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1993-10-19 第128回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十月十九日(火曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 左藤  恵君    理事 大石 千八君 理事 近岡理一郎君    理事 虎島 和夫君 理事 渡辺 省一君    理事 田口 健二君 理事 中島  衛君    理事 貝沼 次郎君 理事 高見 裕一君       池田 行彦君    栗原 博久君       近藤 鉄雄君    自見庄三郎君       橘 康太郎君    葉梨 信行君       原田昇左右君    池端 清一君       石井  智君    大出  俊君       北沢 清功君    弘友 和夫君       山田 英介君    宇佐美 登君       園田 博之君    柳田  稔君       松本 善明君  出席国務大臣         国 務 大 臣 武村 正義君         (内閣官房長官)         国 務 大 臣 石田幸四郎君         (総務庁長官)  出席政府委員         人事院総裁   弥富啓之助君         人事院総務局  山崎宏一郎君         管理局長         人事院事務総局 栗田 久喜君         任用局長         内閣総理大臣官 石倉 寛治君         房審議官         総務庁長官官房 池ノ内祐司君         長         総務庁長官官房 上村 知昭君         審議官         総務庁人事局長 杉浦  力君         総務庁行政管理 八木 俊道君         局長         総務庁行政監察 田中 一昭君         局長         総務庁恩給局長 稲葉 清毅君         防衛庁人事局長 三井 康有君         運輸省自動車交 越智 正英君         通局長  委員外出席者         法務大臣房人  松尾 邦弘君         事課長         外務省総合外交         政策局科学原子 天野 之弥君         力課長         外務省欧亜局審 津守  滋君         議官         大蔵省主税   渡邊 博史君         制第三課長         国税庁官房   船橋 晴雄君         総務課長         厚生省年金局年 中村 秀一君         金課長         食糧庁業務部需 梅津 準士君         給課長         自治省行政局行 中川 浩明君         政課長         内閣委員会調査 松村 淳治君         室長     ————————————— 十月十九日  抑留者団体に対する差別行政の是正に関する請  願(海江田万里紹介)(第一五一号)  同(穀田恵二紹介)(第一五二号)  同(鮫島宗明紹介)(第一五三号)  同外二十件(牧野聖修紹介(第一五四号)  同(松本善明紹介)(第一五五号)  同(青山丘紹介)(第一八四号)  同外三件(鳥居一雄紹介)(第二一五号)  同外三件(二見伸明紹介)(第二一六号)  同外九件(小平忠正紹介)(第二五五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  行政手続法案内閣提出第七号一  行政手続法施行に伴う関係法律整備に関す  る法律案内閣提出第八号)      ————◇—————
  2. 左藤恵

    左藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出行政手続法案及び行政手続法施行に伴う関係法律整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。虎島和夫君。
  3. 虎島和夫

    虎島委員 先般提案理由説明がございました行政手続法案等法案につきまして審議に入るわけでありますが、お許しをいただきまして発言をさせていただきます。  本法案は、平成五年五月二十四日、時の宮澤内閣によりまして国会に提出をされました。六月十日、衆議院内閣委員会におきまして提案理由説明を終わったわけでありますが、衆議院の解散により六月十八日遺憾ながら廃案となったものであります。  公正で透明な行政運営確保を図ることは、国の内外から強く、しかも緊急の課題としてその実現が求められていることにかんがみ、当時私たちは与党政調会の中で論議を重ね、関係省庁関係団体意見交換を図りながら政府提案に至った経緯から、現内閣がさきに廃案となりました二法案をそのままの形で提案されましたことを率直に評価するものであります。  ところで、以上の経緯はともかくといたしまして、今、本委員会に所管をゆだねられております各般の国政重要案件につきまして、あるいは北方領土問題あるいは行革審の最終段階にかかわる数点など、本法案審議もさることながら、一般的な課題について特に緊急と存じますので、この旨発言の通告をいたしまして、ただいまから質問をお許しいただき、政府見解を求めようとするものであります。  過日、私はロシアに参りました。先月の十三日であります。ここでロシア外務省アジア太平洋局長と約一時間意見交換をいたしました。その中で、私は私の立場を明確に申し上げました。現在私ども政権についていないけれども政権担当当時に約束した国際的なことについては、それぞれこのことを実行する責任があると考えておるということが一つ。あるいはまた、対ロシア関係におきましても、新規二国間の日本からの支援についても、このことについては前内閣の約束事であり、今立場は変わってもこれを積極的に推進することは当然のことであるというふうに認識しておるということを申し上げました。  しかしながら、ロシア国におきましても、事態の推移、国際環境変化等々に応じて臨機応変にあるいはみずからの責任においてなすべきことはなす、そして日本支援実現するための環境整備については、貴国責任を持ってこれをつくり上げていくということについて努力していただきたいということを率直に申し上げたわけであります。  時あたかも九月の十三日というのは、いわゆる北方領土水域において不法に拿捕されました我が国漁船船長がかの国において死亡いたしました、それもどうも伝えられるところによりますと、みずから命を絶ったようでありますけれどもその遺体収容のために我が国巡視船ナホトカに着岸しておった日であったと私は思っております。  ですから、我が国支援を受ける環境整備一つの具体的な例として私はこのことを申し上げました。北方水域における静穏な状況確保と維持、これは我が国ロシアに対する支援のための絶対前提条件であるということを申し上げたわけであります。したがって、不当に南の方に線を引かれておるロシア管理水域という考え方、このことについては領土問題とともに緊急に解決すべき課題であると私は思っておる。しかし、これがきょうあす領土問題を解決するという見込みも立たない。そういう中で、せめて北方水域における我が国漁船が安全に操業できる状況については貴国においてももっと知恵を出して、そして私の言うような状況の醸成に努められたいということを申し上げたわけであります。特に、本日ナホトカに着岸しておるであろう巡視船には、事故によって亡くなった久栄丸船長遺体をぜひ載せて日本に送り届けるようにということを申し上げたわけであります。  その後、情報収集いたしますと、この地域ではなお不当拿捕された我が国漁船ロシア抑留中でありますが、その今日の実態についてまず事務当局の方から説明をいただくとともに、ただいまも申し上げました北方水域の静穏な状況なくして我が国からのロシアに対する十分な支援は期しがたいという私の所見に対しまして、石田大臣の御所見をこの際承っておきたいものであります。
  4. 津守滋

    津守説明員 お答え申し上げます。  現在ロシア抑留されております日本漁船員状況でございますが、ことしに入りまして拿捕されました船の隻数は十一隻、四十名に上っておりますが、このうち八隻の漁船及び十名の漁船員がいまだ釈放されておりません。  これに対しまして、日本政府としまして再三にわたってロシア側に対して釈放要求を行ってきたわけでございまして、一番最近ではエリツィン大統領来日の直前の今月七日にもロシア側に対して我が方のモスクワの大使館を通じまして釈放申し入れた次第でございます。しかし、依然として十名の漁船員釈放されていないという状況はまことに遺憾でございまして、今後とも引き続きロシア側申し入れを行っていく所存でございます。
  5. 石田幸四郎

    石田国務大臣 虎島先生お答えを申し上げます。  ただいま外務省の方から漁船の拿捕あるいは乗組員状況について御報告がございましたけれども、結局こういった問題が起こるのは基本的に北方領土解決をしていない、そういう状況から起きているというふうに思うわけでございまして、先般日ロ首脳会議が行われてさまざまな取り決めが行われましたけれども、いずれにいたしましても、北方領土返還基盤が再構築されたというふうに私は認識をいたしておるところでございます。  外交交渉でございますから、なお日本側が積極的にこれからアプローチをしていかなければならないと思いますが、いずれにいたしましても、それらの交渉を粘り強くやって、やはり北方四島返還への道筋をきちっとつけるということが基本的な問題であろうというふうに思うのでございます。  先生御存じのとおり、北方四島返還の問題につきましてはさまざまな返還運動推進をいたしておりますが、同時に、北方四島の方のいわゆる交流も行われてきて、ロシア側の住民の理解も少しは進んできたというふうに思っているわけでございますから、そういうような運動を今後も推進をしながら一日も早く北方領土返還のそういった基盤をつくってまいりたい、このように存じておるところでございます。
  6. 虎島和夫

    虎島委員 ただ、その際、私はロシア側に申し上げたのでありますけれども抑留はもちろん不当であるけれども抑留後の処置等についての連絡に誠意が見られない、したがって、どういう状況下抑留者があるのか、あるいはどういうことで久栄丸船長が亡くなったのか、いつ亡くなったのか等についても正確なあるいは迅速な情報日本側に伝えられておらないということは極めて遺憾であるということを申し上げたことも、この際大臣にお聞き取りいただきたいと思うわけであります。  ところで、その際、北方水域の静穏な操業状況確保ということからお互い知恵を出し合う必要があるのではないのかという提案を私がいたしましたところ、向こう局長から、かつて赤城プランというのがあった、これらも参考にしながら研究する必要があるのではないかという趣旨の発言が実はあったのであります。そのとき私は不明にして赤城プランというものを知っておりませんでしたので、それ以上その場で話を進めることはできませんでしたけれども、その後帰りましてから外務省あるいは水産庁の方から若干の資料をいただいております。  ここで改めて政府の方から、赤城プランという、ものが一体どういう経過で、どういう内容であり、このことを今進めることが、申しますように、北方水域安全操業に寄与できるのであるという御認識なのか、あるいはまた、そのことは今の北方領土等解決に向けて必ずしも前進する措置にならないという御認識を現在政府当局で持っていらっしゃるのか、この点をまず承っておきたいと思います。
  7. 津守滋

    津守説明員 お答え申し上げます。  御指摘のいわゆる赤城試案でございますが、これは昭和四十年五月に当時の赤城農水大臣が訪ソしました際に先方に提示したものでございまして、内容としましては、歯舞群島色丹のおおむね三海里を基準として引いた直線の外側の水域、それから対象漁船として北海道を根拠とする一定トン数以下の小漁船について操業を認めてもらいたい、こういうような内容でございます。  これにつきましては、その後状況が変わりまして、当時はソ連領海十二海里説をとっていたのに対しまして、我が方は領海三海里説という主張を行っておりました。そして、歯舞色丹の正確に三海里の領海線を引きますといろいろぎざぎざになる、それを真四角にしてできるだけ拿捕されないようにということがねらいであったわけでございますが、その後我が方も一九七七年に領海十二海里説をとりまして、当時の状況とは現在変わっております。  いずれにしましても、この問題につきましては、先ほど総務庁長官からもお答えがありましたように、基本的には北方領土問題が解決することが安全操業最大解決方法であるわけでございますが、我が方としましては、北方領土問題の法的ポジション法的地位を害するような形の案を提案をするわけにいかないということでございまして、この点につきましてはロシア側に対してもっとに指摘している次第でございます。
  8. 虎島和夫

    虎島委員 ただいまの見解では、このことを推し進めることあるいはさらに、申しませんでしたけれども歯舞色丹以上に国後、択捉島まで含めた赤城プラン拡大というようなこと等をやることは北方領土問題の解決に支障があるという御判断でありましたけれども、そのように承ってよろしゅうございますか。それでは、私どもは、今政府姿勢としては、北方領土解決、このことが最終最大地域の安全につながるという認識政府が立っておるということは理解できます。  ただ、しかし北方領土解決がいつできるのか。国民的な悲願あるいは地域悲願というのが今日まで戦後五十年たってまだ実行されないというような中では、やはりそういう姿勢だけでなくて、私が申しますように、お互いの国が知恵を出し合う、そしてお互いが今までよりももっと経済協力その他をやるわけでありますから、それもまた一つ状況変化というふうに御認識あってしかるべきではないかと私は思っておりますが、今般のエリツィン大統領訪日時に締結されました東京宣言あるいはまた経済宣言、特に経済宣言を実行するに当たっては一令外務省が持っておられるような御見解をかたくなにとるということは国内的にはいかがなものかと私は思うわけであります。これらは、読むまでもなく、お互い信頼関係というものを確かめ合いながら、友好友情関係を深めながら両国関係をやろうじゃないかという切々たる思いが実はこの共同宣言の中にあるいは総理大統領共同記者会見の中にあらわれておるわけであります。  ですから、その点については、東京宣言あるいは経済宣言というものは新しい事態である、したがって、これらを踏まえて領土問題解決以前にもとるべき道を模索して、あればやはり積極的に北方水域の平穏な状況確保、保持について努力したいというぐらいの発言はあってしかるべきではないが、何も変わっていないということになるんじゃないかというふうに私は認識しますが、もう一遍答弁を承っておきたいと思います。
  9. 津守滋

    津守説明員 今回のエリツィン訪日の結果といたしまして、御案内のとおり東京宣言それから経済宣言、この二つをいわば一対のものとして発出したわけでございます。東京宣言の方は、領土問題を中心として今後の日ロ関係の前進を図る上での基礎をこの宣言によって築いたというふうに我々は考えております。  経済関係につきましては、経済宣言の前文及び第三項でいわゆる拡大均衡の原則をうたっておりますが、これはやはり日ロ関係の現状、特に領土問題が解決しておらず、平和条約は締結されておらないという状況を踏まえますれば、政治と経済、その両面がバランスをとった形で発展していくということが極めて重要ではないかという、そこをロシアとの合意の上でこの経済宣言に盛り込んだわけでございます。  次に、北方領域の領土問題を解決する前にも両国関係を発展させる、この点についてはもちろん今先生の御指摘のとおりでございまして、私どももあらゆる面で日ロ関係の発展をこれまでも図ってきましたし、今御指摘漁業安全操業の問題につきましても、できる限りの知恵を絞ってロシア側と、例えば漁業交渉を通じてあるいは外相間の協議の際の話し合いを通じて努力してきた次第でございまして、今後ともこの点についてはロシア側と十分話し合って、できるだけ我が方の漁民の皆様方が安全に操業できるように努力してまいりたいと思っております。
  10. 虎島和夫

    虎島委員 宣言が二つあるわけですね、東京宣言経済宣言。実は日本国民が、北方領土というのは今度の首脳会談でどうなるんだろうかと息を潜めたような格好で見詰めておった。ところが、共同宣言あるいは東京宣言等については極めて抽象的な文言になっておる。大臣交渉基盤がこれでできたという御評価でありましたけれども新聞論調進展なしという論調もあるわけです。  ところがもう一つ、そのほかに、先ほど申しましたように、大統領総理との共同記者会見があるわけです。これも宣言に劣らず大事な位置づけをされるべき行為であるというふうに私は思っておるのです。その中に、申し上げるまでもありませんけれども、両国民の間に新しい心理的雰囲気友好の精神、パートナーシップをつくり、両国関係を築かないといけないという実はエリツィン大統領共同記者会見発言があるわけであります。これらは外務省としても過去の形式にとらわれずに、もっとどん欲に国家国民のために案をつくり、そしてロシアと新しい時代を、それこそ具体的に扉を一センチずつ開いていくような形でやるべきではないのか。その最初の出発点にこの北方水域の安全な操業というのを据えることは極めて価値のあることであると私は思うわけであります。  向こう外務省当局者から実は三十年前の話が赤城プランという名前で出てきたわけでありますから、皆さんの評価はわかりましたけれども、そのような息の長さと同時に、今転換しようとしておる日ロ間のこのタイミングというものをやはり遅滞なく推し進めていって、そして、なるほどあのときがあの出発点であったのかと言えるようなことを速やかに実行するように期待するわけであります。  このことについては包括的に大臣から御所見を承っておきたいと思います。
  11. 石田幸四郎

    石田国務大臣 虎島先生のお考え、何としてもやはり北方におけるそういった安全性確保したいという御意思、またロシアとの関係におきまして友好関係を積み重ねつつ何としても北方四島を返還させる、そのための格段努力が必要だということについては私も同感でございます。  ただ、私もかつて一度ソ連時代モスクワに行ったことがございますけれども、あの当時は領土問題については石ころ一つ残ってないというのが、外務省関係者だれにぶつかってみてもそういうような返事が返ってきた時代でございました。それからもう十年以上経過をいたしておるわけでございますが、その間にロシアとの関係がなかなか進展をしなかった中で、今度の日ロ首脳会議でさまざまな今までの外交上の文書もその意義が確認をされた意味は非常に大きいと思いますね。  それからまた細川総理に対してもロシアヘの訪問を要請し、それを細川総理が受けられたということでございますので、そういったことが一日も早く実現をして、さらにこの北方四島の返還の糸口がそこから開けてくるというような格段努力政府としてはやらなきゃならない、このように思っているところでございます。
  12. 虎島和夫

    虎島委員 そこで、実は武村官房長官出席も要請しているので間もなく見えると思いますので、時間の関係上、その辺はお話を進めさせていただきますが、この大統領発言がまだ国民の網膜にちゃんと残っておる今日、御承知のように日本海における放射性廃棄物投棄がなされたわけであります。私はこの宣言文言からいうならば大変な不信行為であるというふうに思っております。  私も先ほど申しましたモスコーでの話し合いの中で、実は対NIS支援七項目についてお話をいたしました。その中の一つ国際科学技術センターの問題があります。これは、御承知のように、国際的な話し合いによって旧ソ連が持っておりました核兵器が廃棄されていく、軍縮という方向で廃棄されていくその後の処理をどうするかということに絡んで、実は西側諸国が協力して旧ソ連核技術者国外流出を防ぐ、あるいはまた安全な核兵器分解処理といいますか、こういうことを実施する、あるいはまた着実に約束どおり核軍縮が実行される等々のことをおもんばかりながら、この科学技術センターの設立に協力することにしたんだけれども、承るところによると、ロシア側状況によって受け入れ態勢が整っておらないということである、したがって、貴国におかれては、このようなことについては、ただ支援を待つということではなくて、みずからの努力受け入れが容易になるようなことをひとつ研究、努力すべきじゃないかということも申し上げたわけであります。  そういう中から今回の日本海における放射性廃棄物投棄ということを考えますと、これもまた大変な問題を含んでおるように私は思うのです。一つ北方水域の先ほどの問題、静穏さがなければ我が国民のロシアに対する経済支援についての同意というのが得られにくい、合意が得られにくい、それにまた重ねてこういうことが出てまいりますと、国際約束とは一体何だったのか。つい何日か前には東京宣言の中で、このことについては国際的に話し合いますよ、周辺国がいろいろ心配していることは知っておりますよということを盛り込みながらあのようなことが起こったということは、一体外務省としては、どういうことでこういうことが起こったのか、ちょっと実務上の御認識というか、御説明をしていただきたいと思います。
  13. 天野之弥

    天野説明員 お答えいたします。  今回の海洋投棄につきましては、十六日以降ロシア政府に対しまして事実関係を照会するとともに、十八日、外務省林軍備管理科学審議官チジョフ在京大使を招致いたしまして、次のとおり申し入れを行いました。  まず、本件海洋投棄の事実関係につき至急確認の上回答していただきたい。二番目、本件我が国として強い関心を有している事項であり、先般の日ロ首脳会談においても、細川総理より投棄即時停止申し入れたところであります。報道されている放射性廃棄物投棄が事実であれば極めて遺憾であり、今後かかる投棄が繰り返されることのないよう改めて申し入れたいということを申し入れました。これに対しましてチジョフ大使の方からは、ロシアの基本的な方針の考え方説明があったわけでございます。  また、この事実関係につきましては、十八日の夕方、ロシア外務省から、放射性廃棄物海洋投棄を実施したことを確認する、投棄の事実関係の詳細については提供に努めたい旨回答がございましたので、我が方から、本件投棄につきましては、従来より即時停止申し入れておるにもかかわらず再び投棄が実施されたことはまことに遺憾であり、さらに海洋投棄についての詳細な情報をできる限り得たい旨申し入れております。  海洋投棄につきましては、今後とも引き続きロシア側との緊密な協議を通じまして、投棄のより詳細な実態解明に努めるとともに、十一月十日、十一日に予定されております日ロ合同作業部会を通じまして、日ロ共同海洋調査をできる限り早期に実施できるよう調整を進めていきたいと考えております。
  14. 虎島和夫

    虎島委員 官房長官、今おいでになりましたが、お伺いしますけれども、今、日本海での例のロシア放射性廃棄物投棄の話で質疑をやっているわけであります。政府の方の通産省筋でありますかの意向として報道されておりますが、廃棄物処理施設について日本支援しようということ、それは今までにある放射性物質処理の枠組みの中で考えていこうというようなこと等が、提言というか具体的な形ではありませんけれども、実は論じられておるように報道されておりました。先ほど申しましたように、国際科学技術センターというのは、ロシアの、旧ソ連核兵器というのを廃棄する、これが根本にあるわけですね。  ところが、日本海のこの核廃棄物の中には原子力潜水艦の廃棄物が含まれておるという想定が実はできるわけです、常識的に。そうなれば、それらを一括したものの処理場というのに日本が直ちにほいほいと支援するというようなことは、やはりこれは問題がある。言うなれば、中央の技術センターの設立の経緯に置きかえるならば、これはやはり日本海におけるロシアの原子力潜水艦の行動が何らかの形で規制、抑制されて自粛されていくというか、そういう前提がなければ、それらを一括して処理する、あるいは一括処理しないということが明確にならない限り、ただ単にそうですか、それじゃ処理場をつくるのに日本は協力しましょうというわけにはまいらない。これはもう内閣の一部からそのような声が出始めておりますので、官房長官、今おいでになられたばかりで大変恐縮でありますけれども、ひとつ長官として、内閣のかなめとしてのお立場で御答弁いただいておきたいと思うわけであります。
  15. 武村正義

    武村国務大臣 政府としましても、今回のロシア日本海における放射性廃棄物海洋投棄については重大な関心を持ちながら、今回の事態そのものを極めて遺憾に思い、ロシア政府に対して抗議の意思を表明しているところでございます。  特に、過般、日ロの首脳会談が東京で持たれたばかりであります。しかも、この会談におきましても発表されておりますように、この日本海における放射性廃棄物にかかわる両首脳の会話もございました。細川総理からは、日本海廃棄物投棄しないように要請もいたしましたし、過去の影響もございますから、日ロ合同でひとつ実態を調査をしていこうという呼びかけもされたのであります。  前者についてはエリツィン大統領の方の具体的な考え方は出ませんでしたが、後者については、ぜひ年内にも合意をしてこの合同調査には当たろうという大統領の話も返ってまいりまして、そんな重要な会談が行われた直後でありますだけに本当に残念に思います。IAEAとかロンドン会議等、過去のこの問題をめぐる国際的な取り決めとか対応はあるわけでございますが、そのことも決して十分ではないのではないか。国際的な問題としてもこういった核の廃棄物に対する全地球的な対応策をもっと真剣に考えていく必要があるように痛感をいたします。  しかし今回は、きょうあたりもさらに高いレベルで、東京、モスクワ両方からロシア政府に強い意思表示をいたしたいと思っております。科学技術庁も海上保安庁等の協力も得ながら日ロ合同の調査を行うことが目標でありますが、その前にも今回の事態を含めた日本独自の海洋の影響調査も考えたいということでございまして、いずれにしましても、制約された環境の中でありますが、政府としましては、国民の皆さんも大変この事態を憂慮されておりますし、精いっぱいの対応策を講じていきたいと思っております。
  16. 虎島和夫

    虎島委員 私はその際モスクワで、実は現在日本というのは大変な不況だ、世界もそうだけれども日本も不況だ、税収が五兆円も落ち込むような現状にある、こういう中で国民のODA等に対する目は非常に厳しいものがある、したがって貴国におかれても、ロシアにおいても、今重ね重ね申しておりますように、北方水域安全操業とか静穏さの保持とかいうことについては十分の措置をとるようにしなければならぬという話を申し上げました。あるいはまた、最終的には北方領土をきちんとしなければ、日本国民の目は単なる経済支援にはとても厳しいものがあるということだけは御認識いただきたいということも申し上げてきたところであります。長々申しませんけれども、それらを踏まえて、今両大臣お説のような姿勢でひとつ頑張っていただきたい、そういうふうに思うわけであります。  ところで、今行革審が最終答申をしようとしておるわけであります。いろいろと経過については我々も論議もし承知もいたしておるわけでありますが、その中で地方分権の問題とかいろいろなことが取りざたされております。あるいはまた公務員制度の中で、俗に言う役人の天下り、この規制についてもより厳しいもの、二カ年間の特別措置というのを外そうというようなことが論ぜられておるように実は新聞等で報じられておるわけであります。  それらを見まして私は感ずるのですが、やはり今新しい公務員制度というものを根本的に考え直す必要があるのではないか。例えば地方分権といっても、このことを果たすためには受け皿づくりが、きちんとしたものが要る、その中の一つには公務員制度の新しい時代に適応し得るようなシステムの構築あるいは意識の改革、こういうものがなければならぬというふうに思っておるわけであります。しかも、一方では高齢化社会の到来が予測されて就労人口が日本では減っていく、高齢化社会を支えていく各種の支出、例えば年金等々の負担は将来一体どうなるのかというようなこと等も論じられておるわけであります。  そこで政府としては、つとに民間に対しましては定年制六十歳というガイドラインをつくりましてお勧めをしお願いをしておるわけでありますが、我が国家公務員の特に上級職関係の方々はこの六十歳定年ということは形骸化されておる、実はここに現在の公務員組織の中の意識改革というのが必要ではないかというふうに私は思っておるわけであります。  五十五、六歳で豊富な識見、経験を持った人力、まだ若さあふれる人力を、予備役に入りなさいといって遊ばせるというようなことは国家的に見て一体いかがであるのか。あるいは国家でなくてその人個人にとっても、今からというときに実は働く場を断たれるということは、しかもそれは長い間の慣習なんですね、ある意味では惰性と言ってもよろしいと思うのです。このことが上級職国家公務員の最終の勤務段階で起こってくるということについては、この際、やはり民間に合わせまして六十歳までは頑張ってもらう、政府あるいは政府関係機関等を含めてもっと皆さん方の働く場所というのを人事の大きな流れの中でつくっていく、はめ込んでいくというようなことが必要ではないかと私は思うわけであります。  まずこのことについては、行革審の方を担当する事務局を主管されます総務庁長官の方から御所見を承ってみたいと思います。
  17. 石田幸四郎

    石田国務大臣 ただいま公務員の定年制の問題に関連してのさまざまな御指摘があったわけでございます。  まず私どもが考えなければならないのは、やはり行政の簡素化、効率化の中で定員をどんどんふやしていくというわけにはまいらないわけでございますので、この点は基本的に踏まえておかなければならない問題だと思うわけでございます。  ただ、今先生指摘のように、民間も六十歳、あるいはまた年金問題も六十五歳支給に切りかえるべきじゃないかというような議論も起こっている、そういうさなかでございますので、やはり一般の公務員にありましても、国家公務員にありましても、そういった社会全体の流れの中でその定年制を考えていかなければならない問題であろう、こういうふうに思うわけでございます。  特に上級職の問題についてもお触れになったわけでございますが、これもやはり今先生が御指摘になるようなそういう方向で考えるべき問題であろうというふうに思いますが、一面においては新陳代謝もしていかなければならないということもあわせて考えていかなければならない、さまざまな問題もあろうというふうに思うわけでございまして、これはまさに今後の高齢化社会に向けての国家公務員のあり方として真剣にその制度を検討していく必要がある、こういうふうに思っているところでございます。内容はこれから詰めてみなければならない問題でございますけれども、そういった年金制度の展望も含めていろいろと考えてまいりたい、こんなふうに思っているところでございます。  先生のおっしゃる方向というのは、私は大変示唆に富んだ御議論であるというふうに受けとめさせていただきました。
  18. 虎島和夫

