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1993-10-20 第128回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十月二十日(水曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 竹内  猛君    理事 石破  茂君 理事 久間 章生君    理事 中川 昭一君 理事 二田 孝治君    理事 前島 秀行君 理事 仲村 正治君    理事 千葉 国男君 理事 錦織  淳君       赤城 徳彦君    菊池福治郎君       栗原 博久君    栗原 裕康君       七条  明君    中谷  元君       浜田 靖一君    保利 耕輔君       松岡 利勝君    松下 忠洋君      三ッ林弥太郎君    御法川英文君       宮里 松正君    柳沢 伯夫君       山本 公一君    石橋 大吉君       遠藤  登君    田中 恒利君       辻  一彦君    実川 幸夫君       白沢 三郎君    田名部匡省君       広野ただし君    山本 幸三君       上田  勇君    長内 順一君       倉田 栄喜君    井出 正一君       木幡 弘道君    初村謙一郎君       小平 忠正君    藤田 スミ君  出席国務大臣         農林水産大臣  畑 英次郎君  出席政府委員         農林水産政務次 木村 守男君         官         農林水産大臣官 上野 博史君         房長         農林水産大臣官 福島啓史郎君         房審議官         農林水産省経済 眞鍋 武紀君         局長         農林水産省構造 入澤  肇君         改善局長         農林水産省農蚕 高橋 政行君         園芸局長         農林水産省食品 須田  洵君         流通局長         食糧庁長官   鶴岡 俊彦君         林野庁長官   塚本 隆久君         水産庁長官   鎭西 迪雄君  委員外出席者         外務大臣官房外 河村 悦孝君         務参事官         外務省総合外交         政策局科学原子 天野 之弥君         力課長         厚生省生活衛生 高原 亮治君         局食品保健課長         農林水産省経済 嶌田 道夫君         局統計情報部長         農林水産委員会 黒木 敏郎君         調査室長     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十日  辞任         補欠選任   岸本 光造君     栗原 博久君   三ッ林弥太郎君    柳沢 伯夫君   田名部匡省君     山本 幸三君 同日  辞任         補欠選任   栗原 博久君     岸本 光造君   柳沢 伯夫君    三ッ林弥太郎君   山本 幸三君     田名部匡省君     ――――――――――――― 十月八日  米、乳製品及びでん粉の輸入自由化阻止に関す  る陳情書外二件  (第三二号)  二十一世紀型農業推進に関する陳情書  (第  三三号)  都市農業施策拡充等に関する陳情書  (第三四号  )  農業農村整備事業積極的推進に関する陳情書  外一件  (第三五号)  中山間地域振興対策充実強化に関する陳情  書外一件  (第三六号)  愛知用水二期事業推進に関する陳情書  (第三七  号)  肉用牛経営安定対策充実強化に関する陳  情書  (第三八号)  保安林整備臨時措置法の延長に関する陳情書  (第三九号)  森林・山村対策拡充強化に関する陳情書  (第四〇号)  沖合底びき網漁業操業区域見直しに関する陳情  書  (第四一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(農作物等被害  状況及びその対策等)  派遣委員からの報告聴取  異常気象による農林漁業被害対策等に関する件      ――――◇―――――
  2. 竹内猛

    竹内委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  まず、異常低温集中豪雨等による農作物減収等実情調査のため、本委員会から、北海道東北及び九州地方にそれぞれ委員派遣を行いましたので、派遣委員から順次報告を聴取いたします。辻一彦君。
  3. 辻一彦

    辻委員 委員派遣北海道・第一班の報告を行います。  委員派遣第一班として、去る十月四日及び五日の二日間にわたり、北海道における異常低温等による農作物減収等実情調査してまいりました委員を代表して、その概要を御報告を申し上げます。  派遣委員は、中川昭一理事実川幸夫委員長内順一委員小平忠正委員藤田スミ委員及び私の六名であり、このほか現地において、鈴木宗男議員永井哲男議員佐々木秀典議員金田英行議員が参加されました。  まず、調査日程について申し上げます。  十月四日は、帯広空港に到着後、直ちに現地に向かい、車中十勝管内における被害概要説明を受け、更別村と中札内村において豆類てん菜等畑作物被害状況調査いたしました。続いて帯広市において、十勝管内市町村及び農業団体からの陳情を聴取いたしました。  午後は、上川地方に向かう車中で、北海道農業概要冷害による作柄状況等についての総括的な説明と、上川管内における被害概要を聴取し、富良野市、中富良野町において稲作被害状況調査いたしました。続いて旭川市において上川管内市町村及び農業団体からの陳情を聴取いたしました。  翌五日は、空知管内に入り、南幌町、栗沢町、岩見沢市の順で、稲作被害状況調査し、引き続き、空知管内市町村及び農業団体からの陳情を聴取いたしました。  最後に札幌市で、道・道議会市町村及び農業団体要請を受け、全日程を終了いたしました。  最初に、今回北海道各地に大きな被害をもたらしました気象状況について、その概要を申し上げます。  本年は、五月から全道的に低温日照不足が続き、加えてオホーツク海高気圧が例年になく強かったことなどにより、七月、八月は、記録的な冷夏となり、七月下旬から八月中旬かけての北海道平均気温は、十六・八度と、昭和五十八年の冷害年に比べても三・二度低い状況でありました。日照時間も、五月から六月にかけて、上川及び空知地方観測史上最低に近くなるなど、記録的な寡照となっております。  さらに、九月上旬以降も天候は不順に推移し、九月二十九日には、旭川で初霜が観測されております。  次に、農作物被害概要について申し上げます。  まず、稲作についてでありますが、特に七月中旬から八月下旬にかけての著しい低温により、受精障害による不稔もみが激発するとともに、出穂期の大幅な遅れに伴う登熟不良にも見舞われております。  九月十五日現在の作況指数は、四六と著しい不良となっており、道の調査によればその被害額は約一千百五十億円を超えるという、戦後最悪実態となっております。さらに、今後凍霜害も予測され、最終的な作柄点さらに悪化するとの悲観的な見方もされております。  今回調査いたしました上川空知地方は、道における米の主産地でありますが、稔実割合は、上川地方では四割から五割五分程度空知地方では五割程度となっており、我々が視察した一部地域では収穫皆無の圃場も見受けられました。  今回の大冷害は、ゆきひかり、きららなど良食味米生産に鋭意取り組むとともに、大規模経営を志向し、土地改良機械施設多額投資を行ってきた農家に対し、まさに未曾有の打撃を与えております。  稲穂が垂れない青立ちのままの水田を背に、一年間の労苦が報われなかった農家方々を前にして、そのやり場のない憤りと無念さが、我々の胸にひしひしと伝わってまいりました。被災された農家方々からは、自家飯米や来年の種もみ確保にも事欠くという窮状について切々たる訴えがありました。  次に、畑作についてでありますが、特に豆類については、生育遅れ着爽数低下等により作柄が著しく悪化しております。  今回調査いたしました十勝地方は、道における代表的な畑作地帯でありますが、その被害激甚を極め、作況指数は、大豆で二五、小豆で四一、菜豆で六九となっております。このため、一部の地域ではほとんど収量が見込めないとの判断のもとに廃耕処理がされ、秋まき小麦作付に取りかかっている圃場もあり、また、収穫が終わっていない圃場においても、今後霜害を受ければ収穫が皆無になるのではないかとする説明を受けました。  この他、てん菜、バレイショも小粒傾向となっており、収量の著しい低下が避けられない状況となっております。  私どもが訪れた農家では、大豆等豆類収穫がほとんど期待できず、一千万円程度減収となることが見込まれるとの説明を受けました。  以上が調査概要でありますが、こういった厳しい状況下にあっても、訪れました各地域では、関係者が一丸となって、被害拡大を食いとめるべく懸命な努力を続けておられ、特に、被災農家方々が、この大冷害にもひるむことなく、重要な国民食糧供給者としての自覚のもとに、明日への営農に力強く取り組まれておられる姿に接し、強く心を打たれるものがありました。  今、ここで国が求められているものは、こうした被災農家営農意欲を減退させることなく、安心して再生産に取り組むことができる救済措置を的確かつ迅速に実施することであり、我々調査団も、国政に携わる一員として、その責任を痛切に感じた次第であります。  以下、今回の調査に当たり、道当局を初め、市町村農業団体から寄せられました要望事項について、整理して申し上げます。  第一は、天災融資法適用激甚災害の指定についてであり、その早期発動に対する強い要請を受けました。  第二は、自作農維持資金特例貸付限度額設定資金枠確保についてであります。  第三は、既借入制度資金償還条件緩和についてであります。被災農家の多くは、土地改良負担金や、機械投資等に係る多額の借り入れをしているのが実情であり、償還猶予措置についての強い要請を受けました。  第四は、農業共済金年内早期支払い品質低下共済減収とみなす損害評価特例措置についてであります。  第五は、再生産用種子確保に対する助成措置についてであります。  第六は、米の特例規格設定並びに他用途利用米の特例的な減免措置実施についてであります。  この他、米の予約概算金返納に係る利子補給減免措置被災農家就労促進等に資する公共事業費の枠の確保被災農家に対する各種税負担減免措置等についても、それぞれ強い要請を受けました。  我々は、こうした要請は、そのいずれもが早急に取り組む必要がある冷害対策基本的事項であると受けとめ、その実現に向け最大限の努力を傾注することを約束してまいりました。  政府は、去る九月三十日、冷害対策に関する関係閣僚会合を開き、八項目にわたる基本対策を示したところでありますが、今後さらにきめ細かな対策を加え、これが迅速かつ的確に実施されるよう強く希望するものであります。  また、北海道においては、農業が重要な基幹産業であり、冷害による打撃は、農家のみならず、地域全体の経済活動に大きな影響を及ぼしております。こうした点にも十分配慮した幅広い財政、税制上の措置を講ずる必要があることをつけ加えておきます。  最後に、今回の冷害対策等に関連する基本的な事項について簡単に触れておきます。  第一点は、米の緊急輸入関係する問題であります。  政府は、今回の冷害等に伴う米需給の逼迫に対処し、加工米等緊急輸入を準備すると表明しておりますが、現地関係者からは、これがウルグアイ・ラウンド農業交渉における例外なき関税化に道を開くことにならないかとする強い懸念が表明されました。  これに対し、我々調査団は、今回の輸入は、あくまでも、国民食糧を安定的に供給するための食管制度に基づく緊急的な措置であり、ウルグアイ・ラウンドとは別次元の問題として対処すべきものであること、また、今後こうした事態が再び起こることがないよう、備蓄の拡充など米の国内自給体制整備に万全を期すべきであるとする発言を行ってまいりました。  第二点は、減反緩和関係する問題であります。  政府は、来年以降の減反面積緩和を打ち出しておりますが、関係者からは、一たん畑作等に転換した圃場水田に復元するには、基盤整備等多額経費を必要とすること、加えて安定的な営農体系確立に大きな支障を生ずること等から、その実施には相当な困難を伴う旨の説明があり、国に対し、復円関連対策助成経費拡充を図るとともに、緩和面積を当分の間固定すること等についての強い要請を受けました。  以上、北海道における調査結果の概要を申し述べましたが、政府においては、今次の冷害特異性を十分考慮し、被災農家が明日への希望をつなぐことができる手厚い措置を迅速に講ぜられんことを切に要望し、報告を終わります。  以上であります。
  4. 竹内猛

  5. 二田孝治

    二田委員 第二班の派遣委員を代表して、私から調査結果を御報告を申し上げます。  第二班は、竹内猛委員長を団長に、久間章生理事松岡利勝委員御法川英文委員、七条明委員遠藤登委員田名部匡省委員と私の八名に、現地から、畠山健治郎議員竹内黎議員今村修議員志賀節議員玉沢徳一郎議員鈴木俊一議員中村力議員の参加を得て調査団を構成し、去る十月五日から七日までの三日間、秋田青森岩手の三県において、異常低温等による農作物減収等実情調査を行ってまいりました。  まず、第一日の十月五日には、空路秋田県に入り、東北農政局から管内被害状況説明を、次いで秋田県当局から県下被害状況説明を受け、その後、県北上小阿仁村、鹿角市で現地調査を行いました。  最初に、県当局から説明を聴取いたしました概要を申し上げます。  まず、秋田県下気象経過を見ますと、田植え以降は、例年より十二日も早い梅雨入りとなり、戦後最低気温と深刻な日照不足推移いたしました。このため、出穂は大幅に遅れいもち病も全県的な発生を見たほか、不稔や登熟不良など、九月十五日現在の作況指数は「著しい不良」の八三となったのであります。これは、作柄調査を始めて以来最抵の指数であり、地域的には、特に、県北山間地域が厳しい事態となっております。  次に、現地調査に参りました市町村での被害状況について申し上げます。  北秋田地域上小阿仁村は、秋田県の優良品種であるあきたこまちキヨニシキ等作付しております。同村は、標高六十メートルから百メートルに位置しておりますが、日照不足低温に加え、山から流れる冷水により、障害不稔の発生、登熟不良、種いもち病発生等これまでに類を見ない状況となっております。  次に、鹿角市でありますが、同市はやませの影響が強く、山間地域に位置することもあり、出穂例年に比べ二週間も遅れ、また障害型不稔の発生も見られるなど、被害は七一%にも達し、県北の小坂町に至っては収穫皆無とのことで、稲作農家に深刻な打撃を与えている現状を見てまいりました。  第二日目の十月六日には、青森県庁において、県下被害状況説明を受け、十和田市の県農業試験場藤坂支場三沢市の淋代地区を視察いたしました。その後、陸路岩手県に入り、岩手県庁において、県下被害状況説明を受けました。  最初に、青森県当局から説明を聴取いたしました概要を申し上げます。  青森県においても、低温日照不足により出穂は平年に比べて十五日遅れ出穂後も開花結実しないという障害発生しているとのことであります。九月十五日現在の作況指数は、三二と全国で最も低く、昭和に入って以来、最悪状態となっております。  地帯別には、津軽が四九、青森が一八、南部、下北がいずれも四と、太平洋側が殊にひどく、被害額は、約七百八十億円と見込まれるとのことであります。また、大豆、長芋、トマト等地の作物についても、かなりの減収が懸念されているとのことであります。  農業試験場藤坂支場耐冷性品種育成のメッカとも言われておりますが、同試験場においては、本年の気象経過推移及び水稲生育状況についての説明を受けました。  七月中旬からの厳しい低温日照不足は実に三十七日間も続き、やませの日もかなり多く、八月上旬の気温昭和十一年の気象観測以来最も低いとのことであります。このため、稲の丈は平年より十四センチも短く、試験開始以来の最短の記録であるとのことであります。また、稲の発育伸長期最低気温十七度以下の日が続いたため、むつほまれ、キタオウなどいずれの耐冷性品種も不稔発生率は平年より大幅に高くなっているとの説明を受けました。  さらに、品種系統別の不稔発生程度についての説明を受け、その実態をつぶさに視察いたしました。  次に、三沢市の淋代地区でありますが、ここは、作況指数四のところであります。主として耐冷品種のむつほまれを栽培しておりましたが、手に取った稲穂は空の状態で、我々も言いようのない無念さを感じたのであります。  岩手県庁においては、県下気象経過地域別出穂状況推移、不稔の発生状況等についての説明を受けました。  本年の水稲の特徴としては、各品種とも草丈が短く、出穂も十四日から十七日の遅れとなっており、八月末になっても出穂しない地域も一割以上見られ、各地不穏率は五〇%から一〇〇%にもなっているとのことであります。  このような状況から、九月十五日現在の同県における作況指数は、四二となっており、推計被害額は、水稲を中心に八百五十一億円と、昭和五十五年の六百八十二億円をはるかに超えるものとなっております。  なお、来年の種もみ確保が懸念される中で、県当局田植え時期に間に合うよう、耐冷性品種であるいわて三四号を沖縄において栽培するとのことであります。  第三日は、県北の、玉山村、岩手町、西根町、松尾村を視察いたしました。  北上川上流に位置するこれら四町村は、いずれも、たかねみのり、あきたこまちを主として栽培しておりますが、県北の中では稲の生育条件の良い地域であるにもかかわらず、作況指数三六と厳しい状況となっております。  以上が現地調査概要であります。  訪れた先々で被災農家方々は、我々調査団の手を握りしめ、速やかな対策を講ずるよう切々と訴えられました。我々一同は、国会議員の立場から、今回の被害に対する迅速かつ的確な対策に万全の努力を傾注する旨約束するとともに、農家方々には、これにくじけることなく、今後の農業経営維持のため努力を続けられるよう心から激励をしてまいりました。  続いて、各県、並びに地元から出されました各種要望のうち、主要なものを取りまとめて申し上げます。  第一点は、資金対策についてであります。速やかに天災融資法早期発動及び激甚災害法適用を行うよう強い要望がありました。また、天災資金の利率について、特段の措置を講ずるよう求められました。さらに、自作農維持資金の融資枠の拡大貸付限度額の引き上げ、既借入資金償還条件緩和土地改良事業負担金償還猶予についても要望がありました。  第二点は、農業共済についてであります。  すなわち、損害評価を迅速に行い、共済金早期に支払うこと、また、品質低下共済減収と見る損害評価特例措置について特段の配慮をするよう求められました。  第三点は、被災農家生活安定対策についてであります。  我が国最大穀倉地帯である東北地方も、地域によっては飯米すら確保できないような状態にあります。農家に対する米穀の供給確保について十分な対応を強く求められました。また、米の予約概算金返納に伴う利子減免措置を講ずるよう要請がありました。  第四点は、我々が視察いたしましなどの農家も、種もみ確保も困難で、来年の作付も危ぶまれる状態となっているとのことであります。次期作付用種子確保に万全を期するよう強い要請を受けました。  第五点は、減反緩和についてであります。来年に向けての水稲作復帰準備等を考慮して、転作面積緩和を早急に決定するよう、また、これに関連して復円に対する助成拡充するよう強く求められました。第六点は、救農土木事業等雇用拡大措置であります。被災農家に対する救農土木事業の着手はもとより、就労のあっせんなどきめ細かい措置を講ずる よう要請がありました。  最後に、冷害に伴う米の緊急輸入についてであります。  政府は、九月三十日、二十万トンの米の緊急輸入を決定いたしましたが、これはあくまでも異常気象に起因する不作に対処し、主要食糧を安定的に供給するという緊急特例的な最小限の措置であるべきで、今後とも米の国内自給方針を堅持し、万全を期するよう強く要請されました。  このほか、収穫皆無作田稲わら有効利用に対する助成措置、米の不正規流通防止の実効ある体制確立等種々要望がありました。  以上、時間の関係上十分に意を尽くせぬ点もありましたが、第二班の東北三県における異常低温による農作物減収等実情調査と、視察した先々で受けた要望について、その概要を御報告申し上げました。  私は、今、あの宮沢賢治の「寒イ夏ニハオロオロ歩キ」との詩の一節を思い出しました。同じみちのくに生まれ育った彼の人の心情は、よく理解できるところであります。政府も、この一節をいま一度かみしめ、去る九月三十日提示の八項目対策にとどまることなく、さらに、万全の対策を講ずるよう強く要望する次第であります。  最後に、今回の調査に当たり、御協力をいただきました県当局を初め、現地皆様方に対し心から感謝を申し上げ、第二班の調査報告といたします。  どうもありがとうございました。
  6. 竹内猛

  7. 錦織淳

    錦織委員 それでは、第三班の調査結果の概要を御報告申し上げます。  本班は、去る十月六日から八日までの三日間にわたり宮崎県及び鹿児島県に参り、集中豪雨等による農林漁業被害実情調査してまいりました。  派遣委員は、私のほか、前島秀行理事菊池福治郎委員岸本光造委員栗原裕康委員中谷委員浜田靖委員田中恒利委員白沢三郎委員倉田栄喜委員及び初村謙一郎委員の十一名でありますが、現地において、宮崎県では堀之内久男議員及び持永和見議員鹿児島県では松下忠洋委員及び宮路和明議員が参加されました。  全国的な異常気象が続く中で、南九州は、六月の入梅以来、同月中旬から七月上旬、七月三十一日から八月二日、また、八月五日から六日にかけて、相次いで記録的な集中豪雨に襲われました。さらに追い打ちをかけるように、七月二十六日から二十七日には台風五号、八月八日から十日には台風七号、九月二日から四日には、戦後最大級といわれた台風十三号が襲来し、水害に弱いシラス、ボラなどの火山灰土壌から成る南九州全域に極めて大きな被害をもたらしたのであります。  百二十名にも及ぶ尊い命が奪われました。また、多数の方々が重軽傷を負われたほか、家屋の倒壊、流出などによって貴重な財産も失われました。  農業関係では、水稲の冠水、倒伏などの農作物被害水田流出、埋没などの農地被害、さらにはビニールハウスや畜舎の崩壊などの農業用施設被害が多発し、林業関係でも、立木が強風になぎ倒され、林地が豪雨に耐え切れず立木もろとも崩壊するなど、近年にない規模被害が広範に生じております。また水産関係では、漁港施設の決壊を初め、養殖などの漁業用施設漁船等被害が生じました。  これらの一連の災害による農林水産関係被害総額は、各県の試算によりますと、宮崎県においては七百五十二億円、鹿児島県では、実に千百三十九億円の多額に上るとのことであります。  次に、調査をいたしました被災各地の概況を順を追って御報告申し上げます。  まず第一日目の十月六日には、宮崎県庁において、一連の災害による被害状況等について総括的な説明を受けた後、知事等からの要望を聴取し、直ちに被災現場の調査に出向きました。  最初調査いたしました国富日本庄は、水稲地帯であります。富崎県全体の九月十五日現在の作況指数は、早期水稲、普通期水稲とも「著しい不良」の八五でありますが、国富町の早期水稲は、たび重なる集中豪雨台風によって多くの圃場で倒伏し、被災面積は作付面積の約六割にも達しております。また、普通期水稲につきましても、台風十三号やその直後の異常な乾燥により、不稔、もみずれ、白穂が発生し、作付面積の約八割が被害を受けるものと予想されているところであります。  続いて調査いたしました高崎町東霧島地区では、七月三十一日から八月二日にかけての豪雨により、国有林地の山腹が崩壊し、土石流となって、二・八ヘクタールもの水田を埋没させ、その土砂の厚さは二メートルにも達しているとのことであります。  また、都城市横市町でも、同日、横市川が増水し、加治屋頭首工が流失いたしました。この頭首工は、百三十二ヘクタールの水田、五百二十戸の農家が長年にわたって受益してきたものであります。早期復旧が望まれるところであります。  翌十月七日には、鹿児島県に入り、まず志布志町夏井の台風十三号による森林の風倒等の被災地に向かいました。あいにくの雨と霧のため、被害実情を視察することはできなかったのではありますが、杉、ヒノキが一面になぎ倒されている写真や現場に至るまでの山林の様子等からも被害の大きさがうかがわれたのであります。被害木については、一部利用できるものは搬出し、また、その跡地にはケヤキ、カシ等の広葉樹を植栽する計画であるとのことであります。  次いで財部町北俣に参りました。被災現場は、両側に山林が迫る谷間でありましたが、一連の豪雨等により山腹から流れ出した土砂は、稲もろとも水田を跡形もなく埋め尽くしておりました。その現場を見て、農業をもうやめたいという農家があるとの説明に、励ましの言葉をかけることさえためらわれたのであります。  その後、姶良町の九州自動車道桜島サービスエリアの林地崩壊の現場を視察した後、鹿児島県庁に向かいました。  鹿児島県庁におきましては、被災の概況について説明を聴取し、知事等からの要望を受けました後、日も暮れつつありましたが、引き続き被災現場の調査に向かったのであります。  参りました被災地は、吉田町西佐多浦でありますが、ここでは相次ぐ災害によって、五人が死亡し、十四人が負傷しました。このほか、家屋、道路等の公共施設も甚大な被害をこうむり、災害の爪跡はいまだ深く刻まれたままでありました。町全域に広がる林地の崩壊、農地、農業施設の埋没、流失などの被害も極めて大きく、被害総額は町の年間予算の二倍を超えるとの説明を受け、また、国及び県の強力な援助を求める切々たる訴えに、一同、特段の救済措置が必要であることを実感してまいりました。  最終日の十月八日には、南薩地方を調査いたしました。  まず、加世田市津貫では、台風十三号がもたらした集中豪雨により、樹園地及び水田が崩壊しておりました。また、強風も加わり、町内至るところに被災の跡が残されており、次に調査しました川辺町小野地区では、山腹崩壊に伴う土石流が住宅などを押し流し、九人が死亡、二十人が負傷し、同町の被害額は農林関係だけでも二十六億円を超えるとのことでありました。  最後調査地であります知覧町では、九月三日の十五時から十六時の一時間に百二十六・五ミリメートルもの驚異的な雨が記録され、十五時三十一分には、秒速五十四・三メートルの強風が吹き荒れました。そのような中で厚地地区内の林地が崩壊し、一人が死亡、家屋や農地が土砂の下敷きとなりました。同町でも各所に被害が出ており、農林関係被害は総額十三億円に及ぶとの説明でありました。  以上、調査概要について御報告申し上げましたが、今回の調査を通じ、現地皆様方から数多くの要望を承っております。以下、主要なものを 申し上げます。  まず第一に、いずれの調査地でも強く要望されましたことは、激甚災害法適用でございます。今回のように被害の範囲が広範かつ深刻な場合には、復旧費用の被災者負担が大幅に軽減される激甚災害法適用は不可欠であります。既に五月二十七日から八月十一日までの豪雨台風被害につきましては、激甚災害法適用が決定されたところでありますが、その後の災害に対しても早期適用し、円滑な復旧を図る必要があると考えております。  第二に、復旧工事の早期実施であります。災害査定を円滑に実施し、将来にわたって被害を防止できる恒久的な施設として早急に復旧を図るよう要望がございました。  第三に、金融措置についてであります。天災融資法の発動、融資枠の確保、融資条件の緩和などとともに、自作農維持資金など融資条件等を見直すことについて要望がございました。  第四に、農業共済制度につきまして、共済金早期支払いと損害評価特例措置を講ずること。  第五に、水稲種子確保が困難となっていることから、種子確保対策に特段の配慮を払うこと。  第六に、平成五年産米の集出荷について特段の措置を講ずるとともに、平成六年産米に係る水田農業活性化対策、復田対策強化を図ること。また、規格外米を他用途利用米として取り扱うことなど、各方面からの要望を受けてまいりました。  このほか林業関係では、災害関連緊急治山事業に必要な予算を確保し、次年度以降も同事業実施すること。また、広範囲の風倒や折損被害に対処するため、森林災害早期復旧についても要望がございました。  また、水産関係では、養殖、係留施設被害早期復旧のための予算枠の確保、養殖共済の契約成立要件の緩和、さらに、漁場に漂流、沈下している大量の流木、ごみ等の早期除去などについても要望がありました。  このほか、食管制度の堅持、米の国内自給方針の貫徹、農産物輸入自由化の阻止、米の作柄変動に対応できる在庫、備蓄政策の確立などについても強い要望を受けたのであります。  私ども調査団は、今回の調査を通じ、現在の農林漁業が老齢化、後継者不足など幾多の困難な問題を抱える中にあって、今回の一連の災害を契機として、多くの農家、林家が経営を放棄するのではないかとの危惧を抱いたところであります。私どもはこのような事態を深刻に受けとめ、農林漁業の担い生育成のための対策を一層強化するとともに、それぞれの要望に対しましても、このような事態が生ずることのないよう、国会の立場から可能な限りそのすべてが達成されるようお手伝いをさせていただく旨、現地の皆様にお約束をしてまいりました。  当農林水産委員会におかれましても、私どもの調査結果を踏まえ、政府に対して、強力な対策を講ずるよう督励されることをお願い申し上げます。  最後に、今回の調査に当たり御協力をいただきました県当局を初め、現地皆様方に対し心から感謝を申し上げ、第三班の調査報告といたします。
  8. 竹内猛

    竹内委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。  次に、農作物等被害状況及びその対策等について政府より説明を聴取いたします。農林水産省上野官房長
  9. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 本年は異常気象等によりまして災害が多発いたしておりますが、その主な農林水産関係被害状況について、まず御説明を申し上げます。  七月十二日に北海道南西沖で地震が発生いたしまして、北海道南西部を中心に地震、津波、液状化現象等による漁港、漁船、林地、農地、農業施設等に約七百九十億円の被害発生をいたしております。また、梅雨入り以降、梅雨前線豪雨及び八月豪雨等により、九州及び中国、四国などにおいて農作物、農地、農業施設、林地等に約四千四百億円の被害発生しております。続く九月上旬の大型で非常に強い台風第十三号によりまして、九州、中国、四国を中心に、農作物、農地、農業施設、林地等に約二千億円の被害発生しております。  次に、冷害による被害状況につきまして、稲作を中心に御説明申し上げます。  本年の夏の天候でございますが、ほぼ全国的に顕著な低温日照不足推移しました。特に北海道及び東北での稲の低温危険期である七月下旬から八月上旬の平均気温は、戦後、作況指数が九〇を下回った昭和二十八年、五十五年よりも低いものとなっており、また六月から八月の日照時間は東北から九州にかけて平年の八〇%以下となり、山陰、北陸、北関東では平年の六〇%を下回るものとなりました。  このような天候の影響を受け、農作物作柄に大きな影響が出ております。特に水稲については、北海道東北を中心とする障害不稔や全国的ないもち病の多発などから、九月十五日現在の全国の作況指数は八〇となっており、今月末には十月十五日現在の作況結果が判明いたしますが、水稲作柄は戦後最低となることが避けられない状況となっております。  このような被害状況にかんがみまして、農林水産貧に災害対策本部を、九州農政局に豪雨対策本部を、東北、北陸ほか各農政局に冷害対策本部等を設置しましたほか、北海道東北、北陸、九州等の各県に対策本部等が設置され、被害状況の把握及び対策が講じられております。  また、被害の深刻さにかんがみ、総理みずからが鹿児島県、福島県を、農林水産大臣北海道鹿児島県及び秋田県を、両農林水産政務次官が東北北海道、北陸等を現地視察したところであります。このほか、数次にわたり担当官を被災地に派遣し、被害状況の詳細把握等、対応措置の指導等を行ったところであります。  これらの災害による被害に対し講じた対策及び今後講じようとしている対策につきまして、御説明を申し上げます。  まず、北海道南西沖地震被害については、九月十日に天災融資法を発動するとともに、激甚災害法適用し、経営資金や共同利用小型漁船の建造費に対する助成措置等を講じたところであります。また、漁港、林地荒廃、農地、農業施設等の被害に関し応急措置を行うとともに、災害査定を行い、早期復旧に努めております。  梅雨前線豪雨及び八月豪雨被害につきましては、十月十四日に激甚災害法適用し、農地、農業施設、林道及び農林水産業共同利用施設災害復旧事業に係る補助率のかさ上げ措置を講じたところであります。また、農地、農業施設、林地荒廃等に関し応急工事を行うとともに、災害査定を順次行い、早期復旧に努めております。  台風第十三号被害につきましては、農地、農業施設、林道及び農林水産業共同利用施設災害復旧等に係る補助率のかさ上げ措置並びに森林災害復旧事業実施に係る激甚災害法適用について準備を進めております。また、農地、農業施設、林地荒廃等に関し応急工事を行うとともに、災害査定を順次行い、早期復旧に努めております。  冷害につきましては、七月下旬以降数次にわたり技術指導について通達を発出し、被害防止に努めてまいりましたほか、既借入制度資金償還条件緩和農業共済損害評価の適切な実施早期支払い、農業被害等に係る課税上の取り扱い、来年度種子確保、越冬用粗飼料確保、他用途利用米出荷の減免、飯米加工対策被災農家就労対策等について、既に指導ないし措置しているところであります。  また、九月三十日の冷害対策等に関する関係閣僚の会合におきまして、一、共済金早期かつ円滑な支払い。二、天災融資法激甚災害法早期発動自作農維持資金特例措置等を通じた被災農家の緊急資金需要への対応。三、被害実情に応じた課税上の対応。四、米の予約概算金の利息の減免措置。五、来年度種子確保。六、被災地 域における公共事業等の推進を通じた就業機会の確保。七、被災農家に対する円滑な就労あっせん。八、その他被災農家、被災地域に対する支援措置の八項目について、その円滑な推進に向けて、財源の確保も含め、特段の配慮を払っていくよう農林水産大臣より関係閣僚に御協力をお願いしたところであります。  本対策につきましては、関係省庁の御協力もいただきながら、逐次その具体化を図っているほか、補正予算に関連する事項等について早期に的確な対策が講じられるよう最大限の努力をしているところでございます。  なお、天災融資法の発動等につきましては、冷害被害と梅雨前線及び八月豪雨被害並びに台風第十三号被害等あわせて資金需要を確定し、同時に実施する方向で準備を進めております。  次に、米の需給安定につきましては、本年産米の著しい作柄不良に起因する厳しい需給環境のもとでも国民主要食糧を安定的に供給するという食糧管理制度の基本的役割を十分に踏まえ、現在、行政と生産集荷団体とが一体となって集荷の促進に全力を挙げて取り組むとともに、自主流通米と政府米とが一体となった適切な需給操作を行うこととしているところであります。  さらに、他用途利用米について、災害に配慮した特例的作況調整を講じたこと等から、年末年始に向けて需給に問題がある米菓、もち等の加工用米について二十万トンの緊急特例の輸入を行うこととしました。  また、来年度以降の水田への活性化対策につきましては、計画的な在庫積み増しを図るため、転作面積緩和する方向で検討しておりますが、意欲ある生産者に稲作を担ってもらうよう工夫をし、十月末までに結論を得ることとしております。  このほか、米の適正な供給の確保と便乗値上げの防止を図るため、食糧事務所及び都道府県等を通じて米の販売価格の調査や米穀販売業者に対する巡回指導の実施等の措置を講じております。  今後とも、食糧管理制度のもとで国民に対する主要食糧の安定供給に万全を期していく所存であります。  最後に、ウルグアイ・ラウンド農業交渉に関しまして申し上げます。  今回の米の輸入は、あくまでも予想を超えた異常気象に起因する作柄不良に対処し、主要食糧を安定的に供給するという食糧管理制度の基本的役割を果たすための緊急特例的な措置であり、現在、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉において議論されている貿易ルールの問題とは全く次元を異にするものであります。  米については、その重要性にかんがみ、今後とも国内産で自給するという基本方針のもとで対処していくこととしております。  なお、新聞等に日米間で米の市場開放につき合意された旨の報道がされておりますが、そのような事実は一切なく、我が国としては、包括的関税化は受け入れられないという従来からの方針で交渉を行っているところでございます。  以上で、報告を終わらせていただきます。
  10. 竹内猛

