○有働正治君 ところが、このブナ林の破壊が今日進行して多くの、
国民だけではありません、
自然環境団体も極めて憂慮している事態であります。特に近年、いろいろなこれまでの諸条件に加えまして、リゾート開発の過程の中でその破壊が進行しようとしています。
仙台市近郊のブナ林の伐採等々の関連で仙台市民の飲料水にも影響しかねない事態で、幾度か大きな深刻な影を落としつつあります。
最近の研究によりますと、この、全国の水源ダムや河川で大きな問題になっています河川の濁りにつきまして、ウォッシュロードと呼ばれる微粒子によるものという指摘がなされています。なかなかこれは沈殿しない。したがって、川の流れの中で非常に大きな影響を長期的に及ぼすという事態のようであります。
京都大学の芦田和男教授によりますと、河床材料中に有意に存在しない微細な粒径
範囲の土砂であって、十ミクロン程度以下の微細成分は最近各地で注目されている貯水池の濁水問題に
関係し、水
環境の
立場からその挙動は重要であると、こういう指摘もなされています。
この
水質汚濁の原因となるウォッシュロードというのは、山肌がいわば裸になっているという裸地斜面でつくられて、林道工事や乱伐によってそれが加速されている
状況であります。自然につくり出された裸地とは別に人為的につくり出された裸地、それが拡大されるという事態であります。
例えば宮城県の
調査では、自然の裸地斜面が〇・二%、十七ヘクタールにすぎなかったのに、林道による人為的な裸地斜面が三、四倍もつくり出され、その上、山腹カットによる裸地化したのり面の面積を加えますと、大変な裸地化が営林署の手によって進められていると、こういうふうに指摘されています。さらに、林道以外の作業道やブルドーザー集材による裸地化の
促進、ブナ伐採による林冠喪失に伴う地表被覆の喪失と浸食、風化が加わりまして水の濁りを広げているという事態であります。
一例を具体的に申しますと、大倉ダム上流の横川流域の上流部で現在ブナが相当に切り尽くされて、林道は荒れほうだいであります。一方、大倉川流域について見ますと、百十三杯班の上手あるいは百二十九林班、源流部の百三十一林班などで大雨の降る都度表土が流出し続けています。本来禁止されているはずの押し出し工法による山腹カットの土砂の
投棄が数年前に百三十一林班等でも見られ、林道によってカットされました山腹ののり面、路肩崩壊が毎年繰り返され、その土砂が沢に
投棄されて事態を深刻化している。この記録の写真も撮ってあります。
そういう点で、ブナ林破壊、それからそれらにまつわる
水質汚濁の上で林野庁の責任は重大でありますし、
環境庁としての対応も求められていると考えるわけであります。
そこで、まず
環境庁にお尋ねします。水道水源を汚染するゴルフ場などの農薬だとかその他汚染物質につきましては、不十分ながらも一定の
規制があります。しかし、この上水道水源のダム、下流河川汚濁の原因になっていますウォッシュロードを発生させるものに対する
規制というものが余り考慮されていないという事態にあると私は考えるわけであります。その点で
環境庁として、水
環境保全の
立場からこのウォッシュロードとのかかわりでこうした問題、新たな対応が求められていると私は考えるわけであります。そういう点で積極的に対応すべきであるし、必要な検討、提言、対策等が求められているというふうに考えるわけでありますが、この点どう対応されようとしているのか、
お答えください。