンというのがありまして、これは大企業に予算をつぎ込めばそのおこぼれで中小企業も潤うんだという従来の方式はもう破綻していると思うんです。  そうじゃなくて、中小企業そのものへ仕事の面でも融資の面でも直接的な援助を強めること、そして減税など国民の購買力を高めること、及び大企業、親企業とかあるいはメーカーとかそういうところが犠牲を下請に押しつけるんじゃなしに、バブル時代にたっぷり蓄積している利益も活用してもらって、言うならば応分の社会的責任を果たし共存していく、こういう方向が今求められているんじゃないかと私は思うんです。それは決して何も大企業をつぶせと言っているんじゃなしに、言うならば、そういう社会的な責任の問題としてそういうことを今果たすべきじゃないのか。  そういうことをめぐって、せっかくのこの機会でありますので、御三方に三点についてお伺いし、そういうのはもうノーコメントだというのならどうぞ御自由にそれで結構でございますけれども、率直、具体的にお聞かせ願えれば幸いであります。  第一点は、例えば自動車産業では四月に一次下請と五ないし一〇%の切り下げ価格交渉を実施しております。これは高田さんよく御存じだと思うんですが、最近の円高で十月ごろからさらに価格交渉が始まっております。メーカーからのコストダウンは年二回、いわば恒常化しておるんです。さらにVA、VE、御承知だと思いますが、これによるコストダウンを行っております。この結果、それが二次、三次というふうに結局下へ下へとところてん式に押しつけられている。  ところが、現行の下請代金法では、親企業には直接の責任がこういう形では及ばない。さらに、一億円未満の資本金の会社間では対象にならない。また、公取や中小企業庁に訴えればいろいろの不安があるということで、結局泣き寝入りになってしまうことが少なくないんです。私はこういう現状は本来あってはならぬと思うんですが、御三方の実情はどうなっているんだろうか、どのようにお考えなのかというのが第一点です。  第二点は、バブルの終わりごろの九〇年、九一年に親企業からの仕事がまだぎょうさんあった時分に、親企業の要請で設備投資させられて、NCやMC、機械設備に投資した業者の方が、その機械が動き出した途端に仕事が減ってきて機械の償却費も出ない。半田さんもそのようなことをさっきおっしゃったんですが、こういう事態に親企業、大企業が応分の責任を果たすべきだ、援助すべきじゃなかろうかと、もちろん行政の上でもそれはいろいろ考慮すべきことがありますけれども、というふうに私は思うんですが、これはいかがでしょうかというのが第二点。  最後に、先ほどからお話があった中国やアジア地域への海外進出、そこからまた逆輸入でダブルパンチですな。そういうのが今急増していると同時に、特に円高不況のもとでの国内産業の空洞化が急速に進行している。このまま放置しておくと、おっしゃったように国内の下請中小企業や産地などの地域産業の衰退に直結します。もう一つ、やっぱり注目しなければならぬのは、京都の西陣などの繊維産地、新潟の燕や三条などの金属洋食器産地で地元の中堅企業、これが中国などへ進出したために地域の分業体制の崩壊が今引き起こされている。  私はこういう点で、一つは大企業の身勝手な海外進出を少なくとも今の不況下では遠慮をすべきだ、凍結などの社会的責任を果たしてもらう必要があるんじゃないか。今石川さんは、国内商社の行政指導をもっとしっかりやってくれ、こうおっしゃいましたけれども、そういうふうないわば空洞化問題への対応、対策などについて少しお聞かせ願えれば幸いでございます。  以上三点です。
  67. 石川三三