    竹内委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————
  11. 竹内猛

    竹内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柳沢伯夫君
  12. 柳沢伯夫

    柳沢委員 本日の質疑は、ただいま派遣団委員の先生方、それからまた官房長の方からも報告がございました冷災害による農作物被害状況及びこれに対する対策がテーマということでございますけれども、その前に一つ、先週末に起きましたロシアによる放射性廃棄物の海洋投棄の問題が大変世上をにぎわせ、国民に不安を与えているというような面がございます。海洋でございますから、これは当然当委員会の所管である水産物への影響いかんというようなことで、これは我々としても重大な関心事でございますので、この冷災害の問題に入る前に、二、三、関係当局に質疑をして、事態を明確にしておきたい、このように考えておる次第であります。  この事件の概要は既にマスコミ等で大きく、また詳しく報道されておりますので、ここで触れることをいたしませんが、皆さん御存じの事案でございます。  そこで、私はまず、外務省当局だと思いますが、このロシア極東海軍に所属する海洋投棄専用船による放射性廃棄物の海洋投棄という事実が、これまで積み上げられてきた国際的な取り決めとの関連におきましてどういうものであるか、許容されるものであるのか、あるいはそうした取り決めに違反する事案であるのかということについて、ここで明確にしておきたい、このように考えるわけであります。  我々、既によくいろいろなメディアを通じまして、こういった事案については一般的な条約としてロンドンで締結されたいわゆるロンドン条約というものがあって、このロンドン条約上は、今回問題になった、またロシア当局がそうしたものだとして主張しておる低レベルの放射性の廃棄物についても規定がありまして、これは個別許可の制度に服しておる、こういうことが伝えられておるわけであります。加えて、その後においていろいろな国からの提案で決議が行われておって、この低レベルの放射性廃棄物については一時停止の決議が行われておるということを聞くわけでございますが、このような個別許可制度及び一時停止の制度に照らして今回の事案は一体どういうことになるのか。聞くところによるとこの辺が非常にあいまいなのでございますけれども、この一時停止の決議にロシアは棄権をしておるのではないかというようなことで、ロシアは、我々は二〇一八年まで低レベルのものについては海上投棄の権利を持っているんだというような主張も新聞紙上で伝えられております。それからまた、この一時停止の決議については、法的拘束力がないんだからこれはどうしようもないんだということも言われておる。  それで、私は、この個別許可制度と一時停止の決議の関係もまずよくわからない。仮に一時停止の決議にロシアが何らかの従前にとった措置によって拘束されない、こういうようなものであったとしても条約本文上にある個別許可の制度というものには服しているのかどうか。しかも、この個別許可の制度というのはだれが許可をするんだということについても外務省からいただいた資料文書においては必ずしも明確でないのでございます。これらの点についてまず明確にしていただきたい。この問題は、私はそう時間をとるつもりはないのです。たかだか十五分くらいで終わりたいと思いますので、端的に明確に答えていただきたいと思います。
  13. 天野之弥

    ○天野説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、ロンドン条約におきましては、高レベル廃棄物と低レベル廃棄物を明確に区別しております。高レベル廃棄物につきましては海洋投棄は禁止されておりますが、低レベル廃棄物につきましては海洋投棄自体は禁止されておりません。特別許可に服するということになっておりますが、条約上この特別許可というのは、その国の権限のある当局でございます。ここははっきりさせておきたいのでございますけれども、例えば国際海事機構とかそういうところではございませんで、その国の当局というのがこの条約の立て方でございます。  次に、いわゆるモラトリアムとの関係でございますけれども、一九八〇年代に入りまして、一九八三年及び八五年にいわゆるモラトリアムの決議がございました。ロシアがこれに棄権しておるというのも御指摘のとおりでございます。しかし、ロシアを除くすべての国がモラトリアムに基づきまして海洋投棄を行っていないという現実がございます。私どもといたしましては、このような中でロシアが海洋投棄を行ったことにつきましては、この決議に反すると考えております。
  14. 柳沢伯夫

    柳沢委員 棄権をした決議であっても決議として成立したものであればこれに服さなければならない、これが外務省当局の見解かと承りましたけれども、間違いでなければそのままお答えは要り ません。  そこで次の問題は、この問題はIAEAもかかわりがあって、IAEAはこの投棄の方法について一定の勧告をしておるということも聞いております。例えば、深海への投棄でなければならないとか、あるいは海流の関係を配慮しなければならない、あるいは陸地との関係を配慮しなければならない。これは当然のことでありましょうけれども、今回の投棄は、伝えられているところによると、ドラム缶等におもりをつけて深海に投棄したということではなくて、何か垂れ流し方式というか、液体であったということもその背景にあるようです。そういった方式であったということですけれども、このやり方は、IAEAの勧告するところとはどのような関係に立つものでしょうか。
  15. 天野之弥

    ○天野説明員 お答えいたします。  この低レベル廃棄物の海洋投棄につきましても、先生御指摘のとおりいろいろなルールがございます。北緯五十度、南緯五十度の間でなければならないとか、一定の深さ以上でなければならないとか、陸地からあるいは大陸棚から一定の距離以上離れていなければならないとか、いろいろございます。  それでは、いわゆる今回の投棄のやり方ですけれども、記者会見の模様によりますと、船内のタンクにためておりましたものを、パイプを開きまして約二キロメートルの間にわたりましていわゆる垂れ流し、水の中に投棄したと言われております。これが違反になるかどうかでございますけれども、いわゆる深さの制限につきましては、これは、ドラム缶に入れまして沈めるときには一定の深さ以上でなければならないということであると承知しております。したがいまして、パイプから垂れ流したから違反になるかどうかという点は、必ずしも一概には違反とは言えないのではないかと考えております。
  16. 柳沢伯夫

    柳沢委員 それはそういうことで聞きおくことにいたします。  それから、先般の日ロ首脳会議、細川・エリツィン会談においてこの放射性廃棄物の海上投棄の問題が話し合われたことは、東京宣言上も明白でありますけれども、一体何をどう話したのかということもこの際明らかにしていただきたい、このように思います。共同調査の件はどういう話し合いだったのでしょうか。これが第一点。  第二点は、東京宣言で、環境に与える影響の見地から深刻な懸念云々ということで、深刻な懸念があることが確認されたということになっておるのですが、この文言のねらいとするところは一体何なんでしょうか。つまり、細川総理がその後の新聞記者会見で発言しておられるように、自分は停止を提案したんだけれども、それに対してエリツィン・ロシア大統領側が答えなかった。そのいわば停止の代替としてこの懸念を確認し合うというようなことであったのかどうか。その辺が今回の事件との関係で明らかでないわけでありますが、この点についての御説明をお願いしたい。  それから加えて、そろそろきょうあたりの新聞でこの間の事情が明らかになっているのですが、そもそも我が国は、一時停止というか、スペイン等の出した、とにかく低レベルのものであっても海上投棄を停止する、禁止する、こういうようなことについての決議に我が国も棄権しているのですね。つまり、我が国は基本的なこの問題についての姿勢というものについて、海上投棄の権利を我が国自身が保持し続けようというのが基本的な国策というように伝えられてもおるわけでございますけれども、そういうことを国際会議場裏で一方で主張しながら、他方でこの東京宣言でこういったようなことをうたうというのは、その関連がよくわからない。ダブルスタンダードではないか。国際政治あるいは外交上最もこれは回避しなければならない二重基準で我々が事を処理しようとしているのではないか。そして、そのことがひいては、現在のこの問題に対する政府当局者の発言が非常にあいまいなんですね、そのことにもあらわれ、そしてそのあいまいさが国民に大変無用な、私に言わせれば無用な不安を与えている。例えば、そういう態度を日本がとっておって、我が国自身も海上投棄についての権利を、中曽根さんが近隣諸国に配意して事実上今これは遠慮しているのですが、基本的国策としては、核というか放射性廃棄物の処理方法の一つとして海上投棄というものの権利を今後とも保持していこうというようなことであるとすると、しかもロシアの態度が今まで伝えられておるように我々とほぼ同じような少なくとも法的な態度をとっているということであれば、細川さん、抗議することになろうとか、武村さん、極めて遺憾とか、江田さん、大変遺憾、即時停止を求めるといったような、そういった反応というのは、そしてそれをとどめる方法は当然国際法上も何もないわけですね、我々は持ってない。そういうようなことを言って、方法はありませんというようなことをすることが本当に国民に対して、この問題について日本国民というのは非常に過敏なわけでありますが、そういう過敏な国民感情に本当に適合したような態度と言えるのでしょうか、大変疑問に思う。答えていただきたいと思います。
  17. 天野之弥

    ○天野説明員 お答えいたします。  ただいま先生御質問の点、二点あったかと思いますが、初めに首脳会談の関連につきましてお答えいたします。  今回の首脳会談におきましては、要点を申しますと、一つは、直ちに放射性廃棄物の海洋投棄を中止することを求めるというのが一点でございます。もう一点は、過去に行いました、現在までに行われておりますロシア、旧ソ連によります放射性廃棄物の投棄に関しまして共同の合同調査を、できれば年内、遅くとも来年早々には行いたいということでございます。  この点に関しまして、先生御指摘のとおり、即時中止につきましては、エリツィン大統領の方から特別の回答がございませんでした。補足いたしますが、工リツィン・細川会談ではございませんけれども、従来からロシアは、固体廃棄物については現在投棄を中止している、液体廃棄物についても投棄を中止したいけれどもその状況が整っていないということを言っておるわけでございます。共同調査につきましては、細川総理大臣の提案につきまして全面的に賛成するという回答がございました。したがいまして、現在、十一月の上旬に開かれる予定になっております合同作業部会におきまして、この共同調査を促進したいと考えております。  二番目の御質問でございますが、いわゆるモラトリアムにつきまして、ロシアも棄権しておるしまた日本も棄権しておるということは御指摘のとおりでございます。ただ、あえて一点違う点を申しますと、日本はロンドン条約の成立以降一回も海洋投棄を行っておりませんし、またモラトリアムの成立以降ももちろん海洋投棄は行っておりません。その点、法律的な点は別にいたしまして、事実の問題といたしましては違いがあるかと思います。  申し忘れましたけれども、環境に関する懸念を重視するということと、それから海洋投棄の中止について何も回答がなかったということを取引したというようなことは全くございません。
  18. 柳沢伯夫

    柳沢委員 質問に答えてないのですよ。ダブルスタンダードでしょうと言っているわけです。つまり、この条約なりモラトリアムの決議なりが審議されているときは、日本は海上投棄の権利を今後とも維持したいということを主張しておる、態度にあらわしておる。それに対して東京宣言では、環境的な配慮から、大変な、深刻な懸念があるということを確認する。これは私に言わせれば、こういうことを確認し合ったのならば、この確認に基づいてお互いに両国は遠慮し合いましょうよ、お互いに合意して法的な停止をしておこうということまではいかぬけれども、事実上お互いにそういうことを確認したのなら、その確認条項を尊重して廃棄を控えていこうよ、こういうことを言っているのだろうと思うのですね。だから、一般的な国際条約あるいは決議に対しての日本国政府、外務省の態度とこの日ロの関係における共 同宣言にあらわれたような態度は、二重基準と言われて仕方がないのじゃないでしょうか。私はそのこと自体大変な問題だと思うのだけれども、そのことが、今日政府当局者が言っていることが大混乱している。武村官房長官、きょうの新聞見ると、ロンドン条約違反だ。今の話では、ちゃんと自分の国の許可を求めてやっているわけだから何も違反していないじゃないですか、ロンドン条約には。  この問題について国民は非常に敏感なのですから、物事を整理して、明確に政府としての統一的、一貫した態度を打ち出さないことには不安はどんどん増幅していきますよ。いかがでしょうか。
  19. 天野之弥

    ○天野説明員 ロンドン条約に違反しているかどうかということは一概には言えませんけれども、モラトリアムには反していると考えております。
  20. 柳沢伯夫

    柳沢委員 こればかりやるわけにいきませんので、お聞きいただいている同僚委員の皆さんも、大変な問題が伏在しているということは御認識いただけたかと思うのであります。  それで、最後に漁獲物の安全性について、これは非常に低レベルで、IAEAでも余り深刻がらないでくれといったような発言もあったやに聞きますけれども、水産庁当局にこの点についても明確な国民へのいわば報告を、説明をしていただきたい、このように思います。
  21. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 ロシアによる放射性廃棄物の海洋投棄問題につきましては、ただいま外務省の方からお話がございましたが、極めて遺憾なことでございまして、外交ルートを通じまして事実確認を行うと同時に厳重な抗議と投棄の即時停止を改めて申し入れた、御承知のとおりでございます。  今回の放射性廃棄物の投棄につきましては、ロシア側の発表した放射能レベルをこれまでの関係各省の調査結果等に照らしてみますと、海産物摂取により我が国国民の健康に対して直ちに影響を及ぼすとは考えにくいというのが専門家筋の一致した見解であるというように認識をしております。  しかしながら、御承知のとおり、日本海は我が国の重要な周辺水域でございますし、漁場としても非常に重要な海域でございまして、引き続きこのような海洋投棄がなされるならば、海産物への影響が懸念されるばかりでなく、ただいま委員御指摘のように、海洋汚染に対する一般国民の不安を来すということが懸念されるわけでございまして、私ども水産庁といたしましては、関係省庁と連絡をとりつつ、早急な海洋調査実施等適切に対処してまいりたい、かように考えているところでございます。
  22. 柳沢伯夫

    柳沢委員 水産庁長官としてはそうした発言が精いっぱいのところだろうと思いまして、これ以上は申しませんが、国民は、特に我が国国民は魚食の国民でもありますので、IAEA等において、海流の関係あるいは大陸棚の関係等々の論議に当たっては、特に日本海は内海ですから、そういうようなことで国民の健康に遺憾のないような主張をし、それが国際的な取り決めになってはっきりして、向こうに遵守を求められる、そういうような体制の構築に水産庁当局努力をしていただきたいということを申し上げておきます。  次に、きょうの本題に入りますけれども、冷災害に関連する問題でございます。  私も実は、自由民主党の災害視察団の一員として、今月の初め宮城、福島両県の生産現場を回ってまいりました。災害実情等については、まさに百年に一度という惨たんたる状況であることは先ほど来の委員会派遣の先生方からの御報告と同様でございます。  そこで、まずいわゆる生産農家対策が、直接的な被災者である生産農家への対策が急がれるわけでありまして、最前官房長から御報告があったように、政府も九月三十日に関係閣僚会議を開いて八項目対策を打ち出された。そしてその実施を急がれておる、これはこれで私も多といたすわけであります。ただ、私はここで、生産現場で口々に訴えられた要望事項を若干御披露して、そして当局の御見解をただしておきたい、このように思います。  第一は、共済の問題です。共済の問題については、共済金早期支払いということが政府対策の中にもありまして、これはこれで大変ありがたいわけでありますが、同時に言われたのは、共済の評価の問題でございました。この評価の問題に関して彼らが言っておったのは、よく実っていない米というかもみについては、脱穀までは米の形状を維持しているというのですね。しかし、精米をしたら粉になってしまうんだ、そういうことなんだけれども、共済の評価というのは、脱穀までもいっていない、むしろその前ぐらいに坪刈りをやって、やられるというようなことである。しかも、伝統的にこれは農作共済、稲作共済の流儀でございますけれども、断然いわば数量の共済であるということがあるわけですが、どうも話に聞いておると、我々が先国会いろいろ論議をしました収入補てん的な共済というような面をこういう評価に当たって加味してもらいたいということが彼らの要望かなと思っておるわけでありまして、御検討をいただきたいということでございます。  それから、第二番目は、天才融資法自作農維持資金災害融資のことも政府で触れられておったわけですが、御案内のような金利水準について何とかならないかということは、もう我々党の部会でも、それから先般若林議員が予算委員会で、何とかこれに風穴をあけたいということで一生懸命論議をしたのですけれども、これはなかなか国のレベルでは、ほかに波及するところが非常に多く、広くなりますので、難しいようなこともわかるわけであります。  現実はどうやっているかというと、地方の県なり市町村なりがこれに利子補給しまして、現実の生産農家の金利負担というものをかなり低くしておるというのがこれまでの例でもあるわけでございます。問題は、そういうようなことでございますから、この際は、百年に一度の災害というようなことを考えたときに、この地方の県あるいは市町村が、もう少しこの利子補給の幅を厚くして何とかこの生産農家要望にこたえてやれないかという問題が一つあります。これが第二でございます。  第三は、先ほど来のどなたかのお話にもありましたように、我々は新農政のもとで、特に稲作農家については大規模化というものを図っておるわけであります。私の持論なんですけれども、これは大規模化すればするほど保険であるとか価格であるとかということに我々が相当な配慮をしていかないと、国の政策にフォローしてきた、ついてきてくれた人たちこそがひどい目に遭ってしまう。こうなれば、だれももう国の提案する施策にこたえてくれなくなりますよということが非常に懸念されるのですね。もちろん生産農家は押しなべて気の毒な状況でありますから、これらについてその的確な施策を打っていかなければならないことは言うまでもないのですが、実はこの大規模農家に対して特に配慮をする必要があるのではないか。  その関係で、私は非常におもしろいことを聞いたのです。要するに、合理化法人を仲介にして、その賃貸借で大規模化している農家があるわけですが、その場合には地主にこういう合理化法人が地代を先払いしているのですね。そのときに、生産農家の方で今度のような大変な不作あるいは凶作、ほとんど収入がないというような状況になっても、彼らはこれは確定債務でありますから支払いをしなければならない。こういうときに何とかしてやりたい、こういうことを合理化法人の当事者たちも言うわけであります。このあたりのことについて、これは生産農家はじかではありませんから、少し工夫をすれば何か手当てができるのではないか、こんなふうにも思いますので、これらについてぜひ農林省当局あるいは自治省の前向きの答弁をお願いいたしたいと思います。
  23. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 私から共済の話と金融の話について答弁をさせていただきます。  御案内のとおり、水稲損害評価でございますが、悉皆調査というものと抜き取り調査、こういうものを組み合わせて現在やっておるわけでございます。御案内のとおりでございますが、組合等がすべての被害圃場につきまして悉皆調査被害のあった耕地をすべて対象にいたしまして、収穫前の時点で耕地ごとに実測をすることは非常に困難でございますので、稲が植わっておる状態で検見というふうな方法で調べるわけでございます。  それからさらに、その検見のほかに抜き取り調査というもの、坪刈りをして脱穀、乾燥、調製をする、そういうふうなことで収穫量を把握するということでございまして、そういう検見のほかに実測の方法によって悉皆調査結果を修正する、こういうふうなことも行って、できるだけ実態に近い実情把握をやっておるところでございます。  それからさらに、品質低下分が反映されないじゃないかということでございますが、これも特例措置というのがございまして、一定のふるい目でふるって、それでもその政府買い入れ対象にならないというものについては、被害粒といいますか、被害を受けた粒を除いて合格すればそれでいいわけでございますが、さらにそれでも合格しないようなものについては、もう少し大き目のふるいでふるってさらに除くということをやって、そういうことを繰り返しまして、最後は搗精試験というものまで行って、搗精歩どまりの低下分も収穫量から減ずるということで、我々といたしましては、できるだけそういう農家の実感に近いようなことになるように努力をしておるわけでございますし、今後ともいろいろと工夫をしてまいりたいと思っておるわけでございます。  さらに、金融の問題につきましては、御指摘のとおり、いろいろと金利のバランスといいますか、そういうふうな問題がございます。そういうふうな問題がございますが、被害が非常に大きいということもございまして、いろいろな金利体系のバランスを見ながら適正に決めていくというふうに答弁をさせていただきたいと思います。
  24. 入澤肇

    ○入澤政府委員 私からは、地代の問題についてお答え申し上げます。  御承知のように、災害により減収になった場合の小作料の取り扱いにつきましては、その小作料が収穫された米の価額の二五%を超える、そういう場合には、農地法第二十四条によりまして、収穫額の二五%まで小作料の減額を賃貸人に請求できるということになっておりまして、九月二十二日付で全国農業会議所から各都道府県にその旨周知徹底させたところでございます。農地保有合理化法人が間に入りまして、農地を借り受けた農業者が災害等により減収となった場合につきましてもこの減額措置適用される。農地保有合理化法人につきましては、出し手農家から農地を借り受ける際に、その小作料の一括前払いを行う、これはたしか五年間無利子で融資をしておりますけれども、国は、その前払いに要する経費につきまして利子助成を行っているわけでございます。農業公社がこのような天災がある場合を想定いたしまして、前払いをする小作料の一部を農地の出し手の理解を得まして公社に積み立てる、リザーブするというふうなこともやっております。  したがいまして、これらの措置で地代の軽減措置に対応したいと思いますけれども、ただいまの御指摘につきましてさらに工夫ができないかどうか、検討してまいりたいと思います。
  25. 柳沢伯夫

    柳沢委員 生産段階ばかりやっているわけにいきませんので次に進みますが、次は、流通の問題でございます。  食糧庁が現在集荷に懸命の努力をしている、それに当たっては、自主流通米、政府米の関係、あるいは他用途米の関係等々の調整をしつつ懸命に集荷をしておるというような御報告もあって、それを大変多としておるわけであります。それからまた、供給に不安がないようにするというのが食管制度のまさに命であるということも、先ほど官房長報告の中にもうたわれておりました。  しかし私は、大臣あるいは食糧庁長官に、厳しいようでありますけれども、今まさにこういうときにこそ、食管制度の存在理由というかそういうものが問われているのですよということを、よくよくこの際、改めて認識をして事に当たっていただきたいということです。  食管制度が本当に国民から、食管制度はありがたいものだ、あるいは、食管制度があるから買いだめなんかしなくたっていいのだ、こういう信頼を寄せられるかどうか、食管制度の将来を考えた場合にまさに分水嶺になっていると私は思っております。この段階にうまくワークしないような食管制度では、もう食管なんかという一般に今までがまんしてきたそういう声を、なかなか我々は説得力を持って否定できないだろうと思っております。そういう意味で、まさに食管制度にとっては正念場の事態だ、このように思っておりますので、抽象的なようでございますけれども、生産農家にも協力を仰ぐ。そこまでは無理ではないかという声も多いことを十分承知していますが、私は、食糧事務所の職員の徳が問われているのだ、そのくらいの気持ちでいてもらいたい。食糧事務所の大量な要員が、結局農家が、だれだれさんがいつもよく来てくれたり回ってきて農協でよく会うから、今やみ米に回した方が高いかもしれないけれども、私はやはりだれだれさんのもとにお米を届けるのだ、こういう関係が築けているかどうかが問われてしまうのですね、こういうときに。私は、そういうことで、ぜひいま一段の督励をお願いしたいと思います。  それからまた、実需者、消費者に、絶対安心させる、むだな買いだめなんてしないというようなことを、この際、もう一度改めてお心がけいただきたい、このように思います。お心づもりというかお心がけというか、決意のほどをこの際承っておきたい。
  26. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま柳沢先生の食管制度に対する、いわば一つの大きな論議のいただける、食管制度なかりせばということをあわせお考えを願いながら、この食管制度の持つ意義、そしてまた与えられておる責任、こういうことを私どもは十二分にかみしめて対応していかなければならない、そしてまた、御指摘がございましたとおり、これは役所側のみならず生産者側の方々の十二分な御理解を得る一つのチャンスとも心得て、私どもは努力をしていかなければならない。  いずれにしましても、食管制度といいますものは、そのときどきの社会情勢に応じました弾力的な運用等々の問題がございますが、今回の事態に照らしましても、食管制度の存在意義といいますものを十二分に御認識を願い、国民各界各層の御理解を得る、そういう努力を続けてまいりたい、かように考えております。
  27. 柳沢伯夫

    柳沢委員 次に、やむを得ず行わなければならない米の輸入の問題でございますけれども、私は、これはなかなか難しい問題だろうと思います。輸入しなければならないということは、もう天下、恐らく世界に明らかになっているわけでありますけれども、この輸入に当たって、私は、輸入調達先の選定から実際輸入米を国内の消費者に販売をするまで、よほどあらゆる段階、あらゆる面にわたって気をつけていかなければいけない、このように思っております。今回の輸入が、先ほど来御議論にもありましたように臨時特例のものである、予想を上回る凶作に起因する臨時特例のものであるということの徹底を調達先にも図っていかなければならないというふうに思いますし、また、なかんずく、まさにただいま大詰めを迎えているUR、ウルグアイ・ラウンド交渉との関連において、いささかなりとも不利益になることのないように、細心の注意を払っていく必要があると私は思っております。  もちろん、輸入米については、消費者のための安全性の確保というものが第一義的に重要なことであることは言うをまたないわけでありますけれども、先ほど来私が申し上げたように、調達の問題から販売の問題に至るまで、買い上げの時期、一カ所から買い上げる数量、品質、価格等々、ありとあらゆる面にわたってかなり戦略的に取り組まないと、今言ったようなところにさわりが出て くるおそれなしとしないと私は恐れております。そういう中で、ちょっと飛び出した大臣発言と伝えられるオーストラリアと契約栽培をするというようなお話は、これはちょっと私ども頭をかしげざるを得ないことであったわけでございまして、そのことについてもこの際御説明を賜っておきたい、このように思うわけでございます。  それからまた、最後に、供給の問題では、これも非常に難しいのです。我々の党の論議の中にも、やはり混米をして、輸入米、国産米をまぜて売って、国産米を余り高くしない方がいいのではないかというような意見もあるし、また、国産米というもののありがたみを消費者に篤とわかってもらうためにも、これをはっきり分別表示してきちっと処理をするということの方が、将来、長きにわたっていいことではないかというような意見もあって、なかなか論議はその帰趨するところを一つにしていないのですね。このあたりについて御見解を承っておきたい。
  28. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 天明以来とも言われていますような不作で、輸入をせざるを得なくなったわけでございます。当面、問題がありますモチ米を含めました加工用米について、二十万トンの輸入を行うことにしたわけでございます。  輸入につきましては、今御指摘のように、私ども自身も、やはり国内の需要に極力合ったものを輸入するということが基本でございますけれども、やはり米の国際市場が極めて規模が小さいものでございますので、そういう点にも十分配慮しながらやっていかなければならないということで、今御指摘のように、いろいろな国あるいは時期その他につきましても、そういう慎重な姿勢でやっていきたいというふうに思っています。  その際、御指摘のように、やはり安全性ということにつきましては、私どもとしましても最も大事な問題であるということを考えておりまして、輸入先との話し合い、あるいは国内での対応ということにつきましても、厚生省と十分連携をとりながら万全を期していきたいというふうに考えているわけでございます。  それから、オーストラリアの問題というのは、ちょうど日本と作期が反対になるものですから、そういう点から極めて関心があることは事実でございます。  ただ、今のところ、こういう作況八〇%になりますと、二百万トン程度減収になる、まあ生産調整の見直しその他によりまして、できるだけ早食いの量をふやしていくようなことで対応するつもりでございますけれども、主食用についても輸入せざるを得ないような事態が想定されます。そういう際に、やはり作期が反対であるということは極めて関心があるわけでございまして、そういう点を大臣が記者会見で話したというふうに思っております。直に契約栽培といっても、これはなかなか、いわゆる厳格な意味での契約ということはあると思いますけれども、関心があり、期待をしているというようなことがああいうことではないかというふうに考えております。  それから、今主食用が仮に輸入しなければならなくなった場合につきましては、今お話がありましたように、加工用の場合には、これは製品になっていきますのでちょっと原料表示というものがいささか問題あろうかと思いますけれども、仮に主食用が輸入となった場合には、そういうことも頭に置いて、はっきりわかるような流通をすべきもの、あるいは全く品質が同じものでありますと違うような対応があるかもわかりませんけれども、いずれにしましても、今御指摘のようなことも頭に置いて十分検討いたしたいというように考えております。
  29. 柳沢伯夫

    柳沢委員 そういうことで、やむを得ず輸入をして国民食糧の安定供給に資さなければならないというのは残念なわけでございますが、結局ここに来ますと、米の備蓄というか、在庫水準というものが適正なものでなければならないというこの要請が非常に強いことが判明するわけでありますね。  私の先輩は、私がこういうことを言ったら、それは、柳沢、おまえは少し、何というか、気持ちがグルーミーになっているその反映じゃないか、もうちょっと元気を出せと言って励ましてくれましたが、私、三年ちょっと自民党農林部会長をやっておったときに、一番食糧庁の皆さんに言っていたのは、私が農林部会長の間は絶対に米の輸入ということはないようにしてもらいたい、これを何回も懇親会の席上などで、私は本当に拝むような気持ちで言っておりました。これは一番心配事であったわけです。  そういう意味で、我々も、減反緩和等の操作によって何とか、米の期末在庫水準というか、どういうのですか、回転備蓄というかそういうようなことについていろいろやってきたのですが、そういうことで、もう一度その点考え直さなくてはいかぬなということをやり始めたいわばやさきにこのような大凶作が訪れました。  ただ、非常に皮肉なことに、大変な凶作でしたから、ある意味で、この在庫水準がどういう水準であれば適正であったかといったようなこと、そしてそのことについて我々が適切なことをやってきたかどうかといったことの責任、こういったことを覆い隠すほどの実は凶作であったわけです。ですから、この辺のことがやや深刻さがないとか、あるいは、和らげられているとまでは言わないのですけれども、もうちょっとこのあたりは、我々はねじり鉢巻きでこの問題にこれから対処していかなければいけない、このように考えております。  我々の党でも早速、この在庫の積み増しあるいは減反緩和がいかにあるべきかといったことについて、けさから論議を始めたのでございますけれども、何というか、非常にこれも難しいわけでございます。我々の目算では百万トンあれば、それは、作柄、作況九五%でも五十万トンの在庫への食い込み、ですから、二年間あったって大丈夫だとか、あるいは八四%ぐらいでも何とか早場米を早食いすることによってしのげるじゃないかということで、一応百万トンといったところを適正の回転準備の水準ということで定めてきたわけでありますけれども、実際はどうかというと、そういう動きしていないのですね。というのは、三年末の在庫が百八万トンでしたか、それから九五%で一挙に二十六万トンまでいってしまうのですね。これは自主流通米に回ってしまうというか、そういうようなことで、政府米に納められるものが少ないというようなことが同時に加味されます。これは日本全体を考えますと、そんな計算上のそごが生まれないはずでありますけれども、現実の政府在庫水準というのは、そういう非常に大きな振れが現実に出現してしまうということもありのままの姿なんですね。そういうふうなことを考えますときに、果たして幾らがいいかということについては思い悩むわけであります。  私は、この際、現物で政府が在庫を持つということも大事なんですけれども、このようなことに対処するためには、昔試みたような、需給調整米といったような制度があったようでございます。これは他用途米と主食米に振り分けていくことをあらかじめ農家が知っておるというようなこと、あるいはもっとその先で、私は思いつきでただ言ったわけでありますけれども、農家に、あなた、急に在庫水準が低下してきたらすぐお米をつくってください、ほかの農家作柄がよくて、少し作況、作柄がいいといって在庫が積み上がってきたときには、悪いけれどもほかの作物に転作をしてくださいといったようなことについて特別な契約をしておくようなこと、つまり田そのものが在庫になる、備蓄になるといったような踏み込んだ制度といったようなものについても考えなければならないのかしら、こういうように今考えておりますけれども、この米の在庫水準の問題について、この段階で考え方を伺っておければお伺いいたしたい。
  30. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 先ほど、百年以来の不作とはいえ輸入せざるを得なくなった事態については、我々も深刻に受けとめておる次第でございます。  それから、在庫問題につきましては、平成三生産米の作が悪かったということで、既に四年産米につきまして減反緩和しておるところでございますし、ことしも後期対策の中で、それをさらに上回る減反緩和をし、三年産米の生産調整が八十三万ヘクタールから現在六十七万程度にいたしておるわけでございます。  そういう中でことしのような事態に遭ったわけでございまして、在庫といいますか、今後の転作緩和につきましてどういうふうな対応をしていくのか、検討しておるわけでございます。  今先生御指摘のように、量とそれから面積といいますか、水田で持つという考えというのは、私はそういうことがうまく回ればいいと思いますけれども、大量の米について小回りがきくような対応というものは、なかなか今やってみて難しいわけでございます。  いずれにしましても、見直しの中で大事なことは、一つは、やはり本当につくってもらえる方、しかもそれも将来の稲作を担う主産地といいますか、そういうふうなことが一つの視点だと思いますし、当面、食糧庁の立場からいいますと、できるだけ早くつくってもらえる地帯というのも頭に置く必要があろうかと思います。そういうことを踏まえて十分検討をいたしていきたいというふうに思っています。  いずれにしましても、今はまさに不足ですけれども、過去苦い経験もありますので、どういう水準で期間をどうやってやっていくのか、これは、農業団体あるいは関係者の意向を十分お伺いしながらできるだけ早く決定していきたいというふうに考えております。
  31. 柳沢伯夫

