○
斎藤十朗君 私は、自由民主党を代表して、さきの
細川総理所信表明演説に対し、当面の
重要課題について
総理ほか
関係大臣に若干の質問を行います。
今回新しく誕生いたしました
細川連立内閣の門出に対し、まず心から祝意を表するものであります。
内外ともに多難な折ではありますが、どうか
国民皆さんの期待にこたえていただきたいと存じております。
さて、我が党は、過ぐる総選挙において過半数を割りました。我々は、
国民の審判にあらわれました結果を厳しく受けとめ、
出直し的党改革を進め、
国民の
信頼回復に努めてまいる所存であります。
今回の
連立政権誕生は、長く続いた
自民党政権が交代し、政治の新しい
場面転回がなされたということで高い
支持率を得ておられます。
しかし一方、
連立政権内における政策の
不一致というものが、政権の不安定さとして
国民は大きな危惧の念を抱いていることも事実であります。これまでの
自民党がとってきた政策の基本は継承するということで
安心感を与えようとしておりますが、
連立各党の政策には、憲法と
自衛隊、
日米安保条約、
PKOへの対応、対
朝鮮半島政策、
原子力エネルギー政策、
消費税等、数多くの
相違点を持っているのであります。
本来、選挙の前に一つの政党を結成し、統一した政策を示して選挙に臨み、
国民の支持を得て政権を担当するのが憲政の常道ではないでしょうか。
世界に類例を見ない数多くの政党による連立ということも一層前途を不透明にしているのではないでしょうか。七
党連立を指して、七色のにじは美しいが消えるのも早いとか、八人の
ムカデ競走は倒れるのも早いなどと言う人がいるのも、八
党会派による
政策合意というものが、意見の異なる
各党派の
基本政策を棚上げして、理念も政策もない無責任な
連立政権であると批判されてもやむを得ないところにあるのではないでしょうか。
こうした
細川連立政権の性格をどう位置づけるのか、その
政治的意味は何か。また、
党固有の政策を棚上げすることについて
国民にどう説明されるのか、まず
細川総理の所見をお伺いいたしたいのであります。
所信表明演説をお聞きしますと、総花的に作文がつなぎ合わされているだけのように感じ、抽象的で
具体的政策はほとんど見当たらない、まことに
期待外れのものであります。
以下、
具体的事項について質問いたしますので、具体的かつ明確に御答弁願いたいと存じます。
連立政権各党派の
唯一共通の
接着剤は、
政治改革ということだと私は理解いたしております。
そこで、まず
政治改革からお尋ねしてまいります。
政府は、政権の性格をみずから
政治改革政権と規定され、「本年中に
政治改革を断行することを私の内閣の最初の、そして最優先の課題とさせていただきます。」と述べられました。また、
総理は
記者会見において、実現できなかったときには
政治責任をとることを明確に認められました。本議場におきましても確認の答弁を賜りたいと存じます。
衆議院の
選挙制度改革については、小選挙区
比例代表並立制で合意されておりますが、その内容の細目についてはいまだ明確になっておりません。九月上旬に
臨時国会を召集、法案として提出されるとおっしゃっておられますので、その内容の論議は
臨時国会に譲りたいと存じますが、
参議院の
選挙制度との関連でただしておきたいと存じます。
参議院は現在、都道府県を単位とする地域の代表たる選挙区選挙と職能、職域を代表する有識者を選出するための
比例代表制から成っております。
衆議院で導入されようとしている
並立制は、小選挙区制による民意の偏力を是正、補完する
比例代表制であり、
重複立候補を認めることからいえば、小選挙区の
落選者の救済を現実には意味しているものであり、理念が全く違うものでありますが、形式的には現行の
参議院選挙と似た制度となります。
我々は、
衆議院が抜本的に改革された場合、
二院制下における
参議院の
