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1993-10-18 第128回国会 衆議院 政治改革に関する調査特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十月十八日(月曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 石井  一君    理事 大島 理森君 理事 北川 正恭君    理事 野田  毅君 理事 保岡 興治君    理事 左近 正男君 理事 前田 武志君    理事 権藤 恒夫君 理事 三原 朝彦君       逢沢 一郎君    石破  茂君       今津  寛君    佐田玄一郎君       斉藤斗志二君    笹川  堯君       自見庄三郎君    白川 勝彦君       津島 雄二君    中川 秀直君       西岡 武夫君    額賀福志郎君       葉梨 信行君    穂積 良行君       細田 博之君    増子 輝彦君       谷津 義男君    阿部 昭吾君       秋葉 忠利君    大畠 章宏君       堀込 征雄君    三野 優美君       岡田 克也君    工藤堅太郎君       土田 龍司君    吹田  愰君       船田  元君    赤松 正雄君       大口 善徳君    太田 昭宏君       日笠 勝之君    前原 誠司君       茂木 敏充君    簗瀬  進君       川端 達夫君    柳田  稔君       正森 成二君  出席国務大臣         内閣総理大臣  細川 護煕君         法 務 大 臣 三ケ月 章君         外 務 大 臣 羽田  孜君         大 蔵 大 臣 藤井 裕久君         文 部 大 臣 赤松 良子君         厚 生 大 臣 大内 啓伍君         農林水産大臣  畑 英次郎君         通商産業大臣  熊谷  弘君         運 輸 大 臣 伊藤  茂君         郵 政 大 臣 神崎 武法君         労 働 大 臣 坂口  力君         建 設 大 臣 五十嵐広三君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     佐藤 観樹君         国 務 大 臣         (内閣官房長官         )       武村 正義君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 石田幸四郎君         国 務 大 臣         (北海道開発庁          長官)         (沖縄開発庁長          官)         (国土庁長官) 上原 康助君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 中西 啓介君         国 務 大 臣         (経済企画庁長          官)     久保田真苗君         国 務 大 臣         (科学技術庁長          官)     江田 五月君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 広中和歌子君         国 務 大 臣 山花 貞夫君  出席政府委員         内閣法制局長官 大出 峻郎君         内閣法制局第三         部長      阪田 雅裕君         総務庁行政管理         局長      八木 俊道君         防衛庁参事官  高島 有終君         防衛庁教育訓練         局長      上野 治男君         防衛庁経理局長 秋山 昌廣君         防衛庁装備局長 中田 哲雄君         防衛施設庁総務         部長      草津 辰夫君         防衛施設庁施設         部長      江間 清二君         防衛施設庁労務         部長      小澤  毅君         科学技術庁原子         力安全局長   笹谷  勇君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         外務省総合外交         政策局長    柳井 俊二君         外務省欧亜局長 野村 一成君         大蔵省主計局次         長       竹島 一彦君         国税庁次長   三浦 正顯君         文部大臣官房長 吉田  茂君         郵政省放送行政 江川 晃正君         局長              自治政務次官  冬柴 鐵三君         自治大臣官房審         議官      谷合 靖夫君         自治省行政局長 吉田 弘正君         自治省行政局選         挙部長     佐野 徹治君  委員外出席者         衆議院法制局第         一部副部長   臼井 貞夫君         自治省行政局選         挙部選挙課長  松尾 徹人君         自治省行政局選         挙部管理課長  山本信一郎君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       大竹 邦実君         特別委員会第二         調査室長    田中 宗孝君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十八日  辞任         補欠選任   斉藤斗志二君     佐田玄一郎君   中川 秀直君     谷津 義男君   細田 博之君     今津  寛君   小沢 一郎君     工藤堅太郎君   岡田 克也君     船田  元君   日笠 勝之君     大口 善徳君 同日  辞任         補欠選任   今津  寛君     細田 博之君   佐田玄一郎君     斉藤斗志二君   谷津 義男君     中川 秀直君   工藤堅太郎君     土田 龍司君   船田  元君     岡田 克也君   大口 善徳君     日笠 勝之君 同日  辞任         補欠選任   土田 龍司君     小沢 一郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  第一号)  衆議院議員選挙画定審議会設置法案内閣提  出第二号)  政治資金規正法の一部を改正する法律案内閣  提出第三号)  政党助成法案内閣提出第四号)  公職選挙法の一部を改正する法律案河野洋平  君外十七名提出衆法第三号)  衆議院議員選挙画定等委員会設置法案(河  野洋平君外十七名提出衆法第四号)  政治資金規正法の一部を改正する法律案河野  洋平君外十七名提出衆法第五号)  政治腐敗を防止するための公職選挙法及び政治  資金規正法の一部を改正する法律案河野洋平  君外十七名提出衆法第六号)  政党助成法案河野洋平君外十七名提出衆法  第七号)      ――――◇―――――
  2. 石井一

    石井委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院議員選挙画定審議会設置法案政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案並びに河野洋平君外十七名提出公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院議員選挙画定等委員会設置法案政治資金規正法の一部を改正する法律案政治腐敗を防止するための公職選挙法及び政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案の各案を一括して議題といたします。  本日は、特に、内閣提出の各案について審査を行います。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀込征雄君。
  3. 堀込征雄

    堀込委員 いよいよ、国民注視の中でこの委員会が始まるわけでございますが、ぜひ今度こそ、国民期待にこたえて、委員長初め各委員皆さんの真摯な議論を通じながら、この国会でぜひ政治改革法案成立せしめていただきますように、冒頭まずお願いをしておきたいと思うわけであります。  さて、衆議院選挙が行われ、政権交代がございました。そして、これまでの日本政治システムの行き詰まりが明らかになったわけであります。  我々はこれまで、日本政治腐敗根底政官業癒着構造だとかあるいはまた族議員だとか、そうした問題に対して、選挙制度を含む抜本改革が必要だということを主張してまいりました。しかし、新政権、誕生して直面している課題は、今までどの政権も直面しなかったほど大きな転換期にあるんではないか、こう思わざるを得ないわけであります。  経済の直面している課題は、どうやら景気のレベルという問題ではなくして、戦後経済枠組み構造仕組みレベルの問題として転換が迫られている。あるいはまた、日米経済協議やガット問題など、国際経済枠組み根底からその構造枠組みが問われている。あるいはまた、冷戦後の世界的な安全保障、平和と軍縮のシステムをどうつくるかという課題も直面をしているわけでありますし、あるいはまた高齢化社会への具体的な準備をどうするか。もう本当に大きな時代転換期の中で、私ども政治はこうした課題一つ一つこたえていかなければならない、この転換をしっかり乗り切っていかなければならない、こういう状況にあるのではないかというふうに思うわけであります。  そう考えますと、私どものこの政治改革の理念は、まさにこうした時代改革の切り口、突破口としてどうしても実現をしていかなければならない命題だ、このように考えるわけでありますが、まず、この委員会のスタートに当たり、総理時代認識とこの政治改革必要性について、決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  4. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 まさに今お話がございましたように、大きな時代の変わり目にあるわけでございまして、かねて申し上げておりますように、今この内閣に課せられている大きな使命というものは、歴史的な役割というものは、政治改革行政改革経済改革と、この三つ構造改革をあくまでも推し進めていくということに尽きるであろうということを申し上げてまいりました。  なかんずく政治改革をまず推し進めることによって、国民政治に対する信頼を回復するということが、一番求められていることであると思っておりますし、そのことによって、そういう政治体制というものをつくり上げることによって、まず国民の福利の向上というものを図っていく、そしてまた国際社会の中で求められている責任というものを果たしていく、そのことが我が国にとって何よりも肝要なことではないかというふうに感じているところでございます。  また、その必要性についてというお尋ねでございましたが、これも、長い間一党支配のもとで政権交代がないという政治状況が続いてまいりました。そういう中で、よく言われるように、政官業癒着といった言葉に象徴されますように、さまざまな問題が生じてまいりましたことも今御指摘があったとおりでございまして、そういう状況というものを、冷戦構造も終結をし、また経済社会も大きく変わってきている中で、新しい状況に、経済社会状況というものに対応できるような形に変えていかなければならない、これもまさにおっしゃったとおりであろうと思います。そうした観点からもぜひ政治改革をなし遂げていくということが必要である、そのように考えております。
  5. 堀込征雄

    堀込委員 今度の法案選挙制度の問題と日本政党政治のあり得べき姿についてでありますが、並立制につきましては、海部内閣のときに提案をされ廃案の憂き目に遭ったわけでありますが、またさき国会では、民意の反映なのか統合なのか、あるいは代表機能なのか代理機能なのか統合機能なのか、熱い議論が百七時間にわたって展開をされてまいったわけであります。今回、連立政権の発足に当たって、総理官房長官政治改革政権提唱ということで二百五十、二百五十の並立制を提案され、新政権が誕生いたしたわけであります。  そこで私は、この並立制のもとにおいて、日本のあり得べき政党政治の姿といったものは将来どのようなものであるべきなのか。政権交代が可能な二大政党制が望ましいとか、あるいは総理は穏健な多党制ということもしばしば口にされておりますけれども、将来のこの日本政党政治のあり得べき姿について、総理はどのようにお考えでございましょうか。
  6. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 これはまあ最終的には国民の選択、御判断にゆだねられるべきことであると思っておりますが、これだけ価値観が多様化してきている社会でございますから、二つ政党という形になっていくのかどうか。恐らくは穏健な多党制というような、三つから五つぐらいの政権にかかわる政党ができて、つまり穏健な多党制というような形に進んでいくのではないか。それが二つ勢力になり、その勢力がまた一つ政党になっていくということもあるのかと思いますが、そのような姿になっていくのではないかという、まあ私なりの見通しを申し上げたところでございますが、今後そのような状況というものが恐らく日本議会主義、あるいは民主主義というものの発展のために私は好ましい姿ではないのかなという感じを持っているところでございます。
  7. 堀込征雄

    堀込委員 そこでこの法案並立制がこのまま通りますと、具体的に小選挙区の選挙をどう戦うのか、あるいはまた比例選挙をどう戦うのかという具体的な問題になるわけであります。  並立制という制度は、私はどう考えても、比較第一党に有利な、そういう仕組みにならざるを得ない、あるいは現にそういうことになっているというふうに思うわけであります。比例選挙もやはり小選挙区に全候補者を立てられる比較第一党といいますか、大政党に有利な本質的な仕組みを持っている、このように思うわけであります。私は、国民期待が高いこの連立政権をさらに維持発展させる、そういう立場に立ては、どうしても選挙協力という仕組みが必要だろうというふうに思うわけであります。  今度の法案では、推薦団体確認団体制度廃止をされる、こういうことでありまして、政党中心選挙制度法案として仕組まれているわけでありますから、どうしても濃密な選挙協力の姿が必要だろう、このように思いますが、これは総理、副総理、それから恐縮ですが山花大臣、お三方に簡潔にひとつ、この選挙協力の姿についてどのように考えているか、お答えをいただきたいと思います。
  8. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 さまざまな選挙協力の形というものがあるんだろうと思いますが、単なる選挙協力の域を超えて、できる限りしっかりとした提携関係を構築していくということが求められているのではないかというふうに思っております。
  9. 羽田孜

    羽田国務大臣 私ども各党基本政策、この合意のもとに今日連立政権が誕生しておるわけであります。ただ、今度そういう中にあって並立制選挙制度、これが今問われるわけでありますけれども、私ども自民党時代に、実はこの並立制を提案したことは御案内のとおりでありまして、そのときの議論では、今堀込委員の方からも御指摘のありました考え方、そういったものの中でおのずとやっぱり、何といいますか、各党がだんだんいろんなものを乗り越えながら一つ勢力をなしていくんではなかろうかということを実は申し上げてまいったわけでありまして、私ども、今度の連立政権の経験、こういったものを実際に今度の新しい選挙制度の中でどう生かしていくのかというのが我々の課題であろうと思っております。  いずれにしましても、確かにいろんな声というものを反映するということも、もちろんこれは私ども否定するものじゃありません。そして、比例というのを加味したのはまさにそれでありますけれども。ただ、問題はやっぱり、今戦後五十年、そしてこれは、国内にあってもあるいは対外的にあっても、機敏にしかも的確に対応しなければいけないということを考えたときに、できるだけ集約されてくるのがいいのじゃないのかなという思いを私が持っていることを申し上げたいと思います。
  10. 山花貞夫

    山花国務大臣 私が所属している社会党立場につきましては、今村山委員長が新しい体制のもとで努力をしているところでありますが、過日の大会におきまして、新しい並立制のもとにおける選挙については、まさにそれぞれの党の死活問題であるということから、英知を絞ってこれに取り組もうということを大会でも決定していることを承知しております。  閣僚としての立場で申し上げれば、連立政権がこれだけ国民皆さんの御期待をいただいているということに照らしまして、この政権における実績というものを国民皆さんに語るということになりますから、連立を目指すそうした合意を築いた各党間の、多彩な選挙協力というものが望ましいのではなかろうかと思っております。
  11. 堀込征雄

    堀込委員 次に、政治資金関係、特に企業団体献金の問題についてお伺いをしたいと思うわけであります。  さき国会でも、あるいは先日の本会議でも、企業団体献金を全面禁止するのかそうでないのか、あるいは政党政治資金団体のみ残すのかという議論が繰り返されてまいりました。おおむね議論は詰まっているというふうに思うわけでありますが、要は、やっぱり国民信頼される政治を打ち立てる、腐敗をなくして国民信頼を取り戻す政治の姿をつくり出すことが大事だ、このように思っているわけであります。  そこで、政治改革政権提唱のときに、実は、この政治資金透明化を図り、税額控除制度政党助成金を入れて企業団体献金廃止に踏み出す、こういうことになっていますし、この連立与党法案作成時にも、廃止意見に考慮し五年後見直す、こういうふうになっているというふうにお聞きをしていますが、この五年後見直しとは、政党政治資金団体についても廃止方向で諸条件を整備していくんだ、こういうことでよろしゅうございますか。担当大臣お願いいたします。
  12. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 堀込委員十分御承知のように、今回の法律では、企業団体献金ができる先というのは政党のみに限られて、その他の政治団体は一切、直ちに企業団体献金ができなくなるということは御承知のとおりでございます。そして、五年後の見直しの際には、その間に個人献金をなるべく、できる限り促進しようということで、現在ございます所得控除に加えて、政党に対しましては、税額控除ということで国民皆さん方の個人的な寄附をぜひいただきたいということを法案の中に盛り込んであるわけでございますが、その辺のことも含めて政党財政状況を見て、五年後、今委員指摘のように、与党の方でこの法案をつくる土台をつくりましたときには廃止意見を考慮してということがございますので、当然五年後の見直しというのは、廃止がどこまでできるだろうかという方向において見直すという考えでございます。
  13. 堀込征雄

    堀込委員 ロッキード事件以来、リクルート、佐川、金丸脱税事件、そして大手ゼネコン献金事件、本当に中央政界だけではなくして地方政界までこういう腐敗と汚職の構造が蔓延をしているという事態が明らかになりました。私ども、これ以上国民政治に対する不信を放置できないわけでありまして、我々はこの国会でどうしてもこの法案成立させなければなりません。  それで問題は、政治資金をどんなに法律で厳しくしても、あるいは罰則を強めても、法律だけではどうしようもない部分というのはあるわけでありまして、そういう意味で、私は法律成立とともに、この政治仕組み根底から変える、利益誘導型の政治を変える、こういう仕組みを変えることが大事だろうというふうに思うわけであります。  今度の法律でも、例えばパーティー収入寄附ではなくて事業収入になっている、あるいは、先日も御指摘がございましたように、政党支部をめぐっていろいろな献金のスタイルが行われるんではないかとか、もし抜け道やなんかを考えるとすればいろいろな方式を考える人が出てくるわけでありまして、そこは私はもう政治家倫理観あるいはモラルの問題だろう、こういうふうに考えるわけであります。  その点で、今回も電力・ガス業界広告費名目のそういう問題もあったわけでありまして、これはまたあした自民党さんの方へ質問をさせていただきますけれども、こうした問題をどのように解決をしていくのかということがやっぱり政治信頼を取り戻す上で私は大変重要だろう、このように思うわけであります。  政治改革政権提唱の中で、特に政官業癒着にメスを入れ、いわゆる族議員の弊害を除去するとともに、国の行財政と関係を持つ企業団体献金を断ち切る、こういうことが明瞭に書かれているわけでありますが、これはまあ現行の公選法あるいは政治資金規正法にも規定があるわけでありますが、より実効性を確保するためにこの問題についてどのような対処方針を持っておられるか、お伺いをいたします。
  14. 山花貞夫

    山花国務大臣 ただいま委員指摘のとおり、現行公職選挙法は、百九十九条が、御指摘のような国あるいは地方の自治体と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者について特定の寄附禁止規定しております。また、政治資金規正法は、二十二条の三におきまして、国から補助金負担金利子補給金その他の給付金の交付の決定を受けた会社等に対して、団体に対して寄附質的制限を行っているところであります。  こうした規定が厳しく運用されなければならないということは当然の前提としながら、ここでは一定の、極めて限定された企業団体に対する、会社に対する規制ということでありますので、今回は全体としての企業団体献金禁止政党以外の政治家個人後援会等に対しても及ぼした次第でございまして、まずそこまで一歩踏み出したというのが現状でございます。その上で、今自治大臣お答えのとおり、五年後にまた見直したいと、こう思っているところでございます。
  15. 堀込征雄

    堀込委員 ぜひひとつ、さまざまな課題がありますが、委員各位の全体の御努力によってこの法案成立せしめるようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
  16. 石井一

  17. 船田元

    船田委員 新生党を代表する形で、政府提出政治改革関連法案に対しまして若干の質問を行いたいと思います。  思い起こしますと、さき宮澤内閣では、私は六月までそちらに座っておりまして、国務大臣を務めておりましたが、当時、政治改革法案自民党からも出され、そして社会党、公明党からも出されたわけでありますが、その最終段階に至りまして政治改革が結果としてなし得なかった、このことに抗議をする形で大臣辞任せざるを得なかったわけであります。それが解散・総選挙につながり、そして政権交代へとつながったというふうに認識をしております。現在の細川内閣の七割にも達する内閣支持率の高さを見るにつけまして、私どものあのときの行動は決して間違ってなかったんだな、そういう思いを今強くいたしております。  また、この政権交代を実現したのは、まさに政治改革断行を初めとして、閉塞状況にありました政治状況に変化を求めたい、変化しなければいけない、そういう国民声そのものが今日の状況をつくり出した、このように私は信じております。しかし、だからこそ私たちには、このような国民の大きな期待にこたえて、できる限り連立政権を安定的に維持しながら、政治改革を初め諸課題を着実に解決していく、そういう重大な責務を我々はみんな負っているんだ、こういう自覚でやっていかなければいけない、そう思っております。  そこで、細川総理は就任直後の記者会見で、年内に政治改革関連法案成立をしなければ政治責任をとると国民にみずからの決意を表明されたことがございました。総理には私の質問の最後にその辺も含めてお気持ちを伺うつもりでございますが、その前に、まず山花政治改革担当大臣、それから石田国務大臣大内厚生大臣、そして江田国務大臣、四人の大臣の方々に、それぞれ党を代表して、この政治改革断行について現在どのような決意をお持ちであるか、それぞれ簡潔にお述べいただきたい、このように思っております。
  18. 山花貞夫

    山花国務大臣 お話ありました、委員初め皆様の政治決断を受けた後、不信任案可決、解散・総選挙。解散・総選挙に際して私たちは、五党が集まりまして、政治改革断行することを中心とした合意をつくりました。そして選挙に臨んだところであります。政治改革断行することは国民の皆様に対する選挙に臨んでの公約でありました。また同時に、そのことを受けてのその後の経過については御承知のとおりでございまして、今回の細川政権政治改革政権として国民皆さんから期待を受けているということの責任を重く受けとめているところでございます。  何よりも最優先の課題として、細川総理のリーダーシップのもとに年内実現目指して最大限の努力を尽くしたい、このように決意をしております。
  19. 石田幸四郎

    石田国務大臣 お答えをいたします。  ただいま御指摘がありましたように、細川政権への国民の支持の高さというのは、やはり私は、政治改革をぜひ断行してもらいたいという意味合いが大きく含まれているというふうに思うわけでございます。また、前国会の終盤の状況を見ましても、あのような混乱が起きましたが、しかしそれだけに、新しい政権ができて、この政治改革断行しなければならないという責任は極めて重大である、こういうふうに思っております。細川政権の最大の命題だ、このように思っておりますので、各位の御審議の御協力を得まして、断じてこれを成立させたい、このように心から願っているところでございます。
  20. 大内啓伍

    大内国務大臣 お答えいたします。  今御指摘のように、政治改革国民の最も強い政権に対する要請である、こう思っております。したがいまして、例えば比例並立制といったような選挙制度は、私どもの党から申し上げますと、非常に厳しい、苦しい選択であったのでございます。しかし、にもかかわりませず、これをあえてやろうと決意したゆえんは、国民が真剣に政治改革というものを求めている、そのときに自分の党だけの損得の問題でこの問題を議論してはいかぬ、やはりこれは、本当に政府も国会も一体になって、これを結果として生み出すということが国民政治に対する信頼を回復する道である、そう決意した次第でございまして、したがって私どもといたしましては、異常な決意を持ってこれを実現するために努力をさせていただきたい、こう思っております。
  21. 江田五月

    江田国務大臣 この数年、とりわけこの一、二年でしょうか、我が国の政治の停滞、そして腐敗、これはもう著しい、目に余るものになっていたと思うのですね。難問山積、世界の大きな転換期なのに、日本政治がそういうことを議論できない状態にある。そこでもう政治改革というのは、本当に国民的な課題であり、待ったなしのことになっていたと思うのです。したがって、前の通常国会で、政府からも案が出る、野党も案を出す、大いに議論をいたしましたが、結局これが挫折をする。これがこの宮澤内閣の……(発言する者あり)そうですね、自民党の方から出して、野党の方からも出して、宮澤内閣の不信任案につながって、それで今回の解散・総選挙政権交代、こうつながってきたわけです。したがって、私は、もうこれは、国民政治改革をやれ、それができないことに対する怒り、これが今回の細川内閣をつくったものだと思っております。  私ども政党、小さな政党で、政治改革の中で自分たちの政党自体はどうなっていくかわからない、そういうことになっているわけですが、もうそれぞれの政党の運命を考えるより先に、国の政治のことを考えなきゃならぬ。そういう意味ではどうしてもこの政治改革はこの国会でやり遂げなきゃならぬと思っております。
  22. 船田元

    船田委員 それぞれ各党を代表するお立場で、政治改革にかける大変強い御決意を今御披瀝いただきました。私としても大変心強く思った次第でございます。  さて、そこで改めて細川連立政権の使命ということについて考えますと、もちろん今のこの政治改革断行するということは、確かにこれは第一の大きな目的であります。しかし同時に、単に政治改革だけをやればいいということでもないと思っております。例えば、これから早急に行政、財政の改革や産業構造の改革など、いわゆる社会システムの抜本的な改革を実現する、そういうことでなければ、我が国は、現在の不況からの脱出はおろか、今日の豊かな我が国の社会を未来にわたって継続していくということも無理ではないかというふうに切実に考えています。  また、その中でも、特に税制の問題につきましては、直間比率の見直しなど、現在国民の間でいろいろと議論があります。また一方で、今回の政治改革法案の中では、これは政府の提出のものもあるいは自民党提出のものにもありますけれども政党への公的助成という新しい制度が導入をされます。これは、国民の皆様からの貴重な税金を政治に活用させていただく、こういうものであります。そうであればこそ、なおさら税の負担の公平性の確保、これは極めてこの内閣にとりましても重要な課題であるというふうに思います。例えば、企業への特別措置、宗教法人、学校法人などの公益法人や医師等に対する優遇措置、さらにはマスコミヘの配慮など、税のあり方にはさまざまな問題が指摘をされております。  そこで、行財政改革の総責任者として石田総務庁長官にお尋ねをいたしますが、あなたは公明党の党首でもあられます。公明党と創価学会は、政党とその支持団体という関係にございますが、創価学会は言うまでもなく宗教法人であります。一部のマスコミからは、政教分離が徹底していないとか創価学会の影響力についていろいろな指摘がなされております。  総務庁長官に、公明党の代表ということでお尋ねをいたしますけれども、宗教法人の課税のあり方を含め、税制の抜本改革をどのように進めていかれるのか、これが第一。第二は、そういうことも含めた行財政の抜本的な改革についていかなる御決意で臨まれるのか。この二点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  23. 石田幸四郎

    石田国務大臣 お答えをいたします。  税の問題については、所管は大蔵大臣でいらっしゃるわけでございますが、御指名でございますので、私の考え方を申し上げたいと存じます。  やはり税の負担の公平というのが、私は税制の傘ともいうべき大事なポイントであろうと思うわけでございます。その考え方の上に立って、税制全体の見直しが推進をされるべきではないかと存じます。宗教法人のお話も出ましたけれども、宗教法人もその例外ではない、このように存ずる次第でございます。  また、行財政をどういうふうなことで進めていくのかというお話でございますが、この問題についても、先ほどお話がございました、細川政権の最大の命題は政治改革である、その政治改革と並んで、この行政改革というものは今進めなければならない緊急の課題である、このように承知をいたしておるところでございます。さきに緊急緩和も発表いたしましたけれども、さらにまた第三次行革審の答申等も出てくるわけでございますので、まさにこれは不退転の決意で行財政の改革を進めていかなければならない問題だ、このように決意をいたしているところでございます。
  24. 船田元

    船田委員 率直なところをお聞かせいただきまして、ありがとうございました。  最後に、細川総理への御質問で締めくくりたいと思います。  先ほど来、各党を代表される立場から、政治改革、まさに不退転である、こういうことでの強い御決意がございました。また、石田総務庁長官から、とりわけ行財政の改革ということも、これもあわせて内閣の大きな課題として積極的に取り組んでいきたい、こういうお話がございました。それに対する総理の現在の御心境につきましてまずお伺いをしたい、それが第一点であります。  第二点は、これはやや法案の中身に入りますけれどもさきの通常国会自民党提出をした単純小選挙区制の案と、それから社会党、公明党両党が提出をした小選挙比例代表併用制の案、この両方のエッセンスを取り込んだというのが実は今回の政府案の内容であると私は理解をしております。ですから、従来より多くの皆様の賛同を得られる内容に今回の政府案はなっている、このように私は理解をしております。  これに対しまして、今回自民党から提出されております案は、海部内閣時代提出した内容を残念ながら一歩も踏み出していない、このように考えるわけでありますが、特に、この選挙制度の内容につきまして細川総理の御所見を伺いたいと思います。
  25. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 政治改革法案にかける決意につきましては、再々申し上げておりますように、何としてもこの国会で四法案一括して成立をさせていただきたい、こういうことを申し上げておりますわけで、このことが、今日の我が国が抱えているさまざまな構造改革を進めていく上で不可欠のことである、そういう観点からも、ぜひ成立をさせていただくように、また政府としても全力を挙げて取り組んでまいりたい、そういう決意でございます。  第二点のお尋ねにつきましては、自民党案についてどう思うか、また政府案についてどう考えているかという、恐らくそういうことであろうかと思いますが、さき海部内閣のときに出されました政府案に比べまして、確かに、今おっしゃいましたように、一票制の問題、あるいはまた都道府県単位になっているといったようなこと、そうした点で、自民党の皆様方から怒られるかもしれませんが、私も多少足踏み状態であるかなという感じはいたしますが、政府案につきましては、選挙制度審議会の答申、あるいはまたその後の海部内閣におきまして提出されました法案、その後の国会における御論議、そうしたものを踏まえて政府案として出させていただきました、その流れを踏まえての、それなりの重みを持ったものであるというふうに考えているところでございます。
  26. 船田元

    船田委員 率直なお考えをお示しいただきまして、ありがとうございました。  細川内閣の誕生、これはまさに時代の必然的な流れではなかったか、こう私は思います。とするならば、政治改革はまさにこれは時代の要請である、こういうふうに私は考えています。  私たちは、この時代の流れとか時代の要請というのをしっかりと踏まえまして、時計の針を決して逆戻りさせてはいけない、こういうふうに思っています。そのためにも、細川総理を初め閣僚の皆様の一層の御奮起を期待申し上げますと同時に、我々も、連立与党を支える一員として、政治改革の実現に全力で取り組みたい、この決意をまた新たにしたわけでございます。  以上をもちまして、私の質問を終わりにいたします。
  27. 石井一

    石井委員長 次に、太田昭宏君。
  28. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 公明党の太田昭宏でございます。よろしくお願いします。  時間も限られておりますので、率直に申し上げたいと思います。  今回の政治改革は、本格的な選挙制度改革ということでは戦後初めてのことでございますし、また、ロッキードがあり、リクルートがあり、共和があり、金丸脱税事件がある、そしてさらに、またしてもゼネコンの汚職があるということで、国民は大変な不信感に陥っているわけでございます。  その中での細川内閣の、高い支持率をいただいているわけでありますけれども、この新政権ならば必ず政治改革をなし遂げてくれるであろう、こういう国民期待のあらわれであろうというふうに考えておりますが、改めて総理の、政治改革法案、特に、決意とともに、四法案一括ということが、政治腐敗だけ先にやろうというようなことにならないように、より深い改革をする意味でも四法案一括ということも含めての、重ねての総理決意をお伺いしたいと思います。
  29. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 決意については再三申し上げているとおりでございまして、何としても国民政治に対する信頼を回復する、そして内外の諸課題に機動的に的確に対応していくためにも、何としてもこの国会成立をさせていただきたい、このように願っているところでございます。  一括して成立をさせるべきではないかこういうお尋ねでございましたが、全くそのとおりでございまして、その中の一つだけどれか抜けるというようなことになりますと、それは画竜点睛を欠くことになることになろう。やはりこれは、四法案が一括して初めて政治を改革していく上で効果があるわけでございますから、ぜひともこれは一括してお願いを申し上げたい、こう思っております。
  30. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 さて、並立制の問題でございますが、前国会におきまして、自民党は小選挙区制、そして社会党、公明党として比例代表ということを根底にしました併用制というのを提起したわけでございますが、今回提案されたこの並立制ということについて、ともすると、小選挙区制とそして併用制、いわゆる比例代表制との妥協案のように、こんな受け取り方があろうかと思います。並立制の顔をいま一つ鮮明に出すということが私は必要だと思いますが、考えてみますと、第八次選挙制度審議会という中では、最初からベストの案としてこの並立制を出しているわけでございます。  まず特に、民意の反映ということが大事かと思いますけれども、あらゆる選挙制度の基本は民意の反映ということなんですが、この並立制は、小選挙区制で政権を選んで、そして比例代表で民意を反映するという説明が一般的になされているわけでありますが、私は、民意の反映ということからいっても、比例代表ということだけで民意が反映されているということではなくて、必ずしも民意の反映というのは鏡を映すように全部一緒であるということではなくて、小選挙区制の部分という中におきましても、やはり政権の担い手を選ぶという民意というものが反映されている。ともにこの二つの民意というもの、つまり、政権の担い手を選ぶという民意と、そしてもう少し多様な民意というものを反映する比例制度という、ともに民意の反映というものを土台にした上、基本にした上で、この衆議院選挙というものが政権の担い手を選ぶ選挙に変わるということが私は非常に大事なことであろうというふうに思っております。つまり、衆議院選挙は、民意の反映を基本として、そして政権の担い手を選ぶ選挙に変わるんだということを私鮮明にすべきだと思いますが、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  31. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 先ほど船田委員からも御指摘があったのでございますけれども、ことしの四月から百七時間かけて当政治改革特別委員会でさんざん議論した問題は、大きく言って私は二つだったと思うのであります。一つは、政治資金のあり方、企業団体献金のあり方をどうすべきかという問題。もう一つは、今御指摘のように、自民党さんの方の案は、衆議院の選挙というのは政権の選択、国民政権の選択、いわば民意の集約がこの小選挙区五百という、こういう考え方だったわけであります。それに対しまして社公案の場合には、まず前提といたしまして民意の反映、多様な民意の反映というもの、これが優先されるべきではないかという二つ意見が結局、もう途中抜きますけれども、成り立たず、成立せず、解散・総選挙にいったことはもう御承知のとおりでございます。  そこで、今総理からもお話がございましたように、こういった貴重な国会におきます議論というものを踏まえまして、フィフティー・フィフティーに、二百五十、二百五十のこの並立制にいたしましたのは、一つは民意の集約あるいは国民政権の選択ということの考え方、これも一つの民意の反映でございます。一方、多様な民意というものも比例代表の方で入れていこうという、こういういい点を二つあわせ持ったのが私たちがベストと申しておりますこの並立制だ、こういうふうに私たちは国民皆さん方にお訴えをし、御理解をいただきたいということでございます。
  32. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今佐藤大臣から申し上げたとおりでございますが、並立制は申すまでもなく民意の反映と集約ということでございますが、政権選択も民意の反映の一つのあり方であろう、このように私も思っております。
  33. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 もう一つ政党・政策本位の選挙戦ということがこの並立制によってなされるというわけなんですが、私は、制度というものですべてそういうものになるのではなくて、ソフト面といいますか、そういう点でのこちらの構えというものが非常に大事だと思います。  時々耳にし、また危惧していることなんですが、小選挙区制部分において例えば多くの候補が林立をするという場合に、二〇%とか三〇%の得票率で当選するという場合が当然出るわけですが、かなり低いラインで、得票率で当選するという場合は、かなりこの点で集中豪雨的なサービス合戦といいますか、そういうものが可能になるというようなことになりかねない、こんな危惧も指摘されているわけでございます。  私は、並立制というものの制度を生かすためにも、サービス合戦ではなくて、こちらの政党政治家の構えとして政策合戦、政権構想合戦、あるいはまたよく顔が見える選挙、こう言えるわけなんですが、政策の顔、政党の顔、そして政権構想の顔という三つの顔が見えるような選挙戦というものを政党政治家として心がけていくという中にこの並立制というものがより機能を発揮する、このように考えるわけなんですが、総理のお考えをお伺いしたいと思います。
  34. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 中選挙区制のもとにおきましては、おっしゃるようになかなか政策論争というものが行われにくくて、同士打ちになりゃすい、サービス合戦が行き過ぎる、もっと言えば利益誘導型の選挙になりがちであるというようなことで、どうしてもそれをもっと政策本位の、あるいは政党の顔が見える、あるいは政権構想というもののイメージというものが出てくるような、そうした選挙に変えていくためにはやはり並立制というものが望ましいということで、今までの国会での御論議なども踏まえまして、政府案として並立制という形で出させていただいているということでございます。
  35. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 次に、衆議院選挙政党・政策本位の選挙戦になる、大切なのは、そこで政党政党との分け目といいますか、対立軸というのが一体何になるかということは、これからの政界再編とかさまざまなことが言われておりますけれども、そういった中で非常に大事なことであろうと思います。  イギリスの二大政党というのは、労働者階級と資本家階級というような社会的基盤の上に成り立っているわけでありますし、アメリカでも、北部の工業地帯、そして南部の農村地帯というように、南北というものが社会的基盤としてあった上で二大政党ということがあるわけなんですが、日本の場合は、イデオロギー対立というものが私はもうなくなってきたと思います。ラジカルな深い対立軸というものがなくなってきて、それでは一体何が現在においての対立軸であるのかという問題が出てくるのですが、中央集権か地方分権か、あるいは成長優位か環境優先であるのか、あるいは一国平和主義か国際貢献ということでとるのか、あるいは大きい政府か小さい政府がというような、あるいはもっと言えば、時代に敏感であるのか鈍感であるのかというようなこともまた大事な分け目ではないかというふうに思いますが、まさにこの対立軸というものが、イデオロギー対立てはなくて、経済とか生活というようなソフト面での対立軸になってくるというのが時代の趨勢だと思います。  私は、今この直面する課題に当たっての一番大事な対立軸は、やはり腐敗をなくすかどうかということが、残念ながら、今もなお日本の一番大事な対立軸ではないかというふうに思っております。そういうことからいいますと、この改革を持続するのか、そして改革か非改革か、改革を徹底してやっていく政権であるかどうかということが一番大事な私は対立軸になる、このように考えております。政治改革政権、こう自認する細川政権が持続的に、この四法案成立させるとともに、政治家の倫理とか国会改革とか参議院改革、行政改革地方分権、さまざまな改革を持続してやっていくということが、私非常に大事だと思います。その辺の姿勢を総理からお伺いしたいと思います。
  36. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 まさにおっしゃるとおりだと思います。私も全く同感でございます。  政治倫理について徹底的にそれをしっかりと矜持をしていく、これはもう最も基本的なことだと思いますし、政治改革を進めていく、それに積極的であるかあるいは消極的であるか、そのことが、おっしゃるように、国民のサイドから見て、一つの軸であるということもおっしゃるとおりだというふうに認識をしております。
  37. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 持続的な改革ということが大事だという御答弁をいただいたわけでありますけれども、持続的改革の中で、今私は国会改革ということを申し上げたわけなんですが、私は今回当選した一年生議員なんですが、あの何か仰々しい議員バッジとかあるいはまた衛視の方がこう私たちが通ると敬礼をするとかあるいはまた先生、先生と呼ばれるというような、非常に簡単な、卑近な例でございますけれども、そういうようなこと自体を私変えていった方がいいんではないかというふうに実は思っております。議員バッジの廃止とか、総理もつけたりつけなかったり、私もきょうは一応づけてきているんですが、衛視の方の議員への敬礼であるとかあるいは先生と呼ぶというようなことは私たち議員のよき慣習としてやめていくというような、そういう方向に持っていったらどうかと思いますが、いかがでしょうか。石田総務庁長官、私の先輩に当たるわけなんですが、石田さんということでどうでしょう。
  38. 石田幸四郎