    柳沢委員 ここまで参りまして、次に私の質疑はウルグアイ・ラウンドの問題になるわけですけれども、これは、農林水産大臣その人は別に発言がぶれているわけでもないのですね。したがって、今農水大臣を相手にいたしてこれを論じても、どうも全く同じことのオウム返し、我々が質問することと同じことのオウム返しみたいなことで、生産的、建設的でないようにも思うのですが、ぜひ与党の理事の皆さん、非常にもう大詰めを迎えて本当のクリティカル、バイタルな段階に来ておりますから、ぜひひとつ総理をこの農林水産委員会に御招致をしていただいて、この問題を農林水産委員会早期に、もう時期も時期でございますから、ぜひ専門的な見地からやはり総理にも農業というものをよくわかってもらわないといけない。  私は前から言っているのですが、とかくこの委員会、タコつぼみたいで、お互いには非常によくわかっているけれども、ほかの外界の人たちとはどうも余り意思疎通が図られていない。共通の認識といったら非常に微々たるものだ、りょうりょうたるものだ。こういうようなことがありますから、ぜひそれはお願いをいたしたい。私は、あえてこのウルグアイ・ラウンドの問題、きょう私が農水大臣に御質疑することは差し控えます。よろしくお願いします、これは。  そこで、それを飛ばして、最後に、最近問題になっておる規制緩和あるいは地方分権と我々農政との関係、さらには、もうその時期が間もなく参ります予算編成について、農林予算の状況といったようなことについて一、二質問をいたしておきたいと思います。  新農政は、政府の農政審でも、第一部会、第二部会ですか、そういったような二つの部会を動かして成果を挙げ、これができ上がったものについては法制化ももう既に終えているわけでございますけれども、その後の問題で私がちょっと注目しているのは、例の農村地域の土地利用計画あるいは土地利用区分の問題の論議が一体農政審の部会でどういう状況になっておるのか。  私はちょっとひがみ根性を持っておりまして、まだ与党ぼけが治っていないのですが、きょうここへ来ましたら、こちらの席に立って発言をするようなことになって、どうも政府側の皆さんが非常に遠くに見えるようになったわけでございまして、そういう実情から若干のひがみ根性があるのかもしれませんが、この規制緩和のとうとうたる流れの中で、今農村地域における土地利用区分を打ち出したら時代に逆行するものだと言って世論から袋だたきになるかもしれないといったような配慮があって、この問題の論議がやや滞っているのではないかしらん、こういうように心配をいたしているのです、心配を。私は、農地あるいは農村空間がスプロール化することについてはもう待ったなしたと思って、この問題を新農政の一つの要素として入れていただくように主張した人間の一人でありまして、そんなことに遠慮することは毛頭ない。私は、これはもう皆さんにはっきり言っておきます。どんどんやってください。そんな変な流れの中でタイミングを見計らって、本当にやらなきゃならないことをやり落とすというようなことのないようにお願いしたいということです。  それから、地方分権でも同じですね。これはもう私、行革審の部会長ともやり合ったことありますけれども、こういったものを分権して何が何でも市町村の段階にすべてを落としてしまうということがいいかどうかについては、大変な大きな問題があるということでございます。  それから最後に、農林予算ですね。これがまたいわゆる生活者重視、消費者重視。総理の話によりますと、生活者には生産者も含んでいるなんというようなことを言っておりますけれども、これはもう全く牽強付会そのものですね。生活者重視、消費者重視と来ているわけですから、これはもう、生活者と言うときにどういう人間を頭に想定しているかは明白ですよ。それを、尋ねられたら、この中に生産者が含まれているなんと言うのは、これは単なる言いわけにしか我々には聞こえませんね。そういうような意味で農業、新農政をやらなきゃいけない。林業も、私に言わせれば新林政三年目ですね。そういうようなことで、これは計画したとおりにやってもらわなきゃならないのですよ。予算化してもらわなきゃ絵にかいたもちになってしまうのですよ。  そういうようなことで、どうも伝えられるところによると、非常に厳しい財政当局の、官邸の意向を背に受けたところの査定がまかり通っているようで、心配をしております。ぜひこれは、農水大臣及び役人の方々、それから与党の諸賢、ぜひ頑張って責任を果たしていただくようにお願いいたしたいところであります。  最後に大臣のお言葉を賜って、私の質問を終わります。
  32. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま先生御懸念の内容につきましては、残念ながら、農村を初め御関係の向きでそれなりの御心配を煩わせておりますこともこれまた事実です。こういうような受けとめ方の中で数字の上で厚みを持ち得るような努力を引き続きやってまいりたい、かように考えております。
  33. 柳沢伯夫

    柳沢委員 ありがとうございました。
  34. 竹内猛

  35. 辻一彦

    辻委員 私は、冷害と、それから米の関税化、最近の問題、それから備蓄、減反問題等について触れたいと思いますが、皆さんそれぞれ冷害の問題は共通点が大変多いので、それぞれお触れになると思いますので、最初に、順序を少し変えて、米関税化の問題あるいはウルグアイ・ラウンドの問題から入りたいと思います。  十月の十四日、一部新聞の夕刊以来、米について、日米の交渉が行われているとかあるいは合意があったとか、こういうような報道が流されておりますが、もう言うまでもなく、六年間関税化を猶予して、後これを容認していくというそういうような内容でありますが、政府の方は再三これを否定している。にもかかわらず、連日この問題がどんどんと同じように報道されているということ、これは、我々ももちろんですが、国民や、特に農家の皆さんに非常に深刻な不安や影響を与えておるんじゃないかと思います。まず第一に、このような事実が過去の経緯において交渉として行われておったのかどうか、そういうことを国会の場でひとつ正確に報告をいただきたいと思います。
  36. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 本問題につきましては、御案内のとおり、例外なき関税化、これを受け入れることはできない、こういうような立場に立っての国会決議、あるいはまた連立内閣スタートに当たりましての八党派の申し合わせ、こういうものが現存をいたしておりますさなかにおきまして、これからいわばウルグアイ・ラウンドの真剣勝負のスタートが切られる、こういう時点であるわけでございまして、ただいま御指摘がございましたように、日米間におきましての合意、あるいはまた猶予期間を置いての関税化、こういうことの提案、合意等々の事柄があったということは絶対ない、ここに明確に重ねて御報告を申し上げる次第でございます。  私自身も細川総理あるいは官房長官等々ともお打ち合わせをいたしまして、御承知のとおり近く関係筋、関係の国々の責任者の方々にお会いをいたしまして、私自身が重ねて従来からの我が国の立場、主張といいますものを十二分に話をいたしまして、本問題の、いろいろ難しいと言われておる問題でありますがゆえに、大臣という与えられた立場にございまして、我が目で、我が耳で、我が肌でもって十二分にその反応等々を、説得をできるような、そういう努力を重ねる中での反応を見きわめてまいりたい、こういうような段取りをただいまつけつつあることをもちましても、全く合意を見た、あるいはまた譲歩をしたとか、そういうことがないということを御理解がいただけるんではないかなというように考えるわけでございます。  私は、さような意味合いにおきましては、これはひとり農林水産省という立場ではなくして、やはり我が国の大きく将来にわたる国益にかかわる重大案件である、さような意味合いでは、総理並びに外務大臣とも絶えず緊密な連絡の中における政府としてのすっきりした一本の姿で取り組みをさせていただいている、かように御理解を賜りたいと思います。
  37. 辻一彦

    辻委員 今大臣の答弁を伺うと、そういうような経緯は絶対ない、こう断言をされている、私はそれを信じたいと思いますね。  しかし、非常に具体的な数字等を挙げて、それはダンケルの合意案の中に、いろいろこの案の中にあるわけでありますが、それにしてもかなり具体的な数字が挙げられて、単なる推測や憶測をつづり合わせたとは思えないこの内容が日々報道されている。そこにまだ、大臣の今の言葉を私は信じますが、それにしても何か秘密に、あるいは裏で水面下における交渉があるのではないか、こういう気持ちを持たざるを得ないんですが、そういうことはどの程度の議論を実際やっているのか。外交の交渉ということもありますから、すべてを明らかにできないにしても、もう少し理解のできるようなお答えをいただきたいと思います。
  38. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 私は、こういうような段階になりますと、それぞれの主張をされております国々が、自国の主張を有利な展開を図ろうというような意味合いにおきましても、それぞれの国の主張をあえて数字を入れながらもリークをするということは、従来の交渉事の中でもあり得たことも辻先生御案内のとおりであるわけでございます。  いわば正念場を迎えるに当たって、各国それぞれあらゆる手段を使って最終段階に向けてのプラスの要素をつくり出そうというような意味合いでの取り組みが始まったということを、実感として私は肌でこれまた感じさせていただいておるわけでございますが、きょうでございますか、サザーランド事務局長が参りますように、最終の時間切れということを目前にいたしまして、いわば真剣勝負の話し合いがこれから始まる、さような一つの裏づけとしての事務局長の来訪である、こういうことをもっても御賢察をいただけるのではないかな、かように思うわけでございます。
  39. 辻一彦

    辻委員 具体的な考えをちょっと一、二伺いたいのですが、猶予期間を設けようが設けまいが、関税化を受け入れれば関税化関税化であると思うのですね。したがって、当初に高関税を設けても結果は自由化につながる、こう思いますが、その関税化は自由化につながるという認識について大臣はどういうように考えていらっしゃるのか、それをお尋ねしたい。  というのは、去年の十二月に我々はジュネーブに参ってガット本部に行った後、EC本部に行って、ブラッセルでマクシャリーEC農業委員と会ったときに、十二月の十八月ですから、その午前中にECは外相理事会を開いてバナナの関税化を決めた。二、三〇〇%の高関税をかけるんだ、これで入らなくなる。その午後ですから、我々の会談は。だから、日本も米については同様のやり方をやって、高関税をかければ米の輸入は抑えられるのではないか、こういう意見があって、それを中心に一時間ほど論議をしたのですが、これは私は明確に、確かに初めに内外価格差を高関税に置きかえれば、まあ七〇〇%になるのかその前後になるでしょうが、それは初めは抑えられても、東南アジアの米は入るでしょう、アメリカの米は抑えられても。皮革製品が日本で一番関税が高い。それが六〇%。寄ってたかって下げろと言われて、下げざるを得ない。そんな中に七〇〇%の高関税なんかを貿易で立つ我が国が維持できるはずがない。一年じゅう非難をされて、結局その高関税を下げざるを得ない。ということは、米がどんどん入ってくる、自由化につながるのではないか、こういう反論もしたことがあります。私はそういう認識で、関税化はやはり自由化につながると、こういう見解を持っておりますが、そこらの認識について大臣はどう考えていらっしゃるのか、お尋ねをしたい。
  40. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいまの問題につきましては、一つの最近の身近な事例といたしまして牛肉の七〇%の関税、そして六〇、五〇と、そういうような移行の中で、本年等々は大変な牛肉の輸入量でございまして、畜産農家、酪農のお立場の方々が大変な御難渋をなさっていらっしゃる。さような意味合いの、これは卑近な例であるわけでございますが、私は、さような意味合いでは、御指摘がございましたように関税化、やはりその関税率を下げろというような方向に結びつく。さような意味合いの御指摘のございましたとおり、私自身も先生と同じような認識でこれからも対応を、努力を続けてまいりたい、かように考えております。
  41. 辻一彦

    辻委員 では、基本的な認識としては、関税化に応ずれば自由化につながる。したがって、現政権のいわゆる政策合意点、出発事項がありますね、この自由化や関税化には応じない、認められないというこの点はもうはっきりと踏まえて確認されておるとは思いますが、そういう御認識と受けとめていいですか。
  42. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 私は、この問題につきましては、長らく自民党の方々も汗を流していただいての今日までの歩み、そしてまた政府・与党間の今日におきましてのきちっとした合意、こういうものの中での問題の解決をしなければならない、与えられた責任である、こういう意識を持って引き続きベストを尽くしてまいりたい、かように考えております。
  43. 辻一彦

    辻委員 ちょっと問題が同じ問題ですが、もう一つ、サミットに参加する国が八カ国、イタリアの八九、約九〇%を最低にして、穀物ベースでいえばあとは全部一〇〇%を超えている、我が国を別にして。百七十五カ国のうち一億以上の人口を持つ国が十カ国ありますが、旧ソ連邦の八三%を最低にして、あとは八〇後半から九〇、一〇〇をいずれも超えている。我が国は一億二千万の人口を持ち、しかもサミットの主要国である、島国である。この国が今二九%。まあ米を関税化、自由化すれば恐らく二〇%を切りかねないという状況にある。自分の国の食糧の三分の一ぐらいは何としてでも自分の手でつくりたい、こういう考え方、これは私は世界に理解されなくてならない論理であるし、理解してもらわなくてはならないと思いますが、この点について農水省はどうお考えですか。
  44. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 先生の御指摘のとおりでございまして、御案内のとおり食糧の自給率が四六、あるいはまた穀物自給率が二九といったような、先進 諸外国等々と比較いたしましても大変大きな問題のある現在の数字であるわけでございます。私はよく申し上げるわけでございますが、そういうさなかにございまして、いわゆる地球規模の人口問題、毎年地球の上に一億人の方々がふえる、ミニ日本が一つずつ毎年誕生するというようなさなかにございましては、これからは人口問題即食糧問題である。こういうことを考えますと、私は、やはりそれぞれの国がいわゆる主食につきましては自給体制確立を図るということが、今これは国連等々でも大きく取り上げてもらわなければならない、旗を振ってもらわなければならない、そういう一つの裏づけの明確な御理解をいただける要素ではないかな、こういうような意味合いのものを、私自身はこの最後の貴重な大切な時期に当たりまして、こういったことを具体的に申し上げながら努力を続けてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  45. 辻一彦

    辻委員 日本がこのままの状況でいくと、年末までに二十万トンの緊急輸入をせざると得ないし、これは現状ですからやむを得ないでしょうが、さらに百万トン前後の、すべてを含めてかあるいはそれ以上になるか、米を買わざるを得ぬというような作況にある。在庫の状況にある。そうなりますと、恐らく、昭和二十八年には、日本が冷害で米を買いに出たときと終わったときには倍ぐらいに国際価格は変化したはずですから、したがって米の値段が上がるでしょう。そうなると、手持ち外貨の少ない開発途上国はなかなか安い米を買うことができないという新しい国際的な非難が出てくるのではないか。今は輸出国から批判を受けているけれども、そうでない開発途上国の多くのところから批判を受ける可能性があるのではないか、これが一つ。  それから、少量ならアメリカの西海岸、カリファルニアですね。私も見てきましたが、あそこは水の制限があるからそんなにたくさんの米が出ないから、大量ということはなかなかな簡単ではない。しかし、百万トンからの米を各地から買うとなれば、これは将来ミシシッピ流域の南部諸州から、アーカンソーを初め、米を入れるということになりかねないのですね。そうなると、パナマ運河を通って、熱帯を通って、亜熱帯を通って、太平洋を三週間も四週間もかかって日本に白米で着くわけですから、ポストハーベスト、収穫後の薬剤を使用する機会がどうしても多くなる。こういう問題は、どうしても消費者の立場からいっても非常に大きな安全上の問題ではないかと思うのです。  たくさんの事情が、幾つも条件がありますが、この二つを見ても、せっかく千四百万トンからの米を我が国でつくる能力がありながら減反をして抑えているのですから、自分の国に必要な米は自給を何としてでもする、この方針は断固として貫かなくてはならない、こう思いますが、いかがですか。
  46. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま御指摘がございましたとおり、米を輸出するお立場の方々に対しましても、あるいはまた従来米を輸入されております国の立場、御案内のとおり貿易分野に入ります米の数量といいますものは、地球規模生産量に比較をしますと四%程度といったようなわけで極めて少ないものでございますから、御指摘のような従来の輸入国側に対しましてもあるいは輸出国側に対しましても、いろいろ複雑な、そしてまた御迷惑の度合いの高い要素を与えがちの問題であるということも私自身も理解をいたしておるわけでございます。そしてまた、お互い口に入れるものでございますから安全性といいいますもの、極めて重要な問題でございます。そういうことも十二分に私は説得力のある問題と受けとめながら、それぞれの国が、先ほど申し上げましたように我が国におきましては米の自給体制、これをこれからも堅持していかなければならない、さような信念に燃えておる次第でございます。
  47. 辻一彦

    辻委員 先ほど大臣がお触れになりましたが、十月二十日、きょうサザーランド事務局長が来て、この二、三日中にいろいろと会談をされるでしょうが、我々もあすの朝一時間ほど会う予定になっておりますが、サザーランド事務局長が来て間もなしにカットを訪問されるということです。これはさっきちょっとお触れになりましたが、どういうようなねらいと、何を強く訴えようとするのか、もう一度ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  48. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 私の一つの認識では、今度先方さんがここに見えた、話は残念ながら平行線であろうということを私なりに想定をいたしました場合におきましては、追っかけて、さらにただいま申し上げたようないわゆる例外なき関税化ということはできない、あるいは主食の自給体制の堅持、こういうことを追っかけてさらに強く、出向いて主張をさせていただきたい、こういう考え方に立っておるわけでございます。
  49. 辻一彦

    辻委員 先ほどちょっと私は論議のときにも申し上げましたが、現政権が出発時の米の関税化、自由化を認めないという合意事項がありますね。私は、これはこの政策合意は極めて重いと思います。これをほごにすれば現政権の存続を揺るがすものと思うが、農水省としてはこの政策合意の重さについてどういう認識を持っていらっしゃるかお伺いしたい。
  50. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 私は、ただいま御指摘がございましたように、連立政権、そういうときにございましては、お互いの信頼感あるいは申し合わせ事項等々はいわば極めて重要な位置づけであることは言うまでもございませんので、ただいま御指摘のような意味合いの重要性を十二分に私自身も念頭に置いて努力をしていかなければならない、かように考えております。
  51. 辻一彦

    辻委員 時間があればいろいろお尋ねをして論議をしたいことがあるのですが、かなり制約を受けておりますから、この問題をひとつ締めくくるに当たって、米をめぐる情勢が非常に緊迫する中で、米の自給と日本農業の重要性をいま一度国会として再確認をする必要があると思います。そういう点で、そのために本会議における国会決議を農水委員会として提起すべきではないかと思いますが、委員長にこれについての要請をしたいと思いますが、ちょっと見解をお尋ねしたい。
  52. 竹内猛

    竹内委員長 ただいまの御要請については、理事会を通じて十分に検討をしてまいりたい、こういうように思います。
  53. 辻一彦

    辻委員 これはいろいろなところで国会決議の動きがあるわけでありますから、やはり本家本元の農水委員会としてどうするかということを理事会にぜひひとつ諮って、この善処をお願いしたいと思います。  そこで、備蓄の問題ですが、エスピー長官にムース次官と、それからシュローダー海外農業局長農業局長とはアメリカに三月に行ったときにかなりやり合った関係でこの間招かれて行って、かなりの時間話をしましたが、私はこう言っておいたのです。日本は千四百万トンの米の生産能力を持っているにかかわらず、米の輸出補助金を使って輸出するというような選択肢をとらずに減反生産調整という道を選んで今日まで来た。しかし、今度残念ながら、長年の単年度自給という点から、凶作が重なって結局米を入れざるを得なくなった。これは緊急輸入はやむを得ない。しかし、米自給ができる我が国は、減反緩和すればやれるのだから、自給の方針に変わりはないということを明確に伝えておきたいと、まず言っておきました。  そこで、千四百万トンの生産能力を持った日本が、日本の水田、長年米をつくる中で、自由化をしないために減反をやらなければいかぬ、こういう論理でもって農家の皆さんがつくりたい米を抑えて、ある意味においては犠牲を払ってもらったわけですね。ところが、その減反をやった結果、見通しを誤って結局凶作が重なって、在庫がなくて大量の輸入をしなければならないという状況に追い込まれた、こう言わざるを得ない。  そうすると、私たちも野党当時に百五十万トンの備蓄要求を事あるごとにやっておったのですが、今回の輸入やむなしという状況の中で、食糧 管理政策というものから見れば、ここまで追い込まれたというのはやはり重大なる失政ではないかと言わざるを得ない。一体、この責任はどこのだれがとることになるのか、ちょっとお尋ねしたい。
  54. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 今回の、いわゆる年末二十万トンの加工分野の米の輸入の問題、そしてまた御指摘がございましたような来年において懸念されます主食分野の輸入の問題等々、このよって来る根幹といいますものは、私自身の認識では、百年に一回と申し上げますよりも有史以来と申し上げた方が私は適切な事態ではないかなというふうにも考えるわけでございますから、さような緊急避難的な要素の中における米の輸入である、こういうような視点を軸としまして物事を受けとめさせていただきたい。そしてまた、今御指摘がございましたように、生産農家方々のお気持ち、そういうものを十二分に踏まえてこれからの万般にわたります努力を積み重ねて問題解決に一層の成果を上げてまいりたい、かように考えているところでございます。
  55. 辻一彦

    辻委員 食糧国民に安定供給する責任が食管法として政府にあるのですから、足りなければ緊急輸入はやむを得ないですね。そのことを言っているのじゃない。しかし、これだけ減反をやって、自由化をしないと言いながら、結局米の大量輸入に追い込まれていった、そこにやはり問題があるのではないか、その反省は厳しくされるべきである。時間の点からきょうはこれ以上は申し上げません。  そこで、冷害のことに一、二点だけ最後に触れたいと思います。  北海道は、先ほど報告を読み上げましたが、旭川上川百万石と言われる見渡す限りの穀倉地において青立ちの穂が突っ立っている。そして、実が入らないのはわかりながら一粒でも米をとりたい、こういう思いで農家の皆さんが古タイヤに火をつけて煙を出して霜の害を防いでいる。非常に切実な気持ちに打たれたわけですが、こういう中で、収穫皆無もしくは非常に収穫が少ないところでは、事実お金が、収入がないわけですから、共済金の一刻も早い支払いを求めている。しかし、仮払いは繁雑であるとかいろいろ事務的な点がありますが、そういうものをひとつなるべく簡素化をして、これらの非常に打ちひしがれている農家の皆さんに早期に仮払い等によって共済金を支払う、こういうことが大事じゃないかということ、これはどうなのか。  それからもう一つは、御承知のように、この共済金はかなり大きな金額になる。したがって、今共済の連合会が持っている資金だけでは足りない。したがって、国から再保険に対して補給しなくてはならぬ。しかし聞くと、何か財投なんかでお金を借りるような話も出ているといいますが、それは後にツケを残すおそれがある。やはりこういう百年に一回の冷害でありますから、一般財源からこれに対応する、こういうことが大変大事ではないかと思いますが、その二点についてまずお尋ねしたいと思います。
  56. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 農家のお立場、そしてまた収穫皆無というようなケースも多い今回の大凶作でございますので、何としましても仮払いを急ぐ、そしてまた年内に共済の正規の支払いを済ます、こういう原則を既に打ち立てて、それぞれの関係機関にも要請をし、指導をし、役所側の私どもの立場でやるべきことをただいま努力させていただいておる、この点につきましては御承知おきを願いたいなというふうに考えるわけでございます。  二番目のいわゆる再保険に対する財源の問題につきましては、御指摘のような懸念がございますので、ただいま鋭意努力をさせていただいておるところでございます。  いずれにいたしましても、こういうような大凶作でございますから、とりわけ政府・与党一体となって努力を重ねてまいりたい、かように考えております。
  57. 辻一彦

    辻委員 もう大体時間が参りましたが、あと二点だけ伺いたいと思います。  一つは、天災融資法が発動される、そうすれば三%以内に金利がなる。それから、自作農維持資金が活用されれば四%。百年に一回のときだから、北海道で一千万ぐらい所得が減って大変だと言っている農家が現に行くとあるわけですね。そういう人たちが低い金利で融資を非常に切実に求めている。こういう点から、三%内というこれを生かして、金利を四%、三%、これを少しでも引き下げて融資ができないか。そういう声にこたえられないかということ。  それから、土地改良の償還金をみんな払っているのですが、収入がないと払うのがなかなか大変なので、少なくともこういう特別の場合に、期間を猶予して、その間の利子を、金利の補給をという、そのくらいの手当てができないのか。  それから、種もみが手に入らない、あんな青穂の中では種がとりようがない、したがって東北地方種もみ北海道へ送られているし、福井、石川、富山のような北陸の種もみは今南九州へ送ろうとしているのですね。そういう中で、今までは輸送費は、経費助成した例はありますが、種子助成をしたのは一回ぐらいしかということを聞いております。何回も言いますが、百年に一回というような大冷害ですから、こういう種子種もみ等に対する実際的な助成の道がないのか。これは、社会党が五回ほど異常気象災害対策本部を持って農林省とも再三論議をした中で努力中ということも聞いておりましたので、可能ならばこの際に明らかにしていただきたい。  以上で、大体答えを聞いて終わりたいと思います。
  58. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 第一点の金利関係の問題につきましては、これは、私どもも被害農家のお立場に立った場合にはそういった気持ちは当然のことながら当初から持たせていただいておるわけでございますが、現在も引き続き努力はいたしておりますが、なかなか壁が厚いというのが現実の姿であるわけでございます。  そしてまた、ただいま種もみ等の関係につきましても御指摘がございましたが、あわせてこれまたただいま努力を重ねつつある、こういうことで御理解を願いたい。しかし、いよいよ時間がないじゃないか、急げ、そういうお気持ちも体して頑張ってまいりたいと思っております。
  59. 辻一彦

    辻委員 今の点については、四点ほどぜひひとつ最大限の努力をお願いしたいと思います。  終わります。
  60. 竹内猛

    竹内委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ————◇—————     午後一時二十九分開議
  61. 竹内猛

    竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。仲村正治君。
  62. 仲村正治

    ○仲村委員 私は、新生党・改革連合を代表いたしまして、当面する農林水産業の緊急課題について質問をいたしたいと思います。  去る七月十八日の解散・総選挙は、国民の厳粛なる審判の結果、ここに新しい細川連立政権が誕生し、そして今細川政権に対する国民の支持率は七〇%以上という驚異的な支持を示しておるわけであります。それは何も細川政権の実績があってのものではなくて、あくまでも今日までの政治に国民が不信、不満を抱き、この政治の現状の改革を求める期待感からそういう支持が来ているものだと思っております。しかし、選挙後の特別国会と今次臨時国会での議論を聞いておりますと、成立してからまだ二カ月と十日しかたっていない細川政権に対して、景気対策はどうするのか、大幅な減税はするのか、あるいはこの不景気をどうしてくれるんだというような御質問があるわけでございますが、私はいかにも今日の財政逼迫の状態や不景気の現状の責任追及をしているかのように感じてならないのであります。  私が思うに、細川連立政権は、今までの政治が築き上げた経済大国という大きな財産も引き継い だのでありますけれども、同時に、この五、六年来、国内のみならず世界の土地あさりをし、そして株やマネーゲームに浮かれた我が国の経済活動を見過ごしてきた、そういうバブル経済を放置していた結果から生じた今日の深刻な経済不況の問題や、平成四年度予算の決算で見られるように、当初の予算額から八兆円という気が遠くなるような膨大な財政欠陥が生じた中で政治の運営をしていかなければならないという、ある意味で今までの政治の経済運営の中から派生した最悪の財政環境に加えて、百年に一度、いや未曾有の米の凶作という農村社会の崩壊にもつながりかねない問題が起こっているような、極めて不利な条件が重なり合った中での政権担当であります。  私は、今我が国が遭遇しているこの深刻な不景気、そして最悪な財政環境、加えて未曾有の米の凶作のこの事態、これは野に下がった自民党の責任だとか新しく誕生した連立与党の責任だとかという責任のなすり合いをする問題ではなくて、まさに我が国が極めてまれに遭遇した国難と言わざるを得ないのであります。したがって、今我が国政治及び政治に携わる者は、与党、野党という立場で足の引っ張り合いをするのではなくて、挙国一致でこの国難を乗り切っていかなければならないと思うのであります。私はそのような視点を踏まえて、以下、次の質問をいたしたいと思うのであります。  まず、ことしの未曾有の米の凶作となった問題でありますが、農水省は九月十五日時点で作況指数八〇を発表されたのでありますけれども、十月十五日時点の作況を今月末に発表される、こういうことになっているわけであります。あと十日あるわけでありますが、おおよそ政府においてはその数字はまとめていると思いますので、十月十五日時点の作況指数が幾らになるのか、そしてそれを踏まえて最終的な米の生産量は幾ら見込んでいるのかということであります。  平成四米穀年度の生産計画は一千十万トンで、消費が毎年五万トンずつ漸減していくというような計画のもとで立てられた。そうすると、平成五年度の需要と供給という点で、どのくらいの生産目標を立てておった中で、この凶作の中で結果として生産量はこれだけにしかならぬということについての説明をお願いしたいと思います。
  63. 嶌田道夫

    ○嶌田説明員 まず私の方から、本年の作況について御説明したいと思います。  今言われましたように、九月十五日現在作況八〇というふうになっておりますけれども、十月十五日現在の作況指数につきましては、現在地方で取りまとめている最中でございまして、まだ私どもの方に上がってきてない状況でございます。そういう状況でございますので、それに基づきまして、十月十五日現在の生産量の見通しにつきましても、今のところまだ把握してないという状況になっております。
  64. 仲村正治

    ○仲村委員 今お尋ねをいたしました平成五米穀年度の需要と供給という点から、どのくらいの生産目標を立てておって、それが作況指数で恐らく八〇を下回る形で七五かあるいは七〇になるかもしれませんけれども、そういうことになったときに、この生産計画と実際の生産量とどれだけのずれが出てくるのか、不足が出てくるのか、これを今お尋ねしたわけでありますが、その点について生産計画は幾らだったのでしょうか、その点を。
  65. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 生産につきましては、米の管理に関する基本計画をことしの三月に決定したわけでございます。そこでの平成五年産米の生産量は、加工原料用等の他用途利用米を除きまして、主食用で千二十六万トンの供給を見込んだわけでございます。現在八〇ということになりますと、それは八百五、六十万トンというようなことが計画といいますか、供給計画に見込んだ数量でございます。
  66. 仲村正治

    ○仲村委員 おおよそで計算いたしましても、千二十五万トンの生産計画に対して、今の九月十五日時点の作況八〇という点からいたしましても、これはもう二百万トン以上の生産のいわゆる減収、不足が出てくるわけでございます。今備蓄米が三十五万から四十五万ぐらいあるという話ですが、来年の端境期までに早場米が出てくるから少しそれを先食いすれば何とかしのげるという話もありますけれども、そうすると来年の米がまた不足する、こういうことになるわけでありますが、この備蓄米は最終的には全部吐き出さざるを得ないのかどうか、その点。また、端境期の早場米を先食いするという考え方は今も持っておられるのかどうか、その点についてひとつ。
  67. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 米の需給操作というのは、米穀年度ということで、毎年十一月一日から翌年の十月三十日までを一つの区切りとして操作を行っているわけでございます。それで、今度十一月一日から始まります六米穀年度の需給につきましては、こういう想像を絶するような異常気象によりまして戦後最低の水準になっていることは事実で、相当厳しいというふうに我々は認識しております。  それで、六米穀年度の需給操作は、四年産米の持ち越し、これは当初三十五万トン程度見込んだわけでございますけれども、ことしの作柄が二週間から三週間刈り取りがおくれておりまして、それで一部地域で米が少し、農家飯米確保その他ということで不測の事態が生じましたので、そういうところに供給をいたしたことから、十月末二十万トン強くらいの持ち越しになるのではないか、こういうふうに想定いたしておるわけでございます。それから、五年産米が先ほど来申し上げていますように、作況が八〇であれば八百六十万トンくらいの生産になるのではないかと思います。  それから、来年産につきましては、きょうも議論がされていますように、来年度の減反を見直しをする。見直しするに際しては、できるだけ意欲ある生産者にやってもらうほかに早場米地帯にも着目した減反緩和というものを考えていきたい、そういうことで早食いといいますか、それをできるだけふやしていきたいというふうに考えております。  そういうことで供給の全力投球をしたいと思いますけれども、ことしの作柄が異常であるというので主食用米につきましても輸入せざるを得ないような事態になるのではないかというふうに考えています。その数量につきましては、全体的な話が確定した段階で判断が必要かと思いますし、現在のところ具体的には申し上げませんけれども、いずれにしましても、こういう事態ではありますけれども、米の安定供給に遺憾のないようにして国民の皆さんに不安を起こさせないような対応に全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っております。
  68. 仲村正治

    ○仲村委員 それはもう緊急事態として輸入をしなければならないということでありますけれども、世界の米の生産地というのはごく限られた地域であります。しかも、日本の米不足を予測して生産していたわけではございませんので、日本が米の緊急輸入をするんだという発表をした途端にあちらこちらの市場で米が上がりかけたということでありますけれども、必ずしも日本人の嗜好に合うような米がそんなにふんだんに買えるような状態じゃない、私はこのように考えております。  これから輸入をする場合に、主食用としてどのくらい輸入をするのか、あるいはまたモチ米などは、その他の加工用、他用途米などが幾ら予定されるのか、おおよその計画をお立てになって仕事を進めていかなければ、先ほど申し上げたように日本の米不足を予測してつくられていたわけではありませんのでいつでも買いたい米が確保できるというものじゃない、こういうふうに思いますが、そういう点について皆さんのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  69. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 今御指摘のように米の国際市場が狭いというのは事実でございまして、日本の買い付けが相場に与える影響というのは、これは我々が発表する前にいろいろ新聞紙上で先走りした報道がなされただけでも上がったことは事実でございます。アメリカの市場は狭い市場であり、タイの市場はかなり広い、大きい市場ですので、 その上がり方について差があったことは否めない事実だと思います。それだけに輸入に当たっては慎重な対応が必要だと我々思いますし、御指摘のように我が国だけの都合で米市場が動いていくというようなことではございません。そういう点で、できるだけ輸入先を分散するとか、時期についても、そういう買い付けの仕方についてもいろいろな配慮をしていくということが必要なんではなかろうかと思います。  全体的な輸入量につきましては、先ほど言いましたように不確定要素がございますし、およその推定でいろいろ申し上げますとまたそれがいろいろな形で波及するところが多いものでございますので、もう少しいろいろな事情の推移を見ながら私どもとしては必要なものをできるだけ分散し、国際市場への影響を極力少ないような格好で徐々にやっていきたいというふうに考えております。
  70. 仲村正治

    ○仲村委員 二百万トン以上の不足が出るということははっきりしてきたわけでありますが、食糧庁としては市場調査あるいは日本の嗜好に合う米がどこにあるのかという調査をもう既になさっていると思うのです。同時に、どういう方法でこれを買い付けるか。新聞が報ずるところによりますと、輸入業者はもう虎視たんたんとそのもうけを目当てにやっているような感じで書かれておりますけれども、買い付けの方法としてどういうふうな手段でやるのか、その点について説明していただきたいと思います。
  71. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 輸入量でございますけれども、二〇%の作況悪化によります減収量は確かに二百万トンですけれども、それが即輸入ということにはならないということをまずお話しさせていただきます。持ち越しは、先ほど言いましたようにわずかになっていますけれども、二十万トン強はありますのと、現在の設計でありましても、在庫の積み増しが三十万トンぐらい年間見込んだ設計になっているわけです。そういうところが一つ。それから先ほど言いましたように、減反緩和で早食い量を増していくというようなこともありますので、二百万トンの減がすぐ二百万トンの輸入ということにはつながらないというふうに御理解いただきたいと思います。  それから輸入先国ですけれども、これは今、今回の加工米の緊急輸入につきましてはタイとの間で成約ができていますけれども、それ以外に中国からのモチ米でありますとか、あるいは台湾、アメリカ、それからオーストラリア等々の情報を把握しながら話し合いをしておるわけでございます。全く自由な輸入というものは、アメリカとオーストラリアを除きますと、タイ等につきまして、また台湾、中国につきましても国が関与しておるということでございますので、我々としても我々の職員を派遣して情報収集などの話し合いをやっていますし、それと並行しまして、具体的にはやはり商社を通じて輸入するものでございますので、商社につきましても、従来米を扱っていた実績ある商社を中心に相手国と折衝をしてもらっております。
  72. 仲村正治

