○野田(毅)
委員 これ、もう時間の
関係がありますからなかなか詰められないんですが、私
どもはたしか二年前、そういうことで二%で出したことがあります。しかし、どうしても合点いかなかったんですよ、それは。それはなぜかというと、だって六千万有権者の三%というと二百万票でしょう。これはしかも投票をさせた後に強制的に切り捨てるんですよ。そのことの問題点、これだけは
指摘だけして、いずれ同僚議員からさらに詰めてやってもらいたいと
思います。
それから、特に、全国単位にするということは、
地方の住民の不安ということをどう
考えておられるのかな。例えば熊本県、我が県で言うと、今代議士九名おりますね、一区、二匹合わせて。それが政府案でいくと四人になるでしょう。小
選挙区四つになるでしょう。そうすると、九人から四人に減るでしょう。これは熊本県だけではないのです。全国みんな同じような問題が発生するんですね。全国
比例で、むしろその
政党のだれか知らぬ人が決めたような形で仮に入ったとしても、それは県選出
国会議員ということにならないですね。県選出の代議士ではない。
今
地方の
時代を言う中で、この不安が非常に大きいんですよ、基本的に。それは一遍耳を澄まして全国聞いてごらんなさい。どれだけ
地方がこの問題に危機感を抱いているか。そういうことから
考えれば、我々はやっぱり県単位でなきゃならぬ、しかも小
選挙区の投票結果を補完をしようということであるならば、小
選挙区を含む県の中で補完をするということが理の当然じゃないかという問題も実はあります。これも政府案の、さっき申し上げた問題点の
一つだと
思います。
もう時間がありませんので、次の
課題にいきたいと
思います。
政治資金の
関係ですけれ
ども、ちょっと読みます。
政治活動の自由や結社の自由の一環として、さまざまな利害集団が特定の
政党への財政援助や独自の
政党設立などを通して
政治過程に参入し、参加する自由の重要な意義を
考えると、
政治腐敗など特定の害悪除去のための特定の規制や、一定の制約を超えて、その一律全面
禁止を正当化し得るのは容易でないと思われる。世界的にも、カナダのケベック州やアメリカ、ただし、アメリカはPACという別個の組織を通じた
企業献金の
制度が認められておる。こういうものを除いて
企業献金を
禁止している例が見られないのもそれがはらむ原理上の問題性の
一つの反映であろう。
また、
禁止論は、党費のみで
政党財政がすべて賄われるという
状況は主要な西欧諸国のどこにも存在しないという現実を前にするとき、代替財源をどう確保するかという現実的
課題にもこたえなければならぬ。
確かにわいろと合法的な
政治献金の区別の微妙さはあるにしても、十分な論証もなしにすべての
企業献金をわいろと決めつけるその乱暴な把握が気になるし、また
政治資金提供権を主権者たる
国民の参
政権に基礎づけたり、
企業の他の
政治活動と
献金行為とを区別したりすることにより、その
禁止の正当化を試みる主張もあるが、資金提供活動の権利は広く
政治活動や結社の自由の一環としてとらえるべきであり、参
政権固有の権利として狭く限定すべき根拠や、
政治献金行為がその他の
政治活動と画然と区別され自由の保障対象から余外される根拠も十分説得的に示されていない。
少し長くなりましたが、これは決して自由新報に載った論文ではありません。これは神奈川大の先生で田島さん、青法協の議長さんですよ、青法協議長さんの論文です。長々言いましたが、後で速記録をよく見ておいてもらいたい。
つまり、
企業献金イコール悪で、
個人献金イコール善だというこの立て方は絶対に間違っておるということだけ、これは本当に健全な議会制
民主主義をここから崩していくかもしれないという私は危機感を覚えています。
さっき
地方政治の問題を言いました。これは、このところをぜひ強調しておきたいと思っています。そうでなければ、さっき
政官業の話がありますが、大体、官を入れるのは私はどうかと思う。
政治家と、いわゆる
経済界、業界とのつながりの問題、このつながりは、率直に言って私は、
日本の
国会議員もいろいろ言われるが、アメリカの議会よりはまだ軽度だと思っていますよ、この点は。これは
羽田大臣もよくおわかりだと思う。アメリカの方がはるかに議会人が業界の代弁者になっているじゃないですか。そうでしょう。
私は、本当にわいろであるかどうかということはなかなか決めつけられない、だから合理的な一定の根拠の中に制約を設けたりということはあっていいし、そうすべきだと
思います。しかし、これを全部悪だということになると大変だな、議会制
民主主義が
根底から覆ってしまうんじゃないのかなということを先ほど来申し上げているのですよ。だから、世論におもねるということではなくて、ここのところは一番大事なポイントの
一つなんですよ。ここのところをぜひ御検討願いたいと思っています。
大事なことは、いかにそういうような
企業献金などを表面化させるかということなのですよ。滞らせてはいけない。大体、事件が起きているのはみんなやみなんですよ。それがみんないろいろな違法性を持っているのですね。逆に言えば、違法性を持っているからやみに潜ったわけです。だから、正当な
企業献金まで罪悪だと決めつけてしまったら、私は逆の結果が起きるんじゃないかということを恐れますね。
それよりも、今我々がやるべきことは、表面化させて透明度を高めて、一定の限度の中に健全な形でやってもらうということですよ。このことに集中していかないと、ただ単に
企業献金をやっつければいいというものじゃないと私は思っています。
それからいま
一つ、
個人献金もそうなんですよ。
個人献金は善だと言う。だけれ
ども、本当に、じゃ各閣僚の
皆さん、
個人献金いただいている人もあると思うけれ
ども、
企業献金と比べて
個人献金の方が善だと
思いますか。私は変わりないと
思いますよ、基本的に。あるいはより個人的な利害に結びつくようなものが入るかもしれない。その危険性さえある。特にそれを今回税制で促進をしようという、
個人献金を。
そういうような話になりますと、個別には言いませんが、つい先般も神奈川県で、あれはどこの
政党の
候補者だったか逮捕されましたね、回しをやって。言うならば国家の税金を搾取する話であります。詐取する話であります。だまし取ったんですよね。これが千葉県でもどこかの
政党でそういう似たようなことがあった。もしこのことを強引にやりますと、
地方政治の中で横行することになりかねないのです。税務署はそこまで一々チェックできませんよ。
そういう問題点もはらんでおる。そういうことをぜひ政府サイドは、
佐藤さん、自治
大臣、やはり冷静に
考えた方がいいと
思いますよ。これもまたいずれ同僚議員が細かく
質問をさせていただきます。
まだまだ
質問したいのですけれ
ども、待っていますから、じゃ、最後に私から申し上げておきますが、重ねて、ほかにもいろいろな問題点ありますが、ぜひ
総理、急がば回れということを拳々服膺してもらいたい。急がば回れです。そしてその中で一緒に、
政治改革をやるのは決して
細川内閣だけの
責任じゃないのです。我々もその
責任を感じているのです。それだけによりよいものをつくらなければいけないのですよ。そうして初めてできるのです。
ですから、年内にできなければどうのこうのとかいうことにとらわれて、逆にその余りにもし強引にやったとしたら、私は
政治改革できないと
思いますよ。本当にやろうということであるならば、どうやって、その共同作業をどういう場でどういう中身でやっていくかということに全力を尽くすべきである。ただ、残念ながら、この
国会が始まってもう一カ月だ、先月から。その
努力がなされた形跡がない、この一カ月間。官邸はサボっておる、率直に言って。そのことをぜひ重ねて申し上げておきたい。
もう一遍、最後に、その点を
総理はどう対応するのかお述べをいただきたい。