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1993-12-01 第128回国会 衆議院 予算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十二月一日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 山口 鶴男君    理事 衛藤征士郎君 理事 越智 通雄君    理事 野中 広務君 理事 深谷 隆司君    理事 後藤  茂君 理事 中西 績介君    理事 杉山 憲夫君 理事 草川 昭三君    理事 井出 正一君       伊藤 公介君    江藤 隆美君       小此木八郎君    小澤  潔君       鹿野 道彦君    後藤田正晴君       近藤 鉄雄君    志賀  節君       島村 宜伸君    白川 勝彦君       高鳥  修君    東家 嘉幸君       中山 太郎君    萩山 教嚴君       浜田 靖一君    松永  光君       村田敬次郎君    村山 達雄君       柳沢 伯夫君    若林 正俊君       綿貫 民輔君    伊東 秀子君       坂上 富男君    鉢呂 吉雄君       細川 律夫君    三野 優美君       青木 宏之君    岩浅 嘉仁君       工藤堅太郎君    栗本慎一郎君       古賀 敬章君    笹山 登生君       白沢 三郎君    月原 茂皓君       村井  仁君    山本 幸三君       吉田 公一君    石井 啓一君       河上 覃雄君    谷口 隆義君       二見 伸明君  五十嵐ふみひこ君       石井 紘基君    鮫島 宗明君       長浜 博行君    高木 義明君       中野 寛成君    佐々木陸海君       東中 光雄君    松本 善明君       山原健二郎君  出席国務大臣        内閣総理大臣   細川 護煕君        法 務 大 臣  三ケ月 章君        外 務 大 臣  羽田  孜君        大 蔵 大 臣  藤井 裕久君        文 部 大 臣  赤松 良子君        厚 生 大 臣  大内 啓伍君        農林水産大臣   畑 英次郎君        通商産業大臣   熊谷  弘君        運 輸 大 臣  伊藤  茂君        郵 政 大 臣  神崎 武法君        労 働 大 臣  坂口  力君        建 設 大 臣  五十嵐広三君        自 治 大 臣        国家公安委員会  佐藤 観樹君        委員長        国 務 大 臣  武村 正義君        (内閣官房長官)        国 務 大 臣  石田幸四郎君        (総務庁長官)        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)      上原 康助君        (沖縄開発庁長        官)        (国土庁長官)        国 務 大 臣  中西 啓介君        (防衛庁長官)        国 務 大 臣        (経済企画庁長  久保田真苗君        官)        国 務 大 臣        (科学技術庁長  江田 五月君        官)        国 務 大 臣  広中和歌子君        (環境庁長官)        国 務 大 臣  山花 貞夫君  出席政府委員        内閣法制局長官  大出 峻郎君        内閣法制局第一  津野  修君        部長        人事院総裁    弥富啓之助君        人事院事務総局  丹羽清之助君        給与局長        総務庁長官官房  池ノ内祐司君        長        防衛庁長官官房  宝珠山 昇君        長        防衛庁防衛局長  村田 直昭君        防衛庁経理局長  秋山 昌廣君        防衛庁装備局長  中田 哲雄君        防衛施設庁長官  米山 市郎君        防衛施設庁総務  草津 辰夫君        部長        防衛施設庁施設  江間 清二君        部長        防衛施設市労務  小澤  毅君        部長        経済企画庁調整  小林  惇君        局長        経済企画庁総合  吉川  淳君        計画局長        経済企画庁調査  土志田征一君        局長        国土庁長官官房  藤原 和人君        長        国土庁土地局長  原  隆之君        国土庁防災局長  村瀬 興一君        法務省民事局長  濱崎 恭生君        法務省刑事局長  濱  邦久君        外務省経済局長  小倉 和夫君        外務省条約局長  丹波  實君        大蔵大臣官房総  田波 耕治君        務審議官        大蔵省主計局長  篠沢 恭助君        大蔵省主税局長  小川  是君        大蔵省理財局長  石坂 匡身君        大蔵省証券局長  日高 壮平君        大蔵省銀行局長  寺村 信行君        国税庁次長    三浦 正顯君        文部大臣官房長  吉田  茂君        文部省高等教育  遠山 敦子君        局長        厚生大臣官房総  佐々木典夫君        務審議官        厚生省保健医療  谷  修一君        局長        厚生省生活衛生  柳沢健一郎君        局長        厚生省年金局長  山口 剛彦君        農林水産大臣官  上野 博史君        局長        農林水産省経済  眞鍋 武紀君        局長        農林水産省構造  入澤  肇君        改善局長        農林水産省農蚕  高橋 政行君        園芸局長        農林水産省畜産  東  久雄君        局長        食糧庁長官    鶴岡 俊彦君        通商産業省通商  清川 佑二君        政策局次長        通商産業省貿易  中川 勝弘君        局長        通商産業省産業  内藤 正久君        政策局長        中小企業庁長官  長田 英機君        運輸省鉄道局長  秦野  裕君        運輸省航空局長  土坂 泰敏君        労働大臣官房長  征矢 紀臣君        労働省労政局長  齋藤 邦彦君        労働省職業安定  七瀬 時雄君        局長         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省建設経済 小野 邦久君         局長         建設省道路局長 藤川 寛之君         自治大臣官房長 遠藤 安彦君         自治省行政局長 吉田 弘正君         自治省行政局選 佐野 徹治君         挙部長         自治省財政局長 湯浅 利夫君         自治省税務局長 滝   実君  委員外出席者         参 考 人           (日本銀行総裁 三重野 康君         )         予算委員会調査 堀口 一郎君         室長     ————————————— 委員異動 十月七日  辞任         補欠選任   荒井  聰君     長浜 博行君 同月八日  辞任         補欠選任   関谷 勝嗣君     萩山 教嚴君   野坂 浩賢君     後藤  茂君 十二月一日  辞任         補欠選任   近藤 鉄雄君     小此木八郎君   萩山 教嚴君     白川 勝彦君   村田敬次郎君     浜田 靖一君   加藤 六月君     村井  仁君   不破 哲三君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   小此木八郎君     近藤 鉄雄君   白川 勝彦君     萩山 教嚴君   浜田 靖一君     村田敬次郎君   村井  仁君     古賀 敬章君   東中 光雄君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   古賀 敬章君     吉田 公一君   山原健二郎君     佐々木陸海君 同日  辞任         補欠選任   吉田 公一君     栗本慎一郎君 同日  辞任         補欠選任   栗本慎一郎君     青木 宏之君 同日  辞任         補欠選任   青木 宏之君     岩浅 嘉仁君 同日  辞任         補欠選任   岩浅 嘉仁君     白沢 三郎君 同日  辞任         補欠選任   白沢 三郎君     加藤 六月君 同日  理事野坂浩賢君十月八日委員辞任につき、その  補欠として後藤茂君が理事に当選した。     ————————————— 十一月三十日  平成五年度一般会計補正予算(第2号)  平成五年度特別会計補正予算(特第2号)  平成五年度政府関係機関補正予算(機第2号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  参考人出頭要求に関する件  平成五年度一般会計補正予算(第2号)  平成五年度特別会計補正予算(特第2号)  平成五年度政府関係機関補正予算(機第2号)      ————◇—————
  2. 山口鶴男

    山口委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山口鶴男

    山口委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事後藤茂君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 山口鶴男

    山口委員長 平成五年度一般会計補正予算(第2号)、平成五年度特別会計補正予算(特第2号)、平成五年度政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して議題といたします。  まず、三案の趣旨について政府説明を聴取いたします。藤井大蔵大臣。     —————————————  平成五年度一般会計補正予算(第2号)  平成五年度特別会計補正予算(時第2号)  平成五年度政府関係機関補正予算(機第2号)     〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  5. 藤井裕久

    藤井国務大臣 平成五年度補正予算(第2号)の大要につきましては、既に、本会議において申し述べたところでありますが、予算委員会での御審議をお願いするに当たりまして、その内容を申し上げます。  最初に、一般会計予算補正について申し上げます。  まず、歳出補正についてでありますが、今回の補正予算におきましては、去る九月十六日に決定された緊急経済対策を実施するための歳出追加として、緊急経済対策関連経費一兆三百三十五億円を計上いたしております。その内訳としては、生活者消費者の視点に立った社会資本整備を推進するため、一般公共事業関係費三千億円、施設費等三千四億円を追加計上するとともに、災害復旧等事業費三千三百九十二億円を追加するほか、中小企業等特別対策費七百七十一億円等を計上いたしております。  また、本年の低温等による水稲等被害にかんがみ、被害農業者の経営及び被害地域経済の安定を図るため、冷害等対策を講ずることとし、これを実施するための歳出追加として、冷害等対策関連経費九百七十二億円を計上いたしております。  このほか、追加する経費を義務的なものや特に緊要となったやむを得ないものに限ることとし、義務的経費追加八百七十三億円、住宅都市整備公団補給金等一千五百十二億円等を計上するとともに、後ほど述べますように、NTT株式売却収入に係る無利子貸し付けについて繰り上げ償還を行うこと等に伴い、いわゆるNTT事業償還補助二兆四千八百三十八億円及び国債費二兆四千九百五十六億円を追加しております。  これらを合わせた歳出追加総額は六兆三千八百二十一億円となっております。  他方、可能な限りの財源捻出を行うため、歳出修正減少として、既定経費について九千五百七十一億円を節減するとともに、特例的な措置として、定率繰り入れ等の停止により国債費を三兆四百八十七億円減額することとし、このため、平成五年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律案を提出し、御審議をお願いすることといたしております。なお、これに伴い国債整理基金運営に支障が生じることのないよう、NTT株式売却収入に係る無利子貸し付けについて繰り上げ償還を行うこととし、このため必要となる措置を講ずることといたしております。  また、所得税及び法人税収入見込み額が減少することに伴い、地方交付税交付金について一兆六千六百七十五億円を減額することといたしております。  これらを合わせた歳出修正減少総額は、五兆六千七百三十四億円となっております。  次に、歳入面におきましては、租税及び印紙収入について、最近までの収入実績等を勘案して、五兆四千七百七十億円を減額いたしております。  他方、先ほど申し述べましたNTT株式売却収入に係る無利子貸し付けの繰り上げ償還に伴う産業投資特別会計受入金の増を含め、その他収入について二兆五千六百九十七億円の増額を計上するほか、いわゆるNTT事業償還補助財源とするものも含め、公共事業関係費追加に対応するもの等について、やむを得ざる措置として建設公債追加発行することとし、公債金三兆六千百六十億円を計上しております。  以上により、平成五年度一般会計第二次補正予算総額は、歳入歳出とも第一次補正予算に対し、七千八十七億円増加し、七十五兆二千五百二十二億円となっております。  なお、先ほど申し述べましたとおり、地方交付税交付金が減額されることに伴い、交付税及び譲与税配付金特別会計において一般会計からの受け入れが減少することになりますが、地方団体の円滑な財政運営を確保するため、同特別会計において所要の借り入れを行うことにより、当初予算額どおり地方交付税総額を確保することといたしております。  特別会計予算につきましては、国立学校特別会計道路整備特別会計等二十一特別会計において、所要補正を行うことといたしております。  政府関係機関予算につきましては、国民金融公庫中小企業金融公庫等政府関係機関において、所要補正を行うことといたしております。  財政投融資計画につきましては、緊急経済対策を実施するため、既に住宅金融公庫等に対し、弾力条項の発動による所要追加措置を行いましたが、今回の補正予算においても、緊急経済対策実施等のため、中小企業金融公庫国民金融公庫等に対し、所要追加を行うことといたしております。  以上、平成五年度補正予算(第2号)につきまして、その内容を御説明いたしましたが、なお詳細にわたる点につきましては、政府委員をして補足説明いたさせます。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  6. 山口鶴男

    山口委員長 これにて大蔵大臣説明は終わりました。  引き続き、補足説明を聴取いたします。篠沢主計局長
  7. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 平成五年度補正予算(第2号)の内容につきましては、ただいま大蔵大臣から御説明いたしましたとおりでありますが、なお、若干の点につきまして、補足説明いたします。  まず、一般会計予算歳出補正につきまして、御説明いたします。  緊急経済対策関連経費一兆三百三十五億円の内訳は、公共事業等追加及び中小企業等特別対策費のほか産業投資特別会計繰り入れ等百六十八億円であります。  なお、一般会計及び特別会計におきまして、公共事業等に係る国庫債務負担行為総額一千二百九十五億円を追加することとしております。  冷害等対策関連経費九百七十二億円のうち主なものは、公共事業等追加七百二十五億円及び農業保険費等七十四億円であります。  義務的経費追加八百七十三億円のうち主なものは、義務教育費国庫負担金三百八十四億円及び国民健康保険助成費三百七十二億円であります。  住宅都市整備公団補給金等一千五百十二億円は、同公団に対し、四年度決算において生じた借入金等に係る利息等の一部を補給するための補給金等を交付するために必要な経費であります。  その他の経費三百三十六億円のうち主なものは、国際分担金及び拠出金百九十二億円及び国民金融公庫補給金五十九億円であります。  また、平成五年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法律案に基づき、当初予定していた国債整理基金特別会計に対する定率繰り入れ等を停止することとし、国債費について三兆四百八十七億円を減額することとしております。  地方交付税交付金の減額一兆六千六百七十五億円は、今回の補正予算において所得税及び法人税減収歳入に計上することに伴う地方交付税交付金修正減少額であります。  次に、一般会計予算歳入補正につきまして、御説明いたします。  租税及び印紙収入につきましては、最近までの収入実績等を勘案して、所得税二兆八千百九十億円、法人税二兆三千九百二十億円、法人特別税四百五十億円及び印紙収入二千二百十億円の減収を見込んでおり、全体として五兆四千七百七十億円の減収となっております。  その他収入につきましては、NTT株式売却収入に係る無利子貸し付けの繰り上げ償還に伴う産業投資特別会計受入金の増二兆四千八百三十八億円を含め、二兆五千六百九十七億円を増額することといたしております。  公債につきましては、いわゆるNTT事業償還補助財源とするものも含め、三兆六千百六十億円を追加発行することとしております。この結果、五年度の公債発行額は、十三兆九千九百二十億円となります。  特別会計予算につきましては、国立学校特別会計道路整備特別会計等二十一特別会計において、所要補正を行うこととしております。  政府関係機関予算につきましては、国民金融公庫中小企業金融公庫等政府関係機関において、所要補正を行うこととしております。  財政投融資計画につきましては、今回の補正予算においては、緊急経済対策実施等のため、中小企業金融公庫国民金融公庫等十七機関に対し、総額二千八百二十億円の追加を行うこととしております。  以上、平成五年度補正予算(第2号)についての補足説明をいたしました。
  8. 山口鶴男

    山口委員長 これにて補足説明は終わりました。     —————————————
  9. 山口鶴男

    山口委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  補正予算案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁三重野康君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 山口鶴男

    山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  11. 山口鶴男

    山口委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂上富男君。
  12. 坂上富男

    坂上委員 社会党の坂上富男でございますが、昨日の衆議院、参議院における本会議におきまして、今緊急の課題となっておりますガットの米問題について政府側から御答弁がありました。  そして、この米問題に対しまして三回にわたりまして国会決議がなされていることも事実でございますが、仮にこの米問題に関する国会決議について、お話によりますと、調停案が第三者あるいはガット側から出されるというお話でございますが、この三回にわたります国会決議調停案が相反する事態に相なった場合、どのような対処をされるのか。私は、言葉といたしましては、この調停案政府として拒否されるだろうと思っておるわけでございます。  いわゆる国会決議解釈につきましては、有権的解釈国会がするものであります。具体的には議運がすると言われておるわけでございます。したがいまして、最終的にはこの解釈をめぐりましてあるいは問題として出てくるかもしれませんが、まずさしあたり、この調停案が出されまして国会決議と相反するような場合があったら、これを拒否する用意があるのかどうなのか、仮定な質問でないと思いますので、御答弁いただきたいと思っております。
  13. 畑英次郎

    畑国務大臣 三回にわたります国会決議、これを私どもは踏まえてのただいま最終段階の粘り強い交渉をさせていただいているわけでございまして、相反する結果にならないようにさらなる努力を重ねておるということを御理解を賜りたいと思います。
  14. 坂上富男

    坂上委員 総理、いかがです、この問題について。
  15. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今、農林大臣からお答え申しましたとおりでございます。  さまざまな報道なり論議があることはよく承知をしておりますが、政府としては、米の問題についてはあくまでも国会決議を踏まえて国内で自給をするという、そういう基本方針のもとに、今ぎりぎりの交渉をしているということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
  16. 坂上富男

    坂上委員 私の質問に答えてないわけでございますが、何としても、これは国会決議と相反するかどうか。拒否という場合があり得ていいと思うのです。受諾という場合と拒否という場合、二つあると思うのでございます。ぜひ私は、この国会決議と相反するような事態においては、真剣にひとつ御検討賜りますよう要請をしておきたいと思います。この問題はこれで終わります。  さて、総理にまた御質問をいたしますが、このたびのゼネコン汚職に関することでございますが、政官財の癒着、これがまことに甚だしいものでございまして、細川総理とされましてはこの問題について、相当今検察の捜査が進んだわけでございます。これからいよいよ中央政界に入ろうといううわさもあるわけでございますが、まずこの段階において、総理とされましてはこの問題についてどのような所信を持っておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  17. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 公共事業の執行という観点からも、また政治に対する国民信頼という観点からも、まことに遺憾な、残念な事件だと認識をいたしております。  一連の政治改革とあわせまして、建設業における政官業それぞれの真摯な自己改革の徹底というものを図っていかなければならないと思っておりますし、また、国・地方を通じまして、発注者みずから襟を正すということももちろん強く求められているところでございますし、また、業界に対しましては、現在、建設省におきましてその指導に努めているところでございます。  また、御承知のように、入札契約制度のあり方につきましても中建審におきまして今詰めているところでございまして、より透明性の高い、競争力の確保できるようなシステムというものを目指して、年内にそのめどが得られるように今作業を進めているところでございます。
  18. 坂上富男

    坂上委員 次に、法務大臣にお聞きをいたしますが、このたびの金沢元検事の暴行事件は、検察史上例を見ない屈辱的汚点であろうかと思っておるわけであります。  まず、これに対する再発防止のための処置はいかがなさるおつもりなのか、お聞きをしたいと思います。  また、これに対する、国民検察への信頼期待に対する裏切りは甚だしいものであります。しかしまた、これによって、検察の不祥事のため、検察当局のこれらの汚職に対する追及の手が緩むようなことがあってはならないと思います。また、検察はこのことによっておじけづいてはならないと思っております。  この国民検察への期待信頼回復の道は、いよいよ中央政界にその汚職の摘発があるいは進むと言われておるわけでございます。国民期待にこたえる立場においても、まさに今度は、一番これから大きな問題になるであろう中央政界ルート、これに対する汚職の追及が本格的になされなければならないと思っているわけでございますが、これらの点をあわせまして、法務大臣の所感と決意をお聞かせいただきたいと思います。
  19. 三ケ月章

    ○三ケ月国務大臣 お答え申し上げます。  他人の非違行為をただすべき立場にある検事が参考人に暴行を加えるなどというようなことは法治国家にあっては絶対に許されないことでありまして、私としても、暴行を加えたことが事実であると聞いて強い衝撃を受けたということを申し上げます。  このような事件が発生したことは、今申しましたように極めて遺憾でありまして、国民検察に対する信頼を維持するためにも、東京高検の上申を受けて、一昨日、問題の検事を懲戒免職処分にいたしました。また、昨日、検察当局において本人を特別公務員陵虐致傷罪により東京地方裁判所に起訴したとの報告を受けたわけでございますが、検察は公平かつ厳正に捜査処理をしたものと信じておるわけでございます。検察事態を厳粛に受けとめておると信じておりまして、今後このようなことがないように努めていくものと存じます。  重ねて申し上げますならば、今回の件は、委員御指摘のとおり、まさに常軌を逸した異例のことであると考えておりますけれども、とはいいながら、このような事件が発生したことはまことに遺憾でございまして、検察当局におきましても、また私ども法務省関係者といたしましても、今回の不祥事を厳粛に受けとめて、本件金沢検事に対する起訴と同時に、検事総長におきまして、今後ともかかる事態が二度と発生しないよう部下職員の指導を徹底するという旨の強い戒めの談話を発表するとともに、その趣旨の徹底を図るために最高検から各高検に同様の通知を発したと承っております。  法務当局におきましても、再発防止のためにいかなる措置を講ずべきかにつきまして多角的な検討を加え、本件のような事態が二度と起こらないように努めるべきものと考えている次第でございます。
  20. 坂上富男

    坂上委員 後半の、特に吉永検事総長に交代なさる、そしてまた、これに対して大変な信頼を寄せて、期待をして新しい検事総長が誕生する、こういうようなことも三ケ月法相はおっしゃっておるわけでございます。そんな観点から、いわゆる中央政界への問題も決して私はおろそかにしてはならないと思っておるのでございますが、これに対するひとつ御決意を賜りたい、こういう質問をしているわけでございますが、御表明賜りたいと思います。
  21. 三ケ月章

    ○三ケ月国務大臣 御質問は、具体的な事件の捜査がどこまで及ぶのかということに触れる点がございます。具体的な捜査の進展等につきましては、検察検察当局の責任におきまして、公平、不偏不党の立場において行動するものと法務大臣は信じておるわけでございまして、具体的な捜査の進展の成り行き、取り組み等につきましての答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  22. 坂上富男

    坂上委員 それでは質問を少し急がしていただきます。  今回、業界で起訴になりましたのは鹿島関係、清水関係、大成関係、ハザマ関係、西松関係、三井関係、そのほかに今捜査中のものが二件ばかりあるようでございます。  さて、これはまた、宮城県知事あるいは茨城県知事、仙台市長、三和町長、こういう収賄側もあるわけでございますが、これはこの二県でございます。宮城県それから茨城県の二つでございますが、この二つの県だけが特異なのか。どうもこれから推測をしますと、他の自治体にも、全部とは言いませんが、相当類似な行為があるんじゃなかろうかと思いますが、この点どのようにお考えになっておりますか。  それからまた、特捜の皆様方は本当に物的にも人的にも大変乏しい中で必死の捜査をなさっていることに敬意を表するわけでございますが、そうだとするならば、地方検察庁に、あるいはこれはまさに全国的な規模かもしれませんので、捜査を任せられる、指示されるというようなことがないのか。この点についてもひとつどのようにお考えになっておるのか。これらはいずれも刑事局長さんで結構でございます。  それから、今度、いま一つは、中央政界にもどうも問題があるんじゃなかろうかということの具体的な指摘でございますが、本年七月二十二日、金丸脱税の初公判で、検察の冒頭陳述でこういうことを言っているわけでございます。一つは公共事業の受注のため、一つは業界全体の利益確保等を期待する大手業者から毎年盆暮れを中心に献金が行われ、その金額は昭和六十二年から平成元年にかけて毎年十億円以上に達していた、こういう冒頭陳述があるわけでございます。  それから、これは報道でございますが、鹿島の清山副社長は、政界担当者だと言われておるわけでございますが、この人が逮捕前にこういうことを言ったと言われておるわけでございます。具体的な仕事よりも業界としてのお願いだと言っているわけであります。この業界としてのお願いというのは、私は、日米の構造協議に関することなのか、あるいは独禁法の課徴金の問題で、これをどれだけ下げるかというような懸案の問題であったのか、どちらかだと思うのであります。  したがいまして、金丸冒頭陳述、鹿島の清山副社長の報道機関への発言、これらを見てみますると、どうもこの汚職問題はいわゆる日米構造協議か独禁法の課徴金の引き下げ問題にかかわる問題でなかろうかとも思っておるわけでございますが、この三点について、刑事局長、お答えいただければありがたいと思います。
  23. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  今委員が御質問になられました三点について、順次お答えを申し上げたいと思います。  第一点は、現在既に起訴済みの前茨城県知事関係あるいは前宮城県知事関係以外の県はどうなのかという御趣旨のお尋ねかと思うわけでございますが、この点につきましては、現在、検察当局においてどういう事実を捜査の過程で把握しているかということにわたることになりますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。  それから、第二点の地方検察庁ではやれないのかというような御趣旨のお尋ねかと思うわけでございますが、もうこれは改めて申し上げるまでもなく、東京以外の各地方検察庁にも相当数の検察官、検事を配置しておく必要があることは改めて申し上げるまでもないわけでございます。したがいまして、例えば東京地検において大規模なあるいは複雑困難な事件の捜査を行うというときには、必要に応じて適時適切な捜査応援態勢等をとりまして、その捜査に必要な捜査態勢を組んで捜査に当たるという現在の方法で行うのが最も適切であるということで、検察当局においてそのような方式をとっているものというふうに思うわけでございます。  それから、第三点のお話でございますが、例えば今委員が御指摘になられました鹿島建設の清山副社長の話ではこうではないかという御趣旨のお尋ねでございます。  今委員が御指摘になられましたような報道がなされていることは、検察当局においても十分もちろん承知しておると思うわけでございます。  いずれにいたしましても、検察当局がどういう事実を捜査の過程で把握し、今後どういう方向に捜査が進展していくかということにつきましては、これは検察当局がその時点で判断することでございますので、法務当局からお答えすることは差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。
  24. 坂上富男

    坂上委員 刑事局長にまた質問いたしますが、まず国税庁からちょっとお聞きをしたいのでございます。  これは新聞発表にもなっておるようでございますが、平成三年の使途不明金でございますが、その総額は五百五十八億円、そしてこの使途判明割合は二五%で百三十九億円、そしてその使途の内訳のうち、使途判明分といたしまして、政治献金に使われましたのが二十四億円だと言われておるわけでございます。これは間違いない事実だろうと思います。平成二年に政治献金で使われましたのが十三億、平成元年に使われましたのが十六億と言われておりますが、国税庁、事実ですか。
  25. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 お答え申し上げます。  国税局の調査課が所管しております調査課所管法人につきまして調査をした結果判明した使途不明金のうち、使途について私どもがその内訳を解明いたしましたものについて、政治献金であろうと思われるものについての数字は、ただいま委員のおっしゃったとおり、平成元年、二年、三年につきましてそれぞれ十六億円、十三億円、二十四億円、こういうものであったわけでございます。
  26. 坂上富男

    坂上委員 時間がないから急いで御答弁をお願いしたいのでございます。  判明しない使途不明金、これが平成三年は四百十九億、平成二年が三百七十億、平成元年が四百四十七億円、こうなっておるわけでございます。今、判明率によりましてパーセンテージを掛けてみますると、どうも政治献金なされたと推定される金額は、平成元年では五十七億円、平成二年では三十七億円、平成三年では七十六億円、これが大体政治献金に、今の計算方式でやりまして、使途不明金の計算を今の判明率によって計算してみますると、政治献金は大体こういう割合になるんじゃなかろうかと思われますが、いかがですか。
  27. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 お答え申し上げます。  いろいろなお考え方があろうかと存じますけれども、私ども国税庁といたしましては、集計いたしましたデータは発表いたしておりますけれども、それに基づきまして、それを上回るものについての推計というようなことはいたしておりません。例えば、使途不明金のうち使途が判明されたものの割合につきましては先ほど申し上げたような割合でございますけれども、判明されないものも含めた全体の使途不明金について同じような割合で使われているかどうかわかりません。また、各業種が、企業種平均的に同じような使途不明金の使い方かも存じませんので、何とも推計はいたしかねるわけでございます。
  28. 坂上富男

    坂上委員 刑事局長に御質問いたしますが、政治献金に使われたものが大体このような御答弁があった、またこれ類似の実態じゃなかろうかと思いますが、これは検察の方では認識をし、把握をしておられるのでございますか。
  29. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  今、委員のお尋ねは、具体的事案における会社の使途不明金と政治献金との関係についてお尋ねだと思うわけでございますが、いつもお答え申し上げておりますように、具体的事案における捜査の過程で把握した事実につきましては、既に公判請求した事件で、公判において明らかにされるもの以外の事実関係につきましては、お答えを差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。
  30. 坂上富男

    坂上委員 いま一つですが、今度、本件と請訓事件との関係でございますが、検察・法務当局は、内部規程で、重要事件については大臣に請訓するということになっておるようでございますが、本件の一連の汚職問題についてはどのような対応をなさっておるのか、まず大臣からお答えいただきましょうか。
  31. 三ケ月章

    ○三ケ月国務大臣 お答え申し上げます。  部内規程である請訓規程の具体的内容につきましては、現在及び将来にわたる検察運営に支障が生じてはならないという観点から、お答えは差し控えさせていただきたいと存じますが、私は、検察が、いつも申しておりますように、常に不偏不党、厳正公平な立場から事件処理を行ってきたことについて、検察を深く信頼しているものでございまして、いかなる事件につきましても、検察権の行使に不当な制約を加えるということはいたさないという考え方に立って対処しているということで御理解をいただきたいのでございます。  具体的に本件ゼネコンの問題につきまして請訓があったかと申しますと、これはございません。と申しますのは、涜職罪に関しましてはその請訓の中の事項には入っていないと私は承知しているからでございます。
  32. 坂上富男

    坂上委員 次に、刑事局長にさらに質問をさせていただきますが、これは宮澤総理の時代だろうと思うのでございますが、こういう報道がなされております。清水建設が政治家五十七人を五ランクに分けて盆暮れに一千万ないし百万円献金したと報道されております。この報道は、もちろん検察としては認識をされているのだろうと思います。  いま一つ、また、今回のゼネコン汚職捜査に関連をいたしまして、贈賄容疑で逮捕された鹿島の清山信二前副社長が、竹下元首相に一千万から五百万円、小沢一郎氏に昨年十二月に五百万円など二、三年前から盆と暮れに各五百万円、中村喜四郎氏に昨年一月一千万円を渡したと報道されておるわけでございます。これも新聞報道でございますが、検察はもちろんこれについて御承知されておると思うのです。  これについても捜査中でございますし、捜査の機密でございますからお答えできないと、こう答弁だろうと思うのですが、少なくともこれは捜査の端緒になる事柄でございます。いわゆる捜査の端緒で知った場合は、検察は少なくともこれに対する捜査をしなければならないわけでございまするし、冒頭申しましたとおり、検察のこのような大変な暴行事件のような不祥事の払底を、国民信頼を回復するには、まさに国民期待しておりまするところの中央政界の徹底的な捜査と、ひとつこの解明をしていただくことが国民への信頼回復だと思っておるわけでございますが、この二点について、どういう対応を今なさっておりますか、お答えいただきたいと思います。
  33. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  今委員が御指摘になられました幾つかの点について、そういう内容の報道がなされていることは、もちろん検察当局においても承知していると思うわけでございます。ただ、検察当局がどういう端緒で、どういう事実関係について捜査をしているかということにつきましては、これは、今委員が御指摘になられましたように、捜査の秘密に属することでございますので、お答えを差し控えさしていただきたいと思うわけでございます。  ただ、今委員が最後に仰せになりましたように、検察当局におきましては、いかなる端緒であれ、犯罪の捜査の過程で犯罪の嫌疑があると認められる事実、思料される事実がありますれば、適正に対処するものというふうに考えているわけでございます。
  34. 坂上富男

    坂上委員 もう時間がありませんので、答弁は一つだけでいいです。  昭和六十三年から平成四年の大臣承認と人事院承認を受けた天下り先は、本件の場合、こうなっております。清水においては五、鹿島においては三、大成においては二、ハザマにおいては五、西松においては五、三井においては三、飛島においては三、これが高級官僚の皆様方の天下り先でございます。  これに関連いたしまして、建設省では招聘要望書、厚生省では派遣依頼書、こういうようなものをとっていろいろと天下りをなさっておるそうでございますが、これは決して建設省や厚生省だけでなくして、他の官公庁にも、各省にも類似のことが相当あるんじゃなかろうかと思いますが、武村官房長官、今こういう点の調査をなさっておるのでございますか、この部分。
  35. 武村正義

    ○武村国務大臣 かねがね、各省庁から民間会社等に退職をして再就職をされている方々の調査は、人事院を中心にして調査をいたしております。昨今厳しい批判を受けておりますだけに、一層この点については政府としても注視をしていきたいと思っております。
  36. 坂上富男

    坂上委員 ちょっと時間がありませんので、終わります。ありがとうございました。
  37. 山口鶴男

    山口委員長 これにて坂上君の質疑は終了いたしました。  次に、村井仁君。
  38. 村井仁

    村井委員 新生党の村井仁でございます。  私は、細川内閣というのは、第一に政治改革というのを実現するという課題を負って誕生したいわば一課題内閣、こういう一つの課題をしなければならない内閣、こういう成り立ちではあったと思うのでございますけれども、しかし、日本という船のかじ取りをずっとやって、この時代の海に乗り出して、そして政治改革実現という港を目指して航海を続けていってみれば、そこにたどり着くまでに、まああらしも襲ってきましょうし、それからまた大きな氷山、小さな氷山が右から左からあらわれてくる。このあらしや暴風雨をしのぎながら、そして氷山を避けつつ、この日本という船のかじをとり帆を操る、そういうことを総理初め内閣の皆様方がしてこられて、今や百日を超えたわけであります。思い返してみましても、日本の政治の歴史の中でまれに見る激動の時期であったと、私はこのように感ずるものであります。  いろいろなことがございました。そして、私はある意味では連立効果とでも言うべきものがだんだんとあらわれてきているように感じております。この政権がこれまでなし遂げてこられたことにつきまして、総理御自身、一体どのような自己評価をしておられるか、まず冒頭にお伺いしたいと存じます。
  39. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 百日ほど経過をいたしまして、どのようにこの百日間を評価するかということでございますが、いろいろな観点から申し上げることができると思いますが、一つには、やはり旧来の永田町だけの政治というもの、もっと詰めて言えばいわゆる族議員の政治といったようなものを打破して、政治国民により身近なものにすることにそれなりの役割を果たしてきているかなというふうに思っております。  外に向けて、外交の面で、日米、日ロ、あるいはまた日韓、あるいはAPECの首脳会議等を通じましてそれなりの実を上げてきているというふうに感じておりますし、また、国内におきましては、前の国会から懸案でありました環境基本法とかあるいは行政手続法とか、極めて重要な法案を国会で上げていただいて、また、規制の緩和あるいは行政改革にも着手をしたところで、今後こうした構造改革、政治の改革はもちろんでございますが、経済の改革、行政改革、こうした構造的な問題の本格的な改革というものにしっかり取り組んでまいりたい、そのように考えているところでございます。
  40. 村井仁

    村井委員 ありがとうございました。  農林水産大臣にちょっとお伺いしたいと存じますが、ウルグアイ・ラウンドもいよいよ大詰めになったという感じでございまして、いろいろな報道がなされております。しかしながら、例えば牛肉の例を見るまでもなく、国境措置を関税だけにゆだねましたときには、かなり高い関税を張っておきましてもだんだんといろいろな交渉を通じて引き下げざるを得なくなるというような問題もある。そういう意味で、例外なき関税化というのは私は非常に問題があることだと思っております。  そして、基本的食糧の自給体制を維持するということは、もちろん私どもの生活にとって不可欠な食糧を安全に確保するという観点のみならず、さらに環境の問題ですとかさまざまな問題、そればかりでなくて、日本がことしの凶作によって米を輸入しなければならないということになりましたときに、東南アジアの例えばタイ米に依存している国々で、貧しい人たちが大変にその米の高騰によって苦しむ事態になったというような事態を考えますと、私はこれはよほど慎重にしていかなければならない、このように感ずるものでございます。  外交交渉を現在一生懸命やっておられる時期でございますからこれ以上のことを申し上げませんが、農林水産大臣から、ぜひこの交渉が終局近くなってきた状況における御決意、そしてまたお考えを確認的にお伺いしたいと存じます。
  41. 畑英次郎

