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保利委員 非常に重みのあるお話をしてこられたわけですから、だんだんそういうことが具体化して議員間交流とかそういう形になるし、場合によっては
政府間でも手を結んでやるという格好にもなってくるかもしれません。もしそうなって、共闘関係を組めたらそれは結構なことでありますが、片っ方、外交問題からしますと、仮に
日本がいろいろなことについて妥協をするとか、そういうときには韓国
政府に対してやはり配慮をしなければならないということになってまいりますから、その点については十分お考えおきをいただきたいし、
外務大臣もそのことについてはしっかり胸に入れておいていただきたい、このように思います。
それから、先ほど
石田大臣からもちょっと御説明があっておりましたけれ
ども、部分自由化という言葉はもうお使いにならないのだろうと思いますけれ
ども、一部報道機関では、いまだ部分自由化ということについて言われていた節があります。
しかし、私は部分自由化という概念そのものが
よくわからないのです。細かく詰めていきますと、部分的に自由化するというのは一体どういう概念なんだろうか。しかも、関税化は拒否しつつ部分的に自由化するというのはどうもよくわかりません。私もよくわかりませんからもうこれ以上
質問ができませんけれ
ども、疑問を持っているということだけはお伝えを申し上げておきたいと思います。
次に私は、米の輸入問題と
国会決議という問題について少しお話をさせていただきたいと思います。
実は、
国会決議、三回やっておりますが、最初の
国会決議、これは昭和五十五年の四月にやっております。実は、昭和五十五年というのは不作の年なんですが、四月の時点では田植え前ですから、不作か不作でないかわからなかったのですね。何がきっかけになっているかというと、昭和五十四年、前の年ですね、昭和五十四年の十二月二十七日に何が起こったか。
御存じの方いらっしゃると思うのですけれ
ども、昭和五十四年十二月二十七日というのはソ連軍がアフガニスタンに侵攻をした日であります。そして、明けて昭和五十五年の一月四日には、
アメリカ政府はソ連に対する小麦の禁輸を言っております。そのときに使われた言葉の中に、緑の武器という言葉が使われているのであります。いかに食糧というのは戦略物資であるか戦略物資たり得るかということをこのことは非常に強く印象づけるものでありました。それで、
国会決議の文章の中に「食糧が外交手段に用いられる等こという言葉が一項目入っているのですよ。つまり、アフガニスタンに対するソ連軍の侵入、それから禁輸、そういった問題が引き金となって、もしこんなことがあったら大変だから自給力を強化しなければいけないじゃないかと言って、みんなが賛成をして、これは全会一致で本
会議を通っております。参議院においても通っております。そういう
国会決議であります。
その後、昭和五十九年と昭和六十三年にそれぞれやっていますが、それぞれ背景があってやっておることであります。五十九年のときは韓国米の輸入に基づくものでありました。それから六十三年の場合は、RMA、
アメリカの全米精米業者協会が三〇一条によって
日本を訴えるという、そういう問題が起こったときでありました。そういう外からのいろいろな問題に、我々は
日本の国民の食糧を守らなければいけないじゃないか、そういう
意味で
国会決議を三度にわたってやっておるわけであります。
そうすると、例えば今回の緊急輸入にいたしましても、
国会決議との関連では一体どうなるんだという
質問は国民一般から来ると思うのです。ここのところをどうお考えになるのか。いや、
国会決議はそれはまあ事と次第によっては、尊重はするけれ
ども、場合によってはやむを得ないじゃないかというのもあるでしょう。しかし、例えば
国会決議の中には非核三原則みたいな大変大事な決議もあるわけであります。そういうことを考えてみますと、
国会決議というのは守らなければいけない。
かつて私は「
羽田外務大臣に命令されまして、