選挙制度はどうあるべきか、既に勉強を積み重ねてまいりましたが、いよいよ具体的かつ早急に結論を得るべく
参議院自民党内に
検討委員会を発足させたところであります。
そこで申し上げておかなければならないのは、
衆議院における
並立制の内容について詰めておられるでございましょうが、二票制と
比例代表区の単位を全国とする組み合わせについては容認することができません。
参議院は
与野党を問わず共通の
気持ちであろうことを申し上げておきます。
国会は
二院制であり、衆参の
選挙制度は
ワンパッケージで改革すべきとの意見がありますが、どうお考えになりますか。また、十三年間
参議院に籍を置かれた
総理として、
参議院の
選挙制度はどうあるべきか、具体的お考えをお聞かせ願いたいと存じます。
次に、
政治資金規制についてお尋ねいたします。
保政治と金の問題を解決するためには、
政治資金の
透明性を確保することが最も基本的な要請であります。その中で、企業・団体による献金の扱いはまさに
中心課題であります。企業・
団体献金は政党を中心とし、
政治家の
資金団体は
個人献金を中心とし、
国民各位の御理解を得て公的な助成を導入することも必要と考え、我が
自民党は、個人による献金、
政党中心の
政治資金、加えて
公的助成という三本立ての
改革方針により、さきの国会に
改正案を提出したのであります。
ここで、
連立政権与党を拝見しますと、
自民党から離党して新党をつくった
皆さんと、社公民の旧野党の
皆さんに大別できると存じます。私の質問をわかりやすくするため、以後あえて旧
自民党の
皆さん、旧
野党め皆さんと呼ばせていただきますので、御理解いただきたいと存じます。
旧
自民党の
皆さんは、今申し上げた
自民党の考え方と同じでありましょう。しかし、旧野党の
皆さんは、企業・
団体献金の
即時全面禁止を公約として選挙を戦ってこられました。与党内で検討中との御答弁になりましょうが、私は多分一部残すことになるのだろうと思いますが、一カ月前の公約との関係をどう調整、説明されるのですか。
総理及び
山花政治改革担当相にお伺いいたします。
また、徹底した政治の
腐敗防止のための
連座制の拡大や罰則の強化を図るとしていますが、どのような方策をとろうとするのか明確ではありません。前回、
与野党協議機関において合意された、いわゆる二十一項目の改正が実現したところでありますが、これに何を加えようと考えておられますか。
政治改革担当相より
具体的内容について御答弁願います。
政治腐敗の防止は、究極、我々政治に携わる者が
政治倫理を確立して、
国民の負託にこたえる責任ある政治を実現することによって初めて実現できるものと確信いたします。その点、我が党に必ずしも
自浄作用能力が十分でなかったことを率直に反省もいたしております。
細川内閣は清新な内閣と評価を得ておりますが、今後
万が一内閣に、また与党内に疑惑や事件が起きた場合どのように対処されるか、この際、
総理の方針をお聞きいたしておきます。
次いで、
国会改革についてもお伺いいたします。
細川政権の合意の第一段階となりましたのが、さきがけ
日本新党の
政治改革政権の提唱に合意されたことでありました。その
合意項目の中で二点お伺いいたします。
まず、
政府委員制度の廃止の問題であります。私は、
国会審議をスムーズに行うためには
政府委員制度は必要なものと思っておりますが、与党内で合意している以上、今国会は解散後の
特別国会という性格上、これまで
政府委員の
届け出はないようでありますが、自後の
臨時国会以降においても
政府委員の
届け出はされないものと存じますが、
総理にしかと確認しておきたいと思います。
いま一つは、押し
ボタン投票の導入であります。この問題は、昭和六十一年に
参議院改革協議会の場では基本了解されながら、いまだ実現を見ておりません。私たちは、
国民の
皆さんから強い御批判を受けた昨年の
PKO国会の
牛歩戦術の反省の上に立って、現在、
参議院改革協議会で押し
ボタン投票の
