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1993-10-13 第128回国会 衆議院 消費者問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十月十三日(水曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 玉沢徳一郎君    理事 赤城 徳彦君 理事 二田 孝治君    理事 細田 博之君 理事 大木 正吾君    理事 実川 幸夫君 理事 青山 二三君    理事 中村 時広君       小此木八郎君    岸田 文雄君       岸本 光造君    中村  力君       堀内 光雄君    岡崎トミ子君       田中 恒利君    畠山健治郎君       大谷 忠雄君    上田 晃弘君       井出 正一君    山田  宏君       西村 眞悟君    矢島 恒夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      久保田真苗君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     小粥 正巳君         公正取引委員会         事務局経済部長 矢部丈太郎君         公正取引委員会         事務局取引部長 植松  勲君         公正取引委員会         事務局審査部長 関根 芳郎君         経済企画政務次         官       古賀 一成君         経済企画庁調整         局長      小林  惇君         経済企画庁国民         生活局長    加藤  雅君         経済企画庁物価         局長      坂本 導聰君         経済企画庁総合         計画局長    吉川  淳君         経済企画庁調査         局長      土志田征一君         農林水産大臣官         房審議官    福島啓史郎君  委員外出席者         大蔵大臣官房企         画官      玉木林太郎君         大蔵省主計局主         計官      寺澤 辰麿君         食糧庁管理部企         画課長     小林 芳雄君         食糧庁業務部需         給課長     梅津 準士君         水産庁漁政部水         産流通課長   大隈  満君         通商産業省産業         政策局流通産業         課長      斉藤  浩君         通商産業省産業         政策局消費経済         課長      小川  洋君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       松永 和夫君         資源エネルギー         庁公益事業部計         画課長     田島 秀雄君         中小企業庁計画         部計画課長   金子 和夫君         運輸省航空局監         理部航空事業課         長       洞   駿君         労働省職業安定         局雇用政策課長 坂本 哲也君         特別委員会第二         調査室長    田中 宗孝君     ————————————— 委員の異動 十月十三日  辞任         補欠選任   小川  元君     堀内 光雄君 同日  辞任         補欠選任   堀内 光雄君     小川  元君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等国民消費生活に関する件      ————◇—————
  2. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 これより会議を開きます。  物価問題等国民消費生活に関する件について調査を進めます。  この際、久保田経済企画庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。久保田経済企画庁長官
  3. 久保田真苗

    久保田国務大臣 当委員会が開催されるに当たりまして、我が国経済の当面する課題経済運営の基本的な考え方について、所信の一端を申し述べたいと思います。  現在、我が国経済には、回復に向けた動きもあらわれてきてはおりますが、その足取りは重く、設備投資個人消費低迷を続け、企業収益雇用情勢も依然厳しい状況にございます。加えて、急激な円高天候不順影響もありまして、今後の景気回復には予断を許さないものがあり、本格的回復に向けて弾みをつけることが、喫緊の課題となっております。  また、経済先行き不透明感閉塞感を払拭するためには、新しい時代にそぐわなくなった制度慣行を見直すことによりまして、生活者消費者が豊かさを肌で実感でき、また、民間企業が旺盛なダイナミズムを発揮できるような環境を整えることも不可欠であると考えます。  こうした状況を踏まえて、政府は、このほど緊急経済対策を策定いたしました。  この対策は、規制緩和円高差益の還元の両施策のほか、文化の薫り豊かな質の高い生活に係る社会資本や豊かで美しい生活環境実現を肌で実感できる社会資本整備災害復旧住宅投資促進輸入促進等の幅広い施策から成っております。これらは、国民が直面する厳しい経済情勢に速効的に対応するものであると同時に、生活者消費者が豊かさを実感できる経済社会の構築、活力ある社会を創造するための経済発展基盤整備、調和ある対外経済関係形成といった、我が国の中長期的な課題の解決に向けての新たな一歩を踏み出すものでもござます。  政府は、この対策を早急に実施に移しますとともに、今年度予算やことし四月に決定された新総合経済対策の着実な実施にも引き続き努めてまいります。  先般の公定歩合の〇・七五%の引き下げにより、市中金利貸出金利の低下も一層促進されるものと期待されます。私は、政府が、引き続き、内外経済情勢に細心の注意を払いつつ、適切かつ機動的な経済運営に努めることにより、民間部門自助努力と相まって、景気回復動きは本格化してくるものと考えております。  我が国は、これまで、経済の力を高め、産業発展を図ることを最優先の課題としてまいりました。こうした過程で築き上げられた生産者供給者重視経済社会の仕組みや慣行は、戦後の我が国経済飛躍的成長国民所得向上をもたらす上で、重要な役割を果たしてまいりましたが、現実の国民生活を見ますと、一人一人が経済力に見合った豊かさやゆとりを必ずしも実感できない状況にあります。  バブル経済崩壊により、経済成長の中身がこれまでになく真剣に問われている今こそ、生活者消費者重視視点に立って既存の経済社会システムを見直し、質の高い生活実現に向け、腰を据えて対応すべきと考えます。  こうした観点から、私は、まず、ゆとりある居住空間形成充実した生活時間の確保、生活者重視社会資本整備内外価格差是正に重点的に取り組んでまいります。このため、現行経済計画に掲げられた勤労者世帯平均年収の五倍程度を目安とした良質な住宅の取得、年間総労働時間千八百時間の達成、利用者視点に立った社会資本整備などの目標の一層確実な実現を図ってまいります。  内外価格差問題につきましても、経済的規制緩和推進流通面における競争条件整備輸入促進生産性向上消費者への情報提供など、その是正縮小のための各種施策充実強化を図ってまいります。  また、物価の安定は、国民生活安定の基礎であり、経済運営基盤となるものであることから、今後ともその維持に最善の努力を尽くしてまいります。  これらに加えて、男女共同参画型社会実現や自由時間の充実環境と調和した簡素なライフスタイルの確立などのための施策にも積極的に取り組んでまいります。  安全かつ豊かな消費生活実現するためには、消費者自身も主体的な役割を果たしていくことが重要です。政府は、こうした消費者を支援するため、消費者保護会議で決定された各般施策の総合的な推進や、国民生活センター等を通した積極的な情報提供など、消費者行政の一層の充実を図ってまいります。  特に、製造物責任制度中心とした総合的な消費者被害の防止、救済のあり方につきましては、昨年の国民生活審議会答申の趣旨を踏まえて、同審議会において、年内に実りある検討結果を取りまとめていただくべく、精力的な検討をお願いしているところでございます。  対外経済関係につきましては、ウルグアイ・ラウンド交渉年内終結に向けて、引き続き努力を傾注してまいります。また、我が国の大幅な経常黒字縮小に向け、国民生活向上という観点も視野に入れつつ、内需持続的拡大やOTO、市場開放問題苦情処理推進本部機能強化等を通じた市場アクセスの一層の改善、さらには規制緩和内外価格差是正等各般施策を積極的に推進してまいります。  さらに、発展途上国への経済協力につきましては、政府開発援助大綱の理念、原則を踏まえつつ、今後五カ年間援助総額を七百から七百五十億ドルとする政府開発援助の第五次中期目標に基づき、我が国経済的地位にふさわしい国際貢献を図ってまいります。  以上、我が国経済の当面する主な課題につきまして私の所信を申し述べました。  この新たな時代に臨み、私は、持続的な内需中心成長を図りつつ、国民生活向上地球社会との共存をともに目指した二十一世紀に向けての新たな我が国経済の姿を実現するため、全力を尽くしてまいります。  本委員会の皆様の御支援と御協力を切にお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)
  4. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤城徳彦君。
  5. 赤城徳彦

    赤城委員 おはようございます。  まずは大臣御就任おめでとうございます。経済情勢、大変厳しい折ですし、特にことしは、冷夏影響で米の供給不足とか多事多難な折に、国民生活の安定、経済発展、ぜひ御尽力をいただきたいと思います。  そこで、最初ですので、経済全般についてお尋ねをしたいと思います。  まず、今日大変な不況でございますけれども、この不況原因をどういうふうに考えるかということであります。大体こういう経済についての分析というのは後になってからあれこれ言われるんですけれども、その真っただ中にいるときは正しくそれが判断できない、それがはっきりわかっていればこういうことは起きなかったんではないかと思うのです。それが、特にバブルのころ、今日の事態をだれも正確に予期していなかった、まさにバブル崩壊からこういう不景気へ立ち至ったというのがまず第一の大きな要因であろうと思います。  このバブル崩壊には二つ要素がありまして、一つ景気循環、いわゆる好景気から不景気へ、この循環振幅の大きいものだというふうな見方バブルのころに例えば自動車年間五百万台、平年ですと三百万台しか売れないものが一気に売れた、当然それだけ買ってしまえば、後で買いかえまでにしばらくありますのでその反動が来る、そういうふうな循環要素と、それからもう一つ土地や株の資産価格の下落、これが何といいますか逆資産効果を生んで、銀行とか金融機関まで大きな影響を及ぼしている。そういう二つ要素複合不況だということが言われております。  それからもう一つは、これはそういうバブル崩壊がもっと大きく広がってきたのは、消費者一般消費にまで大きな影響を及ぼしているんじゃないか。消費不況とかマインド不況と言われる部分がそれだと思いますけれども、その中でも特に家計消費支出の中で、耐久消費財とか日々の必要なものではないぜいたく品が多くなっている。そのぜいたく品に支えられて今の経済成長があったわけですけれども、いざ不況になってみますと、そんなに必要ないものであった。自動車でも、何も高級な車でなくても普通の足がわりになるような車でもいい、ぜいたく品というのは買うときは一気に買いますけれども、必要ないとなれば全く買わない、そういうことが景気振幅を余計に大きくしている。これまでですと、不景気になっても一般消費者消費が下支えになって余り大きな変動はないんだと言われておりましたけれども、実はその消費行動自体が大きな振幅を生んでいるんじゃないかと思うのです。  それから、今申し上げた買いかえで、より安いもの、例えば背広でも今一着二万、三万で売っているそうですけれども、そういうものに買いかえる、車も安いものにする、大型の家電製品なんかも安いものにする。そうしますと、普通だったら買いかえて、同じものに買いかえてもらえばまたもとに戻るわけですけれども、安いものに買いかえるのでL字型に下がったままになってしまう、低位安定してしまうという問題があろうかと思います。  それから三点目に、何といってもこの夏の冷夏、これで夏場の商品、クーラーとかそういったものが売れない、あるいは食料品、米、そういったものに影響する。この米の問題というのは、何も食料品だけじゃなくて地域経済にも大きな影響、心理的な影響農家にあるいはその地域全体にこれから及ぼしてくるんじゃないか、そういった幾つかの要因が孝えられます。  これを考え合わせますと、いろんな複合的要因の中で容易にこの景気がこれから回復に向かうとはとても思えない。特にこの冷夏影響、これが心理的に大きな長期に及ぶマイナス要因になってくるんじゃないかなと思うのですけれども、この景気の今の不況原因、どういうふうにお考えか、まずお尋ねをいたします。
  6. 久保田真苗

    久保田国務大臣 もう先生が十分分析してくださいましたので、私も大体同じように見ておるところでございます。  確かにバブル崩壊によるところの後遺症が長く続いておりまして、重症の後のリハビリといったような状態になっているところにまた景気循環が重なってきている、そういうことがあると思いますし、そんなことから、おっしゃいますようにバブル時代のある意味での過剰設備、それから既に買い込んだ物のストック、それが消費者にもある、そういう状態の中でございまして、それに加えまして、最近の急激な円高というのがありまして、これが企業家マインドを冷やしている大きい原因になっていると思います。  また、冷夏の方は、おっしゃるように米作地帯を初め、農家の野菜の急騰といったようなものがございましたり、それから消費者消費の行く先が、例えば夏物衣料、エアコンといったようなものが非常に売れなかった、売れたのは傘だったというような状況でございまして、マインドに大きく影響している。そこからなかなか抜け切れていないという中で、日本の経済が総じて低迷といった状況であると思いますし、回復に向けての動き期待しておりますけれども、そしてそれは公共投資がまず堅調に推移しておりまして、特に住宅建設に相当に回復動きが続いております。  そういった明るい面もありまして、私どもとしては、今回の緊急経済対策の中でも、そういったところにかなり重点を当てておりますけれども、しかし、何といいましても、個人消費それからおっしゃるように家計の問題としまして、家計所得が余り伸びない、可処分所得が低下しているという中でのこの立ち直りというものがおくれていると思います。回復に向けた動き足踏みが見られまして、今後の本格的な回復につきましては予断を許さないというのが私どもの現在の見方でございます。
  7. 赤城徳彦

    赤城委員 今の不景気分析はそんなものだとは思うのですけれども、じゃ、基本的な認識として、この不景気が容易に回復できないだろうあるいは長期低迷が続くんじゃないか、さらには底割れするんじゃないかという非常に厳しい判断世間一般だと思うのですね。  そこで、これは大臣景気の全体の認識、これをどういうふうに表現されるかというのは非常に対策を打つ上でも大きなポイントだと思うのです。月例経済報告では、この景気状況、ずっと表現が微妙に変わってきているのですね。六月、七月の報告では「回復に向けた動きが現われてきている。」、それから八月には「やや足踏み」、ちょっと後退したのです。九月は「足踏みが見られる。」、「やや」も取って完全に「足踏みが見られる。」、こういうふうに表現しています。というのは、ことしの前半には確かに上向いた、明るい面も見られたけれども、どうもそううまくいかない。それが今の消費者マインドの問題それから冷夏の問題、そういうことがあってもう一度冷え込んでしまった、後に戻ってしまったということだと思うのです。  そこで、大臣からは、回復に向けた動きがあらわれてきているけれども足取りは重く、こういうふうに言われていますね。私は、回復に向けた動きがあらわれているんじゃなくて、あらわれているのはことしの前半にあらわれた。しかし、消えてしまった。今はもう真っ暗やみとは言いませんけれども低迷している状況だと思うのです。  先ほど大臣が言われた明るい面というのが、公共投資が伸びているそれから住宅が伸びている、これは確かだと思うのです。しかし、これはまず、公共投資は、これは不景気だから政策として公共投資景気対策としてやっているわけで、景気そのものがよくなっているんじゃない、悪い景気対策としてやっているんだ、こういうことだと思うのです。それから住宅は、これは伸びても当たり前で、何しろ土地が安くなっている、金利が下がっている、だからこれは自然と伸びてくるのです。しかし、普通でしたら住宅はもう毎年年率にして百四十万戸、最近は百六十万戸分ですか、かなりの投資になっているのですが、これが普通でしたら内装とか家電とか家具とか、そういうところの消費に結びつくのですけれども、そうはならない。つまり、土地が下がって金利が下がっているための部分的効果にしかならないという、私はそういう認識でおります。  その点、この景気全般判断を総理はこういうふうに言われているのですね。十月七日の参議院予算委員会ですけれども、一カ月以上前に後ずさりの状態と申し上げた、これはちょっと今資料が見当たらないのですけれども、そのときに、景気は大変厳しいという認識記者団に対してですか、表明された。後ずさりだ、この月例経済報告表現も見直さなければならないのじゃないかということをそのときに言われているのです。それが一カ月前ですけれども、十月七日の参議院予算委員会では、一カ月以上前に後ずさりと申し上げたけれども、そのときより悪くなっていると認識していると。  だから、大臣の言われるような明るいところが見られているというのじゃなくて、これは対策としてやっているにすぎないのであって、景気全般認識としてはもう後ずさり、もっと悪い。もっと悪いというのはどんな状況なのかわかりませんけれども、それが正確な状況認識じゃないかと思いますけれども、いかがでしょう。
  8. 久保田真苗

    久保田国務大臣 確かに、今申し上げました公共投資住宅建設などは対策としてやっているものでございますけれども対策は結局強い需要があると見られるところへやるわけでして、そこに強い需要があるということ自体が、それが牽引力となることを期待をしているという意味でございます。  でございますから、いろいろな表現がございますけれども、私どもも確かに、ことしの前半といいましても平成四年度の最後の期ですね、一—三月期に回復のといいますか、少し需要が好転したということがございまして、しかし、その後四—六月期には実はマイナス成長を記録したということでございます。  したがいまして、そこから立ち直っていくというハンディを負いながらこの円高が進み、さらに、異常気象が長いこと続くという状況でございまして、それによってお米の不作もございますし、いろいろな状況がございました。したがいまして、そのようなことを見ますれば、この夏から秋にかけての状態を後ずさりと言われたものかと思います。  私どもも、指標によりまして、やはり一進一退しているという感じは持っておるわけでございます。ですけれども、時に底割れといったような表現がないでもないのですけれども底割れというのがどういう定義なのか私も余りつまびらかではないのですけれども、もしあえて申し上げますと、景気が一度底に達した後に急激にまた景気が悪化する、そういう状態を指すのではないかと思うわけです。  そういう意味で考えてみますならば、確かに経済が総じて低迷しているという中で、回復への動きはもう足踏みだということでございますけれども底割れといったような言葉は現在はまだ当てはまっていないのではないかという、そういう認識を持っておるわけでございます。  それじゃ何もしないでいるのかとおっしゃられますと、既に前政権時代から二度にわたる大幅の公共投資を出しておりまして、それがこの夏、受注、着工、こういったものが前倒しに相当懸命の馬力をかけて協力していただいているということでございますし、また、九月十六日に出しました緊急経済対策におきましては、その中で新しい、生活関連その他の社会資本整備、それから住宅建設住宅のリフォーム、そういったものへの対策を出しております。また、この夏、もうやむを得ない災害に対応するための、あるいは冷害に対応するためのそうした対策も打っております。  そして、日銀が公定歩合引き下げというものを九月二十一日に実施しておりまして、私どもとしましては、またこれらの影響効果があらわれるのはこれからだろうと思っておりますので、この景気状況を、どれだけ効果があるものか、大変期待を込めてこれからも対応していきたい、こんな気持ちでおるところでございます。
  9. 赤城徳彦

    赤城委員 まさに私は、その前政権の側にいたものですから。確かに、ことし前半あるいはあのときの総合経済対策というのは、公共投資あるいは住宅建設をその景気回復牽引力にしなければいけないということでやったわけで、まさにおっしゃるとおりなんですけれども、しかし、それが十分な牽引力になっていないというところに今度の対策ポイントがあるんですね。  そこで、大臣から底割れの話が出ましたので、まさにその底割れというのは一体何だろうということを伺いたかったのですけれども、なかなか明快な定義はないのです。ただ、一般によく使われている使い方は、大臣言われるように、景気上昇から下降して底を打つ、また自律反転していくという、その底を打ったのにまた下がってしまう、上昇に向かわないでもっと下がってしまうというところが一つ底割れ定義だと思うのです。  それから見ますと、一—三月期、プラス〇・五で上昇に転じた、しかし四—六月期はマイナス〇・五、年率にしまして二%GNPがマイナスになっているという、たしかあのとき底入れ宣言というのが七月でしたか、ありましたですね、経済企画庁から。もうこれは底だと宣言も出したんだけれども、しかし、その後見てみますとマイナスになっているということであります。  企業景況判断指数、これで見ましても、大企業マイナス一八・六、中堅がマイナス二七・九と、相当大きなマイナス、これは七—九月期の数字ですけれども。経企庁の出した景気動向指数、三カ月連続で五〇%割れ一致指数が〇%という、三カ月連続でこれが五〇%割れすると景気判断一つ材料になる、三カ月連続で五〇%割れしたのが不景気なり何かの宣言を出す判断材料だ、こういうふうに言われていますのが、三カ月連続割れた、五〇%割れた、そういうことでありますから、まさに今の大臣の言われた定義で、これは底割れしたということじゃないかと思うのです。  それから、景気が底を打ったと思ったけれども、さらに悪くなったのが底割れだという見方一つで、もう一つあると思うんですね。というのは、今言ったような定義ですと、例えば天気予報で、梅雨明けしたと思ったけれどもまだ梅雨だったというのに似た部分がありまして、じゃ、最初の梅雨明けしたという宣言が間違っていたんだということもあるんですね。でも、私が言っているのは、そういう判断が誤ったかどうかじゃなくて、もっと深い意味で今底割れしているんじゃないかと思うんです。  それはどういうことかといいますと、底割れのもう一つ定義は、自律反転するのが普通の景気循環ですけれども、自律反転しないでどんどんマイナスヘおっこちていくという、悪いものがさらに悪いものを呼び起こしていくという、スパイラル的な効果が起こっているんじゃないかということなんです。  それは、最初に、今の景気状況をこういうことじゃないかと申し上げたことにもつながってくるのですけれども、今、消費者マインドが冷えている、そして買いかえ需要がより安いものにシフトしていく。そうすると安いものに、売れませんから在庫がなかなかはけない。在庫がはけないからさらに生産が落ちる。生産が落ちるから、給与、残業が減って可処分所得が伸びないと言われました、まさにそのとおりで、給与に響く。響くから買いかえ需要がもっと起きない、消費が冷える、どんどんそういう循環に入ってしまったんじゃないかなと思うんですね。  それを示すのが在庫調整で、生産高と在庫とをグラフにしますと、生産が伸びて在庫が減る、生産がストップして今度は在庫がふえる、ぐるぐる回るのですね。在庫調整が進んで生産は減る、それからまた生産が伸びて景気回復していくという循環になるはずです。今まで経企庁が在庫調整はいつ終わるかというのをいろいろ言われて、もう終わります、あと半年ですと言われながら、どんどん先へ行くのですね。ついに、建設材なんかの数字を見ますと、在庫調整は終わったはずなのにまた在庫が積み上がっている、生産は伸びない。それが、今言った悪循環の方へ入っているまさに証拠で、在庫調整が終わって生産が伸びる段階に入るべきところが、消費の方が伸びないものだからまた在庫が積み上がる。一生懸命在庫調整をしていって在庫がなくなって、さあこれからよくなると思ったらそのときにはまた消費がおっこちている、そこで在庫が伸びる。いつまでも悪い状況から抜け出せないのじゃないか。  この二点から見て、つまり、底を打ったのだけれどもなお悪くなってしまったということ、さらに悪い方の循環に入っているのじゃないかということから見て、これはもう底割れと言わざるを得ないのじゃないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  10. 土志田征一

    ○土志田政府委員 二点についてお答えをいたします。  まず、前者の方の底を打った後さらに落ち込んでいるのじゃないかという御指摘でございます。  私ども判断は、ことしの前半、一—三と四—六をならして見れば何とか底に到達したのではないか。一部の民間の方は、もう一月とかそのころに底を打って、一度上がったという判断をされましたけれども、私どもが、そろそろ底でこれ以上悪くならないのじゃないかと申し上げたのはまさしく六月でございまして、大体、期末で二月、三月に上がったのが反動で四、五月落ちた、そのことを踏まえて申し上げたわけでございます。ただ、その後、これは先ほど大臣から御答弁がありましたけれども、私ども期待は、緩やかに七—九以降少しは回復していくのじゃないかという、これは内心の期待を持っておりましたけれども、その後は足踏みをしているという状況だと思っております。  それから二点目の在庫調整の点でございますが、在庫調整につきましては、六月の時点では大体在庫水準はほぼ適正なところにいったのではないか、したがって、後は、需要がふえて出荷がふえていけば生産もそれに従って上がっていくだろうというふうに見ておりましたけれども、その後、まさしく出荷がふえておりませんので、生産はそのまま停滞傾向のままで来ているということでございます。夏にちょっと在庫がまたふえておりますけれども、これは先ほどもちょっと出ておりました、エアコンあたり、そういったものの在庫の増加が多いわけでございます。  したがいまして、私どもは、御指摘のように再度また在庫調整に入るということになりますと、それがまた雇用面に響いてくるという懸念があるわけでございます。そういった点、予断を許さないということで、先月緊急経済対策をとって、何とかそういう御指摘のような底割れというようなことに陥らないように努力をしておるというのが現状ではないかというふうに思っております。
  11. 赤城徳彦

    赤城委員 期間をならして、一—三月と四—六月ならせば全体が底だ、それは言われればそうですけれども、確かに一—三月に上がって四—六月に下がっている、七—九月がまた上がるとはこれはどう見ても期待できないですね。夏場のあの冷夏で何も売れない、エアコンや衣料やもうひどい状況で、しかも、米だ野菜だと、農村を中心にしてもうひたひたと不況が今度は地方から忍び寄ってきているのじゃないかという状況ですから。大変厳しい状況だということをぜひ踏まえていただいて、万全の対策をとっていくということが大事だと思いますので、底割れかどうかというところはこれ以上言いませんけれども、かなり割れている。  しかし、なかなかそれを悪いということは言われないのですね。悪いということを言うともっと悪くなるからということを気にされるのだと思うのです。それが、経済成長見通しなんかもそういう部分があって、ちょっとバイアスがかかっているのじゃないか。去年は三・五%成長だと言って一・八ぐらいでしたか、結果は半分ぐらいしかいかなかったですけれども、ことしは三・三%、これは努力目標ですか、それとも達成できるのですか、大臣
  12. 久保田真苗

    久保田国務大臣 今年度の見通し、これはおっしゃるように、三・三%というのは、年の初めにこうした状況の中で望ましい経済運営のあり方という意味で三・三%を出しているわけでございます。でございますから、それにつきまして、これは四月から来年の三月までの経済成長ということになるわけでございますけれども、これについての速報、つまり指数を総合的に見た場合のものはまだ四—六月期しか出ておりませんで、もちろん私どもはそのときそのときの状況をいろいろな指標で補っていくわけでございますけれども、そうした総合的なものが、七—九月期というもう一つの期を見たいな、こう思っているわけでございます。  しかし、四—六月期に既にマイナスを記録しておりますところから、より注意して七—九月期のものを見て、そしてこれはいろいろな数字の一切の根拠になっているものでございますし、また、その間にも、公共投資は効いてこないんだというふうに先ほどおっしゃいました、そういう面もあったかと思いますけれども、今回緊急対策を打ちましたものの中は、同じ公共投資でも住宅投資というようなところに、つまり今年度は七十万戸分の融資という空前のものを出し、しかもそれが堅調に受け入れられている、これをてこにしたい。もちろんそれだけではございませんけれども、そういったところに重点を置いているということでございまして、住宅産業は相当すそ野の広い産業でございますから、その波及効果期待をしている、こういうことでございます。
  13. 赤城徳彦