    虎島委員 定数管理を厳しくという大臣の御所見を承りましたけれども、現在、第八次公務員定数削減計画期間中であるということも私承知いたしております。今大臣いみじくもおっしゃったように、新陳代謝が図りがたいというのが、実はここが意識改革をしていただかなければならぬ基本にあるように私は思うのです。これは、何年かかかって六十歳というのに到達すればちゃんと新陳代謝も図られながらということに相なると思います、方向としてはそういう方向だというお話でありますから。  しかも、一つ大事なお話をされましたように、年金を含めて、どこかに第二就職をせざるを得ないようになっているのですね。聞いてみますと、局長さんをして年金が年間二百五十万ぐらいですよ。退職金が五、六千万とか、それで五十五、六歳でほっぽり出されて、じゃ、これはどうしますか。ですから、やはり公務員の生涯賃金というものを大臣おっしゃったようにぜひもう一遍見直してもらう、そして六十まで、民と官も一緒なんだというようなことでこの公務員制度というのが構築されるような、ぜひそういう新しい時代というのをつくっていただきたいというふうに思うわけであります。  これらはまた、人事行政の根幹をつかさどられます人事院とも不可分の関係があるわけでありますからこの辺は承っておきたいと思いますが、特に人事院総裁においでいただいておりますので、そのほかに、今私どもが高齢化社会を迎えて就労人口をどうして確保するか、子供さんもどんどん産んでもらおうかというようなこともやっているわけですが、これが一朝一夕にまた期待できるわけでもない。となれば、高齢者の方に労働市場というか、そういうところに出ていただく、あるいは家庭に引っ込んでいらっしゃる御婦人の方々、女性の方々も職場に出ていただく、いろんなことを考えなきゃならぬ、創意工夫をしなきゃならぬ。そういう中で、今の公務員制度が、要するに一日八時間という形の中だけで一体適当であるのかどうか。  省庁によっては、例えば郵政省等においてはこれを時間制職員という名のものに、もう今年度に入って予算もついて、実は研究も進めておるわけですね。この辺については柔軟な対応というか、そういうものがあってしかるべきではないのかというふうに思うんです。高齢者とか女性というのは、往々にして環境の整備の立ちおくれから就労の場を阻まれておるということを、まず公務員の場でこれを打開してやるというような、そういう積極的な人事行政というものはできないものか、この際承っておきたい。  ぜひこれを採用する、特に、具体的に検討の進んでおります現業省庁については、早急な結論を人事院でも出して、そして各省庁、現業省庁等を指導し、誘導していくというような、そういう新しい時代の人事行政に期待しながら総裁の答弁を求めるものであります。
  19. 弥富啓之助

    ○弥富政府委員 お答えを申し上げます。  今御指摘のとおりに、ただいまは勤労に対する価値観というのは非常に多様化をいたしておりまして、フルタイム以外の雇用形態に対する要請というのは各方面からございます。  特に、核家族化あるいは高齢化社会が早まっていく中におきまして、家庭生活と職業生活とを調和させて働くことを望む女性、あるいは経験を生かした形で体力に応じて働くことを望む高齢者、この方々については、今御指摘のありました短時間勤務の仕組みが施行されていくものと予想をいたしております。  また、国の行うさまざまな業務の中で、短時間勤務制によって効率的な業務運営が可能なもの、これはあるわけでございまして、短時間勤務制度を導入することは非常に意義のあることではないかと考えております。  現に、現業部門から具体的なニーズを踏まえた要望もございます。現業部門への導入について、人事院といたしましても検討をいたしておるところでございます。
  20. 虎島和夫

    虎島委員 どうかそのような御趣旨で総裁、ひとつ人事院を督励されまして立派な結論を、活力のあるダイナミックな職員組織というか、公務員組織がやっていけるような、そういう新しい時代をつくっていただきたいと要望いたしておくわけであります。  ところで、総務庁の方では特別職の職員についての処遇を御担当になられるわけであります。特別職には司法裁判関係、検察関係あるいは防衛庁関係、自衛隊関係等々あるわけでありますが、その一々を今述べるいとまはありませんけれども、その中の若干について実情の説明を求めながら所見を承りたいと思うわけであります。  現在、検事さんの定員と現在員、その関係はどうなっておりますか。きょう法務省おいででありますか。ちょっと御説明願いたいと思います。
  21. 松尾邦弘

    ○松尾説明員 お答えいたします。  平成五年度の検事の定員は千百八十六人でございます。副検事の定員は九百十九人であります。  ところで、現在員でございますが、検事につきましては、新任検事が任官いたしました平成五年四月二日現在でいいますと、千百三十人でございますから、欠員が五十六人でございます。さらに六月三十日現在で見ますと、千百七人でございまして、欠員は七十九人でございます。  副検事につきましては、平成五年四月一日現在八百九十人でございまして、欠員が二十九。六月三十日現在で八百七十六人でございますので、欠員が四十二ということでございます。
  22. 虎島和夫

    虎島委員 このほど文庫本でありましたけれども「訴訟社会」という本を読む機会があったのです。アメリカのことが主として書かれておりましたけれども、遠くはさかのぼって、ローマ帝国がいかに訴訟社会であったか、そのことが、対応を誤っていかに社会に活力がなくなったかというようなことが述べられておりました。それが実はゲルマン民族の大移動を誘発した一つの理由だというようなことも書いてあって興味深く読んだのですが、これを読みながら感じましたことは、我が国もそういう訴訟社会に向かいつつあるということを痛感するわけです。  このほど、九州の新聞を見ておりましたら、九州のある県では弁護士さんがいない。なぜかというと、弁護士さんが都市に集中してしまっておる。一方では、法廷に対する何と申しますか、問題提起の機会が非常にふえておる。これが円滑な地域社会なり、社会を動かしていくためには大変な阻害要件になっておるというようなことが述べられておりました。  これは弁護士の話でありますが、法曹一元化という立場からいけば、当然にこのような状況が、あるいは裁判官に、あるいは検察官に影響が及んでおると私は思うわけであります。そのことが、今述べられましたように、検事さんにおいては約八十名の定員不足、定員に対する実員不足が起こっておる、このようなことになっておるわけであります。  申すまでもありませんが、現在社会情勢が非常に複雑多岐にわたっておる。刑事事件も頻発をしておる。おぞましいですね。政治関係の事件も起こっておるわけでありますけれども。要するに、そういうことで犯罪件数等も、悲しいことだけれども、ウナギ登りに登りつつある。そういう中で、一体今のような検事の処遇で人材確保ができるのかということを憂えるわけであります。そういう意味では、特別職を担当される総務庁政府委員の所見もこの際承っておきたいと思います。  なお、時代の推移ということを申し上げますと、先般私は党の方の立場でカンボジアに参りました。PKOに参加する自衛隊諸君の活躍ぶりを見てまいったわけであります。あるいはまた、文民警察官の諸君が二名程度で丸腰で危険がいっぱい存在する集落まで入っていって、向こうの国会選挙等の選挙人名簿をつくっておるというさまを見、お話を承って、戦後いろいろ言われてきたけれども、今こういう若い人力が日本の戦後教育制度の中ではぐくまれてきたのかというので、本当に胸を熱くするような思いに駆られたのです。同時にまた、考えてみますと、我々の国家というのは、日本という国はああいう人力に、自衛隊の諸君に、あるいは文民警察等々に、身を挺して行かれる警察官諸君にそれなりの処遇をしているんだろうかという思いもいたしたわけであります。  きょうは特に特別職だけに限定してお話ししておりますので、その点は検察官の処遇改善あるいは自衛隊諸君の諸手当の改善等について、一般職の公安職職員との間に不均衡を生ずるような、なお改善を要するようなことはないのか。この点については所管庁、防衛庁いらっしゃいましたら防衛庁、あるいは総務庁人事局長等々、御所見をひとつ承ってみたいと思うわけであります。
  23. 三井康有

    ○三井(康有政府委員 委員におかれましては、かねてから自衛隊員の処遇改善につきまして深い御理解を賜っておりまして、常々感謝申し上げている次第でございます。  今お尋ねの自衛官の諸手当等につきましては、防衛庁といたしましてもその改善は極めて重要な課題であると認識しておりまして、真剣に取り組んでいるところでございます。  御案内のとおり、自衛官の手当は、一般職の職員と同様のものとともに、その勤務の特殊性から来ます防衛庁独自の手当があるわけでございますけれども、そのいずれにつきましても毎年度の予算概算要求を通じまして整備充実を図ってきておるところでございます。例えば五年度予算では、落下傘隊員手当の支給率の改定でございますとか夜間特殊業務手当の支給範囲の拡大などを行ってきておるところでございます。このようなことによりまして、公安職との対比につきましても、基本的には均衡を欠いているといったようなことはないと私ども認識しております。  もう少し具体的に申し上げますと、例えば警察官に認められております爆発物取扱等作業手当については自衛官についても同様の趣旨の爆発物取扱手当がございますし、また警察官にあります災害応急作業等手当に対応する自衛官の災害派遣手当、あるいは警察官にございます移動通信作業手当に対応します自衛官の移動警戒作業手当、あるいは夜間特殊業務手当といったものも自衛官にもございますし、死体処理手当といったものについても防衛庁職員にも認められております。そういった現状でございます。
  24. 杉浦力

    ○杉浦政府委員 お答え申し上げます。  私ども給与担当をいたしておりますところで一般職に関連いたしますものは直接やりますが、今の防衛庁のように、特別職につきましてもそれぞれの実情をお聞きし、そして必要な分野についての御相談には応じてまいってきておりますし、今後ともまたいろいろな勉強をさせていただきたいと思っております。
  25. 虎島和夫

    虎島委員 防衛庁人事局長、大変御遠慮なさったような発言があったように私は受けとめております。例えば夜間作業の特殊手当等は、たしか二年ぐらい前に防衛庁関係は発足したように思います。一般職に比べてやはりその辺はもっと頑張って、遠慮なく頑張っていただきたい、このように思っております。  なお、人事院総裁には実は公務員の研修制度についても御高見を拝聴したいと思っておりましたが、時間が参りましたのでちょっと要望を申し上げておきます。  やはり研修というのも公務員だけではなくて、あるいは国家公務員だけではなくて、地方公務員との間の交流、研修というのを積極的にやって、地方公務員自身もレベルを、視野を広げてもらい、地方分権の受け皿づくりの一つに資してもらう。あるいは民間との相互研修を行うとか、あるいは若いうちに人事交流を民間とやるとか、いろいろなことを先ほど申しましたようなことで行うとダイナミックな国家公務員組織というのが運営できるのではないかと思っておりますので、一応愚見は申し上げて、御検討の資にしていただきたいと思うわけであります。  最後になりましたが、石田長官へ一言だけお伺いいたします。  法案がこうして出てまいったわけであります。  経過は先ほど申し上げ、あるいは提案理由説明でやったとおりであります。しかしながら、私は、まだ行政改革というのはたゆまざる政治の課題だというふうに思っております。ここで手続法は一応整備されるわけでありますけれども、なお改善すべきものは残っておるというふうに私は理解をいたしております。そういう意味では、行政改革の推進、あるいはまたその一環としての行政手続法の今後さらなる改善に向けて、あるいは検討、改善に向けての長官の御決意を、この際、最後に承っておきたいと思うわけであります。
  26. 石田幸四郎

    石田国務大臣 先生も既に御案内のとおり、行政改革は、政治改革、経済改革と並んでこの細川政権の極めて重要な課題というふうに位置づけておるわけでございます。当面は、今御審議をいただいておりますこの行政手続法案、これを何としても早く成立をさせていただきたい、このことによってやはり規制緩和等の問題もより一層明確化されると思っております、あるいはまた、パイロット自治体制度の取り組みも今始まったところでございますので、これの成果を得ながら地方分権に資するように努力をしてまいりたい、このように思っているところでございます。  今先生も御指摘になりましたように、この行政改革というのは、今当面の問題だけではなくて、間断なくこれは努力をしていかなければならない問題なわけでございます。  第三次行革審においても、この行政改革に関連するさまざまな御提起があろうというふうに思っております。あるいはまた、平岩委員会等におきましても、新聞等によりますと、規制緩和の問題についても言及されるやに伺っておるわけでございますが、そういったいろいろな御意見を踏まえて私どもとしてもこの行革を進めていきたい。特に、行革審の答申がどういう形になって出てまいりますか、それが一つ政府の大きな方針になっていくのかもしれませんが、本年度中にまたさらに来年度に向けての行革大綱等も出さなければならないわけでございますので、この辺は先生指摘の点を十分に踏まえて、私どもとしても真剣に取り組んでまいりたい、このように存じております。
  27. 虎島和夫

    虎島委員 以上で終わります。
  28. 左藤恵

    左藤委員長 栗原博久君。
  29. 栗原博久

    ○栗原(博)委員 それでは、行政手続法につきましてお考えをお聞きしたいと思います。私の申し上げることは愚問の点もあるかもわかりませんが、まずその点についてお許し賜りたいと思います。  この法律が今日、日の目を見るまでに多くの年月を経過しているわけでありますが、確かに昭和三十九年九月二十八日の第一次臨時行政調査会の「行政の公正確保のための手続の改革に関する意見」の中で、第一次の行政処分の行政手続、あるいはまた事後の救済手続、また苦情処理手続など、または行政立法手続を包括する統一的な行政手続の法律の制定が強く望まれ、その勧告がなされておって、その間、今日まで約三十年間、第一次、第二次、第三次と行政調査会があるわけでありますが、この間、社会のあるいはまた経済の大きな変遷を迎える中で、行政は敏速に、そしてまた透明性があって公正であり、かつまた公平で明確性が求められてまいっておると思うのであります。国際社会においても我が国の行政に対しまして、特にアメリカを初めとする国から苦情とか注文が高まっていることは事実であります。久しく懸案となっておりましたこの行政手続法案が本日、この衆議院内閣委員会審議入りしたことは、今日まで及ぶ間の関係各位の御努力に深甚なる敬意を表する次第でございます。  とはいえ、この国民の久しい間の要望にもかかわらず、ついぞ今日まで実現を見なかった最大の抵抗の一つの要因として、やはりこの行政手続法の制定が所管の行政官庁の危惧とか、あるいはまた反発もあったのじゃなかろうかという認識もございます。この法律は、私は国民立場から称賛をもって迎えなければならないものだと考えております。  例えば、諸外国の例を見ましても、一九五二年にオーストリアでは一般行政手続法、あるいはまた一九四六年にアメリカでは行政手続法、あるいはまたドイツでも一九七六年に連邦行政手続法として制定を見ておりまして、我が国は国際社会に責任を持ってその活躍が期待されている中において、むしろ遅きに失したというような感じも私は否めないものであります。この法律の運用に当たって、この法律の趣旨を十二分に理解しながら行政運営に当たっていただきたいことをまずもって行政当局の皆様に御要請を申し上げる次第でございます。  この法律が公正かつ透明で、そしてまた行政手続の確立に役立てるということだけではなくして、私ども国民の行政に対しての参加を保障しながら、また、私ども国民の権利利益の保護を図らなければならぬと思うのであります。また、行政改革等先ほど虎島先生もいろいろ申しておりましたけれども、やはり国民の行政に対する信頼を取り戻さなければならない。そしてまた、国民が行政に対して協力をするという大きな手だてでもあろうかと私は思うのです。  そして、先ほど申しましたが、国際社会の中にあって、日米の貿易のインバランスをめぐる経済摩擦が大変顕著に目立っております。我が国経済障壁の問題を絡めながら、アメリカ側より、私ども日本の行政の決定過程において不公正さがある、あるいはまた不明瞭であり、そして不透明であるという指摘が大きくされております。その中で、先般、平成二年六月二十八日の閣議了解事項で、こう言うアメリカに対しまして、我が国は行政指導について、要するに彼らの言われようとする問題について公明正大にやるということを閣議了解しております。  こういう中で私は、国内的にも公的規制の緩和の問題とか、本来法律に定められていない手続に従って申請や処理や処分を行うことについて、行政指導という美名のもとでそれが多用されまして、かつ処分による審査とか処理の基準があいまいであったという声も国民から大きく漏らされていることは皆様も御承知であると思うのであります。この法律の運用に当たりまして、十二分にこういう経緯を踏まえて運用していただきたいと思います。  そこで、お尋ねしたい点でございますが、この法律をいろいろ見させていただいたのですが、この行政手続法の中で、残念ながら、統一的な、また体系的な行政手続法としての包括的な運用がないのではないかという点も私は考えるのです。例えば、土地の規制行政の手段として一般処分の手続の問題、同じような、土地についての利用規整の計画策定手続の問題、あるいはまた、公共事業を実施するに当たりまして、その計画策定の手続の問題とか、行政立法に関する手続、そしてまた、行政処分の法律的な効果を確保するために強制執行等があるわけですが、その強制執行手続など、こういう問題がこの行政手続法において見送られているというような点が見受けられるのでありますが、なぜそういうふうになったかということをまずお聞きしたいと思うのであります。  それからまた、この法律案の中では、申請に対する処分に対して敏速、透明、公正な処分を確保するということを旨といたしておりますが、次の点についてちょっとお聞きしたいと思います。  それは、申請に対する処分の問題でございます。本法の第六条で、申請から処分に関して、「通常要すべき標準的な期間」とされておりますが、この「標準的な期間」という表現はかなりあいまいな気がいたします。私は何か努力目標の感を受けるのでございますが、なぜこのような表現になったかということ、より具体的な表現にならなかったかどうかということをお尋ねしたいと思います。  次に、不利益処分の件でございますが、聴聞手続について、口頭により、処分を行わせる相手に対してその本人の主張及び立証の機会を与えることがありますが、これは行政庁との間に質問形式で行うことができるのかどうか。また、聴聞中に例えば聴聞者が資料を提示した場合は、その場でその資料を提示なされるのかどうかということ。この点をひとつお聞きしたいと思うのでございます。
  30. 八木俊道

    ○八木政府委員 委員お尋ねのまず第一点でございます。行政立法手続、行政計画手続等についてはこの法案に入っていないではないかという点でございます。  今回の行政手続法案につきましては、委員御指摘いただきましたように長い経過がございまして、昭和三十九年の第一次臨調、そしてその後、最近に至ります第二次の行政改革審議会、第三次の行政改革審議会、行政手続に関します答申は平成三年十二月でございますが、この答申に従って作成されたものでございます。  この行革審の答申におきましては、何といっても大きな問題といたしまして、行政に関するさまざまな申請に対する処分、不利益処分、行政指導等、行政手続の相手方である国民の権利利益に直接かかわるもの、これを中心に御答申をちょうだいしたわけでございまして、最優先の課題であるという位置づけでございます。その答申に従って申請に対する処分に関する手続、それから不利益処分に関する手続、行政指導に関する手続等について立案をいたしたものでございますが、御指摘いただきました計画手続あるいはまた立法手続等につきましては、同答申におきましても将来の課題であるという位置づけがなされておりまして、私どもとしては、今後とも調査研究を進めてまいりたいと考えているところでございます。  次に、第二点のお尋ねでございます。申請に関する処分に関します標準的な処理期間ということでございますが、必ずしも明確ではないではないかという御指摘でございます。  行政運営におきましては、大変幅の広い分野を対象にいたしまして許認可等の手続を定めているわけでございますが、そのすべてにつきましてスタンダードな期間を設定するということはなかなか難しい。したがいまして、標準的な処理期間をまず決める、これを公表することによって社会経済国民一般の御批判をいただきながら行政運営をやっていくということではなかろうか。まずは、各分野におきまして標準的な処理期間を決めるということを優先的な課題として取り上げた次第でございます。  第三番目に、不利益処分に関する聴聞の手続につきましてお尋ねがございました。これにつきましては、処分される関係者に対します資料の閲覧等につきましては、要請があれば、聴聞の手続が終結するまでの商、審理の途中でありましても、必要な資料の閲覧請求をすることは可能という手続になっているところでございます。  関係資料の閲覧につきましてもお尋ねがございました。この点につきましては聴聞制度の具体的な運用の問題でございますが、資料の閲覧に関しましては意見を述べる機会が当然あるわけでございますから、聴聞の終結までの間はこのことも対応できる、そういう制度の仕組みとして御提案をさせていただいているところでございます。  以上でございます。
  31. 栗原博久

    ○栗原(博)委員 お話はわかるのですが、今の御答弁では国民の権利利益ということをおっしゃっておられますが、立法手続等は今後の問題でありますけれども、ただ、土地の規制に関しての問題あるいは土地の利用規整計画の策定等、大変関係者は多くおられる、直接の方は多いわけでありますから、こういう問題は早急に、早く本法の中に組み入れるように御検討賜りたいと思います。  では、次に御質問させていただきますが、行政指導について、先ほど私も若干申しましたとおり、日米構造協議に関して触れましたが、我が国は約一千六百の法律がある。今回の行政手続法は約三百六十以上の法律の兼ね合わせの中でおつくりになったと思うのでありますが、とかく行政指導という名のもとで行政の越権行為が、実は私も公務員をやっておりましたので、多く見られることは事実であります。これは国民から非難されておるわけでありますが、いわゆる行政指導の名のもとで国民と直接接する役所の中において指導要領などが存在しまして、これが行政庁の係官の指針とかシステムであるべきなんでありますが、とかくするとこれが申請者にとって指導要綱に基づく処分と強いられることもあるわけであります。要するに、明確さを欠くのみならずその許認可の手かせ足かせとなっておることも明白であります。  今日こうして本法の第四条の中で行政指導として初めて用語が用いられております。そして、その行政指導の遂行に当たりまして詳細にわたる規定が設けられることは、私は画期的なことだと思うのであります。  ここでお尋ねしたいことは、この法律は市町村独自の条例に基づくものには適用しないということでございますが、県、市町村への機関委任事務についてはどのようなものであるかということをひとつお聞きしたいと思います。  それから御要望になるかもしれませんが、この法案施行日はおおむねいつごろであるか、あるいはいつごろを目標にしているかということ、またそれに対する準備は万端整っているかということ。要するに公務員の数の問題等、事務がたくさん出てくると思うのでおります。それからまた、施行されてから国民の間に戸惑いとかそういうものが出てこないかということ。この法律がスムーズに定着されるにはなかなか大変だと私は思うのです。  ですから、そういうことで、ぜひひとつ国の行政庁を問わず現場の公務員の方々がこの趣旨を十二分に理解されまして、そして本法が国民から本当に定着される法律として受け入れられることを要望したいと思います。
  32. 八木俊道

    ○八木政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねの第一点は地方公共団体の機関委任事務の問題でございます。この法律は、国の事務につきましては適用をされるということでございまして、国の機関としての、都道府県知事等にお願いをいたします事務につきましては適用を当然いたすわけでございます。ただし、条例に基づく処分でございますとか公共団体独自の立場における行政指導等につきましては、地方自治尊重の観点から地方公共団体でお取り決めをいただくということではないかという考え方のもとに立案をされているわけでございまして、地方公共団体の行政のすべてにこの行政手続法がかかるということではございません。行政手続法案の成立後におきましては、地方公共団体がこの法律の趣旨に沿った措置をとられることを期待するという立場でございます。  第二点のお尋ねは施行日の関係でございますが、この点は政府全体の行政運営を通じます共通的な基準法でございます。大変適用範囲の広い法律でございますので、相当に慎重な準備が必要であるということかなと考えておる次第でございます。  法律の成立後におきましては、まず各省庁におきまして政省令等の全面的な点検を願いまして、どの部分をどうこの法律に従って整理していくか、直していくかというふうな各省庁の内部作業がございます。さらに、ただいまお話しのございました地方公共団体に対する委任事務につきましては、どういう考え方のもとにこれを適用していくか、国・地方関係の制度の整理をいたさねばなりません。  さらに、国民一般に対する周知の問題で、いわば御説明、御了解をいただくためのPRのための期間が相当必要であろうと思っておりまして、法律案考え方は一年以内に施行するということでございます。大変重要な法案でございますけれども、慎重に施行準備を進めさせていただきたいと考えているところでございます。  最後に、国民一般に対する理解を求めるべきではないかという御指摘でございます。まことにそのとおりかと存じます。法律案の成立後におきましては、機会をとらえまして政府広報その他の形で積極的にこの法律案の意義を親切に御説明を申し上げまして、国民と行政との関係の改善に資するようなものにいたしたいと考えているところでございます。
  33. 栗原博久

    ○栗原(博)委員 この行政手続法に関連いたしまして一つお聞きしたいのでございます。食糧庁にお聞きしたいのですが、この異常気象の中で米不足がマスコミの話題になり、かつまた消費者の方々も大変な不安を持って、米屋では米がなくて買いあさっているという地域も一部にあるようでございます。その中でやみ米業者が横行している、公然と、あるいはまた挑発的に販売をしている事実がありますが、ことしの政府管理米は、今年産米がまだこの十二日で百一万トンしか政府の方に納められていない。これは異常な作柄のこともありましょうし、農家の出荷の見合わせもありましょう。しかし、大半が自由米のやみ米に流れていると思うのであります。  その中で、取り締まり官庁として、あるいはまた新しく行政手続法ができますと、やはり米屋等についての免許等をお持ちであるわけでありますが、こういうこととはまた別に、やみ米は、不正規米、不正規業者、要するに免許を持っていない業者のみならず指定集荷業者等、こういう方々が行っているように伺っています。  例えば、これは私の地元の新潟日報の新聞でございますが、西川町の業者に改善命令を新潟食糧事務所が出している。それで、改善命令に従わない場合は、業務停止や指定取り消しなどの処分も考える。逆に、この前も先が丘団地でやみ米を公然と販売している業者がおられた。新潟の潟東から北海道の函館まで船で運んで、富山に行って、その米がまた東京に参っているということでテレビ等でも報道しておられましたけれども、そういう業者については、これはやみ米業者ですから、法律的な枠はないのでしょうか。今告発を受けている。今回のこの問題については、地元の所長は、ほかの事件で公判中なので処分は問わないということでありますが、私は、やはりこういう中でこういう不正規販売業者を摘発して、一刻も早く政府の管理米の安定供給に必要な対策がひとつ必要と思うのであります。  それでお尋ねしたいことは、新しい法律ができますと、不利益処分に対して、要するに免許取り消しとか業務停止、不利益処分になると思うのですが、これに対して聴聞等いろいろな法的な手続をとらねばなりません。そうすると、私、今の食糧管理法あるいはまた今の運用の問題において本当にできるのかどうかという、新しい法律の手続に従って国民が納得できるような指摘ができるのであろうかということに危惧の念を持っておりますので、そういうことについてひとつお聞きしたいと思うのでございます。  また、やみ米との関連ですが、これは要望ですが、政府に売り渡すべき米穀に関する政令第一条に基づいて予約限度数量というものが設定されておりますが、これは要するに個々の農家に割り当てをされるわけでありますが、これは行政指導に当たるかどうかわかりません。ただ、他用途米は限度数量の中に入っていないということで伺っております。  この米不足の中におきまして他用途米がやみ米に流れるおそれが十二分にあると私は思うのでかりますし、かつまた冷害などによって、その被災度合いによって政府はこの他用途米を政府の買い入れ価格でもって一部買い入れをする、あるいはまた全農が、他用途米、一俵約一万円でございますか、あるいはまた政府米価格が約一万五千円、この差額分を全農が持つということでありますが、最後には国が持たざるを得ないと思うのです。その中で、他用途米は全国で約十万ヘクタール栽培されている。大体五十万トンの収量がある見込みですが、冷害で作況指数が八〇%そこそこですから約四十万トン。この他用途米が一般米として、飯米として出回るということで大変意義があると思うのであります。  しかし、その中で実は転作の問題について、大豆をつくった人とか他用途米以外をつくった方々は、例えば大豆について奨励金が一反二万円であります。大変大きな格差があるわけですね。来年度行う場合は、ひとつ十二分にこの転作について農家の方々にやはり不満と不安の出ないような施策を講じてほしいことを、きょうは農林省の方は食糧庁しかいらしていないようでございますが、この質問にあわせてお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
  34. 梅津準士