早期実現を提起しておりますが、残念ながら進んでおりません。
社会党の
皆さんに賛成いただければすぐ実現できるように思います。
社会党委員長であり
政治改革担当相であります
山花大臣より、この合意を踏まえて積極的御賛同の御答弁を賜りたいと存じます。
また、
連立内閣の誕生を受けて、新しく与党となられた本
院同僚議員より大臣、
政務次官につかれた各位に対し、お喜びを申し上げますとともに、その御活躍を期待いたしております。
私は、現実、衆参をまたがった政党が与党である以上、与党として応分の責任を果たす意味からも、
参議院から内閣に参画されるのはよいことだと思っておりますが、
社会党、公明党、
日本新党の
参議院改革案には、大臣、
政務次官の就任は自粛するとなっております。
言行不一致でありますが、
総理はどう説明されるのか、お伺いいたしたいのであります。
次に、
細川連立内閣の外交、内政について質問いたします。
まず、
外交政策についてであります。
細川総理は十分御承知のことと思いますが、およそ一国の基本にかかわる
外交政策は、その他の
基本政策と同じく、一つの顔、一つの言葉によって明快に語られなければなりません。決してファジーであってはならないのであります。もし
我が国の
外交政策があいまいであったり、不統一の印象を与えたりすることがあれば、そのことは直ちに国際的な信用の失墜、予期せざる誤解などを招き、
我が国の
対外イメージを著しく損なうだけでなく、場合によっては国の命運さえ左右しかねないことになるからであります。
政治指導者が国を誤るのは、
国民受けをねらってパフォーマンスをやるときに多いという言葉を肝に銘じなければなりません。
私は、
総理は当然このような認識を持って事に臨まれると確信するものでありますが、まずお聞きしたいことは、この
連立政権において目指すべき日本の
国家像はどのようなものであるのか、その実現に向けてどのような
外交政策を進めようとされるのか、
基本姿勢を
国民にはっきりと改めて示していただきたいのであります。
細川政権は、外交、防衛、経済、
エネルギー政策などの
基本重要政策についてはこれまでの国の政策を継承すると述べておられます。つまり、私
ども自民党内閣が三十八年間かけて築き上げてきた政策を引き継ぐと表明しておられます。これまで我が党が構築してきた政策が今日の
我が国の安定と繁栄をもたらし、世界の平和と安全に多大の貢献をしてきたこと、そして何よりも
国民の幅広い支持をから得てきたことを考えれば、継承されるのは至極当然のことであります。むしろ継承せざるを得ないということを率直に認めるべきでさえあります。私は、そのことに
自民党の一員として強い誇りさえ感ずるのであります。
次に、
我が国の外交の基本にかかわる事項について具体的に質問いたします。
まず、戦争への反省についてであります。
所信表明で述べられたように、「多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことに改めて深い反省とおわびの
気持ちを申し述べる」ことにつきましては、
自民党の
歴代総理もほぼ同様の認識を繰り返して述べておられることでもあり、私も賛成であります。
私は、今後
我が国が
アジア・
太平洋地域の諸国との
関係増進を図り、かたい
友好信頼関係に基づく外交を推進するためにも必要なことと考えます。しかし、そうした歴史の教訓を
日本国民の日々の行動にいかに生かしていくかがより重要なことだと思うのであります。ただ、
国会決議をするあるいは
政府声明を出すということで
けじめがつく問題ではないはずであります。
細川内閣には、現時点で戦争責任問題を提起され、
けじめをつけようとされる意味、また、具体的にどのような措置を講じようとされるのか、御説明願いたいと存じます。
一兆円から二兆円規模の
アジア・
太平洋基金の構想が報道されておりますが、その内容についても御説明願います。
また、