    石田国務大臣 お答えをいたします。  卑近な例を引かれての国会改革論議をされていらっしゃるわけでございますが、私も外国へ参りまして幾つかの議会を見さしていただきましたけれども、やはり議員バッジをつけていない国の方が多いというような印象を受けております。また、そういうところへ入りましても、衛視の人は別に敬礼するわけでも何でもございません。ただ起立する。また、議員の場合は、日本ではバッジでございますけれども、向こうはネームプレートをつけているわけで、あの方が合理的かな、こういうふうに思うわけでございまして、これも国会の皆様方の御意見が集約されれば、そういう方向に行くのが望ましいのではないかと思います。
  39. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 武村官房長官、武村さんということでいかがでしょうか。
  40. 武村正義

    ○武村国務大臣 石田長官と全く同感でございます。バッジは院内だけに限っておりますが、何の不自由も御批判もないと私は実感をしておりますし、ぜひそういう運動をお進めをいただけたらというふうに思っております。
  41. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 役職で呼ぶというようなことは、総理とか官房長官とかそういうことは私はいいかと思いますが、細川総理細川さんというような言い方とか、今申し上げた三つのことについてお考えをお聞きしたいと思います。
  42. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 国会の慣行の中にはいいものもあるだろうと思います。引き継いでいくべきものもたくさんございますし、また、おっしゃるように、改めていった方がいいようなものもそれはあるかもしれません。そうしたものについては、これはまさに国会マターでございますから、国会の方で大いに御論議をいただいて、改めるべきところは改めていっていただいたら大変結構なのではないか、そのように思っております。
  43. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 結構なことではないかということは、いいということを言われたんではないかと思いますが、その国会改革というのが、今与党で論議をして、白熱した生き生きとした討論のできるような国会にしなくてはならない、また、開かれた、テレビ等も導入して開かれた国会にすべきである、あるいは副大臣の任命とか、今さまざまな論議をしているわけでありますが、総理として、国会法改正への積極的な姿勢ということにつきましてのお考えをいただきたいと思います。
  44. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 政治改革とともに、国会の改革というものも、わかりやすい政治というものを実現していく上で、あるいは国民から信頼される政治を実現していくという観点から考えて、大変大事なことだと思っております。  これもまさに国会で御論議をいただく重要なテーマだと思いますし、政治改革の実現とあわせて、ぜひこの点につきましても今後国会で御論議をいただけるなら大変結構なことだという認識でございます。
  45. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 さらに、政治家のモラルの問題についてお聞きしたいと思いますが、いつも汚職のたびに政治家のモラルということが指摘をされているわけでございます。  これは、単に制度ということでなくて、モラルの問題、非常に大事ですけれども、私は、アメリカやドイツ等を見ると、単に司法、行政にすべてをゆだねるのではなくて、議員、議会がみずからやっている、議員集団がやっているということが非常に大事なことだと思います。そういう意味で、国会として、議会としての政治倫理審査会の抜本改正等について、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  46. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 政治倫理審査会につきましては、昨年十二月まで頑張りました政治改革協議会でいろいろな議論をしてまいりました。  基本的には、議会の中で各党議論していただくことだと思いますが、その際に、例えば議院証言法を使った証人喚問をするようにすべきではないかとか、あるいは議員の辞職勧告もできるようにすべきではないかとか、常任委員会にすべきではないかとか、いろいろ議論がまだ残っておりますので、これはひとつ議会の方でいろいろ、今太田委員の御指摘も踏まえて、なお一層議論を深めていただくべき課題ではないかというふうに思っております。
  47. 太田昭宏

    ○太田(昭)委員 以上で終わります。
  48. 石井一

    石井委員長 次に、簗瀬進君。
  49. 簗瀬進

    ○簗瀬委員 まず冒頭に、今回のテレビ朝日の問題について、一言意見を言わせていただきたいと思います。  今回の報道が、恣意的な取材意図のもとに行われたといたしましたら大変遺憾であります。ただし、元来マスコミは国民の知る権利に奉仕すべき義務を有します。また、政治家は基本的にマスコミの知る権利に協力する義務を負っているということも、私たちは忘れてはならないと思っております。そして、今回、私もまたこのマスコミの知る権利に誠実に対処をしてきたことをここで一言触れさせていただきたいと思います。  テレビによって当選をさせてくれたというふうなお話もありますけれども、今回の選挙結果は、国民政治を変えてもらいたいという大変多くの熱意によるものであり、また私自身の当選も熱意ある有権者の支援のたまものでありまして、テレビの影響のみではないということをここでお話をさせていただきたいと思う次第であります。  さて、半年前にここで宮澤総理に私は質問をさせていただきました。そして、その質問の末尾につけ加えさせていただきました。当時、カンボジアでボランティアの中田君が亡くなりました。政治家選挙に落ちても死ぬわけではない、我々の当落のそういう個人的な利害を超えて政治改革を絶対になし遂げてほしい、このようなことを私は要望を申し上げました。私の行動は、今も変わらずその信念に忠実に従おうとするものであることをここで申し上げたいと思います。  さて、私は、日本政治の将来像といたしまして、今後いわゆる政治家サイドのための政治改革ではなく、国民のための政治改革であらんとするために二つのポイントがあると思います。  第一番目は、まず、まだまだ残念ながら日本政党政治は未成熟であるということであります。  自民党型の今までの政治、どぶ板と言われ、場合によっては選挙が単なる白紙委任状の取りつけのような形になってしまったということを反省しなければならない。また、従来の野党は野党で、自己のアイデンティティーといいますか、独自性を強調するために、過度の観念的イデオロギーを強調する結果になった。この保革の対立のはざまで、国民に対して本来考えてほしい重要な論点というようなものが伝わらなくなってしまったということを反省しなければなりません。こういう日本政党政治の未成熟さをさらに成熟させていくためにも、どうしても政策中心、政党中心政治が必要でありますのでありますから、言うならば日本政治のゾルレン、今後あるべき姿、それからいって、私は小選挙制度は絶対必要だと思っております。  しかし、小選挙制度だけでは実は日本社会の実態と大変そぐわない部分が出てくるわけであります。例えば、先ほど太田議員もお触れになりました。本来、日本社会はその底においては同質であります。そして、表面においてはこれからの新しい時代の激変に応じまして大変多様なひびが入ってくる。このような二重構造を私は持っているんではないかな。その底の方にある同質性を二つ政党で真っ二つに切ってしまうといった、そういうことには絶対に無理が出てまいります。また、表面に入ってくる、例えば先ほどお触れになりました環境の問題あるいは経済の激変の問題、このような多様なひび割れを吸収するためにも、二大政党制というようなものは若干のストレスというようなものを社会に余計強調してしまうのではないかな。だから、その部分を解消するためには、やはりこれは比例は絶対必要だ。言うならば、日本社会のサインの部分から比例が出てくる、このような理解を私はさせていただきました。  小選挙区のモメントと比例のモメント、これを同じようにこれからの、将来の政治像を描く上において重視していかなければならないと思っておるわけでありますが、総理の御所見をまずお伺いさせてください。
  50. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 全くおっしゃったことに私も同感でございます。  政策を中心にして、また政党本位で選挙を争っていくということが非常に大事なことだと思っておりますし、小選挙区によって民意の集約を図っていく、政権選択の意思というものがそこで明確に示されるということと、比例代表の選挙によって民意の反映がなされる、相互にそれが補完的に補い合って、今回政府案として出させていただきました法案につきましても、私は、今までの御議論の経過を踏まえて収れんされてでき上がってきたものでございますが、そのように私ども認識をいたしておりますが、現実的でわかりやすいものではないかというふうに思っているところでございます。  この選挙制度の実現によりまして、内外の課題に的確に対応していくことが可能になっていくであろう、そのように願っているところでございます。
  51. 簗瀬進

    ○簗瀬委員 小選挙区と比例が入ってまいりますと、必ず多党制的に私はなっていくものと思っております。そこで、二大政党制については三つの神話があるのではないかということについて、総理の御所見をお聞きしたいと思います。  まず第一番目、二大政党制民主主義の理念型である、理想である、このような漠然とした神話があるような感じがいたします。  これは単に二大政党制民主主義の発祥の地であるイギリスで生まれたという、そのことからのみの根拠でありまして、実際は世界には大変多様な民主主義の姿があると思います。現にヨーロッパでは、それぞれの国にそれぞれの姿の政治が生み出されておるわけでありまして、そういう意味で、発祥の地がイギリスであって、だからこそ民主主義の理想は二大政党制であるという、一概にそう考えてしまうのは私は問題であるのではないかな、これが第一点であります。  また第二点として、二大政党制が今後の趨勢であるという見方がございますけれども、実際、ヨーロッパの十五カ国、あるいはアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、これらの十九カ国を調べてみますと、純粋な意味では、二大政党制というのはアメリカとイギリスとニュージーランドのたった三カ国しかない。言うならば、十九分の三というのがこの状況でありまして、決して二大政党制は歴史の趨勢ではないのではないかという感じがいたします。  現に、その本家本元であるイギリスでは、最近、社会党と自由民主党を足して二で割ったような社会自由民主党、こういう政党が生まれておりまして、これが二十議席を持っております。アメリカでも、御承知のぺロー現象が生まれておりまして、二大政党制を変質させよう、これが定着をしていくのではないかという観測が行われておりますので、決して歴史の趨勢として二大政党制があるのではない、このように考えられるのではないか。  また三番目に、二大政党制政権交代を可能にするというお話もございます。しかし、これもまた私は一つの神話ではないかと思っております。例えばイギリスでは、一九七九年以来保守政権がずっと続いております。労働党に変わるかと思ったらやはり保守党であった。言うならば、イギリスの二大政党制は一党優位制に変化してしまったのではないかという観測、意見も出ているわけであります。  このように私は、二大政党制についての国民の神話といいますか、これを改めて、新しい政治の姿というようなものをぜひとも総理に切り開いていただきたいと思うわけでありますが、このような考え方について、総理の御所見をお伺いいたします。
  52. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今お話がございましたように、アングロサクソン型の二大政党というような考え方も一つ考え方でございましょうし、それはそれで長い政治的な歴史の中で培われて定着をしてきたものであると思っております。また、ヨーロッパ大陸型の多党制というものも、これもまた一つ考え方であろう。  要は、民主主義というものには多様な形態があるんだということを、お互いにそれぞれ認め合っていくということに尽きるのではないかと思いますが、そういう中で、我が国においては、ぜひこのような経済社会のもとで、それにふさわしい新しい制度というものを打ち立てて、内外の諸問題に的確に対応していけるような状況というものをつくり出していけるかどうか、そういう意味でも、大変これは壮大な実験である、実験と言うといけないのかもしれませんが、壮大な試みであるというふうに私は思っております。
  53. 簗瀬進

    ○簗瀬委員 そして、もう一つここでお尋ねをしなければならないのは、いわゆる連立政権というものについての考え方であります。連立政権が過渡的な存在、仮の姿、あるいは恒久的な姿、原則と考えるか、いろいろな議論が既に出ております。  そこで、ヨーロッパの実態を調べてみますと、例えばヨーロッパに十五カ国、イギリスを初めとする民主主義の先輩の国があるわけでありますが、この中で、連立政権の国は十一カ国であります。すなわち、連立政権は十五分の十一の比率をヨーロッパで占めているということでありまして、例えばスウェーデン、デンマーク、フィンランド、スイス、イタリアは四党連立てあります。あるいはドイツでありますが、いわゆるキリスト教民主同盟とキリスト教社会同盟、CDUとCSUというようなものをそれぞれ別のものとして考えますと、これは三党連立になります。それから、フランスとかベルギーとかオランダ等、これは二党連立の国であります。むしろそういう意味では、連立政権はこれからの多数派なのではないかなというふうなことが一つあるわけであります。  第二番目は、連立政権、不安定だという、これも一種の私は神話だと思うのでありますが、調べてみますと、単独政権でずっと来ておりますイギリスの場合は、四年間の任期を持っているわけでありますけれども、戦後、その任期の達成度合いというのは五七%という、半分ちょっと過ぎてからすぐ交代をしてしまうという、そういう傾向を持っておるようであります。それに比較をいたしますと、例えばスウェーデンでは任期をほぼ一〇〇%満了してしまう。ドイツも六〇%である。ノルウェー、これは七〇%である。このようなことを考えてみますと、むしろ連合政権というようなものの方が安定度が高いのではないか、こういう感じもいたします。  さらに、連合政権の長所というものもありまして、これは、むしろ政策形成の透明度が高い。違いがあるのが当然である、そして違いがあるのが、いわゆる入り口において違っていたものが、出口においては一致されるというふうなことで、違いと一致というようなものが大変国民の目に明らかになってくる。むしろそこにこそ国民信頼というようなものがふえてくるのではないか。さらに、連立てありますから、いろいろな政党がそこに入ってまいります。という形になりますと、有権者の感受性というようなものが非常に強く反映される形になってくるわけであります。  以上、連合政権の実態と長所を挙げさせていただきましたが、これについて総理は、新しい時代政治スタイルをぜひとも打ち立てていただきたいと思うわけであります。その点についての総理の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。
  54. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 政権にかかわる可能性のある政党が、まあ三つから五つぐらいの、穏健な多党制というものに収れんしていくのではないかということを見通しとして申し上げたところでございますが、そういう状況というものが生まれてきた中で、基軸になる政党というものが、今お話の中にもございましたような、基軸になる政党というものがその中にできてくる、あるいはまたそれが、何回か既に申し上げておりますが、二つ政治勢力になっていくといったようなこともございましょうし、その一つ勢力政党にさらに発展をしていくということもあるのではないか。いろいろなケースが考えられるのではないかというふうに思っております。  いずれにしても、今回の選挙制度の改革によりまして、今までよりもより成熟した政党の姿というものができ上がってくるのではないかというふうに私は認識をしているところでございます。
  55. 簗瀬進

    ○簗瀬委員 最後に、戸別訪問についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、欧米諸国における戸別訪問規制の実態がどのようになっているのか、総理の知り得る限りでお話をいただければと思いますが、その上で、戸別訪問、もうそろそろ解禁すべきである、まさに規制緩和を、ここにおいてしょっぱなにやっていただきたい、このように思うわけであります。  私は常々思っておりますが、戸別訪問を禁止しているという日本のこの規制のあり方は、まさに愚民思想に通じているのではないかなと思います。日本国民は、人が訪れてきて、ドアがばたっと閉まったところでは、必ず票をやりとり、買い取りをしてしまうという、それを前提にしている、それがこの戸別訪問禁止の根本の思想ではないかな。これほど国民を愚弄視し、ばかにしている法律は、私はないのではないかな。今のような、大変国民の知的レベルが上がり、判断力が大変に高まっている、そういう時代にあって、戸別訪問というようなものは、まさにその時代の流れに逆行するものではないかと思っております。  そして、小選挙制度を、自民党そして私どももこれを入れていこうということで今法改正をしているわけでありますが、例えばジェフリー・アーチャーのダウニング街一〇というあの小説がございます。あの小説を読んでいただければ、大変生き生きとした、戸別訪問の中でイギリスの政策形成が行われているという状況が浮かび上がってまいります。  私は、その本を読んだときに、まさに小選挙区制は、戸別訪問がその運動の形としてつけ加わって初めて生き生きと機能するのではないかな。政策中心、政党中心といいますが、では政策中心、政党中心のその政治の情報をどういう形で伝達するのでありましょうか。その伝達の最も的確な方法が、一人一人運動員が各戸をお訪ねし、そしてお話をしていくという、最も丁寧な、そういうことでなされるのではないかなと私は確信をいたしております。  一部の組織を持っているところが一人勝ちをする、このようにおっしゃられるのであるならば、その点は自分たちも対抗して頑張ればいいわけでありますし、また、プライバシーを侵害するというようなことも言われておりますけれども、プライバシーを侵害してはかりいるような運動をやっていれば、最終的には票を失うということで自分のところにそのマイナスがかぶってくるわけでありますから、やがてそれは避けるようになるわけであります。  このように考えますと、私は、絶対にこれは戸別訪問を解禁するということで生き生きとした日本政治というようなものをつくっていただきたいと思うわけでありますが、総理の御所見をお伺いいたします。
  56. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 御指摘がありましたように、今までは戸別訪問による煩わしさであるとか、あるいはまたそこで買収が行われるのではないかとか、そういう懸念があって戸別訪問を禁止をしてきたわけでございますが、お話の中にもございましたように、欧米の諸国におきましては戸別訪問を禁じているところはたしかなかったと承知をいたしております。  今回は、政党本位の選挙をやっていこうということで、制裁の強化、あるいは罰則の強化、あるいは腐敗防止策の強化、さまざまなことをこの法案の中にも盛り込んでいるところでございますし、そういう意味で、戸別訪問というものは、できる限り政策を有権者に訴えていくという手段としても私は大変重要なポイントだと思っておりますし、御指摘のように思い切って解禁をしていくべきである、そのように認識をしているところでございます。
  57. 簗瀬進

    ○簗瀬委員 細川総理の手でぜひとも政治改革、成就されんことを心から御期待申し上げまして、私の質問を終わりにさせていただきます。  ありがとうございました。
  58. 石井一

    石井委員長 次に、柳田稔君。
  59. 柳田稔

    ○柳田委員 ようやく待望の政治改革関連法案の審議が始まりました。選挙の前の通常国会、この委員会でも百時間を超える審議を大分されてきた。そのことも考えますと、本当にこの政治改革審議、できてよかったなというのが率直な感じであります。今、与党になって二月半ですが、もし我々が野党だったら、今のこの臨時国会、どう対応していただろうか、そういうことも考えますと、本当に感慨無量な感がいたしております。  細川内閣、マスコミ等の支持率を見てみますと、七〇%を超える、中には八〇%という支持率もあります。大変驚異的な、国民からの大変強い支持だなというふうにも思っておるのですが、この中身は一体何なんだろうかと私自身考えてみるわけでありますけれども、三十数年間、自民党の一党支配が続いてきた、大変多くの疑惑が続いてきた、これがかわって清新な連立内閣ができた、この清新な内閣期待をしようということ、あるいは政治改革を実現し、経済、行政を含めての責任ある変革を行ってほしい、その願望のあらわれであろうと思っております。  しかし、いまだに国民政治への不信、政治家への不信は何ら払拭されていない。依然として国民政治不信は頂点にあるということは認識しなければならないのではないか。このことを、政府としても、また我々政治家としても改めて強く認識しなければならないと思います。その意味で、抜本的な政治改革の具体策である政治改革関連法案、何としても早期に一括して成立させなければならない、我々そう思っておる次第であります。  今回、細川総理は、政治改革細川内閣の最大の課題だ、最優先して解決しなければならない課題だ、そういうふうに真摯に取り組まれております。私は、総理のこの強い御決意に高い評価をいたしたいと思っております。しかし、選挙の前の、自民党の前の内閣、不退転の決意と言われて一生懸命やられました。しかし、一歩も前進をしなかった。大変難しい課題だというのもわかっておる次第であります。  ここで、我々与党、そして自民党を含めた野党に私は申し上げたいのでありますが、この特別委員会という委員会は、互いの案の悪口を言うんじゃない、悪口を言い合ってつぶすという委員会であってはならない。二十一世紀を目前に控えて、いろんな大きな課題がある。この課題を解決するために責任ある変革を行わなきゃならない。私は、このことを十分認識されて政治改革法案成立を図るべきだ、早急に図るべきだ、そういうふうに思っておる次第であります。  何回も同じことをお聞きして悪いのでありますが、総理の御決意をまたお聞かせ願えればと思います。
  60. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 全くおっしゃることに私も同感でございます。  第一に、何と申しましても、国民から信頼される政治を構築をするということが、まずこれは喫緊の肝要事であろうというふうに思っておりますし、第二には、その信頼をされる政治の上に立って、基盤の上に立って、内外の山積する諸課題に的確に対応していく、そのような体制をつくれるかどうか、そういう意味で、今回の政治改革法案をぜひとも成立をさせていただきたい、また私としてもそのような決意で取り組んでまいりたい、このように思っております。
  61. 柳田稔

    ○柳田委員 今回の案でありますけれども、振り返ってみますと、我々、以前野党の立場でいいますと、中選挙区がいいと言ってまいりました、最初のころは。そして、社会、公明さんは併用が次にいい、我々民社党としては都道府県単位の比例代表制がいい、そういうふうに主張してまいりました。そして、解散の直前には、連用制がいいと大分踏み込んでまいりました。そして今回、並立制まで踏み込んでまいりました。  しかし一方、今野党になられた自民党さんでありますが、最初、海部総理のときは並立制、そして小選挙区制、そして並立制。しかし、海部総理のときと比べますと大分後退をしているという感がぬぐえないのであります。  我々がなぜここまでいろんな政治改革について踏み込んできたか、これは、時代がそういう要請をしたからだと思っております。政治が変わってきた。我々政治家を取り巻く環境が大分変わってきた。もっと言いますと、最大の理由は、政権交代したというのが私はあるかと思っています。  今回、政府は、ベターではなくてベストの案としてこの我々の並立制を出されたわけでありますが、このベストの案ということについて、もう少し総理の、ベストなんだ、ベターじゃないんだ、我々政府案はベストだということを、もう一回強い気持ちでお伝え願えればと思います。
  62. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 これは、今までの審議会、あるいはさきの政府提案、あるいはその後の国会での御論議、各党の案、そうしたものの流れを踏まえて出させていただいた、私どもとしては大変重みのあるものではないか、こういうことで出させていただいているわけでございまして、そういう意味で、政府としては可能な限りいいものをまとめて提出をさせていただいている、こういうふうに御理解をいただきたいと思っております。
  63. 柳田稔

    ○柳田委員 今いろんな選挙制度の名前をどんどん羅列しました。しかし、多分国民の皆様は、一体何なんだろうか、こうお思いになっておるのではないかと思います。この土日も地元に帰ってまいりまして、いろんな人に話をしました。しかし、ようわからぬのだと。それ以上に、選挙制度が変わったら一体どう日本政治が変わるんだ、そう聞かれる人もいらっしゃるのです。我々国会議員はそれなりに勉強していますから、十分理解しておるのでありますけれども、まだまだ国民の中にはそういう気持ちをお持ちの方もいらっしゃる。  そこで、担当大臣である山花大臣にお聞きしたいのでありますが、幸いにして今国民の皆様はテレビを見ていらっしゃると思うのです。最近政治がおもしろいと皆さんおっしゃっていただけるので、この機会に、この選挙制度を取り入れたときに、どういうふうに政治が変わり、国民期待する政治がどういうふうにできるのか、少しわかりやすく、簡潔に御説明を願えればと思うのですが。
  64. 山花貞夫

    山花国務大臣 委員がお話しになりました、国民皆さんはこの選挙制度についてわかりにくいのではないかということについては、私たちもそういう御意見を伺う機会がございます。  全体としての政治改革ということならば、何よりも企業団体献金禁止のテーマを初めとした腐敗防止がまずあるべきではないか、ここはわかりやすい。じゃ一体選挙制度はということになりますと、御指摘のとおり、幾つかの選挙制度についての名称まではわかるけれども、具体的な問題についてはわかりにくい、こうした問題があるのではなかろうかと思っています。  私も実は、選挙制度、中選挙区制の定数是正問題以来この仕事を担当してまいりましたけれども、その中で、いろいろな議論がありましたが、今日的な課題としては、全体としての政治改革、冒頭、四法案一緒にと御指摘ありましたけれども一つにはもちろん選挙制度の問題あるけれども腐敗防止の問題、政治資金の問題など含めて、全体一体としてなし遂げるのが今度の政治改革の大きな意義であると思っているところです。腐敗防止の問題でいえば、制度が変わったって、もし議員の倫理が変わらず、そして腐敗防止のための施策、罰則等がなければ同じではないかということについては、全くそのとおりでありまして、したがって、全体としての政治改革腐敗をなくす政治改革一つの大きな柱としての選挙制度の改革である、このことについてまず御理解をいただきたいと思っているところです。  では一体並立制についてどうなのかということにつきましては、ポイントとしては、いろいろ制度ありましたけれども、中選挙区から今度の並立制ということですから、そこの違いというものが一体どうなってくるかというところにポイントがあるのではないかと思っています。一言で言うならば、従来の個人本位の選挙制度を、政党本位、政策で国民皆さんの審判を仰ぐ選挙制度にしていきたい、ここに尽きるのではなかろうかと思っているところでありまして、個人本位から出たさまざまな弊害、議員と金との関係、そのことを断ち切っていく、今日の国民皆さんの要請にこたえるためにも、新しいこの選挙制度が望ましいのではなかろうかと思っているところです。  全く違った制度をとるわけですから、議員も大きな試練に立たされます。同時に、国民の皆様にも、そうした政治とお金の関係を断ち切るための新しい制度をつくるという意味におきまして、並立制、新しい制度につきましても、どうか全体の中の大きなテーマとして御理解いただきますことを心からお願い申し上げる次第でございます。
  65. 柳田稔

    ○柳田委員 よく言われるのは、選挙制度は後で説明聞けばいい、ただ聞きたいのは、中選挙区が並立に変わる、中身はようわからぬのだけれども、一体、並立になったら我々国民の気持ちはどういうふうに国会に反映されるんでしょうか、どう日本政治が変わるんでしょうかと。方法論はいいんだ、後で聞けばわかる、しかしどう変わるのかが本当に聞きたいんだというふうにおっしゃるんですよね。  その辺も含めて、総理、どうでしょうか。もう少しうまく説明、もう少しぴんとくるようなものが何かないかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  66. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今度の四法案政治改革の四法案というのは、今国民の皆様方が政治に対して持っておられるさまざまな問題意識というものを解消していくために、例えば政治政治家との金にまつわる部分についてもっとその辺をきっちりしていこうという観点から、政治資金規正法というものの改正で、制裁の強化とか罰則の強化とか透明化であるとかそうした問題を思い切って取り入れておりますし、それからまた、選挙制度というのは確かに技術的な問題でございますから、国民の皆様方にとっては大変おわかりにくいテーマであろうと思いますが、しかし、今までは、多くの国民の方々が感じていらっしゃったように、個人本位の選挙というものが行われて、個人の後援会中心に、同士打ち、同じ党の中でも同士打ちが行われる、党の政策はそっちのけで、そういう形の利益誘導型とも言われるような選挙が行われてきたことは、多くの方々が感じていらっしゃるところであろうと思います。  そういう選挙というものを、もっと政党本位のというか政策本位の選挙に改めていこうということで、今度の小選挙比例代表制という選挙制度を導入するということでございまして、このことによって多くの国民の民意の反映もできるし、また民意を集約していくこともできるし、私はそうした意味でこれは大変現実的でわかりやすい制度だと先ほども申し上げたところでございますが、選挙制度仕組みについても、また政治と金にまつわる部分の問題につきましても、必ずや国民の皆様方の御理解と御支持が得られるものであろう。なかなかこれでもわかりにくいかもしれませんが、そういうことではないかと思っております。
  67. 柳田稔

    ○柳田委員 私もできるだけいろいろな人と会って説明をする努力はしておるのでありますが、個人の力は限られておりますので、今後もできるだけ説明をする機会をつくろうとは思っているのですが、政府としても御努力をしていただければと思います。  今回この政治改革関連法案、審議が始まったわけでありますが、できるだけ早く、自民党さんの協力を得て一括して成立をさせる、これはもちろんでありますけれども、ただ、この政治改革ができた、これは大前提なんですが、これだけで果たして政治と官と業、このよく言われる三角形が本当に断ち切れるんだろうか、癒着がなくなるんだろうか。私は、さらにしなければならないことがあるのではないかと思っているのです。それは行政改革であり国会改革、これも早急にしなきゃならない課題だと思っております。  先日の衆議院の本会議で、小選挙区を戦ってきた経験としてお話がありました。一議席を目指して食うか食われるかの死闘を演じてきた、そのとおりなんだろうと思います。私は、このことは何を意味するのか私なりに考えてみました。食うか食われるかの死闘、国会議員がそのために何をするか。選挙区への利益誘導、このことに奔走するのではないか。票集めのためになりふり構わないことをするのではないか。それをなくすためには、やはり行政改革国会改革をどんどん進めなきゃならないのではないか。  さらに、この政治改革の大きな目的は、政党中心、政策中心の選挙制度ですから、このことを考え合わせても、私は、政治改革をできるだけ早くやって、そして行政改革、そして国会改革、できるだけ早い段階にやることがベストの日本政治を築く道だと思っているのでありますが、総理、いかがでありましょうか。
  68. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 国会の改革は、先ほどもお尋ねがございましてお答えを申し上げたとおりでございますが、まさにこれは国会マターだと思っておりますが、何よりもやはり議会主義の成熟のために大変大事なことだと思っておりますし、また、国民政治に対する信頼を回復するという観点からも大変重要なポイントだと思っております。それからまた、国会改革をすることによって、わかりやすい政治を実現するという側面もあるであろう。その三つが恐らく、まだほかにもいろいろあろうかと思いますが、大事な観点ではないか。そういう観点から、ぜひ国会改革にも、今後国会で大いに御論議をいただいて進めていただくことが肝要であろうと考えている次第でございます。  それから、行財政改革、国と地方との関係の問題についてもちょっとお話がございましたが、確かに、今まで四たびにわたる一括法などによりまして地方への権限の移譲などを進めてまいりましたが、地方分権についてはまだまだ不十分であると私も思っております。  今後、国と地方の事務の配分の問題でありますとかあるいは財源の問題でありますとか、そうした問題について、今までの各審議会などの答申あるいは国会での御論議なども踏まえて着実にそれを推進していくということが必要でございましょうし、また受け皿についての論議というものもまだまだこれは不十分であると思っております。広域市町村圏とかあるいは道州制であるとかさまざまな受け皿論議がございますが、そうしたものについての御論議もまだまだ詰めていただく必要があると思いますし、さらにはまた、法的な整備というものをどのようにこの分権というものを進めていく場合に考えていくのかといったこともございましょう。第四には、地方制度そのものについても、やはりこれは掘り下げて検討していくということが必要であろうと思っております。  そうしたことなども踏まえて、国と地方関係全般につきましても、行財政改革の観点からも考えていかなければならない大きな課題だと思っております。
  69. 柳田稔

    ○柳田委員 どうもありがとうございました。
  70. 石井一

    石井委員長 次に、野田毅君。
  71. 野田毅

    ○野田(毅)委員 政治改革質問に入ります前に、我が国にとりまして重要かつ緊急なる問題が発生いたしておりますので、二点について、総理並びに関係大臣にお伺いをいたしたいと思います。細かくは関係委員会での早急な審議と対処を望むわけでございます。  二点とは、一つは米の問題、二つ目はロシアによる核廃棄物の海洋投棄の問題であります。  まず、米の問題につきましては、細川総理が十六日、東京都内での懇談で、例外なき関税化に反対する与党合意や自由化反対の国会決議を尊重したい、特段の態度変更は考えていないという発言をされたということでございますが、そのことは本当なのでしょうかどうか。そして同時に、今までの政府の方針、それから国会決議を今後も尊重するかどうか。この点について、まずお伺いをいたしたいと思います。
  72. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 ウルグアイ・ラウンドの年内終結というものは、もちろん我が国にとって極めて重要な観点だと思っておりますし、その成功に向けて努力をしていかなければならないことは当然だと思っておりますが、先般来新聞等々に報じられておりますようなことにつきましては、政府としてそれを提案したこともございませんし、また、合意をしているというようなこともございません。今までの基本方針のもとで交渉を続けているということでございます。
  73. 野田毅

    ○野田(毅)委員 それでは、報道されておりますこの、六年間の猶予を条件として米の関税化受け入れの妥協交渉をしているという報道がありますね。これはもう御承知のことだと思います。この報道の事実はないと断言できますかどうか。この点、農水大臣あるいは外務大臣からお答え願いたいと思います。
  74. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 ここ二、三日来、各報道機関が、ある意味におきましてはかなり濃淡等の度合いが違う面があるわけでございますが、種々報道されまして、国民の皆様方に御心配を与えておるわけでございます。明確にお答えを申し上げなくてはならない、かような意味合いにおきましては、一つの事実としましてはおわかり願いたいわけでございますが、十五日、ジュネーブにおきまして、関係先進の十七カ国の農業分野の打ち合わせがございました。その席上におきましても、我が国としましての従来の基本的な、いわゆる例外なき関税化ということについてはできないと明確に否定をさせていただいたわけでございまして、その節、同じような考え方、立場を表明しましたのは韓国並びにカナダであるわけでございまして、三カ国というような現状であるわけでございます。  私自身も、御案内のとおり、総理から指示をいただきまして、近く関係諸国の方々との、いわゆる私自身の目、耳で確かめて、重ねて私の、この日本立場を主張を申し上げ、従来の基本的な姿勢をもっての交渉を、再度強く要請をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  75. 野田毅

    ○野田(毅)委員 しつこいようですが、端的にお答え願いたいのですが、もう一遍言います。六年間の猶予を条件として米の関税化受け入れの妥協交渉をしているという、こういう交渉は、交渉しておる事実はないということ、イエスかノーかでちょっと答えてください。
  76. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 我が方からそういう提案をしたことはございません。
  77. 野田毅

    ○野田(毅)委員 もう余り言いませんが、提案されたことはあるのですかないのですか。
  78. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 提案をしたことはございません。
  79. 野田毅

    ○野田(毅)委員 では、こういう報道されておるようなことを日本側から提案したこともなければ提案されたこともないということを、この公式の場で、担当大臣として責任を持って、そういう事実はないということを断言されたということと受けとめておきます。  次に、ロシアが日本海において放射性廃棄物の海洋投棄を再開したという報道があります。  まず第一に、その事実関係はどういうことなのか。第二に、先般の日ロ首脳会談でこの問題については当然話し合いが行われたはずだと我々考えておりますが、その点どういう内容の話をされたのか。そして第三点、今回の海洋投棄について、政府に対してロシア側から事前通告があったのかどうか。この事実関係について、ぜひひとつ総理あるいは科学技術庁長官、明確なる御答弁を願いたいと思います。
  80. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 事実関係につきましては担当大臣の方からお答えをさせていただきますが、先般のエリツィン大統領との会談におきまして、海洋投棄についての合意はございません。こちらから一方的に、そのようなことは厳にやめてほしいと、こういう申し入れはいたしました。そして、その申し入れに対して、申し入れに対してと申しますか、そのことについてできるだけ早く、できれば年内にでも合同で調査をやりたい、こういう申し入れをして、それについてはできるならばやろう、こういうことになったわけでございます。  事実関係につきましては、大臣から御答弁をさせていただきます。
  81. 江田五月

    江田国務大臣 国民皆さんに大変御心配をかけていることでございまして、報道はもちろん承知をしております。しかし、まだ報道だけですので事実がよくわからない。そこで、早速事実関係を確認をしたいと、外交ルートを通じてロシア政府に対して確認を求めているところでございます。事実であれば、これは我が国初め周辺諸国への配慮に欠くものであって、大変遺憾であると言わざるを得ない。そうなりますと、投棄の即時停止を求めて強く申し入れをしなきゃならぬと思っております。  ただ、再開というお話ですが、去年あたりからこれは問題になっていまして、そして即時の中止とそれから情報をしっかりこちらに教えてくれること、同時に共同で調査をすること、こういう申し入れをして今までずっと話し合いをしてきておりますが、即時の停止ということについては、ロシア側が即時停止しますという、そういう約束を我々にいただいている状態ではないので、再開という言葉の表現がどうであろうかというのは一つあると思いますが、いずれにしても、こうしたことがないように全力を挙げていきたいと思います。
  82. 野田毅