    赤城委員 ちょっと今昨年の数字、私勘違いしていまして、昨年のGNPは〇・八%しかいかなかったのですね。  そんな状況で、今まさに大臣が言われた三・三%は望ましい経済運営のあり方、望ましいのは三・三だけれども実際の見通し、予測とはちょっと違うんじゃないかと思うのですね。民間のいろんな予測はなべて、ことし後半横ばいでいったとしても、これは日本経済研究センターというところはマイナス〇・四%だとか、それからほかのところでは〇・八%だろうとか、大体そんな、とても三・三いきますというふうな見通しはどこも出してないのです。  そこで、七—九月を見てということでありますが、七—九月はどう見てもよくなってはいないと思うのですね。これは数字がないからわかりませんけれども、少なくとも先行指標みたいな一般企業に聞いた数値では、さらにそのときに落ち込んだというのははっきり出ていますから、結果として成長率がよくなっているとはとても思えないのであります。  これは、望ましい数値は数値として、実際このままでいったら何パーセントになるよ、あるいはこういう状況だったら何パーセントだよということははっきり言っていただいた方が後の対策を立てやすい、機動的にできると思うんですね。これは私ども自身の反省でもありますけれども、大丈夫だ大丈夫だ、いずれ上向くということを言いながら、なかなかそうはいかなかった。八月に総合景気対策を打ち立てて、それができたのが去年の十二月だったわけですね。一カ月おくれるたびに景気回復が先へおくれると言われたんです。だから大丈夫だ大夫丈だというんじゃなくて、まさか大丈夫だとは思ってはおられないとは思いますけれども、このままいくとこうなるよ、あるいは冷夏影響はこのぐらい出るよ、こういうことをはっきり言っていただいた方がいいと思うのです。  そこで私は、冷夏というのは全く不測の事態でありますけれども、残念ながら大変な深刻な影響を及ぼすんじゃないか、農家だけじゃなくて地域経済に、あるいはひいては日本全体の経済に対してあると思うのですけれども、そこをどう見られるか伺いたいと思うのです。  これは銀行が調査したのがあります。あさひ銀行では冷夏がGNPを〇・一八%下げる、第一勧銀では〇・一五%下げる、これはどういうのを積算したのかちょっと定かではないのですけれども、米の不足や、海水浴に行かなかった、旅行に行かないとか、あるいはエアコンみたいなそういう消費が減ったということ、そういう個人需要の落ち込みを見てこのぐらいだと言ったんだと思うのですけれども、実はそれだけじゃなくて、もう東北の方では米は壊滅状態ですから、農家にとっては米がとれないというのは大変な心理的な影響があるんですね。  以前に仙台がどこかで、冷害の影響地域経済にどれだけあるかというのを調べた。ちょっともうその資料は手元にないのですけれども農家だけじゃない、地域経済に対して大変な影響があるというのを、そのときの調査でびっくりした覚えがあります。  そこで大臣として、直接の冷夏影響と、それがさらに及ぼすであろう地域経済に対しての影響とをどういうふうに見ておられますか。
  14. 小林惇

    小林政府委員 ただいま赤城委員の御指摘のとおり、冷夏景気に与える影響、幾つかの側面がございまして、米でございますとかあるいは海水浴等のサービス産業、あるいはエアコンの販売、そういったものにすべて影響を与えていると思っております。  なかんずく米につきましては、地域経済に与える影響は数字の上で評価するよりも大きいのではないかというふうに思っておりまして、例えば青森県でございますと、農業分野の県内総生産に占めるウエートが五%ということでございますけれども、その中で米のウエートが三割ということですから、県民総生産に比べまして米というのは一応一・六ないし一・七%程度というふうに評価できるわけで、それが冷害で半分以上だめだということで、県民総生産にとって一%内外のこの影響、悪影響ということだと思います。  しかし、実際にはそれ以上の影響が出てまいるということで、もちろんその米を使ういろいろな加工産業等々にも影響いたしますし、それから御指摘がございましたように心理的影響というようなことがございます。したがって、そういうところをいろいろ手を打っていかなければいけないということで、共済金の早期支払いを初めとして、あるいは現在検討されております公共事業で既に予算化されているもののうち、そういった冷害に苦しむ地域に少しでも事業を回すことができないかというようなことも含めて検討が進められておる、こういう状況でございます。
  15. 赤城徳彦

    赤城委員 これは恐らく数字ではなかなか出しにくいと思うのですね。というのは、私は一番問題になると思うのは、冷夏の直接のサービス産業だのエアコンだのそういうものに対する影響、米に対する影響じゃなくて、そこから波及する影響ですね。今県民所得の話をされました。確かに米自体は全体の県民所得から見たらわずかな割合ですし、しかも、災害があっても共済金は出ますので所得はそんなに全体としては、マクロとしては減らないのです。だけれども、その心理的影響というのがほかのもの、米がとれたら何か買おうと思っていたもの、家を建てようとか車か服でも買おうとか、何でもいいですけれども、そういうものに一切響いてくるんじゃないか。  だから、今の不景気原因マインド不況というふうに言われます。特に消費者の購買意欲に対して大きな冷え込みがある、それをいかにぬぐい去ってやるかというのが一番景気対策です。もちろん公共投資金利政策や何かも全部やった上でいかに個人消費回復するか。だから、住宅もそうだと思うのですね。住宅そのものの効果はやはり限界があって、家具や内装やあるいは家が新しくなったから何かほかのものも新しくしようかとか、そういう波及効果をまさに期待していると思うのです。ところが、そういうものに一切水を浴びせてしまうのがこの米不足、冷害。だからその影響というのはどういうふうにはかっていいのか、まさに心理的なものですけれども、大変な問題が出てくると思うのです。  そこで、じゃ、どういう対策をやるのかということ。もう今までも幾つか出ていました。そういった対策ももちろん必要だと思いますし、それなりの効果はあると思いますけれども、実は残念ながら九月に出された緊急経済対策に対してでも、さほど大きな効果はないんだという見方がこれまた一般的なんですね。政府は、これは一・三%のGNPを押し上げる効果があると言われますけれども、何というのですか、真水論ですね。実際に効く部分と水増ししているんじゃないかという部分とでかなりの食い違いがあるのです。  政府の試算では、用地費とか直接経済を押し上げる効果がないと見られる部分を控除している。一兆六千億控除して残りは全部効果があるんだ、それに乗数を掛けて一・三%、こういうふうに計算されるのですけれども、ほかの試算で見ますと、用地費とかそういうのもさることながら、財投とか融資の部分が、公庫で融資する分はどこかから振りかわってくるんじゃないか。要するに民間の融資分がこっちに振りかわるだけでプラスマイナスはゼロだというふうな、そこら辺の見通しが一番違うんじゃないかと思うのですけれども、そこら辺の考えですね。一・三%と言われるけれども、民間とはかなりの食い違いがあるのはなぜなんですか。
  16. 小林惇

    小林政府委員 ただいまの御指摘の点は一番のポイントでございまして、特に一・三%という数字について非常に評価が分かれるわけでございますけれども、特に、委員御指摘の民間の金融をいわば、いわゆるシフト論と言うのですけれども政府関係金融機関に単に移しかえるだけの効果しかないんでネット増になっていないのではないかというような御議論がございますけれども、実はその間いろいろ私どもも勉強してみますと、全銀の例えば中小企業に対する貸し出しというのは特に減りもせずふえもせず、前年比をずっと追いかけているわけですけれども、民間の金融機関の中小企業向け金融の実態などは非常にダルな状態と言うと非常に申しわけないのですけれども、不活発な状態が続いておりまして、特に緊急経済対策を打った前後で特段急減するとか、こういう状況になっておらないのです。逆に、政府経済対策を講じました段階で、その後の政府関係金融機関の中小企業向け金融の実際の額はやはりふえておるという面がございます。  ですから、民間の方は余り変わらない、民間の識者あるいはメディアも言っておられますけれども、民間ががたっと減って政府系がふえるというのでは全くシフト論でありますけれども、民間は余り減らないで政府系の方だけふえるという状況が一応見えるようでございまして、そういう意味で、シフト論というのは一部当たっている部分もないとは言えませんけれども、中小企業向け金融については少なくともシフト論は当たらないのではないかな、そういう意味で、政府緊急経済対策は有効に作用しているのではないかなというふうに考えておる次第でございます。
  17. 赤城徳彦

    赤城委員 民間の金融というのは総じて低迷していて、むしろ政府で融資、投資の下支えをしてやらなければいけないという、まさに政府部門の役割が大事だというのは、なるほどそのとおりだと思います。同感であります。  金利が随分下がってきましたけれども、実は民間の融資の中で一番大きな問題は、貸し渋りとか言われていた、そういう量としてなかなか貸し出し態度が厳しいという部分と、もう一つ金利なんですわ。公定歩合をずっと一連下げてきていますので預金金利は随分下がっているのですけれども貸出金利が余り下がってないのです。  それを調べてみましたら、平成三年の三月からずっと数字があるのですけれども貸出金利と預金金利の差ですね。預金金利はどんどん下がっているのだけれども貸出金利は余り下がらない、その差が平成三年は〇・八%ぐらいだったのが、一番大きいときは二%、現在、七月時点で一・七四五%の、要するに利ざやができている。  これはどこに充てられているかというと金融機関の不良債権の償却、要するにバブルのツケを全部そっちへ回しているということで、貸し出しの方には効いてないのですね。こういう新聞記事なんかでも、一般のカードローンは高どまりしている、もっとコスト削減をやって小口預金者にも恩恵を及ぼすべきだ、こういう説もありましたし、個人で借りる場合も法人で借りる場合も、要するに貸出金利が高どまりしているという実態が出ているのではないかと思うのですけれども、これはどうでしょう。
  18. 小林惇

    小林政府委員 委員御指摘のとおり、金融機関の行動、私ども金融機関の実情というのを一生懸命フォローしておりますけれども、その行動の中には、こういう金利低下局面で貸出金利とそれから実際の調達するコストの差を利用して、御指摘のように、バブル期に負った手傷の解消を急ぐという動きが実際にあるというふうに考えております。  ただ、全体として、今次九月二十一日の公定歩合引き下げ後におきましても、長プラあるいは短期プライムレート、こういったものの引き下げが順調に行われておるというふうにアナウンスはされておるわけでございます。問題は、非常に微妙な問題でありまして、私どもはとやこうなかなか言いにくいところでありますけれども、プライムレートというものが下がるというふうにアナウンスはされましても、そのプライムの適用される割合が下がっている場合があるわけですね。最優遇金利なわけでございますから、最優遇と扱う人が今までは三割いたのに、このプライムレートを下げる過程でその対象企業を二割にしてしまうとか、そういうことが行われますと、そういったプライムの下げ自体が余り有効でないということになるわけでございまして、そういうところを金融機関に対して十分お願いをしていかなければいけないのではないかなというふうに考えております。  それから、民間住宅ローンの金利につきましても、十月一日から、これは変動性のものでございますけれども、四・八%ということで十分に下がっておりまして、民間住宅ローンの金利一つだけとりましても、今次この景気が山であったと思われる時期に比べまして三・七%程度、いわば金利面では半減されておるような状況になっておるという状況でございます。
  19. 赤城徳彦

    赤城委員 もちろん貸出金利は下がっているのですけれども、それ以上に預金金利が下がっているのが問題で、むしろ金利低下局面で、しかも景気対策として金利を下げて、公定歩合を累次にわたって下げてきたわけですから、その効果を貸し出し部門にもっと反映させてほしいという、これは大蔵省では言えないので、まさに経企庁が景気対策の面から、もっと貸し出しを促進してくれ、金利を下げてくれということをアピールしていただきたい、言っていただきたいと思うのです。それができないで金融機関が自分たちのバブルの始末ばっかりつけているようであれば、民間ができない部分はやはり政府で、公的金融でやるしかないわけですね。だから、そういう意味では、官は民の補完に徹せよとか、官が余りのさばっちゃいけないとかいう議論が郵貯のときにありましたけれども、いやそうじゃなくて、今民間ができない状況ですから、やはりその分は政府がしっかり責任持ってやらなきゃいけないと思うのです。  ちょっと先ほどの話題に戻りますけれども、この緊急経済対策、一・三伸びますよといってもなかなかそうはいがなかったのが今までの例ですし、いろいろ積算のとり方がありますから、そのとおりいくかどうか難しいところだと思いますけれども、その中で特に今回の政府の目玉として、政権の目玉として出してきた規制緩和とか円高還元、当初はそれだけでやろうと思われていたのですね。どうもそれだけじゃ足りないというので公共投資住宅やいろいろなものをつけ足してやったわけなんですけれども、もし本来やろうと思われていた規制緩和円高還元だったらどのくらいの効果があるのか、それぞれ教えてください。
  20. 小林惇

    小林政府委員 ただいま委員御指摘の規制緩和円高還元のそれぞれの経済効果いかんということでございますけれども、結論的には数値の上であらわすことができないというふうにお答えせざるを得ないわけでございます。  規制緩和経済効果につきましては、当初規制緩和を幾つかの分野に分けまして、特に新規事業の創出や事業拡大、例えば各地域でいわゆる地酒にかわる地ビールという言葉が出てございますけれども、地ビールを生産するようになるとどういう経済効果が生ずるだろうかということで分析をしたことがございまして、例えばビール産業全体で、これは現在四社寡占の状況でありますけれども年間二千五百億円の設備投資を行っているわけでございますけれども、地ビールということになりますと各地域でビールの投資が行われるかもしれません。  ということで、そういう新規事業の創出とか事業拡大、競争の促進輸入促進それから申請者、一般国民の負担の軽減というような四つの分野に分けていろいろ分析を試みましたけれども、数字の上できれいな形であらわすことができないわけでございます。  それから円高還元につきましても、御案内のとおり電力会社を初めとする公共料金の差益還元の金額については一応示すことができるわけでございますけれども、実はその円高差益の還元というのは、本流はそういう公共料金という見える部分以外に、一般的に輸入材料が商品に変わっていく過程で取引者を通じて下がっていく、そういう経済効果が非常に大きいわけで、むしろそちらの方が大きいわけでございまして、それが非常に時間がかかるということもございまして、今回の対策で直ちに幾らというふうに経済効果をあらわすことができなかったという状況でございます。
  21. 赤城徳彦

    赤城委員 規制緩和効果がないとは私は思わないのですけれども、残念ながら数字にあらわせない程度のものでしかなかったんだ、こういうふうに今評価されているのですね。六十項目、それももう当初から決まっていたものしか取り上げていないじゃないか。本当に経済に対して有効なところを取り上げてやっていただかないと、せっかくの対策ですけれども、なかなか全体としての効果が出てこないんじゃないかと思うのです。  いずれにしても、いろいろな対策をやらなきゃいけない。でもやはり最後は、最初から申し上げているように民間のいわゆる個人消費とかそういった部門、マインドの部門ですね、企業家も含めてそこをどうやって回復するかなんです。これはいろいろな対策があると思いますけれども、やはり一番焦点にもなっています所得税減税ですね。これは、実は私ども景気浮揚効果公共投資に比べたら小さい、乗数効果は小さいということで、去年の一連の経済対策には織り込んでなかった。それは公共投資や財政金融政策でやれると思っていたんですけれども、事ここに至ってどうもそうはいかない、マインド不況だ。どうやって民需を起こすかということを考えできますと、やはりここは大型の所得税減税をせざるを得ない、やらなきゃいけないと思うのです。  それは、政府税調で随分検討も煮詰まっているようですし、加藤税調会長が具体的に年収一千万ぐらいの層、これから部課長に昇進しようと思ったらどかっと税金がかかって大変だというところを何とかしなきゃいけない、それも税制の全体の構造の中で直していかなきゃいけない、そういうことをもうはっきり意識されていますので、恐らくそういう方向になるんだと思いますけれども、実は景気対策という面から見ますと、所得税減税しても貯蓄に回るんじゃしょうがないということをよく議論されていました。貯蓄に回る層というのは所得の高い層なんですね。むしろ消費性向の高いのは所得の低い層で、しかも基礎控除の部分がずっと変わらなかった、据え置かれたのを一番影響を受けているのは所得の低い層です。だから、平均年収七百方までが六割ですから、一千万のところもいいのですけれども、その六割の層をどう見るのかというのがむしろ景気対策の面から見たら一番有効に効くんじゃないかと思うのです。  いずれにしましても、所得税減税という方向があちこちから聞かれます。これは大蔵大臣も記者会見で、所得税減税の先行実施は考える余地がある、つなぎ国債というのは償還の担保があるからいわゆる赤字国債とは違う、消費税の税率引き上げは九四年度当初予算では考えないけれども将来はフリーハンドだ。これ三つ合わせればもう大体方向は見えていると思いますし、細川総理、減税を先行実施する場合は同一の法律で裏づけをして増税を盛り込むことが最低条件だ。それから小沢新生党代表幹事はもうはっきりと、これはテレビですけれども、減税は十兆円だ、消費税率は一〇%だ、食料品なんかについては違う税率もあり得る。  こんなふうに政府の中で一連の発言や流れを見てみますと、所得税減税、その財源は消費税だ、つなぎ国債だ、もうこういうことだと思いますけれども大臣のお考えはいかがですか。
  22. 久保田真苗

    久保田国務大臣 景気対策としまして減税が有効な選択肢の一つであることは論をまたないところだと思います。問題は、それに関連してどういうふうに財源を調達するかとか、あるいはその効果がどうかといったようなことが、税調で本格的な適正公平な税制のあり方を論議する、そういうところを基本にしてやっておいでになるわけでございまして、私どもとしてはその結論を待つ、それはすぐにも出るでしょうという状態になっているわけでございます。  いろいろな御論議がございますけれども経済企画庁役割から申しますならば、企画庁は景気の動向というものに無関心でいるわけにはまいりません。また物価とか内外価格差といったようなこと、あるいは消費者の立場といったようなものから、そういう立場から目配りをしていくということは私どもの責任だろうと思っております。
  23. 赤城徳彦

    赤城委員 まさに景気の面から見た減税問題、これをぜひ考えていただきたいと思うのです。それは、心理的に重税感のある層に対してやらなきゃいけない、これはもちろんでありますけれども、やはり景気対策という側面が非常に大きいのですね。税制全体の構造の問題もありますけれども景気対策として、どこにやるのが一番効くのか、どういう規模で、つなぎの期間はどういうふうに、財源はどこに、しかもその減税の層はどこに焦点を当てるのがいいかというのは、やはり景気対策の側面からもぜひ考えていただきたいと思うのです。  時間が迫ってきましたので最後になるかと思いますけれども、もう一つ。  円高が中小企業や何かに大変影響を与え、直撃している。先般、当委員会でも視察に行ってまいりまして、手袋の工業組合を見てまいりました。バブルのころは、人手不足だということで随分海外に技術移転してやっていたんですね。ところが今こうなってみますと、技術移転して、円高で、もう技術は向こうが持っている、人件費も安い、円高だから安く入ってくる、もう四苦八苦しているんですね。私の地元の方でもそういう地場産業というのはたくさんあります。  そこで、貿易黒字がどんどん膨らんでくる。アメリカが、これはけしからぬ、円高誘導だ、こういうふうなことを夏のときにやられまして、黒字が膨らむと円高でそれを調整しようとする。ところが円高になると、ドルで表示するとまた黒字がふえてしまうんですね。そうするとまた、けしからぬと言って円高になる。何か変な循環にこれも陥っていると思うのです。ところが数量で見ると、もう円高で輸出の方は減っていますし、輸入は急増しています。円表示で見てもそうですね。何で日米で話をするときにドルベースで、けしからぬ、けしからぬと言われて黙っているのかなというのを素朴な疑問として思うのです。  あまつさえ羽田外務大臣が、あの貿易黒字の目標設定問題で、目標設定は理解し得るということを発言されているのですけれども、ドルで表示しているからこんなに見かけ上膨らんでいるだけの問題なのに、それにさらに目標設定をして管理貿易を認めるようなことをするというのは大変な問題だと思うのですね。これは大臣、どうお考えですか。
  24. 久保田真苗

    久保田国務大臣 円表示にすべきだろうということは私ども話し合っているところでして、そのメリットといったようなものがもし必要であれば政府委員から御説明いたさせますけれども、そのことは十分に認識しております。  それから目標値でございますけれども、確かに、一つの国が黒字をかき集めるような形になることは一つの、全世界を相手にするようなそうした問題があると思います。しかし、おっしゃいますように管理貿易につながっていくというようなことは、今の世界経済の体制から見まして、それはそのようになっていくというおそれのあることは好ましくないことでございまして、外務大臣の発言という御指摘がございましたけれども、それは、何かを思い切ってやろうとするときには自分たちの一つ目標を持つということは大事だという意味合いだろうと私は理解しているところでございます。
  25. 赤城徳彦

    赤城委員 ちょっと目標設定のところは違うんじゃないかと思うのですけれども、時間が来ましたので。  いずれにしても、日本の立場、ドルで表示されて勝手にけしからぬ、けしからぬと言われないで、数量でも円でも並行的に、こういうふうになっているんだということは説明していただきたいと思います。  時間が来ましたので、終わります。
  26. 玉沢徳一郎

  27. 中村時広

    中村(時)委員 さきがけ日本新党の立場から、当面する諸課題につきまして、委員会の関連する質問を数点にわたってさせていただきたいと思いますので、大臣以下関係各位の明快なる御答弁を心からお願い申し上げたいと思います。  まず、久保田長官、大臣御就任まことにおめでとうございます。ますますこれからも実力を発揮され、大変厳しい環境ではありますけれども、どうか御健康に留意されまして頑張ってくださいますようにお祈り申し上げたいと思います。  さて、大変重複する部分もあるのですけれども、質問の第一点は景気問題についてお伺いさせていただきたいと思います。  先ほど、景気がどういう現状にある、あるいはそれぞれのデータがどうなっている、こうした問題につきましては、本当に実力を発揮されている久保田長官と、将来の経企庁長官を思わせるんじゃないだろうかと思うような明細なデータと分析によって質問された赤城委員との間で質問がありましたので、はしょらせていただきたいと思いますけれども、ただ、この今回の不況がどのような不況かということに対しまして、角度を変えてお伺いしてみたいと思うのです。  と申しますのは、今回の不況がどのような不況かということをとらえるに当たっては、これが打ち出す対策政策に大変大きな影響を及ぼしますので、また、単純には考えられないのかもしれないけれども、物事は複雑よりも極めて明快単純に考えた方が本質が見えることがあるんじゃないだろうか、そんな思いからお伺いしてみたいと思うのですが、それは今回の不況を単に景気循環の中で起こった不況ととらえられるのか、それとも、もろもろのいろいろな問題が複雑に絡み合って構造的な不況になっている、こういうふうにとらえるのか、この点についてお伺いしたいと思うのです。  と申しますのは、例えば仮に前者、単に景気循環の中で起こっている不況だととらえるのであれば、打ち出す景気対策というのは、政府支出を増大させまして有効需要をつくり出して、そしてそれを景気回復の足がかりにしよう、いわばケインズ経済学的な発想になってくるんだろうと思うのです。しかし、後者の構造不況という見地を認識されまして対策を考えていきますと、これはもう経済構造改革に踏み込んでいかざるを得ない、規制緩和等々がその柱になるとは思いますけれども、この出発点、この認識をきちっとしておくことが大切なことではないかと思いますので、その点の、極めて乱暴な切り方でありますけれども、御意見をお伺いしたいと思います。
  28. 久保田真苗

    久保田国務大臣 おっしゃいますような構造問題というのがあることは歴然としていると思います。しかし、それは果たして不況原因であるのかどうか、その辺は、恐らく不況というよりは時代一つの趨勢でございまして、そのような経済構造に変わっていくことあるいは雇用構造に変わっていくこと、それが直ちに不況原因とは言われないのではないか、もっと中長期的な取り組みを要する課題であろうと思います。  不況原因というふうに見ますならば、先ほどから出ておりますように、バブル崩壊した側面、これが非常に長引いて、企業あるいは消費、そして金融機関というようなものの、まあ逆資産効果というようなものが出ている。それがベースにございまして、その上に景気循環の波がもう一つある。そこへ今度は、まあこれは構造問題から出てくるものなんですけれども、急激な円高影響があり、一層マインドを冷え込ませ、そして異常気象もあって、それが実際日本人が非常に大きい心理的な影響を持つところのお米にも及んでいる、そんなふうな状況なのではないかと思っております。
  29. 中村時広

