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参考人(
半田洋之君) 相模通信工業の
半田でございます。
お二人の先輩の
参考人の方と私は違いまして、余り団体の役員もしておりませんし、ただ会社の
経営をいちずにやってきたという
状況であります。
昭和四十二年に会社を設立いたしまして、弱電
関係の組み立て
関係の下請をやっておりました。電子部品のプリント基板のアセンブリーという、そういう
仕事をやっていたわけでありますが、それ以外にラジオとかそういう
関係のものを組み立て始めまして、それでいろいろなコンピューター関連、あるいは電信電話関連、そういう
関係の
仕事をだんだん進めてきました。そして、取引先もだんだんふえまして、お客様第一に品質とコストと納期、それを必死になって守ってだんだん成長してきました。その間に
昭和四十二年から二十五年以上たっているわけですが、残っている会社といいますと、
本当に二十五社に一社か三十社に一社というような形で大体なくなってしまっているというのが
現状です。
そして、今この
不況に遭って、今までの
不況と全然違うという印象を持ちました。特にいろんな
関係の
対策を打ちましたが、会社独自で打った手はすべて空振りに終わるという
状況であります。それで、どうしてこういうことなのだろうか、ぜひ
先生方に実効のある政策をやっていただきたいと思いまして、
経済の全然専門でない私ですけれ
ども、日ごろ思っておりますことを述べさせていただきたいと思いまして
出席させていただきました。
今の
経済というのは、衣食住すべて
日本ではもう完全に豊かになっている。こんなに豊かになっていて、しかも
世界一番の金持ちの国である
日本がどうしてこんなに苦しまなくてはならないのだろうか。しかも、我々の弱電
関係を含めて競争力が非常についてきている。そのついてきた結果が、逆にその褒美としてと言ってはおかしいかもしれませんが、いわゆる
円高になり、その
円高によって一遍に百二十五円とか百三十円、かつてはそのくらいでも何とかやっていけるだろうと言っていた
企業体質が、百円に近くなってきたということになってきますと、もう
本当にこれは消えてなくなるよりしょうがないんだという
状況になってくるわけです。
我々の第二次
産業、これは少なくもかつて
日本の国力がまだ弱かったときは、頑張ってほしいということで、精いっぱい働け、働けという形で進めてきたはずなん、です。現段階ではいろんな規制、保護といった
状況で、消費関連では円レート百七、八十円であると言われているぐらいのものが、今我々のところでは、百円に近い状態で競争しろといいますと
本当に存在はできなくなってくるというのが現実です。それが今空洞化のあらわれている最大の原因だろうと思うんです。
そして、我々は、かつてだんだんとふえてきて五百名近くなったのを、逆に今受注量がどんどん減ってきまして、三百名あるいは二百何十名という形で、ボーナスもなくし、役職者の給与カットも二〇%、三〇%もして耐えているわけですけれ
ども、一向に先行きは見えない。もうちょっとと言っていたはずなのが、まだ何年か続きそうだということになってきているというのが
現状なわけです。
そして、周りの親会社はといいますと、どんどん東南アジア、中国に
工場を移転している。そうすると、我々はどうやったらいいのか、
仕事は完全になくなっていくだけなんだというのが
現状なわけですね。したがって、これは、国内でのコスト競争力を幾らつけても我々としては存在できないという
状況になってくるわけです。
しかも、私はずっと筋を通して話をしたいと思うんですが、どうも緊張していまして行ったり来たりという形になって申しわけないんですけれ
ども、いわゆる電子部品
メーカー、
日本の電子部品というのは非常に品質がいいわけです。その電子部品を
日本でやっている場合には、これは我々としてはそれを利用して使えるわけで競争力がっくわけです。
ところが、その電子部品
メーカーも東南アジアあるいは中国、そういうところに移転していい製品をつくる。そして、その東南アジアに移転した
メーカーは、東南アジアには安い単価で、その原価に応じた単価で売り先に売っている。しかし、