    ○野田(毅)委員 この問題は、大変重大な問題でもありますので、関係委員会で引き続ききちっとした対応をやらせていただきたいと思っております。  いよいよ政治改革関連法案の審議が本委員会で始まるわけです。それに先立って、細川総理には、同じ熊本の県民の申から大変誇りにも思い、また期待をしておるわけですから、しっかり、今申し上げたいろんな国益という角度から、ぜひ筋を通して頑張ってもらいたいと思います。  特に、まあ大変だと思います、連立八会派ですか、さまざまな考え方をこの前の選挙のときにはおっしゃっていたわけですから。だから本当は、せっかくこういう政権が、国民からの支持の高い政権ができるのなら、選挙が終わってからその公約を、お互いの各党の政策を後から寄せ集めて政策合意をするというやり方ではなくて、本来なら選挙前に有権者に、自分たちが選挙で勝利をすればこういう政策に基づいてこういう性格の政権をつくりますと言うことが本来であったと思います。  この点は多くを割く時間もありませんが、少なくともやはり政権を選ぶ総選挙という中で、そのときに有権者は、その政党を選んだ有権者は、それと違った政策を行うようなことになったのでは全く裏切られたということになってしまう。今はたまたま、長い間の自由民主党の単独政権が崩れた、その中に新鮮さと何かの変化を求める声もあって、そういう意味での期待感があって、熊本弁で言うと「わさもんずき」ということもあるけれども、そういう新しいものへの期待感がそういう根本問題を少しネグっておるような気配もなくはない。  そういう点はぜひ、八会派の中の意見調整をすることに大変御苦労いただいていることは重々わかります。それは自衛隊法の問題であったり、あるいはこれから消費税どうこうするとかいう話であったり、米の問題であったり、非常に御苦労なことだとは思いますが、せっかく総理になられたんですから、ぜひ、長く続けようと思わないで、ともかくやはりこの問題は必ず国家のために、国益を中心にして、国民のために何をなすべきかということで頑張ってもらいたい。そのことで頑張れば、結果としては、自由民主党にとっては残念なことだけれども、この政権は長く続くかもしれない。そういうことでぜひ頑張ってもらいたいと思うのです。  そういう意味で、今度政府案がようやく、いろいろ御苦労の結果でありますが、こうやってお出しになった。我が党は我が党として、過去いろいろな変遷を経たのでありますが、少なくともその中で、理論的体系と言うと少し言い過ぎかもしれませんが、少なくとも今回の政治改革の基本理念に、我々は、より原則というものをしっかり重んじた姿で体系を再編整備をした案を実は出しておるという、この点はぜひこれからの議論の中で明らかにさせていただきたいと思っております。  そういう点で大変気になりますのは、先般の総理と政府・与党ですか先週末行われた中で、まずは非常にタイムリミットが迫ってきたので、十一月の五日までに無修正でこの衆議院を通過させたいということが、どうやら政府・与党の間で話し合いをされて確認をされたという報道があります。この点は事実でしょうかどうでしょうか。ひとつ総理総理も参加をしておられたやに報道されておりますがね。
  83. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 先般の政府・与党連絡会議におきまして、日付までどうだったかわかりませんが、とにかく政府案は、先ほど来申し上げておりますように、いろいろな経緯を踏まえてでき上がってきたものでございますし、とにかく日程的に考えますと、参議院の日程、審議の日数などを考えますと、まあその辺のところかな、十一月の初旬ぐらいには衆議院が通過をするということでないと、なかなか年内の成立は難しいのではないか、そういったお話は確かに出ていたと思います。  今、この政治改革について国民の関心も大変高いものがあると思っておりますし、また、この政治改革法案を仕上げることによって内外の課題にも的確に対応していくことが初めて可能になるとも思っておりますので、ぜひひとつ成立に向けて御理解と御支持をいただきたい、御協力をいただきたい、このように考えている次第でございます。
  84. 野田毅

    ○野田(毅)委員 この問題、入り口で押し問答してもしょうがないのですが、大事なことは、早く、私どもも早く成立させたいのですよ。この問題でもう既に過去二回内閣をつぶしております。我が国はこの政治改革問題だけにかかわっておる余裕は実はない。一刻も早くやはり堂々たる政治改革をなし遂げて、あるいは経済の問題なり、あるいは国際政治の中で日本がどのような役割を果たしていくか、緊急課題が山積をしておるのですね。そういう意味で、これは決して、総理が年内に成立をさせる、もしできなければ責任をとるとおっしゃった、だからその揚げ足をとってどうのこうのというのじゃないのですよ。これはそういう意味で我々も急ぐわけなんです。ただ、そのためには、大事なことは、少なくとも余りベストとも思えない、我々からすれば。それは政府案としてまとめるために、こういう形でしか連立与党の中がまとまらなかっただろうと推測をしています。それだけに御苦労も多かったと思う。逆に言えば、それだけ筋が通っていない、言うなら木と竹をいっぱいつなぎ合わせている、論理矛盾がたくさん入っている、そういう案になっておるということもこれから明らかにしていきたいと思っています。  そういう意味で、今回の政治改革の問題は世界もやはり注目しているわけですよ。これだけの日本二つ内閣をつぶす、今まさに最大のテーマになっておる。しからば、どういう考え方で制度を改革しようとしているのか、でき上がった姿はどういう考え方に基づくものなのかということがやはり明らかでなければ、ただ単に八つの政党の主張を足して八で割ったとか、あるいは九つの政党の主張を足して九で割ったとかいう、そういう継ぎはぎのことではいかにも理念のない姿にならざるを得ないということです。  そして同時に、これは単に衆議院の選挙制度だけではないということですよね。少なくとも政治資金の規制などは、あるいは参議院、あるいは地方政治、全体にも甚大なる影響をもたらすわけでありますし、やはり議会政治のそういう根本を決める大事な事柄であるだけに、これだけはぜひひとつ、余り最初から肩に力を入れないで、むしろ政府案を通してくれというよりも、ぜひ自民党と一緒になって、そして一緒に案づくりをするという、そういう意気込みでこれからの審議に政府は臨んでもらいたい、私はこう思っているんです。そのことの方が結果としては出口は早くなるのではないか。政府案の無修正ということにこだわり過ぎると、結果として私は出口はどんどんどんどん遠のくようになると思います。  そうでなければ、議会政治のまさに土俵を決める話ですよ。これはかつて自由民主党が単独政権をとっていろいろ御批判をいただいたけれども、少なくとも事この選挙制度なり政治改革の問題だけは絶対に、私もこの委員会の筆頭理事責任者でした。前国会でも自民党の出した案をここで採決をすればよかったかもしれない。しかし、あえてこれは、多数決だけで決めるだけではいかぬ、少なくとも与野党の合意をいかに形成していくかということが大前提でなければだめだ、こういうことを私は感じたからです。  しかも、与党の中の最大政党社会党です。社会党が七十幾つかの議席がある。しかし、我が自由民主党は三倍あるんですよ。少なくともこういう現実を考えたときに、余り出口に、出口を急ぐことにこだわる余り乱暴なことにならないように、ぜひひとつもう一遍確認をしていきたいと思っています。そういう点で、まず総理のこの点についての御所見を改めて伺いたいと思います。
  85. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 再々申し上げておりますように、今回の政治改革法案につきましては、政府としては今までのさまざまな御論議を踏まえて出させていただきましたわけで、政府としては一番いい、考えられるものを出させていただいた、こういうふうに申し上げざるを得ないわけでございますが、ただこれも、今まで委員会でしたか、あるいは本会議で御答弁申し上げたのかちょっと記憶しておりませんが、国会の一般的な議会主義のあり方として、いつも百点満点主義である、我が党の出したものをすべてのまなければこれはとても我が方は受け入れられない、こういうことでは議会主義は成り立たないわけでございましょうし、やはりそこには合格点主義と申しますか、百点満点とりたいところだけれども七十点、八十点で我慢しようというようなところがやはり議会主義の私は一番基本的なところだと思っておりますから、それは大いにひとつ国会の中で、委員会の中で御論議をいただくべきことであろう、いただくのが本筋であろうというふうに思っております。  ただ、重ねて申し上げますが、政府案はやはり今までの経緯などを踏まえて、選挙制度審議会の答申もそうでございますし、海部内閣当時に出されました政府案もそうでございますし、その後の各党の出されましたものなども踏まえまして、結局落ちつくところはこの辺ではないかというところで出させていただいたのがこの案でございますから、恐らくこの案につきましては自民党の方からも御理解と御協力が得られるのではないかと、こう期待をしているところでございます。
  86. 野田毅

    ○野田(毅)委員 この点はもうくどくど言いませんが、出口を急ぐならば、やはり中身についてもっと謙虚な努力が必要だということだけ申し上げておきたいと思います。  それから、委員長にこれだけあらかじめ確認をしておきたいのだけれども、そういう意味で、我々はいたずらな審議引き延ばしをしようとかかつての野党がやったようなやり方をしようとは思いません、その点は。胸の痛むところも、政党もあるいはあるかもしれません。そういう政党の方々が今になって与党になれば、後は民主主義は多数決でございますなどと言っているのを聞くと、どういうことなんでしょうかねと、本当に嘆かわしい限りだと思いますね。そういう点で、端的に言いますが、委員長、もう強行採決はやらないということだけはこの際確認をしておきたい。どうですか。
  87. 石井一

    石井委員長 私は、長年自民党籍にありまして、皆さんとともにこの問題で苦楽をともにした者であります。したがって、今野党であります自民党の御意見を十分聞き入れ、慎重に審議を重ね、そして厳正中立に委員会の運営をすることを申し上げておきたいと思います。
  88. 野田毅

    ○野田(毅)委員 政府案の問題点、あるいは我が党案との相違について、これから少し進んでいきたいと思います。  細かく見ますと、自由民主党案と政府案の相違点は二十項目以上あります、細かく見ますとね。大変あるんです。ただ、その中で、基本的なスタンスとしての問題からいえば、私は三つ考え方の違いがあるんじゃないかというふうに感じております。  そのうちの一つは、何といっても、先ほど来の御議論の中で、選挙制度、民意の集約とか反映とか言っています。しかし、民意の集約とか民意の反映とかいうことはむしろ余り、小選挙区なら集約で比例なら反映だというこんな論理は、私はないと思います。選挙そのものが民意の反映なんですよ。基本的に反映であり、集約なんですよ。だから、それぞれのその仕方がどうなのかということなんですね、基本的には。  そういうことで考えると、何といっても、衆議院の選挙制度考える場合に、参議院との関係ということを抜きにして考えてはならぬということです。これは当然のことながら、憲法体系からいって、我が国会は衆議院と参議院、二つで合わせて一つ国会を形成するわけです。しかも、憲法制定経過からして、GHQが憲法草案で出してきたのは一院制であったことはもう御承知のとおりです。細かくは言いません。それはやはり議院内閣制のもとにおいて、イギリスでもドイツでもそうでしょうが、実質的には一院制に近い形でしょう。したがって、その一院の国会を形成する中で、まさに政権の選択という事柄と、できるだけ多様な民意を多様な形で反映する仕組みをつくっていくということの知恵があわせて行われるというのは当然のことであります。  その点で、我が国の場合は、どうしても二院制をとりたいという中から、衆議院の特性ではない、参議院の特性ということをまず考えておったわけでしょう、当然のことながら。そういう意味で、衆議院がややもすれば行き過ぎになるかもしれないが、それをチェックし抑制をする、あるいは時によって補完をする機能としての参議院の位置づけがある。それならば、その役割にふさわしい民意の反映の仕方を考えるのは当然のことです。そういう点で、私どもは、考えるときに当然その両方の特性を考え選挙制度を想定する。この点で、政府案の方は一緒くたになっています、残念ながら。  先ほど来の与党とのいろいろな御議論を聞いておっても、非常に自己完結的なやり方をしようとしている。衆議院だけで自己完結的なやり方をしようとしている。それならば、もう参議院要らないではないかということになりかねない。この点が一つの大きな違いだと思っています。  それから二つ目は、政府案では、地方政治とかあるいは地方議員の立場地方住民の立場とかいうような配慮が大変欠けているのではないか。これは、例えば全国単位の比例制とかあるいは一律の企業団体献金禁止という問題、これによって、地方の圧倒的大多数の無所属議員に対して、どうやってその自由な政治活動を保障していくかという配慮が全くない。地方分権ということだけではないんですよ、地方自治というのは。権限関係地方に渡すだけではない。財政的な裏づけをつくるだけではないのです。地方政治そのものが自由な発想によって住民の自治の中で活性化していかなければ、本当の地方自治というのは達成されない。ところが、政府案でいくと、おのずから地方の議員が中央の政党に系列化されざるを得ないというところに追い込んでいくということになる。このことは、まさに地方自治という、地方分権という細川内閣の目指す方向性と逆の発想になっているのではないか。こういう問題を指摘をしておきたいと思います。  それから第三番目。政府案では、企業団体献金は悪であって個人献金は善であるという、非常にある意味ではわかりやすい単純な発想に乗っていると思いますね。しかし、果たしてそうなんだろうか。そういう楽観主義に基づいて、議会政治の歴史というのは、まさに公権力とどうやって自由な政治活動をやらしていくかという、まさにその対立関係の歴史じゃなかったですか。そういう公権力の介入を極力排除して健全な政治活動を助長していくんだという、まさに議会政治の本来の目的ということを見失っているのではないか、私はそのように思います。これは、後ほど個々具体的に申し上げていきたいと思っております。  そこで、この三つの基本的な考え方の相違、この考え方の相違から、実は具体的な制度仕組みをつくっていく上で、政府案のような継ぎはぎのやつと、我が党の、今総理は自分たちだけが正しいんだということでは成り立たないとおっしゃったけれども、少なくとも、制度を構築しようということであれば、それをベースに流れる基本的な理念というものがなければこれは長もちしませんし、弊害をもたらすだけだと私は思います。  そこで、まず第一点、衆議院と参議院のそれぞれの役割をどのように総理考えておられるのか、まずお伺いをしたいと思います。
  89. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 おっしゃるように、衆議院と参議院が補完的な役割を果たしていく、二院制の趣旨というものが生かされるような存在として機能していくということは、これはもう我が国の二院制の一番基本的な課題でございますし、そのようにあるべきであるという認識については全く同じでございます。  今回の並立制法案の中で、政府が提出しております法案の中で、参議院の趣旨が生かされないのではないかということでございますが、この点につきましては、今の参議院の選挙制度と違いまして、例えば重複立候補制を認めているというようなこと、あるいはまた総定数においても参議院とは全然違っているわけでございますし、また小選挙区の数が全然違っているということもございましょう。それからまた、政党の名簿登載者、これは、政権の選択の意思を明確にするという意味で、今回の法案の中では政党の名簿登載者しか推薦できないということにしているといったようなこと。そうしたようなことから、参議院の選挙制度とは、まだそのほかにもあると思いますが、大分違っているのではないかというふうに私は認識をしているわけでございまして、今回の選挙制度の改革法案というものが直ちに二院制の存在の意義について云々ということにはならないのではないかということを再々申し上げてきているところでございます。  今後、この衆議院の選挙制度の改革ができましてから、引き続き参議院の選挙のあり方についても、制度のあり方についても御論議をいただきまして、一刻も早く参議院の選挙改革にも手をづけられるような状況になればと願っているところでございます。
  90. 野田毅

    ○野田(毅)委員 私は、そこなんですよ。つまり、私どもは、基本的に衆議院の選挙制度というのは、いろんな選挙の意味合いはありますが、第一義的に有権者が直接政権を選択する選挙である、これは。したがって、それが端的に反映される小選挙区を主体とした仕組みが衆議院においては望ましい。だから一つ選挙なんだ、基本的に。衆議院の選挙一つ選挙です。  これに対して参議院は、そういう衆議院の首班の選び方、選挙のあり方からして、当然いろいろと行き過ぎがあるいはあるかもしれない、だからそれをチェックするための院として参議院がつくられたという憲法の制定経過からして、参議院は最初からそういう意味で民意の反映の仕方を完全並立制でやってきたんですよ、御承知のとおり。つまり、全国区と地方区という二つ選挙を同時にやることによって、衆議院とは異なった幅広い民意の反映のさせ方を参議院では構築してきた。そのことが逆に、憲法上なぜ二院制がという、憲法制定国会の中でその議論が行われた理由の一つに、参議院では全国区と地方区という、つまり地域代表と職域・職能代表という異なった民意の反映のさせ方をやることによって、しかも解散のない参議院をつくることによって、衆議院のいわばバイアスをチェックするんだという、そして、合わせて一つの議会をつくるんだということになっているわけでしょう。そういう意味で、衆議院は最初から一つ選挙なんですよ。  ですから、私どもはあくまで、この同じ並立制という言葉は似ておりますが、我々の案では小選挙区が基本であって、その中の議席に反映されなかった比較少数の意思を捨てないという意味で、比例代表を加味することによってバイアスを防止するということなんです。あくまでそういう意味では主と往の関係にある一つ選挙なんだ。だから一票制なんです、だから重複立候補なんです、だから三百対百七十一なんです、こういうことなんです。  ところが、総理のおっしゃるような、あるいは政府案のようなことでいくと、二百五十対二百五十だということになれば、はなからこれは二つ選挙を同時にやる話になる。考え方の基本としては、少なくとも現在の参議院の選挙の基本的考え方と全然変わらない。逆に言えば、参議院の選挙二つ選挙をやろうという考え方を徹底するならば、重複立候補を認めることの方がおかしいということになるのです。何で一人の候補者が同時に二つ選挙に立候補できるのですか。そうでしょう。だから二票制じゃだめなんですよ。だから二つ選挙をやっちゃだめなんです。  あるいは、我々が考えております異党派投票の問題も、後ほどいろいろ議論してもらいます。一つ選挙政権を選んでもらう上で、二票制によって、そうでしょう、一人の人間が、有権者が、小選挙区ではA党の候補者を選び、比例ではB党の候補者を選ぶという。一体どっちの政党政権をとってもらおうとしているのですか。まさに精神分裂じゃないですか。そういう意味で、二票制ということもおかしいのではないか、そこから来る異党派投票もおかしいのじゃないのかという実は考え方の相違が出てくるわけです。  そういう意味で……(発言する者あり)ちょっと黙って聞きなさい、あなた方。そういう意味で、ただ単に足して九で割るということではありませんよ。やはり、なぜこういうシステムをとるのかということの説明が国民に対してもなされなければならないということを申し上げたいから、こういうことを申し上げておるわけです。  それからいま一つ伺いしたいのは、基本的に有権者と政治家政党、この三者があります。代議制民主政治の基本、選挙の基本は何かというと、やはり有権者が選んだ政治家との、有権者とのこの関係、支持をし選んだという関係と、この政治家が有権者に対してこたえる責任がある。そしてそれと同時に、その政治家の所属する政党との関係があるわけですね。この三者の関係をどういう順序で考えておられるのかなということを実は感じております。  そういう点で、代議制の基本は政党候補者を選ぶのではないのですよ。やはり、あくまで有権者が代表者を選ぶという論理でなければおかしい。そういう点で、根本的に私は比例制度そのものについてそういう意味での問題点はありと思っています。そうでなければ、政党が現実問題候補者リストを出すのでしょう。だからこそ、今参議院の比例区が大変な問題になっている。これは五十ですよ。これは二百五十までふやそうということになったら、その問題をどうやって克服するのでしょうか。いろいろな不祥事件が起きるのかあるいは、独裁的なだれかの言うとおりに候補者のリストができ上がって順位ができ上がるということにならざるを得ないのです。その候補者は、有権者に忠誠を尽くすのか、あるいはその独裁者に対して顔を向けて政治をするということになるのか、それが代議制の基本になれるのだろうか。しかも、政権を選ぶような選挙の中で、それが小選挙区と同じようなウエートを持ってやられるということになると、私は考え方が余りにもおかしいではないかということを申し上げたいと思うわけですよ。  そういった議論、きょうは私はトップバッターですから全体のさわりだけを申し上げて、一つ一つの細かい議論はこれから同僚議員に詰めていただきたいと思います。  もとに戻りますが、まず、総理はそういう意味で、私が言った有権者と政治家政党というこの三者の関係をどのようにあるのが望ましいとお考えなのか。比例制というのは、有権者があって政党があってそれから政治家という形になるわけですね。そうでしょう。ただ、今は余りにも真ん中にある政治家の個人が前面に出過ぎている。そのことがいろいろな問題を起こしている。だから、この政治改革考え方として、それをどういう仕組みに持っていこうとするのか、やはりここのところもあわせて考えておく必要がある。だから、比例制を入れる場合に、そういう基本的な問題点をどうやって是正をしていくかということもあわせて考える必要がある。そういう点で、我が党は少なくとも全国単位ではなくて、参議院との関係だけではないのですよ、そういう意味で全国単位ではなくて、比例で選ばれた政治家であっても有権者との関係がより濃いというシステム考えるべきであるということも、県単位をとった一つの理由でもあるわけですよ。  そういう点で、この三者の関係について、総理、少しお考えがあれば、私の言っていることが間違っている、独断だということであるなら御指摘を願いたいと思います。
  91. 石井一

    石井委員長 佐藤自治大臣。――まず答えてから、その次に総理答えてください。簡単にひとつどうぞ。
  92. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 今野田委員から、衆議院の選挙というのは政権の選択であるということを非常にウエートを置かれて、それで首尾一貫言われたわけでありますけれども、私たちは必ずしもそれだけではないという前提に立って今度の法案を出させていただいているわけでございます。  そして、政党が上に立つから有権者がわきに置かれてしまうのではないかという御心配がありましたけれども、これは、重複立候補ということを認め、惜敗率ということをやってもいいですよというところには、有権者の意思というのは十分働く機能というのも入れているわけでありますし、そういう意味では、今言われました有権者と政党政治家というものでいえば、一番大事なのは言うまでもなく有権者であることは間違いがないわけでありまして、私たち、そういうことで、政党自身のそういった候補者を選ぶあり方についても、今独裁という言葉をお使いになられましたけれども、そのようにならないようなことも十分組み込んで本法案提出をしているということを御理解をいただきたいと存じます。
  93. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今大臣から申し上げたことにほぼ尽きていると思いますが、衆議院の選挙制度というのは、おっしゃるように、政権選択の意思というものが明確に出てくるということがもちろん必要であるわけでございますが、と同時に、やはり民意の反映ということも極めてこれは大事なことであるというふうに考えておりまして、その両方を相互補完的にあわせ持った制度が私どもとしては一番いい制度であろうということで、並立制というものを出させていただいているわけでございますから、そこにおきまして、今お話がございました、有権者と政治家政党というものの三者の関係も、そのような形の中で私どもとしては整理をさせていただいているということでございます。
  94. 野田毅

    ○野田(毅)委員 これは指摘しておきたいのですが、現在の参議院もそういう意味で衆議院とは違う役割があるので、それにふさわしい選挙制度をということで仕組まれているわけですね。それが大体百五十二対百ですね。地方区と比例の割合、約六対四ですね、参議院が。何で衆議院の方がそれをさらに比例の割合を高めるの。で、どういう論理体系に立つのだろうか。やはりそういう問題があるのですよ。ですから、これから一つ一つ詰めていきたい。  特に、三百について。これは、羽田大臣、数年前から自民党の中で選挙制度調査会長として御苦労いただいた。あのときに、私も先生の下で委員長をやった。全国行脚もし、そういう中で三百という、これはやはり先生から答えてもらうよりも申し上げた方がいいかもしれませんが、当然客観的な第八次審議会の答申というものをまず踏まえたということでしょう、客観性として。それから同時に、これは細川総理がメンバーに入っておられるのですけれども、民間政治臨調。たしか入っておられるでしょう。これがこの前の国会で提言された。やはり三百じゃないですか小選挙区の数は。(発言する者あり)いや、連用でも同じですよ。基本的に小選挙区の数をどうするかということ。三百じゃないですか。  ですから、なぜ政府案の作成過程の中で二百五十になったのか。この点については、いろいろ内心じくじたる方々が多いのではないかと思う、実際問題。新生党も最初は三百を主張していたのだ。これは、武村さん、いなくなったけれども、彼にしても、二百五十と二百五十というのは、たまたまテレビの討論会でそのときの思いつきで言っただけですと、私は現実に本人と連絡をとって聞いたのだから。  だから、それが基本だと言っているのです。だから、それが基本と言っているのですよ。二百五十対二百五十を原則で絶対譲らないとは言っていないのだ。それは本人に確認したいと思っていますが。そういうことからしても、私は、もう少しこの数の問題については柔軟にお考えになった方がいい。  それからもう一つ言えば、区割りの問題なんですよ。私は、二百五十になってどういう区割りになるかわからぬけれども、恐らく二対一ではおさまらぬですよ、格差が。三百でさえなかなか容易なことではない。  それだけではない。もう一つの問題は、だれがつくるかということです。区割り委員会をつくることになっています。しかし、あえて言えば、三百は、二年前に海部内閣のときに第八次審議会がおつくりになった区割り案をもとにして、法案としてオープンになっています。それのいい悪いは別です。しかし、それ以外のものは、自称学者とか評論家と称する人が勝手につくっているだけだ。鉛筆をなめている。この区割りを具体的にどう作成するかということは、極めて党利党略の絡む話であります。  それだけに、どれだけ、いかに透明度を高めようと、いろいろな疑心暗鬼は避けられない。だからこそ、いいんだよ、三百を、区割り変えていいんですよ、海部案を。そのかわり、この前にその案があったから、その案をどういう理由でどのように変えたかということが、逆に透明度が高くなるということなんです。それ以外のやつはその原点がないんですよ、そうでしょう。やはりこのものは透明度の高い作業が必要だ。そうでなければ、何とかマンダーということに必ずなりますよ、これは。  そういう現実論から考えても、幾ら区割り委員会というものをつくったって、大体今まで政府の審議会が、みんな言っているじゃないですか、政府の隠れみのだって。どんな審議会で、メンバーつくったって、ここに座っておられる皆さん方、みんなそう言ってきたんだから。  そういうことを考えますと、やはりそういう現実政治的なことをも頭に置く必要がある。この点について、三百という小選挙区の数あるいは二百五十という小選挙区の数、よもやどうしてもこれでなきゃならぬということを言わないとは思いますが、総理、この辺は十分お互いに勉強する余地があるという程度のことは言えるということでしょうね。どうでしょう。
  95. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 二百五十、二百五十という数字は、これは相互補完的に、一番両方の持ち味が出るという形としてよいものであろう。そしてまた同時に、今までの経緯を踏まえまして落ちつくところに落ちついた、こういうことでございまして、私どもとしては、政府としてはこういうことであろうということで出さしていただいているわけでございますから、この辺が妥当なところではないかという感じを持っているところでございます。  そういうことでぜひひとつ御理解をいただきたい、こう思っておりますので、何とぞ御支持のほどを、御協力のほどをお願い申し上げたいと思います。
  96. 野田毅

    ○野田(毅)委員 ちょっと、これ少し細かいところへ入り過ぎたのでなんですが、もう一つ、全国単位か県単位かという問題、これは実は非常に大事な問題であるんですよ。これは、全国の方が幅広い意見を、民意を吸収できると言う。そう言いながら、片っ方では三%の足切り条項をつくっちゃった。これは全く論理矛盾じゃないですか。  じゃ例えば、これは法制局長官に聞いてもいいね、三%なら違憲ではないが、それなら一〇%だったら違憲ですか。ちょっと答えてください。足切り条項。
  97. 大出峻郎

    ○大出政府委員 ただいまの問題は、いわゆる法のもとの平等との関連で憲法上問題が出てくるのではないか、こういう観点のお話かと思いますけれども、三%であればどうか、一〇%であればどうかというのは、数字の上で直ちにこちらは違憲、こちらは合憲というような言い方というのは難しいと思います。そうすることの合理的な理由というものが十分に説明されなければいけないということであろうかと思います。
  98. 野田毅

    ○野田(毅)委員 これ、もう時間の関係がありますからなかなか詰められないんですが、私どもはたしか二年前、そういうことで二%で出したことがあります。しかし、どうしても合点いかなかったんですよ、それは。それはなぜかというと、だって六千万有権者の三%というと二百万票でしょう。これはしかも投票をさせた後に強制的に切り捨てるんですよ。そのことの問題点、これだけは指摘だけして、いずれ同僚議員からさらに詰めてやってもらいたいと思います。  それから、特に、全国単位にするということは、地方の住民の不安ということをどう考えておられるのかな。例えば熊本県、我が県で言うと、今代議士九名おりますね、一区、二匹合わせて。それが政府案でいくと四人になるでしょう。小選挙区四つになるでしょう。そうすると、九人から四人に減るでしょう。これは熊本県だけではないのです。全国みんな同じような問題が発生するんですね。全国比例で、むしろその政党のだれか知らぬ人が決めたような形で仮に入ったとしても、それは県選出国会議員ということにならないですね。県選出の代議士ではない。  今地方時代を言う中で、この不安が非常に大きいんですよ、基本的に。それは一遍耳を澄まして全国聞いてごらんなさい。どれだけ地方がこの問題に危機感を抱いているか。そういうことから考えれば、我々はやっぱり県単位でなきゃならぬ、しかも小選挙区の投票結果を補完をしようということであるならば、小選挙区を含む県の中で補完をするということが理の当然じゃないかという問題も実はあります。これも政府案の、さっき申し上げた問題点の一つだと思います。  もう時間がありませんので、次の課題にいきたいと思います。  政治資金関係ですけれども、ちょっと読みます。  政治活動の自由や結社の自由の一環として、さまざまな利害集団が特定の政党への財政援助や独自の政党設立などを通して政治過程に参入し、参加する自由の重要な意義を考えると、政治腐敗など特定の害悪除去のための特定の規制や、一定の制約を超えて、その一律全面禁止を正当化し得るのは容易でないと思われる。世界的にも、カナダのケベック州やアメリカ、ただし、アメリカはPACという別個の組織を通じた企業献金制度が認められておる。こういうものを除いて企業献金禁止している例が見られないのもそれがはらむ原理上の問題性の一つの反映であろう。  また、禁止論は、党費のみで政党財政がすべて賄われるという状況は主要な西欧諸国のどこにも存在しないという現実を前にするとき、代替財源をどう確保するかという現実的課題にもこたえなければならぬ。  確かにわいろと合法的な政治献金の区別の微妙さはあるにしても、十分な論証もなしにすべての企業献金をわいろと決めつけるその乱暴な把握が気になるし、また政治資金提供権を主権者たる国民の参政権に基礎づけたり、企業の他の政治活動と献金行為とを区別したりすることにより、その禁止の正当化を試みる主張もあるが、資金提供活動の権利は広く政治活動や結社の自由の一環としてとらえるべきであり、参政権固有の権利として狭く限定すべき根拠や、政治献金行為がその他の政治活動と画然と区別され自由の保障対象から余外される根拠も十分説得的に示されていない。  少し長くなりましたが、これは決して自由新報に載った論文ではありません。これは神奈川大の先生で田島さん、青法協の議長さんですよ、青法協議長さんの論文です。長々言いましたが、後で速記録をよく見ておいてもらいたい。  つまり、企業献金イコール悪で、個人献金イコール善だというこの立て方は絶対に間違っておるということだけ、これは本当に健全な議会制民主主義をここから崩していくかもしれないという私は危機感を覚えています。  さっき地方政治の問題を言いました。これは、このところをぜひ強調しておきたいと思っています。そうでなければ、さっき政官業の話がありますが、大体、官を入れるのは私はどうかと思う。政治家と、いわゆる経済界、業界とのつながりの問題、このつながりは、率直に言って私は、日本国会議員もいろいろ言われるが、アメリカの議会よりはまだ軽度だと思っていますよ、この点は。これは羽田大臣もよくおわかりだと思う。アメリカの方がはるかに議会人が業界の代弁者になっているじゃないですか。そうでしょう。  私は、本当にわいろであるかどうかということはなかなか決めつけられない、だから合理的な一定の根拠の中に制約を設けたりということはあっていいし、そうすべきだと思います。しかし、これを全部悪だということになると大変だな、議会制民主主義根底から覆ってしまうんじゃないのかなということを先ほど来申し上げているのですよ。だから、世論におもねるということではなくて、ここのところは一番大事なポイントの一つなんですよ。ここのところをぜひ御検討願いたいと思っています。  大事なことは、いかにそういうような企業献金などを表面化させるかということなのですよ。滞らせてはいけない。大体、事件が起きているのはみんなやみなんですよ。それがみんないろいろな違法性を持っているのですね。逆に言えば、違法性を持っているからやみに潜ったわけです。だから、正当な企業献金まで罪悪だと決めつけてしまったら、私は逆の結果が起きるんじゃないかということを恐れますね。  それよりも、今我々がやるべきことは、表面化させて透明度を高めて、一定の限度の中に健全な形でやってもらうということですよ。このことに集中していかないと、ただ単に企業献金をやっつければいいというものじゃないと私は思っています。  それからいま一つ個人献金もそうなんですよ。個人献金は善だと言う。だけれども、本当に、じゃ各閣僚の皆さん個人献金いただいている人もあると思うけれども企業献金と比べて個人献金の方が善だと思いますか。私は変わりないと思いますよ、基本的に。あるいはより個人的な利害に結びつくようなものが入るかもしれない。その危険性さえある。特にそれを今回税制で促進をしようという、個人献金を。  そういうような話になりますと、個別には言いませんが、つい先般も神奈川県で、あれはどこの政党候補者だったか逮捕されましたね、回しをやって。言うならば国家の税金を搾取する話であります。詐取する話であります。だまし取ったんですよね。これが千葉県でもどこかの政党でそういう似たようなことがあった。もしこのことを強引にやりますと、地方政治の中で横行することになりかねないのです。税務署はそこまで一々チェックできませんよ。  そういう問題点もはらんでおる。そういうことをぜひ政府サイドは、佐藤さん、自治大臣、やはり冷静に考えた方がいいと思いますよ。これもまたいずれ同僚議員が細かく質問をさせていただきます。  まだまだ質問したいのですけれども、待っていますから、じゃ、最後に私から申し上げておきますが、重ねて、ほかにもいろいろな問題点ありますが、ぜひ総理、急がば回れということを拳々服膺してもらいたい。急がば回れです。そしてその中で一緒に、政治改革をやるのは決して細川内閣だけの責任じゃないのです。我々もその責任を感じているのです。それだけによりよいものをつくらなければいけないのですよ。そうして初めてできるのです。  ですから、年内にできなければどうのこうのとかいうことにとらわれて、逆にその余りにもし強引にやったとしたら、私は政治改革できないと思いますよ。本当にやろうということであるならば、どうやって、その共同作業をどういう場でどういう中身でやっていくかということに全力を尽くすべきである。ただ、残念ながら、この国会が始まってもう一カ月だ、先月から。その努力がなされた形跡がない、この一カ月間。官邸はサボっておる、率直に言って。そのことをぜひ重ねて申し上げておきたい。  もう一遍、最後に、その点を総理はどう対応するのかお述べをいただきたい。
  99. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 先ほども申し上げたとおりでございまして、急がば回れというお話もよくわかりますが、政府としては、今までの長い間の経緯を踏まえて、過去五年間に二度も内閣がこの法案ができないためにつぶれてしまったというような、そういう大きな課題でございますし、ぜひ今回は十分御論議を尽くしていただいて、そして、いい実りのある成果が出てまいりますように、政府としても今のお話を拳々服膺して頑張ってまいりたい、このように思っております。
  100. 石井一

    石井委員長 それでは、自見庄三郎君の関連質問を許します。自見庄三郎君。
  101. 自見庄三郎

    ○自見委員 民主主義国家である我が国は、御存じのように、憲法で表現の自由、その中に言論の自由も御存じのように含まれますけれども、表現の自由を憲法で保障いたしております。表現の自由のない国家は民主主義国家ではございません。それだけに、言論に携わる者、私は責任は大変重大だと思うわけでございまして、そのことをおろそかにいたしますと、民主主義の根幹を揺るがすことになるというふうに思うわけでございます。  かつて我が国の歴史を振り返りましても、政治が言論を圧迫しあるいは世論を操作して軍国主義へ走った苦い歴史を持っております。ヒトラーは、ラジオを巧みに利用してファシズム体制をつくり上げたとも言われております。そうした歴史を繰り返さないためにも、主権者である国民に公平、公正な情報を伝え、誤った判断は与えないということが、こういったジャーナリズムの方々の強い信念と自覚が必要であるというふうに私は思うわけでございます。  当委員会では、今さっきからたくさん先輩の御意見もございました。ぜひ国民に納得してもらえる政治を確立するために、政治改革を論議をされているわけでございまして、私もさき国会政治改革調査特別委員会委員でございまして、百七時間、審議に参加させていただいた者でございます。政治を刷新する、あるいは法律制度をつくることも大変大事でございますけれども、その根幹にあるのがこの政治あるいは選挙政治報道というものでありまして、やはりその中で政治報道が一方に偏った情報を国民に提供したのでは、まさにこの言論の自由のあるいは表現の自由の乱用でございますし、民主主義政治にとっても私はこれはゆゆしきことになるというふうに思うわけでございます。  きょうはそういった意味で、まさに政治の基本でございます、政治改革の基本でございます、そういった意味で、テレビにおける政治報道を問い直す問題を取り上げさせていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  細川総理質問をさせていただきます。  私は同じ九州の出身でございまして、総理はジャーナリストの出身だということはお聞きをさせていただいているわけでございますけれども民主主義国家におきまして、公平、公正なテレビ報道が必要である、重要であるというふうに細川総理はお考えでございましょうか、そのことをまずお聞きしたいと思います。
  102. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 おっしゃるように、公平、公正な報道というものが確保されるということは民主主義国家において極めて重要な基本的な課題であると思いますし、また一方において、表現の自由というものもまた保障されるということが極めて大事な課題であるという認識でございます。
  103. 自見庄三郎