細川総理がさきの大戦は
侵略戦争であったと極めて断定的に述べられたことに対して各方面に大きな波紋を呼んでおります。この問題は基本的には後世の
歴史家の判断にまつべきものと考えますし、さきの大戦は各方面での戦い、さまざまな側面を持った戦いであり、全体を一言で侵略と言いあらわすことは史実を見誤ることにもなりかねません。
いずれにしても、
内閣総理大臣が侵略と断言したことは、
解決済み、未解決の問題を新しく惹起することを憂慮いたしますし、
国家権力により赤紙一枚で召集された
戦争犠牲者やその御
遺族等の心情をもっと酌むべきであると思いますが、何か御所見があれば承りたいと存じます。
次に、
国際貢献のあり方、特に
PKOについてでありますが、その前提として、憲法と
自衛隊の関係をどのように認識されるのかお聞きいたします。
細川総理を支える
連立与党の間では、
自衛隊を全面的に合憲とする党派から、専守防衛の範囲内で合憲とする党派、憲法の条文に照らして全く疑義がないとは言えないとする党派、そして、現在の
自衛隊は
違憲状態であるとする党派があると考えます。まさにばらばらの状態であります。
細川内閣としての一致した見解はいずれにあるのか、
国民にわかりやすく明快な答弁を求めます。
国際貢献そのものについても全く同様のことが言えるのであります。
細川総理は、
記者会見で
PKO参加五原則に基づいて協力を進めていくと述べておられますし、内閣として既に盛立し施行されている
PKO協力法を遵守し、これを誠実に執付すべきは当然のことでありますが、
社会党、
民主改革連の
皆さんのあの
牛歩戦術、まさに体を張っての反対、一年前のこの議場であります。あれは何だったのか、政治ってそんなものでいいのだろうかということを思うのであります。
私がきょうお聞きしたいのは、いわゆる
別組織の問題であります。
昨年、私たちは、
PKO法審議の際、
別組織について修正すべく当時の
連合参議院の
皆さんと詰めた話し合いをしましたが、なかなか具体化できませんでした。別
組織とい三言葉だけが先行してしまうように思います。
与党各党には
別組織論があるように承っており、
日本新党も
別組織を提唱していますが、
細川総理より
別組織の
具体案を例示で結構ですからお聞かせいただきたい。また、
中西防衛庁長官から、いわゆる
別組織論について賛成であるか、御答弁を賜りたいと存じます。
次に、
日米関係についてお尋ねいたします。
細川総理が、
日米関係は
我が国外交の基軸であるとされ、
日米安保条約の継承を表明されたことに安心いたしております。
そこで、
総理にお伺いしたいのでありますが、
総理は今後、
日米安保条約を基軸として中長期的に
日米関係をどのような方向に持っていかれるつもりか、お考えをお示し願いたいのであります。
また、さきに
クリントン大統領が来日の際に明らかにされた新
太平洋共同体構想に対する御見解、さらに
ASEAN外相会議で創設された
ASEAN地域フォーラムを含め、
アジア・
太平洋地域の
安全保障システムの構築に向けてどのような
外交努力をされていくつもりか、御見解を伺っておきます。
ところで、現在、日米間の最大の
緊急課題は経済問題であります。
アメリカは
我が国に対して、
黒字減らしと
市場開放への
具体的行動を迫っております。新しい駐
日大使に就任されたモンデール元副
大統領も、
日米経済摩擦が続けば
日米同盟関係への
両国国民の支持を弱めることになると強い調子で警鐘を鳴らしたと伝えられるのであります。今後、日米間では、九月以降、新
経済協議を皮切りにして黒字の減らない
我が国に
アメリカがいら立ちを表明してくることは確実であります。
細川内閣が打ち出した
生活者重視の
経済運営がもはやスローガンの段階ではなく、
具体策をいかに実行するかが求められていると言えるのであります。最近の急速な円高もそれを催促しているように思うのでありますが、この
日米最大の課題に
