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1993-12-07 第128回国会 衆議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十二月七日(火曜日)     午後四時十分開議 出席委員   委員長 山口 鶴男君    理事 衛藤征士郎君 理事 越智 通雄君    理事 野中 広務君 理事 深谷 隆司君    理事 後藤  茂君 理事 中西 績介君    理事 杉山 憲夫君 理事 井出 正一君    理事 草川 昭三君       伊藤 公介君    江藤 隆美君       小澤  潔君    鹿野 道彦君       後藤田正晴君    近藤 鉄雄君       志賀  節君    島村 宜伸君       高鳥  修君    東家 嘉幸君       中山 太郎君    萩山 教嚴君       村田敬次郎君    村山 達雄君       柳沢 伯夫君    若林 正俊君       綿貫 民輔君    伊東 秀子君       坂上 富男君    鉢呂 吉雄君       細川 律夫君    三野 優美君       加藤 六月君    工藤堅太郎君       笹山 登生君    月原 茂皓君       山本 幸三君  五十嵐ふみひこ君       石井 紘基君    鮫島 宗明君       長浜 博行君    石井 啓一君       河上 覃雄君    谷口 隆義君       二見 伸明君    高木 義明君       中野 寛成君    松本 善明君       山原健二郎君  出席国務大臣        内閣総理大臣  細川 護煕君        法 務 大 臣 三ケ月 章君        外 務 大 臣 羽田  孜君        大 蔵 大 臣 藤井 裕久君        文 部 大 臣 赤松 良子君        厚 生 大 臣 大内 啓伍君        農林水産大臣  畑 英次郎君        通商産業大臣  熊谷  弘君        運 輸 大 臣 伊藤  茂君        郵 政 大 臣 神崎 武法君        労 働 大 臣 坂口  力君        建 設 大 臣 五十嵐広三君        自 治 大 臣        国家公安委員会 佐藤 観樹君        委員長        国 務 大 臣 武村 正義君        (内閣官房長官)        国 務 大 臣 石田幸四郎君        (総務庁長官)        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長 上原 康助君        官)        (国土庁長官)        国 務 大 臣 愛知 和男君        (防衛庁長官)        国 務 大 臣        (経済企画庁長 久保田真苗君        官)        国 務 大 臣        (科学技術庁長 江田 五月君        官)        国 務 大 臣 広中和歌子君        (環境庁長官)        国 務 大 臣 山花 貞夫君  出席政府委員        内閣官房内閣内        政審議室長        兼内閣総理大臣 藤井  威君        官房内政審議室        長        内閣法制局長官 大出 峻郎君        内閣法制局第一 津野  修君        部長        防衛庁参事官  萩  次郎君        防衛庁経理局長 秋山 昌廣君        防衛施設庁建設 森本 直孝君        部長        防衛施設庁労務 小澤  毅君        部長        経済企画庁調査 土志田征一君        局長        国土庁長官官房 藤原 和人君        長        国土庁土地局長 原  隆之君        外務省経済局長 小倉 和夫君        外務省条約局長 丹波  實君        大蔵大臣官房総 田波 耕治君        務審議官        大蔵省主計局長 篠沢 恭助君        大蔵省主税局長 小川  是君        文部大臣官房長 吉田  茂君        文部省高等教育 遠山 敦子君        局長        厚生大臣官房総 佐々木典夫君        務審議官        厚生省保健医療 谷  修一君        局長        農林水産大臣官 上野 博史君        房長        農林水産省経済 眞鍋 武紀君        局長        農林水産省農蚕 高橋 政行君        園芸局長        食糧庁長官   鶴岡 俊彦君        通商産業省産業 内藤 正久君        政策局長        中小企業庁長官 長田 英機君        郵政省電気通信 松野 春樹君        局長        労働大臣官房長 征矢 紀臣君        労働省職業安定        局長      七瀬 時雄君 委員外出席者        予算委員会調査 堀口 一郎君        室長     ————————————— 委員の異動 十二月七日  辞任         補欠選任   中島 武敏君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     矢島 恒夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成五年度一般会計補正予算(第2号)  平成五年度特別会計補正予算(特第2号)  平成五年度政府関係機関補正予算(機第2号)      ————◇—————
  2. 山口鶴男

    山口委員長 これより会議を開きます。  平成五年度一般会計補正予算(第2号)、平成五年度特別会計補正予算(特第2号)、平成五年度政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柳沢伯夫君
  3. 柳沢伯夫

    柳沢委員 本日はひとつさわやかな政策論争でまいりたい、このように思う次第であります。  最初に、それにいたしましても一言ちょっと触れたいと思うのは、議院内閣制の運営についての細川総理の御見解でございます。これは具体的に申しますれば、中西防衛庁長官が突如辞任をされて、愛知和男先生がその後任に就任された。この件に関してなんですけれども、私は、総理は、これは総理御就任が決定された後だったかとも思うのですけれども、テレビで偶然お見かけいたしたのでございますが、自分政治姿勢としてこれからは国民の方を向いて政治をしていきたい、こういうことをおっしゃっておられました。  私はそれはそれで、レトリックと申しましょうか、あるいは精神的な姿勢と申しましょうかこれといたしましては十分理解ができるわけでありますけれども、しかし憲法の定めるところによりますと、我々のこの今の政治制度と申しますのは、申すまでもなく議院内閣制という制度によっているわけでありまして、そういう観点から、内閣は第一義的に国会に対して責任を負っている、こういうことを明記いたしておるわけでございます。  その観点から、私は今回の中西長官辞任と、そして一夜を明けて全く違う方がその長官のおいすにおかけになっていらっしゃる。これは愛知先生も、我々かつての同僚で、お人柄、御見識は十分承知いたしておるわけでございますので、これについてどうこう申し上げるものではありませんけれども、それにしても一夜大臣の顔が、そこに座っていらっしゃる大臣の顔が、全く違った人がいる。  しかもそれは補正予算、これは私調べてみましたのですが、防衛庁も単なる事務経費の増減をしているわけではありません、武器の調達等々についてもちゃんと計上をいたしておるわけでございます。そういう、この予算審議の真っただ中で大臣辞任された、そしてそれを、一夜にして首のすげかえをなさった。これはいささか私は、議会に対して、憲法の定める、内閣国会に対して責任を負うという文言に照らして果たしていかがなものか。率直な私の感じを言うと、随分失礼なんじゃないかなとすら私は思ったのであります。御見解をお示しいただければ幸いであります。
  4. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 内閣国会に対して責任を負う、それはもうまさにおっしゃるとおりでございまして、議院内閣制のもとでのあり方の最も基本的なところであると思っておりますが、先般の中西長官辞任につきましては、御承知のとおり、委員会の混乱を招く不適切な発言がございましたし、そうした観点から、この際辞任をしたい旨の申し出がなされて、私もその辞任を受理させていただいたところでございまして、そのこと自体が国会に対して、私は、今まさにおっしゃったとおり、責任をとるという姿勢のあらわれであるというふうにお受けとめをいただきたい、そのように考える次第でございます。
  5. 柳沢伯夫

    柳沢委員 総理のおっしゃることもわからぬではありません。しかし、総理、我々が今審議している防衛庁補正予算というのは、これは中西長官が恐らく心血を注いでおつくりになられたものだと思うのです。これを、まさにその答弁等に当たる責任立場に立つ大臣一夜にしてかわってしまうということでは、これは総理が日ごろからおっしゃっている、議院内閣制のもとにおいても大臣の主体性、自主性リーダーシップ、こういうものをできるだけ尊重していこう、これは現に連立与党の中でもいろいろな御議論があるようですね。私は、大変実は、陰ながらですけれども共感をしている者の一人なのです。つまり、自民党の政権時代、余りにも党の方が強くなってしまって、ほとんど大臣は、こうやってお並びになって御答弁に当たるのだけれども、それは実質的にはほとんど党が決めてしまったこと、いわばアナウンサーの役にすぎない、これはやや行き過ぎなのではないかこういうことを思って反省していた人間なのです。  その意味で、大臣が主体的に、本当に行政の責任者として、所掌事務心血を注いで政治的なリーダーシップを発揮される、この姿にいささかでも戻っていこうという姿勢皆さんの御論議の中に見受けられるので、私は、重ねて申しますが、大変共感をいたしておったのです。政策役人任せ与党任せ、実は、皆さんの中でも、ずっとこの国会論議を聞いておって、今与党で何かを御論議いただいておりますからというようなことをいとも安直におっしゃる大臣方がいらっしゃるのですよ。私は、いかなる気概を持って大臣の職に臨んでいらっしゃるか、甚だ疑問だと思ったことも少なからずあったのであります。  そういう意味で、私は、この、大臣なんてだれでもいいというようなことは——真っ先細川総理が志されるドゴール大統領、このドゴール大統領は何でやめられたか。議院内閣制というか大統領制ですけれども与党議員がいろんなことをつべこべ言う、このことに嫌気が差して彼は引退してしまったということも、総理、ああいうことをおっしゃって、ドゴール大統領の足跡というものを恐らくいろいろと丹念にお調べだろうと思うのです。そのドゴール大統領を目指される細川総理にあってみれば、少なくともこの予算審議の問くらいは兼任されたらいかがだったのですか、防衛庁長官を。すぐに人をかえる。そこにいささかも中西長官に対するれんびんの情すらない。おまえなんてどうだっていいんだ、すぐに間に合うやつはいるんだ、これはいささか去った大臣に対しても失礼なんじゃないかとすら私は思った。  お答えをいただきたいと思います。
  6. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 中西大臣も、みずからの信念に基づいてあのような御発言をなすったわけでございましょうが、今まで防衛庁長官としてその所掌事務にみずからのリーダーシップを振るってこられた、役人任せにするのではなくて、リーダーシップを振るってこられた、私はそのように受けとめておりました。  しかし、残念ながら先般あのような事態が起こって、私が兼務したらどうかというお話もございましたが、しかし今、御承知のように予算編成の大事な時期をこれから迎えているわけでございますし、このような時期に、一日も早くやはりその所管大臣を置いて問題の処理に当たっていただくということは、これはまた、もう一方の考え方からいたしますと必要なことではないかというのが私の判断でございました。そういうことで、できる限り速やかにということで後任愛知大臣を任命をさせていただいたところでございます。
  7. 柳沢伯夫

