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1993-10-25 第128回国会 参議院 決算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十月二十五日(月曜日)    午前十時二分開会    委員氏名     委員長         三上 隆雄君     理 事         北  修二君     理 事         守住 有信君     理 事         西野 康雄君     理 事         村田 誠醇君     理 事         風間  昶君     理 事         高崎 裕子君                 笠原 潤一君                 鎌田 要人君                 木暮 山人君                 佐藤 静雄君                 清水 達雄君                 陣内 孝雄君                 鈴木 貞敏君                 永田 良雄君                 南野知惠子君                 藤田 雄山君                 矢野 哲朗君                 会田 長栄君                 稲村 稔夫君                 今井  澄君                 清水 澄子君                 中尾 則幸君                 堀  利和君                 浜四津敏子君                 横尾 和伸君                 小林  正君                 長谷川 清君                 泉  信也君                 下村  泰君     ―――――――――――――    委員異動  十月一日     辞任         補欠選任      鎌田 要人君     大島 慶久君  十月四日     辞任         補欠選任      大島 慶久君     鎌田 要人君  十月六日     辞任         補欠選任      鎌田 要人君     野村 五男君  十月七日     辞任         補欠選任      堀  利和君     種田  誠君  十月八日     辞任         補欠選任      種田  誠君     堀  利和君  十月十二日     辞任         補欠選任      堀  利和君     谷畑  孝君  十月十三日     辞任         補欠選任      野村 五男君     鎌田 要人君      谷畑  孝君     堀  利和君  十月十四日     辞任         補欠選任      下村  泰君     島袋 宗康君  十月二十一日     辞任         補欠選任      藤田 雄山君     真島 一男君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         三上 隆雄君     理 事                 北  修二君                 守住 有信君                 西野 康雄君                 村田 誠醇君                 風間  昶君                 高崎 裕子君     委 員                 木暮 山人君                 佐藤 静雄君                 清水 達雄君                 陣内 孝雄君                 永田 良雄君                 会田 長栄君                 稲村 稔夫君                 今井  澄君                 清水 澄子君                 中尾 則幸君                 堀  利和君                 浜四津敏子君                 横尾 和伸君                 小林  正君                 長谷川 清君                 泉  信也君                 島袋 宗康君    国務大臣        外 務 大 臣  羽田  孜君        法 務 大 臣  三ケ月 章君        大 蔵 大 臣  藤井 裕久君        厚 生 大 臣  大内 啓伍君        農林水産大臣   畑 英次郎君        通商産業大臣   熊谷  弘君        運 輸 大 臣  伊藤  茂君        郵 政 大 臣  神崎 武法君        建 設 大 臣  五十嵐広三君        国 務 大 臣  武村 正義君        (内閣官房長官)        国 務 大 臣        (沖縄開発庁長  上原 康助君        官)        (国土庁長官)        国 務 大 臣  中西 啓介君        (防衛庁長官)        国 務 大 臣        (科学技術庁長  江田 五月君        官)         ―――――        会計検査院長   中島  隆君         ―――――    政府委員        内閣官房内閣広        報官室内閣広報        官        半田 嘉弘君        兼内閣総理大臣        官房広報室長        国際平和協力本  鈴木 勝也君        部事務局長        警察庁刑事局長  垣見  隆君        防衛庁長官官房  宝珠山 昇君        長        防衛庁防衛局長  村田 直昭君        防衛庁教育訓練  上野 治男君        局長        防衛庁人事局長  三井 康有君        防衛庁装備局長  中田 哲雄君        防衛施設庁長官  米山 市郎君        防衛施設庁総務  草津 辰夫君        部長        防衛施設庁施設  江間 清二君        部長        防衛施設庁労務  小澤  毅君        部長        経済企画庁調整  小林  惇君        局長        科学技術庁原子  笹谷  勇君        力安全局長        沖縄開発庁総務  渡辺  明君        局長        国土庁長官官房  藤原 和人君        長        国土庁計画・調  糠谷 真平君        整局長        国土庁土地局長  原  隆之君        国土庁防災局長  村瀬 興一君        法務省刑事局長  濱  邦久君        外務大臣官房領  荒  義尚君        事移住部長        外務省アジア局  池田  維君        長        外務省北米局長  佐藤 行雄君        外務省欧亜局長  野村 一成君        外務省中近東ア  須藤 隆也君        フリカ局長        外務省条約局長  丹波  實君        大蔵大臣官房総  田波 耕治君        務審議官        大蔵省主計局次  中島 義雄君        長        大蔵省主税局長  小川  是君        大蔵省銀行局長  寺村 信行君        国税庁調査査察  藤村 英樹君        部長        文部省初等中等  野崎  弘君        教育局長        厚生省保健医療  谷  修一君        局長        社会保険庁運営        部長       佐藤 隆三君        兼内閣審議官        農林水産大臣官  上野 博史君        房長        農林水産大臣官  福島啓史郎君        房審議官        農林水産省経済  眞鍋 武紀君        局長        農林水産省構造  入澤  肇君        改善局長        食糧庁長官    鶴岡 俊彦君        資源エネルギー  堤  富男君        庁長官        運輸省鉄道局長  秦野  裕君        運輸省航空局長  土坂 泰敏君        海上保安庁次長  平野 忠邦君        郵政省放送行政  江川 晃正君        局長        建設大臣官房長  伴   襄君        建設省建設経済  小野 邦久君        局長    事務局側        常任委員会専門  鈴木 重夫君        員    説明員        総理府内閣総理        大臣官房会計課  山本 正堯君        長        外務省総合外交        政策局軍備管理  林   暘君        ・科学審議官        農林水産省経済  嶌田 道夫君        局統計情報部長        郵政省貯金局経  斎尾 親徳君        営企画課長        会計検査院事務  白川  健君        総局第一局長        会計検査院事務  阿部 杉人君        総局第一局長        会計検査院事務  森下 伸昭君        総局第二局長        会計検査院事務  佐藤 恒正君        総局第三局長        会計検査院事務  平岡 哲也君        総局第四局長        会計検査院事務  中島 孝夫君        総局第五局長     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件国政調査に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度  特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金  整理資金受払計算書平成年度政府関係機関  決算書(第百二十六回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百二十六回国会内閣提出)(継続案件) ○平成年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百二十六回国会内閣提出)(継続案件)     ―――――――――――――
  2. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  議事に先立ちまして、一言ごあいさつを申し上げます。  去る八月二十七日の本会議において決算委員長に選任されました三上隆雄でございます。  甚だふなれではございますが、皆様の御協力を賜りまして、公正、円滑な運営を心がけてまいりたいと存じます。  どうぞよろしく御指導、御鞭撻、御協力をお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手)     ―――――――――――――
  3. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) まず、委員異動について御報告いたします。  去る八月二十七日、大渕絹子君が委員辞任され、その補欠として今井澄君が選任されました。  また、去る九月十日、直嶋正行君が委員辞任され、その補欠として長谷川清君が選任されました。  また、去る十四日、下村泰君が委員辞任され、その補欠として島袋宗康君が選任されました。  また、去る二十一日、藤田雄山君が委員辞任され、その補欠として真島一男君が選任されました。     ―――――――――――――
  4. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、国家財政経理及び国有財産管理に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  6. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成年度決算外二件の審査並びに国家財政経理及び国有財産管理に関する調査のため、必要に応じ政府関係機関等役職員参考人として出席を求めることとし、日時及び人選等につきましては、これをあらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  8. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 平成年度決算外二件を議題といたします。  まず、平成年度決算、すなわち一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、大蔵大臣から概要説明を聴取いたします。藤井大蔵大臣
  9. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 平成年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書会計検査院検査報告とともに国会に提出し、また、平成年度の国の債権の現在額並びに物品増減及び現在額につきましても国会報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計におきまして、歳入決算額は七十二兆九千九百五億五千九百二十六万円余、歳出決算額は七十兆五千四百七十一億八千五百十万円余でありまして、差し引き二兆四千四百三十三億七千四百十五万円余の剰余を生じました。  この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計平成年度歳入繰り入れ済みであります。  なお、平成年度における財政法第六条の純剰余金は一兆五千三百十八億三千五百二十万円余となります。  以上の決算額予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額七十兆六千百三十四億六千五百二万円余に比べて二兆三千七百七十億九 千四百二十四万円余の増加となりますが、この増加額には前年度剰余金受け入れ予算額に比べて増加した額九千三百九億千六百二十一万円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、歳入の純増加額は一兆四千四百六十一億七千八百三万円余となります。その内訳は、租税及び印紙収入等における増加額一兆四千四百六十一億七千八百九十万円余、公債金における減少額八十七万円余となっております。  一方、歳出につきましては、予算額七十兆六千百三十四億六千五百二万円余に平成年度からの繰越額八千四百六十六億六千八十六万円余を加えました歳出予算現額七十一兆四千六百一億二千五百八十八万円余に対しまして、支出済み歳出額は七十兆五千四百七十一億八千五百十万円余でありまして、その差額九千百二十九億四千七十七万円余のうち平成年度に繰り越しました額は七千六百九十一億四千三百六十五万円余となっており、不用となりました額は千四百三十七億九千七百十二万円余となっております。  次に、予備費でありますが、平成年度一般会計における予備費予算額は千五百億円であり、その使用額は千四百四十五億千二百一万円余であります。  次に、一般会計国庫債務負担行為につきまして申し上げます。  財政法第十五条第一項の規定に基づき国が債務を負担することができる金額は二兆四千九百六十七億七千百二十六万円余でありますが、契約等による本年度債務負担額は二兆四千五百六億三千六百三十一万円余であります。これに既往年度からの繰越債務額三兆八千九百二十八億千七百九万円余を加え、平成年度中の支出等による本年度債務消減額二兆四千七百二十六億四千六十万円余を差し引いた額三兆八千七百八億千二百八十一万円余が翌年度以降への繰越債務額となります。  財政法第十五条第二項の規定に基づき国が債務を負担することができる金額は一千億円でありますが、契約等による本年度債務負担額はありません。  次に、平成年度特別会計決算でありますが、同年度における特別会計の数は三十八でありまして、これらの決算内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。  次に、平成年度における国税収納金整理資金受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済み額は六十五兆三千九百七十九億五千九百七十万円余でありまして、この資金からの一般会計等歳入への組み入れ額等は六十五兆三千八百八十七億六千五百五十八万円余でありますので、差し引き九十一億九千四百十一万円余が平成年度末の資金残額となります。これは、主として国税に係る還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。  次に、平成年度政府関係機関決算内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  次に、国の債権の現在額でありますが、平成年度末における国の債権総額は二百十一兆八千三十六億八千七百四十四万円余でありまして、前年度末現在額百九十二兆三千百七十六億二千五百四十万円余に比べて十九兆四千八百六十億六千二百三万円余の増加となります。  その内容の詳細につきましては、平成年度国の債権の現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  次に、物品増減及び現在額でありますが、平成年度中における純増加額は六千八百十六億九千五百四万円余であります。これに前年度末現在額七兆四千九百三十四億六千二百万円余を加えますと、平成年度末における物品総額は八兆千七百五十一億五千七百五万円余となります。その内訳の詳細につきましては、平成年度物品増減及び現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  以上が平成年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書政府関係機関決算書等概要であります。  なお、平成年度予算執行につきましては、予算の効率的な使用経理の適正な運営に極力意を用いてまいったところでありますが、なお金計検査院から二百二十四件の不当事項等について指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。  予算執行につきましては、今後一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  10. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) ありがとうございました。  次に、平成年度国有財産増減及び現在額総計算書並び平成年度国有財産無償貸付状況計算書につきまして、大蔵大臣から概要説明を聴取いたします。藤井大蔵大臣
  11. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 平成年度国有財産増減及び現在額総計算書並び平成年度国有財産無償貸付状況計算書を、会計検査院検査報告とともに第百二十六回国会報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  まず、平成年度国有財産増減及び現在額総計算書概要について御説明いたします。  平成年度中に増加いたしました国有財産は、行政財産四兆三百三十一億九千百八十七万円余、普通財産一兆八千五百七十六億千七百八十八万円余、総額五兆八千九百八億九百七十六万円余であり、また、同年度中に減少しました国有財産は、行政財産三千六百三十四億八千六百十九万円余、普通財産三千九百七十一億六千八百七十三万円余、総額七千六百六億五千四百九十三万円余でありまして、差し引き五兆千三百一億五千四百八十二万円余の純増加となっております。  これを平成年度末現在額六十七兆八千四百八十億五千三十六万円余に加算いたしますと、七十二兆九千七百八十二億五百十八万円余となり、これが平成年度末現在における国有財産総額であります。  この総額内訳を申し上げますと、行政財産四十一兆五千百六十四億千六百十五万円余、普通財産三十一兆四千六百十七億八千九百三万円余となっております。  以上が平成年度国有財産増減及び現在額総計算書概要であります。  次に、平成年度国有財産無償貸付状況計算書概要について御説明いたします。  平成年度中に増加いたしました無償貸付財産総額は千九百六十一億四千五百八十三万円余であり、また、同年度中に減少しました無償貸付財産総額は千六百九十六億七千百六十八万円余でありまして、差し引き二百六十四億七千四百十四万円余の純増加となっております。  これを平成年度末現在額一兆六千七百七十二億五千百二十八万円余に加算いたしますと、一兆七千三十七億二千五百四十二万円余となり、これが平成年度末現在において無償貸し付けをしている国有財産総額であります。  以上が平成年度国有財産無償貸付状況計算書概要であります。  なお、これらの国有財産の各総計算書には、それぞれ説明書が添付してありますので、それによって細部を御了承願いたいと思います。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  12. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) ありがとうございました。  次に、平成年度決算検査報告及び平成年度国有財産検査報告につきまして、会計検査院長から概要説明を聴取いたします。中島会計検査院長
  13. 中島隆

    会計検査院長中島隆君) 平成年度決算検査報告につきまして、その概要を御説明いたします。  会計検査院は、平成四年十月六日、内閣から平成年度歳入歳出決算の送付を受け、その検査を終えて、平成年度決算検査報告とともに、平成四年十二月十一日、内閣に回付いたしました。  平成年度一般会計決算額は、歳入七十二兆九千九百五億五千九百二十六万余円、歳出七十兆五千四百七十一億八千五百十万余円でありまして、前年度に比べますと、歳入において一兆二千八百七十億九千九十五万余円、歳出において一兆二千七百八十五億八百六十八万余円の増加になっており、各特別会計決算額合計額は、歳入二百七兆七千六百六十四億五千三百七十二万余円、歳出百七十七兆八千七百九十三億二千八百五十万余円でありまして、前年度に比べますと、歳入において十三兆二千二百三十億七百八十三万余円、歳出において九兆二千九百五十四億八千六百八十五万余円の増加になっております。  また、国税収納金整理資金は、収納済み額六十五兆三千九百七十九億五千九百七十万余円、歳入組み入れ額六十一兆七千六百三億七千百七十一万余円であります。  政府関係機関平成年度決算額の総計は、収入六兆三千二百六十億七千三百三万余円、支出五兆七千八百九十九億二百八十七万余円でありまして、前年度に比べますと、収入において五千四百十六億九千三百二十六万余円、支出において六千二百四十九億三千三百二十六万余円の増加になっております。  平成年度歳入歳出等に関し、会計検査院が、国、政府関係機関、国の出資団体等検査対象機関について検査した実績を申し上げますと、書面検査は、計算書二十三万八千余冊及び証拠書類六千九百九十五万九千余枚について行い、また、実地検査は、検査対象機関の官署、事務所等三万八千九百余カ所のうち、その九・〇%に当たる三千五百余カ所について実施いたしました。そして、検査の進行に伴い、関係者に対して八百余事項の質問を発しております。  このようにして検査いたしました結果、検査報告に掲記した法律政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項等について、その概要を御説明いたします。  まず、法律政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項について申し上げます。  法律政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項として検査報告に掲記いたしましたものは、合計二百二十四件であります。  このうち、収入に関するものは、八件、十九億八千三百七十万余円でありまして、その内訳は、租税徴収額過不足があったものが一件、十五億四百五十八万余円、保険料徴収額過不足があったものが二件、四億二千百二十七万余円、職員の不正行為による損害が生じたものが三件、一千六百六十一万余円、その他、水道水使用料金徴収額が不足していたもの、授業料の免除が適切でなかったものが二件、四千百二十三万余円、また、支出に関するものは、百八十二件、二十億二千三百二十万余円でありまして、その内訳は、工事に関するものとして、予定価格の積算が適切でなかったものが二件、四千八百万円、保険給付に関するものとして、保険給付金の支給が適正でなかったものが四件、六億二千四百九十八万余円、医療費に関するものとして、医療費の支払いが適切でなかったものが八十六件、二億八千九百七十九万余円、補助金に関するものとして、補助事業の実施及び経理が適切でなかったものが八十件、八億八千五百三十四万余円、貸付金に関するものとして、貸付金の経理が適切でなかったものが九件、一億四千三百七十五万余円、職員の不正行為による損害が生じたものが一件、三千百三十二万余円であります。  以上の収入支出に関するもののほか、控訴状等に張りつけてあった未消印の収入印紙、流通しているものと変わらない検査未済の五百円白銅貨幣、郵便貯金の預入金、簡易生命保険の保険料等について、職員の不正行為による損害が生じたものが三十四件、二億九千六百三十六万余円でありまして、これらの合計は、二百二十四件、四十三億三百二十六万余円となっております。これを前年度の二百四十件、八十四億四千二十六万余円と比べますと、件数において十六件、金額において四十一億三千六百九十九万余円の減少となっております。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について御説明いたします。  平成四年中におきまして、会計検査院法第三十四条の規定により是正改善の処置を要求いたしましたものは三件、また、同法第三十六条の規定により改善の意見を表示いたしましたものは三件、改善の処置を要求いたしましたものは二件であります。  このうち、会計検査院法第三十四条の規定により是正改善の処置を要求いたしましたものは、厚生省の身体障害者療護施設等の入所者に係る診療報酬の請求に関するもの、国民年金の未納保険料の収納の促進に関するもの、農林水産省の新農業構造改善事業等による施設の設置及び運営に関するものであります。  また、会計検査院法第三十六条の規定により改善の意見を表示いたしましたものは、文部省の公立の小学校及び中学校の校舎等の整備事業において学級数が減少する場合の補助対象面積の算定に関するもの、農林水産省の水田農業確立特別交付金の交付に関するもの、郵政省の郵便番号自動読取区分機の処理効率に関するものであり、会計検査院法第三十六条の規定により改善の処置を要求いたしましたものは、厚生省の保健事業費等負担金の精算に関するもの、建設省の住宅金融公庫及び住宅・都市整備公団にまたがる重複契約の解消等に関するものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について御説明いたします。  これは、検査の過程におきまして、会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定により意見を表示しまたは処置を要求すべく質問を発するなどして検討しておりましたところ、当局において、本院の指摘を契機として直ちに改善の処置をとったものでありまして、検査報告に掲記いたしましたものは十八件であります。  すなわち、文部省の医学部附属病院の看護に係る診療報酬の請求に関するもの、農林水産省の補助対象経費の範囲及び算定方法に関するもの、運輸省の船員離職者職業転換等給付金の訓練待期手当の支給に関するもの、桟橋式岸壁等の上部工の支保工費及び型枠費の積算に関するもの、岸壁等築造工事における防砂板の設置に関するもの、住宅金融公庫の住宅の購入資金の貸し付けに係る違約金制度の運用に関するもの、日本道路公団の業務委託契約に係る労災保険料及び自動車保険料の積算に関するもの、非常用照明設備等に電気を供給する無停電電源設備の蓄電池に関するもの、阪神高速道路公団の高架下の巡視等に係る委託業務費の積算に関するもの、住宅・都市整備公団の既存の賃貸住宅の浴室設備の改良に関するもの、日本電信電話株式会社の異経路の専用回線の設備費等の収納額に関するもの、電気通信設備記録の修正作業に関するもの、北海道旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社の自動車整理場における運営業務の委託に係る経費に関するもの、東日本旅客鉄道株式会社の下水道料金の支払いに関するもの、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、九州旅客鉄道株式会社の軌道整備工事における遊間整正費の積算に関するものであります。  最後に、特定検査対象に関する検査状況について御説明いたします。  これは、本院の検査業務のうち、特にその検査の状況を報告する必要があると認めたものについて記述したものでありまして、検査報告に掲記いたしましたものは二件であります。  すなわち、政府開発援助に関するもの、湾岸平和基金に対する拠出金に関するものであります。  以上をもって概要の説明を終わります。  会計検査院といたしましては、機会あるごとに関係各省庁などに対して、適正な会計処理の執行について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、関係各省庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう望んでいる次第であります。  次に、平成年度国有財産検査報告につきまし て、その概要を御説明いたします。  会計検査院は、平成四年十月九日、内閣から平成年度国有財産増減及び現在額総計算書及び平成年度国有財産無償貸付状況計算書の送付を受け、その検査を終えて、平成年度国有財産検査報告とともに、平成四年十二月十一日、内閣に回付いたしました。  平成年度末の国有財産現在額は六十七兆八千四百八十億五千三十六万余円でありましたが、三年度中の増が五兆八千九百八億九百七十六万余円、同年度中の減が七千六百六億五千四百九十三万余円ありましたので、差し引き年度末の現在額は七十二兆九千七百八十二億五百十八万余円になり、前年度に比べますと五兆一千三百一億五千四百八十二万余円の増加になっております。  また、国有財産の無償貸付状況につきましては、二年度末には一兆六千七百七十二億五千百二十八万余円でありましたが、三年度中の増が一千九百六十一億四千五百八十三万余円、同年度中の減が一千六百九十六億七千百六十八万余円ありましたので、差し引き二百六十四億七千四百十四万余円の増加を見まして、三年度末の無償貸付財産総額は一兆七千三十七億二千五百四十二万余円になっております。  検査の結果、平成年度国有財産増減及び現在額総計算書及び平成年度国有財産無償貸付状況計算書に掲載されている国有財産管理及び処分に関しまして、平成年度決算検査報告で、法律政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項等として掲記したものはありません。  以上をもって概要の説明を終わります。
  14. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) どうもありがとうございました。  以上で平成年度決算外二件の概要説明の聴取を終了いたしました。  これより質疑に入ります。  本日は全般的質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  15. 守住有信

    守住有信君 自民党の守住でございます。  平成年度決算審査の冒頭に、まず一言申し述べさせていただきます。本質論でございますけれども、予算審議は政策をめぐる政治的な論議でございますが、決算はそうではない、このように考えております。法律及び予算の裏づけを得て、時の政府が、みずからあるいは地方公共団体等を通じて執行した施策について実務的、専門的にチェックし、評価を加えるものではないかと思っております。政権交代がございまして、特に政権交代と決算審査のあり方というものを問題意識に置いて今から私の意見を申し述べさせていただいて、後でまた大蔵大臣等の御意見を承りたいと思います。  決算審査に政治的立場を持ち込んではならない、こういうふうに考えております。特に、政治的に利用してはならない。政党は政権を目指して活動する政治団体ですから、時の政権与党の政策と野党が訴える政策とは、審議、論戦を通じて共通点をお互いに見出すとしても、政権与党の政策と野党が訴える政策とが各般にわたって一致するはずはありません。そのような性格を持つ政党が、それぞれ自己の政策的立場に立って過去の政府の活動を評価し、是認、否認を決めるのであれば決算審査は成り立ちません。なぜなら、予算に反対なら決算も反対、予算に賛成なら決算も賛成ということになり、審査する前から結論が出ているのであって、質疑をして論点を深め、確認をするという意味が全くないのではないでしょうか。  それでは、決算審査の意義はどこにあるのか。決算の議決は、是認するか否かであります。是認するとは、決算についての政府の説明責任を解除するという意味ではないでしょうか。すなわち、国会の議決によって成立した予算については、政府はその執行をゆだねられたのであるから、執行後に国会に対して予算をどのように使ったか、適正かつ効果的、効率的、経済的に使ったか、当初予定したとおりの成果を上げ得たかといった点について説明し、国会の了解を得なければなりません。十分に質疑を受けて、国会すなわち国民の納得を得なければならない。国会は、政府が約束したとおりに施策が進められたかどうかを確認する。確認できれば政府の説明に基づく決算を是認して決算審査を終了する。  それで、どうしても納得がいかない点があったならばどうするか。政府が各省庁、公団、事業団、都道府県、市町村を通じて進める施策でありますから、一部に不適切な事態もあり得ます。今回も検査院から二百二十何件かの指摘を受けておる次第でございます。その部分は個々具体的に政府に改善を求め、今後の改善措置や後年度予算編成への反映を求めていかなければなりません。それが警告決議だと思います。  従来行われてきた警告決議は、決算委員会での指摘、説明など、会議録を精査し、決算委員の質疑によって行政の非、不適切が明らかとなった事項について、各会派の合意に基づき、事態の改善並びに再発防止を求めて、決算の議決の一部として行っているものです。したがって、事実関係などを正確に把握し、質疑を尽くさなければ決算の議決は空虚なものになってしまうのであります。  しかるに、昭和六十一年度決算以来、衆議院では異議がないとしているのに対し、参議院では平成年度決算に至るまで五カ年間も連続して本院は決算を是認しないと議決するのみで、警告については一項目も行えないでいます。また、決算全体を否認しておいて、その一部の事項についてのみ抜き出してさらに警告しようとすることもおかしなことではないでしょうか。一体、決算を是認しないことにどのような意味があったのでしょうか。また、決算を否認しても決算がなくなるわけでもなく、その数字、効果が変わるわけでもないと考えます。  かつての野党、現在は連立与党となっている政党もありますが、決算に反対する理由を聞いても、予算そのものに反対であるからとか、その政党にとって不本意な税制であったからとか、政策的立場からの反対や会計検査院からの指摘が多いといったような理由が毎年度挙げられていたようで、政府として一体どこを改善したら納得が得られるのかわからない状況で反対という結論になる。どうも当時の野党の政治的思惑で否認しようとすれば、かえって決算審査の本来の役割を軽視し、政治的立場の違いを浮き立たせる場として利用するだけになっていたのではないかと反省する次第であります。  本来の決算審査の立場からすれば、むしろ警告決議の改善要求の方に意味がある。決算全体に反対しても意味がないということにそろそろ我々は気づかなければならない、このように思っておる者の一人でございます。平成年度決算審査の冒頭でありますから、あえて基本的な考え方を述べさせていただきました。  政治的な論議、政策論議は新たな予算について予算委員会でやるべきではないでしょうか。また、新しい政策の法案についても関係常任委員会でやります。決算委員会は、専門的、実務的に質疑応答や意見、主張などの論議を通じて、決算の中身やその他の関連分野を明らかにしていこうではありませんか。そして、内閣に対して具体的な解明や改善を求めて、その中から重要なものは警告決議を行い、行政の継続性の中で、新たな予算編成やその執行面で改善、再発防止などを求めていきたいと私は考えるものでございます。  さて、現在議題となっている平成年度決算は、我が自民党内閣執行したものであり、現内閣の閣僚が説明、場合によっては弁護に回るのは一見奇異な感じがするという見方もございます。しかし、政権の交代は議院内閣制の制度上は当然予想されているものであり、予算執行結果の計数的記録把握としての決算でありますから、行政の継続性からいって、時の政権が何党であるかにかかわらず、決算の審査に対し政府として当然行うべき責務であると思います。  また、政権交代を何度も経験している諸国における決算審議の例を見ても、決算は成立させるものであるとのコンセンサスが与野党間にあるように聞いております。  以上、長々幾つかの角度から申し上げましたけれども、以上のような大筋二つの側面、特に政権交代と決算処理、審査のあり方について、政府の代表として大蔵大臣の御見解を承りたいと思う次第でございます。
  16. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 今、守住委員のお話のように、私は決算というのは院における非常に重要な仕事であると考えております。私も個人として決算委員を長くやらせていただきました。  ただ、今お話しのように、どういう御議論をなさるかということにつきましては、これはまさに院の問題でございまして、政府としてとやかく申し上げることではないと思いますが、お話の中にもありましたように、これはもう憲法第九十条あるいは財政法第四十条を根拠にした、非常に重要なことでございまして、私どもといたしましては、政権がどうかわろうとこの決算委員会の御審査に対してできるだけの御協力をするというのは当然の姿勢であると考えております。
  17. 守住有信

    守住有信君 今お答えがありましたように、政権交代というもの、今平成年度決算でございますが、これは自民党内閣執行したものでございますけれども行政の継続性。予算につきましては、申し上げましたように新たな角度から、政権がかわりまして、与野党が逆転していろいろ今後の政策問題等々について論戦が行われると思いますが、しかし平成年度決算、これにつきましては私どもは今おっしゃいましたようなところも持っておりますので、粛々として、そしてやはりまずい点はまずい点で警告決議で指摘して、かつて全体を否認しまして、六十一年度以来、そして警告決議もやるべしということでございました。  全体をナッシングにしておいて、またある部分だけこれはけしからぬというのは実は論理矛盾だということまで、かつてこの決算委員会におりましたのでそういう御意見を理事会、理事懇でも申し上げておって、そして否認なら否認、警告決議はなし、こういうことでございますけれども、政権もかわりましたし、これから野党の皆さんも、特に社会党を中心に政権与党になったわけですからそういうスタンスで、むしろ決算の全体は前内閣であってもオーケー、是認をし、そしてその個別内容で警告し、再発防止とか反省を求めるとか、そこに私は行政の継続性がある。これは政治的テーマではない。あえて決算委員会を政治的場にかつては利用しておられましたので、本会議でも是認の立場からいろいろ申し上げたことも思い出すわけでございます。  どうかひとつ、きょうは政府側だけに申し上げておるんじゃありませんで、政権政党におなりになりました社会党を中心に各会派の皆さんもこういう認識が一致できるならば、早く平成年度の審査も十分にやって、そして四年度、五年度と、そしてまた新内閣決算についてもより早く指摘の段階に入っていきたいものだ、このように願望いたしておりますのであえて申し上げました次第でございます。  これは討論方式じゃございませんのでなかなかできませんが、いずれ理事会あたりでやっていこうと思いますけれども……(「使った人に警告しようじゃないの」と呼ぶ者あり)それならどうぞおっしゃってください、それは自由でございますから。しかし、政策とか政府の継続性、日本国内閣でございますから、このことは我々は腹を据えてやっていきたい、このような考えを持っておりますので、あえて冒頭に申し述べさせていただきました。  それから引き続きまして、我々思い出しますのはやはり湾岸戦争でございます。これでございます。それで、いずれ湾岸平和基金のお話にも入らせていただきますけれども、あれは思い出しますと平成二年の八月でございますか、イラクのクウェート侵入が開始されまして、そしていろいろなテレビ、CNNその他いろんなマスメディアを通じて日本国民もその状況、世界の動き、もろもろのことを知ったわけでございます、オイルの問題その他も。  そして三年四月、正式な停戦が成立いたしまして、これはおくればせながらと私どもは認識いたしておりましたけれども、四月の二十六日に海上自衛隊、掃海艇の一隊四隻と母艦と給油艦ですか、合わせて六隻が日本を出航して、そして、掃海艇でございますから機雷に磁気感応してはいけませんので、あれは木造船でございますので一カ月以上もかかると。そして、おくればせではありましたけれども、ペルシャ湾でその他国連軍の中で一つ立派に成果を上げて帰ってこられました。それを私は国民の一人として、当時はえらい反対意見等々ございましたけれども、あえて申しませんが、非常に高く評価をしております。  そのもっと前、朝鮮戦争時代、朝鮮動乱、そのときはまだ海上自衛隊も自衛隊もありませんでした。そのときに私は思い出しますのが、吉田茂内閣のもとで、いわゆるアメリカが仁川沖に上陸するためにアメリカから掃海艇を持っていくのにはペルシャ湾に持っていくぐらいの時間がかかるわけです、一カ月以上かかる。そこで吉田茂総理のときに、あのときは海上保安庁でございます、運輸省でございますけれども、自衛隊はなかった、海上自衛隊もなかった。しかし、戦後日本の周辺に機雷等がいろいろ残っておりました。商船も漁船も非常に危険な状態の中で、海上保安庁がいわゆる掃海の、機雷の除去、そのノウハウがあるというふうなことですぐ隣の朝鮮半島の、我が国ののど首でございますが、仁川沖に出かけていかれた。  こういう事実を私は知っておりまして、掃海艇派遣のときに自衛隊はなかったけれども、我が国の運輸省の海上保安庁が出航していったということを非常に先覚的な意味で評価をしておるわけでございますので、運輸大臣も今度は運輸大臣におなりになりまして、まずそういう歴史的なもの、仁川沖の機雷除去に、いや海上保安庁しかなかったんですから、これが実行されたそのときが私は日本の運輸省の海上保安庁の歴史的な使命の一つの大きなスタートだ、このように評価しておるわけでございます。  かつての運輸大臣あるいは海上保安庁長官、吉田総理が決断されたわけですけれども、そこについての御感懐があるなら、今日のペルシャ湾の問題もありましたけれども、それを念頭に置いて、またスタートのときのことを歴史的な意味で御答弁いただければありがたい。また、海上保安庁も大いに生きがいを感ずるんじゃないかと思っておる一人でございます。よろしくお願いしたいと思います。
  18. 伊藤茂