    ○自見委員 さて、日本民間放送連盟、一般的には民放連と言われておりますが、その放送番組調査会で、テレビ朝日の取締役であります、当時は報道局長でもございました椿局長政治とテレビについて発言をいたしております。その内容が新聞に大きく取り上げられ、テレビ報道のあり方について論議を呼んでおります。  新聞報道によりますと、椿局長はこういうふうに述べております。ちょっと紹介をさしていただきますど、非自民政権が生まれるように報道せよと指示した、また、小沢一郎氏のけじめを棚上げにしても非自民政権が生まれるように報道するように指示したとか、またこういう発言も新聞報道によるとしておられます。幸い自民党の梶山静六幹事長、それから佐藤孝行総務会長は悪人顔をしておる、二人をツーショットで撮り、報道するだけで、視聴者に悪だくみをする悪代官という印象を与え、自民党守旧派のイメージダウンになったと、非自民路線の具体的な映像まで説明をいたしております。しかも、五五年体制を崩壊する役割をわれわれは果たした、こう自負もしておりますし、さらにこう述べております。公正であることをタブーとして、積極的に挑戦する、公正な報道には必ずしもこだわる必要はない、こういうふうに椿報道局長は言い切っておられるわけでございます。  さて、もしこの新聞報道が事実だとしますと、私は、テレビ朝日の報道番組の最高責任者、それに取締役でございますこの椿発言は、私は民主主義にとって極めて重大なことであるというふうに思うわけでございます。なぜならば、今総理も、まさにジャーナリズム出身の先輩として、公平、公正な報道は大事である、同時に憲法に保障された言論の自由も大事である、こう言われました。  その中で、まず、この民放連が、ジャーナリストでございますから、自主的にまず規則を自分たちで自律のために決めておられるわけでございますけれども、その民放連が自主的に定めた放送基準の二章にこうあります。これは自主的に決められた放送基準でございます。「政治に関しては、公正な立場を守り、一党一派に偏らないように注意する。」こう書いてあるわけでござもいますから、まあジャーナリストとしてもこれから大きく逸脱し、私は、職業的倫理上からも絶対に許される話じゃない、こういうふうに思うわけでございます。  また、テレビ局は新聞、雑誌などと違いまして、これはもう、言論と、こう言いますが、テレビは、御存じのように、新聞などと異なり放送法で表現の自由を保障いたしています。その一方、当然不偏不党、あるいは政治的公平、真実の報道、そして、意見が対立する問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする、こういうことを法律上義務づけてあるわけでございます。なぜかといえば、それはもう御存じのように、これは国民の共通の財産でございます公共財の電波を使いますから、これは当然の責務である、こういうふうに思うわけでございます。そういった中で、椿局長の発言は放送法に違反する疑いが私は濃厚である、こういうふうに思うわけでございます。  また、公選法、公職選挙法でございます、に規定しております「表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。」にも抵触するおそれがありますし、できるだけ多様な意見や物の見方を視聴者に提供するということは、やはり私は報道の最高責任者の、ジャーナリストとしても、また今さっき言いました放送法上は公平性の確保ということがきちっとうたわれているわけでございますから、そういった意味でも私は大変重大な問題である、こういうふうに思うわけでございます。  時間がございませんから、郵政大臣に、イエスかノーかだけでお答えいただきたいと思うわけでございますけれども、新聞報道あるいは前の本会議の御答弁によりましても、この産経新聞に報道されて以来、政治的公平を規定した放送法に違反する疑いがあるとのことで、テレビ朝日の取締役である椿前報道局長から郵政省としては事情聴取を行って、調査中だということがわかっておりますが、これは事実でしょうか、事実でないでしょうか、その点だけでよろしゅうございます。
  104. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 テレビ朝日の前報道局長に対しまして、新聞報道された事柄がそのとおりか否か、説明を求めていることは事実であります。
  105. 自見庄三郎

    ○自見委員 この椿発言に対する反響はいろいろありまして、ある放送評論家はこう述べております。やっぱり意識的にやっていたのかというのが正直な感想です、それほどテレビ朝日の番組の非自民党びいきは突出していた、テレビ局が不偏不党を装いながら一方に肩入れをした報道をするのは世論操作、誘導と言われても仕方がありませんと新聞紙上で感想を述べておられます。  また、この発言以来、自由民主党にもたくさんの怒りや抗議の電話が殺到いたしておりますが、その中の一つを御紹介いたしますと、ある男性はこう言っております。今のマスコミはおごっている、日本を意図的にミスリードをしている、きちんと抗議してください、戦争中日本軍は放送を使った、同じようになったら日本は困る、こういうふうに憂慮をされております。  今や皆さん、御存じのように、新聞は読まない日があってもテレビを見ない日はないと言われております。国民の間に、お茶の間に深く浸透し、その影響力は大変絶大であるということはもう国民の皆様方もよく御存じでございます。そして一方、国民はテレビ報道を公平、公正なものと思っておりまして、だからまさに社会の公器だ、こういう尊敬もあるわけでございますし、そういった意味でテレビ会社は、御存じのように、公共性があるということで事業税の減免措置、あるいは国有地の払い下げ、そういったことも受けられるというふうに私はお聞きしておるわけでございます。それは公共性があるからそういうことをきちっと国民の名において処置をしてやる、こういうふうに私は思うわけでございます。  しかし、国民がテレビ報道を公平、公正なものと思っていた、そのテレビがもし偏向報道をしたとしたら、これはもう浸透力、影響力が絶大だけに、国民の判断力に重大な誤りを犯させることになる、こういうふうに私は思うわけでございます。  さらにまた、今月号の、十一月号の中央公論でございますけれども、田原総一朗氏が語られております。これを読みまして、私も選挙報道の公平、公正さが著しく損なわれているんじゃないかというふうに驚いたわけでございますけれども、その座談会によりますと、こう書いてあります。田原さんが幾つかのワイドショーをごらんになって、テレビが特定の候補者だけを追いかけているので驚かれたそうでございます。その選挙区にはほかの候補者がいる、当然中選挙区でございますからね、今は。ほかの候補者がいるのに無視同様な扱いで、テレビ局の関係者に、こんなことをやっていいのかとただしたところ、テレビ局の方はこう言ったというんですよ。桜田淳子や山崎浩子だって一人だけを追っかけているじゃないですかという返事が返ってきたというんですよ。田原さんは、選挙期間中に候補者をどう扱えばよいかという、公職選挙法の何たるか、基礎的なことも知らないというふうに、そう書いてあります。  また、今言いましたテレビ朝日の椿前報道局長は、新聞報道によりますと、複数の特定候補を選挙中積極的に報道し、バックアップした、この人たちの当選は我々テレビのおかげであると考える、こう発言されたと報道されておるわけでございます。田原さんの話とくしくも符合するわけでございます。  まさに、一方に偏向した、中立性を欠く報道であり、公選法あるいは放送法の基本的精神を踏みにじっておると言わざるを得ない、甚だ遺憾なことであるというふうに私は思うわけでございます。  それにつきまして、これは民主主義の基本に、根幹に関することでございますから、現在の法制度では、今郵政省がいろいろ調査中だという話があったわけでございますけれども、もし放送法違反があっても、十分に証明されない可能性もあります。しかも、椿前報道局長が意図的な報道を否定しておられ、真相は今やみの中と言っても過言ではない。しかし、どうもこの椿発言もいろいろちょっと少しニュアンスが変わってきておるようでございまして、きょうの新聞によると、取締役をやめたい。その前は、報道局長を既に更迭になった、あるいはこういった発言をした後編成局長から注意を受けた、社長からも厳重注意を受けた、こういったことを新聞報道によりますと書いてあるわけでございまして、やはりこの辺の発言を私はきちっと明らかにすることが、まさに民主主義の根幹に触れ、国民に偏った政治意識を植えつけ、選挙の公正さを失わせる可能性があるわけでございますから、ひいてはその国民に誤った情報が行けば国の進路が誤るわけでございますから、私は、これは極めて重要な民主主義に対する発言である、こう思うわけでございますから、この際、限界のある調査や圧力、誤解を避けるためにも、公開の原則に最も開かれたのがこの国会でございますから、国会の場で椿前局長を証人喚問する必要があるというふうに考えるわけでございます。  議会証言法に基づき、テレビ朝日の取締役前報道局長椿貞良氏を証人として喚問することを委員長に要求をいたします。また、椿局長が発言された九月二十一日の放送番組調査会の発言を記録した速記録、テープあるいはメモを証拠として提出されるように要求いたします。  なお、審議次第では、九月二十一日の放送番組調査会に出席されたメンバーの中から参考人としてこの委員会に出席をいただければありがたいと思うわけでございまして、このこともあわせて述べさせていただきたいと思うわけでございます。  それでは委員長、今、椿局長の証人喚問の実現を図るため、理事会でぜひ協議をしていただきたい。このことについて委員長の、ぜひ証人喚問をしていただきたい。今私がるる述べました、大変重要な問題でございますから、そしてそのことをぜひ実現していただきたい。強く椿局長の証人喚問を要求させていただきます。委員長、御答弁を。
  106. 石井一

    石井委員長 先ほどの熱心な政治改革議論の中にもございましたように、当委員会の審議はかなり遅延いたしております。そして、我々はようやくきょう第一日に入っておる。(発言する者あり)静粛に願います。そういう状況でございますから、当委員会でこれを取り上げるかどうかこの問題をも含めて、理事会で協議をすることといたします。
  107. 自見庄三郎

    ○自見委員 正式にこの証人問題について委員会理事会で協議をするという委員長のお言葉でございますから、引き続き質問を続けさせていただきます。  ところで、テレビ局は、先ほど申し上げましたように国民共通の財産でございます。公共財の電波を使っておりますから、電波法の適用も受けているわけでございます。電波法には無線局の免許、テレビ局もこの無線局に該当するわけでございますけれども、免許の申請を受けた郵政大臣は遅滞なく適合条件に合っているかどうかを審査せねばならない、こういうふうになっているわけでございます。この適合の免許を受けた後、再申請、再免許を出すということにいろいろな条件があるわけでございますけれども、その条件の中の一つに、放送法と同じ趣旨でございます、電波は公共のものでございますから、不偏不党あるいは政治の公正、公平性をきちっと確保しているわけでございますから、そういった意味で放送法と同じ趣旨の、政治的に公平であること、報道は真実を曲げないこと、あるいは意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすることなどが挙げられております。  ところで、テレビ朝日の免許は十月末まででございます。五年に一遍免許の切りかえでございまして、この十月末までが免許の期間だというふうにお聞きをいたしております。それまでに審査をして、電波法に適合しているかどうかの結論を出さねばならない、こういうふうに思うわけでございます。  それでは郵政大臣質問をさせていただきますけれどもさきの郵政省の答弁によれば事実関係を調査中ということでございますが、免許更新時期までに調査は終わるのか、もし終わらなかった場合免許更新をどうするのか郵政大臣にお尋ねをしたいと思います。
  108. 神崎武法

    ○神崎国務大臣 十一月一日が再免許の時期であることを念頭に置きつつ、現在鋭意調査を行っているところでございます。早急に結論を得るよう努めたいと考えております。  なお、再免許の時期までに調査が終わらなかった場合の対応についてお尋ねでございますが、調査の推移を見ながら別途検討をさしていただきたいと思います。
  109. 自見庄三郎

    ○自見委員 もう持ち時間もなくなったわけでございますけれども総理に最後に、まさに今さっき言われたことでございますけれども質問をさせていただきたい、こう思うわけでございます。  椿前報道局長に対する反響、あるいはもしこの新聞報道が正しいとすれば、椿局長は大変不公正な報道、例えば非自民政権が生まれるように報道するように指示したというわけでございますから、もしそういったことが事実とすれば、これは大変ゆゆしきことだというふうに私は思うわけでございます。  アメリカの大統領選挙では、有権者受けするようなイメージや自分の都合のいいことなどを演出して、そういったことを、テレビを自分の陣営に有利な方向に誘導する戦術が過熱をいたしておりまして、あるいはアメリカの有権者の、あるいは視聴者の方々の不信を招き批判を受けている、こういう話も聞くわけでございます。今のテレビの選挙報道を見ておりますと、大統領選挙のように、候補者もある意味では虚像というものが大きく取り上げられ、実像がわかりにくくなるのではないかという危倶があると思うわけでございます。  この椿局長もこう申していますよ。テレビのワンショットは文字の一万語に相当するというのですよ。テレビのワンショットは文字の一万語に、それくらい相当するぐらい影響力があるんだ、こういうふうに言っているわけでございますから、そういった意味で、まさにこの椿前報道局長発言ですね、総理といたしまして、最初にもお聞きいたしましたけれども、どのような御感想をお持ちでございましょうか。ぜひ最後にもう一度、いろいろ述べさせていただきましての感想をお聞かせをいただきたい、こういうふうに私は思うわけでございます。
  110. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 もし仮に事実であったとすれば、大変これは遺憾なことだと思います。  先ほど郵政大臣からも御答弁がございましたように、ただ、その事実について今把握中であるということでございますから、そのような事実関係をよく踏まえた上で、先ほど来お話しの放送法上の問題等々につきましても判断をさるべきものであろう、このように考えているところでございます。
  111. 自見庄三郎

    ○自見委員 今総理も、大変重要である、そして事実関係がと、こう言われたわけでございますね。私は、やはり行政上の措置というのは、おいでいただいていろいろ調査をさせていただくということでございますから、これはやはり一定の限界があるものだと私は思うわけでございます。これほど大きくなったら、やはり我々は国会議員でございますから、国権の最高機関でございますから、国民の御信託をいただいてここにおらしていただくわけでございますから、議院証言法という法律もあるわけでございますから、これに基づいてこういう大事な問題はやはりきちっと真相を解明し、国民の前に明らかにする必要がある、こういうふうに思うわけでございます。  今委員長に私は証人喚問を要求したわけでございますけれども、椿前局長の証人喚問を要求したわけでございますけれども、これについて、石井委員長が後ほど理事会できちっと話し合いをするということを言われたわけでございますから、ぜひ、これはもう一自民党とかそういうことでなくて、今度は次にどの政党がねらい撃ちされるか、この政党がやられる、こうなれば、テレビは十数%の視聴率で六百万から七百万人の方が見られるというんですね。そしてこの椿さんも言っている。ワンショットが一万語に相当するんだ、こう自分で言っているわけでございますから、それほど大きい影響力があるわけでございます。  今さっき言いました言論の自由が保障されるのは当然でございますけれども、一方、電波法でございますから、どこでもテレビは来るわけでございますから、ですからそういった意味で、きちっと公共性、政治的公平性を担保している、こういう法律があるわけでございますから、そのことは大変私は、将来の民主主義国家にとっても、日本国の運命にとりましても重要なことである。事は本当に重要なことでございますから、私は、石井委員長は長い政治経験の中でそのことはよく御賢察だ、こう思うわけでございます。このことを与野党を通じて、与野党を超えて我々全部、民主主義政治の、選挙の基本でございますから、ぜひこのことの真相解明をするということを、一党一派の党略でなく、まさに大前提でございますから、ぜひこのことを、椿前報道局長の証人喚問を実現していただきたい、こういうことを強くお願いを申し上げまして、私の質問にかえさせていただきます。
  112. 石井一

    石井委員長 自見庄三郎君に申し上げます。  先ほど郵政大臣も御答弁になっておりますように、まず事実関係を慎重に調査をする、これがまず第一前提ではなかろうかと思います。次に、その結果に基づき、当委員会理事会において、この問題を証人喚問に取り上げるか、当委員会で取り上げるか別の手段をとるか、それらを含めてひとつ検討をさせていただきます。  以上のことを申し上げまして、午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  113. 石井一

    石井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大島理森君。
  114. 大島理森

    ○大島委員 いよいよきょうから審議に入りました。先ほど我が方の野田筆頭理事からも御質問がありました。理念を伺う前に、私は総理に若干、法案審議に向かう総理の姿勢について、大変恐縮ですが、お伺いしたい。  野田理事総理質問をさせていただきましたが、私は衆議院議員になってこの方十年になります。かつては、海部内閣のときは官邸にもおりました。国会の審議日程に、政府が直接与党理事さんを呼んで相談されて、そして対外的に発表するという姿を私はいまだかつて見たことはございません。これは、国会の議事日程というのはまさに国会そのものの特権であります。  したがって、私はまずお伺いしたいのは、金曜日に与党理事さん方をお呼ばれになって、どういうやりとりがあったのか、そのことをまずお聞きしたい、こう思うのです。
  115. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 政治改革の審議がいよいよ本格的に始まるに当たりまして、大変与党理事の方々にも御苦労をおかけをいたしますが、ぜひひとつ年内成立に向けて、政府としても最善を尽くして頑張ってまいりたいと思いますので、ぜひ御理解と御協力のほどをお願い申し上げたい、こういうことで御懇談をさせていただいたということでございます。
  116. 大島理森

    ○大島委員 そうしますと、十一月五日に衆議院を可決させるというそのやりとりは全くなかったのですか。
  117. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 ちょっと細かいやりとりまで覚えておりませんが、先ほども野田委員のお尋ねにお答えをいたしましたように、政府としては、参議院の日程などもございますから、ぜひよろしく、これは国会でお決めになることでございますが、ぜひよろしくお願いを申し上げたい、こういった大まかな話はあったと思います。
  118. 大島理森

    ○大島委員 そうしますと、この報道は間違いだということですか。
  119. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 ちょっと細かいやりとりについては私も定かに記憶をしておりませんが、あくまでも趣旨はそういうことで、大変御苦労をおかけいたします、そういう意味での初顔合わせと申しますかそういう趣旨の会合であったということでございます。
  120. 大島理森

    ○大島委員 それから、四日、五日という数字は出なかったのですか。
  121. 武村正義

    ○武村国務大臣 正式にそのことが議題になったわけではありません。大体今後の審議日程の見通しの説明については、与党のどなたかからそういうお話は伺いましたが、五日、十二日、一つのけじめのような話は聞きましたが、政府と合同でそういうことを議論して、決めたわけではありません。
  122. 大島理森

    ○大島委員 私はなぜそういうことをしつこくお伺いしますかといいますと、つまり、そういうふうなことを報道することによって、一つの時間的区切りを決めていってしまう。そうしますと、いかにも、もうそこを過ぎてしまうと、野党がそれを妨害したという世論形成をつくっていくという意図が一つ見え隠れするような気がいたしました。  三権分立という観点から、総理国会内の議事日程については、その行動あるいは言動、そういうものが慎重であるべきだと思います。まさに、総理みずからが与党理事さん方を呼んで、テレビに映られて、そして、その後に報道がそういうふうにされた。そうしますと、そこには何かしら、当然そこにそういう相談をされて、そして、いかにもその世論が一つでき上がっていってしまう。そういうふうなことは、むしろ国会の審議の私は形骸化になっていくような気がするのです。ですから、今後、総理におかれても、官房長官におかれても、また副長官もおられるわけですから、ぜひ気をつけていただきたいと思うのです。どうですか。
  123. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 これは、まさにおっしゃるとおりで、国会でまさにお決めになることでございますから、官邸の方で国会の審議について、このようにしていただきたいというようなことを申し上げることは、これは差し出がましいというか、僭越な話でございますし、そのようなことは全くいたしてもおりませんし、また今後ともいたすつもりもございません。
  124. 大島理森

    ○大島委員 そういたしますと、これも本会議総理のお言葉から訂正の、いやそんなことはないということを御答弁になりましたから、私もそれを信じます。自民党はやくざみたいだなどという報道がされました。それはないというふうにお答えになりましたが、信じたいと思います。  総理の今の認識では、まさに野党がこの委員会審議あるいは政治改革審議をおくらせているという、そういう認識はありますか、ありませんか。
  125. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 ございません。
  126. 大島理森

    ○大島委員 政府案と自民党案の相違点、これは先ほど野田委員からも質問がありましたが、改めて伺いますが、我が党の案をお読みになりましたか。
  127. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 細かくは読んでおりません。しかし、どこが違うかということについては承知をいたしております。
  128. 大島理森

    ○大島委員 総理の所見では、どういう点が基本的に違い、それが何項目ぐらいあるとお思いですか。
  129. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 先ほど野田委員からは、二十項目でございましたか、かなりお挙げになっておられましたが、まあ細かい点まで入れればかなりあるのかもしれませんが、大きなポイントはやはり数の問題。政府案では、御承知のように、二百五十、二百五十、それが自民党案では三百と百七十一というようなこと。それから、比例区を都道府県で自民党案では考えておられるのに対しまして、政府案では全国で単位として考えているというようなこと。それから、政治資金のあり方について、政府案では個人に対するものは全面禁止にしている。政党一本に、やはり今のような政治状況のもとで、政治と金にまつわる問題、企業政治家にかかわる問題というものが政治不信を生み出している大きなやはり原因であるということにかんがみまして、政党一本、政党またはその政治資金団体に絞るべきであるということで、そこのところを明確にしておりますし、そのほかにも幾つかの点があると思いますが、大まかに申し上げれば、そういうようなところが一番基本的な違いではないかなという認識でございます。
  130. 大島理森

    ○大島委員 その総理認識された違いの中で、後ほどいろいろ御質問させていただきますが、基本的な理念が違うものもあるな、あるいは技術的に違うものもあるな、大きく分ければ、分け方として私なりに分ければ、そういうふうなものがありとすれば、それらについて総理として、基本的理念が違うものがどのぐらいあるとお思いですか。それとも、基本的な理念は全く我々の案と政府の案と同じだとお思いですか。
  131. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 これは議論の分かれるところだろうと思いますが、小選挙区に比重を置くのかどうか。これも先ほど来御議論がございましたが、それを三百にするのと二百五十にするのと、また、比例の数を二百五十にするのと百七十一にするのとでは大分それは違うのではないか、それは理念の部分だ、こういう恐らく自民党の方々はお立場であろうかと思いますが、私は、それはそうではないのではないか、もっと技術的な問題に近いのではないかな、私の認識はそういうことでございまして、そこのところは水かけ論になるのかもしれませんが、基本的な考え方にそれほど大きな違いはないのではないかというのが私の基本的な認識でございます。
  132. 大島理森

    ○大島委員 今、三百と二百五十のところを一つの事例として出されました。そうしますと、三百と二百五十というその違いは、総理考え方としては、基本的な理念というよりは、むしろ技術的なものかなというニュアンスでとらえられておる、こう受け取ってよろしいですか。
  133. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 まあ、両方であろうと思います。しかし、私自身はそういうふうにとらえている。ですから、その点については自民党の方々とはちょっと違うのかな、それが自民党の方々にとっては基本的な理念であるというお受けとめ方になっているのかなという感じを私は受けているということでございます。
  134. 大島理森

    ○大島委員 まあ、各論の理念の問題点は後ほど質問さしていただきます。  私は、要するに、選挙制度の改革を中心とした制度改革というのは、いわば選ばれる代表者の性格、さらに政党勢力配置、さらに個々の政治家のあり方、そういうものに大きくかつ重大に影響するわけですね。したがって、主権者、国民皆さんにとりましても、将来の政治的命運がどうなるのかという意味で大変重要な問題である、こう思うのです。そして、そういう観点から大変党派性の強い問題だ。  私どもこの四年間、五年間、先ほど質問者の方々もおられましたが、ふと私、海部内閣時代の副長官をやって、そして羽田先生やそこにおられる先生方にも御指導いただきましたが、社会党さんや公明党さんや民社党さんが、先ほど大内大臣がお話ししたように、断腸の思いというか、清水の舞台からおりる気持ちで今の並立制に賛成したんだ、なぜ四年前にその気持ちを持っていただけなかったのかなという思いが本当にするんです。そのぐらいに党派性の非常に大きな問題であるということ。したがって、非常にこの問題の難しさを私自身実体験してまいりました。  さらに、一たん変えて、総理は変革とか新しいというものを言葉の中に出されますが、一たんつくった制度をまた新しくした方がいいというので、ぱんぱん変えるわけにはいきません、民主主義のルールですから。  そういう観点からも、私は、政府はベストのものを出したと言いますが、この案件は国会でベストのものを探るという姿勢がお互いになければできないと思いますが、どうですか。
  135. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは、もとよりそうだろうと思います。政府としては、政府提案ということで出させていただいているわけでございますから、それは、先ほど来申し上げますように、今までの長い間の経緯というものを踏まえて、この辺が一番妥当なところではないかな、もちろん制度でございますから、それが百点満点だということを申し上げるつもりはございませんが、まあしかし、大方の論議の集約というものは、落ちつきどころというものはこの辺ではなかろうかということで出させていただいたものだということでございます。
  136. 大島理森

    ○大島委員 そうしますと、このように受け取ってよろしいですか。政府としてはベストのものを出しました、委員会の審議が始まって、与野党ともにいろいろ議論していったら、やはり政府の問題にもこういうところがある、これは自民党の方がいいと。あるいは、我々自身も気がつくかもしれません。つまり、政府としてベストのものであるけれども国会審議の場でベストのものができた場合は当然にそれに従うというふうに受け取ってよろしいわけですね。
  137. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは、もとよりそういうことだろうと思います。ただ、先ほど来申し上げますように、私どもは、やはり政府提案としてこれが一番いいという形で出させていただいているわけでございますから、ぜひそれについて御理解と御協力がいただけるであろう、そのような期待を込めて出させていただいているということでございます。
  138. 大島理森

    ○大島委員 冒頭に私は、与党理事さん方と、官邸に呼ばれて、白昼堂々審議日程したのではないかというふうなことを質問しました。  つまり、さすれば私どもがこれから、先ほど公明党さんでしたか民社党さんでしたか、国民皆さんもまだわからない、これはどういうふうな日本民主主義になるのかよくわからないんだ、実体験としてそういうふうな意見開陳がございました。そのためには十分な審議が必要であります。さらに加えて、これから国民皆さん意見も聞かなければなりません。あるいは有識者の皆さん意見も聞かなければならぬかもしれません。加えて、それぞれの、今総理がお話しされた認識の違いのところを徹底的に議論しなければなりません。  そういう中で、この委員会において、こういうふうな案だったらいわば国会の最大多数の最大合意ができるのではないか、こういうふうな空気が出たときに、総理としては、政府案がベストだからといった観点からリーダーシップを発揮するということはありませんね。
  139. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは、国会での御論議というものが何よりも優先をするということは当然のことでございます。
  140. 大島理森

    ○大島委員 わかりました。私どもはこれから、総理認識としても、野党が審議日程を延ばしておるとか、あるいはその審議の日程について、まずあらかじめこうあるべきだとか、そういうようなことを指示したこともなければ、また、十分に審議をしていただきたいというお気持ちが総理の中からもわかりましたし、さらに私どものこの委員会における審議を踏まえて、私どもも何とかよりよい成案を得るべく努力をして、その成果に対して、総理としてはしかと受けとめていくというふうに受けとめさせていただきます。  そこで、先ほども野田理事の方から質問がありましたが、理念について伺います。  羽田総理、今私が申し上げる言葉に対して、副総理の所見をちょっとお伺いしたいのです、ゆっくり読まさせていただきますから。  政権交代の可能性がない限り、自民党主導で小手先だけの政治改革を叫んだところで、真の制度改革などは絵にかいたもちである。政治を変える最大の力は、いろいろな政治改革論議とか、小さな政党が出てきたりすることではない、政権交代状況ができるかどうかだ。さらに、今一番の政治改革は既成の政治を解体することだ、まず壊すことが新しいものをつくることにつながる、それが政治改革の核心である。さらに、正直言って、今の政治改革論議にはうんざりなんですよ。政治資金をどうするとか、選挙制度をどうするとか、それも必要なことに違いないが、それで政治改革ができるはずがない。  これらの私が申し上げたことに対して、副総理の所見だけでも伺っておきたいと思います。
  141. 羽田孜

    羽田国務大臣 まず基本的なあれとして、政治改革というのは一体何をするのか。その中で、私ども自民党にありましたころから、やはり選挙制度というものを中心に言ってきました。ただ一般に、国民の皆様方になかなか、いや腐敗の方が先だよというお話がありました。ただ、私どもは、選挙制度を変えるということは単にお金の問題だけじゃないんだ、お金の問題にしても、やはり制度を変えることによって、同じ政党の者が一緒に争うということがなくなることによって、あるいは政党が前面に出てくることによって、そこにやはり意識というものは変わってくるだろう。その意味で私は、この改革をやることによって、変わってくる一つの一歩を間違いなく踏み出ることになろうということを申し上げてきました。  それともう一つの点は、やはり政権交代というのが、中選挙区の中でずっとやってきておりますと、やはり無所属から出てきた人、そういった人たちも与党の中に取り込んでいくということがあります。そういう中でどうしても数というものは必ずアジャストされてしまうだろう。そういう中で本当の真剣な議論というのは行われなくなってしまって、国民に対して、いいことは言っても、なかなか厳しいことを本当に選挙の間、これは与党も野党もということで申し上げておりましたけれども、なかなか言わなくなってしまうということであってはならないんじゃないのかというようなことをずっと私は申し上げてまいったところでありまして、その意味で割合と荒っぽいことを、私はあるときには少し荒っぽいことも言っておりました。ともかく今の疲労した中選挙区制を変えるところに、これを変えればやはり間違いなく全体が変わってくるよ、政治が変わってくるよということを実は申し上げたことがありまして、基本的には、そんなむちゃなことで済むものじゃない、しかし、やはりよりよきものを求めるということであろうというふうに思っております。
  142. 大島理森

    ○大島委員 そうすると、副総理政治改革に対する考え方というのは、こういうふうに考えてよろしいですか。制度を変えることが日本政治を、いろいろと今問題になっておる点を変えることなんだ、まず制度を変えることが大事なんだ。先ほど私が申し上げたのは、制度を変えるとかそういうことではなくて、政権交代可能な状況をつくることが政治改革の核心だ、こう言っているわけですね、先ほど申し上げた内容は。羽田総理の場合は、制度を変えることがまさに新しい時代政治に対応するための日本政治を変えることだ、こういうことですね。
  143. 羽田孜

    羽田国務大臣 今は、結果としては、私ども、この政治改革をなすことができないという中で飛び出てしまったという状況の中から今日があるわけなんです。しかし、自民党の中で議論しておりましたときには、やはり制度を変えるということになると、必然的に再編成が起こってくるであろうという中で政治が変わってくるということを実は申し上げておったものであります。
  144. 大島理森

    ○大島委員 そうしますと、先ほど申し上げたように、要するに、政治改革の一番大事なことは、既成の政治を全部解体して、まず壊すことが大事なんだとか、あるいは政権交代状況をつくることが政治改革なんだという考え方とはいささか違うと思いますが、どうですか。
  145. 羽田孜

    羽田国務大臣 いや、何というのですか、私ども、やはり制度を変えれば政界再編成というのが必然的に起こってくるだろうということを申し上げておりました。しかし、ただそれを言っておりましても、実際にそれができないということの中で私たちが出てしまうということになりますと、私たちが出る以上は、ただ政治をひっかき回して楽しんでいるなんというものじゃないのであって、やはり責任ある政治家立場としては、その中で変化をひとつ起こしていこうじゃないかということを申し上げ、そして政権交代する中に新しい政治が起こるであろうということを申し上げたことは事実であります。
  146. 大島理森

    ○大島委員 それでは、副総理にちょっとお伺いしますが、副総理はまさに自民党の中におられて、ここにございます政治改革の基本要綱、改革大綱、こういうものを指導者としてやっていただきました。私もその御指導をいただいた一人であります。そのときの政治改革選挙制度を含めた改革に対する理念あるいは基本的な考え方、これは変わっておりませんか。それとも、その後現状として変化がございますか。
  147. 羽田孜

    羽田国務大臣 基本的には私は変わってないということを申し上げることができると思います。
  148. 大島理森

    ○大島委員 そうすると、自民党が今基本としている基本大綱、そういうものと基本理念は変わっていない、こう考えてよろしいわけですね。
  149. 羽田孜

    羽田国務大臣 少なくもこの選挙制度の改革まで進めなければならないと書きました政治改革大綱、そしてそれに続いてつくり上げた要綱というもの、この基本的な考え方というのは、そんな大きな変化というものは持っておりません。
  150. 大島理森

    ○大島委員 そうしますと、ここに想定された、まさに羽田総理がその当時指導者としてつくられた日本政治の構想というのは、二大政党もしくは二大政党的な政権交代可能な日本の政界地図、小選挙区制を基本とした考え方、こんなものが柱なんだろうと思いますが、そのことについては、今も同じ哲学でございますか。
  151. 羽田孜

    羽田国務大臣 選挙制度には、もうよく御案内のとおり、それこそ人によって、いろいろな言い方がありますけれども、何百種類あるなんということが言われております。ですから、よりよきものを求めるというのが私たちの姿勢であろうと思っております。  ただ、今日、日本に課せられている問題というのは、課せられている内外の問題ですけれども、例えば内にあっては、戦後五十年たつ、そういう中にこうやってだんだん一つずつ積み重ねられてきたもの、こういったものが、もう変えなきゃならぬ部分があるだろう、相当ドラスチックなものであろうと思います。それから、やはり対外的にも、追随というよりはむしろ提案する、そういう形にやはりいかなければならぬだろうと思っております。  そういうことを考えたときには、どちらかというと、国民意見といいますか意思というものをできるだけ集約する形の方がいいんじゃないのかなと考えたときに、まあ一般に言われるところの比例よりは、どちらかというと小選挙区、そして比例併用よりは小選挙比例並立、この方がそういったことに対してこたえていくことになるんじゃないか。ということになりますと、必然的に政党の数というものも集約されてくるということになろうと思う。  ただし、私は当時から申し上げておりましたけれども、ただ強引に二党に、ただ単に二つ勢力というのじゃなくて、もちろん別の勢力もあるでしょうけれども二つ勢力を中心としたものになっていくことがいいんじゃないのかということを申し上げました。
  152. 大島理森

    ○大島委員 そうしますと、小選挙区制がベースになるという考え方のところは、その当時持っておった、今も持っておると考えてよろしいですか。
  153. 羽田孜

    羽田国務大臣 基本的にはそうでございます。
  154. 大島理森

    ○大島委員 そこで総理、先ほど申し上げた言葉は総理のお言葉ですね。副総理に、私はいろいろこういう意見に対してどういうふうな所感を持ちますかと言った言葉は総理のお言葉だと思いますが、どうですか。  もう一回読みましょうか。今一番の政治改革は既成の政治を解体すること、まず壊すことが新しいものをつくることにつながる、それが政治改革の核心である。それから、正直言って、今の政治改革論議にはうんざりしている、政治資金をどうするとか、選挙制度をどうするとか、それも必要なことに違いないが、それでは政治改革ができるはずがないとかそれから、先ほど申し上げたのはほかにもあるのですが、つまり今のようお言葉は、総理が本に書いたりどこかでおっしゃったり、そのお言葉ですよね。
  155. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 もう忘れてしまいましたが、多分、今羽田さんも御自分でおっしゃったということをおっしゃっておりましたが、私も同じようなことを申し上げているのかもしれません。中身は大体そんな程度のことは申し上げていると思います。
  156. 大島理森

    ○大島委員 総理、御自身の言葉を大事にされる総理でございまして、これは一九九三年ですから、去年、おととしの話じゃないですね。文芸春秋の中に書いておられる。それから、総理の大変売れておられる「責任ある変革」という本の中に、政権交代の可能性がない限り、いかに自民党主導で小手先だけの政治改革を叫んだところで、真の制度改革など絵にかいたもちである、こう書いておられる。それを忘れだというのは、ちょっと読者に対しても失礼じゃありませんか。
  157. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 いや、基本的に、おっしゃったことは、そう書いているだろうと思います。また、しゃべってもいるだろうと思います。制度改革以前に政権交代が可能な状況というものができてくるということは、これはやはり極めて大事なことではないかという趣旨のことは、いろいろなところで申し上げていると思います。
  158. 大島理森

    ○大島委員 つまり、総理のその当時の考え方は、多分その当時はまだ総理になろうとか、選挙のときも第三の道を歩まれる、こう言われました。総理自身、政治改革選挙制度改革というその位置づけはこういうことではないかと、私あれを見たり、総理のお言葉を拝見して考えたのです。だから聞いているのです。  つまり、総理自身の政治改革の理念というものがどうももう一つ明確でない。例えば、今までの経過を踏まえて、これがベストなものだ、こういったのはプロセスを言っておられるのであって、それがどういうふうに、まさに与党皆さんからも質問があるように、どういう日本民主主義が、そして国民と政府と議会の関係がどうか、こういうものがもう一つ明確でない。だから、与党さんからも質問がある。私も聞きたいのは実はそこなんです。  ですから、総理の今日まで考えてきた政治改革というのは、結局こういうことなのかなと。政権交代可能な状況をつくっていくことが日本新党の役割であり、政治家細川の役割である、制度がどうであるとか、政治資金がどうであるとかということは次の問題だと。ですから、ともかく非自民あるいは政権交代を可能にすること、これが一番の核心なんだということを言っておられるのですが、そのようにとらえてよろしいですか。
  159. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 日本政治の中でやはり一番今まで大きな問題であったことは、まさに政権交代が四十年近くなかった、このことがさまざまな問題を生み出してきた。そしてまた、内外に山積する課題に的確に対応できるような状況というものができてこなかったというのは、まさにやはり、突き詰めて言えば、政権交代がなかったというところにあるのではないかと思っております。  もちろん、だからといって、今度政権交代ができたから、では制度改革をやらなくていいのか、選挙制度の改革でも政治資金の改革でもやらなくていいのか、そういうことではございませんで、今度はたまたまそういう状況になりましたけれども、しかしやはり今の中選挙制度のもとで個人本位の利益誘導型の選挙になってしまう、そういう状況も改めていかなければ、日本政治というものは、本当にやはりすぐれた人が政治の場に出てきて、天下国家を論ずるというような形にはなってまいりませんでしょうし、また政治腐敗の問題につきましても、どうしてもやはり今までの現行法のところにメスを入れていかないと、企業政治、あるいは金と政治家にまつわる問題というものも改善をされていかないということでございましょうから、どうしてもやはり制度的な問題に手を入れていくということも大きな課題である。まず、その政治改革というものをてことして、日本のさまざまな構造改革というものを進めていくということが、今私どもに課せられている大きな役割ではないか、使命ではないかということを私は感じているところでございます。
  160. 大島理森