    ○梅津説明員 今の点についてお答えいたします。  行政手続法案は、行政庁の処分、行政指導、届け出に関する共通事項を定めまして、行政運営の公正の確保と透明性の向上を図ることをその目的とするというふうに理解しております。私どもの食糧管理法は、米の流通ルートを特定すること等を通じまして国民の主食である米の安定的供給を図ることをその目的としておりますので、先生指摘のいわゆるやみ米、米の不正規流通に関しましては、これに関与した許可業者に対してはその態様に応じまして業務停止等を含む行政処分を行うということ、無許可業者等に対しましても継続的な中止指導なりそういうことを通じましてその是正に努めているところでございます。  したがいまして、行政手続法が成立した場合におきましても、行政運営における公正の確保というこの法律の趣旨を十分念頭に置きまして、食管法に基づく行政処分や行政指導を行いまして、先生指摘の不正規流通の是正、ひいては米の安定供給の確保に万全を尽くしてまいりたいというふうに思っております。  それから、二点目の他用途利用米の件でございます。  これは先生指摘のとおり、ことしは異例の作柄でございまして、他用途利用米の特例作況調整ということで、一部主食転換を私ども進めております。これの価格につきましては、今後、集荷団体と御相談しながらいろいろ詰めていくということになろうかと思います。それとあわせまして、来年の転作につきましては、その規模あるいは仕組みを含めまして、現在農家の意向調査を踏まえて検討中でございます。今月中にはその転作の全体の面積規模、あるいは具体的にやっていただける農家に転作を担っていただくという方向で結論を出してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  35. 栗原博久

    ○栗原(博)委員 わかりました。  明日また私も衆議院農林水産委員会でこの関連の質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  次に、細川連立内閣が今こうやって船出しておるわけでございますが、ただ、たびあるごとに、さきの大戦につきまして侵略戦争云々というような言葉を使って遺憾の意をあらわすという表明がございます。その中で、例えば官房長官は、この八月二十三日の記者会見では、細川首相の侵略行為発言を紛れもない事実として肯定されておりますし、また十月五日の衆議院予算委員会でも、総理みずからが、さきの大戦は侵略戦争と位置づけられていますというようなことも表明しております。  しかるに、マッカーサーを初めとする旧GHQ幹部は、その退職後に次のようなことを申しておるわけであります。日本の第二次世界大戦は侵略戦争とは言えず、自国を守るために選択せざるを得なかった道であり、東京裁判は余りにも一方的な連合国サイドの判決であると言っております。しかし、政府は、この発言を、この見解でしょうか、無視したかどうかわかりませんが、歴史が決めるべき論点を短絡的に侵略であると決めつけている観があると私は思うのでございます。  例えばサンフランシスコ講和条約そのほかの二国間条約で決着がつけられておるいろいろな問題を蒸し返すような発言も見られます。日本がそうした条約を基礎にいたしまして、こうして国際的な秩序、枠組みを尊重して今日の発展を遂げ、また、子孫にそういういろいろな問題で負担をかけまいと過去の偉大なる政治家が大きな御努力をされておるのでありまして、その中で私は、今の細川内閣の方々の発言に対して強い危惧の念を持っております。  そこで、賠償問題なのでございますが、九月二十日、総理はメージャー英国首相との会談で、旧日本軍の捕虜になった英国人への非政府レベルでの何らかの措置を約束されたようなことが報道されております。仮に民間レベルの対応であったとしても、日本は戦時の捕虜の求めに対しまして新たな課題を残したことになるのではなかろうかと思うのです。  例えば日韓の問題でありましても、一九六五年、経済協力の協定の中で完全に賠償問題は決着したという合意で、補償を行わず、かわりに謝罪の気持ちをあらわすというようなこともあるわけであります。ところが、山花政治改革担当相は、九月五日ソウルで、韓国での従軍慰安婦への補償を例外的な措置としてやらねばならぬ、必要性があるというようなことも申し伝えだと新聞報道されております。  このように、細川総理を初めとする閣僚の方々が対外的に大変、ジェスチャーでないと思うのですが、そういうお話をされている。そうしますと、国内の戦後処理の問題は、特に恩給問題、こういうようなことについてどうなるのであろうかと私は思うのであります。  実は平成元年十二月二十二日、政府と自民党の確認事項で、「いわゆる戦後処理問題に関する措置は、全て確定・終了した。」というようなことを言われて、そして平和祈念事業特別基金等の出資枠を高めるとか、そういう施策はいろいろ講じられております。しかし、それであっても、やはり恩欠の方々とか抑留者の方々とか、あるいはまた海外で資産を残してきた方々は、まだまだ御不満であるわけです。  こういう点について、ひとつ総務庁長官にお聞きしたいのでありますが、外国に対して賠償を再開するやのごとき発言、まさかそれはもうしないということを腹の中でお決めだと私は思うのですが、しかし国内的にまだ未解決の多くの問題があります。こういう発言をされる限り、国内での未解決のこういう問題についていかように対応されるかということをひとつお聞きしたいと思うのでございますが、よろしくお願いします。
  36. 石田幸四郎

    石田国務大臣 総理の侵略戦争発言に伴って、いわゆる戦後処理の問題、内外ともにさまざまな要求が出てくるのでないかという一つ考え方、さらにまた、恩給との関係はどう考えていくのかという御趣旨の御質問だと思うのでございますが、いわゆる国際的な戦後処理の問題は、先ほど委員も御指摘のとおり、サンフランシスコ条約を基盤としまして、私どもはもう既にその問題は決着済みというふうに思うのでございます。日韓基本条約等においてもその点は明確になっておるわけでございます。  さらに、思い起こしてみますと、日中平和友好条約締結の前の日本と中国との交渉の中で、いわゆる中国がそういった戦争の賠償責任というのは放棄するということは有名な話でございます。そういうような形で順次一つ一つの国とは一応決着がついておるというふうに私どもは考え、またその考えに従って今後も対処していかなければならない問題だと思います。  いろいろな難しい問題があるのでございますけれども、例えば日韓問題におきましては原爆被害者の問題がございました。これなんかも大変人道的に考えなければならない問題でございましたのですけれども、これは、いわゆる日本政府として、そういった方々の今後の医療関係、そういったものを韓国政府として補償する、その意味合いにおいて基金をつくりたいということで、日本もそれに対する応分の出資を、出資といいますか、拠金もしたということは御存じのとおりかというふうに思うのでございます。  そういうような形で、人道的な問題からいえばいろいろな問題はございましょうけれども、しかし、この戦後の賠償問題というものをお互いに言い出すとこれは切りがないわけでございまして、また、それに対応できるだけの財政能力がお互いにあるかないかという問題になってまいります。先般の予算委員会でも、いわゆる先勝国と敗戦国との関係についていろいろな御議論がございました。戦争に負けたからといって、それはいわゆる裁判等で非難的な判決を受ける理由はない、こんなお話等もいろいろあったわけでございます。今基本的にはそんな考え方で対処をしようと思います。  また、恩給関係団体、ここからもやはりいろんな御批判、御心配があることも私どもも伺っておるところでございますが、しかし、恩給制度そのものというのは、いわゆる戦争で亡くなったり傷ついた方々に対する国の補償の制度でございますから、私は、この恩給制度というのは今後も継続的にきちんと制度的に保障されなければならない問題だと思っているわけでございます。そういう意味合いにおきまして、さまざまな御心配あるいは御意見があることもわかりますけれども、国としてはそういった補償制度をきちんとするということを明確にいたしておるわけでございますので、そういったいわゆる御心配、御懸念は必要ないのではないか、このように思っております。  そんなわけで、恩給制度は今後もきちんと維持していく、こういう決意でやってまいりたいと存じます。
  37. 栗原博久

    ○栗原(博)委員 今の長官の御趣旨、もっともだと思います。御期待申し上げます。  恩給受給者は年々高齢化しておりますし、早急に制度の充実とかあるいはまた恩欠者の問題解決を切望している声が日増しに実は高まっております。私は、実は当選してから地元から多くのこういう方々の陳情を受けておりますが、まず、恩給の趣旨が国家補償であるという考えに基づきまして、公務関係扶助料を公務員給与ベースにのっとって上げてほしいとか、または、軍人恩給につきましては、短期在職者の最低保障を高めていただきたい。また、公務員の退職者の方々については、長年公務に従事した方々の恩給が、ややもすると生活保護給付よりも低いというようなことになっている。そういうことで、恩給制度の根幹を問うような要望が多々見られるわけでございます。  特に、日本遺族会、軍恩連盟全国連合会とか、日本退職公務員連盟、日本傷痍軍人会、同じく妻の会の皆さんの御要望をお聞きしまして、平成六年度予算編成に当たりまして政府がどのような対応を講ずるかをぜひひとつお聞きしたいと思うのであります。  また、恩給の未受給者、要するに短期従事者に達しない方々、内地勤務をされた方々とか外地勤務で三年未満の方々とか、こういう方の恩欠の問題についてひとつお聞きしたいと思います。  政府は、こういう方々に慰藉の意を示すということで平和祈念事業特別基金を創設して、昭和二十年八月九日以来、戦争の結果、例えば、同年九月二日以後ソビエト社会主義連邦共和国、モンゴル人民共和国の地域において不法に強制抑留された、そして心身ともにずたずたになって帰還した四十七万三千人に及ぶ方々、中途帰還した四万七千人の方がおられます。そして、現地で故郷を思い、妻子を思いながら無念の死を遂げられた五万五千有余の方々、また、旧軍人軍属であって年金たる恩給または旧軍人軍属としての在職に関連する年金たる給付を受ける権利を有しない、要するに恩欠の二百五十三万人の方々、あるいはまた、大戦において外国、現在の我が国以外の地域に住まわれ、財産を多く失われた方々、そういう二百六万人の方々、こういう方に対しまして、この事業は書状とか銀杯の贈呈、慰労金などの支給をされて慰藉申し上げておるわけですが、この事業の進捗状況は今どの程度になっているかということをお聞きしたい。  あわせまして、かつての、過去三十八年間の政権政党でありました自民党は、これらの方々に対して、御苦労と、国家としての補償、賠償の責めを負って、当該者の皆さんに、不満もあるかもしれませんが、精いっぱい努力をしてまいったと思うのでありますが、今後連立内閣はこの点について、こういう恩給者あるいは恩欠の方々、これに対して自民党政権がやってまいりましたその考えを踏襲してまいられるおつもりがあるかということを石田総務庁長官にひとつお尋ねしたいと思うのであります。  また、さきにエリツィン大統領我が国を訪問してまいりました。そして、彼は、非人間的な行為に対して謝罪の意を表明すると言って、かつまた、陛下がおわします場においても、第二次世界大戦の日本人のシベリア抑留問題について、かつてソ連の地で多くの日本人が亡くなられたことに対して深い哀悼の意を表しますということを言われ、陛下は、大統領のお言葉に対して日本の多数の人とともに感銘を覚えますということをおっしゃっておられるわけであります。  その中で私は、ソ連抑留問題でございますが、こういうものを踏まえまして、この抑留者に対しまして、政府エリツィンのこの言葉を受けながら新しい対応をお考えであるかどうかという  ことをひとつお聞きしたいと思います。
  38. 稲葉清毅

    ○稲葉政府委員 ただいま栗原先生の方から、恩給の問題及びいわゆる恩欠等を初めとする戦後処理の問題と両方についてお尋ねがございましたけれども、このうち私ども総務庁で所管しております恩給問題につきまして、先生の御質問の中でかなり技術的な問題がありましたので、僭越ながら私からまずお答えさせていただきたいと思います。  まず、御質問の冒頭に、恩給の受給者の方々のベアにつきましては、今のような総合勘案方式でなくて公務員の給与の改定に準拠すべきではないか、こういう御要望があるというお尋ねでございましたが、私どももこういう受給者の団体からそのような御要望があることはよく承知しております。  恩給の改定につきましては、過去におきましても公務員給与に準拠して改定を行ってきたこともございますし、あるいは公務員給与と物価との関連で六、四ぐらいでやっていた時代もございまして、いろいろな変遷を経てきたわけでございますけれども、昭和六十一年に公的年金制度の改革に関連いたしまして、恩給制度につきましてもそれとのバランスを考慮していわば物価に準拠したらいかがかというような、そういう見直しが求められたわけでございますけれども、私どもで鋭意検討いたしました結果、恩給につきましては他の公的年金と違いまして国家補償的な性格もある、こういうことで、ただいまのような公務員給与と物価との間を総合勘案する、それも足して二で割るという形ではなくて、かなり公務員給与に近いような水準でやるのが適当ではないかという結論を得たわけでございまして、そういうようなことで現在の総合勘案方式ということで行うことになったわけでございます。  私どもといたしましては、恩給をめぐりまして国民の間にさまざまな議論のある中で、こういった総合勘案方式というのが現時点におきましては最も妥当なものではないかと考えているわけでございますけれども、その点につきましても今後さらに各般の御意見を聞きながら検討してまいりたいと思っておりますが、現時点におきましてはこの勘案方式が最も適切なのではないか、こう考えているわけでございます。  いろいろな御議論がございまして、これは一方ではそういった国家補償的な性格もあるということも当然のことながら、また逆には同じ高齢者でありながらさまざまな方もおられるということで、他の年金との関連などでいろいろな議論も求められておりますので、その点につきましても十分御配慮いただきたいと思っておるわけでございます。  もう一つは、第二の、普通恩給等の最低保障につきましてもっと見直したらいかがか、そういうような御指摘もございましたけれども、この最低保障制度というものにつきましては、長年勤続されたにもかかわらずかなり恩給の低い方につきまして、他の公的年金制度等とのバランスを考慮しながら、昭和四十一年に、ある程度長期に国のために働いたにもかかわらず結果としてかなり低い恩給にしかならない方のかさ上げを図るということでっくった制度でございます。  ただし、昭和四十九年になりまして、他の公的年金制度とのバランスで、その最低保障額がかなり大幅にアップしましたので、それに対応しまして、余り長い間公務にはついてないけれども恩給を受給されている方とのバランスがやや崩れた、そういうことのために、両者のバランスを確保するために、短期の在職者につきましてもこの最低保障制度を導入したわけでございます。  そこで、この最低保障制度につきまして、短期の在職者につきましても長期の方に対する支給割合を引き上げてくれ、いわば短期の在職者についてはもっと引き上げてくれという御要望があることはよく承知しているわけでございますけれども、こういった最低保障額の支給割合というのは、制度の導入の趣旨とか経緯から見て現在の支給割合で妥当なものではあるのではないか。また、現在の厳しい財政事情、また恩給の受給者の生活の実態、あるいは他の年金制度あるいは恩給部内でのバランス、そういったようなことを総合的に勘案しまして、現行の支給割合は私どもといたしましては妥当なものであると考えている次第でございます。  それから、第三に、長期に文官、教員等として御勤続になられたにもかかわらず生活保護水準よりも低い方がいらっしゃる、こういうことについて是正すべきでないかというお尋ねがあったわけでございますけれども、これは御承知のとおり、生活保護といいますのは、その方の収入あるいは資産、そういったようなものを全部活用いたしましてもなおかつ生活が成り立たない方に対して最低生活を保障するという意味から出されるものでございまして、これに対しまして恩給の方は、その方の勤続期間等に応じまして、原則として他の所得の有無あるいは資産の有無を問わずに支給されているものでございまして、おのずから性格の全く違うものでございますから、これを同じレベルで比較するのはいかがかというふうに考えておるわけでございます。  また、先生お尋ねのように、非常に長い間公務に従事されたにもかかわらず生活保護より低いという事例というのは私どもよく存じないわけなのでございますけれども、例えば、長年教員等で勤務されたとしても恩給の資格期間に通算されていない方などもいらっしゃると思うのでございます。同じ公務員となっていても、特に昔の制度では任官されていない方とかそういう方は恩給の対象になっておりませんので、例外的にはあるいはそういう方もいらっしゃるかもしれませんけれども、これは、私どもの恩給というのはまさにそういう一つの制度として運用しておりますので、そういう方がいらっしゃるのはある程度やむを得ないんじゃないかと考えている次第なのでございます。  以上で恩給の改善をめぐる私ども考え方という点については御説明させていただいたつもりでございますが、現下の非常に厳しい財政事情の中ではございますけれども、受給者のいろいろな声は十分にお聞きしまして、よくまた御検討させていただきたいと思っております。
  39. 石倉寛治

    ○石倉政府委員 総理府の官房審議官でございます。  御質問の中身が恩給問題からだんだん広がってまいりまして、戦後処理全般にわたってその進捗状況はいかがかという御質問だったと思いますが、その中で、平和祈念事業基金の基金事業の中身の進捗状況の中でも、御承知のようにこの平和祈念事業の中身につきましては三本の柱で処理をいたしておるところでございまして、シベリアの帰還の皆様方、それから一般の引き揚げの皆様方、それから恩給欠格者の対策、この三つにつきましての進捗状況でございますけれども、それぞれ先ほどからの制度論としてのいわゆる恩給制度から外れる皆様方でございますので、一つの慰藉事業として新たな補助制度として事業を行う、こういう立場から私ども対応しておるところでございます。  恩給欠格者の例で進捗状況を簡単に申し上げますと、一つは書状を出すという事業がございますけれども、三十万九千の請求に対しまして既に二十五万四千の方々に書状を差し上げてございます。それから、銀杯が二十万六千件の贈呈を既に行っておるところでございます。それから慰労の品の贈呈というのが三番目に新たな事業としてできたわけでございますけれども、この方々につきましてはもう既に六万九千件の贈呈を行っている。  このそれぞれの事業と申しますのは、御承知のように高齢の皆様方が対象でございます。私どもは最善の努力を払って事業の執行をいたしておるわけでございますけれども、一部には資料が不備その他の問題でなかなか審査をしにくいというような方もございまして、おくれている方もございますけれども、私どもは誠心誠意今後とも処理を進めてまいりたい、こう考えております。
  40. 石田幸四郎

    石田国務大臣 恩給制度について、自民党政権下で鋭意検討をして、そしてこの制度ができたので、細川政権としてもこれを踏襲するのかというお話でございましたけれども先生の御質疑のとおり、これは踏襲すべき制度、このように受けとめているところでございます。
  41. 栗原博久

    ○栗原(博)委員 委員長ソ連抑留エリツィン発言に基づく対応について、まだ御回答をいただいておりませんが。
  42. 石田幸四郎

    石田国務大臣 これは実は総務庁の管轄ではないので私から申し上げることは適当でないわけでございますので、改めて官房長官の方にまた御質疑をいただきたいと存じます。
  43. 栗原博久

    ○栗原(博)委員 わかりました。ソ連抑留者の方々はこのエリツィン発言を大変重大に見守っております。  時間がございませんので、実はまだ御質問させていただきたいのでございますが、きょうは厚生省の方、お越し願って御回答の機を見ず、申しわけありません。次回のお時間を委員長からおかりしまして、また改めて御質問させていただきます。  ありがとうございました。
  44. 左藤恵

    左藤委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  45. 左藤恵

    左藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田口健二君。
  46. 田口健二

    ○田口委員 私は、ただいま議題となっております行政手続法につきまして、先日この趣旨の説明をいただきましたが、この際、基本的な問題について、幾つかの点について政府見解をお尋ねをいたしたいと思います。  この法案の発端と申しましょうか、あるいはきっかけと言ったらいいのでしょうか、これはたしか三十九年の第一次臨調の答申がその一つの発端になっておるというふうに思っておりますが、それから今日まで、法案提出をされましたこれまでの経過経緯、あるいはこの法案の立案の基本的な考え方、そういうものについてまずお伺いをいたしたいと思います。
  47. 石田幸四郎

    石田国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。  我が国の行政手続は個別の法律の定めるところに任されておるわけでございますが、従来から、制度としての不備あるいは不統一、そういったことが指摘をされてまいりました。我が国の法制の中でも極めて整備がおくれてきた、そういった点が指摘をされてきたところでございます。また、行政の運営についても、行政指導等が多用されて許認可等の申請に対する審査の基準が明確になっていない、そういった点なども指摘をされてきたところでございます。このような行政スタイルに対しては、国内のみならず、国際化の進展に伴い諸外国からも公正、透明な行政運営確保を求める声が大変強くなってきた、そういうような経過があるわけでございまして、こういう要請にこたえるために、さまざまな行政分野を通じた横断的な法律を制定する必要がある、このようになってきたわけでございます。  このため、政府としましても、平成三年末の第三次行革審答申に基づいて、申請に対する処分、不利益処分、行政指導と行政手続の相手方である国民の権利利益に直接かかわる分野について、必要な事項を行政手続法案として取りまとめて今国会に提出をしたわけでございます。  その内容は、一つには、申請に対する処分に関しては、迅速、透明な処理確保を図る、それから、許可の取り消しや営業の停止命令といった不利益処分に関しては、公正、公平な手続の確保を図る、それから、行政指導に関しては、明確性、透明性の確保を図る、こういったことが柱になっておるわけでございます。行政手続法は行政手続に関する基本的、一般的な規律を定める法律でございまして、これによって行政運営の公正の確保と透明性の向上が図られる、行政に対する信頼の確保に大いに役立つ、また、我が国が国際社会の中で期待される役割を果たしていくためにも重要だというふうに考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、この行政手続法、大変長い間のさまざまな議論を経て、特にこういった行政指導のやり方等の問題につきまして整理をしなければならぬというようなことでこの手続法が国会に提出をされる、こういう経緯になっている、このように存じております。
  48. 田口健二

    ○田口委員 次にお尋ねをいたしたいのは、今も私が申し上げましたように、そもそもの発端が三十九年の臨調答申にあるということになれば、約三十年近くたってようやく法案提出をされる。なぜこのように長年かかって法案提出をされなかったのか、それは一体どういうところに原因があったのか、また、三十年近くも提案できなかったものが今回提案をされるということになると、何らかの情勢変化というのがあってそういうことになったのかどうか。  私は、行政手続法が今回制定をされますと、将来にわたって不変ということはあり得ないだろう、いずれやはり見直しなり改正ということも考えなければならぬだろうというふうに思うのですが、そのことを考えましても、なぜここまで長かったのかということはやはり明らかにしておく必要があるのではないかというふうに思いますので、その点をお尋ねしたいと思います。
  49. 石田幸四郎

    石田国務大臣 詳しくはまた行政管理局長の方からお答えをさせていただくわけでございますけれども、三十九年以来、実にもう三十年近い間にいろいろ問題にされながらも今日までこういったものがまとまらなかった。一つには、やはり日本の法律の特性といいますか、そういった意味で個別法ですべてを処理してきた、そういったものにもうなれてきているというようなことが一つあったというふうに思うわけでございます。  また、不利益処分の問題についても、いろいろな角度で話し合いをしながら慎重に行われてきたというようなこともあろうかと思うのでございますけれども、しかし、そういうような流れの中で、先ほど申し上げましたようないろいろな不備あるいは不統一、特に個別法でございますから、横並びで考えてみると、やはり不統一というような問題もかなり指摘をされてきたわけでございますので、そういうものをもう少し何とかしなければならぬ、公平性といいますか透明性、そういうものを確保するためにももう少し、その個別法の適用だけではなくて、法律全体の中で見直しが考えられないかというような声が強くなってきたというふうに認識をいたしておるところでございます。  もう一つやはり拍車をかけたのは、国際化の中で、行政手続的なものがどうも外国のそういった今までの慣習になじまない、そういった点から、そういうようなやり方は国際化の中では大変ぐあいが悪いというようなことが認識をされてきたというふうに思うわけでございます。  もう一点は、やはり行政手続法を必要とする状況、そういったものが、これはもう田口先生も御存じのとおり、行政改革についてはいずれの先進国もかなり熱心にこれに取り組んできているというような経過もあるわけでございます。そういうような国際化の進展の中で、だんだんとそれぞれの諸外国においても法制が整備をされてきている、そういうような流れの中で、我が国においてもそういった実情を踏まえて行政手続制度の検討がなされてきた、そういうふうに思うわけでございます。特に今回は、そういった意味で直接国民の権利義務に関する処分手続を中心にして、そして今回のこういった行政手続法提案の流れになってきている、このように思うわけでございます。  そういった意味におきまして、時代変化とともにこういった行政手続のあり方についての議論が集約されてきたというところが一番大きな問題ではないか、このように考えておるところでございます。
  50. 八木俊道

    ○八木政府委員 ただいま大臣から基本的な状況認識のお考えの御表明があったわけでございますが、事実を経過に即して若干補足をさせていただきたいと存じます。  田口先生指摘のとおり、三十九年の臨時行政調査会の第一次答申でございますけれども、当時、アメリカで行政手続法ができ上がりまして、その他各国ぼつぼつ行政手続法の制定という機運があったわけでございます。いわば三十九年当時は比較制度的な、法律文化と申しましょうか、そういった発想から、日本で考えるとすればこうしたものでは青いかという御提言があったわけでございますが、当時は、何と申しましても、日本は全体として経済の成長とそして行政の効率を求めるという時代でございました。行政民主化の要請ももちろん強くあったわけではございますけれども、やはり効率とか成長重視ということでございまして、率直に言って余り関心が深まらなかったというのが当時の歴史的な状況ではなかったかと思うわけでございます。  昭和五十四年九月に、例のグラマン、ロッキードの航空機疑惑協というものが政府の中にでき上がりまして、この段階で、やはり日本としても一般的な行政手続法の検討に入るべきだという御提言が学者、有識者からなされたわけでございます。本格的な検討は、やはり何と申しましても、昭和五十六年から五十八年に至る第二次の臨時行政調査会の御答申、これを受けた政府あるいは学識経験者の検討作業ということになるわけでございまして、最終的には平成三年十二月の行革審答申に沿って今回取り組ませていただくということになったわけでございます。  もう一つの側面といたしましては、国際環境変化、やはり日本が市場開放を迫られる、開かれた日本経済社会があるべき姿として当然追求されなければならないということがあったかと存じます。平成二年六月の日米構造協議で本格的にアメリカからこの点の要請があったということでございまして、さらに平成四年七月には、日米構造協議のフォローアップ、ここにおきましてさらなる行政手続法制の制定促進に関する要求がある、日本経済社会が真に国際化に対応する状態を整える必要がある、こういう対外環境があったことも事実でございます。  そしてまた、国民一般の価値観におきましても、効率とか成長といったこととあわせまして、公正とか、いわば民主的な行政運営、こういうことが強く求められるというのがその背景にあったかと存じます。  行政機関の内部でも、これは大変膨大な検討を要する作業でございまして、なかなか踏み切れなかったところでございますけれども平成三年十二月の行革審答申を受けまして本格的な検討を始めるに至り、今日御提案を申し上げるに至った次第でございます。
  51. 田口健二

    ○田口委員 そこで、行政手続法施行されますと、実際に行政あるいは国民生活にどういう変化が起きてくるのか、一応頭の中ではイメージとしてはわかるのですが、なかなか具体的に、じゃ、どれが、どういうことがどう変わっていくのだということなどがちょっとまだ一つわからない点もあるわけで、少しその辺を幾つか具体的に説明をしてほしいと思います。
  52. 八木俊道