    国務大臣(伊藤茂君) 歴史的使命というお話がございましたが、戦後しばらくの間、我が国の沿岸における機雷の除去というためにさまざまの精力的な活動をしたというのは事実でございます。朝鮮戦争のときに仁川沖に出動した、痛ましい犠牲者も発生しておりますが、働いだということも事実でございます。  委員御承知だと思いますが、その後これらの業務は海上自衛隊に引き継ぐということになりまして、現在は海上保安庁はいたしておりません。海上自衛隊の方でこの業務をすべて引き継いでいただいたということになっております。
  19. 守住有信

    守住有信君 おっしゃるとおりで、私と同じ熊本でございますが、大久保武雄、逓信省出身で初代海上保安庁長官でございます。もう一人は松前重義先生でございます。これは通信の方でございますけれども。そういう二人の先覚者といいますか、腹の据わった方、これを私どもは敬服しながら今の時代ということでおるわけでございまして、今おっしゃいましたように海上自衛隊等々はなかった。特に、国内の機雷除去に従事しておってそのノウハウがある。そしてアメリカからはいわゆる木造船でございますから延々とかかる、そのときに仁川沖に行かれて、戦闘に参加じゃございませんよ、戦闘に参加ではない、その事前の除去といいますか、ペルシャ湾と全く同じだというふうにとらえております。  なお、つけ加えさせていただきますと、この海上保安庁が非常に海難警備、いわゆる漁船の海難対策を非常に努力してやられていますが、もう一 つ私が前からあれしておりますのは、私は九州でございますので、東シナ海、南シナ海、こちらの方、朝鮮半島も含めまして非常に関心があるわけでございます。  そして、例の偽装難民の問題とか、あるいはまたマフィア、台湾マフィア、香港マフィアその他が海上を通じて入ってきておる。それに対しては、やはり海上保安庁だけでなくて、税関あるいはまた警察、こういうものが連携をしていきませんとだめで、私は現状を見ておりましても、なかなか末端における縦割り行政というものを、細川総理だけではございませんけれども、非常に痛感するわけでございます。  海上保安庁と台湾の海上保安庁、これは国交がございません。国交がないからといって、同じ台湾、日本人の秩序を守り、人命を守る。麻薬の問題等々ございます。そういうのを、どうか外交があろうとなかろうと、日本国民の人命、健康、これを保持する、そして妙なやつは排除すると。こういうことで海上保安庁を初め税関も、密輸がございますね、密入国がございます。マフィアも入ってきて、新宿あたり、歌舞伎町あたりも週刊誌で盛んに言われておる。それはどこから入ってきておるかと。香港ルート、台湾ルートが専らの主力でございます。  そういう意味で、長官もひとつ警察庁の方あるいは税関の方、三者が一体となってそれぞれの役割を果たしながら、連携しながら、台湾と外交がないからといっても非常に密接な関係がある、そういうことをあえて訴える次第でございます。  これはお聞き取りをいただきまして、警察の方とか税関の方とか下部の方は一生懸命やっていただいております。この間も台湾の、向こうの海上保安庁ですね、第七総隊と言いますが内務省の中に入っております、警察の中に入っておる。それから税関。これは外側が税関なんですね、内側がいわゆる保安庁。これは内務省の中に、いわゆる警察の中に海上保安庁を近海の方は入れておるわけですね。  そういう仕組みもございますけれども、どうかひとつそこのあたりを、やっぱり海からでございますから、海は運輸大臣とこう思っておりますので、どうか部下を叱咤激励なさいまして、連携して台湾側の同じ役割の人たちとやっぱり防波堤を築いておかぬと、知らぬ間にいろいろいろいろ入り込んできておる。こういう麻薬その他、ピストルもそうでございます。トカレフその他がいろいろ入っておる。こういうことでございますので、あえてこの場をかりましてお願いを申し上げる次第でございます。  前段はペルシャ湾のことでございますけれども、最大があのいわゆる湾岸平和基金の問題でございます。  これは、実は当時野党であった社会党の皆さんからも何遍も指摘が出ました。そして、この決算、膨大な平和基金、何兆円というか、金額は一々申し上げません。政府委員の方からおっしゃっていただければ幸いですが、何回かにわたって途上国へのいわゆる援助、円借款、無償援助に匹敵するようなあれが平和基金に注がれて支払っておられるわけでございますが、この決算が、社会党も当時おっしゃっておりましたね、何で明らかにならぬ。もちろん明らかになる時期に詰めなきゃいかぬ、これはわかりますけれども、これをより早く国民の前に明確にしていただきたい。  どのような貢献をし、資金的貢献ですが、それがどのような内容であったかということについても明らかにしていただくと同時に、時間もあれでございますけれども、私はその担当が中近東アフリカ局ならばわかりますが、湾岸ですからね。湾岸の何カ国かでございましょう、チームをつくり組織をつくっておるのは。国連局でもない。北米局だということで、かえって日本国民はアメリカにばかりこの協力基金を出しておるんじゃないか、こういうふうなイメージでおる。明確でないものだから。それは私だって何で北米局がやるんだろう、北米局は任務はアメリカである。国連局でもない、何でだろう。そうするとアメリカに資金協力をしているのか、こういう疑惑を恐らく社会党の先生も持たれた。私も持った。  やっぱり決算委員会というのは正々堂々と、透明でいかにゃいかぬと冒頭申し上げました。そういうことの意味も含めまして、ひとつ外務大臣なり専門家の局長さんの方からお答えをいただければありがたいと思うわけでございます。
  20. 佐藤行雄

    政府委員佐藤行雄君) お答えいたします。  私の前任のころのことでございますので、なぜ北米局かと言われましても正確にその間の経緯を私は申し上げられるわけではございませんが、聞いておりますところによりますと、当時湾岸戦争に絡む業務につきましては外務省全省を挙げて取り組まなければいけない。そして、しかも今ありますような総合外交政策局のような組織もございませんでしたものですから、各局が力を合わせてこれに対応した、そういう経緯の中で北米局がこの湾岸平和協力基金との関連の問題を取り扱った、そのように承知いたしております。  結果的に、専ら今おっしゃられたような印象が出たかもしれませんが、当時はそういう、みんなが力を合わせて、各局がタスクフォースを組んでいく中で行われたものだと承知しております。  そういう意味で、私も、この第一の問題に絡んでまいりますわけでありますが、財務報告がまだまとまっていなかったものですから、経緯的にそれを引き続きそのチームが行っているという状況であります。  ところで、第一の財務報告のことでございますが、たしか前回のこの委員会の場でも報告の提出のおくれが指摘されました。そのときに、私、二、三その間の事情をお話しいたしまして、一生懸命督促中であるということをお答え申し上げた記憶がございます。  三点ほどおくれた理由がございます。  一つは、この基金、先ほど先生の方から、委員の方から総額を言えということでございましたので申し上げますが、四回にわたります経費は一兆四千九百二十八億八千万円でございます。その中の物資協力の一部が、例えばサウジアラビアに出しました移動病院車の仕様の問題が最後の最後まで決まりませんで、ことしの三月になってやっとそれが決まるという状況でございました。そこで先般も、九九%支出は終わっているんですが、この一項目が残っているということを申し上げたわけであります。  それからもう一つは、その後運営委員会を通じて出した国が十六カ国でございまして、運営委員会が各国と連絡をとりながらそれをまとめていたのに時間がかかった。かつ、こういうことはよその国の宗教あるいは慣習の問題でございますのでなかなか申しにくいことではありますけれども、その間に回教の断食月が入ったり、それに関連する休暇があったりということで、先方側の事務が我々の望むような形で早くは進まなかったという経緯がございます。  いずれにせよ、やっと報告が我々の手元に届きまして、今それを翻訳したり、我々の持っていた資料との突き合わせをしたりして精査をいたしておるところでございます。先般来、しかるべき形で国会に御報告を申し上げるということを政府が繰り返し申し上げてきた次第でございますので、なるべく早くこの報告書を取りまとめて国会の方に御報告をいたしたい、そういうつもりでおります。
  21. 守住有信

    守住有信君 今の御答弁の最後の方は、今国会中に中を分析して翻訳ももちうんきちっとやって国会報告ができると。国会とは決算委員会、このように理解してよろしゅうございますか。
  22. 佐藤行雄

    政府委員佐藤行雄君) 時期につきましては、今国会中にと思って今鋭意努力をしているところでございます。  それから、国会への御報告の仕方につきましては、どういう形が一番よろしいのか、参議院の決算委員会はいろいろ議論をいただきましたものですから当然御報告をしなければならないと思っておりますが、どういう形がよろしいかは院の方と も御相談をして御指示も受けたいと思っております。いずれにせよ、今国会中に御報告できるように今鋭意努力をしているところでございます。
  23. 守住有信

    守住有信君 これは、アラブの諸国、今お話しのように十六カ国で、湾岸アラブ諸国協力理事会ですか、これが中心になってやっておられる。特に湾岸六カ国が一番中心だということのように把握しておりますが、仰せこういうのは外交上余り言わぬ方がいいのかもしれぬけれども、なかなか事務能力その他いろいろあって、外務省は窓口担当責任として非常に苦労をして時間もかけられたであろう。これは、私もお互い相手側の方も十分認識をし理解はしていかにゃいかぬと思っております。しかし、今もちょっと声が出ておったように、大分長い間社会党さんの御主張でございましたし、私も実はこっち側で聞いておって、私もそう思った次第でございます。ここは自由な場でございますので、自民党は規制なしで堂々とお話をして要求を申し上げておるということだけは社会党を初め皆さんも十分御理解をいただきたいと思っております。  そこで、また次に移らせていただきますが、この湾岸戦争への資金協力、海上自衛隊は見事に、ちょっとおくればせながらですけれども、やってくれましたけれども、このPKOの問題、その後大きな論戦があったことは御承知のとおりでございます。あえてカンボジアは申し上げませんけれども、このように見事に、お二人の方、自衛隊の方じゃなくてむしろ文官の方に、名誉の戦死と言っちゃいかぬけれども、これが出たという思いも込めながら、見事に内閣の平和協力本部を初め執行部隊の自衛隊、隊員の皆さん、完全にやり抜いていただいたことに敬意を表しながら、しかし私は、最近では、特に冒頭申し上げましたように九州側におりますので、日本海から東シナ海、南シナ海、こちらの周辺の情勢が非常に気にかかっております。これは国民もみんなでございます。  そして、特に核につきましては、北朝鮮、核開発についてはみんな異常な関心を持っておりますが、それらの運搬手段である長距離ミサイルについては余り関心がない。防衛白書の分厚いやつには載せてありますけれども、マスコミで取り上げるのはわずかにちょっと産経さんと読売さんぐらいでございまして、朝日なんか見ておっても出たことない。平和ぼけの朝日ですな、あえて言わぬけれども。  そこで、私はこの前も内閣委員会でも申し上げましたけれども、ちょうど防衛庁長官はモザンビークにちゃんとすぐ真っ先に行っておられまして、政務次官以下局長さん方といろいろ協議したわけでございますけれども、あの朝鮮動乱につきましてもNHKスペシャルがソ連の時代のペレストロイカだけでなくグラスノスチということを通じて朝鮮戦争、朝鮮動乱の背後、フルシチョフその他金日成、その他の動きというものが明確にNHKスペシャルで報道されて、これは市販もされております。  そういうのを自分は学生時代でございましたけれども、みんな当時は、あれは南がやった、アメリカがしかけた、こういう状況の中でございましたけれども、真実は実はそうでなかったという、朝鮮動乱の三十八度線を破ってはっと襲い込んできた。  その歴史とかそういうものを念頭に置きながら、最初はソ連のいわゆるスカッドB、ミサイル、三百キロ。当時私はそれに気がつきましたが、三百キロだと釜山まで来まして、九州、対馬までは来ません。線を引いてみましたが、ちょうどそこなんですね。ソ連もよう考えてか、三百キロのスカッドBでございましたが、その後いろいろの技術を入れたりして、あるいはイスラエルとかイランとかいろんな連携をしながら三百キロから六百キロ。  さらには御承知のノドン一号は一千キロ、あれは成層圏に向けて上に上げましたので日本海の中に落ちたわけですけれども、横に飛ばしたらどうなっておるか。あるいはまた、それがノドン二号への開発、こういう動きがあることは防衛庁、アメリカその他から十分取材をしておられると思います。  そしてまた今度は、中国の方も陸軍は大縮小いたしております。経済復興でございますけれども、海軍と空軍、そしてミサイル、そしてまたついこの間は核実験を奥地の方でやったわけでございます。それはなぜかというと、核爆弾ではなくて小型のミサイルに添付されるような核開発技術、核爆弾の技術をやっぱり実験をやってみなければよく証明ができないということで、中国側もそういう核実験をやったということは御承知だと思います。  この問題は、一防衛庁だけの問題でなくて国民全体、内閣全体、我々与野党を問わずイデオロギーなしで関心を持っていかなきゃならぬ、このように考えておりますけれども、いろいろ新聞報道等を見ておりますと、その前のパトリオットミサイルについても、あるいはまたAWACSについても、その前の前提条件がなお御反対であるということのように一部報道で聞いておるわけでございます。  我が国は専守防衛でございまして、私は防衛通信とか電波とかレーダーとかセンサーとかそういうことをかつて若い時代にやってまいりましたけれども、専守防衛、つまり相手の国へ撃ち込むんじゃなくて相手の国から出てきた飛行機や艦艇やさらにミサイルを日本海の上、シナ海の上で途中で要撃して撃ち落とす、このシステムが一番専守防衛の日本については大切ではないか、このように思っておるわけでございます。  したがって、防衛庁にも陸上にはレーダー基地がございますけれども固定しておる、しかも、どちらかというと今までのソ連を念頭に置いた北方にこれが偏っておったんではないか。こういう感じを持っておりますし、さらにまた、それを要撃できる、なかなかミサイルまで撃ち落とせぬようですが、今のパトリオットミサイル、能力向上型に向かって予算化して取り組んでいこう、防衛庁はこういうお考えのように聞いておりまして、我が意を得ておるわけです。  また、AWACSにつきましても、あれは爆撃機じゃございません。早期警戒機でございますから、日本の北側と南側の方、予備機を一機ずつ入れて、そして二機四機体制でこれを早期警戒していく、電波で捕捉する、レーダーで捕捉する、動きながら捕捉できる、こういう体制を私なりに認識をしておるわけでございます。  これら各般につきましてひとつ防衛庁長官の大筋のお考えと、あと局長クラスからそういう細目につきまして、技術的にもやはりこういうことは国民の前に大きくわからせて、理解させていかにゃいかぬ、我が国民を守ることでございますから。そういうことにつきまして、ここの場をおかりしまして御質問申し上げる次第でございますので、ひとつ防衛庁長官以下各局長さん方、国民に向かって説明をして、こういう意味で会議録は大いに使わせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。
  24. 中西啓介

    国務大臣(中西啓介君) お答え申し上げます。  今、守住委員の御指摘のとおりでございまして、我が国はまさに専守防衛に徹する、そういう基本的なスタンスを踏まえながら種々防衛の整備を行ってきているところでございます。  もちろん我が国は専守防衛でございますから、攻撃型のICBMだとかIRBMだとか、あるいは空母であるとか、あるいはまた長距離戦略爆撃機であるとか、そういうふうな装備は一切いたしておりません。あくまでもとにかく攻撃をされたときに対処するという観点から頑張ってきたわけでございますけれども、例えば今御指摘のございました通信関係、これはもう守住委員が御専門でございまして、大変なオーソリティーでございますけれども、確かに御指摘のように相当老朽化したような装備も現存しておりまして、また陸海空の間での正確なまた迅速な情報伝達ということも極めて欠かすことのできない要素だと思っておりますし、また指揮命令を司令部から各級の部隊になされる場合においても同じことが言えるかと思 います。  そういう意味で、これから専守防衛という見地に立って、例えばAWACSという機種の導入の問題もこれから御議論をいただくことになっておりますが、これも極めて防衛的な性格の強い機種でございまして、攻撃的要素なんというのは全くない機種であります。これをとにかく装備して、E2Cを国会で決めていただいた当時は、AWACSは余りにも機能が大き過ぎる、あるいは費用対効果の面もございましたし、あるいは大型のジェット機でありますから、国内で使える飛行場というのは極めて限定される、だから無用の長物ではないかみたいな御議論もございました。  しかしながら、大変科学技術の日進月歩といいますか、防衛力というものはあくまでも相対的なものでございまして、相手が一メーターでもあるいは十メーターでもより飛しょう距離のあるミサイルを開発すればもうそれで全然対抗できなくなるわけですから、やっぱり相手というか、世界の情勢をにらみながら対応していかなきゃならぬということも私は大事なポイントなんだろうと思っております。  運輸大臣もおられますけれども、もうAWACSも、今では飛行場もほとんど国内的に整備されまして大型ジェット機も着陸、離陸できるようなそういう装備状況でもございますし、各国の、さっきノドンの話もございましたけれども、飛行距離の航続性だとかあるいはミサイルの長射程化等々が大分進んでおる現況でございますから、やっぱりそういうものに対応して、いち早くその情報をキャッチして専守防衛といいますか要撃態勢を整えられるような状況にしていくことも極めて肝要なことだろうと思ってAWACSの導入を、これは自民党政権下の当時でありますけれども中期防でも決定をしていただいている、こういうようなことでございます。  ですから我々は、昨年と同じぐらいというか全く同じ広報予算、三億円程度でございますが、決して十分な額ではございません。けれども、この予算を活用しながら、やっぱり国の防衛というものは国民的な基盤の上にしっかりと立脚しなければなりません。そのために防衛庁の諸般の施策あるいは自衛隊の現況等を国民の方に御説明をして御理解と御支持をちょうだいしなければなりません、極めて大切な前提条件でございますから。  そういう意味で、その三億円の予算を知恵を絞りながら何とか有効的に使おうということで、いろいろと各種印刷物の発行をしたり、映画をつくって上映したり、新聞あるいは雑誌への広報記事の掲載をしたり、あるいは防衛庁の広報イベント、例えば音楽祭りなんというのは大変好評を博して、もう切符をよこせよこせ、くれくれということで、大変うれしい悲鳴を上げるぐらい皆さんにも親しんでいただけるぐらいのイベントにはなりましたけれども、こういう広報活動を通じて国の防衛の重要さ、また自衛隊の現況等について今PRをさせていただいているところでございます。  先ほど守住委員のお話の中でペルシャ湾の掃海艇派遣の問題も御指摘なさいました。初めて五百人になんなんとする海上自衛隊が出向いたわけでありますから、これはもうれっきとした部隊でございます。この部隊が初めて国内から国外に出たという意味で当時は大変騒然としたというような場面もございました。家族の方々が涙ながらにこの隊員たちを送り出すような光景もテレビ等で随分見たわけであります。  しかし、彼らが大変困難な作業に取り組んで物の見事に能力を発揮して成果を上げて日本に帰ってきたときには、あれだけ行く前に徹底的に非難、攻撃をしたマスコミも、一言一句も非難をした文字は見ませんでしたし、またテレビ等でもそういう歓迎風景は大々的に取り上げてはくれましたし、大変な変わりようだなと。また、世界各国からも日本のあの努力に対して大変な感謝と敬意をあらわしてくれたというようなことで、私たちもほっと安堵の胸をなでおろすとともに、自衛隊の隊員たちの士気もあれ以来随分高揚してきているというふうに私は自分自身で手ごたえみたいなものを感じている昨今でございます。  カンボジアの自衛隊の方々も当初は手探りで、ちょうど私はあの法案を国会で通過させていただいたときに議院運営委員長を拝命いたしておりました。ですから、あの法案とのかかわり合い、それからしばらくして防衛庁長官という大任を仰せつかったわけでありますが、PKOというのと何となく、もう本当に宿縁みたいなものがあるんだなというように感じておるわけであります。  御指摘のように文民警察の高田さんとボランティアの中田さんが殉職をされたということは大変残念なことであります。この席で心から哀悼の誠をささげたいと思いますが、しかしながら最小限度の犠牲といいますか被害で済みまして、これまたカンボジア国民はもとより国内外から日本の自衛隊に対する評価、そういうものを非常に強くされて任務を完了したということで、これまた防衛庁長官である私も今大変喜んでいるところでございます。  目下、モザンビークにも司令部に入っている五名を含めまして五十三名の隊員たちが行っております。私も実は就任一カ月ほどしてモザンビークに、もう本当に走り駆けてありますが、激励に行ってまいりました。大変衛生状態の悪い地域でありまして、本当にそういう酷暑の中で、テント張りで、ポルトガル大隊と一緒に任務を遂行しているわけです。ONUMOZという国連の機構に七千名の数十カ国から参加している軍人たちの中にまじって我が自衛隊は、人員の輸送とか、あるいは食料品とか通信機器とかいろいろございますが、そういう機材の輸送調整、コントロールをするために今頑張っておるわけであります。まじめさといい、現地の方々との友好度といい、向こうの大統領あるいはONUMOZの最高司令官等々要人とも会ってまいりましたけれども、もう本当に手放しの称賛ぶりでございまして、本当に隊員たちの顔を見て思わず冒頭が熱くなるような気持ちにもなりました。  そんな状況の中で、自衛隊に対する国民の見方というものも私は相当変わってきているんだろう、マスコミも含めて。そういう意味で、憲法が制定された当時、あるいはまた自衛隊法がつくられた当時、何人といえどもPKOということを想定した人は断じていなかったわけですね、想定できなかった。しかし、私たちのはるか想像を超える勢いとスピードで国内もまた世界の情勢も激変いたしております。  そういう状況の中で、外務大臣もきょう御出席なさっておられますけれども、私は国連中心主義という時代がもう目前に来ているような感じをいたしております。これもまた国会で御議論をいただくもちろん重要な問題でありますけれども、日本が国連のいわゆる常任理事国になるのかならないのか、なるべきかならざるべきなのかという結論も出さなければならないわけでありますが、私はやっぱり日本が国連の中心に座る日もそう遠くないというふうに想像いたしております。  そして、国際貢献という面から考えましても、やっぱりお金だけではなかなか世界の理解を得ることは難しい、人的貢献というものもあわせ行っていかなければ、日本もここまで政治的にも経済的にも大きな大きな国に成長したわけでありますからそれなりの立ち居振る舞いというものもしていかなきゃならぬのだろう。そのPKOという業務が必要不可欠な業務と位置づけるならば、私はやっぱりPKOを行っていく主役、主人公は自己完結能力を兼ね備えた自衛隊しかないんだろう、そんなふうに考えております。  ですから、自衛隊の任務の検討もこれから我々精力的に庁内でもやってまいりたい、このように考えております。いずれ皆さんの御意見等も承る機会もあろうかと思いますが、今おおむねそんな感じで、与えられたポストにベストを尽くしてまいりたいという気持ちで日々過ごしているところでございます。
  25. 守住有信

    守住有信君 どうもありがとうございました。  また、九州の諸君たちに、防衛庁長官の今の御 発言、会議録に載りますので、それを通じて大いに啓蒙運動をやってまいりたいと思います。  お話が出ましたモザンビーク、私はちょっと別の角度から、後ろのザンビアとかマラウイとか、モザンビークの港から行って難民が多数おります。モザンビークの難民がそういう国々に入っております。  そこで、私は、援助米という、今は冷夏になりましたのであれはしませんけれども、休耕田の後につくった日本の水田の米を粉にいたしまして、これはアフリカ人は粉食民族でございますから、モンスーン地帯の民族じゃございませんから粉にして、実はボランティア貯金の資金を入れまして、粉を二十トンコンテナ二個でございましたか横浜港から出しまして、あの後ろのザンビアの方へ難民対策ということで送ったわけでございます。  二回目はマラウイへやろうということで、JICAの青年海外協力隊のOBが国内に多数おります、先輩がおります。彼らと農協の幹部と連携しまして、休耕田で米をつくりまして、それを粉にして横浜港から送って、そしてボランティア貯金も資金援助として入れました。モザンビークの港は忘れましたけれども、三井船舶がやってくれました。ついでに申し上げておきますと、三井船舶もこれを半値でやってくれました。農民の諸君も一万六千五百円ぐらいを一万円でよろしいと。  こういうことで、それぞれが昔ございましたいわゆる勤労奉仕の精神でいろんな世界が組んでやる。そして、アフリカの難民の方へ出した。NHKもモーニングワイドで放送してくれました。  それを今思い出しながら、自衛隊は自衛隊としての任務を果たす、海外において、一定の限度の中ではもちろんございますが。そして、その地域の難民、アフリカ難民でございます、まあ東南アジアにもいっぱいありますけれども、そういうのにいろいろな志あるNGOの諸君たちとボランティア貯金とを結びつけてやっていく。いわば後ろの方からでございますかね、一言申し上げておきます。  もう一つ大事なことがございます、防衛庁長官。自衛隊員の隊内の生活、宿舎とか、私も去年、第八師団とか西部方面総監部とかいろいろ見てまいりましたが、これがおんぼろ。しかも、整備工場なんか、熊本でございますが、第八師団八景水谷駐屯地もしかりです。米軍の占領時代のかまぼこ小屋を使っておる。  これが実態でございまして、ひとつ自衛隊員の隊内における生活といいますか、これについても実はあの後すぐ、あのときは大蔵省の藤井という防衛担当の主計官でございました、去年でございますかね、主計官にも申し上げておりますし、防衛庁にも申し上げておりますので、ひとつ隊員の生活といいますか、隊内に婦人自衛官も多数おられますな、こういう私生活につきましての予算につきましても大いに力を入れていただく。あれは北海道からでございましたけれども、九州の自衛隊もそういう志を持っておるわけでございますから、何もそれにひっかけてということじゃなくて、非常に後方事務といいますか、後ろの私生活なり整備工場なりその他が、私は同じ国家公務員を両方比べてみて一体これでいいのか、地方公務員と比べてもそうでございます。  そういうことを思っておりますので、よろしくまた今後に向かって御努力いただきますように、そして大蔵大臣も横で聞いておられますので、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。  さて、時間もあれでございますが、ほかにもテーマが幾つかございますけれどももう絞りまして、検査院の具体的な指摘の前に、上原長官、かつて災害対策本部で長官は、災害対策、国民の生命、身体、財産を守るために大いに力を尽くすと、こうおっしゃいました。同時に、海外での、外交と結びつけではございますけれども、こういう専守防衛における、あるいはまたPKO等々につきましても同じように、横に並んで論戦をお聞きでございますから、答弁は要りませんけれども、上原国土庁長官、国を守るとは、私はあのとき、災害、治安、もう一つが防衛、この三つを長官の新しい就任に当たって災害対策特別委員会で申し上げたわけでございます。ずっと最近は横で御一緒になって、内閣一体としてでございますので、ましてお二人隣同士座っておられますので、この点もAWACSとか、パトリオットミサイルとか、こういうのに社会党は反対だというふうなのが一部出だしておりましたけれども、そこのところをよく理解し、共感を持ったお互いの連携の細川内閣としてこれに向かって進んでいただきたいということを一言お願いを申し上げまして、次に移らせていただきます。  いろいろ検査院の具体的な指摘事項会計検査院検査報告書の中にも出ておりますが、今は時間がございませんので一つだけ、厚生省、農林は今大変な問題を抱えて必死のあれでございますから、あえて農林省については御質問いたしません。  厚生省の国民年金、これは一番ベーシックな、一番基礎的な国民大衆、自営業を中心に一番大切な年金だと思っておりますが、ところが会計検査院の指摘を見たところどうも加入率が悪い、納入状態が悪い。そしてまた、国民年金と国民健康保険がありながら、二つのシステムをいわゆるコンピューター、オンラインで統合してやっておられますけれども、この両面からのチェックも不十分だとか、一々申し上げませんが、会計検査院からの処置要求事項として、あれは意見だったかな、どっちか出ておったと思います。  これにつきまして、やはり国民の生活の一番基盤のところでございますから、社会保険庁は任務を持っておられますから、そこの状況について、あるいは今後の取り組みについて御説明をいただきたいと思います。
  26. 佐藤隆三

    政府委員佐藤隆三君) ただいま御指摘のございました国民年金の事業推進、これは私どもも極めて重要な課題と考えておりまして、積極的に取り組んでいるところでございます。  ただ、そうは申しましても、特に都市部におきまして人口移動が激しい、あるいは年金というものに対する関心が薄い若年層が多いといったようなことから、この国民年金事業を進める上でなかなか難しい面もあるわけでございます。  そこで、口座振替の推進を通じました保険料の収納対策、保険料を納めやすい環境づくりといったようなこと、あるいは電話、あるいは個別訪問による納付の督励といったようなこと、さらには年金週間というものを設置いたしまして、啓発あるいは周知活動といったようないろいろな対策を実施しておりまして、年々着実な事業実績の向上を見ているところでございます。  しかしながら、さらに改善すべき面もあるということは十分承知しておりまして、昨年の会計検査院の指摘を受けました事項につきましても、御指摘の趣旨を踏まえまして、長期的に安定した国民年金事業の運営を確保するために、特に先ほど申し上げましたような保険料の収納実績が十分でない都市部を中心といたしまして、高額所得者など保険料負担が十分できる者に的を絞った取り組み、あるいは公的年金のメリットといったようなものの広報、周知といったようなことを実施しているところでございまして、今後ともさらに効果的な収納対策、いろいろ複合いたしながら努めてまいりたいと考えているところでございます。
  27. 守住有信