    ○仲村委員 米の国際価格からいたしますと、FOBで大体トン当たり三百十ドルから三百二十ドル程度だと思います。そうしますと、今の円レートで換算いたしますと三万二千円程度かなという感じがするわけであります。現在の標準米の消費者価格は、十キロ当たり三千八百五十円ですから、トンに直しますと三十八万五千円、そういうふうに輸入米のFOB、これに輸送経費などを掛けまして四万円前後かなという感じがするわけでございますれども、この国内販売価格をどのように決めていくのか。これはもちろん米価審議会でお決めになるのかなという感じもするわけでありますけれども、いずれにいたしましても、国内の今の消費者米価からいたしますと相当の利幅があるわけです。私がざっとさっき二百万トンだと申し上げましたが、そんなにはいかないという話もありますけれども、二百万トンとして見た場合にも約七千億ぐらいの差益金が、利益が出てくるわけですね。だから、この金を、それは国内の販売価格にもよるわけでありますが、その差益金をどういうふうにしていくのか。先ほどからいろいろ不況対策のための農村への対策を考えるべきであるとか、あるいは農業共済の問題の原資が足らないのじゃないかという話もありますけれども、国内販売の価格設定をどのような手続を経てどの辺で決定するのか、その点をひとつお願いしたいと思います。
  73. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 今輸入しておりますのは、モチ米とその他の加工用米でございます。モチ米についてはモチ米の流通価格、これは自流米ですけれども、流通価格があるわけでございます。加工用米につきまして、他用途米というようなことで流通している価格がございます。それを基準にいたしまして、品質格差といいますか、それを考慮して決定していくという考えてあります。  それから、加工用米等につきましては、これは米価審議会に従来も諮っていませんけれども、もし仮に主食用の輸入ということになりますと、売り払い価格は米価審議会に語るというようなことになろうかと思っています。  それから、今御指摘のような、私、今安定的に輸入して対応するということに懸命で、差益の額まで計算したことがございません。結果的に差益は私は出ると思いますけれども、先ほど来御指摘もありますように、国際価格も上がっていく、それから、輸入米を扱っだということは久方ぶりのことで、なかなかいろいろな問題があるわけでございまして、そういうことを勘案しますと、最終的にそれがどういうふうになるのかというのは、今ちょっとお答えするような段階にはなっていません。いずれ、食管会計も、企業ではございませんで一つの国の組織でございますので、これは一番公正な方法で使っていくということになろうかというように考えております。
  74. 仲村正治

    ○仲村委員 今の話に関連してですが、沖縄は、復帰前にずっとタイの 米を使って泡盛をつくっていた関係で、今も一万トン、その原料の輸入を認めていただいているわけです。大体輸入価格は三万円ですが、沖縄の酒屋が引き取るのが十三万九千円くらいだと思いますので、恐らく食糧庁は一万トンから約十億くらい稼いでいるなという感じをいつも持っております。  そういう点から計算をいたしましても、私は、ことしの米不足でもし二百万トン輸入するとなると、少なくとも七千億円くらいの利益が出るなというようなことを感じまして、先ほどもお話がありましたが、米の凶作の農業共済、これは原資が非常に逼迫しているという話も聞きますし、新聞報道によりますと約四、五千億これにかかるという話もありますが、場合によってはそういったものにまた振り向けられるのかなという感じもするわけですが、農業共済の今の原資、どのくらいあるのか。そして、その不足分をどういうふうに補っていくのか。その点ひとつお願いします。
  75. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 農業共済共済金の支払いがどれくらいになるかということは、現在各地で損害査定をやっておりまして、それを積み上げまして、国の段階でさらにそれを決定をするというふうなことで決まるわけでございますので、現在の段階で幾らということは申し上げにくいわけでございますが、かなりの額になる、相当多額になるというふうに予想をされるわけでございます。  それから、特別会計が幾らお金を持っておるかということでございますが、ちょっと今手持ちの資料を持っておりませんが、約六百億くらいの金を持っておるというふうに記憶をしておるわけでございます。
  76. 仲村正治

    ○仲村委員 そうしますと、六百億しか原資はない、手持ちはないということですが、これは、新聞報道からしても四、五千億というふうに言われていますので、あながちそんなに大きな差はない、こういうふうに考えておるわけでありますけれども、それをどういうふうに措置をしていくのか。その点ひとつお願いします。
  77. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 再保険金の支払いにつきましては、そういう手持ちの積立金といいますか、手持ちの金を補てんしてなお不足する部分につきましては、従来は一般会計からこの特別会計に繰り入 れる、こういう方法で処理をしてきておるわけでございます。今回は相当な金額に上るというふうなこともございまして、どうするかというふうなことで現在いろいろと財政当局とも話をしておるわけでございますが、いずれにしましても、必要な措置を講じまして、再保険金が予定の時期に払えるように頑張ってまいりたいと思っておるわけでございます。
  78. 仲村正治

    ○仲村委員 一般会計からの繰り入れだということですので、どうしても補正予算に計上していかなくてはならぬ、こういうことになると思いますが、いろいろと早急に支払えというような声も出ておりますので、そういたしますと、本臨時国会でその措置をしていかなくてはならぬというふうになるわけであります。ひとつそのような形で早急に処理ができるように、対応できるようにやっていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  どちらかといいますと、今まで米は抑制的な計画生産をしてきたわけですね。これは、過去に米余り現象があって、非常に苦い経験があるので、いつも計画生産、需要に見合う計画生産をしてきたということですが、どちらかというと、奨励的なものでなくて抑制的な計画生産であったというふうに思うわけでございます。そのことがこういうふうに百年に一度あるいはそれ以上だというふうな条件の悪い年にぶつかってこういう状態になったわけでありますが、これは何もとがめる気持ちはありません。ただ、来年以降の減反緩和の問題については、そういう周期的に来る不作に対応できる考え方を十分持っていかなければならない。ただ、この二、三年来、減反緩和をして復田をお願いしても、アシの生えた田んぼを、また金をかげてそれをもとの田んぼに戻すのはだめだというような感じの声もよく聞かされるわけでありますが、来年の減反をどの程度で、皆さん、恐らく今月いっぱいでそれも詰めていくというような話だと思いますが、答えられませんというふうには言わぬで、大体おおよそこの線でいきたいというようなことがあれば、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  79. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 大変いろいろ御心配をいただいておるわけでございまして、来年の復田面積、そしてまた先ほど来御指摘がございましたような来年の端境期の問題等々いろいろな問題が横たわっておるわけでございまして、しかしながら、少なくとも今月末までには数字をもってきちんとしたものを出したい。なおまた、従来と違いましたことは、やる気のある農家方々には傾斜的に復田の割り当てを御協力をいただこう、そういうような新しい要素を踏まえる。たまたま十五日までが意向調査の締め切り時期でございまして、きょうこの時点ではまだその数字が集まっておりませんで、こういうこともございまして、引き続き積極的に数字を詰めてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  80. 仲村正治

    ○仲村委員 もうそろそろ時間が参りましたのであと一問で終わりたいと思いますが、このように冷害、凶作のために農家所得が極端に落ち込んでいくと考えております。共済を支払ったって、これはもう七〇%、六〇%程度だと思いますので、その落ち込み分をどう補って農家の生活をしていくのか、これは大変な問題だと思っているわけであります。この問題に対する、あるいは補正予算の中で、あるいは次年度予算の中で、きちっと農村地域の困窮した状態に対応できる緊急の措置を講ずべきだと思います。農村地域は、冬になればほとんど大都市に出稼ぎに行くというような感じですが、できるだけその地域で公共事業等を起こして、米の収益減を補う、収益を得るような形の事業をしなくてはならぬのじゃないか、こういうように考えますので、その点について大臣からひとつ決意をお願いしたいと思います。
  81. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま仲村先生御指摘のとおり、今回のこの大凶作といいますものは、農家経済ということよりも、ある意味におきましては地域すべてに大きな打撃を与えておる、こういうことを考えまして、御案内のとおり、農林水産省対応という姿ではなくして、細川内閣挙げまして本問題のいわゆる救済対策に取り組まさせていただいておるわけでございますから、御指摘のように地域そのものの所得をふやす、さような意味合いの具体的な方策といたしましては、御案内のとおり、公共事業等々、各省庁の方々がこの問題に十二分に関心を払っていただきまして、傾斜的な箇所づけを公共事業にもやっていただく、その際にはその地域被災農家方々を優先的に雇用をお願いをする、こういうことにもただいま細川内閣としましての対策の中で大きな柱として取り組みをさせていただいておるような次第でございます。  なおまた、既に申し上げましたとおり、共済金等につきましては、年内に完全にすべて農家方々のお手元に届くような、そういう対応の作業が進められつつある、御案内のとおりであるわけでございます。仲村先生御指摘のお気持ちを体して頑張ってまいりたい、かように考えております。
  82. 仲村正治

    ○仲村委員 あと、ロシアの放射性物質海洋投棄の問題とウルグアイ・ラウンドの件について質問の通告をいたしておりましたが、時間が参りましたので割愛をいたします。  政府方々にはお待ちをいただきまして本当に恐縮ですが、一応時間でありますので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
  83. 竹内猛

  84. 長内順一

    長内委員 私は北海道長内順一でございます。本日が初めての質問でございます。大臣初め関連の皆様の積極的、建設的な御答弁を賜りますよう心からお願いを申し上げる次第でございます。  先ほども御報告がございましたけれども、今回百年に一度という大変な米の凶作でございまして、実は先日、この衆議院の農林水産委員会冷害被害の視察のメンバーの一人として加えさせていただきまして、北海道穀倉地帯でございます十勝それから上川、空知、こういうところを視察させていただきました。また、私どもの党といたしましても、いち早く冷害対策本部を設置いたしまして、全国の各都道府県におきましてこの取り組みをしたところでございます。  きょうこの場に立つに当たりまして、先日北海道の視察に伺った折りに、地元の農民の皆さんから、このひどい状況を国会の場でぜひとも訴えていただきたいということで、北海道の特産の米なんでございますけれども、実は預かってまいりました。これはゆきひかりという米でございます。ごらんのとおりに、先に実が一つも入っておりません。本来であれば黄金の波が農村地帯を広く覆うわけでありますけれども、今回は真っすぐ上を向いた青い稲が続くというような状況でございました。  よろしければ委員長の御了解をいただいて供覧したいと思いますが、委員長、よろしゅうございますでしょうか。
  85. 竹内猛

    竹内委員長 そこで見れば……。では、いいでしょう。
  86. 長内順一

    長内委員 はい、ありがとうございます。  それから、もう一つなのでございますが、実は後からまた議論に供したいと思いますけれども、さまざまな稲の、例えば今お話がございました共済金その他の査定の折に、坪刈りということを行います。従来は、今お見せいたしましたような稲をコンバインで刈りまして、それで出荷するわけでありますが、その前に手刈りで坪刈りというのを行います。その坪刈りの結果がここにございますものでございます。このもみの中にはほとんど実が入っておりません。言うなればごみみたいなものでございます。この状況をぜひとも国会の場で訴えていただきたい、こんなことで、きょうはお持ちをさせていただきました。これも供覧させていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。     〔委員長退席、前島委員長代理着席〕  私は、この冷害の話、そして農作物の話に入る前に、ただいま現在北海道におきまして大変なパ ニックになっている問題、いわゆるロシアの放射性廃棄物の問題について触れさせていただきたいと思います。  この問題につきましては、十月十七日に実は日本海におきましてロシアの海軍が廃棄物を投棄したということでございます。この辺の事情につきましては、皆様既に報道で御承知のとおりでございます。日本海といいますのは、私どもの北海道のいわば玄関先、庭先というよりも本当に玄関先でございます。そんなことから、ただいま北海道では、果たして安全性は大丈夫なんだろうか、このような議論が巻き起こっているようでございます。そこで、畑作農作物の議論に入る前に、この問題について一点だけ御質問をお願いしたいと思います。  というのは、海に投棄したわけでございますから、潮流に乗りましてこの廃棄物が、危険きわまりない廃棄物が日本海の中を回遊するということは十分考えられるわけでございます。そうした場合に、海洋汚染、それから北海道の沿岸の漁民の皆さんに与える影響につきまして、果たしてどのようなものがあるのか、どのようなことが懸念されるのか。それから、先ほど御答弁で、一度はいいけれども、二度、三度となってくると大変な被害もあり得るやの御発言もございました。このようなことを踏まえまして、この廃棄物の影響と今後の対応をどのようにされるのか、この点を一点お伺いいたしたいと思います。
  87. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 午前中もお答えいたしましたところでございますけれども、今回の放射性廃棄物の投棄につきましては、ロシア側が発表しております。そういう放射能レベルにつきまして、これまでの調査結果等に照らして見ますれば、海産物摂取により我が国国民の健康に対して直ちに影響を及ぼすとは考えにくいというのが水産庁の研究所、それから関係省庁の専門家の見方でございます。  しかしながら、ただいまもお話がございましたように、日本海は我が国の周辺水域でもございますし、重要な漁場でもあるということでございますので、引き続きこういうことが行われますならば、海産物への影響が懸念されるばかりでなく、海洋汚染に対します一般国民の不安というものも生じてくるということでございますので、私どもとしては、関係省庁と連絡をとりつつ、早急な海洋環境調査実施等適切に対処してまいりたいということでやってまいりました。  一番新しい情報を申し上げますと、本日十時から関係省庁によります政府の放射能対策本部の幹事会が開かれましたが、その席上、ロシア政府に対して海洋投棄の即時停止を強く働きかけていくと同時に、今般の海洋投棄の影響評価に資するため、関係省庁が共同で早急に海洋環境放射能調査というのを十月下旬から十一月上中旬にかけて行うということになりまして、海上保安庁、気象庁、水産庁、それぞれ分担をいたしまして表面水あるいは中、深層水あるいは魚介類等々についての調査を行うということを決定いたしたところでございます。
  88. 長内順一

    長内委員 ただいま取り組みの状況報告されたわけでございます。きょうになりましても随分北海道から電話が入ったりしまして、それでもう大変不安がって、サケ・マスその他の購買意欲の低下にもつながるのではないかなんという具体的なお話もたまたま入ってきたわけでございますけれども、いずれにいたしましても、大きな意味では地球環境の問題もありますけれども、ミクロ的には私どものすぐそばで今起こった事件ということで、ただいまのような形で強く取り組んでいただきたい、このように思うわけでございます。  それで、本題の農作物の方に入らせていただくわけでございますけれども、実は、私は今回消費者の立場とそれからもう一つは生産者の立場ということでお伺いをさせていただきたいと思います。  その一つは、米というものは日本人の主食であることは論をまちません。それと同時に、食管制度という制度によって食糧の保障がされているわけでございまして、そんな意味では、すべての米を政府が管理して、そして消費者の方に安定供給をするということが大前提ではないか、このように私は考えているわけでございます。  ところが、最近米が大変熱い視線を浴びているわけでございます。テレビやなんかを見ましても、こう言ってはなんですが、以前余り取り上げられることのなかった米が大変注目を浴びておりまして、深夜の番組でも随分取り上げられる、こんな状況にございます。そんな中で、消費者、家庭の主婦その他が主だと思うのでございますけれども、そのテレビの中で、どうも米がひょっとしたら不足するのではないか、またはかつてのオイルショックのときのトイレットペーパーと同じような状況が出てくるのではないかというようなことを懸念する向きもございます。実際は、スーパーマーケットの店頭から米がなくなるなんということは現実的にないのかもしれませんけれども、この際、この国会のこの場で、国民の皆さんの不安、そして消費者の方の果たしてどうなんだという疑問にぜひとも答えていただきたいと私は思います。  そんな意味では、この米の供給量については不安はないのか、それからもう一つは、逆に今度は米が大変凶作でとれないということで、当然需要と供給の関係から果たして価格が本当に維持されるのだろうか、高騰はないのだろうか、この二つが消費者の方の生の率直な疑問ではないかと思います。この点につきまして、米は大丈夫だ、価格も大丈夫だ、この根拠、裏づけといいますか、この点について明確にしていただきたいと思います。
  89. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 想像を絶するような異常気象によりまして、特に北海道あるいは東北の太平洋岸を中心に今年産の作柄が戦後最低の水準というようなことから、当面の米需給につきましても厳しいものになるということを我々は思っております。  そういう観点から、特に年末年始に向けましてもちとか米菓等の需要が懸念されましたので、それなどの需要に充てるために加工用米につきまして二十万トンの緊急輸入をしたところでございます。それから、主食用米の需給につきましては、現在、系統、集荷団体等あるいは県市町村の協力を得ながら集荷に全力を挙げておるわけでございますけれども、その集荷状況や、さらにまた、来年度の作付、これも先ほど来申し上げますように減反の見直し、特に早場米地帯を頭に置いた対応というものを考えているわけでございます。  そういうものに左右されるわけでございますけれども、いずれにしましても我々としては、食糧管理制度の根幹というのは国民に安定した価格で必要な量を供給するということにされているわけでございますので、供給には万全を期していきたいというふうに考えておるところでございます。
  90. 長内順一

    長内委員 供給量については、ただ、今のような形で大丈夫かなという懸念はありますけれども、まずは政府の対応としてはそのように準備してまいりたいというような御答弁をいただいたところでございます。また、価格につきましても、これは維持していくということでございますけれども、実は先日、十月七日の日に京谷事務次官の御発言ということで、ある意味では一〇%程度の値上げはあり得るという旨の発言がございました。これは、前後にいろいろなことがあっての発言かなというような感じがするわけでございますけれども、果たして一〇%の値上げはあり得るということはどういうことなのかな、もう既にそういうある意味の騰貴といいますか高騰を是認しているのかな、こんな感じでいるわけでございますが、この辺の事実関係について御答弁をいただきたいと思います。  ちょっと時間がないものですからどんどん行きたいと思います。もう一点、同じことなんでございますけれども、この米の不作に伴う便乗値上げ、これをどういうふうに考えているのか、この対応についてもお願いしたいと思います。というのは、例えば自主流通米について考えてみたとき に、生産者というのは価格形成の場で値段がつく。価格以上高くは販売できない。ところが消費者の価格になりますと、これは流通業者にゆだねられている、そういうことも言えるのではないかな。そうなりますと、この米不足によって何か、生産者の価格は抑えられているわけですから、あとは野放し状態、ある意味では流通業者だけが利益が非常に多くなる可能性はないのかな、こんなことも考えまして、便乗値上げの防止策については私は腰を入れていく必要があるのではないか、こんなふうに思うものですから、先ほどの京谷事務次官の一〇%のお話とこれからの便乗値上げ対策、これについて伺いたいと思います。
  91. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 京谷次官が記者会見の際にそういう話をしたわけでございます。これは値上げを認めるのではなくて、一部の関係者の間に米の値上げ問題というのが、そういう動きがありましたので、むしろそれを抑制するために話したことでございます。  価格につきましては、政府が売る価格は米価審議会の議を経て政府が決めてやっておるわけでございますけれども、自主流通米につきましては自主流通米の価格形成機構というところでそれぞれの入札によりましてそれぞれの米の品質とか産地とか、それに応じました、銘柄に応じました価格形成が行われているわけでございます。大阪、東京で二度ほどずつ行ったわけでございますけれども、昨今の需給事情を反映しまして、入札の限度とされております価格の上限に張りついてきた、これは大体年間七%でございますけれども、そういうことが一つ、それからもう一つは運送費とかその他のコストの上昇というのもあるというようなことで、一つの目安として、むしろ値上げをできるだけ抑えたいという意味で申し上げたのがあの数字でございます。新聞その他の報道によりまして、そういう意図を正確に伝えてくれたところと、また逆に、今先生御指摘のように、値上げを容認したというような話で報道されたわけでございますけれども、私どもとしては、あくまでこういう事態においても、便乗値上げといいますか、そういう値上げを避けてもらいたいという意味の発言でございます。  それから、米の不作に伴います便乗値上げの防止対策、これは私ども、一番関心を持っておるところでございます。基本的には必要な米を供給するということで、末端の価格は統制しておりませんので、供給するということが基本であると思います。  ただ昨今、いろいろな事情もあってそういううわさもあるわけでございまして、私ども、都道府県あるいは食糧事務所に指導員が配置されておるわけでございますので、そういうものを通じまして、米販売価格の動向を迅速かつ的確に把握するために、巡回指導とかそういう点をやっておるわけでございます。十月から年末年始にかけまして、それをもう少し通常以上に重点的に実施したいというふうに考えております。それから、加工食品とか外食価格につきましても、そういう点の監視、指導業務を十月から毎月実施しているところでございます。そういうことによりまして指導するとともに、特に、その結果不適正な販売行為が認められた場合には、適切な措置を講じていきたいというふうに考えております。
  92. 長内順一

    長内委員 一〇%の問題につきましては、これはあくまでも抑制が目的であるということでございます。ただ、こういう時期だけに、数字を伴った発言というのは、やはり慎重を期する必要があるのではないかというように受けとめさせていただきました。  それから、便乗値上げの防止策につきましては、今お話しになりましたような巡回策ですとか監視体制その他の強化、これまでも多分行われてきておると思いますけれども、大変大事な問題でございますので、特に年末を控えて、しかるべき措置とおっしゃっていましたが、ある意味では踏み込んだ対策が必要ではないか、私はこのように思うわけでございます。  そこで、先ほどの供給量は大丈夫かと言ったときに、例の在庫といいますか備蓄の問題と、それからもう一つは、米の二十万トンの輸入というようなお話がございました。  そこで、この点については一点だけお伺いしたいと思いますが、消費者の側に立ってみたときに、輸入米というのは非常に神経質にならざるを得ない。これは何かといいますと、輸入米が、俗に言われるところのポストハーベストと申しますか、さまざまな農薬で収穫後農薬づけになって来るのではないか、こんな懸念も一部ではされているようでございます。これも市民の方、国民の方に安心を与えるという意味で御答弁をいただきたいと思いますが、今回の緊急輸入米の安全性、それから、これをどういう形でチェックするのか、検査体制についてどういう形で受け入れをさせるのか、この点についてお願いしたいと思います。
  93. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 在庫問題につきましては、かねて以来議論があったところでございますけれども、昨今の事態を受けまして、今後の減反緩和の見直しをどうやっていくのか、早急に結論を出したいというふうに考えておるところでございます。  それから、輸入につきましては、私ども、安全性が最も大事であるというふうな認識を持っていますし、輸出国自身も、安全性についてはそれぞれの国でいろいろな配慮をしているところでございます。例えばタイから今売買の契約ができて近いうちに輸入するわけでございますけれども、向二う側でも、積む際にそういう検査をいたしておりますし、こちらに入ってきますと、厚生省の方でも検査してもらうような仕組みになっております。そういう点で、安全なものを届けるというのを基本として対応していきたいというふうに考えております。
  94. 高原亮治

    ○高原説明員 厚生省といたしましては、今般の米の緊急輸入に際しましても、安全性確保のために万全の措置を講ずる所存でございます。また、食糧庁に対しまして、安全性に十分留意し、食品衛生法に基づく残留農薬基準等に合致しているもののみを輸入するようにお願いしておるところでございます。また、厚生省といたしまして、検査体制につきまして、横浜及び神戸検疫所の輸入食品・検疫検査センター等において、機器等も整備し、実施することとしております。具体的には、残留農薬基準及び現地における農薬の使用実態等の調査に基づきまして、必要な検査を行うことを予定しております。検査の結果、厳正に判断いたしまして、食品衛生上問題ないことを確認したものでない限り、輸入を認めないという方針で当たりたいと考えております。     〔前島委員長代理退席、委員長着席〕
  95. 長内順一

    長内委員 ただいま厚生省の御答弁をいただきましたけれども、まさしく危ないものについては一粒たりとも入れないというその姿勢を堅持していただきたい、このように思うものでございます。  それから、きょう朝からずっと大臣の方に、例外なき関税化は大丈夫だろうなという念押しの質問が随分ございました。私も、先ほどからそれを伺っていて、大変かたい決意で臨まれているという印象で受けとめさせていただきましたけれども、米ではなくて米以外の、俗に二十品目と言われています乳製品、小麦、それから雑豆その他ございますが、実は、北海道はこの一大生産地帯になっております。したがいまして、米は絶対大丈夫だ、しかしながら、乳製品だとかそのほかの二十品目の関税化または関税の引き下げというような報道も一部ございましたけれども、これについても米と同じような姿勢を堅持される、このように思いますが、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  96. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 まずは長内先生、北海道の大変厳しい農業災害、大凶作の実態のお話がございました。実は私も北海道に参りまして、なおまた、北海道の持っております従来からの歴史、そういうものを踏まえまして、これからも引き続き力を入れてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  そういう中にございまして、今ウルグアイ・ラウンドの問題で米はそれ相応の覚悟があるようだというお言葉の中から、他の分野云々というお話がございましたが、いわゆる対応する姿勢としまして他の分野を犠牲にしてというようなことは私のとらざる点でありまして、そういうことがあってはならない、やはり一つ一つの問題で困難な事情がそれぞれあるわけでございますから、これを申し上げながらこれから先の最終的な決着を図る、かような考え方に立っておるわけでございます。
  97. 長内順一

    長内委員 大変時間のバランスが悪くて随分積み残したような感じがありますので、最後に、私の考え方をちょっと申し述べさせていただきまして、ぜひとも大臣の御所見を伺いたいと思うところでございます。  私、農民の皆さんと話しておりまして、農民の皆さん、北海道は特にそうなのでございますけれども、例の新農政、このようなアドバイスもあってのことだと思いますが、大変大規模農家の方がふえてきておるわけでございます。そして、その中で、まじめに政府の言うことを聞いて、大規模農家に取り組み、そして機械化し、大変な投資をしながらきた方々、残念ながら今回の冷害で一番被害を受けているのはこういう皆さんでございました。私は、今回のこの冷害というのが、何かしら一つの警鐘、いわゆる食糧に対する警鐘というふうに思えてならないわけでございます。私は、いろいろな形で農業のシステムを最近になって教えていただきました。しかしながら、どうもこれはアブノーマルの部分が余りにも多過ぎるのではないかというのが私の率直な感想でございます。  私は、今まさしく、日本の食糧はこれからどうあるべきなのだろうか、そして、その中での米の位置づけはどうするべきなのだろうか、そうすれば、農家の数はどのくらい要ってという、いろいろなことがはっきりしてくるのではないだろうか。新農政がそういうものかもしれませんけれども、私は、あの田んぼに立って農民の皆さんの話を聞いたときに随分と、猫の目と申しますか、そういう御意見をいただきました。  そんなことで、私は今、こういう大変なときにこそ将来に希望を持てるような形の農業政策をしっかり立案していくべきというふうに考えるものでございますが、最後に大臣の御所見を伺って、終わりたいと思います。
  98. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 先生御指摘のとおり、正直者がばかを見るというような農政であってはならない、これが大きな一つの柱ではないかというように考えるわけでございます。  御指摘のような新農政、これにつきましては、一応十年計画というような要素が多いわけでございますが、私どもの考え方としましては、毎年の予算の裏づけを厚みを増しまして、この新農政の展開を具体的に、ダイナミックな対応を進めてまいりたい。上りわけ北海道におきましての御期待に沿える形を全国的にもつくってまいりたい、かように考えているところでございます。
  99. 長内順一

    長内委員 これで、私の質問を終了させていただきます。
  100. 竹内猛

  101. 錦織淳

    錦織委員 さきがけ日本新党を代表いたしまして、御質問をさせていただきます。  新しい政権が誕生いたしまして、その課題は、社会のあらゆる分野にわたって大変難しい問題を抱えておるわけでございます。これまでの政策の延長線上で解決できる問題だけではなく、従来の政策を抜本的に見直さなければならない、そういった社会的諸条件の変化というものが社会の至るところで起きておる、このように考えております。  この点については、農業あるいは林業、水産業等についても全く同じでありまして、ある意味では最も深刻な課題を抱えている、このように申し上げてよかろうかと思います。  今回私どもが三班に分かれまして、冷害やあるいは集中豪雨等災害調査を行う中から、このような災害に対してどう対処するか、あるいは、これに伴って急激に発生してまいりました米不足の問題、これについてどう対処すべきかというようなことが問題になっておるわけですが、これらの問題の背景には、単なる応急措置では済まされない、かなり本質的な問題点が背後に存在しており、それらがこの冷災害発生によって一挙に表面化した、このように考えるべきではないか、このように思っております。  私自身は、先ほども御報告いたしましたように、第三班の一員として南九州災害調査を行いました。その中で何度も指摘されましたことは、この災害が大変深刻であって、もう立ち直れない、これを機会に農業をやめてしまいたいというような、そういう叫びが聞こえてまいったわけでございます。これは農業従事者の方からの御指摘であると同時に、県の行政の長である知事さんみずからそのような指摘をされるほど大変深刻な問題である。つまり、今問題になっております冷害に対してどういう対策をとっていくかということ。そのことによって、それを十分手厚く行うことによって、それでもなお解決し得ない問題が残っている。つまり、このまま十分な災害対策を講じてもらっても、農業への生産の意欲を失ってしまっている。これは災害の問題というよりも、災害を契機として起きてきた、今後の農業従事者の、農業生産者の将来に対する不安であろう、このように考えます。  そのような指摘に対して、政府としてはどのようなお考えをお持ちなのか、またそれに対して、農業生産者の生産意欲をかき立てるためにどのような努力をなさるお考えであるか、その御決意なり御所見なりを大臣に御答弁をお願いいたします。
  102. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 先生御指摘のとおり、これだけの大凶作を目の当たりにいたしまして、何といっても、御関係農家方々に、将来に向けての意欲を取り戻していただけるような条件整備を急がなければならない。  その第一点は、やはり災害対策、復旧対策等々につきまして、従来以上の厚みを持った対応が必要であるという考え方に立ちまして、御案内のとおり、農林水産省という立場だけではなくして、細川内閣として全力を挙げてこれに取り組んでまいろう、かような作業がただいま展開中でありますことも御承知のとおりでございます。  第二点といたしましては、やはり将来展望、ビジョンといいますものを、そこに魅力あるものの要素をつくり出していかなければならない、こういう観点に立ちまして、御案内のとおり、昭和三十六年の農業基本法のいわば改訂版ともいうべき新農政の展開が本年から始まっておるわけでございますから、いわばこの新農政の展開によりまして、先生御指摘の意味合いのものをつくり出していかなければならない、そういう責任を痛感しながら努力を続けてまいりたいと考えておる次第でございます。
  103. 錦織淳

    錦織委員 ありがとうございます。  それでは、この今回の冷害災害に伴って生じた米不足の問題、つまり、緊急避難措置として輸入に踏み切らざるを得なかった、このことについて、私ども、いろいろ農業関係者あるいはその他社会のあらゆる分野の方々から、この原因をどのように考えたらよいのか、つまり、これは先ほど来の御説明にありましたように、天明以来の天災あるいは有史以来の天災ということで、全く予期せざる例外的な現象である、したがって、これはこれまでの政策を根本的に変更する必要を生ずるものではない、このようにお考えなのか。それとも、そうではなくして、何らかの政策上の問題点がこの問題の背後に存在するのか。こういう点でございます。つまり、大変私どももあちこちで厳しい質問を受けております。天災か人災か、こういう質問を受けているわけでございます。  そこで、ではなぜ今回のような備蓄米の不足を生じたかということを考えてみますと、もちろん直接的には天災ということがその原因ではございますけれども、これまでの政策、つまり余剰米、 米がだぶつく、そのことによって生ずるさまざまな弊害、こういうものがこれまでどちらかというと強く懸念されてきた。このことによって生ずる国民の負担、そういったことについて批判がなされた結果、できるだけ抑制をしていく、つまり生産量そのものも抑制していく。あるいは備蓄量についても、これはできるだけ、ぎりぎりとは申しませんが、抑制的に考えていくというような考え方が主力であったと思います。  そこで私がお尋ねしたいのは、今回のこういった米不足、緊急輸入に頼らざるを得なかった事態というものが、先ほど来指摘してまいりましたいわゆる天災による一回きりの問題である、したがって従前の政策については変更の必要を認めないというふうにお考えなのか。あるいは、そういった点の政策についても見直すべきであるというふうにお考えなのか。この点について、大臣の御答弁をお願いいたします。
  104. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 先生、どうぞおかけください。  百年ぶりとも言われますし、あるいはまた有史以来とも申し上げさせていただいているわけでございますが、今回の大凶作につきまして、そのよって来る原因あるいは責任はどこにあるかという御指摘でございますが、農業関係につきましては、先生御案内のとおり、これは何といっても天候、気象に大きく左右をされるという、これは世界各国共通の大きな問題点でありますことも御案内のとおりでございます。  さような意味合いでは、私どもといたしましては、今回のこういった事例といいますものの中から、災いを転じて福とすべき物事が当然その中にあるということを踏まえまして、見直しをする、洗い直しをする、あるいはまた新しい政策展開をやっていく、こういうような取り組みをやっていかなければならない、かような考え方に立ってのただいま万般にわたりましてのチェックをさせていただいておるのが今日の姿であるわけでございます。
  105. 錦織淳

    錦織委員 私はこの間まで弁護士をしておったものですから、立って質問する癖がついておりまして、御配慮ありがとうございます。  今大変適切な言葉でお話しいただいたと思いますが、つまり、災い転じて福となす、まさに私はその言葉こそ名言であろうというふうに考えております。先ほども公明党の先生の方から、今米が熱い視線を浴びているという御指摘がありました。まさしくそのとおりであると思います。つまり、今までの米の問題、これについては議論がかなり偏っていた。つまり、国民としてこの米の問題をいろいろな角度からどう考えていくか。生産者の立場、政府の立場、消費者の立場。さらには、今回例えばこのような形で緊急輸入をすると、国際的な米相場の市場の狭さから価格の高騰を招き、日本以外に輸入に頼っている他の国々に大変大きな影響を与える、そういったさまざまな問題。ひいては、農業のあり方そのものまで根本的に考えていこうというようなチャンスであろうと思います。  そこで私は、この際、やはり農業維持していく、そういうためには、国民共通の負担をしなければいけないのではないかというようなことについてきちっと国民的な議論を展開していけば、これまでとは違う意味での理解を得られるチャンスではないか。こういったチャンスを生かして、積極的にそういった点についての理解を国民に求めるということについての大臣の御見解をお願いいたします。
  106. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 先生もいみじくも御指摘がございましたが、今国民の各界各層の方々が、この食糧問題、米問題、そしてまた水稲の大凶作の問題、大変な、異常な、そしてまたある意味におきましてはありがたい御関心をお持ちをいただいておる今日の姿、かように受けとめさせていただいておるわけでございまして、私は、飽食の時代と言われる中にございましての水稲問題あるいは米の問題等々、こういう厳しい現実を踏まえて、もう一度それぞれのお立場での掘り下げた論議の中から正しい御認識をいただける一つのチャンスにもお願いしたいがというようにも考えておるわけでございます。  例えば、この機会にも食管制度はなくした方がええではないかというようなお話が従来一部にはございましたけれども、今日のこの姿の中から、いわゆる買い占めがない、価格の暴騰がない、安定供給をいわゆる国の立場におきまして責任を持ってやり得る、こういうことを考えますと、食管制度の持ち味、そしてまた食管制度の存在価値、こういうものが見直されておることもこれまた事実。そしてまた、これを機会に、先ほど申し上げましたような意味合いで、万般にわたりましての、もう一回それぞれ論議を闘わせる中から建設的なものをつくり出していく、こういう姿勢を持って対応を続けてまいりたい、かように考えております。
  107. 錦織淳