    畑国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま御指摘がございましたように、この農産物関係の交渉もいよいよ正念場、最終段階に入っておるわけでございますが、その中で、関税化、国境措置、これを軽々に扱ってはならない。さような意味合いでの、そしてまた最近における牛肉の問題等々、卑近な例として私ども厳しく受けとめさせていただいておるわけでございます。  そしてまた、お話がございましたとおり、緊急輸入に絡む諸問題も種々国際的にも論議を呼んでおる。そしてまた、国内的におきましては、農地そのものが国土面積のわずか一四%しか残っていないという現在の姿の中におきましては、国土保全の面あるいはまた環境問題等々、大変従来とは比較にならない重みを持った重大案件である。  かような意味合いで、国会決議、あるいはまた細川内閣スタートに当たりましての八党派合意事項、こういうものを十二分に踏まえてさらなる努力を重ねてまいりたい、かように考えております。
  42. 村井仁

    村井委員 ひとつ外務大臣ともども御健聞いただきたいと思います。  昨日の本会議におきましても、株価の極端な低落あるいは雇用状況の悪化など、景気の現状は総理も大変深刻なものであるという御認識を示されました。考えてみますと、これまで財政出動もかなり思い切ってやった、そして金利も史上最低の公定歩合まで下げた、あとやるとすれば恐らく減税が残っているだけ、こういうことではなかろうかと思うわけであります。  実は、私も、前の内閣で大蔵政務次官としてやらせていただいた立場で、一端の責任を感じているものでございます。そういう意味で、私は、現在の景気後退というのは、例えば災害、冷害というような予想しないことで加速されたとはいえ、やはり前政権以来のある種の負の遺産であるということを言わざるを得ないと思うわけであります。  ところで、私は、そこで考えなければいけないことは、この景気の後退というのが基本的には資産デフレというような側面があったのではないか。バブルということで土地の値段が上がり過ぎた、株の値段が上がり過ぎた。そこで、言ってみますと、ともかくみんなで寄ってたかって、金融は締める、税金は重くするという形で、言ってみると布団蒸しにしてしまった、ぎゅうぎゅう締め上げてしまったということで今に至っているのではなかろうか、こういう感想がございます。そして、私は、この事態というのは、放置すれば金融システムの崩壊という経済全体の根幹にもさわるような大変な事態にもなりかねないという懸念を持っております。  実は、昨日、大蔵大臣と通産大臣が御協議になられて、大分突っ込んだ御議論をなさったようでありますが、いろいろ御議論ございましょうけれども、私は、事態がここまで参りますと、ここで思い切って、今まで議論されている所得税の緩和といいますか引き下げ、そういったことによる景気刺激に加えて、もっとピンポイント攻撃といいますかポイントを絞った形で、例えば土地譲渡税制の緩和であるとか、あるいは地価税それから固定資産税等いろいろ複雑な問題がございますけれども、その保有にかかわる課税の緩和、あるいは証券取引につきましての税制の手直しというようなものをどんなふうに扱っていくのか、これを本当に真剣に考えなければならない、そんな時期に来ているのじゃないかと思うわけでございますが、まず総理、そして大蔵大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  43. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 土地税制につきましては、御承知のように、短期的に、土地の暴騰というものに対して臨時的な措置として考えているということではなくて、長期的、安定的な税制として考えられているということはもう改めて申し上げるまでもないところでございますが、この土地税制の基本的な枠組みの中で土地のさらなる有効利用というものをどうやって図っていくかという観点から、今後検討すべき点があればよく検討をしていかなければならないだろうというふうに思っております。  それから、有価証券の取引税の問題についてのお話もございましたが、これはさきの税調の答申におきましても、現行制度でやっていくといった趣旨の答申が出されておりますので、当面の市場の対策としてこの税制の問題について検討するということは今のところ考えておりません。
  44. 藤井裕久

    藤井国務大臣 ただいまの村井委員の景気に対する現状認識は、全く同じに考えております。単なる今は経済のサイクルだけでない、もちろんサイクルがないわけじゃありませんが、それに加えて構造問題、特に資産デフレ問題というのが基本にある、全く同じ認識に立っております。  したがいまして、その中で、きのう通産大臣とお会いした話が出たわけでございますが、直接には前月に比べて鉱工業生産指数が五%落ちたということが端緒でお会いしたわけでありまして、何よりもこの第二次補正を早期に成立させたいということ、そして平成六年度予算にこういう景気問題を配慮したスタンスをとるべきであるということ、年末の中小企業金融に対しては万全を期すことというような、合意をするもう一つの事項といたしまして、証券市場の、あるいは金融のシステムの回復ということも大事である、私が常々この委員会で申し上げたこと、同じ観点で合意をしたわけであります。その基本にあるものは、御指摘のように土地の取引の円滑化、流動化というものが大きな要因であるということも全く同じ考えてあります。  したがいまして、その中でいろんな土地流動化の施策はあるわけでありますが、税制も一つであることはもう間違いないところでありまして、そこで、税制でございますが、もう御承知のように、平成元年に土地基本法ができて、それに基づいてこの税制の基本的な仕組みができたことも事実であります。ただし、その中にも居住用住宅の問題、優良宅地の問題、公共用地に対する提供の問題等については政策措置がとられているわけでございますね。そして、全体としての仕組みができ上がっているわけで、今お話の出たようなこの経済のリストラ等々の問題について、あるいは今後の国土政策などを考えて、そういう基本を崩さない中でいろいろな政策措置というのはあり得るのではないか、これをまあ勉強しようじゃないかというのが通産大臣とのお話内容であります。
  45. 村井仁

    村井委員 私は、今の総理大蔵大臣の御答弁に関連してちょっと申し上げたいと思うのですが、まず大蔵大臣の御答弁の方からでございますけれども、土地基本法の枠組み、いわゆる土地を持っているだけでもうかるというのはおかしいじゃないか、土地はやっぱり国民共有の資産ではなかろうかという観点から、これを持っているだけでもうかるというのを何とか変えていこう、これは私は動かしてはいけない原則だと思います。  ただ、そうはいいながら、やっぱりそこで例えば譲渡、買いかえというような過程でまだまだいろいろな制約要件をつけている、そこを外すことによってかなり流動化が進むのではなかろうか、それによりまして今の経済によい刺激を与えることができるのではなかろうか、そういう認識で大臣と意見が一致しているということで、その点はよろしゅうございますね。
  46. 藤井裕久

    藤井国務大臣 ただいま私がお答えしたことは、村井委員お話と全く同趣旨のことを申し上げたつもりであります。
  47. 村井仁

    村井委員 そこで問題は、私はもう一つ証券の方だと思うのです。これは総理から、証券については税調の答申もあるから動かさない、こういうようなお話がございました。税調の答申は、確かに土地基本法を重視して、土地の保有にかかわる、あるいは譲渡にかかわる税制を動かさない、こういうことが書いてある。また、証券についても同じように書いてある。しかしながら、これをどういうふうに評価し議論していくかというのは、これは我々やっぱり国会で、私は国会というのは、本来、税を納めていただくいただき方、そうして納めていただいた税を国家共同の費用としてどのように使っていくか、こういうことを議論するためにそもそもは誕生したものだと考えれば、そこでそれは一つの参考意見としながら自由濶達な議論をしていくべきことではないか、このように思うわけでございますけれども、そのあたりにつきましてもう一度、総理、申しわけございませんが、ちょっと御見解をいただけませんか。
  48. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 もとより、おっしゃることはもうそのとおりでございます。いかなる審議会の答申であれ、そのようなものを踏まえて国会で御論議をいただいて方向づけをしていただく、あるいはまた政府において方向づけをしていくということでございますから、それはまことにおっしゃるとおりでございます。  ただ、先ほど申し上げました証券取引税という具体的な問題につきましては、証券市場活性化のために今直ちに、現時点でそのことをすぐ考えるということにつきましては少し慎重に考えていかなければならないであろう、こういうことを申し上げたわけでございます。
  49. 村井仁

    村井委員 具体的に有価証券取引税そのものをどうするかという、そこまで詰まった話を私もしているわけじゃないのでございまして、いずれにしましても、税という手段を通じて証券市場のさらなる活性化、あるいはてこ入れというものを考えなければならないような景気の局面に来ているんじゃなかろうか、土地と関連しまして私の見解を申し述べたにすぎません。その点だけ申し上げまして、次の問題に移らせていただきたいと思います。  もう一つの問題は、同じく、これは大蔵大臣にお伺いしたいんでございますけれども、政府税制調査会の答申が出ました。これは中長期的な税制のあり方につきましての考え方、理念というものを提示しまして、基本的には所得税の累進性の緩和によって社会の活力を維持する、そして一方、高齢化社会に備えて消費課税の充実を図っていくべきだ、こんなようなことを書いているわけでございますが、私は、この提案、この提言というのは基本的には正しいと思っております。そしてまた、政府税調の関係者の御努力を評価するものではございますが、しかし、その答申がその中で、答申した事項が一体的に処理されるべきだということを殊さらに触れているわけであります。  答申の十六ページでございますか、そこに「一体的な成案化」と題しまして、  今般の税制の総合的見直しは、以上に述べたとおり、「公正で活力ある高齢化社会」を実現するため、所得・消費・資産等の間でバランスのとれた税体系を構築し、社会の構成員が広く負担を分かち合うことを目指すものであることから、個人所得課税、消費税及び相続税等の見直しを中心とする具体的な改正事項は、その全体が一体的に成案に取りまとめられ、実施されるべきである。こう書いてある。  私は、この政府税調の御議論というのは基本的には評価するんですけれども、ただ、正直なところ、これを読みまして、こんなことを、この一体的処理ということを書かれた、ある意味じゃ国会として非常に恥ずかしい、こういう思いがするわけであります。つまりこれは、言っていることは何だというと、減税つまみ食いお断りよ、こう言っているわけでございますね。本当はこんなことを言われるまでもなく、私たち政治家が、今の日本の国の財政というものはどういう状態にあるんだとありようを真剣にとらえて、今百八十四兆円からの借金を抱えている、地方まで入れると一人当たり二百四十万円の借金だと言われている。こういう状態を、一体将来の国民に過大な負担を残すというような形で放置していいのかどうかということを、私たち政治家がみずからの責任できちんと始末をつけていかなぎゃいけない、私はそういうことじゃないのかと思うわけであります。  考えてみますと、私たちは、私たちの子供や孫の世代によりよい、住みよい日本を残していこう、こう考えてこれまで努力してきているはずであります。それなのに、後世に無責任な負担を残す、こんなことがあってはならない、私はそのように確信するものでございますが、大蔵大臣、どうお考えになりますでしょうか。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
  50. 藤井裕久

    藤井国務大臣 ただいま村井委員の御指摘のとおりであって、私は税制調査会の物の考え方は極めて高く評価いたしております。次の世代に向かって福祉社会をきちっと守っていく、安定したものを守っていくためには、国民の皆様の御負担のあり方があの税制調査会で書いてあるような方向であるということを、全く正しいという意味において評価をいたしております。  そこで、村井委員、全く同じお考えで今御議論になっていただいていると思います。まあ税制調査会のお立場としては、今のような御意見をサポートする気持ちというか、あるいは自分たちも全くそういうふうに考えているんだという御意思の表明だと思いますので、これはひとつ素直にお受けいただきたいなと思うわけであります。  ただ問題はもう一つ、恐らく村井委員の頭の中におありになるのは、平成六年度減税問題というのはどうなるのかと、こういうお話もあるんじゃないかと思うのでございますが、もう御承知のように、税制調査会はそれについて答申はございません。これこそまさに、細川総理の内閣及び皆様方とよくお話をして、そういう税制調査会の答申の方向、これは正しいわけですから、それに沿って具体的にどう考えるかということはまさに政治の問題であるという意味において、御指摘のとおりだと思っております。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
  51. 村井仁

    村井委員 私は、先ほど総理がこの内閣の効果といいますか内閣の成果といいますか、その中でお触れになりましたように、国民に開かれた政治というものになりつつあるということを仰せになりましたことを思い起こすわけでありますが、結局、この税の問題一つとってみても、国民は私は賢明だと思うんですね。私は、国民も次の世代に大きな負担を残していいんだ、我々の世代だけいい暮らしをすればいいんだ、そんなことはだれも思っていませんよ。  そういう意味で、私たち政治家も、やはり今だけではなくて、将来の時代をどういうふうにしていく、将来の世代をどうしていくんだということを本当に真剣に考えるという姿勢でなければいけないんだろうと思うわけでありますが、しかし、そこでやはりこの不景気であります。ともかくこれは何とかしなければいけない。  私は、もう一度申しますけれども、財政は本当に思い切り出動した。これは、やはり長年にわたって行財政改革を行ってある程度財政の手を広げた、財政が自由になったということで思い切った財政出動ができた、この効果、功績、これは評価しなければいけないと私は思うんです。ここでやはりもう一段やるとなれば、もう減税しか多分ないだろう。思い切った減税を考えてまいりたい。そういうことをこの機会に、総理大蔵大臣にもう一度確認をさせていただきたいと存じます。
  52. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今の景気の状況というものは、先ほどからお話がございますように、大変深刻な状況であるということについて私も全くその認識を同じくするものでございます。あらゆる手だてを講じて現在の景気の状況を向上させていかなければなりませんし、先行き不透明感というものを払拭していくために、税制の問題も含めてあらゆる手だてを講じていかなければならない、そのことについては再々今までも申し上げてきているとおりでございます。
  53. 藤井裕久

    藤井国務大臣 御指摘のとおり、この現在の経済情勢に対応するために政府はあらゆる手段をとっているという姿勢は非常に大事だと思います。おっしゃるように、公共投資政策、政策減税政策、公定歩合政策、すべてはやって、残るは減税ではないかという意味において、全く御指摘のとおりだと考えております。  そこで、その具体的な案は、まさに申し上げましたように、政治が決着して決めるものだということを申し上げたいと思いますのと、一つだけつけ加えさせていただきますが、今総需要政策では、この現在の経済情勢に対応し切れないということを私どもは常に考えております。したがいまして、総需要政策で必ず下支えをやる、何でもやったということをお示しするとともに、先ほど申し上げたような、経済リストラという言葉を使いましたが、あるいは金融のシステムの問題等に同時に積極的に取り組まなければいけないということをあえて申し上げさせていただきたいと思います。
  54. 村井仁

    村井委員 次の問題に移ります。  新聞報道、たしかおとといの読売の夕刊だったと思いますが、規制緩和についての行政委員会を新設するという方針であるという報道がございました。これについて総理の御所見をお伺いしたいわけでございますが、ちなみに行政整理を進めるというのは、私はある意味ではまさに国会の務めだと思っているんですね。行政が肥大しないようにするというのは、国会がその監視の役割をしなければならないんであって、必ずしも国家行政組織法三条の機関だとか、そんなようなものを必要としないんじゃないだろうかというような気がするわけでございますが、そういう細かい議論はともかくとして、そのような機関を規制緩和に関連しておつくりになるお考えが、総理、おありになるんでございましょうか、まずその点をお伺いしたい。
  55. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 規制緩和の問題につきましては、推進本部を総理大臣のもとにつくってやっていくと、それから法に基づいて第三者機関をつくって進めていくということで考えているところでございます。  もとより、国会の御支援をいただきながらこれはやっていかなければならない、それはもうおっしゃるとおりだと思いますし、規制の問題は、行政府ではなくて、むしろ立法府の方が主導権をとってやるべきではないかという御趣旨かと思いますが、それはわからないではございませんが、しかし、この規制の問題は経済運営というか政府の行政運営における重要な構成要素でございますし、やはり政府が主体的な役割というものを果たしていかなければならない部分が、何といいましてもこれはいたし方ない部分が相当あるということもぜひひとつ御理解をいただきたいと、こう思っております。
  56. 村井仁

    村井委員 もう時間も余りありませんので、私の意見だけ申し上げて質問を終わらせていただきますが、私は、何かというといわゆる行政委員会、あるいは三条機関にせよ八条機関にせよ、そういうものができるということに非常な問題意識を持っておりまして、元来、行政管理局なり行政監察局なり、ああいった組織が十分に政府部内で総理の手足としてチェックする機能を持っているわけでありますから、それを大いに活用するということがまず第一ではないか。私は、行政委員会をつくること自体もある種の行政の肥大だと、このように思うわけであります。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  57. 山口鶴男

    山口委員長 これにて村井君の質疑は終了いたしました。  次に、草川昭三君。
  58. 草川昭三

    ○草川委員 公明党の草川であります。  まず最初に、ゼネコン問題についてお伺いをします。  国税庁の方にお伺いしたいんですが、社会党さんの質問の中で国税庁が答えていない点をまず第一にお伺いをいたします。  一連のゼネコン汚職では企業の政治家に対するやみ献金が問題になっているわけですが、国税庁によると、平成四年、すなわち昨年の六月までの一年間の調査で見つかった使途不明金は五百五十八億に上り、そのうち建設業界の分は三百八十二億円で全体の約六八%、約七割近いものと聞いていますけれども、それに間違いがあるかないかお伺いをします。
  59. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 ただいま委員のおっしゃったとおりでございます。
  60. 草川昭三

    ○草川委員 ところが建設省は、今回のゼネコン汚職が発生するまで、このやみ献金やわいろの温床になっているとの批判がある使途不明金について建設業界にどのような指導をしたのか。これはしていないわけであります。事件発覚後、本年になって、六月末か七月の上旬に初めて業界に解消を求める通達を出しているわけであります。  私は、建設業界に対する遠慮が強過ぎるのではないか、こういう立場に立って総理質問をするわけでありますが、今私が申し上げましたように、建設業界の多額の使途不明金と政治家へのやみ献金、この関係を打破し、自民党政権と違う、明確に細川政権というのはこういう問題について厳しい、こういうことを私はぜひ強く発言をしてもらいたい。これが高い支持を受けている細川内閣に寄せられている国民期待だと思うのであります。ゼネコン汚職の温床となった建設業界の多額の使途不明金をこれまで容認をしてきたのは実は前政権であり、自民党政権ではないか、だからその責任は極めて重いと言わざるを得ません。総理の見解を、この際、改めてお伺いをしたいと思います。
  61. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 使途不明金の問題などについて、正すべきことは、究明すべきことがあれば、取り上げるべきことがあれば、それはもちろんびしびしとやっていっていただきたい、このように思っております。  司法当局におきまして、このような問題には厳正公平に対処しつつあると思っておりますし、また、今後もそうあってもらいたい、そのように願っております。
  62. 草川昭三

    ○草川委員 細川内閣は、このような自民党政権の姿勢を引き継ぐ必要はないわけであります。今後業界をどのように指導していくのか、総理の見解を次いでお伺いをしたいわけであります。  私は、実は総理が韓国を訪問されるときに一言申し上げたことがあるのでありますが、韓国の政権というのは、前政権のスキャンダルを徹底的に追及することによって国民の高い支持を得ているわけであります。私は、それを総理は見習うべきであるということを申し上げたわけでありますが、改めて決意を表明していただきたい。前政権と違うということを明確に国民の前に明らかにされたいと思うのであります。
  63. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今申し上げましたように、取り上げるべきものがあれば、それは司法当局において厳正に、びしびしとやっていただくべきである、そのように思っております。  また、この問題につきましては、本委員会でも申し上げたことがあるかと思いますが、業界のモラル、政治家のモラル、それからまた入札とか契約制度といったシステムの問題、そうした観点から取り組んでいかなければならない問題が幾つかあるわけでありまして、そのそれぞれにつきまして、業界は業界のモラルを正すために、しっかりとこれは建設省からも指導をしていかなければならない点もございましょう、業界の中での自粛ということももちろんございましょう。それからまた、政治家のモラルについては、お互いにこれは襟を正していかなければならないことでございますし、また、システムの問題につきましては、今中建審におきまして鋭意御審議をいただいているところでございます。
  64. 草川昭三

    ○草川委員 建設大臣にお伺いをいたします。  公共工事のスキャンダルが続発をしているわけでありますけれども、一つの原因として工事完成保証人制度が指摘をされております。これは建設業者同士がお互いに保証し合うということで、談合の温床ではないかと指摘をされているわけでありますが、これは私は速やかに改善すべきであると思うのでございますが、建設大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  65. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。  御指摘のように、工事完成保証人制度の存在というのは、とかく相保証と言われるようなことにつながるわけでありまして、これは通常建設業界の中で行われていることではありますが、一般の世間の常識から見ると納得のいかないものであるというふうに思うわけであります。  したがいまして、今検討をしている中建審の特別委員会においても主要なテーマの一つになっておりまして、私どもの考え方としては、この特別委員会の答申を受けて年明け早々方針を出すことになりますが、恐らく、今の議論の状況からいいますと、この相保証的な工事完成保証人制度のあり方につきましては改善を要するものということになろう、こういうぐあいに考えています。
  66. 草川昭三

    ○草川委員 またこれで総理に戻りますが、十一月の二十六日に、公共事業の配分について、財政制度審議会の答申が出ております。当然のことながら、この答申をどのように次の予算に反映していくか、これは大変難しい問題がございます。自民党政権時代につくられた既得権益の壁を打破しなければならない問題が私は非常に多くあると思います。  このようなことに直面をしているわけでありますが、これをどう乗り切るか、ここにゼネコン等のスキャンダルをなくする一つの方策が出てくると思います。  特に金丸事件、七十億の個人的な蓄財というのは国民に非常に強いショックを与えました。税金を払わぬと怒ったわけであります。その際、公共事業というのは国民のために行われているのか、そうではなくて業者や特定の政治家のためにあるのではないかという批判が日本国じゅうに非常に広がったわけであります。  そういうことも私どもは念頭に置きながら、事業別配分の見直し等も必要だと思いますが、ここは大変、霞が関全体の再構築というのですかリストラクチャリング、こういうような必要が私はあると思うのでございますので、ひとつ総理の基本的なこの答申を受けての姿勢というのを、この際、明確にされたいと思います。
  67. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 財政審のこの公共事業の硬直的な配分を見直していこうということについての答申は、大変適切なものをいただいたと思っております。適切な御指摘であると思っておりますし、その答申を踏まえまして、これからの経済社会の変化に即応して、国民生活のニーズというものを踏まえて、生活者主権という観点に立って、効率的、重点的にできる限り見直しを進めてまいりたい、重点的、効率的な配分に努めてまいりたいと思っているところでございます。
  68. 草川昭三

    ○草川委員 いよいよ次年度の予算編成も始まっているわけでありますが、当然、予算要求の根拠となるには各種の五カ年計画等々があるわけでありますが、思い切ってこれも白紙に戻すぐらいの気持ちで、特にこれからの高齢化社会に備えた社会資本整備の戦略というものを私は練り上げなければいけないと思います。どうかひとつ長期の展望を立てて、次の予算の編成を腰を落ちつけてやっていただきたいということを特に申し上げておきたいというように思います。  そこで、先ほども多少触れられましたけれども、景気の落ち込みというのはひどいものがあります。もう私どもも地元へ帰れば帰るほど、数多くの方々から叫びに近い声が出ているわけであります。もうこうなりますと、思い切った大幅の所得減税をやるべき時期ではないか。先ほど大蔵大臣は、政治の決断だ、こういう答弁を出されましたけれども、その際に、私は、財源に関して消費税引き上げを明示をするようなセット論では、もうそれはとてもじゃないけれども効果はない。思い切って、私は、それを避けるという意味ではありませんけれども、期間的に乖離を広げて、とりあえず思い切った減税を行う、そのようなことをぜひ総理から意思を表明してもらいたい。特にこの減税のタイミングを間違えますと、景気対策には何にもならない。追加の景気対策ということが言われておりますけれども、それすら足を引っ張ることになるのではないかと思うのですが、どのようなお考えか、お伺いをします。
  69. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 おっしゃるように、タイミングというものは非常に大事だと思っております。十分そのことも認識をしながら六年度の税制改正の中で検討をしてまいりたい、このように申し上げているわけでございます。  税制調査会の中でもいろいろ今御論議をいただいているところでございますし、先ほど大蔵大臣からも政治的な決断だというお話もございましたが、そうしたこともすべて含めてよく考えてまいりたいと思っております。
  70. 草川昭三

    ○草川委員 日銀総裁においで願っておりますので、最近の景気等の問題をお伺いしたいと思います。  株が年初来最安値を更新をしております。こうした株価の下落が企業家の心というんですかマインドや消費者の気持ちの冷え込みにつながっております。これが一層の景気後退を招くという悪循環になっているわけであります。  景気の現状と株式市場の動向について、日銀総裁は、過日、重大な関心を持って注視をしていく、ウォッチをしていくと述べられ、景気に与える影響に懸念を示されているわけであります。日銀総裁が株価に関して踏み込んだ発言をするというのは、大変これは珍しいというんですか厳しい状況であるわけであります。  しかし、この株の下落に関しまして、金融機関の不良債権というものが非常に高い水準に達している、こういう金融システムの不安というものが背景にあると言われております。これが株価の急落につながっている、こういうことが言われておるのでございますが、金融機関の不良債権問題の取り組みに対する日銀総裁の見解をお伺いをしたい、こう思います。
  71. 三重野康

    三重野参考人 お答えいたします。  株価の現在の低落というものは、金融機関の不良資産問題というよりは、やはり景気停滞が非常に長引いていることと企業収益が非常に芳しくないということが基本的な背景であるとは思いますが、しかし、不良資産の処理という問題は引き続き金融機関にとって非常に重要な課題でございます。  去年の夏ごろまでは漠然たる不安というものが先行しているような感じでございましたけれども、それ以降は金融機関がそれぞれの自分のところの不良資産をきちんと把握して、それぞれの置かれた状況のもとに、その本格的な処理に方針を立てて実行に移してきている、そういう段階だというふうに思います。  この秋の中間決算において金融機関が非常に多額の償却を積極的に行っているということは、そういうことに即したものでありまして、私どもといたしても評価をいたしております。  この金融機関の不良資産の処理の問題というのはすぐに片づく問題ではございませんが、金融機関がそういうふうに積極的に努力するということは、ひいては金融システムの安定につながるし、それだけではなくて、経済の回復にも大きなブラスをするというふうに理解しておりまして、そういう努力が引き続き進行すること、そしてまたそれに対するサポート、できることとできないことがございますけれども、できる限りやっていきたい、そういうふうに考えております。
  72. 草川昭三

    ○草川委員 金融機関の経営努力、姿勢を見守りたいという答弁でありますが、最近、この日銀に対する風当たりというんですか批判は非常に強いものがあります。中には日銀不要論すらくすぶっているわけでありますし、日銀の金融政策に対する集中砲火ともいうべき批判があります。景気判断を誤ったんではないか、あるいはマネーサプライのコントロールを放棄したのではないか等々たくさんあるわけでございますが、私は、この際、金融政策をより機動的、弾力的に運営するということが最も緊急ではないだろうか。例えば短期市場の金利を低目に誘導する、こういったようなことを早急に行うべきではないかと思うのでありますが、総裁の見解を求めます。
  73. 三重野康

    三重野参考人 金融政策が機動的に行われるべきだという委員の御指摘は、そのとおりだと思います。  私どもとしましても、一昨年の七月一日に初めて金利引き下げに踏み切りまして、それから七回にわたり公定歩合を引き下げ、現在の公定歩合一・七五%、これは、日本銀行が始まって百十一年たちますが、最も低い水準でございます。そういうふうに金利は機動的に下げてきたつもりであります。  それから、市場調節についての御質問でございますけれども、確かにことしの六月に定期預金の完全自由化が行われまして、それまでは公定歩合が動かなければ預金金利が動かない、預金金利が動かなければなかなか貸出金利も動かないという状態でございましたが、まだ流動性預金の自由化が残っておりますけれども、八割が市場金利に即応して預金金利が動くというふうになりましたので、いわゆる市場調節手段というものが日本銀行の金融調節手段の一つとなったことはそのとおりでございます。  ただ、市場金利は私どもの調節方針と市場関係者の景況感あるいは金利先行き観によって決まっていくものでございまして、したがって、マーケットでございますので、私自身が余り具体的にそのマーケットについていろいろ予測を申し上げるのは適当でないと思いますけれども、基本的にはやはり市場金利というのは、そのときの公定歩合のもとで、経済の実態に即応して安定的な市場金利が形成されるように努力をしてまいりましたし、これからもそういう努力をいたしたいと思っています。
  74. 草川昭三

    ○草川委員 そこでちょっと大蔵省にお伺いをしますが、我々がいろいろと地元へ帰ってまいりますと、中小企業の方々から、金利を下げていただいたのはありがたいけれども、銀行く行っても貸し渋りというのがあるのだ、幾ら安い金利にしたから設備投資をしろといっても担保力がない、担保価値というのは下がっているわけですから。だから、どうせ国会で議論するなら無担保の融資枠をふやす、こういうようなことをやってくれたらどうなんだろう、あるいは高い金利を一括返済をして低利に切りかえたい、こういうようなことこそ金融政策であり不況対策ではないだろうかという悩みを受けるわけであります。  私は、率直に申し上げまして、BIS規制等々がございまして、先ほど総裁も答えておりますけれども、銀行の体質上の問題等々がございまして、なかなか思い切った融資に応じようといたしません。私はやはり無担保融資の拡大ということが基本ではないだろうかと思うのですが、大蔵大臣、いかがな御見解が、お伺いをします。
  75. 藤井裕久

    藤井国務大臣 融資姿勢にはいろいろあると思うのでございますね。過去の資産インフレ期における反省に立って、まともな融資態度に変わったという面もあります。  それから、今、草川委員御指摘のように、資産デフレが発生したために、いわゆる基本的基準からいうとなかなか担保が足りない等々の問題もあって、現実に貸し出しの伸びが非常に低いということはもう御指摘のとおりだと思います。  そこで、民間金融機関に、無担保にするとかいうことはなかなかこれは金融取引、民間の問題でございますので、その分につきましては、もう御承知のように公的金融機関であるところの国民公庫等において対応しているつもりでございますので、これらをもっと活用していきたい、このように思っています。
  76. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、もう一度日銀総裁にお伺いをしたいわけでありますが、伸び悩みを続ける民間金融機関の貸し出しとは対照的に、今大蔵大臣も答えられましたが、政府系の金融機関の貸し出しがこのところ急増をしているわけであります。官民の役割分担のあり方にもそろそろ問題が出てきておるのではないかと思いますし、いわゆる金融政策の二元化というところまで来ておるのではないかと思うのですが、ここはひとつ総裁の御見解を問いたいと思います。
  77. 三重野康

    三重野参考人 政府関係金融機関の貸し出しが非常に伸びておりますのは委員御指摘のとおりでございますが、この背景と申しますのは、累次にわたる財政からの景気刺激策の過程において、政府関係機関の融資枠が非常に拡大されたということが一つあります。もう一つは、この政府関係機関の多くが低金利で、しかも長期で固定金利貸し出してございます。これは民間金融機関はなかなかそれと同じ貸し出しをすることはできませんので、非常なメリットでございます。そのことでふえているということになると思います。  しかし、先日の行革審の中間答申でございましたか、官業はあくまで民業の補完であるというのは、金融分野においてもそうでなければならないと思いますので、もう少し長い目で見ました場合に、やはり官業、政府関係機関の貸し出しが民間の金融機関の活力を失わせないように、それは注目して努力していかなければならないと思いますが、一方、民間の金融機関も競争を経ましてもっとやはりサービスを向上させる、そういう努力も必要かというふうに考えております。
  78. 草川昭三

    ○草川委員 じゃ、総裁への質問は以上で終わります。  そこで、株の問題にもう一回戻りますけれども、非常に日本経済の先行き、あるいは今日的な政情等のことも含めた不安、いろいろな要素があるわけでありますけれども、株が一向に戻りません。  そこで、一つの提言があるわけでありますが、証券市場の活性化を図る一つの方策として、自己株式規制の緩和が議論をされておるところであります。これをもっと急いだらどうだろう、これが私のきょうの提言でございますが、まず、通産省にお伺いをいたしたいと思いますけれども、この自社株取引についてどのような意見があるのか、あるいは産業界にあるのか、お伺いをしたいと思います。
  79. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 平成四年七月の段階で、通産省といたしまして、本件につきまして産業界から調査をいたしました。理由はさまざまでございます。株主優遇策でありますとか、株価安定策でありますとか、敵対的な買収の阻止でありますとか、いろいろ理由はございますけれども、委員御指摘のような自己株式規制緩和につきましては大変要望が強いということがこの調査結果で明らかになりました。また、日本商工会議所あるいは経団連等からも、自己株式規制緩和について要望が大変強いというふうに承知をいたしているところであります。  総括いたしますと、産業界におきましては、企業の資金調達環境の整備等の観点から、自己株式規制の早期緩和を要望する声が強いものと認識をしているところでございます。
  80. 草川昭三

    ○草川委員 じゃもう一問お伺いをしますが、景気をよくしなければいけない、こういう観点から、自己株式規制緩和について、通産大臣としての見解を、この際、求めたいと思います。
  81. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 本件につきましては、そうした要望を受けまして、さきの内閣におきまして四月に景気対策がまとめられた段階で、次の通常国会までに結論を得て、安定的で活力ある証券市場の確立のために、この自己株式取得規制の緩和問題について所要の対応をする、検討を促進するという旨が盛り込まれたところでございます。  私ども通産省といたしましても、産業構造審議会等の検討結果も踏まえまして、この自己株式規制の緩和につきまして、必要な弊害防止措置を講じた上で、早期に規制を緩和することが必要と考えているところでございます。  現在、本件につきましては法制審議会におきまして、次期通常国会における商法改正を目指して検討が行われているところでございますけれども、引き続き通産省といたしまして関係省庁と意見交換を進めるとともに、法制審議会の審議を見守っていきたいと考えているところでございます。
  82. 草川昭三

    ○草川委員 大蔵省にお伺いいたしますけれども、自己株式の取得規制を緩和するということはどのような効果があるのか、大蔵省の判断を求めたいと思います。  我々といたしましても、自社株取得の制限を緩和することになりますと、資本充実の原則との関連、あるいは株価操作とかインサイダートレーディングの問題等々、一種の弊害もあるわけでありますが、ことしの二月でございますか、この取得の制限に関する問題点を十三ぐらいですか、いろいろとこれは法務省だとか証券局の方も関係業界に出しておるようでございますが、大蔵省の見解を求めたいと思います。
  83. 藤井裕久

    藤井国務大臣 ただいま通産大臣からも話がありましたように、ことしの四月の対策でこれが出ております。大蔵省といたしましても、いろいろな観点があると思います。当然その一つに株式需給の適正化というのはあると思います。従業員株の持ち方とかあるいは国際制度の均一性とかいろいろあるのですけれども、今御指摘の要因があると思います。  したがいまして、大蔵省といたしましては、既に、十一月の十一日でございますが、証券取引審議会を開きまして、商法の方がもし動いた場合にはどういう問題があるか、並行的にやっていく、こういうことですね。それで、特に御指摘のあったインサイダー取引、それでまた株価が変なふうに動いてはいけないというので、取引の仕方とか、そういうことを今研究しているという段階でございます。
  84. 草川昭三

    ○草川委員 時間が来ますので、最後に、総理に、この自社株の問題についての見解、それからまた、昨日、石田総務庁長官の方から情報公開法制定についての、来春にも推進本部の設置についての申し込みを総理は受けているわけでありますが、この点についてどのようなお考えか、二問総理にお伺いをして、私の質問を終わりたい、こう思います。
  85. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今の初めの問題につきましては両大臣からお答えがあったとおりでございまして、次期通常国会までに結論を得て適切な対応をとるということでございますから、ぜひそのような方向で対応をさせていただきたいと思っております。  それから、情報公開法の問題につきましては、これも何とかひとつ前向きに進めるように、できる限りそれも早く進められるように、昨日もそのようなことを石田長官お話をしたところでございます。そのように対応さしていただきたいと思っております。
  86. 草川昭三

    ○草川委員 時間が来ましたので終わりますが、ぜひ、消費税のことも含めまして、タイミングということが私は総理の決断だと思います。この前倒しで、自社株の問題も早く行うという意向が伝わることが市場に好感を持たれるということにもつながるわけであります。どうか決断のあることを早急に行われることを求めて、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  87. 山口鶴男