    守住有信君 検査の結果を見ましても、そのこと自体が問題でありますが、不納欠損として処理した額は三千七百八十五億円。しかも、その中で見ますと、国民健康保険の保険料は納付する、これは九四%でございますが、一方、国民年金の保険料は納付しないというアンバラがある。国民年金の方は八六%ですね、マクロ的に見ますと。そして中身を分析すると、おっしゃいましたように、割に高額所得者とか若者の層とか、六十歳、六十五歳、厚生年金でいろいろ論議はありますけれども、一番ベーシックな基礎的な国民年金、これが国民の今後、老後その他を考えますと一番大事だ。その上に二階建て年金とかいろいろ、民間は民間で自助努力、あるいは簡易保険とかござい ますけれども、ここのところが一番私も実は気になった次第でございます。  そしてまたもう一つは、私、郵政でございましたので、例の郵便貯金のいわゆる口座振賛オンラインももう第三次になりまして、あらゆる特定局までオンライン。そして、それがいわゆる口座振替ということでできるわけでございますので、そういう仕組みにつきましても――郵政省来ていますか。もう答弁は要りませんが、社会保険庁と郵政省の貯金局と連携され、地方は地方でいわゆる保険事務所と郵政局、それで末端が市町村でございますから、市町村に向かっては特定局長初め郵便局長が盛んに一生懸命アプローチしておりますけれども、もっと上の方からも、これはシステムですから、仕組みですから、社会保険庁と貯金局、郵政局と地方の社会保険事務所、そして末端の市町村と郵便局、もう仕組みができておるわけですからね、総合口座は。これを連携してやっていただく。  そして個別の説得は、例えば高額所得者であるお医者さんなんか自営業の中に入っておらぬとか、厚生省も各種環境衛生団体とかいろいろ他の局の所管がございますね。それを通じてとか、縦の糸、横の糸、斜めの糸、大いに活用して、郵政省も参っておりますから、おたくにも行かせますからというふうにして、本当に国民年金という一番基礎的なもの、その上に健康保険でございますから、これを大いに、縦割りでなくて、まさしく横割り、斜め割りで連携して、中央も地方もそれぞれの役割を連携して推進していく。中身の問題ですな。  私は入らぬよという人に向かって説得は郵便局はできませんのでこれは無理だけれども、これはおたくの方、役割分担しながら進んでいただくということをこの機会に特にお願いを申し上げる次第でございます。お互い決意を、二人横に並んでやってくれ。まず社会保険庁、そして郵政省。
  28. 佐藤隆三

    政府委員佐藤隆三君) 口座振替による保険料の納付でございますが、これは加入者の方々の利便あるいは確実な納付というようなことから私ども積極的に推進しているところでございまして、口座振替の利用者それ自体は着実に増加しているところでございます。  しかしながら、郵便局の自動振り込みにつきましては、これを導入しております市町村の数は着実に増加しつつあるわけでございますが、まだ普及が十分ではないというのが事実かと存じております。
  29. 守住有信

    守住有信君 何割ぐらいやっておるか、市町村、マクロで。
  30. 佐藤隆三

    政府委員佐藤隆三君) 現在、市町村の約三割がこの国民年金保険料の郵便局における自動振り込みを導入しているところでございます。  この郵便局の自動振り込みということになりますと、民間金融機関が少ない地域などにおきまして加入者の利便向上といったようなことで大変有効な手だてでございますので、今後は、まだ導入されていない市町村に対しまして個別にいろいろ御相談を申し上げ、理解を求めながらこれを積極的に進めてまいりたいと考えているところでございます。
  31. 斎尾親徳

    説明員斎尾親徳君) 導入の状況でございますけれども、平成五年の六月末現在で、全国の市町村数が三千三百六ありますけれども、そのうちで八百八十一の地方公共団体において郵便局の自振りを利用していただいているところでございます。  収納率にしますと、先ほども御説明がありましたが三割弱ということでありますので、私どもとしましては、今後とも関係のところと十分調整を図りながら、さらにこの導入率を上げていくべく努力をしてまいりたいと思います。
  32. 守住有信

    守住有信君 お二人とも結構でございます。よろしく。  官房長官もお帰りになりましたので、最後の時間を、実は私は、自衛隊法の改正の問題、去年からでございますけれども、当時長く衆議院で審議されまして、そして参議院に参りまして、当時内閣委員長でございましたけれども、これ衆議院よりも長い時間をかけて十分コンセンサスを得、しかし最後は、反対は反対、賛成は賛成、それが議会政治でございますから、議会のルールでございますから、と思ってやってまいりましたところ、実は十五日が宮中饗宴でございまして、あの十五日に実は最後の討論、採決をやろうと思っておりましたが、宮中饗宴であると。そして十七日になりまして、十七日の午後やろうと思っておったら、実はその十七日の朝方、不信任案という衆議院の方のあれがございまして、ついにパアになったわけでございます。  私も当時委員長でございまして、非常に責任を感じまして、名前は申し上げませんけれども、社会党の理事の方とも何度も何度も単独で話し合いながら、十分社会党さんを立てて、これは反対でございますからね。公明、民社は御賛成でございましたから、十分立てて、じっくりじっくりともう何度もやってきましたけれども、一番最後の瞬間の十七日の朝方でございましたので、私個人としてもそういう責任というか思いがあるわけでございます。  さて、この自衛隊法の改正、海外における邦人の救出、大戦争にならぬでも、地域紛争とか民族紛争とか宗教紛争とかいろいろ出ております。そして、過去の苦い経験、民間航空機によるということで日本航空、これもいろいろ労働組合もございます。すぐ飛んでいけない。もちろん相手の国が飛行場が使えないときはどこの飛行機も入れません。そういうあれでないときに、日本だけが外国の飛行機、不定期の分ですよ、定期便なんかもう飛んじゃおらぬ。そのときの邦人救出、何十万人か海外に行っておられると思います。これを指をくわえて日本政府はあるいは自衛隊は、政府専用機も含めまして輸送機が本当に出せないのはなぜなのか、こういう思いでございます。  そこで、まずお聞きしたいけれども、かつては日本航空を使ってやろうということでやっておられましたが、この辺の事情は運輸省航空局が一番御承知でございます。昔、例のベトナム戦争のサイゴン陥落とか中近東とかもろもろのケースがありましたけれども、そういうときに運輸省としては、盛んに民間航空機でやればいいじゃないか、場合によっては外国エアラインなんという人もおるけれども、そこらあたりの本当の、日航における真実、それを臨機応変にできるか、これを明確に御説明していただきたい。  そのことが、きょうの防衛庁長官と同じように、国民にわかっていただかなきゃだめなんですよね、国会議員だけでなくて。国会議員はもちろんですけれども。そういう意味も含めまして、十分過去のケースの御説明をお願いするわけでございます。
  33. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) 海外で非常時に邦人の救出をする、そのときに我が国の民間の航空機を使う、これは湾岸戦争、それから先生おっしゃいましたように、過去にさかのぼりますと天安門、イラン・イラクその他、全体で今まで九件ございました。これは人道的な見地から、政府として安全の確保ということを前提に民間会社に協力をお願いいたしまして、民間会社の御同意を得てやってきた、こういうものでございます。  非常に難しい仕事をよくやっていただいたと思っておりますが、事柄の性格上、政府の支援体制をどうするか、そういった運航の前提になる条件につきまして、やはりあらかじめ飛んでいただく前に政府と民間会社の間で調整をしなければなりません。このためにどうしても数日、場合によっては一週間時間がかかるということでございまして、非常によくやっていただいておるんですが、迅速性という面ではやはり限界がある、その中でいろいろ御協力をいただいている、こういうのが今までの実態でございます。
  34. 守住有信

    守住有信君 前の内閣委員会では余り運輸省はお出でなくて、専ら外務省、内閣官房、それから防衛庁、命を受けて自衛隊は動くわけでございますから防衛庁は受け身でございまして、その前段の必要性、緊急性とか、こういうことについての 議論はずっと大いにやりましたけれども、ちょっと足らぬなということを委員長としては感じておりましたので、あえて航空局、運輸省の方からも、やはり政府で迅速なあれはなきゃいかぬとおっしゃいませんでしたけれども、労働組合もおりますのでね。一番強い労働組合ですな、航空機のパイロット組合というのは。すぐストライキができるというふうなね。まあこれは余談ですけれども。  そこで、やはり防衛庁、自衛隊機、せっかく航空機、何も爆撃機や戦闘機を、戦闘機なんかつきやしませんよね。機関銃を載せていくわけでもない。爆弾積んでいくわけでもない。輸送機でございますね。そういう思いがございますが。  さて、今度自民党は既に自衛隊法の一部改正を議員立法として出しておりますけれども、私は、個人的なことになりますが、やはり時の政権政府が継続的な責任を持ってやっていくというこれは最大の一つの大きなテーマではないか、このように思っておるわけでございまして、外務、防衛ばかりでなくて内閣官房、内閣官房の役割もこの二つをアウフヘーベンし、推進する役割としては非常に大事である。当時は前の河野官房長官が何遍も答弁に立って一生懸命になって話をし、説得をしておられたということを思い出すわけでございまして、外務省もいろいろ入り口のところで領事移住部長その他が、海外にはこういう実態がありこういうあれがある、一々申し上げませんけれども、いろいろな説明を実務的にもしておられました。  そういうことを思い出しまして、顔ぶれは変わっておられますけれども、しかしそれは政府の継続性でございますから、そこはひとつそれぞれのお立場からこの自衛隊法の邦人救出のための輸送機の派遣、こういう問題について、それぞれ今も御議論中であろうと思いますけれども、より一日も早くやりませんことには、やはりせっかく変革と言って政権交代をやったけれども相変わらずだというふうになってはいかぬと。  そして、いつエマージェンシーが、危機管理というのはいつ起こるかわからぬわけです。同じ日本人を救出する、日本国籍の者、言い出すと北朝鮮の日本人妻までありますけれども、それはきょうは言わぬにして、海外における日本国籍の日本人のエマージェンシーの場合の救出体制にどのようにそれぞれお取り組みであるか、御説明、御答弁をいただきたいと思う次第でございます。
  35. 武村正義

    国務大臣(武村正義君) 今もお話を伺っておりまして、守住委員のこの問題に対するさきの国会も含めて大変な御苦労に敬意を表したいと存じます。  東西冷戦が終わりましても、御指摘のように世界で地域紛争、緊張状態は後を絶ちません。加えて、日本の数多くの国民が世界じゅうで活躍をいただいている。こういう状況を前提に考えますときに、いついかなるとき、危険を越えて海外で活躍する邦人を救出する役割が大変大事だというふうに認識をいたします。過去の経験もそのことを強く物語っているわけであります。そんなところからこの論議が具体的な法案という形で出てきているわけでございます。  新政権にとりましてもこのことの重要性についてはほぼ同じ認識を持っているものでございますが、この救出のあり方をめぐって連立与党の中にまだ最終の意見が調わない状況がございまして、今国会の開会からいきますと時期がややおくれぎみでございますが、ぜひこの臨時国会の中で合意を見ましてまとまった案を提出させていただきたいという考えております。そういう意味で、与党内部の意見調整のためにいましばらく時間をお許しいただきたいと思っている次第でございます。
  36. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) 基本的にはもう官房長官から今お答え申し上げたとおりでございまして、私ども在外の皆様方をお世話する立場にあるわけでございますけれども、この立場から申し上げましても、今いろんな地域で紛争が起こっておる状況、こういったことを考えましたときに、邦人救出のために喫緊の問題であろうというふうに考えておりまして、我々連立与党内も調整というもののためにこれからも行動していきたいと思っております。
  37. 中西啓介

    国務大臣(中西啓介君) 今、武村官房長官のお話のとおり、各党間で精力的に検討をしていただいているものと理解をいたしております。  これは、守住委員のお話にありましたように、いつ何ときそういう異常事態が発生するとも限りません。そういうときに、よりスピーディーに、よりセーフティーに在外邦人を避難していただくというか日本にお連れするというか、これはもう人道的に見ても私は国民の大多数の方々も御理解をいただけるんではないかと。  自衛隊が仮に行くことになれば、もちろん主として政府専用機を想定いたしております。まあ時にはC130みたいな機種を使うこともあり得るかもしれませんけれども、日ごろ、この間も天皇陛下がヨーロッパに御旅行なさった際にもお使いいただいたわけでございますし、外務大臣あるいは宮澤総理も御使用になられましたし、国外訓練等も積んでおりますので、外務大臣から行ってくれという要請を受けてアクションを起こすわけでありますけれども、使用する空港の状況、あるいはまた飛んでいく国によりますけれども、その領空を通過するいわゆる許可をもらったりとかいろいろな手続を踏む必要もございます。  そういうことを今防衛庁の方でも準備をおさおさ怠りなくというか、勉強もいたしておりまして、訓練も積んでおりますので、直ちに対応はできるのかなと、今そんな感じで一日も早くこの自衛隊法の改正を望んでいるところでございます。
  38. 守住有信

    守住有信君 そのような御判断、御決意、あるいは内閣としての一体性、これが非常に大事だと思っておりますけれども、自民党の方は衆議院の方で議員立法で自衛隊法一部改正案を出しておりますので、そこの辺のところをよく、これは衆議院の方の議運とかその他の問題であろうと思いますけれども、そこらの方もひとつ官房長官、いろいろ政府・与党としての窓口と十分詰めて、本当にやるならやるというふうにせぬと、自民党の方も議員立法で出すというあれでございますので、そういう意味で、今度は野党議員立法でございますので、そこらあたりも十分踏まえて整理を早くしていただきたい。  そしてまた、これは審議になりましても、また前のように衆から参までやっていったら、今度は国会は何をしておるかと、こういうことにもなりかねませんので、そこらのところも十分踏まえてしっかりよろしくお願い申し上げる次第でございます。  なお、ちょっと時間が残っておりますので、農林省に。  検査院から実は二つの指摘が大きく出ておるわけでございます。これはもうとっくに御承知のことと思います。農林行政非常に難しい中で、さらなる難しいテーマを払いのけるテーマが出てきたわけですが、冷夏対策とかあるいは緊急輸入とかいろいろ出てきましたので、こちらの方は、検査院が指摘した二つのことについてはあえてきょうは触れませんで、もっと新しい前向きの方を。  それは何だというと、新農政、いわゆる食料と農業と農村政策その三つの点を踏まえた新農政の提言が出てきて以来、第一回の一発目が中山間地域の林業も含めての振興政策であったと思います。そして、特にそれがいわゆる農林省だけでなくて、国土庁や自治省と三省庁が組んだというところに、私は農林行政のいい芽が出てきた、このように思っておるわけでございます。  私はかつて農林省を批判してパー農政と言ったんです。一律パー、減反も一律。そうじゃないんだね。やっぱり日本の地勢が、これはアメリカに対しても、アメリカ大陸の地勢と我が国の島国、山国、水、そういうことを思いますと、地勢が客観的に違う。そしてさらに、日本の国内を見ましても、都市近郊、平坦地、中間地、山間地、いわゆる自然的条件が違う。それに合ったやっぱり政策でなきゃならない。と同時に、他省庁と組むという、農業政策については農林省が中核であるけ れども、私なんか農免道路なんか建設省に任せたらいいじゃないか、農村集落排水施設も厚生省に任せたらいいじゃないか、そして、投資農林省予算は基盤整備とか、いろいろ流通対策とか販売対策とか、そちらへ向けろ、こういう考え方を持っておるものでございます。  そこで、時間もちょっとしかありませんので、その中山間の地域、三省庁がやっぱり組むということが大切なんですよ。もう長い間縦割り行政というのは私はいろいろ体験したものですからね。地域社会は一体なんですね。という意味で、その中山間の対策が、あれは去年の八月でしたかな、法律ができたのはね。何かそのころだったと思うが、ことしか、(「ことし六月です。」と呼ぶ者あり)ことしだ。その後どのように取り組んでおられるか。農林省だけでなくて、自治省や国土庁と一体になって、地元の農協、市町村、どのように取り組んでおられるか、最後でございます、ひとつ十分我々にもわかるように御説明をいただきたいと思います。
  39. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) 御指摘のとおり、農業政策なかんずく農村政策はもとより農林省だけでできるものではございませんでして、各省庁と連携しながらやっていくべきものであると考えております。そういう意味におきまして、特に今御指摘の中山間地域対策につきましては、早くから国土庁、自治省と勉強会をやりながら、その中山間地の活性化のために何をなすべきかという視点からいろんな議論をやってきたところであります。その研究の成果を踏まえまして、ことしの六月に特定農山村の法律を制定させていただいたということでございます。  現在、この法律に基づきまして、九月の二十八日に施行されたばかりのものでございますから、各省庁連携しながら都道府県、市町村等に対しまして法案の説明、普及啓蒙に努めているところでございます。さらに、法律が終わったから各省庁の連携が終わったんじゃなくて、第二回目、第二弾の措置としまして、現在また自治省、農林省、国土庁と勉強会を重ねております。そして、その成果を踏まえながら中山間地の活性化を図ろうというふうに考えております。
  40. 上原康助

    国務大臣(上原康助君) 今農林省の方からも御答弁ございましたが、もう先生よく御承知のように我が国の国土の七割はそういった中山間地域でありまして、過疎対策あるいは農業振興という面で極めて重要な課題であることをよく認識をいたしております。  私もせんだっての災特でも申し上げましたが、やはり災害対策をやるにしましても過疎対策をやるにいたしましても、今の縦割り行政の弊害というものをどう改善、改革をしていくかということは極めて重要な政府全体としての課題だという認識を持っております。そういう意味で、そういう立場から国土庁としては、調整機関としての機能をより充実せしめるために、各省庁の御理解、御協力を得ながら推進をしてまいりたい、こう思っております。
  41. 守住有信

    守住有信君 ありがとうございました。  自治省来ていますか。
  42. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 自治省来ていますか。  見えていないようですので……。
  43. 守住有信

    守住有信君 農林省が総合屋でやってくれ。自治省と一緒に国土庁は調整するようにしましょう。
  44. 入澤肇

    政府委員(入澤肇君) 中山間地域の実態を見ますと、全国の耕地面積、農家数、農業総生産額とも約四割を占めておりまして、我が国の農業の振興を図るためには中山間地域の活性化が必要でございますし、また、今国土庁長官からお話がございましたけれども、全国土面積の七割近くを占める中山間地域、この活性化のためにはどうしても農林業等の活性化が必要であります。したがいまして、農林業等を中心にいたしまして、各省庁所管の諸業種を含めましてその振興対策を図る、それによって人口の定住を促進し、または就業機会を設けて、全体として活性を図るというのが基本的な考え方でございます。
  45. 守住有信

    守住有信君 終わります。
  46. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      ――――◇―――――    午後一時開会
  47. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成年度決算外二件を議題とし、全般的質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  48. 永田良雄

    永田良雄君 自由民主党の永田良雄でございます。  平成年度決算審議に当たって、幾つかの点について関係閣僚に御質問を申し上げます。  最初に、現在の日本経済の景気の問題について御質問を申し上げたいと思います。  細川新連立政権ができまして最大緊急の課題は政治改革である、しかもそれを年内に実現するんだというふうに言われております。私ども選挙区へ帰って選挙民と話しておりますと、それもさることながら、一番我々が深刻に今受けとめておるのは景気の問題だよ、政治改革は大事かもしらぬけれども我々はむしろそれよりもこの景気停滞を何とか直してほしい、こういう要望が一番強いわけであります。  ある中小企業のオーナーなどは、従来に比べて三割も生産が減るようになった、これ以上悪くなるともう倒産だよという話がありますし、商店なども売れ行きががた落ちでどうしようもない、一体どうしたらいいんだろうか、歯がゆいけれども我々にはどうすることもできないんだ、何とかひとつ政府が将来に明るい見通しが持てるような政策の見通しなりなんなりを示してほしい、こういう要望が一番強いわけであります。  確かに、今度の景気停滞は在来の景気の停滞の場合とかなり違うような感じがいたします。過去、終戦後何回かのリセッションはありましたが、大体一年から一年半で明るい見通しが持てて、景気が順調な回復過程をたどっていくというのが従来の状況でありました。今回は、おそらくいつから始まったということをせんさくするといろいろあるでしょうが、二年ないしは三年の間、先が明るくならないまま推移しておるというような状況であります。  その中で、株や土地のバブルがはじけた、これは資産デフレであって今までかつて一度もなかった状況である。さらには、それに円高が加わって、冷夏、災害、もうダブル、トリプル、さらにそれ以上の厳しい状況であるというのは私どももわかるわけであります。経済企画庁も過去に何回か経済の見通しを発表されました。これは自民党の政権で発表した場合もあるわけでありますが、それがいずれも外れてきたということであります。  そこで、実はきょう経済企画庁長官においで願ってお答えしていただきたかったわけでありますが、御都合が悪いということでございます。極めて残念でありますが、経済企画庁当局から日本経済の現況と将来の見通しについてわかりやすく明確にお示しいただきたいと思うわけであります。
  49. 小林惇

    政府委員小林惇君) 委員御指摘のとおり、我が国の経済の置かれた現状は大変厳しいものがございます。国内経済のいろいろな要素の中で、御案内のとおり公共投資あるいは住宅建設については政策努力もございまして非常に好調あるいは回復の動きが続いておるわけでございます。  問題は、それが本来のねらいでございます個人消費あるいは民間設備投資の回復につながっていくというところを期待しておるわけでございますけれども、残念ながら委員御指摘のとおり構造的な問題もございますし、あるいは本年に入りましてからの円高あるいは冷夏、長雨、災害といったような影響も加わりまして、その二つ、個人消費あるいは設備投資については回復に向けた動きに足踏みが続いておる、こういう状況でございま す。  一番最近のデータでは、先週の金曜日に八月の家計調査というのが発表になってございますけれども、それも実質で見ますと勤労者世帯で去年の八月に比べて二%程度ダウンしておるというようなことで冷夏等の影響もございますし、八月の野菜の値段の動向もございましてそういうところもマイナスになってございます。  そういった状況の中で、経済の先行きに対する中期的な不透明感というのも広がっておりまして、今後の景気回復については予断を許さないものがあるというふうに考えております。
  50. 永田良雄

    永田良雄君 今は経済企画庁から経済の現状について御説明があり、先行きについては油断のならないものがある、こういうお話でありましたが、少なくとも経済政策を担当される経済企画庁としては、どういう施策をやればこの不況を克服する明かりが見えてくるかということについてお考えを聞かせていただきたいわけであります。
  51. 小林惇

    政府委員小林惇君) ただいま申し上げましたような経済の緊急状況克服のために、先般九月中旬に規制緩和あるいは円高差益還元に加えまして、厳しい経済情勢に対して即効的に対応し得る幅広い諸施策から成る緊急経済対策を講ずることとしたわけでございます。  政府としては、今年度の当初予算あるいは四月に決定されました総合的な経済対策について補正予算も講じていただいてございまして、そういった公共事業等の年度全体を通じての高い水準での執行に努めるなど、引き続き着実に実施し、その効果を速やかかつ十分に発現させてまいりたいというふうに考えております。  それから、九月の緊急経済対策につきましても、既に各項目について、例えば住宅金融公庫等の事業規模の追加等の必要な財投資金の追加が既に実施されておりますほか、実施可能な各種施策については速やかに着手しておりまして、こういった施策を動員して先行き不透明感を払拭し、景気回復への動きを確固たるものにしてまいりたいというふうに考えております。
  52. 永田良雄

    永田良雄君 この五月に自民党政権のときにやった補正予算の着実な執行と、九月に立てられた緊急経済対策、規制緩和と若干の住宅投資の追加、新しい公共資本の追加で先が見えるというようなお話でございますが、本当にそれでうまくいくんでありましょうか。ちまたの経済評論家、学者等の間では極めてそれに対して否定的な見解が多いわけであります。  やはり、国民の間に将来明るくなるよという希望が見えなければだれも財布のひもをあけないわけであります。そのためには思い切ったことをやらにゃいかぬのじゃないかというふうに私は思うわけでありまして、今経済企画庁がお答えになりました四月の経済対策、そして九月の細川内閣の緊急経済対策で先が見えるとおっしゃるのは極めて私は不満であり、十分でないと思うわけであります。  ただ、経済企画庁長官がきょうは御出席でありませんので事務当局にこれをいろいろ言ってみても始まらないと思いますので、大蔵大臣はやはり日本経済に対して相当の責任を持っておられるし経済政策についてもお考えを持っておられると思うわけでありますが、大蔵大臣がこの経済状況に持っておられる認識と、これから一体どうやらにゃいかぬかという強い決意のほどがありましたらお聞かせをいただきたいわけであります。
  53. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) まず、経済の現状認識は永田委員のお話あるいは経済企画庁事務当局の話のとおりだと思っております。非常に難しい段階にあるということが一つです。  それからもう一つは、いわゆる昔から言われておりますが、複合不況的な面を持っておる。単に需要政策をやっただけでは足りない。構造政策をやらなきゃならない。そして加えて、今永田委員の言われた冷夏、長雨、急速円高ときた。この認識はそういう意味で全く同じです。ですから、G7でも各大蔵大臣に対して明るい面も出かかっていたんだ、それからこの累次の政策というのは相当なことをやっているんだ、しかしこれの効果をみんな減殺してしまった、水をぶっかけられたということを私はG7の各大蔵大臣に強く言いました。これが本当の姿だと思うんです。  そこで、今企画庁が言いました需要政策でございますけれども、私は需要政策は相当なものに上っていると思います。六月の前政権における補正予算、今回における九月の対策というのは相当大きな意味を持っていると思っています。現に平成年度予算というものが、これは景気刺激的なものであって、上期七五%やろうというのを決めたわけですけれども、八月末で六九%です。これは七五%は確実に私は達成できると見ているんです。そして、その後に前政権の六月補正が乗っかってきているわけです。さらにこの九月がまた、六兆円というのが小さいというお話ですが、上積み上積みの六兆円なんです。これがまた上積みで乗っかっていくんです。  私は、需要政策としては相当な意味を持っていると考えています。だけれども、需要政策ではなかなか律しきれないというところに問題があるわけで、その中に永田委員の言われた未来に対する希望という問題があると思うんです。これは底固めだと思うんです。完全な底固めだと思うんです。これから五%も六%も経済が伸びますよということではなく、底固めをする、それを実感で皆様に感じていただく、これだと思います。  そして、もう一つが構造政策だと思うんです。そこで構造政策について言えば、この九月十七日対策というのは相当な、規制緩和、それから円高差益の還元もいろいろな意見がありますけれども、完全にやるならば大変な大減税に当たるわけです。一〇%の円高は消費者物価を一%下げるわけですから、それで二兆六千億の効果があるわけです。これを着実にやるということですね。  そして、あえて大蔵省の関係で言わせていただきますと金融です。金融のシステムが非常に詰まっているという問題がある。これもことしの一月にやった共国債権買取機構ですね。予想以上の買い上げになっているわけです、一兆九千億ですから。ただし、これは一兆一千億にたたいていますから、八千億は銀行が損出しをしているわけです。ただ、残念ながらこの一兆一千億が実際の最終処分になっていないわけですね。永田委員の専門の分野でいらっしゃるわけですが、ここいらをもう少し手を入れていく。  つまり、需要政策を大きくやる、そして構造政策もいろんな分野でやっていく、これらが相まって実感として底固めができるというのが目先の経済政策であると考えて、このために現在全力を出しております。
  54. 永田良雄

    永田良雄君 大蔵大臣は、規制緩和の構造政策と金融政策をもうちょっと発動していきたい、こういうお話のようであります。私は、今度の不況は極めて異常でありますし深刻でありますので、考えられるあらゆる対策を思い切って打たなきゃこの不況を乗り切る明るい見通しはなかなか出てこないと思うわけであります。  大蔵大臣は、金融政策と構造政策と、こうおっしゃいました。構造政策というのはかなり時間がかかります。もう一つ故意にかおっしゃらなかったことがあるわけでありますが、減税の問題が一つ大きくあるんではないかと思うわけであります。  今政府税調で恒久税制改革の一環としていろいろ所得減税の話が議論されておりまして、連日のように報道されております。減税をかなり大幅にやろう、五兆とか六兆ということが報道されております。まさに今まで余りやってこなかったのがこの減税の問題でありますし、庶民の財布をやっぱり多少広げる心理的効果というものは物すごく私は大きいものはあると思うわけでありますが、これはまだ政府税調で検討の段階であります。  政府税調の段階で検討とは言いましても、大蔵省も事務当局としては深くそれにかかわっておられると思うわけでありますが、この減税の問題について大蔵大臣、前向きに力強い御答弁をひとつ、抽象的でよろしゅうございますから、具体的 にいつからやるとかそれは要りませんが、そういう決意であるということを御答弁いただきたいわけであります。
  55. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 故意に避けたわけでないわけでありまして、ここ一両年やってまいった経済政策、景気対策は、まず公共投資政策をやりました。租税政策もやっています。政策減税としての租税政策は相当やっています。これは住宅投資が、永田委員は御専門でいらっしゃるけれども、昭和四十七、八年という異常な時期を除けば、今最高のレベルで住宅建設が行われているのはこういう効果だと私は思っております。また、金融政策、一・七五%というのは日本の歴史始まって以来の低金利政策である。これを今本当に第一線まで浸透される努力をしている。こうくると、今永田委員がおっしゃったように残っているのは所得税減税だけと、こうなるんだと思います。  ですから、私も予算委員会でそれは常識的に当然出てくるでしょうということは申し上げております。ただ、政策選択というものはマイナスの効果とプラスの効果を見なきゃいけないと私は思っているんです。  そこで、現段階でごく常識的に言いますと、所得税の減税は当然に赤字国債になるわけであります。赤字国債の弊害というものはもう言い古しているわけでありまして、一つだけ申し上げておきたいのは、赤字国債を出すということは財政のエゴだとか財政の健全化のためにやっているという議論がありますが、全く違います。赤字国債を出すということは経済体質を悪くするということを御理解いただきたいと思うんですね。  インフレ的経済体質という言い方をしてもいいのかもしれませんが、要するにヨーロッパなりアメリカが今一番経済問題で最大の問題は何かというと、みんな財政再建なんですよね。それは赤字体質になって経済がだめになっちゃっているということを言っているわけでありまして、私は赤字国債を財源にする減税はより悪い効果をもたらすから反対せざるを得ないということを累次申し上げてまいりました。  また、永田委員のお話しの税制調査会でございます。これも御理解をいただいておきたいのでありますが、減税をするための財源探しをお願いしたのではございません。これだけははっきり申し上げなければなりません。将来の日本の社会なり日本の経済においてどういう税制構造が一番いいかということを伺っておるわけでありまして、ここはひとつ御理解をいただきたいと思います。減税の財源探しをお願いするというような失礼なことは絶対にやっておりません。  そこで、今そういう観点から御議論が進んでおるわけでありまして、御答申も間もなく出てくるのだと思います。  ただ、最近の一連の報道についてもう一つ申し上げておきたいのでありますが、全く大蔵省は関与いたしておりません。今税制調査会は税制調査会のお立場において御議論をいただいておるわけでありまして、大蔵省としては全くタッチしていないということを申し上げておきたいと思います。
  56. 永田良雄

