○庄司中君 それから、先ほど問題が出てまいりましたけれども、
労働問題というのは労使で成立をしておりますので、
当事者である労使の協定というものがこれは
基礎にならざるを得ない。ところが、先ほども議論の中に出てきましたように
労働者代表という、つまり定義はあるわけでありますけれども、それが実態としてはうまく機能をしていないということでございます。
御承知のように、労使
関係というのは二つあります。
一つは、使用者とそれから
労働組合の
関係です。それからもう
一つは、
労働組合のないところであっても使用者と従業員の
関係というものはあるわけでありまして、これがいわば労使
関係の二つというふうに言えることなんです。もちろん、前者の方が望ましいわけでありますけれども、我が国の実態をとってみますと、
労働組合の組織率がアメリカほどじゃありません。フランスほどじゃありませんけれども、やっぱり低いという
状態がございます。特に、我が国の特色としましては中小
企業の組織率が非常に低いわけであります。
そうしますと、労使協定といいましても、
労働組合がないところではどうしても従業員の
労働者代表ということを
考えざるを得ない。ところが、この
労働者代表というのが実態を見てみますと、例えば監督の
立場にある者がそれを代行するとか、ある
意味では形骸化している部分が実はかなりあるわけです。中小
企業の場合には組織率が非常に低く、そして
労働者代表制というものが形骸化しているということになりますと、膨大なこの分野に労使
関係の空白地帯ができている、空白があるということに実態上はならざるを得ないということになります。そういう
意味では、この問題はもう言われて久しいわけでありますけれども、今もって解決をされていない。
先月の十日に、
労働基準法研究会
労働契約等法制部会が
報告書を出しました。私もこの
報告書を非常に期待をして読んだわけでありますけれども、その中には例えばこういう表現があります。「現在
労働基準法に定めがない
労働者代表の選出方法、権限、任期等について、明確化することが適当」である、こういうふうに述べられております。それから、「
現行の
労働者代表の選任の
手続について
法律上明確化することについて検討することが適当」だというふうになっておりまして、ここでは「
法律上明確化することについて」というふうにかなり踏み込んだ
指摘があるわけであります。そういう点では、長年の懸案になっているこの問題を早急に検討していく必要があるんじゃないだろうかというふうに思います。
それからもう
一つは、就業規則の作成義務者の範囲ということでございます。
現行制度は「常時十人以上の
労働者を使用する
事業場」というふうになっておりますけれども、同じように先ほども申し上げました
労働基準法研究会
労働契約等法制部会の
報告では、「常時五人以上の
労働者を使用する
事業場」が適当というふうに、つまり十人を五人に下げるべきである。これは、現在の経済の動きを見てみますと、経済のサービス化がかなり進行しまして、そして小規模の事業所もふえている。つまり、小規模で市場に参入するという例も多いわけでありますから、この二つの問題があります。
労働者代表の問題と、それから就業規則の作成義務者の範囲という問題についてはもう既に
報告書が発表されたわけでありますから、早急に検討してほしい。つまり、
労働法制がどんどん変わっていく変わり目にあるわけでありますから、それを積極的に推進するためにも、その
基礎にある労使の協定あるいは
当事者の
立場の明確化ということは避けがたい、あるいは緊急の課題であるというふうに思いますけれども、この辺についてはどのようにお
考えでしょうか。