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白川委員 何か私が言質をとって後で困らせるということでも考えていませんか。そんなに難しいことをお聞きしているつもりはないのですが、随分こう持って回ったというか、いつもの
総理らしからぬ、歯切れの悪い言葉だったのですが、まあ端的に聞きましょう。
今回の、七十年ぶりの選挙法の改正というようなものを柱にした大改革だと思うわけでございます。こういうことを、もうつらいとか苦しいとか言っている場合じゃない、もうやらざるを得ないということの原因は、やはりこの一年間ぐらいの間に、過去にもありましたが、それを増幅させる
事件が起きた、そして
国民の
政治不信が非常に高まってきたという中で、こういう我々の今
政治改革法案をめぐるいろいろなアクションがあったと思うわけでございます。
じゃ、この一年前後の
国会、日本の
政治の中の最大の問題は何かと言われるならば、私はやはり端的に言って佐川急便
事件と言わざるを得ないんだろうと思うわけでございます。これは随分大きな話だと言われましたが、結果は余り、大山鳴動してネズミ二匹というんでしょうかね、証拠的にはネズミ二匹というような形になりましたけれども、しかし、私は巷間言われていたようなことは単なるうわさではないという気はいたします。やはり俗に言われるように、少なくとも数十億の単位ではない、数百億の単位のお金が政界に、それがわいろになるとかならぬとか、そういうことじゃなくて、流入していたというのは多分うそじゃないんじゃないのかなと私は思います。
と申しますのは、佐川清さんというのは私の選挙区出身でございまして、よくあの人の気性とかビヘービアを身近で見ておるものですからそんな感じがするわけでございます。また、私も
国会の中にいてそのような雰囲気を身近で感ずることがございまして、そんなに遠からずといえども近からずというか、近からずといえども遠からずのことを言っていたんじゃないかなという気がするんです。
さてそこで、この佐川急便
事件で具体的に刑事
事件になったものは二つです。残念なことなんですが、新潟県の県知事選に絡んで一億円のやみ献金をしたということが第一点でございます。それから、金丸代議士に対して五億円のやみ献金ということでございます。まあ、五億円のやみ献金があって、
政治資金規正法違反で二十万の罰金というのが、あるいは上申書
事件というのが随分
国民の感情を刺激し、
政治不信を増大したことは事実でございますが、あれも大きかったと思うんですが、やはりとどめを刺したのが本年三月に発覚をいたしました金丸元代議士の脱税
事件だったんじゃないかな、こう思います。私はワリシンとかワリコーって知りませんが、金の延べ棒まで出てきたということは、私たちですら全くあいた口がふさがらないということでございました。要するに、これはどんな制度をつくろうが、やみ献金の問題でございまして、
政治資金規正法をどういうふうに変えようが、お金が欲しい、もっと欲しいという人はやみ献金しちゃうわけでございます。
さて、この問題に関して、ちょっとつらいんですが、やはり私はこのことだけは言っておかなきゃならぬと思うわけでございます。我が党にとってもつらいし、閣僚席にいられる方の中でもつらい方がいると思いますけれども、金丸元代議士は自民党の副総裁を半年前までやっていた人なんでございます。ですから、自民党に害が及ぶのは仕方がないことでございます。そして、自民党全体が大変苦しい立場になるのはもちろんでございますが、やはり世間はよく見ておりまして、自民党には派閥というものがある、経世会という派閥に属している同志の諸君にはもっと強い非難がいくのは当然のことだろう、こう思うわけでございます。
ただ、五億円の献金問題が出た後、この経世会が二つに割れました。そして、改革フォーラム21というのが、羽田さんを中心にと言ったらいいんでしょうか、小沢さんを中心にと言ったらいいんでしょうか、まあいずれにしましてもできて、ハイカラな名前で改革フォーラム21、こうなったわけでございますが、こればかりは、ハイカラな名前をつけたくらいで看過できる、そんな甘い問題じゃないわけでございます。そしてまた、自民党の生き方というのは、悪いことをやったときはやはりきちんと責任をとるというのが、よくても悪くても自民党の生きざまだった、こう思うわけでございますが、小沢代議士こそ金丸元代議士に最も
信頼され、かつ側近中の側近として活躍したわけでございますから、小沢さんを中心とするグループに強い非難がいくのは避けて通ることができないだろうと思うわけでございます。このころから、今まであったのがまたもう一回急に燃え上がってきたのは事実でございます。
私は先ほど、
政治改革という言葉は本来的なら腐敗防止という意味なんだが、どうも
総理がちょっとそこでなかなか素直に私にイエスと言わなかったように、制度改革をしなきゃ腐敗防止にならない、そしてそれが高じて、選挙制度の改革、制度改革に熱心でない者は
政治倫理の確立に不熱心なんだ、そのかわり、みずからの行いは非常に腐敗に満ちたものでも、選挙制度の改革を言えば逆に
政治倫理に熱心である、
政治改革に熱心であるという、こういうまやかしの構図が出てきたのは、厳然たる
政治の争いの中で事実だと思うわけでございます。これはやはり私はこの場で言わざるを得ない。その改革フォーラム21の同志たちがかねてから用意していた避難小屋、
政治改革という小屋に逃げ込み、それだけでは足らずに自民党から離党し、新生党を結成したのであります。
〔
中西(績)
委員長代理退席、
委員長着席〕
私も苦しい選挙をやりました。しかし、あえて私は自民党から逃れようとはいたしませんでしたが、自民党の信用をがた落ちさせ、自民党を腐敗させた大きな原因のある諸君が逆に新生党に出ていき、その隠れみのに
政治改革というのを使ったわけでございます。そして、幸か不幸かわかりませんが、
総理、巷間伝えられるとおり、あるいは巷間だけでもなく、数からいっても、この新生党があなたの連立与党の中のバックボーンであることは間違いない。
私は、
政治改革という言葉は、本当に文字どおり
政治倫理の確立に熱心な
政治家が命がけで使ってきた言葉だけれども、ある日どこかから、具体的に言いましょうか、昭和六十三年、リクルート
事件の真っただ中に、竹下内閣のとき、小沢さんはこのとき官房副
長官をやっておりましたが、
政治改革という言葉の中に選挙制度と
政治資金の問題があるということを言って、この今のような風潮をつくり上げていったわけでございます。
政治改革という言葉は本当にいい言葉だと思いますが、同時に、薄汚れた、どす黒い、血にまみれた歴史を持っているという言葉であることも事実でございまして、この点、聡明な
総理でございますから気づいておられると思いますが、私の意見についての反論があれば、意見が同じなら結構なんですが、反論があればお聞かせを願いたいと思います。