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1993-10-22 第128回国会 衆議院 外務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十月二十二日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 菅  直人君    理事 小杉  隆君 理事 鈴木 宗男君    理事 原田昇左右君 理事 福田 康夫君    理事 井上 一成君 理事柴野たいぞう君    理事 若松 謙維君 理事 牧野 聖修君       安倍 晋三君    石原 伸晃君       小渕 恵三君    加藤 紘一君       金子 一義君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    二階堂 進君       浜田 靖一君    秋葉 忠利君       後藤  茂君    佐藤 泰介君       濱田 健一君    吉岡 賢治君       岩浅 嘉仁君    工藤堅太郎君       赤羽 一嘉君    草川 昭三君       竹内  譲君    錦織  淳君       西村 眞悟君    古堅 実吉君       糸山英太郎君  出席国務大臣         外 務 大 臣 羽田  孜君  出席政府委員         外務大臣官房審 小池 寛治君         議官         外務省総合外交 柳井 俊二君         政策局長         外務省アジア局 池田  維君         長         外務省北米局長 佐藤 行雄君         外務省欧亜局長 野村 一成君         外務省経済局長 小倉 和夫君         外務省条約局長 丹波  實君         水産庁長官   鎭西 迪雄君  委員外出席者         科学技術庁原子         力安全局原子力 塚腰  勇君         安全課放射性廃         棄物規制室長         外務大臣官房審 加藤 良三君         議官         水産庁海洋漁業 窪田  武君         部長         運輸省航空局監         理部国際航空課 藤野 公孝君         長         運輸省航空局監         理部航空事業課 洞   駿君         長         議委員会調査  黒河内久美君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十二日  辞任        補欠選任   石原慎太郎君     石原 伸晃君   武藤 嘉文君     浜田 靖一君   後藤  茂君     吉岡 賢治君   土肥 隆一君     佐藤 泰介君   石井  一君     岩浅 嘉仁君   草川 昭三君     竹内  譲君 同日  辞任        補欠選任   石原 伸晃君     石原慎太郎君   浜田 靖一君     武藤 嘉文君   佐藤 泰介君     土肥 隆一君   吉岡 賢治君     後藤  茂君   岩浅 嘉仁君     石井  一君   竹内  譲君     草川 昭三君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  みなみまぐろ保存のための条約締結につい  て承認を求めるの件(条約第一号)  航空業務に関する日本国ネパール王国との間  の協定締結について承認を求めるの件(条約  第二号一  日本国中華人民共和国との間の航空運送協定  を改正する議定書締結について承認を求める  の件(条約第三号)      ――――◇―――――
  2. 菅直人

    菅委員長 これより会議を開きます。  みなみまぐろ保存のための条約締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国ネパール王国との間の協定締結について承認を求めるの件及び日本国中華人民共和国との間の航空運送協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田昇左右君。
  3. 原田昇左右

    原田(昇)委員 きょうは条約案三件についての審議でございますが、まず、みなみまぐろ保存条約について御質問申し上げます。  みなみまぐろ条約をつくろうということで条約ができてきたわけですが、これは実態的には三国間で行政協定で今までやってこられたのを条約化したということで、非常に時宜に適しておるものと思います。しかし、この条約に至るまでの、どうしてこういう条約をっくらなければならないのかということになりますと、ミナミマグロ資源が乱獲によって絶滅してしまうんじゃないかというおそれがある、そこで保存をしなければならないということになってきたのだろうと思うのですが、その状況についてまず御説明をいただきたいと思います。
  4. 窪田武

    窪田説明員 お答えいたします。  今先生の御指摘のとおり、ミナミマグロ資源状況につきましては、正直言いまして現在の親魚資源水準はかなり低い水準になっているわけでございます。  これは、先生指摘のとおり、一九八〇年代前半にオーストラリアまき網漁業によりまして、小さな、一、二歳魚を漁獲したこと等によるものであるというふうに言われているわけでございます。その後、そういう状況を踏まえまして、一九八〇年代後半から、日本豪州ニュージーランド三国の合意によりまして、総漁獲量規制を初めといたしまして、まき網漁業の抑制とか期間禁漁水域設定等を導入したことによりまして、はえ縄漁獲の対象になる四、五歳魚の資源量というのは徐々に増大しているというふうに言われております。  しかしながら、資源を維持増大するためには親魚資源まで増大する必要があるわけでございますが、その親魚資源は先ほど申し上げたような事情によりまして今後数年間さらに低水準で推移することが予想されておりまして、現在の規制を続けることで資源の回復が達成されるか否かについて三国の研究者の見解が分かれておるわけでございます。  いずれにしても慎重な資源管理が必要であるということでございまして、従来三国間で話し合われておりましたこの資源管理規制措置につきまして、何とか条約という格好で安定的に話し合っていくのがいいのではないかということで、この条約締結に向けて三国間で話し合った経緯がございます。
  5. 原田昇左右

    原田(昇)委員 安定的にという水準は一言で言うと、ごちゃごちゃ言うことはないのですが、アバウトで資源量というのは大体どのくらいのトン数なんですか。
  6. 窪田武

    窪田説明員 数量的なバイオマスにつきまして、これは親魚資源数量と、それから幼魚、一、二歳魚から四、五歳魚にわたる数量とがございまして、必ずしも数量的に何匹いるというところまで厳密に分析されておるわけではございませんが、幼魚といいますか、四、五歳魚の方はどうも徐々にふえておるといいますが、残念ながら八歳以上の親魚資源についてはいまだに非常に低い水準にあるということでございます。
  7. 原田昇左右

    原田(昇)委員 いや、八歳以上の数量は。
  8. 窪田武

    窪田説明員 ここに、八歳以上の数量について今手持ちがございません。
  9. 原田昇左右

    原田(昇)委員 今の私の質問は決して無理な話を言っているのではなくて、それは稚魚数量なんてわかりっこないんだろうと思うんだけれども、要するに、資源割り当てをするでしょう、日本は何トンとっていいですよ、オーストラリアは何トンいいですよという。そのトン数を聞いているんだよ。要するに、大体トータルとして何トンあるのかそれは八歳以上ということではないかと思うんだけれども、それはどうなんですか。――それでは時間がかかるようならもうちょっとほかのことを聞きますから、その間によく調べておいてください。  マグロの全般の需給状況というか、マグロ世界中でとれるのだけれども刺身にして食うのは日本人だけだ、それで要するに世界市場を形成しているのは日本だけだと。私も外国へ行ってマグロを食べたことがありますが、ほとんど日本人が買っているし、ヨーロッパでは何かいためて食べる程度ですよね。それで日本人が行って値段をつり上げたと言って現地の人はぶうぶう言っていたという話も聞くのですけれども、とにかくマグロというのは日本に持ってきて初めて市場価値が出る、そういうものですから、日本における現在、マグロによって、種類によって非常に違うと思うのですが、簡単に言ってください。
  10. 窪田武

    窪田説明員 お答えいたします。  ミナミマグロ需給状況につきましては、ミナミマグロ統計そのものにつきまして、従来クロマグロと一緒に統計しておりましたので、ことしからようやくミナミマグロにつきまして需給がわかるようになったということでございます。  本年のミナミマグロ我が国の漁船による漁獲量そのものは、クオータが一応六千六十五トンでございますが、これに加えまして、豪州から供与された調査枠とかあるいは合弁事業による漁獲分を合わせまして、大ざっぱに見込みまして、本年、最終的には九千トン程度が見込まれるというふうに考えております。  また、我が国ミナミマグロ輸入量につきましては、本年の一-八月までの原点ベースでは大体千九百トンになっておりますので、これを年間に延ばしますと二千八百トンから三千トン弱というふうに見込まれるわけでございます。  したがいまして、全体としては一万二千トン弱のミナミマグロ我が国において消費されるのではないかというふうに考えているところでございます。
  11. 原田昇左右

    原田(昇)委員 今のトン数をおっしゃったのは八歳以上という、まあ要するに食べられるマグロでなきゃこのトン数になってこないわけですね。それは大体どのくらいですか。さっきあなたが言った、何歳以上とか何歳というのはどういうふうに考えたらいいんですか。協定上は何歳以上でなきゃとっちゃいかぬとか、そういうのはあるんですか、ないんですか。
  12. 窪田武

    窪田説明員 ただいま私が申し上げました日本漁獲及び輸入ミナミマグロにつきましては、大体三歳から上の魚でございまして、必ずしも八歳以上ということに限られているわけではございません。  それでまた、三国間の従来の取り決めにおきましては、先ほど申し上げましたように、一、二歳の小型魚をとるようなまき網というのはよくないということで、そういう意味規制しておりますが、必ずしも一、二歳を絶対とっちゃいかぬということまで合意しているわけではございません。
  13. 原田昇左右

    原田(昇)委員 稚魚の捕獲は禁止されているんでしょう。要するに、稚魚をとっちゃったから、稚魚というのが、三歳ぐらいのをとっちゃったのかどうか知らぬですが、要するにまだ大きくなれるやつをとっちゃうから資源が減ったんだ、こういう御説明があったのですけれども一体、それに対してこの協定なりなんなりはどういうように対応しているのか。つまり、稚魚のうちにとって持ってきて食べちゃったんじゃだめじゃないですか。これはそういう点がしり抜けじゃないですか。きちっとその辺をやらなきゃだめじゃないですか。どうなっているんですか。
  14. 窪田武

    窪田説明員 お答えいたします。  稚魚段階で魚をとりますと資源によくないということは、先生指摘のとおりでございまして、そういう意味で、先ほど申し上げましたように、主として小さな小型魚もとってしまうようなまき網漁業については抑制すべきであるということで三国間で話し合ってきておりましたし、また、我が国といたしましても一、二歳の小さな魚についてはなるべくとらないということで、自主的に私ども国内で対応しているところでございます。  さらに、そういう稚魚についてどう漁獲制限漁獲規制をやるかということにつきましては、これからこの条約を批准していただきまして、委員、会ができまして、その委員会の場においてどのような規制内容にするか、これからその場において決める問題であろうかというふうに思っております。
  15. 原田昇左右