日本には、東南アジアから電子部品を輸入しようとしても、国内の単価で自分
たちの
工場を維持するために売るという
状況になると、我々は、アセンブリーとしてやる場合には、人件費のコストが
世界一と言われている
状況、これを自動化やらいろんな管理をやって効率をよくしても、電子部品においても、そういう
関係で競争力が向こうの方は三〇%ぐらい安いということになってしまうと、どうにもいたたまれない。もう出ていくというのか、出ていく力がなければやめざるを得ない。
しかし、将来的にこんなことで
日本の
産業というのは成り立つのだろうか。テレビなりビデオなり、電信電話あるいはマルチメディアというもの等も、我々のところで原価を安くして国内に対応できるようにして最先端の電子技術がだんだんと生まれてくる、それで
日本が
世界を先導していけるはずなんです。それが今の段階だと、その会社がなくなってしまう、一番稼げるところがなくなってしまう。それで最終的に、いわゆる稼げない、能率の悪いところで
日本は成り立っていくのかというのが問題じゃないかと思うんです。
したがって、もちろん適切な保護は必要でしょうけれ
ども、いわゆる競争力のあるところが徹底的に存在できないぐらいまでなると
日本は将来どうなるんでしょうか。そういう気持ちで、日ごろ我々の
経営が非常に苦しいもので不満を持っておるわけです。
そして、今私が
企業経済において単純な初歩的な矛盾として考えているのが、衣食住が豊かである、工業製品も何でも自由につくれる能力を持っておる、時間も十分にある、人もある、そういう
状況で、新規の
産業といいますか、これから
住宅とかそういう
関係の質の向上をやるべきことはたくさんある、道路も非常に混雑していて能率が悪くて、変えるべき
仕事はたくさんあるにもかかわらず、今
日本に結果として
仕事がないんだと。もうかる
仕事がないからこんな
不況になっているんだということが今の現実だろうと思うわけです。
したがって、ぜひもうかる
仕事をつくっていただきたい。いろんな面で矛盾があるのは、もうかる
仕事がなくて過当競争になって、ほうっておけば基本的には死ぬほどの競争で原価が下がっていってしまう。したがって、適切なことをやはり適切にジャッジするところがどこかにないと、
仕事がなさ過ぎるために、
日本人は勤勉でもう最後まで戦ってしまう。
外国でなくて
日本の国内の
企業が競争者なんだということが一番の問題だろうと思うわけです。
そして、この
仕事がないというのは何が原因がと私は思うんですが、これは非常に飛び過ぎているよと言われるんじゃないかと思うんですが、いわゆる通貨が足りないんだ、
経済規模に応じた通貨が足りないんだということを非常に感じるわけです。
そして、
資料にいろいろ私の感じたことを説明してあるわけですが、今経団連や日経連の
人たちが、人件費を全体に相当下げないと
経済はもう成り立たないと、あるいはいろんな面で消費をシンプルにしなくては成り立たないよということを言っているわけですが、しかし、そのいわゆる人件費を下げるということは非常に国民にとっては苦しみが伴う。それで逆に通貨をもっと増発するような形ができないでしょうか。
いわゆる為替レート、これが一番の
不況の原因なんです。この
不況の原因を百三十円まで何とか買い下げるというのか、円がドルレートで百三十円になるまで徹底的にやっていただきたい。それが法律の改正を伴うものであるのでしたら、そして財政の均衡がよくないというのであれば、何とか
外国の債券でも買って、利息を十分に取ることによって国力なりを維持することによって、幾らでも円が百三十円になるまでは買い下げていっていただきたい。そういうことが可能なのかどうか、私はわかりません。どんどん非常に無制限に買うということができるのかどうか。ただし、通貨というのは幾らでも増発する気になれば、アメリカ連邦でもどんどんドルを増発したことがあるということもありますし、ブラジルなんかでは物すごく増発をやって物すごいインフレになった。
それは節度があると思うんですけれ
ども、少なくも百三十円になるまでやっていただけたらありがたいなということをまず第一番に
お願いして、百三十円ならば弱電