    ○八木政府委員 行政手続法が、今回お願いをいたしております法律が制定されることになりますといたしますと、例えて申しますと、申請に対する処分につきましては審査基準が原則公開される、こういうことでございます。行政運営の透明性が向上するということになろうと思います。したがいまして、また、許可、不許可の予見可能性が高まっていくわけでございまして、目安がつけやすい、こういうように一般の市民あるいはまた経済諸分野の側からは見ることができようかと思うわけでございます。  さらにまた、標準処理期間、これを設けることによりまして、申請者側といたしますと処理の目安が明らかになるということがございますし、また、標準処理期間に合わない行政運営でございますと、行政側の処理の迅速化、これが当然求められる、批判され、かつ、それをばねとして迅速化が図られる、こういうことではないかと考えております。  二番目に、不利益処分につきましては、これは理由を明示することにいたしておりますので、行政運営の透明化が図られるのではないかというふうに考えている次第でございます。  不利益処分をしようとする場合には、原則といたしまして、その相手方に意見陳述の機会を与えなければならない、こういう基本原則を御提案を申し上げている次第でございまして、これによりまして国民の権利利益の保護に資するということになるとともに、意見陳述の方法が聴聞、弁明手続に統一される、法律ごとのばらつきが解消されるということになろうかと思いますので、国民にとってもわかりやすい仕組みということになるのではないかと考えている次第でございます。  第三点に、行政指導でございますが、これにつきましては、いろいろと政府の行政指導のあり方について論議があることは私ども承知しているところでございますが、このあり方を改善していく、相手方の求めに応じて書面を交付するなど、その明確性、透明性、これを向上させていく、その上で、さまざまな御批判あらば受けとめてまいる、こういう行政体質に持っていこうということでございまして、さまざまな効果がこれから期待されるのではないかと考えている次第でございます。  許認可等の全体のあり方につきましては、現に国民生活のさまざまな面に関連がございます。このような行政手続法の制定が仮に図られるといたしますと、その許認可行政の公正・透明性の向上といった観点から、現在問題になっております公的規制の運用面での改善にも大きく結びついていくのではないかと考えている次第でございます。
  53. 田口健二

    ○田口委員 そこでもう一点、これが施行されてまいりますと、整備法からいっても三百件を超える法律が改正をされていく。ほとんどの行政機関あるいは行政事務の分野において影響が出てくるわけですね。この手続法というのが法律の趣旨どおりに正しく実施をされていくかどうかという点について、それをチェックする、あるいはフォローしていくということはどこかの、総務庁なら総務庁でそのことをやっていくのか、そういうことについては一体どうお考えになっているのでしょうか。
  54. 八木俊道

    ○八木政府委員 行政手続法は、行政の全体を対象といたします関係で、その施行につきましては政府全体がこれに取り組む、こういうことは当然でございますが、なかんずく、手続法本体を御提案申し上げております私ども総務庁といたしましては、この運用につきまして共通的に責任を持たなければならないと考えているところでございます。  仮に手続法を御議了いただきますと、当面の運用に関するその施行方針、運用方針を明らかにした文書を各省にお示しを申し上げないといかぬなと思っている次第でございます。そして、この法律の趣旨を十分徹底し、運用方針の具体化を図ってまいりたい。そして、各省におかれましては、政省令の改正あるいはまた各省内部の運用基準、こうしたことをお考えをいただく。そしてまた、下部機関にも十分この法律の趣旨を御徹底をいただくという必要があろうかと思います。さらには、職員研修等の機会を通じまして、職員一人一人にこの法案の趣旨が十分理解されるように、これは努力をしていかなければならない、そんなふうに考えている次第でございまして、あえて一年という施行期間をお願いを申し上げておりますのも、そうした趣旨からでございます。
  55. 田口健二

    ○田口委員 そこでもう一点は、地方公共団体の関係ですが、三十八条によって一応地方公共団体の場合には適用除外といいましょうか、そういう措置が考えられ、努力規定というようなものが入っておるわけですね。  私は、国においてこのような行政手続法というのが制定をされれば、当然地方公共団体においても同様の趣旨が尊重され、手続的には条例化ということになるのでしょうか、あるいは規則その他さまざまな手法があると思いますが、国と同様なものをやはりつくっていく必要があるというふうに思うのですが、政府としては、そういう地方公共団体に対するそのような指導といいましょうか、要請と言ったらいいんでしょうか、それはどのようにお考えになっておるわけでしょうか。
  56. 八木俊道

    ○八木政府委員 法律案施行に関します問題点につきましては、成立をさせていただきましてから詰めてまいる問題でございますけれども、ただいまのところの私どもの心づもりを申し上げますと、委員御指摘のように、地方公共団体、三千二百四十ほどの団体がございます。この法律案の趣旨を十分徹底するというのが私ども政府、そして総務庁の責任かと存じている次第でございます。  結局のところ、条例で対応願うもの、そしてまた規則で対応願う分野もございます。機関委任事務等につきましては、国の方針をお示しを申し上げて御協力をいただくという分野もございます。地方公共団体独自の取り組みということに期待するべき分野もあるわけでございますが、この点につきましては、地方自治の尊重という原則のもとにおきまして、しかしながら、重要な行政の基本のルールを規律する法律案でございますので、成立後におきましては、各公共団体に対しましてこの法律の趣旨を十分徹底するように努力をいたしてまいりたいと存じます。
  57. 田口健二

    ○田口委員 今のに関連をして、私は適用除外になっている部分について、各地方公共団体に対する国の考え方というのをちょっとお尋ねをしたのですが、どうもはっきりまだ方針が決まっておるのかどうかちょっと今の御答弁ではよくわからなかったのですがね。  今の答弁の中にもありましたが、適用除外といっても、国の機関委任事務については当然この行政手続法というのが適用されていくわけですよね。そうなると、そのことに対する国の指導といいますか、これも大変だと思うのですが、どういうことをお考えになっておるのか。  今ちょっとありましたけれども、もう少し具体的に、全国で三千三百近い自治体があるわけですから、これに対してこのことをきちっと周知をして理解をしてもらうためには一体どういうことをお考えになっておるのか、その点をちょっとお尋ねしたいと思います。
  58. 八木俊道

    ○八木政府委員 ただいま先生指摘の、確かに機関委任事務というのは膨大な地方行政の部分でございます。国が直轄する事務と機関委任事務との別を問わず、国が最終的に責任を持つ分野につきましては、この方針にございます、例えば審査基準でありますとか標準処理期間の問題でありますとか、あるいは行政処分に関するいわば理由をお示しするという行政運営でございますとか、この法律案の全面的な施行に伴います各事項につきましての趣旨の徹底を地方公共団体にも十分御理解をいただくように準備をしていかなければいけないと思いますし、具体的な問題といたしましては、各省と共同いたしましてこれに取り組んでいく。法制全般の趣旨につきましては私ども総務庁、そしてまた、各実体法の個別の行政運営につきましては各省の協力と参加を得て進めていく、こういうことにいたしたいわけでございます。  例えて申しますと、聴聞手続を新たにとる必要が出てくるところもございましょう、あるいはまた審査基準が現状では大変不明確なものは、そこに審査基準を新たに設定をいたしましてこれを公表して取り組んでいくというふうな問題もあろうかと存じます。全行政分野にわたるだけに大変膨大な仕事になると思いますけれども、運用に誤りなきを期したい、そういう観点から若干長い目の施行準備期間をお願いを申し上げている次第でございます。
  59. 田口健二

    ○田口委員 終わります。
  60. 左藤恵

    左藤委員長 次に、弘友和夫君。
  61. 弘友和夫

    弘友委員 私は公明党の弘友和夫でございますが、本委員会での最初の質問でございます。本発言席に立ってみまして、石田長官がそこに座っておられる、私はこうして質問をするということで、非常にこういう状況を長いこと夢見ておりましたので、大変感慨深いものがあるわけですけれども、そうしたことで大変晴れ晴れとした気持ちで質問をさせていただきますので、長官もぜひ、連日お疲れだと思いますけれども、ひとつ政権が変わったのだというような実のある御答弁をよろしくお願いいたします。  そこで、今細川新政権にとりまして、というよりも、日本の国にとって重要な課題というのは政治改革とともに行政改革が大きな問題である、このように思います。そうした中で、今お話がございましたように、従来の我が国の行政、国の行政システムというのは、行政の裁量の範囲というのは幅が非常に大きかった。そこで、あいまいだとか不公正だとかそういう批判を浴びてまいりました。そうしたことから、この行政手続の公正性、透明性を国の内外に対して確保して行政に対する国民の信頼を回復するということは極めて重要な課題であるわけでございまして、そうした意味で、きょうこの委員会においてこの行政手続法案審議に至っだということは非常に喜ばしいものである、このように思うわけでございます。  聞くところによりますと、この行政手続の統一法の整備につきましては、昭和三十九年の臨時行政調査会の答申以来三十年来の課題であった。恐らく、国際化の著しい進展がなければいまだにこの実現の機運というのが盛り上がっていなかったのではないだろうか。そのようなことからしても、この行政手続法の制定は、変化に対処して国際国家日本として生きていくためにも重要な一里塚である。関係各方面からも強い関心を持たれておりますし、またその期待も大きいわけでございます。新聞報道等の論評を見てみましても、総じてこの前進を評価するものが多いわけですけれども、一方では、なお理想的なものを目指すべきじゃないか、こういう議論もございます。  しかし私は、何事も完全無欠の理想を期すというのは困難である。今回のこの法案にいたしましても、三百六十もの関係法律の改正が盛り込まれております。総務庁の立案段階で各省庁との折衝が非常に難航した経緯というのも聞いております。理想を求める余りに今回この大事なチャンスを失すれば、すべてがだめになるのではないか。日本の国際的信用を落とすことにもなりかねない。私は、まずこの行政手続法を成立させて、それを適切に運用し、また、後々必要かつ実現できるものがあれば、それはこれを改正するということにすべきであると考えているところでございます。そうした点におきましては、この三十年間いろいろ研究もされ、またこの法制化に当たりました皆様の御努力を多とするものでございます。  そうしたことで、今後の本法の運用に間違いなきを期すためにも、以下、国際化の観点、また規制緩和、また運用の適正化、また地方の観点といった点から何点がお尋ねしたいと思うわけでございます。  まず初めに、時間の関係で個別具体的な問題についてお伺いしますけれども、例えばこの法案には、申請に対する処分につきまして、許認可などの申請が担当官庁に届いたときは停滞なく審査を開始しなければならない、このようになっております。また、申請から認可、却下などの処分の決定までには標準処理期間を定めるように努め、それを公表しなければならない、また、申請が許認可等の要件に適合しているかを判断するための具体的な審査基準を公表する、また一方では、申請を拒否する場合は原則として書面でその理由を示さなければならない、このようになっているわけでございます。私は、これによって今までいろいろございました批判、申請者にとって自分の申請が公平に扱われているのかどうか、そういうことが明確になるということで、公正性や透明性というのを確保できるのではないか、こう考えるわけでございます。  私の手元に、ある御相談がございまして、沖縄の方からですけれども、家族の方が戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用及び遺族年金の請求を申請された書類があるわけですけれども、これは平成三年の五月に申請されたまま今に至るまでナシのつぶてである、全く何らの回答もない。聞くところによりますと、この種の申請というのは裁定が出るまでに大体二年から三年かかるのが常識だ、このように言われているわけですけれども、この法の成立てもってこうした問題が解消できるのではないかと大いに期待しているわけでございます。  ただ、ここでこの法案内容を見ますと、審査基準を定めるものとする、また、できる限り具体的なものとする、また、審査基準を公にしておかなければならないとか、標準処理期間を定めるよう努めるとともに云々と、こういう標準処理期間にしても定めるように努めるだとか、審査基準を定めるんだとか、できる限り具体的なものだとか、そういうように各省庁にその内容というのがゆだねられている。  そうすると、じゃ、これが施行されて各省庁、その三百の法律、一万一千に上る許認可、いろいろございますけれども、いつ審査基準が公表されるのか、いっその審査処理期間が確定するのか、各省庁がばらばらにそれを出していたのではいつになるかわからないという心配がございます。  そういうことで、せっかくここでこうした法律ができるわけですから、私は施行までに全部、その審査処理期間にしても審査基準にしても、そうした問題は施行までに明確に、それは一つや二つは期間が特定できないとかいろいろなものがあるかもしれませんけれども、それは例外として、ほとんどがその施行までにそういう基準を定めるべきじゃないか、そういうふうに思うわけでございますけれどもお考えをお伺いしたい、このように思います。
  62. 八木俊道

    ○八木政府委員 行政運営の実務的なところでございますので、私から御答弁をお許しいただきたいと存じます。  審査基準、標準処理期間等を具体的に明らかにし、施行までの間に十分準備せよ、こういうお考えでございます。私どももそのとおりであると思っておる次第でございます。一年間にわたります準備期間をちょうだいしたいというお願いもまさにその点でございまして、極力各省、法律が成立いたしました段階では具体的な審査基準、そして具体的な標準処理期間の設定を行うべきである、その方針で総務庁といたしましては進んでまいりたいと考えているところでございます。  ただ、何分にも規制行政と申しますのは大変範囲の広い行政でございます。現在お願いいたしております法律案では三百六十本の関連改正をお願いいたしますが、そのほかにやはり二百数十本、計六百本程度の規制関係の法律がございます。その一本一本をごらんいただきましても、その一つの法律の中に、極めて日常的に生ずる許認可でありますとか、めったに生じないけれども念のために置いておく許認可、あるいはまた認可である、届け出であるということで、その形態についても硬軟さまざまな問題がございます。  これらのすべてを十分消化いたしまして審査基準、標準処理期間を設定することは、これは実務的にはなかなか大変なことでございます。法律案が議了をいただきますと、即刻政府部内においてはその検討に入るわけでございますが、各省にいろいろとお願いをし、要請をいたしまして、運用通達を出させていただきまして、法律の施行に遺憾なきを期したいと存じますが、全体につきまして十分に効果が上がるには若干の時間はあるいはちょうだいしなければいけない面もあろうかと思いますけれども、その方向で努力をいたしてまいりたいと考えているところでございます。
  63. 弘友和夫

    弘友委員 総務庁の方でぜひともこれは施行までに、この法案ができた趣旨というのは非常に大きな期待があるわけでございますので、できるだけというよりもとにかくそれをやるんだという強い決意でお願いしたい、このように思います。  次に、国際化の観点からお伺いさせていただきます。  日米構造協議の中で日本のこの非常に複雑な行政手続のあり方とか不透明な行政指導のあり方について取り上げられて、これが一つの契機となって今回のこの法案制定までいったんだと思いますけれども、具体的にどのように取り上げられたのか、また、国際化の進展の中で我が国行政手続法ができるということの意義をどのように考えておられるのか長官にお伺いしたい、このように思います。
  64. 石田幸四郎

    石田国務大臣 お答えを申し上げます。  国際化の進展の中で我が国行政手続法ができるというのは一体どういうような意義がというようなお話でございますが、この行政手続法整備という問題は、長年にわたる懸案であったことと同時に、経済の国際化といいますか、そういったものの進展の中で、先ほどもちょっと触れましたけれども我が国と外国とのいわゆるこういった行政手続に関する考え方が違っておった。外国でいえば主として書面でどんどん行われる、我が国はそれを行政指導でやっておったというような事例なんかも上がってきたわけですね。  そういう中で、そういった行政指導が書面なしで行われているということになりますと、その言葉のニュアンスとかそういうようなもので一回一回どうも対応が違うのじゃないかというような議論が当然出てくるわけでございますので、そういったことを、その批判を受けながら、今回新しくしようというわけでございますから、そういった意味におきまして、この法律は三百六十という法律の中で横断的に一つの基準をつくろうというわけでございますので、これは外国から見ますれば今までと違って随分前進をしてきたというふうに受けとめていただけるものというふうに思います。そういった意味で、行政手続法が成立をいたしますれば、日本のやり方も随分変わったという高い評価を受けるのではないか、こんなふうに考えているところでございます。
  65. 弘友和夫

    弘友委員 今御答弁ございましたけれども、この法案というのは非常に海外からも期待をされておりますし、これは第三次行革審の最大の業績ではないか、こういうように言う方もいらっしゃいますので、ひとつ……。  その国際化に直接関連するかどうかわかりませんけれども、税務行政が本法案では一般的には適用されない、このようになっております。こうした措置については非常に遺憾だ、こういうふうに受けとめられている関係者もいらっしゃいます。この税務行政分野が現状のまま放置されると、日本と欧米諸国ではちょっとここが違うわけですから、欧米諸国との間で新たな国際摩擦の一つになるおそれがあるのではないか。  この分野における我が国の立ちおくれ、後進性の一端を紹介いたしますと、我が国が税務調査を行う際には、多くの場合わずか二、三日前に納税者に通知される。しかも調査理由を明示されないまま調査が開始されている現状にある。しかし、欧米では調査の大体二週間程度前に納税者にきちんと通知がされる、調査理由も明らかにされる、さらには日時や場所やその調査人の氏名といったものも明らかにされ、代理人を選ぶ権利、選任権も与えられることが原則としてある。こういうことから、税務行政が欧米では非常に民主的に運営されるようになっているわけですけれども、この際、大蔵省の方、来られていると思いますが、税務行政分野における事前手続については、本法案が対象とする領域はもとより、その領域を超えてでも一層の整備拡充を目指し、法制化を含めて徹底した見直しを速やかに開始すべきものと考えるわけでございますが、お考えをお伺いしたい、このように思います。
  66. 渡邊博史

    ○渡邊説明員 お答え申し上げます。  国税に関する法律に基づく処分につきまして、その性格を見てまいりますと、まず第一に金銭に関する処分であるということで、そういう意味では処分内容をまず確定いたしまして、その適否についてはむしろ事後的な手続で処理をするということが適切なものであるというふうに考えておりますし、また、主として申告納税制度のもとで各年あるいはまた各月ごとに反復して大量に行われる処分であるという特殊性を持っているところでございます。  そしてこれに加えまして、限られた人員をもって税法を適正に執行し公平な課税を実現する必要があるということを勘案いたしますと、その手続は全体としていかにあるべきかという観点から国税通則法及び各税法におきまして必要な範囲の手続を規定いたしまして、完結した独自の手続体系が形成されているところでございます。これによりまして行政運営の公正と透明性は十分確保されているところでございまして、国税に関する法律については新たに整備の必要はないというふうに認識しているところでございます。  なお、国税に関するものをすべて対象外にするということではございませんで、酒類の免許に関する処分につきましては産業行政的な側面を有しているということから行政手続法を適用するということになっているわけでございます。  今回の行政手続法案は、そもそも税務調査手続を含みます行政調査手続を制定対象としておりませんので、税務の分野に限ってみましても、調査の事前通知等の税務調査手続につきましては、納税者の業種、取引形態あるいは帳簿等の整備状況、納税者に関する資料の多寡など納税者の態様がさまざまでございまして一律でないということを考慮いたしますと、法律上一律に定めるということは困難でございまして、税務職員の合理的な判断にゆだねることが適当であるということを御理解いただけるかというふうに思っているところでございます。
  67. 弘友和夫

    弘友委員 これについては改めて質問するつもりはなかったのですけれども、全くそういう必要がない、国税通則法で定められているとかそういうことを言われておりますが、いろいろな御意見というのが各界にあるわけですから、全くないんだということではなくて、やはり適用除外になっている、では今の国税通則法のままでいいのか、やはり見直しをしないといけない部分もあるのではないのかとか、そういう問題もあるのではないのかと思うわけですよ。ですから、全くそういう必要はないというような言い方というのはちょっと納得できないな、このように思いますので、また・・・・・・。  もう一つは、いろいろ適用除外があります。当然適用除外になっていい、例えばこの国会の問題だとかいろいろなものは当然適用除外になっていいものもあるわけですけれども、現状としては非常に難しいとか、いろいろな問題を考慮して適用除外になったものもあるのではなかろうか。そうしたときに、現状では適用除外になっているけれどもこの手続法の精神というのはやはり生かしていただいて、あらゆるところで公正であり透明であるというような行政が行われなければならないのではないか、このように思いますので、ひとつ前向きに考えていただきたい、このように思います。  次に、行革のもう一方の柱であります規制緩和の観点からお伺いしたいと思います。  国際化への対応、また国民生活の質の向上を図る上から、行政の各般にわたる規制緩和削減というのは思い切って推進すべきであると思うわけでございますが、この規制緩和と今回の行政手続法との関係について長官はどのようにお考えになっているのか、お尋ねします。
  68. 石田幸四郎

    石田国務大臣 お答えを申し上げます。  規制緩和、これを推進するという問題につきましては、御存じのとおり、社会的な規制、経済的規制、いろいろあるわけでございますが、最近のいろいろな報道を拝見をいたしておりますと、規制緩和そのものはもうゼロから出発すべしというような御議論も出ているわけでございます。そういった意味で、規制そのものを削減する、これは極めて重要なことだと思っております。  さらにまた、その運用の改善を図ることもまた重要だ、こういうふうに思うわけでございまして、昭和六十二年の行革審の「公的規制の緩和等に関する答申」においても、例えば公的規制全般を通じて、その基準や手続の明確化を図ること、事務手続の簡素化、迅速化を図ることなどの運用面での改革は、制度面の見直しと並んでその効果、その影響、両面考えてゆるがせにできないというふうに指摘をされているところでございます。また、行政指導についても、その運用の実態が透明性や公平性が欠けている、こういうような観点から、制度の趣旨に沿った運用の改善が図られる必要がある、このように御指摘を受けているわけでございます。  今回のこの行政手続法は、許認可等の処理については審査基準や標準処理期間の設定、公表を規定をしてございます。また、行政指導についても、明確性、透明性を図る観点から、相手方にその趣旨、内容責任者、いわゆる三点セットというのですか、これを明らかにするというような規定も整備をされているわけでございます。したがいまして、この行政手続法が制定をされますと、許認可等を中心とした公的規制についてその運用面での改善効果が期待をされるわけでございますから、その意味において行政手続法は規制緩和の推進に資することができる、このように考えているところでございます。
  69. 弘友和夫

    弘友委員 今ちょっとお答えがありましたけれども、規制緩和は、その運用面の改善だけではなくて、規制そのものを減らすということも重要である。一万九百四十二件の許認可等の公的な規制というのを第三次行革審では半減するというような目標も立ててあるわけですけれども、前宮澤内閣では、政府の公的規制というのは一割減らして一万件以下にする、このような方針をお決めになったわけでございますけれども、このことは現細川内閣ではどのように取り扱っておられるのか、また、その目標はあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  70. 石田幸四郎

    石田国務大臣 規制緩和は規制そのものを減らす努力をしていかなければならないわけでございます。これは毎年毎年新しい法律が制定をされますので、この規制緩和の問題もそのままほっておきますと、どんどんふえてくるというような性格を持っているわけでございます。私の個人的な見解ではありますけれども一つは、そういった意味におきまして、法律を新たにつくるときには、十分将来の問題も考えてやはり五年なり十年なりで基本的見直しをするという姿勢、それがシステム的につくられることが望ましいというふうに思うわけでございます。  現在ある一万九百四十二件、この一割削減を目指して、これはもう既に私たちが総務庁を担当する前に方針として出ているわけでございます。今もちょっと申し上げまし夫けれども、確かに一割削減という目標、これは大変大事な問題だと思うのでございますが、要するに、単に数を減らすというだけの問題であっては余り効果が期待できないのではないか、その数を減らすという努力と同時にもう一歩突っ込んで、例えば報告事項だとか届け出事項だとか、そういったものの期間の見直しを図る、そのことによって国民の利益、権益が守られてくる、そういうようなことも極めて重要なことであろうというふうに思っているわけでございます。そんなことで、あらゆる観点からこの規制緩和というものを前進をさせなければならない、こう考えているところでございます。  また、社会的規制の問題については、そう簡単に減るべき問題ではなかろう。健康の問題であるとかあるいは命にかかわる問題であるということになりますれば、この規制は長く働いていくわけでございます。それとてもしかし二十年、三十年という長きにわたる規制であっていいのかどうか、そういった問題も十分検討しながら常に見直しをしていく、そういうような必要があろうかと思います。  今回九十四件の規制緩和の方針が決定をされたわけでございますけれども、これは、現在の経済情勢の中で何とか経済を活性化させるための一つの方針のもとで緊急に見直し作業をして決められた問題でございますので、そういう効果のねらい方もあるであろう、こんなふうに思っております。
  71. 弘友和夫

    弘友委員 今のお答えのように、確かにただ数を減らすだけでいいというわけではないと思います。  だけれども、やはり数を減らさなければいけない部分というのもあると思うのです。八月に、日本総合研究所が、欧米並みに規制緩和した場合、市場開放を進めれば約十二兆円の新たな需要と百二万人の雇用が生まれる、このような試算も出しているわけでございます。  そうして、きょうの新聞に載っておりましたが、細川首相の私的諮問機関のいわゆる経済改革研究会の平岩座長が、きのう、事務局がまとめた規制緩和に取り組む姿勢というのははっきりしない、それを事務局に差し戻してつくり直すように指示された、このように新聞報道はされております。そういうように、規制緩和を進めていく上におきましては各省庁の非常に強い抵抗もあると思うのですけれども、規制緩和に取り組む長官の御決意をもう一度ちょっとお尋ねしたい、このように思います。
  72. 石田幸四郎

    石田国務大臣 そういうような平岩委員会の規制緩和に対する考え方というのが、もう一遍つくり直せというようなことであったようでございますけれども、現実に、そういった意味で、規制を受ける側の優位性といいますか、そういったものも考えられるわけでございますから、この規制は残しておいてほしいというような要望ももちろんあると思うのですね。  しかし、社会全体の仕組みの中でできるだけ公的規制というのは少ない方がいい。極端に言えばゼロの方がいい。仮にゼロにすれば十二兆何がしという経済効果が出てくるじゃないかというような考え方も出てくるわけでございますから、そういうような民間の活性化を期待した方向というものが常に模索をされなければならないというふうに考えているところでございます。  しかし、なかなかそう簡単に進まない面も考えなければなりません。例えば、地ビールの問題にしましても、今までのビールメーカーだけではなくて、ごく小さいメーカーも参画できるようにいたしたわけでございますけれども、それがきのう決めたからこの一、二カ月のうちにどんどん地ビールのメーカーがふえるというわけにはなかなかまいらないわけですね。ただ、仕組みとしてそういうようなものが経済の活性化につながるぞということを申し上げているわけです。  あるいは、電線の地中化の問題にいたしましても、現在少しずつ行われているわけでございます。それを大幅に規制緩和することによって、町の美観あるいは交通安全の角度、そういった面からさらにまた新しい事業の開発といいますか、そういう面から考えて相当な効果があると私は思うのですけれども、それが一朝一夕にとんとんといくべき問題でもないわけでございます。  しかし、全体の今の規制緩和に対する御批判あるいはお考えというものがいろいろな角度から出ているわけでございますから、これを尊重をして、そしてできるだけ民間の活性化を図っていく、それを間断なくやっていくという決意が行政側に必要なんではないか、そんなふうに考えているところでございます。
  73. 弘友和夫

    弘友委員 時間がありません。  最後に、地方との関係について一点だけお伺いしたいと思うのですけれども、自治省の方が来られていると思いますが、先ほども出ておりましたように、自治体行政とのかかわりでは、公正の確保と透明性の向上に努めるべきと、地方自治の本旨を考えてそういうような形になっているわけです。ですけれども、そうした機関委任事務についても行政指導というのは適用されないとか、いろいろございます。そういう矛盾が、矛盾と言ったらおかしいですけれどもございますので、できるだけ地方自治体におきましても行政手続条例的なものを制定するように、自治省の方で、それこそ行政指導ではございませんけれども進めていくべきではないかな、このように思います。  最後にそれをお聞きして終わりたいと思います。
  74. 中川浩明

    ○中川説明員 行政手続法におきましては、ただいま御指摘のように、地方自治の尊重という観点から、地方公共団体が行います条例などに根拠を有する処分あるいは地方公共団体が行います行政指導につきましては手続法の規定を適用しないとされておりますが、これらの手続につきましては、御指摘のとおり、この法律案の規定の趣旨にのっとりまして、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るために地方公共団体において必要な措置を講ずるよう努めなければならないという規定も置かれているところでございます。  これは、地方公共団体がその実情に応じまして、ただいま御指摘の条例のみならず規則、規定などの適切な方法によりまして、行政運営におきます公正の確保、透明性の向上を図るための所要の措置を講ずることに努めるべきことを意味しているものと考えているところでございます。今後、地方公共団体におきましては、必要に応じまして行政手続法に類似したような条例の整備ども行われると考えておりますが、そのほか所要の措置を講じていくこととなろうと思っております。  自治省といたしましては、地方公共団体におきます行政運営が公正の確保、透明性の向上という要請に的確にこたえるものとなるよう必要な指導助言等を地方公共団体に対して今後行っていきたいと考えているところでございます。
  75. 弘友和夫