    中村(時)委員 まあ不況というふうに短絡的にはつなげられないとは思いますけれども、いずれにいたしましても、中長期的な課題としてこの構造問題に踏み込んでいかざるを得ないという御認識はあるんではなかろうかと思うわけであります。  そこで、この構造問題と景気回復政策、この接点を私はいろいろと考えて探してきたんですけれども、何かないかなというふうに思って到達した結論は、やはり何かに焦点を絞って、そこに刺激策を打って、これを導火線にして、あわよくば将来はその構造改革までつなげられるような政策を打ち出していくということがいいんではないかと思うのです。  そこで、その焦点たる分野は何か、これを考えていきますと、私はやはり土地ではないかと思うのです。バブル全盛のころに土地価格が急騰いたしました。この急騰を鎮静化させるためにさまざまな政策をとられてきたと思うのです。一つには総量規制があったでありましょう。また監視区域制度等もありましたでしょう。これらがある意味では、鎮静化という側面から見れば大変効果的な政策であったことは疑いようのない事実だと思うのです。  ただ、今その先の段階に入ってきまして、実際に末端で何が起こっているかということをつぶさに検討していきますと、正しい土地の取引、これすらもとまってしまっているというような現状が見出すことができるんではないだろうか、そんなふうに私は地元等のいろいろな方々から御意見をお聞きしますと感じるのです。  そこで、この土地ポイントをつくる、そして、また正しい取引をスムーズに行わせるというような側面から、一つの提案をさせていただきたいと思うりです。  例えばこんなことがあるのです。地方都市の中核に小さな工場を持っている事業家がいらっしゃった。随分事業をやっていくのには手狭になってしまったので郊外に移転したい。移転したいんだけれども、税制上の問題があってやりたくてもできないというような経営者もたくさんいらっしゃいます。それは、その足かせになっておりますのが平成四年一月一日から廃止をされました事業用資産の買いかえ特例、この制度がそうした需要というものの非常に足かせになっているんじゃないかな、そんなふうに思うのです。  そこで、まあ事業用資産の買いかえ特例、これをやるとまた土地が高騰するんじゃないだろうかというような懸念も当然あるわけでありますから、逆に組み合わせ論なんですけれども、事業用資産の買いかえ特例は復活させて、しかし高騰を抑えるために監視区域制度は残していく、また、当時認められていた東京都だけに与えられていた特例だけはこれは認めない、この三つの組み合わせによって、正しい土地の取引がスムーズに動き始めるんじゃないだろうか、そんなふうに私は思うのです。  この東京都の特例と申しますのは、当時の買いかえ特例、振り返ってみますと、都道府県境を越えた資産の買いかえ、減免措置、これは認められていなかったけれども、東京都だけは県境を越えて認められていたわけであります。ですから、東京都にたまっていたお金が地方に流れ込んできて、そしてそのお金によって地方の土地すらも高騰してしまったというような要因が、あの当時にはあったのではなかろうかと思うのです。  そこで、今の買いかえ特例の復活の検討、それからそれの高騰を抑えるための監視区域制度の維持、そして東京都には特例を認めない、この三つの柱を立てた土地政策についてぜひ御検討いただきたいのですけれども、御意見をお伺いしたいと思います。
  30. 玉木林太郎

    ○玉木説明員 ただいま委員から御指摘のありました事業用資産の買いかえ特例でございます。  ちょっと振り返るようで恐縮でございますが、この買いかえ特例、一般的な長期所有土地から減価償却資産への買いかえ、これは平成元年の土地基本法、この基本理念に沿いまして、平成三年度税制改正において土地税制の抜本的な見直しを行いましたときに廃止されました。  その際の議論といたしましては、この従前からの長期所有土地から減価償却資産への買いかえについては、地域限定がないということから、一つには国土利用政策上奨励すべき地方への移転が進まない、これが一つ。それから、土地さえ持っていれば何にでも買いかえられるということになりますので、当時非常に問題であった土地の有利性が非常に助長される、こういう弊害が指摘されていたところでございます。  現在、事業用資産の買いかえ特例につきましては、大都市圏から地方への移転に伴う買いかえ等、国土政策上奨励すべきケース、これは十六類型ございますが、法律に基づく構造改善等のための買いかえも含めて、幅広くきめ細かな措置を現在講じているところでございます。  したがいまして、長期所有土地から減価償却資産への買いかえの復活という点につきましては、仮に限定的な復活であるとしましても、やはり再び土地の有利性を助長し、国土利用政策実現を阻害するおそれがあるということが一つ、それは委員御指摘のとおりでございますが、またもう一つは、昨年一月一日に施行したばかりの措置を朝令暮改するという御批判もあるかと思いますので、それは租税政策の面からは適当でないと考えております。
  31. 中村時広

    中村(時)委員 大体予想されたお答えだったのですけれども、ただ、今、不況というこの現状というものを認識する中で、それはどんなことをやってもマイナス面というのはあると思うのです。でも、そのマイナス面ばかりに目を転じてしまうと何もできないという結果にも終わりかねない。ですから、この現状というものの中でいろいろと問題点があるのは重々承知しているのですが、現状として正しい土地の取引が停滞してしまっているというのも事実でありますから、ぜひ経済閣僚会議、閣議等々で御検討いただけたらと思います。それはそれで構いません。  続きまして、時間も余りないので次に移らせていただきますが、製造物責任法、PL法について若干お伺いしておきたいと思います。  本内閣は、細川総理の所信表明演説でも明らかでありますように、生活者利益優先への転換ということが政策の柱に高らかにうたわれております。この政策の柱、これも実は規制緩和も入ってくるのだろうと思うわけでありますけれども、すなわちもろもろの安全というものを尺度にして、規制や制度というものは我々の生活の周辺に張りめぐらされている。その見えない負担、コストというものがかなりの額、生活者家計に負担を強いているのではなかろうか、そういう側面からも規制緩和というのは必要ではないかという問題もあろうと思います。  また、先ほどの経済の活性化という側面からも必要となってくると思うのですけれども、大方の規制というものは、今申し上げましたように、国民生活の安全ということを基準にしておりますから、この安全というものに十分配慮をしないといけないのではないか、そういうふうなポイントが出てくるのではないかと思います。  そこで、この規制緩和と製造物責任法、PL法というのは極めて相関関係が強い、裏表の関係にあるのではないだろうかと私は思っておるのですが、その点について御意見をお伺いします。
  32. 加藤雅

    ○加藤(雅)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、製品等の安全とか品質確保の責任というのは、基本的には事業者にあるはずだというふうに考えられるわけでございます。  昭和六十三年の十二月に出されました臨時行政改革推進審議会の答申におきましても、そういうことから、安易な行政依存体質を排除し、企業等の自己責任の原則の確立と民間能力の積極的活用が図られなければならないということを指摘しておりまして、検査・検定制度の見直しあるいは損害賠償責任保険制度の普及等に取り組むべきだという指摘がなされております。  しかしながら、一方では、この国民の生命とか身体の安全等の確保を目的とするいわゆる社会的規制の緩和につきましては、同じ答申の中で、経済的規制と同列に論ずることは適当でないということも指摘をされておるわけでございます。  私どもといたしましては、この製造物責任制度は製品の欠陥が原因消費者の生命、身体、財産に生じた被害について、これを被害の迅速かつ十分な救済を図るための一つの仕組みであると考えておりまして、検討が必要だということは臨時行政改革推進審議会でも指摘されておるところでございまして、その検討をしているところでございますが、しかしながら、社会的規制の緩和については、やはり御指摘のとおり規制の目的などを考慮した十分な検討をしていただきたい。これは製造物責任制度だけではなくて消費者行政全般を担当しております私どもといたしまして、そのように考えている次第でございます。
  33. 中村時広

    中村(時)委員 そこで、そういうふうな認識をいただきましたので、規制緩和が進む時代に入ってくるとすれば、飛躍的にこの重要性というのは高まってくるのだろうと思います。  現在、この細部につきましてはまだ質問をすべき段階ではないような気がいたしますし、先ほどからもお話に出ておりますような、現在は第十四次ですか、国民生活審議会にて答申中というふうに承っております。この問題は、振り返ってみますと昭和五十年に端を発しておりますから、かれこれもう二十年近い議論が続けられてきている。たしか昨年の第十三次国民生活審議会におきまして、最終答申が出るというような日程で進んでいたと聞いておりましたけれども、今おっしゃいましたように、さまざまな業界であるとか、さまざまな省庁であるとか、そうした利害がぶつかり合いますから、これをまとめていくには大変困難なハードルが待ち受けているのだろうと思います。そういうふうな状況の中で、昨年答申が出る予定であったのだけれども一年延長されたというふうに聞いておりますから、その期限はもう間近に来ているというふうになっているわけであります。  そこで、国民生活審議会の進捗状況、詳細はわからないと思いますけれども、それと、今度こそ延長ということはないのかどうか、その点お聞かせいただけますか。
  34. 加藤雅

    ○加藤(雅)政府委員 国民生活審議会の審議の進捗状況についてお答え申し上げます。  本年の一月に、第十四次の第一回総会で、消費者政策部会を設置いたしました。これは、審議会はかわりますたびに部会を設置いたしますので。そこで、部会では二月以降、次の四つの事項を検討して平成五年度中に報告を取りまとめるということを二月に決定いたしました。  その内容は、製品事故にかかわる原因究明機関のあり方、それから少額被害等にかかわる裁判外紛争処理のあり方、それから情報の収集、分析等にかかわる制度のあり方、それから四番目に、製品の欠陥に起因する消費者被害にかかわる民事責任ルールのあり方、以上四つのことをこの部会としては検討するということを決めたわけでございます。  その後、第二回には、いわゆるEC指令というものを作成されましたEC委員会のタシュナーさんという方がいらっしゃいます。その方からお話を伺いました。それから、五月に北海道、大阪、福岡において、国民生活審議会委員の参加のもとにシンポジウムを開催いたしました。また、この間、十三次の報告につきまして、これをPRするという趣旨で各都道府県で説明会等も開催いたしております。それから、七月には産業界、弁護士会、消費者関連団体のそれぞれの代表の方から総合的な消費者被害防止、救済のあり方について御意見を伺いました。  それから、これまでが第一ラウンドでございまして、現在は第二ラウンドに入っておりまして、第四回、九月には少額被害にかかわる裁判外紛争処理の制度のあり方、それから情報の収集、分析等にかかわる制度のあり方について検討をいたしました。それから先般、十月八日でございますが、いわゆる民事責任ルールのあり方について川井先生から御意見を拝聴して検討したという次第でございます。  あと、十一月中に部会を二回ぐらい開催いたしまして、関係省庁から所管の製品についての検討成果のヒアリングをしたいというふうに予定をしております。
  35. 中村時広

    中村(時)委員 大分煮詰まってきている様子をお伺いしましたけれども、一方、地方の議会においてもさまざまな動きが見られるようになってきているのではないかと思います。  ちょうど先週、私の地元の松山市でもPL法制定に関する意見書が採択されました。四十八名中自民党が二十五名、大半の政党、全会一致でありますから、すべてが賛成する中で採択されているのですけれども、地方議会における意見書の採択状況、もう時間がありませんので、何件がということだけで構いませんので。
  36. 加藤雅

    ○加藤(雅)政府委員 意見書は、地方自治法の九十九条二項の規定に基づいて出されるものでございますが、経済企画庁長官あてのものにつきましては、十月十二日現在で二百二十件、五県五政令市を含んでおりますが、となっております。
  37. 中村時広

    中村(時)委員 最後にそれらの煮詰まってきた環境を踏まえて、もう簡潔で構いませんので、大臣のこの法律に関するお考え、御意見等をお伺いして終わらせていただきたいと思います。
  38. 久保田真苗

    久保田国務大臣 消費者行政の中でも最も重要な課題認識しております。また、世界の動きから見まして、先進国でこのような消費者の被害の救済、こうしたものを持たない、制度を持たないという国も非常に少のうございます。したがいまして、我が国経済の国際化の中で、ぜひ一日も早くこうした総合的な製造物責任制度というものが確立されることを希望しております。
  39. 中村時広

    中村(時)委員 以上。で終わります。
  40. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 山田宏君。
  41. 山田宏

    ○山田(宏)委員 私は、中村時広議員の後を受けまして、一テーマだけ通産省にかかわる問題について御質問をさせていただきたいと思います。  先日、電力、ガスについての円高差益の十一月からの十一カ月にわたる差益還元が決定をされましたけれども、この電力、ガス業界というのは、もとより認可制の料金をとっている独占の地域企業体でありまして、法律できちっと保護をされ、また規制をされている会社でございます。この会社の料金は、もとより利用者によって払われているわけですけれども、そのコストを利用者が負担する場合、A電力会社を選ぶということとB電力会社を選ぶという選択の自由はありませんで、東京だったら東京電力、こう決まっているわけですね。  そういう中で、私が今回問題にしたいのは、この電力業界が行っておりました自由民主党に対する広告科の支払いの問題でありまして、電力業界が自民党の機関紙等に巨額の広告料で広告を掲載していたという問題で、きのう、きょうの新聞でも報道されておりますとおり、電気事業連合会が自民党への巨額広告料廃止を決めたと報道されておりますけれども、通産省はこの問題に対しましてこれまでどう対応し、また、きょうのところ電気事業連合会の方からはどのような報告を受けておられるか、御報告をいただきたいと思います。
  42. 田島秀雄

    ○田島説明員 お答えをいたします。  当省といたしましては、既に私どもの熊谷通産大臣が記者会見で表明しておりますとおり、通産省として行政的な介入をすべきこととは考えていないわけでございますが、大きく報道され、社会の関心を集めていることでもございますので、電気事業連合会に報告を求めたところでございます。  それによりますと、政治献金を行っている事実はないんですが、自民党関係の出版物でございます自由新報などについて年間約十億円の広告料を支出しているということでございました。また、電事連におきましては、この問題につきまして社会から誤解を招かないような配慮をする必要があるとの認識のもとに、本日現在、具体的対応策について検討中との報告を受けているところでございます。
  43. 山田宏

    ○山田(宏)委員 報道では廃止、こう書いてありますが、今の御答弁だと、今のところは廃止するまたは削減する方向で検討中というように承ります。  また、ガス事業者からも多額の広告料が、間接的ではありますけれども自民党の機関紙等に支払われるというようなことも報道されておりますけれども、この問題についての対応策の報告を通産省は受けているでしょうか。
  44. 田島秀雄

    ○田島説明員 ガスの問題につきましても、私どもの基本的な立場はさきに申し述べたところと同様でございますが、同じく日本瓦斯協会に対し報告を求めましたところ、政治献金を行っている事実はないが、一般的広報活動強化の趣旨から、財団法人経済広報センターに会費として約二億七千万円を拠出しているとのことでございました。  その後、瓦斯協会会長が昨日の記者会見におきまして、経済広報センターから自民党へ広告掲載料として支払われている部分、いわゆる特別賛助会費、九二年度で二億四千万円弱でございますが、につきまして廃止する方向で検討する、また通常会費につきましても、広報センターの広報活動を注視しながらそのあり方について検討するという旨の表明を行ったとの報告を受けております。
  45. 山田宏

    ○山田(宏)委員 政治資金規正法では、「国から資本金、基本金その他これらに準ずるものの全部又は一部の出資又は拠出を受けている会社その他の法人は、政治活動に関する寄附をしてはならない。」この問題は別に電力会社もガス会社も何らそういう補助金や助成金、出資金を受けているわけではありませんが、しかし、一定の法律上の保護または規制を受けているいわゆる公益事業者、その料金も認可制であるというような事業者が、特定の政党に対して形式的に献金ではないにしても広告料という形で支出をする行為について、監督官庁の通産省としてはどのように考えておられるか、御見解を伺いたい。
  46. 田島秀雄

    ○田島説明員 電事連及び瓦斯協会からの報告によりますと、広く電力あるいはガスの事情についての理解を深めるために、広告効果ども考慮しまして、本件を含め各種媒体を選択しながら広告を掲載しているということでございます。  広告の媒体あるいは広告の費用につきましては、基本的に性格上客観的に評価することはなかなか困難でございまして、広告の主体御自身が個々の広告の目的とか内容とか読者層を含む広告の効果などを総合的に勘案して判断すべきものと考えております。  いずれにいたしましても、私どもとしては、先ほども申し述べましたとおり、本件に関しましては行政として介入すべきこととは考えておりませんが、公益事業を営むというものである、それからその団体であるということで、業界がみずから判断し、良識ある行動をとっていくものと考えている次第でございます。
  47. 山田宏

    ○山田(宏)委員 これ以上この問題については御質問いたしませんけれども、今まではいろいろな経緯があったりしてきたと思いますけれども、今回の政治の状況というのはまさに国民が注視のもとで、政界、官界、業界、こういったものに対する癒着みたいなものに対しては大変厳しい目を持っておりますし、与野党ともにこの問題については襟を正して対応していこうというやさきのこういった話であります。  報道を見ている限りは、電気、ガス両事業者とも今後はこの問題についてはこういった行動を行わないというように見受けられますけれども、広く見て公共業事または公共団体または公共のものとして国や地方自治体からいろいろな資金提供を受けている団体、こういったものは、大きく見て、やはり二足の政党に対して物的、人的な協力をするということについては今後は厳粛に慎んでいかなければいけないのではないか、これが政治資金規正法の法の趣旨ではないかと私は思うわけです。  そういった意味で、きょうあたり多分また報道されてくるでしょうけれども、今後ともこの問題については、もちろん今御答弁がありましたとおり、通産省としては各企業の自主性の判断でしょうけれども、広告料、広告は広く知らせるために何の媒体でもいいんだというようなことではやはり公共事業体としてはふさわしくないと私は思いますので、この点につきまして監督官庁として、これからもこういった事件を踏まえて十二分に、世間の非難を浴びないような対応を事業体とよく協議していただきたい、お願いを申し上げまして、ちょっと時間を余らせましたけれども、私たちの質問にかえさせていただきます。  ありがとうございました。
  48. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 実川幸夫君。
  49. 実川幸夫

    ○実川委員 四点につきまして、経済問題あるいは円高差益、またPL問題について御質問させていただきます。多少今までの質問と重なる部分があろうかと思いますけれども、御了解のほどをお願い申し上げたいと思います。  まずは、大臣御就任おめでとうございます。それから、大臣、途中でお席を立つということでございますので、まず大臣お尋ねをさせていただきます。  まず、景気の現状あるいは中小企業に対する支援策についてでありますけれども、先ほどから皆さんからいろいろと御質問がございます。また、大臣からも答弁がございましたけれども我が国経済が今当面する課題大臣からもお答えがございました。確かに、現在の我が国は非常に経済不況下に置かれております。極めて困難な状況に陥っておりますけれども、今国民の皆さんが懸命に努力をしまして、景気回復に向かっておるのは御承知の事実でございます。  そこで、実は私も議員の皆さんもほとんどそうであろうかと思いますけれども、土曜日、日曜日になりますと選挙区に帰ると思います。そのたびごとに農民の皆さんまたは商店街あるいは中小企業の皆さんとお会いすることが多いのですけれども、そのたびごとに口にするのは、まず景気対策のことでございます。いつになったら景気回復するのか、そのことばかりを質問されるわけであります。  先ほど大臣からもいろいろと答弁がございましたように、今後の景気対策、どのような方向に進んでおるのか、いろいろ詳しく説明がありましたけれども、その点につきまして大臣からお答えをいただきたい。  それともう一点、現在不況下に置かれております業種はどのような業種があるのか、関係省庁に、まずこの点をお伺いさせていただきたいと思います。
  50. 久保田真苗

    久保田国務大臣 景気の現状はまさに足踏みといったようなところで、今後の予断も許さない、そういう判断をしているところでございまして、その中でもいろいろな対策を講じてこれを上へ持ち上げたい、そういう格闘をしている真っ最中なのでございます。  おっしゃいますように、中小企業につきましては特に金融の面、それからマインドの面で一層冷え込んで、中小企業中心に冷え込んでいるという様子が見えておりまして、そういう意味から中小企業への対策というのを今回の緊急経済対策の中でも打ち出したところでございます。  もちろん、主要産業におきましては、生産が機械、自動車、繊維等で下回っておりますけれども、そして企業収益に大幅な減益が出ているわけでございますけれども、特に円高による輸出採算の悪化というものがございまして、こうしたものが中小企業にもいろいろな悪影響をもたらしているということが言えると思います。  今回の緊急経済対策におきまして、特に金融でございますとか中小企業生産性を改善するための設備投資といったところにいろいろな配慮を加えたところでございます。
  51. 土志田征一

    ○土志田政府委員 大臣の御答弁、業種別の状況をちょっと補足させていただきます。  製造業で見てみますと、一般機械、自動車、繊維というような業種につきましては生産が前年を下回るという状況になっておりまして、したがいまして今年度の企業収益も減益が続くということが見込まれております。また、鉄鋼につきましては、生産は前年を上回っておりますけれども、これは円高影響ということで大幅な減益が予想されております。  また、非製造業の方でございますが、非製造業の方では、建設につきましては民需の不振、不動産につきましては貸しビル需給の緩和、あるいは百貨店につきましては販売額が前年を下回って推移している、海運については荷動きの鈍化、円高の進行、こういったようなことで、いずれも今年度減益予想という状況でございます。
  52. 実川幸夫

    ○実川委員 大臣から中小企業に対しての御答弁をいただきました。さらなる積極的な対応をお願いしたいと思います。  また、この不況に関しまして、雇用情勢であります。  先ほど大臣からお話がございましたけれども、御承知のように完全失業率、これはもう既に二・五%、そしてまた、有効求人倍率というものは〇・七〇倍、このようになっております。また、企業内失業率も、一説には百万人、あるいは二百万人とも言われておるわけであります。またさらに、来年度の新規採用に関しましても軒並み減少の状況になっております。特に、女性の就業機会というものは完全に失われているような状況下と言われております。  申すまでもなく、雇用の安定こそ我が社会経済の最も重要な課題であります。今後のこの雇用対策につきまして、これは労働省の管轄になると思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。
  53. 坂本哲也

    坂本説明員 ただいま雇用失業情勢、それからそれに対する雇用対策についてのお尋ねでございますけれども、先生御指摘のとおり、最近の時点では、有効求人倍率が〇・七〇倍、完全失業率が二・五%ということで、非常に厳しい状況にある、一層注意すべき状況にあるというふうに私ども認識をいたしておりまして、こういった状況を踏まえまして、先般も緊急の業種別のヒアリングなどを実施いたしました。  そういった状況を見てみますと、業況は一段と悪化しておる、業況回復もだんだん先ずれしているといったような状況でございます。雇用過剰感が非常に強い鉄鋼とか工作機械、電機、こういったところでは今後の雇用調整も非常に懸念されるというようなことでもございます。今後の経済情勢いかんによっては厳しい雇用調整が続くのではないかということで、私ども非常な警戒もいたしておるわけでございます。  こういった状況に対応いたしますために、先般の緊急経済対策の中におきましても雇用対策を一項目盛り込みました。何といいましても厳しい状況のもとではございますけれども、各企業労使の御努力によって雇用維持のための努力、これを何としてもやっていただきたい。そのための国としての最大限の支援を講じてまいりたいといったことを中心にいたしまして、中高年ホワイトカラー層の雇用安定対策ですとか、今おっしゃいました新規学卒の求人確保対策ですとか、また、大都市圏を中心とした求職者の早期再就職促進対策ですとか、こういったものを盛り込んだところでございます。  私どもといたしましても、今後とも雇用動向の推移を十分注視しながら、適宜ヒアリング等を実施するなどして適切な対応に努めてまいりたいと思っております。
  54. 実川幸夫

    ○実川委員 我が新生党でありますけれども、きょう大谷議員もいらっしゃいますが、先日一期生の議員で愛知県の方に自動車業界あるいは繊維業界の方を視察してまいりました。そのときに下請業者の皆さんの話を聞いたのですけれども、やはり今お話がございました雇用面に非常に不安を持っております。どうかこの面につきましても積極的に、雇用対策には真剣に取り組んでいただきたい、このように思います。  次に移らせていただきますけれども、これも景気対策の一環であります。この件につきましては通産省の方にお伺いしたいと思います。  今日、我が国経済を築き上げたのは、申すまでもなく中小企業の力というものが多いと思います。この不況下の中で、中小企業、実際の円高あるいは国際競争力の低下、また親企業からのコスト削減要求、あるいはまた海外進出等によります厳しい状況下に置かれております。こういう中での今後の中小企業に対するいろいろな支援対策があると思いますけれども、この点について、通産省のお考えをお伺いしたいと思います。
  55. 金子和夫

    ○金子説明員 中小企業対策の御質問にお答えいたします。  私ども、中小企業をめぐる景況につきましては、先ほど長官もお触れになりましたが、生産、出荷とも極めて低い水準で推移をしておりまして、在庫調整も大企業に比べますとおくれが目立つなど、大変厳しい状況にあると思っております。  またさらに、設備投資は大企業に比べますと大幅に落ち込んでおりまして、景況判断も悪化傾向を示すなど、先行きについても引き続き予断を許さないものと認識しております。  こうした中小企業を取り巻く厳しい経済環境に対しまして、政府といたしましては、昨年八月と本年四月に策定されました二次にわたる総合経済対策において各種の中小企業対策を盛り込みまして、着実に実施していっているところでございます。さらに、この九月十六日に緊急経済対策を取りまとめたところでございます。  この中におきまして、中小企業の経営安定及び構造的な環境変化への対応のため、次のような措置を初めとする総額一兆円を超える規模の中小企業対策を盛り込んでおります。  経営安定対策といたしましては、景気低迷影響によりまして資金繰りが悪化した中小企業を支援いたしますため、運転資金融資制度を拡充したり、あるいは緊急経営支援貸付制度の拡充を図るなど、経営安定対策を拡充したところでございます。  さらに、構造的対応策といたしまして、中小企業の新分野進出等を支援いたします新法をこの国会に提出いたしまして、また低利融資制度の創設等の総合的な対策を早急に着手するなどの対応策を決めたところでございます。  このような累次にわたります対策を持ちまして、現在の厳しい経済環境影響を受けております中小企業者に対して効果が発揮されることを期待しているところでございます。
  56. 実川幸夫

    ○実川委員 いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、中小企業、これからも日本経済を支えていく大事な力でありますので、今後も積極的な対応策を講じていただきたい、このように思います。  次に移らせていただきますけれども円高差益消費者への還元についてお伺いさせていただきます。  これは先ほど大臣からもお話がございました。緊急経済対策の中でのものでありますけれども、先ほど赤城委員からもお話がございましたように、先般、委員長とともに四国あるいは兵庫県の方を視察させていただきました。その際、直接この目で拝見させていただきましたけれども、あるスーパーで消費者の皆さんが真剣な目で買い物をしておりました。その際、円高差益によりまして非常に安い品物が数種見られました。私も安いのには驚いてしまいましたけれども、今後もこのような安い商品をどんどん多用していただきたい、このように思います。  そこで、経企庁にお伺いしたいんですけれども、現在のこの還元の実施状況、それと、今後どのように政府はフォローをしていくのか、この二点。そしてまた、あわせて輸入業者あるいは流通業者に対しまして、今後どのように円高差益の還元を指導していくのか、この点につきまして通産省、そして経済企画庁にお伺いをさせていただきます。
  57. 坂本導聰

