○錦織
委員 時間が限られておりますので、大事な点のみに絞って質問をしたいと思います。
しかしその前に、どうしても一点だけ強く抗議したい点がございます。それは、外交当局、行政当局の姿勢についてであります。先日、
調整案の
骨子が示されました。私は、この
骨子の
文書の性格が全く
理解できない。そして、形式、全体構造、それがどうなっているのか、そういう当然の疑問を持ったわけであります。
ところが、そういった肝心な点が、どういうわけかいつまでたっても明らかにされない。これはまことに遺憾なことであります。本日
ようやく、この附属書5、英語でいえばアネックスファイブ、こういう
文書が配付されました。この
文書を見る限りにおきまして、当然、本体のアグリーメント、そういった
文書が存在するわけです。しかし、それらはいまだに明らかにされていない。
私は、この過程を見ますと、非常に屈辱的な思いにとらわれます。つまり、
国会議員とは一体どういう存在なのか、
政治家は一体どういう存在なのか、そういう疑問を持ったことをはっきりと申し上げておきたいと思います。我々は、結論の当否も大事だけれ
ども、その国家的な
決断をするに当たって、どういう資料をもとにして判断するのか、そのことは明らかにされる必要がある、これははっきりと抗議をしておきたいと思います。
その上で、御質問をいたします。
それは、私も、きょう十一時から開かれました日比谷野音の
農業団体の集会に参加いたしました。そこで、公約違反であるとか、
国会決議違反であるとか、そういった
言葉が飛び交い、
政治家は
うそつきである、そういった激しい
言葉が飛び交いました。つまり、問われているのは
政治家の責任である。では、その責任の所在は一体どこにあるのか、そのことを私はまず明らかにする必要があると思います。
そこで、これまでの経過の中で、その点をどの
ように考えるべきか、つまり、どういう選択肢とどういう選択肢がどういう
考え方の中で行われたのか、この点をはっきりと、過去を振り返って
政治責任を明らかにしておく必要があると思います。
外交というのは継続性がある、連続性がある。細川政権が成立して四カ月であります。それ以前のこの
ガット・
ウルグアイ・ラウンドの
農業交渉に臨む我が国
政府の基本的な姿勢はどの
ようなものであったのか、このことを確認したいと思います。
私は、平成四年三月四日の
予算委員会の議事録を今手にしております。その中で日野
委員が、次の
ように聞いておられます。ずばり、総理いかがですか、米は輸入するのかしないのか、この
ように聞いております。それに対して宮澤総理
大臣は、「
国会でしばしば御決議がありました
ように、国内産で自給することを基本方針とするというのが
政府の
考え方でございます。」この
ように述べておられます。そこで、この基本方針という
言葉はどういうことを
意味するのか、そういうことからさらに日野
委員の、一トンも入れないで頑張るといったって無理じゃないかというふうに
外務大臣が言っておるのではないか、この
ような問いかけに対して、当時の渡辺
大臣は、「一トンも入れないとかどうとかということにつきましては、これは世間の常識もありましょうし、我々は、米は自給を旨としてということで
交渉をしておる」、この
ように述べているわけです。そして、さらに続けて、「
交渉事というのは、何といいますか相手の出方を見ながらやっておるわけですから、相手国ですね、一方的なことだけ言っておってもだめだし、相手の方がどういうふうに出るのかという
ようなことを出方を見ながら一番有利な線で解決したいという
交渉事をやっております」、この
ように明言をしております。
そこで、私は、畑農林
大臣にお聞きしたい。
これまでの、つまり政権交代前のこの
ガット・
ウルグアイ・ラウンド農業交渉についての
政府の基本方針がどの
ようなものであったか。つまり、一粒たりとも入れない、一トンたりとも入れない、つまり、
国会決議の基本的な
考え方は完全自給であるからして、入れないという
考え方であったのか。しかし、外交
交渉を行う上においては、その原則の基本は維持するけれ
ども、妥協もやむを得ない、こういう姿勢であったのかどうか。この点についてお伺いしたいと思います。