    参考人石川三三君) お答えします。  他産業の自動車産業、鉄鋼関係と若干違いまして、我々繊維産業というものは紡績があって商社があって我々機屋があって、この三段階で、糸から商社を通じて布にして返すわけですね。それが昨今では、大手商社も大手紡績も、下請即我々は賃織りと言うんです。糸をもらって布にして、その工賃を稼ぐわけです。極端なことを言うと労働賃金なんです。  それを大体綿工連の中でも六、七〇%やっておったわけでございますけれども、そうした海外のものが入ってくる、海外で物をつくったら安いということで、商社が自分のリスクを負わずして、その賃織り産地を切り捨てるわけですね。ということは下請を切り捨てるということです。それで輸入物で賄って、足らぬものだけを我々につくれよと、こういうことを言うんです。これが我々がどんどん悪くなっていった実情なんです。自分のリスクを負うものは商社はやりません。全部その負担も我々に来たわけです。それでだめになったということです。  それから二番目の設備の問題ですけれども、我々は、国の繊維ビジョンの施策の中で設備の構造改善事業というものを実施してまいりました。しかし、今先生おっしゃったように、設備の構造改善で設備投資したそのリース代金がまだ払っていないです。二年間据え置きの十年返済で、その返済金すら今払えない事情で、我々も行政に対してこれをどうか延ばしてくれませんか、あと三年なり五年なり、きょう払えぬのだから延ばしてくれないのかということで設備のリース代の延期をお願いしているわけでございます。それが現状でございます。  それから円高の問題ですけれども、商社が安ければ何でも買ってくるから、その円高の要因も確かにございまするけれども、縫製企業やいろいろなものが海外へ出て、大手が出ていって物をつくって安いものを持ってくるから、結局は先ほど申し上げました低い労働賃金を当てにして安いものをつくって持ってくみ、技術は全部日本メーカーが向こうへ行って技術指導してくるわけです。そうすると、先ほど先生御指摘のように西陣と同じような結果になっちゃうわけです。同じものが入ってくるわけです。それがもう御承知のように、女性のブラウス、ワンピース、男の人のズボン、これは千円以下です。そういうのが大量に入ってきておりますので、我々企業は何とも仕方ない現状でございます。  以上でございます。
  68. 高田料成

    参考人高田料成君) お答えいたします。  自動車産業界定例の原低要求があることは事実でございます。ことしもこの円高の差損の応分の負担も求めて、従来の原低の上に上乗せでございますから恐らく七、八%になると思うんですが、そういう要求が部品メーカーさんにヘッドメーカーから来ているようでございます。それを受けまして、下請企業の方にもそういう要請は出ております。しかしながら、現況ではそういう原低におこたえできる状況にございません。ほとんどの企業がもう下手をすると欠損を出すような状況でございますので、おこたえをすることはできないような状況にあるというふうに言えます。過去は結構協力を申し上げてまいりました。  それからその次が、親企業要求で設備をしたが仕事がなくなったときにどうなるのという占っなお話でございましたけれども、これは契約書の中ではうたう企業はほとんどないように思います。暗黙のうちに設備、大体五年ぐらいでございますけれども、五年ぐらいの間保証できるよとしていただけるならば、じゃ投資しましょうというような暗黙の契約の上に立っておりますので、今私も協力会の会長をやっておりますが、余りそろいう苦情を協力会の会員の中から聞くことはございません。  昔はございました。それは事前にやっぱりお室さんと了承をとってなかったような場合ですね。お客さんとダブル、いわゆる並行して設備投資しちゃったという場合にそういう事例がありました。最近では内外製がもう既に新しい製品開発の段階で決まっちゃいますから、メーカーさんの中でもやるよ、協力工場もやるよというようなことはなくなりましたんで、今はそういうトラブルはほとんどございません。  仮に、五年で償却するものが三年でショートになった場合には、その二年間のものの補償をしていただく。これは金型なんか特にそうでございますね。例えば、四十万個保証で、製品に割り掛けして金型費を回収しているわけですけれども、二十万個で製品が終わったという場合は残額を全部補償する、そういうような約束になっております。  それから、海外の生産シフトの問題でございますけれども、これはそれぞれの企業企業間であるいは市場で自由に競争している日本社会でございますので、競争に常に勝たなきゃならないための一つの戦略であるというふうに見ざるを得ないと思うんでございます。もしこれを何か規制できるとすれば、いかがでございましょうか、国の行政あたりでやっていただく以外ないと思うんですけれどもね。そんな感じがいたします。
  69. 半田洋之