    永田良雄君 私も税制調査会が景気対策として税制をやっているというふうに思ってはおりません。ただ、日本経済の緊急事態でありますから、そういう点も念頭に入れながらこの問題を考えていただく必要があるんじゃないかと思いますし、答申が出たならば思い切ってそれを上回るような規模のやつをやっていただきたい。もちろん、財源の問題も当然ありましょうから、ひとつ国民の気持ちが将来に向かって明るくなるような施策を大胆にお願い申し上げたいわけであります。  それから次に、先ほども大蔵大臣からちょっとお触れになったわけでありますが、資産デフレという面から土地の価格が下落して全く土地の流動性というのがなくなったということであります。大蔵省の資料を見させていただきましても、譲渡所得が平成三年に十九兆円あったのが六兆円に減ってしまったという極めて著しい減少であります。これがやはり景気の足を引っ張っておるということは間違いないと思うわけでありまして、金融の問題として、大蔵大臣は先ほど民間で機構をつくって一兆九千億の不動産を買い入れた、こういう話でありますが、たしかその一兆九千億買い入れた不動産を処分したのは約三十億だったと思うんですが、全くこれは動いていないということであります。  これから見てもわかりますように、一般の土地の状況も極めて取引が停滞してしまっておるという状況であります。一方では、相続税を納めるための物納の件数が格段にふえてきておるということも大蔵省の統計ではっきりなっておるわけでありますが、私はこの不動産流通の停滞を打破して何とか動かすようなことを考えなきゃいかぬのじゃないかというふうに考えておるわけであります。  例えば、金融機関が持っておる不良資産、全く動かないわけでありますから、資金がもう焦げついてそこにあるわけでありまして、貸し出そうにも、金融緩和だと言うけれども民間金融機関は貸し出しのための原資を持たないということになります。  きのうかおとといの日本経済新聞だったですか、民間の金融のシェアが極端に下がって、公的セクターの金融が非常に大きくなってきておる。これも一つ大変問題だというお話もあるわけでありまして、これを動かす方法をぜひ考えていただきたいと思うわけであります。  あの一兆九千億買い上げたやつを動かすやり方について、大蔵大臣、何かお考えはございましょうか。
  57. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 一兆九千億は不動産を買ったのではなく不良債権を買ったのでありまして、それに担保がついてきた、こう御理解ください。  また、今三十億というお話がありましたが、三十六億。三十五億何千万でございまして、三十六億。まことに微々たるものでございまして、動いていないと思います。  この問題につきましては、なかなかそこまで緒につかなかったんですが、大体実現ができるようになったのは、この不動産の情報というものを広く流すということは大変大事なことでありますが、同時にこの不動産の所有者とはすなわち不良債権債務者でありますから、このことが余り表になるということが債務者の方のお気持ちというか、そういうこととぶつかるわけでございまして若干の問題があったわけでありますが、了承をとれたところからどんどん、今、大口にしっかりした土地を必要とする方、例えて言えば住都公団というようなもの、あるいは地方団体、こういうものに対して積極的に情報提供をする仕組みを始めることにいたしました。  これには債務者の御了解というのが要るわけでありますが、債務者の方も大分御了解をしてくださる方が多くなりまして、こういうことを通じて一兆九千億、たたいた結果一兆一千億でございますけれども、一兆一千億の不良債権の流動化に努めてまいりたい、このように思っております。
  58. 永田良雄

    永田良雄君 今、大蔵大臣から不良債権の不良資産、土地の流動化の話がございましたが、私は今お話がございましたように住都公団とかあるいは地方団体の土地保有公社等が思い切ってここで、そういう不良資産のうち将来いわゆる都市の再開発等に資するもの、それから住宅用地として十分利用価値のあるものを買い入れするシステムをつくる必要があるんではないかと思うわけであります。  そのために、私は特別の枠の財投の融資等を活用してそういうことを積極的にやる必要があると思うわけでありますが、建設大臣、どのようにお考えでございますか。
  59. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 仰せのとおり、いわゆる資産デフレといいますか、ここのところ大きな経済の困難な実態の要素に今御指摘の部分がかなりあるんじゃないかというふうに思うわけであります。  一方、我が国の場合は、諸外国と比べて公共団体が土地等を十分に持っていない、公有地が非常に少ないという点も指摘されている点で、いろいろ都市開発等を進める上で、例えばスウェーデンのストックホルムあたりの場合ですと、もう町の中の相当部分が市有地であって思うままに都市開発が進むというような状況から照らすと、本当にそういうことが望ましいなという気持ちも一方では確かにあるわけであります。  しかし、今御指摘のように例えば地方の第三セクターであるとか、あるいは土地公社的なものもかなり実は土地を所有したままなかなか大変だという状況のところもこれもまた少なからずあるわけでありまして、ここのところはやはりかなり長期の計画を立てて、そうしてまさにスウェーデンの場合ですと百年をかけて土地を市有化しているわけでありますから、そういう国の方針というものが望ましいものと思われるわけでありますが、にわかに一気に公有地をふやすと言いましても私もなかなか大変な点があるだろうというふうに思うのでありますが、御提案の点はよくまた検討をさせていただきたい、こういうぐあいに思う次第でありますが、なおまた局長の方から補足してお答えをさせていただきたいと思います。
  60. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) ただいま大臣からお答えを申し上げたわけでございますけれども、先生御案内のとおり、財投融資ということになりますと金利もかかるわけでございます。  例えば、地方公共団体の開発公社等が土地をそれによって取得をいたしましても、実際に事業化するまでにはその金利分を負担していくということになるわけであります。その辺の措置等につきましても十分検討をしていかないと、具体的なシステムとして機能するかどうかということもあるわけでございまして、一つの検討課題ということで受けとめさせていただいて今後検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
  61. 永田良雄

    永田良雄君 私も日本全国でやれと言っているわけではありませんし、もちろん買い入れには買い入れの価格の問題があることも当然でありますが、そういうことを考えていく必要があるだろうと。そうでなくても再開発なんというのは種地がなきゃこれどうにもならぬことでありますから、ぜひ真剣に検討してやっていただきたいと思うわけであります。  それからもう一つ、土地の問題に絡みまして、実は土地の監視区域の問題であります。  もともと日本の国は自由主義経済の国でありますから、取引というのは売り手と買い手が自由に、売買が成立すればそれでいいわけであります。ただ土地に関しては、これは緊急、異常の場合には公的機関が介入してくる。そしてそこで届け出して承認を受けて土地取引を成立させるというシステムがあることは御承知のとおりで、それが監視区域であります。  今恐らく日本のいわゆる都市計画区域と言われる、人が住む区域でありますが、そこのたしか八割か八割五分は全部この監視区域の網が張られておると思うわけであります。三、四年前はそれはもう地価の暴騰のときでありますから、みんなが競ってこれを監視区域に指定いたしました。これは緊急的な措置として私は決して間違っておらなかったと思いますし、まあそればかりではございませんが、それもあって地価が現在のように鎮静化をしておることも事実であります。  したがって、これがまた、いわゆる非常、緊急のときの措置がいまだに残っておるということが私は非常におかしいのではないかと思うわけであります。  もちろん、そうは言っても、私は今直ちに全部をなくせということは一言も言いません。場所によっては、もう余り上がらないし下がりもしない、極めて安定的な地価の状況があるというところまで監視区域に指定しておる。そして、それは速やかに県と相談して監視区域を除外していきますよと、こういう話もあったやに聞いておるんですが、いまだに一件も監視区域の指定を解除したところがないということが極めて私はおかしいのではないかと思うわけでありまして、そこら辺、監視区域の指定の解除について、国土庁長官はどのように考えておられ、これからどのようにされるのか、お答えをいただきたいわけであります。
  62. 上原康助

    国務大臣(上原康助君) 永田先生も御専門のお立場からのお尋ねですから、特に土地問題全般についてよくおわかりの方ですからお答えしにくいんですが、確かに今御指摘のありました監視区域制度の緩和について、緊急経済対策の中でもいろいろ議論された経緯があることは私もよく理解をいたしております。  しかし、御案内のように、監視区域制度は今御指摘がありましたような期間を定めて指定された区域において一定面積以上の土地取引についてのあらかじめ届け出を求めて、その著しく高値での届け出制に対して指導を行う、まあ基本的に通常の土地取引を阻害する性質のものとして定めたものではないと私は理解をいたしております。  平成年度都道府県地価調査によりますと、大都市圏における地価は顕著な下落を今も御指摘にありましたように示しておりますが、また地方圏においても横ばいまたは下落となっておりまして、本制度の運用実態と現在に至るまでの価格の引き下げ等の指導を行う割合が高いところなどもありまして、都道府県等は慎重に今対処をしておるように聞いております。  国土庁としましては、今回の地価調査の結果及び各地域での土地取引の実態を踏まえまして、総合土地政策推進要綱に従いまして土地神話の打破、適正な地価水準の実現、適正かつ合理的な土地利用の確保を目指して、都道府県と十分連絡をとりながら制度の的確な運用に努めておるところであります。  土地が下落をしても、まだ緩和措置をとっていないんじゃないかという御指摘ですが、現在、地域の実情に応じましていろいろ今申し上げましたような留意事項等の諸条件について都道府県等と連絡をとりながら検討を進めているところでありまして、既に各都道府県にも通達を出しまして、大体十一月をめどに、この監視区域制度の緩和措置等をどうするかを検討しようということで、目下いろいろ準備をさせていただいているところであります。
  63. 永田良雄

    永田良雄君 私は大変不満なわけであります。  と申しますのは、今大臣から、低い価格で売買すれば難なく文句なく承認を得られるんだから、ちっともそれは土地の流動化の障害になっていないんじゃないかと、こういう極めて単純なお話でありますが、御承知のように土地というのは、地価公示というのはある一月一日の時点で決めるわけであります。その一年間の上昇、下降というのはその翌年までいかないと新しいものが出てこないわけであります。そういう意味で、むしろ逆に今下落しているときでありますから、高い地価で公示価格が設定されていることによって心理的に売る人の気持ちを阻害するという現象もあるということであります。  十一月をめどにやるというお話でありますが、一日も早くやっていただきたいと思うわけであります。これは公共団体と相談するような話じゃありませんで、差し支えないようなところはどんどんやってくれよと、こう一発言えばこれで私は済む話じゃないかと思うわけでありますので、よろしくお願いを申し上げます。  それからもう一点、土地に絡んでこれは要望だけを申し上げておきます、時間がありませんので。  もう一つ土地の流動化を促進するための方策として、私は土地の譲渡所得にかかる税金を緩和すべきだという考えを持っておるものであります。大蔵大臣にもよろしく聞いておいていただきたいわけであります。  もともと土地の税金は、特殊なことを考慮に入れて所得税とのバランスにおいて決められておったはずであります。そして、二分の一重課が本則であります。総合所得と一緒にして課税するというのが原則であります。それの具現化として分離課税二〇%、あるいは一定規模以上は二五%とい うのができたわけでありますが、今回一律に三〇%の譲渡所得税になりました。しかも、その上に地方税が九%かかります。三九%の極めて高い税金であります。これもいわゆる土地が動くことを阻害しておる一つの大きな条件だと思うわけであります。  要望として申し上げますのは、これから政府の税調で恒久的なあるべき税制の改正として、所得税の減税の問題が議論されておるのは先ほどからのお話で出ておったとおりでありまして、その中で今五〇%の所得税の最高税率を低くするという話が出ておるのも事実であります。そういうことになりますと、これは当然それとのバランスにおいて譲渡所得税も軽減すべきが当然だと思うわけでありますので、大蔵大臣、建設大臣、よろしくそういう点も考えていただいて、譲渡所得税の軽減方にこれから十分御配慮賜りたい。そしてそれこそが土地をやはり適当な秩序で流通する一つの手段になる、こう思うわけであります。これは要望だけを申し上げておきます。  それからもう一つ、今度は運輸大臣にお願いを申し上げたいわけでありますが、私は出身は富山であります。北陸新幹線というものに二十数年、地方の市町村長、市町村会議員、知事、住民一緒になって新幹線をという陳情をし、努力してまいりました。平成三年に運輸省の案で三線五区間の着工が決まりまして、現在着工をやっております。大変ありがたいことだと思っておるわけであります。  この新幹線を決めたときに政府と与党の申し合わせ事項ということで、御承知のように三線は北陸、東北、九州のうちの一部区間だけを着工するということでありまして、ほかの二線については何も決まっておらないということであります。五年後に見直すということになっておるわけであります。ちょうどことしがその見直しの時期であります。  東海道新幹線とかあるいは山陽新幹線とか人の集まる表のところへは出ておりますが、それ以外のところにはこういう施設がないというのは極めて私は不満であります。もちろんJRの財政の問題もあることは十分承知でありますが、それらも含めてこの新幹線の見直しに対して運輸大臣はどのように考えておられるか、お答えを願いたいわけであります。
  64. 伊藤茂

    国務大臣(伊藤茂君) ただいま永田さんの方から今までの御苦労を含めましてお話がございました。私も三カ月近いこの在任期間中、今までの間にも関係地域の皆様から大変な切実な気持ちを込めた御要望を承りまして、この事態、問題の重要性を認識いたしているところでございます。  御質問のございました五年後の見直し問題、八月が期限でございましたが、政権交代というようになりました。もちろんでございますけれども、従来からまいりましたこれらの大きなテーマは引き続いて努力をしなければならない。八月が期限でございましたが、政権交代などの事情がございまして、来年度予算編成までの間にこの問題の打開をぜひ見たいというふうに思っております。また、いろいろ難しい問題ございますが、担当の私といたしましては何か明るさを持った打開ができればという気持ちでおります。  言うまでもございませんが、これからの時代を考えますと、やはり分権の時代、そしてまた均衡ある国土の発展、個性ある地域が大きく発展をする、一極集中を是正するという時代にならなければならないと思います。そういう次の時代の目標を考えますと、やはり高速道路とともに高速鉄道ネットワークがつくられるということは、新時代への基礎条件をつくる大事な仕事だと認識をいたしております。  先生も御案内のところでございますけれども、二つの大きなネックを、障害を乗り越えなければなりません。  一つは財源問題でございます。国の事情も厳しい状態、JRにも大きな負担をそうは求められない、自治体もいろいろと難しい厳しい状態という中で、どう知恵を絞るのかという努力をしなければならないというわけでございまして、御案内のとおりに今三線五区間、約二兆円の規模、そしてまたほぼ十年間でとなっております。それから重ねまして、全部つくるためには七兆円と概算をされております。じゃ、残り五兆円をどうやってつくるのか。まあこれも相当の年月と申しましょうか、十年とか十五年とかどうしてもそういう時間が必要だと思いますが、どうするのか。  公共事業の見直し問題などもございますけれども、これも地域でやっていることですから、一挙にはっと目標を塗りかえるというわけにはまいりません。大蔵大臣もいらっしゃいますが、私も大蔵委員会に長くおりましたのでその辺の事情もわかります。何かやはり知恵を絞った打開をしなければならないと考えております。  もう一つ、いろいろと御要望に見える知事、市長、関係の皆さんにお願いをしているのですが、やはり将来、単年度とは申しませんが、しばらくするうちにその路線に楽しくお客さまににぎやかに乗っていただいて、そして収支がバランスするように、第二の赤字国鉄をつくらないように考えなければなりません。そうなりますと、そういう各地域で、国もパブリックな応援をしなくちゃならぬと思いますけれども、地域経済が発展をしていくということが相伴って安定した見通しができるということではないだろうか。  今、連立与党間でも協議が始まっておりまして、先ほどもだんだん年末になってくるんだからテンポを速めて努力してよと、我々もいろいろと関係方面との御相談なり、また知恵を絞ったりしなくちゃなりませんのでと申し上げているところでございますが、そういう気持ちも込めまして打開に当たってまいりたいと思っております。
  65. 永田良雄

    永田良雄君 運輸大臣からしっかりやっていく、こういうお話でございます。そして、連立与党の方で協議をしておるというお話でありますが、ぜひ口でおっしゃるだけではなくて行動で示していただきたいということと、やっぱりやる気になればおのずから道は開けてくると私は思うわけであります。  そういう意味では、連立与党の協議の場はありますが、政府が、運輸省が中心になって自治省、大蔵省を交えてそれを真剣に検討しようという動きが全く見えないのは極めて残念であります。今せっかく前向きの答弁をいただいたわけでありますから、運輸大臣、ひとつしっかり政府の間でも協議してやろうという意識のもとに、いろんな知恵を出し合うというふうにやっていただきたいわけであります。  その際に一番大事なのは、これただ単に民間会社のやる話であるという格好ではなくて、地域の要望のうちの最大のものである、そしてそれをやるためにはやはり国家が国家プロジェクトとして位置づけていくという気迫と信念が必要だと思うわけでありまして、そういう意味で一生懸命これからやっていただきたいと思うわけでありますが、一言最後に運輸大臣の御決意のほどをお願いします。
  66. 伊藤茂

    国務大臣(伊藤茂君) お話の気持ちをしかと受けとめて努力をしていきたいと思います。  連立与党・政府は、それにつきましての責任を特に持っていることは言うまでもございません。と同時に、この問題は党派対立の問題じゃないと思います。いろんな意味で、やっぱり与野党を超えてこの問題の打開にお互いに力を合わせ知恵を絞り合うという努力をさせていただきたいと思います。  また、行動が大事だということをおっしゃいました。私もそう思っております。いつ何日、何日からというぐあいにはきょうはちょっと申し上げにくいんですが、そのことをしかと受けとめまして、もう時間は余りないんですから、この問題についての行動を起こさなければならないというふうに考えております。
  67. 永田良雄

    永田良雄君 時間がなくなりましたが、最後に入札問題について御質問申し上げたいと思うわけであります。  ここのところ、毎日毎日紙面をにぎわしておる 建設ゼネコン汚職、談合の記事であります。私も公共事業に携わっておった者として極めて残念でありますし、大いに自重自戒、反省しなきゃいかぬ点があるとは思うわけでありますが、この問題は私は、いろいろ報道されておるわけでありますが、ややもすると汚職、談合、そのことばかりに追われて、公共事業の入札というのは一体何なのかということが忘れられがちなのは大変残念だと思うわけであります。  私が言うまでもなく、公共事業というのは、良質な立派なものを適当な工期で、そして適正な値段で供給してもらうことが一番の基本であります。例えば個人が家を建てるときにどうやりましょうかということであります。はい、たくさんの業者みんないらっしゃい、入札してください、一番安いところに、あなたにやらせますよというばかなことをする人は一人もおりません。それから、民間の会社でも入札で落札者を決めるのはほとんどが随意契約であります。やはり、あそこの会社が信用できるからあそこを選んだよ、そういうことが基本であります。公共事業の場合にややこしいのは、これは国民の税金あるいは県民の税金を使ってやるところにその難しさが出てくるわけであります。  そして、もう一点考えなきゃいかぬのは、私はこれを考えるときに、いわゆる発注者と言われる人、これはすべて大体が全部選挙で選ばれてきている人であります。それは、地域の住民なりあるいは国民なりがこの人に公共事業の執行を任せるんだよということで任せてもらったわけでありますから、これは権限があると同時に責任があるわけであります。だからこそ、その権限を乱用した人は、今出ておりますように収賄というような事態を招来するわけであります。やはり権限だけわかっていて責任の問題をなおざりにするからであります。そういう厳しい責任感を持って私は入札の問題に対処しなきゃいかぬと思うわけであります。  この問題に対して、建設大臣、どのように対処されようとしているのか、もう時間がなくなりまして申しわけありませんが、お答えをいただきたいと思います。
  68. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) これはもう永田委員はまさに専門家で、ぜひまた機会を見て委員のいろんなお知恵もおかりしたいと思うぐらいなのでありますが、何と申しましても公共事業は国民の税金によって仕事をしていくわけであります。また、まさに御指摘のように、発注者は国民から選ばれた人たちで、その信頼に立って国民の税金による事業を、国民の快適な生活のために使っていこうという性格のものでありますから、したがってそこにはこの公共事業に対する本当に確固たる責任感というものがなくてはならないんだと思いますね。  したがって、そこには発注者としてのモラルというものが強く求められるとともに、入札制度等につきましても、それにふさわしい透明性のある、あるいは競争性が確保された公正な制度というものを絶えず我々は追求していく必要がある、こういうぐあいに思うのであります。そこが、個人がそれぞれ御自分の家などを御注文なされる場合と私は少し違うところであろうというふうに思います。  残念ながら、ここのところスキャンダルが相次いでおりまして、殊に業界のトップクラスが、そろって首脳陣が逮捕されるというようなことは、これはもう個々の企業というよりはやはり全体的な構造の問題として我々はとらえていかなくちゃいかぬ、こういうぐあいに思っております。したがって、今政権がかわって、そうして政治改革が大きな課題になって、そのために各議員とも御尽力をいただいている。まさにこれとあわせて、私は入札制度を中心とする建設行政あるいは建設業界の改善に関する総力を挙げた努力が要請されるものだというふうに思っておりますので、目下中建審の特別委員会とも御相談しながら、全力を挙げて年内までに結論を出してまいりたい、このように思う次第であります。
  69. 永田良雄

    永田良雄君 時間がなくなって残念でありますが、私が申し上げたいのは、入札の制度がどういうものであっても汚職はあるということであります。  イタリーは一般競争入札であります。それから、フランス、イギリスも指名競争入札であります。アメリカのボンド制度においても談合やなんかがいっぱいあるということであります。要は、やはり私は選挙で責任を受けた人が極めて厳しい倫理観のもとにやらなきゃいかぬというのをみんな忘れていたと思うんです。そして、自分はきれいで何にもしないで第三者に任せるというような格好をやっているところに基本の問題があると思うわけであります。全責任でもって私がやるんだという気概を持って入札制度に取り組んでもらわなきゃいかぬわけであります。そのかわり、私が間違ったら直ちに首になりますよ、これで結構ですよというぐらいの気持ちでやっていただくことが大事なんであって、制度の中でいろいろ個々的に細かい点の問題はありましょうが、基本はそこだということを申し上げて私の質問を終わります。
  70. 高崎裕子

    高崎裕子君 電力、ガス会社による広告問題が今問題になっておりますけれども、電事連の報告では、自民党の機関紙「自由新報」、雑誌「月刊自由民主」、「りぶる」、これの広告掲載が掲載回数百五十三回、掲載費は八三年度から九二年度の十年間で五十五億五千万円ということになっております。  そこで通産省にお尋ねいたしますが、掲載回数について、この三年間を見ますと、九〇年度で十九回、九一年度が二十回、九二年度で二十九回となっております。事前に要求をしておきましたので、調べておいていただけたと思いますが、何年何月のどの新聞、雑誌に掲載されていたのかお答えいただきたいと思います。
  71. 堤富男

    政府委員(堤富男君) 今御質問をいただきました回数等につきましては、正確であると思っておりますが、この内訳につきましては私契約にかかわりますことでございますので、私の方で把握はしてございません。
  72. 高崎裕子

    高崎裕子君 広告費という名の寄附行為、つまりやみ献金ではないかという疑惑が指摘されて今大きな社会的問題になっているわけです。掲載回数もわかっているのに、いつどの雑誌に載ったかわからないということは絶対ないはずなんですね。それとも何か言えない理由があるんでしょうか。  私は、ことしの分も含めて八八年度から六年分の「自由新報」、「月刊自由民主」、「りぶる」、これ一ページ残らずすべて調べてみました。その結果、驚くべきことに幾ら見ても広告がないんです。つまり、掲載回数がこの電事連の報告と全く違っているという事実が明らかになりました。十月十三日の電事連の報告と実際に私が調べて掲載されている回数を述べたいと思います。  八八年度、電事連は十三回、実際は十二回。八九年度、電事連は十一回、ところが実際はわずか五回。九〇年度は十九回が電事連、これが実際は三回です。九一年度は、電事連で二十回、ところが実際には十二回。九二年度は電事連では二十九回、ところが実際は九回。そして、今年度は既に実施されていると言われた分だけですが、十七回というのが電事連、これに対して実際は三回ということで、まるでこの報告と実際は違っているわけです。この六年間だけで、電事連で言う数字は合計百九回です。しかし、実際はわずか四十四回。  ただし、誤解がないようにしておきたいんですけれども、この四十四回も本当に広告と言えるのだろうかという疑問符がつくものばかりなんですね。  例えば「りぶる」の九二年九月号からのシリーズで「暮らしを支えるエネルギー」というずっとシリーズ物があるんですね。それで一、二はいずれもここに持ってきておりますけれども、全部動燃の人形峠事業所の紹介ということになっているわけですね、動燃ですよ。それから二番目もこれ 動燃なんですね。それから三、四が中部電力、東京電力というふうにシリーズになっているので、一応一連のものということで、私たちとしてはこれは広告というふうにカウントをしたということなんですね。あるいは「りぶる」の八九年五月号ですけれども、これは自民党の婦人部の研修会で講演したそのものを掲載しただけなんです。一応原子力がテーマなのでカウントをしておいたということで、一つ一つを見ると広告とは言えない。しかし、原子力に関係あるからということでピックアップする。本来論文だというものも含めた回数で見ても、百歩譲ってそういうふうに見てもわずか四十四回なわけですね。  電事連の言う百九回と私どもの四十四回のその差は六十五回、それはどこに掲載されているのか、これは大変重大な問題だというふうに思います。この百九回分の掲載費は合計で四十一億円になりますから、一回分について計算しますと、平均三千七百六十万円ということで掲載されていない六十五回分で見ますと、二十四億四千万円ということで、これは一体どうなのか。これは広告費ではなく寄附行為、つまりやみ献金ということはもう明白なわけですね。  とすれば、政治資金規正法にかかわってくる問題でもありますし、この事実については大至急調査をして、各年度ごと、いつ、どの紙誌に載っているのかを責任を持って御報告いただきたいと思いますが、通産大臣いかがですか。
  73. 堤富男

    政府委員(堤富男君) その問題につきましては、電気事業法の対象の調査ということに、法的な意味の調査には実はならないわけでございまして、私たちも電事連の方から報告を受けたという形でございますが、電事連の方での回答は、先生からの事前のお話もございましたので聞いてみましたが、公表の回数どおりの広告があったというふうに言っておるわけでございます。  電気事業法という法律の一つの概念がございますので、その中での調査というのは、特にこの場合電気事業者そのものではなくて、その法人がない団体での支出でございますので、直接の法的権限に基づく調査というのができないわけでございます。
  74. 高崎裕子

    高崎裕子君 大臣。
  75. 熊谷弘

    国務大臣(熊谷弘君) これは先般の衆議院でもお答えしたことでございますけれども、本件につきましては、行政的に介入するべきことではないと私どもは思っております。ただ、社会的な常識というものがあるわけですから、これらの御批判がさまざまに寄せられているということは私どもも承知しておりますし、電力、ガス業界もそのことを踏まえて、今後はこのようなことを継続しないというふうに決めたというふうに承知いたしておるところでございます。
  76. 高崎裕子

    高崎裕子君 そういうことで調査はするつもりがないということですけれども、これは大変問題だと思うんですね。  私、具体的に電事連が報告された回数と調べた回数がこう違うという具体的な事実を摘示して、時効にもかかっていないわけですから、政治資金規正法の問題になるということも指摘しましたが、もう一つこれは非営利事業として所管の通産省にかかわる問題として私は大臣に考えていただきたいんですけれども、電気料金算定の際のコストの中に広告費というのは含まれるわけですね。ところが広告費名目で、これは実際はそうではなくてやみ献金であった。ところが、私たち電気需要者にとっては、そのことがコストとして含まれて電力料金にはね返っているということでは、これはもう無関心ではいられない。これは通産省として放置するわけにはいかないという問題だと思うんです。  ですから、ここはやめたと言うからいいんじゃないかということではなくて、国民に対して責任を負うという立場で、これだけ具体的に問題を指摘したわけですから、大臣としてはここは、単純なことですから、資料は回数も出てあるわけですから、単純な調査でできますので、ぜひこれは国会に対して責任を負うという立場で調査を約束していただきたいと思います。
  77. 熊谷弘

    国務大臣(熊谷弘君) 先ほど来繰り返して申し上げておりますように、いかなるものが広告費であるか、広告としての効果があるかどうかというのは客観的に画一的に決められにくいということがあるわけでございます。  私どもとしては、私どもの所掌する法に基づいて外形標準から判断をせざるを得ない、中身に立ち入ってどうこうということはまた別の法体系の問題であろう。政治資金規正法でありますとか税法といった問題もあろうかと思いますけれども、そういったところで議論をし、調べられるべき問題ではなかろうかと考えているところでございます。
  78. 高崎裕子

    高崎裕子君 内容に立ち入ってということですけれども、これは回数で調べればすぐ単純にわかることだ、そして電力料金にはね返っているという問題なわけで、これはほかのところでもちろん関連するところはやっていただきますけれども、通産省としてやっぱり責任を持ってやるということでなければならないと思うんですね。それでも大臣は調査されないわけですか。
  79. 熊谷弘

    国務大臣(熊谷弘君) 既に我々は事情を聴取いたしたところでございまして、その事情聴取の中身につきましては先ほど来エネルギー庁長官が説明したところでございまして、それにそごを来していることがあるかどうかということについては確認してみたいとは思いますけれども、私どもの承知しているのは先ほど来申し上げているとおりでございます。
  80. 高崎裕子

    高崎裕子君 それでは、新しい事実を摘示して確認してみたいということですので、ぜひお願いして報告をしていただきたいと思います。  法務大臣、このやりとりを聞いていただいたと思うんですが、先日十月十九日の衆議院の政治改革特別委員会で、我が党吉井議員の質問の自治大臣の答弁ですけれども、広告がないのに広告費が払われている、こういう実体を欠く場合については、これはもう広告費ではなくて寄附行為に当たる、政治資金規正法違反の問題だという答弁があったわけです。法務省としては、こういう自治省の一般的な法解釈を受けて具体的な個別のケースについて実質的に捜査をするという関係にあるかと思うんですけれども、私は今こういう実体がない場合という例を具体的なケースとして指摘もしたわけで、これを受けて厳重に、もちろんこれは時効にかかっておりませんので、十分関心を持って捜査をしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  81. 濱邦久

    政府委員(濱邦久君) お答えをいたします。  これは委員も御承知と思いますけれども、具体的事案におきまして、今御指摘の政治資金規正法をも含めまして犯罪が成立するかどうかということは、これは捜査当局が証拠に基づいて判断するわけでございますので、法務当局からお答えを申し上げることは差し控えたいと思うわけでございます。  ただ、一般論として申し上げますれば、捜査当局におきましては、刑事事件として取り上げるものがありますればそれは適正に対処するというふうに思っているわけでございます。
  82. 高崎裕子

    高崎裕子君 それでは次に、エネルギー庁長官にお尋ねいたしますが、今から約五年前、当時堤長官は公益事業部長でしたが、八九年一月号の「りぶる」で、「原子力はほんとうに安全でしょうか」というタイトルで草柳文恵さんのインタビューに答えて、五ページにわたって掲載されているわけですね、きれいなカラーで。覚えていらっしゃいますか。これは電事連が言う広告なんだと思うんですけれども、まさに広告に出ているということだと思うんですが、どうでしょうか。
  83. 堤富男

    政府委員(堤富男君) 私の方は、その雑誌社の方からの依頼がございまして、その依頼に基づいて自分の行政上の信念を申し上げたつもりでおります。
  84. 高崎裕子

    高崎裕子君 それでは、広告ではないというふうに理解していいわけですか。
  85. 堤富男

    政府委員(堤富男君) それ自身が広告主でござ います電事連の考えている広告に当たるかどうか、私が判断すべきことではないと思いますが、いずれにいたしましても最近の状況は、原子力についての理解を、いろんな機会に私としては努めていくのが自分の仕事であるというふうに思っている次第であります。
  86. 高崎裕子

    高崎裕子君 今の答弁は非常に重大だと思うんですよ。広告であるかどうかがはっきりしないのに宣伝をするために必要だということでしたけれども、これが広告だというふうになれば電力会社の広告を行うということで、公務員としての公正中立な業務から逸脱をしているということになるわけで、そこがわからない、しかしという言い方は大変問題だと思うんですけれども、いかがですか。
  87. 堤富男

