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説明員(岩田
達明君) 日系人は、大部分は移住者の指定でございます。
移住に関して申し上げますと、まず戦後華や
かなりしころの集団農業移住は大体終えんいたしまして、その方々がおおむね安定定着しておられるというふうに私
どもは考えております。
ただ、問題も幾つか残っております。移住者を含む日系人社会の動向と、それがもたらす今の
政策課題ということを簡単に申し上げますと、まず第一は、安定定着に至っておられない移住者あるいはその子弟の方々にどういうふうに支援をするか。例えば、移住者で高齢になられた方がおられるんですけれ
ども、身寄りのない高齢の方にどういうふうに支援するかとか、それから移住地の中でなかなかうまくいかなかった。それは、移住者個人の能力とか意思の力ではなくてたまたま
経済事情がよくなかったとか、入った土地がよくなかったとか、いろんな事由でうまくいかなかったところがある。そういうところにどういうふうに支援していくかという問題が残っていると思います。
もう
一つの問題は、今御
指摘の日系人の出稼ぎの
労働者の問題でございます。この方々は皆さんが皆さん現地でうまくいかなかったということではないんです。うまくいかなかった方もおられますけれ
ども、
経済的な機会を見てみますと、
日本の方がよりいいということで
日本に来られた方も相当おられるというふうに私
どもは見ております。大体十五万人ぐらいおられるわけですけれ
ども、この方々が
日本で働かれることについては、我々としてはもう
最大限の
援助をしたいと、こう考えております。もちろん私
どもの省、外務省だけでできることは限られておりまして、ここにおられる
労働省、文部省、その他の省にもたくさん支援を仰いております。
例えば、私
どもの省に関して言いますと、日系人の方が東京に来られて、
言葉がわからなくて困っておられるその最初の段階でのお手伝いをする。どこに行けば学校の問題が解決できるとか、住居はどうしたらいいのかとか、そういう初動のお手伝いをすること等々の作業を今年度から予算をつけていただきまして始めました。これが今後やらなきゃいけない日系人の問題なんですけれ
ども、その他大多数の、大体今私
どもの計算では一割ぐらいの日系人の方が
日本に来ておられると思うんですけれ
ども、それ以外の九割の方はどうかと申し上げますと、これは大体その移住先の国だとか地域社会に非常にうまく溶け込んでおられるケースが多くて、その方との
関係をどうするかという問題を今
先生は
質問されているんだろうと私は
理解します。
これに派生するもろもろの問題があるんですけれ
ども、その中で
一つだけ、私
どもとして特に現地にうまく溶け込んでおられる方に対する
政策の問題を申し上げますと、やはり日系人の方々の方にも
日本との
関係を何か持ちたい、
日本語を勉強したい、
日本文化を
理解したいという強い希望がございますので、
日本との文化的なリンケージを維持するためのいろんな
措置、
日本語の教育であるとか
日本文化の広報であるとかをやっております。また、その他もろもろの施策もとっております。
私
どもといたしまして、これだけの多くの日系人、数の勘定の仕方によるんですけれ
ども、例えばブラジルだと百五十万とも二百万とも言われている日系人の方がおられるんですが、こういう外地における日系人社会をその国と
日本との間の
関係増進の
一つの大きな媒体として役立てたいと考えております。やはり
日本を
理解していただける方がブラジルならブラジル、その他の国にたくさんおられるということは
日本から見ても心強い限りですし、またその国から見ても
日本との
関係を律していく上で役立つケースが多いというふうに考えております。それが大きな基本的な
考え方ですけれ
ども、それ以外に個々のことを申し上げますと、例えば日系社会は成功しているケースが多いんですけれ
ども、成功しているケースを見てみますと、その地域社会で
経済発展のコアになっているケースが多い。そういう
経済発展のコアになっているケースに関しましては、今後の
政策といたしまして、
経済協力に当たってそういう日系社会により中心的な役割を果たしていただくとか、あるいは
企業が進出していく
一つの媒介になるとか、いろんなことが考えられると思います。
私
どもといたしましては、相手国の
政策をよく考えながら、その国の日系社会がどういうふうに
我が国とその国との間、またその国の
経済発展に役立っていただけるかということを考えつつ
政策を立案していっているところでございます。