    弘友委員 終わります。
  76. 左藤恵

    左藤委員長 次に、松本善明君。
  77. 松本善明

    松本(善)委員 理事会の申し合わせに基づきまして、法案質疑に入ります前に総務庁長官の政治姿勢にかかわる問題について若干伺いたいと思います。  十月十三日の衆議院の本会議で我が党の東中光雄議員が、九一年八月の衆議院会議で石田公明党委員長が述べられたことに関して質問をいたしました。そのとき石田公明党委員長は、小選挙区比例代表並立制について、並立制は本質的には小選挙区制であり、重大かつ基本的な欠陥がある、民主政治の公正の原則に完全に背を向けるものだというふうに述べていられましたので、そのことを東中議員は指摘をいたしまして、この基本認識政権参加のために投げ捨てたのかと聞きました。これに対して石田総務庁長官は、党内で真剣な議論をした結果今日の政府案がよいと私たちの認識が変わったという答弁をされましたが、なぜ変わったのかということについての理由が述べられておりませんでした。  それで私はこの点について少しお聞きしたいのでありますが、海部内閣当時の小選挙区比例代表並立制のどこが重大かつ基本的な欠陥であり、民主政治の公正の原則に完全に背を向けるというものであったのか、どういう認識でおられたのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
  78. 石田幸四郎

    石田国務大臣 これは松本先生も今までの経緯についてはずっと見ておられたわけでございますから、よく御存じであろうかと思うのでございます。海部内閣当時の比例代表制、小選挙区比例代表並立制ですか、この案は御存じのとおり小選挙区制三百と比例制百七十一というような状況で出たわけでございます。この数字を見てみますと、当時の自民党は圧倒的優位で民意の反映は十分ではない、そういった意味でその認識を厳しく私は述べたものでございます。  その後、政治情勢がどんどん変わってまいりまして、海部政権のときを考えてみますと、なかなか政治改革ができるような状況ではなかった。しかし、その後自民党においてもそこまで踏み込んできたわけでございますから、いわゆる前国会のあの解散・総選挙の前、約百七時間に及ぶ特別委員会の議論がございました。そして、その中でだんだんと、とにかく政治汚職に対する対応というものを国会としても、また政党としても、何としてもこれにおこたえをしていかなければならない、国民の期待にこたえなければならないという情勢の中でいわゆる歩み寄りをしなければならぬ、こういうふうな動きが出てきたことは先生も御存じのとおりでございます。  その後、そういったことで自民党と選挙制度の問題をめぐって何とかお互いに歩み寄れる、そういうような制度に考えを変えていかなければこれは千載一遇のチャンスを逃してしまうということで、いわゆる中間案といいますか、並立制と併用制の中間案というのでいわゆる連用案が出てきたわけでございます。これで何とかならぬかというようなところでいわゆる野党各派が集まって合意をした、そういう経過があります。  したがいまして、これは何度もいろいろな角度から議論があるわけでございますが、それぞれの選挙制度というものは、それ自体いわゆる一〇〇%絶対のものではないわけでございますので、この政治改革をなし遂げるためには、選挙制度そのものもお互いに話し合って、できるところでまとめなければならぬ、そういう流れの中で私どもは何としてもこの政治改革をなし遂げたいという熱意の中で認識が変わってきた、このように申し上げておるところでございます。
  79. 松本善明

    松本(善)委員 私は、その九一年八月当時、重大かつ基本的な欠陥が小選挙区並立制にあり、民主政治の公正の原則に完全に背を向ける、どこがそうだったのか、どういうふうに考えていたのかということをお聞きしたのでありますが、なぜ変わったのかということを経過お話しになるということで、結局お答えにならなかったと思いますので、当時の衆議院会議の議事録を私は持ってきておりますが、改めてかわって申し上げたいと思います。これは当時の石田公明党委員長発言であります。   事もあろうに小選挙区制導入をもって政治改革にすりかえようとされる姿勢、このことを私たちは厳しく批判をいたします。   それだけではありません。政府・自民党が導久しようとしている小選挙区比例代表並立制は、本質的には小選挙区制であり、重大かつ基本的な欠陥があります。   その第一は、得票率と議席占有率の著しいずれが生ずるということであります。四〇%台の得票率で七〇%、八〇%の議席獲得率に結びつくと見られる制度がどうして公正な選挙制度でしょうか。選挙制度の主眼はいかに民意を反映すべきかであり、小選挙区比例代表並立制は民主政治の公正の原則に完全に背を向けたものであります。   第二には、小選挙区制では死票が多く、少数意見の抹殺につながり、新人が当選しにくいなど、まことに非近代的な選挙制度であります。   第三は、小選挙区制は政権交代を可能にし、二大政党時代を促進するという議論を持ち出されますが、果たしてそうでありましょうか。二大政党どころか、一強のみをつくることになりかねないゆゆしき制度であります。政権交代の可能性を制度的に模索することは重要な要素でありますが、小選挙区制が直ちに政権交代につながる唯一の制度とは思われません。   ともあれ、政府・自民党が導入しようとする小選挙区比例代表並立制は、政治改革につながらず、政治改悪にほかなりません。私どもは、小選挙区比例代表並立制には断固反対であります。こういうふうに述べておられたのであります。  私は、こう考えていたことはこの議事録に残っておりますので間違いなかったのだと思いますが、このどこが間違っていたのか、私が読み上げました当時の石田委員長見解はどこが間違っていたということでありましょうか。私は、ほとんどの部分が現在の、今国会で審議をされております小選挙区比例代表並立制にも当てはまるものであるというふうに考えますが、どこが間違っていたのか、御答弁をいただきたいと思います。
  80. 石田幸四郎

    石田国務大臣 先ほども少し申し上げたのでございますけれども、自民党、当時の海部政権がお考えの選挙制度の問題については、いわゆる小選挙区三百と比例百七十一、それの並立制ということでございました。  今回私ども与党が討議をして決定をしました小選挙区並立制、この問題については、そういった意味で海部政権がお出しになった数とは違っておるわけでございまして、やはり民意の集約、民意の反映、二つの選挙制度を同時に採用する、またその配分についても二百五十、二百五十というふうにいたしたわけでございますから、当時の欠陥というのは相当是正をされておるというふうに私は認識をいたしております。また二票制であることも、それぞれの異なった制度を採用した選挙制度としては、私はそれが適当であるというふうに思っておりまして、そういった意味におきまして、民意の反映も十分に措置されておるというふうに私は考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、この制度に踏み切った経過を申し上げますれば、まさに七月二十九日に連立政権をつくることを合意をしたわけでございますが、その前提となりましたのがいわゆる小選挙区比例代表並立制ということでございます。そういったもろもろの問題、まさに政権を変えなければならないという命題によりまして私どもはそれに踏み切ったということでございます。
  81. 松本善明

    松本(善)委員 二百五十、二百五十の数が変わった。これは海部内閣当時はたしか三百、百七十一ではなかったかと思いますが、数が変わったということ、それから二票制ということで制度が変わった。これだけで並立制が百八十度よくなるということは到底考えられないと私は思います。  ことしの九月二十六日付の朝日新聞によりますと、政府案の並立制での総選挙のシミュレーション、三割、四割の得票率で五割、六割の議席を獲得できるという制度であり、並立制はやはり大政党に圧倒的に有利な選挙制度である、死票も多くて、前回総選挙で試算をいたしますと、小選挙区部分で投票の六割が死票になります。そういう点では、国民の多数の多様な意思が抹殺されるということになると思います。そういう点では海部内閣の当時の並立制と本質的に変わらないと思うのです。数とそれから二票制ということで本質が変わったと言われるのか、私は本質的には変わらないと思うのですけれども、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  82. 石田幸四郎

    石田国務大臣 私が申し上げましたのは、それなりの欠陥が是正をされたということが一つでございます。  それからもう一つば、やはり先ほど来申し上げておりますように、この政治改革論議を行う場合に今何が一番重要かということではないかと思うのでございます。これは、共産党さんは中選挙区制の定数是正を要求しておられるわけでございますけれども、それもお考えであろうと思うのでございますが、しかし、そのことによってこの政界全体の流れを変えることができるかということになりますと、その主張をしているだけではこの政治改革の四法案一括の中で合意を得ることはできないと私は思うのでございます。  したがいまして、私どもも当初連用制あるいは併用制を言っておったわけでございますが、それだけではとても合意を見ることはできない、難しい。それが即政治改革は不可能というところにつながるわけでございますから、その当時の情勢はまさにそうであったと私は認識をいたしておるわけでございます。  したがいまして、今最大の命題としまして、この政治改革をやってそして国民の期待にこたえるという一点に絞って見れば、できるだけ多くの政党の合意を取りつけなければならないわけでございます、共通の土俵をつくらなければならないわけでございますから、その観点に立ては、さまざまな国会論議の結果としてそういうような形が生まれやすい状況をつくるということは極めて重大な問題ではないかと私は考えているところでございます。
  83. 松本善明

    松本(善)委員 今、政治改革ができない、合意をしなければ政治改革はできないと言われましたが、それは選挙制度を変えるということについての合意ができないということだと思うのですけれども、先ほど読み上げましたこの九一年八月の石田委員長の本会議での発言では、小選挙区制導入をもって政治改革にすりかえようとしている姿勢、これを厳しく批判をするというふうに言われました。  今のお話は、政治改革というのを選挙制度にすりかえるという当時の石田委員長の言っていたことのとおりを言われているのではないかというふうに思いますが、全体の中で、石田委員長が言われるのは、やはりあの当時と情勢が変わったんだ、そういうことを言われているように思います。  その点について公明新聞もそのようなことを書いております。ことしの七月二十九日の公明新聞では、「なぜ公明党は、衆院の選挙制度改革案として「並立制」導入を党議決定したのか」という解説が載っておりまして、いわばその中心部分を大きな字でゴシックで述べております。そこを読んでみますと、「並立制は自民一党支配下では独裁を固定化するが、自民、非自民の二大勢力の下では二大政党的な方向へ政界再編を促す。非自民連立政権が確実になった今、「改革の合意をつくる」ことこそ重要と判断」、こういうふうに言われておるわけです。  これでいきますと、同じ制度でも自民党がやったらば悪い、自分たちがやればいい制度だ、こういうことになるのではないか。そういうようなことで選挙制度を論じていいものだろうか。情勢が変わったから、かつては非常に悪い、重大な欠陥がある、民主主義の観点から見て民主政治の公正の原則に完全に背を向ける、こういうふうに言っていたものが、情勢が変わって自民党政権でなくなった。自民党がやればそういうことになるけれども、自分たちがやればいい制度なんだ、こういうような議論で選挙制度を論じていいものだろうか。  これからの政治状況を見ますと、何も連立政権が永久に続くわけではない。場合によっては自民党政権がまたできるということもあるかもしれません。また別の政権ができるかもしれません。そのすべてが、どのような政権ができようとも、選挙制度が本来の民主的なものであるかどうかということを基準に論議をしなければならないのじゃないか。自民党がやれば悪い、自分たちがやればいい、こういう議論は私は正しくないのではないかというふうに思いますが、総務庁長官の御見解を伺っておきたいと思います。
  84. 石田幸四郎

    石田国務大臣 選挙制度の問題につきましては、松本先生承知のとおりでございますが、それぞれの選挙制度にはそれぞれの欠陥があるということではないかと思うわけでございます。もうかなり前からいろいろな議論が行われているわけでございまして、その議論の過程の中でいろいろそれぞれの立場に従って選挙制度の批判をするということはもちろんございました。したがいまして、どれが一〇〇%いい選挙制度という問題はないわけでございますから、それぞれの欠陥をやはり補正していく考え方というのも当然私はあってしかるべきだというふうに思うのでございます。  そういった意味におきまして、私どもが今回提案をいたしておりますのは、二百五十、二百五十、二票制というようなところで各党の合意を得たわけでございますから、松本先生指摘のように、並立制が悪いと言ったからとおっしゃいますけれども、それも何といいますか、欠点は是正されているわけです。  例えば連用制の問題を考えましても、あれはなぜそこでまとめたかと言いますけれども、それぞれの各党の努力もございましたが、私は連用制そのものもやはり本質的には並立制の方へ寄ったものであろうというふうに思いました。しかし、名前が連用制ということでございますから、この議論は余りそのときには行われなかったのでございますけれども、そういった意味におきまして、ぎりぎりの妥協ができる制度というものは、やはり私たち政党がまさに国民の皆さんの信頼にこたえなければならないというところで、私はそうあるべきものだというふうに思っておるところでございます。
  85. 松本善明

    松本(善)委員 選挙制度は確かにいろいろな見方がありますから、一〇〇%完璧なものはないという言い方もあるいはできるかもしれませんけれども、石田委員長が九一年八月の本会議で言われたことは、並立制は重大かつ基本的な欠陥があるというのですよ。本質的には小選挙区制であり、重大かつ基本的な欠陥がある、民主政治の公正の原則に完全に背を向けるというのですよ。これは何らかの是正によって直るよう宣言葉ではないのじゃないですか。本質的にこれは間違った、よくない制度だということ、私は、この見解が間違ったんだということを言われるならば、それが正しいかどうかは別として、一応筋は通ると思うのですよ。根本的な欠陥だ、重大かつ基本的な欠陥だ、民主政治の公正の原則に完全に背を向ける、これは何らかいじっただけで変わるようなものではないという発言なんですよ。  総務庁長官はこの発言が間違いだということをお認めになりますかどうか。
  86. 石田幸四郎

    石田国務大臣 選挙制度については単純小選挙区制という議論もないわけではございませんね。その単純小選挙区制であってはまさに独裁政治が成立をしてしまうわけでありますから、そういった意味で民意の反映というようなことも重要視をしなければならない。ただ、これが三百、百七十一の中で一票制ということになりますと、やはり私は、単純小選挙区制により近い、そういう性格を当時持っていたものだというふうに認識をいたしてそういう発言をいたしたものでございます。
  87. 松本善明

    松本(善)委員 結局石田さんの御見解は、数が変わった、それから二票制だ、だから重大かつ基本的な欠陥も、それから民主政治の公正の原則に完全に背を向けたという欠陥も直ったんだ、こういうふうに伺ってよろしいですかな。今のお話ではそういうふうに受け取れますが。
  88. 石田幸四郎

    石田国務大臣 私は相当是正されたものだと確信をいたしております。
  89. 松本善明

    松本(善)委員 とても納得できるものではございませんけれども、押し問答をしてもしようがありませんので、もう一つお聞きいたします。  委員長は総選挙のときに選挙公報で企業・団体献金禁止を公約しておられました。ところが今度はこの点では、政党に対する企業・団体献金は禁止をしない、それから政治家個人に対するものももうたくさんの抜け穴が指摘をされています。政党の支部をつくるとか政党を通じてやるとか、あるいはパーティー券の販売というようなことで事実上は政治家個人に対する献金もそのまま存続。自民党案は全部存続ですけれども、まだその方が正直で、国民にはこれがいいかどうかという。  しかし与党案の場合には、それがごまかされて、だまされて、何か禁止をしたような形をとりながら実際は自民党案と全く同じという点ではもう一歩悪い点があるのではないかというふうに思いますけれども、私どもはやはり企業・団体献金禁止を直ちにやるべきだというふうに考えているのです。  九三年三月二十日付の公明新聞で市川書記長が、  自民党が衆院で過半数を取っている現状では、  自民党がある程度賛成する選挙制度、あるいは  賛成せざるを得ない選挙制度を考えないと、政  治腐敗の元凶である企業献金の廃止という改革  をはじめ、政治の抜本的な改革も一向に進まな  い。従って、選挙制度の改革という共通の土俵  をつくり、野党もこの土俵に乗って、諸改革を  やろうというのが筋だ と言っているのです。要するに小選挙区制の問題で自民党の土俵にのらないと企業献金の禁止のめどが立たないのだ、だから今までも反対していた並立制に賛成をしたのだという趣旨のことを述べておられます。  しかし実際には、先ほど申しましたように、企業献金、団体献金の禁止という方向にはいかない。これは二重に選挙公約を裏切ったことになるのではないでしょうか。この点についての石田公明党委員長の御見解を伺いたいと思います。
  90. 石田幸四郎

    石田国務大臣 この企業・団体の献金の問題については、私どもも早くから全面禁止を主張してきたところでございます。先ほど来申し上げておりますように、政治改革ができるかできないかというこの千載一遇のチャンスの中で、私はやはりどうしても国民の皆さんの期待にこたえなければならぬという気持ちを強く持っているわけでございます。  そうしてみますと、この連立政権の中でも従来そういった企業・団体献金を受けてきた政党もあるわけでございますから、禁止をしたいということは、もちろん私たちはそれを強く願ってきたし、自分たちも実行してきたわけでございますが、やはり全体の土俵をつくるための共通性のあるそういう法案をつくるためには、そういった方々の考え方というものもしんしゃくをせざるを得ないわけで、それが直ちに公約違反というわけにはまいらないと私は思うのでございます。  やはり将来目標としては、私たちはそういった意思を強く持っておりますけれども、今までのそれぞれの政党の成長の過程があるわけでございますから、その成長の過程を全部、一〇〇%だめというようなことでは現実的に政治改革を進めることはできないわけでございますので、そういった意味の妥協というのはやむを得ない、やはり一歩前進、二歩前進の改革というものが政治の手法として大事であろうと私は確信をいたしておるところでございます。
  91. 松本善明

    松本(善)委員 納得できませんけれども法案について質疑をしたいと思います。  我が党は、行政の公正で民主的な運営を確保するために、国民の権利擁護と行政参加の手続を規定する行政手続法が必要だというふうに考えております。政府提出法案は、本来のあるべき行政手続法から見ますと非常に不十分な点が多いものでありますが、全体としては改善的な措置だというふうに考えております。  しかし、既に要綱が発表されたり法案が発表されてから多くの民間からの意見が出ています。岡山大学の原野教授を座長といたしまして、多くの行政法学者が参加をする行政手続法対案研究会というのが対案も発表をしております。日本弁護士連合会、日本税理士連合会、行政書士会などもそれぞれ意見を出しております。この問題点の極めて多い行政手続法、前国会で自民党内閣提出をしましたが、その後もいろいろの意見が出てきております。  長官は、民間から出たこういうような意見を検討されたのでありましょうか。それとも、この点でも自民党の政策を継承するということでこの法案をお出しになったのでありますか、お聞きしたいと思います。  ちょっと待ってください。連立与党の中では政府委員の答弁をやめようじゃないか、政治家が答えるようにしようじゃないかと。法案の準備まで総務庁がやろうとしているというふうに報道もされております。できるだけ総務庁長官が政治家としてお答えをいただきたい。やむを得ない場合はやむを得ませんけれども、やはり民間の意見が出ている、それを長官個人として検討されたのか、そして連立与党としてはこの点についても自民党の政策を継承するのか、それは事務当局が答えなくても答えられると思います。
  92. 石田幸四郎

    石田国務大臣 この行政手続法については、前国会におきまして解散・総選挙があってつぶれてしまったという経過があるわけでございますので、やはり行政手続法の今回の一つのねらい目といいますか、それは行政手続の相手方である国民の権利利益に直接かかわる分野において手続法制の整備を優先させることが大事だというような観点でこの法案の趣旨があるわけでございますので、私どもは、そういった前回の法案審議未了でつぶれてしまったという経過の中で、とりあえずこの目的を中心として、そしてこの行政手続法をまず進めるべきだというようなことでございますので、今御指摘のあったような問題については、また時間的にももちろん検討するだけの余裕もございませんので、いろいろな御意見は新聞あるいは学者の皆さんから伺ったことはございますけれども、とりあえずこの問題はこのまま再提出をさせていただいた、こういうことでございます。
  93. 松本善明

    松本(善)委員 それでは、総務庁としての意見を聞きたいのですが、この法律の目的の第一条に一は、「行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資すること」というのが目的として書かれております。この公正という概念の中にいわゆるデュープロセス、適正な手続とも言います、公正な手続とも言われていますけれども、この考え方というのは入っているのでありましょうか、どうでしょうか。
  94. 石田幸四郎

    石田国務大臣 細かいことについてはまた局長の方から答弁をさせていただきますけれども、申請に対する処分、不利益処分、行政指導、こういった問題については、先ほど来申し上げております国民の権利利益に直接かかわる分野でございますから、そういったことがこの法案によってさらに整備をされて公平性というものが確保できる、こういうふうに私は認識をいたしておるわけでございます。  特に行政指導等におきましては、今まで口頭で行われていたことがございます。そういった問題についてるる不満が出ているような状況、そういったものをこの行政手続法によって改めていくわけでございますから、公平性はさらに一歩大きく確保される、こんなふうに考えているところでございます。
  95. 八木俊道

    ○八木政府委員 実務から一言補足をさせていただきたいと存じます。(松本(善)委員「デュープロセスね」と呼ぶ)はい。委員御指摘行政運営における公正という概念でございます。  この法案の基本的な概念でございますが、これにつきましては、御指摘のデュープロセス、英米法系のデュープロセスという考え方と合わせまして大陸法系の法律のもとにおける行政、その考え方を含ませまして立案をされたものでございます。
  96. 松本善明

    松本(善)委員 それとも関係をいたしますが、一九九二年七月一日の最高裁大法廷判決が、「憲法三十一条の定める法廷手続の保障は、直接には刑事手続に関するものであるが、行政手続については、それが刑事手続ではないとの理由のみで、そのすべてが当然に同条による保障の枠外にあると判断することは相当ではない。」と判示をしています。この解釈についてはいろいろありますけれども、少なくとも憲法三十一条が刑事手続に限られるものではないということに言及している点で最高裁判例としては初めてであり、大法廷のものだけに極めて重要だと思います。  憲法三十一条が行政手続に適用されるかどうかについてはいろいろ説があるわけですけれども、行政庁としては、この適用になる範囲について検討し、立法に生かすべきではないかと思いますが、行政管理局長の答弁を求めます。
  97. 八木俊道

    ○八木政府委員 日本国憲法のもとにおける行政諸法規の立案、これが政府の基本的スタンスでございまして、最高裁判例その他につきましても、私ども当然重要な基礎として考えるべきことはもちろんでございますが、今回の法律案の立案に当たりましては、国民の権利義務に直接関係する行政手続につきまして、まずこれを明快な手続の上にのせる、この点を基本に据えまして立案手続をとったところでございます。
  98. 松本善明

    松本(善)委員 目的に透明性ということがございます。それで、透明性との関係でちょっと伺いたいのですが、情報公開法を総務庁で準備をしているということが報道をされております。二年ぐらいの間にも提案をしたいというようなことまで言われておりますが、情報公開法の準備についてどうなっておるか、お聞かせいただきたいと思います。
  99. 石田幸四郎

    石田国務大臣 具体的にはまだ着手しているわけではございません。この行政手続法が成立をいたしますれば、今申し上げました行政上のそういった透明性や公正が確保されるわけでございますので、まずこれを十分に国民の皆さんに御理解をいただくことが重要であろうというふうに思っているところでございます。  ただ、情報公開そのものについては今までも総務庁として格段努力をしてきたわけでございますが、なお法律としての役割の重要性を、多くの方々がその必要性を述べておられるわけでございます。そのことを私どもとしては重視をしておりまして、これから検討すべき課題であるというふうに認識をいたしているところでございます。  ただ、今までの行政手続法審議にも大変な精査の時間が必要でございましたし、各方面の意見を集約するためにも大変な時間がかかりました。ひょっとしますと、この情報公開法はさらにまた範囲が広い問題でございますので、やはり相当な取り組みの仕組みも必要でございましょうし、かなりの精査をする時間、そういったものが必要ではないか。そう簡単にとんとんいくようにはなかなか思えませんので、いずれにいたしましても重要な検討課題と思ってこれから勉強させていただく、こういうところでございます。
  100. 八木俊道

    ○八木政府委員 若干実務的な観点から補足をさせていただきます。  政府の行政情報公開に関する取り組みといたしましては、文書閲覧窓口、文書公開基準、行政運営上の二つの仕組みを持っているわけでございます。今回の行政手続法案におきましては、七点にわたりまして国民の権利義務に関連する行政庁の活動につきましてのいわば公開条項、審査基準の公開、理由明示等を定めているわけでございます。当面、この行政手続法案におきます国民の権利義務に関連する情報公開というものをまずしっかりやっていく、これがまずとりあえずの課題ではないかと考えている次第でございます。
  101. 松本善明

    松本(善)委員 先ほど長官が言われたのは、要するに、もちろんたくさんの問題がありますから簡単にいくものではありませんけれども、検討を開始するというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  102. 石田幸四郎

    石田国務大臣 そのようにお受け取りいただいて結構だと思います。
  103. 松本善明

    松本(善)委員 先ほど行政管理局長がこの法案について同僚委員の質問に答えて、民主的な行政をこの法律によってやっていくのだという趣旨のことを答弁をされました。これまで政府サイドの第一臨調、第二臨調、行政手続法第一次、第二次研究会などが提案をしてまいりました手続法案の中には、目的の中に民主的という用語が入っていたのですよ。あるいは、その立場をはっきりさせていたのです。今回の法案には民主的という用語は一切ないのですね。これは一体どういうわけなのでしょうか。この目的の中には民主的という言葉の意味が含まれているのでしょうか。
  104. 八木俊道

    ○八木政府委員 ただいま委員御指摘行政手続法に関する歴史的な経過を見ますと、三十九年の第一次の臨時行政調査会答申、この考え方は、行政の民主化、能率化、この二つの価値観を持っていたわけでございます。その中にありまして、最初の試みとしての行政手続法案の提言があったわけでございます。その意味では、政府側の検討も、その基本においては、憲法原則でありますところの民主主義の問題というものがその底に流れていることは歴史的にも事実でございます。  ただ、今回法律案の具体的な提案理由として申し上げているのは、公正、透明ということでございます。各般の行政運営の段階におきまして公開措置、開示措置を講じていくということが、結局のところ、行政の民主化に資するものではないかと私は考えている次第でございます。
  105. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると、民主的な行政という考え方はそこに流れているということですね。そうだというふうにちょっと答弁してください。一言でもいい。
  106. 八木俊道

    ○八木政府委員 おっしゃるとおりでございまして、行政の基本的な理念としてその民主性と能率性あるいは民主性と効率性、これが戦後の行政を貫いてきた基本的な考え方ではなかろうかと考えている次第でございますが、現在の法案の御説明といたしましては、公正、透明、これが中心になる価値観であるということでございます。
  107. 松本善明

    松本(善)委員 法案には透明性の定義について、「行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう。」というふうにしております。これは、透明性というのが先ほど来の答弁の中にも出ているのですが、国際的な批判があり、市場開放要求との関係もありというようなことがいろいろ言われております。この透明性が外国からの市場参入にとっての透明性であったり、大企業ができるだけ規制を抑制しようとする意図のもとでの透明性であったのではいけないのではないかと私は思います。大事なことは、だれにとっての透明性なのか、主権者である日本国民にとっての透明性となり得るのかどうか、この点はどうでしょうか。
  108. 石田幸四郎

    石田国務大臣 これは御指摘を受けるまでもなく、外国のそういった何らかの強制的な手段によって行政手続法整備されるというようなものではないわけでございまして、先ほど来お話が出ておりますように、昭和三十九年以来ずっと検討して、しかも先進国全体の大きなそういう研究の成果も進んでいる、そういう行政のさまざまな問題に対する取り組みの中で考えられ、しかもいろいろな行革審の委員の御意見等をちょうだいしながらこの行政手続法がそこまで来たものだというふうに私は理解をいたしております。  特に私も議員の一人でございますから、地方においてもさまざまなこういう行政手続に関する不平不満を承ったこともございますし、また、そういったことでこの衆議院の中でもいろいろ御議論があったことと思うのでございますけれども、そういったさまざまな議論の集約の中に今こういった手続法が御審議をいただく段階に来ている、このように受けとめているわけでございまして、あくまでもこれは国民の皆さんの御要請、こういうふうにお受けとめいただければありがたいと思います。
  109. 松本善明