    政府委員(堤富男君) 特定の商品を売るための広告であるという場合には、先生のおっしゃるようなことはあるかもしれません。しかし、私といたしましては、原子力一般につきましてそれが安全であるかどうか、そういうものが必要であるかどうかということは、いろんな場面におきまして、政府広報という場合にも私たちはそれに参加して自分たちの行政上の必要性を述べているわけでございます。
  88. 高崎裕子

    高崎裕子君 そうすると、電力会社とか企業の広告であるということがはっきりしているものに載るということはまずいということは、これは同じ立場ですね。
  89. 堤富男

    政府委員(堤富男君) その広告がどういう意味合いを持つものであるかということで、特定の人の売名ですとか特定の商品の販売につながるというものであれば慎むべきであると思っておりますが、原子力一般、エネルギーの重要性、省エネルギーの重要性あるいは電気を安全に使うためにはどうしたらいいかというような話で行政上の必要がある場合には、私は差し支えないものと考えております。
  90. 高崎裕子

    高崎裕子君 これは電力会社が広告費を払って、そして電事連を通してその企業の広告をするということで、そこで原子力の必要性を伝えるということは、まさにこの企業の宣伝をしているというふうになるのはもう広告の常識なわけですね。そこをあいまいにして載られるということは、やっぱりエネルギー庁長官の公務員という立場から私は非常に問題だと思います。  そういうルーズな姿勢が、八八年十一月二十九日の自由新報の第二部「特集 原子力エネルギー」の「確かな未来 支える原子力」という記事で、六ページ立てでカラーでこれは載っているんです。これはコピーなんですけれども、これも電事連の説明で記事体広告になると思うんですが、ここにも二、三面を使って「てい談生活・産業とエネルギー」というのが載って、自民党の商工部会長の与謝野さんと評論家の生内さん、そして当時のエネ庁長官鎌田さんと三人でやって、電力会社の広告にエネ庁長官が参加している。重ねてこういう問題が八八年度に起こっているということでは、公務員としての公正中立な立場を逸脱するものだというふうに私たちは考えますので、この点については厳重に調査をしていただきたいというふうに思います。
  91. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 答弁はいかがしますか。
  92. 高崎裕子

    高崎裕子君 長官。
  93. 堤富男

    政府委員(堤富男君) 私の方といたしましては、先生がお手元に既に実物をお持ちでございますし、それ以上の調査というのは必要ないものと考えております。
  94. 高崎裕子

    高崎裕子君 大臣、この点いかがですか。厳しく調査をしていただきたいと思います。
  95. 熊谷弘

    国務大臣(熊谷弘君) 今長官が答えたとおりでございまして、事実は恐らく委員がお持ちのとおりだろうと思うのでありますが、一般論として記事体広告の形態がこれはあり得るわけでありますし、そして通産省といたしましてはエネルギーの状況やエネルギー政策の方向についてあらゆる場を通じて正確に理解してもらうために所信を述べ、意見を述べ、また事態を説明させていただくと。もちろんそれに対して反論もありますでしょうし、御意見もあるでしょうが、それも我々広く耳を傾けると。こういうことで考えているところでありまして、何やら問題があるというふうには私どもは理解をしていないところであります。
  96. 高崎裕子

    高崎裕子君 時間がありませんのでこれ以上は差し控えますが、これは公正中立てある公務員の立場から逸脱しているという点では重大な問題であるということを指摘して、引き続きこの点については調査も要求しておきたいと思いますが、次の問題に移ります。  バブルが崩壊して膨大な不良債権を抱えた金融機関のあり方が今社会的問題になっているわけですが、私の地元の北海道拓殖銀行、拓銀も三千六百億円の不良債権を抱えている。カブトデコムの一千億円、エスコリースの五、六百億円を入れると五千億円という膨大な金額で、含み益が二千五百億円という点では大変な問題だと。この拓銀とカブトの抗争の中で、押しつけ商法などで倒産して犠牲になったカブトの下請、巧工務店の平田会長から私直接お話を伺ってまいりました。拓銀の驚くべき乱脈融資の実態が浮かび上がったわけです。  まず、株の問題ですが、カブトが店頭公開する、巧などの下請業者に仕事をしたいなら株を買えと、株を買わせたと。一年後に第三者割り当て増資をするときはさすがに資金繰りがつかずに断ったんですね。ところが、これまでは何度頼んでも融資を拒絶した拓銀が今度は手のひらを返して、融資をするからとにかく株を買ってくれと逆に懇請をする。それでも断ると、拓銀の海道常務が乗り出して、何をごねているんだねということで結局八万株、利子を含めて満額十四億一千万円です。これを拓銀から満額融資を受けて買ったと。この巧を含めて第三者割り当ての合計五百億円を超える融資、無審査、無担保、無保証、そして国債でも九割、店頭株だと五割か六割しか限度額としては貸さないのに、これはもう各銀行の基準で常識なわけですけれども、利子を含めて満額融資をしている。大変異常な事態であると。会員権の問題についても同じで、やっぱり会員権を買わなきゃ融資をしないということで無担保、無審査、無保証で満額融資をすると。  株も会員権もこういうずさんな融資をしたわけですけれども、なぜこんなことが行われたのかというと、拓銀の大口融資限度額、カブトは九百億円なんですけれども、それを超えていると。さらに直接融資をすれば、これを超えて大臣の承認が必要だということで、こういう巧などの会社をダミーのように使って迂回融資をしたという、これは明らかにそういう事案だという問題なんです。  そればかりではなく、拓銀はカブトの第三者増資のときに値上がりを知って、自分の子会社に株を直前に買わせて、そしてまた系列会社が資金をつくるために、これは拓銀の資金回収のための子会社なんですけれども、そこに資金をつくるために株を売らせて、そして増資後どっと上がって十二億円もうかるという、これは銀行業界の自主ルールで禁止された取引だということで、こういうさまざまな満額融資、迂回融資、それから自主ルール違反の取引ということについては厳重に調査をしていただきたいと思います。  建設大臣にあわせて聞きますが、これで倒産した巧の関係で下請業者が十七社、四億四千万円の未払い賃があると。これはこういうものを買わなきゃ工事がやれないということでやったわけです。で、乱脈融資の犠牲になったということで工事も受けられない、連鎖倒産の可能性があるということで大変困っている。救済が社会的に必要だという事案で、ぜひ鹿島などの元請に対して適正な措置をとるよう指導していただきたいと思いますので、簡潔にそれぞれお答え願いたいと思います。
  97. 寺村信行

    政府委員(寺村信行君) 北海道拓殖銀行の取引にかかわる問題でございます。個別金融機関の問題でございますので具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと存じますが、一般的にバブル期におきまして銀行が安易に業容の拡大や収益第一主義に走り過ぎたのではないかという批判に ついては、当局としても謙虚に受けとめるべきものと考えているところでございまして、一昨年夏以降、大蔵省は金融機関に対しまして内部管理体制の総点検や公共性、社会性の確保を強く要請してきたところでございます。
  98. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 今委員御指摘の件につきましては、先月の中ごろでございますけれども、私どもの担当課に被害を受けた企業から電話による御相談がございました。  私どもでは、建設業法上の制度について御説明をするとともに、事実関係をきちっと把握することが大変大事でございますので資料の送付方を要請したところでございますけれども、現段階におきましては十分資料が送付されていないということもございます。事実関係を担当においてつかんでいないわけでございます。  私どもといたしましては、今後関係者の要請に基づきまして、事実関係とかあるいはいろいろ関係者の御主張を十分確認をいたしました上で、必要があれば建設業法上の趣旨に基づいて適切な対応をしてまいりたい、こういうように考えているところでございます。
  99. 高崎裕子

    高崎裕子君 終わります。
  100. 島袋宗康

    島袋宗康君 まず、外務省にお尋ねしたいと思います。  アメリカ空軍の第三五三特殊作戦航空群、この航空群の嘉手納基地への常駐配備、県道一〇四号線を通行どめにして実弾砲撃演習が激化しておること、さらに在沖米軍基地の機能強化と軍事演習の激化は、冷戦終結後の国際情勢に逆行しているのではないかというふうなこと。また、外務省は第三五三航空群の移駐時において一時移駐か常駐配備かの連絡を米軍から受けていたかどうか、その辺についてお尋ねしておきたいと思います。
  101. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) 確かに、今お話がありましたように、冷戦は終了しておるわけでございますけれども、国際社会、これはなお不安定要因というものを内包しておるというのが現状であろうと思います。こうした中におきまして、引き続き我が国の安全を確保していく、このためには日米安全保障体制に基づくところの米軍の抑止力、これは今なお必要であろうというふうに思っております。  御指摘の米軍の機能ですとかあるいは演習につきましては、米軍の運用にかかわる問題でございまして、我が方としてその全容を承知する立場にはございませんので、強化云々ということについてのお答えをすることはできないと思いますけれども、しかし在沖縄米軍の兵力というのは東アジア戦略イニシアチブ、これに基づきまして一九九〇年から一九九二年まで約三千五百人が削減されております。また、九三年から九五年の間には七百人が削減される予定であるということで、全体としてはやっぱりポスト冷戦という中にあって削減される方向にあろうと思っております。  子細につきましてちょっと局長の方から申し上げさせていただきます。
  102. 佐藤行雄

    政府委員佐藤行雄君) 先ほどの御質問ありました第三五三特殊作戦航空群の問題についてお答えいたします。  先生御記憶のとおり、もともとこれはフィリピンにおりましたのがピナツボ火山の噴火で沖縄に移ってきたわけでありますが、当初はこの名前も特殊作戦航空団と言っておりまして、九二年一月の段階では次の移駐先が決まるまで暫定的に沖縄にいるということが発表されておりました。その後、向こう側の検討の結果として、一つはこの中のヘリコプター部隊が第三国に移転いたしまして、航空団も一つ下がった航空群というふうに名称が変わっておりましたけれども、先般これを沖縄に常駐化するということがアメリカ側から発表になったということでございます。  それを我々聞いていたかと言われれば、我々、この手の問題についてはいつも事前に連絡がございますので承知しておりました。
  103. 島袋宗康

    島袋宗康君 先ほど外務大臣は米軍基地の沖縄からの削減を進めているというふうなお話でありましたけれども、実際問題としては沖縄の米軍基地は非常に強化されて、先ほども申し上げましたような新たな軍隊も配備しているというふうな状況でありますから、決しておっしゃっているような削減どころではなくして、むしろ演習は激化してきたというふうなことについては、これは沖縄県民共通の認識でございますので、その辺の認識というものは、現地の我々の考え方が外務省に全く伝わっていないんじゃないかと思うくらい今の御答弁は非常に不満であります。  これは私が不満というだけの問題じゃなくして、逆行しているんじゃないかというふうなことさえ今申し上げておるわけですから、逆行した立場からすれば縮小どころじゃなくて、むしろ配備あるいは強化されているというふうなことの認識の方が県民の側からすれば強いわけでありますので、再度の御答弁をお願いしたいと思います。
  104. 佐藤行雄

    政府委員佐藤行雄君) 先ほど大臣の方からお答えいたしましたのは、まさに傾向の流れを言われたわけであります。  沖縄の現地における、大変な数の基地が沖縄に集中していること、そして県民の方々がいろいろな演習の問題も含めて大変心配をされ、不満も持っておられるということについては我々もよく承知しておりますし、大臣もまさにその点は御承知のとおりでありまして、大臣の方からも我々には、沖縄の基地の問題について一歩でも進めるように、そして県民の方々の安心感を高めるようにという御指示をいただいているところであります。  例えば最近の例で言いますと、先ほど委員御指摘の一〇四号線越えの演習でございますけれども、我々からもアメリカ側に県民の気持ちも伝え、もちろん現地でも知事もされておりますし、皆さん方いろいろなことを伝えられて、その結果として御承知のとおり小学校に近い方の三つの砲座を使うことをやめたわけでございますが、こういうアメリカ側が演習そのものをやめる、それは県民の方々がそういうお気持ちを持っておられることは我々も承知しておりますけれども、軍の機能として演習をやめるというわけにはいかない。そこで我々としては公共の安全といかに両立させるか、さらには県民の方の不安を少しでも減らすかということで努力をしてきたわけであります。さらにまた今後とも努力をしていこうと思っております。
  105. 島袋宗康

    島袋宗康君 時間の都合でこれ以上申し上げませんが、次に沖縄開発庁長官にお尋ねいたします。  沖縄地域振興における基地の整理縮小について上原長官は、三省庁連絡会議の設置に尽力されておりますことは大変ありがたいと思っております。従来の自民党政権にはない積極的な姿勢を示しておられます。  そこで、その三省庁連絡会議等の性格について、そしてこれはどういう方向で具体的に構想なさっているか、その辺についてお尋ねしておきたいと思います。
  106. 上原康助

    国務大臣(上原康助君) 今も島袋委員から沖縄の基地の現状認識について御指摘があり、また外務大臣並びに北米局長の方からそれぞれ御答弁があったわけですが、私が閣内にあっても一番苦労、腐心している点はこの点でございまして、御指摘の問題提起をよく認識して私としてもできるだけの努力をいたしたい、こう考えております。  そこで、いうところの三者協の件ですが、これは外務大臣、防衛庁長官に一月くらいたってから、せめて日米間で合意をした基地の整理縮小、返還について、もう少し県民の期待に沿うような方向で促進方ができないものかということを御協力をお願いして、それぞれの大臣から御理解をいただいて目下検討を進めているところであります。  この性格なり位置づけは目下事務レベルでいろいろ御相談をしておりますので、個別、特定の問題を取り上げてどうするということまでは、沖縄開発庁は御承知のような立場ですからなかなか難しい面もありますが、少なくとも先ほど来御指摘のあるような諸懸案事項について、従来よりは少 しでも県民の御期待に沿うような方向で現実的対応を含めて解決することができないものか、善処策ができないものか、こういう立場で努力をしておりますので、もう少し時間をかしていただきたいと思います。
  107. 島袋宗康

    島袋宗康君 三者協議会、連絡協議会というものがまだ発足を見ませんので、今、上原長官がおっしゃっているような御答弁しかできないだろうというふうなことは予測できますけれども、いずれにいたしましても、先ほど長官御指摘のあった、少なくとも沖縄県におけるところの返還合意された基地については、これは県民の側からすると、何年も前からうそをつかれている、政府とアメリカに対して、そういうふうなことさえ出ているわけですから、やっぱりその辺は誠意を持って、返還合意された分については外務省あるいは防衛庁が努力するというふうなことにしてもらわぬと県民は全く納得のいく話ではないわけです。  そういった意味では、上原長官のおっしゃる、開発庁と外務省と防衛庁が一緒になってこの沖縄の基地問題を、合意形成された分については早目に返還してもらうというふうなことを県民は非常に期待しておりますので、そういった方向でひとつ努力していただきたいというふうに要望しておきたいと思います。  それから、防衛施設庁なんですけれども、在日米軍の駐留経費を日本が分担しているいわゆる思いやり予算、これが非常に飛躍的に膨らんできている。その実態、とりわけ地位協定の解釈の拡大による予算規模の拡大の実態、これを承っておきたいというふうに思います。  報道等によりますと、大蔵省では今後基地周辺対策費を大幅に圧縮する方針と言われておりますが、特に沖縄の米軍基地に関して、基地周辺整備資金などと直接米軍にかかる思いやり予算などの額と比率はどうなっているのか、それをまずお伺いしておきたいと思います。  また、現地米軍関係者からは、県民の反対要求が強い先ほど申し上げました実弾砲撃演習、この場所をどうしても移してほしいというふうなことを要請する中で、問題はその移動費だというふうなことを米側は言っております。その思いやり予算の中から沖縄県外の海兵隊の演習のための移動費、そういったものを出せるような方法はないかどうか、その辺についてお伺いしておきたいと思います。
  108. 中西啓介

    国務大臣(中西啓介君) 先ほどの沖縄の米軍基地の問題でございますが、上原長官からも大変切々と御意見を承っておりまして、とにかくできるだけの努力はしましょうということで、先ほどの北米局長のお話にもありましたように、我が方としても施設庁長官にその会議に出てもらってまず第一回のスタートを切ってほしい、こういうことで再三長官にもお願いをしておりましたところ、多分月内にも発足をしてくれるんではないか、そんなふうに承っているところでございます。  この駐留軍経費の問題でございますけれども、申し上げるまでもありませんけれども、在日米軍駐留経費負担が、日本の安全にとって日米安保体制というものを効果的に運用していくということが極めて重要なことだろうと思われます。そういう観点から我が国としては自主的に可能な限り協力をしていこうということで努力をしてきた経緯がございます。  詳細につきましては施設庁長官からお答えをさせたいと思います。
  109. 米山市郎

    政府委員(米山市郎君) ただいま御質問の在日米軍駐留経費負担の推移についてでございますが、一番最初にこの駐留経費負担が始まったのが昭和五十三年度でございます。このときに福利費等をまず負担いたしました。翌年の昭和五十四年度からは提供施設の整備も手がけまして、施設、区域内におきますところの隊舎、家族住宅、あるいは環境関連施設等をこれまでも整備をしてまいっているわけでございます。また同年度から、あわせまして国家公務員の給与条件を超える給与につきましても給与費の一部負担という形で負担をしてまいっております。  その後、日米両国を取り巻く経済情勢の変化によりまして在日米軍駐留経費が急激に圧迫をされているというような実態にかんがみまして、昭和六十二年度から地位協定の特例措置を講ずるため特別協定を締結いたしまして、退職手当等八手当、また平成年度からは、さらに新たな特別協定を締結いたしまして基本給等を負担することにいたしました。さらに平成年度からは、光熱水料につきましても新たな特別協定によりまして、在日米軍が公用のため調達する電気、ガス、上下水道及び暖房用燃料の料金などを負担してきているわけでございます。これらはいずれも、地位協定の拡大解釈というお話がございましたが、拡大解釈ということではなしに、新たな特別協定を結ぶという形で処理、対処をしてまいっているわけでございます。  具体的な予算の推移でございますが、昭和五十三年度が六十二億円、五十四年度が二百八十億円、そして最初の特別協定を結びました昭和六十二年度が一千九十六億円、それから平成年度は一千七百七十六億円、平成年度、今年度は二千二百八十六億円ということで、給与費まで特別協定によりまして負担をするということでかなり金額的には上がってきている実情がございます。  沖縄におきます在日米軍駐留経費の日本側負担分と米軍基地周辺対策経費の額と比率につきましては、沖縄県関係の駐留経費負担が六百三十二億円でございます。住宅防音等の基地周辺対策費が百七十四億円ということになっておりますから、比率ということを申し上げますれば大体十対三ということになろうかと思います。  先ほども御説明申し上げましたように、この在日米軍駐留経費負担の中には日本人従業員の雇用の安定にもつながる労務費の負担がございます。それがかなり伸びてきておりまして約六割を占めている、そういう実情でございまして、その関係から在日米軍駐留経費負担の比率が高くなっているという結果になっていようかと思います。
  110. 佐藤行雄

    政府委員佐藤行雄君) 先ほどの最後の御質問でありましたアメリカ側の演習、一〇四号線の県道越えの演習のことを念頭に置いての御質問だと思いますが、それの経費を払えば移転できるんじゃないかということでございます。  この点についてお答えをいたしたいと思いますが、アメリカのスタックポール太平洋地区海兵隊司令官が沖縄で何回かごの問題について発言をされておりまして、そのことから、日本側が経費さえ持てばこの演習を東富士なりに移せるんじゃないか、こうお考えかと思います。この点は沖縄の方がそういう御印象を持っておられることは私も承知しております。  この問題につきましては、我々実は今、沖縄の問題、少しでも基地問題を前進させようという見地から、一〇四号線の問題と那覇の港湾施設の移転の問題とか読谷の落下傘訓練の問題とかということを累次アメリカ側と話し合ってきているわけであります。一〇四号線の問題についてアメリカ側もいろいろどうしたらよいかということを今検討しているようであります。その途中の過程で、先ほど申し上げましたように、小学校寄りにありました三つの砲座を使うのをやめたというのは途中で出てきた話でございますが、そこから先どうなるかはまだ向こう側が検討中でございますので、我々としてもそれを見て対応したいと思っております。  ただ、中間的に聞いておりますところでは、単純に経費だけの問題ではなくて、やはり訓練のスケジュールとかいろんな問題があるようでございますが、いずれにせよ、アメリカ側の検討結果を待った上で、我々としてどのような対応ができるか、また関係省庁とも御相談をして対応したいと思っております。
  111. 島袋宗康

    島袋宗康君 時間がありませんので、あとの質問はしませんけれども、今ちょっと北米局長がおっしゃった問題については、小さい沖縄であんなに実弾が山に撃ち込まれるということは、これはもう大変なあってはならないこと、しかも自然 破壊につながっておりますので、どうしてもこれだけは何とかどこかで、どこというわけにはまいらないと思いますけれども、沖縄の狭い地域ではやってほしくないというのが県民の願いでありますから、私は具体的にまた後ほど質問しますけれども、ぜひその辺はよろしく。  この辺で時間がありませんから、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  112. 泉信也

    ○泉信也君 平成年度決算報告につきまして、会計検査院に概括的にお尋ねをいたしたいと思います。  平成年度決算の問題につきましては、書面検査に加えまして実地検査等大変な御尽力をいただいておりますことに、その努力に敬意を表するものでございます。そうした御努力の積み重ねの結果、昨年度に比較しまして平成年度は、金額の上では不当事項に絞って考えてみましても約半分になっておるということでございます。  しかしながら、過去五年間の推移を見ますと、必ずしも件数あるいは金額のいずれの分野におきましても漸減をしておるという状態ではないようでございます。これは予算執行等が新しい分野に入っていくとか、あるいは世の中が複雑になっておる、こうした事柄の反映ではないかと思うわけでありますが、平成年度の会計検査を実施されるに当たりましての検査方針、あるいは検査結果から判断される平成年度報告の特徴と言われるものにつきまして御説明をいただきたいと思います。
  113. 中島隆

    会計検査院長中島隆君) 平成年度決算検査に当たりまして、当初どのような検査をいたすか計画を立てまして、社会経済情勢の変化あるいは予算額の推移などを勘案いたしまして、社会保障、公共事業、経済協力など国民の高い関心を示される分野につきまして、重点的に検査をするというふうに方針を決めてこの検査に取り組んできたわけでございます。  検査の実施に当たりましては、例年どおり、正確性、合規性の観点にとどまらず、費用対効果の観点からしましても経済性、効率性の検査の徹底を図ってまいりました。またさらに、事業の全体をとらえまして、所期の目的を達成しているかどうかという点からも検査を進めてまいったものでございます。  その結果といたしまして、不当事項が二百二十四件、この指摘金額は四十三億三百二十六万円。意見表示または処置を要求した事項は八件、この指摘金額は七十七億二千八百六十万円。本院の指摘に基づいて当局において改善の処置を講じた事項が十八件、この指摘金額十二億九千七百十五万円を記載しております。  前年度に比べますと処置要求事項が大変ふえているのでありまして、これらを分野別に御説明申し上げますと、社会保障関係の問題といたしましては、国民年金の未納保険料が非常に多額に上っている問題であるとか、あるいは農林水産関係では、特に収益型施設の運営を休止しておりまして補助の効果が十分に発現していない問題であるとか、あるいは住宅関係では、住宅金融公庫と住宅・都市整備公団にまたがる重複契約がされて第三者に賃貸されている問題とか、あるいは文教関係につきましては、近年、児童や生徒の数が減少傾向にあるにもかかわらず、補助事業の認定に当たりましてこれらを考慮に入れなかったために小中学校の校舎の補助対象面積が過大に算定されていた問題など、特に取り上げまして是正改善の処置を要求しているというようなところが特徴として挙げられることであろうかと存じます。  以上でございます。
  114. 泉信也

    ○泉信也君 今お答えをいただきましたように、子供の数あるいは高齢者の増加、こうした事柄が御指摘の社会保障の問題あるいは文教費、あるいは農林水産にかかわりますようなこうした分野に幾つかの課題を内包しておると、こうした特徴を御説明いただいたものと思うわけであります。  しかし、こうした傾向はこれからますます私どもが関心を持っていかなければならない点ではないかと思うわけでありますが、従来型のどちらかといいますとハードの検査の部分に比べまして、これからはソフトの部分がふえてくるということが予想されます。  ところで、このようないわゆるソフトと思われますような部門の検査の取り組み方、あり方、この点について検査院はどのようなお考えでございましょうか。
  115. 中島隆

    会計検査院長中島隆君) ただいま御指摘ございましたように、社会保障関係の経費は近年の高齢化の進展、年金制度の成熟化などによりまして大幅に増加しているところでございます。これにかんがみまして、私どももこの面の検査を近年積極的に実施しているところでございます。  昭和六十二年に本院でも組織がえを行いまして、厚生省担当の検査課を二課体制とし、社会保険、医療費の検査を充実いたしました。それから平成二年につきましては、年金関係の専門の課を新設いたしまして検査体制の整備充実を図ってきておるところでございます。このようなことをいたしまして、検査従事の職員といたしましてはこの五年間に約二倍にふえているところでございます。このような結果、毎年不当事項や処置要求事項検査報告に掲記しているところでございます。  近年、これら社会保障関係の経費につきましての指摘は、件数、金額ともほかの関係の経費に比べまして、このような不当として指摘する件数が非常に多額に、多数に上っているということは御指摘のとおりでございます。
  116. 泉信也

    ○泉信也君 陣容を強化され、そしてこうした対策を練っておられることは大変大切なことだと思いますし、なお現場でも大変な御苦労をしておられることだと思っております。しかし、何しろ大変大きな金額になるわけでございますので、なお一層の努力をお願いする次第でございます。  次に、検査報告の中で特定検査対象に関する御報告をいただいております。平成年度から掲記されるようになったわけでございますが、この特定検査の趣旨及び昨年度から本検査報告されましたことに対します評価あるいは社会的な反応、こうした事柄についてのお尋ねをいたしたいと思います。
  117. 中島隆

    会計検査院長中島隆君) 「特定検査対象に関する検査状況」という項を設けまして、平成年度から検査報告で述べているわけでございますが、これは本院の検査業務の中でも国民の関心が極めて高い問題につきまして、その検査の状況を報告する必要があると特に認めた問題につきまして記述しているところでございます。  これは、会計検査に対する国民の一層の理解と関心を高めていただくという目的もございまして、不当事項として指摘するまでもない、あるいはこの問題を特に従前の検査報告の対応といたしましては掲記するには至らないようなものにつきましても、近年の社会的な関心を勘案いたしましてこの検査状況を記述することといたしたものでございます。  平成年度検査報告では、政府開発援助と御徒町のトンネル工事にかかわる薬液注入工の問題、平成年度検査報告におきましては政府開発援助の問題、それから湾岸平和基金に対する拠出金について、非常に多額に上っておりますような関係で、これを特に「特定検査対象に関する検査状況」として記述しているところでございます。
  118. 泉信也

    ○泉信也君 御説明のように、昨年度の二項目、そして今年度の二項目を拝見いたしますと、政府開発援助につきましては二年連続してお取り上げをいただいておるところでございます。ことしの湾岸問題につきましては、先ほど守住先生からのお尋ねにもございましたので避けさせていただきますが、政府開発援助につきましては連続して取り上げたということからも大変重要視されておるものと思うわけであります。  政府開発援助につきましては、十年前に比べますと約三・五倍にも伸びておりますし、金額も一兆円を超えるという大変大きなお金になっておるわけでございます。それだけに、当然のことなが ら私どもを初め国民の関心も高いわけでありまして、この中でもその約八割が二国間にまたがる援助になっておるということは、また事柄の重要性がもう一つあると私は思っております。  ODAの問題につきましては、検査院の方で海外にまで調査の手を伸ばしておられるわけでありますが、主権のらち外にあるとかあるいは今日までが要請主義であった、これは今外務省の方ではそういう表現はとっておられないようでありますが、そうした事柄もありまして、検査をするに当たりましても大変難しい問題点が内在しておるというふうに考えております。  そこで、今日の取り組み方あるいは課題についてはどんな問題があるとお考えでしょうか。
  119. 中島隆

    会計検査院長中島隆君) ODAの検査につきましては、従前から私ども最も力を入れて検査をしている分野の一つでございます。  ODAにつきましては、国民の関心も非常に高い、それから援助額も年々増大し、金額も多額に上っているという現状でございます。私ども、この検査のための検査体制の整備に努めてきたところでございます。昭和六十二年に政府開発援助のための検査を一元的に検査する課を設置いたしまして、政府開発援助の実施機関でありますところの外務省、国際協力事業団及び海外経済協力基金の三機関を一括いたしまして検査をいたしているところでございます。  これら国内の検査に加えまして、この検査の一環といたしまして、海外に赴いて毎年五カ国程度につきまして現地の調査をいたしておるところでございます。私どもが検査を行う対象はあくまで外務省とか国際協力事業団あるいは海外経済協力基金でございまして、先ほどお話ございましたように相手国の政府または機関を直接検査する権限は持っておらないのでございます。毎年相手国の協力を得まして現地調査を実施しているところでございます。  確かに、現地調査と申しましても何分現場が外国でありまして、現地調査を行うためには時間と経費が非常にかかることはもちろんでございます。言語の問題とか、あるいはまた援助事業が行われている地方というのは必ずしも治安がいいというわけではございません。それから交通も非常に不便なところが多いわけでありますし、また宿泊の設備等も十分にあるとは申せないようなところで、検査につきましては国内の検査に比べまして数段の困難を伴うことが多いのが実情でございます。  本院といたしましては、毎年このような困難を克服しまして検査をしているところでございますが、なお、これらにつきましては創意工夫を凝らしまして、検査の方法を何か新しい方法を開発するなどして、これら海外調査の充実を図ってまいりたいと思っているところでございます。特に、現地調査をいたす前に事前調査とか書面調査をより充実し、あるいはまたこれら検査に従事する者の研修、特に語学の教育研修等を充実するなどいたしまして、海外調査の充実を期してまいりたいと存じているところでございます。
  120. 泉信也

    ○泉信也君 御説明のように大変難しい問題点を包含いたしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたようにまだまだODAの予算をふやしていかなければならない、こうした立場にある我が国であります。また一方では、そうした援助を受けるいわゆる途上国は、政治経済の不安定でありますとか、あるいは今のお話のように治安、交通事情が悪い、こうした問題もございますし、また事業の実施の途中で内貨ポーションが持てないといったような突発的な事柄も起きてこようかと思っております。  しかし、大変重要なことでありますし、また今議論がなされておりますような国際開発協力基本法といった法律の具体化がもし進むといたしますならば、検査院のこれまでの成果がこうした中にも反映されますように希望を述べさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  121. 長谷川清