    参考人半田洋之君) お答えします。  いわゆる親会社からのコストダウンの要請に対してということでは、確かに大手さんからもそういうコストダウンの要請、当然にあります。しかし、現実にはコストダウンの要請よりも受注量の減少の方が非常にきつい。そして、親会社さんの需要が確かに現実に少なくなる、需要というのか、受注量、生産量が少なくなっている。それで我々にそのしわ寄せがきているんだということはわかっておるんです。内製化もありますけれども、それよりも海外が非常に多くて、内製化自体の生産規模は物すごく縮小しておる。したがって、海外に移動しているのはなぜなのかということになると、アメリカの会社やらあるいは韓国なりほかの会社からの競争力によって単価が下がるということで、商品の値段が下がるので海外に出ざるを得ない。そういう状況もありますので、ある面ではその要請におこたえするかと。  それよりも今逆にもっとつらいのは、受注量がないから比較的中堅なり中小の企業からとった場合はもっときつい条件で今市場にそういう仕事が出ておる。それしかないというような非常にきつい状況になっている。  それからバブル時代の設備投資に関しての親会社の責任というのは、確かに先ほどお話ししましたように、親会社さんも間違いなく生産ラインの縮小なり工場規模の閉鎖に近いことをやられていますので、何しろ親会社さんが立ち上がるのを待って、そのときに我々も立ち上がりたいということで、いろいろして一生懸命耐えておるというのが今の状況です。  それから、大企業の海外移転の規制というのは、これは先ほども参考人の方たちお話ししていますように、いわゆる日本企業だけではない、競争相手は海外のときもあるということであります。確かに規制して国内をやっていただきたい、これは下請としてはそう希望しますけれども、いわゆる大会社は大会社なりに採算を合わせなくてはならないという立場もあると思いますので、殊に大会社同士というのか国内の大企業同士の単価競争というのは非常にきつ過ぎますから、その辺がうまくないと何しろどうにもならない。この辺、確かにそういうことを検討していただいて、国内に仕事が残るようにはぜひしていただきたいと思います。
  70. 市川正一

    ○市川正一君 ありがとうございました。
  71. 井上計

    ○井上計君 民社党の井上計でございます。御三方大変どうも御苦労さまでございます。改めて皆さん方のお話を聞いておりまして、私ども若干承知はしておるつもりでありましたけれども、大変深刻な不況の中で非常に御苦労が多いこと拝察をして、心から御苦労をお察し申し上げる次第であります。  一、二お伺いしたいと思いますが、先ほども同僚の斎藤議員からもお尋ねがありましたが、この不況がこれから先いつまで続くんであろうかというふうな御質問がありました。同様に、私もいつまで続くんであろうか。また、この不況から脱出するような施策が国として果たしてとれるのであろうか。こういうことについては大変今憂慮し、また疑問に思っている点が多々あるわけでありますが、端的に申し上げますと、これからまだ二年や三年はこの不況から脱出するような要因が見当たらない。むしろ、これ以上悪くならぬようにするためにどうするか、こういうふうなことが今我々としても考えていくべきではなかろうかな、こんな思いもするわけであります。  さてそこで、皆さん方のお考えを端的にお伺いしたいことがありますが、一つはこれは石川さんにお伺いするんですけれども、先ほどちょっと冒頭のお話の中にありましたけれども、繊維法の延長についての御希望がございました。我々も、これについては通産省ともいろいろと協議をし、また党内でもいろんな意見をまとめておりますが、ぜひ我々としてはもう一度といいますか、何回目の延長になりますかね、延長をしていくべきであろうというふうに考えております。  しかし、言えば業種別に対するこのような援助法というと怒られるかしれませんが、繊維法のようにもう三十年続いているという法律はないわけです。三十年間続けてなおかつよくならないという業種に対して、これから延長して何をどうすべきかということについてもやはりいろんな意見を交換しているわけです。またある人に言わせますと、余りにも長くこういうふうな補助立法を続けたことが、逆に繊維業界の自助努力を阻害したんじゃないか。農業保護と同じように、繊維業界に対する保護が少し行き過ぎたからこういうことになったんではないかという説もあるんですね、お聞きだと思います。  しかし、そうは言いながら、やはりさらに延長すべきであろうという考え方で私どもいるんですが、繊維業界いろいろ広いんですが、特に石川さんのように綿スフの業界が延長してさらに何か明るい見通しをお持ちになることができるのかどうかな、これについてひとつ端的にお伺いしたい、こう思います。  それと関連してですけれども、綿スフという名称をお使いになっていることは適当でない。恐らくこの中でもどうでしょう、スフと言っておわかりになる議員がおられますか。斎藤議員はわかったとおっしゃっているわけですが、恐らく半分ぐらいだと思うんです。スフとは何ぞや、私は知っていますよ。だから、一般的にもう通用しなくなったような名称を使っていることもいかがかな、こんなふうに思うんですが、ひとつその辺についてもお聞かせをいただければと、こう思います。  それから、続いて高田参考人にこれはお伺いするんですが、冒頭お話しの中で、自動車の生産台数が平成二年度と今年度比較すると約二百二十万台減ったと、そのとおりだと思います。これからもっと減るんじゃないでしょうかね。  現在、我が国の自動車の登録台数約六千五百万台ですね。軽を入れますと更新が今まで大体六年に一回転ぐらいですか。バブル景気がはじけてから、みんなかなりおくれる、これからさらにお互い更新が長くなるであろう。そこへ向けて、輸出が必然的に減ってくる。逆に今度は輸入の自動車もふえてくる。ということになると、私は数年後には、御無礼でありますが、率直に言って生産台数がまだまだ二〇ないし三〇%ぐらい減ってもおかしくないと思うんです、いろんな条件考えると。  減らぬようにぜひ御努力願いたいと思いますが、我々もそういうふうに考えますけれども、仮にしかし三〇%さらに何年後かに減った場合、日本の自動車産業、さらには今度は部品メーカー、部品産業が果たしてどうなるのであろうかなという危惧を持つんですが、それらについてどうお考えでありますかということ。  それから、あとお三方にずばりお聞きしたいんでありますが、今細川内閣を中心として、国会は賛否両論がありますけれども文字どおり政治改革法案の成立にしのぎを削っておるわけですね。個人的ないろんな意見ありますけれども、最近私どもがずっと接する範囲、特に企業経営者の方々の御意見を聞きますと、政治改革は急がぬでもいいではないか。もっと不況対策経済対策に重点を置いてくれという御意見を非常に強く聞くんです。しかし正式な場でなかなかおっしゃる方がない。そこで、せっかくの機会でありますからお三方、ずばり御遠慮なく、政治改革なんかどうでもいいとおっしゃるならばそれはそれでいいですよ、むしろ不況対策をどうするか、この問題についてひとつ生の声をぜひ我々に参考のためにお聞かせいただきたい、これはお願いでございます。  以上です。
  72. 石川三三