    松本(善)委員 そうあってほしいと思うのですけれども、実際の経過を見ますと、この民主的という言葉が消えて透明性というふうになってきたのは、アメリカの市場開放要求だとかアメリカや日本の財界から規制緩和要求が強まった時期以降のことで一致をしているのですね。  国際的な批判が高まったということは、先ほど来の答弁の中でもありましたし、またこの提案理由説明の中でも石田長官が言われたことでありますが、前の行政手続法制定準備室長の関斉一氏が法律時報の九三年五月号で次のように言っております。「公的規制緩和の推進という流れの中で、行政手続法制を整備することが非常に重要なものと認識され、ここに至りその法制化の動きが一気に加速されたのであった。」今まで進まなかったのが、アメリカの市場開放要求でありますとか規制緩和の要求が出てきてこういう答申が出たり、あるいは法律案要綱ができて提案ということになってきたのではないか。時期的に見るとやはりそう見ざるを得ない。  それで、結果として今私ども非常に不十分な、先ほども公明党の委員が質問をされていましたけれども、透明性、公正という点では行政のあらゆる分野にわたるべきである、非常に不十分だということを質問されておりましたけれども、そういうことになったのはアメリカの市場開放要求だとか財界などの規制緩和の要求、これに急いで応ずる必要があるということで、対象も狭いし適用除外も多いというそういう極めて不十分な手続法の制定になったのではないかと思うのです。なぜこのように非常に対象も狭く、そして適用除外も非常に多いということになったのか、その背景を説明してもらいたいと思います。  特に政府提出法案は、臨調答申でも言っていますが、今回は国民の権利利益の分野にした。今回はと言っているということは、次回以降のことももちろん考えている。いわばそういうことを、法案提案に当たって今回はというような言質を残しているというのは異例なことだと思うのですね。言うならば、私は見切り発車をしたんじゃないか、こういうふうにも思うのでありますが、法案提出の背景について御説明をいただきたいと思います。
  110. 八木俊道

    ○八木政府委員 お尋ねの第一点は、これが専ら国際的な要因ではないか、こういうことであろうかと存じますが、この点につきましては、まず基本的な考え方といたしまして、今回の法律案の作業は昭和五十八年の臨時行政調査会、第二次の臨時行政調査会の答申から始まったわけでございますが、その中におきまして、行政における信頼件の確保、効率化、簡素化、総合化とともに信頼件の確保と四つの原因がございます。その信頼性の確保という要請がまずこの立案作業の最初の大きな引き金になったということでございまして、我が国行政自体を真剣に見詰め直す過程での問題意識、こういうことではなかったかと考える次第でございます。その意味での行政改革の基本施策である。  もちろん、国際要因が全くなかったかといえば、それはそうではないと存じます。地球規模において経済社会の活動が極めて活発化した今日の国際社会におきましては、対外的にもわかりやすい行政でなければいけない、これが国際社会に生きる今後の日本の社会経済のあり方ではなかろうか。その意味では一つの重要な要素であったことは間違いのないところでございますが、基本的には我が国行政自体を点検する過程でこの際行政手続法を制定すべきである、こういうところに至ったのが実態であったなと考える次第でございます。     〔委員長退席、田口委員長代理着席〕
  111. 松本善明

    松本(善)委員 経過からするとかなり重要な要素が国際的な批判であるということは認められましたが、相当大きいものではないか。でなければ、もっと国民の行政にかかわる広い分野についてやってもよかったのではないかというふうに思うのですが、行政立法でありますとか行政計画が対象から外されている、それから広範な適用除外もあるということでありました。  今回はということでありますので、次回は早急にそれらの問題点を検討して立法を考えるということではないかと思いますが、その点はいかがでございましょうか。総務庁長官と行政管理局長の両方に。
  112. 石田幸四郎

    石田国務大臣 将来整備を図るべき課題というのはまだたくさんあると思うのでございますね。昭和五十八年三月十四日に臨調答申が出たのでございますが、そこでも幾つかの問題が指摘をされているところでございます。行政手続の統一的な整備を図ることの検討課題として、行政立法、計画策定、行政調査、行政契約、行政強制、そういったものが指摘をされておるところでございます。  また、平成三年の十二月十二日の行革審の答申におきましては、いわゆる政省令の問題、この命令制定手続や計画策定手続についてはなお検討すべき課題が多く残されておる、将来において検討すべき課題だ、早急な法制化は困難であるというようなそういう答申をいただいておるわけでございまして、そういった問題について将来ともに検討をしなければならないだろうとは思いますが、今すぐ手がつくような状況ではない、このように判断をいたしているところでございます。
  113. 八木俊道

    ○八木政府委員 申し上げますが、臨時行政改革推進審議会の答申におきましては、行政手続の整備につきましては国民の権利義務に直接かかわる分野について優先的に手続の整備を図る、これがスタンスでございまして、まさに答申の線でございますが、その他の問題につきましては、もちろんさまざまな御議論があることは承知をいたしておるところでございます。ただ、これを共通法制として取り扱うべきかどうか。例えて申しますと、計画策定手続のような分野におきましては、これは例えば地域開発でございますとか環境問題でございますとか、個別具体の分野でいろいろと御論議が積み重ねられている経緯もあるようでございます。  今後の法制のあり方につきましては、政府部内におきましても十分研究してまいりたいと考えている次第でございます。
  114. 松本善明

    松本(善)委員 総務庁長官、これから不十分な点を補うことがいっぱいあるんだ、あるんだが、今すぐ手がつく状況ではないというお話でございましたけれども、やはり検討は進めないといけないんじゃないか。そういう点で言えば、総務庁の中で、この法案が成立するということになってもさらに行政の各分野にわたって何らかの見直しをするということが必要ではないかと思うのです。そういうお考えがあるかどうか、また、それを進めていく保障になるような何らかの措置をおとりになる考えがあるかどうか伺いたいと思います。
  115. 石田幸四郎

    石田国務大臣 この点については、例えば規制緩和一つを取り上げましても、間断なくこれから整備をしていかなければならない問題でございます。  そこで、御存じのとおり、一万九百四十二件の一割削減ということを既に前内閣のときに方針として出しておりますので、今これをことしじゅうにどうしてもやっていただきたいということで各省庁にずっとお願いをしているわけでございます。  しかし、それだけではまだ十分ではないのではないかというふうに思っておりまして、私としましては、特に許認可事項の中での報告とか届け出とかそういうような細かい問題を実質的に改善をしていく必要があるのではないか、これを強力に実は推進をしたいと思っているわけでございます。  例えば、いろいろな届け出がございますけれども、三カ月ごとに、半年ごとに届けなければならない。あるいはデパートあたりで売り場を二階から三階に移すだけでも、これは要するに届け出が必要なわけでございます。そういうような細かい問題が、逆にそれぞれの諸活動の阻害要因になっている。そういった点ももう少し重視して考えていけば、仮に一万九百四十二件そのものが減らなくたって、かなりの実質的な規制緩和につながっていく、こういうようなことをこれから真剣に考えていくべきだ、私はそのように心得て役所にも指示をいたしておるところでございます。
  116. 松本善明

    松本(善)委員 行政の全分野について見直しを進められることを要望しておきたいと思いますが、この法案は、対象を行政処分に限定して、行政立法や行政計画が外れている。国民参加という民主主義的な見地の分が外れているということは今指摘したとおりであります。行政処分に限定をしていますが、その処分についても適用除外の規定を設けておりまして、本法で十六事項の行政分野、整備法では百十その個別法律を適用除外にしております。  この法案の目的であります行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るということは行政の全分野に貫かれなければならないことではないだろうか。先ほど公明党の委員が全分野についてこの精神で見直しが必要なんじゃないかということを指摘をされましたが、質問はされませんでした。  私は、時期はいろいろ、何でもすぐにできるというわけではありませんけれども、この精神、公正の確保と透明性の向上を図るという精神、あるいは先ほど背景に流れているという民主的な行政、そういう精神というのは行政の全分野に貫かれなければならない性質のものではないかと思いますが、総務庁長官の御答弁をいただきたいと思います。
  117. 石田幸四郎

    石田国務大臣 基本的には松本先生お考えのとおりだと思うのでございますが、やはり現実に一つ一つの行政権の行使等を考えてみますと、それになじまないもの、そういったものもあろうかと思うのでございます。例えば、特別の規律で律せられている関係が認められるもの、公務員に対するもの、学生に対するもの、受刑者等に対するもの、あるいは外国人の受け入れ等の問題に関するもの、そういったもので特別に規定が行われておるわけでございまして、これはやはり適用除外にしておかないとならないというような考え方が私はそこに出てきているものだというふうに思うのでございます。  一つだけ例を申し上げましたけれども、具体的な個々の問題については管理局長の方から答弁をさせたいと存じます。
  118. 八木俊道

    ○八木政府委員 補足して御説明を申し上げます。  今回の整備法案におきまして適用除外といたしておるものが相当数あることは事実でございますが、これに関連いたしましても、必要に応じまして新たな規定を整備しているものが多数ございます。  例えて申しますと、補助金等の交付決定の取り消し等の処分手続につきましては、整備法案の六十条等におきまして規定を補強をいたしておりますし、学校法人、在宅福祉サービス、森林病害虫の駆除命令等につきましても、それぞれ規定の補強を行っているところでございます。さらに、行政手続法案の適用除外につきましては、これは個々の行政分野の特殊性、処分上真に必要やむを得ないと考えられる特殊性を理由といたしまして適用除外をしているわけでございますけれども、適用除外をしてあるからと申しましても、必ずしも手続的な保障が全くないものであったり、または、そもそも手続が不要であるということではございませんで、それぞれ当該行政分野に応じました行政手続が設定されているという理解をいたしているところでございます。
  119. 松本善明

    松本(善)委員 総務庁長官が言われました、特別の規律で律せられる関係とか行政手続法の諸規定の適用になじまないものということも挙げられましたけれども、これさえも、答申の解説によりますれば、これも「同様の観点」、要するに目的の公正の確保と透明性の向上を図るという観点で「それぞれの業務の性質に応じた必要な見直しが行われることが望ましい」と。全分野についてやはりこの機会に見直すべきだと思うのですよ、本当に民主的な行政という観点から。  このことは、例えば日本弁護士連合会とか日本税理士連合会なども要望していますし、経団連もそういうふうに言っています。日弁連は、適用除外は最小限にすべきだ。経団連の言葉を言うと、行政手続法が骨抜きにならないように適用除外は極力絞るべきだ。総務庁長官政府案に対して、圧倒的な関係諸団体は適用除外はできるだけ少なくしてほしいということを要望しているのではないかと私は思います。適用除外をうんとふやせというようなことを要求している民間団体があるでしょうか。お聞きしたいと思います。
  120. 石田幸四郎

    石田国務大臣 それはまあ寡聞にして存じ上げませんけれども、やはりこういう行政手続法的なものをつくる場合は、私はそういうような御意見が多く出てくるであろうというふうに思います。しかし、今までの報告を聞いておりますと、かなり精査をした上で適用除外というものをつくっておるわけでございまして、ただ、松本先生が言われる御趣旨というのは十分私ども受けとめていかなければならない問題であろうと思います。
  121. 松本善明

    松本(善)委員 この問題をなぜ強調するかといいますと、個別に検討してみると、相対的に見ますと、産業界からの要請に基づく手続的保護は手厚くて、これに対して市民生活上の手続的保護については冷たいというのを結果的には言わざるを得ないのではないか。  整備法では福祉の措置に関する処分として六法律が除外をされております。身体障害児や精薄児童の施設への入所措置の解除処分、生活保護の停止、廃止処分などであります。先ほど公明党の委員が税の関係について、排除は納得できないということを大蔵省に言っておられましたけれども、人の身分、人権、生きる権利にかかわる重要な処分については適用除外にするのは問題なんだと思います。こういう分野ほど適用すべきなのではないかと思います。これは政治家としての総務庁長官にお聞きをしたいと思います。
  122. 石田幸四郎

    石田国務大臣 まだ個々の問題については十分検討すべき余地があると思うのでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、適用除外というものは、もちろんこれは立法側の準備をいたした事務局が恣意的にやったものではございませんし、やはり行革審の指摘に従って、この行政手続法の規定の適用にはなじまないというふうに考えられるもの、そういうような角度で適用除外措置が講じられておるわけでございます。ですから、この法案を成立をさせていただいて、ある程度実施状況を見ながら、そういう個別の問題でございますればなお検討の機会があるであろうと思っているところでございます。
  123. 松本善明

    松本(善)委員 税務行政の分野の適用除外というのも重大でありまして、先ほども公明党委員が質問をされて大蔵省の答弁も聞いておったのでありますけれども、国税通則法については従来から手続規定の不備が多くの学者から指摘をされております。納税者の権利にかかわる重要な点が適用除外になっていて、この点は日本弁護士連合会も日本税理士連合会も指摘をしている点であります。日本税理士連合会が指摘をするくらいでありますので、やはり税務署による納税者への人権無視の税務調査とか強権的な徴税攻勢というのは、事態が今非常に深刻になっていると私は思います。  長官が提案理由説明で、この法案の制定に至る経過として述べられた「行政庁の事前手続についてはこれまで一般法がなく、個別の法律による措置にゆだねられてきました。このため、従来から、事前手続における不備・不統一が生じていること、必要な手続規定が欠如しているものがあること等の指摘がされております。」こういうふうに述べられましたけれども、税の分野は適例の一つだと私は思います。  例えば、いわゆる質問検査権の行使、これは所得税法二百三十四条、法人税法百五十三条、百五十四条に規定がありますけれども、いずれも「調査について必要があるとき」という以上の規定がありません。だから、全く税務署員の恣意に任されておりまして、人権侵害の最もひどい分野になっている。  例えば、私が身近に体験した例を申し上げましても、昨年九月に起きました渋谷区の末永さんという女の方の調査の事例ですけれども、ひとり暮らしの女性なんですけれども、何ら事前の通知がなく調査に訪れてきて、外出しなければならないからと断ったにもかかわらず、調査官は家の中に入り込んで強引な調査をした。通帳の提出を要求して、たんすの引き出しを勝手にあける。寝室までぴたりと張りついて入ってくる。ひとり暮らしの女の人の寝室に入ってくる。あるいはまだ申告の対象にもなっていないその年の、一九九二年の帳簿を持ち去る。およそ人権を無視したやり方です。そのときの申告の対象にもなっていない帳簿を持っていくなんというのはよほど強権的なやり方であるということの証明なんですね。警察官は令状がなくしては現行犯逮捕のとき以外住居に入ることも押収することもできません。ところが、税務署員は全く勝手にやっている。脱税犯の捜査の対象になったときには令状がいるのに、そこまでいかない税務調査で勝手に何でも持っていくということは到底許されないと思うのですね。  これは事前の手続が不備だからなんですよ。総務庁長官提案理由で言われました、まさに事前手続についての一般法がない、ここがやはり最大の原因になっていると思います。こういう問題はやはり考えなければいけない。こういう問題は是正する、まさに行政手続法の精神で見直すべきであると総務庁長官、お考えになりませんか。
  124. 石田幸四郎

    石田国務大臣 そういった個々の事例の中で、大変人権の侵害と思われるような行動があったという御指摘でございます。  ただ、私が思いますに、今度こういう行政手続法ができるわけでございますから、それぞれの関係省庁がそれに基づいて規定を整備していくのだと思うのでございます。そういうことがないことを心から期待をいたしたいと存じます。
  125. 松本善明

    松本(善)委員 そういたしますと、先ほどの大蔵省の税制第三課長かな、答弁されたのではそういう方向でないのですよ。総務庁長官は閣議で行政手続法の精神に従って各省庁は見直すべきだということを主張されますか。
  126. 石田幸四郎

    石田国務大臣 この行政手続法が審査をいただきまして成立をしたときには、その基本的な各省庁への心構えについては、私も十分主張をいたしたいと存じます。
  127. 松本善明

    松本(善)委員 欧米各国では、例えばアメリカでは納税者の権利章典、フランスでは税務調査に関する憲章、イギリスでは納税者憲章、カナダでは納税者の権利宣言などを制定しておりまして、納税者の権利が保障をされております。  アメリカの場合は、ちょっと紹介をいたしますと、内国歳入法に付加された一九八八年の納税者の権利章典によりますと、「税務調査についてはわかりやすい言葉で書かれた通知書を用意しなければならない。」それで、内国歳入庁が発行いたします「納税者としてのあなたの権利」というパンフレットでは、調査について「あなたは自分と内国歳入庁両方に都合のよい時間と場所を設定することができます。」そして、税務調査の通知書、コンタクトレターには「アポイントメントの日時、場所があなたの都合が悪いときにはもっと都合のよいように調整することができますので、私に連絡してください。」となっているのですね。  日本の場合は、事前に通知もなしにわあっと行って、いわば襲うという言葉が使われますけれども、まさにそんな状況なんですよ。総務庁長官、アメリカのような方向に日本の税務調査も持っていくべきではないかと思いますが、御見解を伺いたいと思います。
  128. 石田幸四郎

    石田国務大臣 この問題は、まさに個別の、大蔵省、国税庁の問題でございますので、そちらの担当官の方から意見を申し述べるのが妥当かと存じます。
  129. 松本善明

    松本(善)委員 それも聞きますけれども、細川内閣では個人の見解を結構多用されますから、政治家としての総務庁長官の御見解も伺った上で大蔵省の答弁を聞きたいと思います。いかがでしょう。
  130. 石田幸四郎

    石田国務大臣 税制の問題はいろいろな角度からの議論が実はあるわけですね。それは、国税庁の職員を大幅にふやせば税収がまた大幅に期待できるという御意見もあります。また、これはある有名な方でございますけれども日本のそういった納税の仕組みというのは、特に会社等に勤めておりますと所得税等は会社の方で一括して処理をしてくれることになっておるわけでございますけれども、しかし、税制というものはまさに社会生活の基本であるから個人個人が申請をすべきである、そこで初めて税に対する関心も生まれ、民主主義も育つのだ、そういう御意見をおっしゃる方もおります。  ただ、これを実際に今度は日本の税制の仕組みの中へ取り入れるといたしますと、これはもう大変な職員の増大がなければ対応できないわけでございますので、そういうもろもろの問題も考え合わせて、やはり今までの流れも十分検討しながら改善を進めていくべき問題ではないかと考えておるところでございます。
  131. 船橋晴雄

    ○船橋説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の渋谷区の事案でございますけれども、きょう突然のお尋ねでございますので、私どもつまびらかにここで承知はしてございません。  一般論として申し上げますならば、事前通知につきましては、原則として調査日時を税務署と納税者との間であらかじめ通知をし、取り交わして行っているということでございます。もちろん調査を円滑に行う際に、例えば現金商売でございますとかそういうことで支障があると考えられる事案もこれまた現にあるわけでございまして、そうした場合には通知なしに調査に赴く場合もございますけれども、原則としてはそういう形で調査をさせていただいているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
  132. 松本善明

    松本(善)委員 それがやられていればそんな問題にはならないのですよ。  例えば日本税理士連合会がこの問題について、この事前手続の規定の不十分さを指摘をして要望していますが、例えば、質問検査権の行使に際しての事前通知、調査理由及び調査の範囲の開示、調査終了時の諸手続及び更正または決定の理由付記、審査請求時の調査記録の閲覧等について具体的な範囲や限界などを明確にして納税者及び代理人の身分保障を確立する必要があるというような具体的なものを挙げています。これは、質問検査権の行使についての事前通知をわざわざ日本税理士連合会が挙げて言っているということは、今の国税庁総務課長の答弁は、報告はいいような報告だけで実態をつかんでいないかあるいは、いずれにしても実態に合わない答弁ですよ。それは日本税理士連合会がそういうことを要望しているということだけでも明らかだと思うのです。  それで、この点について、税制の分野を適用除外とすることについて異議を述べている人はたくさんあります。例えば、納税者の権利憲章をつくる会、通称TCフォーラム準備会というのですが、これは、京都大学教授の池上惇さん、前の茨城大学教授の大江志乃夫さん、あるいは埼玉大学名誉教授の暉峻淑子さんなど学者だとか、三十七万人が構成員である全国商工団体連合会、これは中小業者の組織、それから全国建設労働組合総連合、構成員六十五万人、これは中立系の大きな職人さんの組合、これらが皆入っていますけれども、このTCフォーラムが行政手続法案に対する要望書を出しまして、国税通則法の全面的な見直しを要望しております。私たちの党も、日本共産党も、昨年二月に納税者憲章の制定を提案をしております。諸外国のように納税者の権利を守るということをやるべきだということを提案をしております。  先ほど総務庁長官お答えいただいたのでありますが、これはもう本当に非常に多くの人の要望でありますし、日本の税制の欧米諸国と比べて非常におくれている点でありますので、改めて総務庁長官の決意を伺いたいと思います。
  133. 石田幸四郎

    石田国務大臣 松本先生の御主張については十分承りました。いずれにいたしましても、大変難しい問題をはらんでいるわけでございますから、私としてもさまざまな方々の意見を十分にお伺いをして考えたい、このように存じます。
  134. 松本善明

    松本(善)委員 先ほど人手がたくさん要るというようなことも申されましたけれども、こういう行政手続法ができて行政がスムーズにいく、行政庁に対する不信感が取り払われるということが行政がスムーズにいくことにもなるのではないかというふうに思いますので、その点をつけ加えて申し上げておきたいと思います。     〔田口委員長代理退席、委員長着席〕  具体的なことなんですが、行政指導の除外でありますけれども、修正申告の慫慂をする、これは方々でやられています。これは総務庁長官も、別に専門的な知識は要りません、だれでも知っていることですけれども、この修正申告をいたしますと、納税義務者が不服申し立てたとか訴訟をする道が閉ざされてしまうわけですね。そういうことだからこそこの行政手続法の適用が私は必要なんだというふうに思います。  行政指導についてはこうあります。三十二条に、「行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。」「行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。」三十五条は、「行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない。」「行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から前項に規定する事項を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。」  これは総務庁長官、どうですか。修正申告を慫慂するときに、強制ではない、それは従わなくても不利益はない、そして趣旨も内容責任者も明確にして、理由をちゃんと言ってくれと言ったら文書を出す、これは当たり前で、税務署、租税関係にあって一向に差し支えないし、なければならぬことだというふうに思いませんか。長官の御答弁をいただきたいと思います。その上で大蔵省のお話を聞きましょう。
  135. 石田幸四郎

    石田国務大臣 修正申告の問題について、しかしこれはあくまでも相対の中で行われるわけでございますから、仮に本人がその問題について全く不服であるという場合は断ることはできるし、また、それを押しつけられた場合にはまさに訴訟問題に発展をすべき問題であろうというふうに私は思います。  そんなことで、個人の権利というものは、そういった意味ではそういう行政手続に関して不服があればいろいろと対抗する手段もあるわけでございますので、そういった意味で、修正申告というのは相対で行われているうちはその範囲内であればこれはやむを得ないものかと存じます。
  136. 船橋晴雄

    ○船橋説明員 ただいま大臣お話しになられたとおりでございますが、補足さしていただきたいと思います。  先生お尋ねの修正申告の慫慂、これは税額の確定納付につきまして、納付すべき税額を一番よく知っている納税者の自主申告、自主納付を原則とする、これが申告納税制度の基本でございます。それを私どもが促しているというふうに認識しているわけでございます。  税務執行において、調査の結果、申告額が過少であるというようなことが判明した場合に、その調査結果を説明し、修正申告を慫慂する、これは納税者が調査額を納得して自主的にこの修正申告をするということが申告納税制度の精神にも沿うことになると考えて行っているわけでございます。決してそういう意味で強制しているものではございません。したがいまして、納税者の協力、御納得等が得られない場合には、法律に従って更正処分を行っているところでございます。そういったことでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  137. 松本善明

    松本(善)委員 もう一つ例を挙げて聞きますが、更正決定です。これは、それに理由を付記しないということには納税者の権利が守られないという問題がある。理由を付記しないと、例えば納税者が更正処分をされて異議申し立てをしたりあるいは国税不服審判所長に審査の請求をするという場合に、国税当局はその理由の根拠を失っていても別の理由で更正や決定処分を正当化するというようなこともできるわけです。推計課税の場合なんかは、特に税務当局に事実誤認があったという例も少なくありませんし、根拠が担造されたという疑いの極めて多いものさえございます。  これは十四条でありますが、「行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。」「行政庁は、前項ただし書の場合においては、当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければならない。」いずれにしても、理由を示すということがこの行政手続法では不利益処分の場合に非常に重要なものとして、それに対して弁明や聴聞の機会、そういうものを定めているわけであります。  更正決定についてもやはりそういうようなものが当然あってしかるべきです。いつでもすぐに事前にそれがなされているならば、この税に対する不服やいろんな問題が起こってこないんです。日本税理士連合会がこれらの問題について意見を言っているというのは、私は大変異常な事態だと思いますよ。そういう事態について、これも同様に現在これが行われていないことは明らかです。  しかし、先ほどの行政指導にしても、やはりこの行政手続法の精神でやるとか、あるいはもっと一歩進めて、このような法規で保障されるということが望ましいのではありませんか。総務庁長官にまず伺いたいと思います。それから大蔵省に聞きましょう。
  138. 石田幸四郎

    石田国務大臣 この行政手続法が成立をいたしますれば、この行政手続法の規定を各省庁が十分に検討してそれなりの行政手続を整備するものだというふうに私どもは確信をいたしているところでございます。
  139. 船橋晴雄

    ○船橋説明員 ただいま先生お尋ねの件は、更正決定についての理由の付記の点を御質問でございますが、実は青色申告にかかわる所得税について更正をいたします場合には、更正通知書に更正の理由を付記すべきことが所得税法によって義務づけられているわけでございます。これは青色申告にかかわる所得の計算は法定の帳簿書類、こういったものを正当につけているという前提をもちまして、その帳簿の記載を無視して更正することがないということを納税者に保障する趣旨によるものでございます。  しかしながら、白色申告にかかわる所得税の更正につきましてはこのような法律上の義務は課されておりません。しかしながら、これにつきまして更正の理由の付記をしないことについては、課税の能率、徴税事務の円滑等の見地から必ずしもそういう付記を要しないという判例もちょうだいしておりまして、私どもはこれで対応させていただきたいと考えている次第でございます。
  140. 松本善明

    松本(善)委員 判例の問題じゃないんですよ。新しく法律ができて、行政を全部変えようということなんですよ。そういう方に発想を転換しないといけない。  それで、青色申告のことを言いましたけれども、これはすべての行政分野に貫かれにゃならぬ、そういう方向なんだということを総務庁長官も言ったでしょう。やはりその精神をもう一度考えてほしいというふうに思います。  それで、大分時間がなくなってきたんですが、今まで質問したことでおわかりのように、適用除外については非常に問題が多いということがおわかりになったと思います。この法案の目的を損なわないようにするためにも、このすべての法律について行政手続法の趣旨を生かして運用させるべきではないかというふうに思うのが一点。  それから、今も再々総務庁長官がおっしゃいましたけれども、本来あるべき行政手続法の第一歩であるということであります。この次の法改正、各省庁が検討するものと確信するということでありますが、それらをあわせて、問題の多い適用除外の法律、事項も含めて検討されるかどうか、二点。  繰り返して申し上げますと、すべての法律についてこの精神で運用をするかすべきではないかということと、それから、各省庁が見直した上で次に法改正をするときにはこの適用除外の法律、事項を含めて検討されるかどうかということを総務庁長官に伺いたいと思います。
  141. 八木俊道