関係の我々の会社は国内で一応対応できる、何とかこの百三十円をキープしていただきたい。それをやることによって、海外に移転する会社が親会社も残っていきますし、少なくも国内需要の電話とかあるいはポケベルとか移動電話とか、ハイビジョンとかあるいは高級電子製品、いろんなものがあると思いますけれ
ども、そういう環境は完全に残っていく。したがって、そういう形でぜひ円のドルレートが百三十円というのを何とか死守していただけるとありがたい。これが第一の
お願いなわけです。
そして、そのほかには、ハイビジョンとかあるいは電気のそういう商品がなかなか売れないというのは、開発した当時物すごい値段で、例えば今ハイビジョンが百万だとか八十万だとかと言っていますけれ
ども、これが一年、二年
たちますとどんどん量産
効果が出て、質もよくなって六十万、三十万、二十万になってくる。そうするとばかばかしくて、我慢すれば安くなるもの、しかも質もよくなるものをこういう時期に買えるかという
状況で、どんな新しい製品が出ても殊にこういう
不況の時期ですと待てばいいということになっていると思うんです。
したがって、ハイビジョンの新製品が出たときには、何かの
補助金なり、あるいは
最初に買った人は二、三年後には同じ品質のものを交換するシステム、そして少なくとも最新鋭の機種をただで利用できて、その古いものは例えば職業訓練所とかいろんなところ、
学校とかあると思うんですけれ
ども、そういうところに振り向けるとか、何かそういう新しい
人たちが買って損したと思うことがないようなシステムというものをぜひ御考慮いただいて、新しい製品が普及しやすいようにやっていただきたい。
それから、いわゆる
仕事がなさ過ぎるんだということで、どんなコストがかかったって、今はいわゆる自宅待機をさせたり、あるいは失業者になっていたり、社内でも何も
仕事がないと。電機
メーカーでもいろんなところで、
本当の
仕事はないけれ
ども何となく時間を過ごしているというような
現状にあります。大手でも、本来なら今の生産量であれば相当の人員は削減できる
状況、しかしそれを我慢して維持している。
本当にむだになっている。そのむだなもの、これが
本当のいわゆる浪費だと。時間は二度と戻らないもの、ただ
仕事がないというために浪費をしないような形で
仕事をつくらせてほしい。したがって、ぜひそういう形で何か
仕事をつくっていただけるという
状況をお考えいただけるとありがたいと思うんです。
それから、労働時間の短縮というのをぜひ、例えば今大会社の自動車
関係、労働時間の稼働率が半分になれば国内の自動車の値段は上がりますけれ
ども、もう需要には間に合わなくなる。したがって、新しい設備をしなくてはならない、あるいは競争力もなくなるから円も安くなる、そういう
状況で全体的には豊かになってくるはずだろうと思うんです。したがって、
仕事をふやす観点というのか、ふやすためにどうしたらいいのかということをぜひやらせていただいて、私
どもはもう働きたい、働いて生産を上げてある程度の
生活を送りたいということで我々頑張っております。
最後に、
中小企業に対しては我々は特にそうなんですけれ
ども、やっているのは
本当に
皆さんのおかげで、いろいろな面倒をかけながら存在せざるを得ないような
状況で今はやっております。従業員に対しても
本当に苦労をかけております。そういうような
状況で今やっておりますので、雇用保険は、今の段階では
中小企業の場合三分の二が四分の三になりましたけれ
ども、一日最高が九千円プラスということで一万円にちょっと満たないぐらいの金額になっております。
したがって、そこが上限であれば、保険というのも三分の二あるいは四分の三というやはり完全な
状況ではありませんので、
仕事が非常にないという
状況で休ませた場合の対応とか、あるいは借り入れ条件の変更をもう少し簡単にできるようにと。あるいは担保の
関係、これはかって値上がり部分を含めて一一〇%ぐらい借りられたものが、現段階ではもう担保の価値が下がって実際には三分の一とか半分とかという
状況です。したがって、特別の信用保険制度みたいなものをお考えいただけるとありがたいと思います。
そういうことで、
中小企業の占める比率というのは非常に大きいと思いますので、何とか我々が存続できるような政策をぜひ強力に実行していただきたいと思います。よろしく
お願いいたします。