    長谷川清君 私は十二分でございますから、大蔵大臣、十二分間ひとつおつき合いいただきたいと思います。    〔委員長退席、理事西野康雄君着席〕  国民の負担率、これは平成三年から四年、五年と少しずつ右肩上がりになってきておりますが、現在の状況でいきますと、他の国々から見まするとアメリカに次いで優等生の状況で推移しておりますけれども、これは現状の見方の問題と、これから先に対しましてかなり高齢化の問題もございますし、健保の問題、年金の問題、それから人口爆発と言われる人口問題、国際貢献、いろいろと急速に負担が高まると見ておるのでございますが、その辺のところについての現状と見通し、これをひとつお答えいただきたいと思います。
  122. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 国民負担率は大変大事な問題だと思います。数年前には三九・五までいったんですが、平成年度の見通しは三七・五まで落ちると思います。でも、おっしゃるようにアメリカより上ということでございまして、過般、数年前でございますが行革審が出したあの基準というのは、この間細川総理も答弁したようにこれは守るべき基準だというふうに考えております。私もそのように考えております。  それはどういうことかと言うと、二十一世紀初頭には四〇%半ば程度にとどめよう、それから最も高齢化が進むであろう二〇二〇年ころには五〇%にならないようにしよう、つまりヨーロッパの中核である今のイギリス、ドイツ並みにはならないようにしよう、こういう物の考え方を行革審が出しておりますが、それは守りたいと思います。  しかし、非常に難しいのも今御指摘のように事実でありまして、特に社会保障問題が非常に大きな面を持っていると思います。申しましたように、二十二-四年生まれの方というのは年二百八十万人生まれておられて、今百二十二、三万人生まれておられるわけですから、そういう中での社会保障のあり方というものを考えますと、今御指摘のように難しいとは思いますが、これはやっていかなければならない。  それから、さっきも議論が出たように、余り赤字国債体質になることは将来の国債費増大をもたらすもので、これも頑張って下げていかなければならない、こんな気持ちでおります。
  123. 長谷川清

    長谷川清君 今おっしゃっていただいたように、公債依存度の視点から見ましても、現在大体一一・二ぐらいでしょうか、これの方もできるだけ下げていかなければなりませんが、これはひとつ具体的にめどを、いつごろまでにどのぐらいという点をひとつお考えがあれば聞いておきたい。
  124. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 数年前には五%目標というのをやったんですが、私は余り夢のようなことは言いたくありません。  今回の景気対策によって急速に上がって、今長谷川委員御指摘のようなことになったと思っております。したがって、五%に必ず持っていくということを今ここで申し上げることはできませんけれども、やはりどんどん逐次下げていく努力をしなければならないと思います。  その意味からも赤字国債はだめだということを申したいと思いますが、昭和五十年の補正で赤字国債を始めたわけですが、昭和五十四年度経済というのは物すごくよかったんです。ところが国債依存度が四〇%になっているんです。ということは、一つのけじめを破るとどんどんいってしまうということがありますから、その第一の目標としてどうしても赤字国債は出したくない、そして着実に下げていきたい、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
  125. 長谷川清

    長谷川清君 ありがとうございます。  大体安心していられそうだ、そういう状況だと思いますが、この二つのことについてはやはりきちっとした視点でずっと中長期に見ていく必要があると私は思います。  同時に、次世代のことを考えますと、先ほどからも公共投資の問題が出ております。この公共投資、特に当面の景気という問題がございまして、この約一年の間にも三十兆程度のものがどかんと おりておりますが、国会で施策を決めた段階からほぼ六カ月ぐらいかかって仕事が動くというこのシステムはどうお考えでしょうか。どこをどうしていけばもっと即効的にこれが行われるのか、ちょっとその辺の点についてお考えをひとつ。
  126. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) さっき申したんですが、平成年度予算の公共投資は現在八月末で六九%までいったわけです。そして、上期七五まで何とか持っていきたいと思っております。補正分について特にとっておりませんが、今ゼネコン問題等ありまして、いろいろちゅうちょされている面もありますが、全体の数字としては着実に進んでいるように思います。  今のようなことに直接お答えすることになるかどうかわかりませんが、補正の予算をやったのが大体九月補正と言われているんでございます。こういうことは大体あらかじめわかるわけですから、国としてももちろん、受け皿になる地方団体もなるたけ早目に受け皿の準備をするということではないかと思っております。
  127. 長谷川清

    長谷川清君 私は、先ほどの国民の負担という問題、このことは現ナマでいくわけですけれども、将来にわたって同時に社会資本を次世代にいいものを残していく。これは一朝一夕にできないんですから、年々歳々の積み重ねでできていくと思うんです。  例えば、今電柱を地中化するというところはやっております。下水道をするということはやっております。これが本当の社会資本だろうか。もう少しく中長期に見ていく場合に、地下共同溝を設置するというなら私は次の世代にああいいものを残してくれた、こうなると思うんです。一たんそうやって埋設して、ばらばらにそれぞれが地下には埋設されておりますから、その都度道路はほじくり返される、これは果たして真の社会資本になり得るか。今入れますと、これまた二度手間になるわけでございますから、もう一回次の世代で大きな資金をそこに投入せざるを得ない。  そういうことについて、当面の問題と中長期の問題、そこにはいつもお金がかかっております。共同溝を設置しようとなると今の何十倍の金がまたかかります。今その金はありません。だからとりあえずできるところからこれをするという、私はこのことが果たしてどうなんだろう。今できるものから、十年かかるかもしれないけれども何とか努力によってそれを五、六年で、こういう中長期視点に立った投資というものが必要になるんじゃないかと思うんですが、その点についてはどうでしょう。
  128. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 今の当面の景気対策という中で社会資本の整備をやっておりますが、当然今の御指摘のようにただ金を出せばいいということじゃない。将来を見据えてやらなければならない。細川総理は質実国家ということを言っておられますが、質の高い環境をつくり、生活実感の伴った公共投資をやろう、こういう趣旨でございます。  そういう方向でやらしていただくわけでありますが、今の委員の御指摘の共同溝、通信なども入れた共同溝というのは大変大事な御指摘だと思いますので、承らせていただきたいと思います。
  129. 長谷川清

    長谷川清君 もう最後になりますが、減税の問題について。  所得税減税、先ほども議論が出ておりました。これも先ほど申し上げた公債依存度とかかわってまいりますから、やりゃいいというものじゃございませんが、同じ額の所得税減税をやるにいたしましても、時期は相当考えなきゃいかぬと思うんです。冷え切っているときはやっても余り効果がない。経済に明かりが見え始めたその段階でやりますと倍、三倍の効果が出ると思われますが、その点についてのみひとつ。
  130. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 私は、減税を今やったから直ちに消費がどんどんふえるとは思っておりません。同じでございます、御意見と。  ただ、やはり減税をやるということは、さっき申し上げた底固めをする一つの効果になるし、将来に対する明るい見通しが出るという、一つのアナウンスメント効果と言っていいのかもしれませんが、その効果があると思いますので、私はやらないよりやった方がいいと思っております。しかし、赤字財政の中ではやれないということも申し上げたわけであります。  今の御指摘はよくわかるのでありますが、将来に対して一つの確信が持てるような意味の減税効果というのはやはり無視できないように思っております。
  131. 長谷川清

    長谷川清君 時間ですから終わります。
  132. 小林正

    小林正君 この十月二十六日、明日ですけれども、原子力の日ということになっているようであります。昭和三十一年のこの日が日本がIAEAの憲章に調印した日、そのほかにもあるようですが、それを祝ってこの日を原子力の日というので国民に対するPRということを深めていこう、こういう日になっていて、「時の動き」という政府の広報誌の十月十五日号が「原子力開発利用の現状と展望」という特集を組んでおりまして、その中で江田科学技術庁長官が巻頭言で原子力問題について述べておられるわけです。  時あたかも日ロ会談が行われた直後に、ロシアが日本海に九百トンに及ぶ低レベルの核廃棄物の投棄を行うという事態が起こってまいりました。日本海そしてオホーツク海、北太平洋、バレンツ海等に旧ソ連時代から高レベルの放射性廃棄物並びに低レベルのものが海洋投棄されてきたということも今までに既に明らかになっております。日本にとって北西太平洋漁場というのは大変な漁獲資源の豊富な地域でありますし、同時にまた日本の漁業にとっては、この問題が汚染という事態になれば死活的な問題になるということは明白な事実だろうというふうに思います。    〔理事西野康雄君退席、委員長着席〕  そういう意味で、今回こうした事態が起こったわけでありますけれども、まず国民が一番びっくりしたのは、グリーンピースという民間の団体の監視体制の中でこれがキャッチをされて我々が知ることができたという問題が一つあります。それから、日ロ会談の中でロシア側から日本も過去にそうしたことをやってきているではないかという指摘もされたということ。今日もなお原子力発電所等から低レベルのものが海洋にパイプで流されているという問題等もあるわけですけれども、ロシアが指摘しているその問題と今回のロシアが投棄したその問題との比較考量は必ずしも十分にはできないと思いますけれども、こうした問題意識の中で科学技術庁として今回の事態をどういうふうに把握をされ、そしてどんな問題意識を持たれたか、そして今後この問題にどう対処されようとしているか、そうした問題について長官の御見解を承りたいと思います。
  133. 江田五月

    国務大臣(江田五月君) エリツィン大統領と細川総理との間で首脳会談、そして一連の会談が行われまして日ロ間の関係がこれから新しくスタートをしたそのやさきのことでございまして、先般といいますのはことしの初めですが、明らかになった長年にわたる旧ソ連、ロシアの放射性廃棄物の海洋投棄に引き続きさらにこういうことになっているということは、これは近隣諸国に対する配慮に大変欠けるものであり、大変遺憾だと思っております。  グリーンピースの活動によって明らかにされた、政府は知らなかったのか、こう言われるわけですが、私ども本当に知らなかったということでございます。早速、放射能対策本部、これを機動的に動かしまして先般の長年にわたるもの、これに対する調査をいたしましたが、同時に第二回目ということで先日、二十日に幹事会を開き、同日すぐに調査の船を出すということで今調査を行っているところでございます。  さらに、ロシア側には外交ルートを通じ二度とそうしたことのないように、今回のものは二回に分けて行うという計画でありましたが、一回目は行われたわけですが、二度目についてはこれを中止をしてくれるようにということを申しましてそういう決定を得た。さらに、今ミハイロフ原子力大臣が日本に来ておられますので、私も既にこれ で三回お会いをいたしまして、厳重に申し入れもし、またこの後そういうことが行われないために一体どういうことが可能であるか鋭意話し合いを進めているところでございます。
  134. 小林正

    小林正君 次に、外務省にお尋ねしたいんですけれども、一九七五年にロンドン条約が十五カ国の批准によって成立をした。そして日本が八〇年にこれに加盟をして、八五年にそのロンドン条約の低レベル放射性廃棄物についての決議がなされて、日本と当時のソ連がこれに棄権をしているということが過去にあって、どうもエリツィン発言というのは日ロ双方の過去のそういう経過を踏まえて、日本はこの管理についてはかなり緩いんじゃないかという印象が伏線としてあって今回こういうことを行ったんじゃないかなと、これは類推するわけですけれども、そういうことはなかったんだろうかということ。  これからロンドン条約の会議が十一月の八日から開催されるということも承っておるわけですが、この中でこの決議をさらに充実させるために日本として海洋投棄についての永久禁止という方向に踏み切る御意思があるのか。  それからもう一つは、せっかく東京宣言の中で明確に位置づけている問題について、時日を経ずして一方的に投棄が行われたというそのことについてどうお考えなのか。特に、日本は旧ソ連から今日に至るまでいわゆる信頼醸成ということで長年にわたって努力をしてまいっているわけですし、今回については政経分離ということで拡大均衡へという方向を打ち出しながら領土問題を含んだ問題解決に相当努力を払っているさなかにこうした事態が起きている。そのロシアについて無神経さを指摘する向きもありますけれども、どういうふうに外務大臣としてお考えで、これから対応されようとしているのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  135. 林暘

    説明員(林暘君) 最初の二点について私の方から御答弁申し上げます。  第一点の八五年の決議に当たって、御指摘のとおり当時のソ連それから日本が棄権したのは事実でございます。ただ、日本は棄権をいたしましたが、この決議は有効に成立をいたしておりますので日本としてはこの決議を遵守するという態度をとっておりますので、今御指摘のようにロシア側が、日本も同じように棄権したから低レベルの廃棄物については若干緩い考えを持っているんではないかというふうに考えたということはないと我々は考えております。  二点目のロンドン条約に臨みます態度でございますが、これは御指摘のように十一月八日から開かれます。そこの会議の場において今後の低レベルの放射性廃棄物を含む海洋投棄の問題についても討議が行われますが、我が方としてはできる限り前向きの態度をとりたいと思っておりますけれども、現在まだ政府部内で最終的な調整をしている段階にございます。
  136. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) 東京宣言との関係をどう理解するのかという御指摘であったわけでありますけれども、私ども、このロシアの放射性廃棄物の海洋投棄につきまして先般の日ロ首脳会談におきまして、従来からも申し上げておったわけですが、改めて申し上げると同時に、やはり今まで投棄したものについての調査というもの、共同調査、これを私どもとしてやりたいという話をいたしました。大統領の方からもそれはぜひあれしたいと。ただ、これから冬に入ってしまうので、できれば本当は早い方がいいのかなというような話はあったところでございます。  いずれにいたしましても、共同調査をしようということで合意をいたしておるということで、この件につきましては、十月二十七、二十八日でしたね、現地におきまして専門家の会議をやろうということになっております。また、十一月十日、十一日にモスクワにおきましてこれは日ロ合同の作業部会をやろうということで、私どもは共同調査、これをできるだけ早くやっていきたいと思っております。  ただ、こういうことが話し合われた直後に事が行われたということでありまして、何か日本を無視したような形というふうに私たちも本当に率直にそう思うと同時に、本当に遺憾に思ったというのが率直なところです。そういうことで、コズイレフ外務大臣に対しましても、私どもの方から私どもの思いを率直に申し上げると同時に、もしこういうことが続けられるとするならばまさに日ロ間というのは、せっかくエリツィンさんの訪日にもかかわらずこれが壊れてしまいますということを申し上げたところであります。  そういう中で、外務大臣としましても、大統領にこの問題を上げながら、第二回目の投棄というものをやめるように図ってくれたんだというふうに思っております。そのときの電話の様子でもそうですし、また海洋投棄の結果の共同調査、この問題を大統領と話したときにも、先方の方でそういう投棄というのを承知しながら何かそのまま繕うような形ではなかったということ、そして彼もそういう我が方の思いというものを知りながら相当真剣にその努力をしてくれたという思いを私は率直に持っております。
  137. 小林正

    小林正君 時間が間もなく来るわけですけれども、大変申しわけないんですが、三点目の問題として官房長官にお尋ねしたいんです。  今の外務大臣の御答弁で具体的な作業がこれから始まるということであるようですけれども、伺いますとまだ原潜解体が百隻ぐらい残っていると。当然そういうところから低レベルの放射性廃液が出てくるわけです。一体これをどうするんだというもう焦眉の急の問題が今起きているわけですね。そして、一部には船に積みかえて捨てるんじゃなくてパイプで流せば問題ないんじゃないかなんて話まで出ているということも聞いているわけで、どうも我々日本人の感覚からすると全く理解できない対応が懸念をされるというような状況が一つあります。  やはり日本としては昨年の国連のUNCED、アジェンダ21の精神にしても、それからロンドン条約の決議について先日官房長官も記者会見で決議違反であるということを明確に述べておられるわけです。私は、日本人の中にある核アレルギーというのはまさに核については非常に健康な感覚だというふうに思うので、むしろロシアのそのような高レベルの廃棄物がノバヤゼムリア周辺に投棄をされて死の海と化しているような状況をつくり出しているということは、やはりUNCEDの中で言われてきた地球規模で物を考えていこうという発想からしても極めて無責任、ずさんな対応でありますし、同時にまたウクライナで現在戦略核ミサイルを保有するということを再度決めて、そしてそのことをアメリカから経済援助を得るための戦略に利用していると。  そして、今度日本の近海でそうした投棄を行うということが、結果として日本が共同して出資をしてこの問題解決を迫られるような状況をつくり出すためのデモンストレーションとして行われたという指摘もあるわけで、まさに戦略・戦術核兵器が今度は経済援助を引き出すための戦術・戦略兵器として利用されているんじゃないかというような懸念さえ受けるわけです。  そういう意味で、日本の立場からしてどのような今後政府の方針としてこれを貫いていかれるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  138. 武村正義

    国務大臣(武村正義君) 御指摘のように、ロシアの過般の日本海における放射性廃棄物の投棄の問題につきましては、我々日本人のひときわ核に対しての敏感な国民感情を大きく刺激しました。我々日本国民としては、例外なく非常に本能的にこのことに反発を感じたのであります。ロシア自身は、後からの報道で知りましたが、日本海に限らずオホーツク海も北極もバルト海も黒海も、ロシアの周辺のありとあらゆる海にしかも何年も前からこういうことを繰り返してきていたということも初めて知りました。  私どもは、今両大臣の御答弁にありましたように、厳しくこの事態に対しては遺憾の意を表明し抗議の意思を表明したわけであります。幸い、羽田外務大臣とコズイレフ外相との話もありまして 二回目の予定しておりました投棄を中止してくれた、そのことはそれなりに評価をしたいと思うわけでありますが、問題は今後であります。  ロシア側にどういう意図があるか、私もそこまでは憶測ができませんが、一つは国際的にロンドン条約の八五年の特別決議には違反している、ここは明快でありますが、しかしこれも特別決議でございます。条約の文書の中にこういう文言が入っているわけでないことを認識しますと、むしろやはりロンドン条約そのものを改定して、世界じゅうの海に核の廃棄物を捨ててはならないという合意をむしろつくるべきではないか、むしろ日本自身もそういう主張を率先してすべきではないかというふうに感じました。この特別決議違反以外は今回の、日本人が大変残念に思う、けしからぬとすら思っているこの行為に対する取り決めがないことも認識をしたわけでありまして、それならばやはり国際法の中できちっとこういう明文化した人類の決意というものをやはり生み出していくことが必要だというふうに認識をいたします。  そして、二国間の問題としては、今お話しのように、専門家の会合やら合同作業部会が近々に始まります。こういう中でロシアと真剣な話をしながら、どう今後こういうことが繰り返されなくていいようになるか、このことに日本政府としては目を向けていくことが必要だと思いますし、別に対日支援そのものは一般的なロシアの民主化、市場経済化のための援助をG7の各国と共同しやっていこうということでございまして、無条件にロシアを支援するものではありません。  幸い、その一億ドルの日本の枠の中にもまだこれからかなりの、何にどう使っていくかという相談のときがあるわけでございますから、その援助の実施という視点におきましてもこの問題を日本側としてはきちっと見詰めながら話し合いをしていってはどうかというふうに思っております。
  139. 小林正

    小林正君 終わります。
  140. 風間昶

    風間昶君 外務省に、今小林さんが問われたことと重なっている部分があるんですが、私も公明党の立場としてもお伺いしたいので、ぜひ外務大臣にお答え願いたいと思います。  十三日に採択された東京宣言のわずか四日後にロシアが日本海に、第九海域ですか、投棄した事実はもう本当にショックでございました。海は核のごみ捨て場ではないわけですし、放射性物質に対する日本国民の不安感を思うとき、外務大臣が早速ロシアの外相と電話会談をされ投棄を中止する要請をされたことは評価すべきであったと思います。せっかく日ロ両国がこれから新たな信頼関係を築いていこうという確認をして歩調を合わせて歩み出そうとしていた矢先だっただけに、外務大臣の本当に率直な御意見を先ほどお伺いしまして、問題はやはり今後の問題だというふうに思います。  ところで、電話会談はあれなんでしょうか、日本語でやられるんでしょうか。どういう形でやるんですか。
  141. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) これは、まず通訳の方が向こうの通訳の方に呼びかけまして、外務大臣がこれから話しますと言いながら、私がおしゃべりをいたしますと直ちに電話、宿舎は親子電話じゃないものですから、すぐかわりまして彼が話しかけます。そうすると、それに対して先方が話して、今度向こうの通訳の人が私にまた日本語で話してくるということでありました。
  142. 風間昶

    風間昶君 そういう状況でインタープリットしながらやっていかれるんでしょうけれども、向こうの外相の反応はそのときはどうだったんでしょうか。
  143. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) 率直に申し上げまして、外相は大変何というんですかね困った。要するに私の方から、今お話のあったようなことで、こういうことがなされたことに対して、日本国民というのはやっぱり核の唯一の被爆国であるということ、魚食民族あるいは漁獲の民族であるということから、物すごくこの問題については神経質なんだと。せっかくエリツィンさんが日本に来られたにもかかわらず、そして共同宣言が東京宣言という形であるいは経済宣言まで実はされた、そこに日ロ関係というのが新しい第一歩を踏み始める、歩み始める、この大事なときにこんなことをやられたということになると、せっかくの訪日がもうむちゃくちゃになってしまうんだという話を申し上げまして、また総理の気持ちそして私自身の気持ち、これを率直に実は伝えました。  そういうことに対して彼もわかったと、ともかく自分でも全力を尽くしてみようということを言ってくれたということであり、私としてはエリツィン大統領まで上げてともかくこの問題を何としても第二回目の投棄がなくなるようにひとつ全力を挙げてほしいということに対して、私は全力を傾注するであろうということを非常に強く言っておられまして、彼も非常にやっぱりショックを受けると同時に、ちょっと私もよくあれしてみないといかぬが、非常に難しい問題であるけれども全力を尽くそうという気持ちだったというふうに思っております。
  144. 風間昶

    風間昶君 やっぱり最も心配なのは環境への影響だというふうに思うわけですけれども、何といってもロシアのいわゆる経済海域ですから日本が入れない状況で、ロシアの協力なしには全貌が明らかになってこないというふうに思うわけです。やはり先ほどの御答弁でもきちんとした調査をやっていく、それで実施についてはこれから詰めていくということでございましたけれども、投棄場所もそうですけれども、放射線量だけじゃなくて核種の選定が私は特に水産魚類に与える影響として大事な視点になってくるんです。  つまり、ベータ線は魚のいわば骨に集中してつきやすいし、ガンマ線ですと身の方により集中してつきやすいとかというデータもあるわけでございますので、そういう意味で詳しいデータがやはり必要であると思います。大臣が明らかにしていくために、場合によっては直接訪ロもあり得るというふうに私は思っているんですけれども、いかがでしょうか。  それからもう一点、放射性廃棄物の処理というのは、日本がまた抱える問題でもありますし、先進各国の共通した問題だというふうにとらえて、実際に今貯蔵施設や処理施設がないという現状の中で、ロシアに対する支援のあり方をどういうふうに考えておられるのか、二点お伺いしたいと思います。
  145. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) まず、私自身がということよりは、一応ともかく話はもう通じて第二回目の投棄をやめたということでありますから、むしろ今御指摘のあったことの細部を詰めるとしたら、やっぱり専門家の会議が必要であろうと思っております。それが十月の二十七、二十八日とまさに細部にわたっての専門家の会議を持つことになっておりますし、また作業部会といたしましても十一月の十日、十一日に行われることになっておりまして、日ロ共同の海洋調査を早期に実施したいということになっておるところでございますので、ここらあたりで本当に詰めることが大事だろうと思っております。  また、この協力につきまして、貯蔵あるいは今お話があった処理ですね、これは先ほど御指摘がありましたように、これから相当古くなった原子力潜水艦を解体していったりなんかしなければいけないということになっておるということでありまして、今後もやっぱりこの潜水艦そのものだけにとりましても出てくるということでありましょうし、そのほか発電その他があるわけですね。  ですから、そういったものについての具体的な処理について、やり方によっては向こうの軍の力というものをただ維持するということになってしまったらこれはまた安全保障の面からいっても大変なことになろうと思っておりますので、このあたりのところを私どもよく考えながら、また今御指摘がありましたように、各国とも、よその国ともよく連絡をとりながら、やっぱりこういったものも対応していく必要があろうというふうに考えております。
  146. 風間昶

    風間昶君 ありがとうございました。  ぜひ先ほど官房長官がおっしゃったような、ロ ンドン条約の会議の席上でも日本が前向きにイニシアチブをとっていっていただきたいというふうに思います。  それでは、決算審査と会計検査院協力についてお伺いしたいと思います。三年度決算審査の冒頭に当たりまして、検査院に伺っておきます。  今回、私は初めて決算委員会に所属させていただいて、参議院というのは決算を重視するところだというふうに伺って、予算執行の効果、さまざまな経済効果とか行政効果を審査して反映させていくという仕事がいわば純中立的な会計検査院の仕事だというふうに伺っておりました。私もそういうふうに考えておるところです。  そういう意味で、決算委員会会計検査院協力関係を本当に真の意味での車の両輪のような形にしていかなければならないというふうに思っているわけですけれども、諸外国では決算委員会の要求に基づいて特定の事項について検査調査を行って委員会報告するというシステムもあるというふうに聞いていますが、その考えはおありなのか、また今後検討していってもいいのではないかというふうに思うわけですけれども、検査院長にお伺いしたいと思います。
  147. 中島隆

    会計検査院長中島隆君) 私どもの検査に当たりまして、国会ないし国民の関心の度合いというものにつきましては、十分に勘案いたしまして検査を進めているところであります。特にこのような決算委員会などを通じまして国会の御意向などを十分とらえまして、これを踏まえた上で毎年検査を実施しているところであります。  これからもいろいろ御指摘いただいた点、御示唆をいただいた点を踏まえまして、より積極的に検査を進め、その結果をこのような決算委員会等で御報告申し上げたいというふうに考えているところでございます。
  148. 風間昶

    風間昶君 例えば、じゃ公共工事の契約の実態がどのようになっているかということについて入札制度のあり方を検討する場合に、必要な情報であると思うんですけれども、そういう場合に会計検査院が実態調査を提供して、それを参考にして国会がまた議論を進めるというふうな方法も場合によっては必要なことではないかというふうに思うわけですけれども、そういう考え方について院長の御見解を伺いたいと思います。
  149. 中島隆

    会計検査院長中島隆君) ただいま御指摘のございました、例えば公共工事の契約に関して何かしらの調査結果ないし私どもの調べた結果につきまして、そういうものをこういう国会の場に提供することができるかという御質問であるように思います。  私どもとしましては検査を通じましていろいろの情報等につきまして知り得る立場にございます。これらにつきましては、各省庁、検査対象機関との関係もございまして、非常にストレートにお出しするというのが必ずしも適当でないものも中にはございますけれども、そうでないものにつきましては御審議の材料に供しますために積極的にお出し申し上げて、御審議の資料にさせていただきたいというふうに考えておるところでございます。
  150. 風間昶

    風間昶君 さらに積極的に進めていってほしいということを要望したいと思います。  次に、きょうは全般的な質疑ということですので各省共通の問題についてお尋ねしたいと思います。  それは外国旅費の問題でございますけれども、きょうは大蔵大臣また厚生大臣、建設大臣においでいただいておりますので、大蔵大臣に代表してお答えいただければというふうに思いますが、一般的に大臣が海外へ出張されるときには国際的なこともこれありで、一流のホテルへ泊まるんじゃないかというふうに思うんです。そして、随行の秘書官の方あるいは官房長局長、課長、課長補佐の方々も同じホテルへ宿泊しなければ随員としての役割が果たせないものだというふうに思うんです。  そこで大臣、旅費として支給される宿泊料はお幾らか御存じですか。
  151. 中島義雄

    政府委員中島義雄君) 国務大臣が外国に出張されます場合は、それぞれ地方によって区分されておりますけれども、特定の指定都市でございますが、一日につき一万五百円ということになっております。それは日当、宿泊料でございます。
  152. 風間昶

    風間昶君 特定の指定都市といった場合に、海外の。
  153. 中島義雄

    政府委員中島義雄君) ただいま申し上げましたのは日当でございまして、そのほかの宿泊料について、申しわけございませんでした、一夜につき同じく三万三千五百円ということになっております。
  154. 風間昶

    風間昶君 それは実際に指定都市に宿泊される料金ですね。
  155. 中島義雄

    政府委員中島義雄君) そうでございます。  ただいまの私の答弁でちょっと誤りがございましたので訂正させていただきますが、日当は先ほど御答弁いたしましたように指定都市の場合一日につき一万三千百円、宿泊料は指定都市の場合は四万二百円でございました。これは現実に支給される額でございます。
  156. 風間昶

    風間昶君 私が調べた限りでは、パリとかニューヨークとかロンドンといった指定都市に宿泊すると役所から旅費として支給される宿泊料は、大臣が三万二千二百円、局長クラスの方が二万五千七百円、課長が二万二千五百円、課長補佐だと一万九千三百円というふうになっております。  ところが、現地のホテル料金はそれを上回っているのが実態ですよね。十月十五日時点での相場で換算して計算すると、例えばパリのホテルでツインの素泊まりで四万三千円から七万三千円なわけです。ニューヨークでも二万四千円から四万五千円ぐらいになる計算なんです。だから、パリにもし泊まった場合でも、大臣で一泊一万円から四万円の赤字になる計算になるわけで、それが課長補佐の方の場合ですともう大変大きな額になっていくわけです。  私が言いたいのは、仕事で出張しているのに十分な宿泊料を払わないというような実態を黙っておいてはいけないというふうに思っているんです。大臣のポケットマネーで払うんですとかという話も若干先輩のところから聞きましたこともあるんですけれども、どうしても必要なものは必要であることに違いはないわけですから、必要な旅費はやっぱり国費で払うのが私は当然であるというふうに思うんです。  外国の旅費を実態に合うように改めるか、あるいはその旅費に合うようなホテルに泊まるか、また職務の区分をなくせとは言いませんけれども、せめて大臣の海外出張における随員の方の場合に職務のクラスによる区分をなくすことが必要であるというふうに考えるわけですが、大臣の所見をぜひとも承りたいと思います。
  157. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 職員の海外旅費について御配慮をいただきまして大変ありがたいことだと思っております。心から感謝をいたします。  今御指摘のようにある程度の段階差があるのはしょうがないということで、どうやっているんだということはそれぞれ場所を違えて宿泊をいたしております。ただ、これは旅費法がございまして、四十六条でございますが、どうしても大臣と一緒に泊まらないと職務が遂行できないという人間については特別措置を講ずるというようなことになっております。  しかし、何よりも風間委員の御指摘の実情に合うようにという気持ちは大変大事なお志をいただいたと思っております。財政再建途上でありますので厳しい措置になっておりますけれども、お話はよく承らせていただきました。ありがとうございました。
  158. 風間昶

    風間昶君 わかりました。  次に、ゼネコンの問題についてお伺いしたいと思いますけれども、いわゆるゼネコン問題が自治体の首長やゼネコンの首脳らの逮捕でさらに追及が今進められている状況で、いわば談合体質が明らかになってきております。そこで、私も同じふるさとでございますが、旭川の市長の経験者でも あります建設大臣は特にこの問題に対しては大きな問題意識を持っていられるのではないかというふうに思います。  そこで、建設省が昨年十一月に中建審で、十億円以上の公共工事の一部を対象としたいわば制限つきの一般競争入札を試験的に実施するというふうに打ち出しました。今回十億円以上に落ちついたその背景と、それから今後どの程度までその対象範囲を拡大すべきと考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  159. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) お話のように、一部の工事につきまして今条件つき一般競争入札の試行導入をしているわけであります。これは先般来のさまざまないわゆる建設汚職等に関して、この際入札制度やあるいは契約制度全般を抜本的に見直していこう、こういうことで御承知のとおり中建審に特別委員会を設けて今御審議をいただいておりまして、年内に結論を出そう、こういうぐあいに思って精力的な御検討をいただいているわけであります。その検討に資するために、この際直轄工事では十二工事について、以前は制限つきという言い方をしていたが今は条件つきという言葉に統一させていただいておりますが、条件つき一般競争入札の試行導入をして、そしてそれを特別委員会に御報告申し上げ検討の資料にしていただく、こういうことでとりあえず急いでそういう作業をするということなものでありますから、したがいまして、まず十億以上ぐらいの工事規模のものにしていこう、こういう考え方でやっているわけであります。  あわせて、この機会に都道府県等についても試行導入をお願いしよう、あるいは公庫、公団等についてもやってみょう、こういうことになって、その後それぞれについてのそういう試行導入も今始まっているところでありまして、それらの全体的な当面の特別委員会の検討の資料という意味からいうと十億以上ぐらいのところがまあまあ適当なものであろう、こういう考え方によるものであります。
  160. 風間昶