    柳沢委員 まあ、御答弁を求めるとすれば総理としてはそういうお答えになるということも理解しないわけではありませんけれども、私が申し上げた、大臣がその所掌事務について本当に主体的、自主的にリーダーシップを発揮されなければならない、このことはここではっきりと御確認をさせていただきたいと思います。
  8. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 全くおっしゃるとおりでございます。
  9. 柳沢伯夫

    柳沢委員 ガット農業交渉について、幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  きのうまでに準備してきた質問が皆没になりまして、と申しますのは、事情が一変いたしました。  ドゥニーアクセス委員会議長調停案なるものが入手されたということで、調整案でございますか、これが我が党の方にも政府側からもたらされたということでございまして、私の質問もおのずからそれを前提にしてさせていただくということに相なるわけでありますが、ドゥニー議長裁定案というものが本来どういう正規手続で、いつどういうタイミングで我々交渉参加国にもたらされるかということについては、今日までのこの場での議論でもスケジュール等についてはわからないから明かせられないという御趣旨で御答弁がございました関係上、我々、これを知ることができなかったわけであります。  このドゥニーさんの調整案なるものが、これはどうしてこう突然出てきたのか。これはガットの内部の正規手続として交渉参加国にもたらされたものなのか。どうもそうでないような話も聞きますので、まず、この調整案なるものがもたらされた経緯について御説明をお願いいたしたいと思います。羽田外務大臣でしょうか。
  10. 羽田孜

    羽田国務大臣 ただいま御指摘のございましたドゥニさんからの話は、現場で今、もう御案内のとおり、ずっとぎりぎりの交渉というものが続けられておったわけでありますが、そういう中で、遠藤大使ですかがドゥニさんと会い、そのときに実は提示されたということでございまして、まあともかく、皆様方の意思というものをここまでともかく自分たちとしては入れ込んで調整したいということでございます。そういうことで、私どもといたしまして、外交経路を通じながら外務省の方に入り、そして今御報告を総理のところに申し上げたということであります。
  11. 柳沢伯夫

    柳沢委員 そういういわば非公式など申しましょうか、交渉一つプロセス、それも事実上のプロセスと言っていいかと思うんですが、そういう中でもたらされたものだといたしましたら、この調整案なるものについて、我々はどういう形でこれを論議したらよろしいのか。  なおこれについていろいろと我々は物申す立場にあるのか、あるいはほとんどイエスノーかを尋ねられているのかというその位置づけがいまいちわからない、そういう感じもいたします。時間的な余裕があるということを考えますならば、なおまだこれを、まあいわば単なる、交渉の相手方がこれでどうだといういわば提案として受けとめることにすべきなのか、あるいは今申したようにオール・オア・ナッシングという立場に立たされているのか、その点はいかがなんでございましょうか。
  12. 羽田孜

    羽田国務大臣 これは、遠藤大使といいますか、私ども交渉者に対して提示されたということでありまして、これはもう先ほど申し上げましたように、柳沢議員もそうでありましたけれども、今日まで何回もいろんな形で相当私ども考え方は先方に伝えられております。そういう考え方を踏まえ、私ども現場担当者たちが同様の考え方を言い込みながらやってきたところです。そういう中で、十五日を今迎えるという段階で、いよいよぎりぎりのものとして提案されたというふうに私たちはやはり重く受けとめるべきであろうというふうに私は理解いたしております。
  13. 柳沢伯夫

    柳沢委員 羽田大臣おっしゃられるとおり、実は我々も政府の、ともに政府与党のメンバーであったときには一緒に苦労をしてきたわけでございます。そういう意味で、この調整案についても感慨なきにしもあらずと言いたいところでありますけれども、我々が政権を握っていた当時何とか実現しようとして努力していたものと必ずしも一致しておるわけでもない、そういうことでありまして、以下端的に三点ちょっとまとめてお尋ねいたします。時間の節約上でございますが、三点まとめてお尋ねいたします。  第一点は、仮にこの調整案を、今羽田大臣がおっしゃられたとおりぎりぎりのものとして、私の言うところでは、いわばイエスノーかというものとして受けとめるといたしました場合に、この期間中、六年間ということでございますが、平和条項と申すべきでしょうか、この間についてはこのことについていろいろとお互いに物申さない、さらにこれ以上のことを国境措置としてやってくれたらどうかというようなことについてまた新たに問題を提起して、そしてそれが満足な答えが得られないならば報復措置だといったような、そういった紛争を起こすようなことは一切言わないんだというようなことについてはどうなっておるんだろうか。  それから第二点は、六年後のルールについて、我が国の立場は一体どういうものであろうか。報道機関が盛んにきょう言っているところでは、政府側はこれはもう全く白紙で、六年後改めてこの話をすることができるんだというふうにおっしゃっておられるようですが、この政府側からもたらされた「調整案骨子」というぺーパー文言について見ますと、必ずしもそう読めない。「六年間関税化を実施しないことが出来る」、つまり、いわば恩恵というか特権というか、そういうものとしてどうも、これはまあ法文ではありませんから何とも言えないのでありますが、そういうニュアンスを我々はこの日本語からは読み取るわけであります。そうだとすると、六年以後については、もうこれは言うまでもなく関税化義務を裏側で負っているんだ、このように読み取れるというのが私の解釈なのでありますが、この点はいかがでしょうか。  第三点は、八%というのがミニマムアクセス最終年度における輸入義務量ということになっておるようでありますけれども、これは、ここにあります基準期間、八六年から八八年の消費量を基礎に算定いたしますれば、一体何トンになるのでありましょうか。  この三点につきまして御答弁をお願い申し上げます。
  14. 羽田孜

    羽田国務大臣 一部、本当は農林水産大臣かもしれませんけれども、私ども承知しておる範囲で申し上げたいと思います。  まさに六年間、これは新たな提起がないということ、これは単なる二国間交渉ではないということでありまして、私どもはこれはまさに平和条項といいますか、この間はこれをどうこうするということは一切あり得ないということであります。  それから二番目につきましては、これは七年目以降も継続するか否かについては、実施期間終了一年前、ですから五年たった時点ですね、一年前にレビューにおいて交渉されるということでございまして、これはまさに白紙の中で私どもは新たに交渉するということであるということを申し上げたいと思います。  それから、四%から八%という中の最終年度というのは、一応私どもはこの今の数字の中で四%というのは四十万トン、八%というのは八十万トンというふうに理解をいたしておるということであります。
  15. 柳沢伯夫

    柳沢委員 第一の点について、外務大臣はあり得ないというな言葉で、いわば御託宣をされたわけでありますが、私が聞いているのは、羽田外務大臣のそういうな言葉ではなくて、交渉上、何らかの取り決めという裏づけを持ってそういうことが確保されているかという点であります。  それから、白紙の中で新たに交渉できるというお言葉がありましたけれども、今私が指摘申し上げましたとおり、「実施しないことが出来る」、恐らく、英語でどういうふうに言っているのでしょうか、ビー・クオリファイト・ツーぐらいの話じゃないかこう推測するのですが、この点は本当にいかがになっているのか。これもまた外務大臣御託宣だけで満足するわけにはいかない。  それから、四十万トンから八十万トンということでありますけれども、これは八六年ないし八八年の本当の、真実の消費量が一千万トンということになっているのかどうかこの点、もう一度、簡潔に確認させてください。
  16. 畑英次郎

    畑国務大臣 最近の実質的なやりとりの中にございましては、一千万トンというものを前提としたやりとりが行われておりましたが、基準の正確な数字はこれからきちっと決めていかなければならないという段階に入ろうかというふうに考えますが、我が方としましては、この問題は、けさああいうものが出された、さような意味合いでの今文言解釈に取り組んでおる、こういうことでございます。
  17. 小倉和夫

