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1993-10-21 第128回国会 衆議院 政治改革に関する調査特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十月二十一日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 石井  一君    理事 北川 正恭君 理事 野田  毅君    理事 保岡 興治君 理事 左近 正男君    理事 前田 武志君 理事 権藤 恒夫君    理事 三原 朝彦君       逢沢 一郎君    石破  茂君       衛藤征士郎君    小川  元君       斉藤斗志二君    笹川  堯君       自見庄三郎君    白川 勝彦君       津島 雄二君    中川 秀直君       西岡 武夫君    額賀福志郎君       葉梨 信行君    穂積 良行君       細田 博之君    増子 輝彦君       阿部 昭吾君    秋葉 忠利君       大畠 章宏君    堀込 征雄君       三野 優美君    岡田 克也君       工藤堅太郎君    栗本慎一郎君       古賀 敬章君    西川太一郎君       吹田  愰君    赤松 正雄君       太田 昭宏君    日笠 勝之君       前原 誠司君    茂木 敏充君       簗瀬  進君    川端 達夫君       笹木 竜三君    高木 義明君       柳田  稔君    穀田 恵二君       正森 成二君  出席国務大臣         法 務 大 臣 三ケ月 章君         外 務 大 臣 羽田  孜君         厚 生 大 臣 大内 啓伍君         建 設 大 臣 五十嵐広三君         自 治 大 臣 佐藤 観樹君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)武村 正義君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 石田幸四郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      江田 五月君         国 務 大 臣 山花 貞夫君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      阪田 雅裕君         防衛庁防衛局長 村田 直昭君         科学技術庁原子         力局長     石田 寛人君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 濱  邦久君         大蔵省主税局長 小川  是君         国税庁次長   三浦 正顯君         食糧庁長官   鶴岡 俊彦君         資源エネルギー         庁長官     堤  富男君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省建設経済 小野 邦久君         自治政務次官  冬柴 鐵三君         自治大臣官房審         議官      谷合 靖夫君         自治省行政局選         挙部長     佐野 徹治君  委員外出席者         議     員 保岡 興治君         自治省行政局選         挙部選挙課長  松尾 徹人君         自治省行政局選         挙部管理課長  山本信一郎君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       大竹 邦実君         特別委員会第二 田中 宗孝君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十一日  辞任         補欠選任   逢沢 一郎君     衛藤征士郎君   白川 勝彦君     小川  元君   小沢 一郎君     西川太一郎君   川端 達夫君     高木 義明君   笹木 竜三君     柳田  稔君   正森 成二君     穀田 恵二君 同日  辞任         補欠選任   衛藤征士郎君     逢沢 一郎君   小川  元君     白川 勝彦君   西川太一郎君     古賀 敬章君   高木 義明君     川端 達夫君   穀田 恵二君     正森 成二君 同日  辞任         補欠選任   古賀 敬章君     工藤堅太郎君 同日  辞任         補欠選任   工藤堅太郎君     栗本慎一郎君 同日  辞任         補欠選任   栗本慎一郎君     小沢 一郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第一号)  衆議院議員選挙画定審議会設置法案内閣提  出第二号)  政治資金規正法の一部を改正する法律案内閣  提出第三号)  政党助成法案内閣提出第四号)  公職選挙法の一部を改正する法律案河野洋平  君外十七名提出衆法第三号)  衆議院議員選挙画定等委員会設置法案(河  野洋平君外十七名提出衆法第四号)  政治資金規正法の一部を改正する法律案河野  洋平君外十七名提出衆法第五号)  政治腐敗を防止するための公職選挙法及び政治  資金規正法の一部を改正する法律案河野洋平  君外十七名提出衆法第六号)  政党助成法案河野洋平君外十七名提出衆法  第七号)      ――――◇―――――
  2. 石井一

    石井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院議員選挙画定審議会設置法案政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案並びに河野洋平君外十七名提出公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院議員選挙画定等委員会設置法案政治資金規正法の一部を改正する法律案政治腐敗を防止するための公職選挙法及び政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案の各条を一括して議題といたします。  本日は、昨日に引き続き、内閣提出の各案について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西川太一郎君。
  3. 西川太一郎

    西川委員 私は、東京第六区から初めて国会に出させていただきました新人でございますので、上手に質問ができるかどうか大変心配でございますけれども、持ち時間三十分、一生懸命関係大臣お尋ねを申し上げたいと存じます。  質問に先立ちまして、昨日突然お倒れになりました皇后様の御平癒を心からお祈りを申し上げたいと存じます。  また、極めて遺憾なことでありますが、ロシアの放射性物質海洋投棄、これに対して日本政府、各党の御努力もこれあり、第二次投棄が延期をされたということは、国会議員の一人として、その御苦労を多といたしたいと思います。引き続いて、その御努力をお願いしたいと存じます。  さて、そこで本題に入らせていただきますが、まず初めに、今回の政治改革につきまして、いろいろな具体的な御議論は、報道でも国民皆さん数多く接する機会があるわけでございます。いわく小選挙区制、比例代表制、そして、今最大の関心事は政治家も含めて区割りがどうなるのかというような本質的な問題、技術的な問題、いろいろ報道されております。しかし、私は今一番大切なことは、冷戦終えん後の世界の新秩序の構築の中で我が日本がどういうふうな国として行動するべきであるのか、そのためになぜ現行選挙制度ではそれができないのか、もしくは不都合なのか、なぜ政治改革を行う必要があるのかという、この本質的な理念をもっともっと国民皆さんにお訴えをしていく、PRをしていくということが大変重要なのではないかというふうに思っている一人でございます。その国民的なコンセンサスが得られるならば、私どもは、この政治改革議論がもっと熱心な、国民皆さんの注視の的になるのではないか、不景気を退治するということは大変重要でありますけれども、しかし、それも実は政治改革が根底にあって初めてできるんだというようなことも、国民のかなりの方々認識をされているのかどうかということも、実は疑問ではないかと思っております。  五五年体制が終わって、いわゆる短期的な利益や小さな地域の利益国政が精力を集中するのではなくて、もっと幅広い、いわゆる政治家自由裁量をもっと与えられるような、メジロ押しに迫っている国家に対する難問、これに政治クイックレスポンスできるような、そういうことが必要なのではないかというふうに考えているわけでございます。  そこで、きょうは御関係山花大臣佐藤自治大臣、ほかに党首であられます石田総務庁長官大内厚生大臣、そして江田科学技術庁長官にもお出ましを願いまして、党首として、特に今まで野党にあられて、大変失礼な言い方でありますけれども、政権の座に着かれ、国政責任をより大きく持たれるお立場になった党首として、ただいまのこの理念についてどのような御認識で当たられているのか、御高見をお聞かせ願えれば幸いでございます。
  4. 山花貞夫

    山花国務大臣 問題の認識については西川委員とほとんど同じ気持ちでございます。何よりも、新しい時代に向かう我が国が、内外の山積する課題に対して、ではこれに対応する政治の対応があるかということについてみずからを省みれば、これまでの国民の極限にまで達したと言われた政治不信、この政治に対する信頼を回復することなくしてこれからの政治はあり得ないのではなかろうか、こう考えてまいりました。  国民コンセンサスを得る、こうしたテーマにつきましては、過日の総選挙の結果こそが国民の示すところであったと私たちは受けとめたところでございます。そしてそれは、政権交代を含め日本政治の抜本的な改革をこの機会に何としても仕上げなければならない、こうした強い国民の要請というものがそこにあったものと受けとめています。したがって、与党野党ともに今日の国政の場にある者はこうした国民皆さん期待にこたえることがなければならない、こう思っているところでございます。  私も、閣僚といたしましては政治改革法年内実現のために全力を尽くしてその責任を果たしたい、こう思っている次第でございます。
  5. 石田幸四郎

    石田国務大臣 お答えを申し上げます。  冷戦構造が崩れまして、大きなそういったイデオロギーの対立が徐々に解消して、世界は今新しい時代を迎えようといたしておるわけでございます。その中で、日本が今後どんな国際的期待の中で国際社会における役割を果たしていくのか、大変大事な、大きな課題だと思うわけでございます。また、国内の状況を見ましても、まさに今細川政権一つ改革論議として経済改革を主張をいたしておるわけでございますが、やはり経済社会も諸外国のいろいろな関連の中でまた新しい立て直しをしなければならない、そういう時期にも差しかかっておるというふうに認識をいたしております。  そういう中にありまして、そういうようないろいろな諸課題を推進をするについては、政治国民皆さん信頼をから得るような、そういう状況でなければ、新しい時代に対応する政治能力を発揮することはできないというふうに思うわけでございます。しかし、先生も御存じのとおりこの数年大変な政治汚職の連発でございまして、それに対する国民の怒りの声、不信の声というのは大変厳しいものがあるわけでございます。そういうような国民信頼にこたえ得る、まさに政治改革チャンスが今やってきているわけでございますので、まずこれをなし遂げることによって基本的な国民との信頼関係をつくらなければならない、こう思うわけでございます。  ただ、いろいろな批判の声を聞いておりますと、選挙制度が変わったからといって本当に政治信頼できるようになるだろうかというような声もございます。しかしそれは、それだけ国民不信の声が深いし、また強いというふうに理解をすべきであって、それにこたえるのがいわゆる国会政党政治家責任である、私はこういうふうに思っているところでございます。  そういった意味におきまして、まさに緊急の課題としてこの政治改革、何としても成立をさせなければならない、このように決意をいたしているところでございます。
  6. 大内啓伍

    大内国務大臣 お答えいたします。  政治改革について国民コンセンサスを得ることが重要であるという御指摘は、もう全く同感であります。  政治の任務は、言うまでもなく、当面する諸課題を的確かつ迅速に処理するという問題にとどまらず、将来に対して、やはり国民に対して期待と希望を寄せられるような一つ目標を掲げながら、それを着実に実現していくということが大事であると思っております。しかし、そういう中で一番大事なのは、政治に対して国民信頼感を持つ。かつて日本に亡命されました中国の孫文は、民意によって国を建て、民意に逆ろうて国を滅ぼす、こうおっしゃいましたけれども、私は、これが民主政治基本だと思っております。  ところが、リクルートから始まり、昨年の金丸事件、そして昨今のいろいろな不祥事件によりまして、やはり政治というものが国民から大変な信頼を失ってきた。しかし、前方を見ますと、日本は、まず生活水準という面で先進国の域に達しなければならない、つまり生活水準という面で先進国を形成しなければならぬ。また、自分だけよければ人はどうなっても構わないという式の利己的な精神構造ではなくて、お互いに助け合い、文化を大事にしていくというような、文化先進国も同時につくっていかなければならない。その中に地方分権という問題もある。そしてさらには、五百兆に近い経済大国GNP国家になりまして、国際社会の中で積極的に貢献できるような国家をつくっていかなければならぬ。  そういう幾つかの大きな目標があるわけでございまして、そのためにこそ、やはり政治国民から信頼され、そして、クイックレスポンスという言葉をお使いになりましたけれども、まさに迅速かつ的確に対応できるような政治体制をつくる、それが政治改革の今日的な課題ではないかと思っておりまして、その点について国民の皆様の御理解を得なければならぬ、こう考えている次第でございます。
  7. 江田五月

    江田国務大臣 西川委員指摘のとおり、つい先日まで、我々野党立場政治にかかわってきたわけです。野党立場で見ていますと、確かに便利のいいことではありますが、政権党の方に次から次へと不祥事が起きてくる。野党の方は確かに追及をしていればいいけれども、しかし、そういう不祥事にそれに対する追及でこの数年日本政治は全然動いてこなかったわけですね。これで一体いいのだろうかということを私たち野党としても随分考えました。何とか日本政治全体をこういう状態から脱皮をさせていかなければならぬ。そのためには、政治資金規正法を変えることも必要だろうし、あるいは政治腐敗防止法をつくることも必要だ。しかし、やはりこの構造というのは、これは選挙制度にも一つ由来をしているんじゃないかと考えていたわけでございます。  中選挙制度がもう制度として初めから話にならぬ悪い制度だという、そう言うつもりは毛頭ありません。しかし、長い間やっているうちに、その中選挙制度、例えば典型的な選挙区でいえば、五人なら五人を選ぶ、投票率考えると、有権者の一二、三%の得票を集めれば通るわけです。そうすると、どうしてもそこに族議員構造ができる、利権の構造ができる。一方で野党の側からいえば、構造的な支持層さえしっかりつかんでおけばそれで大丈夫だという、そういう構造になって、政治が停滞し切ったわけですね。  ところが、その与党野党というのも、言ってみれば冷戦構造の投影であったのですが、世界冷戦構造が終わってしまって、もうこの構造自体も要らなくなった。そこで、選挙制度も含む政治改革はどうしてもやらないと二十一世紀の展望を開けない、こう思うに至って、いろいろ努力をしてまいりました。自民党が政権与党、我々が野党、こういう時代には、しかしこれが動いていかなかった。  しかし、いろいろな御承知のような事情で今回政権交代が起きまして、今こそ選挙制度改革をも含む政治改革絶好チャンス、この機を逃してはまたできなくなってしまうので、委員各位の御理解をお願いしたい、こう思っているところでございます。
  8. 西川太一郎

    西川委員 ありがとうございました。  内閣法案提出趣旨説明やいろいろな機会に、今のような十分な理念の裏打ちというものが国民皆さんに届けば、私は、もっともっとこの政治改革政府のお考えに対して国民の圧倒的な御支持を得られるという感じを持つに至っているわけでございますが、ただいまの各大臣の御答弁によりまして、そのことにより確信を持つことができました。  そこで、先ほど来から各大臣の御答弁にもありましたとおり、押し寄せる難問、開かなければならない新時代、そのための国民皆さんにいろいろなコンセンサスをいただかなければならない、そこに現行選挙区制よりも小選挙比例代表並立制一つの長所がある、こういうことから御提案があったわけでございます。  そこで、少しく具体的な問題に、もう時間の関係もございますので、入らせていただきまして、佐藤自治大臣お尋ねをいたしたいのでございますが、このたび自由民主党提出をされました案と内閣案では大きな違いが何点かございますが、そのうちの一つに、戸別訪問解禁と申しますか、それがございます。  そこで、イギリスの例などを見ますと、戸別訪問政策を訴えるかなり重要な役割を果たしているというふうに承知をいたしております。また、アメリカなどでは、予備選挙党員登録の際に戸別訪問が頻繁に行われて、その機会政党政策等について普及させる絶好機会でもあるというふうに伺っております。  ところが、翻って我が国の今日までの戸別訪問禁止の意図というものは、戸別訪問によって買収が行われるであろうとか、いわゆる汚い選挙が行われるというような観点から禁止をされてきたわけであります。  しかし、民意がこれだけ育ち、そして政治に対する非常に強い関心が国民の間に醸成されている今日、私は、まさに小選挙比例代表並立制による、いきなり二大政党制にならないにしても、基本政策において考え方の違う二つの大きな政治の集団が、国民にその是非を問うというためには、戸別訪問という制度は極めて有効であるというふうに考えているわけでございますが、これについて、まず、なぜ解禁をされたのかという基本的な点について自治大臣に第一問としてお尋ねをしたいと思います。
  9. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 私も、西川委員が言われましたように、昨年のイギリス選挙で、戸別訪問をどうやっているのか、あれはたしか保守党の方だと思いましたが、見せていただきまして、必ず複数で行くことと、ドアをあけて有権者の方に話をするという、こういう光景を見せていただいたわけでございます。日本の場合には、今西川委員指摘のように、やはり買収供応が行われるということが最大の理由だったわけであります。しかし、禁止をしていても、買収供応は残念ながら選挙違反の中に随分挙がってきておるわけでございまして、私たちは、これはこれとして厳正にしなければいけませんし、今度御承知のように連座制強化ということで、候補者となろうとする者あるいは秘書等買収供応したときには運座制が適用されて、当選しても当選無効になり、五年間立候補できなくなるという非常に厳しい罰則強化もされているわけでございます。  そういうこともございますし、本来、ヨーロッパ等でも戸別訪問というのは、今西川委員が言われましたように政策を普及するためにディベートをしてくる、またそれによって民意を吸収してくるという選挙運動としては非常にオープンなやり方だということで、今度は小選挙区になって従来の選挙区よりも原則的に小さくなるわけでございますので、この際やはり原則に戻って、私たちは積極的に政策宣伝の手段としてこの戸別訪問というのは解禁すべきではないか。まあ有権者も、来られて次から次からで困るということも批判の対象になっておるわけでございますが、これは同じ政党が何度も何度も行けば今度これはむしろマイナスになるでございましょうし、そういった意味からいいまして、朝の八時から夜の八時までという時間制限をつけまして全面的に各選挙とも解禁をするということにしたのは、本当に選挙というものが、より選挙をやる側と有権者の側とがオープンな議論が公的に、公的にといいますかオープンにできるということが本来の選挙運動あり方ではないか、むしろ積極的にこの際、候補者の数も減ることでありましょうから、やはりやることが正しい選挙あり方ではないか、こういうふうに考えまして、今度は全面的に、時間制限以外は何の条件もつけていない、ただ罰則強化はございますけれども、解禁をしたわけでございます。
  10. 西川太一郎

    西川委員 大臣に詳しく御答弁をいただいたわけでございますけれども、もう少しこの問題について細部にわたってお尋ねをさせていただきたいと思うのでございますけれども、例えば東京ですと中野区で、事の是非は別としまして、教育委員の準公選が行われているわけであります。あそこでは戸別訪問が、当然公職選挙法の網がかかりませんから、実施されているわけです。これはかなりうまくいっているというそういうお声もあります。いわゆるボランティアの方が熱心に御自分支持する候補者考え方各戸にふれて回る、ちょっとした立ち話を軒先で行うというようなことがあちらでもこちらでも行われているということもあるようでございます。  また、私の記憶が間違ってなければ第七次、前の、前々回の選挙制度審議会のいろいろな御議論の中で、選挙の、先ほど既にお話がございましたけれども、有権者の静穏を阻害をするとか、それから例えば、その当時小選挙区のサイズがどれぐらいになるかわからなかったわけですし、現在自由民主党さんの案であってもおよそ人口四十万、政府案であれば五十万、一口に四十万、五十万と申しますけれども、そういう人口の中で数多くの有権者方々各戸を訪問して候補者やその身近な者が説得をするというのはもう限りがございます。したがって、どうしても同志的な結合のある、これから考えられる党員でありますとかそういう諸君に自分考えを普及してもらうために、運動員を送り込まなければいけない。そうなりますと、そこに当然疑義として出てまいりますのは、その数は多ければ多いほどいいわけでございますが、これに対する、費用はもちろん払ってはいけないということになるわけでございましょうけれども、その方々をトレーニングをしたりいろいろな意味費用がかかり過ぎるんじゃないか、人手を集めることについてはかえって今の選挙制度よりも大変なことになるんではないかという御心配専門委員少数意見として第七次の選挙制度審議会の中にはあったように伺っております。  またもう一つ意見としては、煩瑣にわたる場合には退去を勧告できるというようなそういう仕組みも残しておくべきだという御意見も当時はあったようでございますが、それらを一切乗り越えて、ただ時間を八時から八時と限られまして今回お認めになった、そこらのことについて、私が今申し上げたような心配はないのかどうか。これは与党の一員としても大変心配でございますので、ちょっとお尋ねをさせていただきたいのでございます。
  11. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 七次審のことは必ずしも正確に覚えておらないのでございますけれども、今西川委員質問の中で言われたようなこと、あるいは戸別訪問解禁をした場合には、組織的にされた政党の方が有利ではないかとかいろいろな議論は確かにあると思います。ただ、これはやっていいということであって、やらなきゃいかぬということではないわけでございますので、そういう意味では運動員の人を雇ってということはできないわけでありまして、これは運動員買収になってまいりますので、今まさに言われたようにボランティアということでやっていただく範囲内ということでございますので、そこはやはり有権者方々の方もそういった意識変革というものをこの際していただく必要もあろうかと思います。  そういった意味で、私たちとしてはやはり民主主義、有権者が一番重要だという位置づけになる民主主義の中で有権者との接点をできる限り広げていこうということでございますので、何分、禁止をされていたものを初めてやるわけでございますからこれからいろいろな課題もあろうかと思いますが、それはまた、原則解禁ということを原則にして、これから問題が生じた場合には今後どう対応していくか、それはさらに検討していく問題ではないかというふうに思っております。
  12. 西川太一郎

    西川委員 もうあと三分少々しか時間がありませんので、私はこれで、用意をしました質問がもう一問ございますが、これは後日また同僚、先輩議員におゆだねをして発言を終わりたいと存じますが、最後に要望を申し上げておきたいと存じます。  それは、冒頭、お忙しい中党首であられる大臣にお出ましを願って伺いました理念、このことにつきまして、ひとつ山花大臣また佐藤自治大臣におかれましては、御関係責任大臣として広く国民にこの点についての政府の統一のものを広めていただきたい、与党の一員としてこれはぜひ御努力をお願いしたいと思うのであります。  それから、戸別訪問の仕組みも含めて、政党助成法も含めて、これが最高の案である、ある意味ではこの二百五十、二百五十ということも含めて、本当に議長裁定と呼んでもいいぐらいの長い間の与野党のいろいろな御意見を集約した形でここに提出された私はもうすばらしい案だというふうに思っておりますけれども、しかし人間のつくるものでございますし、またいろいろな価値観をお持ちの有権者方々を相手の選挙でございます、見直しをひとつ頻繁に行っていただく必要があるんじゃないかというふうにも思います。  そこで、この選挙制度をいじるということを、国権の最高機関の衆参両院の議員、特にこのたびは衆議院の議員を選ぶ、そういうことでいろいろと慎重にやるべきだという御意見もありますけれども、私はむしろ、かなり小まめに改正をするぐらいのそういう柔軟性を持って臨んだ方がいい、もうこういう気持ちでおります。どうぞひとつ、新人議員の意見としてお聞きいただければ幸いでございます。以上をもちまして、私の質疑を終了させていただきたいと存じます。どうもありがとうございました。
  13. 石井一

    石井委員長 次に、増子輝彦君。
  14. 増子輝彦

    ○増子委員 おはようございます。自由民主党の増子輝彦でございます。関係大臣の皆様方に幾つかの御質問をさせていただきますので、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。私も、前通常国会におきましてもこの政治改革特別委員会のメンバーの一人として百七時間に及ぶ審議に加わってまいりました一人でございます。そういう意味では、当時社会党側の提案者でありました佐藤自治大臣、めでたく大臣に就任されましてこの審議に加わっているということ、大変私にとっても感慨深いものがございますし、また、私ども、さきの通常国会において真剣にこの政治改革関連法案を審議したという中で残念ながら成立を見るに至らなかった、そして結果的には解散・総選挙というようなことに実はなってしまったわけでございます。きょうおいでの関係大臣の皆様方も、私どもと当時は立場が全く逆でございました。  私自身としては、昭和六十三年に発覚いたしましたリクルート事件以来約五年にわたって、その間にこの政治改革論議というものを我々真剣に進めてまいりましたけれども、いまだこの実現を見ないということ、まことに国会としてあるいは政治家としてその責任を全員ひとしく負わなければならない、そういうふうに思っているわけでございます。と同時に、その間に、相変わらずと言ってはなんですが、幾つかのまたお金にまつわる不祥事が出てまいっているわけでありまして、もうそれこそ政治改革待ったなしという言葉と同時に、果たして本当にこの政治改革が今国会でも実現できるんだろうか、そういう実は心配の声も国民の皆様方の間にあることも私どもは受けとめなければならないと実は思っているわけでございます。  そういった中で、宮澤内閣不信任案の成立から解散・総選挙、そしてこの細川政権の誕生と、あっという間の数カ月間でありましたが、いよいよ今回またこの政治改革がこの特別委員会議論されることになったわけでございますので、私ども、ともにこの政治改革を実現するということについては共通の認識を持ってこの審議に当たっているものと私自身は認識をいたしておりますし、また、お互いその実現のための努力もしなければならないと思っているところでございます。もしこれが本当に国民皆さん心配するように、今回もまた、二度あることは三度あるというようなことになってしまったのでは、我が国の民主主義の崩壊につながると言っても私は過言ではないと思いますし、また今、世界のこの大きな政治の動きの中で、我が国が一体どういう形でその政治政策決定をしながらこの政治的な役割を果たしていくかということにもおくれをとってしまうというような心配も、十分私どもは認識をしていかなければならないわけでございます。  その中にあって、国内的に見ましても、本当にかつて経験したことのないほどのバブル経済後の不況の問題や、あるいはそれこそ有史以来と言ってもいいこれまた大凶作における農家の皆さんの大変な状況の問題、そういったものを一つ一つ考えましても、いかに私どもが国会において政治責任を果たさなければならないかというようなことを改めてお互い深く認識をしなければならない、そういうふうに思っているところでございます。  そういう中から、私自身といたしましても、今二回目の当選をさせていただきましたが、初めて当選をさせていただいて以来約四年近くなりますが、微力でありましたが、この政治改革に全力を尽くしてまいりました。今回もこの特別委員会委員の一人として、私なりに重大な決意を持ってこの審議に加わりながら、また私はこの実現のために努力をしていかなければならない、そういう思いを今強く持っているところでございます。  そういう中にありまして、今度のこの国会の中における政治改革の論議、国民皆さんの関心、一つにはやはりこの選挙制度が、政治改革法案が成立をしたときに自分たち支持する政治家国会議員は一体どういう方向になっていくんだろうという心配と同時に、あわせて、先ほど申し上げましたとおり、この選挙制度を含めた政治改革関連法案が本当に成立するんだろうかというようなことの実は関心、心配等もあるということを改めて私は申し上げておきたいところでございます。  その中にありまして、実は、先ほど申し上げたとおり、今度の大きな政治の転換ということから見ましたときに、今度の細川政権が誕生したという背景、いきさつ、いろいろあるわけでございます。しかし、結果的には、政権抗争の中で、政治改革実現抗争という中でこの細川政権が誕生したこともまた厳粛な事実でございますから、私どももそれを直視しながら、一生懸命、ともに共通できて、お互い政策的なものをともに実行できるものについては協力をしていかなければならないと思っておりますし、しかし、場合によっては是々非々の立場で、いろいろな問題についてお互い議論を交わしながら国家国民のために行動をしていかなければならないと思っているわけでございます。  その中で、実は今度の細川政権、大変出だしは評判がよろしいようでございます。さらに、国民の皆様方の関心も、この細川政権が果たしてどのくらい続くんだろう、そういうことも実は本当に大きな国民皆さんの関心の一つでございますし、反面、自由民主党が本当に党改革をしながら再生をして再び政権を獲得することがまたこれはできるんだろうか、そういったこともまた国民の皆様方の大きな関心であることは間違いないところと認識をいたしているところでございます。  その中にあって、ただいま申し上げましたとおり、細川政権は大変滑り出し順調といいますか、支持率の面からいけば実は極めて高い支持率を国民の皆様方からちょうだいをしているというようなことにつきまして、それぞれの閣僚の立場にあって、それぞれ各党首という立場でこの連立政権に参画をいたしている関係大臣の皆様方にまず最初にお聞きをしたいことは、この支持率をどのようにごらんになっているのか、そしてまた、高い支持率をいただいている理由は何なんだろう、その理由をお聞きをいたしたいと思いますし、また、この連立政権を維持しながら高い支持率を保っていくということには何をしていかなければならないというようなことを、ひとつきょうおいでの関係大臣の皆様方にまずお伺いをいたしたいと思います。
  15. 山花貞夫

    山花国務大臣 これまでの政治改革に対する熱心なお取り組みに、まず冒頭、敬意を表する次第でございます。  お話しありましたとおり、正直な気持ちからいっても、予想以上に支持率が高いということを大変責任の一端を担いながら痛感しているところであります。一体なぜなんだろうということについては、やはり判断の根拠は、前回の選挙の経過と結果だったと思っています。何よりも長く続き、そして国民不信がきわまっておった今日の日本政治に対し、第一に政権交代を求める声、そして政治改革を断行せよとの声、この二つの大きな国民皆さん期待にこたえて樹立されたのが細川新政権であった、こういうふうに考えているところでございます。  したがって、言われておりますとおり、まさに期待票といいますか、そうした期待が高い支持率にあらわれていると思うところでありまして、とするならば、何よりもまずそのスタートの仕事は、最優先の課題として取り上げている政治改革のテーマ、これをなし遂げることなくして国民皆さん期待にこたえることはできないのではなかろうか、こう思っているところでございます。私としては、政治改革を担当したその役目柄も、総理のおっしゃっている年内実現のために全力を尽くしたい、こうした決意でこの四法案提出させていただいて、この審議の場にも臨んでいるところでございます。どうぞ御理解のほどをお願い申し上げる次第です。
  16. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 増子さんとは本当に政治改革をともに議論をし、また国民の皆様に理解していただくためにともに行脚をした仲間でありまして、今日まで真摯に取り組まれてまいりました御姿勢に対しまして心から敬意を申し上げたいと思います。  また、今お話のございました、なぜこんなに支持率が高いのかというのは、今お話がありましたように、日本政治というのは、いい悪いは別としてともかく三十八年間続いておったということ、そしていろいろなスキャンダルがたび重なってきてしまったというような、そういう中で、やはり国民が閉塞的な状況というものを感じておったんじゃないのか、そこに我々の新しい動きがあったということに対して、何かやはり政治が変わってくれるんじゃないのかという期待であろうというふうに思っております。  そして、この内閣政治不信を除去しようということ、これを中心にして政治改革、それと同時に、行政改革とかあるいは財政改革とか社会構造の変革だとか経済の全体の改革とか、そういったことをやるにしても、やはりその土台であるまず政治がきちんとすることであろうということで、この政治改革を真っ正面から取り組んでいこうというその姿勢を評価してくれているんだろうと思っております。  私は、いつも言っておるのですけれども、奇をてらうようなことですとか、あるいは一時的な物事を追うというのではなくて、本質のやはり変革を我々は追わなければいけないのだ、これがもし追うことができず、あるいはそれが挫折するようなことがあったならば、我々自身に対する今度は批判というのは非常に大きなものになるであろうというふうに申し上げておりまして、今後とも、やはり我々に課せられた使命というのをきちんと理解し、そして行動していくことが大事であろうというふうに考えております。
  17. 石田幸四郎

    石田国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。  いろいろ今お話を承っておりまして、政治改革にかける先生の情熱がひしひしと伝わってくる思いがいたし、敬意を表する次第でございます。  この細川政権支持の高い問題というのは、振り返ってみますと、今回の選挙の問題に尽きるのではないか。私どもも野党という立場で一生懸命政策を訴えながら選挙戦をやってまいりましたけれども、やはり既成政党に対する厳しい御批判があって、その中で勝利を得るというのは並み大抵の状況ではない。そしてまた、新しい政党が三つも誕生して短期間にあれだけの支持を集めたということ、そういった意味におきましては、国民皆さんは長い間のこの政治体制の中で、やはり政治一つの低迷といいますか、そういうものに飽きて、何としても変化をさせなければならない、そういう変化への一つの大きな期待があのような選挙の結果になったのではないかというふうに私は受けとめておるわけでございます。  それだけに、そういった変化を期待された細川政権でございますから、やはり国民皆さんにどういう形でこたえていくか。今山花、羽田両大臣からも御答弁がありましたけれども、一つには、やはり前回あれだけの選挙の争点になった政治改革問題というのは、これは国民政治との信頼関係の問題でございますから、まずこれをやらなければならない。そして、一つの結果を出して国民皆さん方の期待におこたえができたということにならないといけない。それがもしまた不成功というようなことになりますれば、私はやはり細川政権としても大変厳しいまた御指摘を受けることになるだろうと思うのでございます。  また同時に、余り長い御答弁は失礼かと思いますけれども、行政改革の問題についても、やはり国民皆さん一つの大きな変化を期待しておられる。官から民へという期待感もあるわけでございますので、そういうこともまた目に見えて進めていかなければならないであろう。それから経済全体、いわゆる社会経済の状況というものが世界的にも質的な転換を今迫られている状況でございますので、そういった問題についても何らかの姿勢がきちっと見えてきて、国内的にもまた国際的にも日本の行くべき道というものが示されていかなければならない。こういった問題についても、下手をいたしますれば、やはり大変手厳しい国民皆さんの御批判があるのではないか、そういった基本的な問題を着実に進めていかなければいけない。  もう一つは、これは私たちは、改革というとらえ方は、要するに革命ではないわけでございますから、長い間のこの政治の流れの中で当然それを守っていかなければならない問題、継続的に守っていかなければならない問題もあるわけでございます。新政権になったからといって、前の政権の今までの積み重ねが全部だめだではなくて、どこをどう変えていくのかというそういうような姿勢で臨むべき問題であろう、こんなふうに思っているところでございます。
  18. 大内啓伍