    参考人石川三三君) お答えします。  これは井上先生の御質問に一と三を兼ねたような格好になります。  まず第一に、井上先生一番御承知のように愛知県の中小企業中央会は、十二月二日に中部経済新聞にいろんな業者のトップの座談会をやりまして、そこに辛らつに書いておきました。それを読んでいただければおわかりのように、今我々中小企業は、まず第一に政治不信です。細川内閣になって本当に景気対策、前に十三兆円のああした緊急対策の予算を組んであるにもかかわらず、きょう現在これだけ不況で、これだけ中零細企業が困っておるのに何の対策もない。一つは政治不信です。  それから二つ目には、こうした問題を解決するには政治改革は恐らく必要であろうと思うけれども、衆議院があげなごたごたしておるぐらいなら、参議院の方で最優先で景気対策を議論していただきたい。これは今国会開かれておりますので、どうか井上先生よろしくお願いします。  そういうことで我々が望んでいるのは安定した経営、飯を食べる、飢える、これ以上食べたくない、それがこれ以下になっては大変ですよ。このぎりぎりの息のできる線で当分いけるような景気対策を考えていただければ私どもは我慢します。いろんな今細川内閣のやっていることも支持をしますけれども現状の今のあり方については私ども承知はできません。これは愛知県の中小企業中央会の座談会、それから各企業方々にお聞きしても異口同音にそのとおりです。その点をよく御理解を願ってひとつやっていただきたいということをお願いしておきます。  それから見通しですけれども、見通しは私はありません。  しかし、現実にこれだけはひとつきょうは私お願いしておきたいと思うんですが、ことしの従業員に払うボーナスですね。これはバブルのときに蓄積をしてある経営者は別として、中小企業、中零細企業方々のように、ああした株だの土地だのバブルはやれない。その方々が長年の不況で従業員を大切にするために、バブルのときは従業員がいないものだから、随分無理をして従業員を確保したわけです。そのときにそうした金も使い果たしておるわけです。  それで、この年末の賞与は経営者は借金をして従業員に支給をしておるわけです。これは皆さん御承知のように仕事がなくなった。残業はない。年間の給与の目減りは大きい。それに対して経営者が、社会的責任もございまするけれども経営者として従業員の生活を保障するために借金で賞与も払っておるわけです。冒頭申し上げたように退職金なんというのは、もう全く借金をせにゃ払えませんですね。  だから、そういう施策においても、参議院の先生方お力添えでそうした資金ができるものなら、これはもう限定してもらっても結構なんですが、これは雇用調整法の中や一時帰休の中で政府の施策は実施をしていただいておりまするけれども、現実にそうした金がない方にどうかひとつ何か施策があったらお願いをしたいということです。  それから二つ目の、新しい繊維法に対する希望はあるかということです。  新しい繊維法に対しては、私ども希望は持っておりません。ただ一つ持てるのは、これは日本繊維産業連盟というのが元宮崎さんがやっておみえになって、今は東洋紡の瀧澤さんがやっておみえになりますが、その繊度連の中で今度の繊維法に対する態度はどうするんだという議論があったわけです。繊度運としては、拍手はしてはならない、賛成の意を表してはならない、最悪の場合は退場せよという決議もいたしました。  しかしながら、最終的な答申にはいろいろな我々の輸入対策の問題についてもいろんな問題が提起してあったわけです。輸入対策を講じるのは国民に対しての弊害があるのと副作用があるという表現が盛られておったわけです。我々は秩序ある輸入をしてくれというお願いをしておるのにもかかわらず、そうした表現が字句で盛られたわけです。それは削ってもらったわけです。そうしたことと、最終的には先ほど申し上げました繊維新法の中で通商委員会を設置してそうした貿易問題等々については議論をしましょうやと、こういうことですね。  これから何年かかって議論するかは知りませんけれども、その辺が盛られたものですから、十二月一日の最終的答申に私も出席をいたしました。拍手も何もする余地はございません、沈黙しておったら、これでよろしいかと言って、反対という意見はないものですから、これで答申しますよということで、間もなくその答申が先生方手元に届くと思います。明るい見通しか絵にかいたぼたもちになるかわかりませんけれども、しかしながら答申に沿って我々業界も努力をいたすということについてはやぶさかではございません。  以上です。
  73. 高田料成