    原田(昇)委員 先ほどおっしゃった委員会でやるんだということで、大いに実効のある規制をやっていただきたいと思うんです。  日本の船は六千トンぐらい、あと三千トンぐらいを豪州がどこかから譲ってもらって、九千トン日本生産する、三千トンはどこかから輸入で入ってくるということでございますが、この国別割り当てはどうなっているのか。それから、日本が損していることはないのか。どういう状況ですか。それから、輸入先、どこから出てくるのか。少し具体的に説明していただきたいと思います。
  16. 窪田武

    窪田説明員 お答えいたします。  従来、ミナミマグロ国別割り当てにつきましては、日本豪州ニュージーの三国におきましてみなみまぐろ国間会議というものを開催いたしまして、それによって全体の総漁獲可能量及びその国別割り当て量を決定しているところでございます。  具体的には、総漁獲量につきましては、科学的知見に基づいてやっているわけでございますが、先ほどのお答えにも関連するわけでございますが、ここ数年は、全体の総漁獲可能量といたしまして一万一千七百五十トンということにしております。約一万二千トンでございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、必ずしも八歳以上の親魚だけをとるわけではございませんので、主として三歳から四歳より大きい魚をとるということで、本来でありますと、全体として資源量が何トン、何匹いて、そのうち総漁獲可能量として何トンとるべきであるということを計算すべきでありますが、残念ながらそこまでの知見がありませんので、資源の状態が必ずしもよくなっていないということを前提といたしまして、ここ数年は一万一千七百五十トンという低いレベルで抑えているという状況でございます。  さらに、その総漁獲量に基づきまして、各国の国別割り当てをするわけでございますが、これらにつきましては、漁獲の実績なり、過去のミナミマグロ保存なり、増殖科学的調査に対する寄与等を考慮いたしまして国別漁獲量が定められているところで、現在のところ、ここ数年間は、日本が六千六十五トン、全体のうちでは五一・六%でございます。豪州が五千二百六十五トン、全体の四四・八%でございます。ニュージーランドが四百二十トン、三・六%でございまして、必ずしも日本側として満足すべき数字とは思っておりませんが、全体の半分以上我が国が占めているということによって、必ずしもその国別割り当て量において日本が損をしているということではないのではないかというふうに考えている次第でございます。
  17. 原田昇左右

    原田(昇)委員 もう一つ伺っているのは、輸入先がどこだと聞いているのです。
  18. 窪田武

    窪田説明員 大変失礼しました。  ミナミマグロ輸入先につきましては、先ほど申し上げました統計が、過去においてはミナミマグロクロマグロを区別しておりませんので、ことしの統計しかございません。ことしの一-八月の統計では、先ほど申し上げたのは原点ベースだったのですが、統計の方の数字は、製品重量で申し上げますと、全体として一-八月で約千六百トンの輸入でございまして、そのうち豪州が千二百トンでございます。ニュージーがちょこっとございまして、残りは主として台湾、これは国と言えるかどうかわかりませんが、台湾の方から三百トン弱の輸入があるということでございます。
  19. 原田昇左右

    原田(昇)委員 さっきの数字と大分遣うんだ。さっき、輸入は三千トン……
  20. 窪田武

    窪田説明員 あれは原点ベース。一年間に延ばしたということと、それから原点ベースでございますので……
  21. 原田昇左右

    原田(昇)委員 何ですか。ちょっとよくわからない。
  22. 窪田武

    窪田説明員 大変失礼しました。  正確に言いますと、一-八月は、製品重量ベースでは……
  23. 原田昇左右

    原田(昇)委員 いや、私は年間で聞いているんだよ、さっきから。  さっきあなたが、割り当て数字というのは六千トンと言ったのは、年間でしょう。
  24. 窪田武

    窪田説明員 はい。
  25. 原田昇左右

    原田(昇)委員 それだから、それに合わせた単位で言ってもらわなければ、あるときは月だ、あるときは年間じゃ、困るよ。わからない。わかりやすく言ってください。
  26. 窪田武

    窪田説明員 年間数字、これから漁期がございますので、全体としてはありますが、国別とかなんとかになりますとどのくらいになるのかというのは、なかなか私ども予想しがたいので、大変恐縮でございますが、一-八月の現実の数字を今申し上げたところでございます。
  27. 原田昇左右

    原田(昇)委員 七、八月でもいいですが、過去の実績で、七、八月しかないのですか。
  28. 窪田武

    窪田説明員 いや、一月から八月。それで、繰り返しますけれども製品ベーストータル千六百トン、そのうち豪州が千二百トン弱、さらに台湾、国と言えるかわかりませんが、台湾が二、三百トン弱という数字でございます。
  29. 原田昇左右

    原田(昇)委員 製品ベースって何ですか。刺身にして持ってくるだろう。
  30. 窪田武

    窪田説明員 冷凍品でございます。
  31. 原田昇左右

    原田(昇)委員 冷凍製品という意味ですか。
  32. 窪田武

    窪田説明員 はい、そうです。
  33. 原田昇左右

    原田(昇)委員 丸ごとじゃない……
  34. 窪田武

    窪田説明員 丸ごとではない。原点ベースというのが、我々の言葉で言うといわゆる丸ベースということでございます。丸魚ベースでございます。
  35. 原田昇左右

    原田(昇)委員 ちょっと専門的であれなものですから省略します。  では、そこにいてください。ちょっとよくわからないから伺っているので、要するに、わかりやすく説明していただきたいのですが、事実関係だけなんですが、年間どのくらい輸入されるものか。つまり、国内の、日本の船では先ほどおっしゃった割り当て六千トンで、プラス三千トンで九千トンだ、こういう話でしょう。輸入がどのくらい、だから全体の需給を聞いているわけですから、その辺のわかりやすい御説明をいただきたいのですね。
  36. 窪田武

    窪田説明員 では、先ほどの説明に合わせて申し上げますと、日本漁獲量予想見込みが九千トンというのは原点ベースでございますので、原点ベースで申し上げますと、輸入は大体三千トン弱ということでございます。そうしますと、ミナミマグロ輸入量年間推定で、先ほど申し上げたように二千八百トン、約三千トン弱ということになるわけでございます。その約三千トン弱の原点ベース輸入量のうち現在まで、一-八月までの比率でいいますとそれの約三分の二程度オーストラリアから来ておりまして、それをあえて計算しますと二千トンぐらいが豪州から入るということになると思います。さらに、そのほか若干のニュージーと、国ではございませんが台湾の方から来るのが大宗を占めるというわけでございます。
  37. 原田昇左右

    原田(昇)委員 よくわかりました。  そこで、ミナミマグロ資源について、ミナミマグロというのは日本国内の需要が非常にあるし、非常に貴重な資源でありますので、これを今のような保存協定保存するということをしなければいかぬ。日本漁業としてはこれはあれば本当はもっととりたいところなんでしょうが、大いに抑制しておるということだと思うのですが、資源を増大することも考えたらどうかと私は思うのです。  例えば、ふ化放流というのをサケマスでやっていますが、これは大変成功をしたのですね。余り成功し過ぎてしまってサケが小さくなったという話を聞くのですけれども、いずれにしても、日本サケの流通しているのは大体千億規模。それで、水産庁は六、七十億か何か放流に物すごくお金をかけているのでしょう。ところが、マグロは約三千億規模ですよ。魚としては一番大きい市場を持っておる。にもかかわらず、ふ化放流事業というのは何にもやってないに近い。研究をどこかへ少し委託したとかいう話は聞いたのですが、これでは、今マグロ資源世界全体として枯渇してくる。しかも、日本がみんなとっている。市場日本しかないのですから全部日本へ持ってくる。ICCATというのがあって大西洋でも問題になり、太平洋条約自然動物の保護にまで訴えられるという状況になってきておるのに、一番の消費国日本が何にもしない、ただとるだけだ。これでは日本の責任は全うしてないと私は思うのですよ。  大いに海外協力事業でもやり、世界のこういう水産関係の学会にも頼んでふ化放流技術を開発して、そして発展途上国なり関係国と共同してこのふ化放流をやるということくらいはぜひともやるべきではないかと思うのですが、その状況は今どうなっているか説明していただきたい。
  38. 窪田武

    窪田説明員 お答えいたします。  ミナミマグロにつきましては、これのふ化放流まで至っているわけではございませんが、海外漁業協力財団の助成によりまして、オーストラリアにおいて採集した天然の幼魚生げず内で一定期間飼育して出荷する事業を、本年五月まで三年間にわたって行っております。これは必ずしも先生指摘ふ化放流事業ではございませんけれども、いわゆる蓄養事業でございます。これについては大きな成果を得ているところでございます。  また、ふ化放流事業そのものにつきましては、我が国におきまして、ようやく平成五年度から鹿児島県の奄美諸島におきまして、小さな湾を網で仕切る方法によりましてクロマグロ親魚を自然に近い環境で飼育しまして、大量かつ安定的な卵の入手、種苗大量生産技術開発を行うというクロマグロ栽培漁業プロジェクトをようやく開始したところでございます。これの成果につきましては、まだ始めたばかりでございます。  今申し上げたのはクロマグロでございまして、ミナミマグロ資源につきましても、その資源の増大のためにいろいろしなければいけないことは御指摘のとおりでございますが、クロマグロ成果をも参考としまして、関係国の意向も踏まえながら今後やっていきたいというふうに思っております。
  39. 原田昇左右

    原田(昇)委員 ふ化放流についてはまだ成功していないのですか。要するに、今の話だと蓄養はやっている。蓄養というのは、これは自然のものをとってきてただ大きくして自分たちが食べてしまう、我々が食べてしまうわけですから、これでは資源増殖にはならないのですね。途中何かに食われることはないかもしらぬけれども、いずれにしても我々の食べるために蓄養するのですから、これじゃなくて、ふ化放流というのがあって初めて資源増殖になるのだろうと思うのですね。  ふ化放流事業について一体予算はどのくらい今使っているのですか。私の言っているのは、国内だけじゃなくて国際、全世界的な規模で、ミナミマグロはインドネシアと豪州の沖合で産卵すると言われているのですから、その付近でそういう事業をやるとかモロッコでやるとか、あるいは地中海はモロッコとか、大西洋はどことか太平洋はどことか、日本だけではなくて全世界をにらんで考えてもらいたい、こういうことを申し上げているのです。
  40. 窪田武