    大内国務大臣 政治改革に対する増子委員の危機感、私も実は全く同感でございまして、同じような気持ちを持っております。  なぜ細川政権あるいは細川内閣支持率が上がったかということを主たる要因として結論的に申し上げますと、やはり政治腐敗との決別という問題に対して細川政権が何らかの前進を図ってくれるのではないか、この期待感が一番大きいと思うのです。言うまでもなく、リクルートから金丸事件、そして佐川事件に至るああいうスキャンダルを見まして、国民皆さんは既成政治に対して本当の嫌悪感をお持ちになった、そして新しいものを歓迎するという空気が生まれた、私はそれに細川政権というものが政治改革というものを掲げて、そして国民信頼を得てきているのではないか。特に、自民党政権におきまして、二つの内閣政治改革を実現することができなかった、この失望感と裏腹に今度こそはやってくれるのではないか、こういう期待感が非常に大きいと思うのです。  私は、政治改革というのは、別に選挙制度等の制度改革だけで実現できるような問題ではなくて、やはり日本政治構造そのものを変えるという問題が一つ重要なものとしてありますし、もう一つは、やはり官僚主導型の政治というものの打破という問題も大事な問題であると思っておりまして、そうした面でも国民の皆様は細川政権期待を寄せた。加えて、細川総理自身がお持ちになっているキャラクターといいますか、そこに清潔感というものを見出して今このような高支持率を得ているのではないか、こういうふうに考えております。
  19. 増子輝彦

    ○増子委員 武村官房長官、五十分に何か出なければいけないということですから、今一連の、それぞれの皆様方からお聞きいたしました。後で江田長官にお聞きしますが、ちょっと長官、今お出になる前に、もう一つつけ加えて、実はその中で、とにかく変革を求めたという形の中で、いずれにしても非常に期待が大きいんだろうというお話でございますが、その件について若干お触れをいただくと同時に、この政権が一体何をやらなければならない政権なんだろうということ、そして、先般の代表質問で、実は羽田副総理と武村官房長官のこの政権に対する、内閣に対する考え方にずれがあった、いわゆる仮の姿なのかあるいは本格的なものなのかという、この内閣のあるべき姿ということについて違いがありましたが、その点につきまして、この政権は、武村長官、改めてお伺いをいたしますが、これはやはり仮の姿ではないんだ、あくまでも本格的なんだというようなお考えなのかどうかということと、それから先ほども山花大臣からも、この政治責任というものを感じながら年内成立を図らなければならないというようなこともお話にございました。官房長官といたしまして、この政治責任についてどのように総理の女房役としてお考えになっているかということを含めまして御答弁をいただければありがたいと思います。
  20. 武村正義

    ○武村国務大臣 いろいろお聞きをいただきましたが、まず、この政権支持率につきましては、もう各党首の御答弁のとおりでございます。入り口の支持でございますから、やはり激励とか期待を込めた頑張れ、こういう御支持だと思っておりますし、もっと仕事をさせていただいて、その上でこういう高い支持率になるように、目標としてはそんな気持ちで頑張っていきたいというふうに思っております。  暫定政権か本格政権かということも含めてお聞きをいただいたと思いますが、すべての政権に言えることだと思いますが、これだけ政治に対する内外の課題が多くて責任が重いときに、暫定というのはどういうニュアンスで使われるのかわかりませんが、しばらくという、期間が短いというニュアンスもあるし、つなぎといいますか、そんな意味もにじんでおりますが、本当にごく短期間ならそういう政権は存在し得るかもしれません、選挙管理内閣のような場合ですね。しかし、それ以外には、あるシングルイシューだけ、一つのテーマだけを何カ月もかけて担当する政権、そういう政権はあり得ないというふうに思います。  もう細川政権も二月超えましたので、政治改革目標でありますこの年内だけとらえましても、この数カ月というのは、御承知のように、もう内外のさまざまな課題が押し寄せております。ひときわ重い課題が集中している時期でもございますだけに、これはもう本格政権以上の責任と意欲を持ってそれぞれのテーマに真剣に取り組んでいかなければいけないと思っております。これは、細川政権であろうと何政権だろうと、今の時期はそういう本格的な政権でなければいけないという認識でございます。  ただ、政治改革を提唱して、それでこの政権が誕生したことも事実でございますから、何といいましても年内いっぱいは、政治改革だけは万難を排して成就さしていただきたい、これが国民皆さんに対する私どもの政権全体の約束でございます。幸い自由民主党政治改革についてはほぼ同じ考え方でこの国会に臨んでいただいていることを大変うれしく思っております。  できなければ責任をとるというのは、これは細川総理御自身の表現でありますし、非常にこのことにきちっと責任を感じた表現としてああいう言葉を使われたというふうに思っております。実際には、責任のとり方というのはいろいろあるわけでございますから、私は、憶測でここでそのことまで触れる資格は、立場ではありません。
  21. 増子輝彦

    ○増子委員 それでは江田長官、先ほどのをちょっとお答えいただきたいと思います。
  22. 江田五月

    江田国務大臣 各党首の閣僚の皆さんから答弁がございましたが、私も同じ考え方でございます。  そうですね、まあ私なりの整理の仕方をしてみますと、七〇%というような大変な高い支持率、一言で言えば期待値だと思うんですけれどもね。今までの自民党政治のもとでは、内閣支持率というのはもう五割を切ることはもちろん、三割台、二割台、一割台あるいは一けたにと、それが七〇%、八〇%というんですから、これは単なる数値の違いというよりも、もう質的な違いがありますね。  これまでは国民皆さん政治にどちらかというと背を向けていた。しかも逃げておった。それが、国民皆さん政治に顔を向けてこっちへ寄ってきているという事態だろうと思います。政治の質が変わりつつあるんではないかと思っておりまして、これは、細川内閣としては、責任重大だと思っています。  理由は一体何だろうかということを考えますと、まあ私なりの整理をすると四つぐらいあるかと思いますが、一つは、長く続いた一党政治から政権交代が起きた。単に一つのグループの中でかわるのではなくて、別のグループが政治を担当するようになったという違いですね、政権交代、何か新しいことが起きるんじゃないか。  二つ目は、そうですね、その政権交代がこれまでの国の基本重要政策は継承していくんだという形で、ある種の安心感を与えている。そこに期待が起きているということもあるだろうと思います。  三つ目に、しかも、その新しいグループというのはいろんな人たちが集まっているわけですね。一つのグループだけというのは、余り実は今国民にまずなじまないんですが、いろいろな人たちが集まって、七党一会派、中にいろんな意見の違いがある。これがやはりある種の国民にわくわくさせるような、まあ、わくわくと言うと変ですが、そういう政治のおもしろさ、魅力、これを増しているんじゃないか。  それにあと加えるなら、細川総理を初めとする新しい政権のキャラクター、まあ、よちよち歩き風ではあるけれども、しかし何か新鮮さがある、透明さがある、そんなところがあるかと思っておりまして、繰り返しますが、責任重大だと思っております。
  23. 増子輝彦

    ○増子委員 石田総務庁長官も十一時に何か退席されるということでございますので、石田長官に先に御質問申し上げたいと思います。  ただいまそれぞれ各大臣から、自分自身の決意も含めてこの政権のあるべき姿や、今回の、国民から期待されるという話がございました。そういう中にあって、先ほど武村長官にもお尋ねを申し上げましたけれども、この政権は一体暫定なんだろうか、あるいは本格的なんだろうか。これはやはり、この政権が何をやるんだろうというところに当然直結してくる問題でありまして、今回のこの内閣ができたときの政治改革実現構想といいますか、そういった中での皆さん一つのつながり、つなぎというのがあったことも事実でございますが、そういう中で果たして、大事なことは、その中にあって基本政策のすり合わせだとか、あるいは今後の大事ないろんな政策決定ということについて、この政権は、ただいまそれぞれの大臣がお話しされ、決意をされたとおりに、やはりそれにきっちりとこたえるためには、この政策のすり合わせなり、あるいは政策の決定過程を含めた政策決定というものは極めて私は重要な問題になってくると思います。  今回のこの政治改革関連法案の中でも、選挙制度の問題については、もう与党内の中にも大分食い違いがあったということは、これは既定の事実であります。特に新生党あるいは公明党、民社党は、三百、二百の一票制でもいいではないか、逆にそれだというふうな主張があった中で今回のようなこの法案提出ということになったわけでありますが、どうもその辺の、いわゆる政策を決定する過程というものがなかなか明らかではないような感じがいたします。不透明のような感じがいたします。場合によっては、かつて私ども自由民主党批判をされた二重権力構造的なような要素も何かちょっとにおうような気もいたしているわけでありますけれども、石田長官といたしましては、このいわゆる政権が本格的なのか暫定なのかということにつきまして第一点。  第二点は、そういった政策的なすり合わせなり政策決定という中で、これらの問題がどういう過程で行われてきたのか、あるいは今後とも行われていくべきなのか。そしてまた、先ほども出ました政治責任、これも共通して皆様方がお話をされておりましたのは、やはり変革であり、そしてこの政治改革を実現するということが何よりも国民の皆様方から一番期待をされていることをお互い認識をいたしているわけでありますから、これが万が一できなかったということになれば、それなりの政治責任ということも当然あるわけでありますから、この政治責任をどういうふうにお考えになっているのか。  そして、大変多くの質問で恐縮でございますが、実は選挙権について、後ほどと思っておりましたが時間がございませんので、今回の中で実は公明党さんは、海外のいわゆる在留邦人について選挙権を与えるべきだと強く主張いたしておったはずであります。当然、私も実は個人的な考えからいけばそのとおりだと思いますが、今回この問題が、実はこの選挙制度を含めた政治改革関連法案の中に織り込まれておりませんでしたが、その点についてはどういうふうにお考えなのかをひとつお答えをいただければありがたいと思います。
  24. 石田幸四郎

    石田国務大臣 まず、本格的政権であるのかどうかという認識について考えを申し上げたいと存じますが、私は、やはり政権一つの、何といいますか、力の行使、それはやはり選挙から選挙までの議席の配分の力、これが背景で行われていくものと思います。過去の、今までのさまざまな自民党政権下の内閣のそういった行政を進めていく力も、やはり安定した議席であったかどうか、不安定であったかどうかによって揺れ動いていくわけでございますから、そういう過去の経験を踏まえて、やはりそういった意味では、細川政権が誕生した経過等を考えてみますと、国民の高い支持を背景にいたしまして、本格的な取り組みをすべき政権でなければならない。そのために信頼を獲得できるような努力、目に見える努力をしていく必要がある、こんなふうに考えておるわけでございます。  また、政策決定の問題につきましては、確かに与党、これは会派が多いわけでございますから、それを取りまとめていくのはそう簡単ではございませんけれども、それぞれの政党がいろいろな諸課題について考えを述べ合い、そしてそれが、政策担当者あるいは与党の代表者会議、あるいは政府与党との会議の中で、いろいろな議論をしながら決定が行われていくわけでございますが、残念ながらなかなかまだ十分な時間、討議すべき時間をもっとふやすべきだというような議論があるのでございますけれども、そこら辺はまだ手なれていないせいか十分ではないと思っております。もう少し、異なった意見を調整をしながらという努力、そういったものをどんなふうにやっていくか、もう一工夫する必要がある問題であろうと思っておりますが、しかし、いずれにしても最終的には政府与党との首脳会談等を繰り返しながら決めていくわけでございますから、今後もこの形を成熟させていくということが重要であるというふうに思っておるところでございます。  選挙権の問題につきまして、今海外在留邦人のお話が出たのでございますが、これはどうしてもやらなければならない、国際時代の中でどんどんどんどん海外へ邦人が進出をしているわけでございますから。ただ、今回はなかなかそこまで事務的な問題の克服ができなかった、これは非常に残念な問題でございますから、ぜひこの問題をさらに研究を進めて、在留邦人の選挙権が確保できるようにしていかなければならない。下手すると、将来もう百万台のオーダーになるかもしれないわけで、これは増子先生のお考えと同じでございますので、鋭意また私どもも研究してまいりたいと存じております。  政治責任の問題につきましては、これはもう申し上げるまでもないわけでございまして、やはり政権として、内閣としてまず決めていく、そのことをみんなが尊重して実施に努力をいたしていく、こういうことが大事であろうというふうに思っているところでございます。  増子先生の御懸念からいきますと、いろいろ政党が違うから、それぞれの政策なりなんなりが違う場合があるじゃないかという御懸念かと思うのでございますけれども、しかしこれはやはり、今までの日本政治の流れも十分尊重しながら進めていかなければをらない、同時に新しい時代に対処していかなければならないわけでございますから、野党であった時代の主張というものがそれに若干たがっておる、あるいはかなり意見の食い違いがあるといいましても、しかしやはり内閣全体としての責任を果たしていかなければならないわけでございますから、その態度決定については鋭意努力をして、そして決めていく、その決めたものを実行するだけの責任をそれぞれの政党が負っておる、こういうことではないかと存じます。
  25. 増子輝彦

    ○増子委員 どうぞ長官、時間でございますから。  山花大臣にお伺いをいたしたいと思います。  ただいま武村官房長官あるいは石田総務庁長官からもお伺いをいたしましたが、今回の、何といってもこの連立政権、本当にそれぞれの七党一会派という形の中で非常に、失礼な言い方になりますが、基本政策なり複雑なそれぞれの政治的な立場の中でできたということになれば、特に社会党さんのお持ちになっているいろんな基本的な政策というもの、これがやはり常に一つの大きなポイントになってくるのかな、そういうふうに私自身は実は思っているわけでありますし、また国民皆さんも、この辺が非常にある意味では懸念をされているところなのかなというふうに推測をしているわけでございます。  そういう意味で先ほどお尋ねをいたしましたから、今回のこの基本政策のすり合わせやあるいは政策決定という過程の中において、これは本当に社会党さんの立場というのは非常に重要な位置づけになってくると私は思っているわけであります。  先ほど申し上げたとおり、大変今景気が悪いです。国民皆さんの声からいけば、政治改革よりもむしろ景気対策が一番なんだよ、この景気をどうしてくれるんだ、これはもう実は中小経営者の皆さんやあるいは給与所得者の皆さんや多くの方々の切実な声であることは御案内のとおりでありますし、御認識をいただいていると思っております。  この中で、所得税減税の問題とか、いろいろ景気対策が出てまいるわけでありましょう。その中で大事な一つのポイントとして、当然、その財源問題ということになれば、消費税の問題、この問題を今政権側でどういうふうに議論をされて、実際にどういう方向でいくのか、まだ私どもには明らかではありませんが、例えば消費税の問題、この問題や、あるいは米の問題、これも先ほど申し上げたとおり大変な凶作であります。本当にこんな状態で一体農家どうしちゃうんだろう、農業後継者も育たない、大変な状況であります。ここで米の緊急輸入ということが現実になり、そして農業に励む方々が意欲をなくしていく、その中で米の自由化、市場開放という問題等が当然出てくるということになれば、これはもう私は体を張ってでも阻止をしなければならないと思っているわけでございます。  今後のこの米の自由化、市場開放の問題、そして、先般も答弁の中で何度がお答えになっておられましたが、自衛隊の問題、社会党の立場での違憲と、あるいは大臣としての合憲というような立場という問題と、この使い分けていくということが果たして、この政権の存在そのものに大きな影響を及ぼすのではないか。と同時に、国民皆さんもこの点が非常に不安ではないのか、一体何なんだろうということがあるわけでありますので、こういった問題についてもう一度その辺の御見解をお伺いをいたしたいと思います。
  26. 山花貞夫

    山花国務大臣 今回の選挙に臨むに当たりまして、まず五つの党の党首が集まり合意を形成いたしました。そして、そのポイントは、何よりも政治改革、そして解散の経過もありましたから、腐敗をなくす、政治改革を実現していくために新しい政府をつくっていこう、非自民の連立政権をつくっていこう、こういう内容だったわけですが、同時に、政権の座にあるとするならば、内外の問題について国民皆さん期待にこたえなければならない、不安にもこたえなければならないということから、幾つかの合意も同時に行いました。これが、外交、防衛等の国の基本政策についてはこれまでの政策を継承するという部分だったわけです。  新しい政権をさきがけ新党の皆さんも含めてつくろうということが確定した段階では、今御指摘の米の問題につきましても、あるいは原発の問題、エネルギーの問題、そして自衛隊の問題を含めて課題を整理いたしまして、またそこでの合意もつくったところです。私たちはそうした合意をつくる中で、それぞれ異なった政党、固有の政策を持った政党一つに立って、国民期待にこたえる政権をつくろうということですから、まずここでの合意を最大限尊重するというところが基本であると思っています。  そして、そうした合意形成に至る段階では、今御指摘もありましたいろいろオープンな形での議論があって、国民皆さんに、そういう問題がある、A、B、C政党はこう考えていることが明らかになってもよろしいものだ、こう思っています。よく閣内不統一と同じような形でとらえられる場合がありますが、いろいろ議論があった問題について、閣議が決まった、政府の方針が決まった、このことに対してばらばらであるということは一体の原則からいって許せないし、まさにそこでは閣内不統一の問題そのものとなりますが、そうではなくて、政策を形成する段階、合意をつくっていく段階ということにつきましては、それぞれの党の議論というものが熱心に闘わされてよろしいものだ、こういうふうに基本的には考えております。  政策決定の手続が余りはっきりしないんじゃなかろうか、こういう御指摘もいただきましたけれども、お互いが自分たちの主張だけに固執するのではなく、お互いが自分たちの姿勢を抑制しつつ相手方の主張をも受け入れて合意をつくる、こうした手続につきましては、政権ができてから合意をいたしまして、連立与党政策幹事会、政務幹事会、代表者会議等で協議、議論を重ねて政策を決定していただく、こうしたシステムについても整備をいたしました。  そうして、その連立与党の合意ができたものについては政府与党の首脳会談を開きまして、毎週開いておりますけれども、連立与党側の議論を踏まえた合意、議論の経過であるもの、これからのテーマにするもの等々についてお伺いをして意思の疎通を図る、こういう努力をしているところでございます。  こういう議論形成の段階ではそれぞれ今までの考え方を打ち出しますので、そこでは意見が違ったかのごとくの報道もありますけれども、これはそれぞれの党がそうした意見を合意に向けて形成していく過程でありますから、当然そういうことはあり得るのではなかろうかと思っております。  結論的には、そうした努力をして合意形成されたものについては、閣僚としてこれを厳守していく、こういう姿勢でこれからもやっていきたいと思いますし、これまでもそうしてきたつもりでございます。
  27. 増子輝彦

    ○増子委員 なかなか使い分けるということがうまくいくのかどうか、今後とも私も関心を持って見守っていきたいと思っております。  今、その合意形成というお話が出てまいりました。連立与党内での合意形成、当然これは内閣を維持していくためには最も必要な、大事な要件でありましょう。と同時に、実はこの政治改革の審議の中におきましても、冒頭に申し上げましたとおり、今度のこの国会で実現しなかったらばもう民主主義の崩壊につながる、我々国会議員あるいは政治家みんな大変な責任を負わなければならないということを申し上げましたが、まさしくそのための与野党の合意形成というものが、今この審議の中で大きなポイント、最も大事な要点だと実は私は思っているわけであります。  実は一昨日自民党から答弁したように、我が党は政府案と自民党の案で最大限の合意形成の努力を行う決定をしたと申し上げました。その具体化のために、実は自由民主党ははっきりと窓口を一任をしたわけであります。それは総裁であり、党四役であり、三塚政治改革部長にこの取りまとめを一任をいたしたわけであります。当然これに対して政府側においてもそのカウンターパートというのが必要なことになってくるのだと思いますし、そうでなければ、またなかなかこの合意形成が進まないというようなことに実はなってまいるわけであります。  そこで政府提案でありますけれども、そちら側からいきますと、果たしてこの窓口は与党となるのか、もし与党であれば一体だれになるのか、あるいは政府側であればだれがなるのか、この辺は、この臨時国会の非常に大事な合意形成のポイントだと私は思っているわけでありますが、きょうそこにおいでになる方で、私がぜひやりたいというような方が、私がやらなければならないというような方がおられれば、もちろん自分からこれは手を挙げていただいても結構でございますが、一体自民党のカウンターパートとしてはだれがなるんだろう、これは合意形成の中で大変重要だと思います。  我が党は、先ほど申し上げたとおり、総裁、党四役、そして政治改革部長というところにこれが一任をされたわけでありますから、一体政府側あるいは与党側はだれになるのか御答弁をいただきたいと思います。羽田副総理、お願いいたします。
  28. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 この問題につきましては、私ども閣僚の方の立場から与党の方のだれということをちょっと言う立場でないということ、それから、これは少なくも特別委員会でありますから、それぞれみんな委員をえりすぐってここにみんな登場しております。ですから、それはおのずとこの委員会の中で徹底して話し合うことだろうと思います。  そして内閣の中にはもう御案内のとおり、山花さんはまさにその改革の、この問題についての責任者でありますし、また内閣のスポークスマンとしては官房長官がおるということであろうと思っておりまして、今私どもは、政権与党の方はだれがということよりは、やはりこの委員会の現場というものが大事なのかなという思いを持っていることだけを率直に申し上げます。
  29. 増子輝彦

    ○増子委員 この辺が大変重要でございまして、前通常国会における合意形成がなされなかったというところが、実はここに大きな問題点があったということは、もうそれぞれ御認識のとおりでございます。  この辺はやはり政府与党側もはっきりと明確にしておくことが極めて大事じゃないのかなと私は思っているわけでありまして、連立与党の合意形成はそういう先ほどの御説明のとおりのことでやっておられるようですから、一日も早く、我が党はそういうことを提案をさせていただいたわけでありますから、はっきりとここで明確に申し上げたわけでありますから、どうぞ政府与党側もこの件についてははっきりとできるだけ早くしていただきたい、そういうふうにまず要望いたしておきたいと思います。  時間が大分なくなってまいりましたので、実は選挙区間の格差についてちょっとお聞きをいたしたいと思います。これが実は私が、今回合意形成ができるとすれば、まあ政府与党案が譲歩していただけるならばここかなと実は私はそういう認識をいたしております。お互いそれぞれの案を出しました。私自身は選挙制度でベストはやはり単純小選挙区だと思っておりますし、ベターは実は前回社会党、公明党さんが出した併用案がベターかな、その中で今回のこの二つの制度が合わさった並立というものがグッドなのかな、そういうふうに実は思っているわけでありますが、しかし、我が党としても譲れないところは譲れません。と同時に、やはり合意形成をする中でどうしてもこの一対二の格差ということが私は一つの大きなポイントになってくるのかなと認識をいたしているわけであります。  政府与党は、我が党の一票制について投票価値の平等を問題にしているが、この平等権は確保されるべきかどうかという問題、あるいは投票価値の平等が端的にあらわれるのは選挙区間格差であるわけでありますが、この選挙区間の格差は価値の平等からいって当然一対二未満ということになってくるものと思われます。  そこで、実は一昨日、総括二日目においてさきがけ日本新党の茂木議員から、我が党案の比例代表議員の都道府県間格差が一対二・九七にもなるというパネルをお使いをいただいての指摘がありました。  この件については比例定数百七十一として、我が党は比例は都道府県単位としていることは御存じのとおり、御案内のとおりでございます。重複立候補も当該選挙区府県においてのみ認めておりますので、さらに一票制を採用することにより、この都道府県完結型の衆議院議員選挙といたしていることは御案内のとおりでございますが、そのような意味において、実は重要なのは、都道府県間の議員一人当たりの人口格差であり、また各都道府県間における小選挙区の数と比例の数を通算して考えると、私の試算によりますと、議員一人当たりの最小の県は鳥取県の十五万四千人、そして最大なのは東京都の三十一万二千人となりまして、その間の格差は一対二なんですね。  そこでお伺いをいたしますが、政府案においては、総理府に置く審議会において具体的に小選挙区の区割り案を作成することとなっておりますが、その際、小選挙区議員定数二百五十のうち、四十七をまず各都道府県に一つずつ配分をして、残り二百三を各都道府県の人口に比例をして各都道府県に配分をすることとしております。まず、この段階における各都道府県間の人口格差はどのようになっておりますか。
  30. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 お尋ねのような配分方法でやりました場合に、小選挙区の定数を二百五十ということで各都道府県に一人ずつまず配分をいたし、あと人口で比例配分をする、こういうことにいたしました場合の議員一人当たり人口の最小と最大の格差は一・八九倍でございます。
  31. 増子輝彦

    ○増子委員 一と配分された議員数を加えた数が当該都道府県の小選挙区の数ですから、その数の小選挙区を、その都道府県の区域を区割りして設けることになるわけですね。そうしてできた小選挙区における人口格差は、全国を通じて一対二の範囲内におさまることが基本となっているわけです。我が党案も同様な手続でこの小選挙区を設置し、小選挙区間人口格差が一対二の範囲内におさまることを基本としているわけであります。しかし我が党案は、各都道府県に対する基礎配分数が一で計四十七、人口比率配分数が二百五十三ですから、先ほど答弁がありました政府案の都道府県格差は、私の試算によれば実は一対一・九なんですね、これは。この段階で既に二に近い数値を実は出しているわけであります。自民党案は実は一対一・八となるわけであります。政府案と自民党案、一体どちらが小選挙区間人口格差一対二を守りやすいと自治大臣お思いでございますか。
  32. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 御指摘のように、今選挙部長からお答えさせましたように、政府案は二百五十でございますので各県格差は一・八九、そして増子委員言われましたように、自民党案は三百でございますから一・八二ということになることは、数が多いわけでございますから、なるべくその、わずか〇・〇七しか違いませんけれども、それが小さくなることは御承知のとおりでございます。  そこで、これは選挙区画定審議会でやっていただくわけでございますけれども、地勢とか地方自治体の実態とか、あるいは交通の関係等々を入れて二倍未満になるようにすることを基本とするということでございますので、各七名の委員の中でそういったことを基本にしながら、一体まさか――まさかと言っちゃいけませんが、町村を割ればそれは二倍未満にすることはできるでありましょうけれども、そこまでやるべきか、なおかつ二倍をちょっとでも超えた方が合理的なのか、そのあたりは審議会の方でやっていただくということになるわけでございまして、私たちとしては、法律に書いてございますように、二倍未満になるようになることを基本とするという範囲内でひとつ審議会の委員の方にやっていただくということにしているわけでございます。
  33. 増子輝彦

    ○増子委員 今の大臣答弁、言い方は違っておりますが、うまく区割りすればということと実は受けとめたわけですが、既に都道府県間格差で一・九、まあ二に近い数値となっておりますから、例えば小選挙区の数、これは三つの県においてはもう、その三つの小選挙区間の人口がほぼ均等としないと全国においては簡単に一対二を超えてしまうんですね、これは。ですから、一対二未満を基本とするということから当然外れてしまうわけですが、当該県において各小選挙区間の人口を均等とすることは、相当以上に実は市町村の区域等の行政区画を無視しなければこれはできないことであります。ですから、政府案にも行政区画等の考慮義務がありますから、市町村の区域等を考慮して小選挙区間格差一対二を守ろうとすれば、都道府県間の区域内におさまらないことになってしまうんではないのかなと私は実は危惧をしているわけであります。  そもそも今回のように選挙制度を根本的に改めようと実はされた発端の一つは、中選挙区ではこの人口比で一対二の抜本的是正がなかなかうまくいかないというようなことも一面としてあったわけです。ですから、小選挙区間格差一対二の基本を守るために、これはやはりどうしても守るということを前提として考えていかなければならないわけですから、これを守るためにはぜひとも政府与党も守りやすい小選挙区、すなわち小選挙区の数を増加させるよう合意形成をする努力が当然ここに出てくるものと私は実は考えているわけです。ここが極めて今度の、実は合意形成という形の中で大きなポイントになり、そして人口比のいわゆる格差という一対二というもの、そしてこの区割りというものが実はそれぞれの選挙区において、あるいは私どもみんなひとしく政治家立場からいって、極めてこれは重要な、そして大きな関心事になっていることもこれは事実でありますから、ここのところはやはり政府与党も、二百五十に固執しないで、これは歩み寄る余地があるんではないか、当然そうすべきではないのかと実は私は考えているわけでございます。  それを審議会にゆだねるというようなお話も出ておったわけですが、総理はこの審議会に諮問をする際に、この一対二未満ということを当然言って諮問をするということは欠かせない条件といいますか要件の一つでありましょう。仮にこの一対二未満にならない区割り案が出てまいったとするならば、この答申は一体どうなるんだろうという問題や、そしてまた、それを実は取り扱ってきたその委員皆さん立場は一体どういうふうになるんだろう、これは非常に重要な私は今後の問題点だと思っているわけでございます。  ですから、ここのところをひとつよく御検討いただいて、政府与党も譲歩すべきところは譲歩をしていただきながら、冒頭にそれぞれの大臣皆さんがお話をされましたこの政治改革の実現、あるいは今連立細川政権期待されているその支持率の高さというものの背景を皆さんは述べられましたけれども、ここを無視をしたのでは何にもなりませんので、どうぞこの政府与党もいわゆる議員定数の配分の問題、限りなくやはり自由民主党案に近いという形の中で当然譲歩していかなければ、これはやはり国民皆さんを欺くことにもなるんではないのかな、そういうふうに私は思うわけでありますので、どうぞ合意形成という点から、この点について一つ明確な御答弁をいただければありがたいと思います。
  34. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 私たち有権者の一票の価値の平等ということは非常に重要に考えております。  ただ、今増子委員の論旨によって三百名にしろという論旨は非常に難しいのではないか。なぜならば、海部内閣のときに御承知のように小選挙区は三百にしましたけれども、そのときに出てまいりました案は二・一五倍でございます。三百にすれば二倍を切れるという論理の問題ではないと思っております。  それから、出てまいります審議会のは、法律に書いてございますように二倍未満になることを基本としてと、こう書いてあるわけでございまして、結果的にそれが二倍を超えることがあっても、その答申自体は、答申になっていないということではないわけでありまして、二倍未満になることを基本としてと書いてございますので、御理解をいただきたいと存じます。
  35. 増子輝彦

    ○増子委員 いろいろ申し上げたいことがございますが、時間がございませんので、また次回に譲りたいと思います。ありがとうございました。
  36. 石井一

    石井委員長 次に、笹川堯君。
  37. 笹川堯

    ○笹川委員 きょうはそれぞれ各委員が細かいことはもう相当お聞きをして議論をされました。私もそれを聞きましたので、政治改革そのものの内容と、もう一つは外からこういうこともやっていけば政治改革がもっと達成できるんじゃないのかな、こういう視点のもとで実はお尋ねをしたいと思っております。  なお、各大臣の御都合に私の方が合わせましたから、午前中でお聞きする人、午後からお聞きする人ということになりましたので、若干前へ行ったり後になるかもわかりませんので、逆に御了解いただきたいと思います。  さて、さきの国会解散のときに宮澤内閣が、政治改革は必ずやる、こう言いながら実はできなかったわけであります。すなわち、内閣として責任を負うことはできなかった。したがって、総辞職をすることが私は当然だと思っておりましたが、残念ながら本会議において不信任案が採決され、解散になったわけであります。  そのとき私は政治家の良心に従って、公約の果たせない総理大臣を信任することができない、こういうことで私は白票を投じたわけであります。したがって、今回の選挙におきましては無所属で戦いました。したがって、無所属でありましても選挙民に対して実は公約をいたしております。これはもう政党が公約をしたのと全く私は同じように考えております。  第一に、この不景気を一日も早く直したい。それから、政治改革はどんなことをやっても責任を持ってやらしていただきます、こういう公約を本人がしておりますので、どんなことをしてもこの政治改革は与野党で歩み寄って、何としてもとにかく本年じゅうに成立をさせていただければありがたい、こういう意味質問をさせていただきたいと思いますので、今は自由民主党の会派に属しての議員ではありますが、質問の中であれと思うかもわかりませんが、そのときには無所属であったときの公約も含めてということでひとつ御理解をいただいて質問にお答えをしていただけるとありがたいと思います。  さて、お忙しいのに来ていただいた人がおりますので、済みましたらすぐ帰っていただきたい。今までみたいにもう終わるまで閣僚を縛りつけるということは本来国会改革の上からするとやらない方がいい、私はそう思っております。  大蔵省だれか来ていますか。大蔵省来ていますね。――国税庁。国税庁にお尋ねをします。  きょうの新聞に、一兆三千百十五億円が、脱税額というのですか、こういうような記事が大きく載っていました。その中に、七十一万二千人を対象として調査をした結果、二〇%に当たる十四万三千人の人、これは立入調査ですね、訪問をして、これで九千二百八十九億円の申告漏れを発見した。次に、全体の五四%に当たる三十八万三千人の人は税務署に来ていただいた。そのことによって三千八百二十六億円のこれまた申告漏れが見つかったわけであります。すなわち、合計一兆三千百十五億円、これは国税庁が一生懸命調査をすればまだまだこの額は私は必ずふえると思うのです。  なぜこれをお聞きしたかというと、国民の血税を使って政党助成をするということはこれから議論に入りますので、いかに政治家に対する公的助成金が私は少ないかということをお話し申し上げたいと思ってこのことをお聞きしたわけでありますが、実は建設大手の使途不明金の金額をお尋ねをいたしましたが、なかなか各社ごとのはすぐわからないということでございましたので、資本金が一億円以上、と申しますと地方の小さい土建業者は入っていないと思いますが、資本金一億円以上の会社、すなわち平成三年度でありますが、三百八十二億円使途不明金があったそうであります。建設業界だけですね。これ一部ですよね、三百八十二億円。全体の企業、これはいろいろな職種の企業も含めて五百五十八億円の使途不明金があった。これは国税庁、間違いないですね。間違いなければ簡単に間違いないと言って。駆けてきて。
  38. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 お答えいたします。  そのとおりでございます。
  39. 笹川堯