    参考人高田料成君) お答えを申します。  最初に、自動車の生産がまだまだ大きく落ち込むんではなかろうか、そういう環境状況の中で部品の下請さんはどうするんですかというような御質問でございますが、確かにまだ多少減っていくような気もいたします。  保有台数、今六千数百万台でございますから、仮にライフが十年としても、買いかえ需要だけでも六百万台ぐらい出なくちゃいけません。六百万台をことしはちょっと切れましたですか。ですから、今のこの不況がなくなれば話は別でございます。若者がどんどん買いかえをやりますのでライフが短くなると思うんです。不況がここ一、二年で回復して若干需要が出てくると。よくわかりませんけれども一説によると、十兆円の所得減税をやると二十五万台需要がふえるなんというようなのがこの間新聞の記事に出ていました。そういうようなことを考え合わせますと、そう大幅には減らないだろうというふうには受けとめております。これは中期的な展望でございます。  長期的には、大変な自由で有望な市場が近くにございます。アジア・太平洋経済圏がございます。二十一世紀を展望する場合には、まだまだ非常に魅力ある市場もございますので期待はできると思いますけれども、しかし中期的にはちょっと厳しいかなと。  そういう中で、先ほども案内申し上げましたけれども、私どもとしては脱自動車を目指して、少なくとも二、三年の間に三〇%ぐらいは自動車部門以外の受注拡大をやっていこうよというような考えを持って今進めております。  それからその次の、政治改革といわゆる景気回復についてどちらを優先したらいいかというお話でございますが、どちらも大事な問題でございます。並行して、できるだけ早く改革なり回復を進めていただきたいと思いますけれども、強いて申し上げるなら景気回復の方をぜひ優先してやっていただきたい、こんなふうに感じます。  以上でございます。
  74. 半田洋之

    参考人半田洋之君) 政治改革と不況対策ということになってくると、どちらかということになれば、もう我々にとっては不況対策を何にしても第一にやっていただきたい。それだけ苦しい状況にありますということをお答えせざるを得ない状況です。  ただ、政治改革についてもその他の案件についてもできるだけ密度の濃い議論をやっていただいて、国民にこの進行状況がわかるように、そしてそれがどうしてもだめなときにはあれですけれども、どちらかというところじゃなくて両方できたらやっていただきたい。しかし、重要度はもう不況対策、これは何しろやっていただきたいということです。
  75. 井上計

