○松本善明君 私は、
日本共産党を代表して、
平成五年度
一般会計補正予算外二案に
反対、及び自民党の
編成替えを求める
動議に
反対の
討論を行います。
政府提出の今回の
補正予算は、
不況による
税収の落ち込みを補てんすることを
中心とするもので、
不況対策としては全く無策に近いものであり、
国民の期待を裏切るものであります。このことは、
政府自身も
追加の
景気対策を言わざるを得ないことによっても明らかであり、しかもそれについては来年度
予算で
編成していくというのでありますから、戦後最悪の恐慌とさえ言われる深刻な
不況の
実態を全く認識していないものと言わざるを得ません。(
拍手)
不況対策の柱としている
公共事業費も、
ゼネコン汚職の解明を抜きにしたまま、ただ額をふやしているにすぎません。この
補正予算は、大手ゼネコンを初め大企業を潤すことが優先され、
不況克服のかぎである
国民購買力を高める所得
減税を先送りしています。また、
不況の影響を最も深刻に受けている
中小企業、労働者に対しては、
中小企業補助金や
福祉・
教育関係費を軒並み
減額しています。これでは、
生活者・
消費者重視という
細川内閣の表看板が、全くの虚構であることを示すものと言わざるを得ません。
今回の
補正予算は、アメリカ軍の対ソマリア戦争へと性格が変わってきている第二次ソマリアP
KOへの
分担金等を含んでおり、憲法の平和原則に照らしても重大であります。
さらに、こうした
財源を、軍事費を削ることもなく、将来の増税と借金づけ体質の
拡大につながる国債増発で乗り切ろうとしており、
我が国財政の
危機を一層深刻にするものであります。巨額の
税収不足の
責任を明確にし、
国民本位の
財源対策を行うべきであります。
これらいずれの点を見ても、軍拡、大企業奉仕、
国民生活軽視という前政権時代の当初
予算の骨格を引き継ぐものであります。
しかも、
細川内閣は、焦点の米問題で、輸入自由化原則とミニマムアクセスの受け入れに突き進んでおります。ドゥニ
議長の調整案なるものを、ぎりぎりの案と称して交渉をまとめることを最優先させ、これを受け入れようとしております。
政府が、ウルグアイ・ラウンド成功を、農民、
国民の利益の上に置く外交交渉を進めてきたことこそ、
最大の問題であります。
どんな国でも、一国の食糧政策をみずから決める権利を持っております。受け入れ拒否はガットも認める
日本の権利であります。この権利を堂々と行使して米自由化を毅然として拒否すべきであります。
審議の中で明らかになったように、この調整案には、七年目以降も特例
措置を継続する場合には
追加の譲歩が義務づけられており、
政府はこのことについても、知らぬ顔をして済まそうとする態度をとっていることは極めて重大であります。こうした
細川内閣の態度は、
国会と
国民に対しては自由化に
反対しているかのように言いながら、実際には三度にわたる
国会決議を踏みにじって自由化受け入れを進めるものであり、まさに二枚舌と言われるような欺瞞的態度であります。(
拍手)
日本の
農業と
消費者にとって重大であり、公約を踏みにじってはばからないという点では、
細川内閣に
政治改革を言う資格のないことを明らかにしております。(
拍手)
その上、金持ち
所得税減税と引きかえに、庶民を泣かせてきた
消費税の税率引き上げまで打ち出そうとしてまず。これでは
消費者の購買力を奪い、
不況に追い打ちをかけるものであります。
これらいずれの点から見ても、
政府提出の
補正予算には
賛成することはできません。
我が党は、大企業がよくなれば、おこぼれで
国民が潤うという従来型の
不況対策とは決別すべきであると考えております。今日、
不況打開の
最大のかぎは、
国民の購買力を向上させることにあります。そのためには、当面少なくとも二兆円
規模の庶民のための
所得税減税を行うべきであります。基礎控除、配偶者控除、扶養控除を今年一月にさかのほってそれぞれ
所得税で十万円ずつ、住民税で六万円ずつ引き上げれば、四人家族で平均七万円の
減税になるのであります。
住宅、
教育などの
政策減税も行うべきであります。
国民の購買力を
低下させる
消費税の引き上げは断じて行うべきでなく、逆に、食料品にかかわる
消費税は緊急に非課税とすべきであります。来年度に予定されている固定資産税の評価がえを中止し、郵便、国立大学授業料などの公共料金値上げをやめるとともに、
福祉、
教育など
国民生活関連
予算の削減は行うべきではありません。
さらに、大企業による大
規模な入減らし合理化計画に規制を行い、雇用不安を解消する必要があります。本来雇用確保に役立てられるべき
雇用調整助成金を
中小企業や労働者に役立つものに改善する必要があります。日産座間工場の閉鎖に見られるような、労働者の
生活と権利、地域
経済に重大な影響を及ぼす一方的な工場閉鎖、
事業縮小、海外移転などの中止や計画変更を強力に指導するとともに、逆輸入や海外進出を
税制面で奨励する製品輸入
促進税制、外国税額控除制度などは縮小・廃止すべきであります。
中小企業に対しては、その仕事を確保し、
経営を守るために、
中小企業金融公庫、
国民金融公庫などに三%以下の低
金利融資制度を創設し、既存の債務の借りかえを含めて利用できるようにすることを初め、
地方自治体の無担保・無保証人融資を
拡充するため特別小口保険限度額を一千万円に引き上げる。現行の小
規模企業共済制度に国庫負担を導入し 休業補償制度を創設する。官公需法を改正し、官公需の発注率を現在の三七%から五〇%以上に高める。JR、NTT、
日本たばこにも同様の
措置をとらせる。
地方自治体にも現在の七〇%弱から五%以上引き上げるよう
要請するなどが必要であります。
日本の
農業と食糧を守るために、米輸入自由化を拒否することはもとより、ミニマムアクセスも受け入れないことを明確にする必要があります。
公共投資は、
住宅や
福祉施設など
国民生活に密着した分野を重視するべきであります。特に、
政府案では三百二十億円にすぎない
住宅建設
予算を大幅にふやし、最高時の三分の一に減らされた
公営住宅、四分の一に減らされた公団賃貸
住宅の建設戸数を少なくとも倍加すべきであります。また、
国民本位の
財源対策を講じるため、AWACSの発注を取りやめるなど軍事費の半減、
公共事業費の
むだ遣いをやめ、国債の低利切りかえ、大企業優遇税制の縮小・廃止などに踏み切るべきであります。以上申し述べた
施策こそが、
国民の切実な要求にこたえる道であります。
なお、
自由民主党提出の
組み替え動議は、自民党政権時代の軍拡、大企業奉仕、
国民生活軽視という当初
予算の骨格を全面的に残す
立場を変えておらず、
政府提出の
補正予算に対しても本質的な修正を加えるものとなっていません。以上の
理由から、自民
党提出の
動議にも
反対であります。
日本共産党は、
不況の影響を深刻に受けとめている労働者、農民、
中小企業者と
国民の苦難を軽減して
不況を克服するため全力を尽くすことを表明し、
討論を終わります。(
拍手)