    ○笹川委員 次に、国税庁にお聞きしますが、実は先般新聞で、余り使途不明金が、もう幾ら言っても改善されない企業には青色申告制度の特権を取り消すということが実は記事になっておりましたが、私は、やはり各省庁が協力をしないとこれは政治改革できないと思うのですね。やはり幾ら政治家だけ締めたって、もらう方も悪いと言うけれども、持ってくる方は私に言わせればもっと悪い。そういうことを考えますと、青色申告というものをどしどし私は取り消した方がいいと思う。  次に、この質問は建設大臣にするわけでありますが、国税庁としては、もう幾らやっても使途不明金が直らない会社は青色申告を取り消したらどうだと思うんだけれども、どうですか。
  40. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 お答え申し上げます。  国税庁といたしましては、ただいまの使途不明金の問題、極めて重大な問題だと考えております。使途不明金、本来やはり真実の所得者に課税するという税務行政に課せられました役割から見て、課税上これは大変問題でございますので、そういった観点から、継続的に多額の使途不明金を支出するなど悪質なケースにつきましては厳正な態度で臨む必要があると考えており、引き続き使途の解明にはまず最大限の努力を傾注してまいりたい。  使途不明金を支出している法人に対する青色申告の承認の取り消しの件のお尋ねでございますけれども、その使途不明金の支出状況から見て、帳簿の記載事項全体について、その真実性を疑うに足りる程度かどうかその他、個々の実態に即しまして総合的に判断してまいりたいと思っております。
  41. 笹川堯

    ○笹川委員 副総理、私は、そういうことをどんどんやっている会社はもう青色申告を取り消したらどうだ、こういうことを今お願いをしたのですが、副総理としてどうですか、感想は。やはりそう使途不明金を年がら年じゅう出すような会社はもう青色申告の特典を与える必要はないと思うのですが、どうですか、感じとして。悪いことをしていても青色申告をずっと上げた方がいいと思うか。
  42. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 これはまさに専門的な一つの問題でございまして、感じで物を申し上げることはどうかと思うのでございますけれども、いずれにしても総合的にやはり判断していく問題であろうというふうに思っております。  しかし、一般の人の気持ちとしては、今笹川委員が御指摘の気持ちをやはり持っているかなという思いを私も率直に持ちます。
  43. 笹川堯

    ○笹川委員 五十嵐建設大臣が午前中で帰られるので先にお尋ねしますが、実は今政治不信というのは、御案内のように知事さんが二人逮捕されたり、あるいはまた政令指定都市の仙台の市長が捕まったり、あるいは町長さんなど限りがないわけでありますが、こういうことが今回の選挙にも大きく影響しました。さかのぼればやはり金丸元衆議院議員政治資金規正法違反あるいはまた脱税金額の大きさ、こういうものがやはり政治に影響してきた。まあ特に知事が三選以上する、多選というのは本来もう余りやっちゃいけないということを昭和四十八年から私はずっと言ってきたんですが、茨城県の知事の場合には確かにそれが当てはまりますが、今度は宮城県知事の場合には一期なんですな。そうするとこれ、多選じゃなくてもやる人はやるというんだから、この議論もちょっと僕も変更しなきゃならぬと思うんですが、実は、ちょっとここに書いてきましたが、仙台市長、それに伴って、清水建設、西松、三井、これ全部逮捕されて、贈賄の金額も二億円。茨城県知事の竹内さんは収賄で一億円。贈賄側は、間組の会長さんと東京支店の大津留さんという人。それから、やはりこれは茨城県知事竹内さんに対して清水建設の会長、副会長、常務関東支店長、同じく二千万円。それから、宮城県知事の本間さんが、大成建設の東北の支店長それから大成建設の副社長、同じく四千万円。それから仙台市長の石井さんが、実は大成建設の副社長の橋本さん、大成建設の東北支店長の和田さんから同じく四千万円もらって、これは再逮捕になっておる。けさの新聞ではまた、鹿島建設が多分贈ったんじゃないだろうかなと言われているわけであります。  そこで、建設大臣お尋ねしますが、実は建設業が一番図抜けて使途不明金が多いんですね。そうすると、やはりこれはみんな政治家に行ったんじゃないかと疑われると、もらってない政治家が実は物すごく迷惑をするわけであります。おれはもらってないと言っても通らない。あなたもかということになる。  そういうことを考えますと、やはり使途不明金を多額に出しているところには、ともかく私は大蔵省には青色申告制度を取り消せとお願いをしましたが、逆に使途不明金の多額にあるような会社――本来使途不明金というのはないんですね、使ったことは全部わかっている。言わないだけだ、言わないだけ。これ、牢屋に入れてひっぱたきゃ言うに決まっているんだ、それはできないんだ。ということになると、そういう会社は競争、まあこれから一般競争入札するんだからいいじゃないかという議論もあるかもわからぬけれども、逆に今までのように指名契約の指名から外すということは、私は一番、建設大臣、いいんだと思うんですが、いかがですか。
  44. 五十嵐広三

    ○五十嵐国務大臣 お答えを申し上げます。  先ほど挙げられましたように、先般来相次いでいわゆるゼネコン疑惑が発生いたしておりまして、非常に、国民の建設行政に対する信頼はもとより政治全体に対する信頼を失っていることにつきまして、まことに残念のきわみ、このように存じている次第であります。言うまでもありませんが、今総力を挙げてその改善のために、例えば入札制度の改善等、鋭意努力をいたしているところであります。  そこで、今御指摘の使途不明金でありますが、これもお話しのように、他産業から見て建設業がやはり際立って使途不明金が多いということは事実でありまして、こういう点につきましては非常に我々としても遺憾に思うわけであります。これは、経理内容を明らかにするということは企業会計原則に照らしても当然なことであって、その点では私どもも鋭意その解消のために指導を強化していきたい、こういうぐあいに思っているところであります。  そこで、一応建設省としても、特に大手ゼネコンに関してこのヒアリングを六月時点で行っているのでありますが、使途不明金の内容は実にさまざまでありまして、工事施工前には、この工事を紹介してくれた者に対する仲介あっせん謝礼、あるいは用地買収の取りまとめなどのための地元対策費などの民間工事にかかわるものだとか、あるいは工事施工中のものとしては、騒音などの工事迷惑料として近隣対策費として支出されるというようなものも実は随分あって、これらは、表に出すといいますか、領収書をもらえれば一番いいのでありますが、そうはいかぬというようなものも使途不明金ということの処理の中には相当額あるということも事実なようであります。  しかし一方、さまざまな今日のいわゆるゼネコン疑惑に関連してこの部分から支出されているという疑惑も当然あるわけでありますので、建設省といたしましては、七月の三十日に建設関係諸団体に対して、この使途不明金としての、特に違法な政治献金についてこれを解消するように指導をさせていただいておりまして、建設業界でも、例えば日建連、全連が、それぞれ使途不明金として違法な政治献金をすることの禁止の決議をその後いたしているような次第でございます。  建設省としては、なお国税庁とも密接に連絡をして、それが完全な解消を目指して努力をいたしてまいりたい、このように思う次第であります。
  45. 笹川堯

    ○笹川委員 限られた時間の中でたくさん聞くので短く答えてもらいたいのですが、内容については、私はほとんど建設関係のことは理解をいたしております。  ただ、一般国民が、新聞に載ると、政治献金もわいろも似たようになっちゃうのですね。わいろというのはもう完全に刑法犯ですから、政治資金とは全く別なんですね。だから、その辺をしっかりしてもらわないと、これはいつまでたっても続くと思うので、建設大臣、せっかく今回政権がかわって、族議員もなくなったという話だから、ぜひひとつやってほしいと思うのです。  次に、羽田副総理、ちょっと嫌なことを聞きますが、勘弁してください。  御案内のように、今回自民党が負けたのは、こういういろいろの汚職事件なんかありました。それで負けた同時にまた、今度の選挙では自民党自身は数が減っていないのですが、先生を初めとして新生党が出ていかれたからその分を補うということはできなかったんだから、そういう意味では負けたというのが正しいか間違っているかわかりませんが、いずれにしても政権が移ったということは事実であります。  さてそこで、先生は非常に自民党のときに政治改革、もう涙を流さんばかりにやっていたあの姿を思い出すわけでありますが、それともう一つ、先生も経世会の幹部だったので、金丸先生があれだけ怪しげな金をつかんだときに、やはり派閥として金をもらって面倒を見てもらったことは別にしても、悪いことは悪いんだからやはり議員辞職を勧めるとか、あるいはまた自由民主党としては、自由民主党の議員として収賄を起こしているのだから、脱税しているのだから、いわゆる民事事件でもいいから、党の名誉を傷つけた、そのことのそういう訴訟も含めて、私はそのぐらいのことをやってくれれば、こんなに自民党ばかり、テレビ朝日じゃないけれども、たたかれる必要はなかったと思うのだけれども、どうでしょうか、感想。そんなことは考えなかったですか。
  46. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 私どもといたしましては、やはりそういったことが中選挙区の中だとなかなかできないけれども、小選挙区になったらこれは間違いなく、もう個人の責任とかだれの責任ということじゃない、党としてやはりそういったものを糾弾しないともうその政党は勝てなくなってしまうということがあろうから、その意味でもやはり改革はしなきゃいかぬなという思いを持ったこと。それから、今は、素朴にそれは我々なかなか行動できなかったということは確かにあったことであります。
  47. 笹川堯

    ○笹川委員 それから、大内大臣にお伺いしますが、もしお忙しかったら、私、お答えいただいて、お帰りいただいて結構です。  実は大内大臣は、本会議の席でもそうでございましたが、将来政界を再編成してやはり二大政党で安心して国民のために政治ができるためには民社党は解党してもいいんだ、それぐらいの気持ちでやらなければ国家国民のためにならないんじゃないのかな、こういうようなお話を、私はそういうふうに受け取ったわけでありますが、よろしゅうございますか。
  48. 大内啓伍

    大内国務大臣 お言葉でございますが、民社党の委員長として、民社党を解党するといったようなことは、対外的にアナウンスしたことはございません。  ただ、申し上げておりますのは、日本政治一つの大きな欠陥というのは、今まで自民党という巨大な政権党がございましたが、それに取ってかわる政権の軸がない。私は、必ずしも二大政党とは考えておりません。多党制があって、しかしその上にもう一つの軸が必要である、そのためにはやはり政界再編という問題に対して真剣に取り組まなければならぬ、そのために私としては全力を尽くすということを対外的に申し上げておりまして、それがまあ解党といったような解説を書いたところもございますが、委員承知のとおり新聞その他の報道におきましても時々正確な表現でない場合がございまして、真意は政界再編のために全力を尽くすという意味で申し上げているわけでございます。
  49. 笹川堯

    ○笹川委員 新聞の書き方によって解党という言葉を、私もまあ好きではありませんが、将来政界を再編成するときにはもう最大努力をするという、その言葉の裏にはいろいろなものがあると思いますが、それで結構でございます。  ただ、大内大臣一つお伺いしますが、まあ二大政党、二大政党とよく言いましたよね。そうしないと何か政権が移らないような話がずっとこうあったけれども、実はそうならなくても今回は連立政権政権がこう移ったわけですね。ですから、今の選挙制度のままでもいいんじゃないのかい、移るじゃないかと言う人もいないわけじゃないんですな。その辺についてどうでしょうか。
  50. 大内啓伍

    大内国務大臣 先ほど申し上げましたように、私は二大政党という思考は持っておりませんで、もう一つの新しい政権の受け皿、軸というものが必要であるということを常々申し上げているわけでございます。そして、まあ今政権がかわりましたので、別に選挙制度を変えなくたって政権はかわるんじゃないか。私も実はそういう持論をかねがね持っておりまして、中選挙区制でも、野党あり方が違っておれば、私はとっくに政権交代は何回も起こったのではないかと思うんです。しかし、まあ小選挙区といったような制度を取り入れてまいりますと、やはりそういう面で政権交代が促進されるという効果もあることは事実だと考えております。
  51. 笹川堯

    ○笹川委員 それでは、官房長官来ていただいたんで、忙しいでしょうから、官房長官にちょっとお聞きします。三%、まあこれは切り捨てと言っちゃいけないんですが、三%条項だけを官房長官に聞きたいと思うんです。  官房長官は、なかなかどこにその根拠があるかどうかわからぬけれども、まあ外国では三がある、二がある、五があるというような話もこの前聞いたわけでありますが、まあ確かに、都合のいいときには外国の例を持ってくる、都合の悪いときはここは日本だ。私は、ここは日本ですから、日本選挙制度で十分だ。別に外国の訓示を受けなくてもいいわけですが、何か三%切り捨てちゃうと、小さい党が、さきがけもそうでありますが、非常になくなる可能性があるんで、そういう意味では急激にそういうことをやらずに、やはり少ない人の意見も聞く。それからもう一つは、せっかく正しく投票に行った人が、何の瑕疵もないのに百八十万から二百万切られちゃう。そういうことになると、やはりせっかく投票に行った人がもう行かなくなるおそれがあるんじゃないか。それからもう一つは、選挙をやることによって公費を支出していますから、一人頭大体四百円ぐらいかかるんですな、自治省の計算でも。そうすると、二百万一人掛けますと九億円ぐらいが実は国費が飛んじゃうんですよ。しかも、雨が降ろうがやりが降ろうが、暑さ寒さに関係なく投票に行っている人が、自分責任は全くないのに切られちゃうということになると、私は何か少数切り捨てのような感じがしないでもありませんので、小選挙区制が実施された暁でも、やはりその三%条項というものはもう少し考える必要があるんじゃないかなと思うんですが、いかがですか。
  52. 武村正義

    ○武村国務大臣 私は三%条項の専門家ではないんでありますが、テレビでいささか絶対的なものじゃないということを一言申し上げたために、再三お答えをさせていただいております。  一般論でいいますと、どうでしょうか、いろんな選挙制度、みんなルールをつくることでございますから、どこで線を引くかによって、そもそも小選挙区制そのものが、笹川議員御存じのように、かねがねから死に票が多いという議論がございますよね。だから、三割、四割しかとらないのに全体を代表するのはおかしいじゃないか、こういう議論があるけれども、そこは割り切ろうというのと同じで、この比例代表、しかも全国一本という案を提案をいたしておりますから、ここはやはり一つのルールがあってもいいんではないか。なるだけ政治の安定を考えながら、国民世論が集約されていくことが比例の選挙についても必要なことでありますだけに、そういう意味では、外国の例に倣ったというわけではありませんが、日本の参議院選挙を例にとりましても、定数五十でございますから、百分の五十というのは二ですよね。二%の阻止条項があるのと同じことで、一・九%なら当選できないということに現実になっているわけですね。自民党さんが提案されている都道府県の比例制なんかになりますと、定数二の県がたくさんできますね。そうすると、これは理論計算上、既に答弁がありましたように、三三%とっても議席が得られない。すると、三三%の阻止条項を設けるのが都道府県定数二の比例制選挙制度だという理屈もあるわけでございまして、それは一定のルールだろうと思うんです。三がいいかどうかということになりますと、たまたま政党要件が三%と五人でございましたから、これも参考にしながら政府案は三にさせていただいておる。何が何でもこれが絶対的な、理屈に合ったものではないというふうに思っています。
  53. 笹川堯

    ○笹川委員 今官房長官の返事を聞きまして、三%は絶対なものじゃないという話でありますので、政府提案でありますからベストだという答えが出るのは当たり前であります。だけれども、その辺はひとつぜひ柔軟に考えていただきたいと思います。  次に、佐藤自治大臣お尋ねしますが、実は、七月に行われた衆議院選挙に要した国政選挙費用が約四百四十億かかっているわけであります。正確には四百三十九億七千七百十万一千円でありますが、これは有権者一人当たりにすると四百六十五円四十八銭なんですよ。あの、難しいこと聞きませんから。それで、有権者一人当たりが、有権者は大体九千四百四十七万七千八百十六人、これは自治省から聞きましたので間違いないんです。これを今度投票があるない別にして、国民一人当たりに直すと、ちょうど三百五十五円七十七銭ですから、ちょうどあの政府案が言っている公的助成金の四百十四億円が大体国民一人当たり三百三十五円。もうほとんど一緒になっているわけであります。そうすると、昔は選挙をしょっちゅうしょっちゅうやっていました、結構短くね。今非常に安定したせいか、まあまあ三年半ぐらいに延びてきた。そういうことを考えると、選挙をやっただけでもこのぐらいのものは実は使っていますので、私は、企業献金、団体献金を実は廃止の方向でというんで公約しちゃったものだから、ちょっと自民党の先生と別なことを言って後でしかられるかもわかりません、まあそれは構わないんですが。そういうことを考えると、私はどうも両手でもらうのは、どうも国民の側からすると、おまえ、ずるいぞと言われやせぬかと思って心配しているんですがね。さりとて、企業献金が悪だなんというふうには全然思っておりません。ただ、それは金額によりけりですね。うんともらえば、頼まれたとき何かしなきゃならぬ。個人献金でもいいとおっしゃるけれども、千万ももらえば、やはり何かあったときは何かしなきゃならぬという気持ちになりますわな。だから、そういう意味ではなるだけ広く浅くということでありますので、国会議員が正しく職務を遂行すれば、一回選挙をやってもこのぐらいかかるんだから、それは私は、ODAでどこへ入っちゃったかわからない金だってうんとあるんだから、あれは国民一人頭八千円ぐらい出しているはずだ。そういうことを考えれば、これで日本政治がきれいになって国民皆さんのためになるならば、私はその三百三十五円に別にこだわらなくてもっと出したっていいんじゃないのかな、そう思うんですよ。どうですか。
  54. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 もう前段の説明は全部省かさしていただいて、私たちがやはり、国民の税金でございますから、三百三十五円という数字を出すときにはそれなりのバックグラウンドの数字がなきゃいかぬわけでございますので、笹川委員承知のように千二百億円、この三年間の各政党の総支出、本部、支部それから国会議員政治団体の支出というものを割り出しましたので、しからばこれからどうあるべきかという中には、今笹川委員の御指摘のようなこともありましょうし、あるいは企業・団体献金というものをどうやって絞っていくべきかという考え、あるいはそうじゃなくてもいいというお考えもありましょうし、それから個人献金というものは一体これからどうなっていくのか、私たちとしては税額控除も新たに設けて促進策をしましたけれども、それがどう国民皆さん方に受け入れていただけるのか、やはりそのあたりを見て、何といいましても国民皆さんの税金でございますから、納得いただける線は三百三十五円ということを割り出したわけでございますので、委員の御提起はもう少し今後の問題としてあるいは考えていくことではないかと思っております。
  55. 笹川堯

    ○笹川委員 午前中の質問はこれで終わりますが、実は自治大臣、これはNHKのアンケートによりますと、政党に対して公的助成は反対か賛成かということになりますと、四〇%が賛成なんですね、この間、十月でやったのが。それが反対がやっぱり四〇・五あるんですよ。それから、わからないが一九・五ありますので、これをどっちにつけるかでころっと変わっちゃうんですな。出す方を理解するぞというと五九・五になるし、出すのを嫌だというとこれも六〇%になっちゃうんですよ。非常に触れている。だから、よほどやはり国民に対して説明をしないと、このことは必ずしも政府与党案が、私の言ったこととは違うような国民の感情があるということをひとつ御理解いただいて、午後からはこの個人献金についてお尋ねをしたいと思いますが、時間でありますので、これで終わらせていただきます。
  56. 石井一

    石井委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  57. 石井一

    石井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。笹川堯君。
  58. 笹川堯

    ○笹川委員 石田総務庁長官においでいただきましたので、ちょっとお尋ねをしたいと思うのですが、御案内のように、公明党というのは定年制をしいていらっしゃるそうでありまして、私も自民党の中で、党の活性化、政治不信の一掃ということで、先輩の方には申しわけないけれども、若い方々に順次譲っていただいてということで、実は定年制を提唱した本人なんですが、力不足でなかなかうまくいかなかったわけでありますが、公明党が定年制を導入しているその理由ですね。どうして定年制を入れて、まあそれは非常にうまくいっているよとか、あるいは例外的に、どうしてもだめなときには外している、しかし、例外というとだんだん例外が多くなっちゃって、例外が当たり前になっても困るわけでありますが、その辺のことをちょっとお教えいただけるとありがたいと思います。
  59. 石田幸四郎

    石田国務大臣 笹川先生にお答えをいたします。  定年制の問題につきましては、やはり考え方としていろいろあると思うのでございます。一つ私どもが考えておりますのは、任期中に六十六歳を超えないことというような基準で考えておるわけでございます。したがいまして、地方議員等のことを考えますと、大体六十二歳を超えたらばその任期でもう終わりにしてほしい、こういうような内規といいますか、申し合わせをいたしておるわけでございます。  その考え方は、やはり私どもの場合は、なかなか、自分のすべての力で自分選挙地盤を養成したというようなことじゃなくて、多くの方々の支援をいただいております。特に選挙なんかの費用につきましては、陣中見舞いを期待をしながらやっていることもございまして、そんなことで、若いときから立候補いたしますと、六期、七期、場合には八期というケースもございました。そうしますと、地域の中におきましてその人がその立場をずっと独占をするということ、それから、その中からやはり議員としても考え方に油断が出てくる場合もございますし、まあベテランはベテランとしての本当に活躍する余地は十分にあるのでございますけれども、そこら辺、両方兼ね合わせてそんなふうに考えているわけでございます。  ただ、ケースによりましてはやはり例外も、先生御指摘のとおりやっているわけでございます。これは、中央執行委員会等でその人の立場、今までの実績あるいは地域でどうしてもこの人に継続してもらいたいという強い要望がある場合がございますので、そこら辺を勘案しまして、例外的にそういう措置をしているケースももちろんあるわけでございます。  したがいまして、この問題は、党の考え方と議員の考え方を十分話し合いをしまして、あくまでも話し合いでそれが今まで実現をしてきている、こういうようなことでございます。もちろん衆議院の場合でもいろいろなケースもございますけれども、参議院の場合、今まで多少例外的なケースもございましたけれども、あくまでも自主的にまず議員に考えてもらう、全体の流れとしてはそういうことだと、その中で自主的に考えてもらうということでやっておるわけでございます。  しかし、最近特に平均寿命が延びてきておりますので、健康ということを考えますと、必ずしも、もう例えば七十近い方でも健康的に十分やっていける、また期数もそんなに多くないというようなことがございますれば、そういったものは例外的な措置になるケースも間々あるわけでございます。  大体そんな流れでやっておることを御報告申し上げます。
  60. 笹川堯

    ○笹川委員 それでは今度は、総務庁長官としてお尋ねをいたしますが、現在、役人の世界も行政改革でなるべく定数を削減していけ、あるいは今経済界も、もう大変な不景気でありますから、将来外国との経済競争で勝たなきゃならぬということでリストラをみんなやっていますね。ところが、政治家世界というのはなかなか法律改正もできませんが、今回こういう政治改革をするということが大きなチャンスであろうと思いますので、議員もある程度は少なくしていった方がいいんじゃないかと思うのですが、それは、人数をどこまでというとこれも議論がいろいろありますが、国会議員はなるべくやはり少なくしていった方がいいんじゃないかなという方向づけについては御賛成でしょうか。どうでしょうか。
  61. 石田幸四郎

    石田国務大臣 議員の定数については、例の、あれでございますね、今の五百十一の定数の問題、さらにまた四百七十一、本則の問題、いろいろな議論があるところでございますが、これは人口比率から考えますと、先生も御案内のように、昭和二十五年ぐらいを基準としてその本則にある人数が設定をされておって、その後有権者が約四千万ぐらいふえているというような流れの中にございますので、なかなか一概に、この定数の決め方というのはいろいろな議論があって難しいところだと思います。  ただ、やはり地方議会などを見てみますと、地方議会はかなり積極的に減らしておるわけでございますから、やはりここら辺を十分踏まえた考え方に立たなければならないであろうと。今回の、したがって自民党の本則に戻すという御議論も十分私は理由のあることだと思います。ただ、今度与党が提案をしておりますのも、二百五十、二百五十というわけでございますから、少しはそういった自助努力の形も見えておる、そこら辺の流れを踏まえて今後も考えるべき問題であろうというふうに存じております。
  62. 笹川堯

    ○笹川委員 次に、それでは、非常に今度の法案の中でもめております戸別訪問についてお尋ねをするわけでありますが、実は、私は昭和四十七年、初めて選挙に出て落ちたときに、いや戸別訪問ができたら新人はよかったのになと思って非常に悔しがったものでありますが、今実は一番大きな問題は、自民党の方は戸別訪問禁止のままでいい、政府案解禁だ、こういうことでありますが、実は、その戸別訪問というのは、やる方にとっては非常に都合のいいものですが、今度はやられる方にとりまして実は非常に大きな欠点があります。  私の経験から申し上げますと、戸別訪問をしたときに、実は時間帯の問題があるのですね。朝早くやられてもこれは迷惑ですな、日曜日なんか、寝ていて。逆効果です。それからもう一つは、住宅、密集住宅なんかへ行きますと、お昼ごろ行きますと、呼び鈴押しますな、いるかいないかわからないものだから。やたらに押していますと、これは出てきてしかられますわな、やっと子供が寝たときに何であんた、これは非常に難しいですね。だから、二回ぐらい鳴らして、いないときはもう待っているという。ところが、実際、選挙になったらエキサイトしちゃって、そんなことはもう関係なくわさわさ行くわけですな。あるいはまた、夜食事時間に訪問すると、これまたうんと嫌がられるのですよ。日本は家が小さいですから、がらっとあけたら夕食のところというのはいっぱいあるのですね。外国と違うのですよ。外国は戸別訪問自由だから日本もいいじゃないかという細川総理の答弁があったけれども、僕は、住宅事情もやはりある程度加味しないと、夕食のときに時間が許されているよというわけには、私はいかない。  だから、この辺はやはり、もしも解禁をするならば、例えば腕章をはめて、二十人とか三十人とか限定して、この人たちは何時から何時までいい。それは責任持って、おまえ昼行くなよ、夜飯食ってるときに行くなよ、飯食っていそうならそっと帰ってこいよとか、いろいろ技術的なものをやると思うのですが、そのことについて、ただ単に解禁なんだ。昔は、人のいないところだと金を渡すからいけないんだという議論は、もう今はそんなものは僕は全くないと思いますが、できれば解禁の方がいいとは思うけれども、日本の事情でこういうことを考えますと、例えば、世田谷みたいに今度の選挙になると、分割されると狭くなりますね。これは幾らでも行けますよ。ところが、北海道みたいに広いところは、おまえ戸別訪問しろなんて言ったって、現実に隣の町まで百キロあったらできないわけです。そうすると、一つの法律で非常に不公平なのですね。全部ができない、同じように。  その辺のことで、どうですか、山花大臣。今私が言ったみたいなことも踏まえてもなおかつ全部解禁しちゃった方がいいと思いますか。
  63. 山花貞夫

    山花国務大臣 御指摘のような問題があることについては、これまでも議論がございましたし、また、今度の法案をつくるに際しましても議論をしてまいりました。  結論的には、やはり憲法の保障する政治活動の権利という原点を踏まえるならば、一人一人の候補者が一人一人の国民に対して政策を呼びかける、ここのところは大事なのではなかろうか、こうした結論から、今回のような法案提出に至ったところでございます。  ただ、従来も、公職選挙法委員会などでも時折議論されてきたテーマでございます。また、これは、何党がということではなく、それぞれの党から賛否の議論があったテーマでございます。私のこれまでの印象では、皆さん総論的には賛成されるのですけれども、各論になるとちょっとちゅうちょするところがある。そのことが、これまでの法案提出政府案にありました十五人の運動員というような経過にもなっておったと思います。  ただ、今、御指摘のとおり、家屋の事情ということにつきましても、これまたいろいろ物の本などで外国の戸別訪問事情についてイギリスを中心として報告されたもの等については、日本と違うそういう事情もございますが、ただ、世界各国を見て、戸別訪問禁止しているというスタイルは、我々余り承知しておらないわけでありまして、例外はあっても世界じゅう一、二ではなかろうか、こういうように承知をしているところでございます。  やはりこれは、この基本的なところを認める中で、行う政党の側も、御指摘のとおり相手の迷惑になるようでしたらとても一票お入れくださいということにはならないわけですし、また入れてもくれないわけですし、また受ける側としても、先ほどおっしゃいましたとおり、ここだけが買収の温床となるということなのかということにつきましては、もう時代も進んでかなり変わっているのじゃなかろうかということならば、受ける側もはっきりと意思表示をされるというのが最近の傾向としてあるのじゃなかろうか。まず進めていく中でお互いの、初めですから若干の問題はあるかもしれませんけれども、できる限り、いろいろな問題については、それぞれの自制等も含めて、円満にいくような努力があれば私はやるべしということの方が今求められているのではなかろうかと、基本的には以上のように考えております。
  64. 笹川堯

    ○笹川委員 選挙を公平に、なるべく自由が原則だ、これは山花大臣、わかるのですが、主権在民といっているわけだから、やはり主権者の方の気持ちも私は尊重しないと、ここで議論して、議員の立場からすると、どこへでも何時でもとそれはおっしゃるけれども、来られる方が嫌だと言っている以上は、やはり僕は第一回目は人数制限なんかをやって、それで何年かやってみて、みんながそれはいいよ、もう人数も外したらいいじゃないか、フリーにというときになれば、私はフリーに外してもそれは別に決しておかしくないだろう、こう思うのですね。だから、初めから全部、一〇〇%外しちゃった方がいいのだという議論をしないで、まずとりあえずは、それは演説の要員だって全部人数が決まっているわけですから、ある程度、それは三十人か五十人か、これは何人がいいということは申しませんが、とりあえず一時解禁としては人数制限をして、そして五年後の見直しじゃないけれども、いろいろ見直しが資金でもあるのですから、見直すときに、全面解禁でどうだ。  まあ議論の中には、ある特定の政党がもう戸別訪問専門だから、それをやられちゃったら負けちゃうから、それは全面禁止した方がいいと言う人もいるけれども、私はそうは思わない。選挙ですからね、それは勝てるようにするのが当たり前なのであって、特定のところを有利にする、不利にするという議論は当然私は慎んだ方がいいと思いますが、とりあえず、受ける方の側からすると、若干の制限はしてもらわないと、良識だけにまつということなら、良識なんかがあれば苦労しないの、大臣。エキサイトしたらもう何でもするのですよ。夜中でも電話をかけて、ここへ入れろなんて、全然逆なことをやる。俗に言う、いたずらする人もいるわけですから、ぜひその辺はもう一回、与党案が絶対ベストなんだということを言わずに、ひとつ人間の制限その他についてはぜひ考えていただきたいと思います。  それから、さっき個人献金の話、ちょっと切れちゃったので、個人の一千万は僕は大きいと思うし、それで企業も二十万、三十万出しても、八幡だとか、あんな何兆円の売り上げのあるところがそんなことで特別に頼みにきてわいろなんて、そんな話に私はならないと思うのですよ。だから、企業献金は悪じゃないのだけれども、それをしっかり政治家が守れば私は今すぐ企業献金を廃止しろということを言わないけれども、国民の方は、どうもわいろと献金がごっちゃになっちゃって廃止しろという方がアンケートをとると多い、それと戸別訪問は逆にやめた方がいいというのが圧倒的だから、やはり世論を気にするんだということならば、ある程度今言った方は世論の方をくみ入れていただきたい。  また、逆に、消費税みたいに、世論は今反対だ、税金を上げるか下げるかと聞けば、上がらない方がいいと答えるに決まっているのですな、これはだれでも結構ですと言うやつは一人もいないのだ。だけれども、将来の日本のことを考えれば、こういうところへ使うのだからぜひ我慢をしてくださいということを言うときに、今の中選挙区制ならば、少々無理なことを選挙民に言っても通る可能性はあります、はっきり言って。だけれども、完全小選挙区制とか並立になった場合に、五一%とらなきゃならないと思うと、かえって選挙民に言うべきことを言わないで、もうこれを言っちゃったら最後の一%で負けちゃかなわないと思うものだから、いや我慢してあれもやります、これもやりますということになる可能性もあるのじゃないかなという気がするのですけれども、まあ短くちょっと、もしあれば。
  65. 山花貞夫

    山花国務大臣 御指摘のことはあると思いますけれども、ただ同時に、逆の考え方もあるのじゃないでしょうか。政党政策本位でやってまいりますから、全国で政党選挙をやっている中、個人が逆に地元の利益誘導型をやった場合には、かえって全体の地域の票をいただくには逆効果もある、こういう問題点もあるのじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  66. 笹川堯