国会決議を全部集めると言われたことがあるのです、私は議運の
理事でしたから。全部集めたらこんなにたくさんあった。それで先生のところへ持っていったら、うわあ、こんなにあるんじゃ、これは整理し切れないなと言ったのですけれ
ども、
国会決議ももうそろそろ整理してもいいものがあるかもしれない。記録にとどめて、整理してもいいかもしれない。昔のものを持ってきて、
国会決議があるじゃないかと言う。まあ時代とともに変わるわけでありますから。
国会決議というものは、何というのですか、それを廃止する手続がないのですね。ですから、いつまでも残っていっちゃう。いつまでもいつまでも残っていっちゃう。
これは実は
国会そのものの問題だと思うのです。実はこれは、
委員長も笑っておられますけれ
ども、
委員長も議運を長くやっておられて、その点についてはいろいろ造詣が深いと思っておりますが、土井議長にも御相談をしていただいて、
国会決議の整理というのは、これはちょっと本題から離れますけれ
ども、一遍やるべきものじゃないかな、そしてもし本当に必要な決議は改めて再確認の決議なりなんなり、
一つにまとめて、やるという必要があるのではないかという感じがいたしております。
大臣方にこれをお伺いするのは、閣僚でありますから、それは
国会のこととおっしゃるに決まっていますからそれ以上申しませんが、そういう
気持ちがある。しかし、米の
国会決議というのは非常に大事だということを逆に言いたいので、これはもう一回再確認をしなければいけないぐらいの
気持ちを持っておるということであります。
次に、ウルグアイ・ラウンドの交渉というのは、実は農業交渉だけじゃない、サービス分野においても交渉があるのです。ここのところは非常に難しい問題でして、前にも
宮澤内閣のときに私がここで
質問をさせていただいた。そして官房
長官から、あるお答えをいただいたのがあります。それは、農業というのはウルグアイ・ラウンド交渉の中の一分野にすぎない、もっともっと幅の広い交渉をやっている。
例えば大蔵大臣のところでも、証券だとか金融だとか保険だとかという交渉がサービス貿易の自由化ということで交渉されている。しかし、大蔵省が交渉をやっている内容というのは外務省は余りよく知らないのじゃないか。あるいは知らないとは言えないけれ
ども、やはり大蔵省が専門家としてやっておられるんじゃないか。もう少し悪く言えば、縦割り行政的なウルグアイ・ラウンド交渉が行われていやしないか。その辺について十分検討する必要があるんだろうと思うのです。
御承知のように、EC側のこの交渉の総
責任者は、ブリタンさんという副
委員長がやっておられますね。その方は全部のこまを自分の下に入れて、これを出すからこれをくれとかいうような格好の交渉ができる体制がとれている。
アメリカのUSTRがまさにそれだ。
日本の
政府は一体それがどういうふうになっているだろう。大蔵大臣もお務めになり、そして私が今農林水産物の貿易対策
委員長をさせていただいておりますが、その前任者は
羽田孜先生であられたわけでありますが、そういう農業のことについてもお詳しい。また、文化摩擦なんという問題も最近は出てきておりますが、そういう広範な司令官というのは、これは
最後は
総理大臣だと思いますけれ
ども、やはり司令官というのが必要だと思うのですよ、ブリタンとかあるいはカンターさんに相当する。そしてここでは、例えば米はもう必死にやって頑張って、国民の食生活のために頑張った、しかしこれは失ったというものがあってもいたし方ないんじゃないかと思うのです。
それが縦割り行政的になっていますと、
日本の強い分野というのは、あるところで妥協しちゃうんですよ。もっと
アメリカなりヨーロッパなりをつつけるところがあるはずなんです。つつけるところはどんどんつっついて、相手を参ったと言わせる中で、米を守るあるいは農産物を守る、そういうことをやっていきませんと将来困るんじゃないか、こういう感じがいたしております。
この点については、私は
羽田外務大臣に御所見をお伺いし、これは大切なことですから、
総理大臣にも御所見をお伺いしたいと思います。