○自見
委員 自民党の自見庄三郎でございます。
きょうは、
高橋委員長から今お話がございましたように、わざわざお忙しい中、伊藤邦男参考人においでをいただきまして、大変深くお礼を申し上げる次第でございます。また、
テレビ朝日の社長さんでもございますが、御存じのように先般から椿
発言が大変大きな問題になりまして、当
委員会に参考人としてお越しいただくということも大変重要な問題だというふうに各党各会派
考えたというふうに思うわけでございます。全党一致で、大変恐縮でございますけれども伊藤参考人においでいただいたということでございまして、おいでいただきました御労苦に対しまして心から感謝を申し上げる次第でございます。
それでは、
質問をさせていただきたいと思うわけでございます。
言うまでもなく、
民主主義国家でございます我が
日本国は、
憲法二十一条で御存じのように
表現の自由を保障いたしております。
表現の自由の中に
言論の自由というのが含まれるということでございまして、言うまでもなく、
表現の自由というのは
民主主義国家の基本であるというふうに私は
考えるわけでございます。しかし同時に、
憲法は、その
表現の自由、
言論の自由をきちっと
憲法で保障していると同時に、
憲法第十二条において、この
憲法が保障する自由及び
権利は、これを乱用してはならない、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う、こういうふうに御存じのように定めているわけでございます。
私も少し勉強させていただきましたけれども、言うなれば、
言論の自由、これはもう絶対に保障されねばならない、本当に人間の、また
民主主義国家の基本的な
権利だと私は思うわけでございます。同時に、
憲法第十二条には、今申し上げましたように、乱用してはならない、こういった自由及び
権利はこれを乱用してはならない、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う、こういうふうな条項もあるわけでございますから、自由とまさに公共の福祉とどういうふうに調和するのかということが、
民主主義国家にとって大変大事な課題であるというふうに私は確信をするわけでございます。
御存じのように、今
テレビの
報道が大変大きな問題になっておりますが、私は、少し勉強させていただきましたが、やはり
テレビと新聞、雑誌というのは、
報道というところでは似たところも、
言論機関であるというところに関しては、これもいろいろ意見があるようでございますが、基本的に
テレビというのは、
放送法によって規定されているということでございますから、
放送でございますから、公共の
電波を使うということでございますから、やはりそれは一定の公共性を担保すると申しますか、そういったところで
法律ができておるのではないか、こういうふうに私は思うわけでございます。そういった
意味で、新聞、雑誌にはそういった業法というのもございませんし、これは言うなれば購読者が、自分が一定の
考えを持って、買いたい人が買うというようなところもあるわけでございます。
しかしながら
テレビというのは、まさに公共の財産、共通の財産でございます
電波を国が、公権力が一定の、ある企業なら企業なりにお貸しをするわけで、使うということを許可するわけですから、当然、
電波に関しましては、今広くお茶の間にどこでも入り込むというようなことがございます。そういった
意味で、
テレビを中心とした
放送と新聞、雑誌というのは、法制上も
考え方も少し異なるのではないかというふうに、私はそういった意見を持っておるわけでございます。
そういった中で、例えば
テレビというのは、これは当然そういったように
放送法という
法律できちっと規定されていますし、その基本は、
憲法二十一条と十二条をいかに、
言論の自由がある、しかし同時に一方、自由及び
権利を乱用してはならない、そして常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う、こうあるわけでございますから、その調和の中でこの
放送法というのはできておるのだろう、私はこういうふうに思うわけでございます。
そういった中で、御存じのように
放送法にはこう書いてあります。第一条でございますけれども、「この
法律は、左に掲げる原則に従って、
放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。」ということでございまして、伊藤社長さんは、長い間ジャーナリストでもございましたし、
テレビ朝日の社長さんでございますから、こういったことは言わずもがな御存じだ、こう思うわけでございますけれども、そういった中で、
放送法第一条でございますけれども、
放送が
国民に最大限普及され、その効用をもたらすことを保障する、第二号が、
放送の
不偏不党、それから真実、自律を保障することによって、
放送による
表現の自由を確保する、それから三番目に、
放送に当たる者の責務を明らかにすることによって、
放送が健全な