    ○笹川委員 議論をしていると、何だって時計が進むのが速いのでとめてもらいたいと思うぐらいですが。  法務大臣、せっかく来ていただいて、実は法務委員会がありますので、私も一時間時間があるのでたっぷりそのときやりますが、きょうは法務大臣に、実はお願いするのはおかしいのだけれども、本来法務大臣というのは、今回初めて、初めてじゃないけれども、たまたま運よく国会議員じゃない法務大臣ができました。しかも、政治改革という非常に国民から信頼を得なきゃならない最中でありますので、法務大臣として、よく国会議員は、あなたは指揮権を発動するかしないかと聞きます。私がもし法務大臣だったら、発揮するとか発揮しないは答えられない、それは法務大臣の職務の中の一つが指揮権でありますから。だから、私が法務大臣だったらそう答えるし、多分法務大臣もそう答えると思うんですが、今、何といったって連日新聞を見ると、これは悪いことした人は捕まえればいいじゃないかと。それはそれでいいんだけれども、政治改革の実は原点はここなんですね。だから、これもしっかりやらないと実は困るわけですが、じゃ法務大臣がしっかりやれと言うと、それも指揮権のうちだと言われるかもわかりませんが、これこれをしっかりやれと言わなければいいんだ。全体的に法の執行者として一生懸命やれと言うのは、私は言うのが当然だと思うし、指揮権の発動にはならないと思うんですが、法務大臣、いかがですか。
  67. 三ケ月章

    ○三ケ月国務大臣 私も、何と申しますか、現在問題になっておりますゼネコンの問題につきましては、これはしばしば申し上げておりますように、検察当局は厳正に対応しておるということを確信しておりますので、その問題に関しましては、私といたしましては指揮権を発動して捜査を、何と申しますか、抑制するとかあるいはそれにハッパをかけるということは考えませんで、あくまでも法の精神に基づいて、法と証拠に基づいて厳格かつ不偏不党の立場で今までどおりやるものと確信しておるということでございます。それでよろしゅうございましょうか。
  68. 笹川堯

    ○笹川委員 わざわざ法務大臣に来てもらって答弁を受けても、もう言うことはわかっているんですが、一応やはり来ていただいて、そう発言をしないとまずいのでお呼びしたんですが、どうも済みませんでした。法務委員会でゆっくりやりますのでお帰りをいただいてもいいんですが、ただ私の言っているように、とにかく全体、これこれなんということ、個別のことを言うつもりはない、とにかくみんな集めて、おれも法務大臣になった、一生懸命やれ、国民の負託にこたえる道だ、それぐらいは言ったっていいんだから、毎日言ったって構わないんだから、その精神でひとつ法務大臣、しっかりやってもらいたいと思います。どうもありがとうございました。お帰りください。  それでは、さっきちょっと午前中、個人献金の話でありますが、山花大臣佐藤大臣、これを悪用して税金を還付してもらって、これはちょっと普通の売り上げをおっことしたりするのと違って、とにかく政治家が献金を装って税法の控除額をうまく利用して、懐へ入れたというんですな。これは変な話、自民党も今まであったんでしょうけれども、ないかもわからぬけれども、今回たまたま検挙はされていませんが、公明党の石田先生のところが寄附を悪用しての不正還付で二名逮捕、羽田先生のところも、新党さきがけ、落選したけれども横浜の人が所得税法違反と政治資金規正法違反でこれまた……
  69. 石井一

    石井委員長 さきがけ。
  70. 笹川堯

    ○笹川委員 ごめんなさい。これは新党さきがけの方だ。逮捕されちゃった。羽田先生の方もありますよ。新生党の当選者で大谷さんも、やはり節税目的の空献金の疑いということでありますので、三人に聞いていると時間がないんで、以上を代表して羽田先生、まことにけしからぬと思うんだけれども、どうですか、反論は。
  71. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 これはもう御指摘のとおり、税の公正、公平ということからいって、これは決して好ましいものじゃありません。
  72. 笹川堯

    ○笹川委員 これは実はもう犯罪ですからね。こういうのはもうどんどん刑務所に入ってもらわなければ困るので、まあこれは国会議員だけの問題じゃなくて、県会も市会も町村もみんなこれは直さないと、下からくみ上げていかないと難しいと思うんですね。そういう意味で、ぜひひとつこれから中央だけじゃなくして地方議員、国会議員はいいけれども、じゃ県会議員も政党補助があるのかなということになりますので、ひとつお考えをいただきたいと思います。  さて、よく細川総理が政策中心、政党中心の政治をこれからしなきゃならぬし、政策中心で小選挙区制を争っていける。今までのように同じ政党の人が複数出ませんから、サービス過剰にならないわけであります。これはもう当然なんです。私もそう考えていました、昔。  ところが、今回はたまたま戦後長い間続いた自民党政治が崩れたんだから、連立政権なんだから特例だということはわかるんだけれども、一般の人から言わせると、私たち政党の公約に基づいて選ばないと選ぶ方法がない。しかし、今の中選挙区制では、政策もあるが、人物とそれから地元ということで選ぶわけですね。非常に何というのか、だますわけにいきませんから、わりかた正確にいっていたんだが、今度政党政策中心の選挙をやると言っているのに、今回の連立政権を見ますと、政党で約束した、例えば社会党さんの名前を出して悪いんだけれども、消費税はなくなしますとやはり選挙で言っていた。しかし、今度連立内閣に入ると、いや消費税は認めますと、内閣だから不一致になると困ると。あるいはまた引き上げますと言えば、これは引き上げに応じざるを得ない。これは僕はそれで日々これ新たなりだから、それはいいんですよ。いいんだけれども、今度閣僚やめて、また次の選挙で地元へ帰ったら、あれは閣僚のときだからやむを得ないけれども、また今度も反対なんです、これをやられたんじゃ選挙民は何を頼りに選んでいいかわからなくなる。というと、細川総理の言っている政策中心、政党中心なんということが、これはうそになっちゃうわけですね。それなら今の選挙区の方がいいじゃないかという議論になっちゃうから、私は本来は、今度の選挙で、固有のものはこういうものがあります、けれども、連立政権になった場合には協議をしますので、これとこの問題については歩み寄らざるを得ない点がありますよということを明確に言っておいて選挙すべきだ。  となると、今回はそれを言っていないんだから、政治改革がもし成立した暁に、私は連立政権政策について国民に信を問うことも一つ政治としての必要なものじゃないのかな。まあ一回選挙をすると四百何十億かかるから、ぐあい悪いんだけれども、考え方としては僕はそれは国民が求めているものじゃないのかなと思うんですが、羽田副総理、どうでしょうか。
  73. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 確かに国民皆さんがやはりそういう形で選ぶ、これは私は基本であろうと思っております。  ただ、今度の連立政権ができ上がった経緯は御案内のとおりでありますから、これはもう具体的に本当に一つずつの政策を詰めるということができなかったことは事実であります。しかし、私どもはこれから、そんなことをいつまでも言っているわけにいきませんので、やはり率直に話し合いながら、できるだけ政策を集約していくということが大事であろうというふうに思っております。それから、その意味では、少なくも連立政権を組むという中でこれは話し合っているわけですから、閣僚を今すぐやめたから、もう今度は一議員だからいいんだというものじゃない。やはり連立を組むときに、お互いに基本的なこういうものは合意しましょうということでやっているわけですから、私はその筋というのは閣僚をやめたらすぐ変わっていくものだ、そういうふうには思っておりません。
  74. 笹川堯

    ○笹川委員 それでは、社会党の前委員長お尋ねしますが、参議院の安恒さんという、今無所属になっていますが、参議院の方にいらっしゃる。これは比例代表で選ばれたわけですね。そうすると、本来、安恒と書いた人は一人もいないわけです。社会党と書いたもので選ばれているんだから、本来議席の所有権と言っちゃおかしいけれども、所有権は社会党にあると思うんですね。  ところが、社会党が除名だとか離党させても、議席は今でも残っているわけだ、無所属で。これは選んだ側からするとおかしいんですね。社会党推薦だから買ったんです、品物を。推薦がなくなっちゃったら、本来なら返品ですわ。それが今後とも小選挙区制になると、比例の問題でそういうことが起こり得る可能性があると思うんですがね。その点については非常に矛盾をしていると思うんですが、今の参議院の話についてはやはり矛盾していますか。
  75. 山花貞夫

    山花国務大臣 矛盾しているという、こういうテーマの一つだと思っております。実はこれはかなり前の時点からあったわけでして、議論になった一回目、二回目、三回目が今回の経過ではないか、こう私は受けとめております。私も公選特などで、このテーマについて逆の立場質問をしてきたことについても記憶をしております。  御承知のとおり、憲法四十三条一項の全国民の代表であり、法的には議員となった場合には独立した権限が認められている。議員の憲法上の位置づけというところからこの問題については解決できないテーマとなっているわけでありまして、ただ、今のような事例だけではなく、政党自体がなくなっても繰り上げ当選の問題、その他同じような問題がなお残っているところでありまして、議論継続中のテーマだと思っているところでございます。
  76. 笹川堯

    ○笹川委員 それでは、最後になりましたが、羽田先生にお伺いしますが、よく今、一極集中というので、東京へ何でもかんでもあるからだめだ、もう少し人口を分散しろ、役所も分散しろ、国会も移転しろということがありましたね、随分。これはそれで非常に僕はよくわかるのですよ。  ところが、今度の小選挙区制でその一票の格差の問題を議論してくると、どうしても東京国会議員がふえちゃうんですな。五十人も六十人も仮にできたら、一体、一極集中を排除しろと言いながら、国会議員は一極集中で東京がふえるぞ。そうすると、東京国会議員というのは何をするかというと、失礼かもわからぬけれども、地方の議員に比べては、することはやはり少ないですよね、陳情その他は。私は少ないんじゃないかと思う。逆に、アメリカみたいに、ワシントンのような特別区にしちゃって、東京だけはもう国会議員は置かない。  例えば、鳥取県なんかは所得が一番低いけれども、投票率は一番高いですよ。(「一番低くない」と呼ぶ者あり)あ、鳥取いたか。低いと言うとったがな。そうすると、東京は、所得は高いけれども投票率は一番低いというのです。権利を上げたって行使しないわけですな、全然。そうすると、行使しない人には、政治に対する批判なんというのは本来僕はおかしいと思う。ちゃんと投票した人が批判をするというなら、これは僕は謙虚に耳を傾けなきゃならぬと思うのだけれども、そんなに投票率の低いところには、将来、投票率に応じて議員の配分だって若干考えたっておかしくないですよ、行使しないんだから。  だから、私は、東京に一極集中して、世田谷に三人も国会議員いてどうするの。自転車で回れるよ。そういう矛盾もやはり避けて通らないように、ぜひひとつ、連立政権のときなら何でも通ると思うんだ。反対すると、僕らは、あいつらはいじめていると言われるし、賛成すればみんな通っちゃうし、非常に困った状況が続いておりますので、本来もう少し大きな声で元気よくやりたかったんだけれども、いじめないように、ゆっくりやりなさいと言われているもので、これで終わりにいたします。
  77. 石井一

    石井委員長 次に、細田博之君。
  78. 細田博之

    ○細田委員 自由民主党の島根全県区、細田博之でございます。きょうは、総理も御出席をお願いしたのでございますが、公務ということで出席できないということでございますが、その他のいわゆる連立七会派の六党の党首なり前委員長、おそろいになっていただいているわけでございます。  そこで、私は、むしろ政府の代表として単なる法律論を展開するよりも、これは政治の枠組みを変える大きな問題でございますから、それぞれの政党がどのように考えているのか、そして、我が国の民主主義、選挙を通じての民主主義というものが政治基本でございますから、そのような基本の形をどのようにこれから考えていくのかという点を中心に質問を申し上げたいと思います。マスコミの方もおられますけれども、まだまだそういう認識での報道が必ずしも十分でないと思いますし、ここに与党の方いらっしゃいますけれども、一体それで、法律が通ってからどうなるんだという認識においてもまだ十分はっきりしてない、そういう面がございます。  私は、実は、まず基本的な作業からやってみました。与党が、七会派あるいは無所属を入れて、まあヤマタノオロチなんて言っていますけれども、ヤマタノオロチは私の島根選挙区の出でございますので、ちょっと余り使ってほしくないなとも思うのでございますが、ヤマタノオロチでも結構なんでございますが、その今の現職、そして落ちた人、いろんな人を全部選挙区別に当てはめてみました。次の選挙どうなるだろう、政府案が通ったときどうなるだろう、自民党案が通ったときどうなるだろうと思ってやってみました。皆さんやってみましたか。これをやっているのは小沢さんだけですよ、多分。それ以外の人は、まあ何とかなるだろう、失礼に当たるからそれ以上言いませんけれども、その程度のことなんだ。しかし、大変なことが今起ころうとしているということがよくわかるのでございます。  そこで、ちょっと委員長、私、配付資料として、これはごく一例でございますが、東京都と愛知県、特にここは東京都と愛知県の方が多いものですから、例としてちょっと表を、資料を配っていただきたいと思います。
  79. 石井一

    石井委員長 どうぞ配ってください。
  80. 細田博之

    ○細田委員 そこで、この資料についてはおいおい申し上げますが、特に社会党、山花大臣、そして佐藤大臣がよくテレビなんか出られると、すぐ二言目には選挙協力でございましてと言われます。選挙協力、本当にされますか、山花大臣
  81. 山花貞夫

    山花国務大臣 これまでも努力をしてまいりましたし、これからも努力していくというのが社会党の方針であると承知しております。
  82. 細田博之

    ○細田委員 今までの選挙協力というのは、その党から候補がどうしても出ない、こういうことが多いのでございます。たまたま地盤とか政治状況から見まして、特に公明党さん、やはり支持層から見ると立て切れない。社民連さんや民社党さんも、ちょっとここは立てないのはしょうがない。本当は立てたいんですよ。日本共産党は偉いですよ、全部の選挙区に候補者を立てているわけですからね。これが私は政党だと思っておりますが、それは残念ながら立てられないからどうしようかというときに、民社党さんは、この選挙区ではそれじゃ公明党さんを支援しようじゃないか、あるいは我が党の政策に近いから社会党さんを支援しようじゃないか、この候補者もいいよ、これが選挙協力ですね。今まで、社会党の候補が出たくてしょうがないのに、おまえおりろ、ここで公明党の候補が出て、立派だからこれに全部投票しろといったことがあるかというと、余りないと思います。知事選挙でも市長選挙でも、これは原則として無所属で出て、もとは社会党であるけれども、我が党に理解を示しておるから何党が支持しよう、そういう形で選挙協力というのはやっておるわけでございます。  ところが、今回、小選挙区制になったときに、選挙協力をやっているというのは、驚くなかれ、この選挙区は新生党の候補が出ます、あとの社会党、社民連、公明党、民社党はみんなやめましょう、日本新党もさきがけも立候補をやめましょうという選挙協力だと言っているんですね。そうじゃありませんか。ちょっとさっきの選挙協力の中身、教えてください。
  83. 山花貞夫

    山花国務大臣 前段につきましては、選挙協力というものは、その政党にとって大変厳しい場面がございます。  お話しのように、私たち社会党の場合にも、もう決まっておった候補をおろして、他党の候補をやった事例も幾つかあるわけでありまして、それぞれの政党が全体の選挙の勝利を目指してということですから、そういう場面も幾度がぶつかってきているということでございます。  後段の問題につきましては、これは一つには、この連立政権政治改革を年内完成させる、それから、その他の政策についても来年度予算編成を通じて仕事を行う。そうした問題に対する国民支持とか審判を仰ぐという場面が将来出てきたときに、選挙に向かうということだと思います。その場合には、いろいろな格好での選挙協力があるんだと思います。先生おっしゃった一つの形だけではない、こう考えておりますが、選挙協力はやるべきだと思っております。
  84. 細田博之

    ○細田委員 ここに大変教養あふれる江田代表がおられまして、それはなぜかというと、イギリスにも住まわれて御勉強もされた。  イギリスにいい例がありますね。保守党というのは、どなたかも言っておられましたけれども、このところ勝ち続けておりますが、支持率は五割を超えていない。そして、労働党と自由党を合計すれば五割超えています。そして、労働党と自由党が選挙協力、日本でおっしゃっているような選挙協力をすれば、かなり、五割を超えておるわけでございますから、議席をとれるけれども、それはやらないんです、イギリス人は。そして、日本人のちょっとあさはかな人が質問を発したのですよ。あなたの党は、自由党と労働党で選挙協力すれば勝てるじゃないかと、どこかの国で今話していることを言ったんですよ。勝てるのに何で協力しないかと言ったら、ばかにされた。何言っているんですか、あなたは。日本人はあなた、そういう考えしているんですかと。政治というものはそういうものじゃない。我が党は、こういう党是を持って、そしてこういう方針で選挙民に訴えているんだ、したがって、党是の違う自由党と、あるいは自由党から見れば労働党と、選挙協力をすれば勝てるから協力をして、自由党の支持者は、党員は、この選挙区においては労働党に投票してください、よろしく。よろしくなんというのは大体日本語ですがね、英語にならない。労働党の党員には、ここの選挙区では自由党が候補に出ることにしましたので、労働党は立てませんのでよろしく、そんなことはやらない、そういうように聞いていますが、それはどうしてでしょうかね、江田先生。
  85. 江田五月

    江田国務大臣 それぞれの国にそれぞれの事情があり、それぞれの政党にもそれぞれの事情があると思いますから、日本日本の事情でやるべきだと思うのですがね。  ただ、申し上げておきたいのですけれども、今度、選挙制度も含め、政治改革をやろうと、改革になった後、どういう選挙の取り組みをするか、それは別として、従来の中選挙制度のもとでどんなことをやってきたかといいますと、私は、これはしつこいほどに言ってきたのですけれども、五百十一の定数、二百五十六以上候補者を立てずに政権を担当させてくれといっても、これはだめなんですね。政権の提案になっていないわけですよ。そうすると、残念ながら、今の党がそれぞれ選挙に取り組む限りでは、自民党しか政権の提案になっていなかったのは事実なんです。そこで、野党がちゃんと腕を組んで、選挙協力をやって、こういう政権野党は一緒につくりますから、国民皆さん、やらしてくださいというなら、それは提案にはなり得るわけです。  そこで、八九年の参議院選挙のときにそういうことをやったら、そこに国民理解と共感があって、参議院選挙で自民党は惨敗をする、野党が圧勝して、参議院は与野党逆転になったわけですから、私は、選挙協力というもの、あるいはこの政党の連立政権というもの、これは、国民理解を得られる要素は、日本の中では、現に実例もある以上、あり得ると思っています。
  86. 細田博之

    ○細田委員 私は、お言葉ではありますけれども、イギリスの昔から伝統ある民主主義を学んできた方の御発言とは余り思えない御発言であったと思います。  参議院選挙のときは、確かに選挙協力をして勝ったところもありますよ。連合の人が出たということもある。しかし、戦ったところもあるというように、個々に考えてきたのですよ。  そうして、もっと大事な御発言があったのは、政権をとるために政策をあらかじめ調整して立候補するようなことを言ったでしょう。そんなことで、何の政党意味があるのですか。  私は、山花大臣国会で苦労して御答弁になっているのは、個人的には理解しているのですよ。つまり、社会党として、社会党の綱領に従って立候補をして、自衛隊はやはり今の問題は憲法違反だとか、PKOはやはり反対だと言いながら当選してきたのですから、東京で。そうして、しかし、当選した後、会派がどうやって連立政権を組むかといって、そこで妥協せざるを得ない面があるから、内閣の一員としては私は妥協しましょうという、それは私は、ある意味では、まあ人によって違うけれども、五割ぐらいは理解できるのですよ。  しかし、今の江田さんの言ったことというのは、全然違いますよ。最初から、選挙民に対してどっちを言うのかということをはっきりしないで選挙をしようというのですから、あなたがもし、例えば山花さんは東京何区、二十一の選挙区の中で何区かで、幸い皆さんの御理解を得て統一候補の一人にしていただいたとしますね。いただくに当たっていろいろ条件がつくかもしれないけれども、日本社会党の前委員長として、ではパトリオットを導入する予算については本当は賛成なのかどうかとか、自衛隊についてどう思うかということは何にも言わないで、あたかも最初から内閣の一員であるかのような、連合政権、連立政権という、国会で当選してみなければ、選挙結果がわからなければわからないような前提のときに、あらかじめ妥協して立候補するのですか。ここにいる社会党の皆さんもそうやって立候補するのですか。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)そんなことないと言っていますよ。それはちょっと、もっと立候補のときの公約のあり方について、どういうふうに立候補するのか、教えてください、山花委員長
  87. 山花貞夫

    山花国務大臣 先ほどお答えを省略した部分を含めて、若干発言させていただきたいと思いますが、例えば今回の選挙の際に、私たちは、何よりも最大のテーマとして、ここにパンフレットがありますけれども、新しい政権政治改革を実現しようと、この選挙に至った経過を振り返っていただきますならば、政治改革について激しい対立の中で、不信任案提出、これが御承知のとおりの経過で可決された、そこで選挙に突入したわけでありますから、何よりも政治改革を実現しよう、このことを最大のテーマといたしました。  そのためには、新しい政権ですから、社会党単独で政権をとることはできない。それならば、非自民の皆さんと腕を組んで政権をとろう、こうして私たち選挙の協力について合意をしたわけであります。合意の内容については、内外に発表いたしました。  そして、選挙のさなかにおきましても、私、当時委員長でしたから、社会党の固有の政策は一体どうなるんですかということを含め、今御質問の内容に関連して、ずっとマスコミから質問を受けてきた立場でございます。  そのとき、私はこう答えました。連立政権の構想については、既に八九年に連合政権の構想を発表し、昨年暮れ、連立政権の構想を発表し、そうした連立政権の構想を踏まえての今度の選挙だけれども、自分たち政策を、それぞれの党の固有の政策有権者皆さんに訴えて、その審判を仰いだ中で、その結果に基づいて連立政権の可否が決まります。もし、そこで改めて連立政権についての合意をつくることができれば、政権が誕生するでしょう。それができなければ誕生しません。私たちは、誕生させるために努力をしたいと思います。こう言いながら、社会党の政策がどこまでその政権で生きるかということについては、単独政権ではないので、議席の数によってそのことについての濃淡は出てくると思います、こう説明をしてまいりました。  社会党が圧倒的多数ならば、社会党の政策が非常に中核的になるでしょう。そうでなかった場合には、やはり議論して合意をつくる、そうした努力になりますので、濃淡ということになれば、必ず濃、濃いというわけにはいかないかもしれないけれども、しかし、連立政権をつくる国民皆さん期待にこたえますと、こう言って選挙を行ってきた次第でございます。終わってから、改めて合意をつくりました。
  88. 細田博之

    ○細田委員 あなたのおっしゃっていることは、全く民主主義に反するということにお気づきでないようですよ。それは、選挙のときには、その党が政策を争って、しかも比例というものを入れるのですから、比例区に投票しようというときに、私は社会党に入れたい、そのときに、どういう政策を一体訴えているんだろうかというときに、山花委員長のおっしゃることによれば、我が党はこう思うが、もし連立政権で連立内閣が形成できるのなら、我が党は大臣を何人か送り込んで、まあそこまでは書かないでしょうが、そのときにはこの政策は棚上げいたしますという公約を出しながら選挙すると言っているのですよ。  さきがけの党首の官房長官、どう思いますか。そういう、さきがけ党首として選挙をするときに、どういうふうにやるのか。  私は、小選挙区比例代表に、間違いがあるといけないから言っておくけれども、反対しているのではないのですよ。そうではなくて、結果として連立になるのは民主主義としていいだろう。しかし、党が本当に合併していなくて、それぞれの党が戦うのであるならば、選挙制度が変わったときに、あらかじめ選挙協力をして、そうして投票を融通し合うというようなことは、あたかも建設業界において最近言われておるように、談合するのと同じじゃないか、そう思っているわけですよ。党首として、官房長官、どうでしょう。
  89. 武村正義

    ○武村国務大臣 まあイギリスは、御承知のように、二大政党政治がずっと続いております。まあ社民党とか自由党というのがございますが、かなりの得票をとりながら、議会で大きな勢力が持てない。実質的にはだから保守党と労働党の時代がまだ続いておりますから、彼らの党利党略論で言えば、連合する必要がないという、そういう判断があるのでしょうね。これは私の想像です。  ですから、日本の国も、すっきりした二大政党時代が来れば、細田委員のおっしゃる大変明確な、わかりやすい姿になると思います、それがいいか悪いかは別としてね。  少なくとも今、新しい、選挙制度を変えて単純小選挙区制でスタートをしますと、二百五十なら二百五十、この二百五十のフィールドではどういうことになるか、そこをいろいろ見詰めながら御議論をいただいていると思いますが、少なくとも過渡的な状況、新しい制度が出発する時期においては、いろいろな形があり得る。  選挙協力が頭からいけないというなら、これは法律で禁止すればいいのですが、そんな議論はないわけで、少なくとも首長選でもさまざま多党による協定、協力が行われているのが現実でありますから、たった一つの議席を選ぶためには、そういう状況が生まれることは、恐らく国民皆さん有権者の側にもそれなりの常識的な理解があるのじゃないか。政党個々の主張をきちっと主張して審判を仰ぐという、そのお尋ね意味からすればやや鮮明さを欠くというか、政党の固有の主張がありながら、なおかつ二つ、三つが協力し合って、そして、より幅の広いコンセンサスの主張を二段階で掲げること自身がややわかりにくくする面はあるかもしれませんが、それはそれでやはり基本的には納得がいただけるのではないか、そう思います。
  90. 細田博之

    ○細田委員 まあ私から見れば、余り理解できないのですよ。もし、山花委員長、社会党の立場で見まして、パトリオットとかあるいはAWACSはこれはもっと大きな問題でしょう。そして、自衛隊の違憲の問題も大きな問題ですが、閣僚のお立場としては今までの主張は百歩譲って理解したとしても、党として、社会党としてこれから予算が通っていくときに、賛成したらやはり党として賛成したことになりますね、党として。それは連立内閣関係ないのですよ、本当は。関係ないですね。  社会党の党の政策として、もう綱領があって、選挙のときに有権者の方にはこうでございますよと言いながらやっているわけですから、そのときに今までと同じような言い方ができると思いますか。つまり、連立政権なんだから、党の綱領にあるけれども、全員が、ここにいらっしゃる社会党の方も含めて賛成投票を投ずるということがあるのでしょうか、AWACSとかパトリオットも含む新年度予算において。そう思っておられるのですね。
  91. 山花貞夫

    山花国務大臣 別に社会党だけではなくて、それぞれの政党が特定のテーマにつきましては党内で徹底的に議論をする、そのことに全党が従うかということだと思います。  今、連立政権の問題、具体的にテーマ等あるわけですから、そこで考えますと、実は我々は選挙をやる前にそういう方針を打ち立てました。そして有権者の審判を仰ぎました。賛否両論あったわけです。ただ、結果に基づいて、したがってそこで私たちは連立政権に参画するかどうかということについても議論をいたしました。しない場合もあったと思います。しかし、今回はするという政治決断をいたしました。そして、政治決断した上で、そうした経過については全国の党員の代表が集まる大会によって全部報告をして承認をいただいているところです。  したがって、連立政権あり方については、そうした方向について全党の合意をいただいておりますから、例えば予算の問題なら予算の問題で予算が閣議決定される、そして法案として出てくると、こういう段階になればそのことに従わなきゃいけないと思っています。もし従えないような場合であるならば、それは連立を崩すということになってくると思います。その前段の段階においてはいろいろな議論があるでしょう。いろいろな議論についてはお互いオープンな議論をしていくということの中で合意ができれば、連立を守ってそれに従ってやっていくということについては全党の合意でありますから、閣僚一人どうこうということではなく、そういう姿勢で真剣に国民期待にこたえたいと思って連立政権に参画をしたところでございます。
  92. 細田博之

    ○細田委員 それでは、大内委員長はどういうふうにこの点について考えておられますか。選挙というものと政党あり方と連立政権あり方が非常に複雑に絡み合っているわけですね、今いろいろ質問しましたが。ちょっとお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  93. 大内啓伍

    大内国務大臣 お答えいたします。  まず、委員が、例えば次の総選挙に向けて今の八党・会派というのですかが統一候補をつくって選挙をやるというような一つの前提で、いろいろその矛盾をお突きになっているように拝聴いたしましたが、やはりこれは選挙制度がどういうふうに固まるかにもよるわけですけれども、仮にやはり今提起されているような案が与野党の合意を得ましてできるということになりましたら、私は、政界再編が基本であって、やはりできるだけ一つの党を結成して、そして自分たちの訴える政策というものをはっきり明示し、そのプロセスも明らかにしながら国民の審判をいただくというのが筋ではないかと思っておりまして、私どもの党の場合は、今そういう八党・会派による統一候補というようなことは全く考えていないわけでございます。  それから、連立の問題につきましても、先生よく御存じのとおり、ヨーロッパでは事前に、連立政権をつくった場合の政策というものはこういうふうになりますというものを提示して選挙をやる場合もございますし、あるいは選挙の結果として連立政権をつくらざるを得なくなって、そこで政策協定というものを結びまして、それで政権を維持するというようないろいろなケースがあるわけでございまして、それはケース・バイ・ケースによっていろいろあり得ていいのだろうとは思っております。
  94. 細田博之

    ○細田委員 大内委員長の御答弁はそれなりに一貫していると思います。私はそうでなければならないはずだと思っておるわけです。  が、しかし、そこがふらふらして、とにかく統一候補を選んだらいいじゃないか、そして選挙協力をすればいいのじゃないかと思っている会派もあると私は思っているのですよ。それは大内委員長は今いろいろな論理というものを突き詰められて、やはりそうだな、我が党としてはどこかときちっと一つになってやるか、あるいは七会派が一つの党にならざるを得ないなというところまで論理的帰結になられたから、これは立派ですよ。しかし、それをやらずにやろうとしている党があるということはやはり選挙民を欺いていることになるというのが私の考えなのですが、石田委員長はどうですか、どういうお考えでしょう。
  95. 石田幸四郎

    石田国務大臣 お答えいたします。  次の総選挙がどういう形になっていくのか、これはまだ定かではないわけでございます。もちろんこれは新しいこの政治改革法案が成立をした状況の中で、じゃ、政界再編成がどうなるかという問題も十分に考えていかなければならない問題でございます。したがいまして、そういう流れの中で、次の総選挙が、今の八会派が一つの集団という形になるかどうかということも極めてまた不確定というようなことでございます。  ただ、先生が御質問をされている趣旨を十分考えてみますと、少なくとも一つの集団をつくって、そしてそれが一グループとして国民の皆様に選挙をお願いをするということになりますれば、それなりの政策の整合性というものはきちっとしていかなければ、これは国民に対して極めて相済まぬことになっていく、このように思うわけでございます。だから、その段階において、要するに組めるのか組めないのかという問題がはっきりしてくるのではないかと私は思っております。
  96. 細田博之