    ○大島委員 もう一度伺います。  総理は、そういたしますと、先ほど羽田総理もお話しされましたように、私どもがこれをつくったときには、政治改革選挙制度改革をするときに政権交代可能な制度も視野に入れてと、こういうことを絶えず言ってきました。これも歴史のまたおもしろさなんでございましょうが、まさに政治改革論議を中心にして今日の状況が生まれました。たまたまそこに細川総理が決断をされて新しい政党をつくって、政権交代を可能にすることこそ政治改革の核心であり、日本新党の役割だ、こうデビューされて、今総理におつきになっている。だとすれば、政権交代可能な制度をつくるという一項目は今度の選挙制度の目的から外れていくというふうに考えた方がいいですか、それも依然としてあるんだというふうに考えてよろしいですか。
  161. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今回は、先ほども申し上げましたように、たまたま八党派が集まって、政策協定を結び、合意事項を結んで連立政権というものが誕生いたしましたが、恐らく、これだけ多様な価値観というものができている経済社会の中におきまして、私は前から穏健な多党制になっていくのではないかという、そういう見通しを申し上げたこともございますが、そういう状況の中で幾つかの政党が寄り集まって、提携をして、一つ勢力になりあるいは二つ勢力になって、そこに政権交代が行われるような状況ができていくということが日本政治の成熟のためには好ましいことではないか、また民意の反映という観点からも、そのような姿というものが日本議会主義の成熟というもののためには好ましいことではないか、そのように考えているところでございます。
  162. 大島理森

    ○大島委員 総理総理選挙制度についての発言が、この一年間ぐらい、かなり変わっておられますね。つまり、あるときはこれがよかった、あるときにはこれがいい、これがいいという変遷、総理御自身どういうふうに言ってきたか、おわかりですか。
  163. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 私は、率直に申し上げて、制度というものにベストというものはないと思っております。これは、やっぱりそれぞれに一長一短がある。単純小選挙区制にもいい面があるし、また比例制にもいい面があるし、併用制にも大変いい面がある。どの案がいいかということは、これはなかなかやはり決めがたいところであって、私は、選挙制度については、率直なところ、今まで大変柔軟な態度をとってまいりました。  ですから、中選挙区連記制がいいと申し上げたこともありますし、また、衆議院が単純小選挙区であれば、参議院が比例代表制であるべきではないかということを申し上げたこともございます。それはしかし、やはり今までのさまざまな御論議の中で積み重ねられてきたものを踏まえて、あるところでやはり考え方をまとめていかざるを得ないであろう、そういう立場をずっととってきたということでございます。
  164. 大島理森

    ○大島委員 そうしますと、選挙制度について基本的な、ある制度はいいところもあるし悪いところもある、この制度もいいところがあるし悪いところもある、そのときどきによって自分の考え方も変わっていく、社会情勢が変わればそう変わっていく、まあいろいろあったけれども、今日まで来たと。  そうしますと、今ベストだと言っておられることと、制度にはそれぞれいいところもあるし悪いところもある、総理の答弁の中でさまざまという言葉がよく出られるんですよ。私はそれは、多様性を大変な価値としてこれからも政治をやっていきたいという理念として、当然に、総理は気がついておられるかどうかはわかりませんが、さまざまなというお言葉が出るのは、まさに多様性ということだと私思います。  もう一度、しつこいようで恐縮でございますが、我が党の案もいい点もあるし悪い点もあると思っておられますね、そうすると。
  165. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 もちろんそうでございます。いい点もたくさんございます。ただ、問題と、ちょっといささかどうかなと首をかしげる点も率直に申し上げでございます。  それで、ときどきによって変わってきた。確かに今まで変わってまいりました。私は大変柔軟であると先ほども申し上げたとおりでございますが、しかし、今度の政府案を提出するに当たりまして、その前の、これも繰り返しになって恐縮でございますが、それまでの選挙制度審議会の御報告であるとか各党の御論議の経過を踏まえまして、やっぱりこの辺で、これはまあある種の踏ん切りの問題でございますから、やっぱりこの辺が妥当なところじゃないかな、こういうことで政府案を出させていただいたということでございます。
  166. 大島理森

    ○大島委員 私は、制度の改革というのは、制度さえ変わればすべてがよくなるという考え方はもちろん持っておりませんし、総理も持っておられないと思うのです。しかし、今日的に出たいろいろの問題が、まさにリクルート事件というものを一つのきっかけにしまして、制度にかかわる問題が非常にあった、したがって制度を変えなければならぬのだというのが私ども考え方でありました。羽田総理もやっぱりそうだったと思うのです。  政権交代を、状況を可能にならしめることが政治改革の核心という考え方もあるのでございましょうが、いろいろな問題が出たときに、それらが制度にかかわっておる、したがって制度から変えていかなければならぬのだ。どうも総理の答弁をお伺いしますと、御自身、自分は柔軟であると、こうおっしゃっておられるのです。柔軟でも、その根元が柔軟であってはいけないと私は思うのです、政治家は。その根元のことを私は今一生懸命伺っているのです。  その根元のところを聞きますと、今まで各党会派がいろいろな御論議があって、そのプロセスを大事にして今の案になったと、こうおっしゃる。ということは、ガラガラポンして妥協したんだ、もうこっちの言うこともこっちの言うことも聞いたらこの案になってしまったというふうな受けとめ方をせざるを得ないのです。例えば、後で伺いますが、二百五十と二百五十、あるいは全国、あるいはなぜ並立にしたのか。  では伺いますけれども選挙が終わって内閣をつくられてから、この今出されている政府案までの政策決定過程、少し明らかにしていただけませんか。  つまり、今総理自身、開かれた政治ということをおっしゃいます。我が党の場合は、御承知のように、かつて総理も我が党におられましたから、部会で秘密会といったって、何もみんな聞こえて、次の日は新聞に出ます。まことに開かれた政党であります。ただ、例えば先ほど大内大臣も石田大臣山花大臣も、今日までの経過、総理御自身も、日本新党としての制度改革に対するあれは、柔軟だと言えば言葉はきれいですが、要するにどんどん変わってきた。なぜ、どういう議論があって、今の政府案に至ったか、この決定過程を総理はやはりある程度国民に明らかにする必要があるような気がするんですが、各党はこういう意見があった、しかし私の判断でこうした、これをちょっと御説明いただけませんか。
  167. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 連立与党の八党派の合意というものがございまして、その合意を踏まえて、連立与党の中でさまざまな政策決定のプロセス、手順というものがきちんと踏まれてきたということがまず基本的なポイントでございます。その合意を踏まえて、政策幹事会あるいは各党の代表者会議、そういったさまざまな八党の中での合議機関といいますか協議機関、これはもうまさに自民党と同じでございますが、もっと連立与党の場合には単純化されておるかもしれませんが、そういう協議のプロセスを経まして、この政府案というものが最終的にでき上がったということでございまして、そういう意味では、極めて透明性のあるものだというふうに思っております。
  168. 大島理森

    ○大島委員 さすれば、透明性があると胸を張っておられますが、最も基本的に論議になったのはどういうところであって、その論議からこういう結論になった、その最も論議になったところはどこですか。さまざまな御意見議論されて、そしてその中で最も議論になった問題点のところがこの対立てあって、しかしその結果こうなりましたというところはどうですか。
  169. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 この連立八党派が政権をつくるに当たりまして、一番もとになりましたのは、八党派の合意の前にさきがけと日本新党で出しました、あれは何といいましたか「政治改革政権提唱」というのがございました。それがもとになって、たたき台になって、連立与党各会派で、各党派でお集まりになっていろいろ御議論があったわけでございますが、その中には、もちろん数の問題もございましたし、それからまた都道府県か全国がとかさまざまな問題が、もちろん政治資金についてもございました。先ほど来自民党案との違いの中で論議をされたような問題はすべてその中で論議を尽くして、そして政府案として提出をさせていただいたということでございます。
  170. 大島理森

    ○大島委員 まだ要するにどうもその理念がよく表に出てこないのですが、私は冒頭にも申し上げましたように、この政治改革制度改革というのは、選ばれる代表者の性格あるいは政党勢力地図、さらに国民にとっても政治の命運をかけることです。そういうふうな意味で、党派性の非常に強いものだというふうなことを私の体験からも申し上げました。だからこそ私は、この政治改革の理念というのがとても大事なんだろうと思うのです。この理念をしっかり総理がもっとわかってもらうようにいたして、なぜかといいますと、主権者は国民であるのです。私は先ほど、制度を変えればすべてがよくなるとは思いませんと言いました。最後は国民の選択がどういう質の選択になるかというところが勝負だ。先ほど自見委員がテレビの問題を取り上げたのも、そこにあるわけです。  つまり、民主主義というのは、下手をすると、大きな欠点がたくさんある。そうしますと、その国民に教育し、指導するという役割も実は我々議員にもあるし、あるいは政党にもあるわけです。ましてや今度制度を変えるときに、こういう日本政治の姿をきちっと考えて、国民にもそういうふうな立場からどうぞ選んでくださいよ、そのために理念を一生懸命何回も聞いているわけです。  それがたまたまに、それぞれにいろいろな考えがあって、そしてそれをまとめてこうなりました、これもわからないではありません、連立政権なんですから。何回も申し上げますように、三年前海部内閣のときの並立制を今野党である我々も与党である皆さんも出すというのは、余りにもこの三年間の時間の早さを、ふと私自身どう考えたらいいかわからないときがあるんですよ。  しかし、それはそれとしまして、そこで、その理念という観点から私一つだけ申し上げたいのは、議院内閣制であるということなんです。先ほど我が野田理事からもそのことを触れられました。  そこで、これも決して総理のお言葉を私はちくちくやろうとは思いません。ただし、多分そのときは、総理になるとは思わなかったと思うのです。たまたまになったと言うと失礼になるかもしれませんが、総理のお人柄やそういうことで、連立八党五会派ですか、そういう中で総理が一番適任だということでなられたと思うのですが、総理はこうおっしゃっておられるのですね。今のような議院内閣制では、だれが首相になってもうまく機能しないだろう、こう述べておられるんです。つまり、議院内閣制の限界を指摘しておられるのですね。  これについて、今もそういう御意見を持っておられるのか。どういう点が、議院内閣制では、だれが首相になってもうまく機能しないだろう。多分このときは、御自身が議院内閣制で総理になるということは考えなくておっしゃったのかどうかわかりませんが、これはどういう真意でございますか。
  171. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 これは、どういう制度がいいのか。大統領制度がいいのか、議院内閣制がいいのか。これはもうまさに国民の選択によってでき上がっている制度で、仕組みでございますから、そして今私どもは、議院内閣制というものを国民が選択をし、そのもとで政治が行われているということでありまして、その制度が最適に機能するように、最善のものとして働いていくように、やはりその中で努力をしていくというのが私どもに課せられた何よりもの課題ではないかと思っております。  もとより、どんな制度であっても、いろいろな問題点がある。大統領制にしたってそれはいろいろ問題があるだろうと思いますし、議院内閣制にしても私はいろいろ問題があるのではないかと思っております。しかし、現にそういう制度が存在しているわけでございますし、その機能を生かしていくほかにないわけでございますから、その中でそれが少しでもよく機能していくように、これはそれぞれの立場努力をしていくということに尽きるのではないか、こう考えております。
  172. 大島理森

    ○大島委員 議院内閣制における選挙と、大統領制におけるまあいわば国会議員の選挙の違いは、同じだと思いますか、違うと思いますか。
  173. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 選挙そのものは変わらないのではないかと思いますが、問題は、大統領制下における議会のあり方と、それから議院内閣制下における議会のあり方、これはまあ端的に申し上げれば、知事や市長の場合でもそうだと思いますが、大統領型の首長選挙によって選ばれてきた知事さんや市長さんの場合というのは、議会との関係は、私の体験から申しましても、若干違うのではないかなという感じは持っております。
  174. 大島理森

    ○大島委員 総理、基本的に違うと思いませんか。大統領制というのは、例えばアメリカの場合を考えましても、下院、上院を選んで、そこから大統領を選ぶんじゃないんです。議院内閣制の場合は、まさに選ばれた議員が総理を選ぶんです。ですから、そういう意味から、私は先ほど基本的に、選挙だったら同じだというのは、これは同じなんですよ。しかし、制度を今考えるときに、大統領制のときの国会議員を選ぶ選挙制度がどうあるべきか、議院内閣制の中において衆議院議員を選ぶ選挙制度が基本的な考え方においてどうあるべきか、これは違うべきだと思いますが、どうですか。  じゃ、わかりました。つまり、理念的にこの議院内閣制の根拠を示したバジョットさんという方を御存じだと思いますが、読んだことがあると思うのですが、これはイギリスの、まさにこの議院内閣制を我々が手本にした政治学者であり、まさにその思想家ですよ。彼はこう言ってあるわけですね。議院内閣制において衆議院が立派に機能していると言われるためには、そして何をしなければならないかというと、まず第一に内閣の選任だと。内閣の選任なんですね。これはおわかりになりますね。そうしますと、我々はまず第一に内閣を選ぶという大変大きな仕事があります。ここが実は衆議院議員の我々の選挙の一番基本として考えなければならないところなのではないかな。  大統領制の場合は、下院であろうが上院であろうが、大統領を選ばないのですよ。ですから、どんどんどんどん立法府の議員立法がある。まさに国家の基本である憲法の議院内閣制の認識というものを踏まえた上で選挙制度考えないと、総理、ただ単に、今日までいろいろな意見があったから、ガラガラポンでまとめたんだから、これがベストだというんじゃなくて、そういう哲学、理念というものがないと、制度をこれから何十年も使わなければならない民主主義のときにおかしくなる、ここを私は説いておるわけです。  もう一度伺います。大統領制におけるいわゆる国会議員の選挙制度の根本のあり方論と、議院内閣制における我々の衆議院議員の選ばれる根本理念と同じですか、それとも、大して違わない問題ですか。
  175. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 いや、それはもう全くおっしゃるとおりだと思います。議院内閣制下において内閣を選ぶということが衆議院に課せられた大きな課題でございますから、そういう意味では、大統領制下における議院のあり方というのとはおのずからこれは違う、それはもうまことにおっしゃるとおりだと思います。
  176. 大島理森

    ○大島委員 それは、だから、その根本的な考え方、つまり、もっと言いましょう。総理、つまり、選挙のときに国民はどういう政権を選択するかというのは、またどういう政権を選んでもらうかということが最も第一義に考えなければならない制度の理念じゃありませんか、議院内閣制のときに。多様な民意を直接反映するということではなくて、それもいろんな理由の一つにあるかもしれない。だけれども、どういう政権国民が選んでくれるか、どういう政権期待しているのかという民意を探るのが衆議院議員選挙制度の根本ではありませんか。それは、議院内閣制における選挙制度として、そういう帰結と理念になりませんかということを聞いておるんです。
  177. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 ちょっと私、御質問の趣旨がよくわからないので、ちょっともう一遍、恐縮ですが。
  178. 大島理森

    ○大島委員 大統領制の場合は、確かにいろんな各般各層の民意をハウスの中に反映させるということは一つのあり方でしょう。議院内閣制の場合は、選ばれた我々が政権をつくるという第一義の仕事がありますね。もちろんそれだけではありません。しかし、そこが一番ベースなんじゃありませんかと。だとすれば、我々が選ばれる制度は、政権を選ぶということに合致する制度に根本的な考え方を置かなければならないのではありませんか。  例えば、それじゃ今の連立の皆様方が、先ほど野田先生からもお話がございましたが、選挙前に私どもはこういうふうな公約をして政権をつくりますと言って選挙をしたのではありません。たまたま今、時代の流れとともに、選挙が終わった後、政権皆さんがつくられました。これは私は、決してあり得べき姿ではなくて、連立か単独かは別にして、あるんなら国民の前に、私どもはこういう考え方で、こういう何党何派で政権をつくって政策を実行していきたい。  ですから、この間の予算委員会においても、自衛隊の問題あるいは消費税の問題その他の問題で、固有の政策と政権の政策がこんなに違う内閣というのは私は見たことありません。それが議院内閣制のあり方において、私はやはりおかしい。できれば選挙のときに、私どもはこういう政策を出します、こういう公約をします。先ほど政策本位、政党本位と言いました。公約というのは重いんですよ。ですから、それはすなわち、政権ができたらこれをいたしますという、政権を選択する選挙制度にできるだけ見合うような選挙制度をつくるというのが、議院内閣制におけるあり方じゃありませんかということを私説いているんですが、いかがですかということを言っておるんです。
  179. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今回政府が提出をしております法案におきましても、二百五十、二百五十、それは恐らく少な過ぎるではないか、二百五十の小選挙区の部分が少な過ぎるではないかと、まあ恐らくこういう御趣旨なんだろうと思いますが、二百五十でも十分に私は政権選択の意思というものは反映をされるというふうに考えております。  まあ連立政権というものは、連立政権を組む前に、もちろん政策についての協定というものがなされているべきである、選挙の前になされているべきである、それはおっしゃるとおりだろうと思います。一般的には、ヨーロッパにおきましても大体そのようなケースが多いのかと思いますが、しかし、最近でも、私もこれは確かな記憶ではございませんが、ベルギーとか幾つかの国におきまして、オランダとか幾つかあると思いますが、選挙のときには個々の政策で戦って、そして選挙が終わってから、連立政権を組むというときに、その連立政権を組むための合意をつくるために、一カ月も一カ月半も時間をかけてその基本的な政策についての合意をするといったようなケースも間々あっているというのが現実ではないかと思いますし、そういうことはこれからもやはりあり得ることとして許容されるべきことなのではないかというふうに私は考えております。
  180. 大島理森

    ○大島委員 総理一つ制度ができて、その制度は新しい状況をつくります。そうすると、状況がまた新しい制度をつくっていきます。これは政治の流れなんでしょう。今私どもは、何十年とやってきた制度思いっきり変えようとしております。そのときに、外国でこうやった事例がありますとかそういうことを私聞いているんじゃないんです。まさに総理があの本の中でも書いておるように、理想主義というのが必要だと、こうおっしゃる。つまり、理想主義が必要だということは、理念を大事にしろということだと思うんです。  私がお伺いしているのは、並立制というものにしていく、議院内閣制における選挙制度というのがどうあるべきかといったときに、やはりいろんな選挙という中を通じて主権者である国民の民意を反映するんですよ、先ほど野田先生がおっしゃったように。民意を反映するんですが、議院内閣制においては、政権を選ぶ、国民政権を選んでいくんだというところが一番大事なんだろう。したがって、それに合わした制度というものが、私は、まずそこに合わせて私どもが苦労し、努力しなきゃいかぬだろう、こういうことを総理に申し上げておる。  そうすると総理は、いやヨーロッパではこうだ、よく外国の例を出しますが、今制度を変えるに当たって、最初なんですから、まさにそれぞれの、あれこれのじゃなくて、がっしりとした理念というものが必要だということを私は一生懸命申し上げておるんですが、まあそれはいいです、時間がありませんから。  そこで伺いましょう。まさに総理も次の質問を予想したように、二百五十対二百五十というのは、何回も御答弁されておられますが、二百五十と二百五十という比例と小選挙区のこの比率はとういう考え方で、あえて言えば、私が今申し上げたそういう観点からも含めて、どういう考え方がそこにあるか、もう一度おっしゃってください。
  181. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 前の質問とも関連をするお答えになるかと思いますが、再々これも出ておりますように、民意の反映と政権の選択ということと両方補完的に補い合う、また、今までの経過も踏まえて、この辺が妥当なところではないか、こういうふうに申し上げているわけでございまして、私としては、大変現実的でわかりやすい姿ではないかこう考えております。
  182. 大島理森

    ○大島委員 それでは、こういう指摘に対してどうお答えになりますか。  並立制では、両制度の結果が大きく異なる場合、国民はどのような政権を選択し、民意を表明できるだろうか。つまり、二百五十で勝った政党、全く別々の、比例、全国ですからこういうこともあり得ると思うのです、特に二百五十、二百五十ですから、あり得るかもしれません。全く異なった原理による選挙制度、接ぎ木した結果からくる制度そのものに根差す基本的欠陥があるがどうだということに対してはどうですか。
  183. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 よく、接ぎ木をしたようなものである、小選挙区制と比例制はそういうものではないか、これは、まあ再々これもお尋ねをいただくわけでございますが、しかし、確かに違った制度ではございましょうが、しかし、それぞれに相補うものであって、まあ言うなれば、庭に竹林と松林が並んでいる。私は、木に竹を接ぐという話ではなくて、それは両方とも、眺めて景色がいいなという、そういう見方もあるのではないか、私はそう思っております。
  184. 大島理森

    ○大島委員 つまり、雑木林のようで、松もあったり形もあったり、それが総理の美的感覚からすると、とってもいいなという感じだ、こういうことですね。  つまり、この指摘は、私はある意味じゃ並立制そのものに対する鋭い指摘であると認めなきゃいかぬと思うのです。加えて、二百五十対二百五十というこの数字に対してこの指摘は、ある意味じゃなるほどなと思うのでございます。  実は、この指摘は、佐藤大臣海部内閣のときに出した案に対する指摘なんです。つまり、これは制度論に対する指摘なんですよ。したがって、佐藤大臣、これは御自身の指摘であったし、その御自身の指摘に対して御自身でどう答えられましたか。
  185. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 お断りをしておきますけれども、それは、内閣官房副長官として大変御苦労なさったときの、海部内閣の小選挙区三百、比例代表百七十一の案のときの私の質問の中で言ったことでございますが、いずれにしろ、今、連立時代に入ったと言われる政治状況の中で、圧倒的第一党があったときには、小選挙区においては恐らく圧倒的第一党が小選挙区をとり、かつ比例代表も過半数を超えるかもしれません。超えないかもしれないが、第一党になるでありましょう。  いずれにしろ、そういういろいろな民意というものをもって今度は内閣を組織する場合もあるわけでありますから、それは、総理から言われたように、そのときの政治課題というのをどういうふうに酌んで、どういう内閣ができてくるかということにつながっていくんだと私は考えております。
  186. 大島理森

    ○大島委員 つまり佐藤大臣、こういうことですか。政権を選択する意味合い、つまり、政権を選択しようとする国民の意思よりも、その多様な民意というんですか、こういうものを大事にする方が大事なんだということですか。
  187. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 制度論として、もう既に委員承知のように、政権をどの政党に与えるべきかという国民の選択、これはやはり制度論という面においては小選挙区制に出てくるというのが今までお互いの議論だったと思うのであります。  しかし、それだけでは補えないところかありますから比例代表を入れておるわけでございまして、この際、総理からもお話ございましたように、二百五十、二百五十というのは、今総理との、議院内閣制と大統領制との議論の中でも、大島委員の方は、この衆議院というところは内閣を選出する、そのことはもちろんあるわけでございますが、そのことに非常に大きなウエートをかけていらっしやる。  もちろん、そのこと自体は非常に大事なことでは間違いありませんが、それだけでは衆議院というのはないわけでございまして、そういった意味では恐らく、想定ですからわかりませんが、小選挙区の中で第一党をとられたところが中心になって、そこでそのときの政治課題というものをどう解決すべきかということで政権がつくられていく、こういうふうに私は考えております。
  188. 大島理森

    ○大島委員 まあどうも、佐藤大臣のかつて御自身が質問された、一つの根本的な指摘であろうと思うのです、これは。この指摘は、まさに二百五十対二百五十により一層鋭く向かう質問なんだろうと思うのです。どうも御自身、どのようにそれを乗り越えたかというのは、どうも明確性がわからないのでございますが、まあこれはちょっとこのままにしておきますけれども総理は先ほどから、ヨーロッパの例やその他をお話ししておられます。  先ほど野田理事の方からもお話しなされましたが、やっぱり参議院との関係、つまり二院制であるということですね。ヨーロッパのいろいろな例の場合は、一院制の場合が非常に多いんですよ。ですからもう一度、二百五十対二百五十という意義と、参議院のあの数のあり方ですね、百五十二と百、これよりも、全く比例と小選挙区を同じにしてしまった。参議院は百五十二対百ですね。一体その兼ね合いをどうするかということに対して、もう一度お答えをいただけませんか。
  189. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 これは、午前中の野田委員の御質問にもお答えをいたしましたように、確かに似ている部分がございますが、重複立候補制の問題であるとか、あるいはまた総定数が違うといったようなこともございますし、小選挙区の数が全然違っているというようなこともございますし、それからまた党で、党の名簿に登載されている人しか推さないといったようなことも参議院の制度とは違っているわけでございますし、そういったことなどを考えますと、大分やはり、同じような、似たところもございますが、かなり違っているのではないかという感じを持っておりまして、この辺については、この衆議院の選挙制度が改革をされた後にできる限り早く参議院の選挙制度についても御論議をいただいて、改革の案が固められていくということが期待をされているところだと思っておりますが、今のようなことから判断をいたしますと、必ずしもこれが、その二院制の意義ということにつながって、問題になるというふうには私はちょっと考えていないということでございます。
  190. 大島理森

    ○大島委員 北川委員から若干時間をちょうだいしましたので、私の最後の質問に入りたいと思いますが、まだまだ二票制の問題、それから二百五十対二百五十の問題でも、参議院との問題あるいは区割りの問題はまた後の我が方の委員から御質問をさせていただきますが、政治改革の今日までの四年間を振り返った中でやらなければならないもう一つ大きな大事な問題は、日本政治がどうあるべきかと同時に、まさに一票制の問題なんです。  これは、中選挙区制においてこの格差の問題を具体的に政治の場で解決しようとしたときに、大変な苦労と痛みと苦しみを味わいます。そこで、お互いの案は二対一以内におさめる、を基本としておさめる、まさにこの観点から、実は二百五十対二百五十がいいのか三百対百七十一がいいのかという観点もやっぱり検索しなければならぬだろうと私は思うのです。つまり、二対一とお互いに言っているわけです。それに近づけるということも国民に対する期待だと思いますが、そうですね。
  191. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 おっしゃるとおりでございます。
  192. 大島理森

    ○大島委員 そうした場合に、八次答申のときに、当然総理も勉強されたと思います、三百の区割りをしました。そして、そのときの最大格差は二・一四六倍でした。行政区域をできるだけ割らない、あるいは飛び地をつくらない、その他今考えているようなことを一生懸命やったわけです。行政区域の分割を残念ながら十三もいたしました。以上のことから、二百五十の場合一体どうなるか、このことを総理に私は聞いてみたいと思うのです。  前回同様に、各県に一人ずつまず配分をいたします。これは政府案もそうでございます。この時点で既に、二百五十の場合に県間格差が一・九倍からもう二倍未満ぎりぎりになっているんです。つまり、二倍にこだわりますと区割りがずたずたに、一つの行政だとか、それをしなければならないような数字的データが出てまいります、二百五十の場合。そしてそういう場合に、二倍以上にならないことを基本とする、こうおっしゃいますが、総理の今勉強されている中では、二百五十で二対一以内に基本としておさめられる、こう思っておられますか。
  193. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 技術的な問題については、これはまさに区割り委員会で御審議をいただくということでございましょうし、私もどこまでそれができるのかわかりませんが、しかし法案では、二対一未満となることを基本として、こういうふうに申し上げているわけでございまして、できる限りそこに、その線に沿って区割りがなされるようにしていくということが極めて重要なことである、そのように考えているところでございます。
  194. 大島理森

    ○大島委員 総理、三百で二対一以内を基本として各県に一つずつやる。数字的な、数字的な論拠からですよ、そちらの方が二対一以内にできるだけ近づきやすいと思われますか。それとも、二百五十で各県全部一人ずつやられた上で二対一に抑える方が数字的に簡単だと思いますか。どちらだと思います。
  195. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それはもちろん数が多い方が、その方が区割りはしやすいということであろうと思いますが、しかし今までの、これも再々申し上げて本当に恐縮でございますが、今までの御論議を踏まえて二百五十、二百五十という数字が出てきたわけでございますから、そのことをやはり私としては、内閣としては大事に考えていきたいということでございます。具体的なその区割りの話について担当大臣の方から、佐藤大臣の方からちょっと補足をさせていただきたいと思います。
  196. 大島理森

    ○大島委員 時間がありませんので。  そうしますと、私は今申し上げました。一票の格差というのは、技術的な問題ではなくて、これも政治課題の大きな問題です。総理もお認めになられましたように、まさに一票の格差をできるだけなくする可能性があるあり方論としては、数が多い方がいいに決まっていますと簡単に言われました。これはとても大事なことだと思うのです。政府の二百五十の場合に、それじゃ、ぽんとその委員会にお預けになるのですか。例えば行政区域を割っちゃいけませんよ、あるいは飛び地をつくっちゃいけませんよ、あるいはその他の原則がどういう形であって、どういう順序で区画委員会にお預けになるのですか。
  197. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 先に私から御答弁いたしますが、それはあくまでも基本としてということを申し上げているわけでございますから、そこのところは誤解がないようにお願いをいたしたいと思いますが、地勢であるとかあるいは交通事情であるとか、そうしたことを踏まえて、総合的に合理的に区画委員会において御判断をいただきたい、こういうお願いを申し上げるということになろうと思います。
  198. 大島理森

    ○大島委員 飛び地はいかがなんですか。
  199. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 もちろん、そういうことも含めて御検討になるということであろうと思います。
  200. 大島理森

    ○大島委員 これで終わらせていただきますが、まだまだいろいろなことをお伺いしたいと思います。  この一票制の問題も、どちらが一体、三百と二百五十の問題も、どちらが国民の要望である一票格差を少なくするかというその観点からも、まだまだ議論しなきゃなりません。要は、この問題は、何回も申し上げますように、議員各個人、それから政党のあり方、それから日本政治がどうなるか、そういう中にあって、まさに二十項目以上も自民党案と政府案の違いがあります。その中には理念の違いもあるかもしれません。技術的なものもあるかもしれません。徹底的に論議をして、そして最大多数の公約数、合意を得るべく政府も我々もあるいは与党もしなければこれはできません。したがって、総理におかれましては、そういう観点からのリーダーシップを発揮されて、成案が得られるよう、よろしくお願いしたいと思います。  ありがとうございました。
  201. 石井一

    石井委員長 次に、北川正恭君。
  202. 北川正恭

    ○北川委員 まず、私ども自民党内閣のときに、海部内閣宮澤内閣政治改革法案を通すことができずに、今回野に下ったわけでございます。その野に下って、法案が通すことができなかった与野党にはそれぞれの言い分はあろうと思いますが、ここはやはり当時の与党である自民党政権責任の方が私ははるかに重いと当然そう思っておるわけでございます。  そこで、前国会でも与野党の話し合いでなかなかいい線まで、総理、いったんですよ。まあしかし、各党にはそれぞれの事情、思惑、歴史、伝統を引きずって、とうとう最後に廃案になってしまった。それは国民の判断よりも、国会議員の都合で廃案になったと国民からおしかりをいただくのもむべなるかな、私はそういう感じがいたしております。  そこで、自由民主党、野党になったわけでございますが、比較第一党としてあるいは責任野党として、従来の抵抗野党のような、無責任な審議拒否であるとかあるいは嫌がらせであるということをするようなことは、そんな気持ちはさらさら実はないわけでございます。  そこで、これは我々が政治を行う場合の土俵づくりのことでありますから、与党と野党がフェアに、徹底的に話し合いをして、そしてお互いが納得し合って、後世の批判にたえ得る最善の案をつくりたいものだ、そう思っているところでありますが、総理、その御決意を改めてもう一回お伺いしたいと思います。
  203. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 選挙制度を含めた政治改革の四法案、これは議会主義の、あるいは民主政治の基本にかかわる問題でございますから、おっしゃるように、しっかりとした論議が積み重ねられて、そして国民の目から見られて、わかりやすい議論がなされて、そして御理解をいただいて、その法案成立をするということが望ましいことであることは申し上げるまでもございません。  先ほど一般論として、国会において合格点主義で論議を尽くすということは当然のことだということを野田委員の御質問に対してお答えを申し上げましたが、全くそのとおりにお受けとめをいただきたいと思っておりますし、ぜひ活発な御論議をいただきたいと思っておりますが、ただこれも、また重ねて言わせていただきますが、今までの、まさに今お話がございました、さき国会でもいいところまでいったというお話なども踏まえまして政府案として出させていただいているわけでございますから、ぜひその辺についても御理解をいただきたい、こう考えているわけでございます。
  204. 北川正恭

    ○北川委員 国民の目から見て納得のいくというお言葉があったわけですね。それで、ここ政府なり与党皆さんのいろいろなマスコミ等から聞こえてくる状況の中で、国民の声を聞くということよりは、むしろ総理御自身も七党一会派の与党皆さん意見こそが大事であって、それでベストというお言葉が私は出てきているような気がしてならないわけですよ。  したがって、広く国民の声を聞くということは、少なくともこの委員会の場所では、与党と野党が、お互いが納得し合って、そして最善の案をつくるという、それが政府の側に基本的に絶対的な姿勢としてなければいけないのではなかろうか。私どもが引き延ばしをするとか、一切そういう気持ちがさらさらないと野党の立場で申し上げている我々の立場からすれば、少し硬直し過ぎではなかろうかということを私は本当に感じているわけでございますが、国民のサイドに立って御判断をいただく。  与党のあるいは国会議員だけの立場で判断するということは、後世の批判にたえ得るような選挙制度を含め政治改革をやるんだということになれば、私はよほど慎重にこれに対応していただきたいと強く要望いたしますが、改めて総理のお考えと、もう一つ、それぞれ党首の大臣がお並びでございますから、社会党の場合は担当大臣山花大臣お願いしたいんですけれども、それぞれのお立場を超えられて、党利党略を超えて、そして国民サイドに立った政治改革をやるんだという決意を、総理を初め各党首のそれぞれの大臣決意、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  205. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 与野党を含めて、それぞれ国民の支持を得て国会に送り出していただいているわけでございますし、国民の意思を反映して、ここで議論がなされているということだと思います。また、この委員会において、そのような観点から公聴会のようなものも設けられるわけでございましょうし、国民の意思と、意思のあるところというものを十分に体してこの論議が進められていくということが重要である、そういうことを申し上げているわけでございまして、この論議がどういう方向に詰められていくべきであるかということにつきましては、まさにこれは国会のマターでございますし、国会におきまして十分に御論議をいただくことを提案者としては願っている、こういうことでございます。
  206. 山花貞夫

    山花国務大臣 御指摘のとおり、政治改革全体について、国民皆さんの何よりも期待にこたえなければならないということは当然の大前提であると考えております。選挙の審判の結果を重く受けとめるということと同じ意味だと思っています。  その意味におきましては、今たまたま各党代表に御質問いただきましたけれども連立与党合意づくりもまさにその観点からなされてきたものと思っているところでございます。  御指摘の点は今後とも十分踏まえていきたいと思っております。
  207. 羽田孜

    羽田国務大臣 従来から申し上げてまいったわけでありますけれども政治改革そのものは、まさに国民のための政治を進めよう、選挙制度も、議員のためというようなことをよく言われるのですが、そうじゃなくて、まさに国民の意思というものをきちんと掌握できる、そういったことのためにやはり選挙制度をやろうということでありまして、私は、民主主義のルールでありますから、これはもう国民の側に、要するに、我々も難しい問題を乗り越えながら、やはり国民に理解されるものをつくらなければいかぬと思っております。
  208. 石田幸四郎

    石田国務大臣 お答えを申し上げます。  前回の総選挙におきまして、まさに各党政治改革国民皆さんに公約をしたわけでございますので、その責任を果たさなければならない、これが一番基本的な問題であろうと思っております。  それから、国民皆さん意見をさらに十分これは聞いていかなきゃならないわけでございますけれども、現在この特別委員会にいたしましてもテレビで放送されております。また新聞に載りますでしょう。それに対して、また、例えば私の党でございますと、いろいろなところへファクスでいろいろな注文が来たり、意見が寄せられる、そういうケースもございます。今お話がありました地方公聴会等も行われるでございましょうし、そういったところの意見を全体に踏まえて、そして国会の中で最終的に集約をされていく、こういうものであろうと思います。その線に沿って努力をいたしてまいりたいと存じます。
  209. 大内啓伍

    大内国務大臣 選挙制度につきましては、これは民主政治をつくっていく各党の共通の土俵をつくる問題でございますから、やはり与野党が合意できるような案をつくるために、政府としても、あるいは与野党ともに努力するということが一番大事な姿勢ではないかと思っておりまして、記者会見におきましても、テレビ討論におきましても、あるいは各党間の協議の中でも、そのことを強調してまいっている次第でございます。  政府の立場として、今考えられている案というものを責任を持って出している以上は、その御理解をいただかなければならないわけではありますが、しかし、その前提として、この問題を仕上げるためには各党合意を得る、この努力を誠意を尽くして尽くすべきである、そう考えております。
  210. 武村正義