    山口委員長 これにて草川君の質疑は終了いたしました。  次に、五十嵐ふみひこ君。
  88. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 日本新党の五十嵐ふみひこでございます。  さきがけ日本新党を代表いたしまして質問をさしていただきますけれども、当選してまだ四カ月の新人議員がこの総括質問の場に出させていただくということは、私は国会の歴史の上では大変珍しいことではないかなと思っております。まさに連立政権が誕生の私は一つのいい側面だろうと思います。すなわち、我が会派にも私よりも当選回数の多い議員さんはいらっしゃるわけでありますけれども、これは当選回数主義にこだわらないという面が出てきたという意味でございます。  また、私は細川政権の支持率が非常に高いということについて一言言及をさしていただきたいと思うんですが、これは単に総理のパフォーマンスが効果があるとかいうことではなくて、国会答弁の中における総理の率直な発言、自分の言葉による率直な発言が私は国民から非常に評価をされているあらわれであろう、そのように感じております。  今まで私は、実は時事通信社の記者として、記者席の方からこの予算委員会質疑をずっと見させていただいておりましたけれども、とかく重箱の隅をつついて、言葉じりをとらえて、過去の答弁とのそごを追及する、そのような傾向が見られた。一方、それを避けるために、答弁する側は官僚答弁、紋切り型の逃げの答弁というのが多くて、そのために国会質疑がおもしろくなかったということがあると思います。今、国民国会質疑がおもしろいということを言っております。ぜひこのような、形式にとらわれるのではなくて、むしろ法の精神にのっとった私は率直な論議というものを今後とも双方お心がけをいただきたいとまず願っておきます。  それから、最初に長広舌を振るって申しわけございませんけれども、私は、国会というものはまず質疑に入るということが大事にされなければいけない。その日程調整の段階で時間を空費するということは、国民の負託に私は大変反することだと思っております。そういう意味で、官房長官にお尋ねを申し上げます。  特に参議院の政治改革審議においては大変時間が空費された、いたずらに国民期待が私はそがれたと感じておりますが、今国会におきましては政治改革担当の大臣が、特別な山花大臣と、そして自治大臣がおられますので、私は、参議院においてもこの予算委員会と同時に政治改革審議が行われてもいいのではないか。国会の慣行とは離れますけれども、私はそのようなあり方も追求されていいのではないかと思っております。これについての官房長官の御所見をお尋ねしたいと思います。
  89. 武村正義

    ○武村国務大臣 国会運営、しかも今国会の具体的な運営をめぐるお話でございますから、政府としては直接的な意見は差し控えたいと思いますが、国会議員の一人としてあえて申し上げれば、今国会に限らず、過去の国会も含めて、大変形がたっとばれる世界である。私は、ある新聞社の対談で、余りにも明治以来、帝国議会以来古色蒼然たるしきたりが残り過ぎているというようなことを言ったこともありましたが、率直に言えば、大きな集団で、国権の最高機関の運びの問題ですから、小さなことでも結構真剣な議論になるということは十分認識をしなければなりませんが、もう少し一般国民がごらんいただいてわかりやすい国会の運びになってほしいという気持ちを強く持っている一人でございます。
  90. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 国会の慣行というのを見直していく、国会改革というのは次の大きなテーマかなと私どもは思っております。  さて、総理大臣にお尋ねをいたしたいと思うのですが、細川政権は政治改革の沈めに経済の面を少し犠牲にしているのではないかというような声が国民の間から聞こえないわけでもありません。私はそうは思っておりません。規制緩和や行政改革といった面にも手をつけなければ今回の経済危機は乗り切れない。そのためには、サービス合戦を行う族議員、この発生を抑えていく。そういう意味でも政治改革が必要であり、また、政治がリーダーシップを発揮できるシステムを永田町に、この国会につくっていくという意味でも政治改革が同時に必要なんだという立場でございますけれども、その政治改革と景気対策、その重要性、その認識について総理大臣のお考えを伺いたいと思います。
  91. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 おっしゃるように、構造的な問題として今取り組んでいかなければならない課題がいろいろございます。規制の問題は規制の問題で進めていく、それが経済の構造的な改革につながっていくわけでございますし、また、行政改革の問題は行政改革の問題としてこれもやっていかなければならないし、政治改革はもとよりでございますが、いずれもつながっている問題でございますから、これらの構造改革を一体のものとして進めていくことが今日の経済の問題の対策にも資するものである、そのように考えているところでございます。
  92. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 さて、今回の経済危機でございますけれども、先ほど来先輩議員の御質問の中にありましたように、単なる循環的な不況ではないということで、特に資産デフレの症状がひどい、私もそう感じております。  この大もとでありますバブル経済の発生について、私は、きちんとした総括が行われていないのではないか。特に政府側から聞こえてくるのは、民間が営利追求に走った余りバブルが生じたというようなことの強調が聞こえできますけれども、私は、実は前政権、特に大蔵省と日銀の責任は大変重いのではないか。土地の担保をとることの必要性ばかりを強調するような銀行行政が行われたのではないか、あるいは国土法の監視制度の発動がおくれたのではないか、あるいは機動的な金融政策が行われなかった。それからまた、そのバブルの壊れた時期にあっては、急激に、余りにも急激にお金の、通貨の供給を締めたために、ソフトランディングが不可能になったのではないか。そのようなことについて政府の責任というものをきちんと私は総括をしておく必要があるのではないか。自民党政権の負の遺産ではありますけれども、政府としてのバブル経済の発生と破裂に関しての総括を簡単にお伺いをいたしたいと思います。大蔵大臣にお願いいたします。
  93. 藤井裕久

    藤井国務大臣 私はそのときこのポストにいたわけではないのでございますが、やはり昭和六十年のプラザ合意、これで急速な円高が行われた、それに対して不況が起こった。特に今失業率二・七ということで非常に大きな問題になっておりますが、当時の失業率は三・一までいったわけでありまして、これに対して総需要政策をやったことは私は間違いじゃないと考えております。さらに、ルーブル合意で、これで安定させようとした、それに対して円高がもっと進行していったということのために超低金利政策を長く続けた、これもそれなりの理由はあるわけです。  あえてこの反省というのは、そういうふうに金融財政政策というものは必要性で必ずやっているわけでありますが、機動的にこれを運用するという点がポイントではないかと思っております。
  94. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 そして、その資産デフレ対策としては、土地取引の流動化というものが私は欠かせないのではないかと思っております。今一千兆円に及ぶ土地資産が値下がりによって蒸発をしてしまった。さらに、六十兆とも七十兆とも言われる土地が不良債権として塩漬けにされている。金利も取れないということですから、何ら経済活動にかかわらないお金、土地がそこに埋め込まれてしまっているという形であるわけです。これは監視区域の解除だけでは解決がされない。  さらにまた、株式会社共国債権買取機構が発足をいたしましたけれども、三月から十月まで一兆九千百九十九億円、こういった処理をなされたということも伺っておりますが、これは私は、最終消費者を見出さない限り解決には至らない、特に最終的な売却はわずか四十四億円にすぎないということでございますので、これはまさに何ら解決につながっていないと感じているわけであります。  そこで一つ御提案を申し上げたいわけでありますけれども、その前に、土地取引の流動化の必要性について、総理大臣から、どういう御認識がお伺いをいたしたいと思います。
  95. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 土地取引の流動化が現下のこの経済情勢の中で大変大事なポイントであるということは、おっしゃったとおりでございます。  今までも幾たびかにわたる経済対策におきまして、公共用地の先行取得でありますとか、あるいはまた監視区域制度の弾力的な運用でありますとか、あるいはまた公的な金融機関の融資枠の拡大の問題でありますとか、そうしたことを通じまして土地流動化や金融面にも配慮をしてきたところでございます。今後ともできる限りの対策を講じてまいりたいと思っております。
  96. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 そこで御提案を申し上げたいわけですけれども、単に土地流動化だけを目的とするのではない、私は、一方では新社会資本の整備というこれからの日本社会にとってなくてはならない事業を興すためにも、私は、新たな土地の買い取り機構というものを創設をいたしまして、例えば自治体がこれから行わなければいけない住宅用地の先行取得や公共用地の先行取得、こういったものに資するように、右肩下がりの、値が下がっているときに自治体はなかなか土地を買っておくことができない、また、弱小な自治体はなかなか土地を、今下がりつつあるとはいえまだ高価格の土地を取得することは難しい自治体もたくさんございます、こういった自治体にかわって土地を取得してプールしておく、そういう機構を考えたらどうだろうか。  そして、その資金は財投資金を投入していく、あるいは不良資産買い取りの無利子債券を発行させるというようなこともあるのではないか。また、その場合、金利負担と新たなリスクをその買取機構が負うわけですから、そのリスクについては投資国債の運用利益を使うとか、何らかの工夫をしてこれを救っていく、これによって土地の流動化と新たな社会資本の整備とを同時に図っていってはどうかという提案を申し上げたいと思いますが、これについて、建設大臣あるいは大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。
  97. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 御指摘のように、ここ一両年非常に土地が動かない、このことが全体の景気の上にも非常に影響があるということは我々も懸念をいたしているところであります。  また一方、我が国の場合に、このいわゆる公用地はそれぞれの自治体でもそう持ってない。よく言われますように、ストックホルムなんかは町の中の半分ぐらいは都市が所有している。しかし、まあこれはまた百年もかけて営々として今日まで確保してきているわけでありまして、一概には言えないと思うのでありますが、そういう点では、我が国の場合、蓄積が少ないという点もそのとおりだろうと思います。  それで、景気対策ということも兼ねて公共事業の先行取得に貸せようということで、御承知のように、去年は特に総合経済対策として一兆五千五百億、それからことし四月は一兆六千億、この九月の緊急経済対策では三千億とそれぞれ対策を講じているのは御承知のとおりであろうというふうに思います。  御提案の点でありますが、ただ、対象となる土地が多く非常に担保の絡み合っているという困難性が多い、あるいはまた商業地等で非常に不整形地が多いという点であるとか、それからちょっとどうしようか見通しがつかないというリゾート等の所有地も多いというようなこと等の困難な面もそれぞれあるわけでありまして、こういう点についてよく検討しなければならないと思うわけであります。あるいはまた、買った方はかなり長期にわたって持つということになりますから、その場合のリスクやコストをどうするかというようなことなど、総合的に十分に検討してまいりたい、このように思う次第であります。
  98. 藤井裕久

    藤井国務大臣 ただいまのお話の共国債権買取機構、御承知のとおりでありまして、一兆九千億を金融機関に損出しをしてもらって一兆一千億で買い取った、しかし四十四億円しか売れてない、これはそのとおりであります。  したがいまして、現在やっておりますことは、これは債務者の了解がないとだめでございますね。自分の企業が非常に左前だということがわかるわけでありますから、債務者の了解を得ながら、この情報をいろいろな機関、今おっしゃった地方団体、それから住都公団等々に配付をいたしまして、その流通の拡大というものを図っておるところでございます。  そこで、今の御指摘のような別の機関をつくるということと、それに公的資金を入れるという話なのでございますが、過般、ことしの一月にこの共国債権買取機構をつくるときにも公的資金問題はあったのでございますが、やはりこの今までの経緯から見て、公的資金を入れることには慎重でなければならない、この結果でございますので、その点は御理解をいただきたいと思います。
  99. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 私は、思い切ったことをしないと、この巨額に上る土地の問題の解決はつかないと思っておりますので、ぜひ引き続き御検討をいただきたいと思います。  それから、需要喚起ということで、私は、市街化調整区域ですね、農水省が抱え込んで家を建てさせない、この市街化調整区域を住宅用に開放していくということを考えたらいいんではないかということを思っているわけですが、特にセカンドハウスといいますか、私はカントリーハウスと言っておりますけれども、都市部ではもうマンションで住む、しかし、家へ週末に帰るときは、郊外の少し緑の多いところで家族そろって過ごすというような別荘的なセカンドハウスを持ってももうぜいたくではない、そういう社会に日本は入ってきたと私は思うんですが、こうした考え方についてお考えをいただきたいと思います。
  100. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 御指摘のとおり、カントリーハウスあるいはセカンドハウス的な需要も随分出てきておりますし、そういう時代に入ってきているというふうに思うんでありますが、そういう意味ではいろいろ前向きに我々も検討してまいりたいというふうに思っております。  ただ、いわゆる調整区域と市街化区域の線引きというのは、いろいろなスプロールの現象が都市開発上出てくることを防ぐという重要な意味がありまして、そういう点はしっかり考えていかなくちゃいけないわけで、しかし、そういう中でも、御案内のように、以前二十ヘクタール以上から都道府県の規則によってやっておりましたのを、今度は五ヘクタールまでそれを引き下げて、そして、良好な居住地域の開発に関しては特にそれを考えていくというようなことも行っているのは御承知のとおりであります。  また、六十二年から、週末利用型の住宅等に対する国民のニーズに対応して、都市・田園複合居住用住宅融資制度を創設して融資も行っているということもございますが、御指摘を受けてさらにまた検討を進めてまいりたいと思います。
  101. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 最後に述べさしていただきますけれども、結局、お金を世の中に回していくということが今の経済回復の決め手になるということで、私も減税を主張いたしたいと思います。  お答えは時間が来ましたので結構でございますが、私は、特例公債についても政策選択の余地を残しておくということが必要だと思っております。定率繰り入れの停止は、厳密には赤字国債の発行と同じではないか。あるいは利子補給に使われるような出資金まで建設国債の範疇に入れているのは、赤字国債を忌避する意味が半減しているのではないか。あるいは健全財政というのはいざというときのために健全性が必要なのであって、今こそいざというときではないかというような観点から、また、健全財政がなぜ必要かということに関しては、これは財政節度の問題であって、これはいわば大蔵省内部の査定が甘くなるよということではないのか。それだとしたら、それをただ守るというのではなくて、広く政策選択の余地を残しておくということが必要ではないかということを御指摘をさしていただいて、私の質問を終わります。
  102. 山口鶴男

    山口委員長 これにて五十嵐君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議
  103. 山口鶴男

    山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。高木義明君。
  104. 高木義明

    ○高木(義)委員 民社党の高木義明でございます。  民社党・新党クラブを代表いたしまして、総理並びに関係大臣にお尋ねを申し上げます。  私ども民社党は、先般、景気の活性化と雇用の確保のための総合政策を発表いたしました。その主な柱は、五兆円規模の所得税減税、また雇用対策の一層の充実、住宅建設の促進等々でございます。私どもは、今この深刻な景気の中で、とりわけ生活者の立場からこの問題をとらえ、以下、不況対策についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  昨日の新聞報道によりますと、失業率、十月の有効求人倍率が○・六七になった、これは労働省の調査でございます。これは円高不況だった八七年の七月以来の水準、十三カ月連続しての低下でございます。また、総務庁の調査によりますと、十月の完全失業率は二カ月連続で上昇して二・七%となった。こういう状況を目の当たりにいたしますと、今こそ私たちは決意を込めて不況対策、とりわけ雇用の安定に取り組まなければならない、私はこのように感じておるものであります。  よく生活者主権の政治とか生活者のための政治と言っておられますけれども、生活者にとって仕事は健康とともに最も大切なものであろうと思います。その生活者の仕事が今このような不況によって脅かされておるとするならば、それこそ政治の役割を発揮しなければならない、このように考えておるわけであります。円高、冷夏、株価の不安なども影響いたしましてか、今は景気回復どころか大変な事態の招来を予想する声もあります。  ことしの四月から六月の成長率はマイナス二・〇%、まだ発表はされておりませんけれども、七月から九月はマイナス三・八%、十月から十二月はマイナス二・八%になるとの試算もございます。大半の経済指標が悪い方向に出ておりますし、先ほど申し上げましたように、雇用情勢は極めて深刻であると言っております。百人が職を求めても六十七人しか仕事につけないというこういう状況の中、これは平均でありまして、地域によってはまだこの実態は深刻であろうと私は考えております。とりわけ中高年層の再就職はもう至難のわざである、こういうことでございます。  政府が九月十六日の緊急経済対策に基づきまして、今回、このように御苦労の中で補正予算を編成されましたことについては評価をいたします。私は、そういう意味で、本予算が景気の回復、そしてまた雇用の安定につながる重大なものと位置づけておりますので、この予算の早期成立を願うものでございますし、またそうしなければなりません。経済情勢は日増しに悪化をしておる。今回、この景気対策、補正予算で辛うじて景気の底割れを防げるかどうかという段階であります。  この際、いきなりで恐縮でございますが、細川総理としてこの景気の実態についてどのように御認識をされ、むしろ第三次補正予算を前提とした新たな追加的な不況対策を講じるべきではないか、このように考えておりますが、総理の御所見をお伺いをいたします。
  105. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 経済の先行きの不透明感を払拭していくということが何よりも緊急の課題だと思っておりますし、けさほどから申し上げておりますように、景気が上向いていくように講じられるあらゆる手だてを考えてまいりたいと思っております。  お話がございましたように、この第二次の補正予算を一刻も早く上げていただくということが当面の景気対策として何よりも必要だと思っておりますし、また、予算編成におきましても、景気の動向というものに十分配慮して予算の編成に取り組んでいかなければなるまい、そのように考えているところでございます。  あるいはまた、証券市場の活性化、金融の円滑化にも一層努力をいたしまして、土地流動化対策についても検討してまいりたい。昨日も大蔵大臣と通産大臣の間で協議がなされたわけでございますが、このような点につきましても一層留意して取り組んでまいりたいと思っております。  また、年末の金融繁忙期を迎えまして、中小企業への円滑な資金の供給にももちろん配慮をしてまいらなければなるまいと思っております。  とにかく、このような状況でございますから、何よりもまずこの補正予算を上げていただくということが先決でございまして、それ以後のことについては、今申し上げましたように、とにかくこれを上げていただくことが先決であるということをまず申し上げておきたいと思います。
  106. 高木義明

    ○高木(義)委員 とりあえずは補正予算の早期成立が大きな課題でございます。しかし、状況によりましては新たな追加措置が必要になる、そのときには的確な御判断で対応をお願いをしておきたいと私は思います。  そこで、所得税減税の問題でありますが、宮澤前内閣から今日まで、総額三十兆一千億円もの景気対策が実施されております。御案内のとおり、公定歩合も史上最低にまで下げられております。公共投資、金利の引き下げ、もうこれ以上の対策はないというところまでいっております。景気対策に係る所得税減税の議論は、今日までもなくさんの議論が展開をされてきました。今もう打つべき手はすべて打つ、このことが景気刺激のよりどころになるのではないか。景気回復の呼び水として大幅所得税減税、五兆円を超える所得税減税についての決断は、もう今政治決断の時期だ。総理の御所見を賜りたい。
  107. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 けさほどから申し上げておりますように、所得税減税のことも含めて、あらゆる可能な対策を講じてまいりたい、こう申し上げているところでございます。  税調の答申に示されました税制の総合的な見直しの方向に沿って、六年度の税制改正におきましてこの点についても考えてまいりたいと思っているところでございます。
  108. 高木義明

    ○高木(義)委員 この際、所得税減税と並びまして、中小企業対策など緊急な取り組みも必要であります。  我が党は今日までも中小企業対策については数々の提言をしてまいりました。実情を見てみますと、倒産件数、ことしの十月は千三百十八件で、昨年十月の千二百九十三件、今年九月の千二百六十四件をいずれも上回っております。  今、金融機関は中小企業に対して貸し渋りを行っているという声がたくさん出ております。例えば、円高基調が定着をいたしまして、中小企業といえども海外の現地生産ということに取り組むことが多くあります。また、こういうことは避けられない事態かもわかりません。しかし、銀行は中小企業に対してほとんどお金を貸してくれない状態にあると聞き及んでおります。これらの問題につきましては大蔵省が特に指導されまして、この苦しい実情にあえぐ中小企業の手だてにしていくべきではないかと思っておりますが、大蔵大臣
  109. 藤井裕久

    藤井国務大臣 ただいまの高木委員の御指摘はそのとおりだと思っておりまして、九月の十六日の対策の翌日、九月十七日、もう大分前になりますが、積極的な貸し出しを行うようにということをすぐ指示をいたしておりますし、同時に、先ほどもお話をいたしましたが、昨日の熊谷通産大臣との間で合意をされました対応を、十一月三十日に直ちに各金融機関に対して通達をいたしたところであります。  ただ、やはり今までの一時の物すごい貸し出し、融資態度の反省というものもあること、そしてそのことは是認しなければいけないという点はあるのは事実でありますが、しかし、貸すべきところに貸さないという金融機関の姿勢というものは、今申し上げたような銀行に対しての我々からのいろいろな形での意思表示を積極的にして対応しているところでございます。
  110. 高木義明

    ○高木(義)委員 次に、不況対策は、自助努力、これはまた欠かせませんけれども、やはりそれに加えて側面から支援をしていくこと、これは大切な課題であります。景気対策としての税制上の問題点についてきめ細かく手を打っていくことが必要であろうと考えております。  例えば、自動車の生産、販売が低迷をいたしております。自動車産業は御案内のとおり大変な危機にあるわけでありますが、その意味で、来年三月に期限が切れる乗用車の消費税の暫定税率四・五%、これは約束どおり本則に戻してやる、暫定税率を撤廃をする、このことが大切ではないかと思っております。これまではできてきませんでしたけれども、新しい政権にかわりました。約束は守る、筋は通す、こういったことを行っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  111. 藤井裕久

    藤井国務大臣 自動車の消費税については、もう十分御承知のとおりだと思います。物品税が消費税に統合されたとき、二三%を六%にし、そしてそれは直ちに三年後には直すというような経緯があったことは全部承知しております。いろいろな財政事情等から四・五%にしたということも、経緯はもう承知をいたしております、平成六年度の税制改革の中。で検討さしていただきます。
  112. 高木義明

    ○高木(義)委員 大蔵大臣、この問題は安易に暫定税率に便乗した嫌いがございます。取りやすいところから取る、これはいけないと思っております。したがって、こういう不況のときに、しかも多くの方々が配置転換やあるいは出向、しかも教育訓練、その雇用が脅かされております。もちろん、勤労者にとりましてもそうでありますが、家庭、地域によっては大変な厳しい思いであります。したがって、ぜひこのことについてはお約束をいただきたい。いかがでしょうか。
  113. 藤井裕久

    藤井国務大臣 今のような自動車産業の状況もよく承知をいたしております。  ただ、これはあくまでも平成六年度の税制改革の中で、今のような御意見も頭に入れながら、検討さしていただきたいということを申し上げたいと思います。
  114. 高木義明

    ○高木(義)委員 次に、税制に関連をいたしまして、地価税でございます。  この地価税はそれなりの大きな成果をおさめておりますことも、私は重々承知をいたしております。しかし、附帯決議におきまして、その財源は減税や土地対策に充てる、そして九四年に見直しをするということがうたわれております。  今、地価税は特定の産業をねらい撃ちにするといいましょうか過大な負担を負わせておるとも言われております。景気の足を引っ張る、そういう見方もある。したがって、政府は、この状況を十分に見きわめて、地価税については固定資産税とあわせた総合的な負担の中で見直しをしていく、特に景気対策に重点を置いた見直しをしていただく、このことを私は要求するわけでありますが、いかがでしょうか。
  115. 藤井裕久

    藤井国務大臣 地価税は平成三年度の税制改正の中でできたものであり、基本的な土地税制のあり方の一環としてこれができたことは否定できません。ただし、同時に、地価税については五年後に固定資産税の状況などと見合わせながら検討するということが法律上明らかになっております。そのような観点で検討さしていただきます。
  116. 高木義明

    ○高木(義)委員 特に不況業種を十分に視野に入れて御検討を賜りたいと思います。  不況対策と直接には関連はございませんが、今回の補正予算の中の一つの主な柱は災害対策と言われております。ことしは、釧路沖地震に始まりまして、奥尻島の津波の災害、そして鹿児島県を中心とした豪雨災害、また冷害等々、まさに災害の年と言われておりました。  今、国土庁を中心としてそれぞれの対応はなされておるわけでありますが、これから厳しい冬の季節に入ります。奥尻島では、漁業を柱といたしました基幹産業の振興そして生活の再建、鹿児島県などでは、公共土木施設の早期復旧、あるいは公共輸送機関、特に鉄道の維持回復、また、雲仙・普賢岳におきましては、災害の長期化によりまして災害復興基金の増額等も切実な要求になっております。  したがいまして、私は、このことも今細川内閣がないがしろにできない大切な課題ではないか、このように思っておりますが、どうか国土庁長官、この災害の取り組みについてお尋ねをしておきます。
  117. 上原康助

    ○上原国務大臣 お答えさせていただきます。  今先生御指摘のように、ことしは、北海道の南西沖地震、そして鹿児島の集中豪雨、大きな災害が相次いております。それ以前に雲仙・普賢岳の噴火災害があって、国土庁といたしましても、災害対策本部を設置をして、これらの災害復旧並びにライフラインの復旧改良、そしてハード、ソフトの両面から、他省庁の提携も得ながら鋭意取り組んで、相当被災地の方々の御期待に沿えている面が多いと思います。  しかし、御指摘ありましたように、いずれにいたしましても、我が国は災害を受けやすい、あるいは弱い地勢条件下にありますので、災害対策についてはこれからも万般の処置を講ずるようにさらに努力をさせていただきます。
  118. 高木義明

    ○高木(義)委員 時間が参りましたので、最後に私の意見を申し上げまして質問を終わりますが、先ほど来から話しておりますように、とりわけ製造業における雇用情勢は厳しいものがございます。この製造業の皆さん方は、今日まで日本の産業、経済を支えてきた大きな功績を持っておりますし、また、今からも、産業構造の転換と言われながらも、私は、我が国において大切にされなければならない部分の案件だろうと思っております。  したがいまして、ぜひ大幅な所得減税あるいは中小企業への対策、そして、何と申しましても、来年度予算もこの景気対策についてはかなり重要な部分を持っております。したがいまして、この予算編成が年越しをすることがないように、早期にこの編成をしていただきますように私はお願いを申し上げまして、質問を終わります。
  119. 山口鶴男

    山口委員長 これにて高木君の質疑は終了いたしました。  次に、中山太郎君。
  120. 中山太郎

    ○中山(太)委員 自由民主党・自由国民会議を代表して、これから、補正予算並びに一般の国政全般に関連して、総理初め関係閣僚にお尋ねをいたしたいと思います。  まず、冒頭に申し上げておきますけれども、私の質問の中で失礼に当たるようなことがあるかもわかりませんが、それはやはり国民が今何を求めているかといった観点で私はきょうはお尋ねをいたしたいと思っておりますので、それをひとつまず御理解をしておいていただきたいと思います。  まず冒頭に、昨日の新聞あたりを拝見しましても、生産は急に冷え込んでいる、十月が最大の下げ幅だ、回復は来秋以降になるのじゃないか、あるいは主要産業は経常利益が一九%も減少して四期連続のマイナス成長になっている、完全失業率も五年八カ月ぶりに高水準になってきた、こう言われておりますけれども、今も御質問がございましたが、やはり企業の中にはまだ企業内失業者というものを相当抱えて、日本型の雇用政策で、従来やってきた終身雇用の中で企業自身が利益がもう出ない、こういったようなことから、企業の経営者の中には、企業を救うかあるいは人員の整理を断行するかといった非常に難しい選択を迫られてくるのがこの十二月から明年の三月ではないか、私はそのように認識をいたしております。  また一方、アジアを初め発展途上国からの綿製品を初めとする膨大な輸入、これが我々の国の戦後の成長を支えてきた繊維産業を根底的に現在覆そうとしている。こういった中で、大手の繊維会社の下請をやっている中小企業の産地の経営者、あるいはまたそこに働く労働者の人たち、この人たちの不安というものを一体政府はどうしてくれるんだ、こういったのが今日の日本の本当の姿ではないかと私は思うのであります。  一方、予想もしなかった冷夏のために米作が不作に陥って、農家の方々も大変な不安を持っておられる。さらに、ガット・ウルグアイ・ラウンドで、米の関税化、自由化というものは一体政府はどんな決断をするんだろうか。  こうして考えてみると、大都市に集中している企業、その下請の中小企業、また、日本の山野で農業にいそしんでおられる方々の不安というものが今日ほど日本列島を覆っている時代はないと思うのでございますけれども、この点に関して、総理大臣として日本の経済を一体これからどうする、こういった観点でひとつ所信をお伺いしていきたいと思っております。お願いいたします。
  121. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今いろいろお話がございましたように、今日の景気の状況が大変深刻な状態であるということにつきましては、私も十分認識をしているつもりでございます。何とか先行きの不透明感が払拭されるようにあらゆる手だてを講じてまいらなければならない、このように考えております。  当面の問題といたしましては、この補正予算もそうでございましょうし、また、来年度の予算編成でできる限り景気対策に資するようなめり張りのきいた予算を組んでいかなければならないということもそうでございましょうし、その他いろいろあろうと思いますが、当面の対策として可能な限りの手だてを尽くしていくことはもとより、中長期的に考えましても、この構造的な不況にどのように対応していくか、そういう観点から、規制の緩和を初めといたしまして、できる限りの取り組みを早急にしてまいりたいと考えているところでございます。
  122. 中山太郎

    ○中山(太)委員 規制の緩和ということが細川政権の大きな一つの柱、政策の柱だと私どもは認識をいたしておりますが、規制を緩和して海外からの商品が日本にどんどん入ってくる、こういった現象が現在見られつつあるわけでありますけれども、この規制緩和によって輸入が促進される、こういったことに対する中小企業経営者、これは一体どういうふうに救済をしようと考えておられるのでしょうか。
  123. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 おっしゃったように、規制の緩和によって輸入が促進されるという面も確かにあろうと思います。しかしまた、新しくニュービジネスの分野を開拓をしていくという面もあるだろうと思いますし、私は、何よりも申し上げたいことは、規制の緩和というのは、どうも中長期的な対策として受けとめられがちでありますけれども、住宅の問題にいたしましても、あるいはニュービジネスの分野への参入の問題にいたしましても、これは非常に直接的に、短期的にも経済の刺激につながっていく効果があるものであるというふうに考えているところでございます。
  124. 中山太郎

    ○中山(太)委員 昨日の閣議後の藤井大蔵大臣の御発言がファクスで報道されておりまして、その御発言を受けて、証券界というものは何らかの政策が出るのではないかという期待感があったと言われています。しかし、結果として失望した。また、中西防衛庁長官は、やはり閣議後の記者会見で、景気対策について、公共事業もかなりやっているし、名案はもうない、名案がないから困っているんだ、決め手がないとの見方を示したとファクスは報道しているわけであります。こういったような発言が市場全体に与える影響というもの、これがひいてさらに国民に不況感というものを与えていっているんじゃないでしょうか。  現在のこの不景気という気持ちも含まれた日本の経済構造というものを一日も早く脱皮させる、ここにやはり政治の一つのリーダーシップというものがなければならない。私は、そういう意味で、現在一番求められているものは政治家のリーダーシップである。このリーダーシップ、特に経済政策に対するリーダーシップが細川連立政権にないんじゃないか、これを私はあえてお尋ねをいたしたいわけであります。
  125. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 いろいろ御指摘でございますが、当面する状況に対しましてできる限り適切な、可能な限り適切な、機動的な対応を打っているというふうにぜひ御理解をいただきたいと思っております。  幾たびかの経済対策も講じてまいりましたし、まだまだそれが浸透していっていないという面も確かにあるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、この補正予算を一刻も早く通していただくということもその対策に資するわけでございましょうし、また、証券市場の活性化あるいは金融の円滑化にも鋭意努力をいたしておりますし、あるいはまた土地の流動化対策についても検討をいたしているところでございます。  あるいはまた、年末の金融繁忙期を迎えまして、中小企業に対する円滑な資金の供給にも配慮をしていこうということで、その手だても講じていくということにしているところでございますから、政府としては、できる限り可能な対策を今講じてきている。  今後ともまた、今お話がございましたように、確かに景気というのは心理的な側面が大きいと思います。そうしたことも十分配慮しながら万全の対策をとってまいりたい、できる限りの対策をとってまいりたい、こう思っております。
  126. 中山太郎

    ○中山(太)委員 総理からいろいろとお答えがございましたけれども、やはり今回の一兆四千億余りの補正予算というのは、余りにも規模が小さかったのではないか。この中には農業の共済金、これの予算も相当な数が含まれているわけでありまして、私ども自由民主党の方からは、緊急総合経済対策として、九月九日に、政府に対して、大体十兆円規模の補正を組むべきじゃないか、こういうことを申し入れておりますけれども、結果としては一兆数千億の予算にとどまった。  こういうことで、もうきょうは十二月の一日でありまして、二十八日間の後には手形の決済、株の処理、いろんな問題が国民の中に起こってくるし、それをどういうふうに抜けていくのかといったことが国民の大半の気持ちの中にあるんだろうと私は考えております。そういう意味で、年内に予算編成を完了すべきだというふうに私は思っておりますが、それについてはどうお考えでしょうか。
  127. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 何とか年内に編成をするような方向で、できる限り努力をしているところでございます。
  128. 中山太郎

    ○中山(太)委員 国の税収というものが、個人所得税の納税の減額、法人税の減額、あるいは有価証券取引税の減少といったことで、国の財政が大変な状態に入ってきたこと世事実でございます。そういった中でどこに原資を求めるか。思い切った予算を組んでいくという総理のお考えの中で、どこに一体原資を求められていくのか。赤字国債の発行をおやりになるのか、あるいはつなぎ国債を発行するのか、その点はいかがでございましょうか。これはもう大蔵大臣にお尋ねした方がいいかと思います。
  129. 藤井裕久

    藤井国務大臣 平成六年度の予算編成については、現在、今総理も言われましたように、大蔵省部内では全力をもって年内編成の方向で邁進いたしております。その中で、今お話しのような経済の見通し等々を見ながら、しかも景気対策というものに足を入れた予算を組んでまいりたいと思っております。
  130. 中山太郎

    ○中山(太)委員 今、この不況の中で、取引が行われているのは三千五百万以下のマンションの部屋であります。どの商社を聞いても今は木材部が忙しい。それは働く人たちが家賃を払うぐらいの金額でローンが払える限度を示しているのでありまして、これは建てれば売れていく。ところが問題は、それを建てる土地が手に入らないということであります。それはつまり規制が厳しく行われているから土地が出ない。細川内閣は規制緩和ということをやかましく言っていらっしゃいますけれども、この点について、内閣が成立後敏速な手が打たれていない、これについてはどのようにお考えになりますか。
  131. 上原康助

    ○上原国務大臣 突然のお尋ねですが、土地の規制緩和に関するお尋ねですから、まず私の方から御答弁をさしていただきたいと思います。  確かに御指摘のように、バブル時代に土地の投機あるいは高騰というのが地価問題、そして今御指摘の住宅政策等に非常に悪影響を及ぼしたことはよく背景としてあります。そういう状況にかんがみまして、昭和六十二年に監視区域制度を設けて、土地の取引の一定量の規制、公平、公正な取引ができるような規制措置をとったことは事実でございます。その後、経済の冷え込み、また、けさほども御議論のありましたように、土地の取引が非常に厳しくなり過ぎていないのか、あるいは大都市圏においては百平米くらいまでも規制をするのはいかがなものかというような御指摘等もあって、いろいろ規制緩和の中で御相談をして、去る十一月九日でしたか、国土庁土地局長通達を出して、目下都道府県において規制緩和措置等を講ずるように鋭意努力をしておりますので、細川内閣としてもこういう点にも十分配慮をしながら土地政策も進めてきた、こういうふうに理解をいたしておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
  132. 中山太郎

    ○中山(太)委員 従来、政府は年に一度全国知事会議を開くことが慣例になっております。土地の規制に関して、各県の知事が大きな権限を持っているのじゃないですか。国土庁長官、いかがですか。
  133. 上原康助