    坂本(導)政府委員 円高効果につきましては、御案内のように、市場メカニズムを基本としながら円高効果我が国経済の各分野に円滑に浸透して、物価の一層の安定が図られることによりまして、国民円高のメリットを速やかに受けられるという状況をつくることが大事だと考えているところでございます。  したがいまして、今回の緊急経済対策におきましても、円高差益の還元に係る施策として公共料金等の差益還元、あるいは御指摘の一般輸入消費財等の差益還元、あるいは国民への円高差益還元機会の提供、あるいは情報収集の強化充実消費者への情報提供の強化、そういったものを取りまとめ、現在これらの施策実施に移しているところでございます。  具体的には、公共料金につきましては時期あるいは還元額を示しまして、逐次実施に移しているところでございますし、また一般輸入消費財、御指摘の輸入商品あるいは輸入業者、流通業者も含めまして、一般輸入消費財につきましては、関係各省庁から九月中に協力要請をお願いしたところでございます。  私どもといたしましては、今後とも物価担当官会議等を通じましてこういった施策の円滑な浸透が図られるよう見守ってまいりたい、あるいは必要があれば必要な施策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  58. 斉藤浩

    ○斉藤説明員 通産省における差益還元について御説明申し上げます。  通産省におきましては、九月十六日の緊急経済対策を受けまして、九月三十日付で文書で円高差益還元要請を当省所管の小売関係八団体に行いました。特に、そのうちの大手であります、御指摘もございましたチェーンストアあるいは百貨店につきましては、具体的な要請内容を二点ほどいたしております。  一つは、円高差益還元セールなどを積極的に実施してもらう、それからそれを消費者に積極的にPRをしていただくということ。それから、二点目といたしまして、これらを円高活用プランという形で業界ごとに実施状況を取りまとめていただきまして、通産省に対して提出をしていただくという二点を具体的に要請いたしております。  現在は、この要請につきましてその実施状況をフォローアップしているところでございます。
  59. 実川幸夫

    ○実川委員 円高差益に関しましては消費者の皆さんも大いに期待しておりますので、積極的な対応をよろしくお願いいたします。  もう一点、円高差益についてお伺いをさせていただきます。  国際航空運賃についてであります。これは運輸省の管轄になると思いますけれども、実は、私の選挙区は成田を中心にしておりますので、成田に住んでおる一人でもあります。そういうことで、旅行者あるいはその関係者によく話を聞くのですけれども、これは皆さんもお聞きになっておると思いますが、航空運賃、いわゆる日本で買う運賃と外国で求める運賃というものは大分差があります。  先日、私の友人ですけれども、ロサンゼルスに行きました。エコノミークラスなんですけれども、その差額がエコノミークラスで七万円前後の開きがあるわけであります。これは消費者にとりましてもちょっと、いろいろ考えもあると思いますけれども、またその土地、国、地域での経済状況あるいはまた会社の景気、不景気の点もあろうかと思いますけれども、その点について運輸省のお考え、どのように思っているか、お聞きしたいと思います。
  60. 洞駿

    ○洞説明員 お答えいたします。  各国発の国際航空運賃というのは、各発地国の経済状況を勘案いたしまして当該国の通貨建てで設定されるというのが国際的なルールとなっております。このために、為替レートが変動いたしますと、同一路線であっても日本発の運賃と相手国発の運賃が異なってくる、いわゆる方向別格差というものが生じてくるというのはどうしても避けられないところでございます。  このような方向別格差が大幅で、かつ継続的に生じる場合にはその是正を行う必要があると考えておりまして、事実、昭和六十年の初め急激な円高が進行いたしましたときには、日本発の運賃を下げて向こう発の運賃を上げるというような方法をとって、従来からその改善に努めてきたところでございます。今年の一月一日にはほぼ是正された状態にございました。  今回の急激な円高傾向を受けまして、方向別格差が再び生じております。従来同様その是正を行う必要があると考えておりますけれども、一方、航空企業不況による需要低迷と競争の激化によって極めて厳しい経営状況にございまして、格差是正を直ちに実施できる状況にはございません。このため、航空企業の経営の改善を待って格差是正を行うこととしたいと考えております。  現在、航空企業はその生き残りをかけまして経営基盤強化のための懸命の経営努力を行っておりますけれども、私どもといたしましてもその会社側の努力を支援し、また、競争力強化の施策を講じていきたいと考えております。
  61. 実川幸夫

    ○実川委員 いずれにしましても、円高差益につきましては、航空運賃につきましても同じなのですけれども、非常に関心があることでございますので、積極的な対応をしていただきたいと思います。  次に、米の問題ですけれども、これはいろいろな委員の皆さんからお話がございました。実は、私も農林水産委員といたしまして、北海道の方を二日間にわたりまして視察をしてまいりました。非常に深刻な事態になっております。百年に一回というような凶作でありますけれども、農民の皆さんあるいは関係の皆さんのお話を聞いてまいりました。その際に、二日目の帰るときに、何とか国会で皆さんにこの現状を訴えていただきたい、そういうことで稲を持参させていただきましたので、ちょっとごらんになっていただければと思います。ちょっと参考に。  それは北海道の十勝地域の米なのですが、銘柄も下に書いてありますけれども、本当にひどい状況下に置かれております。  先ほど、いろいろと他議員の質問に対して大臣、答弁されておりましたけれども、農林省にお伺いさせていただきます。  今非常に厳しい状況下に農家は置かれておりますけれども、今日いろいろな対策を講じられておると思いますが、各都道府県あるいは関係機関を通じて早急な対策を練っていると思いますけれども、現在の状況。そしてまた、私が参りましたときに幾つかの陳情をいただきました。その内容でありますけれども、特に農家の皆さんが一番心配しております項目、いわゆる来年度の再生産の種の問題、あるいは他用途米の措置の問題、そしてまた農業共済金の問題等、この三点、特に皆さんから陳情を受けております。この点につきまして農林省はどのような対策を練っているか、お考えを聞きたいと思います。  また、米の関係でありますけれども、これは経済企画庁、政務次官いらっしゃいますけれども、お答えいただきたいのですけれども、ちょうど二十年前になると思います。オイルショックが起きたときに大変なパニックが起きたことはまだ御存じだと思いますけれども、現在も米が大変な問題になっております。米パニック、このようなことを招かないように努力をしていただきたい。特に消費者の皆さん、米の確保、そして価格の安定、これを図るためにも、どうか国民に対しての適切な説明あるいは情報等を国民に提供することが本当に大事なことではないかと思います。この点につきまして、経済企画庁のお考えをお伺いしたいと思います。
  62. 福島啓史郎

    ○福島(啓)政府委員 お答えいたします。  先生ただいま御指摘ありましたように、本年の米の不作は、農家経済のみならず地域経済に深刻な影響を及ぼすことが懸念されております。  まず、農林水産省といたしましては、米の需給安定を図るため、全力を挙げた集荷の促進、それから規格外米の政府買い入れ、また他用途利用米の主食への一部転用等、さらには緊急特例的措置としての米の輸入を行うとともに、転作面積の緩和につきましても十月末までに決定するということで早急に検討をしているところでございます。  また、九月三十日の冷害対策等に関する関係閣僚の会合におきまして、八項目の対策を定めまして、被災地域農家に対する救済対策の円滑な推進に向けまして、既存制度あるいは事業の積極的活用、さらには先般の緊急経済対策に係る事項とあわせまして、財源の確保も含め、特段の配慮を払っていくように協力をお願いしたところであります。政府が一体となってこれらの課題に取り組んでいくということとしているわけでございます。  それで、具体的に御指摘のありました共済金の早期支払いでございます。これにつきましては現在損害評価の段階でございまして、この損害評価が済み次第共済金を支払うということで進めているわけでございます。  現在のところ、農業共済組合の悉皆調査、それから農業共済組合連合会の実測調査の段階でございまして、その実態が明らかになった段階で損害評価を迅速的確に行いまして、被害の激甚な組合等におきましては、共済金の仮渡しを含めまして、共済金の早期支払いを行うように指導しているところでございます。  いずれにしましても、水稲の共済金の支払いにつきましては、遅くとも年内には支払えるようにしてまいりたいというふうに思っております。  それから次に、種子の問題でございます。  種子につきましては、被害を受けた農家の再生産用種子の確保につきまして取り組んでいるところでございます。現在、都道府県と農業団体が中心となって、採種圃産の種子の確保、それが不足する場合には一般圃場からの確保、それから農林水産省と全国段階の農業団体が連携をとりまして、都道府県内だけで確保が困難な場合には、ゆとりのある県からの融通などの措置を講じているところでありまして、これらによりまして再生産用の種子の確保に万全を期すべく対応しているところでございます。  また、現在、災害に伴う種子需要量等を調査しているところでございまして、その結果を踏まえまして、種子対策、確保につきまして適切に対応してまいる所存でございます。  以上でございます。
  63. 坂本導聰

    坂本(導)政府委員 ただいま農林水産省から御答弁がございましたが、米につきましては、今後の需給あるいは価格の安定を図るため、全力を挙げて政府として集荷の推進あるいは加工用米の緊急輸入消費者啓発、PRの実施等、万全を尽くしてまいりたいと考えております。  消費者が米を買いだめをする必要は全くないというのが私ども認識でございまして、また一方で、必要量を超えてお米を蓄えるということはかえって品質の低下を招くというような点もございますので、そういう点も含めて、政府は全力を挙げて、国民にその点を理解していただくよう努力したいと考えております。
  64. 実川幸夫

    ○実川委員 今米に対していろいろと御答弁をいただきました。農家にとりましても、また消費者にとりましても、このお米の問題は大変なことでありますので、どうか関係省庁におきましても積極的な対応をしていただきたいと思います。  次に、製造物責任制度、PL問題でありますけれども、先ほど中村議員からいろいろと詳しく説明がございました。我が党におきましてもいろいろ今勉強中であります。また、長官も答弁の中で言われておりましたけれども、この問題につきましては大変国民の機運も盛り上がってきております。また、消費者にとっても大変関心の深い問題ではないかと思います。  経済企画庁あるいは通産省、いろいろと問題があろうかと思いますけれども、先ほど政府委員からも答弁をいただきましたが、この点につきまして今後どのようにコンセンサスをつくり、そしてまた立法化に向かっていくか、その点につきましてお答えをいただきたいと思います。
  65. 小川洋

    小川説明員 お答え申し上げたいと思います。  製品事故から消費者を守ることは重要な課題だと私ども認識しております。当省といたしましては、製品事故に関連いたしまして消費者の利益を実質的に保護していくためには、まず、できる限り消費者が事故に遣わないようにするという意味での未然防止、それから事故が起こりました際の再発の防止、そして起こった事故に関連します被害の確実かつ迅速な救済、これら各面から成ります総合的な対策で対応していくことが必要であるというふうに考えております。  一昨年十二月でございますが、そのための諮問を大臣から行いまして、昨年一月、産業構造審議会に総合製品安全部会を設けまして、以来、製品の事故と被害の救済の実態、あるいは製品の特性、業種業態、それから現行関連制度、あるいは関係者の取り組み、それから海外の動向、これらを踏まえまして総合的な安全対策のあり方について幅広く御審議を願っているところでございますが、その一環といたしまして、御質問のありました製造物責任制度についても検討が行われているところでございます。  私ども通産省といたしましては、今後とも産業構造審議会におきまして、いろいろ議論がございますけれども、精力的に御審議をいただきまして、その検討結果を踏まえて適切に対応したいというふうに考えております。
  66. 古賀一成

    ○古賀政府委員 ただいま通産省の方から御答弁がございましたけれども、製造物責任関係の所管をしている経済企画庁として、一言お答え申し上げたいと思います。  製品の欠陥から消費者の生命財産を守るということに関しましては、消費者行政一つの柱として非常に重要な問題だと認識をしております。そういうことから、今後とも消費者重視政策を積極的に推進する、こういう立場からもこの制度のあり方について検討を進めておるところでございまして、昨年の十一月、国民生活審議会の答申をいただきまして、それを踏まえまして、政府として製品の特性にも配慮しながら今精力的に検討を進めておりまして、関係省庁におきますところの所管の製品について検討結果をいただき、国民生活審議会におきまして実りある検討結果をぜひ年内に取りまとめたい、かように考えているところでございます。  この立法化につきましては、こうした国民生活審議会あるいは各省庁にお願いしております検討の結果を踏まえまして判断をしてまいりたい、かように思っておるところでございます。  以上でございます。
  67. 実川幸夫

    ○実川委員 今政務次官からお答えいただきました。これは国民の皆さんも大変関心のある問題でありますので、どうか精力的に検討を進めていただきたいと思います。  多少時間が残りましたけれども、以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  68. 玉沢徳一郎

  69. 畠山健治郎

    ○畠山委員 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表いたしまして御質問させていただきたいと存じます。大臣が所用のために退席になられまして大変残念でございますけれども、政務次官、どうぞひとつよろしくお願い申し上げます。  まず最初お尋ね申し上げたいことは、冷夏、長雨によりまして深刻な冷害現象が今起こっております。被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げたいと存じます。  細川政権はいち早く内閣としての取り組みをしていこうというようなことで、冷害対策関係閣僚懇談会を発足させて総合的な対応をしようという方向を打ち出したことはまことにタイムリーであるし、それだけにまた、大変大きな期待が寄せられておることだろうというふうに思っております。ぜひひとつ、冷害対策は農林省が対応すればいいなんということではなくて、内閣を挙げて総合的な政策を展開していただきますように、まずもってお願いをしておきたいと思っております。  同時に、冷害対策というのは、単に農家対策だけではなくて、地域経済対策であり、当面の不況対策ということになろうかと思っております。ぜひひとつそういう位置づけをしながら総合的な対応をしていただきますように、これまたお願いを申し上げておきたいというふうに思っております。  そこで、具体的に御質問を申し上げたいと思っておりますが、食管法。  当然のことながら、安定的な生産をしよう、そして安定的な供給をしよう、ここに意義があるわけであります。ところが、これまでは米余り現象が続いてきたわけでありますから、安定供給の面からすると、食管法何やらというようなことで、消費者サイドからすると余り意義を認めておらなかったというのが今までの実態ではないだろうかというふうに思います。  ここへ来て、深刻な冷害を受けて、ことしの米の値段は一体どうなるのだろうかというようなことを含めて、生活者消費者に食管の意義を改めて見直していただく大変ないい機会ではないだろうかと思っております。ぜひひとつこれを機会に、今まではどちらかというと、食管法というのは農家を守るためだということだけが強調されてきた嫌いがあるわけでありますから、このいい機会を通して、消費者生活者に食管法の意義というものを改めて知っていただければ大変ありがたいと思っております。  この点についての農林省並びに企画庁のお考えをお聞かせいただきたいと思っております。     〔委員長退席、二田委員長代理着席〕
  70. 福島啓史郎

    ○福島(啓)政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、食糧管理制度は、国民の主食である米を政府が責任を持って管理することによりまして、生産者に対しましてはその再生産を確保する、また消費者に対しては年間を通じて安定的に供給することをその基本的役割としているわけでございます。  本年のような異例の作柄のもとにおきましても、この役割を万全に果たしていくため、五年産米の集荷に当たりましては、行政とそれから生産、集荷団体とが一体となって全量集荷に取り組むとともに、現下の需給事情を踏まえまして、自主流通米と政府米を一体とした需給操作や実需要に応じたきめ細かな計画的販売を行っていくこととしております。また、国民に不安、動揺を与えないよう、関係機関やマスコミ等を通じまして、米の供給には心配ない旨のPRを実施しているところでございます。  今後とも、このような食糧管理制度の意義につきまして国民の皆様に十分伝わるように努力してまいりたいと思っております。
  71. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ぜひひとつそのように努めていただきたいと改めてお願いを申し上げたいと思います。  次は、米どころで米屋さんに米がない、そしてまた、便乗値上げも明らかになっておる点、さらにまた、稲が盗まれておるというような状態が今起こっておるわけでございます。こんな事態を見ながら、この異常な気象状況下の冷害、その姿を見ながら、何としても加工米を中心にして緊急輸入をしなければいけないというような方針を打ち出したことは、パニックを避けるという意味からも適切な方法であったのだろうというふうに私どもは理解をいたしております。しかし、反面、それで本当に大丈夫かというような不安もまだいっぱい残っておるわけであります。  そこで、幾つかの問題についてお尋ねを申し上げたいと思っております。  まず第一に申し上げたいことは、世界の米市場はそんなに量がたくさんあるわけじゃないわけでありまして、一説によれば、千三百万トン、四百万トンというふうにも言われております。こういう狭い国際米市場の中に、緊急だとはいいながら、百万トン、百五十万トン輸入をしようなんということになったら、国際市場を狂わすようなことになりかねない。とりわけ発展途上国には多大な影響が及ぶということになろうかと思います。ぜひひとつそういう観点から、来年以降の米の需給のあり方、単に目先のことだけじゃなくて、減反緩和を含めて、きっちりとした需給対策を確立していかなければいけない、こういうふうに考えます。  同時に、米どころに米がなくなっておるわけでありますから、今までとは違った国内の米の流れという現象が出てくると思います。そういうことになりますと、どうしても輸送コストがアップするわけでありますから、便乗しながら末端米の価格が値上がりするのではないだろうかというふうな不安もあるわけであります。その点について大丈夫だというような手だてがございましょうか、お尋ねを申し上げたいと思います。
  72. 福島啓史郎

    ○福島(啓)政府委員 本年産米の作柄が想像を絶する異常気象により戦後最低の水準となったことから、六米穀年度の米需給につきましては相当厳しいものとなったわけでございます。  特に年末年始に向けまして、需給に問題がある米菓、もち等の加工用米につきまして二十万トンの緊急特例の輸入を行うこととしたわけでございます。  それから、主食用米の需給につきましては、今後の集荷状況あるいは来年産米の作付の見通し等に左右されるものであります。  現在、五年産米の全量集荷に全力を挙げて取り組むとともに、六年産米につきましての転作等の目標面積の見直しあるいは六年産の新米の早期供給について検討しているところであります。厳しい需給事情のもとで輸入が必要になってくる事態も想定されますので、今後の状況を見ながら万全の措置を講じてまいりたいというふうに思っております。  いずれにしましても、食糧管理制度のもと、このような対応によりまして米の安定供給に遺憾なきを期してまいりたいというふうに思っております。  次に、先生御指摘のありました輸入でございます。これは、先ほど申し述べました米の緊急輸入に当たりましては、世界の米の貿易の実情に十分配慮いたしまして、国際相場などの貿易関係に極力影響を及ぼさずに適切な輸入が進められるよう留意して進めているところでございます。
  73. 畠山健治郎

    ○畠山委員 けさも秋田県の農協の方々が約二百人お集まりをして、米の市場開放につながるのじゃないかというようなことで大変な危機感を持ちながら大会を東京で開いておるわけでありますが、次元の違う問題で緊急避難のやむを得ない措置だというふうにおっしゃることはよくわかるわけでありますけれども、しかしそのようなアナウンスだけでは納得できない、安心させる方法を具体的に講じてほしいというふうなことが叫ばれておるわけであります。  そこで、私ども国会は国会として対応していかなきゃいけないというふうには思っておりますけれども政府として、農業団体あるいは農民の不安に対して、そうではないのだというような具体的な手だてがあるならば、ひとつお知らせをいただきたいと思います。
  74. 福島啓史郎

    ○福島(啓)政府委員 お答えいたします。  今回の緊急輸入の措置でございますが、これは予想し得なかった異常気象に起因する作柄不良に対処しまして、主要食糧を安定的に供給するという食糧管理制度の基本的役割を果たすための緊急特例的な措置でございます。  したがいまして、現在ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉において論議されております貿易ルールの問題とは全く次元を異にするものでございまして、米につきましてはこれまでの基本方針、国内生産による自給という基本方針のもとで今後とも対処してまいりたいというふうに思っております。
  75. 畠山健治郎

    ○畠山委員 よくわかりますけれども、それだけではなかなか納得してもらえないわけですよね。ですから、私ども国会は国会として何らかの対応をしなきゃいけないというようなことで御相談申し上げたいというふうには思っておりますけれども、もう少し政府としても、そうではないのだという、安心できる、何か手だてをしていただきたいというふうに思うのです。何か具体的な手だてはないのでしょうか。
  76. 福島啓史郎

    ○福島(啓)政府委員 具体的な手だてということにつきましての御質問でございますが、基本的な方針は先ほど申し上げたとおりでございます。  それで、これに関連いたしまして、減反政策の見直しということも検討しているわけでございます。先ほど申し上げました八項目に関連しての関係閣僚会議におきまして決定した事項の中にも触れられておりますように、十月末までに減反面積について、生産調整に関連した減反面積につきまして見直しをするというふうに言っておるわけでございます。  それで、基本的には、我が国の米につきましては潜在的な需給ギャップが依然として存在しているわけでございます。したがいまして、そういう観点からも生産調整対策実施する必要があるわけでございますが、来年度以降の水田営農活性化対策につきましては、転作等目標面積を緩和する方向で検討しているわけでございます。その中で意欲ある生産者に稲作を担ってもらうという工夫をいたしまして、今月末までに結論を得るよう作業を進めているところでございます。
  77. 畠山健治郎

    ○畠山委員 決して追い打ちをかけるわけでも何でもございません。ぜひひとつ、お願いを含めてお尋ねを申し上げたいと思っております。  したがいまして、残念ながら今まで百万トン、百五十万トンの備蓄米を確保しようというようなこと、この約束が果たされてこなかったということから深刻な今日の米不足を来しておるわけであります。ぜひひとつ、今度は減反緩和ということだけではなくて、備蓄米を含めた、そしてまた、来年以降の冷害がないなんというようなことは間違っても言えないわけでありますから、それらの見通し等をも含めて、減反緩和じゃなくて、果たして減反政策がいいのかというようなことまで含めてぜひひとつ御検討をいただきたい、このようにお願いを申し上げたいと思います。
  78. 福島啓史郎

    ○福島(啓)政府委員 先生今御指摘ありました、備蓄水準の問題でございます。国民の主要食糧であります米につきまして、円滑な回転操作を図り、かつ、作柄の変動等に対応した安定措置を図るという基本的な考え方に立ちまして、政府において適正な持ち越し在庫を有することとしているわけでございます。  この持ち越し在庫の水準につきましては、かつての二度にわたる過剰時の経験等を踏まえまして、これまでさまざまな論議を経た上でその水準を百万トン程度としてきたものでございます。この点につきましては、先ほど申し上げましたように、来年度以降の生産調整の規模の見直しを行う際に、計画的な在庫の積み増しの水準につきましても、食糧管理制度の役割を十分に果たし得るよう検討を進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  79. 畠山健治郎

    ○畠山委員 前に進ませていただきます。  先ほども申し上げましたように、冷害対策は、単なる農家対策だけではなくて地域経済対策である、そのとおりだというふうに思っています。見方からすると、農家所得の中に占める農業所得というのは二〇%弱である。しかも、深刻な冷害で打撃を受けるわけでありますけれども、共済金の支払いが七〇%保証されておる、だからそれほど大きな問題ではないというふうにとらえる嫌いがあるわけでありますけれども、決してこの数字の問題ではないはずであります。心理的な問題を含め、あるいは農業団体を含め、いろいろな意味でさまざまな方面に深刻な影響を及ぼすということは間違いないわけであります。ぜひひとつ、くどいようでありますけれども総合経済対策をぜひとっていただきたい。  と同時に、農家対策、制度上の問題でいろいろなことをやっていただく。制度上の問題でありますから、当然といえば当然であるわけであります。ところが、制度上だけの問題ではなくて、こういう異常、緊急事態なわけでありますから、制度を超えた具体的な中身を求めなきゃいけないという問題が出てくるというふうに思っております。  例えば、一つの例として申し上げさせていただきたいというふうに思いますけれども、天災融資法あるいは激甚災害指定の発動をしていただく、そのことによって低金利の融資をしていただくということも大変ありがたいわけでありますけれども、さりとて、低金利とはいいながらも三%でございます。高いときも三%を守っておったからというような議論もあるかもわかりませんけれども、今の金利市場を見たら三%は決して安いということでもないわけであります。制度からすれば三%とおっしゃるかもしれませんけれども、そんなことを言わずに、まさに異常事態、こういう事態でありますから、ぜひひとつ、制度を超えた手だけをきっちりとしていただく、このようにお願いをしたいと思っておりますけれども、その心構えをお聞かせをいただきたいと思います。     〔二田委員長代理退席、赤城委員長代理着     席〕
  80. 福島啓史郎

    ○福島(啓)政府委員 冷害対策につきましては、九月三十日の冷害対策等に関する関係閣僚の会合におきまして八項目の対策を定めたわけでございます。それに即しまして、被災地域あるいは農家に対する救済対策の円滑な推進に向けまして、先生御指摘のありました既存制度あるいは事業の積極的な活用、さらには先般の緊急経済対策に係る事項とあわせまして、必要な措置につき財源の確保を含め、特段の配慮を払っていくよう協力をお願いしているところでございます。  金利につきましては、先生御指摘ありましたように、天災資金につきましては特別被害地域の特別被害農家が三%という金利でございまして、これは金利が高いときもその三%をずっと据え置いておるという事情を御理解いただきたいわけでございますし、また、自作農維持資金につきましても四%という、他の金融の金利水準から見ますと相当低い金利での資金供給を行っているという事情にあることを御理解いただきたいというふうに思っております。
  81. 畠山健治郎