    ○細田委員 これまたある程度は理解できるのですが、大内委員長の答えより相当ぼんやりしていますね。つまり、その段階でどうもやはり違うぞと。そうなると小選挙区制という一つ選挙区で一人しか当選しないような選挙区において、会派がばらばらとそれでトップを争うということになり、それが四会派になるか五会派になるかもわからない。  しかし、週刊誌とか新聞、テレビの報道をごらんください。大体皆さん選挙協力すると言っておられますから、自民党対共産党対七会派、八会派、これは勝つだろうか負けるだろうかと一生懸命言っているわけですよ。そんなことを言っているということは皆さん方にも責任があって、そうやりますよ、談合政治をやりますよ、それは党の合併をきちっとやってからやるとは限りませんよ、空気がまとまっていったらまとまるかもしれませんよという、その程度でこの大事な我が国の民主主義の制度を変えていこうということを議論している。これはおかしい面があって、羽田代表が言われたことも、さっきの点はおかしいのですよ、今の制度にのっとって見る限り。  先ほど笹川委員の御質問があって、山花大臣大臣としてああやっていろいろおっしゃった。しかし、それが大臣をやめて社会党に戻ったら言い方を変えるのはおかしいと言うけれども、私は、政党の主義からいえば、あるいは山花大臣の今までの考えからいえば、当然社会党のもとの政策に戻って堂々とこういうものは違憲であるとか、こういうものは適当でないと言うべきですよね。それが私は政党人だとは思っておりますが、それはまあともかくとして、そんなことを今詰めようと思っているのじゃないのですが、例えば選挙協力というときに、東京都の、先ほど私がお渡しした資料をちょっとごらんください。  これは向こうにも渡っていると思いますが、これは選挙協力というときにいかに談合政治になるだろうかということを私は心配している表でございます。東京都と愛知県がありますが、現職が無所属の鳩山さんを入れまして二十四名もうおるのですよ。そして今は定数四十三名ですが、二百五十名にすると二十一名になりますね。そうすると、現職だけでも三人余る。そうして気の毒にも、社会党は六十六万票もとったのに十人もの現職と一人の新人が落ちているのですね。そしてこの票は、何と前回の選挙のときは社会党は百三十四万票もとっているのですよ。半分以下になった。何のせいだかわかりませんし――百三十五万七千票です、失礼。それはよくわかりませんが、そういう責任を前委員長がとられたということもあると思いますが、これは非常に風も吹いた。そうすると、これは四十二人いまして、皆さん方は頭の中では選挙協力と思っておられますから、その前に政党再編成をされて、新生党と公明党が合併したり日本新党とさきがけが合併されたりするかもしれませんけれども、一体どういうふうに選挙するのかなと。  さっきどなたか、大内委員長が言われたように、いや、わしはもう天下の大内じゃ、東京のうちの一人だが、わしはもう断固だれが出ても出るということで別に調整が必要じゃないよと言うかもしれないけれども、次の紙の、今度は愛知県を見れば、青山さんと伊藤さんが今は当選しているが、残念ながら重鎮塚本さんとか落ちておられる。そうすると、やはり塚本さんにも出てほしいなと私も考えている。御引退なさるのかどうか、私も知りませんよ。しかし、愛知県においてももう、十二人しか定員がないけれども、十六人も現職がいて、民社党の強い県でございますから、塚本さんにも森さんにも出てほしいなと私は思うのですが、佐藤観樹さんとかいろいろな人が、赤松さんとか頑張っていて出られないかもしれないのですな。それで、まあ頑張ってというか、ちょっと言葉は悪いですが、大事な人だから、これはやはり立候補してもらわなきゃ困るわけですよ。そんな場合に、やはりそういうときにどういうことで解決するかというと、選挙で解決するしかないのですよ、民主主義というのは。それを何か調整するのでしょうか。党内調整するのですか。  ちょっと済みません、山花さん、それでは、今は委員長じゃないですが、前委員長として、この合意を取りつけた前提としてどういうことを考えられておられたか、この例に沿って言ってください。
  97. 山花貞夫

    山花国務大臣 御指摘のようなテーマは、今の与党側にあるだけではなく、野党側にもあるのではないでしょうか。自民党でもお国がえ問題その他がある。この場合には党内で談合するのですか、お言葉をおかりすると。そうじゃなくて調整をするんだと思いますよ。我々の場合にも党内で調整をするという、これは手法については自民党でも社会党でも同じだと思っています。その中で勝利するための努力をしていく、そして全体の与党との協力についても、これはさまざまな選挙協力を追求するということになってくると思います。
  98. 細田博之

    ○細田委員 これは重大な発言ですよ。我が自由民主党は、党の綱領を決めて自由民主党という一つの党として候補者を調整するのですよ。そのときに、選挙に負けちゃいけないというのは当然でしょう。我が自由民主党のAさんとBさんが両方立候補したいというときに、党としては一人しか当選しない選挙区であるからあなた頼みますと、それはいいでしょう。しかし今のお話は、社会党と新生党というものが重なる、そのときに、じゃあ新生党にしましょうか社会党にしましょうかというのは自由民主党内の調整と同じである、こういう認識が私は、ちょっと大内委員長に似てきたような演説になってしまいましたが、こういう認識が私は民主主義の危機をもたらすと思うのですよ。  小選挙区になった場合、当然、一本化する努力をしますよ、自民党は。そうでなきゃ落ちちゃいますから。二人出たら必ず小選挙区は落ちますから、我が自民党はどんなに苦しんでも、どんなに派閥の抗争があったとしても、それは党の中の問題でございますから、それは調整しても、だれもほかの人にとやかく言われることはありません。(発言する者あり)ところが、さきがけと例えば社会党とか、そういうこと、どうなるんですか、その場合。いいんですか、本当に。ちょっともう一度。
  99. 石井一

    石井委員長 静粛に願います。
  100. 山花貞夫

    山花国務大臣 今も連立与党として、基本的な合意に基づいて協力して細川政権のために努力をしています。それは、閣僚だけがということではなく、全党挙げての体制であるということについては繰り返しません。  そういう中で新しい選挙に臨むということになれば、やはり連立与党が連立与党としての合意をその時点においてどうつくるかということを前提として、自民党内の話し合いがありますのと同じように連立与党内でも話があるということについては、形としては同じことではないか、こう思っておりますが、中身について御指摘のような、自民党は一つなんだから、こういう違いはございます。この点私は、言葉が少し足りなかったかもしれませんが、そういう連立与党として相談することにつきましては同じ手続ではなかろうか、基本的にはそう思っております。
  101. 細田博之

    ○細田委員 例えば公明党、石田委員長ですね、よく自民党で議論していると、いや、公明党は比例に強い政党だから、どんどんそういう場合に比例に回して他の党に譲って、そして選挙協力をして調整をするんじゃないかなんということを言う人があります。ところが、そういかないのですよ。たとえ全国比例でも、二百五十の選挙区で二二%から四%というこれまで最高の比例でとられても、まあ三十五人がせいぜいです。今五十一人ですから、新生党と合併するかどうかは別にしても、元公明党あるいは現公明党の方が、自民党をやっつけるんだから、こてんぱんにやっつけるんだから六十人ぐらいはもらいたいなと思ったら、どうしてもこれは小選挙区にちゃんと立てて、そしてほかの党に遠慮していただいて、そうしてかつ比例にも出さなきゃならないということになるのですね。  そこで、皆さんがどういうように考えておられるかわかりませんが、選挙協力する前にこれだけ候補者がありまして、私の計算だと現職がどうしても連立七党で四十五人ぐらい過剰になるのでございますが、今のお考えをちらっと伺っておりますと、小選挙区の公認を得られなかった者はもう比例でも出さないんだというようにも聞こえるし、その場合、小選挙区で落ちた者を惜敗率で全部拾えばいいようにも聞こえるのでございますが、社会党さんはどう考えておられますか、その点は。党内の運用の問題として。
  102. 山花貞夫

    山花国務大臣 今の御質問につきましては、まさに党内の問題でありまして、現執行部が次の選挙に臨んでどういうような戦術を組むのかということになると思います。それだけではなく、これからの細川政権が解散に至るまでの実績について一体どうなるか等々も絡んでまいりますから、私が今の立場でその点についてお話しすることについては差し控えさせていただきたいと思います。ただ、党としては当然そういう政権の実績等も考えて、どういう選挙協力があるかなんということについては、その時点で正しい判断をするもの、こう思っております。
  103. 細田博之

    ○細田委員 いや、それはわかりますよ。その方がいい、そうおっしゃった方がいいという面はわかりますけれども、党の責任者ですから、もともと。そして、各委員長も出ておられるわけですから、さてどうしようか、我が党は合併をするのか、選挙協力をするのか、それで何人が当選するのか、そして、落ちた者はどうするのか、公認を得られない者はどうするのかということを一生懸命考え立場におありなんですよ。その結果、先ほど大内委員長が言われましたように、あらゆることを考えた末、何党とは一緒にならなきゃいかぬなとか、政党、政界再編成を前提とするからもうこの法律を出すに当たってはここまで腹を決めてやらなきゃならないなというふうに考えた上でやらなくちゃいけないのですよ。  そのときに、私は、社会党さんは本当にお気の毒ですが、大変厳しいなと思っているわけです。なぜかというと、百四十名が七十名になっちゃった。みんな落ちているけれども、立派な政治家はいっぱいいるのですよ。落ちた人ほど立派な政治家がいるんじゃないかというぐらい本当に、まあわかりませんよ、それはわかりませんが、と思うくらい。それは落選者への儀礼として言っているのでございますから、そんなに詳しくは知りませんからね。それは自民党でも同じですがね。しかし経歴のある人もいる。さっきの民社党の塚本さんだって立派な人ですよ。人によって評価が違うかもしれませんがね。しかし私は立派だと思っている。その人をどういうふうに自分の党としては支えていき、それよりも何よりも私が大事だと思っているのは、前回の選挙東京都で百三十五万七千票を社会党がとったと言いましたね。今回は六十何万票になってしまったんですよ。しかし、これは社会党さん、これを百万票以上に戻そうというくらい思っておられるでしょう。ちょっと佐藤大臣、どうですか。例えば東京、まあ愛知でもいいのですが、よし、戻してやろうと思っているのじゃないですか。
  104. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 そのことは当然でございます。政党としてより多く国民皆さんの御支持を得ようとしていることは当然でございます。  せっかく立たせていただきましたので、一言だけ、今までの議論を聞いて言わせていただきますと、細田議員のような御分析をずっとしてまいりますと、自民党さんは四百七十一の総定数、我々政府が出しました五百より二十九少なくなったらますます大変だなということになってまいりますね。それから、どうも今のお話を聞いていますと、自民党さんの中の候補者が多いものだから三百というのはどうしても必要なのかな、こういうふうに私は余分な心配をいたします。
  105. 細田博之

    ○細田委員 それはそうじゃないのでございます、残念ながら。我が自民党は、いろいろ大変だけれども決まったことはもちろんやろうと思っているのですね。決まったことをやろうというのは、これはしょうがないでしょう、民主主義で。二百五十名の定数でも三百の定数でも、それだけの候補者しか立てられないのだから、それ以上立てたってだめでしょう。それはしょうがないですね、選挙だから。  しかし、今の与党方々考えているのは、その枠を超えているということが問題じゃないですかと。もちろん、二百五十でも社会党は厳しいというようなことは、この表からわかりますよ。しかし、だからこれは私は三百にしたらどうか、早く社会党さん、三百で妥協しなさいよと言っているつもりはないのですよ。むしろ選挙民を欺くような選挙になっちゃいけないな。そして佐藤大臣が今言われたように、今度こそおれは勝つぞと思っているわけですよ。そして、勝つぞということは、今言われた東京都では十人の前職が落ちていて山花さんだけが通っているという実態のときに、山花さんだけが公認になって、あとの方は残念ですが、上田さんも常松さんも長谷さんも、皆さん我慢してくださいというような選挙をしてはならない。これだけの党員に対する裏切り行為になるのじゃないか。  それは、私は社会党の内部の問題として言っているのじゃないですよ。政党政治というのは――政党政治というのを目指しているわけですよ、二大政党制にしよう、小選挙区にしようというのは。政党政治というのは、党員が小選挙区において我が党所属の人を投票できるということを原則とするのですよ。それを原則として、多党化しておる場合には、残念ながら例えば二大政党にとりあえずいかない場合は、三党でも四党でも、共産党さんがどんな制度になっても多分これまでどおり全地域に、全選挙区に候補者を立てられるように、基本的には全選挙区に候補を立てようということを考えて最善を尽くすというのが私は民主主義であって、これだけの大勢の社会党員がいるにもかかわらず、あるいは日本新党だって同じことですよ、民社党だってたんさんあるんですよ。  そのために比例区がありますと言いますけれども、比例区は半分なんですよ。何といっても半分なんです。その小選挙区という、それは政府案の場合ですよ。だから私は、自民党案の、小選挙区が多い方がいいということにもつながるわけですけれども。その半分で我慢すればいいということじゃなくて、やはりこの今の法律を考える段階からある程度明確な政党再編成の方向が示されなければ、国民は一体何を国会議論しているかわからないのですよ。ああなるほど、週刊誌を読むとどうも七会派は全部やるのだなと。(発言する者あり)  自民党はどうするのかなんてやじが飛びましたけれども、自民党ははっきりしているのですよ。自民党はすべての選挙区に自民党の候補を立てる、それも二名立ちたいという人もあるかもしれないけれども、あきらめてもらって一名立てる、これしかないに決まっているのです。もう人材が多いですから、自民党は。だから二百五十だろうが三百だろうが、いや、与党から見て人材がどうか知りませんよ、そんなものは。しかし、これから、まあ長老などは引退してもらうかもしれませんが、我が党の精鋭を二百五十なり三百なりの選挙区に全部立てますから。それはだれも反対していませんよ。それは当然ですよ。  そして、どうしても比例に回らざるを得ない者も出るだろう。それはしょうがないですよ。今まで何しろ五百十一人の衆議院議員がおるのですから、与党野党も含めて二百五十人が小選挙区になるのだから、あるいは三百人が小選挙区になるのだから、これはどうしてもはみ出る人が出るのはやむを得ないんです。そのときに、はみ出た人は残念ながら比例に回ってもらおうということで一やらざるを得ないでしょう、それは党内ですから。ところが皆さんは、何か聞いてみると、それは大変だ、それじゃ各党で相談しましょう。それでも余るということが出ていますけれども、これは東京と愛知だけ配りましたけれども、神奈川でも兵庫でも北海道でも福岡でも、もう大余りですよ、皆さん。大余りの中で、党首が会談して決めるのですか、そんなことを。そんなことをやることは、僕は有権者に対する犯罪行為だと思うのですね。  石田委員長、どう思われますか、その点は。
  106. 石田幸四郎

    石田国務大臣 お答えいたします。  これは細田先生の独自のお考えのもとで議論が展開されているわけでございますから、この法案が成立をして、そして政界全体がどうなっていくのかということがいわゆる選挙の時点で明確にならないと、ほぼそういう姿が見えてこない限りにおいては、これは具体的にどうこうするという手段というのは生まれてこないんじゃないでしょうか。私は、そういう情勢の中で考えるべき問題だと思っております。
  107. 細田博之

    ○細田委員 少なくとも選挙を実現するまでにはそういう問題をちゃんと整理できる、そうしてその方向はこういう方向だということは言えなきゃおかしいのですよ。でも、やはり今皆さんのおっしゃったことには、いろいろな思惑があることははっきりしています。最初に言われたでしょう。選挙協力はどこでもやっています。これまでもやっているのです。勝つためにはしょうがないんです、そういう言い方ですね。  そうすると、ある選挙区では社会党の人が出てきた。そうしてその人は、党の綱領に従って自衛隊の現状は違憲だと言っている。しかしこれは与党の統一候補である。だから自分はこの人には投票したくないな、前この区から出ていた公明党の何とかさんの方がいいなと思っても、公明党さんも何か指示を出して、いや公明党としてはほかの選挙区で立てておりますからまげて社会党の方に投票してくださいというような選挙になるのじゃないか。  日本選挙制度、私もやってみて一番問題だと思っていますのは、まだ個人個人の投票に対する行動が、自分はこの会社の社員だからとか、この宗教団体の一員だから、あるいは自分の地域がこうだからこの人に入れるとか、あるいは自分の親戚や配偶者がこうだから入れるというふうに、帰属する社会なり地縁血縁などによって投票行動を決めるということが色濃く出ているわけですね。そうすると、これはもちろん今みんな我々が抱えている問題点なんですよ。しかし、選挙協力をした場合の問題点というのは、またそういう地縁血縁を利用しながら、あなたの信念とは違うかもしれませんが頼みますよという選挙が行われる。これはたまらないのですね。  私はそういう選挙にならないように、一つの綱領で一つ政党として七会派が合併するなら大歓迎だと思っているのですが、本当に合併するならやってほしいし、それから、その候補を選定するときに、この人は確かに立派な人だから、もとは社会党であるがこの人、もとは公明党であるがこの人、この人は民社党だかとか、社民連であるがというふうに選挙をやってほしいのですよ。それが、我が国民が二十一世紀、二十二世紀に向かって選挙を通じての民主主義というものを育てる基本である。これまでのあり方は、金権とか腐敗とかいろいろありますよ。それはもちろん全員がやったとは言えない。しかし、我々は何でそういうことが起こったのかということをもちろん反省しなきゃならないですよ。しかし、反省したような顔をしてまた次の誤りを犯してはならないなということを私は考えているわけです。そして、その青写真が全くできていない段階でどんどんどんどん選挙協力の話が出てくるということ自体が、私はおかしいな、これでいいんだろうかというふうに思うもとになるわけです。  それは私の考えでありましょうと言われますけれども、まだそういう論調を余り新聞でもテレビでも言われてないですよ。それで、決められたものはしょうがないし、私は反自民だから反自民の党に何でも入れますよという人は、それは確かにいるかもしれない。それはいいですよ、どうせ投票なんだから。しかし、私はやはり、政党中心の選挙をするということになるんならば、政策というものをしっかり打ち立てて、その上で党の合併なり共同作業というものができて、そして政策のすり合わせが出た上で選挙をしてもらいたいんですよ。そう思われませんですか。羽田党首、どうでしょう。
  108. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 もうおわかりの上でお話してございますけれども、現在のこの連立政権というのは、まさにああいうハプニングの中でひとつでき上がってきたということ、これはもう間違いない事実なんですよ。しかし、この間に、お互いにいろんな難しいものを乗り越える、あるいは単なるイデオロギーの争いというものもだんだんなくなってきておる。そういう中に、私どもはこの政権を維持していく中にあって、いろんな経験をいたしております。こういう経験をこれからの新しい政治にどんなふうに生かしていくのか、これは与党の中で存分に話すし、またそういう中で新しい選挙制度に対してどう臨むのか、私たちはこれから十分な論議をし、そしてそれに向かっての体制というものをつくり上げていくということであります。
  109. 細田博之

    ○細田委員 そういう提携の接着剤になられた江田代表は、どうでしょう。
  110. 江田五月

    江田国務大臣 連立与党のことについていろいろ御心配をいただいて、大変ありがたく聞かしていただいておりましたが、二つ三つ。  談合とおっしゃるんですけれども、やはり基本有権者の審判なんですね、民主主義というのは。その審判をしていただく有権者にいろいろな提案をしていくわけですよ。各党の固有の政策というのもその提案でしょうし、こういう選挙協力で、こういう体制政権を担当しますという提案もそういう有権者に対する提案の一つでしょうし、そういうものがいろいろ有権者の最後の投票によって審判を受けるわけです。ですから、談合などというようなことは、それが本当に談合であるならば、それは有権者にむしろしっぺ返しされるわけでして、そこは自民党の皆さんも十分御注意をいただきたいと思います。  それからさらに、今大きな政治の変動期なんです。確かに連立与党、八党派ということですが、私どもも八党派がいいと別に思っているわけじゃありません。現に私の社民連というのは、この政治改革ができ上がったなら社民連という形で選挙ができないだろうと御心配いただくと思いますが、私もそうだと思っています。したがって、これはほかの政党のことを言うわけじゃありませんが、私どもは、政界再編成は私にとってはこれはもう不可避だと思っておりまして、そのときには今の状況、さらに二十一世紀の世界日本をどうつくるかということを真剣に論議をして、離合集散していくことになると思います。
  111. 細田博之

    ○細田委員 さすがは江田代表でございます。私は、後段の部分は非常に立派だと思う。だけれども、前段の部分はやっぱり私は余りよくないと思っています。  なぜかというと、談合とはいうが有権者の判断だとおっしゃいました。しかし、小選挙区になると、もう大きな会派を代表してこれが推薦候補ですよということにならないと通りませんからね。通りませんから。そして、その候補者がたまたま社会党のある種の考えを持った人であったり、公明党のある種の考えを持っておられる方であったり、いろいろですね。つまり、今まではいろいろなメニューから、自民党の中でも好きな人、好きでない人もあって選ぶというメリットもあったかもしれないが、それよりももっとメリットがあったのは、各党のメニューを選べたんですよ。だから、今回でも日本新党やさきがけがいいぞということになれば選ぶし、社会党からちょっと風が離れると社会党が減ったりするわけでして、やっぱりこれは民主主義の基本からいうとその選択の幅をうんと縮めちゃう、事前の調整だから。だから、それがいいとは私は言えない。それは建設の談合だって、三分の理ぐらいはあるんですよ。ちゃんとあらかじめA社、B社、C社と決めておいてやれば変な工事はしないだろうと言う人もありますよ。しかし、それはいけないんだ、すべての人に門戸を開放されて、自分のコストを比較して安い人に入るような制度でなきゃいけないというのと同じように、そして政治世界ではもっとさらに重要なことは、どういう主張の政党に投票するかということが一番大事なわけでございますから、こんなことは釈迦に説法でございますけれども、それに反するようなことを考えておられる節があって、これは困ったもんだなと思っているわけです。  そこで、山花委員長にもう一度伺いたいのですが、さっき言った問題にちょっと戻りましょう。  自衛隊の問題など、今までは閣僚としてと言っておられるからいいのですよ。それが閣議で予算を決めるときにサインされますね、まず。AWACSもあるいは入っているかもしれませんね。そして、なおかつ出される。そして、国会で社会党が賛成に回られる。それで、閣僚としてのあれは何遍も御答弁になっているからいいんですが、社会党として考えた場合に、それに賛成した場合に、やっぱり大きな公約違反と方針変更になりませんか。その点をちょっとお答えください。
  112. 山花貞夫

    山花国務大臣 全体の予算の問題と個別の問題では若干立場が違ってくると思いますけれども、先ほど来お話しした中でちょっと説明不足だったかもしれませんが、我々は八九年の段階で連合政権政策を発表しております。党の政策。そして、党だけでは政権ということではない場合には、連合政権をつくろうではないかという場合には、連合政権における自衛隊についての政策も発表しているところでございます。  すなわち、連合政権、それがまた今度は連立政権になったわけですけれども、その場合には、我々の主張、固有の政策がすべて通るわけじゃないから、ある程度そこでは濃淡が出る、議席が少なければそれが少なくなるということも覚悟しながら、しかし政権を目指しましょうと、こういう態度でやってきているわけです。したがって、今連立政権の合意に基づいて政権をつくったわけでありますから、何よりもその政権の合意、基本のものとして尊重していくということにつきましては、閣僚だけではなく、大会で御了解いただいておりますから、党の立場ということになります。  また、そういう意味からいたしますと、今話題となっている幾つかの具体的なテーマについても、社会党の方でそれぞれ来年度予算編成については、AWACSの問題だけではなくいろんなテーマについて、これまでの社会党の主張にのっとっての主張というものがこれからなされるものと思っています。予算というものはそういうものだと思っています。  そして、その主張が通る場合もある、通らない場合もある、こういう場面がこれから来るんだと思っております。全体としては、従来の国の基本政策については、これを承継、継承しながら、平和と軍縮のために責任を持つ、こういう姿勢ですべての予算の項目について真剣に検討し、その中で党としての結論を出し、そして連立与党の合意づくりにこれから乗り出していく、こういう場面です。そこでまとまった場合には、私たちはそれに従っていきたい、こういうように思っているところでございます。
  113. 細田博之

    ○細田委員 随分党のお考えから何歩も踏み出しておられると思いますね。結党以来何十年もやっておられる政党、どの政党もそうですね。そして、それが動かしがたい党の方針として決められておられる割には、内閣に参加する人が六人なら六人おられれば、あらゆる政策はもうその時点では妥協せざるを得ない。まあいずれ、野党にでもなったら、そのときにまた衣を脱ぎ捨ててよろいに戻りましょうというような御発言に聞こえるのですね。大変残念なことです。  大内委員長、先ほど、もし各会派がどんどんまあいわば統合してくれば、それは最も理想的な姿だというふうにおっしゃいましたし、本来そうあるべきであるとおっしゃいましたけれども、今の七会派あるいはヤマタノオロチ、もし一つになろうといったら一つになれますか。
  114. 大内啓伍

    大内国務大臣 私、七党、まあ八党・会派と言っておりますが、この中で政策的に、基本政策の面でも非常に近い政党と、それからそれぞれの固有の政策を比較しますと非常に隔たっている政党とがございます。  私は、一つになるということは、基本政策で完全な一致がなきゃなりません。それから、将来に向けての重要政策についての一致がなきゃなりません。それから、政治理念政治原則についての一致が必要でございまして、私は、選挙協力のようなわけにはいかない。新党をつくるというのはそういう厳正なものである。したがって、これが一つになれるかどうかは、違ったところが変わるかどうか、これにかかっていると思っております。
  115. 細田博之

    ○細田委員 それで、例えば民社党の場合には、いろいろなところで当選しておられる方が今回も多数おられて、会派として十九人おられる。そうして、やっぱり選挙協力になった場合には、もうしょうがないから、十九人と落選している塚本さん初め何人かは何とか統一会派の候補になるように努力して、どうしてもだめなら比例区に回ってもらおう、それがとりあえずの経過的な措置としてやむを得ない、こういう考えですか。
  116. 大内啓伍

    大内国務大臣 塚本さんのところまで心配していただきまして、本当にありがたいのでございます。  さっき申し上げたとおり、私は党の委員長といたしまして、そういう統一候補といったようなものは今の段階では全く考えておりません。そうじゃなくて、政界再編に全力を尽くす、こういう心構えで今進んでいるわけでございまして、その辺は御理解いただきたいと思います。
  117. 細田博之

    ○細田委員 ちょっと最後の時間で私のアイデアを申し上げておきたいのですが、二対一の議論というのがありますね。二対一を超えてしまうということは、私も選挙区ごとにいろいろ分割してみましたが、やはり超えるところが出てきます。そのときに、自民党案のように都道府県単位の比例を加味するということは一つ考え方で、つまり都道府県全体で見るという、代表が何人出るかという考え方で格差を見ることができますから、二対一の格差を縮めて二倍未満にして、県民ごとにはいわば憲法違反の疑いを避けることができるなということができるのが一つ。  それから、それと別にしても、私はある程度予備の数をとっておく方がいいという感じもあるんですよ。つまり、今四百七十一だ、五百だと言っていますけれども、十ぐらい議席を何らかの形でとっておく、そして分けたときにどうしても超えるところ、そこに足してあげて二倍の格差を薄めることをやると案外うまくいくんですよ。そういうこともしたらどうか。というのは、これは一議席ずつ与えた上で分割したから、これは一つ考え方なんですね。過疎地域やなんかを優遇して、ある程度は面倒を見てやらなきゃならない。そのかわり、過密の地域においてどうしても超えてしまうような地域が出るから、そこには十の懐からちょっと、大蔵省の最後の査定の、元大蔵大臣もおられますが、ちょいと味つけのようにしていくと案外うまくいくのですね。だから、余り頭をかたく考えていると確かにいろいろ今後も問題が出てきますので、何か知恵を出したらどうかなという気もいたしております。  これはつけ加えることでございますが、やはり私は、この一時間にわたって申し上げたことは、もっと日本の民主主義の将来を、新生党だ、さきがけだ、日本新党だ、自民党だというような党利党略的なやりとりだけではなくて、百年、二百年の制度としてどういうふうに考えていくのか、そのためには各党の政策調整というものも含めてどういうふうに考えていったらいいのかということをもっともっと真剣に考えていただきたいんですよ。ちょろちょろっと、しょうがない、勝つためにはしようがありませんねというような発想でやってもらいたくない、そのことを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  118. 石井一

    石井委員長 次に、小川元君。
  119. 小川元

    小川委員 小川元です。よろしくお願いします。  政治改革の論議、もう大変長い間、この国会が始まりましてからもいろいろの方がされておられますし、特に自由民主党においては、海部、宮澤両内閣、大変長い間御議論をいただいているわけであることはよく承知しております。ただ、私は、実は今度の選挙が終わるまで落選をいたしましてお休みをしておりました。そういう意味でこの政治改革の論議に加えていただいてなかったわけでありまして、そういう観点からいろいろときょうは御質問をさせていただきたい。両大臣には、大変質問が重複をするところがありまして恐縮でございますけれども、その点御勘弁をいただきたい。私にとっては初めての質問でございますので、御勘弁をいただきたいと思うわけでございます。  少し前置きが長くなりますけれども、その前に、国会議員をいたしておりましたころに、政治改革の問題を、私は当時自民党のユートピア政治研究会の一員としていろいろやらせていただいていたわけですが、率直に申しまして、当時我々がしていた議論と現在ここでされておる議論というのは随分変質しているなと、こう考えております。今回政府及び自民党の方で出された政治改革法案の中で、一番の関心事は選挙制度の改正というところに集中しているわけでございますけれども、その選挙制度の改正が、これは国民の権利に対する基本的な問題でありますから、当然幅広い観点から検討されなくてはいけないことは事実でございますけれども、しかし、やはり基本はきれいな政治をするという観点から選挙制度の改正も行われなくてはならない、こういうことで始まったわけだと思うのでありますが、その点につきまして、私はまず山花大臣から、御提出なさいました小選挙比例代表並立制、この制度基本的に、基本理念としてどう考えておられるか、また、特にその中で、政治をきれいにするという観点からごらんになって、いろいろ言われております現行選挙区制あるいは単純小選挙区制等々に比べてどういう点ですぐれているとお考えになったのか。この点をまずお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、前田委員長代理着席〕
  120. 山花貞夫

    山花国務大臣 先生今お話しになったユートピア政治研究会のそれぞれの議員の皆さんが勇気を持って実情を公表された、私は大変意義深いお仕事だったと思っているところです。  今、その当時とは随分変わったとおっしゃいましたけれども、そのころから一貫したテーマがずっと貫かれているんじゃなかろうかと実は私は思っております。政治改革は、選挙制度の問題も重要な柱でありますけれども、国民の今日求める政治改革の中身ということは、選挙制度だけではなく、やはり政治と金の関係をきれいにしなければいけない、そのためには全体一体となってやらなければいけないのではなかろうか、そうしたお声を受けとめたのが、今度の四法を一体として提出したものでございます。  したがって、お答えにつきましては、二つのポイントがあるんじゃないか、こういうように思っているところです。  第一のポイントは、制度同士の比較ということですと、もちろん大きな分類として比例代表と単純小選挙区制がある。そしてその中間体として、併用とか並立とか、あるいは連用という声もありましたし、また、それぞれの制度について議席配分等によっていろいろなバリエーションがあるということだと思っております。したがって、比較ということになれば、余り一般論的な、学者の論文にあるような意味ではなく――これも適切じゃありませんかね。具体的な問題としては、これまでの選挙制度と比べてどこがどう違って、どこに特徴があって、どんな理念があるのか、こういう観点で整理することが一番現実的ではなかろうかと思います。これまでの中選挙区制につきましては、私たちも、かつては定数是正で何よりも一票の格差というところから議論をスタートさせました。ただ現実には、我々も定数是正、全国一対二以下にするということを含めて努力をしてまいりましたけれども、長年国会の流れを振り返っていただければ、そのことだけではなかなか難しいということから今回に至った経過もございますが、やはり考えてみると、一番の問題は、一言で言って個人本位の選挙制度、これが中選挙区制の特性だったと思っています。それを今回は政策政党本位の選挙制度に変えていく、これが最大の、大きな選挙制度としての本質の違いということになってくると思います。  政権を目指し、そして政権の実現を目指す政党政策をもって選挙で争う、こういうシステムに変えることができるかどうか、変えなければならない、こういう観点から今度の選挙制度を出させていただいた次第でございまして、その意味におきましては、まだ、二つの制度をかみ合わせた、並立させたというところにつきましてはその次の議論もありますけれども、第一の問題としては、やはり個人本位の中選挙区制に比べてみれば、今回の選挙の方がこれからの時代にふさわしい制度であるということは言えるのではないでしょうか。  同時に、併用と並立という問題につきましては、並立制で小選挙区とそれから比例代表という部分につきましても、これまた長年の議論があった経過の中で、とりわけさきの国会における百七時間の議論におきましていろいろ問題点が浮かび上がってまいりました。  そうした中では、それぞれの持っている特性、前者、選挙選挙、小選挙区の選挙につきましては、政権の選択と言われますけれども、あるいは民意の集約と言われますけれども、一人で争う、こういう形の制度、そして一方においてはそのことを相補うという意味での、民意を反映させるという意味での比例代表の選挙、これをかみ合わせたものでありますので、相補完して、制度としては今日考えられる中では、政府側の提案としては、見通しということを含め、与野党の合意ということを含めこれがベストの制度ではなかろうかと思って提出した次第でございます。  あと、第二番目の問題点ということにつきましては、さっきそれで冒頭一言触れたわけですけれども、やはり選挙制度だけではなく、今度の四法案ということについては、私は三つの柱があると思っています。一つ選挙制度の問題、一つは腐敗防止のための連座制の拡大強化等の諸施策、そして第三番目は公的助成の導入を含めての選挙資金制度についての改正、厳しい規制と一体となって政治と金の関係というものをきれいにしていくということを含めて、政策選挙政策中心で争う選挙が実現できるのではなかろうか、こういうように考えているわけでありまして、選挙制度の比較だけではなく、四法一体となった提案、こういう格好で今度の政治改革全体について御評価いただければ、こういうように考えているところでございます。
  121. 小川元

    小川委員 今の御説明、四法一体ということはよくわかるのですけれども、もちろん四法一体ではありますけれども、その中でそれぞれ一つ一つの問題、テーマの中でもやはり一番きれいな政治ができるような形態をとるべきだと私は考えておりまして、今の選挙制度の御説明によりますと、選挙制度だけ取り上げてみれば、必ずしもほかの制度と比べてお金がかかるとか、かからないとかいう観点で検討をされたわけではない、むしろ民意の反映とか集約化ということと政党政治の、政策中心の選挙をやる、こういう観点から考えられたというふうに聞こえたのですが、そうではございませんか。
  122. 山花貞夫