    小倉政府委員 先生の言われましたので第一点でございますが、これは、もしこの調停案というものが一つの合意ということで、仮に日本がそういったものをのんで、国際的なウルグアイ・ラウンドの約束一つになるということになりますれば、いわゆる包括関税化の原則というものの例外ということになりますので、それは全体として一つ国際約束ということになると思われますので、すなわち日本がやることが違法性を問われる、ガット違反を問われるということは、そうしたものの中においてはない。そういう意味におきましては、先生のおっしゃる平和条項と申しますか、ガット違法性というものは阻却されるということになると思います。  ただ、もちろんそういった場合に、いろいろな意味でほかのガット加盟国日本のそういった事柄の運用について、いろいろ協議したいとか、そういうことはあり得ると思いますが、違法性というものは阻却される、そういうふうに考えております。
  18. 柳沢伯夫

    柳沢委員 もう一つの点はどうなの、この「実施しないことが出来る」。
  19. 小倉和夫

    小倉政府委員 御質問趣旨は、六年後に包括関税化を「実施しないことが出来る」という意味をお訪ねになったというふうに理解しておりますが、それは、この今の調停案骨子から見ます限りにおきましては、その五年後のレビューにおきまする再交渉によってその後どうなるかということがあくまで決まる、そのように考えております。
  20. 柳沢伯夫

    柳沢委員 羽田外務大臣のおっしゃった八十万トンというのは、まあおおむね一千万トンということで、今現在においてはそう厳密に計算しているのではない、こういうお話がありましたのですが、私はそこに、今回交渉に向けられた大臣姿勢感じざるを得ないのですよ、正直申して。  と申しますのは、もし八十万トンということになりますと、今世界のお米の輸出入の中で輸入国最大量にほぼ匹敵してしまう。いきなり日本最大輸入国になるわけであります。イランが一九九二年に百万トン入れたことがありますが、ほとんどは、八、九十万トンというのはもうトップワンかつーの国なんです。今まで何も入れなかった日本が、いきなりそういうことになるということについて、どういうお感じを持っておられたのか。  また、仮にダンケルさんの当初案のような五%の場合ということになると、我々はどういうことを想定していたかというと、ああこれは四十五万トンの他用途利用米にほぼ匹敵するのかな、こういう感じを我々持ってダンケル提案を読んだりしていたのですよ。そういう立場に立つ我々からいたしますと、この八十万トンの意味をその程度にしかお受け取りにならない、私はやはり満足するわけにはまいらないんです。  加えて、まあきょうのこの八%というのが義務量だということを私は簡単に申し上げたのですが、このあたりのことについては、恐らく同僚保利委員が、明日になりますでしょうか、きちっと御答弁を求めますので、あえて私はきょうはここで尋ねませんけれども、問題はそこなんですね。  私がなぜ中西防衛庁長官の話をしたかというと、私は今回の交渉を見ておりまして、我々が野に下りまして、皆さん方が政権を担って、そして日本国民のためにあるいは日本の農家、農民のためにこの最終段階の厳しい交渉に当たられた、そのときのいわば誠実さと申しましょうか、そういうことを私はあえてここで問題にいたしたいんです。  大臣にお尋ねいたしますけれども、我々は、ECとアメリカの大臣方が何回も何回もひざを突き合わせて何時間も夜を徹するばかりに長い交渉に当たった、この姿をテレビで何回も見ました。韓国の農務長官は、いよいよ我々の番だと言って、もうちょっと間に合わないんじゃないかと思ったのですが、それでも現場に駆けつけられました。この姿を我々は報道で接していて、日本大臣は一体何なさっているのだろうか。この予算委員会で、ぎりぎりの交渉をしている。私と交渉するのじゃないのですよ。我々と交渉するのじゃないのですよ。ぎりぎりと交渉するのは、現場に行かなきゃできないんじゃないですか。  皆さん、これで我々はベストを尽くしましたと言われて、信じる国民がおりますか。我々の要求が一〇〇%通るんならば、私はそういう態度もあり得たと思いますよ。通らないんですよ。我々だって、総理も何回もおっしゃったように、交渉に臨んだ以上無傷ではあり得ない、どういう傷を負う程度でおさめるか、心血を注ぐんですよ。それが大臣たる者の冒頭私が挙げた主体性であり、自主性であるべきなんでしょう。私はほとんど理解不能ですね、最後のこの段階交渉態度については。八十万トンについての痛みなんて、何も深刻に考えてないじゃないですか。いや、畑大臣、いいですよ、まだ。御答弁求めません、まだ求めない。  私は大臣に具体的にお尋ねしますけれども、カンター代表とは、いっ、どこで、何時間お話し在さりましたか。エスピー農務長官とは、日本に来た以外に、いつ、どこで、何時間、この問題について真剣な話し合いをなさったのか、お答えいただきたいと思います。
  21. 畑英次郎

    畑国務大臣 ひとつ御理解を願いたいことは、いわゆる私ども交渉という段階前提としましては、やはり国会決議といいますものを踏まえて、その基本姿勢というものを踏まえての取り組みというような意味合いにおきましては、終始それを軸としての交渉ということであるわけでございますから、我が方からその基本的な姿勢に反するような具体的なやりとり交渉、そしてまた取引ということはあり得ないという前提の中での取り組みであるということも、この辺はひとつ御理解を願いたいがというふうに考えるわけでございます。  そういう中にございまして、エスピー農務長官につきましては、御指摘がございましたとおり、まあいわば半日以上日本の国内において話し合いをさせていただいた。カンター氏とは私自身はお目にかかってはおりません。  何といっても、この問題は、ガットそのものがいわゆるまとお役の立場でもって具体的なアクションを起こす段階に入っておるというような意味合いの中で、御案内のとおり、先般参りましてジュネーブで、あるいはまたシュタイヘン農業担当委員にもお目にかからせていただいて、従来のことをさらに念押しをさせていただいた、国会決議といいますものを重ねて主張をさせていただいた、こういうことであるわけでございます。
  22. 柳沢伯夫

    柳沢委員 畑大臣、こう申してはなんですが、初めてこの問題について携わるようなそういう議員に対してのお答えであれば、まあそれでも通るかもしれませんよ。しかし、私は、事務当局の人たちが本当に懸命な努力をしたということについて、これはもう連続して、我々の時代と同じような考えで取り組んだというのも百も承知しているのです。  しかし、私が問題にしているのは、大臣たるものの行動なんです。政治家としての行動なんです。自分交渉しよう、自分の主張を通そうというときに、エスピー長官日本に表敬に来たときに何時間会ったか知りませんけれども、そんなことは問題にならぬでしょう。自分の主張が通らないと思ったら、矢も盾もたまらない気持ちで現地に乗り込んでいくのが普通の人間でしょう。自民党の時代、いろいろな誤りがあったかもしれない。農産物の貿易でいろいろな妥協を強いられた。しかし、例外なく大臣は、飛んでいって現地で交渉に当たったんですよ。やはり国民は見ているじゃないですか。これで、もうこれがオール・オア・ナッシングだ、いいところに来た、これで我々はこれを受け入れるべきだ。国民は、細川内閣あるいは畑農水大臣が本当に全力を挙げていい交渉結果を得るために努力をしたのか、信ずるでしょうか。私は、まあここで何人の人に聞いても、ほとんど信じる人はいない。何をなさっていたんですか。なぜ現地に飛ばなかったんですか。だって、オール・オア・ナッシングだと言ったじゃないですか。  それは、まあ我々の同僚で、あの寒風の中で国会の玄関で座り込んだ議員もおります。これは、やはりもうちょっと私は誠実であっていただきたい。ですから、幾らぎりぎりの交渉をしたといっても、我々は信じない。
  23. 畑英次郎

    畑国務大臣 今回のいわゆる調停案骨子につきましては、私はやはり、先ほど外務大臣からもお話がございましたとおり、長年にわたります関係者のずっとこの国会決議を踏まえた一つの変わることのない物の考え方、基本的姿勢をずっと粘り強く主張をしていただいた、その成果としてのいささかの反映がなされておるというように受けとめさせていただいているわけでございまして、我が方としましては、終始一貫、基本的な姿勢といいますものを従来から堅持する中の取り組みであったということについての特殊性も、これまた御理解を願いたいと思うわけであります。
  24. 柳沢伯夫

    柳沢委員 この点で、私は、実はきのう、到底この御答弁では満足できない。私は無理難題なんて絶対言いません。そんなつもりはない。十人の人に、百人の人に、千人の人に、私の言っていることが正しいのかどうか、こういうことを常に反すうしながら私は質問をしていただいています。  私は、本当にこれであれだけ我々が苦労したガット・ウルグアイ・ラウンドが終結するということでは、泣くに泣けない気持ちでいます。それは、今の御答弁で、今まで長くやってきて、国会決議を何回も言ってきた、それは言われましたよ、我々も行ったときには。ダンケルなんて、もう何回その話聞いたかわからぬ、もう嫌になる、はっきり言われました。しかし、そのことと最終的にこういうことの収束の段階で努力をすべきということとは別の話だ、このように私は思いますよ。  細川総理、いかがでしょうか。内閣の最高責任者として、一九八六年から延長戦三年、合計七年にわたったこの長い交渉、この最後の段階大臣現場に何にも臨まずに我々はこの調整案をのむに至る。のみたいと言っているんでしょう。いわばパフォーマンスというか、相当できる細川総理じゃないですか。私はパフォーマンスすることを言っているわけじゃないんですよ。しかし、政治家にはおのずと心の中からにじみ出てくる姿勢というものがあるべきだと思っているんですよ。その意味で、本当にこの最終段階細川内閣が取り仕切られるわけですけれども、私の今までの話についてどういう御感想をお持ちでしょうか。
  25. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 おっしゃるような気持ちで私ども交渉に取り組んできたつもりでございます。七年余りにわたりましての交渉の積み上げを踏まえて、この最終的な局面におきましても、担当大臣はそれぞれに事務当局を督励をしかがら、みずからやはり陣頭に立って、現場には行かれなかったかもしれませんが、みずから陣頭指揮してぎりぎりの交渉に当たってこられた、そのことは、今相当程度の我が国としての主張は取り入れられたという話もございましたが、その結果として出てきている、そのように私は受けとめているところでございます。
  26. 柳沢伯夫