    ○井上計君 どうもありがとうございました。
  76. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 最初石川さんにお聞きしたいんですが、日本の復興のために大変御努力され、また現下の大変苦しい不況の中で苦心惨たん御奮闘されている様子に敬意を表するものでございます。  しかし今、MFAの発動の問題あるいは不況の問題、そういう中での苦労ですが、MFAの発動については、現在私たちの着ている衣類の約四五%のものが、平均すると四五%ぐらいになると思うんですが、外国から輸入してきている。もちろん、外国でこれよりも低い輸入率でもうMFAを発動している国はたくさんございます。我が国の現状からいうとなかなかこれも難しい問題もあるし、不況問題も今百貨店その他でいろんなものが売れない、そういういろいろなものがあると思います。  そこで、実は高田さんのいろんなお話を聞いてみると、やはりある程度の規模がないといろんなことができないんじゃないか。生産面から、あるいは外国へいろいろ企業進出させる、その他いろんなことがなかなかできないんじゃないか。  実は、私自身は石川県でございますので機屋さん方とも大変つき合いも多いんです。昔から大変機屋さんというのは景気の大きな波を受けるんですが、また機屋さんが景気がいいと料亭は栄えると言われるような、そういういろんなことを私どもはたで見てきたものでございます。  そこで私は思うんだけれども、ずっと機屋さんというのは波を繰り返しながらいつも同じような形態でぎているので、もちろん織機は変わっているかもしれませんけれども、ここではやっぱりある程度の規模が必要じゃないか。ある程度のところがまとまらないから、糸屋、商社そしてその商社の言うなりに機屋さんがやっている。個人的な経営を脱して、もう少しみんなで規模も大きくすれば変わった形でのいろんな対応、情報も得られるでしょう。そのほかいろんなことができるんじゃないかなと思うんですが、今非常に苦しいから何だというだけではなくて、これから少し長い目で見たときそういう対策も必要ではないかなということを思いますので、その辺、石川参考人の御意見もいただければというふうに思います。  それから、高田さんに御質問したいんですが、今大連の方にいろいろ工場を出される、そのとき中国の人の労働単価は百八円で日本人だと二千数百円、まさに大連の方は二十分の一だということですが、なぜこんなに大きな差ができているのか大変私自身不思議に思うんです。中国の方と接してみれば、能力的に一人一人の差というのは私はほとんどないように思います。にもかかわらず、こんな大きな差ができたのはどこにあるんだろうかということ。  そして、これから大連等そういう海外へ行かれる場合、日本の空洞化もさることですけれども、現地へ行ってそしてずっとその生産をうまくやっていくための対策というのも非常に重要ではないか。やはり、労使関係もいろいろ難しい問題もあると思います。  私は、昭和五十九年の春に、時の水野建設大臣と一緒に日中道路交流会議の締結に行ってきたんですが、そのとき日中友好病院を竹中工務店がやっておりました。上海で空港を大林組がやっておりました。その人たちにいろんなことを聞いてみると、人を使うというのが日本とは変わった形のものであるということを聞きながらきたんです。そういうことで、やはり行かれたらそれなりにしっかりした対応をして、ずっとそこで喜ばれながら生産していく、そういうことが大切でないかなというふうに思います。  この間、テレビで、アメリカの企業がそういう開発途上国等のところへ行って大変うまくいっているのには、その得た利益の一部を病院でいわゆる健康管理、そういうようなことで地元に還元しているというようなことが出ておりましたけれども、現地へ、海外へ行った場合の、そこでずっとやっていく上においてのそういういろいろな対応も必要じゃないかなと思いますので、そういう点で御意見があったら伺いたいというふうに思います。  それから半田さんの、今のいろんな問題を解決する上に通貨が足りないというのはまさにそのとおりだと思います。いわゆるバブルのころは大体通貨は一〇%強でふえておりました。現在は三%ぐらいしかふえておりません。ただ私思うのは、今は通貨が足りないだけではなくて、金融機関が非常にバブルの後遺症に悩んで不良債権等々も得ているためでしょう。そういうことで、いわゆるあつものに懲りてなますを吹くような形はいろいろあるんじゃないかということは一方で思うんです。  しかし、今のこのドルをもう少し安くしていくということについては、アメリカはなかなか難しい問題もありましょう。賃金の今の高いのを下げるには労使関係でも非常に難しいことがあるでしょう。そういうものをうまくソフトランディングしていく上においてある程度通貨をふやしていく。  今半田さん、緩やかなインフレということに対してインフレではないとおっしゃられましたけれども、それはいい物を高く買うんだからそれはとおっしゃるけれども、同じ物をそうすれば二つ買う、三つ買う、そのことが後にまたいろんな後遺症となって残ってくるので、それなら緩やかなインフレであれば当然これは年金者、いわゆる高齢者、中高年齢者は大変困るんで、そういうものに的確に対応していく、そういうことが必要じゃないか。過去において三十年代の経済成長のころに、そういうことをインフレとかなんとかいう言葉を出さないでうまく対応していった、ああいう何か経済的にもすぐれた、そういう本当の意味の政治家というのが今日本にいないのかなと。  何かそういうことを含みながらやっていかないと、一つ一つのことを今つっつきながらやっていっても、なかなかそれにはそれなりの抵抗というのはみんなあるんで、先生のおっしゃったある程度の通貨を少し緩やかにしながら、緩やかないわゆる南風をソフトに吹かせながら、そして困るところにはうまく対応しながら、そうすることがやっぱりこの不況を早く脱出できる道ではないかなと思っていたんです。先ほどそれに対して半田さん、いろいろおっしゃいましたけれども、その辺の真意もお伺いできればと思います。
  77. 石川三三