    錦織委員 今の点についてもう少し具体的に質問をするつもりであらかじめ通告いたしておりましたが、ガット・ウルグアイ・ラウンドをめぐる問題で急速にいろいろな問題が懸念をされておりますので、この点について質問を残りの時間でさせていただきたいと存じます。  去る十月八日の毎日新聞の朝刊の一面冒頭に、このウルグアイ・ラウンドの問題を踏まえて、「米作農家に直接、所得を補てんする制度を導入する」、そのようなことを「新ラウンド後の農業改革の柱とする考え」である、これが政府の考えであるというような報道がなされておりますが、まず、これは事実であるかどうか、この点についてお尋ねをいたします。
  108. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 いわゆる所得補償の問題は、御案内のとおり、中山間地域の対応の中で大きく取り上げた、論議をされた問題でございますが、まだまだ研究の余地ありということでただいまの状態に置かれておるわけでございまして、この大凶作絡みの中でその問題につきましてもいろいろ論議がそれなりにされておることは承知をいたしておりますが、政府としてあるいは農林水産省としてこれを取り上げるということは現在全くない、かように申し上げてお答えにかえさせていただくわけでございます。
  109. 錦織淳

    錦織委員 この記事を見ますと、つまり、関税化にふる市場開放の受け入れが避けられない、したがって、それに対する農家対策としてこのような直接所得補償を検討している、こういう文面もございます。それとともに、仮に「関税化による市場開放を免れたとしても、内外価格差是正の観点から、米価の引き下げが必要」となり、したがって、生産性の引き上げに十分対処できない中山間地域においてはこのような所得補償方式が必要ではないかというようなくだりでございます。  そこでお尋ねいたします。  まず第一点は、これはもう先ほど来確認されていることの繰り返してございますので、この前提たる市場開放ということについては、従前どおりの方針で臨むということであればそれを前提とした所得補償方式もない、このように考えてよろしいわけでしょうか。
  110. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま先生のお言葉どおりでございまして、それを前提としたさような対応は全く念頭にない、かように申し上げさせていただきます。
  111. 錦織淳

    錦織委員 ついでにお尋ねいたしますが、そうしますと、仮にこの関税化の問題とは全く切り離して、今後内外価格差をどう縮めていくかという課題を持っているわけですが、その点から中山間地域対策として所得補償方式を打ち出していこうという考えも今のところは決定したものではない、このように考えたらよろしいでしょうか。
  112. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 誤解があってはなりませんので重ねて申し上げさせていただきますが、いわゆる米についての内外価格差という視点で物を考えることはとらざるところでございまして、やはり日本のこの土地面積、あるいはまた今現実アメリカ産と比較をしました場合には、消費者価格におきましてはたしか二・数倍の差というところであろうかというふうに私は承知をいたしておるわけでご ざいまして、さような意味合いで、余りその視点から物事の対応というものは考えてはならぬというような考え方に立っておるわけでございます。  いわゆる中山間地域に対しましての直接所得補償等の問題は、一時期論議をされましたけれども、フランス等々でやっております問題も我が国に当てはまるケースではないというように私自身承知をいたしておりまして、まだまだ問題を研究をする段階であって、これがここ一、二年でもって具体化をするということは、そういう段階には全然なっていない、かようにはっきり申し上げておいた方が誤解を招かないと思いますので、御承知おきを願えれば幸いに存じます。
  113. 錦織淳

    錦織委員 そこで、ガット・ウルグアイ・ラウンドの問題についてお尋ねしたいと存じますが、けさほどから、この問題についての政府の方針には変更がない、従来どおりの考え方で今後も臨むということを繰り返し御答弁いただいているわけでございます。そこで、私としては、今後のこの問題の見通し、展開、日程、こういったものがどのようになっていくかということについて、あえてこの段階でお尋ねしておく必要があろうかと思います。  と申しますのは、御存じのようにサザーランド氏が来日する、またそれに符牒を合わせるように突如として新聞報道から、海外からの情報という形でいろいろと交渉が進んでいるのではないかというような報道がなされたりして、国民全般、わけても農業関係者の中からは、この問題が今後いつ具体的にどのように展開していくのか、そして大変な決断を迫られるのではないかというような危惧をしておられるわけでございます。  そこで、私どもが承知しておりますことによれば、ファストトラックとの関係で十二月十五日という一つの期間的なメルクマールがございます。さらにはその一カ月前の十一月十五日までに国別表を提出しなければいけない、これがもう一つのメルクマールである。このようなことを承知はしておりますけれども、もう少し具体的に、現在サザーランド氏が来日され、そして今後どういう形で展開していくか、このことについてお尋ねしたいと思います。  先ほどの御質問の中で、大臣の御答弁によりますと、サザーランド氏の来日によって行われる折衝ないし交渉は恐らく平行線になると思う、つまりそこでなんらかの決着がつくということはない、こういう意味だと理解いたします。そしてその後、追っかけて折衝に行くんだ、こういうような御指摘がございました。そこら辺について、極めて今国民の大きな関心事でございますので、全体的な方向をお示ししていただきたい。もちろん外交交渉であるからして、当然そのすべてを開示するというわけにはいかないかもしれませんけれども、できるだけの、最大限可能な限りでの見通しを語っていただければと思います。
  114. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 先生御指摘のとおり十一月の十五日あるいは十二月の十五日という問題をいわゆる数字をもって従来から念頭に置かせていただいていることは、これまた事実であるわけでございます。  ただ、ひとつこの機会に申し上げさせていただきたいわけでございますが、いわゆるウルグアイ・ラウンドは成功させなければならない、それぞれ各国共通の一様の受けとめ方であり、基本的なスタンスでありますことも御承知のとおりでございます。しかしながら、現在の現実は、米だけ残って、あるいは農業分野だけが残って、これが話がまとまらないことによっての不成功であるというような位置づけを私はすべきでないというように考えておるわけでございまして、十五分野にわたります他の分野におきましても、いろいろ難しい問題が横たわっておりますことも御案内のとおりでございます。知的所有権の問題あるいはサービス分野の問題等々、まだまだもろもろの問題が残っておるわけでございますから、その難しさをとらえまして、十一月十五日のいわゆる国別表の提出につきましても、そういう一つの期待はあっても現実問題としてはなかなか難しいのではないかなということが間々報道される今日の厳しい実態にある、こういうことも御承知おきを願いたいがというように考えるわけでございます。  いずれにいたしましても、きょう事務局長サザーランドさんがお見えになるわけでございまして、これから本格的な、時間を切った、ある意味では真剣勝負の話し合いが始まるなというように私自身は受けとめさせていただいているわけでございますが、今これから先の見通しということにつきましては、大変厳しいという言葉以外麦現のしょうがないわけでございます。私の耳に入ってまいりますのは、一部報道されておりますようないわゆる提案とか妥協というようなことではございませんで、やはり原理原則の例外なき関税化、包括的な関税化という言葉、言葉をかえて申し上げれば、新聞報道等の内容よりもより厳しいものが今強く最終段階で要求をされておるというような認識に立っておりますことを先生も御承知いただければありがたい、かように考えます。
  115. 錦織淳

    錦織委員 私が特にお尋ねしたいのは、今後の交渉の大まかな大体のスケジュールといいますか、そういった点をちょっとお伺いしたいということでございます。つまり、きょうサザーランド氏が来日する、しかしそこでは恐らく平行線、つまり何らかの決着がそこでつくわけではないであろうということであろうかと思いますし、そして、先ほど申し上げた十一月十五日あるいは十二月十五日というような場面場面が想定されますけれども、サザーランド氏来日以降の大まかな大体の交渉の段取りといいますか、そういったことの概要をちょっと教えていただきたい、こういうことでございます。
  116. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 先ほども先生からもお話がございましたとおり、あす私自身はサザーランド氏にお会いをするような予定をいたしております。そういう中にございまして、平行線で話し合いは終わるであろう、そういう認識の中から、さらにいわゆる我が国の立場、事の難しさ、こういうことを出向きまして関係筋の方々、サザーランド氏を初め関係方々に再度重ねて力強く説明をし、説得に当たってまいりたい。  この一つの時間的な問題は、やはり十一月の十五日を念頭に置いて事柄を進めていかなくてはならぬなというふうに考えますが、これは御案内のとおり、ウルグアイ・ラウンドの問題は、例えば文部省等々にも関係もございますし、他の分野におきましてもいろいろ問題を抱えておるわけでございますが、この辺になりますと、今度は細川内閣として物事の全体的な対応につきましての検討をしていかなければならない。さような意味合いでは、今私自身の立場にございましては、十二月十五日の問題もその期待どおりにはなかなかいきにくい、逆に申し上げれば、我が国の主張を御理解願わなければ難しいなというのが偽らざる私の心境でございます。
  117. 錦織淳

    錦織委員 くどいようですけれども、例えばECとアメリカとの交渉、そういった問題もあろうかと思います。つまり、この問題はかなり多面的な場面が展開していくであろうということでございますので、そういった意味でいろいろな条件がだんだん収れんをされていくというふうに考えておるわけでございますけれども、政府としてはあくまで従来どおりの方針で臨む、こういう強い姿勢で臨むということでございますが、場合によっては大変緊迫した場面あるいは緊張した場面が来ないとも限らない。こういった場面がおおよそいつごろやってくるであろうかというようなことについて、現段階でお見通しを語っていただければ幸いでございます。
  118. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 大臣からお答えをする前に、若干日程について説明をさせていただきます。  現在決まっておりますのは、先ほど来大臣が御答弁申し上げておりますように、十二月十五日、それから十一月十五日に改定国別表の提出をする、そういうことが決まっておるわけでございます。それに向かいまして関税引き下げを中心にしました二国間交渉あるいは多国間交渉というのをそれぞれやってきておるわけでございます。  それで、大臣も御答弁申し上げておりますように、ウルグアイ・ラウンドというのは大変広い分野にわたって、十五分野にわたりまして交渉が行われておるということでございます。現在のところ、農業関係だけを見てみましても、アメリカとECの農業をめぐるいわゆるブレアハウス合意の問題、この問題について両者の間で最近、十月十三日と九月二十七日と二回にわたって交渉が行われたわけでございますが、その二回の交渉でも進展を見ていない、それからまた、今後会談の予定が立っていない、こういうふうな状況でございます。それから我が方の包括的関税化の問題。農業だけでも大ざっぱに言いましてそういう問題があるわけでございます。  他方、その他の分野におきましても、アメリカが提唱をしておりましたダンケル・テキストの修正の問題。これはアンチダンピングでございますとかMTOとか、その他いろいろあるわけでございますが、これをどう処理するか、こういうふうな問題もまだ残っておるわけでございます。そういうふうな状況でございますので、具体的にいついつどうなるということは、それからいつどういう会議を行うというふうなことは現在のところ決まっておらない、こういうのが実情でございます。  しかしながら、サザーランド事務局長は各国を回り、それからこの十一月十五日なり十二月十五日と、こういうふうな日にちを目標にしましていろいろと会議設定したり、その交渉促進にこれから精力的に動かれる、こういうふうに予測されるわけでございます。その中で、先ほど来大臣が御答弁しておるようなことで我々も参加をしていく、こういうことでございます。
  119. 錦織淳

    錦織委員 本日はもう少し細かい問題についても質問通告をいたしておりましたけれども、時間の関係と、サザーランド氏の来日に伴って国民的な関心事である問題について少し時間を割きましたので、一応これで私の質問は終わらせていただきますが、御答弁をいただいた関係当局、準備いただいた関係当局にはちょっとその点おわびを申し上げて、私の質問を終わりにいたします。ありがとうございました。
  120. 竹内猛

  121. 小平忠正

    小平委員 大臣、御就任以来何度もお目にかかっておりますけれども、こういう農水委員会の場でごあいさつ初めてなものでございますから、御就任まことにおめでとうございます。今まで前任の大臣の皆さん、このラウンドという非常に厳しい状況の中で大臣に御就任されましたけれども、特に今回の畑大臣におかれては、そこにもってきてさらに未曾有の冷害、大凶作といういまだかつてないその時期に遭遇されて、本当に大変だろうと思います。ということはまた逆に、大臣のお力を関係者一同大いに期待しております。そういう意味においては、今後の御活躍を私からも心から御期待申し上げるものであります。  また、この後幾つか質問させていただきますが、全般的なこととしてはいろいろと今それぞれ質問がございました。今回のこういう事態に陥ったことは、今も既に皆さんからお話がありましたように、いわゆる天候というのは不可抗力であって、天災でありますけれども、人災もあるということはだれしもが、これは大臣も御承知のとおりであると思います。そういう状況の中で、これからの食糧管理政策をどう持っていかれるのかはまことに大事な問題であり、大臣のこれからの御姿勢というものも大きく問われているものであると思います。  時間が余りございませんので、少しく冒頭に続けて発言をさせていただきますけれども、そういう中で、一つの問題としては、この緊急輸入をせんければならぬという状況がいち早くマスコミからも報道がありました。それで、少しくどころか大いに不安というか、消費者各位においては不安が広がり、買いだめですとかあるいは買いあさりですとかあるいは売り惜しみ、これらが出ているのが実態であります。  そこで、やはり政府として大事なことは、そういう一部のところに、この事件を利用して一部の人が暴利をむさぼるというか暗躍しないように、そういう連中がばっこしないように、ここは政府として毅然としてその対応、いわゆる実効ある措置をしていっていただきたい、私はこんなふうに思います。  それに、今もお話がありましたように、このラウンドの問題ですけれども、このことについても、米の関税化については六カ年の猶予期間を置いて実施する、過般もそんな報道をされました。日米間合意があったということですね。これは即座に総理そして畑大臣、明快に否定されましたので、私はほっと、安堵といいますか、胸をなでおろしていたところであります。しかし、これはもう大勢の方が、いやもうほとんど全員の方が、裏で政府間交渉でそういうことをやっているのではないかという疑念というか、疑いがあることもこれは私は御承知おきいただきたいと思います。  そこで、我々は今連立与党になりました。そのときに、当初、覚書というものがございまして、農業のことに関しては、もう繰り返すまでもないのでありますけれども、「自由貿易体制を堅持する立場からウルグアイ・ラウンド交渉は成功させるべきであるが、コメの例外なき関税化には反対である。」この与党の八党派覚書も御記憶というか、新たにしていただきたいと思います。  またそういうことの中で、今国内的な問題、そして外の問題等々でマスコミ、もちろん報道は自由であります。しかし、社会の公器として、その報道がいたずらに人心不全安をあおる、あるいは誤った方向に世論が操作される、こういうことがないように政府としてもこのマスコミへの対応をきちんとしていただきたい、これも改めて要求をしておきたいと思います。  こんなことでもろもろ申し上げましたけれども、重ねてになりましたけれども、これらについて大臣のまず基本的な、私からもこの点についての御質問をさしていただきます。
  122. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 農業問題、大分御熱心な小平先生から、裏ではすべてが進んでおるような御発言をいただいたのは、いささか私としましては残念千万でございます。  重ねて申し上げますが、私自身がこれから最終段階の正念場、そういうことを踏まえて本格的な交渉をこれからスタートを切らせていただくということでございますので、先般来の報道の、合意であるとか提案であるとか、そいういうことが行われていないということを重ねて小平先生もぜひひとつ御理解を賜りたいなというように考えるわけでございます。  なおまた、御指摘がございましたとおり、本問題につきましては、とりわけ連立政権の立場にございまして、八党派の合意の問題、こういった問題を絶えず念頭に置いて対処していかなければならない、当然のことではないかなというように考えておるわけでございまして、あくまでも政府・与党一体となっての取り組みをこれから進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  123. 小平忠正

    小平委員 大臣のお立場では決意のほどはわかりますが、とにかく、まさしく正念場であります。これはもう言い古された言葉でありますけれども、今の大臣の御心境、私も理解できますが、今ダンケル氏からサザーランドに事務局長はかわりました。でもやはりつながっていることは、ダンケル案というのはまさしく輸出国側の論理であって、我が国のように生産調整というものをしてすべて国内で処理をして、国際穀物市場に、特に投機性の高いお米については国際市場に何らの混乱というものを与えてこなかったという、こういうことを評価してくれるようにこれからも粘り強く交渉の責任者として進めていってもらいたいと思うのであります。  関係者、特に農民は真剣な面持ちで今見守っております。私も、先般この農水委員会冷害視察で北海道に同行させていただきました。あの悲惨な大凶作というか、穂が威張って突っ立っている といいますか、全然頭を垂れてないという、そして風に柳と揺れている、そういうからからの状況、それをこの目で見てまいりました。まさしくひどい状況でしたね。  そういう中で、農家の皆さんはまさしく打ちひしがれております。そういうときに、今緊急輸入、これは国民を飢えさすことはできませんからやむを得ないですけれども、これが自由化につながっていくということになったのでは、これではもう農民の打ちひしがれた心情にさらに追い打ちをかけて、離農者は増大し、そして農業に対する意欲が失われ、まさしく私は日本の農業は崩壊すると思います。  したがって、今こそ農民のサイドに立っても、このことはしっかりと踏まえてやっていただきたいと思いますし、またこのことは生産者のみならず、消費者の、そして我が国の将来のためにも大事なことである、私は、重ねてでありますけれども、こう申し上げておきたいと思います。  これができなければ、もう農家は、生産者はいわゆる農政に対して信頼なんてものはなくすどころか、もうどうでもしてくれ、そんなふうになってしまったんでは、政治不信を通り越して政治無視というかそこにいったのでは、我が国の言うなれば民主主義の崩壊にもつながっていく、そんなふうに私は懸念いたします。したがって、この問題、本当に大変な時期に御就任されて御苦労さまだと思いますけれども、一生懸命取り組んでいっていただきたいと思います。これは御答弁結構です。  そこで、次は、具体的なことで何点か質問をさせていただきたいのでありますけれども、先般政府の方から「冷害対策実施状況」ということでペーパーが出されておりますし、幾つかの点に絞って通達も出されております。  そういうところで、私は、これは一つ一つ質問したいのでありますけれども、時間もありませんので何点かについてお尋ねするのですが、多くの農家の方は政府の施策に沿って農業の近代化、土地改良に努めてまいりました。それによって今大変な負担を強いられている。いわゆる制度資金の償還ですね。それが十一月の末に大体集中しているのが実態であります。ところが、今共済の早期支払い、これが重要だということでとらえられていますし、政府共済金については年内支払いの方向で対応中、そういう方向であることもお伺いいたしております。しかし、十一月の末に制度資金の償還が来る。ところが、共済金はその後になる。では早くにその支払いをしてという考えもありますけれども、そうなると、一部共済組合等では逆に作業が繁雑になる。したがって、本払いというか、そっちの方が遅くなるから、仮払いはいかがなものかな、そういう意見も一部ございます。私はそれも一理あると思います。しかし、農家の皆さんも早期払いを期待している。いろいろと、一筆、あるいは半相殺ですとか全相殺、仕組みによって難しさもある。  そういうことを考えるときに、私は、この問題、こんな方法はどうかというようなことも思うのですけれども、今百年に一度という特別な年です。したがって、政府の考えでは、「経営資金等の円滑な融資及び既貸付金の条件緩和」というところで、九月三十日付で、償還負担を軽減するよう金融機関等を指導という、こういう経済局長の通達が出ております。確かに金融機関にこういう指導は結構なんですけれども、これはやはり限界があります。ということは、財政上の問題を伴いますから。したがって、私は、それを逆にこういうときこそ政府はそこに補てんをする意味で、十一月末の制度資金の償還を、共済の支払いを年内に予定しているのでしたら、そこまで制度資金の支払いをおくらせる、そして同時点に持ってこい、そうすれば、そこにつなぎ資金も必要ありませんし、またプロパーによって高利の金利でもって苦しむということもなくなります。  これは通常のケースとしてはなかなかあり得ないことですけれども、こんなそれこそ百年に一度あるかあるいは二百年か、こういうときこそやはり超法規的な考えで制度資金の支払いを後ろに引っ張って共済の支払いと合わせれば、この金利差が生じませんね。そんなことを考えたらどうかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  124. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 既に借り入れをしております資金についての償還条件緩和につきましては、先生御指摘のとおり九月三十日付で通達を出しております。そこで、被害農業者の実情に応じまして償還期限を延長するとか、あるいは中間据置期間の設定をするとか、あるいは償還金額の一部繰り下げというふうな償還条件緩和ができるようになっておるわけでございます。また、御指摘の点につきましては、農林漁業金融公庫におきましては、個別の農業者の実情によりまして、御指摘のような償還期が到来してから共済金の支払いまでの間の支払い猶予ができるように配慮をしておるところでございます。
  125. 小平忠正

    小平委員 眞鍋さん、それはわかっているのです。それじゃだめだから、いわゆる金利差がそこに生じないために、金利差というのは、いわゆる制度資金の償還をしますね、そうすると、その支払いをした後は、例えば国かなんかで今度はプロパーの資金に変わってしまうのですね。そこで、時期を合わせることはいかがなものですかと聞いているのです。
  126. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 お答えいたします。  土地改良資金は公庫から借りているわけでございます。その償還期が来るわけでございますから、その金額はそのまま共済金が入ってくるまで延ばせばいいわけでございますで、農家に負担は生じないというふうに我々考えておるわけでございます。
  127. 小平忠正

    小平委員 こればかりにかかっていますと時間がかかってしまうので、局長、私の申し上げていることは、後でも結構ですから、要は実がある方向に行けばいいことですから、先に進ませてもらいます。  それと同時に、これは制度資金とは違うのですが、他用途米の問題なんです。ちょうど長官戻ってこられたですけれども、長官、まさしく大変な時期に長官ということで、本当に御苦労さんです。今回こういう大冷害で、他用途利用米どころか主食もまさしく不足をしている中で、今他用途米という制度が非常に生産者の間では大きな不満の一因となっております。そういう状況のところで、もう既に二十万トン加工用として緊急輸入しなければならない。そんなような方向の中で、今この年に他用途米を生産者に従来の方針どおり要求することが果たしていいのかなということがあると思います。  私は、実際に今他用途米は政府米としての集荷という方向で進んでいることも伺っておりますが、もう一歩進めて、他用途米を自主流通米並みの集荷に持っていかれたら、少しでも被災を受けた農家の皆さん、生産者の皆さんには大いに恩情ある農政として歓迎されると思うのですけれども、これらについては食糧庁長官としてどのようにお考えでしょうか。
  128. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 他用途米につきましては、政府が直接関与するというのではなくて、生産者団体と実需者の団体との間の話によっていろいろ取引条件が決められておるものであります。ただ、先生御指摘のように、今回こういう異常事態の中ですので、系統の方では御指摘のように政府米価格を頭に置いた仮渡し金を出しているわけでございますけれども、他用途米自身、他用途米の需要者の中にはやはり酒米等は国産米でなければいけないという、なければいけないかどうかその辺までは技術的にわかりませんけれども、そういう話があって、どうしてもそれに対する需要がある部分ではあるわけです。  それから、御指摘のように、緊急輸入をするわけですけれども、加工用米のうち輸入米で置きかえられるものについては極力置きかえてもらうということで、残余については食用に回すというようなことは我々としても考えて、系統との間で話をしております。  それから、政府買い入れ価格を基準に置いたも のですから、あと残余の経費の取り扱いにつきましては、農業団体、我々、それから実需者の間でいろいろ相談して適切な処理を行わなければいけないのではないかというふうに考えておるところでございますが、全量を自主流通米でということはちょっと難しいのではないかというふうに考えております。
  129. 小平忠正

    小平委員 長官のおっしゃることはわかります。酒米を初め、国内でのそういう関係もありますし、そのことはわかるのですが、ただ、こういうときは今までの継続じゃないと思うのですね。これもまさしく超法規的に、例外として政府がそこにもっと手当てを講じるという方向に行かれたらどうかと思うのです。これは余り言うべきことじゃないかもしれませんけれども、今緊急に加工用を二十万トン輸入されますね。そうなると、そこでどれだけの海外の価格差といいますか、そういう差益の問題あるいは円高の差益の問題等々を勘案しますと、私はそこにいわゆる財源というものが出てくるような気がするのですね。したがって、こういう状況の中では、今のおっしゃった御答弁の中では、通例の年ですとそういう方向では十分に理解できますが、ことしのような年にはそこのところをもう一歩進めて取り組んでいかれるということについてはいかがでしょうか。重ねて御見解をお伺いしたいと思います。
  130. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 他用途米につきましては、その経緯から、価格につきましても加工最終製品に見合ったような格好で供給しているわけでございますけれども、ことしの作況が異例である、特例であるということで、最終的な話までは詰めてはいませんけれども、政府米価格で集荷しているというのは異例な事態に対する特別な措置だと思っております。それで、いわゆる実需者が従来負担していました差額についての持ち方というのは、実需者と系統、それから私どもの間で今後どうするかというのは相談する必要があるかと思いますけれども、今の措置自身がこういう事態でなかったらやれないような措置をやっているということは御理解いただきたいと思います。
  131. 小平忠正

    小平委員 今いみじくも異例ということをおっしゃいましたけれども、異例でそこまでできるなら、もう一歩進めてどうですかということを申し上げたのです。そこはこれからもよく御検討していただきたい。時間もあれですから、そう申し上げて、先に進ませていただきます。  この他用途米にも少し関係があることなんですけれども、次に減反緩和の問題でお伺いいたします。  御案内のように、平成四年に減反緩和政策がとられまして、八十三万ヘクタールから十三万ヘクタールを復田するという方向でそういう政府の指導がございました。しかし、結果的には、なかなか思うようにいかないで、実績としては二年かかって、昨年とことしと二年続けて減反緩和がございましたけれども、ことしの見込みでは大体七十万八千ヘクタールですか、そうしますと、二年がかりで大体当初の十三万ヘクタールという予定に近づいた、私はこんなのが実態であると思います。そういう中でも特に申し上げたいことは、北海道はこの減反緩和政策にのっとってこれを忠実に実行したと申しますか、完全達成をしたことは記憶を新たにしていただきたいと思うのです。しかもその中に他用途米の問題もございました。これも十二分に他用途米を消化いたしております。一物三価と言われる米価の中で、多量の他用途米を負担しながら、この減反緩和政策に協力をしてきたのが実態であります。  そこで私は、今あるこの復田のための小規模土地基盤整備事業、いろいろと要件がございますけれども、それは申し上げないでもおわかりと思います。したがって、この事業の条件緩和をぜひ求めたいのであります。ということは、減反緩和を特に北海道の場合は一生懸命取り組んできた結果、今残っている転作田を水田に戻すということは非常に経費がかかる。畦畔からあるいは用排水路の整備からいろいろな面で大変な経費がかかる。そのことを御理解いただいて、この要件緩和といいますか、政府のもっと厚い手当て、助成を期待したいのであります。  そういうことと、もう一つは早くに減反緩和、来年度はどうするのかという数量的な問題を御提示をいただきたい。これも、先般からのお話では月内にこれを取り決めて各県に通達をおろしたいということもお聞きいたしております。私どももそのことについて関係当局とも大いに協議をさせていただきながら、この早期通達に努めたいと思っておりますけれども、政府としてもこれについては真剣に取り組んでいただきたい。  そのときに、備蓄がどのくらいかということによってこの減反緩和面積の数値も変わってくると思います。これらについて、私どもはこういうような天候状況、そしていろいろな国際関係の中で、少なくとも二百万トンの備蓄体制をとれ、こう主張したいのでありますけれども、政府のそういう備蓄関係の計画というか、それもこの減反緩和の数値に影響してくるでしょうし、そういうことを含めて高橋局長に御見解をお伺いいたします。
  132. 高橋政行

    ○高橋(政)政府委員 まず一点、復田事業関係してでございますが、これは御承知のとおり、長い間保全管理をしてきたとか固定的な転作が行われてきました水田におきましては、水稲作付の復旧をする場合に、整地あるいは用排水路補修等のどちらかといえば簡易な土地基盤整備を行う必要があるわけでございまして、これにつきましては、現在水田活性化対策推進事業、一応四十億予算を用意しております。その中で実施をしておるところでございます。補助率は二分の一ということで、この種の事業としては補助率も高い方ではないかというふうに思っております。  それで、この事業は国がやる、国の補助事業ということでございますので、あまり細々としたものまでを対象にするのはどうかということで、一定規模以上を要件としておるところでございます。実際には、地域ごとにいろいろな実態がございまして、地域営農の条件とかあるいは土地条件、そういった面を考慮してきめ細かな対応もしていかなければいけないということで、特に都道府県、市町村段階におきましては、さらにそれぞれの単独事業を用意して対応をしてきておる。特に北海道は復田事業につきましても積極的でございまして、道段階あるいは市町村段階でもそのような措置をとってきておるところでございます。  我々といたしましても今後ともこういった事業を活用していくということになると思いますが、当然これらの事業を活用しやすいような工夫もさらに検討していきたいというふうに思っているところでございます。  それから減反緩和、いつこれを決めるのかということは、お話がございましたように、我々も生産者の来期の営農、あるいは麦の作付とかいうようなこと、いろいろございまして、できるだけ早くお示しするのが当然であるというふうに思っております。そういうことで、今月じゅうには何とか都道府県段階に転作目標面積を配分できるような状態にまでもっていきたいということで、今各方面の御意見もお聞きしながら検討しているところでございます。  以上でございます。
  133. 小平忠正

    小平委員 終わります。
  134. 竹内猛

  135. 藤田スミ

    藤田委員 まず最初に、重大な事態になっている米の輸入自由化問題についてお伺いをいたします。  今回、百年に一度と言われるような大凶作が起こりました。文字どおり生産者はこの凶作に打ちひしがれているわけでありますけれども、そういう中に今回、米の輸入自由化受け入れ交渉の問題が出てきたわけであります。これはさらに農民に絶望を与えるものであって、その生産意欲を失わせ、一層、離農と米生産基盤の崩壊を招くものである生言わなければなりません。まさに日本農業をめちゃめちゃにするものだ、こういうふうに私は激しい憤りを覚えます。  大体あなた方、表向きはきょうも、例外なき関 税化は受けられない、従来の方針どおりであると答弁をされながら、一方では、六年間の猶予期間を置いた後に例外なき関税化を受け入れ、それまでは三%から五%の米を輸入するという案をアメリカ側に提案し、それをもとに日米間で交渉を進めていたことが明らかになったのであります。担当大臣としてこの責任をどうとられるおつもりなのか、お伺いをいたします。
  136. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 先ほど来お答えを申し上げておりますとおり、そういった事実がないということを重ねて申し上げ、御理解を得たいと思います。
  137. 藤田スミ

    藤田委員 大臣の党の新生党の代表幹事である小沢さんは、複数の党幹部と会合し、猶予期間後に関税化を受け入れる案について、大筋その線で当局者間の調整が進んでいる、こういうふうに事実を確認しておられますが、大臣もそういうふうな事実は全くないというふうにおっしゃるわけですが、実はきょう我が党が、志位書記局長を先頭にして羽田外務大臣とお会いをいたしました。そうしたら、年がら年じゅうそういう交渉はやっているんだからそれを交渉と言えばそういうことになるね、こういうふうに答えておられるわけです。  小沢さんのおっしゃるいわゆる当局者間の調整、それは政府がということじゃなしにあえて言えば当局者間の調整ということで話が進んでいる、そのことははっきりしているんじゃありませんか。
  138. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 私は今外務大臣のお話そのものを初めて伺うわけでございまして、そしてまたそういったことが進んでおるとかあるいは合意を見ておるとか、そういうことは私自身が全く承知をいたしていない、そういうことはあり得ない、かような意味合いでの先ほどのお答えでもあったわけでございます。
  139. 藤田スミ

    藤田委員 それならば、直ちにそのような交渉は中止をして、米の輸入自由化は部分自由化を含めて一切しないという三度の国会決議に基づいて、ウルグアイ・ラウンドでは日本はその立場を貫くということをきょうお見えのササーランド・ガット事務局長にきっぱりと伝え、説得されるということを約束していただけますか。
  140. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 サザーランド事務局長に対しましては、従来の我が国の基本的な本問題に対する対応につきましての内容、物の考え方、価値観を重ねて申し上げ、御理解を得るように最善を尽くしてまいりたい、かように考えております。
  141. 藤田スミ

    藤田委員 今政府に求められていることは、米の自給の堅持を堂々と国際的に主張する、そのことが非常に大事だと私は思うんです。私は、政治改革に細川総理が政治生命をかけるとまでおっしゃるならば、農水大臣としても、また総理としても本当に政治生命をこの問題にかけるべきだというふうに思いますが、その御決意ありますか。
  142. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 本問題は、御案内のとおり、もう七年にわたって国会決議等々受けまして政府が取り組んでまいっておるわけでございまして、なおまた新内閣、細川内閣発足に伴いまして、つい先般も細川総理、外務大臣、私と、十二分に絶えずすり合わせをしながら、基本方針を踏まえて最善の努力をする、そういうことの考え方に立っておりますので、私もベストを尽くしてまいる、この一言に尽きるわけでございます。
  143. 藤田スミ

    藤田委員 ベストを尽くされるとおっしゃっても、政治生命をかけるとまではおっしゃらない、まことに心もとないことであります。本当に日本の農業を守るという責任の大臣ならば、私の政治生命にかけても米の輸入自由化は認めない、それくらいのことをおっしゃったらいかがですか。
  144. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 表現方法はいろいろあろうかと思いますが、人後に落ちない情熱を持って取り組んでまいりたい、かように考えております。
  145. 藤田スミ

    藤田委員 情熱ならばみんな持っているんですよ。私が大臣の立場だったら、その情熱は政治生命にかけて、そういうふうに私は約束をするでしょう。  私は、委員長にお願いをしておきたいんですが、情勢から見ても非常に緊急かつ重要な時期を今迎えていると思います。したがって、先ほども理事会で問題になりましたが、総理をお呼びし、早速定例日であるあしたの委員会で、この問題について真剣な審議をお願いをしたい。それからもう一つは、本会議で国会決議を行っていくように、その問題についても申し入れておきたいと思いますが、いかがですか。
  146. 竹内猛

    竹内委員長 その問題は、先ほど来理事会としていろいろ議論しているところでありますから、委員会が終わってからも、また引き続いて理事会を開きます。
  147. 藤田スミ

