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柳沢委員 本当はこれ、随分時間を使って私
議論したかったところなんです。ともすれば、構造問題あるいは構造的な対応とか、構造という
言葉をよくお使いになるんですよ。
私、法制局に尋ねたんです、構造って一体何だと。各種の法制上、構造という
言葉はどういうように使われているんだと言ったら、これは実は決まっていないんだという答えで、私もちょっとあきれたんですが、決まっていないながら、各種の法律に、先般の通産省
提案の中小企業のリストラ法案ですかあれについてもその
言葉が使われておったわけですね。私はこういう定義もないような
言葉をいともやすやす使うということに
議論の混乱があると思っています。
私は、ここははっきり、需要のサイド、ディマンドサイドでどういう問題が起こっているか、供給のサイド、サプライサイドでどういう問題が起こっているか、あるいはそういうフローの問題ではなくてストック面でどういう問題が起こっているか、こういうように問題を整理して、分けて考えないと、もちろん経済のことで相互に絡み合っている問題でございますから、なかなかそれだけでは万能の解決の方法が見出せないことは申すまでもありませんが、どういう
政策に重点を置くべきかということについて間違っちゃうんですよ、そこのところをきれいに整理してかからないと。
そういう
意味で申し上げるのですが、私なりに経済を観察してまいりまして、やはり一番大きなのは、今
大臣は在庫循環というようなことをおっしゃられましたけれ
ども、その在庫もやはり資本財について起こったんですね。これを称してストック調整というように世の中で言った向きが多かったわけであります。
それから、その後出てきたのは、需要サイドでは円高の問題ですよ。円高でやはり輸出ということがうまくいかなくなった。これが私は端的に言ってディマンドサイドの問題である、こういうふうにとらえております。
それから、サプライサイドでは、やはり企業収益の悪化、例えば設備投資が行き過ぎてしまった、それからまた人手不足になるぞという声がかかったものだからちょっと余分な人まで雇用してしまった、こういうことで損益分岐点が上昇してしまった。このために、売り上げが下がってきたら、これはいや応なく企業収益は悪化しますよね。こういう企業収益の悪化の問題がサプライサイドではある。
それからさらに、これは技術革新の停滞というのですか、小難しく言えばコンドラチェフの波がどうのこうのというあの
議論でございますけれ
ども、そういったことがひょっとしてあるんじゃないかという論をする者もある、こういうことですね。これが供給サイドの問題。
以上がフローの面の問題なんですが、それからストック面の問題として、さっき
大臣も御指摘になった資産デフレの問題があるんですよね。
そういうことを考えたときに、若干前でございましたけれ
ども、ある論者が、今度の不況の原因と申しますかあらわれ方のウエートというのは、やはりディマンドサイドのストック調整の面が八割方か、それでストック面の本来の資産面の、資産デフレの影響が二割方かというような論をしておったのは、これはちょっと前でございますけれ
ども、見たことがあるんです。ですから、こういうもののウエートを考えてみなきゃいけない、私はそう思っているんです。
そういう
観点からあえて申させていただきますと、私は、現在の
細川内閣の経済
政策、特に今回の
補正予算にあらわれた経済
政策を見ておりますと、
細川内閣がスタートをしたときに改革ということを大変強く言った。ついに経済まで経済改革になっちゃった。こういうようなことがありまして、経済改革ということになると、これはすぐれて、さっき構造的云々ということを言ったんですが、ディマンドのサイドじゃなくて、供給サイドないしはストックのサイド、こういうことになるわけですが、そういうことのために、かけ声をかけたために、改革という
言葉にいわば自縄自縛になって、ある
意味で言うと、
自分らが知らずにディマンドサイドに対する、需要のサイドに対する事柄の大きさというものをやや軽視する嫌いがあるんじゃないか。
私は、あえて言うと、今度の
補正予算というのは、
細川総理が例の国連総会に行くときに、クリントン大統領に会うぞ、早くしなきゃというような、そういうやや拙速的な面が私はあったと思うんですが、公共事業は簡単に一兆円、地方単独事業五千億円というようなことで、いわば
ミニマムアクセスじゃありませんけれ
ども、ミニマムアマウントを需要
政策としてはとりあえず乗っけておく、そういうような
感じが私はするんですよ。
大臣も、この予算
委員会の部屋で聞いていますと、非常に事があるたびに、需要の面での
政策はきかないと言う。きかないのはこれはどうしてかというと、需要の面で起こっていることがストック調整だからなんですよ。みんなが設備投資をし過ぎた、あるいは家計で言えば消費財を買い過ぎた。耐用年数が長いんだから、通常のいろいろな食品だとかなんとかの在庫調整に比べれば、それは需要のいろいろな
政策を打ったってなかなかきいてこないというのは当たり前のことなんですよ。しかし、それじゃやらなくていいのかというと、違うんです。不況の大半のものはそこから来ているわけですから、やはり需要の下支えのための、今おっしゃったようなそういう需要の
政策というのには、これは本気になって取り組まないとだめなんですよ。
お答えいただきたいと思います。短くお願いします。