総理はどう取り組み、解決を目指すのか、具体的にお答え願いたいと存じます。
次に、
日ロ関係について簡潔にお尋ねいたします。
ロシアの
エリツィン大統領訪日はこの秋に実現するのでしょうか。その際、当然に領土問題が話し合われることと思いますが、
細川内閣において、
我が国国民の悲願である北方領土の
返還要求は四島
一括返還であると理解してよいのか。また、我が
自民党は領土問題を解決して
平和条約を締結することを方針としているわけでありますが、
総理もこれと同じ方針で交渉に臨まれると承知してよいのか。さらに、政経不可分、
拡大均衡の原則を堅持し、対
日支援はこの原則にのっとって行われるものと理解してよいのか。
総理の答弁を求めたいと存じます。
次に、
国連外交についてお尋ねいたします。
総理は、九月の
国連総会に出席する意向のようでありますが、今や
冷戦終結後の世界で重要な機能を発揮している国連にいかなる役割を期待し、
我が国としてこれにどう寄与していくつもりなのか。
総理が
国連総会で訴えようとされるビジョンとあわせ、明らかにしていただきたいと存じます。
現在、国連は、戦後五十年近くを経て
安全保障理事会の改組問題を含め、新しい時代に合った機構へと改革することが求められております。そうした改革と
国連強化のため積極的に寄与していくと
総理は述べておられます。
私は、
我が国が平和な世界を築くため汗を流していくことにより、国連においてより一層重い責任を果たしていく決意を新たにすべきであると思います。そのためには、
我が国が
安全保障理事会の
常任理事国になり、
国際政治をリードする役割を進んで担う覚悟が必要であると思うのでありますが、
連立内閣の各党はいずれも
我が国の
常任理事国入りに否定的もしくは慎重であります。しかし、
我が国は
常任理事国入りの希望をはっきりと表明し、憲法の範囲内で
国際的責任を果たす用意のあることを自信を持って訴えるべきであると思います。
総理のお考えを承ります。
次に、ガット・ウルグアイ・
ラウンドにおける米問題について伺います。
この
ラウンドは、世界の
自由貿易体制の中で新しい効果的な
国際ルールの確立を目指した交渉であります。七年越しの長い時間を要しており、依然として合意に至る状況ではありません。私が気がかりなのは、遅々として進まない原因は日本が米の輸入を自由化しないからだという見方があることであります。
しかしながら、
ラウンドの農業問題の中には、もちろん
我が国の米もありますが、
アメリカにはウエーバーによって守られた農産物があり、ECには
輸入課徴金の問題があって、各国とも自国の利益を主張し、ぶつかり合っている状況ではありませんか。
さらに、農業問題のみならず、この交渉では
知的所有権であるとかサービスといった新しい分野で、いまだ解決されない困難な交渉が続いているのであります。
我が国が米について譲歩すれば、今すぐにでも
ラウンドがまとまるといった誤った見方は断じて容認できません。
いよいよこの秋から
本格的交渉が始まります。もとより、
自由貿易体制のもとで最もその恩恵を受けてきた
我が国でありますから、交渉の妥結に向けて精いっぱいの努力をしなければなりません。すなわち、米は
関税化の例外とし、かつ、全体の合意を形成していく努力であります。五月の宮澤・
クリントン会談でその道は開けたと私は認識しております。
畑農水大臣は
記者会見で、
最終合意案をより改善された形にすることによって
ラウンド成功につなげたいと発言されております。高く評価したいと思います。しかし、
日本新党は一粒たりともの対応を排し、国際的に公正な
ルールをとおっしゃっており、新生党は
関税化受け入れに柔軟とも伝えられております。心配であります。
連立内閣をつくるためだけに例外なき
関税化に反対をうたわれたのでしょうか。
総理、この際、この本
会議場から
国民に対しはっきりと宣言していただきたい。米の
輸入自由化につながる