    ○武村国務大臣 総理が申し上げたとおり、日本新党と私ども提唱をさせていただいたことから政権が誕生しまして、そしてたしか政権誕生後二十日前後の間に今の案がまとめられました。そして、今国会冒頭にもう既に政府提案としてお出しをしたわけであります。大変短期日のうちにたくさんの政党が鳩首知恵を絞り合ってまとめたものでございますし、政府としては、総理がたびたびお答えをしておりますように、これがベストだと思います。  しかし、完全無欠かと言われると、短期間でもございましたから、どこにも非はありませんと、そこまで胸を張る自信はありません。ぜひ国会論議の中で、与野党を超えて真剣な議論を重ねていただき、少してもいい知恵が出れば当然院全体としてそれに対して対応をなされるものと思っております。政府としては、一貫して政府の案を主張し、説明をさせていただきたいと思っております。
  211. 江田五月

    江田国務大臣 各党党首にという御質問でしたのでお答えを申し上げますが、私は、常々政治改革議論のときには申し上げてまいりましたし、きょうも午前中申し上げたのですけれども政治改革議論をするときにやっちゃいけないことがある。それは、この制度になったら自分は当選しやすいだろうかしにくいだろうかとか、この制度になったら自分の政党は伸びるだろうか減るだろうかとか、この議論はどうしてもしちゃいけない。それはわきに置いて議論をしなかったら、いい議論はできないと思うのですね。  それで、いい制度ができて、自分が落ちて、そうするといい人が通るわけだからいいじゃないか、いい制度ができて自分の政党が難しくなるなら、その制度で勝てるような政党に脱皮をしたり、再編成をしたりすればいいので、そのことが国民のためになるのだ、こう思っているわけでありまして、現に私ども社民連という政党は、この制度ができましたら、これはこの制度のもとで社民連では戦えません。それを覚悟してやるつもりでおります。
  212. 北川正恭

    ○北川委員 それぞれの各党の党首である大臣お答えをいただいたわけですが、それでは山花担当大臣にお聞きいたしますが、党議決定された二百五十、二百五十というのが、国民サイドに立って、与党と野党との話し合いによって、よりいいものであれば、場合によっては変えられるということだと思いますが、その点について明確にお答えをいただきたいと思います。
  213. 山花貞夫

    山花国務大臣 よりいいものがと御質問をいただきましたけれども、政府案を提出する際につきましては、全体の制度のスタートが、議論のスタートがここから始まっている、こう記憶をしております。二百五十、二百五十の並立制を基本にするというさきがけ、新党の提案を受けたところから始まっている、こういうことの意味でもございます。  私たちは、そうした中でこれまでの、前回の政府提案あるいは八次審の議論、そして百七時間のこれまでの与野党の腹割った議論などを十分踏まえた中で、最終的に政府案を与党合意に基づいて出したところでございまして、そうした意味におきましては、我々は政府の出した案として二百五十、二百五十が一番よいのではないか、今日の段階ではそのように考えているところでございます。
  214. 北川正恭

    ○北川委員 それでは総理、先ほど決意が披瀝されたわけですが、どうぞこれからお決めいただくときには、与党に優しく野党に厳しくというようなお立場でなしに、やっぱり国民サイドに立った、本当に後世の歴史家がきちっと批評してくれるような、そういう制度をおつくりいただく、その前提でこの委員会において与党、野党が本当に真剣に慎重に審議する、そういうことで御了解をいただいておきたいと思うわけでございます。  そこで、先ほどから質疑がありました、野田議員なりあるいは大島議員の質問に関連して少し質問をいたしたいと思いますが、まず二百五十、二百五十で、言い方はいろいろあろうと思いますが、民意の反映と集約のいいところをとって、それが最善の案だとかベストの案だというお言葉であったと思いますが、本当にそうでしょうか。両方足して二で割るということが最善の案か。それならば、どこに理念、哲学があるのか。真ん中へ持ってきたのなら、どういう理念で二百五十、二百五十になったとかというのが今もう一つつまびらかになっていない、そのように思うわけでございます。  そこで、日本は衆議院と参議院、二院制という前提で国会が構成をされています。当然そこには衆議院の持ち味と参議院の持ち味があってしかるべきだと思います。したがって、今までの選挙制度は、衆議院が中選挙区制で地域の選挙で選ぶ、そして参議院では地方と全国に分けて、そして選挙をして、衆議院と参議院の違いを明確にしている。さらに、政権を選ぶべき衆議院では、解散がございますけれども、任期は四年、参議院では解散はなし、六年というような違いもあって、そしてお互いが補完し合ってすばらしい国会をということになろうと思います。  そういたしますと、総理は今、参議院の選挙制度は後ほどお考えをいただくというわけでございますが、当然衆議院の選挙制度を変えていくときに、参議院の選挙はどうあるべきだとイメージされた上で、衆議院の制度も政府はお考えいただくのが実は私は当然のことではなかろうか、そんな気がいたしております。  そうしますと、例えば総理日本新党の代表であられたときに全国区で、詳しくは忘れましたが、第五番目の人か何かが、拘束式の名簿で載られた方が、代表と御意見が合わなかったかあるいは政党にとってふさわしくなかったかは私は詳しくは存じ上げませんけれども、全国区で国民が選んだ方が、ある団体、ある党の、あるいは個人のと言ってもいいのかもわかりません、詳しくはわかりませんが、そういったことが簡単にできて、国民の意思がそこで無視されたのではなかろうかという危険性も実はあるんではなかろうか。それが、政権を選ぶべき衆議院で、そういった制度が取り上げられてくるというのはいかがなものか。やはりこれは代議員制度で、直接選挙を中心として、顔の見える制度の中で選挙を行って、そして内閣を構成していく、総理大臣を選ぶということの方が私はずっと意味合いがあると思います。  そうなってくると、例えば、先ほど重複立候補も認めということになったわけですが、重複立候補ということを考えますと、政府案では二票制でありますけれども、例えば小選挙区で、熾烈な戦いをした結果が、実はその中の善戦率とか惜敗率で選ぶ場合が、制度としてその場合もあり得るということになれば、小選挙区がメーンであって、全国区、比例区の方が、明らかにこの小選挙区の勝敗によってほとんど決定をするということになったときに、二票制を使って、そして参議院と同じように一つ選挙でなしに、これは二つ選挙だということ自体が少し論理的に矛盾があるのではないか。衆議院と参議院、重複立候補を認めるならば、やはりここは一票制で、理論がすべて一気通貫になっていた方がよかろう、実はそう思うわけでございますが、そのあたり役割分担ということで、きちっと衆議院は衆議院なりの論理、哲学を持って制度をつくらなければいけない。  国民サイドに立って判断をするということ、これは大変重要だと総理おっしゃいましたが、それと同時に、国民が安心して任せられるには、やはり衆議院は衆議院なりの原理原則がなければ、国民はなかなか納得してくれないと思います。したがいまして、二百五十、二百五十に分けた根本的なその根拠といいますか理論、そして衆議院と参議院の違い、もう一回改めて総理のお考えを明確にお答えいただきたい、そう思います。
  215. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 何遍も同じようなことを繰り返して申し上げているわけでございますが、また違った言い方で、佐藤大臣の方からも、あるいは山花担当大臣の方からもお答えを申し上げた方がいいのかもしれませんが、二百五十と二百五十ということを申し上げておりますのは、民意の反映と民意の集約ということを両方で相補って、それが今のいろいろな経緯からいたしましても、また理念としても、私は落ちつきどころではないかなということを申し上げてきたところでございまして、参議院の制度との違いについても、これもるるお話を申し上げているとおり、必ずしも二院制の意義を失うようなことにつながるものではない、大分違っているところもあるのではないかということを申し上げてきているところでございます。  重複立候補の問題を初めといたしまして、定数の問題もございましょう。いろいろな問題があると思いますが、違いがあると思いますが、そうしたことを含めて、今までの経緯も、衆議院の選挙制度をまずどうするかというところでずっと御論議があってきたわけでございますし、もちろん、その衆議院の改革をされた後の機能というものが、参議院と、二院としてどのような役割を果たしていくのか、そこのところに十分今後の議論の中で意を用いていかなければならないことは当然でございますが、まだ残念ながら、参議院の制度をどのようなものにしていくかということについては論議が熟している段階ではございませんから、この点については、引き続き、この衆議院の選挙制度の改革の上に立って、しっかりと論議を詰めていかなければならないのではないか、このように考えているということでございます。
  216. 北川正恭

    ○北川委員 これから参議院の選挙制度をお考えいただくわけですね。当然そうですが、衆議院で二百五十、二百五十で、言えば反映か集約がということで、フィフティー・フィフティーの分かれの案をつくって、そしてその制度をつくって、二院制で、衆議院の特色と参議院の特色とを一体どうやって出されるのですか。ここでほとんどフィフティー・フィフティーで、センターで判断されたわけですよ。  そうしますと、では参議院は集約型でいくのか、あるいは、それは一切やめて、反映型でいくのかということ。これをやったところで、こっちに五〇%、これに五〇%で、一体どうやって今後参議院の改革について審議されていくのか、私はそのあたりが、総理、難しいのではないかと心配するわけですよ。したがって、そのことをきちっと御判断をやっぱり提示していただかなければ、なかなかこれはわかりにくいわけでございますが、どうぞ自治大臣かどなたかお答えをいただきたいと思うわけでございます。
  217. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 いわば総理の言われたことでほぼ尽きているとは思いますが、補足をして、少し北川委員に御理解をいただきたいと思うわけでございますけれども、今度の法案につきましては、御承知のように、政府提案とさせていただきました。これは、この前の四月からお互いに各政党同士が出し合った国会議論というのは大変充実してよかったので、私も提案者、答弁者で、自画自賛でまことに申しわけございません、という御意見もあり、政党同士でやったらどうかという御意見もございましたけれども、これはもう御承知のように、細川内閣、緊急改革政権という性格の一つからいっても、これは政府提案にしようということで、衆議院の選挙制度を中心とする政治改革の問題につきましては、政府案とさせていただきました。  そして、今御指摘がございますけれども、参議院の方はしからばどうすべきか。総理からもお話がございましたように、衆議院の制度と参議院の制度、似ているところもございますし、また違うところもございます。総理から言われたことに加えて言えば、解散がある、ないという問題もございますし、似ているところもあれば、若干違っているところもございます。  そこで、参議院の方はいかにあるべきかという問題につきましては、御承知のように、第八次選挙制度審議会でもあれだけ御議論いただきましたが、なかなか方向性が見出せないわけでございます。  私たち行政府という立場からいうならば、このような状況を踏まえて、衆議院に二百五十、二百五十の並立制というのをお認めいただいたときに、しからば参議院の機能あるいはあり方、そもそも現憲法下におきます二院制の中での参議院の役割、こういうようなことは参議院の方でひとつお考えいただく方が、これは、衆議院に関係します選挙制度の問題は、今申しましたような経過がございましたので、政府案とさせていただきましたが、基本的に国権の最高機関であるところの一院のあり方の問題について、行政府である政府がこうあるべきだと言うことは、私たちはいかがなるものだろうかということでございまして、総理からお話ございましたように、リクルート事件が発覚してから五年、海部内閣並立制が出て三年、こうやってお互いに政治改革の問題をやっている。もうそろそろ時間的に私たちは限界に来ている。国民皆さん方も、もういいかげんに結論を出してもらいたいということだと私たちは思っております。  そういうことから申しますならば、この四法案ワンセットになっております政治改革、これをひとつぜひお認めをいただいて、既に参議院の方は、政府・与党の方はいろいろ協議を始めているようでございますし、自民党さんの方でもいろいろな御意見があられるようでございますので、その辺を踏まえて、ひとつ国権の最高機関の一院であるところの参議院さんが、衆議院がこのような並立制を導入したときに、どのような役割、どのような任務を負うべきかということは、ひとつ参議院の方で院として結論を詰めていただきたい、これが私たちの考え方でございます。
  218. 北川正恭

    ○北川委員 一院制と二院制と少し使い分けられているのではないかな。二院制を前提として、衆参両院一体で初めて国会の機能があるんだという理解が前提にないと、例えばヨーロッパの一院制の議会で、これは集約と反映とやはり足して二で割るようなことは必要であろうと思うのですね。ところが、せっかく我が国は憲法に定められておりますごとく、衆議院と参議院が、二院制があるなら、ここはおれたちが勝手にこっちはやりますよ、あんた方はどうぞ勝手にやってくださいでは、いささか片落ちかなという気がいたしますから、与党の内部でも政府でも、ぜひこのことは真剣に御検討をいただくことを私は強く要望しておきたいと思います。  そこで、次の質問に移らしていただきますが、民主主義制度維持にかかるコストの問題でございますけれども、私は、総理もおっしゃっていらっしゃいましたが、政治活動は本来何物にも束縛されずに、自由な立場政治活動が活発にできることが一番いいと思いますね。宗教においても宗教活動を一生懸命やり、そしてその宗教の持つ教義を普及発展さす中で、御寄進とかあるいはお布施とかをいただきながら宗教というのは成り立つという、それと政治と一緒にするのはいささか気が引けるところもありますけれども政治も、政策を国民に問い、そしてその政策を忠実に実行し、その中に人格とか活動の持つ迫力とかで本来は評価をしていただくべきだと、こう思うのですよ。  そこで、ある一定の企業からたくさんいただく、法外な献金をいただくという場合と、例えば国から四百億を超えるお金をいただく場合と、企業と国家との違いはあっても、これは束縛を受ける場合が非常に私は多いと思うのですよ。したがって、我々は国民皆さんから税金をいただいて、そこから、国庫から助成を政党にしていただくということには本当に気が引けますし、本来の民主主義政治からいえば、あってはならないことであって、全部から自由でなければ、我々特別公務員的な存在の政治家が、公務員の皆さんと一緒のようなお立場で、本当に国の権力から外れて、公権力から離れて、自由な政治活動ができるかどうか、私はこのあたりは本当に原理原則をもう一回洗い直す必要があろうと思います。  しかし、ロッキード以来のさまざまなスキャンダルで政治不信がきわまっていますから、我が党も、お一人当たり二百五十円ぐらいは、三分の一程度の税金をいただくことは本当にやむを得ないのかな、こう思いますが、政府・与党でこの三百三十五円にお決まりになった過程を見ますと、これは相当、六百億だ云々だということで、いやいやと言って少し批判があって、三百三十五円に落ちついて四百十四億円になったのかな、私はそう思います。  そこで総理、どうですか、これ。そんなに四百十四億という数字ではなしに、やっぱりここは与党と野党の話し合いで、我が党の出した一人二百五十円ぐらいまでに一人当たりの税負担、それをその程度まで引き下げて、そして謙虚に国民の税金をいただくという姿勢を私はお示しいただきたいなと、そう思っているわけでございますが、そのあたりについて、やっぱりこの案がベストでございますか、お答えをいただきたいと思います。
  219. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 今、北川委員の御質問だけではちょっと聞いていらっしゃる方はわからないと思うのですが、北川委員の言われている二百五十円というのは、企業団体からの献金政治団体へ一定の額、許しているわけですね、認めているわけですね。我が方の方は、政治団体に対する企業団体献金というのは認めない、政党のみに企業団体献金は認めようということでございますから、政党の支部の活動あるいは政治家政治団体の今まで活動しているものも公的助成でお願いをしたいという前提でございますから、三百三十五円と二百五十円を、その間を少しとれというのは少し前提、企業団体献金をどこまで認めるかという前提が違うわけでございますので、それは総理どうだと詰め寄られても、少し基本的な部分が違うんだということを御理解いただきたいと存じます。
  220. 北川正恭

    ○北川委員 それでは、今の佐藤自治大臣お答えでございますが、企業団体献金を個人の政治団体では政府は受けないんだと、こういうことでした。したがって、個人の政治団体に、個人献金だけに頼るからまあ三百三十五円の方がいいんだという御議論でありましたが、それではお聞きをいたしたいと思いますが、政府の案でいきますと、企業団体献金政党では受けられるわけですね。大臣、どうですか。
  221. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 政党及び、恐らく御質問があると思いますが、政党の支部でも受けられます。
  222. 北川正恭

    ○北川委員 政党は、企業団体から政治献金を受けられますね。そうしますと、政党から個人の資金管理団体政治資金が流れることは可能であるということの理解でよろしゅうございますか。
  223. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 それで結構でございます。
  224. 北川正恭

    ○北川委員 ということは、企業団体から一たん政党に受けて、そこから個人の管理団体に流れていくということになれば、企業団体献金禁止というのは一体どこにあるのですか。政党という名のもとにプールをしておいて、そしてそこから個人の管理団体に流すといったら、政府が企業団体献金を私ども禁止していますというならば、そこの部分をカットしない限りは私はそのあいまいさというのは残ると思いますが、そのあたりはどうですか、お答えをいただきたいと思います。
  225. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 今度は公開する、公表します企業団体献金の金額、今まで御承知のように百万超でございましたけれども、今度は五万超という非常に低い金額にしてございます。したがいまして、企業団体等が政党にした場合には、まずそこで五万円超のものは明らかにしなきゃならぬということであります。  それから、政党から政治家個人に行かれる、御指摘のとおりでございますけれども、これは政党というのが政治活動のためにある団体でございますから、政治家に行ったというものについては、それは当然政治活動に使われる。それから、政党としては、例えば私に我が党からいただいた場合には、私に来たということをちゃんと帳簿に記載することになっておりますから、政党責任政党の信用においてそれはなされるということでございます。
  226. 北川正恭

    ○北川委員 五万円ということでございますが、そうすると、一たん政党に五万円ずつ集まってきた、プールして、そしてそのプールした企業献金政治家個人の管理団体へ行くというのは、A社からA議員の管理団体に行くということは明確にならない、不透明なんですよ。だから、そんなことをおっしゃるぐらいなら、最初から企業団体献金は、政治家個人でなしに、私どもの名前で言えば資金調達団体をつくって、上限をきちっと決めて、そして透明性の確保ということをされた方が、私はよりすっきりとして、そして不透明感がなくなるということを申し上げるわけでございますよ。  したがって、政府もこれからそこの部分、例えば政党と管理団体の部分をカツトするなら、私は、企業団体献金禁止したという、これはいいのですが、バイパスがあって、こういうふうに行くならば何も変わらないじゃないですか。総理、どうですか。
  227. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 これは今佐藤大臣が申し上げたことに大体尽きていると思いますけれども、今国民が一番目を向けて政治に対する不信感を持っておられるのは、政治家企業とが直接につながっている、あるいは政治家の持っている政治団体企業から献金がある、そこのところがやはり一番大きな問題であるわけでございましょうし、そこからまた現にさまざまな腐敗の問題が起こってきたりしているということも事実であろうと思います。そこに今度は公的に政党が介在をする、公党が介在をするということによって、政治家企業とが直接結びつくということではなくて、そこに政党というものが公的に介在をすることによって、それはそこからさらに政治家に流れていくことがあるにしても、相当にこれはチェック機能は働くのではないかというのが、私の認識でございます。
  228. 北川正恭

    ○北川委員 それでは、我が党の案では、別の政治家の資金調達団体からAという議員の調達団体への資金の流れは、実はカットしてあるわけです。ここは明確にしてあるわけですよ。政府の方は、それは認めているんですね、管理団体から管理団体へ行く。
  229. 山花貞夫

    山花国務大臣 御指摘のとおりでございます。
  230. 北川正恭

    ○北川委員 そうしますと、政府案の場合には、ほかの政治団体から管理団体へ、その他の政治団体が幾つあっても管理団体には献金が行くわけですね。どうですか、山花大臣
  231. 山花貞夫

    山花国務大臣 政府案の場合には、政党以外の政治団体及び政治家が、例えば一つの資金管理団体をつくってその代表者になるという、そういう団体をつくったところ、そういうところは企業団体献金はもらえないということになっておりますので、したがって、そういう事態については大変厳しくなっているという内容だと思っておりますけれども
  232. 北川正恭

    ○北川委員 今の大臣の御答弁は少し話が違うわけでございまして、管理団体にその他の政治団体から、幾つあってもいいですよ、それは、それは献金できますね、どうですかというお答えにはなってないわけですが、政府委員で結構ですが、お答えをちょっとそのあたりは明確にしておいていただきたいと思います。自治大臣でも結構ですよ。
  233. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 今回の政治資金規正法の改正の大きな一つの柱でございますのは、企業等からいわゆる政治家個人、それから個人の政治団体に対する寄附禁止する、こういうことでございます。こういう前提のもとに、政治団体間の寄附につきましては、これは基本的には政治活動の自由とかそういった関連もございますので、政治団体間の寄附については禁止はいたしておりません。
  234. 北川正恭

    ○北川委員 そうなりますと、政治団体同士の方が全部筒抜けになっていて、しかも、政党には企業団体からお金がおりて、そして管理団体にはおりて、こっちの方は筒抜けということじゃないんでしょうか。こんなことでどうしてきちっとした政治資金に対してのけじめがつけられるか、私は甚だ不思議に思いますし、担当大臣、自治大臣も実はそのことをお答えにならなかったのですよ。こんな重要なことが抜けていて、政府がこれから企業団体献金禁止だということをおっしゃらないでいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  235. 山花貞夫

    山花国務大臣 いろいろ法律をつくっても、抜け道はどうかということと関係する御質問のように受けとめたわけですが、私もし御質問の趣旨を取り違えておりましたら、また正確に訂正していただきたいと思います。  今回は、先ほど来お答えしておりますとおり、企業団体献金禁止のテーマについて、政党に絞り、政治家個人そしてその後援会等については禁止をしたということについては、もう御了解いただいているとおりだと思います。そして、政治家は自分の資金管理団体というものを持って、そこで公私の峻別をしていく、これが全体の構造です。  もう一つつけ加えて申し上げますと、先ほど、そんなこと言っても政党に一たん入ったのが個人の資金管理団体におりてきたらということがありましたけれども、実は何よりも最近続発している政治腐敗というものが政治家個人と企業関係である。これをどう断ち切るか。透明度の関係につきましても、例えばこの前の発表でも、政治資金の自治大臣分につきましてはたしか透明度が三・二%くらいというのが中身だったと思います。ところが政党の場合には恐らく九十何%が明らかになっておったわけでありまして、その意味におきましては、政党を通じてのお金というものは収支が、今回オープンにするところもありますけれども、従来から透明度がその問題については明らかであったわけなんで、それを今度は資金管理団体に対して仮に行ったとしても、いつ、どのような金がということについては明確になるわけでありますから、国民皆さんの批判の対象になり得るのではなかろうか、こういうように思っております。  また資金管理団体につきましても、どういう団体に流したかということにつきましてはまたそこでの収支が明らかにされるわけでありますから、その意味におきましては、これまた資金のやりとりについて有権者の皆さんの審判を仰ぐということになってくると思います。何よりも政治家個人が企業から寄附を受けない、ここのところについて一歩踏み出したいということでありますから、大変大きな意味があるのではないか、実効性があるのではなかろうかと思っているところでございます。
  236. 北川正恭

    ○北川委員 我が党の案も、政治家個人が企業団体献金を受けるということはないわけですよ。だから、管理団体と名前は違いますが、調達団体ということになるのです。調達団体同士での行き来はなしということを決めたのですが、そのあたりが非常にずさんなんですということを御理解を私はいただいておきたいと思います。  そこで、実は企業献金団体献金の性善説、性悪説を言うつもりは僕はないのですけれども、今まで問題になっていたのは実はやみの部分であって、限度額を決め、透明性を明確に確保したら、私どもで言う調達団体というところで一口二万円以内というような格好をきちっと決めて、そうしてそれを破った人は罰則を加えるという法改正をしたわけですから、そこで、総理がおっしゃるような、企業献金で無制限な今までのようなざる法ではいけないという部分であって、それを企業献金全部悪だというとらえ方は少し狭いお考えではないか、そのように、本当にそう思うわけでございますが、政府でも、ぜひそのあたり、きちっとしたパイプの方向性というものを両大臣よく御検討いただいて、本当にきれいにするなら、やはりそういう案にされるべきだ、実はそう思っておりますから、御検討をいただきたいと思っております。  細川総理地方分権の提唱者であられます。そこで、地方政治家、知事さんや市町村長さん、九十数%が無所属ということになろうと思います。あるいは、県市町村会議員さんは八〇%程度が無所属であろう、こう思います。そうしますと、議論は前の本会議でもございましたが、そういった無所属の方は、政党助成は当然受けられません。さらに、政府の案でいきますと、企業団体からの献金は、政党がございませんから、個人でも受けられないから、全くだめです。  私たち政党に所属する国会議員は政党助成もございます、あるいは企業団体献金政党で受けられます、地方政治の方は個人献金だけでどうぞおやりください。そういったときに、地方時代をつくる活発な地方議員の皆さん方や、あるいは市町村長さん方が政治活動を主体的に続けていってくれなければなかなか地方時代は来ないと思いますけれども、ここは、先ほど総理か言われた、国民のサイドに立ってということであるならば、ここは中央地方を問わずに、それも全部視野に入れた上で片落ちのない制度にされるのが当然であろうと思うわけでございますが、総理、御答弁をいただきたいと思います。
  237. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 最近のいろいろな政治腐敗にまつわる事件というものが企業政治家個人との関係に由来をするということにかんがみまして、先ほど来御議論があっておりますように、企業からの政治資金というものを、企業からの寄附というものを政党一本に絞るということにしたわけでございます。  政党またはその政治資金団体に絞るということにしたわけでございますが、このことによりまして、国・地方を問わず、国会議員であろうと、あるいは地方の首長であろうと、地方の議員さん方であろうと、その所属をする政党もしくは推薦を受けた政党からの交付金もしくは個人献金に依存をする、依拠するということになるわけでございますが、確かにこれはなかなか厳しいことだと思います。厳しいことだと思いますが、最近のこの一連のゼネコン事件などに象徴されるような企業政治家との金にまつわる問題というようなことにかんがみますと、やはりこれは、政党にそれを絞り込んでいくということが、やはりこれは一つの大事な割り切りの問題として必要なことではないかというふうに考えているところでございます。
  238. 山花貞夫

    山花国務大臣 今総理がお話しいたしましたところが一番ポイントだと思っておりますけれども、今回、何よりも企業団体献金禁止のテーマについて、ここだけはということで、政治家個人あるいは後援会に対するものを禁止いたしました。そうしたことにつきましては、法律の適用は、中央の議員でも地方の方でも同じでありますから、違反を含めて法律の適用になるということでございます。たまたま最近、各地方の知事さん、市長さんなどについてのゼネコンの汚職事件等も頻発しているということなどを考えてみるならば、このテーマにつきましては、中央地方を問わず、原則的にきちんとやっていただきたいというのが法の趣旨でございます。  そうなってくると、今お話がありましたとおり、政党交付金が、ある政党に所属している場合はまたそこから、本部の方からお金が来る場合もあるではないか、そこで差があるんじゃなかろうか、こういう御指摘だと思いますけれども、実は、政党本部から県本なりあるいは県本の下の地域の支部などにどういう形で政党交付の金額というものがおりていくか等々の問題については、これからの政党内部の問題ということもございます。  また同時に、これから新しい無所属の方について、どのような選挙仕組みになるのか、政党が推薦していくことになるのか、全くそうでないのかという場合についても、いろいろ今、総理お話しのとおりの、その地域における違いがあるのではないかと思っています。それぞれの政党が推薦するということになれば、もし本部から地域の方に政党交付金等が流れていくことになれば、それが生きてくるということになると思います。  全くない無所属の候補の場合にはそれがないではないかということにつきましては、そういう皆さんにつきましては、無所属の場合、自分から資金管理団体をつくって、そこで個人の寄附等を中心としてやっていただくということになってくるわけでありまして、これは、企業団体献金禁止の問題について、とにかくこれは実現したいという大きな前提があるものですから、そこで御理解をいただきたい、こういうように考えているところでございます。
  239. 北川正恭

    ○北川委員 法律はそれぞれ理解をいただいて、法を執行したときに効果が上がらなければ法の施行は本来あり得ないと思うのですね。  そうしますと、九八%も無所属の方あるいは八割内外の方が無所属の方というところで、その方たちを政党の方へ誘導するということが、今直ちにやって本当にいいかどうか、私は甚だ疑問に思うわけでございまして、当然、地方時代地方の活性化と言われるならば、その方たちが本当に自由活発に政治活動ができるような配慮をしなければ、一方で法律だけで締め上げるということは、私はいかがなものかと実は思うわけでございます。  そこで、今山花大臣がお話しになった、管理団体をつくられて個人献金、こういうことに今御説明があったわけです。そうしますと、これは従来所得控除というのがあったわけでございますが、これは政令都市以上の市議の皆さん方が受けられるのではなかろうかと思います。そうすると、一般都市の首長さんや議員の皆さん方は、これは当然一緒の仲間でありますから受けられるのが正しいと思うわけですが、実は受けられないというようなことになっていると思うのですが、そのあたりについて、まず御説明をいただきたいと思います。  もう一点、今度政府の提案で税額控除を入れられましたが、このことについても御一緒に明確に説明をしていただきたいと思います。
  240. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 第一の御質問は、五十年の改正で県会議員の方の所得控除ということを認めました。その後、政令都市もということもございまして、政令都市までは、今、御承知のように、所得控除については認めておるわけでございます。  それから、御指摘のように、現在では一般都市の問題、認めておりません。  それから、いろいろ事件が発生するではないかという御指摘でございますが、これはあってはならないことでございまして、税務当局あるいは警察当局、厳しい対応をしておるわけでございます。
  241. 北川正恭

    ○北川委員 税額控除所得控除も明確にちょっとお答えいただけなかったと思うのですが、それはそれとして、それでは、どうして政令都市では認められて、一般都市では認められないのかということになろうと思いますね。そうすると、その方たちは個人献金だけでどうぞといったときに、本当に政治活動ができるのかということをぜひもう一回お考えをお聞きしたいと思います。
  242. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 政治資金規正法の昭和五十年の改正のときに、個人献金を促進する、そういう措置を講ずる必要があるという観点から、所得控除、まあ寄附金控除でございますけれども、そういった制度が創設されております。そのときには、国会議員と都道府県議員、こういったレベルの方々が対象になっておりますが、そのときの制定理由と申しますか、そういうのを振り返ってみますと、やはり対象とする範囲というのは、ある程度広域性を持った、そういった政治活動をされる方々を対象にするのが適当ではないかということだとか、やはり税務執行上の問題等がいろいろございますので、そういった観点から都道府県レベル以上の範囲にするのが適当ではないかこういうように承知をいたしております。  その後、政令都市の議員まで拡大をされましたけれども、政令都市の議員の場合には、いろいろな活動面におきまして、都道府県の議員と比較的機能等の面におきましても、政令市には相当のものがおりておりますので、そういった均衡を考えまして、政令市まで広げてもいいのではないか、こういうことで、現行制度では政令市の議員までが対象になっておる次第でございます。
  243. 北川正恭

    ○北川委員 広域性を勘案してと言われました。前、総理は、地域の政治家は草の根であるから特に個人献金でという御答弁があったと思うのですけれども、そうしますと、本当にそうかなという、広域性の問題、範囲が広いということになりますね。ところが、今度の仮に政府の二百五十の区割り案でいきますと、一番低い人口では恐らく三十二、三万になるんだと思いますね、選挙区が。そうしますと、三十二、三万の市ということになりますと、実は全国で五十四、三十二万以上の市があって、甚だ広いのです。そうして、我々は受けられてもその方たちは所得控除が受けられないのです。  だから、個人献金制度を進め、促進していくことはいいことなんです。だけれども、一遍に創業を飲ませてしまって、我々と一般都市の議員さんとが区別があってはいけないということを私は言いたいんだし、そして、個人献金をさらに一層進めていくのは確かに民主主義の発展につながっていくことはよくわかりますから、そのあたりのことをきちっと考えないと、総理の言われる地方時代は来ないのじゃないのですかというところをお考えをいただき、御訂正をいただき、そしてそれを推進していただくということを強く希望いたしますが、総理、御見解を承りたいと思います。
  244. 山花貞夫

    山花国務大臣 今御指摘の問題につきましては、かねてから議論をしてきたテーマです。政府委員から説明いたしましたとおり、これまで制度ができてきましたけれども、その間公選特の委員会等におきましては、この個人献金の税制優遇措置について、もっと拡大すべきではなかろうかということについては幾度か取り上げてきた経過があると存じております。  その際に、お話しいただきましたとおり、この広域性の問題も含め、執行上の適正を図るということなどが議論されてきたことについても承知しておりますけれども、今でも税のいろいろ脱法事件、違法事件があり得るということから、その適正を図るという問題点については私は変わっていないと思います。広域性につきましては、その範囲の関係で少しく事情が変わってきたのかな、こういう気もいたします。  同時に、さっき、総理はこう言ったではないかといった草の根の問題につきましては、地域の、地方政治家につきましては、それぞれやはり市町村段階、県議段階では政党との関係がいろいろ濃淡がございます。しかし、すそ野に行けば行くほど、地域の問題を担当することによりまして、無所属の方が多いということも事実です。そうした中で、やはりそうした草の根で運動している皆さんの場合には、企業団体献金をもらうというようなことではなくて、政党と、いろいろ一緒にやるということではなくて、そうした独自の運動を抱えているのではなかろうかこういうことで御説明があったのではなかろうかと私は伺っておったところです。  したがって、そうした問題点というのは依然として大事な、答弁の側としては理由としてあるんじゃなかろうか、こういうように思っておりますので、あわせ御検討いただきたい、こういうつもりでございます。
  245. 北川正恭

    ○北川委員 だから、個人献金が促進されるような整備をこの法案と一緒にやられた方がいいではないですか、そういうことを申し上げたわけで、これは総理、御検討をいただきたいと思います。それでは、戸別訪問についてお話を承りたいと思いますが、まず、最低でも三十二万人対象というようなことになりますと、十万軒という対象になります。そうしますと、そのときに果たして戸別訪問で、そして話し合いがされるから、その方向があるから非常にいいことだと言えば、これはもう八十歳の候補者と三十歳の候補者なら体力勝ちですよということになるのではなかろうかと思います。  さらに、このことを言うなら、お互いがディベートを自由に闘わすということになるなら、まず学校教育から変えていかなければいけないのじゃないのでしょうか。黒板に書いて、先生が一方通行に話をして、ほとんど先生とディベートはされないという今の日本の教育の中で、突然それをやったといったときに、果たして本当に候補者がそこへ行ったときに、待ってましたと、消費税についてはどうだとか、あるいはリクルートについてはどうだとかいうような話が出てくるかどうか。ここはぜひ慎重にお考えをいただきたいのです。  もう一つ日本はやはり贈答文化の国です。これは歴史、伝統、全部踏まえてそういう贈答文化というものが否定しがたいものがあろうと思います。そうしますと、例えば一年ぶりに東京にいらっしゃる方が横浜の親戚へ行かれるときに、ようかんの一つも持っていくのは当たり前でしょう。これは常識だと思うのですね。そうしたときに、その人たちがたまさかそのときは選挙依頼にも行くのに、一年ぶりに行ったときに、じゃそのようかんは一体どうなるかということは、これも真剣に考えていただかないといけない問題ではないかな、僕はそういう気もするわけです。  したがって、例えば、極端な話ですよ、この間も話をしていて話題になったわけですけれども、泥棒に入った、選挙期間中だった、家の人に見つかったら、いやいや戸別訪問でした、こんな話まで実は出るぐらいのことは、やはり法を適用して、全く解禁にするならば、それ相応の備えが要るのではなかろうか、私は実はそう思っているわけです。  そうしますと、ようかんを持っていくことに罪の意識が非常に薄い。これをまず変えることが少なくとも同時にあるべきだし、あるいはもっと以前からその準備がなければいけないだろうし、ディベートができる体制というものは、子供の教育から始まって、変えた方がいいと思いますが、まずそこで、私は、連座制の強化、腐敗防止法導入ということがこれと並行してされなければなかなか実は難しい、こう思います。  例えば、現行公職選挙法二百二十一条を強化する。候補者及び有権者双方の両罰規定を厳格に適用する法改正を行う。今日本では選挙法では両罰規定、実はあるのです。しかし、任意捜査が多かったり、起訴率が低く、罰則も軽く、かつ裁判が長く、公民権停止期間も短い、四年後の選挙に影響が少なく、抑止力が弱い、こういった問題があって、実は公職選挙法もあるいは政治資金規正法も、恐らく世界で最も厳しい法律だと思いますよ。しかし、それを守っていれば落選、うまく破ったやつが当選という常識が通っているのもまた日本の状態だと思いますから、ここを改めていかなければいけない。  だから、戸別訪問をオール解禁にされるというならば、思い切ってこの際腐敗防止まで踏み込み、一定の限界のつく、例えば親戚であるとかあるいは秘書であるとかいう連座制だけでなしに、支持者が禁錮刑を受けたら当然候補者自身も公民権を失うというところまで、並行して踏み込まれてやられるのが私は一番いい方法だと思いますが、戸別訪問の解禁と連座制の強化、腐敗防止法適用ということについて、総理のお考えあるいは自治大臣担当大臣のお考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。
  246. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 戸別訪問を全面的に今法案では解禁をすることにしたわけでございますけれども、これはかねてから、選挙運動はもっと自由であるべきではないかという御意見がたくさんございました。それに対して、来られる方もそれはたまらぬとかあるいはそこで買収、供応あるいは物を持っていくという今御指摘のようなことが起こるのではないかということがございまして、今日まで解禁を見てみなかったわけであります。  ただ、今北川委員指摘のように、これは戸別訪問、全部が全部、候補者個人が全部やれというわけではない。解禁しますよということであり、かつ二年前の海部案でも、十五名の腕章をつけて戸別訪問を許そうということもあったわけでございまして、ここで突然出てきた話ではないわけであります。  それから、今ようかんの話が出ましたけれども、私たちはやはり、そういう政治風土自体を直していくということがこの政治改革の基本に流れていなければならぬと思うのですね。  運座制の強化のお話がございましたけれども、今度の我々の方の法律でも、御承知のように、今は候補者選挙に入ってからの連座制の強化はありますが、選挙前に、公示後でも選挙前にやったものについては連座制が適用しないというようなことがございましたから、それは候補者となろうとする者というものを連座制の対象にいたしました。あるいは、その候補者及び候補者となろうとする者、秘書を連座制に適用するとか、あるいは、連座制にかかった候補者あるいは当選した者も当然当選無効になり、五年間の立候補制限をするとか、こういうように大変厳しくしていることは御承知のとおりでございます。  ただ、今北川委員が言われますように、運動員、意思を通じていない運動員まですべて連座制の対象にしろということになりますと、これは、連座制という法律自体はイギリスと日本しかない、他人の犯罪をもって候補者の当選無効という非常に厳しい法律でございますから、そこまで広げるとなると、実際に立証がどこまでできるだろうかという具体的な問題がございまして、私たちも随分研究をしてみましたけれども、末端という言い方がいいかどうかわかりませんけれども、すべて連座制の網をかけよう、全く個人の意思でようかんを持っていったというものまで、じゃ当選無効ですかということは、法構成上非常に難しいのではないかということで、とりあえず私たちの方といたしましては、先ほど申しました連座制の強化にいたしました。  なお、これはいろいろ議論の中でできるものは我々としても努力したいと思いますが、かなり法律上厳しいのではないかと思っております。
  247. 北川正恭