    風間昶君 大手で組織する日本建設業団体連合会は、条件つき一般競争入札の導入を求めている一方で、中小企業の全国建設業協会あるいは全国中小建設業協会は、そういう一般競争入札をやっても不正防止できるとは思わないという声もあるというふうに聞いておりますけれども、その導入によって自治体の首長と業者の談合体質の改善経過をどのように想定されているのかお伺いしたいと思います。
  161. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) これは、今度の一連の事件等を見ましても、指名の段階における首長の恣意性というような問題がやはり大きな一つの根拠になっているというふうにも思われるところでありまして、なるべく首長の恣意性であるとか、あるいは地方の場合ですと議会等のいろいろな意見、圧力というふうなものもできるだけ遮断するという意味からいうと一般競争入札の方が、これはそういう意味では恣意性のない手続方法として進められる、こういうことであろうというふうに思うわけであります。  ただ、そういう恣意性をとにかく最大限少なくしていく、あるいは透明性を確保するという意味では、一般競争入札に限らず、指名競争入札の段階でも特にそれを強めていこうということで、今中建審の特別委員会等では熱心に御審議をいただいているということであります。
  162. 風間昶

    風間昶君 もう一点、入札結果の公表について、昨年の中建審でも「全入札者及びその入札金額を公表することが望ましい。」というふうに記載されていますが、しかし実際に公共工事の入札実態調査によると、市町村で、市では比較的公表されていますけれども、町村では特に公表していないところの割合が高いわけです。建設省としても入札結果の公表に向けた取り組みについて、やっぱりきちっとやっていくべきだと思うんですけれども、そこのところは大臣どうでしょうか。
  163. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) いわゆる入札制度で一番大事なのは、透明性を確保するという点であって、その意味では今御指摘のように、入札結果の公表という点は大変重視していくべきものであろう、こういうぐあいに思うところであります。  建設省で、自治省とともにその面での調査をこの前させていただいたのでありますが、それによりますと、入札結果の公表に関しては都道府県、政令指定都市は一〇〇%やっているわけであります。またその他の市の場合は九七・四%が入札結果を公表しているのでありますが、しかし町村では五八・一%しか入札結果を公表していないということであります。その結果、全体では約三割の自治体で入札結果を公表していないということが調査の結果明らかになっている次第であります。また、入札経緯を含めて公表しているという自治体は、市で約六割、町村では約二割しかなかったという結果になっておる次第であります。  総務庁でこのたび御調査になられて、きょう公表になるというふうに思います。けさの新聞には既に出ておったところでありますが、これらを見ましても、同様の傾向の結果が出ているところでございまして、総務庁では、関係二十省庁について改善の勧告をする、こういうことになっているようであります。  私どもとしては、この前以来の自治省との共同の調査結果、並びに今回の総務庁の調査結果というものを踏まえて、早速にでも各地方公共団体あるいはその他公共事業等を行う各機関に対して、公表についての徹底を期していくように、こういう方針で指導していこうということで現在自治省と協議を詰めておるところでございますので、御趣旨を体しながら進めてまいりたい、こういうぐあいに思います。
  164. 風間昶

    風間昶君 次に、骨粗鬆症対策について厚生大臣にお伺いしたいと思います。  この骨粗鬆症、骨がすかすかになって骨折しやすくなるという状態でございますけれども、公明党の市川書記長が衆議院の予算委員会でも取り上げて、厚生省としても平成年度から婦人の健康づくり推進事業の中に、各県二カ所でございますか、九十四カ所のモデル事業として、概算要求六億円で婦人の健康診査等に骨密度測定検査項目を追加してくださって、いわば骨粗鬆症予備軍、低骨密度者の早期発見、あるいは指導を講ずることとしておるわけです。私の地元の北海道で当然二カ所、骨密度測定機が整備されると思いますけれども、はっきり言って二カ所では不十分でございます。  そこで大臣に、このモデル事業がデータがそろい、なおかつ実効があるものというふうに御判断されてからだと思うわけですけれども、今後全国へ測定機の設置あるいは整備を拡充していくお考えはおありになるのかどうか、また最終的にどのくらいの数、目指しておられるのか、見通しをちょっとお伺いしたいと思うんです。
  165. 大内啓伍

    国務大臣(大内啓伍君) 風間先生がこの骨粗鬆症について大変御研究になっているということをよく承知いたしておりますし、また先般市川書記長の方から予算委員会でこの問題が取り上げられまして以来、厚生省といたしましても、大変努力をしてまいりまして、今御指摘のように各県で二カ所、約九十四カ所モデル事業として推進したいということで、来年度予算におきましては六億二千四百万円の予算を要求しているのでございます。  しかし、今先生が御指摘のように二カ所で足りるかといいますと、実はもっともっと全国的には数をふやしていかなければ無理であろう。と申しますのは、今大体推定患者数は日本の場合約五百万人に達するであろう、こう言われているわけでございます。アメリカの場合は、日本の人口の倍ではございますが二千五百万人。それに比べれば少ないといっても、五百万人という大きな数字が出ておりますのでその予防という面から見ますと、やはりその対策については、これは予算との関係もございますが、できるだけ早急にこれをふやさなきゃならぬ。しかし、財政的な制約もございますので、来年度はとりあえず六億二千四百万円という予算を計上しておりますが、これは御指 摘のようにできるだけテンポを速くしてその倍増計画は達成しなければならないであろう、こういうふうに今考えておりまして、大蔵省等に対しましてもいろいろ今御説明を申し上げているという状況でございます。
  166. 風間昶

    風間昶君 大臣の力強い御決意を伺いました。  そこで、骨密度を測定する機械も、実は今まではレントゲンで測定しておったんですけれども、放射線の出ない超音波のいわば簡易スピード骨密度測定機というのが今アメリカから出てきております。日本でも技術的にノウハウは持っていますのでつくることができると思いますが、CTを含めたレントゲン装置、二千万円から四千万円ぐらいですが、この超音波を使うものですと大体六百五十万円から七百万円ぐらいで非常にコスト的にも国庫の負担を軽くすることもできますし、また何よりも放射線が出ないという利点がございまして、非常に軽くて持ち運びにも便利で、検査時間が大体五分から六分で済むわけでございます。  現実に、大阪府下の保健所あるいは中野区の保健所にも今導入されておりますけれども、こういうものを使っていわばスクリーニング、特に厚生省がお考えになっていらっしゃる十八歳から三十九歳のいわば自営の方あるいは専業主婦の方、これは幾ら国がこういう事業がありますよというふうに宣伝しても自覚症状のない人は現実に病院に行かないわけです。でありますから、いわば出張サービスというか出前サービスのような、予防医学というのは私はサービスだと思っておりますので、そういうお考えに立ってぜひ積極的にこの超音波の骨密度測定機の導入をも真剣に検討していただきたいというふうに思いますが、一言。
  167. 大内啓伍

    国務大臣(大内啓伍君) 私も幾つかのモデルを拝見しておりますが、先生はいろんな御研究をされておられます。私どもといたしましては、もちろんそういう測定機につきましては医学的な評価というものを踏まえまして、一つにはやはり何といっても精度が高いということが大切でございましょうし、もう一つは再現性においてすぐれているという面も必要でございますので、私どもといたしましてはそういう医学的な評価をしっかりと踏まえまして、今先生御指摘の点も十分配慮しながら測定機の普及整備という問題に取り組んでまいりたい、こう思っている次第でございます。
  168. 風間昶

    風間昶君 前向きな大臣の御答弁、ありがとうございました。  時間ですので、終わります。
  169. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) この際、中島主計局次長より発言を求められておりますので、これを許します。中島主計局次長。
  170. 中島義雄

    政府委員中島義雄君) 先ほどの御答弁の中で事実関係に関するところで多少混乱がございましたので、整理のためもう一度答弁させていただきます。お許しいただきたいと思います。  国務大臣の外国旅費でございますが、ニューヨーク、パリなどの指定都市の場合、日当が一万五百円、宿泊費が三万二千二百円で合計四万二千七百円が支給されておるところでございます。  以上でございます。
  171. 会田長栄

    会田長栄君 会田でございます。  限られた時間でありますから、私の方も端的に質問をし、どうぞ政府の方も端的にお答え願いたい、こう最初にお願いしておきます。  とりわけ最初にお願いしたいことは、今日の経済不況というのは並み大抵のものではないということ、それに農業災害というのも大変な問題です。こういう中にあって毎日御努力願っている皆さんにどうぞ今後とも健康に留意されて奮闘されるように、まずお願い申し上げておきます。  私がまず第一番目に聞きたいのは、平成年度の純剰余金一兆五千三百十八億円の使途を明らかにしてもらいたいということであります。
  172. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) これにつきましては、本来の財政法の原則であれば半分以上を国債整理基金に入れるということになっておりましたが、平成年度急速に経済情勢が悪くなるという見通しもありましたために、平成年度の補正予算においてこれを全額使わせていただきました。
  173. 会田長栄

    会田長栄君 これは後ほど関連してまいりますから、その際またお尋ねいたします。  それでは二つ目でありますが、平成年度歳入欠陥一兆五千四百四十七億円、これをどのように対応いたしましたか。
  174. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 現在設置されております決算調整資金から繰り入れることによって対処いたしました。
  175. 会田長栄

    会田長栄君 決算調整資金から繰り入れをしたと。要するに、昭和五十六年度以来十一年ぶりに国債整理基金、これを決算調整繰り入れとして処理をしたと。わかりました。  そこでお尋ねしたいのは、財政法第六条の原則によれば純剰余金の二分の一以上は公債の償還財源に充てなければならないが、特例法によって三年度はその点別法律ができましてやりませんでした。ただ残りの二分の一、これはもう毎度決算委員会で私は主張しているんです。決算調整資金に関する法律の第四条でこれに充てることができるということになっているんですが、現実は決算調整資金というのは残高ゼロです。  三年度決算をして四年度を迎えたわけでありますから、この点について一体どのような認識を持っていたのかお伺いしたい。
  176. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 決算調整資金は昭和五十二年度にできたわけでありますが、それ以後入れていなかった理由というのはもう御承知のとおりと思います。昭和五十年度補正から赤字国債を出しておりました。したがって、赤字国債を出しながらこのようなものを積むということは妥当でないという判断をいたしました。  おっしゃるとおり、平成年度は純剰余金が出るような財政状況でありました。今の御指摘は、それを入れるべきではなかったのかと、こういう御指摘だろうと思いますが、冒頭申し上げましたように平成年度の終わりのころから経済が非常におかしくなり出し、平成年度においては補正をもって対処しなければならない事態に入ったために、特別の法律をつくってこれを全額平成年度の財源に使わせていただいた次第であります。
  177. 会田長栄

    会田長栄君 国債整理基金から借りて賄ったということですから、来年度、いわゆる平成年度、これを返さなきゃいかぬでしょう。一兆五千四百四十七億円というのは国債整理基金に返済しなければならない。したがって、平成年度予算編成というのはまことに窮屈になってくることだけは間違いないんですね。そういう場合に、少なくても二分の一というのは決算調整資金として積み上げておくべきだということが指摘されているわけでありますから、私はあえてまたその問題を取り上げたんです。  それはなぜそういうことを言うかというと、実は昭和六十二年度以降、毎年度の当初予算あるいは補正予算においてさまざまな目的を持った資金、基金が多数創設された、これは大臣もおわかりでしょう。これは我が国における近年の財政における大きな特徴なんです。実際、赤字国債に返していくということを言う。決算調整資金に積むことができるとなっていますが、それもゼロにしておく。しかし、現実はどうであったかというと、何と六十二年度は、政府の出資残高で言えば六十二年度というのは十九兆七千九百九十五億円じゃないですか。六十三年度は二百三十五億七千万円、平成年度は一兆八千七十六億円、平成年度は三百八億五千百万円、平成年度は三百八十九億六百万円、平成年度は一兆四千百六十一億円余です。大変だ大変だと言いながら、こういう政策選択を実はしているんです。  そして実は、経済不況だ、あるいは農業災害だ、あるいは金融・証券業界あるいは大手ゼネコンの問題などが出て大変な時期を迎えてきているが、現実はこのような状態なんで、これは私は大体改めなきゃいけないんじゃないのか、金がないときはないらしく。あるときにはあるらしくやってもいいですよ。しかし、大蔵省としてはもうちょっと先を見通してやってほしかった。これは前政権の問題でありますから、あえて今の政権でその責任ありとは私は言いませんけれども、私は この点はやっぱり政策の選択の間違いだったんでないか、こう思っているんです。  そういう意味で、今大変な時期に来ているわけですから、一口で経済不況なんといったって、大企業、中小企業、零細企業を含めて、この冬は働く者の首切り旋風が出るというんですから、これは穏やかでないんです。だから、そういう意味で言えば、この決算調整資金の残高ゼロという問題について、資金、基金の創設の問題について兼ね合わせるとやっぱり今後に考えさせられる問題が現実に提起されているのではないかということで、大臣の所見をここで聞いておきたい。
  178. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 今、会田委員から前政権の話だというお話がありましたが、これは大蔵省を今預かっておりますから、大蔵省として今のような御指摘は素直に受けとめさせていただきます。
  179. 会田長栄

    会田長栄君 これは素直に受けとめてほしいと私も思います。いつまでもこういうことを繰り返していたら大変なことになるというんです。これは並み大抵の情勢でないから、今国内問題というのは。だから、そういう意味で毎日御苦労願っているから感謝を申し上げながら、実は決算委員会の重要な任務でありますから私は質問を申し上げているんです。それは心してひとつお願いを申し上げておきたい、こう思います。  そういう意味では、もう大変なところでしょう。では、赤字国債が減るかといったらそんなに減らないでしょう。もう国債残高というのも、これも大変なところに来ているということでありますから、この点、お願いをまず第一番目にしておきます。  第二の問題は、政府関係機関決算に関連してお伺いします。  これは民間企業の金融機関の不良債権問題が今大変問題になっています。このことが経済不況を脱皮できない底辺にあることだけは間違いないんです。ところが、いろいろ勉強してみましても、政府関係機関決算に関連して、政府系の金融機関というのは不良債権というのはなかったんですか。率直にあるならあると。
  180. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) この経済複合不況と言われる根っこの中に非常に大きく金融問題があるということは御指摘のとおりだと思います。  そこで、御指摘の点でありますが、政府関係機関につきましても、かねてから決算委員会に提出いたしておりますように、六カ月以上利息を延滞しているものというのはございます。もしそれを逐一御報告申し上げる方がよければ、政府委員からお答えさせます。機関別に御報告させていただきます。
  181. 寺村信行

    政府委員(寺村信行君) 機関別に延滞額の貸出残高に占める割合で御説明をいたしますと、日本輸出入銀行につきましては一・二%でございます。日本開発銀行〇・二%、国民金融公庫一・六%、中小企業金融公庫一・〇%、住宅金融公庫〇・〇五%、農林漁業金融公庫〇・七%、北海道東北開発公庫〇・八%、環境衛生金融公庫一・七%、沖縄振興開発金融公庫〇・八%でございます。
  182. 会田長栄

    会田長栄君 なるほど、民間機関も詳細にわかって、大体この不良債権というのは十四兆円、表は。しかし、今大蔵大臣がおっしゃったとおり、六カ月。六カ月目に入る前にちょっと書きかえてやっているという金額がこれの三倍ではないかと言われている。しかし、それはどこまで真実かは詳細に資料がないからわかりません。  しかし、この政府系の金融機関の問題については、大蔵省は既に調査をしているということでありますから、その点、国民の信用不安というのは逆に出てくると大変ですから、民間機関が公表される場合は、これは政府系の金融機関であっても不安のないように情報公開をして、万全の策を講ずるべきではないか、こういう意見でありますから、その点はよろしくお願いしておきます。
  183. 藤井裕久

    国務大臣藤井裕久君) 民間金融機関のディスクローズにつきましては、御承知のとおり、金融制度調査会で一定の基準をつくってディスクローズすることになっております。それは相手先が破綻したもの及び六カ月以上金利を延納しているもの、これでございます。  今御指摘のような点があるかどうか、これは個々の金融界の実情でございますから、私どもとしては表に出たその基準で報告せざるを得ないと思っておりまして、その数字は手元にございます。
  184. 会田長栄

    会田長栄君 それでは、次にお聞きしますのは、この不良債権問題と関係しているのではないかと言われている事件のことについて警察庁にお尋ね申し上げます。  八月五日午前七時五十分、閑静な住宅地、子供の通学時間、この時期に阪和銀行の副頭取が銃弾に倒れた、ピストルで殺された、こういうことです。二カ月過ぎました。一体これは経済事件も絡んでいるのか、単なる他殺なのか、恨みなのか、いまだにさっぱりわからない。こんな不安なことが社会の中にあっていいのかという疑問があるから、二カ月過ぎましたから、その経過などを要点を絞って説明していただきたいと思います。
  185. 垣見隆

    政府委員(垣見隆君) お答えいたします。  お尋ねの事件は、本年八月五日午前七時五十分ごろ、阪和銀行副頭取が和歌山市内の自宅玄関前におきまして、出勤のため出迎えの車に乗り込もうとした際、近づいてきた男にいきなり直近からけん銃で射殺されるという極めて計画的かつ悪質な事件であります。  和歌山県警察におきましては、即日百三十名体制の捜査本部を設置いたしまして、現場付近の聞き込み捜査を初め、被害者関係の捜査、レンタカー、タクシー関係の捜査、遺留品捜査、似顔絵に基づく捜査、銀行関係者からの事情聴取など所要の捜査を推進中でございますけれども、残念ながらいまだ犯人の検挙には至っておらない状況でございます。
  186. 会田長栄

    会田長栄君 ぜひ全力を傾注してこの問題を処理してほしいということをお願い申し上げて、この質問は終わります。  それから、いわゆる異常気象、冷夏、台風、これなどによる本年度の農業災害に関連をして、ポイントを絞ってお尋ねいたします。  十月十五日現在の作況指数を端的に全国、東北六県、これを教えてください。
  187. 嶌田道夫

    説明員(嶌田道夫君) 水稲の作柄につきましては、水稲の生育段階におきまして、八月、九月、十月、収穫期と四回調査、公表を行っているわけでございますが、今言われました十月十五日現在の作柄につきましては、現在集計、分析中でございます。その調査結果につきましては今週末に公表する予定としております。
  188. 会田長栄

    会田長栄君 残念ながら、新聞では発表されています。新聞ではもう既に発表されているんです。うそか本当かはわかりませんよ。しかし、おたくが発表したときにこの数値と同じだったら本当だったということになるわけで、だからその点だけ念を押してお願いしておきます。  私は単にそういうところをつくために質問したんじゃありません。要するに、水稲を中心とした農業災害の被害額というのは膨大なものになるんですね。被害をこうむったということは農家の皆さんが生活が成り立たなくなるというところに来るんです。だから、一日も早く天災融資法、激甚災害の指定などを私はやるべきだと思う。  昭和六十三年度というのは十一月二十二日です。もう間もなく十一月に入ります。ところが六十三年度の比ではない。それは大変苦労していることを私も知っています。そんな簡単にまとまるわけがないじゃないか、やるときには正確に誠実にやりたいから時間がかかっているんだとおっしゃるのはわかります。しかし、地域経済まで含めて大変な今日の情勢でありますから、この点に力を入れて展望をひとつ明らかにしてほしいという気持ちでこの問題をお尋ねします。
  189. 眞鍋武紀

    政府委員眞鍋武紀君) 天災融資法の発動でございますが、天災によります農作物等の被害の規模、深度等を総合的に勘案して検討するということになっておるわけでございます。ただいま御指 摘のように、大変時間がかかる作業をやっておるわけでございます。  確かに、地域経済に大きな影響を与えるわけでございますので、天災融資法及び激甚災害法を早期に発動する方向で現在準備を進めているということを報告させていただきます。
  190. 会田長栄

    会田長栄君 それでは、その次にお尋ねいたします。  今この大凶作の中で、米の買い占め運動というのが全国的に展開されている。不思議なものですよ。そこでこれは農水大臣にお伺いします。絶対に買いだめなどしなくても大丈夫です、政府が国民の食糧は保障します、こう言えますか。
  191. 畑英次郎

    国務大臣(畑英次郎君) 会田先生御指摘のとおり、いわゆる絶対量におきましてはそういう供給義務、需給のバランスをとった供給義務といいますものは、責務といいますものは私どもに与えられておるわけでございまして、今日ただいまの全国的な数量からいたしました場合には、絶対量は確保いたしておるということでございますが、残念ながら、いわゆる流通段階あるいはまたそれぞれのお立場の思惑等々が絡みまして、一部そういう現象があらわれておることは事実でございますが、いわゆる正直者がばかを見るというようなことのないように引き続き全力を挙げてまいりたい、かように考えております。
  192. 会田長栄

    会田長栄君 よろしくお願いします。  そこで、もう一つお願いであります。一番困っているのは実は福祉関係の施設のところの問題なんです。もう既に食べさせる米がない、買おうとすると十日で値段が違ってしまう、さてどうするかという不安がいっぱいあります。とりわけ福祉施設、病院その他の給食とかかわって、この点について万全を期してそういう不安のないようにしていきます、このようにおっしゃっていただければ安心して質問を終わりますから。
  193. 畑英次郎

    国務大臣(畑英次郎君) 御案内のような実態にございまして、いわゆる国民大衆の一番親しんでおります政府米そのものが残念ながら一部支障を来しておることは事実でございます。今先生御指摘のような分野におきましては、さようなことのないようにこれからも食糧事務所等々を督励いたしまして努力を重ねてまいりたい、かように考えております。
  194. 会田長栄

    会田長栄君 ありがとうございました。  最後でありますが、これは文部省の関係局長にお尋ねいたします。  業者テストの偏差値を用いない公立高等学校の入学者選抜の問題と関連をして四点お伺いします。  中学校から業者テストを全国四十七都道府県が一掃する見通しは立ちましたか。
  195. 野崎弘

    政府委員(野崎弘君) 業者テストのお話でございますけれども、二月二十二日に事務次官通知を出しまして、その後四回にわたりまして各県を指導し、また実際の中学校の教員も対象に研修を実施しております。現在各都道府県におきましても文部省の通知の趣旨に沿って取り組んでいただいているものと、このように承知をしております。
  196. 会田長栄

    会田長栄君 四十七都道府県で見通しが立ったと答えたんですか。業者テストを廃止する、学校で偏差値に活用しない、それは四十七都道府県ともその見通しが立ったと返事したんですか。
  197. 野崎弘

    政府委員(野崎弘君) 各都道府県におきましてそのように取り組んでおるものと、このように私ども認識をしているところでございます。
  198. 会田長栄

    会田長栄君 わからないね、そういう答弁では。  何でわからないかというと、業者テストを全廃すると約束したんだから。強力な指導力のある文部省が全国に指導してその見通しが立ったと、こう言ってくれれば安心するんですよ。
  199. 野崎弘

    政府委員(野崎弘君) 学校が業者テストに関与していると、そのような報告は私ども聞いておりません。そういう意味では、先生のおっしゃったような方向で動いているものと、このように認識しております。
  200. 会田長栄

    会田長栄君 わからぬ。これはその次にお聞きしますことと今度関連してくるんです。例えば、生徒が校外テスト花盛り時代にまた入った。そこで、塾が主催する校外テストに一体文部省はどう対応しようとしているんですか、お聞かせください。
  201. 野崎弘

    政府委員(野崎弘君) 私どもが通知を出しました趣旨は、業者テストの結果を用いていわゆる高等学校の入学者選抜が行われている、そういうことはあってはならない。それに対しまして、中学校も高等学校にそういう資料を提出してはいけない。それから、中学校が業者テストに関与してはいけない。この三点につきまして指導したわけでございまして、そういう意味の趣旨は私どもは徹底している、このように思っております。  先生今御指摘のいわゆる学校以外の会場テストのことにつきましては、これは学校が関与しない形で実施をされるものでございますから、私どもとしましてはそれについてどうのこうのと言及をしているわけではございませんが、学校がそういう業者テスト、会場テストへの参加を組織的にあっせんしたり、あるいはそれを勧めるというようなことについては適切でないもの、このように指導しているところでございます。
  202. 会田長栄

    会田長栄君 私は、学校が関係ないといったって、それぞれの業者、塾が校外テストということでやっていくとすれば学校の教育活動全般に影響してくるから聞いているんです。業者テストを全廃して、偏差値は入学選抜試験に資料として活用しない、先生も手をつけないということはわかった。わかったけれども、一番肝心なのは子供なんですから、塾や業者が改めて校外テストをやって学校から子供を引き連れていけば、おのずから学校の教育活動というのはそこで制約されるんです、今度は。そうでしょう。違いますか。私はそう思う。  そこで、最後にお尋ねします。  文部省は公立高等学校の入学者選抜の問題について次官通達を二月に出しましたね。ここで調査書のあり方について提起してあります。「生徒の個性を多面的にとらえたり、生徒の優れている点や長所などを積極的に評価する」、こうなっているんですね。そしてその次に云々となって、特別教育活動などは、これは非常に慎重にやらなきゃいかぬ、こうなっている。  ところが、これは全国的にどうなっているか。恐ろしいものですよ。例えば特別活動等の記録、これは五十五点満点、こうなっています。学級活動、丸がつけば四点、先生が書けばですよ。事実の記録のみ二点、何も書いていない場合は一点だというんです。クラブ活動、これも同じですよ。この理由で特別活動等の記録というのは実はもう既に点数化しているんです。これを一年から三年まで記録して、学力テストと同時にこの調査書を大事にするんだ、こう言っているんです。だから、文部省が言わんとしていることと各都道府県が実際に対応していることとでは、ここにこれだけの相違が出てくるんです。  今度は、行動の記録もそうです。向上心、責任感、創意工夫、思いやり、寛容・協調性、自然愛護、勤労・奉仕、公正・公平、公共心、この項目ごとに丸がついたらもう五点。七点くれてもいいというんです。何にもないときにはそれは一点だと。一体、特別活動とか行動の記録とかというものをこういうふうに点数化して、その合計点数をもって公立高等学校に入学させるかさせないかなんということをやったら、私は子供の性格に影響すると言っているんです。  文部省の通達の中身は大変立派でございます。しかし、現実に受けとめている現場の方は今私が申し上げたようになっています。何としてもそこを文部省でよく調査をして、これがよくなればいいんですけれども、子供の性格、行動に全面的にこれが影響して、偽りのある性格が三年間につくられるようになったらこれは大変な問題になってくるんですよ。  だから、私はこの点、文部省の通達というものはなかなか立派にできているんだから、その立派にできているように各都道府県も受け取ったらど うですかということを申し上げているんです。先ほど申し上げませんでしたけれども、東京では既に東京都内の全公立中学校を五段階に区別して、差別してもう既に資料として出回っているんですよ。どこの学校は五、どこの学校は一と。こういうことを進めるようになっちゃったら私は地域の教育なんというのは成り立たなくなると言うんです。  こういうおそれを持っているから今関連をしてお聞きしたわけであります。この問題はなかなか重要でありますので私も関心を持ってこれから見ていきたい、こう思いますから、文部省の意の尽くすところを、気持ちを各都道府県が受け取ってくれるように念入りに御指導、御助言のほどをお願いして、私の質問は時間ですから終わります。  ありがとうございました。
  203. 中尾則幸

    中尾則幸君 中尾でございます。  さて、本日、衆議院の政治改革に関する調査特別委員会で行われましたテレビ朝日前報道局長椿氏の証人喚問問題に関して、報道の自由とは何か、また郵政行政のあり方について御質問いたします。  その前に若干、時間がございませんので、今回の証人喚問について私なりの意見を最初に述べさせていただきたいと思います。  今回の証人喚問は、御存じのように、昭和二十一年の新憲法公布以来、実に四十七年間で初めて公権力が真っ向から報道関係者に直接の関与、介入を行った極めて異例でかつ深刻な出来事と受けとめております。大変残念であり、極めて憂慮すべきことであります。  もとより、椿氏の発言は報道の公平さに対して誤解を招きかねない放言あるいは暴言とも言えるものであります。公共性の信頼を負う民間報道機関の責任者の発言としてはまさしく不適切、不見識なもので、椿氏の責任は私は逃れようもないものと考えます。私もあの発言に対しては憤りさえ覚えるものであります。  しかしながら、一人の報道担当者の発言、しかも民放連が自主的に議論し合う放送番組調査会の趣旨は、申すまでもなく、やらせ事件に端を発して、外部委員も含めて、どうしたら放送が公平に、あるいは活力ある、視聴者のためになる放送をどう目指すかというものでつくられたわけです。言ってみればこれは公的な機関ではありません。非公式の席での発言であります。この非公式の席での発言をとらえ、極めてあいまいな根拠により、かつ十分な調査が明らかにならないまま今回国権の最高機関である国会が報道活動に対して直接的に干渉したことは、表現の自由、報道の自由を保障した憲法の精神を損なう危険をはらんでいると考えます。  私は参議院に籍を置く一人として、国会の二院制の本旨に基づき、憲法遵守のため、衆議院の活動に対してもその本来のチェック機能を今果たすべきだと私は考えます。報道の自由の本旨とは、言うまでもなく報道活動が行政や立法などの公権力から直接的な介入を受けないことを意味しております。すなわち、言論の場の問題はまず言論の場で解決されるというのが私は民主主義の大原則であろうと思っております。国会が国権の最高機関とはいえ、もし立法府が国民から負託された大切な国政調査権を使って、事あるごとに報道機関関係者を呼びつけ、報道活動及びその内容について喚問する事態に立ち至れば、そこに報道の自由などあり得ないと私は考えるのであります。この今回の証人喚問について、私は断じて許されるべきものではないと考えます。時として、政府や国会のあり方を批判する報道の自由はもはや失われてしまうと私は考えます。  さてそこで、郵政大臣に最初にお伺いしたいと思います。これは衆議院の院の決定でございますから答える立場にないといえばそれまででございますけれども、今回の証人喚問については、国民的な議論がなされないままに行われたということについて、憲法の求めている第二十一条の精神からも非常に反すると私は考えます。これについての御所見を例えれば伺いたいと思います。そして同時に、郵政行政、放送行政において表現の自由、報道の自由を今後ともかたく守り抜くべきだと私は思っておりますが、その決意をまずお聞かせ願いたいと思います。
  204. 神崎武法

    国務大臣(神崎武法君) 椿前報道局長の証人喚問につきましては、これは委員会がお決めになったことでございますので、私の方から申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。  報道の自由、放送番組編集の自由につきましては、極めて重要なものであることは当然のことでございまして、その自由を不当に制限することがあってはならぬことは言うまでもございません。
  205. 中尾則幸

    中尾則幸君 さて、引き続いて江川放送行政局長にお尋ねします。  局長は、あるいは局長ばかりじゃなくて郵政省の幹部は、椿氏の発言がある新聞紙上で、これはもう御存じだろうと思いますけれども伝えられて以来、事あるごとに再免許問題を持ち出しておられますね。すなわち、免許を取り上げる可能性もあるということを再三示唆しておられますけれども、これは一体どういうことなんでしょう。
  206. 江川晃正

