○小林正君
産業・
資源エネルギー調査会、初めて質問をさせていただくわけでありますけれども、前々回葛西の
トラックターミナル、それから卸売業者の組合でありますベ・マルシェ等も視察をさせていただいて、そして前回三人のそれぞれの専門的な立場からの
物流に関します御意見もいただいて、かなり問題
意識も私なりにつくってきたつもりであります。
この間の御質問等をお聞きしながら、さっき
モーダルシフトのお話もございましたけれども、
一つは、日本のモータリゼーションというものが進行して、
鉄道から
トラック輸送、陸上交通へと、そういう流れが変わってくる。それが非常に急速であったがために、それを受け入れる道路ですとか、あるいは町づくりの問題もございましたけれども、いろいろ問題が生じてきているなということを
一つ感じました。同時にまた、
物流の問題について、いわゆるサービスの対価として適正な価格というのは一体どういうものなのかということも先日の参考人の皆さんの中からいろいろお話も承ったわけです。
例えば、私がゴルフをやって、あらかじめ荷物を送る、帰りも送る。そうすると手ぶらで行って帰れる、こういうことで千四、五百円かかる。これは安いのか高いのか。これは、物をつくって幾らあるいは加工して幾ら、製品にして幾らというのは長い歴史と伝統がありますから、一定の価格に対する概念というものはでき上がっているわけですけれども、実際問題としてサービスの対価というものの適正価格というのは一体何なのかということになると、手ぶら賃が千五百円でいいのかどうかということはなかなか難しい問題だなということも感じております。
仮にこれが一万五千円なら自分で我慢して持っていくかもしれないしとか、非常に
基準があいまいだなということを自分に振り返ってみてそのように感じているわけで、一体どういうものが果たして適正な価格なんだろうかということもこの間つくづくと考えさせられました。
まして、その価格が決定をされるメカニズムで言うと、先日の大森参考人がいみじくもおっしゃったわけですけれども、荷主と呼び捨てにできない、荷主さんと言う関係にあるということも言われました。そうすると、価格決定というのはどうなのかなということもおのずとそこから類推されてくるような問題もあろうかと思います。
そういう意味で、全く新しい物的流通という
分野の中で、それらの問題についての共通の我々自身の概念というものが
形成されてきたのかどうか。それは、業界の皆さんに今さら何を言うかとおしかりを受けるのかもしれませんけれども、国民の立場から考えますと、その辺の概念というものが共通のものとしてできてくる、そういうことになれば一定の合理的な価格についての国民的な合意なり理解というものが得られるんじゃないかなというようなことも感じました。
そして、そのことが結果としてそこで働いている
運輸労働者の皆さん方の
労働条件等の問題にも当然波及してくる
課題であろうというふうにも思いましたし、
労働条件といえば
賃金の問題と時間の問題、それからそれぞれの
事業所なり
企業がそこに
労働者を何人配置するのかというような問題にもこれはなっていくんじゃないかな、こういうふうにも思うわけであります。いわゆる三K
職場、非常にきつい、汚い、危険、困難というような条件の中での問題でありますから、国民的な
課題としてやっぱり追求していくべきテーマだろう、このように考えております。
例えばアメリカでいいますと、これは長距離のバスの場合ですけれども、ドライバーのそれぞれのバイオリズムといいますか、そういうものを管理していて運行計画のローテーションの中にそれを配慮事項として入れている。これは危険防止という面で、人間というのはやっぱり体調の問題がありますし、好調、不調というのは
一つのリズムで一週間なり一カ月なりいろんな形であらわれてくる。そういうものを把握して労務管理といいますか、そういう面で活用しながら未然に危険防止を図る、こういうようなことも行われている。事ほどさように、そうした配慮が必要な
分野だろうというふうにも思います。
と申しますのは、非常に危険な要素というのが今の交通事情の問題等で、先日も大森参考人からも、道路事情等の問題から非常に危険な事態というものが生じているという御指摘もございました。私は全くそのとおりだというふうに思うわけです。
トラックによる事故、それによって巻き起こされる連鎖反応、追突事故等の玉突きの問題とか、いろいろ報道をされておりますが、その中で
トラックにかかわる問題というのが大変多いということが、いわゆる危険な
職場ということの
一つの象徴的な事故だろうというふうに思うわけです。
そういう点を考えると、
一つの社会問題になっている。一家全滅するというような事態まで報道されているわけです。また、それを
職業としている皆さんの立場からすれば、
トラックが危険であるというようなイメージでとらえられているということから、やはり
職場あるいは
職業としての
イメージアップを図る立場からもあらゆる面での危険防止ということが必要だろう、こういうふうに考えているわけです。
そしてまた、非常に困難である、きついということから、これも問題になっておりましたが、
高齢化するに従ってほかの
職業への転換を図っていくというようなことで、ドライバーの一生をライフステージで見てみますと、若いうちは体力がありますから長距離の
トラック運転手としてやっていく。そのうちに長距離の
旅客の方に、バスの方に転換をする。そしてさらに年をとるとタクシーの
運転手さんになるというような、それぞれのライフステージでの
職業の転換ということが行われていくということがかなり一般的だろうというふうに思います。私もタクシーに乗って
運転手さんとお話をしますと、前は
トラックをやっていた、あるいはバスという方が大変に多いわけです。
したがって、その
企業の中で年をとるにつれて配置転換がされるということではなくて、やはり
職場がかわって、離職をして別のところに再
雇用されていくというようなケースが大変に多い
職場だという点でも極めて特徴的だろうというふうに思います。
それからもう
一つ、これもきょうの御
説明でもあったんですけれども、生涯
賃金という面で考えてみますと、出だしはほかの
職業に比べて若干優位性を保っているんですけれども、やがて追い越されて、生涯
賃金という面積比で考えますと圧倒的に不利になっていく。これはいただいた
資料で面積比で出してみたんですけれども、ここの部分が最初の優位性で、あとは後半になりますと圧倒的に差が出る。これは、面積比でいうと絶対にこの
職業は不利だということが一目瞭然になっているわけで、この理由はやはり固定給の部分が非常に低い、そして年功序列型ではない、能率給であるというところからきているわけです。そういう業界としての
一つの特殊性みたいなものが結果として
高齢者にとって不向きな
職場になっていく
一つの要因になっているんじゃないか。
これを
一つの
企業の中の問題として解決することが可能なのかといいますと、その
事業規模等の大きさの中で言えば極めて困難な実態にある。行政的ないろんな
支援がされていることも各種
資料をいただいて、見てわかるわけですけれども、その中だけで矛盾の解決を図ることはほぼ困難というような印象を持った次第でございます。
そういう意味で幾つか御質問をさせていただきたいわけですけれども、先ほど星野
委員から詳細にわたって
労働時間の
短縮問題について御質問がございました。そうした認識に立った上でさらにこれを進めていかないと、やはりますますこの面でのこの
業種の不利というか、あるいは魅力というものが、ほかの
産業全体の平均値との比較の中で言っても問題になっていく。
一歩踏み込んでこれからどうしたらいいのかということについて、これは
労働省からお伺いいたします。