    窪田説明員 お答えいたします。  ミナミマグロそのものふ化放流技術につきましては、まだ全くこれからの話でございますが、その前に私どもがやっておりますのがクロマグロについての増殖技術でございまして、これにつきましてはもうよく御案内のとおり、親魚を確保して親魚から大量の卵を安定的に供給するということがまず大事なわけでございますが、親魚が網へ衝突して死んでしまうとかそういうことがございまして、卵の確保が非常に困難というのが最大のネックになっています。ただ最近、去年、ことしとようやく飼育魚から卵がとれるという状況になった段階でございまして、これを育てて安定的かつ大量な種苗生産をしてふ化放流に持っていくということにはまだこれからやることがたくさんあるということでございますが、できるだけ早くやっていきたいということでございます。  またさらに、大変恐縮でございますが、全体のクロマグロ増殖関係ふ化放流関係予算の現状につきましては、あいにく手元数字がございませんので、後ほど御報告したいと思います。
  41. 原田昇左右

    原田(昇)委員 最後の方、よくわからなかっが・・・・・・。
  42. 窪田武

    窪田説明員 クロマグロ関係予算数字については手元にございませんので、後ほど御報告したいと思います。
  43. 原田昇左右

    原田(昇)委員 いずれにしても、ようやくそんな程度では大変心もとないと思うのです。ぜひふ化放流については早く、もうあらゆる機関を動員して国内でまずふ化放流技術の確立をすると同時に、国際的にも、世界に呼びかけて、ぜひその事業日本がイニシアチブをとってやっていただきたいと思いますが、外務大臣どうですか、国際的にそういう事業を大いにやるべきだと思いますが。
  44. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 確かにマグロというのは日本人に大変愛されるといいますか、また消費量が最も多いことであります。そして今、原田委員窪田さんとのやりとりをこうやって聞いておりまして、大変気宇壮大であるということと同時に、しかし、そういったことはやはりいろいろな国に対しても理解されることであろうと思いますので、我々としても今の御指摘がありましたことはどんなふうに有効性があるのかよく技術的にも検討してみることが必要なのかなという思いがあります。
  45. 原田昇左右

    原田(昇)委員 今のは、外務省はODAの所管でもありますので、私は、ODA等をぜひ活用していただいて、このふ化放流について何か、マグロ資源増殖ゴールデンプランでも何でもいいですからそういうものをつくって、みんなそれに参加してもらって、相当の金額を日本が負担するというようなこと、あるいは技術の交流をやるというようなことをぜひ考えていただきたいと思うのです。いかがでしょうか。
  46. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 最近マグロ漁獲についてもやはりなかなか厳しくなってきたということで、非常に、何というのですか国民的にも多少寂しさというものを感ずるなんて話もよく聞かれるわけでございまして、いずれにしても、こういったことでいろいろと協力するということは決して悪いことではないし、また、まさに魚というものはこういうものだよということをいろいろな国の人に知ってもらうこともできるということがあろうと思いますので、私どもとしてもいろいろと研究してみたいと存じます。
  47. 原田昇左右

    原田(昇)委員 そこで、この条約によって資源保存されるということでございますが、締約国がせっかくマグロ保存のために枠組みをつくっても、非締約国、この条約に入っていない国が勝手に捕獲をして日本に持ち込んでくるということになりますと、せっかくの保存措置が損なわれてしまうということになるわけです。  そこで、輸入の実態を把握したり、あるいはさらに踏み込んで、第三国からの輸入の抑制をするための措置が必要となってくると思うのですが、この条約の実効を担保する上にはどうしても、少なくとも実態がどうなっているかということをにらんで、そして、この条約の実効性に悪影響を与えるような要因はどうしても排除しなければならない、必要なら輸入制限もやるということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。お答えいただきたいと思います。
  48. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 確かに、この条約の目的でございます保存、管理、これも十分に確保するためには、やはり関係する非締約国、こういったところが協力してくれなければならない、この御指摘は全くそのとおりであろうというふうに存じます。  このために、この条約におきまして関係国マグロ漁獲する国、こういった国への加入の奨励、それと非締約国、こういったところからオブザーバー、こういったもので入っていただきたいというような招請もいたすことができるようになっておるところでございます。  また、この条約には、仮に非締約国が本条約の目的の達成に不利な影響を与えるミナミマグロ漁獲活動を行うような場合には、そのような活動というものを抑止するための適切な手段をとることにつきまして条約の締約国が協力すること、これを定めておるところであります。また、このような協力については、例えばそのような非締約国等に対しましていろいろな経路を通じまして締約国が協力して働きかけを行うことが考えられます。ただ、今御指摘がありましたような輸入制限がこれは想定されておるものではないということは申し上げざるを得ないと思っております。  いずれにいたしましても、具体的な状況に応じまして他の締約国と協力をしながら適切な方法でこの条約が目的といたしておりますことを達成できるように、我々としても積極的に努力していきたいということを申し上げたいと存じます。
  49. 原田昇左右

    原田(昇)委員 外務大臣から極めて適切な御答弁をいただぎましたので、ぜひとも外務省、ひとつこの点について条約保存、管理の上に支障となるような、非締約国が漁獲して日本にしか持ってくるところはないのですから、日本に持ってくるということに対しては、私は、まず第一に本当はICCAT、大西洋マグロ協定がありますね、ここでは協定上、原産地証明というのが、輸入統計を必ずつけて持ってこいということに今既になっておる。まだこの条約はできてませんからこっちでもすぐやれというわけではありませんけれども、そういうことも早急に締約国の間で相談してもらって、まず監視をするということが大事であります。事実を把握する。余りひどいときは非締約国に対して勧告するとかいろいろなことをやる。最後にはガット上の輸入制限ができることになっておるわけですから、これもひとつ発動していただく、こういうことになると思うのですが、外務大臣、その点、先ほどの前向きの御答弁で十分その意味を受け取りましたので、ぜひともひとつよろしくお願いいたします。  それでは、ミナミマグロ関係については、若干後で資料をいただく点がありましたが、予算数字等伺うことになっていますが、一言だけ申し上げますと、サケふ化放流、千億規模サケふ化放流には五、六十億もお金かけてやっておるではないか。三千億規模マグロについては今のところほとんどなしに等しいという状況ではないかと思います。今国際的にも非常にマグロ資源の問題がクローズアップしておるときに、水産庁としてはこれについて全力を挙げて国際的なスケールでひとつこのふ化放流増殖事業というのを推進していくんだということについて御答弁をいただきたいと思います。水産庁長官いないですか。
  50. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 農林水産委員会に出席していまして、失礼いたしました。  ただいまの委員の御指摘でございますけれども、基本的には、二百海里体制が定着する中で、我が国の二百海里を中心とした周辺水域におきます、国民の非常に需要の高い、そういう魚類を中心にいたしまして水産資源の持続的培養を図っていこうという手法として、いわゆる資源管理漁業あるいは栽培漁業というものに力を入れて推進してまいっておるところでございます。  ただ、先ほども水産庁の海洋漁業部長から御答弁いたしましたように、昨今の技術革新を踏まえまして、回遊性の魚種、あるいはもっと広げまして大回遊性の魚種につきましても、今後の大きい課題として取り組んでいくという方向になっておるわけでございますので、国内におけるクロマグロ親魚の飼育から始めております奄美大島のプロジェクトを中心といたしまして、国内でもそういうことをやっていきたいと思っておりますし、対外的にも、漁業の最先進国としての日本の立場、いろいろございますが、そういう立場を十分わきまえまして、国際的な貢献ということをやってまいりたい、かように考えているところでございます。
  51. 原田昇左右

    原田(昇)委員 長官は途中から来たから、さっきの話で、奄美大島のは蓄養だ、あれはだめだ、こういう話をしたばかりなんだ。ふ化放流というのは鹿児島でやるんだ、こういう話でしたから、それはふ化放流を先にやりなさい、もっとそっちに力を入れなければだめよ、我々の食うためにやる蓄養じゃ資源増殖にをらぬ、こういう話をしたばかりなので、よろしいですか。
  52. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 奄美大島でやっておりますのは、先ほど水産庁から答弁したとおり、まず親魚を飼育しまして良質卵を安定的に入手し、それをふ化放流する、その前段階のことを今やっておるところでございまして、蓄養はあるいはお聞き違いだったのかもしれませんが、豪州において我が方が海外協力財団、これが協力事業として取り組んだプロジェクトでございます。
  53. 原田昇左右

    原田(昇)委員 わかりました。ぜひ、この問題はひとつ本腰を入れて取り組んでいただきたい。そして、マグロについては、日本が唯一の世界の需要国であるし、市場を形成しており、しかも日本の国民に一番親しまれておる、三千億に上る市場なめですから、これはもう日本資源を枯渇させたという汚名を着ることのないように、むしろ資源増殖しておる、それによって我々はこの資源の恩恵に浴しておるのだ、こういうことにぜひ頭を切りかえてやってもらいたいと思います。  そこで、次に、航空協定に入ります。  航空協定の問題ですが、今、ネパールの航空協定がここへ来ているのですが、ネパールのことで二つばかりお伺いしたいのです。  大阪空港で受け入れられる、私は、非常に結構だし、これから関西国際空港ができるのですから、大いにお客さんに来てもらったらいい。特にアジア地域は、ネパールとかブルネイとか小さい国がありますが、みんな日本に乗り入れてきたい。日本の飛行機が行ってないからだめだなんて言わないで、大いに来ていただくということが非常に大事だし、関西国際空港はまた、空港キャパシティーからいっても相当、二十四時間操業できるわけですし、受け入れ余地が十分あると私は見ていますが、その辺についてどうですか。
  54. 藤野公孝