    柳沢委員 だから私は冒頭、事務当局を督励してと、それは実は本当の意味議院内閣制のあり方ではないんではないかということで中西防衛庁長官の話を総理にお尋ね申し上げたんですよ。ここへ来て、事務当局に指揮監督してやらせたからそれで満足してください、これはやっぱりなかなか満足できないですね。  そういうことであるとすると、国会決議との問題はより深刻になるんですよ。ベストを尽くした、本当のベストを尽くしたということであれば、それは私はある程度その責任を問われるということについてもそれなりの配慮があるだろうと思うんです。しかし、そうでなかった、少なくともないように我々には見えるということになったら、この責任はいやが上にも増さざるを得ないですよ。これは畑大臣だって御存じだと思いますよ。前の田名部農水大臣ともいつも話していましたけれども、辞表をポケットに入れているんだよと言っていました。我々も内閣一つつぶれちゃうかもしれぬなと思って、そのくらいのいわば深刻な気持ちを持ってこの交渉に当たっておりました。もしこの今回の結果をこのままのまれるとする場合に、細川内閣責任と申しましょうか、総理はこれについてどういう御感想をお持ちでしょうか。
  27. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 国会決議との関係についてのお尋ねでございますが、この点につきましてはいろいろ解釈もあろうと思いますが、国内自給という方針の原則はおおむね貫かれているというふうに思いますし、国会決議の精神に沿ったものであるというふうに私は認識をいたしております。
  28. 柳沢伯夫

    柳沢委員 そうだとすると、細川総理がそうおっしゃられるのは、私、ある意味で納得できるんですよ。なぜ納得するか。それは細川総理日本新党の「政策要綱」、これにそのことが書いてあるんですね。部分開放の問題、書いてあるんですよ。  だから私は、こういうことを言っていらっしゃるその党の首領が内閣総理大臣ということになれば、その翻訳は当然相手方に伝わっているわけだから、これは相手方にとっては随分くみしやすいことになるのかなとすら、これは邪推をいたしておりました。我々は相当やってきましたからね。そういうことで急転直下何かが変わるとも思いたくないなと片一方では思っておりましたけれども、しかし、やはりそういう、まあ現在は情報化の世の中でございますから、したがって、細川総理のこの御自身の日本新党の「政策要綱」ですか、ここにそういうことが書いてあるんですね。「多角的自由貿易体制の維持によって最大利益を得る我が国は、ウルグアイ・ラウンド交渉をぜひとも成功させねばならず、コメの部分自由化を含む農産物の市場開放は不可避である。」これが日本新党の「政策要綱」であります。  その立場からしますと、今言ったように、国会決議には反しない、こう言ったのですが、ならば、なぜ今日ここに至るまで、この委員会の席上でも何回ともなくミニマムアクセスも困るんだということを表明されたんでしょうか。それはとりもなおさず国会決議を守らんがための主張として、日本国がただいま交渉場裏において主張しているという説明として出てきたものではなかったんでしょうか。今までの御発言とただいまの総理発言とは、およそこれは木で竹を接いたような話になりはしないでしょうか。  じゃ何のために交渉したんでしょうか。ミニマムアクセスをできるだけしたくないと言って今まで五年間何のために頑張ってきたというんでしょうか。国会決議の自給方針、これを貫くためにはそのことが必要だという基本的な考え方に立ってそのことを主張してきたのではないでしょうか。だったら、ミニマムアクセスを受け入れて、その後、いや、これは国会決議に何にも抵触するものではないということだったら、何のために我々は苦労してきたというのでしょうか。もう一度御答弁をお願い申し上げます。
  29. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 この問題につきましては、もちろん選挙前に各党のそれぞれの固有の政策というものがございましたし、私ども日本新党におきましてもその政策というものを訴えてきたところでございますが、その後、連立を組むに当たりまして、八党の合意というものを締結をいたしました。合意をいたしました。  今回の件が、先ほどお話しの国会決議なりあるいはこの八党の合意にも反するのではないか、こういうことであろうと思いますが、先ほど申し上げましたように、この両方の趣旨を体して私どもとしては最大限頑張ってきたということでございます。今回の調整案につきましては、多国間の利害を調整してまとめられるものでございますから、我が国の主張を完全に一〇〇%満足させられるような取りまとめをすることはできなかったということかもしれませんが、それはなかなかまた多国間の交渉の中で難しいということは御理解をいただけることとおもいますが、我が国の主張をできる限り反映をさせるということで努力をしてまいりました結果、この国会決議なり八党合意の趣旨なりあるいは精神に沿うように努力をした結果として、相当程度それは反映をされている、そのように考えております。
  30. 柳沢伯夫

    柳沢委員 まあ押し問答になるわけですけれども総理がおっしゃったようにできるだけの努力をしたということであれば、これはいろいろ国際交渉でもあるしということでお言葉を解する、できないわけではないこれは何回も言っているんですね、言っているんです。しかし、私が冒頭やや感情的な言葉を使ったかもしれませんけれども、余りにもひどいではないですかと。担当の大臣交渉現場に一度も行かない、相手の交渉者とも会ったこともない、それでこの七年間の交渉を終結させ、しかもそれは、国際交渉で無傷ではあり得ないとは言い条、日本の主張が一〇〇%通ったのではないということ、そういうことが事実として出てきたときに、責任はないんだと言うことは、私はやはりこれは通らない話だという気がいたします。  この後の質疑は、いろいろ議院運営委員会の問題であるとか、あるいは後で後質疑なされる我々の同僚議員との間で、さらに政治的な角、度法律的総度、条約面の角度から等々いろいろな面からあるいは農政面の角度、これが最も重要でありますけれども論議をされると思いますので、私はもうこれ以上は申しません。  あと、残されたわずかの時間でありますけれども、いささか今回の補正予算のことについて御質疑をさせていただきます。時間が短うございますので、大変恐縮ですが、答弁は端的にお願いしたいんです。  大蔵大臣にお尋ねいたしますが、現在の不況というか景況でございますけれども、これはどういうところにあらわれておると思われますでしょうか。  通常の言葉で言うと恐らく不況の原因というようなことになるかもしれませんが、原因だとさかのぼっていきますから、不況がどういう形をとって今日本の経済の中であらわれているか。これは後に、それに対してどういう政策のアロケーションをしていくのがベストと考えるかということに話を展開していきたいと思いますので、そういう意味でお尋ねして、お答えいただきたいと思います。
  31. 藤井裕久

    藤井国務大臣 簡単に申し上げますが、私は、前政権時代に、在庫サイクル的に一つの転機を迎えだというのは、あれは正しかったと思うんですよ。一つの在庫サイクルとしては動き出していた。ところが、冷夏・長雨、円高というものでこのサイクルがつぶされた、これが一つだと思うんですね。  しかし、サイクルだけで物は解決しないというのが今回の不況の特徴だと思うんです。したがいまして、それは何かといえば構造問題だと思います。その構造問題の中には当然のことながら資産インフレ時代のものがありましょう。そしてさらに、資産インフレよりももっと前から積み上げられた構造もありましょう。そういうものだと思っておりますから、対策を今言っては先走ってしまいますが、いわゆるサイクルをおさえる意味で下支えは絶対にやらなければならない、下支えをやる中において構造問題に取り組んでいかなければならないというのが私の考えでございます。
  32. 柳沢伯夫