    ○上原国務大臣 お答えします。  基本的には、都道府県知事あるいは政令都市の首長さんが権限を持っていることは御指摘のとおりです。
  134. 中山太郎

    ○中山(太)委員 最近経験をしたことのないようなこの大不況の中で、今やっと三千五百万以下の住宅が建てられれば売られるといった状態の中で、細川政権としては規制緩和という大きな柱を国民に約束しているわけでありますから、その大幅な権限を持っている知事を総理の権限で集めて、全国知事会議を開いて、一刻も早くこの規制緩和に対して総理大臣が要請をするという果断な措置に出ることこそ私は指導者の責任であろうと思いますが、その点はいかがでしょうか。総理にお伺いをしたい。
  135. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 土地などに対する規制の問題について、首長の権限云々というお話でございますが、確かに今国土庁長官からも御答弁がございましたように、相当程度の権限は特に知事などは持っているわけでございますが、しかし、現実にはなかなかそのあたりの問題について、どの程度知事の権限としてリーダーシップが振るえるかということになりますと、私の経験でもなかなか難しかったというのが率直な感想でございます。  今、全国の知事を集めてというお話もございましたが、果たしてそれによって効果が上がるかどうか、その辺については、私は必ずしもすぐそのような結果に結びつくかどうかということについては確信がございませんが、とにかく土地の流動化ということがこの景気の回復にも大きなポイントでございますから、今おっしゃったようなことも含めまして、あらゆる角度から土地の流動化についての対応を考えてまいりたいと考えております。
  136. 中山太郎

    ○中山(太)委員 私は非常に大事なポイントだと思うのですよ。国土庁長官は、知事が権限を大幅に持っていると。総理大臣は、知事を集めても余り効果は上がらないと自分は知事時代の経験から思うと。それじゃ一体政府はどうするのですか。どうしたらいいのですか、国民を救うために。私はそれをお尋ねしたい。一体どうされるのですか。日本の政治を預かっている細川内閣というものは、連立与党が力を合わせて規制緩和ということを国民に約束して政権を発足された以上、政府は一体何をしているのですか。
  137. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 規制緩和の問題の中でも、とりわけ私は土地の問題あるいは住宅の問題、あるいはまたそのほかに教育に関してどのくらい規制があるかわかりませんが、とにかく今規制緩和に取り組むに当たって大事なことは、何十項目、何百項目の規制緩和を、ただ項目をふやしていくだけということではなくて、やはりできる限りターゲットを絞って、何といいましても今貯蓄に金が回ってしまう、それはやはり老後の問題があるからでございましょうし、そうしたことを考えますと、どうしてもやはり住宅の問題、つまり土地の問題あたりに規制の問題の焦点を絞っていくということが一つの考え方であることはおっしゃるとおりだと思います。  そうした観点から、今、平岩研究会などにおきましても規制緩和の問題についても取り組んでいただいているわけでございますが、近くまた答申もいただきますが、そのようなことも踏まえまして、いずれにしても、今申し上げましたように、できる限り土地とか住宅とか規制緩和に直接に結びついていくようなもの、そうしたものに目標を絞って今後取り組んでまいりたい、今一生懸命その作業をしているところでございます。
  138. 中山太郎

    ○中山(太)委員 これは大問題だと思うのですね。一国の政治に全責任を持っている総理、そしてその総理を助けておられる閣僚の方々、これは国民の生活に責任を持っていると言わざるを得ない。その人たちが、これはやはり知事に権限があると言う国土庁長官がおられたり、総理大臣は平岩委員会のレポートを聞いてみないとまだなかなかこれは出ない、そんな悠長な日本の経済状態じゃ私はないと思うのです。  従来、自由民主党が政権をとっておったころは、こんな不景気なときでなくても、十一月には年末の中小企業者向けの融資というものの制度をいち早く手を打っていたわけです。ここを考えられると、一国の総理大臣というリーダーシップを発揮して、閣僚を督励して、そして、都市の、あるいは周辺地域の規制の緩和を総理大臣の命令で、閣議で決めてやるだけの勇気がないのですか。
  139. 上原康助

    ○上原国務大臣 お答えさしていただきますが、少し誤解があっても困りますので。  緊急経済対策の中で、総理経済閣僚の方々とも御相談あるいは御指示があって監視区域制度の見直しというものを検討し、先ほど申し上げましたように、既に国土庁土地・局長通達を出して、その反応、影響は、東京都を初め各都道府県から出つつあります。したがって、決して悠長に構えているわけではありませんで、今日の経済不況、あるいは土地政策をどう—一方においては再び地価の値上がりあるいは投機等の悪影響が出ない配慮等もやりながら十分に対策を講じている、こう考えております。  同時に、私が各都道府県知事に権限があるということを申し上げましたが、基本的には監視区域の量の面をどう見直すのか、あるいは土地政策をどうするかは地方自治体の重要な政策課題であると同時に、国土庁とも協議の上で最終的には決定をする、こういうふうになっておりますので、私たちは、今御指摘のような点を含めて、土地問題についても全力を挙げて努力をしてまいりたい、こう考えております。
  140. 中山太郎

    ○中山(太)委員 重ねて私申し上げますけれども、時間がないんですよ、この景気を回復していくのに。来年はもっと落ち込むというのが国民の一般の認識になっているわけです。しかも雇用不安が起こっている。  こういった中で、経済政策がおわかりになっていないんじゃないですか。そこが、我々が最大の不安を持っている問題点です。どうされるのですか、国土庁長官。規制の緩和をやるということを閣議で決めればいいじゃないですか、土地で。土地の規制緩和をやる。政治判断ですよ、これは。国が混乱に陥ったときこそ政治家が決断することなんだ。役人を集めて相談して、つじつま合わしてやってみたって、こんな深刻な事態を救済することはできないです。どうですか。
  141. 上原康助

    ○上原国務大臣 現在の不況対策を全般的にどうするかは、これは経済閣僚なり内閣全体として既に方針を出し、こういう補正予算も御提出を願い、ぜひそれを早目に通過をさしていただきたいというお願いをしているわけであります。  一方、国土庁の立場での土地政策につきましては、先ほど来御答弁を申し上げましたように、手順を踏んで細川内閣としては努力をしているということでありますので、規制緩和につきましても、先ほど申し上げましたようにやっておりますし、現在通達を出して、その集約を年内にもやろうということでありますから、私たちは徐々にその効果は出てくる、こう考えております。
  142. 中山太郎

    ○中山(太)委員 これは、総理に私は率直にお願いをしたいのです。我々は、野党になってもわけのわからない野党じゃないのです。この国家の経済をどう救うかということを中心に考えているわけです。  私どもは、申し上げておきますけれども、これは最近私がやった世論調査です。この世論調査、十一月三十日現在で、何が一番大きいか。集計して集まってきたのは千百六十通返ってきているのです。  この中で一番大きいものは景気対策なんですよ。その次が何かというと高齢化対策です。その次が消費税をどうするかという問題。四番目が税制の改革をどうやるのか。五番目が医療、福祉をどうしてくれるのか。これが今の国民の声なんですよ。政治改革はその次なんです。これは深刻なんです。  だから、ここらのところを踏まえて、最後に総理から、私が先ほど申し上げたように、やはりこれだけの事態に臨んで、総理が知事を集め、指定都市の市長を集めて、そして一つの国の方針というものを明示していただくことが日本を救う一つの大きな手だてであるということを私はあえて申し上げて、総理の御決断を求めたいと思うのであります。
  143. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 おっしゃることはよくわかりますが、手続が原因になっておくれております開発プロジェクトにつきましては、総務庁が中心になってその進捗を図るように今懸命の努力をしているところでございます。ですから、一刻も早くその対策が打ち出せるようにやっているということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
  144. 中山太郎

    ○中山(太)委員 経済問題は後ほど関連で越智委員からお尋ねがあると思いますので、ここらで私は経済全般に関する御質問は一応越智委員に譲りたいと思います。  ここで、APEC。APECにいらした総理はどういうふうなことを話し合ってこられたか。特に、マレーシアのマハティール首相が欠席をするといったような事態の中でのこのAPECというものにはそれなりの意味があると私は思っておりますが、その点はいかがでございましょうか。
  145. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 アジア・太平洋地域の十四カ国の首脳が集まってアジア・太平洋地域全般の現在及び将来に向けてこの地域の発展というものをどう考えていくかということについて、忌憚なく意見の交換をすることができたと思っておりますし、その中で、現状の認識について、また将来のこの地域の抱えている課題について率直な意見を交換をし、認識を深めることができたと思っております。  何と申しましても、この地域は今、世界の中でも最もダイナミズムを持った地域でありますし、この地域の発展がどうなるかということが世界の経済の発展にとっても非常に大きな意味を持っているわけで、そうした観点から、お互いに開かれた自由な貿易の体制というものを維持する一つの地域として発展をしていくということに努めていくということは大変重要なことであるということを確認をし合ったところでございます。  マハティールさんの、マレーシアのお話がございましたが、まあマレーシアが参加されなかったことは画竜点睛を欠く話だと私はマハティールさんにも直接に申し上げたことがございますが、マハティールさんの掲げておられるEAECの構想につきましては、一つのフォーカスとしてAPECの中の、APECの中のと申しますか、APECのもとに一つのフォーカスとして位置づけていこうということで、以前からそのような話が各国の間で認識をされているところでありまして、今後このAPECの会合にもぜひマハティールさんにも出てきていただければ皆さん大変喜ばれるのではないかというようなことを私も直接マハティールさんにも申し上げましたし、今後ともそのような働きかけをしながら、APECがさらにアジア・太平洋の地域としていい形でまとまってまいりますように努めてまいりたいと思っているところでございます。
  146. 中山太郎

    ○中山(太)委員 APECの際に日米首脳会談が開かれまして、いろいろと両国間の関係についてお話し合いがなされたというふうに私どもは推測をいたしておりますが、問題は日米間の貿易摩擦、これが今日、日本の貿易勘定では一方的に黒字になっているし、アメリカから見ても赤字、これが来年の見通しというものについては通産大臣はどのようにお考えでしょうか。
  147. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 御指摘のとおり、日米関係が、貿易面におきますと突出した日本の黒字、アメリカの突出した赤字、また相互関係で見ましても同じ関係が見られるということで、世界経済の中で一つの最も重要な問題点になっていることは御指摘のとおりだろうと思います。  そういう背景をもとにいたしまして、委員御案内のとおりでございますけれども、日米フレームワーク協議というものが前内閣以来、日米の首脳の共同声明によりまして行われることになり、今その考え方のもとに協議が進められているわけでございます。  貿易の動向が今後どうなるかということになりますと、双方の成長がどうなるのか、また、その中で為替レートその他のさまざまな要因を経て貿易がどういうふうになっていくかということでございまして、なかなか難しい問題ではございますけれども、ただ、我々といたしましては、できるだけ、まさに日米フレームワーク協議発足時点において合意を見ました十分意味のある黒字の減少、ハイリー・シクニフィカント・ディクリースと言われているこの方向に向けて最大限の努力を払わなければならないと考えているところでございます。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
  148. 中山太郎

    ○中山(太)委員 我々の予測では、今年度の日米間の貿易黒字、日本側の黒字がさらに来年は増大をするという試算もあるわけであります。そういった中で、政府としてアメリカと交渉する場合に、恐らくアメリカは数量的な約束を要求してくるに違いない、それについてはどのような対応をされるおつもりですか。
  149. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 既にこの七月の時点で、いわゆるサミット時における日米の協議において、私どもは、いわゆる数値目標という問題に関して言いますと決着済みであるというふうに理解をいたしているところでございます。我々がコントロールできない数字を目標に掲げて、それが達成されなければ報復行為をとるというようなことは、これは応ずることができるはずもございませんし、私は、アメリカもそのようなことを考えているのではないというふうに理解をいたしているところであります。  ただ、御案内のとおり、委員はもう外交の練達の士でございますので私どもよりもはるかに御存じのとおりでございますが、日米フレームワーク協議は、マクロの問題もございますし、それから政府調達でありますとか、そうした個々の、自動車あるいは自動車部品の問題でありますとか、その他幾つかのいわゆる個別の協議の問題もございますし、それから、両方が協力してパートナーシップを持って発展的に協力をする問題についての協議もございます。さまざまな分野がございますけれども、それぞれについてアメリカ側が客観的に評価できる、何といいますか、政策の結果がそういうもので、後フォローアップできるような形でやっていくべきではないか、大約すればそういうような趣旨の主張をいたしていることは事実でありますし、我々もそれ自体を全く認めないというわけではありません。  ただ、何度も申し上げますように、何か特別のシェアを決めて、そして第三国から見れば差別的な取り決めになってしまうようなことになってしまったり、あるいはコントロールできないような数値を取り決めて、そして報復だとかなんとかというような議論になるようなことでは、本来のこの日米フレームワーク協議の進め方にはなじまないし、また、今まで双方が理解し合って話を進めてきた交渉とも背馳するものであるということでございます。  要は、もう哲学をお互いに語り合う時代は終わった、具体的な話し合いをしていこうじゃないかということで、二月十一日に総理が訪米をされるわけでございますけれども、本来一月にはというめどになっておりますので、余すところ二カ月余り、今事務レベルもスパートを切って交渉を進めているところでございまして、我々もそれをよく相談を受けながら、最終的には両国間のよりよい関係になるように、交渉を成功裏に終結させるように努力をしたいと考えているところであります。
  150. 中山太郎

    ○中山(太)委員 世界の三極の貿易構造を見てみても、アメリカとECとの間ではほぼバランスがとれた通商が行われている、日本とアメリカではほぼ輸出が輸入の倍近い数値になっている、日本とECとの間もほぼ輸出が倍、こういったような状況で、私が特に通産大臣に、あるいは外務大臣にお願いをしておきたいことは、昨年のアメリカの下院議員の選挙で、四百三十五名の下院議員のうち百名が新人で当選してきているわけです。そして、来年はまた選挙があるわけです。しかも、議会は上下両院とも民主党が多数になっている。こういうところで、アメリカ政府の従来の考え方というものは、長い外交の中で、政府との交渉の中で議会が決議案を出してくる、これはやはりアメリカの一つのシステムだろうと思うのです。  そういうふうな中で、日米間の友好関係を堅持していくというのが細川内閣の外交の基本政策と私どもは認識していますから、この点について、どのように一体これからこの問題の解決に当たっていかれるのか。もう事務レベル協議の話で、管理貿易じゃないよ、これは自由貿易なんだ、こういうことをやっていけば、やがてどこかでフリクションが起こってくる、これはもう羽田外務大臣よく御存じのとおりでありまして、外務大臣としてどういうふうにお考えでしょうか。
  151. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 今御指摘がありましたように、やはり経常収支がここまで大きく黒字幅というのが広がってくるということになりますと、また、今アメリカがようやく景気が多少回復しつつあるといいますけれども、まだ非常に厳しい状況であります。ということになりますと、今お話しのとおり、当然議会の中で問題になってくることだろうというふうに思います。  ただ、今、熊谷大臣の方からもお話がありましたように、枠組み協定といいますか、この中で今話し合いが進められておりますけれども、私どもは、ただ哲学とかあるいはお互いにののしり合う時代じゃないということ、具体的に結論を、一つの方向を出していく、そのためにお互いがやはり努力していくことだろうと思っているのです。  そのためには、例えば、我々としては国内の経済というものはやはりしっかりさせていく、しかも、それが内需というものを喚起するような方向で予算というものを編成していくことが必要であろうと思っております。そういう中で、向こうからの輸入というものをふやすいわゆる拡大均衡というものが一番大事なんだろうというふうに思っておりまして、そういったことを進めると同時に、先ほど来総理からお話ししておりますように、規制緩和というものもやはり徹底してやりながら、国民生活は上がってくる、そしてよそからもこれはもちろん入ってきます、そういう中でやはり黒字を是正していくということが最も大事だろう。  そして、私ども、この間クリストファーさんその他の皆さんにも申し上げたことは、これは、皆さんはただ日本側が日本側がということであるけれども、しかし、日本の国が世界で黒字になってきたというのは、やはりいろいろな壁を乗り越える努力というものがあるんだ、これをぜひともアメリカでもやってもらわないと、ただ日本の方で結果として黒字になって、おまえが悪いんだだけじゃこれは困るんですよということを実は話しておるところでございまして、そういったことを率直にやはり語り合っていくことであろうというふうに思っております。
  152. 中山太郎

    ○中山(太)委員 外務大臣も随分御苦労の多いことであろう、あるいは通産大臣も交渉の当事者として御苦労が多いと思いますけれども、日米関係の重要性というものは、これはもう論をまたないものでございますから、我が国の安全保障の問題も含めて、この日米関係を友好裏に堅持していくという基本的な考え方でぜひ御努力を願いたいというふうにお願いを申し上げておきたいと思います。  そこで、外交問題にさらに入っていく中で、私は、日本の外交というのはこれからどういうふうな考え方で進められようとするのか、それをまずお伺いをいたしたいと思います。
  153. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 日本の外交のこれから考えていかなければならぬことは、何といっても、やはり東西冷戦、ポスト冷戦という中にあって、世界が一つの平和の方向に向くと同時に、一方では紛争、これは宗教ですとかあるいは国境ですとか歴史的な大きな背景というものを持ったものの紛争ということで、いわゆる解決というのが非常に難しい問題なんかもあろうと思っております。こういった問題に対して我が国としてやはり積極的に協力していくということが、これは非常に私は大事なことであろうと思っておりまして、今、新しいこういう時代の中にあって、日本の果たすべき役割というのは非常に大きいだろうと思っております。  そのときに、やはり日本としての働きかけというものは、いろいろな技術で高いものを持っておるということがありますし、あるいは資金的な協力ということなんかも我が国としてはまたできる国であるということでありますから、そういったものをやはり有効に適切に駆使していくということが大事であろうと思っております。  いずれにしましても、国連の中でも今いろいろな議論がありまして、これからの新しい時代に対して国連はどうあるべきか、あるいは安保理事会はどうあるべきかというようなことが議論されておりまして、我が国はそういうときに、持てる能力というものを存分に発揮していく、やはり積極的にいろいろな面で寄与し、提言していく、また行動していく、それが大事であろうというふうに考えております。
  154. 中山太郎

    ○中山(太)委員 今外務大臣から、国連を通じてのいろいろな協力を政府としては考えていく、こういうお話ですが、日本の国連分担金というのは一般会計で一二・五%ぐらいですね。それから、任意拠出金で二%出しておるわけですね。これは国連の大きな組織の中で政策を決定するスタッフ、日本の立場、これとの関係というのは一体どのようにお考えになっておられるか。  私は、もうこれは率直に申し上げて、今国連で御活躍いただいているのは難民高等弁務官の緒方さん、あるいはUNTACの代表を務められた明石さん、それからWHOの中嶋事務総長、UNTACはこれで解消していくんだろうと思いますが、そういった中で、この国際連合の日本人の職員数というものを一応調べてみますと、国連職員が全体で、本部の職員が二千六百八名定数があるわけですね。その中で日本人の職員というのは八十九名なんですよ。拠出金は年次予算で一二%、任意拠出金で一一%で、全体の国連職員が二千六百八人いる中で八十九名。  これはどういうことでこのようなことが起こっているのか、また、これはどういうふうにするべきか、これは総理、どういうふうにお考えですか。
  155. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 この問題につきましては、確かに今御指摘がありましたとおりで、我が国の人数というのは、望ましい最高の人数は二百二十三人ですかね。これに対して、今御指摘がありましたとおり八十九人ということで、その他の国に比較いたしましても非常に少ないというのが現状であります。  この理由というのは、何といってもやはり我が国が国連の加盟におくれておったということが言えるかと思います。ただ、そういいますと、今度はドイツの場合には百二十五人でありますから、これからいっても少ないなという思いがあります。  一つは、やはり語学というものが日本の場合には不足しておった、語学力が不足しておるということが言えると思います。  それともう一つは、終身雇用制というようなことで日本の中には一つの慣習があるわけでありまして、こういった労働慣行というものがやはり違うのかなという思いがあります。あるいは給与ですとか、また、国内で相当働く場ができたということで、外に出ていくということについて案外みんなが積極的ではなくなっているというようなことも挙げられるかというふうに思っております。
  156. 中山太郎

    ○中山(太)委員 今申し上げたのは、これは外務大臣も御存じの国連本体の職員なんですね。ところが、国連にはいろいろと附属機関があるわけでして、その附属機関の総定員というのは一万八千五百六十九名なんですね。その中で日本の職員は四百六十七名なんです。拠出金は一割以上、全職員に占める日本人の職員数というものは極めて微々たるものである。  これは理由はいろいろあると思います。二カ国語をしゃべる必要があるという話学の問題が日本人には不得手であるということが一つある。しかし、最近若い人は随分海外で大学を卒業し、勉強してそれだけの能力を備えた日本人が多い。なぜ国連に行かないのか。それは給料の問題だと思います。円が安かった時代には、明石さんの時代ですね、国連の職員になった方がニューヨークの総領事館に勤めるよりも給与がよかったわけです。しかし、円高の時代が来ると、日本の商社、企業に働いている方がはるかに所得は高い。  ところが、日本の外交が国連中心に外交をやるということになってくると、国連の政策を決める中に日本の職員が多くいる、必要ないわゆる枠内いっぱいぐらいのところに日本人の職員が、ちゃんとした人が働くということが日本と国連との関係を強化する一番大きな柱になるんじゃないでしょうか。それは私は何にも難しいことはないと思うのです。その給与の差額を国家が補助すればいいのです。どうですか外務大臣、私の言っていることは間違っているでしょうか。
  157. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 中山さんのおっしゃること、私はよくわかります。ただ、国連職員という立場でありますから、これはもちろん幅広く世界と同じくやはり物を考えながら歩むというのが建前でありますから、これを日本の職員だけに日本から給与を補てんするということが、さてこれはどうなのかなという思いは率直にあることを申し上げたいと思います。  しかし、これは本当に工夫して、やはり何というんですか、日本人的な発想というものが案外今国連の中で役に立っている面があるわけですね。その意味でも、しかも今お話がありましたように、外地にあってはそんなに恵まれなくても、例えばボランティアなんかで出かけていっている人は、案外たくさん若い人の中にいるわけですね。ですから、そういった人たちにも呼びかけて国連の中で働く日本人を多くするということは、これはいろいろな角度からやはり我々も考えてみたいと思います。
  158. 中山太郎

    ○中山(太)委員 やはり国連職員になれない最大のネックというものは語学力だと思いますね。それから、法律の、国際法の知識、これを備えた人間を育てるということが国家としては非常に必要になってくる。その現実を踏まえて、外務大臣としてもこれから国連を中心に外交をやられるというお考えですから、この国連の場における日本人職員の数を確保するということにひとつ御努力を願いたいと私は希望しておきます。  今外務大臣からたまたまボランティアの話が出てきました、国際ボランティアの。これは日本でもやはり大きな問題があることは外務大臣、よく御存じなんですね。企業から例えば休職をしてボランティアで出た場合に、帰ってくると席がなくなる。あるいは、ボランティアで出ている間に事故に遭った場合の傷害の保険の問題、これは一体どうするのか、ボランティアはあくまでも任意で行くわけですから。こういった問題に対する日本の国家としての国内制度が充実されていないのではないか。私は、国連のボランティアの人たちの話を聞いてみても、そこにこの国際ボランティアの人不足の問題、不安の問題は我々日本国内の問題であるという認識を持っておりますけれども、この点はいかがお考えでしょうか。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
  159. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 国際貢献のために、例えば休職してボランティア活動に参加する人々、こういった人たちが円滑に職務に復帰できるようにするためには、ボランティア活動自体に対する国民理解が深まるということが大事でありましょうし、また、これをバックアップしていく社会的な意識、これを醸成することがやはり大変重要なことであろうと思っております。  青年海外協力隊につきましては、本来の職を辞さず隊員として参加し得るような現職参加体制を促進するために、我が国政府が隊員の所属先への人件費の補てん制度の導入ですとか、あるいは隊員の帰国後の種々の就職対策などに努めておるところでございまして、やはり今後ともこういった努力というものをしていかなければならないということを我々も痛切に感じておるところでございまして、こういった点についてさらに我々としても勉強しなきゃいかぬというふうに思っております。
  160. 中山太郎

    ○中山(太)委員 それでは、アジアの安全保障の問題についてお尋ねをしたいと思います。  日中関係というものは一衣帯水。日中友好ということは我々の国家にも中国にも重要なことでございますけれども、中国の防衛費が年率二けた以上伸びているというこの事実について、外務大臣はどのようにお考えになっておられるでしょうか。
  161. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 私どもは、やはりアジア・太平洋の安定というものは、これは非常に大事なことでありまして、常に注意をしておるところでありますけれども、中国の今御指摘がありましたことにつきましても、私どもでもあるいは周辺諸国でもやはり懸念しておるということであります。  ただ、一つ言えますことは、中国は確かに近代化を進めておるという中で、その費用というものほかさんでおるということが言えようと思っておりますけれども、航空機なんかの拡充なんかを見ましたときに、私どももやはりこれは懸念しておるということだけは率直に申し上げさせていただきます。
  162. 中山太郎

    ○中山(太)委員 この中国の防衛力が増強されているといったことについて、新聞報道などでは、第一段階として、ミサイルと先端技術で固めた大型戦艦の建造をやろう、第二段階では、二〇〇一年から二〇二〇年にかけて、排水量二万トンから三万トンの軽空母数隻と護衛艦、垂直離着陸戦闘機の配備、第三段階では、二〇二一年から四〇年で、ロシア海軍、できれば米国海軍の水準に接近して、世界のいかなる海域でも作戦行動がとれる能力の保持が重点目標となっているというふうに報道がされておるのを見まして、私どもやはり、この隣国で友好関係にある国家の防衛費が異常な速度で膨張しているということについて、我々自由民主党政権の時代にODA五原則というものを決めておりますけれども、細川連立政権としては一体どのような考え方で—この中国の防衛力増強に対して日本政府として意見を強く申し上げる意思がないのでしょうか。外務大臣。
  163. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 先ほど私申し上げました中で一点つけ加えたいと思いますのは、確かに近代化ということが進められておるということを申し上げたわけでありますけれども、それと同時にインフレ率が大変なあれで伸びておるということでありまして、そういうあたりも私ども勘案しながら、しかし、やっぱりクールに見詰めていかなきゃならぬだろうと思っております。  ただ、こういった問題につきましても、もう友好国であるということは今お話のあったとおりでありまして、友好国である以上はやっぱり率直にそういった問題について話し合っていくということで、自衛隊、そして向こうの軍、こういった皆様方の専門的な話し合いということ、そして我々なんかも率直な話し合いというものを、要するにこのアジアの安定をつくり出すということが一番何といっても大事でありますから、そういった点について中国側の理解というものもさらに求めていきたいというふうに考えます。
  164. 中山太郎

    ○中山(太)委員 我々の周辺国に核保有国が三カ国あるわけです。北朝鮮、これはあると見られているわけです。中国は核実験を地下でやっている。ロシアは核を持っている。このような国に囲まれた国家として、中国の地下核実験に対して、政府はODAで協力をしているのですから、もっと強力に日本政府の意思というものを伝えてもしかるべきではないか、私はそのように考えます。  地下核実験に要する費用がどれぐらいかかるものか私はわかりません。しかし、そう簡単な金額ではないはずなんだ。ここいらの点は、やっぱり友好は友好、しかし、非核三原則を持った国家として、隣接国の核開発に厳重な注意を与えることは私は必要だろうと思っております。あるいはそれによっては、ODAの扱いについても、政府としては考え方をもう一度考え直すこともあってもおかしくない。この点、どうでしょう。
  165. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 この問題につきましても、実は私がこの九月二十八日に銭其シン副総理、この方にお目にかかったときにも申し上げましたけれども、この以前に、八月三十一日あるいは十四日、二十日、二十二日と、それぞれ大使、あるいは東京において外審あるいは次官、こういった人からも率直に実は話しかけをいたしておるところであります。  中国側もこのことについては、我々が注意をしているということ、それから我が国がやっぱり唯一の被爆国であるという立場なんかも述べながらの話でございますから、日本政府あるいは日本国民、この皆さん方がどんなふうに思っていらっしゃるかということについては自分たちも理解をすると。ただ、彼らの主張しておりますことは、我が国としては国際的には最も数少ない実験なのであるということ、それから自分たちとしてはこの実験というものは、一九九六年ですか、こういったときに全面禁止するように、こう、いったことのためにも我々としてはこれからも主張し、働きかけをしていくということを言われておったということをこの機会に申し上げたいと存じます。
  166. 中山太郎

    ○中山(太)委員 次に、北朝鮮の核開発の問題と国交問題です。  現在、北朝鮮と日本政府との間の交渉は途絶えております。そういう中で私どもは、九二年度の貿易額を見ても、輸出で二百八十三億円、輸入で三百二十七億円、人の往来で北朝鮮から日本に千百三十二名、日本から九一年に千三百四十七名渡航をしておりますけれども、我々の自由民主党政府の時代にあった、北朝鮮との国交回復の一つの原則がございました。御案内のように、日韓関係を悪くしない、日米関係を悪化させない、それから核のIAEAの査察、これを受けるということが三条件だった。この現状をどういうふうに現在、北朝鮮との関係で認識されておられるのか。  これは米朝関係の外交ルートに乗って今進められていると思いますけれども、国連の安保理が経済制裁をやるといったような話も一時出てきた。そうなってくると、日本の国内にいる朝鮮半島から日本に来られた方々の中に、韓国系の方もおられれば北朝鮮の関係の方もたくさんいらっしゃる。こういったことを踏まえて、日朝間の国交交渉というのは非常に重要であるというふうに私は思っておりますけれども、この点、外務大臣、どういうふうに考えますか。
  167. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 北朝鮮における核兵器開発の疑惑問題というのは、やはり私ども、隣国である我が国としても、またアジア・太平洋地域にとりましても、これは大変大きな問題であろうと思っております。そういう中で、今お話がありましたように、過去にあっては、六回にわたりましてIAEAの査察というものを受け入れておったわけですね。ところが、二月以降、IAEAによる特別査察の受け入れの要求を拒否して、さらに、通常の査察についても制限的にしか受け入れないということでございまして、いよいよ国際社会の懸念というのは払拭されておらないという状況にあろうと思っております。  そういう中にありまして、私どもは、北朝鮮が本当にやっていないんだということをあらわすためにはやはり査察を受け入れることが大事であるということ、そして、米朝間の話し合いというものがあるものですから、この米・北朝鮮の話し合いというものを、やはりより深く議論ができるような、そういう環境をつくるために我々としてもお手伝いを申し上げていくというつもりであります。  しかし、いずれにいたしましても、北朝鮮を孤立化させるということが一番私は危険なことであろうというふうに思っておりまして、私どもも、話し合うということについては、例の李恩恵の問題、この問題等がありまして、それ以後我が国との話し合いというのはなくなっておるわけでありますけれども、向こうが本当に話し合いの用意があるんだったらいつでも話し合いはいたしましょう、しかし、今お話がありましたように、その基本的な原則としては、やはり日韓関係あるいは日米関係、こういったものは損なわないように行うということの基本は私どもは変わっておらないということを申し上げておきたいと思います。
  168. 中山太郎

    ○中山(太)委員 次に、防衛庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。  今、中国、北朝鮮の軍事力の拡大問題についてお尋ねを外務大臣にしましたけれども、防衛庁長官は就任のごあいさつの中で、記者会見でお述べになったと言われていますけれども、やはり不安だと、特に、北朝鮮が開発中とされている弾道ミサイル、ノドン一号は、大阪まで射程に入るんでしょう、核を持っているのかどうか、閉鎖的な国である、こういうふうな御発言をなさっておられます。  そして、この速記録を拝見しても、やはり国連へのいわゆる日本の協力の中で、自衛隊に関する部分、この部分について、「私は、世界の多くの国々がともに参加する国連の組織の中で、日本も、国連の御旗のもとに、国連の指揮のもとに、それぞれの国々と同じレベルで平和維持のための活動をしていくということは憲法違反にもならない、そんなふうに考えておる一人でございます」こうおっしゃっているのですね。  この御発言は結局、憲法の第九条、この問題との関係で、どういうふうにお考えになって発言をされておられるのか、これをまずお尋ねしたいと思います。
  169. 中西啓介

    中西国務大臣 それでは、最後の御質問にお答えをいたします。  私は過日の安全保障委員会で、将来の問題として、日本はもちろん法治国家ですから、国民の代表たる国会で出された結論に従ってやっていくのがルールである。ですから、今はそういうルールのもとにやってきておるわけですね。しかし、なかなか世界の現実といいますか、世の中の情勢というのは、私たちの想像をはるかに超える勢いで劇的に変化を遂げている。  例えば極端に言うと、ソビエト連邦が瓦解をするなんということは、お釈迦様でも気がつかなかったことが現実に起こったわけだし、あるいはまた、ついこの間までは、自衛隊が海外に出かけていくなどということは恐らく何人も想像できなかったのではなかろうかと僕は思うのですね。しかし、現実にカンボジアに行って大変な成果を上げて偏ってきた。今またアフリカのモザンビークでPKOとして立派にその任務を遂行中である。  それほど世の中は、もう本当に想像をどんどん、何といいますか裏切ってといいますか、予想に反して変わっておるわけでありますから、憲法も、制定された当時、いわゆる海外における行動に対するいろいろなマニュアルみたいなものが具体的に定められていないわけですね。ですから、その都度その都度、いやそれは憲法違反だ、いや違う、合憲だみたいな議論がしょっちゅう行われておることも事実だと思うのです。  ですから私は、今、我々細川内閣はもとより、政治全般が抱える難題というのは非常にたくさんあるわけです。さっき中山先輩が冒頭質問された経済対策の問題しかり、あるいは国民に必ず実行いたしますと公約として三回も四回も掲げてきた政治改革が、内閣が何人かわったんですか、いまだにその国民との約束が果たされていない。こういうふうな問題とか、あるいは将来の福祉をにらんだ税制の改正の問題とか、いろいろございます。  こういうふうな問題にけりをつけた後、もっともっと地についた、相当広い範囲にわたった安全保障の論議を徹底的にやっていただきたい、またやるべきであるという、その話の中で、憲法九条では、国権の発動としての武力活動、あるいは日本の国の意思としての海外での武力行使、こういうものは禁止されているわけです。ですから私は、これから日本も、今まで世界のガット体制、あるいは世界が平和で、世界の秩序が安定されてきたために、そのおかげで日本が短期間の間に物すごく急成長したわけです、経済的に。まあ経済的に急成長するということは、もう昨今、政治的にも大変大きな力を持つという意味だと私は思います。  そういう意味で、これから国連がいよいよ見直されようとしている。国連がつくられた本来の目的、機能がいよいよこれから発揮されるかもしれないというような段階に今差しかかっているわけですから、当然日本も、御恩返しという意味も含めて、国連に要するに深くかかわって、国連という場を通じて世界の平和の維持と安定のために貢献をしていくべきである。そのために、世界の非常に多くの国々と協力してそういう状況というものをつくり出していかなければできないわけでありますから、世界と同じような、何といいますか、許容範囲内において、大体こう協調性のあるというか、やはり共通性のあるルールのもとにやっていくべきなのではないのかな。  ですから、平和維持活動のために出かけていく、国連指揮のもとに、いろいろな国々と一緒に。その中で、こっちから何も攻撃型兵器を持って戦争に行くわけじゃありませんけれども、図らずも向こうから攻撃をしかけられた場合は、他の国々と同様に、いわゆる専守防衛的な見地から武力を行使することは何ら憲法違反ではないのではないかと、こんなことを申し上げたわけであります。  政府見解としては、今のところはそうでないという解釈を我が国はいたしておるわけでございますから、解釈の問題でございますから、論理的にはいろんな解釈ができるわけですよ。だから、そういうふうな問題も、将来のことを考えて、徹底的に一遍議論をしてみる価値はあるんじゃないですか、そういうことを申し上げたわけでございます。  北朝鮮の方はよろしゅうございますね。
  170. 中山太郎

    ○中山(太)委員 これは官房長官にお尋ねしたいんですが、官房長官、この閣僚の、自衛隊の海外派遣問題について、派遣をされた自衛隊は国連軍の指揮下に入るわけですね。その場合に、国連軍の司令官が命令した場合に自衛隊はどうするんですか、PKOで出ている。その場合の憲法との絡まりは一体どうなるんです。
  171. 武村正義

    ○武村国務大臣 過般、安全保障委員会でもお答えをさせていただきました。これまでの政権の解釈をそのまま現政権も踏まえてまいりたいと考えております。  御承知のとおり、国連の指揮下におきましても、武器の使用は憲法は認めていないという考え方であります。
  172. 中山太郎