    ○八木政府委員 ただいま御提案申し上げております行政手続法案及びこれに関連する三百六十本にわたる改正法案の基本的な考え方は、行政全体を通ずる共通法制ということでございます。個別の特別な背景、理由あるいはまた制度体系を持ちます法制につきましては、精査の上、それぞれの個別法によるという扱い方をしたところも多いわけでございますが、法律案制定後におきましては、各省に手続法の趣旨をよく御説明申し上げまして、全体としての法制度の運用に遺憾なきを期してまいりたいというふうに考えている次第でございますが、何せ行政は膨大にわたるものでございます。相当程度の分野におきまして、大量反復的な手続におきましては若干の特別な法体系というものが存置されることは、これは行政のあり方として御理解いただけるのではないかと考えているところでございます。全体的な法制の運用につきましては、今回、院の御審議を伺いながらさらにまた勉強をいたしてまいりたいと存じます。
  142. 石田幸四郎

    石田国務大臣 この法律の施行については一年という期限を設けておるわけでございますから、その間において十分総務庁と各省庁との間でいろいろな意見交換をしながらこの法律の趣旨に従って整備をしていく、こういう十分な時間があるわけでございますから、できるだけ、この委員会におきます御意見等も踏まえて、また、そこら辺の話し合いはして、法律が制定されるわけですから、その運営に誤りなきを期してまいりたい、こう思います。
  143. 松本善明

    松本(善)委員 時間ですので終わりますが、質疑の中で明らかになりましたように、やはりまだ第一歩でまだまだ不十分なんだと思います。国会としても、私は、本来ならばやはり日本弁護士連合会とか日本税理士連合会とか対案を出した行政法学者などの広範な民間の批判的意見も聞いて慎重な審議をすべきではないかというふうに思っております。  私たちの党は、納税者憲章の制定を初め行政のすべての分野でやはり民主的で公正な行政が行われるようにしなければならない、そういうふうに私ども努力をいたしますが、政府がそのような趣旨で次の立法を行うことを要求をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  144. 左藤恵

    左藤委員長 次に、原田昇左右君。
  145. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 私は、まず行政手続法に入る前に、行政改革についての基本的考え方について長官のお考え、それからまた、これかもの取り組む方針について伺いたいと思います。
  146. 石田幸四郎

    石田国務大臣 この行政改革の問題につきましては、まさに細川政権、政治改革と並んで重要な課題である、このように方針を発表いたしておるわけでございますので、行政改革については間断なき努力をいたしてまいりたい、また、それが行政の公正あるいは透明性に通ずるような結果が出るように努力をしてまいりたい、このように思っているところでございます。  先般九十四項目にわたります緊急の規制緩和が行われたことは御承知のとおりでございます。またさらに、この規制緩和の考え方についても、許認可事項一割削減ということで、前政権に引き続いて努力をいたしているところでございます。一万九百四十二件の一割削減ということで、なお継続的にこれは努力をいたしておるところでございます。  また、もう一つ私が考えておりますのは、特にこの規制緩和問題では、いわゆる許認可の件数には余り関係ないかもしれませんが、届け出であるとか報告事項であるとか、こういったものが実質的に改善をされることによりまして、要するに企業なり社会経済活動の活性化につながる部分が相当大きい、これをも積極的に進めてまいりたい、このように思っているところでございます。  また、行政改革全体の問題では、やはり今地方分権の問題が大きく取り上げられておるわけでございますので、この問題についても鋭意検討を進めながら、少しでもこういった問題が整理されるように努力をしてまいりたい、このように思っているところでございます。
  147. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 今長官の言われた規制緩和の問題でございますが、私は規制緩和というのは非常に大事だと思いますが、今まで緊急経済対策でお出しになった規制緩和というのを拝見しますと、前に自民党内閣で大体宿題になってやってきておるもの、あるいは見当のついたもの、もう要らなくなったようなものとか、そんなものが大部分で、目新しいものを見ると、地ビールの製造の自由化とか、そんな程度じゃないかなというような感じもしないでもないですが、どうもこの程度のことでは、この前も予算委員会で私はお伺いしたんですが、ほとんど経済効果というのは期待できない。現実に、じゃ、どのくらい経済を押し上げる力になりますかと言っても御答弁はないし、ないのが当たり前で、聞く方が無理なのかもしれませんが、もともとないのに数字をくっつけるわけにもいかぬと思うわけですよ。  そこで、今の経済、非常に大変な不況が深刻化しているときに、細川内閣の一枚看板である規制緩和、そのほかにも、もちろん円高差益の還元とかほかに並べ立てられてはおりますが、これではとても、例え話で非常に恐縮ですが、いわば鼻くそをほじる程度の話で、ほとんど実体に切り込んでないんじゃないか、こういうように思います。今のお話で、一割ぐらいカットとかいう、あるいは目標を立てておられるようでもありますが、その辺、私は大変残念ながら、この程度の規制緩和では余り効果がない、こう申し上げざるを得ないわけであります。いかがでしょうか。
  148. 石田幸四郎

    石田国務大臣 緊急経済対策における規制緩和、現在の経済情勢の中ですぐ効果が出ないじゃないかというようなお話でございますが、この規制緩和はやはり一つの心理的な影響もあるわけでございますから、それなりに私は経済の活性化に資することができるというふうに思っているところでございます。  ただ、先生指摘のように、じゃ、この規制緩和をやったから直ちに、十月なり十一月にどんどんその成果が出るのかと言われると、規制緩和の性格からいきましてそういうものではないであろう、しかし、そういったさまざまな規制緩和が行われることによりまして、短時日のうちにそういった方向でいろいろな関係者の方々が工夫していかれるものであろうというふうに思うのでございます。
  149. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 これから大いにおやりになるということでございますから、私は規制緩和自身が効果がないと申し上げているわけじゃありません。大いにやっていただくのは結構なんですが、相当痛みを伴いますよ、これは返り血を浴びますよ、むしろ一時的にはデフレ効果も出てまいりますよということをぜひ御認識をいただいて、そういう上で覚悟してやらないとなかなかできませんよということを申し上げたいと思うんです。  そこで、この間、予算委員会で今の規制緩和について石田長官が言われたので私ちょっと理解しにくかった点があるんです。時間がなかったものですから、その席では申し上げなかったんですが、電線の地中化等道路規制の自由化が経済効果として非常に期待できるんだ、そういうことを言っておられましたけれども、その点、ちょっとよくわからぬものですから、ぜひとももう一度長官の御説明をいただきたいと思います。
  150. 石田幸四郎

    石田国務大臣 あの話は全く私の私見でございますから、まだ総務庁の方針になったわけでも何でもございません。その前提の上で申し上げたいと思うのでございますが、やはり今経済の低迷というものを考え、あるいは経済全体の改革が議論される中にありまして、要するに新しい産業を活性化させるような、そういう知恵をいろいろとお互いに出し合って進めていかなければならないのではないかというふうに思うのでございます。  そういった意味におきましては、例えば電線の地中化ということになりますれば、やはり道路に関連が出てくるわけでございます。今、都心部でいろいろ行われているのは、いわゆる共同溝というような考え方の中にそういった電線の地中化も進んでくるでございましょうし、あるいはさまざまないわゆる通信事業というものもその中に参入してくる可能性がある、あるいはまたガス事業などもこれに参画し得るチャンスも生まれてくるであろうと思います。  ただ、現在の道路行政は、要するにいろいろな個別法で規制をされているわけでございますから、そこら辺の規制を全面的に見直しをしませんとそういうような新しい事業の芽というのは出る可能性はないわけでございますから、そういう意味での道路使用に関するさまざまな規制をもう一過見直しをしたらどうかな、こういったことを私自身が考えているということを申し上げたわけでございます。
  151. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 わかりました。それならば、道路に電線とかガス管の地中化とか、そういうものを進めていこうということならよくわかりますけれども、規制緩和という点では、道路使用は十分そういうものに対して迅速に許可ができるようになっておりますし、現状において電線の地中化計画というのは、平成三年から七年までに千キロやろうというのを何か六年までにそれを縮めてやろうとかいうことで、もう関係省でも恐らく、関係省というか電気事業者、地方自治体あるいは道路管理者等の関係者協議してそういう計画がつくられておって、それに従ってどんどんやっているわけですからね。あるいはそれをもっとふやすんだということなら大枠わかりますけれども、規制緩和と関連しての問題はないんじゃないかと思うのですよ。その点はどうですか。
  152. 八木俊道

    ○八木政府委員 お答え申し上げます。  去る九月十六日の緊急経済対策におきましては、電線類地中化の際の道路占用料の軽減、これを打ち出したわけでございます。これによって地中化が促進されればという趣旨でございまして、おっしゃいますように、事業そのものの予算づけがなければもちろん十分な効果の裏打ちはないわけでございまして、御指摘の側面はそのとおりでございます。
  153. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 今お答えがありましたから、まあ使用料の軽減というのがどのぐらい促進に役に立つのか、私は余り大したことはないのだろうと思いますよ。  それで、むしろこれは、そういう電線を埋める方の側でしっかりと計画をつくって、関係者と相談してどんどん進んでいただけばいい話でありまして、あるいは都市の景観とかいろんな関係からそういう事業をあるいは社会資本というような形で進めるのか、そういう問題だと思うのですね。それを推進していただくのは結構だけれども、規制緩和ということで、いささかこれは、新しく何か新規産業ができるんだというような話はちょっといただけないなと私は思いますので、ここで御了解いただけば結構でございますが、しっかりした認識をひとつ持っていただきたい。  規制緩和というのは、一万件あって、これを一割削減するのだとか二割削減するのだという機械的なものじゃないと思うのですね。特に、この期制に関係する事業に従事する従業員というのは二千万人を超えるのではないかというくらい言われておるわけで、これはその従業員の生産性が上がってくれば相当削減をしなければならないというような問題にも入ってきますので、ぜひこれは両面を考えながら推進をしていただぎたい、こういうように思います。  最後に今の件について総務庁長官からぜひお答えいただきたい。
  154. 石田幸四郎

    石田国務大臣 規制緩和は、ある意味においでスクラップ・アンド・ビルドの性格を持っているわけでございますから、当然そういった規制緩和をすることによって打撃を受ける人たちもおろう、このように思います。しかし、同時にまた、規制緩和をすることによって新しい産業界全体例活性化を図り得るという問題も、そういった利点もあるわけでございますから、その両方を踏まえて推進をすべき問題だ、このように思っているところでございます。
  155. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 それでは、行政手続法について若干の質問をさせていただきます。  行政手続法案については、私は、これはよくまとめられたなというように大変評価する次第であります。これは、宮澤内閣のときに既に衆議院は通過しているのですか。——本会議の趣旨説明だけですか、そうですか、わかりました。  この法律については、今までの行政の処分について迅速かつ透明な処理確保するということとか、行政運営についての公正確保とか、あるいは行政指導に関して透明性、明確性を確保するとか、そういう観点から実に御苦労をなすっておまとめいただいたものと、私は大変これは評価をしたいと思います。ただ、これを審議するに際しまして、若干の疑問点がございますので、お伺いしたいわけでございます。  これは、行政手続法をやると、行政機関にいろいろな面で非常に荷重をかけることになります。行政事務の増大にあるいはつながるのじゃないか、簡素合理化を目指す行政改革の流れに逆行するのではないかという懸念もあるわけであります。しかし、私は、規制の緩和と規制を廃止することとこの行政手続を透明化するということ、これは全体として行革の非常に大事なことですから、ぜひとも推進しなければなりませんが、行政事務の増大につながるという点については、これはどういうようにお考えになってこれを削減していくことにされるか、ひとつお伺いさせていただきます。
  156. 石田幸四郎

    石田国務大臣 先生指摘のとおり、この行政手続法施行されますと、確かに事務量がふえてくるということが考えられるわけでございます。この点をどういうふうに考えていくか。しかし、行政上どうしても必要な改正ということでございますから、その効果を大いに期待してこれは進めなければならない問題であるというふうに思います。  ただ、こういった行政手続のやり方が、今度は国民皆様方にとっては逆に簡素化が進む、行政手続のやり方がより簡単になってくるというメリットもあるわけでございますので、そういった意味での事務負担の軽減も考えられるのではないかというふうに思います。  したがいまして、両面を考えながら、毎年毎年の定員の面もございますので、その状況を見ながら、公務員の全体をふやさないように考えながら上手に調整をしていかなければならない問題だろうと思っておるところでございます。  なお、詳しくはまた管理局長の方から答弁をさせたいと思います。
  157. 八木俊道

    ○八木政府委員 今回の行政手続法案におきましては、行政処分等に関する審査基準とか標準処理期間とか、これを公表いたしまして、国民にとってあるいは経済界にとってわかりやすい行政運営を目指すわけでございます。したがいまして、行政のやり方がわかりやすくなるということで、おのずから国民のサイドの行政との関係が効率的になるではないか。したがって、強いて言えば役所の事務負担も軽減される可能性があるのではないか、そんな見通しもあるわけでございます。  もとより、いろいろと行政にルールをたくさんつくるわけでございますから、その面の事務負担の増加が若干あることは否定できないわけでございますけれども、現在の社会経済情勢でございますと、少数精鋭で行政コストの安い行政を実現するのが政府の務めでございます。基本的には行政運営の全体的な効率化を一層進める、このことによりまして行政コストの増加を招かないような措置を進めてまいりたい、そう考えている次第でございます。
  158. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 要するに、これで若干事務量の増加はやむを得ない、しかしそれを上回る行政改革とか生産性の向上をやるんだ、こういうことですね。
  159. 八木俊道

    ○八木政府委員 おっしゃるとおりでございまして、定員管理その他行政運営の全体につきまして効率化努力を一層強めてまいりたい、そのことによって事務負担の増を何とか吸収してまいりたいという考え方でございます。
  160. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 それから、行政手続法案には適用除外が非常に多過ぎるという批判があるわけであります。不利益処分の件数、この法律案件で五百五十案件があって、適用除外が百十七件になる、こういうことでございますが、これについてはどう考えますか。
  161. 八木俊道

    ○八木政府委員 今回の行政手続法案の検討に当たりましては、各界の有識者を集めた専門部会、各界からのいろいろな御意見を賜った上で詰めに詰めた次第でございます。どうしても特例的な行政運営を図るべき若干の分野につきまして適用除外を認めて、そして独自の行政手続体系を持っていただくということにいたしたわけでございまして、必要最小限の適用除外、こういうことではなかろうかと考えている次第でございます。  行政手続法の全体的な基本的な精神につきましては、政府全体のものとして今後の行政運営に適切に反映させていきたいというふうに考えている次第でございます。
  162. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 それから、処分に際して審査基準や不許可のときの理由を示すことにしたということは評価できるわけでありますけれども、あいまいな基準やあいまいな理由であっては全く意味がないわけですね。どの程度のものが期待できるのか。つまり、きちっと各省でやってもらう、それぞれの法律を所管しているところでやることになっておりますが、そのやってもらえる担保というのはどういうことによって保証されるのか、そういう点もお伺いしたいと思います。
  163. 八木俊道

    ○八木政府委員 今回の法案におきましては、審査基準を明確に定める、そしてまた標準処理期間を定める等のルールづくりを目指すものでございますが、これを具体的な行政運営における適用関係で考えますと、何せ幅広い行政の全体のことでございますので一律的な御説明がなかなか難しいわけでございますが、一般的に申しますと覊束性の強い許認可、覊束裁量の処分にありましては、審査基準というものは一義的な判断が可能な程度にまでできる限り具体化する、定量化できるものは定量化していくというのが基本的な姿勢ではなかろうかと考えております。  他方、行政庁は広範な裁量を認められている許認可をも持っております。自由裁量的な許認可処分につきましては、法律が行政庁に個々の案件に応じた適切な判断を期待しているという世界もまたあるわけでございまして、この場合におきましては審査基準等は、率直に申しますと方針的なものにとどまらざるを得ない場合もあろうかと思っておる次第でございます。
  164. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 一つの例として恐縮ですが、運輸省の貨物自動車運送業、このトラックの許認可というのは、今どんなふうにやられておって、これが適用されたらどういうふうに改善されていくのか。あるいは今処理期間はどのくらい要するのか、処分に要する期間ですね、それが標準期間、標準的な期間を定めるということになっておるので、受け付けてからどのくらいの期間に短縮されるのか、その辺をひとつ運輸省の方から伺いたいと思います。
  165. 越智正英

    ○越智政府委員 お答え申し上げます。貨物自動車輸送事業は、御承知のように法律が収正されまして、かつての免許制から今許可制という形で運用されているわけでございますけれども、それに伴いますいろいろな事業計画でありますとかあるいは運賃とか、そういった届け出あるいは認可とかいろいろな制度がまだ残っているわけでございますけれども、私ども各局におきましてそういう認可等の手続につきましての処理基準を設けてやっておりまして、この行政手続法がでさますとその辺がさらに徹底してやられていくというふうに思っております。  処理期間につきましても、各局におきまして基準を決めて運用してございます。それが適正な期間であるかどうか、そういうものにつきましては今後とも現実に即して逐次見直しをしてまいりたい、かように考えております。
  166. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 今ちょっとお伺いしたいのは、例えばトラックの事業の許可を申請、受理してから処分が決定されるまでどのくらいかかっておるのか。この法律によるその標準的な処理期間は、では一体どのくらいになるのかということです。
  167. 越智正英

    ○越智政府委員 ただいま御質問のいわゆる許可の平均処理期間でございますが、私ども地方運輸局に権限を委任してございますので平均で申し上げますが、事業の許可につきましては、いわゆる一般の貨物自動車輸送事業につきましては五カ月から十一カ月というような処理期間でございます。それから特定という形のものにつきまして五カ月というような処理期間で処理をされているということでございます。  それから、事業計画の変更の認可につきましては、一般の貨物運送事業につきましては一カ月から九カ月、特定につきましては一カ月から三カ月、そういったような形の処理期間で業務をやってございます。
  168. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 第六条によって、標準的な期間を定めるように努める、これを定めたときは公にしなきゃならぬ、こういうことになっておるわけですね。そうすると、標準的な期間というのはこれから定められることになるわけだけれども、今よりはずっと短縮するのでしょうね。十カ月も十一カ月もかかっているのをかなり短縮できるのですか。私は、要は今の定員とか従事しておる人たちが一生懸命やっても十カ月も十一カ月もかかるくらい、このごろ景気が悪いから少し申請が減ったかもしらぬけれども、たくさん来て、それで聴聞をやったりなんかしてやらなきゃならない、どうしてもかかるのだというのが、この法律ができたからといってそう簡単にさっと減るものじゃないと思うのですよ。その実態を聞きたいわけです。だから、結局予算をもっとつけてもらって定員をふやしてもらわなきゃだめだとか、そういう実態的な問題がかなりあるのじゃないかと思うのですね。その辺はどうなんですか。
  169. 越智正英

    ○越智政府委員 行政手続法施行されまして、いわゆる許認可等につきましての標準処理期間というものが定められたときには、やはり移行期におきましては、今までの仕事の進め方と違った形になるものですから、現場のいわゆる公務員の仕事の仕方というのが影響を受けることは、これは間違いございません。私どもといたしましては、やはりこういう行政手続法施行するのとあわせまして、今から進めておりますいわゆる規制緩和、そちらの方でいわゆる手続の簡素化あるいは事業者に求めます添付書類等も少なくして、行政側で見る仕事の量というものを減らしていくということを同時に進めなきゃいけないだろうと思っているわけでございます。  それから、もちろん適切な要員配置というものもございますけれども、そういったことを通じまして、この行政手続法施行されたことによって行政事務が増大してしまったというようなことのないように努めてまいりたいと思っております。
  170. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 行政事務はもちろんお説のとおりできるだけ削減するように努力するのはわかるのですけれども、私は、人員をふやさなくても短縮ができるのですかということを聞いているのですよ。
  171. 越智正英

    ○越智政府委員 繰り返しで恐縮でございますけれども、今までの仕事と同じことをやっておりましたら間違いなく仕事の量がふえて、一部の現場ではパンクをするということになりかねないということでございますけれども、したがいまして、今やっている仕事というものを減らしていくという、それをあわせてやりませんと、大変これは難しい問題を生じるというふうに理解しておりますので、その辺は、この法律が今後ここで審査されて、法律になって実際に施行されるまでの期間がございますでしょうから、我々としては、その間にいろんなことをあわせ考えた上で、そういう仕事の量というものを考えながら具体的な処理期間等を決めていきたい、そういうふうに考えている次第でございます。
  172. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 これは、特許の書類もそうなんですけれども、ともかく非常に長い処理期間がかかる。ともかく、申請したときから許可が出るときまで、処分が出るときまでに経済情勢が変わっているというようなケースもあるのですね。  今伺いますと、大分トラックの方も勉強されて短縮してこられたように拝見するのですけれども、ともかくこの処理期間、処分に要する期間というのはできるだけ短い方がいいと私は思う。それは案件によって違うと思いますが、まことに時間のかかっている、何年もかかるのが随分ありますね。これはやはり相当問題だと思うのですよ。特許の場合なんかは、特に諸外国との関係でもう少し考えなければいかぬというような問題があってかなり政治的な問題になりましたけれども、これはどういうように考えておられるか、ぜひ総務庁の御意見を伺いたいと思います。
  173. 八木俊道

    ○八木政府委員 行政サービスと申しますか、行政の水準を維持しつつコストの安い行政を実現していくということは私ども日常的に大変努力を要する仕事であると考えておりますが、一つは、業務のやり方を工夫する。そして業務の中身を見直して、必ずしも必要性が薄れてきているものにつきましては若干事務の整理を考えていく。あるいはまた業務の機械化を図っていく。いろいろな工夫をいたしまして仕事自体のあり方を見直していくということが第一点かと存じます。  第二点といたしましては、ただいま運輸省からも御答弁のございました定員配置、要員配置の見直しが一つのポイントかなと考えております。  さらに申しますと、業務の波をどう崩すかという、仕事のやり方の工夫というものがあると存じますが、ここで、手続法でうたっております迅速処理といったところとは正直ぶつかる要素もなくはございません。今後の行政運営におきましていろいろと工夫を尽くしてまいりたいと考えている次第でございます。
  174. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 行政手続法案によっていわゆる申請の握りつぶしというのは、これはなくなるのでしょうね。
  175. 八木俊道

    ○八木政府委員 お尋ねの点につきましては、第七条に原則を明示いたしておりまして、行政庁は申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならない、これが基本精神になるわけでございます。  問題は、再び要員配置が十分かどうかといった世界にも運用上はなっていくわけでございますが、何とか工夫をいたしまして速やかな審査の開始、速やかな態度決定に努めるべきものであると考えておりまして、第七条の趣旨につきましては、法案の議了をいただきますれば各省庁にも十分お願いをし徹底をいたしたいと考えております。
  176. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 お答えのようにうまくいけばいいのですけれども、見ていると、申請がどんどん来てしまって書類が積んであるのですよ。受け付け番号は出すけれども、すぐ遅滞なく申請の審査を開始しなければならないなんていったって、とってもできやせぬですよ、それは。やはりそれは予算とか定員をちゃんと確保してあげるということまで、どうしてもそういうところをやらせるなら、そこまで考えなければいかぬのじゃないですか。長官いかがですか。
  177. 石田幸四郎

    石田国務大臣 今の問題、今までもそういうお話を随分聞きます。書類がたまってしまって何ともはかどらぬというようなことで審査の期間が長引いてしまったという話も随分聞くのでございますが、これは書類の簡素化とかそういったものを十分にやらなければならない。  また、先ほど申し上げました報告とか届け出とか、こういうような問題を考えてみましても、例えばトラック会社から来ますと、要するに会社の業務報告をしなければならない、また経営報告もしなければならないというようなことで、毎年同じ趣旨の届け出をしているわけでございますが、そういったものも十分審査して、必要ないものはできるだけ簡素化を図るということをやらないと今原田先生指摘のような問題が少なくなっていかないというふうに思うわけでございます。  もちろんある一正の期間を設けて審査を終了しなければならないわけでございますから、そこに人の面で数をふやさなければならないという現象も起こってくると思うのですけれども、やはり行政全体の流れの中で人数が、公務員がふえていくことは厳に抑制しなければならない。二律背反的な性格を持っているとは思いますけれども、個々の問題を十分踏まえながら、各省庁と協力して行政が膨大にならないように、公務員が極端にふえないようにしっかり考えてまいりたいと存じます。
  178. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 長官、全体の人数をふやさないという方針でしっかりとやるというのは結構ですが、現実の問題として、申請を受けつけたら遅滞なくその審査を開始しなければならない。それで、何か添付書類が足りなかったらすぐ言わなければいかぬというのは七条ですね。  実際にそんなことができないような事態のところが現実にあるんですよ。ごらんになればわかりますよ。特許にしたって、トラックもその一つかもしらぬ。とにかくそれはできるようにしてあげなければだめなんですよ。それは各省とともに一緒に工夫していただき、必要なところには増員をし、余っているところから減らすというようなことを考えるとか、いろいろなことを考えなければいかぬと思うのですね。そうでないと、これは絵にかいたもちみたいなもので、実行不可能ということで、実際に実行できないということになってはせっかくのいい法律も全くこれじゃ話にならぬということになるわけですから、そこをひとつぜひしっかりとやっていただきたいと思います。
  179. 石田幸四郎

    石田国務大臣 御指摘の点も大いに考えなければならない問題でございますから、この法律制定後におきまして各省庁と十分話し合いをして、先生の御指摘、御心配がないように努力をいたしてまいりたいと存じます。
  180. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 それに関連しまして、これは施行は一年後ですか。一年後とすればその間がない時間があるわけでございますが、国・地方合わせて数百万人の公務員がいるわけですね。そして、その方々に十分この法律の趣旨、内容を徹底し、わかっていただいて、この法律を体してやるという体制をつくらなければいかぬと思うのですね。  それから、事業者なりなんなり関係国民に対してもこれを周知徹底して、必要なら行政指導に対してもこれじゃいかぬじゃないかということが言えるように書面で要求できるようにやっていかなければならないと思うのですが、それについては総務庁はどういうふうに考えておられるのか。
  181. 八木俊道

    ○八木政府委員 行政手続法案の成立後の施行問題につきましては、まことに御指摘のとおりと存じます。  まずは私ども、この法律案が成立いたしますと、国の各地方出先機関、さらには各県庁、市役所等の実務にも影響を生じてまいりますので、法律の趣旨につきまして十分親切な施行通達、運用方針をお示しをしてまいりたいというのが第一点でございます。  第二点といたしましては、各種行政の運営におきましても、十分に審査基準その他の問題につきまして早目に立ち上がっていただきまして、お考えを明示していただいて、各行政機関に対して、末端に至るまで具体的な運用のあり方を明らかにいたしてまいらなければならないと存じます。  第三点は、対国民関係におきましては、今回の法律案の成立後におきまして法律の趣旨につきまして十分御理解を賜る必要があると存じます。政府広報の活用を含めまして、この点につきましてもあわせて努力をいたしてまいりたいと存じます。
  182. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 次に、行政指導についてお伺いしたいのですが、とかく批判の多い行政指導ではございますけれども、これは非常に便利な面もあったのですね。行政指導を受けて申請をすれば一発で申請が通るとか、事前にそういう相談をしないと途中で追い返されていつまでたっても処分が出てこない、そういう面がありますが、今度は行政指導については、これは画期的に透明になるということでございますけれども、この点を若干説明をしていただきたいと思います。  それからもう一つ、一方で行政指導に法的な根拠を逆に与えることにならぬかという心配もあります。これについても御答弁をいただきたいと思います。
  183. 石田幸四郎