    山花国務大臣 前段ちょっとそうお受けとめいただいたとするならば、私の言葉が足りなかったかもしれません。  個人本位の選挙というものは、当然そこで一人一人の議員のいわゆる地盤培養行為を含め、金のかかる日常的な活動の形というものがあるだろう、そして、そのためには大きな金が必要である、派閥が生まれ、族議員が生まれ、そして企業・団体の献金がさまざまな形で、よくないものも含めて行われている、全体そういう構造があったのではないでしょうか。したがって、それを個人本位の選挙ではなく、政策本位、政党が、本部、支部が正面に出て政策で争うということになるならば、そこでは従来型の資産培養的な、お金を使って日常活動としてそういう活動を行っていくということはなくなってくるのではなかろうか。そういうことをも含めて、選挙制度を変えること自体もやはり大きな変化をもたらすものではないかということについても実はお話しさせていただいたつもりだったわけでして、決して無関係ということではないことについてちょっと補足をさせていただきたいと思います。
  123. 小川元

    小川委員 この政治改革は、もう海部内閣時代から本当に長いこと実現を望まれながらできていないわけでありますから、今回がその成立の絶好チャンスだと私は思っております。ですから、私個人としては、実は今大臣からお話がありました、この国民皆さん意見が非常に多様化している時代に、本当に政党ががっちり固まった、そういう政党本位の――政党本位はいいと思うのですが、体制でいいのかとかいうことについていろいろ疑問はあるわけでありますけれども、政府並びに野党自由民主党ともに小選挙比例代表並立制で合意というか、同じ案を出しておられるわけですから、それを壊すようなことは私は考えておりません。そういうことからそういう質問は差し控えさせていただきたいと思いまして、その点について論議をすることはしたくないと思うわけであります。  自由民主党保岡代議士にお聞きしたいのですが、私は、今申し上げましたように長い間議論から離れておりました。出てまいりまして、党内でいろいろ議論をさせていただきたいと思っていたら、知らないうちにという言い方は変かもしれませんが、あっという間に小選挙比例代表並立制ということで党議が決定したわけでございまして、その点につきまして大臣に対するのと同じ質問をさせていただきますけれども、基本的な理念、特にお金のかからないということについて、どういうふうに他制度に比べてすぐれているというふうに御判断をされたかお伺いしたいと思うのです。
  124. 保岡興治

    保岡議員 小川委員もユートピア議員連盟のメンバーとして一生懸命政治改革に取り組んでこられた、そういう経緯からも政治改革の必要性については十分御承知だろうと思います。そしてまた、小川委員と同じように私も前回の選挙で議席を失いまして、その間政治改革本部の特別顧問などをいたして努力は続けましたけれども、本当に苦しい、庶民との交わりという再選を期してのいろいろな活動の中から改めて政治改革の決意を誓って当選してきたお互いだと思います。そこで、小川委員の御指摘のように、今度の政治改革というのは、国民側から見てもきれいな政治を実現してほしい、これ以上政治家を信用できないような政治は、本当にこれ以上はもう我慢できないという限界にまで達していると言える状況の中で進められておりますし、私たち政治家も、新しい時代を切り開いていくためにいろいろ政治家国民一つになって苦しみを分かち合って頑張っていかなければいけない。そういうときに本当に政策を実現して国民とともに歩んでいこうと思えば、やはり国民のそういった政治への信頼というものを取り戻すということが大前提でございますから、おっしゃるようにこの政治改革がスタートすることになったきっかけ、国民政治不信の重大さ、このことは重く受けとめなければならないと思います。  ただ、そういった意味で我々は、何遍も何遍も不祥事が続くものですからやはり根本的なところから考えなければいけないというので、そもそも政治は立ち上がりが選挙でございますから、選挙制度の上に政治というものはつくり上げられていく、政治の姿もできていくわけですから、もうその根本から改めよう、新しい政党政治を確立する中で本当にきれいな、国民から信頼を受けるような政治を実現していこうという、そういう出発点をしたんだと思います。ですから、選挙制度改革を通じてきれいな政治を実現する。  そのためには今山花大臣からもお話がありましたとおり、中選挙区というものは、つい政策があいまいになって個人的な利益誘導型の選挙にあるいは政治になりがちだ。特に政権与党政権を目指す政党がそうなりがちだ。そういう政治が非常に定着してきてしまっている。これではいけない。これからはもっともっと国の未来というものを考えて、国づくりのためにこういう国際化の中でどういう国の理想を求めていくか、そのためにどういう改革を行わなければいけないか、こういうことをもっと考えてほしい。あるいは、これだけ成熟した社会になったのだから、いろいろな価値がたくさんいろいろな分野で、地方でも生まれてくるように、もっと国と地方の役割を見直したりいろいろな規制を緩和したり、そういう国民全体がいろいろな利害の中でそれを調整しながらすばらしい人生をつくっていこう、国家をそのためにつくっていこうという中で、そういう根本的な、基本的な政策というものをもっと国民に訴えて、その点についてしっかりした審判を受けて、そしてそのもとにきちっとした政治というのでしょうか、的確迅速な政策の遂行というものが必要だということで、そういうことと相まってこの選挙制度基本とする政治改革がスタートしたんだと思うのです。  そういった意味で、立派な本当の政党政治政策本位の政治というものとお金のかからない政治というものは裏腹の問題であって、本当に中選挙区の中で我々が存在してきたときのそのままの意識で小選挙区に突入していくと、これは基本政策がしっかり打ち出せないとか、政党あり方がきちっとできないとか、あるいは何か今までの金のかかる選挙政治の体質、意識をそのまま持ち込んで新しい選挙制度に入っていったりすると、それはまたお金のかからない政治とかそういうものは選挙制度によって違ってくるというよりか、その新しい選挙制度の中での取り組み方によって決まってくるわけでございますから、私は、新しい制度をつくることも大事だが、その制度下における政党政治家の心構えというものが非常に大事だ、そういうことも含めて、新しい時代政治を実現して国民政治に対する不信を取り除いていく、そういう意味で今度の政治改革は進められているものだと思います。
  125. 小川元

    小川委員 その点になりますと、先ほどお話ししましたように、イデオロギーの対立というものがなくなった今日の世の中において、果たして本当に各政党、二大政党であろうと多党であろうと、基本的に違った政策というものを出して戦えるのかな。戦前の政友会、民政党のように結局、仁義なき戦いになるということも十分あり得るのではないかと私は思っているわけですけれども、この点につきましては冒頭に申し上げましたように、既に並立制ということで両方とも一致しておられるわけですから、今議論をしないで、基本的にこの小選挙比例代表並立制及びその他の政治改革関連法案の中で、私は、やはり直した方がいいんじゃないか、お金のかからないという意味からも、あるいは国民基本的権利の意味からも直した方がいいんじゃないかなということを中心に少し御質問をさせていただきたいと思います。  まず、ちょっと順序が違いますけれども、この小選挙区というものが行われますと、これは一つ選挙区に一人しか衆議院議員がいない、こういうことになるわけでございますから、非常にその衆議院議員責任が重くなる。と同時に、その地域における、地域への貢献度というものも非常に大きく期待されることになると思うのですね。それで、現行でいきますと、いろいろな地方での事業その他につきまして権限が国に集中しているという状態でありまして、実際に国からの補助金などを、現行の中選挙区制でも、国にお願いして地元のために補助金を持ってきてくれというような仕事を現実に我々国会議員がやっているわけであります。これが小選挙制度になりますと、一人しかいないんだから、すべてその一人の議員のところへ集中してくる、こういうことになりまして、先ほど保岡議員からもお話がありましたけれども、必ずしも制度によって政治がきれいになるものではない、実際にその議員の心構え、一人一人に負うところが多いと思います。場合によっては、いわゆる金権腐敗というものが、その議員個人個人の考え方、資質によってはもっと制度として助長されてしまうのではないか、私はこういうことを恐れているわけであります。  したがいまして、私は、小選挙区というものをいかなる形においても導入する場合には、やはり地方分権を徹底していかなくてはいけないんじゃないか。すなわち、地元のいろいろな補助金のこととかそういうことにつきましては、これは地元に任せて、国会議員国政を目的として選んでいただけるように、選挙民の方々もそういうことを期待して投票をしていただけるようにしていくことが絶対不可欠の条件ではないかと考えているわけであります。  細川総理も地方分権ということをずっと総理になられる前から主張をされておられたわけでありますし、ここで小選挙区制を、まあ並立制ではありますけれども導入するに当たって、思い切って同時に地方分権というものをされるお考えがないかどうか、自治大臣にお伺いしたいと思います。
  126. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 小川委員言われましたように、政治を腐敗させないために一生懸命、リクルート事件から五年も、小川委員も参加されましたように、ずっとこの議論をしているわけですね。そこの中では、腐敗をしないように連座制強化をしたり、あるいは政治資金規正法についても、違反者に公民権の停止をかけるという大変厳しい腐敗防止策を講じていることは御承知のとおりでございます。  あわせまして、今委員指摘のように、政府案の二百五十人の小選挙区といたしますと、平均五十万人に一人の小選挙区から出る衆議院議員ということになりますので、その意味では従来に比べましては非常に行政区が小さくなってくる。所によっては区を、特別区を分けなければいかぬというようなところも出てくるわけでございまして、おのずと衆議院議員のそういう意味からの役目も変わってくるだろう。  あわせまして、委員言われましたように、根本的には国と地方の仕事の役割分担というものを大きく変えていかなければいかぬ大きな時期に来ているのではないか。もっとも、自治省にいたしましても各省庁にいたしましても先輩各位が、各政党の方も、地方分権ということは随分進めてきたわけでございまして、権限移譲の一括法案を出す、あるいは御審議いただくというようなことになっておりますし、また地方制度調査会では四月に、広域連合あるいは中核市、約三十万人ぐらいの中核市構想ということで、これは来年の通常国会にぜひ法案を出させていただきたいと思いますが、そういった問題もありますし、国会自身も憲政史上初めて国会決議をする、あるいはこの国会からは地方分権特別委員会ができているということで、あらゆる角度から早くこの地方分権というものを、国会政府が一体になって進めていく。  まさに政治改革というもの、そして衆議院議員役割というのは、どちらかというともっと国が本来やらなければいかぬ役割というものにウエートがかけられるように、そして地域の問題は、狭い日本なんでありますから、その地域の出身者だけではなくて、県の発展、地方の発展、地方というのは県をもっと合わせた意味でのブロックの発展、国の発展を全体的にどう考えるかというのが今度は国会議員のもっと主たる役割になってくる。単なるそこの地域の代表ということだけではなくて、豊かさ、ゆとりというものを感じられる、地域が生き生きと魅力あるものにどうしていくかという、全体をむしろ考えるのが国会議員役割ということになっていかなければならぬじゃないだろうかというように思っておりますので、またひとついろいろな意味で御助力を賜りたいと存じます。
  127. 小川元

    小川委員 私は、せっかくのチャンスですから、この政治改革を成立させると同時に、次回選挙が始まるまでにぜひ地方分権というものを、細部までは無理としましても、基本的な基本法ぐらいはまとめていただきたい。何も地方分権はもちろん選挙をきれいにするためだけのことではないわけでありますけれども、今大臣が言われましたように、どうしても私は、もちろん地域から出させていただいている以上は地域のことを考えるのは当然でありますけれども、しかし、それはもっと大きな目で地域を考えるという形で、選挙民の方々がそういう人を対象にして投票をしていただけるようにするためにはこの地方分権ということが不可欠である、そう信じておりますので、今後ともいろいろな機会をとらえて、その点については主張をさせていただきたいと思っております。  さて、今大臣から、政府の二百五十人の案だと選挙区が平均約五十万人弱ということで、非常に行政区が従来に比べて小さくなるというお話がありましたのですが、都会においては確かに私はそういうことは言えるだろうと思いますのですが、地方へ行きますと、これは一対二の中へ原則としておさめるということも加わりまして、選挙区は小さくならないところが相当たくさん出てくるわけであります。  例えば、私のおります長野県というものを考えましたときに、従来の選挙区よりも実は範囲が大きくなるという選挙区が、これはもちろんまだ区割りが出てこないわけですからわからぬわけですが、前の海部内閣の区割り案あるいは各マスコミ等で出ておりますシミュレーションによれば、そういう選挙区が現に出てくるわけであります。また、多少小さくなっても大して変わらないというところはもっともっとたくさんあるわけでございまして、そうなりますと、その選挙区の中で二人出た場合には五割以上の得票をしなければ当選できない。従来のように二割とかその前後で当選できるということとは全く違った状況になるわけであります。  具体的にちょっと考えてみましても、私の例で多少恐縮ですが、私は今回、人口二十一万人ぐらいのある一つの地域で五一%の得票をちょうだいしたわけです。これにはやはり事務所の人間の数、あるいは党と、今度は政党中心とはいっても、やはり個人も動いていかなければいけないわけです。あるいは政党のそこの支部のスタッフの数というふうに数えてもいいわけですが、相当その見なりそして個人なりのPRもしなくてはいけないわけでありますし、また考え方を浸透させていかなくてはいけない。そういう手間、人件費等々も相当かかるわけでありまして、それがさらに、大体五十万ということですから、その倍以上の地域でそういう体制を整えない限りは、一つの党、あるいは私は必ずしも党の選挙にならないと、将来はなるかもしれませんが、当面は個人の選挙中心になるだろうと思いますので、その個人がつかなくてはいけない。これは選挙のときだけではないわけでありますね。選挙選挙との間というものが長いわけでありまして、現に私なども三年半、保岡議員と同じように地元じゅうを駆け回ったわけでありますけれども、これはその期間が長ければ長いほど、最長四年でありますけれども、大変なやはり手間がかかってくる。  となりますと、私は、小選挙区というのは、もちろん最低できるだけ小さくなくてはいけない。これは、そこでお金がかかるかかからないかということは実は、もちろん違法なお金をかけようと思えば、これは小さくなったって絶対かかるわけでありますけれども、そういうことを今回のいろいろな腐敗防止の施策でできなくしてしまうと仮定をしても、やはり選挙区が広くて、人口だけではなくて面積も広く市町村の数も多いということになりますと、そこへ一つ一つ例えば事務所をつくっていくとかそういう経費、正規の経費を含めてもかなりのお金がかかってしまうのではないかということではないかと思いました。  そういう意味で、これは二百五十というのは、私は三百でもやはり本来大き過ぎる。イギリスの場合には、御承知のとおり人口六、七万人に一人でありますけれども、そういうふうにしてしまえば議員の数を三倍ぐらいふやさなくてはいけないわけですから論外でありまして、幾つの数とは言いませんが、小選挙区というのはやはり区割りが小さい方がお金がかからぬ、こう思うのですけれども、その点につきまして御所見を伺いたいと思います。
  128. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 今小川委員から御質問がございましたけれども、平均五十万ということになりますと三分の一偏差でございますから、一対二以内に入れることを基本として小選挙区をつくるわけでございますので、三十三万から六十六万の間に一つ選挙区ができるということになりますので、今一番小さなところが兵庫五区三十二万三千七百、鹿児島三区が三十三万五千、もちろん今の、現行の中選挙区制ですが、石川二区が三十五万二千二百というようなことになっておりますので、小川委員言われますように、最終的には区画画定審議会が決めていくことでございますけれども、そんなに今よりさらに面積的に大きくなるというところは、そんなにはないのではないだろうかということが一つでございます。  それからもう一つは、どうも小川委員の今の御質問を聞いておりますと、今の中選挙区制の同士打ちの選挙のイメージ、例えば事務所をもっとつくらなければいけないとかというイメージがまだ随分残滓が残っていらっしゃるのじゃないだろうかというふうに受け取ったわけでございます。  というのは、これから、いわば小川委員選挙区ということになれば自由民主党小川委員一人、あるいは与党の方で一人になるか二人になるかわかりません、それは。それから共産党さんというような争いになる。いわば自民党さんの方でお金がかかっていたという同士打ち的部分というのは事実上ほとんどなくなるわけですね。大きな市の市長さんがその次に立とうとしているのでどうしようかとか、いろいろなそんなような問題はあろうかと思いますけれども。  そういった意味で、私は、小選挙区というのは、かなり政党のイメージと申しましょうか、もちろん候補者の人材の立派さとかいろいろなこともありましょうけれども、どちらかというと、そのときの選挙時におきます、ワンイシューということはないでしょうけれども、選挙の争点で有権者がどちらを選ぶか、そちらの方にウエートがかかってきて、しかも、御承知のように金の面におきましては、政党しか企業・団体献金は受けられないというようにかなりもとを絞って、五万円以上は公表しなければいかぬということでありますから、なかなかこれは私たちはやりにくい、かなり金の面でもお互いにもとを切られている、そして政党助成ということでございますので、そういった意味では、そう面積が大きくなる、それも格段大きくなるとは思わないのでありますけれども、委員指摘のようによりお金がかかるということは、私たちは余りイメージをしていないのでございます。  委員言われましたように、確かに中選挙区制の個人本位からこういうふうに変わる時期でありますから、私が言うように直ちになるかどうかはわかりませんけれども、わからない部分もありますけれども、大体そういうイメージに私はなっていかなければいかぬだろうし、また個人個人のそういった従来のサービスのようなことというのは、お金の面からもまた制度の面からもなかなかできなくなってくる、そういうイメージの選挙になってくるのじゃないかと思いますので、そう面積が大きくなったからといって、そんなにお金がかかるというものではないと思っております。
  129. 小川元

    小川委員 そうなりますと見解の相違ということになってしまうわけですけれども、小選挙区の御経験者であられる保岡議員にちょっと御所見を伺いたいと思います。
  130. 保岡興治

    保岡議員 確かに、小選挙区の数は今の百二十九の中選挙区の数よりか、三百ということになれば倍以上ですから、その分区域が小さくなるところも出てきますね。そうしますと、当然のことながらその分経費が少なくて済むという要素もあると思います、それに、個人選挙じゃなくて党営選挙になりますから、そういった意味でまた、氏素姓がはっきりしたお金で選挙政治をやらなければいけないという意味でも、できるだけ選挙民や国民理解される政治資金の使い方ということが問われると思います。そういった意味では、小川委員が言われましたとおり、非常に選挙民の考え方というのですか、批判というのですか、そういったものを非常に強く受ける制度です。  今、先ほど言われたように、中選挙区では大体有権者の中の一割ないし二割の得票で当選できますね。ところが、五〇%以上の支持を得るということは、個人的な関係支持を固めるということ以上に、もっと、無党派層がかなり今現状としてふえていますが、そういう有権者支持も得なきゃならぬということになれば、政治とお金の関係、日常活動における、選挙活動におけるお金のかけ方というものについても、よほどきちっとしないと当選が得られない、あるいは政党でいえば、その辺をきちっとしないと政権を失ったり政権を得ることができないという非常に強い緊張が働きますから、そういった意味では、政治とお金の関係についても、新しい制度下においてはプラスになる要素があるわけです。  しかし一たん、先ほど申し上げたように、時代の要請で政党本位、政策本位の政治を実現するんだ、そのことはしっかりした政党基本理念基本政策というのを明瞭に打ち出して、それに対してより有権者の意識を、そのことによって投票を得るという努力をしていくということを一生懸命しないで、その辺をあいまいにしていきますと、これは政権をとりたいためにみんな都合のいいようなことを勝手に言って当選をして、当選したら別な政策を国のために考えるんだというようなことで変えたりする、そういう政党政治基本を逸脱するようなことが出てくると、これはもう争点のない、総保守化みたいな、選挙民に迎合する、そういう選挙政治になりますと、今度は勢い個人的な今までの中選挙区型の選挙でやっていたような同士打ち的な選挙になっていく、変質していく可能性は、過渡期であるだけに非常に私は懸念される点も大きいと思いますよ。古い家はもう壊れかかって大変だ、立派な家だったけれども壊して新しい家を建てようというんですから、一回壊した家を新しく建てるまでの間しっかりしないと、いいかげんな家をつくったらこれは大変なことになる。  そういった意味で、制度の移行期というのは個人選挙になるかもしれないがというような、ちょっと委員のお話もありましたけれども、そうあってはならないという決心がこの新制度の導入に当たって大事だと私は思います。     〔前田委員長代理退席、委員長着席〕  そういった意味で、御指摘の奄美の場合は、中選挙区の中でのたった一つの例外の一人区でしたから、要するに役所と一緒になって、この中選挙制度下において国民が求めるいろいろな役所の政策あるいはそれを実行するためのお金、そういったものを地域が求めるわけですね。そういうものを一方の当選者は当然一手に引き受けることができるわけですし、片っ方の野党批判的な勢力で分散してそれぞれおのが独自性を競っているから、力になって、一つになって政権をねらうところに非常に遠かったわけですね。そういう存在で中選挙区下では一人区の例外区で統一候補なんか立てられないんです。ですから、全く何というか、政権交代の可能性のないという中選挙区の姿がたった一つの小選挙区でもそのままあらわれるわけです。  そして、さらに言わせてもらえれば、変な選挙協力だってあり得るわけです。例えば、他の選挙区では社会党と協力をして、消費税に反対をして、そして当選したら今度は自民党に入ろうとする、そういうことを許す風土というもの。他の政党も、立候補者も利害が選挙のときは共通するからといって共闘して、当選したら選挙のときに訴えた政策とは全然違う政党を選んでみたり、あるいは連立政権をつくってみたりする。こういうことになると、小選挙区制というのは本当に一遍に崩れてしまう。  だから、各政党ともこの新制度下において、本当に政党政治の確立、こういったことについて、今、存在意義、こういったことについては十分考えていかなければならないと私は考えております。
  131. 小川元

    小川委員 私は中選挙区のイメージで考えておられるという大臣からの御指摘がありましたけれども、確かにそうかもしれませんが、現実に、私はどうも先ほど申し上げましたように、政策本位といってもその政策に、じゃ、どれほどの違いが各党があるのか。現に与党野党といいましても、まあ政府と言った方がいいかもしれませんけれども、基本的に自民党の政策を継承されるということでスタートされておられるわけでありますし、国民皆さんにとって目で見てこの党とこの党がこれだけ違う政策をやっているというようなことにはならないんじゃないかなと。そうなると、やはりその選挙区における候補個人の好き嫌いとか評価とかいうものが中心の選挙に、やはり小選挙区でも私は当分の間続いていくだろう、こういうふうに判断をいたしておりまして、そういう意味からいって、選挙区が広い、小選挙区の数が少なければ少ないほどやはりコストがかかっていく可能性が非常に高いと思うわけであります。  この点につきましては、何遍繰り返して申し上げてもこれは見解の相違ということで、困るのは、まだやってないわけでありますからどうなるかということについての結論が出ないわけでありますので、多少この点についてもう少し御質問をしたいんですが、時間の関係もありますのでこの辺にさせていただきます。  次に、二票制についてちょっとお伺いをしておきたいと思うわけでありますけれども、与党さんの側は、次回の選挙におきまして、何らかの意味で小選挙区において候補を調整なさるというか、あるいは協定なさって絞っていかれるという御意向だというふうにお聞きしております。現状、自由民主党という非常に大きな党がありまして、言っては失礼ですが、比較的小さな党が幾つもおありになるという現状では、一昨日ですか、読売新聞の記事にも出ておりましたけれども、各党がばらばらに小選挙区をお戦いになったのではこれはとてもかなわぬということから、当然ある程度の調整ということが起こるんだろうというふうに考えられるわけでありますけれども、そういうことになりますと、これは二票制のもとでは、まず小選挙区においては一つ選挙区で基本的に一人か、調整がつかなくて二人のときもあるかもしれませんけれども、一人でお立てになる。  そうすると、いろいろ考え方のお違いになった党の中から代表的な形でお一人出てこられる。したがって、当然、おっしゃる政策というのはそれのまぜ合わせたというか、いわば非常に無難な、各党に見解の違いのない部分だけおっしゃる、こういう方が出てこられて、そしてそこで選挙をなさる。一方、比例の場合には、当然各党にあるわけですから、各党固有の政策でもっておっしゃるのはこれは当然のことでありますから、となりますと、要するに小選挙区の候補と同じ党でも、社会党なら社会党で結構ですが、社会党の候補がその選挙区でおっしゃることと党としておっしゃることというのが違ってきてしまうわけであります。  これは大変失礼な話でありますけれども、今の連立政権において現実にそういうことになっているわけでありまして、再三国会での御答弁をお聞きしておりますと、連立与党の合意を優先されて、党としては党の固有の政策がある、こういう御答弁をなさっておられますけれども、となりますと、一体選挙民は、結局判断に迷うことになりますし、またその統一の候補の方の言っておられることを、自分選挙区ですから当然優先して聞かれることになると思いますので、実際にはその方の党は別のことを言っているという矛盾を来してくると思うのですね。  これは、ある意味では国民を欺くことにもなりかねない。よく勉強すればそうではないかもしれませんけれども、やはり普通はそこまではいかないということになりまして、二票制というのは常にそういう問題点を含んでいくのではないかというふうに考えまして、一票制の場合には当然選挙区に出られる候補、政策協定をなさらなきゃできませんから、そのまま党の方にも行ってしまうわけですから、そういう矛盾は起こらない、そういう点で一票制の方がすぐれているというふうに私は思うのですが、御見解をお伺いします。
  132. 山花貞夫

    山花国務大臣 何よりも基本的な問題としては、並立制は比例代表部分と小選挙区部分、異なった手続において議員を生み出す、こうした制度的仕組みを持っています。とするならば、それぞれの選出の手続が違っているわけですから、有権者選挙権の価値の平等ということを考えるならば、それぞれに投票できるべきではなかろうか、これが基本的な考え方です。一票制の場合には、棄権する自由もあるではないかということをも含めて、一票入れれば比例区についても効果を生み出すという御説明をいただいているわけですが、やはり無所属候補が、特に小選挙区で出て、こちら比例区については候補を出していない場合、あるいはその逆の場合等々につきましては、確かに記号つきですから、投票する権利はそこで確保されますけれども、書いていない側、出していない側につきましては棄権ということになる。この問題点というものはいろいろ検討する余地があるのではないでしょうか。あるいは、選挙区に一票入れた場合には、いわば当然政党中心の比例区についても投票したと同じ効果が生ずる。並立制の壁を乗り越えてそういうことができるのだろうかということについても、法律的に検討するところがあるのではなかろうかと思っています。ということであるならば、それほどいろいろと問題点があるのに、あえてそのことを乗り越えて一票制ということはいかがなものかということを、我々としては検討してきたところでございます。  この問題につきましては、かつての海部内閣当時の制度につきまして、やはり並立、これは百七十一ということだったと思いますけれども、二票制ということに至る経過でも、かなり議論があってそう選択されたのではなかろうか。内部事情ですから詳しくわかりませんけれども、こういうように伺ってきたところでございまして、ということからするならば、二票制でそれぞれの選挙の特徴、一方は政権の選択、民意の集約とも言われます、他方は、そのことを相補うために国民民意を広く反映させるための比例代表、この犠牲というものも、ちょうど半数ずつということにおきましては、それぞれの制度を相補完するという形であることも含めて二票制の方がよろしいのではなかろうか、こう考えて、今度の提案では、一票制ではなく二票制を選択させていただいた次第でございます。海部内閣当時とほぼ同じ考え方に立つのではなかろうか、こういうように考えているところでございます。
  133. 小川元

    小川委員 お互いに欠点を述べ立てればそれぞれこういうものはあるわけでありますけれども、私は、一番重点に置かなくてはいけないのは、やはりその政党がどうだとか国会議員がどうだとかいう問題よりは、要するに、選挙民に物事をはっきりと理解していただいて投票していただいて、政治に参加していただくということにあるべきだというふうに考えておりまして、そういう意味で、今申し上げましたように、二票制の場合には小選挙区の候補と比例の候補の言っていることが違ってしまう可能性があるという点で、私は、この点は絶対に一票制がいいというふうに思っているものでありますけれども、これは禅問答みたいに押し問答になりますので、この辺で、時間の都合もありますので、やめさせていただきます。  さて、いろいろとずっと、何も参画していなかったものですから、何か追っかけられるように細かなメニューでお話をしておりまして、私も、もっといろいろ細かく質問をするのに質問を絞ってくればよかったなと今ここで多少思っているのですけれども、次に移らせていただきます。  政府の案では、比例代表というものを全国単位で選ばれることになっておるわけですね。こうなりますと、私は、これはもう非常に地方軽視の制度になるのではないか。すなわち、私の県でいきますと、小選挙区で五人ということに多分なるのだろうと思うわけでありますけれども、その五人しか法律的に担保されないわけであります。そして、比例代表はどこのところから出てくるかわからないということになるわけでありますから、先ほどの、午前中でしたかの御答弁を伺っておりましたら、それは各政党考えればいいというようなお話があったようにちらっと聞いておったのですが、しかし、それは法律で担保されるのと全く違う次元の話でありまして、五百議席のうち一%しか要するに県の議席というものが保障されないということになります。当然、これは一対二にしますから、都会の議席がもともと大きくなるわけでありますけれども、同時に、参議院の例を見ましても、比例代表というのは役所の方とかあるいは組合の幹部の方とか、そういう組織に乗った方々が大勢出てこられるわけでありますから、いわばこれは住んでおられるところは都会でありまして、考え方も都会の方々という方が、全国で比例を選ぶと非常に多くなるわけであります。  議会は、やはりその地域地域のいろいろな問題についても十分考慮した上で政治というものはやっていかなくてはいけないことは事実でありますから、私はやはり、これは絶対に都道府県単位で選ぶべきだというふうに思っているところでありますけれども、御所見を伺いたいと思います。
  134. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 もう小川先生に言うまでもないのでございますけれども、なぜ比例を入れたかというと、民意の反映といいましょうか、なるべく幅広い国民皆さん方の民意を入れようということでございますので、そこで私たちは全国単位にしたわけでございます。もし自民党さんの案のように県別にいたしますと、これは一体比例代表という効果を発揮できるのだろうかと。きょうも午前中の審議にもございましたように、今ちょっと手元にございませんが、二・九七倍という非常にアンバランスな、三倍近い議員一人当たりの人口が違うものを認めることになるわけでございまして、これは、国民民意を正確にできるだけ反映をしようということで、五百のうち政府案では二百五十比例代表を入れたという意味が、県別にした場合には著しく損なわれてしまう、まず根本はそこだと私たち考えておるわけでございます。  それから、比例代表の方の候補者はどういう候補者になるのか、いろいろなやり方があろうと思います。惜敗率ということで、小選挙区で頑張ったけれども、この方は党にとりましてはどうしても重要な方だというので惜敗率というので選ばれる方もあれば、あるいは拘束名簿で選ばれてくるような格好もあるでしょう。いずれにしろ、かつて自民党さんが言われたように、拘束名簿と同順位をつけた惜敗率ということでやってもいいわけでございますので、そういう意味からいいますれば、今小川委員心配のような問題というのは、やはり党内的に、何分約三倍近かったものを二倍近くに抑えようということでございますから、過疎のところ、比較的人口の少ない県が非常に議員の数が今までに比べれば激減する、これはある意味ではやむを得ないところなので、もし小川委員の言われるようなことを重点にするのでしたら、ひとつ長野県で必ず比例代表の方から入るようにいろいろするということも、これは拘束名簿も可能でございますし、惜敗率を使うところの同順位というのもミックスしてやることもできるわけでございますから、それをどうするかは、私は、基本的に党の中でどうあるべきかと考えていただくのが至当ではないか。  基本的に比例代表というのは、幅広い国民民意をできる限り比例代表において反映をしていこうということでございますから、これが県別では反映の度合いは著しく損なわれると考えております。
  135. 小川元

    小川委員 今も御質問しましたように、党内でやれということは、これは党の勢力争いとか権限の強さとかいろいろな面で決まってくることで、法律的に担保されているということとは全く違うことなわけであります。民意を広く反映するということでありますけれども、これは政府の案におきましても三%条項がついているわけでありまして、そうであれば、それがついていること自体も本来おかしいのではないかと私は思うわけであります。  どこまで民意を反映するかということでありまして、実は各都道府県の意見を反映するということもこれまた民意の反映であります。したがいまして、私は、その民意の反映という意味では、都道府県ごとにあれしても民意の反映をしないことにはならないというふうに思うわけでありまして、比例代表というのは、これは全国単位で選んだのでは非常に大きな禍根を残す、どうしてもただでさえ都会優先の政治がさらにまた一層に集約されるということで非常に大きな問題を起こすというふうに思うんですが、保岡議員の御意見をちょっとお伺いしたいと思います。
  136. 保岡興治

