○石川弘君 実は、前の
予算委員会で私当時の宮澤総理に御
質問したときに、一つはガットはそう
いうぐあいに片方でドンケル・ペーパーが出でどんどん走っていたんですが、むしろそれから後から来たNAFTAがこの
環境問題でつまずいて、つまずいてというのはおかしいですが、それを抜きにしては通らぬということになりまして、八月の十三日でございますか、NAFTAは
環境問題、労働問題、それからセーフガード問題の三つの補完条約を入れてようやくその合意が見られた。要するにこの
環境問題を抜きにして北米自由貿易協定は成り立たぬという姿勢でやったわけですよ。
そのときは例のワックスマン決議みたいなものが動議になってだんだんやったんですけれ
ども、私はそういう意味で、北米協定で
環境条項が補足的に入るのであれば、本当ならばウルグアイ・ラウンドだってこの
環境問題をもっと大きな形で取り上げてもらわなきゃ困ると思っているんです。
今度お出かけになる二日前の十七日がこのNAFTAのアメリカにおける採決の時期でございますから、それがどうなるかということを見守らなきゃいかぬかと思いますけれ
ども、私は、今や貿易問題を単に自由な
経済のやりとりということだけでは、これはアメリカがNAFTAでこういうものを入れろと言ったのは、非常に
環境条件の違うようなところと競争し合うことがいかにおかしいかということを彼らみずからが気がついてそういうことを入れているわけですから、私はこの問題は実はぜひ考えてもらわなきゃいかぬと思っております。
そこで、今度はそれじゃガットはそういうことをやっていると言いますけれ
ども、さっき言いましたように、ドンケル・ペーパーの中にはまだまだこんなところは入りてないです。ドンケル・ペーパーの中で
環境のことを言っていると強いて言えば、公的備蓄をして、要するに自分の国が人から買ったものを備蓄しているのの金は削減補助金に入れないとか、国内
環境施策に使った金は削減対象に入れないといった程度のことなんです。
したがって、私は根っこからやり直すのが本当だと幾ら思ってももう現にこれだけ走っているものをもとへ戻せませんと言うのであれば、それならばなおさら我々がかねがね主張している問題、これは御承知のように森林とか農地というのは
環境の
保全にどんなに役立つかとこの
環境基本法にも書いてあります。ですから、そういう観点から我々が、総理も含めて今まで主張してきた主張は決して何か日本一国が特別のことを言っているというんじゃなしに、むしろある意味では私は先見的な
考え方だとでも言えるぐらいの主張だと思っているわけです。
ぜひそういう意味で、私はきょうは
環境中心で
お話ししますのでそんなにあちこち話題が飛べませんけれ
ども、御承知のように今のガットのラウンドの
考え方は穀物その他みんな余っているという大前提ですね。これは総理も御承知で、余っているから輸出補助金を残すんです。余っているから効率の悪い国の農業をやめさせようとしているわけですね。しかし、そんなことが本当にその国々の農業、
環境ということにどういう影響を与えているかということをもっと真剣に考えるならば、私は日本の今までの主張をもっと膨らませても実はいいんじゃないかとさえ思っています。
しかし、総理も
国会でいろんな御
答弁の中で、従来の
考え方に従って
行動なさるということを聞いておりますので、私はここではちょっと二つだけ別の角度で総理に伺っておきたいと思うんです。一つは、これまた中間報告が出ました。中間報告が出たとき私は夕刊を全部見ましたけれ
ども、あの中間報告が出たときの副題は全部米
検討の対象としか書いてないんですな。それは役人流に言えば、国家貿易品目九品目の中に米が入っていることは事実だから、それはそういうことで別表に載せたという説明かもしれませんが、座長さんのお話を聞いても、あるいは各種のジャーナリズムでの
評価を見ましても、これは自由化の一歩じゃないか式の
理解、あるいはそういうことが大変多く書かれておりました。
総理は今度十九日、これのことを言うとおかしいですが中間報告を携えてカナダの方にお出かけというふうなことも新聞に出ておりますけれ
ども、国家貿易品目九品目の中の米として例示したということでも
経済的な規制は原則自由なんだというのが前に書いてあることも事実なんです。ですから、とり方次第では今私が言ったような懸念は決して懸念ではないという気持ちもします。それが一点です。
もう一点は、実は
国会決議の取り扱いにつきましていろんな論議がありました。党利党略というようなお話もありました。しかし、先ほど述べましたような私の
考え方から言いますと、別にそんなに遠慮しなきゃいかぬことではないというのが私の持論です、それはいろんな
考え方はありましょうけれ
ども。私はそういう持論からいうと、実は総理がかねがね
国会でお答えになっているのを今度は勉強のために全部拾って読んでみました。
八月の二十五日の
衆議院本会議以来、私はつい最近のところまではわかりませんけれ
ども二十数回お答えになっています。総理からお答えしていただくのがいいんでしょうが、時間が余りありませんから、大体四つのことをおっしゃっていらっしゃると思うんです。
ラウンドの早期終結に向けて
努力するというのが一点ですね。それから、
我が国の農業が将来にわたって安心してできるような魅力のあるようなそういう
環境づくりをしていこうというお話。三番目は、これは各国みんないろんな困難な問題を抱えているんだから、お互い
努力せにゃだめなんだというお話。それから、米についてはその
重要性にかんがみ、
国会決議の
趣旨を体し国内産で自給するという基本方針のもとで
対処をする。大体この四つ。その日によって何か
質問者のぐあいで少し数が少ない場合もありますけれ
ども、私はこの四つだと思うんです。
今申し上げましたラウンドについての
考え方を頭に置いてみますと、先ほどの中間報告に書かれた米の取り扱いの話、それからこの決議をするかしないかということでいろんな報道をされた、そういうことを頭に置いて、全国の農業者、いろんな意味で悩んでいらっしゃる方が多いと思いますが、私は私なりにそう
理解しているんです。総理のおっしゃったこの言葉で
理解しているんですが、何か新聞に出たからどうこうという意味じゃなくて、今私が申し上げました中間報告に書かれた問題、それから、かねがね総理がおっしゃっておりましたこのウルグアイ・ラウンドについての総理のお考え、これは私が今申し上げたようなことでよろしゅうございましょうか。