    藤田委員 次に、深刻な冷害による被害農家の救済の問題についてお伺いいたします。  我が党は、九月一日に今回の深刻な冷害を受けて農業災害対策委員会を設置し、北海道東北各県の実情調査し、九月十七日に大臣に対して被害農家の救済を中心とした申し入れを行ってきたわけであります。その申し入れ事項の幾つかについては確かに実施をされてきているわけですが、いまだに発動されていない天災融資法激甚災について、さらに融資に対する利子補給の問題と共済の仮払いの指導の問題について、そして復田経費に対する抜本的な助成問題について政府の対応をお示しいただきたいと思います。
  148. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 お答えいたします。  天災融資法適用でございますが、天災による農作物等被害規模、深度等を総合的に勘案して検討することといたしております。今般の冷害については、天災融資法及び激甚災害法早期に発動する方向で、資金需要でございますとか、もろもろの調査等諸般の準備を現在進めておるところでございます。  それから、各種制度資金についての利子補給でございますが、これにつきましては、それぞれ制度がございまして、従来から他の災害資金でございますとか他の政府系金融機関の資金との金利バランスの問題、そのときどきの金利情勢等々を踏まえて適正に決定をしてきておるところでございます。そういうふうなことでございますので、金利はそれぞれの制度によりまして適正に決まっておるということでございます。特段、特別の利子補給をするということは現在考えておらないところでございます。  それから、共済金の支払いでございますが、これにつきましては、それぞれ損害評価を行って共済金を支払う、こういうシステムになっておるわけでございますが、被害実態を見ながら、共済金の仮渡しができるところについてはできるだけ早くやるようにというふうなことで現在指導をしておるところでございます。
  149. 高橋政行

    ○高橋(政)政府委員 復田に対する補助についてでございますが、先ほどもお話がございましたが、我々転作緩和を来年予定をしておるわけでございますが、これが確実に水稲作付に結びつくようにということでは、この復田に対する助成ということも重要なことだというふうに思っております。そうしたことから、現在も水田への活性化対策推進事業助成を行ってきておるところでございますが、今後とも望ましい水稲作の推進が図られますように、この事業の適切な運用を図ってまいりたいというふうに思っております。
  150. 藤田スミ

    藤田委員 現在の水田の活性化対策事業の中で行われている復田のための助成というのは、非常に不十分なわけです。現場に行きましたら、いろんな制約があって実際にはそれが少しも活用できないということを言われているわけであります。私は、この問題は、また災害対策委員会も開かれますので、きょうはたくさん課題がありますから、残念ですが言い置くだけにとどめますけれども、利子補給の問題についても、また復田経費に対する抜本的な助成の問題についてもぜひもっと真剣にお取り組みをいただきたい、大臣、十分念頭に置いていただきたいと思います。  次の問題は、今回の冷害によって米が不足して、政府が米の緊急輸入に踏み切った。このことは私は本当に政府の責任だというふうに考えます。不作だ、だから輸入だ、不足だ、どうしてこういうことになったのかということについては、 少なくともこれまでの対応では、私は政府の姿勢から、そういう厳しい反省だとかあるいは検討だとか、そういうものを見ることができないでいます。しかし、私は農政の転換が今本当に求められているというふうに思うわけであります。  まず第一に、国民食糧の安定確保よりもまず国の財政負担の削減を最優先し、政府が米在庫百万トン政策というのをとってきました。こういうような単年度需給に基づくぎりぎりの在庫政策が、不作から不足になっていったわけであります。そして、既に緊急輸入ということで日本が決定をした途端に、世界的な米相場は急騰しまして、わずか二週間の間に一・五倍も相場がはね上がって、米の輸入に依存している発展途上国に大変深刻な打撃を与えてきています。まさに日本政府の姿勢が世界の諸国民打撃を与えている、迷惑をかけているわけであります。  このような在庫政策は直ちに改めて、数年の期間を見たゆとりのある需給政策に立つことこそ求められていると考えますが、そのような需給政策のもとで減反を大幅に緩和するべきだと私は求めたいわけですが、大臣いかがですか。
  151. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 適正在庫百万トンという数字も、御案内のとおり、それぞれのお立場における関係者方々の熱心な論議の中から出てまいりました数字でございますが、今日のこの新しい、そしてまた厳しい、難しい要素を踏まえまして、再度掘り下げた論議をやるべきであろう、かような考え方に立っておるわけでございます。  そういう中にございまして、復田等々の問題で御関係農家方々の意向調査を進めさせていただいておりまして、近くその数字もまとまります。そういうことの絡み合いの中から、そういう実態、意向を踏まえて、やる気のある方々に傾斜的な復田計画の配分、こういうことも事を進めさせていただきたいというように考えるわけでございます。
  152. 藤田スミ

    藤田委員 なぜこんなに深刻な冷害被害が広がってしまったのかという問題については、多くの関係者が問題点を幾つも指摘をしております。  何よりも、生産者米価を長年にわたって引き下げてきて、十七年前の水準にまで据え置いてしまっている。それから、農産物の輸入自由化政策など、こうした農業つぶしの政策が農民の意欲を奪って、冷害時に求められるきめ細かな栽培管理も困難に追いやった。それからまた、加えて良質米奨励の名のもとに、産地間競争をあおって作付特定品種に集中させてきたことが今回の異常気象による被害をより深刻にしてきたわけであります。そのことは、日本作物学会の津野会長もこういうふうに言っておられます。「農家冷害対策の弱体化と異常気象のダブルパンチがもたらした」。津野会長は「栽培に適さない地域でも銘柄米を栽培したり、省力化のため機械や化学肥料に過度に頼るなど、農家冷害対策が不十分だった」と指摘をしているわけであります。  私は、もとよりこれが農民の責任に帰するものではなく、まさに政府の責任によって起こってきた人災だというふうに言いたいわけでありますが、この問題について大臣はどう受けとめていらっしゃるか。そして、同時に今、生産者米価引き下げ政策を転換して、生産者が安心して耐冷品種作付に取り細め、再生産を保障する米価のもとで、生産者の営農意欲を高めることが求められているというふうに考えますが、この点についてはいかがですか。
  153. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 今回のこの大凶作を踏まえまして、それぞれのお立場におきましての種々御意見、貴重な意見発表等々が行われておることを私自身も承知をいたしておるわけでございます。  先ほども申し上げましたとおり、謙虚にお話を伺い、災いの中から福の方向へ向けてのレールを、場合によってはケースに私どもが努力を傾けてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  154. 藤田スミ

    藤田委員 私は極めて具体的に生産者米価の問題も指摘をしているわけですが、いかがなんですか。
  155. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 米価につきましては、食管法に基づきまして米審の意見をお伺いし、決定してきたところでございます。その際に、いろいろな需給事情でありますとか、それから稲作の担い手をどういうふうに持っていくのかとか、それから先ほど来ありましたけれども、自主流通米価格が高いと言いますけれども、やはりこれはそのときどきの要請にこたえて、いろいろな論議を経て対応してきたわけでございます。  米価につきましては、五十二年水準と言われますけれども、これも担い手に着目し、生産性の向上その他を反映した結果なっておるわけでございます。全体としてそういうふうなことで決定したわけでございまして、今後ともそういう決定をしていきたいと思っております。  それから、米価引き上げというのは、これは私はやはり国民的な合意がなかなか得られないのではないか。それから、自流米と政府米の価格の間に確かに格差はありますけれども、その中のかなりの部分につきましては助成というふうなこともしておるわけでございまして、むしろそういう一般の財政負担が、両米価を比較する場合にはまず問題になるのではないかというふうなことからいたしまして、ちょっと引き上げを行うというふうなことは、率直に言いましてなかなか難しいんではないかと思っています。  いずれにしましても、いろんな論議、米価審議会の御意見を拝聴しながら適正な米価決定に努めていきたいというふうに考えております。
  156. 藤田スミ

    藤田委員 そういうふうにおっしゃるから、不作だから不足だ、だから緊急輸入だと。安易な方向に流れるこの姿勢が、私はますます問題だというふうに思うんです。要するに、深刻さを全く受けとめていらっしゃらないんじゃないですか。しかも、今政府が進めようとしておられる担い手の育成と称する新政策、それと真正面からぶつかってきているんです。今回の冷害ほど大規模農家を直撃したものはありませんでした。規模が大きくなれば十分な肥培管理もできなくなり、そして被害を受けやすくし、また機械化に依存するため、その機械の導入の負債も巨額なものなんです。  北海道調査に行きましたら、二戸の農家が五千万円の負債を抱えている。その農家が皆無作になって、その負債の返済のめども立たない。こういうことで、離農にまで追い込まれてしまうんじゃないかというような不安を抱きました。こういうことについて、大臣はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  157. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 物事に対するいろいろお考えがあるわけでございますが、ただいま御指摘の新農政につきましては、今日の置かれております農村の実態、あるいはこれからの農業に対する魅力の醸成、造成等々を考えました場合、私自身もこれからのあるべき一つの姿である、これを十二分に御理解を願い、関係団体等々と力を合わせまして推進を図ってまいりたい、かように考えているところでございます。
  158. 藤田スミ

    藤田委員 この問題でまた議論を始めると時間が全然足りないわけです。  世に不作三年と言われます。過去の歴史的な飢饉とも言われる冷害のときもやはり続きました。異常気象は継続する、そういうことで、とりわけ私は、いもち病も来年も猛威を振るうんじゃないかという心配をしているわけですし、関係者もまたこのことを指摘しています。まさに今、日本の農業が衰退するのか、それとも、食糧自給率が大きく高まるように、日本の農業がこれを機に発展をする方向に方向を大きく変えていくのか、そういうことが問われている重要なときだというふうに思います。そして、新政策の方向をあくまでも自民党の農政を引き継いで推進しようとするあなたの姿勢は、私は、それは衰退の道につながっていくんだということだけはきっぱりと指摘をしておきたいと思います。  厚生省においでをいただいていると思いますが、昨年、厚生省はポストハーベスト農薬受け入れのために残留農薬の国際基準の採用を進め、米 についても日本で使用していない農薬を含めた新たな残留農薬基準を設定されました。そのとき、私どもに対する説明では、加工貿易制度で日本に現に米が輸入されているから日本で使用していない農薬を含めた残留農薬基準が必要なのだ、こういうふうにおっしゃっておいででした。ところが、私どもが調べたところ、昨年の基準設定以降、現在まで一度として検査を行ってこなかったわけであります。これは一体なぜなのでしょうか、明らかにしてください。  さらに、四点お伺いをしておきますが、これから緊急輸入される米については、基準に従ってすべて厳格に検査をされるおつもりなのか。二つ目は、日本で使用が禁止されている農薬について、これは厳格に調べて、もし検出された場合は輸入は禁止するというのは当然のことでありますが、どういうふうにされるのでしょうか。三番目は、アフラトキシンの問題も非常に深刻であります。これらについての検査は厳格に行うべきであります。そして最後に、こうしたことは自主検査ではなく、政府による行政検査で対応すべきだと考えますが、この点を明らかにしていただきたいと思います。簡潔にお答えください。
  159. 高原亮治

    ○高原説明員 加工用米についてでございますが、従来輸入されております加工用米につきましては、食糧庁におかれまして厚生大臣指定検査機関で安全性の確認を行ってから購入されていると承知しております。  今回の輸入に伴う措置でございますが、厚生省といたしましては、今般の米の緊急輸入に関しまして、安全性確保のために万全の措置を講ずる所存でございます。日本で使用していない農薬も含めまして、私ども現地におきます農薬の使用実態等を踏まえまして検査を施行する。その検査のやり方といたしましては、お話にもございましたように行政検査といたしまして、いわゆる輸入を認めながら行うモニタリング検査ではなく、食品衛生上問題のないことを確認したものに限り搬出を認めたいというふうに考えております。また、アフラトキシン等につきましても検査の対象としております。  以上でございます。
  160. 藤田スミ

    藤田委員 日本で使用を禁止されている農薬については、その検出を見たときに輸入は禁止する、そういうことでいいのですね。  もう一つの問題は、きょう私どもが食糧庁に問い合わせをした結果明らかになった事実ですが、今回の輸入米については、薫蒸剤として、これまで使っていた臭化メチルではなく燐化アルミニウムを使用するということであります。しかし、燐化アルミニウムは日本に残留農薬基準がないわけでありまして、これで消費者の健康が守れるのか、また、まともな国内での慢性毒性や発がん性の試験もせずに安易に国際基準で暫定基準を設定して処理するとしたら、消費者の不安はますます強くなると言わざるを得ませんが、厚生省はどのように対処されるおつもりなのか、お答えください。
  161. 高原亮治

    ○高原説明員 国内外で用いられております農薬のすべてにつきまして、食品衛生法上ないしいわゆる規格、残留農薬基準というふうなものは定められておりません。この場合は、健康上の被害を生じせしめる可能性があるかどうかということを判断するわけでございますが、農産物から基準未設定農薬が検出された場合には、その農薬の検出レベル、一日摂取許容量等安全性に関する資料、国際基準や登録保留基準を参考として対処してまいりたいというふうに考えております。  また、燐化アルミニウムにつきましても、これは国内外ともに用いられているものでございますが、当然検査を行いまして、検出された場合につきましては、農薬登録保留基準及び国際基準等を勘案しまして個別に判断してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  162. 藤田スミ

    藤田委員 本当に心配なわけです。だから、今回の米の緊急輸入について、余りにも国の検査体制が貧弱ですし、こういうことで不安が広がる中で、せめて学校給食だけは国内産で賄っていってほしい。通達も国内産米一類、二類を使用すると明記しているわけでありますから、私は、学校給食用の米は、来年四月一日から施行されるそれについても国内産で賄うということを食糧庁長官にお約束をいただきたいわけであります。  それから、最後になりますが、今回、この緊急輸入の問題を通して、米不足の問題を通して、私は改めて食管法の役割というものをお互い見詰めざるを得ない状況になったと思います。今こそ本当に食管法本来の役割を大いに発揮し、足らない米を公平に国民に分配するというその立場をしっかり認識して、末端に至るまで米供給に目を配り、米が手に入らずに営業が成り立たなくなったというようなお米屋さんや零細な食堂、そういうようなところがつぶれてしまう、消費者が不安にさらされる、そういうようなことがないように、明確にここで御答弁をいただいておきたいと思います。
  163. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 学校給食につきましては、今後とも国産米で供給するということに全力を尽くしたいと思っております。  それから、米につきまして需給操作が窮屈になっていることは事実でございますけれども、それだけに、いろいろな目配りをしながら、それぞれの需要者が困らないような対応をしていきたいと思っております。
  164. 藤田スミ

    藤田委員 時間が参りましたので、これで終わりますが、食糧庁長官、一一〇番などを受けておられるわけですが、さすれば、一一〇番し、食糧事務所に救いの手を求めていけばそういう不測の事態が起こったときに対応していただけますか、それだけ一言だけ言っておいてください。
  165. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 思惑とか仮需は絶対避けてもらわなければいけないわけですけれども、実際のそういう事態に対しては真摯に対応をしたいと思っております。
  166. 藤田スミ

    藤田委員 終わります。
  167. 竹内猛

  168. 二田孝治

    二田委員 今回の災害は、先ほどからのお話のとおり、百年に一回じゃないか、もしくは天保の飢饉、天明の飢饉以来の大災害じゃないか、こう言われておるわけでございます。先ほどの報告のとおり、私も東北三県を回ってまいりまして、つぶさにその状況を視察してまいりまして、大変その感を深くしておるわけでございます。そして、その中で私どもが大変要望された中の一つで、共済金は一体どうなっていくのかという不安が大変農家に強うございますのでございますので、木村政務次官もこの間まで私どもと一緒に徹夜をしながら米価を決めたりいろいろな農政の問題を語り合ったりした仲でございます、この共済金制度におきまして、今回はまずその総額をつかむことが必要でございます。農林当局におかれましては、ある程度の概算というもの、被害額というものを把握していると思います。その額はどのくらいになるのか、お示しいただきたい。
  169. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 農業共済共済金がどれくらいになるかということでございますが、けさほど米お話が出ておりますように、各地で損害査定をやっております。損害査定をやって、これを積み上げてきて、それから国が認定して初めて額が確定するわけでございます。それで、今の段階では何とも申し上げられないわけでございますが、相当多額に上るというふうなことが予測されるということでございます。  いずれにいたしましても、御指摘のように支払い財源が不足するというふうな事態が予想されるわけでございますので、今までは一般会計から繰り入れによって対応してきたということでございますが、本年は大変厳しい財政事情というふうなこともございますが、財政当局とも十分協議の上、必要な財源を確保して、年内には共済金が支払えるように対処をしてまいりたいと思っております。
  170. 二田孝治

    二田委員 私は、ただいまの答弁には非常に不満でございます。私が今お聞きしたのは、概算で 大体どのくらいになっていくのか、そして共済金の支払いはどのくらいになっていくのかということを、端的に、概算で結構ですから把握している程度にお示しくださいというような質問をしたのであって、その額がまだわからないというようなことは今に至って大変怠慢だ、こう思いますので、大体の額を再度お示しいただきたい、こう思います。
  171. 木村守男

    ○木村(守)政府委員 このたびの災害は天明の飢饉以来とも言われるわけでございまして、委員長初め、二田委員初め諸先生方に大変に御心配、御協力いただいていることを感謝いたします。  ただいまの御質問でございますけれども、極めて全国的な被害面積でもございます。対象者も多うございまして、現地でその任に当たる団体あるいは関係官庁もそれなりに努力しておりますが、その概算的な数字もまだ詰まって発表の段階ではございません。ただ言えることは、五十五年の場合も、例えば八〇の作況だ、しかしそれ以上に大凶作の方向にありますから、その倍以上だとしても、金額的にはあの当陣よりも倍以上のものになるということは一部報道にも出ておるとおりでございまして、深刻に受けとめながら今その数字を急いでいるところだということで御理解をいただきたいと思います。  以上でございます。
  172. 二田孝治

    二田委員 九月十五日現在の被害額というのは既に出ているのでございます。私は、何も直近の、今の数字を教えてくださいというようなお話をしたのではございません。被害額が幾らということが出てくれば、それに基づいて共済金の支払いは幾ら。新聞に書いてあるのを見ますと、共済金の支払いというよりも、被害額は六、七千億というふうに書いてございます。この額には大体間違いはございませんか。
  173. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 まさに先と言われるように、全く概算でございますけれども、お米の販売額というのは大体三兆円見当でございます。それの約二〇%の減収だというふうに計算をいたしますと、約六千億見当ということになろうかと思います。
  174. 二田孝治

    二田委員 六千億といいますと、共済金の支払いというのはそれの大体七〇%から八〇%と推定して間違いございませんか。そうですね。
  175. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 大体そういうことでございま十が、一筆方式で七割でございまして、それからその他の方が若干高いのもございますが、大体そういう七、八割ということでございます。
  176. 二田孝治

    二田委員 そこで、共済の団体でも大変心配しておりますことは、お金がないわけですね。ないので、再保険等いろいろ入っておるわけでございますけれども、先ほどのお話でございますと、五十五年時点ではたしか一般会計から保険の不足分を払っている。このたびはそうじゃなく、財投からやって、金利までも負担するのじゃないか、こういうことが、本当かうそかわかりませんけれども、巷間言われております。この点についてはいかがでございますか。
  177. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、従来は一般会計から繰り入れをしてきておるということでございます。今回は、相当多額に上るというふうなこと、それから財政事情が非常に厳しいという中でございまして、そういうふうに財投から借りてきたらどうかとか、いろいろな財源対策について大蔵省と議論になっておるという状況でございます。
  178. 二田孝治

    二田委員 その場合の金利の負担、それから後ほどの支払い。まあ共済制度というのは保険だと私は思うのです。保険ですから、農家にすると、掛けているものはもらえるだろうという考え方でおるわけでございます。事務費の一部負担や、半分は国に負担してもらっておるということはみんな知っておるわけでございます。その中からまた団体とかいろいろなところで金利を負担しなきゃならない。さなきだにこの大災害で大変疲弊しているというのが今の現状でございます。かかるときに、どうかひとつ農水当局も大蔵とやり合って、ぜひこれはそういうことのないようにしてもらわなきゃいけないと思います。ひとつ次官の見解をお聞かせください。
  179. 木村守男

    ○木村(守)政府委員 まったくそのとおりと認識しております。本来、二田先生がおっしゃるべく、そらが筋道だと私は思う。ですから、今経済局長から話があったとおりでありまして、できるだけ農林省としては、過去の例に照らして、それからあなたのおっしゃるとおりで、それから今後のためにも、元来は一般会計から繰り入れてお願いするのが筋道である、こう思っております。その考え方でお願いしておりますが、どうしても財政的にいろんな事情で大蔵省としては、私の承るところでは、なかなかそういう方向ではかりは詰められそうもないというような方向もありまして、今その点をお互い詰め合っている、こう御承知おき願いたい。その上で私たちは、しかしいかなる状況になっても、これは農家との契約のことですから、救済の最たる、近々に対応できることでもありますし、年内支払いという方針を堅持するために、どういう結果になろうともその基本的な年内支払いに全力を挙げたい、こう思っております。
  180. 二田孝治

    二田委員 農政関係いろいろな問題について私は木村先輩を尊敬しているわけでございまして、したがいまして「が」は要らないのです、「が」は。「でありますが」は要りません。私はそう思いますので、「が」の点はひとつついでにしてくださいよ。必ずやります、そういう答弁で結構だと思いますので、再度お願い申し上げます。
  181. 木村守男

    ○木村(守)政府委員 年内支払い必ずやります。
  182. 二田孝治

    二田委員 いや、年内支払いじゃないよ。年内支払いじゃございません。年内支払いはもちろんのこと、これはなるべく早く仮渡し等もしていただきたいわけでございます、お金がないですから、皆さんに。ですから、年内支払いじゃなく、私が思っておりますのは、今の再保険の件、財投の借り入れじゃなく一般会計でやらせます、こうおっしゃってください。
  183. 木村守男

    ○木村(守)政府委員 こっちは大蔵省でないものだからね。まあ全力を挙げてその意を体して努力をいたします。
  184. 二田孝治

    二田委員 次の問題に移りたいと思います。  今回のこの冷害で大変困りましたのは、昨年農水省は、私も政務次官でございましたけれども、新政策というものを打ち出しました。そこで、今回の大きな被害の中で、大規模農家ほど疲弊しているというのが実情でございます。  ちなみに、私にいろいろな手紙が参りまして、その中でもこれは新政策に合致したような農家でございます。  耕作面積が大体八・九ヘクタールですね。大体八町九反やっているのでございますけれども、これに、あきたこまち五・六ヘクタール、トヨニシキ一・三ヘクタール、あきた三九というのがございまして、これは新品種でございますけれども、こういったものを一・三五ヘクタールぐらいつけて、あと、ほかの人の田んぼを耕して、委託耕作をしたりしてやっている方なんです。平年ですと大体あきたこまちが五百七十キロぐらいとれます。それから、トヨニシキが六百六十キロぐらいとれるんでございます。六百六十キロというと十一俵になりますか、随分多うございますけれども。それから、あきた三九というのは、これも多品種で新しい品種なんですけれども、これも六百六十キロぐらいとれる米なんですね。  ところが、ことしは、予想してみますと、あきたこまちが、青森とか岩手とかは多少よろしゅうございますけれども、四俵、二百四十キロぐらい、それからトヨニシキが百二十キロぐらい、それからあきた三九というのは、これは多くとれると思ったのですけれども、一俵、六十キロくらいよりとれない、こういう試算が出ておるわけでございます。これにまた、これだけのことをやるとすると、機械類だけで幾らかかるかといいますと、大体一千六、七百万の装備をしてしまわなければなりません。それからまたいろいろな小屋を建てたりなんだりとすると、やるだけで二千万ぐ らいかかるのですよね。  そういうような装備の中で農水省が示した一つの新政策というものをやっていくわけでございますけれども、これは例年ですと、売り渡し限度数量は、この人たちで、大体このクラスで七百五十俵ぐらいになりますので、二万円として計算しますと、一千五百万ぐらいの粗収入になりますかな、大体そんなものですか、一千五百万ぐらいの粗収入になるのでございます。  そして、この支出の方を見てみますると、共済の掛金が大体三十一万ぐらいです。それから、小作料とか、自分の田んぼばかりでございませんので、借地料、そういったものが二百五十万円ぐらい、それから、農地取得や自創資金、これは借りておりますから、これの返済をしなければいけない。これが納期が十一月末になってしまうわけでございます。ですから、先ほどの共済のお金というものが十二月末に支払われるというのは、これは非常にずれがあるわけでございますね。これが大体百六十万ぐらいになります。それから、肥料、農業生産資材等を含めまして百七十万ぐらい、土地改良や水利費等が四十万円。それから、農機具等が大体百五十万ぐらい償却している、十年としますと百五十万。そうすると、大体八百万ぐらいかかっちゃうんですな。八百万ぐらいかかるんですけれども、この人の場合はそれでもいい方です。というのは、基盤整備できていますから、基盤整備代の新たな負担なんというのはございませんから、いい方です。これは大分また出てまいりますから、新たにやるとするとそういうことになります。  ところが、この方で今年の予想は、最終的には例年の三分の一を下回ることは確実だ、こう言われております。これは委員長もごらんになりましたね。原田さんという人、見たでしょう、あそこのうちの例示なんですけれども。したがって、収入は約四百万ぐらいなわけです。そうすると、大体全部見ますると、支払いから何から見ると、一千百万円ぐらいが例年より低くなりますから、一千百万円ぐらいもとへ戻りまして赤字になる。  したがって、今後続けていくにしても、新政策のかなめである大規模農家の意欲というものがこういうものによってどんどん失われていっちゃう、ここの点がやはり今回の冷害の大きな一つの特徴です。あたかも船出するときでしょう。法律もつくった、予算もある程度やった、今度は、さあ船出しましょうというときに、こういうような大きな災害が起こって、がっくりきているというのが事実でございます。こういった方々対策というのは、どう措置し、考えていくのかというような対策をひとつ聞かせていただきたいと思います。
  185. 木村守男

    ○木村(守)政府委員 お許しをいただきまして、私からとりあえずお答えをさせていただきます。  新農政の方向づけなども踏まえて見れば、あるいはその方向づけを示される前から、使命感を持って集約に努められてそして進んできた農家ほど、ある意味では被害の直撃を受けたと言ってもいいのではなかろうかという先生の見きわめ方、私もそういうふうに受けとめている一人であります。  そういう中での、そのための対応はいかんという今お話でございますけれども、それだけに私たちは、農林省としては、復田や排水改良、あるいは土壌、土づくりなどを今までもやっておりますけれども、この点についてこれからも、具体的には、先生御案内のとおり、水田営農活性化対策推進事業の点での対応、あるいはまた排水対策特別事業、これは前倒してでも行っていくという、積極的にこれを取り上げていきたい。さらにはまた、土づくりにしても、対策事業として予算要求を強めて、これも大いに活用させていただきたい、こう思っているところであります。  今まで既に打ち出されている行政の施策の中で、今御指摘の心を重視して、そういう点を重点的に進めるべく努力したい、こう思っております。
  186. 二田孝治

    二田委員 基盤整備の問題、それからいろいろなこれからの、諸施策というよりも諸対策を立てていくというようなことですが、私が今お伺いしていますのは、そういったような問題じゃなく、今冷害に伴う意欲の低下というものの、何と申しましょうか、将来に対する不安感の除去のために農水省はどういった一つの、精神的なこともあるかもわかりません、いろいろな問題を、極めて微妙な問題でございますけれども、措置してまいって、今後こういうことがあっても心配ないよというような体制をしけるかどうか、このことをお伺いしているのでございます。個々の土地改良の問題とかそういう問題ではございません。
  187. 入澤肇

    ○入澤政府委員 今回の冷害を契機にいたしまして、北海道東北各県の農政担当者あるいは農業団体の代表の皆さん方にお集まりいただきまして、現状分析をやっております。  今先生おっしゃったように、現地実態調査をしたり実情報告を見ますと、大規模経営、単作経営がかなり打撃を受けている、しかし複合経営をやっているところはその打撃の受け方が少ないということを異口同音に言っております。今度の新政策でも、農家所得の確保という観点から見れば、狭い農地をいかに利用するかということが大事なので、単作経営じゃなくて複合経営を中心に経営を進めるべきだということをるる議論したところでございまして、現在、農業経営基盤強化促進法の施行を急いでおりますけれども、その中でも都道府県、市町村農業経営の指標をつくれということになっていますが、その中で各地の気象条件とか自然条件とかを踏まえながら複合経営の指標を積極的に取り入れてつくれという指導をやっていきたい。  それからもう一つは、農業経営改善計画認定制度におきましても、単に規模拡大だけでなくて、複合経営による経営の改善、これも認定の対象にいたしまして、要するに全体として所得が確保できるような仕組みを考えていかなくてはいけないんじゃないか。一つの作物がやられたらほかの作物でも救済できるような安定した経営ということを目指して農業経営をやっていかなくてはいけないんじゃないかということでいろいろな指導をしております。  特に、ことしの冬から来年の春の田植えが始まるまでの間、緊急に所得が確保できるような移動式の仮設施設園芸等につきましても、現在持っている制度、予算を活用して緊急にやるというふうなことも今指導しているところでございます。
  188. 二田孝治

    二田委員 それは、一口に複合経営といいますけれども、みんな複合経営やっているわけですよ。今話した人でも、ベイナスとかいろいろなその他のものもやっておりますので、ではその収入が皆無かというとそうではないわけでございますけれども、そういったことよりも、もっと、例えば金融体制でこういう大規模農家が安心して営農できるような仕組みを組まれないのか。制度上のいろいろな問題、資金の問題、そういったいろいろな問題があるかと思うのです。二十一世紀型の農業を考えていくならば、そういった万全の体制を組みながら、この新政策というものは農水省当局でも国でも施策を展開していかなくてはいけないわけでしょう。だから、今回が非常に大事なので、そういったものに対する新しいような方向つけをしていかなければならない、私はそう思っておりますので、そういう観点から今お尋ね申し上げておるのでございます。いかがでございましょうか。
  189. 入澤肇

    ○入澤政府委員 大規模経営に伴ういろいろな諸経費の増高分につきまして、今までもういろいろな制度ができておるわけでございます。特に、土地改良なんかにつきましても、大規模にやればやるほどその経費がかかるということで、補助率を上げたり、あるいは無利子の資金制度を新しくこの間の法律で設けてもらったりやっておりますが、経営全般の改善につきましては、私ども、なお一層の検討をやっていきたいと思っています。
  190. 二田孝治

    二田委員 次の質問をいたしたいと思います。  聞くところによりますと、これはみんな言われ ているのですけれども、細川政権は生活者重視である、こう盛んに言っておるわけでございます。その結果、都道府県でも地方団体でも大変心配していますことは、東京は私はわかりませんけれども、私どもの方に行きますと、今度全部道路予算とか、道路予算はこちらは余りあれなんですけれども、それから基盤整備の予算、こういったものをきりきりやられているという話が盛んに聞こえできます。ですから、そうすると生活者優先ということは、私どもから見ると地方の軽視政策か、こういうことになる。  また一方、地方分権制度ということも盛んに言われております。まだまだ日本では格差がある土地がたくさんあります。そういうところに目を向けるのが政治だ、私はこう思うわけでございます。農林大臣のところも、私、地元に参りましていろいろとつぶさに見たこともございます。山林の被害のときもお伺いいたしまして、いろいろなお話もお伺いしてまいりました。そうすると、私どもの方の地方にはまだまだやるべき仕事がいっぱいあります。そういうときに、生活者優先ということはそういうところを決して切り捨てることではない、私はそう思うわけでございます。  また、農林業にしましても、いろいろな地域を支える産業、こういったものをどう展開していくのか。入澤構造改善局長が大変苦労しているという話もお伺いしておりますので、あなた、実際に財政当局と折衝してみて、いかがなものでしょうか。ちょっとお話を教えてください。
  191. 入澤肇

    ○入澤政府委員 金融制度、財政制度、それぞれ非常に積み重ねがありまして体系的にできているものですから、その上で、延長線上で物を考えようとしますと、なかなか新しいものをつけ加えるのは難しゅうございます。  これは先生御承知のとおりでございまして、そういう中で新しい工夫を幾つか試みようとしていますが、なかなか壁が厚くて、一生懸命努力はしているのですけれども、力のなさを痛感しているというところでございます。
  192. 二田孝治

    二田委員 そう謙遜されても困るのでございまして、そこのところ、強力な大臣によく話してもらって、私ども地方ではまだまだやるべきことがたくさんございます。大臣が一番御存じだと思います。大臣、負けないで頑張ってもらう決意をひとつ教えてください。
  193. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 私の持論でもあるわけでございますが、国民的課題の大きな柱としましては、過疎対策ということが極めて重要というように考えるわけでございます。さような意味合いでは、過疎地域、農村というように結びつくわけでございますが、その農村地域の生活者の立場、こういうものを最重点にする生活者という言葉であればそれなりの理解ができるわけでございますが、いわゆる今懸念をいただくような生活者中心ということであってはならない。私も、与えられた立場にございまして、そういった懸念に基づく数字が来年度予算等々で動くことのないようにベストを尽くしてまいりたい、かように考えております。
  194. 二田孝治

    二田委員 では、そういうことを楽しみにして、不足な点ございましたら、私ども全部野党でございますけれども、一生懸命に御協力するという姿勢には変わりはありませんから、それは生産者の立場に立っても一生懸命頑張ってまいるわけでございます。  私のところは大体九俵ぐらいとれます、私の地元は。九俵ぐらいとれるのはいいのですけれども、ここにやはりいっぱい米を買いに来るのですよ。買いに来るのも、米屋さんじゃなく、農協じゃなく、不正規流通米、これに流れていく傾向も非常に強うございます。食管にとっても今回のこの冷害は非常にピンチだと私は思うわけでございまして、長官、食糧庁の考え方と、取り締まりというものはどうなっておりますでしょうか。
  195. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 作況指数八〇というので、供給のパイが少なくなっておる関係上、やみ米業者の暗躍というのが従来以上になっているということは我々理解しておりまして、今後の米の安定需給、安定供給という点から、自流米、政府米合わせた正規ルートに極力集荷を乗せていくという必要があろうかということで、私ども、系統団体と一緒になり、また県、市町村の協力を得ながら全力集荷に努めておるところでございます。  そういう中でやみ米業者の目に余る、あるいは盗難というようなこともいろいろな地域で起きているわけでございまして、関係当局にもそういう点でいろいろな協力をお願いしながら、とにかく全力を挙げて適正集荷に努めていきたいと思っています。
  196. 二田孝治

    二田委員 現在二万五千円以上ぐらいに買いに来ているのですから、その点をひとつ心得ておいてくださいよ。一俵二万五千円以上になっているのですから。これは私の近辺、隣のうちにも買いに来ているから間違いないことでございますので、売っているか売っていないか、これはわかりませんけれども、そういうような状態だということを心してやらなければ今回のこの対策というのは大変なことになる、私はそう思うわけでございます。  先ほどから、総理に当委員会においでいただくことについて大変議題になっておるわけでございます。総理が幾ら否定しても翌日の新聞にはまた米の自由化という問題が書かれます。関税化必至というふうに書かれてまいります。ここはやはり、当委員会所管ですから、所管委員会にきっちり出てきて、そしてはっきりそうでないということを言ってもらわなければ、生産者に対しても消費者に対しても何が何だかさっぱりわからないというのが今の現状でございます。  新政権の中でも、総理がそうでないと言ったって次の日またそうであるというような談話も出てみたりしますから、そういう状況というのは一日も早く、政治に対する信頼の問題ですから、それをやはりきっちりしていかなければ、そのためにも政治改革をおやりになるのですから、きっちりしていかなければならない、そう思うわけでございます。  そういった意味から、委員長は非常に勇気のあるお方で、一緒に米の自由化の問題とかこういう議連の会長にも祭り上げられた方なのですから、英断を持ってやっていただかなければならない、こう思いますので、よろしくひとつお願いを申し上げたいと思います。
  197. 竹内猛