    参考人石川三三君) お答えします。  まず第一に、我々の企業で現在の企業と違った方式でグループを組んである程度の経営規模を大きくしてやったらいいじゃないかというこの褒言は、前の繊維法から指摘されておるわけで、御承知のようにしPU、リンケージ・プロダクション・ユニット、そういうことでやってまいりました。先生も御承知のように福井、石川というのは、全く繊維でも不況に強い産地です。我々綿工連も不況には耐えて耐えてきたわけです。バブルが最近来たぐらいのああいう急激な不況でも、絶えず耐えてきたわけです。そうした企業合同、グルーピング等々による経営もやってまいりました。  しかし、今の段階では、また戻りますけれども、海外で今御指摘されたように、安くていい物が入れば持ってくればいいじゃないかというような考え方です。これは国の施策として、余りにも黒字が多いから黒字減らしのために繊維も米も何もかも犠牲になって、黒字減らしやりゃいいんだと。それで国内の企業が空洞化するというようなことを、空洞化の心配はなしに黒字減らして我々が犠牲になっても黒字減らしはやるのかと。これは私どもも持ってきてはいかぬと言っているわけじゃなくて、秩序ある輸入体制の確立をしてくださいよということをお願いしておるわけです。これが第一点。  それから二つ目の、先ほど先生四〇%とおっしゃいましたけれども、これは先生どこで四〇%とお聞きになったか知りませんけれども、七五%以上入っているんです。
  78. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 いや、先週、協会から全部ヒアリングしたんです。スフだけじゃなくてすべての着物ですね、着ているもの、外国輸入品の全部の平均が四五%です。
  79. 石川三三

    参考人石川三三君) これは間違いがあったらまた私訂正しますけれども、我々がいろんな繊度連の場、新聞紙上に発表しておるのは、七〇%ないし八〇%という事実を統計の中から言っておるわけでございます。そうしたことで、四〇%ぐらいなら先生、何も私どもは秩序ある輸入体制なんというのは強く訴えません、四〇%ならば。そういうことで、MFAの発動はもう即やるべしという時期に来ております。  しかしながら、今日本の国の状況からいって、黒字減らしをやるに余りにも急激にやらないということで、通商問題の中で今からどの段階が来たらやるかという定義をつくるわけです。間に合わぬわけです、これは我々に言わせてみれば。そういうことで、これはやっていきます。  それから、海外生産の話が今若干出ましたけれども、海外で物をつくって、特に中国の場合は合弁なりなんなり、あれは条件がございます。とにかく向こうでつくって日本へ持ってきて利益のあるものは、これはやっても効果は上がると思うんです。例えば日本の我々が織った製品、日本でつくった織物、それから染めたやつを中国へ持っていって、向こうで労働賃金が安いから加工して、その製品を持ってきてはかげた値段でまた売る、そういう悪徳の商人みたいなやり方をできる人はいいんです。  我々は織布五工連ですけれども、我々の立場は、物をつくりにいってそれを持ってきても、冒頭申し上げたように日本からいい機械が向こうへ行っていまして、それで向こうの労働力でいい機械でいい物を売る。そうすると、日本の繊維は三十年間の不況に耐えてきていますから、今はそうした設備を近代化する人は数%にしかすぎないわけです。  しかし、各産地産地で、石川県なり愛知県なりは企業の灯を消してはならないという我々にもそうした責任があるわけです。そうすると、どうしても今泣き言みたいなことで先生方お願いをするような状況でございまするけれども、その中でも若い経営者、これは他企業でも同じだと思うが、前向きに真剣に今経営をしている方々がお見えになるわけです。これは石川県でも愛知県でもどこの産地でも同じです。そういう方々は救ってやらにゃいかぬが、前向きで日本の繊維産業を守ろうとしておる方にはどうしても我々の責任でそれを伸ばしていかにゃいかぬということですが、そういう経営者は数%しかお見えになりません。  以上です。
  80. 高田料成

