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堀内委員 今の
大臣の御答弁、なかなか非常によく研究をされていらっしゃると思うのですが、
認識としては私も
複合不況、合成
不況といいますか、そういうような
認識では一致するわけでありますが、これに対する後の緊迫感というか、あるいは対処する方法ですね、これについてはやはり今
大臣自身がまだそれほど大きくないと言えるかもしれないがとおっしゃいましたが、確かに大きくないのでありますね。これからもうちょっとしっかりとした形をとらないと困るのではないかと思います。
先般発表されましたGNPにおきましても、本年の四月—六月は〇・四六ですね、〇・五%の
マイナス、
年率で
マイナス二%の風速になっているわけですね。一—三月も何か下方修正をされたようでありますが、プラス〇・五%、年二・二%プラス、これでちょうど帳消しになってくるような感じでありますね。これに対してこの七月—九月、七—九というのはもっともっと悪くなるだろう、これは大体みんな
一般的に言われていることであります。
これは、さっきお話にありましたように
円高の問題あるいは
冷夏の問題、いろいろな問題がやってまいっておりますから、複合しておりますので、この
景気低迷というのがさらに深刻になってくる。それで、
企業収益というのはますます悪くなってきているというのが今の感じであります。各
企業ともリストラに取り組んで真剣に頑張っているようでありますが、幾ら
努力しても売り上げの減に追いつかない、
企業収益を賄い切れない、コストの削減の
効果が収益につながってこないということが悲鳴のように上がって、新聞もにぎわしているわけであります。
ここまでまいりますと、今まで資産を売却したりあるいはいろいろつじつま合わせをしながら黒字決算をした、配当を確保してきた、そういうような一流
企業が、いよいよ
企業体質を壊してまでそういうものにとらわれていくわけにはいかないというような
状態に追い込まれてきているというふうに思うのです。これは、決算にこだわらなくなってまいりますと減配だとかあるいは無配だとか赤字決算だとかいうのが出てまいりますが、こういうものが出てきたときというのは、日本の
企業というのは横並びでありますから、あそこがそれならうちもいいやというような形で軒並み並んでどんどん出てくる可能性が十分あると私は思うのです。ここが出てまいりますと、それこそすさまじいものになってしまう。
片方では、中小
企業の方は言うまでもなく昨年の倒産件数は一万四千件であります。ことしになってからも月千二百件ベースでずっと続いてきています。これは一万四千件にやはりつながってくる。これがもっとひどくやってくるでしょう。月千二百件の倒産というのは危険ラインだというふうに昔から言われておりますが、もう二
年間続いてこれが並んできているということは、もう中小
企業においても大変危険な
状態になってきている。この倒産も、前は
バブル倒産が多かった、今度は
不況倒産にはっきりなってきているということが明らかに数字でも出てきています。
こういう
状態を考えますと、七—九月の数字というのはどうせ十二月の初めにならなければ出てこないのですね。さっき申し上げたように、指標を
中心に
経済企画庁さんがいろいろ
検討されるということになると、十二月まで待てということなんですね、これは。待っちゃいられないというのが今の
経済の実情ではないかというふうに私は思うのであります。
それで、この現象というのは、決算面だけではなくて雇用面にもあらわれてきているというふうに思います。これは雇用問題に完全に連動をしてまいります。失業率もことしになってじりじり上がってきまして、二・五%、約百六十万人ぐらいの失業者がいる。これに対して、
企業内失業者が同じぐらいの数がいるのではないかというふうに言われております。みんな
企業でしっかり抱えて今の形の中ではおさまっている、だから表にあらわれていないということでありますが、これがだんだん抱え切れなくなって雇用調整が徐々に出始めだというのが今の現象だというふうに思います。きのうも、新日鉄が三万七千人の全従業員に月二日ずつ帰休をさせるということであります。既に住友金属、NKKもやっておりますから、もうそろそろ、これこそ横並びでありまして、大手五社の鉄鋼メーカーが全部そうなるのは時間の問題だろうというふうに思います。
この間私
どもは、選挙区の中で、中小
企業というような、工場を持っておる経営者と一緒にいろいろ話をしたのですが、ここにも、既に発注をされている電機の大メーカーから二名採ってくれという話が来たというのですわ。私
どもの会社ではもう朝から晩まで一生懸命みんなで働いているので、そんな大
企業の人が二名なんて来られたら、もうそれこそつぶれちゃう、勘弁してくれと言ったけれ
ども、どうしてもということで、一名だけ受けることにいたしましたという話が出てきておりました。
もう既に、解雇に近いような出向とかあるいは希望退職だとか、こういうようなものがどんどんあらわれ出してきている、そのくらい危険な
状態になってきていると思うのです。ですから、この
企業内失業というものが同じぐらいあるとしますと、今二・五といって、非常に日本はいい失業率だというふうに言っておりますが、当然これは五%になるわけです。そうしますと、米国は六・七、英国は一〇%、ドイツは八・四%と比べて、そんなに日本は優等生で雇用関係は立派なんだと言えないような
状態に今来ている。これをしっかり早く手を打たないと、これが表にどんどん出てきたら大変なことになりますということであります。
と同時に、
円高も絡んできて、海外移転の問題が空洞化と一緒になって出てきておりますね。ですから、これは中期的な人員削減につながってくるわけでありますが、もう超一流
企業がずらっと並んでそれを計画をして、発表しているような
状態です。ここまでもう既にやってきておる。
今、
不況というものは
企業の中で内攻しているというのが実情ではないかと思うのです。これが外に出たとき大変なことになる、刻々とそれが近づいてきているというのが、私の
認識なんです。それほど現実の市場は悪いわけであります。この市場の
状況というものをしっかり
認識をしていただいて、適時適切な対応、対処をしていただかないと、これは日本じゅうの
経済が底が抜けてしまう。けさは、二番底だ、底の
定義を盛んに言われておりましたけれ
ども、
定義の問題どころじゃなくて、抜けちゃうんです、これ。そのくらい大変な
状態に来ているというふうに思います。ですから、有効求人倍率だって、昨年の十月に一を切ってしまった。それで〇・九七になったのが、ことしの七月には〇・七二ですからね、表に出ているだけで。これをひとつ本当に現実の問題として直視していただかなければ困ると思うのです。
大臣はさっき、数字を見てとかいろいろおっしゃっていましたけれ
ども、数字を見てではとても手おくれになります。この
状況に対する
大臣の御
認識というものを改めて承りたいと思います。