    石田国務大臣 今回の法律で行政指導を合法化することになった、おかしいではないかというような御意見もございますことは私ども承知をいたしておるわけでございますが、それでは行政指導というものを全面的になくすかということになりますと、これも行政の弾力性の確保とかいろいろな角度もあるわけでございますから、全くゼロにするということは極めて困難であろうというふうに思っているわけでございます。  しかし、これに対する批判が強いわけでございますから、このことを踏まえて行政指導を行う場合の守るべき一定の規律やルールを設けたわけでございます。ですから、そういったルールに基づいて、行政指導が批判を招くことのないように格段努力をしていかなければならない問題だと思うわけでございます。また、明確な規律やルール化をすることによりまして、逆に行政指導を抑制するというような効果もあるというふうに考えておりますので、いずれにいたしましても、ルールに従って適正に行われるよう、これは各省庁特段の努力をしなければならない、このように考えているところでございます。  なお、細かい問題につきましては、管理局長の方から御答弁をさせます。
  184. 八木俊道

    ○八木政府委員 具体的な点で申しますと、第三十二条におきまして、行政指導は所掌事務の範囲を逸脱してはならない、それからまた相手方の任意の協力、この趣旨を明確にいたしまして、行政指導にいわば枠をはめたということでございます。行政指導自体を抑制するというねらいでは必ずしもございませんけれども、結果的に見て、行政指導に対して若干の抑制効果を持ってあろう、そういう感じを持っているところでございます。  なお、行政指導の方式につきましては、ただいま大臣から御答弁のございましたように、趣旨、内容責任者を明確にするということによりまして、これまた慎重な対応を求めているところでございます。
  185. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 今お話のあった、相手方から書面の交付を求められたとき初めて書面で出すんだということになりますが、当然事業者はどうも行政の側をおもんぱかって書面を要求をしなかったというケースがかなり出てくるのではないかと思います。そうすると、この制度は生きてこないわけです。制度を固定するには事業者側の意識改革も非常に大事だと思うのですけれども、この点はどういうふうに考えておられますか。
  186. 八木俊道

    ○八木政府委員 恐らく行政指導を問題にされる事業者または一般国民サイドのお立場とされますと、当然のことながら行政指導の内容につきましていろいろと御意見があるということであろうと思います。必要があれば書面の交付を求めることができるのが三十五条でございますが、お尋ねは恐らく「行政上特別の支障がない限りこという文言が入っているところかと存じます。  これにつきましては、例えば外交上の理由その他、考えられる幾つかの問題があろうと存じますけれども、法律の文章が、三十五条のように、原則、書面の交付の請求があればこれに対応する、こういうことを書いておりますことは、一般市民の側にとりまして一つのしっかりした立場を提供するものではないかというふうに考えている次第でございます。
  187. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 今の、「行政上特別の支障がない限りこという条件がついていますが、これはどういう意味でしょうか。
  188. 八木俊道

    ○八木政府委員 この点につきましては、実を申しますと行政指導の実態を私ども完璧に承知しているわけではないわけでございます。したがいまして、どのような支障が出てくるのかということ自体も実を申しますと自信を持って明確に列挙を申し上げるというところに至っていないわけでございますが、対外関係の調整でありますとか、あるいはまたその他利害関係の調整でありますとか、そうした複雑な事情が想定される場合に、調整過程、調整途上であることを理由に直ちに書面をお出しし得ないという事態があることはこれは否定できないところかなと存じますが、原則は書面の交付が求められる、こういう事態においては交付をするというのが三十五条の建前でございます。
  189. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 そんなことだろうと思うのですけれども、この三十五条にありますように、この内容が本当に生きてくるには、勇気を持って書面の請求をするとかいうように、国民があるいは事業者の側が行政側にけじめを求められるかどうかにかかっていると思うのですね。そこを我々は明確に、堂々と権利を行使するんだということを国民の側に周知徹底することが必要じゃないかなと思いますね。これについては何か総務庁は考えておられますか。
  190. 八木俊道

    ○八木政府委員 今回の法律案につきましては施行段階がとりわけ重要ではないかと考えております。  行政指導がこの法律案にありますような抑制的な性格のものである、限定的な性格のものであるということをよく国民一般に御理解をいただきたいと考えている次第でございまして、そのための広報その他の努力法律案成立後にやらせていただきたいと考えているわけでございます。
  191. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 いずれにしても、私はこの法律は今までの日本の行政手続からしますと、この法案実現した暁には非常に画期的なことになるんじゃないか、大変結構だと思います。  ただ、余りにもいろいろなところで、先ほども申し上げましたように、本当に実施が担保されておるかどうか、うまく運営されるかどうかというような点もありますし、また、もう少しこの辺はこうしたらいいじゃないかということもありますので、一定期間後見直し条項を入れて成立させる方法もあろうかと思いますけれども、その点については総務庁はどういうようにお考えでしょうか。
  192. 八木俊道

    ○八木政府委員 お願いを申し上げております行政手続法案は、経過を申しますと三十年来の大懸案でございます。かつ、直接的には五十八年の臨時行政調査会答申を受けて、いわばやっとまとめた御提案でございます。  この間、政府部内におきましてさまざまな真摯な議論の末にまとめた法律案でございまして、現状におきましては最善の御提案ではないかと考えている次第でございまして、ぜひ御理解を賜りたいと存じます。
  193. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 よくわかりました。  私も基本的に賛成でございますので、ぜひこれを早く実施に移して日本の行政手続を本当に透明化し、世界各国から見ても日本の市場開放についても文句のないような形にしていかなければならないと思います。ぜひとも頑張っていただきたい。  質問を終わります。
  194. 左藤恵

    左藤委員長 次に、橘康太郎君。
  195. 橘康太郎

    ○橘委員 自由民主党の橘でございます。  今回行政手続法案に関連いたしまして、まず順序をちょっとたがえますけれども、関連いたしまして、本日午前中、栗原議員も質問を申し上げましたところの恩給問題に関連いたしまして御質問をさせていただきたい、このように思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  栗原議員からも質問があったところでございますけれども、現在恩給問題につきましていろいろと私自身も陳情を受けておるところでございます。仮に申し上げますと、全国軍恩未受給者連盟あるいは軍人軍属短期在職者協会、全国軍人軍属恩給欠格者等の連盟から私どものところにいろいろと聞いてきておりますし、またお願いの件も入っておるわけでございます。  そこでまず第一番に、「官民格差の是正」ということで、「軍人軍属恩給欠格者の元公務員であった身分を改めて見直して頂き、いわゆる「官尊民卑」の悪弊を遵守する旧来の政策を再検討し新憲法の下、官民格差を是正し日本人として公平に平等に差別なく処遇するようにして頂くことをお願い」するという要望書が私のところに来ておるわけでありまして、これにつきまして関係局長の方から御答弁をお願いしたいわけであります。
  196. 中村秀一

    ○中村説明員 厚生省の年金課長でございます。  先生お尋ねの年金、恩給の受給権発生の問題に関して官民格差と言われている御指摘がございますので、その点に関しまして、公的年金を所管いたしております厚生省の立場の方から御説明を申し上げたいと思います。  軍歴期間が短かったなどによりましていわゆる恩給欠格になっておられる方、この方には二通りございまして、公務員でない方につきましては、従来から国民年金、厚生年金の加入期間としてつなげて算入することができないか、こういう御要望があったところでございます。この御要望については歴史も長く、総理府の方でも昭和五十四年に有識者の先生方にも集まっていただきまして、この国民年金、厚生年金の加入期間、軍歴通算と呼ばれておりますが、その問題について検討をしていただいたところでございます。  五つほどの理由がございまして、国民年金、厚生年金の加入期間に算入することはできない、こういう結論に五十四年時点にも相なっておりまして、今日、平和祈念事業特別基金等に関する法律の方でいろいろ事業を実施していただく、こういう経緯になっているところでございますが、その五つの理由の中の一つに、従来、官民格差ではないか、こういうような御指摘がございまして、官民格差論ということで問題になっているところでございます。  どういう点で官民格差として指摘されているかと申しますと、新しい共済年金制度、これは昭和三十四年に共済年金制度ができたわけでございますが、この共済年金制度につきまして、過去公務員であった方、恩給公務員であった方等、公務員の年金制度とそれから恩給制度を統合するということで、旧恩給制度や公務員制度の対象になっている方は、新共済年金の発足という形で両制度の統合が図られている、したがってそちらの方は救済されているのに対して、新共済年金制度の対象にならない方についてはそういう措置がとれないので、一般的な年金制度である国民年金、厚生年金の加入期間に算入することができないかという問題でございました。  結論といたしましては、国民年金、厚生年金は一般的な社会保障制度でございまして、その方々がかつてどういう制度に属しておられたか、あるいは資格があったかということなく適用している制度でございますので、そういう国民年金、厚生年金について、旧軍人等であった方々を対象にされないということについては、その厚生年金、国民年金それぞれの制度の中の理屈として対象になれないということであって、官民格差ではない、こういう議論がなされておりまして、厚生省の方の立場と申し上げましたが、国民年金、厚生年金の方の加入期間の通算という点では、私どもの方では対応できないという状況にあるということを御説明申し上げたいと思います。
  197. 橘康太郎

    ○橘委員 ただいま御説明いただいたわけでございますけれども、私の手元に来ておりますところの要望書の中を読んでみますと、このように書いてあります。「戦後強制抑留を含む元公務員でめった軍人恩給欠格者の身分を」もう一度見直すということですね、これをお願いしたい。同じ恩欠者でありながら復員後三公社五現業を含む「官・公」に就職した者には、軍歴年数が  一年でも十年でも公務員在職年数として加算累計されて恩給年金が支給されているのに反して民間人にはその恩典は全く無いとは江戸明治以来の伝統である「官尊民卑」の悪弊が罷りとおり、新憲法下の現代において考えられない「官優民侮」の現実であります。官を優遇して民を侮っておるという現実であります。  この不公平の是正を永年にわたり訴えて参りましたが何故か是正されようとはしません。「官」における特別の優遇措置ゆえ、その既得権として是正致し兼ねるのであれば「民」に対しても、その軍歴年数に応じて国民年金給付率に準じて平等に、国民・厚生年金に加算するか若しくは「官」の恩典を排除するか、いずれかを選択し「官尊民卑」の差別撤廃を提案して頂きたいのであります。これは私に対して言っておるわけであります。過去における官の言い訳は「国民・厚生年金はそれぞれ個人が拠出した掛金を基金として運営されているもので、拠出金の無い軍歴期間の年金加算は不可」と反論してきました。 これは政府の方が言っておるわけです。  では官に就職した無拠出の恩欠者に限り拠出済とみなすのでしょうか。   然しながら、改正前の恩給法第五十九条には「文官一軍属一は俸給の百分の二を…下士官以上の軍人は百分の一を国庫に納付すべし」とあり、その拠出金も「戦時又は事変に際しては勅令により免除することを得」とあり恩欠者必ずしも無拠出ではありません。いずれにしても「官」に在れば無拠出であっても拠出したものと認め「民」なるが故に之を認めない片手落ちな理論こそ“身分差別”であり官尊民卑の実証でありましょう。   希わくば、かくの如き実態を速やかに是正するよう御提一言賜わり改善に御協力下さい。ということをこの私に願ってきておるわけであります。これについてお答えいただきたい。
  198. 中村秀一

    ○中村説明員 ただいまの先生の御質問についてお答えを申し上げます。  二つ問題があろうと思うのですが、厚生省の方の一般的な社会保障制度である国民年金、厚生年金の方からのお答えをさせていただきます。どういうことかと申しますと、厚生年金、国民年金、五つ理由があると申し上げましたが、そのうち先ほど御説明いたしませんでした四点について御説明をさせていただきます。  一つは、厚生年金、国民年金は、先ほどから申し上げておりますように一般的な社会保障制度であり、特定の資格、そういったものに着目することではないということでございますので、恩給受給資格年限に達しない短期の軍歴期間につきまして、こうした期間を有する方だけ特に優遇するということについては一般的な社会保障制度としては大変問題があるということが一点目の理由でございます。  二点目は、先生からお触れいただきましたように、国民年金、厚生年金、いずれも社会保険という方式をとっております。御案内のとおり、社会保険方式と申しますのは、保険事故が起こる前に所定の期間加入していただいて、保険料を納めていただいて、その観点から、事故が起これば、例えば障害とか死亡あるいは老齢になったという場合に保障されるという社会保険方式をとっております。社会保険方式をとっていることから、逆に厚生年金、国民年金に加入しておられた方でも、資格期間を満たさない場合、非常に短い期間しか入っておられなかった場合には、残念ながら、例えば六十五歳から国民年金、六十歳から厚生年金が支給されることになっておりますが、そういう短い期間の方については国民年金、厚生年金の加入者であっても資格期間を満たさなければ給付に結びつかない、こういう厳密な方式をとっておる。そういった観点から見ますと、この軍歴期間の問題、恩給欠格者の方々についてはそういった社会保険方式の立場からいう国民年金、厚生年金には加入していただいていない。  三番目の理由として、発生した時期の問題が指摘されております。この恩給欠格の問題は戦前のお話でございますが、国民年金で申し上げますと昭和三十六年から発足いたしております。厚生年金は昭和十七年でございますが、そういったことから申しますと、両制度が発生した時期、そういった時期から申し上げましてもつなぐことができない、こんなような理由を掲げまして、五十四年当時の有識者懇談会の結論といたしましても、恩給欠格者の方々について、国民年金、厚生年金の立場からは軍歴期間につきまして加入期間に算入することはどうしてもできないという結論を申し上げているところでございます。  以上でございます。
  199. 橘康太郎

    ○橘委員 どうもかみ合わないので困るわけでありますけれども、第一番目に私が申し上げました、同じ恩欠者でありながら、復員後、三公社五現業を含む官公に就職した者には、軍歴年数が一年でも十年でも公務員在職年数として加算累計されて恩給年金が支給されているのに反して民間人には全くその恩典がないという、このことについて全然お答えがないわけです。よろしくお願いします。
  200. 中村秀一

    ○中村説明員 お答え申し上げます。  私の所掌しておりますのが厚生年金、国民年金の制度でございますので、私の方からお答えする立場には本当はないと思うわけでございますが、先生ただいま御指摘になりましたような問題が生じましたのは共済年金制度でございます。今、所管で申し上げますと大蔵省の方でございますが、新共済年金制度をつくるときの理由によってそういった事態が生じているものでございまして、いわば共済年金制度の方の問題であり、そちらの方からお答えいただくのが適切かとも思います。  少なくとも五十四年の有識者懇談会の整理で申し上げますと、新しい共済年金制度は恩給制度と旧共済年金制度の統合ということを目的としてなされたものである。それで、統合した結果、在職年数の長短にかかわらず通算されることになった。すなわち、現在の共済年金制度においては、恩給受給資格年限に満たない軍歴期間のみを取り上げて、それを救済するためにそういうことをしたのではなくて、この説明によりますと、恩給制度と古い共済年金制度を統合するときに、とにかくそういったところで資格がある人については全部合わせてしまう、そういう措置を講じた結果そういう事態が生じたものである、こういう説明がされておりまして、厚生年金保険、国民年金においては、旧軍人等であった期間を当然に引き継がなければならないことにはならないし、また、これを引き継がないことが官民の不平等とは言えない。  くどいようでございますが、国民年金、厚生年金の方の立場からは、以上のような整理のもとに、私どもは、官民格差という問題ではなくて、ただいま申し上げましたような一般的な社会保障制度、社会保険の方式、発生した時期の問題、こういったことから軍歴期間の通算はできないという整理がなされておりますし、それは官民格差ではない、こういう理解をしておるわけでございます。  どうしてそのようなことが生じたかについては、先ほど来申し上げておりますように、共済年金制度の方の整理の話でございますので、これ以上私の方からはその点については御答弁できかねますので、何分よろしくお願いしたいと思います。
  201. 橘康太郎

    ○橘委員 厚生省の御答弁はそのようなことでありますけれども、今の御説明の中で、もう一つこれに関連する部署があるということでございますので、担当部署から文書での回答をお願い申し上げます。この問題はこれくらいにさせていただきます。  引き続きまして、恩給欠格者に対する基金慰藉事業の不公平是正、これに入らせていただきます。  昭和六十三年に平和祈念事業特別基金法が制定され、恩給欠格者に対する慰藉事業が実施されつつあることはまことに時宜を得た政策であり、歓迎すべき慰藉事業ではありますが、その内容たるや実に偏見、差別も甚だしく、不公平行政の最たるものと言わざるを得ません。  すなわち、外地勤務三年以上の生存する軍人のみを慰藉の対象とし、遺族、内地勤務は除外し、軍属に至っては従五位以上の位階勲等を有する高級官僚のみを指し、戦傷病者等援護法に言う政府に徴用され、恩給法上の公務員として軍属宣誓規則、軍属説法等その雇用に際し軍人同様の覚悟を宣誓し、かつ国庫より給与の支給を受けていた軍属や工員、看護婦等もすべて切り捨てるという身分の差別はなぜでありましょうか。時の政府の命により家族や家業を捨ててお国のために働いたすべての者に平等に、公平に、法に定められた範囲内の慰藉事業の対象としていただきますようお願いしたいという、これも私からいろいろと説明をして、政府に聞いてくれという陳情が入っておるわけでありますが、これについて関係局長お答えをお願いしたい。
  202. 石倉寛治

    ○石倉政府委員 お答えをいたします。  総理府の官房審議官でございます。  今の質問の中身を聞かせていただきまして、まず一つは、恩給欠格者というものの定義の問題に一番深い関係があろうと思いますので、その点について御説明いたします。  恩給欠格者は、恩給法上の旧軍人軍属としての身分がありながら資格年限が足りなかったという方々を指すわけでございまして、これは私どもが所管しております基金法におきましても、「旧軍人軍属であって年金たる恩給又は旧軍人軍属としての在職に関連する年金たる給付を受ける権利を有しない者」、こう定義されているわけでございます。  こうした方々の御苦労に対して慰藉事業を実施いたしておりますために、おっしゃいますような旧陸海軍部内の雇員とか傭人などのいわゆる援護法上の軍属は基本法の慰藉事業の対象になっていない、これは法律事項として排除されているという内容でございますので、いたし方ない措置ではないか、こう考えております。
  203. 橘康太郎

    ○橘委員 今のお答えでは私は不十分だと思うのです。この選別等については基金運営委員会審議を経て初めていろいろ決定されるのではないのですか、その辺はどうなんですか。
  204. 石倉寛治

    ○石倉政府委員 運営委員会と申しますのは基金の財団の方に設けられた委員会でございまして、今の問題は、まず法律要件としていわゆる恩給欠格者の概念、定義として書いてございますので、これは法律事項だ、したがいまして、その後の対象になる皆さん方にどういう慰藉事業をやるかということについての御意見はこの運営委員会で御議論をいただく、こういうことでございます。
  205. 橘康太郎

    ○橘委員 その定義なるものによっていろいろと差別されるというのが、先ほども申し上げたように、平成五年、今日に至ってまだこの問題について皆さんがおっしゃってくるという、このこと自体が、あなた方が考えていただいても、このどこかにおかしな欠点があるということにお気づきになると思うのです。でなかったら、言ってくるはずがないのです、これにしても、先ほどの問題にしても。  ですから、これらをまとめて、やはりもっとしっかりとした対応をする必要があるのじゃないか、このように思うのですけれども、どうなんですか、この辺は。
  206. 石倉寛治

    ○石倉政府委員 お答えいたします。  今の御質問は法律要件であるということでございますが、法律で書いてあることが直らないというわけではございません。しかし、基本的にはこの制度をつくりました前提でございましたために、その辺の要件を変えるということはこの前提をつくりました制度の根幹に関係いたしてまいりますので、そのために、基本的なこの制度を制定するに当たってのいろいろな諸事情、これはいわゆる恩給欠格者のみならず、戦争によって被害を受けた方は国民ひとしくあったわけでございまして、そういう方々との均衡を保つとか、あるいはもう一つの問題としては、私ども今実施をいたしております事業を、現在受給される方々をまず優先して早く仕上げなければならない。  つまり、この慰藉事業の対象は、御承知のとおりもう高齢になっておられます。この高齢の皆さん方をお待たせするわけにいかぬという意味で、まず第一義的に今の事業を完成させるということがやはりどうしても優先順位として前になってまいりますために、そういった意味の、今申し上げました一、二の事情がございまして、今後の問題として検討させていただくことではございますけれども、直ちにそういうことで対応できるというわけにはまいらないわけでございます。
  207. 橘康太郎

    ○橘委員 それでは、今二つ申し上げました官民格差の是正問題、それから恩給欠格者に対する基金の慰藉事業の不公平の是正、この二つに対して、私が質問申し上げたことに対する回答を文書でちょうだいしたい。よろしくお願いします。よろしいですか。
  208. 石倉寛治

    ○石倉政府委員 総理府で所管している部分については、お気持ちどおり文書で回答させていただきます。  それから、先ほどの年金制度の共済制度の問題につきましては、所管が大蔵省になろうかと思いますので、先ほど答弁いたしました厚生省が連絡をとってくれるということでございますので、伝えさせていただくということで、よろしくお願いします。
  209. 橘康太郎

    ○橘委員 それでは厚生省にお伺いしますが、厚生省で責任を持って文書をとってくる、こういうことですか。
  210. 中村秀一

    ○中村説明員 先ほど申し上げましたとおり、私どもの方の御答弁はさせていただきましたが、先生の方からお話がありました新しい共済制度の発足に伴う部分につきましては、担当するのが大蔵省の主計局共済課でございますので、私の方から本日の先生とのやりとりを伝えまして、先生の御指摘に沿うように大蔵の方に取り次ぎたい、こういうふうに思っております。
  211. 橘康太郎

    ○橘委員 わかりました。それではそのようにお願いを申し上げます。  そこで、きょうお忙しい中わざわざ御出席いただきました官房長官にお伺いしたいと思います。  ただいまのやりとりをお聞きだろうと思うわけでございます。私は、今回内閣委員会に配属されまして、いろいろ内閣委員会関係の予算の大蔵に対する要求額を見ておりました。恩給はこれから年々減っていくわけです、国に対する要求額は。というのは、だんだんとお年寄りの方が少なくなっていくわけですね。厚生年金におきましても、だんだんこのタイプの方々の受給者が減っていくわけです。ですから、これは未来永劫の問題じゃない。一生懸命やってきたけれども、もうあと残された人生、本当に真剣に今生きている人たちの問題なんです。  そこでお伺いしたいわけですが、このように、後の問題を、先ほど厚生省の方々が平和祈念事業特別基金法によってこれを解決するんだということのようでございますけれども、しかし、その平和祈念事業特別基金法によって受給される方々のその選別の仕方その他を見ても非常に問題点が多いというふうにこの人たちは言っておるわけです。非常に秘密主義であって、とにかく何がどこでどういうふうに行われているか全然わからない。  きょうあたり行政手続法案提案されておるわけですけれども、これもいわゆるそういった公明な場所あるいは公明な点あるいは公正な点が欠けておるからこういうことをやるんだというふうなお話でございました。この運営委員会におけるその手続だとかいろいろなものも非常に不公正であって、どうも不透明であるというふうな話も出ておるわけでありますが、ひとつ細川内閣において、今日こういった事態がまだまだたくさん残っておることをお考えになりましたときに、何か温かい手だてをしてやろうというお気持ちがあるのかどうか、官房長官として御意見をお聞かせいただきたい、このように思うわけです。どうぞよろしく。
  212. 武村正義

    武村国務大臣 橘委員がこの恩給欠格者の問題に大変熱意を持たれて、関係者の皆さんの気持ちを代弁しながら真剣に御質問をされていることに敬意を表したいと思います。  私自身も、国会議員になった直後でございましたか、このことでたびたび陳情を地元で受けまして、もう記憶が定かではありませんが、なぜかその当時は一部の国会議員さんの間で一人百万とか何十万という給付が行われるような期待を与える話が広がっておりまして、そんなことも信じながら年老いた方々が一定の会費を負担し合ってこの恩欠者の運動を全国的に進めてこられたということを肌で感じておりまして、これは何とかならないかという気持ちを強く抱いた一人でございました。  あれこれ当時私なりに動いてみたのでありますが、自民党としては、もう御承知のように、たび重なる党三役や関係大臣の文書等が確認され続けてきまして、たしか、私も今見ましたが、最終的に平成元年十二月二十二日で「いわゆる戦後処理問題に関する措置は、全て確定一終了した。」と、自民党三役やら官房長官、大蔵大臣等々入った文書が作成されて、これで一応当時の自民党と政府のベースではもう決着がついたというふうなことになっているようでございました。  当時そういう期待を持たれた方々のお気持ちを今も拝察しますと、そんなことでなかなか気持ちが晴れないというか、そのことは私もよくわかります。  ただ、困ったことに、これはあらゆる行政がそうでありますが、橘委員もおわかりのように、さまざまな仕事をする場合に、どこかで線を引きますよね。税金だって、何万円以下は非課税、何万円から所得税一〇%、次に上がったら二〇%、こうなっていますし、身体障害者の給付だって、こういう障害者は一級、二級対象になる、この程度まではだめ、こうどこかで線を引きます。  過去外地で御苦労された軍歴の計算についてもこういう形で線が引かれて、それに達しない、近づいていながら達しないために恩給の対象にならなかったという方々は、一人一人伺うまでもなく、大変御不満が、なぜそこで線が引かれるんだという強い御不満が残っていることもよく心情的にも理解ができるところであります。  ただ、行政の立場でございますと、一定の行政や法律をつくるときにはどうしてもどこかで物差しを決めてしまいますから、その以下と以上では本当に明暗を分け合ってしまうということになりがちであります。  今官民格差の問題もお答えしましたように、昔の恩給制度や昔の共済制度を合体して、早い時期に新しい共済年金制度がスタートをしました。それからしばらくたって今の国民年金や厚生年金がスタートをしている。法律的につながっていないところに一つの不幸な原因があるのではないか。同じ軍歴を持ちながら、公務員になればちゃんと換算される、民間会社へ入ればゼロだ。このことは、私はむしろ橘委員の御指摘はそのとおりであると思いますし、そのことに強い御不満をお持ちだということも十分理解をしなければいけないと思います。  ただ、すべがないといいますか、そういう中で過去の先輩もいろいろ議論をし苦労をされて平和祈念事業というふうな形でまとめてこられたのだなと改めて思っておりますが、これとても、今御指摘のとおり基金を造成して書状とか銀杯とか、最近慰労の品をお出ししておるわけでありますが、これはかって期待を持たれた何十万、何百万という単位からすれば本当に形だけの、気持ちだけのものであるわけです。しかも、この運用ですら、今お話しのような不明朗な点があるとするならば、これは大いに改善をしなければなりませんし、基金の運営委員会等にも御意見の趣旨も伝えながら、せめてこの分野の運用だけはきちんと少しでも納得がいただけるように、政府としては努力をさせていただきたいと思います。
  213. 橘康太郎

    ○橘委員 質問時間が終了しましたという札が参りましたので、これをもって質問を終わらせていただきますが、最後につけ加えまして、ただいま官房長官から非常に心温まる御返答をいただきまして、感激しております。ぜひそのようなことで、平和基金の基金運営委員会の方において、せめてこの辺はきちっと、今物すごくたまってほったらかしになっておるようですよ。きょうはたまたまこういう行政手続法の、公明であってそして公正でなければならないという行政のあり方についての法案を出した日ですから、この辺はぜひそうやってもらいたい。  また、新細川内閣において、少なくとも、かつての自民党はそうだったかもしれないけれども我々はこうやるんだというくらいのお気持ちをぜひ持っていただきたいからこういう質問をしておるわけでありまして、ぜひこのことをお考えいただきまして、恩給の要求額が年々減ってまいります、別にシーリングでそれをどうのこうのというわけじゃないので、減っていくのですから、もう少しいろいろな点でそのレベルを下げる、線を下げる、いろいろなやり方があると思いますので、賢明なる武村官房長官であられますので、ぜひこのことをお願いいたしまして終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
  214. 左藤恵

    左藤委員長 次回は、来る二十一日木曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二分散会