    ○中山(太)委員 武器の使用は認めていないという内閣の見解を官房長官、今お話しになったわけですが、防衛庁長官はそうでないという発言をしておられる。これでは閣内の不一致と言わざるを得ない。これは国会にとって重大な問題ですから、改めて閣内の統一見解というものを出していただきたい。そのお答えがあるまでは、私どもとしては、きょうの質問はここで私自身保留をして、ストップします。
  173. 武村正義

    ○武村国務大臣 これは、今違う見解をここで述べたというのではなしに、過般の中西防衛庁長官の発言は政治家個人としての発言であるということでありまして、閣僚としてはその統一見解に従うということをおっしゃっているわけでありまして、この後、もう一度中西長官の発言で確認をいただきたいと思います。
  174. 中西啓介

    中西国務大臣 私は、冒頭申し上げましたように、議会制民主主義でございますから、国民の代表である国会の出した結論に従うのは当然のことであります。ですから、従っているわけです。  しかし、世の中の変わり方というのは、もうはるかに我々の想像を絶するぐらいの勢いとスピードで変わっていることは現実の姿ですから、将来のことも考えて、そういうことも掘り下げて議論をする価値があるんではないですかということを申し上げたわけでございます。
  175. 中山太郎

    ○中山(太)委員 私は、やはり国務大臣というのは、内閣総理大臣のもとで一つの内閣の考え方というものを守っていくということが国務大臣の一つの義務であろうと思うのです。そういう意味で、時としては個人である、時としては閣僚であるという御発言は、日本の政治のために好ましいものではない。これはやはりだれが聞いても、政府の考え方というものは、この細川内閣というものは一つだ、これはぜひひとつ改めて統一見解をお出し願いたい。
  176. 武村正義

    ○武村国務大臣 既に安全保障委員会で正式に私が政府を代表して答弁をさしていただいたとおりでございます。  もう一度この文章を朗読さしていただきますが、一つは、昭和五十五年十月二十八日付の当時の政府の答弁書でありますが、「いわゆる「国連軍」はここの国連軍というのはPKOでありますが、「個々の事例によりその目的・任務が異なるので、それへの参加の可否を一律に論ずることはできないが、当該「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないと考えている。」という見解であります。
  177. 中山太郎

    ○中山(太)委員 改めて政府の統一見解をお出しいただきたい。  これはなぜかといいますと、私は率直に申し上げて、もう十二月は予算編成の時期になってくるわけです。予算の編成をやられる閣僚の中には、選挙のときに選挙民に向かって公約として、自衛隊は違憲である、憲法違反だ、こういったことを約束して当選をされて、この細川内閣に席を占められて、この細川政権の考え方に自分は従う、こういうお考えですが、私ども政治家の常識としては、それじゃ閣僚から去ったときはまたもとの意見を述べるのか。こういうことで、私どもとしては、やはり内閣としてはせめてはっきりとした見解をこの際お出しいただくことが、極めて国民にとっても国際的にも必要であろうと思うのであります。
  178. 武村正義

    ○武村国務大臣 今、こうして文章で明確にお読みをいたしました。このことは、この文章で政府・与党首脳会議で全員が合意をして、また閣議でもこの文章で合意をして、それに基づいて私が今朗読をしているわけでございますから、これは、もう明確な政府の統一見解そのものであります。
  179. 中山太郎

    ○中山(太)委員 委員長、これはもう委員長にお願いをしたいのです。この問題については、ひとつ理事会で御協議をいただきたいと思います。
  180. 山口鶴男

    山口委員長 過般の予算委員会でも同様趣旨の御質疑があり、政府の統一見解が出されております。また、ただいま提起の問題については、官房長官から政府としての統一見解が示されております。しかし、せっかくの重ねてのお話ですから、理事会においてもちろん御相談をすることは結構であると存じます。
  181. 中山太郎

    ○中山(太)委員 それじゃ最後に、国際航空政策についてお尋ねをいたしたいと思うのです。  私は、日本の航空政策というのは極めて不完全なもの、そういうふうに思います。なぜかといいますと、運輸大臣いらっしゃいますけれども、成田で国際空港をつくるといったときに、これは一坪地主になられて、まあ社会党の先生方は随分抵抗された。しかし、今日になってもまだ解決できない。東京の羽田の空港は国内線専用、こういうことですね。そうすると、関西新国際空港は滑走路一本で、横風食らったら利用できない。  こういう中で、日本の基幹空港というものを一体どうするのか、これは重大問題だ。アジア地域がこれから世界で一番繁栄をするであろうという経済圏になろうとするときに、いつでも使える国際空港をつくっておく国家というものが非常に有能な機能を発揮すると思うのです。  ちなみに、私が心配をしていますことは、韓国から日本、それから香港から日本の地方空港に来ている便数と日本からの便数をここで御紹介しておきましょう。  ソウルから日本の地方空港に来るのは七十四ですね。日本からソウルに行くのは十八なんですね。香港から地方へ、日本からは十四、相手国からは二十八。ソウルから成田・大阪、これが、相手国が五十三で、日本の側は二十九。香港—成田・大阪が、日本は四十九で、相手国が四十三。ソウル—日本が、日本側から行くのが、日本航空、全日空、日本エアシステムで四十七、大韓航空とアシアナ航空で百二十七。つまり、大韓航空は日本の地方空港へ実にきっちりと路線を獲得しているわけです。そして、日本で集客をしてソウルからヨーロッパ、アメリカへ飛ばしているというケースが歴然としています。  ここで私が申し上げることをお聞きいただきたいと思うのです。例えば、東京でチケットを買うのとそれからソウルでチケットを買うのとどれぐらい違うか。ファーストクラスで片道で日本で買った場合は七十五万八千円、ソウルで買えば三十三万円です。差額四十一万円あるわけです。中間クラスで、まあビジネスクラスといいますか、日本で買えば東京—ロンドン・パリが四十一万、ソウルで買うと二十一万、エコノミーで日本で買えば三十万、ソウルは十六万なんですね。これはどうですか。  また北米線を見てみると、東京発で日本でチケットを買った場合は四十万、ソウルで買った場合は十八万です。エコノミーだったら、東京で買うと十七万六千円で、ソウルで買うと九万五千円。こういうことを考えていきますと、一体どうして日本と韓国と同じ機材を使いながらこれだけの航空運賃の差が出るのか。  この考え方で例えば欧州線を見てみると、東京発がファーストクラスが七十五万円、香港発が二十八万、エコノミーで東京発が三十万で、香港発が十五万、わずか二、三時間の差でこれだけのチケットの料金が違うわけです。しかも、韓国からも香港からも、日本の地方空港に乗り入れている便数がはるかに日本から行く飛行機の便数よりも多いわけです。そうなると、一々成田へ出てきて手間をかけてあそこで乗って外国へ行くよりも、自分の住んでいる町の近い地方空港からソウルへ飛んで、ソウルでチケットを買ってヨーロッパ、アメリカへ行く方がはるかに旅費は安くつくのです。この一つを見ても、航空政策というものは日本にないんじゃないですか。どうでしょう、運輸大臣。
  182. 伊藤茂

    伊藤国務大臣 御質問にございましたような状況を私も非常に厳しく認識をいたしております。就任四カ月足らずでございますが、この間に今後の航空政策の、やはり総括的なと申しましょうか、戦略と申しましょうか、そういうものを一体どう考えるのかということを日夜真剣に考えさせられております。また、御質問の中でございましたさまざまの運賃、料金などのデータについてもよく承知をいたしております。  二つお答えを申し上げたいと思います。  一つは、やはり立派なハブ空港を完成しなければならないと思います。今のままでは、国際的にアジアでも大きな役割を持つ日本のエアラインとしての状況にこれは立ちおくれてしまう、非常に大きな問題だと思います。  一つは、成田の完成のめどをつけたいと思います。私は、そういう意味では、今まで二十五年、二十六年と長い経過がございました。率直に申し上げまして、二十五年、六年前に非常に権力的に上から空港をつくろうという動きがございました。反対もございました。さまざまな過激派の動きもございました。私もかかわった一人として、その当時のことを静かに振り返りながら、これはお互いに振り返らなくちゃならぬと思います、今までの経過というものは、政府の当初のやり方がよかったのかも含めて。私は、この際、やはりこういう対立とそれから恩讐と申しましょう、これを乗り越えて、そうして新時代にふさわしい空港をつくらなければならない。関西の全体計画の取り組みも同じ気持ちでございます。  また、運賃の問題についても御指摘がございました。まことに大きな問題です。やはり日本の航空企業の競争力をどう負けないようにつけていくのか、やらなければならない。航空会社はおおむね大変な欠損であります。そうしてまた、今お話がございましたように、なぜ日本は高いのかという声もあります。着陸料の問題もございます。全体を含めまして次の展望をきちんと立てなければならない。今、航空審議会にもお願いいたしまして、なるべく早くそれについての言うならば戦略的な展望を立てるように、私どももそれに正面から取り組むようにやってまいりたいと考えているところでございます。
  183. 中山太郎

    ○中山(太)委員 最後に、運輸大臣に重ねてお願いをしておきますけれども、成田の国際空港の拡張問題、これをやはりあなたの手でちゃんと片づけてもらうということが大事なんじゃないですか。  それからもう一つ、関西国際空港も着陸料がべらぼうに高いので、これはもうこの空港だって民営ではどうにもなりません。これは思い切った措置をやらないと国家全体の航空戦略が大変アジアで落ちてしまう、これだけをはっきり申し上げておきたいと思います。もう御答弁は結構です、時間が来ましたから。  最後に、細川総理、大変失礼なことを申しましたが、日本の国内経済は容易じゃありません。御存じのとおりです。だから私は、政治改革も参議院に審議が移っている、一刻も早く総理みずからが陣頭に立って、臨時閣議でも何でもいい、とにかくこの閣議でどういうことを思い切ってやるか、あるいは知事を集め、指定都市の市長を集めて、いかにして規制緩和をやるかということを一刻も早く決断をされることが日本の景気対策であるということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
  184. 山口鶴男

    山口委員長 この際、越智通雄君から関連質疑の申し出があります。中山君の持ち時間の範囲内でこれを許します。越智通雄君。
  185. 越智通雄

    ○越智(通)委員 私は、補正予算を中心として財政、経済問題について、主として藤井蔵相にお伺いいたします。  補正予算、第一に言えることは、出し方が遅過ぎました。従来、補正予算が秋に国会に出されたのは十月の例が多いんです。十一月三十日に出たのは昭和五十七年の例があります。これは、中曽根内閣が総裁選があってそれまでできなかったからです。十一月二十七日に成立して、すぐ十一月三十日に出ています。出方は遅かったけれども、処理は大変早いのです。  さっき何か手続のことで予算委員会がおくれているような話がありましたが、十一月三十日に本院に提出された補正予算が、十二月一日に予算委員会が開かれるということはないのです、今まで。これは予算委員長初め、自分が入っていて申しわけありませんが、各党の理事その他が、いかにこの景気対策が大事かということを認識して、努力を重ねてこういうことになってきたわけですから。しかし、大変出方が遅かった。そして、遅いということは執行ができないんですよ。後で答えていただきたい。  藤井大蔵大臣、ここに入っている、約一兆一千億しかないのですけれども、あなたの演説でも言っている三千何百億の一般公共と三千億ちょっとの施設費とそれから災害の三千数百億と一兆円しかないんだ、本当の対策は。これが一体ちゃんと消化できますか、本年度中に。本年度中にですよ。随分先の話のようだけれども、そうじゃないんだ。これができるかという問題が一つある。  もう一つ、この補正予算について聞きたいのは、七千億の増額なんですよ。景気が悪くて収入がおっこちていて増額補正ですから、これは。減額補正じゃないんだ、増額補正。それじゃ小さな小さな補正か、そうじゃない。総額は六兆円を超す補正なんですよ、これは。六兆数千億の歳出増と歳入減が五兆数千億で、差額が七千億と言っているわけ。何ででっかいものになったか。それは、五兆五千億の税収が減ったからでしょう。五兆五千億の税収というのは何で減ったか。所得税法人税がそれぞれ二兆数千億おっこちたから。どうやって埋めたか。これは地方交付税が当然減りますね、一兆六千億から減るわけだ。そのほかに国債整理基金に対する定率繰り入れを減らしたんです、約三兆円。もう一つラッキーなことというか、全く偶然と言ったらおかしいのですけれども、金利がとんとんと下がって、借金が多いものだから、金利が下がったんですよ。金利水準が下がって、国債の金利が七千億下がったんだ。九千億の不用費を立てましたと経費を削ったようなことを言っているけれども、中身は何だ。七千億までは、これは自動的にと言ったらおかしいけれども、低金利政策で下がったんです。これで全部間に合ったのです。  ところが困ったことに、定率繰り入れをやめたら何が起こったか。三兆円入れるつもりで、七月の決算のときに、平成四年度の赤字決算に一兆五千億使っちゃったのです。平成四年度予算、それは副総理、羽田さん、あなたが大蔵大臣としてつくった予算ですよ。自民党内閣のときに向こうに行った方が、そこに四人と向こうに、五人いらっしゃるのですよ、実際問題は。その平成四年の決算が赤字になった。減額補正をしてもなおかつ赤字になって一兆五千億使っちゃった、それっと。その後で三兆円入れないと言ったものだから金が足りない。  じゃ一兆五千億だけ入れればいいのだけれども、それでは国債整理基金会計が赤字になっちゃうというので二兆五千億入れているのです。僕はラウンドナンバーで言っています、大きい数字で。二兆五千億入れている。何でだ。国債整理基金会計に一兆円ぐらい黒字を残しておきたい。国債整理基金会計というのは何だというと、百八十兆からある借金に対する両建て預金みたいなもので、それのごく一部で一兆円。じゃ百八十何兆に対して一兆円は何の意味があるか。実は両建ての意味はない。  国債整理基金会計というのは、平成四年度の決算のときにやったでしょう。決算資金がないときには、決算のときだけ国債整理基金会計から横流しできるんだ。横流ししたじゃないですか。国債整理基金会計に一兆円、まだためておかなきゃいかぬと思っているのは、今ここで減額補正をした平成五年度の予算が、来年の七月三十一日、会計法でいう帳簿を締めるときにもしかしたらもっと赤字が出るんじゃないかと思うからそこに使える金をとっておきたい、こういうことだと思うのですね。そして……(発言する者あり)わかってきましたか。だって国会に提出された途端に本会議をやって、翌日に予算委員会をやっているからだれも予算書の中身を聞いてないから、今一生懸命予算書の中身を補正予算審議らしく聞かせていただいているんだけれども。  そこで、もっとおかしなことをした。なぜか。NTTの金を、B型というやつは無利子で地方団体に貸してあった。それを取り返したんですよ。六十二年と六十三年と平成元年分を取り返した、約二兆五千億。かわりに、建設公債を出した金で埋めてやるよという、建設公債が出ているわけだ。そして、その二兆五千億を産投会計に返して、それでとうとう最後に国債整理基金に入れたんですよ。  補正予算というのは、実は、ずばり言うと赤字決算の対策と、あと農業保険費の関係なんですよ。農業保険費は三千六百億から足りないんだけれども、ここにのっかっているのは七十四億でしょう。七十四億の中の四十八億が利子でしょう、これは。利子分がのっているんだ。それで、農業保険の方の冷害対策は金利のついた金で賄う、とりあえず。その金利分だけ一般会計がしょう。こういう計算でやっているので大変わかりにくいんだけれども、ずばり言います。  何でこんな無理をしたんですか。そしてこれを通したらば、盛んに総理がおっしゃった、補正予算を早う通してくれ、通したらすぐ景気はよくなるという。景気、ちっとも関係ないよ、これでは、実際問題は。この七千億が通ったら、あしたから相場がばんと上がるという話ではないんです。この話がわかったから、兜町は、これは手が打てないな。きょうも一万六千六百円です、前場の引けは。一万六千六百円というのは、ちょうど去年の今ごろに戻ったような数字でございますよ、相場でいうと。だから、どうしてこんな中身の補正予算をお出しになり、そしてこれが本当に実行され、効果が出るとお考えですかと、大変厳しい言い方かもしれませんけれども、大蔵大臣、提出の責任者だから明確にお答えいただきたい。
  186. 藤井裕久

    藤井国務大臣 まず、おくれた理由は御承知のとおりでありまして、共済金の精査などをやっていた、なるたけ共済金が少しでも立派に払えるようにということをやっていたということで本日までおくれたわけであります。  次に、執行でありますが、私はもう非常にラフに言いますと、当初予算というものが九月未で七八%の契約率になっているわけです。非常に私はいい数字だと思いますね。そして六月の補正が九月末現在で四〇%の契約率になっているわけです。これが第三・四半期を大体カバーすると思うのですね。そして、今回の補正予算が第四・四半期をカバーする、こういうことだと思います。そして、午前から議論しておりますように、私は、これらの公共投資政策は下支えをする効果がある、そういう意味は確実にあるというふうに考えております。  また、今の後半の話でございますが、るる御意見は承りました。私は、そういう面があることを否定しません。否定しませんが、これは過去の累積の一つの清算であるということもあわせて申し上げておきたいと思います。
  187. 越智通雄

    ○越智(通)委員 これは全然違います、後でいろいろ申し上げますけれどもね。  こういう対策をとっているけれども、実は過去にも財政が赤字になったことはある。だけれども、そのときに大蔵省の先輩たちはそれぞれ知恵を絞ったんです、それがよかったかどうかは別として。  財政が真っ赤になったのは昭和四十年です。これは、オリンピックの後の不況、山一証券がつぶれるかというとき。このときに建設公債を出したのですよ、戦後初めて。  そして、十年たって、昭和五十年にまた赤字になったのですね。これは、要するに第一次石油ショックの後で、物価がびゃっと上がったから抑えにゃいかぬ、総需要抑制策をやったら景気が冷えちゃった、それじゃそれを埋めましょう。このときに赤字公債が出ちゃったのですよ、実際には。(発言する者あり)やじには答えない。  それで、五十六年、五十七年にまた赤字になったのです。このときから世界は同時不況、同時好況の波になっちゃう。それまではいい国悪い国とチャンポンだったのが、このころから同時不況、同時好況になり出した。レーガンが出たころです、レーガン政権ができたころ。世界じゅうよくなかった。日本も悪くなった。そこでやったのは、ゼロシーリングとマイナスシーリングという予算要求の歯どめをかけているわけです。  今、それから十年たった。十年たった、五十七年からね。そして、このときに、あなたは一体どういう方策でこの波を乗り越そうとしているのか。こういう赤字が出だしますと、前年度比で予算を組んでいくと、どうしてもどんどんずれずれで、赤字が循環しちゃう危険性が高い。  まして平成四年の決算で、羽田大臣もよく聞いておいてください、今までにないことが一つ起こったんです。何か。税収の弾性値がマイナスの三・八となった。弾性値というのは、景気が一割よくなったら税金が一割一分よくなるか、一割二分ふえるかという弾性値があったのです。ところが、マイナスが立ったのは今まで過去に一回しかない。これは○・三ぐらいで、まあひらひらぐらいのマイナスだ。今度は明瞭に弾性値マイナス三・八。弾性値でマイナス三・八というとすごい数字ですよ、どびゃっといったのですから。この傾向、この税収構造の変化というものは簡単に直らない危険がある。だから、平成四年の赤字は、平成五年、また来るんじゃないか。  私は、藤井さんがこの夏に大蔵大臣になって、八月末の会計法に基づく予算要求が各省から出るときに、財政危機宣言ぐらいするかと思ったのですよ、各省に。当たり前の予算なんて組んじゃだめだよ、到底そんなことできないよというぐらい宣言するかと思ったら、それはしなかった。ああ、わかっているのかな、この厳しさを、こう思ったのですけれどもね。  これからいうと、新しい対策として何かお考えがあるのですか。我々は、それが怖いから、この春に新社会資本という考え方を提案しましたけれども、今の内閣では全然お考えになっていない。どういうことか。六十年の償還の国債じゃ長過ぎるというなら、十年、二十年の国債を出して、六十年の国債の対象経費だから、めったにつぶれない道路をつくろう、港湾をつくろうになるのだけれども、十年、二十年の短期だったら、通信網とか機械とか、そのくらいはもつ、十年、二十年はもつというものを対象に借金で起こしたらどうだということで新社会資本、こういうことで申し上げているのを、まあ政権がかわったから人の知恵なんか聞かないのかもしらぬけれども、全然考えてない。  そこで、どういう方策を考えてこの財政の窮状を乗り切ろうとされているのか、御意見があったら教えていただきたい。
  188. 藤井裕久

    藤井国務大臣 私は、もと越智委員の後輩で大蔵省におりまして、昭和四十年の補正のときも実際にこれはやりました。昭和五十年の補正もやりました。実情はよく知っているつもりです。  そして、現在のこのような状況になっているわけでありますが、私は今回のシーリングというものは適切にできていると思います。つまり、要するに、公共事業的な景気対策のものについては上乗せのシーリングをつくっており、かつ、一般経費については非常に厳しいマイナスシーリングをつくっておるわけでありまして、そういう中で景気対策をやっていくと同時に、今おっしゃったような健全性を少しでも回復するような措置をとりたいと思っております。  同時に、景気対策というものは今一番の課題でありますから積極的にやるわけですが、こういうものには必ず裏があるということをもう十分御承知と思うんです。これをうんとやるということは、後世代に負担を残すということを意味している。住宅の政策減税をやるということは、不公平税制をのみ込むということなんです。低金利政策ということは、預金者の犠牲においてやるということ。そういう常に両面があるという中で今当たっているということを御理解をいただきたいと思います。
  189. 越智通雄

    ○越智(通)委員 いや、私もあなたとは大蔵省以前、東京教育大附属中学からの、君が野球部、僕が剣道部だ。強いことを言うのは気の毒だと思いながら、しかし、国家の財政はゆるがせにできない。  それならば、七十兆の予算の中で、公債の問題がありますね、国債費というか公債費、十五兆ある。地方財政の交付金も十五兆ある。そして社会保障が十二兆。この三本が、大関じゃない、横綱だ、横綱。あと、公共事業が十兆ぐらいですよ。こういう感じでしょう。この一番でっかい十五兆、国と地方の関係、今、地方の時代だとおっしゃっているし、知事を経験された方が総理、官房長官をされているんですから、何かこれ、自治大臣、抜本的にやらないと、この十五兆、どんどん伸びていきますよ。  昔、私どもが大蔵省にいたころの交付税の税率は二二%だったんですよ。随分前です、三十数年前。そして、当時はもう一兆円にも満たない交付税でございましたね。地方交付税総額が一兆円超したのは昭和四十三年ですよ。一兆円ですよ。あれから二十五年でそれの十五倍になっているんだよ、今。あえて言えば、十兆を超したのは昭和六十二年だ。五年間で五割ふえているんだよ。これをほっておいていいんですか。いつまでも国からどんどん交付税で、法人税とか所得税とか、あるいは最近ではほかの税金もありますよ、消費税やなんかも、それを入れていっている。現実に、それらの地方団体における収入の中で、地方交付税、昔は一割だった、今は二割占めているんですよ。国から来る金が二割占めている、この交付税が。何か手を打たなきゃいけないんじゃないか。  ずっと見ていくと、地方公務員。国家公務員は五十三万人しかいない、地方公務員は三百万人いる。この三百万人がいらして、こういう財政でこの地方の問題をどのように処理されるか……(発言する者あり)いや、私の意見で申し上げさせていただきますが、それで、おまけに、今秋の問題で国税と地方税が問題になっているわけでしょう。同じものに国税と地方税がかかっているのがあるわけだ、現実に、飲食消費の問題とか。あるいは土地に関しても、さっき地価税を、民社党でしたっけ、やめてしまえというのとね。あれは加藤寛さんの税制調査会ではやめないと言ったんでしょう、実際には。同じ土地に対して市町村と国とが税金かけておる。  こういう問題について、長い目で見て、自治大臣、まして、今、市町村の方の財政は大体ひらひらだ。だけれども、都道府県は真っ赤ですよ。東京都以外は全部交付団体になってしまった。なぜ真っ赤になったか。法人事業税が主たる税源だから、これが物すごく波打つんだ。法人事業税なんというものは、地方団体みたいな経費が余り浮動しないところには不向きな税目だと思うのですよ、税源だと思う。そういうことをなぜ根本的に考えないのか。そこまで手をつけないと、そこまで荒療治しなかったらこの財政危機は乗り切れないと私は思うんですけれども、自治大臣、どのようにお考えですか。
  190. 佐藤観樹

    ○佐藤国務大臣 今、越智委員のことについて、幾つか重要なことについてお答えをしなきゃならぬと思っております。また、今、細川内閣になってから、そういう意味での地方分権と申しましょうか、税制のあり方そのものをかなり問われておる時期だというふうに思っております。  まず一つは、国と地方との役割をどう考えるかという問題だと思うのでございます。  越智委員も新社会資本整備ということを言われました。いわば極めて身近な行政、身近な、しかもこれからゆとりとかあるいは弱者に優しいとか、こういったものをやっていくには、やはり地方自治体を中心にした方がこれはやりやすい、そういう方向に政策がなっていく。それを私は、新社会資本整備、我々は生活者を重視するという言い方をしておるわけでございますけれども、そういったことになってまいりますと、国と地方の役割そのものをどうするかということをまず全体で議論をしなきゃいかぬと思います。ここが財政審の小委員会での中間報告で出ていることなのでありまして、まずそのことをどうするかということでしなきゃいかぬと思います。  もう一つは、地方自治を支えていくための地方自治体の独自財源、これをどうすべきかという問題を解決をしていかなきゃならぬと思っております。  御承知のように、税調の中では、消費譲与税を地方消費税にしてもらいたいという、いろいろな要望やら、税調の中にはそういう意見もございます。しかし、これは消費税そのものをどうするかということとの関連でございますので、まだ当然のことながら結論を出すには至っていないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、越智委員御指摘のように、あの消費税をつくりましたときに、例えば料理飲食税にいたしましても変更いたしましたし、つまり間接税が非常に少なくなって、国はそれでも直接税が七割、間接税が三割となっておりますが、地方は九割が直接税、一割が間接税でございますので、したがって、今、越智委員御指摘のように非常に景気の波をかぶりやすい、そういう税体質に、税体系になっておるわけでございます。  しかし、地方のやらなきゃいかぬことは、これから地域の福祉をふやしていったり身近ないろいろな施策をしていく上におきまして、どんどんとお金も必要になってくる。それから、人につきましても、これから福祉をやっていけば、それは直接かかわる人の数というのはふえていく傾向にあるわけであります。例えば医療については看護婦さんの問題等々、挙げていけばそうなっていくわけでございますので、地方自治体という面からいえば、これは安定的な、景気にとらわれない、こういう財源をこれから独自的にどうしていくか、こういう観点で今後考えていかなきゃならぬことだと思っておるわけでございます。  なお、申し上げておきますけれども、今法人事業税との関連等で赤字という問題がございましたが、これは、越智委員の言われておりますのは、むしろどちらかというと、国と地方との関係において地方の方が幾らかゆとりがあるのではないかということではないかと思いますが、それはひとつ、越智委員たる大変財政に詳しい方にぜひ御理解をいただきたいのでございますが、確かに、国は今度の補正が終わりますと百八十八兆の国債を持ち、地方の方はそこから百兆引きました八十八兆という数字になっております。  なっておりますけれども、これはその数字だけを比べていただいては困るのでございまして、地方財政の、地方の税収に占める割合から申しますと、簡単に言えば、地方は二・六年分、国は約三年分とほぼそれは同じでございますし、御指摘がございました、五兆五千億の国の税収が下がりましたものですから、地方交付税の方が一兆六千億、これはこれから我々の方で借金をしなきゃいけません。それから、地方税が減りました分、この一兆六千億も我々でつくらにゃいかぬものですから、合わせて三兆二千億。国の方は、五兆五千億から今申しました一兆六千億を引くわけですから三兆八千億ということになるわけであります。  同じように地方も大変そういった意味では頑張っておるわけでございまして、決してゆとり、もっといろいろ数字を挙げれば幾らでもあるのでございますけれども、いずれにいたしましても、地方も苦しい中、景気対策、それからゆとり、豊かさ、あるいは身近な行政をなるべく身近なところでということで頑張っておるので、どうぞひとつ、財政に詳しい越智委員におかれましても、十二分なる御理解をいただきますようお願い申し上げたいと思います。
  191. 越智通雄

    ○越智(通)委員 今の中で、自治大臣、一つだけ言い落とされました。地方交付税が減る分だけは自分たちも借金せにゃいかぬ、こうおっしゃっている。それはそうだ。借金はするんだけれども、その利子は国が払うのですからね。無利子の金を借りるだけですからね。そういうふうに全部違うのですよ。  それで、一番何が心配が。平成六年、さっきも。中山委員がおっしゃったように、景気がもっと悪くなるんじゃないか、そして、それが財政にも響いてくるんじゃないか、これが今一番心配されているわけです。税収、さっきも申し上げた。五兆五千億減らしたけれども、これで決算のときに何千億かまだ山やせぬかという危惧をお持ちになっているのじゃないかと聞いたんだけれども、そんなことはおっしゃらない。それは言えないでしょう。  あるいは経済成長を、去年はほぼ経済成長は横ばいになった、戦後日本の経済はマイナス成長したのは昭和四十九年だけですから。ところが、平成五年は久々にマイナス成長になるかもしれぬのですよ、今、四半期をずっと見ていくと、月別を見ていくと。もちろん税収にも響きますよ、国も地方も。えらいきついことになるんじゃないか。それ答えられますかね。  税収だけ見たって、雇用が落ちてきたら落ちるでしょう、源泉所得その他は。土地がこれだけ動かなかったら、譲渡所得税がこれは実際には入らないですよ。法人税だって、ともかく今一番まあ何とか利益が出ている銀行は利益のある限り償却をしているんだから、利益を取り崩して不良財産、不良債権を。法人税ももっと落ちるかもしれない。  どう一体来年を見通していますか。皆さんのところで、もうあと三週間したら書かなきゃいかぬのですよ。平成六年の経済見通し、平成六年の財政規模を決めなきゃいけないのでしょう、越年編成しないんだとすれば。今一体平成六年の経済に対して、大蔵大臣、税収を含めてどうお考えになっていますか。
  192. 藤井裕久

    藤井国務大臣 経済見通しは経済企画庁の所管でありますので、私からお答えするのは差し控えます。
  193. 久保田真苗

    ○久保田国務大臣 経済見通しにつきましては大変厳しく認識しておりますけれども、ことしの経済見通しが一・四半期でマイナス成長になりました後を受け、二・四半期の状況を見た上で来年度の経済見通しを立てながら、総合的に出してまいりたいと思っております。
  194. 越智通雄

    ○越智(通)委員 大体そういうお答えをされるだろうと思ったから、せめて藤井さんにお答えをいただけないかと思ったのです。  今、要するに何もわからぬ、何も言えぬとおっしゃっているだけなのでね。しかし、そのままであと三週間たったら、本当に来年どうするか、大事なところへ行くのです。我々は、二月になったらそれを本当に深刻にここで議論しなければならぬ状態になるのですよ。済みませんね、委員長の方を見て物を言って。  そんな中で、今減税の議論が出ている。景気にとって、あと残されている手段は減税しかないのじゃないか。わかりますよ、その議論は。我々自民党としても、減税を要求をしています。だけれども、この減税に関して、連立与党の方々は今までいろいろなことを言っているのですね、選挙のときには。  社会党は、大型所得税減税、それで消費税については飲食料品の非課税、こう言っているし、それから一番、失礼ですが、江田さんのところの社民連、税制は消費税を廃止し福祉目的のEC型付加価値税を導入すると選挙公約に書いてあるんだ。これはまた、それは党として言ったので、個人として言ったので、閣僚は別だと言うのかもしれぬが、飲食料品の問題というのは、要するに消費税の複数税率を意味しているのですよ。  それで、もう皆さんよく御存じのように、小沢さんの本には三%を一〇%にしてもよいという議論もあるのですから、一体内閣としてどうお考えになっているのですか。所得税減税と消費税の関係で、皆さん選挙公約をされたものをどういうふうに実現しようとしているのかな。  では、お勧めがあったから、江田大臣、お考えがあったら言ってください。所管外だと言わないで、お答えを願います。済みませんね、予告外で。
  195. 江田五月

    ○江田国務大臣 予告外でございますが、しかも所管外なので簡単に答えておきたいと思いますけれども、私ども社民連ということで選挙を戦ったときに考えておりましたのは、消費税にいろんな欠陥があるので、その欠陥を十分直していきたい。課税ベースの広い間接課税というのが必要だということ、これはもうずっと前から私たち考えておりまして、そこでどういう形のものがいいかというので、EC型付加価値税ということを仮に申し上げたということだと思いますが、今は内閣の方針で取り組んでいきたいと思っておるわけでございます。消費税というものがもともとはしにも棒にもかからぬ悪いものだと言ったことはありません。
  196. 越智通雄

    ○越智(通)委員 じゃ社会党は山花大臣かな、いまだに飲食料品は非課税にしようと主張されているんですか。それとも、もう心変わりをされているんですか。
  197. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 選挙のときに国民の皆様に公約した中に御指摘の点があったことはそのとおりでございます。私たちの党の考え方、社会党の考え方は、今でもその基本的な考え方は堅持していると承知をしているところでございます。  ただし、連立政権つくるに当たりまして、幾度か引用させていただきましたけれども、所得、資産、消費のバランスのとれた総合的税制改革を行うということを合意いたしますと同時に、減税問題については引き続き検討しようということになっておったわけでありまして、その検討の作業中ということとあわせて、これからの問題につきましては、総理が本日お話ししておりますとおり、これからの総合的な税制改革の中で結論を出すという方向になっているわけでありまして、そうした主張というものを持ちながらこれからの協議に臨んでいきたいと思っているところでございます。
  198. 越智通雄

    ○越智(通)委員 困りましたね。いろいろおっしゃるけれども、大臣のおっしゃっている中身はないんですよ、本当は。  ですから、これはよほど消費税の扱い方、さっき草川委員は、これは所得税の減税とリンクさせない方がいいというような言い方をされた。公明党は、何だったらずっと先にしてくれ、そういう言い方をされている。だけれども、税制調査会の方は、先ほどどなたが御指摘になったように、全部一括で出すんだよということまでわざわざあの中に書いてある。  大蔵省に伺います。所得税減税の法案を出すときには、消費税増税の法案を施行期日を二年か三年狂わせて一緒に出せるのですか、それは。
  199. 藤井裕久

    藤井国務大臣 今税制調査会のお話がありましたが、税制調査会は、中期的課題として所得課税の軽減そして資産課税の充実ということを言っており、これを一体的に処理するのが望ましい、こう言っておるわけであります。  私どもは、まず平成六年度予算において、先ほど総理がお答えのように、これらの問題を関係各党の皆さん等とよく相談し、国民の御意見をいただくという立場でございます。  ただ、私の立場で一つ申し上げておきたいのは、垂れ流し的赤字国債ということは、これは将来にわたって極めて大きな禍根を残すし、日本の経済体質を崩すということだけ申し上げておきたいと思います。
  200. 越智通雄

    ○越智(通)委員 そこがまた随分、そこまで追い込まれちゃっているのですよ、実際問題は。ほかに手段がなくなってきて、どうするんだと今厳しいところへ来ている。それにもかかわらず、まだ検討とかなんとな言っていて、困るんだな。  それでいてあなた方は、税制調査会の委員さんは任期が来たけれども、平成六年の税制改正について答申をしてほしいと任期を延ばしたんでしょう。臨時に延ばしたんじゃないんですか。今政府の税制調査会はだれもいないんですか。いるんでしょう。その方々は平成六年の税制改正についての答申を求められているんじゃないかと理解しておりますが、どうなっているんでしょうか。事務方でもいいですよ、どうぞ。
  201. 藤井裕久