    保岡議員 私は先ほどから与党の方との質疑のやりとりを聞いておりまして、やはり与野党とも皆さんおっしゃっておるのは、この大きな時代の転換期に的確迅速な政策決定ができることを新しく求めていこうということが基本だと思うんですよ。ですから小選挙区を基本として選挙制度考えている、与野党とも。そういうことになりますと、小選挙区と比例というのは両極にある選挙制度ですから、この二つを全く同じ形で一緒にするというのには私は大きな矛盾があると思います。  例えば、細川総理も二大勢力を求めつつ、あと一つか二つかぐらいの基軸になる政党があればいいという感じのお話をされているわけです。私もそうあるべきであって、これが全国単位の、しかも二百五十もある比例ということになりますと、まさに何というんでしょうか、三%条項の阻止条項を設けてもかなり多くの政党が生まれる可能性がありましてね。結局、そうしますと、これは総理が言っておられるような数の政党にもおのずと収れんしないと私は思います。  結局、小選挙区と比例の大きな対立は、小選挙区は、一つ政党できちっと政策を問うて大胆にその責任において政策を実行する立場が得られる。ところが比例の場合は、確かにいろんな考え国政に反映はするけれども、その結果、政権は連合になる。平たく言えばいわゆる小田原評定になるということであって、総理は格好よく、固有の政策を抑制してもっと大きな国益のために政権をくくるんだ、こういうふうに言われますけれども、なかなかそれは、例えば今連立与党に出てきている、自衛隊の飛行機を利用して邦人を救出するための法案とかいろんな問題で政策が延び延びになるとか、それから今の選挙制度のように足して二で割るような答えが出てくるとか、やっぱり政権を守ったり政策を決定するのに非常に中途半端になる。これでは、これからの日本の大胆な時代の展開は難しいという立脚点に立ってスタートしているのに、なぜこのように比例と小選挙区の部分を組み合わせるんだろうか、そういうことが基本にあると私は思っております。  もう時間がありませんので、その他にも言いたいんですけれども、都道府県なども、委員がおっしゃるようにやはり顔の見えるということが衆議院は大事であって、参議院にも比例はあるんですから、それと補完することも国政、憲法上考えなきゃならないし、そしてまた私は、全部が重複立候補するならば比例の方は完全に忘れて小選挙区のところで投票していくということも可能ですが、二票制ということはそういうことではない、異党派投票も認めるということになるわけですし、参議院の比例でも顔が見えないのに、二百五十の比例を名簿で二票制にして、そして国民の判断を求めるなんというのは、すさまじい顔ぶれが並んで、これは国民が本当にわかりやすい選挙として理解してくれるだろうかということもありますし、まあ私はそういったことなどを考えると、やはりこのところはよく国民の、選ぶ側の論理を考えて、少しわかりやすい、きちっとした制度の目的を考え議論をしなければ、もっと深めなければいけないんじゃないか、そういうふうに思っております。
  137. 小川元

    小川委員 時間になりましたので、もう一つ実は、国費の政党への補助というものは私は大変問題がある。やるんだったら、むしろアメリカのように実費補償の形で議員個人に、お金を上げるんではなくて、実際に使途を明確にした上でのその実費補償というものをするべきだというふうなことを御質問をしたかったんですが、時間になりました。  最後に、政府方々にぜひお願いをしておきたいんですけれども、これは一遍改革をすればそう簡単にまた次に、はい、だめですからということはいかないわけでありますので、こういう質問の中で出てきたいろいろな問題点を慎重に御検討いただきまして、出されたときは理想であったでしょうけれども、直すべきところは直すという形で御検討をしていただきたいことをお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  138. 石井一

    石井委員長 次に、衛藤征士郎君。
  139. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 官房長官にお尋ねいたしたいと思いますが、ただいま農林水産委員会の方で、米、冷夏あるいはガット・ウルグアイ・ラウンド等の問題で緊急な問題が提起されまして議論がされておるのでありますが、この議論に対して、ぜひ総理に御出席をいただきまして、特に米の緊急輸入あるいはガット・ウルグアイ・ラウンドの問題等々についてお尋ねしたい、こういうような強い農林水産委員会の要望があるようであります。  私ども、たしか昭和五十九年の六月だったと思いますが農林水産委員会で、韓国から米を十五万トン入れましたときに、時の総理、中曽根総理にお出ましをいただきまして、約二時間緊急質問をいたしました。私、たまたま農林水産委員だったものですからよく覚えているのでありますが、今回もあのときの、五十九年の緊急輸入以上に非常に大きな意味を持っておりますし、また御案内のとおりガット・ウルグアイ・ラウンドの十一月十五日の交渉期限も押し迫っている、こういうような状況でありまして、ぜひ総理に農林水産委員会にお出ましをいただきまして御協議を賜りたい、御答弁をいただきたい、こう言っておるのでありますが、問題はこれからであります。  現場の方におきましては、連立与党の現場の理事の五人の方が、連立与党には政務幹事会というのがあって、その政務幹事会の許可を得なければ、指示がなければどうしようにも動きがとれない、こういうことを言っているわけなんですね。一方では政治改革、一方では国会改革、それぞれ私たち今やろうとしているわけでありますが、とにかくかつての国会対策委員会でこういうことを打開するためにいろいろとやりました。しかし、それ以上にこの連立与党の政務幹事会というのはわかりにくい、不透明である、この存在そのものはおかしいんじゃないかな、こういう声が出ておるわけなんですね。  そこで、この問題について官房長官、どのように考えておりますか。また連立与党を代表いたしまして山花大臣、どのようにお考えになっておるか、まず先にお尋ねいたしたいと思います。まず官房長官から、総理の御出席についてひとつ。
  140. 武村正義

    ○武村国務大臣 このことについて直接総理と話ができておりませんが、一般的な姿勢としては、院の問題でございますし、政権側の連立与党の代表の皆さん方にお預けしている状況でもありますので、これは連立与党側としましては、御指摘のように政務幹事、各会派代表五名が全体の責任を負うという、国対委員会のない党が多うございまして、そういう形をとっております。たまたま一人でなくて複数であるために違和感をお与えしている面があるかもしれませんが、ぜひ急ぐものは急いで、大事なものは優先して等々、的確に政務幹事五名の協議によって対応ができるようにしていかなければいけないと思っております。  まだ、駆け出しといいますか、スタート直後でありますから、いろいろ御心配をかける面があるかもしれませんが、連立与党の今の立場でいきますと、こういう形をとらざるを得ないことをぜひ御理解をいただきたいと存じます。
  141. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 官房長官の御答弁でありますと、とにかく政務幹事会、これがすべてを牛耳っておって、これをクリアしないとどうにも動きがとれない、このように受けとめられるわけでありますが、細川内閣の官房長官といたしまして、ぜひ総理の日程等を調整をいたしまして、極めて緊急課題の米、またガット・ウルグアイ・ラウンドの問題でありますから、ぜひこの点については、官邸は官邸の立場があることはよくわかるのです、しかし、私は、この問題については前向きに取り組んでいただきたい、このように思います。  山花大臣、どうですか。
  142. 山花貞夫

    山花国務大臣 ずっとこの部屋におりましたので、経過等は今初めて伺ったものでございます。  総理出席問題については、もう官房長官がお答えになったとおりだと思いますし、私としてはつけ加えるものはございません。  ただ、政策決定の手続を含めて、連立与党のさまざまな決定の手続が一体どうなっているかということと関連しての御質問ではなかったかと思うのですが、今官房長官も説明されましたとおり、連立与党では、政策の幹事会、自民党なら政調、社会党なら政審会長、こういうレベルだと思いますけれども、政策の幹事会五名と政務の幹事会というものが代表者会議のほかに設置されております。これはいわば、従来ですと国対委員長レベルと申しますか、国会の問題について、従来型ですと国対委員会ということだったわけですが、これをなくしていこうということから、政策だけではなく政務の幹事会というものをつくり、こうした具体的な対応について相談していただこうというのがこれまでの経過だと私は承知をしているところでございます。  ちょっと前ですと、国対を通じていろいろやりとりがあったということですから、その意味では、従来型ですとそうなったのかなと思うのですけれども、今こうした新しいシステムの中で、自民党は国会対策委員長、国対をお持ちですし、社会党も持っておりますけれども、ただ、連立与党では、こうした新しい形に備えて機敏に対応できるようにと、むしろそういう中で政務の幹事会をつくっておるものですから、官房長官お話しのとおり、ここを中心に対応が検討されるものと、こういうふうに、これまでの経過を振り返りますと、考えているところでございます。
  143. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 先ほど、これは参考情報でありますが、米の問題につきまして、日本の猶予期間つき米の関税化受け入れ交渉を認めるというような参考情報が出ております。恐らく、ガットのサザーランド事務局長が向こうで日本の代表等々にお会いになったときのことであろうと思うのでありますが、これにしてもしかりでありますし、また、先般のロシアのいわゆる核廃棄物の日本投棄問題にいたしましても、とにかくまさに一時間ごとに次から次と情勢は変わっておるわけでありますから、事態は。これに対しまして、やはり一国の総理が速やかに委員会に出て対応するという姿勢は極めて大切だと思うのですね。ですから、強くこれは要請しておきます。  各党首、代表がいらっしゃいますので、政務幹事会が、後で一九九三年の日本政治を振り返ってみて、あれが問題になった、あれがというふうにならぬように、これはひとつ柔軟な、弾力的な対応を強く要請しておきたいと思います。  それでは、本題の政治改革の問題に入りたいと思います。  羽田大臣お尋ねしますが、よく中選挙制度制度疲労が云々とか、あるいは中選挙制度には欠点があるからとか、こういうことをよく言われるのでありますが、私も前政治改革委員会に所属しておりまして、百七時間しっかりいろいろと議論も聞かしていただきました。それを踏んまえてのことでありますが、ただ、あれから状況が変わりましたのは、連立与党というものができまして、連立内閣、細川内閣が誕生した、こういうことでありまして、大変なさま変わりでありました。この状況認識というのは私もよく踏んまえての質問でありますが、あえて羽田副総理にこの二点についてただしておきたいと思います。御意見を承っておきたいと思います。
  144. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 まず、中選挙区に疲労というのは、まさに私ども、一緒に自民党の政治改革大綱、これをつくり上げた中に実は入っている言葉であります。これは何かというと、結局、政権を獲得する、このためにどうしても複数の人を一つ選挙区から立候補させる。そこにサービス合戦といいますか地域に対する利益誘導、こういったことの議論というものが前面に立ってしまうということで、本当の議論というのはなかなかできないんじゃないのか。特に税制にいたしましても、かつてありましたけれども、こういった問題についても、本当に選挙のときに、あるいは選挙が終わった後国会の中でも本当の議論ができたかというと、なかなかできておらなかった、そういうことが一つ。  それからもう一つは、やはり今申し上げた複数のために、一人が事務所を一つが二つになったというと、こっちも二つになる、二つになったら三つになるというので、どんどんどんどんこれがエスカレートしてしまう。そういう中に政治資金が、大変なお金がかかるようになってしまっている。そのためにいろいろな立場の人たちが傷ついていくというようなことになっている。  やはりこういったものをただ倫理とかいろいろなことで処理する、あるいはそうあらなければいけないわけでありますけれども、なかなかそれだけでは対応できないということで、我々議員にとっては一番きついことかもしらぬけれども、やはり選挙制度を変えるということ、そしてやはり政党が中心になって物事をやっていくという形をつくり出すことが大事なんじゃないのかということ。  そしてやはり、そういうことになりますと、選挙制度が変わっていきますと、そこに割合と集約されるといいますか、政党も集約されてくるということで政界再編成が行われる。ということになると、そこに政権の交代の可能性というものは非常に強くなってくるんじゃないのかということで、私どもとしては、やはり選挙制度を変えることが大切だな、そして選挙制度疲労というものを直視しながらやはり改正していこうということを実は申し上げておったわけであります。今でも私の思いは変わらない。  ただし、まさに政界再編成は、この間の政治改革論議の過程で、私どもが党を飛び出してしまうという中から、政界再編成というのは実際に起こってしまったんですけれども、しかし、私は、選挙制度を変える中でどうしても政党というのは集約されていくだろうというふうに思っておりまして、そこに一つの、自民党にかわるもう一つの大きな勢力というものができ上がっていく可能性があろうと思っております。
  145. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 私は、自分の反省も込め、自戒の念も込めて申し上げておるのでありますが、中選挙制度そのものが疲労を起こし、あるいは制度が悪いので、この制度を変えれば政治がよくなるというものではないような感じも私はするのです。  我が国におきましては、御案内のとおり、明治、大正、昭和と、大、中、小と三つの型の選挙制度をそれぞれ経験をいたしました。問題は、その制度にある政治家のビヘービア、政治行動、それにあるんじゃないかな、私はそのように思えてなりません。とりわけ今回、確かにいろいろのスキャンダル等々が起こってまいりましたし、また、国民政治に対する信頼というものは地に落ちておる、これも事実です。  そこで、我々注意しなければいけないのは、我々の姿勢、我々のビヘービア、行動、政治行動、そういうものが大変指弾を浴びた。そして中央の政治がよくないということで、結果的には連鎖反応で地方の方も汚染してしまっているんじゃないか、こういうような指摘もあるわけでありますが、問題は、制度が悪なんだからこれを取ってかえれば何かいいものになるかもしれないというような一つの、何といいますか、置きかえといいますか、そういう風潮というものが出ておったのではないかなという感じが私はしてならぬわけです。  極端に言えば、中選挙制度は悪い、小選挙制度は善なるものだというような、とにかく今の政治は悪いんで、とにかく政治をいいものにしなきゃいかぬ、とにかく政治を変えなきゃいけない。政治を変えるということは、選挙制度そのものをドラスチックに変えてしまうと、ああ変わるんだなという期待感がここに生まれるだろう。意識革命ですね。それを私たちは非常に過大に期待し過ぎてはいないかという感じがいたします。私自身はそう思っているわけなんです。  問題は、時の政府なり、時のいわゆるシャドーキャビネット、野党なりのいわゆる統治能力といいますか、いわゆるガバナビリティーですね、それからリーダーシップ、指導力、その欠如が結果としてこういう政治不信を生み出してしまった。これは否定できないと思うんですね。私ども三十八年間与党立場で、政府立場にあった。深く反省をします、私もその議員の一人でしたから。十六年間国会議員としてやってきたわけでありますから、大変自戒もし、反省もしておるわけであります。  しかし、問題は、何か新しい制度に変えれば新しい政治が生まれる、そこに国民の意識革命もできて、何か新しいものが新しい力を生み出し、善なるものを生み出すだろうというこの期待感というものが非常に大きいわけなんですね。そのために、政治家が、何か知らないけれども萎縮している面があるんですね。それから、何となく肩を張って、自然体ではない。堂々としてど真ん中を胸を張って歩くような、そういうようなさまが見られなくなってきておる。とりわけ、選挙制度問題を論ずるときに、中選挙区制のことに言及すると、もうそれは守旧派なんだというようなレッテルを張られることを大変恐れてしまっている国会議員が余りにも多過ぎて、何かいびつになっているということを私は心配しているわけです。  問題は、やはり政治家たるもの、政治家の存在がびんびん伝わってくるような、政治家そのものの存在ですね。そういったものがあってほしいし、問題は、かつて風格のある云々と言われたけれども、やはり風格なりあるいは風圧を感じさせるような、そういうような政治家の存在というものがあってほしいなと私は自分でこう思っているわけなんです。  この前提に立って、いろいろとこれからの問題について申し上げたいわけでありますが、そのために、コンセンサス型の民主主義よりも、何か多数決型の民主主義、つまりこれは英国型の多数決民主主義の方が、今の政治状況から見ると、より強力なガバナビリティーとそれからリーダーシップを生み出すのじゃないかという強い期待感があるわけですね。もっと言うならば、政治が混迷している、混乱している、政治が地に落ちている、こういう状況の中で、だれもがもっと強いガバナビリティー、統治能力をみずからつくり出していこうという意識が非常に働いているんじゃないかという感じがしてならないわけです。そのことが強いリーダーシップのもとに日本政治をよくしていく大きなともしびになっていくんだというふうな、そういう考えが強くにじみ出ておる、現にある、こういう感じがしてならないわけでありまして、私は、だから結局、制度改革とか制度改正とかシステムを変えるとか、そういうことに余り目を奪われるのではなくして、もう少し自然体で、私たちはこれから来る高齢化社会を、国際化、情報化、こういう環境の中でいかに国際貢献をしながら日本国民の福祉を、政治を、そして経済を、地域社会をより豊かにするかということを考えていくべきではないか、このように思っております。  そこで、過去二十年間の西欧先進諸国の選挙制度、これを小選挙制度と、日本の中選挙区制はこれは比例選挙と見ていいと思いますが、小選挙制度と比例選挙に分類して、経済成長率とかインフレ率とか失業率等々を、経済運営能力というんでしょうか、そういうものをいろいろと調べた学者がおるんです。これはカリフォルニア大学のリップハートという教授なんですが、いろいろ比べてみた結果、いわゆる小選挙区制と、それから比例制と、どちらがまさっておったかと言ってみると、大差はない、小選挙区であっても、中選挙区制であっても、比例制であっても、それは大差はないんだということを彼は述べておるわけなんですね。私は、これはかなり、このリップハート教授のお考えというものは的を射ているんじゃないかなと、私はこのように思うわけであります。  こういうときに当たりまして我が国が、御案内のとおり、世界でも珍しい、小選挙区制と比例代表制の二つの制度一つにくっつけたいわゆる並立制をやるわけであります。また、この並立制というのは、世界の中で韓国とかあるいはメキシコとかベネズエラとかセネガルとかマダガスカルとか、こういう大統領制をとっている国では世界の中で五カ国のみがこの並立制を採用しておる、このようにも言われておりますし、ましてや議院内閣制をとっておる先進諸国の中では、一つといえども並立制を採用している国はない、こういう状況にあるわけですね。そういう状況の中にあって、私どもはあえてこの小選挙比例代表並立制をこれから実験的に試みようとする、やるわけであります。  先ほども言いました、我が国は大、中、小の選挙制度を全部経験してきた。そして今回、全く新しい小選挙比例代表並立制をテストしてみよう、こういうことなんでありますが、私は、これについてはよほど慎重に十分なる議論を重ねてやる必要があるんではないかなということを申し上げたいわけなんであります。  例えば、今回の区割りについて、区割り案というものが今回は一体のものとして出されてないわけなんですね。大正十四年の衆議院議員選挙法改正案あるいは昭和二十五年の公職選挙法改正案、いわゆる内閣が出した閣法、選挙制度改革法律案には、選挙制度改革の半分以上を占める、それ以上の大きな意味を持つ選挙区の区割りそのものが必ず併記されて出てきておるわけなんですね。大切なことです、これは当たり前の話ですから。それが今回区割り案が出てないということについては、私はいかがなものであろうかと思うんですね。  それは、一つは、前内閣、前政治改革特別委員会で、とにかく与野党そろって政治改革をやろうという一つの大きなコンセンサスがあった。そして衆議院解散・総選挙選挙のときにも、ほとんどの衆議院候補者がそのことを訴えた。政治改革をやります、選挙制度改革もやりましょう、とにかく急がなければならない。そして連立八会派の細川内閣ができました。細川総理も声を大にして、年末までには必ずこれを断行する、最近は、四法案一括成立させる、こういうふうに述べていらっしゃるわけであります。  私は、時間がない、時間がないということで、少し急ぎ過ぎたのではないかなと思うんですね。やはり今次、この区割り案というものは一緒に出すべきではなかったのかということを申し上げたいのでありますが、自治大臣、お考えをお述べいただきたいと思います。
  146. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 今、衛藤委員指摘のように、大正十四年の中選挙区制、昭和二十年の大選挙制限連記制、昭和二十二年の中選挙区制、この場合には修正がなされて、議員修正になりましたけれども、それから、平成三年の例の海部案、海部内閣の案、いずれも、御指摘のように区割りがついておることは確かでございます。  しかし、あの海部内閣のときも、思い出していただきたいのでございますが、区割り案ができましたら、本体であるところの並立制ということよりも、区割りの中身の町村がどっちについておるか、こっちについておるか、これも議員個人にとりましてあるいは有権者にとりまして非常に大事なことであることは私も十分存じておりますけれども、そちらの方に焦点がいっちゃって、本当の意味での政治改革の本格的な深い議論がなされたかというと、どうもそうならなかったんじゃないだろうか。やはりこのあたりも反省をし、ことし四月からの自民党の五百名の単純小選挙区制の案、社公の併用案、これをいずれもこちらの方は、したがって、区割り案というのはつけないでお互いに議論したわけでございます。  急ぎ過ぎたという御議論がございますけれども、リクルート事件が始まってからもう五年、海部内閣の並立案から三年、我が議会はこのことをやっておるわけでございまして、景気の悪い中いつまでも、この政治改革政治のために政治改革があるわけではないわけでございますので、そういった意味では、もうそろそろやはり、国民皆さんの中から、あの選挙の結果を踏まえて結論を出せというのが、私たち政府責任あるいは与党責任国会責任というふうに思っておりますので、野党皆さん方にもひとつ御協力をぜひ賜りたいとお願いを申し上げる次第でございます。
  147. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 選挙画定審議会設置法案を見ましても、この区割りに関する規定はわずか二項目しかないわけでありまして、これは余りにも規定が大まか過ぎないかということなんです。それは、先ほども申し上げましたとおり、国会議員を問わず、県会議員でもそうでありますが、地方議員もそうでありますが、選挙区の区割りというのはこれはもう政治そのものなんですね、はっきり言って。非常に大きな意味を持っているんです。これについては、私は、少なくともこの区割りの一つ一つの基準といいますか、そういうものについては、少なくとも十数項目ぐらい列記をして、そして区画画定の審議会にお願いするぐらいのそういう国会の権威というものがあってしかるべきじゃないかと私は思うのですよ。これも少し急ぎ過ぎてはいないかということが大変気になるわけですね。  なぜならば、この審議委員皆さんをこれから政府の方で選任をしましょう、そして両院の承認を受けましてそれから作業に入るんでありましょうけれども、どうしても、やはり規定、基準項目の制約が二項目ぐらいでありますと、この審議会の審議委員に対しまして、これは与野党ともにそれぞれどうしても揣摩憶測といいますか、そういうものが生まれかねないし、結果として、今度区割りが出た後、もちろん大騒ぎしないようにという、この区割りは絶対的に尊重するんだという上御一人のそういう決め方をすることもわかっていますよ。わかってはおるんだけれども、これは少し大ざっぱ過ぎるなという感じがいたします。この点についてもう少しきめ細かい法律の整備があってしかるべきじゃないか、このように申し上げたいと思います。  それから、選挙区の定数配分の問題でございます。  冒頭、羽田大臣お尋ねいたしますが、これは、政府案は二百五十、二百五十とこういうことになっておりますが、大臣、これは将来ともにこの定数配分を変えることはございませんか。絶対変えないですか、これは。大臣、どうでしょう。羽田大臣お尋ねいたします。
  148. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 いろいろな意見がありました。そういう意見の中で、私ども連立与党の中でも議論した結果、ひとつ二百五十ということで理解されるんじゃなかろうか。要するに、顔の見える小選挙区、そして国民民意をよく反映する比例制、この二つを組み合わせることがよろしいんじゃないのかという結論の結果、我々としては、よりベターであるということで二百五十、二百五十で提案させていただいておるということであります。
  149. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 大臣はあくまでも、小選挙区制と比例制を、軸足を置くとすれば、大臣の頭の中にあるのは小選挙区制ですよね。これは間違いございませんね。  私は、大臣は、今は二百五十、二百五十なんだが、将来はこれをやはり三百とか、いろいろと小選挙区のいわゆる定数配分をふやすんじゃないかなと、今はだめだけれども、また解散・選挙になってその後に体制が整えば、これもやりたいなとこう思っていらっしゃるんじゃないかと思うのですが、いかがですか、これは。本音を言ってください。ちょっとこれはポイントになるものですから。
  150. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 私どもは、小選挙区というものを自民党時代にも一緒に皆さんとつくりましたね。なぜつくったかというと、結局、今やはりいろいろな意見があります。国民意見というものをできるだけ反映しようというのがあります。しかし、国民意見を集約しなければならない。今この時代というのは非常に大きく転換をしなければならぬ、内外ともにそれをしなければいけない。そういうものに対処するために、私ども、小選挙区というのが、より今は望まれている制度じゃないのかなという思いがあります。  しかし一方では、国民の多くのやはり多様な議論というのがある。こういうものも反映しろといったときに、私ども議論した結果、今総理なんかもよく言われますけれども、よりベストなのは二百五十、二百五十ということじゃないのかということを、私どももそれを了解しておるということであります。
  151. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 大臣は、世界各国の選挙制度に大変精通されている大臣でございまして、私も大変御指導いただきました。  英国の財団法人だったと思いますが、ハンサード協会ですね。この協会が、かつて小選挙区と比例とを手がけたことがあります、提案したことがあります。これは、小選挙区が四分の三で比例区の方に四分の一というのが小選挙区、比例のあり方としてはベストではないかということを、この財団法人、この協会が提案したことは大臣も御承知のとおりなんですが、これを見ますと、我が国の場合にこれを当てはめてみますと、自民案でいきますと、三百五十三が小選挙区で比例区が百十八となりますし、政府案でいきますと、小選挙区が三百七十五、比例区が百二十五ですか、いずれにいたしましても、小選挙区二百五十、比例区二百五十というのは、冒頭申し上げましたように、小選挙区と比例代表区の全く異質な二つの制度一つにくっつけたというような感じが否めないわけでありまして、羽田大臣の頭の中にもあるいは各閣僚にも、やはり中選挙区から小選挙区制に軸足を移した、制度改正をするということでありますと、私は、小選挙区の定数配分が半分半分というのは、これはいかがなものかなと思うわけなんですね。  ですから、山花大臣お尋ねしたいのですが、連立与党政府案の二百五十、二百五十は、この定数配分は絶対に譲れないのかどうか。山花大臣お尋ねします。
  152. 山花貞夫

    山花国務大臣 今副総理もお話しのとおり、政府案としては、我々はベストのものとして提出させていただきました。  今先生引用しましたハンサード委員会の当時のきっかけというのは、イギリスの小選挙区制を前提として、これに対してどれだけ民意反映のために修正を加えるか一ここからスタートしたわけですから、全体あるものについてどこまでというところですから、やはり全体の比率などについては違っておったのではないかと、こういうように私は理解をしているところでございます。  先ほど引用されましたカリフォルニア大学の教授のお話も、比例代表の意義ということについてかなり強調されておったものだと、こう私は理解しているところでございます。  そういたしますと、お話しのように、どちらに軸足というよりは、日本のこれだけ価値観が多様化した国民民意を、どういうようにコンセンサスをつくり上げるかという手続を新しい選挙制度考える場合には、結論的にはこの二百五十、二百五十というのがペストではなかろうか、こう思って出させていただいた次第でございます。
  153. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 政府案、二百五十、二百五十はベストでありますので、政治改革担当大臣としてはこの二百五十、二百五十は絶対に譲れない線である、こういうことですね。
  154. 山花貞夫

    山花国務大臣 余り私が、譲る、譲らないの議論について直接お答えするのはいかがかと思っております。担当の私としては、ベストのものとして出したのでぜひ御理解をいただきたい、これが私としての立場になることについては、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
  155. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 前回の予算委員会で、大臣が社会党の代議士の立場、また閣僚の立場というような御発言をされまして、たまたま私もあのとき質問をさせていただいたものですから、社会党の臨時党大会あるいは中央執行委員会というんでしょうか、そこで、新委員長でありまする村山委員長は、この二百五十、二百五十は絶対に譲れない線だということを中央執行委員会なりあるいは臨時党大会で明言をされておるわけでありますが、どうでございますか、そこをお尋ねいたします。
  156. 山花貞夫

    山花国務大臣 村山委員長の発言は、これまでの経過全体を踏まえたものであると私は承知をしております。  連立政権樹立に先立ちまして、新党さきがけから政治改革の提唱がございました。そのときの内容が二百五十、二百五十の並立制を基本とする、これを各党合意するかどうかから始まったわけでありまして、よろしいでしょうということで、我々も大変厳しい選択を行ったところでございます。  スタートがその合意にあるとするならば、連立政権の合意を尊重して、細川政権の安定化のために努力したい、こういうお気持ちから恐らくそういう発言をされたのではなかろうかと期待しているわけでありまして、そういう全体の経過の中でどうぞ御理解いただきますようお願い申し上げる次第でございます。
  157. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 次に、政治資金規正法の一部を改正する法律案、いわゆる企業・団体献金についてお尋ねをいたしたいと思います。  御案内のとおり、自民党案は、企業・団体献金については五年間これについて認めておるわけであります。政府案政党のみについてと限定しておるわけでありますが、今問題になっております企業・団体献金の中で、特に企業の存在について、あたかも企業の存在が政治的にも社会的にも経済的にもあしき存在だというような、そういう風潮がある。これは極めて遺憾だと思うのですが、おかたいところの法務大臣、法務大臣は、この企業の存在を、善なるものか、あしきものか、どのようにお考えですか、お尋ねいたします。
  158. 三ケ月章

    ○三ケ月国務大臣 お答え申し上げます。  大変哲学的かつ価値論的な問題でございまして、法務大臣に対する御質問でございますので、制度論という角度からのお答えにさせていただきたいと思うのでございますが、日本の企業の代表的な形態でございます会社制度というものにつきましては、これはもう御案内のように、商法を中心といたしまして一連の関連法規において、できるだけその活動が適正に行われるような規制を試みておりますし、いろいろな問題が生じましたときには、その都度これに対する法改正をもって対応して、できるだけ企業というものが適正にその役割を果たすように努力しておると法律家としての私は考えておるわけでございます。  そういうわけでございまして、そういうふうな法の枠内におきますところの日本の企業というものは、やはりその社会的活動、経済的な活動におきましては極めて大きな役割を果たしておると考えておる次第でございます。
  159. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 社会的、経済的な側面から見て大きな役割を果たしておる。社会的、経済的、そして社会、経済、政治というものは表裏一体のものでありまするから、大臣のお考えはよくわかり ました。  自由民主党案は御案内のとおりでありますが、政府案というのは企業・団体献金については個人については認めない、こうなっておりまして、大変心配をしております。それも、この法律案を読んでみますと、かなり窮屈なことになっていくわけでございます。また、政党に対する公費助成の問題にもこれは関連をする問題でありますから、この二つを踏んまえて私は質問をいたしたいと思うのですが、政治資金の収支報告書また支出報告書あるいは監査報告書、こういうものを提出さえすれば、結果として、結社の自由との関係等があって使途を詳しくチェックできないというような法律の内容にもなっているように思いますし、また、地方の政治家の場合は、その政治資金というのは個人からの献金か公費助成を受ける資金管理団体のみで政治活動等をやらなきゃならぬということにもなりますし、こうなりますと、地方では七九%、約八割の地方議員が無所属議員でありまして、大変きつくなるな、このように思います。  また、これを見ますと、確かに、政党の会計責任者は会計監査を行うべき者の監査意見書及び公認会計士または監査法人が行った監査に基づいて作成した報告書を提出しなければならないと、会計帳簿の記載や報告書の提出と同時に、大変重々しくここにうたってあるのですが、結果的にはこの支出については何らチェックできないというようなことにも相なりますし、確かにこの届け出書、報告書は閲覧を請求することができるし、五年間保存しなければならない、このようにもうたってあります。そして、自治大臣は、政党がこの法律の規定に違反した場合、交付金の交付の決定を受けた場合にはその交付を停止し云々とあるのですが、これは自治大臣、こういうような法律規制で、違反する形態、違反の事実、どういうふうにしてこの違反が生まれるのだろうかという率直な、違反なんか生まれないのじゃないか、そういうふうに思うのですが、いかがですか。
  160. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 衛藤委員に御理解をいただきたいと思いますが、さきの国会、百七時間議論した中で、企業自体が悪だという議論は私はなかったと思う、企業の存在そのものは。ただ、企業献金というものが、八幡判決以来認められているという意見もあれば、政策的にやめるべきだ、それは政策判断なんだという意見、あるいは現実に、総理もたびたび言われ、我々もそうでございますが、たびたび言われておりますように、現に企業・団体献金というものがこの一連の不祥事に発生してきているというところで、私たちは、これは基本的に政党という公的な団体を介在させることによって、しかも公開の基準というのを五万円超にしようということで、透明性も図り、そして量的にも減らしていこうというのが私たち基本的な考え方でございます。そして、公的助成の方は、何といっても国民皆さんの税金四百十四億、活動のコスト、民主主義のコストとして出していただくわけでございますので、ここはひとつ厳しくしていかなきゃなりません。  したがいまして、政党から資金管理団体に出したときには、これは一万円以上のものにつきましては、だれだれさんに出しましたということについて出さなきゃいかぬ。それから、企業・団体等が政党に出した場合には五万円以上、その政党から資金管理団体に出した場合には五万円以上のものは記載をしなきゃいかぬということになっておるわけでございまして、極めて透明性というのを大変高めたわけでございます。  ただ、内部的には、政党のものは公的助成もありますので、政党の内部につきましては、各政党が持っております監査の人、それから会計検査院が一般的には入ることはできますけれども、事の性格上、公認会計士によって、政党の内部のものにつきましては、ちゃんとそれがなされているかどうかということを内部を監査をしてもらって、そして公認会計士あるいは監査法人に証明をしてもらおうということで、その基本というのは政治活動の自由というものとの裏腹の関係もございまして、政党国家権力が介入することは極力避けるべきである。そして、政党というものを、公的な存在というものを、私たちは、ちゃんとやってくださるという前提に立って今のような制度になっているわけでございます。
  161. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 公費助成の問題でありますが、この公費助成については、政府案は一九八九年から九一年の三年間の平均的な政党の活動費用を割り出しまして、総額が八九年一九一年ですから千二百四十三億円、これを平均を出してきたんだと思います。また、自民案は自民案で、八六年から八九年ですね、これを同じように政治資金支出総額からの平均を出して約九百億、このように言ってきております。もちろん物価の問題とかいろいろあったこともよく知っておるわけでありますが。  私は思うのでありますが、この公費助成、一人頭にいたしまして自民案が二百五十円、政府案が三百三十五円ですか、このようになると思いますが、これは一億二千万人の、大ざっぱに言えばですね、基準的な人口をぴしっとこう出して、国勢調査の結果に基づいて算出するわけでありますが、私が問題とするところはここでありまして、何となく、人頭税と言っては悪いのでございますけれども、そういうような雰囲気があるわけなんですね、ざっくばらんな話。  御案内のとおり、今政治に対する信頼は極めて希薄であり、政治は地に落ちておるとまで言われている。そして、まだまだ地方に対してもスキャンダルが汚染をしておるという、こういう極めて悪い状況です。さらには、もう景気循環型というよりも、構造不況型の極めて厳しい不況のどん底にある。景気はもう底割れ、下振れしておる、こういう状況です、はっきり言ってですね。  一方、けさの新聞等々が報道するところによると、政府の税制調査会、政府税調も来月の十六日には素案を出すかもしれない。その素案の内容を見ると、国税、地方税、所得税、地方税等で五兆円の減税をと、こういうふうにうたっている。しかし、三%の消費税率を七%ぐらいに引き上げなきゃできない、このように指摘もしております。消費税率を引き上げてもこうしなきゃいけない。それだけの財源が、手元が非常に不如意である。また一方では、国の平成五年度の歳入欠陥が五兆から六兆ぐらい出るのではないかということも心配されておる。  こういうときに、国会議員の、議会制民主主義のコスト、コストだからひとつ国会議員だけは勘弁してくれやというニュアンスがぱっと飛び出しちゃうわけなんですね、はっきり言って。私ども地方に帰っていろいろと意見を聞くと、今までわからなかったんだけれども、政治改革委員会を通じてわかってきたと、この内容が。心配だな、そんなことをしたら、衛藤さん、大丈夫ですかと。例えばこの計算の金額の根拠にいたしましても、せめて前回の直近の選挙で、例えば参議院の選挙あるいは衆議院選挙有権者が投票した投票数を基礎にすべきだ、基準にすべきじゃないかとか、そういう意見がすぐ返ってくるわけなんですね。  それを私は、うん、そうだなと、このように思わざるを得ませんし、中には、年金生活者を外して、例えば二十から六十歳までの方にこのまさに議会制民主主義のコストをお願いをするとか、何か考えないと、何となく前回は一人頭五百円だったのが、今度こういろいろと経緯があって三百三十五円になってきて、自民党案は二百五十円になっているという。こうなりますと、選挙民から、有権者からすると、何となく心配になってくる。それと同時に、何となく疑念が差し挟まれることにもなりかねない。そのことを私は心配しているわけです。ですから、政党助成、公費助成に対しての慎重な詰めといいますか、そういうものがあってしかるべきではなかろうか、このように思うのであります。  これにつきまして、まず山花大臣のお考え、その次に石田大臣のお考えもちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  162. 山花貞夫