    ○北川委員 司法、立法、行政と三権が分立していて、そして立法府が司法のお世話にならなければならないということを、本当に大変憂慮すべき事態だと実は正直心配するわけですよ。そうしますと、どれだけ刑罰をきつくしても、破らない方が負けて、破ってうまくやった方が勝つというのが今実態だということを現状認識をしたときに、やはりここは自浄能力を最大限発揮できるシステムをつくらなければ、どれだけ罰則を強化しても無理があるということを実は私は申し上げたかったわけですよ。  したがって、それは確かに三審制の法的な問題とか、あるいは随分裁判が長引くとか、あるいはおとりというか裏切った人を一体どうするのかというさまざまな問題はあるが、これは私は、政府の御答弁としては大変後退した発言だったなと思います。私は、このあたりは政府は前向きに御答弁をいただいて、そして司法にお世話にならなくても、我々自身がけじめをつけて、そして自浄能力を発揮して、堂々たる立法府の活動をしますよというところぐらいの決意は、本当は私は自治大臣からお聞きしたかったわけですが、難しいだけでは私は通らない課題だと思いますから、総理、このあたりもぜひお考えをいただきたいと思います。  そこで、最後になりますけれども、確かに、戦後日本は、国破れて山河ありという貧しい状態から、それぞれの皆さんの御努力によって経済復興をなし遂げることができた。ひどいときには一〇%を超える成長率もあって、今日まで右肩上がりでどんどんと成長をしてきた。その成長の中で、上がっていく分だけ減税で、あるいは福祉で、公共事業でということはどんどんできた。そのときの国民政治家に対する期待は、もっと豊かな生活をということであった。豊かな生活を保障してくれる、促進してくれるならば、政治家は力だ、力さえあればいいんだ、倫理観よりも力だという流れで、戦後四十数年間今日まで来た。それはそれで、全部否定ばかりするわけではなしに、確かに国民期待もそうであった。あるいはパワーという意味では認めざるを得ない部分もあるのかなという気がいたします。  しかし、先人たちの大変な御努力で今日まで来ましたけれども、かつてのヨーロッパがもう既に右肩下がり、アメリカも既に右肩下がり、日本も右肩上がりから下がりのような状況になっています。高齢化社会を迎える、このことを一つとっても、実際の活動が鈍るということはあるわけです。あるいは、世界が同時不況です。日本がどんどんいい品を安くつくって、どんどん貿易を振興すればいいじゃないか。ジャパン・バッシングです。経済摩擦です。さまざまな問題を考えてきたときに、これからは日本もある意味で右肩下がりを覚悟しなければいけないのかな、そう思います。  そうしますと、国民皆さん方は、例えば中小零細の方々は本当に下請をして親会社からいじめられたり、あるいはリストラをしたり、必死になって耐えているんだ。そういうときに、国政を担当さされている我々が、七十億円の脱税だ、夜は赤坂だ銀座だ、そんな形だけで本当に許されるかどうか、ぼつぼつ試されるときが、私自身思いますが、本当に来ていると実は思います。  右肩下がりであるならば、我々がまずけじめをつけて、そして本当の意味で天下国家のために動ける、働けるというみずからの状態をみずからがつくり出していかなければ、すなわちこの政治改革を我々の手でなし遂げられずに、何のかんばせがあって、国民皆さん方に、減税はだめです、あるいはあなた方に与えられる福祉は切り下げなければいけません、さまざまな問題を、これからは与えるのではなしに削らなければいけない状況のときに、まずみずからがみずからの身を切って、自浄能力を発揮することは当たり前のことだと思いますから、今回のこの政治改革与党、野党問わずに、本当に細川内閣の命運だけでなしに、野党である自由民主党も、これができなければ自由民主党に私はあすはない、そんなつもりでこの委員会に臨ませていただいているわけでございますから、どうぞ総理、政府の、与党八党のことばかりおっしゃらずに、野党の言うこともよく聞いていただき、国民が納得する制度改革へと踏み込まなければ、あなた、この制度は私は甚だ、そこへいきますと逆に難しくなりますよ、このことをぜひ御理解をいただき、さらに一層与野党の話し合いを通じて、この法案は我々も慎重に真剣に議論に参加をして、よりよき法案を作成するために頑張りますから、もう一回総理、ベストと言われずに、お互いの話し合いによってというぐらいの御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  248. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 おっしゃることは全く私も同感でございます。本委員会におきまして、あるいはまた本院におきまして、参議院におきまして真摯な御論議が積み重ねられて、そしてぜひとも本格的な、経済の問題あるいは行政の問題、その他さまざまな問題がございましょうが、日本の抱えているこの構造的な問題というものを解決していくために、政治の基盤というものが、共通の基盤というものができ上がることを強く願っているところでございます。
  249. 北川正恭

    ○北川委員 終わります。
  250. 石井一

    石井委員長 次に、石破茂君。
  251. 石破茂

    ○石破委員 私は、非常に複雑な感慨で今この場所に立っております。二年前の九月二十七日に、やはり私は同じようにこの場所に立ちました。総理の席には海部総理が座っておられ、今羽田総理がお座りの席には吹田自治大臣がおられたのであります。そのときに私は、小選挙比例代表並立制をぜひとも導入するべきだということを訴えました。そして、小此木委員長に対しまして、何とか継続審議をお願いできないかというお訴えをいたしました。  私はそのときのことを今でもありありと覚えております。後ろの席から大変なやじと怒号が飛んでまいりました。おまえはそれは何を言っておるのか、それでもおまえは民主主義者か、そういう考え方は全体主義というのである、散々なおしかりをいただきました。  それから二年の歳月は、今このような形となってあらわれておるわけでございます。再三のお尋ねになりまして、総理関係閣僚には恐縮でございますが、もう一度基本論からお尋ねをいたしたいと思います。  まず、政治の営みとは何をするものであるか、政治家は何をするのが使命であるかということについての認識であります。それがはっきりしておらないで、政治改革というものを語っても、私は、それは無意味である、かように思っております。総理政治とは何であるか、そして政治家の最大の使命とは何であるか、総理の御見解を承ります。
  252. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 いろいろな言い方があろうかと思います。切り口があろうかと思いますが、端的に申し上げれば、何と申しましても、やはり内に向かっては国民の福利の向上ということを図っていく、これが政治の最大の眼目でございましょうし、また、外に向かっては国際社会の中で期待される役割を果たしていく、これが責任のある国際国家としての役割であろう。そういうことを進めていくために、内外の課題に対応していくために、今我々が抱え込んでいるこの構造的な問題というものをどうしても改革していく必要があるということで、政治改革経済改革行政改革ということが三つの柱でありますということを申し上げているところでございます。  なかんずく政治改革というものがまず最優先の課題であって、まずこれが第一弾であって、この構造改革を進めていく上の第一弾として、それをてことしてこの構造改革というものを進めていかなければなるまいということを申し上げてきたところでございまして、その政治改革を進めるゆえんは、何と申しましても、政治に対する国民信頼を回復するということが一番基本的なことでございましょうから、そういう観点から、今回の国会におきましても政治改革の四法案を出させていただいて、これを実現することによって、先ほど冒頭に申し上げましたような内外の諸課題に的確に対応するようなまず基盤をつくるということが最優先の我々の使命ではないか、このように考えているということでございます。
  253. 石破茂

    ○石破委員 この政権の性格づけにつきましては、後ほどお尋ねをいたします。  同じ問いをさせていただきたいと思います。  山花大臣、石田大臣大内大臣政治とは何であり、政治家の果たすべき役割とは何でありますか。
  254. 山花貞夫

    山花国務大臣 政治家としての心構えという若干総論的なお答えになれば、私は、それぞれの党の所属ということの立場もございます。憲法の平和と民主主義、そして基本的人権を尊重する理念、そして自由、公正、連帯という価値観、これを日本社会に実現したい、こういう目標で具体的な政治課題に取り組むというのが、私の今日的な姿勢の基本でございます。  同時に今、政治改革のテーマについての考え方ということについても、御質問の中、細川総理お答えにあったのではないかと思っています。やはり私は、今日の時代精神に沿って国民期待にこたえる、これが私たちの使命だと思っています。今日の時代精神、今日の時代精神というものを政治改革全体のよって来るところから考えるならば、国民政治不信に対してどうこたえ、これを解消することができるのか。憲法の想定している議会制民主主義が危殆に瀕している、そのことに対して国民主権の復権、民主主義の復権ということだったと思いますが、政治改革のテーマ、今度の選挙を経ての今日のテーマとしては、何よりも反腐敗時代の精神というもの、社会の公正を実現する、そのことが政治改革についての私の取り組んでいる基本的なテーマでございます。そうした基調をもってこれからも臨みたい、こう思っております。
  255. 石田幸四郎

    石田国務大臣 お答えをいたします。  政治家として最も心がけていかなければならないのは、やはり社会を構成している一人一人の人生の生きがいをどうつくっていくのか、そのためにはまた社会全体の連帯をどうつくっていくのか、ここに置くべきだと思いますし、また、世界全体を眺めてみても、自国だけの繁栄があればいいということではなくて、やはり人間共通のさまざまな課題があるわけでございますので、人間の不幸をよりよくなくすために連帯をしていく必要がある、まずこれが基本的な考え方であろうと思うのでございます。  今、当面私たちが日本国民に向かって努力をしなければならない問題は、まさに今ここで議論をされておりますように、前回の解散・総選挙の際に、何としても国民政治不信を晴らす、そのために政治改革をしなければならないと約束を申し上げたわけでございますので、これは各政党とも、全力を挙げてこの政治改革法案成立を期し、そして政治信頼を取り戻す、そのことに全力を挙げるべきであろうと思っているところでございます。
  256. 大内啓伍

    大内国務大臣 私は常々こう思っておりますが、この世に生をうけた一人一人の人間が価値ある存在として処遇されるような社会、国家、世界をつくるということが、政治家及び政治の任務だと思っております。  この見地から、何よりも保障されなければなりませんのは、自由と民主主義というものを根底に保障し、その上に立って、国民生活という面では豊かさやゆとりというものが実感できるような実態というものをつくり出す、これが一つは大事でございますし、また、日本は世界の中で孤立して生きていくことはできません。したがいまして、国際社会に対しても貢献できる国家、つまり世界から信頼され、尊敬され、必要とされるような国家をつくっていく、そのために政治家政治は常に時代認識を持って、国民に対して夢と希望と期待を与えるものでなければならぬ、こう考えております。
  257. 石破茂

    ○石破委員 失礼を顧みず先輩方にこのようなお尋ねをいたしましたのは、それぞれの中で、政治とは何か、政治家とは何かというイメージがなくて政治改革を語っても、それは意味のないことだろうと思ったからであります。  けさほどからの議論に出ておりますとおり、私ども、そしてまた国民の皆様方は、なぜあそこまでだめだ、だめだ、だめだと言われた並立制が急転直下、みんながそれをいいと言うようになったのか、ここは理解ができないところだろうと思っているんです。私自身は三年前から、どうしても並立制でなければだめだと言い続け、お願いをし続け、行動してきた人間です。しかし、聞いていただけなかったのがどうして一夜にしてこんなになってしまったのか夢でも見ておるような気分なので実はあります。  で、なぜこちらへ変えていかねばならないのか。我々が選挙制度というものを変えなきゃいけないと思ったのは、中選挙区制で当選をしているわけですから、我々にとって今の状況が一番よいに決まっているんです。この制度のもとで当選してきていますから、後援会の皆さん方お願いをして、何とか当選をさしていただける可能性が高いだろう。政治家にとっては今の制度が一番よろしいが、政治家にとってよくたって、国家国民にとってよくなければ、これはどんなに自分たちにとって不利であっても変えなきゃいかぬじゃないか、そういう認識でやってきたつもりであります。  それの原点ほどこにあったかといえば、私の場合には平成二年の総選挙でございました。私はこの場所で申し上げたはずなんです。あのときに私は、そしてまた多くの自由民主党の同志は、つらくて苦しくて嫌なことだけれども、消費税というのは導入をしていかなければ国家はどうにも立ち行かない。消費税が好きか嫌いかと言われれば、十人が十人嫌いに決まっておる。好きですか嫌いですかと言われれば、十人が十人嫌いなんだ。しかし、政治が問いかけていかねばならないのは、好きですか嫌いですかという価値観ではなくて、それが国家の将来にとって必要ですか必要ではないですかという価値観を問うのが政治のはずである。しかるにそのときに、消費税は絶対粉砕をするんだと言って当選をしてこられた方々がたくさんおられた。  年金の問題が今また浮上してきておりますけれども、年金は六十歳支給のままで大丈夫です、心配しなさんなと言った人が確かにおった。自衛隊は違憲であります、日米安全保障条約というのはいかがなものかと思います、そして食糧自給は、今自給率三〇%とか言われておりますが、これを倍に引き上げるんですよというような公約をされて、当選をしてこられた方々がたくさんおられた。これは一体どういうことなんだろうかというふうなのがその発想の原点でございました。五人に一人であれば信じてくれるんだということのもとで選挙をやっておれば、それは国民の皆様方の喜ぶこと、迎合的なこと、それを言っておっても、議席は確保できる。それはやはり制度として間違いなのではないだろうかということが基本的な認識だったのであります。  同時に、それは我が自由民主党においても反省をせねばならないことで、これは公約とは何かということにかかわる問題でありますが、あのときに自由民主党の公約は、消費税をやらせてください、つらくて苦しいことですけれどもやらせてくださいというのが公約だった。しかし自由民主党の中にも、公約はおれは知らぬな、総理はそう言っておるかもしらぬが、いやしかし、それよりもやっぱり地元の利益なんですよ、消費税のことはまた何とかしますからということを言った人もおったわけですから、これは与野党ともの問題ではあろうかと思っております。私の基本的な認識はそこから出発をしたのであります。  五人に一人、十人に一人、そういう支持を受けても、それは国民の国政に対する意思の反映とは言えないし、それの集合体は国家の意思の反映ではない、それが基本的な認識でありましたが、その点につきましての御見解を細川総理並びに山花大臣にお尋ねをいたします。
  258. 山花貞夫

    山花国務大臣 今お話しの中で、結論的には、今日の政治改革のテーマである選挙制度の問題につき、並立制をとる、その中での国民の選択のあり方について前提としての御質問ではなかったかと受けとめました。わずか二〇%とればいいという中選挙区ではだめなんじゃないか、やはり一対一で政策を争って、そして政策に対して国民皆さんから審判をいただく中で政権づくりというものが行われるべきではなかろうか、これが御趣旨ではないか、こういうように受けとめました。  ただ、私は、そうしたお考え方もあることについて否定はいたしませんが、じゃ一体、二〇%、三〇%の皆さんの気持ちというものは一体どうなんだろう。この問題は同時にあるんじゃないでしょうか。選挙というものが、よく言われます、国民の民意をできればできるだけ、鏡のようにという言葉が言われたりしましたけれども、反映をする中で国家意思を形成していく、政党というのはその媒体としての役割を果たしていくのだ、こういうことを言われますけれども、やはりそこでは、政権の選択の意思と同時に、民意のさまざまな価値観、あるいはさまざまな考え方が違っているという今日的な時代状況の中のもとにおける幅広い民意の反映、少数意見の尊重ということも選挙に際してもあってよいのではないか、こういうように思うわけです。したがって、御指摘の気持ちはわかりますけれども、やはり少数意見尊重という観点を抜きにするということはできないのではなかろうかこういうように思っています。  ただ、お話しになりました、やはり政策で争うべきであるということについては全く同感でありまして、それが今度の並立制一つの大きなポイントであるということにもなっていると思っております。
  259. 石破茂

    ○石破委員 どうも理解が難しいのでございますけれども、その五人に一人の方に支持される政策ということと、政策で争う選挙ということは根本的に違うのではありませんか。そこをお答えをいただきたいと思うのです。それは、政策で争う選挙という言葉は確かにそうです。しかしそれが、五人に一人、十人に一人に支持されればいいという政策ではだめなんだということが選挙制度を変えることの原点なのではないですかそこをお尋ねいたします。
  260. 山花貞夫

    山花国務大臣 要は、選挙制度というものが国民の民意をどう反映して議会を構成するか、政府をつくるかということだと思っています。ということであるとするならば、私は、五〇%以下、少数の意見についても尊重すべき選挙制度というものは当然あってよろしいのではなかろうかと思っています。ただ、考え方の妥協ということもありますから、どこまでがということについては、民主的な議論を通じて結論が出されるということだと思っています。
  261. 石破茂

    ○石破委員 少数意見を抹殺するとか、そのようなことを申し上げておるのでは私はないのです。そこのところは御留意をいただきたい。  ただ、民意を鏡のように反映するということになれば、結局責任の所在が不明確になるのではありませんか。そしてまた、残念だけれども、今の選挙のもとでは、一票を入れるときの意思というのは何なんでしょうねということも考えていかなければいかぬと思うのですね。これは羽田大臣がつとに御指摘になっておるところでございますが、一票を入れるときの意識というのは、今の選挙というのはかなり白紙委任的なものじゃないのかなというふうに思うのですよ。  つまり、我が自由民主党は政権政党でございました。政権政党で過半数をとろうと思えば、我が党の意思を国政に反映をしていこうと思えば、どうしても過半数の候補者を立てなければいかぬでしょう。一人や二人立てて満足しておるわけにはいかぬでしょう。したがって、三人、四人を立てる。そうすれば、同じ政策で争っておるのだから、政策についての差異はないんだ。そのときの一票というのは、私の一票によって国がこう動いてほしいという一票ではなくて、この人に任せたから後は頼むよという、そういう意思だったのではないでしょうか。  そして、残念なことだけれども、自分が入れた候補者が当選したときは万歳、よかったという話になりますね。しかし、社会党が勝ったとか自民党が勝ったとかいうことに本当に喜びを見出す人が少ないんじゃなかったか。そこに、政策を支持したという意識は、社会党もそうですが、自由民主党の場合にも残念ながらなかったのじゃないか。それを変えていかねばならないというのもやはり目的の一つじゃないのかなというふうに思っておりますが、羽田大臣、いかがでございましょうか。
  262. 羽田孜

    羽田国務大臣 今御指摘にあったのは、全く一緒にかつて議論したことでございまして、もう繰り返すのもなんだと思いますけれども、いずれにしましても、やはり本当に責任ある政治というのが求められているということだろうと思います。残念ですけれども、今の中選挙区制でございますと、やはり十何%で当選を得るということになりますと、本当に責任ある政治ができるか、全体を代表することができるか実はいろんな国からもそれを問われていることでありまして、私どもといたしましては、やはり小選挙区を加味した、しかも幅広い意見も受け入れることのできる比例並立というものが、私は、今いろんな人たちが考えている中の最高の一つの案なのかなという思いを持っております。
  263. 石破茂

    ○石破委員 以上のことにつきまして、総理の御見解を承りたいと存じます。
  264. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 お二方からお話があったことに大体同感でございます。  やはり一五%前後の民意の集約と申しますか、意思の集約だけで決まっていく、大方の国家意思が形成をされる、そこにその勢力が参画をしていくということが大きな比重を占めるということについては確かに問題があろう、そういうことも含めまして選挙制度の改革というものをどうしてもやらなければならないというのが与野党含めた御論議の方向であろうというふうに受けとめておりますので、今回の改革案におきましては、まさに今お話がございましたように、政策本位の、政党本位の選挙をやっていけるような状況というものをつくっていこう、それが今回の改革の趣旨であるというふうに私は認識をいたしております。
  265. 石破茂

    ○石破委員 くどくどとお尋ねをいたしましたのは、政治家の役割というのは、つまり国民が今は欲していないもの、どちらかといえば今は嫌がっておるもの、しかしながら国家の将来にとってどうしても必要なものを我々が説き、お願いをするために政治家というのはいるんじゃないんですかというのが私の認識なんです。  先ほど北川委員が最後におっしゃいました。政治家というのはそのときどきによって役割があろうかと思います。例えば池田内閣のもとでは所得倍増論というのがあった、佐藤内閣のもとでは高度経済成長というのがあって、田中内閣のもとでは日本列島改造論というお話だった。皆さん方、月給が倍になりますよ、暮らしはどんどん楽になりますよ、日本国じゅうに新幹線、日本国じゅうに高速道路ができますよ。そのときの政治家の役割というのは、例えて言うならば、サンタクロースのごとき役割であったのであろう。サンタクロースであれば、多少お行儀が悪くても、それは大目に見ていただけたかもしらぬ、何といったって自分に幸せをもたらしてくれるわけですからね。  しかしながら、海部内閣選挙のときに、また竹下内閣選挙のときに、私どもお願いをしなきゃいけなかったのはどういうことなのか。それは、消費税をお支払いください、年金支給は、二十年間かけてのことでございますが、六十五歳にさせてください、申しわけないけれども、牛肉・かんきつの自由化を受け入れてください、そういうつらくて苦しいことをお願いをしなきゃいけない側に立ったんじゃないか。  だとすれば、政治家の役割が、サンタクロースから、疫病神とは言わないけれども、つらくて苦しいことをお願いしなきゃいかぬ役割に変わったんじゃないか。本質的に選挙制度を変えなきゃいけないという発想はそこから出てこなきゃいかぬのじゃないかというふうに思っておるんです。  総理のお話の中には、これは改革です、福利の向上です、生活者優先です、そういうお言葉は出てまいります。しかし、この選挙制度改革というのは、実はつらくて苦しいことだけれども国民にそのお願いする資格を政治家が持つためにこれをやらなきゃいけないんだという御発言を私はついぞ聞いたことがないんです。そこのところが一番肝要なところではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  266. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 いや、全くその点については私も同感でございます。もうこれだけとにかく内外の難しい問題が山積をしている中で、今までのように政治の選択というものが百八十度も三百六十度も幅があるわけではございませんし、本当に狭い、二十度か三十度か十五度か、その狭い選択の幅の中で、おっしゃるように苦い決断をしていかなければならないことばかりが山積をしているわけでございますから、そういう中で国民の負託を受ける政治家というものは、それなりのやはり決断ができるような政治環境というものを用意される必要がある。その意味で私は、選挙制度を初めとする政治改革というものがぜひ必要である、そのように私も、全くその点については同じ認識だと思っております。
  267. 石破茂

    ○石破委員 それでは、具体的に制度に入ってお尋ねをいたします。  山花大臣、今総理がそのような御返答をなさいました。それでは、小選挙比例代表並立制というのはどういう点でその今のお話に資するものでありますか。
  268. 山花貞夫

    山花国務大臣 今総理が御意見同じですと言った部分についても、大事な政治改革についての理念に関してのテーマだと思っています。同時に、しかし私たちは、今日的な課題として、決定的な限界を超えた政治腐敗に対する国民の批判にどうこたえるか、そこもまた政治改革の大事な視点だったと思っています。そしてそれとのかかわりで、中選挙区制、そこでの個人本位の選挙というものを、どう政党が政策を訴えることができる選挙にするかということも大事なテーマだと思っています。  そうした観点から、並立制の問題につきましては、それは、一方において選挙制度考えれば単純小選挙区があり、一方においては比例代表制度があるということの中で、それぞれの持つ特質というものをどこの国でも、さまざまな国で組み合わせた中で、その国の政治風土に合ったもの、あるいはその国の新しい政治風土としていきたいものをつくってきたのではないでしょうか。だから、選挙制度は百の国があれば百違うと言われているところでもありますし、したがって私たちは、今度も、これまでの議論の経過というものを踏まえて、一方において、御指摘のような民意集約的な民意の反映の仕方というものを尊重する立場と、同時に、今日の多様な価値観を持った国民皆さんの選択の幅というものを考えた、少数意見の反映をも含めた民意の反映という比例代表の制度と、ちょうど二百五十、二百五十ということでとったわけでありまして、私たちは、そうした中から、これから、今御希望、御主張されたことを含めての新しい政治システムというものをつくり上げていかなければならないということだと思っています。
  269. 石破茂

    ○石破委員 私は、つらくて苦しくて嫌なことだけれども、国の将来にとって必要なことをお願いするために選挙制度改革をやらねばならないんだと、だとすれば、この並立制というもの、そして二百五十、二百五十というものがどうしてそれに有効に機能するのでしょうかというお尋ねをしておるのでございます。
  270. 山花貞夫

    山花国務大臣 私がお答えしましたのは、選挙制度の改革は、つらくて苦しい問題をやるためにということだけではないということです。そのことも当然大事なテーマでしょう。しかし、今日選挙制度の問題が問われた今日的な理由、原因というものをやはりのみ込んでいかなければいけないのではないでしょうか。そのことをまずお答えしておきたいと思います。  そうした中で、二百五十、二百五十ということについては、これは確かに従来型の私たちの既成の選挙のシミュレーションからは判断できないところもあると思っています。しかし現実には、ここまで来る議論の経過は御存じのとおりです。大変長い時間かかりました。そして、ついにそれぞれが対立した中で解散・総選挙も行われました。ということであるとするならば、これまで、議論の中から、これならばできるのではなかろうかということについて議論を詰めていくことも必要なのではなかったんでしょうか。私たちはそうした考え方もあったと思っています。そうした中で、先生御指摘のようなテーマも大事なテーマであるということは一人一人私たちがしっかりと認識しなければいけないと、こういうことではないかと思っています。
  271. 石破茂

    ○石破委員 私ごとでございますが、私は前回無所属で選挙をやらせていただきました。自由民主党の議員でございましたが、宮澤内閣不信任に白票を投じた人間でございます。それはなぜなのかといえば、公約はどうしても守らなきゃいけないんだということが根底にあったからでございます。やはり、選挙のときだけころころ変わったことを言えばいいということじゃどうにもならぬのですね。本来であれば、選挙選挙の間に、私は前回このような公約をいたしました、次の選挙のときには、前回はこう言いまして、これとこれとこれは守れましたが、これとこれは守れませんでした、こういうふうに申し上げて、国民の皆様方の信を問わないと、選挙というのは一体何のためにやるんだか、これはわけがわからぬことになるんです。公約というのをきちんと守る、そしてまた同時に、党首の言うことと候補者の言うことが全然変わらないということでなければこれはいかぬと思っておるんですね。  そこで、連立政権の意味についてお尋ねをいたしたいのでございます。  総理は本会議お答えの中でどういうことをおっしゃったか。原文のとおりではございませんけれども、大きな目的やそしてまた大義の前には、政党がそれぞれの個別の政策を抑制することがあってもそれは許されるんだというふうにたしか御答弁をしておられますが、これはどういう意味なのかもう一度、くどいようですけれどもお答えをいただきたいと思います。
  272. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 連立政権を形成する場合に、それぞれ各党が固有の政策を持っていることは当然のことでございまして、その固有の政策を乗り越えて、大義の前に、例えば今度の場合で申しますならば、政治改革という大きな目的のために合意の形成をして、八党の合意というものがございましたが、政策協定を結んで、そして連立政権というものを形成したわけでございますから、そういう大きな大義の前に固有の政策というものはできる限り抑制をしていこう、まさに今おっしゃったとおりのことを私は申し上げたと思います。
  273. 石破茂

    ○石破委員 それで、その後、たしか総理は本会議において、しかしながらそういうことに対する審判は次の選挙で有権者が下すであろうというふうにおっしゃいましたね。間違いございませんか。
  274. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 これは先ほどどなたかの御答弁でも申し上げたと思いますが、一般的に、連立政権というものを形成する場合に、選挙の前にその政策的な合意というものがなされることが本来のあり方でございましょうが、しかし、選挙が終わってから、そのときの政治状況によって政策的な合意というものをお互いに諮ってつくっていく、そういうこともこれは間々あることではないかというふうに思っております。そしてそれは、その結果についてはその次の選挙において審判を受けざるを得ない、これもまた一つの現実の姿ではなかろうか、こう思っているところでございます。
  275. 石破茂

    ○石破委員 私は、この政権というのはそれなりの必然性を持っておると思っておるのですよ、自由民主党において政治改革できなかったわけですから。我々は、政権与党でありながら、海部内閣のときも、そして宮澤内閣のときもできなかった。私自身、一生懸命やってきたつもりですが、力が足りなかったことを本当に反省しておる。そういう意味で、こういう内閣ができ、そして細川総理の手で政治改革が実現されるということは、本当にやっていかねばならないことでありますし、最大限の協力をしていくのが、自分の力不足に対する反省も含めまして、私の国会議員としての責務であろうというふうには思っておるのです。  しかしながら、公約とそれが違っても、それは許されるんだという点になりますと、そしてまた連立政権とはそういうものなんだということになりますと、これから選挙制度が変わればそういうことが日常茶飯に行われるのであろうか。そして、次のときには有権者がそれに対して審判をすればいいということなんですが、その間に大きな決定がなされちゃった場合には、一体これは後から審判をしようが何しようがどうしようもない話なのですね。本当にそれはそれでよろしいのでしょうか。  つまり、それぞれの政党が、全く違ったとは言いませんよ、しかしながら個々具体的に見れば、連立政権の中に、どちらかといえば我が自由民主党に政策の近い党もありましょう、遠い党もありましょう。そしてまた、連立与党の中にも遠い近いはありましょう。そのことが実際にありながら、選挙協力というようなことが行われてよろしいのかな、それと公約とはどう両立するのかな、国民は何を判断材料にすればよいのかなという点についてでございますが、いかがでしょうか。
  276. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 それは、連立政権というものに対する基本的な考え方をどういうふうにとらえるかということにまさに尽きるのだろうと思います。連立というものが組まれた段階で、それぞれ固有の政策を持っている各党は、その推していただいた方々に対して、その負託をしていただいた方々に対してそれぞれが責任を負うということでございますから、私は、それだけの覚悟を持ってそれぞれの党が連立に参画をしているということでございますから、それはそれで一つの理屈として、理論として成り立つことではないかというのが私の基本的な考え方でございます。
  277. 石破茂

    ○石破委員 私は、できるだけ二大政党に近いものであってほしいと思っているのですよ。つまり、できてみなければどういう組み合わせになるかわからない、選挙が終わって、どう組み合わせが行われるかは全く有権者の及び知るところではないということで本当によいのであろうか。連用制が出てきたときも、これはいかがなものなのかなということを私は表明をさせていただいた。それは、確かに民意が鏡のように反映されるかもしらぬ。連用制というのはそういうものでございますね。併用制もそうであります。特に、併用制や純粋比例というのはそうだ。しかしながら、それは確かに民意を鏡のように反映はするが、しかしどこかがキャスチングボートを持つことによって、その党の利益が一番強く出て、ほかにもっと支持をしておる政党があるにもかかわらず少数党の利益が一番クリアに出てくるということは、国民全体の意識とはそごが出るのではないか。  しからば、総理が穏健な多党制というふうにおっしゃっておられますが、穏健な多党制、五党とか三党とかおっしゃいましたが、穏健な多党制ということと、国民がどういう政権ができるかということを知ることの担保、その辺の兼ね合いはいかがなものでございましょうか。
  278. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 ちょっと質問の御趣旨がよく私もつかみかねるのですが、それは、よろしいですか、ちょっともう少し補足していただけませんか。
  279. 石破茂

    ○石破委員 穏健な多党制というものは、できてみなければどういうことになるかわからない、少数党がキャスチングボートを持ち、ある党がここと組みます、ここと組みます、そういうことによって全くがらっと違った政権があらわれるということではないでしょうか、そういうことを申し上げておるのであります。一票を入れるときに、政権かくあれかし、国家かくあれかし、そういうふうな国民の願いがなるべく政権に反映されるようにするのが、国民の主権の行使の仕方ではないかということを申し上げておるのであります。
  280. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 まだよくちょっとわかりませんが、おっしゃる意味は多分、数が少し多過ぎる、もっと穏健な多党制、まあ三つから五つぐらいのものになった方が国民の国家意思の選択というものは、決定というものはやりやすいのではないか、こういう御趣旨だろうと思いますが、それはおっしゃるとおりだと思います。したがって私も、三つから五つぐらいの、そのくらいの政党に収れんをしていくのではないかということを申し上げたわけでございますが、数が少なければ少ないほど、一方では民意の反映という点で問題もございましょうが、政権の意思という意味ではそれは明確になるのだろう、そのように思っております。  しかし、今私どもが提案をさせていただいておりますのは、その民意の集約と政権の意思の選択と、それから民意の反映というものとが両方相まっていく制度、世界でもほとんど例のない制度というものが、我が国にとって今までの御議論の経過なども踏まえますと、最もこれがいいのではないかなということで今提出をさせていただいているわけでございますから、私は、そしてまたこの制度については国民からも必ず御理解、御支持がいただけるものではないか、そう期待を申し上げているところでございます。
  281. 石破茂

    ○石破委員 この議論は、二票制をとるか一票制をとるか、そして小選挙区を二百五十にするか三百にするかということと本質的にかかわってくることは、総理御高承のとおりでございます。  私たちは、確かに多党制というものを否定するものではないけれども、できてみなければわからないということは、主権者の国民に対していかがなものなのかな。どういう政権ができ、自分の一票によってどういうような政策が実施されるかということを、国民はやはり知らねばならないのではないか、知り得るように努力をしていくべきではないか。制度というのは、そういうふうに仕組むべきなのか、それとも、そうではないように仕組むべきなのか。一票、二票、二百五十、三百というのは、そこに本質的な差異があるのであって、単に数量的な差異ではないのではないかというふうに私ども考えておるところでございます。  だから、少数の意見も反映をせねばならない。同時に、私たちは、比例代表の部分というのは、多様な民意の反映ということもさることながら、死に票を救済していくという点に重点を置いていかねばならないのではないか、かように考えております。単純小選挙区がなぜだめかといえば、それは、政権の選択はまことに明白になるけれども、多くの人の意思が無視されてしまう、だからだめなんだ、こういう御批判でございました。  それは、それこそそんなものを無視してしまえば次の選挙で負けちゃうんだからねという反論があるわけでございますけれども、しかしながらそういうわけにもいかぬだろう、やはり死に票というものを見ていかねばなるまい。だから重複立候補というものを考え、そしてまた、善戦率とも惜敗率とも言いますが、そういうものを考え、どちらかといえば比例の部分は、多種多様な民意の反映というよりは、死に票をいかにして抑えていくかということに重点を置いたつもりでございます。  そして、一票、二票というので、なぜ我々が一票制を主張するかといえば、例えば、小選挙区においてはA党の候補者に○をしました、比例代表においては全く政策の違うB党に○をしましたということになりますと、さてこの有権者の意思というのは一体どういうものなんだろうかねということが、全く明らかにならぬのではないかということなのであります。  それについてヒントを与えてくださったのは、まさしく細川総理なのであります。昨年、細川総理は、文芸春秋において、中選挙区連記制というものを提案された。私どもそれを見て、なるほど、そういう考え方があるか、それは同士打ちを避けることができる、確かにいい考え方だと、我が自由民主党の中にもその説を支持される方もありました。政治改革本部でいろいろ考えた。待てよ、なかなかいい案ではあるけれども、しかし戦後、確かにそういう連記制というのは行われたことがありますね。そのとき一番多かったのは、自由党と共産党に○をしたというのが一番多かったそうですよ。これでは、一体何の意思が表示をされたのか、政権の選択をお願いするというのが衆議院の意義であるならば、それはやはり一つでなければいかぬのではないか。だから、連記制はいかぬのじゃないかというふうに私ども考えたのであります。そういう意味で、ヒントを与えてくださったのは細川総理だと申し上げたのであります。  今回、二票制をとられるということは、例えば国防政策、外交政策といわず、消費税でもよろしゅうございます。ある政党は、消費税は引き上げるべきだと主張したといたしましょう。ある政党は、現行のままでよいと主張したといたしましょう。その人は、小選挙区においては、消費税は引き上げるべきだ、やむを得ないという政党に○をした。比例区においては、いや今のままで十分大丈夫だという政党に○をした。さて、この人の意思というのは一体どこに表明をされたのでありましょうか。自治大臣、お尋ねいたします。
  282. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 小選挙区においては、今石破委員例を挙げられましたけれども、消費税反対、反対と言いましたか賛成でありましたか、賛成なら賛成という票を入れる。しかし、当然のことながら、比例代表の方は賛成という政党に入れる場合もあるでしょうし、反対と入れる場合もあると思います。それは、そういうことは、並立制をとる限りは基本的に、皆さん方の案でも、小選挙区での当選者と比例代表の当選者というのは、おのおの違う決定方式にしているわけですから、二つ選挙なのでありますから、それはそういうこともあり得るということであります。
  283. 石破茂