    ○畠山委員 よくわかりますけれども、まさにさっきから何遍も申し上げておりますように、緊急の不況対策の一環にもなるし、大変なんだから、地域経済対策でもある、こういう位置づけをすると、制度上の問題だけで一歩も出ないなんということでは有効な手だてとはこれは言えないと思うのです。ぜひひとつもう一歩踏み込んで、この際やはり、金利市場を見ていただいたらおわかりのように、こういう状態なわけですから、それでも同じということではならないと思うのです。ぜひひとつ一工夫も二工夫もしていただぎたい。改めてお願いを申し上げたいと思います。
  82. 福島啓史郎

    ○福島(啓)政府委員 先生御質問にありました天災資金あるいは自作農資金につきましては、現在、被害の調査あるいは資金需要調査をしておりまして、それらを勘案しながら、既存事業あるいは既存制度の積極的活用なり、あるいは先般の緊急経済対策に係る事項とあわせまして、必要な措置につきまして財源の確保を含めまして特段の配慮を払っていくよう協力を要請しているところでございまして、必要な対策を着実に推進してまいりたいというふうに思っております。
  83. 畠山健治郎

    ○畠山委員 改めて総合的な冷害対策を各省庁を挙げて頑張っていただくように重ねてお願いを申し上げて、ひとまず冷害対策問題は終わりにさせていただきたいと思います。  米問題の最後の問題といたしまして、二週間ぐらい前であったでしょうか、マスコミを通して報道になりました、大蔵省は、学校給食にかかわる問題というようなことで、平成六年度予算から学校給食の米飯給食をやめようという方向を打ち出しておるやに報道されておったところであります。  そこでお尋ね申し上げたいわ付でありますが、米離れの現象が起こったというのは学校給食のパン食がきっかけであったと言われるくらい、もう言われてきたわけでございます。真偽のほどはともかく、何とかして日本の米を、日本の文化を、そして日本の自然を、環境を守っていこうという立場からも、改めて農業を見直していかなければいけない大変大事な時期だというふうに言わなければいけないと思っております。そんな時期にまたまた学校給食から米飯給食を取り外してしまうなんというようなことになったら、また悪い方向に進んでいきはしないだろうか。その懸念は、ひとり私だけではないというふうに思います。  と同時に、米飯給食、学校給食をやっておる中身、九二%にまで普及しておるから目的を果たしたのではないのか、こういう議論の中からの方向性を打ち出しておるようでございますけれども、しかし、子供さんというのは毎年新入生が入ってくるわけでありますから、目的が達せられたなんというような議論は出てくるはずがないはずでございます。  ぜひひとつそういう誤解のないようにしていただきまして、引き続き今後も学校給食中の米飯給食を続けてもらわなければ困るというふうに訴えながら、この実情につきまして農水省並びに大蔵省の見解をお尋ね申し上げたいと思います。
  84. 小林芳雄

    小林説明員 米飯学校給食につまきしては、ただいま先生からも御指摘ございましたように、米の消費拡大に非常に寄与をいたしております。またさらに、長期的な視野に立ちまして、米を中心としました日本型食生活の定着を図る上で、これは非常に重要な役割を果たしていもと私ども考えております。  本件につきましては、米飯学校給食のこういった意義を踏まえまして、今後財政当局等とも十分協議し、効果的な措置の確保に努力してまいりたいというふうに私どもとして考えているところでございます。
  85. 寺澤辰麿

    ○寺澤説明員 お答えいたします。  米飯学校給食の意義、役割につきましては、先ほど農水省から御説明があったとおりでございまして、財政当局といたしましても、米飯給食の拡大の方向で従来から予算計上してきたところでありますし、今後ともその方向は維持していきたいと考えております。  ただ、学校給食の米穀につきましては値引きをいたしておりまして、これが現在全体として二百億を超える財政負担になっているわけでございますが、先生御指摘のように、現在、学校給食の米飯の割合が相当高くなってきている、大半の学校で実施されているという状況がございます。  また、臨調答申等におきましては「給食の費用については、基本的には受益者の負担とするのが適当」という御指摘もいただいております。  また、現在の値引き額を児童一人当たりで見ますと、月額で約百五十円くらい」ということでございまして、こういった状況を踏まえまして、現在六年度の予算編成を進めておるわけでございますが、異例に厳しい財政事情の中で、財政の資金の効率的な使用というような観点から、値引きの見直しについて農水省と議論をさせていただいているということでございます。
  86. 畠山健治郎

    ○畠山委員 財政論議も決してないがしろにするつもりはございません。大事な議論のあり方かというふうに思っております。  ただ、米飯給食というのは、言ってみれば、給食を含めて、普通のパン給食とは違った側面をいっぱい持っておるわけでありますから、そういう観点で見てもらわなければ困るというふうに思うわけであります。単にお金がたくさんかかるからというような見方ではなくて、米飯給食なるがゆえに必要な経費がかかってくるというような部分がある。給食を含めて、やはりかかるわけでありますから、単に目先の金額だけというふうな判断をされるというようなことは、中身を知らないという方の議論になってしまうかというふうに思うので、ぜひひとつ文部省も、こういう点も十分、そういう現場の中身を御理解をしていただきながら対応していただくようにお願いを申し上げたいというふうに思っております。  次に、当面の景気対策につきまして、私も、田舎の中小企業の中身は一体どうなっているのかということを含めて、細かな調査ではございませんけれども、大ざっぱな調査をさせていただきました。  御案内のとおり、当初予算、補正予算、そして二次にわたる緊急経済対策、それぞれ実施をしていただいておるわけでありますから、相当程度浸透しておるんだろうなというような期待を込めながら現場に入らせていただいたところでございますけれども、中身を見てみますと、びっくりいたしました。例年ペースで見てもこれくらいは公共事業を中心とした発注があるんだろうというふうな期待感を持っている一定の量があるわけですけれども、九月末現在で、その期待感を持っておる発注高の、中身というのはわずか二〇%より満たしていないということの数字を聞かせていただいて、改めてびっくりしておったところであります。  私たちは私たちなりに何だろうというようなことでこれは調べてみたわけなんですけれども、それよりも何よりも現場の中小企業者はどんなとらえ方をしているのかというようなことを率直に聞かせていただきました。そうしたら、経済対策の効率を上げよう。効率というのは何で見るかといったら、やはり発注率、執行率といいますか、数字で見るというふうなことになるわけであります。ところが、言ってみれば執行率を高めたいゆえにぽっと出すわけですけれども、出した発注の中身は大半が用地費にまず持っていかれる。具体的に中小企業に発注というような形で及ぶことは今の時期ではなくて、これから先、しかも年度内に消化し切れるのかどうか心配も残っておる、こういう声がはね返ってきておるわけであります。  その辺のことを含めて、例年このようなことになっておるとするならば、せっかくの景気対策不況対策ということの公共事業を発注してもらっておるわけでありますけれども、当面まだその効果が出てきてないという格好になってあらわれておるわけであります。何とか具体的に、やむを得ないというようなこともわかるような気もしますけれども、いつまでも同じようなことの繰り返しであってはならないというふうに思いますから、適切な手だてを施してもらわなければいけないだろうというふうに考えます。ぜひひとつその辺の事情を含めてお聞かせをいただきたい、こう思っております。
  87. 小林惇

    小林政府委員 ただいま委員御指摘の点でございますけれども、特に末端の中小企業に公共事業の関係の契約発注が及んでいないのではないかということの御指摘であるわけでございますが、本年四月の対策において、事業規模十兆六千二百億円の公共投資というものの拡大を行うことにしたわけでございます。  その際に、これら公共事業の執行に当たりまして、中小規模工事の早期発注であるとか工事の分割発注等に特段の配慮を払って、中小建設業者に対する受注機会の確保に努めるということになってございまして、この方針は八月三十一日の緊急経済対策関係閣僚会議においても再度確認をされておるわけでございます。  それから、委員御指摘のように、用地費の割合がこの事業規模十兆六千億円の中で非常にウェートが高くて、実際の契約、中小建設業者への発注につながってないのではないかという御指摘でもありましたけれども、十兆六千二百億のうちの一兆六千億円の規模で公共用地の先行取得が行われることになってございまして、これはこれとして、今後の公共事業等の円滑な実施を図るために必要不可欠の要素であるというふうに考えてございます。  したがいまして、今までのところ政府としては、この基本方針に沿いまして、特に本予算の前倒し発注といいますか、それに努めておるところでございまして、現段階で、七月の時点で締めた数字でありますけれども、国の事業では六二・七%ということで、上期七五%目途というものの達成に万全を期してまいりたい、こういう状況でございます。
  88. 畠山健治郎

    ○畠山委員 平常ペースであれば特段問題にする必要もないかと思いますけれども、このとおり大変な不況のさなかでございますから、何とかして早い時期に景気を刺激しようというようなことをやっていただいておるわけでありますから、ぜひひとつ、今後とも末端まで効果的にその対策が及ぶようにいろいろな創意工夫をしていただきますように、重ねてお願いを申し上げたいと思います。  それから二つ目の問題は、規制緩和をしていただく、大変ありがたいことで、新たな需要が起こることでありますからぜひやっていただきたい、もっともっと大胆にやっていただきたいというふうに思っておりますが、これもまた、規制緩和をしょうというようなことから逆に発注率が悪くなっている嫌いが現場の問題として聞かされてきたところでございます。  具体の問題として申し上げたいわけでありますが、例えばその現場というのは、トラックの重量規制を緩和をして輸送コストを下げていこう、ぜひひとつそういう方向に規制緩和をしていただきたい、こういうことで取り組みをしておるやに承っております。ところが、中身がなかなか煮詰まらないというようなことで逆に仕事が思うように進んでいっていないという問題も聞かせていただいておったところであります。  特に、ここの現場というのは橋梁の振動を少なくするという部分の仕事の現場でございました。いつもであれば当然発注になっておったところが、規制緩和絡みでどうやら発注がおくれておるというふうなお話を伺って、これは大変なことだ、規制緩和はいいことだけれども具体的な景気対策には逆に足を引っ張っておるというような要素になっているのではないのかなというふうな現場に出くわしたわけでございます。ぜひひとつ、この点を含めて事情をお聞かせいただきたいと思います。
  89. 小林惇

    小林政府委員 委員の今の御指摘がございました、橋梁の工事発注に絡んでトラックの総重量を今度緩和するという規制緩和がかえってマイナスに働いているという状況、私ども必ずしも知悉しておりません。ただ、重量緩和の措置自身は規制緩和九十四項目の中でも最も早く取り上げられる幾つかの項目の一つでございまして、年内実施されるというふうに聞き及んでおります。  ただ、その場合に、いろいろございますけれども、重量を緩和して、通れないようなところを重い総重量のトラックが通るということでは危険きわまりないということになるわけでございますので、そのあたりはまた担当省庁で目配りをしておるわけでございます。  ただ、規制緩和自体は順調に進めなければいけないアイテムであって、これは一番最初規制緩和のグループに入っておるというふうに認識をしておるわけでございます。
  90. 畠山健治郎

    ○畠山委員 景気対策上、規制緩和期待が大きいわけでありますから、ぜひひとつ安全性を含めて十分な、周到な検討が必要かと思いますけれども、そのことによって仕事がおくれていくなんということのないように万全を期して対応していただきますように、重ねてひとつお願いを申し上げたいと思います。  次に雇用問題でございますが、このとおり深刻な不況の中から、雇用の不安がさまざまな形で、とりわけ来年の新卒者の雇用問題を含めて大変な不安が今訪れておるわけでございます。いろいろ難しい点もあることは承知でありますけれども、一方ではこのとおり莫大な貿易黒字をつくって海外から批判を浴びておるわけでありますから、何としてもそのために必要なことは、やはり働き過ぎはよくない、労働時間短縮に結びつけていかなければいけないというようなことが喫緊の課題かと思っております。ぜひひとつ、労働時間短縮等含めて雇用を少しでも創出をしていく、こういう方向で十分な対応をしていただきたい、当然のことだというふうに思っております。  その件に関して経済企画庁の見解を承りたいと思います。
  91. 小林惇

    小林政府委員 委員御指摘のとおり、現在の不況は深刻な雇用不安を招いている要素がございます。特に、最近の雇用情勢を見てまいりますと、有効求人倍率等で顕著な低下が見られるということでございまして、前回の円高不況のときの最悪の状況にまではまだ達しておらないわけでございますけれども、低下を続けておる。それから、失業率についても、二・五%ということで、これは前回の円高不況時の三・一%というところにはまだ達しておらない状況でございますけれども、悪化が続いておるというようなことがございます。  しかし、一方、雇用ということで別の数字を見てまいりますと、依然として堅調に、前年比で二%程度伸びておるという状況がございます。ですから、新聞等で毎日のように報じられます雇用調整でありますとか、一時帰休でありますとか、非常に深刻なお話が続いておりますけれども我が国経済の中で実際には規模別では大企業の雇用というのが非常に今悪い、それから、製造業の雇用が非常に悪い状況になっておるということで、いわばバブル期に採用が順調であったような業種業態において調整が進んでいる面がございます。ということで、雇用全体を眺めてみますとまだまだ堅調に伸びておるという事実がございまして、二%程度前年比で伸びておる、こういう状況でございます。  ただ、全体として雇用というのは御案内のとおり景気におくれて悪くなる傾向があるわけでございますので、今後しばらくの間、雇用情勢については目を離すことができないというふうに考えております。  こうした状況を踏まえまして、基本的には先般の緊急経済対策におきましても、特に雇用に関しまして雇用調整助成金の支給対象となる業種について基準の緩和を図るという措置を、今までも講じておりましたけれども、それを来年の三月まで延長することにしたという状況でございます。これ以外にもいろいろな手を打っておるわけでございます。  また、委員御指摘の労働時間の短縮というのは、中期目標としてやっておるものでございますけれども、現在平成四年度で千九百五十八時間ということで、着実にこちらの方も進めておる、こういう状況でございます。  いずれにしましても、大事なことは雇用についての動向を十分注視をしてまいらなければいけない、こういう状況であるかと思っております。
  92. 畠山健治郎

    ○畠山委員 時間もなくなりましたので、最後にお尋ね申し上げたいと思います。  先ほども申し上げましたように、景気対策ということで本予算並びに補正予算、さらには二次に及ぶ緊急経済対策、それぞれ実施をしてまだ現在進行中であるわけでありますが、いまひとつぱっとしないというのが、これまでの議論の中にもいっぱい出てまいりました。  そこで、残された手だてはということで、所得税減税をやれと私どもも声を大にして今要求をしておるところでございます。効果のほどについてもいろいろと論議のあるところでありますけれども、ぜひやってほしいというふうに私どもここでもまだ主張申し上げたいわけであります。  ただ、心配されますことは、それに必要な財源ということで消費税の税率の引き上げをやろう、こんなことになったならば、確かに所得税減税のプラス要因はあるかもしれませんけれども消費税増税ということのマイナス要因が働きますから、もしそうだとするならば、これはプラス要因にはならないだろうというふうに言わざるを得ないと思います。とりわけ消費税の税率の引き上げというようなことになりますと、単に今ばかっと出るだけじゃなしに、これから先ずっと引きずっていくわけでありますから、大変なマイナス要因にならざるを得ないというふうに考えます。したがって、私どもも、所得税減税をやれと言って両手を挙げたいわけでありますけれども、二の足を踏まざるを得ない要素も持っておるわけであります。  ですから、所得税減税に必要な財源の手だて、別の手だてを見出さなければいけないだろうと私どもは率直に考えております。その必要な財源は何かと申しますと、御案内のとおり、行財政改革の中から出てきたことは民活、民活ということで、盛んに民活が唱えられてまいりました。民活を進めようというようなことからどんな手だてが打たれたかと言いますと、いわゆる税制上の優遇措置をとろう、だから民活、ひとつ頑張ってくださいというようなことの経過がこれまで七、八年ずっと繰り返されてまいった。その税制上の措置というようなことは、言うなれば租税特別措置法、補助金がそちらの方へ潜り込んでしまったということが中身ではないだろうか、こういうふうに言われても仕方がないと思っております。見直しをするとするならばこの租税特別措置法の中身こそ問題があるだろう、ぜひひとつこの辺の見直しをして財源を引き出すことができないだろうか、率直にそう考えております。大蔵省の御見解を承りたいと思います。
  93. 玉木林太郎

    ○玉木説明員 お答えいたします。  景気対策としての所得税減税につきましては、その経済効果あるいは委員が御指摘になった財源の確保等々、克服すべき課題が極めて多いことから、これを実施できるような状況にはないと考えております。所得税減税の問題につきましては、当面の景気対策ということではなくて、所得消費、資産等の均衡のとれた税体系の構築についての総合的な検討、その中で取り組むべき課題と考えているところでございます。  今お話のありました租税特別措置でございますけれども、特定の政策目的に資するという観点で設けられているこれら措置は、公平、中立、簡素といった税制上の基本原則を犠牲にしているという面があることは確かに否定できません。したがいまして、我々といたしましても、個々の政策目的と税負担の公平といった面の調和を図る見地から、常にそのあり方について吟味を行う必要があると考えております。  このような考え方に基づきまして、今御指摘のありました企業関係の租税特別措置、これは従来から厳しい見直しを実施してきておりまして、今後とも、税負担の公平確保等の観点から、社会経済情勢の変化に即応して見直しを進めていく考えであります。この税負担の公平の確保は、税制に対する納税者の信頼を得るための最も重要な原則の一つでありまして、従来から努力を続けているところでございますが、こうした努力は、減税するかどうかということとは全く独立に、減税財源の確保を念頭に置いて行われるというよりは、不断の努力を要求される課題ではないかと私ども考えております。  いずれにせよ、政府としましては、今後ともより公平、適正な税負担の実現を目指して努力してまいりたいと存じます。
  94. 畠山健治郎

    ○畠山委員 これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  95. 赤城徳彦

    赤城委員長代理 青山二三君。
  96. 青山二三

    ○青山(二)委員 公明党の青山二三でございます。与えられました時間が三十一分という非常に短い時間でございますので、早速質問に入らせていただきます。  まず初めに、国民生活センターと各地の消費センターについてお伺いをいたします。  国民生活センターは、全国の都道府県、政令指定都市の消費センターをコンピューターのオンライン、ネットワークで結び、消費者からの苦情、相談などを収集いたしまして、分析、評価、提供、また商品の比較テストや全国の消費生活センターから寄せられました苦情処理、テストを行うなど、消費者に大きく貢献をいたしております。  過日は、総合的景気対策の一環といたしまして、各省庁から九十四項目にわたる規制緩和が提出されました。このように規制緩和が拡大されることになりますと、消費者はさらにしっかりと自衛策を講じなければなりません。そのために、国民の監視役のかわりとしても、国民生活センターや全国各地の消費生活センターの果たす役割は非常に大きいものがございます。先ほどの大臣所信の中でも、「国民生活センター等を通じた積極的な情報提供など、消費者行政の一層の充実を図ってまいります。」と述べられておりまして、私も大いに期待するものでございます。  そこで、まずお伺いしたいのが、国民生活センターの機能の充実強化についてでございます。具体的にどこをどのように充実強化されるのか、御説明をお願いいたします。
  97. 加藤雅

    ○加藤(雅)政府委員 お答えいたします。  国民生活センターは、昭和四十五年に国民生活に関する情報の提供及び調査研究ということを目的にして設立された法人でございます。  規制の緩和に関しまして、消費者の情報、消費者に与えます商品情報あるいは危害情報を充実するということは非常に重要なことでございます。したがいまして、私どもといたしましては、まずセンターの任務でございますところの普及啓発ということが重要でございますので、従来からラジオ、テレビ等で番組を提供いたしておりますが、そのほかに、最近は「たしかな目」という月刊誌がございまして、これは商品テスト等の情報が出ておりますが、これを従来隔月でございましたのを月刊に直しまして、これは大体毎号三万部くらい出ております。それから、消費者相談に関しましても、いろいろな形で一層充実を図っております。  それから、危害情報の収集に関しましては、従来から病院とオンラインで結びまして危害情報を収集しておりましたが、その病院の数を現在、これは予算の制約がございまして、大変お金がかかるわけでございますが、だんだん病院の数をふやしておりまして、またその情報の内容も充実をしてきたところでございます。  それから商品テストに関しましては、御案内と思いますが、現在淵野辺にございます商品テスト施設、これは設立されましてからやや時間がたちまして、そのために置かれております機械等が古くなりましたので、過去三年くらいで更新できるものは全部更新をいたしました。  また、その御指摘のコンピューターに関しましても、容量に制約ができましたので、昨年度でございますが、大容量のコンピューターに交換いたしまして、そのような形で情報機能を現在強化しつつあるところでございます。  今後とも一層情報の提供の強化に尽力してまいりたいと考えております。
  98. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変期待をいたしております。  そこで、私も過日、港区高輪の国民生活センターを視察させていただきました。ただいまお話がございましたように、設立より二十数年を経過いたしておりまして、大変手狭な感じがいたしました。  役員が九名、職員が百二十七名、相談員は四名で、ひっきりなしの電話の対応でございました。全国の消費生活センターの中核的存在としての人員の増加が必要ではないかと痛感したところでございます。過去五年間、人員の増加が図られていないとお聞きいたしておりますが、この点についてはどのようにお考えになっておられますでしょうか。
  99. 加藤雅

    ○加藤(雅)政府委員 お答えいたします。  国民生活センターの役職員の定員は、御指摘のとおり役員九名、職員百二十七名、昭和六十三年度以降変わっておりません。  御指摘の相談員につきましては非常勤でございまして、本来国民生活センター自体は直接相談を受けるということを必ずしも任務としておりませんので、むしろ私どもとしては各地の消費者センターに置かれている相談員の方に情報を集めていただきたいというふうに考えておりますが、やはり国民生活センターの仕事の性質上、直接消費者の相談にかかわると、どういう御相談が今あるかということを知っておくということは大事なことでございますので、そういう趣旨から、あそこに非常勤の形で相談員の方を配置しているわけでございます。  そういうことでございますので、確かに相談員は非常に多忙をきわめておられますけれども、本来国民生活センター自体が必ずしも直接相談を受けるという趣旨ではないということは御理解いただきたいと思います。
  100. 青山二三

    ○青山(二)委員 ただいま大臣がお見えになられました。本来ならば最初に申し上げますべきところでございますが、ここで大臣就任のお祝いを申し上げたいと思います。  経済の動向の大変な折柄ではございますけれども、同性の立場から大変うれしく思っております。心から大臣の御活躍を祈り、御期待を申し上げるものでございます。  実は私も県議会議員の折には、五十五名の中でたった一人の女性ということで頑張ってまいりました。このたびは三人もの女性の大臣が誕生いたしましたが、まだまだ諸外国と比べますと低い比率でございます。さらなる女性の進出という点から、私も大臣とともに頑張ってまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。  それでは、質問を続けさせていただきます。  今度は消費センターについてお伺いをしたいと思います。  消費生活センターは、地方の公共団体が独自に設置しておりまして、名称も消費者センターとか生活科学センターあるいは県民生活センターといろいろございます。また、規模も地域の実情に応じてさまざまでありますが、現在全国に二百九十八カ所設置されております。消費者、住民の一番身近な相談所として大きな役割を果たしております。規制緩和が進められていくならば、さらに機能の充実をしてほしいとの消費者からの声が聞かれる折でございます。  しかしながら、都道府県によって設置状況に大きな格差がございます。例えば、私の住んでおります栃木県には十一カ所ございます。そして、お隣の群馬県、これは人口的にも似通っておりますけれども、たった一カ所しかございません。全国を見てみますと、一カ所しかないという県がほかにも、岐阜県、愛媛県、高知県、大分県というふうになっておりますので、こうした格差をどのようにごらんになっておられますでしょうか。     〔赤城委員長代理退席、委員長着席〕
  101. 加藤雅

    ○加藤(雅)政府委員 お答えいたします。  消費生活センターは、昭和四十年代の後半から五十年代の初めにかけましてかなり増加をしてきたところでございますが、御指摘のように都道府県立につきましては、現在もうすべての都道府県にございますけれども、それでも県によってかなり多いところと少ないところがございまして、特に市とか区立のセンターはかなり大きなばらつきがあるわけでございます。  私ども期待といたしましては、今後市区町村立のセンターを充実していただきたいというふうに思っておりますが、ただ、昭和四十九年度以降、消費生活センターの整備というのは都道府県、市町村で自主的にお願いするということに制度を変更いたしたものでございますから、希望はいたしておりますし、それから、国民生活センターの業務を通じて各地の消費生活センターに支援をするということは今後もやってまいりたいわけでございますが、なかなか何カ所つくってくださいというふうなことは言えない立場にございます。
  102. 青山二三

    ○青山(二)委員 消費者へのサービスということにつきましては、このようにたくさんあるところと少ないところということではサービスに大きな不均衡が生じるわけでございますので、極力国といたしましても、市町村に設置するようにということで働きかけていただきたいと思います。  次に、消費センターで働く相談員についてお伺いをいたします。実際に働いている方々から聞いたお声なども伝えておきたいと思います。  センターに寄せられる相談や苦情は千差万別でございまして、相談員が受ける苦情や相談事は、きょう受けてきょう解決するというものは大変少なく、一つの問題を解決するには平均三、四日はかかるそうでございます。そして、一番多い例では三十六回の交渉を必要としたということもあるということでございまして、大変な労力をかけ、また苦労しながら問題解決に当たっております。  ところが、その相談員の身分がまちまちでございまして、ほとんどが臨時雇いや嘱託の相談員でございまして、待遇は安くて、一日の給与は三千五百円から五千五百円、中には一カ月に五回の出勤、あるいはまた二日に一回の出勤、こういうところもあるようでございます。消費生活専門相談員として資格認定試験というのがございますが、これを受けるのも自費で行っておりまして、合格しても身分は変わらない、それでも一生懸命頑張っているということでございます。消費者行政をより充実させるために、最先端で働く相談員の身分の向上、また待遇の引き上げが今一番必要ではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
  103. 加藤雅