民主主義の発展に資するようにすること、こういった第一条があるわけでございます。
御存じのように、第三条の二にまさに、「
放送事業者は、国内
放送の
放送番組の
編集に当たっては、次の各号の定めるところによらなければならない。」、「よらなければならない」というのは、これは強制義務だというふうに私はお聞きしたわけでございますけれども、これは四つございまして、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」そして二番目に「
政治的に公平であること。」三番目に「
報道は真実をまげないですること。」それから四番目が「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」こういったことが御存じのように書いてあるわけでございます。
言うまでもなく、
表現の自由の積極的な実現化のために、基本的な法の原則として、
放送の
不偏不党、真実及び自律を保障することによって
放送による
表現の自由を確保することであろう、こういうふうに私は思うわけでございますから、この
放送法の基本的な精神というのは、今さっき申し上げましたように、
憲法の
二つの条文の
一つの調和の中であらわれてきたものだ、こういうふうに私は思うわけでございます。その中で、
政治的公平性の確保、あるいは
報道の
真実性の確保、それから自律性の確保、こういったこと等により、
放送による
表現の自由を具体化しようとしているのではないかというふうに私
自身考えるわけでございます。
そういった中で、私がきょうのこの問題を取り上げさせていただく場合、やはりこの視点が大変大事だと私は思うわけでございますから、どうもこういった椿
発言の問題を取り上げますと、率直に言いまして、
言論に対する抑圧だ、こういうふうな御批判もいただいているわけでございますけれども、また、どうも自民党がマスコミ界をいじめている、
テレビ界、
テレビ朝日をいじめている、こういった論調、新聞記事等々もあるわけでございます。
我々は、
民主主義国家でございまして、この
衆議院におきまして、
国会におきましてそこら辺をきちっとすることが必要であると思うと同時に、今度の問題は、御存じのように椿
発言が全く、ある場所で、これはもう一昨日ですか、この証言にもございました、自分はそういうふうに意図したけれども、実際に
考えたんだけれどもスタッフに指示をしなかった、もししたとすればもう明らかに
放送法違反であるということをたしか証人も、これは
神崎郵政大臣もきのう
国会で答弁しておられたと
思いますけれども、もしそういうことが真実であれば、きちっと具体的に指示をしておれば違反であるということも言われたわけでございますから。
我々は、何もこの
国会あるいは公権力が不当に
テレビ界に干渉を加えるということではございませんが、これは明らかに、本人も言ったように、また細川総理
大臣も、もしこれが真実であれば大変
民主主義国家にとって重大なことであるということを私の
国会の
質問でも答えていただいたわけでございますから、やはりその辺で真実をきちっと明らかにするということが、もし
放送法違反ということになればこれはゆゆしき問題ですから。
そういった
意味で、十三日から
郵政省も
調査をしているということでございますから、やはりそういった
意味で、このことをぜひ誤解のないようにしていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。これはやはり
民主主義と
テレビ報道の
あり方、そういった基本的なところに関するものでございますから、いろいろな意見があっても
日本国
言論の自由があっていいわけでございますから、私の
立場はそういったことをきちっと御理解を得て
国民の方々にもわかっていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
そういった前提に立ちまして、私はこの
テレビ朝日の問題をいろいろ、社長さんわざわざおいででございますから、お聞きをさせていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
まず、伊藤参考人にお聞きしますが、椿
局長さんが九月のこの
放送番組調査会でいろいろ
発言をされたわけでございます。ちょっとこれは釈迦に説法のようでございますが、
日本民間
放送連盟
放送基準というのがございますが、その第二章に「法と
政治」というのがございまして、その六番目に「法令を遵守し、その執行を妨げる言動を是認するような取扱いはしない」こと、それから十一番目に、今さっき言いました「
政治に関しては公正な
立場を守り、一党一派に偏らないように注意する」こと、こういうことがございますし、それを受けまして
テレビ朝日、
全国朝日放送の
放送基準にも「
全国朝日放送は、社会的責任と公共的使命を重んじ、
不偏不党の
立場に立って、真実を伝え、公正な姿勢を貫くとともに、
放送の品位を高め、
表現の自由を堅持する。」こうございますが、御存じでございましょうか。