    ○藤野説明員 お答え申し上げます。  来年九月開港予定の関西新国際空港の乗り入れにつきましては、昨年来、鋭意関係各国と交渉を進めてまいっております。  現在までのところの状況をまず御報告申し上げますと、今先生からの御指摘のありましたネパール等の新規乗り入れ国七カ国を含めまして、現在までのところ三十八カ国、便数にいたしまして週間約三百便という状況に相至っております。  今後、米国、ドイツ、フランス、中国、韓国等の主要国の交渉がまだ残っておりますし、今御指摘のありました新規乗り入れ希望国も多うございますので、これらの国との交渉も進めてまいりまして、関空オープンにできるだけ間に合うように、今後もなお対応、努力してまいりたい、このように考えております。
  55. 原田昇左右

    原田(昇)委員 週間三百便だったら、全然、空港は閑古鳥が鳴いてしまうじゃないですか、今のお話では。
  56. 藤野公孝

    ○藤野説明員 お答え申し上げます。  最終的に、開港時までにまず権益交換上何使いくか、さらに具体的に、開港時において各エアラインが何便オペレートするかといったようなことについて、私ども現時点においてははっきりしたことは申し上げられません。けれども、先ほど申し上げましたように、これからまだアメリカとかドイツ、フランス、大口が残っております。できるだけ需給等を十分勘案いたしますけれども、関空オープンをいい形でできるように努力してまいりたい。さらに、国内線と合わせてどのくらいになるかということもございます。できるだけ需要にうまくマッチした供給力を図るようにしてまいりたいと考えております。
  57. 原田昇左右

    原田(昇)委員 一言で言うと、それは今とてもさばき切れないぐらい乗り入れ希望があるのですか。それとも、大分キャパシティーに余裕があって、誘致しなければならないということになっているのですか。どうなんです、関西空港。一言で言ってください。
  58. 藤野公孝

    ○藤野説明員 多少乱暴な言い方になるかもしれませんが、一言で申し上げますと、開港時におきましては余裕が出ると思います。開港時におきましてはスロット上の余裕が生ずるものと考えております。
  59. 原田昇左右

    原田(昇)委員 わかりました。  成田には殺到していると思うのですね。それを大阪へ振りかえて、大阪からすぐ国内便で羽田へ来るとかどこかへ来るとか、空港からですよ、そういうことは航空局は考えていないのですか。
  60. 藤野公孝

    ○藤野説明員 お答え申し上げます。  今先生が御指摘になられました点は、実はこの関西空港が世界的に見て一級のちゃんとした国際空港になれるかどうかという一つの大きなかなめになる、試金石になる重要な問題だと航空局としても考えておりまして、単純に申しますれば、いわゆるハブ空港としてのきちっとした機能を十分備えられるかどうかということで、国内国際を合わせた調整をどうするか、コネクションという意味での調整をどうするかということで、国内をオペレートしておりますエアラインとも鋭意今やっておるところでございます。
  61. 原田昇左右

    原田(昇)委員 今のような考え方でいいんですね。
  62. 藤野公孝

    ○藤野説明員 そのとおりでございます。
  63. 原田昇左右

    原田(昇)委員 御答弁は簡潔にいただきたいのですが、カトマンズの空港では大分事故がありましたね。空港に欠陥があるんじゃないかなんということも言われたのですが、その点はどうですか。その後改良されたのか、そんなこと問題ないのか、どうなんですか。  ネパールは非常な観光地でありますし、いい国ですから、我々も直通便があればやってみたいと思うけれども、カトマンズ空港の方は大丈夫でしょうね。
  64. 藤野公孝

    ○藤野説明員 カトマンズ空港の事故に端を発しまして、この空港の安全性に危惧があるということで、ことしの春に、運輸省の方が中心になりまして、技術的な調査団を送りまして、そのリポートも出ております。ILS等の機器の設置等について、技術協力及び資金協力を今後詰めてまいる所存でございます。
  65. 原田昇左右

    原田(昇)委員 次に行きます。  もう時間がありませんので、ひとつ簡明に答えていただきたいのですが、これはマイケル・アマコスト大使が新聞に、「論壇」に書いておるのですが、「航空協定は競争促進こそ重要」。日米航空協定の問題なのですが、日米間で航空協定上非常に不公平だ、アメリカだけ有利な協定になっておる、これは占領下からそういうことになってきて、航空関係者の間では強く言われておるわけです。それは、一言で言えば、一体どこが一番不均衡なのかということ。  それから次に、私は、協定の不公平と自由に競争するかどうかということは別問題だと思うのですね。それをやろうとしても、協定上どうしてもできないということであれば、これは大問題。しかし。自由な競争というのはうんと促進する必要がある。  例えば、私はこの前オーストラリアに行ったのですが、オーストラリアというのはヨーロッパより近い。観光も非常に気候もいいところだ。例えば、北にケアンズというところがありますね。あそこはハワイと同じぐらいか、むしろハワイより近いぐらい。時差もない。しかし、ケアンズを例にとれば、運賃はヨーロッパヘ行くより高いし、ハワイと比べて、東京ージドニーはヨーロッパより高くなってしまう、あるいは同じぐらい。それで、ハワイというのは、ハワイの方がずっと競争が激しくて、安い運賃で行ける。したがって、日本人のお客はみんなそっちへ行ってしまって、豪州にはちっとも来ない。これは競争政策の問題じゃないかと思うのですね。少数独占でやっておるからこういうことになるのではないか。その辺はどう考えておられるか、実態はどうなっておるか、ぜひひとつお伺いしたい。
  66. 加藤良三

    加藤説明員 原田先生の御質問の前段に簡潔に答えさせていただきます。  具体的な協定上の権益の不均衡の根っこというのは、自国内の出発地点に制限がないために、米側の企業が広大なアメリカ国内の多数のポイントを起点として我が国へ乗り入れることが可能なこと、それから米側の以遠地点、これに何ら限定が付されていないこと、それから、現行協定の運用上、米国の指定航空企業、具体的にはユナイテッド・エアラインズ、ノースウエスト・エアラインズ、フェデラル・エクスプレスなどでございますが、この自由な増便が認められていること、これらがその不均衡の根っこであると思います。
  67. 洞駿

    ○洞説明員 お答え申し上げます。  国際航空運賃についてのお尋ねでございますけれども先生指摘のとおり、日本とホノルル、それから日本オーストラリアの問を運賃を比較しますと、ちょっとケアンズの資料を今詳細なものを持っておりませんけれども、一般的に言いましてオーストラリアの方がホノルルよりも遠いのですが、運賃はその分だけ高い。しかし、賃率で申し上げますと、オーストラリアの方がハワイよりも若干高くなっているという事情があるのは事実でございます。  国際航空運賃は、先生よく御存じのとおりIATAにおきまして、関係航空事業者が集まって輸送量とかあるいは各国の物価水準等いろいろなものを考慮して決めて、そして各国の認可を受けて成立するということになっておりまして、そういう事情からいろいろな路線ごとに運賃の差異が生じているという面がございます。しかしながら、今回、ことしの一月四日に国際線の運賃改定を行いましたけれども太平洋線の上げ率を上げてオセアニア線のアップ率を抑えるというようなこともやって、要するに、できるだけ両者の不公平感が高まることのないように適切に今航空会社等を指導しているところでございます。
  68. 原田昇左右

    原田(昇)委員 私、もう時間がないので終わりますが、今の御答弁にありましたように、賃率についてはIATAでやるからIATA任せだというのはおかしいので、航空当局は全部認可にかかわっているはずなんです。  これだけ円高が進行して円高メリットはさっぱり反映されていないという意見も、御批判も聞くわけです。その辺の実態をよく調査して、円高差益を還元するというのは今内閣の最大の方針であり、消費者に対して還元するということについて、いささかおかしな航空業者間の協定でその方針が損なわれるようなことでは困ると思います。  ただ、日本の場合は、日本の航空企業としては国際競争力が円高で大変厳しい状況になっておることもよく理解するわけでありまして、その辺をどういうような手段でやるか、国際航空の面で競争力をどうやって強化するかということをぜひ考えていただきたいし、賃率については、それを為替レートを勝手に変更して賃率で甘くやっているというのは非常に甘いんだな。私は、大いに競争政策を実行してそれにたえる競争力をつけるように、ぜひこれからの航空政策として展開をしていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  69. 菅直人

    菅委員長 安倍晋三君。
  70. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 まず、みなみまぐろ保存のための条約についてお伺いをさせていただきたいと思います。  昨今の我が国の遠洋漁業を取り巻く状況というのは、人員の確保の面また水揚げ量の問題についても大変厳しいものがあるわけでございます。平成二年の我が国の遠洋マグロはえ縄漁船総数は七百九十一隻、そのうちミナミマグロ対象漁船は約二百五十隻ということでございますが、本条約によりまして、この二百五十隻の漁船が将来減船をせざるを得ないような状況になるのではないかということが大変懸念をされているわけでございますが、その辺の見通しについて教えていただきたいと思います。
  71. 鎭西迪雄

    ○鎭西政府委員 ただいま委員のお話しの七百九十一隻と二百五十隻でございますが、お話があったとおり、この二百五十隻は、まず、ミナミマグロだけを漁獲の対象にしているものではない、他のマグロとあわせまして周年操業形態をやっているものであるということを御理解いただきたいと思います。  それから、ミナミマグロについてでございますが、先ほど来いろいろ御質疑の中で申し上げておりますけれども、一九八二年以来毎年豪州ニュージーとの間でいわゆる三国間協議というものを開催いたしまして、毎漁期の三国によるミナミマグロの総漁獲量及びその各国別割り当て量につき協議することを通じてミナミマグロ保存及び管理を図ってきたというのが従来の実態でございます。  本条約は、このようなミナミマグロ保存及び管理に係る枠組みを法的枠組みとしてきちっと整備するということがねらいでございます。したがいまして、本条約締結によりましてミナミマグロ保存及び最適利用が関係国による国際的な管理体制のもとで一層効果的に確保され、そのことが我が国ミナミマグロ漁業の安定的操業の維持に資することになるというように考えております。  繰り返しますと、本条約のねらいというのが、多数の関係国によります制度的な全体資源の持続的再利用というものを図ろうとするということでございますので、本条約締結することが直ちに我が国ミナミマグロ漁獲の漁船減船につながるということではないというように申し上げたいと思います。
  72. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 続きまして、日・ネパール航空協定についてお伺いをさせていただきます。  現在日米間におきましては以遠権の行使が問題となっているわけでありまして、現状は大変不平等な状況になっているというふうに私は理解をしております。  航空業界は、昨今は大変な不況の中であえいでいるわけでございますが、一日も早い適正化をしていかなければいけない、私はそのような観点から、本協定においては、この以遠権の問題はどのような状況になっているかということを御説明いただきたいと思います。
  73. 加藤良三