    柳沢委員 本当はこれ、随分時間を使って私議論したかったところなんです。ともすれば、構造問題あるいは構造的な対応とか、構造という言葉をよくお使いになるんですよ。  私、法制局に尋ねたんです、構造って一体何だと。各種の法制上、構造という言葉はどういうように使われているんだと言ったら、これは実は決まっていないんだという答えで、私もちょっとあきれたんですが、決まっていないながら、各種の法律に、先般の通産省提案の中小企業のリストラ法案ですかあれについてもその言葉が使われておったわけですね。私はこういう定義もないような言葉をいともやすやす使うということに議論の混乱があると思っています。  私は、ここははっきり、需要のサイド、ディマンドサイドでどういう問題が起こっているか、供給のサイド、サプライサイドでどういう問題が起こっているか、あるいはそういうフローの問題ではなくてストック面でどういう問題が起こっているか、こういうように問題を整理して、分けて考えないと、もちろん経済のことで相互に絡み合っている問題でございますから、なかなかそれだけでは万能の解決の方法が見出せないことは申すまでもありませんが、どういう政策に重点を置くべきかということについて間違っちゃうんですよ、そこのところをきれいに整理してかからないと。  そういう意味で申し上げるのですが、私なりに経済を観察してまいりまして、やはり一番大きなのは、今大臣は在庫循環というようなことをおっしゃられましたけれども、その在庫もやはり資本財について起こったんですね。これを称してストック調整というように世の中で言った向きが多かったわけであります。  それから、その後出てきたのは、需要サイドでは円高の問題ですよ。円高でやはり輸出ということがうまくいかなくなった。これが私は端的に言ってディマンドサイドの問題である、こういうふうにとらえております。  それから、サプライサイドでは、やはり企業収益の悪化、例えば設備投資が行き過ぎてしまった、それからまた人手不足になるぞという声がかかったものだからちょっと余分な人まで雇用してしまった、こういうことで損益分岐点が上昇してしまった。このために、売り上げが下がってきたら、これはいや応なく企業収益は悪化しますよね。こういう企業収益の悪化の問題がサプライサイドではある。  それからさらに、これは技術革新の停滞というのですか、小難しく言えばコンドラチェフの波がどうのこうのというあの議論でございますけれども、そういったことがひょっとしてあるんじゃないかという論をする者もある、こういうことですね。これが供給サイドの問題。  以上がフローの面の問題なんですが、それからストック面の問題として、さっき大臣も御指摘になった資産デフレの問題があるんですよね。  そういうことを考えたときに、若干前でございましたけれども、ある論者が、今度の不況の原因と申しますかあらわれ方のウエートというのは、やはりディマンドサイドのストック調整の面が八割方か、それでストック面の本来の資産面の、資産デフレの影響が二割方かというような論をしておったのは、これはちょっと前でございますけれども、見たことがあるんです。ですから、こういうもののウエートを考えてみなきゃいけない、私はそう思っているんです。  そういう観点からあえて申させていただきますと、私は、現在の細川内閣の経済政策、特に今回の補正予算にあらわれた経済政策を見ておりますと、細川内閣がスタートをしたときに改革ということを大変強く言った。ついに経済まで経済改革になっちゃった。こういうようなことがありまして、経済改革ということになると、これはすぐれて、さっき構造的云々ということを言ったんですが、ディマンドのサイドじゃなくて、供給サイドないしはストックのサイド、こういうことになるわけですが、そういうことのために、かけ声をかけたために、改革という言葉にいわば自縄自縛になって、ある意味で言うと、自分らが知らずにディマンドサイドに対する、需要のサイドに対する事柄の大きさというものをやや軽視する嫌いがあるんじゃないか。  私は、あえて言うと、今度の補正予算というのは、細川総理が例の国連総会に行くときに、クリントン大統領に会うぞ、早くしなきゃというような、そういうやや拙速的な面が私はあったと思うんですが、公共事業は簡単に一兆円、地方単独事業五千億円というようなことで、いわばミニマムアクセスじゃありませんけれども、ミニマムアマウントを需要政策としてはとりあえず乗っけておく、そういうような感じが私はするんですよ。  大臣も、この予算委員会の部屋で聞いていますと、非常に事があるたびに、需要の面での政策はきかないと言う。きかないのはこれはどうしてかというと、需要の面で起こっていることがストック調整だからなんですよ。みんなが設備投資をし過ぎた、あるいは家計で言えば消費財を買い過ぎた。耐用年数が長いんだから、通常のいろいろな食品だとかなんとかの在庫調整に比べれば、それは需要のいろいろな政策を打ったってなかなかきいてこないというのは当たり前のことなんですよ。しかし、それじゃやらなくていいのかというと、違うんです。不況の大半のものはそこから来ているわけですから、やはり需要の下支えのための、今おっしゃったようなそういう需要の政策というのには、これは本気になって取り組まないとだめなんですよ。お答えいただきたいと思います。短くお願いします。
  33. 藤井裕久

    藤井国務大臣 私は、今、柳沢委員が言われているとおりだと思っているのですよ。一つの面で言いますと、公共投資とか住宅建設は非常に政策効果が上がっていい水準にあるわけですね。ところが、建設資材が全然動かないんですね。私は値上がりするのがいいとは何も思っていませんが、現実に値上がりしないのです。私の過去の経験から言うと、このくらい公共投資とか住宅が動いできますと建設資材が動いてくるんですね。ところが動いていない。それは何だというと、今の柳沢委員お話なんだと思います。民間のいわゆる需要というものが動き出した、ディマンドがですね、それがストックの問題だ。私はその認識は全く同じです。全く同じですが、さっき需要政策がきかないと言ったのではなく、限界があるということを言っているわけです。しかし、同時に下支えをしなければならないんだから、これはしっかりやらなければならないという意味においてはお説のとおりだと思っております。
  34. 柳沢伯夫

    柳沢委員 我々のストック調整においては、今私が申し上げたとおり、企業の設備投資と家計の耐久消費財、こういうものについては過剰があったのですが、幸いにして家計の住居、住宅投資ですね、それからまた社会資本、この二つのストックについてはまだ過剰感がない。だからこれをやるわけでしょう。それはそれでいいわけですが、どうもそのところが、今度のこの補正予算あたりではまあとりあえず一兆円だ。正直言って、九月段階補正予算を組む、今度秋口に補正予算を組めば、これはもう税収の見積もりを完璧に近くやらなきゃいけない、そういうことで編成がおくれることは私もわかるのです。  これは実は、どうしてこんなに自信がない税収見積もりになったかというのには、三月決算の法人の税収を当該年度の税収にしたというあの悔やまれてならない措置が影響をしておるということはお互い承知をしているところですけれども、いずれにしても、そういうことで税収見積もり上の時期というものを我々は非常に制約要因として受けておりますから、これはそれでいいのですが、ならば、なぜああいうときに拙速で一兆円でございますというような公共投資を積んで、そしてこれが今日に至って、余り時間がないんであれですけれども、十一月の三十日、十月の鉱工業生産の指数が対前月比で五・一%ダウン、これはまあ前から見込まれたことだとは言い条、これは正直言って大変なショックを与えたわけですよ。それなるがゆえに、完全にこれは二番底のおそれあり、雇用調整に突っ込んじゃうんじゃないかという懸念をみんなが持ったのです。  総理、十一月の三十日のあの鉱工業生産のダウンというのはそういう意味を持っていたとみんな思っているんですよ、経済界の人は。それにもかかわらず、この十二月の段階で我々が審議するものが、九月段階補正予算と何にも変わらないものをやっているということについては、やはり我々はこれを到底看過するわけにはいかぬということですよ。私はもう時間がないんで余りこれ、本当にこの議論を正直言って徹底的にやりたいんですよ。  それから、私、もう最後ですからちょっと一言だけ言いますが、公共投資の生活者優先あるいは規制緩和というようなことをおっしゃっている。規制緩和というものの目的は何ですか。これも議論したいんですよ。  その中の大変大きな意味合いに、特に今言ったような円高によって、あるいは競争力が云々されるようになってきた、あるいは企業の収益が悪化しているというようなことの中で、藤井大臣、空ぞうきんを絞ってももう生産性を向上させ、コストダウンをすることができないんだ。だから、生産現場以外のところでコストダウンの要因になるようなことをやりましょうよというのが規制緩和の一つの目的ですね。つまり、これは生産者の、サプライサイドの問題なんですね。それにもかかわらず、このコストダウンの重要さを規制緩和という局面では認めながら、公共投資には生活重視一本やり。  私の関係してきた農業関係の投資で言えば、そこらじゅうに集落排水を張りめぐらすんだ。農家だって便所さえつくってもらえばいいってもんじゃないですよ。今こういうガット・ウルグアイ・ラウンドの結果を踏まえて、一番やらなきゃならないのは農業の生産性の向上じゃないですか。農業のコストダウンじゃないですか。だとしたら、なぜ財政審なんかを使って、農業基盤投資についてはCランクでございます、全く矛盾しているじゃないですか。公共投資の生活者重視と、皆さんがやろうとしている規制緩和の方向とは正反対ですよ。何を考えてやっているんだ。  こういう議論を私はたくさんたくさんしたいんですよ。だけど、もう私の持ち時間がなくなりましたから、最後にこの御答弁だけお願いします。
  35. 藤井裕久

    藤井国務大臣 まず、この予算で云々という話がありましたが、九月十六日対策の中に、例えば、住宅を見ていただければわかるように、当初予算で五十五が補正で六十だと、そして第二次でそれを七十にして、十万乗せているんですね、そういうこともやっています。  それから、最後の柳沢委員の御指摘ですが、私どもとしては公共投資が全部悪いとは一言も言っていないんですね。今何を、限られた期間に、限られた財源でやらなければならないかというときには、本格的に実施できていなかった生活開運のものを充実しようということである。  同時に、農業基盤整備のようなものについては、新農政にマッチするようなものについてはやはり重点的に取り上げる、こういう趣旨であるということをお答えさしていただきたいと思います。
  36. 柳沢伯夫

    柳沢委員 論議をしたいことはいっぱいありますけれども、時間が参りましたので、きょうはここで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  37. 山口鶴男