    ○加藤(雅)政府委員 消費生活相談員につきましては、現在全国で約二千六百名が配置されておりますが、御指摘のように、九割は非常勤職員等ということになっておるようでございます。私どもは、消費生活相談員協会というのがございまして、そちらの方といろいろお話し合いをしておりますが、必ずしも非常勤であるということで非常に都合悪いということばかりでもなく、むしろ勤務状態としては非常勤の方が望ましいのだというお話もあるわけでございます。やはり、各自治体によりまして勤務条件が非常にばらついているということがむしろ問題ではないのかなというふうに私ども感じている次第でございます。  そういう中で、実は消費生活相談員の処理なさる苦情相談の内容というものが最近非常に複雑化、多様化しておりまして、そういうものに対応していただくために非常に高度の知識とか能力を備えていただかなければならない。私どもといたましても、国民生活センターで毎年講座などを開いておりまして、受講していただくということをやっておりまして、平成四年度には約六百名の方が受講していただいたわけでございますが、東京だけでございますとなかなか地方の方は受講できないというふうなこともございますので、今年度から地方でもこの講座を開設しようということを決定いたしまして、そのように現在実施しているところでございます。  いずれにいたしましても、先ほど御指摘の資格制度等も含めまして、相談員の資質を向上するように努力していただくということも非常に大事でございますので、処遇につきましては自治体が自主的にお決めになるということになっておりますものですから、これも先ほどのセンターと同じで、こちらから調整するという性格のものではございませんのですけれども、少しでも改善をしていただくようにということで今後とも働きかけはいたしたいというふうに思っております。
  104. 青山二三

    ○青山(二)委員 ただいまの同じ質問で、女性の地位向上という立場から、ちょっと長官の御見解をお伺いしたいのでございますが、いかがでしょうか。
  105. 久保田真苗

    久保田国務大臣 女性の地位向上という見地からは、私はやはり女性がきちんと働いていける、仮に非常勤でございましても、時間の少ないところはともかくとしまして、働きに対する報酬の率というものが正当な評価を受けて、そしてそれに対して、今パートタイマーの法律あるいは待遇改善といったようなことが問題になっておりますけれども、そういった面での配慮もあってしかるべきだろうと思っております。
  106. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変ありがとうございました。  それでは、質問を次に移らせていただきます。製造物責任法についてでございますが、先ほどもお二方から出ておりましたけれども、私の方からも何点か質問をさせていただきます。  新聞報道によりますと、この製造物責任制度につきまして、通産省あるいは厚生省などの関係省庁が従来の方針を転換して法制化に向けて前向きに検討している動きも見られますが、この事実関係の確認をまずさせていただきたいと思います。  また、国民生活審議会より、立法化に当たっては、個別商品ごとの対応ではなく包括立法が望ましいというような報告も行われたとございますが、この点どのようにお考えでしょうか。
  107. 加藤雅

    ○加藤(雅)政府委員 事実関係ということでございますので御説明させていただきますと、現在、国民生活審議会消費者政策部会というところで私どものところは審議を続けておりまして、九月十日と十月八日の二回、この消費者政策部会で検討するということになっておりました製品事故にかかわる原因究明機関のあり方、少額被害等にかかわる裁判外紛争処理のあり方、それから情報の収集、分析等にかかわる制度のあり方、それからいわゆる民事責任ルールのあり方、以上四点について議論をいたしたところでございます。  今後は、十一月中に部会を二回程度開催いたしまして、関係省庁から所管の製品について検討結果をお話しいただくという段取りになっております。
  108. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは続けさせていただきます。  この製造物責任法は、アメリカを初めEC及びEFTA、欧州自由貿易連合加盟の十九カ国の中でフランス、スペインを除く十七カ国で制定されておりまして、さらにフィリピンとかオーストラリア、中国においても制定されております。製造物責任法の導入はもはや世界の大勢を占めておりまして、我が国においても一刻も早い制定が求められております。  こうした状況の中、我が公明党は、平成二年二月に政党として初めて製造物責任法要綱を発表いたしまして、昨年の五月、党独自の製造物の欠陥による損害の賠償に関する法律案を提案させていただきまして、生活者優先の政策実現努力してきたところでございますが、この公明党案について大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  109. 久保田真苗

    久保田国務大臣 公明党におかれましては、大変立派な要綱をお出しになりまして、また百二十三国会におきまして、製造物の欠陥による損害の賠償に関する法律案というものをお出しになっていらっしゃるところでございます。  こうした消費経済の盛んになっております今の世界経済の中では、当然そのように先進国においては大体もうこうしたところを卒業しておりますし、また、アジアにおきましても、おっしゃいましたような国がずっとこういうものをつくってきておりますのは、やはり生産者消費者の間にさまざまの接触があり、その商品の安全性について一定の社会的ルールを設けて、それによって双方がこれに対して準備をしていくということは、非常に適当なことだと思います。  企画庁としましても、消費者行政の中で最も重要な課題だと思っておりまして、公明党の法律案につきましても国民生活審議会の中でこれをさまざまの角度から検討さしていただきまして、この法案の考え方につきましても、これを一つの考え方という意味で、現在行っておりますこの制度の進展につきましての参考とさせていただいているところでございます。
  110. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、消費者重視という視点からこういう問題が大変大切でございます。ただいま御答弁いただきましたけれども、法制化に向けてさらに力を入れていただきたいと期待をいたしておりますので、製造物責任法制定に向けて、もう一度大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  111. 久保田真苗

    久保田国務大臣 今御説明いたしましたように、国民生活審議会が今年じゅうにも最終的に結論を出すという審議の御過程でございまして、その討議は極めて活発でございまして、関係省庁もここに対して十一月に報告をする、そういう段取りで極めて協力的に参加してきていただいているところでございます。  したがいまして、法制化の問題も含めてこれは審議会で結論をいただくことになっておりますが、私といたしましても、審議会の実りのある検討結果を心からお待ちしているところでございます。
  112. 青山二三

    ○青山(二)委員 きょうも、先ほど消費団体の方々がたくさんお見えになっておられまして、この法制化を陳情されておられました。毎週お見えになるということでございますので、こうした折に、消費団体の強力な要請にこたえるためにも、ぜひとも早期の制定をお願いいたしたいと思います。  では、時間がございませんので、最後になりますが、米問題。先ほどもたくさんの皆様のやりとりがございましたけれども、私は、消費者の立場から、何点か質問をさせていただきます。  この米の凶作は、外食産業とか米の加工を行っている産業にとりましては大きな影響でございまして、深刻な問題になっております。そして、一番心配いたしておりますのは店頭販売価格の高騰でございまして、消費者に便乗値上げのツケが回ってくるのではないか、このように心配しているところでございます。結局値上げに直撃されますのは一般消費者であるからでございます。  そこで、食糧事務所による店頭指導の拡充を行うべきと考えますが、食糧庁はどのような対応策を講じているのか、御説明をいただきたいと思います。
  113. 梅津準士

    ○梅津説明員 お答えいたします。  ただいまの米の小売店に対する巡回指導の点でございますけれども、これにつきましては、従来年一回巡回指導を行ってまいりましたが、今月十月からは、これまでの毎年一回の巡回指導に加えましてより濃密な形で月一回の巡回指導を実施しまして、適正な販売活動を行うよう指導してまいりたいと思います。  その結果、不適切な販売活動が認められました場合には、業務改善指導命令等により所要の措置を行ってまいりたいというふうに考えております。
  114. 青山二三

    ○青山(二)委員 よろしくお願いいたします。  また、経企庁としても、全国で物価モニターによる価格調査実施して監視の強化を図るべきではないかと考えておりますけれども、いかがでしょうか。
  115. 坂本導聰

    坂本(導)政府委員 御指摘のように、経済企画庁といたしましても、米の小売価格を把握あるいは監視するため、今御指摘の物価モニターによる価格の調査というものを実施すべく、現在準備中でございます。
  116. 青山二三

    ○青山(二)委員 実は私、栃木県の出身でございますけれども、この栃木県も大変冷害に見舞われております。過日実態調査をしてまいりましたけれども、県北地域は全滅のところもございまして、全般的に相当の被害を受けております。そして県内のお米屋さんでは米が飛ぶように売れている、こういうことでございまして、これらは今後の米の値上がりを心配しての消費者生活防衛のあらわれだと思います。  そこで、米価格の安定という観点から、主食用米の輸入を早期に決断して発表することによって国民の不安を取り除くことが重要になると思いますが、食糧庁としてはどのようにお考えでしょうか。
  117. 小林芳雄

    小林説明員 先ほどございましたように、本年産の作柄につきましては、予想し得なかった異常気象ということで戦後最低の水準となっておりまして、六米穀年度、この十一月からの供給期間でございますが、そのときの米需給については相当厳しいものとなるところでございます。  特に、年末年始に向けた加工用の需給、これにつきましては、その需要にこたえるために、米菓でありますとかモチ等につきまして二十万トンの緊急輸入を行うこととしております。  主食用米の需給でございますが、これにつきましては、今後の集荷状況あるいは来年産米の作付の見通しというようなことを考えていくことにしておりまして、こういったことに左右されるものでありますが、現在、五年産米の全量集荷に全力を挙げて取り組むということ、それから来年産米につきましては、転作等の目標面積の見直しあるいは六年産新米を早期供給するというようなことにつきまして、検討を進めているところでございます。  いずれにいたしましても、このような対応を通じまして安定供給を図ってまいりたいと考えておりますが、厳しい需給事情のもとで輸入が必要になってくる事態も想定されますので、今後の状況を見ながら、食糧管理制度の基本的役割を十分に踏まえて、国民の皆さんに不安、動揺を与えることのないよう万全の措置を講じてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  118. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、消費者の皆さんの不安を取り除くというために、例えば米は買いだめしなくても大丈夫、このような新聞広告を掲載するとか、あるいはテレビのマスコミを使ってPRをしていただけたらな、このように思いますけれども、この点、食糧庁の御見解はいかがでしょうか。
  119. 梅津準士

    ○梅津説明員 お答えいたします。  消費者の皆様からの苦情や相談に的確にお答えするために、各食糧事務所にお米一一〇番等の相談窓口を設置しますとか、それから消費者の方々が米の供給につき無用の不安を持ち、買い急ぎ、買いだめ等に走るということのないよう、食管法のもとで万全の供給をしていきますというふうなこと、それからお米は言うなれば生鮮食品でありまして、当座の必要量を超えて大量に買い求められましても品質の低下を招くといったことにつきまして、各種の報道機関、テレビ、ラジオ、新聞等を通じまして、あらゆる機会を通じましてそういったことを周知啓発を図ってまいりたいというふうに考えております。  現に、ことし特に作柄の悪い青森、岩手、宮城の各県におきましては、食糧事務所、県、あるいは米の販売協会が一体となりましてそうしたPRを実施しておりますけれども、今後とも私ども、全国的にそうした消費者啓発を実施してまいりたいというふうに考えております。
  120. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは最後になりましたけれども、かつての石油ショックのときのようなパニックが起こらないためにも、ここでぜひ主婦の代表であるという立場から、大臣からも消費者に、米の買いだめをしなくても大丈夫だと訴えていただけたらと思います。それで質問を終わらせていただきます。
  121. 久保田真苗

    久保田国務大臣 お米は大変大事な食糧でございますので、これに不安が起こらないようにまず万全の手を打つということは、農水大臣もっとに言っておられるところでございます。  したがいまして、ただ、今お米が不安であるということから、買いだめ、買い急ぎ等のことが起こりますと、実際にはそれほどの不安がない場合にも非常にパニックに陥るということは全然ないとは申せませんので、ぜひ消費者の皆様はそこのところを、必要なときに必要なものをしっかり買うというそういう方向でお願いしたいと思いますし、私どもも不安の起こらないように、安心していただけるように内閣として努力してまいりたいと思います。
  122. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変ありがとうございました。  以上で終わらせていただきます。
  123. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 西村眞悟君。
  124. 西村眞悟

    ○西村委員 西村です。長官、御就任おめでとうございます。限られた十五分ですので、また先輩委員が大局的な質問をされた後ですので、私は具体的な二、三点について質問差し上げたいと思います。  まず輸入制限品目についてですけれども、現在日本には、積極的に輸入自由化を進めてまいりましたけれども輸入制限品目が十二品目残ってございます。米の問題に隠れておりますけれども、この中で私は、魚介類、タラ、ブリ、サバ等、その等の中には、等と申しますのはイワシ、アジ、サンマ、ニシン、つまり我々が子供のときから食卓で食べておった大衆魚が大体すべて含まれておりますのですけれども、これらの魚介類を輸入の制限をしている根拠はどういうことでございましょうか。
  125. 大隈満

    ○大隈説明員 お答え申し上げます。  現在、先生御指摘のとおり、魚介類に関しまして、特に近海の魚を中心として輸入制限がございます。これは、無秩序な輸入我が国の漁業者に悪影響を与えないようにということで、我が国の中小零細な沿岸、沖合の漁業者の主要な漁獲対象魚種でありますアジとかサバ、ブリといったものについて輸入割り当てを行っております。  これらの魚種は、資源管理上、国内漁業者に対しまして一定の漁獲規制等を課しております。また同時に、これらの魚種は、韓国あるいはロシアといった近隣諸国と同じ海域が続いておりますので、漁獲競合を生じるという状況がございます。  したがって、仮にIQが撤廃された場合に、これによる魚価の下落ということは漁業者の水産資源の保存に対するインセンティブを失わせるということになりますので、資源管理上問題であると考えております。それから、近隣諸国によります過剰漁獲ということの助長にもつながるのではないか。したがって、ひいては消費者に対しましても、水産物を安定的に供給するための漁業生産構造に悪影響を及ぼすということを懸念しておるわけでございます。  他方、マグロ等国際的に規制を期待し得るものあるいは比較的その資源管理が容易なもの、こういうものについては、我が国としてもその国内需要の拡大に応じまして、また、自由貿易に貢献するという観点からも自由化を進めてきておりまして、現在、我が国は世界の水産物貿易の約三分の一を占めるという世界有数の水産物貿易のマーケットということで、近年輸入も増大してまいりまして、十分開かれた市場になっておるというふうに認識しております。
  126. 西村眞悟

    ○西村委員 タイとかヒラメとかそういうのは完全自由化でございますが、タイとかヒラメとかに比べて、今申し上げたこの品目がIQを設けておるという理由についてはいかがでございましょうか。
  127. 大隈満

    ○大隈説明員 タイ、ヒラメの場合につきまして、我が国でも養殖あるいは近海における漁獲ということを行っておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり比較的資源管理が容易であるということから、これについては昭和三十年代ないしは四十年代の初めごろかと思いますが、自由化を行っております。
  128. 西村眞悟

    ○西村委員 このIQを設けている魚介類について、生産と輸入消費の現状をお聞かせいただけませんでしょうか。
  129. 大隈満

    ○大隈説明員 お答え申し上げます。  近海魚の関係で申しますと、サバの関係では、一九九二年の数字でございますけれども輸入量が約十四万トン、国内生産量が約二十八万トンでございます。それからアジでございますが、輸入量が約五万トン、国内生産量が約三十万トン。それからブリでございますが、輸入量はほとんどございません。国内生産量は約二十万トン。それからタラ類でございますが、輸入量が三万七千トン、国内生産量が約八万トン、こういったところでございます。
  130. 西村眞悟

    ○西村委員 関税化という方向で検討を進めるおつもりはございませんか。
  131. 大隈満

    ○大隈説明員 ウルグアイ・ラウンドにおきまして、関税化の方式というのは農産物交渉の中での枠組みということで議論をされておりまして、水産物は林産物と同様にこれは別途のグループで議論が行われておりますので、輸入制限についてはもちろん議論がございまして、一部では撤廃すべきであるという国もございますけれども、現在のところは、どちらかといいますと関税の引き下げをめぐっての交渉が行われておるということでございます。その後の交渉の進みぐあいということによっては、この輸入制限という問題がさらに緊迫の度を増すということも考えられますが、関税化という方式はウルグアイ・ラウンドの枠の一応外にあるといいますか、水産物交渉の枠組みにはなっていないということでございまして、また政府としましても、この輸入制限につきましては、先ほど申し上げましたような立場からその基本的な枠組みは維持してまいりたい、このように考えております。
  132. 西村眞悟

    ○西村委員 消費者に関して、自由化がされればこれら大衆の食料品が安く手に入るということは事実でございますから、今後またその方向でも、それを視野に踏まえた検討をしていただきたいと思います。  次に御質問いたしますのは、円高差益についてですけれども、先ほども少し出ましたけれども、電気、ガスについては公共料金ですから、明確に円高差益の還元ということで、電力二千三百億、ガスが三百五十億というふうに算定されておりますけれども、算定が非常に難しいとは思いますけれども一般消費者生活に非常に関連の深い石油製品、ガソリンとかLPGとか、そういうふうなのがおおよそどれぐらい還元されるものなのだろうか、おおよそ試案がありましたら、またそれから、還元に向けてのいわゆるプッシュといいますか、どういうふうな推進策をとっておられるか、お教えいただきたいと思います。
  133. 松永和夫

    ○松永説明員 お答えいたします。  御指摘のガソリン等石油製品でございますけれども、その価格は電力料金あるいはガス料金等の公共料金とは異なりまして、自由なマーケットの中で決まってくるものでございます。  石油製品の価格でございますけれども、各石油会社は、中東等産油国から原油を輸入いたしまして石油製品を国内で製造しているわけでございますけれども、現在、直近の原油価格それから為替レート等の変動に合わせてそれぞれ毎月の仕切り価格、仕切り価格と申しますのは、これらの精製元売企業からガソリン販売業者等に対して卸す価格でございますけれども、その仕切り価格を設定しております。といいますのは、いわば毎月、原油の価格の動向それから為替レート等の動向に応じて仕切り価格が変動していくということでございます。したがいまして、毎月の仕切り価格の変動という形で、円高による差益というものは価格のいわば低下ということを通じて反映されているわけでございます。  先生御指摘の、それでは円高差益の還元額がどのくらいになるのかということでございますけれども、一定の基準レートといったものを設定しております公共料金とは異なりまして、正確な計算は困難でございますけれども、仮にガソリンを取り出しまして、その価格につきまして、円高が進行いたしました本年に入ってからどのくらい還元されているのかということを試みに推定いたしますと、おおむね既に二百五十から三百億円という額が還元されているというような計算は可能かと思います。  通産省といたしましては、今後ともこういった形で円高メリットが国民生活に反映されていきますように、九月の中旬に関係業界に対しまして要請を行ったところでございますけれども、今後ともこうした価格の動向につきましては注意深く見守ってまいりたいと思っております。
  134. 西村眞悟

    ○西村委員 最後に懸念を表明しておきますけれども、米を輸入する場合、先ほどの質問にもありましたけれども、国際価格が非常に変動する、その場合に日本が、飽食の日本が金に任せて買いあさって国際価格が高騰し、それによって貧しい国々の、今まで米によって食を支えていた人々の口に米が入らなくなる。長官が先ほどのごあいさつで国際協調ということを言われておりましたので、関連して御質問申し上げますけれども、かえって、日本が突如として買い始めることによって国際的に怨嗟の的になりはしないだろうか。また今後、気候のことですから、米が不作の事態は免れないと思いますけれども、そのときにまた同じようにそういうふうな事態が起こらないだろうか、そのようなことが起こらないように対策を講じていただきたいと思います。  これで私の質問を終わります。
  135. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 矢島恒夫君。
  136. 矢島恒夫

    ○矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。  最初に久保田長官にお尋ねしたいと思います。  本委員会でも各委員から指摘がありましたように、今日の長引く不況は大変深刻なものがある、このことは長官御認識のとおりだと思います。これを打開して景気回復していくこと、その一つの選択肢として個人消費の拡大ということがあることは論をまたないと思います。そしてそのために所得税減税が必要だ、こういうことは我が党初め多くの人たちが今主張しているところだと思います。  問題は、その財源につきまして種々論議が起こっているところですが、去る五日の衆議院の予算委員会で我が党の佐々木陸海議員がこのことについて質問したところ、山花政治改革担当大臣は、連立政権のときの合意として、最初予算をつくるところまでは消費税の税率アップには手をつけない、こういう約束があったという趣旨の答弁をされました。また細川首相も、細川内閣で消費税の税率を引き上げることもあり得るというような意味の答弁をされた。  私はこれらの答弁を考えますと、早ければ、来年度の当初予算ではやらない、しかし補正予算ではそのこともあり得る、こういうように認めた発言と思うわけですけれども、これらのことについて長官もそのように理解されているのかどうか、最初にお伺いしたいと思います。
  137. 久保田真苗

    久保田国務大臣 おっしゃいましたような八党間の合意があるということは確かでございます。そして所得税減税を行った場合のその後の措置につきましては、いろいろ議論もあるということでございますけれども、今やはり政府税調の中で、そういったものを含めて税制のあり方を基本とする検討が行われていまして、その結果を待つということになっているわけでございます。でございますから、予見を与えるようなことを言わずにその結果をお待ちしているということでございますけれども、その中でさまざまな方策が打ち出されるときには、私どもも私どもの立場からこれを注視していきたいと思っているところでございます。
  138. 矢島恒夫

    ○矢島委員 政府税調の答申ということでお話がございましたが、現に予算委員会の翌日の新聞等で見ますと、いずれも、可能性のある、九五年度以降に消費税の引き上げる可能性を明確にしたものだというように、それらの答弁について朝日新聞などは論調しておりますが、昨日は、政府税調の基本問題小委員会、この加藤会長が、その後の記者会見で、消費税の見直しはある程度見通しがついたというような発言もされているようであります。  私は、長官にこれら一連の発言というものをどう受けとめられていらっしゃるかということをお聞きしたかったわけです。つまり、来年度当初予算は税率引き上げはない、しかしその後あるという答弁なんだな、あるいは発言なんだな、こういうふうに御理解していらっしゃるかどうかということをお聞きしたかったわけですが、もし御答弁いただければ、後でよろしくお願いしたいと思います。  ついでに聞いておきますけれども政府が九月十六日に緊急経済対策なるものを決定いたしました。その中で、特に税制改革の問題につきましては、「所得税減税を含めて直間比率の是正など所得消費・資産の均衡のとれた税体系の構築のための税制の抜本的改革について、税制調査会における総合的な検討推進する。」こうなっているわけですけれども、このことにつきましては、やはり自民党が消費税を導入するときに全く同じことを言っているわけですし、そうなりますと、来年度の税制の中で、所得税、住民税の減税とあわせて消費税の税率アップということを推進していくんだとも読めるわけであります。  長官にお聞きしたいのは、所得減税のためには消費税の税率アップは必要とお考えなのかどうか、その点をお伺いしたい。
  139. 久保田真苗

    久保田国務大臣 私、いろいろな方がいろいろなことを言っていらっしゃるんですが、政府税調の答申はまだ出たわけでもなく、その結果を待つというのが政府としての態度だろうと思っております。  同様に、私も、この結果を待たずにいろいろなことを予測するということは立場上非常に困難でございまして、これが出ましたときに、必要があれば経企庁の立場から、またよりよい方向を発言していくということはあるかもわからないと思っております。
  140. 矢島恒夫

    ○矢島委員 社会党は、消費税導入のときに、これに反対する、こういう態度をとられました。先日、日経新聞では「各党に聞く」という記事を載せておりますが、その中に、関山政審会長の談話として、消費税を財源とせず、赤字国債で四兆円の減税をというようなことを述べております。  いろいろを見解があるわけでありますけれども、長官は、一九八九年、前回の参議院選挙ですけれども、このとき消費税について国民にどういう公約をされたか、お聞かせを願います。
  141. 久保田真苗

    久保田国務大臣 あのときの消費税につきましては、あのときの選挙の公約といたしましては、消費税をやめさせる、揺りかごから墓場まで、生まれるにも死ぬにも税のかかる、そうした税は私たちとしては反対だというようなことを言った記憶がございます。
  142. 矢島恒夫

    ○矢島委員 確かに長官、そういうことで選挙を戦われたと思います。  所得税減税につきましては、朝日や毎日、NHK、いずれも最近調査を行っておりますが、減税賛成というのは六四%から八〇%の間にあります。一方、財源として消費税の税率を引き上げるということについては反対だ、こう答えた方が、朝日でもNHKでも大体六〇、七〇、こういう数値になっております。毎日新聞は、財源として消費税率引き上げを支持しますか、こういう質問だったんですけれども、たった六%にすぎません。  消費税というのが、長官も御存じのように極めて逆進性の強い税であるということ。たとえ今度の所得税減税、こういう状況になっていても、結局年金者だとかあるいは低所得者は、消費税の税率アップというものをまともに受けるだけ。長官は、かつてですが、参議院の内閣委員会で、売上税は多段階、包括的、網羅的、普遍的な税だから導入しないという公約、これは当時は自民党政府ですが、を追及された。違反する、公約違反だ、投網をかけるような税だ、こう言われた。大臣に就任のときもそうですが、きょうの所信でも、生活者消費者、これを重視する視点、これが経済運営の最も重要なことだ、こう認識していらっしゃる。  先ほど、そういう事態が、答申が出て、政府としての一定の方針を出さなければならないときには、経済企画庁長官としての発言もしていきたいということだったと思うんですが、その内容ですけれども、いわゆる税率アップというような事態が起きたときに、政府消費税の税率アップをしないよう努力されるか、あるいは閣議等でこれに反対される態度をとられるか、その辺、お聞かせいただきたい。
  143. 久保田真苗

    久保田国務大臣 税調がどういう答申をお出しになるか、私にはまだわからないんでございます。いろいろな報道もありますし、まだ全くわからない。また、それが出てから考えたいと思いますけれども、しかし、それぞれの官庁はそれぞれの任務を持っているのでございまして、自分の任務に応じたところの観点から、もちろんこうした経済にかかってくる、あらゆる分野にかかってくるようなこういう問題については見守っていく必要があると思っております。
  144. 矢島恒夫