関税化は絶対阻止すると。
国民の
皆さんを安心させてくださるよう明快な答弁を賜りたいと存じます。
次に、内政について質問いたします。
この夏、
我が国は
北海道南西沖地震、
南九州を中心とした記録的な
集中豪雨により、かつてない大きな災害をこうむりました。これらの災害によりとうとい命を失われた方々やその御遺族に対し、ここに深く哀悼の意を表しますとともに、被災された地域の方々に心からお見舞い申し上げます。
前内閣の
宮澤総理も早速現地を視察され、我が党もそれぞれの地域に対する
災害対策本部を設置、いち早く
党調査議員団を現地へ派遣、
被害実態の把握に努めるとともに、万全の対策を期するため、
被災者の救済、
被災施設の
早期復旧、
天災融資法による資金の
融資等、強力な
災害対策を政府に要請してまいりました。
新政府として、我が党の申し入れを受けて今回のたび重なった災害にどう対処されたのか、また今後の対応について伺いたいと思います。
さらに、冷夏と
農作物被害の問題についてであります。
今回の
異常気象に伴う冷夏は、
国民生活や経済に大きな影響を及ぼしております。既に野菜の値段は異常に上がり、
夏物衣料やエアコンなど
家電製品の売れ行きが落ち込むなど、冷夏の影響が出ております。また、長雨と
日照不足が稲作を含む
農作物に深刻な被害を与えることも予想されます。こうした
異常気象は混迷する景気の状況を一層深刻なものにしております。これらについても政府の早急な対策を求めるものであります。
我が党は、これまで
景気対策には適時適切に対処してまいったと自負しております。二カ年連続でおのおの
史上最大の
総合経済対策を打ち出したのを初め、五回にわたる公定歩合の
引き下げ等、周知のとおりであります。これらにより、六月にはようやく
景気底入れを見、先行きにやや明るさを感じ始めたと言われたのでありますが、その後の解散総
選挙等、政局の混迷、加えて、先ほど申し上げた災害、冷夏、長雨、まことに深刻な状況に逆戻りしてしまったと認識しております。
景気問題にさらに追い打ちをかけているのが円高であります。
現在の日本の
経済状況で
円レートはどのくらいが適当と
総理は考えておられるか、まずお聞きいたします。
私は、一ドル百円を切るという事態になれば、日本の
産業経済の死活問題と言っても過言ではないと考えます。報道で見る限り、政府は全く放任の姿勢であります。米国は
細川首相が
記者会見で
否定的見解を示した
景気対策、
所得税減税といった
内需拡大、
黒字減らしのための政策への不満が引き金であると報じております。何か手を打たれますか。
円高には
規制緩和で対応とのことでございますが、今日青息吐息で苦しんでいる
円高被害の産業や
中小企業にそれは
即効性がありますか。将来の
円高対策ならともかく、差し迫った対策にはならないと思いますが、御答弁願います。
規制緩和と言われますが、現実には大変難しい問題と思います。やるべきことはやってきた、これ以上は難しいというのが
関係者の率直な
気持ちではないでしょうか。中身こそ問題であります。具体的にどのような項目を念頭に置いておられますか、お伺いいたします。
関連して
熊谷通産大臣にお伺いいたします。
通産大臣は、就任以来、
日本市場は閉鎖的だと述べておられます。また、大企業の
談合体質はすさまじいものがあると述べておられます。この場合、
談合体質とは
建設業以外のことを指していると思いますが、この二点についてそれぞれどのような現実があるのか、具体的にお教え願いたいと存じます。
また、
円高差益の還元への対処であります。電気、
ガス等公益事業は、前内閣が進めてまいりましたように、その方向に動き出しているようでありますが、
輸入品等の価格の
引き下げという問題があります。私たちもこれまで取り組んでまいりましたが、流通システムの改善、
規制緩和寺難しい問題もありますが、この際、内外価格差解消ということを含めて新しい取り組みをされたらいかがでしょうか。
