○小杉
委員 科学技術庁を中心に、放射能対策本部幹事会がことしの四月から六月にかけて
調査をした、こういう御報告をいただきました。そして、その
海洋投棄された場所に近い海域で
調査をした結果、八月末にその報告書を出されたわけですね。この海域というのは、
投棄された場所に余り近くない、離れた場所でやったというふうに聞いていますが、この
調査地点というのはどういうところだったのか。
それから、この報告によると、さっきの御説明のとおり、海水とか海底の土とか海産生物というものを調べだそうですが、その中に、いずれからもストロンチウムとかセシウムとかプルトニウムが検出をされている。この物質、この元素というのは、普通の自然の
環境の中では絶対出てこない物質なのですね。これは、戦後長い間行われてきた大気圏内の核実験の放射性降下物に起因する物質ばかりですね。この
日本海の海域で
調査した結果、結果としては異常は検出されていなかった、「
我が国国民の健康に大して影響がおよんでいるものではない」こういう結論が出されているのですが、私はちょっとこの点についても首をかしげたいわけです。
特に、ヤブロコフの報告書によると、今回も
投棄された第九海域、あの地域では一九八八年に一万キュリー以上の液体
放射性廃棄物が
投棄をされているわけですね。今までもこれは相当大量に捨てられていたわけですから、特に大量の
投棄が行われたとしても、今まで相当蓄積していますから、そんなに異常は検出されないということもあり得るわけで、だから別段騒ぐことはない、こういうふうに言われていると思うのです。
しかし、ストロンチウムとかセシウムとかプルトニウムという物質は、長い間だんだん蓄積し、それを初めはプランクトンが食べて、そして小魚が食べ、また次に大きい魚が食べ、そして人間がそのお魚をとって食べる。そうすると、食物連鎖といって、だんだん放射能が人間の体に摂取される、こういうことがわかるわけですよ。当面は何にもないと言っても、今騒がれているフロンガスによるオゾン層の破壊とか熱帯林の減少とか地球温暖化とか、こういう地球
環境の問題も、今我々日常こうやっていても何にも害は直接的には受けないわけですよ。しかし、それが数十年後、あるいは百年後、そのときになって気がついたらもう取り返しがつかないというふうに、地球
環境というのはじわじわその危機が追ってくるわけですね。
特に、このプルトニウムなどというのは、半減期、放射能が半分に減退するまでの期間が実に二万四千年と言われているのですね。ストロンチウムとかセシウムでも約三十年半減期があるということですから、だんだんこういう半減期の長いものが徐々に蓄積をされて、お魚から始まって人間の体に循環して、食物連鎖というのが起こって、将来とも人間に害を及ぼさないという保証はないわけですね。
その辺の
調査とか研究というのは、科学技術庁が放射能対策本部の幹事をやっておられるわけでしょう、厚生省とかそのほかの省庁もあるわけですけれ
ども。だから、人体に対する影響とか安全性、そういったものはもっと息長く研究を続けていかないと結果はわからないと私は思うのですよ。わずか四月から六月までの二カ月間で、何も異常はありませんでした、これでいいのかなと思うのですが、その辺いかがですか。