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中西国務大臣 今の憲法は、いわゆる国際環境にいろんな
ケースを想定して明確に対応していくその規定といいますか、ルールというものが明確に定められておりません。そういうことで、いろんな場面で、それは憲法違反である、いやいやおれはそれは憲法違反ではないと解釈するというような
議論がしょっちゅう起こっておるわけですね。
ですから私は、私たち人間が想像する以上の勢いとスピードで、国内はもとより世の中も大きく大きく変化しているわけでございます。そもそも日本の
自衛隊が海外に出ていくなんてことは、ついこの間まではほとんどの人が
考えもつかなかった。しかし、現実に日本の
自衛隊が
カンボジアにも行って、大変手探りのスタートでありましたけれ
ども、マクロに見て大変な成果をおさめて帰ってきて、
国民の
自衛隊に見る見方も大きく変わってきておることも事実です。あるいはペルシャ湾に、掃海艇という特殊な、水雷を撤去する技術を持った部隊がこれも海外に出たわけでありますが、行く前は大変な騒ぎでありましたけれ
ども、帰ってきたときは、国内はもとより、マスコミも含めて世界じゅうの人からも感謝された。
そういうことで、
自衛隊の海外へ出ていくという事実を見ても、ついこの間までだれもそんな場面というものは想像できなかったわけですね。私はですから今後とも、例えば国連のあり方というものも、機構の改組も含めて、日本もそれに恐らく深くかかわっていくことになるんだろうと思いますが、もちろんかかわっていくかどうかのこの
議論を徹底的にやるというのが
前提でありますけれ
ども、国連のさま変わりも予想される。
PKOの頻度もふえてくる。
PKOの中身そのものも相当変化が起こり得る。
そういう
状況の中で、例えば憲法九条では、国権の発動として、いわゆる日本の意思として海外で武力を行使することは、これはいけませんということで禁止されているわけですね。しかし、将来、国連のルールがどうなるか、それに日本がどういうふうにかかわっていくかということは、日本がこれ決めていくわけでありますが、私は、日本というものは独立国として必要最小限度の
防衛力を整備する、とても一国で、日本独自ですき間のない
防衛力を整備するということは、これはもう予算的に見ても不可能なことでありますし、近隣諸国に与える影響、それによってもたらされるいろんな政治的なリアクション、そういうようなことを
考えると、とても一国で完璧な
防衛力をつくるということはこれは不可能だ。
そこで、日米安保条約というものを結んで、補完的にアメリカに守ってもらっている。それが戦後約半世紀、全く戦争に関係のない平和な日々を送り続けてこられた抑止力として大きく働いてきたと私は思うんですね。その二つの力によって平和を維持してきた。
しかし、私は、これからは第三本目の柱として、やはり国連というものも大きくクローズアップされてきたのではないか。その国連を通じてやはり日本は、周辺及び世界全体に対して平和な環境を構築していく有力な足場としていく必要がある、そんなふうに
考えております。
ですから、国連がどんなふうにこれから形づくられていくのか、中身がどんなふうに、世界じゅうの多くの国々が参加して、世界の平和維持のために国連が
最大限その能力、機能を発揮さしていくということになれば、世界の国々と一緒に参加して、国連のいわゆる指揮のもとに、世界の国々と歩調を合わせてやっていく。これも、もちろん民主主義の我が国でありますから、
国会の出された結論に従っていく、
国会の結論を尊重していくというのは当然のことでありますが、国連のいわ
ゆる指揮のもとで、世界と同じレベルで平和維持活動をやっていくということは憲法違反ではないという解釈をしている方々もたくさんおられるわけですから、これ解釈の問題ですから、私もそういう解釈は成り立ち得るのかな、個人的にはそんなふう。に思っていることは事実です。
ですから、そういう問題も含めてこれから
国会で、景気対策、あるいは政治改革、あるいはウルグアイ・ラウンドの問題、将来の福祉をにらんだ税制改革、こういう問題に見通しをつけられた後は、私は、地に足をつけた徹底的な
国会の論議というものが行われていくであろう、また、ぜひそういう
議論をやっていただきたいという希望を持っているということを先般申し上げたとおりでございます。
先ほど中谷委員が、これから
邦人救出、これだけ国際化が進んで、世界じゅうのほとんどの国に日本人がおる、活躍しておる、何が起こるかわからないような情勢でもある、そんなときに、やはり
邦人救出というのは国家の
責任においてやるべきではないかというような
お話をなさってくださいました。大変私は結構な御
意見だと思います。
しかし、
自衛隊法の
改正のこの問題は、
政府専用機を
自衛隊に管轄、運営させようということが決まってから、それじゃ、その
自衛隊機をどんなふうに、
政府専用機をどんなふうに利用するかという視点からこの話につながってきているわけですね。
だから、
邦人救出、日本人が外国にたくさんおられる、そういう
人たちにもし何か災難が降りかかった場合に、危機管理といいますか、そういう視点からとらえるならば、私はやはり何か特別の、その問題に限定した
法律というものをみんなで
考えてやっていくというぐらいのとらえ方をすべきなのではないか。
だから、視点が全然、ちょっと違うところからの視点で
邦人救出というふうなところにいってしまっているものですから、若干、何といいますか、例えば非常に近いところで何かそういう事態が起こった場合は、船にヘリコプターぐらいを載せていく、それでヘリコプターで
現地に行って、それでヘリコプターに乗せてピストン
輸送か何かして、その船にはお医者さんもおる、おふろも沸かしている、あるいは下着だとかいろいろな衣類も完全に用意している、おいしい食事も用意しているぐらいの体制を整えるのが、ふっと
考えたって思い浮かぶことでありまして、それはそれでまた改めてやっていただければ結構な話かなというふうに私は思っております。
以上のようなことで、先般私申し上げたわけでございますが、とにかく今抱えている問題のある程度の見通しがついた段階で、もう一度掘り下げていろいろな角度から
安全保障という見地の御
議論をしていただきたいという強い希望を持っておることは事実でございます。