    政府委員(江川晃正君) どういうことから先生そうおっしゃるのか私わかりませんが、本件につきまして免許を取り上げるかもしれないという言葉を私が使った覚えはございません。たまたま十一月一日が再免許の日でございますから、それを審査するに当たってもこの問題は審査の対象になり得る、こう申し上げたことはあります。
  207. 中尾則幸

    中尾則幸君 そんなこと言ってはだめですよ。十月十三日、産経新聞に載ったその直後、あなたは記者会見でこう言っているんじゃないですか。郵政省としてはこれはちょっと放送法第三条の二の政治的中立に違反するものと考えていると発言しているんじゃないですか。さらに、一定期間停波することもできるとまで言っているじゃないですか。言っていることが違うじゃないですか。今回は、特に十一月一日が民間放送にとっては命とも言うべき再免許の更新の時期なんです。そしてこうも言っている。具体的な調査はこれからだと自分で認めている。調査もせぬままに、いいですか、放送法第三条あるいは、恐らくこのことは電波法の第七十六条の問題を持ち出したんだろうけれども、これは不見識ですよ。答えてくださいよ。
  208. 江川晃正

    政府委員(江川晃正君) 十月十三日の朝刊に出まして、午後三時に郵政省の中で私、緊急記者会見というのを行いましたことはおっしゃるとおりでございます。  その中で何を言ったかといいますと、全部を御存じの中でお考えいただきたいのですが、書かれていることがもし事実であるならば、これは第三条の二に書かれている政治的公平の扱いなどに触れる可能性はあるという疑いがありますということが第一点、したがって我々はそれを調べてみたいということが第二点、そのことを十三日の記者会見では申し上げたところでございます。  質問がありまして、もしそうだとしたらどうなのかという、法律の適用の問題としてそれが事実であったならどうなのかという質問がありましたが、調査をしていないのだから仮定の問題には答えられないと。そうしたらさらに質問がありまして、法律の仕組みの上ではどうなのか、もしこれが本当に違反であるならばどういう法律の適用があるのかということで、法律の条文はこうなっているという仕組みで御説明をしたわけでございます。その説明の中に、第三条の二の政治的公正にもし違反すれば、一つは免許の問題にかかわってくる、もう一つは電波法第七十六条で停波の問題が出てくるという仕組みの話をしたわけでございます。それは求められて答えたわけでございます。私はそれをやると言っているわけではありません。
  209. 中尾則幸

    中尾則幸君 ここで言った言わないでは、これはやっぱり同じことになってしまうから、私はメモを持っておるんですが、一応念のために言っておきます。郵政省としてはこれはちょっと放送法第三条の二の政治的中立に違反するものと考えているというふうに言っているんです。  時間がないですから次の質問に移ります。  もう一度放送行政局長に聞きます。  放送法の規定はあくまでも放送活動を対象にするものであるはずです。もしそこで法律違反の問題を問うならば、今回のいわゆる問題発言と言われている中で法律違反の具体的な事実はありますかどうか、ちょっと聞きたい。
  210. 江川晃正

    政府委員(江川晃正君) まだ調査中でございますから中間で申し上げることはいかがかと思いますが、幾つかの発言がもし本当であるならば、やはり政治的中立、公平の扱いに反するのではないかという言葉が幾つかございます。それは、きょうのほかの院の話をするのは恐縮でございますが、証人喚問の中でも幾つかのワードがとらえられまして質問されております。御本人は、ほかの院の話をして恐縮でございますが、それなりにそのこと自身は認めております。
  211. 中尾則幸

    中尾則幸君 これは質問通告してなかったんですが、実は、今回の発言要旨が手に入ったのがその後でございましたから、これはちょっと事実だけですから聞いていただきたいんですけれども、こういう発言もございました。郵政省の電波関係の幹部が新任のあいさつで私の社に参りまして、その際、自民党がテレビ朝日のニュースステーションはけしからぬと言っている、偏向しているから何とか監督官庁として言わないとだめだというふうに言ってきておりますよ云々、それであきれるばかりでしたとこの椿発言では述べているんです。  私は、少なくとも良識ある自民党がこんなことを言うとは思っておりません。私も調査をしておりません。ただし、この発言をもとにするならば、郵政省の幹部の方が言っておりますこれについては調査しないんですか、するんですか。事実だけ答えてください。
  212. 江川晃正

    政府委員(江川晃正君) むしろ私は椿さんからこれはだれかと聞いてみたいところでございますが、私自身のことを振り返りますと、もしかしたらこれは江川のことを言っているのかなという気はいたします。しかし、今御本人から確認しておりませんから、これは私のことかもしれないと言って返事をするのはおかしいですからおいておきますが、もし私だとしたらば、言っていることが全然違っておりまして、また警告なんかでもありません。機会がありましたらきちっと申し上げさせていただきたいと思います。
  213. 中尾則幸

    中尾則幸君 もう一度確認したい。これについては私も調査しておりません。ですから軽々なことは申し上げません。もう一度確認します。  テレビ朝日に対して放送法に疑義があるととらえていらっしゃいますか。そして、放送法に違反するという事実は、具体的な指示があった、そしてもちろん文書か何かあった、あるいは部内で検討してそうしょう。さらに、放送、オンエアでございますけれども、オンエアに流されたという事実が成立して初めて放送法違反に問われるというふうに私は解釈しております。なぜならば、上位の憲法第二十一条に言論の自由は保障されているのであります。そして、なおかつ時間もありませんから言いますけれども、放送法第三条の四の番組審議機関制度はご存じだろうと思います。この中で、公の機関でチェックできるんです。  私も二十年余り選挙報道を含めてやってまいりました。それほど一部の局長の発言で指令が下るような現実はあり得ません。  局長、それも含めて放送法の違反という事実はどこに置いているか聞きたい。
  214. 江川晃正

    政府委員(江川晃正君) 放送法の違反が成立するための条件としましては、先生おっしゃいましたように、ちょっと言葉を比喩的に申し上げて恐縮ですが、二段階あります。  一つは、今回の事件に即して申し上げますと、報道局長が不公正な立場をとって報道しようと指示をしたという事実。その結果、不公正な放送が番組としてでき上がって放送として流れたという事実。この二つをきちんと把握しなければ放送法違反というふうには断定できません。私たちはその最初の方のステップ、本人が言ったか言わないか、それがどう指示されたかということが一つと、さらに編集し放送されたかどうかということについて偏向があったかどうかというのを調べているところでございまして、今ここでにわかに、だから放送法の違反があったというふうに決めつけているわけではございません。
  215. 中尾則幸

    中尾則幸君 それでは、繰り返しますけれども、放送行政局長ばかりじゃなくて再免許の話はもう再三出ています。十月二十日、これは郵政省の話、それから十月二十一日、郵政事務次官の話も出ております。  ですから、再免許については放送行政局長はどれだけの重みを持っているかはご存じだろうと思うんです。少なくとも、疑わしいから、調査もしていないのに放送法に明らかに違反している事実もないままに、この免許制度のあり方、再免許について私は言及するのはこれは著しく言論の自由を侵すとだけ申し上げておきます。  それから続いて、先ほども触れましたが、今回の放送番組調査会についてお伺いしたいと思います。  これは、あくまでも私的な審議機関でございます。そして、公にするために私のところにも毎月送ってまいります。月報という形で出てまいります。なぜならば、放送の問題を話し合う、内部でいろいろかんかんがくがく。これは、椿発言は言語道断でございますけれども、そのためにスタートした会でございます。そして、今回この外部委員が、こんなふうにチェックされるんであればこの調査会の存在すらもうないということで辞任を考えていると漏らしている委員の方もいらっしゃいます。  これについて、放送行政局長はこの調査会を育てていく考えがあるんですか、ないんですか。
  216. 江川晃正

    政府委員(江川晃正君) この民放連の放送番組調査会は、先生も御案内のとおりかと思いますが、いわゆるやらせが頻発したというと言葉が大きいかもしれませんが、起こりました。それを自主的に規制していこうという意味で民放連の中につくられたものでございます。これは理事会の決定を経た組織でございますから、私たちはそれなりにきちっとした組織だなと承知しております。  そういう本来の目的に沿うよい調査会として育っていただくことは、放送行政局としても郵政省としても大変期待しているところでございます。
  217. 中尾則幸

    中尾則幸君 ここで大臣に伺いたいんですが、郵政大臣はもう御存じのとおり法律の大専門家でございます。  今回のテレビ朝日の前報道局長の発言、これは私も先ほどから申し上げているように局長の発言としては不見識きわまりない、そういうことは再三申し上げております。しかし、それと放送法、今放送行政局長もくしくも認められましたから若干安心はいたしましたけれども、それと憲法、表現の自由、これを守る。私は、現場に二十数年おりましたから選挙報道の難しさ、これは痛いほどわかっております。公正、公平性を保つためにどうするべきか、これは皆さん日夜もう努力しておるんです。そして、各局のいろいろな思いを調査と実績に基づきながらやってきている。  法律をしっかりと今まで研究なされ、司法界の問題をずうっと取り上げてこられた神崎郵政大臣に最後にもう一度伺いたいと思います。
  218. 神崎武法

    国務大臣(神崎武法君) 委員御指摘のとおり、報道の自由、放送番組編集の自由は極めて重要なものでございますし、電波法等の解釈、運用に当たっても厳格に解釈、運用すべきことは言うまでもございません。
  219. 中尾則幸

    中尾則幸君 最後に、行政局長に確認したいんです。再免許が近づいております。再免許の話を持ち出しますか持ち出しませんか。それだけお答えください。
  220. 江川晃正

    政府委員(江川晃正君) 御質問が抽象的なのでよくわかりませんが、再免許の問題を持ち出すか持ち出さないか、どこの場でどういう形で持ち出すか持ち出さないかのお尋ねなのかよくわかりませんので、お答えできません。
  221. 中尾則幸

    中尾則幸君 質問を終わります。  改めてこの問題についてやらさせていただきます。
  222. 村田誠醇

    村田誠醇君 時間がありませんので、ひとつ答弁の方は簡潔によろしくお願いをしたいと思います。  私は、政府専用機のことについて何回か質問をしてまいりました。今回もその件についてお尋ねをしたいと思います。  これは御存じのとおり、総理大臣等の輸送だとか緊急時における在外邦人救出のための輸送だとか、そういう目的のために政府専用機を持とうということでボーイング747-400というのを三百五十九億六千二百万円で二機購入した。これを受けまして、政府専用機検討委員会でこの飛行機をどのように使うのかということを論議したわけでございます。この中には、現在問題になっている緊急時における在外邦人救出のための輸送というものが入っているわけですね、そういうための飛行機としてこれは購入をしたんだと。  ところが、実際に飛行機が来まして、平成三年の十月十八日に政府専用機検討委員会から衣がえをしまして政府専用機委員会というものができ上がった。そのときに、主な検討事項として政府専用機の使用目的に関することというのが検討事項に載っかっているんです。前の政府専用機検討委員会では、在外邦人救出のための輸送というのが四つあるうちの一つとして決定事項となっているのに、新たにまたでき上がった政府専用機検討委員会使用目的に関して再び論議する、検討しているということになっているわけですが、この使用目的に関しての検討はいかなる状況にあるのか、どのような使用目的について使うのか、まず簡単に御説明いただきたいと思います。
  223. 山本正堯

    説明員(山本正堯君) 先生の御指摘でございますが、政府専用機につきましては六十二年の五月に国際社会の状況に対応して導入することを決定したわけでございます。  そのときに、政府専用機検討委員会というものを内閣の中に設けまして、関係省庁、外務省、防衛庁、運輸省それから内閣という四省庁の局長レベルで成ります政府専用機検討委員会を設置いたしまして検討を進めたわけでございます。そのときに、購入に際しまして政府専用機の主な目的といたしまして、総理大臣等の要人の輸送、それから緊急時における在外邦人救出のための輸送、それから海外の災害地域に対する救援物資の緊急輸送等々についての目的を中心としてこの政府専用機の購入を図っていこうということで準備を進めたわけでございます。  それから、政府専用機検討委員会の中で幹事会をつくりまして、具体的にそれじゃどういう機種をどういう目的に使うのか、それから安全性あるいは支援体制をどうするのかというような点について、幹事会さらに検討委員会で検討をいたしまして、先生先ほどおっしゃいましたように平成三年の十月十八日でございますが、政府専用機検討委員会平成四年の四月から政府専用機を防衛庁に所管がえをして具体的に運航を始めようということ。  それから、政府専用機の使用目的、具体的に検討してまいりました結果、使用目的が今申し上げましたような総理大臣等の要人の輸送のほかに、必要に応じまして在外邦人の救出のための輸送でございますとか、国際緊急援助活動実施のための輸送でございますとか、あるいは国際平和協力業務実施のための輸送でございますとか等について使用するという目的を決めたわけでございます。これに基づきまして、平和協力業務の関係につきましては既に実施をいたしておりますし、要人の輸送の関係についても既に実施をさせていただいているところでございます。
  224. 村田誠醇

    村田誠醇君 経過はわかりますので、別に言っていただかなくてもいいんです。  そこで、委員会の構成は防衛庁、外務省、運輸省でやって、内閣官房が庶務をやる、こういうことになっているわけですね。そうしますと、緊急時における在外邦人救出のための輸送をする、そのための飛行機を政府が持った。持ったにもかかわらず使用目的が限定されている飛行機を防衛庁に所管がえすることによって、一番重要な在外邦人の救出の輸送ということがぽっくり落ちちゃったわけですね。だから、今法律改正しようかどうしようかという問題が出てきているわけでしょう。  だから本来的に、この政府専用機の目的を達成するのであれば、防衛庁が飛行の運航や管理をすることは、これは専門技術なんだからしょうがないとしても、こういう在外邦人救出の事務、あるいは仕事というんですか、職務の所管は防衛庁の本来の業務じゃないわけですよ。むしろ外務省なり運輸省なり内閣官房が行う、そのためのただ単なる飛行機という手段でしかすぎないわけですね。だから、所管は今言いましたように外務省なり運輸省なりに持っていってもおかしくないと思うんですよ。それなのに、この検討委員会ではこの業務を全部防衛庁に移管している、機体だけじゃなくて事務も。ただし、使用目的についてはこの政府専用機委員会でもって枠をかけられちゃってますよと。だから、防衛庁としてはまあ預かった荷物は大事に扱っていますけれども、防衛庁長官の意向で勝手にこれは使えないような機種になっちゃっている。  そういうふうに考えますと、一体ここの検討委員会でこれらの業務を遂行するために、何ゆえに防衛庁にこの事務をやらせなければいけないのか、論議されたと思うんですけれども、その論議のこれは経過について、余り長々やらないでくださいね、時間がないんで。簡潔に要点だけひとつ説明をしていただけませんでしょうか。
  225. 山本正堯

    説明員(山本正堯君) 今の御質問でございますけれども、六十二年から検討委員会の下の幹事会におきまして管理、運用体制について数回にわたりまして検討を重ねてまいったわけでございます。  使用目的につきましても、それぞれの使用目的についてどういう機種が必要か、どういう場合に管理、どういう場合に運航させるのかというようなことについても検討してきたわけでございます。  さらに、運航体制につきましてどこの省庁が、どこの部局が所管するのが一番適切であるか、合理的であるかという点についても検討してまいったわけでございまして、全体として政府専用機を管理し運用するのは防衛庁が適切である、その業務について防衛庁がおやりになるのが適切であるという結論を得まして、移管をさせていただいたという次第でございます。
  226. 村田誠醇

    村田誠醇君 だから私は、飛行機の管理、維持、そのことを防衛庁がやることはいいと言っているんです。  外務省の設置令を見ても、第四条の外務省の所掌事務の九項に、「海外における邦人の生命、身体及び財産の保護に関すること。」というのが外務省の任務の中に入っているんですよ。災害であろうが戦災であろうが、海外にいる日本人の生命、財産を守ることは第一義的には外務省の仕事ですよ。実際にその現場から人を、日本人を連れてくる、邦人を連れて帰ってくるというのは、飛行機はそれは使わなきゃいけない。常時外務省が持っている必要は何にもないけれども、それは防衛庁が管理していればいいわけです。こういう事務が起こったときに何ゆえに防衛庁が出ていかなければいけないのか。本来、昔で言えば防衛庁が在外邦人の救出なんといって行くときは、もう戦争状態か騒乱状態で出ていくのが当たり前の話ですよ。  しかし、今度論議になっているのは平和時に出ていく、あるいは非常に生命、財産に緊急の事態が起こっているから政府の専用機を飛ばして、これに乗せて帰ってくる。この事務をするのに、防衛庁の設置令やその他で、なぜ外務省にこのB747型-400の飛行機を業務移管して飛ばせることができないのか。自衛隊法を改正しなければ何ゆえに飛ばせられないのか。  これは、自衛隊法を読んでみればわかるわけで すね。自衛隊法の百条に、自衛隊で本来の業務以外にできる業務としてずっと幾つか列記してありますよ。南極観測も出ています。中には運動会に対する協力まできちんと書いてある。だから、この項目が書いてないから今の自衛隊では飛行機を飛ばせない。つまり、表現は悪いですけれども、あした何か問題が起こって、緊急時にこの飛行機を在外邦人の救出のために飛ばそうとしても今の法体系、防衛庁の管理のもとでは飛べないんですね。飛べないんだろうと思うんですよ。  それだったら、飛べない飛行機を飛ばすにはどうしたらいいのかと言えば、もう一度総理府にこの飛行機を所管がえするか、外務省に所管がえするか、防衛庁から所管がえすればこの飛行機は飛んでいけるわけでしょう。自衛隊のパイロットをその間兼任でもって動かしてもらえばいいと思うんですが、その辺の論議も含めて一体内閣官房ではどのような論議がされて、どうしても防衛庁でなきゃいけないのか、飛行機の整備とか運航は、これは自衛隊がやるのは当たり前の話。だけど、この飛行機をどのように使うのかということの業務決定は防衛庁の専管事項じゃないはずですよ。その点についてはどのようにお考えなのか、お聞きをしたいと思います。
  227. 山本正堯

    説明員(山本正堯君) 今の御質問で、邦人の保護については外務省ではないかという御質問等もございました。邦人の保護については、確かに外務省設置法で外務省の所掌事務というふうにされております。  ただ、邦人の保護のための、救出のための輸送ということになりますと、これはまた業務の範囲が違うんじゃないか、こういうことであろうかと思います。例えば、自衛隊法で百条の五で国賓の輸送ということ、あるいは百条の七で国際平和協力業務の実施ということで国際平和協力隊の実施業務がございます。あるいは国賓の輸送ということで総理大臣が外遊されるというようなときの実施がございます。そういうようなことにつきましては、自衛隊の飛行機で輸送するという業務につきましては自衛隊の所掌事務として自衛隊法を改正していただいて、そちらの業務とさせていただいていると、こういうことでございます。  したがいまして、私どもの政府専用機検討委員会で目的それから使用基準等について検討させていただいたわけでございますけれども、政府専用機が大変大型の機能、管理、運用であるということで専門的な技術基盤が必要だ、あるいは組織、体制としていろんな支援体制が必要である、要員の確保が必要である。こういうようなことで、全体の管理、運用を長期的かつ効率的にやるためにはどうしてもそういうことを専門的に整備し得る体制として防衛庁が適切じゃないかということで防衛庁さんに運用、管理をお願いし、それに対する輸送の関係の業務を防衛庁さんにお願いするということで、私ども政府専用機検討委員会として決定し四月一日からやらせていただいておると、こういうことでございます。
  228. 村田誠醇

    村田誠醇君 午前中の守住議員の質問の中にもありましたね。今まで九件、こういう事態が起こったときにいずれも民間機でお願いをした、民間の航空会社にお願いをした。そういうことがあったから、外務省の所掌事務の中には書いてあるけれども、それを実施するための手段、手だてがなかったから政府専用機を買おうじゃないかということで、もちろん黒字減らしということも一つあって購入したわけでしょう。  だから、手段を持ったんですから、外務省がそれを使うことも、あるいは運輸省が自分たちで飛ばすということも多分できるんだと思うんですね。それを、今の自衛隊が管理しております747-400が緊急時に外務省なり運輸省なりに所管がえをして、パイロットを今まで総務庁に出向させて兼任させていたように、短期間だけ出向させて、この飛行機を邦人救出のために飛ばすことは可能なのかどうか、まず総理府にお聞きをしたい。  それと、もう一つは防衛庁にお聞きしたい。それじゃ、短期間の間だけ、緊急時の在外邦人の救出が一年間も続くなんということは当然考えられないわけです。もちろん後方支援の部分もありますけれども、とりあえず乗員が飛んでいく、飛行機、パイロットを含めて飛んでいく、こういう業務のために兼務として、一応自衛隊の今までの任務を一部解除して、防衛庁なり外務省なりの指揮命令のもとにある程度の人間を派遣したときに、防衛庁の本来の目的、国土を防衛するという目的の達成に重大な支障を来すのかどうか。短期間だけ出ていって、この業務に従事し終わったらまた自衛隊の職に復帰してくるというこのやり方をしたときに防衛庁として重大な支障を来すのかどうか、この二点をお聞きをしたいと思います。
  229. 山本正堯

    説明員(山本正堯君) 最初の御質問でございますけれども、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように政府全体といたしまして大型機の管理、運用というものは大変専門技術的な問題である、あるいは要員の確保も大変効率的にやらにゃいかぬという観点から、防衛庁に一元的に管理、運用をしていただくということでございまして、必要な関係省庁、例えば外務省でございますとか、総理が行かれますときには内閣でございますとか、あるいは国際平和協力本部関係でございましたら国際平和協力本部でございますとか、そういう依頼省庁、必要な省庁が防衛庁に依頼をいたしまして防衛庁がその全体の運航を行う、こういう制度にさせていただいておるところでございます。  したがいまして、例えば総理府なり外務省に一時所管がえをしてそちらの方で運用をやらせたらどうだ、こういう御質問でございますけれども、政府全体といたしまして、例えば総理府の方に所管がえをしてやるということになりますと、それに対する要員あるいは支援体制、あるいはいろんなそれに伴うもろもろの必要な事務が出てまいります。そういうことを考えますと、全体といたしまして防衛庁の方で一元的に運用、管理をやっていただいて、関係省庁が、依頼するところが依頼の手続をとってやっていくというのが一番合理的ではないかということで私どもは考えさせていただいているところでございます。
  230. 中西啓介

    国務大臣(中西啓介君) ただいまの防衛庁の本来任務に支障を来すのか来さないのかという御質問でございますが、国の防衛をしなければならぬという崇高な任務にもし支障を来すという判断をされた場合には飛行機は当然飛ばせないわけでございますから、御指摘のような場面というものはあり得ないのではないのかな、そんなふうに考えております。  それから、防衛庁に政府の判断で管理、運用を委託されたわけでございます。もうその経緯は今お答えをしたところでございますけれども、やっぱりいろいろな技術的基盤と同様に、さっき課長が言いましたように後方支援といいますか、運航上相手国の飛行場と連絡をとったりとか、あるいは通信機だとか機体そのものの整備だとか、後ろでやる部分も極めて重要なんだろうと思っております。そういう能力を持っているところといいますと、政府部内を眺めてみても断じて防衛庁以外にないというところから防衛庁にひとつという話になったんだろうと思っております。  一回か二回の話なら防衛庁の職員が兼務をしてということもあるいは可能かもしれませんが、朝、守住先生のお話にありましたようにこういうエマージェンシーというのはいつ何とき起こるかもしれない。そういう危機管理に備えるというのは政治の果たすべき非常に大きな役割というか部分なんだろうと思っております。そういういつ何とき起こらないとも限らないことに備えていかなければならないわけでありますから、半永久的にやっぱり心構えというか任務というか、そういう意識を持って対応していく必要がありますから、防衛庁に移管を、所属がえをされた飛行機を今のままでは飛ばせないから何とぞひとつ自衛隊法の改正をお願い申し上げたいということで私はお願いをいたしているわけでございます。
  231. 村田誠醇

    村田誠醇君 時間がありませんので、午前中の質疑の中でも長官は747-400以外にもC1 30も考慮しているというような御説明だったんですよね。私が念頭に置いて質問しているのは、747―400を言っているんです。ですから、この飛行機を使ったからといって自衛隊の本来の業務に重大な支障を来すなんということは考えられないと思うんですよね。  これは、もともと幾つかの前提条件に基づいた飛行機なんですから、防衛の目的のために買った飛行機ではないはずなんですね。だから、ほかの自衛隊機とちょっと性質がこれは違うんだろう。だから、この飛行機だけを念頭に置いて私は質問しているわけで、自衛隊機一般をこういうふうにして使えばいいじゃないかとかということを言っているわけじゃないんで、そのことはまず頭の中に入れておいて、時間がありませんので、またこ論議をするところがあるんだろうと思いますので、一応五時半を目途に終わるということを言っていましたので、次の質問に移らさせていただきます。  それで、今問題になっているゼネコンの疑惑の件についてお尋ねをしたい。  ほとんどのところが、ゼネコンでつくられたお金を、ゼネコンがつくり上げた裏金といいましょうか、不正なお金をだれに使ったかということにいろいろ論議がされているわけでございますが、私は、逮捕されたそれぞれのゼネコンの幹部が証言をしている中身を、報道されているものを見てみますと、架空発注をして捻出をしたとかあるいは資材費を水増しをして裏金を捻出した、こういうことを説明しているところが幾つかあるわけでございますけれども、もしこの幹部の証言が正しいんであれば税法上重要な問題が出てくる。税法上の使途不明金として処理されていたものとはちょっと意味が違って、裏金として処理されていたということになると、税法上の脱税行為、脱法行為が明らかに行われたんではないか。  法人税や所得税に関してはなかなか個々の企業の計算ですから難しい問題があると思うんですけれども、消費税の計算については、これらの架空発注や資材費の水増しが本当に行われて裏金が捻出されたんだと仮定するならこの消費税の申告については重大な疑義があると思うんですけれども、一体この辺の事実関係や判断については国税庁はどのような見解をお持ちなのか、お尋ねをしたいと思います。
  232. 藤村英樹

    政府委員(藤村英樹君) お答えいたします。  まず、委員の方から大手ゼネコンの裏金づくりについてのお尋ねと、それから後半部分では消費税の問題でございますが、順番にお答えいたします。  私ども国税当局といたしましては、常に納税者の適正な課税を実現するという観点に立ちまして、あらゆる機会を通じて有効な資料、情報の収集に努めてまいっております。その結果、課税上問題があると認められる場合におきましては、実地調査を行うなどによりまして適正な課税に努めているところでございます。そうした意味におきまして、御指摘のような件に係りますいろいろな情報についても、現在大きな関心を持って見ているところでございます。  一般論といたしまして、御指摘のような外注費の架空計上等が事実である場合におきましては、税務当局としてはその誤りを是正するなど適切に対処することとしております。なお、これによって法人サイドで捻出された資金の使途につきましても、徹底した調査を行うことといたしております。  それから、消費税の方について疑義があるという先生のお尋ねでございますが、私ども、現在、法人税、消費税につきまして同時調査ということを基本にやっております。したがいまして、法人税調査に入った場合も、消費税についても売り上げ、仕入れ両面についてチェックをしているところでございまして、特に使途不明金との関係で消費税の取り扱いという点で申し上げますと、特に消費税の仕入れ税額控除の点が問題になろうかと思います。  現在、私ども、この消費税の仕入れ税額控除をするためには、一つは取引先、課税仕入れの年月日あるいは課税仕入れの内容、さらには課税仕入れの金額等々、所要の事項が記載された帳簿あるいは請求書等を保存しておく必要があるわけでありますが、こういうことにつきまして、使途不明金として事業者が交際費、機密費等の名義をもって支出した金銭につきましてその使途が明らかにされてないものにつきましては、今申し上げたような要件を満たしていないということになりますので、いわゆる仕入れ税額控除は認めないということで課税扱いにしているところでございます。
  233. 村田誠醇

    村田誠醇君 検察当局は、贈収賄として立証できるものとかあるいはその他の法律に違反したものを確定はできるけれども、裏金として全部捻出した金が犯罪、犯罪といいましょうか、案件で立証できなければ、たとえ何十億円裏金でつくっていましても、捜査当局からすればその一部分しか関心の対象に僕はないんだろうと思うんですよ、立件できない以上は。  しかし、税務当局としてはそういうわけにはいかないはずなんですね。あくまでも、裏金をつくった方法、それからいつからいつまでやっていたのか、そして総金額は幾らやったのかということは完全に把握する必要があるし、その把握した数字がどこに使われたかを立証しなきゃいけないんですね。もしその立証ができなければ、中小企業なんかはどうやられているかといえば、中小事業主の社長さん個人の収入とみなして課税されている。この事実から、税務当局の態度からすれば、もし今言った裏金づくりの方法とか期間とか総金額が確定し、なおかつ、出口がある程度解明されたけれども、どうしてもわからない部分が出てきた場合には、この裏金を管理していた代表権を持った副社長もしくは会長個人の所得とみなして課税する方針、これは中小企業は全部そういうふうにやられているわけですけれども、従来どおり厳しく対応するということをなさるおつもりかというのはおかしいですね、中小企業と同じに扱うのかどうか、まず一点。  それから、これらの捻出の仕方は、当然協力をする関係企業もしくは関係者がいない限り、一社じゃできないシステムでございます。当然裏金づくりに協力をした関係会社、個人の金額が税務当局の調査によって確定され次第、税務行政の信頼性を確保するために公表して社会的に制裁を加えることが必要だと思うんです。やみからやみに、税務当局が直しましたと言われてもわからないわけでございますので、税務行政の信頼性を確保するためにも公表すべきだと思うんですけれども、そのことについてお聞きをして、時間が来ましたので、答弁を受けて終わりたいと思います。
  234. 藤村英樹

    政府委員(藤村英樹君) 二点ほどお尋ねがございましたが、まず最初の中小法人と大法人との取り扱いの関係でございますが、使途不明金に対する取り扱いにつきましては、私ども、大企業であれ中小企業であれ全く同一でございまして、例えば調査の結果、今先生から御指摘ありましたように、使途不明金が施設法人の役員に帰属したというような場合、これは私ども認定賞与と称しておりますけれども、こうした場合には大企業、中小企業にかかわらず、ひとしく役員賞与として課税することにいたしております。これは一例で申し上げました。  なお、後段の解明結果について公表すべきではないかという御指摘でございますが、先生も御案内かと存じますけれども、私ども税務職員につきましては、法人税法等の規定によりまして国家公務員法よりも重い守秘義務というものが課されているところでございます。この趣旨につきましては、現在とられております申告納税制度のもとにおきまして、税務の執行を円滑に行うためには納税者の信頼と協力を得ることが何よりも必要でありまして、もし私ども税務職員が職務上知り得た納税者等の秘密を漏らすということになりますと納税者と国税当局との信頼関係が損なわれまして、ひいてはこの申告納税制度を基本とする私どもの税務行政の運営に重大な支障を来すことにもなりかねないということなどによるものでござい ます。  したがいまして、個々の納税者の調査あるいは申告状況などにつきましては、まことに恐縮ではございますが、答弁を差し控えさせていただいているという状況にあるわけでございます。
  235. 三上隆雄

    委員長三上隆雄君) 他に御発言もないようですから、本日の審査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時三十九分散会