    竹内委員長 朝ほどから理事の皆さんと御相談をして、またこの委員会が終わってもさらに御相談をしたいということで、この御趣旨については尊重をして、できるだけ努力をしたい、こういうふうに考えます。
  198. 二田孝治

    二田委員 以上をもって質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  199. 竹内猛

    竹内委員長 七条明君。
  200. 七条明

    ○七条委員 午前中からおくたびれでございますけれども、続きまして質問をさせていただきたいと思います。  さきの先輩の質問と重複する点があろうかと思いますけれども、自民党として立場を変えての質問でございますから御容赦を賜っておきたいと思います。時間の都合上、非常に簡単明瞭なる御答弁をお願いをしておきます。  まず、私は米の需給対策に的を絞ってみたいと思うのであります。  言うまでもなく、米は日本人の主食であります。日本の経済の発展と個人所得の増加につれて食生活の洋風化や多様化が非常に進みました。米の消費が減ってはきておりますけれども、米が日本人の食生活の中心であることはもう言うまでもありません。いわゆる日本型食生活と呼ばれる現在の日本人の食生活のバランス、栄養のとれたバランスの摂取のやり方、これは世界に冠たる長寿社会を実現するため、米が主食である、これがそうさせてきたと思うわけであります。まさに日本の食文化の根源は米にあると言えますし、それからまたその潤いを、みそだとかお菓子だとかお酒といったようなもので、米を原料とします世界においても、消費者あるいは皆さん方とともに米を愛してきたというところもあろうかと思います。その意味において、まず米の需給について、本年 から来年度にかけてというような観点ではなくして、やや長期的な視点から考えてみる必要があろうかと思います。  現在食糧庁では三年計画で平成七年十月末時点で、持ち越し数量を百万トンとする計画であると聞いておりますけれども、この百万トンという数字、いわゆる作況が平年作を割って九五が二年ぐらい続いても大丈夫だ、こういう数字だと思いますけれども、本年のこの災害冷害対策でこの計画を見直すことになるのではないだろうかと私は危惧をするところでございますから、まずこの辺、お伺いをしておきたいと思います。
  201. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 水田農業後期対策の中では、御指摘のようなことを頭に置いて転作面積緩和し、毎年三十万トン程度ずつ在庫積み増しでそういう百万トンという数字を出したわけでございますけれども、それは今年産も平年作であるというような前提で考えたわけでございます。御指摘のように、こういう作柄になって、その計画自身達成は難しいわけです。今後、来年以降の転作の面積につきましては、早急に見直しを行うということにいたしております。その場合に、意欲のある農家、それからまた早期米地帯とか主産地とかいろいろな要素を考えながら対応していく必要があろうかと思いますけれども、食管制度の円滑な運営ということから考えなければいかぬと思います。  ただ、今までも、百万トンにした理由は御指摘のようなこともあります。まあ、三度にわたる過度の在庫処分というようなことが一つあります。また、回転備蓄ということで、政府の操作の円滑というようなこともあったし、また、九五程度の二年ぐらいの連年の不作には耐えられるというような点でしたわけでございます。従来のそういう議論、それからまた昨今の事態を踏まえた見直しというのを早急にやっていく考えでございます。
  202. 七条明

    ○七条委員 百万トン体制が難しいようだ、こういう感覚であるわけでありますけれども、そうしますと平成六年、来年の十月末の持ち越し量を六十万トンから七十万トンとすることができない、こういうことも含めて、こっちの方は来年度はどうなりますか。
  203. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 今のままの状況で対応しますと、それは難しいわけでございます。そういうことがありますので、今回、来年の減反、また再来年も含めましてどういうふうにするのか、これからいろいろな議論をしながら煮詰めていきたいというふうに考えております。
  204. 七条明

    ○七条委員 そうしますと、来年十月末までに一千万トンプラスアルファの供給量を確保しなければなりませんね。これが本当に確保できていくかどうかというところで今いろいろ御苦労をされておられますけれども、もう一度確認のために、一千万トンプラスアルファ、どのくらいを考えているか、もう一遍確認しておきたいのです。
  205. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 具体的な数量については、今から早急に詰めるというわけでございます。従来からの百万トンになりました論議、それから今のお米の需給実態あるいは農家の意欲とか稲作に対する構造問題とか、いろいろなことを考慮して具体的な数字は決めていきたいということでございます。
  206. 七条明

    ○七条委員 考慮して決めていきたいということはよくわかりますけれども、この間の作況指数、八〇でありましたけれども、これはこのままいきましたらば、この十月末八〇どころか七〇台、しかも七〇台の前半になるんじゃないかという見込みがされるのではないかと、私は素人なりに考えるのですけれども、実際にこれは七〇台に落ちるのではないか。そうすると、これはますます大変なことになってまいりますけれども、その辺の見通しはちゃんとつけておられるのでしょうね。どうでしょうか。
  207. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 現在、十月十五日の作柄につきまして、統計情報部の方で各事務所からの数字を積み上げているところでございまして、近くそれが明確になってくると思います。
  208. 七条明

    ○七条委員 これは恐らく七〇になるのじゃないかと私は思っていますけれども、長官、どうなんですか、その辺だけでも少し聞いておいた方がいいのですけれども。
  209. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 私としましても、作柄の悪化を懸念いたしております。
  210. 七条明

    ○七条委員 では、懸念をしておられるということは、やはり八〇を割りそうだという感覚でおられるということだけはよくわかりましたから、その辺は、先ほど来の感覚からいきますと、厳しさがますます大きく迫ってくることでありましょう。  私は、米は国内産であくまでも自給するべきだ思っておる一人でもありますし、その原則は決して崩してはならない、こう思う一人であります。しかしながら、その考え方に立ては、来年度はかなりの大幅な減反緩和が必要になることも事実でありますし、来年は十万ヘクタール、約五十万トンは必要だ、こう新聞紙上で、先走っているかもしれませんけれども述べられておりますし、仮に食糧庁が現在計画をしております平成六年十月末の持ち越し料を六十万トンないし七十万トンとして、これを復田で賄うとすれば、一体どのくらいの復田が必要なんでしょうか。それを確保できる自信があるかどうかも含めて、わかる範囲でいいですから、具体的に聞きたいのですね。
  211. 高橋政行

    ○高橋(政)政府委員 我々、ことしの冷害にかんがみまして転作をどんなふうにすみか、緩和するかということを今検討しておるのですが、これは来年つくる米の話ございまして、来年つくる米は来年の十一月から一年間、次の、だから再来年にかけて食べる米をどうするかということでやるわけでございます。ただいま先生のお話がございました来年の十月末に六十万から七十万という計画を一応現在組んでおるわけですが、これはことしのお米が不作であったということで、この六十万から七十万トンという在庫を保有することは非常に難しいということでございます。
  212. 七条明

    ○七条委員 ですから、来年の復田の話ですけれども、大体どのくらいはそれを緩和をしていこうという数字を、大まかであっても決めておかなければ次の対策が打てませんから、どのくらいになるのだ、こう聞いているのですね。
  213. 高橋政行

    ○高橋(政)政府委員 まさにその点が重要な問題であることは我々も承知しております。  それで、それをどの程度緩和をすれば再来年皆さんに安定的に供給できるかということで現在検討しているところでございまして、何とか今月中にその結論を出しまして、生産者にできるだけ早く安心して営農体制をとっていただくということにしたいと思っております。  そういう意味で、今しかとした数字を申し上げられる段階にまで至っておりません。
  214. 七条明

    ○七条委員 今月中に何とかしたいということでございますから、いち早くそういう適切な対応をしていただけるように私としても要望をしておきたいと思います。いずれにいたしましても、来年も再び今年のような食糧不足が起こらないように、長期的な視点に立って、しっかりとした計画を立てていただきたいなと私は望むところであります。  次に、当面、現段階から来年にかけての集荷、供給の問題についてお伺いしたいのですけれども、時間の関係上これも簡単に答弁いただきたいと思うのです。  食糧庁では、八月二十二日付で規格外米を主食用米として承認する通達、また九月二十日付で他用途利用米の特例的な作況調整の実施についての通達を出されました。マル化米と言われる他用途利用米の通達、このような通達は平成三年の冷害の際にも出されましたけれども、今回は一カ月半も早く通達されましたし、また九月三十日付の米の作況発表前に通達をされたということも、これは恐らく本年の米の作柄の悪化を予想されてのことであろうと、まことに時宜を得た処置であったと敬意を表するところであります。  しかしながら、その反面として懸念しなければ ならないのは、米を原料といたします食料品あるいはお酒など、加工業者にとっては大変なことになってまいります。特に、他用途利用米を使用する加工業者にとっては極めて深刻な問題になることも予想されております。加工用原料米を緊急輸入するとしても、特に国産米やジャポニカ米でなければ困るよ、日本の米でなければ困るよというような業界についてはこれは大きな問題であります。現在タイ国から二十万トン緊急輸入した、米は長粒種でインディカ米である、使用できる業界はあるんだけれども、いや、これでは困るよと、使用できない業界もあると私は聞いております。主食の確保はもちろんでありますけれども、国産米やあるいはジャポニカ種でなければならない加工業界に対して、今後どのような対応をされるんでしょうね。これもやはり注目しておきたいと思います。
  215. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 御指摘のように、ことしの異常事態を踏まえまして、農家所得の確保という点から他用途利用米の特別作況調整をやらしめることにしたわけでございます。その際、他用途米が加工業界にとって極めて重要な位置を占めているというのは私ども重々承知しておりますし、それからまた、系統団体と需要者団体の間の約束事で成り立っておる仕組みでございますので、そういう点も配慮しながら他用途米の供給の確保というのは考えていく必要があろうかと思っております。  それで、現在系統の方では政府米の基準の価格で出しておるわけでございますけれども、どうしても国産でやらなければいけないという業界につきましては若干負担というのをしていただかざるを得ないんじゃないかと思って、そういう話し合いもそれぞれやっていただいておるわけでございますけれども、何とか供給をしたいと思います。  それから、輸入米二十万トンのうち、タイから入れるのは、長い米は大体十万トンくらいを目標にして、全量まだ契約はできていません。それからあとモチが三万幾らですか、あと円粒種といいますか、ジャポニカタイプというのも入れるという考えで、残余についてはいろいろな方面と当たっておるわけでございまして、全量が長粒種ということではございません。加工業界も重要な食品産業のあれでございますので、何とがそれぞれの需要に応じた対応に努力をしたいというふうに考えております。
  216. 七条明

    ○七条委員 ここに今、タイ米であろうと思いますけれども、インディカ米を持ってまいりました。加工用米の業界の中でインディカ米を使えない業界がありますから、その業界はもう既に製造をとめておる、あるいは製造を延期しておるということも私よく知っておりますし、こういう業界の場合、今まではともかく主食を確保しなければならない、こういう大凶作のときですから、主食だけは確保しましょうという政府の方針はよくわかるのですけれども、じゃそれで安定供給できるかというと、やはり加工の関係の業界は今大変な深刻な状況でございますから、ここらは非常によく注意をいただいて、間違いのないような手配をしていただきたい。  特に、安全性についても、先ほど来話が出ておりましたから、これもたしか五十九年の段階では、十万トンくらい在庫がなくなった、それで緊急輸入をしたんだというときがあったと思います。たしか臭素米とかいうことでこれはWHOの基準に合格をしてなかった。それで急遽輸入をしてみたら、今度は厚生省だとかあるいは農林省の規格の中で、非常にお互い各省庁がうまくいってなくて、薫蒸をすることでまた規格に合格しにくいような米が輸入されてきた、こういう経緯があったかと思いますから、特に安全性も注意をして、使える原料米の確保をしていただくことを望んでおきたいと思うのです。  それでは次に、他用途米の集荷についてもお伺いしたいのであります。私は集荷状況が大変なことは理解ができます。作況指数を八〇にして二百万トン余りの不足をする、単純な計算なんですけれども、米不足によりまして農家がいわゆる出荷を見送ったり、あるいはやみ米業者によって思うように集荷が見込めない、狂ったと予想する人が非常に多かろうと思いますから、この周知徹底をするために今どんな方策をとるか。いわゆる、米はあるのですよ、足りないのじゃないですからね、この広報活動、こういう意味ではどういうことをやろうとしておられますか。
  217. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 米につきましては、やはり安定供給というのは一番大事だと思っております。そういう点で、国民の食生活に不安を与えないような対応というのをやっていきたい。  まず、今取り組んでおりますのが国産米の集荷、それから当面の輸入ですけれども、作況八〇というふうになりますと、どうしても主食用につきましても輸入という事態にならざるを得ないというようなことも考えられますので、そういう点につきましても抜かりのないような万全の対応をしたいと思いますし、その都度大臣、次官あるいは私どもの方で、そういうことについて心配ないような広報といいますか説明をいたしております。また、特に米のできが悪い青森岩手、宮城等で、一部農家の方が米を買いに行ったのが発端のようですけれども、米がちょっと店頭から消えたという事態があったようでございます。そういうところについては、政府米あるいは自流米を他地域から搬送するとか、それからまた新聞その他の広告あるいは食糧事務所、県、市町村あるいは系統を通じまして、心配ない旨、供給しながらそういう周知徹底をし、不安を与えないような対応をしているところでございまして、これからもそういうことにつきましても心を配って対応していきたいと思っております。
  218. 七条明

    ○七条委員 この周知徹底も必要だと思いますから、万全を期していただきたいと思います。  私は、今回の大凶作をきっかけにして、実は他用途利用米制度の見直しがなされるのではないだろうかと思う一人であります。政府としてこの他用途利用米制度の見直しをするつもりがあるのかどうかについてもここでお伺いをしておかなければなりません。
  219. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 他用途利用米につきましては、価格の点でなかなか難しい点があるわけでございます。他用途米が生まれた経緯というのはもう御案内のとおりでございまして、減反強化される中で、同じ水稲をつくれば機械も共用できるし、労働時間の点でも省力的なあれができるということで導入したわけでございますけれども、減反緩和の中でなかなか農家の方がつくりにくい面が出てきておるのも事実でございます。  ただ、転作の一つの形態として位置づけて対応しているわけでございまして、今回の転作見直しの中でいろいろ議論をしていきたいと思いますけれども、特に大幅に変えるという必要性は私は今のところ感じておりません。
  220. 七条明

    ○七条委員 他用途米制度を変えないということであることは安心するのですけれども、ではことしのような凶作状況で米が足りないという状況になりましたら、やはり加工米、特にこういう他用途制度はもう一度見直さなければならない、そういうふうになってきたんだと、もちろんこれはしてほしくないことなんですけれども、うまく需給バランスがとれれば問題はないわけですけれども、どうも見直さなければならないというのが今の風潮であり、業界の中の不安につながっておると思いますから、その辺そういうふうにはっきり言われるのでしたら、これは必ずそれを実行していただけるようにお願いをしておきたいと思います。  それから、実は米の集荷と密接に関係の深い緊急輸入の問題についてでありますけれども、これは実はけさほど来も農林大臣が御答弁をされておりました、例外なき関税化に米を含めることは絶対にあるべきではない、こういうことでありますけれども、政府は現在のところ加工用米として二十万トン輸入をされておりますけれども、ジャポニカ種はどのくらい必要なのか。こういう意味で、主食用の米と加工用の米とに分けて、主食用も恐らく緊急輸入をしてこなければいけない、将来起こってくると思いますし、必ず輸入しなけれ ばならない。そうすると、ジャポニカ米なら主食にたえていきますけれども、インディカ米なら主食にたえないということが起こってまいりますと、このジャポニカ米がもう限度がありまして、どうしても数に限りがあると思うのですね。そうすると、大臣は契約栽培もしなければならないのではないか、それは賛成ですよと閣議で言われた。その辺のこともはかり知れるわけでありますけれども、ではどのくらいジャポニカ米が集まるのだ、あるいは契約栽培をしていくについても、それは新聞紙面が先走っただけなんだ、こう言ってそれらのつじつまがちゃんと合わせられるようにできるのでしょうか。これは大臣が御答弁いただければいいのですけれども、どうですか。
  221. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 第一点、誤解があってはなりませんので、一言述べさせていただきます。  オーストラリアの契約栽培の問題がけさほど来時々話に出ております。閣議が終わりました後のいわゆる閣僚懇談会の中でその話が出たわけでございまして、いわゆる従来の輸入国の方々に御迷惑をかけている要素もこれあり、そういうことを考えますと、オーストラリアの契約栽培ということも話としては出ますけれども、一年だけの契約ということはなかなか現実問題は難しいのではないかというような話を中心としての話題であった、かように御理解を賜りたいというように考えるわけでございます。  そしてまた、来年の端境期の問題をただいま七条先生お話しのような数字を挙げて考えますと、やはりその端境期を念頭に置いた、来年は残念ながら主食といいますものの輸入ということはあり得る、そしてまた、万が一国民皆様方に食べる量において御迷惑をかけるということはあってはならないという意味合いの中で、ただいま種々それぞれの輸出国等々の実情把握に努めておる、そういう中にございます。ただいまの御指摘等々を踏まえてこれから実態把握に努力を重ねてまいりたい、かように考えております。
  222. 七条明

    ○七条委員 大臣、ジャポニカ米、いわゆる日本で使って主食にたえる米、これはもう限度がありますよ。ですから、私らが独自に調査したところでは、加州米だとかあるいはオーストラリアだとか一部タイだとか東南アジアにあるかもしれませんけれども、今すぐにあるいは来年の端境期にそういうものが輸入できるかといえば、これはちょっと、そんなにたくさんありません。ましてや、これから作況が悪くなる現状で、七〇%台に来れば二百万トンが足りない、最低百万トンぐらいは輸入をしなければならないとなりますと、その百万トンどころか緊急に輸入できるのがないのですから、これは契約栽培という、大臣が賛成だよ、こう言われたことをやらなければしょうがないのでないかと私は思うのですよ。その辺ちゃんと、そんなことはしなくてもいい、あるいはさせているんだとはっきりもう一遍言えませんか。
  223. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 契約栽培ということをわきに置いた姿の中でただいま努力をいたしておるということでございます。
  224. 七条明

    ○七条委員 もう一遍お聞きしたいのですけれども、契約栽培は実際にやるということで農林省の中で計画しておるということではないのですね。もう一遍聞きます。
  225. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 お話のとおりでございます。
  226. 七条明

    ○七条委員 この契約栽培は単年度だけではできない。契約をすれば来年、再来年以降も続いていきますから、当然、もしそういうことになればマル他米制度と結びつけて米の輸入自由化への一歩になることだけは間違いがない、こう思っていますから、慎重にやっていただかなければならないことはもちろんでありますね。  それからさらに、農林大臣が十一月上旬に米国だとかあるいはEC諸国へ外遊をされる、こういう意向であるということが報じられてしまいましたけれども、このことは米の市場開放での米国との非公式な条件つき関税化の受け入れ案を主要国やガット首脳と意見調整をするために行くのだ、こう新聞が報じておるのですね。これは農林大臣としてどうなんでしょうか、具体的に。
  227. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 御案内のとおり、米をめぐる問題につきましては従来の主張を我が方はいたしますし、そしてまた関係国におきましては大方例外なき関税化ということを主張されておる極めて対峙した平行線の今日の姿でございますから、私が近く海外に出張するということは、そういう実態を踏まえて我が方の主張を重ねて、その御理解を得るべく、説得に当たるべく出張をさせていただきたい、こういう立場でございます。
  228. 七条明

    ○七条委員 そうしますと、新聞紙上で報告されたことは間違いだとはっきり言えますね。
  229. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 そのとおりでございます。
  230. 七条明

    ○七条委員 わかりました。それなら安心をいたしますけれども、私はいろいろな新聞、マスコミ等の大臣の談話等を聞いておりますときに、オーストラリアでの契約栽培については大臣は乗り気のあるような気がしてなりません。それからさっきのEC、米国への訪問についても、米の市場開放の絡みをにらんで何かやられるような不安があったり懸念がするのでありますから、そういうことがないと打ち消していただきましたから、そのつもりで外遊をしていただきますようにお願いをしておきたいのです。この点はまだまだ私疑問がたくさんありますから、もう一度これは、先ほど来我が自民党からも出ておりましたけれども、細川総理の出席を得て早急に本委員会でさらに大臣だけではなくして総理からもその辺を徹底して聞いておきたいと私は思うのですけれども、これは委員長、さっき言うたとおりでよろしいですね。
  231. 竹内猛

    竹内委員長 先ほど来お話をしたように、朝からいろいろ御相談をして、これが終わってからもなお引き続いてその話はいたします。
  232. 七条明

    ○七条委員 それでは、よくわかりました。時間のようでございますから、いろいろと聞いてまいりましたけれども、本年から来年度にかけての米の集荷見込みや緊急輸入の問題などいろいろとお伺いいたしましたが、この点、実は明確な御答弁がいただけなかったような気がしてなりません。予想していたこととはいえ、あえて以上の点をお聞かせいただいたのは、この大凶作の年であるがゆえに、消費者の方々や米加工業界の方々も米の生産、集荷の見通しを一刻も早く知っておきたい、それぞれがその対応を急ぐ状況下にある点を十分に認識をしていただいて、このような明確な御答弁がいただけない背景にはいろいろな事情があろうかと思いますけれども、その大きな要素としては農林省の本年産米の集荷見込み量が固まっていないことが大きな原因であろうと思います。  ここで私、もう一度提案をしておきたいのですけれども、例年であれば農林省の最終的な米の作柄発表は十二月の下旬ごろになると聞いております。このようなことでは大変なことになりますから、ことしは異例な年でもありますので、せめてこれを十二月の上旬とかもっと早い時期に、時期を繰り上げて発表することができないか、こういうような状況の中でありますから、特にその方向性が見出していけないかどうか、御苦労ができないかどうか、これを一遍聞いておいて終わりたいと思います。どうですか。
  233. 嶌田道夫

    ○嶌田説明員 作柄につきましては、八月、九月、十月ということでそれぞれ十五日現在のを月末に発表しておりますし、それから今言われたように最終的に収穫期のものを十二月下旬に公表しております。それで今回、今月下旬に公表いたします十月十五日現在におきましては、十月十五日現在の予想収穫量も公表する予定にしております。  ただ、最終的な収穫量の確定に当たりましては、御承知のように、全国的に刈り取り調査を行いまして、それで実施しております。特に、西日本など一部におきましては収穫時期がかなりおくれているものでございますから、そういうすべてのものにつきまして収穫、刈り取りした後すべて取りまとめて公表するということで、例年十二月下旬にやっておりまして、ここは冷害だからといってなかなか変えにくいというふうに思ってお ります。
  234. 七条明

    ○七条委員 大臣は、百年に一度の大きな災害だということでありますから、その意味では、できるだけ早く作況だとか今の調査の結果を指数を発表して、それに対して各省庁が対応をしていくという姿が、一番今できる早い方策だろうと思いますし、それを望んでおるのが国民であろうと思いますから、その点も要望をして、すべての質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  235. 竹内猛

  236. 栗原博久

    栗原(博)委員 栗原でございます。  私、農林水産委員でございませんでしたけれども、きょうのこの質問の機会をお許し賜りまして感謝申し上げます。先輩議員の方との重複もあるかもわかりませんが、お許しください。  私は、正午のニュースで、ロシアの放射性廃棄物がまたやられるというような情報をお聞きしまして、いても立ってもいられず、この二時半にロシアの大使館に出向きまして、在日ロシア大使館の公使であるV・I・サープリン氏に会いまして、この海洋投棄が、我が国の国民に対して極めて不信を募らせておる、また両国の将来に対して大きなマイナスとなるということで、ぜひひとつ本国の方にこの海洋投棄をとめてほしいということを実は伝えてまいったわけであります。  私は新潟二区の選出議員でございまして、私どもの選挙区、ずっと海岸線がございます。大変漁業者の方々の不安の声もありますし、電話もかかってまいります。また、新潟県におきましても、この海洋投棄について、大変注目し、各関係省庁に対して強い要請をしておるわけでございます。  その中で、朝は柳沢委員がるるこの点を御質問申しましたので重複を避けさせていただきますが、ただ、水産庁の方にお聞きしたいのでございますけれども、投棄場所がロシアの二百海里水域である、しかしながら、魚は回遊いたします。かつまた、消費者の心理からいたしましても大変影響が大きいと思うのであります。何としてもロシアの海洋投棄をとめてほしいということで、政府も、外交ルートを通じてロシア政府に強く抗議をしております。  そういう中で、水産庁に一つ御質問なのでございますが、先ほどの長内委員の質問と重複することをお許しください。  ところで、食用魚の安全性を含めて、日本海水域における海水とか海底土、そして海洋生物の放射能の影響調査、これを緊急に行っていただきたい。先ほど長内委員に対する御答弁では、十月下旬から十一月上中に海洋調査もというようなことがあったように伺っておりますが、その結果を明瞭に、公正にひとつ公表されることをお願いしながら、この点についてお聞きをしたいと思うのでございます。  また今後、水産庁は、実態のつかみにくい核廃棄という恐怖の中で、推測とかデマとかいうことで国民の魚に対する不安を招くことだけは避けなければならぬと私は思うのであります。その中で、漁業者の生活を守るという見地からも、このロシアの核廃棄物の海洋投棄に対しまして、どのようにその対応をお考えであるかをお尋ねしたいと思います。
  237. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 先ほど来何回か御答弁しておりますように、今回のロシアによります放射性廃棄物の海洋投棄、大変遺憾でございまして、御承知のとおり、政府といたしましては、外交ルートを通じまして事実確認を行うとともに、厳重な抗議と投棄の即時停止を改めて申し入れたところでございます。  ただ、今回の放射性廃棄物の投棄につきましては、ロシア側の発表した程度の放射能レベルでございますれば、これまでの調査結果等に照らしますと、海産物摂取により我が国の国民の健康に対して直ちに影響を及ぼすとは考えにくいというのが、私どもの研究所それから科学技術庁等々の専門家の一致した見方でございます。  しかしながら、日本海は、我が国の周辺海域でございますし、重要な漁場でもございます。引き続きこういうことが繰り返されるということになりますれば、海産物への影響が懸念されるばかりでなく、海洋汚染に対します一般国民の不安が大変醸成されるということで、ただいま委員のお話がございますように、私どもも、日本海、北海道等々の自治体、漁業者も含めまして、大変心配をされておるというように承知をしております。  私どもとしては、関係各省と連絡をとりながら、早急な海洋調査実施等を行うべきでないかということで早速対応してまいりまして、本日の十時から開かれました放射能対策本部の幹事会、政府関係省庁の集まりでございますけれども、そこにおきまして、十月下旬から十一月上中旬にかけまして、海洋環境放射能調査というのを早期に行うということを決定したところでございます。それによりますと、主として海上保安庁、気象庁、それから水産庁というところが担当するわけでございますが、表面水なりあるいは中層、深層水、それから主要漁場の魚介類等におきます調査というのを早急にやりまして、科学技術庁においてこれらの調査結果の評価検討を行うということにいたしますので、早速こういった形での調査を行いまして、いささかもそのあたりについてのいたずらな不安、動揺ということがないように努めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  238. 栗原博久

    栗原(博)委員 仰せのことはわかりますが、今IAEAのブリクス事務局長が日本に来ておりますから、こういう方々とも十二分に連携を保ちながら、国民また漁業者の方に不安のないようにひとつ御協力賜りたいと思います。  次に、外務省にちょっとお尋ねしますが、今回のロシアの核廃棄物の海洋投棄の実行は、外務省の情報で事前に知り得ていたのかどうかということをお尋ねしたいのであります。何かグリーンピースに扇動されているような気もしてならないのでありまして、そういうことについてお聞きしたいと思います。  と申しますのは、先ほど申しましたロシアのサープリン公使の言をかりるならば、IAEAに事前にこの投棄の認可、許可を得ているということでありまして、かつてソビエト連邦のころは大変あちこちに捨てていた、隠していたけれども、ロシアになってからはみんな書類に載っておって公表しておるのだということなのですね。政府は今、マスコミ等を通じまして、今回の投棄は低いレベルである、それは一・一もしくは二キュリーぐらいでありますから、恐らくそのことで言っているかもしれませんが、要するに量が少なくて心配ないと言っている。また反面、ロシアにはやめてほしいと言っている。これは科学的な面で危険なのか、それとも、マスコミを通じての情報で国民が反対であるということでありますから、そのことでやめてほしいというようなわけかもしれません。しかし、私は、グリーンピースの情報に振り回されている感があるのではなかろうかと思うのです。やはり日本の外務省は日本国のメンツにかけて、徹底的に国民にわかりやすくこの問題を示さねばならぬと私は思うのであります。そして国民に過剰な心配を与えてはならない、そのように私は思うのでございまして、今後外務省がロシアに対してどのような対応をなされるかということもお聞きしたいと思います。
  239. 河村悦孝

    ○河村説明員 お答え申し上げます。  グリーンピースがそういう情報を流しました時点で、それから海洋投棄を行いましたときも、残念ながら私どもその情報を入手できなかったことは遺憾でございました。  なお、この海洋投棄の問題は近隣諸国に対する配慮にかけるものでございまして、極めて遺憾ということで日ロの首脳会談のときにも、またロシア政府に対しまして投棄の即時停止を繰り返し申し入れてきております。そして、今回の投棄に対しましても、ロシア側に累次抗議を行っております。具体的に申し上げますと、十九日に外務次官から在京ロシア大使に、二回目に予定されている投棄の中止を含めた投棄の即時停止等を申し入れ ております。それから二十日の未明、本日の未明でございますが、羽田外務大臣よりコズイレフ外相に対しまして、二回目の投棄を中止するよう電話にて申し入れでございます。     〔委員長退席、千葉委員長代理着席〕
  240. 栗原博久

    栗原(博)委員 まあここでとやかく言ってもいたし方ないかもわかりませんが、やはり情報が外務省はちょっと不足しているんじゃなかろうか。それによってやはり国民が不安を募らせているということだけをひとつ御認識いただきたいと思うんであります。  次に、農業共済についてひとつお尋ねしたいと思います。  新聞報道によりますと、これもまた仲村委員二田委員との重複もありますが、お許しください。ことしの作況が八〇の段階で水稲被害は六千から七千億に達しておる。また今後十月の十五日の作況になりますともっと悪くなると思うんですが、先ほど二田委員の質問に対して政府の方は被害額は六千億と言っておりますが、その中でことしの災害は未曾有の冷害災害である。共済の中で全相殺方式で、いわゆる九〇%補償が三分の二の北海道にたくさん集中しておりますし、あるいはまた半相殺方式と言われます八〇%が東北地方の方に集中しているということで、私の推計では水稲共済は五千億に上るんじゃなかろうかと思うんであります。その中で、この五千億を遅滞なく政府農家に払う義務があるわけですね、義務が。その中で私は、全国に今共済組合が八百六十三、都道府県には四十その連合会がありますが、これらの組合の責任額は五百億と伺っております。それに国の再保険特別会計財源、今お聞きしますと約六百六十三億たまっている。合計千百六十三億であるようでございますが、農家の支払いが約五千億でありますと、その差の三千八百三十七億円が実は不足するわけであります。これは大変なことだと思うんであります。  過去の経緯を見ましても、一般会計から特別会計に繰り入れがされておりました。また農家の方も各農業共済組合もそれはもう十二分に認識しておるし、また今回もそれを期待しているんでありますが、ところが私のところには地元の共済組合から実はいろいろ電話もあり、御注文があります。この不足の、まあ私の推計ですが三千八百三十七億円を、どうも一般会計ではなくて、先ほど二田委員もおっしゃいましたけれども財政投融資、財投から借り入れてくる、そういうお考えもあるようでありますが、ただし金利だけは一般会計から持ってくるということだから、差し引き余り変わりないとおっしゃるかもわからぬ。しかし、このようにかつてない農業災害であります。農家方々は本当に苦しみ抜いているのにまくら元で葬式の話をするような状況のある今日、特に農業情勢について政府のとっている手は、政府よりもマスコミが先行している、それから後で政府が打ち消している、私はこれはゆゆしき問題だと思うのですよ。  そういう中で、このような中で私は、減反政策はまさしく政府の失敗である、そしてまた米が不足するのは政府の責任だ。不作は気候の影響もありましょう。こういう状況の中で、来年度の作付をどうするかということを話し合いもしてない中に、この米の緊急輸入というような状況であります。これは私も苦言を申しましたが、連立政権の方からも十二分にひとつ農家の方を思う気持ちで今後とも対処をしていただきたいと思うのであります。  そこで、財投からの借り入れになりますと、その金利の支払いの問題が出てまいります。例えばことし一般会計から繰り入れるといっても、果たして来年から確実に一般会計から金利が繰り入れられるかという保証はないと私は思うのです。  そういう中で、例えば過去の共済の歴史を見ても、昭和二十四年ごろからずっと一般会計から繰り入れられて、そして後でまた特別会計に繰り戻しされております。昭和五十五年の冷害では約一千三百八十二億円以上の金が一般会計から特別会計に繰り入れされているわけですね。今回、このように本当にもう未曾有のこの状況においてこの慣例が破られるということが共済制度の根幹にもかかわる、そして農家の方が大変不安になる。そういう中で私は、先ほどお答えもございましたけれども、きちっと明確にもう一度、一般会計から繰り入れて財投に頼らないという御返事をひとつちょうだいしたいのでございます。
  241. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 御指摘の再保険金の支払いでございますが、これは制度で国が再保険金を払うという契約になっておりますので、その再保険金を払い、共済金農家に支払うという点についてはみんな一致をしておるわけでございます。御指摘の財源をしからばどうするかということにつきましては、これまでは一般会計から特別会計に繰り入れてきた、こういうことでございます。最近の異例の財政事情、厳しい財政事情、こういうものを踏まえましてどういうふうな財源手当てをするかということで、御指摘のようなものも含めましていろいろと議論をしておるということは事実でございます。しかしながら、我々といたしましては、農家に特別の余計な負担がかからないようにというふうなことで、農家の心配のないように対応をしていきたいということで努力しておるところでございます。
  242. 栗原博久