    藤井国務大臣 御指摘のとおり任期を延ばしております。
  202. 越智通雄

    ○越智(通)委員 だから、ここまで来て、十二月一日ですよ。平成六年をどういうふうに持っていくんだ。補正平成六年予算とまあいわば一体みたいな感じで議論を今までもしてきました、例年。そういうことにもかかわらず、六年の話は全くできない。新聞にはいろいろ書いてあるけれども、委員会では答弁できない。大変誠意がない、私はこういうふうに思うんですよ。  それで、時間が詰まっちゃったものですから、もう一つの大きな問題は、またこれは藤井さんにきついことを言って悪いけれども、円高を容認しちゃいけませんよ。きょうは百八円九十五銭だ、前場は。百九円だ、アバウト。百九円は去年の今ごろに比べればまだ十円以上高いんだ、円高なんだ。去年の今ごろは百二十二円ぐらいです。この平成五年度予算というのは百二十二円で組んであるはずだ。百九円としたって十円違うんだ。一割ぐらい違うんだ。にもかかわらず、百円にならなきゃいいような話をしちゃあかんと思うんです。  私は、藤井さんが大蔵大臣になって九月にでも方々を飛び回るのかなと思った。アメリカの大蔵大臣でもイギリスの大蔵大臣でもどこでもみんな話をして、協調介入の何というか根回しといいますか、そういうようなことをしてこなかったら孤立しかねない。今、日本の円だけがたたかれているんですよ、実際問題は。どのように今の円高を考えているんですか。  日本の経済はそんなに強くなったということじゃないんですよ。いわゆるファンダメンタルズと関係なく円高が仕組まれている、つくられている。このことを考えると、どういうふうな水準が望ましいと思い、そのためにどのような対策を打っていくか。  今日ドル建てで表示しているから対外収支はいいように思うけれども、輸出はもう百十円でずっといかれたらだめですよ。一番強い自動車産業だって、百十五円以上の円高だったら日本は負けますよ、やっていけない。日本の車がアメリカの市場でじゃんじゃん売れた時代は過去のものになっちゃいますよ、値段が違うんだから。向こうから逆輸入してくるんですよ、今度百万円の車が。ネプチューンや何かは百万円ですよ、一台。  そういう状況で、為替の問題というのは物すごく大事だと思う。じかに大蔵省がマニピュレートというか手を入れて幾らにしよう、それはできない。しかし、いろいろ話をしてみる、銀行に頼む、ほかの国にも頼む。これは物すごく大事な国家の経済の政策の一環だと私は思うんだけれども、どうも何となく、一〇八円、まあしょうがないかなあという感じに感じられてしょうがないんですよ。このままで平成六年の経済を考えたらえらいことになると思いますが、これからの為替の推移、そういう問題について何かお考えございますか。
  203. 藤井裕久

    藤井国務大臣 もう越智委員既に御承知のとおりでありまして、為替の水準自身を私が申し上げる立場にない、これはおわかりと思います。  私は九月二十五日のG7に行きまして、各大蔵大臣に申したことは、この急速な円高が、日本経済が少し立ち直りかけていたのに水を完全にぶっかけたということを申し、かつ外国の大蔵大臣も、一国の為替レートだけが急速に動くことはその国の経済のみならず世界の経済にとって望ましいことではないという評価をいたしております。  私どもも適時適切にこれらについては協調政策等を引き続き行っていくことは当然のことと考えておりますが、レートそのものの水準を申し上げるのは差し控えさせていただきます。
  204. 越智通雄

    ○越智(通)委員 これ、実は、株式市場は落ちた。だけれども、落ちたときの原因にはならないかもしれないが、上がるときの原因としては外人買いがあったんですよ。外国の金が入りまして、為替が円高に振れるのと相場が上がるのとダブルでもうかったから入ってきておった。今度、それが逃げたから落ちたというか、落ちてきたから逃げ出したかどうかわかりませんが、為替と株とは関係があるんです。  日本の場合には、株も債券も一緒に連れる。ニューヨークのマーケットでは債券と株は逆に動く場合が多いんだけれども、日本の場合には連れ子で動く。みんな悪いんだ、今。今の株価を悪くしたのはその問題もあるんだ。もし今後ずっと為替が円安に振れていったら、ある意味では国内政策的にはいいんだけれども、株式市場にはマイナス要素だろうなと私どもは思います。  その上、実際に銀行株なんかが下がってくると、銀行の持っている株、生命保険の持っている株、売るんですよ。売って出てきていた。極端に言うとつけ出しだ、売って買い戻す。もうけの出そうなものは売って買い戻して、もうけを出して不良債権の償却に充てるというやり方もあるし、いろいろあるのですよ。物すごく日本の場合にはそういう大手の持っている株式は大きいから、ごくわずかなところで勝負をするから株価が上がったり下がったりが激しかったという、この構造が崩れ出している、これも問題ですね。  そういう非常に危機的なというか危険な状況の株式市況に対して、大蔵省は大変なミスをやった。JR株の公開です。あれはやるべきでなかった。三十八万円で始まって、公開をして六十万まで行って、ストップ高というか取引ができない。そのときに五十六万株の冷やし玉を入れたのです。国鉄清算事業団の持っている株をばかっと入れたのです。一番高値で売ったのだよ、国鉄清算事業団は。もうけたのはあそこだけだ。一株株主が多かったから、まだ持っている連中は今ごろ、きょうの値段は聞いていないけれども、三十八万円そこそこのところへ来てしまっている。もうちょっと高いかな。いずれにしても六十万からどぽっと下がっている。  それで、その人たちが損したというだけではなくて、それがもう株に対する不信感をうんとまた、NTTの二の舞でまたおれたちだまされた、こういう感じになったと思うのですよ、私は。何であんなことをしたか。さすが続いてはやれなくなってしまったなというので、日本たばこ産業をやめてしまった、JTというのをやめてしまった。二月とか三月と言っているけれども、要するに延ばしているだけの話で、やれっこない、今の状態では。  これは、日本の株式市場、債券市場をこんなに疲弊させたら、企業なんか資金調達ができません。それであれができません、設備投資が。設備投資はここずっと下がっているでしょう。まだ下がるかもしれませんよ、実際問題は。そうしたら、消費が落ち込んできて、設備投資が伸びなくて、貿易が売れなくて、どこで日本経済、何というかな、救いの道を求めていくのですか。そのホールピクチャーというものを内閣としては示すべきだと思う。  私は、厳しい状態になった、かつては、石油ショックのときには全治三年といって、頑張ってくれ、耐えてくれということもあった。今そこにいらっしゃる方々が医者だとするならば、我々というか国民、患者に向かって、君の病気はこのくらいだ、あと何年頑張れとかどうこうだという指示が何にもないのだ。  五カ年計画その他いろいろあるけれども、前につくったのが残っているだけで、これからの日本経済がどうなっていくと、三年でもいいよ。今は来年のことさえ言えないのだから、それでは国民の不透明感は払拭されない。みんなの心が燃えてこなかったら、金を渡したって使わないと思いますよ。税金をまけたってつくらない。こういう状態の中で、よし、やるかという気を起こす、これがやはり政府の最大の仕事だ、こんなふうに思うのですよ。  そんな中で、ちょっと気になっているのです。本会議場で愛知さんも言ったし、自民党政権の負の遺産とか、さっきどなたかもここで負の遺産とおっしゃったけれども、細川総理、ここであなたにお答えいただかなければいかぬ。  実は細川内閣ができて百日以上たちましたね。経済政策というものは時々刻々動くのですから、百日以上以前の政策で自分たちは今でも金縛りだなんて、そんなことは言えませんよ、百日もたっているのですから。そして、あなたの政権には、新生党の方と手を組まれて、その方々は自民党時代に大臣をされた方が九人も入っている。  現実に宮澤内閣で大臣をされた方が、羽田さんが大蔵大臣でしょう。宮澤内閣ですよ、直近の。渡部恒三さんが通産大臣でしょう。船田さんが経企庁長官でしょう。経済問題を事実上やってきたのじゃないですか。そこに座ってお答えになってきたじゃないですか、実際には。そして今はそちらの席に座っていらっしゃる、ないしはその同じグループにいらっしゃる。その方々に対して、細川総理は、経済閣僚をみんな渡したのですよ。  この前の質問のとき、十月四日の質問のときに総理にお伺いした。小沢一郎さんに入閣は要請しましたかと言ったら、総理のお答えは、機微に属する問題でお答えいたしかねますと言った。否定はされなかった。  世間で何て言っているか。小沢さんが入るかそうじゃなきゃそのかわりにいいポストをみんな小沢さんの方は持っていったのかな。大蔵大臣、外務大臣、通産大臣、農林大臣、そこに四人いらっしゃる、一番向こうに防衛庁長官。これらの方々にいわば日本の経済のかじ取りを任せたという意味では、細川総理、やっぱりあなた自身がこれからの日本経済にもっと真剣に取り組んでいただきたい。もっと各閣僚、内閣に対してきちんと指揮をとっていただきたい。  私はそれぞれの問題をもっともっと突っ込もうと思ったんですけれども、次の関連の方がお米の問題でしたいと。そしてその次は、もう一つの負の遺産であるスキャンダルの問題もあるわけですよ。これも担いでいった人もいるんだから。そういう意味で、経済政策に対して、細川総理、えらいことになるかもしれない平成六年を前にしてどのような決意か、最後にぜひお答えをちょうだいいたしたいと思います。
  205. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 先ほどからるるお話がございますように、全く厳しい財政の状況であると認識をしております。それは、確かにお話にもありましたように、長い間続いてきたこの財政構造というもの、構造的な問題もあるだろうと思います。しかし、それをとにかく私たちは今引き継いでいるわけでございますから、その解決に向けて何とか知恵を絞っていかなければならないということで、一生懸命今知恵を絞っているところでございます。ぜひひとつこの点についても、これはもう国の大変な危機的な状況であるということでございますから、与党とか野党とかいうことを問わず、ぜひお知恵をかしていただきたいものだと願っている次第でございます。
  206. 越智通雄

    ○越智(通)委員 終わります。
  207. 山口鶴男

    山口委員長 この際、江藤隆美君から関連質疑の申し出があります。中山君の持ち時間の範囲内でこれを許します。江藤隆美君。
  208. 江藤隆美

    ○江藤委員 今、政権が当面しておる重大問題は政治改革だと言われておりますが、私どもの認識では、やっぱり何といっても景気対策を最大限の優先課題とすべきであるし、あるいはまた、十二月十五日の提出が迫ってきた米の問題に対して総力を挙げてこれに取り組むという姿勢がなければならぬ、こう思っております。  きょうも私はここへ来ますときに、大変情けなくもあり、残念でもあり、痛ましくもあったのは、国会議員の諸君がこの国会議事堂の前でハンストをやっておるんですね、この寒空の中で。それは細川内閣に対する不信のあらわれであります。  そこで、きのう、本会議において我が党の保利耕輔君が米の問題について質問をされました。それについて幾つかの不満足な点もあれば、あるいは無回答な点もありました。それらを拾い集めて、短い時間でありますが、ただしていきたいと思いますから、よろしくお願いをいたします。  まず第一番に、米の自由化はやらない、こう決めてきた。衆議院でも三回の決議をやった。四回目は、細川内閣になって、もうやれなかった。しかし、今まで三回国会決議をやったんだから、それはいいではないかという理由のもとに、あえて第四回目をやらなかった。これからまた出します。参議院でも熱心にやられた。この国会決議というものの、特に参議院の決議の中にある、国産米をもって完全自給化するというこの決議について総理はどのように受けとめておられるのか、きのうは答えがありませんでしたので、まずそのことを聞いておきたいと思います。
  209. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 さまざまな議論、報道がございますが、再三申し上げておりますように、政府としてはあくまでも国会決議の趣旨を体して、国内産で自給するという基本方針のもとに、包括的な関税化は受け入れられない、そういうことでダンケル提案の修正を求めて今ぎりぎりの交渉を行っているところでございます、こういうふうに申し上げているわけでございますから、ぜひそういうことで御理解をいただきたい、こう思うわけでございます。
  210. 江藤隆美

    ○江藤委員 総理も農水大臣も、尋ねますと、国会決議を尊重して従来の方式を堅持しながら頑張ります、こう言っておられますね。  じゃ、お尋ねしますが、衆議院の決議の中に、国産米をもって完全自給化という言葉が入らなかったのには理由があったのです。それは、沖縄返還のときに、沖縄の特産である泡盛については別途、米の自由化を認めていった、あれと牛肉は特別な割合で。だから、衆議院の決議の中で国内産でもって完全自給化を図るということになると、沖縄のそういう、沖縄復帰当時の泡盛の原料米というのが外されるということになるから、心はそこにあったけれどもやってきたわけですよ。それをあえて入れなかったのです。  だから、それならば、従来の方針というのは、包括的な関税化にもそれは賛成をいたしかねます、俗に言うミニマムアクセス、最低輸入量にも賛成いたしかねますということで今日まで交渉を続けられてきたのかどうか。農林大臣、答えますか。
  211. 畑英次郎

    畑国務大臣 江藤先生御指摘のとおり、従来から国会決議、この重要性を踏まえまして、農産物についての我が方の主張する項目につきましては包括的関税化は認めることができない、そういう意味合いの中におきまして、今御指摘の面も含めて、我が方のいわゆる主張が反映できるような意味合いで今日まで努力をし、残された短時間ではございますが、ただいま現場を督励しての努力を、取り組みをさせていただいておる、かように御理解を願いたいと思います。
  212. 江藤隆美

    ○江藤委員 じゃ重ねて念を押しますが、包括的な関税化も部分自由化も拒否するという方向で今日まで努力をしてきた、これでよろしいですか。
  213. 畑英次郎

    畑国務大臣 我が方の特殊事情を申し上げまして、ただいま申し上げたような意味合いでの包括的関税化はのめない、かような意味合いの主張をし、交渉をしてまいってきております。
  214. 江藤隆美

    ○江藤委員 いや、包括的な関税化は認めぬということはわかっているんだが、部分自由化も認めぬと言ってきたのですかどうかと聞いている。
  215. 畑英次郎

    畑国務大臣 その中に当然入っておることは言うまでもございません。
  216. 江藤隆美

    ○江藤委員 私は今の報道をずっとテレビ、これはきょうはNHKが報道しておりますが、報道やら新聞の報道を見ておると、ちょうど牛肉・オレンジの交渉をやったときと同じになってしまったなという感じがするのですよ。  これからワシントンでいよいよヤイター通商代表と会談をしようとホテルを出ようとしたときに、羽田さん覚えているな、東京から電話があって、日本は牛肉・オレンジの完全自由化をするという約束をしたといって今NHKが報道しておる、どういうことだ、こう言われて私どもは立ちすくむ思いがしました。  約十年近く、それこそ連休も忘れ、クリスマスも年末年始も忘れて、当時政府も党も農業団体も懸命になってこれを防ごうと思って努力をしておるさなかのことでありました。これはもう財界は財界で自由化自由化。交渉のテーブルに着いてみるとこれぐらい新聞を積んでおって、ミスター江藤、この新聞を見ろと言う。これは日本の新聞だ、しかも大新聞だ、皆自由化だ、皆自由化を言っておる、国民もそれを求めておる、なぜ自由化しないんだ、こう言われた。そして最後には、あいつらがあくまでも反対しておるのはよほどの利権があるんであろうといって週刊誌にまでたたかれた旧  私は、今日の報道なり財界の発言なり、いろいろなものを聞いておると、ちょうどあのときの牛肉・オレンジと同じような形になって、やはり一番弱いところへしわ寄せがいくのかな、そういうことを感じる。  そうすると、最近の新聞やらマスコミ報道というものは、あれは勝手な報道であって、事実と相反する。ちょっと待て、官房長官。あなた、黙って打っちゃだめだ。(「記者会見」と呼ぶ者あり)いや、記者会見よりも、後で質問がある。国会質問の方が大事だ。  ああいう報道は違います、事実に反します、こう総理、言えますか。
  217. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 さまざまな報道がございますが、とにかく、今何らかの合意に達しているというようなことはございません。もちろん、多国間の交渉、二国間の交渉、さまざまな形での外交努力は鋭意いたしております。そういうことでございますから、ぜひそのように御理解をいただきたいと思います。
  218. 江藤隆美

    ○江藤委員 そのような事実はない。今の大体の一致したマスコミの報道というのは、部分自由化をやるんだ、ミニマムアクセスをやる、そして、アメリカやらタイなど主要な米の生産国に対してそれぞれの割り当てをしていく、初年度が四%で、それから後、最後には八%になる、すなわち、四十万トンから八十万トンを部分自由化をしていく、それで、六年後にまた改めて関税化についての協議をする、こういうことです。そういうふうな合意はありませんね。
  219. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま総理からも答弁申し上げましたように、合意という事柄はない。残念ながら、我が方の主張が通った合意もない、こういうような段階でございますし、たまたま今手元に、これは時事でございますか、今さっきの資料でございますが、カンター米通商代表が、日本からの報道には勇気づけられるが、我々はもちろん合意はしていないというような発言もあったという意味合いでも、我が方も合意はしていない、こういうことでございます。
  220. 江藤隆美

    ○江藤委員 あれらの報道がジュネーブで交渉に当たっておる諸君にどれほどの打撃を与えておるかということを皆考えてみる必要がある。これは国益にかかわることです。みんなが命がけで自分の国の国益を守ろうと思って懸命の努力をしている。  この前、シアトルに総理はおいでになりました。おいでになる前に、何としても税制調査会の答申を受けたい、そして所得税の減税を約束してきたい、それから政治改革を何としても衆議院を通過したいというお土産を持ってシアトルにおいでになったですね。APECにおいでになった。そのときに、クリントン大統領とミニマムアクセスについての約束をされた事実はありませんか。
  221. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 全くございません。
  222. 江藤隆美

    ○江藤委員 それでは、一つお尋ねをします。  官房長官が社会党の代表を呼んで、部分官由化でもって決着をつけたいが協力をしてくれ。それを見事に拒否された。私は、社会党にもいいのがおると思いますよ。物の見事に、体を震わせて怒った、その人たちは。あれは立派なものだと思う。それなら、官房長官がなぜそのような部分自由化をもってやりたいから社会党はそれでもっておさめてくれという話をするんですか。私は官房長官に待てと言ったのは、そのことなんです。あれは官房長官の個人プレーですか、それとも総理の腹心としてやったことですか。どっちですか。
  223. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 さまざまな交渉をしておるということは繰り返し申し上げているとおりでございますが、我が国としては、我が国の国益というものを踏まえて、そして、再三申し上げますように、国会決議の趣旨を体して今ぎりぎりの交渉をしているわけでございますから、その趣旨にのっとって交渉を進めていく、そして、一歩もこれは譲れないということではこれは交渉は成り立たないわけでございましょうし、この趣旨を体して交渉をしていく、その中で、考えられるケースについて、それは我々も腹をくくってやらなければならない、そういう趣旨のことを恐らく言われたのであろうと思いますが、私は正確には聞いておりません。  聞いておりませんが、しかし、何もこれは譲らないというんでは外交交渉にならぬであろう、今言われておるようなことが、報じられておるようなことが事実であるとかないとかということは別といたしまして、これは事実ではないわけですが、しかし我々としては腹をくくってこのぎりぎりの場で交渉に臨んでおる、そこのところをひとつぜひ御理解をいただきたいと、こういう趣旨であったろうと思っております。
  224. 江藤隆美

    ○江藤委員 内閣の番頭である官房長官が与党第一党の社会党に対してそのようなことを申し入れをするということを総理が知らなかったということは、この重大時局に対してそれは内閣不一致じゃありませんか。総理が知らぬことを、この大事なことを、官房長官が素人でありながらそういうことをやりますか。全く総理は無関係であると、知らないと、こういうことですか。全く知らないと言うなら、私は後で官房長官が来たら聞きます。
  225. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 連立与党の中でお互いに意思の疎通を図っておくということは、これはもう当然のことでございますし、社会党さんに限らず各党とも、各党との間におきましても、重要な問題についてはできる限り緊密に連絡をとって協議をしていることは当然のことであると思っております。
  226. 江藤隆美

    ○江藤委員 国会では国会決議を尊重して自由化はやりませんと言うその裏で、官房長官が与党第一党にそういう話を持ちかけるというのはおかしいではありませんかと私は聞いておるんです。そんな話をするのはおかしいですよと。きのうも本会議場で答えられたわけでしょう。  もう一つ聞きます。山花さん、あなたはよく心変わりのする人だが、社会党は米の自由化には断固反対だったはずだ。今は部分自由化容認ですか。
  227. 山花貞夫

    ○山花国務大臣 私は心変わりしたことはございません。  米の問題につきましては、社会党の方針は一貫しているというように承知しております。そういう立場で政府に頑張ってもらいたいと、これが党の立場だと思っています。
  228. 江藤隆美

    ○江藤委員 政府はあんただ。あんたもその一員。  それならば、社会党の方針に従って閣内においてあくまでも自由化反対で頑張ると、こう受けとめていいですね。違うなら答えなさい、違うんだったら。  公明党の石田委員長、あなたはどうですか。よく自由化発言なさるが、あなたの考え方を聞かせてください。国会決議と、あなたの時によって自由化ともとれるような発言はどこに整合性があるのかですね。
  229. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 過去の話からいろいろ申し上げることになりますけれども、私どもがこの部分自由化論を言った経過というのは、やはりそのことによって関税化を阻止したいというのがいわゆる真の目的であったわけでございますので、そういった包括的な関税化は反対という趣旨、そのことについて私どもは基本的に何ら今日まで変わっていない、このように考えておるところでございます。
  230. 江藤隆美

    ○江藤委員 部分自由化をやるということは、やがては関税化につながっていく、だから国会は皆反対をしてきたんです。部分自由化と関税化というのは別々のものではないんですよ。これは一体のものであって、ダンケル・ペーパーの最終合意案に基づいてこの交渉というのは流れてきたんですから、別々ということにはならぬ。  だから総理は例外措置を求めて今交渉しておると言われたのであって、だから、そういうことを考えてみると、じゃ、あなたも国会決議に従うんですか、自由化を進めるんですか、部分自由化を進めるんですか。あなたの市川書記長なんかも盛んにそういうことを言っておる。私から新生党に聞かぬのは、小沢代表が既に何回も部分自由化、部分自由化と言っておるから羽田外務大臣には聞かないんですよ。それは、あなたに聞かぬのは悪い気持ちで聞かぬのじゃないからな。石田さん、あなた、委員長兼任、それから国務大臣だから。
  231. 石田幸四郎

    ○石田国務大臣 先ほど江藤先生からもお話がございました、最近の新聞報道によりますいわゆる四%から八%のミニマムアクセスの問題、そして六年後の関税化の議論を再協議をしようということですね。しかし、私どもはやはりこの米の問題、いろんな議論があっていいと思っているんですけれども、しかし、現在どういう角度で政府交渉しているか、それは全く私どももまだ知らされていないわけでございますね。  それで、新聞紙上にあらわれたいろいろな議論があって、そういったことも可能性としてあり得るかもしれないというふうに思ったわけでございまして、そういった意味でその議論を党内でしてみた、しかし、それはいわゆる包括的な関税化反対の中の私どもは議論だというふうにあの案は受けとめておるわけでございまして、これは、江藤先生と私どもと若干受けとめ方については違いはあるかもしれませんけれども、しかし、いずれにしても、根本は日本農業を何とか守り、育て上げていきたい、そういう角度で議論をしているわけでございますから、やはりそれまでの間に、いわゆる関税化、包括的関税化は反対ということを貫きながら、同時並行で日本の農業を育てていかなければならない、そういう気持ちで今いるわけでございます。
  232. 江藤隆美

    ○江藤委員 わかったようなわからないような、内閣の一員でありながら何にもわかっていない、知らされていないということは、大変私は残念だと思う。これは内閣挙げての重大問題のはずです。  そこで、ちょっと農林大臣、きのうの答弁に関して、ミニマムアクセスが決まったならば、それは日本に輸出する機会を与えるものであって、義務ではないという意味の答弁をされたと記憶しておるのですが、そのとおりですか。
  233. 畑英次郎

    畑国務大臣 私は、これは仮定の話としてのミニマムアクセス、その前提を重ねて申し述べさせていただいて、お答えを申し上げさせていただきます。  そういうような意味合いの中でのミニマムアクセスは、義務的な要素といいますものに近いものはあるかもしれませんが、完全に義務化されてコンクリートされたものではない。逆に申し上げれば、一つの取引の要素もあります。べらぼうな値段でもって云々というようなこともございましょうし、あるいはまた国際的な需給関係等々が逼迫をしました場合にはその量に達しないこともあり得る。そういうようなもろもろの条件を考えました場合には、大方それに沿った、努力はしなければならないということは当然のことであろうかというふうに考えますが、一〇〇%義務だというような位置づけは、なかなか私どもとしては今認識はしがたいということでございます。
  234. 江藤隆美

    ○江藤委員 まあ、きのうの答弁を大分修正されたから、それでいいと思いますが、ミニマムアクセスで最低量の輸入量が決まったならば、それは国家貿易ですから民間の取引ではないのです。だから、国内が過剰に悩もうが、外国が高くなろうが、困った国が出てこようが、日本としては決まった四十万トンないし八十万トンというものは常に義務的に輸入しなけりゃならないもんだと考えるのが、私はこのウルグアイ・ラウンドの性格だと思うのですよ。そうでしょう。そうだというならそれでいいです。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕  そこで、これをやったら、八十万トンもやってみなさいよ、また十六万ヘクタールぐらいその生産調整をせにゃならぬようになる。今でさえ六十万ヘクタールもやっておるのに、またまたその生産調整をやらにゃいかぬ。国内の農家はだんだんだんだん希望を失って、そして農業から後退していく。片一方は、日本に余った国が一生懸命売っている。余った国が一生懸命余った国に売ろうとしておるわけですよ。  日本は食糧の不足した国ではないと私は思っておる。昔から銀座のこじきが糖尿病になったという話がよくあって、近ごろでは銀座のこじきどころかドブネズミまでも糖尿病になって、それに会うた猫がびっくりしてテーブルから落っこちて骨折して家畜病院に入ったなんというような話がよく聞かれる。それほど日本という国は食糧があり余った国ですよ。だから、これでもかいこれでもかいとやられたら、どこかへ捨てるかあるいは国内の生産調整するか以外にないじゃありませんか。だから、私どもが、たとえ四十万トンであろうと八十万トンであろうとも、そのような約束をしてはいかぬ。  ことしは御承知のように、農村がこうむった農産物の被害、一兆円ですよ、一兆円。農業共済四千九百億払うてやるからそれで農村は一息、そんな甘っちょろいもんじゃない。この四年間で山村がこうむった被害というのは、公共を入れるとこれも一兆円ですよ。だから山が荒れて川がはんらんするんですよ。そういう中で、米のいかなる自由化にしろ、それをやったならば、著しく皆の、とうとう米までか、もう世界最高の食糧輸入国でありながら、とうとう米までやってしまったということになったら、農業後継者というものに夢も希望もなくなるではありませんか。ですから私どもは強く反対をしてきたわけです。おわかりですか。あなたも熊本県知事をやられて、肥後米の産地ですから、よく農民の心はおわかりだと思うのです。  ただ、何も譲らぬから、譲らぬだったら先へ行かぬから、そういうことではない。私は、この前の予算委員会のときも言ったでしょう。アメリカとECが問題なんですから、アメリカとECの交渉は決着するのですか。決着してからその後ゆっくり眺めておったらいい、日本は対応を考えたらいい。日本には日本の立場があり、ECはECの立場がある、あるいはアメリカはアメリカの立場がある。だから、米の自由化をしなかったならばウルグアイ・ラウンドが全部だめになるという言い方は、私は間違いだと言ってきました。  それなら、外務大臣に何も質問しないじゃ悪いから、一つ聞きましょう。ウルグアイ・ラウンドは成功するめどがありますか。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
  235. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 先日のAPECの会議あるいはその中で各国とのいろいろな話し合いもいたしております。それからまた、各国の閣僚も今、日本に多くやってまいります。こういった皆様方といろいろと話しておりますけれども、各国ともやはりそれぞれ、農業問題だけではなくて、ほかの問題でも多くの困難な問題を抱えているわけですね。しかし、もしこれを成功させなかったときには、互いがののしり合うとかあるいは訴え合うというようなことになって、世界の経済は大混乱してしまうだろう。その意味で、やはり十二月十五日という一つの目標を定めて、これまでに解決しなければいけないという強い意思を皆さんが持っておるということから、これを乗り越えながら成功させていくという意思をそれぞれが持っているなということを感じておることを申し上げたいと思います。
  236. 江藤隆美

    ○江藤委員 例えば、この前も申し上げたように、ウルグアイ・ラウンドは十五の分野にわたる極めて広範な問題であって、農業は十五番目のそのうちの一部分である、米はまだその一部分である。だから、米がだめになったからほかの全部がだめになるという言い方は違うと私は言ってきた。  そこで、これは金融・証券の問題からサービスから、あるいはこの前からまた弁護士の問題が問題になっておったようですが、いろいろと各国さまざまの問題を抱えながらやりましょう、やりましょうと言うけれども、自分の国益だけは断固として守ろうと思って皆一生懸命やっておる。だから私は簡単にいかぬと思うのです。  そのうちの一つが俗に言うMTO、いわゆる世界貿易機構。ここに大使館から送ってきた資料がありますからちょっと読んでみます。これは日本の大使館からですよ。   世界貿易機構  アメリカなど一部の国が、一方的な報復措置をとる権利を確保し続け、ガットにそれを防ぐ力がないとすれば、ウルグアイ・ラウンドの包括合意に何の意味があるだろうか。フランスは報復措置の濫用に終止符をうち、各国にルールを守らせる実践的な権限をもった国際機関を多数の国の参加のもとに設立するよう求めている。アメリカが断固反対です。  どういうことを言っておるかといったら、幾らウルグアイ・ラウンドで各国が協議して合意してみたところで、アメリカが一方的に国内法で三〇一条を適用して、そして制裁をやるよというようなことをやっておったら、また、そういうものをとめる権限が、力がこのウルグアイ・ラウンド、ガットの場になかったならば、幾ら協議したって意味がないということを言っているわけです、フランスは。同時に、アメリカがあくまでもそれに固執するとするならば、我々EC諸国も今度はアメリカと同様に、よそから入ってくるものに対して三〇一条を適用して、高率の関税をぶっかけて相手を打ちのめすという方法をとらざるを得ないであろう、こう言っている。  このMTOは一体まとまりますか、外務大臣。
  237. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 まさに先ほど申し上げたのはそういう意味でございまして、もし本当にこれがまとまらないとするならば、今言われたのと同じような現象が起こってきて、互いがののしり合う、あるいは互いが提訴し合うということになってくるんだろうというふうに思います。  今御指摘がありましたように、まさにそういった問題に対してアメリカでも一つの大変な強い意見を持っているということ、それから我々としては、やっぱりMTOというものをきちんと成立させなければいけないという実は主張をいたしておるところであります。
  238. 江藤隆美

    ○江藤委員 私は、総理がアメリカへ行かれたときも、各閣僚が外国へ行かれたときも、MTOの成立について強い主張を述べ、これの実現のために総力を挙げて頑張っておるという話を寡聞にして聞いたことがないから、私は聞いておるのです。  このほかにもう一つ、アンチダンピングの問題があります。アメリカに日本のビデオはやられたですね。ダンピングだから高率関税をかけて輸入を規制する。だから、ダンケルはこれを五年後に見直そうと言うけれども、絶対反対と言ってそれができない。だから、それらの問題をウルグアイ・ラウンド、ガットの場所で解決しなければ、このウルグアイ・ラウンドというのは成功したことにはならない。  だから、みんな米、米、米、米と言っているけれども、米は日本の泣きどころだから米、米、米と言っておるだけの話です。ほかにももっともっと大きな問題がある。それらを考えて総理もしっかり頑張ってほしい。弱腰になっちゃだめですよ、あなた。  それから、時間がありませんから、もう一つ申し上げておきますが、最近いろんな報道があって、アメリカで売られておる米にいろんな殺虫剤やらあるいはまたシロアリの防除剤まで入っておるというそういう報道がある。農林大臣、御存じですね。たくさんの、これはアメリカ産米十四種類から、アメリカでは使用が禁止されておる殺虫剤が検出された。四種類の殺虫剤が計二十一種類の米から検出された。アメリカで買った六十種類のうち十四種類からシロアリ防除剤が発見された。これは、そういう米を輸入するということは、消費者にとっては重大なる事項であると私は思う。それらの輸入農産物に対する安全の確保については万全を果たさなければならぬと思うが、その点は大丈夫ですか。
  239. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま江藤先生御指摘のとおり、口に入れる、しかも主食という米であるわけでございますから、たまたまその報道につきましても、私もテレビ等々で拝見をいたしました。ただ、その節に、アメリカ政府側としてもそういうことはあり得ないというような、いわゆる我が方としてもすぐそういうことは認めるはずがないというような指摘のあったことも、先生も御承知ではないかというように考えるわけでございます。  なお、我が方がただいま緊急避難的に入れます外米につきましては、現地で検査をし、そしてまた、いわゆる商社が自分の商品として買い受けて我が国に持ってくる。その品物を買い受ける際に、商社が、いささかでもきずがあれば、我が国に運んだあげくにゼロになるわけでありますから、さような意味合いでのそこにまた一段とチェックが行われておる。  そしてまた、当然のことながら、国という段階にございましては、我が方の植物検疫所の問題、あるいは厚生省側におかれまして現地での検査、あるいは空輸による先行的なテスト、そしてまた受け入れ港における厳重な審査、こういうものを通して、あくまでも万が一にもそういうトラブルを起こすことのないような姿の中で事柄を進めておる、かように御理解をいただきたいと思います。
  240. 江藤隆美

    ○江藤委員 そうすると、農林大臣の話を聞くと、報道は間違いだったということになる。これからのことですから、そういうふうに向こうでも検査し、商社が検査しますというんじゃなくて、これは国家が輸入するものでありますから、国の責任において安全性をちゃんと消費者に対して確保するという責任を果たしてもらいたいと私は思う。  そこで、もう一つあります。米の陰に隠れて忘れられておるもの、あるいは米の犠牲になるのではないかと皆が心配しておるものに乳製品がある。ことしは牛乳が大過剰です。もう生産者は参っておる。ラクノウではない、これはクノウだと。バターはバターで何カ月分もストックがある。それから、でん粉もある。馬てん、甘てん、バレイショしかつくれない、カライモしかつくれないところがある。コンニャクもあるが、コンニャクは予算委員長のところの特産物であることは間違いない。  それと同様に、それしかつくれないということなんです。はだの人たちから見たら、コンニャクぐらい何だと思うかしらぬが、その地帯はコンニャクしかつくれないから一生懸命やっているのですよ。それを軽々に扱うことはできない。やっと麦も、北海道の諸君は努力をされてEC並みの生産コストに引き下げるのに成功した、これをまた関税化で自由化の方向に持っていく、こうなったらえらいこと。あるいは畑作もそうですよ。雑豆その他がある。これらについても、米と同様に重みのあるものでありますから、ゆめ忘れることなくしっかりとこれを守るための努力をしてもらいたい。決意を述べてください。
  241. 畑英次郎

    畑国務大臣 江藤先生の宮崎県と私の大分県、御案内のとおり極めて過疎問題の厳しいところでございまして、ただいま先生の御指摘のお気持ちといいますものは、そのまま私の気持ちでもあるわけでございます。  そういう中にございまして、従来から私自身は、米のいわゆる例外なきという言葉は使わずに、農産物というような表現をずっと一貫してさせていただいております。さような意味合いでは、でん粉、そしてまた乳製品、そういうものを念頭に置いて交渉をさせておる、かように御理解をいただきたいと思いますし、残された時間もその気持ちを体して努力を続けてまいりたい、かように考えております。
  242. 江藤隆美