    ○矢島委員 不況対策として所得税や住民税の減税あるいは消費税の廃止ということを、緊急的には食料品非課税ということを私たちは主張しております。その財源として、いわゆる大企業への特権的な優遇税制、こういうものを是正していくことや、あるいは盛んに今話題になっている使途不明金の問題、あるいはまたそれら公共事業などの浪費、こういうところにメスを入れて、さらに軍事費を削減するという方向で財源をつくるべきだと私たちは主張しているわけですけれども、時間がなくなりまして、実は公取を呼んでおりますので公取の方に質問を移させていただきます。  入札談合問題について公取の方から資料をいただいておりますので、その資料、内容についてお話しいただきたいと思ったのですが、時間の関係で、この提出されました資料の中で、五年間にわたっての「独占禁止法違反事件の審査件数等の推移」ということで書かれているわけですけれども平成四年度審査件数二百二十七に対して、入札談合についての告発は一件だけ。平成五年はまだ四月から九月までということですが、審査件数百三件に対して勧告件数が二件、告発件数ゼロと極めて少ない状況にあると思うわけです。  平成二年の六月二十日に独占禁止法違反に対する刑事告発に関する方針というのを出していらっしゃる。「積極的に刑事処罰を求めて告発を行う方針である。」こういうことを明記しているわけですけれども、一点は、どんな変化がその後あったかということ。  それから、現在川崎市内で百四十六の業者に排除勧告をしたと聞いておりますけれども、審決したのか、あるいはまた、今後告発するつもりがあるのか、この点についてお聞きしたいということ。  さらに、委員長さんにもおいでいただいておりますので、時間の関係で、今後のこの審査の方向、審査関係の人員が全国でも百八十名と聞いておりますが、そういう人員増も含めてお答えいただければと思います。
  145. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 入札談合問題についてのお尋ねでございます。  お尋ねの前段では、私どもが提出を申し上げました最近の独禁法違反事件の処理につきましてのお尋ねでございますが、ただいまのお尋ねで、入札談合問題についての処理件数、あるいは特に告発件数が少ないのではないか、こういうことでございますが、審査件数、これは例えば直近の平成四年度ではお尋ねのように二百件を超えておりますが、私ども公正取引委員会が行います一番厳しい処分、審査の結果として排除処分という一番厳しい処分は、これは勧告の件数であらわされますが、例えば平成四年度では三十四件でございます。しかし、その三十四件のうちその半数以上の二十件、これが実は入札談合に関する事案でありまして、私どもはこれに対して排除処分を行い、さらに課徴金の納付を命じているわけでございます。  なお、平成四年度につきましては、入札談合についての告発件数は、これは資料にお示ししましたとおり一件でございます。  したがいまして、私ども認識では、最近の傾向といたしまして、独占禁止法違反事案の中でも入札談合事案というものが、結果的に私どもの勧告という形の処理件数、排除処分を行った処理件数をごらんいただきましも、入札談合問題に大変このウエートが移ってきているということはごらんをいただけるかと思います。  それから、お尋ね平成二年、三年前に告発に関する方針を明らかにいたしました。これは、その事案の内容が国民生活に広範な影響を及ぼすものであり悪質かつ重大な案件、それからもう一つは、違反行為を繰り返して行っておりましたなど、公正取引委員会の処分では十分に法目的を達成することができないと考えられる事案、このような事案につきましては積極的に刑事告発を行っていくという方針を明らかにいたしまして、以後、先ほど申しました平成四年度の一件、これは入札談合事案でございます。それから、平成三年度に一件、これは価格カルテル事案でございますけれども、二件の告発。そのうち前者につきましては既に有罪判決が確定をしている、こういうことでございますから、私どものその告発方針に基づいて、着実にその方針に従っての処理が行われている、こういうふうに御説明を申し上げたいと思います。  なお、最後にお尋ねがございましたのは、私どものこのような違反行為に対するいわば取り締まり体制の問題かと存じます。  私ども、独禁法違反行為に対する審査、これを主として行っております審査部の人員は、地方を含めまして、御指摘のように現在約百八十名でございます。確かにこれで十分であるかどうか、この点については私ども、なお今後とも、このような状況下でもございますし、着実な増加を要望し、また期待をしております。  しかし、ここ数年にわたって全体として公務員の定数が厳しく抑制されております中で、私ども公正取引委員会の定員につきましては、その中でも特に取り締まりを担当いたします審査関係の定員につきましては、非常に高率の伸びをもって増員が認められているという状況でございます。  私ども、今後ともこのような違反行為に対する抑止力の増強を常に心がけまして、違反行為に対する厳しい対応を維持してまいりたいと考えております。
  146. 矢島恒夫

    ○矢島委員 続きで一つ。先ほどの答弁の中で、平成五年、告発件数一件という話がありましたが、それでいいのかどうかは、私の時間がなくなりましたので後で私の方にお知らせいただければいいと思います。  ぜひひとつ、毎日毎日談合問題が新聞に載るように後を絶たないのですから、より強化し、対策を積極的に厳しく進めてもらいたい、このことを申し上げて、質問を終わります。
  147. 玉沢徳一郎

  148. 堀内光雄

    堀内委員 自民党の堀内光雄でございます。  久保田大臣大臣御就任おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。  私は、今非常に不況が長引いて大変な状態になっております、その現況、こういうものに対する御認識、それからどのような対策をとられるのか、そういうような問題について長官に質問をいたしたいと思います。  今回の不況というのは、なかなか今までにないような大変長期にわたっているものであります。今までの例を見ますと、前回の円高不況が一九八五年六月から八六年十一月までの十七カ月間でありました。第二次石油ショックは一九八〇年二月から八三年二月まで三十六カ月、これに対して今度の不況をいつから始めるかというのは、ちょっと問題がいろいろあるかもしれませんが、九一年の二月からというふうに大体見ていいのではないかと思いますが、現在まで三十二カ月、まだ進行中でありますから、恐らく記録を達成するのではないかというふうに思います。  今までの不況と今度の不況は全く違ったケース、あるいは大変大きくスケールが違う、そういう意味で、今日本の全産業を覆っていると言っても差し支えないと思います。極言をすれば、今までかつて遭遇したことのないような厳しい状態を呈している。まさに平成不況という言葉がぴったりするような状態であります。  今回のように全産業、どの業種を眺めても成績のよい業種はない、全産業すべてが悪い、大変なケースであります。一つ二つ言えば、個人住宅政府対策によってよくなってきているとか、あるいは半導体の電子部品がちょっといいかなとか、医薬品がまあまあかななんというのはありますけれども、それにしても大したことはない。非常に全産業、全部悪い。  特に今回の特徴は、メーカーであるところの生産会社、こういう第二次産業はもちろんでありますけれども、サービス、流通などの第三次産業に至るまで、全部その売り上げを減少しているということであります。今までの不況というのは、大体インフレも一緒にあったりして、売り上げが下がったということは余りなかった。それが右下がりの状態になってきて売り上げの減少を来している。この原因はGNPの六割を占める個人消費、こういうものが冷え切ってしまって、経済全体を沈滞化させてしまった。その結果が、生産は低下をして設備投資は後退をしてしまった。機械受注も落ちてしまった。一九九一年以来、鉱工業生産というものは二年半にわたってマイナスを続けているわけであります。  こういうような、日本経済がかつてない大きな不況に見舞われているのですが、こういう状態に対して、けさほども赤城委員に対する御答弁などを承っておりましたけれども、やはり経済企画庁は従来の不況パターン、いわゆる景気循環説のようなものの認識の上に立って、在庫調整が終わればというようなものがやはり一番根底にあるんではないか、マクロの数字を重視して、市場の状態を直視しでないような感じが私はいたしているのでありますが、そういう意味ではここでしっかりとしたこの不況に対する認識を持ってもらって、そしてこれに対応してもらわないと大変なことになるというのが私の感じであります。  今国民全体が政府の対応、こういうものに対して不安なまなざしで眺めている、期待をしながら待っているというのが現状だと思いますが、この今の不況に対する御認識大臣のお考え、そういうものをひとつお聞かせをいただきたい。
  149. 久保田真苗

    久保田国務大臣 もう先生がずっと御説明いただきましたその分析がございまして、ただ景気循環不況なのかと言われれば、それはバブル経済の発生、そして崩壊の過程、この後遺症というものがまだまだ長引いているという、それが一つあると思います。また、円高の急激な進行、異常気象というのはもちろん非常に大きい要因なんでございますけれども円高というものが一つ、これは構造的な要因からも出てきているところであろうと思います。したがいまして、このダブったところの不況の問題と、もう一つトレンドのようなものがあって、その中から出てくるいろいろな諸問題とが複雑に入り組んだものと思っております。  したがいまして、構造的なもの自体はそれは好況、不況ということとはまた別の次元のものだとは思いますけれども、しかし、構造的なものとの兼ね合いにおいて対策がとられなければならないということを認識いたしまして、いろいろな総合的な対策が必要だと思っております。  これは前政権のときから既にもう公共事業という形で再度行われまして、この九月には新政権の手で、六兆の規模でございますけれども、一番需要のあると思われるところ、すなわち規制緩和円高差益還元、それが今すぐからスタートして恐らくしばらく時間をかけて浸透していくという、それ以外に、やはり住宅生活関連社会資本整備、中小企業への手当て、災害への手当てといったようなものを当面盛り込んだところでございます。そして日銀による公定歩合引き下げというのがありまして、いろいろな方策で大変苦心をしているところでございます。  もちろん規模がそれほど大きくないのだというお声もありまして、そういった面で今後いろいろとるべき対策をまた考えなければならないのかもわかりませんけれども、しかし認識といたしましては、そのように複合的な原因に対する複合的な対処ということを考えているところでございます。
  150. 堀内光雄

    堀内委員 今の大臣の御答弁、なかなか非常によく研究をされていらっしゃると思うのですが、認識としては私も複合不況、合成不況といいますか、そういうような認識では一致するわけでありますが、これに対する後の緊迫感というか、あるいは対処する方法ですね、これについてはやはり今大臣自身がまだそれほど大きくないと言えるかもしれないがとおっしゃいましたが、確かに大きくないのでありますね。これからもうちょっとしっかりとした形をとらないと困るのではないかと思います。  先般発表されましたGNPにおきましても、本年の四月—六月は〇・四六ですね、〇・五%のマイナス年率マイナス二%の風速になっているわけですね。一—三月も何か下方修正をされたようでありますが、プラス〇・五%、年二・二%プラス、これでちょうど帳消しになってくるような感じでありますね。これに対してこの七月—九月、七—九というのはもっともっと悪くなるだろう、これは大体みんな一般的に言われていることであります。  これは、さっきお話にありましたように円高の問題あるいは冷夏の問題、いろいろな問題がやってまいっておりますから、複合しておりますので、この景気低迷というのがさらに深刻になってくる。それで、企業収益というのはますます悪くなってきているというのが今の感じであります。各企業ともリストラに取り組んで真剣に頑張っているようでありますが、幾ら努力しても売り上げの減に追いつかない、企業収益を賄い切れない、コストの削減の効果が収益につながってこないということが悲鳴のように上がって、新聞もにぎわしているわけであります。  ここまでまいりますと、今まで資産を売却したりあるいはいろいろつじつま合わせをしながら黒字決算をした、配当を確保してきた、そういうような一流企業が、いよいよ企業体質を壊してまでそういうものにとらわれていくわけにはいかないというような状態に追い込まれてきているというふうに思うのです。これは、決算にこだわらなくなってまいりますと減配だとかあるいは無配だとか赤字決算だとかいうのが出てまいりますが、こういうものが出てきたときというのは、日本の企業というのは横並びでありますから、あそこがそれならうちもいいやというような形で軒並み並んでどんどん出てくる可能性が十分あると私は思うのです。ここが出てまいりますと、それこそすさまじいものになってしまう。  片方では、中小企業の方は言うまでもなく昨年の倒産件数は一万四千件であります。ことしになってからも月千二百件ベースでずっと続いてきています。これは一万四千件にやはりつながってくる。これがもっとひどくやってくるでしょう。月千二百件の倒産というのは危険ラインだというふうに昔から言われておりますが、もう二年間続いてこれが並んできているということは、もう中小企業においても大変危険な状態になってきている。この倒産も、前はバブル倒産が多かった、今度は不況倒産にはっきりなってきているということが明らかに数字でも出てきています。  こういう状態を考えますと、七—九月の数字というのはどうせ十二月の初めにならなければ出てこないのですね。さっき申し上げたように、指標を中心経済企画庁さんがいろいろ検討されるということになると、十二月まで待てということなんですね、これは。待っちゃいられないというのが今の経済の実情ではないかというふうに私は思うのであります。  それで、この現象というのは、決算面だけではなくて雇用面にもあらわれてきているというふうに思います。これは雇用問題に完全に連動をしてまいります。失業率もことしになってじりじり上がってきまして、二・五%、約百六十万人ぐらいの失業者がいる。これに対して、企業内失業者が同じぐらいの数がいるのではないかというふうに言われております。みんな企業でしっかり抱えて今の形の中ではおさまっている、だから表にあらわれていないということでありますが、これがだんだん抱え切れなくなって雇用調整が徐々に出始めだというのが今の現象だというふうに思います。きのうも、新日鉄が三万七千人の全従業員に月二日ずつ帰休をさせるということであります。既に住友金属、NKKもやっておりますから、もうそろそろ、これこそ横並びでありまして、大手五社の鉄鋼メーカーが全部そうなるのは時間の問題だろうというふうに思います。  この間私どもは、選挙区の中で、中小企業というような、工場を持っておる経営者と一緒にいろいろ話をしたのですが、ここにも、既に発注をされている電機の大メーカーから二名採ってくれという話が来たというのですわ。私どもの会社ではもう朝から晩まで一生懸命みんなで働いているので、そんな大企業の人が二名なんて来られたら、もうそれこそつぶれちゃう、勘弁してくれと言ったけれども、どうしてもということで、一名だけ受けることにいたしましたという話が出てきておりました。  もう既に、解雇に近いような出向とかあるいは希望退職だとか、こういうようなものがどんどんあらわれ出してきている、そのくらい危険な状態になってきていると思うのです。ですから、この企業内失業というものが同じぐらいあるとしますと、今二・五といって、非常に日本はいい失業率だというふうに言っておりますが、当然これは五%になるわけです。そうしますと、米国は六・七、英国は一〇%、ドイツは八・四%と比べて、そんなに日本は優等生で雇用関係は立派なんだと言えないような状態に今来ている。これをしっかり早く手を打たないと、これが表にどんどん出てきたら大変なことになりますということであります。  と同時に、円高も絡んできて、海外移転の問題が空洞化と一緒になって出てきておりますね。ですから、これは中期的な人員削減につながってくるわけでありますが、もう超一流企業がずらっと並んでそれを計画をして、発表しているような状態です。ここまでもう既にやってきておる。  今、不況というものは企業の中で内攻しているというのが実情ではないかと思うのです。これが外に出たとき大変なことになる、刻々とそれが近づいてきているというのが、私の認識なんです。それほど現実の市場は悪いわけであります。この市場の状況というものをしっかり認識をしていただいて、適時適切な対応、対処をしていただかないと、これは日本じゅうの経済が底が抜けてしまう。けさは、二番底だ、底の定義を盛んに言われておりましたけれども定義の問題どころじゃなくて、抜けちゃうんです、これ。そのくらい大変な状態に来ているというふうに思います。ですから、有効求人倍率だって、昨年の十月に一を切ってしまった。それで〇・九七になったのが、ことしの七月には〇・七二ですからね、表に出ているだけで。これをひとつ本当に現実の問題として直視していただかなければ困ると思うのです。  大臣はさっき、数字を見てとかいろいろおっしゃっていましたけれども、数字を見てではとても手おくれになります。この状況に対する大臣の御認識というものを改めて承りたいと思います。
  151. 久保田真苗

    久保田国務大臣 七—九の数字を見てと申し上げましたのは、先ほど成長率の問題のところで申し上げたのでございまして、私ども、決して七—九の数字が十二月初めに出るまで何も手をつかねて待っているというわけでは絶対にございません。  それは、円高差益還元、それから規制緩和、そうしたものに続きまして、新しい社会資本整備という手を打っておりますし、災害にも対応して相当大きなお金を出しているわけでございます。そういうわけでございますから、その成果を見守りたいという気持ちも込めまして、下半期の数字にこの成果がどのくらい出るか、やはり、今挙げましたような緊急経済対策効果というものを相当に自負しているという面がございます。  それは、いろいろもっと打つ手があるかといえば、それはあるかもしれません。ですけれども、今ここで行いましたのは緊急対策でございまして、今後とも状況を見ながら、特に雇用の問題につきましては大変重要な問題だと思っておりますので、緊急経済対策の中にも雇用対策の問題を一つ大きく入れているところでございます。こうしたものの効果がぼつぼつ出てくるはずである、そう思っているところでございます。
  152. 堀内光雄

    堀内委員 大臣の方はぼつぼつ出てくるだろうというふうに期待感を持っていらっしゃる。しかし、この間の規制緩和あるいは円高差益の還元、これは確かにいいことでありまして、立派に政策を打たれたことは敬意を表しますが、これは速効性がないのですね。恐らく来年になって効いてくる、じわじわと効果があらわれてくるかもしれません。しかし、これは今の状態では恐らく速効性はなしと見なければいけない。  公共事業について考えると、これまた後でお話ししたいと思いますけれども、実際問題として、ここのところ公共事業の乗数効果というのは大変落ちてしまった。昔はケインズの言っているような三だとか二だとかいうものがありましたけれども、今は一般的には一・二とか三とか、一そこそこじゃないか。一そこそこというのは効果がないということですからね。そういうものを期待して待っていられても、これから先の十月、十一月においてばいい数字が出てこないというふうに思うのです。  そのほかにもいろいろ手を打たれるとおっしゃいましたけれども、何か具体的にいい手がありましたらちょっとお聞かせいただきたい。
  153. 久保田真苗

    久保田国務大臣 それは、平成六年度の概算要求が出ておりまして、その中をもう少し、例えば生活者消費者というようなところへターゲットを当てたものとしたいと今努力しているところでございます。
  154. 堀内光雄

    堀内委員 今申し上げたように、不況中心的な症状というか、悪い点というのは、末端の消費にあらわれているわけです。設備投資の冷え込みにもあらわれているというのは、要するに、末端の消費が活発にならないから生産が停滞して設備投資が落ちてしまったということにもなるのです。この部分効果のある対応あるいは対策、これを打たなければだめだと思うのですね。それを迅速に打たなければいかぬ。  設備投資は二年連続前年割れでございましょう。製造業では二けたのマイナスを続けているのです。さっきも、前政権の第一次の、去年の十二月に成立した一兆七千億円、あるいは第二次の、ことしの四月十三日の十三兆二千億円というような大きな数字をもとにした不況対策が行われておりますが、これは一次も二次も全部公共事業中心なんです。この公共事業がさっぱり成果を上げていない。効果を上げていない。となりますと、消費対策というのは全く今のところ打たれていないというのが実情だと思うのです。住宅問題についての、大臣のお話しになりました七十万戸の融資、これは大変大きな成果を上げましたから、これは住宅だけですね、個人住宅だけです、今のところ。やはり、こういう適切な手を打たなければだめなんですね。  そういう意味消費が、改めて申し上げるまでもなく、百貨店は十八カ月、何か一カ月だけちょっと黒字があったようですけれども、全部対前年割れですね。それから、スーパーでさえ十一カ月割れている。今までテレビの広告が前年より減ったなんということはちょっとあり得なかったことですが、今度はテレビの広告まで落ちてしまったということです。自動車家電ももう言うまでもありません。  こういう状態を考えたときに、やはりどうしてもやらなければいけないのは所得税減税なんです。今ここまで来ましたら、何としても手を打たなければならないのは所得税減税でありますし、先ほど長官は、けさの質疑に対しても、景気対策としての所得税減税が有効なことは論をまたない、こうおっしゃいました。そのとおりだと思うのです。今、所得減税を景気対策としてしっかり取り組んでもらいたいと思うのですが、いかがでございますか。
  155. 久保田真苗

    久保田国務大臣 繰り返しの答弁で恐縮なんでございますけれども、もうこれは総理の諮問という形で政府税調の中に入っておりまして、この政府税調が基本問題も踏まえ、なおかついろいろなことを考えながら答申を出す日も近いと思っております。  閣僚の立場といたしましては、この答申を待つということが最も適当だと思いまして、それに対応してそれぞれの省庁が自分の任務から見守っていくということ以外にお答えができないのでございます。
  156. 堀内光雄

    堀内委員 大臣の苦しい立場はよくわかるのですよ。ほかの省の大臣ならそれで済むと思うのですけれども、大体税調の中間答申は十一月中旬ごろです。それを受けまして今度は最終答申というのは大体十二月になるのです。それをもとにして、今度は予算に取り組むということですから、この答申を待っていれば十二月中旬以降になるということには間違いないのです。こういうぐあいに、ただ待っていていたずらに日を過ごしていいのかどうかということになります。  私が言いたいのは、税制改革の一環としまして所得税の減税をする、これは税調の答申を待って。今の所得税体系がいいとは思わない。これはひとつ全体を取り組んで改定しよう、改革しよう、いいことだと思うのです。しかし、これと景気対策の一環としての所得税の減税という問題は全く別の問題だと私は思うのです。これを一緒くたにしちゃって、総理は余り経済に専門ではないでしょうから、税調の答申を待ってと言われても、やはり経済企画庁の長官はそういう形ではちょっと私は困るのでありまして、この二つを同じ問題として取り上げてもらっては困るというふうに思います。  国民の求めているのは、当然不況対策としての所得税減税を求めているわけであります。この不況対策というのは大変迅速を要するのです。タイミングを失うと、それこそまた効果がなくなってしまう。このごろは十兆円なんということを言う人があらわれてきて、これは五兆円だったのが十兆円になる、時期がずれるほどどんどんふえてくるというような、それでも効果がなくなるということになりかねない。今は緊急事態にあるというふうに思うのです。そういう意味では、私はこの所得税減税については戻し税方式で早急に行うべきだというふうに思うのです。規模は五兆円程度、これで十分、私は今の時期に対応するならば、効果をあらわすというふうに思っております。  要するに、緊急事態のときの患者に対して輸血や点滴をするのと同じでありまして、この点滴、輸血をしなかったら死んじゃうのです。それをひとつやはりここで早急に手を打ってもらわなければならない。この消費の冷え込みをそのまま放置しておいたら、さっきも申し上げたように、日本経済底が抜けちゃう。底が抜けるか抜けないか、こういう大変な状態のときでありますから、こういう問題については、経済の指南役である経済企画庁の長官が勇気を持ってひとつしっかりと内閣をリードをしていただきたいというふうに思うのです。十一月の補正に出さないようだったら役に立たないと私は思います。  この戻し税減税の問題でも、所得税減税といいますと大臣非常に消費税との関係で及び腰で、もう答弁するのも嫌なようなお顔をされなさるけれども、私は消費税との関連で所得税減税を行うというのは間違いだと思うのです。一方で所得税減税をして消費を刺激しようというときに、セットにしまして消費税率を上げる、これは絶対効果をあらわしませんよ。この問題はまた次の、さっきの所得税の税制改革の一環としての問題なら、これはまた十二月でも一月でもしっかり、ゆっくり時間をかけてやってもらう。今はそんなものと兼ね合わせをするようなことを考えて実施をしたらもう手おくれになるし、また効果をあらわさないというふうに私は思うんで、景気刺激のため、不況対策のための所得税減税、これに対して大臣のひとつはっきりとしたお考えを承りたいと思います。
  157. 久保田真苗

    久保田国務大臣 経企庁が景気動向との関連においてそうしたことを考えるのはその務めの一つだと思いますので、じっくりと考えてみたいと思います。
  158. 堀内光雄

    堀内委員 じっくりと考えられちゃ困るんですけれども、やはり早急に考えていただかなきゃ困るんです。早急にしませんか、考えを。考えですよ、まず。大臣のお考えだけでもってすぐにこれがまとまるとは思いませんけれども大臣がそのつもりで取り組むかどうか、これが非常に重要なことだと思うんです。ひとつお願いいたします。
  159. 久保田真苗

    久保田国務大臣 それは、そうした問題も含めて税調でやっていると思います、実際問題として。私としましては、税調を特に所管するものではございませんけれども、しかし、景気という立場において責任のある官庁の立場からいろいろな努力をしてみたいと思います。
  160. 堀内光雄

    堀内委員 いろいろの努力をしてみたいという言葉、大変前向きなものと理解をいたします。  これは、所得税減税五兆円をするとすれば当然財源問題が出てくるわけでありますが、私は、財源は当然特例国債を充てるべきものだというふうに思っております。総理は赤字国債の発行は慎重にしなきゃいかぬということを言われているというのでありますが、これは何か認識に間違いがあるんじゃないかというふうに思いまして、私は経済企画庁長官に承りたいと思うんです。  赤字国債というのは、本来赤字国債という言葉はないんでありますが、赤字国債という言葉を使うのはいかなる理由かといえば、お役所のお役人の給料だとかいろいろな諸経費だとかいわゆる一般経費、こういうものを財政収入で補えない、補えないからそのときにそれを補てんするために国債を発行する、これはもう普通の会社の赤字決算と全く同じようなものでありまして、だから赤字国債と言うので、これは全く出してはいけないもの、これは当然のことだと思うんです。しかし、今回の減税の見合いとして国債というものを発行する、これを赤字国債と同一視するということは、私はおかしいと思うんです。  元来、国債には建設国債と特例国債きりありません。この特例国債、所得減税に今度充てる財源として発行する国債は特例国債であることは間違いありませんが、景気回復国債のような意味合いを持つものであって政策国債だと私は考えています。政策国債なんです。赤字国債ではないんです。  従来、建設国債というのは善玉でありまして、建設国債なら出してもいいんだということが容認されてきております。これは道路や橋やそういう社会資本充実するためにどんどんつくっていって、それができた施設が生産活動にさらに有効に働いていく、それで経済全体の発展がもたらされるという意味で、建設国債は出していいんだというのが今までの理論的なもののようであります。しかし、不況対策としましても、公共事業はその波及効果が今までは多いとされていたから、そういう意味不況対策としても建設国債よろしいよ、補正のときにすぐすうっと通って、どんどん一兆円、二兆円という金が建設国債で出るようになっていったということであります。  しかし一方で考えると、所得税減税というものに対するものはどうかといいますと、これは消費を活性化させるものなんであります。不況で非常に慎重になった国民に税金を戻す、所得を豊かにさしてそれを消費に回していく、この消費に回っていったものがまた生産活動を活発にさして設備投資にも回っていく、景気を一層、一段と活発化させていく、こういうものの減税のために発行する国債というもの、特例国債を赤字国債と一緒に論ずるのは、私は、間違っていると思うのですよ。私は、これは認識を改めてもらわないと、赤字国債、赤字国債という表現自体が非常にいけない。まずい表現になって、何かいけないものを発行するような感じを出している。やはり、消費を刺激して経済を活性化させて、それが設備投資促進させ、景気上昇、上向きにさせる役目を果たすというのは、建設国債と同じような政策効果を持つものだと私は思っておりますが、大臣はいかがですか。
  161. 久保田真苗