    参考人高田料成君) お答え申し上げます。  最初の御質問が、ある程度の企業規模があった方がよろしいのではないかというような御質問であったと理解しております。  経営機能というのは、営業活動から始まって、受注があり生産があり納入がございます。そういう中で、品質管理をするとかあるいは労務管理をするとか、いろんな経営機能を持っておりますので、そういう機能全体の効率的運営ということを考えますれば、ある程度の規模があった方が私は効率のいい経済活動ができるんではなかろうかなというふうに思います。  じゃ、これからそういう仲間に入れないいわゆる中小零細のことを考えてみますと、先ほども少しくお願い申し上げておきましたけれども、これからは異業種が集まってグループをつくって、そこで営業活動をするとかあるいは新しい技術開発をするとか製品開発をする、そういう機会がこれから多くなってまいると思いますので、そういうグループにどんどん参加をしていけるような行政面での支援も私はぜひお願いをしておきたいなというふうに思います。  それから、中小零細が海外へはなかなか難しいんではないかという御懸念もございましたけれども、最近新聞で私が見た範囲では、これは群馬県の方でございましたですかね、中小企業が数十社集まりまして何か協同組合をつくっていらっしゃって、三十とか四十社でございましたけれども、大挙して中国のある開発区へ生産シフトするんだという話が出ておりました。ですから、そういうチャンスは企業がその気持ちになりますれば多くあるんではなかろうかというような気がします。ただ、知らないという方が非常に多いように思いますので、その点は行政面でぜひカバーをしていただきたいなというふうに思います。  あと、その次は、いわゆる海外へ生産シフトした場合に、能力差がないにもかかわらずいわゆる賃金格差云々というお話がございました。ちょっとそれ意味がよくわからないんでございますが。
  81. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 結構です。もう時間があれですから。
  82. 半田洋之

    参考人半田洋之君) 通貨増に対するインフレ傾向についてのお話だったと思うんですが、今我々の電気製品を考えた場合に、IC比とかLSI比とか、機能に対して製品単価というのはどんどん下がっているというのが現状です。したがって、同じ性能であれば必ず単価は安くなる。まして、大量生産の東南アジア等でできるものというのをこれを日本の国内でまた高い単価でやろうといってもそれは無理な状態だろうと思うんです。したがって、これは高機能化、高品質化をやって、どんどん高い機能のあるものを高く出すという傾向にだんだん進んでいくだろう。  それをやるためには、やはり産業が活性化していれば、いわゆる通貨量がある程度多くても、競争が相当激しくて供給量が多ければ値段の上がる余地というのはないはずだろう。例えばお米においても、バイオでどんどん質のいいものを量産できるような状態になっている。したがって、農地の単位面積を大きくして省力化を図れば相当の競争力もまた出てくるはずだ。  したがって、そういうことを考えるような形でやれば、どれだけ流通は多くても、衣食住に限ってはインフレになる傾向というのは私は避けられると。そして、万が一インフレの傾向があったらば、日本の財政当局というのは、これはもう実証済みで、抑えることに対しては完全に抑え切っちゃうということですから、もうその心配はないのではないか。ぜひその辺御検討いただきたいと思います。
  83. 石川三三

    参考人石川三三君) 訂正させていただきます。  沓掛先生の四〇%の件でございますけれども、私は繊維全体ということで申し上げていましたが、これは合成繊維と長繊維は四〇%だそうでございましたので、よろしくお願いいたします。訂正します。
  84. 野間赳

    ○野間赳君 時間も経過をいたしておりますので、石川参考人に一点だけお教えをいただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  輸入対策で大変御苦労をなされておられますが、原産国表示をどのようにお考えになられておられますか。また、現状がどういうことになっておりますか。メード・イン・チャイナであるとか、メード・イン・ジャパンであるとかいう、そういう原産国表示というのがありますが、そういうものは余り製品の中につかないんですか。
  85. 石川三三

    参考人石川三三君) これは法律で決められて、原産地というのはどんな製品にも表示しろということに決まっておりますね。だから、中国でも台湾でも、全部すそのどこかに品質の繊維のパーセントの表示と原産地表示はしてあると思います。
  86. 野間赳

    ○野間赳君 現状はそういうことで、輸出入できておると。
  87. 石川三三

    参考人石川三三君) はい、そうです。
  88. 中曽根弘文

    委員長中曽根弘文君) 以上で参考人に対する 質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言ごあいさつ申し上げたいと存じます。  本日は、御多忙中のところ長時間にわたり本委員会に御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。皆様方が生産の現場経営者として血のにじむような御努力をされておられることがよくわかりましたし、また景気の状況経営の御苦労、問題点、今後の展望等についてもお話をいただきました。御指摘をいただきました数々の御意見参考といたしまして、今後の国政審議を行ってまいりたいと思います。  本日はどうもありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後四時六分散会      ――――◇―――――