    ○江藤委員 それからもう一つありますのは、並行して交渉が進められておるのに木材の関税があります。これは、九〇年六月に日米林産物交渉でもって五〇%の関税の引き下げをやりましょう、で、このことはガットの場所で正式に決定しましょうといって、これは既に決着済みのはずであります。ところが、最近になってこれをゼロにしろと言い出した。理由は何だ、政権がかわったからだ。細川内閣、随分と甘く見られたのですよ。  冗談じゃない。政権がかわろうがかわるまいが、国益にかかわることを軽々しくそのように私は取り扱ってもらいたくないと思う。だから、木材のこともしっかりと、こんなことをしたらいよいよもって日本の林業というのはだめになりますよ。いよいよだめになる。山に行って、見なさい、あのかわいそうな姿を。  それからもう一つは、牛肉の関税率の引き下げあるいはまた豚肉の差額関税制度の撤廃などさまざまな要求が出ておる。それらについても決して油断することなく—こっちは買う立場ですからね。買う方が頭下げて、売る方が威張っておるという国は、それは世界じゅうにない。お客様は神様だとだれか言ったが、あれは違う。お客様がみんな、あなた、奴隷みたいなんだ。もっと買え、もっと買えという、けしからぬという話でしょう。  そこで、時間がなくなりますから、総理が来たから、官房長官、じゃ後でちょっと。  来年度の予算編成で、財政審議会の、これは大蔵大臣のところやが、大蔵省で案をつくったんだよ。そして、この前答申が出て、都会の高速道路やら公園やら住宅やら下水道やら、そんなことを一生懸命やると。そして治山、海岸、森林整備、林道あるいは造林、もうそんなのはほどほどでいいから、今までどおりと。一体、相次ぐ災害を何と反省をしておるんだと私は思う。まして、今度は漁港とか沿岸漁場整備とか港湾とか農業生産基盤などというのはもう後回しで、だんだんだんだん予算は減らしていくんじゃと。そういうばかな国がありますか。  今度、あなたの大好きな政治改革で、わしらの宮崎県も定数六人が五人になって、今度は三人になる。宮崎県単位で比例代表を出すなら五人とれるが、全国で比例代表を出すというんだから、見たことも聞いたこともない、農山村漁村なんか関係のない人たちがうろうろ、国会議員の半分出てくるということですよ、これから。予算は減らしていくわ、政治力は奪っていくわ、これが一体細川内閣の姿勢ですか。基本的なことですから、ちょっとあなたの感想を聞きます。
  243. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 来年度予算のことに関連してのお尋ねでございますが、ことしは特に大変な冷害に見舞われて、生産農家あるいは林業の方々もそうですが、大変苦しい目に遭ってこられたわけでありますし、そうしたことは十分念頭に置いて、予算におきましてもその辺は十分考えてやるようにということを指示をしております。
  244. 江藤隆美

    ○江藤委員 それじゃ、あんな財政審議会の一覧表なんか出さなきゃいい、最初から。あれでどれほど地方の人は、いよいよもって細川さんの時代になったらもう地方は切り捨てじゃわなと。政治力も奪っていく、予算も奪っていく、だんだんだんだん都会中心になっていく。  そこで、最後に、時間が来ましたからあなたに提案をしたい。  私は、ウルグアイ・ラウンドの食糧問題の交渉をずっと眺めておって非常に残念なことがある。あり余った国が、食糧のあふれておる日本にもっと買え、もっと買えと言っておるわけですよ。しかもアメリカとECを合わせて一兆五千億もの輸出補助金をつけて、もっと買え、もっと買え、もっと買えと言っている。私は、一兆五千億も輸出補助金に出す金があったら、それを国際食糧基金に積んだらいいと思う。  日本も一兆円も海外援助をするんだったら、世界で一千万も二千万も子供たちが毎年毎年亡くなっている。世界じゅうで飢えたる者がたくさんおる。十億人が飢えておる。難民が山ほどおる。だったら日本も、これからの海外援助の中で、一兆円もあるんだったら、一千億でもそれ以上でも金を出して、そしてその他の国に呼びかけて世界食糧機構でもつくって、世界じゅうの人々の腹を満たすために我が国は大いに人道的援助をするというのが、私はこれからの日本の平和外交でなければならぬと思う。これが一つ。  それからもう一つ。来年の今ごろになってみなさい。もっと景気は悪い。夏になったら高校、大学を卒業する子供たちの就職口はありませんよ。年末になったらばたばたと倒産していくものがある。来年二月にはいよいよ参るというところもある。  そういう中で、今一番大事なのは何だったかといったら、私はやはりこの国の景気対策だと思う。それは企業を救うとか救わぬとかいうことじゃない。国民全体を不況の中に陥れてはいかぬ。だから、景気対策のために細川内閣は全力を挙げてやるべきだったと思う。それをあなたは一生懸命、アメリカに行くのに政治改革を急げ、政治改革政治改革が終わったら景気対策をやると言ってやってきた。時期を失ってしもうた。だから株価がどんどん下がっている。  だからこれから、こういう大災害もあったときですから、あなたが虚心坦懐に野党である自民党に対して政治休戦の申し入れをしなさったらよかったと思う。一カ月なら一カ月間、政治改革を先送りさしてくれ、その間にしっかり、政府も与野党も一緒になって、景気対策をやりたい、災害対策をやりたい、お願いしますと言ってあなたが誠心誠意その言葉を尽くされたら、自民党は私は受け入れていたと思いますよ。(発言する者あり)そういうばかなやつがおるからあかんのじゃ。
  245. 山口鶴男

    山口委員長 静粛に願います。
  246. 江藤隆美

    ○江藤委員 私はまともに話しているんですよ。それが政党政治、それがこれからの政治のあり方でなければいかぬ。何が今大事かということを、年内に政治改革が成立しなかったら責任をとらにゃいかぬから、何が何でも成立させようというがむしゃらな姿も、それは一つの考え方でありましょうが、国民の大多数の選択からいったら政治改革などというのはずっと下の方ですよ。そういうことをこれからもしっかり考えてやってもらいたいと思う。  官房長官、あなたは、総理大臣が本会議場で米の自由化はやりませんと言っておるさなかに社会党の代表を呼んで、部分自由化で、これでいきたいからひとつ勘弁してくれ、そんなことを言っちゃいかぬ。総理は知らぬというけれども、あなたは勝手にやったのか。そんな事実はないというなら、その証人を私はここに出しますよ。  もう時間が来たからきょうはこれで終わることにして、来年の予算委員会で、約束したように、あなたの侵略戦争発言による今後の日本の、国際間におけるどのような影響が起こって、国民のうちにどういう問題が起こったか。侵略戦争発言については、改めて来年の二月の予算委員会のこの場所でしっかりやりますからね。今度は三時間もらってな。あなたも勉強すると約束したのだから、しっかり勉強しておいてくださいよ。  これで終わります。
  247. 山口鶴男

    山口委員長 この際、白川勝彦君から関連質疑の申し出があります。中山君の持ち時間の範囲内でこれを許します。白川勝彦君。
  248. 白川勝彦

    白川委員 自由民主党の白川勝彦でございます。  細川さん、あなたは総理大臣の指名を受けた直後の記者会見で、これは正確に私も控えておいたのですが、政治改革を年内に必ず実現する、こう答えられ、それができなかったらどうするかという記者団の質問に、そのときは政治責任をとる、こうお答えになったわけでございますが、間違いございませんでしょうか。
  249. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 おっしゃるとおりでございます。
  250. 白川勝彦

    白川委員 私は、政治改革という問題をずっと長く考えてきた者として、政治改革を年内に実現する、随分乱暴なことというか、私から見たらちょっと誤解を生む言葉ではないかなと実は感じたのでございます。  これはもう言葉の問題でございまして、政治改革という中で一体どういうことをイメージしているかということによって違うと思うのですね。政治改革関連法案を通せば政治改革ができ上がったというふうに考えれば、その法案を通せば、年内に私はやる、やれなかったら責任とる、こういうことなんでしょうが、どうなんでしょうか、普通の日本人あるいは普通の国民政治改革という言葉はどういう意味合いで使われていると総理自身は考えておられますか。
  251. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは、特に政治と金にまつわる問題について、さまざまな改革の問題に国民は関心を寄せておられると思いますが、今申し上げた点について、一番政治不信にそのことがつながっている、そういうことだと私は受けとめております。しかし、そのことを改善をしていくために、選挙制度も含めた今度提案をしておりますような関連の法案がぜひとも必要であるということで、四つの法案を一括して出させていただいているわけでございまして、そのことによって、もとより政治改革がすべてそれで終わったということになるはずもございませんし、よくここでも論議されておりますように、国会の改革もございましょう、その他さまざまなやらなければならない課題があるだろうと思いますが、そうしたことに全力を尽くして、また引き続き取り組んでいかなければならないのだろうと思っております。
  252. 白川勝彦

    白川委員 半分は同意いたしますが、半分はどうもやはり私は違うんじゃないかと思うのです。  先ほどたまたま福田元総理にお会いしまして、政治改革特別委員会でも随分お話をしたのです、総理はたまたま御出席でなかったのですが、政治改革という言葉を初めて使ったのは、福田さん、あなたなんですよねと言ったら、よく君覚えているななんと言われて褒められたのですが、政治改革という言葉は、実は昔からあってもよさそうな言葉なんですが、実は政治改革という、こう熟語みたいに使われたのはそんなに古い歴史がないわけでございまして、私もいろいろなものを調べたのですが、福田さんが初めて使ったのかな。これは、もちろん福田さんは、政治倫理の確立、腐敗防止、もうこれに尽きるという意味で使ったわけでございますけれども、私は、国民政治改革というのはそういう意味で使っておるんじゃないだろうか。  それを裏づける一つのデータとして、各新聞社が政治改革についてのいろいろなアンケートをしておりますが、政治改革に関して何を望むかということで、いつもやはり五割、六割の丸がつけられるのが、政治腐敗をなくしてほしい、政治家と金の問題をきちんとしてほしい、こういうようなのが五割、六割でありまして、選挙制度の改革だというのは一〇%から二〇%の間の方にしかなっていないというのは、これは厳然たる事実でございます。普通の日本人は、政治改革という言葉で、政治腐敗を防止してもらいたい、あるいは政治倫理を確立するようなそういうことをやってもらいたい、こういうふうに私は理解していると思うわけでございますが、改めて、いや、国会改革もある、何とかもあるというのじゃなくて、政治改革というのの、そもそも福田元総理が使われたのは政治倫理の確立、腐敗防止という意味でございましたが、現在も、国民政治改革という言葉の中で主としてイメージしているのはそういうことであると私は承知をしているわけでございますが、改めてお聞きいたします。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
  253. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 先ほど申し上げたとおりだと思いますが、特にその中でも政治腐敗の防止の問題に国民は強い関心を持っておられるし、また、福田元総理も三木元総理も、皆さんそうした点に大変力を入れて取り組んでこられたというふうに私は思っております。
  254. 白川勝彦

    白川委員 総理がおっしゃいましたとおり、政治改革という中で、やはりいろいろな腐敗事件が出てくるのは制度上問題がある、選挙制度にもその原因がある、だからそこを直さなきゃならない、この議論を私は否定するものでも何でもございません。よりよい制度をつくることに私は全く反対するものではないのですが、同時に、どんないい制度をつくっても、逆にそれに違反する者が出ないということはこれまたあり得ないわけでございまして、政治倫理の確立という問題は、ある一つの規範に対して違反をした事件が起きた、政治家がいたという場合に、個別具体的にまずそういう問題と真剣に闘わずして政治倫理が確立されるということは絶対に私はあり得ない、このように思っているわけでございますが、総理はこの点、どのようにお考えでしょうか。
  255. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 もちろん、政治家みずからが襟を正すということが何よりも基本であるということは、おっしゃるとおりでございます。それがなければ、幾ら制度をつくりましても国民から信頼される政治環境というものはできないということについては、私も全く同感でございます。
  256. 白川勝彦

    白川委員 襟を正せ、個人のモラルの問題であるという言葉はよく言い古された問題でございます。  私が今お尋ねしたのは、そういうことじゃなくて、現実にやはりやってはならないことをやったということが目の前にある、これとの闘いなくして政治倫理の確立ということはあり得ないのじゃないでしょうか。要するに、政治倫理の確立というのはやはり闘いである。政治家、有権者、政党、すべての人が具体的な事件を前にして、その問題に対して適切に、真剣にやはり問題を考え、つらいけれどもあえて馬謖を切るという場合もあるでしょう。そういうことを積み重ねるという風潮なくして、あるいは努力なくして、政治倫理は幾ら制度を変えても私は確立されないのじゃないか、こういう御質問をしたわけでございまして、そんな難しいことを聞いているわけじゃないのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  257. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは、国会にも政治倫理審査会のようなものもございますし、さまざまな国会審議の場においてそのようなこともただしていくことが可能なわけでもございますし、それだけでということではなくて、やはり私は制度的な面も、今度の改正法案の中におきましても、個人に対する政治献金の禁止でありますとか、あるいはまた罰則の強化でありますとか、いろいろなことが盛り込まれておりますが、そうしたものとあわせて今のような機能も十分に働いていくということが、政治の浄化のために大事なことだろうというふうに考えます。
  258. 白川勝彦

    白川委員 何か私が言質をとって後で困らせるということでも考えていませんか。そんなに難しいことをお聞きしているつもりはないのですが、随分こう持って回ったというか、いつもの総理らしからぬ、歯切れの悪い言葉だったのですが、まあ端的に聞きましょう。  今回の、七十年ぶりの選挙法の改正というようなものを柱にした大改革だと思うわけでございます。こういうことを、もうつらいとか苦しいとか言っている場合じゃない、もうやらざるを得ないということの原因は、やはりこの一年間ぐらいの間に、過去にもありましたが、それを増幅させる事件が起きた、そして国民政治不信が非常に高まってきたという中で、こういう我々の今政治改革法案をめぐるいろいろなアクションがあったと思うわけでございます。  じゃ、この一年前後の国会、日本の政治の中の最大の問題は何かと言われるならば、私はやはり端的に言って佐川急便事件と言わざるを得ないんだろうと思うわけでございます。これは随分大きな話だと言われましたが、結果は余り、大山鳴動してネズミ二匹というんでしょうかね、証拠的にはネズミ二匹というような形になりましたけれども、しかし、私は巷間言われていたようなことは単なるうわさではないという気はいたします。やはり俗に言われるように、少なくとも数十億の単位ではない、数百億の単位のお金が政界に、それがわいろになるとかならぬとか、そういうことじゃなくて、流入していたというのは多分うそじゃないんじゃないのかなと私は思います。  と申しますのは、佐川清さんというのは私の選挙区出身でございまして、よくあの人の気性とかビヘービアを身近で見ておるものですからそんな感じがするわけでございます。また、私も国会の中にいてそのような雰囲気を身近で感ずることがございまして、そんなに遠からずといえども近からずというか、近からずといえども遠からずのことを言っていたんじゃないかなという気がするんです。  さてそこで、この佐川急便事件で具体的に刑事事件になったものは二つです。残念なことなんですが、新潟県の県知事選に絡んで一億円のやみ献金をしたということが第一点でございます。それから、金丸代議士に対して五億円のやみ献金ということでございます。まあ、五億円のやみ献金があって、政治資金規正法違反で二十万の罰金というのが、あるいは上申書事件というのが随分国民の感情を刺激し、政治不信を増大したことは事実でございますが、あれも大きかったと思うんですが、やはりとどめを刺したのが本年三月に発覚をいたしました金丸元代議士の脱税事件だったんじゃないかな、こう思います。私はワリシンとかワリコーって知りませんが、金の延べ棒まで出てきたということは、私たちですら全くあいた口がふさがらないということでございました。要するに、これはどんな制度をつくろうが、やみ献金の問題でございまして、政治資金規正法をどういうふうに変えようが、お金が欲しい、もっと欲しいという人はやみ献金しちゃうわけでございます。  さて、この問題に関して、ちょっとつらいんですが、やはり私はこのことだけは言っておかなきゃならぬと思うわけでございます。我が党にとってもつらいし、閣僚席にいられる方の中でもつらい方がいると思いますけれども、金丸元代議士は自民党の副総裁を半年前までやっていた人なんでございます。ですから、自民党に害が及ぶのは仕方がないことでございます。そして、自民党全体が大変苦しい立場になるのはもちろんでございますが、やはり世間はよく見ておりまして、自民党には派閥というものがある、経世会という派閥に属している同志の諸君にはもっと強い非難がいくのは当然のことだろう、こう思うわけでございます。  ただ、五億円の献金問題が出た後、この経世会が二つに割れました。そして、改革フォーラム21というのが、羽田さんを中心にと言ったらいいんでしょうか、小沢さんを中心にと言ったらいいんでしょうか、まあいずれにしましてもできて、ハイカラな名前で改革フォーラム21、こうなったわけでございますが、こればかりは、ハイカラな名前をつけたくらいで看過できる、そんな甘い問題じゃないわけでございます。そしてまた、自民党の生き方というのは、悪いことをやったときはやはりきちんと責任をとるというのが、よくても悪くても自民党の生きざまだった、こう思うわけでございますが、小沢代議士こそ金丸元代議士に最も信頼され、かつ側近中の側近として活躍したわけでございますから、小沢さんを中心とするグループに強い非難がいくのは避けて通ることができないだろうと思うわけでございます。このころから、今まであったのがまたもう一回急に燃え上がってきたのは事実でございます。  私は先ほど、政治改革という言葉は本来的なら腐敗防止という意味なんだが、どうも総理がちょっとそこでなかなか素直に私にイエスと言わなかったように、制度改革をしなきゃ腐敗防止にならない、そしてそれが高じて、選挙制度の改革、制度改革に熱心でない者は政治倫理の確立に不熱心なんだ、そのかわり、みずからの行いは非常に腐敗に満ちたものでも、選挙制度の改革を言えば逆に政治倫理に熱心である、政治改革に熱心であるという、こういうまやかしの構図が出てきたのは、厳然たる政治の争いの中で事実だと思うわけでございます。これはやはり私はこの場で言わざるを得ない。その改革フォーラム21の同志たちがかねてから用意していた避難小屋、政治改革という小屋に逃げ込み、それだけでは足らずに自民党から離党し、新生党を結成したのであります。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕  私も苦しい選挙をやりました。しかし、あえて私は自民党から逃れようとはいたしませんでしたが、自民党の信用をがた落ちさせ、自民党を腐敗させた大きな原因のある諸君が逆に新生党に出ていき、その隠れみのに政治改革というのを使ったわけでございます。そして、幸か不幸かわかりませんが、総理、巷間伝えられるとおり、あるいは巷間だけでもなく、数からいっても、この新生党があなたの連立与党の中のバックボーンであることは間違いない。  私は、政治改革という言葉は、本当に文字どおり政治倫理の確立に熱心な政治家が命がけで使ってきた言葉だけれども、ある日どこかから、具体的に言いましょうか、昭和六十三年、リクルート事件の真っただ中に、竹下内閣のとき、小沢さんはこのとき官房副長官をやっておりましたが、政治改革という言葉の中に選挙制度と政治資金の問題があるということを言って、この今のような風潮をつくり上げていったわけでございます。  政治改革という言葉は本当にいい言葉だと思いますが、同時に、薄汚れた、どす黒い、血にまみれた歴史を持っているという言葉であることも事実でございまして、この点、聡明な総理でございますから気づいておられると思いますが、私の意見についての反論があれば、意見が同じなら結構なんですが、反論があればお聞かせを願いたいと思います。
  259. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 特に私はコメントをするのはどうかと思いますが、政治腐敗という問題についてのとらえ方、これがやはり政治改革の一番基本的なところである。  それは先ほど申し上げましたように、選挙制度の改革も、その他今度の法案の中に盛り込まれておりますようなさまざまな改革の点につきましても、どちらが光とか役とかいうことではなくて、車の前輪、後輪といったような関係であろうというふうに私は位置づけておりますが、その中でも、特に政治腐敗の問題というものは、先ほど来るるお話がございますように、一番核心の問題であるということについては、私も同感でございます。
  260. 白川勝彦

    白川委員 そんな難しいことを聞いてないんですが、そこを認めてもらうのが何か最近意地悪をしているみたいに思われるのにそもそも問題があるのでございます。さて、ここで、今回の政治改革の火をつけたのは佐川問題だと思うわけでございますが、その佐川問題で、金丸さんの五億円問題が罰金二十万円でございました。これは、当時、法の不備だから仕方なかったと思うのですが、そこに刑事訴追が入ったために、ゼネコン問題というのがついでにぼろぼろと出てくることになりました。  今、これから私は、ゼネコン問題を実は中心に話をしようと思ったのですが、このゼネコン問題は何を発端にこんなに大きな事件になってきたか、証拠が挙がってきたかというと、実は金丸さんの五億円の献金問題で捜査に入ったところから今日に来ているという、これはもうだれも知っている事実でございますので、どうかひとつゼネコン問題を触れるときに、もう選挙を機に、佐川問題というのはあれは遠い昔のお話なんだ、これからはゼネコン問題だけをやりましょうという考え方はやはり間違っている。裏金の世界という意味では、このゼネコン問題も佐川問題も、基本的には同種の問題である、こういうふうにまず御理解をいただきたいと思うわけでございます。大事なことですから、一応覚えておいてください。  さて、金丸元代議士に対する所得税法違反被告事件の冒頭陳述にこういうのがございます。ちょっと丁寧に読みますので聞いていてもらいたいと思うのです。  被告人金丸には、同人が内閣及び自由民主党の要職を歴任して強大な政治的影響力を有するに至り、山梨県はもとより各地における公共事業の実施に尽力するなどしていたことから、公共事業の受注や業界全体の利益確保等を期待する大手建設業者や地元山梨県内の各種業者等から、金丸個人に対して、毎年、盆暮れを中心に多額の政治活動に関する寄附等が行われるようになり、その金額は、昭和六十二年から平成元年にかけて、毎年十億円以上に達していた。こうした金丸信個人に対する献金のほとんどは、領収書を発行しないいわゆる裏の献金として行われていた。まあ十億というお金もさることながら、そのほとんどが大手建設業者あるいは山梨県の建設業者である、こう言っているわけでございます。  これは週刊誌が書いていることじゃございません。検察官が冒頭陳述で述べていることであって、私も法曹の端くれでございますので、これはいずれ具体的な証拠で立証していく、こういうテーマでございます。まあここまで全貌が明らかになっているわけでございます。  さて、金丸信被告に対してやみ献金したと同じょうに、実は金丸信代議士だけではなくてほかの政治家にも裏献金がなされた、それが発覚をしたというのが私は今回の一連の経過だと思うわけでございます。  そこでお聞きしたいと思うわけでございますが、こういうゼネコン問題あるいは裏献金問題というのが既に昨年の三月段階で出ていたにもかかわらず、この前の、解散される前の国会政治改革をやる国会だと言っています。解散されて、今度新しくできたこの国会政治改革国会だ、こう言われているわけでございますが、このゼネコン問題が正面から取り上げられて、じっくりと議論したということを総理は御記憶にございますか。きょうも散発的には質問していたと思いますよ。政治改革特別委員会でも散発的には質問がありましたが、きょうはこれを集中的にいろいろな立場から考えようというのがあったかどうか、あなたは御記憶がございますか。
  261. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 本委員会でも何回もそのお尋ねは出ておりますが、関係の委員会でも恐らくその問題についてかなり取り上げられているのであろう、恐らく集中的に取り上げられているであろうというふうに思っております。
  262. 白川勝彦

    白川委員 私は政治改革特別委員会委員でございまして、ずっとこの問題がいつどういう形で集中審議されるんだろうかなと、そして、そのときはぜひ自分も長年考えていたことなので質問させていただきたい、こう思っておりましたが、集中審議という場はございませんでした。自民党は要求いたしましたが、与党側からは断られました。また、この予算委員会審議でも、このゼネコン問題は目の前の、非常に政治倫理の確立という問題から見て看過できない問題である。ですから、二日ぐらい集中審議をやろうじゃないか、こういう意見を自民党側から強く申し入れたはずでございますが、これもけられました。  私は、例えて言うなら、こういうことだと思うのですよ。法隆寺という国宝がある。日本一古い木造の建物でございます。これは燃やしちゃいけない。今だってきっと消火設備があるでしょう。しかし、どうもこの消火設備には問題がある。火事が起きても必ずしも作動しないかもわからぬ。ですから、どんな不祥事が起きてもこの法隆寺を火災から防ぐために、ひとつ完璧な火災防止装置をつくろうじゃないかというこういう議論をしている間にぼやが起きた。しかし、完璧な防火システムをつくることを議論していて、目の前で起きているぼやに気がつかずに、結果としては燃やしてしまう。  私は、それに類する問題だよと、あるいはそういう問題意識を持たない人は政治改革を語る資格はないと、こう考えているわけでございますが、もう一回、このゼネコン問題に対する、あっちこっちで触れられたようだということではなくて、この問題をセットで解決するぐらいのことなくして、政治改革をやりましたなどと国民の前に言えないというようなお気持ちがあるのかどうか、重ねて総理にお尋ね申し上げます。
  263. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは、政治改革の特別委員会の中でも、大いにひとつ御論議をいただければ結構だと思っております。  集中審議がなかったということにつきましては、それは国会の方で日程をお決めになることでございますから、私としては何とも申し上げられませんが、できる限りこの問題について、政府としては、建設行政は建設行政として、入札なり契約制度の問題なり、そうした問題で対応するように既に取り組んでいるところでございますし、また、司法当局は司法当局で、あるいは税務当局は税務当局で、それぞれに取り組んでいることはもう御承知のとおりでございます。
  264. 白川勝彦

    白川委員 昭和五十一年にはロッキード事件が起きました。このときはロッキード問題に関する調査特別委員会が設置されました。続いてダグラス・グラマン事件が起きたとき、航空機輸入に関する調査特別委員会が設置されました。また、昭和六十二年、リクルート事件が起きたときは、リクルート問題に関する調査特別委員会国会に設置されました。しかし、なぜか佐川急便事件のときは、国会にこれは設置されませんでした。  しかし、これらはみんな大きな疑獄事件でありますが、ゼネコンに対する疑惑というのはこれらとはちょっと比較にできないたぐいの、私は文字どおり大きな疑惑なんだろうと思うわけでございます。  国民の血税三十七兆円を、これは国が直接発注する、地方自治体に分けて発注する。しかし、結局は全部税金なわけでございますが、この税金の使われ方が本当に正しく行われているのだろうか、ここに疑惑がないのだろうか、透明性があるのだろうかということを、これは一部の例外を除きますと、大勢の人が、何かあるのではないかなと、こう思ってきたと思うわけでございます。それに関して、しかし証拠はありませんでした。あっても小さな、いわゆる代表的な事件ではありませんでしたが、こういう疑いを国民は持っておりました。  しかし、その疑いをまさに確信させる事件が、今回まさに文字どおり証拠上明らかにされつつある仙台市の汚職事件であり、茨城、宮城め汚職ではないのでしょうか。  私は、こういうふうに一口にゼネコン汚職なんて言っておりますけれども、そんな甘いものじゃないと思っているわけでございますが、総理が、いや、これは建設省も頑張っている。あしたはゆっくり五十嵐建設大臣に聞きますので、努力しているのはわかります。しかし、建設省もかなりこれには責任が重いぞと。泥棒とは言いませんが、泥棒に縄をなわせるのは、これでは完全には期待できないというのが私は国民の感じだと思いますよ。  また、別途特別委員会をつくったと。しかし、こういう文字どおり三十七兆円の国税をどう使うかという問題を議論しない政治家は、一体何のための国会議員ですか、政治家ですか。そして、これは政治家が命がけで方向性を出さない限り、きちんとした問題なんか絶対出ないと思います。  しつこいようですが、総理、このゼネコン問題について、きちんとした議論をぜひ、政府としても全力を出して努力をするから、国会でも議論してもらいたい、そういう認識になれないのでしょうか、どうなんでしょうか。
  265. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 国会としてこの問題について突っ込んだ御論議をいただくということに、もとより私は異論はございません。政府としての立場を先ほども申し上げたわけでありまして、政府としては、これは司法当局が取り上げられるべきものについては厳正に対処しているというふうに私は思っておりますし、先ほどどなたかの御質問にお答えいたしましたように、そういうふうな形で取り上げられるものがあればびしびしやってもらいたい、こう申しているわけでございますから、政府としてはやるだけのことはやっている、こういうふうに御認識をいただきたいと思います。
  266. 白川勝彦

    白川委員 じゃ、本当はきょうやる予定だったのですが、いろいろな都合で、あすまた二時間、時間をいただいておりますので、ゼネコンそのものについての本格的な問題提起は、あす二時間かけて基本的な問題を私から提起をさせていただきます。ぜひ総理も御出席いただきたいと思うのです。  こういうゼネコン汚職でも、国民はなぜこれを国会が取り上げないのだろうかと言っている折も折、言いましょうか、本年十一月中旬ごろ、差出人が新生党本部とあった案内状が建設関係の各団体に配られておるのですよね。そして、追い打ちで、必ず会長か社長が出席してください、代理は御遠慮ください、こういうふうに、また催促かたがたそういうようなものが入ったんだそうでございます。案内されたのは、日本建設業団体連合会、全国中小建設業協会、日本土木工業協会、土工協ですね、日本道路建設業協会等十二団体、日本の建設業の関係者をほとんど網羅している団体でございます。実際にこの会合が持たれたのは十一月十七日午前八時、赤坂プリンスホテルで、新生党からは渡部恒三同党代表幹事代行並びに船田元同党組織担当常任幹事が出席しております。  どうなんでしょうか。細川内閣のいろんなものがある中の、政官財と言ったのですが、最近政官業と言うようでございます。政官業の癒着を断ち切るというのは細川内閣の非常に大きな目玉の一つだと私は承知をしているわけでございますが、そういうことを内閣全体で、連立与党全体でやろうじゃないか、こういうことを合意までしている中で、余り適切な会だとは思わないわけでございます。  もちろん党が違うわけだから、知らぬといえば知らないのですが、やはり連立与党を束ねているのは総理なんです。細川さんなんです。細川さんがいなかったら、この連立与党はもたないのですよ。だからあなたがチャンピオンなんですよ。あなたからこういうことは慎んでくださいよということを言えば、これを聞かない党はないだろうと私は思うのですが、いかがなものでしょうか。
  267. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 政官業の癒着の構造というものを断ち切っていく、極力断ち切っていく、そのことが国民政治に対する信頼を取り戻すために極めて重要な点であるということで、そのことは連立与党の中におきましても当然各党それぞれに、また内閣の中でもお互いにそのことについては十分意を用いているつもりでございます。  私は、先ほどおっしゃった会合がどういう趣旨で持たれたのか知りません。予算の陳情だったのか、何の会合がわかりません。その趣旨を存じませんから私も何ともコメントのしようがございませんが、いずれにしても、政官業の今まで長い間培われてきたそのような土壌というものがここで改善をされていくようにできる限りの手だてを講じていかなければなるまい。これはもう全く恐らく委員も御同感であろうと思います。
  268. 白川勝彦

    白川委員 これだけでないんですが、実は、十一月三十日というと、きのうなんでしょうかね、今度は運輸関係業者との懇談会をおやりしたいというので同種の案内状が届いたそうであります。そして十二月三日には、これはなかなかきめ細かいんですね、港湾建設業団体と新生党との懇談会、これにまたぜひ同じようにおいでくださいという。陳情を受けるんなら別なんですよ、いろいろ聞いてもらいたいとか。そうじゃなくて、お集まりいただきたいというんですから、これは陳情じゃないんですよ。ヒアリングといえばヒアリングなんですが、必ず首脳が出席せよ、こういう裏打ちが電話で後でかかってくるそうでございます。  さてそこで、今は外務大臣として専念されているわけでございますが、ミスター政治改革といえばこの羽田孜しかいないというぐらいでございます。新生党の名誉のためにもこういうことは余りやらぬ方がいい、やるならばヒアリングとして連立与党政策幹事会なんかでみんなで呼ぶべきだ、私はこう思うわけでございますが、羽田副総理、どのように考えますか。特に十二月三日のことは今後あることだ。もう過去は問いません。十二月三日のことはこれからあることでございますので、党首としてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  269. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 今お話のありました建設業、そして今、港湾とあれはこれからだということでありますけれども、これはどんなあれなのか私も直ちに本部の方に問い合わせしてみたいと思いますし、今お話のあったことはそのときに申し伝えたいと思います。  ただ……(「案内状、既に出ています」と呼ぶ者あり)いえいえ、私はそれは見せられていませんから、見ていませんけれども、しかし、いずれにしましても、それはすぐ調べまして、どういう状況なのかきちんとあれしたいと思うんです。  それからただ一つ、政治改革は、これは時間があれでしょうからもうくどくど申し上げませんけれども、これは単なる隠れみのとかなんとかということじゃない、まさにもう五年間これやってきたことであって、私たちみたいにこれ、まさにいろんなことでど真ん中にいた人間は、いろいろとこうやって言われてもいたし方ないと思いますけれども、新生党がというのは、これはちょっと、ひとつお許しをいただきたいと思うんです。
  270. 白川勝彦

    白川委員 羽田副総理は五年間やってきたと言いますが、私は十八年間、我が新潟県で、正直申しまして、自民党にとっていろんな意味での問題があったグループと戦ってやってきたわけでございまして、五年間だとかなんとかで余り大きなことを言わないでいていただきたい、これだけ私は申し述べておきます。  さて、本論に入ります。本論というか、細川さんの問題に入ります。  というのは、先ほど触れたように、ゼネコン問題をあしたばんばんやらしてもらいますが、佐川は終わってないんです。ゼネコン問題は佐川の延長の中から出てきたんでございまして、細川さんは佐川清さんともいろんな関係がある、こう言われておりますので、このことだけ、あと残りの時間の間でお聞きをさしていただきます。  政治改革特別委員会で、我が党の伊吹文明代議士が、総理に、ずっととは言わないが、保存義務のある平成二年、三年、四年のあなたの関係する政治団体の寄附者を明らかにした方がいいんではないか、その帳簿その他を出されてはどうですか、こう言われたことは御記憶ございますね。そして、あなたは出されましたね。ちょっと……。
  271. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 理事会の方に出させていただきました。
  272. 白川勝彦

    白川委員 私もあのときに同席していたのでわかるんですが、伊吹代議士が言ったのは、佐川グループから幾らもらったとか、どこの会社なのかということを明らかにせよと言ったわけではないんです、率直に申しまして。できれば全部の、少なくとも平成二、三、四の収支報告の帳簿は出された方がいいですよ、とりわけ佐川については、もしあったら具体的に、小口で分散しているようだから、どこの会社から幾らということを具体名を挙げてお答えを願いたいということで、細川総理の方からは、どこの会社とは言えないけれども、確かにここにあるとおり、一覧表をいただいております。  この問題は、伊吹代議士にも直接確かめたんですが、要するにこういうことなんですよ。  知事というのは非常に広い権限があるわけですね。下手をするとそこに並んでおられる各省の大臣よりも委任事務が多いものですから、物すごい権限があるのです。ですから、あらゆることに認許可権があるわけでございまして、この認許可権に絡むことに関してお金をいただきますと、これは政治資金の届け出をしても、贈収賄の実はおそれも事案によっては出てくるわけでございます。これは政治資金の報告をしたからといって贈収賄の免除がされるということはございませんから、もちろん表に出さなければこれは逆に非常にわいろ性が高いというふうにされるのですが、七十牛ぶりの選挙制度を中心とした改革をやる、その政府提案の最高責任者である、細川さんは。その細川さんが、二度あることは三度あると申しますが、茨城だ、宮城だ、そして、法案が通って立派な制度はできたけれども、最高責任者の細川さんに関して知事時代のそんなようなスキャンダルが出てきたら、これは世紀のブラックユーモアになりますよ。  だから、逆に、こういうことがないということをあらかじめ明らかにする意味でも、私は、知事時代、職務権限があったわけでございますが、そういうものはもらっておりません、もし疑いがあるならどうぞ調べてくださいという意味で、支出まではあえて言う必要がないけれども、収入の部は全部明らかにされた方がいいのではないですかと。そして、これは細川さん自身が決断する以外にできないのだということを伊吹代議士は随分言っていたと思うわけでございます。  この趣旨はそういうふうに受け取ったのでしょうか、それとも、佐川関係だけ出せばいい、こういうふうに理解されていたのでしょうか。
  273. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 あのときの伊吹さんのお話では、佐川関係だけというふうに私は受けとめました。
  274. 白川勝彦