    山花国務大臣 御指摘の問題についてもかなり慎重に議論をしてきたつもりでございます。自民党案二百五十円、そして政府の提案が三百三十五円、算出の根拠についても、今委員およそ御指摘のとおりだったわけでございまして、前回の海部内閣当時の算出の方式に準拠して、今回、金額については決定をしてまいりました。  実は、では一体、そのほかにどういう計算の手法があるかということについては、今御指摘のとおり直近のだけにするとか、あるいは総人口ではないとか、いろいろな基準が提案としてはおありになると思いますけれども、やはり一番わかりやすくて明確で動かない基準、こういうことを考えますと、一つには国勢調査の結果の一億二千三百万という人口で割るのが一番いいのではなかろうか、こういうように考えたところでございます。  ただ、それで割り算して三百三十五円、二百五十円等の数字が出たものですから、人頭税ではないかと、こういうおしかりもいただきましたが、どこの国におきましても、およそのそういう政党が担う役割と経費の負担について国庫補助をしているわけでありまして、また、どこの国でも、それをまた割り算すれば一人頭幾らになるということについては、日本の場合にはそれが先行しているかもしれませんけれども、計算上は出てくるところではないか、こういうように思っております。ということからすると、これ以外はなかなか基準としては難しいのじゃなかろうか、こう考えているところでございます。  民主主義のコストとしていただくわけですから、政治家が襟を正すことは大前提、そして同時に、腐敗防止のための施策とか政治資金の厳しい規制もある、政府案の場合には企業・団体献金禁止の問題について一歩大きく踏み出していると、全体を総合して国民皆さんに御理解を賜りたい、こう考えている次第でございます。
  163. 石田幸四郎

    石田国務大臣 お答えを申し上げます。  今、山花担当大臣のお話があったとおりでございまして、また、今までの本委員会でもいろいろと議論がございましたので、もう衛藤先生十分御存じのとおりでございます。どこで線を引くか、どこで決めてみるかという問題であろうと私は思いますので、こういった問題を考えるときに基本的なところということになりますと、やはり総人口というようなことになるであろうと思いますし、また海部内閣のときにも、第八次選挙制度審議会の答申等の中から、三年間という一つのかかった経費、それを基準とされておるわけでございますので、これが即そのまま今回全部当てはまっているわけではございませんけれども、一つ考え方として私は採用をする以外ないのではないかという結論の中で行われたものというふうに思うのでございます。
  164. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 戦後、議会制民主主義というのは我が国でもかなり成熟してきていると私は思います。今、山花大臣石田大臣から、外国の例も引き合いに出しながら、外国がどうだこうだというお話がありましたけれども、私は、こういう問題については、外国の例を云々とか、外国はどうだとか、そういうことは一向に参考にしなくて結構だと思うのです。問題は、国民一人一人を常に念頭に置いて、そして有権者をいつも意識して、主権者である有権者、そこから私は発想すべきだと思うのです。  まして、今言ったように大、中、小の選挙区を全部経験した我が国の話であります。また、新しい選挙制度を実験しようという我が国であります。それだけに、日本型福祉国家と言われますように、これが世界じゅうで一番進んでいるとみんな自負しているのですから、私どもでも、やはりこういう問題についてはもっともっときめ細かい配慮をしてしかるべきではないか。私は、この政党の公費助成についてはもっときめ細かく規定を、あるいは整備をすべきではないかと思います。  いろいろの問題がありまして、自民党案については、企業・団体献金については御承知のとおりに一口月二万、そして二口まで云々と、こうなっていますね。連立与党案は全くそれは認めない、こうなっておるわけでありますが、一方で、政党あるいは地方の政党支部を通せば、それがそのまま企業からのものが受け入れられる仕組みになっている、この法律を読むと。どこを読んでみてもそうなっている。そして、その使途については、表現の自由等々がありましてチェックできないといいますか、結社の自由、表現の自由云々といろいろありまして、これに関する限りは国が関与しない、チェックしないというような、法律から見るとそうなってしまっておるわけでありますから、そうすると、企業からの献金、これは七百五十万から一億ですか、あれが政党を通じて、支部を通じてどんどん行けば、実質上は自民党案よりも政府案の方がある意味では非常に緩やかで、おおらかで、結果的にはこの政治資金問題については、政党助成と絡めて見るならば、まだまだ整備すべきところがあるのではないかな、これも私は冒頭言いましたが、時間がない、時間がないということで急ぎ過ぎておるのではないかな、こういう感じがしてならないわけであります。この辺のところをぜひひとつ再度慎重に、徹底的に議論をしていただきたいと思います。  そして最後ですが、私ども自由民主党といたしましては、小選挙区三百、そして比例区百七十一、公職選挙法本則の四百七十一という定数をお願いもしておるわけでありますし、また投票については一票制、こういうことであります。私は、この企業・団体の政治献金問題と絡めまして、自由民主党案、これがベストとは言いませんが、ベターではないか、このように、過般の百七時間の審議を通じても、その延長線にあるものとして、その認識に立っておるわけでありまして、自由民主党案、これにつきましての連立与党政府としての、何といいますか、妥協といいますか、歩み寄りといいますか、譲歩といいますか、そういう姿勢とそうした政治行動というものを、連立与党並びに政府においてとられることを強く要請をいたします。  なお、大臣からお話があれば、その後を受けましてもう一言申し上げます。
  165. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 先ほど政治資金あるいは政党助成の問題についてさらに細かい配慮が必要なのではないか、例えば四百十四億の計算の根拠として、自民党さんの方は昭和六十一年から平成元年分をとられたというお話がございました。私たちは、法律を出すわけでありますから、やはり一番近いところのわかるものを基準にするのが一番妥当だと思って出したわけでございますが、消費税なり不景気の問題を言われて、もっといろいろ考えるべきではないかということも言われましたけれども、自民党さんにおかれましても、企業・団体献金のあの総枠につきまして、今この不況の中でございますが、最高一億のあのランクは一億五千万にしようということでございまして、私たちは、今国民皆さん方が望んでおられる腐敗防止の中の第一に挙げられるのは企業・団体献金の禁止をすべきであるという国民世論を受けて、政党のみに限ったということでございますので、私たちは、今の経済情勢、この大変不況の問題等は十二分に頭に入れて、自民党さんの言われますように総枠を一・五倍にふやすことなく、現状の最高一億ということは何らさわっていないわけでございます。  それから、政党支部の問題について言われましたが、これはきのうも御議論がありましたけれども、各支部をつくればそれごとに全部経理を公表しなければいかぬことになっておるわけでございまして、正直言って大変な手間がかかります。手間がかかります。それで、しかも総枠の、出せる方の金額は一政党については同じでございますから、それだけいわば国民皆さん方に経理が明確になるということのためでございますので、その点をひとつ十分御理解をいただきたいと存じます。
  166. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 最後に一言。政党助成にいたしましても、あるいは企業・団体からの献金云々あるいは規制の問題にいたしましても、いわゆる私ども国会議員は、国会議員を完全に基軸に据えたといいますか、国会議員のみを考えたこの法律、こういうことに相なっておるわけでありまするから、やはり草の根民主主義、それは地方と中央が一体になりましてダイナミックな政治エネルギー、パワーが生まれるわけですから、この辺のところは重ねて、政党助成問題等々絡めまして十分なる議論をするように、またこの点について、政党助成については重ねて慎重な対応、そして願うことは、法の規制の問題あるいは整備の問題を強く要請をいたしまして、私の質問を終わります。
  167. 石井一

  168. 穀田恵二

    穀田委員 私は、日本共産党の穀田恵二です。  去る十三日の本会議において、私どもの党の東中議員が、小選挙比例代表並立制について、第一党はその得票率を大きく上回る議席を占め、第二党以下の政党は得票率以下の議席しか得ることができない、第一党は、自民党であれ連立与党の連合であれ、三割ないし四割台の得票率で六割の議席を占めるという全く民意をゆがめる制度であると基本指摘を行ったところです。  そこで、山花さんが社会新報紙上で、並立制の実質は小選挙区制であり、民主政治を根底から覆すものと発言した基本認識を変えたのかとただしました。それに対して山花大臣、あなたは答弁で、選挙制度一般論で考えれば小選挙制度比例代表制度も、いかなる組み合わせをしてもその本質は変わらないとお答えになりました。これは、小選挙区制にどんな比例代表の要素を加味しても、小選挙区制の基本的欠陥は変わらない、すなわち、民主政治を根底から覆すものという小選挙区制の構造的な欠陥が変わらないという認識を現在もお持ちだと理解してよろしいのですね。
  169. 山花貞夫

    山花国務大臣 今、単純小選挙区制と並立制とを区別なさらない部分もある御質問の内容、部分もあったんではなかろうかと伺っておりましたが、小選挙区制そのものにつきましては、御指摘のような問題点があると今でも認識はしております。
  170. 穀田恵二

    穀田委員 それはちょっと違うと思うんですね。たしか四月でしたか、先ほども引用しましたけれども、並立制の実質は小選挙区制であり、民主政治を根本から覆すものだ、こういう発言をなすっていることは事実であります。ですから、私はもう一度言いますと、並立制もその実質は小選挙区制だからこれを認めることができない、こうおっしゃっていたわけですね。それで、その小選挙区制を今は大臣として進める立場にある。ところで、総理もこの前のお話にあったように、今度の小選挙区制、並立制については、いずれにしても、緩和される、緩和されないの話はあったとしても、それは民意をゆがめるということについて認めていたわけですね。だから、そういう点では基本認識が変わったのかどうか、改めてもう一度お聞きしたいと思うんです。
  171. 山花貞夫

    山花国務大臣 重ねて申し上げますが、今の御質問でも、小選挙区制と小選挙比例代表並立制を区別されないで質問された部分がございましたので、私も答弁は慎重にしなければならないと思っておりますが、今の結論的な部分につきましては、私どもは当時、二百五十、二百五十の並立制とか、あるいは腐敗防止の施策についてあるかないかとか、あるいは政治資金の規制について企業・団体献金禁止問題について一歩踏み出すかどうか、そういうことを横に置きまして、制度論としてそのことだけを取り上げた中では、当時、御指摘のとおり発言したことについては間違いございません。全体として、単純小選挙区の問題点についてその誤りを指摘して、並立制としてもその本質はやはり同じものを持っているという認識については、当時の認識としてお話ししたものでございます。  ただ、その後その考え方を変えたのかということにつきましては、率直に申し上げまして、その並立制問題についての考え方は変更をいたしました。それは、選挙の結果、国民の審判を受けて政権交代、そのことに政治改革の第一歩があるといった考え方の中から決断をしたわけでありまして、さきがけ新党の二百五十、二百五十の並立制を基本とした提案、そして同時に企業・団体献金の禁止に一歩踏み出すといったこと、あるいは腐敗防止の施策についても一体として出してきた提案について、一体として私たちはなし遂げなければならない、こうした考え方に立ったわけでありまして、その部分について、またもとに戻して部分だけについて変えたのかといえば、全体の中で変えたのだと、こういうように申し上げるのが正確だと思っています。
  172. 穀田恵二

    穀田委員 今の御答弁は、この前の東中議員に対する答弁と余り変わりませんね。(山花国務大臣「いや、同じ意見ですよ」と呼ぶ)同じですよね。  それで、私思うんですけれども、今お話のあった連立政権樹立に当たっての政党の呼びかけにあった並立制を含めた合意を作成したとかそういうのは、それを認める際のそれは口実かどうかは知りませんけれども、私は改めて言いたいのは、制度論としてこの問題を聞いているわけです。だから私は、認識が変わっていないとすれば当然のことであって、小選挙区制がこれは民主政治を根底から覆すということは、これは当たり前の常識です。(山花国務大臣「単純小選挙区制」と呼ぶ)単純小選挙区制は。  そこで、改めてお聞きしたいんですけれども、世界では小選挙区制を採用している国は、これは明らかに少数派です。私の調査では、例えばOECD加盟国の二十四カ国をとってみると、何らかの形で小選挙区制を採用しているのはイギリスやアメリカなど七カ国です。それで、西ヨーロッパ諸国はほとんどが比例代表制です。アメリカ大陸やさらにはアジアだとか太平洋諸国でも、世界の現実は比例代表が多数派となっています。  そこで、私は、並立制もその柱は小選挙区制である、この認識の上に立ってかつて山花当時委員長もお話しがあったと思うんです。柱は、並立制は少なくとも小選挙区制だ、こういう認識に基づいて、百二十一国会その他を含めてお話しがあったと思うんです。その点を確認したいんです。
  173. 山花貞夫

    山花国務大臣 今御指摘のとおり、OECD二十三カ国のうち、下院の選挙制度として小選挙区制をとっているのはイギリス、アメリカ合衆国等六カ国であり、比例代表制をとっているのはスペイン、オランダ等十五カ国あると承知をしております。大体御指摘の整理のとおりだと思っています。そのほかドイツにつきましては、もう言うまでもなく小選挙区比例代表併用制をとっており、イタリアにつきましては、ことしの八月の選挙法の改正におきまして、小選挙区、比例代表の組み合わせ、並立的なものをとったということについても新しい事態でございます。  こうした状況の中で、従来、並立制が議論されていました場合には、三百と二百とか、三百と百七十一、こういう二百五十、二百五十、フィフティー・フィフティーでない場合には、軸足がどこにあるかといえば、小選挙区を軸にして、こういう言い方になるんじゃないでしょうか。私たちは、そこで小選挙制度の欠陥、すなわち、民意の反映ということからするといろいろ問題が多いということから、できる限りこの比例代表部分を多くすべきである。かつての社会党の主張としては、逆の三百、二百、三百の比例、こういうことも言っておったわけですが、その場合ですと比例代表制が軸足ということになると思います。  いろんな議論があって、今回、年内には国民期待にこたえてその他の企業・団体献金問題を含めたことをやろう、こういうことから、二百五十、二百五十ならば、歩み寄った中でこれが双方の欠陥というものを補うということになるのではなかろうかと、こういうように考えた次第でございまして、だから単なる小選挙区制ではなく、二百五十、二百五十という両方同じ数の並立制でやる、こういうことで私たちは決断をしたところでございます。
  174. 穀田恵二

    穀田委員 今お話しありましたけれども、かつて佐藤自治大臣も木で竹とか、いろいろありましたね。その議論を通じて実は並立制の問題について、五十ぐらいならという話も、たしかお答えをしたこともあったと思うんです。  それは、念のために言いますと、四月十六日の政治改革に関する調査特別委員会会議録、これによりますと、「何かあたかも比例代表と小選挙区との間に並立案があるような考えになっておりますけれども、これはむしろ制度的なことからいいますれば、どちらかといえば小選挙区制に近い性格を持つ。ただし、小選挙区を例えば五百のうち五十にするとかということになれば、これはまた性格が違ってまいりますからこということをこれは明確におっしゃっているんですね、先ほど言いましたように、佐藤当時委員が。そういうふうに社会党は。ですから、「いずれにしましてもこの並立案というものについてはこれは採用しないということは、既に我が党の山花委員長も表明をしておるところでございます。」こういうふうにまた当時、四月十六日のあれに述べております。  ですから、フィフティー・フィフティーだからと、そう言うことは成り立たないと思う。しかも、じゃフィフティー・フィフティーで民意がゆがめられることはないのかといいますと、それは既に何度も明らかにしたところでありまして、例えばやはり三割から四割台の得票で六一%台の議席を占めることができる、これは明らかに民意をゆがめることだ、このことは既に明らかになっているところであります。  そこで、イギリスの問題に再度戻りますけれども、民意を集約して、そこでいつもお使いになる民意の集約の問題ですが、安定政権をつくるのが小選挙区制導入の趣旨だというのが大体の話です。ところが、イギリスを見ますと、国民支持は少数で議席は多数、これが実際、構造的にできるのが小選挙区制の実態です。だからその結果として、御承知のとおり、イギリスでは戦後十四回の総選挙が行われたけれども、一貫してどの政権も過半数の得票をとったことがありません。  ですから、この点をイギリスの有力紙の一つであるインディペンデントは、正確に言いますとことしの四月二十一日付の社説で、「何十年もの間、英国は悪い政治のもとに置かれてきた。選挙制度のせいである。この制度によって、有権者の過半数に至らない得票で選ばれた政府がほとんど絶対的な権力を握る」、「膨大な量の中間的な有権者たちが不満のまま置き去りにされる。この制度は公正ではないし、効率的でもない」と小選挙区制を厳しく批判をしています。  ですから、先ほどお話ししたように、当時もこのように、間に並立案があるかのようにお考えになっておりますけれども、これはむしろ制度的なことからいいますれば、どちらかといえば小選挙区制に近い性格を持つのだ。この二つの点を考え合わせますと、やはりあなたが民主政治を根底から覆すと言っていることが、イギリスの例にあらわれるような事態になるのではないでしょうか。お答え願います。
  175. 山花貞夫

    山花国務大臣 最近の新聞の社説について引用されましたけれども、イギリスにおける小選挙区に対する批判としては、今の社説の論旨における批判というものがもう何十年も前からあるのじゃないでしょうか。七六年のハンサード委員会、連用制を打ち出したことから始まって、最近もずっとそういう議論があると承知をしております。とりわけ、御指摘のとおり、自民党が比例代表を主張しているというのがイギリスにおける状況だと思います。  保守党については余り異論はないということのようですけれども、労働党の方は九三年の四月に、ブラント委員会、党の諮問機関ですけれども、補充投票制という、今日の小選挙区制を少し変えて是正しようという提案をしておるということは聞いておりますけれども、これも労働党内の中の合意がなかなか難しい、こういう状況ではなかろうかと承知をしているところでございます。したがって、結論的には、イギリスにおきましては御指摘のような議論はずっとあるのですけれども、一つ政治の風土として二大政党制という背景もあり、この制度でいいのではなかろうかという声もまた強いのではなかろうか。これは、私は、イギリス政治風土ということではないか、こういうように思っているところでございます。  前段の部分につきまして、委員会の質問、発言等、当時、私は、全体の流れを思い起こしてみると、かつては政府の、海部内閣の並立制の主張があった。我々は、公明党の皆さんと御一緒して併用制の主張を出していた。併用制を通そうという格好で、こっちとこっち、こっちには比例代表が、こちらには小選挙区がある、その一体どこが真ん中なのかという議論の中で出てきたということではなかろうかと思っているところでありまして、したがって、そういう意味では、我々は併用制なんだ、並立はだめだ、こういう相対した理屈の中で出てきた発言ではなかったか、こういうように思っております。  結論的には、並立制にも、小選挙区部分については長所もあれば欠点もある。欠点については、御指摘のようないわゆる死に票問題を含めてあることは、私も認めております。同時に、比例代表については民意反映ということについての大きな利点がある、そして欠点はないというわけではないと思います。それぞれの欠点を相補強するということで、半々、二百五十、二百五十ということでつくったわけでありますから、全体としての、腐敗の問題、政治資金の問題、一体として政治改革を実現するというためにはこれがベストの案ということになると、今日ではそう考えております。
  176. 穀田恵二

    穀田委員 先ほどの話ですけれども、どうなるかといいますと、それはこうなんですね。四月の十六日は、従来並立制という考え方もとられてまいりました、この並立制というものについては比例部分と選挙区部分について色合いが違ってくる、この並立制という一つの妥協の考え方についてどうだという質問に対してお答えになっているのですね。だから、それはちょっと認識が私違うと思うのです。  だから、まあ、それはいいですけれども、今の世界の問題にまた戻りますけれども、そこで、もう一度イギリスの例ですけれども、御承知のとおり、既に資料はお渡りかと思うのですけれども、一九五一年それから一九七四年の選挙では、当時、得票率では第二党の政党が議席では第一党となり、政権をとるという逆転現象さえ起こっています。これは既に何度も議論されたことです。  問題は、この際一九五一年の例をとりますと、得票率四八%を得た保守党は、労働党に比べて得票率で〇・八%少なかったにもかかわらず、議席では二十六議席多くなった、こういうことが起こっています。また、先ほどお話があった、正確には社会自由民主党ということなんですけれども、一九八三年の選挙では、今日の自由民主党は得票率は二五・四%です。ところが、議席数はたった三・五%。つまり、第三党以下の政党への有権者の投票はほとんどが踏みにじられた結果になった。だから、小選挙区制という制度というのはこういう最大の欠陥を持っているということを改めてお認めになりますか。
  177. 山花貞夫

    山花国務大臣 イギリスにおきまして、五一年、八三年、こういう結果が出たことは承知しております。また、ほかの国においてもこういう結果が出たことなども承知しておりますけれども、こうした制度国民がよろしいとして理解しているかどうか、ここのところも大変大きなポイントなのではないでしょうか。イギリスにおいては、こうした幾つかの問題点が指摘されながらもなおこの制度が続いているというのは、一つのそうした政治文化といいますか、ほかの党が組まないで二大政党でやっているというところもかんでおるのではないかと思いますけれども、この国の制度としては、イギリスではイギリス的でよろしいのではないか、こう思っております。
  178. 穀田恵二

    穀田委員 それでは、やはり小選挙区制の、先ほど山花大臣がおっしゃった欠陥を持っている、そういう意味での民主主義の、民意を反映する上では欠陥があるという認識の上に立ては、そういう理解にはならないと私は思います。  そこで、よろしいと理解しているのかどうかというのが問題だというふうにおっしゃいました。私もその点だと思うのです。そこで調べてみますと、ついせんだってもある雑誌に載りましたけれども、石川真澄さんがイギリスの大学の客員教授として現地でいろいろ確かめられたこともあるのでしょう。そこで書いているのは、先ほど私が引用しましたインディペンデントの社説を引用しまして、そういう英国の知識人の間ではこれは当たり前だ、そして、英国の選挙制度がそんなに褒めたものでないということは既に半ば常識化しているということもそれは訴えています。  そこで、よくよく調べてさらに聞いてみますと、小選挙区制の弊害が言われてその見直しが論じられているところは、これはイギリスだけではないのですね。それは、単純小選挙区制のイギリスだけと違って、御承知の二回投票のフランス、さらにニュージーランドでも見直しの動きが出ています。ですから、先ほどお話のあった七カ国の中にも、大臣のお話では六カ国ですね、その中にも変化が出てきている。そして昨年九月、ニュージーランドなどでは、国民投票で八四・五%の方々が小選挙区制廃止に賛成を投じた。だから、見直しや廃止が論じられているこの制度について、その側面が強い、少なくともそう何度も繰り返しおっしゃっている内容について導入するというのは、私はいかがなものかと思うのです。その点、再度お答えいただきたいと思います。
  179. 山花貞夫

    山花国務大臣 今後の世界各国の動向についてはわかりませんが、あるかもしれないし、まだ議論が続くかもしれないということだと思います。ただ、基調は、単純小選挙区に対してどれだけ修正原理を入れるか。かつてのイギリスの連用制しかり、そして、今日議論されている補充という考え方についてもしかりです。しかし、その場合には、その全体の四分の一、二五%とかあるいはもっと少ない数字から修正が恐らく始まっていくのではないでしょうか。比例代表の並立制をとっている各国につきましても、さっき引用されました各国の内訳を見ると、決してこの二百五十、二百五十ではなくて、かなり比例部分の方が少ない、こういう傾向ではなかったかと思います。  そうじゃなくて、今度はその真ん中で、この比例部分についても半分は民意反映の、とりわけ政府案の場合には全国単位の比例を入れているわけでありますから、そうした意味におきましては、私は、小選挙区の修正といった観点から見ても、かなり、半分までは修正しておるわけでありますから、これはこれとしてわかりやすいという点を含め、国民皆さんの御理解をいただくことができるのではなかろうかと思っているところでございます。
  180. 穀田恵二

    穀田委員 そうしますと、佐藤大臣にお聞きしたいのですけれども、佐藤大臣は、一昨年の海部内閣のときだけでなく、先ほども引用しましたけれども、「並立案というのは、第一党、比較第一党にとりましては圧倒的に有利な制度である。つまり、小選挙区の部分で圧倒的に有利、比例代表の部分でもまた恩恵に浴していこうという、第一党にとりましては圧倒的に有利な制度である。」こういうことを言っておられます。だから、ここに実は、並立制をとったとしてもそういうゆがみが改めて起こるのだということを当時指摘しておられたと思うのですね。  ですから、どちらかといえば、さらに続いて小選挙区制に近い性格を持つこの並立案というものについては、先ほど言いましたように、これを採用しない、後段の部分の、今お話ししました、並立制というものについてはこれは採用しないというのは、いわば当時の山口委員質問に答えて、妥協の道はないかという問題に対してお答えになった部分なのですね。だからそういう意味では、並立制が民意をゆがめるということについては、明らかに佐藤大臣もおっしゃったのではないでしょうか。その点いかがでしょう。
  181. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 今議事録、私、そのものが手元にございませんので、日付まではっきり覚えておりませんけれども、この百七時間の議論を通じて私が申し上げたこと、それは事実でございましょう。  ただ、最終的に、じゃ当委員会あるいは衆議院という場で私が言ったことが完全に一つの結論になり得たかというと、残念ながらなり得ず、そのときにはその次の連用制ということもいろいろ議論にもございました。そういうことも踏まえながら、何とか政治改革を実現しようと思えば、何かの手を打たなきゃいかぬ、あるいはできる限りの大多数の協力が得られるような新しいことを考えていかなきゃならぬのが私たち社会党なら社会党、連立をつくっている政府与党なら政府与党立場でございます。  ですから、確かにそこでそういう評価をいたしました。私は、たしか石井委員長だと思いましたけれども、政治改革特別委員会でこの前も志位書記局長に御指摘をいただきましたけれども、単純小選挙区制というのは虚構の上に成り立つ政府ではないかということを言ったこともございます。そうしたら、石井委員長、当時は委員長ではございません、自民党側の提案者として、それじゃイギリス制度というのは虚構の上に成り立っているのかということを言われましたので、山花大臣から言われましたように、それ以後一切私はそのことを言わないことにしております。なぜならば、その民族が歴史的にそれはそれでとったものについて、私は断定的に評価をすべきことではないと思っているものですから、それ以上言わないことにいたしました。  いずれにしろ、百七時間いろいろ議論を重ねて、そして宮澤内閣不信任案、総選挙ということで民意が下った中で、市長選挙でも町長選挙でもやっていますように、民意の集約というやり方で一人を選ぶという、執行権限はございませんけれども、民意の集約ということで一人を選ぶ小選挙区制というもの、いわばどのような政権をつくるかということ、それが小選挙区制で、一人なんでありますから、選んでくる、半分は民意の反映ということで多数の意見を反映させるものをやっていこうというところが、今私たちが提案をしておりますこの二百五十、二百五十の並立制なのでございまして、私たちは何か、とにかく国民期待にこたえて政治改革を、腐敗防止あるいは政治資金の問題も含めて、選挙制度も含めて、あわせてこれを実現をしなければいかぬという立場になれば、各党のいろいろな考え方というものを入れて提案をしたというのが今回でございまして、その意味では、我々が過半数をとっているのなら話は別でございますが、連立与党としてできてきたものでございますから、そういった意味で、私たちはただここで反対だけすればいいということでは立場が違うわけであります。  我々は、具体的に、現実に政治を前に持っていこう。リクルート事件から五年、そして海部内閣のときから三年たって、いまだに同じこの不況の中で政治改革を論じていること自体、お互いに国会議員として反省をしつつ、何とかこれを成立をさせなければいかぬという立場に立つならば、お互いのいいところといいところをとりつつやっていくというのが、私は提案者としての答弁でございます。
  182. 穀田恵二

    穀田委員 今お話しありましたけれども、私は重要な問題がたくさんあったと思うのです。というのは、立場が違うというような言い方でそういう話を切り捨てるのは違うと思います。私は、その点で言うならば、我が党は少なくとも、中選挙区制におけるさまざまな問題点がございます。しかし、実際に、いわばその形について怠ってきた仕事は何だったのか。それは少なくとも、何度もあったように、こういうふうな形で、先ほどおっしゃったように、新しい政権をつくるということが一つのメルクマールだった。そうなりますと、もともと一九六九年以来自民党は少数派でした。本当に定数是正がそれ以来きちっと行われておれば、これはできたことであります。ですから、私どもは立場が違うのと違って、やはりきちんと定数是正の問題を一貫して主張してまいりました。その点は共通の問題であろうかと私は思います。ですから、そのことをまず第一に言いたいと思います。  時間がありませんので、二つ目に、やはり先ほどもるるお話ししましたように、イギリスの例、そしてOECD全体の流れ、さらには全世界のそういう数字、それから西ヨーロッパやまた太平洋地域の問題にしても、それから今母国と言われるイギリスでの見直し、そしてイギリスを中心とする旧植民地国での新しい見直しの動き、これはまさに世界の流れだ。今大切なのは、私ども、こういう流れにしっかり学んでいくことが大切だ。つまり、小選挙区制ではなくて比例代表というのが今の選挙制度一つの発展の流れだということを私は最後に言っておきたいと思うのです。  そこで、最後に言っておきたいと思うのですけれども、一つ今お話があったいろいろな内容にこたえてという問題です。それを法案化した。これはるるまた次から述べますが、私は、その国民の根本的な要求の中心は金権政治をなくせということだと思うのです。その点でも、昨日東中議員がるる追及しましたが、さまざまな抜け穴がある、そして、実際はそのことによって温存される仕組みがある、こういった問題も指摘したところです。ですから、私は、私ども共産党は、その問題について引き続き追及して、今後とも、真の政治改革を目指して頑張ることをお誓いをして発言します。  終わります。
  183. 石井一

    石井委員長 次回は、明二十二日金曜日午前十時委員会、正午理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時九分散会