    ○石破委員 それは私どもは、二つ選挙ではなくて一つ選挙であるという認識を示しておるのであります。政権の選択というのは一つしかないはず、しからば一つ選挙であります。したがって、重複立候補を認め、それは死に票救済型であるというふうに申し上げておるのであります。  そこで、消費税に賛成と反対、マルをした人の意思は一体どちらなのですか、どういう意思が表明をされたのですか。
  284. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 異党派投票、二票制というのは認めているわけでありますから、そういう場合は当然あります。そしてその際に、結局政権党がどちらの政策を言われて、どういうその次の政権ができるか、そういうことになってくるんだと思います。
  285. 石破茂

    ○石破委員 ですから、そこでその穏健な多党制と言おうが何と言おうが、そういうような、小選挙区ではAである、比例区ではBであるというような人の意思によって実は政権が選択されるということが、政権が決定づけられるということが本当によろしいんでしょうか。それは憲法の問題であって、憲法はそこまで本当に予定をしておるのでありましょうか。憲法において、衆議院というものが認められておるのは、それは政権の選択ということであります。異党派投票ができないということが憲法は当然予定しておらないということではないのではないか。どういう意思が表明されたのか、国民はどういう政権を欲したのかということが重要なのではないかという観点から、異党派投票というのはやはり認められないというふうに思っておるのであります。
  286. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 今石破委員が、そういう違った結果のことについての想定で言われましたが、確かにそういう場合は当然あり得ると思います。ただ、私たちは基本的に憲法の原則、つまり一票の平等の価値ということをやはり重点に置いて、自民党さんの案でも、小選挙区で当選される方、それから比例代表で当選される方、決定方法が違うわけですね。つまり、二つ選挙がそこで行われているわけですから、したがって、私たちはそこで二票にするということが、これが最も自然で、二つ選挙二つの投票ということが一番自然の方法である。  それ以上、あえて合理的な、どうしても一票にしなきゃいかぬという合理的な方法はない。それは、言うまでもなく、小選挙区に出さない政党について、比例しか出てないところは比例に投票する、あるいは比例しか出さないところは小選挙区に投票できないというような、有権者の意思というもの、一票の価値の平等ということを無視してまで、なおかつ一票制にしなきゃいかぬという合理的な理由はないからであります。
  287. 石破茂

    ○石破委員 二つ選挙というのは、まさしく今の参議院みたいな選挙二つ選挙かもしれませんよ。しかし、この場合に重複立候補を認め、そしてまた善戦率、惜敗率でいきます限りは、これは一つ選挙なのだと私ども考えておるのでございます。どうも、ここはどこまで行きましても平行線でございますから、これ以上自治大臣にお尋ねをすることはいたしません。  ただ、総理、違うことを言っている政党にある人が両方の選択をするということが、本当に有権者としてぎりぎりかくあるべきだということを考えた結果だとお思いになりますか。やはり私は、それだって主権者の意思だというふうにおっしゃる方がありますが、しからばどのような意思なのかということなのですよ。賛成、反対、両方言う政党があって、それじゃどっちでもいいよというような、そういうような意思なんでしょうか。  つまり、これからやらんとする政党政治というのは、候補者イコール政党でなくてはいけないんだ。政党はこう言っているけれども、私は全然違いますよというようなことは許されないんだ。自民党は腐っているけれどもおれはきれいだよなんということは絶対に許さないよというのが今度の選挙のやり方なのでありましょう。だとすれば、それが別々に選択ができるというのはおかしいのじゃないかということなのであります。  そしてまた、自治大臣お答えになりましたが、確かに小選挙区の候補者は名前を書けばそれがストレートに政党に読まれるようなやり方であれば、これはいかがなものかと思います。しかし、私どもが提案をしておりますマークシートの一票制というのは、実は変形一票制とも二票の変形制ともいうふうに言えるのではないか。比例区に出して小選挙区に出さない、それは政党の自由であります。政党に所属せず、無所属で立候補する、それは候補者の自由であります。それは有権者の権利を何ら侵害するものではないと考えますが、いかがでございましょうか。
  288. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 これは、今自治大臣が明快に述べられたとおりだと、私も認識をいたしております。やはりそれぞれの別の選挙でございますから、有権者が二票を投ずる、比例比例、小選挙区は小選挙区でその意思を明らかにする、その方が私は素直な考え方ではないかと、私はそう思っております。
  289. 石破茂

    ○石破委員 小選挙区は小選挙区で、比例比例で意思を表示するのが素直だというふうにおっしゃいましたが、それでは政党中心選挙と概念が矛盾するのではありませんか。
  290. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 私は、そうは考えておりません。必ずしもそういうことにはならないんではないでしょうか。
  291. 石破茂

    ○石破委員 これは基本的なことでございますから、くどくて恐縮でございますけれども、そこで別の意思が表示されてもいいということになって、それによって生じた第四党でも第五党でも結構です、それがどちらかについたことによって政権が構成をされたということで本当によろしいのでしょうか。  私は思うんですけれども、やはりぎりぎり考えて、政策が違うからこそ別の政党なんでしょう。政策が一緒だったら、一緒の政党になるのでしょう。政策が違うからこそ別の政党であり、別の立候補者であり、別の名簿を提出をしているはずなのですね。そこで、私はこれについてはA党だが、これについてはB党だということが本当にあってよいのか、もう一度お尋ねをいたします。羽田大臣にもお教えをいただきたいと思います。
  292. 羽田孜

    羽田国務大臣 これは実は、海部内閣のときに投票をどうするかといいましたときに、結局二票制にしましたね。あのときの議論では、例えば石破さんは好きである、石破さんの言っていることは正しい、しかしどうも最近のこの党の体質は好きじゃないねといったときに、まさに小選挙区ではまず石破さんを書き、そして政党の方はほかの政党に入れるということを、クロスボーティングというような言い方をしながら、これは認めるべきだろうということで、あのときに実は二票制にして、私は、それがやはりいいんじゃないのかなという基本的な考え方を持っております。  それで、もしそうでないとすると、それは野田さんとも大分議論をして、結果的に二票制にしたわけですね。私は、今でもそれが正しいんじゃないのか。素直な、やはり人間の中で私はいろいろなものを問われる、いいと思うのですよ。小選挙区の方で勝ったけれども、あるいは比例の方でその党が負けたとしたら、やはり党の体質に対していろいろと問題があるんだということを自覚することもできるんじゃないのかというふうに思いますけれどもね。
  293. 石破茂

    ○石破委員 これはもう羽田大臣とはずっと議論をしてきたことでございますから、これ以上お尋ねをしてもいかぬかと思いますが、やはりあのとき自書式であったということと、今回マークシートであるということが違うかと思います。  また、後日この点は同僚議員から御議論があろうかと思いますが、有権者の意思の表明の仕方というのはどういうものであるか。そして、今副総理がいみじくもおっしゃいましたように、だれだれは好きだが何々党は嫌いだということが、それぞれの候補者がそれぞれの選挙区でいろいろなことを言ってきたということに結びつくんじゃないのかということ。本当に候補者政党は一体なんだとやっていくことが、やはりこれから先、残念だけれども、大事なことじゃないのかなというふうに思っておるわけでございます。  さて最後に、政党法、これも関連することでございますが、政党が公的助成を受けるというのは、今回新しく出てきたところでございます。つまり、政党国民の血税から補助を受ける、援助を受ける、そういう権利を今回認めようということであります。権利はそれで結構です。しからば、政党国民に対して負う義務とは何であるか。自治大臣お答えをいただきます。
  294. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 当然、国民皆さん方の民意を集約いたしまして、それを政治の中で実現させる。そのためにいろいろな広報活動あるいは教宣活動その他のいろいろな活動が必要なわけでございますから、その分を民主主義のコストとして、もちろん自助努力も当然でございます、党費も必要でございますし、事業収入も必要でございますが、なかなか日本社会の場合そこまで理想どおりいきませんので、公的な助成をお願いじょう。いわば政党の役割というのは、そういう民意の、国民皆さん方意見を集約する、あるいは我々がやろうとする政策というものをPRする、これが政党の役割と思っております。
  295. 石破茂

    ○石破委員 政党について規定が幾つかございますが、政党の義務を明確に定めた規定法律の中のどこにあるか、お尋ねをいたします。
  296. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 政党に対する義務というお言葉がどういう意味か必ずしも明確でないのでありますが、例えば政治資金規正法ではちゃんと届け出をしなきゃいかぬとか、そういう意味での義務はございますけれども、それから今度の政党助成法の中で、その綱領を届けるとか組織を届けるとか、それだけのことはございますが、石破委員指摘のように義務という表現まで言えるかどうか、そうなっております。
  297. 石破茂

    ○石破委員 私は、公的助成の根拠って何なのだろうかということを思っているのですね。我々が中選挙区制をやっていたときに、中選挙区制でもお金出せるじゃないかと言った人がおりました。月に一千万ぐらい出したらどうだと言う方がおられました。それは絶対にだめである。なぜならば、同士打ちのコストというのを国民の血税で賄うようなわけには絶対にいかないんだ。それは、民主主義のコストというのは、国民政権選択ができる、そして政党はそれに資するものであるからして、したがってそのコストを国民お願いすることができるというふうに申し上げてきたつもりでございますが、間違いございませんでしょうか、認識を承ります。
  298. 佐藤観樹

    佐藤国務大臣 私も政治改革協議会その他いろいろなところで自民党さんの方とも議論させていただきましたが、いろいろな党から、今石破委員指摘のように、罰則を厳しくしてそして公的助成を中選挙区制のもとで入れたらどうかという御意見も言われた方もいらっしゃいますが、それは主に自民党さんの方から、中選挙区制のもとで同士打ちするお金に公的助成などということはとんでもない、それは税金のむだ遣いにつながるという御指摘があったことは、そのとおりでございます。
  299. 石破茂

    ○石破委員 私は、今後の議論で明らかにしていただきたいのは、官房長官今席を外しておられますけれども官房長官自民党におられたころ御指導をいただいて、ユートピア政治研究会というのをやって、幾ら年間に金がかかるかということをやったことがございます。その後、若手議員の会でもやって、一年生、二年生でありながら一億内外の金がかかったということを、恥ずかしながら申し上げたことがございました。  これはどうも今の御議論を聞いておりますと、金が足りないから出すんだという発想であっては絶対にならないなと思っておるのです。選挙制度か変わった場合に、コーヒー一杯分というふうに総理はおっしゃいました。コーヒー一杯分でもカレーライス一杯でも結構なんでありますけれども、なぜこれだけのお金がかかるのか、中選挙区から小選挙区に移行したけれども、どうしてこれだけのお金がかかるんだろうかという根拠が必要でしょう。  そしてまた、今後明らかにしていただきたい第二点は、保岡議員が先般も本会議で明確にお話しになりましたように、幾ら小選挙区にしたってかかる場合はかかる。見ろ、奄美はあんなにかかるじゃないかと言う人がいますが、それは間違い。あれは、奄美はまさしく中選挙区の典型が一人区で行われているだけのこと。同じ政策で競えば、それはもう差は金でつけるしかないんじゃないかというような一面を指摘される方もあります。それが事実であるかどうかは存じませんけれども、その場合に、どうやって本当にサービス合戦にならないようなやり方ができるんだろうかということもこれから明らかにして、国民の前に示していく必要があるんではないかというふうに思っております。  私は、政党がいやしくも国民の血税を受けるという権利を有するからには、例えばどのようにして候補者を決めていかねばならないだろうか、どうやって代表者を定めていかねばならないだろうか、そしてどのようにしてその政党の意思決定はなされるだろうかということを国民の前にはっきりする義務が、いやしくも血税の補助を受けていくからにはどうしてもあるのではないか。  確かに、いろいろな規定政党政党政党と書いてありますのでも、助成を受ける対象は何ですかという規定はありましても、政党って何ですかという規定が欠鉄したままで、本当に権利だけ享受していいのかなという気が私はして仕方がないのであります。同時に、今金集めるの大変だ、だから公的助成を下さいということであっては、絶対納税者の方は納得をされない。これが国家意思の形成に資するものであるから、どうか御負担ください、こうお願いする姿勢でなくてはならぬだろうというふうに思っております。  総理お答えになりましたように、政党法を定めるというのは、政党に何もいろいろな規制を加えようとか政党の行動の自由を侵害しようとか、そういうものでは決してございません。どちらかと言えばそれの反対で、政党国民の手を離れ、民衆の手を離れて、憲法の理念を離れて、どんどんどんどん進んでいくことがないように、政党というものを憲法そしてまた国民のもとにきっちりとつないでおいて、政党がまさしく国家意思の形成に資するようにするために、そして助成を受ける対象となるために、政党法のようなものを制定することが私は必要なことではなかろうか。政党政治というものを完結していくためには、それも必要なことだと考えておりますが、最後に御見解を承りたいと存じます。
  300. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 本会議でもお答えをしたこととダブるかもしれませんが、民主主義のもとにおいて、政治活動の自由、政党活動の自由というものはやはり大原則であろうと思っております。そういう中で政党法といったようなものを定めるといったことは、政治活動の自由、政党活動の自由というものを、今まさしくおっしゃいましたように、侵害をするおそれもなしとしないというようなことを考えますと、やはりこの問題には慎重に対応すべきではないかなというのが私の認識でございます。
  301. 石破茂

    ○石破委員 いずれにいたしましても、日本政治改革できるまで世界は待ってくれないんだということを、我々は認識をしていかねばならぬと思っております。今まで本当に何度も申し上げましたように、海部、宮澤、二つ内閣をつぶしてしまった。もし海部内閣のときにできていれば、あるいはこのような危機は起こらなかったのかもしらぬのです。  国防、外交、教育、経済政策、金にも票にもならぬかもしらぬけれども国会議員が本当にやらなきゃいけないことをきちんとやっていく、その制度をどうしても今回おつくりをいただきたい、そして、私どもも最大限の協力をしていかねばならない、それが国会議員すべての任務である、かような認識を申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  302. 石井一

    石井委員長 最後に、正森成二君。
  303. 正森成二

    ○正森委員 私は、日本共産党を代表して質問させていただきます。  小選挙区制は、第一党に得票率以上の議席の優位を認める制度であり、国民の意思の公正な反映という議会制民主主義の要請に全く反するものであります。また、小選挙区制は膨大な死に票を生み出します。例えばことし七月の総選挙に例をとりますと、与党が一本化した場合でも死に票は四〇%、もし別々に立ちますと死に票は実に全国で六〇%近く、大都会の東京、神奈川、大阪などでは七〇%を超えるということが明らかになっております。  総理も、我が党議員の質問に対し、第一党が得票率以上に議席をとることをお認めになりました。これに民意を反映させるとして比例制を並立させても、若干緩和されるだけで、民意をゆがめる本質は変わらない。これは、総理が我が党の志位書記局長に認めたところであります。  七月総選挙を例にしたすべてのマスコミの試算は、政府提出並立制でも、各党個別に戦えば、自民党が三六・六%の得票で六割以上、連立与党が一本化した場合は、四八・四%の得票で約六割の絶対過半数の議席を占めることを明らかにしております。ところが総理は、政権の選択についての国民の意思が明確な形で示される制度であることを理由に、これを合理化しておられます。  そこで、政権選択を理由として、議会制民主主義にとって不可欠の民意の正しい反映、すなわち有権者である国民の意思をゆるがせにしたりゆがめたりすることができるのかという問題について、これから質問をさしていただきたいと思います。  憲法前文は、日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動すると宣言し、十五条は、公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利とした上、四十三条は、両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織すると定め、十四条で、すべての国民は法のもとの平等としています。憲法が参政権を「固有の」と言うことは、憲法上の奪うことのできない基本的人権の規定の冒頭において、その平等を強く要請しているわけであります。  ところが、政権選択を前面に出す政府案は、右に指摘した憲法上の原則、特に選挙権の平等について、憲法上重大な問題を持っていると言わなければなりません。  そこで伺いますが、衆議院の議員定数配分規定を違憲と判断した最高裁の昭和五十一年四月十四日の判決は、選挙権の平等が各選挙人の投票価値の平等をも含むとして、こう言っております。「選挙権の平等は、単に選挙人資格に対する制限の撤廃による選挙権の拡大を要求するにとどまらず、更に進んで、選挙権の内容の平等、換言すれば、各選挙人の投票の価値、すなわち各投票が選挙の結果に及ぼす影響力においても平等であることを要求せざるを得ない」こう言っているわけであります。  さらに進んで、「殊更に投票の実質的価値を不平等にする選挙制度がこれに違反することは明らかであるが、そのような顕著な場合ばかりでなく、具体的な選挙制度において各選挙人の投票価値に実質的な差異が生ずる場合には、常に右の選挙権の平等の原則との関係で問題を生ずるのである」こう言った上で、憲法十四条、十五条、四十四条ただし書きを挙げているわけであります。  そして、それを締めくくってこう言っております。「憲法一四条一項に定める法の下の平等は、選挙権に対しては、国民はすべて政治的価値において平等であるべきとする徹底した平等化を志向するものであり、右一五条一項等の各規定の文言上は単に選挙人資格における差別の禁止が定められているにすぎないけれども、単にそれだけにとどまらず、選挙権の内容、すなわち各選挙人の投票の価値もまた、憲法の要求するところであると解するのが相当である」こう言っております。  これは、ただに昭和五十一年の最高裁の判例だけでなく、その後、昭和五十八年、六十年、平成五年の一月二十日の最高裁の判決でも、すべてこの法理は認められております。  総理は、この見解をお認めになりますか。
  304. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 投票価値の平等につきましては、もとよりこれは民主主義の大原則であると思っております。  ただ、合理的な理由がある場合には、それにふさわしい扱いをすることについて、それを排除するものではないというのが、私は大方の憲法論議の集約をされた考え方であろうというふうに考えているわけでございまして、例えば定数の格差一対一ということにつきましても、それはもとより理想でございましょうが、しかし、裁判所の判断におきましても一対三以内は許容されているというような実態もございますし、また、例えば、かねてよくお尋ねがございます阻止条項などにつきましても、小党分立を防ぐというような観点から、政治の安定というようなことを考えた場合に、やはりこれは一つの合理的な判断として許容され得るものではないかな、このように考えているところでございます。
  305. 正森成二

    ○正森委員 総理は、小選挙区制の民意切り捨てを緩和するために、民意を反映する比例制を組み合わせた。ところが、その比例制において、まず比例選挙に参加する資格要件、入り口においてだけでなく、結果要件として三%以上の得票がなければ議員を選出できないという阻止条項を置いております。これは明白な少数政党排除の規定であります。比例制で民意を反映するから民主主義の原則に合致するといいますが、逆にその比例制で少数意見を排除しているわけであります。  今、総理は、政権の選択ということも一つの理由にされましたが、また私の直前に質問された同僚委員政党は違いますが、政権選択を非常に強く前面に出されました。しかし、政権選択というのは政党政治的な要求、論理であって、憲法上、どこに政権の選択のために選挙権の平等を侵害してもいいという規定がありますか。それは憲法上の要請ではないじゃないですか。
  306. 山花貞夫

    山花国務大臣 お答えいたします。  今、委員が具体的に最高裁の判決を引用されて、投票価値の問題について、こうではないか、こう御指摘がございました。  私も、そのことについては、総理お答えのとおり、同感でございます。従来からこの問題について、選挙権についての平等のテーマについては、数の上の平等とともに価値の上の平等ということは大変大事なテーマだと考えてまいりました。  今、私、手元にありますのは、委員お持ちの判決の中でちょっと引用されました六十年七月十七日の最高裁の大法廷の判決なわけですが、投票価値の平等を要求しているという十四条一項の規定の解釈といたしまして、以下のように言っております。「議会制民主主義の下における選挙制度は、国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政に反映させることを目的としつつ、他方、政治における安定の要請をも考慮しながら、各国の実情に即して決定されるべきものであり、そこには普遍的に妥当する一定の形態が存在するというものではない。」それぞれの国がいろいろ選挙制度をつくっているということについて触れたものだと思います。「日本国憲法は、国会の両議院の議員を選挙する制度仕組みの具体的決定を原則として国会の裁量にゆだねているのであるから、」四十三条、四十七条の関係だと思います。こう結論的に言っております。「投票価値の平等は、憲法上、右選挙制度の決定のための唯一、絶対の基準となるものではなく、原則として、国会が正当に考慮することのできる他の政策的目的ないしは理由との関連において調和的に実現されるべきものと解さなければならない。」こう言っておるわけであります。  したがって、さまざまな政策目的の中で選挙制度ができる、そして、有権者の資格等についても法律で決めていくという場合に、その政策目的と調和的に物事が判断されるべきであって、ケースによって合理的な差別となれば憲法違反の問題が起こる、不当な、合理的な差別とならないような場合にはその政策目的の中で裁量の範囲として認められるというのが最高裁の言っていることではないかと私は受けとめておったところでして、その中で三%の問題については、全体として、比例代表の地域を狭くすれば別ですけれども、大きい場合にはある程度の条件をつけなければいけないのではなかろうかということにつきまして三%の条件をつけたわけでありまして、直ちに違憲の問題が生ずるものではない、こう思っております。
  307. 正森成二

    ○正森委員 今言われたのは最高裁の判例ですが、最高裁の判例は合理的な理由として二つを挙げているのです。  一つは、違憲の状態であってもそれを直すのに国会に一定の期間の猶予を与えなきゃならない、こういうことで三年とか五年とかいろいろの判断を示しております。しかし、今回の場合は新しい法律の制定ですから、これは該当しないのです。  そこで、もう一つは、合理的な理由によって一定の制限をすることができるかということの意見であります。しかしながら、ここで引用されている四十三条とか四十七条というのは、今山花さんも弁護士だけあって引用されましたが、私はここに持ってきましたが、四十三条は「両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。」こう書いてあるだけで、それ以外は言っておりません。むしろ「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」こう書いてあります。四十七条も「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。」こうなっていますが、投票の方法というのは、在宅投票を許すかどうかとか、何時から何時まで投票するかというようなことであって、選挙権の平等に関することを裁量でどうにでもできるといいますか、合理的な範囲があるといって変えていくことを認めるわけではありません。  現に、ここに判例を持ってまいりましたが、島谷六郎さんなどは「選挙権の平等の原則は、まさに選挙制度の根幹をなすものである。」こう言って、「選挙制度は、選挙権の平等の原則に基づき、国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政に反映させるための代表の選出を目的とし、かつそれを可能とするものでなければならない。」こう言って、「政策的要素は、考慮に値するものとしても、第二次的なものとして考慮することにとどめなけれはならない」こう言っていますし、別の、例えば奥野さんという裁判官は「投票の自由及び平等のような基本的要請については、国会に許される裁量の幅は狭く、投票価値の平等の要請に関して言えば、選挙区間における投票価値の較差は、いかに非人口的要素を加味しても、最大一対二程度を限度とすべきである。」こういう判断の中で、国会の裁量権は狭いということを示しているのです。  私の前に質問された議員の議論を聞いておりますと、政権の選択についての総理との討論の中で、一五%の投票で国会に出てくるのはいかがかなというような議論もありました。そうすると、三%どころじゃなしに、五%、一〇%、それ以上であっても、政権選択という合理的な理由があるならば制限し得るという議論に導きかねないと言わなければなりません。これは重大な憲法上の問題点だというように言わなきゃならないのです。  三%でも、過去の例を見て、二百万人の有権者の意思、二百五十人の国会の議席の数から照らすと七人の議員を排除し、切り捨てることになります。三%以下の政党一つではなく、昨年の参議院選を例にとれば、本会議指摘しましたように、七つの党で七・六二%、約三百四十三万、十六議席が切り捨てられます。これは単に少数分立を防ぐため、少数政党に不利だという問題にとどまりません。そうではなしに、少数政党に代表される政策、意見、思想に共鳴する国民の意思を切り捨て、主権者国民の投票権の平等を奪い、最高裁の指摘する各選挙人の投票の価値、すなわち各投票の選挙の結果に及ぼす影響力においても、平等という考えを完全に侵害するものじゃありませんか。こういうことは断じて許されないと私は思います。  大体、総理日本新党はどうですか。五人以上の議員はいなかったんですよ。それが選挙に出てきて、今総理になっているじゃないですか。一緒に組んでいるさきがけはどうですか。あるところでは、それは自民党から分かれたから議員は十人近くおったけれども、国全体で見れば二%台の投票しかなかったじゃないですか。あなたは排除されて、今官房長官なんか言っておられないのですよ。それなのに、そういうのを排除する。総理なんかどうですか。日本新党の今度の選挙のスローガンは、既成政党、既成政治家総とっかえで、そういうポスターを張りめぐらしたじゃないですか。  それなのに、自分が総理になり、官房長官になったら、既成政党政治家を、進出することを許さない。国民の投票を切り捨てる。そんな、自分を選んでくれた国民の意思を無視するような恩知らずなことができるんですか。これは恩を知っておるとか知らないということではなしに、選挙権の平等という憲法上の要請の問題ですよ。この内閣のできてきたそのゆえんを考えれば、こんな法案は出すことができないはずじゃないですか。
  308. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 今回提出をしております法案並立制ということでございますが、今お話がございましたように、民意の集約と、つまり政権の意思の選択と民意の反映ということを相互補完的に補い合ってやるというのが並立制の趣旨であることは、もうこれは御説明するまでもないところでございます。しかし、この制度のねらいとしているところは、政権の選択だけをねらいとしているわけではございませんで、それだけではない、民意の反映というものにも大きなウエートを置いているんだということをぜひ御理解いただきたい、こう思っております。
  309. 武村正義

    ○武村国務大臣 私どもは、前回と同じ程度の頑張りですと次は消えていくことになるわけであります。ぜひそうならないように頑張りたいと思っておりますが、三%は、本会議でもお答えしましたように、ヨーロッパ中心ですが、かなりの国が二、三、四、五、ドイツは五ですね、三、四というのはかなり多いのです、全国区の比例制については。そういう実態がありますし、先ほど最高裁の判決にも政治の安定という言葉がありましたが、そういう意味からも、今回相談をして、この案を出しているわけであります。
  310. 正森成二

    ○正森委員 多くは言いませんが、最高裁が言っている安定というのは、中選挙区制が六十年も続いてきた、その安定を崩してはいかぬという意味で安定を使っているので、今官房長官が言われたように、手前勝手に政権の安定という意味で使っているんじゃないですから、後で最高裁の判例をよく読んでおいてください。  そこで、次に政党助成の問題について移りますが、選挙権の平等の侵害は、細川内閣の提案の至るところであらわれております。まず伺いますが、総理は、政治献金とはどのような性質、本質を持った行為と考えているのですか、簡単に答えてください。
  311. 細川護煕

    細川内閣総理大臣 ちょっとよく御趣旨がわかりませんが、(正森委員政治献金の本質」と呼ぶ)政治献金の本質でございますか。企業献金個人献金含めて政治献金の本質ということでございますね。  これは、節度のある企業献金が一概に悪だとは考えておりません。なかなか政党、これも政党によってまちまちでございましょうが、党費の収入とか事業費の収入だとかあるいはその他の収入だけで賄えるということではございませんでしょうし、どうしてもやはりそこに、今回講じましたような公的な助成とかそうしたものを加えることによって、国民に広く御負担をいただくような考え方というものが導入をされることがしかるべきことであろうというふうに考えております。
  312. 正森成二

    ○正森委員 お答えになりましたが、非常に総理失礼ですが、必ずしも哲学の入った次元の高い御答弁ではなかったように思います。  ここに私が持ってまいりましたが、一九五八年に西ドイツ連邦憲法裁判所が下した有名な判決があります。この判決は多くの学者、識者の支持も受けておりますが、ここでは政治献金の性質、本質についてこう言っております。   政党献金をなす者は、通常、それによってその政党の目的とするところを支持せんとするものであって、これは、その市民がその政党に投要するのと類似している。彼のなす政治献金は、政治意思の形成に参加する権利を行使したものである。真の民主主義の下では、政治意思の形成へ参加する権利は、選挙における投票においてあらわれるのみならず、政治意見の形成されてゆく不断の過程において市民が影響を与えることにおいてもあらわれる。したがって、平等原則は、狭義の選挙法の領域のみならず、政治意思形成過程の、この前段階においても、厳格に形式的な意味で適用されなければならない  これはいろいろな学者の著書にも引用される有名な判例であります。これは、政治献金についての税法上の控除を認める所得税法及び法人税法の規定の違憲性が問題になったケースについて、裁判所が、政党の機会均等の原則及び市民の平等の原則に反するものとして無効とした判決の中で述べたものであります。  これは、政治献金国民政治参加の一態様だ、こう言っているのです。政党助成が民主主義のコストなどと称して、法律をつくって、強制的に税務署を通じて集めた国民の税金を、自分の支持しない政党に与え、自由に使わせるなどということは、国民の平等、独立の参政権を侵害することは非常に明らかである、私はそう思います。  しかも、政府案は、この政党助成でも三%以上の得票を得なければこの税金の配分にあずかれないとしております。これは、支持政党なし層、少数意見を支持する主権者国民を差別し、自分の納めた税金が自分の支持する政党ではなく他党強化の資金となることの強制にほかなりません。  山花政治担当相も、参議院での聴濤議員の指摘に対し、政党を支持する支持しないにかかわらず、今回の制度に従って、納めていただいた税金の中から政党交付金という制度ができ上がっていると、自分の支持しない政党政党交付金が交付されることを公然と認めております。また総理は、参議院の我が党の立木議員の質問に対し、国会の議決を得る法律で定められるものである限り、税金が国民の意思に反して用いられるというわけではございませんし、憲法上の問題は生じないと考えております、こう答弁しました。  総理は一体、法律をもって決めれば何でもできると思っているのですか。法律をもっても侵せない、侵してはならない権利が基本的人権であることは、憲法上のイロハ、大前提ではありませんか。政府案のように憲法十九条だけでなく、十四条、十五条、国民の参政権にも違反する、そういうものを法律で決めるということはできないはずであります。  いいですか、政治という分野では、国民の間の異なった政治的主張が、結局は国家の一個の政治思想として、意思として統一され、それが権力によって実現されるのであり、多数党の立場を支持しなかった者も、自己の政治的主張とは異なる国家の意思に服さなければなりません。それが普通の団体とは違うところなんです。それゆえ、国家の政治意思の形成過程においては、国民の平等とその信条の自由をとりわけ強く保障することが要請されております。これは、学者あるいはいろんな方が認めている説であります。  ところが、まさにその分野で少数党や少数意見を頭から差別、排除しているではありませんか。少数政党や少数意見を持つ国民も、民主主義のもとでは、あすは多数党に、多数意見になり得る希望と信念を持つから、自己の主張と異なる多数党の立場、国家の意思に現在服しているわけであります。消費税に反対の国民は数多いが、現在は多数党の主導する国家の意思に従って残念ながら消費税を納めているんです。しかし同時に、あすは多数派になって、少なくとも食料品の非課税は即時実行させたいと思っております。ここに民主主義の希望があるんですよ。  ドイツのように、政党の憲法上の規定日本と異なり、国家機関の一つと位置づけられ、政党助成が実施され、おまけに五%の足切り条項を制定している国でも、あすの多数意見になる道を少数党、少数意見に保障するため、政党助成交付金は〇・五%の得票を獲得すれば交付されます。政府案は、助成を行う根本が憲法違反であるだけでなく、方法においても全く民主主義に反する特定政党のカルテルだと言われても仕方がないんじゃないですか。
  313. 山花貞夫

    山花国務大臣 全般的に少数意見尊重、そして憲法論として御質問がありました。ただ、ポイントは政党助成の問題にあったのではないか、こういうように受けとめたところです。  今ドイツの判例等を引用されましたけれども、ドイツは、御指摘のとおり、憲法上、政党について規定があり、政党法そして政党のさまざまな助成の制度がございます。委員指摘のとおりでありまして、今お話しになった政党に対する国庫助成だけではなく、会派に対する補助の問題だけではなく、政党政治団体に対する補助の問題等は、各省庁の予算を通じて各政党に出ているという部分もあると思います。したがって、憲法上明確に政党規定しているそうした立法上のその理論の流れとしては、御指摘のとおり、政治献金というものは政治意思形成のための一つの形である、こういうように位置づけることは、私はあり得ると思っているところです。  ただ、同時に、これだけの政党補助を予算を通じてやっているということなどを見てみれば、決して、この一たんあまねく国民皆さんから税収としていただいたものについて、一つのそうした目的のためにこれを使っていくということについては、予算でも使っているわけなんですから、必ずしも否定視していないのではなかろうか、こういうようにも思っていることをも考えながら、今のテーマにつきましては、我々はそうした中でできる限りの検討をした中で今回の案を出した次第でございまして、直ちに憲法違反論には直結していないと確信を持っております。
  314. 正森成二

    ○正森委員 確信を持っていると言われましたが、また質問させていただきますが、ここに一九九二年四月九日、去年ですが、ドイツ連邦憲法裁判所が新たな判決を下した判決要旨を持ってまいりました。この全体を正しいとするものではありませんが、この中でこう言っております。「政党への寄付の税制上の優遇によって高額所得者の支持する政党が他の政党に比してより優遇されるならば、「国家が眼前の政党の競争状態を変造する」ことになるので、政党の機会均等の原則に違反し、もって市民の平等な政治参加権を侵害する」。  これは寄附金への所得控除について述べたものですが、限度六万マルク、日本円にして約四百万円の所得控除についてさえ、高額所得者の支持する政党を他の政党より優遇するものとし、これを国家が眼前の政党の競争状態を変造するから憲法違反であるというように判断をしているわけであります。所得控除税額控除政党に対する間接補助であり、今回の日本法律のような公費助成は直接補助であると言われております。間接補助でさえドイツではこういう厳しい判決を下しているのです。  ところが日本ではどうですか。少なくとも三%の排除、足切り条項を持つ政党助成が、少数政党とその支持者を全く無視して、大政党にのみ有利になるように資金の面で眼前の政党の競争状態を国家の力で変造するものであり、国民の参政権の平等と政党の機会均等の原則を侵害することは明らかではありませんか。  時間の関係ですので最後の点まで言いますが、イタリアではこの四月の国民投票で、公費助成が九〇・三%の賛成で廃止をされました。イタリアで一九七四年に導入されたきっかけは、石油業界からの膨大な贈収賄事件で、キリスト教民主党から、政界浄化に必要な民主主義のコストとして提案されたのです。今の細川内閣細川首相と全く同じことであります。  ところが、現在ではどうかといえば、百六十人もの議員が捜査通告を受け、千四百人が逮捕され、わいろ総額は三千億円という空前の規模に達したのです。公費助成が税金のむだ遣いにすぎないことは非常に明らかになりました。  イタリアを研究している学者によりますと、政党助成を機に、かえって自己資金調達能力を向上させる努力政党は怠るようになったばかりか、経費節減への意欲を失うようになってしまった、それどころか、政党交付金を担保に銀行から借金を重ねていった、こういうように学者が言っております。そして、その後始末のために、政党交付金の増額を求めるお手盛り法案を準備するなど、国家資金への依存度はますます強まる方向へ進んでいった、つまり、政党は最も安直な国営企業化への道を歩みつつあった、要するに政党助成は、イタリアの政党システム構造的な革新を促すのではなく、既存の政党システムを固定化する方向で機能したのである、こう言っております。あるいはドイツでは、ワイツゼッカー大統領は、昨年発行された対談集で、ドイツの政党は怠け者の天国で暮らしている、こう言っております。  ですから、怠け者の天国にし、政党カルテルをつくり、そして国民に対して目を向けなければならない政党本来の姿勢を欠いている。しかもその根本は、少数意見国民政治意見を切り捨てる、選挙権の平等を侵害する、こういうことじゃないですか。我々は、時間が参りましたのでこれでやめざるを得ませんが、こういう法案については今後も時間の許す限り徹底的に論議をして、国民にその本質を訴えていきたい、こう思っております。  最後に、何か御発言がありましたら発言を承りたいと思います。
  315. 山花貞夫

    山花国務大臣 前段御指摘のドイツの九二年四月九日の判決につきましては、委員指摘のとおりの部分もありましたが、一般原則としては、一般的国家補助は許される、国家補助は収入の一部とする等のそうした意見もつけ加わっていたことについて一言触れておきたいと思います。  イタリアの問題につきましては、御指摘のような、膨大なわいろについての国民の怒りが、こうした結論になったものと理解をしております。
  316. 石井一

    石井委員長 次回は、明十九日火曜日午前九時委員会、正午理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時六分散会