    加藤説明員 日米の航空協定の以遠権の問題についてお答え申し上げたいと思います。  先ほど原田先生の御質問に対する答弁の中でも申し上げましたけれども、現行協定上、権益の不均衡が生ずる根っこの一つとして、米側の以遠地点というのに何ら限定が付されていないということが一つあるわけでございます。こういうことも含めまして、現在、安倍先生指摘のとおり、日米間に供給輸送力ベースで見ますとアメリカ七〇対日本三〇という数字が出ている、こういう状況でございます。  いわゆる以遠権の問題につきましては、アメリカは、以遠権の行使は自由、無制限である、こういうふうに主張をしております。私たちは、この主張は現在の協定上、特に十二条という条文の書き方などからいきましても正しくない、米側の主張は現行協定の関連規定の趣旨に照らして正当化され得ないものでありまして、一定の適切な制約、制限に服すべきものである、こういう立場を堅持しております。このような立場を堅持して今後の米側との交渉にも臨みたいというふうに考えております。
  74. 小池寛治

    ○小池(寛)政府委員 日本とネパールとの間の航空協定において、この件について、以遠権はどういうふうに取り決められているかということについてお答えを申し上げます。  この協定の十条に定められておりますけれども、二国間の航空業務、すなわち日本とネパール間の航空業務は、それぞれ日本及びネパールが発着する貨客の輸送を第一の目的としなければならず、相手国と第三国の輸送、すなわち以遠区間の輸送というものは従とならなければならないというふうに定められております。したがいまして、将来、この協定に基づきまして以遠権の行使が行われる場合も、こういう原則のもとで交渉が行われるものと認められるということになっております。
  75. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 条約についての質問は以上とさせていただきまして、緊急の問題といたしまして、ロシアの放射性廃棄物の投棄問題について御質問をさせていただきます。  細川首相は、十八日の政府・与党首脳会議で、ロシアの放射性廃棄物投棄問題に関連して、エリツィン大統領が、あんた、日本の方も核じゃないけれども海洋投棄をやっているだろう、それも一緒に調査しようと言っていたと述べ、さきの来日の際に、日本側の海洋投棄問題に対する厳しい姿勢に反論していた事実を明らかにしたと新聞では報道をされています。  そこで、外務大臣にお伺いをいたします。  外務大臣も十八日の政府・与党首脳会議には出席をされていたものと思いますが、このような細川総理の発言があったかどうか、教えていただきたいと思います。
  76. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 今御指摘のとおり、そういう発言があったところでございます。
  77. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 さきのこのエリツィン大統領の発言はかなり激しいものであると思います。これは、一体、日ロ首脳会談のどのような会話の中で、どのようなコンテクストの中でなされたかということを教えていただきたいと思います。
  78. 野村一成

    ○野村政府委員 御指摘の海洋投棄の点につきましては、これは日ロ首脳会談の前から累次いろいろなレベルにおきましてロシア側に提起してまいった問題でございます。  それを踏まえまして、首脳会談におきましては、総理の方から、これは日ロ双方にとって非常に重要な問題であるという点、それから、日本側として従来からこういった海洋投棄の即時停止を求めてきたという点をきちんと強調いたしました。その上で、共同調査につきまして、できれば年内、遅くとも来年早々には実施したいということを提案いたしました。  エリツィン大統領の方から、この共同調査の点につきまして、全面的に賛成である、十月には実施できなかったけれども、作業部会の討議が終わった後、調査を行いたいのだ、これは大きな、真剣な一歩であり、日本側の立場を全面的に支持する、そういう趣旨の発言でございました。
  79. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 細川総理は十八日に、会談で核廃棄物の海洋投棄をやめてくれと申し入れたが、やめると合意したわけではない、調査しましょうと申し入れて合意したわけだと記者団に語っておられるわけであります。  この細川総理のやめてくれというのは、実は従来からの海洋投棄の即時停止という一般論ではなくて、事前に通告をされていた十七日のロシアの核廃棄物投棄という個別具体的なものであったのではないか。そして細川首相が、ロシア政府が十七日に準備している放射性廃棄物の投棄はやめてほしいと強くエリツィン大統領に抗議を申し入れて、それに対してさきに述べたような大統領側の激しい反論があったのではないか。  今まで行われていた投棄に対してのエリツィン大統領の反論としては、いささか激しいのではないかこれはまさに個別のことを指しているのではないかという疑念がどうしてもわいてくるわけでございますが、実はどうなのかということを教えていただきたいと思います。
  80. 野村一成

    ○野村政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、総理の方から即時停止ということを大統領に求めました。そのときに、具体的にその数日後に今回のような投棄が行われるということを承知していたわけではございません。  これはいろいろ御指摘がございますけれども、そういう情報収集の面でまことに残念であったという点がございますが、この会談の際に、具体的な投棄を承知した上で総理の方から発言があったということではございません。
  81. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 もし万一、ロシア政府からあらかじめそのような通告がなされ、しかしながら日ロ首脳会談を成功させるがためにこれを隠していたということであれば、我が国の国益上、大変大きな問題があるわけでございますが、ただいまの答弁、なかったということでございますので、これ以上この問題については言及をすることはここでやめさせていただきます。  しかしながら、先ほど御答弁にございましたように、東京宣言の中で、まさにこの問題について、お互いに今後作業部会をつくって協議をしていこうということに合意をしたわけでありますし、また、細川総理からも、一般論としても即時停止をお願いした、まさにその直後にこの投棄がなされていたということに関しまして、外務大臣の感想をお聞かせいただきたいと思います。
  82. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 今御答弁申し上げておりましたように、私どもは事前にこれを承知しておったということは絶対にあり得なかった、これははっきり申し上げたいと存じます。  ただ、このいわゆる放射性廃棄物海洋投棄問題を含めまして、これを今までやったことに対してどのように海が汚染されておるか、こういった調査をしましょうということ、これに対して実は非常に積極的な話があったという。ことであります。そして、そういったことをこれからお互いしていきましょうということを話し合った直後のあれでございますから、私どもとしても本当にこれは、こういう言い方はどうかと思いますけれども、本当にショックを受けたというのが率直なところでございます。  そういうことで、私どもとしましても、コズイレフ外相の方にこの件に対する我が国の遺憾の意を表すると同時に、このことがせっかくでき上がったこれからの日ロ間の話し合いの基礎というものを崩してしまうことになるんだ、一体何のために大統領が来られたんだということになりますよということを率直に実は語りかけたわけでありまして、このときにも、コズイレフさんも、確かに現実にはちょっと――実際の話の中でも、要するにそんなに大変なことになっているのだなという感じを率直に受けたようでありまして、そういう話をもとにして第二回目の投棄を中止したということは多としたいと思っておりますけれども、私ども本当に率直に申し上げて、なぜという思いを持ったことは事実であります。
  83. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 新聞報道によりますと、ロシア外務省のソロビヨフ・アジア太平洋総局長は、モスクワにおいて、現地時間の二十日夕、我が国の枝村駐ロシア大使と会談し、二十一日以降の予定されていた日本海での放射性廃棄物の二回目の投棄を中止したと伝えたとされているわけでありますが、公式には日本政府に対してロシア政府からどの時点で報告がなされたのか教えていただきたいと思います。
  84. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 ただいま御指摘の二十日の通報でございますが、これは内報ということでございました。そして正式な発表は、その翌日の二十一日、すなわち昨日でございますが、ダニロフダニリャン環境保護天然資源大臣から行われまして、あわせて、先ほどもお話しがございましたソロビヨフ・アジア太平洋総局長から、我が方のモスクワ大使館の茂田公使に正式の通報がございました。
  85. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 今回、第二回目の投棄は、我が国の厳重な抗議、もちろん自由民主党も厳重に駐日ロシア大使を通じてロシア政府に対して抗議をしたわけでございますし、また、外務大臣初め外交当局の御尽力で第二回目は中止ということになったわけでございますが、第一回目の投棄発覚以後第二回目の投棄中止に至るまで、政府はどのような努力をされたのか教えていただきたいと思います。
  86. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 第一回目の投棄が行われました後、いろいろなレベルでロシア側に対しまして第二回目の投棄はぜひ中止してほしいということを申し入れてまいったわけでございまして、これは、一番初めには外務省の軍備管理・科学審議官を務めます林審議官からチジョフ在京大使に申し入れをいたしまして、その後次官からも、同じチジョフ大使にも申し入れを行っております。それから、モスクワにおきましては、枝村大使から、先ほど出ました環境保護天然資源大臣に対して、また外務省のクナーゼ外務次官に対しても申し入れを行ったわけでございます。そして、おとといの晩遅くでございますが、羽田外務大臣からコズイレフ外務大臣に対しまして直接電話をしていただきまして、そこで一回目の投棄が遺憾であるということと、ぜひ二回目の投棄は見合わせてほしい、中止してほしいということを申し入れられたわけでございます。
  87. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 第二回目の投棄は中止をされたわけでありますが、投棄する予定であった八百トンの廃棄物をロシア政府はどのようにするつもりであるのかということを、得ている情報等を教えていただきたいと思います。
  88. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 ロシア側が第二回目に投棄する予定でございました液体廃棄物につきましてどのように処置するのかという点につきましては、結論的には現時点ではまだ明らかになっておりません。  この放射性廃棄物の処置は、第一義的には当然ロシア側の自助努力によってなさるべきであるわけでございますが、今後我が国に協力を要請してくるというような場合につきましては、こういうような協力の可能性も含めましてロシア側と協議していきたいというふうに考えております。
  89. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 第二回目の廃棄物投棄中止について、政府としては、これは一時的なものであるかまたは、根本的に核廃棄物処理に対する方向の修正であるというふうにお考えか、その辺のところの見解を教えていただきたいと思います。
  90. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 私ども承知しておりますところでは、ロシア側といたしましても、海洋投棄というものが望ましくない、今後はやりたくないという気持ちを持っているようでございます。  ただ、廃棄物は、いずれにせよ何らかの形で処理をしなければならないわけでございまして、海洋投棄をするか、貯蔵するか、あるいは処理の上陸上で処置するか、大きく分ければ三つになると思いますが、海洋投棄をしないためには基本的には陸上での処置というのが必要になるわけでございます。この点につきましては、技術的あるいは資金的な問題等もございまして、これをこれから今後の恒久的な措置として検討していく必要がある、必要に応じて国際的な協力も求めていきたいというふうにロシア側でも考えているようでございます。
  91. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 原子力潜水艦の運航や解体によって生じる放射性廃棄物は今後ますます増加をしていくという傾向にあるのではないかと私は思うのであります。他方、これに対する十分な処置をロシア国内でとっていくということは大変難しいわけであります。  その中で、ロシアの環境天然資源省のルイバリスキー次官は、ロシアは液体も含めた放射性廃棄物の海洋投棄全面禁止に賛成だ、しかし、ロシアに廃棄物の貯蔵・処理施設が完成するまでには一定の時間がかかる、それまでの間廃棄物を何らかの形で処理しなければならないとして、日本に対して資金や技術面での協力を要請しているわけであります。  また、外務大臣も、海洋投棄をやめさせるためには、ただいけませんでは効果がないとおっしゃっておられるわけでありまして、外務省も、ロシアが海洋投棄停止に踏み切るには資金の問題もあって簡単ではないということで、ただいまの御答弁にもあるように、ロシア側に対して理解をされておられるわけでございます。  また、通産省も、新聞報道によりますと、ロシア国内の液体廃棄物処理施設の整備が不十分なことが根本的な問題だとして、ことし四月に公約した核兵器解体援助資金一億ドルの一部を放射性廃棄物貯蔵施設の拡充に回すことを検討する方針を示したというように報じられているわけであります。  しかし一方、施設建設で、原子力潜水艦の活動がそのことによって円滑にいくということでは国民は納得されないわけでありまして、むしろロシア海軍の円滑な運用の手助けになるという可能性もあるわけでございます。  そういう観点から、政府として、ロシアの原子力潜水艦の運航や解体によって生じる放射性廃棄物処理に対して、これに環境の面から協力をしていくべきであるというようにお考えなのか、または、安全保障の面からこれは差し控えるべきであるというように考えておられるのか、その辺のところを教えていただきたいと思います。
  92. 野村一成