    山口委員長 これにて柳沢君の質疑は保留分を除いて終了いたしました。  次に、山原健二郎君。
  38. 山原健二郎

    ○山原委員 最初に、細川首相と佐川問題につきましては明日時間をいただくことにしまして、まず、米の問題について質問をいたします。  米問題は重大な局面を迎えています。しかも、きょうの新聞を、これは夕刊ですが、見ますと、「政府受け入れ表明へ」と一斉に書かれております。  先ほど細川総理は、こういう答弁をしております。おおむね自給方針に沿ったもので、国会決議の線に沿ったものだ、こういう答弁をしている。政府が勝手にそんな解釈をする権限はありません。国会決議の有権的解釈国会がするんです。だから、国会決議の文言からいっても、これに反することは明白であって、政府が勝手に解釈すべき問題ではないんです。このことをどう思いますか。
  39. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 おっしゃるとおり、それは第一義的に国会がもちろん解釈をなさることでございますが、政府見解はどうかという趣旨のお尋ねでございましたから、政府としての考え方を述べさせていただきました。
  40. 山原健二郎

    ○山原委員 その程度にしか三回にわたる国会決議を見ていないというところに重大な問題があります。  今回ドゥニ議長の調整案が提示されましたが、その骨子を私もいただきました。我が国の米の関係では、六年後の関税化猶予とその間のミニマムアクセスの設定という内容になっています。極めて重大な調整案ですね。  この問題については後ほど伺いますが、最初に求めたいのは、ドゥニ調整案の全文を公表して国会に提出をしてもらいたいということであります。  きょういただいたものは、これは公式なものですか。これはどういうものですか。
  41. 羽田孜

    羽田国務大臣 この問題につきましては、ジュネーブにおきましてさまざまの議論が行われたところでございますけれども、期限も迫ってきた中で、議長を中心にいたしましてぎりぎりの調整を行った最終段階のものとして私どもが入手したものでございまして、最終的な議長調整案というのはこのラインというものでほぼまとまるんじゃなかろうかということでございます。現地の代表団の方から私どものところに送られてきたものであるということでございます。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
  42. 山原健二郎

    ○山原委員 国際交渉に基づく協定文書は厳密をきわめるものです。骨子程度の資料で事を判断することは、もともとできないのは常識なんですよね。調整案の全文、それも原文つきで提出することが今後の国会審議にとって非常に重大な前提になります。その点について、提出される用意があるか、まず官房長官に伺っておきます。
  43. 武村正義

    ○武村国務大臣 政府委員から答弁をいただきます。
  44. 山原健二郎

    ○山原委員 てにをはの一つ一つの違いでも意味一することががらりと変わる場合があるわけですね。その骨子を見ただけでも、原則関税化の枠内での六年間の特例措置としての中身となっています。関税化と一体のミニマムアクセスという姿がこの中に見えています。ドンケル提案にあったミニマムアクセス関税化とセットをなしておったわけでありますから、そういう点を厳密に検証する必要があるわけでして、米問題で三度にわたって決議を上げた本院としましては、この資料の提出を要求するのは当然のことでございます。  その意味で、重ねて、全文を提出されたい。このことを委員長にお取り計らいいただきたいのですが、よろしいでしょうか。
  45. 中西績介

    中西(績)委員長代理 後刻、理事会で決定をいたします。
  46. 山原健二郎

    ○山原委員 アメリカとECの合意内容も正確には示されていません。これも出してもらわなければ交渉の全体像は見えない。総理は何も譲らないのでは外交交渉はできないと十二月一日にこの委員会で述べておりますが、アメリカとECがどういう合意を見たかを正確に見ないで、何が外交交渉が。これもすべて提出をすべきでございます。  非公式の文書でありますけれども骨子を見ましても国会決議と相入れないことは明白であって、このドゥニ調整案は拒否すべきであると思いますが、この点について総理見解を伺っておきます。
  47. 羽田孜

    羽田国務大臣 今お話のございましたアメリカとEC、これはブレアハウス合意ということになっておりますけれども、こういった問題とあわせまして、農業に関する修正テキスト案として正式に提示が行われるものというふうに私どもは見込んでおるところでございます。  ただ、今、山原委員の方から御指摘のありましたこの国会の決議というものは、本当に腹を据えながら、私どもはもう相当しつこくしつこく、もうこれはぎりぎりぎりぎりと実はこの問題だけでもしてまいったところでございまして、そういう中で、しかもミニマムアクセスというのはもともと各国とも認めておらなかったわけですね。そういう中にありまして、私どもは最後のぎりぎりのものとして、これは一つ提案がなという理解を実はいたしておるところであります。
  48. 山原健二郎

    ○山原委員 重大なことがあるんですよね。この国会では、今までずっと政府が言ってきたことは、国会決議の趣旨を体して全力を尽くす、こう言い続けてきたわけですね。米開放で日米合意問題や極秘予定表の存在などがマスコミから一斉に報道されながら、国会でただされても、そういう合意案も、妥協に向けた水面下の折衝も否定し続けてきたわけであります。ところが、ふたをあけてみると、今まで政府が否定してきたマスコミ報道そのままの調整案が出てきたわけです。こんな二枚舌は許せない。米に関する国会決議を三度も上げている国会に対して何の真実も語らずに、マスコミには垂れ流し、あげくの果ては、手のひらを返すように妥協やむなしなどということは、これは国会をないがしろにするものと言わなければなりません。  あなたは、国民にわかりやすい政治などと言って、パネルを使うなどパフォーマンスをやってきましたけれども、そういうことを知る者として、今回の一連の細川総理の態度は許すわけにはまいりません。  細川総理、この点だけを見ましても、あなたは政治責任をとるべきだと私は思います。今まで国会でほおかぶりをし、うそとペテンで、そんなものありません、そんなものありません、国会決議を忠実に実行しているんだとだけ言ってきて、けさになってあれが出てきたでしょう。それは、まさに受諾の前提になるミニマムアクセスを認めている案じゃないですか。こんなものが今になって出てくる。何カ月も何年もこの問題が論議されても、一切国会には報告しない、そういう不誠実な態度で、これに対して態度を決めるなどということは許されないことだと私は思いますが、その点について細川総理見解を伺っておきます。
  49. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 これまで二国間、多数国間で、再々申し上げますように、ぎりぎりの交渉が行われてきたわけでありまして、最終局面に至りまして、各国の対立する意見というものを踏まえてこのような結果が出てきているわけでございますから、結果というか、まだ最後のものではございませんが、そうしたものが出てきているわけでございますから、調整案として提示をされたものを私どもは重く受けとめていかなければなるまい、このように思っているわけでございます。
  50. 山原健二郎

    ○山原委員 今、ロンドン・ロイターES時事ですか、これから情報が入っていますが、「ガットのサザーランド事務局長は七日、米国とECは合意に達することができないもようだ」と述べています。「米・EC交渉で現在のところ、共同声明を発表する予定なし」。  こういうふうに、本当に全体をつかまなくして、この新聞に出ておるように、政府は受諾、受け入れ表明、こんなことで日本の、二千年にわたる日本国民の生活様式までがらりと変わるのですよ。米問題というのは、これはもう日本国民の必死の願いなんだ。それを勝手にこんなことで変えられてたまるか。何だ、これは。ECとアメリカの話し合いの結果も見ずに、正式の文書も見ないで、ドゥニの、この非公式といいますか、書き取りか何かわかりませんが、そんなもので日本政府が、三遍もの全会一致の決議をした言うならば国是ともいうべき米問題に対する日本国家の態度を変えてたまるか。細川内閣にそんな権限はない。どうだ。一総理総理だ、総理だ。
  51. 羽田孜

    羽田国務大臣 一応あれですから、簡単に申し上げさせていただきます。  私どもは、いわゆる例外なき関税化あるいは自由化、これはいけない、この国会決議というものを私たちはいかにして守らなきゃならないかということ、そして、関税化というものは、私は今まで この前のラウンドの経過というものを見ましても、関税化されたものというのはどんどん値切られていってしまう、日本みたいに経済が強い国は値切られてしまう、これは何としても避けなければならぬ。しかし、先ほどミニマムアクセスということについて、おまえさんたちはうそをついたじゃないかというお話でありますけれども、ともかくぎりぎりの段階でいろいろな交渉をしている中にありまして、相手国はミニマムアクセスというのは一切認めないというのが今日までの状況だったのです。  それから、今の時事通信のお話、私はまだ読んでおりませんけれども、いわゆるブレアハウス合意、こういったいわゆる農業関係交渉について、アメリカECとのものが決裂したというふうにはまだ私どもは伺っておらないということであります。
  52. 山原健二郎

    ○山原委員 総理
  53. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 ECとアメリカの間の話がどういうことか承知をしておりませんが、農業以外の分野ことなのかどうなのか、その辺は定かではございません。その点について何ともコメントすることはできませんが、きょうドゥニ調整案として骨子が示されましたのは、あくまでもそれは骨子が提示をされたということでございまして、それをきょう受け入れたということではございません。
  54. 山原健二郎