    栗原(博)委員 今の御回答はわかりますが、要するに、もう一度お尋ねしますが、先ほど二田委員に対する御回答と若干違うような気がするのですけれども、これは一般会計から繰り入れするように大蔵と十二分に交渉されるのですね。
  243. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 そういうことでこれまでは一般会計から特別会計に金を繰り入れてきた、こういうことでございますが、支払いをする、農家に対して共済金を支払う、それから何らかの財源措置を国の特別会計に対してするというふうなことで、農家に心配のないようにするということでございまして、その方法につきましては、いろいろなやり方があるということで、現在いろいろな御指摘のありましたようなことも含めて検討をしておるわけでございます。いずれにいたしましても、農家に特別の負担がかからないようにというふうなことで頑張っておるということでございます。今後とも御指摘の点を踏まえまして頑張りたいと思います。
  244. 栗原博久

    栗原(博)委員 今局長のおっしゃること、いろいろやり方があるということはどういうことですか、お聞かせください。     〔千葉委員長代理退席、委員長着席〕
  245. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 それは委員も御指摘がございましたように、財投から金を借りてきて、それに利子補給をするというふうな方法もあろうし、あるいはいろいろとどういう格好で財源手当てをするかという、いろいろな可能性について議論をしておるということでございます。
  246. 栗原博久

    栗原(博)委員 今のお答えは、いろいろには当たらないと思うのですよ。いろいろには当たらぬと思うので、もう一度御回答をお願いします。
  247. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 財投から金を借りてきて、それに対して利子補給をするというやり方、一般会計から直接繰り入れるというやり方、それから、それをさらに何年かに分けて入れるとか、いろいろなやり方があろうかと思います。
  248. 栗原博久

    栗原(博)委員 いろいろなやり方と、もう一度おっしゃってください、今あなたおっしゃった、後の話尾の方。  と申しますのも、農家の方及び共済組合の方々は、こういうときこそ一番恐れているわけですよ、財投からの借り入れについては。あなたが答弁で、一般会計からの利子補給をずっとやるということであれば、これはわかると思う。一時的に財投からその分の利子補給を一般会計からやるのだ、そういうふうに理解もしかねぬことですから。あるいはまた、一般会計から繰り入れるのもある。あるいはまた、三分の一ぐらいは財投から借りるという、そういうこともあるかわかりません。そういう点について、率直にお聞かせください。
  249. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 だから、先ほど来申し上げておりますのは、そういう財投から借りてくる、ある いは一般会計から入れるということで、そのバリエーションとしまして、一部入れて一部借りてくるというふうな方法もあろうかと思います。  そこで、私が先ほど来申し上げておりますのは、そういう今までなかった、例えば金利負担のようなものについて、農家に特別の負担をかけるというふうなことのないように、今までと同じように農家が負担関係が変わらないように、そういうことを基本に、とにかく払うということはもう確定しているわけでございますので、そういうことで財源手当てをどうするかということで議論をしておるということでございまして、農家にそういう今までと違った特別の負担をかけるということのないように努力をしておるということを申し上げておるわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  250. 栗原博久

    栗原(博)委員 わかりました。初めからバリエーションとおっしゃればわかるのですが、よろしくお願いします。なるべく一般会計からの繰り入れで終わるようにお願いします。  次に、土地改良区の問題についてお尋ねしたいのですが、このような異常気象の中で、土地改良費の償還の問題が大きく実は出てまいりまして、農家の、特に国営事業等について、負担が大変だ。収穫が皆無の地域では、もはや生産手段であります田畑を売らなければならぬという状況になっているわけです。  そこで、国としては農業制度資金の返済の繰り延べとか、あるいはまた金利の助成の案件についてどのようにお考えか、まずお聞きしたいのであります。  そこで、土地改良事業費の負担の軽減として、国営事業の負担金について、償還金の全部あるいはまた一部免除とかいろいろ御要望ございます。そして、その償還期限の猶予など、そういうことの対策を講じていただけるものかどうか。  例えば、私、実は新潟県の新津市というところに居住しておりまして、百姓しながら国会に通っております。それで、私の所属する新津郷土地改良区という土地改良区がございまして、そこには組合員が約三千百六十五名、田んぼの面積が三千二百ヘクタールでございます。そこで、ここで国営事業の返還金が一反約一万九千九百四十三円前後かかっておるのです。土地改良区では、総額六億一千万有余の負担がありまして、これを国庫に納めます。平均一戸三十万、まあたくさんつくっているお宅ですと三百万近い償還があるわけでございます。その中で、この十一月三十日までにこの土地改良の償還金あるいはまた国庫の負担金を納入せねばならない。ところが、こういうことで大変減収でございますので、農家の方が大変困っている。私ども、小川久理事長以下、全理事も大変苦悩しておるわけでございます。  そこで、国営事業の償還金の債務責任は都道府県にあると伺っております。ですから、国に要望いたしましてもなかなか大変と思うのですが、この点について、国と県が一体的になりまして、これはやはり償還の猶予についてひとつ御配慮いただけるか、あるいはまた、県に対してそのような御指導もいただけるものかということを、条例の発動もあるかわかりませんが、それをひとつお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
  251. 入澤肇

    ○入澤政府委員 この件につきましては、先生御承知のとおりでございますが、土地改良法令上は、国営土地改良事業の負担金の仕組みにつきまして、国に対する支払い義務は第一義的に都道府県にございます。ですから、二つに分けて考えなくてはならないわけですね。国と県との関係とか県と農家との関係がございまして、農業者が被災した場合でありましても、直ちに都道府県が支払い不能となるというのは想定しがたいということで、国が都道府県に対して負担金の支払いの猶予等を行うことは極めて困難であります。  しかし今度は、県とそれから農家との関係におきましては、国営土地改良事業の負担金につきまして償還が困難な農業者等に対しまして、予算措置土地改良負担金総合償還対策事業というものをやっておりまして、要するに、土地改良区が融資機関から資金を借り入れて、これにより償還の円滑化を図ろうとする場合に利子補給をする事業だとか、あるいはリリーフ資金の融資等が行われておるわけでございます。  これらにつきましても、さらに今先生御指摘のような案件ございますので、いろいろと負担軽減につきまして新しい工夫ができないかなというふうに頭を悩ましているところでございます。
  252. 栗原博久

    栗原(博)委員 この土地改良区負担金の総合償還対策事業というのがあるらしいのですが、ぜひひとつ、特に円滑化事業等について、やはり関係の方に周知を徹底くださいまして、そしてなるべく農家の御負担がないように、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  以上で、質問を終わります。
  253. 竹内猛

    竹内委員長 石破茂君。
  254. 石破茂

    ○石破委員 大変遅くなりまして、大臣ほかお疲れかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。  先ほど来我が党議員からお願いが出ておりますが、委員長、私も総理の御出席をお願いし、総理の御見解をぜひとも承りたいと思っておる一人でございます。  それはどうしてかと申しますと、まず、政権が変わった、新しい政権において一体どのような農政を展開しようとしておられるのか。もちろん、畑大臣からいろいろな御見解を承っております。しかしながら、総理がどのような見解をお持ちかということは、やはり私どもは国民にかわってお尋ねをする義務があるであろうということでございます。  もう一つは、連立政権における農政の方向づけというのは、一体どういうものなのかということなのでございます。つまり、基本的な政策は自由民主党の政策を継承するというふうにおっしゃっておられますが、それでは、与党内の合意事項において、農政、なかんずくラウンドについてどういうような合意形成がなされておるのかということなのでございます。  これは私の懸念なのかもしれませんが、総理は本会議の御答弁でこういうことを言っておられるのですね。連立政権というのはそれぞれいろいろな政党があって、いろいろな政策を持っております、しかしながら、大義の前には各政党がそれぞれの政策を抑制するということが当然ございます、それは大義の前に大局的に見て許されることであります、連立政権というのはもともとそういうものであるというふうに御理解をいただきたいという御答弁を本会議でなさっておられます。  つまり、例えば関税化はやらないんだという公約をしておるといたしますね。しかしながら、その大義というのは何ですかとお尋ねしたところ、例えば生活者重視というようなことが大義でございますというようなことも御答弁の中にございます。それでは一体どういうことになってくるのか。大義の前には各党が公約を抑制すること、そういうのは許されるということになりますと、これは一体どういうことになってしまうのだろうかというような素朴な疑問があるのでございます。ですから、私の疑問がもしくは懸念なのかもしれません。しかし、そういうような思いを持っておる議員は非常に多かろうと思っております。そういうような意味合いにおきましても、総理にぜひとも御出席をいただいて、私どもの疑念にお答えをいただきたいということでございますので、どうか委員長におきましては御高配をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  255. 竹内猛

    竹内委員長 ごもっともな御意見ですから、ぜひ総理に出席をしていただいて、そういうことについて十分にお答えができるように努力をいたしたいと思います。追って、終わってから理事会で御相談をいたしますから。
  256. 石破茂

    ○石破委員 それでは大臣にお尋ねをいたしますが、総理が最も大事な改革とおっしゃっておるのは、もちろん政治改革であります。その次に、行政改革その他いろいろな改革をやっていかねばならぬ、そういうふうに御答弁になっておられる、そういう気持ちは私どももよくわかりますし、政 治改革については、私も大臣にいろいろな御指導をいただきながら一緒にやってきた人間でございます。それはそうであらねばならぬと思います。だが、総理のいろいろおっしゃっておられる中のキーワードに生活者重視というお言葉がございます。大臣は、総理のおっしゃっておる生活者重視という言葉をどのように理解をしておられますか。
  257. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 言葉をかえて申し上げますと、巷間いわゆる細川内閣の生活者重視ということは農村地域に対する軽視につながるんではないか、あるいはまた、予算配分にいささか問題あり、そういう誤解が生じておる事実は、私もさように承知をいたしておりますのでございますから、この誤解を払拭すべく私の立場におきましても努力をし、そしてまた、幸いなことに、先般来の予算委員会等々で細川総理御自身の口からも、この農業分野の、あるいはまた第一次産業分野に対して力を入れていくということが力強く御本人の口からも披露がされておるということも先生御承知のとおりでございます。私どもといたしましては、当然のことながら、特に、地方の時代ということは農山村に活性化を図ること、この言葉に尽きるのではないか、かような信念に燃えて取り組んでまいりたいと思っております。
  258. 石破茂

    ○石破委員 大臣の御理解のような意味で総理が言っておられるというふうに私も期待をいたしたいと思います。要するに、先ほど来ずっと御議論が出てますが、例えば、こういうような状況に立ち至った、米が足りない、輸入をしなければならぬ、一体だれの責任なんだというお話がございますね。  私も、六月までは政務次官をさせていただいて農林水産省で働かせていただいた人間でございますが、あるところから、それは自民党の責任じゃないかねなんて言うような方もいらっしゃいますが、私は、第一義的に本当に日本の国のいろんな政策に欠けていたのは、国家経営論的な視点じゃないのかなというふうに思っておるのです。つまり、農村の状況を救うことは何も都市の不利益ではないんだ、国土全体の経営という観点から見れば、農村を発展させるために都市が出動するというのはそれは当たり前のお話ではないのですかという考え方がどうも欠けておったのじゃないかと思うのです。私ども今こうやって東京で仕事をしておりますが、こんな大きな都市というのは世界じゅうの先進国のどこにあるだろうかということなんですよ。例えば、ロンドンに行きましても、パリに行きましても、こんなやたらめったらわけのわからない町じゃないです。費用対効果の計算というのをあの人たちはきちんとしているんじゃないでしょうか。グリーン・ツーリズムのときにも議論をしたことでございますけれども、それは都市が余り肥大をしていきますと、幾ら金を突っ込んでも、費用対効果の限界点を越えますと、金を突っ込んでも突っ込んでもむだになっちゃう。そうであれば、農村がきちんと繁栄をしていく、農村がきちんと生産基盤を整備していく、それが都市の肥大化をもたらさないことであり、それが国家経営上においては最もよいことであるというような議論がどうも欠けておって、都市対農村とか、大蔵省対農林水産省、そんな議論になってきちゃったんじゃないかというふうに思っておるわけでございます。  私ども、ずっと先ほど来農水省に対して質問をしておりますけれども、農水省が悪いというよりも、農政が失政であったというよりも、本当に国全体の経営がどうあるべきかという発想を今していかなければいかぬのじゃないか。それが今までできなかったことは、やはり我々も政権与党の側にあった者として反省をしなきゃいかぬことだと思っております。新内閣にあられましては、ぜひともそういうような視点に立って農政というものを展開していただき、諸政策というものを展開していただきたいなというふうに思っておりますが、大臣の御見解、いかがでございましょうか。
  259. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 恥ずかしながらと申し上げた方がいいと思いますが、私の出身の大分県は過疎率日本一であるわけでございます。そういうことを考えますと、先ほど来申し上げますように、やはり過疎対策の問題、国民的な課題である。あるいはまた、一極集中排除の問題、こういうことが従来から言われながら、残念ながらその道のりは極めて遠いという現状を踏まえました場合におきましては、私は、これからの農政あるいはまたこれからの国の経営ということにつきましての新たな信念に基づいての展開をやるべき時期が今日ただいまではなかろうか。過去のことにつきまして、いわゆる責任の所在はということが言われるわけでございますが、私は、それぞれのその時期におきましての、いろいろな諸般の状況を踏まえてベストを尽くされた真摯な取り組みがなされたことに対しましても、私自身、私もその中に身を置いた一員であるということを除きましても、それなりの敬意を払いながら、要は、二十一世紀に向けてのあるべき姿をきちっとつくり出していく、そういう政治信念に基づいて国家経営ということを考えながら、今後の農政の推進を図っていかなければならぬ、このように考えております。
  260. 石破茂

    ○石破委員 今の点は、後ほど災害対策に関連してもう一度大臣に承りたいと存じます。  さて、もう一度、ラウンドの話に戻るのでございますが、米の関税化がなぜいけないかというお話は私は何度もこの委員会でもしてまいりましたし、自民党の中でも再三議論をしてきたことでございます。それは、いろいろな御見解あろうかと思いますし、私、やはり一番不幸なのは、関税化はしないんだ、しないんだ、しないんだという議論をずっとしてきて、やらない、やらない、やらないと言っておって、ある日突然、事情が変わったと言って関税化しちゃった。そんなことはないと思いますが、最悪そういうようなケースがあったといたしますね。そうすると、関税化の準備は何にもしてなくて、さあ関税化だ、大変なことになってしまうわけですね。竹やりでB29を落とせるなんて言った人が昔おったそうで、神国日本、絶対負けないとか言って、竹やりでB29を落とすとか言って、そんなことができっこないんで、結局日本は敗戦によって大変な犠牲を払ったというようなことがございます。ですから、関税化はだめなんだということは私は信念として持っておるんですけれども、関税化した場合には、では、一体何がどうなるんだろうかという議論を一切してないというのは、私はやはり不幸なことだと思っております。そういう議論もした上ではっきりと関税化拒否の方向を打ち出していかないと、スローガンだけ並べても、これはだめだというふうに思っております。  それはさておきまして、さて、関税化をする場合に食管法の改正は必要でありますか、必要でありませんか。
  261. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 私は、米のいわゆる関税化、自由化といいますか、現在の食管法との両立はしない、こういう認識に立っております。
  262. 石破茂

    ○石破委員 細かくて恐縮ですが、どの点において、どの条文において両立をいたしませんか。
  263. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 仕方にもよりますけれども、基本的には需給に応じて管理をするようになっておりまして、需給と関係なく物が仮に入ってくるようになりますと、そこが基本的に問題だと思っております。
  264. 石破茂

    ○石破委員 確かにその御指摘のとおりだろうと思います。つまり、関税化というのは、関税さえ払えば何百万トン入れたって構いませんぜというのが関税化の本質でございますから。そうすると、政府が一元的に管理をするということよりも数量において国家が責任が持てないということで両立しないということですか。そうしますと、条文は何条になりますか。
  265. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 基本計画、供給計画の策定が一条の二と八条、その辺だと思います。
  266. 石破茂

    ○石破委員 そうしますと、法改正をしない眠い関税化は不可能だというふうに理解してよろしゅうございますね。
  267. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 法改正は必至だと思います。
  268. 竹内猛

    竹内委員長 ちょっと今聞こえなかった。もうちょっと声を大きく、体ぐらいの大きな声でひと つ。
  269. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 法改正は必至だと思います。
  270. 石破茂

    ○石破委員 法改正は必至だというのがそのまま速記録に残りますと何か長官の発言、誤解されると困りますので、つまり、法改正をしなければ関税化はできないというふうに理解してよろしいですね。
  271. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 そのとおりでございます。
  272. 石破茂

    ○石破委員 それでは、そういうような形で私どももこれから理解をし臨んでまいりたいと思っております。  ずっと議論が出ておりますが、備蓄が二百万トンあればこんなことにならなかったじゃないかというお話がずうっとございます。私も、三年ぐらい前の我が党の米価の委員会で、備蓄というのがどうしてできないんだというお話を随分とお尋ねをいたしました。そのときに、二百万トン備蓄をするとするならば、いわゆる保管料でありますとか金利でありますとか、そういう財政支出が幾らになりますかというようなお尋ねをしたことがございます。  さて、今の計算で、仮に二百万トン備蓄をしたといたしますと、国家財政の支出はいかほどに相なりますか。
  273. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 約千二百億ぐらいになると思います。
  274. 石破茂

    ○石破委員 綱渡り的な食糧政策とかいう御批判を浴びることがございますよ。なるべく在庫は少ないようにとか、そういうようなことをやって綱渡りをしてきたからそんなことになるじゃないか。私どもは、農水省の中にあっても、そしてまた農水省の皆さん方とともに、たとえ国家財政支出があっても食糧安全保障というのはそういうものである、幾ら国の中で自給をすると言っていても、ある程度の備蓄がなければそれは完璧にならないんだというふうなお話をずうっとしてまいりました。しかしながら、それが二百万トンというものがキープできなかったというのは、やはり財政上の問題というのもあるのでございましょうか。
  275. 鶴岡俊彦

    ○鶴岡政府委員 過去の三度の過剰におきます財政負担というようなことが大きく我々の頭にのしかかったのは事実でございますけれども、また、備蓄につきましては、回転備蓄といわゆる棚上げ備蓄というのがございます。棚上げ備蓄にしますと品質が落ちる。それで、時期によってはもうこれは処理する場合に物すごい、また負担がさらにかさむというようなこともございますし、そういう点で回転備蓄という方式でやってきたのが今の運用でございます。  そういう回転備蓄を前提としますと、今の政府米を中心にやりますと、百万トン程度が一つの目安ではないかということも背景としてはあることは事実でございます。
  276. 石破茂

    ○石破委員 これは有名な話で、スイスのパンというのは非常にまずいという話です、前の年の小麦で焼いたやつを食べるものですから。ところがスイス人はそれに対して全然文句は言わない。やはり国の安全保障というのはそういうものであるという理解ですね。おいしくなきゃいかぬ、しかし米が足りないのは困るなどというような話をされても、これはやはりぐあい悪い。それは農政当局としてもぐあい悪かろうかと思っておりますけれども、やはりその備蓄というものに対して支出がちゃんと国民の負担でやらねばならぬ。そういう意識を、もしやるとするならば、やはり我々は啓蒙し、国民に訴えていかねばならぬのじゃないか。それは国会議員の一人としてそのような責任を感じておりますので、その点を指摘をさせていただきたいというふうに思っております。  さて次に、冷害対策についてでございますが、私も選挙区を八月、九月ずっと回っておりまして、選挙区のことを申し上げて恐縮でございますが、私のところはナシの産地なものですから選果場というものがございまして、各農家がナシをとってきまして、それを大きさ別に分けたり味で分けたり色で分けたりいたしまして、そういうふうに分ける大きな工場があるわけですね。県内に二十何カ所ございます。私は当選以来そこをずっと回るのを恒例としておるわけでございますが、ある選果場に行きましたときに選果場の場長からこういうことを言われた。先生、ことしはやあやあと言って握手なんかしているととんでもないことになりますよ、その点だけは気をつけなきゃいけませんよ、そういうことを言われたのですね。ことしはいつもの年と違いますよ、その点はよく心してください。ましてあなたはこの間まで政務次官で、新農政、新農政、年間労働時間千八百時間、生涯所得二億五千万、そういう話をしてきたんだけれども、本当にそれはできるのかねと思っている人がいっぱいいるよ。ことしは本当に真剣に一人一人の意見を聞いてくれよというふうに注意をされました。  実際そのとおりでありまして、いつもの年と違うんですね。いつもの年であれば、ずうっと回って一人一人あいさつして握手なんかして歩くのですが、ことしはやあと言ってにこっと笑って握手してくれる人はほとんどいなかったですよ。本当にどうなるんだいというそういうような疑念、疑問、そういうような感じが横溢しておったような気がいたしております。それは我が選挙区に限らず、日本国じゅうどこでもそうだろうというふうに私は思います。そして大勢の人の声としてあったのは、一生懸命規模拡大したところほどひどい目に遭っているじゃないか、二種兼で片手間にやっていた人は、まあそれでも、ことしはだめだったけれどもほかの所得で何とかなるや、だけれども、専業で一生懸命規模拡大をやってきた人たちに対して一体どのような手当てをしてくれるんですかということでありました。  私どもは、新農政を進めるときにやりたかったのは、本当に規模拡大し、営農意欲があり、企業マインドを持った人たちをふやしていかねばならぬ、そういうような本当にやる気の農家を育てていって、二億五千万、千八百時間、ほかの産業と比べても遜色のない、どちらかといえば、ほかの産業から移りたくなるようなそういう農業をつくっていかなきゃいけないんだということでございました。その気持ちは今も変わりませんし、一生懸命進めていかなきゃいかぬと思っています。しかし、我々が育てようとしたそういう人たちが、もうやめてしまおうかなという気を今抱いておるのではないでしょうか。  そのことにつきましての御認識は、大臣いかがですか。
  277. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま御指摘がございましたとおり、兼業農家のお立場、そしてまた、経営規模拡大に、いわば国の農政を尊重しその方針に従って協力をした、そういった方々が今回のようなケースにおきましては被害の多いこともこれまた事実。そういうことを考えますと、これから先の災害対策あるいはまた農政の展開に当たりまして、復円の傾斜配分の問題、あるいはまた所得向上につながります基盤整備の問題等々こういった点を、今御指摘がございましたようなそういった地域に十二分に配慮をしていかなければ申しわけがないという気持ちの中で私は事務当局を督励してまいりたい、かように考えております。
  278. 石破茂

    ○石破委員 新農政を考えます際に、少し力点の置き方が足りなかったのかなというか、そういった言い方が悪ければ、もう少しこれは後刻の検討課題なのかなと言うふうに私ども思いましたのは、共済の部分と金融の部分なんですよ。そうではなかったかと私は思っているのです。そこについて、どれだけ新農政の中において明確な位置づけを共済と金融においてしたかということは、私は若干じくじたるものがあるのです。こういうような災害が起こった、やる気のある農家、育てなきゃいけない農家がやめてしまおうとしている。では、災害対策の金融であるとか共済であるとか、そこにおいてそういうような農家に対するめり張りをつけるというようなお考えはおありですか。
  279. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 私は、やはり今御指摘がございましたように、そこに信頼感といいますか、あるいはまた、みずからが努力したことがやはりそれな りに理解をしてもらっておるという農政、こういうことの意味合いでの御指摘、かように考えるわけでございまして、今さような意味合いでは、事務当局におきましても、そういうものをつくり出す努力はいたしておりますが、なかなか壁が厚いという中にございまして、引き続き努力は重ねてまいりたい、かように考えております。
  280. 石破茂

    ○石破委員 とにかく百年、二百年に一度の災害ですよね。確かに事務当局が、本当にもう昼夜を分かたず昼夜兼行で大変な御努力をしていただいていることはわかります。そして、先ほど入澤局長の御答弁にもあったように、壁が厚いということもわかります。しかし、この壁はどうしても破っていかなきゃいけないんじゃないかということを私は最後に声を大にして申し上げたいのです。  金利の問題にいたしましてもそうです。金利で天災融資法の金利、これは、まあ皆さん天災融資法を発動して低金利で融資をいたしますからまあまあなんと言うと、この低金利の時代に、史上最低の金利の時代にそんな金利では全然ありがたくない。借りたものは返さねばならぬのですからね。くれるなら話は別だが、返さなきゃいかぬし、金利だってちっとも安いとは思わないよ。それが実際のところだろうと思います。  ただ、それを、やはりこれはもう金融によってやっていくわけですから、あげるという話じゃもちろんありませんよ、政策体系上。しかしながら、金利を下げていくということはやはり考えていかねばならぬことじゃないか。もちろん、中小企業金融とかいろいろなものとの整合性もあります、整合性もありますが、百年に一度の災害ですよ。そしてまた、新農政がスタートした年で、育てなければいけない農家がやめようとしている年なのです。だとすれば、金融、金利の面においても何とか配慮をする必要があるのではないかということ、そしてまた地方自治体において、それじゃ利子補給をいたしましょう、その分少しは安くなるようにいたしましょう、こういうお話であります。  それはそれで確かによろしいお話なのかもしれませんが、大臣の大分県と同様私の鳥取県も過疎県であり、言葉は悪いかもしれませんけれども、いわゆる財政窮乏県、別名貧乏県とか言っているわけですね。そうしますと、そこのなけなしの金をそういうところへ利子補給をしたとすれば、幸せの全体というのは決まっているわけですから、そこがよければほかが引っ込むということになってしまうわけでしょう。国家経営論というのはまさしくそういうことでありまして、だとすれば、じゃその分は特交できちんと見てくれるのかねという議論はどれぐらいしていらっしゃいますか。
  281. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 先ほど来お言葉にもありましたが、未曾有の災害、百年に一度の災害、いろいろな表現があるわけでございますが、さような意味合いの位置づけが、万人ひとしく認めているさなかにございまして、御案内のとおり、農林水産省という立場のみならず、いわゆる関係閣僚会議等々を持ちまして、今いみじくも先生がおっしゃったような気持ちを私の立場からは主張をしながら、例えば自治省における地方財政に対する手当て、特交の問題等々、私自身も、かつての地方自治体の首長経験者といたしましては、こういったときにはいち早く県、市町村段階がそれなりの手当てをすること、それに対する自治省の対応といいますものが極めて大切という意味合いでは、私は、今自治省のお立場でも前向きに御検討いただいておる、かようにも理解をいたしておるわけでございまして、引き続き努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  282. 石破茂

    ○石破委員 土地改良の負担金につきましては、先ほど同僚議員から質問がございました。ぜひその線で頑張っていただきたいというふうに思っております。  冒頭の話に戻りますが、さてこれで、冷害が起こった、農家の収入は大幅に減少をしたし、営農意欲も大変に減退をしたし、そしてまた地域経済は落ち込んだし、出稼ぎに行こうにも行くところがないしというのが現状でございます。だとすれば、やはり基盤整備というものを今こそやらなければいけないのじゃないか。それが一石二鳥にもなり、一石三鳥にもなり、まさしくそれをやっていかなければいけない時期なのじゃないかというふうに私どもは思っておるのです。  そうしたところが、九月の閣議において、緊急経済対策における社会資本整備の類型というのを取りまとめられたはずなんです。それを読んでみますと、まず第一に、円高差益の還元や規制緩和に直接的、間接的に関連する社会資本整備、これでなければいけませんよ、これが第一類型。第二類型は、文化の薫り豊かな質の高い生活にかかわる社会資本整備、これでなければいかぬですよ、これが第二類型。第三類型は、豊かで美しい生活環境の実現を肌で実感できる社会資本整備だ。この三つの類型がパターン化されておるわけですね。  さて、今私が申しました冷害に対する農業基盤整備、これはこの類型に入りますか、入りませんか。
  283. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 私は、やはり災害対策災害対策としての、ストレートにその対応といいますものは一つの大きな柱としてつくり上げていかなければならない、そういうようなものを踏まえながら、今お話のございましたような類型の中に生かすような取り組みの努力をこれからも引き続きやってまいりたい、こう思っております。
  284. 石破茂

    ○石破委員 私は大臣にお願いをいたしたいのは、この緊急経済対策における社会資本整備、この中にどうしても冷害対策と入れていただきたいのです。金額、一兆円あります。その中で、文化の薫りであるとか、生活の質が高いでありますとか、円高差益の還元でありますとか、それも確かに大事なことですよ。しかし、そのパターンに今申し上げた農村の基盤整備が入らない。生産性向上になるからだめだ、円高差益の還元にならぬ、そのようなことで門前払いをされたならば一体農村はどうなってしまうのだということをぜひともお考えをいただいて、この類型の中に何とか入れていただきたい、入らないのであれば追加をしていただきたい、それを強く要求をしたいと思っておるのであります。
  285. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 この補正における一兆円の問題に対しましては、事務方におきましても、私自身も、これはぜひ入れなければならないという取り組みを今努力中である、かように申し上げておきます。
  286. 石破茂

    ○石破委員 ぜひ入れていただきたい、入れていただかなければ困るということを申し上げておきます。  復田対策でもそれに似たようなお話でして、確かに復田をしていかなければいかぬのですよ。それは、仮に米を輸入するといたしますね。十五万トンになったり百万トンになったりいたしますが、それでは食糧自給率はどれだけに下がりますか。穀物自給率で結構です。
  287. 上野博史

    ○上野(博)政府委員 ただいまの穀物自給率、約三〇%をちょっと切るぐらいの水準でございますから、それから百万トンを入れるということになると、ちょっと計算がにわかにあれなので、もうちょっと時間をいただくなり、あるいは後ほどでもお答えを差し上げるということにしていただきたいと思います。
  288. 石破茂

    ○石破委員 新農政の大きな目玉の一つは、食糧自給率はこれ以上下げないというのが大きな柱になっているはずなんです。絶対に下げないんだ。今までいろいろなことを言ってきましたが、下げないというのを明言したのが今回の新政策の大きな目玉のはずなんです。ですからそういうようなお尋ねをしたのでありますが、恐らく相当下がるでしょうね。今でも三割ぐらいしかないものがかなり下がってくるだろうと私も思うのです。私も計算はしたことはありません。突然の質問で失礼であったら、お許しをいただきたいと思っております。  だとすれば、やはり復田というものはやっていかなければいかぬだろう。こういうような異常気 象というのはあちこちで続きますよ。だからこそ日本には、日本人を養うためには、やはりこれは水田しかないんだ、稲作しかないんだというふうにやってきたわけですから、復田というものはきちんとやっていかねばならぬでしょう。  しかしながら、今後田する意欲のある農家がどれぐらいいるだろうかといえば、それはかなり疑問だというふうに言わざるを得ない。東北北海道は復田は進むかもしれませんが、例えば大臣の御地元や私どもの方の西日本の中山間地帯において復田をやってくださいなと言っても、冗談じゃありませんよ、大体条件の悪いところから減反をしていったのですからね、そこを復田をするとなったら大変な費用がかかりますよ、来年は米をつくってもいい、その次の年はつくっちゃいけないよ、それではとてもやる気にはなりませんよというのが正直なところだろうと思っています。  復田というのは、やはり西日本においても、中山間地域においてもやっていかねばならぬであろう。だとすれば、やはり復田の費用軽減、そしてまた同時にそれが一年きりではありませんよということも明言をしていかなければ、それはなかなか成就が難しいことではなかろうか。単に負担が少なければいいというものではなくて、やはり自給率をこれ以上下げないんだということをきちんとするためにもその辺の政策が必要だと思いますが、いかがでございますか。一
  289. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいま石破先生から的確な御指摘があったわけでございますが、そういうことを踏まえて、これからのいわゆる意向調査等々のデータを前提としまして対応を進めてまいりたい、かように考えております。
  290. 石破茂

    ○石破委員 それでは、時間が参りましたので、最後に一つだけ指摘をしておきます。  総理にお出ましをいただきたい。くどいようでございますが、何のためにサザーランドが来るのかということなのですね。それは、交渉しに来るとか、これはきちんとこれでのめとか、私たちはわかりませんよ。しかしサザーランドが来る大きな目的の一つに、一体日本の国の世論はどうなっているのかねというのを見に来たというのもあるでしょう。  私どもは、ガット・ウルグアイ・ラウンドでいろいろな交渉をしたときに、超党派の議員団でアメリカに行ったことがございます。小平議員なども一緒に行っていただいたのでありますけれども、そのときに、たしか向こうの高官と会いましたときに、我々は絶対だめだ、日本の国では反対しているんだ、農林水産委員会でも反対しているんだ、がんがん演説しましたら、机の上にばさっと新聞が置いてありまして、これはきのうのおたくの新聞ですよ、国内世論は関税化してもいいと言っているじゃないですか、そんな新聞があったのですよ。非常に恐ろしかったことを覚えています。  サザーランドが参りますのは、目的の一つに、一体日本の国はどうなんだろうかということを聞きに来ているのだろうと思うのですね。大臣の誠意も、大臣の熱意も、私は毫も疑うものではございません。しかしながら、新政権の細川総理が、そうではないんだ、新農政というのは食糧自給率をこれ以上落とさないんだ、それが独立国の義務なんだ、そういうお話を私どもの前で明快にお示しいただき、農業者、そして国民に安心を与えていただきますように心からお願いをいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。      ————◇—————
  291. 竹内猛

    竹内委員長 この際、お諮りいたします。  異常気象による農林漁業被害対策等に関する件について決議いたしたいと存じます。  本件につきましては、各会派の理事間におきまして協議を願っておりましたが、その協議が調い、案文がまとまりました。  便宜、委員長から案文を朗読し、その趣旨の説明にかえたいと存じます。     異常気象による農林漁業被害対策等に関する件(案)   異常低温集中豪雨台風等本年の異常気象は、全国各地に未曾有の被害をもたらし、農林漁業のみならず地域経済に極めて深刻な影響を及ぼしている。   このため政府は、先の関係閣僚会合冷害対策等に関する基本的事項を提示したところであるが、未曾有の被害は、農林漁業者の経営意欲を著しく減殺しており、これを回復する観点から、既存の救済策の着実な実施はもとより、実効ある特段の対策につき、補正予算等必要な財源確保も含めて迅速かつ適確に実施し、被災農林漁業者が安心して再生産に取り組むことができる体制確立等に万遺憾なきを期すべきである。   また、米の著しい不作に対処し、食糧管理制度の基本に即した安定供給対策を講ずるとともに、今回の米の輸入については、緊急特例的な措置であり、国際的な米需給に及ぼす影響等に十分配意しつつ、米の国内自給に関する三度にわたる本会議決議の趣旨に反することのないよう万全を期すべきである。   右決議する。 以上でございます。  ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  292. 竹内猛

    竹内委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。  この際、ただいまの決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。畑農林水産大臣
  293. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ただいまの御決議に対しましては、その趣旨を体しまして、全力を挙げて取り組んでまいります。(拍手)
  294. 竹内猛

    竹内委員長 お諮りいたします。  ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  295. 竹内猛

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十四分散会