    ○野村政府委員 先生指摘のとおり、核廃棄物の投棄の問題につきましては、環境の町題という側面、それから、特にこの廃棄物が原子力潜水艦の運航に伴うものであるという点から、まさに原潜の運航にプラスになるようなことになってはならないという安全保障あるいは軍事戦略的な側面の双方があろうかと思います。その二つをきちんとにらんだ上で適切な対処方法を考えていく、そういう基本的な問題であろうというふうに思っております。  先ほど、今回の対日支援という枠の中で一億ドル、核廃棄、それから、その中にはこの海洋投棄の問題も実は含めてございますが、予算措置を講じさせていただきまして、今回大統領の訪日の際の十六の文書がございましたが、そのうちの一つがまさにそれに関係する文書でございます。やはり対日支援と申しましても、国民の非常に重要な関心にこたえるという側面がなければ、これは国民の納得が得られないわけでございまして、我が国につきましては、まさにこの投棄の問題をどう対処するか。ヨーロッパにつきましては、どちらかといいますと、原子力発電所の安全という問題がございます。これについては既に対日支援という枠組みの中で対処されておるわけでございまして、そういった点をよく踏まえながら適切な対処を考えてまいりたい、そういうふうに考えております。
  93. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 先ほどから申し上げておりますように、今回の廃棄は、まさに東京宣言を行って、首脳会談が大変友好裏に行われた直後に行われたわけでございまして、私どもにとりましてどうしても疑念が残るわけでございますが、どうしてそのようなことがロシア国内の中で行われたかということを検証してみる必要があるのではないかと私は思うわけでございます。  新聞報道によりますと、外務省は、ロシア政府が核廃棄物投棄問題に関するさきの日ロ首脳会談の合意を意図的に無視したのではなく、合意内容が軍部の末端まで伝わっていなかったために予定どおり投棄が行われたのではないかと見ているというような報道がされているわけであります。これはエリツィン大統領に対して大変善意に、好意的な解釈をしているのではないかと思うわけでございます。  また、ルイバリスキー環境天然資源省次官も、今回の投棄はエリツィン大統領には具体的に事前に知らされておらず、やむなく大統領環境問題顧問に報告、同意を得たものと述べております。コズイレフ外相も投棄計画を知らされていなかったのではないかということも言われているわけでございます。  そこで、お伺いしたいのは、エリツィン大統領やコズイレフ外相は果たして投棄されるということを知らなかったのかどうかということを、外務省の得ている情報の範囲の中で教えていただきたいと思います。
  94. 野村一成