    久保田国務大臣 国債を発行していく、借り入れをするということは、それは同じでございますし、建設国債でも国の借りになっていくことは全く同じなんですけれども、しかし、これが減税に回りました場合に、そのことが建設ほどフルに目的に沿って回転するかということにつきましては、かなりこれを留保する議論が多いということも事実だと思うのです、我が国におきまして。そうしたこともやはり税調で論じられているところでございますし、私の考えはどうかというふうにお聞きになるのでございましたら、それは、公共投資を行うような、そのような保証はないわけでございます。  確かに、所得が十分な伸びをしていない時期にそれを行うということは、ある程度の効果を持つことは当然だと思いますが、しかし、それがどのパーセントで生かされるかということにつきましては、公共事業を行う場合のような、あるいはそれを二分の一程度と評価する人もございまして、そのようなロスがあるという考え方をいたしますと、非常に限られた財源をどう使うかというところ、どうしても議論が出てくる。私も、そのことを必ずしも否定はしておらないのでございます。
  162. 堀内光雄

    堀内委員 私は、今ちょっと大臣にそこの認識を改めていただきたいと思うのですが、経済企画庁でも恐らく数字はいろいろと確かめられていると思うのですが、今の公共事業というものの乗数効果は非常に低くなっています。一・四と言う人もいますし、特にこの一年間、ああいういろいろな問題を起こして、成約が非常に少なくなってきて、各市町村の首長さんはみんな及び腰で、なかなか契約をしないというような状態のときになっては、逆に言うと一自体も割るような、極言をしますと、そんな状態だと私は思うのです。  少なくとも、さっきも大臣がおっしゃったように、こういうときにはいろいろの打つ手をいろいろ打って考えなければだめだ、それをいろいろ今考えているのだというふうにおっしゃいましたけれども、私は、そういう意味では、今の所得税減税の効果というものがどういう数字であらわれるか、これは簡単には出てこないとは思うのです。  要するに、一方では貯蓄に回ってしまうからだめだというような意見もあります。しかし、これは貯蓄に回ってしまうといいましても、その全部が貯蓄に回るわけではありません。消費というのは所得の関数でありますし、それから貯蓄も所得の関数であります。両方とも所得が関数になって、消費にもいき貯蓄にもいくわけです。ですから、そう考えますと、減税の一時所得というものが消費者の中で貯蓄に回る分も相当になるかもしれません。しかし、どちらにしても国民の懐に入っていくのです。貯蓄に回っても、逐次それがまた消費に出ていくこともあるわけなんです。  この前、ある調査でこういうことがありました。この不況にどういうぐあいのどのような対応、身の処し方をしているかというような質問に対して、高級品、レジャー、そういうものの出費をとめたというのが二一%、ふだんの生活を切り詰めたというのが二六%です。それから、生活のために預貯金をおろしたというのが一〇%ありました。ここまで来ているのですね。  つまるところ、最後に来れば貯金をおろすのですよ。貯金というのは貯水池のようなものでありまして、景気の先行きが明るい見通しさえあれば、片方でせっぱ詰まって出すのはもちろんありますけれども、貯金に入ってしまった、だからもう出てこないんだというのではなくて、やはりこれは景気の先行きが明るくなってきて、自分の所得についても見通しが立ってくるということになれば、財布のひもが緩んで、貯蓄の方も緩んで出てくるわけです。したがって、貯蓄に回ることは効果が上がらないという見方は、私は、間違いだと思うのであります。  ですから、そういう意味でいきますと、将来に向かって期待をつなぐ明るいものを同時に打たなければならないということはあるかもしれません。戻し税減税でもって所得税減税を行って、それぞれの国民の懐に戻してやる。それが貯蓄にいくか消費にいくか、それはそのときの状態で変わっていきますけれども、同時に、これが将来につなぐためには、さっき大臣のお話しになったような、税調の答申を待ってさらに根本的な所得税改革を行うとか、税制体系の改革を行うとか、そういうものをして、やはり大丈夫だと思えば、今の戻し税というのはそのまますぐにまた消費の方に回ってくることになる。  ですから、大臣がおっしゃるように、すぐ消費にどれだけの効果があらわれるか、数字を出せというのは、どだい無理な話なんです。だけれども、私は、全額が効果に回るものなんだという認識を持つべきではないか。特に、国民に出すのですからね、外国に出すのではないのですから。私は、その辺少し割り切ってお考えをいただかなければならぬと思うし、その意味では政府税調の答申を待たれる大臣の姿勢も正しいことがあると思います。  ただ、その前に、戻し税減税をここで、所得税減税をしっかり五兆円規模でぽんと打っていただく、その上で待ってもらうということでなければだめだと思うのですが、いかがでございますか。
  163. 久保田真苗

    久保田国務大臣 じゅんじゅんたるお諭し、勉強させていただきます。
  164. 堀内光雄

    堀内委員 いや、お諭してはないのです。私は私の考え方で、大臣に日本の国民のために頑張っていただきたいということで申し上げているのですから、ひとつこれまた前向きにお取り組みをいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  165. 久保田真苗

    久保田国務大臣 もちろん、景気の問題につきましては、企画庁が前向きに取り組むということは確かでございます。
  166. 堀内光雄

    堀内委員 そういう意味では、景気の問題としてしっかりと取り組んでいただくということで、ぜひ大臣期待をする次第でございます。  一つ、ここで先ほど申し上げた建設国債に対しての意見、考え方をちょっと申し上げたいと思うのです。  さっきも申し上げたように、建設国債というのは、非常に今乗数効果が落ちてしまって、成果が上がっていない。これはさっきも出てきたように、二回にわたるあれだけ大規模な景気対策を打ちながらいまだに景気がよくならないということは、それを如実に物語っているものだと思うのです。これは、やはりその点では、大臣にひとつしっかりと考えていただきたいと思うのですよ。  それで、所得税の減税、いわゆる所得税減税の財源というものを特例国債でやるのが当然だとさっき申し上げましたけれども、その特例国債を求めるにしましても、五兆円からの大きな国債を容易に発行するというのはなかなか難しいことだろうと思うのです。簡単にはいかないと思います。  しかし、これを私は、やはり建設国債を計画して置きかえることを考えるべきだと思うのです。さっきも申し上げたように、公共事業は乗数効果を落としてきてしまっている。しかも、この数年間不況対策として急激に増加をいたしております。これは国のものだけじゃなくて、地方公共団体、いろいろ全部含めてでありますが、公共事業に対する投入額は平成二年度が十八兆円、三年度が二十兆円、四年度が二十五兆円、三年間で、平成二年に比べて四年度は四〇%増加をしておる。こんな急激な増加をして消化ができるはずがないのです。これは経常的なものをベースにして、その上に景気浮揚のものがどんどん乗っかっていっちゃったからこういうべらぼうな数字になってきたわけであります。  これに伴いまして、建設国債の発行額も急激にふえているのです。平成元年までは大体六兆円前後でずっと来たものであります。それが毎年増額をしまして、平成五年には十兆円です。約四兆円ふえているのです。この四兆円というのは、今までずっと六兆円で来たものが急激にこの三年、四年でふえたということは、要するに景気浮揚策のために出た建設国債なのです。それが今、全く効果を発揮していないのです。それどころか、逆に言うと政治腐敗の大原因になっちゃったのです。  ですから、この公共投資中心とする景気対策を切りかえて、所得減税の方にこの建設国債の額を置きかえれば、大きな財政規模をふやさない、国債の発行をふやさないで行っていくことができるというふうに思います。何しろ、公共事業のGNP対比の数字を眺めてみると、米国は一・六%、これは何か違うのかもしれませんが、極めて少ないですね、一・六%。フランスで二・二%、ドイツが三・〇%、それに対して日本は七%なんですね。こんなに公共投資に投入をして景気刺激——ベースのものはいいですよ、ベースのものはいいですけれども、その上四兆円もの建設国債を発行して景気対策を行う必要があるのかどうか、ひとつ長官のお考えをお願いします。
  167. 久保田真苗

    久保田国務大臣 ベースのものに加えて景気浮揚策を乗せるということにつきまして、従来の公共事業の評価を先生なすっているわけでございますけれども、まことに恐縮ですが、政府委員からお答えしたいと思います。
  168. 小林惇

    小林政府委員 委員お尋ねの点で一番争点になりますのは、公共事業が従来型の乗数効果を発揮していないのではないかという点でございまして、そこが一番のポイントだと思います。  それは最近の公共事業をめぐるいろいろな問題等々があって、効果を発揮していないのではないかということでございますけれども、データ的にはやはり所得税減税と比較して圧倒的にこの乗数効果が公共事業の方に分があるわけでして、初年度における乗数効果一・三九、それから所得税減税の場合には〇・五三。ただ、委員御指摘のように部分的にそういうものが、例えば公共事業でもこういうお話がございまして、いわゆる建設業の方々が仕事を請け負って、政府あるいは公共団体からお金が入金すると借金の返済に充ててしまうというような現象があるということを金融関係者からちょっと漏れ聞いたことがございます。  これは、こういうことが続けば公共事業の乗数効果が減退してくる証拠ではないかというふうに私は個人的には思いますけれども、まだ乗数効果が公共事業の方が大いに下がって意味がなくなってしまったというような状況ではないというふうに私は理解しておる次第でございます。
  169. 堀内光雄

    堀内委員 今のお話は、恐らく公共事業というもの一点をとらえて考えた場合ということであると思うのです。それですと、一・四というのが今までも、このごろは随分昔の二だ、三だ、からは落ちてきて一・四だというところは私も承知をしているのです。ただ、四兆円もの額を国債を発行して、さっき言うように二十五兆円もの公共事業を行う、こういうことになりますと、全体が薄まっちゃうのですよ。ですから、公共事業を行うということになったときには、そこでは一・四は出るかもしれませんが、全体の二十五兆円もの工事を、前の年は二十兆円だったのが一遍に二十五兆円にするなんという状態になったときには全部薄まっちゃうのですよ、成果としては。ですから、おっしゃることも間違いないことでありますが、政策的に見た場合の効果ということを考えたら、全く一に限りなく近づくような状態になってしまっているというふうに私は思います。まあここで論争してもしょうがないですからやめましょう。  ですから、そういう意味で、平成六年度の予算の作成のときに当たっては、大臣はひとつ建設国債の発行額、これをノーマルのところまで下げていただいて、それを所得税減税の特例公債に置きかえる、そして財源をしっかり確保できるようにするというふうにお願いをしたいと思うのです。要するに、ここで特例国債を発行して、景気回復国債を五兆円出す、それで来年は、今四兆円ふえていますけれども、四兆円がいいか三兆円がいいかどうか知りませんが、それを建設国債で置きかえて償還をする、こういう特例国債については、やはり中期的に眺めると同時に返済をしなければいけないものだと私は思うのです。  ですから、そういうものを計画的にやっていくということが一つ大きな重要なことで、片方で消費税の税率を上げてというようなことではなくて、今やらなければならないのは、五兆円の特例国債を発行して、そして、所得税減税を行う、そして、行ったものを来年度以降で二年ないし三年かかってきれいに落としていくのだ、そういう節度のある状態をつくっていかないといけないと私は思います。そして、そういう意味では中期的な視点から、こういうもののしっかりした対策を打ち立てていただいて、そして、ここで減税を断固としてやっていただくような姿勢、これが重要なことだと思います。  私は、その建設国債を今まで四兆円、不況対策で上がっちゃったからそれを一遍になくすべきだと言っているのではなくて、それを幾らでもいい、落として、三年間ぐらいでそれを使っていったらいいじゃないですかということを申し上げているわけなのですが、ぜひそういう方に向かって、お考えをひとつ承りたいと思うのです。これは政治的な判断です。
  170. 久保田真苗

    久保田国務大臣 よく勉強させていただきます。
  171. 堀内光雄

    堀内委員 もう一つ。これはちょっと承りたいと思うのですが、地価税の問題です。  この地価税というのは、バブルの最中に地価の抑制をする、あるいは企業の投機的な土地の保有をなくす、そうしたり、あるいはこれは基本的には土地を利用する者にとってそれなりの税金を払え、これが一番大きいものかもしれませんが、そういうものがごちゃまぜになって出てまいりまして、そして、国民も、あのバブルの中でそれは当然あってもしかるべきだという共感のもとにでき上がったのが地価税だと思うのです。  ただ、非常に不幸なことにこの地価税を実施をするのがちょうど平成四年度からになってしまう。そして、四年度で〇・二%、評価額の〇・二%ですかね、約五千三百億円。それで平成五年度にはさらに〇・一%乗っかって七千八百億円、大体予測数字でしょうけれども、そういうものが国庫に入ることになった。これは、一番の消費をする時期に、最強の、最大の不況にぶつかってしまったということで、今この問題は非常に怨嗟の的になっているような状態だと思います。  私はこの問題を、地価税をなくすべきだという意味を言っているのではないのです。今のこの不況の真っただ中にこういうものを吸い上げてくること、しかも企業に対して黒字、赤字関係なしですから、そういうものはやはり今の不況をさらに深刻にしていくものになるのではないかというふうに思います。  昔も徳政なんというのがありましたよね。借金棒引きみたいなものが日本の徳川時代だってあったわけです。あるいは、外国でもモラトリアムなんというのがあるのです。こういう時期に、不況の真っただ中の時期にこの地価税を取るのを繰り延べていくということ、実施をしばらく先に延ばすということ、これは一つ景気浮揚に対して大きな、いろいろの手を打たなければいけないという中の一つの項目として考えられることではないかと思うのですが、いかがですか。
  172. 坂本導聰

    坂本(導)政府委員 お答えいたします。  委員御指摘のように、地価税が導入されるに当たってはさまざまな議論がございました。地価高騰に対して対応する必要がある、それからまた土地の保有いかんによって受益との関係での議論もございましたし、また法人でいえば、赤字法人が社会的便益を受けながら一切税金負担がないというのは問題ではないかという議論もあったような気がいたします。つまり、地価税は、赤字、黒字に限らずかかる、そういう面で委員の逆の御指摘にもなるわけでございます。  、  そういった中で地価税が導入されましたが、私どもはそういった議論を今踏まえて、物価観点からも好ましいものではあると考えておりますけれども、もし御指摘の、景気という点であれば、これはまだその面で政府税調で一部御議論がされているように承っておりますので、その結果を踏まえてまいりたいと考えます。
  173. 堀内光雄

    堀内委員 ぜひそういう問題もひとつ考えて、しっかりやっていただきたいと思います。  また同時に、住宅の問題、これは大臣も先ほども七十万戸のお話をなさっていらっしゃいましたけれども住宅の融資枠の増大だとか、これは非常に幅の、すそ野の広い効果をあらわすものでありますから、個人住宅については住宅減税なんかの問題も含めまして、ぜひこれから先、もっともっと積極的に取り組んでいただく。  やはり、今基本的に見て、消費者は一切買い控えで動かないというのではないのだと思うです。これは将来に向かって非常に有利だなとか、やはりこれはしておくべきだなというようなものについては積極的に出てくるわけですね。ですから、洋服なんかだって安売りのを、安売りといっても、いいのが安く売られているのでしょうけれども、そういうものについては非常に人が集まってくるということもあります。  ですから、今の刺激というのはやはり心理的なものが随分大きいものがあると思うのです。それを、刺激を与えながら消費を誘い出してくる、そのためには今の住宅問題ということも非常にプラスになることではないかというふうに思うのです。よく、木を見て森を見ずと大蔵省のことを言う人がいるのですけれども経済企画庁はやはり森を見ていただかなければ困ると思います。ぜひその辺をお願いをいたしたいというふうに思います。  細川内閣は、総理が何かこういうことを、今回の不況は前政権政策の誤りがその根底にあるということを前にちょっと言われたことがあると思います。それは確かにあるかもしれません、こういう状態になったのですから。それに加えてやはり、さっきも大臣おっしゃったけれども、八月からの急激な円高の問題、これが出てきましたし、冷夏の問題もあるし、今日本経済というのはがけっ縁に立たされてきているということが言えると思うのです。大臣は、がけっ縁に立っているという感じはまだお持ちになっていないと思うのですけれども、それはいかがですか。
  174. 久保田真苗

    久保田国務大臣 私、前政権の誤りと言った覚えはないのですね。(堀内委員「そうじゃなくて、がけっ縁の問題です」と呼ぶ)がけっ縁ですか。もうがけっ縁でないことを祈っています。
  175. 堀内光雄

    堀内委員 祈っているということは、ある程度認識をなさっているということだろうと思います。  この今の状態というのは、さっきも申し上げたように、不況消費を沈滞させて、生産活動を低下させて、そして設備投資を減退させて、そして内需の沈滞が輸入を減少させてしまって輸出をふやしてしまった。そして円高をもたらした。円高の追い打ちで、産業の空洞化が始まった。さらに雇用調整が始まった。そして雇用不安をもたらしてきた。さらにまた不況を深刻にしているという、いわゆる不景気の悪循環が始まってきているというのが今の状態。これは私は間違いない状態だというふうに思っております。  円高が始まってちょうど三カ月になるわけであります。新政権は、この現状に対してやはり思い切った政策転換を行わなければならないと思うのです。もちろん、前の政権の誤り、責任もあるかもしれません。それはしかし、今の段階になっては、新しい複合的な要素の中でそれも理由の一つになっているだけにすぎないのでありまして、やはり政権としてはここで政策転換をしっかりと行っていただかなければならないときだと思います。  基本的には、不況対策というものをここで練り直そうということをしていただかないと、これは前政権の誤りを非難する資格はなくなってくるというふうに思うのです。やはりここで、この間の緊急対策、もちろん非常にいいことをしていただいていると思います。しかし、不況対策としては、あの緊急経済対策効果がないと私は思います。やはり本当の不況対策、これをしっかりやっていただかなければ困る。前の医者が誤診をしたんだということになったら、新しい医者はその誤診をしっかり本当の診断をしていただいて、そして別の療法を考えていただかなければ先には進まないのです。前と同じだと言われていて経済政策を踏襲するといったら殺してしまうわけですから、ぜひその辺をしっかりと取り組んでもらいたい。そのためにも、しつこいようですけれども所得税減税を初めとするいろいろの政策実施をしていただく、打ち出していただく。そして、これは十一月の補正予算に間に合うような態勢でしっかりやっていただかなければ困るのでありますが、それに対しての大臣のお考えをひとつ承りたいと思います。
  176. 久保田真苗

    久保田国務大臣 思い切った政策転換と言っていただいたわけでございますけれども、私どももこれは前政権にもそうした目は十分にあったわけでございますが、生活者重視消費者重視というそういう経済社会の構造への転換を図るということは、今度の内閣で非常に強く打ち出しております。これはよく、では生産者のことは考えないのかという議論もあるようですけれども、これはただ、人はすべて生活者である、そういう意味もあり、しかしそれだけではなく、生活者重視という方向しか今のキーワードはないのではないか。これが日本の経済を引っ張っていく、そういうものであり得るし、またありたい、そういう気持ちでやっております。  したがいまして、緊急経済対策は、もちろんできるだけ速効的なものを不況対策としても考えたわけですが、やはり構造的なものにも対応するという方向でのみ打ち出しているわけでございます。  先生のおっしゃいます所得減税という問題も、それは所得減税が永久にこのまま行われないなどということはあり得ないわけでございますけれども、その問題につきましては、なおよく勉強させていただき、私どもは経企庁の立場でこの景気をどうするか、そういう問題から考えてみたいと思います。
  177. 堀内光雄

    堀内委員 大臣のおっしゃるとおり、この間の緊急経済対策というのは、消費者それから国民の一人一人に向かって新しい姿勢を示されたということで大変評価すべきものだと思います。ですから、これについては私は賛成をいたしているわけでありまして、野党の質問じゃないんです、これは。本当に大臣としてしっかりと今の国の状態をどう考えるかということで私は真剣に質問を申し上げているわけなんでして、ぜひ真っすぐ受け取っていただきたいというふうに思っているんです。  消費者の場合というのでも、これはすべて最後は消費者のところに集まってくることなのでして、消費者を重視するということは、国の政策として一番基本であることはもちろんであります。しかし、今のように雇用がだめになって調整になる、失業者がふえるということになったら、これは消費者自体、いわゆる国民が大変なひどい状態に追いやられてきてしまうわけなんでありまして、こういう状態を一日も早く直していかなきゃいかぬというのが、私の切実な気持ちなんです。  さっきの、生産者はじゃなくて消費者はというお話ですけれども、私は、生産というのはやはり一つの大きなウエートを持っているものだと思います。生産重視というのがいいんじゃありませんよ。今、空洞化して円高のために外国に行くというような状態が出てきております。これは不況が一番先の原因になって、また円高が出てきて、それで空洞化が始まるということなんでありますが、日本の国の生産あるいは全体の経済の活性化、これはメーカーが、物をつくる者がしっかりしなければ二次産業、三次産業すべてに広がっていかないのですということだけは、このごろつくづくと感じております。  ですから、今の場合、生産者重視というんじゃなくて消費者重視ということは、生産者をひとつしっかりとした体制の中に持っていってやらないと消費者まで潤ってこないんだということを私は申し上げたいのです。ですからそういう意味で、決して消費者重視がいけないなんということは全く申し上げないんで、ぜひその辺は全く同じ考え方ですから、よく大臣にもお取り組みをいただきたいというふうに思う次第でございます。  不況の真っただ中で、国民というのは毎日不安な面持ちでおります。雇用問題を含めて、さっきも申し上げたように、政府の対応を見守っているということは事実であります。その国民に安心感と意欲というものを持たせるのが政府の責任だと思います。  本日の御答弁でも、いろいろとお立場の中で精いっぱい前向きに御答弁をいただいたというふうに思いますが、ここで御答弁いただかなくても、大臣の胸の中でしっかりとこの問題についての決意を持っていただければ、私の方は別に答弁のためにやっているわけじゃございませんので、ぜひその辺をしっかり取り組みをする決意を持っていただきたいというふうに思います。  それにつけましても思い出しますのは、一九三〇年の世界的な大恐慌のとき、あのときに米国のとった、国民のとった態度というか姿勢というか、そういうものを感じるのです。一九三二年の大統領選挙で、アメリカ国民は、フーバー大統領からルーズベルト大統領に変革を求めました。そして、その変革を成果をあらしめるようにみんなで支えたというものであります。  そのルーズベルトは、一九三三年の三月の就任式で、米国がこんな状態になることはあり得ないことだ、米国経済は十分に繁栄する力を持っているんだ、政府も思い切った政策をやる、国民も力を合わせて繁栄を導こうじゃないかという演説をしました。そして国民を奮い立たせたわけであります。その後、このルーズベルトが就任後百日目にニューディール政策を打ち出したわけであります。米国民は、この大統領のリーダーシップと新政策に対して、活力を取り戻して米国を活性化させていったということであります。  細川内閣、あと一カ月で百日になるのです。十一月十六日には、百日目を迎えるのです。日本の経済を左右するほどの経済不況がひたひたと押し寄せてきて、それこそさっき申し上げたようながけっ縁に立たされるような状態、まさに一九三〇年代の、三三年のルーズベルトと同じような状態に細川さんはなっているわけなんです。ぜひこの百日目、恐らく補正予算というのはそのころになるのではないかと私は思います。この中で、ぜひ百日目に新しい政策を打ち出していただく、日本国民に意欲を持って取り組めるような、不況を克服できるような、そういう政策的なリーダーシップを持って新しい細川政策を出していただきたい。それでこそ国民の指導者ということが言えるのではないかと私は思うのであります。日本経済も十分それにこたえるだけの力があると私は思っております。それと同時にまた、日本国民はそれを待ち望んでいるだろうというふうに思います。  この日本経済に十分な力を蓄えて、また国民にその資質がある状態、このときに活力を与えていただかなければ、底が抜けてからでは遅いと思います。今まで、経済企画庁の幹部の方を前に置いて失礼かもしれませんが、多少後手後手に回っていた嫌いが私は感じられます。また、立場上ではありましょうが、非常に希望的な観測を盛り込み過ぎてしまって、そしてまた後ずさりをしなければならないような状態もあったと思います。それが今の危機的な状態を生み出してしまったのではないかということを考えましたときには、やはり大臣中心経済企画庁の皆様方が、ひとつしっかりとこの補正予算に向かってリード役をしていただきたい。そして、この不況対策をしっかりとまとめられる体制を大臣は支えてやっていただきたい。心からお願いをする次第であります。  その百日を前にしながら、ひとつ大臣の決意を承って、おしまいにしたいと思います。
  178. 久保田真苗

    久保田国務大臣 まことにありがとうございました。細川内閣百日目を前にして、懸命に頑張っていきたいと思います。
  179. 堀内光雄

    堀内委員 終わります。ありがとうございました。
  180. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時十九分散会