通産大臣にお伺いいたします。
また、円高に苦しむ産業への対策は全く述べられておりません。対策を講じないでもよろしいのでしょうか、
通産大臣にお伺いいたします。
総理は、
景気対策について、四月に決定した
自民党内閣の
総合経済対策の実施に万全を期し、
規制緩和と
円高差益の還元で対応すると述べておられますが、これでは新味もなく、不十分であり、
即効性にも欠けており、事態の認識が全く甘いと思います。何といっても、金融、財政、税制の出動による迫力ある総合対策が必要であります。いかがお考えでしょうか。
また、その場合、次の
臨時国会に補正予算などの提出をされるのかどうか、お伺いいたします。
次に、
景気対策として
所得税減税を実行されるか否かであります。
旧野党の
皆さんは、総選挙で
所得税減税を公的として掲げられました。また、昨年来の国会論議、特に本年度本予算の衆参両院での予算審議では、赤字国債引き当ての減税実施という無理難題を
自民党政府にぶつけてきたことをよもやお忘れではないでしょう。
連立政権が発足すると手のひらを返すように押し黙ったり、政権についてみると赤字国債発行は言いにくいなどと、同じ政党とは思えないことを平気で発言することは許されないのではないでしょうか。これを実行するのが責任ある変革なのでしょう。うそつきと言われないよう、旧野党の
皆さんが多数を占める
連立政権としてやるのかやらないのか、
総理から明確に御答弁願いたいと存じます。
次に、税制の抜本改革について伺います。
我が国税制は、所得・消費・資産の間にバランスのとれた税制を目標に昭和六十三年に実施した抜本改革以来数年がたち、さまざまな点で見直しの必要が生じております。特に、年収一千万円前後の中堅所得者層に重税感が広がっており、直間比率の見直しを含めた新しい税体系をどう再構築するのか、二十一世紀を前にして大きな課題に直面しております。
細川政権のもとでの改革を強調されておりますが、しかし改革の
具体的内容となりますと全く明らかになっておりません。
総理、抜本改革を実施する内容、そしてその時期についてお聞かせ願います。
また、その場合、年金等の社会保険負担についても総合的に改革されようとするのですか、あわせてお聞かせください。
藤井大蔵大臣は、就任以来、
景気対策における
所得税減税の財源としての消費税率引き上げと、抜本税制改革の中における消費税率引き上げと、発言にぶれがあるように思います。本来、大蔵大臣に御答弁願うところでありますが、答弁大臣は五人という
ルールがありますので、ここで、まことに恐縮でありますけれども、整理して
総理より明確に御答弁願いたいと思います。
社会保険負担に関連して年金問題についてお伺いいたします。それは被用者年金の支給開始年齢を六十五歳に引き上げる問題であります。
我々
自民党政府は、平成元年にこのための法案を提出いたしましたが、旧野党の
皆さんの強い反対に遭い、この点については成立しませんでした。私は、二十一世紀のピーク時においても揺るぎない年金制度を維持していくためにも、また、六十歳を過ぎても楽しく適度に働いていただけるような前向きの意味でも、緩和措置を加えつつ引き上げを行っていくべきと思います。シルバー雇用対策も進んでまいりました今日、来年の財政再計算期には再び法案を提出すべきと考えますが、大内厚生大臣のお考えを承りたいと存じます。
関連して、来年春予定されます社会保険診療報酬の改定でありますが、財政の厳しい状況ではありますが、現下の医療を取り巻く状況を考えるとかなり大幅な引き上げが必要であります。その場合、社会保険の担当すべき分野の抜本的見直しを行いつつ対処すべきと考えますが、厚生大臣の所見をお伺いいたします。
次いで、原子爆弾被爆者援護法案についてお伺いいたします。
私たち
自民党政府は、現行のいわゆる原爆二法により対応することがよいとして反対をしてまいりましたが、旧野党の