    ○野村政府委員 先ほど大臣から御答弁がございましたように、大統領の訪日、それから会談あるいは東京宣言、その直後にこの投棄が行われたということは極めて遺憾なことでございました。ただ、そのことにつきまして、ロシアの中でどういう連絡体制があったということについて私どもの一方から云々するのはいささか適当ではないというふうに考えます。  ただ、これも同じく先ほど大臣の答弁にもございましたけれども、まさに大臣の方から直接電話をいたしまして、それに対してできるだけ速やかな措置をとるようにという要請を行って、それが今回の発表によって満たされているという点について、あわせて指摘させていただきたいと思います。
  95. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 私は、もしこのことがエリツィン大統領に知らされていなかったということであれば、むしろ大変な大きな問題ではないかと思うわけであります。  ロシアの核・放射線安全監視委員会のビシュネフスキー議長も、我が委員会に何の報告もなく、また許可も受けていない、そのように述べ、投棄が不法であるとの判断を示しているわけであります。  これは、もしかしたら、まさに軍部が独走してこういう行為を行っていた、エリツィン大統領はそれに対して抑制することができない状況になっているのではないかという疑念も抱かざるを得ないのでありまして、これにはさきの大統領と議会との抗争における流血事件が関係している可能性があるのではないかというように私は思います。流血事件において軍がエリツィン大統領に協力したことによって、むしろその影響力が高まった結果ではないかというようにも私は考えられるのではないかと思うわけであります。例えば、チップマン英国国際戦略研究所長は十一日にインタビューに答えて、ロシアの政策決定で軍部の影響力が増しつつあるというように述べてもいるわけであります。  これまでロシアの軍部は決して政治の上に立つことはなかったわけでありますし、また、エリツィン大統領が独裁的な力を持っている中で、むしろ軍部は戦々恐々としているという見方もあるわけでございますが、果たしてこの軍とエリツィン大統領府との力関係がどのようになっているか、これは我が国の安全保障政策においても大変大きな問題があるのではないかと私は思うわけでございます。  外務大臣にお伺いしたいのは、あの流血事件によって軍部の力がロシア政府内で増している、ロシア国内で増している、むしろ強化をされているという見方に対してどのような見解を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
  96. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 一般論として、あるいは評論される立場の方、研究される立場の方としては、いろいろな考え方あるいはそういったものについていろいろな角度から見るということはあり得ると思いますけれども、今我が国の立場から軍と大統領との関係がどうであるというようなことについてコメントを申し上げることは差し控えたいと存じます。
  97. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 それでは、今回のロシアの核廃棄物の投棄がロンドン条約に違反だったかどうかについてお伺いをしたいと思います。  ロンドン条約では、低レベル放射性廃棄物については、国際海事機構に事前に届け出て、当該国の政府が許可すること、廃棄物は容器に入れること、水深四千メートル以上の海域には投棄できることになっているというように理解をしております。その上で四点についてお伺いをさせていただきたいと思います。  第一に、今回の投棄は国際海事機構には届けられていたのでしょうか。グリーンピースは、十八日ロンドンでの声明において、ロシア政府が日本海への液体放射性廃棄物投棄に当たり国際海事機構に事前通告しておらず、同国は国際法に違反しているというように批判をいたしております。  第二に、当該国の政府の許可が必要ということは、当然日本政府の許可が必要であったと考えられるわけでありますが、日本政府に知らされていなかったということは、これは明らかに条約に違反をしているのではないか。  第三に、廃棄物は、テレビ等の映像によりますと、直接海に捨てられていたのではないかという疑念がどうしてもあるわけでありますが、その点について。  そしてまた、第四に、ロシア環境天然資源省のルイバリスキー次官は、今回の投棄地点の水深は四千メートル近いというように述べておられるわけでありますが、投棄地点は、この四千メートルという基準を我が国が知り得る範囲で満たしていたかどうか。  この四点についてお伺いをしたいと思います。
  98. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 IMOとの関係についてまずお答え申し上げたいと存じます。  当初、ロシア側はIMOにも通報したというように伝えられておりましたけれども、我が方からIMOの方に確認をいたしましたところ、IMOの事務局はそのような通告は受け取っていないということでございました。この点はその後も何度がにわたって確認をしているわけでございますけれども、その後においてもそのような通報はなかったどいうことでございますので、IMOのと申しますか、このロンドン条約の手続がとられなかったということはどうも確かなようでございます。  ロシア側は、これも当初関係国に通報したというようなことを言っておりましたけれども、このロンドン条約上はIMOを通じて関係国に通報するということでございますので、これは必ずしも関係国に直接通報する条約上の義務はないとは思いますけれども、先ほど申し上げましたように、IMOの方への通報が行われなかったというのが実情でございます。
  99. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 あとは、水深について。
  100. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 失礼申し上げました。  ロンドン条約では低レベルの放射性廃棄物の投棄のためには特別許可を必要としているのは、御指摘のとおりでございます。この特別許可を与えるに当たりましては、IAEAの勧告を十分に考慮するということになっておる次第でございます。  そして、現在示されておりますIAEAの勧告におきましては、液体の放射性廃棄物の海洋投棄につきましては、これはすべきでないということになっておりまして、したがいまして今回の、低レベル放射性廃棄物ではございますが、これの投棄が液体のままで投棄されたということであればIAEAの勧告には沿っていないということになると思います。
  101. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 ということは、事実上このロンドン条約の違反をしていたということなんでしょうか。
  102. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 ロンドン条約そのものに具体的な規定があるわけではございませんけれども、ロンドン条約の関連の決議、それからIAEAの基準等を考え合わせますと、実質的にロンドン条約の体制のもとで求められている行為と申しますか措置には沿っていないということは言えると思います。
  103. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 次に、低レベルの廃棄物の廃棄の一時停止に関する決議についてお伺いいたします。  低レベル廃棄物の一時停止決議については、八三年の決議では日本は反対、そして、八五年の決議におきましては、日本は旧ソ連等六カ国とともに棄権をいたしているわけであります。  同決議は拘束力はないということでございますが、この決議に棄権をしたということが今回この投棄をするということに対して十分な免罪符になっている、外交上も問題ないというようにお考えなのでしょうか。これはロンドン条約そのものに違反していないという上でお答えいただきたいと思います。
  104. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 御指摘のとおり、ロンドン条約の関連の決議があるわけでございますけれども、これはあくまでも決議でございますから、これ自体に法的拘束力はないというのはそのとおりでございます。  ただ、この決議が締約国会議の多数で支持され、採択されたものでございますので、勧告的な効力は持っている。したがいまして、締約国といたしましては、その採択の際の投票態度のいかんにかかわらず、このような決議を尊重すべきであるというふうに考えております。  我が国の場合には、八五年の決議につきましては棄権をしたわけでございますけれども、その後、この決議を尊重して、我が国としては関係国の懸念を無視して海洋投棄を行うということはしないということでこれまで対処してきているわけでございますので、ロシア側としても同じような行動をとっていただきたいというふうに考えております。
  105. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 八五年に我が国が棄権をしたわけでありますが、このモラトリアムに棄権をするということは政策上どういう意味において棄権をされたのか教えていただきたいと思います。
  106. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 この八五年の決議の前に、御案内のとおり一九八三年にもいわゆるモラトリアムの決議があったわけでございますが、その決議も成立しておヶまして、そして、さらに八五年にもう一つ決議案が出てきたということでございます。その段階におきましては、我が国は、先ほどもちょっと触れましたけれども関係国の懸念を無視した形で海洋投棄を行う意向はないという方針を当時既にとっておりました。  しかしながら、この八五年の決議につきましては、一つは、手続的に本来こういうものはコンセンサスを見出す努力を十分すべきではないかということを言っておったわけでございますが、必ずしもそのような手続が十分尽くされないで表決に至ることになったという点が一つと、それからもう一点は、これがより実質的な点でございますけれども、このロンドン条約の第十五条には、附属書の改正につきましては「科学的又は技術的検討に基づいて行う。」というふうに規定されておるわけでございますが、このときの決議案は科学とは必ずしも関係のない社会的、経済的関係からの研究を含めまして非常に多くの分野での研究の完了があるまでモラトリアムは解除しないということで、そういう科学的な観点以外のいろいろな考慮にモラトリアムを係らしめているということで、そういう点は問題であるという観点から棄権をしたというふうに承知しております。
  107. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 十一月にロンドン条約締結会議におきまして海洋投棄全面禁止に関する論議が行われるわけでありますが、日本はここでどのような態度をとるのかということが今私は焦点になっているのではないかと思います。従来どおり海洋投棄を選択肢の一つとして考えるのか、または全面禁止に賛成するのか、政府の御見解を示していただきたいと思います。
  108. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 来る十一月八日からのロンドン条約締約国会議に臨む方針につきましては、我が国といたしましては、昨日官房長官が述べられましたとおり、放射性廃棄物の問題は国際的な協力と枠組みの設定によって初めて根本的な解決が可能であるという立場でございます。我が国といたしましては、来るロンドン条約締約国会議におきまして低レベルの放射性物質の海洋投棄の禁止に向けて努力していきたいというふうに考えております。  ただ、この問題につきましてはいろいろな方面の問題がございますので、関係各省庁と十分に御相談をした上で最終的な方針を決めていきたいというふうに考えております。  なお、先ほどの御質問の中で水深の問題に触れられまして、ちょっと私その関係の資料がすぐ出てこなかったものですから、その点まだ御答弁申し上げておりませんで申しわけありませんが、このIAEAの勧告によりますれば、平均水深四千メートル以下の海底に投棄すべきであるということを言っておりますが、先ほども申し上げましたとおり、いずれにせよ液体のままでは投棄すべきでないというふうになっております。  なお、私ども承知している限りでは、日本海の水深は、最大でも四千メートルに達していないということでございます。
  109. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 もう時間が参りましたので、最後に一問質問させていただきたいと思います。  以上、外交問題また条約上の問題としてお伺いをさせていただいたわけでありますが、最後に、安全性の問題についてお伺いをしたいと思います。  核廃棄物投棄が、周辺国である我が国に対して、科学的に環境や人体に対して大きな影響がないのかどうかということは、私は冷静に考えていく必要があるんではないかと思うわけであります。  今回の投棄物の濃度について、グリーンピースは、自然状態の十倍から七十倍であったというふうにしているわけであります。一方、ルイバリスキー環境天然資源省次官によれば、十六日の投棄は、一リットル当たり一・ニマイクロキュリーの濃度の液体放射性廃棄物を投棄し、放射性物質総量は一・〇八キュリーだったと言われています。そして、二、三日後には約直径一キロの投棄海域は通常のレベルに戻るというように述べているわけであります。また、IAEAブリクス事務局長も、ロシアの発表とおりだとすると、量的に少なく、健康への影響もまずないというように述べているわけであります。  政府は、第一回目の投棄の放射能量をどの程度であるというように確認しているのでしょうか。また、それは人体や環境に対してどのような影響があるのかどうか。海流のぐあいによっては、特定の場所に放射線がよどんでたまるという可能性も指摘をされているわけでございますので、その点について科学技術庁に御答弁をいただきたいと思います。
  110. 塚腰勇

    ○塚腰説明員 放射性廃棄物の海洋投棄につきましては、先ほど来御答弁がありましたように、ロンドン条約に基づきまして、IAEAの定義によって投棄が禁止されている高レベル放射性廃棄物が定められておりますが、低レベル放射性廃棄物につきましては、IAEAによって勧告されている技術基準等を満たしていることを政府が確認すれば、海洋投棄が認められる形になっております。  これらの定義や勧告は、個人の受ける線量当量が国際的に認められた許容限度以下に抑えられるよう科学的検討に基づいて作成されたものでありまして、これに従って投棄を行った場合には、投棄場所周辺諸国の人々に対し投棄による影響を及ぼすことはないと考えられております。  それで、この海洋投棄に伴います。その投棄場所その他でございますけれども、ちなみに、日本で過去に試算をしたことがございますけれども、それによりますと、自然放射線の影響の範囲内ということの評価結果を得ております。
  111. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 それでは、時間が参りましたので、これで質問をやめさせていただきますが、今回の核廃棄物の投棄の問題につきましては、外交上の信義の問題と安全性について科学的に検証するということは、私は厳しく峻別して行う必要があるというように考えております。  外交上は、まさにロンドン条約にも恐らく違反をしていたわけでありますので、厳しく糾弾をしなければいけないわけでありますし、また、今後の投棄に対して、私たちは厳しく抗議をして、監視をしていかなければならないわけであります。  一方、安全性については、私は、やはり冷静な論議を行っていく必要があると思っております。原子力に我が国のエネルギー政策において重要な依存をしているわけでありますので、安易に、ロシアに抗議をしたからといって、海洋投棄を全面的にやめなければいけない、こういう議論になっては、まさに私は国を誤っていくのではないかというように思うわけでございますので、この点については、今後冷静な議論をしていかなければいけないというように思っております。  最後に、本日私も初めて質問をさせていただいたわけでございますが、今回の政変によりまして、初めて我が自民党は野党になり、そして非自民党政権が誕生したわけでございます。  外務大臣が率いておられます新生党の小沢一郎さんは、まさに我が国は普通の国になるべきであるということを著書において述べておられるわけでありますが、私もまさにそのとおりだと思うわけでございます。  特に、外交、安全保障、なかんずくこの安全保障の分野において冷静に議論をしていく。何によって我が国の安全保障が保たれてきたかということを、まさに現実をしっかりと踏まえて、この国会の中においても、一切の虚構を排して率直に議論を重ねていくということが大切ではないか。そして、この政変によって、これをポジティブに考えるなら、これが可能になったのではないかというように私は考えております。そういう意味で、外務大臣には今後脚奮聞いただきたいわけでございますし、私もその観点からチャレンジをしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。これで質問を終わります。
  112. 菅直人

    菅委員長 古堅実吉君。
  113. 古堅実吉

    ○古堅委員 最初に、ネパールとの航空協定、その後に、関連して東シナ海と尖閣列島の問題について若干質問したいと思います。ネパールとの航空協定、付表の2の注2は「ネパール王国の一又は二以上の指定航空企業は、上海と大阪との間及び上海と当該以遠の二地点との間において運輸権(途中降機に係る運輸権を含む。)を行使することができない。」このように定められておけますけれども日本についてはこれに対応する記述がありません。  これは、日本側航空企業がネパールに乗り入れる計画がないことを反映した措置だろうか、このように考えておりますが、そのとおりですか。
  114. 池田維

    ○池田政府委員 お答えを申し上げます。  中間地点としましての上海の価値というものが商業的に非常に高いということがありまして、現在のところ、上海と大阪間の輸送につきましてネパール側で一定の制限が課されているわけでございますけれども、これにつきましては、ネパール側の完全な了承を得た上でやったわけでございます。  そして、我が方の路線につきましては、御指摘にございましたとおり、当面具体的な運航が行われないということもありまして、そのような制限の要否について規定する必要がなかったということでございます。
  115. 古堅実吉