    ○山原委員 今のECとの関係これはすぐ調べて私の質問中に報告していただければと思いますから、よろしくお願いします。  これは羽田外務大臣が本当にいろいろ苦労されたお話、その他さまざまなことを長い間にわたって知っておられることはわかっていますけれども、しかし、この米の問題に日本国民の寄せる気持ちというのはわかってないですよ、あんたらには。だからこんなことで、資料も集めないで、時間に制真されたかなんか知りませんが、そんなことは関係ないですよ。日本国民のこの願いをどう生かすかということの闘いだ。  それを簡単にいろいろ解釈をつけて、早くも受諾すると言うんでしょう。全部の新聞が受諾だ。こんなことないですよ。日本国会をなめるな。国会が三回にわたって決議した血のにじむような思いの日本の農民の願い、日本国民の願い、それをどう受けとめてやってきたのか。そうすれば、いかにどうなろうともすべての資料を精査して、その上で態度を決めるのが当たり前でしょうが。早くも受諾などということを書かれて、日本政府の腰が抜けた姿が国民にはっと広がるわけですよ。これをどう考えますか、私はそれを聞きたい。もうこの原稿よりも、そういう意味で本心を聞きたい。これが農業問題、米の問題だ。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
  55. 羽田孜

    羽田国務大臣 今のお話につきましては、まさにそういう気持ちで今日まで私たちもそれこそむちゃくちゃな行動をしながらやってきたもんですよ。ミニマムアクセスなんという言葉が出ただけでそれはもう絶対だめだ、例外なき包括関税化だというのが今日までの姿だったんです。そういう中でドゥニさんが、そういう我々の気持ちというもの、あるいは日本国会の決議というものは伝わりながら、こういういわゆる議長調停というようなものが今つくられ、そして私どもの代表部から報告されてきたということでありまして、私はその意味ではやはり重く受けとめなければいけないんだろうというふうに思っておるわけであります。
  56. 山原健二郎

    ○山原委員 ドンケル案が出たとき、あのときも最終決着だといって日本国民と日本の農民は本当に驚いたんですよ。ところが、アメリカとECは二年間延ばしたじゃないですか。結論を出しておったんですよ。  それから、アメリカ、フランスにしましても、ガットで決めたことだって守っていないことがあるでしょうが。それを日本は、これだけの、決議も上げ、日本国民のこの血の叫びを何で国際舞台の場で生かすことができないのか。決められたら、そうでございます。けさ来たんでしょうが、けさ。けさ来たら、きょう早くも受諾します、受諾します、こんなばかなことで日本国民が納得するか。納得しますか。どうだ。
  57. 羽田孜

    羽田国務大臣 今報道が報道がというお話でありましたけれども、残念ですけれどもガットは十五項目にわたりながら議論をする。しかし、日本でずっと報道されてきたのは、常に実は米というのがもう真っ先に上げられてしまって、いわゆる政治的なイシューといいますか、そういったものにされてきてしまった、その中で本当の議論ができなかったということもあるわけです。  それで私たちとしては、そのことを重く感ずるということは、受諾するというよりも、ともかく総理もあるいは官房長官の会見でも申し上げておりますけれども、今週末ぐらいというお話はいたしておりますけれども、まだそこの今言われたようなことは、実際に受諾するとかなんとかということを決めたということではございません。
  58. 山原健二郎

    ○山原委員 きょうは時間がありませんから長い質問をすることはできませんけれどもガットは国際裁判所じゃないのですよ。各国の経済主権を前提にして、協調、調整の機関であって、ガットといえども一国の経済主権の重要な柱を放棄させる権限はありません。その国がノーと言い切れば、それを無視して押しつけることはできない。また、やってない、今までも。  総理が本当に国会の決議を守るというならば、それだけの決意を持ってこれは臨まなければいかぬ問題ですよ。紙切れが来たからといって、文書が来たからといって、中身も明らかになっていない、国会議員にも示してない、それで受諾するとは何だ。許さぬ。はっきりしてくださいよ。
  59. 武村正義

    ○武村国務大臣 まだ私は夕刊を見ておりませんが、きょうは私の会見も、その他の大臣の会見も、受諾するなどという表現をした人は一人もないはずであります。今、総理外務大臣も、重く受けとめるという表現もございましたが、私の記者会見は真剣に検討する、こういう表現でございました。あとは各新聞がそれぞれの判断をされて書いているわけで、私どもは今、けさこの調整案を受け取って、目下真剣に最終の決断に向かって熟慮をしているさなかでございまして、最終的な決断をしている段階ではありません。
  60. 山原健二郎

    ○山原委員 第二回の本院の決議というのは、一九八四年に、これは韓国からの緊急輸入という事態を招来した食糧行政に対して遺憾の意を表明しまして、政府がその責任を厳しく反省することを求めて行われたものですが、その決議事項の中には、「国民の主食であり、かつ、わが国農業の基幹作物である米については、その供給を外国からの輸入に依存するというような事態が今後生じることのないよう、国内生産による自給の方針を堅持すること。」こういうふうに書いていますね。参議院の決議も「完全自給」、これを決議しています。それで、三度目の一九八八年九月二十日の決議は、この八四年決議を含めまして、「二度にわたる本院の決議の趣旨を体し、断固たる態度で臨むべきである。」ただごとの決議じゃないですよ。  それを、国会では何だからっとも何をやっているのかわからぬ。新聞見たらさまざまなことが出てくる、スケジュールが出てくる。国会質問すれば、そんなものはありません、そんなものはありませんとうそ八百を言って、けさになって出てきたじゃないか。その中身は明らかに国会決議に抵触していますよ。  私は、こういう点では、本当に直ちに集中審議をやりまして、そして本会議においても資料に基づいて論議をしまして、それで決定をするならまだしもですけれども内閣国会決議を勝手に解釈して、そんな抵触するようなことはありませんなどという考え方で態度を決めるなどということは許されないこと在のですよ。この解釈は、国会の有権的解釈が優先するのです。どうですか、その点。総理、どうですか。まだこの態度を変えませんか。
  61. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 政府としては、繰り返し申し上げておりますように、国会決議の趣旨を体して最大限の努力をしてきたということでございます。多数国間の交渉でございますから、必ずしも我が国の立場が全面的に受け入れられるということにはなりませんが、しかし、あらゆる努力を傾けて、少しでも我が国の主張が反映されるようにということで努力をしてきたということをぜひ御理解をいただきたい、こう思うわけでございます。
  62. 山原健二郎

    ○山原委員 全国の農民、この声を聞いてくださいよ。血の叫びでしょう。牛肉・オレンジの自由化、やらないと言ってやった。今はもう子牛も売れなくなる。どうにもならなくなって、今度は米でしょう。主食ですよ。アメリカ人にとって米は野菜の一部でしかない。日本国民にとっては主食だ。日本の文化もそこから生まれてきているんでしょう。それを考えましたときに、政府が少々つらいからといって簡単に決議をゆがめるような、決議に反するような態度をとるべきではありません。これは本当に深刻に私は考えていただきたいと思う。  また、この問題については、私は、与党を構成する社会党の代表の方にも、山花さんにもお聞きしたいと思うんですよ。本当に皆さんも米自由化反対で闘ってきた歴史があるわけでしょう。こんなことで与党の中にとどまることができるのか。こんなことを許すのか。一言伺っておきます。どうですか。
  63. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 今、社会党もということで御質問いただきましたが、社会党の方針につきましては既に御存じのとおりでございまして、基本的な方向についてこれを堅持しながら政府を激励してきた、こういう立場でございます。  けさ出たテーマにつきましては、早速党本部の方で、あるいはその他の機関で十分検討しているさなかであると考えております。
  64. 山原健二郎

    ○山原委員 もう検討するまでもなく、こんなことは拒否しなければいかぬですよ、今までの考えから見たら。  時間の関係がありますから、私は、不況、雇用問題について触れておきます。  今日、不況が長期化して雇用と中小企業、中小業者の経営は極めて深刻な事態にあるわけでございますが、その上、生産の海外移転による工場閉鎖とか、あるいは下請中小企業の仕事の打ち切り、地域経済と産業の空洞化などという問題が次々に起こりまして、こうした事態を放置すれば、日本経済の発展基盤さえ崩壊させることになりかねません。その点で、きょうは雇用問題についてまずお伺いしたいと思います。  この雇用問題ですが、雇用対策の前提として、とりわけ大企業については雇用維持努力を促すことが大切だと思いますが、この点、労働大臣にお伺いしますけれども、この観点で経済団体を指導すべきではないか。自民党政権の労働大臣も経団連など財界を労働省に呼びまして雇用確保に努力をしたのでありますが、せめてそのような手法は当然とるべきだと思いますが、簡単にお答えください。
  65. 坂口力

    ○坂口国務大臣 お答えをいたしたいと存じます。  今御指摘になりましたように、雇用状態が非常に厳しい状態にあることは十分に認識をいたしております。したがいまして、経営者側に対しましても、この状態にかんがみまして、雇用調整等を安易に行わないように要請をしているところでございます。また、新しい学生諸君等の採用につきましても、中長期的展望に立ってひとつ採用をしてもらうよう、各種団体を回りまして皆さんにお願いをしているところでございます。  きょうも新宿の方で集団面接をいたしておりまして、約二千九百名ほどの学生並びに一般の方にお見えをいただきまして、そして面接をいたしているところでございまして、そうした努力を現在続けているところでございます。
  66. 山原健二郎