    白川委員 私は、もう高潔な細川さんのことでございますから、万が一にも贈収賄だとか贈収賄のうわさがあるなんていうところからお金をもらっていないと思うので、この世紀の大改革の最高責任者でございます、将来のことを含めてこの最高責任者である、私は全閣僚とは申しません、最高責任者である細川総理大臣は、もうなくしてしまったものまで出せとは言いませんが、保存義務のある平成二、三、四の寄附者の全名簿を明らかにすることが最も適切だと思うわけでございますが、私からも重ねてお願い申し上げますが、いかがでしょうか。
  275. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは検討をさせていただきますが、申すまでもなく相手側のあることでございますから、その辺のことも含めまして検討をさせていただきます。
  276. 白川勝彦

    白川委員 付加しますが、期せずしてなんでしょうね、総理になられた。その総理としての一世一代の仕事である。もともと御迷惑をかける筋のものではないと思いますが、しかし、困った人も中にいるかもしれないのですが、あなたのやはり支持者が寄附していると思うのでございます。そういうことだからひとつ、多少迷惑がかかるかもわからぬが、まさに世紀の大事業をなし遂げる上で御協力いただきたい、こう言えば、その人たちが困りますなどとは言わないと思うわけでございますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。  さて、もう一つ私はお聞きいたします。  あなたは、昭和五十七年九月、佐川さんもしくは佐川さんグループから一億円を借り受けていますよね。
  277. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 ちょっと時日は覚えておりません、日にちは覚えておりません。そのような事実はございます。
  278. 白川勝彦

    白川委員 さっき言ったとおり、佐川問題どこのゼネコン問題は切れておりません。ですから、難しいことではございませんので、ちょっとひとつお答えをいただきたいと思います。もちろん、忘れてしまったことは忘れてしまったことで結構でございます。  債務者は細川護煕個人で借りたと思うのですが、貸した方、債権者はどなたなのでしょうか。
  279. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 ちょっと私もそこまでは覚えておりません。それは後ほど資料でもし出させていただいてよいということであれば、そうさせていただきます。
  280. 白川勝彦

    白川委員 淡々と聞かせていただきます。  金利とか返済方法とか、そんなようなことについては定めがあったのでしょうか。
  281. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 当時の金利、幾らだったか覚えておりませんが、その金利で拝借をいたしました。
  282. 白川勝彦

    白川委員 額が大きい貸借でございますので契約書とかそういうものは作成したと思うのですが、この点はどうなのでしょうか。
  283. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 さてどうだったか、ちょっと私も覚えておりません。それも確認をいたします。
  284. 白川勝彦

    白川委員 報道されるところによると、この資金を借り入れたものの使途は、熊本の住宅の補修とそれから港区元麻布にマンションを購入するための費用である、このように報道で報じられておりますが、大体こんなところで間違いないのでしょうか。
  285. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは何の報道がわかりませんが、それがすべてであったかどうかはちょっと定かではございませんが、多分そんなところだったろうと思います。
  286. 白川勝彦

    白川委員 当時はもう知事、参議院議員であり、知事選に転身をされようとし、そしてすぐ知事になった前後のことでございますので、あなたは政治家であるという側面と個人としての両面を持っているわけでございますが、基本的にはこの借入金は個人として行った行為であって、政治資金が足らないから借りたとかそういうことじゃない、こういうふうに御理解してよろしいのでしょうか。
  287. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 そういうことでございます。
  288. 白川勝彦

    白川委員 総理は非常に政治倫理を大切にする方でございますから、いやしくも当時政治家として政治資金は別途あったと思うわけでございますが、その政治資金をこちらの方の返済に流用する、こんなことはない、このように承っていてよろしゅうございますか。
  289. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 おっしゃるとおりでございます。
  290. 白川勝彦

    白川委員 ここから実は私、質問を二つに分けてありまして、契約書があった場合はこういう質問をしようない場合はどういう質問をしようとしたのですが、さすがお殿様というのは大したものだなと思いました。一億を借りるという行為がそう大ごとでないので、そのとき借用書を入れたかどうかも覚えてないというようなことで、これはしかし、記憶がそうだということであればいたし方ございません。  ただ、いずれにいたしましても、そんなに難しいことじゃないので、契約書をつくったのかつくらなかったのか、これはひとつ記憶をたどるなり、だれか一緒に代理人がいたりしたとしたならば、そういう人たちと当時のことを思い出していただいて、そう遠くないうちにお答えをいただきたい、こう思うわけでございます。  さて、じゃ借り入れについてはこれでいいことにしましょう。いいことというかわからないということですから、ちょっと調べていただきまして……。  あなたは基本的にはこれを平成三年の一月ごろまでには全額返済した、このようにおっしゃっております。昭和五十七年にお借りをして、あなたが知事になったのが昭和五十八年の二月でございますので、ほとんどこの借入の間は現職の知事でございました。ですから、現職の知事がどなたから借りたのかわかりませんが、借りた人のところにわざわざ現金を、どのくらいずつになるのでしょうかね、どういう返し方をしたのかわかりませんが、まさか現金を持って返済に訪れるということは余り想像もしたくないですし、あなたの華麗なるパフォーマンスから見てちょっと信じられないことなのでございますが、大体返済というのはどういう方法でやったのでしょうか。これは一回じゃないので、これはたびたびあるので、これは忘れたとは言えないと思うのですね。例えば、銀行振り込みをしたとか、いや、私はキャッシュで持っていったんだとか、いろいろあろうかと思うのですが、この一億円並びに、銀行金利とあなたはおっしゃっていますが、これをどんな雰囲気で返済したのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  291. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 契約書は、もちろんそれだけの額のものでございますから、さっきそのことの中身については、だれが保証人であったかとかそういうことはちょっと覚えておりませんと申し上げましたが、契約書は、それは当然契約書を交わして貸借をした、これはもう間違いないことであろうと思います。  それで、今の中身ですが、どういう方法で返したか、こういうお話でございましたが、そういうお尋ねがあるならば前もって用意をしてくるのでしたが、私も、恐らくそれは銀行振り込みではなくて、現金でそのままお返しを何回かに分けてしていると思います。
  292. 白川勝彦

    白川委員 契約書がさっきないというふうにお聞きしたものですから、失礼しました。あるんなら、質問で、ある方からお聞きできるのであります。ですから、契約書があればありがたいのですが、その契約書は今でもお持ちでしょうか。それとももう破棄しちゃったのでしょうか。
  293. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 ちょっとそれは確認してみないと何ともわかりません。
  294. 白川勝彦

    白川委員 ありましたらぜひ当委員会に御提出をいただきたいな、こう思います。  さて、振り込みとかというんじゃなくて、現金の場合が多かったというのが、現金だということでよろしゅうございますか。振り込みじゃなくて、むしろ現金を持っていったと。(細川内閣総理大臣「多分そうだと思います」と呼ぶ)はい、そうすると証拠はないわけですな。例えば、証拠というか、振り込んだ場合なら振り込みの用紙がひょっとしたら残っているかもわからぬけれども、現金で運んだ場合は余り残ってないですわね。  さてそこで、きょうは私あんまり詰問するつもりはないのです。私は弁護士でございますので、素直にまず言ってもらうことが大切なんです。素直に言ってもらうことが大事であります。  そしてこの次に言いたいのは、あえて私は、難しいことじゃないから、記憶に基づいてお答えいただきたいと言ったのは、あと、述べたことは、きょうはもうテレビも映っていますので、きょうは大勢の人が見ていると思うのですよ。そこが意味があるのです。だからこんなことを質問させてもらったんです。  まあ何人ぐらい見ているか知りませんが、はあ、やっぱりお殿様というのはああいう感覚なのかなということを、いや、大体政治家というのはいつも何か問題が起きるとああいう答弁をしてきた、しかし、細川さんはああいう答弁はしないだろう、こう期待していた人も多々あると思うわけでございますが、私も、常識的に見てちょっと不自然な感じもしたな、こう思うわけでございますが、それが事実ならば結構なんです。もう事実が一番大事なんでございまして、事実にまさる王様はないのであります。  さて、これに基づいてまたいずれ、これが大事なことになっていくと思うのですが、一億円の借入というのは一般庶民にはまあ考えられないことでございますが、政治家にとってもそんな小さいお金のことじゃないと思うのですよね。僕なんか、もうとても一億なんて借りたこともございませんし、借りようという気すら起きません。そんなことも含めて、委員長、どうしてもこれはお願いがあるのですが、ただいま総理が述べられたこと、お人柄からして多分九九%は真実を語っておられると私も信用しますよ。また、そうでなかったら日本の政治は真っ暗やみですよ。  しかし、総理のお言葉をただ信用するというだけで我慢しろと言われても、私もちょっと我慢できないところがあるんです。また、今実際やりとりを聞いておられた国民の中にも、もうちょっとここははっきりしてもらいたいなという点があると思うのです。しかも、極めて簡単な方法でこれが証明できるのでございます。やはり物証なんですよ。借りたことは問題じゃないのです。返したか返さないかが大事なんです。返してなければ、借りたといってももらったと同じことなんです。そうでしょう。返したという事実、借りたもあるでしょう、多分。  商法によりますと、会社は十年間帳簿を保存する義務がある、こうなっております。ですから、今が昭和に直しますと六十八年でございますが、五十七年こるのです、ひょっとしたら、はい、これだけ出金しましたと。ところが、どなたから借りたかもわからないのですからね、その帳簿を取り寄せてみようがない。まあしかし、一億円を佐川清さん個人からお借りしたのか、あるいは佐川急便の、東京佐川急便なのか、その辺は私は答えられないというのはちょっと不自然だと思うのですよ。  それで、思い出すのに一つ資料を差し上げましょう。  あなたは、この借金に関して担保に入れたと、こう言っております。湯河原の別荘でございます。これはちゃんと根抵当権が設定してあります。昭和五十八年一月十一日受け付けで、ちょっとおくれています、四カ月ぐらいおくれていますが、極度額一億円で入れてあります。借り主は細川護煕。根抵当権者というのは、すなわち大体債権者なんです、あなたに金を貸した人なんですね、普通は。それが東京佐川急便株式会社となっております。あなたがだれから借りたかわからない、非常におおような言い方でございますが、きっとあなたに貸した人は東京佐川急便だと私は思いますよ。ですから、この東京佐川急便株式会社の帳簿が手に入れば、あなたがおっしゃった一億円が出金した、これはもう十年たっているからないかもわかりませんが、その都度入金がありましたという証拠は大多数は残っているはずなんです。  そこで、委員長、お願いがございます。  国会法百四条によりまして、この債権者と思われる、もしそれが違っていたら変えればいいのですが、債権者と思われる東京佐川急便に対して、この関係する帳簿をどうかひとつ取り寄せていただいて、九九%は正しいのですが、一%の確証を与えていただくために、どうかひとつ委員長から特別のお聞き取りというか御配慮をいただきたいと思いますが、このことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  295. 山口鶴男

    山口委員長 理事会において相談をさせていただきます。
  296. 白川勝彦

    白川委員 ありがとうございました。
  297. 山口鶴男

    山口委員長 これにて中山君、越智君、江藤君、白川君の質疑は終了いたしました。  次に、佐々木陸海君。
  298. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 私は、日本共産党を代表して質問をいたします。  ゼネコン問題について、小沢一郎氏の証人喚問を含めまして、日本共産党はその徹底的な解明を主張し、努力をしているところでございますけれども、この問題については、あす、この委員会で同僚議員が質問するという前提で、私は、減税の問題とお米の輸入自由化、この二つの問題に絞って質問をしたいと思います。  不況はますます深刻化し、長期化していることは御承知のとおりであります。国民生活も中小企業経営もまさに危機的な状況に立ち至っております。こういうとき、八月に発足をいたしました細川連立内閣は、金権腐敗一掃への国民の願いを選挙制度改変の問題にすりかえるなど、私たちに言わせれば、にせの政治改革に集中して、この深刻な不況にまともに対応しようとしてこなかった。今提案されている補正予算案も、不況に対して政府が全力を挙げて対応してほしいと求めている国民期待にこたえるにはほど遠いものと言わなければならないというふうに考えています。  家計消費の停滞と落ち込みが不況を深刻にしている最大の原因であると私たちは考えています。GNPの六割近くを占める家計消費の拡大こそ不況対策の中心であり、今そのために緊急に求められているのが所得減税であるというふうに私たちは考えています。日本共産党は、二兆円の所得減税を赤字国債などなしに年内に実施するよう主張しているところでございます。  そこで、総理にお聞きしますけれども、総理はこれまで所得減税の実施に一貫して消極的だったように見えますけれども、今、国民や日本経済の状況に照らして、所得減税を一刻も早くやる必要があるというふうに認識しておられるのかどうか、まずその点をお伺いしたいと思います。
  299. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今の景気の状況というものを考えますと、減税も含めましてあらゆる対策を講じなければなるまいと思っておりますが、財政の状況も御承知のように大変厳しい状況でございますから、その辺のことも十分念頭に置きながら、特例公債は発行しないということを踏まえて、来年度の税制改正論議の中で、税調の答申の方向というものも踏まえながら、考えていかなければならないというふうに思っております。
  300. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 なかなか単純にやるというふうにならないようでございますけれども、税調の答申を踏まえて来年度検討したいということのようですけれども、早くやる必要があると思います。  同時に、この所得減税をやる場合に、国民のできるだけ大多数が恩恵を受けられるような減税を考えているのかどうなのかということが問題になるわけでございますが、総理は、不況の状況を考えても、国民大多数が恩恵を受けられるようなそういう減税をすべきであると考えるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  301. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それはそういうことができれば、それは理想的だと思います。規模が大きければ大きいほどそれは理想的なことは間違いございませんが、先ほどから申し上げるように、大変深刻な財政状況というものも勘案をしなければなりませんから、その辺のことも十分踏まえて、総合的な観点から考えなければならないというふうに思っているところでございます。
  302. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 総理は税調の答申を踏まえてやりたいということを言われたわけですが、ここが私は大変問題だと考えるわけです。私たちはあの税調の答申に強い批判を持っております。あの方針に沿った所得減税ということになりますと、たとえ五兆円の規模でも本当に国民全体が大きく潤うというものにならないということを言わなければならないと思うのです。  あの答申は、第一に、労働者やサラリーマンにだけ適用される給与所得控除についてのみある程度引き上げると言っていますけれども、他方、すべての納税者に適用される、本人や配偶者、扶養など、基礎的な人的控除を引き上げることは適当ではないと言っています。庶民のほとんどが対象になっている最低税率は据え置くと言っています。こういう方向では、どんな規模の減税が行われても、自営業者や農家はほぼ完全に減税ゼロ、労働者、サラリーマンの圧倒的多数もほとんど減税の恩恵にあずかれないということになってしまうのではないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  303. 藤井裕久

    藤井国務大臣 税制改革についての考え方は、今総理が全部お話しになったことに尽きております。特に、今の答申を受けてこれから具体案をつくるという段階でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  304. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 答申を受けて具体化する、その答申の中で言っていることに即して言うと、庶民に対する減税というものに余りならないということを私は聞いているわけです。  次の問題を聞きますけれども、答申は、最高税率を、所得税、住民税の合計で一五%程度引き下げる、五〇%にするということを言っているわけです。この適用を受ける部分では、確かに非常に大幅な減税に、所得減税が行われた場合、なるわけです。  大蔵省の資料によりますと、年間所得五千万以上の金持ち層、この課税所得は合計で今十四兆五千億円。いろいろそれは細かい計算がありますけれども、最高税率を一五%程度も落とすということでありますと、この層だけで、大まかに言ってですけれども、二兆円近い減税になってしまうということになると思いますが、その点いかがでしょうか。
  305. 藤井裕久

    藤井国務大臣 ただいまも申し上げましたように、税制調査会の基本的な物の考え方、つまり、これからの時代のしっかりした福祉秩序をつくっていく、そして、我々の次の世代でございましょうが、こういう社会資本を整備していくという中において、この国民負担をどういう方に求めてこれを安定していくことが必要なのかという角度と、そしてそれは所得課税の軽減と消費課税の充実である、そのことが今後の社会構造の中で活力のある経済社会を実現する道である、こういう物の考え方を尊重しよう、こういうことでございまして、具体的な数字はこれからだということをもう一度繰り返さしていただきます。
  306. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 それはわかっているのです。それはわかっているけれども、細川総理の言うように、来年度の所得減税をやる場合にも、この税調の答申の方針に沿って、これを踏まえてやると言っているわけです。踏まえてやると言うからには、最高税率を一五%程度引き下げるということを言っているわけですから、そういう方向でやられれば、この層は、こういう年間所得五千万以上の層だけで二兆円くらいの減税になる、そういう減税になるじゃないかということを、金持ち減税になっているじゃないかということを言っているわけです。その点はお認めになるのですか、どうですか。
  307. 藤井裕久

    藤井国務大臣 金持ち減税という言葉は当たらないと思います。むしろあの答申の物の考え方というのは、本当にこの日本の社会を支えている方々、中堅サラリーマンに対して余りに今までが重過ぎて、それがよくないということを指摘しているのであり、そういう角度から是正すべきものと考えております。
  308. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 最高税率を一五%程度下げると言っているわけです。ですから、年間所得五千万以上の一番上の層というのは大きな減税になるじゃないか、このことをお認めにならないのですか。
  309. 藤井裕久

    藤井国務大臣 最高税率のこともさることながら、その税率ということは、一つの累進の問題でございますから、その意味において私どもが申し上げているのは、中堅の日本の社会を支えている人たちに一番の恩典があるのがこれからのあるべき税制だということを申しているのでございます。
  310. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 最高税率が一五%落ちるということなんですから、それは中堅の問題いろいろあるでしょうけれども、やはり簡単に、これはもう単純に計算できるのですよ。それはいろいろ前提条件はありますよ。だけれども、年収が五千万円以上の本当に高額の所得者というものの税率というのは、大体それは、いろいろ細かいところはありますけれども、決まってくるわけですから、一五%下げるということが定まれば。その層に対しては二兆円程度の減税になるんだ、これを今実行すれば、ということを私は聞いているのです。これはお認めにならないのですか。
  311. 藤井裕久

    藤井国務大臣 今のその数字は、私どもまだ計算したものはございませんが、もう一度申し上げますけれども、この中堅層を安定して、しかも所得がふえたときに急激にふえないということのためには、今のような構造が必要であるということを改めて申し上げさせていただきます。
  312. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 この年間所得五千万円以上の金持ち層は十一万四千人でありまして、全国四千百万世帯の〇・三%です。この税調答申がやるような方向で一五%最高税率を引き下げるということになると、この〇・三%の層だけで、五兆円減税といっても、二兆円程度の減税になる、これは厳然たる事実なんです。大蔵大臣、いろいろ計算もしてないからと言いますけれども、これはそういうものとして私ははっきりと申し上げたいと思うのです。  ですから、総理、こういう税調答申に沿った所得減税ということでは、本当に庶民全体を潤すことにならない。我々が言うように、二兆円の減税でも、本当に課税最低限を上げて、所得税や住民税を払っているすべての人たちが減税になるような形になれば、我々は一世帯当たり平均七万円の減税になるということを主張しているわけです。ぜひそういう庶民全体が潤うような方向での所得減税を早く実行するように求めたいと思います。総理の見解を聞きたいと思います。
  313. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今おっしゃったような減税というものがどういう財源でできるのか、その辺は私も伺わないと何ともコメントのしょうがないわけでございます。
  314. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 我々は、今の国費のむだ、ゼネコン疑惑に見られるような公共投資の多額のむだとか、あるいは軍事費の削減とか、不公平税制の是正とかいうものを具体的に提案しているところでございます。  ついでにもう一つお聞きしますけれども、税調答申の方向に沿った所得減税ということになりますと、もう一つ重大な問題があることは御承知のとおりでございます。税調答申は、所得減税と消費税の税率アップ、こういったものを一体的に成案化せよということを主張しています。  総理政府は、この所得減税関連の法案を来年提出するということになるにしても、それに消費税の引き上げの施行の期日を明記する、明記するけれども、そのときの景気状態によって施行をおくらせることも考慮する、こういった形を考えているという報道もありましたが、それはいかがですか。
  315. 藤井裕久

    藤井国務大臣 税制調査会の答申が、今申しましたように、所得課税の軽減とそして消費課税の充実というものをしていくことがこれからのあるべき社会における国民負担のあり方である、こういう提言をしているわけで、同時に一体として処理をすべきであるという提言もあることをよく承知しております。それを具体的にどう処理するかはまさにこれからの政治が決めることでありますが、念のために繰り返しますが、垂れ流し的赤字国債は、御党と同じように、私どもも反対であるということであります。
  316. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 つまり、消費税の税率アップ、あの答申の方向に沿っていずれやらなければならぬということだと思うのですが、総理、その時期についてどういうふうに考えておられるのでしょうか。
  317. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 まだ考えておりません。
  318. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 十月の本委員会での質問では、総理は、来年度予算ではやらないけれども、その先はわからないというふうに言っておられました。  それで総理は、税調の答申を尊重し実行すると言っているわけですが、当面、この不況の中では消費税の税率アップはやらないということをきょうお約束できますか。
  319. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 税調の答申の中でも、実施の時期とか額でありますとか、そうしたものは出てきておりません。したがって、まだ今は何とも申し上げられないということを申し上げたところでございます。
  320. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 税調に実質的な諮問をやって、直間比率の見直し等について検討してくれ、そしてその答申が出てきたら尊重して実行すると言ったのは総理自身なんです。  総理自身としてどういうお考えを持っているのか。それは連立与党の中でいろいろあることは知っていますけれども、総理はその点の見通しをどう考えておられるのかということを聞いているわけです。
  321. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 答申を尊重させていただくと申し上げて、その答申の中にそういうことが書いて、触れられておらないということでございますから、その答申を、最終的に来年度の税制改正の中でそういう作業が行われるのを待ちたい、こういうことでございます。
  322. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 来年度の税制改正の中でその方向をはっきり決めるということですか。
  323. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 そういうことになろうと思います。
  324. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 この消費税の税率アップ、私はもちろんやってほしいと思って聞いているわけじゃないのですけれども、我々はやるべきではないという立場に一貫して立っているわけですけれども、総理は、来年度税制改正の中でともかくこれを持ち出してきてやるということを今述べられたと思うのですが、我々はこういう、先ほど言いましたように、大金持ち層が大幅に減税になるそういう所得減税と、それに合わせて消費税の税率アップというようなものがやられたら大変なことになるということをはっきりと糾弾しなければならぬと思うのです。  今年度のベースで計算すると、消費税の税率一%のアップで国民への増税は二兆三千億円程度になると思いますが、どうですか。
  325. 藤井裕久

    藤井国務大臣 そういう試算があることは承知しております。
  326. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 今度はお認めになりましたが、今の三%から六%になれば七兆円の増税、七%になれば九兆円の増税ということになるわけです。例えば、五兆円の所得減税が行われたということになりますと、時期は多少ずれるにしても、税率を六%にすれば二兆円の増税ということになります。しかも御承知のとおりの消費税の逆進性というものがあります。しかも所得減税は金持ちに厚い、先ほど述べたとおり。そういうことになりますから、こういうものが行われてきたら、本当に、今のこの不況、国民の苦しみを解決する方向にも全く役立たないということは明確ではないかと思うのです。  そういう意味で、総理が言うように税調答申に沿ってやるということは、まさに、減税の面でも、そしてまた消費税の税率アップの面でも、庶民いじめ、国民いじめの政治をこの不況の時期に一層強めるということにならざるを得ない、そういうことでは本当に庶民のための政治国民に目を向けた政治にならないということを、この問題ではっきりと私は指摘をしておきたいと思います。  次に、ウルグアイ・ラウンドについてお聞きをしたいと思います。  米の包括的関税化、例外なき関税化を六年間猶予するかわりに、一九九五年から最低輸入量、ミニマムアクセスを受け入れるという巷間伝えられている案につきまして、武村官房長官はこの間のテレビの中で、仮定の問題としてではあるけれども、こういう案なら例外なき関税化には当たらない、関税化反対という日本の主張を貫いたことになるという趣旨のことを言われました。  総理は、きのうの本会議での答弁で、この武村発言はこれまでの政府の方針に沿ったものと理解しているというふうに言われました。まあもちろん仮定の問題として言われているわけですけれども、例外なき関税化を六年間猶予するかわりにミニマムアクセスを受け入れる、こういう案があるとして、概念として、例外なき関税化反対がこの案だったら貫かれるというふうに政府はお考えですか。総理の見解をお伺いしたいと思います。
  327. 畑英次郎

    畑国務大臣 本問題につきましては、従来から、国会決議、なおまた細川内閣発足に伴います八党派合意事項等々を踏まえまして、例外なき関税化は、農産物は受け入れができないという事情を強く主張をしておる取り組みを今日まで続けてまいりましたし、残された期間が極めてわずかでございますが、その方針をもって最後の粘り強い交渉をさせていただいておる、そういう姿の中にございまして、今お話しのようなことは、私どもの立場においての現実問題として取り上げるべき内容ではない、かように考えております。
  328. 武村正義

    ○武村国務大臣 今もお話がございましたが、きのう、きょう、共産党も含めて、日曜日のテレビの私の発言がたびたび取り上げられておりますが、私、きょう正確に文書全部取り寄せて確認をしてみました。例外なき関税化とミニマムアクセスについて私が肯定するような発言をしたわけではあくまでもないんですよ。  向こうの仮定の質問というのは、関税化を六年間猶予するとすればあなたはどう考えるかと言うから、それは、我々の六党合意は関税化は反対と書いてますからこの合意には触れませんと。しかし、その後追っかけて、じゃミニマムアクセスはどうですかという田原さんの質問に対しては、それは私の発言は、大変けしからぬことになります、これまでの政府の目標からすればそれは後退になりますということを明確に言い切っているわけでありまして、最後にまた田原さんが、例外なき関税化六年間猶予とミニマムアクセス、これでいいんですね、こうまた念を押してきましたので、それは田原さんの御意見として拝聴さしていただきますと言って締めたのであって、大体新聞の報道もそのとおり報道しておりますので、私が関税化もミニマムアクセスも両方とも肯定したかのごとき発言はひとつ正していただきたいと思っております。
  329. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 各新聞にも報道されましたし、私もその武村官房長官のテレビを見ましたけれども、その中ではやはり、当面例外なき関税化は拒否した、のまないという原則なら、それは私たちの主張を貫いたことになりますという部分があります。つまり、この案だったら貫かれているんじゃないかという趣旨の発言をされたのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  330. 武村正義

    ○武村国務大臣 あくまでも田原さんの質問は、仮に政府が部分自由化する、六年間猶予してもう一度見直しますと言ったとしますと、それはどうなんですかという質問なんですね。  私の答弁はこの前段ですね、例外なき関税化に反対というのが八党派の合意文書であります、そう書いています。このことは、内容的には、食管法は守れとか国家管理品目の原則を貫けとか国内自給は貫けとか、いろいろな表現はありますが、いずれにしましても、例外なき関税化にこれが当たるかどうかという質問になりますと、これは猶予と書いてありますが、当面、例外なき関税化は拒否した、のまないという原則なら、それは私たちの主張を貫いたことになります。  だが、片方にミニマムアクセスと言われている。後を追っかけてこれを言っているわけですね。これについてはけしからぬ。従来の我が国の政府の理想、目標からすれば、このミニマムアクセスだけでも後退ですね、こう申し上げているわけで、全体を紹介していただきたい。
  331. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そうすると、ミニマムアクセスを受け入れるという方向も、政府としては現在のめないという立場だということですね。
  332. 武村正義

    ○武村国務大臣 今申し上げましたように、国会決議の過去の趣旨とか七党一会派の合意の考え方について私は申し上げたわけであります。その中には、国内自給ということが原則でございますから、先ほど来農林大臣が申し上げておりますように、理想、目標、我が国の外交交渉に対する基本的な姿勢と目標からすれば、ミニマムアクセスものまない、これもおりないでいきたいという原則に立って交渉に当たっているわけであります。
  333. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 ミニマムアクセスものまない、それが国会決議の立場だという立場で交渉に臨んでいるんだということを確認をしておきたいと思います。  そういう方向で政府は今努力をしているということになるわけですけれども、その努力の結果として国会決議の立場に合致しない、それに反する調停案が提示されるということになった場合にどうするかという問題が起こってきます。調停案はあくまでも調停案であって、裁定ではないし、拒否できるものだと思いますけれども、その点はいかがですか。
  334. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま御指摘のようないわゆるまとめ役のお立場あるいは第三者ということになるかもしれませんが、調停案が出ないように、我が方の意思が十二分に反映できたものが出てくるように、ただいま引き続き努力をしておるということでございます。
  335. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 しかし、総理はマスコミのインタビューで、みんなが橋を渡れば日本も橋を渡らないわけにはいかないという形で、言ってみれば、不本意な状況になっても場合によっては受け入れなきゃならぬということを言っておりますし、武村官房長官も、これは記者会見ですが、世界じゅうが歩み寄って合意したのに日本だけが譲らないという状況になると困る、ラウンドがだめになった責任を日本が負うわけにはいかないという発言もされています。  要するに、政府は、日本の立場を守る、ぎりぎりの努力をしているとか言っていますけれども、最後は国際的な情勢、国際的な圧力を理由に、米の自由化につながるような方向を受け入れることがあり得るのではないかという疑いを抱かせるんですけれども、こういう発言について、細川総理、どう考えておられますか。
  336. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 橋の話が出ましたが、それは米の話を申し上げたのではなくて、ウルグアイ・ラウンド全般の問題について申し上げたところでございますが、とにかく今の政府の立場は、再々申し上げておりますように、国会決議の趣旨を体して、国内で自給するという方針のもとに、包括的な関税化を目指しているダンケル案というものに修正を求めるということで、徹底的に今交渉をしているという立場でございますから、そのように御理解をいただきたいと思います。
  337. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 それは公式の立場として繰り返されていることですからよく承知しているんですけれども、みんなが渡る場合には渡らないわけにはいかないとか、それはまあ全体について言われたと言いますけれども、それから、世界が歩み寄って合意したのに日本だけ渡らないという状況になると困る、そういう困るから努力しているんだという受けとめ方をもちろん一方ではできるわけですけれども、しかし、結局、最後は国際的な圧力によって受け入れるんだ、そういう方向になってしまう布石を打っているというふうにも疑わざるを得ない。  また、マスコミにいろいろこういう妥協案というのが伝えられているのも、政府もきっぱりとした否定をしているわけではないんで、そういう疑いを多くの国民、農民の皆さんが抱いているのは当然じゃないかと思うんですが、もしそうでないというのであれば、日本には日本の立場がある、日本国民の主食をどうするかということは日本の国民の死活にかかわる問題で、だれも侵すことのできない固有の権利だ、日本国民自身がそれは決定する問題だ、米の市場開放、自由化は、部分的であれ何であれ絶対に認めない、そういう基本姿勢で臨んでいると言えるかどうか、今その基本姿勢が問われていると思うんです。  総理や官房長官のさまざまな発言や四つ目の国会決議に反対する連立与党の態度などは、その基本姿勢をやはり疑わせるものがあるというふうに言わざるを得ないと思うんですが、その点、日本の立場は絶対に守る、あくまでもその立場が入れられなかったら拒否するということをはっきり言えるか、その基本姿勢に立っているかどうかをお伺いしたいと思います。
  338. 畑英次郎

    畑国務大臣 従来から申し上げておりますとおり、いささかの疑いを挟む余地もない基本的な姿勢を堅持して交渉をさせていただいておるわけでございまして、いよいよ正念場に入って、さらにその気持ちを強くして交渉に当たらせていただいておるわけでございます。
  339. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 こういう基本姿勢を貫くことは、何も国際的な非難を浴びるというようなことじゃなくて、国際的に見ても国内的に見ても立派な道理と大義がある、そういう立場から我々は主張しているわけであります。日本は既に世界一の農産物輸入国でありまして、カロリーで食糧自給率が四六%まで落ち込んでいる。こんな国は、世界の重立った国では日本以外にありません。その上、国民の主食である米を外国に明け渡すような道理はどこにもないという立場をはっきり貫くべきであります。  世界の人口は、現在の五十数億人から二〇〇〇年には六十数億人に、二〇二五年には八十数億人になると言われている。今現在でも、世界には八億人の飢餓人口がいると言われています。近い将来、世界的に食糧が決定的に不足するという警告が各方面から出されています。二十一世紀を展望したときに、世界の大問題の一つがこの食糧の増産であるということになるかと思うのです。  総理は、世界のこういう状況については認識をお持ちであると思いますけれども、はっきりと確かめておきたいと思います。
  340. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 国際的な食糧の需給関係がどのような方向にいくかということについては、私なりに認識をいたしております。
  341. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 国連の食糧農業機関、FAOも飢餓の広がりを警告して、世界各国に自給率の向上を呼びかけています。この五月には、先進国の食糧生産を今後二十五年間に現在より六〇%ふやす必要があるというふうに言っています。国際稲作研究所は、今後三十年以内に米を世界で六〇%増産しないと大変なことになるという警告をしています。日本の米を破壊から守り、育てていくことこそ本当に国際的な貢献であり、日本の国際的な責務だと私たちは考えています。  こういうときに、日本が米の増産、自給の豊かな可能性を持っているのに、それを放棄して米の輸入に頼るということになったらどうなるか。世界の市場に出回る米の量は毎年一千三百万トン前後、日本の消費量、生産量の一千万トンをわずかに上回る程度であります。ことしの凶作で政府が緊急輸入を発表しただけで米の国際価格が急騰している。三〇%から四〇%も上がったというふうに言われています。こういう市場に依存するようなことになったら、それは日本の消費者にとって主食の安定供給を根本から脅かされることにもなります。  日本の米輸入拡大は、そういう意味では、日本の農業の破壊を広げるだけでなく、そしてまた日本国民の食の安全を脅かすだけでなく、世界にいわば飢餓を輸出するということにもなりかねない問題であります。こういう状況のもとで、米を守る、例外なき関税化をどんなことがあっても拒否するということは、日本のためだけでなくて世界のためにもなる、本当に世界に対する平和的な貢献になる、そう考えて努力をしていく必要があると思います。  こういう大義と道理ある立場を堅持して、どんな形であれ自由化、関税化を受け入れない、このことをはっきりとさせていただきたいと思いますし、そのためにも、農政の根本的な転換、減反政策をきっぱりとやめて、米の増産、そういう形で世界に貢献していくという方向にはっきり踏み出すべきだ。  残念ながら細川内閣は、ウルグアイ・ラウンドでは頑張っているというふうに先ほどから言っていますけれども、国内では大幅な減反を引き続き進めようとしているわけでありまして、これは全く矛盾している。そういう方向で頑張るというのだったら、この減反政策をきっぱりと撤回すべきであると思いますが、その点について見解を伺いたいと思います。
  342. 畑英次郎

    畑国務大臣 減反政策につきましては、御案内のとおり潜在的な過剰生産の要素が現実に横たわっておるわけでございますから、農家の方々の営農安定等々の見地からも、引き続きこの姿は堅持をしてまいりたい。  しかしながら、御承知のような実態の中にございましては、減反緩和の問題、あるいはそれに対する補助金を今回の補正予算の中にも組まさせていただいておる、そういうような柔軟性を持って対応しておりますことも御承知おきを願いたいと思います。
  343. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 先ほどから言っておりますように、国際的に見れば、世界的に見れば、食糧や米は大幅に不足しているわけです。そういう中で、このウルグアイ・ラウンドでも、日本への米の輸入自由化を阻止して日本の国内での増産を図るという大義ある立場、そしてそれが世界にも貢献をしていく立場だという立場に立ては、今この凶作の中で、もう備蓄している米が本当に底をついているというような状況がずっと続いているわけですから、やはりこの減反政策というものをもっと大きく転換する方向をぜひ進めていくべきだ。それが、農民の皆様方に対しても、細川内閣が本当にこのウルグアイ・ラウンドで頑張っていくのかどうかということのあかしにもなる。そういう点で、総理の最後の見解を伺いたいと思います。
  344. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今農林大臣から申し上げたことにすべて尽きております。
  345. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 終わります。
  346. 山口鶴男

    山口委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時散会