    ○古堅委員 その点はわかりました。しかし、条約というのは権利義務について厳格に定められるべき性格のものだと思いますし、形式的にも相互主義を貫くということが必要かというふうに思います。  日本の航空企業のネパール乗り入れが本格化するその時点においては、この問題についてそういう立場から考え直すということもあるのですか。
  116. 池田維

    ○池田政府委員 我が国の乗り入れが実際に始まります前には、ネパール側と再度交渉いたしまして、機会均等の原則ということから、再交渉を行うということを考えているわけでございます。
  117. 古堅実吉

    ○古堅委員 その点についてはわかりました。  関連しての質問に移らさせていただきますが、最初に東シナ海にかかわる問題です。  東シナ海での日本船への威嚇銃撃事件については、この間日中間協議が行われてきておりますけれども、それらに関連して若干お尋ねするものであります。  去る六月三十日から四日間北京で行われた協議の合意内容と、その後の実施状況について報告していただきたいと思います。
  118. 池田維

    ○池田政府委員 東シナ海におきます不審船によります発砲事件につきましては、政府といたしましてこれまで大変重視して、事件が起こりますごとに中国側に照会をいたしましたし、中国側の公船が関与しているということがはっきりしましたときには、その都度抗議をいたしております。  ただ、私どもとしましては、いずれにしましても、事件の再発防止という観点から取り締まり当局間で何とか協議を行うということで中国側に対して申し入れをしてきておりました。その結果本年六月の三十日から七月三日の間に第一回の協議が実現をいたしました。この中で、我が方としましては、洋上での交信の方法であるとかあるいは連絡の窓口の設定といったようなことで今後の具体的な取り締まりの協力について話し合っていきたい、そして、中国側から協力を得たいという申し入れをしたわけでございます。そして、第二回目の協議につきましては本年内にも行うということで具体的な日程を現在調整中でございます。  ちなみに申し上げますと、この第一回の協議が開催されまして以降この種の事件は発生いたしておりませんので、そういった意味では当局間の協議がそれなりの効果をもたらしているということを考えておりますが、我が方としては、さらに安定的な運営ができますように当局間でより具体的な方策についての協議を行いたいというふうに考えております。
  119. 古堅実吉

    ○古堅委員 この日中協議が行われて不法、不当な威嚇銃撃事件というのは最近おさまった感じに見えます。しかし、いっそういうことが起きないとも限りません。それの根本的な解決は、日中間におけるきちっとした内容のある合意に達する、そういうことが大事だろうというふうに思います。  年内にもその協議が行われるといっただいまの報告でもありますけれども、それには、中国側が相手確認と確認船には不法行為を起こさないという国際ルールを守る、それを守らせる、そういうことを当然の前提にして、船舶間の通信運絡システム、それを確立する、そういうことが最低必要な問題だろうというふうに思うのです。年内に行われる協議はそこまで調うであろうということが十分期待されるようなものになりますか。
  120. 池田維

    ○池田政府委員 私ども第二回目の協議を年内に行うという考え方で現在具体的な日程を調整中でありますが、その協議が調いました場合には、ただいま古堅先生が御指摘になられましたような点を念頭に置きまして、特に中国公船の識別の方法であるとか、海上におきます日中の公の船の間の連絡の方法であるとか、あるいは今後の連絡の窓口を設定するといったようなことで、中国側が国際的かルールを守っていくようにという方向でやっていきたいと考えております。
  121. 古堅実吉

    ○古堅委員 先ほどありました年内の協議というのは、今十月でありますが、大体いつごろということでのお考えもありましょう、具体的には十一月ですか十二月ですか。
  122. 池田維

    ○池田政府委員 まだ正式には決まっておりませんが、いずれにしましても、できるだけ年内にと。いう方向で現在話し合っております。
  123. 古堅実吉

    ○古堅委員 現地の漁業者を初め関係者にあっては、この問題の推移というものには非常に大きな関心が払われております。最近は心配されるようなことが海上で起きていないとはいえ、今まで本当に数限りないそういう事態があっただけに、いつ起きないとも限らぬ、そういうことの根本的な解決のための努力というものが政府に強く求められる、そういう状況がありますから、根本的な解決のために日中間の必要な合意に達する、そういう年内の協議にぜひしてもらうよう大きな努力を求めておきたいというふうに思います。  次に、尖閣列島の問題です。  申すまでもなく我が国固有の領土尖閣列島にかかわる問題ですが、昨年二月二十五日、中国の領土と明記した領海法が国家主席の名において公布されました。全く言語道断の話ですが、それを受けまして、私は昨年三月十二日の沖縄・北方特別委員会で総理に質問をいたしました。当時の宮澤総理は、中国に対して是正を申し入れている、十分に善処を求めたい、そのような答弁をしておられるのであります。  その後、中国政府はどういう措置をとられたか、日本政府からどういう積極的な態度を表明してこの問題解決のために努力をしてこられたのか。その点については大臣の方からお聞かせいただきたい。
  124. 羽田孜

    ○羽田国務大臣 この尖閣列島につきましては、今御指摘がございましたように、まさに国際法上の疑いのない固有の領土であるということを申し上げることができます。  そして、お話がありましたように、宮澤総理の方からは、江沢民総書記に対しまして善処方を求めたということであります。中国側の方からは、この措置というものが法整備の一環であること、また、日中関係に本件が悪影響をもたらすことは望まない等の応答があったところでございまして、私どもは、これからも中国側に対しまして、機会をとらまえながら我が国の立場というものを明確にしていきたいということを申し上げたいと存じます。
  125. 古堅実吉

    ○古堅委員 一九七八年に来日した当時の鄧小平副首相は、次の世代に解決をゆだねたい、そういう趣旨のことを言われたのですね。広く新聞にも報道されました。それさえも無視したような形での昨年の領海法の公布であったように思うのです。  中国側が明らかにその副首相の日本側への公約ともとれるようなそういう言い分を領海法の公布によって否定したというふうなことになるのでしょうか。
  126. 池田維

    ○池田政府委員 ただいま外務大臣から御答弁がありましたとおり、尖閣諸島は我が国の固有の領土でございまして、中国には中国の言い分はあるかもしれませんけれども、私どもは、これは歴史的にも国際法上も疑いのない日本の領土である、しかも、それを有効に支配しているということでございます。したがいまして、この点は極めて明確でございまして、中国側の言い分を受け入れることはできないという立場をとってきております。
  127. 古堅実吉

    ○古堅委員 受け入れないというふうなことを政府がはっきり表明した、そういう経緯についてはよくわかりますけれども、中国側は、ああそうか、それじゃその領海法を公布したそういう態度を改めましょうということになっていないことも明確なわけです。  そういうことがそのまま推移するような形で尖閣列島に対するところの我が国の領有権、それについて将来不安がないような、そういうことでよろしいのでしょうか。政府は何かこの問題についてもっとしっかりした態度をとる、そういうつもりなどもないのですか。
  128. 池田維

    ○池田政府委員 これまでのところ日本側の立場は極めて明確だというように私ども確信しておりますし、しかも、実際に尖閣諸島は日本が有効に支配をいたしているわけでございます。もちろんこの問題でいたずらに日中関係を悪化させるつもりはございませんけれども日本側のこれまでの立場というものは明確であるし、ただいま御指摘の二月の動きがございましたときには、その後も、そのような中国側の動きについては我が方としては受け入れることはできないということは明確に申し入れをしてきたわけでございます。したがいまして、今後とももし必要があれば、機会に応じて同じような立場を繰り返すということだと思います。  しかし、重要なことは、ただいま日本がこの海域を実効的に、完全に支配しているということでございます。
  129. 古堅実吉

    ○古堅委員 今、実効的に支配しているということが目下の大事な点だというふうなことだと思うのですが、この公布された領海法の第二条には、「中国の領海は中国の領土に接する一帯の海域とする。領土は中国大陸、台湾と釣魚諸島(尖閣諸島)を含む」云々、そのように言われ、十四条では、「本条の追跡排除権は中国の軍用船舶、軍用機あるいは中国政府が権限を与えた船舶、航空機が行使する。」ということで、軍事力をもって中国側の立場を守り、それを侵さんとするものは排除するなどという法律になっています。そういうことを許さぬという我が国の立場からの実効支配というのが続けられる、そういう意味合いを持ったものだというふうなことになりますか。
  130. 池田維

    ○池田政府委員 本件をめぐりまして、私どもといたしましては、いたずらに日中関係を悪くしたいとは思っておりませんけれども日本側の主張は明確だというように考えております。  したがいまして、昨年の二月にそういう動きがありました後も日本側の立場を明確に申し入れ、中国側は、ただいま御指摘になられましたような規定はございますけれども、その海域において一切動きを示しておりません。そういった意味では、繰り返しになりますけれども日本の有効な実効的支配はそのまま続けられているということでございます。
  131. 古堅実吉

    ○古堅委員 それでは、最後にお尋ねしますが、日本が示した抗議その他の態度について、それに対する回答といいますか、中国側はどういう態度を示したのですか、黙認されているだけですか。
  132. 池田維

    ○池田政府委員 昨年の二月二十五日に中国が当該法律を公布いたしました後、我が方は直ちに、翌日二十六日に北京におきまして、それからまた二十七日に東京におきまして、次官クラスのレベルで抗議を行いました。それから、同年三月十六日に行われました日中の外交当局間協議におきましても再度抗議をいたしました。それからまた、同年四月に、当時の宮澤総理からも来日した江沢民総書記に対して善処を求めたわけでございまして、そのときの中国側の応答は、いずれにしましても、本件措置は法整備の一環である、しかし、日中関係に悪影響をもたらすことは望まないということであったわけでございまして、日本側の主張は明確でおるというように考えております。
  133. 古堅実吉

    ○古堅委員 終わります。
  134. 菅直人

    菅委員長 これにて各件に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  135. 菅直人

    菅委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、みなみまぐろ保存のための条約締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  136. 菅直人

    菅委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、航空業務に関する日本国ネパール王国との間の協定締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  137. 菅直人

    菅委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、日本国中華人民共和国との間の航空運送協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  138. 菅直人

    菅委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 菅直人

    菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕
  140. 菅直人

    菅委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五分散会