    ○山原委員 今雇用をめぐる情勢というのは非常に切迫していまして、人減らしのために、あってはならない人権侵害が起きています。きょうはそれを具体的に示す時間はありませんが、いきなり解雇とか、民間では人権侵害の退職強要の実態が相次いで寄せられておりまして、今人権週間でありますが、労働省として実態を調査して改善指導すべきではないかと思いますが、この点についてお伺いしておきます。
  67. 坂口力

    ○坂口国務大臣 ちょっと御質問いただきました趣旨が十分にわかりかねましたけれども、雇用につきまして誤りなきように各企業に指導しろということでありますれば、そうした方向でやりたいというふうに思っております。
  68. 山原健二郎

    ○山原委員 ちょっと実態も言わなかったものですからわかりにくかったと思いますが、今弁護士団体とかあるいは労働組合などで雇用に関するホットラインがつくられておりますが、そこへはもうさまざまな要求が出されております。例えば、風邪で休んだら翌日やめてくれと言われる、会社ぐるみでいじめられるとか、あるいは研修施設に労働者を収容し裏山の伐採をさせたり、人生の再出発をしたらどうかと退職を強要したりするような例が出ております。  その中で、一つの例を申してみたいと思いますが、この二年間で最も人減らしをした企業はNTTです。不況に入った九一年からことしにかけて二万五千四百二十九人の人減らしを行っています。さらに一万人の合理化計画、それに加え一万二千人の出向、配転計画を進めています。ところが、全労連の調査などによりますと、内部留保は年々ふえまして、九三年三月で五兆四千九百三億円、こういうふうになっています。また、九二年度はトヨタ自動車に次いで我が国第二位の経常利益を上げています。赤字でもないのに、経営危機でもないのに、しかも大もうけをしている日本一の大企業がこれだけの人減らし合理化を進めているということは、これは当然労働省としてやめさせるべきだと思いますが、この点についてお伺いいたします。
  69. 坂口力

    ○坂口国務大臣 NTTにおきまして今回希望退職者の募集を行っておりますが、これは、民営化以降行ってまいりました合理化の一環として、本年二月に発表いたしました合理化計画に基づく措置であるというふうに承っております。これは労使のお話し合いのもとに決定されたことでございまして、我々の方はその結果につきましてお聞きをしているにすぎません。したがいまして、労使のお話し合いのもとに進んでいることでございますので、その結果を注目しているところでございます。  希望退職者の募集自体は、個々の労働者の自発的な申し出を募るものでありまして、退職するかどうかは労働者の自由意思に任されるものと聞いております。
  70. 山原健二郎

    ○山原委員 ただ単なる労働強化だけでなくて、非常に過酷な労働強化あるいは料金の値上げ等にも結びついてきておるところに問題がありますし、NTTのようなところで雇用の維持をさせられないとすれば、政府の緊急雇用対策とは一体何か、民間企業に対する示しがつかないではないかという声が出ております。  「アエラ」の十月十八日号には次のような記事が出ています。「あの優良企業が一万人も……」、こういう記事ですね。「NTTを口実に、事実上の肩たたきをする企業が少なくない。」言うならば、NTTの人減らしのアナウンス効果というのが言われておりますが、国が関与する企業が人減らしのアナウンスと言われているわけでありまして、それでよいのかという、今雇用不安の中でこの問題が起こっておりますが、この点についてどうお考えになりますか。
  71. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 お答えをいたします。  NTTは、効率的経営に資するために、さらに合理化を進めるために、本年二月に、平成八年度までに二十万人体制を目指すという合理化方針を自主的に策定をいたしたところでございます。それに基づきまして、本年八月三十一日に、平成五年度と平成六年度の両年度におきまして合計一万人の希望退職を募るという方針を明らかにしたところでございます。本年十月に第一次の募集をいたしておりまして、三千三百人、管理職を含めますと四千百人の希望退職の申し出があったと、このように承知をいたしております。  委員御案内のとおり、NTTは我が国を代表する基幹的電気通信事業者でございまして、国民に良質で低廉なサービスを提供することが求められているところでございますし、財務状況、先ほども御指摘がございましたけれども、最近著しく経常利益も減少しておりまして、厳しいものがあるというふうに見られるところでございます。このような状況に対処するために、労使間の真摯な話し合いを踏まえて今回の希望退職の方針をお決めになったと、このように承知をいたしております。
  72. 山原健二郎

    ○山原委員 各地で労働者締め出し、さまざまな人減らしの工作がなされておりますが、これはもう時間の関係で申し上げる時間はなくなってしまいました。  それでもう一つ、これは厚生省に伺いたいと思いますが、十二月一日、国立病院・療養所の賃金職員を千九百人も強引に削減する業務改善命令を、各地の病院長あてに通達を出しております。患者サービスと医療の低下をもたらすもので、これは、率先して国が雇用維持の先頭に立つべきでありますのに、言うならば人減らしの先頭に立つというのは何事かというふうに思いますが、業務改善命令を撤回すべきだというふうに思います。この点についてお伺いをしたいと思います。  厚生省は、人事院夜勤判定から二十八年も経過しておるのに、複数・万八日以内の夜勤を達成できず、全国五千八百人の賃金職員である看護婦も含めて、それでもまだ夜勤平均回数は万八・八回と依然として国の基準を上回っています。北海道では、一方的な処遇引き下げで、既に五百名も退職に追い込まれまして、大問題になっています。北海道の三分の二を超える百四十五の議会が反対の決議を上げているのであります。これについて厚生大臣見解を伺いたいのです。  また、北海道では、退職の結果、十五施設のうち八施設九病棟が閉鎖され、さらに夜勤体制の縮小から一人夜勤体制も生まれているわけでございます。これではどうにもならないと思いますが、このような無慈悲な削減をやめて生活者重視の体制をとっていただきたい、こう思います。  もう一つついでに、これは労働大臣にお伺いしますが、女子学生十人に三人は宙ぶらりんというほど女子学生の就職状況は厳しいものがあります。三十社以上を面接したがだめだったという例も出ています。労働省としまして、雇用確保のため最大限努力すべきでありますが、その対応と決意についてお伺いしたいのであります。
  73. 大内啓伍

    ○大内国務大臣 国立病院・療養所につきましては、御案内のように、国の機関でございますから、法令によって定められた予算あるいは定員の枠組みの中で適切に運営をされなければなりません。  そこで、この国立病院・療養所の運営の実態につきまして調査をいたしましたところ、次のような諸点が判明してまいりました。  その一つは、定数を超える賃金職員の採用が行われているということ、それから、労使で合意いたしました全国のガイドラインを大幅に上回る給与の支給が行われていること、また、三つ目には、法令に定めのない手当、休暇等が存在すること等がございまして、この結果、賃金職員の経費の増大というものが他の経費を著しく圧迫する事態が招来いたしまして、その不足を補うために、医薬品等の購入費というものがその賃金職員関係に充当されるという事態が起こっておりまして、これは会計検査院でも実は注意をいただいているところでございます。  したがって、今病院等の経営に重大な支障が発生してまいりましたので、これを放置することができないという見地から、十二月の一日に業務改善命令を出したのでございまして、これを今撤回せよという御指摘でございますが、やはり今申し上げましたように、国の機関として適切な運営がなされなければならないという見地からこういうことをやらなければならないわけでございまして、しかし、その人員削減等につきましては、例えば新規採用をしないとか、あるいは退職者が出た場合にその補充をしないといったような措置をとろうとしているわけでございますので、生首を切るなどというようなことは絶対に避けてまいりたい。また、その賃金職員の再任用につきましても、実は本人の意思に反してそれを強制することのないように、私どもとしては配慮をしてまいりたい。  また、北海道の改善命令につきましては、昨年行いまして、これはほぼ順調に進んでおりまして、二・八体制につきまして今御指摘を賜りましたけれども、北海道の場合は月七・四回ということに改善が行われてきている次第でございます。
  74. 山口鶴男

    山口委員長 予定の質疑時間が過ぎておりますので、簡明にお答えをいただきます。
  75. 坂口力

    ○坂口国務大臣 御指摘になりましたように、大卒等の内定状況を十月末で私の方で調査をいたしましたが、私立大学の文科系で、女子の内定状態は六三・二%でございました。また、私立女子大、短大の内定状態は五九・一%でございました。一部の大学でございますので、全体像ではございませんが、そういう状況でございました。  そういう状況もございましたので、私と政務次官と手分けをいたしまして、各種事業団体等を回りまして、とりわけ女子大学あるいはまた女子短大の卒業生の皆さん方を積極的に採用していただくようにお願いをして回ったところでございます。  そうしたことも踏まえまして、東京におきましては、先ほど申しましたように、きょう及びあす、新宿におきまして集団面接会を実施をしているところでございますが、そこにおきましては、女子を採用してもいいと言っていただきます企業もかなり多いわけでございます。きょうも約千四百四十一名の女子の方がお越しをいただいておりまして、その中から多くの方が採用していただけるものと期待をいたしているところでございます。  以上、御報告を申し上げます。
  76. 山原健二郎

    ○山原委員 時間が参りましたので、外務省の報告は後で伺いまして、終わります。
  77. 山口鶴男

    山口委員長 これにて山原君の質疑は若干の保留分を除いて終了いたしました。  次回は、明八日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十四分散会