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中西国務大臣 今御指摘のとおり、
日本独自で、すきのない
防衛力というものはなかなか、費用対効果というような面から
考えてもおよそ不可能なことなんだろうと、また、それだけのそのすき間のない
整備をすると、やはり
周辺諸国に与える
政治的、心理的影響というものも大変な影響を与えることになって現実的でない。
そういうふうなことから、すき間を埋めると言うとちょっと
アメリカに怒られるかもしれませんが、
日米安保体制、これは
軍事同盟だけではありませんけれども、経済的な
部分、いろいろ多目的な
同盟関係にある
日米関係でありますけれども、軍事的にも
アメリカとの強固な関係が構築されている。そして
米軍の駐留も現実化している。ですから、
日本に邪悪な心を持って対応しようとしても、
アメリカ軍もいるしというようなことで、
防衛庁、
自衛隊員も頑張っておるというようなことでなかなか手が出せない、これが現実に半世紀近くにわたって戦争のない平和な日々を送り続けている直接的な根拠なのかな、私はそんなふうに思っております。
しかし、災難というか、そういう問題がいつ発生ずるかというのは、これは本当に神様のみが知るでありまして、人間の予知
能力なんというのは、私は本当に、ある
意味ではネズミよりも劣るのではないか。ネズミなんというのは、船が沈みそうになったとき、火事が発生しそうになったとき、その船や家からネズミが一匹もいなくなってしまうというぐらい予知
能力がある。人間は、それじゃベルリンの壁が崩壊する、
ソビエトが瓦解する、あるいはアラファトとラビンががっちり握手をするなんということはだれも予見できなかった。
政治部の記者の皆さんにも話をするのですが、
防衛費の予算、少し減らしたらどうですかというような質問をされる方々に僕は申し上げるのですが、あなたたちはそれじゃ経世会がなくなるなんということをだれが予見できましたか、そんなことも予見できない者が一国の安全、
防衛に関することについては軽々に
発言をしてもらっては困るというようなことも申し上げているわけでございます。
いずれにしても、
ヨーロッパと違って
アジアの
周辺というのは、
日本の
周辺というのは、もう非常に複雑、不安定この上ない
状況なのですね。それで、
アメリカや
ヨーロッパでは、STARTあるいはSTARTⅡとか、欧州通常
戦力条約だとか、NATOとか、CSCEだとかWEUとか、いろいろな縦横十文字の、みんなで話し合っていく場というものがあるわけですね。ところが
アジアには何にもない。唯一あるのは、この月末に
アメリカのシアトルで開かれる予定のAP
ECという
会議しか唐いのですね。だから、こういうような面でもやはり
日本がもう少し
イニシアチブをとって、
お互いに胸襟を開いて話し合っていくというようなことも非常に私は大事な要素なのだろうというふうに
考えております。
ちなみに、さっき参事官が答えましたけれども申し上げますと、
日本は二十四万人の兵力しかいないわけですが、
極東ロシア軍はさっき言った数字でありますけれども、
ロシア全体ではまだ二百七十万人、これを百五十万人にしたいという
方向にはありますけれども、二百万を超えておる。
米国は百九十万を百四十万人にしたい、そういう目標を持って今進んでいるわけでありますが、
中国は三百万を超えている。
北朝鮮は
日本よりはるかに人口の少ない国ではありますけれども、百万を超えた兵力を持っている。
人口千人当たりの兵力数を参考に申し上げますと、
日本は千人当たり二人しかいない、英国は五人、ドイツ六人、イタリア六人、フランス七人、
米国七人というふうにありまして、
韓国が十四人、
ロシアは十八人、
北朝鮮は人口千人当たりに対して四十八人の兵隊さんがいる、こういう
状況なのです。確かに、
防衛費四兆七千億円になんなんとする、
お金だけで見てみると大変な金を使っているじゃないか、こういう話があるわけですけれども、例えば、
日本の一番階級の低い
自衛官と
アメリカの一番階級の低い兵隊さんとを比較いたしますと、一年間に支払われる予算というものは約二借の予算が
日本の
自衛官一人に支払われているのですね。だから、一人で二人雇えるわけですよ、
アメリカと比較しても。あるいは、戦闘機だって輸入にばかり頼ることはできない、やはり国産化ということに重点を置かなければいかぬということで、そういう方針のもとにやっているわけでありますが、F15なんかを例に挙げますと、
アメリカから買えば四十億円で買えるものを、国産化でやっておりますから八十億円、倍ぐらいの値段になっている。
こういうふうなことを
考えますと、攻撃型の兵力なんというのは何にも持っていない
日本なのですね。一隻も、一機も持っていない。もうまさに専守
防衛に徹している国でありますから、そこら辺もやはり日常の広報を通じて、あるいは私も含めた
政治家、また
防衛庁のありとあらゆる階層で、いろいろな国々と胸襟を開いた話し合いというものも誤解を解いていく極めて有力な
手段ではなかろうか、私はそんなふうに
考えているところでございます。
残余の質問については、
長官に答えてもらいます。