皆さんの大変な意気込みでこれまで二度にわたり本院で可決いたしましたが、両院ねじれ現象の中で成立しませんでした。両院で旧野党の
皆さんが多数を占める
連立政権として、今度は政府提出として原爆援護法案を提出されることは当然と思いますが、厚生大臣はどのように取り扱われるか、お伺いいたします。
私がこの質問をいたしましたのは、原爆援護法案は代表的な例でありまして、これまで旧野党の
皆さんが強力かつ熱心に取り組んでこられ、我々がにわかに賛成しがたい法案がありました。すなわち、情報公開法、製造物責任法、ODA基本法等であります。旧野党の
皆さんが多数の
連立政権として政府立法としてどう取り組むのか。野党であったので無責任に取り上げていたというそしりを受けてはなりません。
細川総理から御答弁を願いたいと思います。
次に、平成六年度予算編成について若干お聞きいたします。
概算要求基準を拝見しますと、変革と主張されている割には、固定化していると批判の強かった公共事業費の配分比率を変えるためと称して、生活関連重点化枠等、三つの特別枠を廃止した以外には従来のシーリング方式をそのまま踏襲しようとするもので、さして目新しいアイデアもなく、変革を期待した
国民にとっては全くの
期待外れだったと言わざるを得ません。特別粋を廃止すれば公共事業の配分比率の変更は本当に可能なのでしょうか。可能だと言われるのなら、どのような配分の変更をお考えですか、お伺いします。
また、
細川内閣の目指す新社会資本整備とは一体どのようなものでしょうか。新社会資本整備とは八本年、我が党の三塚前政調会長が提唱され運用されているものであります。
自民党政権のアイデアとの違いをお答え願いたいと存じます。
さらに、この概算要求基準をペースに予算を編成すれば、本当に生活重視の予算になるのですか。従来とほとんど変わらない概算要求基準の中からは、連立政府が言うような生活重視の予算の姿は今のところ全く見えません。連立政府が目指している生活重視の政策と、我々が進めてまいりました生活大国への施策とどう違うのか、明らかにしていただきたいのであります。
また、
連立与党の中には、近年の
我が国の防衛費が伸び率は低下したものの依然増加しており、軍拡が続いていると
自民党政府を攻撃してきた政党がありましたが、今回、概算要求基準で伸び率一・九五%の枠を設けたのは一体なぜですか。防衛庁長官はこれをどう評価しておられますか。加えて、来年度にAWACSの追加二機の予算計上への自信のほどを承りたいと存じます。
これからの六年度予算編成に当たって、
連立与党内にはこうした幾つかの
基本政策についての政党間の政策の違いがそのままうやむやにされておりますが、それが
国民に疑問と不安を与えております。
細川内閣が真に
国民の理解と信頼を得て内閣の顔である予算を編成しようとするならば、最低限これらの疑問に明確に答えると同時に、税収不足で厳しさを増している中で、再び特例国債依存に陥らないためにどのような方針と姿勢で六年度予算の編成に臨もうとされているのか、
細川総理の明快な見解をお示しいただきたいのであります。
以上、私は、
連立政権の誕生に当たっての性格及び
細川内閣が当面する
政治改革、外交問題、
災害対策及びその他緊急を要する内政問題に限定して質問いたしてまいりましたが、時間の関係上、これら以外の重要政策につきましては、引き続き明日同僚議員により政府の姿勢をただしたいと存じます。
立党以来三十八年、我が党は政権の座から離れることとなりました。過ぐる総選挙において過半数を割りました。我々は
国民の審判を厳粛に受けとめております。同時に、圧倒的な比較第一党としての支持をいただいたことも現実であります。我が
参議院においても、昨年の選挙だけでは過半数を上回る支持をいただいたことも事実であります。
我々は自覚と責任を持って、正しい政策には協力を惜しまず、悪しきはこれを正し、責任野党として行動してまいることを申し上げ、私の代表質問を終わります。(拍手)
〔
国務大臣細川護煕君登壇、拍手〕